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田代富士男君 きょうは時間がありませんから。
いま話をされましたけれども、私はこのように国内船の
建造のための船台の確保とかいろいろありますが、これによって大企業
造船会社というものはずいぶんに擁護されていっているわけなんです。まあ
日本の国としても、
一つの国策としての当然のことじゃないかと思いますが、いま三つの柱がございました。船台の確保と、それから
輸出船の
建造の問題と、
造船所の適正能力の検討、船質の確保という、これは三本立てになっておりますが、私は大きな
造船会社はこれでよろしいのですが、この恩恵が中小の
造船会社に対してこれと同じ
程度のそういう擁護がされているであろうか、この問題を心配するわけなんです。やはり大企業優先という
政策を免れ得ない問題が多く起きてきております。直接これには
関係ありませんけれども、中小の
造船会社の
一つを
取り上げますと、木
造船の
業者は四十年四月の現在では企業数が約千四十二の企業数、工場もそれに匹敵する千四十四の工場がございますが、これらの企業をずっと調べてみますと、四十年度で木造の
造船量が約三万
トンと推定されているわけなんです。前の三十九年度は約四万総
トン。そうしますと約二五%の減少になっております。そしてもう
一つさかのぼりまして、三十二年度の
造船量を見ますと、十一万総
トンになっているわけなんです。それから比べますと、十一万総
トンと三万総
トンと比べますと、七年間にしまして、隔世の感が深いわけなんです。このように木船の
造船量がだんだん、だんだん減少していっている。これは
一つは、船舶が鋼船化されてきたということも二つの理由になっているのじゃないかと思うのです。それともう
一つは、内航二法の制定によりまして、内航船の
建造規制、それと同時に、沿岸漁業が不振になったために、そういう
関係の
建造需要が減少してきた。そういうところで木
造船の
造船業者というものは、新
造船建造ということよりも、現在は、いままでにすでに
建造してきた木船の修理によってかろうじて経営が成り立っている。そうして一部のそういう木船
建造業者というものは、小型の鋼船の
建造あるいはその修理に転業をしているというのが現在の実情じゃないかと思うわけです。
そこで、私は
日本海の沿岸でその実情がどのようになされているかという実例を調べてみました。大企業に対してはこれだけの擁護がされているけれども、どのように——こういういま申し上げました会社をとりまして、全部調べるわけにいきませんから、舞鶴方面を調べてみました。そうしますと、このような時代の流れというのは、木
造船から鋼船に切りかわりをしていくという、どうすることもできない
状態になっております。
そこで、鋼船を
建造する場合には主任技術者を置かなくてはならないという、今回の制度になってきております。だから、現在まではどうなっていたかといえば、いま木
造船の新造建設がないために、せめて鋼船の修理でもというところでいままでは許されておりました。木
造船の
造船所でも鋼船を上架する。そうして鉄鋼所の
関係の技術者を呼びまして、その修理が終わった時点で、舞鶴でしたら、近畿
海運局の検査官が来まして、検査に合格いたしますと、それを認められてきた。しかし今回は、その主任技術者がその会社にいなかったならば、船は上架することはできるけれども、それを修理することができないという現定ができまして、その主任技術者がいなかったならば認められない。そういうために非常に苦しんでいるわけなんです。そうして、中小の木船
造船所におきましては、その講習を受けなくてはならない。大阪におきましては、
日本小型船舶工業会近畿支部というところで二十七日間の講習を受けなくちゃならない。五月の初めからこの講習が行なわれるようになっているそうでございますが、そうしますと、こういう中小の
造船を経営している人々は、その日その日をどうするかと、困っている。それに、いままでも鉄鋼所の人が修理をして、そうして検査を通って、何ら支障をきたしてない。それにどうして主任技術者を置かねばならないのか。これは船質の確保という、いままでのこの
法律の中にもうたわれておりますけれども、こういうことが、中小のそのような
造船界に及ぼす影響というものは、この
委員会では知らないぐらいにきびしい問題が多いのです。じゃあ、そのために一カ月間棒にふる間どうするか。また、いままで鉄鋼所の人が修理をやっていた。何か支障があるか。こういう声が強いわけです。こういう点に対してどのようなお
考えを持っていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。