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1968-03-15 第58回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十五日(金曜日)     午前十時三分開議  出席分科員    主査 田中 正巳君       井出一太郎君    竹下  登君       登坂重次郎君    中野 四郎君       松澤 雄藏君    松野 頼三君       毛利 松平君    山村治郎君       太田 一夫君    大原  亨君       唐橋  東君    木原  実君       後藤 俊男君    佐野  進君       只松 祐治君    畑   和君       横山 利秋君    大橋 敏雄君       小濱 新次君 兼務 板川 正吾君    兼務 久保 三郎君 兼務 神門至馬夫君    兼務 阪上安太郎君 兼務 柴田 健治君    兼務 中村 重光君 兼務 内藤 良平君    兼務 武藤 山治君 兼務 八木 一男君    兼務 吉田 賢一君 兼務 大野  潔君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁交通局長 鈴木 光一君         厚生省社会局長 今村  譲君         厚生省児童家庭         局長      渥美 節夫君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省観光局長 深草 克巳君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治大臣官房会         計課長     鈴木  博君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省選挙局長 降矢 敏義君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁長官   佐久間 彊君         消防庁次長   山本  弘君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    宮崎 隆夫君         法務省刑事局参         事官      吉田 淳一君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         文部省大学学術         局大学課長   説田 三郎君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       宮地 貫一君         農林省畜産局参         事官      立川  基君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         通商産業省重工         業局車輛課長  阿部 新七君         通商産業省化学         工業局保安課長 矢野俊比古君         運輸省自動車局         業務部長    渋谷 正敏君         海上保安庁警備         救難部長    長野 義男君         労働省労政局福         祉共済課長   根岸  博君         労働省労働基準         局労災管理課長 桑原 敬一君         労働省職業安定         局失業保険課長 増田 一郎君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君         建設省都市局都         市計画課長   国塚 武平君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜覚君     ————————————— 三月十五日  分科員中野四郎君、松澤雄藏君、松野頼三君、  畑和君、横山利秋君及び大橋敏雄委員辞任に  つき、その補欠として山村治郎君、竹下登君、  毛利松平君、太田一夫君、佐野進君及び鈴切康  雄君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員竹下登君、毛利松平君、山村治郎君、  太田一夫君、佐野進君及び鈴切康雄委員辞任  につき、その補欠として松澤雄藏君、松野頼三  君、中野四郎君、後藤俊男君、田邊誠君及び小  濱新次君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員後藤俊男君、田邊誠君及び小濱新次君委  員辞任につき、その補欠として只松祐治君、堀  昌雄君及び浅井美幸君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員松祐治君及び堀昌雄委員辞任につき、  その補欠として永井勝次郎君及び木原実君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  分科員木原実君及び永井勝次郎委員辞任につ  き、その補欠として唐橋東君及び島本虎三君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員唐橋東君及び島本虎三委員委員辞任に  つき、その補欠しこ横山利秋君及び畑和君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  第一分科員中村重光君、八木一男君、第二分科  員柴田健治君、内藤良平君、第四分科員板川正  吾君、阪上安太郎君、武藤山治君、吉田賢一君、  大野潔君、第五分科員久保三郎君及び神門至馬  夫君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算中、厚生省労働  省及び自治省所管  昭和四十三年度特別会計予算中、厚生省労働  省及び自治省所管      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十三年度一般会計及び昭和四十三年度特別会計予算自治省所管を議題とし、説明を聴取いたします。細田自治政務次官
  3. 細田吉藏

    細田政府委員 自治省関係昭和四十三年度歳入歳出予算について申し上げます。  一般会計におきましは、歳入総額二千七百万円、歳出総額一兆一千三百八十六億六千九百万円となっております。  また、交付税及び譲与税配付金特別会計におきましては、歳入総額一兆二千九十一億一千四百万円、歳出総額一兆二千九十一億一千四百万円となっております。  これらの一般会計及び特別会計予算の詳細につきましては、お手元の昭和四十三年度自治省関係予算概要説明をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     —————————————   〔参照〕  昭和四十三年度自治省関係予算概要説明  自治省関係昭和四十三年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十三年度の一般会計予算は、歳入二千七百万円、歳出一兆一千三百八十六億六千九百万円であります。  歳出予算では、前年度の当初予算額九千二百八十二億二千七百万円と比較し、二千一百四億四千二百万円の増額となっており、前年度の補正後の予算額一兆二十七億一千万円と比較し、一千三百五十九億五千九百万円の増額となっております。  この歳出予算額を組織に大別いたしますと、自治本省一兆一千三百六十八億四千万円、消防庁十八億二千九百万円となっております。  以下、この歳出予算額のうちおもな事項につきまして、その内容を御説明申し上げす。  まず、地方交付税交付金特別事業債償還交付金等財源に充てるために、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。  その総額は、一兆一千十三億四千六百万円でありまして、前年度の当初予算額九千一百一億三千九百万円と比較し、一千九百十二億七百万円の増額となっており、前年度の補正後の予算額九千八百五十億五千万円に比べ一千一百六十二億九千六百万円の増額となっております。  この経費は、地方交付税として交付される昭和四十三年度における所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額と、昭和四十一年度分の地方交付税の精算にかかる未交付額に相当する金額との合計額から、昭和四十三年度の特例措置により四百五十億円を減額した額一兆九百二十三億三千七百万円と、交付税及び譲与税配付金特別会計において借り入れる借り入れ金にかかる利子支払いに充てるため必要な額九百万円、及び昭和四十一年度において公共事業費等特定事業費財源に充てるために発行された地方債のうち、交付団体にかかる昭和四十三年度分の元利償還金に相当する金額として交付される特別事業債償還交付金財源九十億円を計上いたしたものであります。  次に、参議院議員通常選挙関係経費でありますが、その総額は、五十四億七千万円であります。  この経費は、昭和四十三年度において執行される参議院議員通常選挙の執行に必要な経費五十億三百万円、通常選挙開票速報に必要な経費一千七百万円及び通常選挙啓発を推進するために必要な経費四億五千万円であります。  なお、以上のほかに、選挙の常時啓発のための経費として、四億七千二百万円を計上いたしておりますが、啓発経費は、選挙が明るく正しく行なわれるように国民政治常識向上をはかるために必要な経費であります。  次に、奄美群島振興事業関係経費でありますが、その総額は、十七億九千八百万円であります。  この経費は、奄美群島振興特別措置法に基づき、奄美群島における産業振興公共施設整備等事業を行なうために必要な経費及び奄美群島振興信用基金における融資基金増額に充てるための出資に必要な経費であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金につきましては、十九億円を計上いたしております。この額を前年度予算額十七億円に比較いたしますと、二億円の増額となっております。この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に交付するために必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金でありますが、その総額は、百二億三千六百万円であります。  この経費は、交通安全対策の一環として反則金にかかる収入額に相当する金額を、道路交通安全施設設置に要する費用に充てさせるため、府県及び市町村に対し交通安全対策特別交付金として交付するために必要な経費であります。  次に、公共土木施設及び農地等の小災害地方債元利補給金につきましては、二十億一千九百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和三十三年、昭和三十四年及び昭和三十六年以降昭和四十二年までに発生した公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債に対する、昭和四十三年度分の元利償還金相当額の全部またはその一部を当該地方公共団体に交付するために必要な経費であります。  次に、市町村民税臨時減税補てん債元利補給金につきましては、九十八億八百万円を計上いたしております。  この経費は、市町村民税課税方式統一等に伴う市町村民税の減収を補てんするため、昭和三十九年度以降昭和四十二年度までに起こされた地方債並び昭和四十三年度に発行される地方債昭和四十三度分の元利償還金の三分の二に相当する額を、関係市町村に交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給金につきましては、八億三千七百万円を計上いたしております。  この経費は、新産業都市建設及び工業整備特別地域等整備の促進をはかるため、建設事業債特別調整分について、利子補給を行なうために必要な経費であります。  次に、地方公営企業財政再建債利子補給金につきましては、十八億七千三百万円を計上いたしております。  この経費は、地方公営企業財政再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こす財政政建債利子の一部について、補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、住民基本台帳制度の実施に必要な経費につきましては、二億三千六百万円を計上いたしております。  この経費は、市町村における窓口事務の改善をはかり、住民の利便を増進するとともに行政運営能率化に資するため、住民に関する各種の届け出及び台帳統合整備を促進し、住民基本台帳制度の円滑な運営をはかるために必要な経費であります。  次に、公営企業金融公庫補給金につきましては、一億五百万円を計上いたしております。この額を前年度予算額五千三百万円に比較いたしますと、五千二百万円の増額となっております。  この経費は、公営企業金融公庫が行なう水道事業及び下水道事業に対する貸し付けに関連し、同公庫補給金を交付するために必要な経費であります。  以上のほか、公営企業金融公庫に対する政府出資金増額するための経費二億円が、別に大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  以上が、自治本省関係一般会計歳出予算概要であります。次に、消防庁歳出予算概要を御説明申し上げます。  まず、消防施設等整備費補助に必要な経質につきましては、十四億八百万円を計上いたしております。この額を前年度当初予算額十二億六千万円に比較いたしますと、一億四千八百万円の増額となっており、前年度の補正後の予算額十二億二千五百万円に比べますと、一億八千三百万円の増額となっております。  この経費化学車、はしご車、消防艇ヘリコプター等科学消防力強化及び消防ポンプ自動車小型動力ポンプ防火水槽等消防施設整備並びに救急指令センター及び消防吏員待機宿舎施設設置等について、地方公共団体に対して補助するために必要な経費であります。  次に、退職消防団員報償に必要な経費につきましては、八千五百万円を計上いたしております。  この経費は、非常勤消防団員が多年勤続して退職した場合にその功労に報いるため、国が報償を行なうために必要な経費であります。  次に、科学消防等研究に必要な経費につきましては、四千八百万円を計上いたしております。  この経費は、科学消防技術開発向上をはかるため、消防研究所の行なう経常研究特別研究に必要な経費であります。  次に、特別会計予算概要を御説明申し上げす。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、本会計は、歳入一兆二千九十一億一千四百万円、歳出一兆二千九十一億一千四百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金、特別事業債還交付金等財源として一般会計から受け入れる収入地方道路税石油ガス税及び特別とん税の租税収入並びに前年度の決算上の剰余金額見込み額を、昭和四十三年度において受け入れる収入及び借り入れ金等であります。  歳出は、地方交付税交付金特別事業債償還交付金地方道路譲与税譲与金石油ガス譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金並びに借り入れ金元利償還金及び一時借り入れ金利子支払いに充てる財源を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるために必要な経費等であります。  以上、昭和四十三年度の自治省関係一般会計予算及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  4. 田中正巳

    田中主査 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 田中正巳

    田中主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員になられたお方は三十分程度にとどめることとなっておりますので、御協力をお願いいたします。  なお、政府当局においても、質疑時間に限りがありますので、答弁は必ず的確に、要領よく、簡潔に行なわれますよう、特に御注意申し上げておきます。  これより順次質疑を許します。太田一夫君。
  6. 太田一夫

    太田分科員 それでは、私、簡単に一、二点のお尋ねをいたしたいのでありますが、特に大臣に、自治省予算の中の消防関係予算についてお尋ねをいたします。  私、思いますのに、消防というのは、これは申すまでもなくして、火事があったときにそれを消すということが当面の仕事ではありますけれども、防災ということについても重大な配慮を払わなくてはならない義務があるのでありまして、防災体制、その内容いかがであるかということは、将来の日本の国民生命財産を守るという立場からいいまして重大な問題だと思うのです。  そこで、最初に中央防災会議のことについて大臣お尋ねをいたしたいのでありますが、中央防災会議防災ということに対していかなることをなし、いかなる計画をきめていらっしゃるのか、この具体的な問題についてちょっとお尋ねしたいのです。内閣総理大臣にかわってひとつ大臣、おっしゃってください。
  7. 細田吉藏

    細田政府委員 中央防災会議が、私は前に総理府にもおりまして関係いたしておりましたが、とかく災害が起こったあと始末重点が置かれがちである。一番大事なのは、やはりいま太田委員のおっしゃいましたような予防防災ということ、これは法律、基本法にはそうなっておるわけでございまして、中央防災会議重点をそういうふうに振り向けるべく、ここのところかなり努力してまいっておりまして、年度別防災計画を樹立いたしております。これは実際は、事務局でございます総理府関係各省をみな集めまして、統一的な防災計画、またこれの裏づけになる予算、こういうものを含めましての計画を樹立いたしておるのでございます。その他の点につきましては、時々会議を開いて、関係各省構成員を集めまして、主として幹事会と申しますか、そういう段階で防災について協議をしておるわけでございますが、しかし、私、率直に申しまして、防災の点についてこれで十分であるかどうかということについては、私自身といたしましてもまだ非常に不十分である、もっともっとこの点についてやらなければならぬと考えておる次第でございます。
  8. 太田一夫

    太田分科員 大臣特に消防を主管していらっしゃる大臣として私は申し上げておきたいのですが、中央防災会議というのが眠っているのではないかという批判は非常に多いのです。この声があなたたちの耳に入らないということは、少なくとも総理大臣は忙しいのでありますから、総理府ないしはあなたたちのほうでよほどがんばってもらわなければ、中央防災会議、いわゆる災害対策基本法なんというものができましたところで、これはほんとうに眠れるネコぐらいになってしまうわけでありまして、何にもならない、こう思うのです。中央防災会議は眠っていてはいけないという点について、ぜひあなたの関心をかき立てていただいて——大蔵省秋吉主計官まだいらっしゃいませんか。いらっしゃらないうちに言っておいたのでは悪いけれども、大蔵省というところは、消防なんというのは一銭でも削ったほうがいいという考え方なんですね。今度、関東大震災のような震災が起きるのではなかろうかという予感が都民の中に多うございますから、何とかその対策ができておるかといろいろ聞いてみると、大蔵省のところにネックがあって、大蔵省は、何を言っているんだ、そんなものをやるよりは防衛庁と警察のほうが大事なんだということを申しまして、特に警察のほうにおきましては、警察機動力増強予算なんというのは五十一億六千万円を投じて、車両、舟艇、通信、その他の超短波無線等強化というような体制を整えている。五十一億六千万円というこんな予算警察機動力整備には使っておるけれども、消防のほうには一体幾ら出している。消防機械装備関係というのは、わずか十四億円出しておるだけだ。昨年に比べて一億八千万円ふえておりますといえばかっこうはいいけれども、そんなのは人をばかにした予算でありまして、これほど防災配慮のない予算はないと思う。大臣の所見はいかがですか。
  9. 細田吉藏

    細田政府委員 防災、特に火災に限っての予防について申しますと、太田先生も御承知と思いますが、先年来長野県の松代で地震がある。地震があれば火事が起こる、火事が起こったときは大損害だということで、火災予防にかなり予算も出しましていろいろなことをやりました。これは一般の市民の注意の点もあると思いますが、自来火事がほとんどないのです。ああってもすぐ消しとめられる。そういった意味で、火災予防予算というものは惜しんではいけないというふうに強く考えております。  いま警察のお話がございましたが、警察予算がどうこうということでなくて、消防予算自体はもっと大幅にふやさなければならぬというふうに実は考えておるのでございまして、われわれ予算編成の過程におきましても、かなり努力をしたつもりでございますが、なかなか予算が飛躍しないという関係で、たいへん私自身としても不満な予算でございます。今後この点については、いまおっしゃったような趣旨で、なるべく早い時期に予算を相当飛躍させなければいけないのじゃないか。特に、いまお話しのございました東京をはじめ大都市問題等につきましては、よほど考え方を変えなければならないというふうに存じております。本年の予算が、そういう意味で私ども決して十分と考えておりませんので、御指摘のような趣旨に従って、私どもこれは何とか考えていかなければならぬというふうに存じておる次第でございます。
  10. 太田一夫

    太田分科員 とにかく次官、大臣にかわってあなたは言っているのだ。それでなかったら、きょうはえらい人はいないのです、この中に。総理大臣はいらっしゃらないし、総理府総務長官もいらっしゃらない。それから、建設省のだれかが実際上中央防災会議はやっているような気がするのですが、だれがやっているのわからない。あるかないかわからない。あると思えばある、ないと思えばないというような存在は何のことですか、中央防災会議は。赤澤さんなら赤澤さんがきょうここへ来ておっしゃるように、あなたはかわっておっしゃっていらっしゃるか。あなた副大臣なら副大臣としてがんばってお答えいただけばいいんです。  あなたは警察のほうとちょっと関係ないからまずいかもしれませんが、警察予算というものは、先ほど申しましたように、機動力増強に五十一億六千万も計上されておるじゃありませんか。ところが、どうして消防機械装備関係に十四億円なんというスズメの涙のような予算しか計上できないのか。それで防災体制が完備できますか。この基本のところをちょっと私は聞いておるのでありまして、ひとつ所管する大臣にかわって、大臣のつもりでほんとうの実のある答弁をしてもらいたいと思うのです。責任をあとで問うというわけじゃありませんが、あなたの決意なり見通しなりひとつ述べていただけませんか。
  11. 細田吉藏

    細田政府委員 先ほどお答え申し上げましたのも、大臣にかわりまして、大臣立場で御答弁申し上げたつもりでございまして、決して無責任に考えておるわけではございません。  御指摘のように、消防庁予算につきましては不十分であると考えております。したがいまして、予算要求自体は、私どもこれの倍額も実は要求いたしておったわけでございますが、残念ながらなかなか予算の飛躍的な増大がない。他のほうの増加率その他につきましては、かなりのものが獲得されておりますけれども、単純に何%増加させるというような予算の組み方では、私は不十分だと思っております。飛躍させなければいかぬ。それが残念ながら昭和四十三年度の予算では、そこまでまいっておりません。そういう点は御指摘のとおりでございますが、私ども東京はじめ大都市防災体制というものについては、ほんとうに真剣に考えていかないとあとでたいへんな事態になる、起こったときの損害が大きくなる、こういうふうに考えておりますので、これの飛躍的な増額というようなことについて考えなければいかぬ。大蔵省も来ておりますが、どうもえてして予算が飛躍しないものですから、こういう点が私は不満足なかっこうになっておるということを、強く考えておるような次第でございます。今後とも格段の努力をいたしたい、かように思っております。
  12. 太田一夫

    太田分科員 では、秋吉主計官お尋ねしますが、災害対策基本法第三条を読みますと、国は、国土と国民生命財産を守るというたてまえから、その使命に徹して万全の措置を義務づけしている。そうして、その災害予防基本計画をつくれと命じつつ、それで第八条、九条等におきましては、災害防止の科学的研究とその成果の実現につとめよ、そしてその財政上の措置を完全にやれということがうたわれておるのであります。しかるに、今度の消防予算を見ると、そういう発想に基づく予算はない。逆に、巷間に伝うるところによれば、わずか一千万円の、関東大震災の火災等を想定して、これを防止する研究をしたいという予算要求を削られたということでありますが、一体それはほんとうでありますか。大蔵省基本的な見解をこの際承っておきたい。
  13. 秋吉良雄

    秋吉説明員 おくれて申しわけありませんでした。初めにおわび申し上げます。  消防予算につきましては、これは大蔵省立場からいたしますと、市町村消防でございますから、できれば市町村でまかなうのが至当じゃないかという考え方に従来立っておりまことは、いろいろ御指摘を受けておる点でございますが、本年度の予算につきましても、これは先ほど御説明があったと思いますが、対前年度の補正後に対しまして一億八千三百万円の増加、四十三年度予算につきまして十四億の予算措置を講じておるわけでございますが、御指摘の大災害の場合の研究予算について、これを削ったじゃないかということでございますが、これにつきましては、いろいろ自治省と折衝いたしました過程を申し上げますと、これにつきましては、東京都におきましてすでにそういった問題の研究が進められておるわけでございます。したがいまして、その結果を待って十分研究するほうがよりいいのじゃないかという角度からいたしまして、査定といたしましては削減をしたわけでございます。
  14. 太田一夫

    太田分科員 私吉さん、それが災害対策基本法の精神に最も忠実な態度でありますか。
  15. 秋吉良雄

    秋吉説明員 先ほど申し上げましたように、東京都においてそういった大災害の場合の火災の調査研究が進められております。したがいまして、その結果を参考にすればいいのじゃないかという観点からいたしまして、消防庁予算については査定をいたしたわけでございます。
  16. 太田一夫

    太田分科員 そういう無責任な態度だから、警察の機動力の増強には五十一億六千万円も計上するが、消防にはわずか機械装備に十四億円しか出さないというような片手落ちになっている。ものごとをこわすとか、消極的面においては金を出すのです。これは自衛隊を含めて、人を殺したり、ものを破壊するほうにはたくさん金を出すが、人命を守り、財産を守るほうには出さぬなんて本末転倒だ。その本末転倒の中心が——最も自治省のことになじんでいらっしゃる、自治省ペースにだんだんこのごろは近づいていらっしゃったというので、秋吉さんの評価は高まりつつあるのだが、その秋吉さんさえ、なお東京都がやっておるからいいじゃないかと言われる。どんなことをやっているか、見てきましたか。どこにその実態がありますか。今日この際において、関東大震災のごとき震度はかり知れざるものが起きたときに、あなたたちはあらゆる都民、住民国民を安全に避難さす、そうして財産を最大限度安全に守るという自信がありますか。みな、ないと言っているじゃありませんか。関東大震災のごとき災害が起きたときに、出る火事の七割は自分で消せと東京都の消防庁は言っておる。警察庁でもそういうでしょう。六割、七割は自分で消してもらわなければ困る、残った三割の中で、中心部だけは何とか消せるけれども、江東、品川あるいは渋谷、池袋、新宿方面は消せませんから、どうぞひとつその際は、御自身でてんでんばらばらお逃げください、こういうことじゃないですか。そんな無責任な態度がありますか。それが防災基本法の規定に合うところの中央防災会議の使命に忠実なるゆえんであるとあなたはお答えができますか。もう一回重ねて御所信を……。
  17. 秋吉良雄

    秋吉説明員 再び同じことばを繰り返すようで恐縮でございますが、せっかく東京都において調査研究が進められておる段階でございますから、その調査結果を待ってこの問題について検討してしかるべきじゃないかという考え方に立ったわけでございます。決してそういった大災害についての調査研究が要らないという趣旨からいたしまして私どもが判断したわけではないのでありまして、ただいま東京都において調査研究が進められておる段階でございますから、それを待ってやるべきではないかという意味で査定をしたわけでございます。御指摘のように、大災害についての消防体制について、その重要性を否定するというものではさらさらないわけでございます。
  18. 太田一夫

    太田分科員 建設省国塚市計画課長さんにお尋ねをいたしますが、東京都の都市計画の現状から見まして、この際関東大震災のごとき大震火災があった場合に、これは各地域の住民ほんとうに安全に避難させ、そしてまた最大限度に町や財産を守る立場から、保護はできるというそういう条件が、町づくりの中にでき上がっておるとお考えであるかどうか。
  19. 国塚武平

    国塚説明員 東京防災対策でございますが、私どもが東京消防庁の調査結果に基づきまして検討いたしましたところによりますれば、派生いたします火災によりまして相当の被害が生ずるものと予想されます。したがいまして、大地震等が発生いたしました場合には、避難計画というものに従いまして、人命を尊重するという立場をまずとらなければいかぬと考えております。そこで、地域ごとに設定されております避難場所、これは大空地でございますが、そこに安全に誘導いたしますための措置を講ずることが必要と考えております。このためには、避難通路といたしまして広幅員都市計画街路を整備する必要がある。それから避難場所といたしましては、公園でございますとか、広場等の空地の整備につとめてまいらなければならぬ、かように考えております。  なお、建築物の不燃化、堅牢化というのが延焼防止のための重要措置でございますので、都心四区について申し上げますれば、都心四区の面積に対しまして、防火地域の指定は現在八八%と相なっておりますが、さらにこの防火地域、準防火地域の指定を拡充してまいる必要があろうかと考えます。  なお、不燃化の状況でございますが、不燃構造物は、昭和四十一年現在におきまして不燃化率は七五%でございます。それらの措置を進めますとともに、防災建築街区の造成は避難上も非常に有効な措置でございますので、防災建築街区の造成あるいは不良住宅地域の改良によりますところの木造家屋の不燃化というような、各般の都市計画上の施策を防災上の措置とあわせて措置してまいる必要があろう、かように考えます。
  20. 太田一夫

    太田分科員 それは考え方として、そういうことを考えていらっしゃる分には別に差しつかえありませんけれども、問題は、現実に実現されておるかどうかであって、広場もなければ公園もない、避難道路の設定もない。承るところによれば、そういう大震火災の起きたときには、少くとも江東方面というのは全然顧みるわけにいかない、もうかってに逃げるより方法がないのだ、どうしようとこうしようとしかたがないことだというような結論だと聞いておりますよ。秋吉さんは、いま東京都のどこやらの研究所がやっているからその結果を待って——東京都は幾ら出している。交付税措置するのがあたりまえだといいながら、交付税の四百五十億円を削っておれのほうに貸せなんて、そんなに四百五十億も国が取り上げてしまって、あと三年で返しますなんていいますけれども、交付税多々ますます弁ずでありますから、四百五十億をもってそういう消防体制整備、国土防衛、生命財産を守るという立場から出た施策、施設に全額を投入するような勇気と配慮があってしかるべきだ。ところが、消防というのは元来金もうけの材料じゃないからほったらかしになっておる。その考え方がいけないと言うのです。  ここでまたちょっと別の角度になって恐縮でありますが、はしご車というものがあまり少ないために、ビルの火事になると死傷者が非常に多い。煙の研究はできていません。COの研究をもっと積極的にやってはどうですか。それは警視庁がやっておるからなんて言わないで、消防研究所のほうにもう少したくさんの予算を出して——一千万円、こう要求したそうですが、大体一千万円なんて単位を間違えて要求する消防庁消防庁だ。佐久間さん、研究費に一千万円とは何事ですか。一千億円の間違いじゃありませんか。そんな小さなものをやるから秋吉さんが、そんなものはあなたのポケットマネーでやりなさいとまさに言わんばかりの、どこかで余った金でやりなさいと言わんばかりの態度になってしまうのです。これは秋吉さんが悪いのじゃない。これは消防庁が悪い。はしご車はどうですか、はしご車。東京都の特別区に十九台しかないじゃないですか。シュノーケル合わせて二十五台、それで間に合いますか。ビルは幾つありますか。一日に二十五も火事があることはないでしょうけれども、一つの火事に一台じゃ足りないのだから。京都が、国際観光ホテルの火事のときに、一台はしご車があっただけだというので非常に反省をされて、それからこれを増強することに努力されておりますが、はしご車といったってそう安くないです、八百万もかかるのだから。その三分の一補助です。消防の補助というのは二百六十万円の補助だ。あと起債を入れたところで自己負担が大きいから、地方財政ではなかなかできないのですよ。ところが、地方の財政は黒字だ黒字だなんてインチキ論によって地方団体をいじめている。火事になったらしようがない、おまえが十分火の元に気をつけぬからそうなったんだ、さあ震災になれば、そんな地震なんて大蔵省の責任でないよなんてことにいまなっておるような気がするのですが、それでは無責任政治だ。  それで、私は消防庁長官お尋ねいたしますが、関東大震災のごときものがもしこの際、現時点において発生したときに、消火の自信はありますが、念のためにもう一回伺います。
  21. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生が先ほど御引用になりました、東京消防庁を中心といたしまして研究しておりました計画によりますと、相当程度まず自己消火を予定しておるわけでございます。そこでなおかつ江東方面につきましては、消火よりもまず避難を優先して考える、かような計画になっておるわけでございますが、しかもこの計画の前提といたしまして、交通の事情、危険物の危険の状況等もやはり相当加味して問題を考えなければならない、かように思いますので、現在ただいま関東大震災のごときものが起こりました場合に消火の自信があるかと言われましても、正直のところございません。  それからなお、先ほど主計官にお尋ねになりました点につきまして私どもの考え方を申し上げさせていただきたいと思いますが、一千万要求いたしましたのは大震火災に関する調査の委託費でございます。この委託費の内容につきましては先ほど主計官からもお話がありましたように、東京都の防災会議ですでにある程度検討いたした部分もございます。なおまた、それらの中におきましては私どもの消防研究所自体で研究をしたほうがいいと思われるような事項もございましたし、いろいろ検討いたしまして、なおもう一ぺんよくその点は練り直すことにしよう、かようなことにいたしたわけでございまます。  そこで、大震火災に対する対策をどう考えるかということでございまするが、東京都の防災会議で検討いたしましたものを一応たたき台にいたしまして、明年度さらに私どものほうでこれを検討してまいりたい。必要があれば消防審議会に調査研究をお願いするようにしていきたい。なお消防研究所で空中消火等の研究を引き続きいたしておりまするが、それらをもう一年やってみまして、その上でさらに必要な調査研究につきまして大蔵省にもお願いをすることにいたしたい、かように考えておるわけでございまして、決して、先ほど御指摘のございましたように、これでこのままほうっておいてかまわないんだというような考え方を持っておるわけではございません。
  22. 太田一夫

    太田分科員 したがって、手がつかぬということになるなら、手がつくようにするのが本来の防災会議の任務である。中央災会議、眠っておってはいかぬですよ。ですから秋吉さん、一千万円の研究費を削ったなんて小さい話をやっておるのでは情けないですよ。あなたのほうから、何言っているのか、単位が違うからゼロ一つつけよというくらいのことを言って、国土を守る、生命を守るということにほんとうに真剣になっていただきたい。消防がじゃまだという思想を持っておられては困る。  念のために秋吉さんにもう一つ聞いておきますが、あなたは水槽をつくることに反対だそうですね。このごろ水槽予算がどんどん減ってしまいまして、何ですか、防火水槽の最近の経過は。四十三年度は四十二年度に比べて補助予算というのは五百万円も減っておるじゃありませんか。一億三千五百万円四十二年度はあったのが、四十三年度は一億三千万円だ。これはだんだんよく聞くと、大蔵省が防火水槽というようなものは住民の負担でつくらせろ、補助金を出すことはないというような思想だと聞いていますが、これこそ一番大事な点じゃありませんか。かりに江東区等の下町におけるところの火事が消えない、どうにもならぬということは、水がないということがまず第一だ。道が狭い、あるいは可燃物が多いということでしょうが、その中で、手近に水があることが何より大事だ。消火せんなんか役に立ちませんよ。防火水槽を都市のまん中につくることが必要だと考えるならば、防火水槽予算は思い切って出さなければいかぬのに、大蔵省はどんどん減らそうとしておる。そういうふうにいわれておりますが、あなたの理想というのはそうではありませんか。
  23. 秋吉良雄

    秋吉説明員 私は、決して防火水槽を軽視しているわけではございません。消防施設強化促進をはかる際、消防施設の補助をする場合にどういうところから優先度を設けるかということについては、御指摘のような御議論もあろうかと思います。やはりなるべく交付税惜置になじむようなものはあと回しにいたしまして、補助対象の優先度の高いものからとるべきじゃないかという一応私どもの考え方がございますが、先生のいまおっしゃった御指摘の議論もあろうかと思います。十分今後とも消防庁とよく協議をいたしまして対処してまいりたいと思っております。
  24. 太田一夫

    太田分科員 秋吉さん、ほんとうに口先だけじゃなしに、一ぺん消防予算を見直してください。これはイデオロギーで言っておるわけじゃない。社会党だからおれをいじめるためにあんなことを言っているということじゃない。いざというときに——六十九年周期説というものがありますが、そんなものは当たる八卦当たらぬも八卦であって、あなた、向こうさんのことはわかりますか。何も地震の主に聞いたわけじゃないのだから、六十九年なんということに信頼を置いておるということはとんでもない話だ。きょうあるかもしれないと考えなければいけない。防火水槽の重大性を認識してもらわなければいかぬと思う。  それから、先ほどのはしご車なども、八百万もするやつを、三分の一補助がついておるからいいだろということじゃなしに、たとえば、伊香保温泉の防火訓練がこの間放映されておりましたが、伊香保などの三メートル道路では車が入らないということがありますが、少なくともはしご車はよほど準備をしませんと、このビル時代には対処できないと思うのです。そういう点で、ひとつ予算について、来年度は大いに飛躍的に拡大が実現でさますように御期待します。  最後に、国塚市計画課長さん、もう一回ひとつお答えいただきたいのですが、ほんとうに公園をつくり、避難場所をつくり、あるいは避難街路をつくることは早急に実現をされますね。
  25. 国塚武平

    国塚説明員 都市計画立場からいたしまして、先ほどお話に出ましたような、たとえば江東デルタ地帯の問題を取り上げてまいります場合には、この地帯は、御承知のとおりに、いわゆるゼロメートル地帯といわれておる風水害の危険地域でもございます。また、過密市街地というような観点からいたしますと危険地区でもございます。したがいまして、このような地域におきます都市計画を行ないます場合には、各災害に対応いたしました総合的な立場から、早く申せば市街地の改造を進めていくといくというのが基本的な考え方であろうと思います。  なお、先ほど来御答弁がございましたように、避難計画、避難通路等の確保を考慮いたしました措置をするような都市計画を進めてまいりたい、かように思います。
  26. 田中正巳

  27. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣はおられませんが、有能な政務次官がおられるわけですから……。  私はいつも、いまから申し上げる問題に対して関係大臣に進言を実はしておるのです。地域開発の総合性というものは全く計画性がない。したがって、財政がきわめて非効率である、こういうことを言っている。地方自治体の関係で見ましても、大蔵省と地方自治体と予算折衝を進める。たとえば、土地造成をやるために港湾の埋め立てをやってみたり、あるいは河川の暗渠をつくったりいろいろなことをやっている。その目的は何かというと、工場誘致をやりたいということが主たるものですね。それから産炭地振興、これは国の事業ではあるけれども、やはり地方自治体としては、産炭地振興という立場からできるだけ土地造成をやって、そして企業の誘致をはかりたい、こういうことです。干拓なんかの場合もそうですね。農耕地として干拓をやらなければならぬ。ところが、やはり頭の中には農地としてだけ使うというのじゃなくて、多目的に干拓した土地を使っていきたい。その構想は、私はそれなりにいいと思うのですね。ところが、どんどん土地造成なんかやってみると、今度は、一方企業誘致に対しての対策というものがあるのかといったら、ないのです。それで、せっかく造成した土地を遊ばしておる、そういうことが非常に多いのですね。だから、もっと地方自治体のそうした計画というものに対して、自治省は、言うまでもないわけですが、国土の総合開発という観点から、当の予算をつけるところの大蔵省だけでなくて、経済企画庁であるとかその他関係各省がやはり総合的にこれを判断し、その造成をやったらば、それが有効に活用されていく、そういうことでなければ、実にむだな話だと思うのですね。  それから、干拓なんかの問題にいたしましても、それはそれなりのものの考え方はあるでしょうけれども、総体的に見ないのですね。私のところで、いま長崎県で長崎干拓というのをやっているのだが、有明海というのは非常に優秀な漁場でしょう。それも産卵地帯であるということで、浅海漁業というのは非常に重要なんですね。そこでノリの養殖漁業なんかやっているんだけれども、年間三百万くらいの収入をあげている。それを農地にする。これは、国内農業の発展をはかるという点から私はそれなりに必要性を認める。しかし、そうした非常に優秀な漁場をつぶして干拓しなければ、全国的に見た場合ないのかということですね。ところが、そういうような全国的な視野から、地方自治体がものを考えろといってもできることではありません。そういうことは国が考えていかなければならないのであります。陳情政治というものにあまりにも支配されておる結果弊害が起こっているし、財政的な非効率という現象があらわれてきておる。これじゃいかないと思うのだけれども、自治省としては、これらの問題に対しては重大な関心を持ってそれなりに検討を進めてきておると思うのだけれども、私がいま申し上げた点については、どのようにお考えになりますか。
  28. 細田吉藏

    細田政府委員 国の総合開発につきましては、御案内のように経済企画庁が一応中心の役所になってこれを進めておるわけでございますが、国内各地を見ますと現実は非常にちぐはぐ、そして予算の使用が生きておらないと申しますか、たいへんなむだづかいがあちこちにあるというのが私は実情だと思います。非常にその点では遺憾な点が多いわけでございます。特に、私ども自治省のほうの立場から考ええますと、地方財政というような見地から見まして、こういう点についてはよほど考え方を政府として統一した、総合したものにしてもらわないと、結局、非常に困るのは自治体が困る。こういうことになっておるわけでございまして、そういう点で私は、これもどうも私どもの役所を批判するようでございますけれども、これまでも自治省がもっと強い発言をしなければいけなかったんじゃないか。最近私どものほうといたしましては、そういう点で、特に地方の発展、地方の財政、そういう見地から、私どものほうの官房でこういう点特に検討もいたしまして、関係各省と十分密接な連絡をとって、そういう事態にならぬようにいたそうというような点で考えておるわけでございます。  なお、私どもが、総合開発の一環としてこれは進めるべきだというようなところにつきましては、用地の取得についての起債の問題でございますとか、あるいは過密過疎対策といったような見地から、いわゆる均衡のとれた地域的な発展をするというような点から、交付税の傾斜配分をいたすとか、そういうことをいたしておるのでございますが、しかし、率直にいいまして、そういうものに対する起債のワクとかあるいは金を配るものが決して十分じゃございません。そういう点もっと額もふやしてまいり、そして各省のやることでございまましても全部地方自治体に来るわけでございますので、地方自治体の立場というものをもっと強く考えてまいりたい。  御指摘のような干拓のことは、私どものほうにもございます。これはいまやっておりますけれども、相当議論のあるところでございます。そういう点については、今後やはり政府が完全に一体になったりっぱな計画を進め、予算のむだづかいのないようにしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  29. 中村重光

    中村(重)分科員 縦割り行政の弊害ですね。だから、いまお話があったことは私もそう思うのでございます。企画庁長官にも同じようなことを私は申し上げた、きわめてこれは低姿勢というのか。そう必要があるように考えているんだけれども、どうもというようなことですね。声がきわめて小さい。私は自治省に注文したいのは、しっかりしてもらいたい、声を大きくしてひとつやってもらいたい、こう注文もしたいのですけれども、やはりそういうシステムをつくり上げていかなければならない。大体地方自治体がやることを自治省が知らぬで、ほかの省がそのまま縦にいろいろな施策が進められていくということは、これは間違いだと私は思う。そういう点については、十分ひとつ積極的に対処してもらいたい。  地方道の整備、実は消防道路の問題を含めていろいろただしてまいりたいと思いますが、時間がございませんから残念ながらはしょります。  次に、下水道行政についてもいろいろ問題があるのでしょうし、私ども問題を感じているのですが、環境整備というものは、これは社会開発の問題といたしましてきわめて重要な問題点がある。ところが、東京都の例をとりましても、現在伸び率が三0%程度だということですね。それで四十二年度からの五カ年計画がそのとおりに実行、実施されたといたしましても、最終年度に五0%ちょっと出る程度東京都がそういう状態なんだから、地方都市の下水道の伸び率というものは、おそらくよくいって四0%程度。こういうことではどうにもならぬ。もっとこの環境整備に力点を置いていってもらうのでなければならないと思います。水洗便所をつくっても、下水道が十分完備していなければ、使いものにならないということにもなります。  いま一つは、公共下水道がいま申し上げたように少しも整備されないということだから、個人で下水道をつくる。水道の場合もちょうど同じです。家が建て込んだときには、これは事業主体としても水道を敷設してくれる。まばらなときはなかなかしてくれないから、自分でやらざるを得ない。ところが、あとはずっと道路も整備され、住宅も建ってきた、そこで下水道が詰まった、水道管がどうも腐食しているようだ、これを取りかえてもらいたい、それは自分でやったのだから自分で直しなさい、それは国や地方自治体がやったのではないから責任がない、自分でやったのは自分で直しなさい、全くでたらめな話なんです。  私がこの間新聞を見ておったら、「下水道行政ゼロ地帯、都道下のつまったパイプ、管轄外とたらい回し、都内の七割が同じ心配」ということが出ていた。おそらく個人で下水道をつくったときは、道路の整備がなされていなかったのだと思う。ところが整備された、詰まった、これは直してもらわなければ床も水びたしになる、こんな不衛生な話はないですよ。持っていったら、自分でやったのだから自分で直しなさい、そんなばかな話はないでしょう。初めに国なり地方自治体に、積極的に公共下水道さえつくってもらえばそんなことはないですね。水道の場合もしかりです。やることをやってもらえないで、自分で私費を投じてやっておいて、悪くなったら自分で直せというのは、ちょっとひどいじゃありませんか。このことに対してはどのようにお考えになるか。これもまた厚生省だ、建設省だというふうに簡単に片づけられては困るので、これは地方自治体との関係も出てまいりますから、自治省の考え方はどうでしょう。こういう問題に対しての態度です。
  30. 細田吉藏

    細田政府委員 中村先生御指摘のとおり、また私が申し上げるまでもなく御存じのとおり、日本における下水道というものの立ちおくれは、これは決定的なものでございます。これだけいろいろな点で進んでまいりました日本が、一番終末のところの下水道というものが大きく取り残されてしまっているということは、これはもう全く残念千万なことでございまして、社会開的ということばがないと申してもよかろうと思うのでございます。所管につきましても、在来、御承知のように厚生省建設省という行政の問題がございます。これを先ごろ一本化して、ひとつ下水については徹底的な改善をやろうじゃないかという政府の意気込みを示しているのでございますが、まだなかなか緒についたばかりというような形でございます。先ほど縦割り行政と地方自治との関係についての御指摘がございました。これなどもやはりそういう面が強くあらわれておるわけでございまして、私どもといたしましては下水道につきまして、いま、起債とかあるいは地方自治体がいろいろ費用を持つとかいうような点で関与しておるわけでございますが、これらについても、さらに建設省と私どものほうとがほんとうに一体になっていろいろやらなければならぬというふうに思っております。  いま御指摘の、都道の下の私でつくられた下水道の処置云々の点は、いずれにしても結果的にはたいへん残念なことでございます。あっちこっちキャッチボールしておるというようなことでは、これは不親切な行政でございます。その具体的な問題をどうするかという点につきましては、私もよく建設省のほうとも相談いたしまして、私のほうの役所でもさらに調査いたしまして、そういうことがないようにすべきだというふうに考えておる次第でございます。
  31. 中村重光

    中村(重)分科員 次に、今度は角度の違った点でお尋ねするのですが、電気ガス税の問題です。これは従価制になっているのじゃないかと思いますが、そのとおりですか。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 従価制でございます。
  33. 中村重光

    中村(重)分科員 不合理はお感じになりませんか。従価制ということになってくると、ガス料金が高いと、したがって納める税金も高くなる。比較的高いのは、貧弱な市町村が高いんです。コストが高くなるから、勢いそういうことになる。東京都のガス事業は供給範囲が広いんだし、供給戸数が多いから、したがってコストも低くなるわけです。そうすると、納めるガス税も低くなるのです。ところが地方の、特に小都市になってくると、今度は供給区域、供給戸数というのが狭くなり、少なくなるわけでしょう。ですから、供給者側としても損するわけにいかないから、やはり採算がとれるだけのガス代を要求することになってくる。これは全く不合理な点ですが、その制度そのものが不合理な上に、電気ガス税の従価制によって、高い料金には高い税金を賦課するということは、弱い者には非常に高い税金をかけて、より負担を加重してくるということになると思う。これは全く不合理だと考えますが、そのようにはお感じになりませんか。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 おっしゃるとおりいろいろ問題があるわけです。ただ、消費税という立場から見ますと、従価制がいいか従量制がいいかということは、いつも議論のあるところでございますが、やはりそれだけの値段のものを払うところに担税力を見い出すということになりますと、どちらかといいますと、やはり従価制のほうが第一順位ではなかろうか、こう考えるわけでございます。  ただ、いま御指摘のように、都会のほうが安くていなかのほうが高いという問題になりますと、これは単に税制の面だけの議論というよりは、もう少し基本にさかのぼった、都市と地方とのいろいろな生活水準の均衡、そういった問題を解決することが必要なんじゃなかろうか。やや問題をむずかしくするきらいがございまするけれども、現在でも、たとえば水道でも東京のほうがわりに安い。いなかがわりに高い。あるいはガスなどについても、同様な傾向が出ておるわけでございます。むしろそういった電気ガスのみならず、生活の水準自体をどういうふうに認識するかということによって、国としての都市政策なり地域政策を考えるといったような問題を解決する必要があるんじゃなかろうか。そういうふうに考えるわけでありまして、税の面でそれをカバーするには、やや問題がむずかしいのではなかろうかという気がいたします。
  35. 中村重光

    中村(重)分科員 そういう根本的な問題がある。大体、電気料金とかガス料金とか、これは公益事業なんだから、これが一律でないということ自体が不合理なんだ。だから私どもは、いまのような電気事業の九分割ということは、これはやめなければいけないということを主張してきている。しかし私企業なんだから、公益事業とはいいながらなかなか簡単にいかない。いわゆる広域供給制をとってきたんだけれども、うまくいかないのですよ。そこで、都市ガスなんかにいたしましても、千戸以下の供給しかやっていない、小さいのは三百戸か三百五十戸しか供給していない事業というものが、ともかく二十六あるのです。それが都市ガスです。そして料金は、公益事業なるがゆえにきまっていて、独占性があるのです。ことにそういう小さい公益事業体ということになってくると、勢い住民に対する負担、需用者に対する負担というものを要求するということになる。それを簡単に、受益者が負担するのは当然じゃないかという形で片づけられない。しかし、現段階では私企業だからいたしかたがない。何とかこれを直していくようにつとめなければならぬと思うのだけれども、そういう不合理を幾らかでもカバーするのが県であり、国でなければいけないのじゃないかと私は思う。そういう料金制のシステムそのものに不合理があるのだから、それに国の電気ガス税まで、この不合理を認めながら従価制によって税金を取るということはいけないことなんだから、幾らかでもそういう弊害を面していく、こういう点で従価制を改めていく、こういうことでなければならぬと私は思う。  そこで、政務次官、あなたは政治家なんだから、どのようにお考えになっているかという考え方じゃなくて、こうあるべきだということで、是正させる方向でのお答えをひとつ願いたい。
  36. 細田吉藏

    細田政府委員 電気ガス税については、これまでもいろいろ議論があったところでございまして、税金自体があまり苦しくないというふうな政府の責任者からの発言があったこともございます。そういう点で非常に問題の税金でございまして、かけております率は、そういったようなことから逐次下げてまいっておるわけでございますが、おっしゃいまするように、小さい企業体がやっているところは高い、あるいは電力も九会社によっていろいろまちまちだ、こういう点がございます。そういう点は、確かにおっしゃるような矛盾がここにあるということは、そのとおりだと思います。ただ、それじゃこれをどうやっていくかということでございますが、実は、税制調査会なんかでもこれについては根本的な議論がいろいろあるようでございまして、従価主義は矛盾はあるのでございますけれども、いま直ちにこれにかわるいい方法があるのかというような点については、さらに検討しなければならぬじゃないか、私はかように思っているわけでございます。税制調査会でも、今後さらにこれらの問題についてはひとつ十分お考えをいただきたい、かように思っておる次第でございます。
  37. 中村重光

    中村(重)分科員 私は、電気ガス税なんていう悪税は撤廃すべし、地方自治体の財源をそういう不合理な形で求めるべきじゃない、国が責任を持ってこれを補てんすべきだ、これを撤廃することによって地方自治体の財源が不足してくるわけだから、国の責任において撤廃するべきだという考え方でありますけれども、きょうはその議論を展開しないで、全く不合理きわまるという点にしぼって申し上げたのでありますが、全く不合理であるということをお認めになる、だから、そういうことを是正するために積極的な取り組みをする、これに対処する、そういうお考え方であるというように理解してよろしゅうございますね。
  38. 細田吉藏

    細田政府委員 全く不合理であるとは、実は私は必ずしも申しておりませんが、非常に矛盾がある、何とかこれがならないか、こういう点について今後検討をしてまいるべきである、こういうふうに申し上げているわけであります。まあおっしゃるところと大同小異でございまして、ことばのあや程度の違いでございますが、そういうふうに申し上げたのでございます。実は、どう改正していいのか、なかなか——やめるといいましても、そう簡単にこれをやめて、何で補てんするかという問題もございますし、税金のことでございますので、いろいろむずかしい点もございますので、今後ひとつ検討させていただきたい。ただ口先だけで言っているわけではありません。おっしゃるような点を十分考えて今後善処いたしたい、こういうことでございます。
  39. 中村重光

    中村(重)分科員 どうも時間がないからしようがないです。前向きで対処してください。  それから、御承知のように国が行政改革をやる、まことに不徹底なんだけれども、一局削減。五年間でもって五%の人減らし、こういうことですが、地方自治体に対しても、国の行政改革の方向に沿ってこの改革をやらせるべく自治省としては対処しておられるのですか。
  40. 細田吉藏

    細田政府委員 チープガパメントと申しますか、行政機構の改革というのは、いま政府の一番強く、取上げておる問題の一つでございます。もちろん、中央政府について考えると同時に地方についても考えなければならない、かように思います。ただ、私どものほうの大臣も私も同様でございますが、特に強く感じておりますことは、国と地方の事務の配分の問題、あるいは法律が一本できると地方の仕事がうんとふえる、それがだんだんと累積していって地方が、何といいましょうか、それぞれ必要ではあろうけれども、たとえば法律ができてからもう十何年も二十年もたっておって、実際いまそうそこまでやらぬでもいいというようなものもある。そういう点で、国が押しつけておる地方の仕事というもの自体を整理していくということを考えなければ、やるだけはやれといっておいて、ただ人を減らせ、局を減らせといっても、それはできないと思います。そういう点を、地方の行政簡素化、行政機構の改革等については、私ども特に力を入れて今後やってまいりたい、地方の負担を軽くするということによって、ほんとう住民と密着した地方の政治ができるというような体制、そういうことを頭に置きながら行政改革をやってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  41. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、いま私は行政改革の問題についてお尋ねしたわけです。国は、きわめて不徹底なんだけれども、一局削減、そして五年間に五%減らす、こういうことです。私は人減らしを要求しているのじゃない。しかし、地方自治体の行政のあり方といえども非常に硬直化しているところがあることは事実です。それと、公選の都道府県知事ということになるから、いろいろと人気取りというようなものがあることは、これはやむを得ないだろうと思う。しかし、それにしても、地方自治体で、この長が、全く思いつきというか、いろんな公社、事業団をつくるのですね。そして公社という名のもとに株式会社にして、地方自治体が出資をして、事業はなかなかうまくいかないんですね。そしていろんな汚職事件が起こったり、住民からの批判というものが高まっていく。そしてその公社であるとか事業団の長に、地方自治体の長がなっているのです。何というか、みずから監督指導しなければならぬのに、指導を受ける側の長をやるというようなことは、私は適当でないと思う。だから地方に対しても、行政の硬直化ということに対して、これを是正させるような指導を自治省としては強力にお進めになろうとお考えになっておられるのか。  それから、いま申し上げました公団とか事業団というものを無数につくって、そうした自治体がこれに出資をする、そしてその事業がなかなかうまくいかぬということになってくると、ますますもって地方自治体の財政というものが硬直化してくる、こういうことになっていくと私は思う。これからそうした実情になるというような問題等々に対して、大臣としてはどのようにお考えになるか、今後どうした指導を進めていこうと考えておられるか。
  42. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま参議院の本会議に出て、行政改革を議題として同じ質問に答えてまいったわけでございますが、総理大臣が、今回の一省庁一局削減の効果ということについて述べておられました。初めてというわけではありませんが、聞いたのですけれども、一省庁一局削減するという第一の効果は、いままで国会を重ねるたびに局部課がふえて困った、しかし、今度に限っては一つもそういうことを言い出す者がなかったということが一点。それから外部のいろいろな公団、公社等の要求が激しくて困るけれども、それが一つもなかった、これが消極的な効果であった、こういうことを言われておりました。私ども、いま中村先生の御指摘のとおり、地方でもそういうまねをするということは、はなはだもってけしからぬことでありますし、それからやはり私に対する御指摘の中に、自治省は通達でやたらに地方に行政改革をやれやれというけれども、一片の通達でやれるわけがないじゃないか、それは私どもも、もっともなことでございますということを御返事したわけでございます。こういう行政改革などは、国、地方を通じての立場でやりませんと、みんな関連がありますので、これはなかなか一片の通達で改革をやれやれといっても、実効があがらなかったことは当然のことだと私は思いますし、今度これを機会に、一省一局片削減ということが一つのきっかけになるわけですけれども、六月の末までに各省庁それぞれ行政改革の案を出せということになっておりますし、その面については国、地方関連した面で、特に私どもの役所といたしましても本気で改革に取り組むという姿勢でやっておるわけでございます。  それから、行政改革は人減らしをするつもりかという御質問がありまして、これは私、答えませんでしたけれども、行政管理庁長官は、そういうむごたらしいことはいたしませんと発言いたしまして、たいへん満場の拍手を浴びておったようでございますけれども、とにかく、何せ地方公共団体も地域住民が中心でございますので、そういたしますと、行政改革と申しましても、やはり地域住民の期待に沿わなければならぬということが一番先行するわけでございます。しかし、何もどこもにらみ合っているわけではございませんので、お互に話し合えばいろいろな問題について合理的な改革が進んでいくと考えておりますので、そういった意味で若干の指導をしてまいらなければならぬ、かように考えております。
  43. 中村重光

    中村(重)分科員 自治権の侵害というのは、これは避けなければならぬ、だがしかし自分の足元というものにはなかなか気がつかない、それらの点について、自治体に対して国の方針というものを押しつけるということではなくて、最も効果的な形で話し合いをしていくということですね。そして効果をあげていくということが、自治省としては取り組まなければならない点ではなかろうか、このように思います。  時間がございませんので、残念ながら、大臣に伺いたいこととはたくさんございますがはしょります。厚生省ももっかくおいでを願っておりますので、厚生省関係で伺いたいと思いますが、その前に大臣お尋ねをいたしますけれども、無認可保育所に対して、厚生省は憲法違反ではないということを明らかにした。そこで地方自治体としては、東京都その他でも、必ずしも厚生省の基準によるものでなくても、施設を購入するための融資をやったりあるいは補助をやったりいろいろやっているわけです。しかし、無認可であるために、そういう場合には交付税の対象にしたのかどうか、していなかったのではないかとも思われるのですが、憲法違反でないということになった。社会開発というような点からいたしまして、最も底辺にある人たち、しかも婦人労働者が職場にどんどん進出していかなければならぬという場合において、保育所が重要な役割りを果たすということは、これは申し上げるまでもないことであります。しかし公共的なものができないから、小規模なものでもつくると、基準に合わないというので無認可になっている、こういうことですね。だから、そうした無認可保育所等に対しては、当然地方自治体が補助をしたり融資をしたりしておる場合においては、国も交付税その他の方法をもってめんどうを見て協力すべきだと思いますが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  44. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 憲法をまっこうからお出しになったわけでございますが、われわれ政府におります者は、現行憲法のもとにできた政府というものでございますから、特に尊重しなければならぬことは言うまでもございませんが、厚生省としては、その憲法との関連においてこういった問題についていろいろ御検討になっておるようでございます。これはむしろ厚生省の部内の検討が進んでおると思いますので、せっかく厚生省がおいでになっておりますから、私も拝聴いたしますから、憲法との関連をひとつ御説明してください。
  45. 渥美節夫

    ○渥美政府委員 お話のように、保育を要する子供たちが非常に最近ふえておりますし、また都会におきましてこの需要が非常に高まっているということは事実でございます。したがいまして、厚生省といたしましては、いままで二十年間やっておりました保育所の認可基準を少し緩和いたしまして、その一つの基準といたしまして、保育所を認可する場合には六十人以上の子供がいなくちゃいけないのだということであったのを、来年度から、ただいま御審議中の予算においては、三十人以上の保育所であるならば正規の保育所として認可しよう、こういうふうなことを考えているわけでございます。そのことによりまして、いまありまする無認可保育所の一部は救われるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、いまお話のありましたのは、それよりももう少し規模の低い無認可保育所に対しまして東京都その他が公金を支出するという問題に関連した御質問であろうかと思うのでございます。私どもの考え方では、例の憲法八十九条の規定による、公の財産なりあるいは公金を公の支配に属さないところの団体に助成するということが問題になっておるわけでございます。ただ、その公金の内容でございますけれども、無認可保育施設の建物を整備するとかというふうなことは問題がある。ただし、そういった保育施設におきまして、一人一人の子供に対して、当然その一人の子供を保育するのに必要な実費弁償的な経費、いわゆる委託費でございますが、委託費的なものにつきましては、一般的にいって憲法八十九条による公金の支出にはならないのじゃないか、かような観点で解釈しております。したがいまして、いわゆる無認可保育所におきまして、そういうふうな委託費的な経費の支出をするというならば、これはよろしいのじゃないか、憲法の規定に抵触しないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  46. 中村重光

    中村(重)分科員 基準財政需要額に関係してくるわけだから、自治省としてはどう思われるかということです。
  47. 細郷道一

    細郷政府委員 保育所につきましては、交付税の基準財政需要額の算定にあたりまして、十万の標準団体で幾つ保育所ができるかという標準規模をきめて、これによって算定をいたしております。
  48. 中村重光

    中村(重)分科員 だから、無認可について私は質問しているのだから……。
  49. 細郷道一

    細郷政府委員 無認可とか認可ということでなくて、人口十万のところには何カ所くらい保育所が必要であろうかということを基礎にして標準的な計算をいたしております。
  50. 田中正巳

  51. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は主として大臣に特別区制の問題を中心にしてお尋ねしたいと思います。  今日、東京都の行政、財政ともに、非常に過度の人口集中、その他社会的条件によって行き詰まりを見せておるということがよくいわれておるわけですが、そういうような形の中で、東京都二十三区を取り巻く近郊都市における人口の膨張、そういう点からいろいろ交通問題、社会問題あるいは行政上における問題等が発生しておるわけですが、これらいわゆる首都の東京都を中心とした首都圏に対する行政、こういうことについてどのように取り組みをしておるか、自治省の基本的な見解をひとつ冒頭お聞きしたいと思います。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕
  52. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 非常にばく然とした御質問でございまするが、首都は日本の首府でございます。しかも人口が急激に増加してまいりますために、地域住民の生活を中心に考えてみましても、非常な急変が起こりつつあるわけでございまして、大都市、特に首都圏行政などにつきましては、格段の努力研究をいたして前向きの姿勢で取り組んでおるつもりでございます。
  53. 佐野進

    佐野(進)分科員 いわゆる首都圏行政について、これはあとでもこの問題御質問をしたいと思っておるわけですが、東京都の区域、いわゆる現在の区域内における行政ということに限定して考えられるのか、あるいは区域をはずれてでも首都圏行政というものを考えて対策を立てようとしておるのか、その点をひとつ……。
  54. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 最近は御案内のとおり広域行政的な取り組み方をしておりまするので、もちろん——どういう意味かわかりませんが、地方公共団体の区域ということはありまするけれども、やっぱりかなり広範囲の立場でものを考えております。
  55. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうなると、その広範囲な形の中でものを判断するということが、行政機構としての東京都と周辺における府県との間において、その企画を立てる際、矛盾を感ぜられないでその構想が進められる状態であるかどうか。
  56. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 矛盾を感ずる面もあります。ですから、今回広域行政の一環として府県合併法案というものも皆さんに御検討を願っておる次第でございます。
  57. 佐野進

    佐野(進)分科員 いわゆる東京を取り巻く近郊都市との関係において、府県合併法案というような構想の中でいろいろ検討しておられる、こういうことでございますが、そうすると、たとえば二十三区と三多摩の関係はどう考えられますか。
  58. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 東京都といいますけれども、この間までは東京市であったわけでございまして、二十三区は特別法人格を与えられておりますけれども、やっぱり東京市という形の東京都——ことばはおかしいですけれども、東京都というのは市的な性格を多分に持っておることは御承知のとおりでございます。ですから、東京都の一環に二十三区があるということを考えますと、これまたこの地域は三多摩地区とは特別に考えなければならぬという観点に立っております。
  59. 佐野進

    佐野(進)分科員 その特別に考えるというお話ですが、今日三多摩地域における開発は急激に進展を見ておりますし、二十三区に近接する三多摩地域は、東京都の区域と何ら差のない状況にまで発展しつつあるわけです。しかもこの趨勢はここ数年やまざる勢いで進んでいくと思うのです。そうしたときに、たとえばけさの新聞等にも、あるいはテレビ等にも出ておりましたが、水道の問題一つとりましても、あるいは消防の問題その他あらゆる行政上における面についても、二十三区と三多摩間における格差ということが非常に大きな問題として取り上げられてきておる。こういう面について、二十三区と三多摩の関係については、いま大臣の言われたような構想でこのまま進めていくことがはたして適切かどうかということについては、たいへん議論のあるところだと思うのですが、これは行政局長でもけっこうですから、そういう具体的な問題について検討しておるのかいないのか。既存の形の中で当面は処理しようとしておるのか。この点あとの質問の関連がありますので、ひとつお聞きしたい。
  60. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 首都制度全般をどうするかということについては、政府部内で鋭意検討いたしています。それから周辺地区が急激に人口が膨張するに伴って、それだけの社会資本が投ぜられておるかというと、その面においては伴っていない点が多々ありますので、交付税の配分なんかにあたりましても、こういう地域は特にかさ上げして、そうして地域住民の生活中心にいろいろな便宜をはかる、こういうふうな考え方でやっております。
  61. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると、いままでの答弁の大要を私なりに判断いたしますると、東京を取り巻く大都市行政については、府県合併法等の形の中でこれを処理する、二十三区と三多摩との関係の問題については、既存の組織形態の中でその矛盾を解消していくような形で取り組みをしたい、こういうような発言と承っておるのですが、それでよろしいですか。
  62. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど政府で検討しておりますと申しました首都制度全般というものは、もちろん二十三区だけでなくして三多摩も含む問題です。
  63. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると、いま社会上の問題となりつつあり、当面、東京都二十三区、三多摩はもちろん、政府の中でもいろいろ問題になっておると称されておる首都圏庁というものはこれを設置せずしていく、さらに東京市というような形の中における二十三区特別区の取り組みについては、これを行なわない、こう判断してよろしいわけですね。
  64. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 首都圏庁の問題は、御案内のとおり前から話題にのぼっておりまして、もちろん検討の対象にはしておりまするけれども、首都制度全般という制度をいま根本的にやっておりまするので、その構想の一環には入っておるわけです。いま確定を見たわけではございません。
  65. 佐野進

    佐野(進)分科員 もう一つ、後段の東京市制の問題……。
  66. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 首都圏制度全般ということの中には、もちろん東京都と申しますか、一番問題になって御指摘なさりたいのは、東京旧市二十三区のことを言っておられるのじゃないかと思いますけれども、もちろんそういった問題も全部ひっくるめて検討の対象にしておるということでございます。
  67. 佐野進

    佐野(進)分科員 あまり時間をここでとりたくなかったのですが、そうすると、首都圏庁の構想も検討の対象として目下討議をしておるし、いわゆる旧二十三区を対象とする東京市の制度についても、これを検討の対象として議論しておる、こういうことですね。
  68. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  69. 佐野進

    佐野(進)分科員 この問題は重要でありますので、私はここで大臣答弁で満足するわけでございませんから、さらに十分検討しながら、この問題については取り組んでいきたいと思いますが、きょうは時間がたいへん少ないので、次の問題へ進みたいと思います。  そういうような問題と関連して、いま一番東京都政の中で問題になっておるのは、区長の選任の問題だと思うのです。私はこの問題を、昭和二十二年、地方自治法の制定に基づく公選制、あるいは二十七年の改正の経過あるいはその後の取り組み等について十分理解をしておる者の一人だと考えておるわけですが、ここであまり時間がないし、三月五日の予算委員会で細谷委員のほうから大臣にそれぞれ質問をいたしておりますから、重複するところを避けて、具体的に質問を申し上げてみたいと思うのですが、大臣は、昭和二十七年の改正の当時と今日の時点において、社会的な情勢、特に東京都の行政上の面から、区長の選任制の問題について変化を来たしておるかどうかということについていかに考えられるか。
  70. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 変化を来たしておるというよりは、私は、どうも区会議員の諸君がその職責を全うしておらぬと言ったら、区会議員を侮辱するかというお話しでしたけれども、とにかく区長ができない、できないというのは、つくらないのじゃないかと思うのですよ。それは職責を全うしたことにならぬと思う。いまの制度のもとだって区長を選任することは可能なわけなんです。この前私、自治大臣をやりましたときには、練馬がごたごたしておりました。これも分析してみますと、できぬはずはないのだけれども、とにかく区議会の中の派閥関係と申しますか、そんなことですったもんだやってきまらぬ。そういうくせがだんだん他へ伝播いたしまして——私は区会議員諸君の功績その他ずっと調べております。これは話し合えば容易に区長はできるはずです。しかしこれができぬということは、私は区会議員の諸君の区長をつくろうという御努力に対していささか疑問を持たざるを得ぬ、こういう考えを持っております。
  71. 佐野進

    佐野(進)分科員 私の質問のポイントと答弁がずっとずれておるのです。私は区長選任の現行制度ができる経過の中で、今日混乱を生ずるような基本的な原因がひそんでおったと思うのです。ということは、二十七年当時、現行制度ができ上がる過程の中で、東京都の安井知事は、これを任命制にしたい。自治省の原案はその意向を受けて、知事の同意ということでなく、区議会の同意を得て知事が任命する、こういう形でこの制度が起案せられ、議会の中における修正として現行制度ができ上がった。その修正の原因は、当時の二十三区区議会を中心とする行動の中で、少なくとも公選制度を守り抜き得ないならば、区議会の議決権という区議会の住民の意思を直接反映する形の中で選んで知事が同意をすることに最低限してもらいたいということで、当時議会の修正が行なわれ、今日の制度になっておったと思うのです。したがって、あの当時における区長を任命したいという都側並びに自治省の考え方と、今日公選をしてもらいたいという都側並びに区議会、区当局全体との考え方の中に、相当社会情勢の変化を来たしておるその背景の中で、今日のような運動が発展してきておるのだ、こういうぐあいに考えるのですが、そういう点について大臣はどうお考えになっておりますか。
  72. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は社会情勢の変化がこの原因であるとは考えておりません。
  73. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると大臣は、現行選任制度が最も正しいものである、最も現在の東京都政の中で時宜に適したものであると考えておられるのかどうか。
  74. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 議会政治、民主政治というものは話し合いの政治ですからね。みな与党であれ野党であれ、淡々として話し合えば、適切な区長を選べないはずはないという考え方を持っております。最近たとえばこの間から教育長の任命問題でごたごた議論が進んでおる。国家公安委員の任命の場合もそうです。とにかく三者構成でいろいろなことをやると、またすったもんだやるといったようなことが至るところで起こっております。しかし、これは何も社会情勢の変化でも何でもないのであって、やはり話し合いの政治というものの認識に立てば、こういったトラブルが起こるはずはないと私は考えておる。ただ、東京の場合は大阪や京都と違いまして、行政区でなくて、最初から一つの独立した法人格を与えられておる特別区になっておるわけです。ただ、こういう二十三区を、かってに公選区長を選んでしまえということになると——これも一つの方法でしょう、住民へのサービスに直結するなら。しかし、そうしますと、東京都というのは昔の東京府になってしまう。そういう制度をやっていいのかどうか。それをやるとすれば、前提として、事務の面でもいろいろ思い切った断行をしなければならぬ面もたくさんありますし、そういったことをひっくるめて、とにかく二十三区も三多摩もみな独立した市にしてしまう、その上に東京府というものを置くのがいいのか。それとも、かつての東京市という形で、区長などは任命制にして、行政府にしてしまえばいいのか。いろいろ議論がありますけれども、やはりそれぞれ短所長所があるわけでございまして、今日の東京都を見ました場合には、このまま放置できない現状になっておりますので、先ほど申しましたように、首都圏制度全般について深刻な検討をしておる最中でございます。
  75. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣はだいぶ理解があるような答弁をしておられるわけですが、私は、区長の選任制度が、二十七年当時今日の制度になる経過と、それ以後の経過と二つの面を判断した場合、いわゆる特別区に対する制度そのものというか、特別区の持つ責任を果たす度合いというものは、大きく変化をしておると思うのです。特に二十二年から二十七年の間における特別区は、御承知のとおり、戦災後における荒廃した都市行政の一環としてその役割りを果たしてきた。したがって、なし得ることも、財政の窮迫化の中で細々とした事業しか行なえなかったのが実態だと思うのです。ほとんど東京都から来る委託された事業を中心にして、その仕事をやっておりました。しかし、その仕事をやっておった形の中においても、公選制による区長が東京都と対立し、その解決の困難を来たしたという事態はそう多くない。むしろ東京都のほうの権限がその情勢の中では大きかったと私は判断するのです。ところが、今日の特別区は、都市の発展、東京都の飛躍的な膨張を背景として、その持つ財政的な内容、人口の膨張が昔日をはるかに超越した段階に至っておるわけです。そして昭和四十年に東京都から特別区に対して、ある程度財政権の裏づけによる事務、事業の大幅移管が行なわれて、今日少ない区においても四十億、五十億、多い区においては百億を突破する財政運営しておるわけです。そして区議会における議員構成の面においても、三十何名から六十名以上の議員を擁する一大議会を構成しておるわけです。こういうような面から見たときに、この面の中で地方住民が十分責任を果たし得る体制というのは、制度として持つ区の行政権と議決機関、行政機関の長である執行者、責任者、議決機関である区議会の諸君とが、いわゆる一般地方公共団体におけるがごとく、車の両輪のような形の中においてその責任を果たし合う、こういう姿勢が、選任制度というものの持つ中途はんぱな、政治的妥協のような形においてとられておる現行制度によって著しく阻害されておることは、これは単に区長を選任するとかどうとかということではなくて、非常に大きなマイナス点をもたらしておることは、だれでも世論の示すところです。だから、今日の状況の中では、東京都知事をはじめ、東京都議会あるいは各学者その他——私はきょうは特に議論するつもりでなく、大臣の意見を聞きたいと思って来たのですが、申し上げるならば、いわゆる裁判官等においても、小法廷において少数意見とはなったけれども、政治的な背景の中でそういうような形になっていると見たときに、もうこの辺で東京都の選任制度に対して、政治的な面における配慮も自治省のほうにおいても、あとで自治省にもお尋ねしたいのですが、大臣としての判断に基づくその問題のもっと突っ込んだ検討をすべき時期に来ておるのじゃないかと思うのですが、自治大臣の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  76. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この前、大臣をやりまして、そのときに萠芽があったわけでございまして、また自治行政を担当してみると、同じことをやっておる。もちろん時期が来ておると私も考えております。ここで一刀両断、結論を出すべきでしょう。しかし、なかなかやっかいな問題をたくさんかかえておりまして、私がいま自治大臣になって、今日の立場だから言うわけじゃないけれども、この問題は簡単なようで割り切るのはなかなかむずかしいのです。おっしゃったとおり、公選した時代もありました。そのときのいろんな状態もお調べになっての発言でしょうが、あのときに大混乱してどうにもならぬことになっている。東京都というのは昔の東京市ですから、その中の二十三区がかっては公選をやって、そうしてそれなりに一つの市の形態をなすかどうかということになると、御案内のようにいろいろやっかいなことが出てくる。かといって、これを行政区に直してしまうということは、いままでの歴史からいって難点もあるわけでございますから、これをどう形をつけるかということは非常にむずかしい。前提として、やはり先ほど指摘いたしましたとおり、話し合いが穏やかに行なわれる政治をいたしませんと、何でもかんでも反対だというようなことで議会運営が、都議会であれ区議会であれ行なわれておる現状でありましては、なかなか優秀な長を選任することもむずかしかろうと思う。要は、そういう制度のもとでもお互いに話し合えばできるんだという気持ちになれば、こんな問題、一ぺんに解決するはずだと思う。それが行なわれていないことは、われわれの指導の不十分ということもあるかもしれませんけれども、たいへん残念に思っておる次第でございます。
  77. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると大臣は、いま区長公選制というか、こういう問題について結論をつけるべき時期に来ておるけれども、それが行なわれない原因は、東京都の行政その他全体に関係する人たちの統一的な意思の結集というか、そういうものが行なわれればそうむずかしい問題ではない。たとえば、区議会だとか、都議会だとか、都知事とか、あるいは自治省の事務当局だとか、こういうものの中で早期に煮詰まってくれば、こういう問題の解決はそうむずかしくない、こういうぐあいに私は聞いたんですが、それでよろしいですか。
  78. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 制度としてはいろいろ考え方がありますけれども、やはり地域住民のために行政が円滑に行なわれるということが先決になると思います、ですから、いまでも東京に住まっていらっしゃるでしょうけれども、とにかく都民との窓口事務をみんな東京都がやっておるようなありさまですから、そうしますと、都民とサービス面で直結するようなものはみんな特別区におろしていかなければならぬ。いろんな問題が錯綜しておるわけでございます。いずれに踏み切るにいたしましても、間違ってからまた直しますというわけにまいりませんので、こういった問題は、二十三区の統廃合の問題もありましょうし、いろいろな問題も含めていま検討しておる最中でございますので、いましばらく結論を待っていただきたい、こう考えます。
  79. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、いま二十三区の統廃合の問題を検討しておるということでございますから、これは先ほども申し上げたとおり、八万に近くなった区と八十万に近くなっている区が、昭和二十一年、二十二年の当時の統合という形の中で、その当時の人口を基礎にしてつくられた形の中で、非常ないろいろな問題があることは、もう大臣の言われるとおりです。  しかし、これをいま議論しておったんでは時間もありませんから、焦点をしぼって御質問申し上げておるわけですが、そうすると、この検討をするのにいわゆる大都市行政全体という形の中で、一番最初に申し上げたような首都圏の問題を含めた中でこの区長の問題について結論をつけよう、こういうような御意見に聞くんですが、それでは少し無理じゃないかと思う。したがって、二十三区の問題として特別区の区長選任、公選の問題について、どういう形の中において処理したらいいかということで特別の機関をおつくりにならなければ、五年たっても六年たっても、また同じようなことを毎年毎年質問したり答弁たり、大臣が何人おかわりになっても同じようなことを言っていなければならぬと思うのですが、そういうような御意思をお持ちになる気があるかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  80. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これはたびたび申し上げるとおりに、その住民が選んだ議会というものがあるのですから、この良識にすべてはかかっておって、どんな制度をつくっても、ここで区長を選ぼうという気持ちがなければ、できるわけがないのです。公選で割り切ってしまえというなら、それはまた半面弊害もありますし、それで私どもは指導しておるわけですけれども、ざっくばらんに言えば、私はいま区長を選ぶのがむずかしくなっておるのは、全部実情を調べてみますと、たとえば党派別に見ると、過半数の党があるのになぜ選べないのかと言いたい区もあるわけなんですね。しかし、過半数を割っておるけれども大きい党と、小さい党がそれぞれある。党派傾向と申しますか、そういう複雑なことになっている。しかし、何でもかんでも人が言うことには反対だということには、やはり——そういうことじゃなくて、こういう下級の議会で話し合いができぬということは、至って民主主義の理解のない状態であるということは残念であるということを言っておるまでであります。ただ区長の選任方法だけ考えれば、何とかできぬものかといったようなことには、そう軽々に賛成できない。これはやはり大きな改革を意味することでございまするので、慎重にやっておりますから、いましばらくの時間をかしていただきたい、こういうことでございます。
  81. 佐野進

    佐野(進)分科員 いましばらくの時間ということはいいんですが、すぐということはなかなかむずかしいということは、それもやむを得ないことだと思うのですが、私はさっきから言っているとおり、区議会、特別区なら特別区の代表とか、あるいは東京都議会とかいう東京都の代表、あるいは自治省の代表とか学識経験者とかいうような形の中において、もうこの問題にしぼって、いわゆる首都行政の中における二十三区の行財政の問題について検討しなければならぬ。それを全体の大きな幅の中でやれば、五年、十年たったってなかなか解決でき得ない状況であるし、先ほど大臣が言われたように、焦眉に差し迫ったいろいろな問題が、それは分析すればありますよ。いろいろあるけれども、それは大臣の分析であって、また違った分析もあるわけですね。したがって、そういうような面について特別に、早期にこの問題を処理するための呼びかけなり、そういう機関をおつくりになったらいいじゃないか、こう思うのですが、もっと明確に、のらりくらりでなく答弁を願いたいと思います。
  82. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは、自治大臣が考えておるということでもなく、自治省が考えておるということでもないわけなんです。われわれが、首都圏制度全般について検討を加えておるということは、御案内のとおりに、いろんな諮問機関がありまして、とにかく学識経験者も集まり、行政機関のそれぞれ責任者も集まり、知能をしぼるという形でやっておるわけだけれども、なかなかやっかいで結論が出かねておるということでございまして、何も私が自治大臣の感覚でものを申しておるわけじゃございません。
  83. 佐野進

    佐野(進)分科員 だから大臣、この事態の中で都議会でも決議しているのです。しかもはっきり言っておる。それから区議会議員も言っておる。区長も言っておるのですよ。東京都の代表と称せられる機関は、全部ともかく早期にこの問題を解決してくれ、こう言っているのでしょう。それが、だめだよと言っているのは自治省ですよ。そこにいる自治大臣は政治的にさっき言ったから、この際解決してもいいじゃないかという気があるけれども、次官以下がやらせないようにしていろわけだ。これは全く日本の政治を逆行させる。内務省から引き続いている自治省かということになるわけだが、結局は大臣のところに責任がいくわけですよ。行政局長、自治省としてはどうしてもやらせないつもりなら、やらせないつもりでおりますということをやはり言ってもらいたい。やはり大臣、そういう面について前向きのことをひとつ言ってもらいたいのです。何らかの形における取り組み方をこの際言ってもらいたいと思うのですが……。
  84. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私としては一刻も早く解決しなければならぬと思いまして、このことにつきましては、特にいろいろな諮問機関等に対しましても促進方を要請しております。しかし、これを議論するのには、全くこの国会の時間が足りないことは御案内のとおりでございまして、私はこの際、こういった大問題をいきなりこの国会に持ち込むことにかえって危険を感じるものですから、もうしばらく——と言って長くはかかりません。ちょっとごしんぼうくだされば。何しろ現状はこのままにほうっておけぬことはわかっておるわけでございますから、何らかの措置をしなければならぬと考えております。
  85. 佐野進

    佐野(進)分科員 ひとつ局長、答えてください。
  86. 長野義男

    長野政府委員 大臣のおっしゃったとおりです。
  87. 佐野進

    佐野(進)分科員 時間がきましたから終わりますが、私は、いま大臣が言われたことを、ほうっておけないという気持ちの中で、積極的、具体的なひとつ取り組みをしていただくことを強くお願いをいたしまして、質問を終わります。
  88. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 神門君。
  89. 神門至馬夫

    ○神門分科員 いま都市問題がからんだ問題がいろいろ出ましたが、私はそれとは反対に、過疎の問題についてひとつお尋ねしたいと思います。  たまたま大臣は鳥取県から出ておいでになりまするので、過疎の問題については最もよく知っておられ、関心を持っておられる自治大臣であるということで、非常に心から期待しております。私ら議員の間でも、同じ党におりましても、やはりその生活環境が違いますと、都会で育った者は、高度成長の犠牲は都会の人間が一番受けていると、こう申します。私らのような山村地域から出ておる者は、この過疎地域こそが高度成長の犠牲だ、こういうふうに考えております。それはやはり環境から受ける認識によって、そのものの考え方が、とり方やはり一面違う。これはもっともな点もあると思うのです。ですから都会からもし自治大臣が出ておいでになるとすると、私がいまお尋ねすることはなかなか御認識願えないと思えるのですが、そういう意味で、この問題についていろいろお考えになっておると思うので、ひとつ詳しく御回答を願いたい、こういうふうに考えております。  まず最初に、昭和三十五年なり四十年に国勢調査が行なわれましたが、その国勢調査の中で、一番人口減少が率として多かった県は島根県であるということは御承知でございますか。
  90. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私の隣県でございますからよく知っております。その次が鳥取県くらいかと思います。
  91. 神門至馬夫

    ○神門分科員 そのとおりでございます。それで私が過疎問題を取り上げていろいろ各省に聞いてみますと、非常に過疎問題に対する意見というものが政治的に反映されていないようであります。こういうことを考えてみても、都市問題というのは、必要な緊急性に迫られて、いま大きな政治問題、社会問題になっています。ところが、過疎問題というのは、非常に深刻な、個人個人の問題にしますと、まさしく人道問題にもなっております。しかし都市問題と比べて過疎問題がそういう政治的な脚光を浴びていないというのはその地域全体が大きな企業もない、あるいは重化学工業がないという産業的後進地、そういうな国家的な見地からも経済的な弱者だということで、政府のほうでも放置されているのではないか、また、そういう弱者的な声なき声が反映をされていないところに、政府にこれに対する積極性がないのではないか。こういうふうに、人口流動の一方のそれが都市問題とするならば、一方のそれは過疎問題でありますが、現在自治省として考えられるときに、どの程度までこの問題はあがっておるか、また私の聞いた範囲においてはそのような声があがっていないというのは、どこに原因があるのか、また政治問題として取り上げていないというのは、どういうところにあるのか、お答えを願いたいと思います。
  92. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 鳥取、島根両県は同じような立場でございまして、神門さんが言われることは、私は身につまされてよくわかるわけでございます。しかし、人口の大都会集中傾向は世界的な現象でございまして、どの国もこれをどう解決するかということについて悩んでおるのが現状であると思います。抜本的な方法を、考えを見つけた国はまだないようでございます。自然現象みたいな形になってしまっております。  それで、そういう中にありましても、現にどうして過疎地帯がこうできるか、人口が大都会に流出するかという原因をよく考えてみますと、過疎化するところは、やっぱり離島であるとかあるいは農山村、特に山村あたりではひどい。島根県あたりは、いわゆる林野率から申しましたら一番高いほうの県でございますから、そうすると、そこで働いておられる方々の収入がやっぱり不十分だ。どうしても農山村で働く方々には兼業収入の道というものを開いてあげませんと、つまり農業所得の機会を与えないと、なかなかその地の生活に満足ができないわけでございまするので、そういうことを考えまして、政府のほうでも、御案内の産業分散のための新産都市、まあ山陰地区で言いますれば中海臨海工業地帯、これは一番あとのおくれた指定で、開発はおくれておりますけれども、指定を受けた。また、工特地域だとか、低開発地域工業開発促進法によります指定地域であるとか、あるいは島根県にあるかどうか存じませんが、農業経済の指定地域であるとか、いろんなこういうことをやっておるわけでございまして、こういう施策は、何としてでも、過疎地域の方々はここへ定着していただきたい。そのためには、どうしても行政面で考えなければならぬことは、人口が少なくなればなるだけ、この地域の地方公共団体がその管内のいろいろな公共施設を維持していく上におきましてもむずかしい面が出てくるから、例の山村振興だとか離島振興、島根県でいえば隠岐の国は確かにその恩恵に浴しておるわけですけれども、こういった特殊振興立法、あるいは交付税の配分等にあたりましても、傾斜配分方式をとりまして、比較的後進地域、低開発地にそういったものが流れていくようなことを考え、そしてまた第一に重点的には、起債も含めまして、教育施設、学校、それから医療施設、こういったものに重点をかけまして施策をやっておるのですけれども、なかなか定着がむずかしいわけであります。かといって、こういう地帯を東京並みに繁栄させるということは、これは人為的にやれることでもありませんし、なかなかいまの施策が進みかねておるわけでございますが、せっかく神門さんはあの地域の御出身ですから、名案があったら私に教えてくだされば、敢然としてやるつもりはあるのです。  だから、少し話が長くなりますけれども、近ごろは、収入といったって、過疎地帯必ずしも恵まれざるにあらず。近ごろは、さいはてブームなんというのがあって、とにかく人口もまれだから貧乏かと思って行ってみると、押すな押すなで、リュックサックを背負って、りっぱなハイヒールをはいた娘さんなんかも押しかけて、そこらじゅうで金を使っていることは、あなたも御承知のとおりです。島根県でも、大社がありまして、縁結びの神さまですから、ここもそういった意味で大繁盛しておる。ですから、低開発地帯といったって、そこはむずかしい。最近は農業にも観光農業というものがあらわれまして、御案内のとおりに、都会地のものをどんどん吸収している。いろいろそういう地域で御苦労があることは知っております。そういうことが至るところで便宜があるわけでございませんで、立地条件というものはあるわけでございますから、われわれといたしましては、とりあえず、過疎地帯の方々のためのそういった振興措置あるいは財源の配分などに重点をかけてやっておる最中でございます。
  93. 神門至馬夫

    ○神門分科員 鳥取県の出身でありますから、過疎問題が十分認識されていて、いろいろお考えになっておるようであります。ただ、人口流動も外国にあるようでありますが、私も、この人口流出問題については、何年間か島大の先生方と取り組んだことがありますが、いわゆる過密と過疎といわれるのは、計画的な流動なり人口流出、あるいは集中そのものに対する受け入れ態勢がないときにこの矛盾が生まれる。特に日本のような状態というのはどうも世界にないようだ。そこに都市問題なり過疎問題といわれる質的な問題、量的な移動なしに質的な移動が起こるのだ、こう思うのです。まあ、さいはてのブームということで、あのリュックサックを背負って来ているのは、東京の人間なり大阪の人間が来ているので、その人たちが落とすことによって観光ブーム的にもうかっておるのは、大臣の地元の大山ぐらいじゃないですか。どうも私どもの大社のほうは、そんなことであまりもうかっていないようです。そういうようなことでは過疎問題の解決にはならないし、名案があるならば積極的に受け入れたいということですから、ひとつこれからいろいろ出してみます。   〔登坂主査代理退席、主査席〕  しかし、この問題は、自治大臣が全部責任を持たれることとしては、いまの縦割り制度の行政の中ではなかなかむずかしいと思うのだが、しかし、過疎問題といってやっていく行政機関としては、どうしても自治大臣がその矢面に立たにゃならぬだろう、こういうふうに思いますので、あらゆる行政機関に関係することではありますが、ひとつ大臣のほうで、この際、大臣の任期中にやってもらわなければならぬと思うのです。もう二、三年あると思うので、その二、三年の中ではぜひとも解決をしていくようにお願いをしておきたいと思うのです。  あの人口過疎地区関連公共施設整備調査報告書というのが四十二年の三月に出ておりますね。これは政府としては初めてこういう過疎地域の調査をおやりになって、まあ謙虚に言っておりますように、十分調査したものではないから不完全である、こういうふうなことは言っておられますが、初めてのことであって、いわゆる過疎問題に対して目が向けられ始めたということ、こういうふうなことについても敬意を表します。しかし、その中にもあるように、過疎問題についての対策というのがほとんどないということ。いま大臣は、いろいろ考えているとおっしゃるけれども、ほとんどないということが、この自治大臣官房企画室——おそらく大臣の下部機関だと思うのですが、そこの企画室から出た報告書の中には書いてあるのです。その報告書の中の一つ、「人口・産業の動態」で「人口の減少に対応しては行財政需要の減少が伴わない」、こういう一つの過疎地域における特徴的な行財政関係を言っております。それが大臣のおっしゃった中に一つあったと思うし、もう一つは、「公共施設」という項で、「過疎現象が顕在化している地域においては、一戸当り、一人当りの負担が極度に過重になり、一方町村の行財政はその肩代わり」とするには「弱体であり、公共施設の荒廃を招いている」こういうふうなくだりがあるのです。そこで、これまでの地方交付税のいまの操作の面において、たとえば段階的補正係数の緩和等において努力をしておるということが、この報告書にも出ておりますが、この程度では、いまの報告書の前段にある、実態調査の中から出ましたいわゆる財政負担、過疎によるところの一戸、一人当たりの過重、より弱体化する自治体がこの過疎問題に取り組むにはどうしようもないということが出ているわけですから、この補正係数の緩和というふうなことについてひとつ何とか大臣のほうで御努力をいただければ、この名案の一つになるんです。これをやってもらいたいわけです。  それから、人口急減補正の逓減率の適用の緩和措置、こういうようなこともひとつ大臣のほうで積極的なこれに対して——ことしも予算がきまったもようでありますが、何か総合予算主義ではあるが、ひとつ補正予算を組ますようなつもりで、大臣のほうからこの問題に取っ組んでいただきたいと思います。  それから、こういう問題についてはどうでしょうか。あまり一つ一つ尋ねていくと時間がなくなるかもわかりませんが、それからもう一つ辺地債の問題について。辺地債の対象事業というのは去年の六月に拡大をされました。これは非常にありがたいと思っております。が、この拡大はされても、問題は銭なんです。予算のワクがないと、これが十分うるおうことができません。ことしはこのワクの拡大について、財政硬直化といわれる中で、対前年度どういうふうな努力がこの過疎問題に対してされているのだろうか。それから、それに対する適用基準の緩和、こういうことについてもひとつ何らかの努力をしてもらいたい。また現在そういうようなことをお考えになっているのだろうか。あるいは公共事業に対して——あの離島振興法というのは私は画期的な法律だと思うのです。過疎地域は行政単位、公共団体単位じゃないのですが、確かに非常にむずかしい問題ではあると思いますが、これも地域傾斜配分というものを——これはあとでちょっと申し上げたいと思いますが、指定をして、離島振興法並みの——そこにはいわゆる社会問題を起こしておるわけですから、公共事業に対するところの補助率を引き上げるというようなことについては、どういうふうにお考えになっているのか。またそれはやってもらいたいことなんです。  それから島根県は、鳥取県も一緒だと思うのですが、日本一の老人県なんです。日本一平均年齢が高いのです。やはり年をとると子供も生まないらしくて、日本一子供が生まれないのです。ますます老朽化現象の中には、病人が出てくるのです。そういうことによって、健保の負担というふうなものも、住民、自治体が非常に苦労している。こういうような特殊事情を考えて、いわゆる過疎地域における老朽化現象、貧困化現象というような中で、この国民健康保険事業に対する補助率を、これは全般的でなしに、何か特別の配慮をしてもらうと、その点については非常に助かるのじゃないかと思うのです。  それから医師の確保ですね。これは、私どもデータをもって調べてみたのですが、県下には四十九の国民健康保険診療所があるのです。その中の五つは医者がおりません。またその二十九には、交通の便がよくなったというようなことで開店閉業でとめられております。四十九のうちで三十四が、診療所としての医者がおらないというのが原因で、開店閉業の状態になっている。それから五百人以上の人口の地域で設置しなければならない個所が十四カ所もあります。それが公共団体の負担増の限界にきて、どうにもならぬというような問題。そこに美都町という町がありますが、そこで七十万円の巡回診療車を一台買っております。診療車を一台購入して、このときに国庫補助を七十万円のところを六十万円出してもらっている。これは非常にありがたいのですが、ところが年間の維持質が二十万円も要るのですね。そこの厚生費の約三割ぐらいをここで使ってしまう。こういうようなことで、地方自治法の第二条に規定するような、住民の安全健康を守るというようなことからおよそほど遠いというような状態があるのです。ですから、そういうような現実を見て、何かの国民健康保険事業に対する助成措置、補助率の引き上げ、あるいはこれは属人的な問題であって、なかなか問題があると思うのですが、何とか医者を確保する。これはいわゆる人道上の問題でありますから、そういうような点についてまず配慮してもらえば、解決の一つのめどになるのじゃないだろうか。  それから各種制度資金の中で、特に農林業ですね、それにかかわるものは、対象事業の基準なり、あるいは利率の引き下げを行なう意思はないか。償還期限が非常に短いために実効をもたらしていないのですね。そういうような現在ある制度内で何らか当面の措置を講じてもらうと、抜本的なものにはならぬだろうけれども、方法があるのじゃないかというふうに考えるが、どうでしょう。名案があればということですが、名案をいまから出しますが、とりあえずこれだけのお答えを願います。
  94. 細郷道一

    細郷政府委員 私のほうに関係があることだけ申し上げます。  一つは、交付税の後進地域の傾斜配分ですね。これは毎年やっておりまして、三十八年度で百二十六億、三十九年度では百六十八億、四十年度では百二十六億、四十一年度では百八十六億、四十二年度では百十七億、さらに四十三年度では町村分としても百五十億くらい傾斜配分をしたい、こう考えております。その中で、先ほどいろいろお話のございました人口急減でございますが、人口急減補正だけでなくて、学校の数が減ったような場合の統合、合併の措置なども今度新たに織り込みたい、こう思います。  それから辺地債につきましては、昨年の二十億から三十億、そうして今度四十五億にそれぞれ五割ずつふやしております。対象事業につきましては、昨年ふやしましたので、今回は考えておりません。額の中でまかないたい、こう思います。  それから補助率を引き上げたらどうかということですが、山村振興みたいな補助率の引き上げは毎年いろいろくふうしておりますが、まだ実現を見ておりません。ただ明年度は、義教教育学校につきまして交付税の中で事業費補正を採用することによりまして、補助を行ないます学校については完全な財源措置が起債とともにできるというふうにしたい、こう思っております。  それから国保につきましては、補助率は御承知のとおり昨年上がったばかりでございます。今回は事務費の例の超過負担の解消につとめております。  それから医師の確保につきましては、僻地の診療所等で不足しますものについて特別交付税配慮をいたしております。何ぶんにもこの問題は財政措置だけでは片づかない問題を持っておる、こういうふうに考えております。  以上、あらまし申し上げました。
  95. 神門至馬夫

    ○神門分科員 もう少しその問題について問いたいのですが、まだたくさんほかにも申し上げたいと思うので……。  それから、いまあります過疎地域に対する関係適用法制とういのは多岐にわたっておるわけですね。いろいろこの報告書の中にもありますように、多岐にわたってたくさんのものがあります。しかし結びとしてこういうように書いてある。「これ等地域に適用される各種特別措置は複雑多岐である。これ等の法制に基く計画あるいは事業の実施は体系化されておらずこれ等の地域について、その将来を的確に見とおし、地域振興のために総合的な施策を講じているとは言えない。」現在適用されておる法制というものが多岐にわたって複雑であって、行政官庁も違うからばらばらだ、こういうようなことを言っておりますが、この際、この地域開発、過疎対策を問題といたしまして諸法制を整理統合して、人口過疎地域開発を含めた基本法的なものを制定して、そして何かこれを抜本的に解決をはかるという意思は、考えておいでにならないか。おらないとするならば、ひとつぜひともそのようなものを取っ組んでもらいたいと思うがどうか。  それから、そういう基本法は直ちにできない。これはいますぐやろうとしてもできないと思うのです。そうすると何かこれに対する対策審議会のようなものを設置する。関係行政機関の長なり適当な人が集まってそういう審議会等も設置して、総合的な国の態度というふうなものをきめるというようなことを考えておいでになるのか。あるいはそれはおいでにならぬとしたら、これも考えてもらいたいと思うが、どうか。  また、審議会というふうな制度的なものが直ちにできないとするならば、過疎問題一つ見ても、非常に関係行政機関が多岐にわたっておる、それを、自治大臣が大将になるか総理府が総括をして、何かそういう関係行政機関の長でひとつ相談をするというようなものを、たとえば交通対策について閣僚会議がつくられたようなものを考えてやられたらどうだろうか。こういうことについてひとつお答え願いたいと思います。
  96. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 基本法ばやりですけれども、何もかも基本法をつくったら片づくというものではありませんので、やはりこれは実施上の問題になってくると思います。それで、例の山村振興法をつくりますときも、その前段階でいろいろ自民党では検討いたしましたが、林野率でそのワクに入るものであっても、数にして二千町村もあるとすると、とにかく日本全国どこも該当してしまうようなことになりますし、なかなかそういった面でどこをどうしてどう措置するかというのは非常にむずかしい問題であります。ですから、そういうことをひっくるめて、地域住民に一番密接な関係を持って地域の経営をしているのは地方公共団体ですから、自治省としては、各都道府もですが、地方公共団体を指導する立場にありまするので、その受け持ち地域ごとに地域の開発計画を立てさせる。先ほど申しましたように、そういう過疎地帯あたりに住む諸君の兼業収入なんか得られる機会というものが、いわば自転車で通勤可能なところへ点々とできれば、また文化的施設、東京とまではいかぬでも、文化的な生活が亨有できるような地域ができれば、定着するのではないかという気持ちもありますので、自治省としてはいわば中堅都市構想というものを計画しております。しかしこれも、国のほうで指定するというのでなくて、やはりその計画地方公共団体にまかす。いろいろそういうことを考えてやっておるわけでございます。
  97. 神門至馬夫

    ○神門分科員 そういうようなことはいろいろ考えておいでになる。中堅都市構想によって拠点都市をつくって人口流出を防いでいこうというような考えはいろいろいわれているところですが、なかなか具体的に国の助成措置、根本的な方針がきまらぬために、実際問題として都道府県なり公共団体としてもその計画というものを出せない、こういう状態が実態ではないかと思うので、なるべく早く国の態度というものをきめてもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、そういうようなことをいろいろ考えられてもなかなかいい考えは大臣のほうでもお持ちにならぬようなのです。島根県が代表的な過疎地域なのです。ところがここに島根大学というのがあって、農業経済をやっております農学部がございます。ここにひとつこういう過疎問題を研究する機関を設置して、そして学問的にこれを——大臣なり政府は当面の問題に追われることで忙しいので、将来のビジョンということについてはなかなかむずかしいのだろうと思う。最もいい環境の中に島根県の島根大学があって農学部があるのです。そこでひとつ研究さしてみたらどうだろうか。そういうようなことを自治大臣としても考えてみる気持ちはないか。あるいは文部省のほうでも、それはいいことだ、ひとつ国策遂行上やってみようという気持ちはないか、この点についてひとつお聞かせ願いたい。  それから、三十八年の豪雪で島根県の人口が非常に減り始めたのです。今度また雪が降りまして三十八年と大体同じくらいの雪が降っております。それまでは若年労働力なり出かせぎはあったのだが、挙家離村というものはなかった。三十八年が転機になった。今度もちょうど同じような雪が降りまして、これを転機にもう一つなだれ的な挙家離村というものが出るのではないか、こういうことを心配している。御承知のように木次線が十五日間もとまってしまうような大雪でありました。そこで、いま政府のほうにも、自治省のほうにも計画はあるようですが、山村部に豪雪山村開発センターというようなものをつくって、閉鎖された地域においての何か集約的な中心センターをつくっていきたい、こういう気もあるようですが、島根県にもそういう対象地域というものがたくさんあるのです。こういう一番過疎問題のある島根県に具体的なことしの予算の中でそういうものをお考えになっているのだろうか、この点をひとつ。  この三つについてお聞かせ願いたい。
  98. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 自治省でもほうっておるわけではもちろんございませんので、自治省の内部でも東大の木内教授などを中心にして研究会をつくっております。これは過疎対策をどう扱うかということについて、地域の総合計画的なものについていろいろ研究してもらっておりますが、島根県も松江農林の後身が島根大学の農学部になっておる。おっしゃるとおり日本一の人口急減県ですから、そこへ特に何か研究所をということはちょっと私は無理があると思いますが、しかし貴重な経験があることはわかっておりますので、むしろこういうところに参加していただくとか、またそういう研究所を設置するということは大げさですから、とりあえずここへ私どものほうでもこういう研究を特にお願いするというふうなことは私はやっていいと思うのです。  それから、何でもお天気次第といいますけれども、近ごろはお互いに妙なぐあいになりましたね。というのは、もとは米子あたりから西のほうはあまり雪が降らなかった。どういうかげんか知らぬけれども急に豪雪があるようなことになってしまって……(「政治が悪いから」と呼ぶ者あり)これはまあ政治には関係がないと思うのですけれども、それがために、新潟だとか北海道、こういう雪の多いところは、何だこの程度かと言うくらいなんだけれども、私どものほうではほんとに豪雪に見舞われますと、とんでもない被害が出て困っております。それから除雪なんかについては交付税の中に織り込んで配分してありますが、こういったことについても、実態がどんどん違ってくるものですから、雪害などにつきましては、そのつどの報告に基づきまして、特別交付税でそれぞれの手当てはしておるわけでございます。不十分と言えば言えるかもしれませんけれども、まあ豪雪がありだしたのはたった四、五年前ですか、その前はそんな記憶はないわけですから、行く先どうなるかわかりませんけれども、そのときに応じてやっぱりしかるべき措置はしなければならぬと考えております。
  99. 説田三郎

    ○説田説明員 ただいま御指摘をいただきました農山村地域開発研究施設をつくって研究したらどうかというお話でございますが、島根大学の農学部におきましては、昭和四十三年度の予算要求におきまして、御指摘研究施設をつくってもらいたい、こういう要求もございまして、その要求の趣旨等もよく承知いたしておるわけでございますが、何ぶんにも四十三年度は大学入学志願者急増のピーク時でございますので、学生の収容力拡大に重点を置くというようなこともございましたし、また一方、財政の硬直化というようなことが問題にもなっておるときでございまして、この研究施設を新たにつくるということは本年度は見送らざるを得なかったという事情にございます。しかし、いまお話のございましたように、島根大学の農山村地域開発研究施設の目的と申しますか、意図をされておるところは有意義なものでございますので、四十三年度におきまして、さしあたりその研究に必要な経質だけは措置するということで、現在御審議をいただいておる予算案に計上されておるわけでございます。将来この研究施設の新設を認めるかどうかにつきましては、これは事業費もついたわけでございますので、研究の成果を今後見ました上で慎重に検討いたしたいと考えております。(「金を幾ら計上したか」と呼ぶ者あり)事業費としましては三十万円でございます。
  100. 神門至馬夫

    ○神門分科員 それでは時間が過ぎたようでありますから、ひとつ文部省のほうでも、自治大臣のほうでも若干積極的な意思が見え始めておるようでありますから、さらに、いま申しましたように、過疎問題に対して積極的な行政をお願いして、私の質問を終わります。
  101. 田中正巳

  102. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 時間が非常に制約されておりますので、できるだけ私も要点を尽くして問うてみたいと思うのです。どうぞそのつもりで簡潔にお願いいたします。  私は主としまして、地方財政の硬直の現状、同時に行政も硬直しておる、こういう認識に立ちまして、その打開はどうすればいいのか、そこに論点をしぼって聞きたい、こう思うのであります。  赤澤大臣も地方財政の硬直はとくとお認めになっておられますが、端的に申しまして、硬直とは何ぞや、これをひとつ御説明願っておきたいと思います。
  103. 細郷道一

    細郷政府委員 財政の弾力性を失うことをいうわけでありますが、具体的には財源のうちに占めます義務的経費の割合が高いということが言えると思います。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 幾ら簡単にといっても、弾力性を失います、義務費が増額しておりますというのが硬直だというのでは、少しこれは内容が貧弱過ぎると思います。硬直とは何ぞやということを国民に知らすためにはもっと適切な表現がないかと思うのですが、もしそれならそれでいいが、原因は何ですか。
  105. 細郷道一

    細郷政府委員 地方財政の場合でございますと、やはり人件費でございますとか、あるいは公債費、社会保障関係経費、そういったようなものの経費が増高いたしまして、その年の得られます財源のうちに占めます割合が非常に高くなってきておる、こういうことが財政面に出てきておる姿でございます。いま一つは、事業をやる場合に公共事業の占めておりますウェートが非常に高いということであろうと思います。ただそういった場合に、財政面の上ではそういった計数の上で出てまいりますが、その原因をついてみますと、国の地方に対します行政施策のやり方、あるいは指導のしかた、あるいは義務のつけ方、そういったような面に左右される面が非常に多い点、いま一つは国の補助金行政のもたらしております弊害、こういうふうに言うことができると思います。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 硬直化の実態はわかったようで、わかりません。  そこで、原因は要するに国の施策の誤りである。国の指導の誤りである、国の補助行政の誤りの結果である。こういうふうにどうも帰結される。一切が国の行政。ところがあなたらは国の行政府の財政を担当しておる方なんです。きょうここに御列席になっておるのは自治省という行政府なんです。国なんです。国が誤っておりますから地方財政が硬直しておりますということを国が説明するというのでは、これは一体どういうものでしょうか。そういうことになりますがね。もっと原因というものは広範に他にも求めるべきでないか。もし国が誤っておるというなら、なぜ誤っておる施策を、指導を、補助金を改めないのか。なぜ改めないのかということを、国に向かって、大臣に聞かなければならぬ。一体そんなことでいいですか。赤澤さんいかがですか。
  107. 細郷道一

    細郷政府委員 多少ことばが足りなかったと思いますが、もちろん、硬直化を来たしますのは、それぞれの団体におきます財政運営の態度、あるいは施策のとり方といったようなものがあるわけでございまして、後年度にも負担を残すような仕事をしていくというような場合にも、やはり将来財政硬直化の原因になるわけであります。したがいまして、硬直化の原因としましては、もちろん個別の団体の問題もございますし、しかし反面において、いま地方団体が行なっております仕事の大きな部分を占めておりますものが国の施策の反映でございますので、そういう意味からいきまして、国の協力を得ながらこの解決をはからなければならない、こういう意味では多少オーバーに申し上げた点があろうかと思います。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 ここはオーバーやら過誤の御答弁はひとつしないようにお頼み申します。  そこで赤澤さんに伺うのですが、どうもわれわれ受ける印象は、原因は国にあるというふうにどうも聞くのです。だから、国の地方財政の施策、指導などの誤りということがあるなら、やはりこれは率直に改めなくちゃいかぬ。もし地方各団体におきましてその態度なり施策に誤りがあるというなら、それを認めなければいかぬ。しかし私が聞きたい点は、それもそうだが、もっと本質的に体質的な原因があるのじゃないかということなんです。体質を無視いたしまして、たとえば義務的経費がだんだんと加増していきつつある。そして当然計上しなければならぬ経費と当然支出をしなければならないということを、国も地方もあげて財政硬直現象の焦点にしておるようでございますが、もっと本質、構造面からくる原因が非常に重大ではないか。財政の構造、自治体自体の体質、そういうものからくる原因が重大でないかということを私は指摘したい。この点につきまして赤澤さんいかがでございますか。
  109. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 財政構造の面ですか。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 体質と申しますと、財政ですから制度もありましょう。あるいはまた自治体自体にもありましょう。これを構成する人間もありましょう。要するに自治体を形成する体質的な面が一つの原因になってくるのではないか。そこへメスをふるうのでないと打開策は立てられないのじゃないかという判断を私は持つのでありますから、原因はそこにもあるんじゃないか。もっと別の角度から言うならば、財政硬直というのは国におきましても、地方におきましても、佐藤総理のことばじゃないけれども、病源は深くて長いのです。硬直病という病気はきのうやおととい起こった病気じゃないのです。だから、その硬直病という病源というものは体質自身にある、運動不足だけじゃないですよ、ということを私は指摘したいのです。だから局長大臣もそこに焦点を合わさぬと私の質問とは並行する。あいまいなら私はまた別の角度から言いますよ。
  111. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 体質問題は、よくまた吉田さんの御議論をだんだん展開していただいて判断していかないと、ちょっとのみ込みかねているところがありますが、局長が事務的経費が増高すると申しましたのは、御案内のとおりに、警察職員、学校教員その他、国で定数のきまっておるものに要する人件費も非常に多いわけなんでして、俗に経常収支率と申しておりますけれども、これが七〇%も、いま八0%も達しているような状態であっては、あと残りの二0%しか実際問題としては地方公共団体は使い道がないという結果になっております。これを有効に地域住民の福祉のために使いますためには、やはり単独事業その他地元住民が要請いたしますものは、社会資本の蓄積をやっていかなければならぬわけでございますけれども、なかなか手が及ばない、こういうことが財政硬直化の財政構造から来る面であると思います。これは説明の時間がかかりますが、やはり国、地方を通じて制度的に改めなければならぬ点が多々あるわけでございまして、そのことは認めます。そこで体質の問題になるわけですけれども、その前提としてやはり地方公共団体の自主性というものを尊重し、これを高めていかなければ私はものの解決にはならぬと思いますし、そういったことを自治省としては中心として、いまの行政面で財政硬直化の原因を来たしておる諸問題等につきまして、関係各省に解決方を迫っておるのが今日の実態でございます。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 それじゃ、質問を展開し、議論を展開しながら伺ってみたい、こう思うのでありますが、財政硬直打開の道は、一つは行政改革にあろう、こう私は見ております。行政と財政、これはやはり切り離して考えられない関係において把握しなければいかぬ、こういうふうに見ております。そこで財政の制度自体に一応改革の焦点をしぼってはどうか、こういうふうにも考えるのです。しかし時間がないから議論を早めて早口に言いますが、地方財政の制度につきまして、予算会計制度を臨調の精神を尊重して——ただしあのとおりとは申しません。——尊重いたしましてこれを改革するということはいかがか。もっと具体的に申しましたならば、あのときは事業予算制度ということばを使っておりますが、最近アメリカあたりにおきましては、プランニング・プログラミング・バーゼティング・システム、PPBSといっておりますが、この予算制度を可能な限り地方財政にひとつ導入してはどうか。これは私の御提案でございますけれども、一律になさいとは言いません。第一、これはエカフェの事業予算制度の実績に徴してもわかるように、事業予算を実行しようと思えば、技術も要します。訓練も要します。時日も要ります。したがいまして、地方公共団体の職員の諸君にもいろいろと格差もありましょうから、すべて一律にということは無理でしょう。けれども、体質から財政を健全化する方向に向かって進むということが大事であるということであるならば、予算制度自身を改革しなければいかぬ。国と同じように、これは一つの研究のテーマというんじゃなしに、次の段階で実行に移すというところまでいっていかがか、こういうのであります。  いまの地方財政の傾向、たとえば決算なんか見てみましても、地方財政におきましては、たとえば不当とか不法はすぐわかります。効率があがらぬ予算の使い方をしている。全く計画があったかなかったかわからぬような予算の編成である。こういうようなことを随所に見るわけです。もっとも、あなたのほうで十二月でしたか、次官通達を出しておりますが、あれなんかをずっと見てみましても、かなり気を使っておられる。財政の監視権を行使いたしまして監視もいたしている、これはわかります。わかりますけれども、やはりそういう弊害の面から見ますと、これは制度自体に手を入れて、そうして計画性のある——計画予算制度と略称しているようでありますが、計画予算制度を一つフォームでもつくって、そうして可能な、条件の適するところはそこでやってみる、こういうふうに進めてはどうか。私は一律になさいとは申しません。この点、ひとつ財政局長に技術的に、そうして大きな踏み切りについては大臣に——これは水田大蔵大臣も先月の二十日にアメリカに大蔵省から実態的調査にやりました。水田さんもこれを積極的に検討を続けております。これは事実です。これは国の場合です。しかし地方の場合もこれは可能なんです。それが一番の救いの手、打開の手ではないか。これは私のしろうと目ではなしに、幾多の人の意見を総合いたしました結論なんでございますが、そういうような地方財政の立て方、予算の組み方について、制度的に計画別な予算制度を採用するということで踏み切ってはいかがか。全般とは申しませんから、可能の範囲、条件の熟したところに実行していく、こういうふうにしたらどうか。これは財政の専門家だから、局長から技術的にひとつお尋ねしたい。
  113. 細郷道一

    細郷政府委員 確かにいまの予算制度が金銭予算制度にとらわれ過ぎているという気はいたします。したがいまして、御指摘のように、効率がどうであるか、あるいは資産の状態がどうかというようなことがわりにおろそかにされている。だから、住民の目からもそういうことが見えるような仕組みにするほうが好ましいのではないかというふうに思います。ただ、そういうふうにいたしますためには、いまの行政機構の区分の仕方であるとか、あるいは法律制度の立て方であるとかいうようなものが、非常に部門別に逆に分かれておりまして、末端にまいりますと、そういうものがかなり総合されて一つの事業が行なわれて、たとえば都市計画というような事業をとってみましてもそういうふうに見られるわけでありますが、そういう意味においてはなかなか実行に踏み切りにくい点を持っていると思います。しかし十分検討に値する、こう考えます。そのものずばりではございませんけれども、地方の公営企業につきましては、御承知のように公営企業法によって独立採算の仕組みでいっている、これによってそれなりに一歩の前進をしている、こういうふうに考えております。
  114. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういう計画的というか、事業的な予算制度ということについては、新しい提案でありまして、私も研究不十分ですが、いまの財政制度では私は完全なものとは思っておらないわけでございます。ただ、これはいま大蔵省で調査にかかっているということのようでございますが、やはり財政制度審議会もあるし、私どもの機関としても地方制度調査会もございますし、そういったところでもさらにこういう新しい御提案は真剣に受け取って十分に検討してもらいたいと思います。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 親方日の丸式な考え方が公務員に浸透していきますと、自分の腹が痛まぬことは何でも使っていきます。だからいたずらにそういうことによりまして年から年じゅう陳情しなければならぬというようないまの財政運営の実態は、被害者は国民でありますが、こういう点から見ましても、中央、地方を含めまして、予算制度については抜本的に改めるべき問題がいま迫っておりはせぬか、こういうふうに思うのであります。しかるべく研究をしていただきまして、一そう効率的に、そうして計画性を持った、むだの少ない、そうして中央、地方を総合いたしましてほんとう住民のために奉仕し得る財政制度をやられるように、ひとつ御研究のほどをよろしくお願いいたします。地方財政審議会等におきましても、ひとつさっそくお取り上げになってしかるべきだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それから次の点は、これは行政機構の問題でありますが、時間がございませんので、簡単にいたします。  行政機構の問題でございますが、事務の再配分に伴いまして、単に事務の再配分だけではいくまいと思います。一つは行政機構の改革をしなければいけない。最近甲府市におきまして、御承知と思いますけれども、例の職制をすっかり変えてしまいまして、課を廃止して、課のなわ張りをやめて、部から直接主幹、主査ということで、係も廃止いたしまして、人間がかなり流動的に動くようになっております。これはどこまで成功するか、まだ試験的な段階だと思いますけれども、しかし、思い切って行政の簡素化という以上は、六月には、簡素化などを一つの目標といたしまして、行政改革の案もお出しになる御予定だと思いますので、そういうような方面に一歩前進するというふうにして機構改革をやってはどうであろうか。それは同時に事務の再配分もあり、現在審議会等で検討中の財源の再配分も伴っていかなければなりませんが、いずれにしましても、これは体質の問題ですが、機構自体を改革するということに一歩踏み出していく。例のいかんにかかわらず、そのようにして職制を動かしていく。そして人間をもっと活発に使っていく。人材をいたずらに埋もれさしてしまわずに、それぞれ能力を開発していく。これがほんとうに生産性の高い行政をつくり上げるゆえんであろうと思いますが、これはどうでございますか。
  116. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もちろん、機構改革と行政事務の再配分は、同時に行なわれなければ、どっちが先になっても、形はつかぬわけでありますし、あわせて、裏づけになる財源の配分につきましても、逐次諮問機関から答申も出ておりますが、なかなか実行に踏み悩んでおるのが現状であると考えております。財源の再配分につきましては目下検討していただいておりまして、間もなく答申が出ることと期待しておりまするけれども、いま画期的な改革を行なうべき時期に来ておると考えておりますので、御指摘のとおりの断行をいたしたいと考えております。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 次は、地方公務員制度の改革の問題でございますが、定年制も入れまして、議論がかなりだんだんと盛り上がっておると思います。議論は全部したらいいと思います。あらゆる点から見まして、賛成もあり、反対の意見もございましょうからね。ただしかし、公務員制度の改革につきましては、すでに全員一致によりまして答申せられました例の臨調の答申もございます。これは国、地方を通じて適用すべき問題だと思いますが、この公務員制度の改革の問題につきましては、相当大胆に踏み出していかなければならぬ問題じゃないか、こう考えております。そして、一つの大きなねらいは、いまのように、若くしてほんとうの適当な場が得られないおそれがある人もあり、いたずらに老朽いたしまして、そしてなお仕事についておる人もあり、あるいはまた、家族も十分養い切れず、しかるべき生活もできないで、いつまでたっても人生うだつが上がらずという人もあるが、これを魅力のある職場にして、ほんとうに明るい将来を約束し得るような職場にすることを条件としましたならば、公務員制度の改革というものは絶好のチャンスだと思うのです。全国の公務員の能率をあげて、信賞必罰を厳重にして、そしてほんとうに仕事もしやすいし、魅力もあるし、これなら一生をささげてもいいというような場にするということが理想でなければならぬ。この理想の実現に踏み切ってもらいたい。だから、これもやはり相当抜本的な態度で改正に臨まなければならぬと思うのですが、この点については、心がまえでもよろしゅうございますが、おかまえはいかがでございますか。
  118. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、全く同感でございます。そういった精神で事を運びたいと考えております。
  119. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 地方、中央を問わず、能率の悪いものというたら、公務員が典型的なもののように一般的にいわれます。たとえば企業などにおきましては、ずいぶんと激しい能率競争を実はやるわけです。そのかわり、能率をあげて成果をあげるならば、そこにほんとうにりっぱないすも与えるし、ほうびも出すということを激しくやりおるのがいまの経済界の実態でございますので、経済界の人が見ますと歯がゆく思うのは無理もないと思うのであります。しかし、私は、日本の公務員というものは、世界のどこの国に比較しましても、中央といわず地方といわず、優秀な人材がいまは当たっていると思います。官僚的なボス的な、エゴイズムの、そういうものはむしろ少ないと思います。したがって、これをいかに用いるかということが政治です。これがあなたの行政の御指導のほんとうの御責任だろうと思いますが、そこで、うんと能率をあげて、むだをなくしていくということについて、綱紀の粛正もしなければなるまい。綱紀の粛正は厳として行なっていかにやなるまい。幾多の弊害がその方面から綱紀が退廃しているということで生じておりますので、この辺につきましても、いまのような、能率もあげたり改革もしたりするのと並行いたしまして、粛正はぜひしてもらいたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  120. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 全く同感でございます。
  121. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 それから少し問題の方向を変えまして、議員立法で今月未で終了いたします例の競馬法の問題ですが、競馬法は、伝えられるところによりますと、法改正を行なわず、時限立法、自然消滅、こういうような運命に到着するようなふうにもいわれておるわけでございますが、この点につきましてはどういう経過にただいまなっておるのでございましょうか。また、法改正で延長するというような、そういう意図でもあるのでございましょうか。それは全くないのでございましょうか。すでに国会も相当進行した途中でございまするが、その辺につきまして、各省間との——農林省あたりとの調整の問題、これがどういう理由によってどういうふうになりつつあるかということを、要点だけでよろしゅうございますから、どなたからかお答えを願いたいと思います。
  122. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもは、公営競技は存続する、そういうたてまえのもとに運んでまいりたいと思っておりますが、その際、地方団体によっては収益が非常に片寄って入っている。それはやっていない団体にもひとしくほしい財源でございますので、公営競技全体を通じて均てん化をいたしたい、こういうことで実は私どもの手元で法案の用意をいたしましたが、政府の内部でなおまだ機が熟しませんで、なかなか話し合いがまとまりません。この国会にはなかなかむずかしいような情勢に現在立ち至っております。
  123. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 そういう程度ではちょっとはっきりしないのですが、政府の内部で意見がまとまらないということは、端的に言うて、どことの間に意見がまとまらなかったのか。伝えられるところによると、たとえば新聞などによりますと、各紙が三月七日に報道いたしましたが、それによりますと、政府は法改正の用意はしたけれども、しかし自民党におきまして、今国会はこれは取り扱わないということに決定を見たので、政府はこれに聴従する、こういうような趣旨のことが伝わっておるのでございますが、実際はそういう経過でもたどっているのかどうか。ほんとうはそうではないのかどうか。新聞の誤報であるのかどうか。その点についてひとつはっきりしておいてもらいたい。
  124. 細郷道一

    細郷政府委員 政府の内部では、関係省として農林省、運輸省、通産省、それぞれと相談をいたしておりますが、最終的な結論を得ておりません。それと並行いたしまして、与党であります自民党とも相談をいたしております。与党の中におきましても、それぞれの関係の部会との相談もございまして、それがまだ最終的な結論を得ていない、こういう状況でございます。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 大臣、これは実際見通しはいかがですか。事務当局の段階じゃなしに、こういうふうに公表されたのでございますから、閣僚間等におきましてもかなり意見の食い違いがあるならばあるで——そうではなしに、まだどうなるかわからぬ何かがもっとありそうですが、どうなんですか。
  126. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もともと公営賭博でございまして、賛否おのおのあるわけですけれども、地方自治の面から考えました場合に、いろいろな財政の運びの上の乱れがここから出てくるという点もありますし、財源の点で非常な不公平が生まれてくるのは事実でございます。必要悪として一応これを認めるといたしましても、やはり公平を期しませんと、あまり恵まれているところと、また恵まれないところが出るということは、非常に他にまずい影響を与えますので、自治省としては、ぜひこれを前向きに解決したいと考えておりますが、俗に馬にけられたといっておりますけれども、なかなか競馬関係でいろいろ議論がもつれまして、農林省との間の調整もずいぶんに手間どったわけでございます。現状ではなかなかむずかしいことにはなっておりますけれども、しかし、ほうってしまわないで、やっぱりわれわれが考えておりますとおりの解決を将来に向かっていたしたい、かように考えております。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 開催権を持っております市町村は、全国九十五市町村ですか、これは年間の財源としまして八十億円くらいを大体予定しておるようでございますね。四十三年度の予算計画の上におきましては、一応の歳入の見積もりをしながら、現に予算議会の最中でございましょうから、おそらくは上程しておると思いますが、全部欠陥になりますね。具体的にはこういう場合何か措置をすることになるのか、ほったらかして適当に事業を縮小するとかなんとかになるのでしょうか、その辺は、局長どうでございます。どう扱いますか。
  128. 細郷道一

    細郷政府委員 たいへん時間が迫っておりますので簡単に申し上げますが、関係の主管省であります農林省ともよく相談をいたしまして、非常な被害のないように考えなければならぬ、かように思っております。
  129. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 時間がないから、やむを得ず終わります。
  130. 田中正巳

  131. 久保三郎

    久保分科員 私は主として公営交通の問題でお尋ねをしたいのでありますが、すでに公営交通というか、公営企業の再建、そういうことでそれぞれの再建計画をただいま実施中であるものがあるわけであります。たとえば例を東京都にとりました場合、どうして東京の都営交通というか、そういうものが企業として悪化したのかということでありますが、これは見方にはいろいろございますが、まず第一に、最近とみに赤字になってきた。ということは、利用者が少ないというのが決定的な原因だと思うのであります。利用者が少なくなったのは、大まかに見て二つあると思うのですね。  一つは、いわゆる都民の要求にこたえられない形がある。その要求にこたえられないというのは、いわゆる交通機関として用をなさない。このスピード時代において、毎日ぐらい、あるいは月々、走行スピードというか、そういうものが落ちてくる。いわゆる路面の交通が渋滞し、その中に大衆輸送であるべき電車あるいはトロリーバス、さらにはバス、そういうものが巻き込まれて思うように運行できない、用をなさない、だから利用しない、こういうのが一つあると思うのであります。これは決定的な経営の問題でもあるし、また交通機関としては、これまた大きな打撃を与えられたかっこうであります。  それからもう一つは、たとえば東京都が——東京都ばかり言っておりますが、東京都の例のほうが一番わかりいいと思うのでありますが、東京都が持っている交通網というものは、戦争前におけるところの、いわゆる陸運事業の調整法に基づくところの区域に限定されてきています。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕  ある一定の地域に押し込められた形でいるわけです。ところが東京都は、戦後ならず、日に月に膨大になっていくばかりでなく、複雑になってきたということでありますから、戦争前の狭い地域、そしてそれに基づいた経路、交通網の形では、いうならば、都民の足としてはこれは不適格である。いわゆる都民の足に合わないくつが今日の東京都の都営交通でありますということになろうかと思います。だから、足に合わないくつでありますから、だれも買い手がなくなってきたということが一つあると思う。  この外的な要件というか、そういうものを解決せずして、単なる財政再建ということで片っ端から電車をひっぺがす、あるいはバスに置きかえる、そのバスも今度はやってみて赤字である、こういうことになりますと、何のために再建計画があるのかという疑問を持つ人もかなり多いのであります。これは決して悪口じゃなくて、疑問を持つ。それならいっそのことと言っては語弊があるが、全部やめちゃったら一番いいじゃないか、そういう結論にどうもなりそうだ。それは転嫁すべきところ、この電車を撤去して、その代替として地下鉄を構築する。ところが、地下鉄を構築すればするほど財政的にはまいってしまうのでありまして、それに対する地価対策並びに建造資金のいわゆる財源的な対策というものは何もない。そういう中で再建計画をやってみても、これは気休め程度でありまして、都民——都民ばかりじゃありません。日本国民にとってもあまり利益のある方法ではなさそうだというのが、少し極端な言い方で失礼かもしれませんが、そういう点で申し上げたいような気持ちであります。  そこで、そういうものについて何ら考慮されないで、いまのままで、これは特に主管省である自治省としては、この公営交通の問題を処理されようとしているのでありますが、これは非常に疑問があると思うのです。もちろんそれぞれの役所あるいは地方自治体、そういうものには複雑な権限の問題もございますから、一挙にこれをどうこう解決するのは非常にむずかしいと思うのですね。むずかしいけれども、やらねばならぬのが今日の都市交通の実態だろうと思うのです。  そういう意味で、特に東京都、それから横浜その他たくさんございますが、こういうところにある公営交通、いうなら都市交通、そういうものに対して自治省はどういう方向でこれを解決しようとしているのか、これはあらためてお伺いしたいと思います。もちろんいままで同僚諸君からもいろいろ同じような質問があったと思うのでありますが、あらためて一言所信をお伺いしたいと思うのです。
  132. 細郷道一

    細郷政府委員 都交通の再建だけで東京におきます交通問題を一挙に解決しようというような大それた考えは持っておりません。それ以上大きな問題を持っておるわけでございます。したがいまして、私どもも、さしあたっての措置として再建をなし、さらに続いて地下鉄等についての助成策を講じたい、こういう考えで一歩一歩実は進めておるつもりでございますが、なお、政府の中では近く交通関係閣僚協議会において、大都市交通問題についての広範な研究を続けていきたい、こういう気がまえでおる段階でございます。
  133. 久保三郎

    久保分科員 私は、別に都の交通をやれば東京都の都市交通はうまくなる、そういうことを言っていないのです。少しひっかかりますな。そういうことは言っていない。ただ、いまおやりになっている再建計画ではうまくいくのかどうか——簡単に言えばですよ。そういう外的条件をそのままにしておいてうまくいくんだろうかということです。いかがですか。
  134. 細郷道一

    細郷政府委員 それはおっしゃるとおりで、先ほど申し上げたつもりでおります。
  135. 久保三郎

    久保分科員 そこで、道路面における渋滞からくる大衆輸送の不円滑、こういうものは、単に都営交通なり公営企業の企業改善ということじゃなくて、むしろ、市民、都民の足を確保するということ、そういうことからいって、渋滞から大衆輸送を守っていくというそのためには、ある程度の規制をし、優先的な大衆輸送をやらねばならぬ、これはこういうことになるわけであります。そういうことはすでにお考えであろうと思うのでありますが、現在交通の規制あるいは取り締まり、そういうものは警察のほうでやっている。ところが大衆輸送を優先して通すということになりますと、これは必ずしも道路交通だけではいかない。しかしこれはだれが担当すべきかという問題も、これまたちょっと考えなければいかぬ。しかし、東京都一つをとっても、もはやこのままでじんぜん日を送ることはできないと思うのです。そこで大臣にお聞きしたいが、そういう問題について、あなたのほうではどう考えておられるか。
  136. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、まあとにかく白状すれば、名案がないので窮し切っておるというのが実情だと思います。そこで政府のほうでも、交通問題につきまして、閣僚協議会あるいは対策本部などつくってやっておりますけれども、何せ交通事故が多過ぎるものですから、とにかく交通安全というところに重点をかけてしまって、御指摘のような都民の足——まあ東京都だけではありませんけれども、交通機関をどうして生かしていくかという総合的なところまでまだ研究、検討が進んでいないというのが実態でございます。この間、 ロブソン報告なんかもあったわけでございますけれども、私どもといたしましては、もう東京都の近い将来というのは目に見えておるわけでございますから、単に交通安全対策も必要だけれども、交通全般についていろんな総合的な施策を早くきめなければならぬ段階にきておる、かように考えておるわけでございまして、決してこの問題をゆるがせにしておるわけではございません。
  137. 久保三郎

    久保分科員 私はこのように考えているわけでありますが、検討していただきたいと思う。  一つは、陸上輸送については大体地方公共団体の固有の事務としてございますね。これはどうですか。ありませんか、関する事務は。
  138. 長野義男

    長野政府委員 公営企業そのものはいまの地方公共団体の任務の中ではどういう種類に属するかということであれば、御指摘のように固有事務だと思います。
  139. 久保三郎

    久保分科員 公営企業は、私も国会議員だから、これはやっているんだから、東京都の事務に違いありません。それを聞いているのじゃない。東京都という区域がありますね。その陸上輸送について固有の事務として都知事があるかということなんです。一つの例にすれば、都知事の固有事務としてはそういう規定がございますかというのです。
  140. 長野義男

    長野政府委員 地方団体が公共の事務として取り上げるか取り上げないかということでございますが、地方の住民の安全交通の確保というもののために公共的な責任として取り上げるということは当然可能だと思います。状況によって考えられる問題だと思います。
  141. 久保三郎

    久保分科員 私は、極端な言い方かもしれませんが、地方自治体が固有の公営企業として交通を持つということも、これは現体制の中で必要なことも考えます。これは否定はいたしません。しかし、それ以上の次元、次元の少し高いところでものを考えると、公営企業を運営するという——その中には、東京都一つ見ても、営団という事業者がいる。東京都知事は、都の交通だけでは、これはやはり事業者ですね。この中に私鉄の関係もある。いろんなものがごちゃごちゃと言ってはおかしいが、入っておりますが、その中の一つとして東京都知事がいるわけです。これでは都知事の責任からいっても私はおかしいと思うのです。そうでしょう。むしろ東京都知事は次元の高い上にいて、交通、自分のところの都民の足というものをコントロールする権限を持って、それに応じての仕組みを持って支配していかなければ、私はうまくいかないだろうと思うのです、これは少なくとも国が直接やることじゃなくて、それはやはりその区域におけるところの自治体の長が権限を持ってやることが正しいのではないかと私は思うのですが、それはどうですか。
  142. 長野義男

    長野政府委員 先ほど申し上げましたように、交通安全というような問題については、住民の安全をはかるという意味で、現在都市におきましてはゆるがせにできないといいますか、不可分の問題でございます。そういう意味で、交通安全について地方団体が基本的な責任を持つということは、御指摘のとおりだと思います。
  143. 久保三郎

    久保分科員 交通安全のことを聞いてはいないのですよ。たとえば東京都に例をとると、東京都知事というものは都電や地下鉄だけをやるだけでなくて、その上に立って全体の交通をコントロールする力を持たなければ、都知事の値打ちはないと思うがどうだろうかと言っておる。そういう法規はないか、なければつくるのがいい、先まで言えばそうですよ。どうだろう、こういうことを言っている。交通安全のことを言っているのではない。
  144. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 なかなか大きな問題の御提示でございまして、かりに東京都を例にしましても、国鉄も入っておれば私鉄も入っております。また地下鉄も二つの団体がやっております。そこへそれぞれバスもばらばらでやっておるわけでございまして、これを地域住民の交通の便宜と申しますか、足を確保するために、全般にわたって地方公共団体の長がこれを総合調整するほうがいいのではないかといった御指摘のように承ったわけでございますけれども、なかなかそう簡単にいきません。しかしながら、やはり地域内の住民の一番大事な交通、足の問題でございます。責任者である首長は当然こういう計画には参加すべきものであると考えます。私どもは国全体のこういう施設、企業に対しまして総合的な計画をつくらなければならぬ。それが立ちおくれておるということは、さっき私が申したとおりでありまして、何かいわば交通安全にばかり頭が向いておって、その方面がはかどっていない。特に大都市の渋滞緩和対策に至りましては、抜本的な対策をいま講じないと、悔いをあとに残すと思う次第でございますので、そんな問題を引っくるめて至急に解決をいたしたいと考えます。
  145. 久保三郎

    久保分科員 私はこまかいところまでコントロールする必要はもちろんないと思うのです。それは企業者にある一定の趣旨に沿うようなものがあればいい。ただし、自分で管理する道路、これは東京都知事が都内の道路は管理することになっておりますね。だから、そういう面も合わせると、道路交通においてはもっとさらに進んだ権能を持たせる必要がある。いまは警視庁というか、警察が取り締まりをやっているということでありますが、先ほど申し上げたように、取り締まりというか、秩序維持というか、そういうことだけじゃなくて、大衆輸送を確保するという面で新たな法制上の措置も必要だろうと思うのですが、それは警察がやるかどうかいろいろ問題はあると思いますが、私の意見を申し上げますれば、いまの警察の中での交通警察官というか、こういうものは——私は、いつかずっと前でありますが、当初問題が起きて一万人増員をした当時、運輸委員会かどこかで申し上げたのでありますが、増員することに賛成である。しかし、これはもはやこういうふうに路面交通が多元化してきた、あるいは複雑化してきている現状では、単なる警察官、きのうまで駐在にいた人が交差点に立って整理できるというようなものではないだろうと思うのです。最近では新しい機械等も導入してやっているわけですね。そうなると、やはり一般警察官とは別な、生い立ちから最後まで別なワクを持っていたほうがいい。警察官を採用するときに、大体いままでの概念からいうと、からだがじょうぶですばしっこくて、どろぼうに負けないような、というようなことが条件かもしれませんね。だけれども、交通のこれをやるのは、必ずしも体格、七十キロも八十キロもある人、機動隊みたいなものは必要ないですね。だけれども頭の切れが早くないと困るのですね、指揮官がいないのですから。機動隊は指揮官がいてやってくれるから、頭が少しおそくてもよろしい。しかし交通警官はそうはいかない。自分の判断で寸秒を争う操作をするのですから。これは一つの例であります。見方はいろいろありますが、そういうことからいっても、またピストルの要もない。国会の前をピストルを下げてやることもない。重いから、あぶないから、どこかへ置いてきてもいいくらいです。それは余分なことでありますが、いずれにしても、交通関係の警官、こういうようなものは、警官という名前ではなくて公安官くらいにしたほうが適切かもしれない。そういう制度をつくってみたらどうか。そうなると国家公安委員長は反対するでしょう、自分の勢力を曲げてしまってはまずいというので。そうだろうと思う。それはそれでいいですよ。私どもは妥協しますけれども、ただし警察庁の中でも、いまは交通局長だが、これは交通局長ではまずいから何かにして、上から下まで別ワクにして、そうしてやっていくことも一つではないかと私は思うのです。そういうものが、いわゆる道交法だけではなくて、これから言う都知事なり市長がつくるところの条例やあるいは国がつくる法律、それに基づいて、東京都なら東京都の路面交通を規制というか、整理していくということが私は必要じゃないかと思うのです。これはなかなか制度上の問題もございますが、そうでもしない限りは、とにかくどうにもならないですね。これは運輸省ですか、自治省ですか、警察ですか、そういうことを考えると、どうしても思い切ってそのくらいでやってみる、こういう気がまえが私は必要だと思うのですが、どうですか。
  146. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 久保さんはその道の専門家でもあるわけだから御承知と思いますけれども、それぞれ都道府県知事が国鉄に対して、あるいは私企業に対してどう指図するというわけにもいかぬ仕組みになっておりますが、その他のことはたいていやれる仕組みになっております。御案内のとおりに、交通問題につきましても、たとえば早い話が、電車があれほど動けなくなったのは、普通の乗用車がどんどん軌道内に入ってくるからだ。これは軌道内には他の車は入らぬというのが原則になっておりますけれども、事態がこういう状態になってくると、普通の自動車などは軌道内へ入れぬなんということをやりますとたいへんなことになりますから、やむなく黙認したという形になっているのが現状であると考えておりますが、こういったことは都の公安委員会でやれることは御承知のとおりでございます。  そういたしますと、やはり警察も、言うまでもなく自治体警察でございますから、東京都において名案があるなら、知事としてやられるべきことはたくさんあると私は思います。しかし、さすがの都知事だってこの問題はなかなかいい知恵が出ないと思う。とにかく考えたって、これほど交通の現状というものが急激な変化を遂げるのですから、手をこまねいているのが実情です。この間のロブソンの報告にもありましたように、では混雑税を取るか、都内の車については許可制にする、いろいろなことが書かれてはありますけれども、どれ一つ取り上げてみましてもむずかしいことながら、これまた都知事がやろうと思えばできることだと思います。しかしながら、こういった全般の方向につきましては、国自体が一つの方向を示さなければなかなかやりにくいと思いますので、そのような総合的な計画をいま検討しておる最中でございます。
  147. 久保三郎

    久保分科員 なかなかむずかしいから、お互いに話しているのです。だから一つの案として私は申し上げているので、いまあなたがおっしゃるように、都知事がやろうとすればそんなことはできるのだと言うが、そんなことできるといったって、この間の新聞の座談会を読みましたか。警視総監がやっていますが、あの紙面からすると、あまり仲がよくないですよ。読んでごらんなさい。残念ながら警視総監は、そう簡単に仲よくやろうなんということじゃないです。私はそう見た。だから、これは制度をつくるのはもちろん国のほうでつくってやらなければいけないでしょう。できるといったって、やってはいないのです。できないのですから。それはできるようにやはり国の行政の中でやってやらなければならぬ。そういう意味でやることです。  それからもう一つは、交通警察官というものをもう少し別ワクで、特殊な警察官としてなり、公安官というのか知りませんが、そういうものとして育成し教育していくというのが一番いいのではないかと私は思うのです。それを出世したらその次はどこかの警察署長、今度はどろぼうのほうを専門とかいうことでは、あまりお粗末です。せっかく習った技術も——えらくなれば別かもしれません。法学士がいろいろなことをやっていますから。それは別だと思いますが、いずれにしても、最初からそういう警察官のワクはきちんとしておくべきだと思うのです。それが機動隊のけつにくっついて歩いていたりなんというのはぐあいが悪い。やはり道交法のほうの警察官というものはきちんと分けて、そして総合的におやりになったらどうかということを申し上げたかったわけであります。  それからもう一つは地下鉄の建設で、いつかの新聞でありますが、自治省はわれわれが考えているようなことをこの間発表したが、大体三分の二ぐらい国費でもってやろうというたいへん思い切った話なんですが、われわれのほうも大体そういうことで数年前に法案を出しております。トンネル部分は道路と同じだから、これは国でめんどう見たらどうだ、その上に砂利を盛ってまくら木を入れて線路を敷いて電車を走らせる、そういうものは企業者がやったらいいだろう、こういうものですが、あの案はどうしましたか、大臣
  148. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地下鉄は建設費がべらぼうな金額になっているわけですから、たしか地下鉄の場合は一キロの建設費が五、六十億ですか、使っておるはずです。新幹線だって、あれはキロ当たり建設費が十何億です。ですから、キロ当たり五十億円も六十億円もかかる地下鉄を、だれが運営したって料金でペイするはずはないわけでございますので、やはりどうにか採算ベースに乗るところまでは、建設費については国がめんどうを見る——国と言いたいのですが、そうしなければ道がないと思うのです。そういうところから、われわれとしては自然にそういう方向をとらざるを得ませんから。具体的にそういうものは見ませんでしたけれども、私どもとしてはそういう考え方を持っております。  それから、さっきの交通警察官ですが、あまり交通警察を専門化しますと、人間がかたわになってしまいはしないかという感じがするものですから、外勤も合わせて、そこらのところは少し幅を持たせてやっておることでありますし、機動隊が何しているかということですぐ突っ込まれますけれども、あれだって雑踏警備にはずいぶん出て役に立っておるはずであります。ああいう交通警備が非常に錯綜いたしますときには機動隊も繰り出してやっておる。ですから、これはあまり専門化いたしますと、かえって逆効果があるのではないか。近ごろ若い警察官なんか、かっこいいというのでパトカーとか白バイなんかばかり志願するようですけれども、これはとにかく若い者は好くかもしれませんが、そこらのところは少し幅を持って運営させていただきたいと思っております。
  149. 久保三郎

    久保分科員 もう時間がないですから……。かっこいいなんというのでは困りますが、あまり幅を持ち過ぎないほうがいいのです。これは運転に非常に適性のある人は、やはりパトカーに乗せたほうがいいですから、それをおまえは少し頭がいいようだから警備のほうへ回れなんというのはうまくないと思う。そういうことを言いたいのです。交通警察に対してはいま御検討いただいていると思うのだが、これは市民の生活に直結した警官ですから、もっと教育もし訓練もして、そういう素質に合った者をどんどんふやしていくべきであろうと一つには思う。  それから、あらためて申し上げますが、いわゆる路面の渋滞から大衆輸送を確保するということは、政府の責任でありますから、これは寄り寄り相談していますから、そのうちにというのじゃなくて、これは明確に期限を切って、一応の結論をさしあたりでもいいから得るようにすべきである。自治大臣は都市の親方です。最高責任者です。都市の交通——公営企業はかりが自治大臣の配下じゃないですよ。ここを走っているのは、みんなあなたが支配するところの自治体の領分を走っているのですから。あなたがやはり最高の責任者として、渋帯からどう守るかということを考案してもらう。それには自治省の中ではなかなかそういう専門家はおられないようでありますから、できるなら、一局削減だそうでありますから、選挙局か何か削減したから、もう一つ交通局でも設けて、大衆輸送を確保できれば、そのあとでまた局は減らしてもけっこうですが、それくらいの気がまえを持ってやってみたらどうか。そうでなければ、これはとてもじゃないが、解決できない、私はそういうふうに思います。  それからもう一つは、公営企業は、都営なりあるいは鹿児島市営なり、みんな狭められたところで、かせげないというか、企業として成り立たないようなところだけの交通網を担当させられる。これはどだい合理的でない。それから公正な競争の上にも立っていない。だからこれは制度の上で改める。これは自治省だけではなくて、運輸省その他もございましょうが、これは公平な目で見てやっていく。それからもう一つは、こう膨大となってきて、どの分野、どの分野ではなくて、分野は確立するにしても、これをコントロールする一元的運営という方法を考えなければならぬと思うのです。これはいままでいろいろ案が出ておりますが、まず第一に企業を一元化するというのは非常にむずかしいと思います。私は、せめて運営を一元化して、それで輸送の調整あるいは共通運賃をやる、それに応じて輸送力のつけ方、あるいはこれを調整するというような、いろいろなそういう業務をこの機関に持たせるようにしたらどうか、さしあたりそういうことはどうか、こういうふうに思っているわけであります。  時間が参りましたから、もうこれ以上申し上げる必要はないと思うのですが、最後にもう一ぺんくどいようですが、御返事いただきたいのは、私が言ったのは全部いいとは自分でも思っていないのです。これはいろいろありますからね。だけれども、都市交通の中で渋滞から大衆輸送を守るという、これはどうしても近い将来において確立してもらいたいのですが、いかがでしょう。
  150. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この問題につきましては私も最初から頭を痛めておりますが、残念ながら名案が出ませんので、私が名案を出したつもりでおっても、とても実行不可能ですというようなことで、なかなか考えあぐんでおるわけでございます。久保先生なんかその道のベテランですから、いい知恵でもありましたら拝借さしていただきたいと思っておりますが、十分努力いたします。
  151. 久保三郎

    久保分科員 それじゃいい知恵がありますから。どこでもいいのですよ。できるところからやるということですよ。だから、たとえば丸ノ内のどこか知りませんが、ある交差点を中心にして、朝の八時から八時半までは、そこを通る路面電車だけは確保してやる。それができないとするならば、交差点の確保だけはしてやる。これくらいのことなら、百人くらいの機動隊を持ってくればできるのじゃないですか。したがって一つでいいのですよ。やってみるということです。東京都の全部最初からできるなんというのは私はないと思うのです。だから、できるならばそういうことをひとつ考えてみてほしいと私は思うのです。どうぞよろしく。
  152. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 午後は二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時八分開議
  153. 田中正巳

    田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤俊男君。
  154. 後藤俊男

    後藤分科員 同和問題でございますけれども、中心になってやっておられる宮崎参事官がおいでにならぬと思いますが、大臣もいらっしゃいますし、ひとつ現実の問題としてお聞きをしていただいて、早急に御検討を願いたい、こう思う問題が第一番にあるわけです。  その問題は、昨年の八月でございますか、ダンプカーの規制法の法律ができました。これによりますと、第十一条には、いわゆる運送業の免許もなしに、ヤミで運送業をやっておる一匹オオカミのダンプカーの規制でございますけれども、これが全国で十三万台ある。その中の大体八割ないし九割が同和地区に所属しておるわけです。そこで、現在ああいう法律ができましたので、各地区におきましては、このダンプカー規制の法律に基づいて協業化しようということでやっておるわけでございますが、同和地区に参りますと、たとえば、これは例でございますけれども、私の地元であります滋賀県方面においては、ある一部分だけ見ましても七十一台からの一匹オオカミがおるわけなんです。これは免許もなしにダンプカーが動いておる。ところが、その仕事の内容が全部個々ばらばらなんです。同和地区にいらっしゃる人でございます。そうなってまいりますと、運送業の免許をとろうとすると七台以上の協業化をしなければばいけない。こういうような法律にくくられまして、いま申し上げましたように、実情は一人一人が変わった仕事をやっておるものが、七台以上が集まって企業組合なり協同組合ができるかというと、これはなかなかできない問題でございまして、現在それらの関係の人、いわば七十一台の中には、中心になってひとつ事故防止に専念しよう、こういうふうな奇特な人もおいでになりますけれども、いま申しましたような規制のもとにやられておりますので、企業組合なり協同組合なり運送業の株式会社ができない。そうしますと、おのずから運送業の免許がもらえないというようなかっこうになってまいりまして、昨年八月にできましたダンプの規制法の法律そのものがなかなか実行に移らない、やろうと思ってもやれない、こういう問題に今日直面しておるわけなんです。  そこで、同和対策としてお願いいたしたいのは、自治省としてはおそらく各地方を指導教養されておると思うわけでございますけれども、いま申し上げましたように、同和対策の一環として、その中の一つの問題として取り上げましても、ダンプ規制のあの法律に基づいて交通事故を防止する。さらには一匹オオカミなり白ダンプ等をなくするためには、同和対策の中の一部門としても、全力を尽くしていただく必要があろう。こういうふうに私考えておる次第でございます。そこで、午前中は運輸省のほうへもやかましくこの問題は要求をいたしておきましたが、きょうは宮崎参事官がおいでになりませんけれども、幸い自治大臣もおいでになりますので、いま申し上げた問題を、七台以上に規制するということでなしに、昨年できました法律によって協業化する場合には、運送業の免許について、二台ないし三台までぐらいのところを考えて、そうしてあの法律に基づく第十一条の協業化のほうへ前進させる。その上に立って交通事故を防止する、こういうような方向を考えていただきたいし、早急にこれはひとつ御検討をいただきたいと考えておる次第でございますが、関係のどなたか、私わかりませんが、所管関係の人がおいでになりましたら、お答えをいただきたいと思います。
  155. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは、御承知のとおり自治省の所管ではないわけでございます。  ダンプカーというのは、御案内のとおりいろいろな事故を起こしておるものですから、そういうことからだんだん規制を強化するという方面にいっておるわけですが、いずれにしてもこれは運輸省、それからまた、その末端では陸運事務所、これが所管をしておるはずだと思います。そのほうとよく協議はいたしていきますけれども、その上でないと、何とも申し上げようがないわけであります。
  156. 後藤俊男

    後藤分科員 いま大臣が言われましたが、だいたいその筋は間違いないと思いますけれども、ただ、私特に近畿なり——全国には四十万戸ですか、同和地区に暮らしておられる皆さんが、その中にはダンプの運転で、ダンプの商売によって生活しておられる人もたくさんある。そういう点から考えてみると、ただ運輸省なりその方面だけにおまかせしておくのではなしに、同和対策の一つの問題として取り上げていただきたい。そうして、その方面からも、せっかく昨年八月にそういう法律ができましたので、これを生かす方向へ早急に御検討を願えぬか、検討をしてもらいたい。これを私、同和対策の一つの問題として提案をいたしておるような次第でございますので、何か大臣のお話を聞くと、所管が違うけれども一ぺん話してみるわい、こういうふうな軽い気持ちではなしに、真剣にひとつこの問題を取り上げていただく、そういう方向でお願いをいたしたいと思う次第でございます。
  157. 田中正巳

    田中主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  158. 田中正巳

    田中主査 速記を始めて。
  159. 後藤俊男

    後藤分科員 だから筋は違いますけれども、問題は、宮崎さんがここへ来られない、向こうと一緒になりまして……。それでは来られましたので、ひとつお願いします。
  160. 宮崎隆夫

    ○宮崎説明員 たいへんおそくなりまして申しわけございませんでした。ただいまのお話のことにつきましては、私どもの付属機関に同和対策協議会というのがございますが、いままでのところ、お話の問題につきましては御議論が出ておりません。持ち帰りまして、至急この協議会にも御報告いたしまして、次の会議等においてお取り扱いを御協議いただくことにいたしたいと思います。
  161. 後藤俊男

    後藤分科員 実はいま問題になっておらぬということでございますけれども、事実、あなたのほうへ出してきておらぬだけで、全国的に問題になっておると思っておるわけです。という理由は、先ほど申し上げましたのでもう繰り返しませんけれども、ぜひひとつ、ああいう法律ができまして、しかも同和対策地区の人が大体九割を占めておるダンプのあの一匹オオカミについては、これらを取り締まり、さらに交通事故防止の上からも、早急にひとつ御検討をいただいて、あの法律を生かす方向へ前進できるように、各地方、市町村、こういうところへも御指導を願いたい、こういうようにお願いいたしましたので、この点はわかったと思いますから、お願いをいたします。
  162. 宮崎隆夫

    ○宮崎説明員 わかりました。
  163. 後藤俊男

    後藤分科員 それから、次には自治省の問題でございますが、答申なり中岡報告に基づいて、かなり地方の実態を調査をされておるわけです。ところが、県によりましては実態調査に全然協力しない県もある。申し上げますと、栃木なり東北方面、さらに石川、富山、宮崎、こういうところはこの実地調査に全然協力をしておられない。さらに、なぜ一体協力しないかといえば、私のところの県にはそういう問題が一切ございません、こういうような理由のもとに実態調査の報告書というものがあがってきておらぬわけでございます。この問題について、担当でありますあなたのほうといたしましては、これからどういうふうな扱いをされていこうと考えておられるのか。その点をひとつお答えを願いたいと思います。
  164. 宮崎隆夫

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。  同和地区に対します実態調査は、昨年八月から全国にわたりまして実施をいたしてまいっておるわけでありますが、三十四府県のうち一部調査を必要としないという地元からの御意向があったことはお話しのとおりでございます。これらの県につきましては、大体地元の議会であるとか、あるいは県、市町村の御当局におきまして、すでに実質的には同和地区は解消いたしておりまして、さらにこの際調査を進めて新たなる施策を特に行なわなければならない必要はないという御判断で、そのようなおとりきめをされておるものと思うわけでございますが、そもそも私どもがいたしております実態調査は、同和対策協議会並びに関係各省が、今後これから考えてまいります長期計画を検討いたします際に、一つの参考資料として、その調査の結果を考慮する、そういう目的のために行なわれておるものでありまして、今後具体的に長期的な計画を実施いたします際に、この報告に漏れておる部分については特に施策を実施しないというものではさらさらございません。総合的な、長期的な計画を検討するための一つの参考資料としてお伺いしておるわけでございまして、必ずしも、どうしても地元御当局の意向にさからっても全面的に調査を実施しなければならないというたてまえで、協議会として調査をお進めになっておられるものとは私は思わないわけでございまして、そういう意味で、この辺につきましてはかなり地元の御要望を御尊重申し上げて、とにかく総合的な長期計画を策定するための一つの指標として調査を進めるので、とりあえずはそのままにいたしておるわけでございますが、今後の施策の展開に際しまして、そのゆえをもってこの県は入れるとか入れないとか、この辺のところは、調査に応ずる応じないとは関係なく考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  165. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、いまのお答えは、実態調査に協力した県もしない県も、しなかったからどうの、したからどうのということではなしに、その実態に基づいて今後も進めていきたい、一口に言って、こういうふうに解釈していいわけですね。
  166. 宮崎隆夫

    ○宮崎説明員 実態に基づいて調査を進めてまいりたいと申しますか、その調査結果にかかわらず、やがてつくられます総合的な長期計画というものは、御報告のなかった県についても、必要があれは——必要があると考えますれば長期計画を進めていくというたてまえで考えております。
  167. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、いまの説明はそこでおきますけれども、地方財政を圧迫しないための特別交付金というものが出ておると思うわけでございます。来年度については一体どれだけの予算でどういう方向で分配されようとしておるか、この点、簡単でけっこうですけれども、お答え願いたいと思います。
  168. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度は二十三億の措置をいたしました。四十三年度は、来年の二月のことでございますので、ちょっといまの段階でまだ申し上げかねますが、従来とも同和費についてはだんだんと伸ばしておりますので、それを上回ったものを交付いたしたい、かように考えます。
  169. 後藤俊男

    後藤分科員 もう一つ答えてください。いま言われたのは、去年は二十三億円配分した……
  170. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度は二十三億円でございます。
  171. 後藤俊男

    後藤分科員 それは一体どういう基準でどういうふうに配分したのかということです。
  172. 細郷道一

    細郷政府委員 基準は、厚生省の調査によります同和人口、同和世帯数を基礎にいたしました。
  173. 後藤俊男

    後藤分科員 人口と世帯数によって去年は二十三億ですか、配分した、ことしもそれ以上上回るものをそういう方向で配分するのだ、そういうふうなことでございますね。
  174. 細郷道一

    細郷政府委員 大体そういう考え方でおります。
  175. 後藤俊男

    後藤分科員 そこで私、ただ書面の上の問題でとやかく申し上げるわけではございませんけれども、同和対策の問題につきましては、これは自治省がやはり中心になって指導をされるべき問題ではないかと考えておる次第でございますが、ある府県によりましては、同対審のいわゆる同和対策の答申の内容すら知らない府県がある、こういうようなこともはっきりいわれております。さらにそれ以外の問題につきましても、どうも自治省そのものの指導というのは、同和対策の問題について徹底しておらない。こういうことがかなり同和地区、さらにその役員、さらには集会等におきましても問題として提起されておるようなわけでございますが、現在自治省として、この同和対策の問題についてどういう方法で指導をしておられるか、これもひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  176. 長野義男

    長野政府委員 同和対策につきましては、必要な、該当のあります府県につきまして同和事業が推進されるように指導をしておるつもりでございますが、何さま問題が個別的のようなところもございますので、具体的な事例などいろいろなお話を伺いますことのほうが早くて、府県当局なり地方団体のほうの理解の乏しいところもございますので、そういうところがわかり次第、そういうものについて指導を強化しておるつもりでございます。今後ともそうやりたいと思っております。
  177. 後藤俊男

    後藤分科員 いまいろいろ言われましたが、要は、ひとつ同和対策の答申完全実施につきましては、なお一そう徹底するように指導をしていただきたいと思います。  さらに職業安定協力員でございますが、こういう人につきましても、同和対策に対する答申の内容すら知らない人がたくさんいらっしゃる。さらに職業安定所の窓口におきましても、同和対策の問題について十分なる理解を持たない職員の人もたいへん多くいらっしゃる。そこでいろいろ問題を起こしておるというのが今日の現状であり、いままでの経過であったように私は考えますので、ぜひひとつ、いまも言われましたが、十分なる指導をしていただくように、ぜひお願いをいたしたいと思う次第でございます。  さらに、厚生省関係予算の内容につきまして簡単にひとつ御説明をいただきたいし、特に一般職業訓練所の新設というところで一カ所新設するんだ、一千五百万円ばかりだ、こういうふうな予算が組まれておるわけでございますけれども、この問題も含めて、ひとつ簡潔に説明をしていただきたいと思います。
  178. 今村譲

    ○今村政府委員 厚生省が同和問題を担当いたしておりますのは、ことに生活環境の問題、それから地区の小さな道路とかあるいは施設とかいうふうな、いろいろ十八項目ほどのものをやっております。それで今年度の施設整備費の予算といたしましては十二億五千万、昨年度の八億九千万に対してちょうど四0%、三億五千七百万の増というのが施設整備でございます。これは隣保館から共同浴場、あるいはごみ焼却場、墓地の移転、そういうものがございます。それからもう一つは、隣保館の運営費は五千六百万が七千七百万ということで、それぞれ管轄いたしております。いろいろございますが、ちょっといまお話しになりました……
  179. 後藤俊男

    後藤分科員 先ほど予算関係で申し上げましたのは、間違いでございました。労働関係でございます。  そこで隣保館の関係ですが、これは全国に約三百の隣保館ができるわけであります。約三百の隣保館がありますけれども、中には市町村課長さんが館長をやったり、さらには役場の分室のようなかっこうで使ったり、あるいは開店休業のようなかっこうであるけれども閉鎖しておる。こういうふうな実態が、現地における各市町村の実態であろうと思うわけでございますが、こういうことは非常に望ましい姿では私ないと思いますので、この隣保館の問題につきましては、ぜひもう少しきちっとした指導をしていただかないと、せっかくの予算も生きてこない。こういうふうに考えますので、ぜひこれらの問題につきましても十分指導してもらうようにお願いをいたしたいと思います。  それから、厚生省関係予算にいたしましても、地域に行きますと、あるいはある市町村等に行きますと、この予算がかなり政治的に使われるところもあるわけなんです。政治的に使われて、せっかくの予算も生きてこない、こういうふうな声も同和地区に参りますと批判の声としてかなり起きておりますので、ぜひこういうような問題につきましても今後は間違いのないような方向で指導をし、せっかくこの予算を生かすような方向へぜひお願いをいたしたいと思います。  次に労働関係でございますが、先ほど申し上げましたように、まことにあれですが、予算の内容を簡単でけっこうですが御説明いただくと同時に、訓練所の一カ所新設、これも予算のうちに入っております。この内容も簡潔に説明していただきたいと思います。
  180. 保科真一

    ○保科説明員 同和対策関係予算につきましては、昭和四十三年度予算といたしまして二千百八十五万円を計上しております。その中身といたしましては、同和地区出身者の就職促進費でございますが、これは広域職業紹介あるいは中学校を卒業しまして就職を希望する者に対しましての職業指導とか、あるいは職場の実地見学、あるいは求人開拓に要するというような経費といたしまして、同和地区出身者就職促進費五百五十六万四千円を計上いたしております。それから同和地区職業安定協力員の経費といたしまして百二十万一千円、同和地区職業訓練所設置補助費といたしまして一千五百八万五千円、合計二千百八十五万円でございます。
  181. 後藤俊男

    後藤分科員 特に労働関係としましては、昨年の六月十九日でございますか通達が出ておる。その通達には、失対事業の求職受け付けについて、解放同盟と一緒に来たときには受け付けないようにという中身の通達が出ておるということを私仄聞いたしました。その後も、この問題につきまして八木先生あたりが中心になってかなり問題になったのじゃないかと私思いますけれども、現在この問題につきましては一体どういうことになっておるのだろうか。  さらに同和地区の失業者の認定の問題でございます。この失業者の認定の問題につきましては、いわば同和地区の人は失業者と認めるな、そういう極端な話ではなかろうと思いますけれども、そういうふうなことを思わせるような通達なり指導が行なわれておるのではないか、こういうふうに私思うわけでございますが、この二つの問題につきましてひとつ簡潔に御説明いただきたいと思います。
  182. 保科真一

    ○保科説明員 先生いまおっしゃいました昨年の通達でございますが、最近におきまして、中高年齢者の就職促進措置に伴いまして、求職者以外の第三者が職業相談に介入いたしましたり、安定所の正常な職業紹介業務の運営がそこなわれるというような事態が一部にございましたので、安定所の正常な職業紹介業務の確保ということを趣旨といたしまして、昨年通達を出したわけでございます。その内容といたしましては、求職者以外の第三者の方が同行されまして、その第三者の方が職業相談に介入し、あるいは職業相談を妨害し、職業紹介行為を妨害するというような場合がございまして、そういうことを求職者が容認しているような場合、これは安定所の指導といたしまして、後日求職者御自身お一人でおいで願うようにという趣旨の通達を出しました。なお、安定所の職業紹介業務を求職者自身が妨害したような場合には、中高年齢者の就職促進措置といたしまして、誠実かつ熱心な就職活動を行なう者という要件がございますので、そういう場合には、その要件に該当しないというような内容の趣旨の通達でございます。解放同盟の幹部の方が同行されたというそれだけの理由で求職を受理しないというようなことはございません。  それから、中高年齢者措置の失業認定でございますが、この失業認定の問題につきましては、誠実かつ熱心な就職意欲を有する失業者というような要件がございます。この同和地区出身者の方々につきましては、就職が困難な実情にかんがみまして年齢制限を特にはずしております。また、同和地区出身者の方々は、そういう事情でございますから、失業者であるかいなかの判断につきましては、個々の求職者の過去の就業形態とかあるいは現在の状況等を十分勘案いたしまして失業の認定をするようにいたしております。
  183. 後藤俊男

    後藤分科員 いま説明をいただきましたが、いま言いました二つの問題については今日間違いなくやられておる、こう確認いたしましていいわけですね。はいならはいでけっこうです。
  184. 保科真一

    ○保科説明員 ただいま申し上げましたように、第三者の方が求職者と一緒に来られまして、職業相談に介入するような場合には求職の受け付けをしない場合があるということを申し上げました。
  185. 後藤俊男

    後藤分科員 時間が時間でございますのでこれ以上申し上げるわけにまいらぬわけですが、ぜひひとつこの同和対策の問題につきましては、予算といたしましても総額六十一億くらいですが、この中の建設省予算が四十億です。残るところ二十何億。この建設省予算のほうは、いわばかなり政治的にも配慮して使われるような気がするわけなんです。純粋に同和対策予算として見込まれるのは二十億くらいじゃないか。これはまことに微々たるものであって、答申完全実施ということを考えた場合には、もうお話にならぬ予算ではないかと私考える次第でございます。さらにこの特別措置法の問題にいたしましても、これまた現在のところどういうふうになっておるのか、これは自治大臣のほうから、御存じならばあとから十分お答え願いたいと思うわけでございますし、さらに通産省、労働省、厚生省あるいは自治省、こういう関係各省が個々ばらばらの同和対策をやっておられるような気がするわけなのです。もう少し各省が十分なる連絡のもとにこの同和対策には真剣なる力を入れていただく。これは答申の中にもはっきり明記されておるところでございますので、今後ともこの問題につきましてはいままで以上に真剣に取り組んでいただく、さらに各省とも十分なる連絡のもとにやっていただくようにお願いをいたしたいと存じます。  最後に自治大臣のほうから特別措置法の問題、さらにいま申し上げました問題につきましてお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  186. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 同和対策についての特別措置は、御指摘のようにいま総理府が中心になって特別措置法をつくる準備はいたしております。その中に盛り込むことは自治省の財源措置ばかりではございませんので、いろいろな問題が入ってくるわけでございますが、これは同対審の答申にもはっきりあることでございまするので、自治省は自治省の立場としてできるだけ前向きの姿勢でこれに取り組みたい、かように考えております。
  187. 後藤俊男

    後藤分科員 じゃ終わります。
  188. 田中正巳

  189. 大野潔

    大野(潔)分科員 主査のほうから質問時間は二十五分以内ということでありますので、答弁のほうも簡単にお願いいたします。  大臣にお伺いしますが、行政機構簡素化法案、すなわち一省庁一局削減の法案が提出されましたが、どういう目的であるかお伺いしたい。
  190. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは総理が行政改革に踏み切るための一着手として非常に強い決意を持って発言をされて、それが実を結んだわけでございます。もちろん、一省庁一局削減したからといってそれで終わるものではなくて、これを一つの出発点として中央・地方を通じての行政改革をやれというきつい決意のあらわれであるというふうに考えております。
  191. 大野潔

    大野(潔)分科員 行政の簡素化並びに能率化ということですか。
  192. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もちろんそれを含んでおります。
  193. 大野潔

    大野(潔)分科員 自治省では選挙局を部に格下げして行政局に統合することになっている。これは自治大臣の判断でおきめになったのか、それともどこかの指示でおきめになったのか、御答弁願います。
  194. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 自治省は四局しかありませんので、一局削減と申しましてもなかなか応じかねるということで、いろいろ議論いたしました。しかし、どの省庁も全部やるんだから、一省に限って特別の扱いはできないという行政管理庁の御意向でもございますし、たいへん残念でございましたけれども、一局削減せざるを得なかった。それを選挙局を選びましたのは、ほかの局は、御案内のとおりに、行政局、財政局、税務局、いずれを廃止するというわけにもまいりませんので、やむを得ず選挙局を部といたしまして行政局に所属させることに踏み切ったわけでございます。しかし、そうしたからといって、何も大事な選挙事務というものをおろそかにするわけでは決してございませんので、従前に変わらない努力をしていく考えでおります。
  195. 大野潔

    大野(潔)分科員 選挙局長にお伺いしますが、選挙局の機構並びに業務、これについて簡単に説明してください。
  196. 降矢敏義

    ○降矢政府委員 選挙局は選挙課と管理課がございまして、二課でございます。選挙課のほうでは、公職選挙法の企画立案を中心に仕事をやっております。管理課のほうは選挙の管理執行並びに政治資金の管理執行と、それからもう一つ選挙の常時啓発というものを主体に仕事をやっております。
  197. 大野潔

    大野(潔)分科員 要するに、国民基本権利である選挙に関する事務並びに今日注目の的となっている政治資金規正法に関する事務、これを選挙局では扱っている、こういうことですね。
  198. 降矢敏義

    ○降矢政府委員 さようでございます。
  199. 大野潔

    大野(潔)分科員 自治大臣に伺いますが、その選挙局を削減の対象にした理由、もう一度明確に伺いたい。
  200. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しましたように、自治省は四局しかありませんので、仕事の内容、また各局のバランスなどを勘案いたしまして、やむを得ず選挙局を部にせざるを得なかった、こういうことでございます。
  201. 大野潔

    大野(潔)分科員 去る十二日の本会議で、行政管理庁長官は、行政改革は形式的なものではなく、あくまでも民主化の方向でなければならない、こう答弁しているのです。自治大臣選挙局を削減したことは、これは民主化の方向である、このように御判断されてなさったですか。
  202. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども申しましたように、選挙局を部にしたからといって、それで事務が停滞するわけでもございませんので、事務そのものはいままで同様あるいはそれ以上に進めていく、かような考え方でございます。
  203. 大野潔

    大野(潔)分科員 具体的に伺いますが、公職選挙法第六条には、「自治大臣、」以下選管が入るわけでありますが、自治大臣は、「選挙が公明且つ適正に行なわれるように、常にあらゆる機会を通じて選挙人の政治常識向上に努めるとともに、特に選挙に際しては投票の方法、選挙違反その他選挙に関し必要と認める事項を選挙人に周知させなければならない。」、こうあります。大臣は、この職務が満足すべき状態にある、このように御判断なさっているかどうか、御答弁願います。
  204. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 選挙に関する常時啓発は、私どもの重大な責務の一つでございまして、これに対しましては十分意を払ってやっておるつもりでございます。
  205. 大野潔

    大野(潔)分科員 憲法十五条の選挙並びに投票の保障、これは投票の自由と選挙運動の自由、これを保障したものであることは、これは論ずるまでもないと思うのです。ところが現実はどうか。出たい人より出したい人の原則、これは選挙の原則でありますが、実際には応援したいと思っても、うっかり選挙の話をすれば選挙違反になるんじゃないか、このようにほとんどの人がおそろしい思いをしている、これが現実です。またその反面、地方選挙になりますと、その選挙事務所へ当番制でもって部落の人たちがかり出されている。またさらには、公然と選挙事務所で酒が出されている、これも現実の問題です。また、最近においては、山梨県の勝山村選挙、これには何と不在者投票が全投票の七0%という不正のにおいがぶんぶんする選挙が行なわれておる。これは自治省が選挙に対する日ごろの啓発ができていない証拠であると私は思うのです。この点に対して大臣はどうお考えか。
  206. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 結果的には、選挙に関して不正が行なわれるということは、選挙民個々の自覚にまってこういうことを解決していかなければ、なかなか啓発指導と申しましても簡単なことではございませんので、われわれといたしましてはできる限りの努力をいたしまして、選挙というものについての普及、教育徹底をはかっておるつもりでございまするけれども、まだ完全な効果が出ていないことは残念としておる次第でございます。
  207. 大野潔

    大野(潔)分科員 あなたはいま残念と言われたけれども、残念と苦いながら、局を部にするのはどういうわけなんですか。そこがどうしても私は納得がいかないのです。
  208. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども申しましたように、局を部にしたからそれで仕事の能率が低下するというわけのものではないと思うのです。選挙省をつくってみたところで、やっぱり不正が起こるときは起こるわけでございますので、そういうことでなくして、とにかく常時啓発指導というものを徹底的にやっていく努力の積み重ねの上に成果があるものと考えております。
  209. 大野潔

    大野(潔)分科員 それでは角度を変えまして、選挙局の業務の一つである政治資金について伺いますが、政治資金規正法の第二十四条に、政治資金に関して虚偽の報告を提出した場合、五千円から五万円の罰金を科する、こうございます。この虚偽の報告ということはどういうことか。これは法務省の方おられましたら……。
  210. 吉田淳一

    吉田説明員 典型的な場合としましては、報告書を出して、その報告書の中に、実際には寄付を受けたり収入があったりあるいは支出をしたりしているのに、それについて一部記載をしなかった。それから、かりに記載をいたしましても過小な金額を記載する。そういう場合が典型的な事例であろうと思います。
  211. 大野潔

    大野(潔)分科員 政治資金にその政党が寄付を受けながら、それが届け出をしていなかった場合、これはやはりこれに当たりますか。
  212. 吉田淳一

    吉田説明員 当たります。
  213. 大野潔

    大野(潔)分科員 それでは規正法の規定に従いまして、届け出をされましたその内容、これについて法務省では調査をされて、そしてそれぞれこの二十四条によってその処置をなさっていらっしゃるわけですか。
  214. 吉田淳一

    吉田説明員 個々の事件につきましては、検察当局なり警察当局がいろいろ事件を調べるわけでございます。法務省といたしましては、法務省としてそういうものを調査するという、個々の報告書についてお尋ねのような点については調査いたしておりません。
  215. 大野潔

    大野(潔)分科員 それでは国家公安委員長に伺いますが、警察では、いま申し上げた点、調査をなさるのですか。
  216. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政治結社、政治団体というものは、これは実に無数とは申しませんけれども、たいへんな数でございまして、それは東京都だけでなくて、全国その他それぞれの選管で受け付けておるわけでございます。政治資金の寄付がありました場合には届け出の義務が課せられておりますが、これは一応選管で届け出を受理いたしますが、そのときになって全部数字を一々当たるわけではございませんで、一応受け取ったものでその場で気のついたことは訂正その他要求いたしますけれども、大体においてそのままこれは官報に掲示をするわけでございます。やはり数字のことでございますから、調べれば誤記もありましょうし記載漏れもありましょうし、いろいろなことがある。ここに落ちておったから必ずそれが不正であるというふうにきめつけるわけにいきません。しかし事実が明らかになれば、それは今度は司法当局の問題でありますので、厳正に法の適用があると考えております。
  217. 大野潔

    大野(潔)分科員 ですから、そういう調査をどこでやられるかということなんです。警察でなさるかどうか簡単にお伺いいたします。
  218. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 警察ではいたしません。これはもうばく大な数字でございますから、なかなかそういったことにかかり合っておるわけにもまいりませんし、第一全部官報に出るわけでございますから、全国の国民の熱心な人はやってみたらすぐわかることと考えます。
  219. 大野潔

    大野(潔)分科員 これはちょっと重大なことだと思うのですが、官報に出て、二十四条に基づいて干渉するのは国民がやるのであって、法務省でも警察でもない、こういうわけですか。
  220. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  221. 大野潔

    大野(潔)分科員 それでは自治大臣に伺いますが、自治省はその点についてどのようになさるのですか。
  222. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 届け出ました場合には、それを受け付けをいたしまして、そしてそれを官報に掲載いたします。
  223. 大野潔

    大野(潔)分科員 それでは自治省としてはそれ以上何もやらない、あと国民の判断にまかせる、こういうことですか。
  224. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございますが、気がつきました間違いは指摘をいたしまして、それぞれ訂正していただくことは当然でございます。
  225. 大野潔

    大野(潔)分科員 そうしますと、さっきの二十四条ですか、これはほとんど空文じゃないですか。こういう点があるからいいかげんな政治資金の扱いはできない、その規正のために罰則があるので。しかし、それはどこでも扱わない。警察でも法務省でも扱わない。自治省はただ受け付けて官報に載せるだけ。あと国民の判断にまかせる。まるっきりこれは法律の空文化だと思う。その点あなたはどうお考えになりますか。
  226. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政治資金を公開することが大事なことである。公開というのはガラス張りの中で行なわれるということでございます。それを一々どこの会社からもらったのは事実か、金額は違わないかということを点検することはまず不可能に近いと考えております。
  227. 大野潔

    大野(潔)分科員 政治資金規正法の第一条目的には、「この法律は政党、協会その他の団体等の政治活動の公明を図り、選挙の公正を確保し、以て民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」こうあります。その上に二十四条は定まっているわけですね。しかもまた国民は、この法律のもとに国民にかわってその業務を行なうという立場から高い税金を払ってそこに公務員を置いている。ところが自治省では、そういう点はあくまでも公開して国民の判断に待てばいいんだ、こういうことでその業務をやろうとなさらない。まことに私はおかしいと思うのですが、どうですか、大臣
  228. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 事実として東京、大阪全国にまたがっております。こういう届け出の内容を一々洗うということは実際問題としてできませんということを申し上げているわけであります。
  229. 大野潔

    大野(潔)分科員 それは要するにいまの機構ではできないということですか。いま全部で三十一名の選挙局の職員がおられますが、その三十一名の機構ではできないからやれないというのかどうか。
  230. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それだけでなくて、要するに政治資金規正法の一番大骨の一つは、政治に関する資金の受け払いを明確にしてそれを国民の前にさらけ出すということ、これが筋でございまして、一々の金額についてそれぞれ違法性があるかどうか確かめるなどということはとうてい不可能であるということを申し上げた次第でございます。
  231. 大野潔

    大野(潔)分科員 特別国会で政府のほうから政治資金規正法の改正案が出ましたけれども、与党である自民党が賛成できなかった。わが公明党は、清水の舞台から飛びおりるような気持ちでもって、一歩前進としてこれに賛成したのですが、その与党の議員の反対の理由は、政治資金に罰則のあるのはおかしい、こういって反対された。あなたの答弁をいま聞きますと、まことにおかしな感じがするのですが、その点についてお考えを聞きたい。
  232. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 当時の速記録にもございますとおりに、何も政治資金を規正する意味において罰則をつけることに反対と言った者はないはずです。ただ同じ罰則でも、善意の何も知らないで行なった寄付者にまで及ばせるのは酷じゃないかという議論も確かにございました。そのことであろうと思います。
  233. 大野潔

    大野(潔)分科員 私はあくまでも、そのように答申を見てもきびしくなっているわけでありますから、これは自治省において、たとい膨大でございましょうとも、往々にして黒い霧の発生源となるこの政治資金の問題です。あくまでも自治省としてはきびしく対して、そうして法制化をはかるべきだ、こう思うけれども、自治大臣はそういう気はありませんか。
  234. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私はたいへんきびしい考え方を持っております。
  235. 大野潔

    大野(潔)分科員 具体的に、じゃ自治大臣としてどういうふうにやっていきたいか、その方向を明らかにしていただきたい。
  236. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私案はいろいろ持っておりますけれども、しかし、御案内のとおりに政党内閣でございますから、やはり与党との間にまず調整をするということが法案を成立させる第一の最大の関門でございますので、ただいまその調整中でございます。したがって、ここで一々私見を申し述べることは差し控えたいと思います。
  237. 大野潔

    大野(潔)分科員 その法案の成立ではなくて、要するに現在でも政治資金規正法がある。ところが、自治省ではその規正法の法律に定められたことも実行しないで空文化している。そういう状態をあなたはそれでよろしいと思っているかどうか、大臣としての構想を伺いたい。
  238. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 なるべく答申に即応したような成文を得たいと考えております。
  239. 大野潔

    大野(潔)分科員 どうも答弁が合わないのですが、答申の分は別にしまして、現在の規正法においても二十四条の罰則があるわけです。それで今度の答申においてはさらに、政治資金規正法は黒い霧の発生源である、へたすればですね。ですからこれをきびしく取り締まらねばならない、こういう立場からきびしいものが出ております。現在まだ新しい法案、改正案が出ておりませんけれども、いまの法律において、将来のことを見越して、このままじゃいけない、自治省としてはこのように業務においてもきびしくすべきだ、こういう構想はお持ちじゃないのか。
  240. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 新しく提示いたします成文は、非常に現状より前進したものであるとはっきり申せると思います。
  241. 大野潔

    大野(潔)分科員 どうもさっきから話が合ってないので困りました。要するに、いまある政治資金規正法の二十四条は、法律にはあるけれども、警察でもその内容を取り締まらないし、調査もしない。法務省でも調査しないとなれば、これは自治省でやる以外にないじゃないですか。しかも、自治省の選挙局でやる以外にないと思います。そういうときにあたって、あなたは選挙局を格下げして部にしようという。格下げして部にしておいて、それで内容を充実させるのだという話は矛盾すると思います。これから部を局にするならむずかしい問題かもしれませんが、現在あるべき局を部にして、そしていままで以上に内容を充実させるのだという話はまことにおかしいと思います。矛盾を感じませんか。
  242. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しましたように、局を省にしても部にしても同じことであると思います。仕事が従前にも増して厳密に行なわれれば目的は達せられる、かように考えております。
  243. 大野潔

    大野(潔)分科員 そうしますと、将来は選挙局を人員的にさらに縮小するお考えを持っていらっしゃるんでしょうか。
  244. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 持っておりません。
  245. 大野潔

    大野(潔)分科員 それでは、将来新しい政治資金規正法改正案が通った場合に、この選挙局は大きくなるとお思いか。要するに、仕事がふえて人員もふえて大きくなるとお考えか、それとも小さくなるとお考えか、どちらですか。
  246. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大体現状でやれると判断いたしております。
  247. 大野潔

    大野(潔)分科員 答申どおりの政治資金規正法改正案が出たとしても、現状で十分だというお考えですか。
  248. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 選挙局が部になったために、非常に格下げになって選挙に関する業務が滞るんじゃないかという御心配のようですけれども、選挙局がいまかかえております問題の最大のものは制度の問題です。だから、制度を検討し、そうしてまた法律の成文を得る努力の過程においては、人数の多寡というよりは、やはり局を構成する者の質にあると私は考えておるわけでございまして、ただいま選挙局には局長以下優秀な人材がそろっておりまするので、これ以上たくさん人を求める必要はないと考えます。さらに、いまの政治資金規正法の届け出の金を一々洗えということになれば、これは銀行はおろか、もっとたいへんな業務になりますから、これをやれば際限のないことになりますので、それはひとつ区別して考えていただきたいと思います。
  249. 大野潔

    大野(潔)分科員 残念ながら時間もありませんので終わりますけれども、選挙局を部に格下げしたのは、結論的にはただ局長のいすを一つ減らしただけでしかないと思います。大臣、あなた自身はそう思いませんか。要するに、今度の選挙局削減というのは局長一名を減らしただけの形式的なものだ、こう断定するほかないと思いますが、あなたはどうお考えですか。
  250. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ですから最初、これは総理の行政改革の第一歩という意味で私たちは受け取っておるのでございまして、人員の問題につきましては、これを合理化、近代化するということを中心といたしまして、明年度は自治省全般で一%減らしたいという考え方を持っております。
  251. 大野潔

    大野(潔)分科員 いずれにしても、先ほど言いましたように、その選挙局でやられている業務というのは、国民の権利に重大な関係のある選挙の問題、また、最近のLPGをはじめとして問題となった政治資金の問題を取り扱っておるのですから、大臣はその点をよく考えて、いまからでも、その選挙局を部にしたことがよかったかどうか、もう一ぺん考えて自主的な業務をやってもらいたいと思います。  以上をもって終わります。
  252. 田中正巳

    田中主査 只松祐治君。
  253. 只松祐治

    ○只松分科員 まず最初に青色申告の問題についてお尋ねをいたします。  本年から事業所得の人々の中で青色申告をしている人は、国税においては完全給与制が実施されることになっており、地方税においても、業者からも私たち社会党も、同じように完全実施してもらいたい、あるいはすべきだ、こういう意見が強いわけであります。それに基づいて自治省でも、ことしはかってない大幅五万円の控除引き上げがあった。この御努力は多といたします。しかし、国税において完全給与制に踏み切ったわけでございますから、昨年度松高さんに、国税に準じてそういう努力をいたしますというお答えをいただいたわけでございますが、その後、国税が本年いよいよ完全実施ということになったので、自治省のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  254. 松島五郎

    ○松島政府委員 青色申告の事業専従者控除の問題につきましては、先生からもしばしば御指摘を受けてきた問題でございまして、第一番目には、所得税との間に大きな開きがある、これは不合理ではないかという問題がございました。ところが、本年分の所得からは、所得税につきましては完全給与制を採用することになりましたので、これをさらに地方税としてはどうしていくかという二つの問題があったわけでございます。完全給与制の問題を地方税でどうしていくかという問題でございますが、完全給与制を実施いたしました場合に、給与額がどの程度になるかという問題につきましては、何ぶんにも所得税において本年度初めて実施する制度でもございますので、その状況がただいまのところわかりかねているわけでございまして、このいかんによっては地方税収入にも相当大きな影響を及ぼす問題とも考えなければなりませんので、いま直ちに地方税において完全給与制をどうするという結論を出すことは困難でございます。また、地方税におきましては、御承知のとおり、事業税における事業主控除という制度がありますが、この完全給与制をとりました場合に、専従者控除とその事業主控除との関係をどう考えるかという税法上の問題もございます。そういった問題もございますので、私どもといたしましては、なお一年間研究をしてまいりたい。しかしながら、前段に申し上げましたように、所得税との間に非常に大きな差が従来あったものを、この際はできるだけ縮めておきたいということで、青色専従者控除を御指摘のございましたように五万円引き上げることにいたしたわけでございます。そこで、地方税としては、所得税がことしから実施をいたしましても、御承知のとおり地方税は前年所得課税をとっておりますので、明年度以降の問題にもなりますので、ここ一年研究をいたしまして、明年度は結論を求めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  255. 只松祐治

    ○只松分科員 それでは、原則としては、去年も国税に準ずるというお話がございましたが、自治省としてはやはり国税に準ずる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか、これは大臣からお答え願いたい。
  256. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大体国税と地方税とはずいぶん性格が違っておるわけでございまして、今度国のほうで完全給与制をとることになりましたが、しかし、地方は地方で、やはり地方の財政全般のことを考えていかなければなりませんので、右から左に国にならうというのもなかなかむずかしい点もある。このことは地方行財政にお詳しい方は党派を越えて御了承をいただいておるところでございますが、やはりわれわれとしては、住民負担が少しでも軽くならなければ責任が果たせませんので、前向きでこういった問題とは取り組んでまいっております。
  257. 只松祐治

    ○只松分科員 いや、理屈はいいが、原則として国税に準ずる——もう去年もお話しになっておるわけですから、あと二、三問題を聞きますが、理屈はわかっているわけですから結論だけお答えを  いただきたい。
  258. 松島五郎

    ○松島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、検討しなければならない問題がいろいろとございますので、それらの問題を検討しながら、ただいま大臣がお答え申し上げましたように、前向きでこの問題に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  259. 只松祐治

    ○只松分科員 だから、前向きということは、原則はそういうようにお考えになりますかと、こういうことですよ。原則がわからないで前向きがあるものか。あなたたちは前向きと思ったって、うしろ向きや横向きになるわけです。
  260. 松島五郎

    ○松島政府委員 ただいま申し上げましたように、いろいろな問題を検討中でございますので、いまこの段階で来年は必ずやるというふうにお答えをすることは困難でございますが、先ほど申し上げましたようなことで御了承いただきたいと思います。
  261. 只松祐治

    ○只松分科員 来年やるかやらないか、この次に聞くわけで、それは別の問題ですよ。原則として地方税も完全給与制をとる、これは当然だと思うのですよ。だからそのことはお認めになりますかと聞いている。それだけのことです。
  262. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 前向きと申しますのは、こういう税を扱いますのは、国税も地方税もいろんな複雑な組み合わせがありまして、そういうことでありますために、諮問機関として税制調査会とかいろんなものを持っておるわけでございます。そういうところでもちろんいまいろいろ議論をしていただいておるわけでございます。やはりそういう運びをにらみ合わせながら前向きで解決したいということを言っておるわけでございます。いま自治省が決意したからどうこうということでは、なかなかそういうふうに運びませんので、その点はひとつ御了承をお願いいたします。
  263. 只松祐治

    ○只松分科員 どうも歯切れが悪いというか、わからないんですが、原則としてと私が言っているのは、それは純理論上、あるいは実際上いろんな意味もありますよ、考え方は。しかし、国税が国において完全給与制を実施するわけですから、これは憲法論議が出てくるけれども、私は論議しようとは思わない、あと二、三、聞きますから。同じ百万円もうけた。その金を国は税法上給与所得とみなす。片一方地方は、いや、それは事業所得とみなす。これはたいへんな問題になってくるわけですよ。ですから憲法違反の問題を提起すると言っていたわけですけれども、しかし、去年松島さんが国税に準じて行なうという答弁があったからそれもおさまり、今日にきているわけです。だから、あなたたちが言っているようなことになったら、また一騒ぎになるんですよ、言っておきますけれども。だから原則として認める、来年やるかやらないかはぼくはまだ言ってないんです。原則として国税と同じく給与所得なら給与所得としてみなす、こういうことならば……。税法のたてまえがいろいろ出てくる、それはもちろん税調に諮問したり、 いろんなことがありますよ。しかし、そういう原案をつくるのは自治省であり、大蔵省であるわけですから、この基本的な考え方だけをひとつここで聞いておきたい。
  264. 松島五郎

    ○松島政府委員 将来の方向としては、先生の御指摘のような方向で考えていかなければならぬものだというふうに考えております。
  265. 只松祐治

    ○只松分科員 それでわかりましたが、結局そういうことになれば、当然にできるだけ国税に準じて、こういうことになる。それはさっきから言われているように、皆さん方の地方財政なり何なりと勘案してということになってくる。だから、私はこの場で、すみやかに国税に準じて行なうようにお願いだけしておきたいと思います。  それから、これに関連いたしまして、退職金制度の問題あるいは労災保険の問題、健康保険の問題、厚生年金の問題、失業保険の問題等々、いわゆる零細企業が完全給与制を実施されないために、法人成りを八百屋も魚屋もくつ屋も洋服屋もみなしていたわけですね。法人成りをいたしますと、当然にいま申し上げたようなものは適用される。ところが、法人成りをしないとなかなか適用が困難な面がある。理論上はできるし、あるいは中央官庁としてはそれをお認めになるけれども、末端にいけばなかなかお認めにならない。健康保険やなんかでもそうなんですが、そういう事態が起きてきておるし、今後はさらに法人成りをしないから起きるわけです。  厚生省関係等はこの前お聞きいたしましたが、そこで労働関係の、主として中小企業退職金共済組合に加入する問題、あるいは失業保険の問題、こういう問題も、今後の問題がいろいろありますから、なかなかここで全部明快に即答できない面もあるかと思いますが、今後のそういう問題も展望して、ひとついままでの法人成りと同じような形で扱っていただきたいということを私は希望するわけでございますが、労働関係者のお答えをいただいておきたいと思う。
  266. 根岸博

    ○根岸説明員 中小企業退職金共済制度につきましては、現在その面におきまして御趣旨に沿うように検討しておりまして、早急に結論を出したいと考えております。
  267. 増田一郎

    ○増田説明員 失業保険関係におきましては、御承知のように失業保険は雇用労働者を対象にしておるわけでございますが、家族従業員の中に、雇用関係なりあるいは賃金支払い関係がはっきりしていない、そういう面もございますけれども、その面がはっきりするものにつきましては、今後も適用を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  268. 桑原敬一

    ○桑原説明員 労災保険につきましては、昭和四十年の法改正によりまして、家族従業者につきましても、労災保険事務組合あるいは業者団体を通じまして特別に加入の道を開いております。この面で処理したいと思います。
  269. 只松祐治

    ○只松分科員 前向きの体制で検討していただくわけで、たいへんけっこうだと思います。ただ、雇用契約というのは労働法上いろいろな面がありますが、現在の日本の行政官庁で一番シビアーと申しますか、きびしいのは税法です。その税法上、今度の完全給与制を実施する場合に、税務署に対して給与規程の届け出をするわけです。そしてどういう賃金を支払っているか。また、これも全額認めるか認めないか、いまからの地方税において、松島さんがいま答えられたように、なかなかいろいろな問題が出てまいります。とにかく、税務署に届け出る給与規程というのがあります。これは、ある面から見るならば、雇用契約以上にきついものが要求されてくるわけです。したがって、労働法上の雇用契約、労働の問題、こういう面だけではなくて、そういう税法上から出てくる問題ですから、ひとつそういう点にウエートを置いて御検討をお願いしたい、こういうことを要望いたします。  次に、自治省のほうにお尋ねをいたしますが、私の出ておる埼玉県あるいは千葉県、神奈川県、こういういわゆる首都圏、あるいは関西あたりでもそうでしょうが、大都市における人口集中、これが限界に達して、大都市周辺にどんどん人口がはみ出してきております。御承知のとおりだと思います。そういう結果いろいろな問題が出てきておりますが、たとえば教育予算の問題にいたしましても、埼玉県下において市町村予算の三0%以上を占めておるのはたくさんございます。昨年のことを言いますと、たとえば私が一、二例をとってみると、春日部市、朝霞市、福岡町、所沢市——草加は二九・八%、ほぼ三0%で、こういうふうに三0%をこしている。あるいは福岡町のごときは、本年に入って五九・四%、上尾市では三九・一%、こうやって市の四割あるいは六割近い予算というのが教育だけに食われてしまう、あとはほとんど仕事ができない、こういう事態というものが出てきております。これは急速に団地やなんかできてまいって、お入りになるときは夫婦だけとかあるいは子供一人ぐらいだったわけですが、子供ができてくる、あるいは子供が大きくなるということで、いま急速に小学校、これがやがて中学校、こういうことになるわけですが、これは何をおいてもとにかく入学期が来れば入れなければならない。これをよそに追い出すわけにいかないわけです。必要に迫られてこういう結果になる。ところが、一般的な教育予算もさることながら、学校を建てる、敷地を購入する、こういうことになりましても、なかなか起債も十分に自治省のほうとしては認めない。こういうことで関係市町村は非常に苦労いたしております。このほかに道路の問題だとか、下水の問題だとか、いろいろな問題が山積しておるわけですけれども、町間もありませんし、きょうはそこまで論議しようとは思わないのですが、少なくとも喫緊を要する文教関係の面ぐらいは、ひとつ自治省としても努力する、関係の文部省においてもその解決のために努力をする。三日前の佐藤総理に対する私の質問でも、そういうことをお尋ねして、善処いたします、こういうお答えをいただいたわけですが、当該官庁としての自治省並びに文部省としても具体的に——この前長谷川議員が質問して二分の一ぐらいのものは何とかめんどう見たいというようなお答えもあったやに聞いておりますけれども、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  270. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何ぶん最近人口の移動が激しいために、そういう御指摘のような公共施設というのに非常に困難を感じている公共団体があるのは事案でございます。自治省といたしましても、やはり特に学校、それから道路、医療施設などには重点を置きまして、交付税の配分にいたしましても、また起債の割り当てにいたしましても、重点的に取り上げているつもりでございます。
  271. 宮地貫一

    ○宮地説明員 ただいま御指摘のいわゆる人口急増地域の学校施設の整備につきましては、私ども公共文教施設整備費の配分につきましても、特に重点として採択をするという考え方で執行いたしておるわけでございます。  お話の学校敷地につきましては、現在起債をもって措置をされておるわけでございますが、その政府資金ワクの拡大等についても、関係省にお願いをいたしておるところでございます。  それら全体を含めまして、関係省庁とも十分御相談いたしまして御検討いたしたい、かように考えております。
  272. 只松祐治

    ○只松分科員 検討や重点施策にする、こういう抽象的な話ではなくて、具体的に敷地の二分の一なら二分の一は国で出す、あるいはそういう新規に購入する起債は無条件といってはなんですけれども、最優先的に認める、こういう方針ぐらいはお出しにならないと、もうどうしようもなくなってきているというのが現状なわけですね。とにかく一町の予算の五九・四%、約六0%近くも文教予算だけに食われるということは、裏を返せば、ほかの一般のものがほとんど犠牲になっている、こういうことになるわけです。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕  もう少しこういうものには特例を講ずるというくらいのお考えをいただきたいと思いますが、どうですか。ひとつ具体的なお答えをいただいておきたいと思います。
  273. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しましたように、特別に重点的に取り上げてやっておるつもりでございます。今後なお一そう前向きで進めていかなければならぬと考えております。
  274. 只松祐治

    ○只松分科員 次に、定年制の問題についてお伺いをいたします。  私は、定年制の問題は毎年論議をしてまいりました。自治省としては直接当該の官庁ではありません。労働関係であります。これも佐藤総理にも質問をして、心から敬意を表しますというような御答弁までいただいた。佐藤さんの社会開発の一つの側面として、いわゆる若年定年制というのが日本ではあるわけでございます。あるいは社会保障の面から、いろいろな面から見まして、この定年制という問題は日本ではたいへん重要な問題であります。昔うば捨て山という話があって、年寄りになると山の中へ、おんぶして捨てに行ったという話があります。しかし、五十五歳の定年制というのは、大臣であれ、あるいは皆さん方各局長諸君であれ、五十五歳になって行く先がないということは、どの程度不安を感じるか、その人たちの身になってみなければわからないくらいです。いろいろな公社公団の増設、あるいはいま出ておる腐敗汚職の問題あるいは防衛庁の天下りの問題、こういうのも、私たち社会党から見れば、資本主義の腐敗もさることながら、五十五歳でやめていかなければならない、のぼり詰めたところで局長やなにかである。ところが五十五では、自分も働き盛りだし、子供もまだ食い盛り、学校の盛り、それで大会社や何かに行く、これは人間としてたいへんあわれなことだ。そういうことが現在の社会悪をもたらしておる最大のものだと私は思う。この定年制を五十五歳にしておいて、公団をつくるなとか、いろいろな行政整理をしようとか、あるいは防衛庁あたりにそういうことをするなと言っても、それは五十五になって首を切られていくわけにいきませんから、五十二なり五十三なり、あるいは四十代に行ってしまう。そのときには手みやげの一つも持っていく、これは人情のしからしめるところだろうと私は思う。何もなくして行ったって、向こうは別に何もないものを——防衛庁がそれほど頭がいいわけじゃないし、商法を知っているわけじゃない。そんな者に高い月給を出して各商社が雇う理由はない。雇うのは、そういう代替条件を要求するから雇う。それはなぜか、五十五歳に首になるからです。六十歳まで首にならなければ、まあ大体肉体的にも自分の限界にきておる。あるいは子供も大きくなる、あるいはきわめて安いものだけれども社会保障も適用される。ところが五十五歳では、社会保障一つ見ても、このインフレーションの進んでいる中の社会保障は、これが徒歩連絡といわれておりますように支給にならない、こういうことでいろいろな社会問題が今日起こってきておる。佐藤さんの言う社会開発という側面から見ても、この問題は考えなければならない問題であるし、そういう佐藤さんや何かということは抜きにしまして、私たちは、いまの日本の社会においてある意味において最大に重要視しなければならない問題だ、こういうふうに思うわけです。大臣のお考えをおっしゃっていただきたい。
  275. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 税法でも、標準的な家庭を示します場合に、夫婦子三人ということをたびたび使うわけです。大体六十になれば三十歳前後の子共が三人あるということを一応考えてみた場合には、やはり若い人たちが職を求めて収入の道を得るということも考えていかなければならぬわけですから、今日の日本の平均寿命が延びたとは言い条、やはり適切なときにおやじのほうも身を引くということも一応考えてみていいのじゃないかということもありますし、また、職場の中が年寄りばかりでも困る、また若い者ばかりでも困る、やはり相当老境に達するところから若いところまで、いい姿で並んでおるということが、たとえば地方公共団体にしてみれば、住民のサービスの面、またその職場を活気づける面、いろいろな点で窓口サービスも含めていい面もあるわけでございます。いままで民間では一応五十五歳という線がしかれてありますが、五十五歳ということが適切であるかどうかということは、いまの平均寿命が延びたということから考えまして私は問題があると思います。しかし、やはり民間でも再雇用の道を開くということもいま考えておりますし、人それぞれ年が寄っても若々しい人もあるし、また年が若くても老人くさい者もありますし、それはいろいろあるわけですから、そういった人はそれぞれその職場で適時適切に考えて、そして働く人には働いてもらうという姿で、近代的と申しますか、いい人事管理を考えていくのが一番いいのじゃないか、かように考えております。
  276. 只松祐治

    ○只松分科員 時間がありませんから、私は前提になる幾つかの問題を抜けてお話ししておきます。  五十五のいまの政府の勧奨退職、民間の労働協約に基づく——大体五十六、七、八というところに多少なってきておりますが、鐘紡のように終身定年雇用制をやっておるところもあります。しかし、いわゆる五十五歳の勧奨退職にしろ何にしろ、定年制というのは日本の平均余命が四十歳から四十五歳のときにやってきている。いまは男で六八・三五、これは昭和四十一年ですからすでにもう六十九歳近くです。女子で七三・六一ですからもう七十四歳くらいになっている。こういうふうに平均余命が非常に延びてきておるわけです。じゃ、世界でどのくらい平均余命があるかというと、日本は、AグループBグループと分けて、Aグループ、最高グループの中に入っている。世界の平均余命、それに対応する定年制、社会保障制度はどうか、あなたたちは御存じだと思いますけれども、世界で定年制が施行されて六十歳以下というのはまずないですね、大体六十です。アメリカでは七十五歳というのさえあるわけです。そういうときに、日本は世界で成長率は第一だ、あるいは総生産高が世界で二番目だ、三番目だ、こうやって自民党の方おっしゃるけれども、働く者に対しては五十五でやめていけ、俗なことばでいえば、政治家は五十代は働き盛りだというけれども、労働者は五十五でやめていけ、くたびれて年寄りで。これは政治家のえてかってだ。そういうところに日本のいろいろな矛盾というものがあると思うのです。  時間がありませんから、私はそういうことは論争しようと思わない。論争もできませんけれども、自治省で今回五十七、八歳を一応の目標として定年制、それは各市町村にまかせる、しかし、あえて自治省に聞かれれば五十七、八歳という線を出しながら定年制をしけということは、そういう世界よりも立ちおくれた状態における——私は七十、八十でも無制限にしろ、こういうことは言いません。いまいろいろな陳情や何か来ているのは、六十五だ七十だ八十だということを言ってきているのもありますけれども、こういう特異現象をとらえてするのじゃなくて、やはり日本全体の社会構造、労働需給関係、いろいろなものを見て、やはり六十歳なら六十歳、いまからこういう定年制というのを打ち出すならば、六十ぐらいが世界的な趨勢から見ても、日本の平均余命から見ても妥当じゃないかというような、最低六十ならばまあまあ世界的にわからぬでもない。民間でも進んだ会社はそういうことを言っているわけです。それを強制するのでないというなら、まあまあ私はわからぬ話でもないと思いますけれども、いま六十歳以上の雇用者がたくさんある。そういう中で五十七、八歳——おそらくあなたたちは五十七、八歳で、また二、三年再雇用すれば六十歳になるじゃないかというような腹でそういうことをおっしゃっているような気がしてならないわけです。しかし、制度としてしくならば、いまありませんから勧奨退職ですが、制度としてしくならば、私は六十なら六十という線をしくべきだと思うのです。時間がありませんから私はここで論争しませんけれども、日本の今の平均余命は——私、ここに世界のそういう労働情勢なり定年制の適用状況というものがありますけれども、世界各国の日本と肩を並べておる資本主義国家の公務員や何かのあれをとればすぐわかるのです。日本でも裁判官とか大学教授とか、一部には六十くらいの人がありますけれども、一般労働者においてもひとつそういうふうにお考えをいただきたい。特に自治大臣として、あなたも長く政治家をおやりになっているかどうか知りませんが、この間の永山さんのときも、私は中央大学の先輩だったから、先輩、あなたのときに五十幾つかで定年をしいて、そういう千載に汚名を残すようなことは永山さんあなたやりなさんなといって話をしましたけれども、あなたもひとつ、あなたの大臣のときにそういう千載に汚名を残すような、あまり芳しい法律でないのを強行しないようにお願いして私の質問を終わります。ひとつ大臣の御所見を承っておきたい。
  277. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは見解の相違だと思うわけです。私も世界のおもな国の定年制の状態というのはもちろん調べておるわけでございますが、さっき社会構造というお話がありましたが、日本にはまた日本の事情もあるわけでございます。しかし、何よりも考えなければならぬことは、やはり公務員というものは、地域住民であり、また国の主権者である国民の使用人ということでございまするので、ただ、その使用人が年が七十になっても八十になってもすわっておれば公務員でおられるのだということを希望しない場合においては、やはりこの定年制をしくという道だけは一応開いておく。ただ、いま何歳までということを一々お示しになりましたけれども、法のたてまえとしてはそういうことはいたしません。ですから、これをやりました暁に、一体どのくらい条例で定年制を定めるだろうかということについて危惧の念を持っておるくらいでありまして、おそらく都道府県などはなかなかやらないところがあるでしょうし、市町村でも、進んでやるところもあると思いますが、しかし全部やるはずはないのであります。やはり、そういうことは決して違法ではないという道だけを開いておくわけでございますので、この点はひとつ誤解のないようにお願いをいたしておきます。
  278. 只松祐治

    ○只松分科員 時間がないからやめますけれども、違法でない、大臣なり何なりそのわかっているところはいいわけだけれども、日の丸村長さんや何やら、いろいろな人がおる地方自治体に一方的にまかせるというのが、これがまたたいへん危険な問題を生じるわけです。むしろ自治省がぴしっと六十なら六十と一線をしくならいいのですが、そうでなくてまかせるというんですね。日本の民衆の観念が定着しておれば、それは御所見のようなことも一つの方法だと思いますが、そういうのがないときに、また定着しておらないときに、私たちは危惧を持つわけです。時間がございませんからこれでやめますけれども、ひとつ十分慎重に御考慮をお願いをしたいと思います。
  279. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 柴田健治君。
  280. 柴田健治

    柴田分科員 自治大臣並びに消防庁長官建設省、みな来ておりますね。  近ごろ新聞を見ると、汚職と火災と交通事故、この三つがはなばなしく新聞に出ております。その中で火災関係につきまして、時間がございませんから簡単に質問を申し上げます。要点だけ申し上げます。お答え願うほうも簡潔にお願いしたいと思います。  われわれは消防施設を充実するということを長い間要求してまいったのでありますが、徐々にではございますけれども、だいぶよくなった。しかし、まだまだという感が強いのであります。特に消防施設に対する国庫補助に対して、現行三分の一の補助、それも最低価格を九十万という線に押えられている。いままでは低かったが、昨年から九十万に引き上げられた。その九十万をもう一回上げてもらいたいという考え方と、それから施設に対する補助率のアップを願いたい。こちらの希望とすれば、三分の二を国庫補助にしてもらいたい、こういう考え方を持っておるのですが、それに対する見解を自治大臣に聞かしていただきたい。
  281. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 補助率の点でございますが、御承知のように三分の一でずっとやっておるわけでございます。しかし、特に財政力が貧困で、しかし早急に消防力を整備する必要が高いというようなところ、たとえば離島につきましては、これは補助率を引き上げる必要があるのじゃないかということで検討いたしておりましたが、四十三年度からこれを三分の二に引き上げるということにいたしたわけでございます。それから補助金の最低価格という点でございますが、御質問の意味をあるいはとり違えておるかもしれませんが、実際の単価に合っていないというような点がありますが、そういう点につきましては、これも大蔵省とも折衝いたしまして、単価の是正ということはやってきておるわけでございます。しかし、施設によりますと、たとえば防火水槽などは地域によりまして非常に金のかかるところと比較的安くできるところとあるようでございますが、これらの点については、なお実態をよく調べまして、実態に合わない点がございますれば、是正をしていくというふうに今後とも努力したいと思います。
  282. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 消防につきましては、この間自治体消防二十周年記念式典がありまして、天皇、皇后両陛下がおいでになって、私はおことばを体し云々とりっぱなことを申し上げました。ですから、私は消防というものはいまもっと充実をしなければいかぬにもかかわらず、いま御指摘のような点があるわけでございます。しかし、国の財政から申しますと相当巨額のものを、つまり交付税も含めまして約三兆円の自治体関係財政の中で一千億円からのものを消防にさいておるわけでございます。その内訳が、やはり消防施設強化促進法ですかの法律によりまして、大体三分の一の補助ということにしておりますが、やはり離島など財政の非常に貧弱なところは多少考えていかなければなりませんので、明年度から三分の二の補助率にアップをいたしております。しかしながら、将来ともこの問題につきましては、御指摘のような考え方で進めていきたいものと私どもは考えております。
  283. 柴田健治

    柴田分科員 時間が制約をされておりますから簡単に……。補助金というよりも特に起債の関係があるのですが、政府債のほうは六分五厘、ところが、消防施設は公募債がほとんどなんですが、公募債は七分、金利が高いのですね。これを同列にしてもらうわけにはいかぬですか。
  284. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 損保債は御指摘のように私どもも高いと思っております。従来七分二厘でございましたのを四十二年度から七分に引き下げることに承諾をさせたわけでございますが、しかし、消防と損保の事業との相関関係からいたしますと、私はやはり少なくとも政府債程度にこれを引き下げてしかるべきじゃないかというような考え方で、明年度もさらにもっと引き下げてほしいということでただいま折衝いたしておるところでございます。
  285. 柴田健治

    柴田分科員 施設充実、先ほどの補助率のポンプの場合、防火用水槽の問題その他によっていろいろ違いますけれども、単価の基準はポンプよりは防火用水のほうが、単価の押え方が非常に矛盾がある、地域地域で。長官よく御承知だろうと思いますが、いま自治大臣は、地方財政計画の中で、三兆円の中で一千億から消防関係費を持っておると言われたけれども、実質はそうなっていない。計画、机上論はそうなっているけれども、実質運用面ではそうなっていない。それは基準財政需要額の数字の上で押えているだけだ。われわれは、もっと消防の施設を充実しなければいけない、団員の待遇改善も必要ですけれども、施設のほうも急いでもらいたいと思っております。それから長年の懸案である、消防施設を充実するために消防施設税という目的税を設けてやってもらいたいということを長い間要望してきた。それがいまだに何か消防審議会のほうでとまってしまって何も出てこない。こういうことでは、われわれははなはだ遺憾だと思っておる。いま損保協会のほうで、年に五千万か六千万か、ささやかな金でポンプを買うて、火災保険にたくさん加入してくれた市町村に対して何台か無償で贈与しておる。こういう制度を消防庁のほうではどう感じておられるのです。ああいうやり方がいいのか、ああいう恵んでもらうようなやり方が正しいのか、ああいう形の中で消防施設を充実するやり方というものは私はいいと思わない。火災保険会社が十九ほどあるのですが、その全体を調べてみますと、年間の利益というものは膨大にあげておる。あんなことをするよりか、掛け金をうんと安くしてもらって、住民にもっと奉仕したらどうか。もうかるなら目的税というか施設税を取ったらどうか、こういう気がするのですが、その見解はどうです。
  286. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 消防施設税の点につきましては、先生方はじめ関係者からもいろいろ御要望もいただいておりまして、従来とも検討いたしておったわけでございますが、税制調査会等で御相談も願ったりしたこともありましたが、まだ税制上いろいろ問題があるようでございますので、結論を得るに至っておりませんが、御指摘のように損保から消防施設に対するもっと積極的な協力を求めるという点については全く同感でございますので、引き続き検討さしていただきたいと思っております。  それから、損保から消防関係へのポンプ車等の寄贈の問題でありますが、私も先生と全く同感で、損保がああいう消防機関に恵んでやるのだといったような形で、しかも各市町村がお恵みにあずかりたいというようなことで、競争してそれの申し込みをするというような状態はおかしいと思っております。それらの点もございますので、先刻申しましたように利率の引き下げを強力に現在折衝をいたしておるわけでございますが、損保との関係につきましては、今後とも御指摘のような心持ちを私ども持ちまして努力をしてまいりたいと思います。
  287. 柴田健治

    柴田分科員 団員の待遇ですが、いま現在百三十万非常勤がおる。消防吏員といわれる常設のほうは別として、いま基準財政需要額の算定でいくと、標準規模の団員数で押えられる。実質ではもうなかなか実情に合わないような面がある。これは大いに今後研究してもらいたい。これは布望条件としてつけておきたいと思います。  いま農村地域における団員の確保ということで非常な困難性がある。長官も御承知のように四十、五十、三十年以上勤務しておるのが百三十万の中で五万五千くらいおるのですね。それに対する待遇改善というか、処遇というか、そういう面においては、退職団員の報償制度もできた。しかし、それの額も微々たるものだ。この改善も要望したいのですけれども、同時に、団員の確保ができない市町村においては、婦人消防隊というのがある。婦人消防隊に対して国の機関から感謝状や表彰状を出しておられますが、しかし、法的な根拠というものは実際問題として何もない。だから婦人消防隊を、あくまでも必要性を認めるとするならば、何らかの法的運営基準をきめる必要があるんじゃないか、こういう考え方を私は持っておるのですが、その点について見解はどうですか。
  288. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 退職報償金の点につきましても、私も現在ではなお低過ぎると思うのでありますが、ただ、これを引き上げるということになりますると、市町村の基金に対する掛け金のアップをいたすことになるわけでございまするので、その点で市町村側におきましては意見もないわけではございません。そこで、四十三年度におきましては、微温的ではございましたが、十五年三万円を三万五千円に引き上げる、最高七万を八万にするということにいたしたわけでありますが、漸進的に改善をするように努力したいと思っております。  それから婦人消防隊の点でございますが、これはいろいろ実態を調べてみますと、地域によりましていろいろな態様があるようでございます。全く男子と同様な責務を持たせまして、正規の消防団員に組み入れているところもあるようでございます。そういう形をとっておりまするところは、先生のおっしゃった点は問題ないと思いますが、そうじゃなくて、正式の団員にはしておりませんけれども、自発的な協力組織として婦人消防隊ということで若干の助成を市町村のほうでしておるというものが相当ございます。これらのものにつきましては、法的な基準というものがないわけでございますが、ただ活動上不幸にして傷害を受けましたような場合には、これは協力者ということで、正式の団員と同様な、あるいはそれに準じた処遇をいたすつもりでおるわけであります。  なお、平素の活動の運営の基準ということにつきましては、私も何かそういうものを指導としてやったほうがいいようにも思いまするけれども、もう少し実態をよく見ました上で考えてみたい、かように思っておるわけでございます。
  289. 柴田健治

    柴田分科員 建築基準法の改正をせられるということを聞いておるのですが、改正せられる機会に、われわれ希望としてお願いしたいのですが、いまの建築基準法でやって火災がどんどん起きておることは御承知のとおり。特に大都市に高層の建築がどんどん建っておる、この隣の霞ヶ関ビルは三十六階建て。これらは恒久建物でありますから、外部から見ると火災が起きないように見えますけれども、外部構造と内部構造がそれぞれ違う。だから、高層建築でいまのはしご車を使った場合、三十五メートルが最高限度のはしご車になっている。ですから四十、六十、七十メートルの高層建築だったらポンプ車も使えない、何も使えない。高層建築に対する考え方をもっと建築基準法できびしくきめたらどうか。たとえば三階建てまではどういう構造、十階建てまではどういう構造、階ごとに構造を変えていくような、そして耐火用の用材、器材を使う、不燃性用材を使うというようにきびしくやっていただきたい、こう思うのですが、その点考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  290. 前川喜覚

    ○前川説明員 ただいまの御質問の件でございますが、霞ヶ関ビルのような超高層のビルにつきましては、外部の耐火構造ばかりでなしに、内部でも、現行規制でもいろいろな防火規格といった制限が働いております。それから実際問題として、消防当局とも十分打ち合わせまして、内装の制限はもちろんのこと、内部に持ち込む家具、そういったものの不燃化というものを極力はかっております。いずれにしましても、いまおっしゃるような、外からはしご車等で助けるというようなことは、ああいうビルについてはできません。中から助けたり消したりするという趣旨ででき上がっております。今度建築基準法の改正という点につきましても、消防当局と十分連絡しながら検討を進めたい、こういうように考えております。
  291. 柴田健治

    柴田分科員 事務当局のほうは完全にやっておられるように見えるけれども、実際現場でわれわれが立ち入り検査なり査察をやってみて、まだまだ法の盲点があるわけですね。いわゆる建設省のほうは、ただ建築構造の立場から防火はある程度加味される。それは消防法に基づいて、消防署長や消防長の意見を求め、また承認を求めてやっておる道はあるわけです。けれども実際問題として、中の電気構造にしても給水構造にしても、いろいろな内部のビル構造に目を配ってないわけです。それに標準をきめて、何階建ての場合は電気構造がこういうことにあるべきだ、そういう具体的な基準というものを明確にする必要があると私は思うのですね。その点をお尋ねしておきたい。
  292. 前川喜覚

    ○前川説明員 そういった点につきまして従来とも消防当局と連携をとっておるわけであります。今度もその辺十分な連携をとって考えていきたい、こう思っております。
  293. 柴田健治

    柴田分科員 消防庁では消防法の改正はやられる可能性あるのですか、ちょっとお尋ねしたい。
  294. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 今国会で御審議をいただくつもりでただいま準備をいたしております。
  295. 柴田健治

    柴田分科員 そのうちまたあらためてお尋ねしたいと思っておるのですけれども、問題は、防火管理者のいまの——消防法からいうと管理者の任務あるいは役割りはある程度明記されているけれども、防火管理者は名のみで、名だけ建物に書いてある、何のたれべえが防火管理者。実質的な訓練は何もやっていない。避難訓練もしなければ消防訓練も何もやらないという公共施設もあれば、デパートにしても、ホテルにしても、アパートにしても、いろいろあるわけですね。管理者の名前だけはかかっている。その場合に、消防法に基づいて年に何回避難訓練をやるのだ、防火訓練は何回やるのだというくらいにきびしくする必要がある。同時にまた自衛組織、それからたとえばデパートや、この間有楽町でサウナぶろが焼けたのですが、いまどんどん人命が喪失されておる。その前に建築用材についても、今後建設省の建築研究所で研究してもらいたいと思っているのですけれども、有毒ガスが出ないような用材を使ってもらうということをわれわれ強く希望しておるのです。消防法からいうと、やはり自衛組織、いまの常設消防にしても非常勤消防にしても十分手が回らない、立ち入り検査も年に一回できるかできないか、ある町村においては年に一回くらいだ。査察にしても年に一回くらいだ、十分にやっても年に二回くらいだ。消防職員が足りない、団員も足りない。法的においてもやるべきだといっているのですが、年に一回程度では十分とはいえない。万全の措置をしているとは思えない。行政的にそういう指導をしていない、こう私は思うのですよ。だから、たとえば人口十万以上の場合には、査察官を増員をして定期的に月に一回くらいは査察をやらせる、そういうところまでひとつきびしくものを考えたらどうか、私こういう意見ですが、どうですか。
  296. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私も考え方の方向は先生と同感でございます。そこで、防火管理者の責務をもう少し重くすると同時に、これの実際の訓練をしていくという考え方でおりまして、ただいま準備中の消防法の一部改正法案の中では、防火管理者に防火施設あるいは避難設備の維持管理の任務も新たに加えようと思ってやっております。それから、最近のいろいろな事故を見てみますと、普通の小さな施設の切火管理者と違いまして、ビルなどの防火管理者につきましては、相当専門的な知識、技術も必要とすると思うのでありまして、場合によりましては、もう少しそうした大規模な防火対象物における防火管理者の資格につきましてはきびしくするというようなことも検討してみようかと思っております。それと同時に、お話のように避難訓練の実施、これは最近起こっている事故を見てみましても、避難訓練はほとんどやっていない。はなはだしきに至っては防火管理者を選任してないというような例も多いので、これらの事故にかんがみまして、これらの点の指導につきましてはさらに努力をいたしたいと思います。
  297. 柴田健治

    柴田分科員 防火管理者、特に消防法に基づいて消防庁なり消防本部が必要と認めた建物の防火管理者は、ぜめて三カ月くらいは、消防大学があるんだから、消防大学で講習を受けさせる。講習を受けさして消防関係法規を全部頭に入れてもらう。そしてもうそれをみっちりやってもらう。それくらいのきびしさがあってほしいと思う。どうですか。
  298. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その点も先生と考え方の方向は同感でございますが、一挙にそこまでいくこともむずかしかろうと思いますけれども、少なくとも相当大きな多数の人間が出入りするような施設の防火管理者につきましては、現在よりも訓練をきびしくやっていくということは一つ一つ検討していきたいと思います。
  299. 柴田健治

    柴田分科員 消防庁長官、団長の褒賞の問題で長官表彰があるのです。私は先ほど午前中に賞勲局にお尋ねしたのですが、賞勲局の叙勲や褒賞は別として、長官独自の表彰については先ほど言ったように三十年以上勤務の者が五万五千人もいるのですから、もっと長官表彰は、個人であろうと団体であろうと——この間自治大臣が二十周年記念で消防には非常に御理解ある祝辞をいただいて拝聴いたしたのですが、あのことばをわれわれ聞くと、善意に解釈すればもっともっと理解があってほしいし、今度赤津自治大臣になったら、四十三年度においてはいろいろ目に見えた施策なり、また団員に対する優遇措置というものが出てぐる、こう期待を持っている。それから表彰についても、金がなかったら、大蔵省の主計官が来ているのですから、もっと大蔵省にかけ合ってやつでもらいたいということを強く要望しておきます。それから最後に、自治大臣にちょっと私聞きたいのですが、今度は消防でないのですが、地方公務員の定年制の問題が案件に出てくるのですが、新聞を見てわれわれ不愉快に感ずるのは、地方公共団体が、この予算審議の間ぎわに、審議はやっておるのですが、議員報酬や特別職の報酬をどんどん上げているのですね。これと、定年制をしくということについてはいろいろ理由はあるのですけれども、いまの時代からいうと、直観的に財政硬直化だ、こういうことが先入観で出てきて、まあ若返り法、合理化、また事務能率化、いろいろあって理屈はつけておりますけれども、財政硬直化が唱えられておる現時点で、特別職はどんどん無制限で議員報酬を上げたり特別職の報酬を上げたりしておるのに、片一方では国会で公務員の定年制を審議しなければならぬというのは不愉快なんです。これは好ましい姿かどうか、自治大臣に見解だけ聞いておきたいと思います。
  300. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、この前、私、自治大臣をやりましたときに、目に余るお手盛り報酬の現象がありましたので、いろいろ皆さんと協議いたしまして、第三者の審議会の議を経るということにして、どうなるだろうかと思って実は様子を見ておりましたところ、最近少し熱がさめたかして、審議会そのものが妙な答えを出すようなことになったものですから、実は私もちょっと困っております。御指摘のとおりでございます。しかし、これはなかなかむずかしい問題でございまして、われわれも行政指導をよく気をつけてやらなければならぬと考えておりまするけれども、かといって、あまり自治省で標準的なものを示して、これでやれということは、やはり地方の自主性を害することにもなりますし、実は苦慮しておる次第でございます。  それから、消防のことにつきましてたいへん御熱心な議論を拝聴いたしまして、私もたいへん教えられるところがありました。最近高層建築の火災がありますので、今度は特に地下街、高層建築等を対象にしての消防の規制をしようということで、きょう実は閣議にはかりましてきめたわけです。高層建築というのは三十一メートル以上ということにしておりますが、いまちょうどここへ建設省が見えておりますけれども、高層建築物というのを三階以上ということにしよう、それで二十メートル以上を高層建築にしようという提案があるようですね。建築基準法をそういうふうに改めたいがと閣議の席に走り込まれましても、法律というものはなかなかそう簡単に直せるわけのものではありませんので、これは第二段階にすることにいたしました。しかし、いまは構造的な面での御指摘でございますけれども、これは十分考えないといかぬと思いますので、特に建設省のほうでは構造の面を、基準法を手入れをなさるなら十分御検討をと、むしろ私のほうから建設省に注意を促したいと思っております。  その他防火の責任者の訓練の問題、全く同感でございます。今後御指摘のような線に沿うような努力を進めてまいりたいと存じております。
  301. 柴田健治

    柴田分科員 終わります。
  302. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 板川君。
  303. 板川正吾

    板川分科員 私は、ビル火災とコンビナート地区の消防対策、この二点について関係者にお聞きをいたしたいと思います。多少ダブるところがあるかもしれません。  最近、御承知のようにビル等の高層建築物、耐火性の高層建築物に火災が続出しまして、国民に大きな不安を与えております。温泉ホテルの火災、有楽町サウナぶろの火災、昨日の池袋におけるブロンズビルの火災、さては燃えない地下鉄の火災、こういうように、一般国民からいいますと燃えないはずだというビルやあるいは地下鉄が燃える。火に強いという耐火性建築物の火災の中で被害者が意外と多い。その原因は、従来わが国の消防思想、消防対策というものが、すなわち火消し、消火重点主義であって、防煙という対策を軽視しておったからじゃないか、こう思うのであります。建築基準法による基準も、いわば防火重点主義であって、防煙対策というのはおざなりであります。ですから、類焼を免れるかもしれませんが、煙のために大きな被害を受ける。いわゆる難燃材としてビニールや新建材を、これならだいじょうぶということで奨励はしなかったにしろ、少なくともそういうもののほうが好ましいと思っておったに違いない。しかし意外とそういうことによる煙が木材より十倍も二十倍も出るということもあって、煙の被害によって人命を失う、こういう事故が続いておるわけです。  また、建築基準法の中に避難階段がありますが、いまの法律では、避難階段は屋外につけてもいい、屋内につけてもいい、どちらでもいいということになっております。この避難階段が屋内につくられた場合、実際いままでの例から見ますと、その避難階段も煙に巻かれて、事実避難階段の役割りを果たさない。これはこの間湯河原における温泉ホテルの火事でも例があります。いまの建築基準法はたとえばここへ三十六階の三井ビルができましたけれども、これも法律上からいえば、屋内でも屋外でもいいわけです、避難階段は。ところが避難階段が二つあって、特別避難階段は十五階以上。これは特別避難階段で、煙が入ってこないような装置がある。しかし十四階から五階までの間は、これは普通の避難階段ですから、まあ遮蔽の自動とびらがあったとしても、おそらく古くなれば使いものにならなくて、煙が充満するということになる、新しいうちはきいても。そういう点で、避難階段の基準にいたしましても、どうも煙を防ぐというたてまえでの考えがない、こういうように思うのです。  それから、消防庁の検査、査察にしましても、やはり防火中心主義であって、最近消防庁もようやく煙の害対策ということを重視してまいりましたけれども、いままでは防火中心でありました。それから運輸省なども、地下鉄車両は燃えないと言っておる。実際燃えない車両じゃなかった。燃えづらい車両だった。しかしこの間、ああやって燃えました。そのときは人をおろしたからいいようなものでありますが、乗っておったら、みんな薫製になってしまったでしょう。もし燃える地下鉄だというならば、いまの地下鉄の構造自体を——万が一ショートによるああいう事故によって電車が火事だという場合には、煙を吐き出す装置やあるいは避難等も考えなくてはいけないと思うのです。いまの地下鉄の構造じゃ、これは人命の安全をいざというときに守れない、こういう点で問題があるのです。ですから、私は消防全体の思想を、従来の防火中心主義の上に、防火、防煙といいますか、煙と火と両面的な対策を、特に都市ビル、地下、こういう不燃耐火建築物のところでは、両面的な構造を考えて対策を考えなくてはならない、こう思うのでありますが、この点、関係者のお考えはいかがでしょう。
  304. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 昨日私は消防展を見に行ってきたわけなんですが、この実験を見てたいへん感心しましたことは、カーテンや木材でも、ある種の薬液にひたしたものは、火を加えましてもなかなか燃えない。燃えないというわけではない、いま御指摘のとおりに燃えにくい度が非常に燃えにくい。カーテンなんかでも相当強烈な火に当てても、ほとんど燃えないですね。そういったものの開発もだんだんできたわけですから、今度はやはり高層建築あるいは地下街等にはこういうものを使わせるような新しい消防法というものをきょう閣議で通したわけであります。煙に巻き込まれるケースが非常に多いものですから、近ごろは煙対策が非常に進んでまいりまして、たとえば巻き込まれる前に、煙が出た場合は、煙の感知器と申しますか、煙を感じた機械がすぐブザーを鳴らすとか、あるいは近くのスプリンクラーに直結するようなことにだんだんなってくると思います。排煙の設備等にしましても、だんだんいい機械ができてきましたけれども、まだなかなかこれを普及するというところまでは容易ではないと思います。しかし、そういった煙に巻き込まれて人命が失われるようなことのないように研究、くふうをしまして、指導していかなければならぬと考えております。
  305. 板川正吾

    板川分科員 従来ビルとか鉄筋コンクリートの建物、地下、こういうものは火には強い、だから火事でも安心だという気ちがあるのですね。ですから、ホテルなんかでも、火事だからといって何も上の人は騒ぐ必要はない、下のほうが火事だって心配する必要はないと、こういうふうに安心している。ところが、なるほど火は燃えてこないけれども、煙のために死ぬ、こういう被害が非常に多いわけです。ビルなんかは、池袋の火事でもおわかりのように、煙突のないかまどみたいなもので、中でくすぶって、そして煙の被害が非常に強いというのです。ところがビルの火災、高層ホテルというような場合、消防庁が幾ら勧告してもなかなか言うことを聞かないという例が間々あるわけであります。  だから、たとえば旅館のような場合にはもう少し消防庁が中心になって、たとえばテレビなりラジオなりを通じて国民にもっと、高層建築物、ホテル等の火事がいかに危険かいうことをPRする必要があるのではないか、こう思うのです。新しいビルはなるほど防煙防火を兼ねた建築基準になってくるかもしれません。しかし、いままでつくられておるビルなりホテルなりというものは、防煙対策というものが十分じゃない。そこで、たとえばホテルの宿泊室には宿泊心得として、ベルの所在位置を確かめておけとか、避難器具があるかとか、あるいは避難階段はどの辺にあるかとか、火災になったときにどういう通路で避難するか、もし旅館側でそういうことを怠っておれば、あるいは避難階段の地図を置いておけということになっておるにもかかわらず置かない、そういうような場合には、そういうような旅館には危険だからなるべく泊まらないようにということを消防庁が中心になってひとつ社会教育をする、こういうことになれば、旅館等も消防庁から注意を受けておるのにやらないということはない、こう思うのです。こういうPRをひとつ消防庁が中心におやりになったほうが、ばく大な、何百億という火災の被害を、あるいは人命の損傷、損失というものを考えた場合に安いことじゃないかと思うのです。そういう教育をひとつされたらいかがでしょう。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕
  306. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは一案かもしれませんが、いま伺っただけでも、宿屋に行くのに、一応そこの消火設備のぐあいを見て、それがなかったら泊まらないようにせよといっても、これはなかなかむずかしいことではないか。ああいう火事におそれをなしている人は、言われなくてもやりますが、先ほど柴田君がいろいろ御提案になりましたこと、私は非常な関心を持って承りました。やはり消火、防火の責任者は、万一の場合、出火を考慮して救急ということについて日ごろ訓練をしておく必要がある、こいう一つしっかりしたものがあれば、お客がありましても、おのずから冷静に誘導もできるでしょうし、そういうことをまず中心として人命に対する被害を防止していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  307. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ちょっと補足して申し上げますが、旅館、宿泊所におきまして避難経路の案内を表示するようにということを、昨年、火災予防運動の際に全国旅館連盟にも相談しまして、重点項目の一つに取り上げてやったのでございます。その実施の結果をことしに入りまして調査をしてみましたところが、全国の旅館の中で三0%足らずしかそれを実行していなかっということで、このたびの春の火災予防運動の際に重ねてそれを重点事項の一つに取り上げて呼びかけたのでございます。しかし、その実施の結果がどうなっておりますか、調査をいたしまして、さらに徹底するように努力をいたしたいと思います。
  308. 板川正吾

    板川分科員 あらゆる機会に、高層建築物に泊まる場合には、たとえばホテルなんかに泊まる場合には、こういう危険がありますから、泊まる場合にはこういう注意をしてやすむようにということを国民教育をする必要がある。これは消防庁が音頭をとってやったらどうだ、こういうわけです。特に私はこの湯河原の大伊豆ホテルの火災で思ったのですが、ああいう温泉地というのは居住人口が非常に少ないのですね。そして建物が非常に込んでおって、道路は狭い。だから大型消防ということはそれが移動できない。はしご車を持っていったって、基盤が斜めになっておって、はしご車が使えないということなんです。それで居住人口が少ないから、したがって自治体消防というものもこれまた組織が小さいのですね。しかし夜泊まる宿泊人口というものは非常に多い。それからまた、最近はいろいろ労働対策もありまして、旅館の女中さんも十時になれば寮に帰って泊まる。そしてそこへ泊まる者はごくわずかな人、あとは全部宿泊人、こういうのが温泉地等における旅館の宿泊状況ですね。ですから、そういうところで一たん火事が起こりますと、これは被害が大きくなるほかないですね。従業員が避難訓練を受けたって、そのときいないんです。指導しようったってだれもいないということで、起これば大きな被害を受けざるを得ないようなのが、温泉旅館における実態ではないかと思うのです。こういう場合には、私は、起こってからじゃなかなか被害が大きいから、起こらない、予防対策というものに重点を置かなくちゃいけないのではないか。  ところが、いまの消防法のたてまえからいうと、どうもいまの予防というたてまえからいいますと、建算基準法は防災の基準をきめているだけだ。消防法では、監視したり、監督したり、勧告したりしますが、実際は強制力が消防法五条によってあるやに伺うが、しかし、まあそれもあまり発動しておらない。旅館業法は衛生基準が中心であって、公衆衛生の面から、これは保健所でいかぬというなら営業停止はできますが、お客さんの安全基準と保安基準というもの、これに対しては、正直のところ旅館業法ではその定めがないのですね。だから私は、温泉旅館等の火災からかんがみて、旅館、温泉旅館、ホテル、こういうところで、消防庁なりがこういう防火上の安全基準を守りなさいといって勧告して聞かなかった場合には、これは衛生基準を守らなかった場合に準じて、そしてこの事業の取り消しなり停止なりができる、こういう方向へ持っていかないと、これからも私は温泉地の大型ホテルなんかの火事の場合に、特に夜間における火事といった場合に、ほとんど人命を保護するわけにいかない。もっときびしい制限がつけられていいんじゃないか。しかし、これを消防法できめますと、一般的なビル、一般的な規制になりますから、旅館業法は衛生基準だけですが、ここに保安基準を一つ追加することによって、そして消防行政と相まってそういう予防に対するきびしい規制というものを行なっていったらどうだろうか。そうでないと、これから温泉旅館、ホテル等に全く泊まれないという状態になってくるのじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょう。
  309. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 いろいろ温泉地の消防の点について御指摘がありましたこと、一々ごもっともでざいます。  まず最初の、温泉のあります市町村につきまして消防の常備化を行なう、消防署を置くということにする点でございますが、これは温泉地の人口は国勢調査人口によらないで、実際の観光客の数が多いわけでございますから、それを加味をして消防署を置くようにいたす方針でおります。だいぶ毎年そういう観点から温泉地の市町村消防署を置くように指定をいたしております。明年度もたとえば鳴子温泉でございますとか、下呂でありますとか、芦原でありますとかというようなところを、町村ではございますが、指定をする予定にいたしております。  なお、予防の点でございますが、そういうふうに消防署が置かれますと、専門の予防をやる職員も置くことができますので、現在よりも予防の面が行き届くことになろうかと思います。  御指摘のように、旅館の保安を確保いたしますためには、一つには建築基準法の関係、一つには消防法の関係とあります。建築基準法の関係につきましては、たとえば湯河原のホテルなども建築基準法に違反をしておるというような点もあったようであります。建築関係では手足がございませんから、先般住宅局長のほうから私どものほうに協力の依頼もございまして、私どものほうも消防機関が査察の際、建築基準法の違反を発見した場合には、これを建築関係の機関に連絡をして、そして協力をしてこれを是正するようにしてほしいという指導をいたしております。湯河原の場合は知事が、建築基準法違反を是正するまで使用停止の処分をいたしたように聞いております。先生から旅館業法のお話がございましたが、私はやはり保安の点は建築基準法なり消防法なりの体系で処置をすべきではなかろうかと思いますが、この点なお検討をいたします。
  310. 板川正吾

    板川分科員 私は、消防法五条で使用停止といっても、その部分の使用停止であって、全体をやめさせるというわけにいかないので、実質的な効果はあがらない場合があるんじゃないかと思います。  それから、旅館業法にそういう保安基準を設けるというものを入れて、共管事項にしたっていいじゃないかという意味であって、消防法の中にそれを入れれば全般のそういう規制、一般的な規制になりますから、それはやはり行き過ぎになるんじゃなかろうか、そう考えたわけでありまして、その点はひとつ検討していただきたいと思います。  それから、コンビナート内における火災対策考え方ですが、一月二十四日に三井ポリケミカル千葉工場で爆発事故が起こりました。そして、自治体消防がかけつけたら、門前払いを食らわしたとかでトラブルが起こった。これは同様なことが四年ほど前に昭和電工でもございました。やはり地域消防がかけつけたら、その企業の秘密と称して入れない、ごたごたがあったということもありました。このコンビナートのような近代的な石油化学を中心とした地域で、ここにおける消防というのは確かに私はむずかしいものがあるだろうと思うんです。従来の防火中心の水をかければいいという式のポンプが何台来たって、それで事実消火になるとは限らないわけです。  ところが、コンビナートのある、たとえば海岸地帯というのは、小さい村ですね。それで小さな村にコンビナートの火事を十分に消すだけの消防組織を置けといったって、これまた無理な話でしょう。ですから、私はコンビナート内の消防対策というのは、企業の自衛消防というのが消防法にありますから、それをつくらして、そうしてこれに各企業が連合して、連合したいゆる自衛消防を持たせる。そうしてコンビナートなどの火災の場合には、まずそれが中心になってやる、こういうたてまえをとらしたらどうだろうか。それは地域消防もコンビナート内の火災の場合には、相手方から要請があれば応援はしましょう。まあ行政区が変わった形になるわけですね。そして要請がなければ、まあ火消しのほうは要請がなければ出ないということがあってもいいと思うのです。そうすれば門前払いを食らわしたり、ごたごたすることはないじゃないか。コンビナート内の消防について、私は自衛消防強化して、自衛消防に責任を持たせる形、消防法のたてまえからいうとやや例外的になるかしれませんが、それはたてまえを別に問題にしているわけじゃないのです。事実コンビナートのような、あるいは化学工場群、こういう地域の消防というものと一般消防というものとを組織を分けてやったほうが、やはり具体的な消防体制ができるのじゃないか。そしてその自衛消防の連合を消防庁で監督し指導する、こういう形をとられたらどうでしょうかと思うのですが、この点を消防庁はどう考えますか。
  311. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 まず先般の事故でございますが、消防が門前払いを食ったというお話でございましたが、この点そういう話も聞きましたので私どもさっそく調査をいたしましたが、そういうことはございませんで、地元の市原市の消防は所期のとおりの消防活動をいたしたのであります。ただまあ、応援に参りました隣村の消防団が、それは必要がないということで門前で待たされたというようなことがあったようでございます。  それから、コンビナート地帯の消防組織のあり方につきましての先生の御意見でございますが、私どもも企業の自衛消防組織をもっと強化すべきであるというふうに考えております。現在消防法の施行令で一応の基準がきめてございまするが、さらにこの基準を再検討いたしまして、もう少し強化をしたい。そうして自衛消防組織と市町村の公設消防組織と、どういう場合にはどういうふうに連携をとって相互応援をやるか、共同消防をやるか、また他の隣域消防と相互応援をどうやるか、こういうこともあらかじめ連絡協議会をつくらせて、そこでよく研究をしておくというようなふうに今後指導していきたい、かように思っております。
  312. 板川正吾

    板川分科員 これで終わりますが、自衛消防組織を強化して、そして通産省でたとえばコンビナートの設置を許可するときに、そういうお互いに企業の秘密だといってよそのものは自衛消防も入れないというようなことで消防の応援協力体制をとらなければ、そういう企業にはその地域に許可させない、こういうようなことでもとって、そしてお互いに共同してコンビナート地域内の防火対策をとる、こういうふうにやったらいいのじゃないかと思います。そういうような指導等をひとつ今後とも強めてもらいたいということを要望して、終わります。
  313. 田中正巳

  314. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 私はきょうは公営競技につきまして質問いたしたいと思います。  地方財政法では収益事業ということになっております宝くじを除いたあとの部門について質問いたします。  最初に、公営競技の開催の状況についてお伺いいたしたいと思いますが、必要かつ最小限度の質問をいたしますから、こちらから少し解釈を加えていきたいと思います。  現在開催団体の数、それから区分、こういうことにつきまして簡単にひとつ局長から御説明願いたいと思います。
  315. 細郷道一

    細郷政府委員 競馬、競輪、モーターボート、オートレース、これの開催をいたしております団体数は延べで四百四十一団体、一つの団体で二つやっているのもございますので実数は三百五十くらいであるかと思います。収益金は四十一年度で約七百三十億、半分が競輪というような状況でございます。
  316. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこでさらにお伺いをいたしますが、そういたしますと、都道府県それから全国の市町村、最近の数は非常につかみにくいのでありますが、非開催団体は市町村でどのくらいになりますか。府県でどのくらいになりますか。
  317. 細郷道一

    細郷政府委員 府県は全体を通じてみますと四十六都道府県のうち二十一団体が開催をいたしております。市町村では先ほど申し上げましたように三千五百のうち延べで四百四十一、実数で三百五十前後、ちょっと数字を忘れましたが、そのくらいが開催をいたしております。
  318. 阪上安太郎

    ○坂上分科員 さらにお伺いいたしますが、その中で基準財政需要額の対比でもってこの公営競技の収益が占めている割合が一00%以上の団体は、概数でよろしゅうございますが、どのくらいありますか。
  319. 細郷道一

    細郷政府委員 基準財政需要額に比べまして同額以上の団体が十六でございます。
  320. 阪上安太郎

    ○坂上分科員 さらにお伺いしますが、競馬法に基づいて四十三年の三月三十一日で期限切れになる開催団体、これは何ぼぐらいになります。
  321. 細郷道一

    細郷政府委員 九十五市町村でございます。特別区を含めてでございます。
  322. 阪上安太郎

    ○坂上分科員 そこでお伺いいたしますが、公営競技の中で、競輪、競馬、モーターボート、それからオートレース、競馬法だけが他の公営競技といささか趣を異にした法制が行なわれておる。その理由は一体何か。これは、きょう農林省から来ているでしょう。
  323. 立川基

    ○立川説明員 ただいまの御質問でございますけれども、御案内のように、公営競技につきましては調査会が設けられまして、三十七年におきまして競馬法の一部改正がされたわけでございます。その考え方によりまして、従来も原則といたしまして都道府県が地方競馬の開催県になるという原則を立てまして、特別な理由がある場合におきまして市町村が、災害その他の理由によって指定を受けまして時期その他を限りまして暫定的に施行できるということにしたわけでございます。それともう一つ、そのときに、目的といたしまして、そういう都道府県営で上がりました収益につきましては、畜産の振興とかあるいは社会福祉の増進その他の目的を設定いたしまして、その目的の範囲内では各市町村なりその他に財源の均等な均てんをするということも考えたわけでございます。
  324. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そのことはわかっておるのでありまして、そのことは他の公営競技におきましてもやはり同様の目的でもって開催されておる。私の聞きたいのはそうじゃなくして、競馬では日本中央競馬会というのがあるでしょう。この競馬会は民間団体ですね、財団法人ですね。こういうものを持っているのは他の公営競技の中にはあるかないかということなんでして、その点は違っておるのじゃないですか。これは開催権を持っているのでしょう、日本競馬会というのは。違いますか。
  325. 立川基

    ○立川説明員 中央競馬会は政府出資によります特殊な団体でありまして、従来の国営競馬を引き継いだものでございますので、ほかの団体とは若干事情を異にしております。
  326. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そういたしますと、競馬競技は他の競技と異なる点でそういった点が指摘されたのだけれども、その場合その他の公営競技と多少違った方向をとっているということについては、これはほかにもそういうことをやっておるところはないのです。実施団体はありますけれども。開催団体というのは民間にはないのです。また、いま言ったような形で行なわれているのはない。したがって、それは何かいま承ると、歴史的な理由によってそうなっておる、こういうふうに解釈していいですか。
  327. 立川基

    ○立川説明員 その理由は先ほど申し上げましたように、国営競馬から引き継ぎましたということが主要な理由でありまして、その開催されます影響の度合いその他から考えまして、現在のような制度をとったわけでございます。
  328. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これは歴史的なものであると言われるならばそうかもしれない。競馬などというのは千二百年前から行なわれている。そういう言い方をされればそういうことでありますが、私はこの点については何か釈然としないものがある。そうしてあとからできたいろいろな各種の公営競技というものが、やはり近代的な感覚の中でその法律が制定された。そうして公営一本のたてまえをとっているというところに私は非常に違ったものがあるという考え方を実は持っております。時間がありませんので、こういう論議はあまりやりたくありません。  そこで、いま一つはオートレース。これはたしか都道府県と五大市のみに限定されて開催される、こういうことになっていると思うのであります。これはまた何か多少違うところがある。開催は公営であるけれども違っておる。この点について何かあなたのほうで違った理由というものを明示することができますか。
  329. 阿部新七

    ○阿部説明員 その間の事情は現在のところ私はつまびらかにはできないのでございますけれども、オートレースのほうは一般の公営競技と違いまして、当時行なう数が非常に少のうございまして、したがって、当時そう普及するものでないという観点から限定されたものでございます。
  330. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そこで自治大臣にお伺いいたしますが、いまこういろいろな答弁を聞きましたので、すでにお気づきだと思いますが、公営競技における開催団体あるいは非開催団体はこういった大きな開きがある。四百四十一、これが開催しておる。たとえば先ほどの細郷局長のお話では市町村において二千九百四十市町村というものが全然開催してない。したがって当然収益がない、こういうことになるわけであります。こういったアンバランス、ことに収益のアンバランス。それからまた同時に、特に競技場のある所在地の団体、それが同じ開催をしておっても他の開催の団体との間に大きなアンバランスがある。それから、いま言った競馬のような特殊な場合、公営と公認という違いが出てきておる。私はこのいった実情を考えるときに、公営競技に対してもっとはっきりした方針というものが打ち出されてしかるべきじゃなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  少し詳しく申し上げますと、これは私の手元にある表でありますけれども、先ほど伺った基準財政需要額に対する一00%以上の収益、広島県の宮島町のごときは基準財政需要額に対して五七九・八、五倍以上の幅を占めておる。この場合競艇でありますけれども、競艇だけでもって町の財政をまかなっているといっても差しつかえないのです。たとえばこれは私の選挙区でありますけれども、大阪の箕面市、これなども一五八・0。こういう例をさがしてまいりますと、とんでもないおそるべき現象がやはり出てきている。地方公共団体財政がこのような収益でもって、このような状態でまかなわれていることについては、私は非常な不安を感じる。  したがって、結論としてはこの場合、こういった公営競技の収益というものをもっと全国的に均てん化すべきだということは私は当然の結論だと思う。ましてや競馬の開催期限の切れる団体が九十五団体ある。私はこういう段階にこそ、御案内のように公営競技調査会の答申の趣旨にのっとっても、当然これは均てん化される方向というものは速急とられなければいかぬ措置じゃないか、こういうふうに思うのであります。これについて自治大臣考え方をひとつ伺っておきたい。
  331. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私の選挙区にないから言うわけじゃないですけれども、私はこの公営ギャンブルというものに対して最初から賛成ではありません。しかしまあ、必要悪と申しますか、戦後非常に財政が窮乏しておった地方公共団体がある程度持ち直したところもありますし、そういった意味でまあこういうものの存在を許す気持ちにもなっておるわけですけれども、実際内容を調べてみますと、こういう基準財政需要額をはるかにこえるような収入があるために、それがやはりその団体の財政の乱れと申しますか、ここにいろいろまずい面が出てきておる。反面また、開催できない町村にしてみればたいへん不愉快だというか、くやしいというか、まあやはりいまそれぞれどこも窮乏しておりますから、その気持ちは無理からぬことであると思うのです。弊害の面が非常に大きいわけです。  しかしここしばらくそういうことを続けてまいりました関係上、激変緩和ということに相当気を配りながら、いま阪上さん御指摘のとおりに、そういう公営ギャンブルを許すというなら、ある一定部分以上の利益というものは他の開催不能な町村に均てんさせるという方向で実は案を準備はいたしました。しかし、この開催団体を許可するのは自治省の立場ですけれども、それぞれ所管が農林省、通産省と違っておりまするので、その間になかなか調整でやっかいなこともありまして、ずいぶん難航もいたしましたけれども、基本的にはとりあえず全国というよりは所在の市で、都道府県でその内部で、やはり公営ギャンブルからあがる収益というものを余分なものは、はたの恵まれない町村に配分するという方向でいくのがワンステップとしては一番正しいということを考えて、実はいろいろその段階的な措置をいま講じておるところでございます。
  332. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 私はこのギャンブルに対するところの世評といいますか批判といいますか、これは戦後ずっと私も見詰めてきたところであります。かなりきびしいものが当初あったと思います。もちろん運営の面において非常に不手ぎわであり拙劣であったというようなことも原因し、当時の世相というようなものもあった、非常に批判を多く受けるような場合があった。しかしその点につきましては、だんだんとこれは消えてきておる。いま自治大臣はずばり、私はこういうギャンブルについてはあまり賛成できない、こうおっしゃいました。しかし、現段階において、あるいは将来二十世紀末におけるいろんな社会経済の変動等を考えた場合に、はたしてそういう考え方だけでいいものかどうか。  御承知のようにレジャー産業が、いま九千八百億も毎年使っておる。国民は全く自主性のないレジャーです。そういった民間のレジャー産業に引きずり回されておる。そうして団体旅行その他を含めて、全く自主性のない行動をしておる。他方、わが国の労働状態というものをここ十年なり二十年を推計して考えてみた場合に、国勢調査の動態等も考えていく場合に、おそらく労働時間というものは今世紀末には二時間ぐらいになるだろう。国民生活の大部分というものはレジャーに使われる。現在でも生計費の中でかなり大きな部分を占めている。もしこういうものが健全なものの姿として運営されていくという場合に、必ずしも、先ほど大臣が言われたような単純な考え方で割り切れる性質のものではないだろう。諸外国の例を見たら、民営に持っていくことよりも、先ほどおっしゃったネセサリーイーブルとして、必要悪として考えた場合に、むしろ公営に一本化していく方向のほうが正しいんじゃないかという考え方もある。私ども社会党ではこの問題については、御案内かもしれませんけれども、全面的に廃止すべきものだという考え方があるが、それは漸次様子を見てやるべきだという程度にとどめておるのであります。私は、公営競技につとまして、自治大臣考え方をいまここで急に変えろとは言いません。なかなかがんこな人ですから簡単に変わらない。変わらないが、ひとつ大きな面で見る必要があるんじゃないかと私は思います。  いずれにいたしましても、現段階においてはネセサリーイーブルとして、必要悪として扱っていかなければならない。さようになりますと、やはりこれはむしろ公営で実施さるべきだ。競馬のごときに至っては、かりに公営の開催度数をどんどん減らしたとして、民間が依然として、あるいは公認競馬は依然としてやっておるんじゃ何の意味もない。それから同時に、府県ごとに統一してやったとしても、やることはやる、こういうことになる。また一部事務組合でやれというような趣旨も、例の調査会の答申案にも出ております。そういうことをやるとしたら、これはやることはやるんだ。そういうことになりますと、私は、何を好んでこの際そういったものに統一して整理していく必要があるのかという考え方を実は持つわけであります。そういうものの考え方よりも、いま大事なのは、やはりネセサリーイーブルとして——あるいは地方財政上これは大きな額であります。そうなれば、やはり自治省が考え、あるいは赤澤さんが考えておられるような均てん化の方向へこれは思い切って入るべきではないか。あまりやぼなことを言わず、また地方公共団体の長がやたらに自分たちがいい子になろうと思って、他のことを顧みずして、ある府知事は、私はやめます、開催いたしません、こういうことを言っておるのでありますが、その中に含まれておる地方の市町村段階におきましては、これをいまとられちゃどうにもしようがないじゃないかというような方向にきておるわけであります。そういう意味で、自治省の考えはわかりましたが、自治省がようやく尻をあげて踏み切ろうとしておるこの公営競技の均てん化に対して、私はこの際一ぺん各省の意見を聞いてみたいと思う。そこで、通産省どうですか。
  333. 本田早苗

    ○本田説明員 十分御承知のことと思いますが、通産省所管の公営競技は競輪とオートレースでございます。それぞれ法律に基づきまして、地方公共団体が施行者になるということでやってまいっておるわけでございますが、目的は機械工業の合理化、あるいは公営事業振興、あるいは地方財政の健全化ということでやっておるのは御承知のとおりであります。ただ、地方公共団体財政の調整という問題から均てん化が出ておるというふうに考えるわけでございますが、競輪あるいはオートレースの事業の性格といたしまして、公正安全な運営の確保が必要である。そうして、その責任のきわめて重要な部分は施行者である地方公共団体がやっておる。そして、そのためには施設の改善を今後も相当大規模にやる必要がある。こういうことによって公正、安全な、かつ大衆の健全な娯楽という性格を実現できるというふうに考えるわけでございます。たとえば観客席等につきましては、現在はいす席が一0%前後でありますけれども、こういうことではまずいので、これを三0%あるいは五0%に引き上げていく。あるいは車券の発売方式に機械を導入する。あるいは駐車場の整備が必要だ。あるいは付帯設備である休憩所その他の設備が必要でありますし、走路の維持管理のための補修がかなり大きな資金の投入を必要とする状況であり、そうした設備改善が非常に重要であります。また公正、安全な運営のために責任を感じて非常な努力をしております。そうした現在の経営意欲につきまして、これを今後も振興していくといいますか、そうしたことが必要だというような点がございますので、われわれといたしましては、こうした点が施行者の間で十分できるというふうに、できる内容で本問題が解決される必要があるというふうに考えるわけでございまして、財政の調整という問題になりますれば、設備その他の点も考慮して検討さるべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  334. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 次に運輸省、最後に農林省から、ひとつ同じような問題、均てん化についてどう考えるかということを聞いておきたい。
  335. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 均てん化の問題につきまして、元来が自治体間の財源の配分でございますので、その線に沿いまして検討されなければならないということはごもっともだと思います。ただし、均てん化のやり方によりましては施設の改善等に支障を生ずる、あるいは公正な競技の健全な運営ができなくなるというようなことも考えられますので、関係者間で十分に検討した上で実施されることを希望するものでございます。
  336. 立川基

    ○立川説明員 競馬につきましては、先ほども一部御説明申し上げましたように、われわれも均てんということにつきましては、別に異論はないわけでございます。現在の制度が三十七年に改正されまして、都道府県を原則として施行者にするというのは、その考え方によっておるわけでございます。むしろ暫定的な経過措置なりあるいはその後におきます法律改正によりまして、一部の市町村についての特別措置が今日まで残っておりまして、本来の本則の発動というものがまだなかったような状況でございまして、付則の規定によります指定町村については三月末日で一応切れますので、この制度の本来やっておる姿に立ち帰るのでございまして、現行制度でいきまして、その運営上いろいろ問題があるとか、あるいはほかの競技との調整、財源の配分という点がございますれど慎重に検討したい、かように考えております。
  337. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 いま伺っていると、何か地方財政の調整なんということばが出てきた。私はそんなものじゃないと思う。だから調整がとれてないでしょう。その配分された収益金の使途についてはちっとも均てん化されていない。同時に調整なんかできてない。むしろアンバランがだんだん助長されておる、こういうことです。そうではないでしょう。たとえば競馬法の二十三条の三、自転車競技法の十一条、小型自動車競走法の十七条の二、モーターボート競走法の二十条の二、そこに出ているところの、得た収益の使途というものが明確に法制化され、あるいは行政指導の対象となりいろいろなことに使われるようになっておる。たとえば畜産の振興あるいは機械工業の合理化、社会福祉の増進、医療の普及、教育文化の発展、体育の振興、その他住民の福祉の増進をはかるための経費財源に充当する努力をするというようなことが法定され、あるいは法によって道徳的にそういった配分を指示しておる、こういうことになっておるわけでありまして、これは単なる財政調整の機能ではない。しかもその実態を見てみると、たとえば昭和三十九年でありますが、教育に九十四億円地方公共団体は収益の中からぶち込んでおる。土木については七十四億円ぶち込んでおる。住宅の建設については六十八億円ぶち込んでおる。こういうようにして、今日の公営競技の収益の使途というものが非常に限定され、しかもそういった方向に使われておる。いいつらの皮だと私は思う。ぼろくそに言われ、世間からたたきのめされ、そうして得たところの収益の使途というものはこういう方向に使っている。何も文句を言われるようなところに使っているわけではない。こういった場合に特に私は、もし先ほど言われた財政の調整という問題が高く評価されるのであるならば、その方向でやはり均てん化の方向に進まなければならぬということは結論として出ておるわけだ。同時に、こういった公共事業に対してこれだけの持ち込みをやっている、継ぎ足しをやっている。こんなものは国が超過負担をなくし、はっきりと国が財政措置をし、補助措置をしたならば、こういう問題は起こってこない。そういうこともやらずに、いまここでやたらにこういう公営企業というものを圧殺していこうという考え方は、私はやはり適当でないと思う。いろいろなことを申し上げたいのでありますけれども、そういった機能を持って今日やってきたこの公営企業につきましては、もっと大きな観点でものを見ていかなければならぬ。  この場合、特に問題になりますのは、競馬をもう九十五団体というものがやめなければならぬという段階にきております。これに対して農林省から伺うわけにいきますまいが、先ほど第四分科会の中で、西村農林大臣と少しささやいておったのでありますが、一体どうなんだろうと聞いてみたところが、農林省としては、いままでの法改正を重ねてきた関係上、省からはなかなか言い出しにくい問題であるけれども、事情はよくわかっている、私のほうからは言えません、しかしながら事情はよくわかっている、したがって、各党間あるいは国会の中でこういった問題が処理されて結論が出るならば、私はいかなる結論についても文句は言いません、こう言ってささやいておる。大さな声では言わない、小さくささやいておる。  そこで自治大臣、もう時間がありませんのでお答え願いたい。この均てん化の法律、おそらく地財法の一部改正として出てくるだろうと思いますが、この国会でおやりになりますか。
  338. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 党内でいろいろ議論をしておりますけれども、私はそういう阪上さんの考え方に満腔の敬意を表します。私もやはりそういう考え方に立っておりますけれども、なかなか党内の調整も難航しておる面があるわけであります。先ほどの必要悪ということばがございましたが、悪というのはやはりギャンブルが射幸心をそそるという欠点がある。ですから、パチンコまで含めたかけごとというものは私は国民性を毒すると考えるが、しかし一方考え方によっては、さっきのレジャーのお話ではございませんけれども、これくらいのささやかな楽しみくらいは大衆に与えたらいいじゃないかという議論もあるし、それから競輪などはそのためにたいへんな不幸を家庭に生じておる面もあるし、そういうことを考えるといろいろ考えさせられますけれども、将来はなくす方向に行くべきでございますが、とりあえずはやはり均てん化という方向を選ばざるを得ない。いま苦慮して調整しておる最中でございますので、均てん化の方向に向かって一日も早く党の議論をまとめて皆さんに提案をいたしたい、かように考えます。
  339. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 くどいようですが、三月三十一日に競馬はこのままでいけば流れてしまうのですよ。だから、できるだけ早い機会にといっても、どうにもしようがない。ことに私、聞くところによると、東京都の二十三区を一市と見なしてやっていくんだというような構想なり発想がちらほら耳に入る。とんでもない話だ。それから審議会なりあるいは衆参両院等において附帯決議等の中にも含まれておりますように、府県のほうに持っていく。府県のほうに持っていくということは府県にやらせということだと私は思っている。ところが、その受け入れる府県のほうが、これをやりませんというような形になって出てきているところに私は問題があると思う。そういったものを一方において見ながら、東京都だけは二十三区一本にして開催することが法的には問題はないというごまかしがあっては私はいかぬと思う。そういうみみっちいものの考え方では私はいかぬと思う。しかしながら、私はやるなというわけじゃない。ネセサリーイーブルとしてやむを得ない、ネセサリーイーブルとしてやるならば、もっと厳格に、そういう射幸心をあおることについても控え目に押えていくという形で、あるいは問題が起こらないように持っていくという形でやる。しかし一方において、こんなものは廃止すれば、これは売春法と同じような経路をたどって内攻してしまって、あちこちで非公開の賭博が行なわれるという結果になりますし、いろいろな面から考えなければいかぬ問題だと思う。ことにいまの問題について、競馬はこのままでいけば流れてしまう。これはどうしてやるんですか、そこのところをはっきり言ってください。
  340. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 さっき全国的な均てん化と言われましたね。私あのことに非常な敬意を表しておるのです。過密過疎のことでさっきどなたかからも議論をされておるわけですが、過疎地帯でこういう公営競技をやろうといっても、ギャンブルも何もできはしない。いま使途はそれぞれ競馬は競馬、オートレースはオートレース、ちゃんときめてあるけれども、これはそこの地帯だけの問題であるけれども、公共事業の積み上げだってこの地帯ではできるけれども、過疎地帯はどうにも、やろうと思ってもできないことです。  そういうことはともかくといたしまして、いま御指摘のことはよくわかっております。東京都の事情もわかっております。全く御指摘のとおりで、その点でも非常に困り切っております。自治省の内部で、馬にけられたというような表現を使って嘆いておるわけでありますけれども、何とか皆さんの御賛同を得られる形で取りまとめていきたいと思います。
  341. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 この均てん化はかなり次善の策としてはいいものであるという議論も出ている。ところが、一部で競技場の所在地の市町村あたりが盛んに反対運動を展開しておる、こういうこともありまして、しかしそんなものの圧力に屈するようなことでは私はいけないと思う。あまり自民党の家庭の事情には私は触れませんけれども、この際勇断をもって善処してもらいたい。このことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  342. 田中正巳

  343. 八木一男

    八木(一)分科員 赤澤自治大臣はじめ自治省の政府委員の皆さん、そして大蔵省の政府委員の皆さんに、同和問題にしぼって御質問を申し上げたいと考えております。  先日三月九日の本予算委員会一般質問におきまして、佐藤内閣総理大臣はじめ赤澤自治大臣も含めまして、各大臣に御質疑を申し上げました。政府のほうでは、同和対策審議会の答申の急速な完全な実施、そしてその中の同和対策特別措置法の十二分の内容を持つ法案を今国会に、成立する十二分の余裕のある早い時期において提案するということのお約束を総理大臣からいただきました。また、その内容等の関連について各大臣からお約束をいただいたわけでございます。特に、同和問題の場合に、実際の事業地方公共団体でやることが多いわけでございまして、その点で、実際にすべり出しましたならば、自治省関係が一番中心になることになるわけであります。法律の問題はもちろんそうでございますが、前期五カ年、後期五カ年という十年計画、それを昭和四十四年から本格的に発足する日程になっておるわけでございます。そうした意味において、自治省の非常な、この問題に対する御推進が必要であるわけでございます。そういう立場におきまして、赤澤さんの、国務大臣として、自治大臣としての同対審の答申の早急な完全実施並びに同和対策特別措置法の十二分の内容の早急な提出と成立についての最善の御努力をここでひとつ明らかに再度していただきたいと思うのであります。
  344. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 八木さんのこの問題についての、実に真剣な御努力に対しては、かねがね敬意を表しておるものであります。きょうもまたおしかりを受けてはいけませんから、同対審の答申の大綱も全部ちゃんと準備してきておりますから……。  私も、この前予算委員会であなたにお答えいたしました。これは前向きということばを使うと、まだもの足らぬとおっしゃるにきまっておりますけれども、いまの段階で総理府を中心にやっておりまする特別措置法の内容はかくかくでございますという、具体的な問題についていろいろ議論するわけにはまいりません。しかし、私たちといたしましては、八木さんの御努力も、またお気持ちもよくわかっておりまするので、御期待にそむかないような努力を続けていきたい、かように考えております。
  345. 八木一男

    八木(一)分科員 同対審の答申を即刻に御熟読のようでございます。その御努力を非常にありがたく思います。いまお答えになりました御決意で、一00%じゃなくて、五00%くらい達成するような勢いでぜひやっていただきたいと思います。  ところで、いきなり申し上げましたので、数字がわからなければけっこうでございますが、わかったら簡単にお答えいただきたいのですが、現在、政府の全体の同和対策の諸施策の大部分は地方行政団体の市町村が遂行し、それに対して、補助金その他の政府の諸施策が出ているわけでございますが、それについて、どのくらいの補助裏と申しますか、地方公共団体の負担があるか。これはいきなりでございますから、すぐわからなければ、あとからいただいてけっこうでございますが、そういう数字が、いまおわかりでございましたら、ちょっと伺っておきたいと思います。
  346. 細郷道一

    細郷政府委員 地方負担の数字そのものは、ちょっといま用意しておりません。
  347. 八木一男

    八木(一)分科員 今後論議が出てくると思いますから、そういう資料をひとつぜひ十分に常時準備していただきたいのと、それからもう一つ、それに対して交付税がいくが、交付税も全部含めまして、それから実質単価と予算単価の差があるということは、実質的には各市町村に、どのくらいの市町村の超過負担になるか、これもむずかしい数字でございますが、できましたら、ひとつ調べておいていただきたいと思います。私どもの政策推進の参考にさしていただきたいと思います。  その数字がございませんでも、地方のほうで超過負担でこの問題にブレーキがかかることは明らかであろうと思います。御承知のとおりでございますが、同和地区のある府県は、ある府県にはたくさんあって、ない府県にはない。特に市町村で、同和地区がたくさんあるところはたくさんあって、ないところはないという状態です。特徴的に言いますと、私の知っている範囲では、奈良県の御所市とか和歌山県の御坊市といったようなところでは、同和地区住民のほうが三分の一くらいを占めておるというような状況であります。青森県の市町村ではほとんどないところもあるというような現状でございます。  したがって、これに対して、その事業を一生懸命に国の政策に従って市町村がやっていただかなければならないわけでございますが、やっていただくときに、補助率の補助裏がございます。実質単価とそれから予算単価の差がございます。そういうことで、地方財政の負担になるわけでございます。その負担になることを乗り越えて市町村に実行していただかなければなりませんけれども、その場合に、非常に少ない財源市町村でございますと、ほかの一般的な施策にそれでブレーキがかかりますので、結局同和問題に力をかして、一般的な施策が進まないということで不満が起こって、また地区住民間の意見のあつれきが起こる。そこに差別の再生産ができるということがございます。したがって、こういう問題は、少なくとも地方の財政負担にならないで、国の責任で補助金の補助率を高め、あるいは交付税を支給する等いろいろな方法があると思いますが、すべての方法を国の負担で進めていきませんと、問題自体がほんとうに進まないということになるわけでございます。その点について、この間、赤澤自治大臣や、それから水田大蔵大臣に申し上げまして、十二分に御理解をいただいておりましたし、また、昨日の第二分科会で、大蔵大臣とこの問題を詰めて御論議を申し上げました。大蔵大臣としてはその問題を完全に理解されまして、地方負担のないようにしなければならないと、それをはっきりお約束していただきましたが、その方法について、補助率をどうして、残りの交付税をどうするかということについては、技術的に一番いい方法を検討したいけれども、地方負担がないようにこれを推進することについては全力をあげてやるという御答弁をいただいたわけであります。これは自治省と大蔵省に非常に関係の深いことでございますので、特に地方公共団体がその点で悩みを持ち、それを乗り越えてやろうと決意をしている次第でございますから、自治省は大蔵省以上にその問題に熱意を込めて、地方の超過負担ということでこの問題にブレーキがかからないように御努力を願いたいと思いますが、それについて赤澤自治大臣の御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  348. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も、五00%以上というわけにまいりませんけれども、大蔵省とよく話しまして、御期待の線に沿いたいと考えております。
  349. 八木一男

    八木(一)分科員 これは教えていただきたいわけでございますが、財政局長さん、いま同和問題でこういう事業を遂行する、それで、地方行政団体の負担がある分を一般交付税や特別交付税で補てんをするということになっておりますが、それが、地方負担の分のどれくらいの部分をこの同和問題では補てんされるように計算がされておるか。こまかいことじゃなくても、大体の数字でけっこうでございますが、伺っておきたいと思います。
  350. 細郷道一

    細郷政府委員 同和問題につきましては、たとえばその仕事が一般事業の中に同化しておるものもあるわけでございますから、その分については、たとえば道路のようなものは普通交付税の需要額に算定されるわけであります。しかしながら、そういう地域を持っております市町村がそのためによけいな財政需要が要るであろうというところから特別交付税を出すわけでございます。その特別交付税におきましては、本年度は、先般決定をいたしましたが、二十二億五千八百万という特別交付税の見積もりを出したわけでございます。そのほか、地方債の面におきましても、仕事の裏負担、たとえば住宅等の裏負担があるわけでありますが、そういうものがございますので、四十二年度ではまだ集計が最終まできまっておりませんが、約八億ほどの地方債を見ておる、こういう考え方に立っております。
  351. 八木一男

    八木(一)分科員 非常に精密なこまかいことですから、一ぺんにお答えいただけないのは別に何とも申しませんけれども、二十二億の交付税を組まれた。それで、一般的な道路その他の問題については一般交付税のほうで見ている。同和問題の中のどの部分の道路が一般のほうに入っているか、非常に精密なことでややこしいのですが、大体において見ますと、特に同和地区の問題について交付税と特別交付税の中で見ておられるのではないかと思う。一般交付税は、地区割り、人口割りというようなことでやられていますから、特に同和地区が集中しているところに対応するものが出てくることがほとんどないというふうに言えると思います。もちろん、国民の中の部分ですから、その部分が出ていると言えますけれども、特に同和問題を取り上げて特別にやるということに対応する分が、一般交付税が出ていないといってもしかるべきくらいの度合いじゃないか。特別交付税のほうで市町村割り、地区割り、地方負担割りというようなことで計算されるそうですが、その地方負担割りのほうにその味が出てくることがあると思いますが、それも十二分でないと思うのです。政府の今度の予算の中で六十一億五千万円というのが同和事業の中のもので出ています。それが、差し繰りありますから、精密にすると違うかもしれませんけれども、しかし、補助率がいまのところで一番いいので三分の二というようなところではないかと思いますので、実質単価のことを除いても、六十億の三分の一が補助裏、ということになれば、二十億くらいの地方負担が要るということになる。その二十億では、それだけ足りないということになろうと思います。精密に一つ一つ言ったら違うという点があると思いますが、概略で申し上げます。明らかに交付税があっても地方負担が残る部分があるはずでございます。それを交付税が——内閣総理大臣ともお約束願っておりますし、それから、大蔵省のほうも約束をしておられますから、補助率を高める、実質単価にするということにして、補助対象を制限しないで、必要なものを全部やる。全部やるということになって、地方負担は減ってくると思いますけれども、しかしながら、残ることは明らかでございます。それを交付税で埋めて、私どもとしては一〇〇%埋めていただかなければなりません。そこで、——大臣はどこへ行きましたか——ことしの特別交付税の問題では、確か四百六十九億円のところで、二十二億六千万円弱というものを組まれたと思いますが、これが特別交付税の百分の六ということの大体フルのワクで計算をしておられると思うのですが、どうなっておりますでしょうか。
  352. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のとおり、六%でございます。そのうちの同和に処理いたしましたものが二十二億五千八百万、こういうことでございます。
  353. 八木一男

    八木(一)分科員 四百六十九億というのは、後に計算して、これはやりくりあるとしても、いまの状態としては、百分の六相当として四百六十九億円を予定しておられるわけですか。
  354. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、交付税総額の六%が特別交付税ということになっておりますので、大体四十二年度、九千億ちょっとでございましたが、それの六%で五百四十億、そういうことになるわけでございます。
  355. 八木一男

    八木(一)分科員 そうなると、フルになっておるわけです。  それから、今度の計算のほうも、交付税全体も、国税三税の三二%ということで計算になっておられるわけでしょう。そこで問題があるわけでございまして、これは自治大臣に聞いていただかなければならぬのですが、結局、同和対策事業は、同対審の答申を受けて、同対協のほうで、前期五カ年、後期五カ年計画というものをいま策定中で、ことしの四月、五月までにでき上がって、来年度予算に本格的に組まれることになる。そうなれば、いまの六十一億というようなペースじゃなくて、当然、政府の約束に従って、飛躍的に増大しなければならないことになる。飛躍的に増大した場合に、この交付税自体が国税三税の三二%、そしてその中の特別交付税のワクが百分の六というふうにきまっておりましたならば、その飛躍的に増大した態勢に備えられないということになるわけです。そこで、それに備えて、地方負担をさせないように特別交付税をその中で組むとしたならば、特別交付税のいままでの任務でありました、災害に対処する、市町村合併に対処するというようなものを圧縮することになるわけです。そういうことですから、そこで同和対策特別交付税という制度がそこに必要になってくるということにならなければならないと思う。  自治大臣、いま大事なところで中座をされましたので、トイレということはわかっておりましたけれども、いま残念ながらちょっと繰り返して申し上げます。  いま伺いましたら、本年度二十二億の同和対策の特別交付税は、ことしの特別交付税、百分の六という中に入っているわけです。ぎりぎりになっているわけです。ところが、来年から同和対策審議会の答申の本格的な実施、前期五カ年計画が始まるわけです。これは五月ぐらいに年次計画ができ上がって、来年から飛躍的に始まるということは、飛躍的に予算を増大し、事業を拡大する。したがって、地方負担がふえてくる。それを交付税で埋めなければならないという要件が飛躍的にふえてくるわけです。そうしていまの率だと、国税三税の三二%に押えられて、その中の百分の六で押えられているとするならば、そこでむずかしい問題が起こるわけです。同対審の答申をちゃんとやろうとするならば、ほかの特別交付税災害とか、市町村合併とか、伝染病がはやったらどうするとかいう財源を圧迫することになります。それはまたそれで必要な財源ですから、いままでの地方交付税のもとになった地方の一つの財源と特別交付税の問題以外に、今度同対審の答申に従って特別なその関係市町村に補てんをしなければならない事情が生まれたわけです。ですから、いままでと同じやり方でやっておったならば、その問題をほかに遠慮してここでブレーキをかけることになるか、あるいはそれをやるために既定の大切な、しなければならないことをよかすことになるか、ということになる。それは間違いでありますので、そういう意味で、同和対策特別交付税というものをつくっていく必要がある。少なくとも来年に発足ができるようにつくっていく必要があるということをこの間も申し上げました。そういう点についてひとつぜひ、そういう立場で真剣に考えていただいて、いままでそういうものがないというような例ではなしに、特別に特別のことをしなければならないときは特別な法律や特別な制度が必要なのはあたりまえです。いままでそういうものがないからやりにくい。やりにくいでしょう。それを乗り越えなければできないのですから、そういう点で、同和対策特別交付税について、それを実現するようにぜひ積極的に御努力を願いたいと思いますが、自治大臣のお答えをいただきたい。
  356. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 八木先生は重々御承知のとおりに、交付税制度というのは一般財源でございまして、何々事業にひもをつけるということはできない。今度の二百五十億だって、ひもがついたじゃないかといって社会党さんからしかられている。私どもはひもつきじゃありませんと言ったって、ひもがついていると言われるくらいでありますから……。しかし、八木さんの言われる気持ちはよくわかるのですよ。同和対策に向けたからといったって、一般財源でほかに使ってしまうということが当然にあるわけでありますから……。しかし、ひもつきでとにかく同和対策事業に対して特にめんどうを見たいという気持ちはわかります。そこで、最初に、大蔵大臣がどういう御答弁をしたかわかりませんけれども、やはりこれは別の立場総理府でいま特別措農法などを検討中でございます。大蔵大臣が言いましたそれに符節を合わしてと申します意味は、やはりひもをつけた財源はいろいろな方法で私は可能なはずだと思う。特に交付税にひもをつけると言われることはちょっと私は、無理があると思いますので心配をいたしておりますが、御趣旨のほどはよく総理府に持ち込みまして、そうして御期待に沿うような解決方法を新しく見つけていくという努力をしたいと考えております。
  357. 八木一男

    八木(一)分科員 前向きの御答弁で非常にけっこうでございます。ひとついろいろいい意味で、前進の意味で御研究願いたいと思う。特別交付税にはひもをつけないという一つの原則があるのでということは、確かに法律上あることは存じております。したがって、これは特別ひもをつける交付税だということで、同和対策特別交付税という制度をつくっていただいたらいいのじゃないかと私は思うわけです。その同和対策の中で、これを同和教育に使おうと、環境改善に使おうと、就職の促進に使おうと、それは地方の各自治体の自主性にまかせたらいいと思いますけれども、同和対策の点についてそういうひもをつけなければならない。この交付税は、同和地区のないところには交付さるべき性質のものじゃありませんし、あるところに厚みをかけてしなければならないものですから、いまの交付税と少し性格が違いますので、特別交付税として特別な制度をつくっていただきたいということであります。それから特にそれは法律が通らなければそういう制度ができませんから、いまの制度の中ではそういうものがふえるから一般交付税のワクを、それがひとつ新しいふえる要件だということで推進を願いたいと思うのです。その中で、また特別交付税が百分の六というのは固定したものではありません。昔百分の八の時代もあったわけです。そういう点で特別交付税のほうは地方負担割りという計算の基礎がありますから、一般的な人口やそういうもの割りと違って味が出てきますから、そういうものの百分の六というものをまた高めるという方法もあわせて御研究をいただきたいけれども、ことにそういうふうにひもをつけなければならないから、同和対策特別交付税というものをぜひこの問題をやるために推進をしていただきたい。これは御研究は必要ですけれども、早くないと役に立ちません。同和対策の解決は前期五カ年後期五カ年で解決しようとするのですから、その間にスタートから始めなければなりませんから、その意味で急速にひとつお願いをいたしたいというふうに考えております。前向きの御答弁をいただいておりますが、ぜひさらに全力を尽くしてやっていただきたいと思いますし、自治省の政務次官はじめ各局長みなそういう意味のことを理解されて、いままでのことではなしに新しくそれをやるのだ、国の政策をやるために自治省がやるのだということで取っ組んでいただきたい。大蔵省も理解をいたしておりますので、この点についてぜひ強力に続けていただきたいと思います。時間がないようでございますから、いま首を縦に振っていただきましたので、そういう御決意を伺ったものと理解をいたしまして、違いましたらまた御発言を願いましてけっこうですが、それで進めます。  それから今度は起債の問題であります。そういうふうに補助率を高める、補助単価を実質単価にする、それから交付税で十分な埋め合わせをするということのほかに、そういう対策のほかに、たとえば一つの村を地域的に全部移さなければ環境改善ができないという大きな問題が場所によってはあるわけです。そういうことを遂行するために一時的に急速に資金が要ることがございますが、地方団体が決意を込めてやろうとしても、そういうことが一時的に金が要るためにできないので、そういうことの起債についてはきわめて優先的にこれを認可していただく。またそれについて他にも例がございますから、起債についての利子補給というものをどんどん推進していただくということが必要ではないかと思うわけであります。それについて自治大臣のひとつ前向きの御答弁をぜひお願いをいたしたいと思います。
  358. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 起債の扱いについても、同和対策としてはいままでだって別個に——まあ八木先生としておっしゃるならば不十分だと言われるでしょうけれども——別扱いをしておったことは御存じのとおりでございます。しかし何もかにも含めて今度新しい措置法ができるわけでございまして、これはずいぶん同対審の実現ということでいろいろなことが盛り込まれるはずでございますし、そこでまたひもつきであれ、何であれ新しい措置法に一つの財源が見つけられるなら、それを実際行ないますのは、地方公共団体が自分の責任においてやることになると思うのです。ですから、そういうことも含めて、やはりむしろ自治省というよりは、新しくできる特別措置法と十分関連を持たして自治省のほうでも交渉していただく、そういうことになろうかと思います。
  359. 八木一男

    八木(一)分科員 特別措置法も法律でございますから、あらゆる場合を想定してこまかい条文をつくっていただくことは幸いですけれども、そうこまかいところまで、これを優先的に回すというところまで入った条文は常識上出てこない。だから、そういう精神でやるべきだというようなことで、もちろん補助率を何割以上、それから交付税で安全に埋めなければいかぬとか、起債についてはきわめて優先的にやらなければいかぬとか、そういうことが出てくることを期待をいたしますが、それにしてもきわめて優先的ということは、やはり自治省の認可申請に対する扱いの問題になります。そういう点でさっき申し上げたような趣旨ほんとうにこれを進める意味で起債の優先的な認可とか、利子補給という問題をやはり自治省として進めていただく、そういうぜひ前向きな御措置を要請をしたいと思うわけです。そういう意味でひとつ十二分に前向きの御答弁をお願いします。
  360. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 また十二分——二分だけよけいになったわけですけれども、八木さんのお考えはよくわかるのですよ。だから利子補給云々というその具体的な問題をおっしゃらぬでも、とにかく十二分と言って、十分というところまで私たちはやりたいという決意を持っておるわけですから、これから前向きで十分努力をいたします。
  361. 八木一男

    八木(一)分科員 再三熱意のある御答弁をいただいてけっこうであります。非常にしつこいようで恐縮でございますが、何ぶんにも何百万の方々の何百年来の問題を解決するときでございますから、りっぱな政治家でございます赤澤先生をはじめ皆さま方の御熱意で急速にやっていただくようにぜひお願いをしたいと思います。ことに地方公共団体が熱意を込めてやっておられますけれども、特に自治省としても行政局長の管轄でございますが、大臣からお答えをいただきたいと思いますが、ぜひあらゆる意味で地方行政団体がこれを前向きに急速に十二分にやるようにひとつ御指導をお願いいたしたいと思いますし、それからもう一つ、これは自主性がありますが、自治省でいろいろ御相談があると思いますが、そういうような自主性をもちろん尊重しながら熱意を込めてやられるように御指導と御連絡をいただきたいと思います。  それから中央、地方を通じてそれに必要な部局については整備をしないと、これは問題を進めることにならないと思います。中央にも整備はまだ少のうございます、同和対策協議会ができたり、閣僚協議会——これは出動をいたしておりませんけれども、そういうものもあります。それ以上に地方自治団体で、府県なり市町村でそういうような機関をつくって推進をするように御指導御連絡をいただきたというふうに考える次第でございます。ぜひその点についてまた前向きの御答弁をぜひお願いいたしたい。
  362. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 具体的にどういう形になるのか、いまちょっと私判断しかねますので、しかし御趣旨はよくわかりますから、重ねて申し上げますけれども、同和対策の必要性というものは私らも十分認識しておりまするし、十分前向きで検討いたしたいと思います。
  363. 八木一男

    八木(一)分科員 これで質問を終わります。自治大臣はじめ各政府委員の方々の御熱意に感謝をします。非常な御努力を期待をいたしまして、要請をいたしまして、終わりたいと思います。  なお、聞いておられた大蔵省の主計官の方は、ほうぼうで申し上げておりますが、この問題についての予算財政硬直化というようなことでびた一文も削らるべき性質のものではない。それからあらゆる点で大蔵大臣がいま論議にありましたようなことについてお約束をいただいておりますので、大蔵省すみずみまで、大蔵大臣なり総理大臣、また関係の自治大臣の意思に従って大蔵省のほうも御推進になるようにということを申し上げまして、その要望をつけ加えて、きょうの質問を終わらせていただきます。
  364. 田中正巳

    田中主査 小濱新次君。
  365. 小濱新次

    ○小濱分科員 私は京浜臨海重産業地帯の石油コンビナートの災害対策についてお尋ねをしていきたいと思います。  自治大臣が就任される前でございましたが、昨年の五月二十百に消防審議会から石油コンビナート地帯の災害対策に関する答申で総合的な災害対策を早急に樹立する必要があると強く対策の急務を訴えておられます。具体的実施化に対して、ひとつ誠意ある御見解を大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  366. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この前自治大臣をやりましたときにちょうど新潟地震がありまして、御案内の昭和石油火災が起こって、これを消すのにたいへん難儀をいたしました。あのころあっちこっち爆発事故が起こりまして、特に石油コンビナート、大都市の住居の稠密なところにできておりますけれども、こういうところに事故が起こったらたいへんだということで化学消防を充実するということに着手いたしました。その後五、六年経過いたしますが、やっと実が結びかかっておるわけでございます。その対策といたしましてはすでにいろいろ着手いたしておりますし、内容を私から申し上げてもいいですが、長官も参っておりまするし、いろいろな施策が進んでおりますので、消防庁長官のほうから御説明をいたさせます。
  367. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 答申の中からできますことから実行に移してまいっております。  おもな点を申しますと、第一番目はコンビナート地帯所在の市町村消防力の充実でございます。それにつきましては御承知のように化学車、はしご車、消防艇等の消防施設の補助金を、四十三年度は四十二年度よりさらに増額をいたしております。これは主としてコンビナート地帯の消防力を充実するという観点からでございます。  それからもう一つは自衛消防隊の消防力の充実の点でございますが、これは現在御承知のように消防法の施行令で基準が定めてございますが、この基準を現在再検討いたしております。検討の方向はもちろんさらに自衛消防力を強化するという方向でございます。その結論を得ましたならば政令を改正をするということを考えております。  それからその次は、この答申の中で関係企業、それから関係の行政機関、これが連絡協議会を持ってそこの地帯における防災対策を協議するということでございますが、これにつきましては現在各コンビナート地帯の、実態を調査をいたしております。現時点におきましても消防審議会委員の方を班長とする二班をそれぞれ派遣をして、調査をしていただいておりまするが、その調査の結果に基づきまして、さらに個別的にその地帯の防災体制の指導をしていきたい、かように考えております。  それから海上の火災に対処をいたしますために、海上保安庁との間の業務協定を改定する必要があるという意味のことも書いてございますが、これは現在海上保安庁との間にそういう方向で相談をいたしております。近い時期に結論が得られると思っております。  なお、タンカー火災とか海面火災等特殊な火災につきましての研究なり技術の開発の点でございますが、これは一朝一夕にはまいりませんけれども、消防研究所等を督励をいたしましてせっかく努力をいたしておるところでございます。  そのほか大型タンカーの問題がございますが、これは運輸省等で検討をいただいておる問題でございまして、その状況につきましては、私どもはつまびらかにいたしませんが、何か聞くところによりますと、海上交通の安全のための法を現在検討しておるということでございます。
  368. 小濱新次

    ○小濱分科員 私がこれを取り上げたゆえんを少し申し上げたいのですが、川崎、横浜市の鶴見及び根岸地区には、石油やガスの収蔵地帯がございます。川崎のコンビナート地帯の地域を、羽田空港のあの地域に比較してみますと、羽田空港の十倍のところが一連のコンビナート地帯になっている。その中でも特にこの川崎臨海重産業地帯の石油化学コンビナートは、わが国最大の規模を持っておるわけです。そうして驚くなかれ、危険物の施設が五千三百カ所もある。その中には五百トン以上の油タンクが、大きいのは約五万トンぐらいですが、二千二百個建っております。こういう状態ですから、ここに事故が起こるということは、これはおそるべきことなんです。そしてこの川崎コンビナート地帯の総合災害対策については、消防庁としてはどういうふうにお考えになっておられるか。非常に憂えられる現状でございますので、ひとつ決意のほどお聞かせいただきたいと思います。
  369. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘のように、川崎地帯は全国の石油コンビナート地帯の中におきましても最も危険物が集中いたしております地域でございます。ここにおきましては、川崎市の消防が中心になりまして、幾つかの区域ごとに関係の企業と防災対策を進めるための協議会を持ちまして、その区域内の災害がありました場合の対策をかなり詳しく検討をされております。それで私どもはその各地区ごとの連絡協議会を母体といたしまして、さらに川崎地区全体の連絡協議会をもちまして、それに市の消防機関だけでなくて、各種関係行政機関も加わって、なお県等と相互の連絡を密にいたしまして、防災体制をつくるための協議をしてほしいというような指導をいたしておるわけでございます。  それから、川崎市の消防自体の化学消防力の充実の点につきましても、これは市のほうからの要望にこたえまして、できるだけ優先的にこちらの国庫補助等の配分についても考慮するという方針でおるわけでございます。  なお、ただいまお話しのありましたような航空機との問題でございますが、これは地元でも一番心配をいたしておる点でございますが、かつて昭和四十一年でございましたか、川崎市長から運輸大臣に、航空機の航路の規制につきまして陳情をいたし、運輸省のほうでもその趣旨を入れて措置をとられたのでございますが、そのような措置も確実に励行されることを私どもとしても期待をしておるわけでございます。
  370. 小濱新次

    ○小濱分科員 励行されることを心から願っているわけですが、実際それが励行されていないのです。  そこで、きょうは航空局関係は呼んでおりませんが、羽田空港には大体発着機が月間一万機くらいだそうです。これが四十五年には年間十五万機くらいになる。しかもこれは公のものであって、その規制外のものが、その他訓練機であるとか民間機であるとか、米軍が民間機をチャーターして軍用機に使っている、そういう飛行機も羽田空港におりているわけです。こういう現状ですし、それから御存じのように羽田空港は非常に狭い。したがって、ラッシュの状態が間々起きているわけです。また滑走路があくのを待って付近を旋回をする飛行機、また気象条件と安全運航の必要からやむを得ずに川崎の臨海地区を飛ぶ場合もあるわけです。いまお話があったように、川崎市のほうでは今度は観測器もつけました。肉眼での監視もいたしまして、羽田空港とは連絡を密にしております。しかしながら、スモッグだとか曇天だとか、あるいはまた雨天、夜間等の関係で観測不能になって掌握ができない、そういう面もあるわけです。こういうものを入れると、川崎の上空を飛んでいる飛行機の数というものは膨大なものになっていくわけです。  これは大臣御存じかもしれませんが、今度はB滑走路が八百メートルから千メートルくらい海に出ます。たしか百十五億の四十三年度予算で運輸省でいま都に申請中でございます。地元民からものすごい反対をされておりますが、このB滑走路の角度が、川崎からコンビナート地帯上空を通ってまっすぐ飛行機がおりてくるわけです。こういう状態で、事故の件数も、私ども調べてみましたところが、国内で民間機だけでも年間二十二機くらい墜落しております。そのほかに自衛隊の陸海空があり、それから米の軍用機があるわけです。そして自衛隊の飛行機、米軍の飛行機、こういう事故件数を入れますと多くの数字になってくる。御存じでありましょう、きのうは木更津沖に米海軍機が墜落いたしました。羽田の事件を通しても、あるいはまた松山、九州の豊前飛行場の事故等をあげますと、たくさんの数字になるわけであります。  こういう事故状況がございます。こういうことから私どもは非常に憂いを深くするわけでありますが、このコンビナート地帯にもし事故で飛行機が落ちた場合どういう状態になるかというと、原爆並みの大災害を起こすと、県の工業課等の意見を聞いてもはっきり言っております。またその被害は、川崎はおろか横浜から東京にも及ぶであろう、このようにもいっておりますが、こうした問題について、その対策は思い切った勇断を必要とすると思うのであります。これは具体的な問題じゃなくして、これからの決意の問題になっていくと思いますが、これは自治大臣からお答えをいただきたいと思います。
  371. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 飛行機が人家稠密の上を飛ぶということは望ましいことでありませんけれども、しかし現状においてはやむを得ぬ面もありますし、私どもたびたび羽田空港は利用しますが、やはりその配慮があるのかどうか、着陸は必ず海のほうから進入してくる。展根をすれすれに通って着陸したことは、私の記憶にはございません。それはいろいろなそういう事故に対する配慮もあるからだと思います。  それから、万一石油コンビナートのま上に墜落したらどうかという御心配です。原爆並みの被害とおっしゃいますけれども、私は質は違うと思いますが、しかし、いかなる爆発事故がありましても被害を最小限に食いとめるためには、やはり少なくともああいう化学工場を経営いたしておりますものは、自衛的な意味でも消防その他危機に直面してとる措置についてはいろいろ配慮もしておりますし、またその指導官庁として通産その他——消防庁はもちろんのこと、それぞれ監督官庁がございますので、できるだけ被害が住民に及ばないという措置は講じてあるはずでございます。しかしながら、だんだんこういう地域がふえてまいりますし、なお今後こういった化学関係消防につきましては、さらにもっと研究を進めていかなければならぬと考えております。
  372. 小濱新次

    ○小濱分科員 大臣の乗られた飛行機は幸か不幸かそういうところは通らなかったということでありますが、御存じのように、あそこはABCの滑走路がありまして、あなたの乗るような飛行機は、いわゆるCクラスの滑走路におりるわけです。海のヘリに沿った一番新しいやつ、そこには騒音もなるべく民家に遠くなるような設備がしてある。そこにおりるわけです。だから通らない。  ところが、あとは、数も出ておりますが、ものすごい数がその上空を通るわけです。そのことについて大臣は確信をお持ちになっておられるようでありますが、そのタンクの中には塩素ガスタンクがある。これを調べてみましたところが、京浜地帯に大きな会社が十一ございます。そこには大体二百五十トンくらいの大きなタンクがございます。この塩素の危険性については御存じであろうと思うのでありますが、塩酸となる危険性もありますし、あるいはまた脱水作用を起こす力もありますし、また塩素は大気中のものを人間が吸うと粘膜がおかされますし、これは有毒であります。その被害状況について私が原爆並みと言ったのは一つの例があるわけです。これは三十九年九月でありますが、富山市の化学工場において、塩素ガスが三十トンタンクの中で五百キロくらい漏ったらしい。それが千メートルくらい円形を描いて、空気よりちょっと重いものですから、地面をはってざあっと流れていくわけです。この被害状況が書いてあるのがございますが、わずかのキロ数であってもそれだけの被害を受けるわけです。したがって、京浜の二百五十トンのタンクがもし次々と爆破されていくようになれば、これは県の工業課の調べでありますと、川崎から東京の宮城まで、三十トンのタンクで被害をこうむるであろう、そういう話も聞いてまいりました。  こういうことで、その被害の起きた結果というものは非常に憂えられる状態になるわけであります。こういう点で危険性を重大視しまして私はお尋ねするわけであります。きょうは通産省関係は来ていないようでありますから、ひとつ自治省関係の方にお尋ねしたいと思いますが、消防庁長官、こういう問題がありまして、タンクにはいろいろな種類がある。その被害を受ければどういう結果になるか。もう誘爆していくでしょう。そういう危険性を感じて、私は原爆並みの被害が想定されると、このように申し上げたわけです。この対策についてはいろいろお考えがあると思いますが、長官としての決意が必要であろうと思います。お答えいただきたいと思います。
  373. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生の御指摘になりましたように、最悪の事態が起こりました場合を予想いたしますと、いろいろとなお検討をいたさなければならない問題が私も多いと思います。ただいま例におあげになりました塩素のことにつきましても、これは法制上は高圧ガス取締法の適用の対象になりますものですから、消防庁としてはあまり検討をいたしておりませんけれども、これはみな同じようなところにあるわけでございまするから、今後さらに関係省庁ともよく相談もしまして、この対策につきましては、なお努力をするようにいたしたいと思います。
  374. 小濱新次

    ○小濱分科員 指導育成は、これは所管が違いますが、被害が起これば当然出馬しなければならないわけですね。  特に、もう一つ想定されることは海面火災です。先ほども長官が言われましたように、海に流入する油、先ほどの話は薄いから——いろいろここで消防に関する質疑があって私もうれしく聞いておりましたが、これが厚い場合にはどういう結果になっていくのか。そういうことにおいて船舶の安全性ということを考えていかなくてはなりません。川崎のほうでは、小さいのまで入れますと、一日大体二千隻あるそうです。横浜あたりですと五千から六千隻あるそうです。そうすると川崎の場合、水道を出ていくのにはやはり三十分かかる。引き船も少ないです。二十五から約三十ぐらいしかありません。そこで油が流入し、海面火災になっていったときには、その船は避難をしなければならないわけです。引き船がない。どういう結果になっていくかということで、これは科学消防力の強化を促進する以外にないわけです。先ほどいろいろ話がございました。もっともっと私は力を入れていただきたいと思いますが、こういうことについて調べてみますと、東京湾内の科学消防の能力はまことに低いように思います。これが現状と対策について、ひとつ簡単に長官からお答えいただきたいと思います。
  375. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 東京湾内の状況につきましては、なお十分ではございません。現在、川崎、横浜、東京、合わせまして化学車が四十二、川崎が四、横浜が五、東京都が三十三車でございます。それから消防艇は、川崎が一、横浜が三、東京が十、こういうようなことでございます。それから自衛消防隊が持っておりまする化学車の台数でございますが、川崎は十九、横浜は十、東京は四、こういうような数字でございます。いずれにいたしましても、いまいろいろと御指摘になりましたような大きな事故が起こりました場合には、これではなおはなはだ不十分でございまするから、引き続き充実するようにいたしたいと思っております。  なお、先ほどのお話の海面火災、タンカー火災でございますが、これも普通のタンカー火災でございますれば、かなり消防力も充実いたしましたし、また技術もその後進んでまいっておりまするので、そう大事に至らずに消火し得ると思いますけれども、昨年でございましたか、ありましたように、トリーキャニオン号のようなああいう大型タンカーの事故がございますれば、消防の現在の力では何ともいたし方ないと思っております。やはりこれは、私どもの立場から申しますると、東京湾の中へ入らぬように、何か航行規制などを運輸省のほうで検討してもらう必要があるんじゃなかろうか、こういうことも向こうに話をいたしておるわけでございます。
  376. 小濱新次

    ○小濱分科員 長官の言われた数字の中で、もう東京湾外へ出ている船も相当いるわけです。湾内にはほとんどいない。したがって、川崎には一ぱいしか常時いないわけです。四十七トンの船一ぱいしかない。あと横浜に三隻あります。小さいです。これが飛んでくるにはやっぱり一時間ないし二時間かかる。東京は十ぱいの中で三ぱいが航行不能で、七はいだけでしょう。東京から行くのにやはり一時間以上かかります。瞬間に起こる大爆発事故に対して、一時間も二時間も航行に時間をかけておったのではどうにもなりません。  そこで、私は長官に強調したいのでございますが、先年わが地行委において消防力の充実強化に関する件の決議をいたしました。私どもも一生懸命質問をさしていただきまして、これが一日も早く推進されますことを願ったわけでありますが、いま申し上げましたような内容でございます。  時間もありませんので、私はこれ以上この問題についてはお尋ねいたしませんが、こうした現状をよくつかんでいただきたい。悔いを残しますよ、事故があってからでは。ここでどんなりっぱな答弁をしていただいても、事件が発生すれば、やはり私どもの責任にもなっていくわけです。悔いを残してはなりません。あすこには多くの人口があるわけです。また大切な産業地帯もあるわけです。そうして災害が起こったときには、経済上の問題も起こるでしょう。これは日本的な損失になっていきます。そういう点で、これは自治省としても真剣に、慎重に取り組んでいただきたい、こういうふうに私はお願いしたいと思います。  もっと詳しくお尋ねしたいのでありますが、残念ながら時間がございませんので、大臣に二つばかりお尋ねいたします。  このコンビナート地帯の災害対策について最大、最良の防災対策というのは、これはコンビナート上空を一機も飛ばせないことが望ましいわけです。これは航空局のほうだ、運輸省のほうだということじゃなくして、これには航空法の八十条がございます。これを忠実に守っていけば希望どおりになっていくわけでございますが、どうかひとつ大臣も真剣にそういう現状を知っていただいて、あるいはまた、先ほど話がありましたように消防艦を視察されたということでありますが、川崎のコンビナート地帯も一ぺん出かけて現状を見、その上でやはり対策を練っていかなくてはならないと思いますが、そういう努力をしていただきたいと思います。  最後に、一つお尋ねしたいのですが、先ほども申し上げましたように、川崎では観測機を設備したり、避難訓練をしたり、肉眼で監視をしたりして、そして指導者も呼んで対策を練っております。飛行機が落ちれば一瞬にして火の海と化し、次々と爆発の大惨事が起こるわけです。よそにない最も危険な地域というふうにもわれわれは考えておるわけであります。こういう点で思い切った対策を練っていかなくてはならないと思うわけであります。いままでお話し申し上げましたような内容をひとつくみ取っていただいて、自治大臣としての御見解を最後にお尋ねしたいと思います。
  377. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は消防を担当しておりますが、火災予防に万全を尽くす、また、火が出たらこれを消す、それから火事に追われて負傷者、死者が出ないように、またけが人があったら救急ということについても十分考慮いたしまして活動しておりますが、いま御指摘のとおりに、大きな飛行機が落ちてきたらどうするかということになりますと、これはなかなか自治省や消防庁だけで検討のできる問題ではありません。しかし、きょうはここへ通産当局も来ておるようですけれども、いま御指摘になった、原爆同様の被害ということで、塩素ガスのことを持ち出されました。これは燃えませんけれども、塩素ガスというのは、いまいろいろ世評の的になっている例の催涙ガス、クロルアセトフェノン、あの原料でもあるし、それを溶解する薬のまた原料、つまり製造の過程で必要とされているものですから、いま聞いてみますと、爆発はしないけれども、やはり皮膚に対して非常に刺激性があるし、あまり濃厚なものを吸収すると粘膜がびらんしたりなんかするということのようであります。これは高圧ガス取締法の制約を受けておるようですが、そこへ飛行機が落ちた場合にどうなるかということになると。やはり心配すれば際限のないことでございます。しかし、これは消防の範囲ではないとはいいながら、関心は持たざるを得ないわけでございまるので、そういった面も通産当局とも連絡をとって、コンビナート地帯に爆発的なもの、あるいは人間の皮膚だけではなくして生命に害のあるようなものはどういうものが貯蔵されてあるかなどということも、あわせてやはり、検討と申しますよりもよく実情を把握しておらなければならぬということを感じた次第でございます。心がまえといたしましては、いま一生懸命でやっておりますので、大体まあ、万全とは申しませんけれども、以前とはよほどそういった施設、また措置等も進んでまいったわけでございます。飛行機が落ちたという仮定も、決して私むだに聞いておるわけでございませんので、あらゆる場合を想定いたしまして対策を講じておきたいと考えております。
  378. 小濱新次

    ○小濱分科員 最後に一言。九州の豊前の事故はタンク群のまん中へ落ちた。一・五メートルぐらい離れてとまったわけです。まあ大惨事を免れました。それから新潟の火災は、三週間燃え続けました。長官御存じでしょうが、大きなタンクは消火能力がないといって燃えっぱなしにしてある。三週間燃えたんでしょう。あれは爆発じゃないですよ。地震です。そうして漏った油が燃えていったのでしょう。あるいはまた海面火災になったのでしょう。周辺一ぱいに油があふれて、そこへ海の水が上がってきて、そうして海面火災になっていったのでしょう。そういうことの事例がたくさんあって、非常に憂えられますので、いろいろと御意見を聞かしていただきましたが、ひとつ今後慎重に御検討を願うことを心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  379. 田中正巳

  380. 内藤良平

    内藤(良)分科員 大臣はじめ皆さん、御苦労さんでございます。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕 私は地域格差の是正のこと、それから地方公営交通事業のことにつきまして、これはこまかくは路線の免許の優先につきまして、それから次にはバスの輸送の優先的交通規制の問題、また起債の問題、大体こういうぐあいに整理してお聞きしたいと思っております。  地域格差の是正、これは簡単でいいんでありまして、各大臣にお答えを願ってまいりましたが、昭和四十三年の予算の編成方針を拝見しますと、施策の重点のところに、この地域格差の是正あるいは解消ということが全然出ておりません。私も秋田の出身でございますけれども、地域の格差の解消、是正はいまだに政治の大きな問題だと思っております。重点的な施策でないということにつきまして非常に残念に思っておりまするが、この点自治大臣としましてどのようにお考えですか。格差の解消のためには大いに御努力を願えるものと思いますけれども、一言だけお答え願いたい。
  381. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もちろん、いろいろな施策を講じてこの格差の是正のために努力はしておりますが、御案内のとおりに人口の移動が非常に激しいために、過密地帯ができるとともに、反面やはり過疎地帯ができるわけでありまして、それに対する措置といたしましてはいろいろなことをやっております。
  382. 内藤良平

    内藤(良)分科員 いや、むずかしいことじゃないのです。私は、赤澤大臣も地域格差の是正について大いにやってくださる、そういうお答をいただければいいんです。
  383. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 当然のことでございます。努力しておる最中でございます。
  384. 内藤良平

    内藤(良)分科員 了解しました。ありがとうございました。  次は、公営企業の中で交通関係のことですが、このことにつきましては、自治省としてもいろいろ御高配を賜わっておるものと思います。ただ、いろいろ問題はむずかしいのでありまして、簡単にいかないことと思います。公営関係という名前、あるいに公共という名前がついてまいりますと、国鉄をはじめ企業がなかなか容易じゃない現状になっておることは明らかでありますけれども、私の出身の秋田市の公営の交通企業の中で、とりあえずこういう面だけでも緩和ができるといいますか、是正ができるならばという声があります。さっき申し上げましたが、市内の路線免許の公営の優先——優先というとあんまりあれですけれども、少なくとも民営と同格くらいに免許の問題を扱ってもらえないものだろうか、こういう声があるのであります。  秋田市内の場合を例にとりますと、市内に民間の会社が路線を持っておりまして、これはいわば市のバス企業よりも、その路線に関しましては先輩格になるわけであります。そこへ市のほうで食い込んでまいるということは、これはなかなか許さぬわけですね。ところが市民の要望は、一民営のバスだけでなくして、市のバスも走っておるのでありますから、市のバスも入れてもらえないか、こういう要望もある。と同時に、最近のバスの企業も非常に経営が困難ですから、やはりそういう路線には免許をほしい、こういうものであります。あるいはまた、秋田市の近辺には男鹿半島という観光地帯がありますが、この地帯にも市営バスの路線の免許がほしいというわけだけれども、民間の企業では、これに対してはなかなかオーケーを与えてくれない。民間でオーケーを与えなければ運輸省のほうでもなかなか免許を下さない、こういう関係になっております。自治省でも公営企業の問題ではいろいろ頭を悩ましておるわけでありますけれども、これはそんなに予算はかからない問題でありますから、いわば運輸省と自治省が話し合いを進めていただければ、残る問題は相手方の会社と企業間の話になるわけであります。何かそういうことでこの面を進めてもらえるならば、これは地方のバスの企業も、公営企業も、内容の充実には一つの方法になるのじゃないか、こういうことでありますが、この関係は、運輸省の方にも御出席を願っておきましたが、おられますか。——自治省の関係の方の御意見も伺いながら、この問題についてひとつお答えを願いたいと思っております。
  385. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 バスであれ、トラックであれ、路線の免許は、御指摘のとおり運輸省で扱っております。公益優先ということはいえますけれども、公営企業優先ということにはなかなかまいりませんので、やはり住民の利便その他諸般の状況を勘案して、最後は運輸審議会がきめると私は承知いたしておりますので、そこらの具体的な事情につきましては、運輸当局来ておられるようですから、お聞き取りをお願いいたします。
  386. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 ただいま先生御指摘のとおり、わが国の路線バスは、企業形態から申しますと、国営、公営、民営の三つの形態によりまして、戦後の道路の発達に伴いまして、現在のような路線バス網というものが形成されたわけであります。この王者はそれぞれの沿革を持ちながら現在に至ったようなわけでございまして、経営は、先生御指摘のとおり、公営であると民営であるとを問わず、現在非常に行き詰まりを来たしておるわけでございます。しかし、一方から見ますと、公営と申しますのは、いろいろ例外はありますけれども、一応都市の中をやっておるのが公営事業でありまして、民営では一般的に郡部のほうの不採算路線を兼ねてやっておるようなわけでございますので、平均的に見ますと、公営企業のほうがむしろ収入面では恵まれておるような実情でございます。したがいまして、ただいま自治大臣から申されましたとおり、路線バスの開設は、住民ないし利用者の需要に適合しておるかどうか、あるいは当該事業会社の事業計画が適切であるかどうかという見地から判断されるべきものでありまして、公営がもうからないから民営に食い込んでいっていいという立場には現在ないと思います。
  387. 内藤良平

    内藤(良)分科員 公営のほうが成績がいいような御発言でしたが、それは全国平均ですね。ぼくらのほうは秋田なんで、一つの地域を考えて話していますから合わないと思いますけれども、必ずしもそういうぐあいにならぬのじゃないでしょうか。これはぼくの感じですから、当たらないかもしれません。ただ、市民感情として、やはりわれわれのバスは走らず民間のバスだけ走っておるという声があるわけですね。この免許の問題につきましては、相手方と話し合いがつけば大体いいということになっているんじゃないですか。この点はいかがですか。
  388. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 話し合いがついているのは、免許の事案のスピードが早いというだけでありまして、話し合いがつくかつかないということには、現在の道路運送法のたてまえはなっておりません。
  389. 内藤良平

    内藤(良)分科員 これは大臣、ちょっとおかど違いかもしれませんけれども、こういう問題を自治省でも取り上げて、突っ込んでみる必要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。どうにもならぬというぐあいにあきらめてしまいますか。
  390. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今度、地方事務官の制度を廃止するということを私たちは急いでおるわけなのですが、なかなか運輸省は乗ってこぬわけでございます。その中に陸運事務所というのがある。せめて地方公共団体の内部の、たとえばバスの停留所の問題であるとか、あるいはタクシーの免許であるとか、そんなものは渡しなさいというのだけれども、それでさえいろいろ理屈を述べておられたわけなんですね。特に路線の免許ということになると、これは陸運事務所を経由するのですか。あれは陸運局から運輸省に行って、運審にかけるのですか。——いずれにいたしましても、いま御指摘のは県内限りのことですか。
  391. 内藤良平

    内藤(良)分科員 県内限りです。
  392. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ですから、こういうものについては、やはり地方公共団体というものをもう少し信用してもらいたい。路線は、長かろうが短かろうが県内単位のものであって、みんな運輸省でなくてはいけないんだということは、私としては異議を持っておるわけなんですけれども、そういった点でもなかなか解決できておらぬのが現状でございます。しかし、各県にまたがる長距離路線の場合は、これは運輸当局が掌握していくことはやむを得ませんけれども、そういった点につきましても、いまおっしゃるような意味だったら、やはり私どもは検討してみなければならぬと考えております。
  393. 内藤良平

    内藤(良)分科員 この問題は、この程度で終わっておきます。  それからバスの輸送優先の問題です。この問題も私たちの秋田市を例にとって恐縮でありますけれども、先般、冬季間ですけれども、交通の渋滞、混雑によりまして輸送効率がどういうように低下しているかということを調べたわけです。雪も降っており、積雪もありますけれども、大体一五%は輸送効率が低下しておる、こういう係数が出ております。積雪の期間ですから、年間に引き伸ばしてみることは当たらないのですけれども、この一五%の低下で年間に引き伸ばして積算してみますと、約一億円くらいの損失になるというあれが出ておるわけです。この交通の渋滞ということが市営のバスの営業、経営にこういうぐあいに影響を考えておるわけです。  そこで、最近全国的にも、大衆輸送の優先のための交通規制ということがいろいろ出てきております。この点につきましては、こういうことがあるんじゃないかと私なりに思います。たとえば、バスにつきましては右折禁止を緩和するとか、あるいは通行を禁止する自動車の範囲を五トン以上にするとか、通行を禁止する時間を広げるとか、交通が著しく渋滞する道路にはバスを優先的に通していくとか、朝夕のラッシュの場合におけるほかの車を規制してバスを優先させるとか、いろいろあると思うわけですけれども、こういうことをやって、そうしていまのこういう係教も出ているわけですから、バス事業に対するいろいろな面での援助をすべきでないか。これは自治省のほうで御努力によっては進めることができるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  394. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは自治省でなくて公安委員会の問題なんです。あなた方秋田県にも県の公安委員会というものがあるわけですから。これはいまでも車種別規制はやっております。七トン半以上のトラックは規制しておりますが、これをいま五トンまで下げるという話ですけれども、五トンということになりますと、これが産業に与える影響が非常に大きいのです。ですから、五トンまで下げるということについては、なかなか地区でも御承諾にならぬと思いますね。それから、バスその他右折禁止のところをバスだけ特に許す、それはきわめて簡単なことですから、その土地土地の事情によって公安委員会でおきめになることもできますし、また、たとえばバスの停留所付近は駐車禁止地帯を長く設けるとか、そんなことは、これまた公安委員会でできるわけでございまするので、ここらによく御協議になれば、お考えになっておることはたいてい実行できるのじゃないかと考えております。
  395. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それが現地だけではなかなかできないらしいのですよ。大臣がおっしゃるようにはいかないらしいのです。だから公営企業のほうの監督と申しますか、いろいろめんどうを見ている自治省の御指導といいますか、何か上から下のほうへこういうことをやったらどうかというサゼスチョンを与えることが必要ではないか、現地のほうではこういう声があるのです。そういうことは必ずしも困難なことじゃないと思うのですけれども、いかがなものでしょう。
  396. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 よくわかりませんけれども、道交法関係は秋田県の公安委員会が掌握しておりますから、なかなかできぬとおっしゃるという意味はよくわかりかねます。ですから、これは実情をよくお調べになって、知事なりあるいは県公安委員長あたりに、あるいは県警の本部長、こういった者によくお話しになれば、それは公安委員会のほうでしかるべく条件を変えていくわけですから、その点は解消すると思います。
  397. 内藤良平

    内藤(良)分科員 ちょっと私の言うのが当たらないのか、ぴんとこないですけれども、市の交通関係の、たとえば市長なりがかけ合っても、この問題はなかなかそう進まないのじゃないかと私は思うわけです。しかし、たとえば秋田市のバスの最高責任者、市長なりあるいは管理者とか局長とか、バスの企業の経営をよくするためにこういうことをやるということは、現地ではなかなか話がうまくかみ合わないのじゃないですか。どこかもう少し上のほうから、自治省あたりから、地方公営企業をもう少し育成するためにこういうこともどうだ、こういうぐあいにでもいかなければこれは進まぬのじゃないか、問題はこういうことなんですよ。そこまでやっていられないと言われればそれまでですが……。
  398. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは、そういうことはないはずでして、道路交通法は警察が所管しておるわけでございます。この運用は県公安委員会がやっておるわけですから、何も国のほうでそういうことを一々指示しなくても、個々のケースはそれぞれ都道府県で措置できるはずでございます。そのことをよく御研究になればそう問題はないはずです。ただ、市長などという立場ではできませんから、やはり市長が知事だとかあるいは公安委員長、県警の本部長あたりとよく御協議なさるならば、その問題は自然解決するはずでございます。
  399. 内藤良平

    内藤(良)分科員 私が現地からいろいろ聞いている話の範囲内では、どうもちょっとかみ合わないのですけれども、大臣のお気持ちはよくわかりました。  それから、最後に起債のことでございますけれども、ことしの予算書の中では、特別地方債というのは六十億ですか。
  400. 細郷道一

    細郷政府委員 一般交通事業の起債は、六十億の予定です。
  401. 内藤良平

    内藤(良)分科員 これは、各公営企業から出ておる要望の全体から見たあれですね。額から見ると一00%はなってないでしょうが、どの程度のパーセンテージになっていますか。
  402. 細郷道一

    細郷政府委員 まだ要望書をとっておりませんけれども、前年におきます実績あるいは要望の程度等を勘案してきめたものでございまして、おおむねこの程度でおさまるのではなかろうか、こう考えております。
  403. 内藤良平

    内藤(良)分科員 大体それじゃ希望に応じてやれる、こういうことですね。何%か押えるという意味ではありませんね。
  404. 細郷道一

    細郷政府委員 全体的にはそういうふうにできるかと思っております。
  405. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それからもう一点、これは要望になりますけれども、再建策につきましていろいろ自省治のお世話になるわけであります。これはまたお世話していただきたいということでおるわけでありますけれども、どうも地方自治体なり公営企業なりにつきまして突っ込み過ぎるのではないか。合理化問題等につきまして、労働協約の問題とか賃金の問題とか、そこら辺までいくかどうかわかりませんが、何かにと地方自治体あるいは地方公営企業の自主性を突っ込み過ぎるようないろいろな指導があるのではないか、こういう声があるのですけれども、その点いかがでございましょうか。
  406. 細郷道一

    細郷政府委員 指導といいますか、善導と申しますか、個々の事業体が、いろいろよその企業体の様子を聞いてみたり、よその実例を知らせてほしいというようなこともございます。また私どもといたしまして、経営をやる以上はせめてこの程度のことはやらないといけないのではないかというような考え方もございますものですから、そういうものを個別に応じていろいろとお話を申し上げておるわけでございます。
  407. 内藤良平

    内藤(良)分科員 時間もなくなってまいりましたけれども、これは要望しておきます。率直に、ざっくばらんに申しますが、いろいろ赤字対策合理化ということでやられるわけですね。地方自治体なり各企業でも一生懸命やっておりますけれども、自治省のほうで、起債の問題にからんで圧力をかけるような印象を与えないようにしていただきたい。これは要望でございます。どうもそういう感じを受けるという声があるものですから、これは要望として申し上げておきます。  時間も一分くらい早いですけれども、委員長に協力して、これで私の質問を終わります。
  408. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 次に木原君。
  409. 木原実

    木原(実)分科員 それでは、せっかく大臣御出席でございますので、本題に入る前に一言お聞きしたいのですけれども、三派全学連に対する例の破防法の適用で、いろいろ御協議をなさったという報道も聞いておるのですが、きょうは自治大臣として御出席と思いますが、国家公安委員長としての御見解をひとつ承りたい。
  410. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは先ほど申し上げましたとおり、所管が法務省であり、またその前段階では公安調査庁が主体となっております。ですから、法務当局のほうで公安調査庁とともに破防法適用という判断を出せば、警察としてはやはり協力するたてまえにあります。そういう形になっておると思います。
  411. 木原実

    木原(実)分科員 本題でないのであまり議論はしたくないのでございますけれども、報道等によりますと、大臣所管の関係では慎重論が強いというふうに聞いておりますが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  412. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この段階では、正式に個人的な見解はちょっと申し上げかねるわけでございます。
  413. 木原実

    木原(実)分科員 たいへん慎重で、場所が違うのだと思います。私は、やはり警備の対象だと思うのです。この破防法という法の性格からいきましても少し見当が違うのではないか。それ以外に政治的な含みがあれば別ですけれども。したがって、ここで破防法適用ということになれば、その局面だけを見ますと、警備力の限界を越えているんだ、こういうことになろうかと思うのです。そうしますと、いまの警察力というのはその程度のものか、こういうことにもなるわけです。お互いどうも学生諸君に引き回されまして、いいおとながばたばたするのもどうかというような場面もありますので、大臣の御見解は、この問題については慎重だ、こういうふうに受け収めたいと思いますが、よろしゅございますか。
  414. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そう自由に受け取めていただいても困りますので、先ほど申しましたとおりに、この段階で私見を申し上げることは差し控えたいと思います。しかし、この間木原さんからいろいろ御質問も受けたわけでございますが、全く手を焼いておるというのが実態です。まあ人の子の親として、なぜああいうものができるんだろうかということを私たちは考えて嘆いておるわけですが、事実ああいう暴力を働いている若い者のおかあさんが何人も来まして、涙ながらに訴えておるのです。現に、うちのむすこはああいう性格じゃないのにどうしてああなったんでしょうと言って泣いております。つかまえてみれば、まだ少年法や児童福祉法の適用者が多いわけですから、それが何か革命を意図して武装蜂起するんだなんというのはどういう根性だろう。私は、この諸君が、いま労力がほしい、たとえば父島の開発などにあの若い爆発的なエネルギーを投入してくれたら、これはたいへんりっぱなことだと思いますが、なかなかそういうわけにもいきませんし、若い諸君がああしてあばれ回るというのも、いまそこで通行人に失明者が出るといったような状態になっておるのもほうっておくわけにもいきませんし、手を焼いておるのが実情です。しかし、木原さんもよく御承知のとおりに法治国でありますから、やはりこういうものはほうっておくわけにはいかぬ。そういうことで、やはり取り締まり当局としては、まあ過剰警備だとかなんとかいろいろな非難を浴びながらでも、責務を果たさなければならぬという立場にあるわけでございます。
  415. 木原実

    木原(実)分科員 いずれ議論をする場所があろうかと思いますけれども、要望としましては、破防法というのは少し筋違いだ。それから警備の対象というものはわれわれはもちろん否定しませんし、十分配慮がほしいと思いますけれども、また、警備だけの問題でもないと思います。そういうことで警察当局としては慎重な御配慮をいただきたい、こういうことをひとつ申し上げておきたいと思います。  本題に入るわけですが、きょうは少し次元の違う問題でございますけれども、関係各省の方々御出席でございますのでお伺いをいたしたいと思います。  実は、一月二十四日でございましたか、千葉県の市原市で三井ポリケミカルという工場の爆発事故がございました。これはほかの委員会等でもすでに議論がなされておるわけでございますけれども、この工場の爆発事故は、幸いにいたしまして死者はございませんし、けが人が四十数名出た、こういう範囲でおさまったわけでございますが、この爆発事故をめぐりまして、われわれは非常にショックを受けたわけです。御承知のように、三井ポリのある工場というのは、いわゆる石油コンビナートのまっただ中でございまして、これはかねて懸念はあったわけですけれども、万一これが連鎖反応を起こした場合、ほんとうに取り返しがつかない事故になるのではないか、こういう懸念もありましたけれども、それは、この事故に限っていえば軽微で済みましたけれども、しかしこの事故の中から、地元としましてもそれから関係各省におかれましても、いろいろな教訓を学びとられたと思うのです。幸いにしてこの事故のあと消防庁それから通産省がそれぞれ現場を視察になりまして、何か見解がおありだと思いますので、通産省並びに消防庁のほうから、その経過について簡単に御報告いただきたいと思います。
  416. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 三井ポリケミカルの千葉工場の爆発事故によりまして、たいへん地元の住民の方々には御迷惑をかけまして遺憾に思います。私どもとしましては、この事故が発生いたしまして、直ちに本省及び通産局、それから県の係官に指示をいたしまして、現地を即日調査をいたしました。翌日、二十五日でございましたか、学識経験者九名よりなる技術調査団を結成いたしまして、二十七日に現地に飛びまして、数次にわたる現地調査と討論を加えまして、二月二十六日に通産大臣あての報告書をいただきました。私どもとしては、この報告をいただきました中にいろいろな対策もございますので、そういう点につきましては、石油化学の連合体であります石化協、石油化学協会ですか、ここに保安係を全部集めまして、その内容を説明して今後の対策を講じさせることになりました。  なお、事故が起こりまして、翌日、千葉県当局は、同工場に対して操業停止を命じております。いずれにいたしましてもこの対策が完備いたしました後に、御承知のとおり、千葉県当局の完成検査がございます。なお千葉県は、チェックした内容につきましては、私どものほうに確認を求めるという方式を慎重にとっておりますが、その上で工場再開に当たる、こういう経過になっております。
  417. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 今回の事故につきまして、私どもといたしましても多大の関心を持ちまして、直ちに技官を二名現地に派遣をいたしました。私自身も、前から京葉工業地帯の視察を予定いたしておりましたので、一月二十九日に現地も見てまいりました。この事故につきましては、いろいろと今後私どもとしても検討すべき教訓を得ております。  一つは、自衛消防組織と公設消防機関との協力の問題でございます。新聞によりますと、消防隊が門前払いを食ったというような報道もなされたのでございますが、この点は、現地の消防本部に事情を聞きましたところ、そのようなことはなくて十分活動ができた、こういうことでございます。ただ、誤解を生みました原因として考えられますのは、隣村から応援に参りました消防団が門前で待たされたそうでございますが、これは、すでに市原市の消防署と会社の自衛消防組織で一応の処置ができましたので、それ以上、中に入る必要がないということで待ってもらったようでございますが、その間の事情を、よく消防団に了解させる点において欠けるところがあったようでございます。  これは幸いにして軽微で済みましたけれでも、今後このような事故がコンビナート地帯で起こることが予想されますので、私どもといたしましては、企業の自衛消防組織とそれから市町村の公設消防機関の共同動作というものを、どういうふうにやっていったらいいかということにつきまして、地元において連絡協議会をつくりまして、ふだんからよく検討しておいてもらうということが必要であると思います。その点におきまして、市原の場合にはまだその協力関係が、いままで必ずしも十分に整っていなかったようでございますので、現地でそういうようなところも指導をしてまいりました。  それから市原市の消防設備、消防力あるいはまた企業の消防力でございますが、いずれもなお不十分だと思っております。市原市は、御承知のようにまだ合併してできて間もない行政機関でございますから、私どもといたしましても、今後市原市の消防強化につきましては、優先的に協力をしてまいりたいと思っております。  それから企業の消防力につきましては、現在の消防法の施行令で一応の基準がきめてございますけれども、最近の状況から考えてみますと、もう少し強化する必要があるのではないかということで、これは現在部内で検討させておる段階でございます。
  418. 木原実

    木原(実)分科員 解決しなければならぬ問題が幾つかあると思うのです。いま長官おっしゃいましたように、各会社が持っておる自衛の消防力とそれから公設の消防力の協力、ただその前に問題が二つあると思うのです。市原市の場合は、ともかく企業があれだけの事故を起こしたのに、その事故の前に企業の機密の優先、これはどうも私ども視察をしまして、会社の従業員の諸君等に対する訓練も、まずその機密優先だ。こういうわけで、自分のところが爆発しているのに、隣から来た消防団を入れない、こういうことなんです。これは通産省の管轄でございますけれども、一体、外資の導入なり外国の技術を入れる場合に、機密のことをやかましくいわれますが、その機密よりも、これは保安のほうが優先をする。承りますと、産業機密は保安の中にはないのだということになっておりますが、事実問題として何かそういう機密を優先にして、しかも保安の問題があとに従う、こういうことがもしあるとすれば、何かこれは外資導入に関するいろんな規定その他の中でも、かなりきちっとしたものを入れてくれませんと、これから新しいこの種の事故はふえると見なければなりませんから、非常に寒心にたえない、こういう点が一点あるわけです。  それからもう一つの問題は、長官おっしゃいましたように、自衛消防隊と公設消防隊の協力ですけれども、必要なのは、たとえば、通産省の保安課長がいらしておりますけれども、県あるいは通産省が、技術的にかなり高度な技術でございますから、技術的に保安のための検査その他の措置を日常やり、そのことにやはり消防のほうが符節を合わしていくという、こういう面、つまり消防並びに関係各省あるいは県なりの、そういう高度な技術を持つ工場その他に対する協力体制というものが、これは非常に欠けていたんじゃないかという心配を持つのですが、いかがですか。
  419. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 前段の外資法との関係でお答えいたしたいと思いますが、御承知のとおり、外資導入につきましては、いま、その内容の審査としまして、国際収支の改善関係、それからその技術が日本の産業に非常に稗益するものであるか、さらに中小企業を圧迫するものかどうかといったような、まさに経済要因の観点から立法されておりますので、外資法の上で、保安審査という点が不十分であるという点は、御指摘のとおりだと思います。ただ、私どものほうは高圧ガス取締法といたしまして、県の許可及び完成検査というルートを通じてございます。かりに外資法の認可がありましても、県の許可、完成検査におきましての審査において、ノーハウというふうなものがかりにあっても、それが提示されなければ許可をすべきではないし、また完成検査の場合にも、それを徹底して実態を十分把握する、その上で納得して、いわゆる完成検査をするというふうに現在でも進めておりますし、また、私どももそういう指導をしております。また、企業側のほうも保安体制のために、いわゆるノーハウなるがゆえに安全性を阻害せしめる、そういうたてまえを持たないという形にしております。私どもは、まさにお説のとおり、保安の前に企業機密を優先する、そういった考え、これは絶対に排除すべきであるということで考えております。
  420. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 企業機密と保安との関係につきましては、これは言うまでもなく人命優先、保安優先で考えるべきでございまするから、消防といたしましては、かりに企業側が入ってきては困るというようなことでありましても、人命を救助するためには、あるいは消火のためには、当然努力をすべきものでございます。先ほど申しましたように、今回の場合、消防隊の行動がそのために妨げられたというようなことはないようでございまするが、一般的な問題としましては、ただいま申したような考え方で今後とも処していきたいと思っております。  それから、三井ケミカルのポリエチレンでございますか、これは高圧ガス取締法の対象になっておりまするので、予防の段階におきましては、これは通産省がいろいろ検査、指導することになっておるわけでございまするが、事故が起こりますれば、当然消防隊が出動することになるわけでございまするから、こういう点につきましても通産当局と私どもでなお一そう連携を緊密にして、防災体制に協力をするという必要があると思います。
  421. 木原実

    木原(実)分科員 特にその辺を強調したいと思うのは、私どもあの工場を見まして、たいへんな資本力のある会社なんですけれども、工場内の建物がまことにお粗末なわけですね。それでけが人なんか出ましたのも、爆発地点よりも、たとえば事務室にいて話をしていた人たちとか、それはガラスの破片でやられているのですが、スレートぶきのまことに簡単な建物が全部、爆発を予想してないというのですか、保安のことを考えないで構内にいろいろな建物が建っている。そのために、けがをしないでもいい人たちがけがをしておる。これは、工場の構造上とかその他のことについては、また別に建築法その他のことがあるのでしょうけれども、しかし、爆発の可能性のあるところというのは、おおむね見当がつくわけですから、それに沿って何か工場の、たとえば構造を変えていくとか、敷地内の建物を一部変えていくとか、いろいろな指導ができると思うのですね。そういう点も非常に欠けている。金のない会社ではないのですから。そういう点を考えますと、ともかくああいう爆発物をしょったような工場が並んでいるのに対して、建設の過程の中でも、それからこれはもう事故が起こったあとではどうしようもないわけですから、事故を優先的に防ぐことが最大の課題だということになると、非常に手落ちがあったのではないか。つまり、せっかく持っておる官庁の技術面での保安対策、それからまた消防のほうで苦心をいたしますいろいろな保安上の対策というものが、あの中にはほとんど生かされていないという印象を受けたわけです。そうなりますと、これからの問題になるわけですけれども、どうしてもいまの、たとえば通産省なら通産省、県なら県の持っている科学技術上の保安対策のレベルと、それから消防の持っている防災上のレベルと同じものにして、その辺が一体になって、あの種のものについては対策を立てていく、場合によれば、やはりそのために強制力を持つということにしませんと、これはたいへんな爆発物をしょった工場でございますから困ると思いますが、いかがでございましょうか。
  422. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 先生御指摘のとおり、いわゆるガラスの破片による切り傷、あるいは場合によっては失明という事態が予想されました。幸い失明には至りませんでしたが、四十六名の負傷者を出すというようなこと。それから、いわゆる衝撃波と申しますか爆風によります被害が一・五キロというところまでございました。その点につきまして十分な対策がないというおしかりは、まことに私ども遺憾に存じております。このガラスの扱い方、こういったガラスの扱い方は、従来——今回の場合でも、実は金網ガラスということは一応指導してなっておったのですが、網目の問題というところまでは十分いかなかった。今後は、いわゆる合成樹脂が入って、かりに爆風が来ましても、こなごなにならないというガラスに全部切りかえをさせることを、現在考えております。それからそういう爆風に対する措置としては、いわゆる内陸側の住民の多くが居住されるところに対しては、一つの障壁という形でこれを防止する。そういうことで保安の確保ということに関しては、現実に即した保安体制をとりたいと思います。  なお、消防庁の云々というお話は、先ほど消防庁長官からお話がございました。私のほうとしても同感でございまして、やはりこういった工場の保安体制は、やれ消防だとか、あるいは県だということでなくして、われわれのほうでも十分知悉した問題に対しては、現地の市町村消防にもよく御連絡し、そうして不断の安全点検と、私どもの安全点検と相呼応して協力していただくというような形で万全を期していきたい、こう考えております。
  423. 木原実

    木原(実)分科員 わかりました。  これは消防庁にお伺いをいたしたいのですけれども、どうもいままでの公設消防体制市町村主義といいますか、地域主義といいますか、平均的に行なわれている面がある。ところが、どうもコンビナートということは最近の現象でございまして、全国であれくらいの石油をしょっておる地域というのが、多分七、八カ所あると思うのです。それから各港々にはたいへん石油タンクがふえてきているとか、そういう地域が、つまり石油なら石油という特殊な地域が、全国で何カ所か指摘できると思うのですね。それらに対しての特別な防災体制、これは消防庁だけの仕事ではないと思いますけれども、しかし、どうしても消防は事後でございますから、そういう特殊な地帯に対するいままでのワクを破った消防体制を確立する、こういうお考え方は出ませんですかね。
  424. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生のおっしゃいますとおりに私どもも考えております。全国のいわゆる石油コンビナートの地帯は、数は限られておるわけでございますが、そこにおきまして、ところによりますると、関係市町村も一市町村だけではない、数市町村にまたがる企業ももちろんたくさんあるわけございます。また、関係いたします行政機関も幾つかあるわけでございますが、これがみなばらばらにやっておりましたのでは、防災体制ができ上がりませんので、私どもといたしましては、地元の消防機関も、またその他の関係行政機関も、各企業も、全部一体になって、一つの連絡協議会のようなものをつくって、防災体制をつくっていく。それには、やはり千葉県のような場合には、県が中心的な役割りを相当持ってやっていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思いまして、県ともいろいろ話をしているわけでございます。  それからなお、消防市町村消防のたてまえでございますので、ところによりますと、消防力が大きな事故に対しましては弱いところがあるわけでございますが、そこの市町村消防力を充実することを私どもは優先的に考えてまいりまするけれども、隣接の市町村の間で協力をしていく、相互援助をしていく、あるいは一歩進めて消防の組合をつくっていくというようなことをぜひしなければならならないということで指導もいたしております。技術的には、市町村消防でございまするから、専門的な能力のある職員が不足していると思いまするが、消防庁のほうにも消防研究所もございますし、私どもの役所にもいろいろ技術者がおりますから、専門的な技術的な助言指導ということにつきましては、さらに積極的にやっていく心要がある、かように考えておる次第でございます。
  425. 木原実

    木原(実)分科員 もう一つの問題といたしましては、ぜひそういう方向で進んでいただきたいのですが、たとえば検査にいたしましても、通産省のほうでは、あの事故のあと以来、検査も二年に一回くらいだったそうですけれども、半年に一回はやりたいというお話も聞きました。問題は、通産省の保安の方が行く、労働基準局が行く、消防が行く、これまたばらばらなんですね。それから一番大事な県段階で、あの種の保安をあずかるには、かなり技術に明るい人が必要だと思うのですが、そういう人たちの人手がないといいますか、そういうような問題、そういうことがいろいろ重なっておりまして、方針は出るけれども、しかし対策ということになりますと、早い話がばらばらになっている。これではせっかくの方向が生かされないと思うのですが、そういうことをきちんとやるためにも、何かコンビナートだけの特別な、ということはなかなか言いにくいのですが、火の玉をかかえておるわけですから、せめてそこだけでも、かりに三つの保安のルートがあるならば、それが一体となって有効に動けるような、何か協議の体制はできませんか。
  426. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私どもと通産省あるいは労働省、それぞれ保安の役所が分かれておりまするものですから、従来、それらの間の連絡が必ずしも円滑にいっていないということの御指摘も受けておりますし、私も率直に、現状にそういう点があると思います。先般、LPGの問題につきまして、通産省といろいろお話し合いをいたしまして、新しい立法もいたしたわけでございますが、その他の問題につきましても、御指摘のように、もう少しお互いに意思の疎通をはかり、また消防といたしましても、予防の段階でもう少し適応できるような方向で一つ関係省とも相談してまいりたいと思います。
  427. 木原実

    木原(実)分科員 通産省の保安課長さんにお伺いいたしますけれども、通産省が持っておる保安対策上の技術、これはたいへん高度な技術を持っておるようですけれども、そういう技術的な基礎に基づいて、何か官庁の三位一体ですか、共通の防災方針、そういうものを持ってやるという御方針はございますか。
  428. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 いわゆる各省いろいろ所管があるということで、検査がある程度ばらばらになっているという点のいろいろの御指摘がございました。私どものほうといたしましても、いま消防庁長官からお話がございましたように、いわゆる私どもの立場でする施設検査、消防のほうの立場でする検査もございますが、できれば、そういうものが同一のある期間に一斉に行けるという体制が一番望ましいと思います。  また、現地の消防の機動力、これは御指摘のありました県の場合には非常に人数が少のうございます。千葉県の場合には、私どもの標準体制から見て現在維持しておりますが、コンビナートの今後の発展を考えますと、なお人員の充足が必要であるという感じもございます。これはやはり地方財政の面もいろいろありますので、十分にはいかない。そうすれば、やはりいわゆる消防力、機動性というものを大いに活用していただきたい。それにはやはり消防のほうの技術的な水準を上げていただく。これには私どもも、あるいは県当局も十分御協力をして、そういう体制に持っていきますし、将来一つの体制ができますならば、むしろそれぞれの検査というものによってお互いに通報し、それで一つの検査体制が——簡単にいえば、消防が検査したものでも、県の保安検査として十分合格されるというような見方をしていくというような形の世界をつくっていきたいというようなことを私どもとしては現在考えておりますが、今後各省ともいろいろとそういう話をいたしまして、合理的な、保安の万全を期せるような行政にまとめていきたい、こういうように考えております。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕
  429. 木原実

    木原(実)分科員 それでは最後に大臣に、だいぶおくたびれのようですから、一言お聞きいたします。  災害の問題はこれだけに限りませんで、たいへんだと思うのですが、いずれにしましても、石油をたくさんかかえまして、工場がつながっているような地帯がございます。いまお聞きのようなことになっているわけであります。そこでひとつお願いしたいのは、県段階を見ておりますと、技術官に対する待遇があまりよくないのですね。第一、人数も少ない。人数の少ない上にもってきて非常に大きな仕事をしておりますのに、どうも待遇がよくない。したがって、ときどき人数が足らなくなるという問題が一つあるのであります。そういうことで、結局、お互いに責任を少しずつ横にやり合うというような傾向があるわけであります。ですから、これは全国一律にというわけにはいきませんけれども、特殊な地域をかかえたところの、必要な特殊な技術官、そういう人たちに対する県の人間の待遇の問題ないしは確保の問題、そういうことについて万全を期するように、ひとつの大臣の格別な御配慮をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  430. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 科学消防なんかの面では、言うまでもなく、技術者が始終そういった面には配慮しておりませんと不測の事故が起きますので、おっしゃる意味はよくわかりますが、地方も、やはり国と同じように、財政的に技術者を優遇するところまでまだなかなかいっておらぬようでございます。しかし、たとえば千葉県のような、あるいは京浜工業地帯も同じですけれども、こういう危険物の密集しているような地帯は、特にそういった意味での常時の監視も必要でございまするし、そういった方面につきましては十分配慮してまいりたいと思っております。
  431. 木原実

    木原(実)分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  432. 田中正巳

  433. 唐橋東

    唐橋分科員 私の質問は、先回の地方行政委員会において質問いたしました高速自動車道用地取得事務の、府県と道路公団との協定について、さらにお伺いするわけでございますが、御承知のように時間もございませんので、非常に簡単にお伺いしたいと思いますので、御答弁も、ひとつ簡単に明白にお願いしたいと思います。  前の質問は繰り返しませんが、この問題は、地方自治体を道路公団という一つの事業団の下請化する性格があり、そして地方自治法に何ら根拠規定もなくて、単に道路公団規定の中にある一項目によって締約されておるという問題を述べ、さらにまた、それに伴う超過負担が現在出ているんじゃないか、こういうような問題を提出しました。ところが、御承知のように速記録に残っておりますが、大臣は、「私、気がつきまんでして、初めてそういう案件を承ったわけでございますが、非常に重大なことでもございますので、至急に検討いたしまして、正確なお答えをいたしたいと思います。」という御丁寧な答弁をいただいていたわけでございます。したがいまして、それに引き続いて質問するわけでございますが、第一には、この前明らかになりましたように、この種の協定をするに対して、地方自治体の指導的な立場を持っておる行政局として相談を受けておりましたか、こういうことに対して相談は受けていなかった、あとで調べてみますと、自治省の官房におきまして、建設省と相談があったことがわかりました。こういう内容でございました。そういうことで、私はその程度か、こう思っておりましたら、実はこのことが福島県のきのうの県議会で問題になりまして、その新聞は地方新聞ですけれども、民友、民報というのが福島県内の二大ローカル紙です。それにトップ記事として「自動車道の測量費で波乱、立て替えは違法」、こういうようなことで議論になった場合に明らかになったのは、自治省と建設省大蔵省がこの種の件で実は覚え書きを交換しております。その覚え書きの内容は一年、二和ということで、いろいろ公団から出す費用は少ない年もあるだろうが、あるいはまた多い年もあるかもしれない。しかし、全体を通じて地方財政に負担をかけないようにするんだ、こういうような覚え書きがある。だから立てかえも、私はこの前は超過負担、こう申しましたけれども、実は立てかえであって、あとで解消するから超過負担にならないんだ。こういうことが明らかになったわけでございます。そういたしますと、何かこの前の答弁では単に官房のほうに連絡がございました、こういう程度以上に、地方財政の中で大蔵省と自治省と建設省が覚え書きを交換しておる。こういうことが実はある。こういうことなので、先ほど私は建設委員会に行ってこのことを聞きましたら、事実ございました。こういうことで、それを提出してください、提出いたしますが、古い覚え書きなのでいま調査中なので、いまの時点ではちょっと間に合いません。こういうような御答弁なんですが、どうも私はその点しっくりしないんです。  ですから、自治省のほうもこの覚え書きのもとに指導していたのかどうか、この点をひとつ明白にお聞きしたいのです。
  434. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私がこの前お答えしたことをお読みになってのことでございますから、私、その後詳細調べたわけではございませんけれども、その後ちょっと聞きまして、私が受けた感じを申し上げておきたいと思います。  これは道路公団が道路を建設いたす際に、事務の手伝いであれ何であれ、そこの住民の利便のために社会資本がここに大きなものができるわけですから、それに協力するということは、やはり地域の公共団体だって、あるいは地域住民だって、していいと思うのです。ただ私は、おそらくその前提としては、乏しい地方財政から何か持ち出し分がかりにあったといたしますと、私としては非常に困るわけなんです。もしそういう事実があるなら、これは厳重に実情を調べて、自治省としてはとるべき態度をきめなければなりませんので、そういった意味で申し上げたと思います。御理解をお願いいたします。
  435. 唐橋東

    唐橋分科員 大臣の意思はわかります。それで福島県が本年度にどれだけ持ち出しをしておるかという問題を調査いたしましたら、道路公団から現在までいっているものは六百三十三万五千円、そうして県費として持ち出してあるのは事務費、人件費を含めて四千六百八十四万二千円、こういう計算が県議会の中で明らかになりました。しかもその中で福島県側の答弁は、これは福島県だけでございません、栃木県は五千万円、宮城県も千五百万円以上の立てかえをしております、こういう答弁が出ているのです。そうして福島県は、建設省に聞いたか、自治省に聞いたか、ともかく県議会の中でこれだけ明らかになったとするならば、いま東北自動車道関係の中でこの年度——それは四年後にはこの覚え書きの問題であとから金がいく、こういうことになるかもしれませんけれども、いま単年度でこういうことを許しておけるのか、こういうこともあわせて。前の御答弁の覚え書きがあったかどうかということは事務的なものだと思いますので、そちらのほうの御答弁をまずいただいて、そうしてこういう超過負担の実態と、あとは事務当局としてどれだけつかんでおるのか……。
  436. 細郷道一

    細郷政府委員 実は私、その事実を承知しておりません。いま伺って初めて承知したような次第でありますので、さっそく調べて善処したいと思います。
  437. 唐橋東

    唐橋分科員 たいへんですね。実は私はそう思っていたんです。この前の地方行政委員会で——覚え書きがあるということが県議会で明らかになった。先ほど建設委員会に行って、そうして覚え書きがありますかと言ったら、あります。文書で出してください、出しますと、こうなっておるのです。しかも、そういうのを自治省として知らないとするならば、これをあとからもいろいろ私は自治法の会計年度の問題でやりたいと思うのですけれども、これは少し私は了承できないですね。覚え書きの記憶がいまのところ全然ないですか、あるのですか、どうなんです。しかも自治省と大蔵省建設省が覚え書きを交換して、これは覚え書きとなっていないかもしれませんよ。どういう見出しになっておるか、あるいは申し合わせとか何とか。しかも成文化して出してください、出します、となっている。
  438. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その覚え書きというものの内容をよく見なければ何とも判断できませんけれども、おそらくはその覚え書きの内容が、土地買収だとかあるいは若干の事務の手伝いをするという意味であれば、私はやむを得ぬことだ、ただ乏しい地方財政の中から何か持ち出しを意味するような覚え書きであった場合は、そういうものについては私たちは了承できないわけでございまして、厳重に調査してみたいと思います。
  439. 唐橋東

    唐橋分科員 その内容は私も文書で見ていないから、この質疑の中で明らかになりましたのは、たとえば初年度は必ず赤字になります。二年度も赤字になるでしょう。しかし三年目には事業費の、いわゆる買収費の三%がいきますから、それで採算がとれるのです。そういうことをやってよろしいという意味の覚え書きなんですということです。  時間がありませんから進めますが、だとするならば、地方財政法の十九条と二十条に、国庫支出金はその時期におくれないで出さなければならないという条文がございますね、それにも違反してくるのじゃないかと私は思う。さらに議論を進めますが、それならば三年、四年買収にかかりますから、そうすると、一年目は足りない、多く来ても返すことはないのだ、こういうことなんです。そうすれば、単年度決算という地方自治法二百八条の疑問が出てくるわけです。さらに、それならば継続費にするのか、継続費にしていくならば二百十二条に出てくるのですよ。二百十二条には、継続費にするならば必ず継続費として県議会にかけなければならない。つまり県議会に継続費としてもかかっていない。そして、時期におくれないように出さなければならないという地方財政法十九条、二十条はやっていない。こういうことになります。いまの私が言った福島県の数字だけは正確です。あとで内容等も出してくださいといえば出します。そうすれば、出納長がそういう金を出すのに、何の名目で出せるのです。しかも福島県などは、五十五人の東北自動車道対策室という室をつくって、一切かかり切りなんです。その人件費その他一切これは公団で持ちます、こうなって発足しているのです。そしてそれがたった六百万しか来ない。四千万かかっている。人件費だけで三千万かかっている。そして、その人件費を出納長が判こを押して出すのに、これはどんな名目で出るのですか。
  440. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと、話だけですと、中身が実はよくわからないわけでありまして、県の仕事か、公団の仕事かという問題も一つあろうと思いますし、それからその間に委託契約か、あるいは請負契約をしているのかといったふうな問題もあろうかと思います。  財政法第十九条及び二十条につきましては、御承知のように、それぞれの年度において支出すべき財源については、国でこれを出すように、こういう規定でございますから、その財政法十九条ないし二十条はまさにおっしゃるとおりのものであろうと思います。
  441. 唐橋東

    唐橋分科員 こうなっているのです。県と道路公団との契約書の協定内容を見てみますと、第十条に、乙というのが県で甲が公団です。「乙は、用地事務を完了したときは遅滞なく完了通知書を甲に提出し、精算するものとする。」こういう条文がある。そうすると、用地事務を完了しないうちはいまの形式をとります。とりますその根拠は、自治省、大蔵省それから建設省の申し合わせなんです。さっきの覚え書きなんです。だから、三年かかろうが、五年かかろうが、最終的に精算すればいいのですというふうに県では受け取っているのです。あなたたちの行政指導の中で、そういうことが許されますか。
  442. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、実は私、その覚え書きに記憶がございませんものですから、お答えがずばりいかないのでたいへん申しわけないのでございますすれども、契約のしかたがどんなしかたであったのか、契約の内容にもよることだと思いますので、さっそく具体的な事例をよく調べさせていただきたい、かように思います。
  443. 唐橋東

    唐橋分科員 わからないと言われれば、質問を進められないのですがね。この問題は速記録があります。私が取り上げたのは十二月の二十二日、その前にやはり同じ地方行政委員会で八百板正委員が取り上げたのです。そしてこの問題を議論し、そして二十二日には超過負担の問題——覚え書きで超過負担にならないというのですが、私は超過負担になっていると思うから、そういう問題を取り上げまして、そこで建設省が来ておりましたが、「委託事務費につきましては買収委託費の三%以内ということにしまして、これは年間の計算でなくて、完了までの総額に対してその経費を見ようということにしております。したがって、年度別に見れば多少の過不足は出ようかと思いますが、用地買収進捗の状況というものは年度当初つかめませんので、一応計画に合わせてそういう支出を認めようということにしております。」こういうことです。あなたはこの前の地方行政委員会にいたのですか。地方行政委員会の記録なんですよ。ですから私は、その後日時がたっておるから相当明らかになったであろう。福島県でさえ栃木県と宮城県のものは知っておるのですよ。それも私が出納長であるならば、どうしても判の押せないような性格になってしまうのですよ。こういうのを許しておいて、知らないといえばそれまでですが、建設省のほうでは覚え書きはやりました、あとで文書を出しますと言う。私はここに持ってこようと思って、来る途中政府委員室に電話して至急出してくれないかと言ったら、道路局の課長から、やったことはあるのですが、調査中なので待ってくださいと言う。私は、最初に申しましたように自治省では知らないものだと思っていたのです。私もそのとおりすなおに受け取っていたのです。そうしますと、きのう福島県議会の中で、この見出しにあるように、出納事務ができないのじないかというところから出発して、それが違法でしょう、こう言ったのです。そしたら福島県の総務部長は、違います、大蔵省、自治省、建設省の覚え書きがあるのです。だから私は出しました。そして初めて私に連絡があって、私もそういう覚え書きがあろうとは思わなかったのですが、それでさっそく一時からの建設委員会に出していただいて、覚え書きがありますかと言ったら、ますと言う。
  444. 田中正巳

    田中主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  445. 田中正巳

    田中主査 速記をつけて。
  446. 唐橋東

    唐橋分科員 それならば、いま確かめていただくことにして……。覚え書きの中にそういうことがあったということで、県自体は支出しているのです。それは建設委員会で認めました。それを認めたとすればこういう問題が出てくるのです。そうすると、三千万円も四千万円も財政支出して足りない分を、三年後に入りますという財政的な——あるいは、あとは来年入ります、福島県の場合は、来年の予算では大体四千万かかるところに、公団からの収入は五百三十三万しかないのです。これはいわゆる地方財政法違反です。四十三年度の見込み額が五百五十万、こうなっておるわけです。そうしますと、地方財政法に違反した支出が本年度行なわれておる。私はこういうふうに解釈せざるを得ない。具体的に言いますならば、出納長として、現金支出をどの項目で出納命令を出すのです。出しようがないでしょう委託費は来ない。
  447. 細郷道一

    細郷政府委員 一般論としては、歳出予算が組んでございますれば、その範囲内の支出は可能でございます。
  448. 唐橋東

    唐橋分科員 そうしますと、たとえばいま明らかになりました福島県の場合は四千六百八十四万二千円。そうして福島県議会で一これは総務部長の答弁ですから、あるいはどこからかの資料で不正確であったといたしましても、栃木県側は五千万ございます。宮城県は千五百万ございます。こういう立てかえ金はどういう項目で支出できるのです。
  449. 細郷道一

    細郷政府委員 立てかえ自体は、契約で立てかえることになっておりますれば、あと予算の科目としてそれだけの額を計上してある場合、その範囲内の支出はできると思います。
  450. 唐橋東

    唐橋分科員 範囲内でしょう。範囲を越えた支出はどうなるのです。
  451. 細郷道一

    細郷政府委員 財源との見合いということでございますと、そこは立てかえ払いでありますれば、それに見合うべき財源が来ない場合でも、歳出が組んである場合にはその範囲の支出はできる、こういうことだろうと思います。
  452. 唐橋東

    唐橋分科員 さらに明らかなことは、四十三年度の見込みまで出しておるのですよ。今度、県の予算では五百五十万しかない。
  453. 細郷道一

    細郷政府委員 いずれにいたしましても、歳出予算にないものは支出できない、これはもう御承知のとおりであります。
  454. 唐橋東

    唐橋分科員 そうすると、違法の支出ですね。
  455. 細郷道一

    細郷政府委員 予算歳出を超えまして出すこと自体は違法でございます。
  456. 唐橋東

    唐橋分科員 そこで明確になりました。  それならば、このような違法な支出を今後どうすべきか、しかもそれはあの契約条項に出てきます府県が軒並みあるんじゃないか。福島県でつかんだのがたった二件。だとすれば、いま各地で——東北自動車道路の契約しておる県はずいぶんありますよ。いま契約が成立しておる県は、東北道関係では埼玉、群馬、栃木、福島、宮城。中央道関係では山梨、長野、岐阜、愛知。北陸道では福井、石川、富山。中国道では兵庫、岡山、山口。九州道では福岡、佐賀、熊本。これだけが道路公団と県が契約をしているのです。その契約月日もわかります。そうしていまのような情勢の中ですべて行なわれておる。こういうことが私は財政法違反だということを言っておるのです。
  457. 秋吉良雄

    秋吉説明員 私も的確な御答弁ができないかと思いますが、ただいま御指摘になりましたような覚え書きについては、実は私、地方財政を担当して二年間やっておりますが、私の記憶では実はないのであります。  それはそれといたしまして、ただいま地方財政法違反ではないかという問題の御指摘でございますが、先ほど財政局長が御答弁いたしましたように、予算で承認を得た範囲内であれば、それは当然支出は可能であることはもちろんでございます。それが来年公団から支出を受けるという前提でそれを当該年度において歳出に組んでそれを支出する、これも当然地方財政法違反ではない、こう思っております。
  458. 唐橋東

    唐橋分科員 組んでないのです。それが、たとえば、はっきり申し上げますと、福島県の今度提出されている県予算をとってください。これは自治省でとれるでしょう。そうすると、県職員五十五人の対策室を設けて、御承知のようにあれほど——自治省のほうではあまりわからないかもしれませんが、建設省のほうでは手をやいておるほどの反対運動があるために、昼夜兼行でその対策に当たっておる。そして、旅費もありますよ。しかも、室長以下五十五人の対策室員が専門にかかっておるのです。それに対して四十三年度の予算が五百五十万。そうして道路公団では本年度分は五百五十万です。それは三年後、四年後には達成いたしますから待ってください、それはこの契約書のとおりですといって、第十条が出ておるわけです。全くおかしいのです。
  459. 田中正巳

    田中主査 速記をとめて。   〔速記中止〕
  460. 田中正巳

    田中主査 速記を始めて。
  461. 唐橋東

    唐橋分科員 これについて私は質問してなかったのですが、超過負担については重大なことなので至急検討いたしますとは大臣答えているわけです。そうすれば超過負担の実態、超過負担は、私はいまの数字をあげましたから、これは少し前の数字と違うので多少全額は違います。きのう明らかになった数字と私がこのとき申し上げた数字は違いますけれども、このような超過負担が出るのじゃないか、だから超過負担についてはひとつ御調査願いたい、こういうことについて至急調査をいたしますということの答弁があるんですから、いまのようないわゆる持ち出しをしているかしてないかは、当然つかんでいなければならないと思う。
  462. 細郷道一

    細郷政府委員 至急に調査協議をいたしましてお返事を申し上げます。(「いつまでだ」と呼ぶ者あり)できるだけ早くいたします。
  463. 田中正巳

    田中主査 速記をとめて。   〔速記中止〕
  464. 田中正巳

    田中主査 速記を始めて。
  465. 唐橋東

    唐橋分科員 いま横山理事のほうから話があったような形でこの問題を静めていただいてけっこうでございますが、ただその場合、もう四十三年度予算に——繰り返すようですが、もう五十五人のこの対策室の人件費やその他があるのに、いまのように五百五十万の予算しか組めない、こういうことではやっぱり許しておけないと思うので、四十二年度の会計年度は、決算期は地方自治体は五月期と思いますから、やはり四十二年度はそこでできるだけ精算させ得るようにして、県に負担をかけない。そして今度いわゆる四十三年度予算については、あらためて県のほうから、これだけの費用がかかりますという経費は必ず出てくると思いますよ。それはやはり道路公団で交付させていく、こういうことでなかったならば、地方自治体というのはいつでも立てかえ払いをしなければならないということになりますので、この決算期までにやはり四十二年度の決算をするということ、それから四十三年度の予算にはやはりこの関係都道府県から、もう一度その事務費の実質見込み額を出させて、それに応じた支出を公団でする、こういうことを明白にさせていただきたいそうでないと、道路公団の意向をいま確かめてみますと、御指摘の全国一律六百万という配分のしかたをしいているんですよ。路線の違うところはどうかと思いますけれども、たとえば東北自動車道の場合には六百万円です。いま買収に入って初年度ですから六百万。こんなやり方をやらせておくからこそ、いま申し上げましたように、栃木県は幾ら、宮城県は幾らという立てかえ払いが自然に出てくる。ですから、この二つの要望をいれられるかどうか、そういうことによって、いまの理事間の話し合いのような結論にさせていただきたい。
  466. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 超過負担を解消するという措置をやりまして、やっと一部の精査を終わった段階でございますが、まだそういう変形した形の超過負担が残っておったというのは、はなはだ遺憾であります。私が、知りませんでしたから至急に調査いたしますと申しましたのは、こういう場合に、地方公共団体でそれぞれ手をかすということは、これは当然あってもいい。しかし、乏しい地方財政のうちから持ち出しになるということは容認できないという立場で、私は申したわけでございます。ですから、いままでたいへん調査がおくれておりましたことは申しわけありませんが、単に福島県だけでということでなくして、これは問題が案外大きいですから、関係都道府県の状態も調べなきゃなりませんし、またさらに、根っこの覚え書きがどういう形であったか、至急調査いたしまして、御回答申し上げます。
  467. 唐橋東

    唐橋分科員 いまのような趣旨の上に立って、私が申し上げました二つの要望事項を含めて、ひとつ文書によって御回答を願いたい。
  468. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 了承いたしました。
  469. 唐橋東

    唐橋分科員 もう一点やはり超過負担になる問題でございますが、関連土地改良事業が行なわれる。それは高速道路ができますと、その両側は自然に土地改良をしなければならない。そういう場合に、農林省の意向を聞いてみましても、これは団体営でございますから低率補助でございまして、四割ですか、四割五分ですか、地元のほうでは、それではもうとても間に合いません。高率補助のほうが必要です、こういうことです。そうすると、県は、せっぱ詰まって高率補助を適用しますと言われるそうです。そうしますと、農林省からは四割の補助、今度高率補助になってくると七割、それを県費で払いますという問題が出てきた。こういう場合に、高速自動車道路建設に伴う関連土地改良ですから、直接には農林省の問題かもしれませんが、自治体行政の指導者として、同じく超過負担としてこの問題が大きく浮かび上がってきて、またその補助率の二割ないし三割の差額を県費で負担するとするならば、これは大きな数字になってくる、こういう超過負担の問題もはっきり出てきております。それならば、こういう問題を交付税で見られるのか、あるいは特別交付税に入れられるのか、こういう点が一つ大きく自治体指導の上において残されておりますが、これについてはどうですか。
  470. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういうときの用地買収が、反当どのくらいであったか、全然現地がわからぬわけでございます。しかしながら、そういう道路ができましたために、また土地改良事業をやり直すとか、いろいろな問題が関連して起こってくると思いますし、その補助金を高率でやるか、普通の補助率でやるかということで、その差額を県費で持つということも、これまた実情がよくわかりませんので、これも調査した結果でないと御返事いたせませんが、しかし、これは主として建設省、農林省がどういう扱いをしておるのかわかりません。しかし、いずれにしても、こういうことを全部地方で負担するということもおかしいと私は思います。これもあわせて私のほうで地方団体の立場からいたしまして検討してみます。
  471. 唐橋東

    唐橋分科員 最後に一つ、問題は別なのですが、これは問題提起だけでひとつ御調査を願いたい。  要望だけで私の質問を終わりたいと思うのですが、新産業都市建設計画のためにものすごい広区域の町村合併が行なわれた。その一つの例はいわき市なのです。その新産都市計画が、現時点になって大体実体が明らかになった。そうしますと、住民のほうは、最初はバラ色の夢のように思っていたけれども、地元のいわき市としての負担は大きくなる。大きくなってきたために、いままで優先的にやっていた工場誘致条例による工場誘致の優先策は取りやめなければならぬ。負担は大きくなる。この問題のために、いま、いわき市は分市運動が大きく起こってきている。ですから、これについてはいろいろ議論もございますが、あのいわき市に関する現在の一つの地方財政を十分御検討願いたいことと、住民がものすごい勢いで分市運動を起こしておる実態もひとつ御調査を願っておいて、あとでいろいろ御意見をいただきたいと思います。  これで終わります。
  472. 田中正巳

  473. 武藤山治

    武藤(山)分科員 大臣もたいへんお疲れのようでございますから、私はごく簡単に要望を申し上げて、大臣の決意と今後の御努力を願いたいと思うのであります。  大臣に認識を持っていただくために概略を申し上げますと、県境にまたがる市町村の境界変更の問題が栃木県と群馬県にあるわけであります。栃木県側では、入飛駒という場所を群馬県桐生市に合併し、境界を変更してくれという住民の強い意思があり、県は今月の六日に県会で議決いたしまして、栃木県側は、四月一日から栃木県の一部を群馬県にあげますということになったわけであります。ところで群馬県側の太田市の一角の高瀬地区の住民は、昔から足利市に合併したい、県境の変更をしたいと強く望んでいるにもかかわらず、群馬側はさっぱり住民の意思を尊重してくれないという問題があります。そこで、地方自治体を指導する自治省として、こういう場合には住民の強い希望を聞きいれてやるように指導するのが当然ではなかろうかという気がいたすわけであります。まずそれはほんの原則論でありますが、そういう場合の大臣の御所見はいかがでございますか。
  474. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これはやはり住民の意向というものを尊重すべきものであると思います。自治大臣が最終処分をすることになっておりますから、たしかいま行政的で実情の調査を進めておるはずでございます。  しかし、このような境界変更などの場合は、住民の総意と申しましてもなかなか問題がある場合も多いし、それから、それぞれ上級の県段階でもいろいろ議論があるのではないかと思うのです。実態をよく調査してきめませんと、またあとで問題を起こしても困りますので、おそらく若干の時日がかかるのではないかと思います。
  475. 武藤山治

    武藤(山)分科員 ただ、本件は、御承知のように、栃木県側がもうすでに群馬側に境界変更の議決をしたこの事実を考えた場合に、人情からいって、群馬県の一角のほんの小さい部落が、栃木県にしたいということですから、自治省としては、群馬側に対して、栃木県が領土の一部をよこしたんだから、君らのほうもあまり無理を言わぬで、何とか事情をひとつ勘案して、両県がうまい県境の——隣接県ですから、今後うまく交際ができるように、ひとつ群馬側も大いに考慮してほしい、そういう指導は自治省としては、私は、してしかるべきだと思うのです。その点はいかがでございますか。そういうような事情があるということ。
  476. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 おっしゃるとおりであったら、もっともでございまするので、そういった方向へおそらく指導することになると思います。
  477. 武藤山治

    武藤(山)分科員 行政局長にこの前、地元民が陳情に参りました。私も、その際に局長にお会いして、いろいろ実情を訴えたのでございますが、御承知のように、この栃木県側に境界変更したいと希望する住民は、太田に通うには六キロ、足利の市役所に通うには三キロという位置にございます。同時に、学校は、大正初期より、小学校も中学校も、栃木県の小中学校へ全部通っていたわけであります。現在もそうであります。そういう学校関係、それから、電報も電話も全部足利のものを使っているわけであります。新聞ももちろん栃木版の新聞をとっている。就職の九九%も足利側に就職をしている、こういう事情の地域でございます。行政局長、おそらく陳情者の意思をくんで、群馬側のほうにもあるいは幾らか働きかけてくれたのではなかろうかと思うのでありますが、その経過はいかがでございますか。
  478. 長野義男

    長野政府委員 確かに関係の方を、たしか先生がお連れになりまして、いろいろお話を伺いました。私ども、関係の地区が太田市から足利市へ入ることが自然の条件、いままでの交通とか社会的な関係、経済関係からいっても、まことにやむを得ないことではないかというふうにも思いまして、さっそく栃木県、群馬県、両県の当局者にもいろいろと話し合いをしました。もちろん栃木県につきましては元来、異論がない。足利市のほうももちろん異論がないわけであります。問題は、群馬県というよりむしろ太田市にあるようでございます。太田市がかつて合併をいたしましたときに、ほかの合併問題で分割合併論が起きたような経緯がありました。もしここで、御指摘の地区をまた足利市のほうへ入れるということになりますと、またどうも分割合併の問題が再燃するというようなことを理由にいたしまして、なかなか聞き入れないというのが、どうも現在までの状況のようでございます。さよういろいろ話をいたしまして、そういうことで、市や県当局におきましては、太田市は非常に固い感じでございますが、群馬県当局及び群馬県議会はかなり、多少は柔軟な雰囲気もあるようでございます。私どもも、これにこりないで今後とも十分、機会を見つけましては、県当局並びに市に対しましては働きかけをいたしたい、このように考えております。
  479. 武藤山治

    武藤(山)分科員 非常に時間が、もうおそい時刻でございますからやめますが、自治省のぜひ適切妥当な行政指導を群馬側にしていただく、あるいは太田市にしていただく、そういうことを強く布望いたしますが、ぜひ適切妥当な方法でできるだけの指導をしたい、そういう大臣のひとつ決意のほどを聞かしていただきたいと思います。
  480. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何か突き詰めておれば、それ相当のいわくがあるのかもしれませんけれども、しかし、住民のあげての要望であれば、私は、それに従うべきであると考えますので、そういった意味で、この群馬側のいろんな事情がありましても、何とか説得の方法を講じてみたい、こう思っております。
  481. 武藤山治

    武藤(山)分科員 どうもありがとうございました。
  482. 田中正巳

    田中主査 以上をもちまして、昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  483. 田中正巳

    田中主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管に対する討論採決は予算委員会に譲ることにするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  484. 田中正巳

    田中主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて第三分科会の議事はすべて終了いたしました。  分科員各位の御協力を心から感謝いたします。  これにて散会いたします。    午後八時六分散会