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1968-05-16 第58回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十六日(木曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————   委員異動  五月九日     辞任         補欠選任      森中 守義君     鈴木  強君  五月十日     辞任         補欠選任      内田 芳郎君     赤間 文三君  五月十三日     辞任         補欠選任      赤間 文三君     後藤 義隆君      近藤英一郎君     河野 謙三君      岡本  悟君     斎藤  昇君  五月十四日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     野知 浩之君      鈴木  強君     森中 守義君      木村美智男君     野々山一三君  五月十五日     辞任         補欠選任      野知 浩之君     沢田 一精君      斎藤  昇君     岡本  悟君      後藤 義隆君     柳田桃太郎君      平島 敏夫君     杉原 荒太君      野々山一三君     木村美智男君  五月十六月     辞任         補欠選任      河野 謙三君     新谷寅三郎君      柳田桃太郎君     後藤 義隆君      田代富士男君     北條  浩君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷口 慶吉君     理 事                 岡本  悟君                 重政 庸徳君                 大倉 精一君                 木村美智男君     委 員                 木村 睦男君                 沢田 一精君                 新谷寅三郎君                 柳田桃太郎君                 小酒井義男君                 中村 順造君                 北條  浩君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省自動車局        整備部車両課長  隅田  豊君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道常        務理事      井上 邦之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件)  (日本国有鉄道運営に関する件)     —————————————
  2. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る五月十日、内田芳郎君が委員辞任され、その補欠として赤間文三君が選任されました。  また、十三日、近藤英一郎君、赤間文三君が委員辞任され、その補欠として河野謙三君、後藤義隆君が選任されました。  また、昨十五日、後藤義隆君、平島敏夫君が委員辞任され、その補欠として柳田桃太郎君、杉原荒太君が選任されました。  また、本日、河野謙三君が委員辞任され、その補欠として新谷寅三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 理事補欠互選についておはかりいたします。委員異動に伴い、理事二名欠員となっておりますので“その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。  それでは理事岡本悟君及び木村美智男君を指名いたします。     —————————————
  5. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 岡本悟

    岡本悟君 港湾整備緊急措置法の一部改正法案の問題でございますが、第一次港湾整備計画を立てましたのが昭和三十六年、当時二千五百億円の事業量でスタートいたしまして、最終年度の四十年度を待たずしてこの計画わが国経済成長にマッチしない、非常に不十分であるというので改定いたしまして、昭和四十年度から第二次港湾整備五カ年計画がスタートし、その事業量はたしか六千五百億円であったと思いますが、その第二次計画経済成長に追っつかない、こういうことで今度の第三次の改定になったのだと思いますが、総じて、わが国社会資本が非常に立ちおくれておると言われておりまして、この整備が急がれておりますけれども、この港湾整備に限らず、あるいは道路にいたしましても、あるいは鉄道にいたしましても、あるいは上下水道にいたしましても、そういう社会資本が非常に立ちおくれておりまして、その整備計画は常に改定を余儀なくされておる。そうかといいまして、昨年あるいは本年におきましても、景気が多少でも過熱してまいりますと、すぐ公共投資押えにかかる。まあ民間設備投資ももちろん、これは政府におきまして行政指導をして、できるだけ押えるという方向に持っていってはおりますけれども、しかし、何といっても政府の一番コントロールがきくところの公共投資押えにかかる、こういうやり方が従来繰り返されておりまして、そうでなくても、社会資本が立ちおくれておるにもかかわらずますますその差がはなはだしくなってくる、こういう感じがするのであります。しかし、さればといって、いまの公共投資はおそらく昭和四十三年度予算の中におきましても、比率にいたしましてはっきり覚えておりませんが、二四・五%になるんじゃないかと思いますが、非常に先進諸国に比べれば高いと言われております。しかし、客観的にみれば、社会資本が非常に立ちおくれておって、民間経済成長とはマッチしておらぬということは、これまた歴然たる事実であろうと思うのですが、大きく言いまして、国の財政的見地から公共資本投資の立ちおくれを挽回する方法としてどういうふうにやっていけばいいか。これはまあ大蔵大臣に聞くべき問題あるいは経済企画庁長官にかかわる問題でもあるとは思いますけれども公共投資をずいぶん多くかかえております運輸省所管大臣でございます運輸大臣はどういうふうなお考えを持っておられますか。このことを最初にお尋ねいたします。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私なんかよりも岡本さんのほうがはるかにそういう知識はおありであると思いますので、私から御答弁申し上げるのはちょっと僭越でありますが、私の感じを申し上げますと、やはり国政というものは一つバランスの中に生きているもので、経済的要請経済的成長という要請も一面非常に大事な部面でございますけれども、また、一面においては民生の安定あるいは人心が喜びと心の安蘇に包まれているという情勢にしておくということも、また政治の非常に大事な要件であろうと思います。  私はよく人に言うのでありますが、政治というものは入間の生死とおせいじの問を行ったり来たりしているものだ。そういうことをよく言うのでありますが、やはりおせじという意意も、政治には非常に大事な要件であると思うのです。そういう面から考えますと、この公共投資とそれから防衛費と、あるいはさらに社会保障炎とが、国の大事な機能を果たしておる諸経費バランスをどう伸縮させるかということは、そのときそのときの時代の要請に沿って弾力的に考えるのがいいと私は思うのです。ただ、考えられますことは、やはり日本がいま赴かれておる客観的国際条件、特に国際経済の中における条件というものを考えまして、このチャンスにこれをやっておかぬと後代に累を残すということはあり得ると思うのです。そういうタイミングを見て、このときにこの仕事をという要素をはずすわけにいかぬと思います。そういう部面については、これは五カ年ならば五カ年でしっかりコースをつくってできるだけ忠実にそのコースを追うということは望ましいと思いますし、それにも関連してたとえば、日本のようなパターンの国である場合には、標準予算というものをつくって、内外の情勢電子計算機に入れてみて、国防費は何%ぐらい、公共事業費は何%ぐらい、その内訳はこれこれ、社会保障費は何%ぐらい、これが非常に望ましい姿である。そういう標準予算のようなタイプをつくって、できるだけ現実をそこへ近づけていく、そういう努力をする必要もあるだろうと思います。現在、日本の本年度財政の問題をみますと、やはり一番大きな問題は物価の問題もございましょう、国際収支の問題は順次解決してきましたが、一番大きな問題は賃金問題と米価問題だろうと思うのです。この賃金問題と米価問題とも総合的国策の一環としてとらえてこれを安定処理方策ができない限り日本の経済的安定というものはなかなかむずかしい問題があるように思っております。
  8. 岡本悟

    岡本悟君 いまの問題はしょっちゅう私自身でどういうふうに解決したらいいか悩んでおる問題でございますので、せっかくの機会ですから大臣の御見解を伺ったのでございますが、一説には、いまの予算規模というものが日本の旺盛な経済成長力にはたして見合った適正なものであるかどうか、非常に小さ過ぎるのじゃないかという見解もあるようでございますけれども、しかし、いずれにいたしましても、いまおっしゃったような、いわゆるバランス安定成長と申しますか、各方面要素考えていかなきゃならぬ問題でございますので、そう簡単な問題ではないと私自身も思っております。  それで、次にこの法案整備に関連いたしまして、臨海工業地帯造成というものが盛んに行なわれておりますけれども、特に石油精製工業と申しますか、石油化学工業と申しますか、石油コンビナートと申しますか、こういった石油類ですね、この関係工業立地というものは、相当私は今後思い切った手を打つ必要があるように常々考えております。と申しますのは、一つ災害の問題、特にタンカーがますます御承知のように大型化してまいりますし、一たん事あるとどえらい災害が発生する。去年でしたかおととしでしたか、英仏海峡でトリー・キャニヨンがああいった事故を起こしまして大騒動を起こしましたことは御承知のとおりでありますが、これは三十万トン、四十万トン、五十万トンタンカーが一たん事故を起こしますとたいへんなことになるであろうことはもう申し上げるまでもございません。  そこで、もう一つ公害の問題、これも非常に無視することのできない大きな問題であると思います。そういったことから、今後のそういう臨海工業地帯造成というものは、狭い東京湾だとか、あるいは大阪湾あるいは伊勢湾あるいは瀬戸内海、そういったところを避けて思い切って鹿島臨海工業地帯造成のように大洋に面したところにつくっていく必要がある、こう思うのでございます。通産省も新しい工業立地適正化法というような法案を準備しておるようでございますけれども、ここで思い切って運輸大臣としては、そういう災害見地から、あるいは公害防止見地から、特に石油工業につきましてはそういう見地から立地を指導していただきたい、かように考えております。と申しますのは、この間、新しい石油工業基地の候補として通産省が選びました中に、相変わらず狭い湾内に面した土地を選定しておる。そういうあやまちを依然としておかすような気配が残っておる。このことを強く政府部内でも発言をしていただいてリードしていただきたい、こういうつもりでいまお伺いしておるわけです。御見解を承りたいと思います。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御答弁申し上げます前に、いま地震の報告が入りましたのでちょっと申し上げます。  発生時刻は九時四十五分ごろ。震源地十勝沖と推定されると。震度は、盛岡五、岩見沢、小名浜、石巻、宮古四、東京三。津波警報本州太平洋岸関東以北津波警報を出したと。被害状況は目下調査中。こういうことでございます。  ただいまの石油コンビナートの問題でございますが、私は岡本先生のお考えに同感でございます。瀬戸内海とか東京湾とか、ああいうところはもはやただいま限度にきておると思いますし、そこで、大型タンカー等が入ってくる場合の問題等考えますと、できるだけ回避したほうがよろしい、むしろ外洋に面している方面、あるいは日本海沿岸日本海沿岸はがらあきだと思うのです。土地も安いですし、港湾もありますから、むしろ日本海沿岸というものをこれから活用したはうがいいと思います。  それから石油輸送の問題でも、近ごろは流通センター、流通団地というのが一般にできているようですが、鹿児島の南とか、あるいは下北半島のどこかとか、そういうところに大石油基地をつくって、そこからパイプライン本州に持ってくる、ちょうど東京都内ガス管が張りめぐらされているように、パイプライン本州を両方から縦断して、そこから支線を出す、そういうことにすることが陸上輸送の混乱を防ぎ、また運賃を下げ、長期的に見て国の利益になるだろうと思うのです。目下のところは内航海運小型タンカーで運ぶのがペイしているように見えますけれども、しかし、長期的に見れば。パイプラインのほうが私ははるかに右利じゃないか、こう思います。そういう点についてこれをどういう形でやるか、国がやるか、あるいは民間資本がやるか、特殊法人がやるか、そういう点もひとつアイデアとして、もはや考えていいのではないかと思っております。
  10. 岡本悟

    岡本悟君 この前、開発銀行利子補給金の一部改正法案を審議いたしました際に、私は大臣マラッカ海峡の問題と関連いたしましてクラ地峡の問題をお尋ねしたのですが、さすがに中曽根大臣だけありまして、ちゃんと御存じで、実は私も非常に関心を持って研究しておる、こういうお話で、たいへん私感銘深いものがあったのでございます。  実は、きのう港湾局長は、あした岡本質問するけれども、何を質問するか教えてくれと、こういうお話があったから、いや、私は与党だからあなたを困らすような質問はしない。しかし、最初クラ地峡の問題を聞くかもしれぬと、こういうお話をしたら、いや、クラ地峡の問題、私知りませんと、こういうお話で、それはおかしいじゃないですか、あなたの先輩天埜先生、これは非常に戦前から苦労して調査されてきた大きな問題だということをお話をしたのですが、多少きのうから即席ではありますけれども研究なさったようであります。だから、その概要でもいいからちょっとお話願いたいと思うのですが、この間も大臣お話の中に、このクラ地峡開発原子力、水爆を使えばそう大したことではないというふうなお話がありましたが、これはしごくごもっともだと思うのです。いまアメリカで第二パナマ運河を開さくしようという計画があるようでございますが、普通の従来の工法をもってしますと、大体経費が五十億ドルくらいかかるだろうというふうに積算されておりますが、これが原子力を活用しますとわずか六億五千万ドルでできる。こういうふうな話も伝わっております。そういうことで、マラッカ海峡整備もさることながら、将来のわが国の海運のことを考えますと、この問題と真剣に取り組んでも早過ぎることはない、かように考えております。一夜漬けの勉強でもいいですから、ひとつ港湾局長でも検討の結果をお聞かせいただきたい。
  11. 宮崎茂一

    政府委員宮崎茂一君) ただいまクラ地峡につきまして御質問がございましたのですが、御承知のように、現在中近東から日本に油を運んでおります、また鉄鉱石その他の大きな船も就航いたしております。船舶はだんだん大きくなりますので、マラッカ海峡をだんだん通れなくなる。そうなりますとクラ地峡、あの辺を切りますと非常に時間が短縮できます。大体日本まで六百キロぐらいの短縮が可能でございます。したがいまして、クラ地峡のあそこに運河ができますというと、どのくらいの経済的な利益が、輸送コストにおきまして利益があるかということを計算いたしました資料は、大体年間四百億円程度利益があるということになっております。もちろんこれは初年度は少ない、だんだんと、現在は船舶トン数量は少ないのですが、後年にいくほどに輸送量が多くなる。船舶の交通も多くなるし、大型船比重もふえますから、後年にいくほど、そのコスト比重と申しますか、便益が多くなるのですが、平均いたしまして年間四百億、こういうことになっております。したがいまして、それではあの地帯にそういう海峡ができるか、開さくができるかどうかという問題でございます。いまお話のように、戦前からいわゆる軍事的な目的のために、昭和十一年ごろから私ども先輩があの辺を調べておりました。またそのような資料も二、三ございます。それによりますと、クラ地峡調査ではなしに、やはりそのほかに二、三カ所の地点をいろいろと計画いたしております。これにつきましてはいわゆる机上と申しますか、図面による計画でございまして、実際にボーリングをやるとか、あるいはまた詳細なものを、現地的なものではございませんけれども、大体われわれが計画いたしますときに、日本の内地でもそうでございますけれども、どのくらい工事費がかかるかというような非常な概算をするための調査でございます。これをやっておりますが、いろいろな試算がございまして、一番少ないのは八百億かかるという説もございます。それからまた最近では三千億ないし四千億といったような工事費考えられております。もちろんこれは水深が二十メーターないし二十二メーター程度、つまり現在出光丸ぐらいがマイナス十七メーターぐらいの喫水でございますので、運河というのは非常に波がございませんから、相当な三十万トン、四十万トン、そういった大きな船まで通れると考えておりますが、そういうような計画図上計画と申しますか、そういったものがございます。この工費の積算というものは御承知のように、現在の機械と申しますか、でやるということになっておりますので、私どもといたしましては、その地点につきまして非常にかたい岩があるか、あるいは砂かどうかという、そういう現地調査をしなければ、ほんとうの工費というものは出ないのだろうと思います。しかし先生お話のように、原子力を使ったらどうかというようなことでございまして、私もどうも不勉強でございまして、あまり原子力を使った爆破工事というものを現実に体験しておりませんので、しかしながらそれはできるということだけは承知いたしております。したがいまして、そういう面のことも今後研究してまいりたいと、かように考えています。大略そのようなことでございますので、大局的に見ますと非常に引き合う工事ではないか、三千億でもし可能であったといたしましても、年四百億の運送コストの引き下げということになりますから、そういたしますと、八年間ぐらいでできるということになりますので非常に有望じゃないか。ただ御承知のように、政情不安なところでもございますし、そういった形態ですか、運営形態をどのようにするのか、大臣の御答弁になっております資料を見ますと、エカフェにやらせるとか国際協力の問題とか、いわゆる技術の前に、いかなる組織でそれをやるか、あるいはまたどのような管理運営方法をするかということなど、やはりこれから検討すべき問題はあると思います。しかしながら岡本先生のおっしゃいましたように、非常に有利なと申しますか、取り上げるべき有望なプロジェクトでもございますし、また問題でもある、かように考えるのであります。簡単でございますが。
  12. 岡本悟

    岡本悟君 もう時間もあまりないようでございますから、この整備計画の問題に入りますけれども、例の経済社会発展計画港湾投資を五カ年間に四十二年度から四十六年度まで八千五百億円の投資を見積っておりますが、この関係はどうなんですか。それからもう一つ、これは全然話が違うのですが、戦前港湾投資公共投資に占める割合、それと現在の比較、私の記憶では、戦前では港湾投資は非常に大きな比重を占めておりまして、公共投資のたしか二五%ぐらいいっておったと思うのですが、いまは残念ながら転落しまして一〇%を割っているのじゃないか、その点二つお聞かせいただきたい。
  13. 宮崎茂一

    政府委員宮崎茂一君) 第一点は、経済社会発展計画というのが昨年の三月にできまして、これのこの計画におきますところの港湾投資額というのは八千四百億になっております。ところが、これに見合いますところの、新しい今年度からやります港湾整備五カ年計画は一兆三百億というふうになっております。千九百億を上回わっております。この関係はどういうふうに考えるのか、こういう御質問だろうかと思いますが、御承知のように、八千四百億円という金額は大体昭和四十二年度から四十六年度まででございます。したがいまして、一年新しい計画がずれているわけでございます。なおまた八千四百億というのは四十年の物価指数でございますので、私どものいまの物価指数にいたしますとおおむね一〇%ぐらいのアップというふうな考えでおりまして、大体おおむね九千二百億円、八千四百億円に対応します現在の物価でいいますと九千二百億円ということに考えております。したがいまして、九千二百億と一兆三百億との差ですね。千百億ある。これは一年ずれることによって、それは一、二年ずれることによって金が多くなる。と申しますのは、だんだんと今後いまの計画でも年率二割増しの計画にいたしておりますので、あとほど金が多くなります。大体そういった差がそこにあらわれているわけでございまして、新しい計画というものは経済社会発展計画の八千四百億にほぼ同じだ、こういうふうに考えております。  第二点の、港湾事業費戦前割合でございますが、御承知のように、戦前公共事業というのは非常に限られておりまして、道路とか河川とか、あるいは港湾、こういうふうに限られておりました関係から、先生の御指摘のとおり二五%程度でございます。これはそのとおりでございます。ところが、最近におきましてはとの比率は七%程度に下がっております。どういうふうにしてこういうふうに下がったのか、公共事業というものの範囲の取り方と申しますか、これが非常に拡大してきたということが一つあるわけでございます。つまり、食糧増産対策費でございますとか、そのほかいろいろと戦後になりましてから政府のやる部門が非常に広くなってまいっております。それに伴いまして比率が下がったというのが一つの理由でございます。もう一つは、やはり道路発展と申しますか、自動車輸送というのは非常に発達してまいっておりまして、これに相当な金が食われておる。それに大きな原因があるわけだと私は考えております。大体以上の二点からございまして、港湾につきましても相当額予算をいただいて整備しているわけでございます。しかしながらそういった割合は、公共事業に占める割合は非常に低下しているという現状でございます。
  14. 岡本悟

    岡本悟君 それでは最後に御質問申し上げたいのは、この第一次、第二次港湾整備五カ年計画にいたしましても、予想数量実績数量はいつでも蛇離している。経済成長は非常にはなはだしいということからそうなっているのですが、それにいたしましても事実上は何ですか、たとえば昭和四十一年度推定量は八億一千万トン、それが実績は九億四千万トン、これだけをこなしたわけですね。もちろん私も日本港湾というものは外国に比べまして、たとえばバース延長単位当たり二、三倍の量をこなしておる。あるいは滞船が非常に多い、こういう事実も知っておりますけれども、ともかくそういうふうにこなしておるじゃないか、現実に。こういうふうな見方も皮肉な見方かもしれませんけれども、そういう見方もできるわけですね。だからいやそれは現実にはそうこなしておるかもしれませんけれども、実際はこういうふうな大きなマイナスが出てきておる。たとえば滞船状況がこうであるとかああであるとか、まあいろいろなことがあるだろうと思うのです。だからこそこれをもっと大きな計画改定しなければならぬ、こういう結論が出てくると思うのですが、その点を解明をしてもらいたいと思います。
  15. 宮崎茂一

    政府委員宮崎茂一君) 御承知のように、この四十一年度は八億一千四百万トンの想定でございましたが、実際は九億三千八百万トン。一億二千四百万トンくらいオーバーしておるわけであります。これは先生が御指摘になりましたように、目標をつくります場合には私ども経済計画というものを基準にいたしまして、国民総生産または鉱工業指数と港湾取り扱い貨物量との過去の相関関係を将来延長してまいりますのでこういうふうになるわけでございまして、要はやはり経済見通し、経済発展の見通しよりも現実が非常に上回ってきたという点に予測の違いが出てまいるわけであります。  第二点の、しからば先ほどの四十一年にいたしましても、こなしているじゃないか、現実に約八億二千万トンの貨物の予定のところを約九億四千万トンでございますか、こなしているじゃないか、そういう点はどういうことになっているんだ、こういう御質問だと思います。こなし方に実は問題があるのでありまして、私のほうから言いますと非常にスムーズに港湾の荷役ができるということが望ましいわけであります。船が入りまして荷役いたしまして、あるいはまた船員の休養その他でちょっと待機いたしまして、そうしてそのまますっと出ていく、そういうようないつ行ってもバースにつけられるそういう形態が非常に望ましいわけであります。そういたしますと滞船料も支払うことはない、港も混雑しないというようなことで非常に望ましい。欧米におきますところの港の状況と申しますのは、私も参りましたけれども、非常に閑散としているような感じがいたします。と申しますのはそういう非常に船のほうにとりまして、あるいはまた陸上の荷役にとりましても、貨物の流れがすっきりしているというような扱いが非常に好ましいわけであります。ところが、日本におきましては御承知のように、こういうことになっておりますので、滞船が非常に多うございまして、大体六大港におきましても現在四十時間くらいの待ち時間が四十一年度で三十五時間平均の待ち時間になっております。これに対しますところのやはり滞船料というものも相当な額にのぼるのではないかと思うわけでございます。また、バースを非常に効率的に使っているとは申すものの、その背後におきますところの輸送が非常に錯雑いたしております。その岸壁に、ある船が来るときまっておりますと、そこの上屋にちゃんと荷物を持ってきておるわけでございますので、いつどこへ船が着くかわからない、次々に着くということになりますので、船が着いてからほかのほうの上屋にあるものをはしけで運んできて、そこまで持ってきて荷役するというように、非常に港内でふくそう荷役というようなものをやっております。そういった、非常に港の秩序が、整然としない荷役をやっております。そこに非常にロスが多いということになろうかと思うわけでございます。そういった関係で無理無理に実は荷役をしているというのが現状でございまして、このような混雑した荷役というものはやはり一日も早く解消しなきゃならぬ、あたかも道路におきますところの自動車の混雑と同じでございまして、やはりある程度の時間で、郊外から都心まで来るのは三十分なら三十分で来るようにしないと、ほかの社会生活といいますか、そういったものに非常に影響があります。港湾はいろんな面で外国貿易とか、あるいは国内輸送の接点になっておりますので、なるべくこういう荷さばきをスムーズにやるということが社会に貢献することではなかろうか、そういった意味で、今後とも私ども努力してまいりたい。しかしながら、現状は非常に不経済な荷役をやっておるということでございます。
  16. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  17. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。     —————————————
  18. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  まず自動車行政に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  19. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、きのう、修学旅行の大型バスがトラックに追突をされて六名死亡、二十名けが人、こういった事故が発生したのですが、これは詳細おそらく調査をされていると思うので、調査をされたあとで次回にその点はお伺いをしたいと思うのですが、この際、特に大型トラックのダイヤが一体どういうことになっておるのかということと、それから従業員の賃金体系なり、給与の仕組みがどういう状態になっておるかということがどうしても知りたいわけなんです。そういう資料をひとつ整えて、次回にこの点は私お伺いしたいと思うのです。多少センターラインをオーバーをしてぶち当たってきたというような状況があるし、しかもそれは正運転手ではなく、助手が運転をしておったというようなたいへん問題なケースではあったのですが、同時に、どういうことになったかという問題を少し——出発が、二十時ごろに愛知県春日井のほうを出発をして、そのときすでに三時というわけですから、そうすると東京へ来るのはおそらく五時か六時近くなるのじゃないかというような点も考えてみますと、だいぶやはり運転手の労働条件というか、こういう点がですね、中小の企業であるだけにいままでにこの指摘をしてきた問題点がどうもここへきたような気がするものですから、こいつはきょうは質問というよりも、そういうひとつ資料をですねせっかく調査に行っておられるようですから、取っていただくということで、次回にですね、この問題は伺いたいと思います。  そこで、先月の二十四日から二十七日まで、交通ドクターが交通の調査をやったところが、何というか、特にこの三日間において特徴的にあらわれたのは、大型トラックの事故が特に多い、まあきのうもそれなんですけれども、それでこの一体ダンプ取締法ができてからの取り締まりのやり方というやつは、十分にこの体制がとれてやられておるのかどうかという点がひとつ気になるものですから、これはもし自動車局長が来ないとわからなければ、来てからもう一回その点は聞き直しをしてもいいんですが、大臣、一応ダンプ取締法の関係は、実施状況というか、あるいは実施の体制がどういう現状にあるかということをひとつ知っておったらですね、お答えをいただきたい。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨夜の事件は、まことに遺憾な事件でございます。まだ詳細は知悉しておりませんが、おそらく運転員及び助手の過失に基づく事故のように思います。特に助手が無免許で、しかもまあ年がまだ十九歳とかいうことでありますので、管理者の方面で相当注意が欠けておったんではないかと思います。そういう意味におきまして、あの自動車運送会社の業務の形態運営、労働条件、賃金そういう諸般の問題について精密な点検を行ないまして、御報告を申し上げたいと思います。私はああいう事件がまた起きましたことは、国民の皆さまに対して非常な不安感を与えることで、特に学童が痛めつけられましたということは、この前幼稚園の生徒の中にダンプカーが割り込んだ事件、あるいはそれ以上の悲劇でもありますので、真相をよく調べまして、厳重に処断しょうと思っております。管理者の責任がある場合には、業務の一部停止とかそういう情状によりまして、業務の運営自体に対してもきびしい処置をとるという考え方であります。  それからダンプカーの問題につきましては、規制法ができまして、それから人員の増員も認められまして、われわれのほうの係官がその自動車の駐車場、格納所等を適宜検査いたしましたり、それから街頭で抜き打ち検査もやっております。で、最近御存じのように、はち巻きを巻きまして、路上を走っておる情勢でございますが、あのはち巻きをやらしたことは非常に心理的にもいい結果を及ぼしておりまして、自粛してきているようであります。一番大事なことは運転員の教養と申しますか、注意力と申しますか、そういう点が大事なので、それを厳重に維持し管理するということは結局そのダンプカーをやっている会社の社長等の管理者の責任が非常に重大であると思いまして、それらの点につきましてもいま力を入れてやらさせている状態でございます。
  21. 木村美智男

    木村美智男君 まだその詳しい状況が入ってないということですから、きょうは簡単にしておきますが、この間刑法の改正の審議の際にもびっくりしたのですが、この無免許というやつは、本来その免許証を持つことを忘れて、つかまったときにたまたま免許を持ってないのが入っておるのだろうかと思って聞いたら、いやいやまるっきり免許を取ってないやつなんだという話なんで、これもまた無免許なんですね、だからこの無免許運転を事故が起こっちゃってから、統計に無免許が幾らあるなんということを言ってみたところでだめなんで、何か無免許では運転できないような方法というものを、これはひとつ考えてみなきゃならぬところへきているのじゃないか。警察庁の事故調査を見ましても大体いまここに資料持っていませんが、記憶するところでは大体二二%くらい無免許です、検挙件数の。そうするとやはり重大な問題なので、とにかく多少の運転はできても、それが免許を持っていないという場合には、絶対に運転ができぬような方法を、何らか知恵をしぼってそして無免許では現実に運転は行なわれないという形をつくり上げないと、どうもいかぬような気がする。これは別にきょう的確なお答えをいただくというのでなくて、検討事項としてひとつ所管大臣として特別に何か専門家でも集めて、具体的に検討して見る必要はございませんか。
  22. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今度の事件等も考え、いまのお話もございますので、よく検討してみます。私の感じでは、ともかく管理者がそれを管理して、無免許運転のごときはやらせない。もし無免許運転をやった場合には、管理者の責任において会社の責めを問う、あるいは運送店なりトラック会社の責任者の責任を問う。そういう形にして、もう少しきびしい処断をする以外にないように思います。やはりどろぼうはいかぬといってもどろぼうは出てしまうようなもので、何かそういう上にある人の責任で、厳重に取り締まらせるというのがいいんではないか。そういうような気がいたします。もちろんそれで無免許運転をやった者は、将来運転者になる場合に、よほどのことがなければ免許を与えないとか、そういういろいろな処置も考えてみる必要もございます。
  23. 木村美智男

    木村美智男君 この無免許問題で、管理者の責任という点に言及されたというのは、大臣、画期的なことで、私はその点では非常にこれは何というかいままでになかった英断だと思うのです。ぜひそういうふうにして、管理者の責任だけではないと思いますけれども、まだ他に方法があると思いますけれども、いずれにしてもひとつ大臣から答えられたような方法でですね、この無免許運転をなくすという点でぜひ御検討をいただきたい。  次に、この事故関係を見てみますとですね、私はもう直接この車体構造というか、この問題を委員会でも何回か指摘をしたんですが、車両課長も来ておりますから、二つばかり指摘をしておきたいんですが、リヤ・バンパーですね、やはりこいつがないことによって起こっておる事故というのはけっこうあります。で、交通ドクターの報告を聞いてみても、大体車体構造等を直すことによって、約三分の一くらいの事故を減らすことは可能だという報告が出ているわけです。この間扱った三日間の中で、約九件というものはそれをやることによって防げたという結果が出ているところがら推定をして、そういうことを報告をしているわけですが、そうなってまいりますと、このリヤ・バンパー、後方の防御板というやつを車体構造として義務づけるということを、ひとつこれはやってみたらどうか。それからサイド・バンパーについてもう一本横にやるというのでなくて、わきだから特に網状の、ちょうど玄関前で靴の泥を落とすみたいな、ああいった網状のやつをやはりサイド・バンパーとしてつける必要があるんじゃないかという、これはバンパーについては横とうしろを強化することによって、たとえば後退をして、人や自転車をころがし、あるいはひき殺してしまうという事故を相当防げるという関係について、特に構造上考えていかなければならぬじゃないかということが一つと、それからまだ、大型トラックの中には運転台の幅よりも広い荷台を持っているのが相当数ある。これがやはり問題なんですね。カーブ、その他で追い越しなんかでしりを振る場合に、この実は荷台の出っぱったところが問題になるということで、これは大型のみならず、小型についてもそうですが、大体運転台の幅からさらにうしろが出ておるという点は、これは凶器の部類に属するから、私はこれは車体構造として厳重に規制する必要があるというふうに考えるので、この点が二つ。  それからもう一つの問題は、騒音に関係するので、騒音防止法が参議院に回ってきましたが、公害のほうでもやってもらうつもりでおりますが、最近雷族と言われるのが原宿から追われて世田谷のほうにいったり、だんだん郊外に移ってきているのですが、最近では練馬のほうにだいぶ発展してきているのですよ。問題なのは、この間委員会のときに多少雑談で出ておりましたが、マフラーですね、要するにせっかくつくってある消音器をはずして、ばあばあ出すわけですね。そうするといまの車両の安全基準からいうと、八十五ホンというのが一応、規制されておるわけでしょう。ところがあの安全基準の盲点は、一台なり、一車なりということについての基準はあるけれども、相乗的な、つまり五台も、六台もそろってばあっと一度にやるやつについて何ぼかということの規制はちょっと技術的にむずかしいのかもしらぬが、ないわけです。それをいいことにして、朝の六時ごろからやられるわけです。特に日曜日なんていうのは、たまったもんじゃないですね。十台から音のでかいのを出しっこしているわけだ、競争しているわけだ。そこで考えることは、あのばんばんというやつをとにかくあまり取りはずしのできないように、しろうとは取りはずしのできないように、修繕屋か何かでなければやれないようにするということと、それから修繕屋に対しては最近私聞いたので、事実は突きとめておりませんが、わざわざでかい音をたてるやつをどこかで、インチキ製造会社があるかもしらぬが、つくって取りかえてやっているというのですね。これはぜひ突きとめてみなければいかぬと思うけれども、事実、そういうふうに言われておるからあると思うのです。したがって、相当通産省あたりとも関係をしますから、連絡をして、そしてこれがあるならばひとつ摘発をして、こいつはきちっとやはりやめさせてもらうということと、マフラーをとにかくはずしたものについては、やはりこれはひとつ処分をするようなことを考えてもらわないと、これはたいへんな問題なんだ。通常のまじめな人は、あまりマフラーをわざわざ取りはずして音をたてるなんていうことはやっておりませんよ。やはり最近のおかしいところだけが、こういうことをやっているわけだから、したがって、すべて取り締まれというわけではないが、騒音防止条例ができる段階だから、特にその点についての規制を考えるということと、安全基準の中で、幾つかが一緒になる、相乗される騒音、八十五ホンじゃどうにもならぬですから、野放しというかっこうになっておるので、これに対する規制を考えてもらう、この三つの点についてひとつ答えてもらいたい。
  24. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) ただいまの御意見の中でまず第一は、バンパー関係であります。リヤ・バンパーとサイドの後方装置でございますが、これは昨年の八月一日に保安基準を改正いたしまして、大型トラックについては装置を義務づけておりますが、施行がことしの八月一日からでございます。まだつけて走っている車両はあまりございません。一応、保安基準としての手はわれわれは打った段階でございまして、大体御指摘のようなどういうようなガードをつけさせたらいいかというような点については、まだまだ、いろいろな改良の余地がございます。先生お話のように、一本の横の棒をつけたり、たとえば網をつけたらいいんじゃないかといういろいろな考え方もございますし、開発の余地もございますが、この点につきましては、逐次、われわれも技術的な検討を加えて指導してまいりたいと思います。  それからその次に、運転台と荷台の幅の関係でございます。これもきょうの読売新聞に出ておりましたけれども、現在の大型トラックの衝突事故の中で、荷台の角度が非常に衝突をした相手の車に何と申しましょうか、非常に大きな障害を与える原因になっているというケースが、だいぶ最近、目立ってまいっております。われわれといたしましても、これをどういうふうな規制を加えるべきかということについていま検討をしております。まあ非常に簡単に申し上げますと、ただ運転台よりも幅が出てはいけないというような考え方の規定が、まあ規定の事務上、事務的なものの表現の問題なり取り扱いの問題でございますが、そういうような面の検討をいろいろ加えまして、どういうふうな規制にするかということを考えていかなければならぬと思っております。いろいろなタイプの自動車でございますので、単純な規制のしかたはちょっとなかなかむずかしいと思います。ただ考え方としてわれわれもぜひこれは規制をしなければならぬ問題だということで、いま改正の準備をしております保安基準改正の十四項目が済みましたら、その次の段階でぜひこれははとり上げたいと考えております。  それから最後に、騒音の関係の問題でございます。これは騒音関係におきましては、現在の保安基準で、先生も御存じのとおり、一応一台の車から出る騒音の量を八十五ホンと規定はしております。しかし、われわれもこれで満足と考えておるわけじゃございませんで、いまの規制のしかたでみますと、乗用車も大型トラックも何もかも一応八十五ホン以下であればいいというような響き方をしております。しかし、実際に車の個々の現状を見てみまと、たとえば乗用車などはもっと音を下げることができます。大型トラックなどになりますと、なかなか技術的にむずかしい面があるというようなことはございます。騒音と申しますのは、先生お話にもございましたように、一台がただうるさいというだけでなくて、何台かが集まってやはり集まったときのうるささというもので出してまいりますので、下げられる車の種類についてはできるだけ下げるというような観点からこの基準を見直してみるという意味で検討を加えていきたい、そういうふうに考えております。  それから最後のお話の、マフラーの問題でございます。これも一応いまの法律制度から申しますと、たとえば運輸省のほうでは車両検査がございますし、道交法のほうでは街頭で一応マフラーははずして、そのために異常な騒音を出しているような車がございますと、一応取り締まりはできるようになっております。しかし実際に、たとえば次の車両検査で申しますと、検査に来るときはちゃんとして持ってくる。街頭の場合ですと、なかなか音というものは取り締まりがしにくいというようなことで、そういう点で実態としてああいう現象がなかなか退治できないでいるのだと思います。そういう意味でわれわれもいま現在マフラーが簡単にはずせないようにするにはどうするかというようなこととか、あるいは確かに市販のマフラーというものがあるように、われわれもある程度事実が出てきております。そういうメーカーでちゃんとつくって、いわゆる自動車メーカーが最初につくったものでない、市販のけ、フラーというものについて何らかの法規制を加えなきゃならぬのじゃないかというようなことで、先生御指摘のように、通産省、警察庁、関係省庁との関係が出てまいりますので、そういうところと連絡をとりながら前向きでこれは検討していきたいというふうに考えております。
  25. 木村美智男

    木村美智男君 時間がないので、答弁をされたような趣旨でせひ規制をしてほしいという要望で終わっておきます。  大臣にちょっと実はお伺いをしたいのは、この間内閣委員会か何かで大臣が答えられたことが新聞に載っておるので、ぜひその真相を聞かしてもらいたいのですが、個人タクシーの年齢の引き下げの問題については、私は最近のやっぱり交通事情の中できわめて慎重に自動車局に対して引き下げ方の要望をしてきたところなんです。大臣大たんに三十五歳までよろしいというようなふうに新聞に出ておるので、一体どういうお考えと、そのときにはどういう事情でそういう答えをされたのか、大臣に伺いたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 委員の方から御質問がございまして、個人タクシーの許可条件一々について具体的な御質問がございました。そこで私は十年間事故で優秀な運転手であったという実績は、これはくずすことはむずかしいと思う。そういうむずかしさがあるところに個人タクシーの信用があるので、そういうものをくずしてしまったら個人タクシーの値打ちはなくなっちまう。それから、ある程度厳格に免許基準を持っているということ自体が個人タクシーというものが普通のタクシーと違う、信頼度を増していることでもあるので、そうたやすくくずすわけにはまいらないと思います。しかしながら、年の問題は、二十から運転員をやって十年たって三十になった。それでも無事故で一生懸命やっておる。三十五になっても、四十になっても二十年一生懸命やっても個人タクシーの免許がとれない。片方は三十から運転員を始めて十年無事故で四十にたまたまなったから免許証をとれる。片方は二十年間一生懸命やってもとれない。そういうことは結局運転員の士気を阻喪させることになるでしょう。人間の体力とか、あるいは家庭生活とか円熟度とか、そういうものを考えると、まあ三十五ぐらいになれば子供も生まれるし、そう軽はずみなことはやらなくなって、体力も一番旺盛ないい時代であるだろう。したがって、三十五ぐらいまで下げてもいいと私は思う、ただし、十年間というものは、これは下げるわけにはまいらない。そういう御答弁を申し上げたのでございます。
  27. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、十年間というやつは、特別これはまた科学的に根拠があるわけではないのですね。十年間事故を起こさずに運転をしてきたからと言ったって、それはのろのろとほんとうに事故だけを起こさぬようにひたすら注意してやってきて十年というものもある。したがって、十年の経験イコール事故を起こさなかったら腕がいいということには、これはイコールにはなかなかならない場面もあるわけです。大臣、私がそういうことを聞くのはなぜかというと、問題は、いま個人タクシーには代務制度というものがある。この代務運転者というやつは、これまた厳重な規制があって、やはり過去において大体十年ぐらい無事故でやってきた者でなければ個人タクシーのそれが休んだときに代行をしてやっていくことができないということになって、この代行者がいま七年も八年も厳重な資格のもとで運転をしてきながら、なおかつ個人タクシーの申請をやっても三十九歳以上全部年齢でもってはねつけられている、こういう事情があると思うわけなんです。そういうもう  一つ先にたっている問題を片づけないで、その根っこのものをばらっと大臣が三十五歳というようなことを言っているところは、これは多分に誤解を受けるわけです。もう少しやはり、ものには順序というやつがあるから、やはり大臣のいまおっしゃったその趣旨は、私は原則的にそれは賛成です。むしろ、むやみやたらにこれを権限らしく運輸省が振り回すことのほうが逆に問題があるのです。ただ、最近は車が多過ぎてこんなはんらんをして交通事故がどんどん起こってきているという逆な要素一つあるということと、これに年齢を引き下げていくという問題とは、これはやはりある意味では私は慎重にしてほしいとこう思っていた問題だけに、矛盾するのです。  そこで、事故率のことを大臣よく御承知のように、個人タクシーが事故率が低いのはあたりまえです。これは一つは、何かと言ったら、十年以上の経験を持っているということと、自分の車であるということ、人の車ではないということで、やはり自分の車のほうを大事にする。こういう要素が加わって、一般の事故率より個人タクシーの事故率がうんと低い。したがって、そこに信頼度を増すという関係なんで、これは初めに十年ということを大臣言われているからあまりおこるわけにはいかぬけれども、これは何か個人タクシーは評判がいいからふやすというようなことでどんどんふやせというような意見を言うのがいるけれども、私は必ずしもその点をそういうふうにだけは見られない点があるから、年齢はひとつこの際、まず第一に個人タクシーについてのむずかしいこの資格要件を持った代務制度に置かれている年齢をまず引き下げることを考えてもらいたい、第一段階。そうして、その結果を見て、やはりなるほど三十五歳程度であっても何ら事故率も上がらぬし、評判も落ちてこない。これならばだいじょうぶだということを見計らって、できるだけ早い機会に全般的な年齢を下げていくというような、そういうひとつ順序を立てて、これは大臣自身がやらんでいいですから、自動車局にそういう検討をさして、私は基本的にやはり年齢の引き下げを早急にやってもらいたいと思う立場なんで、その立場から言っているわけですから、そういう観点でこの問題をこれから扱ってもらいたいということが一つ。  最後に一つ、苦言だけれども、大体世の中じゃ二号さんやめかけがひがむことはあるけれども、本妻がひがむというのはあまりない。事自動車問題に関してあまりほかの委員会へ行って、ここで言ってもせぬことを、大臣だからといって、むやみにばかばか言うこと、これは大臣よろしくない、そういうことは。これはぼくはその点は別に発言は自由だから、それをどうこうすることはないが、大臣の権威のために私はよろしくない、運輸委員会との関係においては。だからほかの関係で、中共に船を輸出する問題ならばどこへ行って何しゃべろうとぼくは文句言わぬけれども、事自動車の問題とか、鉄道の問題とかいう関係になれば、やはり運輸委員会で目下やっていることで、検討していますというようなことで何ぼでも話ができることだから、それだけ向こうへ行って言うべきことならば、どんどん、常置されている常任委員会である運輸委員会に、ざっくばらんに、大臣、話をしてもらいたいと思うのだな。そうでないと、大臣、ほかの大臣かと思って、ひがむから、こういうことは長いいきさつをもって問題を扱ってきているだけに、これは答えてもらわんでもいいですけれども、ひとつその点は慎重に、大臣に、これは要請をしておきます。前のほう……。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最後のことがたいへん胸に入りましたので、前の質問は何でしたか忘れちゃったのですが……。  代務運転の問題はよく検討してみます。ただ、先ほど申し上げましたように、個人タクシーというものが評判がよくて、信頼度が高いというのは資格要件を厳重にして、その厳重さに対して運転員も注意をするし、また世の中も信頼を寄せているというところがありますので、この厳重さをそう簡単にくずしちゃいかぬと、それは私が信念で持っているところでございます。そこで、いまの代務運転につきましてもその厳重さというものをある程度維持しておく必要がある。せっかく個人タクシーをつくって、よく地方で、大学受験なんかに出てきますと、個人タクシーに乗れよと、必ず親は注意をしておるようです。それくらい地方では、東京へ行ったら個人タクシーに乗れば安全だという安心感を持っているのですから、代務運転で運転する人も、その本人にかわるくらいの素養とか、人格とか、腕前を持っていなければいかぬと私は思います。運転免許持っているから、簡単にそれじゃその日かわってやるというのじゃいかんと思います。それくらい厳重にしませんと、またくずれてしまうおそれがありますので。個人タクシーのいままでの評判を維持していくために、そういう点につきましても、私はある程度厳格に維持してまいりたい。しかし、いろいろの都合もございましょうし、個人タクシー側の事情もございましょうから、その点はあらためて検討してみます。  それから、もう一つこの前申し上げましたのは、地方都市の問題でございます。タクシーというのは流しでありますから、流しでやれるというのはよほどの都会でなければないはずなんです。しかし、東京近郊とか、大阪近郊とか、そういう大都市近郊におきましては、流しで成立する場所ももうできてきておる。そういう点に県においても、励みを与えるためにぼちぼち許してもいいだろう。たとえば、千葉のようなところは、もう許そうと、そういうことをまた答えたのでございます。
  29. 木村美智男

    木村美智男君 その大臣が最後につけ加えたやつ、それも多少文句がある。これは近郊都市という前に、もう少しもぐと小さいところをあなた忘れておるわけだ。それはどういうことかと言うと、三多摩なんというのはこれは東京都内なんだ。しかし、ここでは個人タクシーは認められてないですよ。だから、私は千葉やそっちに持っていく前に、三多摩の問題について検討しなければならぬ問題があるという意味で、大臣触れられたから言うんだが、触れられなければ私はきょうはだまっていようと思ったんだが、あすこの三鷹、武蔵野、これは企業タクシーを認めたんです。すでに、三多摩の中でも企業タクシーを認めたが、しかし三多摩全域について、二十三区以外は個人タクシーは営業区域としていま許可しておらない。これはやっぱり問題なんで、いまこの問題について私が言いたいのは、企業タクシーを認めた個所については直ちに個人タクシーを認めるべきである。しかし三多摩全域ということをいま直ちにワクを広げるわけにはいかぬから、この点は検討をし、あるいは近郊都市についても、大臣十万以上と言われましたけれども、これはたいへんいいことだからやってもらう。やってもらうについてはもっと近郊に、近郊よりも都内にそういう問題がまだ残っておるという、この点を忘れないように、ここでは……、具体的には自動車局長とやり合いますから、ぜひ大臣、その点を含んで近郊都市の問題も合わせて許可をしていくという立場に立っていただきたい。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) たしか武蔵野、三鷹は許しておるということを私自動車局長からこの間聞きました。
  31. 木村美智男

    木村美智男君 それは企業タクシーで、個人タクシーは許しておりません。
  32. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは調べてみます。     —————————————
  33. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 次に、日本国有鉄道運営に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  34. 中村順造

    ○中村順造君 先に大臣一つ伺っておきたいのですが、きょう私の質問する内容は、国鉄が先般発表いたしました四十二年末から四十三年の三月までとして国鉄の職員に対しまして処分をしておるわけです。国鉄の資料を見ますと、大体、停職、減給、戒告合計八千五百三十五名、そのほかに解雇者もおるわけですが、なるほど、国鉄の企業の中で四十二年からずっと五万人合理化などという問題が提起をされ、また生活権の擁護のための賃上げの問題、こういう問題を含んで問題があったことは、私も何回か委員会でも聞いておりますが、一方では労働条件を守るという立場から労働者が労働基本権の見地に立っていろいろ実力的な行使をするわけです。しかし国鉄の場合は、公労法がありますからこれは無制限に許されておるわけではないわけですけれども、基本的な考え方は、やはり労働者の労働基本権を守るという考え方、国鉄当局は管理運営のいわゆる当局者としてこれを取り締まる、こういうことに、もう何年も、昭和二十八年ごろから同じことを繰り返しておるわけです。たとえば同種の産業である私鉄についてみますと、私鉄の場合は一般労組法ですから、そういう企業体の中で問題があって、労働者がストライキをやっても、世間並みに考えますと、これは労働者のストライキであると、自分の生活権を守る、あるいは労働条件を向上させるということで当然のことだというふうな見方、受け取り方をする。ただし汽車がとまったりバスがとまったりすることは不便だと、けれども、これはまたやむを得ないという理解に立たれる。国鉄の場合もやはり同じようなことが行なわれるわけでありますけれども、この場合、国鉄の場合だけは職員がその職場を失っていかなければならぬというような事態が出ている。あるいは長い間職につくことができない。あるいは給料が減らされる。こういう処分を受けるわけです。しかし、問題がそこまで発展するまでに、私はまず大臣に聞きたいのは、当事者能力の問題、これは私鉄の場合は株主なり、あるいは会社の役員——社長、常務、専務いろいろありますが、事態の紛争解決については能力を持っておるわけです。たとえば賃上げの問題にいたしましても第一次回答として五千円なら工千円、あるいは三千円なら三千円回答する。組合の側もまた、いま第一次回答で三千円の回答があったからこの場合はひとつ実力行使を延期をしよう、次の第二次回答でどうしても解決しなければやむを得ずストライキをやろう、こういうケースになるわけです。これは私が説明するまでもない。ところが国鉄の場合はそういうことにならないわけですね。たとえば国鉄の労働組合が一万円を要求する。もちろん法律がありますから、調停委員会なり、最終的には仲裁委員会ということになりますが、おおむねこの事態の解決は調停委員会の段階でなされるわけですが、団体交渉もろくにまじめにやらずに、いきなり調停委員会に持っていく。そうして、調停委員会では何ら有額的な回答をしない。おまえたちは法律で、公労法があるから、いわゆる業務の正常の運営を阻害しちゃいかぬという法律があるから、最終的にはわがほうに伝家の宝刀があるから処分をする、そういう形になって、何ら回答をしない、ようややくいま対政府交渉といっておりますけれども政府が所管の大臣、あるいは労働大臣、官房長官、こういうものを含めましてそのある段階で有額回答を出す、国鉄総裁は何にもそれは権限を持っていないのです、そういう場合は。ただし、最終的な場面において国鉄職員の首を切る権限だけは持っている。私は非常にそこになぜ国鉄がそういうことにならなければならぬのか。これはいまに始まった議論ではないわけですが、いろいろ世の中がだんだん変わりつつあるし、また進んできてもおるわけです。明らかにそうした当事者能力のないということ、そのためにこういう事態に最終的に追い込まれなければならぬという、こういう状況を大臣はどういうふうに判断をされておるのか。あとでこの処分の状態なり、あるいは根拠につきましては副総裁に聞きますが、大臣、この点だけは長い間の問題ですが、一体大臣はどういうふうに考えておられるか、これをひとつお答えを願いたい。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨年の十二月から本年三月に至る数度にわたる国鉄労働組合及び動力車労働組合が行ないました反合理化闘争、いわゆる順法闘争というような行為は、国鉄総裁がしばしば言明しましたように、あれは違法行為である、このように国鉄側は断定しでおりました。私も議会におきまして順法闘争は違法である、国鉄総裁の考えを支持すると、そういうことを言明しておりました。したがって、そういう、法に反する行為があった場合には、まことに不本意ではありますけれども、法に照らして処分するというのはこれは国鉄当局としての、また国家社会に対する責任であり、議会に対する責任でもあると思うのです。したがって、こういう事態になりましたことは、はなはだ不幸でありますけれども、現在の法秩序、法治国家としての体系を守っていくためにはやむを得ない処置であると考えます。公共企業体関係の労働法規の根本につきましてはいろいろ御議論の存するところであると思いますが、現在のような公共企業体関係の人々は、一般の商法で設立された民間の企業体とは性格が違うのでありまして、その点については多分に公共性を持った企業体の従業員であって、国民生活にも非常に深い関係を持っておる職責にあるということを自覚していただかなければならぬと思います。そういう自覚のもとに労使双方は業務を正常に運営して発展させていくということで話し合いを行ない、解決点を見出すようにしていただきたいと思っております。
  36. 中村順造

    ○中村順造君 大臣、私がいま申し上げておるのは、それはなるほど公労法があるということを私は前提で、ちゃんと理解しておるわけですよ。しかし、その法律以前の問題として、いわゆる私が申し上げておるのは、たとえばそれじゃ私鉄の場合は、その公共性がないか、私鉄だって依然としてこれは社会に与える公共性というものは、これは万人が認めるところなんです。だから私鉄でそういうことがやられて、やはりもう一地方局など、国鉄の地方局などと比較をして問題にならぬほど、大きな企業体が私鉄の中にあるわけです。そういう場合にはこれは認められるわけです。しかし国鉄は仕組みがそういう仕組みに、なるほど私はいまこの不当処分、処分者が、これは正当だという言い方をいたしておるわけではない、大臣に聞いておるのは。やり方については私は国鉄にはたくさんの問題があると思いますけれども、それでは私鉄と国鉄との公共性、おのずから違う。こういうことにそれは言われるでしょうけれども、私は労使の問題については、そのことは同じことだと思うのです。それからもう一つ、それじゃ法律の論議をここでするわけじゃないのですが、こういうかりに東海道線がとまった、山手線がとまった、こういう事態ができますわね、その場合に、これはあげて労働者の責任ですか、国鉄は責任ないわけですか、国鉄当局には、当事者には。この点はどうですか。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 労働者側の責めに帰すべき理由によってとまった場合には労働者に責任があり、国鉄当局側の責任に帰すべき理由によってとまった場合には、国鉄側に責任がある、そのように思います。
  38. 中村順造

    ○中村順造君 大臣、そういう画一的な答弁でなしに、私は平たく言って、そういう山手線が全部とまった、しかし、それは具体的にいえば電車の運転士が運転をしない、あるいはのろのろ運転をしたからとまった。具体的にはそれはそうなるでしょう。しかし、そうならなければならない原因はどこにあったかということになれば、そこまで具体的に電車の運転士が電車に、運転台に乗らなかった、のろのろ運転をしなければならなかったその原因はどこにあるのかということをずっとさかのぼっていけば、そこにはやはり合理化の問題が出てくるし、あるいは賃上げの問題が出てくるし、首切りの問題が出てくる。そういう問題を提起したのは国鉄当局が提起したのです。それは国鉄当局の責任なのか、そういう問題を提起してそれを受けて立った労働者のほうの側の責任なのか、いま大臣が言われるように、労働者の責任によってとまった場合には労働組合のほうだ、当局の責任によってとまったときには当局のそれは責任だ、しかし、これはいろいろとまああるでしょう、議論はいま世上いろいろ言われておりますけれども、そういうケースはたくさんありますけれども、そういう事態にならざるを得なかった原因はどこにあったかということは、これはもう明瞭なんですね、そういう場合に事態がおさまったあとで職員だけは首切られていく、国鉄当局は何らその責任は追及されない。いわゆる政治的な、あるいは社会的な国民の側からいった責任というものは不問に付される、長い間そういうことがやられておるわけです。だから国鉄はいつも大体事態がおさまったときには必ず報復手段をやってくる、そういう報復手段と私はあえて言っているのですが、報復手段と言わざるを得ないような状態になるのです。中身はあとで話します。私は、そういうことに関していやしくも所管の大臣は、ただ電車の運転士が電車におくれたから、それは電車の運転のやり方が悪かったら、労働組合が公労法に抵触をしておるから、首切られるのはあたりまえだということでなしに、運輸大臣としてそういう問題が国鉄側から提起をされ問題になっていますが、そこまで発展したというのは、私は国鉄の当事者にも、当局にも責任がある、私はそう思うのですが、その点は全然ないのですか、国鉄には。
  39. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) こういう種の問題はけんか両成敗という考え方で処理すべき問題ではないと思います。やはり法的にいって法律的判断がどこにあるかということで判断すべきもので、まあ、最終的には裁判所の判決でその判断は確定すると思いますが、ポイントは経営権の問題だろうと思います。国鉄当事者が国会あるいは国民に対して持っている経営権、それから経営の責任、そういうものの解釈によるだろうと思うのでありまして、あの合理化問題あるいは順法闘争と称せられる行為に対する国鉄のやり方というものは経営権の範囲内に属していることであると私らは考えます。
  40. 中村順造

    ○中村順造君 私はけんか両成敗をやれというのじゃないのですよ。これは本来成敗を受ける筋合いのものでたいわけです。私鉄の例を引きましたから、ただ国鉄の場合は私鉄で回避できるような事態でも国鉄の仕組みでは回避できない、これはいつでも歴代の大臣の中でも言われておりますけれども、国鉄総裁の当事者能力がないということなんですね。これはILOの問題のときにも問題になりましたけれども私鉄の社長のような国鉄総裁は権限を持っておらない。たとえば職員の賃金を上げるにしても全部大蔵省と政府と相談しなければできないことなんです。ことしもそうでした。去年もそうです。長年そういうことなんです。だから私は本来が成敗を受ける筋合いのものじゃない。汽車がとまろうが電車がとまろうが、それは故意に悪いことをすれば別ですが、いやしくも労働運動の一環としてやられたことは成敗を受ける筋合いのものじゃない。だけれども公労法があるから、それをたてに取って成敗をされるわけです。難局も少なくともこの原因が当局にあるということは、それは大臣はこの席では言われないですけれども、回避できる手段としてあるのは、長年議論されておったのは、要するに当事者能力を完ぺきな当事者能力を与えるということなら、これは私はできないことじゃないと思います。いまおっしゃるようなことを言われると、いつまでたっても同じことだと私は思うのです。同じことを毎年毎年繰り返す。しかし、これは政府としてこの状態を回避しようとする考え方があるならば、私は回避できる。その考え方はございませんかということを私は尋ねておるわけです。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現在の法体系のもとにおいては、やはり現状のようなことは続いている。そのワク内において両者が話し合いをやってうまく運営していっていただく以外にはないと思うのです。
  42. 中村順造

    ○中村順造君 それは大臣が法体系でない、現在の、それはいまの法律ではやむを得ないですよ。しかし、法律は変えられるわけですから、明らかにそこに矛盾があり、あるいは大きな誤りがあるということなら、ここで法律を変えるという議論しておりませんが、運輸大臣は私の申し上げたような内容についての、要するに国鉄のこうした毎年行なわれる紛争を回避する方法はあるけれども、それをやろうとする気はない、こういうことに私は理解するのですが、それはいいのです、大臣がそれはそういうことで、いまの国鉄の総裁の当事者能力はやむを得ない。現状でやらなければしょうがないというふうに考えるならば議論してもしょうがないのですから、国鉄当局に対してお尋ねしますが、一体何ですか、この労使の問題というのは片づいているか、いま。
  43. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 労使の問題にもさまざまなことがございますが、私自身も終戦後以来、労働組合結成以来直接間接に労働問題の当事者となっておりましたが、いままでの中で片づいたものもあれば、また今後片づけなければならぬものもあるということで、ただ現時点で全部片づいているか、片づいていないということになればこれからも幾らでも労使問題出てくるわけです。したがって、来年度の賃金問題が出てくるということで、無限に労使問題というものは今後ある、こういうふうに考えます。     —————————————
  44. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ここで委員異動について報告いたします。  本日柳田桃太郎君、田代富士男君が委員辞任され、その補欠として後藤義隆君、北條浩君が選任されました。     —————————————
  45. 中村順造

    ○中村順造君 副総裁、それはその企業体がある限りにおいて労使の問題はあなたの言われるようにずっとあるんですよ。しかし、私が言っておるのはそういう木に竹をついだような答弁でなしに、要するに五万人合理化の中、あるいはことしの賃上げについての問題はもう片づいたようですが、あなたのほうで提唱されておる五万人合理化あるいは外部委託の問題、こういう主として処分の対象になった問題は片づいたかどうかということを聞いておるわけです。
  46. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いまの先生の御質問の中で、賃上げの問題もまだ最終的には片づいておりません。まだ政府並びに私どものほうの回答期限が残っておりますので、まだ片づいておりませんが、おおむね片づくような方向に進みつつあると、こういうことでございます。  それから、昨年来の合理化問題、私のほうで機械化、近代化問題につきましては、約件数から申しますと十五件くらいございまして、そのうち一件電気機関車並びにディーゼル機関車の乗務員の数の問題を除きましては、おおむねと申しますか、大部分片づいたと、こういうふうに了承いたしております。
  47. 中村順造

    ○中村順造君 これは処分に対する考え方ですが、大体私はいま大臣に話したのは八千五百三十五名、解雇あるいは訓告者が届いておると思うのですが、これはいままでいろいろ何回も処分はされておるわけですが、ここまでに至るまではやはりさっき大臣が言われたように、やはり団体交渉というものは非常に話し合いの場が慎重にしかもひんぱんに誠意を持って私はやられなきゃならぬと思うのです。これは最終的にいつもこういうことになるのですが、私の聞くところによると、私もかつて国鉄で団体交渉やった経験もありますが、全然いまと形が変わっておる、かつて、ここには木村委員もいますが、以前は総裁、副総裁、職員局長全部団体交渉の席上に出て、そうして組合も幹部が全部出席をして、ここで徹夜ででも交渉がされておった。ところが最近はそういうことがなされておらない。形はいろいろ変わっておるかもわかりませんが、そういう交渉で誠意を持って、一口に言って誠意を持った交渉はされておらない、こういうふうに聞いておるのですが、その点はどうなんですか。
  48. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 団体交渉の方式といたしましては、御承知のとおり公労法できまっておりまして、現在は交渉委員相互間でやります。昔のときのように、いまは非常に事務的なこまかい問題も多いものでございますので、大体交渉委員の中で話をきめるという習慣がついてきて、むしろこの点は先生がおっしゃっている時代と比較いたしまして、きわめて団体交渉が事務の筋に乗っていると、こういうふうに私ども了承いたしております。しかしながら最後の段階になりましたときは、これはもちろん私自身も組合の幹部諸君と会いますし、また担当の局長はこれはしょっちゅう接触いたしております。したがって昔と違っていわゆる両方の幹部が出てこないことが誠意があるかないかという問題よりも、むしろ団体交渉の内容が昔と違って、きわめて事務的な問題がふえた、こういうふうに私ども了承いたしております。したがって団体交渉やる際の私どものかまえといたしましては何ら昔と違っていないこういうふうに考えます。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) たいへん恐縮でございますが、地震に関していままた報告が入りましたので申し上げます。北海道は大体震度五ないし四、東北が大体四でありまして、同地方は全列車を停止して線路を点検しております。新潟地方は震度三であり、一部列車を停止して点検しております。新幹線は東京——三島間を、百六十キロ以下に制限して運転しております。東北地方はある程度の被害が出ている模様であり、——北海道におきましては室蘭本線に相当の被害が出ているよしであります。函館港は旅客岸壁にひび割れが入りまして接岸の可否を調査中であります。それから北海道向けの飛行機は現在中止しております。それから通信線が破壊されまして、いまのところ復旧はいつになるか報告が入っておりません。三沢の一部で火事が起きているようです。以上でございます。
  50. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記やめてください。   〔速記中止〕
  51. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  52. 中村順造

    ○中村順造君 団体交渉の形が、そういうふうに事務的な問題が多いといわれますが、私は、これは処分の内容にまた入るわけですが、たとえば業務の正常な運営を阻害した、こういうふうな項目で処分を受けているわけですが、しかし、大体がみなそういうような名目になっおるのですが、それを阻害をせずにそれが回避できる場面がしばしばあるわけですよ。これは副総裁御存じないかと思いますが、あなたの言われるとおりに理解をしても、事務的な折衝の段階で、たとえば私は何回かまあ組合の顧問をしておりますから、現地に行きまして、うしろでどうなっておるかどうなっておるかということで聞いてみますと、交渉の進捗状況を聞いてみますと、大体は課長補佐の段階で、組合の業体部なら業体部の部長、あるいはその程度で全部折衝が続けられておるわけです。大筋としては了承できる。それは副総裁も御存じだと思います。私も総裁にお会いしていろいろお話を申し上げたこともありますが、組合は了承できると、いま中止指令が出せるという段階で、今度は事務折衝に入って、それが全然進まない。課長がどこへ行っているのかそれもわからない。こういう状態で時間切れと、やむを得ず突入をせざるを得ない、おおむねそういう場面で全部やられているわけです。このたびの場合、私が言っておることが現実の問題としてこれはあたっておるわけですが。たとえば国鉄労働組合等の関係を見ますと、国鉄労働組合は、問題の性質にもよりますけれども、六体了承できた、これで中止指令を出そうということで、同じかまえであるけれども、突入をせずに、正常な業務の運営といわれておるけれども、それに支障のない暗点で中止指令が出される、こういうことが大きな原因で、たとえば解雇者に例をとりましても、国鉄労働組合は五人の解雇者、動力車労組の場合は十四名ですか。それだけの、お互いに問題が、たとえば三倍の問題を動力車労組がかかえておるわけでもないのです、内容的に見ても。それから、それだけ激しく動力車労組がやらなきゃならぬ理由もないわけです。ただ、あなたの言われるような説明の理由書にあります内容を見て、その運営を阻害したと、それでもそれを、阻害を阻止する時点が違うわけですよ。両方の組合がこういう場合にはしばしばあるわけです。これがこうした内容の結果になっておると思うのですが、この点はどうなんです。これは副総裁は御存じないと思いますが、井上常務は、そういう場面もあなたも経験されておるだろうし、私もその場面はしばしば見ておる。まだありますけれども、そういう事態でもう少し具体的に聞きますと、どうしてそれだけの処分の差が出たか、これをひとつ説明してください、そしたらわかりますから。
  53. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 総括的に私から申し上げます。いまも先生の御質問の中で、何か国鉄労働組合と動力車労働組合についての私のほうの態度が違うようなお話がございましたがその点は私先ほど申しましたとおり、もう終戦後組合ができて以来、私自身が組合問題をやってきた仲でございまして、もうそういうような感覚は全くないということだけをはっきり申し上げておきます。それから、ただこれは労使間の中の問題でございますので、こういう席で申し上げることの可否については多少ためらう点があるわけでございますが、多少組合によりましては、いわゆる団体交渉のテクニックと申しますか、技術が違う、ニュアンスが違う点がございます。すなわちある程度当局から提示いたしまして、ことに今度のように合理化問題のように、賃金問題と違いまして、こちらから案を出してそれをどうするかという問題でございますが、そういう場合に初めからいわば土俵に乗ってそして議論するようなやり方をする組合と、初めからだめだと、絶対反対だということでもう土俵に乗らない。それで闘争の手段だけを、いわゆる十七条違反の手段をきめて、そしてそのスケジュールどおりに実施する、そして最後の段階になりまして、その時間切れまぎわになってその土俵に乗るか乗らないかというようなテクニックをする組合もございます。したがって、組合によって多少いわゆる交渉技術というものの差、あるいはかまえの差がございます。それはおのずから結果にあらわれてくるということもございます。具体的に井上常務から申し上げます。
  54. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 基本的にはただいま副総裁から御説明申し上げたとおりでございます。多少つけ加えて申し上げますと、先生も御承知のとおり、国鉄関係の労働組合といたしましては、組合が三つございますので、一つの事案を交渉いたします際にも、やはり組合三つを相手にいたしてやらなければならない、特に今度の場合のように十五項目にわたりますような近代化事案について交渉を進めておりますような場合には、三組合についてそれぞれ十五の分科会を設けて専門的に交渉を進めておるわけでございます。したがいまして、そういう専門的な数多くの分科会でやっておる交渉が最終的にまあ組合側でストをかまえております。最終的に時間切れになってまいりますと、非常に時間的な焦燥感にかられてくるということは確かにございます。で、そのために交渉の段取りがまあこれは組合だけを責めるわけにはまいらぬかもしれませんが、多少手順的に乱れてくるということもございます。大体私どものかまえといたしまして、やはり組合が設立されました沿革を尊重いたしまして、交渉をやります場合の順序といたしましては、まず国労を先にやる、それから動労をやります。それからまた新国労をやる。したがって、一つの半案でまとまる時間的な差というものも当然出てくるわけであります。私ども常に気の毒に思っておるのはむしろ新国労でございます。常に新国労は最終的に集約をせざるを得ないような感じで。ただまあ新国労は闘争をかまえておりませんので、集約の時間が多少おくれましても、ストを中止する指令を出すとか出さぬとかそういうことがないだけでございます。組合としては非常につらい点があろうと私は思います。動労と国労との関係につきましては、いま申しましたように、沿革的に国労を先に交渉を進め、それから動労をその次にやるということになりますので、時間的な差が多少ずれてくる。いままでの中止指令を出しておる時間の差を見ましても、やはり三十分から多いときで一時間ぐらい出ておりますが、大体三、四十分ぐらいの時間の差はどうしても出てくるということはございます。決してこれは組合に対して差別待遇をしておるわけではないのでありまして、その点は御了承いただきたいと思います。それから処分の数についてかなり不均衡ではないかというお尋ねがございましたので、その点もつけ加えて申し上げますと、今度の闘争に対する処分といたしましては、先生もすでに御承知のとおり、昨年末以来延べ回数にいたしますと、大体まあ十一回くらいにわたって闘争をやっておるのでございますが、それぞれの闘争の時点における責任を私どもは問うたのでございます。その責任者の数を集計いたしますと、先ほど先生がお示しになりましたような数字になる、こういうことでございますが、大体まあ今度の闘争で一番大きな比重を占めておりますところの三月二日、さらに三月二十三日、この時点の列車に対する影響を見てみますと、私どもやはり列車をとめるということに対して、非常に強い関心を持つのでございますが、この列車を運休させた数を見ますと、全体で三千三百本くらいになうております。その中でやはり動労に関係して列車がとめられたというものは、国労に関係するものよりも比較いたしまして二倍になっております。大体二対一くらいになっておるのであります。そのほかに動労は動労だけの独自の闘争を北海道でやりました。そういうこともございますので、国労に比べまして動労のほうが、解雇者の数におきましてはかなり数が多くなっておるということでございます。ただ戒告まで含めました全体の処分者の数、これは国労と動労と比べまして、若干動労が多いというくらいの比になっておると思います。
  55. 中村順造

    ○中村順造君 私が言うことがどうもまだわかっておらないようですがね。数がたとえば国鉄労働組合が五人しか首切りしてない。それから動力車が十四名首切られておる。これはバランスがとれておらんじゃないか。扱い方が違うんじゃないか。そういうことを言っておるんではないのですよ。私はその十四名、なるほどいまあなたのほうの理由書のことを認めた上で話をするにしてもという前提に立っているんですよ。これを回避する場面はしばしばあっておるわけですよ。あなたはそれは理事室におられるからわからぬかもわからぬが、職員局の部屋に行けば、そういう場面を私は何回も経験しておるわけです。大詰めとしては組合は了承しましょうと、中止指令を出したいんですよ。そうすれば汽車はとまらないんだから、あなたが紙に書かれる枚数は減ってくるわけだから。ところがそういう組合の体制にあるにもかかわらず、あなたのほうで受け入れ体制がないということですよ。そういう場合に、そこの最後のだめ詰めをするという体制がないわけです。そこで私は言いたいんですよ。そういうことはこれは私は委員長からも聞いておるが、私もそこの何とか早くまとめを、私も国民の立場からそういう汽車がとまる、電車がとまるということは好ましいことでないから、話し合いを十分やって、適当な時期には話がつけばやめるという考え方で、いつも言っているわけですがね。あなたのほうは、大臣がさっきおられたときに、報復手段と言ったけれども、幹部の人はそういう考え方でないにしても、課長なり課長補佐の段階では、やるならやれ、お前たちはそのかわり厳重な報復を受けるぞという考え方なんですよ。その考え方で所在が不明になったり、集まる人が全部集まらないから待ってくれ、そうすれば時間はもうどんどんたっていくから、いわゆる中止指令の時期を失する。そうすればやらなくていいことをやらなければならぬから、数が多くなるわけです。これは国鉄労働組合はそうでしょう。いつも大体国鉄労働組合は六時なら六時、七時なら七時に突入するとしたら、何かあとで記録を出してもいいんですが、大体三時なり四時に中止指令を出すのですよ。動力車労組の場合はそれを出せないわけですよ。出せないということは、なるほどいま副総裁の言われたような土俵の問題もあるけれども、あげて組合の場合はあなた方のその受け入れ体制の問題がある。言いましょうかもう少し。問題があるということを私は。それは団体交渉をまじめにおやりになっておる。やり方も事務的なものに変わっておるということを、それは私も理解する。副総裁としてそういうことはまじめにやっておらぬと、報復手段だというようなことは、それは口が裂けても言わない。けれどもあなた方の団体交渉を受けるその事務的な受ける立場の人は、どういうことをやって団体交渉をやっておりますか。そのために回避できる事態も回避できないというような状態じゃないですか。その点はどうなんです。全然その点については、われわれのほうにはあやまちはないと、こういうふうに言われますか。
  56. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) その点が先ほど申しましたように、私どものほうでは組合を三つ相手にいたしておるわけでございますから、同じからだで三つの組合と同時に交渉するわけにはまいらないのであります。したがって、そこに若干的な時間的なずれが出てくるということは、これはいたし方がない。先生おっしゃるように、組合のほうでもうストはやめたいという気持ちがあるのにもかかわらず、相手がいないとこうおっしゃいますけれども、ストをやめたいという気持ちがおありになるならば、いつでもストはおやめになればできるわけです。それをおやりにならないで、相手がいないからいないからとおっしゃいますけれども、交渉委員はそういうふうに一つの問題について一つの組合を相手にしておるわけでございますから、一つの事案が話がつくまで待っていただかなければならぬ。これは交渉委員としては、一つのからだで二つ、三つに分けてやってまいるわけにはいかぬ。その点の時間的な差はお認めいただかなければならないと思います。したがって、いままでの塩例を見ましても、国労の中止指令と、動労の中止指令とで差がそんなに大きく出ておることはございません。大体三十分から四十分ないし、一番離れた時間差で一時間くらいだと思いますが、そういうことでございまして、決して私どものほうで動労だけを相手に、無理にストに突入させておる、そういう非常識な、また不謹慎な考えは毛頭持ってないのでございます。これは物理的な問題だと私は思います。
  57. 中村順造

    ○中村順造君 こういう席ですから私はこまかく言いたくないのですが、不謹慎とか、物理的な問題だとおっしゃるけれども、そうなってないのです。職員局というのは、それはあなた方は幹部ですから、一々職員局の部屋までは御存じないかもしれませんけれども、私は非常に腹立って職員局長をどなりつけて帰ったことがあるのです。そういう問題があるわけです。それはまあ私も労働組合で団体交渉何回もやりました。労働課長も職員局長も、あるいは総裁、副総裁とやりましたけれども、いまの受け入れる体制というものは、それは事務的な仕事が多くなったと副総裁おっしゃるけれども、いまの受け入れる体制というものは、そういう体制じゃないですよ。きわめて不まじめです。課長の言うことを課長補佐が聞かないから話がまとまらない。それはあなたは組合がやめたいと思うならやめたらいいじゃないかと言われても、やはりやめるについてはこことここはどうなっておる。引き続いてこの問題は協議するなり、あるいはこの問題はこの点で話がついた、その話がついたのは、副総裁、常務理事もおっしゃたように、昔なら組合の委員長と総裁とで話し合って、よし、それならばやろうということになったけれども、 いまはそうなっておらないから、残念ながら課長なり課長補佐が最終的にこれから先引き続いてやるものか、あるいは、これはこれ以上はこういうことをするという約束をするのは、事務的段階でするのでしょう。事務的段階の人が一体どういうことでやっておるかということです。どうして団体交渉の夜、あした六時から汽車がとまるという日に、どうしてあの職員局にウイスキーのびんがたくさん並ばなければならぬのか。魚の干ものを煙が出るほど焼かなければならぬのか。それでも不謹慎だと言われるけれども、不謹慎きわまりないじゃないですか。事態がおさまれば八千名、一万名近い処分をする、相手を。例をあげて私は申し上げてもいいですよ。もう少し、ほんとうに、こういう最終的な結果が出されるなら、ただ、三くだり半でおまえは国鉄やめていけという処分がなされるわけですから、もう少し団体交渉を慎重に誠意をもってやるべきじゃないですか。しかも、時間的なズレ、新国労の話もなさったけれども、まず第一は汽車をとめるかまえのある組合は先に回避するというのが、国鉄は国鉄だけのものではないのじゃないですか、国民のものじゃないですか。そういう事態を何とかして回避するという努力がなされなければならぬ。副総裁に会いにいっても副総裁はどこにおいでになるかわからぬ。ちゃんと副総裁がおるところは明確にしておられるのであろうけれども、われわれには会わせない。何回かそういう場面があるわけです。あなたに会おうとしても、あなたに会えぬ。事態を何とか回避しなければならぬということでわれわれが努力しておる。関係者がどこへいっているかわからぬ。あしたの朝六時から汽車がとまるというのに、そういうことはないじゃないかといっても、わからぬわからぬの一点ばり。しかも、おる人に話をすれば酒を飲んでおる。あるいはもう酒の勢いで課長の指示に課長補佐が従わない、断じて反対だ、そういうことでまとめることは、そういう場面がしばしばあって、やむなくストライキに突入しなければならぬという事態に追い込まれでおるわけです。そういうことはないとあなたがおっしゃるなら、何月何日、人間はだれかということを申し上げてもいいんですが、これでまじめに誠意をもって交渉して事態を回避するというまじめさがあるということは言えないわけなんです。これは副総裁どうですか。
  58. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点につきましては、昨年もたしか中村先生から同じ御質問があったと私は記憶しております。ただ、おことばを返すようでございますけれども、公労法に定められたところによりますれば、違法な闘争を計画したり指令をしたりすること自体が法律違反なんでございまして、自分で計画し、指令したことを集約するために当局の時間がかかったからそれは違法じゃないのだということにはならないと思います。その点はこの公労法十七条では、もう事柄のよしあしは別といたしまして、法律の定めるところではその違法な闘争を計画すること、あるいはそれを指令することが違法なんでございまして、それの集約自体、集約の際に当局のやり方がどうだこうだから違法じゃないのだということには私はならないと思います。この点は前回も申し上げました。その点で根本的にそのスケジュールで闘争をきめてやるのだということ自身が違法なんだ、私どもはそういうふうに法律を了解いたしております。  それから団体交渉の技術でございますが、これは場合によって疲れたために酒を飲んだことがあるかもしれません。しかし最近は、たしか昨年でございますか、先生から同じような話がございまして、一切どんなに疲れても酒を飲んじゃいかぬというような指令もいたしておりますし、たとえば庁舎の中で魚を焼いてもいかぬということを言っております。したがって、去年の合理化闘争などについてはそういう場面はなかったと思いますし、またこれは労使間の問題でございまして、たとえ先生方のような先輩の方々であらせられましても、労使の交渉の場面あるいは労使の交渉のある程度の、何と申しますか、やったりとったりという、その中でお目にかからないほうがいい場合もございます。これはたいへん申しわけございませんが、労使間で話をしているときにはあくまでもやはり労使間で話をしたほうが話が通ることもございますし、また、あるいは逆に、先生方のごあっせんを願うこともございますので、そういう場合に、必ずしもこれはどの先生に限らずどんなことがあってもすぐ先生方に労使間の問題を抜きにしてお目にかかるということもできないという場合もあったわけでございます。この点でたしか先生に昨年おしかりを受けましたけれども、やはり長い時間で団体交渉をしている際に、ぽっとほかの方からお話を承ることのいいこともございますれば、またそうでないほうがいいこともございますので、その点必ずしもこういう切迫した事態の中でおれに会わなかったからけしからぬというふうにおっしゃられても、それは必ずしも私どもといたしましては、正常な場合でない場合にはそういうことがあり得るということをお断わりいたしておきます。
  59. 中村順造

    ○中村順造君 もうやめますが、いま言われておる、計画をしたからこれは処分の対象になる、こういうことを言われておるが、それは非常に現実ばなれがしておるわけですね。たとえば三・二なら三・二を計画をし、指令をしても、本部本社間で話がついて、それは突入しないということになれば、いままでの慣行としては、それについては処分はされておらないわけです。だから、そうすればやはり計画をし、指令を出しておいても、現実的には正常な運営は阻害していないじゃないかということになれは、これはそのとおり法律の文章に書いてあるから、処分の対象にならぬ場合がおおむねなっておるわけです。それがたまたまそこに貨物列車が運休をやり、旅客列車は消さなければならぬという場合にはこれは処分されておるわけですから、それは理屈として、ここで副総裁がそういうことを言われたけれども計画し、指令をし、指示をしたことが違法だから処分対象になると言われても、そこまで厳重にいままでやられてないわけです。だから回避するということは、すなわち汽車をとめない、正常ないわゆる列車の運行は確保されておることなら不問に付されるのじゃないかということを言っているわけです。そうするためにわれわれは徹夜であそこの組合の連中と話し合って、大体いいじゃないか、そこまで話がつけば中止命令も出しなさいという相談もするわけですから、しかし、その努力もわれわれは勝手にするのだから、あなた方は関知しないとおっしゃるならばそれまでだけれども、従来の慣行としてはそういうことでやられているわけだから、そういう場面に肝心な相手側がおらないじゃないか。またおっても、この前に私はお話したけれども、その後もあとを断っておらないわけです。魚はやはり焼くか焼かないか知らぬけれども、私が注意したことが守られておらないわけです。二度も三度も同じことが繰り返されているわけです。これはいまの日本の習慣で、疲れておるから酒を飲んでいい。それはそうでしょう。仕事が済んでうちへ帰ってから疲れたから酒を飲む。それは幾ら飲まれようと私は言わないのです。あしたの朝六時になれば汽車がとまるというときに、しかも、集約をしなければならぬ立場の人がですよ。総裁や副総裁がお飲みになっていることは、それはいい。それはあなたのことばをそのまま受け取るならば、事務的な立場にある課長か課長補佐の段階でいまやっているということになるならば、その人たちは一番しっかりしてもらわなければならぬわけです。だからそういう状態でないということを私は指摘しておる。そうして、最終的にはなぜそういうことになるかというと、やるならやってみろ。やってみればおれの言ことでおさまらなければやってみろ。最終的にはこういう結果になるぞということが暗にその当時からその当事者の気持ちにあるから、問題になるわけです。それはあなた方が私に会うとか会わないとかということは、それはあなたのかってなんです。私は会いに行っても会えなかった。それはやむを得ない、相手が会わないと言うのですから。そのことをとやかく言っておらないのです。しかし、少なくとも事態の全体を収拾するときには、あなたはどこかで指揮をとっておられるだろうけれども、私はお会いして話をしたほうがいいと思うから、会いに行くわけです。それはいいでしょう。そのことを私は言っておらないけれども、要するに、今日のこういう結果を出さなくても済む方法があるわけです。もう少し誠意をもってまじめにやれば、これは時間がないから私は言いませんけれども、こまかくそれじゃ一体どういうことをやったのか、どのような汽車がとまったのか、一つ一つ聞きたかったのです。けれども、きょうは時間がきめられておるようですからやめますが、一つだけ聞きます。「その他」というのは何ですか。「二・一、二・一〇、その他」ということがあるのですが、これは明確にしておかなければならぬ、こう思うのです。  もう一つ言いますが、それから支部の委員長が首になっている。支部の委員長というのは、立案も計画もする立場にない人なんですがね。これはまたその理由が間違っているということをそのまま認めるわけにはいかないが、二二ページですか、水戸機関区の水戸支部執行委員長の柏英一、「支部委員長として闘争を計画するとともに、」これは闘争なんというのは、あなたもよく御承知だと思いますが、労働組合は、本部が全部企画をし、立案をして場所を指定してやらせるわけです。これは支部の委員長もう一人おりましたね、どっかに。東北ですね。三上秀光、これは尻内支部の委員長です。 「支部委員長として闘争を計画するとともに、」こういうことになっているのですがね。支部の委員長というのはその立場から言いましても、闘争の計画をする立場にないわけです。指令権もないわけです。これはそういう理由で解雇されるということになれば、理由は納得できないのです。それはどういうことなんです。
  60. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 組合が闘争を行ないます場合には、本部から指令が出まして、それを地本でそしゃくをいたしまして、さらにそれを管下の支部に落とす、こういう経路をたどっておると思いますが、やはりそれぞれの段階においての組織責任というものがあるのであります。具体的な行動が必ずしも伴わなくても、本部はもとより、地本は地本なりの組織責任、それから支部は支部なりの組織責任、具体的な行動に対するやはり組織責任というものがあるのでありますから、その点の責任はやはりとらざるを得ない、かような次第でございます。
  61. 中村順造

    ○中村順造君 「その他」というのは何ですか。動労の理由の中で、あなたの資料と私の資料と違うかもわからないが、一番、表になっておるのは、見出しは、「国鉄労組及び動力車労組の合理化反対闘争」……。
  62. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) これは非常に日にちがばらばらになっておりまして、一つ一つの件数は、件数といいますか、影響は必ずしも大きくはないので、一まとめに「その他」ということにいたしておりますが、ただ、御了解願いたいことは、その「その他」を合わせて一本にして処分をしたということではないのでございます。それぞれの段階において影響を出しましたことに対する処分、わざありは、わざありの処分、わざあり二つで一本にして責任をとらした、そういうことではないのであります。
  63. 中村順造

    ○中村順造君 組織責任者ということは、それはもちろん支部の委員長だから、その支部委員長が責任者であるけれども、それならばそのとおりになぜ書けない。どこそこ支部で何々をやったと、その支部の組織の責任者としてあなたは解雇に値しますよということを、これは支部委員長として要するに業務の正常な運営を阻害したという最終的な責任をとられているわけだから、それを計画をしたということは、間違いならば間違いで、それは一方は首切られたら鉄道をやめていくのですよ。そんなずさんなもので、実際の計画しておらないものを、計画したとあなたのほうから認められて鉄道首切られるという手はないじゃないか。
  64. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 私どもの判断では、やはり支部は支部なりに具体的な計画に対する組織の責任を負わざるを得ないと思いますし、さらにつけ加えて、今回処分いたしました本人は現地に行きまして、具体的な指導もやっておる。それで先生、自分の資料、どの資料をお持ちか、私のほうはわかりませんけれども、処分の理由書どおり字句が記載してあるかどうか私はわかりませんが、具体的な行動もやっておりますので、その点も重視して処分をしたということでございます。組織責任だけということではございません。
  65. 中村順造

    ○中村順造君 いや、やめようと思うけれども、あなたがそういうことを言われるとやめられなくなるのだがね。いいかね。私の資料は、これは大体同じものだろうと思うが、やはり例を具体的にあげると、水戸機関区所属で、職名は機関助士兼電気機関助士、柏英一、年齢三十三歳、水戸支部執行委員長、非専従、いわゆる三・二三闘争に該当する理由ですよ。「いわゆる三・二三闘争に際し、支部委員長として闘争を計画するとともに、これを指導し、実施させ、多数の列車運休、遅延を生ぜしめるなど、業務の正常な運営を阻害した責任者。」こうなっている。何を計画したのですか、具体的にその柏君は何を計画したのです。
  66. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) これはやはり自分が支部の執行委員長として具体的な場所に、大体人数はどのくらいのものを動員するとか、そういう具体的な計画をもちろんいたしておるわけでございますから計画しておるわけです。
  67. 中村順造

    ○中村順造君 だから、何を、たとえは柏君——全部はやりませんから、柏君は何月何日の何時に何を計画したのか、それを指摘してみなさい。
  68. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) これは詳細な証拠と申しますと、またお気にさわるかもしれませんけれども、書類はそろえておりまして、ただいま法務課で保管をいたしております。全部集めて、非常に厚いページ数になっておりますので、ここに持参することはできませんでしたけれども、いずれ組合のほうでも、これを訴訟に持ち込むことは、これは必至でございますので、それに備えまして、書類は十分にとじて厚いものを用意いたしております。ここには持っておりませんので、正確にはその日時なり、あるいは動員数なりを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  69. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  70. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  71. 中村順造

    ○中村順造君 それは組合が裁判やろうが何しようと、そんなことは私の関係したことじゃないのだ。私は参議院の運輸委員としてこういうものが公表されておるから、それをあなたに聞いているわけだ。だから、あなたの言われるように計画をした、こう書いてあるから、この文章が違いますか、理由書が、あなたのほうで持っておられる理由書と私の持っている理由書と違いますか。それを先に聞きましょう。
  72. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 違いません。
  73. 中村順造

    ○中村順造君 それじゃ、その違いはないなら、これには計画したと誓いてあるから、いつ何を計画したのか。私の知る範囲では支部の委員長というものは、そういう計画は、指令権もないし、計画して何をやれという指示権もないんだから間違いじゃございませんかと、あなたのほうはそれは資料があると、こうおっしゃるけれども資料があなたの法務課長のほうにどれだけ、山ほどあろうがそんなことは私の知ったことじゃない。参議院の運輸委員会でこれこれの答弁がない限りは答弁ができなかったということです。その点はどうなる。
  74. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) それは確かに、先ほども申しましたとおり手元に資料は持ち合わせございませんので確答はいたしかねます。これははっきり申し上げておきます。
  75. 中村順造

    ○中村順造君 だから、結論的に言うと、私の質問に対してあなた答弁できなかったわけです。資料があろうがなかろうが、それはあなたのほうの都合だから、答弁できませんと、この計画をしたことの内容についてはわからぬということでしょう、いまこの時点では。
  76. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先生の御期待になるようなお答えはいたしかねましたと、こういうことになると思います。
  77. 中村順造

    ○中村順造君 私が何を期待しておるか、あなた失礼じゃないですか。計画したと、こう書いてあるから、あなたのほうの文書には何を計画したと書いてあるかと聞いているんだから期待じゃない。期待なんというそんなものじゃない。何を計画したかという具体的な質問をしたら、あなたはその資料は法務課長が持っておって私はいま持っておらないと、こう言われる。その資料があろうがなかろうが、それはないかもわからぬ。あるいは悪く言えば作意的につくったものかもわからぬ。ただ、この五月十六日の参議院の運輸委員会で、中村委員から国鉄の井上常務に質問したところが、何を計画をしたかということは答弁できなかったということでしょう。答弁してないでしょう、それは。期待も何もない。
  78. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先生が回答をお求めになっておられることを即私は期待されておると申し上げましたが、そのことばづかいに誤りがあればおわびします。答えなかったとおっしゃいますけれども、具体的な数字とか、それはいかなる時点で動員したかとか、そういう具体的なことについては、確かにこれは私はお答えできませんでした。ただ、そういう支部委員長としても具体的計画はやっておるということだけは申し上げます。
  79. 中村順造

    ○中村順造君 これは押し問答になって時間がかかるばっかりだから……、計画しておるとあなたが断言をされるなら、何の計画をしておったかと聞くのはあたりまえじゃないですか。それに答えられなきゃこれはわからぬということです。
  80. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点、先生が実際の事情をよく御承知でございますが、御承知のとおり、本部から出す指令と申しますのは、たとえば機関区の名前、あるいは大体何時からという程度のことでございます。しかし、それを実際、あまり組合の中のことを言っちゃおかしいのですが、実際それをどういうふうにして実行するか、いわゆる計画と実行の段階にもう一つ具体的な計画も当然あるわけでございます。たとえばこの機関区のこの場所でこうするんだ、あるいはこの列車からこうするんだ、あるいはこの人間をどこへ連れていって、何と申しますか、しばらく乗務員を確保しておくとか、どの寺にもっていくか、あるいはどの宿屋へもっていくか、そういう具体的な計画がたくさんあるはずでございます。その点は、私が現場におりましたときに、現場の局長段階に対応する支部の計画というのは当然ございました。それなしに本部の指令一本で具体的に列車がとまるものじゃございません。もちろん、こまかい具体的な計画を各支部でつくって、それのもとに具体的に人を動かし、あるいは列車を物理的にとめる、こういうことをするので、したがって、この時点で運輸委員会等で個人の名前をあげて、その人間がどうしたこうしたということについて御質問がないのが通例でございましたので準備いたしておりませんでしたが、この某氏について具体的な内容をあげたとすれば、いつでも取り寄せて御説明いたします。
  81. 中村順造

    ○中村順造君 副総裁、その組合の闘争だとか、当局の内容を私は知りません。あなたはえらい組合の内容をよく知っておられるようだけれども、私は組合の出身なんですよね。たとえば水戸支部なら水戸支部で闘争をやるということは、これは本部できめることなんですよ、本部で。何々線のどこの機関区で闘争をやるということは本部でこれはきめる。そのきめる場合にはその地本の委員長がその決定には参画しておるわけです。了承できるかできないか。了承できない場合もあるでしょう。そうして、いよいよここできまったらどうなるかといいますと、事情の変更がない限りにおいては、まずそこに中央執行委員が派遣になるわけですよね。同時に、その地本の委員長なり、また執行委員が行くわけですね。これは権限を持っているわけです。たとえば中央執行委員が行くけれども、これは兼高委員長の代行で行くということで、現地で事情によっては中止指令を出す権限も持っております。それから時間を延ばす権限も持っています。それはもう全部一任されておる。そうして、現地に行きまして、地本の役員を集めるわけですよね、そこで。もちろんその支部の役員も入ります。入りますが、どういうやり方をして、どの列車から、それから乗務員はどこに管理をするという決定は派遣中執が最終的な決定を全部現地でやるわけですね。そうやって支部の委員長、地本の委員長がそれに同意をするわけですね。ただあとは兵隊ですよ、みんな。将棋のこまみたいなもんなんですよ、歩なんですよ、率直に言えば。だから、支部の委員長というものは指令権がない。自分が計画をするったって実施をするったって、計画をしたものを出したってそれはだめだと言われればそれで終わりなんです。計画は綿密な計画を地本でやっております、なれておりますから。だから、私が言うのは、問題は、それが書いてなければいいけれども、この処分理由として「闘争を計画するとともに」と書いてあるから、もしこの理由書が大手を振って天下を通るということになれば、間違った理由書が横行するということで、私は非常に重要な問題だと、かりに、そこの支部の委員長だから首を切るというなら、それなら納得できないこともないかもしれませんけれども、間違ったことが書いてあって、それがそのまま押しつけられるということはこれは間違いだ。これは問題は小さいようですけれども、要するに冒頭私が運輸大臣に言ったように、処分権の問題、それから国鉄の管理運営、当事者能力の問題、そこから問題があって、最終的には一万名近い人があなたのところのいわゆる処分を受けるわけですから、これは社会的にも大きな問題だと思うから私は言っておるわけです。しかも、それは、必ずしもこういう状態にならなくても、この状態を三分の一なら三分の一にする方法はあるけれども、その方法について具体的に言うならば、要するに団体交渉でもって組合に汽車をとめさせないような方法ができたのじゃないか。しかし、あなたのほうでできなかった場合もあるだろうし、また、やり方にもいろいろあるから、そのことをきょうはただしたわけですよ。これは井上理事みたいに開き直った言い方をして、何か、御期待に沿わなかったなんて、私は何も期待しておらない。これから先、国民の立場からいって、汽車がとまったり電車がとまったりすることのなるべくないようにということを前提に話をしておるわけです。  きょうはこれでやめます。ありがとうございました。
  82. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 本日はこれにて散会いたします。   午後零時三十八分散会