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1968-04-04 第58回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月四日(木曜日)    午前十一時四分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      紅露 みつ君     井野 碩哉君  三月三十日     辞任         補欠選任      田代富士男君     和泉  覚君  四月一日     辞任         補欠選任      和泉  覚君     田代富士男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷口 慶吉君     理 事                 岡本  悟君                 重政 庸徳君                 大倉 精一君                 木村美智男君     委 員                 木村 睦男君                 沢田 一精君                 平島 敏夫君                 小酒井義男君                 森中 守義君                 吉田忠三郎君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        鈴木 珊吉君        運輸省航空局長  澤  雄次君        運輸省観光局長  深草 克巳君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○観光施設財団抵当法案内閣提出) ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件)  (航空に関する件)     —————————————
  2. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る二十九日、紅露みつ君が委員辞任され、その補欠として井野碩哉君が選任されました。     —————————————
  3. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 観光施設財団抵当法案議題といたします。  まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま議題となりました観光施設財団抵当法案提案理由につきまして御説明申し上げます。  観光は、国際親善の増進、国際収支の改善、国民生活の緊張の緩和等国民経済の発展と国民生活安定向上に寄与するものでありますが、このような使命をになう観光の振興をはかるため、観光基本法におきましては、外国人観光旅客の来訪の促進、観光旅行の安全の確保、観光資源の保護、育成及び開発、観光施設整備等のために国が必要な施策を講ずるものとしております。  これらの施策のうち、観光施設整備につきましては、民間企業に待つべき面が多いのでありますが、民間企業観光施設整備するためには多額の資金を要し、しかもその大部分は金融機関からの借り入れに依存しなければならない状況にありますので、観光施設整備のための施策の一環として、その資金調達を容易にする必要があります。  一方、従来、工場鉄道軌道道路交通事業港湾運送事業等につきましては、これらの事業土地建物のほか、各種機械工作物等を一体として事業の用に供していることにかんがみ、民法の抵当制度を拡充するものとして、これらの事業施設等を包括して一体的に担保に供することができる財団抵当制度が設けられ、資金調達を容易にしております。  したがいまして、観光施設のうち、土地建物以外の各種機械工作物等が設けられている遊園地動物園スキー場等につきましては、工場等と同様、財団抵当制度を設けることが適当と考えられるのであります。  この法律案内容は、観光施設について財団抵当制度を創設することとし、対象となる観光施設範囲財団組成物件等について規定するとともに、実際の手続登記所において行なわれるため、工場抵当法の規定を広く準用することとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。     —————————————
  5. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 次に、運輸事情等に関する調査議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 木村美智男

    木村美智男君 せっかく大臣来られていますし、この間少しエコノミストなど読ましていただいたら、大臣運輸行政刷新するということでいろいろ言われておりますが、その中で、運輸省は大体経済官庁として、あるいはサービス官庁としてこれから生まれ変わるというか、そういうものにしていかなければならぬということで言われている。そのために大臣政策中枢部というやつをつくって、これからいろいろ政策的な検討をしたいということを述べられておるわけですが、もちろんそういうことも私は必要だと思うのですけれども、ただ、いまの陸運行政というものを社会的にあるいは一般的に評価をしていく場合、どういうような位置づけにあるかというこの点から考えてみますと、私は現在の運輸行政というものは、たとえばこの間の大阪冷房タクシーの問題はその後各地に発生をしておる汚職事件などを誘発をして今日に至ったというこういう状況の中で、まず大臣就任早々人事刷新をしたというところに一つ新しい方向づけがある。もう一つは、いま言った政策中枢部をつくってこれから何をやっていくかという方向に向いておるという関係がある。しかし、これはですね、いわゆる方向づけが一応できたということで、具体的に人事刷新をやって人間が変わったらいままでとまるっきり変わった、あるいはいままでよりは全然変わった具体的な施策をつくり出したということにはまだなっていないと思うのですね。そういう意味でお伺いするのですが、私は、今日の運輸行政の中の一つの大きな欠陥は何といっても予算要員不足という問題がまず第一の問題である。それから二つ目には、行政あり方について、これから政策中枢部をつくっていくのだけれども、もう少しサービス官庁経済官庁として立っていこうとするならば、世論というか、あるいは利用者の声というか、そういったようなものを最大限やっぱり取り入れた形の中で民主的な行政が行なわれていかなければならぬのじゃないか。ここの点は少しやっぱり今一日までの運輸省の特に陸運行政の中に欠けるところがあったというように思うのです。そこで一つお伺いしたいのですが、たとえば人がどうして足らぬというと、広島陸運局の例を一つとってみますと、たとえばハイヤータクシー関係を扱う乗用第一係、第二係というのがあるけれども、ここではまず西部五県の広島島根岡山山口鳥取、あれだけの地域を扱う第一係のほうは、これは係長ほか二名だと、第二係のほうも係長ほか二名だと、つまり広島島根に対して二人、それから岡山山口鳥取に対して二人、これでハイタク行政をやろうというほうが、大体土台無理なんじゃないか。月におよそ三十件くらいの、たとえば免許申請がある。そうすると聴聞会や何かの手配をしていけば、まずまず五日はかかる。月に五日やらなければ三十件の免許件数をさばくことはできない。陸運事務所乗用一係は、免許事務ばかりやっているのかといえばそうではない。ほかのいろいろな仕事がある。説明するまでもなくあるわけですね。そうすると、ほかの仕事一切をうっちゃってやったとして、とにかく三十件をやるのには、まあ五日やって一日に六件くらいをさばかなければどうにもならぬ、こういう状態を私はこのままおっぽっていく限り運輸行政というものはどうもしても滞っていく、あるいはそこにやはりよどみというものが出てくるといった関係はどうしても生まれてくる。だからそういう意味で、何といっても今日の自動車行政の混乱なり、はかばかしくない関係要員不足予算不足の問題に帰着している。で、私、いまごろ四十三年度予算が、もうすでに峠を越したときに、なぜこういうことを言っておるかと言えば、やはり今日の時点の中でも努力をしてもらいたいし、来年度に向けて本腰を入れてこの問題をやってもらわないと、せっかく大臣政策中枢部をつくっていろいろいいアイデアを出しても、たとえばこの間伺ったような対中国船舶輸出問題、けさも予算委員会でちょっと傍聴しましたが、大臣なかなかいいことを言っている。しかし、いいことは言っても、やる体制がなかったらこれはだめなんです。だからそういう意味で、私は大臣の言われていることをほんとう裏づけをして、それが実行可能な、そうして軌道に乗せていくということにするためには、どうしてもいまの運輸におけるこの要員不足問題、言いかえれば予算の問題になるでしょう。この問題に本腰を入れてやってもらわなければ、なかなか大臣言うようにはならぬ、こう思うので、その点について大臣の、ひとつの運輸行政を変革していこうという、その観点と具体的な問題、要員不足をどうしようとするかという、この点について、ひとつ考え方を伺いたい。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 木村委員の御趣旨には私も非常に同感でありますが、要員不足のためにたいへん御迷惑をおかけしていることは申しわけない次第であると思いますが、国家財政全般を見ますと、定員増ということはなかなかむずかしい現状なんでありまして、ダンプカーだとか、特別の法律によって付与された場合に現在認められている状態なのであります。そこで運輸行政刷新本部をいまつくっておりまして、業務内容をいましさいに点検すると同時に、人間異動重点的ポジションに対する強化というような形でこの問題を解決していきたいと考えております。なお、どうしても足りぬというところは、これは大蔵省に要求いたしまして、増員するように努力していきたいと思っております。
  8. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、一応、世にいわれる大臣答弁だからその辺でいいかもしらぬけれども、ぼくはやはり今日の運輸行政からいうとそれはうまくない。なぜかというと、たとえば今日の物価対策を見なさい。物価問題懇談会をつくって、あるいは今度はこれでは調子が悪いから、物価安定推進会議物価担当官をつくって各省調整するのだと、なるほどアイデアだけ出していっているが、一つも具体的な物価対策ができていないから、いまの佐藤内閣物価対策は全然なっちゃおらぬ。それの二の舞いを運輸政策の中で大臣にとってもらいたくないからぼくに言うので、せっかく行政刷新本部をつくるということになるならば、いま政府が立てておる要員抑制政策というものは一体どういうものかというと、大臣が言っておる国の予算全体が相当窮屈になっておるからという中でも、要員抑制政策というものは、これはむだなところはどんどん削っていくけれども、必要なところには出すという、やはりきちっとした方針を立てて、そうしてやっていかなければ、では大臣に聞くけれども、いまのぼくが例を出した広島島根県を、あんなでかい県二つハイヤータクシー行政係長以下たった二名でやれますか、責任を持って。じゃ何名あったらやれるかという問題も一面にありますよ。ありますけれども、わずか二名じゃこれはどうにもならない、どう考えてみても。だからそこら辺について私はやはりでき得れば、行政刷新本部といわれるこういう政策研究機関の中へ具体的に今日の陸運行政問題はやはりどうあるべきかという観点から、少なくとも要員はいかに国家予算が窮屈でもこれだけは何でもかんでも必要だという関係だけはつくりなさいということを言いたい。それが閣議の中で、あるいは予算折衝の中で削られたという問題は、これはまた別の問題で、初めから要員要求もしないような態度が今日まであったのじゃないかということを言いたい。これが一つ。したがいまして、それに対してきちっとしてもらうということと、とにかく今日のこれは陸運行政だけが原因だとは言いませんけれども、三月までの交通事故を見たって、それはもう一日三十三人平均、三千五十一人の死者が出ている。三月三十一日までにけが人は何ともうすでに十六万人を突破して、ことしは八十万をおそらく十二月の三十一日までには出るだろうと言われている。こういう状態の中だから特に陸運行政について過去があっただけに、大臣一生懸命これを向きを変えよう、実際何もかもそのとおりにしようといってこの行政刷新本部を出しておるわけだから、そんならやはり裏づけになるものをこれは出して、しろうとが、やる気があってやっているなというふうに見てくれるだけでは済まぬ世の中になってきておるのじゃないか。多少ものを知っておる人が見ても、大臣ほんとう裏づけをもって本腰を入れておるなという形にぼくはぜひしてもらいたい。その意味でこの要員の問題というやつは、これは今日の陸運行政欠陥を克服する最大の課題ではないか。じみちな問題だけれども私はそう思うのだから、もう一回大臣のその点についての、次のたとえば予算要求等に対する心がまえを含めて答えていただきたい。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 木村委員の御指摘運輸行政の非常に脆弱な部面を御指摘になっているのだろうと私も考えます。私は、予算が終わりましたら、できたら陸運局陸運事務所自分で直接行ってみて、業務内容を点検してみて、行政刷新本部の改革に備えたいと実は思っているのであります。それはいずれ実行いたしたいと思います。ともかく国民の皆さまに御迷惑をおかけしておるという状態は、すみやかに解消しなければなりませんから、いろいろ方法を考えまして、その点は改革してまいりたいと思います。ただ、運輸省全体の定員増となりますと、これは大蔵省の非常な抵抗がありまして、むずかしい面もありますけれども自分の実地で見た経験をもとにしまして、その点はできるだけ努力してみたいと考ええております。
  10. 木村美智男

    木村美智男君 大体大臣の意向はわかりましたから、実態調査して本格的に取り組むということですから、この要員問題についてはきょうはそこらで了解をしておきますが、運営の問題で、大臣は御承知だろうと思いますが、たとえば自動車運送協議会というものがいまあるのですね。これはさっぱり開かれてないのですよ。せっかくこのいい機関があるのに開かれていない。で、私は運輸行政あり方が非民主的だというような意味は、別にここで冷房料金なんかの問題を繰り返そうとしているのじゃないのです。問題は、もっとフェアな気持ちで、ある機関をどんどん使ってもっと利用者国民に納得をさせるようなやり方でものごとを運んでいくようなあり方というものと取り組むべきじゃないのかという問題です。たとえば増車問題一つ取り上げたって、これは陸運局長権限であるかのごとく考えて——それは権限には違いないけれども、しかし、それを決定するに当たっては、やっぱり広く声を聞いて、それを判断をして陸運局長裁断を下す。もちろん実質的にはそうであるけれども、それは大臣にも報告があり、自動車局長にも報告があるだろうが、しかし、そこに至る間に、せっかくできているこの自動車運送協議会というふうなものをさっぱり利用しないということについては、こういうことから、私は少なくとも、かりに問題が起こらなくても、いろいろのうわさが出たり、暗い影が出たりという関係が出てくるのじゃないか。だからこれはやっぱりこういうものをどんどん使ってもらう。そしてその結論を十分くみ取った形の中で行政裁断を下していくという、そういうあり方が私はこれからの運輸行政にとってきわめて重要だと、こういうふうに思うので、この点に対する大臣見解をひとつ聞きたい。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 民間の声を聞くために自動車運送協議会を活用するということはお説のとおり非常に大事なことだろうと思います。私が聞いていましたところでは、月に一回ぐらいは必ず協議会を開いていろいろ意見交換をやってるように聞いておりましたが、よく情勢を見まして、できるだけ皆さんの声を聞いて的確に行政に反映させるように努力してまいりたいと思っております。
  12. 木村美智男

    木村美智男君 自動車局長に聞きますが、大臣はいま自動車運送協議会というのはちょいちょい開いて意見を聞いてるように答えられたのですけれども、たとえば増車といったような問題について正式に自動車運送協議会というものを開いてこれをきめていますか。
  13. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 各局でいろんなテーマをこの協議会にかけておりますし、これはおのおのまちまちでございますので、全体的に統一しておりませんが、たとえば東京陸運局では乗車拒否対策という問題につきましてかけております。これは増車との関連においてやはり影響がある問題なのでそういう問題を東陸ではかけた例がございます。たとえば名古屋の局ではハイヤータクシー事業問題点、特に輸送力増強方策の策定はどうかというような問題につきまして昨年諮問しております。そういう状況でございます。
  14. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、いま自動車局長が答えているように、大体それでわかるでしょう。私が言ったのは、そんなにぴしぴしこれは開かれてやっていないのですよ。だから私はそういうふうに言ったのですが、道路運送法の百三条の二項に、こういうこと、こういうこと、こういうことは自動車運送協議会を開いてかけなさいと書いてあるのだよ。そこからいったら、大体一週間に一回ぐらいずつ開いていかなければ間に合わないぐらいの仕事量があるわけです。ところがそれがさっぱり自動車運送協議会というものは開かれてないから、何かどこかのところで陸運行政ごそごそやってるというふうに言われてしまう。もっと公然と、法的に認められた機関があるのだから、うんとこれを使いなさい。そうしてその意見をいいものは取り入れて、そうしてその自動車運送協議会意見というものを、やっぱり前面に出しながらどんどん行政のレールに乗っけていけばいいのじゃないか。多少ぼくはこの協議会あり方についても意見があるのですが、きょうはこれはさらに突っ込んで申し上げようとは思わぬですが、ただ、少しこの協議会も片寄り過ぎているから、事業者経営者が過半数みたいなかっこうになっていますから、このあり方についてもひとつ検討してもらいたい。これは大臣範囲内で幾らでも変えていける問題なので、もう少しいわゆる利用者といわれる人がたくさん入るようなそういう機構にこの点は検討していただく、そうしてそういうことと合わせて、この自動車運送協議会の活用という問題について、特に大臣答えられたような立場で進めてもらいたい。  もう一つは、時間の関係でお聞きしておきたいのですが、許認可の問題で、どうもいま大臣許認可に当たって基準というものがあるようなないような状態なんです。現在それで悪口言うやつは、大岡越前守だと、とにかく陸運局がいったらそのとおりということで、いいも悪いもない、いまの許認可はね。だから基準をやっぱりきちっとつくる必要があるのじゃないか。ないわけでもないのだよ。あるみたいなことも言えるのですよ。たとえば東京の場合には水揚げ一万五十二円、ここにラインを引いて、これを基調にして、そうして実車率五五%以下にならないように、大体大まかなのはある。だけれども全国的に大都市あるいはへんぴな地域あるいは中小というようなことに分けて、何か一つのものさしをやっぱりきちっとしておかないというと——ところがその辺が自由裁量、恣意的にか何か働きかけがあったとかないとかいう事柄は、ここら辺に問題が出てくるわけなんです。そういう意味でいえば、私は免許基準というやつを、この際、大臣在任中にひとつつくりあげるということを、これ考えてみませんか。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 免許基準はちゃんとできていると私思います。私も大臣になる前、免許の問題やなんかで陳情したことがありますが、行って聞いてみると、やっぱり幾つかの基準があって、その上に公聴会聴聞会を開いて、そういう手続はできておるようなのでありまして、基準の適用がルーズであるという二とはあるいはいえるかもしれませんが、とにかく基準はできているように思うのです。詳細につきましては自動車局長に答弁させます。
  16. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) ただいま先生のおことばで、免許許可ということをおっしゃいましたのでございますけれども、道路運送法上では免許ということばを、たとえばバスでもトラックでも、あるいはタクシーでも、そういう事業をやる場合にそういうことばを使っております。で、免許といいますのは、最近の法律用語で申しますと、免許ということばはなかなか使わないのでございます。許可ということばが多いのでございます。ところが実態は、免許ということは本来国がやるべきことを、ことに特定のものをしてやらせるというのが免許であって、いわゆる許可というのは一般にやらせないことを特にやらせるのだという、ニュアンスが違います。ただ、現行法上では、特に最近の法律では、そういった使いわけの表現はしておりません。道路運送法はちょっと古いといいますか、二十六年から生きておるものでございますから、いわゆる免許というものを、そういうことばを使っております。したがいまして、道路運送法上の免許というのは、そういった意味で非常に許可と違いまして、ニュアンスがきついということでございます。そこで、ただいま許可の場合は一つ基準がありまして、その基準にかなえば、所管大臣許可しなければならないというのがございますけれども、免許の場合、基準がございまして、その基準を勘案しまして、たとえば自動車でいえば需給上のいいか悪いかという問題と、あるいは公益上のいいか悪いかという問題、そういう自由裁量判断が入るのでございます。その点が免許許可との違いがあるのじゃないか。そこで、この道路運送法上ではそういった免許という態勢をとっております。したがいまして、先生おっしゃいましたように、そういう自由裁量の余地が入る。したがって、その点については各陸運局長があるいは必ずしも統一された見解をとっていないんじゃないかという御指摘がございましたけれども、その点は確かに陸運局長権限につきましてはいろいろ地方の事情等もございますから、画一的にはできないのではないかと思います。そういう点で、先生おっしゃいましたようなまちまちな点があるかもしれません。しかし許可と違いまして、これに合えばそのまますぐやるんだ、やらなければならないんだという意味ではないのでございまして、その点のやはりニュアンスの相違があるのではないかと思います。ただ、問題は、それでは自由裁量基準をどうするかということにつきましては、一応各陸運局でもってきめております。これは本省とももちろん相談の上でもってきめております。その内容が具体的にいいか悪いかにつきましては、やはりこういった社会なり経済実態の変化に応じまして、それに即応したようなやはり内容の、各局なりの基準を持つべきであるというふうに存じておる次第でございます。
  17. 木村美智男

    木村美智男君 時間がないからあれなんですがね。それはいま局長言ったように、扱う主体が、免許の場合はとにかく国だということ。そして条件には合っておっても、需給関係がだめならば許可できないというのがこれは免許の根本的な性格だと思うんです。同時に、運賃の定額、保持できるかどうかということもこれは免許許可かという問題にたいへんなやっぱり要件になると思うのですよ。これはそのことがなければ別に免許なんといってやかましいことを言わぬでもいいわけなんです。だから、さらにつけ加えるなら、いわゆる大臣の好きなサービスという面で、サービスが守れるか守れないかという問題は、免許許可関係では大いに出てきますよ。そういうことを考えて、実はなぜ、免許許可の論争をしようと思って聞いたんじゃない。ほんとうの言いたいところはほかにあるんですがね。これは最近、大臣、衆議院の予算委員会で何か質問を受けて、そしてどうも私は、いろいろとやっているんですけれども、大臣の大体答えている点は、私、まあ、いいと思っているんです。その質問者はどういうことを言っているかというと、大体許認可事務は民間や地方自治体に極力移管さしていくというような方向になっておるけれども、あれは大臣も何かそれらしきことを言ったようだけれども一体どう考えているんだと、こう言われて、大臣は、第一に、たとえばいま質問してきたような免許に類するような車検登録事務といったような問題、これは国がやるべきだ、こう答えられた。で、大臣は安全基準の確保その他国家的な統一を要するような技術水準とか安全基準といったような問題に関係のある問題は、これも国がやるべきだ、こう言っているんですが、ここまではいいんですよ。ところがちょっと気になるのは、地方的な道路運送行政、たとえばバスのタイムテーブルの問題であるとか、こういうことについては、地方に委譲してもいいと、こう言っているんだが、そうすると、ちょっと気になってきた。これはタイムテーブルとは一体何かというと、これはやっぱりきわめて安全基準あるいはここに言うやはり統一的な問題、路線バスを取り上げてみてもそうだし、そういうことで簡単にタイムテーブルというようなことを言われると、相当部分のいわば今日免許に類するようなことまでもあるいは考えているのかどうかという疑問を持つ。そこで私は、これは大臣のたとえ方がちょっと適当でなかったのじゃないかなというふうに読めるわけですけれども、そこら辺について実は伺いたい。なぜかというと、最近、地方行政委員会等で盛んに三十八年度の臨時行政調査会の答申をもとにして、いまの陸運行政について免許許可並びに、言ってみれば車検等まで含めて地方委譲ということを盛んに言っている。その運輸行政を中心に議論をすべき運輸委員会では、まるっきり逆に——何回かわれわれが委員会で決議をしてきたように、許認可事務については地方委譲はやらない、こういう方針できているわけです。そういう状態をやっぱりこれは国会全体としてもある程度統一をしていく必要があると思うので、ここはあまり中途半端で済ますことができないというふうに思うものですから、行政管理庁は、その後四十一年にあらためてこの実態調査の上に立った勧告を出しているわけですね。その趣旨から言っても、大体運輸委員会がいままでとってきた態度というものが、ほとんど何というか勧告の中に生かされてきているという状態なので、私はやっぱりこの許認可問題に手をつける以上は、もう少し統合的な交通政策というものがまず確立をされ、これが先行されて、したがってこの部分については地方に移してもよろしい、これは依然として国が握っていなければならぬという、こういう性格のものが、それを全然抜きにして、許認可問題を単なる地方自治の何というか権限拡大みたいな、自治性の拡大みたいな形でこの問題を扱われるならば、いまのようなきわめて道路事情の悪い、交通混乱、交通地獄と言われる事態の中では、これはまことにもってうまくない結果になってくるということを心配するから、大臣に特に、まあ筋道としては大体大臣がそうわれわれの考えにはずれたようなことを言っているわけじゃないとしていたんですが、ちょっとタイムテーブルということばが出たものだから少し気になったので、ここをひとつ大臣明確にこの際答えていただいて、そうしてそれによって、もし私がいま申し上げたようなことで大体よろしいということならば、国会の各委員会を通して大臣はその態度をひとつ貫いてもらいたい。そういう気持ちがあるかどうか、そこまでひとつ答えてもらいたい。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が言いたかったことは、要するに非常に局地的であって住民と密着しているような問題で中央との関連性の少ないもの、こういうものは地方に委譲してもいいんではないか、そういう考えが基本で申し上げたんで、タイムテーブルということをあげたのは、これはたとえばそういうものを検討の対象にしていい、そういう気持ちで申し上げたんで、タイムテーブルをすぐ地方に委譲するということを申し上げたんではないのです。私はしろうとでありますから、免許許可等どの程度まで牽連があるものか、免許許可というものがねらっている効果を保持していくためには、どの程度まで陸運事務所は中央的官庁的性格を持って行政をやっていくか、そういう具体的な判断の問題になりますと、これは行政改革本部で具体的に検討してもらうことであって、それが免許許可とはかなり深い関係があって委譲を適当としないという場合には、もちろんこれは地方に委譲すべきものではないと考えております。単に局地的な、また住民に密着している中央とそう関係のないもの、そういう意味の例示として検討の対象としてあげたというふうに御了解願いたいと思います。  それからもう一つは、私はそのあとで言っているのでありますが、お客さんの便利ということをやっぱり一番中心に考えなくちゃならぬ。陸運事務所は、従来マッカーサー司令部があったときに、マッカーサー司令部の措置等によってああいう形が妥協的にできたのであって、それが継続しておるにすぎない。いずれあれは本式の形に改められる必要があると思うが、陸運事務所の場合は、臨時行政調査会の答申もあって、大体これは中央に確保しておくべき仕事がその大宗をなしておると臨調ではいっております。現に独立の事務所を持っていて、そして知事はほとんど判こを預けて陸運事務所長が代決をしておるという状態なのです。ところが、ほかの労働省とか、厚生省とかの出先は、県庁の中に部屋をもらって、県庁とほとんど一体のようになってやっておられて、執務の体制も非常に違うわけです。そこで、お客さんの便利から考えるというと、ある変なところで分割されたりすると、県庁へ行ったり、またほかの事務所へ行ったり、あるいは陸運事務所へ来たりするというので、非常に不便が出てくるということも考慮しておるわけです。そういう場合には、お客さんの便利を考えて一カ所で済むようにしてあげるということがこれは行政として考えなければならぬ。そういうことも、頭の中にあって後段の発言も出ているわけなのであります。いまのタイムテーブルの問題は、もし誤解がありましたならば、それは不適当な例示でありますから、取り消しするのにやぶさかでございません。しかし、真意はいま申し上げたとおりでございます。
  19. 木村美智男

    木村美智男君 最後に……。大臣、よくわかりました。したがって、いまの大体方針で進めてもらっていいと思うのですが、私少しよけいなことを言うようですが、大臣、せっかく何というのですか、それは、しかし、私は運輸省行政が今日これでいいと言っておるのじゃないのです。先ほども言ったように、一面においてやはり何という、許認可をたてにとって官僚的なやり方がひとつあるのですよ、欠陥として。だから、これは大臣がひとつ勇断をふるって改善をしてもらいたい。その手始めにあなたは、ぼくはこのあいだ申し上げたように、とにかくいままでにないような思い切った人事をやったわけだね。そこで、一つの方向をつけたから、そういう中で従来の悪いといわれておる面を、ひとつ行政の面では民主的に改革をしてもらう。そのために使うことはいま、先ほど言った自動車運送協議会の活用、それからおたくにはきわめて最近民主的な話のわかる全運輸という組合もあるのだから、たまには大臣やはり組合とも会って意見どんどんおまえら聞かせろ、その中で悪いものは何もとらぬでいいのだから、いい意見はどんどん採用すればいいので、そういうことでひとつ一面官僚的なくさみはぬぐい去ってもらう。  それから大臣は、半面ではやはり清新な気を吹き込んだと同時に、しろうとが多いことは、これは間違いない、ほんとうの話。往々にしてそこから誤りがもし来たということがあったら、せっかく大臣の趣旨もなくなるから、私はやはりその意味ではひとつ慎重に大臣も目を光らせながら、さっき言われた許認可等の問題は、今日の交通総合政策をやはり確立するという、そしてあなたの言われる行政刷新本部というか、これを通して筋道を立てながら、そうして政策がある程度きまったら許認可の問題というようなものについても、この点は依然として中央が握り、この点は地方に委譲してもいいという話がされてもいいと思うけれども、そっちなしに、ただ単にそれを自治権の拡大とか何とかいうことでもってこの問題を措置されるということは、きわめてこれは重要な問題だから、そこら辺はひとつ自動車局長にもお願いをしておきますが、そういう立場でほんとうに住民のための、そしてサービス官庁としてのこれからの運輸行政をひとつ進めていってもらいたい、こういうことを申し上げて、きょうは大綱的なことですが、一応自動車行政に対する質問は終わりたいと思います。
  20. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  21. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  22. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連で、ひとつ一点お尋ねというか、大臣の心がまえをお尋ねしたいのですが、私、長い間この運輸委員会に籍を置いて感じたことは、運輸行政の面の許認可について政治家の介入が過ぎるのじゃないかと、そういう気がするのです。実はだいぶ古い話ですが、あるバスの新しい認可をするかしないかという問題が起こったときに、私は現在の状態で十分利用者の足を満足さしているのだから、許認可をする必要ないじゃないかという意見を言った。そうすると当時の、ずっと古い話ですが、当時の自動車局長が、ひとつその許可せよという人と話し合いをしてくれぬかと、こういうことがありました。私は、それはそこまでいったら行政への介入が過ぎるのじゃないか、許可せよという者と許可するなという者とがあって、その許可すべきか、するべきでないかという判断をするのが局長の役割りじゃないかと、それを相談をしてどちらにしてくれなんということは、これは間違っていますよといって話したことがある。いろいろ見ていると、少し必要のないところに二つ許可をされたり、それでそれが過度な競争になって、最後は経営が困るから運賃値上げをしなければいかないというような問題に発展をして、サービスでなしに、かえって利用者に負担をかけるような結果が出てくる場合もあるのです。ですから、これは大臣行政の問題を取り上げるという中で、そういうことがやられなきゃ、事務的な段階で、手続的な問題だけでやられたのでは私は運輸行政ほんとうの姿というものは確立されぬのじゃないかと思うのです。そういうことについて大臣は長く国会にいらっしゃるのですから、そういうことをお感じになっておらぬかどうか、それからそういう点についてこれからあなたの大臣のときを契機にして、行政の分野と、そうして政治家の介入する分野とについてやはりはっきりした線をつくるという決意がおありになるかどうか、その点をお尋ねしたい。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 小酒井さんの御意見には全く同感でございまして、従来、運輸省にはわりあいにそういう政治の介入があり過ぎるような風評を私も聞いておりました。運輸省で一部不祥事件が起きまして、綱紀の粛正を上のほうが唱えてみても、そういう政治からの圧力とか、不当介入がくるのでは、とても公務員の皆さんに綱紀粛正なんか言ったってきくものではありません。そういう考えから、私は着任以来、表現はいいか悪いかわかりませんが、職員全部を集めまして、政治からの排気ガスは諸君が排除すると、だからそういう困ったケースをもし持ってきたら私のところに持ってこい、自分が責任を持ってそういうものは処理すると、そういうことを全職員にも話しまして、局長の諸君にもそのことはよく念を押して申してあるのであります。その後、私の見ているところでは、そういうようなものはなくなったんではないかと思います。困った問題やそういうことがあれば、私のところに持ってこいといってきておりまして、大体許認可等に関する事務は私がみんな目を通しておりますから、いままで私に関する限りはそういうものはなくなって、行政本来の姿に戻って法規やあるいは妥当性に基づいて判定が行なわれるように進行しているように思います。しかし、こういう問題は年中戒心をしてやりませんと、すぐくずれてしまいますから、まあ一番トップに立つ私が一番大きな責任をしょってその点は御趣旨のとおり推進していくつもりでございます。
  24. 小酒井義男

    小酒井義男君 この点についてはひとつ大臣御答弁になったように、やはり積年のガンというか、宿弊だと思うのです、私は。それをやらないと、いろいろな問題が起こってくるのですね。ですから、ぜひその方針を確立をしていただきたいと思うのです。  それからついでですから簡単でいいですが、最近、四国地方でバスの赤字線を廃止をするという問題が出ているのですが、バスだけが交通機関である地域で廃止をされると、ほんとうのその地域の住民の足というものがなくなるわけですね。これを一体このままほおっておかれるつもりか、何かそれに対する対策をお考えになっておるか、関連ですから、あらためて具体的に広範な問題はお伺いしますけれども、差し迫った問題ですからひとつ方針を伺っておきたいと思います。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、どの地区のどの路線かお示しいただきますれば、その善後策についてよく検討してみたいと思います。
  26. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは次回にひとつ私具体的な問題をもってお尋ねをしたいと思いますから、きょうはこれで終わります。
  27. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  28. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  29. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連して。いま大臣から政治家と陸運行政、つまり許認可をめぐってのとかくの風評についての姿勢が申されました。たいへんけっこうだと思っております。私はそのことよりも、むしろ今日まで長い問陸運行政というものと業界のくされ縁が断ち切れないところに、たとえば政治家であるとか、あるいはブローカーのようなものが介在する要因があると私は見ている。  そこで私は、せっかく大臣からりっぱな決意が述べられましたから、よりこれからも積極的に私はやってもらいたいと思いますことは、御案内のように、各種陸運局には諮問機関として自動車運送協議会というのがございます。私は、道路運送審議委員、それから自動車運送審議委員、さらにいま現存しております協議委員会の委員もやってきたことがございますが、その歴史的な過程を見ると、だんだんそうした諮問機関の性格を弱めるような行政指導というものがなされています。そこで私はその過程から何が生まれたかというと、結局陸運行政と業界の結びつき、世間からこれはくされ縁といわれています。新聞紙上あたりではたびたびこういうことが指摘されますが、それが逆な面でより強まっていったという事例を幾つか私は知っています。そういうものがつまりさらに発展をして、政治との結びつき、あるいは悪質ブローカーというものの介在等を許しているという現状を一体大臣はどう見ているか、私はいま言ったような、前段の大臣の政治との関係の姿勢はそれでけっこうだと思います。積極的にやってもらいたいと思いますが、問題は、つまり陸運行政というものと業界のくされ縁をどう一体断ち切っていくかということ、それともう一つは、せっかくのいわゆる自動車協議委員会という諮問機関があるわけですから、そこで先ほど同僚の木村君から申しましたように、それぞれの各界の人材を網羅して、やはり名実ともに諮問機関なら諮問機関というふうに活用していかなければ私はいけないと思います。この点は一体どう考えるか。それから業界と陸運行政のくされ縁、因縁というものを断ち切るためにはどうするかという問題、現に業界の会合には陸運局長以下最も許認可に重要な役割りを果たしている自動車部長であるとか、あるいは旅客の問題については旅客課長であるとか、あるいは貨物の問題については貨物の課長ないしは運輸省から地方へ仕事関係で出張した場合、すべて業界のいわゆる事業計画にあわせながら今日行政をやっているところに私は一番問題があると思います。そのことを断ち切らなければ、適正な行政指導なんてできませんよ。いまの陸運行政というものは業界と談合になっているのですから。ですから、それがいま大臣が言ったような姿勢をただすという段階でどういう反響になってくるかというと、業界の言い分が、間違った言い分ですが、言い分が通らないものですから、その結果どういう方向にそれが発展していくか、転嫁するかというと、今度は例の大阪のように問題が発展していく。全国至るところの陸運局にそういうものは内部にあるのです。あるからそうした面の弱点を追及してくる。そういう弱点を追及するということは、われわれの目から見れば、立場から見ると、全くこれはひきょうなやり方です。許されがたいやり方であるのです。しかし、そういったところに問題が温存されているということを大臣はどう把握して、いま言う、政治とつまり陸運行政というものの結びつきの姿勢については全く私は敬意を表します。しかし私は根本の問題は、やはり陸運行政というものと業界との結びつきは非常に強いということ、一つの事案を処理するためにも、業界にはかって、せっかくの諮問機関なんというものはないがしろにされて、業界の会合にはかられてものごとがなされていっているというところに問題がある。だからその者が転勤をするとか何とかいう場合には、当然送別会とか何とかいうものはあるだろうし、われわれが考えられないせんべつなどがもらわれているという実態はそこから生まれてくるのです。ですからこの点はやはり改めてもらわなければならぬ。改めるためには、具体的に大臣としてどういう考えを持っているかということを、きょうここで披瀝をしていただきたいと思います。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点も私は戒心いたしまして、末端で業者と接触して許認可事務を扱っている係長とか課長とか、そういう諸君の自覚を促さなければならぬし、よく巷間でいわれているような、そういうくされ縁というものがあれば、これは断固としてたださなければならない。そういう考えをもちまして、そういう趣旨のことを徹底するように示達もいたしましたが、一片の示達ではだめなので、この三カ月の間に許認可関係している係長、課長クラスの方約三百人、二年以上在勤した者は配置転換をやりまして、それでああいう許認可関係するところに長居することはウジがわきますから、大体原則として二年でかえるように、そういう行政指導方針を私はとっております。  それからもう一つは、業者との接触でありますが、いままでよく宴会だとか送別会だとか何とかいうことがあったようでありますが、これは厳禁いたしまして、しかし、やはり行政ですから、サービスという面もありますから、よく連絡をとる必要もあるので、そういう会合があるときには酒席ではいかぬ。ホテルあたりでお茶の会をやりなさい。大っぴらにみんなを集めてやるようにしろという、そういう指導をしておりまして、現在それを実施しております。最近、だいぶ前でありましたが、鹿児島の私の知っている業者がある代議士の後援者でありますが、その人の話では、新しい陸運局の次長が着任したけれども、業者のほうで歓迎会、ホテルでパーティをやろうとしても、おっかながっちゃってかんべんしてくれというので、取りやめになって出てこなかったというようなことを私聞きました。その当時はそのぐらいある程度浸透しておったと思います、そういうものを持続させるように今後も努力していきたいと思っております。そうしてここにありますような道路運送協議会のような公的機関を経由して公然と接触するということが望ましい、そういう方向に切りかえさしていきたいと思っております。
  31. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  32. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記を始めて。
  33. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連質問ですから長く申し上げてもいけませんが、いまの答えの中にもありますように、公的なやはり協議機関というものを十分活用して、しかもこの中にはたとえばその地域における運賃制度をどうするとか、あるいは新規事業免許はこれは地方局長が間接的にはあるわけですけれども、そういう問題は別として、普通常識的に一般的にいわれる陸運行政というものについて、せっかくそういう機関があるわけですから、それを十分活用して意見を求めながら、陸運局長自分権限を行使する、こういう姿勢に変えていかなければならぬと思うのですね。ところがそうではなくして、業界の各種会合の中でそうしたものが陳情と称される中でやられる。私はそういうところに出ていくこと自体不見識だと思う。いま大臣が申されるように、公的な場所、あるいは記念式とか何か、儀礼的なものですから、それは陸運局長が行ってごあいさつしたりすることはけっこうですけれども、えてして業界というものは、非常に政治的な動きを最近いたしていますね、最近というより、かなり前からですが、していますよ。そこに政府の介在も必然的に存在してくるようになると思う。最近のことは、大臣、全国的に把握していると思いますが、業界が討議しているものは何ですか。いわゆるLPGの問題であるとか、あるいはガソリン税の引き下げの問題であるとか、あるいは自治権の拡大の問題についてどうするかとか、いろいろそういうことをやっています。すべてこれは政府と全部関連しているわけでしょう。そういうところに現地の、つまり大臣にかわって行政を行なう陸運局局長なり幹部も出席をしていろいろ会議に参画をいたしておる、直接間接に参画をしておる、こういう事態にやっぱり問題が、どうしてもさらに世上で言われるようなことが出てくる。だから私の言わんとするところは、せっかくの諮問機関、これはいろいろ陸運行政の隠れみのであるとかなんとか、いろいろ議論があります、批判もありますよ、あったにせよ、そのものは存在しているわけですから、その体制をやっぱり強めて、それを活用して、こういう問題をやっぱり解決していく以外に、いまの社会的に信用を失墜した陸運行政の信用回復の道は私はないと思っております。せっかく大臣がそういう点をチェックして是正して正していくというお答えですから、これ以上私は申し上げませんけれども、非常に私は、大臣、政治の関係でもきちっとした一体ですから、業界と陸運行政を担当する、つまりそれぞれの地方の責任者というと局長でしょう。こうしたものを通して明確にして、より陸運行政というものを確立するように御指導を私は願いたいと思う。それでなければ、いま言ったような問題は、全くこれは末梢的なものになっちゃう、解決つかない、そういうことを私は、長年こういう問題を扱ってきた者として痛切に感ずるので、ぜひひとつ御努力願いたい。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 簡単にきのうの予算委員会大臣の発言に関連して、資料要求したいと思うのですがね。  米軍のMACチャーター機の最近の発着回数調べをこの前もらいました。これは、四十年、四十一年、四十二年の一、二、三、四と。これまで昨年資料としてこれは出してもらっているのですが、ここでお願いしたいのは、四十年、四十一年、四十二年の一、二、三、四、その以後のやつですね、全体の四十二年度には幾ら、それから今年度になってから一、二、三、この実績を出してほしい。  それからもう一つついでに、この前の資料でもありましたが、これは軍用機ですね、軍用機、米軍機とそれから第三国機、これがどれだけ入っているか、これもいまの年度に従って出してもらいたい。それから自衛隊機もどれだけこれは利用しているか、これは羽田のやつです。この資料をもらって詳しいことをお聞きしたいと思うのですが、一、二の点だけ大臣に伺っておきたいのですが、昨年三月外務省を通じて、当委員会でも非常に問題になって、とにかく米軍が羽田を使い過ぎるのじゃないか。これについて、運輸省としても、米軍に対して、もっとこれは横田なり、そういう基地があるのだから、そういうところを使うように勧告する必要があるのじゃないかということで、自粛要望書が米側に出されたようです。その結果、資料によりますと、米軍の回答書が来ておる、その回答書によりますというと、横田航空施設に転換することによって羽田の使用を現在以上に増加せしめないようにつとめる。第二に、空港使用の時間は午前十時から午後六時までにすると、こういうことが回答されたようでありますが、これは現在守られているかどうか。どうなんですか、最近の情勢。
  35. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 御指摘のように、昨年三月米軍側に申し入れました後、そのときより回数はふえておりません。大体月二百機前後でございます。それから、使用時間も、米側が申してまいりましたように、昼間帯をできる限り使っておりまして、やむを得ないものは夜間にまたがるものもございますが、昼間に集中している努力のあとがよくうかがわれるわけでございます。
  36. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはやむを得ないというかっこうで、実際は、相当情勢が緊迫してくるというと、どんどん使われるかっこうになるのですね。それがあの空港を非常に変形させていると思う。ひずみを与えておる。実際は一カ月に二百機か、それ以上に最近なっていると思いますが、こういうようなことになりますというと、これに対する人員の増加というのは、これは現在もないわけでしょう。したがって、これは労働の強化の問題が出てくる。それから、空港の安全から考えましても、管制の上から考えましても、これは非常にこれで民間が圧迫されるという事態が出てくる。したがって、当然これは安全の問題に関係して、人命の尊重の点から考えて問題が起こってくるのですね。  もう一つの問題は、やはりブルー14という空の壁があるわけですから、それで羽田はかたわの空港になっている。その上にこういう軍事的なおもしがかかってきておるのが現実ですから、これに対しては当委員会でもしばしば討議されたところなんです。大臣が就任されてからこれに対しての見解をまだ聞いておらないのですが、これは基本的には私は廃止する方向にいくべきだと思うのです。横田があり、それからブルー14の地帯を見ても、厚木があり、それから立川があり、ジョンソン基地がある。こういう事態になっていて、そこからはみ出したのが民間航空の国際空港、とにかくただ一つのいま表玄関で、そういうところにしわが寄せられておるというのは非常に好ましくないのじゃないか、こういうふうに考えるので、運輸行政の面から考えて、これはどういうふうに基本的に考えておられるか、この点伺っておきたい。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨の方向に私たちはできるだけ努力してまいりたいと思っています。日本側の民間、国際あるいは国内飛行場でございまして、日本が使うということはあたりまえであって、米軍側に使わせるのは、それがあいているときにまあ便宜使わせるというのが趣旨だと思います。法的関係から見ますと、安保条約、地位協定等によりまして、向こうが来るという場合には使わせていいということになっているので、これを拒否するということはなかなか法的には困難な面があるようです。しかし、日米信頼関係に立って、米軍は米軍の施設を使うというのが原則でありますから、日本の民間航空に支障を来たすようなおそれがある場合には、こっちも断わっているわけであります。向こうもその意見を聞いて自粛しているわけであります。そういう考え方に立って今後とも日本側の使用に差しつかえのないようにいたしていきたいと思っております。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一点だけ伺っておきます。これは資料をもらってから詳しく最近の情勢について伺いたいと思いますが、きょうは時間が少ないですから一点だけ伺いますが、現在これによって人員が非常に不足をしておる。それから管制官なんかたいへんな事態が起こっておる。それから整備員なんかでも、やはりこれはまあ自分で予定された仕事以外の臨時の仕事になるわけです。それが人員の増加ということはほとんど行なわれていない。労働強化になる。それは単に労働者の労働強化で終わらないで、ほんとうに人命の安全にこれは関係を持ってくるわけです。昨年、一昨年激発したああいう空の事故というのは、依然として、その要因は完全に払拭されているかというと、これはそういうことになっていない。こういうふうにわれわれは見るんですから、そういう点から、これについてもっとやはり現状の二百機以上のとにかく発着を認めるという点については考えてみる必要があるのじゃないか、これが一点ですね。したがって、この航空関係の労働者の問には航空安全推進協議会というものがつくられてこの問題が、自分たちのこれは生活の要求、さらに労働条件の改善の要求、こういうものとの関連で、しかも人命の安全のためにこの問題が出されているわけですね。私は要望したいのは、先ほども自動車行政のほうで話がありましたけれども、こういう人たちとこれは大臣が会ってみて、率直に話をし、その意見を聞いてみる、これに対してほんとうに適切な手を打っていくというのがこれは望ましいわけです。この点についてはどうお考えになっておられるか、この二点ですね。
  39. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現在の羽田の容量は大体年間十七万回くらいの容量、能力を持っております。それに相当するだけの管制官等も不十分ではありますけれども配置しております。現在はそれで年間十二万回くらいの発着陸が行なわれているわけで、そういう点から見るとまだ五万回程度の余裕がある。まあ十七万回になるんで成田を急いでいるということでもございますが、これは昭和四十五、六年がそういう目途とされております。そういうかげんから、できるだけ従業員と管制官に余裕を与えて、あやまちを犯さないように行政上当然われわれも配慮したいと思いますが、現在の状態において過度の労働をしているということを私は聞いておりません。  それからやっぱり管制官に対しては新しい飛行機の性能とか、そういうものをよく知悉させる必要もあるので、外国あたりへ行って新しい飛行機になれるとか、見るとか、そういうことも今後は実施していきたいと思っております。  最後に、そういう関係者に会ってみるということでございますが、そういう御要望があれば、できるだけ時間をつくってお会いしてけっこうだと思っております。
  40. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記を始めて。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つだけ。今度の処置、やっぱり一番最初に、現状は望ましくないのでこれは民間だけの専用にする方向に政策をとっていきたい、これが実現されるかどうかということは、非常に実は成田の問題と関係がある。成田の反対理由一つの中に、あれは民間の国際空港だと言っているけれども、実際はいまのアメリカの核戦略体制との関連において考えていけばどうしたってあれは軍用化される。そうして安保条約の地位協定によって、これは要求されればこれを提出しなければならない。こういうような不安が非常にあるわけです。われわれはこれは現地に行って、そういう実態にぶつかっておるんですね。そういう点から考えれば、この羽田の空港に対する態度というものは、これは成田の問題と無関係だとは言い切れないでしょう。この点については、これは大臣は単にここだけの答弁ではなくして、ほんとうにこの民間空港に対する安全の度合いから軍用化することに対してき然とした態度をとれるかどうか。これはもう一度その点を伺って私は質問を終わります。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 成田の空港は軍事基地などには絶対いたしません。軍事基地という場合には、合同委員会で合意をしなければできないのでありまして、そういうことについてはもちろん拒絶をいたすつもりです。日本政府の方針はそういう方針です。ただ羽田のような場合は、ほかの、地位協定の条文によって暫時便宜的にチャーター機等について認めておるのでありますが、このほうも日本の民間航空飛行場としての機能を十全に発揮して、日本側の便益をそこなわないように今後とも努力をしてまいるつもりです。     —————————————
  44. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) さきに議題となりました観光施設財団抵当法案について質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  45. 岡本悟

    ○岡本悟君 最初に、最近の国際観光収支ですね。これと、それから最近の四十年度以降の外客の数ですね。この二つをお聞きしたいと思います。
  46. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) まず四十二年について申し上げますが、これは暦年でございますが、収入は前年度の伸び率一一%、八千八百万ドルでございます。支払いは、出国の日本人が著しく増加いたしましたので二二%増の一億四千四百万ドルということになっておりまして、差し引き赤字が五千六百万ドルでございます。で、これは全体の旅行収支でございますが、この中でいわゆる観光ビザを持って行く、あるいは持って入る、これだけに、いわゆる狭義の観光収支について考えてみますと、受け取りが一二%の増の六千三百万ドル、支払いは二七%増の五千万ドルでございまして、前年度より四百万ドルほど帳じりが減ってはおりますが、かろうじて千三百万ドルの黒字を保っているというのが現状でございます。  外客の入りぐあいでございますが、四十一年が四十三万二千人、それから四十二年が四十七万六千人でございます。それから出国でございますが……。
  47. 岡本悟

    ○岡本悟君 出国はいいです。  それからもう一つですね、アメリカの例のドル防衛の関係で、アメリカ自体が自分の国から出ていく海外観光客を抑制しようという措置を講じようとしておりますね。その抑制策の経過と、それからもうすでにあっちこっち、新聞に出ておりますように、ホテル等に対する予約の取り消しがあると、こういうことも聞いているのですが、そういう点はどうですか。
  48. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) アメリカのドル防衛、発端は去年からでございますが、事実上問題になり始めましたのは、ことしの正月元日のジョンソン大統領の声明以来でございます。そこでアメリカが考えておりますドル防衛の中心は、外国からたくさん客を呼ぶということのほかに、自国民が外国に出ることを直接押えるという意味ではなくて、外国での消費を抑制をするというようなねらいでございます。それで、具体的に出されました案といたしましては、一つは、米国人が外国に旅行した場合の消費額、これは航空賃は除いておりますが、七ドル以上消費した場合に一五%あるいは三〇%という累進課税を課すことが一つでございます。それからもう一つは、航空機、これは国内の航空機はいままで五%の税金がかかっておりますが、海外に行く航空機についても同じく五%の税金をかける、通行税みたいなものでございます。やはりこれは恒久的な措置としてやる。それから船につきましても、これは暫定措置でございますが、五%の通行税を同じく課するということでございます。それからいま一つは、現在は小売り価格で百ドルまでのみやげ品の持ち込みが無税でございますが、それを十ドルに下げるということ。大体大ざっぱに申しましてこの三つが骨子になっておりますが、最近の経過を申しますと、一番これで消費を抑制しようという中心でございましたいわゆる消費税、消費抑制の税金、これがたな上げになっているということを聞いております。それから航空機に対する五%の税金につきましては、これは実施をするということで、上院でしたか、下院でしたか、片一方はすでに通過したように聞いております。それからみやげ品につきましても、これはおそらく実施されるのではないかということでございますが、全体として一番大きなものは、どうも非常な反対がございまして難航しておるようでございます。一方、呼ぶほうにつきましては、先ほど先生が御指摘になりましたように、ホテル、鉄道、バス、そういったものにつきまして、それぞれ率は違いますけれども、割引をして外客を呼ぶということでございまして、これは一番おそいのは四月二十九日、もうすでに実施されておるものもございます。すでにたとえばホテルその他は実施されております。したがって、パンアメリカンあたりは、日本人を誘致する場合にも、そういったセットの券をつけて売り出しておるというのが実情でございます。この財源につきましては、伝え聞くところによりますと、出国抑制で税金を取って若干そういった割引をする、協力者に還元するというようなシステムになっているように聞いております。
  49. 岡本悟

    ○岡本悟君 それからもう一つ、例の、もうすでにわが国のホテルとか、そういったところの予約が取り消されておるということが新聞に報道されているわけですけれども、その状態ね。
  50. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) 申し忘れましたが、アメリカから日本に来るお客のうちで非常な大口でございます、いわゆるチャーター機を使ってくるもの、あるいはアメリカの大会社、自動車工場とか、そういったものが自動車の販売の促進、いわゆるインセンティブツアーと申しますか、そういったものがすでにジョンソン大統領の年頭教書が発表されてすぐ、そういった効果といいますか、日本にとっては悪い効果でありますが、それがすでにあらわれておりまして、つい最近までの私が聞きましたあれでは、百人あるいは百五十人ぐらいの単位のインセンティブツアーが十二、三件キャンセルされておるということを聞いております。
  51. 岡本悟

    ○岡本悟君 そうすると、全般的に見て、局長の御判断ではそうたいした影響があらわれておるわけでもないというふうなことでしょうか。
  52. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) 御承知のように日本の入国あるいはそれに伴ないます外貨収入というのは、アメリカが約五割を占めているわけでございます。その中でインセンティブツァーがどの程度占めるかということはつまびらかじゃございませんけれども、五割を占めておるのが、実際にさっき申しましたような三つが全部実行されますと、私どもといたしましては千数百万ドルの引っ込みというようなことを憂慮いたしておるわけでございますが、この一番大きなものがたな上げになっておりますし、また一説によりますと、日本あたりに来てるのは、これは必ずしも事実じゃございませんけれども、相当金持ちの人がたくさん来てるので、少々の税金にはへこたれないで来るのではないかというような楽観論もございます。こういって悲観論、楽観論を合わせまして、また増加率も一般的に一〇%以上のものじゃございません。それらを差し引きいたしまして横ばい程度ぐらいにはなるんではないかというふうに考えております。
  53. 岡本悟

    ○岡本悟君 この観光施設財団抵当法というものも、これはやはり昭和三十八年につくられた観光基本法を親の法、母法とすれば、子供の法律子法ということになるんでしょうね、そこで観光基本法というものが制定された以前からも含めまして、母法と子法との関係ですね、どういうふうに整備されておるか、ごく簡単でいいから話してください。
  54. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) 観光基本法ができましてから、いろんな観光関係法律ができたというよりも、もう子法が相当整備されておると私は思っております。特に諸外国あたりに比較いたしまして、日本の観光立法というものは、ただ運輸省観光局が所管しているということに限定しないで、いろんな関係各省にまたがっておりますが、そういったものを拾ってみますと、私は相当整備されておると思います。ただ、まだ残された問題が、たとえば国際観光ルートの整備、これを法律に基づいてやるかあるいは行政面でやるかという、そういったボーダーラインのものは相当ございますけれども、一般的に申しまして、これからこの基本法に基づいて絶対に法律をつくらなければならぬというのがそうはたくさんないというふうに思っております。
  55. 岡本悟

    ○岡本悟君 この法案が、もうかねてから観光業界では強くその必要が叫ばれておったんでございますので、むしろおそきに失したということも言えるかと思うんですけれども、もうほんとにこれはいい制度であると考えておりますが、このメリットといいますかね、それについてごくわかりやすくお話しを願いたいと思います。
  56. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) たとえば東京付近で非常にこの財団にふさわしいものを考えてみますと、たとえば豊島園あたりを御想像いただくといいと思います。あの場合に、現在の民法のたてまえでは土地建物、これだけしか抵当権の対象になりません。しかもそれらは別々に登記をしなきゃいかぬというようなことでございます。で、今度財団抵当法ができますと、あの中にございますいろんなジェットコースターあるいはウォーターシュートとか、その他いろいろ動物もございます、植物もございます、そういったものが一体として、一個の不動産として抵当権の対象になるということで、しかもそれが収益を生むということでございまして、長期の金を金融機関が貸し付けるという場合に抵当の担保価値が上がるひとつの試算もございますが、極端な場合には倍ぐらい銀行は貸してもいいというふうにいっているケースもございます。そういったことで担保価値が非常に上がると、したがって、金融機関からたくさんの金が借りられるということが一つでございます。ちょっと先ほども申し上げましたが、ひとつの不動産として取り上げられますので抵当権の設定手続は非常に簡素化されますという二つのメリットがあるわけでございます。
  57. 岡本悟

    ○岡本悟君 メリットはよくわかりましたんですが、この法案の第二条ですか、「「観光施設」とは、」という定義があるわけですね。この「宿泊施設」そのものは単体としては対象にならない。つまり何か遊戯施設とか何かそういったものがあった場合にはそれを一緒にして抵当の対象にできるんだということなんですね。そうしますと、たとえばここへ「スキー場」と書いてありますが、スキー場、まあ大部分のスキー場は最近のことですからスキー・リフトとか、そういうものはありますが、もしかりにスキー・リフトのないスキー場というものを想定しますと、そうすると土地だけが対象になるということなんですか。それもやっぱり単体ということになりませんか。
  58. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) これはもう政令の段階で措置する問題でございますが、私どもリフトも何にもない土地だけのスキー場につきましては、これは土地だけを抵当に入れればいいわけでございますので、せっかく第二抵当をつくっても意味がないわけでございますので、スキー・リフトのあるものに限るというふうに限定したいと思います。しかし、その場合に、そのすぐそばに同じ経営者がスキー小屋とか、そういうものを持っておればスキー小屋も包含されるわけでございます。
  59. 岡本悟

    ○岡本悟君 またスキー場の話をしますけれども、スキー・リフト自体やはり観光施設として対象になりますか。
  60. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) スキー・リフトだけではいわゆる私どもが観光施設としてとらえる場合には該当いたしません。
  61. 岡本悟

    ○岡本悟君 それからまあ、この政令の内容がどういうふうになるのか聞きたいですが、時間がありませんから次に譲りまして、この第三条に「抵当権の目的とするため、一又は二以上の観光施設について、観光施設財団を設定することができる。」こういうことですね。これはあれですか、たとえば私が観光事業者であるとして、東京にまあ動物園を持っていると、それから那須にスキー場を持っているというような場合に、それを一緒にして一つのものとして財団を設定できるということなんですか。
  62. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) そのとおりでございまして、那須で一つつくり、あるいは東京一つつくるということもできますし、那須と東京合わせて一本にすることも可能でございます。
  63. 岡本悟

    ○岡本悟君 この法案は、あとは工場抵当法とかその他の規定を準用しておりまして、別に疑問になるような点はないと思うのですが、最後に、これと離れてやはり、観光施設の中に入るのですが、宿泊施設ですね、ホテルあるいは旅館等の火災が非常に多い。これは一般の旅行客に対して非常な不安を与えると思うのです。観光局のほうでもしかるべく通達などを出して、あるいは業界自体でもいろいろな手を打たれておると思うのですけれども、もっとこれは本格的にやりませんと、非常に不安でならぬ。こういうことなんです。単に通達一本じゃなくて、何かもっとワサビのきいた対策をおやりになっておるのか、またおやりになるお考えがあるのか、ちょっとそこのところを聞かしてもらいたい。
  64. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) 最近、ホテル、旅館の火災が非常に頻発しておりますが、私どもの守備範囲と申しますか、国際観光ホテル整備法に基づくホテル、旅館であるわけでございまして、この面からのとらえ方といたしましては、外人観光客、特にことばもわからない、日本字も読めない、こういった人に対する一つの火災予防対策というのが主眼でございますけれども、やはり、一般の日本人も含めまして旅行者の安全ということが観光基本法にもうたわれておりますし、先ほど申しましたいわゆる通達だけではなかなか浸透しないということでございますので、私どもは一軒一軒回って督励するわけにもまいりませんが、業界の団体をたびたび呼びつけまして、具体的な実行策をこちらからも提示し、これをどの程度実行しているかという報告も聴取するようなシステムにいたしておるわけでございまして、特に最近は火災といっても、実際の火災というよりも下のほうでちょっとした火災が起こって、煙が上のほうに非常に早い速度で上がっていく、これがむしろ混乱の原因になってきているというケースが非常に多いわけであります。この点につきましては、過般、衆議院の予算分科会——地方行政関係の分科会でも、消防庁のほうからもいろいろ説明がございましたが、やはりああいった建築が近代化したことにマッチした消防法、あるいはできたときの避難法というものを考えなければいかぬということでございまして、消防庁のほうとも十分連絡をとりながら指導してまいりたいと考えております。
  65. 小酒井義男

    小酒井義男君 資料をお願いしたいのですが、最近の国際線の利用者ですね、これの日本航空を利用する日本人の率と外人の利用率、それから諸外国の飛行機を利用する日本の利用者と、その他の国の利用者と、それがどういうふうな傾向をたどっておるか、数字をひとつ出してもらえませんか。
  66. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) 仰せの資料、調製できると思います。でき次第御提出いたしたいと思います。
  67. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会