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大出分科員 私、県当局の責任者の方とも、部長さん、
課長さんを含めて再三懇談をいたしてまいりました。もちろん
横浜は飛鳥田市長でありますから、私も再三話をしてまいりました。それから
横浜市警担当の本部長の山口さん、
神奈川県警におられますが、この方とも話を進めてまいりました。所轄の
警察署長さん、次長さんとも話をしてまいりました。
警察側でおっしゃっておりますのは、排除する方法は十二分にとれるという。ただその場合に国の方針、県の方針、市の方針がきまってきて、こういう集まる
場所をつくる、こういう方針でいく、だから
警察も責任を負え、こういうふうにしてもらえなければ、私どもとしても動きようがないんだ、何とかそこまで詰めてもらいたい、そうすれば私ども責任を持ってやりたい、こう言っておりますから、念のために申し上げたわけでありますけれども、そのことをお含みいただきまして、ぜひひとつ早急に積極的にお進めいただきたい、こう考えるわけであります。
そこで、
職業安定法違反の事実がございますので申し上げまして、ひとつそういう点もお含みの上でお願いしたいわけであります。
実はここに持っております表がございますが、これはかつてのこの種の労務供給をめぐりましての
職業安定法違反、
横浜のこの
場所で起こった問題であります。これは不起訴になっておるのがほとんど、罰金刑がついております。非常に安く、五千円、六千円、一万円以下という形のもので終わってしまっている。これは
会社から、
手配師の名前から、
中身から、全部一覧表になっておりますが、これは過去のものであります。現在ございますものを、時間がないので簡単に申し上げておきますが、たいへん苦心をいたしまして調べました。確たる証拠もございます。ただ、さっき申し上げたように、ここでは申し上げません。
中身だけ。
手配師等の調査の実態報告。野毛地区には
手配師が三十名ちょっとおります。寿町にも三十名ちょっとおります。
手配師の区分を申し上げますと、各
会社と契約しておる
ケースが一つあります。それから二番目に、独自で労務者を集めて、労務者を求めに来る
会社に売っているもの、この
ケースが一つございます。これは
会社とは契約はありません。それから先取りと称するものがあります。これは
手配師の手先になりまして、
手配師から幾らか金をもらっておりまして、労務者を集めておいて
手配師に渡す、こういうことをやっている
ケースがあります。この三つが大体今日行なわれておる、私ども分けてみた種別であります。
次に、
手配師の仲間の用語がございまして、
手配師のことを単に
手配師とだけ言っておりませんで、頭取あるいは親方、こういう名前で呼んでおります。それから先取りということは、これは親方、頭取についているという形で動いて、労務者を常に
——つまりあぶれてめしを食う金がないというと、めしを食うめし代と言って渡して、労務者の住所から居所を押えてちゃんとつかんでおく、こういう形であります。それからポンコツと称するのがありまして、ギャング編成が十五名編成、ないし十六名でありますが、実態は十三名くらいになっております。
あとの数はポンコツ、寝番と称する
諸君であります。そこらで酔っぱらって動けないのを二人だけとらえて、頭数をそろえて、船内荷役なりに連れていく。その船内荷役の場合に船の人に見えない陰のところに寝かせておいて、一切働かない。したがって、働いていないのだから、お前は寝番だから一日二百円、三百円だということで、
あとは頭割り、こういうかっこうで分けていく、こういう
状態であります。
それから、各社によって一定しておりませんけれども、大体十五名で、
職業安定法違反と私が申し上げているのは、実際には十五名なんですが、十六名の形をとりまして、一名分は封筒に入れて金を
手配師に渡す。すると
手配師も、一人分になっているから
職業安定法違反でないというような仕組みをとる、こういうわけであります。
それから、最近の船舶
関係の直接調べた金額でまいりますと、日勤は千八百円から二千百円であります。各社ともこれは一応基準があります。夜勤は二千五百円から三千円であります。オールナイトと称する朝から次の朝までは三千五百円から五千円であります。これは船舶
関係であります。これは、そのほか、日産とか土木とかありますが、省略いたします。それから残業がありまして、残業は大体二百五十円、それから三百円、こういう残業手当を各社とも出しております。それから作業によりましては五百円の洗たく代、それから二百円の入浴代、これを支給しておりますが、これらを一切封筒に入れて渡すわけであります。
会社はどこまでもそうであります。直接、労務者に渡しております。
この渡しておる封筒の
中身、給料袋でありますが、これを調べてみたところが、「定」と書いて、これが九百六十円、夜間手当、これが三百円、奨励金四百九十円、残業二百五十円、計二千円、こういうふうになっておるのです。一人の人のやつを見たわけであります。
そこで
手配師の収入はどうなっているかという問題があります。労務者一口について
——一口ということは十五名編成の一口、
会社から労務者一名分の封筒、総計が十五名頭割り分だけ支給されるかっこうになるわけであります。ところで、
手配師が労務者と一緒に作業に行った場合の給料袋の内訳、
手配師が自分も一緒に働きに行った場合の内訳を調べてみましたが、さっき申しましたように「定」というのが九百六十円、夜間手当が三百円、奨励金が四百九十円、残業が二百五十円、そのほかに千五百円という理由不明の記載がございます。これの
説明を求めましたところが、頭金一人につき百円の
手配料といわれるもの、十五名でありますから千五百円、当然であります。それに本人の分二千円、これが一緒に封筒に入って支給される。したがって、一口、二口、三口とまとめますというと、それがプラスされていくというかっこうになっておりますが、これは現に現認をしているわけであります。その袋をもらっている
手配師が、また一緒に働いてもらった袋の中に
手配料が入っておる。内訳はありませんが、間違いないところであります。それから、右の収入の中から
手配師のほうは、先ほど申しましたように、労務者にめし代その他をやって日ごろから
確保しておく。こういうシステムになっているわけであります。
それから、
手配師と
会社との
関係。各
手配師の
諸君はちょうど昼になりますと一ここで申し上げてもしかたがありませんが、
会社との打ち合わせのためにある
場所へ参ります。そこで、翌日の作業人員等を、
会社から指示を受けております。最近の特徴といたしましては、ほとんどの
会社が
賃金の半月勘定というのをやっておるわけであります。したがって、半月勘定で半月分もらっておりまして、それで一時立てかえ、つまりやみ市場、青空に集まる。その集まる
方々が、雨が降った何だという場合の生活は、半月勘定でもらっておりまして、それを渡している。労務者を押えているかっこうになっております。みごとな実は仕組みが、
会社も十分承知の上で行なわれています。
時間がありませんから結論を申し上げますが、以上のことを、これを証拠立てますと、どういうことになるかと申しますと、
職業安定法の四十四条違反であります。四十四条はここにありますように、「何人も、第四十五条に規定する場合を除く外、
労働者供給事業を行い、又はその
労働者供給事業を行う者から供給される
労働者を使用してはならない。」しかし供給しているわけであります。四十五条というのは、労働組合が、
大臣の認めた場合、無料で
紹介する場合でありますから、一切ほかにはできない。これを現にやっているということであります。したがって、明らかに四十四条違反であります。したがって、六十四条の四号に該当いたします。六十四条の四号と申しますのは、以上の問題についての罰金その他の罰則規定であります。四号で「第四十四条の規定に違反した者」、これは「一年以下の懲役又は一万円以下の罰金」、こういうことであります。ここにございますのは、それに該当しているのでありまして、起訴猶予にはなっておりますけれども、この
ケースであります。
それからもう一つ重大な問題は、六十七条というものが、職安法に定めがございます。六十七条と申しますのは、この行為を業者
諸君が知っておってやらせた場合、業者も同条の罰則を食うことになっておるわけであります。念のために申し上げておきますが、「この法律の違反行為をした者が、法人又は人の事業又は業務について、当該法人又は人のために行為をした代理人又は被用者である場合においては、行為者を罰する外、当該法人の代表者又は人が普通の注意を払えば、その違反行為を知ることができるべきときは、その法人の代表者又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。」こうなっているわけですね。これは注意を払えばわかるのじゃない、初めからわかっておって、半月契約でやらせておるわけですから……。そうすると、これはこの法律をできるだけ消極的というのではなくして、もう注意を払うも払わないも、それを積極的にやっているわけでありますから、やみ契約をしてということになりますと、明確にそこに該当をいたします。
以上のような点が明らかでございますが、私がいま申し上げましたのは、ずいぶん苦心惨たんをして調査いたしましたので、どこの
会社とどこがどうなって、しかも
手配師が名前が何の太郎兵衛で、どこに住んでおって、何の太郎兵衛の給料袋の
中身、袋の上に書いてあるのはどう書いてあって、ということまで全部わかっております。しかも、何の太郎兵衛というところまで全部調べて質問をして、こうなったということが全部書いてあります。だが、これはここで申し上げると
会社にも影響がありますから、私は
会社に影響を与えようとか、あるいはそれで生活をしている
諸君の生計の道を閉ざそうというのが目的ではございません。問題は、的確な
施策が行なわれていないところにこういった結果が出てくるわけでありますから、だから、ここでこの違反を問題にするのでなくて、こういう行為をやらざるを得ない
状態とか、あるいはやり得る
状態というものを早急になくすための
措置を国がとるべきであるというのが私の考えであります。したがって、後ほど
中身その他については有馬さんなりに私、別に申し上げますから、いいかげんなことを言っているのでないということだけは明確に申し上げておきますから、そういう意味で、これだけのことが現に行なわれているのでありますから、どうか早急に責任を持ってこの問題の処理、解決のためにひとつ全力をあげていただきたいことを最後に申し上げまして、
大臣の御所見をいただいて終わりたいと存じます。