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田代富士男君 この表をひとつごらんになっていただきながら。いま三つの点を出しましたが、
大臣も
運転士が不足しておるのが
根本原因だ。それから
運転士の
責任問題が大事である。そう
運輸大臣は申されました。そういうことを申されましたが、もちろん
運転士も不足しておるでしょうし、
責任問題もあるでしょう。しかしそのように
運転士がどうして不足をしなくちゃならないかという原因まで探求されたか。ただ単に
運転士が不足しておる。自覚がない。いろいろ注意をすれば、この天下茶屋の
事故についても
事故が起きなかったんじゃなかろうか。そういう答弁を聞きますと、私はほんとうにここで腹が立ってくるんです。なぜかといえば、ほんとうに上から見るのと下から見るのとは違います。ああいう
運転士の家族の声を聞いたかという。車掌の声を聞いたかという。そのようなことを言ったらかわいそうです、
運転士や車掌が。
運転士はね、注意を怠ったわけでもありませんよ。注意を怠らなくちゃならないようにせしめたのはだれかというんです。
運転士が不足しなくちゃならないようにさせたのはだれかというんです。自分の
責任であるにもかか
わらず、反対に転嫁することはけしからんと思うのです。だから今回の天下茶屋事件の下
運転士にいたしましても、かれが見込み運転であったというようなことを言われておりますが、そういうことも理由の
一つかわかりませんが、かわいそうですよ、かれは。考えてみましょう、下
運転士はこの一月に
事故を起こしましたが、十一月には二百十時間、十二月には二百二十五時間、一月には二百十七時間というような時間外労働をしないことには、生活がやっていけませんよ。下
運転士の場合、正月から
事故の起きました一月十八日まで四日しか休んでない。ああいう
人命尊重ということを言われております鉄道にあって、一月に四日しか休んでませんよ。連続運転です。それで注意力が足りなかったからというようなことで、ただ単に
根本原因とするか、
南海の
運転士に聞きますと、上司の言うことなんか聞きませんよ、うるさかったらやめていっちゃえ、よその
電鉄会社へ行ってやるぞ、もっと
従業員のことを考える慈悲のある
経営陣でなくてはならないし、それを指導する当局
自身が
運転士の自覚の問題である、あるいは
責任問題であるという。この時間からいきまして考えてみましょう。駅長は三十三人です。職種別の時間外労働、休出
調査をしました。三十三人のうち時間外労働した人四十時間以内は七人だけ、四十時間以上の時間外労働した人はおりません。助役は三百十五人あるうちに、四十時間までの人は百六十二人、八十時間までの人百十八人、そうして八十時間以上の人が二十七人、三百十五人中時間外労働をしたのは三百七人、そうして休日に忠実に出勤した人が横に書いてありますとおり百十三人、明細は省略いたしますけれども、このように助役は。今度は
運転士を見てください。
運転士、車掌、駅長、警手、駅手それからずっと書いてありますが、この表から見ましても、
運転士がいかに過酷な労働
条件を押しつけられてきたかということが一目瞭然とわかるのです。
運転士の場合は八百十二人、時間外労働した人が四十時間以内が二百八十八人、八十時間以内が二百六十八人、八十時間以上が百六十九人、合計七百二十五人、休日に出勤した人は一日だけが百十四人、二日が百二十一人。三日が百五十九人、四日以上百七十六人、合計五百七十人、このような超過勤務をしいられております。それに対しまして
運転士が不足しているというならば、もっと待遇を、
大阪の
五大私鉄があります。京阪神、阪神、京阪、近鉄、
南海と
五大私鉄がありますが、
五大私鉄の中でも
南海の給料は一番最低ですよ。
運転士が不足していると、ただ単にそのようなところに原因化しているという前に、もっと
根本を鮮明すべきです。私はそういうことを
運輸大臣の口から聞くということは、ほんとうにさびしい思いをします。大衆の声をもっと聞いてもらいたいです。満員
電車にも乗ってもらいたいです。私はここであえて言いませんが、あの
事故が起きたときに、
運輸大臣は
大阪、
関西にいらっしゃいまして、おいでにならなかったことには触れませんが、そのようなことを聞きますと、そういうことがあったことも、さもあらんと考えざるを得ません。何も
従業員だけの
責任のようでありますが、
経営者はどういう考えをしておるか。今回の天下茶屋の
事故が起きたとき、
経営者はどう言ったか。下
運転士に対してどう言ったか。
運転士は疲れていると思えない、船の船長の気持ちで
運転士は死んでほしかった。こういうことを
会社の幹部が言っていますよ、船と同じように船長の気持ちで死んでもらいたかった、疲れておると思えない、何事かと言いたいのです。このときには下
運転士のその日の行動を申しましょう。その前後の行動、下
運転士は一月十七日十一時四十五分難波発和歌山市行きの準急にまず乗っております。そうして二十時二十九分泉佐野着で上がりになって、羽倉崎でその日は泊まっております。そして、十八日は五時二十分から出勤しまして九時三十分で上がりになっております。本来はそのまま自宅へ帰って休養をとるべきです。ところが、賃金が安い、生活ができない、そこで再び十三時三十分から時間外勤務をしまして、その日の夕方に
事故を起こしているのです。これは
運転士の不注意と言えるでしょうか。不注意であったにしても、
運転士は疲れていると思えない、船長の気持ちで
運転士は死んでほしかった。こんなことを言うべきでしょうか。またこれ一音であるならば私は問題にしませんが、昨年の十月の末に阪急神戸線の上り
電車が岡本−芦屋川間でトラックと衝突した、脱線
事故を起こした。その直後に
南海の
首脳陣はどんな話をしたか。阪急さんはついてますな。あれが反対側に脱線したら下り
電車とぶつかって大
事故となったかもしれない。それにひきかえうちはつかない。あの二度の
事故も起こしてしまった。大
事故を起こした
会社の
経営者がこういうことを漏らすことばでしょうか。そのようなことばがありますから、
首脳陣がそういうことばであるならば
社員にも響いてくるでしょう。このようなことを考え、これだけの大きな時間外勤務をしないことには生活はできません。その時間外勤務をしましても、
大阪の
五大私鉄の中では一番時間外勤務の金額も安いのです。調べたデータによりますと、時間外勤務の金額は京阪神急行が一番少ない。時間外勤務でも一人平均昨年六月の在阪及び西鉄の基準外賃金です。京阪神が一万二千六百二十円、近鉄が四千七百四円、京阪が一万四百九円、阪神が一万五千八百九十二円、こういうのです。
南海は一万一千八百四円です。この時間帯というものは、京阪神急行は四十時間は認めておりませんよ。ところが
南海はここにありますように、時間外勤務をした人が、ここに時間書いてあります。平均賃金外の収入は、右側の一番
最初に書いてあります。
運転士の平均が二万八百五十七円です。下
運転士が二十数年間つとめまして、彼の基本給は三万九千三百円です。子供が二人ある。それに関して
運転士の不足と、そういう
運転士の不注意であったというようなことだけが原因であるかのように言われておりますけれども、私はそういう
従業員の声を大にして、そうじゃないのです。もっと
根本的な問題を改めない限りにはこの問題解決しないと思うのですけれども、その点に対しては
運輸大臣いかがお考えでしょうか。