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説明員(宇ノ
沢智雄君)
昭和四十一年度の
決算検査
報告の概要につきましては、一昨日私どもの院長から御
説明申し上げましたが、ただいまから若干ふえんして御
説明を申し上げたいと存じます。
本院といたしましては、検査
報告をできるだけ読みやすく、そして充実したものといたしたいと考えているのでございますが、
昭和四十一年度
決算検査
報告の掲記にあたりましては、これから申し上げますような事柄につきまして従前と若干変わった形といたしました。
まず第一は、
各省、各団体の
決算、それから損益、検査結果の概要等につきまして概説記述をできるだけ充実させるべく努力をいたしました。
第二は、検査の結果、本院の質問に対しまして、主務省において処置を講じた
事項を検査
報告の概説に掲げることといたしました。
第三は、
内容を読みやすくいたしますため、極端に難解なことばはなるべく使わないようにし、また、どうしても他のことばで表現することが困難な場合には注書きを付するというような配慮をいたしました。
第四は、従来別表としてありました租税の徴収過不足、公共補助などの個別
事項の記述を
整理いたしまして、これを前文に接続して掲げることといたしました。
以上で、従前と掲記方法の異なった点の
説明を終わりまして、次に検査結果の概要を申し述べます。
昭和四十一年度の歳入、歳出、現金、物品の出納などに関しまして、国及び
政府関係機関その他の出資団体などから
提出されました
計算書二十二万余冊、証拠書類五千八百十四万余枚について書面検査を行ない、また、検査対象の官署等三万七千余カ所のうち二千七百余カ所について三万四千余人日をもって
実地に検査をいたしました。
実地検査の施行率は七%余でございますが、ただいま申し上げました三万七千余カ所には、一万五千余にのぼる特定郵便局や、国鉄の駅区数千カ所も含まれておりますので、これらを除外して主要な検査個所についてみますと、約三一%の施行率となっております。
検査の結果、不当
事項といたしまして検査
報告に掲げましたものの件数は、三百三十七件、批難金額は十三億四千二百二十六万余円でありまして、これを前年度に比べますと、件数で三十五件、金額で二億七千九百六十二万余円の減となっております。
次に、
改善の
意見を表示いたしましたものは、昨年度は九件でありましたが、四十一年度は四件となっております。
予算の施行等にあたり留意を要するものは、昨年度十五件でありましたが、四十一年度十九件となっております。
これらのほか、先ほど申し述べましたように、本院の質問に対し主務省等で処置を講じた
事項を初めて二件掲げました次第であります。
以下、これらの概略を
説明いたします。
総理府、主としてこれは防衛庁でございますが、では、留意を要するものとして、陸上、海上、航空各自衛隊において、通信回線を相互に融通して活用するよう配慮すべきであるというもの、陸上自衛隊における航空機部品の調達所要量の算定にあたりまして、現有量の把握をより適切に行なうよう配慮すべきであるというものの二件。
法務省では、不当
事項として、
職員の不正行為により国に損害を与えたもの一件七十二万円。
大蔵省では、不当
事項として、
調査が十分でなかったなどのため租税の徴収過不足となっていたもの百二十九件、徴収不足五億三千九百九十三万円、徴収過六十五万円。
それから文部省では、不当
事項として、初等中等教育助成、産業教育助成等の補助事業において事業費の精算が過大となっているものなど三件七百六十三万円、留意を要するものとして、要保護及び準要保護児童生徒就学援助補助事業の
運営をより
効果的にすべきであるというもの、それから国立学校の土木工事の工事費の積算をより適切に行なうよう配慮すべきであるというものの二件。
厚生省では、不当
事項として、
調査が十分でなかったなどのため健康保険保険料、厚生年金保険保険料、船員保険保険料が徴収不足となっていたもの二件四千四百五十万円、簡易水道施設整備の補助事業において、事業費の精算が過大となったり、工事の施行が不良となったりしているもの四件二百十九万円、
国民健康保険事業に対して交付する調整交付金の交付額が適正を欠いているもの一件四百八万円、留意を要するものとして、補助金等の額の確定の処理の促進をはかるべきであるというもの、補助事業により設置したし尿処理施設の管理を適切に行なうべきであるというものが二件。
農林省では、不当
事項として、水路工事で、材料価格の見積もり方法が適切でなかったため工事費が高価となっているもの一件六百五十万円、直轄工事の施行が不良で、設計に比べて強度が著しく低くなっているもの二件三百八十八万円、道路工事で、工事
内容の見込みが適切でなかったなどのため工事費が高価となっているもの一件百十万円、国が再保険を行なっている農業共済事業の
運営が適切でないもの八件八千九百八十五万円、漁船再保険金の支払いが過大となっているもの六件三百四十八万円、土地改良、林道開設、漁港修築、災害復旧等の公共事業
関係補助工事において、工事の施行が不良で設計に比べて強度が著しく低くなっているものなど九十二件五千百八十五万円、その他農業構造
改善等の補助事業において事業費の精算が過大となっているものなどが十五件千四百三十三万円、農業改良資金の貸し付けが補助の
目的に沿わない結果となっているもの一件千七百十一万円、農林水産業施設の四十一年災害復旧事業費の
査定額が適正でなかったもの一件二億八千九百十四万円、留意を要するものとして、草地改良事業の
計画及び造成車地の管理を適切にし事業の
効果をあげるよう配慮すべきものであるというもの、繭を基幹作目とする農業構造
改善事業の
運営を適切にして事業の
効果を発揮するよう配慮すべきであるというもの、農業近代化資金利子補給補助の対象となる貸し付け事業が適切に行なわれるよう指導すべきであるというもの、林道開設にあたって適切な
計画を立てて工事を施行するよう配慮すべきであるというもの四件、質問に対し処置を講じたものとして、外国小麦買い入れ代金に含まれている海上運賃は最近の海運界の状況から見まして大型船の運賃により積算すべきではないかということで質問を発したところ、これによることとなったもの。
通商産業省では、不当
事項として、工業用水道補助工事の工事費の積算が過大であったもの一件六百二十万円、中小企業設備近代化資金の貸し付けが補助の
目的に沿わない結果となっているもの六件四百六十一万円、中小企業高度化資金の貸し付けが国の貸し付けの
目的に沿わない結果となっているもの七件千二百九十万円、質問に対し処置を講じたものとして、アルコール原料用糖みつの変性処置を講じないでも関税が低減されるような道を開くべきではないかとの質問に対し、関税暫定
措置法が
改正され変性
措置が不要となったもの。
運輸省では、不当
事項として、港湾整備工事で、発生材の活用を考慮しなかったため不経済となっているもの一件四百十万円、港湾の改修、災害復旧等の公共事業
関係補助工事において、工事の施行が不良で設計に比べて強度が著しく低くなっているものなど十六件九百七万円、港湾施設の四十一年災害復旧事業費の
査定額が適正でなかったもの一件七百六十四万円、留意を要するものとして、航空保安施設が完成した後すみやかに運用開始できるよう配慮すべきであるというもの。
郵政省では、不当
事項として、
職員の不正行為により国に損害を与えたもの五件二千七百十七万円、留意を要するものとして、郵便書簡の調達数量を適正に
決定するよう配慮すべきであるというもの。
労働省では、不当
事項として、
調査が十分でなかったため労働者災害補償保険保険料、失業保険保険料が徴収不足となっていたもの二件四千五百八十八万円、失業保険金等の給付が適正を欠いているもの一件千四百十八万円。
建設省では、不当
事項として、道路、河川等の建設、改良、災害復旧等の公共事業
関係補助工事において、工事の施行が不良で設計に比べて強度が著しく低くなっているものなど二十五件千六百五十五万円、道路、河川等の施設の四十一年災害復旧事業費の
査定額が適正でなかったもの一件一億二十二万円。
日本国有鉄道では、不当
事項として、道床砕石運搬撒布工事で積み込み機械の選定が適切を欠いたため工事費が高価となっているもの一件三百七十万円、線路路盤復旧工事で、作業
内容の見込みが適切でなかったなどのため工事費が高価となっているもの一件百七十万円、留意を要するものとして、舗装コンクリートを取りこわし工事費の積算にあたり、新式機械の使用を考慮すべきであるというもの、電気
関係工事に伴う資材の調達管理について
関係部局間の連絡調整をより円滑に行なうべきであるというもの、コンクリートまくら木の貨車取りおろし作業等に対する運賃及び料金の
決定について検討すべきであるというもの三件、
改善意見を表示したものとしまして、検修庫、跨線橋等の鉄骨工事の設計と工事費積算について、近年鉄鋼メーカーがH型、丁型などの断面をもった鋼材、いわゆる形鋼を製作して市販しているのでこれを材料とすれば加工費が安くて済むのに、旧態依然として鋼板を切断溶接してこれらの型に仕上げてはりなどの部材をつくる設計としたり、形鋼を使うこととして設計している場合でも鋼板を加工して使用する場合と同じ加工費を積算したりしているものが見受けられるので、適切な設計、積弊の基準を部内に示す必要があるというもの。
日本電信電話公社では、不当
事項として、鉄塔工事で積算標準単価の適用が適切を欠いたため工事費が高価となっているもの一件四百九十万円、使用可能な部分を含めて交換機部分品を取りかえることとしていて不経済となっているもの一件五百九十万円、
改善意見を表示したものとして、加入者宅への引き込み線や加入者宅内の配線の老朽分を取りかえる工事の工事費積算について
実情に即した標準を定めて適正な工事費を積算する必要があるというもの。
農林漁業金融公庫では、留意を要するものとして、土地取得資金の貸し付け後の管理について適正を期すべきであるというもの。
日本道路公団では、
改善意見を表示したものとして、高速自動車国道工事の橋梁、高架橋等の構造物の設計と工事費積算の基準を適切なものにする必要があるというもの。
首都高速道路公団では、
改善意見を表示したものとして、高架橋
新設工事の工事費積算の基準を適切なものにする必要があるというもの。
日本鉄道建設公団では、留意を要するものとして、高架橋等の高欄について経済的な設計をはかるよう検討すべきであるというもの。
年金福祉事業団では、留意を要するものとして、厚生年金保険施設資金の貸し付け後の管理について適正を期すべきであるというもの。
畜産振興事業団では、留意を要するものとして、学校給食用牛乳供給補助事業が補助の
目的にかなうよう指導を行なうべきであるというものをそれぞれ掲げてございます。
以上をもって
説明を終わります。