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1968-05-09 第58回国会 参議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月九日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任      大谷 贇雄君     平島 敏夫君      久保 勘一君     井野 碩哉君      温水 三郎君     江藤  智君      前田佳都男君     赤間 文三君      河野 謙三君     近藤英一郎君      野々山一三君     木村美智男君      田代富士男君     和泉  覚君  五月九日     辞任         補欠選任      赤間 文三君     内田 芳郎君      和泉  覚君     田代富士男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷口 慶吉君     理 事                 岡本  悟君                 重政 庸徳君                 大倉 精一君                 木村美智男君     委 員                 内田 芳郎君                 木村 睦男君                 近藤英一郎君                 沢田 一精君                 小酒井義男君                 森中 守義君                 田代富士男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        運輸省海運局長  堀  武夫君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        大蔵省主計局主        査        迫田 泰章君        大蔵省銀行局特        別金融課長    小宮  保君        運輸省海運局次        長        高林 康一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件) ○日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補  給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る八日、大谷贇雄君久保勘一君、温水三郎君、前田佳都男君、河野謙三君、田代富士男君、野々山一三君が委員辞任され、その補欠として、平島敏夫君、井野碩哉君江藤智君、赤間文三君、近藤英一郎君、和泉覚君、木村美智男君がそれぞれ選任されました。
  3. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い理事が欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。それでは理事木村美智男君を指名いたします。     —————————————
  5. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 運輸事情等に関する調査議題とし質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 小酒井義男

    小酒井義男君 前回、自動車行政について質問したんですが、その中で大臣からぜひお答えをいただきたい点が二、三点ありますので、その点をお尋ねしたいと思います。  一つは、自動車、特に乗り合い自動車関係は、御承知のように、ここ数年来、だんだんと経営状態が悪くなってきておるわけですが、そういう中で、例としてこの前申し上げたのは、四国地方の例をあげて、企業全体が赤字である場合に、極端な不採算路線さえやめれば経営が何とかして切り抜けられるんじゃないかという、そういうものがある場合に、不採算路線の一部を休止するといいますか、営業をやめるということを認める気持ちがあるかどうかということを質問したんです。それに対して、そういう場合は地方自治体等のひとつ協力を得てやってもらう努力をしてもらいたいという、実は局長お答えがあったわけですけれどもバス事業が非常に悪い状態になっておるところは、その地方自体過疎状態等を生じておって、自治体にも財源的な余裕のおそらくないところにそういう問題が起こっておると思うんです。それを認めないというなら、やはり国として存続させるような方法考える必要があるんじゃないかということをお尋ねしたわけでありますが、その点について大臣のひとつ所見を承っておきたいと思います。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 高松陸運局管内バス事業約十二社から陸運局に対しまして、バス路線休止したい旨の陳情がございました。このようなバス路線休止につきましては、バス事業公共性にかんがみ、これによって公衆の利便が著しく阻害されないように慎重に措置する必要があると考えます。したがいまして、路線休止という問題については、原則として、地元住民あるいは地方公共団体等路線休止について十分話し合いをするようにいたしたいと思います。  それで、これらの問題は、その路線公共度重要度をよく見まして、ケースバイケースによって、あるものは休止し、あるいは廃止することも適当であるとも思いますし、あるものはこれはどうしても存続する必要があるというものにつきましては、陸運局としましても、地元及びバス会社と三者でよく話し合いして、いかにしてこれを存続していくかという方法について検討させる必要があると思います。状況によりましては、国として運行を維持するために助成するということも検討しなければならないと思っております。
  8. 小酒井義男

    小酒井義男君 そこで、助成方法なんですが、鉄道軌道については、整備法という法律がありまして、若干予算を、たいした額じゃないですが、企業全体の赤字が発生した場合には補助金が出されております。ところが、バス企業に対してはそういうものがないわけなんですが、やはり公共性という点から考え、あるいは存続させるという必要性があるということであれば、地方鉄道軌道整備法と同じような性格のものをバス企業にも法制化することが必要じゃないかと思うのです。そういうことをお考えになっておるかどうか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 山村通学バス、これは通学バスの場合でございますが、この運行補助について、四十三年度の予算では実は若干の金を大蔵省に要求したのでございますが、これは認められませんでした。運輸省としましては、公共性の強いものについてはケースバイケースによって助成検討する必要があると思います。その場合に、立法的措置を必要とするか、あるいは立法的措置なくして行なえるか、この点もよく調査してみたいと思っております。
  10. 小酒井義男

    小酒井義男君 実は少し前の話なんですが、北海道で炭鉱が廃止することになってですね、それに付随して石炭輸送を主とし、鉱員輸送がそれに従属しておる同じ資本系統鉄道が廃止をされる段階があって、現地の鉄道労働組合あるいは私鉄総連等が、炭鉱離職者に対してはいろいろ離職者に対する法律があるのですが、それが鉄道従業員には適用されないというので、いろいろ陳情に行ったことがあります。そのときに、大蔵省関係のところでその陳情に行ったという者の話を聞いてみますと、何かこれは私企業である、たとえばだばこ屋が倒産するからといって一々補助を出しておっては切りがないというようなことを言ったというように私は聞いたのですが、八百屋やたばこ屋と違って、交通事業というのはいろいろ公益性があって、いろいろ監督もされ、運賃の認可もされるというような性格がある。しかも、炭鉱の付随の鉄道だけじゃなしに、今日地方中小私鉄バス企業が非常に経営の危機といいますか、困難な条件になってきておるわけですけれども、これらの企業が成立をしておった過程では、戦前、戦後を通じてその地方の産業なり、あるいは住民の生活に対して非常な大きな役割りを果たしてきていると思うのです。そういう企業がいろいろな構造の変化によって、いま経営が困難になってきておる。こういう事情考えると、やはりもう少し国としてこれはどうするかということを真剣に考えていただく必要があるのじゃないかと思うのです。そういう点で運輸行政の中を見ましても、この間も申し上げたのですが、海運については、外航船は、外航海運国際収支という、わりあいそういう条件がありますけれども、国内の内航船についても、いままでにも木造船鋼船への切りかえであるとか、あるいは企業集約化というようなことで、いろいろ近代化助成政府としてやっておる。ところが、中小私鉄だのバスだのという企業に対して何か取り上げて、いままで運輸省でおやりになったかどうかということになると、これというものが私は見当たらぬように思う。そういう点で、一番運輸行政の中で日の当たらぬところに置かれてきておるのがこの事業じゃないかと思うのですが、そういうことを、大臣、私が言っていることをどうお考えになりますか。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 小酒井さんのおっしゃることは、最近の社会情勢変化をよく見られての非常に大事なことを指摘されておられることだと思いますので、いままでのような惰性的な関係によって行政してはならないと、そういう御趣旨でもあると思います。  離島等については、航路の補助といいますか、いろいろな助成船等についてやっております。性格的にはやはり似たようなものも、このバスの問題にも出てきているように思うのです。ただ、その場合に、だれが負担をするかということは、政府側検討を要する問題で、これは私見でございますが、最近はわりあいに自動車が家庭に入ってきまして、農家でもほとんど自動車を持ってきているというような状態です。ですから、情勢によっては、そういうPTAが自動車を運転して通学子供を運んでやるというような場合も考えられるでしょうし、そういう能力がない場合は、地方団体補助をしてスクールバスをつくって、子供通学利便に供するということもございましょうし、情勢によってはまたバス会社がその通勤、通学の時間だけバスを動かすということも考えられましょうし、また状況によってはある程度もう少し回数を、頻度を多くしなくちゃならぬと、それでも欠損だというような場合は、県ないしは国が助成するということも考えなければならぬだろうと、そういうような最近の社会情勢変化に応じてきめのこまかい対策を講じていく必要があると、そういう点から見ましていろいろ検討してみたいと、こう考えているわけです。
  12. 小酒井義男

    小酒井義男君 最後にもう一点だけ。これは私ども関係者でもいろいろ議論をしているのですが、いま四国の例が出ましたが、四国高松では貸し切りバスのセンターをつくって、そうして車の持ち台数に応じて割り当てをするという方法をとっているのですね。ところがそうでないところでは非常なダンピングといいますか、きめられた運賃が守られておらぬ。非常な無理な競争をしているというところが各地に見られる。そういう状態でありますし、もう一つは、路線バスにつきましても同一の地域で数社が競合し合って、しかもその数社経営が非常に苦しくなってきているというこういう現状が見られるのです。そこで、最近も新聞を見ますと、高知県バスなんというのが、何か大手の私鉄の傍系に入りたいという動きがあったようですが、全部断わられてしまったというような例もあるのですが、地域的に数社が競合をしておって、しかも経営に困っているというような場合に、国として地域的に統合を促進するような方法考えられないであろうか。たとえばそうすることによって管理の一元化が行なわれたり、あるいはあまりお客さんもないのに数社が同じ路線を走っているというようなことの合理化が行なわれる、こういうことになると、経営内容改善するのにいろいろ効果をあげることができると思うのです。そういうことをやる会社に対しては、経営改善なり近代化なりに必要な融資なり、あるいはその他の助成措置を行なうということによって、統合の促進するというようなことを、国としておやりになったらどうか。そういう時期にも来ているのじゃないかということを考えているのですが、これは運輸省考えていただければ一番いいことなんで、そういう点をひとつ考えていただくというお気持ちはありませんでしょうか、お伺いしたい。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は確かにお説のとおりであると思いますので、考えてみたいと思います。
  14. 小酒井義男

    小酒井義男君 くどいことは申しませんが、中小私鉄バスというのは、大臣御就任になっていろいろな問題を見ておっていただけると思いますが、もうここらで何とか抜本的な方針を示していただかぬと非常に混乱をすると思うのです。どうか、ぜひ来年度の予算編成までには真剣にひとつ考えていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わらしていただきます。     —————————————
  15. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  16. 森中守義

    森中守義君 二、三お尋ねしたいと思いますが、最近運輸省海運発展五カ年計画というものをおつくりになっておられます。これの内容はどういうことになっているのか、大綱的でけっこうですから、御披露いただきたいと思います。
  17. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 新聞等海運発展五カ年計画をつくっている、あるいはその一部はこういう内容のものであるというふうに出て、一部報道されておりますが、あれは正式にその段階までいったということではございません。それで、再建五ヵ年計画はもう一年で終わりますが、その後どうすべきかということをいま海運造船合理化審議会諮問いたしております。それで、われわれ事務当局といたしまして、いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、いま整理をして研究を進めておりますのは、昭和五十年までの発展計画というものを検討しております。目標としまして、海運国際収支、それをどの程度まで改善することを目標とするかということをいま研究をいたしておる段階でございます。まだ具体的な計画はできておりません。
  18. 森中守義

    森中守義君 海造審諮問がすでに行なわれたようですが、この発展計画骨子になっておるわけですか、諮問骨子としては。
  19. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 海造審に対する諮問は、再建整備計画終了を控え、その後の海運政策はいかにあるべきかという諮問をいたしております。それで、その新しい政策といいますか、それを立てるにあたって、そういう長期計画というものを当然考える必要があるのではないか、そういう観点からいわゆる発展計画というものが問題になってくるわけでございます。
  20. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、今回の改正案というものは一年間延長ということなんですが、一つには、財政硬直化でどうしてもこれ以上のものは困難である、そういう理由によるものか、あるいはまた整備計画として中核六社をはじめ海運企業全体を通じてかなり自立体制が確立される。したがって、このあたりで一年延長程度でもよろしかろうということであるのか、あるいは五十年を一つのめどとする新しい計画ができる間のつなぎ方法とか、そういう意味合いで一年間の延長なのか、どれに該当するか、ひとつお聞かせください。
  21. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) その点に関しては、合理化審議会でもいろいろな議論がございました。しかし、全体の空気というものは、さしあたって再建計画というものは、もうあと一年あるのだから、そこで一応再建という旗じるしでやる政策は一ぺん区切りをつけたらどうか。そういう意味でいまやっている利子補給法現行のままで一年まず延ばす。その後の計画というものは別な観点からわれわれいま考えているのは、発展という観点から考えているわけですが、そういう新しい観点から、しかも総合的に、利子補給だけをどうするかということではなしに、あらゆる観点からいかなる政策を立てるべきかという観点からじっくりと検討すべきである。それで、さしあたり利子補給については再建計画に、五カ年というものに合わして一ぺん区切りをつけたほうがいいというのが大かたの意見でございましたので、予算もまず一年と、現行のままでやるのは一年、こういうことに相なったわけでございます。
  22. 森中守義

    森中守義君 三十八年に計画が開始され、実行に移されて以後、どの程度のいわゆる造船に対する寄与率があったのか、額としてどのくらい入れたのか、それで自立体制を確立するためにどの程度効果があったか、その点おわかりですか。
  23. 高林康一

    説明員高林康一君) 六中核体の三十九年三月から四十三年三月期までの数字によって御説明したいと思います。その期間におきます六中核体償却を実施いたしました額全体は二千五百五十億円でございます。そのうち国家助成がこの六中核体に対しまして出されましたものが四百六十億八千三百万円でございます。したがいまして、償却実施額の二千五百五十億に対しましては、この国家助成額は一八・四%に該当すると思います。この場合の国家助成といたしましては、利子補給金、三国間輸送助成費移住船補助金猶予利子猶予利子が行なわれました結果、それが元本償還に充てられる、そういうことによるところの金利効果、こういうようなものを見込みまして四百六十億八千三百万円でございます。
  24. 森中守義

    森中守義君 それから各社がこのために投入した自己資本はどのくらいになりますか。
  25. 高林康一

    説明員高林康一君) この計画につきましては、この期間におきましては全部借り入れによっております。タンカー等専用船につきましては八割が開発銀行、二割が市中銀行からの借り入れ、それからその他定期船等につきましては七割が開発銀行、三割が市中銀行ということによっておりまして、結果といたしましては、全額借り入れ資金によって船舶投資を行なっているという状況でございます。
  26. 森中守義

    森中守義君 どうもやはりその辺に少し矛盾を感じますのは、全額借入金で、それである種の自立体制にこぎつけており、他面そういう状態の中に一時利配を停止していたけれども復配している。こういう現状のようですが、これは大臣、出すものは出した。しかも業者は自分のものは出さないで、それで改善終了、ある程度まできたので、とめていた利配を復配する。このことについて、どうも私どもは理解できないのですけれども、どういうお考えでしょうか。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり資本主義体制をとっておりますので、ある程度復配しないというと増資もできない。そういうかげんである程度自活力をつけてやる必要があると思うのです。日本海運の場合は、戦争後、戦時補償を打ち切られたり、その後造船疑獄その他の不祥事件があったりいたしまして、非常な蹉跌をきたしておりまして、外国の海運から見れば著しく衰退しておったわけでありますので、ある程度非常手段をもってこれを再建しないと、日本経済成長の重要なネックになるということでもありましたので、そういう非常手段がとられたんだろうと私思います。そういう過程において自活力を付与するまでは国がささえてやるという基本方針のもとに行なわれたのでありまして、私はやむを得ない措置であった、これである程度自活力が出てまいりましたら、次の段階は、自活力を使いながら、またある程度助成の手を差しのべつつ発展していくと、そういう考え方でいきたいと思っております。
  28. 森中守義

    森中守義君 整備計画の出発それ自体自己資本を必要としない、全部借入金でやる、こういう方針のもとにすべり出したものかどうなのか、その沿革を私よく知りませんので、局長のほうからでもお答えいただきたい。
  29. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 再建整備計画がスタートしたときの状況は、海運会社経営状況というものは非常に悪化いたしておりまして、そのままでは船会社というものはみなつぶれるおそれがあるんじゃないかというほどの状態でございました。したがいまして、自己資金でもって船をつくるという状態ではございませんでした。それで終戦直後、昭和二十三年ぐらいから計画造船をやっておりまして、一次船から現在二十四次船までやっておりますが、この計画造船に関する限り、自己資金というものはほとんど入っておりません。当初復金の金を船舶公団が借りて、そして船主と共有で船をつくった時期が一、二年ございましたが、これもおそらく船主というのは銀行から自分で金を借りてやってきたものと思われます。それでそういうことを初めから前提にいたしておりまして、自立体制ができた以後には、これは自己資金をだんだんに入れていくということは想定をいたしておりましたけれども、少なくとも再建整備期間中にはあまりそういうことは予想していなかったと思うのであります。しかしながら、計画造船以外に自己資金船というのはこれはございます。計画造船に参加できるのは、いわゆる再建整備計画を出し、集約に参加したというものに対して集中的に国が助成をしていくという形でございまして、したがいまして、この集約に参加していない会社は、どうしても自分が船をつくりたいということになりますと、自己資金船というものをつくったんです。しかし、この自己資金船といいましても、これはほんとうに自分の手金でやるわけではございませんで、やはり銀行から金を自分の力で借りてくる、あるいは外資を受け入れてくる、あるいは造船所の延べ払いという力を借りたということで絶えずやってきております。それから、全部借金でやっておるのに配当するのはおかしいじゃないか、ただいま大臣お答えされたとおりでございますが、銀行から金を貸してくれるにも、やはりある程度資本比率といいますか、そういうものが必要なんです。いわんや、開発銀行で金を貸す場合は、いわゆる負債比率というものを非常に重く見ておりまして、負債比率が非常に悪い状況になりますと、増資をしてきなさい、こういうことを言われるわけなんです。そこで、増資をするためにはどうしてもある程度の配当をしなければならないということで、若干増資をしては金を借りる、こういうしかたでもって船をつくってきておると、こういう状況でございます。
  30. 森中守義

    森中守義君 手元にお持ちかどうかわかりませんが、中核六社の計画と現在までの収支率がおわかりですか。
  31. 高林康一

    説明員高林康一君) 手元に持っておりますのは四十二年三月期、四十二年九月期の数字でございますけれども、それによって申し上げますと、中核六社の四十二年三月期の総収益は千七百二十七億七千九百万でございます。それに対しまして、総費用は千七百九億七千九百万円でございます。したがいまして、支出に対しましては収入は一〇一・一%の比率になるわけでございます。なお、四十二年九月期につきましては、収入は千八百七十四億二千百万円、支出が千八百五十三億二百万円、これも比率といたしましては、同じ一〇一・一%になります。
  32. 森中守義

    森中守義君 そこで、四十四年度の会計も、七月あるいは八月に始まるわけですが、大臣が先般エコノミストの四月九日号で、「ひと回り大きい海運に」ですか、こういうことで対談をされた。この中で、どうしても来年の予算に間に合うように答申を得たいのだと、こうおっしゃっておるのですがね。この答申はいつごろを予定されるのですか。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体七月末ごろまでに答申をいただいて、概算要求に間に合うようにいたしたいと考えております。
  34. 森中守義

    森中守義君 そこで、すべては答申待ちということのようですが、もし答申の中に、いままでと同じように補給制度を存続したほうがよろしい、まあこういう答えが出れば、それを採用されるのか、また、その際には、財政当局との間にはすでに話がついているのか、あるいはつけ得る可能性があるのか、その辺どうでございましょうか。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は一切答申待らということでございまして、答申以前にいろいろ手を打ったり何かするというようなことは慎んでおりたいと思います。
  36. 森中守義

    森中守義君 しかし、対談の中ではかなり明確にされておりますね。なるほど、全体の状態からすれば答申待ち、そのことは私もわかりますがね。補給制度の存続、さもなければ金利の低率、まあこのいずれの方法にも順応したいというような言い方をされているのですよ。まあある程度それはなるほど答申待ちとはいいながら、一つの構想としてはすでに考えられてもいいのじゃないですか。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 当然、当分は助成制度を維持していかなければ、海運発展は期せられないと思います。先ほども申し上げた考え方に立脚しております。ですけれども、具体的にどういう形でその助成がなさるべきか、これは集約、非集約、オーナー、オペレーター、いろいろ性格も違いますし、新しい観点からそれらの処置も考えなければなりませんので、ここでは断定するわけにはまいらないのであります。
  38. 森中守義

    森中守義君 むろん、私どもの立場からしますと、先ほどもちょっと触れましたように、助成はうんとしたい、それで自立体制ができて、復配をすると、こういう行き方は必ずしも了解できない。しかし、これが全体的な海運政策という、そういう視点から見た場合には、まあ一歩譲ればうなずけないこともございません。しかしながら、どういう答申が出るかは別として、少なくとも新しい計画の中には、企業家の自己資本の投入ということも、一つの柱として私はもうそろそろ採用されてもいいのじゃないか、こういうように思うのですけれどもね、この点についてはどうでしょうか。
  39. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は同感でありまして、可能な限り、自力を活用するという考え方を持っております。
  40. 森中守義

    森中守義君 そこで、その現在の激しい国際競争、その中で、よく言われておりますように、日本の場合には弱い、そういうことになれば、やはり一つ合理化ということも検討の対象に私はなるのじゃないかと、こう思うのです。そこで、合理化にもいろいろありましょうけれども、現在の中核六社を中心にした今日の海運業界が、このままの状態でいいのかどうなのか。まあ私はもっと整理統合の方向へ行って、むしろ力を培養したほうがいい、こういうように思います。したがって、再編成ということについては、何かお考えをお持ちでありますか。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点こそまさに答申を待って判断すべきことでありまして、私のほうから事前にどうこうということは差し控えたいと思います。
  42. 森中守義

    森中守義君 くどいようですけれども、すべて答申待ちということのようですけれども、これはやはり行政上の一つの問題点であるし、やはり、そういう立場から意見もお持ちになってもいいんじゃないですか。すべて諮問をしているから、その答え次第だということでは、ちょっと私はこの法案の審議の過程からしてはどうもおかしいのじゃないかと思うのですよ。だから、答申大臣の意見と食い違う場合もありましょうし、あるいは全くの合意される場合もあるでしょうが、運輸当局として、固有の意見として、再編成がよろしいとかよろしくないという固有の意見があってもいいんじゃないですか。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり権威ある方々に考え方の提示をお願いした以上、こちらのほうから暗示を与えたり、誘導したり、飛び出し過ぎるということは、これはやはり慎まなきゃならぬことじゃないかと思います。
  44. 森中守義

    森中守義君 この問題はおそらく長期にわたって議論されてきた経過もあるようです。したがって、一つの定見というものがすでに運輸省に私はあると思うのですよ。しかし、それは答申待ちということで言えないということであれば、あえて聞こうと思いませんけれども、ただ方向としてはそういう方向にいくべきだという、こういう見解ぐらいはお持ちになりませんか。
  45. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 助成と自力とを組み合わせて大発展計画をつくりたいというのがわれわれのおおまかな考え方であります。
  46. 森中守義

    森中守義君 非常に抽象的で答えになりませんがね。あまりそうしつこく聞くのもどうかと思いますから、まあいいでしょう。それでどうなんですか。これもやはり答申待ちということですか、将来の海運界のビジョンということは。
  47. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 再建整備の次の段階のポイントにつきましては、答申をいただきまして具体的措置をやることでございますが、おおまかな考え方からいたしますと、これは海運局におきまして、いろいろな試算をしたり、資料を用意したりしておるわけでございます。まあ大体の傾向としますると、やはり海運国際収支赤字をいかにして防いでいくか。それについては日本経済成長の趨勢をにらみ合わせながら、どの程度海運の負担が出てくるか。それを是正するためにはどの程度の船舶を建造しなければならぬか。そして積み取り比率をどの程度に改革しなければならないか。これらはもちろん経済成長の量にいろいろ依存してくるわけでございますが、そういうさまざまの経済の成長の量を想定しつつ、その場合における赤字をどの程度にとどめるか、運賃収入赤字だけにとどめるのか、海運収入全般の赤字を対象にするのか、いろいろなポイントによってさまざまなデザインができるわけでございます。しかし、われわれの基本的な目標としましては、運賃収入にせよ、あるいは海運収支にせよ、少なくとも現在以上には赤字をふやさない。これを最低限にして、それ以上どの程度まで赤字を克服して減らしていけるか。そういう検討でいろんな考え方を持ちたいのであります。経済成長の度合いが五%から一〇%ぐらい、当然想定されましょうが、それに応じまして、いろんなさまざまなデザインができるわけでございまして、いまそのいろんな資料を整備している最中でございます。
  48. 森中守義

    森中守義君 最近の一つの課題として、コンテナ輸送ということが大きな問題になってまいっております。このことがやはりこれからさきの計画一つのかぎになっていくようなことも当然起こり得ると、こう思うのですが一むろんこれには声価、功罪相半ばするのではないかという意見もありまするし、またすべてそれに依存すべきだという意見もあるようです。一体コンテナ中心の海運政策を進めていこうとするのか、あるいはまた別途のものをお考えになっているか、その点はいかがですか。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) コンテナは、現在までに関する限りは、アメリカのたとえばシーランドあたりはかなりこれを有効に活用して発展させておるようです。しかし、それ以外の各社の情勢は必ずしも予期したほどではないと聞いております。つまりこれは陸上の輸送とか集貨能力というものを背後に持った力でないとなかなかうまくいかぬというのが現在までの状態のようであります。そういう面からしましてコンテナという問題を現在の日本海運の体力から考えて、そう大きく乗り出していいものかどうか、これは検討を要する一つのポイントでもあるのです。そういう面から将来は大まかに言っておそらくコンテナというものは大きな力を持ってくるとは思いますけれども、それに至る段階をどういうふうにきざんでいくかという点は、これは資本あるいは投資の効率の問題もございまして、慎重に検討しなければならない。海運造船合理化審議会におきましても、それが一つの論点になりまして、いろいろ議論をしていただいている状態でございます。
  50. 森中守義

    森中守義君 もしそれを採用する場合に、たとえば港湾等の整備も、あるいは付随する取りつけ道路あたりも直ちに大きな問題になってくると思うのです。そのことは四十四年度の中に考慮される御意思があるのですか。それとも答申がどういうものかによってきまるということになるのですか。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は港湾の整備はすでにしておるのでございまして、外貿埠頭公団をつくりまして、東京、横浜、それから大阪、神戸各港にコンテナバースをいま建設している最中でございます。この仕事を促進しまして、コンテナ時代に備えるように大いに努力していきたいと思っております。
  52. 森中守義

    森中守義君 いまわが国が国際競争に置かれている位置づけ、あるいは地位というものはどういう状態になっていますか。
  53. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御質問の趣旨がよくわかりませんが、国際競争における位置づけといいますと、海運の問題だけでございますか。
  54. 森中守義

    森中守義君 そうです。
  55. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近日本造船は約十年間最高位を維持してきましたが、外国が相当助成をしてまいりまして、日本を最大目標にしていろいろな対策を講じてまいりましたので、日本の受注量は最近は落ちてきておるようです。もっともこれは日本の手持ちが外国の輸出船について約千三百万トンぐらいありまして、二、三年はもつぐらい船台がオキュパイされているということもあると思いますが、しかし、外国が日本より高度の助成政策をやってきたということは、これは大いに注目しなければならぬことであるように思います。で、そういうような造船の量、あるいは熱意というものがもう当然海運に響いてくるのでございまして、現在の日本の保有船舶量及び日本の現在海運を運営しておりまする内在的諸条件というものを考えてみますと、かなり寒心、憂いにたえないような状況でございます。一つは、海運会社の体質が弱いということもそうでありますけれども、他面においては外国が船員の問題とか、あるいはその他の問題で外国の船員を雇ったり、あるいはその他のことでかなり有利な条件でオペレートするという情勢になってきているわけでございます。そういう面からいたしまして、船員問題なんかは日本の労働問題等もありまして、なかなかこれは一挙に情勢を変えるわけにもまいりません。そういう意味において、船の構造とか、あるいは集貨能力とか、配船の問題とか、あるいは国内船相互の競合関係をいかに調整するとか、そういう問題について、海運政策は大いに考えていかなければならぬ点があるように思います。事態は寒心すべき状態にきていると、そう考えております。
  56. 森中守義

    森中守義君 大体大別しましてアメリカ向け、あるいはヨーロッパ向け、東南アジア向け、こういう方向を定めた場合、どこに配船していくのが一番多いですか。
  57. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 定期船につきましてはアメリカ向けが一番多うございます。アメリカが三分の一ぐらいでございまして、あと東南アジアがそれに次ぐだろうと思います。  で、ただいま大臣から御答弁ございました海運市場の面から見ますと、非常に日本を中心とした市場の荷動きといいますか、が非常に多くなっております。と申しますのは、日本の貿易構造からして、非常に大量の原料輸入ということが必要であります。それから原料のある場所から日本までの距離が非常に延びております。そういう意味でトン・マイルということで計算しますと、非常に日本中心の荷動き、輸送量というものは大きな地位を占めます。たとえば鉄鉱石は四四・三%が日本を中心とする荷動きである。それから石炭については四〇・七%、こういうふうにだんだん大きな比重を占めてきておるという状況でございます。
  58. 森中守義

    森中守義君 最近の石油資源の開発あるいはそれの輸入の増加で、かなり中東あるいは東南アジア方面に政府が経済援助あるいは技術援助という形で提携を始めてまいっておりますが、そういうことの一環だとも思いますけれども、例のマラッカ海峡の構想というものがあるようですね。すでにこれはタンカー協会というのですか、IMCOに認証を得るというのか、あるいは協議を求めるというのか、すでに運輸省、出されたようです。これは事実問題として相当交渉は軌道に乗っているんですか。それと、その内容によれば、大体総額四十億の資金を伴っている。その大半を日本が負担してもよろしい、こういうことがいわれておりますが、事実に間違いありませんか。
  59. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) マラッカ海峡の水深が非常に浅うございまして、それに対しましてだんだん船が大型化してまいります。特にタンカーが非常に二十万トン以上の船がどんどん出ていきます。そこでマラッカ海峡の水深につきまして、各社ともだいぶ自分会社の船で水深をはかりながら、航行している。それによりますと、大体二十三メートルぐらい。しかし、ところどころ浅い所もございますし、スピードを出しますと船の沈み方が少し激しくなる、そういうような観点から非常に安全なのは十九メートルくらいではないかという結論になっております。それと、非常に狭水路でございますので、安全ということも考えなければならぬ。そこで昨年の暮れIMCOの席上に日本からこの航路を分離する、上り線、下り線を分離する。そのために航路標識の整備あるいは海底の測量ということを十分やって、しっかりした海図をつくって、そうして安全に航行すべきではないかということを提案をいたしたのでございます。IMCOでは、それはもっともである。日本のその航路分離する等の考え方は非常にいい考えであるけれども、その前に、その財政措置を伴うところの測量等の措置が必要であるから、それは関係国でまず打ち合わせてくれ。それ以後においてまたIMCOで相談しよう、こういうことに相なっております。それでこのマラッカ海峡を一番利用する率の多いのは日本でございますので、どうしても日本がこれを中心になって促進する必要があるというので、まず関係国に呼びかける前に日本自体の手によって予備的な調査をまずして、そうして大体金はどれくらい要る。どこに何を移したらいいという見当をまずつけてから関係国に呼びかけるよう。こういう段階で、いま予備調査をどのようにしてやるかという相談をいましておる段階でございます。その予備調査にも若干の金がかかりますので、これはタンカー協会はじめ日本船主、あるいは場合によっては科学技術庁の研究調整費等も若干出してもらって、そして予備調査をしたい。こういうことをいま相談をしておるという段階でございます。
  60. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、そのことはIMC ○が中心になって関係の四カ国には調整をしよう。日本みずからが調整に当たるんでなくて、IMCOが調整しよう。しかも、その上でその想定としての四十億の配分等をきめよう、こういうことなんですか。
  61. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 四十億という金は、先生どこからお聞きになったか存じませんが、まだその金額までは出しておりません。いわゆる非常にばく然とした知識からでございますが、二十億くらいかかるのではないか。航路標識等の設置、あるいはこういう突出しておるようなものを削るとか、そういうものも考えましてそういう見当でもってやっております。この経費の分担をどうするかという問題は当然将来あるわけでございまして、あの沿岸三カ国、インドネシア、マレー・シンガポールという三カ国ももちろん利害関係がございますが、やはり最もあそこを利用しておる、通航しておる国、これが一番多くの負担をしなければならぬのではないか。また金の分担というところまでは全然話はいっておりませんし、これは将来の問題でございます。
  62. 森中守義

    森中守義君 例の長期計画によれば、相当石油開発の問題は重視しておりますし、おそらくそういうものと符節を合わせたものだと私は理解をしているわけです。そこで運輸省とは全くこれは関係のないものだということであれば、おそらく現状はそうだと思うのですよ。ただし、この問題をこういうとらえ方をしておる向きもある。といいますのは、七十年、七十一年にかけて英軍がシンガポールから撤退する。そうなると、当然だれがそうなれば周辺一帯の警備に当たるのか。あるいは海上警備に当たるか。こういう問題が具体的な問題として出てくる。アメリカも一つの構想を持っておるようですし、しかもわが国の外務省でもそのことにある種の見解も持ち始めたと聞いているのです。そこでそろそろ防衛関係ですか、第四次防というものが始まっている。その中で第三次防は空であったんだが、必然的に四次防というものは海に移行する。海に移行した場合に、英軍がシンガポールから撤退したあとに、当然に日本がそのあとを引き受けるということになるのじゃないか。まあ、言ってしまえばマラッカ海峡というものは、当然日本の海上自衛隊の警備区域に移行してくる、で、そのことが今回のこのマラッカ構造とかなり密接不可分な関係を持つことになるという、こういう一つの定説が最近生まれてまいっておるようです。私は、そういう毎度からとらえていけば、単にこれは海運界あるいは海上輸送、こういう時点からのみマラッカ構造というものをとらえるのは少しどうかという気もするんです。で、先般、非公式ではございましたが、海運局のある課長が私のところに見えて、それはとんでもない話だと、運輸省としては全くあずかり知らぬと、こういうお話がありました。事実そのとおりだと思う。おそらく防衛と海運ということを一体的なものとしてマラッカ海峡の構造が促進されるとは思いませんけれども、防衛庁においてはすでにその用意が行なわれておるようです。ですから、そういう防衛的なものがマラッカの海峡構造に何かの関係が生じてくるということになると、かなり関係国においては刺激を与える可能性が皆無とは言えない。ついては、いま具体的なプログラムに乗っていないようですから、そこまでここでお尋ねするのもどうかと思いますけれども、よほどその辺のことについては慎重な配慮が必要じゃないか、こういうように現在考えております。したがって、それに対する意見を求めるというのも少々無理かわかりませんが、一応の大臣からの見解、そしてまた具体的にマラッカ海峡の構造の着手はおおよそ何年ぐらいをめどにされるのか、むろんこれからIMCOとの数回にわたる折衝、関係諸国との公式、非公式の折衝等もありましょうから、そういう内容まではお聞きいたしませんが、要すればこの二点について大臣からお答えを願いたいと思います。
  63. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) マラッカ海峡の調査の問題は、国際平和機関であるIMCOを中心にして国際協力によってこれを行なおうとするものでありまして、軍事とは全然関係ございません。この調査が軍事と少しでも関係しているような万一の誤解でもあると、あの周辺の各国に対する影響もあります。その点ははっきりここで断言して確認しておきます。  それから、日本がこれからやろうとしておりますことは、IMCOに提起すべき基礎資料を得ようとしておるのでございまして、日本単独でやろうという問題でもございません。当然これを行なうときには、海運関係国はもちろん、あすこの沿岸三カ国——インドネシア、シンガポール、マレーシアの御協力も得なきゃならぬし、また、それらの国々にも相談すべきものであろうと私は思います。そういう国際協力による平和通商の問題としてのみ、これは考えていただきたいと思っております。
  64. 森中守義

    森中守義君 あと一、二問で終わりますが、内航船の今日の状況はどうなんですか。
  65. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 内航につきましては、四十一年に内航対策要綱というものが閣議決定されました。この閣議決定された内航対策の骨組みというのは、一つは船腹過剰というものをどのようにして調整をするかというのがねらいでございまして、そのためにはスクラップ・アンド・ビルドということをやると。それによって、いわゆる老朽船も非常に多うございますが、老朽船を近代的経済船に変えるということと船腹調整とを一挙に解決する方向でスクラップ・アンド・ビルドという政策を持ち出してこれを三年間で一定の建造量をやる。で、一トン新しい船をつくるには一・五トン古い船をつぶす、一対一・五という目標でもってすでにスタートいたしております。  それともう一つ政策の重点は、非常に零細企業が乱立いたしておりますので、これを適正規模までに引き上げるために、いままで届け出制であったものを許可制にして、一定規模以上のものをオペレーターとして認める、それに達しないものは、いわゆる貸し船業者として認めていく、こういうことで、いわゆる業界の秩序というものを立てて、そうして乱立過当競争というものをなくしよう、こういうことでいま進めております。で、四十一年から四十三年までの三カ年計画でございますので、ことしはその三年目に当たっております。そういう対策をしておる一方、いわゆる市場の状況は多少よくなってまいりつつあります。これは非常に幸いなことだと思います。
  66. 森中守義

    森中守義君 少しこまかなお尋ねで恐縮ですが、ここ二、三年の間にどうしても経営が成り立たないで廃船をした、廃業をしたというそういう数字は把握しておりますか。
  67. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) いま手元にはその資料を持っておりませんが、さっそく調査して御報告いたしたいと思います。
  68. 森中守義

    森中守義君 今日あるいは将来にかけて相当陸上輸送が強化されてきますと、その逆の方向が当然内航船に現象として見られることは当然だと思う。それで、この際なかなか統計のとり方もむずかしいと思うのですが、内航船全体を通した収支率あたりを一ぺんとってみたらどうでしょう。できるならば資料とし出していただきたい、こういうように思うのです。私も正確な数字をここに持っておるわけじゃございませんが、かなり逼迫した状態にあることは事実のようですし、ここでもさっきの中核六社と同じように、もう一回内航船の再編成こういったようなことだとか、あるいは陸上輸送と海上輸送の、もしでき得るならばある程度比率を設定をして内航船が倒産しないように、これを存続さしていくようなこういう措置もとられていいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 内航の再編成をやるべきではないかというお話でございますが、先ほど申しましたように、いま零細企業の乱立というのを解決するために、いまその途上にあるわけでございまして、届け出制を許可制に完全に切りかえますのは四十四年の十月をめどにして、いませっかくその再編成の途上にございます。  もう一つの問題は、陸上輸送部門が強化されていくと、内航の荷物が少くなる等の影響があるので、輸送分野といいますか、そういうものを一定の比率にきめたらどうかという御質疑だと思いますが、内航の貨物も毎年伸びていっております。それで海陸の調整ということは非常に昔からよく議論されることでございますが、これは規則だとかそういうことではなかなか陸へ流れる荷物を海へ流すということは非常に困難で、やはり運賃で調整するというようなことで自然に流れをそちらに導くというような方向でやるのが一番いいのではないか。おのおの輸送機関には特徴がございまして、その特徴に合う荷物がそちらに流れるということが当然でありますが、そのほかに運賃というもので自然な流れを導く、この考えが一番いいということで標準運賃というものをきめておりますが、実際の運賃はその標準運賃を基準にして業者間の契約でもってきまる。その標準運賃をきめる際に、私たちはいま言ったようなことを頭に置きながらきめております。
  70. 森中守義

    森中守義君 もうこれで終わります。先ほど大臣から新しい計画に入った場合には、極力自己資本を投資させるようにしたい、こういう御説明ですから、あえてそれに付言いたしませんけれども、やはり国際収支改善する、あるいは外貨を持ってくる、こういう意味で海運政策はかなり重視されることは当然なことだと思いますけれども、何としても税金を出しているわけだし、しかもまた、そのことによって手金は全然出さないで、もうけた金は利子配当するというのじゃ、どう考えてみても、私は筋から言ってもあまり適当じゃない、こう思うのです。ですから、この際は極力備蓄率を高める、あるいはまた、そのことを自己資本として投入させる。でき得べくんばここ当分くらいは利配を停止するような、そういうことも考えていいんじゃないだろうか、こう思うのです。これは私の意見ですが、それに対する大臣の御意見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 内部保留を高めていくということは、私は同感であります。ただ配当の問題は、銀行融資との関係がございますので、やはり国家資金をできるだけ少なくして、市中銀行融資をふやしていくという、そういう筋からしましても、若干の配当は認めておいたほうがいいのではないか、能力のあるものについては。そうして自活力をさらに強化していくという方策が適当なのではないか、そういうように考えます。
  72. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  73. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  74. 木村美智男

    木村美智男君 大臣先ほど日本海運現状は、寒心すべき状態にある、こういうふうに言われたわけですが、私内容はよくわからぬのですけれども、最近開かれた例の最高輸出会議ですか、ここら辺の状況新聞あたりで知る以外に方法はないわけですが、その結果などから見ると、どうも寒心すべき状態にあるにもかかわらず、政府全体としての海運政策あるいは輸出振興対策というものについての熱意というものが、非常に薄いような印象を受けております。特に大臣の場合には、いまのこの法案の関係もあるから、外航船腹を拡充するとか、中国船舶については輸銀の使用を認めたらどうかといったようなことを言って、きわめて積極的な姿勢を示しているのですが、政府全体から見れば、場合によるとどうも輸銀の金利の引き上げといったような問題やら、あるいは延べ払いよりは現金輸出をふやせといったような態度のほうがむしろ強く出ておって、そういうことになると、どうも何か大臣だけひとり相撲とっているのじゃないかというような感じがするわけです。一体これは政府全体は率直にどういう態度をとっているんですか。海運振興並びに輸出振興対策について現佐藤内閣あるいは政府の態度いかんということです。
  75. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現内閣は国際収支改善、輸出の振興という問題については、非常に真剣な態度で対処しておると思います。硬直化した予算をこれを直そうというので、かなりきつい予算を今回組みまして、いろいろ御迷惑をおかけしているのも、国際収支改善という趣旨からやっておる基本国策でもありますし、最高輸出会議というようなものを設けて、総理大臣みずから輸出政策についていろいろ指示しておるというのも、そのあらわれであると思います。利子補給につきましてもわざわざ一年延ばして次の段階をみる、そういうところまできておるのも、やはりその一つのあらわれであるだろうと思います。しかしながら、日本のこれからの趨勢を見ますと、いままで程度の努力ではなお足りないと思いますので、さらに一そうの努力をするべく心がけたいと思っております。
  76. 木村美智男

    木村美智男君 私は輸銀の金利引き上げの問題について、必ずしも利子が上がることに反対だとか何だとかいう理屈はいまそういう立場はとっていないんですが、せっかく大蔵省に来ていただいたので、少しお伺いしたいんですが、大蔵省の内部で検討されている輸銀の金利引き上げの問題はいろいろ理由があるだろうと思うんですけれども、私の聞くところでは、大体収支のバランス、それがあぶなくなってきたというようなそういうこともいわれておるし、またそのほかにもやはり海外の市中金利が上がってきておるというような傾向とか、いろいろ理由はあるようですが、率直に言って輸銀金利の引き上げを検討しておるという必要性は、どういうところに原因があるのか、それをひとつ明らかにしていただきたい。
  77. 迫田泰章

    説明員(迫田泰章君) 輸銀の金利につきましては、御承知のように大蔵省内部でいろいろ検討をいたしております。私ちょっと輸銀のほうの担当でございませんので、はっきりしたお答えをいたしかねるわけでございます。
  78. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  79. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  80. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、現内閣は非常に海運対策、輸出振興、それから国際収支改善ということで一生懸命取り組んでいるということなんですが、最高輸出会議に総理大臣がみずから出たから、必ずしもこれは一生懸命やっているとは言えないんじゃないか。ここではその問題別にして、大臣やっぱり船の問題であるので、どうしてもこの際聞いておきたいんですが、この前中国船舶輸出問題について大臣の態度を聞いたら、ひとつこの際吉田書簡といったようなものは野べの送りをして、そうしてできるだけ門戸を広げて、この際、国際収支改善をする、あらゆる国とできるだけ取引やっていく、そういう御意思は伺ったわけですけれども、ではそうしたいという大臣の意思はわかったけれども、まだそれは政府方針なり何なりまでどうもいっていないように思うんですが、現状大体どういうことになりそうですが。ということを聞くのは、日立造船の社長がやはり出先を通して中国側と接触をした限りにおいては、まあ吉田書簡の破棄ということがやっぱり前提である。これさえ破棄すれば、もう向こう側としては少なくとも従来どおりの条件で商談を船の問題については復活してもよろしい。場合によってその後の情勢変化考えて、船の値段だって若干高くなってもこれはまあやむを得ないというぐらいの意思表示がされておるように聞いておるわけですよね。そうすると、やっぱり現実の問題としては何も中国だけが輸出船の相手国じゃないけれども一つのやっぱり大きなウエートを持ってくると思うんです。したがって、この問題の解決ということはこれからの船舶建造にとってはやはり大事な問題じゃないかというふうに思うので、この点まあ政府の政治解決ということがやっぱり一つの問題点だろうと思うのですがね。これどういうふうに解決をされていくおつもりですか。
  81. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中国に対する船舶輸出の問題は、一つは貿易の拡大という観点と、もう一つは平和共存の推進、そういう二つの考え方に立って私は進めたいと思っておるわけです。しかしながら、大体こちらがそういう希望を持ち、輸出の意思を持っておっても、先方がどういう反応をするか、その条件やら考え方がわからなければ、こちらのからぶりに終わってしまいますから、事務レベルでどの程度までせり上がってくるか、そしてどういう条件なり考え方を先方は持っておるか、オーソライズされた考え方がくるのを私は待っておるわけです。そのオーソライズされた考え方がさましたら、その時点に立っていろいろ考えてみたいと思っております。
  82. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、少しやっぱり何か積極性が政府の態度足らぬというのはそういうところなんですがね。つまり最も熱心である大臣ですらその程度だからね。大臣に期待しているわけだ。こういう問題については、いまや政府の態度とは言うが、実は中曽根運輸大臣の態度を実は注目しておるわけだね。で、非常にとにかくまあ国際情勢も動いてきているが、別に動いてきているから大臣自分の足元を移したわけではないとぼくは思っているのですけれども、しかし、ほんとうに当面している大事なポイントをやっぱり言われておるわけだから、したがって、私はいま日立造船の社長のやはりその談話がきょうの新聞にも出ているわけですが、それは単に後が根拠のない希望を言ったんではなくて、具体的に自分会社のやはり広州交易会で中共側と接触をした現実の問題としてそういう動きになってきているということになってみれば、これはやっぱり大臣は先に投げかけたんだから多少の腹案というか、構想を持ってああいうことをやっぱり言われているんじゃないかとぼくは思うんだが。
  83. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の熱意は少しも変わっていないのでありまして、いまの日立造船の社長談と称する話の内容も一、二週間前に中間報告として私は聞いております。あれは広州の交易会で先方と会った話をたしか日立造船の社長言ったんではないかと思いますが、そのとき北京に行って責任者と話したいということを言ったら、北京に行くことをあっせんするという話をそのとき私聞いております。北京のしかるべき人の話がどういうふうになってくるか、そういうことを聞きまして、まあオーソライズされた条件なり考え方というものを確認しなければ、やはり行政でありますから、出発したり考えを下すわけにいかぬと思うのであります。しかし、この問題は単に行政のレベルで私は解決できるとは思わないのです。やはり大所高所に立って世界情勢やそのほか諸般の情勢を踏まえながら解決すべき政治的要素もあると思うのです。そういう政治的要素の問題は将来の問題でありまして、秘中の秘でありますから、いま申し上げることはできません。
  84. 木村美智男

    木村美智男君 大体言わんとすることはわかりますが、この際、ひとつ行政的に一歩事務折衝というか、そういう関係では政治的な問題は秘中の秘だけれども、同時にその判断さえ下せば、どうでもイエスともノーともなるような関係の形に進むということは、これは大臣のいままでの主張からいけば当然可能なわけだから、だからそういう意味では、ただ北京に派遣するかどこに派遣するかわかりませんが、具体的にその可能性を探り、あるいは実際こういう関係で取引というものは可能だという見通しぐらいはやはり行政的にめどをつけておくということは、これは大臣よろしいですか、そういうふうに理解をして。
  85. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は運輸省事務当局に対してはこれを推進すべしという指示を出して、やれやれと言って大いに激励しておるのであります。しかし、これが行政では一定の限界があるということはよく心得ております。それ以上どういうふうに打開するかということは内閣レベルの問題になるかもしれません。そういう問題については総理や外務大臣やその他ともよく相談をして一つ一つほぐしていく必要があるだろうと考えておりまして、熱意はいささかも後退してないということを申し上げたいと思います。
  86. 木村美智男

    木村美智男君 大体いまそういうことで了解をしますが、大臣、やっぱり世の中というのはうるさいものでね。大臣はえらくこのことについても熱意を示したけれども、最近あまり、ぱっとはなやかにデビューしたわりにはその後が続かぬじゃないかという悪口もあるからね。だから大臣基本方針は変わってないというのだからぼくも安心しているけれども、まあ運輸省事務レベルで限界があることは私どももよく承知いたしております。しかし、一応そういう立場で、この問題のひとつ大臣方針に沿って具体的に進めてほしいということを要望して、いまの問題は了解いたしておきます。  海運関係が私はきわめて寒心すべき状況にあるということについて、今後三国間航路で稼ぐといったような関係について具体的に検討しておりますか。つまり北欧諸国がやっているような政策、これはまあ資料なんかもいろいろ見せてもらいますと、やはり何と言っても積み取り比率なんかについてはまだまだよくなっていないというようなことも考えていって、なおかつ国際収支改善というような、そういうことも考え合わせると、真剣にやはり検討をし、具体的に取り組むべき問題じゃないのかというふうに考えるので、その点をひとつ。
  87. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) ごもっともな御意見でございます。海運国際収支改善する一つのファクターとしてはどうしても三国間にもっと進んで積極的に出ていくということがどうしても必要になってくると思います。で、北欧諸国はたとえばノルウェーなどは海運国際収支は黒字でありますが、そのおもな理由は、三国間輸送をやっておるということでございます。ところが、日本におきましては自分の国への出入貨物、これを運ぶのに手一ぱいであります、いまの船腹量は。というような状況でありまして、三国間まではあまり手が回らなかったというのが実情ではないかと思います。そういう意味から今後船腹量をどんどんふやしていって、そして三国間輸送にどんどん出てゆくと、こういう考えで進めていきたいと思います。現在三国間につきましては助成金が若干出ております。今年度の予算で五億ばかり出ておりますが、こういうものにつきましても、もっと手厚くすることによって伸ばすことができるかどうかということも十分検討してみたいと思います。
  88. 木村美智男

    木村美智男君 いま盛んに船をつくっているわけですけれども、先ほども何かちらっとそれらしいことが言われたのですが、たとえば一つの具体的な問題でいうと、ベトナム戦争がかりに、まああしたからパリで平和会議が持たれるわけですが、これが終息をするというようなことになってくれば、その面についての船の使用というものもだいぶこれはすいてくるということは考えられますね。特にそれは日本だけではなしにアメリカの船も余ってくるということがある程度考えられると思うのです。まあ貨物量にして大体五十万人一人当たりまあ使用十トンというふうに推定をされておるようですから、五百万トンぐらいの輸送量というものが大半減っていくというような情勢がこれは平和会議がうまくいったときには出てくると思われるわけです。そういう時期にはだいぶアメリカの船舶もやはり太平洋に回ってくるというようなことが考えられる。それからもう一つは、これはコンテナ輸送船の関係からいうと、やはりコンテナ輸送に切りかえていけば相当船腹が効率が上がっていく関係で、そういう意味での船腹が余力を持ってくるということも一つは要素として考えられるのではないか。そういうことになってきますと、特にシーランドなんどがこの秋から三回ぐらい入ってくると、こう言われているのです。というような諸条件考えてみると、どうも計画造船で船腹をふやしていかなければならぬというこの問題について、遠からずして船舶過剰問題が起こってこやせんかという、さっきそのスクラップ・アンド・ビルドの話が出ましたけれども、内航船舶みたいに、要するにいまやっているようなああいう小型のやつで木船を鋼船に変えるとか、鋼船であってももう非常に古くなったやつを変えるとかいうものはわりあいに簡単にスクラップ・アンド・ビルドできるけれども、問題は大型船、最近の傾向として特に大型になっておるし、大体外航関係というのはこれは小型船なんというのはないわけですから、そうすると、いまやっておるような内航船のスクラップ・アンド・ビルドみたいな処理はできないと思うのですね。そこら辺から、さらに日本のこれからの経済の発展という、あるいは伸び率というようなことを見ていっても、私はまあ長期計画に立っても、なおかつここ二、三年の関係について見ても、まあちょっと外国貿易の関係で飛躍的に伸びていくというようなことについてそう手放しで、あるいは楽観的な状況にはないのではないかというように考えてくると、この船腹過剰問題というものがどうしても出てくるような気がしてくるのです。この点についてはどういうふうに考えられておりますか。
  89. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) ベトナム戦争の終結あるいはコンテナ輸送の開始というようなことによっていわゆる船腹供給過剰というような問題が起こらないかという問題でございますが、一九六〇年から一九六六年まで、この六年間の世界の輸出額のふえ方というものを見ますと、六〇年に比較しまして、この六年間に一・六倍輸出額がふえております。これに対しまして、国際海上荷動きの状況を見ますと、この六年間に一・六四倍、大体輸出額に見合って海上荷動きもふえております。これに対しまして世界の船腹量はどのようにふえてきたかということを見ますと、同じ期間について見ますと一・三倍しか船腹量がふえておりません。これから見ますと、船腹のふえ方よりも荷動きのほうがよけい伸びていると、こういうことが言い得るわけでございます。これは過去六年間についてのことでございますが、今後はどうなるかと、これはいろいろ見通しの問題としてあるかと思います。ベトナムの終戦によってアメリカのいわゆる軍事輸送あるいはベトナム需要というものに就航しておった船舶が今後どの方面に移っていくかを考えてみましても、これは船腹量自体としてはそう大した船腹量だとは思われません。またこのベトナム戦争が終わればまた復興輸送という面もあるということを考えなければなりません。それからコンテナ船が進出してきましても、これは主として定期船部門に限定されておりまして、コンテナの寄港する港は限定されておりまして、それ以外の港あるいはコンテナに適しない貨物輸送というものは依然としてございます。そういうようなこと、それから世界経済の伸びというものが大体順調な一定の伸びをもって進んでおるというようなこと、それから日本の船腹というものは大体日本中心の輸出入物資について、特に大量の貨物については長期契約、ほとんど八十数%というものは荷主との長期契約によって安定した輸送活動をいたしておるということ等から考えますというと、それほど心配をすることはないんじゃないか。特に日本の荷主が日本の船腹を長期契約によって安定的に使うということがはっきりしており、それにフォローさえしておる限りはそう日本海運自身といたしましては船腹の過剰ということに悩むことはないんではないか、かように思っております。
  90. 木村美智男

    木村美智男君 さっきコンテナ船の話が出たんですが、どうもコンテナの問題については外貿埠頭法をつくる段階ではだいぶもう国際的にそういう大きなもう趨勢というか、波が押し寄せてきて、早いこと陣容をつくり上げなければどうにもこうにもならぬような話に実はなっておったわけだね。大臣の話、さっき聞いておりますと、多少足踏みみたいな状態にあるようにも受け取れたものですから、これはコンテナの関係についてその後どういうことになっておるのか。まあ船腹は大体六隻ぐらいつくるんだという話はさっき伺いましたけれども、もしこれが二の足を踏むようなことになっていくとたいへんな問題だと思うので、ちょっとその後の事情を聞かしてください。
  91. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) コンテナ輸送というものは、確かに海上輸送については大きな輸送革命であることは、これはだれでもそのように考えておるわけでございますが、コンテナ輸送といいますと、先ほど申しましたように、大体定期船部門、雑貨輸送というものに主として限られておるわけでございます。そして定期船部門というのは、貨物量にしてはそう大量ではございませんけれども収入面においては非常に大きなウエートを占める関係上、非常にそのコンテナ輸送というものにつきましては、各ライナー会社は非常に従事せざるを得ないというわけでございます。そして特に定期船部門というのは、そういう輸送革命に一歩おくれることによって非常なハンデキャップがついてくるということを非常におそれた。で、去年、おととしにおきましては、各船会社とも、コンキチといってコンテナ気違いという意味ですが、と言われるほど非常に一生懸命になって考えたわけでございます。これはまあ当然なことでございます。  で、その後のコンテナの状況を見ますと、大西洋におきましてはアメリカのシーランド会社が一番大きく伸びております。これに続いて欧州の各船会社も続こうとしております。で、ことしの春から太平洋におきましては初めてマトソンの船が輸送を開始いたしました。ことしの秋から、日本の六中核体が同じようにコンテナ輸送を開始をいたします。そして現在コンテナ船が世界で五十隻ぐらいすでに建造中である、あるいはできておるものも含めてそれぐらいある。そのほかに計画中のものが百五十隻ぐらいある。そうすると将来合わせて二百隻ぐらいのものが、当然コンテナ船が出てくることが予想されます。  で、コンテナ輸送につきましては、いろいろな準備が要ります。コンテナ埠頭整備、それからコンテナの荷役施設、そういうものに非常に大きな金がかかります。そこで、一社で単独でやるということは、いろいろな面から困難な面がございますので、外国の船会社も同様でございますが、何社か組んでやっておるという形が行なわれております。で、日本の六中核体も、これは現在のところ二つのグループに分かれてやろうといたしております。それは、郵船と昭和海運、それにマトソンとの提携というので一グループ、それで他の日本の四社、中核体四社が一グループ、この二つのグループに分かれて、日本、それからアメリカのサンフランシスコ、ロスアンジェルスとの間に、さしあたってことしの秋から輸送を開始しようという準備をいたしております。コンテナ船六隻は、目下造船所において建造中でございます。それからオーストラリア航路につきましては、これは来年くらいから具体化してくることになると思います。これも日本の大体三社とそれからANLというオーストラリアの船会社と提携をした川崎汽船、大体この二つのグループでコンテナ輸送を行なうという形になるかと思います。
  92. 木村美智男

    木村美智男君 このコンテナの船一隻大体二十三億くらいかかるそうですね。それからその船に積むコンテナ容器でしような、これが七十万くらいかかる、こう言われておるようですが、経費的に経済的に見ると、大体荷物について一千個くらいを一つの基準にしてその三・五の割合ということで、こう経済計算をすると、通常の船なら二隻やれるじゃないか。で、その二隻が運ぶ量から言えばむしろ五千個ですね。したがって、コンテナー隻と通常の船二隻、その運ぶ貨物量は三・五対五というそういう比率になるのだというふうに聞いておるわけなんですが、そうすると何かコンテナ船の建造という問題は、経済性から言うと少し問題があるんじゃないかというようなことを聞いているのですが、これはどういうことですか。
  93. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) コンテナ輸送は、当初に非常に膨大な資本投下を必要といたします。そういう意味でイニシアルコストが非常に高くなるということは当然考えられるわけでございます。ところがコンテナ輸送は非常に効率のいい輸送になるわけでございまして、いわゆるウイークリーサービスということが考えられるわけですが、そのスピードも非常にハイスピードでございまして、そうして荷役時間というものはほとんどとらないということから、たとえば日本‐サンフランシスコ間を従来は六十日で一航海ワンラウンドやっていたものが、約三十日でワンラウンドできるというふうに、非常に効率がいいわけであります。こういう観点から、長期的に見ますとこのほうが有利であるという数字が出てきております。で、コンテナの採算につきましてはいろいろな前提を想定しなければなりませんが、大体当初三年間ないし四年間はどうしても赤字というのが免れない。そうして七年目くらいから累積赤字を消して黒字に転ずる。十年をとってみますと、必ず黒字になるというような見通しを持って各社と本計画をいたしております。
  94. 木村美智男

    木村美智男君 長期的に見れば、コンテナ船が有利であるというお話ですから、これはまあ当面見て多少の心配はあっても、将来に向けては明るい見通しだということで、一応理解をしておきたいと思います。  いまですね、積み取り比率なんかについての資料が出ていまずから、具体的に中のお話は伺おうと思っていないのですが、大体これから計画造船をやって九百万トンからの船をつくるということで、かりに九百万トンが達成をした場合には、積み取り比率というものはどの程度になっていくのかということと、それからちょっといま船会社のほうが結局は大量建造についても従来、いままではそうでもなかったと思うのですが、今後の建造についてはある程度やはり自分会社の経理負担になっていくという、つまり借金政策だからですね、そういう意味で、だいぶ消極的になってきているというような話も聞いておるわけです。そこら辺の関係を含めて今後のこの計画造船については、何か例の委員会に諮問をしてという大臣の先ほどのお話なんですが、やはり具体的にそういう方向をつかんでもう運輸省としてやはり目安をつけるべきじゃないのかというような気もするのですが、一つは積み取り比率がどの程度向上するのかということと、したがって、九百万トン完成をしたあとでもなおかつ船腹が足らぬという状況になるのかどうか。その場合、いまのその船をつくるほうの人たちの態度というものは、聞くところによればちょっと問題があるような気がするがどうなのか、こういう点をひとつ伺っておきたいと思います。
  95. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 経済社会発展計画では、四十六年までに九百万トン船をつくるということになっておりますが、この四十六年の積み取り比率は輸出が五十五、輸入が六十三ということを目標にして組んでおります。で、四十六年にはたしてそのとおりの積み取り比率が確保できるかどうかということは、今後の問題でございますし、相当問題はあると思います。しかしながら、四十一年から若干ずつ積み取り比率が向上をいたしております。これは三十九年から始めた大量建造がようやく効果をあらわしてきたものとわれわれは見ております。四十六年以後は大量建造を必要とするのかしないのかということにつきましては、われわれいろいろな試算をいたしておりますが、日本経済の伸びというものがやはりまだ続くであろうということを考えますと、やはり引き続き大量建造の必要があるのではないだろうかというふうに考えております。その場合に、海運会社企業体力というものがその大量建造にたえ得るのかどうかというのが先生のおっしゃる一つのポイントでございます。これにつきましても、いまいろいろな条件をはめて、何といいますかシミュレーションといいまして実際の建造条件をはめて、そして企業の収支がどうなっていくかという計算をして、そしてその体力の判定をするということでもっていま作業をいたしております。それで、長期的に見れば、やはりこれはたえ得ると、船腹の収益さえあればたえ得られるというふうに私たちは見ております。
  96. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  97. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  98. 木村美智男

    木村美智男君 大蔵省のほうに伺いたいのですが、ちょっと輸銀の金利の引き上げの問題をちらっと新聞に拝見をしたのですが、どういう状況でそういうことを大蔵省検討を始めたのか、いろいろその理由なり、原因があると思うのです。それをひとつ聞かしていただきたい。
  99. 小宮保

    説明員(小宮保君) ちょっと外出しておりましたのでおそくなって申しわけございません。大蔵省検討しております理由と申しますか、いろんな問題があるのでございますが、まず基本的に金利の体系として見た場合に、現在御承知のように、国際金利の水準というのがかなり高くなってきております。これは一般の市中金利だけではなくて、何がしかそういうオフィシャル・ファシリティーズと申しますか、何かの公的な援助の加わったような金利につきましてもかなり高くなっている。たとえば端的な一例を申し上げますと、世銀というのがございますが、これはまあ国際的な一つの共通的な機関ではございますけれども、これの金利というようなものは世界中の長期金利のかなり一つのシンボルになるようなもので、これがことしの一月から金利を引き上げておる、こういうような状況もございます。そういう点からいたしました場合に、現在の日本の輸出入銀行の金利というのはかなり低い水準にある。これはまあ立場の相違によりましていろいろな見方はあるかと思いますけれども、ほかの国と比較いたしました場合にも、きわめて低い水準にあるという問題、金利体系論からしてそれが一つ検討の対象になるのじゃないかということが根本的にあるわけでございます。  それから、それに加えまして四十三年度の予算編成にあたりまして非常に大きな問題になりましたのは、やはりこれは非常に具体的な問題でございますけれども、輸銀の損益の内容というのが問題でございまして、それで御承知のように、輸出入銀行というのは、これは政府機関と申しましても、ほかの公庫、事業団体等と違いまして、銀行という名前がついている。これはまあそれなりの理由があるわけでございまして、いわゆる独立採算制と申しますか、一口に申し上げればそういうことで、法律の規定で、輸銀法の法律の中に収支が相償わなくてはいけない、その場合の収入と申しますのは、経常収入、いわゆる臨時——たとえば不動産を売却したとか、そういうようなことでなくて、臨時的なものを除いたそういう経常収入一つある。それから経費のほうは逆にすべての経費、経常的な経費だけじゃなくて、臨時的な損失等も含みまして、すべてのそういう出費、これを比べてみまして、それが相償うような状態に金利をきめなくちゃいけない、そういうことが実は法律の規定で義務づけられております。そういうことになりますと、結局輸出入銀行といたしましては、そういうたてまえからして、もちろん、これは可能な限りはやはり政策機関でございますから、まあ金利も下げられれば下げたほうがいいという意見があることはもちろんでございます。おのずからそういう法律的な限界があるということで、実は四十三年度の予算編成にあたりましては、私どもは、いままで別に輸出入銀行が非常にむだ使いをしておったという意味では決してないのでございますけれども、従来に比べれば、たとえば経費の査定とか、いろいろな点につきましてもこれ以上もうしぼり出せないというくらいに非常に切り刻んだわけです。それをもっていたしましてもなおかつなかなか採算を維持することができないと、それを維持いたしますためには、結局、これは輸出入銀行の場合には、補助金というものが実は出せない仕組みになっておりますものですから、結局政府出資ということになるわけです。その政府出資も結局まあ現在の財政事情からすればそう多額のものを期待することができない、四十三年度四百八十億という予定になっておりますが、これは現在のほかのいろいろな項目と比較いたしました場合に、やはり金額としてはまあ端的に申しましてかなり大きな金額だと私思います。もちろん、それは多いに越したことはないと思うのでございますけれども、そこにおのずから財政的な限界があるということになりますと、結局いろいろなことを詰めてまいりますと、まあ必要最小限度ある程度そこに金利の手直しをせざるを得ない、こういう羽目に立ち至ったというのが具体的な理由ということになると思います。
  100. 木村美智男

    木村美智男君 いまの損益収支のバランスという、その関係から見て、大体従来四十年ごろは収支のバランスがどういう状態になっておって、最近はどういうことになっておるのか。一般的な理由としてはわかったのですが、具体的にたとえば輸出入銀行の場合はある程度この収支のバランスというやつはむしろ多少黒字に見合ったように私は聞いておったわけですが、あえて収支のバランスといわれる現状はどういうことになってきているのかというふうに疑問を持ってくるものだから、多少具体的に教えていただきたい。
  101. 小宮保

    説明員(小宮保君) 先生の御質疑、非常にごもっともだと思うのでございまして、実はこれは輸出入銀行の場合も、決算を組んでみまして利益が出ますと、これは一定の準備金等を積み立てた残高を国庫に納付するということになっております。かつて、昭和二十年代の終わりごろには実は納付金を納めたこともございます。輸出入銀行が。ところが三十年代以後非常に損益が苦しくなってまいりましてその後は納付金は納めておりません。一方、またたとえば開発銀行等におきましてはかなりな額の納付金を現在でも納めておるわけでございます。納付金はとても納められないわけでございますけれども、あと損益をそれでは端的に表示いたします計数といたしましては、実は貸し倒れ準備金という制度がございます。これは結局、片方で貸し付け金をしておりまして、それに対して千分の幾つといった割合で貸し倒れ準備金を毎年繰り入れているわけでございます。これは結局、直接たとえば何か対外的にお金を払うという話ではございません。貸し倒れ準備金というのは、つまり貸し付け金が滞った場合においてその穴埋め的な一つの予防的な措置として貸し倒れ準備金を積んでいるわけですから、きょう現在その金が要るわけじゃない。いわゆる内部留保、そういう意味でそこはある程度限界はあるのでございますけれども、他に入れる資金と比べた場合に多少調節的な役目を果たすということになるわけでございますが、そういう意味では貸し倒れ準備金への毎年度の繰り入れ額というものが結局損益のしりとして出てくるわけでございますが、これにつきましては、ここ十年ばかりの間若干のばらつきはございますけれども、六、七億、概して申しますと大体六、七億くらいの繰り入れを毎年度してきて、最近の数字を申し上げますと、四十一年度は八億を繰り入れております。それが四十二年度になりましてこれは非常にぐあいが悪くなりまして、現在のところ二億ばかりを繰り入れることになっております。これは実は貸し倒れ準備金というのは、金融機関としては資本金に次ぐ最後の担保の手段でございまして、これは民間機関等の場合には相当の多額のものを積むようにということで、むしろ大蔵省も積むということに非常に行政指導をしておるような状態でございます。ある程度積むのは非常に必要なことでございますけれども、四十三年度、つまり今年度の予算におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、ほかの経費を切り刻みまして、しかも貸し倒れ準備金の繰り入れを五千万——五千万とい数字は実は私ども実務に携わっております人間といたしましては、金融機関としてはもう常識をむしろはずれたというか、つまり非常に端的に申しますとノミナルなものをそこにあげたというような繰り入れ額しか期待できないということで実は予算を編成しているような状況でございます。     —————————————
  102. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ここで委員異動について報告いたします。  本日、赤間文三君、また和泉覚君が委員辞任され、その補欠として内田芳郎君、田代富士男君が選任されました。     —————————————
  103. 木村美智男

    木村美智男君 非常に貸し倒れ準備金というやつが少なくなってきて、実際の実務に携わる立場からいけば、常識外の額しか準備できないという状況に置かれておるというのが輸出銀行の現況だというお話だったわけです。これは私もたいへんな問題だと思うんですが、大体現在の輸銀の、たとえば三月三十一日現在でどのくらいの貸し付け残高になっているのか、それからその貸し付け先、それおもだったものでいいですから。
  104. 小宮保

    説明員(小宮保君) 四十二年度末で貸し出し残高は九千五十二億円でございます。それで個別的な内容は私どもも実は報告を受けておりませんのでわかりませんですが、大きな類別で申し上げますと、大別いたしますと、実は、輸出金融、輸入金融、それから都市金融、直接借款、こういうようなのに分かれますが、輸出金融、これの大宗を占めますのが船舶でございますけれども、これが貸し出し残高で六千三百四億円、輸入はわずかでございますけれども七十六億円、投資、これは日本企業が海外に進出した場合のファイナンスでございますが、これが六百四十二億円、それから直接借款、これは大体政府間の協定に基づくものでございますが、これが二千三十億円、合計九千五十二億円となっております。
  105. 木村美智男

    木村美智男君 この輸出の中に造船が入っているだろうと思うんですが、金額にしてどのくらいになりますか。
  106. 小宮保

    説明員(小宮保君) いま申し上げました数字の内訳としては、船舶は四千百七十億円でございます。
  107. 木村美智男

    木村美智男君 貸し付け残高、貸し出し残高の船舶の部分というのは相当大きなウエートを占めているということは大体わかったわけですが、もう一つ伺いたいのは、かりにこれから利子補給を続けていくとなれば、もし、輸銀の金利というものについて大蔵省がいま検討しているようなことが、五分なら五分引き上げたということになると、これは船の場合には開銀の関係も使用しているわけですね、したがって、その場合に開銀利子というやつもある程度いじらなければバランスとれなくなるわけですね。そういう問題、これは仮の問題になりますが、そういう場合には一体どっちをいじるようなことになるんですか。
  108. 小宮保

    説明員(小宮保君) 仰せのように、輸出船につきましては輸出入銀行、それから計画造船につきましては開発銀行が担当しておるわけでございまして、たまたま両方の銀行の金利が現在そろっておるわけでございまして、それはやはりそうしませんと、海外から金を借りてくるほうが安いとかいろんな理由が出てくるからだろうと思いますけれども、しかし、この点につきましては開銀の計画造船関係の利子をどうするかということが、これは先生方よく御承知のとおり本年度暫定的に一年間の延長をみております。四十四年度以降どうするかということはあらためて検討しなくちゃいけない、こういう問題で、必ずしもそれが計画造船のほうも別に現在長期的に固定化した制度として少なくとも大蔵省側は受け取っておらない、こういう事情一つございます。それから、やはり計画造船の場合でございますと、これはあげて国内金融、たとえばその計画造船、現在開発銀行が融資いたしますものの残額は、結局自己資金がなければ日本市中銀行から借りてくるということになるわけでございます。輸出船の場合は結局借りるのは日本船会社でございますけれども、しかし、ある意味では実質的なファイナンスをしておるのは外国のほうの船主で、結局日本の造船会社としては延べ払いの金利をとって逐次外国の船主から償還しておるわけでございます。そうなりますと、外国の船主の立場としては、その場合に考えるのは、むしろその居住国の金利、外国の金利というようなことになるわけです。それによって延べ払い金利はある程度変動してくるということは考えられますから、そのところがあまりはなはだしい開きがあるということはおかしいと思いますが、両者が必ず一致しなければならないという筋合いのものであるかどうか、そこはちょっと問題であろう、こういうふうに考えております。
  109. 木村美智男

    木村美智男君 そのお話から承ると、そのところは問題があるかもしれないという意味を私なりに考えて、同じ船会社が船をつくるのに払う金利が違ってくるということ、これは好ましくないんですね。だからその場合にはやはり来年の話はわからぬということで答えを保留されておると思いますが、やっぱり開銀利子をある程度下げるということでも考えなければならぬのではないかとしろうとには考えられるわけですが、そういう措置でもとらなければうまくない事情にとにかくあるということだけはわかりました。そこで金融課長のほうは輸銀だけではなしに、開銀のほうもある程度扱っておられるようですから、この開銀の場合の貸し出し残高も先ほどと同じようにちょっと数字的に教えてもらいたい。
  110. 小宮保

    説明員(小宮保君) 現在決算を組んでおりますから、あるいは帰れば正確なことがわかると思いますが、実は四十二年度の当初に見込みました見込みの数字を一応手元に持っておりますが、それによりますと四十二年度末で一兆三千億という予定でございます。
  111. 木村美智男

    木村美智男君 その一兆三千億ですね、貸し出し残高は。大体これを先ほども輸出、輸入というようなことでやられたんですが、そういう大まかな分類でけっこうですが、おもなものをあげていただきたい。
  112. 小宮保

    説明員(小宮保君) 実はこれも準備不足で申しわけないのですが、役所に帰ればあると思いますが、四十二年の九月のしまいでちょうど仮決算をしておりますが、それをいま手元に持っておりますが、これによりますと電力が三千四百五億円、それから海運三千八百四十一億円、それから石炭七百九十二億、大きなものはそういうようなもので、あと地域開発と申しますか、大体各地方のいろいろな地域産業の振興、これが一千二百五十億円、おもなものはそういうものでございます。なお、それを締めますと、実は私がさっき申し上げました数字と違います。といいますのは九月仮決算でございますので、一兆一千三百五十五億円ということになるわけでございます。
  113. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、この海運の貸し付け残高というのは相当のウエートを持っておるということは開銀の場合にも言えると思うんですね。で、年間これから二百万トンずつの造船計画をやっていくわけですから、したがって、融資の規模というものもそれに従ってだんだん毎年ふえていくということになっていくと思う。そういう意味で、このいまのような融資の比率状態でいいのかどうかということについてはどういうふうにお考えですか。
  114. 小宮保

    説明員(小宮保君) これは大蔵省にとりましては非常に痛いところの御指摘でございますが、実は開銀、輸銀を通じまして毎年度両行の資金計画を組みます場合に、実は船舶の問題というのは非常に頭の痛い問題でございまして、開銀も輸銀も大体四割が実は船舶関係に対する融資でございます。これは通常の民間機関等の場合には、こういうことは非常に例が少ないわけでございます。これは、別に安全というようなことを考えて、一業種にあまり片寄るのは問題だということを普通金融常識では言われておりますが、政策金融機関でございますから何らそれにこだわる必要はないと思います。こだわる必要はございませんが、しかし、私は国全体として見ました場合に、やはり政策融資の重点というものは、まあ何年かに一回見直す必要があるだろうと思います。それは現に開発銀行等におきましてもそういう傾向があるわけでございまして、たとえば昭和二十年代等におきましては電力とか、石炭も入っておりましたが、石炭とか鉄鋼とか、そういうようなものが非常に多かったわけです。それが非常な変動を遂げておりまして、むしろ最近では、いわゆる社会開発と申しますか、そういった公害関係の防止をやらなくてはいけないとか、そういう問題がございますので、それは時代とともに見直す必要があるかと思いますが、しかし大蔵省の立場といたしましても、少なくとも現在の状況下におきましては、やはり海運関係には相当程度重点を置いていくべきであるという考え方には変わりはございません。
  115. 木村美智男

    木村美智男君 大蔵省は、きょうは比較的寛大のような態度でございますが、実際はもっとさいふのひもを締めるときはもっときついんじゃないかと思うんですけれども、それはわかりました。  そこで大臣、伺いたいんですが、やはりいま状況を聞いてもわかりますように、今日の貸し出し残高というものを聞いてみると、これは輸出入銀行にしても開発銀行にしても、四割からの金を船へ注ぎ込んでおる。問題はやはりこういう金というものは、額の問題じゃなしに、必要によればより多く注入されて何らこれは差しつかえない問題だと思うのです。しかし、この金の出どころというのはどこからかというようなことになると、多分に資金運用部から回ってくる金が相当融資の中に入っておるわけですね。そういうことから考えていけば、まあきょうはあまりいやらしい話はしませんが、造船というととかく汚職とか何とかという問題が起こるという関係、それから先ほども指摘のあったように、まあ一般会社並みに投資するのに多少はと、大臣言っておったけれども、これは商売人の感覚ではそういうことは、一般国民の感覚ではそうはいかぬ。ぜに借りておいて世間並みに配当をやっていくんだというような話は、国民の素朴な感情から言うと通らない話です。そこら辺の関係をやはり少し今後の問題としては考えていかなければならないのじゃないのか。そうでないと、まあ汚職問題が再び出るというふうなことは私は考えてはおりませんけれども、しかし、とかくこの種の金の問題は国民感情という問題にぴんと映ってくる問題であるだけに、やはり融資という問題については、一面では造船あるいは海運の育成をさせなきゃならぬと同時に、やはり財政硬直化というような問題も横目でながめて見れば、そういつまでも私は人におぶさってやっぱり海運がやっていくということは、決してほんとうの育成策であるかどうかということはやっぱり検討して見なければならぬ。ある意味ではかわいい子には旅をさせなければならぬこともあるから、千仭の谷に突き落とさぬでもいいけれども、とにかくここはもう私は本来なら打ち切るべきだという立場で、大臣まあどうですか、いろいろいままでの質疑を通して私はそう思うんですけれども大臣どういうふうにお考えになられますか。
  116. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今後の発展政策におきましては、先ほど申し上げましたように自活力助成と両方組み合わせてやるのが適当であると申しましたが、開銀の融資等につきましてもやはり国家的な見地からあの融資の先を選択しておると思うのでありまして、いまお話がありましたように電力であるとか、あるいは鉄鋼であるとか、あるいは石炭であるとか、そういうほかのふり合わせを見ましても、海運には当然出してもらうのがしかるべきである。海運の場合にはやはり日本の貿易とかというやはり日本の日の丸というものが伸びていく一つの最先端をいっているものでありまして、何もそれはナショナリズムで言うわけではありませんけれども、国民生活全般がかかっている大事な輸出という問題がかかっているものでありまして、そういう意味から見ましても、電力や鉄鋼や石炭に負けない重要性を私は持っていると思います。  それからもう一つは、やはり政策の安定性ということが要求されるのでありまして、海外金利の騰落というような一時的現象によってあまり左右されないで、やはりマイペースで国民的な政策をばく進するということが国策としても必要であると、私はそう考えております。
  117. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、外に向かってはなかなか景気のいいことを言っているが、じゃああなたの所管である国鉄なんかについてはどういうことを言っていますか。ということは、海運もやっぱりそれは国際収支関係から考えて大事な問題だということもわかります。だけれども毎日一億の国民が、とにかく今年の交通事故を見たってわかるように、戦後最高のやつをさらにハイペースでいまや死者四千人を突破しらやったのですけれどもね。そういう条件の中で交通問題というものを、今日特に都市のラッシュアワーというようなものを、これを解決していくというような問題は一国鉄の企業の問題じゃない。ある意味で言えば、これは鉄鋼問題、電力問題よりも重大な問題だとも言、えるのですよね。ところがこういう問題については、まあ四分なんという利子のものじゃない、高い利子の金だけをつける。満足に利子の補給をやっていない。今年ようやく五十億ぐらいになっておるけれども大臣が少し最後に骨折って四億ばかりちょっぴりおみやげをくっつけたということにはなっているがね。全体的なバランスを見たら大臣の言うように電力や鉄鋼に比べて決して海運はという、その理屈はわかる。わかるけれども、うちの中をよく見たら、別にまま子扱いしているとは思っておりませんが、全体的にはやはりそういう意味では決して電力、鉄鋼がそうだからということだけでは済まされないような状態にあると思う。だから本来いまのやはり国民生活の中で非常なウエートを持っている国鉄の問題というようなことについては、いま鉄鋼、電力を言ったから、何か忘れてやしませんかということじゃありませんけれども、その辺はどう考えていますか。
  118. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は全く同感でありまして、国鉄もふやしてもらおうと思っております。
  119. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  120. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  121. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ大臣、非常にそれは同感だということで、まあ私はそういう全体的にながめ渡して今後の融資の問題というようなことを考えてもらう。それからもう一つは融資に対する、何と言うか、もうちょと政府が権威ある機関を一つつくってもう一回産業全体を、日本の経済全体をどっちに向けて進めるのかという観点からまず優先順位を一番、二番、三番とくっつけて、ことしは何の産業に対して重点的にやっていくかというようなことをもっと公正な財投計画委員会みたいなものをつくって、そしてだれが見てもなるほど国の財政資金を使ってやる仕事としてはこれはもっともだというような使い方をする。現に使うにあたってはさっき言われているような配当とか何とかという関係もこれはいろいろな条件としてうまくあるのかないのか、これも検討する。汚職とか何とかというのはこれは絶対いかぬ。そういうのが出たらもう次は産業として大事であろうが何であろうが資金を切ってしまうというようなぐらいのことをやっていけば、これはみな零細な郵便貯金がそっちに変わっていったからと言って別に文句を言わぬと思う。そういう運用のことを今後の問題としては、これはぜひひとつ交通整理をしてもらいたいと思う。したがって、電力というか石炭という問題も、これは切って捨てられぬ事情もいろいろあるわけですから、そういうことについてはむしろ大臣のほうが明るいわけですから、私はひとつ公正な、政府がある程度タッチしてけっこうですから、公正な財投資金配分計画委員会みたいなものを、そしてあらゆる階層の意見を聞いて効率的に、しかも国民の納得のいくような資金の運用をしてもらうということを、これは特に申し上げて、今回の利子補給については私は了解はできません、いままでの関係からいけば。したがって、今後の要望を含めながら、もう全部はしょりまして、これでこれに対する大臣の御意見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  122. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 財投問題に関する御所見には賛成でございます。その方針で私どももやっていきたいと思います。
  123. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ほかに御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本開発銀行に関する外航船舶造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  126. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会