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1968-03-12 第58回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十二日(火曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         谷口 慶吉君     理 事                 岡本  悟君                 重政 庸徳君                 大倉 精一君                 木村美智男君     委 員                 木村 睦男君                 沢田 一精君                 天坊 裕彦君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 小酒井義男君                 森中 守義君                 田代富士男君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省航空局長  澤  雄次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  山口 真弘君    参考人        日本民営鉄道協        会専務理事    古谷 善亮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (航空に関する件)  (民営鉄道運営に関する件)     —————————————
  2. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  前回に引き続き、航空に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  3. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  4. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 先般当委員会から御要求のありました資料の御説明を申し上げます。  「参議院運輸委員会提出資料」「運輸省航空局」という資料でございます。資料1、一ページでございます。これはマック契約機について米側要求した内容資料で提出しろ、こういう御要求でございました。マック契約機東京国際空港使用の自粛については、去年の三月外務省を通じて米軍善処方要求しまして、米側からは次の措置をとる旨を、これは口頭でございます。口頭外務省に連絡してまいりました。「1、マック契約機寄航横田航空施設に転換することにより、東京国際空港使用を現在以上に増加せしめないようにつとめる。」なお、御参考までに、当時の現在数は二百三十ないし二百四十機でございました。「2、マック契約機東京国際空港使用を午前11時から午后6時までの時間とするようつとめる。」この二点を米側から申し入れてまいったわけでございます。  それから資料2、これは北太平洋米軍専用のルートを、航空路をつくったという新聞記事があるが、それについての資料を提供しろと、こういう御要求でございました。これは、北太平洋におきまして非常に速力のおそいジェット機が、このジェット機は御承知のように三万フィート以上、特に三万三千から三万九千フィートまでの高度を要求するものが大部分でございますが、そこにおそいジェット機がたくさん入ってまいりましたので、まず安全に影響があるということが第一点。それからこの安全隔度をとるためにリレーが非常に多くなってきたという状態でございましたので、昨年の三月から、東京におきまして航空局中心になりまして、各エアライン日本からは日本航空、それから外国の航空会社米空軍、それからアメリカの航空庁、ICAO、IATA、これらの諸団体が集まりまして、この解消をどういうふうにするかということについて検討いたしました。それで、その結果実施いたしましたのが第五ページの次に図面がございます。北太平洋図面がございます。この図面をごらんいただきますとわかりますが、このまん中に太い線でNOPAC1と書いてございます。これはアンカレッジから東京に参りますこういう航空路を設定いたしましてここに、マッハ〇・七八以下のジェットはこの航空路を通れ、それからマッハ〇・七八以上のジェットはここから北百マイルから北、あるいはここから南に百マイルから南を飛べ、こういうふうな分離をいたしたわけでございます。要はスピードのおそいマッハ〇・七八以下のジェットを二百マイルの空域に押し込めたわけであります。それでテストをいたしまして、その評価の会議を数回行ないまして、去年の十一月から正式にこれを採用いたして、現在実施をいたしておるのでございます。この結果、ジェットリレーが非常に少なくなったというメリット、それから非常に安全度が高くなったということで、各エアラインからもこの制度は非常に喜ばれております。距離も何か北に行ったので遠くなったという新聞記事もございましたが、これはごらんになってわかりますように、むしろまん中のほうが三千百ノーチカルマイル、北にまいりますと三千二十八ないし三千四十五、これは北のほうが距離が若手短かいというようなことで、スピードの早いジェットがたくさん距離を飛ばなければならぬというようなことはないわけでございます。現在非常にスムーズに運営されて、各エアラインからも喜ばれている次第でございます。  次に、資料3でございます。これは七ページ、これは二月のマックチャーター機の数は幾らかという御質問でございますが、三寸二十八機でございます。  それから資料4、これは八ページでございます。これは福岡基地司令民間機使用を制限するというような記事が出たが、それに関しての資料を提供せよ、こういう御要求でございます。これは調査いたしましたところ、新聞記者との会談におきまして、非常に軍の飛行機使用が忙しくなる場合には、民間機を制限することもあるということを新聞記者基地司令がしゃべったというのは、仮定の質問について答えたというのが、事実でございまして、政府から正式に米軍に照会しましたところ、ただいまそのようなことを全然考えていないという連絡を受けまして、政府といたしましても、政府というのはこれは防衛施設庁でございますが、「民間航空機の締め出しの懸念はないと思うが、今後とも民間航空機使用について最善を期するつもりである」。こういう発表をいたしました。それから、それ以下は福岡県議会民間機優先についての一連の決議をしている資料でございます。これは資料5でございます九ページから一二ページまで。それから一三ページ資料も、これはランディング・パーミット、米軍飛行場を使っている着陸許可書を出すというお話でございますが、その許可書でございます。  それから資料7、一九ページ、これは民航が乗り入れの許可を受けている米軍管理飛行場は板付と調布でございます。  それから資料8、二〇ページ、これは航空需要の実績と予測についての資料でございます。  それから二一ページの資料9、これは運賃計算のコストの出し方についての資料でございます。以上をもって提出資料の御説明を終わります。
  5. 木村美智男

    木村美智男君 航空局長ね、いまの資料説明をいただいたのですがね、この二ページの資料2ですね、NOPACですか、これはこの間新聞に報道されていたのとちょっと逆なんだよね。だから、もし、こういうことで間違いがないというんなら、あれやっぱり地図が載って、そしてなるほど最近チャーター機がふえたので民間航空機はのけものにされて、そして遠回りしているんだと、けしからぬじゃないかというような印象をだいぶ与えたと、だから航空局でこんなことをちゃんとやってきたんなら、もう少しああいう新聞報道に対して一言あってしかるべきだと思うんだね。ぼくはあれ見てね、これ多少ものを言おうかなと思ったら、きょう資料で先に出ちゃったから、こういうことならまあまあそう取り立てて言うことじゃないじゃないかということで、実は安全の保持のためにむしろやった措置が非常にいいと思っている。だからああいう新聞に出っぱなしに、出たら出たでそうやっておくということはちょっとうまくない、これは。それはそれでいいですが、きょうむしろ、私この間の関係で関連して伺いたいと思っていたのは、この間ちらっと例のブルー14というものを横切る話が新聞に出た。これ一体実際問題としてどういうことになるのか。それから当然米軍との約束なり相談の中身というものもあるだろうし、具体的な実施をいつごろやるのか、正式にこれは航空局長のほうから委員会に報告をしてもらいたい。
  6. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 現在、羽田をたちまして西方に向こう飛行機は、御承知のように大島上空まで参りまして、それから浜松の近くでグリーン4に乗っている状態でございますが、このブルー14を横切りますと、距離も燃料も節約になりますので、目下米軍と交渉いたしておりまして、米軍側レーダーとそれから羽田にありますレーダーとで飛行の受け渡しをやりまして、そして、直接これは横須賀上空の方面から伊豆半島を横切って静岡あるいは浜松上空グリーン4に乗るということにつきましては、米軍と昨年来打ち合わせをいたしておりまして、近くテストを開始いたしまして、できるだけすみやかにこれを実施いたしたいと、このように思っております。
  7. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、いまのお話だと、目下折衝中で、これからテストをした上でよろしいということになれば、今度はあれを借りていくということになるわけですね。で、何かこの際、私はそういうことはたいへんいいことだと思うんですよ。ところがまだこのブルー14以外に幾つかあるわけですね。そういう関係何でもかんでもみんなやらなきゃならぬということじゃないじゃないか。相当ふくそうしておる、米軍航空隊ですか、空路についてはこれはやっぱり検討をして、今回のような措置をできるだけ、これはやっぱり機械の手助けさえ借りればある程度可能なわけですからね。国民感情の上からいっても、そういう措置をとることはきわめて大事だと思うんで、具体的にいまどこという指摘はいたしませんが、この種のような関係のことをひとつ今後やられる意思があるかどうか、またそういう該当の地域が、問題が出てきてからどうこうということよりも、一歩先へ行っておったほうがいいと思うので、その辺どうお考えですか。
  8. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、レーダーその他の機器の精度が向上するにつれまして米軍側ともいろいろ折衝いたしまして、できる限りそのようにつとめてまいりたいと思っております。
  9. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  10. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 けさ新聞で見たことなんですが、最近小型機を一機か二機持っている小規模の会社がどんどんできつつあるということに対して航空局内部でも何かそれに対する見方といいますか、考え方がまだ統一されておらぬというようなふうに出ておるのですが、あれは実態はどういうものか、将来そのまま野放しにしておいていいものかどうか、そういうことを御説明願いたいのです。
  12. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) けさ一部新聞に伝えられておりましたことは、必ずしも事実ではございませんで、いわゆる使用事業者、写真をとりましたり農薬をまいたり、それから遊覧飛行を行ないましたり、こういういわゆる定期以外の事業者の希望が非常に多いわけであります。これは航空法のたてまえといたしましては、一定の条件が整えば許可しなければならないということに相なっているわけであります。しかし航空企業は御承知のように、直接人命関係する非常に大事なものでありますので、われわれのほうといたしましても、十分に留意をいたしております。申請があれば直ちに許可するということではございませんで、いろいろな安全面、これは飛行パイロットについては、いろいろなそれぞれのもちろんライセンスを持っておりますけれども、航空会社の中には、航空機についての非常に知識、経験を有する者が役員として入っているかどうかというようなことも検討いたしまして許可をしている、こういう実情でございます。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 許可する条件の中に、たとえば事故を越こした場合の補償ですね、そういうものは何か入っておりますか。
  14. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) これは各シートについての保険をつけさせております。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 たとえば墜落したとかどうとかで人家に被害を与えたとか、そういう場合の補償ということも条件になっておりますか。
  16. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 第三者に与える損害保険もさせております。その額は、いまちょっと資料もございませんので申し上げられませんが、第三者損害保険もかけさせております。
  17. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  18. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。  本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  19. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 古谷参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ本委員会のために御出席くださいましてありがとうございます。  民営鉄道運営に関する件について質疑を行かいます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 私は、先日来からこの委員会におきましても問題になり、今国会の冒頭に運輸大臣所信の中にもありました大阪南海電鉄はこの一年間に大きな事故が三回連続して起こっております。その問題に対しましても、大臣はじめ当局から再三の通告等をされまして、漸次改善の方向に向かわされておりますが、この南海電鉄の問題はただ単に一社の問題として片づけるにはあまりあります。  そこで、この問題を通じまして、いろいろな面から、運輸の最モットーでありますところの人命の尊重という面から、二度とこういう大きな事故を繰り返してはならない、そういう面におきまして、いろいろ私も大阪でございますし、この南海の問題につきましては、私はあらゆる角度の人からじかに声を聞きました。私も実地調査に参りました。私自身南海電車最終電車にも乗りまして、ほんとうに実情はどうであるか、また大阪五大私鉄電車にも全部乗りまして、各五大私鉄電鉄のあり方、車両の問題等につきましてこの目で確かめてまいりました。そういう問題点から、いろいろきょうはお願いしたいと思います。当初は、特に南海電鉄一社を取り上げるわけではありませんが、幸いにも大阪という私の地の利もありましていろいろ私も調査をさせていただいた関係上、でき得ることならば参考人のお方に南海電鉄関係者をとお願いしましたが、それはなかなか達することができずに、そのかわりに日本民営鉄道協会専務理事さんがおいでになられましたし、また運輸大臣も御出席していただきましたから、逐次私は質問をしてまいりたいと思います。  まず最初でございますが、南海電車といえば資本金も六十億程度で、日本でも中堅の会社じゃないかと思います。スポーツ・ファンには南海ホークスとして親しまれてきた会社でございますが、今回のようにこのような大きな事故を三回繰り返してきた。そこで私が車掌さんの声も聞き、あるいは運転士の声も聞き、あるいは修理工場に働いている人の声も聞き、あるいは第三者の立場としてその地域に住んでいる人の声をいろいろ逐次聞いてまいりましたが、総まとめをいたしますと、私の感じたことは、南海電鉄運輸担当者の技術が劣っていることもさることながら、私もびっくりしたのですが、経営陣の中の対立、まあそのような点がクローズアップされてきたわけなんです。これは私はたいへんなことじゃないかと思うのです。経営陣対立となってきましたならば、これはただ単にいろいろな改善策ではこれは解決するわけにいかないのじゃないか。どうしてそのような対立が起きてきたかということも、南海電車歴史も調べてみました。そもそもの発足の当時からどのような経過をたどって今日まできたのか。時間が許されるならばその歴史もるる述べたいと思いますが、それはもう御承知のとおりでございますから省略いたしますけれども、南海電車発足にあたりまして一番最初に力を入れたのが運輸省から役人、運輸官僚の人を送り込んで、そうして南海電鉄の再建にかかった。これは大義名分は南海電鉄大阪南部、和歌山、奈良の一部にかけまして中小のさまざまな私鉄を合流した上に成り立った会社でございますから、ただ単なるその合流した一社のうちの一人が社長というわけにまいりませんから、それを、私鉄を再建して、成長さしていくという意味から、まず最初初代社長として小原英一氏が南海社長に就任されまして、南海電鉄運輸官僚によりまして、発足がなされたわけなんです。そうしてその小原初代社長は、やはり仕事をするならばというわけで、同じく運輸官僚でありました壺田さんを招かれまして専務にされました。小原壺田ラインという運輸官僚によりまして今日まで完全に支配されてまいりました。時がたってそうこうするうちに、旧南海電車系社員も次第に成長してまいりまして、その間には阪和系社員等も成長してまいりまして、だんだんと実力を身につけてまいりまして、運輸官僚を圧迫し始めてきた。そうしてその一つ初代社長小原氏の退陣となり、壺田氏が社長に就任した。そうして壺田社長も、強引に、やめなくちゃならないというような経過をたどりまして、いまは現社長に引き継がれてまいりましたが、この間の経過を見ましても、壺田社長南海電車系役員部長連中に対しましてもそういう有能な人は全部電鉄会社にとどめることなく、全部部外に出してしまった。その一つは、南海ホークスの代表に新山さんを出してしまった。そうしてまた木岡さんをバス会社に出してしまった。また久保さんを運輸官僚から加入させて強化していった。このように依然として対立感情南海電車の中に渦を巻いているわけなんです。こういうような経営陣対立ということを根本的に解決しなかったならば、中心にそのような対立があるならば、最末端従業員に至ってまとまるわけがないと思うわけなんです。その点につきましてこのような民営私鉄を育成し、指導していかなくちゃならない当運輸省としてどのような見解をお持ちであるか、最初にお伺いさせていただきたいと思います。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 南海電鉄経営内容につきましては、いま田代委員指摘のとおりの事実があるようにわれわれも考えられます。それが、社の規律とか、あるいは第一線における士気にも影響している要素もあるとわれわれも認めざるを得ないと思います。ただ、私鉄経営人的内容につきまして運輸省がこれを統制がましくいろいろ干渉するようなことはできるだけ避けたがいい。私的資本でございますので、株主とかあるいは経営陣がみずから決することでありまして、官僚的干渉というものは極力避けたほうがいいと私らは考えております。しかし公益に著しく反するような場合は、これは一般的監督権をもちまして、いろいろ注意したり、指導したりすることも必要であると思っております。その辺は非常にむずかしいところでありまして、慎重に事態を見守りながら実行していきたいと思っております。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 いま運輸大臣が申されたとおりに、これは微妙な問題をはらんでいると思うのです。そういう私鉄であるし、あまり深入りはできないということもわかりますが、私は思うのですが、この問題に対して中曽根運輸大臣が、やはりこの事故を起こした以上は、根本から改めなくちゃならないというわけで、南海首脳人事への介入があったというようなことを耳にしております。それに対しまして佐藤総理自身ももちろん一国の責任者といたしまして、三たび事故発生後におきましてはいろいろ検討されたということも聞いておりますけれども、吉兆会という関西財界主要メンバーを囲んでの会がございます。この吉兆会においても総理が、南海首脳人事に対しましていろいろ善意の発言であったかどうか、その点は、総理の本心を聞くわけにまいりませんのでわかりませんが、南海電鉄首脳陣人事更迭等の問題に対してそういう話がなされたいということを聞いておりますけれども、事実そういう話があったのかどうか、ひとつお伺いしたいと思うのです。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 吉兆会というものは私は存じません。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 吉兆会というのを御存じない、関西主要メンバー芦原さんとか、堀田さんとか、松原さんとかそういう人々を囲んだ席上でこういう話がされたということを聞いておりますし、中曽根運輸大臣自身佐藤さんからも閣議の席上におきましても、お手やわらかに頼みますということを言われたというようなことを聞いておりますけれども、人事のことに対しましては、運輸大臣といたしましては、何らこの問題に対してお触れにならなかったのかどうか。吉兆会は知らなかったということですが、そのことをお聞きしているのですが、その点いかがでございますか。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 吉兆会でどういうお話があったか私はよく存じません。  それから閣議の席上で総理大臣からお手やわらかにということを言われた事実もございません。  しかし私は一年間にあれだけの事故を三回も起こしたのでございますから、経営者としては当然社会的責任は感じ、会社内部を刷新して国民の世論にこたうべき責任がある。そういうように感じまして、会長社長が見えましたときに、自分の所信をそういうように申し述べて会長社長参考にいたしました。社長はいろいろ前後のことを考えまして、おそらく会長ともいろいろ相談したんでございましょう。事態が一段落したら御期待に沿うようにするということを私に言明いたしておりまして、おそらくことしの上半期のうちにはそういう事態が出るのではないかと私は想像しております。一番大事なことは、そういう中間的過渡期事故を起こさないということでありまして、これは一番戒心を要する段階でもございますので、その点は、ひとつ、くれぐれも注意してあるのでございます。  なお、南海電鉄に対しましては、先月の十二日に、当方の警告書に対しまして処置を行なういろいろな計画書を持ってまいりましたが、一カ月たちましたので、本日、抜き打ち監査東京からも係員を派遣してやっておる情勢であります。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 いま、社会的な責任をもってそういう運輸大臣としての所信をお述べになったと、そうして上半期にはその結論が出るんじゃなかろうかと、まあそれにしても、その間において安全運転をやることがモットーであるということでございますが、私は、こう思うのです。この問題は、経営陣対立ということももちろん根本原因ですが、これをかえたならば即安全運転ができるかというと、私はそうもいかぬと思うのです。ただ単に、この人はだめだから首にすればよろしい、そうして人がかわったならばそれはうまくいけるか、私は、そういう簡単なものじゃないと思うのです。南海には根深いものがあります。一つの例をあげますと、あれだけ大きい事故を起こしたあとで、稲次さん自身——南海社員は約一万名おります。概数でございますが、その社員に、いろいろな意見があったならば出してもらいたいと言われまして、踏み切りの警守に至るまで、いろいろな意見を出しております。しかし、そのような意見は、何らそういう最高首脳部までも届いておりません。依然として握りつぶされてしまっている。だから、そこでそういう関西財界の人に、人事問題を検討しなさい——いま、運輸大臣が、上半期にその結論が出るであろうというようなことを申されましたが、私はそれだけでは解決できない。そういう関西財界人からも、いろいろ御相談をなさったということを聞いておりますが、私はそれよりも大事なことは、最末端の声が会社全体の企業の上にいかされていくような形態をしなかったならば、どのように人事が変わっても、これは、何にもならないと思うのです。組織というものは人によってつくられ、人によって運営され、人によって有終の美を飾ると言われております。しょせんは人ですが、その人がかわったとしても、最末端の声、大衆の声は天の声とも言われておりますが、それを聞き入れることのできないところ自身に問題があります。だから、今回、三回の事故にあいまして、経営者はもちろんのことですが、あの従業員も、ほんとうに、もうわれわれが見ていてもかわいそうになるくらいに、責任を感じてやっております。その声が反映されておりません。私は労働組合の人とも会いました。踏み切り番の人とも会いました。いまさっき話したように、終電車に乗って、車掌さんとも二時間余りも話しをしたこともあります。その声が一つも反映されていないのです。まあそういう点で、運輸大臣が、上半期にそういう結論が出るであろう、人事問題等におきましても——しかし、それはそれとして、それよりもそういう声が企業体に反映できるようなそういう南海にしない以上は、事故は尽きないと思います。  私は、ここに社長あてに労働組合から出された要請文、あるいは、決議文をここに持っておりますが、こういうことが一つも反映されていないのですよ。これは南海のある分会からの労組の執行委員長に対する決議文ですが、これを一回読んでみます。    決議文  再度の事故を惹起し社会や組合に対し御迷惑をかけた事は原因の如何に拘らず申訳なく思います。  私達は其の後分会大会、分会委員会等で事故防止の観点から種々討議を重ねましたが、その結論として会社の放漫政策により生じたものである事を確認いたしました。近代的社会の要請に応えなくてはならない諸設備の完備等が遅れている点等の欠点に対しては組合員の精神的カバーにより保たれているところであります。  労働条件や低賃金、職場環境の悪い事等重大な問題です。昨年の事故後、事故防止上の諸点を指摘要求して参りましたにも拘らず、何ら改善されなかったので私達は再度会社に対してく追求し交通労働者として社会の要請に応えると共に権利と義務を確立し益々組織の充実と発展とを願い別紙の細部事項を分会委員会の名を以って提出すると共に会社に対しても別紙要請文を提出してもらいたい、本部執行部として部組合員の意向を解され先頭に立ちこれらの早期解決のための本部見解を明確にされることを要請いたします。 これが、四十三年二月十二日に決議文が出されております。その細部事項というのはここにございますが、ダイヤ関係だけでも十三項目、施設関係で十八項目、車両関係で十七項目、その他十六項目あります。これを全部読み上げますと時間もありませんから、あとでこの中のおもなものをピックアップしたいと思いますが、このような大きい項目が出されているにかかわらず、いままで改善されたかと言えば改善されてきていないのです。  また、これが社長に対する要請文はどのような要請文が出されたかというと、  私達は鉄道の第一線に働らく労働者として輸送の使命を全うせんものと、日夜懸命の努力を行って参りましたが、再度の重大な事故を惹起せしめた事は原因の如何を問わず誠に残念でなりません。其の後私達の分会として職場大会、分会委員会等で事故防止のため種々に討議を重ねた結果、次の様な事項を集約し会社に要請することになりましたので申し入れます。  一、重大な責務にある職種でありながら賃金が低い。    特に運転士の給料に於いては多数の生命と財産を預り一瞬の油断をも許されない重要な職務であることを会社や社会も認めながら非常に給料が低いことは今回の事故の大きさと給料の低さに二度びっくりしたと新聞等で報道されたことは事実です。  一、保安に関係する諸設備は一部を除きその完備が遅れている。    保安面に於ける諸設備は旧態依然で係員の注意力によりカバーされ安全は保たれていると言っても過言ではありません、連動装置と鎖錠区間等検討と改善を早急に行うべきであります。  一、労働条件、職場環境が近代化されていない。    服務規律の確立と明るい職場にするための努力はされているが、人員増に対する休憩施設等の環境の近代化改良を望みます。   以上は交通労働者として厳として諸規程を守り職場基準を確立し社会に応えるための討議を重ねた集約であります。   細部の事項は機関を通じて提出いたしますが、会社当局におかれましても私達の意のある所を了とされ、右の要請に応じられることを望みます。 これが四十三年二月十二日に稲次社長に出された要請文でございます。  ここにも出されてありますとおりに、まず賃金が非常に低いという問題です。この問題点、それから保安に関する諸設備、これが完備されていないのです。それから労働条件、職場環境が近代化されていないのです。こういう点につきまして、日本民営鉄道協会専務理事として、一応は私鉄の連合体としての指導もなさってきたと思いますが、こういう問題についてどうお考えであるか。また、運輸大臣としてこの問題に対してどうお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  27. 古谷善亮

    参考人古谷善亮君) 南海の天下茶屋の構内におきます列車衝突事故につきましてはまことに遺憾と存じます。恐縮しておる次第でございます。また本日は当委員会調査事項に加えていただきまして、御心配にあずかっていることを厚く御礼申し上げる次第でございます。  ただいま田代委員からるるお話がございました点でございますが、これにつきましては南海事故を起こしました直後、大臣から御警告がございました中にも、その趣旨のことは一部含まれておりまして、それに対しまする答申を南海はいたしておるわけでございます。ただいまお話を承りました中に、従業員の諸君からいろいろ細目にわたって会社に進言をしておるようでございます。社長といたしましては、この進言を十分尊重いたすことは当然でございまして、最近私が手にいたしました「親和」と申します社内誌がございますが、その冒頭におきまして、社長は「なんと申しましても、われわれの社是の第一にある「安全」を守るために、厳正な規律ある行動をとるということが基本であり、これを忘れて鉄道会社はなりたつものではありません。」と、まずその方針を述べられておりますが、なおことばを続けまして、「私はこのことについて、いちいち諸君ら一人一人に会って話をしていきたい気もちでおりますが、そういうわけにもまいりません。どうか諸君らも、こういう点とくとお考え願いまして、業務執行の面につきましては、一人一人が会社を代表しているんだという気もちで、確固たる信念と権威をもって、今後職務を完遂されんことを期待するわけであります。」という趣旨のことを述べて従業員諸君に対しましても社長の心情をるる訴えております。おそらく会社といたしましては、十分従業員諸君の意を組みまして、社内の組織を通じてこれを具現化することにつとめると私は存ずる次第でごいざます。  御承知のとおり当協会は全国の私鉄の団体でございまして、一々の会社内部に立ち入って干渉がましいことは申す次第でございませんが、原則的事項につきましては、それぞれ会社関係者とも会議等ございまして、その席で常に話し合いまして、業務の改善、運転保安の確保という点につきましては、特に力を入れて申し合わせをいたしております。この趣旨は自然会社に伝わりまして、協力いたしましてこの方針に沿うように心がけておると存ずるわけであります。  なお御質問等ございましたらば申し上げますが、一応私のただいまの御質問に対する第一のお答えはこれで。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 第一線の従業員の声をよく取捨選択して中枢部において取り上げるということは、私は非常に大事であるだろうと思います。それがまた士気を高揚するゆえんでもあると思います。御指摘になりましたようなことは運輸省が出しました警告書内容にもございますし、また先方からきました報告の中にも盛られてあります。私はしかし南海の問題はいろいろ考えてみまして、保安設備やいろんな問題もございますけれども、大事なことは運転要員が不足しておる。運転要員をすみやかに充実するということが非常に大事な要素であるだろうと思います。  それからもう一つは、やはり第一線の運転員が責任を自覚して、そうして確実に安全処置をとるという責任感が非常に大事であると思うのであります。この間の天下茶屋のケースなんかを見ましても、あれはやはり運転員のそういう自覚の欠除に基因する要点が非常に多いように思います。いろんな警報装置や、あるいは警告等の関係を見ましても、見込み運転のような要素もあったわけでありますから、運転員が注意すればあれは起こらなかった事故でもあります。あるいはその前に運転員の責任——子供を連れてきていたという事件もありまして、そういうようなケースから判定しますと、やはり運転員がお客さん全部の生命をあずかっているという責任感に立って、着実に教えられたとおりの、必要な規定を順守するということが非常に大事であるだろうと思っております。
  29. 田代富士男

    田代富士男君 いま私は三点を申しました。賃金の低い点につきましては、御両人ともあまり触れられておりませんが、私は根本問題はここにあるんじゃないかと思うのです。だからひとつですね、これは委員長にお願いですが、この表でもって私説明したいと思うので、張らしてもらいたいと思う。
  30. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をとめて。   〔速記中止
  31. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記を始めて。
  32. 田代富士男

    田代富士男君 この表をひとつごらんになっていただきながら。いま三つの点を出しましたが、大臣運転士が不足しておるのが根本原因だ。それから運転士責任問題が大事である。そう運輸大臣は申されました。そういうことを申されましたが、もちろん運転士も不足しておるでしょうし、責任問題もあるでしょう。しかしそのように運転士がどうして不足をしなくちゃならないかという原因まで探求されたか。ただ単に運転士が不足しておる。自覚がない。いろいろ注意をすれば、この天下茶屋の事故についても事故が起きなかったんじゃなかろうか。そういう答弁を聞きますと、私はほんとうにここで腹が立ってくるんです。なぜかといえば、ほんとうに上から見るのと下から見るのとは違います。ああいう運転士の家族の声を聞いたかという。車掌の声を聞いたかという。そのようなことを言ったらかわいそうです、運転士や車掌が。運転士はね、注意を怠ったわけでもありませんよ。注意を怠らなくちゃならないようにせしめたのはだれかというんです。運転士が不足しなくちゃならないようにさせたのはだれかというんです。自分の責任であるにもかかわらず、反対に転嫁することはけしからんと思うのです。だから今回の天下茶屋事件の下運転士にいたしましても、かれが見込み運転であったというようなことを言われておりますが、そういうことも理由の一つかわかりませんが、かわいそうですよ、かれは。考えてみましょう、下運転士はこの一月に事故を起こしましたが、十一月には二百十時間、十二月には二百二十五時間、一月には二百十七時間というような時間外労働をしないことには、生活がやっていけませんよ。下運転士の場合、正月から事故の起きました一月十八日まで四日しか休んでない。ああいう人命尊重ということを言われております鉄道にあって、一月に四日しか休んでませんよ。連続運転です。それで注意力が足りなかったからというようなことで、ただ単に根本原因とするか、南海運転士に聞きますと、上司の言うことなんか聞きませんよ、うるさかったらやめていっちゃえ、よその電鉄会社へ行ってやるぞ、もっと従業員のことを考える慈悲のある経営陣でなくてはならないし、それを指導する当局自身運転士の自覚の問題である、あるいは責任問題であるという。この時間からいきまして考えてみましょう。駅長は三十三人です。職種別の時間外労働、休出調査をしました。三十三人のうち時間外労働した人四十時間以内は七人だけ、四十時間以上の時間外労働した人はおりません。助役は三百十五人あるうちに、四十時間までの人は百六十二人、八十時間までの人百十八人、そうして八十時間以上の人が二十七人、三百十五人中時間外労働をしたのは三百七人、そうして休日に忠実に出勤した人が横に書いてありますとおり百十三人、明細は省略いたしますけれども、このように助役は。今度は運転士を見てください。運転士、車掌、駅長、警手、駅手それからずっと書いてありますが、この表から見ましても、運転士がいかに過酷な労働条件を押しつけられてきたかということが一目瞭然とわかるのです。運転士の場合は八百十二人、時間外労働した人が四十時間以内が二百八十八人、八十時間以内が二百六十八人、八十時間以上が百六十九人、合計七百二十五人、休日に出勤した人は一日だけが百十四人、二日が百二十一人。三日が百五十九人、四日以上百七十六人、合計五百七十人、このような超過勤務をしいられております。それに対しまして運転士が不足しているというならば、もっと待遇を、大阪五大私鉄があります。京阪神、阪神、京阪、近鉄、南海五大私鉄がありますが、五大私鉄の中でも南海の給料は一番最低ですよ。運転士が不足していると、ただ単にそのようなところに原因化しているという前に、もっと根本を鮮明すべきです。私はそういうことを運輸大臣の口から聞くということは、ほんとうにさびしい思いをします。大衆の声をもっと聞いてもらいたいです。満員電車にも乗ってもらいたいです。私はここであえて言いませんが、あの事故が起きたときに、運輸大臣大阪関西にいらっしゃいまして、おいでにならなかったことには触れませんが、そのようなことを聞きますと、そういうことがあったことも、さもあらんと考えざるを得ません。何も従業員だけの責任のようでありますが、経営者はどういう考えをしておるか。今回の天下茶屋の事故が起きたとき、経営者はどう言ったか。下運転士に対してどう言ったか。運転士は疲れていると思えない、船の船長の気持ちで運転士は死んでほしかった。こういうことを会社の幹部が言っていますよ、船と同じように船長の気持ちで死んでもらいたかった、疲れておると思えない、何事かと言いたいのです。このときには下運転士のその日の行動を申しましょう。その前後の行動、下運転士は一月十七日十一時四十五分難波発和歌山市行きの準急にまず乗っております。そうして二十時二十九分泉佐野着で上がりになって、羽倉崎でその日は泊まっております。そして、十八日は五時二十分から出勤しまして九時三十分で上がりになっております。本来はそのまま自宅へ帰って休養をとるべきです。ところが、賃金が安い、生活ができない、そこで再び十三時三十分から時間外勤務をしまして、その日の夕方に事故を起こしているのです。これは運転士の不注意と言えるでしょうか。不注意であったにしても、運転士は疲れていると思えない、船長の気持ちで運転士は死んでほしかった。こんなことを言うべきでしょうか。またこれ一音であるならば私は問題にしませんが、昨年の十月の末に阪急神戸線の上り電車が岡本−芦屋川間でトラックと衝突した、脱線事故を起こした。その直後に南海首脳陣はどんな話をしたか。阪急さんはついてますな。あれが反対側に脱線したら下り電車とぶつかって大事故となったかもしれない。それにひきかえうちはつかない。あの二度の事故も起こしてしまった。大事故を起こした会社経営者がこういうことを漏らすことばでしょうか。そのようなことばがありますから、首脳陣がそういうことばであるならば社員にも響いてくるでしょう。このようなことを考え、これだけの大きな時間外勤務をしないことには生活はできません。その時間外勤務をしましても、大阪五大私鉄の中では一番時間外勤務の金額も安いのです。調べたデータによりますと、時間外勤務の金額は京阪神急行が一番少ない。時間外勤務でも一人平均昨年六月の在阪及び西鉄の基準外賃金です。京阪神が一万二千六百二十円、近鉄が四千七百四円、京阪が一万四百九円、阪神が一万五千八百九十二円、こういうのです。南海は一万一千八百四円です。この時間帯というものは、京阪神急行は四十時間は認めておりませんよ。ところが南海はここにありますように、時間外勤務をした人が、ここに時間書いてあります。平均賃金外の収入は、右側の一番最初に書いてあります。運転士の平均が二万八百五十七円です。下運転士が二十数年間つとめまして、彼の基本給は三万九千三百円です。子供が二人ある。それに関して運転士の不足と、そういう運転士の不注意であったというようなことだけが原因であるかのように言われておりますけれども、私はそういう従業員の声を大にして、そうじゃないのです。もっと根本的な問題を改めない限りにはこの問題解決しないと思うのですけれども、その点に対しては運輸大臣いかがお考えでしょうか。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 給与とかあるいは労働条件等について考うべき点も多々あると思います。運輸省が出しました警告書に対しまして南海のほうでは措置といたしまして、運転士の補充ということを答申してきております。第一次として五月十六日に二十七名、六月十六日に三名、第二次として十月一日に三十名、十月二十日に五十名補充する。それから仕業指示の適正化ということを言っておりまして、特に所定外労働については一ヵ月間に休日勤務二日、時間外労働七十時間をチェックポイントとして個別的な勤務管理を行なう、こう言ってきておりますが、それはいままでのオーバー労働の仕事をこれで適正に改訂しよう、そういう考えのあらわれでもあると思います。したがいまして、こういう労働の基礎条件についてこれを適正に改革するということはお説のとおり全く同感でございます。しかし、あの事件のケース自体を見ますと、やはり運転士の不注意からあの事故が起きておるのでありまして、したがって刑事犯罪にも問われておるのでありまして、注意が行き届いておったらあの事故は私は起きなかったと思うのです。だからなるほど勤労条件その他についても考うべき点も多々ありますけれども、やはりお客さんを大ぜい乗せて、人の生命をあずかっている運転員は、それだけの責任と自覚をもってやっていただかなければならない。私はそういうことも運輸大臣として強調したいと思います。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 南海首脳陣の言った下運転士も死んでもらいたいという問題と、阪急電車の、起きたときに、何か阪急さんついているという、そういう軽はずみのことを言っている首脳陣に対しては運輸大臣はどうお思いですか。そのことについて伺いたい。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) もしそういうことを言ったとすれば、それは不穏当な発言であると思います。ただ私想像しまするのに、国鉄で鶴見の事故がありましたときに、国鉄の運転員は仁王立ちになって運転座席で死んでおったということを私は社会党の委員の方からお聞きしたことがあります。つまり、それは国鉄にはそういう交通運輸に従事する者の、運転員の鉄道精神というものがあって、やはり公共の責任のためには自分も犠牲にしなくちゃならない、そういう精神がしみ渡っているのだということを私、社会党の委員の方からお聞きしたことがあります。そういうように運転員には常に公の生命をあずかっているという責任を自覚させるという意味においてそういう精神教育が行なわれていると思うのですが、そういうことが頭にあって不用意な発言をしたのではないかとも想像されます。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 いま国鉄の従業員南海電車従業員の根性といいますか、その違いを申されましたが、国鉄はそのように指導されていて、私鉄は指導されていないという点ですが、それは当然だと思うのです。国鉄の待遇と南海の待遇というものはお話になりません。私、和歌山市発の最終電車に乗りまして大阪に着くまでその車掌と話しました。その車掌は二十二年勤務の車掌です。同期の国鉄に勤めた人と基本給が七千円の違いがある。業務手当等はお話にならぬ。国鉄のほうがよほどよろしいのです。そのように周囲があたたかく見守ってやるならばそのような根性も芽ばえてくるかわかりません。南海私鉄の場合においては、そういう面が欠けていたということがいえるんじゃないかと思うのです。この点については、私は深く申すわけではありませんけれども、そういう点につきましては、日本民営鉄道協会専務理事古谷さんが見えておりますけれども、そういう点は直接介入することはできないとおっしゃいますけれども、そういう点はやはり大勢の生命をあずかる大事な企業体でございますから、今後ともその点は指導していただきますよう、これは要望しておきます。  それから、いま、運輸大臣から運転士の不足のために五月十六日に二十七名、順次運転士を増加していくというお話でございますが、ただ単に晴海本線で事故があったから、南海本線の運転士をふやせばよろしい。ところが御承知のとおりに、私は運転士の教育機関も見てきました。どのようにして教育され、どのようにして一人前の運転士に仕上がるか見てきました。最低考えても半年かかる。そこで運輸大臣は、このように運転士を増加したために逐次改善されていくであろう、それで運転士の不足というものは一部カバーされるんじゃないかといういまの御答弁でございますが、私はここで問題をもう一つ提供したい。同じ南海電鉄に本線が大阪から和歌山市まで走っております。もう一つは、高野山に行く線があります、橋本を通って。これ以外に阪堺線という名前のもとに大阪の恵美須町から堺市の浜寺まで走っている軌道があります。もう一本は、大阪の恵美須町から大阪市東住吉区に行くところの平野線という大阪市内の道路上を走っている軌道線があります。これも南海電車です。さあ問題はここです。本線の運転士が不足したためにいまは阪堺線並びに平野線の軌道を運転していたところの運転士がそちらの本線のほうに吸い上げられてしまった。さあ今度は、問題点は、大阪の阪堺線並びに大阪の平野線が運転士不足で悩みに悩んでいるのです。だから事故が起きたならば、そこだけを間に合わせたらよろしいという問題じゃないのです。この阪堺線の問題、大阪平野線の運転士の不足の問題、二十六人の運転士が本線に引き揚げられてしまっているのですよ。そうすると阪堺線の乗客、平野線の乗客の生命はどうして守られます。いままでの人数でも足らなかったところが、二十六人もの運転士が引き揚げられた。本線はカバーできるかわからない。どうなるか、その点ひとつ運輸大臣お願いいたします。
  37. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  38. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  39. 田代富士男

    田代富士男君 私もほんとうに全部実地を調査してきますと、ここでただ単なる一片の答弁をされるのは、そういう答弁を——、ここに従業員の人を全部参加させているならば、ほんとうに成田のあれじゃありませんけれども、ふるいかかってきますよ。何たることだ。私はその憤りをここで言うわけにいきませんけれども、そういう人の声を代表して言っているのです。あまりにも末端の事情を知らな過ぎる。そうして、最高人事更迭さえするならば、事故が解決するという、そういう安易な考え方、ここの委員会あるいはここにいらっしゃる首脳陣の考えを改めない限りには、この問題はただ単なる南海だけじゃありません。まあそんなあれがありますから、ことばがきつくなってすみませんが、私も全部の——声の大きいのは地声ですけれども、全部の、何万人、一万人の代表として言っているのですから、そのつもりでひとつお願いしたいと思うのです。
  40. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) まず従業員の充足の問題につきましては、警告におきましても指摘しておるところでございまして、これに基づく報告書に示されておりますところの教習計画、これも一応内容はやむを得ざるところだと考えておりまして、これに基づきまして、実際の増強計画というものが立てられるべきものと考えておりました。この教習状況につきましては、本日やっております監査で大体明確になるものと考えますが、この結果によりまして、強力な指導をさらに徹底して行ないたいと考えております。また、こういった点をいかに徹底的にやるかということにつきましては、御指摘のとおり首脳陣の考え方いかんで、相当変わってまいります。したがいまして、こういった点につきましては、先般警告をした際にも、また、警告に対する報告書を提出してまいりました際におきましても十分意を尽くして指導をいたしておりますし、これに対しまして実績をもって示してもらいたいということをきつく申しておるわけでございまして、この監査に基づきまして、われわれの得た資料をつぶさに検討をした上でこの内容が、会社の管理者の報告内容を充足をし得ていないようでありますならば、さらに強力な指導監督を行なう見込みでございます。
  41. 田代富士男

    田代富士男君 きょう抜き打ち監査がなされているということを大臣からも、局長からも聞きましたが、いままで定期検査が行なわれております。その定期検査のときの状況を私は調べてみました。その定期検査の状況というものは、各私鉄において行なわれておりますが、南海電車の場合は、もう検査をしてもらう車両というのはさまっております。その検査をされる車両というものはさまっていて、それだけは完備している。ところが、ほかの車両というものは、天下茶屋に修理工場がありまして、そこにつとめている人の声を聞いても、この電車はこの部品を取りかえなくてはならぬ、そのように会社へ性能のよい部品を買ってもらいたいという意見を具申しましても性能のよい品物は買ってもらえない、そこでやむなく中古品等を補充してつけておると、案の定故障を起こして帰ってくる、まことにわれわれも危険を感じております、どうして会社はもっとこういう車両の完備というようなことに力を加えてないのでしょうか、じゃ、定期検査があるじゃないか、それがあなた、定期検査のときにはちゃんと見せる車両はきまっております。それを見せて、もうあとはどこへお行きになっているかそれから先はわれわれも知りません。これは御想像つくと思います。その問題はきょうは取り上げません。いずれの機会かにその問題はやりますよ。きょうはその問題は別にしましてそのような定期検査がなされているのです。部品の購入等は能率のよいものは買われてない。そうしてまず検査の技術が低いということは私もびっくりしましたが、これは御承知のとおりに、南海電車と国鉄とは軌道の幅が同じでありますから、紀勢線乗り入れを白浜までディーゼルカーでやっております。そうして南海電車のディーゼルカーもありますが、国鉄の車両と連絡をする関係上国鉄にも責任がありますからディーゼルカーの検査に国鉄の人が参ります。エアブレーキの点検をしようというときに、南海の工場の人に石けんを貸してもらいたいと言ったのです。南海の人は手を洗うために石けんを貸してくれと言われたのだと思って、そういう気持ちで持ってきて出した。そうしましたら国鉄の人が言ったそうです。南海の検査の技術というものはこういうものか、これは手を洗うものじゃないんだぞ、エアブレーキにこの石けんを塗っていけばどこからエアが漏れているかがわかるためにこの検査をやるんだぞ、こういう初歩的なこともやってないのかと言って、国鉄の検査に来た人があ然としたということを、私は現場の人から聞きました。能率のよい部品はつけない。検査は不十分である。そうするならば事故が起きるのがあたりまえじゃないかと思うのです。私は技術的なことはあまりわかりませんが、ハンドルを運転士が持つ場合にやはりやわらかくなくちゃならないそうです。そのかたい場合がある。厳密に言うならば故障車であります。これは車両が足らないからしかたがないからまあまあこれで行ってくれ、大きな事故は起こらぬ、内心ひやひやしながら重いハンドルを持ちながら運転する場合もあると、そういうことも聞いておりますけれども、こういうことに対しまして、定期検査のあり方について運輸省はどのように指導していらっしゃるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  42. 山口真弘

    説明員(山口真弘君) お答え申し上げます。  私鉄の車両の検査につきましては、ただいま先生お話ございましたような定期的な、たとえば一年だとかいうような定期的な検査、さらにそれより短い期間、たとえば六カ月検査とか、さらに交番検査と申しまして、これは車両の一交番ごとに通常の場合は十五日の場合があるわけでございますが、交番の検査、さらに仕業いたします場合におきまするところの仕業の検査というような各段階におきまして検査を事業者の工場並びに車庫の方がやっておるわけでございます。さらに、そういったような検査、定期的な検査の中で数年間に一度ぐらいずつオーバーホール的な大きな検査が行なわれるというふうになっておりまして、その点で検査の何といいますか仕組みというものは万全を期しておるつもりでございます。各現場におきまする技術の問題におきましてはこれは各会社におきましてこれに対する十分の研修をいたしまして、そうして、たとえば第一番の仕業検査の場合にはどういう点を点検をするか、それから交番検査の場合にはこういう点を点検をする、あるいはさらに定期的な検査、それから全体的なオーバーホールの検査という場合にはどういう点をばらし、どういう点を検査するということを全部一応きめておりまして、それによってやっておるわけでございまして、南海電車の検査が特別に劣悪であるというように私ども聞いておらないわけでございます。
  43. 田代富士男

    田代富士男君 委員長からあと十分程度にまとめるようにということですが、まだまだ質問はこれだけありますからあと十分では——次回に回わしてもらいたいと思いますが、あと十分できょうは終わりますが、いま南海電鉄はそういう雑なことはないというお話でございますが、きょう抜き打ち検査をなさっていらっしゃるということですからその報告をお聞きになって、その上にもう一回聞きたいと思いますが、もう一つ例をあげますと、どういうことがなされているかと言いますと、二月の半ばごろ、車両番号も言っておきます、一一〇〇一番から一一〇〇四番までの四両編成の電車がございます。これがマイクが故障しました。マイクが故障した場合にはマイクをつけなくちゃならないという運輸省の規定はありません、隧道等の中においてはマイクを使用するという指導要綱はありますけれども。しかし、これは当然のことじゃないかと思いますが、マイクが故障したならば、乗客に対するサービスあるいはマイイク放送というものは輸送にはつきものです。マイクの事故があったならば即時に、その日事故であったならばあくる日電車が出るときにはこれは修理すべきです。ところがこれ修理されないままにマイク不良と書いたままに一週間も、長いときには十日もほったらかしておる。どうしてかというと、そのマイクの部品の予備すらも備えをさせてくれないために、マイクをはずしてそれを修理してつける間はマイクなしで、マイク不良につきという張り紙を書いたままで走っているんです、電車は。この一つをとってみても、また私が五大私鉄に乗ったということは、ヒーターの問題です。特に和歌山発の最終電車があります。大阪の難波に一時前に着く電車があります。かれこれ一時間何十分、二時間かかる。この電車に乗ってみなさい。乗客はどうしておるか。ふるえております。ヒーターをつけなくちゃならないという、そういう法的に規定されたものはありませんが、これはサービス業の一つです。南海電車のヒーターというものは入ってないので、がたがたふるえている。まして二千台の電車です。二千台の電車運転士まで含めてがたがたふるえている、運転士が。そのような状況で交通安全ができるかというのです。そういう雑ではないとおっしゃいますから、私は最初に申したとおりに現地で確かめてきて、そうして訴えているんです。しかし、あと十分でまとめるように言われまして、まだまだ私聞きたいことは一ばいありますが、そういう点を考えたならばまずここに最初に要請文が出ましたように、保安に関する設備の完備、労働条件、職場環境の近代化と、これはぜひやらなくちゃならないと思います。また賃金等の問題も検討すべき問題が横たわっております。これ以外に南海はどういうことをやっているか。そういうことをやっているから賃金を上げることはできないのだということを聞きたいと思ったんですが、時間がありませんからもうこれで終わりたいと思いますが、次回にもう一回やりたいと思います。  こういう事実がありますが、これでもちゃんとやっているとおっしゃるのですか、いかがですか。
  44. 山口真弘

    説明員(山口真弘君) お答え申し上げます。  鉄道の車両その他の施設につきまして、私ども運輸省としてはこれが安全に運行できるように各面から非常に規制をいたしておりまして、具体的には地方鉄道建設規程というような規則によりまして、たとえば線路はどうあらなければいけないとか、あるいは架空電車線はどうなければいかぬとか、車両の構造はどうなければならぬとか、そういうふうな各種の設備的な基準というものをきめておりまして、その基準に従ったものでなければいけないというように指導いたしております。さらにその設備上の問題を、今度は運営をいたしまする場合につきましてこの運営のしかたについては、たとえば保安装置の整備のしかたはどういうふうにしなければいかぬとか、あるいは線路の整備はどうしなければいかぬとか、あるいは線路の巡視はどうしなければならぬ、あるいは車両の、これは先ほどちょっと申しましたが、車両の検査のしかたというものは、どういう期間においてまたどういうやり方でやらなければならぬとか、あるいは絶縁抵抗あるいは絶縁耐力試験とか、そういうような各種の機器的な試験はどういうふうにしなければならぬとかいうようなきめをいたしておりまして、そういうことによりまして保安上の万全というものを期しておるわけでございます。各私鉄におきましても、当然この規定によってやってもらわなければならぬわけでございまして、もしこの点において欠けるところがありますれば、何としてもこれは直さなければいけない、私ども一応いままで伺っておる報告ではそういう点について特別に問題というものを指摘されておりませんので、先ほど申しましたように、その問題はいいんじゃないかと申しましたが、さらにこの点は先生のおっしゃるように十分に指導をいたしまして、保安の問題ですから、さらに一そうこれを高めていくというふうに努力をしなければならぬ、このように考えております。
  45. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  46. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  47. 田代富士男

    田代富士男君 まあいまいろいろな問題点が出されましたけれども、賃金等の問題につきましては国鉄の場合と私鉄の賃金の場合につきましては、いろいろいまさっき申しました点につきましてはまだ検討の余地があると思います。私ももうちょっと調べさせていただきたいと思いますが、その点ひとつ御了解願いたいと思います。  次いで、いまの保安の問題ですが、私、一つ一つの事実をいま保安の問題で申されましたから取り上げていきますと、マイクの問題もそうですが、一番大事なことは、お客さんを電車に乗せて運んでこそ企業体というものは成り立っていくわけなんです。さあ、そうしますとどうなっているか、だからここに運輸大臣も一回南海電車に乗っていただいたならばおわかりと思いますけれども、どんな状況になっているか、たいへんな状況になっております。だから一つ一ついまさきに要望事項がダイヤ関係で十三項目、施設関係で十八項目、車両関係で十七項目、その他全般で十六項目、これだけの大きな、ここにございますあとでこれは提出してもよろしいのですが、このうち全部というわけにまいりませんが、これを取り上げていきますと、まず最初に過密ダイヤの解消ということが、ダイヤ関係で取り上げております。過密ダイヤの解消、この点につきましては今回の事故がどういうような状態事故が起きているかといいますと、今回の事故の状況というものは考えさせられるべき点が多々あります。というのは、こういう過密ダイヤのときにこういう事故が起きているということです。すなわちこの天下茶屋の事故は夕方の五時過ぎから五時半の間の電車の上下線の列車本数を見ますと、十七本の電車が走っております。そこで十七本の電車が走っておりまして、その間に下運転士に対しまして彼は堺駅を通過するときにもし臨時ダイヤの連絡を受けていたならば事故が防げた。天下茶屋の線に入っていたのは臨時ダイヤの線です。それをいま運輸大臣は下運転士が注意していたならば事故を防げた。再度そのように申されましたが、もう一歩突込んで言うならば、堺駅を通過するときに臨時ダイヤの連絡を受けていたならば事故は防げていたのだという、そういう三十分の間に十七本の電車が行き来しているのですから、その中に臨時ダイヤを入れている。その通知を何らなされていたい、こういうようなところに今度の事故というものがあるのじゃないかと思うわけなんです。どうして通知をしなかったか、そういう臨時ダイヤを組む場合には、その臨時ダイヤを組んだ直後でもいい、駅を通過するときに一言こういう列車が入るからということを言っているならばそれこそ注意します。こういう点についていまさきの問題から一歩突込んだあれを見ましたが、それと相待って「過密ダイヤの解消」、この問題点の要望事項が出ております。これに対する当局のお考えはいかがな考えでありますか。
  48. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お説のとおりでありまして、特に急行運転しているときの引き込み線からの汽車の側線通過とか、あるいは過密ダイヤ、特に急行時の過密ダイヤという問題につきましては運輸省のほうからも警告を発しまして、先方のほうからもその点の是正に関する具体案が出てきております。なお、天下茶屋の具体的な問題につきましては、あすこの修理工場から側線を出て高野線に入る急行の一番ラッシュのときにああいう回送列車を出すというところに大きな根本原因もあったのでありまして、今度は高野線のほうに修理工場をつくって、高野線のほうは高野線で処理する、そういうふうに是正するということも会社のほうは言ってきております。これも実行させようと思っております。いまの過密ダイヤからきます運転乗務員に対する駅の助役なりその他からの注意もこれをしておったならば事故の回避はできたかもしれません。そういう点についても今後大いに監督をしていきたいと思っております。
  49. 田代富士男

    田代富士男君 第二番目に「Aダイヤに統一せよ」、これは平日と休日とのダイヤの違いをなくす、第三に「急行の統一」、急行のとまる駅ととまらない駅があるけれども、これを統一してもらいたい、運転士にとってはまことに不都合である。それから第四番、「安全設備が完備される迄スピードダウン」、これはまだ南海では大正年間の電車が走っているのです、このことを御存じでしょうか、いかがでございますか、大正年間の電車が走っているのです。
  50. 山口真弘

    説明員(山口真弘君) ただいまお話の第一点の、急行運転の場合、急行列車その他列車種別の単一化と申しますか、簡単化と申しますか、その問題につきましては、確かに先生おっしゃるように非常に列車種別が多いということのために、運転士の方が錯覚を起こすというような危険性というものもあるわけでございまして、その点につきましては私ども今回の大臣からの指示で、列車運用の改善について考えるべきであるという指示をいたしておりまして、これにつきまして南海といたしましても何らかの簡単化という問題について取り組んでいくという回答をいたしております。私ども今後この問題については具体的にダイヤの問題として検討をしてまいりたいと思います。  それから臨時ダイヤの問題等に関します過密ダイヤの問題につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、結局輸送力増強を急ぐということになるわけでございます。スピードダウンということも、これもまた輸送力をむしろ落とすかっこうになるわけでありまして、列車運用をダウンさせるということになりますから、その意味で非常に問題があるわけでございますが、いずれにいたしましても過密ダイヤの解消のためには、結局は輸送力増強の各種の設備投資というものを十分にやっていくということでないかと思います。その輸送力増強の設備投資並びにこれは当然保安投資というものと関連をつけて考えなければならぬことでございます。その場合に古い車を新しい車にかえていくということは必要でございまして、このための投資というものも南海としても考えておりますし、私ども強力に実は指導いたしております。南海も更新を急いでおりますがそれができない、まだ完全に終わらない場合には、古い車はなるべく普通列車に使用する、急行、準急その他につきましては新しい車を使うという運用でやっているわけでございます。いずれにいたしましても、輸送力増強を強力に推進いたしまして、過密ダイヤを解消し、あるいは古い車を新しい車に更新をするということによりまして、先生おっしゃいましたような、根本的な事故の発生の要因というものを断ち切っていくというような方向で進まなければならぬものと思います。
  51. 田代富士男

    田代富士男君 これはきりがないから。もう一つは、いま性能の悪い車両を落としていくと申されますけれども、私このダイヤ関係の六番目「大型車の急行甲使用は協定違反直ちに正せ」、この事情を聞きましたら、性能の落ちる車をいま現在の急行に使っていると、そういうような状況だというふうに聞いたわけなんですが、いまの話ではそういうことを指導していらっしゃると申されますから、その点についてはこれは取り下げたいと思いますが、大正時代の車がまだ走っているのですから、その点はひとつ改めていただきたいと思います。走っている区間は大阪難波——住之江間あたりに使用されております。三枚とびらの車両です。  それから時間もあまりありませんから申し上げますが、ダイヤ関係の七番目のところに「無理な車両運用着発使用を全面的に禁止」こういう要望が出ておりますが、これは私も調べてみました。そうしますと意外なことがあります。それは、和歌山に行ったときに調べてみましたところが、和歌山市駅を例にとりますと、到着から発車まで三分というダイヤが組まれている。その三分間に満員の乗客が全部おりて乗務員がかわること、また出行する時間や、ホームがなくてずっとおくれている、電車も続いているとか、そういうことやっているのですけれども、三分間でこういうことができるかというのです。こういう点に対しましては運輸当局としてどのように指導していらっしゃるか。三分間で発着、こういうような電車の運行の問題点ですね。これは事故が起きないというのがおかしいくらいです。それはダイヤを私調べましたら、南海和歌山線は百八にわたるところの電車運転士の乗車ケースが——一日の乗車順番を、きょうはここで上がってこうなってというのが百八のケースがあるというのですね。その百八が周期的に回っているのですが、その中で三分間、到着から発車まで。こういうような運行がされているんですが、こういうことを運輸当局としては御存じであるかどうかという点でございます。
  52. 山口真弘

    説明員(山口真弘君) お答え申し上げます。現実の列車の運用の場合に考えられる問題というのは二点ございます。一つの問題は、車両をどのように運用するかという問題でございまして、具体的に申し上げますと、たとえば何番という車両がどこの駅を出て、そして向こうのどこの駅に着いて、さらにそれが折り返してどこの駅を行って、さらにそれがまた折り返してどこの駅へ行くというような車両の運用の仕業というものが一つございます。  それからいま一つは、乗務員の運用の仕業というのがございます。これは、たとえばその車両に乗る運転士の方がどこから電車に乗ってどこまで至る、折り返してどこへ行ってどこでその仕業を終わるというような運転士の仕業というのがございます。  そこで、第一の、車両の仕業の問題につきましては、これは車両の性能というものだとか、あるいは折り返しのための設備の問題、点検の問題だとか、それからもっと根本的にはその車両の検査だとか、そういうふうな場合というようなものを考慮し、さらに列車の速度というものを勘案いたしまして車両の運用というものをきめるわけでございます。  それから第二の、乗務員の運用の問題につきましては、乗務員の労働時間、一日平均の拘束時間、これは労働協約等できまっております。あるいはこの拘束時間だけでなくて、実働時間、実際に労働者が働く時間、さらに会社と組合等との協定によりまして、実際にハンドルを持つ時間、実ハンドル時間、それからさらにその実ハンドル時間に加えるべき性格のものといたしまして、いろいろ仕業点検をいたしましたりする場合のいわば予備的なそういう時間というような各種の時間につきまして、これは労働組合との交渉ですね、就業規則できめられておるわけでございますが、そういったような点がございます。それでこの二つの要素というものをかみ合わせまして、そして具体的な、列車がどこでどういう折り返しをし、その場合には乗務員はそのまま引き継ぐとか、あるいはそこで交代をするとかというような各種の点をきめましてダイヤの運用というものはなされているわけでございます。ただいま先生御指摘の具体的な点につきましてどうなっているか、いまここでお答え申し上げる資料を持ち合わせておりませんが、十分そういった面を考慮いたしましていろいろと無理のないようなダイヤにしてまいることを指導していきたい、こういうふうに考えております。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 資料がないから、三分間の私は核心に触れた御答弁を願いたいと思いましたが、一般論の質問だけでございますが、これ以上は私追及しませんが、こういう事故の起きないように、こういう点も車両の性能とか、あるいは乗務員の問題等によって発着の時間等あらゆる点からおきめになるということでございますが、三分間ではとうてい無理です。これはその車両もいまさきのことを言えば古い車両と新しい車両とをつないだりして走っておりますからね。この点についてはよく資料をきょうは、特別監査にも行っていらっしゃいますから、その点も問い合わせて聞いていただいたならばおわかりと思います。  それからまだあと施設関係等もありますが、十二時半までという約束ですからね。もう一つ大きな問題は南海電車の乗客の待ち合わせるホームと電算との間の問題です。これが大きいのですよ。これ私も現地を見てまいりました。どのような状況になっているかといいますと、あまりにもひど過ぎます。特に一番ひどいのは大阪市内関係の駅でございます。大阪西成区、東住吉区の、一番ひどいのなんか七堂の駅なんか電車とホームとの間がこんなに離れております。それから住之江駅それから粉浜、要するにあそこまでの住吉区管内、七堂あたりの各駅は、南海電車が設立された当時のホームと何ら変わりがありません。電車に乗ろうとしたら大きいところは三十センチ以上あいております。そうするとおばあさんなんかなかなか乗れないのです。一々車掌がおりていって乗せておるのです。まあ最近こういうお話があります。最近女の人がミニスカートをはいておりますが、乗るのに一苦労しております。こういうように西成、住吉区というものは、御承知のように通勤客も一番多いところです。それで三十センチも、それ以上のところもあります。そうして七堂なんか湾曲しているところなんかひどいです。こういうようなところに対しまして、先日中曽根大臣から南海に対しまして種々指導された中で、監督を強化し指導していくようにと言われる中に、まあ全体を含んでいると言われればそれまででございますが、施設の改善のことについて、この問題をあまり大きく取り上げられていない。運輸大臣はそれも含んだ上に指導していると言われるかもわかりませんけれども、私が和歌山の最終電車に乗ったら車掌が言っておりました。給料が上がらないのは私はもうあきらめております。二十二年間ですから。二十五年つとめれば退職金が、五十五ヶ月分の退職金が出ます。それで私はとっとと別の仕事をやりますから、しかし、私たちは毎日二十二年間車掌をしておりますが、やはりお客さんからお小言を食うのが一番つらい。われわれの給料よりも人命尊重のたてまえから施設の改善に力を入れてください。そのような声を私は聞きました。こういうようなホームの保安に対する問題ですが、保安に対することもやっているというのですが、遅々として、創立当時と何ら変わりのないような状況でございますが、このような問題に対して、直接南海の当局じゃありませんから云々するわけじゃないのですが、指導監督する運輸省として、こういうものもほうっておいてよいのか。それに比べまして阪神や阪急に乗ってみなさい。全部改善されてきております。私は私鉄をえこひいきするわけじゃないですよ。私は公平に見た目において一番おくれております、南海経営陣対立のために。そういう施設の改善のために、どうしてこの施設の改善できないかという点につきましては、他のいろんな私鉄を買収したり、地域開発のためにホテル業とかそういうものに力を入れるために、金がそちらへ流れている事実も私つかんでおりますが、そのこともきょうは追及したいと思いますけれども、時間がありませんからそこまでいきませんけれども、そういうことをやめてでも、一番先にお客あっての私鉄経営じゃないかと思うのですが、そのお客に対して創立当時と何ら変わらないホームでどうするか。この点については、当局としてどうお考えですか。
  54. 山口真弘

    説明員(山口真弘君) ただいま先生おっしゃいましたように、鉄道事業はまさにお客あっての仕事でございまして、これを第一に考えるべきことは先生のおっしゃるとおりでございます。また先ほどのお話によりますと従業員の中から、設備の増強をやってもらいたいという声が、非常に出ておるということを伺いまして、私どもは非常に心強く感じておるところでございます。  そこで、ただいまのホームの問題でございますが、ホームの問題と申しますと、結局問題は車両とホームとの関係ということになるわけでございます。そこで、その車両とホームとの関係と申しますと、これは私どもの専門的な話にちょっと入って恐縮でございますが、車両の大きさはどのようなものでなければならないか。それからホームの大きさはどのようなものでなければならないかというきめをいたしておりまして、したがって、ホームのそばを車両が通っても、その車両がホームに触れるというようなことがなく、しかも先生御指摘のように、利用者があまりにホームから車両が離れるために、利用上非常な不便が起きないというような、そういう二つのいわば逆の要請からその幅をきめておるわけでございます。なかなかそう言っておりましても、現実の問題といたしましてむずかしい問題がございますのは、一つは曲線の問題でございまして、たとえば先生も御存じのとおり渋谷の駅のごときはかなりあいております。ああいう曲線部分におきましてはやはりホームと電車との間には若干のすき間ができるということにもなるわけでございますが、その場合にも私どもはこの大きさの基準ということで、一定のもので押さえるというような形で、これを指導しておるわけでございます。  それからもう一つむずかしい問題は、この車両の大きさが変わってくる。これは古い車両を新しい車両に直していきまする場合に、車両の大きさがある程度の範囲の中で変わってくるという場合に、ある車両はホームにぴったりとくっつくけれども、ある車、両は若干離れるという問題がございます。こういう場合にいろいろなむずかしい問題がございますが、しかし私どものほうといたしましては、この関係につきましては、まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、できるだけこの車両と乗降場との規格の統一というものをはかる必要がある。このように考えております。  それからもう一つ、先生もちょっとお触れになりましたが、ホームと車両の関係は、もう一つの問題は高さの問題、車両の高さとホームの高さの関係というものがございまして、これもいまの幅の問題と同様な考え方で、できるだけ車両とその乗降場の規格の統一をはかってこの関係改善することが必要である。このように考えております。そして南海につきましては、実は先生御指摘のとおり、若干その点で従来おくれた面がございます。それで私どもこれにつきましては、いま南海実施しておりますところの三カ年計画におきましても、こういった面を重視いたしまして、これをやるようにという指導をいたしておりますが、今後とも御指摘のようにつとめてまいりたいと、このように考えます。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 だからそれはちゃんとやってください。私現場を見てきておりますから。事態は車両は変わってもホームは変わっておりません。その点はとくと運輸大臣にもお願いしておきます。一番乗客の激しいところがこうなんです。  それと同時に、時間を厳守しろということでごいざますから、いま、いろいろな点を申し上げましたが、これより大事なことは踏切事故の問題じゃないかと思うのでございます。南海は三回の大きな事故のあとにもまた踏切事故を起こしております。これに対しまして事故の絶えないために、昭和三十九年に始めた大手十四社が第二次輸送計画の資金二千二百五十億円中、安全対策、最も重要な踏切対策には七十億円しか計上されてないわけなんです。踏切事故が一番大きいにもかかわらず、こういうところに私は一番根本原因を改革する問題があるのじゃないかと思いますが、時間もありませんから、総まとめをしまして、日本民営鉄道専務理事さん、あるいは今後の南海事故を教訓として、今後どのようにやっていくかということを総まとめに運輸大臣に御答弁を願いたいと思います。
  56. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いろいろ現地を踏査されまして、貴重な御意見をお寄せいただきまして、つつしんでお礼を申し上げます。われわれのほうも至らぬところも多うございますので、御指摘の点はよく今度の監査で調べさせまして、間違いのないようにいたしたいと思います。
  57. 古谷善亮

    参考人古谷善亮君) 今回の事故につきまして、その背景をなすべき事情について、るる御指摘をいただきましたことをありがたく感謝いたします。特に生活に密接に直結いたします労働管理の問題、あるいは労働条件問題等につきまして、適切なお話を伺いましたことをあわせて感謝いたす次第であります。  私どももうちの協会といたしましては、労働問題のことを仕事の一部といたしておるのであります。将来も労働問題のあり方につきまして重大な御指摘をいただいたことをありがたく存じております。  なお、ただいま最後にお話いただきました踏み切りの問題でございますが、この点につきましては実は昨年、これこそはもう政府が踏み切りの問題に乗り出していただいておりますが、おそらくかようなことは私の経験からいままでにないことだと思います。交通対策本部が四月の六日でございましたか決定いたしました。それを七日の閣議の了解を得まして、それを関係各省がそれぞれの手を打っております。なお、通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法の中でも、踏み切りの問題につきまして種々御配慮いただいております。したがいまして、踏み切りはたんねんに一つ一つシラミつぶしに検査いたしまして、その安全度につきましては私鉄といたしましてはその整備に努力いたしております。ただいまお示しのございました大手十四社が計画いたしております三カ年計画の数字が少ないとおっしゃいましたのですが、ただいま進行中の五ヵ年計画におきましては、全事業資金の二六%をこれに投入いたしております。これと申しますのは、踏み切りだけでございません、運転保安に関します事項にただいま申しました約四分の一以上のものを計上いたしまして、特に安全の面につきましては努力いたしておりますことをつけ加えまして、本日の感謝のことばといたします。
  58. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  59. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  60. 森中守義

    ○森中守義君 参考人せっかくおいでになりまして、いろいろ質問者からのお尋ねもなかったようで、まあ私も不勉強でよくわかりませんけれども、民営鉄道協会ということのようですが、それなりの所掌権限というものがあるだろうと思う。ついては今回の南海の連続した問題等に関してどういう措置をおとりになったのか、それをお尋ねいたします。  大臣に、これは来週あるいはあさってぐらいに機会があればゆっくりお尋ねしたいと思っているのですが、例の国鉄の定期の値上げの問題、四月一日という国鉄側の申請のようですが、時間も迫っておりますし、しかも今日のように予算の進行状態も例年のようにいっておりません。したがって、そろそろ何かのお答えをお出しになるべき時期じゃないかと思うのです。一体いつこれはお出しになるのか、現状において値上げを認められるのか、否定されるのか。かたがた先般の閣議後の記者会見で、私鉄を認めず、その見返りとして助成法の立法措置をとりたいと、こういうことのようですが、その辺の状況を、お話のできる範囲でけっこうですから、そのことによってこの次またゆっくり承りますので、あわせて御両者からお答えいただきたいと思います。
  61. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 十五日に運輸審議会の公聴会がございまして、この公聴会の様子も見た上で考えを確定したいと思っております。ただ値上げの時期でありますが、もし本予算が暫定予算ということになりますると、国鉄の予算もいままでの例で暫定に区切ってやっぱりつくっているようです。値上げの時期もそれに応じてやはりやっているようです。そのこともいまいろいろ調べさせておりまして、ともかく十五日の公聴会の情勢もよく見た上で考えを確定したいと思っております。
  62. 古谷善亮

    参考人古谷善亮君) 民鉄協会といたしましては、事故の問題を非常に重大視しております。すでに昭和三十七年の十一月の五日でございましたが、踏切特別対策委員会というのを設けまして、名称は踏切となっておりますが、運転事故全部をこの委員会におきまして審議いたしておるのでございます。特にこの委員会には委員長は副会長を当てまして鋭意事故防止につとめてまいっておるわけなんであります。この委員には各社の重要なポストの者が入っておりまして、運転研修の講座を設けるとか、あるいは実際指導の任に当たるそれぞれの責任者の会合を開くとかいたしまして、乗務員の指導なり再教育の徹底なりというようなことをやっておるわけなんです。昨年の四月一日の南海事故につきましては、これもまことに遺憾なことでございましたが、この事故の直後でございますが、四月三日に運輸省事務次官名で当協会長あてに同種事故の再発防止につきまして通牒を出しております。当協会といたしましても、ただいま申しました踏切特別対策委員会を至急招集したしまして、その対策を協議することにいたしたのでございます。六回の小委員会を含めました会議を開きまして、詳細に事故を検討し、また将来かような点については特に配慮しなければならぬという項目を選びまして、これを社内におきましては関係者にその協力方を推進いたしますとともに、関係の官庁等におきましてもこれの対策をお願いいたしておる次第でございます。この対策の中には、先ほどの緊急措置法等におきまして御配慮願いましたこともございますが、ことに踏み切りの問題につきましては、運輸省所管のものばかりでなく、自動車交通の関係がございます。警察庁並びに建設省等にいろいろ御配慮を願う点があるのでございますが、これを一々申し上げますと時間がかかりますのできょうは申し上げませんけれども、関係官庁の強力な御援助を仰ぎたいと思っているわけでございます。  以上、簡単でございますが。
  63. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  64. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 速記をつけて。
  65. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま失礼いたしました。  私鉄関係でございますが、私鉄の公共性、公益性というものが、昔と違って非常に出てきたと思うんです。それで、しかもいろいろ保安措置とか、あるいは通勤対策とか、いろいろわれわれのほうからも要請をしてやらしております。そういう点も考えてみまして、郊外の通勤輸送における私鉄の使命というものは昔と考えられないほど大きな要素を占めてきましたので、これを単なる私企業というだけでほったらかしておいていいかどうか。それでは公共輸送に差しつかえるという面も出てきているのではないかと考えられます。国鉄におきましては利子補給をしたり、あるいは財投の金をかなり入れたり、いろいろ努力を始めておりますが、私鉄もある程度そういう考えをもって助成してやると同時に監督も厳にしていく必要がある、そう思いまして特別立法をやることが適当であると考えて、いま法案の検討をやらしている最中でございます。
  66. 森中守義

    ○森中守義君 前段の四月一日からの問題は、先ほどのお答えによりますと十五日の公聴会の情勢まち、こういうように私は理解をした。ついては大臣は、今日の政治情勢あるいは世論の動向、そういうものを踏まえて固有の意思をまだ決定しておいでにならぬ、こういうことに受け取ってよろしいですね。
  67. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、議会におきまして、今年度予算に関係して国鉄の定期の値上げは一部やむを得ない、そういう答弁はしております。これは予算編成の関係もありましてそういう答弁をせざるを得ないのであります。しかし、やはり公聴会というものを開いて皆さんの御意見を承るということも手続き上ありますし、また大事なことでありますので、その公聴会の議論やその他の内容もこれは参考にしなければならぬ。もしその発言その他の中で、われわれが考えなければならぬことがあればわれわれの考えを改めなければならぬ、そういうことも余裕をもって考えて拝聴したいと思っておるのであります。
  68. 谷口慶吉

    委員長谷口慶吉君) 古谷参考人に申し上げます。本日は、一時間にわたる貴重な御意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。あつくお礼を申し上げます。  本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会      —————・—————