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1968-04-16 第58回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十六日(火曜日)    午後一時二十八分開会     —————————————    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      仲原 善一君     平島 敏夫君      佐藤  隆君     井野 碩哉君      内田 芳郎君     江藤  智君  四月十二日     辞任         補欠選任      平島 敏夫君     野知 浩之君  四月十三日     辞任         補欠選任      野知 浩之君     平島 敏夫君  四月十六日     辞任         補欠選任      井野 碩哉君     紅露 みつ君      天坊 裕彦君     北畠 教真君      田代富士男君     小平 芳平君      岩間 正男君     須藤 五郎君   出席者は左のとおり。     委員長         谷口 慶吉君     理 事                 岡本  悟君                 重政 庸徳君                 大倉 精一君                 木村美智男君     委 員                 北畠 教真君                 木村 睦男君                 紅露 みつ君                 沢田 一精君                 平島 敏夫君                 小酒井義男君                 森中 守義君                 吉田忠三郎君                 小平 芳平君                 須藤 五郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        国 務 大 臣  木村 武雄君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省船舶局長  佐藤美津雄君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省観光局長  深草 克巳君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省観光局計        画課長      高野  晟君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○観光施設財団抵当法案内閣提出) ○船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る四月十日、仲原善一君、佐藤隆君及び内田芳郎君が委員辞任され、その補欠として平島敏夫君、井野碩哉君及び江藤智君がそれぞれ選任されました。  また本日、田代富士男君が委員辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査の一環として、日本鉄道建設公団運営について調査するため、本日の委員会参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。  なお、この人選については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 観光施設財団抵当法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 木村美智男

    木村美智男君 行管長官観光施設財団抵当法案関連をして二つばかり簡単にお伺いしたいと思うのですが、佐藤総理が一省庁一局削減問題を言い出してこの問題が実はいろいろとうわさによると、観光機構の問題にも関連をしているやに聞いておるもんですから、まずその一省庁一局削減といったあの問題が、現状どういう状態になっているのか。大まかにこれひとつ聞かせていただきたい。
  8. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 現在は、御存じだと思いまするが、一省庁一局削減法律案国会に提出いたしておりまして、衆議院のほうでは第一回目の質疑をやりました。参議院内閣委員会では、ただ趣旨説明をやっただけであります。その一省一局法案の具体的な内容につきましては政府委員から説明させてもらいます。
  9. 木村美智男

    木村美智男君 概要でいいです。
  10. 大国彰

    政府委員大国彰君) 一局削減内容を簡単に申し上げますと、総理府におきましては、青少年局を廃止して青少年対策本部を設けることにいたしました。警察庁におきましては、刑事局保安局を統合して刑事局を設けるということにいたしております。行政管理庁におきましては、行政管理局統計基準局とを統合いたしまして行政管理局といたしております。それから経済企画庁におきましては、総合開発局水資源局とを統合することにしております。それから科学技術庁は、資源局を廃止いたしまして、その事務の一部を計画局に移し、他は付属機関である資源調査所を設けることにしております。法務省では、訟務局を廃止いたしまして大臣官房に訟務部を設けることにしております。外務省は、北米局と中南米・移住局を統合いたしましてアメリカ局を設けることにしております。それから大蔵省は、理財局国有財産局とを統合しまして理財局を設けることにいたしました。文部省は、文化局と外局である文化財保護委員会とを統合いたしまして、新たに文化庁を設けることにしております。厚生省は、国立公園局を廃止しまして、大臣官房国立公園部を設けることにいたしました。農林省は、蚕糸局園芸局とを統合しまして、蚕糸園芸局をつくることにしております。それから通商産業省は、鉱山局石炭局とを統合しまして、鉱山石炭局を設けることにしております。運輸省におきましては、観光局を廃止して大臣官房観光部を設けることにいたしました。郵政省は、監察局を廃止して、その事務大臣官房に移すことになっております。労働省は、労働基準局安全衛生局とを統合しまして労働基準局とすることにしております。それから建設省は、営繕局を廃止いたしまして、大臣官房官庁営繕部を設けることになっております。最後に、自治省は、行政局選挙局とを統合しまして、新たに行政局を設ける。  以上が一局削減内容でございます。
  11. 木村美智男

    木村美智男君 ただいま局長から大体一省一局削減内容を伺ったわけですが、この一省一局削減法案どおり実行した場合に、要員関係一体どうなるのか。つまり現状より数がふえるのか、減るのか。つまり、その機構じゃなくて、人間関係は、一体これはどういうことに結果としてはなるかということで、もし試算でもできておればこれをひとつお伺いしたい。
  12. 大国彰

    政府委員大国彰君) 今回の一局削減におきましては、事務をそのままにいたしておりまして、事務整理を伴わず各省とも一局を廃止するということになっておりますので、人員関係にはほとんど影響がございません。一、二の局でまあ局長ポストがなくなるというだけでございまして、人員の面、要員の面では従前とほとんど変わらないことになっております。
  13. 木村美智男

    木村美智男君 で、この一省一局削減というやつは、もともとの出発点から言うと、今日行政機構というものが、非常に広範にわたり、しかも交差している。多分に不経済な面もあり、連絡の不徹底な面もあるから能率的なものにするということであったと思うのですね。したがって、結果として派生をしてくることは、やっぱり何らかのそこに人間関係が伴うのではないかと、こう考えるというのか、そういうふうに感じておったのですが、とりあえず事務整理を伴っていないから人員異動はないということはわかりますが、これからの問題としては、どういうことにその人の問題はなるのかということを方向だけでも伺いたいのですが。
  14. 大国彰

    政府委員大国彰君) 簡素で能率的な行政にしなければならないことはこれはもう国民全般が望んでおることでございますし、私どものほうも常にそれを心がけておるところでございますが、今回の一局削減行政改革に対します政府姿勢を明らかにするということで打ち出されましたわけでございまして、これをさらに真の意味の実のある改革にいたしますためには、本年の二月二日の閣議決定によりまして今後における行政改革の推進についてというのがきめられまして、三年計画で具体的な内容を盛り込んだ改革案をつくることになっておるわけでございまして、それによりまして真の意味改革を行なう、こういうことになっておるわけでございます。
  15. 木村美智男

    木村美智男君 そこで管理庁長官にお伺いをしたいのですが、長官は前の国会で、特に予算委員会での質問に答えて、この観光行政という問題についてはすみやかに一元化をはかりたい、こういうふうに言っておられたわけです。そういうようなことから考えますと、必ずしも、うしろ向き前向きの判断は別として、観光局を、言ってみれば、これはまあ官房観光部ということにするのですから、一種の格下げみたいな、あるいは縮小というかね、そういうふうに受け取れるわけですが、一体観光局を部にするという問題と、それから将来観光行政一元化するということとの関連はどういうふうにお考えでしょうか。
  16. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 一省庁一局削減佐藤内閣政治姿勢として打ち出されまして、そうして各省庁でどういう局をやめるかということは、みな各省庁に御一任申し上げました。そうして行政管理庁としては、何らその内部には関係しなかったのであります。それで、一番最初は前の大橋運輸大臣のときだったと思いまするが、運輸省から観光局官房に入れてそして部にする、こういう答案を持ってこられたのでありまして、それを行政管理庁としてはそのまま受け取っておったんでございます。運輸大臣がかわりまして、中曽根君が運輸大臣になりましてから、そのことについて非常に大きな問題があるんだということで、私といろいろな話し合いをしたんであります。それで観光行政の非常に重要なことも私にはわかっておるのでございます。それだけでなくて、自由民主党のほうからも、観光行政は、一元化するために格下げするというようなことでなくしてもらいたいという要望もあったんでありまするし、それだけでなくて、参議院運輸委員会で三十八年の六月十一日でありまするが、観光行政に関する附帯決議までもつけられておる数々の歴史がわかってきたのであります。しかし、何と申しましても、今日この際、この問題と取り組んでおりますると、内閣政治姿勢でありまする一省庁一局削減という根本問題が解決できなくなるものですから、これはこれとして解決しておく。しかし、これが解決した後で、やはり重要度合いが非常にわかってきたものですから、観光行政一元化するため全力を傾倒する、こういう方針をとるようにしたのであります。そして、この観光行政一元化の問題は、内閣におきましても閣議で御了承をお願いいたしまして、一省庁一局削減の問題が解決いたしますると即座にこの問題と取り組んで、そして観光行政一元化をはかりたい、こういう考えを固めておったやさきのものですから、この前予算委員会でああいう発言を私が申し上げたんであります。非常に急いではおるのでありますが、何せ今度の国会が非常に予算で長引いてしまいまして、なかなかこの問題を国会の場で取り上げるということが非常におくれてしまったのでありまするが、その基本方針だけは固めておりまするから、適当な時期に皆さま方の御賛同を得たいと、こういう考えを持っております。
  17. 木村美智男

    木村美智男君 長官お答えを伺っておりますると、当面は、一省庁一局削減という政治姿勢を何でもかんでもこの際かっこうをつけなければいかぬ、しかし、観光行政についてはきわめて重要だということが再認識をされてきたんで、のほうへもその旨を報告して了解を願って、将来一元化方向について、一元化をするのだという基本方針はいま固めてある。そうなると、今度は、まあいま運輸省にあり、あるいは内閣にあり、いろいろ観光関連する問題が各省にまたがってあるけれども、それらを総合して一貫したというか、いわゆる観光行政を抜本的に一元化する問題について、新しい法案を出すとかどうとかは別にして、とにかく近い将来国会に相談をする、こういうことに了解していいですな。
  18. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そのとおりであります。
  19. 木村美智男

    木村美智男君 それで私よろしいと思いますが、この際、長官、聞くところによると、あなたは観光行政について、いまもお話がありましたが、たいへん理解を持たれているようなんです。私は、やっぱり最近の国際情勢動きからいって、それから将来の国際親善とか、国内における、何といいますか、国民生活面から、精神面から緊急緩和をしていくとか、かてて加えて、外貨収支赤字解消といったような付帯的な問題を含めて、これはたいへん重要だと私も思っているのですよ。だから、この際長官にぜひ、観光行政重要性というか、基本的に観光行政というものをどう考えているのか、これを一言熱心なところを聞かせてくれませんか。で、先ほどの方針は私十分了解いたします。
  20. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) これは私の卑見でありまするけれども日本平和憲法を採用いたしまして国家運営基本にしたのでありまするから、国としていま平和国家になったことは否定できないのであります。そうでありまするが、世界のどこから日本という国が眺められましても、名実とも平和国家でなければならない、こう思っておるわけであります。平和国家というものの基本は何だろうかと言いますると、私は最高道徳国家になることだと思う。しかも、その道徳国家になることだと言いましても、それじゃ抽象的になりまするから、外見的に見まして、日本平和国家である姿は一体何だろうかと見ますると、日本という国は世界にあけっぱなしにしていて世界じゅうの人から喜んでもらえる日本になるということが、私は平和国家の表面から見た実態なんじゃないだろうか、こういうふうに考えております。そういう点で非常に適切な日本の姿は何だ、こう言いますると、やっぱり観光日本になることじゃないだろうか、こう思いまするから、やっぱり国としては観光日本イコール平和日本、こういう考え観光行政に思い切って力こぶを注ぎ込みまして、世界中の人々から喜んでもらえる日本になる、あけっぱなしにして喜んでもらえる日本になる、そうして、世界の人とともに歩く日本をつくるということが一番大切だ、こう思いまして、観光日本、そのためにもつと強力な観光行政というものを行なう必要がある。いまのように観光行政というものが各省庁にまたがっておりますると、ほんとう観光日本建設というものはできないのじゃないだろうか、こう考えておりまするから、どうしても観光行政というものを一本にして、しかも強力なものにして平和日本にふさわしい観光日本をつくってみたい、こういうのが私の考えなんであります。その点はいまの中曽根運輸大臣とも非常に一致しておるようであります。それが私の偽りのない気持ちであります。
  21. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、もう大体これで終わりなんですが、大臣の言われる観光日本ということですね、国際観光機関観光機関国際同盟というか、ここでは、大臣観光日本ということばに対応して、観光は平和へのパスポートだ、こう言っている。これは大体同意語だと思います。そういう意味で言えば、大臣の言われたあけっ放しで喜んでもらえる観光日本をつくるんだという遠大な理想は、私は原則的に賛成です。ところが現実は必ずしもあけっ放しで喜んでもらえるような日本であるかどうかというと、ここにはやはり多くの問題があります。問題があるだけにぜひ行政管理庁長官としては、私は観光行政を重要視して、そして日本ほんとうに平和を指向するような観光日本をつくりあげるという行政一元化問題は、そういう意味できわめて重要だというふうに思うので、ひとつこれから先ほど答えられた気持ちが具体的にあらわれるように、せっかくの大臣のひとつ御努力をお願いをいたしまして、私は行政管理庁長官に対する質問はこれで終わらせていただきます。
  22. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記を止めて。  〔速記中止
  23. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  24. 小平芳平

    小平芳平君 長官の御趣旨はよくわかりましたですが、一局削減で、将来観光事業自体もっと伸ばす方向だという長官説明があるわけですけれども、しかし、現実問題として局が部になるわけですね。それは将来大きな観光行政の一本化ということになれば、そうなれば確かにいま局が部になってもそれは一時的なことで、将来の一本化という線が、ほんとうにいま長官が答弁されたように進められていけば、大きな収穫だと思うんです。そこで観光局長としては、その見通しですね。特に一本化する場合に何省のどういうものが最も適当であると思われるか、これは行政管理庁のほうからも、政府委員でけっこうですが、御答弁願いたいと思います。
  25. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 私ども見通しを聞かれても、一局長の分際で申しわけありませんが、先生のおっしゃったように、大前進するための一つ屈伸運動だというふうに私ども考えておりまして、一元化のために全力を尽くしたいと思っております。  それから、お尋ねの、どういったところを考えておるかということでございます。これは私どもだけの判断でございますが、一番大きな根幹となりますというか、根幹になってもらいたいと思いますのは、私どものほうの観光局と、それから厚生省国立公園局、それと先ほど文部省文化財保護委員会——文化庁に合同の案が現在提出されておりますけれども、その中の文化財保護部、それとあと各省の課、課の中の係程度でございますが、建設省公園行政、あるいは厚生省旅館行政、それから林野庁の一部のたとえば鳥獣保護関係、こういったところ、それからもう一つ外務省情報文化局の中の日本の国情を海外に宣伝するという一係がございます。現在のところ、そういったところを考えておるわけでございます。
  26. 大国彰

    政府委員大国彰君) 観光行政関係いたします行政機関は非常にたくさんあるわけでございまして、それぞれ各省のそれぞれの所管業務の中で観光関係があるという状況になっておりますので、私どものほうで、いま各機関につきまして慎重に検討をいたしている最中でございます。
  27. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) これは、私なるべく早くやりたいと、こう思っておりまするから、どうせ観光行政一元化するのであったならば、妥協的なものでなく、根本的に一元化をしていきたい。その一元化の問題について、下から積み重ねていくという事務同士話し合いをさして解決するというようなやり方では、この問題は解決しないとと、私は思っております。はなはだ面はゆい話でありますけれども、やはり大上段にかまえて、そうして上のほうで解決してしまう。いまも観光局長が話されましたとおり、一番大きな相手は文部大臣厚生大臣と私と三人で取り組んでこの問題を解決したい、こういうふうに私は考えております。非常に困難は困難でありまするけれども、私は、あえてかく申して、取り組んでこの問題は処理したい、そうでないと観光日本としてもおくれる。世界を回って歩いてみましても、日本観光資源は他におくれはとっておりませんけれども開発の点になりますると、残念ながらおくれをとっておりますから、それを最短期間に解決しようと思うのであります。しかし、話を三大臣といたしましても、話を長引かしてはこれはおしまいでありますから、非常に短かい間で取り組んで解決をしたい、こういう考え方なんであります。いま取り組んではおりませんが、国会がこのようにおくれてしまいまして、そして途中ふらふらになったものですから、ほんとうのところ取り組んでおりませんけれども、機会を見てこの問題と取り組んでまいりたい。私の考えといたしましては、各省庁の一局削減国会を通りました直後に取り組んで解決したい。この次の国会に間に合わしたい、こういう考えております。
  28. 小平芳平

    小平芳平君 詳しい御答弁がありましたので、私もそれで質問した項目については了解いたしますが、要するに厚生省へ行きまして国立公園を担当している人に聞けば、とても観光なんてとんでもない、われわれのやっている仕事はそういう仕事をやっているのじゃないんだ、あるいは特に文部省文化財を担当している人に聞けば、観光なんてとんでもない、観光のために文化財をやっているんじゃないのだ、こういうふうに言うわけです。ですから、長官がいまおっしゃっているように、それは困難なことである、しかし一元化することがどれだけ日本の国の将来に大きくプラスしていくかという面から、いまおっしゃったように、上のほうから——上のほうからというか、とにかく最高内閣方針として断行なさるということでありますので、そういう方向で進めていただくことがけっこうだと思います。
  29. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。  〔速記中止
  30. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。  委員異動について報告いたします。  本日、岩間正男君が委員辞任され、その補欠として須藤五郎君が選任されました。  速記をとめて。  〔速記中止
  31. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  32. 木村美智男

    木村美智男君 大臣観光施設財団抵当法の問題について二、三お伺いしたいと思うのですが、まず第一番に、観光行政一元化ということが前から叫ばれておるわけなんです。私ども考えてみまして、観光という問題は、これはやはり平和という問題と、言ってみれば表裏一体の大体概念じゃないかと思うのです。そういうことを考えてみますと、日本が、特に戦争中なんかには観光どころの騒ぎじゃなかったわけです。しかし、いま国際情勢も、ベトナムなどをみましても逐次戦争の終結の方向を向いてとにかく情勢が動いている。こういったような今日の状態考えてみますと、特に最近、去年の国際観光年を契機にして非常に国際的な観光ブームというか、そういう喜ぶべきむしろ状態にあるのじゃないか。特に、国内における大衆旅行なんかについても、すべてが観光ではありませんけれども、大体急速に毎年毎年伸びていっている、そういったような立場から考えれば、言ってみれば観光というものはある意味では成長産業だ。したがって、それ相当に国がそういう問題について一つ方向をきちっと持ってやはり進めていかなければならない問題だと思うのですけれども、ところが今回、観光施設財団抵当法案を提案をされると同時に、一方においては一省庁一局削減問題というものがありまして、具体的には運輸省なんかについても観光局観光部格下げになる、こういったような情勢。先ほど行政管理庁長官に聞いたわけですが、これは政治姿勢として打ち出した問題であるから当面は一省庁一局削減方向でとりあえず片をつけるけれども観光行政あるいは観光事業そのもの重要性というものは再認識をしてきておるので、あらためて一元化の問題については内閣方針として取り上げていきたい、こういうお答えだったわけです。  そこで、特に私は、この観光といえば、それは厚生省にも文部省にも若干の関係はあるけれども、主体となってきたのはやはり運輸省だ。そういう立場から考えれば、どうも今日の世の中の動きと、やはり部に格下げになるという点は、これはどうも時代逆行的なちぐはぐを感ずるわけです。この点について一体大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、お考えを伺いたいと思うのです。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 観光局観光部に直すということは、まことに遺憾なことでございまして、観光重要性に関する認識木村委員と全く私同じでございます。そこで、この一省庁一局削減の案をつくりますときに、観光一元化の問題を大いに強調いたしまして、その点については行管長官も非常に賛成いたしまして、観光一元化のことは、自分の責任においてそれは実行すると、とりあえず一省庁一局削減という内閣の大方針に足並みをそろえるという意味で、観光部ということでがまんをしてくれと、そういうお話がございましたので、そういう了解のもとに観光部ということにしたのでございますが、当初の考え方であります観光一元化という構想に基づく観光政策の強化という方針はあくまで貫く考え方でございます。
  34. 木村美智男

    木村美智男君 大臣考え方、たいへん私は観光問題についてこれは力強いお答えだと思うのですが、しかし、政府部内では必ずしも政府内の統一した、あるいは支配的な考え方だというふうにもまだ受け取れないので、言ってみれば、ほんとうにそういうことを信頼していいのかどうかと、こういう気持ちも実はあるわけです。もともと観光局ができたという経緯から考えてみると、いままでにとにかく観光政策審議会であるとか、あるいは衆参両院の本委員会附帯決議であるとか、あるいは行政管理庁の勧告であるとか、過去十数回にわたってこの観光問題というのは相当にいろいろな意味で勧告を受け、あるいは答申が行なわれている。そういったようなことにかてて加えて、与野党一致でこれは議員修正によってでき上がったのが観光局なんですね。こういった経緯から考えてみると、私はいかに政治姿勢とはいいながら、一省庁一局削減のやり玉に観光局を上げたということは、ちょっとこれはわからぬわけです。大体観光なんというものは物見遊山というぐらいの認識で、一面ではしかし、国際収支もかせがなきゃならぬ、赤字を何とかせなきゃ、ならぬ。国内でも何とかかんとかいろいろレジャー・ブームといいながらも、やはり基本的に観光というものについての認識が欠けているんじゃないかという気持ちがしてならないのです。そういう意味で、大臣が先ほど言われたような考え方、私は原則的にこれは共鳴するわけですが、ほんとうに一省庁一局削減を行なったあとで、いわゆる一元化という形が庁になるのか、まあ省はむずかしいかもしれぬけれども、あるいは観光局の復活になるのか。一体文部省や、あるいは厚生省内閣の一部にちょっぴりあるような、そういった関係をいわゆる統合をして、あるいは運輸大臣の管轄下に局の復活をしようとしているのか。そこら辺については、これは今度の一省庁一局削減行政管理庁方針行政管理庁長官が自主的につくったのではなくして、運輸省から言ってきたものをそのまま受けて立ったのだという答えでも奉るだけに、大臣の言われることが、少し裏づけがほしいと思う。別にそのことがどうだこうだというわけではないけれども、少しその先の考え方、この辺を聞かしてもらいたい。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 木村行管長官は、現在の閣僚の中でもきわめて信頼すべき高潔なるさむらいでありますから、私は木村さんのことばを信用しておるわけであります。木村行管長官とこの問題でいろいろ会談しましたときに、私は私なりの考え方を二、三申し上げまして、行管の参考にしてもらってありますが、その内容をここで申し上げますと、多少差しさわりのある向きもありますから、この際は控えさしていただきたいと思うのであります。いずれにせよ、しかし観光行政一元化して、非常に太い筋で日本観光行政の劣勢を挽回していくということは、木村さんや私らの一致したところでありまして、この点はすみやかに実現するように努力していきたいと思っております。
  36. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、先ほどもそのきわめて信頼すべき木村管理庁長官が来られたので、私も基本的な観光というものはどうあるべきかということについて、長官の御高見を伺った、簡単にね。観光は平和へのパスポートという合いことばがあるものだからどうかと、こういう話をしたのですがね。ぜひこの際、中曽根運輸大臣に、観光についての基本的な考え方を、簡単でけっこうですから、お聞かせいただきたい。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 観光と申しますと、海外へ出ていくということと、それから自分の国土を知るということと、両方あると思います。いまわりあいに海外を知るという方向観光ということが取りざたされておりますが、私らは日本に必要なのは、日本の青少年が自分の祖国を知る、国土を知るということも、また非常に大事な要点ではないかと思います。わりあいに忘れられているその部面も、大いに強調して取り上げていきたいと思います。また海外との関係におきましては、これだけ風光明媚な国土でありかつまた非常に東洋的な情緒をたくわえておる日本の国際収支が観光面において赤字であるということは、ざんきにたえないところであります。非常に大きなウイークポイントが日本の国政にあるように思うのであります。イタリア、スペイン、メキシコ等の例を考えてみますと、われわれの努力の不足を非常に痛感するのであります。そういう面から、すみやかに一元化を行なって、強力に推進するという必要を感じまして、一元化の構想も打ち出したわけでありますが、外客誘致という面に関しましては、これは総合的にやらなければならぬと思いますが、一つの面では、外国のお客さんを日本へ誘致して外貨をかせいだそのネットの外貨に対しては、誘致してきた業者に対して相当の減免税を行なってやると、そういうことでネットの外貨をふやすということが非常に大事ではないかと、そういう点については大蔵省ともいろいろいま話し合っておる次第でございます。  そのほか、日本に対する認識と申しますか、観光宣伝の面におきましても、まだまだ足りない面があります。案外大事なものは映画を通ずる部面であると思いまして、たとえば「羅生門」という映画がグランプリを取った。あるいは「雨月物語」というのがグランプリを取った。あれは一つ世界じゅうに日本という名が知れ渡りました。物語は古い物語ですけれども、あれはつくっている人間のセンスというものは非常に高水準のものであって、それがまた日本に対する好奇心や非常な興味を呼びまして、日本というものを紹介する非常に大きなファクターにもなっておると思うのであります。政府が金をかけて宣伝するよりも、むしろああいう映画なんかがグランプリを取って自然に紹介するということが、どのくらい大きいかわからないと思うのです。ニューヨークあたりへ行きましても、三船敏郎さんの映画ばかり、あるいは黒沢さんの映画ばかりやっているクロサワ・ウイークとかシアターとかそういうものがございますが、ああいう方面はわりあいに忘れられておりますけれども、私らは大いに力を入れて、これは通産省等とも、協力してやる分野ではないかと思っております。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 大臣ね、前段のほうはいいけれども、ぼくはうしろのほうはあまり感心しないのですがね。というのは、しいて論争しようとも思わぬのですけれども、私はやはり観光というやつはね、対外的にはやはり国際親善ということが観光基本的なものであるのじゃないかと思うのですよ。それから対内的にはね、やはり平和を愛するというか、そうでなくても物価が上がったり、いろいろそういう日常の生活の中から、あるいはベトナムその他の情勢どもいろいろと作用をして、何となく人間の心がとげとげしくなる、そういうことに観光というものはやはり人の心をやわらげるという、こういった面と、いま言った人種が違おうと、国が離れようと、国際的に親善を深めていくというところにやはり観光というものの本義があるのじゃないか、そうして、まあ国際収支の赤字も、日本ができるだけいろいろ宣伝をしてお客さんによけい来てもらうということは、その付帯的な産物としてやはりこれは、決して軽視はしないが、大事には考えるけれども、やはりその辺のことでやってもらわないと、海外へ出て行くやつが——、羅生門が決して悪いとは思いません。何であろうとできるだけ世界一になるのは大臣の好みに合うけれども、しかし、やはりあなたの一面で言われたセンスというやつが、日本というのはやはり美しい国で、人の心もよくて、しかもいろいろまあ何というか、そういう意味で奥ゆかしいというか、そういったようなものが感じられるような海外、対外宣伝といったようなことに通ずるようなことを通して、そしてほんとう観光というものに実は持っていってもらいたいという気持ちで、私は観光一元化ということを盛んに言うので、あまり商売上のことばかりいうなら観光一元化反対といいたくなる、ぼくの場合は。そういう意味でひとつ大臣のあれはけっこうですから、私の申し上げたようなこともひとつ十分これからの観光行政をやっていかれる上に生かしてもらいたい。で、なおかつその筋からはずれるようなことがあれば、また委員会でいろいろ御意見伺うようなこともあるかと思いますけれども、いずれにしても、諸外国がどんどん観光面を盛んにして機構を拡大しているというときに、さっきからくどいようだけれども、やはり観光部格下げだといったようなことでは、これはやはりどうも調子が合わないので、これはすみやかに今度の一省庁一局削減の問題についてけりがついたら、直ちに方針を明らかにして、そして本格的に、いま私の申し上げたようなことも十分くんでいただいて、観光行政というものをほんとう意味で平和のために生かしてもらうということでぜひやってもらいたい、そういうことを希望して、時間もありませんから、私質問を終わらしていただきます。
  39. 小平芳平

    小平芳平君 いまの点については運輸大臣行管長官がこの国会が終了後、要するに観光局観光部になることは国会に提案してある。それがきまった直後において、特に問題なのは厚生省文部省あたりだけれども、これは大局的な立場に立って即刻実現するようにやりたい、こういうように観光一元化について今国会終了直後においてそれはもう強力に推進しようという考えであるというふうに言われておられましたが、この点はよろしいでしょうか。
  40. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 木村行管長官の申されたとおりでございます。
  41. 小平芳平

    小平芳平君 そこで大臣には、ほかの委員会でこの点お尋ねしたことがあったのですが、やはり運輸大臣としても同じ意向で進められるという点で、この点については了解いたします。  次に、この観光施設財団抵当法によってどの程度の効果をあげようという考えか、やはり過去にすでに財団抵当制度というものがあって、工場あるいは工業、あるいは鉄道、こうした財団ができて、過去にこうした例があるわけですが、今回この観光施設財団というものの抵当法というものができ上がった場合、どの程度の効果をねらっておられるか、その点について。
  42. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 観光基本法の中にも国際観光ルート、国際観光地の整備のほかに、旅行関係施設の整備ということに国はつとめなければならぬということが書かれております。私どもは一方では、非常に観光地の過度集中、熱海その他でございますが、もうちょっと健全な観光地を別のところにやはり開発していかなければならぬというふうに思っております。非常に観光の需要もふえております。国民大衆の利用できるようなものを都会の周辺、あるいは地域格差の是正のためにいなかのほうにこういったものをつくっていかなければいけない。ただし、こういった観光開発には政府が金を出すというわけにもまいりませんので、大部分は民間の創意に待たなければいかぬということでございまして、それには何らか国としても法制的にめんどうをみてやるということで考えられましたのがこの観光施設財団抵当法でございまして、これのメリットといたしましては、一つは、観光施設を開発する場合に金融を仰ぐわけでございますが、端的に申しまして、現在は土地と建物しか抵当の対象になりませんけれども、この法案が成立いたしますと、その中にある各種の動産、これも抵当の対象になる、あるいはそれが一体としてとらえられるということで、非常に担保価値が上がるわけでございます。ある会社に聞いてみましたら、大体現在のままと、この法律ができた場合と、大体金融機関からは倍ぐらい借りられるのじゃないか、あるいは小さく見積っても五割程度の担保価値が上がるということでございまして、そういった意味で私どもは助成をしてまいりたいということが第一点でございます。  それから法律に書かれておりますが、財団になりますと、一つの不動産としての取り扱いができるわけでございまして、登記が非常に一本でできる、簡単でございます。もちろん財産目録というものはつけますけれども、抵当権設定あるいは登記の手続が非常に簡素化されるという二つのメリットをねらったわけでございます。
  43. 小平芳平

    小平芳平君 したがって、金融機関から倍ほど金が借りられるという一つの例をお話しなさったのですが、結局観光事業そのものをやはり政府が力を入れて振興していくという、先ほどの一元化にもつながるわけですが、その方面の推進が強力でないと、ただ金は借りた、施設をつくったが利息も払えない。また、赤字であえいでいるというのでは、結局この法律ができた趣旨に合わない。そういう点はいかがでしょう。
  44. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 先ほども申しましたように、この法律は直接観光施設をどこへつくれとか、あるいはどういったものをつくれ、つまり健全なものをつくれとかいうようなことは別に指示できる法律ではございませんで、純粋に民間ベースでやる問題でございます。ただ、観光施設を一つの集団にいたしまして財団を認めますよという意味の法律でございます。しかし、先生のおっしゃいましたような、いわゆるこういった観光施設を適所につくるというようなこと、これは私どもも今後もひとつの行政指導と申しますか、誘導行政と申しますか、そういったことで進めてまいりたいと思います。先ほど申しましたように一つ観光地への過度集中、これは観光基本法にも過度集中の排除ということを政府ははかれということを書いておりますので、そういった趣旨も体しまして指導行政をやってまいりたいというふうに考えております。
  45. 小平芳平

    小平芳平君 どうもちょっと答弁が合わないんですけれども、要するにこの法律でどのような効果をあけていくか、その点については、抵当権を設定することができる、動産も含めて抵当権を設定することによって金融の面で楽になるということが一つ。もう一つは、登記などの手数が省けるというような御説明があったわけです。したがって、先ほどの観光行政一元化の問題と考えあわせて、これからの観光行政の面で政府としてできること、それは政府があの施設をつくれ、この施設をつくれというわけではありませんけれども、やはり観光行政一元化するということ自体も結局は観光の振興ですね、これが大事だと思う。それがあってこそこうした制度も生きてくるということでよろしいでしょうかということです。
  46. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、観光基本法に盛られておりまする諸原則を政府として実行していくということであろうと思うのであります。たとえば国際、国内的に観光ルートの設定またその観光ルートにおける史跡あるいは歴史、自然、そういうものに対する解説であるとか、あるいは観光する者に対する宿泊設備その他の諸般の設備の調整の問題であるとか、それから資源の保護、美観の維持、そういう問題でありますとか、そういうような諸般の政策を国としては行ないながら、その一環として宿泊設備やその他の受け持ちを持っておるこれらの業者の財政的な安定と申しますか、力をつけてあげる、そういう趣旨に沿ってやらせる、そういう考え方で指導していくべきものであると考えます。
  47. 小平芳平

    小平芳平君 次に、この法律に出てくる観光施設について具体的に説明していただけば私の質問はこれで終わりたいと思いますが、観光施設はここに具体的に「遊園地、動物園、スキー場その他の遊戯、観賞又は運動のための施設であって政令で定めるもの」となっております。政令で定めるものはどのようなものを考えておられるか、これが一つ。それから先ほど局長が熱海の例を出して、こういうような集中しておるものは集中はよくないというふうに言っておられましたが、こうした施設を、逆に今度は大都会などにもこういう施設を認められるかどうかというような点、それから観光施設とこちらは思っていても、それを受け付けてくれないということが起こりはしないか、それは観光施設であるかないかどこで認定されるかというような点、以上三点についてお願いいたします。
  48. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 政令で定めるものはどういうものを考えておるかという第一の御質問でございますが、これは第二条に書かれてございますように、観光旅行者の利用に供されるというのが大前提になっております。これに従って政令の段階で考えていくわけでございますが、現在私ども考えておりますのは、遊園地、これはこの財団の趣旨からいいまして、何がしかのやはり工作物がなければいかぬ。ただ、だだっ広い遊園地では、これは土地の抵当で足りません、何らかの工作物あるいは機械、こういったものが必要条件になっております。そのほか動物園、植物園、水族館、それからスキー場につきましては、これまた土地だけでは意味がございませんで、スキーリフトが設置されるものに限定をしました。あるいはスケート場もこれは天然のスケート場では意味がございませんので、結氷装置がついておるスケート場、それからあとは展望施設、これもただ山の上に歩いてのぼっての展望施設でなくて、それにたとえばエレベーター、ロープウェー、リフト、こういった運送施設が付属しておる展望施設、それから、これまで把握できない、つまり一つ一つの条件には合いませんけれども、いわゆる規模が非常に小さいわけでございますけれども、それらが幾つか集まりまして総合された形でなっておるような施設、大体こういったものを予想いたしておるわけでございます。  それと、大都会でのものを認めるかどうかということでございますが、これはもちろん先ほど申しました過度集中というような問題はございますけれども、大都会でもやはり観光都市というものもございますし、よその地方からたくさん出てまいります。したがって、大都会にあるからこれを排除すべきだということにはならないのではないか。したがって、私どもはこれを区別しないという考えに現在立っております。  それから三番目の、観光施設であるかどうかという法律上の解釈、認定をだれがやるかということでございますが、これは実は同じ財団抵当法でございましても、たとえば鉄道とか軌道とかいうようなものは、財団設定自体が所管大臣の認可になっておりまして、工場抵当法その他一連の、いわゆる施設財団と申しておりますが、それらの範疇のものは、別にその範囲といいますか、規模といいますか、これは所管大臣の認定する制度になっておりません。工場財団も同じでございます。この法律もその系列のものという考え方で、認定行為は行なわないということになっておりますが、最終的には登記をする場合の登記所で認定するわけでございます。その点で私どもも若干心配な点もございますけれども、法律ができ、政令もできるだけ親切に認定ができるようなふうに書きたいと思います。さらに最終的にはいろいろな解釈通達で運用を——だんだんいろいろなケースが将来も出てまいると思います。だんだんそういった解釈通達で補って大成してまいりたいというふうに思っております。ただ非常に規模の小さいもの、あるいは先ほど例を引きましたが、動物園でもあまり動物のいない、土地がだだっ広いだけだというようなものもございます。こういったものは第一次的にはやはり金融機関がそれに財団抵当を設定かりにしましても、それに見合う金を貸さない、したがって、まあメリットもないということで、一時的にはそこでふるいにかかるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  49. 須藤五郎

    須藤五郎君 中曽根運輸大臣の意見々伺っておきたいと思うのですが、私は実は志摩国立公園の中で生まれた人間なんでして、鳥羽で生まれました。だからこの観光問題についてもあるいは皆さん方と多少違った考えがあるかもわからないのですが、まず宇治山田駅—伊勢市に着いて、それからバスで鳥羽に向かいますと、二見というところを通るんですね。で江村という、二見とその次の村で江村というところがありますが、ここの海岸線は非常な美しい海岸線で、海水浴に非常にいい海岸だったわけです。ところが最近行ってみますると、この海岸線がすっかり埋め立て地になって、そこに私たちから言うと俗悪だと、こう申し上げたのですが、そこにいわゆる遊園地のごときものができまして、そしてすっかり海水浴場はこわされてしまっておるんですね。私は非常にさびしい気持ちがするわけなんです。それから鳥羽に着きますと、鳥羽は私の生まれたところですから、すみずみまでよく知っておるわけですが、これは国立公園になるほどのところでありますから、非常に風光明媚な、きれいなところなんです。山にはたくさんの松の木があり、海岸は線も非常に豊富で非常に美しい。そうすると駅へ入る前の、私たちが子供時代に遊んだ山が、これが切り開かれてしまっているんです。そしてそこにホテルが建っております。それからもう一つは、鳥羽から対岸になる島の上に、そこも切り開かれて、そしてそこにホテルが建ち、それから遊園地のようなものができておるんですね。私はこういう風景を見たときに、かつての子供時代のことを考えれば、何だか非常にやるせない気持ちが実はするわけなんですね。これがはたして日本国立公園として価値のある鳥羽なんだろうか、決してそうではないんじゃないか、こういうことがいわゆる観光事業のあらわれなのかどうかという点ですね。そうなりますと、私は観光事業は、私は何も否定するわけじゃないんですけれども、こういうやり方というものははたして正しいのかどうだろうか、やはり私たちの国土の美しさというものは、やはりあくまでも保存しなきゃならない、だからむやみやたらに商売になるからといって、最も私たちが景色がいいなと思っているところを買い占めてしまって、 そしてそこにホテルを建てる。こうなりますと、ホテルへ泊まる人間しかそこへ行けないわけです。一般の町民は行けないわけですよ。私たちが行こうと思っても行けない。ホテルは高いです。そうすると、かつてわれわれのものであったものが一ホテル業者、観光業者に買い占められて、こういうふうに風景がゆがめられていくということですね。こういうところは方々にあるわけです。二見にもありましたね、それからここにもある。この間、私は真珠養殖で有名な英虞湾という、あの英虞湾も非常に風景の美しいところです。たくさんの島があって非常にきれいなところです。その山の上へ登って英虞湾をずっと一望に見ると、何とも言えないすばらしい風景なんですね。これが国立公園の価値のあるところなんです。ところがその山の上をある会社が買いに来ているんです。町有地を町は財産がないために売りたい。ところがそれ身売りたいというところ見て、安い、一坪千円足らずの値をつけて、そしてそれを買い占めようとしているんです。私はそれを聞きましたから反対に行ったんですよ。そういうことをしちゃいかぬ、これはこのままで保存すべきものであって、そんな営利会社に譲り渡すべきものじゃないんだということを私はそこの町会議員なり何かに申しました。一応売り払うことを食いとめては来たわけですよね。そういうことがずっとやられるわけです。一つの鳥羽だけ見ても、私はこういうところはたくさんあるわけですよね。そういうことがほんとう観光なのか、観光事業なのか、ほんとう観光というものは一体どうあるべきか、この点についてひとつ中曽根運輸大臣の意見を伺っておきたいです。私の考え方が間違いなのかどうなのかという点ですね、それを一ぺん伺っておきたい。
  50. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私も須藤さんと同じ考えであります。人工美と言いますか、あるいは利潤追求のための施設や遊園地というようなものが幾らできても、人間の心を慰めることにはならぬ。百億、二百億のホテルをつくっても、昔の一介の海岸の美しさには劣るものであります。そういう考え方を持って、この大事な日本の国土の美というものを最大限の努力をして政治家は保存しなければならぬ、そういうかたい確信を持っております。そういう点で全国出歩きまして、そういう俗悪なものを見るたびに、非常に国家民族に対して申しわけないような感じは、人がやっていることだけれども実は現存生きている人間として、しているのであります。私は運輸大臣に就任しましてから、たまたまそういう所管もありますから、自分の気のついたところだけ矯正を命じようと思いまして、たとえば箱根の駒ケ岳の頂上に、ある会社が軌道をつくってケーブルカーをつくっています。海のほうから見ますというとちょうどあれは花嫁さんの額に傷をつけたようなものだ。スカイラインの上に俗悪な停車場が見えているわけですね。あれをつくるのを見たときから日本人の教養を疑われる、箱根のような国際観光地に対して。そういうことを考えましたもので、着任するやいなやそれを調べさせました。そうしますと、あすこは国立公園地帯で、設置条件というものがあるのですけれども、スカイラインに出ないようにとか、あるいはまわりに木をうんと植えて隠せとかそういう条件があるのをやってないわけです。そこで会社の者に、至急あれは是正しろと、風が強くて木が植えられないからステーションをおろしてトンネルでやれ、スカイラインの上に見せるな、そういう勧告をしまして、その会社でもいま具体的な設計委員会をつくって是正するという約束をしておるわけです。あるいは私の郷里の、やはり群馬県の白根山のところにやはりそういう同じケースがあって、最近は俗悪なケーブルカーが自然をおかしているところが非常に多いです。それから海岸地帯が同じような条件であると思うのです。そういうものを守るために、国はもう最大限の峻厳な態度をもって臨まなけりゃいかぬ、そういう気持において全く同感なのであります。それでこれは各省がいろいろばらばらな仕事をやっておりまして、文部省は史蹟の保存だ、運輸省観光だ、厚生省国立公園だと、いろんなことをやっておって総合統一がないわけです。またそれを、観光というものを中心にする基本観念というものが確立していないと思います。何も業者の料飲税を安くしてやるとか、あるいは財団抵当をつくってやって、資金を豊富にしてやることばかりが観光じゃないので、何のためにそれをやるかという基本が確立してないとしみじみ私は痛感するのです。私はそういう信念を持ってやりますし、またそういう信念を観光基本に植えつけていきたいと考えております。
  51. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ大臣にぜひともその線をくずさずに、あくまでも風光の美しい自然美を保存するというたてまえ、そしてより一そうたくさんの人たちがこの美しい風光美を観賞できるというたてまえでぜひともやっていただきたい。  これは別の話でありますが、この間私は鳥羽へ参りましたら、鳥羽の駅の前に、私たちがまだ子供の時代に泳いだ砂浜があるわけです。私たちもこれまで夏休みにまいりますと、孫を連れてその砂浜へ泳ぎに行ったものです。この間帰ったら、その砂浜がすっかり埋め立てられてしまった。駅の裏側ですね。何するためにこんな埋めたんかと私聞いたらね、自衛艦の発着場にするためだと、こういうことを町の人が言うたわけですよ。私は事実そうかどうかというところまで突き詰めてませんけれどもね。何でああいう砂浜を埋め立ててしまう必要があるかということですね。自衛艦発着は、これは私が調べてないことですから、町の人の言ったことを私が言うだけのことですが、ああいうところを埋めてしまうのは私はほんとに残念千万。一たん埋めたものはもう掘り返せないんですからね。一たんくずした山はもう再び元へ戻せないんですからね。ですから、そういう点今後十分注意してひとつ考えていただきたいということを前置きにしまして、それであと二、三点質問いたしたいと思うんですが、あるいはもうこれまでの方が質問なすったかもわかりません。その点は御勘弁願っておきたいと思います。  この法案を見ますると、第四条、第六条によりまして地上権という問題がありますね、ここに。この地上権が非常に私問題だと思うんですが、第四条、第六条によりまして地上権と若干の施設があれば財団の設定ができるものと、こういうふうになっておると思うんですね。そうしますると、観光上価値のある国有または公有の河川、海岸その他に対します地上権についてもこれが適用されるものかどうかということです。
  52. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 六条に「第四条第一号に掲げる上地又は同条第四号に掲げる土地に関する権利が存しないときは、財団を設定することができない。」ということでございまして、お尋ねの国有地あるいは県有地の場合でございますが、たとえばスキー場あたりが一番典型的な問題ではないかと思いまするが、ここに書いてございますように、その土地を所有しているか、あるいは少なくとも賃貸人の承諾あるときは賃借権、つまり土地を賃借りしている賃借権があるということが必要な要件でございまして、国有地や県有地の、これはまあ普通使用許可でございます。使用許可ではこの財団を設定できないということになってます。
  53. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、何ですか、この法案ができましても、国有地、公有地は、河川にしろ、海岸にしろ、山にしろですよ、すべて地上権というもの、この第四条にきめられた地上権ですね、これは認められないと。それで、したがって、抵当権というものは認められないんだと、こういうふうなお考えなんですか。
  54. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) そうではございませんで、地上権または土地の賃借権、これは所有権があれば一番いいわけでございますが、少なくとも地上権または土地の賃借権がなければ設定できないと私が申しましたのは、国有地や県有地の実態はほとんどは使用許可で行なわれておりますから、使用許可はこの地上権あるいは土地の賃借権に該当しませんので、そういう場合は設定できないということを申し上げたわけでございます。
  55. 須藤五郎

    須藤五郎君 国有地、公有地は使用許可権であって、地上権がないから、だからこれに該当しないということですが、それは何ですか、国有地と公有地は絶対に地上権というものは設定できない仕組みになっているのですか、あるいは地上権が設定できる場合も起こってくるのではないか、そういうことは絶対にないのですか。
  56. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 国有財産の中には普通財産というものもございまして、賃借権が設定できる場合がございます。
  57. 須藤五郎

    須藤五郎君 賃借権があれば、地上権が生れて、そして抵当権ができてくるのと違うのですか、そこの関係なんです。
  58. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) そのとおりでございます。
  59. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすれば何やないですか、やはり国有地を賃借権で借りて、そして地上権が生れて、そして抵当権ができるということになりはしませんか、私はそこを質問しているのです。
  60. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 国有財産の場合の普通財産でございますが、これは賃借権もあり得るわけでございますが、私の申しておりますのは、国有財産の場合には、原則は使用許可でございますので、そういったケースは——かりに法律的には設定はできますけれども、ケースとしてはほとんど考えられないということでございます。
  61. 須藤五郎

    須藤五郎君 あれね、その使用権で国有、公有の土地を使うでしょう、そこに家を建てるでしょう、ホテルを建てるでしょう、そうすると地上権ができるわけです。そうでしょう。家を建てると地上権ができる、わけでしょう。そうしたら、この地上権の設定ができているのですから、これを抵当にして金を借りるということはできるのじゃないですか、それはできないという保証がどこにあるかということです。その点私は追及しているのです。
  62. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 賃借権が直ちに地上権になるというわけではございません。ただし、賃借権があれば、国が相手に賃借権を認めますと財団は設定できるということです。
  63. 須藤五郎

    須藤五郎君 だって、使用権を国が認めるでしょう。そうするとその土地に家を建てようと何を建てようと自由でしょう、使用権が認められたのです。家を建てたら地上権ができるのじゃないですか、そうでしょう。できないという保障はどこにあるのですか。できるでしょう。そうすると、地上権はここでちゃんと生きてくるじゃないですか。この法案で。そうじゃないですか、地上権があればそれは抵当物権の対象になるということをちゃんと書いてあるじゃないですか。そうなりますと、国有地を借りて、その上に家を建てて地上権ができたから、それを抵当にしてしまうのです。金融関係で抵当物権にしてそれで金を借りるのです。そういうことできるのじゃないですか。それができないという保障はありますか。これはたいへんなことですよ。国有地を使用権で借りて、家を建てて地上権を設定して、そしてそれを抵当にして金を借りるということができるのです。とんでもないことじゃないですか。これは大臣ひとつ意見聞かしてくださいよ。これはたいへんなこなんですよ。
  64. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 課長の答弁をお許し願いたいと思います。
  65. 高野晟

    説明員(高野晟君) 国有地の貸し方につきましては、おっしゃいますように、使用許可の場合もございます。これは実際は大部分だろうと思いますが、中には賃借権、つまり賃貸借契約によって賃借をする場合もございます。さらには、おっしゃいますように、地上権、いわゆる物権の設定まで含めてやる場合もございます。しかし、おっしゃいますように、賃貸借契約で直ちに地上権があるとおっしゃいますのは、いわゆる民法にいう地上権が直ちに賃借権から、賃貸借からは必ずしも出てまいりません。
  66. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういう答弁では人が聞いてもわからないですよ。ぼくの聞くことに答えてください。国が使用権を認めて貸すでしょう、ある財団法人なら財団法人に貸すでしょう、そうすると、財団法人は借りた土地の上に家を建てるのですよ、家でも何でもいいんですよ、遊園地でも何でもいいんですよ。そうなると、この第四条四号で地上権というものができるわけですよ。それは民法でちゃんときまっているでしょう、地上権というものはできているのですよ、家を建てれば、地上権があるじゃないですか。その地上権をたてにとってここで抵当に入れるということが可能になってくるわけですよ。そうすると、国有地がある財団によって抵当物件として扱われるということは、私はこれはたいへんなことだと思うのです。それが絶対できないという法的なちゃんとした措置があり、根拠があるならば、それを示してもらいたいけれども、この法律ではそれができることになっているのですよ。だから私は言うんですよ、そこのところを明らかにしてください。
  67. 高野晟

    説明員(高野晟君) 確かにおっしゃいましたように、この四条の四号では賃借権、つまり賃貸借契約による賃借権がある。この場合にはただし賃貸人も承諾をしている。したがいまして、賃貸借契約だけの場合は、たとえば国の場合ですと、国の承諾が必要であります。そのほかにもちろん地上権の設定を国がいたす場合もあろうかと思いますが、この場合は地上権が設定されております場合には、当然に四条の財団の組成物件となり得るというふうに思います。
  68. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは賃貸しした人の承諾を得るということは、この次にありますね。それはありますよ。しかし、承諾しないとは限らないですよね、承諾する場合があるのですよ。早い話が、かりに鳥羽の町がある藤田観光なら藤田観光に町有地を使用許可すると、そうすると、藤田観光はそこに建てる。そうすると、かりに鳥羽の町役場の幹部たちが、あるいは藤田観光にまあ頼まれるかどうかして、それを承認してしまうというような場合があるのですよ。そうすると、被害をこうむるのはだれかというと、これは国有地なら国民ですよ、町有地なら町民ですよ、被害を受けるのは。そういう意味で、そういうことが起こるすきがあるというのです、この法律の中に。それが絶対できないという保証が法律でちゃんとされていないところに私は問題があると、こう言うんですよ。だから、そういうことは絶対できないという法的根拠があるなら、それを示してもらいたいし、なければ、そういうふうにちゃんとしておかないと、法的措置をしておかないといけないと、こういうことなんですよ。そうじゃないですか。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はその点は須藤さんと考えはちょっと違うのであります。国のものの上に正式に地上権が設定されるとか、あるいは公有地にも設定されて、そうしてそれが国際観光とか、あるいは国民全般観光のために非常に重要な役割りを果たすとか、意味があるという場合には、それは金融を得さしてもいいだろうと私は思うのです。だから、国ないし町が、これはほんとうに適当であるという認定をして許せば、地上権を設定して金融の道も講じさしてやってほしい。現にこういう国際観光ホテルやそのほかのためには金融の道も国家は講じてあるはずであります。そういうようにやはり国家的にも助成をしながら外客を誘致するとか、国民に安い費用で観光を得さしむるとか、そういうことを考えてもいいので、何も悪い場合だけを想定しないで、プラスになっている、安く国民に見せるという面も考えていいんではないかと私は思います。
  70. 須藤五郎

    須藤五郎君 中曽根運輸大臣は非常に善意にものを解釈していらっしゃいますけれども、私たち国民の代表としましてはそういうふうに甘くいい面だけを、善意にものを解釈して、その逆の場合が起こったときのことは考えないというわけにはいかないわけですね。だから、逆の場合が起こらぬように、そういうふうに考、えなきゃいかぬ。また、なんですね、ある国有地を貸す、それでその立場に立った官公吏がその営利会社からいわゆるわいろで買収される。買収だって起こり得るんですよ。これまでずうっとそういう贈わいというものが起こってますからね、今後絶対ないということはない。そういう場合を想定しなければならぬ。だからそういうことのないようにやっぱりしておかなければいかぬと思うんですね。かりに鳥羽の町長なりだれか町会議員なりがある会社から買収されて、それに許可してしまうかわからぬ。そういうことが絶対ないという保証は今日の社会情勢でないんですよ。私たちはそこが非常に気になる。だから、そういうことがあってもこの法律でそういうことは絶対防げるんだというその根拠をやはり私は第一に明らかにしておいてもらわなくちゃいかぬ。地上権を直ちに抵当に——抵当というのはあるんでしょう。この法律で言うとそうすると融資の対象になるんですよ。さらに事実上売買の対象になっていくわけですよね。そうして国有地、公有地の景勝地は景勝地の地上権を特別の個人または法人に認めることを通じまして、国民共有財産が不当な侵害を受けるという結果が、いままで申しましたように起こり得るんですよ。そういうことのないように、どういうふうに法的措置がされておるかという点を私はお尋ねしておるわけです。
  71. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 地上権の問題でございますが、財団抵当法ほかにたくさんございますが、みな同じような立法のしかたをしております。お尋ねの件は、結局、国有財産あるいは県有地を、管理者がいかに管理していくかということの問題だと私は思います。
  72. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは管理者がりっぱな人ばかりで、神さんのような人で、私心のないりっぱな人、ほんとう国民立場に立ち、町民、市民の立場に立つ人ならいいですよ。しかし、往々にしてそれを忘れて自分の私腹を肥やすような立場に立つ人がこれまでもたくさん出ているわけですよ。今後も絶対出ないと言えないんです。だからそういうことの起こらぬように法的措置をしておく必要がある。これではそういう法的措置と言えない。これはそういうことを認める立場に立った法律であるということを私は申し上げているんです。どうですか。
  73. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 私ども、先生が先ほどからるる申されたように、観光地の美化とかそういった問題には非常に大きな関心を持っておるわけでございまして、そういった観点から、国有財産あるいは県有地の管理者がそういった感覚で、あるいは賃借権の承諾をする、あるいは地主権の設定を許可するかどうかという問題でございまして、各種の立法例を通じましてもそういったことを積極的に私ども奨励する考えは毛頭ございませんで、むしろ消極的であるわけでございますけれども、この法律だけにそういった歯どめが要るかどうかという問題でございまして、問題としては私は全般的な問題、それからむしろ国有財産法その他の問題ではないかというふうに考えるわけであります。
  74. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういう説明では私の疑念は晴れないんですよね。第四条にいいます観光施設について、簡単な観光用と称するあずまや、腰かけなどのたぐいでも、地上権があればこれは財団の設定ができるんでしょう。できないんですか。できるでしょう。
  75. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 先ほど政令でどういったことを考えておるかというところで申し上げましたが、いま先生のおっしゃったようなものにつきましては、観光施設としては認めないつもりでございます。
  76. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、どういうものがあればできるんですか。あずまや——家が建てばできるといっても、家といえばあずまやから納屋、すべてこれ建物ですよ。どういう程度の、範囲の建物をしなきゃ建物として認めないのか。その規定もこれ、ないじゃないですか。これじゃそういう理屈は通りませんよ。やっぱりこの法案、正しくやっていきますと、あずまや建てて腰かけ置いて、まあお茶飲み場でもつくって、それで商売すると、景色のいいところでお茶一ぱいというようなことで商売する。そうすると地上権ができて、それで何でしょう、財団の設定ができるんですよね。そうすると抵当、権もできてくるんです。おそらくそういうことになってしまうおそれがありますよ。そういうところがあるんですよ。
  77. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 須藤委員の御心配はわれわれもよく思考し得るところでございますが、やはり観光地の中には国有地や、あるいは県有地というようなところも多いのでございまして、そういうところに施設をしたという場合に、それが大衆の利便になり、いいものであるというならば、民力を使ってつくらしたほうが私いいと思うんです。そういう場合に金融の道を得させるということは適当であると認める場合には、やはりその方法も講じさせるということは不適当なことではないと思うんです。この観光基本法の第十条を読んでみますと、 「観光に関する事業を営む者のサービスの向上、観光に関する事業の健全な育成、」というようなことばが出てありまして、やっぱり「健全な育成」という面においてやれることならばやってもいいんだろうと私は思う。そういう悪が出てくるということを考えますと、森羅万象必ず光と陰はあるものでありますから、これを押えることはできないので、やはり敏治に携わる者、行政に携わる者の心がまえというものは非常に大事ではないかと、そう思うのであります。
  78. 須藤五郎

    須藤五郎君 一ぺん国有地、公有地を買って、使用権をとって家を建てて地上権を生んで、それでそれを抵当にする、抵当に入れておいて本人は逃げちゃうんですよ、金つかんで。そういうことだって可能になるんですよ。私は悪いほうばかり言うとあなたおっしゃるかもわからぬけれども、あなたがいま言った、日なたと陰がある、人生には。あなたは日なたのほうばかり見ておるからそうおっしゃるけれども、私は逆にこういう暗い面もあるんだぞと、この暗い面を押えなかったら政治家として国民に申しわけないじゃないですか。だからそういうことのないように法律をつくらなくちゃいかぬ。こういう抜け道のたくさんある法律ではそういう悪いことが防げないんだと、だからこの法律は不備な法律であると、私はこう言わざるを得ない。地上権——金をうんとこさ借りておいて、そしてそれを持って、ほっておいて現金つかんで逃げて行く人間が出てきますよ。不景気な状態になったらそういうこと起こってきますよ。そういうことじゃ国民に対して申しわけ立たぬ、政治家として国民に。だからその点中曽根運輸大臣政治家としてほんとう国民立場に立って申しわけの立つような法律をつくってやらぬと、こんな穴だらけの法律じゃとうてい私たち賛成することできないです。いままでたくさん御返事いただきましたけれども、これっぱかしも私の疑念は晴れていないんです。また疑念の晴れるような答弁はされていないということを申し上げて、これで私質問を終わります。
  79. 木村美智男

    木村美智男君 ちょっとさっき質問を一応、終わったつもりだったんですが、いま出されている問題、少しはっきりさしておいてもらいたいと思うのです。  それは、大臣の答弁によって少し何というか、振幅が大きくなったんだけれども一体、この観光施設財団抵当法案なるものはたてまえとして、どういうたてまえでこの法律案がつくられておるか、純粋な立場で先ほど来、私申し上げているように、観光事業の育成発展ということから考えれば、できるだけその所有の物件を抵当にして、金を借りて観光施設を整備するという、そういうことはいい方向だと思ったから、これは原則的に賛成の立場からいろいろ伺ってきたわけですけれども、しかし、いまのいろいろ質疑のやりとりを聞いていますと、国有財産等については大体不許可ということが原則なんだというふうに、大体観光局長はそういう答弁をずっとしてきたわけです。だから現実にはそういうことはあり得ないのだということになってきたのだが、大臣は積極的にこれはやっぱり、悪い面は別に救うことはないけれども、いい面をいろいろ見て、どんどんこれは活用すべきだ。しかも、これが観光基本法の精神にも沿ってくるのだ、こういうことになってくると、少しふろしきが広がってきたから、これはちょっと法制局か何かに来てもらって、このことを、法律のたてまえは一体どこにあるのか。そこからいってそのたてまえがはっきりすれば、今日ある他の財団抵当法的な同種の法律はどうかということを見て、で、これだけが特に別なものではないということになるならば、これは厳重に今後の運用の問題についてそこの注意をして処置をするという、こういう取り扱いをすればいいんだけれども、しかし、現在の他の抵当法のたてまえが違うというようなことになるとすれば、これはもう一回ちょっと検討し直さなければならぬという問題にぶつかってくるので、ここで私は法制局の見解をひとつ聞かしてもらいたい。その上で何と、いうか、この問題の決着をつけたい。ちょっとやはり、疑義が解明されていない。
  80. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げましたのは、法的可能性を否定するものではない、そういう場合もあり得るという意味において申し上げたのでございまして、係の者の説明にありましたように、大部分のものは許可という形でいっておるそうです。それで地上権を正式に登記で設定しているというものは少ない実情であります。それをさらに承諾をして財団抵当を認めるという場合には、やっぱり、県の議会とか、あるいは国有財産審議会、地方のそういうものだとか、当然、しかるべきものの行政機関の判定が出てくるだろうと私は思うのです。そういう意味におきまして非常にまれな例としてそういうことはあり得ると、こういうふうに私は考えております。
  81. 須藤五郎

    須藤五郎君 いま法制局を呼んで、最後の意見を聞いておく必要があるという意見が出ましたが、私もそう思うのですよ。この際、法制局を呼んでいただいて、そうしてその点はっきりさしておいたほうが、後日のためにもよいと思いますから……。
  82. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。  〔速記中止
  83. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  84. 深草克巳

    政府委員深草克巳君) 先ほど申しましたように、他の法律と、つまり、この種の法律と立て方は同じでございます。地上権の取り扱いは同じでございます。それで大臣が積極的に貸すべき場合もあると御答弁されましたのは、青少年とか、あるいは勤労者の非常に安い旅行を奨励するという一環として、こういった場合に積極的に貸す場合もある、こういうふうに言われたことだろうと思いますので、またそれも観光基本法の趣旨にのっとっておるわけでございまして、ただ一般論としまして、一般のいわゆる観光事業者にこういったものを貸すかどうかという問題については、国有財産法あるいは県有地の管理者、それがどう対処するかという姿勢の問題だろうというふうに申し上げておるわけでございます。
  85. 須藤五郎

    須藤五郎君 ああいう無責任な答弁ではいかぬですよ。だって、今日だって国有財産法はあるでしょうが。ところが国有財産法がありながら、いろいろなおもしろからざることが起こっているんでしょうが。だからこういう法律があっても、そこをちゃんとはっきりしておかぬと、必ず後日問題が起こるということを私は言ってるんですよ。そして中曽根運輸大臣もその可能性はあるんだと、ひなたと陰とあるごとく、だからそういうことは大臣自身も認めているんですよ。だからわれわれは国会議員として、国民に責任を持たなきゃならぬ立場で、そういうことが起こらぬように、黒い霧の起こらぬように、ちゃんとそういう歯どめを法的にしておかなきゃならぬ。それで、私は、こういうふうなことでそういうことが防止できるのかどうかという点を、法制局を呼んで、法的な立場に立ってひとつ判断を仰ぎたいというのが私の意見なんですよ。それが必要じゃないですか。それをやっておいたほうがいいんじゃないですか。
  86. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。  〔速記中止
  87. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  88. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いまの第二条の政令の規定の問題でございますが、観光基本法の趣旨にのっとりまして、国民大衆、または勤労大衆、青年等が観光旅行等を行なうについて利便を得るとか、あるいは有利な観光をなし得るというような方面の施設に、こういう財団が設定される場合に限定されるのが私は好ましいと思います。それで、単なる利潤をもうけるためのホテルや何かの観光施設というものがこういうものを利用することはあまり好ましくないと思います。そういう点について政令の内容をつくるときに注意してつくってみたいと思います。  そういう点について、当委員会でいろいろ御決議なり、御注意くだされば十分尊重してやっていくつもりでございます。
  89. 須藤五郎

    須藤五郎君 大臣の答弁非常に観念的ですよ。好ましいとか、そういうことはないと思うということでは、これはやはり問題残りますよ。
  90. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。  〔速記中止
  91. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  92. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま問題になりましたこの観光施設の内容の問題でございますが、御趣旨を体しまして、勤労者の施設、勤労者用のものであるとか、青少年用のものであるとか、大衆用のもので、観光基本法の精神に沿うものを政令で定める方向で御趣旨に沿いたいと思います。その点で御了承をお願いいたしたいと思います。     —————————————
  93. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 委員異動について報告いたします。  本日井野碩哉君、天坊裕彦君が委員辞任され、その補欠として紅露みつ君、北畠教真君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  94. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
  95. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——ほかに御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。  〔賛成者挙手〕
  96. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと読めます、  それでは、これより採決に入ります。  本案に賛成の方の挙手を願います。
  97. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
  98. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  99. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 次に、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  100. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案の提出理由につきまして御説明申し上げます。  今回の改正の第一点は、満載喫水線を標示しなければならない船舶の範囲を拡大することであります。  別途今国会において承認をお願いすることとしておりまする「千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約」を受諾するため、近海区域または沿海区域を航行区域とする長さ二十四メートル以上総トン数百五十トン未満の外航船等に対しまして新たに満載喫水線の標示を義務づけることといたしました。  また、この条約の適用を受けない船舶につきましても、積み過ぎによる海難を防止するため、満載喫水線を標示しなければならない船舶の範囲を拡大し、沿海区域を航行区域とする長さ二十四メートル以上の内航船、総トン数二十トン以上の漁労船等に対しまして新たに満載喫水線の標示を義務づけることといたしました。  改正の第二点は、無線設備を設置しなければならない船舶の範囲を拡大することであります。  海難を予防するとともに事故発生時の通信手段を確保するため、無線設備を設置しなければならない船舶の範囲を拡大し、内航旅客船につきましては沿海区域を航行区域とする総トン数百トン以上のものに対し、まして、内航非旅客船につきましては遠洋区域または近海区域を航行区域とする総トン数三百トン以上千六百トン未満のもの及び沿海区域を航行区域とする総トン数三百トン以上のものに対しまして新たに無線設備の設置を義務づけることといたしました。  なお、無線設備は、無線電信であることが原則でありますが、今回新たに無線設備の設置を義務づけられた船舶は、すべて内航船であることを考慮いたしまして、これらの船舶につきましては、無線電話をもって足りることとしております。  また、無線設備に関する改正に伴いまして、電波法及び船舶職員法の関係規定の整備をすることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  101. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 本日は提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会      —————・—————