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1968-04-19 第58回国会 参議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十九日(金曜日)    午後一時十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 黒柳  明君     委 員                 井川 伊平君                 植木 光教君                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 平泉  渉君                 安井  謙君                 川村 清一君                 春日 正一君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君    政府委員        総理府総務副長        官        八木 徹雄君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        瓜生  清君    説明員        郵政大臣官房電        気通信参事官   斉藤  浄君        郵政省電波監理        局放送部長    左藤  恵君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関  しての対策樹立に関する調査  (当面の沖繩の諸問題に関する件) ○沖繩地域における産業の振興開発等のための琉  球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置  法案内閣送付予備審査) ○沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる  日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案  (内閣送付予備審査) ○沖繩島、宮古島及び石垣島相互の間における極  超短波回線による電気通信に必要な電気通信設  備の譲与に関する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖繩及び北方問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 総務長官にお伺いいたしますが、十七日にアンガー高等弁務官が東京に来られ、そして佐藤総理と会われましたですね、その際に最近の沖繩のいろいろな問題について話し合いがあったように新聞に伝えられておる。そして、総務長官も御出席になっておったように伝えられておりますが、新聞の伝えるところによりますというと、かなり重大な問題についていろいろと話し合いがなされた。その話し合いの模様について列席された総務長官からお伺いをしたいわけです。
  4. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私は沖繩担当主管大臣ではございますが、官房長官と違いまして内閣スポークスマン的な立場ではございませんけれども担当者といたしまして私はただいまの岡田さんの御質問に対してお答えを申し上げられると思うのでございます。  弁務官総理とが会見されました際におきましては、沖繩の問題につきましていろいろ問題の存するところを総理からも述べられましたわけでありまして、まあ、B52の問題についていろいろと現地の不安のあるところも話されまして、善処方お話もありましたし、また、その他各般の問題につきまして総理から率直にお話しをされました。ただし、これは別に外交交渉や何かと違いまして、話を詰めて、それじゃどうするとか、いつまでにどうするとかいったような交渉ごとではございません。まあ、観桜会にお招きいたしましたあとのごあいさつを兼ねての儀礼的な訪問でございましたから、一方的に話をせられ、弁務官もそれに対して聞いて帰られたと、こういうふうなかっこうになっております。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまB52の問題をはじめ沖繩問題に関する諸般の問題ということでございましたが、このB52の問題というのは、これはやはり現在沖繩において最も重要な問題になっているわけです。ベトナム戦争の問題については、ジョンソン声明以来、北爆を限定するというようなことにもなってきております。もちろん、その後も北爆は続けられておりますけれども、とにかく、アメリカ側では一応ジョンソン大統領はそういう声明をしておるわけです。そうなってきますというと、それ以前において沖繩からB52がどんどん発進していたという状態とは私は違ったことになるのじゃないかと思う。この点について総理高等弁務官に、あのジョンソン声明以来情勢が変わった、だからして、沖繩からB52が発進するということは住民の不安をつのらせることでもあるからこの際それをやめるように考慮してくれというお話をしたのかどうか、さらにまた、ああいうふうに、B52の発進ということに関連して住民の間にはB52が常駐するのではないかという非常な疑念を持つ者が多いし、また、見ているところ、どうもアメリカ側ではB52を沖繩常駐させるような姿勢も示しておるわけであります。しかし、これもジョンソン声明以来情勢が変わってきておる。日本側としては、しばしばB52は常駐しないのだ、ベトナム戦争状況が変化すればB52は引き揚げるのだということをアメリカ側から言質を得ておるのだというような国会答弁をされておりますが、この問題についてもお話し合いがあったのかどうか、その点をお伺いしたい。
  6. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) そのときの総理表現は、この間松岡主席も見えてB52の話も要望があったと、なおその前も、立法院の諸君からも話を聞いたが、沖繩のほうでは非常に不安がっているからというようなお話でございました。いまお話しのように、また冒頭私が申し上げたように、折衝として話を詰めてどうこうといったような表現ではなかったのでございます。まあ、いまの松岡主席要望やら何かを伝えられた、そうして善処方を希望されたというだけにとどまっております。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほどから田中総務長官は、これは交渉ではないと、私もそう思うのです。しかし、総理高等弁務官とが会って、とにかく沖繩問題について話をされる、非公式な話をされるということであっても、これは政治的に見れば、かなり重大なものであると見ざるを得ないのですね。そこで私は質問をしておるわけですが、こういう総理の話に対して高等弁務官はどういう答えをされましたか。
  8. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 別に一問一答の姿ではございません。通訳も非常にいろいろな話を長い段階にわたってしておられたのでありまして、区切り区切り話を詰めた交渉事のような状態ではなかったのでございます。でございますから、高等弁務官は、別にその問題につきまして直ちに回答をするとか、あるいはまた、処置を約束するとかいうようなことではなく、今度は高等弁務官のほうからはまた、一体化の問題につきましていろいろと話を——諮問委員会に対して非常にその価値を認め促進しておるといったような話でありまして、もちろん、総理高等弁務官との会談というものは非常に政治的な問題からすれば重大なことでございますけれども、いま申し上げたように、観櫻会あとのごあいさつを兼ねての儀礼的な訪問でございますので、外交折衝や何かのような姿ではございません。総理の一方的におっしゃったことでございます。弁務官弁務官でまた、向こうのほうの軍務の状況の報告をされたわけであります。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 アンガー局等弁務官沖繩高等弁務官であると同時に、と言うよりも、それより先に沖繩における軍司令官なんですね。そうしてみると、B52をあそこに常駐させるかどうかという問題、あるいはまた、B52をあそこからベトナム戦争発進させるかどうかという問題については大きな権限を持っていると思うのです。もちろん、高等弁務官、つまり沖繩軍司令官一人でそれはきめられるものではないでしょう。ハワイの太平洋司令官あるいはワシントンの国防省、統合参謀本部、そういうところの命令なり、あるいはまたそういうところとの協議の上できめられることではあるとは思いますけれども、しかし、沖繩における軍司令官としてこのB52の常駐問題とかあるいは戦争への発進問題について大きな権限を持っている。その人と総理B52の問題について話し合われたということなんですね。おそらく総理がその話を持ち出されたということも、アンガー高等弁務官がそういう権限を持っておると言うことを頭のうちに入れて話をされたのではないでしょうか。もちろん、非公式な話ではあるけれども、そういう政治問題を話す場合には、やはりそういうことを頭に入れて話されておるものと私は思うのですけれども、単なる儀礼訪問ではそういう話はどちらもするはずはない。そういう話が出たということは、もうすでに総理もそういうことを意識して話されたと思うのですが、どうです。
  10. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私は、冒頭申し上げたように、沖繩担当者として陪席をいたしたわけでありますが、別にお話内容を秘匿いたしたりしておる、隠したりなんかしておるわけではございません。そこで、どうせB52が常駐しないんだということは、お話しになる総理のほうもよくわかっておられるし、また、相手の高等弁務官のほうもこれはわかり切った話でございますから、いま御質問のようなのとはだいぶ話が違うのだろうと思いますが、しかし、話の実態は、いま申し上げたように、非常に総理お話しの中にB52の問題が出、そうしてそれは一国の総理大臣として高等弁務官に大きな影響力を持つであろうことは当然でございますが、しかし、内容としてはそういうふうな、いまお話しを申し上げたような状態でございます。それ以上のいろいろな問題につきましての総理大臣アンガー高等弁務官とのお話しにつきまして、全般にわたってのいろいろなこととなりますと、やはりスポークスマンとしての官房長官からお話し申し上げるのが筋でありまして、私は担当大臣としてその問題について陪席いたしたわけでございます。しかも、私はおくれて参りまして、途中から加わったわけでございます。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、スポークスマンが話すのは当然だろうけれども担当大臣としてこの問題について立ち合われたというか、列席されたのですから、話されてもまた差しつかえない問題だろうと私は思うのです。それでおくれておいでになったと言っても、総理高等弁務官沖繩の問題について話されたとすれば、あなたがおられなかった時間に話されたことは、やはりあなたにどなたかあとから伝えられてもおるだろうし、あなたもそれは御承知になっておることだろうと思うのです。  そこで、そういう、交渉ではない、非常に煮詰めた話ではないとしても、総理B52の問題をそう取り上げられた。そうして高等弁務官はそれに対してどうお答えになったか。たとえば常駐の問題について、これは政府のほうでしばしば繰り返して、常駐しないんだと、アメリカベトナム戦争状況が変化すれば引き上げるのだと言っておったけれども高等弁務官はその際に、ベトナム戦争状況ジョンソン声明以降、まあ和平予備交渉を始める方向に向かって変わったのだと、だから、この問題についてはやはり常駐ということは、われわれのほうではするつもりはないんだということをはっきり言われたのでしょうか、どうでしょうか。
  12. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御期待されるようなやりとりでは全然ございませんでした。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから第二の、B52のベトナムへの発進ですね、これはいま行なわれておりますか。それはあなたのほうで掌握しておられますか。
  14. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私のほうでは掌握いたしておりません。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかくまだ出かけていることは事実のようです。この間、グアムから台風避難かなんかでもって四十機だか五十機来た。それはまた帰って行ったようでありますけれども、依然として続いておるということは私ども現地からの情報で知っております。総務長官がそれを掌握してないということは、どうも私のふに落ちないんですけれども、その問題ですね、つまり、ベトナムへ行くということが特に沖繩住民の不安であるということ、このことは総理から高等弁務官に直接伝えられましたか。
  16. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 松岡主席等も見えられて、非常に住民が不安に思っておるということを述べられたのでありまして、いま御質問のようなやりとりの姿ではございません。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはまあ総理あるいは松岡主席ですね、それらの方からそういう発言があったとすれば、これに対して高等弁務官はその不安があるということを認められた、そして不安を除くために自分としても考えなければならないというようなお答えがあったのでしょうか。
  18. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 総理大臣高等弁務官お話しになったのでございますから、相手方の弁務官としては、これは重大な問題として慎重に受け取ったと存じますが、いま先ほど来るる申し上げたように、この会いました形式が、ケース・バイ・ケースの、話を詰めた交渉かっこうではなく、儀礼的にいろいろな諸般の問題について総理からも話をされ、また弁務官からも話をされたというような形式でありまして、ただいま御質問のような姿ではございませんし、そういったような答弁でもございません。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも聞いておりますというと、さっぱり話が要領を得ないんです。つまり、総理のほうも、これは重大な政治問題であるから高等弁務官が来日した際にこの問題について、交渉ではないけれどもとにかく話をしようという積極的な姿勢は見られないし、また高等弁務官も、これに対して何とか自分としても努力をして解決をしたいというような姿勢も見られない、まことにどうもおざなりなような気がいたしますね。そういうことでしょうか。それとも、もう少し、それは今後何らかの意義を持つようなやりとりがあったんでしょうか、どうでしょうか。
  20. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは前日「桜の会」にわざわざ日本がお招きをして、翌日総理大臣官邸に来られて、そうして一国の総理大臣から話を出されたということだけで私は十二分に重大な意義影響力とはあると存ずるのであります。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、この会談では何ら具体的なものは出てこなかったけれども、しかし、この会談において取り上げられた問題は、今後日米協議委員会において取り上げられるとか、あるいはまた、日本外務省アメリカ大使との間の話になるとか、何かそういうことになりそうですが。
  22. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは高度の外交の問題でありまして、いまお話しのように、それが今度は諮問委員会議題になったり、あるいは日米協議委員会議題になるといったような事務的な扱いはされないだろうと思います。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、まことにたよりない話だったという印象を受けますが、それはあなたとして、今度は担当長官として、B52問題について今後どういう態度をもって臨まれますか。これはまあ折衝はあるいは外務大臣が門かもしれませんけれども、この沖繩に非常な不安を与えておるB52の問題について、どういう、担当大臣としての考え方、あるいは、これをこうしてもらいたいというはっきりしたお考えですね、それがあったらお聞かせ願いたい。
  24. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 沖繩嘉手納基地周辺方々が非常に不安なお気持ちをお持ちになったり、あるいはまた、沖繩諸般市民生活の上におきまして不安が醸成されたりいたしておることにつきましては、私ども十分関心を持っておりまするし、また、それが一日もすみやかに解決することを——と申しますのは、B52がいなくなることを期待いたしますし、しかしながら、私の所掌関係から申すならば、先般もここで申し上げましたように、私どもB52の問題につきまして外交交渉をいたしましたり、あるいはまた、基地の問題につきまして交渉をしたりする立場ではございません。私は一体化の問題につきまして取り組んでおる次第でございまして、B52とは直接関係がないことだけはあらかじめ申し上げておきます。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 私もそれをよく知っているんですよ。だけれども担当大臣としてのやはり考え方というものはあるだろう。いま言われたように、どうもああいうものには早く帰ってもらいたいというお考えならば、それはやはり閣議においてなり、あるいはまた、外務大臣との話においてなり、積極的にあなたのそういう所見を述べられて、一日も早くB52が沖繩から撤去されることを主張されるのが当然じゃないでしょうか、どうでしょう。ただ逃げてばかりいるわけにはいかない問題じゃないですか。
  26. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 逃げも隠れもいたしませんが、つかさつかさということで担当が違っておるということを申したのでありまして、一般的な問題といたしましては、こういうふうな不安の原因が一日もすみやかに除去されることをほんとうに念願をいたしておるのでございます。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、B52の問題以外にもいろいろな話が出たと思うのですけれども、たとえば、いま沖繩労働関係の問題で一番焦点になっておるのは、例の布令一一六号ですか、あの問題ですが、この問題も話に出ましたですか。
  28. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの一一六号の問題もやはり総理から話が出ましたが、しかし、それもやはりB52と同じように一方的に話をされておられたのでございます。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 すると、それに対する高等弁務官の見解も、回答もなかったわけですか。
  30. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これにつきましては、B52と同じように、やはり総理のほうからいろいろ諸般の問題をずっと希望されましたり、お話が出ただけでございます。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 すると、なにでしょうかね、この高等弁務官というのは、人が——少なくとも一国の総理大臣高等弁務官にそういう話をしたときに、答えもしなければ、考慮するとも言わないと、そういう方なんでしょうか。人がまじめな話をしているときに、雑談でもってかわすというだけのことなんでしょうか。どうもあなたのお話を聞いていると、そういうふうにしかとれないんですがね。
  32. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまのお話というのが、この区切り区切りが非常に実はさっき申し上げたように長いんです。それであんなに長くずっと話をして、あと通訳が困りゃしないかと思うぐらいずっと長く話をされました。また、弁務官のほうも弁務官のほうとして、いまの一一六号の問題につきましては、新布令が出るというような話をされただけでございました。だけども、その新布令内容につきましては何も話もございませんでした。しかしながら、冒頭申しましたように、総理が、B52の問題にしろ、あるいは一一六号の問題にしろ、非常に心配をしておられることは事実でございまして、その点につきましては弁務官に十分に述べられたと存じ、また影響も与えたと存じます。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、一一六号の問題については、新しい布令を出す準備をしておるという、やや具体的な回答があったと承っていいわけですね。  そこで、お伺いしたいんですが、これは高等弁務官権限でできることだろうと思うんです。それで、どういうふうな方向にこれが改正されるかということについても、弁務官がそこまで言うからには、何か具体的にこの話し合いがすでに進んでおるんではないか。どういう方向にそれが進んで行っておるのか。この点は特連局長情報を持っておりますか。
  34. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この前の委員会のときでございましたか、ちょっと御答弁申し上げたかと思うんですが、米側で過去約一年間、いまの布令の改正問題について検討しておりまして、先般もフェラー労働局長ワシントンへ行き、それから軍労務者代表の亀甲さんその他もワシントンに行かれまして、いろいろ関係方面話し合いがされたようでございます。それで、そういう中から総合しますと、現在新総合布令がだんだんワシントン関係省の間で具体的になりつつあるように聞いております。しかし、その内容はまだ一切公表されておりませんし、一部に伝えられる、こういう方向じゃないかという情報がございますけれども、あれも実はまだ確定したものじゃないというような否定的な情報もございまして、まだ多分に流動的のように聞いております。三カ月後になるか半年先になるか、まだその時期も現在の段階では確定していない。しかし、いまの布令を、そういったいろんな問題点について改善の方向に向かって新総合布令にまとめていきたい、そしてできるだけ早くそういうものを公布していきたいというアメリカ側考えには相違はございませんが、まだはっきり内容を申し上げる程度に私ども情報を持っていないわけでございます。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 この問題はですね、日米琉諮問委員会の問題として取り上げられる性質のものであると私は思うんですがね。これは日米琉諮問委員会で取り上げますか。
  36. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この問題につきましては、日本政府の側としましては、沖繩軍労務者の地位を向上させたいという非常に強い期待を持っておるわけでございますから、適当な機会に諮問委員会議題にしてもらいたいということを強く希望しておるわけでございますが、まだそういう議題にするともしないとも、三者の意見は現在まとまってはいない、また、議題として取り上げるという日程がきまったわけでもございません。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 強く希望しておるということでこれはいいんですけれども、そうすれば、これは日本側代表と、それから琉球政府側代表から強く発言されれば取り上げられ得る可能性は十分にあると、アメリカ側でもこれを変えるという方向に進んでおるとすれば、これをこの委員会で取り上げることに拒否をする理由がないと思うのです。おっかなびっくりしないで、この次の委員会あたりで持ち出して取り上げろというふうに主張したらどんなものでしょうか。これは所管があなたのところでなくて外務省かもしれないけれども、しかし、総務長官のほうからそういうことを申し入れることも可能ではないですか。
  38. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあ、この労働布令性格そのものにつきまして諮問委員会議題にし得る問題か、あるいは、そういう議題にしないで米側で公布したほうがいいという考え方、いろいろあると思います。日本側としましては、ただいま申し上げましたように、そして先生から御指摘ございますような趣旨を含めまして議題にしたいということを要望はしておりますが、まだそう具体的にどうこういうところまではきまっていないわけでございます。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 総務長官ね、これはひとつ議題にして取り上げるように日本側から要求するというふうな態度をとっていただきたいと思うのですが、どうですか。
  40. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 実はその件につきまして、いまこの席に参りますまで総評の代表、同盟の代表方々と私はお話をいたしておったわけでございます。私からも外務大臣にぜひこの外交交渉の上からいたしましても早く、重大な問題でもあるし、解決しなければならぬ問題だからお伝えしようということを申して、私はこの席に来たばかりであります。実は外務省のほうにも連絡をいたしたいと思っておるのでありますが、時間が、いまこっちに入ったものですから、ないような状態でございます。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはアメリカ側でそういう準備をして一方的にさっさときめてしまうと、向こう側でさっさときめてしまうというと、沖繩軍労働者諸君のほの意向なんというものはちっとも反映されないわけですね。だから、沖繩軍労働者諸君意向も反映できるように日米琉諮問委員会で議論してもらわなければならぬと思うのです。また、日米琉諮問委員会はそれを取り上げる権限はあると思うのです。単に弁務官からの諮問だけではなくて、こちら側から勧告することもできるのでしょう。もちろん、議題として取り上げるには三者の一致が必要でありましょうけれども、いまの情勢から言って、アメリカ側がこれを拒否するということになれば、諮問委員会自体が問題になると思うのです。私は、この点はひとつあまり遠慮されないで積極的な態度をとってもらいたいと思います。  次にお伺いしたいのは、日米協議委員会を近く開くということを三木外務大臣は過日外務委員会で言われたんですけれども、その準備はできておりますか。
  42. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 日米協議委員会を早く開かなければならないことは事実でございまして、私どもも早く開いてもらいたいと思っておるのですが、今日まで外務大臣のほうから、いついつというまだ連絡はございません。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 その日米協議委員会が開かれる場合には、これは相当な政治問題も論議できるわけですが、前々から私ども問題にし、事実沖繩でも非常な重大問題としておる人権の問題、つまり、いまのアメリカ軍の軍人、軍属、その家族の沖繩住民に対する切り捨てごめん的な態度と言うか、ああいう態勢と言うか、そういうものをこの際直す、これは施政権に関係のある問題ですけれども、これをこの日米協議委員会に持ち出すつもりがあるかどうか、それをお伺いしたい。
  44. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあ、日米協議委員会が開かれますこの時点の問題も関連はいたしますが、諮問委員会現地で開かれておりまして、諮問委員会の開催状況あるいは勧告の内容、措置の内容等を協議委員会に報告することになっておりますから、早晩協議委員会は開かれると思います。その時点におきましてどのような議題を取り上げるかということは、これまた日米双方で議題を出し合いまして話し合って確定するわけでございますが、その場合に、この沖繩住民のいろんな基本的な権利の問題等についてその改善を求めるような事項を議題にするかどうか、いまの時点ではきまっておりませんが、従来からそういうものを議題にしたいという日本側の気持ちがあるわけでありますから、そういう方向でひとつ話し合っていきたい、かように考えております。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 そんなもたもたしたことを言わないで、これ取り上げるように努力しますと、そのぐらいなこと言ったらどうですか。
  46. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあ、御趣旨を体しまして十分努力いたしたいと思います。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一点だけ。それはですね。この間沖繩で大きな集会がありまして、そのときに社会党の国民運動局長の井岡大治君が渡航を申請しておりましたが、何の返事もなくて、とうとう行けなかった。で、国会議員がそういうふうになったと、社会党の国会議員がそういうふうになったということは、いままであんまり例がないことですね。しかも、党の中央執行委員です。社会党としてはえらい侮辱を受けたように感じておりますがね。これはあなた方の責任ではないのだけれども、その経緯についてお聞きになっておると思うのですけれどもね、どうでしょう。
  48. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 井岡先生の渡航申請が出ましたのが九日の午後でございまして、十三日に渡航したいと、そして十四日の大会に出たいと、こういう内容の申請でございました。私どもはさっそくその渡航手続をとりましたが、何ぶんにも、これはまあたまたまそういう事例になったと言えばそれまででございますが、たとえば十日、十一日、十二日と、三日しかないわけです。十三日は、御案内のように、土曜日は向こうは休みでございまして、まあそういう関係もございまして、あとで聞きましたら、十五日の朝に許可が参っておるわけでございます。したがいまして、この渡航申請につきましては、非常に短期間で許可になる場合もございますし、それからまた、案外かかることもございますが、私ども事務的に申しますと、やはりその渡航の日までの間を一週ぐらいはとっていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあね、純粋に技術的なことでおくれたというなら、そういう場合もあり得るのだけれども、このごろずっと見ていますというと、こちらから渡航するのに、向こう側でこれは都合が悪いと思う人に対しては黙っていて、握りつぶして出さないと、そういうやり方もあるし、もう少し小りこうなやり方としては、その会に臨むその日が過ぎてから出すという例がよくあるのですね。これはもう幾らでも、数え立てればあげることはできると思うのです。こういうことで一体よろしいのかどうか。少なくとも、日本の国会議員がそういう扱いを受けたということは、これは私どもにしてみれば党に対する侮辱でもあるが、同時に、国会に対する侮辱ですね。そのことはまた、日本に対する私はアメリカ側の侮辱だと思うのですよ。こういうようなやり方は、黙っていてもらっちゃ困ると思うのです。技術問題だとして片づけてもらっちゃ困ると思うのです。こういうことはアメリカ側にも十分政治的に抗議をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  50. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お話しのように、いやしくも国会議員がそういうふうな扱いを受けたということに対しまして、われわれとしては主張すべきことは堂々と主張していくと、また反面に、入国管理業務というものは施政権に伴いまして重大な権限がございまして、どこの国でも、この出入国の管理につきましては、相当明確な権限を主張いたしております。これはわがほうにおきましても、いやしくも国会議員の渡航に対して何だということを申せまするし、先方も、施政権のもとにおいてだれを入れだれを入れないということは当然の権利だということが先方も主張できることでございます。これは外交上の問題としまして扱わなければなりません。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、今度の事件は、あなた方のほうでは、それは申請の期間がたいへん短かったと。そのために起こった技術的な問題としてまあしかたがないということでこれを問題にして取り上げないと、こういうおつもりなのか。それとも、いま言った国会議員の渡航をいままでの例から見るというと、かなり疑わしいことが推定されるのですがね。それを国会議員の渡航をはぐらかしたというような問題として向こうに話をする、そうして今後こういうことがないということをはっきり保証させるおつもりで臨むかどうか。
  52. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いま山野局長からお答えいたしました四日間というのは、純粋に事務的な手続上の今日までの慣例なりまあ実務上の問題をお話ししておるわけでございます。それから、われわれ総理府で持っておりまする渡航監理業務、監理渡航課といたしましては、申請が出てまいりましたことにつきましては全部私のほうでお扱いをいたして向こうのほうに連絡もいたしておるわけでございます。で、いまの、だれを入れだれを入れられないかというふうな問題の処置は、この実務上の問題から離れまして、時の外交上の問題でもあろうかと存じます。こういう問題になりますと、私のほうの渡航監理業務という問題から、さらに外務省のほうの処置に相なるわけでございます。まあ、それにつきましても、先生のお話しのようなことに対しましては、当然外務省も心得て処置をいたしておる、かように考えております。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はこれで。
  54. 春日正一

    ○春日正一君 私きょうの議題になっているUHFの問題をお聞きするのですが、その前に、いまの渡航の問題ですね。これはいま岡田委員のほうからもいろいろ出ましたけれども一体化ということになれば、やはり渡航の自由——自由に往来できるということが、人的に言ってもその他の関係から言っても一体化の一番先にやらなければならぬことだと思うのです。ところが、これが観光客その他では幾らか広がったとは言っておるけれども、ことしになってからでも、たとえば原水協の人たちが三月一日の沖繩の集会に出たいと二百人ぐらい申請しているのですけれども、一人も許可にならない。また、平和委員会の人たちが申請したのも百数十名、一つも許可にならないというような状態になっているのですね。だから、この問題をやっぱり一番先に解決していかなければほんとうの一体化ということにはならないのじゃないか。だから、許可されない人たちから言えば、われわれのようなものを行かせないでおいて、結局、まあ沖繩返還の場合にはすっかり押え込んで締める体制をつくってから返すのじゃないかというような疑いも出てくるわけです。だから、問題を私はうんとしぼってお聞きしますけれども、この前の臨時国会のときですか、私と野坂議長が渡航の申請をしていてそれが許可にならない問題ですね。その点、まあ予算委員会でもお聞きしたし、それからこの委員会でも総理にお聞きして、それは国会議員が行けないということは重大な問題だから善処しましょうというお話だったんですけれども、その後不許可になってきた。どういうふうな話をアメリカのほうに政府としてはおやりになったのですか。
  55. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 本土に復帰いたしました暁におきましては、日本人の渡航は日本の国内においては自由でございます。しかしながら、施政権が返ってまいりませんまでにおきましては、この入国管理業務というものは施政権に直接付随した一番大きな問題でございます。でございますから、われわれは一体化を目標にあらゆる努力をいたしておりますが、一体化の実現いたしました後におきましてはこの問題が解決されますが、一体化の実現までは、この施政権の存する限り、だれを入れだれを拒否するかという出入国の管理権というものは施政権国にあるわけでございます。
  56. 春日正一

    ○春日正一君 つまり、一体化といういまのあなた方のお仕事ですね。これは施政権の返ってこない前に、返るときを目ざして進めておいでになるわけでしょう。だから、当然いまの理屈で言えば、施政権が向こうにあるのだから何をされようとしようがないと言うけれども、しかし、そうじゃなくて、返ってくる前に一体化を進めて、返ってきても摩擦の起こらぬようにしようということでやっておいでになるとすれば、その一番大事な中身の渡航制限をなくすと、自由に往来できるということが一体化のあなた方のお仕事の中で一番大事な仕事じゃないか。それをどういうふうにお進めになるのかということですね。
  57. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 出入国管理に対して、何ら制限がない——自由に往来ができますそのときには、もうわれわれは、一体化が実現いたしまして施政権が返ったことになります。
  58. 春日正一

    ○春日正一君 だから私しぼって言うのですけれども総理が善処するとおっしゃった。それにもかかわらず、私と共産党の野坂議長の渡航は好ましくないということで拒否されてきた。政府としてどういうふうに善処されたのか。私、大使館へ行って聞いてみたけれどもアメリカの一等参事官は、いや、別に何もなかったようだというようなことを言っているのですね。そうすると、この委員会でも、予算委員会でも、国会議員の渡航できないというのはどうもうまくないから善処しましょうと言われた総理のことばというのが、その場のがれのことばに終わっているのじゃないかという気もするのですね。だから、どういう善処をされたのか、それをお聞きしたい。
  59. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) われわれ渡航監理をいたしておりまするものは、出入国にできるだけの道を開くということで、先般の原水協の方々に対しましても、あるいはまた、その後のいろいろな問題に対しましても、渡航の申請を、うちのほうで便宜をはかって向うと交渉をいたしております。同時にまた、あるいは国会議員あるいは一定の資格を持った方々の入国に対しまして、それが拒否を受けるというようなこともまことに望ましくないことでございますので、われわれのほうといたしましては努力をいたしまた交渉もいたしましたが、これが実現する実現しないは、向こう権限事項でございますので、それ以上のことはできません。
  60. 春日正一

    ○春日正一君 じゃ、もう一つ、最後ですけれども、実は私と、衆議院に田代文久議員がいますね、いま渡航の申請をしているわけです。これは参議院の議運の了承も得て議長の公用身分証明もつけて、四月二十八日に開かれる沖繩の集会ですね、それに参加することと同時に、沖繩の政治情勢を視察してくるということを兼ねて現に出してあるわけですよ。これはぜひ実現——私も拒否されたのが三回、今度出せば四回目ですわ——だからどうしても、いま言われたように、岡田委員からも渡航の問題出ましたけれども、あなたも遺憾だと言っておられる。だから、今度はこれは国会議員であり、議長の公用証明書をつけてということになれば、これは共産党であろうと、社会党であろうと、国民から選ばれた特別職の国家公務員なんだ。だから、当然渡航できるように御配慮していただけるはずだと思うのですが、これはぜひ許可になるようにお骨折りを願いたいと思うのですが、その点どうでしょう。
  61. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御協力はいたしておりますが、結果につきましてはお約束はできません。
  62. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  63. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記始めて。  他に御発言なければ、本調査に対する質疑は、一応この程度といたします。     —————————————
  64. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案  及び  沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案  の両案を一括して議題といたします。  まず政府から、両案について順次提案理由の説明を聴取いたします。八木総理府総務副長官。
  65. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) ただいま議題となりました、沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案並びに沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び概要を説明いたします。  まず、沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  この法律案は、沖繩の復帰に備え、本土との一体化を進めるとともに、沖繩住民の福祉等を増進するため、琉球諸島高等弁務官に対して助言し、及び勧告することを目的として、このたび那覇に設けられることとなりました諮問委員会委員となる日本国政府代表総理府に置くこととし、その任務、給与等について所要の事項を定めようとするものであります。  以下、この法律案の概要につきまして申し述べます。  すでに御承知のように、昨年十一月に行なわれた佐藤内閣総理大臣とジョンソン米国大統領との会談において、日米両国政府が、沖繩の施政権を日本に返還するとの方針のもとに、沖繩の地位について共同かつ継続的な検討を行なうことに合意を見、さらに、沖繩の施政権がわが国に返還されるときに起こる摩擦を最小限にし、沖繩住民とその制度の日本本土との一体化を進め、沖繩住民の経済的社会的福祉を増進するための措置を講ずることとし、このために、琉球諸島高等弁務官に対する諮問委員会を那覇に設置することについて意見の一致を見たのであります。この諮問委員会の組織及び任務につきまして、過般アメリカ側と公文による合意をいたしたのでありますが、この諮問委員会は、日本政府アメリカ合衆国政府及び琉球政府をそれぞれ代表する三名の委員で構成され、沖繩の社会経済構造の本土との一体化を進めるとともに、沖繩住民の福祉を増進するため、高等弁務官権限内にある経済的及び社会的事項並びに関連事項について高等弁務官に対し、助言し、及び勧告する任務を有する常設の機関として設置されることとなったのであります。このほか、諮問委員会は、沖繩の経済的及び社会的発展の状況を検討し、高等弁務官に対し、沖繩の長期経済計画に関する勧告を行ない、また、高等弁務官は、諮問委員会の作業状況日米協議委員会に通報することとなっております。  政府といたしましては、この諮問委員会の積極的な活動によって沖繩と本土との一体化がより一そう促進されることを期待するものでありまして、諮問委員会委員となる日本国政府代表が十分な活動と円滑な職務執行ができるようこの法律を制定し、その任務、任免、服務規律等を明確にすることとしたのであります。政府代表の職は、当諮問委員会の性格及び任務等を考慮いたしまして、総理府に置くこととするとともに、政府代表の任務が国際的機関たる諮問委員会において渉外的事務をあわせ行なうこととなるため、内閣総理大臣外務大臣との共管によって関連事務を処理することといたしております。また、その任免は内閣が行ない、服務規律につきましては国家公務員法の規定の一部を準用し、給与等につきましては外務公務員の大使の例に準じて取り扱うことといたしております。  次に、沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  この法律案は、国が沖繩に対する経済援助の一環として、沖繩の産業の振興開発及び住民福祉の向上のために必要な長期資金を、資金運用部資金及び簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金の運用により、琉球政府に対し貸し付けることとするための所要の事項を定めようとするものであります。  以下、この法律案の概要につきまして申し述べます。  沖繩の経済は、ここ数年来砂糖産業及びパインアップル産業はじめ基地経済に伴う関連産業の振興、日米両国政府からの財政援助の増額等により著しい成長を遂げつつあるのでありますが、このような著しい経済成長に伴って必然的に増大する資金需要に対し、沖繩における政府系金融機関、民間金融機関の現資金量をもってしては対応できない実情であり、特に沖繩の産業の振興開発にとり緊急な産業長期資金の逼迫は顕著なものがあるのであります。  このような実情にかんがみ、琉球政府または政府関係金融機関が行なう産業開発長期資金等に対し、それに要する融資原資を国の一般会計から財政援助金として供与するとともに、さらに資金運用部資金等を琉球政府を通じて貸し付けることにより、沖繩の産業経済のより一そうの振興発展をはかり、あわせて住民福祉の増進に寄与しようとするものであります。  このため、この法律案をもって、資金運用部資金及び簡易保険及び郵便年金特別会計の積立金を琉球政府に対し貸し付けることができるよう必要な措置を講ずるものでありまして、貸し付けの方法としては、これらの資金を琉球政府に一括して貸し付け、さらに琉球政府現地政府系金融機関等に貸し付けることといたしております。去る一月に開かれた日米協議委員会において、一九六九琉球政府会計年度に対応する貸し付け計画は、総額二十八億円とすることについて合意をいたしておりますが、昭和四十三年度における貸し付け計画は、国の財政投融資計画の一環として資金運用部資金の運用により二十億円を予定しております。  なお、これら資金の貸し付けによって資金運用部資金等に万一損失が生じた場合には、一般会計から補てんすることといたしております。  以上が、沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案及び沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  66. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 引き続き、両案について順次補足説明を聴取いたします。山野特別地域連絡局長
  67. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ただいま副長宮から御説明ありました両法律案の提案理由につきまして、若干補足いたしまして御説明申し上げます。  申し上げるまでもなく、沖繩諮問委員会は、本土と沖繩との一体化の促進のために設けられたものでありまして、そこに派遣される日本国政府代表の活動は、一面におきましては総理府の事務であると同時に、他面、外交交渉でもあるために、外務省の事務であるという関係になっております。しかしながら、沖繩日本の領土の一部であり、また、この諮問委員会の任務が本土と沖繩との一体化を進める内容の仕事でございます。沖繩住民の福祉を増進するための各般の施策を討議するものであり、その内容が産業経済、保健衛生、教育文化、社会福祉等、各般の行政分野に属するものであるという点を考慮いたしまして、この委員会政府代表を、沖繩地域に関する事務の総合調整機関である総理府に属させることが適当であると考えまして、政府代表の職を総理府に置くことといたしたのでございます。  同時に、この政府代表の指揮監督は、総理府の長である内閣総理大臣外務大臣とが共同して行なうこととしております。  次に、この日本国政府代表は、ただいま申しましたとおり、その職務内容は高度の政治的判断を要しまするし、政府各省庁のほとんどに関連した事務をつかさどるのでございまして、この職についての任用、服務規律等に特別の配慮を要しますために、特別職の国家公務員とし、その任免は内閣が行なうことといたしたのでございます。  なお、この政府代表の服務規律は、この政府代表が行なう業務が、一面において外交交渉の一種であること等を考慮いたしまして、大使の例に準じ規定を設けたものでございますが、国家公務員法により一般職の職員を律する規定のうち、服務の根本基準とかあるいは法令等に従う義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務等の規定を準用することといたしております。  また、政府代表の給与等でございますが、俸給は、この職に類似する他の職の例を勘案しまして月額二十六万円といたしております。  以上申し上げました本法律案の各規定は、諮問委員会委員となる日本国政府代表の職の内容及び地位等を明確にする趣旨のものでございまして、これによりまして、当政府代表が円滑にその職務を遂行し、諮問委員会の場を通じ本土と沖繩一体化の実があがるように期待いたしているものでございます。  次に、沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法案について申し上げます。  沖繩における長期資金の供給は、米国民政府の機関であります琉球開発金融公社が主としてこれに当たっておりましたが、同公社への米国政府の出資が一九六四年度以降は打ち切られております。また、同公社が借款を受けて貸し付けに回しておりました公法四八〇号資金が返済期に入っておることなど、同公社の新規貸し付けは一九六六年度以降漸減の傾向にございます。  一方資金需要につきましては、経済の急速な発展に伴い、産業各般にわたって増加の傾向にありますので、開発金融公社のみならず商業銀行もその貸し出しに応ずることになりまして、商業銀行における長期資金の貸し出し比率が高まり、また、その預貸率も九〇%を上回るというふうで、資金事情はとみに悪化の一途をたどっておるわけでございます。このような資金事情に対処するため、本土政府沖繩に対する経済援助の一環として、琉球政府の一九六九会計年度中に二十八億円を琉球政府に貸し付けまして、沖繩における長期産業資金の需給を緩和し、もって沖繩産業経済の振興開発をはかろうとするものであります。  この総額二十八億円の資金は、現地の産業資金需要、資金状況を勘案いたしまして貸し出されるものでございますが、ただいまのところ、農林漁業振興に三億七千万円、中小企業振興に九千万円、鉱工業振興に十二億六千万円、住宅建設に十億八千万円を予定いたしております。なお、琉球政府に対する資金運用部資金の貸し付け条件につきましては、本土におけるこの種の資金の条件、沖繩現地の事情等を勘案いたしまして今後検討の上決定することになっております。  また、この貸し付け金のほかに、琉球政府の一九六九年度において産業開発等のための資金として、一般会計から財政援助費八億円を琉球政府に対し交付することといたしておりますので、琉球政府の一九六九年度における産業開発関係投融資計画において本土から合計三十六億円の資金を受け入れることによりその規模が画期的に拡充することができることとなります。  以上、簡単でございますが補足説明を終わります。
  68. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 両案に対する質疑はこれを後日に譲ることにし、本日は一応この程度といたします。     —————————————
  69. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、沖繩島、宮古島及び石垣島相互の間における極超短波回線による電気通信に必要な電気通信設備の譲与に関する法律案議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  70. 岡田宗司

    岡田宗司君 郵政省の方、来ておりますか。——これは郵政省の方に伺いたいのですが、今度のUHFは沖繩本島と宮古島、石垣島相互間の問題なんでございますが、本土と沖繩との間のUHF回線といいますか、これはすでにあるわけだが、いつごろできたのですか。
  71. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 本土と沖繩間のマイクロ回線につきましては、昭和三十六年度政府援助と電電公社からの物品の譲渡と合わせまして三十八年十二月二十六日に開設いたしております。
  72. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは回線がどのくらいになっているのですか。
  73. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 当初の回線は、六十回線容量のものが設置されておりましたのと、テレビが一回線、一ルートでございます。
  74. 岡田宗司

    岡田宗司君 このUHFができたために、直接日本本土のテレビが向こうへ中継できることになったわけですね。これは沖繩から日本のほうへも同じように送れるのですか。
  75. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 現在テレビは下りルートだけでございまして、沖繩からの上りルートはございません。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうして上りルートはないのですか。
  77. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 必要があればこれは上りルートも設定することになりますが、現在のところ、下りのほうが利用が多いし、あわせて、電話回線の増設はもういたしておりますが、上りルートにつきましてはまだ計画にのぼっておりません。
  78. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは本土との一体化ということになると、これはテレビの上りルートも私は必要になると思うが、近くそういうようなものをつくるお考えはないのですか。
  79. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 今回——去年でございますが、テレビ・ルートにつきまして、下りルート並びに上りルートについて一部要請があったやに聞きますが、いろいろの関係で、下りルートだけ優先的に今回いろいろ計画がなされておりますが、上りルートにつきましては次の段階で計画されるものと、考えております。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 ぼくらはしろうとでよくわからないのですが、常識的に考えて、上り下り両方のルートがあるのがあたりまえじゃないか、こう思うのですが、いま聞いてみると、種々の関係で下りルートが先で上りルートはこれからだと言うのですが、その種々の関係というのは具体的にどういうことをさすのでしょうか。
  81. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 望ましくは、一度に下りルート並びに上りルートが開設できればいいのでございますが、全体的な資金の計画その他工事の段取り等から考えまして、同時に着手するのはむずかしいという判断で、今回は下りのルートが計画されておるわけでございます。
  82. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは、新しく上りルートを追加してつくるということになると、およそどのくらいの金がかかるのですか。
  83. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) こまかい点は積算してみないとちょっとさだかに申し上げかねるわけでございます。
  84. 岡田宗司

    岡田宗司君 私、こまかいことを聞いておるのじゃなくて、およそどのくらいかかるかと聞いているのですよ。こまかいことは私わからないけれども、およそのことはあなたのほうでもたいていわかっているでしょう。
  85. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) まだはっきりしたことは申し上げられませんが、一億以上、若干出るかと思います。
  86. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、たいした金じゃないんですな。そうすれば、それくらいのものなら早くつくったほうが、一体化を進めるという上にこれは有用じゃないんですかね。  山野特連局長に伺いますが、何だか額はたいへん少ないようなんだが、今度それをあなたのほうから郵政省にもう一ぺん要求して、早く上り線もつくれくらいのことを言ったらいいと思うが、どうですか。
  87. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いままで先島のテレビ、それからUHFの極超短波の問題、それから今度の下り回線の問題、それからOHKのいろいろ強化策、いろいろこういう設備に相当多方面の資金需要があったわけでございまして、まあ、そういう事情と合わせまして、琉球政府のほうの要望も現在までのところそういう要望がなかったというような事情もございまして、現在そういう上り回線のほうの事業は援助に組み込んでいなかったわけでございます。将来の問題としましては、よく琉球政府意向等も勘案しまして対処したいと考えております。
  88. 岡田宗司

    岡田宗司君 いろいろの事情のうちにこういうことはないんですか。沖繩全体としてアメリカの施政権下にある。したがって、日本側だけで一方的にUHF回線を設定することはできなかった。アメリカ側との間にいろいろ折衝があって、その合意の上でできたものだと思うのですけれども、このアメリカ側との折衝にいろいろな難問題があったかどうか、この点はどうでしょう。
  89. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いままでその問題につきましていろいろ琉球政府なり、あるいは民政府のほうと意見を交換したり議論したりした機会はございませんでした。
  90. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、本土と沖繩との間のUHF回線の問題についてはきわめて円滑に、何の障害もなく合意に達して設置された、こういうふうに考えていいんですか。
  91. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもはそのように承知しております。
  92. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、テレビの上り回線の問題というのは、別に、アメリカ側から、上り回線をつくる必要はないのだ、こういうことでとめられたということではないんですね。
  93. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもとしましては、いままでの経緯では、米側にそういう意向があるのかないのか、そういうことは全く聞いたことがございません。
  94. 岡田宗司

    岡田宗司君 全く聞いたことはないけれども、そういうことがあったということは、はっきり、ないと言えるんですか。
  95. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもは全然聞いておりません。
  96. 岡田宗司

    岡田宗司君 実は、これはどうも少し疑い深いかもしれませんけれども、たとえば、これができると、テレビのすぐ中継ができますね。沖繩でもっていろいろな事件が起こる。アメリカ側にとってたいへんまずいこともあるわけです。だから日本の国民にじかに見てもらっちゃ困る、知ってもらっちゃ困るということもあるわけでしょう。だから、上り線をうっかりつけられると、そういうことも起こるので、上り線のほうは押えておけ、こういうことがあったのじゃないですか。
  97. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) それは岡田先生の推理の問題でございますけれども、私どもとしては、そういうことは全然聞いたこともございませんし、また、話題にのったこともございません。
  98. 岡田宗司

    岡田宗司君 だから私さっきそう言ったのだけれども、少々こういう問題になると疑い深くなっちゃってね。ということは、今後そういうようなことがないとも限らないのでね。したがって、やはり日本側としては上り線も早くつくって沖繩からどんどん国内にテレビ中継ができるようにすることが、あなた方の言う本土との一体化を促進する上で非常に役に立つのじゃないかと思うのですよ。そこで私は、この問題については、ひとつ総理府のほうでも積極的になってもらいたい。郵政省のほうは技術関係ですから、総理府のほうで積極的になればこれはできないことはないと思うのです。副長官、どうですか。
  99. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 私昨年、先島のテレビの開局をしたときに現地に行って来たものでありますけれども、当時、琉球政府側の各氏やそれからOHKの方々などいろいろな方々にも会いましたけれども、当面緊急に措置してもらいたいのはこの下り回線の拡充をして本土と同時放映ができるようにしてもらいたいということが第一。その次にやってほしいというのは、先島に対していまフィルムを送ってやっておりますが、先島に対してこれがまた延長ができるようにしてほしいという、そういう要請を私は受けてまいりました。いま岡田先生が御指摘になりましたように、上り下り両線ともできるということは望ましいことだと思いますけれども現地態勢といたしましては、取り急ぎそういうことのほうを優先して措置してほしいということでございますので、われわれはその方向にまずもって善処することが先決じゃないかと思っておりますが、しかし、上り回線の必要性がないということじゃございませんから、現地の事情などもなお一そう今後承りまして特別に善処してまいりたいと、こう思います。
  100. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に郵政省の方に伺いたいのですが、今度、宮古島、石垣島と沖繩本島との間がUHF回線によって結ばれるわけですが、これはテレビは乗るのですか。
  101. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 今度つくります沖繩本島から宮古、石垣島に延びる、いわゆる対流圏散乱波方式によるマイクロ回線というものはテレビは乗りませんのでございます。
  102. 岡田宗司

    岡田宗司君 私も沖繩に去年の秋行ってきたのですけれども、先島ではテレビの開設を非常に喜んでおる。しかし、向こうの人たちは、願わくはやはり本土から直接来るようにしてもらいたいという要望を先島で聞かされてきたのですね。おそらく今度UHF回線ができるということになれば、それを望む声は一そう強くなるのじゃないでしょうかね。で、どうしてこのUHF回線ができるときにそれを一緒にやれないのですか。前にもうちゃんと先島の放送局つくってしまったから、あれがあるからつくる必要ないんだと、こういうことなんでしょうか。
  103. 左藤恵

    説明員左藤恵君) UHFの回線は対流圏散乱波方式でございまして、本島と宮古島の間に途中に島が何もございませんので、電離層に電波をぶつけまして、それをまた集めましてやるという方式でございますが、世界的に考えましても、そういった非常に距離の離れたところの通信方式といたしまして、テレビが乗るような広帯域の回線をUHF回線設備でやることは現在のところ技術的にもそういう例もございませんし、非常に困難なことじゃないかと考えております。鹿児島県の大浦から現在奄美大島を経ましてそして沖繩本島に行っておりますこの間の通信方式は、山に電波をぶつけまして、そしてそれが回折いたしますいわゆる山岳回折方式という方式をとっておりますので、広帯域の通信ができる。すなわちテレビが乗るということでございます。
  104. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのところ技術的に不可能である。そういうことで先島でテレビの同時中継ができないということなんですね。これはどうもしかたがないわけですな。そこで、いつ完成するのですか。
  105. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) UHFの工事は昨年の十月から始めまして、ただいま基礎工事の段階でございますが、仕上がりますのは四十四年の五月末を完成目途としてこの工事を進めております。
  106. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、こちらから技術者が相当たくさん行って建設の指揮に当たっておるわけですか。
  107. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) この工事は、日本政府の援助としまして扱うものは無線機器、いわゆる無線局の機器並びに無線局と電話局とを結ぶケーブル関係、そういうようなものなど通信機器は日本側の援助で設計並びに工事をいたすわけでございますが、そのもとになります土地、局舎とか電力の引き込み、関係道路、それから無線局のアンテナの基礎、これは大きいアンテナがつきますので、その基礎工事というようなものは琉球側がこの基礎の設備をつくるということになっているわけでございます。これらの工事に一年ぐらいかかりますので、この工事につきましては基礎設計調査を電電公社がやりまして、いろいろ指導をしながら、ことしの大体、五月か六月ごろまでかけて基礎をつくって、それからこの無線機の設置工事にかかっていくという段階でございます。
  108. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは特連局長にお伺いするほうがいいのじゃないかと思うのですがね。いま本土と沖繩の間にUHF回線がある。これの使用の問題ですがね、在日米軍及び在沖繩米軍がこの使用について何か特別な契約をしているのかどうか、何回線だけは軍が使うんだ、そういう契約ができているのかどうか。
  109. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 在日米軍にこれらの施設が使用される何か特別の契約があるかというお尋ねでございますが、沖繩においては、軍用通信というのが、民間のものより現在すぐれたものが先島のほうに延びているように思います。これは米軍の施設でございますからさだかにはわかりませんが、そうしまして、ここにいままで先島のほうには公衆通信としては短波の回線しかありませんので、これは貸すに貸し得ないというような状態であったわけです。ここで極超短波電話回線ができますとどうなるかということでありますが、この電話回線は、沖繩住民の福祉の向上のために、日本政府が設置して譲渡するわけでございますので、原則的にはこれは沖繩住民の便益に供するということが主体でございます。しかし、これが主体でございますが、制度的には、これは公衆通信設備でございますので、米軍に全く使わせるとか使わせないとかいうことは、これは沖繩政府考えることかと思うわけでございますが、こちらから譲受した目的に沿った使い方を沖繩政府がされるものと期待しております。
  110. 岡田宗司

    岡田宗司君 米軍は米軍自身でりっぱな通信施設を持っているとすれば、それはそっちのほうで使っていただけばいいので、したがって、この琉球電信電話公社に引き渡されるというUHFの短波というものは、特別に一定部分を軍に提供するという形は、私どもとしては好ましくないと思います。これは譲渡される側のほうにも、はっきりそういう旨を伝えてもらいたいと思います。それでですね、幾ら向こう側に施政権があるからといって、日本の国民の税金でできて、それを向こうへ渡して、向こうの人たちの、沖繩住民の人たちの便益、生活の利便に供しようというのに対して、そこまで、そのうちの何回線かおれのほうの専用にしろというようなことは、国民感情として私はおもしろくない。だから、その点は国会でそういう議論があった、こういう要求があったということをはっきり伝えてやっていただきたいと思うのですが、どうですか。
  111. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 岡田先生も御案内のように、先島にはあまり軍事施設のようなものはございませんし、それから、いま御答弁ありましたように、独自のものも持っておりますし、したがいまして、そういう特約を結ぶとかいうようなことは考えられないと思います。普通の民間の人と同じ条件で使うことは排除はできないと思いますが、御趣旨はよくわかりました。
  112. 春日正一

    ○春日正一君 この施設が完成をすると、米軍と日本政府と琉球政府との間で覚書が取りかわされるというふうに聞いているのですけれども、その点どうですか。
  113. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いま御指摘になりましたように、総理府と、それから電電公社も入ると思いますが、琉球政府とで覚書をかわすことになると思います。
  114. 春日正一

    ○春日正一君 大体どういう内容のものになりますか。
  115. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いまこれに類似した覚書の内容がございませんので詳しくは申し上げられませんけれども、無償で琉球政府に譲与するということと、それからまた、この施設が所期の目的に従って、琉球政府関係諸法令に従って公正に運営されることを約束する、こういう内容が中心のようでございます。
  116. 春日正一

    ○春日正一君 本島と先島の電気通信状況が非常に悪い、だから今度はUHFということなんですけれども、いままで非常に悪い原因ですね、これはおもにどういうところから来ておったのですか。
  117. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) これは現在本島と先島間には短波の回線が三回線ないし四回線、各島の相互間に張られておるわけでございますが、短波の回線でございますと、時間帯その他によって非常に混信その他がありまして必ずしも良好な維持をすることができない。それは短波の回線というのは、御承知のとおり、つながることはつながるのですが、非常にフェーディングあるいは混信というものがありまして不安定なものでございまして、特に夜間などは、これは電波の伝搬の関係で常時安定した通信の確保ができないのが通例でございます。非常に不安定な回線であるということでございます。
  118. 春日正一

    ○春日正一君 この現在不安定な、妨害になる電波のもとですね、どういう電波があって聞こえないのかということですね。
  119. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) これは、電波の伝搬のことを申し上げますと、この沖繩——先島間に使っているのは、これは短波といっても比較的低いほうを使っているだろうと思いますが、この辺の波は、実のところを申しますと、昼間はどうやらつながる、わりあい減衰が比較的大きいのでつながりやすいのでございますが、夜間になりますとこれは非常に減衰が少なくなりまして、混信の度合いが、非常に遠方からの電波も伝わってくるという性質があるわけでございまして、近傍のみならず非常に遠方からの電波の干渉を受けて、特に電話回線のような、ある程度幅のある回線が必要なわけでございますが、そういうものはいい状態に維持することは非常にむずかしいというのが一般の通例でございます。
  120. 春日正一

    ○春日正一君 つまり、アメリカの使っている、米軍の使っている電波ですね、これから夜になると台湾、韓国、フィリピンなんかのような遠いところからも来る。そういうものがつまり混信したり妨害したりということに主としてなるのじゃないですか。
  121. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) これは沖繩で使っているアメリカの電波ということに実は限らないわけで、これはおそらく、アメリカの周波数につきまして、沖繩につきましてはお互いに償う周波数を、琉球電電で使うものと米軍で使うものとはちゃんと分けて使っているだろうと思いますが、そこが混信するのでなくて、夜間になりますと、非常に遠方の、極端に言えば、世界の果ての電波というものがここまで伝わってきて干渉するということなので、短波というのは共通のところを世界じゅうがみんなで使っておるというのが現状でございまして、これは、昼間は遠くから伝わってくるのは非常に減衰が激しいので、それほど影響しないといいますか、近傍のところだけが影響するということでございますが、夜間になりますと、非常に遠方からのなにまで干渉するということでございます。
  122. 春日正一

    ○春日正一君 沖繩の電波の監理はどういうふうになっているのですか。
  123. 左藤恵

    説明員左藤恵君) 一九五五年の沖繩の電波法に基づきまして琉球政府は無線局及び無線通信士の免許の発給、変更、更新等を行なうことになっておりますが、電波の監理、すなわち周波数の監理につきましては、これは高等弁務官の承認を受けて琉球政府が行なっておりますので、事実上高等弁務官権限ということになっております。
  124. 春日正一

    ○春日正一君 今度のUHFの回線ですね、三十六回線というふうに聞いているのですが、これが完成すると、三十六回線全部が一般公衆用ということになるわけですか。
  125. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 三十六回線が公衆電気通信設備として電電公社の運営にまかされることになります。
  126. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、別にこれが、さっきの話に出たように、米軍用に何回線か取られるというようなことにはならないわけですね。
  127. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) これは原則的には琉球政府の問題でございますが、これは沖繩住民の通話の改善に非常に貢献があるものと期待しております。
  128. 春日正一

    ○春日正一君 それで、安保条約の地位協定七条ですね、あれは「合衆国軍隊は、日本政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有するものとする」。日本の国内でも米軍はそうなっているわけですね。当然、向こうで全面的な権力を持っているアメリカの軍として、電波の監理ももちろんやるし、同時に、軍事上の必要ということが出れば、これはそういう施設を接収し利用するということは、これは法令的にはどうなっているのですか、向こうの。
  129. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 本土の場合は、安保条約との関連で御指摘になったような地位協定によって取りきめがありますが、沖繩の場合は、米国そのものが施政権を持っておりますし、で、その基地の軍用のための共用関係につきましてどういう規定があるか、私どもは詳しい点は承知しておりません。しかし、本土とは全く違った態様になっているわけです。ただ、先島のUHFの問題に関して申し上げますと、ただいま御説明ありましたように、私どもはそういう場合はいまのところ予想していないわけでございます。
  130. 春日正一

    ○春日正一君 その点はわかるんですよ。米軍は非常に優秀な自分の通信網を持っておりますからね。だから、今度できるものを使うとか、そういうことがいま予定されるということでないということは私どもわかるのですが、つまり、法制的に、日本の場合でも、例の三矢作戦なんかで見ると、そういう非常事態には通信施設その他は軍が接収するというような形になる。だから、当然、米軍の占領下という条件では法制的にはそうなっているんじゃないかという点、その点、私どもちょっと調べてみたのだけれども、なかなかわからないのだけれども、あなたのほうで調べてもらえませんかね。法制的にはどうなっているのか。
  131. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ただいま申しましたように、いまのところ私どもは的確につかんでおりませんので、またよくそういう内容について調べてみたいと思います。
  132. 春日正一

    ○春日正一君 調べて知らせてくれませんか。じゃあ、終わります。
  133. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  134. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記つけて。
  135. 斉藤浄

    説明員(斉藤浄君) 先ほどの発言をちょっと訂正いたします。  先ほど工事の完成時期を四十四年五月末と申し上げましたが、三月末の間違いでございます。
  136. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 本案に対する本日の質疑は一応この程度といたします。なお、次回の委員会は四月二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会      —————・—————