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内海(清)
分科員 大臣お忙しいようでございますので、大臣に対しまするお伺いの点を先に申し上げたい。
すでに御
承知のように、いま中四国の連絡橋問題これが
日本の四大土木工事の
一つとして取り上げられて非常にやかましい問題になっておるわけです。この問題は現在建設省段階では明石−鳴門、児島−坂出、尾道−今治の大体三つにしぼられてきたようであります。なお国鉄
関係は明石−鳴門、児島−坂出という二つに大体
集約されていると思うのであります。そこで、これは昨年の五月の土木学会のこれに対する答申があり、さらに先般
運輸省あるいは建設省からそれぞれこれらのルートにつきましての工費、工期の発表があったわけでございまして、いま残されておる問題は主としてそれらに関します
経済効果の調査の問題、これで、聞くところによりますならば、本年度内にルートを決定したいというような方向にあるように承っておるのであります。
そこで、いろいろこまかいことはあとからまたそれぞれ担当の方へお伺いしますが、大臣に特にお伺いしておきたいと思いますことは、私はいまこれに対するどのルートというふうな問題でございません。中四国の連絡道路並びに
鉄道を通すというふうな問題について、申し上げるまでもございませんが、今日瀬戸
内海のベルト地帯、沿岸が非常な開発をされておるということであります。これはごらんになりましてもわかりますように、この沿岸にはいわゆる新産都市あるいは工特地域というものがずいぶん指定されておるわけであります。そういう点から
考えまして、もちろん陸をつなぎますものが必要であるということは当然だと思うのであります。しかしこの瀬戸内のベルト地帯が非常に発展する、開発されつつあるということの一番大きな問題は、私は何と申しましてもこの瀬戸内におきます臨海工業地帯というものは、海上
輸送力が最大限に利用されるというところにその利点があると
考えておるのであります。そういう点から
考えますと、これが陸つなぎになりますことは、より一そうこの地帯の発展を促す。そういたしますならば、さらにそれに伴いまして海上
輸送量もふえてくるものである、かように
考えるのであります。ところが、この瀬戸
内海の状況についてはすでに大臣御
承知のとおりでありまして、瀬戸
内海は
世界的に見ましてもまれに見まする多島海、しかも
わが国におきましては自然の運河といわれているほどに古くから海上交通の要路になっておる、こういうことでございます。しかもこれを道路なり
鉄道でつなぐということは、やはり経費その他の
関係、工事の
関係等から最も通りやすい、経費の少ないということ、いわば狭水道を
中心としての問題、架橋ということに相なるだろうと
考えるのであります。で、瀬戸
内海はきわめて狭水道が多いということ、さらに、これは
運輸省関係で、御
承知のように特定水域に指定されておる。ことに、この架橋予定の水域というものは、
船舶の航行も非常に多いのであります。私は、いま詳しい資料は持っておりませんけれども、これら架橋予定水域の
船舶の航行量を調べてみますと、一日に約二千隻かそれ以上ではなかろうか。そういたしますならば、一時間に約六、七十隻は通るのであります。さらに私どもが見のがせませんのは、これら架橋の予定水域がいわゆる航海の難所となっておる、海難が一番多いところであります。瀬戸
内海におきます海難の六〇%ないし七〇%もこの水域で起きている、統計によりますれば、七〇%あるいは八〇%の海難が起きている、こういうふうなことがいわれておるのであります。さらにまた問題は、これも大臣十分御
承知のように、最近、
わが国の
造船技術の非常な進歩によりまして、船がだんだん高速化する、あるいは大型化する、こういう時代なのであります。なおかつ、瀬戸
内海の沿岸は、先ほど申しましたように新産都市あるいは工特地域に指定されたのが多いのでありまして、石油コンビナート、あるいは原油とかLPG、これらの貯蔵基地になっておるところが多いのであります。したがって、これらの
船舶は、こういう可燃性の燃料であるとか、あるいはその他の薬品、危険物を多量に積んでおるのであります。航行
船舶の大体三分の一程度はそういうふうな
タンカー類であるといわれておるのであります。こういう点を
考えてまいりますと、はたして中国−四国の連絡橋というもの、道路あるいは
鉄道というものが、今日予定されておりますような橋梁のみによってこれをつなぐことはいかがなものであろうか。少なくとも、瀬戸内の
状態を
考える場合には、水陸の両面の交通
輸送というものが十分
考えられなければならぬのじゃなかろうか。つまり、言いかえますならば、この水陸の交通
輸送というものが安全第一主義で行なわれなければならぬであろう。これはあとから申しますけれども、たとえば、将来瀬戸内にどのくらいの船を入れるか、航行制限の問題も出てくるかもしれません。あるいは瀬戸内におきます
造船所の
船舶の建造もどの程度になるのかというふうなこと、これらも
考えられなければなりませんけれども、もしかりに十万トンの
タンカーが衝突事故を起こしたとするならば——ここは狭水道で潮流が早い。あるいはLPGの
タンカーが爆発事故を起こしたとするならば、その沿岸の被害はきわめて甚大なものがある。こういう点から
考えまして、この水陸交通の安全第一主義ということ、これが最も重要な問題になるのじゃなかろうか。
そこでお尋ねいたしたいのは、今日まで架橋問題は、いろいろあるいはこれから
運輸省、建設省御協議になるのかもしれませんが、ああいうものが発表になるにつきましては、いままで無
関係ではなかったであろう。
船舶の航行の安全、その他これによって万一の場合に起きた災害に対して、
政府部内で、まあ主として建設省、
運輸省でありましょうが、いままでどの程度の話し合いが進められてきたかということであります。最近の状況を見まして、特に海員組合を
中心といたしまする船員、いわゆる船に乗ってみずから操船をする者でありますから、それらの諸君にそういう
議論が非常に出てまいっております。いずれ
運輸省に対しましても陳情の形でこれが伝わると思っております。こういう点を無視して、架橋問題がだんだん結末に近づいておる。もちろんいままでも、あるいはパイロット協会その他
海運関係の
意見を徴せられたこともあると思いますけれども、少なくとも
運輸省、建設省がそれらを真剣に
議論されたということは私は寡聞にして耳にいたしておらぬのであります。その点についてひとつ大臣の御所見をお伺いしておきたい。