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国務大臣(
増田甲子七君) たとえば各省大臣が自分のところの所管事項について
検討中でありますということを答えることもあります。私は
防衛庁長官という立場におきまして、従来の
長官が
検討中であるということを答えた。これは認めます。しかしながら、私もこの一年数カ月
検討してみまして、草案をつくるのはおもしろくない。こういう
結論になったわけでございます。しからば、
検討中であるということが
検討をしないということになったことについて、閣議決定が要るか。私は省庁の内部の一々の行動に関する規範をつくるとかつくらぬとかということまで閣議決定をせんならぬのではないと思っております。そのために私
どもはこうやってまかり越しまして
岩間さんにお答えをいたしておるわけでございまして、なぜつくらないでよろしいかというと、いままで十八年間つくらないでおったわけでございます。いままで十八年間つくらないでおった、そういうようなことが一つと、このときこの際、私はつくる必要はないと、こう考えております。それは十八年間
検討はしておったでございましょう。
それからもう一つは、いま提出を
要求されました各般の訓令がございます。その訓令というものは準拠する一つのやはり規範と申してもよろしいかと思います。その訓令以外に規範をつくるかどうかということが
検討中の問題でございまして、私は規範はつくる必要がない。というのはケース・バイ・ケースで、非常に治安出動というものはその対象が違うのでございまして、その対象の非常に違うものに対して最大公約数をつくるということになるというと、従来出ておる訓令以上のものではないと、こういうふうに考えます。ただしかしながら、間接侵略のごとき大規模なるものは、これはまた別個の問題でございまして、そのときには明瞭に、もの直接侵略とほとんど違わないような態様になりまするから、そのときには平素
自衛隊が演練、訓練しておるその実力を直接侵略になぞらえて発揮すればいいのでございまして、いわゆる緊急事態というようなものと間接侵略というものとは、さい然区別すべきであると私は考えております。そこで、間接侵略は直接侵略に似てくる。その間接侵略にも私はたくさん態様があると思います。その間接侵略に対する一つの最大公約数ということもできますが、まず大体直接侵略に似てくる状態ではないか。でございまするから、旧
安保条約には一国もしくは数国の外国の支援、干渉に基づく国内の内乱、暴動、騒擾等であって大規模なるもの、こういうふうに間接侵略の定義が与えられておったことは
岩間さんも御承知のとおりでございまして、新
安保条約には、そうゆうことの定義はございませんが、まず旧
安保条約の間接侵略の定義がいま
自衛隊法にございます「間接侵略その他の緊急事態」云々という
自衛隊法第七十八条に規定する前半の間接侵略ではないかと思います。でございますから、間接侵略並びに間接侵略とは全然
関係のない国内の暴動、騒擾、内乱等の場合であって緊急事態というようなもの両方に共通するような最大公約数というものを書くのは、やはり従来出ておる訓令程度のものである。もちろん各般の場合を想定いたしまして、万一に備えた治安出動の演習はしている必要はございます。この演習する必要がないというふうに
自衛隊のほうでも誤解されておる向きもございまするから、この機会を利用させていただきまして、演習は大いにやって訓練をして、七十八条所定の事故が起きた場合には、
国民の期待に沿うだけの活動のできる下地をつくっておかなくてはいけない、そのための実力部隊であると私は考えております。ただ間接侵略並びに国内の純粋の暴動、騒擾その他に備える最大公約数というものはおかしなものであると私は考えております。
それから、いま
岩間さんが庁議をしたかどうか、庁議というものはあってもなくても——これはあるほうがけっこうでございまするが、
長官がやはり相当長い問苦心、経験に基づきまして、私自身も勉強しておりますが、庁議というものは
長官の補助機関でございますから、その点は誤解がないように願いたいと思います。庁議あるいは省議というものは
長官、大臣の補助機関でございます。ということは、
岩間さんも御如才ないわけですが、御
理解願いたいと思います。