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木村美智男君 それで、従来どうかするとやっぱり
運転者のほうの
責任追及で終わっているものだから、どちらかというと
企業のほうでは多少のんびりしている点もあるんですよね。こういうふうに明確に
企業の
責任だということが明らかになってくるような事態が出てきた場合には、これは
一つのみせしめと言うとことばは適当じゃないが、やっぱり
企業側はこういう重大な過失を犯すような与件をつくったという
意味でこれは
責任の所在を明確にして処置をしてもらうということが、これからやっぱり
企業側のこういう
労務管理その他に対するあり方というものを規制をするし、
通達を出した趣旨にも沿っていくということになるわけですから、そういう
意味で私は特にこれは今回の場合は
重要視をしておるわけで、そういう点について特段の、
調査にあたっても正確に
実態を把握をして、その結果
責任があるということになれば、これは断固
企業に対する処置をしてもらいたい。これは要望しておきます。
で、問題は給与の
関係も私はちょっと調べてみたんですが、
上野文哉というのは
運転手のほうですが、四月分の給与を見ますと、大体本給が三万円です。その本給以外のやつは長距離手当というのが三千円です。特別手当が四千七百円、技能手当が二千円、役づき手当が千円、住宅手当二千円、住宅手当はこれは本給みたいなものだろうと思いますから、大体比率を見てみると、合計四万二千七百円の中で七対三ぐらいになっていますから、本給とその他の割合という
意味ではまずまず私ば体系上問題がないじゃないかと、こういうふうに見ているわけなんです。ところが、そういうことで、問題はないと見たんですけれ
ども、その四月分、実は二十五日以降病気で休養をした。したがってこの給与は二十五日分だとある。二十五日働いて五日間病気で休んでいるということになれば、
一体公休というやつはどうなっているのかという実は疑問を持ってきたわけなんです。そこで、名目を病気ということで、実際には公休みたいな休み方を
実態としてはやっておったのかどうか、そいつはわかりませんが、
手元にある限りでは二十五日以降病気で休養し、稼働二十五日分として先ほど言った四万二千七百円と、こうなっているわけですから、したがって、公休といったような問題についてこれもひとつきちっと、病気で休んだことと別にして、できるだけそういう
運転者については週休といったようなものを厳格にとらせるという、疲労の蓄積がやっぱり
事故の
原因になっているという
意味からいけば、この辺の監督というのはやはり相当きびしくしてもらわなければいかぬじゃないか。こういうふうに実は
資料の中から出てきたんで、ここでどうこうというふうに議論をしようとは思いませんが、
調査にあたって十分これはひとつ把握をしてもらいたい。
それから、
助手のほうにいたっては、これはまあこういうあり方も
指導をする
方法があるかどうかはちょっと問題ですけれ
ども、大体体系は七三ぐらいで、総額はずっと安いんですが、差し引き二万八千円ぐらいもらえるところを、前借りと食費とを引き去っているために
本人の手取りは八千円、ちょっとはんばがありますが、大体八千円なんですね。こういうことは
一体、
企業に対してもやっぱり前借りなんていうものについてもある
程度規制をさせるとか、せめて月給の半分ぐらいは
本人に渡るような形にしておかないとうまくないんじゃないかというのが、この
事故との
関係はあまり因果
関係はありませんが、これはまあ関連しているところなんで、この辺についても少し賃金台帳を調べる際によく見ていただきたい、こういうふうに思うんです。
で、
大臣いらっしゃいましたから、いま
労働省とそれから自動車局のほうにいろいろ伺ったわけですがね、問題として
大臣出てきているのは、
一つは、こんな
夜間の十四時間も
運転するというのに
交替運転手を乗っけていないというのがまず大体明らかになった。それから
道路が非常によくて、車が少ないという最もいい条件のところで
事故を起こしているという、しかもそれは
センターラインオーバーだという、こういう特殊な
事故だということ。その
原因には何があるかというと、どうもいま
労働省にも伺ったんですが、朝七時四十五分に
出勤をして夕方やはり七時四十分まで
荷物を積んでまるまる一日働いているにかかわらず、二十分ぐらいの
休憩で、二十時出発あしたのお昼に
原町田に着く、こういう強行軍をやらしているというのはどうあっても
運行管理者の
責任、
労務管理上、これはやっぱり
企業側に決定的な問題点がある。途中でどういう理由で
交代したかということは推測の域を出ませんからこれは申し上げませんが、とにかくそういう
勤務をやらしているというところに、たいへんなやっぱり今回の
事故の特殊性が
一つあるような気がするわけです。それから四つ目には、これは
基準局から伺ったわけですが、すでに臨検の際に
労働基準法違反を一回犯している。その後いろいろ処置をしてだいぶ改めたようであるけれ
ども、依然としてこういう
勤務体制がとられているという点になると、これはやっぱり今後のこういう中小のいわば運送
会社の
企業のあり方について、この間刑法の審議をやったら、もう全然
企業の
責任ということで処分をされたという
事件が一件もないんですよね。そのことが実は
事故を起こす大きな要因になっているというふうに私感ずるんで、これはやっぱり
一つの、この際、変な
労務管理あるいは全然
通達その他を無視した、過労になるような形の
運行管理をやっておれば
企業者も厳罰に処せられるんだという
一つのやっぱり実績をつくることによって、それが
本人を、あるいは
会社を処分するというところじゃなしに、そういう注意が全体に
企業者の間に広がることによっての
事故防止という、そこにねらいを置いて、この際はひとつ何というか、客観的に、しかも正確に事態の把握をして、私はひとつこの問題については具体的な事象があがってきた場合は厳罰にしてほしい、こういうことを、これは特にこの問題として実は集約的に出てきたものですから、その点をこれは
大臣に
意見をひとつ伺っておきたいんです。
ただ、
行政処分の強化という
一般論は、
大臣、実は私いただけない。この間、刑法改正したときに、実はこれはいろいろ議論をしたところなんですが、それはやっぱりいまの
運転者の悪質事犯に対しての処分のしかたについても、私
どもとしてば、それは酔っぱらいとか、ひき逃げとか、スピードとかいう問題は、これを処分していかぬと言ったんじゃないのです。いろいろいまの交通
事故の起こってくる
原因をなくすることに重点を置いて、そうしてそれらと一緒に処分のほうについても考えるべきだという筋を言ったんであって、もしどうしてもやれというなら
道路交通の
運転者が九九%というのだから、
一般刑法を改正せずに、道交法を改正をしてそしてそれで処置したらどうかとこう言ったのですが、
大臣がいま言ったようなことを言われると、そのとき私らが不安に思った、これを改めて禁錮刑だったやつを懲役刑に引き上げたから、ほかのやつもどんどんどんどん刑が引き上がってくるおそれがあるから、これはいかぬという反対理由の
一つをまさに
大臣がそれを裏書きするようなことをこの際言われると、これはたいへんな波紋を起こしてしまうから、ここはひとつ、必ずしも
大臣はそういう意思で言っているとは思いませんが、
行政処分でけじめをきちっとするという
意味で私は受け取りますから、そういうことでないと思うのでありますが、いま刑法改正のさなかで議論したばかりのことを法令を省令でも改正して
行政処分で刑を倍加するということではうまくないから、やはりこの
原因をよく見た上でいまの刑法なり、あるいは道交法なり、これによってきめられたものに該当するものをきちっとやっていく。従来それがやられていないから、そこのところにひとつ
行政処分についても再検討するということ、
意味はそこら辺に重点があるのだというふうにしておいてもらわないと、ただいまちょっと情勢上うまくない。これは刑法が通ったばかりで、さんざ議論したばかりですから、もう少し先にいって同じような問題が幾つも出てきた場合、どうもしめしがつかないということが出てきたら、これは私も
大臣が言われることを了解したいと思うのですが、今日の時点ではちょっとそこのところ、私の受け取り方が悪いのかもしれませんが、そういうふうに感ずるものですから、ここでひとつ
大臣、正確に言い直しをしておいてもらいたいと思うのです。