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1968-03-28 第58回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)    午後零時十七分開会     —————————————    委員の移動  三月十四日     辞任         補欠選任      岡本  悟君     豊田 雅孝君  三月十五日     辞任         補欠選任      豊田 雅孝君     岡本  悟君  三月二十七日     辞任         補欠選任      井野 碩哉君     紅露 みつ君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷口 慶吉君     理 事                 岡本  悟君                 重政 庸徳君                 大倉 精一君                 木村美智男君     委 員                 木村 睦男君                 河野 謙三君                 紅露 みつ君                 沢田 一精君                 小酒井義男君                 森中 守義君                 田代富士男君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省船舶局長  佐藤美津雄君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省海運局次        長        高林 康一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る二十七日、井野碩哉君委員辞任され、その補欠として紅露みつ君が選任されました。     —————————————
  3. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事一名欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。それでは理事岡本悟君を指名いたします。     —————————————
  5. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 木村美智男

    木村美智男君 簡単に質問をしたいと思うのですが、この臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を審議するにあたって、海運整備期間というのが大体ことしの五月だったか七月だったかその辺で終わるようになっておるようでありますが、これからの海運政策、これは船の問題だからあるいは所管が海運局長かもしらぬけれども、建造法の問題にやはり関係を持ってくるものだから、大体そういう意味で、どういう考え方を持っておるかということがいまあればひとつ聞かしてもらいたいと思うのですが、何か話によると、合理化審議会に諮問しておるようなことも聞いておるわけです。したがって、まだ運輸省としてはそういう政策的なものはできてないというならばそれでもやむを得ないと思いますが、その辺どうなっていますか。
  7. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 先生いまおっしゃったように、海運関係法海運局で所掌しておるわけでございますけれども、われわれのほうのこの建造調整法関連しますと、結局船台の確保という問題がまず第一に上がって出てくるわけでございます。これは海運政策の現在行なっております大量建造、そういうことでございます。それから、なお、需給調整ということでございますけれども、それにつきましても多少船腹の、ある荷物に応じた過剰船腹とか輸出船との荷物取り合いの問題とか、そういう問題の需給調整がございます。したがって、この法律の点から申し上げまして、この法律が必要であろうということに在るわけでございます。
  8. 木村美智男

    木村美智男君 船をこれからつくるということ、あるいは調整をしなければならぬということに関連をしてお伺いをするのですが、現在の、何というんですか、日本船の積み取り比率といったようなものが今日の時点ではどういう状態になっておって、今後これをどういう方向に持っていこうとしているかというようなことですね。これはやっぱり船をつくることの問題と関連をしてたいへん大事な問題なので、ちょっと伺い威す。
  9. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) これにつきましては、昭和四十一年度の邦船の積み取り比率と申しますのは、前年度の輸出が三六・三%、それから輸入の四三・二%に比べますと、それぞれ三六・九%、四七・三%と若干改善されてきております。これはいわゆる現在行なっております大量建造方式の効果であるというふうにわれわれは考えております。したがいまして、われわれ造船の面から申しますと、この大量建造は、やはり海運国際収支に十分に寄与するものであるというふうに考えております。なお、この現在の国際海運収支は四十一年度の赤字が五億七千三百万ドルでございましたが、これがさらに五億九千二百万ドルと四十二年度は多少悪化しているわけでございます。
  10. 木村美智男

    木村美智男君 大量建造の結果、積み取り比率が上がってきているということで数字的にも示されたわけですが、これはほんとうは、理想を言えば、どのくらいになることがいいんですか。
  11. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 今後の見通しといたしましては、経済社会発展計画というもので一応示されているわけでございますけれども、それによりますと、邦船の積み取り比率輸出において五五%、輸入において六三%を目標とする、それで昭和四十二年度以降は昭和四十六年まで約九百万総トン建造が必要である、かように一応考えて、これをいわゆるわれわれの考えの基礎にしているわけでございます。
  12. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、大体九百万総トン建造していけば、この目標の五五%なり六三%に到達をするということになるんですか。  それからもう一つは、九百万総トンつくればということは、すでにもう運輸省の具体的なこれからの船腹建造計画というかね、そういうものとしてもう策定をされているのかどうか、こういう点をお聞きいたします。
  13. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 一応、経済社会発展計画において示されている、これはオーバーオール考え方でございますけれども一、運輸省といたしましては、先ほど先生おっしゃいましたように、ただいま海運造船合理化審議会のほうに諮問をいたしまして、それによって詳細の計画を定めるようになると思います。
  14. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃまだ具体的な造船計画としてはできてないということですね。合理化審議会に相談をして、その答申を待って運輸省は今後五カ年計画ですか、これを立てるんだと、こういうふうに了解していいんですか。
  15. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) わが国の船につきましては、一応経済社会発展計画におきまして、先ほど申し上げましたように、一応の目標としまして、それに準拠してやることにしておりますし、今後新しいもっときめのこまかい計画が出るかとも思います。造船のほうから申し上げますと、去年の五月にやはり海運造船合理化審議会のほうにおきまして、世界海上荷動きから見まして、世界建造船腹需要量、また、それに伴って日本シェアの従来の経緯から、大体これくらいの船腹を毎年建造する必要があるという見通しを立て  ておるわけでございます。
  16. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連をして大臣見通しとして伺いたいのですが、実際の問題として積み取り比率輸出五五%、輸入六三%というような率に持っていく可能性があるというふうにお考えになっておるかどうかということが一つ。  それからもう一つは、いままで輸出入伸びてきたというのと同じような考え方で、これからも輸出入がどんどん伸びていくものかどうか、テンポが私は相当いままでよりも減退するのじゃないかというふうに思うのです。そういうことに対するどういうふうに見通しをされておりますか。大臣にひとつそれだけ二点。  それからもう一点は、大臣でなくてもけっこうですから、たとえば輸出輸入を五〇、五〇まで持っていくとすれば、九百万トン建造目標をどこまで下げることになるか、そういうことをひとつ事務当局のほうからお聞かせ願いたい。
  17. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 小酒井委員御指摘のとおり、きわめて困難な事態にあると思います。と申しますのは、日本貿易量で見ますと、輸入輸出バルキーカーゴー等の量は、十対一の比率であります。したがいまして、こういうような貿易構造にある限りは、邦船の積み取り方向へ転換するというのは、なかなか苦しい状態にあるわけであります。しかしながら、ほっておきますと、現状以上に積み取り比率は悪くなる可能性が起きてきます。と申しますのは、日本経済成長はかなり高度でありますから、貿易量がふえていくからであります。そういう意味におきまして、最低限現状を割らないように、そして現状からさらに、でき得べくんば経済社会発展計画の線に進めていくようにわれわれとしては全力を尽くさなければならぬと思うのであります。そういう面から九百万トンという量は、まあバイタルな、致命的なラインであると私たちは考えておりまして、現在の計画造船が一応ことしで期限は終了いたしますけれども、来年以降もそういう意図のもとにさらに大きな発展計画海造審からも出していただきまして実行していきたいと思うのであります。  なお、輸出輸入の問題につきましては、世界貿易伸びがことしあたりは昨年に比べると若干落ちる様子であります。大体六%ないし七%という程度に落ちる模様であります。今後のゴールドラッシュであるとか、ポンドドルの問題とか、後進国との関係等を見ますと、いままでのような率で伸びていくということは、必ずしも予断を許さない状態であると思います。そういう意味におきましては、われわれとしては、あらゆるチャンスをとらえて、世界貿易拡大発展するような政策を強力に国際的にも推進してもらう。これはやはり一つ国際貨幣の安定ということと、それから関税やその他において輸出入障害になるような措置をできるだけ排除していく、そういう線を国際的にも推進するとともに、日本自体輸出をふやすという努力を国内的にもしていかなければならぬと思います。
  18. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 日本造船のほうから見ますと、大体世界造船事業、これに沿いまして現在のシェアをできるだけ確保するということでございます。先生のただいまおっしゃいましたことは、まあ国内のことにつきまして貿易量と九百万トン関係だと思いますので、海運局長にお願いします。
  19. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 途中から入ってきましたので質問趣旨十分のみ込んでおりませんが、積み取り比率の五五%、それから輸入の六三%というのは維持できるか、きびしい輸出環境国際経済環境にあってそういうものが維持できるかという御趣旨に理解してよろしゅうございますか。
  20. 小酒井義男

    小酒井義男君 五五、六三ということを目標にして九百万トン建造ということを考えた場合に、これがもう五〇、五〇より出ないというようなことになれば——最終的にですよ、その場合にこの九百万トンという建造は少し過剰になりますね。その場合はどのくらいの建造が必要になるかという数字をお尋ねしたのです。
  21. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) この経済社会発展計画は国十二年から四十六年までの計画でございまして、その間に約九百万トンの船をつくる必要があると、その前提はいまおっしゃいましたように輸出五五、輸入六三ということでございます。で、この九百万トンというのは、船の場合は四十六年の年というのは使えないのです。これはもうその年までに船ができていなければならないわけでございますから、船舶建造計画としては四十五年までということになります。したがって、四年間ということになる。したがって、九百万トン計画のうち、百万トンはこれは自己資金船でまかなわれるであろう、九百万トン全部が計画造船ではないという前提考えております。そうすると八百万トンを四年。そうすると大体二百万トンペースでやればいい。こういうことになるわけでございます。大体四十三年度は二百二十万トンといわれておりますし、本年度は二百万トン、その前の年が百九十万トンですか、大体二百万トンというペースですでに進んでおるわけでございます。それで、四十三年度までもう組んでおりますから、もうあと四十四年ですか、もうあとわずかでございます。それで、もしこの五〇%ということに落ちるならばもっと少なくて済むではないか、計算上そのようになるかと思いますが、いまちょっとややこしい計算をしておりますので、いま五〇に減ると、それになんぼ少なくて済むかという計算はすぐちょっとここで申し上げにくいのでございますが、若干は当然減るわけでございますが、われわれとしては、もうあとちょっとのことでございますから、大体このペースでいっていいのではないかというふうに考えております。
  22. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、いまね、今後経済成長に伴って貿易のほうは拡大発展をさしていかなければならぬということで、そのためには一つ通貨の安定をそれから阻害要件を排除していくということが問題だと、こう言われた。この前、そうですね、二週間ぐらい前かと思いますが、新聞で拝見しますと、大臣きわめて後進国というか、あるいは新しい貿易地域の開拓といいますかね、非常に意欲的な方向が出されておったような気がするのですが、特に最近のアメリカ課徴金の問題などから考えれば、貿易はむしろ発展というよりも、どっちかといえば縮小、あるいは現状維持的な傾向にあるというふうにいまむしろ想定をされる状況の中で、一方では一〇%ないし一二%ぐらいの経済成長ということになってくれば、貿易発展方向をどこに求めるか。かりに対象をどこに求めるかという問題だけでなしに、その中身として日本が大体今後貿易発展さしていく品物というものは大体どういう産業に求めてやっていくかというようなこと。一つ海運というか船舶建造といいますか、輸出船とか、そういった意味合いを含めて大臣に、少し新聞だけでよくわからぬから、雄大な構想をひとつお伺いをしたい。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大まかに考えてみまして、やはり一番大きなポイントは国際通貨の不安定を排除して国際的流動性を強めていくということが一番基本的問題点であるように思います。現在ゴールドラッシュというようなことで、やや梗塞の感がありますが、私の感じではそれほど悲観的ではないのであります。よく金が一オンス七十ドルに切りかえられるのではないかとか何とか憶測しておりますけれども、私はそういうことは信じておりません。あれほどゴールドラッシュがあってもフリーマーケットですから四十四ドルまで上がったので、政府政府間の市場は認めるけれども、民間市場からの金は買い上げない。そういう断絶してしまうと民間市場の金が余ってくるわけです。そういう面から見ても、金は下がる可能性がある。現に四十四ドルから三十ドル台に下がる傾向にありますし、要するに金にはあまり神経質になる必要はないじゃないか。現に日本を見ても、戦後日本は金と断絶して日銀券を刷っておりますけれども、経済成長をしておりますので、そういう意味では昔の金本位制者流考え方をとらぬのです。むしろ大事なことは、物価国際収支のしりを見ていけばいいのであって、現在の通貨基本はその国際信用力あるいは経済的自力、馬力の信用からきているだろうと思う。それが物価とかあるいは国際収支にも出てきておるだろうと、そう思うのです。世界経済もやはり日本経済と同じようなもので、国際的なチームワークで国際通貨を維持して、それでやっていこうという意思の協力と、それに対する体制ができておれば必ずしも金というものを必要としない大勢である。現に金プールというものが事実上崩壊したとか言っておりますけれども、ポンドドルの再建についてみんな協力するという意思は表示しておるものですから、別な大きなものが沈静して、SDRをつけるということはむしろ金から断絶するという方向に進んでおるので、私はむしろそういう計画経済的な管理通貨制度世界は移行していくというふうに見ておる。そういう意味からSDRがどんどん出てくるように表れば、世界貿易がどんどん発展してくる。また第二の発展の時期がくるように思いますので、現在は停滞しておるけれども、将来全般的にわたって悲観的な考え方は持っておるものではありません。しかし、当面の問題として、アメリカベトナム戦争を続行しておる限りアメリカの帳じりは流出が続くと見ざるを得ない。流出というよりも国力その他に対する力が多少衰弱するだろう、そういうことはベトナム戦争が続く限り、現在のテンポで続く限りそういうことは考えられる。そういう意味において、国際貿易障害に遭遇することはあるだろうと思います。そういう中に、日本経済をどこに発展させていくかといいますと、一つはやはりドル圏ポンド圏というような、わりあいに国際通貨を持っておる面に向かって日本の適正なものをどんどん輸出するということはあり得ると思います。たとえば自動車なんかはこれから大いに伸びていくんじゃないか。船がこれだけ十年間世界一出しておりますので、自動車アメリカ伸びはじめましたが、この伸びの度合いでいくと、西独を追い越し、アメリカでは次には自動車輸入の問題が相当問題になるくらい自動車伸びていくだろうと思います。そういうものがほかにもあって、従来の雑貨その他のものもそういう日本的適性を持った特殊の財貨に移動していくことが一番いい、そう思います。雑貨類はやはり香港とか、台湾とか、低労賃の国に追いつかれてきて、いずれは苦しい目にあっていくように思います。しかし他面において、東南アジアとかあるいは中国だとか、そういう未開拓の分野伸びていく。あるいはアフリカとか、南米とか、これは必然の流れであって、国際社会が多元化していく。しかも第三次世界大戦のようなカタストロフィの可能性がないというような、こういう段階においては、あらゆる国と友好関係を結んで、貿易を促進していくということが私は良策であろうと思います。そういう観点からしても、共産圏貿易やあるいは後進国と申しますか、開発途上の国と申しますか、特にアフリカ南米等についてもわれわれとしてはもっと力を入れる分野である。そういう努力をして、いろいろな市場を開拓していけば、日本としては国際立地の条件は非常にいいのでありますから、悲観するにあたらないと、そう考えております。
  24. 木村美智男

    木村美智男君 問題が船の問題だからね。(笑声)きょうは御高見を承るだけにしておきまして、ただ、いま言われた中の自動車なり、船なりという、たいへん身近な質問になるのですが、何か外国船が非常に日本で、日本造船所に注文をしてくるという問題、これは外貨獲得の面から考えても、私は相当重要視していい問題だと私は思うのですが、しかしそれについて、逆に日本船が、たとえば今日のような状態利子補給制度をとっておっても、なおかつ、まあとんとんくらいで、そうでなければどうも日本船は太刀打ちできぬという状況にあるということは、私はこれはどうもあり方としてうまくないと思うのですよ。利子補給という問題が、たとえば海運整備をしていく一時の手段として国が手伝ったという、そういう意味というものはこれはあったと思うのですけれども、それがいつまでもささえられていかなければならないのだということではだんだんなくなってきている。もうすでに、何というか、各会社における償却問題にしても、それから約手代金ですか、こういうものもほぼ解消できるという段階になってくれば、当然これはもう利子補給金的なものは打ち切らるべき運命にあるだろう。そういうことを考えなきゃならぬ時期にきている。しかし、一たんはずせば日本船競争に立っていけないということについては、しろうと考えからいけば、それは少し外国船を安くつくっておりはせぬのか。そこのところぼちぼち何か考えていかなければならんのじゃないかというふうに考えるわけです。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本輸出力の中で造船の果してきた役目は、私は非常に多いと思うのです。ともかくも日本輸出金額の中で一〇%程度を占めてきて、しかもそれが国際的に制肘を受けてない。向こうがボーダータックスとか課徴金とか、いろいろなものをやる場合には必ずガットであるとか、いろいろな国際的制約を受けるわけですが、日本が国内的に輸出船舶に対して補助助成措置をとるということは、別に国際的なクレームはこないわけです。そういう意味から、日本の持っておる技能と、それから鉄鋼、そういう力を一〇〇%動かしながら、外貨獲得国際的波紋を起こさずしていままで貢献してきた意味において、造船の力というものを見直していいと思うのです。そういう面から見て、これだけの補助助成措置というものは切るべきではない。日本としては非常にアドバンテージのあるいい方法をやっておる、国際的なクレームがつかないという意味においても。これが、通産省が輸出奨励金とかリベートをやると必ずガットその他で報復措置を受けてくるのですけれども、造船においてはそういったことがなくして公然とやられておるわけです。そういう意味から、日本としては非常なドル箱であると私は考えます。それから将来につきましても、これからの国際的な造船競争と申しますか、海運競争はもっともっと激しくなると見通されます。イギリスにおいても二五%の補助金を一隻について国が出しておる。四はいつくると一ぱいは国がただでつくってくれるという形になる。その程度助成イギリスがやっておるという現状を見ますと、日本としてもこの程度奨励助成措置というものは当然継続さるべきである。ただし、さらに拡大していくためには、業者が蓄積した自己資本力を、今度は再生産に転用すべき段階にきた。その点もわれわれは次の段階では大きく取り上げて、業者努力を要請しなければならぬ場面であるとは思います。しかし、それらはプラスアルファとして新しい段階に応じて活用していくべきものであって、国策の機関というものはもっと保護奨励措置をとる方向にいくべきであり、後退すべきではない、そう私は思います。
  26. 木村美智男

    木村美智男君 その利子補給をどうするかという問題は、もう少し先へいってからあらためてこれも議論したいと思います。大臣の言うように、もうかるから造船利子補給は今後継続していくのだということにはにわかに賛成しかねるので、これは、そこはいろいろ問題のあるところだから、きょうの直接法案に関係をしては参考までに伺ったわけですが、そうしますと、このいまの利子補給関係は、これはあとでまた法律問題として出てくるから、そういうことで質問としてはやめますが、最近、船の建造の問題について、特にコンテナ船建造問題が、これはいわば海運の革命ともいわれているような状態で、非常に何というか、日本でも大きなウエートを持ってきているわけですけれども、これをいま二つのグループに分けて、そうしてやるようなことを運輸省としては指導をして現実に進めているようですが、国際的には大体コンテナというものの運用というのは一本化したり、場合によっては外国とまで共同して、そうして運営を行なっているというようなそういう状況なんですね。ですから、そういう面から考えれば、私は日本の場合にもこれはグループを分けてやるということについて、やはりもう少し検討をしてみる必要があるのじゃないか、かりにグループを分けてやろうとするならば、たとえばAグループはタンカー専門であるとか、Bグループは定期船のほうをやるのだとか、むしろそういう使い分けならいいけれども、荒物屋じゃないが、とにかく何でも屋を、両方のグループがやっていくというような運用は、ほんとうに効率的な運用であるかどうかということについてはもう少し検討する必要があるのではないか、これは海運局長になるか船舶局長になるかわかりませんがね。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その前に……、海運あるいは航空輸送の問題で、コンテナあるいは航空貨物の問題というのは当然次に起きてくる大きな問題であるだろうと思います。そうしてまた将来性のある課題であるだろうと思います。しかし現実において、今日の時点において、日本はその線に強く乗り出していいかどうかということになると、現実の政策を行なうものとしては、若干慎重にならざるを得ないのであります。コンテナを現在船つくってやっても、相当な赤字になるということはもう明らかでありますし、日本海運会社がいまそれほどまだ充実もしていないのに、今日コンテナ船に踏み切ってまた相当な出血をして、それで国全体のバランスの上から見て適当であるかどうかという観点がやはりあると思います。  で、われわれはそういう観点から、航空貨物の問題とコンテナの問題については、非常に精査をして、あやまちないようにやっておりますが、コンテナの問題につきましては、今度の二十四次船におきましては、そういう観点から、もうしばらく見たらどうか、外国船の模様、出血の模様、そういうような問題をもう少しよく見て、そして日本が乗り出していったらいいのではないかと、そういう気がして、たしか二十四次船にはコンテナ船は……詳細については政府委員から答弁させますが、基本方針はそういう考え方に立ってやっておるのであります。  それから海運会社の編成の問題につきましては、これは政府委員より答弁させます。
  28. 高林康一

    説明員(高林康一君) コンテナの問題につきましては、今後の海上定期航路におきましてはやはりコンテナは大きい趨勢になるというふうには考えております。そういう観点から、コンテナの対象になります航路は、主として北米あるいは欧州あるいは豪州、まあこういうふうな航路がコンテナ化が比較的早い時期に着手されるというふうに考えておるわけでございます。ただ航路の姿によりまして、コンテナ化の速度がいろいろ違ってくるかと思います。そういう観点から、北米太平洋岸航路につきましては、これを近く開始いたしますけれども、豪州航路につきましては、これは現在の段階から見ましてややまだ時期が早いという観点から、先ほど大臣のおっしゃいましたとおり、二十四次船におきましては、豪州関係コンテナは一応見送っております。今後やはり荷物の動向によりましてコンテナ化を進めてまいりたいというふうには考えております。  その場合の企業体制の問題といたしましては、先ほど御指摘のございましたように、大体ヨーロッパ系統の海運会社におきましては、これが会社を合併するとか、あるいはまたグループ化をする、そして別の会社をつくるというようなやり方をとっております。アメリカ関係につきましては、それぞれ単独の会社がやっておるというような姿が多いようでございますが、わが国といたしましても、現在海運企業の再建整備の期間でございますので、業界のこのコンテナ化に伴いまして過当競争の生じないようにということ、しかしながら過当競争を排除するとともに有効競争原理というものを導入するというような考え方で、現在北米太平洋岸については二つのグループでもってこれをコンテナ化をはかっていくという体制を進めつつあります。  ただ、御指摘のとおり、この二つのグループのほうがより効率的であるかどうか、やはりコンテナ化の大きい影響というようなものを考えますと、もっとこれを一本化するほうが妥当ではないかというような考え方もございますので、私どもといたしましては、さらにコンテナ化のスピードその他の面を見ながら、いかにして有効に、ことにコンテナについては非常に諸外国との競争が激化すると考えられますので、どのような体制が有効であるか、これらの点に関しましても、今後海運造船合理化審議会の御意見等も承りながら、今後の企業体制のあり方を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それからコンテナに限りませず、一般的な企業体制の問題といたしましては、先ほど先生のおっしゃいましたように、タンカーとか定期とかそれぞれわけて特殊専門的にやるという考え方も非常にメリットがある。それが能率を上げる上にいいという点もありますけれども、やはり全般的に定期あるいはまた不定期あるいは専用船、タンカーというような総合的な経営をやりますことが、景気変動の波に対応するというような点から見て妥当な場合が相当あると思います。したがいまして、企業の体制といたしましてはもちろん専門的にやっていく姿も考えながら、若干の会社につきましては、やはり今後総合的な経営という姿のほうが妥当ではないかというふうに一応考えておりますけれども、これらの問題につきましても、再建整備後の海運体制、企業体制のあり方というような問題と関連いたしまして、海運造船合理化審議会の御意見を承りながら結論を出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  29. 木村美智男

    木村美智男君 もう一つ簡単に。  この提案説明にありますね。要するに本法をつくる趣旨として、とにかく国家経済の要請に適合したものに結果としてなるように調整をする、あるいは「わが国国際海運の健全な発展に支障を及ぼすことのないよう調整する必要」上この法律をもう一期延期するのだ、こういうふうに、これは船舶局長ですか、書いてあるわけですが、抽象的には調整する力をこれに持たせるのだということで、何かものさしがある程度あって、そこへ合わせていくという意味調整意味するのか。実際に出てきた問題にぶつかって、そのときの状況からケース・バイ・ケースでとにかく調整ができる権限をこの法律として持っているのだということなのか。そこら辺でもし前者のほうであるならば、大体具体的なものさしというものはどういうものを指しているのかということを伺いたいわけです。それで終わります。
  30. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) このものさしとしましては、第三条の許可の基準これの第一項にありまして、「当該船舶の建造によってわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」ということに関連しまして、これにつきましては第二項で、「運輸大臣海運造船合理化審議会にはかり、その意見を尊重して決定し、これに従つてしなければならない。」、こういうふうになっております。それで海運造船合理化審議会にはかりまして、告示によりまして、四項目ほどこれに関する告示を出して、それによってやるわけであります。
  31. 大倉精一

    ○大倉精一君 時間がないようですから……。私はこの提案理由を読ましてもらいましたけれども、しろうとなりに素朴な質問をしたいと思いますから、簡単に答えてもらいたいと思います。  第一番には、輸出船と国内船ですね。これは造船にとってどっちが有利なんですか。端的に申しましてどっちが有利になりますか。
  32. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 大体建造価格から申しますと同じでございます。ただ輸出船の場合は非常に先物が多いという問題、それからやはり外国人好みの特別な要求ということがありまして、船価の面では多少高くなる、しかし大体同じというふうに考えております。
  33. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこでまあ私読んでここに疑問に思ったのは、外国船はもうすでに昭和四十六年度以降のものまで引き合いがあるというのですが、国内船はわずかに着工前、二カ月か三カ月前より契約ができない。ここにやはり問題があるのではないかと思うのですね。造船業にとってみれば、注文があるかないかわからぬものを待っているわけにいかない、こうなるのですが、もっと先のほうの契約がなぜできないのか、ここに疑問を持ったのですが、そういう点について御説明を願いたいと思います。
  34. 高林康一

    説明員(高林康一君) 国内船の建造は、現在大部分開銀の財政資金によりまして建造されるものがほとんどでございます。したがいまして、この国内船の建造の場合、開銀の財政資金ワクというものが毎年設定される、それから、同時に利子補給というようなことが毎年度、予算で定められておりますので、これについて結局数年先のものを定めるということが現在のやり方といたしましては非常にむずかしいということで、結局その年度年度ごとに契約をいたしまして、その年度ごとに契約をするというかっこうになっておるのが実態でございます。その原因は主としてやはり財政的なワクの関係ということでございます。ただ、やはりそういう点におきましては、発注の弾力性という点においては非常に欠くるところがございますので、現在のところ予約制度というようなものをやって、そしてある程度予約をするということもやっておりますけれども、これも非常に財政的な関係で困難であるということで、あまり活用されておりません。しかし御指摘のように、こういうような問題をやはり今後発注の弾力性をどのようにして確保していくか、市況に応じてやっていく必要があると思いますが、発注のこういうやり方をどのように弾力的にするか、さらに私どもといたしまして検討を進めて、今後の海運対策の一つの問題といたしまして考えていきたいと考えておる次第でございます。
  35. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあそういう点をですね検討してもらわないというと、外国船はどんどんと四年も五年も先のものを注文してくる。しかもこの提案理由によりまするというと、五年間ぐらいはまだ大型船というものが独占になっておると、そういう中で国内船の船台を確保するというのがこの法律趣旨ですから、したがって、いまのお話で開銀の問題やらいろいろあると思うんですけれども、二、三カ月前より注文が出せない、あるいは契約ができない、こういうものをほっといて、そして外国船だけをチェックするということはこれはやっぱり抜本的な問題にならぬと思うんですね。運輸大臣どうでしょうかね、これはやっぱり先のものを見通しつけるような行政指導なり考え方をしないというと、この法律のほんとうの趣旨は生きてこないと思うんですが、いかがでしょう。
  36. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは全くお説のとおりであるだろうと思います。ただ、いまの国の予算制度が四月から一二月までというサーキュレーションになっておりますので、開銀のほうもそれに合わせて財政計画を立てておるので、昔のような継続費みたいな形で包括的に委任されればいいのですけれども、その点がやはり財政上の問題として検討すべき問題であるだろうと思います。そこでことしは、二十四次船の割り当てにつきましては、そういう点も考慮しまして、大体船会社の財務諸表は開銀が調べて体質を見て、それと運輸省政策に基づいて割り当てるという形をとっておりますが、開銀とも特に相談をして非常に速い事務ベースの仕事を進めさせまして、去年から見ると非常に早い期間に大体文句のないものは内示をさせて、船台その他の手当て、鋼材の手当て等もやらしております。問題点だけ少し残してあります。そういう点はことしは特に心がけまして、行政措置を行なった次第であります。今後もそういう点の改革は大いに心がけてまいりたいと思います。
  37. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは一時半までという時間が、最終時間が示されておりますから、いろいろ問題点聞きたいことありますが、まとめてお聞きしていきたいと思いますから、最初にお願いしておきたいと思います。  いまもいろいろお話がございましたが、いま日本造船界というのは、御承知のとおりに輸出船の進水量では三十年以来世界一の実績を今日まであげてきているわけなんです。これは日本の国にとりまして、こんな輝かしい業績はないんじゃないかと思うわけなんです。ところが、いまのお話にもありましたとおりに、国内船の船造価格と外国船の船造価格はほぼ同一である、特に外国船は好みによっていささか値段の違いはある、そのように申されましたが、まず日本輸出量——輸出船の進水量では世界一であるけれども、外国船と国内船とどのくらいの比率で歩んできているか、それと同時に、世界的に見まして造船需要は今後どのようになっていくかという将来の見通しですね、それに対しましてやはり対策というものもいまから立てておかなくちゃならないと思いますから、最初にその点を運輸大臣にお願いしたいと思うんです。
  38. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 詳細は船舶局長等から答弁させていただきますが、国内船と輸出船との問題というのは、いろいろいままでも御批判がありまして、輸出船に非常に補助を集中して外国へ出す船を安く出させてきまして、それが日本船を食ってくる、外洋へ行ってから食ってくる、そういう矛盾があるではないかという批判がずいぶんございました。しかし実情を見てみますと、大体競争力はフィフティー・フィフティーくらいでいっているだろうと私は思います。国内の建造量の中で、じゃ何割何割くらいになっているかということは、正確に船舶局長から答弁さしていただきたいと思います。  それでよろしゅうございますか。
  39. 田代富士男

    田代富士男君 今後の見通し……。
  40. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 造船業の将来の見通しという点でありますが、世界経済発展していけば当然造船業というものも発展していくはずであります。世界経済発展見通しとも関係いたしますが、私はわりあいに楽観論者でありまして、国際通貨制度というものが鎮静し安定していけば世界貿易も再び上昇速度を高めるという気がいたしまして、長期的に見たら相当な速度で造船業というものはまだ発展していくのではないか、このように考えて、国内的にもそういう用意をしておかなければならぬように思います。
  41. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 実は四十年度は大体国内船と輸出船比率がほぼ同じでございますが、四十一年、四十二年は大体国内船の一に対しまして輸出船が二のような状態になっております。なお四十三年度以降は先ほど御説明ございましたように国内船は非常に少なくなっておりまして、ほとんどが輸出船になっております。計画造船が入っておりませんので少ないわけですが、これが入りますと大体建造が一対二というかっこうに四十三年度はなります。それから四十三年度以降は全部輸出船という予定になっております。  それから世界建造需要の見通しでございますが、昭和四十五年を見ますと、大体世界建造需要は千五百万トン、それに対しましてこれは海運造船合理化審議会見通しを立てた日本建造需要は七百二十万トン、それからさらに昭和五十年度、これにつきましては世界建造需要は二千八十万トン、これに対しまして日本建造需要は千六十万トン、すなわちこれぐらいの、五〇%くらいの比率でつくっていこう、こういう考え方でございます。
  42. 田代富士男

    田代富士男君 いまお聞きしたのでは昭和四十五年の世界建造需要が千五百万トン日本の国内は七百二十万トン、五十年が二千八十万トンで千六十万トン、将来ともに約五〇%の比率を占めていくんじゃないか、そういう今後の見通しである。現在日本造船業界におきまして約世界の四七%くらいのシェアになっているのじゃないかと思うわけなんですが、これはやはりいままでの中で、西洋関係造船界というものが不況におちいりまして、御承知のとおりにこれはOECDの場におきましても、この問題が取り上げられまして、真剣に論じられたことはすでに御承知じゃないかと思うわけなんです。そうして、近年に至りまして、その造船業界を見てまいりますと、まあ急激に好転のきざしを見せてきておる、その一つのあらわれが油送船あるいは鉱石専用船の大型化の傾向が目立ってきた。これは一つは船主としましても、競争上からも大型船で経済性の高い船を建造していったほうが合理的であるという関係から、そういう発展を見てきたと思うわけなんです。もう一つは、いまも申しましたとおりに、日本シェアが四七%という大きい比率を示しているために、何としてでもいま運輸大臣が申されましたとおりに、一つの船に対して二五%の資金を政府が出すというくらいの政府並びに企業努力によりまして何としてでも日本の国に対抗していこうという、そういう面が着実にいま見えてきておるわけなんです。そういうことも考え合わせて、ただいま申されました見通しというものが出ているわけなんです。また、現在手持ちの受注量というものも、まだこの四、五年くらいは困らないということでございますが、きょうの問題になっていますところの臨時船舶調整法は、国内船の造船のために支障を来たさないためにというところでいま審議されておりますけれども、いつまでも私はこのような事態が続くだろう、そう願いもし、そうあらねばならないと私も思うわけなんですが、しかし、現時点における世界造船業界の状況がそれだけの建造能力がなかったために、日本造船伸びてきたけれども、相手が伸びてきた上に、現在のこの実績というものを維持していくことは並みたいていのことではない。もしもこれが、やはりそれだけの設備をしましたならば、受注もとらなければならない。そうした場合に、日本造船業界の実績というものが落ちてきた場合に、こういうことは考えたくないのですが、やはり備えあれば憂いなしということもありますが、そういうことも現在考えていらっしゃるのかどうか。また、そういう心配は要らない、あくまで強気で行くのだというお考えであるか、その辺のことについて御答弁願いたいと思います。
  43. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) ただいまの御質問に対しまして、一応海運造船合理化審議会の答申に基づきまして御返事申し上げたわけでございますが、当時、去年の五月でございますが、すでに日本の新造大型のドックの動向、それから外国の動向、それを全部一応検討いたしましてつくった資料でございます。しかし、確かに向こうの設備もだんだんと大きくなり、かつ設備されてまいりますので、この辺の建造需要の伸びの変動というものは、多少あろうかと思います。  それからわれわれとしましても、日本現状造船界の復興したその現状をできるだけ確保していきたいと、かように考える次第でございます。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 いまのあれでは、さっきの答弁から一つも前進していないと思うのですけれども、時間がありませんから、まあその程度でとどめておきたいと思います。いずれにしても強気で、また世界の諸情勢を調査し、いろいろな動きを見た上に立てたことであるから間違いはないという確信を持った上に進めていこうという御意向じゃないかということを拝するわけなんですが、まあそこまで強気で海運日本の意気を示していこうという意気込みもわかるわけなんですが、この臨時船舶建造調整法の法案は、御承知のとおりに昭和二十八年に制定されまして、当初四年、昭和三十二年三月三十一日までの時限立法であったのが、逐次本法の有効期間を延長し、昭和三十一年あるいは三十五年、三十九年の改正によりまして、四年間の延長を行なってきまして、現在の有効期間四十四年三月三十一日までとなっているわけなんです。こういう造船というものに対しては、契約期間が四十四年ということはありませんし、前もってこれを改めようという趣旨はわかるわけなんです。いま強気で造船の問題に取り組んでいらっしゃる政府の立場であるならば、これが逐次このように有効期間を延長して改正をやってきておりますが、このように次から次に変えるのでなかったならば、恒久的に立法化したらどうなのか、あるいは今後この法案を不要とする場合が出てくるのか、まあ私はそういう点でいまさっき日本造船界は現状ではよろしいけれども、これが不況におちいった場合はどうするかと聞いたのは、この法案が逐次切りかえられている。そこまでだったら恒久的に立法化して、それだけの確信があるなら取り組んだらよいのじゃないか、そういう点をあわせた上の質問であったわけなんですが、この点についてもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  45. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) この法律の目的がまあ大体三本柱、すなわち船台の確保、すなわち船腹需給調整、それからもう一つは船質の確保という三つの柱に支えられているわけでございますが、先生のおっしゃったことにつきましては、われわれが今回法律改正をお願いしましたのは、大体現在の段階で、まあもう一度お願いしたわけでございます。それでもし今後なお強気ということがこのまま続くとすれば、相当その時点においても問題になると思いますけれども、差しあたっては一応臨時に今回お願いしたということでございまして、また御指摘の点も含めまして、この次の時点に至りましたならば十分に検討さしていただきたいと、かように考えます。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 いま申しましたけれども、この有効期限を次から次に延長しておいでになりましたけれども、運輸当局として実際運用面でどのようにこれを行政指導されてきたか、またその結果、こういう効果が出てきた、もしこの法案がなかったならば、どういう不都合なことが起きるのか、それをこれがあったためにこのようになってきた、あるいはどのように行政指導してきたかという運用面の証拠があったならば実績をお示し願いたいと思います。
  47. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 運用面の実績は多々あるわけでございますけれども、たとえばまず第一点の船台の確保でございますけれども、先ほど海運局次長からお話ございましたように、われわれのほうとしましては、たとえば輸出船は非常に先物といっているわけでございますが、直物の国内船に対しましては、十分にそれが入るような措置を講ずると、それからまあ緊急的に入れる必要があるものということにつきましては、外国船は大体契約引き渡しの時期だけを押えているわけでございますので、比較的長い建造期間というものをとりましてそこにはめ込むということのできるように指導しているわけでございます。  それから需給調整関係でございますが、これにつきましては、たとえば国内船同士につきましては、たとえば近海の、国内船があるブームがきますと、非常にたくさん建造計画が出てくる。そういうときには、もちろん海運政策の面でございまするので、十分海運局のほうと相談しまして、そしてある程度それをしぼっていく。それからさらに余ったものは、余ったと申しますか、さらにその建造の時期を先に延ばす、そしていわゆる需要の増加に対処させるという具体的な例がございます。それから輸出船でございますけれども、輸出船邦船との競合の問題、これにつきましては、非常にいろいろなケースがございまして、もうすでに最近はあまりないわけでございますけれども、長期積み荷保証をとる目的で日本に注文をするというような船につきましては、これがFOBで日本の船主に肩がわりできるようなものは、これを肩がわりさせるというような方法をとっております。それからCIF輸送で、これは肩がわりももちろんできないし、運賃も非常に安いというものにつきましては、一応これはできるだけ支障のないということを確めてから許可をするという方法をとっております。具体的な実は資料もございますですが、どうしましょうか。
  48. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは時間がありませんから。  いま話をされましたけれども、私はこのように国内船の建造のための船台の確保とかいろいろありますが、これによって大企業造船会社というものはずいぶんに擁護されていっているわけなんです。まあ日本の国としても、一つの国策としての当然のことじゃないかと思いますが、いま三つの柱がございました。船台の確保と、それから輸出船建造の問題と、造船所の適正能力の検討、船質の確保という、これは三本立てになっておりますが、私は大きな造船会社はこれでよろしいのですが、この恩恵が中小の造船会社に対してこれと同じ程度のそういう擁護がされているであろうか、この問題を心配するわけなんです。やはり大企業優先という政策を免れ得ない問題が多く起きてきております。直接これには関係ありませんけれども、中小の造船会社の一つ取り上げますと、木造船業者は四十年四月の現在では企業数が約千四十二の企業数、工場もそれに匹敵する千四十四の工場がございますが、これらの企業をずっと調べてみますと、四十年度で木造の造船量が約三万トンと推定されているわけなんです。前の三十九年度は約四万総トン。そうしますと約二五%の減少になっております。そしてもう一つさかのぼりまして、三十二年度の造船量を見ますと、十一万総トンになっているわけなんです。それから比べますと、十一万総トンと三万総トンと比べますと、七年間にしまして、隔世の感が深いわけなんです。このように木船の造船量がだんだん、だんだん減少していっている。これは一つは、船舶が鋼船化されてきたということも二つの理由になっているのじゃないかと思うのです。それともう一つは、内航二法の制定によりまして、内航船の建造規制、それと同時に、沿岸漁業が不振になったために、そういう関係建造需要が減少してきた。そういうところで木造船造船業者というものは、新造船建造ということよりも、現在は、いままでにすでに建造してきた木船の修理によってかろうじて経営が成り立っている。そうして一部のそういう木船建造業者というものは、小型の鋼船の建造あるいはその修理に転業をしているというのが現在の実情じゃないかと思うわけです。  そこで、私は日本海の沿岸でその実情がどのようになされているかという実例を調べてみました。大企業に対してはこれだけの擁護がされているけれども、どのように——こういういま申し上げました会社をとりまして、全部調べるわけにいきませんから、舞鶴方面を調べてみました。そうしますと、このような時代の流れというのは、木造船から鋼船に切りかわりをしていくという、どうすることもできない状態になっております。  そこで、鋼船を建造する場合には主任技術者を置かなくてはならないという、今回の制度になってきております。だから、現在まではどうなっていたかといえば、いま木造船の新造建設がないために、せめて鋼船の修理でもというところでいままでは許されておりました。木造船造船所でも鋼船を上架する。そうして鉄鋼所の関係の技術者を呼びまして、その修理が終わった時点で、舞鶴でしたら、近畿海運局の検査官が来まして、検査に合格いたしますと、それを認められてきた。しかし今回は、その主任技術者がその会社にいなかったならば、船は上架することはできるけれども、それを修理することができないという現定ができまして、その主任技術者がいなかったならば認められない。そういうために非常に苦しんでいるわけなんです。そうして、中小の木船造船所におきましては、その講習を受けなくてはならない。大阪におきましては、日本小型船舶工業会近畿支部というところで二十七日間の講習を受けなくちゃならない。五月の初めからこの講習が行なわれるようになっているそうでございますが、そうしますと、こういう中小の造船を経営している人々は、その日その日をどうするかと、困っている。それに、いままでも鉄鋼所の人が修理をして、そうして検査を通って、何ら支障をきたしてない。それにどうして主任技術者を置かねばならないのか。これは船質の確保という、いままでのこの法律の中にもうたわれておりますけれども、こういうことが、中小のそのような造船界に及ぼす影響というものは、この委員会では知らないぐらいにきびしい問題が多いのです。じゃあ、そのために一カ月間棒にふる間どうするか。また、いままで鉄鋼所の人が修理をやっていた。何か支障があるか。こういう声が強いわけです。こういう点に対してどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  49. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) この臨時船舶建造調整法は、船の建造段階で一応船質確保のために役立てるということでございまして、特に事業の保護を考えるということは表には出ていないわけでございます。ただいま先生おっしゃった、中小企業の事業の保護育成という面からわれわれ一が行なっております小型船の造船業法に基づく造船所の登録と主任技術者の確保ということでございますが、最近、御承知のように非常に1昔は検査だけ、これが通ればだれがつくっても一いいのだということでございましたけれども、最近の状況はそうではなくて、業態自体が非常に近代化され、それから非常に進歩的になっておりますので、それに相応するように指導をやりたい。しかもこの裏には、中小企業近代化促進法というものがございまして、いろいろな税制の優遇措置とか、そういうものがございますので、それとかみ合わせてやっているわけでございますので、中小企業の補助育成という面をやっているということを御了承願います。
  50. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんから、最後にもう一つは、これも舞鶴です。舞鶴で一番大きい造船会社です。名前は一応伏せておきますが、Hという造船会社ですが、ここは外国船には手をかけておりません。日本の国内船をおもにつくっている会社でございますが、ここでの一番の悩みは何かと言いますと、現在トン数の測度法が目まぐるしく変わる。この点を国として、政府として、そのような測度法を変えるのはいとも簡単なことでございますが、これが業者にとってはどのような被害をこうむっているか、この法案の趣旨説明でもありましたとおりに、四十四年三月までとなっている。これをどうしていま延長しなくてはならないか。造船界の契約というのは、特殊な契約で、数年前に契約をしなきゃならぬ、これは政府の答弁の中でもそのように言われております。これは木船建造業者においても言えると思うのです。船主と造船所が何トンの船をつくる、船主のほうが何トン契約するといった場合は、それによって船体の長さ、幅、深さ、やはりもうぎりぎり一ぱいのところまで船主の要望に応じまして設計をやりましてつくります。ところがその間に何らの前ぶれもなくして、そうして測度法が変わる。そうしますと、設計したトン数も変わってくる。そうすると、船主があのように何トンと契約したにかかわらず、このように変わったじゃないか、このように船主のほうから文句を言われる。自動車業界の例を申し上げますと、こういう変事がある場合には、四年前に通知が出されるということも聞いておりますが、あまりにも目まぐるしく変わってしまう。せめて一年前、二年前に業者にはわかるようにしてもらいたい。業者は、国内船の場合、木船の場合は御承知のとおりに、なま木ですぐ船をつくるというわけにはまいりません。船主の要望に応じまして材木を乾燥させなくちゃならない。どの程度に乾燥さすか、準備が必要になってくるわけです。ところがこのように測度法が目まぐるしく変わる。このために造船業界というものは非常に迷惑をしている。こういう点に対して何とかわれわれ中小の造船業界を守ってもらいたいという要望があります。そういう通達を出していくところの当局といたしましても、これは運輸大臣、指導監督の立場として一考を要すると思いますが、このような問題に対しまして運輸当局の責任者としてどういうお考えであるのか。ひとつ運輸大臣の御所見をお伺いし、また担当の局長にどのようにその処置をやっていくのかお願いして私の質問を終わりたいと思うんです。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういうふうに測度がしばしば変えられては非常に御迷惑であると思うので、実情をよく調査しておきます。  なおこの法律をしばしば延長しましたのは、許可認可というような政府が権限を握っている法律であるので、そういうようなものはなるたけ政府が握らぬほうがよろしい、民間の自主にまかせるのが一番理想である、そういうようなものを永久に政府が握っておくということは民主主義の上からも考えたほうがいいという趣旨が働いていて、そうして時限的にそのつど国会の御承認を得るという考え方でやっておるのだと私は思います。このやり方がやっぱりいいと思います。
  52. 佐藤美津雄

    政府委員佐藤美津雄君) 私のほうで法律改正のとき、あるいはおそらく省令の改正の問題もからんでいると思いますが、一応PRは前広にやっておるはずでございますけれども、いま先生のおっしゃったように、もしそういうPRが行き届いていないとすれば、十分改めてやるようにいたします。
  53. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ほかに御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会      —————・—————