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岡田宗司君 私は
社会党を
代表いたしまして、
反対の討論をいたします。
第一に、
佐藤・
ジョンソン会談によって
政府は
沖繩返還のめどをつけ得る、こう言っておりますけれ
ども、それはきわめてあいまいであります。両三年のうちに返還の期日のめどをつけると言っておるが、何らそれは保障されておらない。したがって、返還それ
自体がわれわれにとっては明瞭でない、こう言わざるを得ないと思うのです。
第二点はですね、返還される場合の
沖繩の姿について、私
どもは軍事基地がないことを欲しております。ところが
佐藤総理は、この問題については白紙であると、こういうことを言っておりまして、その白紙といううちには、核基地つきの返還も含まれておるわけであります。また同時に、現在
沖繩から直接ベトナムへB52の発進しておるような直接戦争への参加の問題もこの「白紙」といううちには含まれておると想像されるわけであります。で
政府はですね、この問題についてもはっきりした答申を示しておらぬ。返ってくることについてのめ
どもついておらぬ。その返還の際に最も重大な問題である基地の問題についても何ら明確な方針を示しておらない。そして、そういう最も基本的な点が不明確なままに、
本土と
一体化を促進されるためにつくられるというこの
諮問委員会なるものが、はたしてそういう返還を目ざすものとして明白な
性格を持っておるかどうかということが明らかでないわけであります。そういたしますと、これはこのいわゆる
一体化の面において、
アメリカ側が部分譲歩をやりまして、そしていわゆるアピーズメント・ポリシーによって現在の
沖繩の状態を固定化していく。つまり、
アメリカが従来
沖繩を
アメリカの軍事支配のもとに置き、そして基地として自由自在に使用するという
性格をそのまま続けるために、
沖繩の住民あるいは日本の国民のそれに対する
反対をアピーズするためのものじゃないか。こういうことも言われると思うのであります。したがって、この
諮問委員会なるものは羊頭を懸げて狗肉を売るものである。その看板と中身とが大違いであると、こうも言えるのじゃないかと思う。
それから第三には、この
委員会の
設置に関する
交換公文によりますとですね、この
諮問委員会の
目的というものはきわめて限定をされております。そして
高等弁務官の
権限に触れる問題とか、つまり施政権に関する問題とか、あるいはまた、さらに自治権の拡大と政治的な問題と特に
沖繩返還それ
自体に関する問題とかは、一切この
委員会では取り上げる
権限がないようになっております。こういう点からも、この
委員会は
一体化の促進という点についても、その根本問題に触れることができないという点で、やはり羊頭を懸げて狗肉を売るものではないか、こう言わざるを得ないわけであります。
それから第四点はですね、この
委員会は、議題を取り上げるにしても、あるいは助言、
勧告を行なうにしても、三者の合意を必要としておるわけであります。これは、
アメリカの施政に対して、つまり、
アメリカが施政権を持って
沖繩でかってなことをやっておることに対して、いまの
沖繩の住民の地位を向上させ、そしてまた
沖繩の住民のだんだんに権利を拡大していくという点から見ましても、これは
アメリカ側でその議題に取り上げることをスクリーンできるようになっているわけであります。つまり、議題の取り上げ方を見ても、
アメリカ側が選択権を持っているようにできておるわけであります。まあ、いろいろ御説明があって、いや三者の合意といううちには、
アメリカ側もちゃんとこの返還ということを踏まえて
一体化を促進するんだからそういうようなことはないと言っておるけれ
ども、おそらく少しむずかしい問題になってくれば、この三者の合意ということが、議題の取り上げ方さえスクリーンすることが起こり得るわけであります。そういたしますと、この
諮問委員会なるものの活動とかそういうものは、やはり、
アメリカ側の意に沿うものに限定をされてくる。
アメリカ側の承認するものに限定されてくるわけであります。したがって、この
諮問委員会がストレートに
沖繩住民の権利の拡大、ひいてはその返還促進の役目を果たすかどうか疑問だと言わなければならぬわけであります。まあ、そういう観点から、私
どもはこの
諮問委員会そのものの
目的とか意義とか機能とかというものについて非常に多くの疑点を持っておるわけでありまして、したがって、こういう
性格のあいまいなままでは、また羊頭を懸げて狗肉を売るようなものでは
反対せざるを得ないわけであります。したがって、そこに
日本政府の
代表を
任命するこの
暫定措置の
法律案に
反対せざるを得ない。これが私
どもの
反対の
理由であります。