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1968-04-26 第58回国会 参議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十六日(金曜日)    午後一時二十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          亀田 得治君    理 事                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君    委 員                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 菅野 儀作君                 高橋文五郎君                 中村喜四郎君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君    国務大臣        法 務 大 臣  赤間 文三君    政府委員        法務政務次官   進藤 一馬君        法務大臣官房経        理部長      辻 辰三郎君        法務省刑事局長  川井 英良君        法務省矯正局長  勝尾 鐐三君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局事務次長   吉田  豊君        最高裁判所事務        総局総務局長   寺田 治郎君        最高裁判所事務        総局経理局長   岩野  徹君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        管 理 部 長  二見 次夫君        管理部部長   佐橋 宣雄君        人 事 課 長  植木 正張君        常任委員会専一        員        佐藤 忠雄君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  内田 喜一君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  中川  衛君    国立国会図書館側        総 務 部 長  斎藤  毅君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      石原 一彦君        大蔵省銀行局保        険部長      新保 実生君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第二局長   石川 達郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十一年度特別会計歳入歳出決算昭和四十一年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  国会法務省及び最高裁判所決算について審査を行ないます。  この際、委員長より御報告いたします。  参議院営繕工事の請負に関し、前委員部長において、公私混同があったという事件について、先刻理事会において、宮坂事務総長より事情を聴取いたしました。それによりますと、競争入札にあたって、世間一般から疑惑を持たれるようなことは、道義的にきわめて遺憾であるとして、議長同意を得て、昨日、同人の辞表を受理し、その責任を明らかにしたとの事務総長報告があり、総長としても、このような事件は、まことに申しわけないことであり、再びこのようなことの起こらないよう、最善の努力を今後講ずる所存であるとの意向が表明され、理事会もこれを了承いたしましたので、この際、御報告いたしておきます。  ただいまの報告に関連して、宮坂事務総長より発言を求めておられますので、これを許します。
  3. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) このたび本院事務局幹部の職にある者につきまして、公務員たるにふさわしくない不祥事が明らかとなり、良識の府たる本院に汚点を残し、議長、副議長をはじめ議員の皆さまに多大の御迷惑をおかけいたしましたことにつきまして、衷心より陳謝の意を表する次第でございます。  私、事務総長といたしまして、このような不祥事を未然に防ぎ得なかったことにつきましては、その責任の重大を痛感いたしておる次第でございます。  今回の事件につきましては、契約そのものの手続上の問題はたとえないといたしましても、世間一般疑惑を招来いたしましたことは、道義的にまことに遺憾にたえないことでございます。当事者であります委員部長佐藤吉弘につきましては、昨日、議長の御同意を得まして、その責任を明らかにいたしますため、参事を免ずる発令をいたしましたので、ここにつつしんで御報告申し上げます。  今後は再びかかる不祥事を起こすことのないよう、職員一同自粛自戒、いささかなりとも疑惑を招くことのないよう善処いたす所存でございますので、何とぞ御了察を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 私は、八王子拘置支所事件について、法務大臣矯正局長にお尋ねいたします。  本年四月の八日に、八王子拘置支所から殺人犯である笹沼が脱走いたしました。鉄格子を破って出たわけでございまするが、本件は、現在の量刑行政、特に末端拘置支所あり方の問題につき幾多の問題を提供しているというふうに考えられます。この点を特に指摘しておきたいのですが、特にこの脱走事件をめぐって、周辺の民家を脅迫をする等、住民にかなりの不安、動揺を与えております。こういうふうな点について、まず八王子拘置支所の投与と立地条件についてお尋ねいたします。
  6. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 八王子拘置支所は、御案内のように、八王子医療刑務所支所でございますが、戦後三多摩方、血の犯罪人口が非常にふえるのに伴いまして、それまでの八王子医療刑務所が扱っておりました拘置区だけではとうていまかない得なくなりましたので、現在京王線八王子駅に近いところに適地を求めまして、そこに裁判所並びに検察庁法務局これを同一区画に建てることになりまして、法務省といたしましては、検察庁法務局拘置支所三つ合同庁舎として建設をされまして、現在に至っているものでございます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 いま答弁があったこの合同庁舎方式ですね、この合同庁舎方式で、官庁事務室と一緒に拘置支所をつくって、特に重罪犯人を入れる拘置支所一般事務所と雑居しているというふうな点について、どういうふうにお考えですか。これは全国にどのくらいあるか、その説明をあわせて……。
  8. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 御指摘法務局保護観察所等合同庁舎最初に建ちましたのがこの八王子、それから小倉の拘置所並びに沼津の支所、この三つが当時最初合同庁舎として建てられたものでございます。その際に、御指摘のありました他官庁との関連等につきまして種々検討をいたしまして、出入口を別にするといったような配慮をいたしたのでございますが、御承知の、いまの三つ合同庁舎は、いわゆる上に積み重ねた方式でございます。その積み重ねの方式につきましては、出入口を別にするとか、あるいは拘置施設一般事務所とか上積みになるという点について、いろいろ検討を重ねました結果、最近は、土地の余裕がある限りは、むしろ並列式合同庁舎のほうがよろしいのではないかと、そういう方向で現在合同庁舎の問題を考えております。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 まあ並列式にしても、立体式にしても、他の官庁と雑居しているという形になれば、これは住民自体にしても、あれは役所だというふうな感覚の中でやはり非常に警戒心というか、そういう面についてうとくなるのではないかという心配があるわけです。したがって、逃げ出すのに比較的便利であるというふうにもとれるわけです。警備しかた自体にしても、合同庁舎ということになれば、やはり出入口を別にするといっても、それは限度があるというふうに考えます。で、こういうふうな人を殺した重罪犯人というものが、そういうふうな便宜的な拘置支所というようなところに置かれているということは、その庁舎に出入りするほうからいってもまぎらわしい、非常な脱走の機会というものをつくるのに便宜が与えられるのではないかという、こういうふうな想像もできるわけです。したがって、土地入手が困難ではあるといっても、そういう重罪犯人を隔離するという場合については、特段のやはりそれに対する施策がなくてはならぬというふうに考えるわけですが、特に最近における拘置支所事故については、昨年の九月にも同じような事故があった。しかも、三十五年にできてから四たびも脱走事件があったと聞いております。どのようにこのような前例というものを教訓化して対策を講じているか、われわれ自体としては非常に疑問を持たざるを得ない。そういう点で、この問題についてどういうふうにいままで対策をやってきたのか、その点をひとつ述べてもらいたい。
  10. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 御指摘がございましたように、最近の逃走事故は、本所の逃走事故は減少でございますが、むしろ支所逃走事故増加の傾向にあるという点が、統計上うかがわれますので、したがいまして、拘置支所警備ということにつきましては、特段配慮が必要であるというように考えております。お尋ねの八王子拘置支所につきましては、今回を含めまして四件の事故が起きております。最初事故は、昭和三十七年の八月三十一日でございます。時間は午前九時過ぎでございまして、被告がこの拘置支所の五階の屋上の運動場運動をしている際に、取りつけられてありました簡単なさくを乗り越えまして、検察庁の四階の尾上から三階の廊下のほうに通ずる外部階段入口の踊り場に飛びおりまして、そこから逃げたという事案でございます。その際には、直ちに尾上運動場の周囲に、当時の金で約六十万円手簿をつけまして境界線に有刺鉄線を張る、あるいはへいの補強工事を施したという対策を講じております。第二回目の事故は、昭和三十九年の十二月の二十二日でございます。時間は午後一時五十分ごろでございますが、このときの事故は、一階にあります炊場のほうに出役しておりました収容者が、炊場出入口施錠をしてないとびらから外側に出た事案でございます。この際には、直ちに施錠の点を厳格にすると同時に、出役の収容者戒護措置に関して特段の留意をするようにして手当てをいたしております。  三回目の事故は、これは昭和四十年の九月二十三日の午後十時四十分ごろでございます。これは五階の雑居房から逃げ出したものでございまして、この際の事故は、拘置所舎房に敷いてあります畳、その畳のすき間を埋めるために木材をはめ込んであったのでございます。そのはめ込んであります木材を取り出しまして、舎房を打ち破りまして、外側巡回路に出まして、巡回路をつたって端のほうに参りまして、手ぬぐい等でひもをつくって、それから外側に逃げ出したものでございます。その際の手当てといたしましては、外側鉄さくをつくると同時に、外部からの通謀等を防ぐために、巡回路の通路に面しまして遮蔽装置をつくって、二重に外側に出さないように手当てをいたしたのでございますが、今回は、その遮蔽装置と、その外側鉄さくと両方とを破って逃げたという事案でございます。
  11. 岡三郎

    岡三郎君 私の聞いていることは、そのような凶悪犯人を含めてしばしば脱走している。これに対して一体どういうふうにしたのか。いまの措置を聞いてみるというと、便宜措置だけでやってきておるわけで、これでは今後もこれが繰り返されるということを否定することができない。こういう問題について、法務大臣自体としては、こういう拘置支所構造あり方、とにかく雑居しているというこの現象、こういうふうな点についていろいろとお考えがあったと思うのですが、しかし、これは末端のことだから自分は知らぬと、こういうふうに言われるかもわからぬけれども、私は、しばしばこういうふうな犯罪人逃亡する、周辺住民に非常な不安を与える、こういう点について、法務省当局としてはどういうふうな責任のとらせ方をしているのか、また、根本的に構造物について検討を加えているのかどうか、法務大臣にその点をお伺いしたい。
  12. 赤間文三

    国務大臣赤間文三君) この八王子の問題につきましては、やはり徹底的にこれはひとつ根本問題も研究する必要があると私は考えております。総合庁舎が非常に便利であるということも考えられますが、いま岡議員が述べられましたように、逃亡その他についてはよく考えないと、そういうところがやはり逃亡しやすいようになっては、これは非常にぐあいが悪いと考えておりますので、総合庁舎については、今後ひとつとくと根本方針を研究してみたいと私は考えております。大体八王子拘置所の問題を調べてみますと、第一は、職員勤務体制の問題が考えられる。第二は、施設構造の問題が考えられ、それから第三は、警備用器具の問題、この三つ考えられると思うのであります。  第一の職員関係につきましては、差し入れ物品検査居房及び身体の検査居房内視察等に徹底を欠いたことが一つの私は原因じゃないかと考えます。並びに夜間勤務体制が必ずしも十分でなかったと、反省が認められるのでございます。この点については、職員の研修、訓練に一そう努力をいたしますとともに、刑務所保安職員全般勤務体制合理化をはかるのと、かねて人手が足らないのでございますから、人員充実というようなことも考えたいと考えております。  第二の施設構造についてでありますが、今回の逃走では、二重に設けられていた鉄格子がいずれもやわらかい鉄の製品であったために、金切りのこによって切断をされているという事実がございますので、こういうものはやはり軟鉄ではいかぬので、硬鉄製のものに当然これは切りかえなければならぬのに、やわらかい鉄でつくられておったということも私は注意をして、今後硬鉄にかえなければならぬというふうに考えます。  第三の警備用器具の問題でございますが、本件事故に使用せられました金切りのこの入手経路につきまして、詳細はいろいろ調べておりまするが、まだはっきりいたしませんが、本人の供述によりますと、三月八日に金切りのこが隠されて差し入れられた模様があるというようなことが想像がせられる。こういうことについても、注意をしなければならぬ。要しまするに、今後私は、総合庁舎というものについては、よほど根本的に、岡議員のおっしゃったように、逃亡その他の点からも十分なやはり研究をして、総合庁舎というものがいいのか、あまり適当でないのか、根本的な施策講じていく。それからいま言いましたような既存のところにつきましては、その弱点を調べて、設備その他の点についても十分ひとつ再検討する。いま言いましたように、どうも刑務所看守人間がいつも不足がちでございますが、こういうものもあまり無理せぬで看守仕事ができるように、増員というようなものもあわせて逃亡事故を防ぎたい、かように考えております。
  13. 岡三郎

    岡三郎君 私が聞きたいことは、構造上の問題とか、看守定員の問題とか、そのほか問題があるにしても、こういう事件が起こったときの責任の始末をどうとっているのか、一体こういうような構造物を与えて、厳重に監視せいといっているほうが無理である。現状においてそれはやればできるのか。要するに国民自体としては、重罪犯人を苦労してつかまえたが、それが逃亡してしまう。それも一再ならず四回も同じところで繰り返されているということになれば、これは一体法務省というのは何をしているのかということの国民不信感というものが出てきている。それに対して、いま法務大臣答弁は比較的のんきだと思うのです。これから合同庁舎方式検討するのだ、これから看守増員をしなければならぬ、あるいはその他一般差し入れ物について厳重にやらなければならぬ、しかし、その間において四へんも逃亡されていることについて、支所長というものは免職なり何かの措置をずっとしてきたのですか。一体責任の所在は、どういうふうになされてきたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  14. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 刑務所に限らず、矯正施設全般につきまして、逃走事故がございました場合に、その逃走事故原因をこまかく検討いたしまして、建物の不備が原因である、職員側勤務の態度に責任を問うことが無理であるといったような場合には、その線に沿っての責任の問い方をいたしております。それからさらに、職員勤務のしかたが逃走の直接原因であった、たとえば巡回すべきところを巡回しなかった、あるいは巡回のしかたが、重要犯人についてはこのような点に注意をして見るようにという、その基準を守らなかったといった場合には、当該職員についてのその線に沿った責任を問う。さらに、その監督責任につきましても、平素の指導監督の点において監督者に遺憾がございますれば、監督者責任も問う。それぞれの具体的な場合に応じて訓告、戒告あるいは減給といったようなそれぞれの処分を行なってきております。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 先ほど法務大臣合同庁舎方式はひとつこの際十分検討したいということであったので、次にいま言われた中において、職員充実といいますか、調べたところによれば、八王子拘置支所定員三十三名、うち長欠一名で三十二名が勤務している。夜間監視に当たる人が四回、五回で一名ずつの勤務体制であったということ、一名では眠る可能性が出てくると思う、生理的に。二名ずつにしたらもっと防止ができるのではないか、そういう体制はぜひとってほしいと思うんだが、それはどうしてとれないのか。これは定員の問題に関係してくると思いますが、将来これをどういうふうにするのか、これをはっきりしてもらいたいと思う。
  16. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 八王子拘置支所定員でございますが、八王子拘置支所と類似の支所全国に十三ばかりございますが、その十三施設収容人員並びに定員等八王子拘置支所と比較してみますと、八王子拘置支所定員がほかの施設に比べて劣っているという数字は出てこないのでございます。といたしますと、これは八王子拘置支所の問題のみならず、全国的な問題として検討しなければならないことになるわけでございますが、私といたしましては、先ほど大臣のお答えにもございましたように、保安職員全般の問題でございますので、最近ここ数年の間に、各種の科学的な機械、たとえば視察用テレビだとか、あるいは差し入れ物品検知器といったようなものがかなり進んできておりますので、そういった物的な面の施設と相まってこの人員の問題を検討してまいりたい、このように考えております。
  17. 岡三郎

    岡三郎君 これは全体的にいって、最近刑務所職員の大体募集状況もあまりよくない。そして、まあ大体言うてその勤務自体というものが興味がないのかもわからぬけれども、しかし、事の性質は非常に重要な職務ですね。ということを考えるならば、やっぱりそれに対応する策というものを積極的に講じていかなければいかぬ。そういう点で私は特にこの八王子支所については、かなりいま言ったように問題点があるのじゃないか。そういうふうな点でこの構造の問題とか、警備の問題とか、その他の問題について特に留意すべき個所であるというように考えるわけです。しかし、これは全体的な問題に関係しておるので、そこだけやっているというとまた他に同じような問題が出てくる可能性も私はあると思う。そういうふうなことを考えた場合に、私はやはり、さしあたって八王子のこの問題については、四回、五回で一名ずつの勤務体制というのは問題にならぬ。そういう点で応急手当てとしては、やはり二名ずつに増員して、八王子支所からは今後はもう出さぬというだけの確信を持ったやり方をしてもらいたい、これは非常に住民が不安を持っているところですから。こういうふうに考えるわけです。だから二名ずつにまずしてもらいたい。やりくりがたいへんだろうと思うけれども、それをぜひとも実行してもらいたい。こういうふうにまず考えます。これについて、実際上そういうふうに勤務措置ができますか。
  18. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 御指摘の問題につきましては、事故が発生した当時、とりあえず府中刑務所から機動警備隊を十一名派遣をいたしまして、その十一名派遣された職員状況下におきまして、現在の九名の勤務状況を再検討いたしました結果、夜間は、従来の二人だけでなしに最小限度三名が寝ないで勤務ができるという体制もできるということになりましたので、とりあえず現在は、夜間三名の深夜勤務体制になっております。そのほか、機動警備隊十一名のうち、九名は事故が終了いたしまして帰しましたが、その後二名を残しておりまして応援をさせておったのでございますが、ただいま申し上げましたように、勤務状況を、従来夜間二人だけであったのを三人にするということによって現在行なっておりますが、将来の問題といたしまして、人員増加の問題と、それから視察テレビ等物的整備と、あわせてあと一名の増員ということが必要かどうかということを早急に結論を出したいと、このように考えております。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 石垣支所長はどういうふうな罰を受けたか。
  20. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 石垣支所長は、府中刑務所保安課、長を約三年勤務いたしまして、府中のあの大刑務所保安課長として無事つとめられたものでございますが、健康を害しまして、一年間分類関係仕事に従事いたしまして、本年の異動で八王子拘置支所長に参ったものでございまして、したがって、保安並びに処遇の面におけるベテランと申し上げて差しつかえなかろうと思います。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 何を言っているのかさっぱりわからない。ベテランであるかどうか聞いておるのじゃなくて、この人間はどういうふうに処分を受けたかということを聞いているのです。すっとんきょうな答弁でなく……。
  22. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) ちょっと質問を誤解いたしましたのでおわびいたします。  石垣支所長以下の責任につきましては、目下検討中でございまして、まだ結論が出ておりません。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 私は問題はここにあると思うのです。先ほど参議院について問題があれば出処進退をはっきりさせると——そういうふうなことが明確にならなければ綱紀がちゃんと守られていかないのじゃないか。ベテランであっても問題が起こったならば、それについてやはり責任を持たせる、そういうふうな体制法務省というところはずいぶんルーズですね。これは法務大臣、こんなことで取り締まりができるのですか。犯罪人はつかまえてきたけれども、まるでどんどん綱の口を縫って逃げてしまう。それは目下その責任検討中である、そんなのんびりしたことでは、これは私は相ならぬと思うのですが、法務大臣、これは所見はどうですか。
  24. 赤間文三

    国務大臣赤間文三君) 私はやはり、何と申しますか、この賞罰はできるだけ早く明らかにするということを本旨に考えております。すみやかに調査をいたしまして、もう即刻いろいろな処置を講ずる責任があるならば、責任をそれにやるし、なければないように——こういうものに日にちをとるということは、岡委員のおっしゃるように、非常にまずいことである。将来法務省に関する限りは、信賞必罰はなるべくすみやかに——軽率なことはいかぬが、とにかく間違いはなくて早くやるように処置したいと考えております。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 私は、その中で、よく使われるのでは、厳重注意とか戒告とか——やはり問題は、支所長なら支所長が個々の拘置支所責任をもってこれは預っているんだ、国民に対して責任をもって預っているんだ、せっかく苦労して殺人犯をつかまえた、その殺人犯逃亡してしまう、こういうことについて責任を明確にとらせることによって、これは人力に限界があるなら限界があると、設備の問題にいくでしょう。こうしてもらいたい、ああしてもらいたい——そこで、はっきり責任をとらせるということによって、職員もみずからの責任というものについて明確なる処置をし、それに伴って、施設の点については、上司に対して、これは幾らやってもこういう点がだめだという点についての改善意見というものが積極的に出てくる。責任がなければ、適当な時期にどっかへまた栄転するようなことであっては、話が、あなた、だれが聞いたってこれは締まらないと思うんですよ。それで、いま法務大臣が言われたことはこれは当然であって、一体何をしたかということに私はつながると思うので、これはひとつ全国的に見て、やはり刑務所の存在というものについて、いろいろ問題が提起されている。私はそういうことから、一罰百戒という意味においてやはりぴしりとしたものをやる。人間の配置、特に職員の配置という点について、思うにまかせなければ、それについてはやはり予算化して積極的にそういう問題についてきちっとするということを抜きにして適当にやっておられたんでは、国民としては納得できない。これは法務大臣のほうで、厳重にその点についてはひとつ調査をして処置をするということをここで明確にしていただいたんで、触れませんが、この建物のつくり方ですね、私は法務省がつくる建築物について、その目的に応じてさまざまな施策が講じられると思うんです。そういう点で、軟鉄を使っていたということ自体、一体こういう間の抜けた建築設計というものをだれが許したのか、よもや鉄格子を金のこで破って出るとは思わなかったでは、これは私は済まぬものであると思う。ということになれば、結局これはやわらかい鉄を鉄格子にはめておったという設計のあり方、この間の抜けた建築設計ですね、こういう点について、法務省のほうとして、どういうふうに考えておられるんですか。いま事件が起こった、大臣が言われたように、すぐに硬鉄に取りかえたんですか——取りかえたと思うんですね。こういうことについて、これは一事が万事と言うとちょっと言い過ぎかもしれぬが、相当構造物的に言って抜け出せるチャンスがもっとあるんじゃないかという気がするんですが、畳の間に材木を置いておいた、そんなばかなやり方があり得べきはずはないと思うんです。これは大臣いま聞いていてびっくりした顔をしておるけれども、一体法務省自体としては、軟鉄なんというものを使うのをだれが許したんですか。矯正局長責任だな、これは。
  26. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 軟鉄と申しますのは、いわゆる鋳造鉄でございますが、鋳造鉄がいいのか硬鉄製のものがいいのかという点につきまして検討いたしましたが、いわゆる金切りのこに関する限り、抵抗力は、鋳造鉄であろうが、硬鉄であろうが、大差がない。ただ、値段の点につきまして、鋳造鉄のほうが安いということと、規格品をつくるのに容易であるということから、硬鉄じゃなしに、鋳造鉄を採用したものと思われますが、ただいま御指摘がありましたように、金切りのこによって比較的容易に破られるということが、五、六年前からいろいろな事故で明確になりましたので、それ以来、この鋳造鉄に対して高周波をかけました格子を採用をしているのでございまして、現在まで全国の重要な施設——これは本所でございますが、本所の既決、未決を問わず、独居房が約三千八百ばかりございますが、そのうち約六百の房につきましては、いわゆる高周波をかけた鉄格子に取りかえているのでございます。ところが、拘置支所にまで及んでいなかったというのが現状でございまして、その点はまことに申しわけなく存じますが、八王子拘置支所につきましては、重要犯人を入れるのに必要と思われます房数が約十四、五かと思いますが、これにつきましては、直ちに高周波をかけて改善をすることにいたしたようなわけであります。
  27. 岡三郎

    岡三郎君 いまの説明聞いてもおかしいのですよ。鋳造鉄と硬鉄とは強さでは変わらない、しかし、やってみるというとどうもおかしいから、高周波をかけた、これは一体——それは矯正局長は科学者じゃないから、それはわからぬが、そんなことをうのみにしてやっていたんじゃ困ると思う。やはり常識的からいうと、硬鉄のほうが強いのです。それは何と言ったって硬鉄だ。軟鉄が硬鉄にかなうわけはないと思う。商周波をかけてやったけれども、八王子にはかけてなかった。一体なぜかけてなかったかということになると、ここは、過去において何べんか逃亡して、まっ先にかけてきちっとするべきところだけれども、よもや切られるとは思わなかったということになるのでしょうけれども、これでは困る。で、全体的に言って、やはりそういう面について本省自体が少したるんでいるのじゃないですか。これは法務大臣に言っておくけれどもね、下のほうがいろいろとそういう問題について事件を起こしている。これに対して構造的に言って、一体どういうふうになっているのかということについて、法務大臣、この八王子拘置支所について一ぺん見たですか。殺人犯人が逃亡したということで、事情聴取をするということはわかるけれども、一体過去四回も逃亡しているということから見て、一体これはどういうことなんですか。少なくとも国民に対して責任を負っているところの法務省自体としては、これはゆゆしきことであるという認識に立って、実際を見てもらわなきゃ困る。法務大臣、どうですか、それは。これからでも見なければ、現地にやはり行って実情というものを見てこないというと、ちょっと法務省の幹部自体、少し甘いですよね。法務大臣、その点どうです。
  28. 赤間文三

    国務大臣赤間文三君) お説のように、重要犯人逃亡させるとたいへん人が迷惑をいたしますし、そういうことがないように、将来ひとつあらゆる面から慎重な——私は取り締まりと言っちゃあれですが、逃亡者が起こらぬようなことに留意をしていきたいと考えております。大体御承知のように、現在困っておりまするのは、看守がなかなか得にくいので、ことしも百人ほど増員をしてもらって、予算をお願いしているのでありまするが、どうもこういう看守あたりももっと増員をして、やはり監視を厳重にやるということも一つの方法ですし、また、いま述べられたような……。
  29. 岡三郎

    岡三郎君 構造上の問題。
  30. 赤間文三

    国務大臣赤間文三君) 設備を厳重に監査するということも必要だろうと思いまするし、十分あらゆる面に気を配りまして、逃走が起こらぬようにやっていきたい。それでいかなる犯人といえども逃走ができないように気をつけていきたいが、特にまた重要な犯人はなおさらひとつ逃亡その他が起こらぬように、さらによけい留意をするというようなことを十分検討してみたいと考えております。まあ刑務所の管理も非常に重要な問題でございまするので、ほんとうにこれは真剣に今後は、御注意がありましたような点を留意いたしまして、逃走事件が起こらぬように、前にあらゆる面から施策を講じていきたい、かように考えております。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 これは法務大臣に強く要求しておきますが、職員を募集してもなかなか集まらぬ、いま各職場においてもそういう傾向がありますね。しかし、事の性質からいって、間に合わないから適当にというわけには私はいかぬと思うんですよ。だから、それに対してはやっぱり俸給表なら俸給表というものについても、一般的にいう職場とちょっと違いますから、そういう面でやはり特別の手当をつけるとか、何とかもう少し職場に魅力を持たせて、やはりこの仕事というものは国家的に見て重要だというふうな認識を大蔵省に持たして、やっぱりこれに対して施策を急速に講ずるということがなければ、不安でたまらぬと思うんですよ。それからいま大臣が言われたことについて、重要犯人、特に凶悪犯ですね、人を殺してもへとも思わぬというような、こういうふうなものの隔離状況というものについては、一般の犯罪者とやっぱり違って、特にそういう点については逃亡のできないような施策を講じないというと、これは頭も働くと思うんですね、そういう犯人は。だから、一般的に言って、凶悪犯とそうでないものとの、そういうものについてどのように研究されるかはやっぱり重要なものだと思うんですよ。とにかく、そのときそのときに間に合い主義でやってるということになれば、底が抜けてしまう。犯罪者とやっぱり刑務所自体法務省自体競争しているというふうに考えても差しつかえないと思う。そういう意味で、いまの点は職場にもう少し魅力を与えるような施策、それからそういうふうな職務柄について、すべての職務は重要ですけれども、特にこういう凶悪犯というものを逮捕し、これを拘禁しておく場合について、世上に与えるところの不安感というものは非常に強いから、私は、その点については特段措置をやるというわけですから、特に強くこの点は申し上げておきます。  私の調べたところによると、三時ごろこれが起こって、発見が六時ごろになっているのですね。これは看守のやはり人員の問題とも関係してくるのですが、見るというと、中に寝てるようにふとんをふくらまして、そうして簡単にカモフラージュして、看守をごまかしていた。逆に言うとごまかせた、こういうことになるというと、ふとんをふくらまして、まだそこに犯人が寝ているんだという形を、外からああいるなと。これはよく映画なんかでもありますよ。逃亡するときに、ふくらましておいて、中に置いて、そして逃げる。巡回をしてくる、見るというと、ふとんがふくらんでいるから、まだそこに犯人はいると。ところがあにはからんや、とっくに逃げている。そういう形で逃走経過後三時間に至ってようやく発見した。こういう事実なんです。これは。だから私はそういう点で、頭に見せるようにまくらめいたものを置いといたり、いろいろと犯人が知恵を使うと思うのですが、こういう点で、ほんとうにそこに犯人が実在するかどうかについて、外で認識ができるような反射鏡かなんかをつける必要があるかと思うのですが、この点どうなんですか。とにかく巡回して三時間経過したけれどもわからなかった、看守は。眠っていた、見たところふとんがふくらんでいたからわからなかった、犯人がそこにいるなと。そういうことでは相ならぬから、反射鏡とかそういうもので頭を確認する方法、これは一例ですが、そういうことを講じたらどうかと思うのですが、どうですか。三時間放置したということの事情をもう一ぺんお聞きしたいと思います。
  32. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 午前零時五十五分に看守が笹沼のいる舎房の視察孔をのぞきましたときに、笹沼が視察孔のところに立っておりまして、頭が痛いのでアスピリンか何かくれという申し出があったのでございます。そこで看守は救急楽でもすぐさがしてみようということであったのでございますが、アスピリンがなかったようでございすので、それではあしたの朝までしばらく安静にして寝ておいてほしいということで、その零時五十五分の視察が終わったのでございます。その後本人がポリバケツと、それから週刊誌を頭のほうに入れまして、寝たようなふりをしていた。したがいまして、その後看守が視察孔をのぞいたときには、寝ているものと、このように考えたのでございます。御承知のように、施設ではおおむね午後九時までは一応電灯は明るくいたしておりますが、就寝時になりますと五燭光くらいの暗さに電気を切りかえているのでございます。そういう点も原因としてあったのではないかと思います。その後朝巡回が回ったときに、巡回路の一点からひもが下がっているということで、初めて発見したということでございまして、したがいまして、逃走の時間は午前零時五十五分以後大体三時から四時ごろまでの間に逃げたのではないか、このように推定しているような次第でございます。  そこでいまのお尋ねのありました頭のほうを見れるようにするというくふうでございますが、現在いろいろな方法を考えておりますが、一つといたしましては、重要な犯人が入っております舎房につきまして、小型の常時見れる視察テレビ等を設けるということも一つの方法ではないかと思います。さらに、あるいはいま御指摘のように、何か鏡を備えつけるという方法もあろうかと思いますが、この鏡を備えつけますと、これはまたこれで入っている者の凶器になりかねないという問題があるのでございます。よく鏡あるいははしを、看守が視察孔をのぞくときに、中側から突き出して、看守の目にけがをさせるという事犯も発生をいたしておりますので、鏡等を備えつけるという問題も検討いたしたいと思いますが、逆用されるおそれもありますので、何か視察テレビのようなものを、特に重要な舎房に配置をするということを考えたい、このように考えております。
  33. 岡三郎

    岡三郎君 ぼつぼつ終わりますが、その次に、やすりを人手した点について、この週刊誌の中にはさんで差し入れた。そうするというと、一体そういうふうなものを探知するすべがないのか、どういうものが人ってくるか、差し入れ物についてどういう程度まで検査しているか。それから所持品検査というものはどの程度になされておるかという疑問が出てくるのです。これについて、週刊誌の中にやすりを入れて、それによって鉄格子を切ったというふうに言われておるのですが、どうしてやすりを人手しているか、それを調べるすべがないのか、この点についてちょっとお伺いしたい。
  34. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) その点につきましては、年次計画で差し入れ探知器というものを全施設に配置いたしておるのでございます。八王子支所には差し入れ探知器の小さなものと申しますか、これが一個配置してあったのでございますが、性能があまりよくなかったという点、今回の事故で発見されましたので、直ちに大型の性能のいい差し入れ探知器を八王子の本所から支所のほうに移しかえたという措置をとったわけでございます。差し入れ探知器につきましても、メーカーのほうといろいろ相談をいたしておりますが、なかなか的確にして性能がいいものというのができ上がらない。と申しますのは、庁舎外側をトラックが通っただけで差し入れ探知器が鳴るというような点もございまして、現在その点なお検討はいたしておりますが、今回の事故にかんがみまして、比較的性能のいい大型の差し入れ探知器を支所のほうに配置いたしております。これは全国的に年次計画で整備を進めているような状況でございます。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 差し入れ物検査、中に入っている持ち物。
  36. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 差し入れ物検査、持ち物につきましては、いま申し上げました差し入れ探知器にかけますと、まず金属製品は音が出ますので、中に金属製品が入っているということは発見できるわけでございます。そのほか、よくありますのは、たばことかあるいはマッチ類でございます。これにつきましては、結局差し入れ検査担当の看守が一つ一つ手にとって調べていくという方法をとっておりますが、この方法につきましては、やはり看守の熟練の度合いだとかいろいろありまして、必ずしも一〇〇%的確を期し得ないといううらみもございますので、さらに金属以外の何か異物についても機械的に発見できる探知器がないものかと研究を進めているのが現状でございます。
  37. 岡三郎

    岡三郎君 総体的にいって、法務大臣答弁によって、まず合同庁舎方式のこういう建物のやり方、こういう点について緊急にその構造自体について検討する。それから職員については、魅力の持てない職場で募集に困難をしているけれども、ひとつ緊急にこういう問題については手を打ちたい。それからいま矯正局長が言われたように、いろいろな差し入れ物があった場合の措置として、電波探知器のようないろいろな問題がそこにあるわけですが、こういう問題について、さしあたり大型のものにかえたといっても、犯罪人自体というものはいろいろ研究すると思うのです。そういう点で、やはり法務省全体としてそういう面の監視上必要なものについては、研究費等を入れて、独得の注文をして、それに即応するようなものをつくらせるというふうなことの施策がここに要求されてくると思うのです。そういう点についてやはりしっかりした方式をやってもらいたい。それから精神面の訓練だけじゃなくて、実態として、やはり末端の刑務官が職務に精励できるような待遇の改善をしてほしい。いろいろとこういうものがあると思うのですが、構造物については、この事件を契機にして、石垣支所長が、いろいろ新聞等においても述べております。いずれにしても、一ぺんこれは法務大臣拘置所というものを適当な時期に、いますぐといっても無理かもわからぬ、一ぺん適当な時期に——やっぱり構造的な問題について検討せよといっても、大臣がみずから、そういう問題が起こるようなところについては、どうなっているのかという関心をまず持ってもらうことが重要だと思うのです。だから、そういうふうな面について、今後ともこういう事件が起こらないようにひとつ抜本的な対策を講じてもらいたい。  それから、先ほど言われたように、石垣支所長以下まだ処分が明確になっておらぬという点については、緊急に調査して処置をしたいということについて、これはわれわれ自体としても、その処置を待っております。今後とも、それが単に個人をいじめるとか、そういう問題ではなくして、そのことによって、凶悪犯人収容されているということの責任といいますか、そういうものについて自覚をすると同時に、全国のそういう刑務所なり拘置所というものが、やはり緊張した中において職務が遂行できるような方式、ただそういう面については、その半面においては、待遇の改善その他について、一般職員とは別の重要な責務もあると思うのですが、そういう点について特段措置を講じてもらいたい。  以上、強く希望し、要望して終わります。
  38. 大森創造

    ○大森創造君 私は、巣鴨拘置所の移転問題について、三回ぐらい質問をいたしました。で、けじめをつける意味から、きょうはひとつ、法務大臣もおいでですから、お伺いをいたします。  まず、経理部長、その後の経過はどういうふうになっておりますか。
  39. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 巣鴨の拘置所を財源といたします一連の刑務所の移転新築の一環といたしまして、青梅に新しく刑務所を建設するという点でございます。この点につきましては、ずっと鋭意地元と円満に解決していきたいという方針で交渉を続けておりますが、本年に入りましてから、大体この計画のもとになっております国庫債務負担行為の期限の関係もございますので、いよいよこれを早急に解決していく必要があるという観点から、青梅市当局及び地元の方々に、なお、都市開発センター、法務省、東京都の関係者がそれぞれ申し入れをいたしまして、早急に態度を決定してほしいということを要望いたしておる段階でございます。
  40. 大森創造

    ○大森創造君 辻経理部長、現地に行かれてどういう感じがしましたか。これはできますか。
  41. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 私、たびたび現地のほうに参っております。で、問題は、大森先生御承知のとおり、この反対論の理由と申しますか、よってきたりまする根拠には、いろいろ理由があろうかと思うのでございます。問題は、私の理解いたしております限りにおきましては、まず、その刑務施設が現地にくるということに対します一つの不愉快な気持ちと申しますか、事実上不愉快な気持ちというものが、地元の関係者の皆さんのほうにばく然と行き渡っているということが背景にあるわけでございます。それと、問題は、この刑務所の予定地の旧地主さんが、この土地を三十六年に西武鉄道株式会社に売り渡されました際に、この土地は将来観光施設にするのだというようなことで、西武鉄道と地主さんとの間にお約束があったようでございますが、これに対して新しく刑務所がくるということは、西武鉄道株式会社の不信行為であるという一つの憤りと申しますか、そこに反対論も出てくるお気持ちもあるわけでございます。大体この二つが反対論の骨子になっておるかと思うのでございますが、これに対しまして、法務省、私どもといたしましては、あらためて刑務施設のために土地を御提供願いたい、そのためには、地元の皆さまの御要望、これが私どものほうで達成できるものでございましたら、できるだけの努力をいたしますということで、いろいろと折衝を続けておる次第でございます。
  42. 大森創造

    ○大森創造君 ひとつ法務大臣もお聞きください。いま辻さんがおっしゃられたように、やっぱり私、新営方式ならばできたと思う。法務省を信用して、それを西武鉄道が観光地にしますからというて土地を安く買って、観光地ということになれば地元の発展になりますからね、ことに東京郊外の青梅市ということなら。そこで地元のほうでは、観光地ならひとつ西武のほうに安く売りましょうということで、何年か前に買ったんでしょう。その同じ西武が、そういう観光地にしますからというて安く入手したその土地を、今度は刑務所にいたしますということになってきているわけですよ。これでは地元の人が納得しないのは当然だと思うんです。そこで、その同じ西武が新都市開発センターというものの中心的な存在でしょう。新都市開発センターと法務省と大蔵省が契約をして、そしてことしの十二月三十一日までに刑務所をつくって、新都市開発センターが法務省のほうに引き渡しをするということになっている。ここがややこしいんですよ。地元のほうにすれば、だからいま辻経理部長がおっしゃられたように、辻さん自身が、ダイレクトに当時から刑務所をつくりますと、刑務所はいやな施設ではありまするけれども、まあ池袋に置くわけにいかないからどうですかというふうに、紳士的に、フランクに最初から言えば、これは話はまとまっただろうと思うんですよ。これはいまとなっては手おくれですな。  そこでまあお伺いしますけれども、地元をだましたことになっちゃっているんですね、これは西武は、結果的に見ますというと。そこでこの西武と——いままで二回か三回の委員会でもって、この問題について議論いたしましたけれども、ここらがややこしいでしょう、法務省と大蔵省と新都市開発センターのほうとの間でがっちりした契約書ができてしまったということです。順序は逆じゃないかと思うんです。そこで、ずいぶん問答しましたけれども、この青梅の友田地区のこの刑務所予定地というのは、いまもって西武の所有でしょう、これは。新都市開発センターのものにはなっていないでしょう、辻さん。
  43. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) その点につきましては、数回大森先生のお尋ねがございまして、その都度私答弁申し上げておるわけでございますが、これは現在の登記面はなお西武鉄道株式会社になっておるわけでございまするけれども、西武鉄道株式会社と新都市開発センターとの間に、昭和四十一年十二月七日と記憶いたしておりますが、八日かもしれませんが、十二月の初旬に売買契約ができておるわけでございまして、この売買契約の効力といたしましては、登記面はなお西武鉄道でございますが、所有権は新都市開発センターに移っているというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  44. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 大森君、大臣もうちょっとおりますけれども、ちょっと向こうの採決があってなにするから、大臣に対して念を押すべき点があったら、できるだけ……。
  45. 大森創造

    ○大森創造君 大臣ね、このことを辻経理部長やその他の関係の方からお聞きになられたかどうかわかりませんけれども、大臣は中座をされるそうですからお伺いいたしますが、私無理だと思っているんですよ、この青梅の刑務所設置は。それで新たな出発をしたらいいだろうと思います、もう面目を捨てて。事実上できませんよ、これは。契約の十二月三十一日までに事実上できませんよ、これは。それは法務省が悪いわけではございませんでしょう。西武というものに地元も被害を受けているし、法務省もある意味では被害を受けたと思うんです。私は法務省のことを追及いたしませんよ、ある意味では。だけれども行きがかり上、こうなっては事実上刑務所はできないと思うのです。等価交換方式によるところの、小菅刑務所を青梅に移すという、こういう問題は不可能だと思うのです。それで赤間法務大臣において、経理部長やその他から政治的な国会答弁じゃなくて、私はあなたの代にこの問題を明快に解決されなければいかぬと思いますので、これは新たな出発をされたらどうですか。そのほうがいいですよ。百年河清を待つにひとしいと思うのです。成田の空港だって条件派、賛成派ができてしまいましたけれども、青梅の場合には条件派も何もないでしょう。事実上不可能だから、ひとつ回れ右をして、新営方式なり新たな方式をもって刑務所設置の問題を持ち出すというお考えになっていただけませんか。
  46. 赤間文三

    国務大臣赤間文三君) いまの大森委員のお話を聞くとなかなか困難なお話のようでございますが、まああれは予算外の国庫債務負担行為としてこれをやるというように聞いておりまするが、ことしの上半期までは時間もあると私は聞いておりまするので、この間一生懸命出して、ひとつ勉強して、何とかせっかく初めてそこでやりたいという希望をこちらも持っておりまするので、努力をひとつしてみよう。それで本年の上半期中に建設に着手することができないときは、この計画の基礎になっておる国庫債務負担行為予算の実行に、もう支障を来たすおそれがあるのでございます。まあ現在は最終的な最後の努力をもう少しやってみよう、こういうふうな考え方でおります。何とかひとつ関係者の理解を得て、できればどうしてもこれやりたいがという気持ちなんでございます。
  47. 大森創造

    ○大森創造君 これは私は、大臣としては公式の場所でそういう御答弁になるだろうとは推測しましたけれども、とてもできないと思うのですがね。これはできないですよ。これは私はできてほしいと思うのですよ。辻経理部長のおっしゃられたように、まず西武に対する不信感が強いですわね。これは辻さんのおっしゃられたように、観光地と言うたのが刑務所なんですからね。それからもう一つは、刑務所そのものがいやだということ。辻さんやその他の関係の人から見るというと、刑務所は東京都内の巣鴨より適当な場所に移そうという、それはわかりますけれども、青梅の人は刑務所そのものがいやだと言うのです、いやだと言っている。それから西武にだまされたという気持ちがございますから、ちょっとこれは条件的賛成なんということにはなりませんよ。まあしかし大臣の答弁答弁としてお聞きしますが、辻さんにお聞きしますが、どうなんですか。法務省最初この話を持ってきたときに、まさかこういうことになっているということで理解したわけじゃないでしょう、法務省のほうは……。
  48. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) もちろん、この新都市開発センターがこの話を持ってまいりましたときには、この土地に支障なく刑務所ができ上がるものということでございましたし、私たちもさよう信じたわけでございます。
  49. 大森創造

    ○大森創造君 ところが、そういうことですっかり西武のほうと地元のほうの話し合いがついて、そうして今度は西武のほうから新都市開発センターのほうに所有権も登記権も移っているものというふうに理解をして、善意をもって法務省のほうが、それならば等価交換方式でもって刑務所ができるのだということで、国庫債務負担行為を起こしたわけですね。事実は違うですものね、これ。辻さんのおっしゃられたように、所有権は新都市開発センターに移っている。ただし、登記面は西武と、こういうことですか。再度お尋ねいたしますが、そのことを当時から知っていたのですか。
  50. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 昭和四十一年の十二月に、この土地が西武鉄道から新都市開発センターに譲り渡された。したがって、所有権は新都市開発センターに移っていた。ただ登記の面はなお西武鉄道株式会社に残っておったと、かように理解をいたしておったわけでございますし、現在も理解しているわけでございます。
  51. 大森創造

    ○大森創造君 地元が、観光開発でなければだめだ、明らかに西武のほうとはそういう契約があるのだというて固執して譲らなかった場合には、今度は一たん所有権が新都市開発センターに移ったとしても、また西武のほうに戻るという契約書があるのですね。こうなるというと、いよいよできないですよ、これは刑務所は。
  52. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) ただいま御指摘の、またこの開発センターから西武鉄道のほうに土地が戻るという意味の書面でございますが、これはこの前この席上で御質問ございまして、私どもは御質問後にその事実を調査いたしまして、かような事実があるということをその次の席上で御説明いたしたわけでございます。しかしながら、そのとき御説明いたしましたように、新都市開発センターと西武鉄道株式会社との間では、その書面は、万一刑務所ができない場合にはもとへ戻すのだということでありますけれども、これは昭和四十二年の年末ころには、地元の方々にたいへん説得をいたしておった時期でございますが、西武や新都市開発が説得いたしておったわけでございますが、その時期におきまして、所有権がセンターのほうに移ってしまうということがはっきりいたしてしまうと、地元の皆さま方に対しまして、この工事を強行するというふうにとられてはまずいということを関係者がおもんぱかられました結果、これが第一の理由として、さような書面を西武鉄道と、新都市開発センターとの間でかわしたということになっていると理解いたしておるわけでございます。
  53. 大森創造

    ○大森創造君 そういうふうに文書の上では、字づらの上では、理解しても、第三者には対抗できませんわね。明らかに新都市開発センターと西武との間の契約書の中身は、刑務所が設置できない場合には、新都市開発センターに一たん移った所有権もまたもとへ戻るのだということを書いてあるのですからね、これははっきり。そうすると地元のほうが約束と違う、観光開発するというのに、途中から今度は刑務所だということになれば、刑務所はいやだということになると、これは根底からくずれてしまいますよ、そうでしょう。
  54. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) ただいまの御質問の御趣旨がちょっとわからなかったのでございますが、あの契約では、所有権はセンターに移っていると、しかし、これが地元の皆さまに工事を強行するというふうにとられては、せっかく説得中であるからまずいということが第一の理由といたしまして、刑務所ができないならばまた売り戻すという契約をつくったと、かように説明をいたしておるわけでございます。
  55. 大森創造

    ○大森創造君 私のことがわからないのじゃなくて、私はあなたの説明がわからないのですよ。いいですか。西武が地元の青梅の人、友田の人に説得して刑務所ではない、観光開発ということでもってあの土地を買わしてくださいよといって買ったのでしょう。途中から今度は新都市開発センターというものができてしまって、そうして西武は観光目的に買った土地を新都市開発センターに移して、新都市開発センターは刑務所をつくるということになったのですから。しかし、そこであなたの話がわけがわからぬのは、逆に刑務所をつくるべく新都市開発センターは西武の土地を必要としたわけですよ。刑務所をつくる目的で西武の土地を新都市開発センターが必要としたわけですな、そうでしょう。ところが、刑務所ができないということになる。地元の人は観光開発なんだから、目的違反だということで、これは刑務所ができないということになれば、観光と刑務所はえらい違うわけだ。そうするというと、所有権は新都市開発センターに移っても、もとへまた戻ってしまうという契約書ができているんですから、その契約書というものは、これは地元の人にいまの辻さんの私に対する答弁のような内容を説明できませんよ、地元の人には、第三者には。それは新都市開発センターと、それから西武鉄道との間で、上層部というか、この仕事を推進するための関係者のみの申し合わせみたいなものだ。それならば世にいう契約書にならぬですね。ここに大弁護士がおりますけれども、私はそう思うね。だれかに見せてごらんなさい。その話はおかしなことですよ。それで地元の人を納得させるための友田地区の契約書はごまかしですよ。そういう契約書を新都市開発センターと西武との間でのみつくっておるのだ。そういう契約書は私は聞いたことないですよ。おかしな話で、私は逆にあなたの言うことがわけがわからないです。その契約書は新都市開発センターと西武との間の地元の工作用の契約書。そういう契約書はないですよ。第三者に対抗できないと思います。いかがでしょう。
  56. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) この土地が西武鉄道から新都市開発センターに移ったわけでございますが、移ったということは、その時点におきまして新都市開発センターや西武鉄道の人々が懸念いたしましたのは、移ったことによっていよいよ旧地主さんとのお話し合いがつかないままでも、すでに新都市開発センターの所有に移った部分については刑務所の建設を始めるんじゃないかと、こういうような心配を地元の方々に抱かすんじゃないかと、これを心配したと。したがって、これは強行するんじゃないという意味で、そういうような本来の契約の裏になると申しますか、裏になる申し合わせのようなものをつくったと、こういうふうに関係者は言うわけでございまして、私もそれはそういうことであろうと理解をいたしておるわけでございます。
  57. 大森創造

    ○大森創造君 ますますわからないです。刑務所ができない場合に、新都市開発センターというものががっちりかかえているということですね。たとえば刑務所が絶対につくれないという見通しが立った場合には、大臣は、ことしの上半期までに、ぎりぎり一ぱいまでに努力するということをおっしゃいましたけれども、刑務所ができなかった場合には、新都市開発センターそのものは意味ないですからね、その場合は新都市開発センターというものは解散しますよ。だから、刑務所をつくるための等価交換方式というものを実行するための都市開発センターですから、刑務所ができなくなったら新都市開発センターというものはこの世に存在しなくなるでしょう。
  58. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) まあ仮定の問題でございますが、青梅に刑務所ができないという事態になれば、これは先ほど来御指摘の国と一まあ正確に申しますと、法務省と関東財務局と新都市開発センターの三者の間で契約いたしております刑務所の売り払い及び購入の不履行、債務不履行をセンターが行なったことになると、かような事態になると理解をいたしているわけです。
  59. 大森創造

    ○大森創造君 それはそうでしょうけれども、新都市開発センターは債務不履行だけで済まされなくて、新都市開発センターというものは、なぜ存在するようになったかといえば、等価交換方式によるところの刑務所というものをつくるために新都市開発センターが生まれた、それ以外の目的はないですよ、新都市開発センターというものは。だから、観光地といって西武がこの土地を買ったのにかかわらず、刑務所ができると、これは少し地元の人の意思に反した刑務所をつくるということはまかりならぬということで、現在町長以下、議長以下全部反対しているのですから、条件が一つもないということになれば、これは刑務所ができないことになる可能性がある。刑務所ができなかった場合には、新都市開発センターがそういう債務の不履行ということでなしに、解散するということになれば、必然的にもとの所有者の西武のほうに返ることに相なる。そうすると、さっきの契約書というものは、実際に見ているわけですよ、事実。地元が反対をして刑務所ができなかった場合には、新都市開発センターに一たん所有権が移っても、もとの西武に返るということは事実をいっているわけですよ。まさしくそのとおりだと思う。だから、辻経理部長に、新都市開発センターや西武の幹部がこういう内容でございますということを、そのままうのみにしたとすれば、辻さんが甘いと思うのです。そういう甘さで出発したから、こいつは刑務所ができないという可能性が強いということです。その契約書の条項というものは、論理は必然的にそうなるでしょう。そういうふうになることを具体的に文章に、契約書の中にうたったんですよ、私はそう解釈する。いかがでしょう。
  60. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) いろいろな御解釈があろうかと存じます。その場合に、御指摘のとおり刑務所ができない場合には、新都市開発センターとしては要らない土地を持つわけでございますから、そういう意味におきまして西武へ返すというような約束をしておるということも、これは一つ意味のあることであろうと思うわけでございますが、あの裏の契約と申しますか、が結ばれました時点におきましては、やはりこれはまず第一義的には、地元の皆さま方に対しまして納得を得ないままに強行はしないという意味でこれをつくったんだという意味ももちろんあったわけでございまして、そのほうがむしろ第一義的なものではなかったか、私はさように理解をいたしておるわけでございます。
  61. 大森創造

    ○大森創造君 これはね、いろんな解釈のしようじゃないですよ。その契約書の文章をそのまま受け取ることが正しいと思うんですよ。刑務所ができない場合には、新都市開発センターが所有しておっても意味がないから、もとの所有者の西武のほうへ戻すということは理の当然ですね。それを押し問答しておってもしょうがないから別の角度からお尋ねしますが、一体私は、西武から新都市開発センターのほうに所有権が移ったということについて疑問を持つわけです。これは売買の予約だけじゃありませんか。私はそう解釈する、いままでの経過から見て。過去三回この問題について質問しておりますから繰り返しませんけれども、所有権が移った——私は移ってないと思うんです。売買の予約契約書でしょう、これは。法務省並びに大蔵省、新都市開発センターの間でもって契約されたこの契約書というものは、法務省や大蔵省が少し甘かったんじゃなかろうかと思うんです。売買の予約の上に立ってがっちりした等価交換方式というものと、それから債務食掛行為というものを起こしちゃったんですよ、大蔵省のほうは。そこにそもそもの禍根があったと思うんです。私は売買の予約にしかすぎないと思うんです。それを前提にしてこう法務省が受けたと。大蔵省のほうでもそれだけのものを金を出す、あるいは起債を起こすということよりも、等価交換方式という便利な方法でやろうということでそれに乗った。だから、にっちもさっちもいかなくなったんです。  そこでお伺いしますが、辻さん、どうなんですか、地元を説得するために、お金を三千万円出すとか、三千万円プラスアルファ出すというお話はどういうことなんです。
  62. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) これは刑務所をつくる義務を持っておりますこの新都市開発センターにおきまして、この西武鉄道とも相談をしたと思うのでございますが、この刑務所の予定地に刑務所ができました場合には、地元の皆さま方に対しまして、この地元の皆さまのほうに青梅市の水道が引かれる場合に、その受益者の負担すべき部分はセンターまたは西武で持ちましょうと、それからなお地元に公民館をつくりましょう、あるいは遊園地をつくりましょうというようなことで、いろいろと御了解を得るように努力をいたしておったわけでございますが、それらのものを概算いたしますと約三千万円ということに見積もっておったようでございます。これがこの西武鉄道または新都市開発センターが契約締結前から引き続き地元の方に申し上げておった一つの条件と申しますか、申し入れであったわけでございます。これが三千万円になるということになったわけでございますので、最終の段階、ことしに入りましてからなおいろいろと何とか御納得を得たいということで、なお三千万円のほかに、地元の皆さま方のほうでいろいろ御要望があれば、法務省といたしましても、新都市開発センターにその旨を申し入れてできるだけ努力をいたしましょうということでプラスアルファということを私申した事実はございます。
  63. 大森創造

    ○大森創造君 あのね、私はわからないんですがね。そうすると、地元の振興というか、観光地ということならば地元の発展のためになるので安く西武に売ったと。ところが、この時間の推移とともに、善意に言うてですよ、時間の推移とともに観光開発ということでなくて、地元の人のいやがる刑務所をつくることになったんだから安くは売らないと、地元発展のために、観光開発ということのためならば安くも売ったが、今度は目的が変わって刑務所をつくるんだから、観光地ならば安く売ったけれども、刑務所に今度は目的がえしたから色をつけにやならぬというお考えなんですか、三千万円プラスアルファというのは。私はね、買うなら買うでいいと思うのですよ。この期に及んで色をつけるというのはどういうわけなんです。私の頭の中でひっかかるのですが、もう一回繰り返しますというと、観光地ということならば地元の発展になる、青梅市の自然を生かすことになるのだから、それならば地元の発展になるから安く売ったけれども、今度は刑務所だから堂々と高く売らなきゃいかぬという地元の主張があって、それに応ずるような三千万円プラスアルファという意味でしょう。そうではありませんか。
  64. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) これは新都市開発センターまたは西武鉄道と地元の皆さま方の間でどういう気持ちでこの話が出てきたか、当事者の意思はともかくといたしまして、私どもといたしましては、やはり刑務施設ができる以上は、できるだけ地元の皆さま方に愉快に迎えていただきたいという点から、西武鉄道あるいは新都市開発センターのほうでかようなことを申し上げたものと考えておるわけでございます。
  65. 大森創造

    ○大森創造君 それならばそのように、まあ権威のある法務省の経理部長が地元にそういうお話をする必要ございますか。西武がやるならいい、新都市開発センターがやるならいい。少し出過ぎやしませんか。法務省はもう少しおっとりかまえて、三千万円プラスアルファなんという話は、法務省がする必要ないのじゃないですか。新都市開発センター並びに西武のほうにまかしておけばいいんじゃないですか、そういう如才のない話は。いかがでしょう。
  66. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 御指摘のとおり、あくまでこれは新都市開発センターが言うべきものでございます。私は地元の方々といろいろお話し申しました際に、これは法務省がどうこうするという立場にはもちろんないわけでございますけれども、いろいろ御要望があれば、法務省のほうでも、新都市開発センターにできるだけ実現するように申し入れましょうという意味で申し上げたわけでございます。
  67. 大森創造

    ○大森創造君 私はね、やっぱりサービス過剰になっているんですよ、法務省が。辻経理部長が。そのそもそもの出発というのはどういうことかというと、西武が青梅の土地を買って、そうして同じ西武が新都市開発センターというものをまあ西武が中心になってつくって、そうして刑務所をつくるという話はできておるのだというので今度は法務省のほうに持っていったと。法務省のほうは実情を知らなくて、それをうのみにして、そうしてこの刑務所建設計画を出発させたというところに、そもそもの禍根があると思うのですよ。冒頭に申し上げたように、私は法務省があの方式によって青梅に——だれが見たって巣鴨プリズンは不適当ということですから、青梅にまっ正面から話を持っていったら、これほどごちゃごちゃになるはずないと思うのですよ。事実がこうなってしまったのは、やはり法務省軽率のそしりを免かれないと思うのです。これは先ほど申し上げました大蔵省とあなたのほうと、それから新都市開発センターというものとの間の契約書というものは、私は売買予約契約書というものであろうと思うのです。西武と新都市開発センターのあの契約書というものは。さかさまなんですよ、やり方が。地元のほうへ了解をつけて、そうして西武が今度は新都市開発センターというのに土地をきっかり売って、代金を払って、登記完了済ませて、登記移転までして、それから今度はお話を法務省のほうに持ってくればいいけれども、私は聞いていると、昭和三十五年のころに、あの巣鴨のところに三十六階以上の建物をつくって、こう五百何十億の建設資金でもって、そうしてこれができ上がって、この上のほうとつなぐんだという話は、地元の市会議員ですか、何ですか、の人に聞いているんですよ。この話は三十四、五年のころから西武で言うておったんですよ。だから、おかしい、おかしいということで、地元の人は言うわけですよ。観光地ということであったものを、世の中の きとともに、時の流れとともに、刑務所ということをやるというと東京都のためになる、日本のためになるという純粋の目的意識で出発したんではないのだという不信感があると思うんですよ。辻さんはおわかりだろうと思うんです。それはそれとして、法務省が、国のほうでは刑務所が  要なんだというお話をいましたって、なかなかいまの不信感は解けないわけです。そこで私は冷静に地元の人の声も聞きましたけれども、条件派なんて一人もないんですよ、刑務所はつくりたくない。法務省としてはどっかに刑務所はつくらなければならぬという、その必然性はわかりますけれども、私は、刑務所をつくるというのはいやだという気持ちですね、町長以下、議長以下。  それからもう一つは、西武にだまされたということですね。これでやっては、いまのところ賛成が一人もいないようだから、刑務所はできまいと言うんですよ。ですから、私は方向転換しなさいということです。私は法務省は悪意はちっともないと思うんです。善意でやったんだけれども、こう少し軽く乗り過ぎた。だから、いまからでもおそくございませんから、御破算にして、そして青梅以外のところをさがしなさい、新営方式によるところの刑務所設置方式を採用しなさい、いまからでも。そうでないというと、がんじがらめになって、前へ進むことも、後へ退くこともできなくなりますよ、ということを警告して——あと一月たってやってもいいんですけれども、きょうやっておいてもいいと思うんですよ。法務大臣も、大森さんの言うとおりでございましたなんということにならないようにしてください。法務大臣並びに辻経理部長、私はいままでの経過を知っておりますけれども、言い出した手前。そしてこんなぎょうぎょうしい契約書を取りかわしてしまった以上、いささかも方向転換できないんだと——私は善意をもってこういうことをこの決算委員会で言うておる。乗りかかった船なんだから途中で戻れないのだということで固執してこうやりますと、引っ込みつかなくなりますよ、こう言うんです。あれはさっぱり大臣御存じないんですから、あなたが一番知っているんですね、いままでの経過を。法務大臣は知ってないんですから。いまさっと引いて、こういう方式でいいんだ、新規巻き直しでいくんだということをりっぱに言ったほうが、私は法務省らしくていいと思うのだ、男らしくて。大臣の意見じゃないんですよ。この問題はこれは辻部長の判断ですよ。辻経理部長の判断が大臣を動かすわけですから、実務の上では。だから、私はあなたの腹が大事だと思うのです。乗りかかった船なんだからおりられないということなら、私は責任問題を問わざるを得ない。それはほんとうにあなたの善意はわかりますよ、法務省の立場は。なぜこのことを二回も三回も繰り返して言ったかといえば、これはえらいことになるんですね。国庫債務負担行為というやつがつぶれる。そして一日も早く刑務所をどっかに移転をするという、この計画が御破算になるということです。そのためにはひとつ戻ってください、いかがでしょう。
  68. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 先ほど大臣が答弁いたしましたように、この国庫債務負担行為との関係におきましては、今年の上半期中に青梅のほうに着工できませんと、この国庫債務負担行為の計画の実行が危ぶまれるわけでございます。いわば最終時点が今年の上半期であると私ども考えておるわけでございます。その時点までは、私どもなお青梅のほうをいろいろとお願いいたしてみたいと考えておる次第でございます。
  69. 大森創造

    ○大森創造君 もう終わりますけれども、一言申し上げます。  そういうふうに努力をされるのはけっこうでございますが、私は私の判断が正しいと思うんですよ。ですから、そもそもの出発からおかしいから、だんだん深みに入ってしまったんではまずい。ここらで方向転換の時期だ。きょうは大臣もおいでになることだから、そういうふうな、私の申し上げておるようなことを正しく御理解いただけたらと思って発言したわけですよ。人を悪く言ったわけじゃありませんよ。  それからもう一つ、地元の人の意見を聞いてみるというと、辻経理部長もお認めのように、観光ならいいけれども、刑務所というものはいやだということです。国の立場——法務省としては刑務所をどこかに置かにゃならぬという論理的必然はわかりますよ。だけれども、地元は、私のところはいやだということですね。それからもう一つは、プラス西武のやり方がけしからぬということですよ。われわれをだました、上のほうでばかり話をして、一番最後にひとつ三千万円プラスアルファなどということを持ってきて、話の順序が違いはしませんかということ、そういういままでの経過から見て、西武に対する不信感と同時に、刑務所はいやだということですから、私は、百人のうち三十人ぐらい条件つき賛成でも生まれやせぬかと思ったのです。私は、きょうそれならば辻さんの話を聞いて私も説得に行くかと思ったのです。ところが、そうでないのですよ、地元民が反対なんですから。  以上で私は終わります。
  70. 岡三郎

    岡三郎君 いま聞いていた中で、法的に言って、西武と新都市開発センターの間で契約が取りかわされた。その契約書の条項について、大森君のほうから、それは契約についても保留部分があるのだ、つまり、新都市開発センターに土地は一応契約上移ったけれども、それはひとつの事前行為の契約であって、本契約でないという話もあった。しかし、先ほど辻さんの話を聞いているというと、直接的にすぐ刑務所の移転を強行するのではない、建築を。そうして、地元の人を安心させるために、裏条項ですか、何ですか、そういうふうな条項がある。その条項というものは、強行しないのだということを書いたものだ。そうするというと、その条項というものは、その当時地元の人をカムフラージュするために入れた条項であって、それは適当なものなんで、法的な価値はないものだということを、あなたの話を聞いているとそういうふうに聞き取れたわけです。大森さんのほうは、地元のほうはそれを信じている、そういう条項があると地元は信じているのだというふうに聞いてきたわけなんですが、これはどうなんです。それはいわゆる地元をまるめるために適当な条項を入れたので、法的には何も価値はないのだ、ただそれは一つは地元を説得する方便なんだ、だから、新都市開発センターはそういうものには拘束されないのだ、そういうふうにもとれるわけなんですが、その点どうなんです。
  71. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) これは、先ほど来申し上げておりますように、やはり目的は、強行しないということを地元の方々に示すためにできたものと考えておるわけでございます。これが第一義の目的であったと思うのでございます。現に当時——これはあとから私の調べた結果でございますが……。
  72. 岡三郎

    岡三郎君 私の聞いているのは法的なことを聞いているのですよ。
  73. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) これは後ほど新都市開発センターと西武鉄道との間で……。
  74. 岡三郎

    岡三郎君 契約して……。
  75. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 契約ができましたけれども、刑務所ができない場合には、また買い戻すという意味の約束がこれでできておる、この両者間ではそういう約束になっておるというふうに解釈せざるを得ないことだろうとは思います。できない場合には、また売り戻しには応ずるという意味でございます。
  76. 岡三郎

    岡三郎君 どこへ売り戻すのですか。
  77. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 西武が売り戻しに応ずるという意味の約束が、西武とセンターの間でできておる。これによって……。
  78. 岡三郎

    岡三郎君 それは端的に言うと、その条項は生きているということになるというと、地元が反対するということになって、強行せざる限り、いまの実情では建設できないのじゃないか。それを指摘しているわけですね。ところが、あなたが生きているということを言われると、新都市開発センターと契約されて、実効はこの条項の中にあるのだということで、事実上において地元が反対すれば、強行しないということになれば、時間の経過とともに、これは建てられないというふうに解釈するのが正しいのじゃないかというような気がするわけですがね。そうではなくして、それは法務大臣が先ほど言ったように、上半期はがまんするでしょうがね。強行するということになっても、これはできるんだというふうな判断に立っているのか。そこはどうなんですか。いまの解釈で、あなたの説明で言えば、地元が反対する限り、これはむずかしいという判断をすることのほうが正常じゃないかというふうに考えられるんですがね。それが違えば違うことをはっきりしてもらいたい。
  79. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 法務省といたしましては、もちろんこれは新都市開発センターが着工するわけでございますけれども、法務省の立場におきまして、地元の皆さま方の御納得を得ずには着工はしない、してもらってはいかぬということは、新都市開発センターのほうに言っておるわけでございます。したがいまして、新都市開発センターは地元の方々が納得せぬ限りは、工事に着手しないということになると思います。で、この場合に、結局将来の問題の仮定論でございますが、地元の御納得が得られずにだめだという事態がくれは、その時点で一もうこれはだめだということになれば、その時点におきまして、新都市開発センターと西武鉄道との間でこの土地の問題の帰属について話し合いが行なわれることであろうと、かように考えるわけであります。
  80. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、だいぶ正常に戻ってきたと思う。大森君の言っていることが正しいと思う。ただ問題は、そういうふうな事態について、いま法務省としては、地元を説得しているんだ、法務省自体はどうしてもそこに移っていかにゃならぬと、それが大体法務大臣が言ったように上半期だと、そういうことですね。そうするというと、これは一つのやはり仮定の話だが、法務省が幾ら説得しても、なかなか青梅の地元は納得しないということになった場合については考えておるんですか。
  81. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、上半期が最終の時期であるという判断のもとで現在なお説得につとめておるわけでございます。
  82. 岡三郎

    岡三郎君 この問題とは直接関係がないけれども、先般も大森委員のほうから、大津の刑務所の移転について、いろいろと指摘されたわけです。これは法的に言うと、いろいろと西武自体としても検討せられておるように見受けられますがね。しかし、西武自体は非常にそこら辺のからくりが多いと私は見ているんです。というのは、刑務所のあと地というものを西武が自分で私的に使用できないということを見越して、いわゆるつくらしておいて、そしてあとで大津の市のほうに行って、これはやっぱり公共的なものに使わにゃならぬということから埋め立て地を取得した、それで多額なる収益をあげた、こういう事件があるわけです。そうするというと、地元に観光施設ということで土地を買っといて、そうして刑務所移転ということにおいて、その点法務省も入れて新都市開発センターと契約をする、その条項として、いま言ったようなことがあるにしても、これは結局まあ上半期まで待たにゃいかぬけれども、そうなってくるというと、先ほど言われたように、法務省自体としては、移転計画というものがかなり遅延してしまうし、あるいは別のところへものを考えにやならぬ羽目におちいるかもわからぬ。そういう点で一私企業がそういう問題について、公の仕事ということに介在して、土地の売買とか、契約とか、そういうものを行なっていく、そういうことになってくると、片一方のほうは、あくまでもいわゆる利益の問題で問題を考える、法務省自体としては、等価交換方式とか、いろいろな方式考えて何とか刑務所を移転したい、そういう公共的な仕事というものに対して、私的な利益をはかっていくという問題を介在させて、ものをそこにつくるということ自体、これは大きな間違いではないかと私は思うんですよ。あくまでも西武のほうは、刑務所が移転されようが、どうされようが、観光地として買い上げておいて、あとは何とかなるだろうということで、国家機関というものを利用して地元を説得させる。そうして説得させれば、今度は新都市開発センターに刑務所のあと地というものを事実上売ったと、転売ですね、要するにそういうことになれば。そういうふうな形のやり方というものは非常に多いと思う、刑務所をやっていく場合において。だから、そういう点について、法務省自体というものが、こういう一つの経験から、今後、半年たたなければわかりませんけれども、非常に地元というものを愚弄しているやり方だと考えます。いまあなたのほうは責任を持って説得せざるを得ない羽目におちいっているというからくりはなかなかうまい。ただし、これができない場合には、かなり責任が出てきますね。その点どう考えますか。
  83. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 本年の上半期を最終のめどに努力をいたしておるのでございますが、万一、仮定の問題として、その時点におきましてなおうまく御納得が得られないということになれば、その時点において私どもまた対策検討しなければならぬということは、これは申すまでもないことと考えております。
  84. 岡三郎

    岡三郎君 だから、そういうやり方が法務省としてはいかがであろうかと、一つのはっきりしためどがなかなかつかぬ。しかしいまやっていると。しかし、できるかできないかもうしばらくたたなければわからぬ、そういうふうな事態が発生してきている現在の状況というものについて、事法務省と思われるものが出ているのです。法務省としては、そういうやり方はいかがであろうかということについて言われていると思うのです。やはりそういう点については、明確にその事業というものがはっきりできるのだ、一つの目安というものが中から生まれてくる。先ほど言われたように、初めから西武としては、ここへ刑務所というものが、新都市開発センターとの契約においてやられていることの中から、法務省としてはできるのだという確信があったからやったんでしょう、契約を。そうですね。その確信がくずれた場合についての措置というものをよく考えてみないといかぬと思うのです。これは、繰り返しますが、西武のやり方というものについて、私たちはちょっと問題点が多過ぎる、何億という金を大津のほうで西武が刑務所の移転に伴って領得しているということは、この前も指摘されておるのです。その点はっきりしてもらいたい。やり方がどうもずさんである。
  85. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと聞いておきますが、上半期までに努力されると言うのだが、結局青梅にできないということになった場合、法務省と開発センターとの契約はもちろんこれは白紙になるのでしょう、解除に。当然巣鴨刑務所のあと地が、開発センターに渡したものが返ってくるわけでしょう。それはそのままにしておいて、またどこか開発センターがほかを見つけてくればいいんだ、そんなことにはもちろんならぬでしょうな。これは一体のものとしてだれでも考えておりますね。そういう条項が、白紙になるという条項が入っておるか入っておらないか、私は知りませんが、常識としてはそう考えられるわけですが、その点どうなんでしょうか。
  86. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 国と新都市開発センターとの契約におきまして、債務不履行の場合は、当然民法の理論によりまして、契約の解除ができることは申すまでもございません。ただ実際問題として、将来の仮定の問題でございますが、青梅ができなかった場合に、これがどうなるかという点につきましては、その時点で——かりにそういう不幸な事態になりましたときがあるとしますならば、その時点で慎重に検討さしていただきたいと思っているわけでございます。  なお、御承知のように、この契約によりまして、巣鴨を財源といたしまして青梅のほかに旭川、岡山刑務所、あるいは川越少年刑務所、このほうの建設のほうも同じ契約になっておるのでございますが、このほうは現に予定どおり進んでおるわけでございます。そういう事態もございますので、この辺のところを十分検討いたさなければならぬということになると思います。
  87. 温水三郎

    ○温水三郎君 ちょっと関連して。関連してと言っても、別問題ですけれども、等価交換方式をお尋ねしたいのですが、というのは、某刑務所の移転の問題にからんで市役所があと地をさがして建築をする場合には交換してもけっこうだと、こういう話が法務省との間にあったそうでございます。ところが交換をする、法務省が取得するところはけっこうなんですが、法務省が売る場合、すなわち現在の刑事所のあと地の問題これは公共用でなければ五カ年間は使用してはならないという制限がついておる。そこで大蔵省の国有財産局の一課長に対して、これは等価交換方式なんだから、国有財産の売り払いの場合における五カ年間の公共用地以外に使用してはならないというものを解除するわけにいかぬのかと言ったら、それはできませんと、こういうわけです。そうすると、場所——場所というのは、それぞれの都市——によっていろいろ事情が違うでしょうけれども、私の知っている当該都市の当該刑務所の場合においては、このあと地を公共用地でなければ五カ年間は使ってはいけないという制限があるというと、大体三分の二ぐらいしか値段がないということになる。あと地の使用に対して制限がなく交換された場合においては、たとえば五億円という価値がある場合でも、あと地を五カ年間は公共用地以外には使ってはいけないという制限があるというと、三億円ぐらいしか価値がないという。そうすると、そういう制限のある現在の刑務所の価値というものは三億円だということになる。そうすると、等価交換方式だったら三億円のものと交換するということになるわけだ。これははなはだどうも法務省としても国としても損じゃないか。だから等価交換でいく場合においては、これはあとを何に使おうが、そういうことは問題にすべきじゃないじゃないかというふうに思うので、この場合においては大蔵省とよく話し合って、そういう場合には国有財産の売り払いという規程の中から例外として除外していくという方法を講ずることのほうが実際に適合するし、また国損にもならないと思うのですが、これに対する考え方を、まあ大臣から承りたいのだが、大臣がおられないので、どなたからでもけっこうですから承りたい。
  88. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) ただいま御指摘の等価交換方式の場合におきますあと地の公共利用の点でございます。これは御指摘のように、大蔵当局におきまして国有財産の払い下げを適正ならしめるという観点から、実際上おそらくこれは通達でやっておられるのだろうと思いますが、大蔵御当局の行政方針として一貫してやっておられる方式でございます。この方式がいいかどうかということにつきましては、いろいろ問題があろうと思うのでございますが、現在は単にこれが一般原則として行なわれております関係で、私どもそれにのっとって処理をせざるを得ないということになっておるわけでございます。問題は、むしろ大蔵省の御関係になろうと考えておるわけでございます。
  89. 温水三郎

    ○温水三郎君 いまの御答弁はそのとおり、それはわかり過ぎているのだけれども、私が言ってるのは、五億円の価値のあるものが、たとえばこれは公共用に使わなければならないという五カ年間の制限があると、三億円にしか売れない。そうすると五億円のものを持っておって三億円にしか売れないという結果になる。これを反対に言うと、取得するものが、等価交換方式だから、三億円のものしかもらえないということになって、交換することによって国が損をする結果になる。そこで今度は、国有財産の売り払いについて、なぜそういう制限をつけておるかということを考えてみると、利潤を目的とするような者が運動をして国有財産の払い下げを受けて、そうしてこれを直ちに高く売って、その差益をもうけるというようなことがあっては困るから、国有財産に関しては五カ年間は公共用地以外には使っちゃいけないという制限をつけて売っているということは了解できる。ただ、等価交換方式の場合においては、安く買って、これを高く売ってもうけるという芸当ができない、もう最初から。だから等価交換方式のようなそういうような場合においては、これは大蔵省と話し合って、例外的な措置を認めさせるということが、法務省としての、また国としての利益につながるのじゃないか。だからそういう話し合いをする用意というか、意思というか、あるいはそういう考えはないのかということを聞いているわけです。
  90. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 私ども法務省の立場におきましては、たとえばこの刑務所の等価交換方式の場合におきましては、本来理屈としては、旧刑務所は国有財産の普通財産のほうに組みかえていただきまして、大蔵のほうで払い下げていただく、それから私どもの刑務所は、新しく予算をいただいて別途建てるということでいけば、これはきわめて明快でございまして、簡単にいくわけでございます。ただ、この方式でまいりますと、少なくともたいへんな歳出予算を要するということでこの建築交換方式が行なわれておるわけでございます。しかしながら、刑務所の移転問題につきまして、等価交換方式がいろいろと問題点指摘されておる段階でございますので、私どもただいま御指摘のようなこの問題につきまして、財政当局といろいろ意見を交換していきたいと考えておるわけでございます。
  91. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣がお見えになれば、冒頭に日通事件の総括的なことをお伺いしたいと思ったのですが、衆議院のほうでおくれるらしいですから、すぐ問題点に入っていきたいと思いますが、保険部長さんにお伺いしますけれども、興亜火災海上保険株式会社、こういうのが日本橋の室町にあるわけですが、この会社の日通出身の役員名、それからこの興亜火災と日通との関係、これについてお尋ねしたいのですがね。
  92. 新保実生

    説明員新保実生君) 興亜火災海上保険株式会社の現在の役員の中で、日通の出身者の方は、副社長の吉村政吉氏、それから東京営業部長の杉野芳文氏、取締役の福島敏行氏この三人でございます。なお、日通と興亜火災海上保険株式会社の関係は、日通が興亜火災の代理店だと、こういうふうになっておるわけでございます。
  93. 黒柳明

    ○黒柳明君 私の持っている資料もそのようになっております。中央区日本橋室町一の五に所在がありまして、資本金が十五億、日通がこの興亜火災の全株のうちの二一・三七%を取得して一番の大株主である。従業員が二千三百五十四名、非常に大きな会社です。日通の運送保険、傷害保険等の保険全部この興亜火災にいく、こういう日通が代理店の関係になっている。役員も副社長、取締役そして取締役の一人が前社長の福島さんである。ですから、非常に興亜火災と日通との関係性は濃いと資本関係からも人的関係からもこれは見ざるを得ない。これが健全なる常識によって判断した結果である。私はこう思うんです。それで、初歩的な質問で申しわけないんですが、法務省のほうに詐欺罪について簡単でけっこうですから御説明願いたいと思うんです。
  94. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 詐欺罪は、刑法の二百四十六条に規定がございまして、その規定によりますと、「人ヲ欺罔シテ財物ヲ騙取」する場合及びそのような方法をもちまして「財産上不法ノ利益ヲ得又ハ他人ヲシテ之ヲ得セシメタル」ということでございます。この場合問題になります点は、いわゆる詐欺といいますか。人を欺罔するということでございまして、これは、人を錯誤におとしいれさせるというふうにいわれております。それから騙取という点につきましては、その欺罔行為と財物の提供との間に因果関係を必要とする、かようにいわれております。簡単でございますが……。
  95. 黒柳明

    ○黒柳明君 また初歩的な質問で申しわけないんですが、保険部長さんにお尋ねしますけれども、運送保険の契約にはオープン・ポリシーとオープンポリシー以外のものがある、こういうふうに承っているんですが、簡単でけっこうですから、オープン・ポリシーとはどういう契約の方法で、オーブン・ポリシー以外の契約はどういうことであるか、簡単でいいんですが、説明していただきたい。
  96. 新保実生

    説明員新保実生君) オープン・ポリシーと申しますのは、包括的な契約と申しますか、たとえばある下請メーカーが親会社に対して材料を送る、そういう場合に、一々保険を申し込んで保険の手続、計算をするのはめんどうであるから、まあ三カ月とかあるいは六カ月とかあるいは一年と、これは適宜でございますが、そういう期間を定めて、あとで精算をするという形式の保険契約でございます。  もう一つの形は、これは主として販売店に多い問題であろうかと思うのでございますけれども、やはり自分のところで扱う荷物を発送する、その場合に運送保険をかける、そのつど保険契約を締結するのはめん、どうであるから、これから三カ月あるいは半年分あるいはシーズン中というような条件で、あらかじめ保険料その他のことを取りきめておく。それにしたがってあとで精算する、それが包括契約、オープン・ポリシーでございます。それ以外の、そのつど保険契約を申し込む、それにしたがって保険契約を、成立させる、そういう手続を踏むものが一般の保険でございます。
  97. 黒柳明

    ○黒柳明君 それからもう一つ済みませんが、任意保険と強制保険。
  98. 新保実生

    説明員新保実生君) 任意保険と申しますのは、保険関係、保険契約を締結することがその保険契約申し込み者の任意に基づくものである場合、それを任意保険と申しております。強制保険と申しますのは、最近一般的な事例としまして、普遍的なケースといたしましては、自動車賠償責任保険のように、自動車を保有する者は自動車賠償責任保険に入らなければならない。それがなければ運行してはならない、こういう形式のものを強制保険と申します。
  99. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、運送保険というのはこれは強制じゃなく、当然任意である。これは間違いないと思いますし、また、オープン・ポリシーというのは事務上の手続、あるいはいろいろな方面あるでしょう。要するに、手続の簡素化というものをするために一つの便宜上特契と結ぶものであって、あくまでもこれは運送契約の一つであり、当然任意契約である、こういうふうに認識してよろしいかと思いますが、いかがですか。
  100. 新保実生

    説明員新保実生君) おっしゃるとおりでございます。
  101. 黒柳明

    ○黒柳明君 オープン・ポリシーは、要するに運送保険の任意保険である。そこでこの日通の問題ですが、日通の運送については、これは私が言うまでもなく、いろいろの形の輸送のしかたがあるわけです。その中で私が取り上げたいのは、とにかくこの日通関係の保険料の問題に不明朗な点がある、ずさんな点があるということをこれからお尋ねするわけでありますか、それを集約いたしまして、とにかくわかりやすくするために、いろいろな種類の保険がある。その中で特に贈答用の果実、この保険料についての問題を取り上げて、さらに一般的なものにふえんして、私がいま言った日通のこの保険料問題について非常に問題点がある、こういうことをふえんしていきたいと思います。このオープン・ポリシー方式ですね、これはいま申しましたように、たとえば鳥取からはナシ、青森から、はリンゴ、長野からもリンゴ、静岡から、ミカン、そういう季節的な特産物を大量に日通を通じて輸送しているわけです。それに対してこのオープン・ポリシーというものがとられているかどうか、オーブン・ポリシーによってこれが行なわれているかどうか、この点いかがでしょうか。
  102. 新保実生

    説明員新保実生君) 私どもといたしましては全国のそういう特産物の出荷組合について調査いたしたわけじゃございませんが、おそらくそういうオープン・ポリシー契約で日通と特約を結んでいるのが相当多いだろうと考えております。
  103. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこに、もうすでにこの保険料について私がいま指摘した、問題であるというその原因があるわけでありまして、そこから始まる。いまおっしゃったように全国的にそうやっているだろうというような御推察の答弁でありますが、すでに私はこの点について鳥取県の倉古市、静岡県の静岡市において調査をいたしました。それでここに指摘いたします倉吉市の北谷果樹農業協同組合、倉吉農業協同組合、静岡県の静岡農業協同組合、ここにおかれてはオープン・ポリシー方式はとられていなかった、これははっきりしている。残念ながら私どもも全国的に調べる余裕はなかったのです。そこから、これから話を発展していきますけれども、おそらく間違いなく全国的にオープン・ポリシー方式がとられていない。こう私は断定したいし、こう断定せざるを得ないということがこれからどんどん出るわけです。なぜかなれば、オープン・ポリシー方式というのは、私のようなしろうとが説明するまでもないのですが、要するに特産物——果物の場合だけをとってみると、出荷人がいる、出荷人から今度は協同組合が集める、協同組合が今度は日通と契約を結んで、その保険料が興亜に入る。こういうわけですけれども、要するにオープン・ポリシー方式はどことどこの間に行なわれたか、これはいかがでしょう。
  104. 新保実生

    説明員新保実生君) 農協とかそういう出荷組合を中心にしてお答え申し上げますと、これは農協とそれから代理店たる日通と、この間にオープン・ポリシーは締結さるべきものであります。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうなんです。そういうものなんです。私も当然そういうふうに思う。ところが私が申し上げたように締結されていない。それからさらに保険料の問題に入っていきますとこれは解明されますが、要するに大蔵省当局がこのことを知らずして、オープン・ポリシー方式がとられているだろう、こういう想定のもとにおいてこの日通の保険料というものをまあ見てきたか、あるいはいまそういうお考えなのか。おそらく日通からそういうオープン・ポリシー方式をとられていると、こういう御答弁でもお聞きになったんじゃないですか。現場に行ってお調べになったでしょうか、どうでしょうか。
  106. 新保実生

    説明員新保実生君) 大蔵省として現場へ行って調査は実はいたしておりません。まだやっておりません。これは興亜火災海上保険会社を通じて聞いたところでございます。
  107. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこでいいでしょう、あの問題ね。ですから、確かにいままでお調べにならなかった。それに対して私どもはこれほど日通の問題が拡大化され、運輸省はじめ専売、防衛に対しても特別監査の手を打たれておる。ここで大蔵省が、当然銀行局としてその調査権があるんですし、それをどうしていままでの時点において発動しなかったかということは非常に疑惑なんです。むしろ私たちに言わせれば、いままで非常に怠慢であった。この日通の保険料の問題は、すでに予算委員会でも公明党の議員指摘したわけです。いままで現場の視察もしない。それで興亜のほうからまた聞きでオープン・ポリシー方式、要するに任意保険です。任意的な保険制度になっているであろうということを、ここで御答弁なされるということは、非常に関係当局として怠慢じゃないか。これは任意じゃない、あくまで強制的になっています。ということは、またこれから、あとから述べていきたいと思いますけれどもね。要するに、各荷主が出荷組合を通じて、そして日通と契約をする。日通の様式、フォームの要するに保険料も明示されていない。倉吉とか島根から東京には保険料込みで幾らである、鳥取から長野までは保険料込みで幾らであると、てんつけ保険料込みの料金を取られている荷主がその間にある。協同組合というものは全然そういうオープン・ポリシー方式の名前すら知らない。ただ便宜上集めてそして日通に送ると、こういうわけなんです。だから本来であるならば、その協同組合が保険料というものを払って日通との特契を結べば、これはオープン・ポリシー方式なんです。それが全然結ばれてない。あくまでも荷主のほうに保険料の負担までもかかっちゃっている。まあこういうわけで、要するにこういうことは、私言うまでもなく、その根本的システムについては御存じである、ところが現状というものは何にも御存じない。興亜から聞いたままの御答弁である、現状は。私どもはちゃんとこの名前まであげて、確実に実証できる資料がある。証拠がある。もし大蔵省のほうでオープン・ポリシー方式、要するに任意であると、オープン・ポリシーというのは一番初めに言ったように任意ということですね、強制じゃないということですね、任意であるということを興亜から聞いた、その裏づけがあるならば、その裏づけの証拠を取って、ここの委員会に資料として提出してもらいたい。委員長、いかがでしょう。
  108. 亀田得治

    委員長亀田得治君) どうですか、調べて報告願えますか。
  109. 新保実生

    説明員新保実生君) 現地の実情は、大蔵省としてまだ実地に調査をいたしておりませんが、その点は申しわけなく存じますが、実は三月の二十三日の日にこの問題は公明党の鈴木委員からも御質問がございまして、即刻われわれとしましては、必要な対策といたしまして何が一番急を要するか、そういう意味で検討いたしまして、それにつきましてはすでに手を打っておるわけでございます。で、三月二十三日の予算委員会におきまする御指摘は、任意保険が強制的な付保になっておるのではないだろうかと、こういう御指摘でございましたので、私どもとしましてはさっそく事態を検討いたしまして、四月の十八日付でもって大蔵省の銀行局長名をもちまして必要な通達を出しております。で、これには内容としましては二つございます。一つは、運送契約というものは必ず保険申し込み書に必要な申し込み事項を記載して、そしてその上で保険契約を締結すべきものである、これが第一点でございます。それから第二点は、運送業者が保険代理店を兼ねておるような場合、そういう場合に対してはこうせよと、こういう通達でございます。それは、第一に荷主に対しましては運送保険というものは、これをつけるかどうかということは荷主の任意によるものであるということを明らかにする、これが第一点でございます。と同時に、運送保険契約というものをこの日通の窓口、まあ日通に限りませんけれども、そういう運送店の窓口の人目につきやすいところに約款とかあるいは運送保険の料率とか、そういったものを掲示する、こういうことを必ず励行するようにという通達を出したわけでございます。  それから先ほど黒柳先生から御要求のありましたのは包括保険契約の資料、契約書を出していただきたいと、こういう御趣旨だと思いましたが、それは調査をいたしまして御提出申し上げます。
  110. 黒柳明

    ○黒柳明君 要するにそういう通達を出して、強制的なにおいをさせてはいけない、あくまでも任意は任意である、こういう通達はいいですよ。当然悪きは改めなければならない。それじゃいままでのものはどうするかと言うのですよ、いままでのものは。この通達はあくまでも将来に対して論じていることなんです。いままで日通が過去何十年間にわたって任意であるべきものを強制でやってきた、これが現状ですよ。これは大蔵省は知らない。こちらはどんな資料でも出せますよ。現場に行って調べてありますよ。また、いま言ったようにこのオープン・ポリシー方式の特約であるなんというのはこれはありません。資料要求したってこれは出てきません。ないものは出るわけない。これは間違いない。私は、おそらく全国的にもこんなものは結んでいやしません。一種の、日通の保険料をあるいは詐取するあるいは保険料をどこかにうまく転用する、そういうような形でいままで行なわれてきたのじゃないかと、こういう非常に疑惑を抱くわけですよ。ですから、そんなオープン・ポリシー方式、要するに任意であるのだという裏づけは何にも出ない。要するに明らかにこれは強制である。強制であるから通達で改める。それじゃ過去のそういうことに対してだまされた人はどうするのかと言うのですよ。任意であるものを今度は強制させられた人はどうなるのか。これに対しては現状をどう認識しているか。いま法務省のほうからお答えがあったように、人を欺罔してあるいは騙取する、明らかにこの項目に当たる、こういうふうに私たちは調べた結果断定せざるを得ない。こういう事実があるわけなんです。それから通達の中にも、この保険の契約者との間に無用の摩擦を生ずることなく云々とありますね。この無用の摩擦というのはどういうことですか。
  111. 新保実生

    説明員新保実生君) 私のいままでの説明で不十分な点がありましたので補足させていただきますが、私どもの調査によりますと、具体的な出荷組合の名前は承知いたしておりませんけれども、鳥取でございますと、倉吉でございますと農協出荷組合とそれから日通との間で、そういう包括契約が毎年のように特約として、オープン・ポリシーとして締結されておる。で、そのオープン・ポリシーの包括的な保険契約の契約当事者はだれとだれであるかという問題でございます。これは出荷看たる農協とそれから日通が契約者になるわけでございます。その関係においては、これは任意で話が成立しておる、こういうふうに私どもは了解しております。ところで問題は、その出荷組合たる農協を通じてナシを送ってもらう、そういう場合に農協にナシを買いに行くお客さんがあります。それは東京の大きな果実屋さんが農協に一括して千箱送れ、そういう注文を出すという場合もありましょうし、あるいは山陰地方に旅行した遊覧客が農協へ行って、これをひとつ東京の自分の自宅に送ってくれ、あるいはだれかに贈りものをしてくれと、こういう依頼をする場合があると思うのでございます。その場合に、私どもが調査したところでは、農協の直売店で運賃と一緒に保険料を収受しているわけでございます。で、そのお客さんがそこで保険料を農協の直売店に払う、そういう事実はあるわけでございますが、その点については、これはいわゆる強制保険というより、保険の契約の当事者ではないわけでございます、言うならば被保険者という立場でございます。保険契約の当事者というのは農協と日通でございます。で、その点はこの包括的な保険契約の法律構成としてはそういうふうになるということ、私どもはそういうふうに了解しておるわけでございまして、したがいまして、そこに詐欺罪構成の要件が成立するのかどうか、私いま刑事的な問題は詳しく存じませんけれども、商慣習として、農協が送る自分の品物についてあとでトラブルが起こると自分の店の信用にかかわる、だから包括的に日通と運送保険契約を結ぶ、こういう事態は普通考えられるわけでございまして、その農協の店に個々に買いに来るお客さんが保険料を払うか、あるいはこういう場合もあり得ると思うのです、ナシ代金そのものの中に保険料を込みにしてある、そういう扱いにしておる場合もあり得る、これは想像でございますけれども、そういう形もあるわけでございまして、その個々のお客さんが保険料を払っておる、保険料に相当するものを払っておる、それが代金の形であるか、あるいは保険料として、保険料相当額として明示される場合もあろうかと思いますが、それは普通の商慣習でございまして、そこの点に強制的な関係が成立するというのは、ちょっとこれ無理な考え方じゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  112. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 農協と日通との間の包括契約、契約書はできているのですか。契約書まではない、口頭でそういうふうにやっているということですか、契約書があるのですか、どっちですか。
  113. 新保実生

    説明員新保実生君) それは私一つ一つのあれについて、実は申しわけないのですが、聞いておらないのですが、もう毎年毎年ということであるならば、書面までつくっていない、鳥取の二十世紀というようなもので、もうお互いに顔なじみと、その辺は私調査しないとわかりませんけれども、なお調査した上でお答えさせていただきたいと思っております。
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、これはまた話は初めに振り返ってしまう。うちのほうは調査をして名前まで指摘してある。なんだったらここで電話してみなさい、そういうものがあるかどうか。電話だったら一分で通じてしまう、そういうものは。いいですか、そういうことは大前提なんですよ。そういう契約がないのです。何にも取りかわされていない。それで荷主のほうから保険料込みの料金をてんつけ取ってしまう。しかも——これから問題は発展しますけれども——その保険料も出荷伝票には明示されていない、こういうようなことなんです。その保険料はどこへいったか。さらにそういうことに発展するわけですけれども、いまおっしゃったように、調査といったって、調査じゃない、電話でお聞きになっただけじゃないですか。こちらは現場へ行って、あらゆるところの資料を、あらゆるところで話を聞いて、そうしていまの包括契約だって、ないということが大前提です。しかも、私は全国とは言いませんよ、静岡県、島根、鳥取はない。このことは全国的に通ずるだろうと断言してもいい。私どもはすべての調査ですべての実情把握も済んでいるわけですよ。そういう上に立っての質問であり、発言であるにもかかわらず、大蔵省の保険部長のほうは何にも御存じない、現場を知らない、契約があるかどうかもわからないわけですけれども、年間そういうものがあるならば、契約がなければおかしい。それは常識ですよ。常識でおかしい。おかしいから私もおかしいと指摘しているのです。おかしいのですよ、なければ。いいですか、なければおかしいのです。それがないのです。ないから、任意が強制的になってしまっていると、こう断定せざるを得ない。だからこそここに通達を出したのじゃないですか。そういうことがあってはならないと、こういう通達が出ておる。話はそういうふうになっているわけですよ。だから、あくまでもそれはお調べになっていただきたいと思います、現場というものを。ここで私が一方的に言ってもまだお調べになっていない、むしろ教えているというような立場になっていますよ。しっかり現場を認識して、それで任意であるか強制であるか、私は強制だと断定するのですよ。もしそれが過去においてそういう形で強制的に行なわれていたら、これは知る知らないにかかわらず、包括的に保険料を取られているということは、これは荷主としては一種の詐欺行為に私はなるのじゃないかと、こういうことにもふえんして言えるわけです。ここのところはしかたがないでしょう。そちらで調べてないのですから調べてください、至急に。それで、いまその契約があるかどうか、あったらここに提出してください、一資料を、いいですね、決してない。  それから、先ほど私は二点聞いたのですよ、その通達の中に、要するに保険の契約者との間に無用の摩擦を生ずることなく、こう書いてあるのです。この無用の摩擦というのはどういうことが無用の紛争、無用の摩擦か、非常にこれは疑問なんです。どういう趣旨なんですかね、これ。
  115. 新保実生

    説明員新保実生君) まず、その包括契約というものが、静岡のミカン屋あるいは鳥取のナシ屋と、出荷組合と日通との間に成立しているかどうかという問題でございますが、実はこれは黒柳先生の御指摘によりまして私ども静岡の例を一昨日でございましたか、調査しようとしたわけでございますが、たまたま日通がストライキでございまして、完全なことがわからなかったわけでございますが、そのときに静岡のミカン組合でございましたか、それは毎年包括保険契約で全国に発送する、ミカンの数量というものは大体わかっている。したがってそれを基礎にして——前年度の輸送実績というものを基礎にして、それをもとにして保険料を概算納付しておるというような回答があったわけでございますので、やはりそこには包括保険契約というものが成立してあるのじゃないか、こういうふうに私どもとしては考えておるのでございます。
  116. 黒柳明

    ○黒柳明君 推測でしょう、それは。
  117. 新保実生

    説明員新保実生君) なお、具体的な組合名を先生おっしゃいましたが、それはあとで教えていただきたいと思います。
  118. 黒柳明

    ○黒柳明君 教えろなんて、そんなばかなことがあるか、とんでもない話だ、一生懸命こっちは調べているのだ、何を教えてくれだ、とんでもない、それが役人として、給料をもらってつとまるか。
  119. 新保実生

    説明員新保実生君) いや、そういう意味ではありません。
  120. 黒柳明

    ○黒柳明君 何言っているのか、へらへらして、もっとまじめにやれ。
  121. 新保実生

    説明員新保実生君) たいへん失礼いたしました。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 きまっているじゃないか。
  123. 新保実生

    説明員新保実生君) それから、通達の中に無用の摩擦を生ずることのないようと、無用の摩擦を生ずることのないようというのは、自分が保険契約を申し込んだ、申し込まない、そこが水かけ論にならないように、はっきりと証拠を残しておけと、こういう趣旨でございます。
  124. 黒柳明

    ○黒柳明君 要するにそうすると、保険料をかけたかかけないか、日通に迷惑をかけちゃいけない、かけたかかけないか、はっきりしないとあとになって日通に迷惑をかける、こういうことじゃないのですか、無用の摩擦というものは。要するに日通王国、そういう詐欺みたいな行為をして大衆に大きな損害をかけている、そういう日通にむしろ無用の紛争を起こさしちゃいけない、こんなことにもこれは通ずるのじゃないですか。何かこういう通達自体もそういう面で私はすっきりしないように思う。  時間もどんどん進みますから、余分なアドリブが入りましたので問題の核心に入っていきますけれども、先ほどおっしゃった静岡県の問題ですと、運賃表と伝票、それについてどういう関係になっているかひとつ説明していただきたいのです。
  125. 新保実生

    説明員新保実生君) これもはなはだ申しわけないのですが、黒柳先生からその実物をちょっと見せていただいたわけでございます。先ほど私、組合の名前を教えていただきたいと申しましたのは、それをわれわれとして独自に調査をするのはもちろんでございますが、なお参考の意味という意味で申し上げたのであります。たいへん失礼いたしました。
  126. 黒柳明

    ○黒柳明君 どういたしまして、あとで言います。
  127. 新保実生

    説明員新保実生君) で、静岡のケースでございますが、これは先生から見せていただきました資料によりますと、運賃の欄とそれから保険料の欄と、こう伝票が二つに分かれておるわけでございます。ところが、運賃の欄に百何十円とこういう記載がございまして、保険料の欄には空白になっておる、何も書いてない、こういう伝票でございます。これは事務処理として適当ではないと、私どもはそう考えておるわけであります。
  128. 黒柳明

    ○黒柳明君 はい、私ももうそのとおりだと思うのですよ。ここにまあ日通の伝票があるわけです、日通小口小運送扱い運賃料金請求書元払用と。そして各個人が日通に荷物を持っていきますと、ここに保険料、運賃、集荷料、配達料、そして合計と、個数、何キロと、こうなっているわけですよ。運賃は二百六十円、集荷料は五十円、配達料は百円、計四百十円、これは静岡から仙台に送る場合です。そうすると、この運賃表を見ますと、静岡から仙台は保険料込みで四百十円、こうなっておるわけです。そうすると、運賃、集荷料、配達料の三つでここには四百十円。この表を見ますと保険料込みで四百十円、ですから間違いなくこれは保険料も入っている。保険料入っているにもかかわらず保険料の欄は空白になっている、こういう請求書が全部です。これは全部そうなっているわけですよ。保険料の欄が書いてない。そうすると、この保険料はどこへいったのか、まあ当然これが荷物の保険金として興亜火災に入っているはずなんです。ところが入らなくともわからない。なぜかならば、保険料のところが何も書いてない。これは私が言うまでもなく、こういうのが六、七枚ついていまして、保険料の欄に書くと、ちゃんと保険料の欄のカーボンが出る。紙が二枚ありまして、その二枚の紙がしかるべきところにいって、これは保険料がついた貨物である。そしてその保険料が会社のほうにいく。ところがこれは保険料の欄が全然書いてない。ということは、六枚のカーボンのところには保険料が全然ついてない。要するに保険料なんか出てこない。だからその保険料は興亜海上にいかなくてもこれはいい、ごまかしだ。ごまかした材料がここにある。こういうふうに私は断定せざるを得ないです。大衆をだまして保険料を取っておる。ネコババしておる。こういうふうに断定せざるを得ない証拠がここにれっきとしてある。まあこれについてはきのう、いまもごらんになっていただいて、確かにこれはうまくない。こういうふうに発言なさって、いままたその発言を繰り返したわけですけれども、まあそれ以上御答弁のしょうがないでしょうけれども、これは静岡のことです。静岡以外のこの実態は御存じでしょうか。
  129. 新保実生

    説明員新保実生君) 静岡以外においてどういうことがあり得るかということは、まだ承知いたしておりません。
  130. 黒柳明

    ○黒柳明君 冒頭に申したように、このことは、まず各地の特産物、しかも、くだものに関して質問を発したほうがいいということで、そういう想定のものでの質問になるわけです。これは鳥取のナシです。これはいまこのぐらいしか持ってきておりませんけれども、私は鳥取県でナシの日通扱いの贈答品の運送伝票を千四百四十九枚集めたのです。そのうち二百六十枚が正規の保険料のところに書き込まれている。これがそうです。これはそのうちの一部です。これはちゃんと鉄道運賃、運送保険料、合計保険金額、ちゃんと明示されている。そういうふうに書き込まれている。一部です、二百六十枚。その残りの、要するに千四百四十九から二百六十引くと千百八十九ですが、その一部です。会館に全部ありますけれども、要するに八一、二%というのは何も書いてない、保険料込みの金額、鳥取から青森へいく、鳥取から東京へいく、その出荷に対して、この表がいまありますよ。保険料込みだと幾らか、この保険料込みの金額しか書いてない。とすれば、荷主のほうはこれは保険料が入っているものやら入ってないものやら、しかもこれ、か正規の手続がとられなくても、保険料が明記されてないのですから、全部コピーして、全然保険料のところは写っていません。こっちでも書いてありません。ですからこれは保険料は取っても保険料がどこへいったかわからない。要するにこれは保険料を詐取したことになる。保険料をネコババしたことにもこれはなる。静岡だけではないですよ。鳥取の場合にもそういうデータが出ているのです。八〇数%が、そういう静岡と同じように保険料の欄が不明、合計保険料を含めた金額だけしか明示してない。こういうことですね。これは私は大蔵省は調べてない。いままでのことはまあ怠慢であると、こういう一言に尽きるのですけれども、お調べ願いたいということで、水かけ論になるのですけれども、あまりにもこの事態というものは、これはゆゆしき事態ですよ。もし私が青森へ行って、長野へ行って、甲府へ行ってみんな調べたら、まあ私は断定してもいいと思う、同じ結果が出ると思うのです。全国の果実、その特産物の出荷に関して日通はこういう八〇%に上る連送料の保険料のごまかしをやっている。そういう大きい疑惑があるし、私はこれは断定してもいい、こういうふうに思う。ですから静岡あるいは鳥取だけではなくして、先ほど実情を調べてとおっしゃったことは、ひとつ、もう広く手を伸ばして、そうして実情というものをよく調べていただきたい。総括契約であるのか、あるいはこの保険料というものはどこへどういったのか、こういうことを、これは要望するよりほかないと思うのです。答弁が返ってこないのですからね。  そこで、刑事課長さんにまたお尋ねしたいのですけれども、先ほどの千四百四十九のうち千百八十九、これが保険料がどこへいったか不明である。これはいま言ったとおりです。ところが冒頭に申しましたように、これは日通は興亜火災の代理店になっているわけですよ。その代理店に払わなくてもこれはわからないのです、このシステムは。払われてないという疑いは非常に濃厚なんですね。さらにもう一つ、これは岡山県の貨物運送株式会社、同じく日通よりずっと小さいですけれども、こういう運送会社です。ここにおいての出荷の伝票も同じく保険料を書き込むような欄がある。それには全部保険料を書き込まれている。これは逃げも隠れもできないです。私たちが送る荷物に対して保険料払われて、万が一の場合には保険金額はもらえる、こういうことに、これは明らかに書類上立証されます。こういうものがある反面、日通のような大会社が、それこそいままで幾多の悪事を働いてきた会社が、その保険料を明記してないということは、非常にこれは対照的だと思うのです。それをさらに私くどいようですけれども、この場合においても、何も岡山運送だけではなくて、合同運送でもどこでも調べれば同じように保険料は明記するのがあたりまえだと思うのです。明記する欄があるのですから。とすれば、片方は明記されてない。これは私は詐欺じゃないか、あるいは横領罪にもこれはなるのじゃないか。また、これは新しい罪の事犯がここにも疑いが濃くなるのですけれども、この点について法務省当局としてはどのようなお考えでしょうか。
  131. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 先ほどから承っておりまして、一体もし犯罪になるとすればいかなる犯罪になるであろうかということを考えながら伺っていたのでございますが、まだ前提事実ははっきりいたしませんで、結局運送契約があるかないか。あるとすればその内容、それから先ほど問題になりました保険契約があるかないか、あるとすればその内容、あるいは商慣習等の諸般の事情等を調べてみなければ確たることは申し上げられないと思います。ただ、かりに保険料というところが空白でございましても、保険料該当部分について納められている、納付されているということになりますれば、先ほど御説明申し上げました財産上の損害がないわけでございますから、これは詐欺罪か成立しないだろうと思います。しかしながら、一般的に申し上げて、保険料が入っていない場合でございますと、しかも保険料を納付する意思がなくて、金を取ったということになれば詐欺罪の疑いが出てくる。ただし、いま承っておりますと、はたして荷主、すなわち、ミカンの買い受け人が詐欺の被害者になるのか、農協の人ミカンの売り主が被害者なのか、これは調べてみなければわからないだろうと思います。それから、かりに保険料込みの運賃を取った場合におきまして、保険料を納める意思があった場合、その後に至って保険会社に納めなかったということになれば、これは黒柳先生の御指摘のように横領の疑いが生ずる場合もあろうか、かように思うわけでございます。いずれにいたしましても、ただいまのお話を承っただけでは、まだ具体的な事情がはっきりいたしませんので、直ちにここでその犯罪が成立するということは申し上げにくいと考えるのでございます。
  132. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、大蔵当局としてはこの事実、現状をどう認識し、今後どのような対策を立てられるのですか。
  133. 新保実生

    説明員新保実生君) 包括契約の場合には、これははっきりと包括契約書というものを取りかわす、これを励行させる、それから包括契約によらざる一件の荷主と申しますか、個人々々が日通の窓口に荷物を持ってくるという場合には、先ほども申し上げました通達の趣旨に沿って確実に保険申し込み書に記載をさせる、あるいはそれが運送店である場合には運送保険を付保するかどうかは荷主の任意によるものであるということを明らかにする、あるいは約款なり料率というものを店頭に明示させる、これを励行させるつもりでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、そういう包括契約を農協がやっておる場合に、農協の直売店に来る個々のお客さんに対して、代金の形でも、あるいは保険料相当額の形であればその保険料相当額を負担してもらうというこの事実は、商慣習として否定できないわけでございますので、それはそれとして、包括契約の成立そのものは文書によって明らかにさせる、こういうことにいたしたいと考えております。  それからもう一つ、静岡の例を代表として黒柳先生の御指摘になりました運賃欄に一括記入してあって保険料の欄が空白になっておる、これは適当でございませんので、必ずその保険料の計算は保険料欄に明示する、原則どおりの処理方式をとらせる。それからもう一つ、これは各地の実態調査でございますが、全国全面的にということは、いろいろな関係でむずかしいのでございますけれども、これは保険代理店あるいはその包括契約、その点についてただいま黒柳先生の御指摘になりました疑点については、実地調査をいたして、もし不正あるいは不当なことがあるならば、しかるべき措置をとりたいと、かように考えております。
  134. 黒柳明

    ○黒柳明君 なお、実地に調査してということは、立ち入り検査もやる、こういうようなことに了解してよろしゅうございますか。
  135. 新保実生

    説明員新保実生君) そのとおりでございます。
  136. 黒柳明

    ○黒柳明君 すぐ大蔵省当局も立ち入り検査をやって、そうして実情を国民の前に明らかにしてもらいたい、こう思います。  そこで、私は以上のような点で、農林省の発表した統計による全国の主要果実運送保険、この料金の試算をいたしてみたわけです。これは農林省の統計による全国の出荷量です、ミカン、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃。ミカンが昨年は百三十八万一千七百四十五トン、リンゴが九十二万七千三百八十七トン、ブドウが十七万六三百二十三トン、ナシが三十二万七千八百五十二トン、桃が二十万五千七百五十五トン、合計三百一万九千六十二トン、こういう三百万余の全国で主要果実が出荷されているわけです。そのうち私がここで伝票の実物を通して、その保険料が疑問である、こう指摘した、要するに贈答用として日通の窓口を通して出荷されたものかどのくらいあるか、鳥取の倉吉の場合には一二%あるんです。これを全国の三百万に掛けてみれば、これは若干各地によって上下があると思いますよ、しかしながら試算の方法がないのでこういう方法をとってみました、こういうことですが、全体の一二%を日通のこのいわゆるオープン・ポリシーというインチキ方式を通して出荷しているんです。それで全国の三百万トンの、ミカン、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃、これに十二を掛けますと、三十六万二千二百八十七トン、要するにほぼこのくらいの数字が全国的に日通のオープン・ポリシー方式、要するに任意であるけれども実際は強制である、保険料金がごまかされておる、こういう対象になるトン数である。ところがこの三十六万余トンは、個数に直すとどうなるかというと、要するに個数が問題なんですよね、個数に直しますと、どんなに見ても一つの箱がここにあるのを見ますと大体十キロ平均です。一口の荷物が十キロ、しかしながらもっと多目に見て一口が二十キロと見た場合、一トンですと五十箱と、こうなるわけです。ですから三十六万ぐらいを、一トン当たり五十箱と見ますと——一箱当たり二十キロと見まして五十箱——箱数にして千八百十一万四千三百五十箱、これだけの口数になる。千八百万口を荷物として全国から送る。その保険料は一箱当たりどのくらいか、最低二十円なんです。二十円、三十円、四十円、五十円とありますが、最低と見ても二十円なんです。そうすると一千八百万個、大体最低の一個当たりの保険料金を二十円と見ても三億六千二百二十八万七千円、こういう金額が出てくる。ところがこのうち私が倉吉で調査した結果八一%が不正である。これを掛けますと、三億六千万掛ける〇・八ですと、二億八千八百万、要するに約二億八千万ぐらいが、全国的にこのくだものの出荷にあたって保険料が明示されてない、明示されてなければ、要するに興亜海上のほうにいかなくてもこれはわからない。私はこれは大きな疑惑があり、これは保険料をネコババしているんじゃないか、こういう断定あるいは少なくとも疑惑を投げかけられる数字が二億八千万です。くだものだけでもこういう試算があるんですよ。これは私のあくまでも試算ですから、いまも刑事課長さんがおっしゃったように、まだまだこれに対して詐欺罪とか横領罪とか——断定することはむずかしい、立ち入り検査をした結果だと思いますけれども——非常にこの詐欺罪なり横領罪なりが成立する疑いが濃い。二億八千万、私の試算です。まあ大蔵省当局にこういうような試算があれば提示していただきたいと思うのですが、これは申しわけないけれども、言うまでもなくこういう試算はないんじゃないか、ございませんですね。
  137. 新保実生

    説明員新保実生君) そういう試算はいたしておりません。
  138. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然そうだと思います。そこで、角度は若干変わりますけれども、先ほどの興亜火災海上保険の運送保険について、代理店別の件数、これはどのくらいでしょう、四十一年の日通分だけでけっこうです。
  139. 新保実生

    説明員新保実生君) 四十一年度に日通において扱いました運送保険の件数でございますが、二千四百六十七万三千件ということでございます。
  140. 黒柳明

    ○黒柳明君 四十一年です。これは二千四百万余、これは件数ですね、個数ですね、口数ですね。そうすると、私がいまここで言いましたように、これはあくまでも私の試算ですけれども、相当根拠があります。その試算によると、全国のくだものだけで千八百万口、千八百万件くらいの件数があるんです。ところが興亜海上に納められた件数は二千四百万件、二千四百万件から千八百万件引きますと、六百万件ですね。この六百万件はどういう数字かというと、これがくだもの以外。全国のリンゴ、ナシ、ブドウ、桃、ミカン、この主要くだものです、私がいま言った一千八百万件というのは。この全国の主要くだもの以外の保険料がかかっている件数が六百万件と、こういうわけです。これは常識で考えてもあまりにも少な過ぎるんです。くだものだけでも一千八百万件あるのに、そのほかが六百万件しかない。こんなばかなことはあり得ないわけですね。そうすると、何か私が大きく疑惑を投げかけたいのは、この興亜火災の経理——先ほどは人的関係か非常に何か私は不明朗——じゃなくて、日通と関係が濃い。これは明らかです。財政的関係も濃い。これも明らかです。と同時に、この日通の代理店扱い件数二千四百万件、全国の主要五つのくだものの扱いだけでも一千八百万件、残りの六百万しかほかの荷物の扱いがない。要するに保険料として扱った荷物がないなんという、こんなばかなことはない。非常にそうなると経理上この興亜火災において何か役員の人事を含めて私は非常に疑惑をここで投げかけたい。まだまだここでは断定したものは残念ながらございません。しかしながら私の希望意見としては、このことも含めて、要するに立ち入り検査もしてもらいたい。まあここまでの御答弁はこれはできないと思います、私自身が断定したものはないですからね。しかしながら、試算しても非常にこれの経理に疑惑がある。こういう一つのテーマもまたここで投げかけたいと思うのです。またさらに、日通の問題はいろんな角度から問題点出てきますから、最後に、大臣がいらっしゃいませんので政務次官、あまりこのことを、失礼ですけれども、よく御存じないと思うので、まず保険部長から、以上のようなことを全部踏まえて——先ほどから善処すべき点も私お伺いしました。すぐ立ち入り検査をして、それをさらに日通の保険料の面から、明らかな日通のインチキの状態から、またオープンにされていくことを私は期待しますし、国民もそれを期待していると思うのです。以上のような点を聞いて、ひとつ御感想なり、善処方の御意見なりありましたら、最後に締めくくりとしてお尋ねしたいわけなんですが。
  141. 新保実生

    説明員新保実生君) まず包括契約が問題になっておるわけでございますが、包括契約そのものがいけない、こういう御論旨ではないように伺っております。ただ、その包括契約の趣旨に従って正当にあらゆる手続が行なわれ、料金の収受が行なわれると、こういうことはもちろん確保されなければならないと考えておるわけでございます。で、先ほど先生が御指摘になった試算の点でございますが、私もこういう角度からこういう試算をやったことがございませんので、これは直ちにまたどうということはちょっと感想は申し上げにくいのでございますが、ただ、私やはりこれも実地調査をして確かめるつもりでございますけれども、一応いままで私どもが聞いておるところでは、日通の窓口では毎日日計表をつくる。そしてその伝票を、県に一個所集計店というのを指定しておるそうでありますが、その集計店で集計をして、そして一月分を取りまとめて本社に送付する、そういう手続で、その日計表には一つ一つの伝票を添付する、こういうふうになっておると聞いております。その辺も実地調査の上で確認をいたしたいと考えております。いずれにしましても、御指摘になりましたような保険料の空白欄というようなことは、これは実情を調査した上で是正をさせる。それからなお、実態をよく調査しまして、御指摘の点については明らかにしたいと考えておるわけでございます。
  142. 黒柳明

    ○黒柳明君 次官に御答弁いただく前にひとつ。いま言いましたように、鳥取の倉吉で、私たちは強制保険と、こう断定したいのですが、これに対して、これは保険料ないわけですね、聞くところによると、これは「運送保険付承知」という判こをどんどん徹夜で押させている、事務員に。ということは、あくまでも先ほどの通達は、これはこれからの姿勢を正す、これはいいのですけれども、過去においてこういう証拠が隠滅されるという方向に向かいますと、これはやはりうまくないと思うんです。それの一環がこれです。これは赤ですから、リコピーじゃちょっとはっきりしませんが、はっきり見えます、何と書いてあるか。「運送保険付承知」、要するにお客さんが保険を納めたことを承知しましたという判こをべたべたこの領収書に押して、そして保険付としている。これ自体証拠隠滅の一環にもなると思うのですよ。ですから、こういうこともまあ調査権をすぐ発動してもらいたい、告発したいという人も相当あるのですよ。私自体も告発したいくらいですよ。告訴したいくらいですよ。そういう声がどんどん起こっている。こんなばかなことをやっているのか、それじゃ私も告発したい、告訴したい、こういう声がどんどん……。そういう声にこたえてやるのじゃ、ちょっとこの日通事件というのは、関係当局としても手の打ち方がおそいのじゃないか。現にここに証拠を隠滅する方向にもいっているわけですよね。まあそういうことも含めて、いまお聞きになった点で、どのようにお感じになるか、ひとつ最後の締めくくりをお願いしたいと思います。
  143. 亀田得治

    亀田得治君 では最後に政務次官。
  144. 進藤一馬

    政府委員(進藤一馬君) 先ほどから黒柳委員のいろいろな御説明承りまして、法務省といたしましては実情を十分に調査いたしまして、犯罪嫌疑があるようでしたら、またそれぞれの警察なり検察庁なり、それぞれのところでまた十分にそれぞれの処置をすると思いますし、また、そうさせるつもりでおりますが、実情をまず調べまして、ただいまのようなそういう不正があるということは非常に国民疑惑のもとになる。こういうことは一日も早く除きたいと思っておる次第でございます。
  145. 黒柳明

    ○黒柳明君 以上で終わります。
  146. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これにて各省庁別の審査は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会      —————・—————