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1968-04-17 第58回国会 参議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十七日(水曜日)    午後一時十三分開会     —————————————    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     奥村 悦造君      黒柳  明君     北條 雋八君      岩間 正男君     春日 正一君  四月十六日     辞任         補欠選任      奥村 悦造君     菅野 儀作君      森田 タマ君     中村喜四郎君      柳岡 秋夫君     小野  明君  四月十七日     辞任         補欠選任      北條 雋八君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 平泉  渉君     委 員                 久保 勘一君                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 高橋雄之助君                 中村喜四郎君                 山崎  斉君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 沢田 政治君                 達田 龍彦君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        内閣官房長官  亀岡 高夫君        総理府総務副長        官        八木 徹雄君        首都圏整備委員        会事務局長    鶴海良一郎君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        科学技術庁計画        局長       武安 義光君        文部省管理局長  村山 松雄君        農林水産技術会        議事務局長    近藤 武夫君        工業技術院長   朝永 良夫君        建設政務次官   仮谷 忠男君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省大臣官房        会計課長     高橋 弘篤君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       井上 幸夫君        通商産業省企業        局参事官     橋本 徳男君        建設省都市局技        術参事官     葛生 新一君        自治大臣官房企        画室長      近藤 隆之君        会計検査院事務        総局第三局長   増山 辰夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君    参考人        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        半田  剛君        日本住宅公団理        事        稗田  治君        日本住宅公団理        事        関盛 吉雄君        日本住宅公団理        事        島  守一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十一年度特別会計歳入歳出決算昭和四十一年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  四月十五日、黒柳明君及び岩間正男君が委員辞任され、その補欠として北條雋八君及び春日正一君が選任されました。四月十六日、柳岡秋夫君及び森田タマ君が委員辞任され、その補欠として小野明君及び中村喜四郎君が選任されました。本日、北條雋八君委員辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。     —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 理事補欠互選についておはかりいたします。  ただいまの委員異動に伴いまして、現在、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事黒柳明君を指名いたします。     —————————————
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  建設省住宅金融公庫、日本住宅公団、日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 私は、筑波研究学園都市の問題について各省庁にわたって御質問を申し上げたいと思うのですが、衆議院との関係大臣その他関係次官等出席のできないところもございますのですが、そこには文書をもってあらかじめ要請しておきまして、こういう点についてお答えをいただきたいということを要請しておいたはずでございますから、これに対して、きょう御出席の方から、大臣はどう考えるかということについてのお答えをいただけるものと思って質疑を続けたいと思うのでございます。  私は、なぜそのように大臣あるいは政府考え方をお聞きしたいかと申しますと、過去私は二回、三回にわたりまして、学園都市の問題につきましては、政府考え方をただしたわけでございます。そして、なおかつ今日たださなければならないというのは、政府が三十六年以来ずっと官庁都市移転研究機関移転閣議了解閣議決定というような何回かにわたる慎重な審議を続けて筑波決定して、用地買収が始まって、五百七十万坪の中で用地買収は七〇%近く終わっておる、しかし、あとの三〇%はきわめて困難な状況におちいったと、一面において、成田空港の問題で血の雨降らすような事態が起き、かつは用地買収等につきましても、研究学園都市にきまった額の三倍、四倍、同じ首都圏の五十キロ・サークルの中にありながら、条件は同じでありながらという不安な、あるいは農民不満がいま爆発寸前であるということ、壁にぶつかったこの学園都市問題をどう解決していくか、その壁にぶつかった理由というのは、関係土地を持っている地主さんとは、成田の場合とは違って、協力態勢がきわめて熾烈であって、今日まで一緒にやってきたけれども、いまの姿のままでは、政府のやろうということがはたして実現できるのかどうか、政府立場政府態度に対して不満を持っているところに、壁にぶつかった大きな原因があるわけでございます。したがって、その壁をぶち破って、である四十に及ぶ移転機関、総額四千億をオーバーする国家資本の投資、世界的な頭脳センター建設という至上課題であるこの問題を解決するためには、一にかかって私は政府態度にあるということを考えますので、慎重な立場で各省庁のまとまった意見をお伺いしたいと思うわけでございます。そういう意味で事前に通告しておいたわけでございますから、どうぞひとつ、時間も制限されておるわけでございますから、具体的に政府考え方をお聞かせいただくことを冒頭にお願いして私の質問に入りたいと思うのでございます。  まず、首都圏事務局長にお尋ねしたいのですが、研究学園都市決定から今日までに至る経緯を、簡単に御説明いただきたいと思います。
  7. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 経緯を簡単に御説明申し上げます。  昭和三十六年以来、官庁移転問題が政府部内で議論されておったわけでございますが、三十八年の九月に閣議了解で、筑波地区研究学園都市をつくるということ、及び、住宅公団をして用地取得造成に当たらせるということが了解されたわけでございます。それに基づきまして作業を進めてきたわけでございますが、三十九年の十二月に至りまして、これを推進いたしますために研究学園都市建設推進本部というものを総理府に置きまして、これをして各省連絡調整及び推進の促進の役割りを果たさせるようなことにいたしたわけでございます。その後、推進本部会合等数回開かれておりますが、四十年度から用地買収に入りまして今日に及んでおるわけでございます。その間、昨年の九月になりまして閣議了解といたしまして、ここへ移転いたします研究機関あるいは教育機関等につきまして、移転予定三十六機関決定を見たわけでございます。ただいまこの三十六機関をどのように受け入れるかということにつきまして、関係省あるいは地元県等と打ち合わせを進めておりまして、できますれば近い段階におきまして、それの発足につきましての事業決定まで持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、用地買収につきましては、先ほど先生お話しになりましたように、現段階で七〇%の進捗を見ておるわけでございます。
  8. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 推進本部機構と、だれが最高の責任者か、ちょっと伺いたい。
  9. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 推進本部は、首都圏整備委員会委員長本部長をつとめておりまして、部員といたしましては、総理府総務長官及び関係省庁次官クラスで構成されております。なお、この推進本部の庶務は、総理府審議室で行なっておりますけれども首都圏整備委員会事務局がそれに協力して進めているという段階でございます。
  10. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 推進本部首都圏関係及び——この首都圏整備委員長であるいわば大臣建設大臣だと、こういうことですね。大臣推進本部本部長責任者と、こういうことですか。
  11. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 先ほども申し上げましたように、推進本部本部長首都圏整備委員会委員長がこれに当てられておるわけでございます。
  12. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 結局、建設大臣がこれに当たっているわけですね。
  13. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設大臣が現在首都圏整備委員会委員長を兼ねておりますので、同じ人でございます。
  14. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 そうしますと、推進本部というのは、過去からのずっと経緯を経て三十八年に閣議決定をし、用地買収が始まって、いま移転機関が三十六にしぼられて、移転を予定されておるわけです。これらの移転推進するための責任者というふうに解釈するわけですか、あるいは今後起きるであろうもろもろの問題の実行主体責任者というふうに解釈する、どちらですか。
  15. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 推進本部の置かれました趣旨は、各省間の連絡調整と、それからこの学園都市建設推進ということを目的として置かれたわけでございます。事業そのもの推進本部がやっていくという体制にはなっておりませんが、基本的なことにつきましての推進につきましては、この推進本部にはかって、推進本部においてきめていくということに相なろうかと思います。
  16. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 各省庁連絡調整に当たってこれが推進に当たるということが推進本部長の使命であるということですが、いよいよ実施段階に至る場合にも、なおかっこの推進本部本部長責任を持ってやるわけですか。
  17. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 事業執行につきましては、それぞれの所管においてやっていただいております。たとえば用地取得造成につきましては、閣議了解によりまして住宅公団がこれに当たる、したがいまして、住宅公団監督官庁である建設省監督を受けながらやる。あるいは公共事業につきましては、それぞれの公共事業主管省がございます、その監督のもとにあるいは県が、あるいは町村事業執行していくということに相なろうと思います。それからなお、それぞれの研究機関現地での建設につきましては、現段階ではそれぞれの省庁において予算を計上して執行していくという形に相なっておるわけでございます。
  18. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 その連絡調整に当たるというその趣旨については、私どもによくわかるわけでございますが、そこに問題があるわけです。連絡調整という機構、各省庁において、事業実施段階においては、事業を各省庁がこれをやるのだということは具体的にわかります。わかるが、そこに問題がある。たとえば学園都市なら学園都市ということで用地買収するというのには、これは成田でも同じ、各地でも公共事業をやる場合には同じでありますが、国の仕事だからあなた土地はぜひ譲ってくださいよと言う、協力を求めるわけです。したがって、それに協力して土地を渡すわけです。農業をやっている人は農業のぜひ代替地をほしいのだ、代替地をまたこういうふうにしてやっていきたいのだと、もろもろ土地を放すには要請があるはずであります。その要請をできるだけいままで政府は満たすことに苦心してきたけれども現実には農地対策とか、土地改良対策とか、代替地対策という場合において、農林省に行きました場合には、これは建設省仕事だ、住宅公団仕事だから私ども仕事ではないと言う。住宅公団では——これを農林省に持っていっても所管が違うと言う。ここに政府の最初の用地買収に対する約束とは、受け取る農民方では違ってきているわけです。なおかつ、事業予算要求等の場合におきましても、三十六の省庁が思い思いのままでやることを連絡調整するわけでございますけれども、しかし実施段階においては、少なくともそれらの問題が具体的に円満に、そして早期に実現するためには、統合参謀本部的な実施事業主体というものがなければ、この事業は進まないということは、もう局長も十分、首都圏局長としてあるいは建設省官房長としてやっておったのですから、わかるはずですが、その点どうですか。
  19. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 推進本部といたしましては、用地買収に伴いまして、先ほどお話しのありましたような、現地の人々の生活再建対策推進が必要であろうということを考えまして、昭和四十一年の六月に、筑波学園都市建設につきましての基本方針決定いたしております。内容は、建設省及び農林省にかかることでございまして、この線に沿って建設省あるいは農林省におきまして善処していただくようにお願いしておるわけであります。  なお、事業執行について、どこにいま統合参謀本部といいますか、というものが置かれておるかということでございますが、そのような役割りを果たすために推進本部が置かれておりまして、ここにおきまして基本的な事項は決定していく。個々の事業執行につきましては、それぞれの省庁でやるにいたしましても、基本的なことについては、推進本部できめて推進をはかりたいというふうに考えておるわけであります。
  20. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 局長の言わんとすることはわかりますが、しかし現実には、いまの推進体制のままでは進まないわけです。したがって、この前の大臣西村建設大臣も、実施段階に入った今日においては、総合的な建設主体というものが、だれが責任を持つのかというはっきりしたものがなければ、この事業は進めていけないということを、大臣は私の質問の中で答弁しているわけです。今後、この事業を進めていくための事業主体をはっきりときめていく必要があると思うわけですが、局長、もう一回ひとつ。
  21. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 事業執行につきましては、現在、先ほども申し上げましたように、執行主体が複数でたくさんあるわけであります。しかし、この事業を進めていきますためには、たとえば研究機関現地に進出するにいたしましても、道路の問題、住宅の問題、そういうものと総合的な調整の上に進めていかなければならぬ仕事でございまして、そういう点を考えますと、事業執行体制につきまして、なお幾多の検討、改善を要する点はあろうと存じます。昨年度の予算編成期までに、そういう事業執行のしかたにつきまして、関係各省いろいろ協議いたしたのでございますけれども、結局結論が出なかったわけでございます。しかしながら、今年度はまたその点を十分検討いたしまして、予算編成期までに間に合うように結論を得たいと思って鋭意検討中でございます。
  22. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いまの事業推進のための実施母体というか、建設主体と申しますか、そういうことについては、局長さんにだけお尋ねしても確実な答弁を得られませんから、後刻、官房長官のほうから1総務長官のほうからお答えをいただくことにしまして、私は、なぜこの問題を先ほどから申しておりますかというと、具体的に地元仕事を進めていく上に、地元了解を得ていく上に問題点が各方面に伏在しているがゆえに尋ねているわけです。たとえば、いまいろいろ営農対策や、その他の問題について対策を立てているのだ。茨城県知事首都圏整備委員長推進本部本部長県知事との間に覚え書き等も何回か取りかわされているのです。取りかわされておるにかかわらず、現実には事業がスムーズにいかないのはどこに原因があるか、こういうことなんです。このことは後刻触れたいと思います。  そこで、林住宅公団総裁にお尋ねしたいわけですけれども推進本部筑波にきまって、その用地買収の主たる責任住宅公団にあるということで、まず、用地買収主体がきまったわけですが、用地買収概況について、私、大体七〇%と申し上げました、大体その程度かと思うわけでございますが、この問題は、昨年の十二月末までに一〇〇%を済ますわけであったけれども現実にはもろもろ事情があってできなかったと、三月まで延ばした。そして七〇%だと、あとの三〇%の問題をどう解決していくかということもありますものですから、概況について簡単に御報告いただきたいと思うのです。
  23. 林敬三

    参考人林敬三君) 御承知のように、研究学園都市につきましては、住宅公団土地買収責任をいただいております。それで、いまおっしゃいましたように、四十二年度の末までに、合計坪で申しますと四百一万坪、ヘクタールで申しまして千三百ヘクタールというのをようやく買収いたしましたので、全体の取得予定面積のこれが六九%とほんの少し、コンマ幾つかでございます。おおむね七割買収終了したというところでございますが、あとの三割につきましては、実に困難な問題がたくさんございまして、率直に申しますと、いま壁にぶつかっておるという状態でございます。
  24. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 四十一年の十二月から大体始まって四十二年の末までは一気かせいに六六%までいったけれども、三月になって、いまのように六九%だと、あとの問題については壁にぶつかったと、壁にぶつかったけれども、この用地買収はどうしてもこれは解決していかなければならないわけです。一番問題点になっているのは、たとえば農林省移転しようとする移転機関等の、茎崎村等におきましては、御承知かもしれませんが、村議会では委託契約期間延長に対して、反対決議が行なわれて、十三対一でもって、延長することはもうまかりならぬ、用地買収にはこれは応じられないというような十三対一の決議がなされておる。しかも、その間において、村長は、公団あるいは県と一緒に契約したこと、また国に協力しなければならないという義務が負わせられているわけです。谷田部町等におきましても、御承知のような状況ができているわけです。なぜこういう壁にぶつかったのか、この壁を解きほぐすにはどうすればいいのか。単に土地収用というような方法で問題を解決することは私はできなかろうかと思います。今日まで七〇%の協力を得たというのは、首都圏の範囲のうちに、五十キロ・サークルの中で、反当四十万程度で四百万坪以上の土地一気かせいに買収できたということは、これは県や町村や、そして農民のきわめて強い国家事業に対する理解の度がこうさせたのだと思います。この間におきましてはたくさんの妨害もあったはずです。東京からオルグ等を入れて、絶対反対して、これを売ってはいけない、おまえたち土地を売るならば八郎潟へ連れていくというようなことまで言われて、農民を騒がせた。にもかかわらず、地元町村長や県議会の人たちが一生懸命やってここまで持っていったんです。そしてこの土地を提供することによって、この先祖伝来土地を放すことによって、おれたちの町が、おれたちの村がよくなるんだ、よくするためにはみんな出し合って協力しようじゃないか。私はまさに純粋なる協力体制だと思うんです。この協力した人たち皆さん、この六方町村にわたって一生懸命やった町村長は選挙では全部負けているんです。あるいは一生懸命農村を、地主を口説いて歩いたためにからだをこわして死んでしまった。六人ともそうです。村会の議長もそうです。そこに所属する県会議員人たちが三人とも落ちたり、やめざるを得なかった。ある村長のごときは、首都圏整備の人と一緒に行って住宅公団協力しようということで、外地にニュータウンの状況を視察に行こうとしたら、竹やりに囲まれてしまって行くことができなかった。歓送会のときにも屈まれて、とうとう行けないで済んだ。こういう事情の中で一生懸命協力して、七〇%の用地買収が可能になった。この点については、住宅公団の御苦労も私はよく知っています。私自身も、何度か竹やりとまきざっぽで囲まれて、民衆の中に入って説明をして、世界的な頭脳センターができるんだ、いつまでもこのままにしておけない、なるほど学園都市が来てよかったと、あとの世代に残していくためにやっていこうじゃないか、こういう協力体制ができた。にもかかわらず、いまのように、今日において七〇%にとどまって、あと確保することは困難だというのは、公団総裁としては、どこに原因があるかということです。これをやるためには、どこをつついていけば、この壁が解けるかということについて、お考えがあったら、お聞かせをいただきたい。
  25. 林敬三

    参考人林敬三君) 現在七〇%まで、坪で申しまして四百万坪以上のものが買えましたこと、これについては、仰せのとおり県、市町村あるいは地元の方々というものがこの事業を理解していただいた、そして協力をしていただいたところが非常に大きいということを、重々私どももそうだと思っております。ここへまいりまして、いまとんざしておるところでございますが、これをどうして打開して、もっと進めていくかということにつきましては、県とも——この買収については県にも非常に骨折ってもらいましたので、むしろ県に頼んだところがずいぶんあるのでありますけれども、県ともよく相談をいたして、何とかこれを打開して進めて、目的を完遂いたしたいと存じております。それでいま私ども考えておりますのは、もっと国全体の全体計画あるいはそれに基づくところの都市計画事業決定の手続、これを早くにきめていただくように私ども努力をいたしまして、そしてこういう具体的計画でこういうふうになるんだということがもっとはっきりいたしますと、その点ではなお協力して売ってくださる、そういうことならば売ろうという人が必ずもっと出てくるだろうと思っております。  それから、いろいろの目的があるのでございましょうが、いわゆる不在地主というものが点在してきております。もともと不在地主であった方もあるし、こういう計画があるということであそこの土地をお買いになったいわゆる不在地主的な方もあるわけでありまして、そういう方は東京をはじめ、全国に散らばっておりまして、そこに私どもが参って買収を応諾していただくのにきわめて困難ないろいろの事情があるのでありますが、そういう方々に対しても、極力さがし出しましてお願いを進めていきたいと思っております。  それから、どうでもこうでもいわゆる土地を収用するというまでは動かないというような方もいまは相当、そういうことを言われる方もあるのでありまして、極力またこの趣旨をお話しして納得をしていただく。まあお話しのように、土地収用というような手続にまで持っていきますのはよくよく最後のこと、また、これはあまり望ましくないというふうに考えながら、そちらの研究もいたしておるという段階でございます。
  26. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 公団総裁は、現実にこの用地買収の問題で非常に苦労をいたしておりますし、また、現地の出先の公団の職員の声も聞いておりますから、ある程度的を射ているかと思います。私もそういう点、一点については同感なわけでございます。それで不在地主等々の問題につきましても、これは御承知のように、坪当たり千二、三百円で一反歩四十万円、条件は成田より上であったはず、ところが、成田が百四十万、茨城の学園都市が四十万、こういう状況の上でまわりで思惑買いをしてどんどん買っていった、そのために不在地主が大阪にも神戸にもあった。これらの不在地主への話しかけで用地買収が十万坪以上進んでおる、その苦労も私たち知っております。それでもなおかつ三〇%は残る。なぜ協力得られないのか、永久に協力得られないかというと、私どもはそうは思わない。こうして用地で国に協力したけれども、あの松山を見てごらんなさい。松山にマツクイムシがついても、ほかの民有林ではマツクイムシを退治することはあっても、公団の買い取った土地は、だれも責任がないからマツクイムシ退治をやらないのだというような実例があるように——現実にいつごろにどの機関がくるのか、具体的に研究学園都市がここにできるというけれども政府がやっておることで、いまの計画ではたしてできるだろうか、できないじゃないかということが一番のこれは障害になっておる。できるという証拠物件があるならば、いつでも——きょうでも判を押します、きょうでも売り渡しますという良識的な地主がたくさんいるわけです。私は、土地収用をやらなくとも、説明のいかん、誠意のいかん、政府態度いかんによって、この問題は進むように考えられるわけでございます。いま公団総裁のお話の中に、国全体の計画を立ててほしいのだ、事業決定をして、どこにどういう機関がこういう計画で年次計画をやっていくのだという、こういう見通しがつくことが、用地買収への最大の根幹であります。これは公団の出先機関の人も一様にそう考えておると私も推察するわけでございます。  そこで私は、各省庁にお尋ねしたいわけでございますが、お急ぎの省から先にお尋ねしたいと思いますが、文部省にお尋ねしておきたい。  移転の予定機関はどことどこになっておるのか、それをまずお尋ねしたい。
  27. 村山松雄

    政府委員(村山松雄君) 文部省関係研究学園都市移転する予定機関は、国立の機関といたしまして、東京教育大学、東京医科歯科大学医学部附属病院霞ケ浦分院、図書館短期大学、この三つでございます。  それから私立学校で若干意見聴取をしておるものがございますが、これにつきましては、まだ具体的にどこが行くというところまではきまっておりません。
  28. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 そうしますと、その移転の予定機関の概略の移転年次計画はできておりますか。それから予算等はどういうふうにして今後これをはじき出す考えであるか、それをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  29. 村山松雄

    政府委員(村山松雄君) 予算につきましては、現在年次的に調査費がついておりまして、それによりまして現地調査を進めております。それから機関移転の時期でございますが、これは現地都市計画的な整備事業の進捗とも関連いたしますし、また、予算とも関連があるわけでありますが、私どもとしましては、昭和四十五年ごろから漸次やっていこう、かように考えております。具体的な年次計画まではきまっておりません。それぞれの機関においても内部で意見調整中でございます。
  30. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いまの局長の御説明のように、現地都市計画が進むに応じて現地移転したいという。現地都市計画が進むということが最大の条件のようです。これは後刻他の省庁にも関係あるかと思いますが、そこで、教育大学の移転計画については、どのようにお考えでありますか。
  31. 村山松雄

    政府委員(村山松雄君) 東京教育大学につきましては、昨年の七月に、大学側から正式に土地確保の要請がございまして、それに基づきまして準備を進めております。現在東京教育大学は、現状五学部及び附属研究所が一つという構成でございまして、このものが基礎となって移転することは最小限度のことでありますが、大学としては、単なる移転にとどまらず、移転を機会に大学としての、できれば、できるだけ理想に近い姿を検討して、理想的な形に整備しつつ移転したいというぐあいに考えて、現在内部的に検討を進めておりますし、文部省のほらでもそれに応じまして研究学園都市における理想的な大学教育機関のあり方というようなものを検討いたしております。で、両者の検討と相まって、さらにそれをまとめまして具体的な計画を立てたいというぐあいに考えております。
  32. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 三十八年に、文部省は行管その他と話し合いで、各大学等に移転希望等々を聞き合わせて、その中で教育大学が浮かび上がってきたわけです。そうして自来この問題に対して文部省はいろいろの角度から検討し、そうして四十一年、四十二年は特に、教育大学は移転するのか移転しないのか、早くその意思決定をして文部省に通達をせよ、こういうふうな話があって、ただいま申しましたように、大学評議員会では、五学部という結論を出して、正式に移転する意思ありと——条件が満たされれば移転する意思ありという表示があったわけです。その際に文学部ではまっこうから反対して、御承知のようにストライキをやった。長いことストライキをやって、私どもも大学へ調査に行ったときには、中へ入れられない、身分証明書見せろ、身分証明書見せなければ入れないぞ、大学の教授が一人一人学生に身分証明書を見せながらやっと門の中へ通されておる。ひどいストライキです。そういう中で大学の教授会の良識が結論を出して筑波移転ということを出し、そうして調査費とか、もろもろの大学−の要求も出して移転の意思が決定されたわけです。ところが、教育大学の学長はじめ各部長は、政府にも、おそらく文部省にも尋ねてきていると思います。私どものところへ尋ねてきています。はたして政府は、筑波研究学園都市に大学を移す意思があるのかどうか、予算はどういうようにしてつけてくれるんだ、新しいいままでの教育大学でなく、総合大学として理想の大学をつくるということは歴代の大臣が言っているけれども、つくるためにはどうやっていくか、そういうものについての予算措置や、あるいは具体的に何年ごろ都市計画はできて、そこで、自分の移転する学校はどういう形で移転できるのか、こういうことは尋ねてきているはずです。しかし、文部省では答えが出ない。私ども正確な答えが出せない。そこに問題がある。学長が、御承知のように、この移転問題で二、三百人の学生に道路上で囲まれちゃって、ああいう騒ぎが起きた。大学側とすれば、政府態度決定せざることによって、大学側の教授会や評議員会に対しても大きな影響があることを私は感ぜざるを得ないわけです。これは先ほどの、地元町村長がやめざるを得ない村長、議長がやめざるを得ない、これと同じ立場が生まれてくる可能性もあるわけです。こういう状況に対して、文部省としては一貫して、教育大学その他、私立大学等につきましても、文部省のほうでは問い合わせをやって、私立大学の位置づけまで、学園都市の中には場所づけができているはずです。これは首都圏整備委員会のほうで区割りしているわけです。そして、希望の学校二十何校、そのうちでA、B、Cの区分けを、希望の熱度の高いものに区分けして首都圏整備委員会のほうへ出しているわけです。そうして考えていった場合に、文部省としては、学園都市に移るにはどういう体制推進本部要請をするか、どうすれば要求の大学側に応ずることができるか、こういう問題が横たわっているはずです。こういう問題に対して、局長のひとつ見解と、今後推進本部等と折衝する所信等についてお尋ねしたい。これは大臣とも話し合ってきていると思いますから、ひとつ答えていただきたい。
  33. 村山松雄

    政府委員(村山松雄君) 現在の制度で将来の予算について具体的な見通しを申し上げることは、きわめて困難だと思います。ただ、大学の移転の問題でありますので、移転すべき大学の規模がきまれば、予算額については事実上ほほ見当がつきます。そこで、基礎的な条件としては、先ほど現在の五学部一研究所が移転する、これが最小限度の状態。それに大学としてはいろいろ御希望がある。文部省としても、その御希望はできるだけかなえたい、さように思っておるわけでありますので、それぞれ検討し、両者の意見を突き合わせて、研究学園都市の置かれる、東京教育大学を基礎とする新しい大学というものの規模が予定されれば、学部により施設設備あるいは人件費というようなものの予算は、これは従来の経験に徴してはじけるわけでありますので、ほぼ見当がついてまいります。そのようなことを必ず誠意を持って実行するということを、大学には意思表示をいたしておる次第でございます。  それから私立学校の関係といたしましては、これはたいへん率直に申し上げますと、現在東京都内等において敷地に困っておって、しかも、発展計画を持っておるというところが、大なり小なり移転の希望を持っているわけでありますが、それを具体化するかどうかは、やはり取得すべき土地の値段といいますか、それからその土地の便利さ、教育研究活動をやるのに適しておるかどうかという具体的な判断が見当がつきませんと、具体的な決意がつきかねるというのは、これは必然かと思います。私立学校につきましては、したがいまして、客観的な条件のある程度の進捗と並行いたしまして具体的な意向が固まっていくというぐあいに思っております。それからそういうことは、全く文部省以外のところでやられるのを待っておるわけじゃございませんので、たびたび希望を申し出、それから文部省関係として、敷地のワクは大体承っておるわけでありますので、その敷地のワク内における整備については、単に大学の建設に直接必要なもののみならず、必要に応じて文部省もそれを担当、実施するというようなことになろうかと思います。そういうことをにらみ合わせまして、あと二年は調査研究期間で、四十五年ぐらいから具体的な移転計画実施の緒につくのではなかろうか、さように考えておる次第でございます。
  34. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 もう一度ひとつお尋ねしたいのですが、概算にしますと、文部省関係移転機関は、大体の目安はどのくらいになりますか、予算。そういうことも概算についても、こういう規模で、こうすればこうなんだというような目算を立てておりますか。たとえば、あなた方の先ほど関係機関で素粒子研究所、これをどうするのかというような、このくらいの金は必要なんだという目安がある程度ついているはずと思いますが、それはわかりませんか。
  35. 村山松雄

    政府委員(村山松雄君) 先ほども申し上げましたような条件で、一応試算したやつは、もちろんなければ見当がつかないわけでありますが、率直に申し上げまして、まだ御説明できるほどの数字は持ち合わせてないということを御了承を願いたいと思います。  なお、素粒子研究所のお話が出ましたが、素粒子研究所は、首都圏のほうに申し入れる段階では、一応新設されればということで名前をあげてございますけれども、その新設は少なくとも昭和四十三年度の問題としては固まらないということになりましたので、先ほどは御説明申し上げなかったわけでありますが、これは関係者の間で話が固まれば、文部省としては設立を考えておるものでありますので、話がまとまればこれも移転といいますか、これは現地に新設機関ということに相なるわけでございます。
  36. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 素粒子研究所の問題は、私は特別取り上げるわけではございませんが、しかし、素粒子研究所をつくるであろう、つくりたいと、こういう文部省の諸要請等もあって、大蔵省と打ち合わせた上で、御承知の強制買収さした、ゴルフ場の建物、ハウス等を買収をして、これに充てる考え方でやっておったと思うわけでありますが、まだ固まらないとすれば、けっこうでございます。  なお私は、研究学園都市のその名前が示すように、学園の都市である、頭脳センターの場所である、こういう観点からすると、移転機関はかりにわずかであっても、文部省としては、各省に先がけて熱意を示して推進体制の中でひとつくさびを打ち込んで引っぱっていくくらいの考え方がなければ、熱度の高いものになっていかないのではなかろうか。教育大学をあすこに移そうという趣旨も、全寮制度にしてしっかりした教育者を養成していきたいのだ、あるいは教育のほんとうの体制というものをあすこでつくり出したいのだ、こういう趣旨が歴代の大臣から表明されておるわけです。私は、移される趣旨も、おそらく教授会等々で決定したのは、東京のような便利なところからわざわざ不便なところへ行って、環境のいいところへ行くというのは、新しい教育の立て直しの意欲があればこそ生まれてきたのではないかと思うわけです。そういう趣旨からすると、研究学園都市の名にふさわしく、私は、文部省は、もう少し積極的な態度であるべきことを要請いたしたいのでございます。これに対しては特別お答えがなくてもけっこうです。大臣にひとつよくお伝えいただきまして御検討いただきたいと思うのです。  亀岡副長官がお忙しいようで長いこと引っぱっちゃ申しわけございませんから、亀岡副長官総理府の八木副長官にお尋ねいたしておきますけれども、まず、亀岡副長官のほうにお尋ねするわけでございますが、先ほどから両副長官お聞きのように、用地買収が現に進められておると、地元協力体制の意欲は十分あるが、しかし、障害になるものが政府態度だと、その政府態度のよって立つ根拠というものは、私は単に財政だけでない、予算だけではないと、十四省庁にまたがる移転機関が積極的に移転するための根締め、元締めがなければ、統括的な体制が立たなければ、だれかが出るのだろう、どっかが行くだろう、そのあと様子を見るということになるのではなかろうか。ことし科学技術庁のほうが無機材質研究所、防災センターが初めて具体的に予算がついて建物建設へ入った。科学技術研究所としても冒険ですよ。土地だけあって道路も不完全なところ、水道も何にもないところ、何の文化も施設もないところに科学技術研究所が出るということは非常に冒険なんです。冒険でもなおかつ科学技術庁が思い切ってその措置をとったというこの勇断は、さすがに私は科学技術庁らしいと思うのでございますが、あとに続く体制が生まれてない。  そこで、用地面積でも五百八十万坪、私は外国のパリー郊外、ロンドン郊外あるいはストックホルム郊外等々のニュータウン、学園都市各地を見てまいりましたけれども、こんなすばらしい広い土地で新しい構想というのはありません。世界的な構想です。五心八十万坪。そしてその都市計画の区域は、おそらく千二、三百万坪になるであろうと想像されます。政府機関がいま決定しておるものでも、三十六出ると、その予算はどう見たって四千億以上になるでしょう。四千億以上になるはずです。これは後刻、建設大臣が来たらばその数字等についてもお伺いしたいと思うのですけれども、東京からこの学園都市センターを結ぶ高速道路等を入れずに約四千億かかるのではなかろうかと想像できるわけです。四千億の金、五百八十万坪の用地買収をする。先祖の土地をいわば反当四十万程度で買い上げることによって協力が得られると思いますか。そうした中で、国家的な大事業に対しまして、はっきりと政府の姿勢を出すための建設主体というものを決定しておかなければできないということ、そこで、その決定の一つとして、成田空港の公団と同じように、学園都市建設のための事業団というものは不可欠の要件ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、各省庁一局削減等々の問題とも関連して、むずかしいことは想像できるわけです。だからこそ、私は、官房副長官を通して官房長官の意向も十分お聞きしてもらいたい、佐藤総理の意向もお聞きしてもらいたいということを要請したわけです。私は、十二月の決算委員会でも、佐藤総理にこのことを要請した。佐藤総理も、善処しますということを、ものの考え方を、推進体制をやっていくということを言っておるわけです。そうしてまた、西村建設大臣も十一月の決算委員会では、すみやかに推進体制を整えなくちゃこの事業はできないのだ、私も閣議にはかってそういうことを申し上げたいということを熱意を持って示しておるわけです。巨額の金を投じて世界の頭脳センターをつくる場所、私は、成田空港以上にもっとその事業の規模からいって、将来の日本を考える上からいって、大事業ではなかろうかと、こういう点からひとつ建設するための事業団設置等についての政府考え方をお尋ねしたいと思います。これは、同じような質問を亀岡先生とそれから八木先生、両方からお答えいただきたい。
  37. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 中村委員の御心情、よく理解できるわけでありますけれども政府といたしましては、今日まで各関係省庁、閣議決定の線に基づきまして、それぞれの責任立場において強力に推進をするという立場をとってきておる次第でございます。しかも、推進本部を設置いたしまして、首都圏整備委員長をその本部長といたしまして、各関係省庁の関係者を部員とする推進本部を設置いたしまして、研究学園都市建設について、鋭意まあ努力をしておることは、中村委員もよく御承知のとおりでございます。しかも、国が直接に、各省庁があらゆる英知を結集してこの閣議決定の線を実行してまいるという立場をとっております反面、公団事業団等の新設は認めないという政府の方針等もございまするので、政府といたしましては、今後の事業推進事情等もよく考慮いたしまして、事業団の建設については慎重に検討しておるというのが、現在の段階であるわけでございます。いまここで事業団を創設をすると申し上げる段階にはありませんことを申し上げざるを得ない状態であるわけでございます。
  38. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 政府の苦しい立場はよくわかるわけですが、それでは、しかし問題解決できないのです。そうして、四十年の九月にも閣議において、推進体制を強化しよう、現地からの、そうして私ども要請にこたえて、新たに建設大臣推進本部長という形にして、さらにこれらの体制を強化するための新体制を整えるということを閣議でお話が出ているはずでございますが、副長官、御存じですか、九月の了解事項、私のところにもございます。
  39. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 一応承知をいたしております。
  40. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 これ以上与党の立場であまり追及することもできないわけですが、しかしそれでは、現実にはいまの推進本部の姿のままだけでは、この問題は解決できないのです。したがって、私は、副長官からあらためてひとつ官房長官にもお話しいただきまして、これらの新体制を整えるためにはどうすればということを、もう一度ひとつ御協議をいただきたいと思います。そうして、後日、またあらためて政府立場をお尋ねしたいと思うのですが、八木副長官、いかがでしょうか。
  41. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 中村先生御承知のように、推進本部は、いわゆるその調整機能というものを果たすということに重点がある。そういう意味でいよいよ実施計画を確立できた場合に、それをひとつ推進していくために事業団を設けたらいかがなものであろうかと、こういうお話だろうと思うのでありますが、現状につきましては、いま亀岡副長官から申し上げたとおりでありまして、現在の状況の中で直ちに事業団をつくるというその具体的構想がないことは先生も御存じのとおりでございますが、しかし、土地問題が七〇%解決して、いよいよ土地問題は最後の段階に来た。その土地問題を解決するためにも、実施計画というものは並行して進まなければその機能も発揮しないんではないかという御意見は当然だと思います。  で、そういう意味合で、土地問題が来るところまで来たという現実を踏まえて、これ以上推進していくためには、政府側が、内閣側がどういう態度をもって進めるべきかということにつきましては、いま亀岡副長官が言いましたように、この現状のままでどうにもなりませんということで済まされないことでございますから、至急に、それに対する対策、具体的対策というものを立てるようにし向けていかなければならぬと思います。  ただ、まあ成田空港の場合と違いまして、入ってくると予想されるものが三十六機関もあるという、しかも、それが各省にまたがっておるという、そういうことでございますから、計画調整だけでもなかなか手間がかかっておりますので、その成田のように、単刀直入にすぐに問題点が解決できるという形になっていないので、あれと比べて、どうも速度がおそいではないかというような御批判は当然あろうと思いますけれども、しかし、世紀の事業である研究学園都市をつくるというためには、そのもとをなす政府側にき然たる態度、それを進めるき然たる計画、それに対する実施というものがなされなければならぬことでございますので、先生の言わんとするところは、担当大臣、総理にも申し上げまして、この世紀の事業を完成するために、いたずらにもう調整段階ではないと思いますから、強くお気持ちを伝えまして、善処してまいりたい、こう思います。
  42. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 両副長官からも、これはまさに誠意のあるお答えと思います。私どもの話がよくわかっておって、現地状況についてよく理解した上でのお答えと思いますので、私は、それでけっこうと思いますが、どうかひとつ、その地元事情と、そうして日本の将来ということを考えまして、ひとつぜひ強力にお願いしたいんです。  実は、私の手元等には、あるいは私ども地元に帰ったときには、いつでも、成田と比較した場合、いろいろの批判を受けるわけです。だましたんじゃないか、こういうようなこと、騒げばできるんじゃないかと。で、先ほど申しましたように、関係町村長が全部選挙では落とされている。地元出身の県会議員が全部やめざるを得なかったと、こういうふうな状況。しかも、どうしてもやらなきゃならないために、当時も羽田の問題、空港の問題等が、協定書をつくる際にも、寄り寄りうわさされておった。空港のいかんによってこの問題はくずれるのではなかろうか、用地買収等の協定もくずれるのではなかろうかということも懸念されていた。懸念されて、なおかつ、良識の町村長や議長や知事等は、四十一年には首都圏整備委員会と協議して覚え書きを取りかわしている。それは「住宅公団、茨城県及び六カ町村は研究・学園都市建設推進について協議した結果、外部情勢の推移にかかわらずこれを推進するための条件として、」あげて、こういうふうに協力する、外部情勢のいかなる情勢にも左右されずにやっていくのだと、非常に良心的な、まことに縛ったような協約をつくった。良心的な協力的な私は協定書と考えるわけです。こういう事情にあることをどうぞひとつ御了察いただいて、地元の人の協力を無にしないように、三〇%の用地確保のために竹やりで、むしろ旗で騒がせないように、具体的な政府の措置、体制を整えてくださるように、両副長官にお願いします。両副長官に対する私の質問はこれで終わらせていただきます。  続いて今度、建設省関係について、道路関係の方に先にお尋ねします。次官のほうへはあとでお尋ねします。  いまお聞きのように、新しいニュータウン、十六万の町、五百八十万坪の用地、千二百万坪の都市計画、そうして三十六の機関、これが陸の孤島ではこれは伸びることができないと思う。移転機関決定しても行くことを全部渋るのは無理ないと思います。交通機関の問題、五十キロのところに地域的には存在するけれども、交通は不便だ。東京——首部と学園都市センターを結ぶまず道路の網が必要と思うわけですが、これに対する対策はどんなふうになっているか、聞かしていただきたい。
  43. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま御指摘の研究学園都市と東京都心を結ぶという道路計画でございますが、これは現在一般国道の六号線が東京から土浦を通って水戸に行っております。これがいまの現時点では一番大きな幹線になっておるわけでございますが、今後の交通の事情及び研究学園都市の今後の見込みを考えますと、その国道六号線だけではとても足りないということで、現在常磐自動車道というものを考えておりまして、これは東京から土浦の付近、水戸の付近を通りまして、福島県の平に行く高速道路でございます。これにつきましては、昭和四十一年から路線の基本的な調査を始めまして、現在基本計画を策定するための必要な調査を実施中でございます。
  44. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 その道路の調査のために、今日まで調査費はどのくらいついていますか。
  45. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 四十一年度は、路線の大まかな概査ということで百五十万程度でございまして、四十二年度で千百万、これは特に東京−水戸間につきまして重点的に調査をしております。四十三年度につきましては、これは特にいまの東京−土浦、これを重点に大体千九百万ぐらいの調査費を予定しております。
  46. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 この調査が完了して現実に工事にかかる段階までにはどのくらいの日月を要しますか。
  47. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 高速道路の工事の着手には、これは御承知のように、まず基本計画をきめまして、おおよその通る路線をきめます。これによりまして、各関係の市町村からのいろいろ異議申し立て等があればそれらを受けつけるということになっております。さらに、大体これでまとまるということになりますれば、今度は整備計画を出しまして、それに基きまして、どこにインターチェンジをつくるかをきめまして、それから道路公団に施行命令を出して建設するという順序になっております。現在のところ、まだ基本計画も出ていない段階でございますので、できるだけ早くこれをことしじゅうにはぜひ基本計画を出し、さらに詳細な調査をいたしまして、整備計画、着工という段取りを考えております。
  48. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 まだ基本計画が策定されていないということですが、これは首都圏関係のこの種の事業、特に筑波移転決定した後に、総括部会と移転部会等では、陸の離れ小島にすることなく、首都と結ぶ道路については十分これを検討しなくちゃならぬということは、これは建設省から出ている。次官を中心として協議が進められて、すでに方針はずっと以前から決定されておったはずです。したがって首都圏関係からも、おそらくは住宅公団からも、茨城県の受け入れ側からも、建設省に対しては強い要請が今日まで続けられておったであろうことが想像できるわけですが、いまだに基本計画が立たずとすると、現に科学技術庁その他ではもう移転が始まり、来年は、四十二年度は各省庁の中でどれとどれが移転するかというのがある程度決定づけられている。にもかかわらず、道路がないということが、動脈がないということが、移転機関の決意をにぶらせる最大の原因になっているはずです。西村建設大臣も、昨年も二回にわたって、この問題については至急具体的に研究して、これを実を結ばせるようにして着手したいということを御答弁なさっているわけでございますが、局長さん、どうですか。これ、今後どういうふうに持っていきますか。
  49. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま御指摘のように、この線の基本計画はいまだに出ておらない状況で、これはわれわれとしてもできるだけ早く基本計画をきめたいということを考えております。なぜ基本計画がおくれておるかということの問題でございますが、いろいろ利根川の渡河地点やどの辺にするか、現在の学園都市とのいろいろ計画があります。学園都市の付近で北を回る線と南を回る線とで、いろいろ比較調査をしております関係がございまして非常におくれておったんでございますが、先ほど申しましたように、できるだけ早く、ことしじゅうには必らずこれを、基本計画はきめていきたいというふうに考えております。
  50. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 高速道路や大きな道路決定することについて、むずかしいことは私どもよくわかっております。とこだけでなく全国至るところに重要な路線があるわけですが、しかし、四千億の投下資本と、先ほどのような国家的な事業を生かすも殺すも、この一本の自動車道路にある程度かかってるということは、これは私が申し上げるまでもなかろうと思います。そこで、いまのように基本計画が進められて、具体的に、ひとつ至急これが具体化できるように、こういう方法でやっていくんだ、地元協力を求めるためにも、至急この問題については検討を具体的にしていただくことを強く要請するわけでございます。なお、学園都市内を通過するであろうもろもろ道路の網の計画については、現在進められておるわけですか。
  51. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 学園都市の中に入ります道路につきましても、やはり主として土浦方面の道路及びこの幹線自動車道が、常磐高速自動車道がどこを通るか、これに対して、やはりその周辺の網については再検討を加えていかなければならないというふうに考えておりますので、実はこの幹線自動車道の網と、同時に、周辺の道路の網も一緒計画を立てていきたいというふうに考えております。
  52. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 道路関係ではそれで終わりたいと思いますが、最後に、道路局長さんにお尋ねしたいと思うのですが、いまの基本計画決定するのは、私があなた方のほうに問い合わせたときの返答では、不明であるということですが、今年中に基本計画を策定できるというふうなお答えがございましたが、そう理解してよろしゅうございますね。道路局長さんは以上で質問を終わらしていただきます。  建設省関係都市計画の具体的な設定はいつごろまでにできる予定ですか。
  53. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) いろいろと都市計画決定につきましては、内容といたしましては、現在きまっております用途地域、それから主要な都市計画街路でございますが、今後さらに具体的に内容がきまりますと、さらに、先ほど道路局長さんも申しましたような、ネットになりますところの都市計画街路、それから公園、それから各種団地の官公庁施設、それから新住宅市街地開発事業、それから区画整理事業を施行すべき区域の決定、こういうものを都市計画として今後決定していくわけでございますが、いまのところ、用地買収と、それから中の施設がはっきり固まっていないということで、寄り寄り協議中でございますが、なるべく早く都市計画決定をいたしていきたいというふうに考えております。
  54. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 用地の確保がまだ確定的でないのでということの理由があげられておりますが、まさにそうであろうかとも想像できるわけでございますが、逆に道路の網や、都市計画の具体性がないために、用地買収を困難にしているという面も各所にこれは出ておるわけでございます。そこで、私は地域的には、先ほど公団総裁のお話の中に、南部地帯の農林省の出る機関や、その他の民間機関等の地域以外には、一〇〇%、九〇%という態勢もできておる場所もあるはずでございます。これらのことと都市計画道路の網の計画ができますれば、用地買収は逆に町能であるということ、協力体制ができるということ、こういうことから見ますと、大体の地元、県等が要請する都市計画のアウトラインを示せる時期はいつごろになるか、それをお尋ねしておきたい。
  55. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) ただいまのお話でございますが、現在も首都圏並びに茨城県とも協議中でございますので、一応のアウトラインといたしましては、大体来月中にはできるだろうというふうに考えております。
  56. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 そのアウトラインというのは、地元関係六カ町村や県議会等がかねてから要請しておった問題に沿うようなアウトラインと理解して、その程度になりますか、どうでしょうか。
  57. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 地元の御要望のことにつきましては、これは県と現在協議中でございますので、県がその地元の御要望を入れたような図面でもって、現在もやはり協議中でございます。
  58. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 都市計画関係については以上でよろしゅうございます。  今度は、次官にひとつお尋ねしたいと思いますが、前々からお聞きのような状況推進体制が不十分であるという、建設的な具体的な計画が進められていないところに原因があるということ、そうして、その推進の本部の責任者建設大臣であるということ、こういう点からいたしまして、この学園都市推進体制を整えていくためには、今後次官としては、いまお聞きの線から出発しまして、責任主体である建設省として、推進体制を強化していくための考え方をお聞かせいただければ幸いでございます。
  59. 仮谷忠男

    政府委員(仮谷忠男君) 先ほどからいろいろ御答弁を申し上げておりますが、連絡調政推進本部というものが一体どの程度仕事ができておるのか、私はその機構の問題についてもあるいは運用の問題についてももう少し再検討をして、事業団そのものはできなくても、少なくともそれに近いだけの機能を十分に発揮できる体制を整えなければならぬのじゃないかという感じを持ちます。しろうとながらそういう考え方をいたしておるものですから、そういう面においては今後この事業推進できるような体制を、もう一度よく検討しなければならないと思っております。ことに都市計画等にいたしましても、あるいは用地買収等にいたしましても、やはり全体的な具体的なアウトラインが示されて、初めて用地買収等も進むという現地事情等も承知いたしておるものでございますから、そういう面においては、もう少し積極的なこちらの体制を整えて臨まなければならないのじゃないかという考え方を持っておるのであります。そういった点については十分に大臣にも申し上げまして、御期待に沿えるように進んでまいりたい、かように存じております。
  60. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 政務次官は非常に仕事に熱のある人だものですから、私は非常によくその性格を知っていますから、ひとつ期待しますからぜひお願いしますよ。  そこでお尋ねしたいのですけれども、膨大な仕事、膨大な予算、しかも移転機関がなかなか具体的になることも困難なるいまの時点において、しかも逆に具体的な目標がなければ移転機関も具体的二ならないと、こういうイタチごっこの形になっておるわけでございますから、これらの移転関係をより具体的にしていくために、そして現実都市計画道路の網等の計画が進められていくために、この建設事業は十二、三年ということを目途としておるけれども、その十年の長期計画はたとえできなくても、ここ三年なり五年ぐらいのいわば長期計画を、建設省としては首都圏あるいは公団各省等を動かして推進体制をより具体的にする必要があろうかと思いますが、次官いかがでございましょうか。
  61. 仮谷忠男

    政府委員(仮谷忠男君) これは建設省というよりも、むしろ推進本部長である建設大臣本部長として考えなければならない問題だと思うのです。予算要求をして進めていくにいたしましても、計画が立たない限り予算要求もできないはずでありまして、そういった面はやはり各省が非常に多岐にわたっておりますから、その連絡を十分にとりながら、調整をしながら一日も早く計画を整えて、そして一つ一つ具体的に進めていくという、そういう出発をしなければならないのじゃないか、かように私は思っておるわけでありまして、御質疑に沿って今後努力を進めてまいりたいと存じます。
  62. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ありがとうございました。では政務次官へのお尋ねは以上で終わりますが、後刻また大臣が来たときにお尋ねすることがございますものですから、もし時間が差しつかえなかったら、ひとりお聞き取りを願いたいと思います。  自治省関係で私が一点だけお尋ねしたいのですが、これは一点ではありますけれども、非常に幅が広い問題でございますので、お尋ねをして御回答をいただきたいのです。  この点は、先ほど大臣のほうにこれに対してどういう考え方を持っているかをお聞きしていただくように前もってお願いしておいたはずでございますが、この研究学園都市建設のために国の投下資本というのはばく大であるけれども、同時に公共事業、公益的な事業のために投下しなくちゃならない、地元が負担しなくちゃならない金額というものは、これまたばく大なものがあるはずでございます。道路、下水道、その他小学校、中学校等でも、おそらく新たに進出する機関の人口だけに比しましても、小学校が十校や十二、三校、中学校が五、六校、高等学校も建てなくちゃならない、道路もつくらなくちゃならない。六カ町村で、総額今日の時点で八億か九億の全部の町村での予算の規模からして、とても膨大な地元負担等には耐えることができないわけでございますが、こういうことに対する地元の財政負担を軽くするためには、建設省、自治省、首都圏整備委員会等で十分連絡協議をするということが、閣議を受けて、総括、移転部会の一員である自治省、建設省等において協議されて研究されておるわけですが、将来にわたってのそういう問題、こうすべきであるという結論、たとえば現在の法律だけでは、忠実に解釈すると地元負担を軽減する措置はなかろうと思うのですが、特別立法措置等も当然必要になってくるが、特別立法するだけの用意等もあるかどうか、あわせてお尋ねしたいわけです。
  63. 近藤隆之

    説明員近藤隆之君) ただいま先生からお話ございましたように、この学園都市ができるということになりますと、相当膨大な公共投資が行なわれまして、地方団体の負担、特に市町村の負担は、財政規模から申しまして相当のものになろうと思います。ただ現在の段階、御承知のように全体の投資規模等がはっきりいたしておりませんので、具体的な地方公共団体の負担額がどの程度になるかということが不明でございます。それぞれ県から要望しておられます額、あるいは首都圏のほうで試算されておられますような額があるわけでございますが、まだ煮詰まっておりません。その額のいかんによりましては、現在の制度のもとでは消化できないという場合も起きかねないと思います。そうした場合には、まあ当然特別立法によりますところの財政援助措置、というようなものも考えなければいけないのじゃないかと思っております。
  64. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いまの答えでけっこうだと思います。これはかねて地元からだけの要請でなく、四十一年の八月には閣議了解を得て、そのあと首都圏整備委員会建設省、自治省の間では十分な協議が続けられて、具体的に研究が続けられていることは、先ほど申し上げたような状況でございます。おそらく地元が負担するだろう地元負担というのは、百億を突破するはずでございます。これらのものができないことは、明々白々たる事実でございますから、これらについての特別措置というものを十分ひとつお考えをいただきたいと思うのでございます。以上で自治省はけっこうでございます。  大蔵省にお尋ねいたします。大体、この事業推進するためには総額で三千億といわれ、四千億といわれ、一面、自動車道路まで入れていった場合にはもっと、四千五百億、五千億というようなことが推定されつつあるわけでございますが、しかし、いまの日本の財政というよりは、いまの政府予算状況から見ますと、昭和四十年以来十年間で学園都市を仕上げるという政府の決意表明以来、今日まで支出された予算というのはりょうりょうたるものでございます。今後四千億と仮定しましても、十カ年というと一年間に四百億以上の財政支出が行なわれなければ、この事業推進できないわけですが、こういう財政支出の方法というか、裏づけというか、これをやっていくためには、大蔵省としてはいままで主計、理財等で学園都市関係についても話し合いを進められたと思いますが、どういうように処置しようとしておるわけですか。一面においてはあと対策、たとえば教育大学やあるいは科学技術研究所、その他工学院等々がいった場合には、そのあと地を売ってこれを特別会計としてやるというようなことも、一時は新聞に報道されましたが、将来にわたる予算措置についてはどういうふうにお考えになっていますか、ちょっとお尋ねしたいんです。
  65. 井上幸夫

    説明員(井上幸夫君) ただいま御質問のございました四千億、三千億というような数字につきましては、先ほども文部省からでしたか、御答弁ございましたように、まだ確定的に金額はいかほどでございます、と申し上げる段階にはございません。ただし、相当大きなお金になることは事実でありまして、将来これをいかなる形で措置するかということにつきましては、まあかなり問題がございます。前向きで検討しなければならないと思います。  それから、あと地処分の問題につきましては、国有財産局が参っておりますから、そちらのほうで御答弁申し上げたらと思います。
  66. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 私もばくたる質問だから、あなたのいまのお答えでそれ以上追及することは非常にしにくいわけなんですが、文部省でも、科学技術庁でも、建設省でもその他の省でも移転機関に対しては強い熱意を持っておって、これを事業計画しようとしても大蔵省の壁に当たってしまって、これはできないことが現実になってきているんです。私どもが昨年大蔵省に参りまして、主計局でもあるいは理財局でも、そんな問題われわれはいまのところ考えられませんよと、まさにけんもほろろのあいさつなんです。これをどうこう言うわけでは——元締めだからそう言うのは無理ないかもしれないけれども、ただし、私はそのときに主計局の人、理財局の人の考え方というものは、研究学園都市に対する国家的要請というこの観点が、頭の中に全然理解されてないということ、スタンドポイントが違っているから、ものの見方、考え的にこれに対する態勢というものが、歯車が回らないことは事実なんです。そういったってこれはもうここで論争しても切りがないわけですが、これは先ほどのような国家的な事業であるから、将来にわたる、しかもおそらく最低で三千億を突破するであろう、十カ年程度、十二、三カ年程度は出さなくちゃならない、いまの予算系列から見れば。十分ひとつこれらの財投の問題、一般の問題、地元負担の問題、あと地問題ひっくるめてひとつここらあたりでどう処置するか、という考えをまとめていただかなければならないと思うわけです。この点は強くそういう点の抽象的な点で要請をいたしておきます。大蔵省けっこうです。  なお通産、農林等があるわけでございますが、時間が詰まってしまったので、これ以上他に迷惑をかけることも何かと思いますから、すでに農林省、通産省、厚生省、それから科学技術庁等の各移転機関の年次計画具体的計画予算等について、こういう点について質問するからひとつ御検討いただきたいということを要請しておきましたから、後刻これは私の手元のほうにお答えの資料をいただきますれば、それでけっこうと思います。  時間がきておりますので、なお建設大臣に対する質問等は、もし保留できますれば五、六分後刻いただくことにしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、建設政務次官、ひとつぜひいまお聞きのような状況でございまして、単に私はふるさとの地の問題を取り上げているわけではございません。いまの政治体制の問題、用地買収の問題、公共事業推進等々の問題に関連しまして、政府がやることに対する各地元民の反発や、政府がやることでほんとうにやれるんだろうかという、こういう政治不信を十分ひとつお考えいただきまして、この学園都市の問題が具体的に前進できますよう、特段のお骨折りをお願いいたします。  以上で、私の質問は終わっておきます。
  67. 大森創造

    ○大森創造君 住宅公団の問題について、相当長期間いろんな角度から御質問いたしてまいりましたけれども、きょうは大局的な原則的な問題をお伺いをして、それから具体的な問題は最後にお伺いしたいと思います。  この点は林総裁にもお伺いすると同時に大臣にもお伺いしたいと思いますけれども住宅公団はいまから十三年前に発足をして四十万戸の住宅建設したということでございますが、いままでに建設された住宅のうちで三%と四%の間くらいだろうと思うんです。その労は多としますよ。それだけの住宅を供給したということについてに、非常に私は多といたしますけれども、まだ主だ足りないんではないかと思います。そこで最近三万円のマンションができたということでございますが、三万円のマンションができたということにたると、月収の基準は十二万円の月収がないというと、三万円のマンションには入れないということになるでしょう。で、まずお伺いしますが、三万円のマンション住宅というのは、どの程度の戸数があるんですか。それからこれは私の理解しておるところでは、月の所得が十二万円ないというと入居資格がないということに相なりますが。
  68. 稗田治

    参考人(稗田治君) いまのは家賃が三万円近いということであろうと思いますが、二万九千六百円という家賃のものが北千住の日の出町でつくりました市街地の面開発の中に十二戸ございます。ただ、これはスーパーマーケットの上に七階建てで建てておりますので、両側六戸ずつ、廊下の分も——両端でございますから、むだな廊下は部屋に取り込もうということで面積が少し大きくなっているものでございますが、下のスーパーマーケットの利用者のための点もございますので、一般に募集いたしましたのは、そのうち十戸でございます。大体日の出町の市街地住宅は全体の戸数は七百戸ぐらいでございます。そのうちの十戸が二万九千六百円というのが建ったわけでございます。それからなお、全体のその他の住宅につきましては二万円前後でございます。
  69. 大森創造

    ○大森創造君 その三万円のマンションは、その程度の戸数でございますが、住宅公団の取り扱っている公団住宅を平均しますというと、家賃はどのくらいになるんですか。二万円ぐらいですか。大ざっぱでけっこうです。
  70. 林敬三

    参考人林敬三君) 大体一万三千円くらいでございます。
  71. 大森創造

    ○大森創造君 そこで一万三千円ぐらいが平均だと。一万三千円から一万四千円ぐらいが。まあ、三万円はこれはもう飛び抜けていいものですね。、平均してそこらだということですが、私の言わんとしているのは一つ、この一万三千円の家賃ということは約六万円の所得がないというと入居資格がないわけでしょう、四倍して。
  72. 林敬三

    参考人林敬三君) 先ほど申し上げましたが、少し足りませんでしたので申し上げますと、一万三千円ぐらいと言ったのは、四十二年度につくった公団住宅の分でございます。十三年前からの累積を平均いたしますと、たしか八千円前後だったと存じますが、これは一番初めは四千五百円ぐらいからありますものですから、それでそれは家賃を据え置いておりますから、平均いたしますと八千円前後だったと存じます。四十二年につくりました分の平均が一万三千円幾らだったというふうに記憶いたしております。それからそれでいま入る多数の人というのは平均一万三千円のそれの四倍の収入がなければ入る資格がないかという点でございます。それはおっしゃるとおりでございます。ただし、これは月給六万円ということではなくて、ボーナスから何から、奥さんの内職から全部足しまして、その世帯の収入として計算をした場合のそれを十二で割った、こういう金額でございます。それからさっき三万円だったら十二万円だと、こう言われますが、調べますと、やはり庶民階級の方がよけいお入りになっているので、それはどうしてそういう収入があるかといいますと、やはり御主人と男のお子さんと女のお子さんとみんな働いていらっしゃるというような働き手の多いところで、しかし一軒の家に住みたいという方が多いように存ぜられます。
  73. 大森創造

    ○大森創造君 それはわかりますけれども、私はここで昭和四十二年に建設した住宅公団の家賃が一万三千円で、四十年、四十一年あたりもそういうものだろうと思うのです。そこで何とか六十倍、七十倍の応募比率がございますから、あとから入ったものが高くなって、初めから入っているものが安くなると——四千円というものもあるということですが、減価償却という考え方でこういう結果になるんだろうと思いますが、その矛盾を、くじがなかなか当たらなくて、ずっとあとになってから入ったという人は、同じような建物であっても高い家賃を払うという、その矛盾は解消できないものでしょうか。
  74. 林敬三

    参考人林敬三君) いま仰せになりましたように、確かに初めに入ってずっと引き続いて入っている人は比較的——これはまあ大ざっぱな比較の問題でありますけれども、比較いたしますと、わりに便利なところに場所も得られましたし、そして家賃も安いという点がある。それから、あとから新しくできたところに入った方は、それだけまあ公団も進歩しておりまして、便利になっておる。中もよくなって、ハイカラにもなっておりますけれども、しかし大きく比較いたしますと、やはり前から入っておる人のほうが安くて近いところにいて得だという点はございます。で、それではこれを是正するかどうかという問題になるのでございますが、家賃のきめ方は、各団地ごとに一応の収支計算をしておりまして、そして、それの全部かかりました費用が七十年で返ってくると、こういうような計算をいたしまして、家賃を逆算して団地ごとでは損益なしにという計算が出てくるように計算をして、それでこう——現実にそうかというと、そうでもありませんが、おおむねそういうことで家賃の計算をして出している仕組みで、十年以上やってまいっておるのでございます。その間の矛盾がありますけれども、かたがた入っていらっしゃる方、これはみな、いわゆる勤労庶民階級といって差しつかえないと思います。そしていわゆる大きく言いますと、やはり家を持っている人から見たら弱い立場の方であります。そこでやはり借家人保護という政策がわが国でもとられておりまして、借地借家法の精神からいきましても、また以前ありましていまも一部残っております地代家賃統制令的なそういう考え方からいたしましても、この生活の本拠である家というものの家賃というものを、こういう公共的機関がみだりに動かすということは、これは慎重でなければいけないということ、これは社会的要請から見てもうなずけるところと思うのでございます。しかし、それと、いまちょっとご質問のありました今度新しく入ったものとの間のアンバランスというものをどう是正するかということ、これはもうその借家人保護の立場を相当ぐっとあれしても、ここで是正をしなければならぬというぐらいのひどいアンバランスになりましたときは、これはやはりやるべきだ、何らかの措置を講ずべきだと思いますが、現在のところそこまでには至っていない。古いものには古いものの欠点もあれば新しいものには新しいもののよさもあるし、やはりみんなそこで一応公団とは契約をして約束して入って安定しているのでございますから、やはり日本住宅公団のような役割りをしているところは、因業家主のようなふうに強引に上げるということがいかない点もあるわけで、いまのところこれを動かすという気持ちを持っておりませんのです。ただし、あき家になります。これは十軒に一軒ぐらいは一年にあき家が出るのでございます。それであき家になって新しく入る方は、かつてから、ずっと入って安定している方とは違うわけで、新しく公団とは契約をするわけでございますから、公団は前の契約にこだわる必要はないわけでございます。そこで新しく入る方のところは、そのかわり中を新品同様ぐらいに直しまして、そうしてふろおけも全部新しいのを入れまして、そうしてそのかわりに家賃を、いまつくったならば取りべかりし家賃というものと、それからもとの家賃との間の大体の点を求めまして家賃を、新しく入ってこられる方だけはその家賃をそれだけ上げておるのでございます。まあ大きな見通しから言いますと、ずっとおられる方もおれば一年二度もかわる家もありますけれども、十分の一がそういうふうにして変わってまいりますが、五年以上経過した古いところだけでございますけれども、そうしますと十分の一で十年たつと、ほぼある程度の家賃のアンバランスの是正というものが自然のうちにできていくということをねらって、いまいたしておるわけでございまして、そうしてそのとりました家賃というものを、おおむね新しくつくる家賃であまり高くなるものを調整するというような方向にこれを用いていくという方針を立てていたしております。
  75. 大森創造

    ○大森創造君 その点はわかりましたけれども、実際問題として、昭和四十一年度そうして四十二年度に募集した住宅の大部分の家賃は一万三千円から一万四千円前後であると思うのです。そこでこの万三千円ないし一万四千円クラスの入居者というものが、住宅困窮者の中でどの辺に位置する勤労者かというと、調べてみますというと、東京都に例をとれば、東京都の住宅困窮者は全世帯の四五%、これはおわかりだと思いますが、四五%百二十万世帯に達しております。その上毎年増加する流人世帯、よそから流れてくる流入世帯、それから世帯分離の増加率一〇%でございまして、二十万世帯に及んでおります。そこで実際は月収四万円未満の六〇%と、四万円から五万円までの四七%が入居資格がないわけですよ。住宅公団住宅には入居資格がないわけです、所得の基準からいいまして。そこで一番多いのはいま申し上げました四万円未満の方、これは勤労者です。四万から五万までの四七%、いま申し上げました四万未満の方の六〇%というのが、いたしかたなく民営アパートにおるのが現状だと思います。そうすると住宅公団、何とかならないかという声があるわけです。住宅に困窮するものに住宅を供給するというたてまえで出発した住宅公団なんだから、四万から五万の層が向い六畳敷の民営アパートにひしめき合っているのですよ、東京都の現状は。これについて、あとから大臣が来られたらお伺いしようと思いますけれども総裁、何かいい建設的な御意見ございますか。実情は私調べたところではそういうことですよ。
  76. 稗田治

    参考人(稗田治君) ただいまのお尋ねでございますが、全体の勤労者の住宅供給という問題になりますと、建設省のほうからお答えするのが当然だと思いますけれども、御承知のように、公営住宅という国庫補助事業による低額所得者に対する住七供給という制度が一方にあるわけであります。で、公団は公営住宅の上の中堅階層の勤労者ということで、もともと資金構成がそういう形で出発しておるわけでございます。いま公営住宅の入居者入居資格と、公団の入居資格の間に開差があるのじゃないか、というお尋ねのように聞いておるわけでございますけれども、公営住宅のほうにおきまして、第二種公営住宅、三分の二の国庫補助によるもの、それからその上に二分の一の国庫補助による第一種公営住宅がございますけれども、それらの収入制限と申しますのは、課税をされる控除額がございますけれども、年収から勤労者の控除額がございますが、控除された金額でその上に扶養家族一人につき二千円ずつ控除すると、その金額で月収を言っておるわけでございます。したがいまして公団の現在供給しておる住宅と、東京都の供給しております公営住宅との間には、一応開差は解消しておるわけでございます。
  77. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、端的にお伺いしますというと、住宅公団は公営住宅よりは程度が上と、所得水準の上の者を入居対象にしているわけですか。
  78. 稗田治

    参考人(稗田治君) そのとおりでございます。
  79. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、東京都の公営住宅——第一種とか、第二種とかごさいましょうけれども、それといまの住宅公団、さらに自分で建てる住宅金融公庫、こういうクラスはどういうことになるのですか。一番下が公営住宅ですか、その次が住宅公団ですか、その次が住宅金融公庫というクラス分けになりますか。
  80. 稗田治

    参考人(稗田治君) 一番収入の少ない方が公営住宅ということになるわけでございます。その上に住宅公団住宅もございますし、同じような形で地方公共団体のほうで設立いたしました住宅供給公社、元住宅協会とかいろいろございましたけれども、金融公庫の融資によって賃貸住宅を供給しておる公社がございます。これは大体住宅公団と似たような家賃になっております。それから金融公庫の持ち家対策としての融資でございますけれども、これは必ずしも階層論で割り切るというわけにはいかないのではないか。たとえば農村における農業を営んでおる人の住宅の融資等もやっておりますし、また店舗つきの魚屋さんというような方の住宅の供給もやっております。したがいまして、どうしても賃貸住宅では困るという方もあるわけでございます。ですから、必ずしもこれは階層論ではいかないのではないか、かように理解しておるわけでございます。
  81. 大森創造

    ○大森創造君 政務次官ね、この住宅公団四十万戸建てたわけです、いままでに。そこで、戦後建設された住宅総数の大体三・五%ぐらいですよ。いまいろいろ御説明ございましたが、絶対的な住宅の不足というか、私どもの調査では八百万からあるというわけです。そこで先ほど私が申し上げましたことは、いろんな、クラス分けはどうかわかりませんけれども、四万から五万の所得者が圧倒的に多いんですよ、実際は、東京都でもどこでも。こういう連中が公営住宅にもはみ出す、絶対的な戸数が足りませんから。それから住宅公団のほうは入居資格がないというんです、所得資格というんですか。だんだん遠隔地に、都心部から離れたところに住宅公団土地を求めて住宅を建てます。ビルラッシュになってまいりますというと、都心部が昼間人口が多くなって、遠いところの住宅に居住するということは、時間的なロスもあるし、肉体的に非常に疲れますので、ついつい東京のそういう公営住宅だとか都営住宅だとか、住宅公団住宅などでない、家賃の高い六畳一間の民営アパートに居住するということになるわけです。公営問題、何回もこれは議論された問題でございますが、いい建設的な方法はありませんか、この解決策は。
  82. 仮谷忠男

    政府委員(仮谷忠男君) たびたびこれは大臣からも申し上げておりますように、住宅問題、絶対的な数が足りないのでありまして、これをどう対処していくかということは、大森議員の御承知のように、いわゆる第一次五カ年計画を策定をいたしまして、それはいま進行中でありますが、われわれは何といっても計画をまず着実に遂行するということに全力をあげていかなけりゃならぬじゃないか、かように考えまして、せっかく努力をいたしておるわけであります。
  83. 大森創造

    ○大森創造君 それでは次にこれをお伺いします。さっきちょっと御説明ございましたんですが、住宅公団の家賃が高いと私は思うんです。昔のやつはともかく、だんだん高くなっていくだろうと思うんです。人手不足になるし、土地の値上がりがあるし、資材が高くなるということなんで、これを御説明のように公団施行規則の第九条によって定められている云々のこういう家賃の方式でだんだん高くなっていくということでは、ほんとに住宅に困る勤労者に対する住宅供給機関ということになりませんので、これを安くする方法はあるまいか、それからこれ以上帯くしないような具体的な方法があるまいか、これは当然建設省にしても住宅公団のほうでも、いろいろお考えあろうと思うんです。私の考えはひとつ資金の構成ですね、政府出資が幾らで、それから民間の借り入れが幾らである、こういう資金構成と運用の面に再検討を加える必要がありはしまいか。  そこでお伺いしますが、昭和四十二年度の住宅公団の出資金、借り入れ金、政府出資金などの大ざっぱのところをお教えいただきたいと思うんです。この資金の運用、この点にメスを当てる必要があると思いますが、四十二年度末における政府出資金は幾らであるか、明細を示していただきたいと思います。
  84. 半田剛

    参考人(半田剛君) ただいま大森委員の御質問でありますが、問題は二つに分かれると思います。一つは四十二年度末で出資の受け入れの総額ですね、年度末で幾らかというのだと思います。それから借り入れ金、いろいろ政府資金、民間資金の総借り入れ額がどのくらいかというのが一つのグループだと思います。その次が四十二年度における借り入れ金の構成、この二つに分けまして申し上げます。  初めのほうの、四十二年度末における出資総額と申しますものは、七百七十四億七千二百万円ほどでございます。出資の受け入れ総額でございます。それの内訳は、これは政府の出資と地方公共団体の出資に分かれます。政府の出資の中でもこれが金銭の出資と現物に分かれますが、金銭の出資が六百七十二億、現物の出資が八十二億で、合わせて七百五十四億ですから、ほとんどが政府出資であります。そのほか地方公共団体の出資がございます。これが二十億ございます。これが出資のいままでの総額でございます。それから四十二年度事業年度末の借り入れ金の総額でございますが、これが全部合わせますと五千六百八億、約五千六百億ばかりあるわけでございます。それでその内訳を申しますと、政府資金、それが資金運用部と簡保の積み立て金に分かれます。これが二千百二十二億でありまして、約三八%が四十二年度末の借り入れ金総額の政府資金の占める割合でございます。それで民間資金——民間資金の中には生命保険、信託等からの借り入れと住宅債券とその二つのグループに分かれますが、前者のほうの生命保険等の借り入れにつきまして申しますと、生保関係が千八百八十一億、約三三%か四%ぐらいでございます。それから信託銀行のほうが六百十五億でございますので約一一%ぐらい。それから住宅債券のほうが九百八十七億、約一千億ばかりですから一七・六%。こういうふうになっておりまして、以上合計しますと、先ほど申しました五千六百八億、こういうのが四十二年度末の借り入れ金の総額でございます。  以上申しましたのはいままでのトータルでございますので、しからば四十二年度一年間としてはどういうふうになっておるかというと、一年だけを見ますと、これは出資金は三十九年度まではあったのですが、政府出資はございません。したがいまして、政府資金と民間資金、両方の借り入れ等によるわけでありますが、その内訳を申しますと、政府資金の資金運用部が百五億でございまして、これが全体の五・九%になります。それから簡易保険のが百億、これが五・六%であります。これは六分五厘になっております。次に民間資金でございますが、これが先ほども申しましたとおり、生命保険と信託銀行と住宅債券とに分かれるわけでございますが、生命保険につきましては二百五十六億で一四・四%でありまして、これが七分四厘になっております。ところが生保につきましては、政府保証があるものと政府保証がないものと二つありまして、政府保証のないものがそのほかに三百七十四億、二〇・九%でございます。このほうは政府保証がございませんので七分六厘と若干高くなっておるのでございます。そのほか信託銀行からの三百億、一六・八%を占めまして、これは同じく七分六厘になっております。そのほか住宅債券が六百三十八億、三六・四%でありまして、これが七分三厘。したがいまして、以上合計いたしますと、昭和四十二年度だけの借り入れ金等の総額は千七百八十三億、これで一〇〇%になるわけでございます。御参考のために申しますが、いろんな利率がございますが、平均利率を見ますと、七分三厘。要するに借り入れ金等による総平均が七分三厘、こうなっておる次第でございます。
  85. 大森創造

    ○大森創造君 そこでこの政府出資金というのは、これは無利子ですね。
  86. 半田剛

    参考人(半田剛君) さようでございます。
  87. 大森創造

    ○大森創造君 そこで政府借り入れ金のほうは年利六分五厘ですね。
  88. 半田剛

    参考人(半田剛君) さようでございます。
  89. 大森創造

    ○大森創造君 民間借り入れ金は、平均してどのくらいになりますか。
  90. 半田剛

    参考人(半田剛君) それは先ほど申し上げましたとおり、生命保険関係が七分四厘と七分五厘。信託銀行が七分六煙。それから住宅債券、これが七分三厘。この三つの種類に分かれております。先ほど平均して申しますと七分三厘と申しましたのは、借り入れ金と、政府やなんかの全体の平均、これが七分三厘、こう申したわけです。
  91. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと途中ですが、さっき半田さんからお答えになった数字ですね。これを参考に、一覧表にして皆さんに配ってください。あとでいいから。
  92. 大森創造

    ○大森創造君 そこで私は家賃をこれ以上上げないようなくふうをせなければならぬと思うのですよ。そのためにいまのような資金源を聞いたわけでございますけれども政府の方針として、政府出資金というものは、これは多ければ多いほど安くなるでしょうね。
  93. 半田剛

    参考人(半田剛君) そのとおりでございます。
  94. 大森創造

    ○大森創造君 そこで今度は、昭和三十九年度あたりから、ぐっと政府は方向転換しましたから、政府出資金を少なくして、そのかわり利子補給金を多くするという方針に変えたわけですね。どうしてこういうふうに変えたわけですか。
  95. 林敬三

    参考人林敬三君) これは政府でそういうふうにきめたわけでございます。やはり政府では全体のこの財投のやり方というものを考えておりまして、そうして初めはこちらへきておったのですが、ほかのところでもっとどうしても政府資金を使わなければならないところが出てきた。しかしワクは全体としてきまっている。そういうとき公団は民間の資金も借りれるし、政府資金も借りれるという特殊な法人でございますし、よそでは政府資金しか使えないというところもあるように聞いております。それでそちらの需要がふえますとき、やむを得ず民間のもののほうを公団についてはふやしているのだというのが、私の聞いている限りの情報でございます。それでしかし昭和四十年以前まではそういうことで、いまお尋ねのありましたように、政府資金は安いわけですね。それから民間資金は高いといいますか、それよりは高い。そこでそれと政府出資とかそういうものと平均しまして、この利率が四分一厘で賃貸住宅の利率がはじけるような計算をした。そのためにある程度政府資金というものの額を公団に割り当てる必要があったのでございますが、四十年から方針を改めまして、それで利子補給をするということにしたわけでございます。そうして四分一厘までは利子補給をするようなふうに、それだけ公団が高い民間資金を借りましても、四分一厘に下がるようにする。それから四十一年から五分五厘まで利子補給をするということになりましたわけでございます。そこで公団のふところといたしましては、政府資金が多くても、また民間資金が多くても、こちらはそれだけ利子補給は政府のほうから多くなりますけれども、それがために家賃が変わるということにはなっていないのでございます。ただもう一つ蛇足を加えますならば、気持ちとしては私やっぱり郵便貯金とか、それから簡易保険とか、ああいう性質のものというのは、われわれの住宅公団に、お金にしるしがついていないのですが、還元をしてこういうことにお使いになる、あるいは使わしていただくということが、双方非常に生きてくるゆえんだと思いますので、なるべく多くしてくれということを、絶えず資金割り当てのとき申している次第でございます。
  96. 大森創造

    ○大森創造君 政府出資金とか、それから利子補給金というようなもの、こういうようなものは多ければ多いほどコストは安くなるわけでしょう。民間からの借り入れについては、利子をまけてくれというわけにいかぬわけですから、政府出資金だとか、利子補給金というのは多ければ多いほどいいわけですね。こういう絶対的なコストダウンになりそうな要素をふやすということは、努力はしているわけですか。  それから建設大臣にお伺いしますが、住宅公団の問題で、絶対的な住宅不足ということは、保利大臣御存じのとおり。そこでだんだん家賃が値上がりしますから、これ以上上げないようなくふうがないかどうかということで、住宅公団の資本金、いわゆる資本金に相当するもの、政府の出資金、それから利子補給金、現在は昭和三十九年度、四十年度あたりから大幅に転換をして利子補給金というようなものに切りかえたようでございますが、こういう資金の構成と運用の問題について、ひとつメスを当てる必要がありませんか。これが一つと、それから住宅公団は持ち家政策というようなもの、これをどういうふうにお考えか。賃貸しの住宅公団のものがいいものかどうか、持ち家式のものを今後考えていくべきかどうか、何か住宅問題について新しい構想があったら、大臣お聞かせいただきたいと思う。
  97. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 公団住宅建設資金の原資につきましては、御提案もございまするし、いろいろこれから検討もしていかなきゃならぬと思うわけでございますけれども、問題はやはり用地の問題が中心になると思うんであります。そういうことで、まあただいま都市計画法あるいは再開発法という関連法案を御審議を願っております。  ただいまの原資につきましては、今後の検討にしばらく時間をかしていただきたいと思うんでございます。  また持ち家政策はどうかと、私の感じといたしますと、一番強い需要と申しますか、希望は、やはり所得の低い階層ほど強くなっておると、しかし、しからば住宅に対してはそういう階層別にきちんと区切られるかというと、そうでもない。相当な所得を持っておられる方々も住宅に対する需要が非常に強いわけでございますから、政策とは私は申し上げませんけれどももろもろの需要に応ずるのかまえというものは必要じゃないか。したがって、公的公営住宅等の充実は、今後さらにはかってまいらなければなりませんけれども、同時にまた、いろいろのくふう、みずからの蓄積、勤労蓄積ないしはいろいろのくふうをもって自己住宅を持ちたいという非常に強い中堅勤労層の意欲がありますから、これにこたえても、できるだけこれは、主としては住宅金融公庫に期待しなければならぬのでありますが、はかってまいりたいと思っております。  なお公団住宅が持ち家というか、分譲住宅に力を入れていくべきであるか、賃貸住宅に力を入れていくべきであるか、これはいろいろ見方があると思いますけれども、この間、私もある団地に——千四百戸ほどの団地でございましたが、それぞれやっぱり、分譲と賃貸との両方の住宅建設され、入っておられる方々等の様子等も伺ってみましたら、やっぱり、どっちも必要だなという感じを持っておるわけです。そういうところも、つかみどころを誤らないように公団総裁にもお願いをいたしておるところでございます。
  98. 大森創造

    ○大森創造君 この点はいかがなんでしょう。公団の家賃算出の方法については、公団法施行規則の第九条で、先ほど林さんですか、申されましたが、この建設に要する費用を償却期間中、耐火構造の場合は七十年で、利率は年五分以下云々ということですが、そこでこの五分以下というものが昭和三十九年度までは先ほど申し上げましたように、政府出資金が毎年あって、家賃算出の利率が四分一厘であったわけですね、この点はいかがですか。
  99. 稗田治

    参考人(稗田治君) 公団が発足しましてから四十年までは、いまの元金の償却のしかたでございますが、年利四分一厘というので、四十年まで四分一厘の計算であったわけでございまして、四十一年度から五分ということに変わったわけでございます。したがいまして、利子補給とは直接関係はないわけでございます。
  100. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、四十一年度より四分一厘から五分になったということになると、この利率の引き上げによって家賃はどのくらい上がりましたか。
  101. 稗田治

    参考人(稗田治君) いろいろ条件がありまして、正確なことを申し上げかねるのでございますが、二、三千円やっぱり、それだけの利率の引き上げによって違ってきておると思っております。それが四十一年と四十二年のところで差が出てくるわけでございます。
  102. 大森創造

    ○大森創造君 私はその問題は四分一厘を五分に上げたということで二、三千円上がるということになるというと、大きな社会問題だと思うのです。そこで私が再三申し上げるように、これ以上の家賃のつり上げをしない努力を、ひとつ政府公団ですべきであろうと思うのですが、そこで先ほど申し上げているように、いろいろな方法ございますけれども住宅金融公庫だとか公営住宅だとか、あるいは住宅公団というものがございますが、現状は民営アパートにたむろしているという所得の非常に低い層が圧倒的に多いのです。この救済策が具体的にはないということ、住宅公団が設立されるに際して、国会審議の焦点となったのがこの問題でございました。家賃が高くなるのではないか、勤労者のための住宅供給機関ではなくなるのではないか。三万円の家賃のマンションもできております。わずかでありますが、住宅公団の。そこで、これは私の提案なんですが、欧米諸国では政府住宅建設に要する費用を償却期間中利率年三分以下で毎年元利均等に償却するものとしている、こういう国が多いわけです。そうすれば現在の一万三千円から四千円という家賃もぐっと下がりはせぬか、いかがでしょう。
  103. 稗田治

    参考人(稗田治君) ちょっと先ほどの金利の問題ですが、一戸二三千円と申し上げましたのは、ちょっと間違いでございまして、大体、一分につきまして家賃で月千円くらいの差が出る。また前との違いは五、六%建設単価が上がるとか、用地費が一割くらい上がる、そういうようなことが全部複合されて先ほど二、三千円というようなことを申したわけでございます。
  104. 大森創造

    ○大森創造君 いまの私の質問に対していかがでしょう。
  105. 稗田治

    参考人(稗田治君) もちろん、七十年といったような長期で償却をするとなりますと、ほとんど最初の年の償還額に元利金等で入ってきますのは利子でございますので、利子が安いほど家賃が安くなることは間違いのないことでございます。ただ、その低利にするということになりますと、やはり国の税収による金を引き当てていただくということで、政策的に低金利の金をつくるということになるわけでございますので、これは外国の賃貸住宅がどういうような金利かということだけでは比較するのは無理ではなかろうか。むしろ一般の市中金利がどうなっておるか。それに対して政策的にどういった税収の金が投じられておるかということではなかろうかと思うわけでございます。
  106. 大森創造

    ○大森創造君 わかりますけれども、私は少し意欲的であってほしいと思うのです。保利大臣住宅問題というのは、これは実力者のあなたが建設大臣におなりになって、どうしてもあの住宅の問題は解決せにゃならぬですよ。私の感じからすると、こういう感じがするのです。住宅公団はできた。十三年間相当な実績はあげたというても、ほんとうの住宅問題の解決にはなっていないような気がするのです。圧倒的な多数の勤労者が非常に高い民営アパートのほうにすし詰めになっておるという現状を知ってても、どうにもできないという政府の施策である。同時に、住宅問題は大事だから、選挙のために大ぶろしきを広げてみせたけれども、なかなかそうはいかない。  そこでひとつ、いまの利子の問題でございますが、稗田さんおっしゃるとおりでございましょうが、利子をひとつ三分を二分というふうに低めるという努力をするなり、あるいは政府の出資金というもの、あるいは利子というものを下げる、利子補給をもう少し大まかにくれてやるという面で、意欲的な取り組みがほしいと思うのですが、いかがでしょう。
  107. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 住宅問題に対しては、私はこういうふうに思っております。多くの方々が条件の悪い民営の賃貸住宅に住まわざるを得ないこの状態を認めないわけにはまいらぬ。しからば、どうしてその改善をしていくか。公営、公団住宅に入居された方と、そういう希望が達成されずして、民営の住宅におられる人との間には非常なハンディキャップがある。そこで、そのハンディキャップをなくしていくことが大事じゃないか。なるほど公営住宅の家賃の問題、公団住宅の家賃の問題等も重要でございますけれども結論は、結局公営あるいは公団というところの公的施策住宅を拡充しまして、そしてある程度住宅難が緩和されないと、民営の住宅水準というものを改善してまいるということは不可能だ。こっちのほうがだんだんウエートが重くなっていきますというと、民営のほうは自然作用をもって改善されてくるのじゃないか。そしてどうしても公的住宅の拡充に向かっていく努力を、少なくともやっております五カ年計画は、計画年次までにはひとつ達成するように、どんなことがあってもやり遂げなければならぬ。それでどういう状態になりますか、ある程度住宅難が解消されるということになりますというと、よほどいわゆる買い手のほうが強くなってきますから、いまのところ買い手のほうがあまり弱過ぎるという状態にあることに着目して、施策を講じてまいりたい。したがって、私としては、家賃問題等きわめて重要でございますが、まずもろて、とにかく公的施策住宅を充実してまいって、自然作用として民営の住宅が改善せられていくようにということを念願いたしておるような次第でございます。
  108. 大森創造

    ○大森創造君 せっかく御努力いただきたいと思います。  その次に、具体的な問題についてお尋ねいたしますけれども、私は公団に、昭和四十年の一月から四十二年の十二月までの間の「契約時の着工可能日より二カ月以上着工日を延期した工事調書」を要求いたしました。その資料を私のほうでちょうだいいたしましたが、これについてお尋ねいたしたいことがございます。これはお持ちだろうと思いますけれども、東京支所で町田山崎団地第一期第七住宅建築工事として、この請負契約の締結年月日は昭和四十一年の十二月二十六日です。請負代金が二億一千九百十万円。そこで、着工の期日が昭和四十二年の八月三十一日ですね。そうしますというと、契約の締結年月日が四十一年の十二月二十六日ですから、実際に着工したのはそれから約八カ月あと昭和四十二年の八月三十一日です。そうして今度は前払い金支払いの年月日は四十二年の三月三十一日です。したがって、この前払い金の支払いをして、四十二年の三月三十一日から五カ月たってからやっと着工しているのです。そういうのが第八住宅建築工事、第九、第十、第十四、第十五、第十一と、こうなっているわけです。次いで、関東支所の飯島団地について申し上げますと、これは請負契約年月日は四十一年の九月三十日で、そうして着工の期日は、先ほどと同じく八カ月たってからやっと着工されておる。その着工の四カ月前に、大体工事代金の三〇%の前払い金が前払いされております。前の町田山崎団地の第一期の工事については、四〇%の金が前払いされております。それからずっと見ますというと、これは工事の締約年月日から着工期日までの間に、八カ月半もしくは八カ月という時日をおいているわけです。そうしてこの着工の五カ月前に前払い金が出ているわけです。これは明細は住宅公団のほうにお持ちだと思いますし、私も持っておりますから、おわかりだと思いますが、これが非常に多いんです。東京支所が三カ所、それから関東支所、件数数えてみますというと非常に多い。これはいかなる事情ですか。ここに書いております遅延理由というものによるわけですか、その理由は。
  109. 林敬三

    参考人林敬三君) 技術担当の島理事から。
  110. 島守一

    参考人(島守一君) いま御指摘になりました理由でございますが、それはお手元に差し上げました遅延理由に書いてあるとおりでございます。
  111. 大森創造

    ○大森創造君 これは私は、これが遅延理由ということにはならぬと思うのですよ。こういう遅延理由があるならば、この遅延理由が解消されて、宅地造成ができ上がってから建築の契約をするのが常識ではありませんか。これを麗々しく遅延理由としてあげるというのはいかがなものでしょう。
  112. 林敬三

    参考人林敬三君) その場所に家が建て得る、すなわち着工可能ということを見通しまして、そうしてそういうときに契約をするというのが、仰せのとおり、原則でございます。それで大体は、ずいぶんたくさんこの発注はあるわけでございますけれども、そこに家が建て得るという状態が確実になったときに契約をいたしておるわけでございます。しかし、非常に数が多いのでございまして、着工可能の状態が相当確実に見通し得るというものについては、確実に、それがもう最後の最後までそういう状態になったというところまで至りませんでも、ある程度の見通しを持ちまして契約をする場合があるわけでございます。ほんとうは、ほんとうに使えるということが全部クリヤーになったところでやるのがいいのでありますが、しかし、通常住宅公団の工事を発注する場合に、いろいろな準備が要るわけでございます、こちらといたしましては。それで、建築工事のこととか、基礎工事のこととか、電気の設備のこととか、衛生のこととか、付帯設備のこととか、ガスのこととか、そういうものを全部公団で一ぺんはっきり検討し、またつくり上げていかなきゃなりませんし、また、業者への指名の状態とか、現場の説明とか、いろいろなことが事務が錯綜するわけでございます。そこで、大体の見通しのつきますもの、まずまず確実というものについては、それでもずいぶん念を押しまして、計画的に年間でどういうふうに車を回して発注をしていくかということをやって、事務が集中して渋滞することがないように一それでも実は渋滞がちでございます、ある時期に集中し過ぎるのでありますけれども、そういうふうにして計画的発注をいたしております場合は、少し前であっても契約をするわけでございます。しかし、前渡金は、着工可能日の四十日前までになりませんと渡さないということにすれば弊害はないし、それからまた、先方の業者のほうも建築工事についてのいろいろな準備ができますし、ほかの仕事との労務者の配分とか、そういうこともできますわけでございますので、それで、すぐ直前というのでなく、少し前にやっているのもあるわけでございます。ところが、そのはっきり確実に押えてという、直前でない場合に、その間に、たいへんこう予想しがたいようないろいろな技術上の問題、地盤の問題でありますとか、それから水の問題であるとか、あるいは予測外の地元からのいろいろな文句とか、不良個所とか、ここへいろいろ書きましたような理由が出てくるわけでございます。それで、そういうふうな手続でずっと計画的にやっていながら、そこで車がとまってしまってそして数カ月おくれるということが出てまいるわけでございます。まことにこれはもう、決していいことではなくて、まことに遺憾千万なことでございますが、しかし、計画的に大量発注してこれをやっていきます場合に、こういうことが、まあまことに遺憾なことでございますが、起こってまいるということでございます。
  113. 大森創造

    ○大森創造君 これは時間がありませんから申し上げますが、林総裁非常に説明がおじょうずで、まことに遺憾なことであるということは、私は私見だと思うんです。これは遺憾なことですよ。例を申し上げますというと、建設大臣も、会計検査院もお聞きいただきたいと思うんですが、これは普通常識で考えられませんよ。一体、建築工事というものと宅地造成というのはさい然と分けられていいものですよ。その場合に、遅延理由としてくだくだ書かれました、それからいま林総裁お答えになりましたような事情は、私は百も承知、二百もわかっているんですよ。これは理由にならぬですよ。契約をしてから八カ月ですよ、仕事施行は。その理由はいろいろありまするけれども、それならばそのように、それに応じて契約の月日をおくらせるのが常識ですよ。建設上の私は常識だと思うんです。いまのような事情が解決されてからそして大体着工の期日というものを見通しを立てるというのが、私、常識だと思うんです。普通の場合には、前渡金だって大体仕事に取りかかる直前に金を渡すのが普通ですよ。この場合、五カ月前から渡しているんですよ、四〇%。これは親方日の丸だと私は思うのです。こういうことがまかり通っていたならば、私はたいへんだと思うのです。コストにはね返ってくるだろう。一つの例を申し上げますと、名古屋支所の場合には、池下第二公団アパート建築工事でございますけれども一、これは契約請負締結年月日は四十年三月一十八日です。そして公団の資料によりますると、着工が四十二年の九月十五日ということになっておりますから、これは何カ月ですか、六カ月ですか、私が実際当たって調べてみるというと、これは新聞社の方の御協力を得ましたけれども。実際は四十三年の二月十六日なんですよ。十一カ月たってから着工しているのが実情です。しかも、そのうちの工事代金の四〇%というものが、何カ月前ですか、だいぶ前に支払われておる、こういうことはいいんでしょうか、会計検査院の方おられますか。
  114. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) お答えいたします。  ただいま大森委員から御質問のございました点でございますが、実はわれわれといたしまして、まだそういうような点につきまして十分検査をいたしておりませんので。事実問題を十分究明した上でないと御答弁しかねると思いますけれども、契約をいたしましてから前金払いをすると、前金払いをするけれども、もちろんこれにつきましては、公団のほうは建築保証会社の保証を受けておりますけれども、その前金払いをして、なおかつ工事がなかなかはかどらないといったような場合には、先ほどお話がございましたように、いろいろな事情があるようでございますが、そういう点も十分究明いたしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  115. 大森創造

    ○大森創造君 これは時間がありませんから、建設大臣とそれから会計検査院の方、ひとつ私が一方的に申し上げて、最後に御答弁を求めますからお聞きいただきたいと思うのです。  先ほど申し上げましたが、東京支所の町田山崎団地の第七、第八、第九、第十、第十一、第十四、第十五住宅建築工事については、工事請負業者七社に対して、四十一年の十二月二十六日契約締結をして、年度末の四十二年の三月三十一日に四〇%の前渡金三億六千六百八十六万円を支払っている。請負会社がこの工事を着工したのは四十二年の八月三十一日、契約締結後八カ月ですよ。前渡金支払い後五カ月、公団は着工遅延の理由としていろいろ言われております。これに書いてございますが、いろいろ理由づけしておりますが、建設大臣、宅地の造成で工事が遅延したならば、建築の発注もこの遅延と並行して、造成工事完了時に発注すべきである、私の考えでは。私は単純に申します、着工可能日の数カ月前に発注する必要は全くないと思う。この公団式にやっていたらたいへんなロスですよ。その辺の業者に聞いてごらんなさい、みな高い利子がついておるのですから。私が先ほどお伺いしましたように、七分五厘、民間会社では絶対にこういうことはやらない、日本住宅公団でなければ。そこで着工可能日の数カ月前に発注をする必要は全くないというのが、私の考えです。建設大臣お伺いしますよ、それから会計検査院の方。まして、着工日の五カ月前に四〇%、これは大きい金額ですよ、四〇%、みんな材料は買いますからね、四〇%の金を渡したならば。四〇%の前払い金を支払うということは、全く私は不可解しごくです。金利のついている資金を、どうして不合理なむだづかいをするのかと私は思う。ここが私のきょう言わんとするところの要点です。これは林総裁はいろいろ御説明になるのですが、これがもっともだということなら私の質問は意味がないことでございますから、これは国費の非常なロスですよ。住宅建設のコストが高くなれば、家賃が高くなるばかりではない、そういう結果になるわけです。私が以前から再三指摘した用地買収における間接買収で、土地ブローカーとか、不動産業者に多額の利益を中間で抜かれたり、いろいろあると思うんですよ。こういう発注の前に前渡し金の不当支払いは東京支所ばかりではなく、全国的にあるわけです、大臣。関東支所では飯島団地で、ここにありますように、十件、左近山団地で十八件、それから飯島団地では、建築工事請負契約日、いわゆる発注日は四十一年の九月三十日に九件、十二月十日に一件、実際に工事に着工したのは四十二年の六月一日であります。しかも、三〇%の前渡し金を支払ったのは、この工事着工の四カ月前の四十二年の二月であります。公団は、工事着工遅延の理由として、いろいろ言われておりますが、これはどうしてそういう事態を解決してから建築工事の発注をしなかったのか、私はわけがわからぬ。これはいわゆる言うところの——建設省にお伺いしますが、から発注ということではないか、名目上四十一年度に着手したことにするためのから発注というものが住宅公団にこういう扱いをさせているんではないかと思うんです。左近山団地では、四十一年の十二月二十六日に建築工事を発注して契約締結をいたしましたけれども、工事着工日は、八カ月後、四十二年の八月でございます。これもまた四〇%の前渡し金を着工日の五カ月前に支払っております。関東支所では、かくして二十八件の建築工事をから発注して、十一億二千百二十三万円の前払い金を払っている。そこで、いろいろずっとこう見てみまするというと、この理由づけ——私はちょうだいしておりますが——ナンセンスだと思うんです。建築工事は造成工事が完成してから発注すべきであろう、これが常識なんです。四十年度の住宅建設計画の戸数を机の上でつじつまを合わせるためにした、から発注による前払い金の不当支払いであろうと思うんです。先ほど申し上げましたように、そのうちでも、極端なのは名古屋支所の池下第二公団のアパート建築工事でございますけれども、これは契約締結日が四十二年の三月二十八日であって、そうして公団の資料によるというと、四十二年の九月十五日に着工したことになっておりますが、これは総裁、私のほうで実地に調べたところによると、四十三年の二月十六日です。ですから、十一カ月たってから着工されているわけです。この工事費五億三千六百万円で請負契約されておる。前渡し金四〇%ですから、二億一千四百四十万円を着工する十一カ月前の四十二年の三月三十日に支払われている。そこで、どうも机の上で建設計画戸数を達成したことに見せかけるための、から発注ではないかと思う。これは建設省のほうと住宅公団のほうで話し合いをしてこうした操作をしてやっておるのかどうか。こんなことは公団職員は全部周知の事実でございます。そこで、これをいままで私の住宅公団から求めたわずかな資料でもこういう——私をして言わしむれば、不当に支払った前払い金の総額は、これだけでも二十億五千九百七十一万円という巨額なものに達するわけです。そうすると、公団の借り入れ金の金利の平均を、先ほどの問答の中で引用した、年七分として着工日の約五カ月前に前払い金を支払っているから、五カ月の金利を算出すると約六千万円になるわけです。六千万円の金利をむだづかいしているというふうに私は解釈している。これは民間の会社の場合には、こういう場合、会社に損害を与えた一この場合国に損害を与えているわけですが、これは役員賞与なり、退職金からでもこれを補う、損害を補てんするのが常識だと思うのですが、こういう問題について、どういうことなんですか、これは改めることができないものですか。
  116. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 住宅公団建設にあたって、この前払い金という手段もとられておって、契約日と工事着工日があまりこう離れ過ぎているのはおかしいじゃないか、御指摘のように、これはだれが見ましてもおかしいと思います。私は、公団のほうに今日公団住宅建設せられるにあたってやまやまの困難な事情があることを、これはひとつ御理解をいただきたい。先ほど総裁も申しておりますように、いろいろ弁明——一々について言いわけにならぬかもしれませんけれども公団側としてやはりそれぞれの言いわけの材料はあるだろうと思う。契約をして思うとおりに工事がはかどらないという場合は、これはひとり住宅問題に限らず、どこにでもあることで、そのこと自体は私はやむを得ないと思う。ただ総裁が言われるように、着工可能日の四十日前ぐらいに大体前渡金三〇%か四〇%の前払い金を払って、そうしてその建築の準備にかかってもらうということをやっている。それがいければ私はいいんじゃないか。したがって、結果として、これはなるほど五カ月だとか六カ月というものが出ている。これはちょっとふに落ちない。  もう一つ、総裁に私はお願いというか、考えていただきたいと思っております点は、この前払い金の処理は、大体その着工可能日の四十日前にお払いをする、着工できなかった場合にはどういう処理をするか、具体的に処理方針を公団において、はっきりきめてもらいたいということを強く要請して、やってもらうつもりでいるわけでございます。そうしないと、どうも契約日と工事取っかかりの日が、予定しておるより、ずれてくるのは当然だと思う、まあ今日の事情からやむを得ない。ただ前払い金は公の仕事についてやる処置でございますから、ここにいろいろな疑いを持たれるということは困るという感じでございます。
  117. 大森創造

    ○大森創造君 大臣のおっしゃるとおりだと私は思う。やればできないことはないんです。公団側の立場もわかりますけれどもね。契約月日から着工可能日というものを現実打ち合わせて設定をして、ずっとそれから十カ月もおくれるということは、直せばできるんです。決算委員会として取り上げれば、これは来年からでも心がけ次第でできるんですよ、こういう問題は。こんなものをきちんとさせないというと非常にコストアップになりますよ。  これはひとつ大臣責任において、それから林総裁責任において、次年度からないようにしてもらいたい。でないというと、おそらく次年度に繰り越しになって、だんだんしわ寄せになりますよ。悪循環になります。このことをしっかり大臣において、それから総裁においてお認めいただけるならば、私の質問の意義があったと思う。  以上で終わりです。  それから会計検査院もこんなことは指摘してください。いままで私が林総裁大臣と問答した問題をよくお聞きになって考えたならば、こんなことは捨ておけないという考えになるはずですよ。これは時間がありませんから、はしょって申し上げましたが、どうしても宅地造成というものと建築というものはさい然と分かれているものだから、その段取りはできるはずです。それだけでもコストはずいぶん下がるし、何億かの節約になりますよ、これは。
  118. 林敬三

    参考人林敬三君) いろいろ御指摘ございまして拝聴いたしました。この土地造成されて、それの完了時に契約をすれば一番よろしいわけです。やはり今後も原則としてそういうことでやろうと思っておりますが、ただ、多量のものをいたしますときに、こちらの人数もきまっておりますし、能力もきまっておりますし、そこで計画的にやっていくために、やはり相当見込みの確実なものは数カ月前に発注してこのならしをしていくということ、また区切り区切りが年度ごとにございますと、区切りのところは始末をつけておきませんとこの仕事が進みませんので、そういうときは督励をしてやる。計画、発注を円滑にするという面もまた御了承いただきたいと思うんでございます。ただし、そのときの前渡し金というものは、四十日以前のもっと少ないところでなければ渡さない、そうすればその弊害、ロスというものはないと存ずるのでございます。そこで、問題はまことに遺憾なことに、実を言うと、天災地変みたいなときもあるんですね。できなくなってしまうというときもありまして、前渡し金は払った、それからあとでできなくなるというような場合も出てくる。  それからいろいろ名古屋の御指摘ありまして、これは今後こういうことのないように厳重に戒めていかなけばいけないと思いますが、名古屋市という公共団体が、議決をして、文書でもって契約をして、必ず六月一日にはきれいな土地にしてお渡ししますと、こういう約束までしてやったのですが、その借地人にがんばられてしまって、そしてそれからもうちょっともうちょっとというので、ほんとうに御指摘のようなくい打ちをするときは、もうかれこれ十カ月もあとになってしまったというようなことに引きづられた結果がございます。やはりこういう点について、大臣からもお話ありましたが十分私ども戒めしまして、今後かかることのないようにつとめてまいりたいと存じております。
  119. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それじゃ中村君、ちょっと大臣に……。
  120. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 大臣の留守の間に学園都市建設の問題について、その責任体制推進体制等の問題についてお尋ねしておったわけですけれども、最終的に大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。  御承知のように、学園都市の問題が三十六年からずっと話が進められて、正式に筑波決定されてから、国はこれに対して各省庁に連絡をして、その移転機関もほぼ予定された三十六機関に落ちつきそうだ、用地買収は五百八十万坪のうち、すでに七〇%は用地買収が完了している。その総工事費も相当ばく大なものになる。しかしながら、現実には用地買収も七〇%にとどまってしまって、これから先進めることが非常に困難な事態になっておる。その困難な最大の原因というのは、学園都市がこれだけ用地買収等をしながらはたしてできるんであろうかどうか。政府は真にやる決意があるのかどうかという疑問が、用地買収を妨げる最大のネックになっておるようでございます。このことは、首都圏あるいは公団等から大臣のほうに御説明がいっていると思う。これを打開するためにはどうすればよろしいんだ、現地の第一線を統括する住宅公団総裁は、早く全体計画を立てて、具体的にこれを推進する、このことが最大の問題だ。各省庁説明を聞いても、なるほど計画はある、予定はある、しかし、現地都市計画や公共施設等の事業が進められてないために、進出を具体的にすることはできないんだと、こういう姿があるわけです。そして政務次官の答弁では、いまの体制だけでも各省庁責任体制を十分にしていけばできるのではなかろうか。いまここで特別の事業団等をつくってするということは、なかなか政府の方針としてむずかしいが、大臣にこのことを進言するということでまあ話は終わっているわけですけれども、いまのような状況でこの世紀の大事業は、用地買収が七〇%までいった。この用地買収のために多くの政治家が犠牲になっている、これは反対が多かったわけです。衆議院選挙でも、学園都市を誘致することが地元のためによろしいと言って一生懸命叫んだ人は落とされたわけです、協力した人が。先ほどの繰り返しになりますが、町村長が全部やめさせられ、三人の県会議員がやめてしまった。そうして三〇%の打開のネックが開かれないでいるという事態。したがって、その十四省庁、三十六の移転機関、五百八十万坪の用地、千二百万坪の土地区画整理、四千億の国家資本の投下、こういう姿からいくと推進体制を強力にするための措置が必要と思うわけであります。その一環として、事業主体として、学園都市について、事業団のような、公団のような性格を持ったものを生み出す必要があるのではなかろうか。これに対して大臣はどういうふうにお考えになっているか、まずお尋ねをしたいのです。
  121. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 研究学園都市の構想は、今日の東京都内の過密状況で今後この都市環境をいかに整備してまいるか、土地利用計画を新たにして出直す必要があるのじゃなかろうか。そういうことで都心地帯に必ずしも存在しなくてもその機能が十分発揮できるというような、たとえば工場、研究機関教育機関等は分散を願って、そうして新たな都市再開発を行なっていくという構想の上に出発をいたしておると理解をいたしておるわけでございます。  そこで、研究学園都市——茨城県の筑波山の近傍におきまして予定された——これは知事さんはじめ地元の方々の御協力をいただいて、ただいま中村議員お話のように、用地等につきましても七〇%からの確保ができてまいっておるということに対しましては、今後の首都圏区域のあり方等にかんがみまして政府として大きな期待をかけておる地帯でございます。この間いろいろ用地問題等をめぐりまして、地元の方々等の十分な理解を得ない面もございましたろうし、それによって多くの犠牲と言えばあれでございますが、そういう不測の事態を受けられた方々も少なくないということも承知をいたしておるわけでございます。政府といたしましては、ただいま衆議院において御審議いただいております都市計画法、本院において御審議をいただいております都市再開発法の趣意からいたしましても、この研究学園都市は所期の期待どおりのひとつりっぱなものをつくり上げなければならないということで、私が政府内における担当の責任者として責任を負わされておるわけでございます。そこで、お話しのように、何か事業団でもつくってやらぬと勢いがつかぬのじゃないか。ごもっともでございますけれども、いま公団とか、そういったものを幾らか整理して一連の行政改革等の期待にこたえていこうというような構想、道をたどっておるものでございますから、したがいまして、そういうことがあればたいへんけっこうでございますけれども、直ちにそれをつくり上げるということは、私は必ずしも期待できないんじゃないか。そこで、まあ御懸念の点、多多おありでございますけれども、私も閣内におるわけでございますから、ひとつ、まず都市計画、都市再開発法の第一着手の仕事としても、どうしてもここでりっぱなものをつくり上げて、今日までの地元の御協力をいただいた、それに対してもおこたえしなければならぬ。各省庁の連絡、推進につきましては、微力でございますけれども責任を持たしていただいておりますから、最善のひとつ努力を払ってみたい、かように考えておりますから、しばらく猶予を与えてくださいまするよう、お願い申しておきます。
  122. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 大臣からそう言われると、私のほうからは問い返すことばがないわけでございますけれども大臣の主管する推進本部では、こういうことを四十一年八月にはきめているわけです。これは総括・移転部会です。「研究・学園都市建設主体について」 「研究・学園都市建設事業を総合的かつ強力に推進するため、総合的統一的な事業実施主体、たとえば事業団の設置等について早急に検討し、おそくとも昭和四十二年末までに、事業実施の総合体制を確立するものとする。」、これは建設省、自治省、内閣官房等、各次官の会合において、このことが決定されておるわけであります。そして四十二年、大臣が就任された後、閣議においてはこういうことがきめられております。「新都市の計画及び建設事業を円滑に実施するため、必要な体制を整備するよう努めるものとする。」、これは閣議了解の中で、おそらくそれらのことを包含しつつ頭に置いてこれは考慮をされておると思うわけでございます。しかし、政府の方針が、ただいまのような方針であることも、私たち承知しておるわけでございます。しかし、実際には、いまの体制そのものでは、十四省庁にわたる問題、四千億以上の国家資本、十六万の新しい町づくり、十年に及ぶこの仕事、その予算体制から、事業執行体制からいっても、いまのままでむずかしいことは、大臣もこれは御承知のとおりと思います。成田空港等が、中曽根運輸大臣が思い切って現地に出馬しつつ、閣内の意見をまとめつつ、あれだけの体制を整えた。私は先ほど保利建設大臣が、私が本部長としてやっている都市計画の、再開発の第一着手は筑波にするんだと、こういうお考えを聞いて、どうぞひとつ閣内において政治力をうんと発揮して、必ず具体的にこれが早期に着工できるように、そして具体的な財政措置もできるように要望いたしまして私の質問は終わります。
  123. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大臣もだいぶ時間がないようでございますから、私の質問もできるだけ要約をして御質問さしていただきたいと思います。  私は、万国博覧会の開催準備について一いま行なわれていますのを痛感いたしまして、二、三の問題点について、ひとつお尋ねをしておきたいと、こう思います。  全体資金計画といたしましても、昭和四十五年三月十五日から九月十三日まで、半年間にわたって、大阪千里塚で開催されるところの日本万国博覧会の全体の資金計画は、建設資金で五百二十三億六千四百万円、うち国庫補助金が二百五十億三百万円になっているようであります。また、運営資金にしましても、二百三億八千八百万円で、主として博覧会の事業の収入をこの財源に充てているようでありますが、これは総額七百億になんなんとするものであります。そして会場の敷地は、面積は三百五十万平方メートルというようなばく大なものであります。このような計画が一定の出展者や入場者の目標数、たとえば七十カ国以上の政府の出展参加、あるいはまた三千万人の入場者の目標数を基礎としてこれが立案されているといわれておるのでありますが、これらの目標数を達成する確信が一体あるであろうかということが、私は第一番目に疑われるわけであります。四十二年九月以来、百二十七カ国等に参加要請を行ないまして、四十三年二月七日に、現在二十二カ国の政府が参加するといっております。すでに十一九国が不参加を表明しております。参加を検討中のものが三十カ国にとどまるというような現状であるわけであります。四十三年三月までに四十カ国、最終的に七十カ国以上の参加を実現することは、決して容易ではないと私は思うわけであります。また、入場者の三千万人につきましても、約五十万人が海外からの入場者、それを除きますと日本人と在日の外国人、これが約五十万としますと、三千万人を集めるのもこれまた並みたいていのことではない。特に関心の度を見ましても、大阪はともかくといたしましても、それ以外のところでは非常に関心度も低いといわれております。多少古い資料で、四十年末の某大きな広告会社の全国のアンケートを見ましても、非常にそういうことがいわれておるわけであります。  一体この国におきましては、非常に人家の密集しておる東京なんかで、至ってそういう関心度が低いと言われておるのでありますが、国民の関心を持っておるものは、万博というものの祭典ではなくて、私は、むしろ社会保障の拡充とか、生活上に切実なものがあるのではないかと、こういうふうに考えられるわけであります。  これはまた別といたしましても、会場で使用いたしますところの水の量、これも一日で九万トンといわれております。また、電気の使用量は十五万キロワット、ガスの使用量は十四万立方メートルないし三十九万立方メートルといわれております。万博におきまして、たった一日のこの必要な物資を考えてみましても、使用量はかくのごとく膨大であって、つまりこれだけの水は人口三十万の都市を見てみますと、たとえば横須賀とかあるいは岡山あたり三十万といわれておりますが、これをまかなうだけのものがあるし、電気を見ましても十九万戸、つまり奈良県全体くらいの需要を満たすだけの電気使用量になるわけであります。ガスなんかを見ましても、一家庭に供給する1実に一家庭を考えてみるならば六百年の間ぐらい続けられるほどの量になるということが計算上出てくるわけであります。このようにして、このものを見てみますと、これは日本の万国博覧会協会の資料から説明をしているわけでありますが、こういうようなことを考えて、一体この国庫負担金、あるいはまた社会保障の充実等の国民の切実な要望、こういうようなものを考えてみまして、はたしてこのような状態でうまく計画どおりにいくのかどうか、私は非常に問題があると考えるわけであります。ことに私は、大阪の都市計画審議会が、このあとの利用計画なんかを、公園とするとか、あるいはまた大阪の国立大学とか、あるいはまた学芸大学、あるいはまた外国大学なんかの学園とするとか、いろいろ希望があるように開いておりますけれども、一体こういうばく大な費用を使ってこれをやられていきますけれども、これが最終的に終わったときの利用計画なんかも、もう少し明確になっているのかどうか、こういうようなこともひとつ私はいまのうちに聞いておきたい、こういうふうに思うわけであります。
  124. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 万国博覧会の準備につきましては、とにかく万国博覧会を通じて相当多数の海外からの視察者も見えると存じまするし、こういう機会に、日本の国民の姿、ものの考え方、平和愛好の国民であるということをよく理解していただく絶好の機会であるわけでしょうから、この機会をそういう意義あるものにするためには、ひとつモントリオールの博覧会に負けないりっぱなものをやらしてもらいたい。同時に、大阪—東京はオリンピックの当時に大部分、かなりの都市改造に近いことが行なわれておるわけです。関連公共事業として取り上げておりますのも一に大阪の都市改造といいますか、そういう意味もこれには非常に大きい意味があると思うわけでございますから、万全を尽くして関連事業——として建設省の担当する面が多うございますので、手違いを起こさないようにということで、実は私も就任後、ちょっとどうだろうかという心配がございましたので、出かけてみまして、あちらの関係の府知事はじめ官民の方々ともお目にかかって様子を見てまいりました。なかなか困難な面もございます。ございますが、特に一部用地の確保等において心配する点もあるのですけれども、私はとにかく、大阪城を機械力も何もないときに築かれたときのことを思えば、たいしたことはないんじゃないかということで、大いに知事さんや市長さんたちのおしりをたたいてまいりました。また、知事、市長はじめ皆さんの取り組み方も真剣でございますから、私のほうさえ手落ちをしなければ、大体——じゃない、これはどうしてもあとのない、時間がきまっておることでございます。どうにも、ぜがひでもりっぱなものをつくりあげなければならぬということで、したがいまして、今年度の予算編成にあたりましても、国際収支の悪化であるとか財政硬直化とか、なかなかやかましゅうございましたけれども、とにかく万博はそういうふうな国際的な行事というわけであるから、まあとにかく超重点でやろうということで予算も計上しておる。いろいろ地域の方々に御無理を願い、御協力をお願いしている面もございますけれども、まあとにかく関西全体の方々が深い御理解を持っていただいておりますから、ひとつ万一にも手違いを起こさないように、この上ともやり上げてまいるつもりでおります。どうかひとつ、いろいろお知恵もあるでしょうから、お貸しくださいまして、御協力のほどをお願いいたします。
  125. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大臣お忙しいようですから、答弁はあとにしてください。  いま大臣もちょっと触れられましたが、関連事業でございますが、関連事業にも、私は同じようなあれを持つわけであります。これも万博開催に必要なものは関連事業——事業費は建設、運輸、農林、厚生、労働、郵政及び警察庁なんか合計いたしますと六千五百二億四千六百六十万円、このようなおそろしい費用を計上されておるわけであります。道路、鉄道、港湾、空港、このような整備から労務者の確保対策、あるいはまた内外の観客の宿泊施設等に至る、非常に広範な事業実施されようとしておるわけであります。しかし、これら関連事業によって整備されるところの施設は、あくまでも万博の事業を達成することが目的であるはずでありますが、万博の本体がなくなった場合には、はたして他の目的に直結できるものであるか、これが私はたいへんな問題であろうと思うのであります。いまのお話によりましても、万博はどうでも日にちがきまっているから成功させなければならぬ、こはれよくわかるわけでありますが、そのために、万博が済んでしまってから非常にむだになったのでは、私は非常に大きな費用が投入されているので、たいへんな問題が起こってくるのじゃないか。だから初めから、いまのような社会保障の観点からも、あるいはまた、その他のいろいろな後の事業にどういうふうにそれを転用していくかという、その目的と直結したところのものを私は十分配慮の上に進められることが必要ではなかろうかと考えるわけであります。特に七十カ国の政府をはじめ、多数の企業が参加をして、入場者が一日多いときには六十万人、少ないときでも十二万ないし十三万、日曜日の平均は四十二万人の人間が集まるので、この六千億円台の関連事業費を必要とする。こうであれば、将来、公園や学校にはたしてこれほどの関連事業の施設が一体必要であるか。港湾につきましても、例をとってみますと、神戸、大阪の両港整備事業としては二十九億一千万円を計上されております。神戸港におきましては、五ないし六万トン級の大型客船が接着できるような埠頭を二バースつくり、また、大阪港においては三万トン及び五千トン級の船舶の埠頭をそれぞれ一バースの増築等をはかる工事が行なわれる、こういっております。これは現地報告の結果で私見せてもらいましたが、こういうようにいわれておるわけであります。万博用の増築であると同時に、また、十年後の外国貨物の取り扱いというようなこともおそらく計算をされておるのだろうと私は思いますけれども、現在の二・一倍になることになりますので、港湾の整備事業の一環でもあるとは思いますが、超大型の航空機が非常に発達もしておるときでありますからして、将来十年先の海運の見通しは一体それでいいのかどうなのか、私はこれもまた相当見解もあるものだ、あるいはまた検討を要するものだ、こういうふうに思うわけであります。また、五、六万トン級の超大型客船の埠頭は無用になるのじゃないかというようなことを考えるわけなんであります。また、宿泊施設の整備につきましても、観覧人数予測が、当時の三千万人を押しのけて四千万とか五千万とかいう説がいわれておるわけでありますが、万博協会の委託調査によりますと、会場を中心にしまして半径七十キロメートル以内の現存の宿泊施設は、一日約三万六千人ぐらいが不足しておるという数字が出ておるわけであります。これはどの地区から一体どれだけの人が何日ぐらいの予定で来場するかという根拠があるのか、私はこの話を聞くだけで非常に不安さを感じるわけであります。外国人向けのホテルにいたしましても、開銀資金七十億、四十二年度二十億、四十三年度、四十四年度、それぞれ二十五億で確保されるといっておられますが、計画上五十万人の外国人が来日することは確実であるのかどうか。あるいはまた、オリンピックの例もございまして、あの轍を踏むようなことも非常に心配するわけでありますが、この入場者の見込みが変化するときには、自然にこの問題も非常な狂いがくると思います。万博の計画及び関連事業も当然また修正をしなければならぬことも起こり得るのじゃないかと思いますが、そういう観点はどのように把握しておられるのか、この点についても、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  126. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私からお答えできることについてはお答えいたします。  あれだけの施設をする博覧会場のあと、どういうふうに一体計画していくか、これは大体位置があそこでございますから、大阪というよりも、むしろ近畿圏の心臓部に将来なるべきところで、したがって、できるだけ施設も残せるものは残すようにしなければならない。そこで、たとえば建設省実施いたします公園、二十数ヘクタールでございますかの公園、かなり世界に示しても恥ずかしくない、相当こった公園を金をかけてあそこにつくるわけであります。こんなものはもちろん永久施設として残ってしかるべきでありましょうし、すでに都市計画も持たれておるわけでございます。ある部分は流通センターとして、近畿圏全体のために、いわゆる心臓の働きをする流通センター、あるいは一部環境のいいほうは学校用地にするというようなことで、いずれにしてもこれはひとつ大阪の地元の方々が地元のためにどういうふうな創意を発揮されて、どういうものをこの機会に残していかれるのかという、いわば地元の知恵の出しどころにもよろうと思います。私どもとしましても、予定いたしておる以外のことにつきましては、十分御協力を申し上げてまいりたい。いずれにしても大阪、近畿圏としましては、非常に将来とも大事な地点であるということを、よく認識をして、誤りのないような処置をしていきたい、かように考えております。
  127. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまのに続いてお尋ねしておきたいと思いますのは、いま阪神の道路公団というので、今度は特に万博のために公団も設けられているようでありますが、私はいま大臣のおっしゃったように、今度の万博というものも将来のことを考え、その後のことを考えるならば、やはり近畿圏全体の中心になるのだ、こういう観点から言えば、もう少し道路の面につきましても、もっと四通八達、こういうようなことも考えて、それにも結びつける。あるいはまたこれは先ほど申したように、港湾あたりもかなり長期な大きなものに金が入れられて、りっぱなものがつくられる。私は、まだよくわからぬからいま質問をしたわけで、あとから各担当の人から回答を得たいと思いますけれども、そういうようなことで、港湾なんかには相当つぎ込まれるわけですね。だから、それがほんとうに将来の見通しに合うものならば、それはそれでおもしろいと思います。それから運輸省あたりでは湖西線というものをこしらえて、琵琶湖の西側の鉄道をこしらえておる。これが山科といいますか、京都の東寄りのところへ一致するわけですが、私はやはりこういうようなことを考えると、将来の近畿の中央でこの万博計画をされているとするならば、 この機会にその湖西線を、またそれを南に回って枚方あたりへ抜けていくような鉄道線路をつくって、その中心である大阪のベッドタウンとしてもっと琵琶湖の周辺までこれを開発されていくようなものにしていくとか、もっといまのうちに万博の事業を推し進めるために、まあ時間がないからなかなか無理かもしれませんが、私は将来万博が終わった後の利用、あるいはまた将来の近畿の発展という立場から考えれば、もっとやはりそういうところに配慮をして、そうして四通八達の——商業あるいはまたベッドタウンとするところの交通、あるいはまたそういうものを十分配慮したものにすることが、私はよりあとの利用価値を高める上においては必要ではなかろうか、そういうふうに思うわけであります。特にそういう観点から、道路公団も阪神を結ぶばかりじゃなしに、私は京都出身だから、京都へ水を引くわけではございませんが、京都の方面にも、琵琶湖の周辺にはかなりたくさんの用地があるわけであります。比較的低い金でもって土地が確保できる状態があるわけでありますからして、これを結ぶところの交通、ことに大量輸送のできるところの鉄道、こういうようなものも配慮に入れ、同時にまた道路公団に対しても、より高速度道路というものも、特にそういうものが配慮できるならば、私は将来近畿発展というものの一つの大きなものになって、やはり万国博覧会にたくさんの金を投じ、またモントリオールに負けないものをやったけれども、りっぱなものが残ってこれが近畿発展のためのほんとうに中核をなすものをやったのだということになれば、ほんとうにたくさん金を投じたことが有意義なものになるだろうと思います。そういう利用度と将来の展望、大きく産業も発展をしておるわけでありますし、海外の貿易もあるわけでありますけれども、こういうものを含めたものを考える必要があるのではないか。また同時に伊丹の空港に対しましても、国際空港としてもう非常にいま狭隘である。また周囲は人家が稠密になってまいりまして、公害もふえてきている。私はあそこに淡路島もありますが、あの淡路島は夢のかけ橋として話をされているようでありますが、あそこあたりに飛行場のりっぱなのをこしらえれば、将来公害も少なくて、そうしてまた思う存分の広い土地もとれて、そうしてまた将来おもしろいものもできるのではないか、これも万博とひとつ関連をさした事業として考えれば、また非常におもしろいのではないかと思うわけです。ですから、夢のかけ橋じゃございませんが、ぜひひとつそのことを含めた、その万博との関連をつけて将来の近畿発展のために、そうしたこともひとつ私は十分配慮すべき時期ではないか。それを時間を急いで、そうした土地の配慮が欠けておれば、せっかくやることが、私はちょっとこの中で話をあとから承るつもりでおりますけれども、関連事業をやって、その関連事業はいま考えている学校や公園だけに終わるのでは、私は関連事業が非常にラフではないか。だから、もっと関連事業を有意義に将来の事業発展のためにつなぐようなものにしていただきたい、こういうようなことを、私は深く要望するものでありますが、そういう点につきましても、ひとつ飛行場から、あるいはまた鉄道の建設から道路建設、そういうものに対しては、もう少し道路公団も阪神道路公団ばかりではなくて、私は京阪神、あるいはまた滋賀県にまで及ぶところの道路公団として発展をして、もっとその計画を拡充して、大阪方面にもっと道路網を考えるべきではないか。ことにまた私は北日本方面の門戸としまして舞鶴港あるいはまた若狭、宮澤の湾、あすこには今度関西電力も何か火力発電所をつくるといっていろいろ地元とトラブルなんかありますけれども、あれなんか見ますと、私は北側の港としましては、非常に軍艦が入っておったときも三万トン級、それくらいの大きな軍艦が出入りしておったわけでありますから、湾としてはりっぱなものであると思います。こういうこともひとつ関連として考えて、そうなれば舞鶴あるいは宮澤のほうと結ぶ道路をどう考えるかということも一つ入れていけば、近畿圏の発展がこの万博に関連して非常にスケールの大きなものになっていくのではないか。私はあまり間近なことを考えるのではなくして、夢のような話かもしれませんけれども、むしろ大きくこれを取り入れていかなければ万博の意義がない、私はそう考えますので、万博のことを必ずしも反対する意味ではなくて、もっとあと事業が、いわゆる社会保障にも通じ、産業の発展にも通じ、いろいろなことに通ずることを配慮することが必要ではないか、そういうようなことが考えられてなりません。このいろいろなデータを見ましても、そういう意味での不安さというものをわれわれは持つのでありまして、ひとしく国民はそうしたものを抱くのではないか、はなやかな祭りだけに終わってしまって、花火線香に終わることは、そう言っては悪いですけれども、オリンピックにしましても、あとに残ったものを考えると、そういうさびしさを私自身も受けましたし、国民もひとしくそういうことを考えたと思うのです。だからその行なわれる前の期待と、済んでしまってからの期待というものが、あまり大きな格差のないことをいま考えていただくことが必要ではないかと、こういうことを考えますので、そういう点をひとつ大臣のほうから、特に意を用いていただきたいと思うので、一言お尋ねをする次第であります。
  128. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 万博開催準備にあたりまして、だんだん大きな構想、御提案をいただいて私どももおおむねさような考えをとっております。現状は、たとえば国道の開発状態を見ましても、太平洋沿岸に傾いて、船ならひっくり返るというような状態になってしまっている。日本海沿岸というものは一体どうなんだということを考えますと、やはり将来の、今日のような不自然な国際情勢が、そう永続すべきものではないと思いますし、したがって、大陸との交流ということを考えますというと、今日からやはり日本海沿岸の開発ということには配慮をしておかないと、とんだことになるというような考えを持っておるわけでございます。博覧会の開催だけが、それはもう当面は、それでございますけれども、せっかく開催するについて巨額の投資を——とにかく国民の税金を使うわけでございますから、これがやはり近畿一体として、近畿一体のために有意義に、やはり将来の発展に結びついていくというようにならなければならぬ。そういう意味で、まあたとえば大阪の御堂筋の道路と、あるいは中央環状線の道路と、どれとつなぎましても、いずれも将来の大大阪、大近畿の発展と結びついて計画をさしていきたい。それにまた寝屋川沿岸地帯のあの湿地、劣悪なあの状態、何とか外国人に見せてもそう恥かしくないようなところに改善をしていきたいというので、まあ寝屋川の汚濁対策等もこの際にひとつやり上げてしまうというような将来の近畿全体の開発、発展と結びついて有益になるようにということを十分この上とも配慮してやっていく。まあ大体計画は立っております。そういうことで、まあ計画も立っておりますから、この上とも注意をいたしてまいりたい。ただいま全体の、あるいは琵琶湖の水の開発利用というものをも含めまして、近畿全体の開発ということを頭に置いて、幾らかでもこの博覧会の事業が寄与していくように注意してまいらにゃならぬと考えております。
  129. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それからもう一つ続けてお尋ねしておきたいことは、この万博の工事で、非常に新聞なんかをにぎわしているように、倒産騒ぎが非常にあるようであります。私は、これは万博の工事を急ぐ意味において、あるいはまたいろんなものもあるから、そういうことも起こり得るだろうとは思いますけれども、これはまた非常に問題を残すものだと思うわけであります。これは朝日新聞にもこの間、前に報じられておりましたが、この敷地の造成工事を引き受けていた末端の零細企業十社が大手の会社の下請であって、不渡り手形をつかまされたために倒産したという事例が報告されております。倒産寸前に追い込まれたのがたくさんある。こういう事実があるわけでありますが、実際建築界で元請に対して何段階かの下請があるのが常識となっているようでありますけれども、こうした一体状況は、建設省としてはどういうふうに見ておられるのか、この万博のためにどういうふうになってきているのか、これはどういうふうに処置しておられるのかということをお尋ねしたいわけです。これが第一点。  第二点は、工事を行なっているところの責任のないあるいは末端の零細企業だというところに問題があるわけでありまして、責任主体は一体こうした場合に、元請にあると思うわけでありますけれども、元請の責任はどういうふうにしてこれが行なわれておるか、あるいはまた建設省としては、こういうふうな問題を一体どういうふうに指導監督しておられるか、こういう点を第二点としてお尋ねしたいと思います。  それから第三点は、この財団法人であるところの万博の協会でありますが、今度の事件については、これは非は認めておるようでありますけれども、実態調査をしたのかどうか、そしてまたその結果はどんなふうになっておるか、またその倒産件数の処理はどういうふうにしておるかということをひとつ、これも、第三点としてお伺いしたい。  まあ時間がありませんから、私は質問要項だけをずらっと申しますから、それについて逐次返事をしてもらいたいと思います。それから被害を受けたところの業者たちは、協会の業者の監督指導がずさんだと言うのです。そしてまた元請の会社がどんな下請を使っているのか実態を事前に調査もしていない、こういうようなことを聞くんでありますが、一体それはどんなふうになっておるのか。事実だとするならば、とんでもないことだと私は思うのでありますが、今後こういう問題に対してどういうふうに改善をしていかれるのか、改善策を伺っておきたいと思います。また、こういうことがおそらく続発するのじゃなかろうかと思います。こういうことに対して、一体、将来はどうするんだ、こういうふうなことについて、五点について、ひとつ御回答をいただいておきたいと思います。
  130. 川島博

    政府委員(川島博君) お答え申し上げます。  土木あるいは建築工事を行ないます場合に、わが国では下請を使うのがむしろ通例になっております。まあこれも先生御指摘のように元請と直接の下請ばかりではなく孫請というな形で重層的な関係が相当見られることも事実でございます。こういうことから、場合によりましては下請代金の支払いがおくれる、あるいは払わないというような事例もないわけではないのでございます。これに対しましては、私どもはかねてから、下請と元請の関係の両者に対しましていろいろ注意を喚起しておりますが、その第一には、大体公共工事等でございますと三割ないし四割の前払い金を支払う、それからそのあとの代金も大体出来高に応じて部分払いをしていくというたてまえになっておりますので、こういう場合には、当然この下請にも前金の一部なりあるいは出来高分の一部を元請が支払うべきでございますので、そういうことを指導しているわけでございます。それから何と申しましても、やはり発注者から直接注文を受けました元請業者、これに対する指導監督がきわめて大事なことは先生御指摘のとおりでございますので、私どもは実は現在の建設業法では必ずしもこの元請、下請間の契約関係なりあるいは下請の指導と申しますか、めんどうを見ることが必ずしも十分でない点がございますので、実はここ二年来建設業法を改正をいたしまして、その部分の改善をはかる必要がある、すなわち下請契約の片務性を改善をして、下請に責任のある事項については元請に責任を負わせる、こういう方向でこの元請、下請関係を改善しようということで検討してまいりましたが、幸いにことしの一月に中央建設審議会で業法全般につきましての改善意見が答申として出されましたので、現在鋭意法文化を急いでおるところでございます。まあそういうことでございますので、この改正案が提案、通過いたしました暁には、これらの元請、下請間のやや不明朗な関係がすっきりすることになるのじゃないかというふうに考えております。
  131. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 通産省の橋本参事官でございますが、後半の点につきまして御説明申し上げます。  基本的には、いま建設省局長からお話しがあったとおりでございます。あの問題が起きましてから、さっそく博覧会協会に詳細な調査を命じ、博覧会協会が元請に対して発注をする場合に何らかの手落ちがあったのではないかというようなことも十分調査さしたわけでございますが、その間の契約としましては、特に指摘すべきものがございませんでした。ただしかし、先生おっしゃいますとおりに、元請にやる場合に、こういった事業についてさらにその元請がどういう下請へどういう形で注文をするかという点につきましては、正直なこと言いまして、全然触れておりませんでしたので、これは事実問題として今後十分にそういった点も調査し遺漏のないようにやってほしい、また片面、しかし、こういった国家的な事業が大企業だけに仕事が集中するということは好ましくないので、十分下も使っていかにやならない問題だから、その辺のところは十分指導をしながら中小企業を使うようにというふうな両方の面からの指導をし、協会も現在そういう大勢に向かっておる次第でございます。
  132. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 特にそのところで私はいまいろいろ調査してみましたら、この下請の中で非常に迷惑をこうむっている状況なんで、私調査しておりまして、きょうは時間がありませんから詳しいことは申し上げませんが、しかし、そういうことを調査しましても、その事業を急ぐために、あるいはまた事業をある程度スムーズにやらすために、大きいところに責任を持たすということはある程度考えられるかもしれません。が、しかし、そういうことを利用して非常に小さいもの、中小企業のものをいじめて、そして非常な過酷な内容を——私調査してみましたか、倒産をしなければならないような、ちょっとつまずけば倒れてしまわなければならないような過酷な条件でこれはやらされているということは、私は実際に例を持っております。もし何であれば、そういうことについて詰めてみたいと思いますけれども、しかし、そういうことはあなたのほうもおわかりでしょうが、くどいことを申すことは時間がないからやめますが、特にそういうことを考えないと、これは大きいところは何とかそれでやっていけます。それからまた、つじつまを合わせる、そのしわ寄せはどこに来るかといえば、ほんとうに中小メーカーに来る。実際それはその仕事をやる人のところにいくわけです。だからして、物のいいものもできないだろうし、あるいはまたそういうことによって非常に泣かされる者が出てきているというのが現状です。だから、こういうことは今後この事業を進める上において、大きいものは得をして、いいところにあぐらをかいて、そして下の者は非常に困るという状態があちらこちらに出てきておる。たとえば材料一つ見ましても、それならば砂利なりあるいは砂なりが必要になってくると、メーカーのほうではそれをぐっと確保しなければならないから、持ってくる者に対してはしわ寄せしなければならないから、それはどういうことになるかというと、砂利公害あるいはいろいろなことで、住民の人に迷惑がかかってくるのは当然であります。こういうことは、あげれば、私はいろいろそういう資料を集めましたので、ほんとうはこの決算委員会で、そういうことについていろいろ詰めて話をして、今後一切そういうようなことが起こらないようにするために、材料はたくさん用意をしましたけれども、時間がないから、そういうことは一切飛ばしますけれども、そういうことがあることを十分把握して、この責任を持っているのが通産省であり建設省であるならば、これは十分な配慮をしなければ、こういう問題がスムーズにいかない、私はそういうことを考えます。ですから、そういう観点について、くどくどは申し上げないから、このことを念頭に入れて、今後そういうこと、か絶対ないようにして、スムーズに進めてもらいたいし、こういう大きな事業が行なわれることによって中小企業が圧迫を受けたり、あるいはまた、そこに住んでいる人たちのしあわせにならないようなことが起こっては、私は本末転倒だと思うのです。先ほど大臣からも、これは是が非でもせんならぬという決意をおっしゃっておられたけれども、せんならぬというためには、そこに住んでいる人たちが迷惑を受ける、あるいは中小企業の人たちがやられる。そうして大きいところの人たちがいいことをするという状態がどんどん行なわれていったのでは、これはもう国民のないところの一つの政策であって、そんな万博だったら、ぼくはやめたらいいと思うのです。ですから、そんなことで、徹底した観点から指導、監督あるいはまた将来その完成までの間に、そういうことが十分に配慮されることを、私は徹底的に要望しておきたいと思うのです。ですから、これは、もう少しいま大臣がおってくれたら、大臣にも最後の詰めを申し上げたかったけれども、急いでおられるということですから、私は遠慮したのですが、どうかひとつ所管大臣にも、通産省のほうにおいてもあるいはまた建設省のほうにおいても、大臣のほうに対してひとつその意を通じて、両方ともこれはそういうことに対しては十分に意を払って、やってもらいたい、私はそう思います。  それからもう一点、先ほどから申しておりますが、時間がありませんから、ちょっと資料をお願いして、私、またあとから少し勉強さしてもらって、ことによれば、そういうことが改善されなければ、また一応、何かの機会に私は質問をして、そういうことに対しては徹底的に議論もしてみたいと、こういうふうに思いますが、そのためにもひとつ次の資料をいただきたいと思います。万博のあと地の利用計画、これはもうできているはずだと聞いておりますから、その明細をひとつ知らしていただきたい。  第二には、万博の関連事業計画事業実施の明細、建設、運輸、農林、厚生、労働、郵政、通産各省及び警察庁の所管別、事業別、あるいはたとえば建設省道路、街路等、あるいは運輸省の空港だとかあるいはまた港湾の設備等、こういうものに対しての事業別の計画、具体的に何をどれだけの費用をかけて整備するかという計画及びこれに対応する事業実績の明細、計画の樹立の基礎事情、こういうようなことについて、資料をいただきたい。  第三には、万博の関連事業の労務確保対策に関して、確保予定の労務者をどのように配置し、どのように待遇するか、また沖繩の労務者の受け入れの計画の概要、これの資料をひとつ。  第四番目には、万博会場周辺土地価格上昇の実情及びその抑制対策実施状況、これについてひとつ資料をいただきたい。これをひとつお願いしておきますが、それについていかがでしょうか。
  133. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) あと利用計画につきましても、最終的なものではございませんが、一応の話し合いの姿は出ておりますので、お届けしたいと思います。  それから関連事業計画につきましても、先生のおっしゃいました一番最後の点は、その関連事業をきめた背景の事情、こういうことというふうに受け取りましてよろしゅうございますか。
  134. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 はい。
  135. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) それからその次に、労務の確保予定で、今後どういう人をどのようなところにどう張りつけるかということにつきましては、まだ具体的な張りつけまでのところのデータがそろっておりまん。大体どういう職種の人をどの年度にどの程度ほしいと、それを会場とそれからいろいろな土木工事とかいったようなものに分けてという程度で現在進めておりますので、その程度の資料はお出しできると思っております。
  136. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それから待遇も。どれくらいに待遇していくか、技術者によって。
  137. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 待遇の問題といいましても、実際の賃金問題は、これはなかなかちょっとわからないと思うのでございますが、労務者を円滑に確保するための住宅の問題をどうするかとか、あるいは労災問題をどうするかといったような問題は、一応の考え方ができておりますので、そういった点は可能だと思います。
  138. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 沖繩のも受け入れますか。
  139. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) はい、沖繩も。  それから周辺土地価格につきましては、これは地元によく調査させまして、いろいろな話は聞いておりますが、具体的に何ぼというのは、まだいまのところ統計的には出てまいりませんので、若干の事例等によるあるいはデータということになるだろうと思いますが、そういう程度でお出ししていきたいと思います。
  140. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 実施のも出してください、いままで実施されたのも。
  141. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) はい。
  142. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 本日の審査はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後四時五十七分散会