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1968-05-08 第58回国会 参議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年五月八日(水曜日) 午前十一時九分開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
伊藤
五郎
君 理 事 増原
恵吉
君
山本茂一郎
君
岡田
宗司
君 黒柳 明君 委 員 井川 伊平君 内田 芳郎君 大谷 贇雄君 北畠
教真
君 平泉 渉君 安井 謙君 川村 清一君 春日 正一君
国務大臣
国 務 大 臣
田中
龍夫
君
政府委員
総理府特別地域
連絡局長
山野
幸吉
君
総理府特別地域
連絡局参事官
加藤
泰守
君
事務局側
常任委員会専門
員 瓜生
復男
君
説明員
大蔵省理財局資
金課長
大蔵 公雄君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
小笠原諸島
の
復帰
に伴う
法令
の
適用
の
暫定措置
等に関する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
沖繩地域
における
産業
の
振興開発等
のための琉
球政府
に対する
資金
の貸
付け
に関する
特別措置
法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
伊藤五郎
1
○
委員長
(
伊藤五郎
君) ただいまから
沖繩及び北方問題等
に関する
特別委員会
を開会いたします。
小笠原諸島
の
復帰
に伴う
法令
の
適用
の
暫定措置等
に関する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
政府
から
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
田中総理府総務長官
。
田中龍夫
2
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) ただいま
議題
と相なりました
小笠原諸島
の
復帰
に伴う
法令
の
適用
の
暫定措置等
に関する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
概要
を御
説明
いたします。 この
法律案
は、
南方諸島
及びその他の
諸島
に関する
日本国
と
アメリカ
合衆国との間の
協定
に基づく
小笠原諸島
の
復帰
に伴い、
法令
の
適用
についての
暫定措置
を定めますとともに、
小笠原諸島
の旧
島民
及び現
島民
の
小笠原諸島
における
権利
または
利益
の
保護
並びにこれらの者の
生活
の安定をはかるため特別の
措置
を講じ、あわせて
小笠原諸島
をその
区域
とする村の
設置
及び
現地
における
行政機関
の
設置等
について所要の事項を定め
よう
とするものであります。 以下、この
法律案
の
概要
につきまして申し述べます。 まず第一に、
小笠原諸島
が二十余年にわたり無人島に近い
状態
で放置されていたことにかんがみ、国及び
地方公共団体
は、その
責務
として旧
島民
の帰島及び
生活
の再建並びに現
島民
の
生活
の安定に配慮すべき旨を定めております。 第二に、現
島民
に対する
措置
といたしましては、まず、
建物等
の
敷地
として
他人
の
土地
を使用している現
島民
の居住の安定をはかるため、
法律
上、その
所有者
がその
使用者
のために
賃借権
を
設定
することとし、次に、現
島民
で
漁業
を営むものの
利益
を
保護
するため、
小笠原諸島周辺海域
における
漁業
について操業を制限し、また、
合衆国軍隊
の
引き揚げ
による
離職者
の
生活
の安定、
就職促進等
をはかるため、
失業保険法
及び
駐留軍関係離職者等臨時措置法
の
規定
の
適用
について
政令
で特別の定めをすることができることといたしております。 第三に、旧
島民
に対する
措置
といたしましては、まず、
本土
引き揚げ
当時存在していた
耕作
に関する
権利
を
保護
するための
措置
をとることといたしておりますが、
耕作
に関する
権利
がこの
法律
の
施行
後一年を経過する日までに消滅している場合には、
一定期間
内に申し出ることによって
賃貸借契約
を締結させることとし、また、旧
島民
で
漁業
を営んでいたものの
利益
を
保護
するため、現
島民
と同様の扱いをすることといたしております。 第四に、
小笠原諸島
における
行政組織
につきましては、まず、
小笠原諸島
を
区域
とする
地方公共団体
として
小笠原
村を
設置
し、また、
現地
における国の
行政機関
としては、
小笠原総合事務所
を
設置
することといたしております。 以上のほか、
小笠原諸島
の
復興
につきまして別に
復興法
を定めること、
復興
の計画的、かつ、円滑な
推進
をはかるため、
一定期間
、特定の場合を除き、容易に原状に回復することができない
土地
の
形質
の
変更
、
工作物
の
新築等
を認めないこと、その他、公職の
選挙
及び
最高裁判所裁判官
の
国民審査
に関する
暫定措置
の
政令
への委任、旧
鉱業権者
に対する旧鉱区にかかる
鉱業権
の
出願
の
優先的取り扱い等
について
規定
いたしております。 なお、この
法律
の
施行期日
は、
小笠原諸島
の
返還
の
協定発効
の日といたしております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及びその
概要
であります。何とぞ、慎重御
審査
のうえ、すみやかに御可決あらんことをひとえにお願いいたします。
伊藤五郎
3
○
委員長
(
伊藤五郎
君) 引き続き
補足説明
を聴取いたします。
加藤参事官
。
加藤泰守
4
○
政府委員
(
加藤泰守
君) この
暫定措置法案
の
内容
について
補足説明
させていただきます。 その
内容
に
関係
がございますので、
戦前
の
小笠原諸島
のざっとした
説明
と、それから、現在の
小笠原諸島
の
状態等
にちょっと触れまして、それから
法案
の
説明
をいたしたいと思います。
戦前
の
小笠原諸島
は、総
面積
一〇四・一三平方キロ
メーター
、
うち国有地
が七九・六九平方キロ
メーター
、それから
民有地
が二四・四三平方キロ
メーター
ということでございまして、総
面積
の
うち
七七%が
国有地
と、こういうことになっております。これを
島別
に見ますと、
父島
におきましては
国有地
は七五%、
母島
におきましては六六%、
硫黄
島におきましても大体六六%、その他が八八%ということでございます。
小笠原諸島
におきましては
農業
が相当盛んでございましたが、その
関係
で、
耕地面積
について申し上げますと、
父島
におきましては
耕地面積
は二七四ヘクタールでございますので、二・七四平方キロ
メーター
、この
うち
小作
になっておりましたのが八〇%でございます。
母島
におきましては四四一ヘクタール、すなわち四・四一平方キロ
メーター
、この
うち
六〇%が
小作
でございました。
硫黄
島におきましては、三四三ヘクタール、したがって、三・四三平方キロ
メーター
、
うち
九六%が
小作
でございました。
合計
いたしまして一〇・五平方キロ
メーター
、その
うち
七六%が
小作
であった、こういうことになります。 次に
人口
について申し上げますと、
人口
は、
父島
におきまして四千三百四十八人、
世帯数
で七百九十九
世帯
、
母島
におきまして二千百九人、
世帯数
で三百四十一、
硫黄
島は千百六十四人、
世帯数
で二百十六、北
硫黄
島が九十人で
世帯
が十七、
合計
七千七百十一人で、
世帯数
は千三百七十三という
状態
でございます。これを
職業別
に見ますと、
農業関係
、これが三百七十
世帯
、
漁業
が百七十一
世帯
、商業が八十一
世帯
、
加工業
が四十一
世帯
、
勤労者
五百七十
世帯
、その他が百三十三
世帯
、無職七
世帯
、
合計
千三百七十三
世帯
、こういうことでございます。この
うち
農家の
小作関係
を見ますと、全体といたしまして大体八割ぐらいが
小作
あるいは小自作と、こういう
関係
になっておりました。 次に
行政組織
でございますが、村の
組織
は、
父島
に大村と扇村
袋沢村——
これは一つの村ですが
——
この二カ村。
母島
に沖村と北村の二カ村。
硫黄
島が
硫黄
島村。
合計五つ
の村がございましたが、これは
昭和
十五年四月一日から
町村制
による村になったわけでございまして、それから
引き揚げ
まで
——
十九年にほとんど
引き揚げ
ておりますので、約四カ年
程度
村の
行政
が行なわれていたわけでございます。その他、
町村制
が
施行
されていなかったところは都の
小笠原支庁
の直轄ということになっておりました。都の
行政組織
といたしましては、いま申し上げました
よう
に、
小笠原
に
支庁
が設けられております。国の
行政機関
といたしましては、警察、郵便、営林、税務、専売、気象それから
裁判所等
が
設置
されていたわけでございます。 以上の
よう
な
戦前
における
状態
でございましたが、これが
昭和
十九年四月からほとんど
本土
に
引き揚げ
る、こういうことになりましたので、現在の
状況
は、
政府調査団
の
報告
によりますと、
父島
の一部を除きましてほとんど
ジャングル化
しておるということでございます。特に
母島
は完全に
ジャングル化
、密林化している
よう
でございます。
硫黄
島は、現在
米軍施設
がございますので、一部利用されておりますが、その他は大体原野化しておるということでございます。
父島
には、
日本国籍
を有する
住民
が現在百七十四名住んでおります。この百七十四名は、
昭和
二十一年に
本土
から向こうに帰島した
方々——
百二十九名の方が帰島されましたが、そのままふえまして、籍のある人は二百十八名、
うち
現在住んでいる方が百七十四名ということで、四十四
世帯
を構成しております。その家屋は
米軍
の払い下げの資材によってつくられたもので、その
敷地関係
は、官有、
公有地
が十八戸、自己または
親族
の
所有
が九戸、
民有
その他の
他人
の
所有
に属するものが十戸、
所有者
の不明のものが五戸、
合計
四十二戸。四十四
世帯
が四十二戸の家に住んでいるわけでございます。 それから
雇用関係
。この
方々
は
米軍
の
雇用
になっておるのは五十七名でございます。なお、
漁業
を営んでおる者が十五名おります。 それから、
住民
の
住居条件
は、
水道
は
米軍施設
、
電気
も
米軍施設
でございますが、ともに
米軍
の供給によって
生活
をしているわけでございます。 それから、この
住民
には、現在
米軍
の
施政下
にありまして、
自治組織
が設けられております。通称「五人
委員会
」といっておりますが、
司令官
の監督のもとに限られた範囲の
自治
が認められております。毎年六月十日に
予備選挙
を行ない十名の
候補者
を選んで、さらに六月二十日に本
選挙
を行なって五人を選び、五人
委員会
を構成する、こういうことになっております。
選挙権
、被
選挙権
は、ともに十八歳以上ということになっております。 これらの
住民
に
関係
します
法令
はどういうものがあるかという点について申し上げますと、六四年の九月二十五日付の
軍施政長官布告
というのがございまして、これがまあ現在の
布告
でございますが、それの別添といたしまして、
小笠原
・
火山諸島
及び
南鳥島司法
及び
刑法典
というものがございます。この
内容
は、
裁判所関係
、それから
刑法法規
でございます。この
布告
に根拠を持ちますものとして、しかも、現
島民
が
自治権
の行使として制定しておりますものに
小笠原諸島布令
といわれるものがございます。この
内容
は、
野生生物
の
保護
あるいは
衛生保全
、それから
所得税
の
関係
、
労働法規関係
、
刑罰法規
という
内容
でございます。この二つの
法典
といいますか、というものが、
小笠原諸島
に現在
施行
されているものでございまして、したがって、私法上の
財産関係
を
内容
とする
法令
というものは、
米軍
の
布告
、
布令
その他の
法令
によって制定したという事実がございません。したがって、いわゆる
親族関係
とかあるいは
財産関係
はどうなるのかということが問題になろうかと思いますが、
親族関係
は、これは
日本人
でございますので、
日本法規
の
適用
問題は当然考えられるわけでございますが、
財産関係
では必ずしもすぐに
日本
法令
というわけにはまいらぬかと思います。ただ、
日本人
であり、しかも、
戦前
は
日本
の
法令
のもとで
生活
していた
方々
でございますので、その
法意識
というものは
本土法
の
内容
とほとんど同じであるというふうに考えられます。したがって、
日本
の民法の
内容
が慣習法的なものとして認められていたというふうに考えていいかと思います。以上が現在の
小笠原
の
状況
でございます。 以上のことを
前提
といたしまして
暫定法案
の
補足説明
をさしていただきたいと思いますが、この
暫定法案
は、本則が三十九条、
附則
が七条、
合計
四十六条で構成されておりますが、これを
奄美群島
の
返還
の際の
暫定法規
と比較してみますと、
奄美群島
の場合は全体で十カ条、実質的な
内容
といたしましては、
現行法令
の
停止
が一カ条、
経過措置
一カ条、
選挙
の
特例
が一カ条、
行政組織関係
が二カ条、
裁判所関係
が二カ条それから
裁判手続
の
経過措置
一カ条、
補助金
の
特例
一カ条という
内容
でございまして、ほとんどが
経過措置
的なものであったというふうに言えると思います。 しかし、
小笠原返還
に伴う
暫定措置法案
におきましては、先ほど申し上げました
よう
に、
戦前
と
現況
が非常に差がございます。
奄美大島
の場合は、何といいましても二十万の人がそのままそこに住んでいたわけで、
社会秩序
もそのまま存続していたわけでございますが、
小笠原
におきましては、先ほど申し上げました
よう
なことで、この二十年間ほとんど放置されていた
状態
でございますので、いろいろ問題が多いと考えます。そこで、
法案
におきましては、第二条におきまして「国及び
地方公共団体
の
責務
」として、旧
島民
の帰島、それから現
島民
の
生活
の安定をはかること、そういうことを国及び
地方公共団体
の
責務
として掲げておるわけでございます。 この
法案
の第二章におきましては六カ条ございますが、これが各
法令
の
適用
をそのまま
適用
したのではいろいろ問題が生じますので、
特例
を設けていきたいという章でございます。
選挙
の
特例
、
国民年金法
の
適用
についての
特例
、
労災
、
失保
の
特例
、
離職者
の
特例
と、それから
農地法
の
施行停止
、これが具体的に
法令
の上がっているものでございますが、
選挙
が、現在
戸籍等
も整備しておりませんので、いろいろ
選挙人名簿
の
作製等
について
特例
が必要であろうと思います。また、
参議院選挙
が近いので、そういう
よう
な点にどういう
特例
を求めるか、これは
法律
が成立した段階で考えなければならない問題だと思います。
国民年金
、
労災
、
失保
それから
離職者
の
措置
についての
法律
の
関係
は、まあ
国民年金
はそのまま
適用
されるわけですが、ただその場合に、
期間計算等
において不利がない
よう
に考えていきたいというふうに思っております。
労災
、
失保
それから
離職者
の
関係
は、これは
法律そのもの
が
適用
されましても、いままでの
失業
あるいは
労災
あるいは
離職
という
関係
がこれらの
法律
にそのままなるというわけにもまいりませんので、そういう点も考慮してこれらの
法律
が
適用
される
よう
に
特例
を設けていきたいと考えておるわけです。
農地法
の
施行停止
につきましては、現在、先ほど申し上げました
よう
なふうに二十年間も放置されていた
関係
で、
現況
がほとんど
農地
でございません。したがって、現在の
農地法
はそのままでは
適用
されないわけでございますが、今後帰島された方が再墾いたしますれば、そのままでいきますと、
農地法
の
適用
がされてくるわけでございます。ただ、この
法案
におきまして特別の
措置
を考えまして、
一定期間
内はこの
法案
の
規定
によって
農地法
によって考えている
よう
な
耕作権
の
保護等
をはかっていきたい、そして
一定
の
期間経過
後はこれを
適用
していく、そういうふうにしたいと思っております。第八条におきましてその他の
法令
で必要な
暫定措置
を考えるということでございます。 それから第三章は「
権利
の
調整等
」という章でございますが、先ほど申し上げました
よう
に、現在住んでおられる百七十四名の
方々
の
敷地
の問題、
返還
と同時に無権原ということになっては困りますので、そういう点について
賃借権
の
設定
を考えるということでございます。また、
水力発電施設
あるいは
水道関係
の
施設
がございますので、その
関係
の
使用権設定
、それから
昭和
十九年に
引き揚げ
後は
現況
がほとんど
農地
でなくなっておりますので、その
引き揚げ
の時点において
耕作権
を持っていた
方々
につきましては、何らかの形で
保護
をはかっていきたいということ、それから
漁業
の規制、これはいままでほとんど
漁業
が大々的に行なわれていなかった
小笠原
が、急に
返還
と同時に
本土
の
漁業関係者
の方に乱獲されるということのない
よう
に、
一定
の基準で制限していきたい。特に現
島民
及び旧
島民
の
方々
が帰って
漁業
を営み得る
よう
に改良していきたいということでございます。
鉱業権
の問題も、昔あった
鉱業権者
に優先的に
出願
を認め
よう
、こういうことでございます。 それから
行政組織
にいたしましては、村を、従来五カ村あったのを今回はさしあたって一カ村として
設置
していきたい。これは現在
住民
が住んでおりますのは
父島
だけでございますので、全体含めて一カ村でございますが、そういう
状態
を一応
前提
として一カ村としたわけでございます。ただ、新しい村の
執行機関
あるいは
議決機関等
は直ちに
選挙
できませんので、それについても
特例
を認めていきたいと思います。 それから国の
行政組織
はやはり国が責任を持って
復興事業
を
推進
していかなければならぬので、
いろいろ国
の
事務
を行なうための総合的な
組織
を考えていきたいと思います。都の昔ありました
支庁
の
関係
につきましては、特にこの
法律
ではうたっておりませんが、これは東京都が
地方自治法
に基づいて考えてしかるべきものと思います。 それから雑則におきましては、現
島民
及びこれから帰島する
島民
の
就職
の
問題等
を十分考えなければなりませんので、
行政機関
はできるだけ
住民
の採用をはかっていく。それから、
住民
の
生活
の安定のために国、
地方公共団体
が
設置
する
施設
を供用する道を開く。あるいは
補助金
の
特例
、あるいは
住民
の
生活
安定のための
国有財産
の譲与、
貸し付け等
、また緊急に必要な場合もございますので、特に短期間に限りまして簡易な
手続
で
緊急使用
ができる道を開く。また
復興
の計画的な円滑な
推進
をはかる必要がございますので、当分の間、
土地
の
形質変更
の制限をしていきたいという
よう
な条項が入っております。なお、
復興法
の制定も特にうたっております。以上の
実体規定
の
関係
で罰則を特に三カ条設けております。 それから、
附則
において
裁判所
の管轄の
関係
を明らかにいたしております。 以上が本
法律案
の
内容
でございます。
伊藤五郎
5
○
委員長
(
伊藤五郎
君) 本案に対する
質疑
はこれを後日に譲り、本日は一応この
程度
といたします。
—————————————
伊藤五郎
6
○
委員長
(
伊藤五郎
君)
沖繩地域
における
産業
の
振興開発等
のための
琉球政府
に対する
資金
の貸
付け
に関する
特別措置法案
を
議題
といたします。
質疑
のある方は、順次御発言を願います。
岡田宗司
7
○
岡田宗司
君 この
琉球政府
に対する
資金
の
貸し付け
に関する問題と離れて、現在
米軍政府
のもとに
琉球開発金融公社
というのがある。これが従来
資金
の
貸し付け等
を行なってきたわけですが、ちょっとこれの現在の
状況
がどうなっておるか、それをお伺いしたい。
田中龍夫
8
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) この
開発金融公社
でございますが、これは御
案内
のとおりに、
米側
におきましてつくりまして……現在の
貸し出し状況
やなんか詳しく申し上げますか。
岡田宗司
9
○
岡田宗司
君 そうですね、概略ひとつ。
田中龍夫
10
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) これは
機関
といたしましては、御
案内
のとおりに、
米側
の
機関
でございます。われわれといたしましては、その
現状
の詳しいことは、
担当局長
が参りましたのでそちらから申し上げますが、方針といたしましては、これを
琉球政府
のほうに移管をしてもらいたいという
日本側
の希望を述べております。また、一本化のためにも、ぜひさ
よう
にいたしたい。ことに
財政投融資
等々の今回の
措置
にかんがみましても、さ
よう
なことが必要である、か
よう
に考えておる次第でございます。 それでは、
担当
の
局長
が参りましたから、この
開発金融公社
につきましての詳細な
現状
の御
報告
をまずいたさせます。
山野幸吉
11
○
政府委員
(
山野幸吉
君)
琉球開発金融公社
は一九五九年に
布令
でできました
機関
でございますが、現在
資金
は百五十八億円でございます。ただ、最近におきまして非常に
資金
の
増強
がはかられておりませんので、
新規融資
の金額が非常に少なくなってまいりまして、昨年度におきましては大体二十億前後の
余裕金
しかないということであります。で、従来、この
公社
は
住宅資金
、それから
農林漁業
、あるいは
観光事業
その他の
中小企業
を
中心
に
融資
してまいりましたが、この二、三年前までは六十億
程度
の
資金
がございましたけれ
ども
、昨年は二十億
程度
の
資金
しかございませんので、したがいまして、その
融資
の対象もきわめて制約された
現状
になっておるわけでございます。
岡田宗司
12
○
岡田宗司
君 これは、どうしてそういうふうに六十億ほどあった
資金
が二十億に減ったんですか。
山野幸吉
13
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 従来は
米側
から
資金
の
新規増額等
が行なわれておったわけでございます。ところが、ここ三年ぐらい前からそういう
新規資金
の
増強
が行なわれないという
よう
なことによりまして、だんだん
新規
の
貸し付け資金
が不足してきたという
状況
になっております。
岡田宗司
14
○
岡田宗司
君 なぜ、その
新規資金
を
アメリカ
が出さなくなったのか。それからまた、その
資金
はいままでどこから出てたのかですね。そして、なぜそれが出されなくなったのか、そのことをお伺いしたいんですがね。
山野幸吉
15
○
政府委員
(
山野幸吉
君) この
資金
のおもなるものは
余剰農産物
の
ガリオア資金
と申しますか、そういう
資金
の、いわゆる
余剰農産物
の
売り上げ代金
を
中心
にした
資金
でございます。それと、このすでに
貸し付け
ました
資金
の
償還金
とが
中心
になっておるわけでございますが、そういう
資金
におきまして、
新規
のそういう
資金投入
がもうなくなってきたというのが
実情
でございます。
岡田宗司
16
○
岡田宗司
君 その
資金
がなくなったというんだが、それは
余剰農産物
を
アメリカ側
がもう
沖繩
に出さなくなったと、こういうことですか。
山野幸吉
17
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 従来、一九五〇年以降
米民政府
のいわゆる
出資額
としまして毎年度二百万
ドル
から百万
ドル
、多いときには三百万
ドル
程度
、一九六三年まで
出資
があったわけでございます。ところが、一九六三年で申しますと二百万
ドル
出資
があったわけでございますが、一九六四年以降その
新規出資
がない。で、
利益剰余金等
でまかなってきた
関係
で、だんだん
新規融資分
の原資が少なくなってきたというのが
実情
でございます。
岡田宗司
18
○
岡田宗司
君 その
米民政府
が
出資
しなくなった
理由
ですね、これは
ドル
の
節約
によるものですか。
山野幸吉
19
○
政府委員
(
山野幸吉
君) これは一九六四年からでございますから、特に
ドル危機
の問題なり、そういう問題ではございませんで、むしろ、
沖繩
におけるそのほかの直接
投資
をしなくちゃいかん部分がふえてきた。たとえば
水道
でございますとか、あるいは
電気
でございますとか、その他の
関係
の
投資
がふえた影響ではないかと、私
どもはさよう
に考えております。
岡田宗司
20
○
岡田宗司
君 これは
ドル危機
には直接
関係
はないでしょうけれ
ども
、その前から
アメリカ側
が海外で使う
ドル
の
節約
をやっていた。そういうことと関連があって、つまり、
沖繩
の民生のために使う金はしぼっていく、しかし、
水道
であるとか、あるいは電力であるとか、つまり、
発電
とか、こういう、
アメリカ
の
沖繩
に行っておる軍の需要に
関係
のあるもののほうへ金を回わす。こういう政策のためではないですか。
山野幸吉
21
○
政府委員
(
山野幸吉
君) その詳しい
内容
は私
ども
ははっきりはっかんでおりませんけれ
ども
、しかし、全体として最近の
資金
が四千八百万
ドル
前後になったわけでございまして、したがいまして、その
うち
出資
した額が二千六百万
ドル
前後になっておるわけでございます。したがいまして、そういう体制で一応安定さしていきたいという気持ちがあったことと、それから、まあここ二、三年来、実は
開発金融公社
で公債を発行する、最近その結論が大体出た
よう
でございますが、そういう動きもございましたので、この
新規出資
をやめたという
よう
なことに関連しておるのではないかと私は考えております。
岡田宗司
22
○
岡田宗司
君
余剰農産物
の
売り上げ代金
は相当ここに入っているわけですね。この分はどうなんですか。
山野幸吉
23
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 現在は入れておりません。
岡田宗司
24
○
岡田宗司
君 そうすると、つまり、
余剰農産物
はもう
沖繩
へ来てないのか、あるいは、来ていてもその
代金
はすぐに
アメリカ
に払われてしまっているのか、そこはどうですか。
山野幸吉
25
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 現在は
余剰農産物
の
売り上げ代金
は、公法四八〇号というのに基づく
開発金融公社
が
米側
から委託を受けて、公法四八〇号に基づく
貸し付け
金として運用しておる、したがって、
開発金融公社
の一般
資金
の中へ入ってこない、こういうことになっておる
よう
でございます。
岡田宗司
26
○
岡田宗司
君 それは別個に融通はされておるのですか。
融資
されておるのですか。
山野幸吉
27
○
政府委員
(
山野幸吉
君) そのとおりでございます。
岡田宗司
28
○
岡田宗司
君 それは従来総額でどのくらいになっておりますか。
山野幸吉
29
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 一九六七年六月三十日現在におきまして七百八十万三千
ドル
でございます。
岡田宗司
30
○
岡田宗司
君 つまり、
琉球開発金融公社
の仕事は、
資金
量が非常に減ったために縮小された、こういうことになっているわけで、まあ、
米軍政府
でも、縮小されたものであるならば、
琉球政府
側に委譲してもよろしい、こういうことになってきているのですかね、その点どうなんです。
山野幸吉
31
○
政府委員
(
山野幸吉
君) まあ私
ども
は、委託されたそういう、いま申しました四八〇号の
貸し付け
金の問題もありますから、全体といたしましては、
米民政府
で管理してきた体制を続けたいという気持ちは依然としてあると思います。しかし、過般の日米琉諮問
委員会
で
琉球政府
側から特にこの移管の問題を強く
議題
にして、移管を検討してもらいたいという申し出があって、そこで、それではひとつ
本土
の民間の金融の専門家を長とした調査団に
沖繩
へ来てもらって、長くても半年の
うち
に結論を出して、その結論でこの移管問題をきめ
よう
ということに民
政府
のほうで踏み切られた、こういうぐあいに考えておるのでありまして、特にこの原資から言っても、非常に
新規
投資
も少なくなったからこの際移管してもいいという
よう
な事態とは、ちょっと多少違うと思うわけでございます。
岡田宗司
32
○
岡田宗司
君 それは外からの見方だからなにですけれ
ども
、日米琉諮問
委員会
で
琉球政府
側の代表が出したこの問題が取り上げられたということは、大体
アメリカ側
でもこの
機関
を
琉球政府
側に委譲してもよろしいという考え方からだと、そう推定していいでしょうか。
山野幸吉
33
○
政府委員
(
山野幸吉
君) この
開発金融公社
の移管問題は、先生御
案内
の
よう
に、ここ数年来の日琉双方の強い願望であったわけでありまして、実は私
ども
今度の二十八億円を出すにつきましても、できれば移管してもらって新しい
機関
をつくってということを考えていたわけでございます。そういう中で、
日本
政府
のほうも、そういう
開発金融公社
の移管問題も
議題
にしたいということも発言しておったわけでございますが、この機会にそれじゃひとつ調査をしてその結論で考え
よう
というその裏には、やはりそういうことも含めて
米側
としては考えておられる
よう
に考えるのであります。
岡田宗司
34
○
岡田宗司
君 その調査団は構成がすでにきまったのですか、もう
政府
のほうから委嘱したのですか。
山野幸吉
35
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 諮問
委員会
で勧告がなされまして、高瀬代表のほうから
日本
政府
のほうへそういう話がございましたが、実はその団長に予定されておる人がいま海外旅行中でございまして、九日か十日ころにお帰りになる
よう
に聞いておりますので、そのあとで、
政府
側としては御当人にお会いしてよくお話ししてからきめていきたいと、か
よう
に考えております。
岡田宗司
36
○
岡田宗司
君 そうすると、この移管問題は、ことしのつまり
琉球政府
の
新規
の予算年度からは間に合わないわけですね。
山野幸吉
37
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 今度の予算
——
新会計年度には間に合いません。
岡田宗司
38
○
岡田宗司
君 そうすると、今回
日本側
から
融資
をする金はこの新しい金融
機関
を通じてではなくて、従来の金融
機関
を通じて、たとえば
農林漁業
中央金庫ですか、あるいは大衆金融公庫ですか、ああいうものを通じて流されることになるのですか。
山野幸吉
39
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 御指摘のとおりでございまして、さしあたりは
琉球政府
の産投会計に入れまして、産投会計から特別会計を通じまして大衆金融公庫に、その
産業
開発
資金
は大衆金融公庫を通じて貸し出す。大衆金融公庫は、
本土
で申しますと、国民金融公庫と
中小企業
金融公庫の機能を兼ねておりますので、それの
法律
を、立法を改正してもらいまして、大衆金融公庫が取り扱っていくということになろうかと思うわけであります。
岡田宗司
40
○
岡田宗司
君 あれですね、
沖繩
においてはあまり大きな企業はないわけですが、
農林漁業
方面に対する
融資
というものと、それからいま言った
よう
な
中小企業
、零細企業に対する
融資
と二本立てになるわけですね。その片っ方の
農林漁業
に対するほうの
融資
については、いま
琉球政府
はどういう方法をもってやっておられるか。その
資金
量は十分なのか。十分でないとすれば、
日本側
はこれをどうめんどうを見るのか、あるいは
琉球政府
はその
資金
をどういうふうにして調達するのか、そこはどうですか。
山野幸吉
41
○
政府委員
(
山野幸吉
君)
農林漁業
中央金庫は一九五二年、
昭和
二十七年に設立されたわけでございますが、大体この
沖繩
の農林団体全体を通じまして
本土
の場合と比較しますと、非常に基礎が脆弱でございまして、したがいまして、
農業
の
中心
的な金融
機関
である
農林漁業
中央金庫の実力と申しますか、そういう
資金
内容
も、
本土
と比較しますときわめて見劣りがする。大体出
資金
の九割五分までは
政府
が
出資
しておりまして、一九六七年末で三十六億円でございます。払い込み済みの資本金が三十六億円でございます。
貸し付け
残高は六十一億でございまして、もちろん中金の
よう
な系統金融の仕事もやっておりますが、この
政府
出
資金
を
中心
にしまして
農林漁業
金融公庫の
よう
な長期金融も扱っております。そういう面で、
農林漁業
の経営の合理化等にある
程度
貢献しておるわけでございますが、まあ全体としましては、この傘下における農林
関係
諸団体の力も貧弱でございますし、それから農林業、
漁業
そのものの
産業
の実態と申しますか、そういうものもそうあんまり活発ではない。そういうことから、その機能にはおのずから限界がございますが、現在は
農林漁業
振興のための
中心
的な役割を果たしておるわけでございます。
岡田宗司
42
○
岡田宗司
君 これに対しては、今度
日本側
からの
融資
といいますかね、それは行なわれないんですか。
山野幸吉
43
○
政府委員
(
山野幸吉
君)
農林漁業
中央金庫に対しましては
出資
が一億七千万、これは援助費の中で全くの
出資
でございます。それから
産業
開発関連
資金
から、二億七千万円が
農林漁業
に行くことになっております。
岡田宗司
44
○
岡田宗司
君
沖繩
の
よう
に第一次
産業
に依存しておる
よう
なところで、しかも基盤が非常に貧弱なこういうところは、やはりもっと
融資
すべきじゃないんでしょうかね。今度は大衆金融公庫を通じてこれは主として中小零細企業に
貸し付け
る。これは
資金
の需要が非常に大きいのでそういう
措置
をとられたんだと思うけれ
ども
、いまあなたの
説明
では、どうも
農林漁業
中央金庫に対する一
融資
の額が小さいです。
沖繩
の
産業
の
現状
から見ると、このほうも振興にもっとやはり
融資
をすべきじゃないかと思いますが、どうでしょう。
山野幸吉
45
○
政府委員
(
山野幸吉
君)
沖繩
の
農林漁業
の活動の実態の問題とも関連するわけでございますが、全体の
農林漁業
中央金庫の
資金
を申し上げますと、六十六億五千八百万が全体でございまして、その
うち
、いわゆる
貸し付け
金の回収が……
岡田宗司
46
○
岡田宗司
君
ドル
で言ってくださいよ。向こうのやつはやっぱり
ドル
でないとね、ちょっと頭に来ないんだな。
山野幸吉
47
○
政府委員
(
山野幸吉
君) ちょっとここでは実は円で出ておりますが、二千万
ドル
まで行かないわけでございます。その
うち
五十七億が回収金になっています。そうしまして、財政、いわゆる産投会計からの
出資
が三億九千万、それから、いわゆる
資金
運用部の資し
付け
等で九億二千万、こういうことでございまして、全体の八割までは回収金でまかなっておるわけでございます。ただいま御指摘になりました今後の運営の
問題等
につきましては、ことしのひとつ運用の実績を見まして、私
ども
十分その
内容
についてあらためて検討もし対処をしていきたい、か
よう
に考えております。
岡田宗司
48
○
岡田宗司
君 私
ども
向こうへ行って見て、
沖繩
の
農業
、林業というのがあるかないかということは別として、林業、それから
漁業
、これが非常に貧弱なんですね。そして、近代化どころの騒ぎじゃないんです。しかし、
沖繩
における第一次
産業
というものがまだ
沖繩
の経済の重要な基礎になっている以上は、もっとこれのめんどうを見てやって、そうして旧態依然たるものを何とかもう少し近代化への道を歩ませる
よう
にしなければ、私は
沖繩
の経済全体をよくすることはできないと思う。そうすると、この面に対してもっと
政府
がやっぱり力をかしてやらなければならぬのじゃないか、こう考えるんで、やはりいろいろな施策が必要でしょうけれ
ども
、この金融の面においても十分に
政府
として力を入れるべきだ。今回のなにを見ておると、そういう面に力の入れ方が足りない
よう
に思うんですがね。それは注文ですから別にいまお答えいただかなくてもいいが、大臣の見解だけはお伺いしておきたいと思います。
田中龍夫
49
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) お話しの点につきましては、私も
現地
に参りまして全く同様に感じております。なおまた、こういうふうな
農林漁業
関係
の開発にあたりましても、一方におきましては、御
案内
のとおりの甘蔗糖の生産
状況
等もございまして、この面におきましてもやっぱりまだまだ改良しくふうしなければならぬ面が残っております。それからまた、畜力の導入とかなんとかという面におきましても、いろいろこれからの計画を考えましても、ただいま御高見がありましたその面につきましては全く同感でございまして、われわれもその方向に向かいまして今後施策をいたしたい、か
よう
に考えております。
岡田宗司
50
○
岡田宗司
君 次に、
琉球開発金融公社
ですね、これが今後
琉球政府
側のほうに移管される、こういうことになって、何か新しい公的な金融
機関
ができますね。で、おそらく、これを
琉球政府
側に委譲してくれと言う
琉球政府
でも新しい金融
機関
についての構想を持っておると思います。
日本側
でもそういう構想があろうかと思います。もちろん、調査団が行って、その調査団が公式の
報告
を諮問
委員会
に出すことになって、それを基礎にして新しいものがつくられるのでしょうが、しかし、それまでになおかつ、
琉球政府
側にしても、
日本
政府
側にしても、大体こういうものにしたらどうかという考え方は持っておるだろうと思います。それはどうなんでありますか。
山野幸吉
51
○
政府委員
(
山野幸吉
君) これは先ほどちょっと申し上げました
よう
に、大衆金融公庫がまず国民金融公庫と
中小企業
金融公庫の両方の役割りを持っております。したがいまして、おそらく、かりに将来
開発金融公社
が
琉球政府
に移管になった場合には、それを
中心
にしまして
産業
金融の
機関
としてどういう構想で整備するかという問題を検討する際には、当然大衆金融公庫との関連もまず考えなければならぬだろうと思うので、したがいまして、まあ
本土
で言いますれば
中小企業
の公庫とそれから開発銀行、
本土
にあります開発銀行の
よう
な機能、そういうものを大体合わした
よう
な機能にすることが考えられるわけでございます。しかし、ただいまのところまだ、こういうぐあいにしたい、こういう構想でいたしたいという
琉球政府
側の意見はまとまっておりませんし、したがいましてまた、
日本
政府
の側においても、まだそこまで具体的な構想がまとまっていないわけでございます。
岡田宗司
52
○
岡田宗司
君 大体、
農林漁業
中央金庫と、それから、いま言った
よう
な開発銀行と
中小企業
金融公庫ですか、これが合わさった
よう
な、要するに鉱工業向けのものと、それから小企業、零細企業向けのもの、三本立てという形になる、こう理解していいですか。
山野幸吉
53
○
政府委員
(
山野幸吉
君) ただいま御指摘になった
よう
なそういう考え方になろうかと思いますが、これもまだ確定したわけではございません。
岡田宗司
54
○
岡田宗司
君 それから、
琉球開発金融公社
に委託されている、その例の
余剰農産物
の売却
資金
、これはそのまま民
政府
のほうに残すのですか、それとも、それも一緒に移管されるのですか。
山野幸吉
55
○
政府委員
(
山野幸吉
君) この問題は、実はまだ私
ども
も、移管時における
余剰農産物
資金
の取り扱い等については深く検討をして態度をきめているわけではございません。一部聞くところによりますと、
琉球政府
の側としては、
余剰農産物
資金
で
開発金融公社
に
出資
されたものは
琉球政府
のものであるという
よう
なことを考えておられる
よう
でございますが、その
資金
の取り扱い等についてはまだ現在結論を出す段階になっておりません。したがいまして、専門的な調査団が行かれまして研究されまして、それについての開金のあり方についての方向が出される際には、おそらくその従来の
資金
の取り扱い等についてもいろいろ方針が示されるだろうと思います。その
よう
なことを考え、参考にしながら私
ども
も十分この問題を検討してまいりたいと考えております。
岡田宗司
56
○
岡田宗司
君 もしこの
余剰農産物
の
資金
の運用ですね、
余剰農産物
売却
代金
の運用ということが
米民政府
の手元に戻されて、せっかく
琉球政府
のほうに委譲されて、そうして三本立ての
機関
ができても、これがかなりいろんな面で乱される、そういう問題が起こると思うのですよ。だから私は、
米民政府
が
琉球政府
にこの
機関
を委譲するならば、この
余剰農産物
の
代金
の運用も、これはやはり一緒にそっちへ移さるべきもので、決して民
政府
に残しておくべきものではない、こういうふうに思うのですがね。その点は大臣はどうお考えになるか。
田中龍夫
57
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) お話しの点はよく私
ども
もわかるわけでございますけれ
ども
、ぜひその
よう
にやりたいと思いますが、なかなかその点は今後のいろいろ折衝もあろうかと存じます。今後の点につきましてまだ明確にお答えをいたしかねます。御意見の点は、基本的にはわれわれも同様に考えておる次第でございます。
岡田宗司
58
○
岡田宗司
君 これは、せっかくあなた方のほうで一体化する予定ならば、残しておかないほうがいいと思うので、それはもう遠慮なく、これはやはり一緒にこっちへ移してしまえという
よう
に交渉さるべきだと思うのですよ。そうしていただきたいと思います。 それから、これは直接
融資
の問題と
関係
ないのですけれ
ども
、民
政府
のもとに電力と
水道
が経営されていますね。あれは一体どうするのですか。あれがなかなか移管もむずかしい問題を含んでいると思うのですけれ
ども
、これを何とかしなければならないと思うのですが、これはどう考えておりますか。
山野幸吉
59
○
政府委員
(
山野幸吉
君) この琉球
公社
につきましても、基本的な考え方は、やはり
琉球政府
に移管すべきものということについては、
日本
政府
もさ
よう
に考えております。ただ、
現状
におきましては、いろいろ軍需民需との大体需用から見まして、水力は若干民需が多い
よう
でございますし、また、火力は若干軍需が多い
よう
になっておりますが、その使用の実態、それから、現実まで建設してきましたのはほとんど一〇〇%
米側
の力によって建設されてきたということもございますし、それから、将来の電力と
水道
の開発の計画という
よう
なものとも関連しまして、たとえば
水道
について申しますと、将来のダム構想から言うと、基地の中ではなくて、ほかへ
新規
のダムをつくる計画もございますし、そういう
よう
な時点になると、移管問題も相当現実より変わってくると思います。そういう、電力についても今後の工業の発展に伴ういろんな需給のバランスも変わってまいりますし、また、新しい電力事業をどういう形で興すかということも関連しまして、将来適当な時点にはぜひひとつ
琉球政府
のほうに移管してもらいたい、それからまた、
琉球政府
自体もその
よう
な考え方でおるわけでございます。
岡田宗司
60
○
岡田宗司
君 工業が発展していく。あるいは
人口
が増加していく。要するに、
沖繩
の経済が発展していくと、電力の需用というものがどんどんふえていくわけですね。新しい
発電
施設
をつくらなきゃならない。その
発電
施設
は、いまの軍側が独占的につくるということになっていきますと、これはとうてい
沖繩
における経済発展にマッチしたものでなく、依然として軍需第一ということになってしまうので、その面から
沖繩
の経済発展というものはチェックされていくと思うのですよ。現在
琉球政府
としては、いまの
米民政府
側の持っておる
機関
は別として、別個に
琉球政府
側で
発電
施設
をつくる、あるいは
水道
施設
をつくる、そういう計画があるのか、それに対して
アメリカ側
がそれを許すか、その点はどうなっておりますか。
山野幸吉
61
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 本島に関します限りは、非常に狭い地域でございますから、したがいまして、軍需、民需といって特に分けて
発電
をつくるということがはたして適当かどうか、そのこと自体も問題だと思いますが、
琉球政府
で現在民需だけにこの
公社
と離れてそういう計画を持っておる
よう
には私
ども
は聞いておりません。したがいまして、どうせ
琉球政府
に移管してもらうなら、軍需も民需も合わした現在の電力
公社
の持っておる全体を
琉球政府
に移してもらうというほうが私は妥当だろうと思っております。
岡田宗司
62
○
岡田宗司
君 私も、まあそれができて、そうして、
琉球政府
側でそれを経営していくということになれば一番いいと思うのですよ。ところが、いまのままでほっておくというと、どうも、
水道
にしても電力にしても、民需のほうは第二にされてしまう。そうして、
水道
なんか、片方は夏渇水して水の使用の制限をしておるにかかわらず、基地の中ではゴルフ場の芝生にどんどんスプリンクラーで水をまいておるという
よう
な事態があるわけでしょう。こういう
よう
なことは早くなくさなくてはならないわけですよ。だから、こういうことをいつまでも続けていたら、一体化もくそも何もあったものじゃないのです。
電気
でも同じだと思うのです。それを考えると、もし向こう側で手放さないということになれば、これはやはり、軍のほうは軍のほうでもっておやりなさい、しかし、
琉球政府
側としては人数の増加に伴ってこうしなきゃなりませんぞということぐらいでいかなきゃならぬわけじゃないですか。
日本
政府
としてもそれを援助してやっていくということが必要なんじゃないでしょうかね、どうですか。
山野幸吉
63
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 現在までのところ、実は
水道
にしましても、
電気
にしましても、建設計画が全体としてマスター・プランが立てられてきましたから、したがいまして、そういう特に
琉球政府
単独で民需のための建設計画をつくるということにはなっていないわけでございます。しかし、そうかと申しまして、いま御指摘になりました
よう
な点については私
ども
も十分理解できるわけでございますので、
琉球政府
のほうの意見を十分聞きまして、
日本
政府
としても
琉球政府
の考え方をひとつバックアップしていきたい。ただいまのところはそういう
よう
な動きがございませんが、将来の問題としては、場合によればそういう方向も考えられるかとも思うわけでございます。
岡田宗司
64
○
岡田宗司
君 これもこの
法案
と直接
関係
がないのですけれど、高等弁務官
資金
というのがありますね。高等弁務官が自分の使える金としていろいろ使っているわけですが、これはなかなか政治的な目的というか、政治的な意味を持った使用が行なわれているのですね。あんなことはもうこの際やめてもらっていいと思うのですが、どうですか。あれをやめさせる
提案
ぐらいしたらどんなものですか。諮問
委員会
を通じてそれを
提案
したらどうですか。
山野幸吉
65
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 高等弁務官
資金
につきましては、かねてから批判なりあるいは改善なりについて各方面からいろいろな意見のあることは御指摘のとおりでございますが、まあ実態から申しますと、最近はこの高等弁務官
資金
の中でも、たとえばいまお話に出ました
開発金融公社
とか、あるいは電力、
水道
公社
とか、そういうところへの建設
資金
等が相当
程度
出されておりまして、いわゆる一般的に御指摘になった
よう
な方向で出されておる
資金
は毎年漸減してまいっておるわけでございます。まあ、そういう
よう
なこともありまして、私
ども
としましては、いまの時点でこれを特に取り上げてどうこうという
よう
な気持ちはいまのところは考えていません。
岡田宗司
66
○
岡田宗司
君 あれは、自分も行ってみて聞いてみるとけしからぬのですね。非常に露骨です、とにかく。ある村の村長が簡易
水道
を引いてくれと、それでもって言いに行っても、その村長は革新糸だからそんなのはだめだと、こういうのですね。それから与党系のところへはそれを盛んに流す。自分も出てきて、その金を出す、
資金
をやるとか、そしていかにも与党の
選挙
政策を大いに促進する
よう
にやっているのですね。ああいうことは、私は幾ら
アメリカ
が施政権をあすこに持っているといっても、ずいぶん人をばかにしたやり方だと思うのです。大体ああいうことをやるというのは、よほど
沖繩
の人たちには
自治
能力がないのだというふうに見くびってやっているとしか思えない。だから率直に、ああいうことはおやめなさいというぐらいに総務長官言ったらどうかと思うんですが、どうでしょう。
田中龍夫
67
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) 御指摘の高等弁務官
資金
の使途やなんかにつきまして、私寡聞にしてあまりよく存じませなんだのでありますが、いまお話を承りまして、またいろいろと検討、研究させていただきます。
岡田宗司
68
○
岡田宗司
君 御存じにならないじゃ困るので、ああいうものが非常に
沖繩
の人たちに不愉快な感じを与えているんですね。
実情
は、
琉球政府
の諸君はあなたにそんなことは言わぬかもしれぬが、新聞社の人に聞いてごらんなさい、みんなそのやり方をよく知っていますから。あなたもひとつ、高等弁務官に会われたら、あんなやり方はおやめなさいぐらい言ったらいいと思うんですが、どうでしょう。
田中龍夫
69
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) ただいま申し上げました
よう
に、ひとつよく研究させていただきとうございます。
岡田宗司
70
○
岡田宗司
君 次にお伺いしたいのは、今後
資金
を毎年流していくということになると、やっぱりこれは向こうの長期計画、長期の経済
復興
計画一いいますか、経済開発計画というか、それと関庫があるわけですが、まあ、たとえばこれから五カ年ぐらいに毎年どれぐらいずつ内地から
資金
を流していくのか。そういう計画は
——
大体の計画ですね、これはお持ちになっているのかどうか。これは大蔵省のほうでおわかりなんでしょう。
山野幸吉
71
○
政府委員
(
山野幸吉
君) ただいま御指摘になりました、
沖繩
の経済開発についてのたとえば五カ年計画の
よう
なものがあって、それに基づいて
本土
政府
のほうから毎年計画的に金を出すという
よう
なことになっておればこれは理想的でございますが、現在のところ、
沖繩
の経済の長期計画につきましては、まだ米琉それから
日本
本土
政府
としましても検討中の段階でございまして、そういう長期的な計画を持っていないわけでございます。したがいまして、明年度の二十八億円の長期
資金
の計画にしましても、明年度
琉球政府
が想定しています
資金
計画に基づいて、それに従いまして
琉球政府
のほうでまかなえる長期
資金
とまかなえない部分とを区分けをしまして、その不足分に対して
日本
政府
が援助をしたというきわめて現実的なやり方をしておるわけでございまして、まあ将来は、近い将来は、ひとつ御指摘になりました
よう
な計画的な経済計画の
よう
なものに基づいて長期
資金
が策定されれば望ましいことだと、か
よう
に考えております。
岡田宗司
72
○
岡田宗司
君 まだ長期計画ができていないから、きちっとした計画を立てて
資金
を流せと言うことは無理かもしれない。しかしながら、こっち側だって、まあ毎年
沖繩
に対する財政支出というものはふえていっているわけですね。それで、まあ
沖繩
における経済の発展もずっと行なわれているわけです。
資金
の需要が増大するということは目に見えている。いま言った
よう
に、大衆金融公庫を通じて貸し出し額についてことしは重点を置いたわけでありますが、さっき言った
よう
に、
農林漁業
のほうに対する
融資
は
日本側
としては非常に少ない。しかし、これも増大しなければならない。こういうことになってきますと、来年度だってどうしてもふやさなければならぬということは言えるのじゃないですか。長いことは言わないけれ
ども
、来年はことしよりもふやさなければならないということだけは言えるんじゃないですか。どうですか。
山野幸吉
73
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 総理府の立場から申しますと、先生いまおっしゃいました
よう
な気持ちに近いと思いますが、
日本
政府
としましては、まだ来年度の計画について遺憾ながらはっきりと申し上げるわけにいかないわけでございます。ことしの運用の実態をよく見まして、御意見の趣旨も尊重しまして明年度の計画は立ててまいりたいと思います。
岡田宗司
74
○
岡田宗司
君 会計年度の食い違いですね、ことしの二十八億というのは、どうせことしの七月一日からの分でしょう。また来年の六月三十日までの分ですね。そうすると、
日本
政府
が来年度の予算で組む分については、その次の会計年度の分になるわけですね。たとえば、来年の四十四年度の予算、それは来年の七月一日から始まる
琉球政府
の予算に組み入れられることになるわけでしょう。そうすると、来年度の予算においてふえていく分を組み込まないと、向こうのつまり経済の発展に追っつけないということになる。向こうの会計年度がまだ始まらない
うち
に出さなきゃならぬでしょう。そうすると、向こうの会計年度でちゃんと予算がきまってからこちら側がそれに応ずるのでなく、それより前にこっちで見込みをつけてふやしてやらなければならぬという問題が起こるのじゃないですか。
山野幸吉
75
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 会計年度が三カ月ずれておりますので、この問題については将来根本的な検討を加えて、できるなら
日本
政府
の会計年度に合わしていく
よう
にしないといかんと思いますが、むろん、それまでの間は、いま御指摘になりました
よう
に、明年度の予算は三カ月後の七月からの予算ということになるのでございます。しかしながら、この会計年度が違っておりますが、私
ども
が策定しますたとえば百五十三億円という明年度の全体の計画で、明年の四月までことしの予算に計上する部分と、それから四月から六月までの部分とに去年から区分しておるわけでございます。したがいまして、全体としては、平年度化しますと十二カ月にわたって
資金
が向こうへ充当されることになります。いずれにしましても、前年度に、しかも明年の七月以降の
資金
需要に対して計画を組むということは非常にむずかしい点があるわけでございます。この点につきましては、
琉球政府
のほうで私
ども
の予算策定時までにできるだけ正確な見通しを立ててもらいまして、それに基づいて私
ども
が
本土
政府
の援助金なりあるいは
財政投融資
の融通額をきめていかなければいかぬ、こういうことでございます。
岡田宗司
76
○
岡田宗司
君 これ、大蔵省の理財局の資
金課長
さん来ておいでだから聞くのですが、
沖繩
に対する財政支出もどんどん出ておる。今度は
財政投融資
のほうもこれはおそらくそういう傾向を示すのじゃないかと思いますがね。来年度については本年度並みの増加のパーセンテージが見込めるものかどうか。ゼロということはないだろうと思うのですがね、どうでしょう。
大蔵公雄
77
○
説明員
(大蔵公雄君) ただいま先生から御指摘がございました
よう
に、本年度から
資金
運用部
資金
が、この
法律
をお認めいただければ、
沖繩
に対して
融資
をするということになるわけでございまして、御指摘の
よう
に、
沖繩
五カ年計画と申しますか、将来のはっきりした経済開発計画ができません段階におきまして
資金
運用部
資金
を融通するということは非常にだらしがないではないかという御意見もあるかとも思いますけれ
ども
、現在、少なくとも
現状
におきまして
沖繩
の
方々
が非常にお気の毒である、しかも、経済開発のための四十三年度におきまする融通
資金
が非常にショートしておる、こういうことを
前提
といたしましてこの
法律
を御審議いただくことによりまして、
日本
政府
として
沖繩
に対する
資金
を融通するということをおきめいただきたいと考えておるわけでございまして、私
ども
といたしましても、できるだけ早く
沖繩
の経済開発五カ年計画というものがやはり相当しっかりしたものができ上がりまして、それに伴いまして毎年毎年
日本
政府
として
沖繩
に対して出しまする金が確定をいたしますればそれにこしたことはないと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、経済開発の進展に伴いまして
資金
需要が徐々にふえていく、できるだけそれに即応して考えていきたいというふうには考えているわけでございます。ただし、現在の段階におきまして明年度どのくらいふやすつもりがあるかという
よう
な御質問でございましたら、私もはっきりしたお答えをいたしかねるわけでございますけれ
ども
、いずれにいたしましても、かかる
資金
運用部
資金
というものの融通を
日本
政府
といたしまして踏み切りました以上、それが有効に使われます
よう
に、
沖繩
の経済開発に対しできるだけ協力をするという姿勢で対処していきたいと考えております。
春日正一
78
○春日正一君 二十八億円ですか、財政
資金
を
投資
するわけですけれ
ども
、その渡し方ですね、これはどういう形になるわけですか。
山野幸吉
79
○
政府委員
(
山野幸吉
君)
日本
政府
のほうから向こうの
産業
投資
特別会計というところを通しまして、それぞれの、たとえば農林中金あるいは大衆金融公庫等への
資金
供給がなされるということでございます。
春日正一
80
○春日正一君 つまり、こういうことですか。
日本
政府
から直接に
琉球政府
の産投会計に入ると、それが今度は、いま言った
琉球開発金融公社
ですか、それにこう入ってくると、こういう経路をとるわけですか。
山野幸吉
81
○
政府委員
(
山野幸吉
君)
開発金融公社
へは行きません。これは
開発金融公社
の移管問題が片づきませんから、したがいまして、その分は向こうの大衆金融公庫という
琉球政府
が管理している金融
機関
に渡します。
春日正一
82
○春日正一君 そうすると、その使い道はどうなっておりますか。
山野幸吉
83
○
政府委員
(
山野幸吉
君) これは各金融
機関
につきまして、
琉球政府
側でそれぞれ業務方法書をつくっておりまして、その業務方法書に基づきまして、たとえば漁船建造でございますとか、あるいは
農業関係
の
資金
とか、あるいは観光その他
産業
資金
にそれぞれ供給されるわけでございます。もっぱら
琉球政府
で、各公庫でつくっておられます業務方法書、さらにはその公庫の立法、それぞれの
法律
に従って運用されるということでございます。
春日正一
84
○春日正一君 そうするとあれですか、二十八億入れてやって、そういう形で
琉球政府
がきめる、どこへどれだけ分配されて、どう使われるということははっきりしてないのですか。
山野幸吉
85
○
政府委員
(
山野幸吉
君) ですから、大衆金融公庫へ幾ら、あるいは
農林漁業
金融公庫へ幾ら、そういう大ワクは
日本
政府
のほうで、この協議
委員会
できまっておりまして、その中の
資金
をどう使うか、その各事業別のこまかい
資金
量は、これはそれぞれの公庫がきめていくということになろうかと思います。
春日正一
86
○春日正一君 そのわかっているところまで、
農林漁業
ですか、大衆金融公庫ですか、こういうものにどれだけという
よう
なことはわかっていますか。
山野幸吉
87
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 農林中金に対しましては二億七千万、それから漁船建造
資金
特別会計に一億、大衆金融公庫に九千万、
産業
開発特別会計、これは特別会計を通じて大衆金融公庫へ行く金でございます。
産業
開発特別会計へ十二億六千万、それから住宅建設特別会計に十億八千万でございます。
春日正一
88
○春日正一君 住宅のほうですね、そうすると、これは特別会計というのは
琉球政府
の特別会計になっておるわけですか。
山野幸吉
89
○
政府委員
(
山野幸吉
君) さ
よう
でございます。
春日正一
90
○春日正一君
沖繩
の住宅の事情ですね、これはどういうふうになっていますか。
山野幸吉
91
○
政府委員
(
山野幸吉
君) まあ、
沖繩
の住宅事情につきましては、実は
本土
以上に那覇市に集中する度合いが相当高いという
よう
な事情もございまして、住宅難
世帯
は
本土
の場合より相当多いわけでございます。一九六〇年に、
昭和
三十五年に調べた調査によりますと、全
沖繩
の住宅難
世帯
は五万四千
世帯
、住宅難の率が約二八%と
報告
されております。特にその場合、那覇市の住宅不足が非常に著しくて、約二万戸であるということがいわれております。これに対しまして
琉球政府
は鋭意住宅の整備をはかってまいっておりますが、現時点におきましてもまだ住宅不足
状況
は相当深刻であるというぐあいに考えられます。
春日正一
92
○春日正一君 住宅で一番困っている人、どういう人たちが困っていますか。
山野幸吉
93
○
政府委員
(
山野幸吉
君) その階層別には私も詳しくわかりませんが、一般的に申しまして、やはり低所得者階層の人が多いのじゃないかと思います。
春日正一
94
○春日正一君 今度の住宅建設に入れられる金はどのくらいでしたか、この中で。
山野幸吉
95
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 十億八千万の
資金
をもらまして大体約一千戸の
——
日本
住宅金融公庫で
貸し付け
て住宅を建てさせておりますが一あれと大体同じ
よう
な方式で約一千戸を建設したい。このほかに、実は公営住宅の建設に対しまして約二百六十戸
程度
援助金で見ることになっております。
春日正一
96
○春日正一君 そこのところですね、低所得者が一番困っている。こういう人たちは、これは百万円借りて家建てて払ってということはなかなか困難です。
一定
の資産なり所得のある人は公庫から借りてこれは建てられますけれ
ども
、むしろ公庫から借りられない人が一番困っているし、一番解決してやらなければならぬ。そういう場合に、公営のほうにはたった二百六十戸、金借りて建てるほうは千戸というのは、これはおかしいじゃないですか。
山野幸吉
97
○
政府委員
(
山野幸吉
君) これは、いま申し上げましたのは、
日本
政府
の援助費に関連して申し上げたのですが、全体では
琉球政府
の明年度の建設計画は千八百二十戸でございます。公営住宅が五百二十戸でございます。それから、琉球
土地
住宅
公社
が三百戸ございまして、そのほかに千戸の長期
資金
による住宅建設があるわけでございます。
春日正一
98
○春日正一君 いまこれで意見聞くのは、これは
日本
の
本土
の場合でもそうですけれ
ども
、一番困っている人、そういう人たちは一番劣悪な住宅条件に住んでいるわけですね。大体、自分で頭金つくって金借りて返していけるという人は、まあまあ、困っているといっても、ある
程度
住宅らしいものに住んでいるという場合が多いのですが、しかし、東京の多くの場合を見ると、四畳半に何人、そういう人が非常に多い。だから、やはり
政府
が一体化ということで
沖繩
の県民の一番困っている問題にこたえて金を使うということにすれば、やはり公営住宅という
よう
なもの、一番困っている人々のためのものをたくさん出す
よう
にしなければならないのじゃないか。そういう点から見ると、このいま
説明
された二百六十戸あるいは
琉球政府
の千八百戸の中でも、公営は五百何十戸ですか、という
よう
な比率を見ると、これは逆になっておる。私はやはり公営住宅をたくさん建てて、自力で自分の気に入った家を建てたいという人には
融資
をしてあげるというたてまえにしてあげないと、ほんとうの住宅の要求にこたえるということにならないのじゃないか、そういうふうに私は考える。その点、長官どういうふうにお考えですか。
田中龍夫
99
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) これは春日先生のおっしゃるとおりでございますが、しかし、いまの計画は、これはわれわれのほうの
事務
当局と先方の
琉球政府
とのいろいろ打ち合わせでさ
よう
になっておると考えるのでございます。
琉球政府
自体どの
よう
な公営と一般との
関係
の需給
状況
にありますか、私、つまびらかでございませんが、その点、ひとつ、交渉にあたりました当局から、ちょっと詳しく申し上げさせます。
山野幸吉
100
○
政府委員
(
山野幸吉
君) まあ、公営住宅につきましても、実は
日本
政府
は
昭和
三十八年度ころから毎年度百内外のものを建ててまいっていまして、それで、特に一昨年でございましたか、宮古台風がありまして百九十戸の援助を行なったわけでございます。で、明年度は、
琉球政府
のほうも、いま申しました五百数十戸をぜひ建設したいという要望もございまして、五百二十戸の中の約半分
——
二百六十戸という戸数の援助を行なうことにしたわけでございます。で、その後におきまして、実は
財政投融資
の問題が出まして、まあ住宅が不足だからとにかく住宅についてひとつ十億前後のものを援助し
よう
、そうすれば一千戸というものが解消できるのではないかということで、私
ども
、そういう
琉球政府
の要望を入れて計画化したわけでございます。したがいまして、むしろ、従来建てていました公営住宅を倍に、公営住宅の基準を、去年から比較しますと約七十戸ふえておりますが、ふやしたほかに、新しくそういう千戸が建つ、こういうぐあいに御理解をいただきたいわけでございます。で、もちろん、そう申しましたからといいましても、ひとつ今後とも、そういう公営住宅、低所得者層の住宅に対しましては、私
ども
も今後十分力を入れてまいりたい、か
よう
に考えておるわけでございます。
春日正一
101
○春日正一君 それで、産投会計の十二億という金が一番多いんですが、これが大体どういう
よう
に使われるわけですか。
山野幸吉
102
○
政府委員
(
山野幸吉
君) この産投会計に対しましては、いま申しました
よう
に、この大衆金融公庫が引き受け
機関
になってやるわけでございますが、これは、
沖繩
の
産業
開発のための各種の
中小企業
の振興のための一般的な
資金
でございまして、たとえば木材
加工業
もございますし、あるいは砂糖・パインの
関係
の
産業
もございますし、あるいは海運振興等の
資金
にも向けられますし、また、その他
沖繩
の一般的な地場
産業
の面に充当されるものと考えております。
春日正一
103
○春日正一君 この大衆金融公庫というものの性格、それからその営業の
内容
ですね、そういう
よう
なものはどういうあれなんですか。こっちのことばで言うと「大衆金融」と言うから、まあちょっと、えらい、こう大衆の零細なものだけを対象にした
よう
に考えられるのですけれ
ども
、そういうものだけを対象にするのか。
山野幸吉
104
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 先ほど
岡田
先生の御質問にもお答えしましたが、一方では、いわゆる国民金融公庫の機能を果たしておる、その面では
生活
資金
なりあるいは生業
資金
の全く庶民金融をやっておる。それからもう一つの性格は、
中小企業
金融公庫の役割りをしておりまして、
中小企業
の近代化、合理化のための
資金
貸し付け
を行なう、こういう両方の性格を備えたのが大衆金融公庫でございます。
春日正一
105
○春日正一君 そうすると、それはそういうふうに性格ははっきりさしておるわけですか、
中小企業
に限るという
よう
なふうに。
山野幸吉
106
○
政府委員
(
山野幸吉
君) それははっきりしております。
春日正一
107
○春日正一君 それじゃ、衆議院の
特別委員会
で、この
法案
に対する附帯決議が出て、「基地依存経済の体質を改善し、経済の自立体制とその安定した発展を確保するため長期計画を速やかに樹立すること」というふうに言っていますが、まあ、
アメリカ
のほうでは、
アメリカ
は無制限な基地の使用を認めない限りこれを手放すことは不可能だという
よう
なことを、最近でもザブロッキという人は言っているのですね。そうすると、いまあれほどこの基地が大きな比重を占めている
沖繩
の
産業
が、先ほど言われた
よう
に、電力から
水道
から金融から、みんな
アメリカ
に握られてしまっているという
よう
な
状態
のもとで、どういうふうにしてこの基地の依存経済というものを体質改善し
よう
とするのか、できるのか、そういう見通しですね、考え方、そこらを聞かしてもらいたいのですがね。
山野幸吉
108
○
政府委員
(
山野幸吉
君) まあ、非常にむずかしい問題でございますが、
沖繩
の
本土
復帰
に備えまして、
沖繩
の経済の自立する力をだんだんに
増強
していかなきゃいかぬことは、これはもう間違いのないことでございます。したがいまして、そういう面から、
沖繩
のたとえば五カ年計画とか、あるいは十カ年計画とか、将来の展望を包含しました一つの長期経済計画をつくろうということで、現在米琉において検討され、また、
日本
政府
としましてもそういう方向で検討を加えてまいりたいと考えておるわけでございます。ただ、それじゃ、どういう方向でという御指摘でございますが、まあ、長期的に見ましたら、
沖繩
の経済的な地位と申しますか、
日本
の東南アジアとの経済関連から見た
沖繩
の地位を利用した中継基地とか、あるいはその他亜熱帯
農業
の研究
機関
とか訓練
機関
とか、あるいはそれに伴います観光
産業
的な分野の開発とか、あるいは
沖繩
の海運業の将来をどういうぐあいに持っていくか、あるいは
漁業
の面でどういう余地があるか、
農業
におきましては畜
産業
をどういう方向で振興していくか、現在の砂糖とパインとの合理化の方向はどういう方向があるか、どういう形で合理化していくか、そういう
よう
な全体にまたがって相当慎重な調査と検討の結果立てていかなきゃなりませんが、結論的に申しまして、いま御指摘にもございました
よう
に、
沖繩
の自立経済体制の方向で計画を策定していくということになろうかと思うわけでございます。
春日正一
109
○春日正一君 自立経済の問題について、たとえば、
沖繩
経済界の首脳といわれる
よう
な人たちですね、こういう人たちの中でたとえば那覇の市長の西銘という人は、コザで即時
復帰
反対協議会というものをつくられたときに、これはコザの業者だけの声じゃない、経済界全体のほんとうの声だという
よう
なふうに言って、ほんとうに
復帰
すること自体にいわゆる経済界といわれる人たちの中で不安を示して、
復帰
反対という
よう
な声まであげておる。それから、開金の総裁も、
復帰
して一体どれだけの経済的利点があるだろうかということで、そういうことでだいぶ疑問を持っているということになりますと、やはり基地依存の経済から
本土
の一部としての自立的な経済に変えていくという問題は相当大きな問題だし、やはりそこでの
沖繩
の経済全体のやっぱり支配というか何というか、そういうものを変えていくというかまえになりませんと、これはせっかく附帯決議がつけられても、できないことになるのだけれ
ども
、そういう点は
政府
はどう考えておられますか。
山野幸吉
110
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 現在の経済体制を抜本的に自立経済体制に切りかえていくという方策は、前回も申し上げました
よう
に、なかなか具体的にはむずかしい問題がたくさんございます。したがいまして、私
ども
としましては、少しでも基地経済の依存度を減らしていくと申しますか、
沖繩
のいわゆる自立経済体制、そういうものに近づく
よう
なあらゆる可能性を、
沖繩
という地理的な、風土的な、
産業
的な実態の中から発見していかなければならないわけでございますから、したがいまして、相当問題はむずかしい問題ではございますが、そういう方向でできるだけの将来に向かっての
沖繩
の
産業
の自立体制への可能性をさがしていく、それを長期的な計画の中へ反映さしていくという方向で検討を続けたいと思います。
春日正一
111
○春日正一君 たとえば、さっき
岡田
委員のほうから
水道
と電力の問題が出されたのですけれ
ども
、金融の問題でも、あれでしょう、
日本
から入っていっている資本というものは、金融
関係
は入っていっていますか。
山野幸吉
112
○
政府委員
(
山野幸吉
君)
本土
からの
資金
も相当
沖繩
には進出しております。
現状
では、ほぼ
アメリカ
の
投資
額と同じ
程度
のものが現在は行っております。たとえば砂糖でございますとか、パインでございますとか、あるいはホテルでございますとか、その他一般的に大体米国と同じ
程度
の割合の
投資
が向こうで行なわれておるというのが
実情
でございます。
春日正一
113
○春日正一君 私の言っているのは、金融
機関
ですね、たとえば開発
公社
がある。これはいまのところ民
政府
の
機関
で、
アメリカ
の純然たる
政府
機関
みたいなものです。それから琉球銀行がある。これも五一%を
アメリカ
民
政府
が持っているから、ほとんどが
政府
機関
になっている。軍
政府
の
機関
みたいなものです。これがほとんど
沖繩
の金融を支配している。そういうふうな
状態
になっている。こういう
状態
をそのままにしておいて、端のほうから少しずつ金を入れてやるといった
よう
なことをしておりても、ほんとうに基地依存経済というものから自立していくとか、あるいは
日本
の
政府
が望んでおる
よう
な形の経済に持っていこうという
よう
なそういう効果が出てこないのではないか、金融
機関
をきちっと握られてしまっていたら。
山野幸吉
114
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 御指摘は
ドル
経済と円経済の問題だろうと思うわけでございますが、
日本
と
沖繩
との経済関連がいまより相当飛躍的に密接、密着しまして、
日本
の経済の寄与率が、たとえば
米側
の経済寄与率よりも相当ウエートが変わっていくという
よう
な時点になりますれば、
復帰
前においても円経済への切り換えは検討していかなければいかんと思います。ですから、また、そういう経済金融について、円経済のもとに置かれれば、あらゆる面の一体化施策、あるいは自立経済の体制も
推進
しやすいことも、これは事実でございます。しかしながら、現在の時点におきましては、そういう問題を検討することは、もつ一
沖繩
の
住民
全体の不安とか動揺とかいう
よう
な問題にもつながる問題でございますから、したがいまして、十分慎重に検討してから対処したい、か
よう
に私
ども
は現在は考えておるわけでございます。
岡田宗司
115
○
岡田宗司
君 この問題は少しその問題と離れているのですが、この間
沖繩
で個人タクシーの免許問題で汚職事件があった。小渡副主席以下が逮捕される事態があった。どうもこういう汚職問題で
本土
・
沖繩
一体化なんというのはまことに困った問題ですね。そのほうが先に行っちゃったんですね。そこで問題になるのですが、今度この
法律
が通った、
資金
運用部
資金
など、簡易生命保険年金、郵便貯金、特別会計の積み立て金が向こうに流れるわけです。
貸し付け
る。
本土
だととにかく会計検査院の検査を受けなきゃならぬことになるわけでしょう。向こうに流れたやつはどこが検査するのです。
山野幸吉
116
○
政府委員
(
山野幸吉
君) この
融資
につきましての検査は、実は
本土
におきましても、府県市町村のこういう
融資
についての検査は、一般の
補助金
とは違って、それほど厳密と申しますか、むしろ詳細な検査は行なわれておりませんが、現在会計検査院等では検査を行なっておるわけでございます。そこで、
沖繩
の場合も、もちろんこの
融資
につきましては総理府が会計検査院に委嘱いたしまして毎年度援助金の監査をしてもらっておるわけでございますが、それと合わせまして会計検査院に監査を委託をしたい、か
よう
に考えております。
岡田宗司
117
○
岡田宗司
君 これは
現地
に行って監査できますか。
山野幸吉
118
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 現在までも四、五人で二週間ぐらい
現地
で監査をしておられます。したがいまして、この
融資
についても同じ
よう
にやっていく。
岡田宗司
119
○
岡田宗司
君 これは
アメリカ
の施政権とは衝突しないのですか。
山野幸吉
120
○
政府委員
(
山野幸吉
君) これはいろいろ問題はございましょうが、援助金の覚書で毎年度とりきめておりまして、総理府が会計検査院に委嘱して援助金の監査をする、そして、その
報告
は
日本
政府
、それから
米民政府
、
琉球政府
へ出すということになって、そのとおり実行してまいっております。
岡田宗司
121
○
岡田宗司
君 実はこれから
日本側
から多額のこういう
資金
が流れると、さて向こうでこれを
貸し付け
をする場合に、汚職が起こらぬとも限らぬでしょう、この間の例から見ると。そういうときに、それが起こらない
よう
にすることについてよほど十分な監査が行なわれなきゃならぬ。そういうことが未然に防げる
よう
な
措置
も講じなきゃならぬ。それは何か方法がありますか。
山野幸吉
122
○
政府委員
(
山野幸吉
君) この
政府
の援助金、従来援助金等をめぐってどうこうという問題が起きたことは現在まで一件もございません。したがいまして、
融資
につきましてもそういう問題が起ころうとは、起こることは私
ども
考えておりませんが、しかし、
融資
が所期の目的どおりの効果をあげる
よう
に運用されることを私
ども
は期待しておるわけでございまして、したがいまして、この
融資
の方法なりあるいはその運用のしかた等については、あらかじめ
日本
政府
へも十分相談していただいて実施していただく
よう
に取り運びたいと考えておりまして、まあ、その
よう
なことによりまして、万が一懸念される
よう
な場合に対処したいと考えております。
岡田宗司
123
○
岡田宗司
君 いままで起こらなかったと言っても、この間のタクシー免許汚職を見ていると、かなり上のほうまで巻き込まれているのですね。そうすると、起こらないという保証もないと思うし、こんなことで
本土
との一体化が進められていったんじゃ困るので、ひとつそのチェックする方法を十分やっぱりこれは講じなければいけないじゃないか。それについては特段の監督というか監査というか、そういうものを必要とすると思うのですがね、大臣、その点についてどうお考えですか。
田中龍夫
124
○
国務大臣
(
田中龍夫
君) 御指摘の点でございますが、ただいま
担当
官から申し上げました
よう
に、今日までも会計検査院のほうは、異例な
措置
ではございますが、実質的にはずいぶんいたしております。今後はますます一体化の緊密な交流が行なわれるわけでございますから、なお一そうさ
よう
なことに留意しなければいかんと、か
よう
に考えております。これにつきましては、ひとつ
琉球政府
を信頼をいたすと同時に、また、さ
よう
なことも起こりません
よう
にいたしたいものだ、か
よう
にいま考えております。
岡田宗司
125
○
岡田宗司
君 もう一点お伺いしますが、先ほど春日委員がちょっと触れた問題ですが、いま
沖繩
における金融
機関
は、
本土
側の銀行は一つも出ていないのですね。そして、まあ地元の銀行、相互銀行と、
アメリカ
糸の銀行が二つ、大きな力を持っている。特に
アメリカ
系の銀行が非常な力を持っている。まあ、こういうことで、先ほど春日委員もその点を指摘されたわけですが、この
日本側
の銀行がまた出ると、これは問題もありますけれ
ども
、いま
日本側
の銀行が向こうへ出ておらないということは、これは
アメリカ側
がチェックしているのか、それとも、
日本
の銀行側が自制をして出しておらないのか、それからまた、将来その問題がどうなるのか、その点はどうお考えになっておりますか。
山野幸吉
126
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 私も金融は詳しい専門家ではございませんので、御納得のいく
よう
な御答弁、できるかどうかと思いますが、現在
沖繩
は
ドル
の経済下にありますのと、それから、現実に米国の経済寄与率と申しますか、そういう経済との関連が
米側
が圧倒的に全体としては大きいわけでございます。それで、
日本
政府
の直接的な関連としましては、今度の予算で言いますと、百五十三億というのが直接援助金として参りますし、また、その他いろいろ恩給その他の民間の人に支給する、そういう恩給等の問題はございますけれ
ども
、全体として
日本
の経済との関連が
米側
と比較しては相当格差があるというのも事実だろうと思います。したがいまして、現在
日本
の金融
機関
が向こうへ進出して直接活動しなければいかんという
よう
な実態には置かれていない、端的に申しましてですね。したがいまして、先ほど御答弁申し上げました
よう
に、そうかといって、
沖繩
が
本土
復帰
する
よう
な場合を考えつつ、適当な機会には、やはり
ドル
経済から円経済の問題を真剣に検討する時期も必ず来る。その時点は、やはり
日本
と
沖繩
との経済が、
アメリカ
よりもさらに密接な
関係
に立つ時点ではないかというぐあいに私
ども
は想定するわけであります。したがいまして、そういう時点で円経済に切りかえるという
よう
なことになれば、
日本
の金融
機関
も進出をしなければいかんし、また、当然進出していくだろうというぐあいに考えるわけでございまして、現在、現時点においてはそういう実質的な意味において必要性が薄いというのが実態じゃないかと、か
よう
に考えます。
岡田宗司
127
○
岡田宗司
君
沖繩
と
本土
との金利ですね、金利の差はどうなっておりますか。
山野幸吉
128
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 従来
政府
金融
機関
——
まあ主として
開発金融公社
ですが、この金利は
日本
の
政府
関係
機関
の金利より低い。ところが、民間の金利は大体
本土
と同じ
程度
であると、か
よう
に承知しております。
岡田宗司
129
○
岡田宗司
君
政府
のこういう
財政投融資
が行なわれる
よう
になり、ますます
資金
量はふえていくということになって、
沖繩
の全体の金利を引き下げ得る可能性がありますか。
山野幸吉
130
○
政府委員
(
山野幸吉
君) まあ、現在の
程度
の
資金
融通の量から申しましても、このために特に
沖繩
の金利が下がっていくというほどの影響力はないと思いますが、今後やはりこの運用が重なりまして、わが国の
資金
融通が強化されていく
よう
な時点になりますと、その結果が
沖繩
全体の金利にも影響を及ぼす
よう
なことにもなろうと思います。
岡田宗司
131
○
岡田宗司
君 いま
沖繩
は
ドル
経済の範囲ですね。
ドル
経済の範囲であるとすれば、
沖繩
の金利というのは、本来
アメリカ
並み、あるいは海外だから、少し低いくらいでいいのじゃないか。それが民間金融が
日本
並みというのは、
沖繩
の経済にとっちゃ高過ぎるのじゃないか、これはどうお考えでございますか。
山野幸吉
132
○
政府委員
(
山野幸吉
君) 非常にむずかしい問題で私もよくわかりませんが、まあ
沖繩
と
日本
本土
とのいろいろ金融
機関
の営業の実態等から見ますと、
資金
コストの面から見ますと、そういう
本土
なら
本土
の各府県とそう相違ないじゃないか。むしろ
アメリカ
の非常に機械化された、合理的な金融
機関
の運営されている実態から来る
資金
コストとはやはり
沖繩
のほうが高くなるのがあたりまえじゃないか、私
ども
は常識的にはその
よう
に考えるわけでございます。
伊藤五郎
133
○
委員長
(
伊藤五郎
君) 本案に対する本日の
質疑
は一応この
程度
といたします。 なお、次回の
委員会
は五月十五日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十分散会 —
——
——
・—
——
——