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八木(一)
分科員 建設省のおもに
住宅を中心とした問題については、質問の後半にまた申し上げたいと思いますが、実は、同和問題全体の推進について、私
ども昭和三十二年ごろから十
年間ぐらい取り組んでおりますが、それと取り組まれた諸先輩も、最近取り組んでまいりました私も、共通した悩みがあるわけでございます。また、それに熱意を持っておられる総理
大臣もそういう悩みをお持ちではないかと思うわけであります。
と申しますのは、この問題の認識は
地域的に非常に差がございます。非常にりっぱな政治家であっても、りっぱな公務員であっても、たとえば青森県、北海道の方には、事象をじかに御存じありませんから、ぴんとこられないわけであります、その他についてはいかに優秀な方であっても。そういうことであり、また、関西と関東では認識の度合いにおいて大きく違います。これは各
大臣、各政治家、それから各省の公務員の方、あるいは報道陣の方も、すべてに通じて、関西における認識と関東における認識では非常な差があるわけであります。その問題が問題の根本解決を非常にゆるやかに、まあ進めることのブレーキになっておるわけです。私
ども一生懸命に私
どもなりに
努力してまいりましたところ、たとえ東の地区の方であっても、熱心に申し上げますと、それを理解しようとつとめられまして、それで御
努力になりますけれ
ども、それまでに一両年かかりますし、その方々が熱意を持っておわかりになったころにかわってしまわれまして、またその事象の薄い地区出身の方がおなりになりますと、その方方が熱意を持たれるまでに一、二年かかる。そういうようなことで、いつもスピードが鈍くなるわけであります。ことに、実はこれは佐藤内閣総理
大臣も苦心をしておられると思いますが、岸内閣のときに、
昭和三十三年三月十二日の日に、
質疑を通じまして内閣と国会との約束になりまして、それで国会を通じて国民との約束になった
基本的な原則がきまったわけであります。この問題については日本全国民の責任であって、当該の同和地区の
人たちの責任では一切ない。それから、この問題が起こったのは徳川
時代以来のあらゆる政府の責任であって、これを解決するためには、今後すべての内閣、何党の内閣であろうとも、どなたが総理
大臣になられようとも、どなたが閣僚になられようとも、これを完全に強力に推進して解決をせねばならぬ、そういうことについて政党利己心はお互いに一切排除して、政府の責任でやっていかなければならないということについてお約束ができまして、それを進めるために強力な審議会を置いて、根本的に調査をし、審議をし、
方針を出す、その結論を出すまでは、各省でやっておったことで有効と思われることをどんどん進めていく、その審議会の結論が出たならば、結論を完全に、十二分に、急速にやってもらって解決に当たろうというふうに約束ができまして、その経過をたどってまいりました。
ところが、各般のところで担当される方が、
昭和三十三年からの約束の事態を御存じない方もありますし、聞いても、そんなことはたいしたことはないと思われる方があるわけであります。でございますから、ちょっとした認識でその問題についての認識を変えられる方があるわけであります。たとえば、この問題の事象の少ない方々のときには、そう差別も貧乏もなさそうだからそれほど取り組まなくてもよかろうと、たとえば岩手県なり山形県出身の政治家なり公務員の方々は思われがちであります。それからまた、九州でも福岡の方はかなり思い詰めておられましても、そのほかの府県では少し事象が量的に少のうございますから、重要性についての認識が少し違うわけでございます。そこで、そういう事態で
あとからこの問題に幾ぶん関心を持たれた方が、眠った子を起こすなという非常に間違った
考え方のもとに、そんなに強力にしなくてもいいのじゃないか、
法律は必要ないのじゃないかということを、その方としては悪意を持っておられないかもしれませんが、思う方がございます。それが非常にブレーキになるわけであります。というのは、事象の少ない人の場合はわかるのですが、近畿なり中国なり四国なり北九州なり、事象の多いところの方でもそういうことを言われる方がなきにしもあらずです。そういう方々を、私が一生懸命
考えて分析をいたしますと、同和地区出身の方々にそういう方方が意見を聞かれる。それで、意見を聞かれる相手の方は、各級議員になっている同和地区出身の人とか会社の社長になっている人とか、部落出身の、同和地区出身の出世をした
人たちとつき合いが多い、また、積極的に話しに来られる人もその地区から出て出世した人で、したがって、そういう方々は自分みずからの
努力と連のよさと両方ですでに社会から先生と呼ばれ、社長と呼ばれ、差別からは大体解消された
人たち、それから本来出世をいたしておりますから、極端な貧困をもう脱却をしておられるわけです。同和地区出身のそういう差別と貧乏から脱却をした
人たちの意見を聞かれますので、もうだんだん解消をしかけている。だから、そんなに大きく取り上げなくてもいいのだ、あるいは、極端な人になると、取り上げられると昔を思い起こすからかえって迷惑だというようなことを言われる方がたまたまございます。同和地区出身の方の意見を聞いてそういう判断をされると、ちょっと興味を持った方は、それじゃしないほうがいいのかというような誤認をされることがしばしばあるわけでございます。それが問題の解決をとめていると思うわけでございます。その同和地区出身の方で政治家や何かとつき合われる方は九牛の一毛でありまして、百人のうち一人もいない、千人のうちの一人しかいない人、差別と貧乏を脱却したと思われる人の意見は、これはほんとうに苦しんでいる
人たちの意見ではございませんで、ほうとうに苦しんでいる
人たちの
状態は、すでに差別が現存しているから、そういうものを眠った子を起こすなと言ってそっとするのじゃなしに、その事象について徹底的に政治がこれを解明をして、それを直すための根本的な強力な政策を急速に打ち出すということによって、消えやらない差別を消えやる方向に持っていっていただきたいというのが熱望でございます。
そういう間違った、眠った子を起こすなというような意見がちょっとずつ反映しまして、そういうことが各省においても政党においてもブレーキになりますので、どうかこの問題について一生懸命に
考えて、政府といろいろ私もやってまいりましたし、ほかの同僚もやってこられましたし、特に佐藤内閣総理
大臣が深く理解をされて、そういう私
どもの
考えと同じで、抜本的に早くやりたいというのを何か足を引っぱる声が少しあるということで、佐藤さんはこの一、二年、その点については苦しんでおられたと思うのです。どうか、有力閣僚でおありになります
保利さんは、そういうことがなければよろしゅうございますけれ
ども、そういう事態が閣内において、あるいは政党内において、その他のところでそういうことがございましたら、そうではないんだということで説得をしていただきまして、それで政府と国会の約束が完全に早く実現するように、その中で同和対策特別措置法の完全な、十二分な内容のものが今国会に必ず成立するように、先生の非常に、強力な御熱意のある政治力を、
建設省だけではなしに、政治全体でひとつ動かしていただきましてこの問題を進めていただきたいということにつきまして、ぜひ前向きの御熱意のある御
答弁をいただきたいと思います。