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帆足分科員 鉄鋼百万トンもできない韓国
政府のことなどは、ばからしくて私はお尋ねする気にもなりませんけれ
ども、しかいし過去六年間において ただいまいただいた資料です。
日本は四五%も消費者物価が値上がりしているのです。
アメリカはわずか九%、英国は二割三分、ドイツで一割八分、フランスは二割三分。それに対して
日本は四割五分も騰貴しております。かりに百万円定期預金をしていたとするならば、百万円の金は五十五万円に減ってしまっているわけです。四十五万円は
大蔵大臣に盗まれたというような不平が出ても、懲罰委員会に付することもできないような数字でございます。どうかこの数字の深刻さ——これだけのものが国家
資金に還流して、わわれれの
財産を盗んで、盗んだものが所得倍増の美名のもとに大資本に投下されておるという、この
経済のからくりを国民によく知ってもらい、学者に検討してもらって、ただ批判するばかりでなくて、徐々にこれを
解決するのにはどうすればよいかということに協力し合わなければ
日本は退廃してしまう。その根源はここにあることを痛感いたすのでございます。
時間がございませんから、あとは急行で各論に移りますが、生命
保険の問題も同じでありまして、私は多少生命
保険の事情を存じておりますが、このような苦い経験のもとで生命
保険に勧誘するということもたいへん困難です。その困難を押して今日数兆円の生命
保険の契約ができておるということは、驚くべき外交員諸君の御努力の結果だと思います。われわれも、いやなことがあったりして町裏のバーなどに寄りますと、つい二、三千円、四、五千円は使うのでございますが、それを
保険勧誘員が集めて、そういうむだづかいを
保険の掛け金にして万一の非常
事態に備える。
保険に入ってあとで後悔した未亡人はないのであります。したがいまして、その労を多とするものでございますけれ
ども、わが国においては、生命
保険一つ例にとりましても、まずインフレーションという重大な難関が横たわっております。また
保険外交員の移動が非常に激しくて、縁故関係で、未亡人その他婦人が非常に多いのですが、採用いたしまして、話に聞きますと、年々二十万人近くも移動が起こっておる。定着しておる外交員は十万少しこえておる
程度にすぎない。私は、セールスマンとしての外交員の教育、学習、訓練にもう少し会社として熱心になって、そして常時勤務する人たちの生活安定を一そう確実にし、
保険に志す未亡人さんたちもできるだけ定着し得るように教育せねばならぬと思います。私
どもがむだづかいする金は相当のものでありまするし、会社の交際費だけでも六千億円といわれております。そういうむだづかいはできるだけ
保険に吸収するという、仕事はつらいけれ
どもとうとい仕事として、
保険勧誘員諸君の訪問を受けましても私は苦い顔をして追っ払うという気は起こりません。しかし、尋ねてみますと、専門の知識がございませんために——年齢、職業、目的、環境において適切な
保険に入らねばならぬでしょう。
アメリカでは
保険の仕事はセールスマンの仕事となっておりまして、エスキモーに冷蔵庫を買わせる能力を持っておる、こう自負しておるのが
保険の外交の専門家だそうでございます。そこまで神わざとまでいかなくとも、
保険についての正確な知識を持たしめて指導する、こういうふうに
銀行局のほうでは御指導あらんことを切望する次第でございます。また、
保険会社はあれほど何兆円という金額に達して大廈高楼がそびえ立っておりますのに、案外にまだ経営者の一部には封建制が残っております。いまも忘れませんが、いまから三十年前に、第一生命会長の矢野恒太氏が御存命中——彼はすぐれた立志伝中の人物であります。親指が曲がった方でありましたが、小柄な方で、非常な秀才で、国勢図会という大衆にわかりやすい統計の本が出ておることは御存じのとおりであります。もうずいぶん前になくなった方ですが、その方ですらが、相互
保険の組織を同族会社のように考えがちでございまして、勤労者に対して、近ごろ百姓が自転車のうしろにビールを載せ、わらじのかわりにゴムぐつをはいて走る、こんなぜいたくなことではだめだと、まるで二宮尊徳時代の
経済学を述べていたのに私は肝をつぶしたことがある。
日本の生命
保険の開拓者である矢野恒太氏、この敬愛する実業の天才がこのような幼稚なことを言われる。ゴムぐつはだれのためにつくるか、ビールはだれのためにつくるか。百姓に飲んでもらい、寄生虫を防ぐためにゴムぐつをはいてもらう。そして
日本の軽工業は発達する。それが正しい成長的循環であるのに、そのことわりすらわきまえない方であった。一面
保険王でありながら、封建制のワクを出ることはできなかった。そのために、
日本の実業界は庶民の尊敬を得ることができなかった。こういう封建残滓は
銀行にも会社にもありますけれ
ども、相互組織の生命
保険にもまだ色濃く残っておるわけです。たとえば残業手当にいたしましても、六十円ないし百円前後と聞いておりますが、しかしストがあったり余儀なき事情があって職場を離れましたときに、その賃金をカットするのは、厳密にその時間で総賃金を割ってカットいたしておりますのに、残業手当の場合には、ほんの封建的な胸算用でもって制度がきまっております。私は
保険行政を監督される
銀行局におきまして、
銀行と会社と比較なさいまして、そういう封建残滓はやはり明朗にして、そうして今後
保険業務はだんだん合理化されていくと思いますが、合理化には二種類ありまして、
一つは消費者に奉仕し、勤労者の苦しみを緩和し、能率をあげ、賃金を高め、すべての人から喜ばれる進歩的合理化と、その苦しみのしわ寄せを勤労者だけに寄せるような反動的合理化と二種類ありますから、その点よく御勘案くださいまして、
日本の企業に伴いがちな封建的な陋習を取り去りまして、合理的に筋道の通るように、
経済の
最後の目的は消費である、国民生活の向上である、こういう
観点に
保険行政の皆さまも立っていただきたいと思うのでございます 日ごろこの点を痛感いたしておりまして、特に移動率の激しい未亡人残酷物語のような
日本の外交員制度に対しまして、一挙に抜本的にこれを直すことはできないでありましょうけれ
ども、この業務が専門化し、定着化するようなあたたかい指導と教育を与えて、縁故関係を食い荒してあとは弊履のごとく捨てるというような
保険残酷物語を減らしてまいりまして、定着し、安定した仕事として
保険の仕事ができるようにお骨折り願いたい、こう思う次第でございます。
あと一問ございますので、あとで申し述べます。それだけをお許しを願います、まだ時間が三、四分ありますから。