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1968-03-12 第58回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十三年三月九日(土曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月十一日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       相川 勝六君    北澤 直吉君       正示啓次郎君    松浦周太郎君       湊  徹郎君    久保 三郎君       森本  靖君    小平  忠君       松本 善明君 三月十一日  松浦周太郎君が委員長指名で、主査に選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和四十三年三月十二日(火曜日)     午前十時十八分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       北澤 直吉君    正示啓次郎君       湊  徹郎君    久保 三郎君       佐野  進君    田邊  誠君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    森本  靖君       小平  忠君    兼務 井上  泉君 兼務 勝澤 芳雄君    兼務 下平 正一君 兼務 西風  勲君    兼務 華山 親義君 兼務 山口 鶴男君    兼務 玉置 一徳君 兼務 小川新一郎君    兼務 北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府首都圏整         備委員会事務局         長       鶴海良一郎君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設大臣官房会         計課長     高橋 弘篤君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         建設省営繕局長 横山 正彦君  分科員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         郵政大臣官房郵         政参事官    西谷  馨君         建設省都市局参         事官      小林 忠雄君         日本国有鉄道理         事       仁杉  巌君     ————————————— 三月十二日  分科員森本靖委員辞任につき、その補欠とし  て堀昌雄君が議長指名委員に選任された。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て田邊誠君が議長指名委員に選任された。 同日  分科員田邊誠委員辞任につき、その補欠とし  て広瀬秀吉君が議長指名委員に選任された。 同日  分科員広瀬秀吉委員辞任につき、その補欠と  して佐野進君が議長指名委員に選任された。 同日  分科員佐野進委員辞任につき、その補欠とし  て村山喜一君が議長指名委員に選任された。 同日  分科員村山喜一委員辞任につき、その補欠と  して森本靖君が議長指名委員に選任された。 同日  第一分科員玉置一徳君、第二分科員山口鶴男君、  第三分科員下平正一君、小川新一郎君、北側義  一君、第四分科員井上泉君、勝澤芳雄君、西風  勲君及び華山親義君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算建設省所管  昭和四十三年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  私が本分科会主査の職務を行なうことになりました。何ぶんふなれでございますから、分科員各位の御協力によりまして、円満なる分科会の運営をはかりたいと存じますので、何ぶんよろしくお願い申し上げます。  本分科会は、昭和四十三年度一般会計予算運輸省郵政省及び建設省所管昭和四十三年度特別会計予算運輸省郵政省及び建設省所管並びに昭和四十三年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係及び日本電信電話公社関係につきまして、審査を行なうことになっております。  審査の順序は、原則としてお手元に配付いたしました日程により進めていきたいと存じますが、都合によりましては変更することもあり得ることと思われますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の第一日の冒頭に聴取いたします。  それでは、昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算建設省所管を議題とし、説明を求めます。保利建設大臣
  3. 保利茂

    保利国務大臣 御審議を願うにあたりまして、建設省関係昭和四十三年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は二十九億七千五百余万円、歳出は六千七百三十二億七千五百余万円であります。  歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省所管予算として計上されておりますが、実質上建設省所管事業として実施される予定の経費等がありますので、これらを合わせますと、昭和四十三年度の建設省関係予算は、七千七百二十億八千三百余万円となり、前年度の当初予算に比べ四百六十三億一千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ三百三億六千六百余万円の増加となっております。  なお、国庫債務負担行為として公営住宅建設事業費補助に三十四億九千八百余万円、住宅地区改良事業費補助に十九億四千七百余万円、官庁営繕に四十六億七千九百万円、直轄道路災害復旧事業に一億二千万円、河川等災害復旧事業費補助に八十九億円を予定いたしております。  次に特別会計の概略を申し上げます。  まず、道路整備特別会計昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも四千七百九十五億五百万円で、前年度の当初予算に比べ二百六十八億余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百九十五億五千百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ四千三百十億五千三百万円、地方公共団体工事費負担金収入三百六十四億七千八百万円、前年度剰余金受け入れ二十億円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として、直轄道路改築事業に二百四十九億円、街路事業費補助に四十億円、首都圏街路事業費補助に二十五億円、道路改築受託工事に十六億円、道路橋架設受託工事に三十億七千六百万円、を予定いたしております。  次に治水特別会計でありますが、本特別会計昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも一千七百億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ百二十九億五千百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百十七億六千九百余万円の増となっております。  これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては、総額一千四百七十七億三千百余万円で、前年度の当初予算に比べ百十七億五千七百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百六億二千三百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ一千二百四十一億三千四百余万円、地方公共団体工事費負担金収入百五十六億一千四百余万円、前年度剰余金受け入れ三億五千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額二百二十三億六千四百余万円で、前年度の当初予算に比べ十一億九千三百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ十一億四千五百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ百三十九億七千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入二十七億八千余万円、電気事業者等工事費負担金収入四十億五千五百余万円、前年度剰余金受け入れ四億一千三百余万円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として、直轄河川改修事業に二十二億四千万円、直轄河川汚濁対策事業に五億七千万円、首都圏河川改修費補助に十二億五千万円、多目的ダム建設事業に七十一億三千九百万円、を予定いたしております。  次に都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計昭和四十三年度の予算総額は、歳入歳出とも四十八億九千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ十二億二千八百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ四億円、資金運用部資金からの借入金四十一億円を予定いたしております。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十三年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。  なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただきまするよう御配慮方をお願いいたします。
  4. 松浦周太郎

    松浦主査 お手元に配付してあります昭和四十三年度建設省関係予算説明は、便宜これを会議録に掲載することにいたしたいのでございますが、御了承願いたいと存じます。  以上をもちまして建設省所管につきましての説明は終了いたしました。     —————————————
  5. 松浦周太郎

    松浦主査 質疑に先立ち、念のため申し上げたいと存じますが、質疑者が多数おられますので、持ち時間は慣例によりまして一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられました方に対しては三十分程度にいたしていただきたいと存じますので、あらかじめ御協力をお願いいたしたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  6. 久保三郎

    久保分科員 御注意もありますので、簡単に申し上げます。  一つは超高層ビルの典型的なモデルというか、霞ケ関三井ビルというのが最近でき上がりまして、それぞれ入居もきまっていくようであります。  念のためにこれは確認しておきたいのでありますが、いわゆる建蔽率その他について間違いはないかどうか。話によりますれば、同ビルの敷地内にはそのビル以外に建物があるという話であります。その建物を撤去しなければいわゆる法律によるところの建蔽率その他に合わないという話もしているわけであります。その点はどういうことなのか。
  7. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  三井霞ケ関ビルにつきまして、まず手続に遺憾な点がなかったろうかというお尋ねでございます。これは法規に照らしまして遺憾のないように取り計らっております。  なお、建蔽率につきましては、これは特定街区でございますので、法律上は建蔽率というものは制限は適用除外になっております。したがいまして、建蔽率適用はないことになっておりますけれども、これを建蔽率で計算いたしてみますと、三七・六%の建蔽率になるということに相なります。  なお、別棟の建物があるというのは、特定街区の中に東京クラブという建物がございます。あるいはそのことではなかろうかと存じますが、それはこの特定街区の一環として計画したものでございます。
  8. 久保三郎

    久保分科員 わかりました。  そこで、次には、このビルはたいへん大きいビルでありますが、これは居住区というか、そういうものはないようでありまして、すべてオフィスというか、そういうことだそうであります。そうしますと、大体一万人以上のものがこれに出入りするというか、そこで仕事をするということになるようであります。こういう場合には、都市中心部でありますから、これに対する住宅の問題、それをつなぐ交通の問題が当然考えらるべきであると思うのでありますが、寡聞にしてこれに対する対策をいまだに聞いていないのです。これは一建設省責任ということじゃなくて、どうもこういう形の行政のしかた、指導ではうまくないではないか。たしかきょうのある新聞には、これは運輸省が直接の関係だと思うのでありますが、大田区の京浜二区にいわゆるトラックターミナル建設中である。これは日本自動車ターミナル株式会社建設をしてまいったのでありますが、この五月ごろ大体完成だそうであります。ところが、これに出入りする道路というか橋梁はたった一本である。大森の警察署から故障というか意見が出まして、これはとてもじゃないが、はけ切れないし、持ちこたえることはできないということであります。最近会合を関係者が開いたそうでありますが、話は不調に終わったというのですね。これなども、トラックターミナルをつくるということは、これは当然考えられることでありますが、これに出入りするということを全然計画外に置いての建設はばかばかしい話でありまして、これも逆な立場でいうならば、片方は運輸省でやりながら、足の問題を考えない、足はいわゆる建設省というか道路橋梁というようなことでありましょうね。これは極端な話になりますが……。そういうことでありまして、これは一都心部だけの問題じゃなくて、それぞれ郊外に相当大規模の団地をつくりつつあります。これは住宅対策としてあるわけです。ところが、どうもそれにマッチするところの交通施設というものがない。これは前の建設大臣のころでありましたが、新聞で拝見しますと建設省運輸省でこの住まいと足の問題について懇談会というか何か知りませんが、そういうことをやっていくということでありますが、これは時代が変わってはやはりちょっと違うのじゃないかと私は心配するのです。むしろこういう基本的なものは、いま提案しておりますけれども、都市計画法案並びに計画法施行法案、両方ともいま審議中だろうと思うのでありますが、都市計画の中でこれをどうするかは——これはもちろん、都市計画というかそういう場合には高速鉄道は当然含まれておりますけれども、都市計画というその事業関係のないものは、交通の問題には関係なく住宅が建ったりビルが建っていく、こういうことでありまして、これを整理するために何か別な形のものが必要ではないか。大臣がかわったり担当者がかわると話が変わってくるということでは困るし、事前に、この三井ビル建設する前に虎ノ門の地下鉄あるいは都電あるいは都バスの問題をどうするのか、こういうものを考えなくちゃいけないと思うのです。トラックターミナルの場合もそのとおりであります。そういうものを建設大臣としてはいまどういうふうにお考えであるか、政府としてきちんと考えているのかどうかお尋ねしたい。
  9. 保利茂

    保利国務大臣 久保委員指摘のように、密集といいますか、集団施設施設します場合に、何といいましても今日の交通状態でございますから、交通上どういう影響を受けるかということを考えて、それができるだけマッチするようにいかなければならぬ。私ども全然同様に考えております。  実はいまのお話の超高層ビルにつきましても、あらためて同様な疑念を私も持ちまして、事務当局説明を聞いたわけであります。なるほど手続法制上において欠くるところはない、それは私もそのとおりだと思います。しかし一万ぐらいならよろしいと思うのでございますけれども、おそらく一万ぐらいでなしに、二万、三万だろうと思う。そこへまた向かっていく自動車の数量というのは、ちょっと想像できないようなおびただしいものになる。それにあき地がだいぶございます。道路は四通にできておりますというようなことを言っておりますけれども、はたしてそういうことで間に合うのかどうかということは私ども非常に心配をいたしておるわけでございます。これはとにかくあのとおりでございますから、そういうことについては何らか特段の関心と注意を払いまして、都民生活の上に大きな障害を起こさないように手配いたしてまいりたいと考えておるのが、この問題についての考えであります。  トラックターミナルの御指摘でございますが、これは私も初めて御指摘をいただいたわけで、トラックターミナルトラックが宙に浮いてそこに行くのじゃなく、やはり道路を通っていくわけでございましょうから、その点は十分運輸省においても地点を選ばれるについてお考えになったことだろうと思います。そこの交通関係がどうなるかということにつきましては、これは私どもの責任でございますから、あらためてひとつ検討をいたしまして、もし支障ありということであれば、万難を排してその連絡がうまくいくようにはかっていかなければならぬと考えます。
  10. 久保三郎

    久保分科員 お話はよくおわかりのとおりでありますから、何も言うことはないのでありますが、私は一つの提案をしたいのです。セクショナリズムというか、そういうものを意識してやらぬでも、どうも建築屋建築屋道路のほうは道路、車のほうは車のほうと、特に同じ省にいても——建設省はそうじゃないと思いますけれども、背中合わせの局などもございます。これはそれなりの歴史と沿革がございまして、悪いことだといっても、直ちにこれをどうするといっても、これはなかなか時間のかかる問題だと思う。そこで役人が一番弱いのはやはり法律でございまして、法律をもってこれを律するということを、ひとついやだけれども考えなければならぬ。大臣承知か知りませんが、フランスのモンパルナスの停車場、これはターミナルですが、いま新しく建てているわけです。それはコの字型になっておりまして、ここに汽車が入ってきます。そして前面は、もちろん三階くらいまでは鉄道のための施設ですね。それから両側は一階だけが鉄道あるいはそれの関係仕事に使う。それ以上は全部、十七階でございましたが、アパートなんです。東京でこの間聞きましたら、この三井ビルなどは非常に単価が高いそうでございますから、そんなところにわざわざ住宅をつくる必要は私はないと思う。しかしながら、たとえば金町団地をいまつくっておりますね。金町の駅に非常に近いから、あれに文句をつけるというか、けちをつける考えはございません。ああいうふうに近ければいいんだけれども、もっと近くてもいいと思う。金町の駅舎の上はあいているのですから、こういうのも考えていくべきだと私は思うのです。そうすれば、そこに住むにしても、そこから出かけて都心部につとめていくにしても、これは住まいと足の問題が密着しています。それから都心部でそれをやると、たとえばそのビルに働かない人が入ったにしても、差し引き勘定いたしますればそれだけ足の問題と住宅の問題が密着するわけですね。だからそういう方法でやるべきだ。フランスは国柄も違いますから、聞いたところが、法律でそういう鉄道住宅というか、そういうものとの関係を規制しているわけではないが、関係者が話し合いをしてこういうふうにしているということでありました。日本は話し合いじゃなかなかできないから、単独立法、いわゆるそういうものに対する調整的な機能を果たす法制化を一ぺん考えてみる必要はありはしないか。たとえばいま保利建設大臣がわれわれと同じようなお考えでいろいろ御苦心なさっている。それじゃまた建設大臣がおかわりになるとそれだけになってしまうのじゃこれは困ると思うのですね。だから、いまの時代にやはりそういう調整機能を果たせるような法制化をひとつ考えてみたらどうか、こういうふうに思うので、ひとつ御検討をいただきたい、かように思います。  時間もありませんから次に参りますが、今度は道路の問題であります。高速道路というか、一口で有料道路でありますが、これはあまりというか、経営成績はよくないですね。これは赤字があるから経営成績が悪いとは言えないかもしれませんが、一応経営関係からいくとこれはあまりよくない。それ以上に問題なのは、最初の計画に比較してトラック転移率というか、非常に低いのじゃないか、それが一番問題だと私は思うのですね。既設の国道その他から、新しい有料道路というか、高速道に置きかえてしかるべきトラックが、いまだに既存の道路に入っていく。そうなると、あとからもこの委員会でおそらくそういう問題、静岡あたりの問題が出てくるのじゃないかと私は思うのですが、これは少し考えなければならぬと思うのですね。御案内のとおり、トラック事業は、大企業もございますが、いまの経営実態からまいりますと、料金負担にはたえかねる経営実態ですね。これはむしろ経営の問題からいきますれば、建設省の問題ではなくて運輸省の問題だと思うのであります。これも単に、どうも転移してこないのだ、建設省ではだめなんですというだけでは困るので、積極的にやはり転移する方法をとるべきだと思うのですが、これはどういうことでしょうかな。
  11. 保利茂

    保利国務大臣 一番大きなところは、久保委員おそらく名神高速が頭にあられるのじゃないかと思うのであります。私はこの間、実は一月に初めてあそこを通りました。なるほど、当初計画からいたしますと、ただいまの利用率はかなり低いようでございます。御案内のように西宮から小牧どまりになっておる。したがって滋賀県の栗東でございますか、あの栗東以西利用率は非常に高い。しかし栗東から小牧までの間というものは非常に低い。結局東のほうの利用がまだ利用される条件を整えていない。今度この四月末、五月には小牧から名古屋の近在を通って岡崎まで一部開通いたします。おそらく中部、名古屋と近畿、大阪方面の結びが初めてとれるわけでございますから、だんだん——それにいたしましても、逐年利用率は高くなってきておりますが、岡崎までの一部開通、来年の全線開通を待つまでもなしに、岡崎まで延長開通するということになりますと、ぐっと利用関係が違ってくるのじゃないかというようにいたしておる。まだ事業計画の半ばでございますから、これをもって——いま御心配の点はこれは料金等の立て方にもよってまいりますが、すぐ岡崎まで開通すればぐっとふえるのだということが言い切れるかどうか、これはおそらく料金との関係等も出てまいりましょうし、そうするとあそこの全体の交通量関係からトラックがどこまでここに転移できますかということを予測はいたしかねますけれども、現状からしますと、よほどこの利用度が高くなるのではないかという見込みを持っておるようなわけでございます。
  12. 久保三郎

    久保分科員 大臣おっしゃるのは、これから延びますれば、それはおっしゃるとおりに伸びる可能性は出てくると思いますが、ただ大臣承知のように、これは先ほど申し上げたようにむしろ運輸省のほうのことかもしれませんが、トラック自家用トラックは別として——自家用でも商売でやっているのでありますから、そういうものが運賃を吸収できるような弾力性のある経営実態ではないのですね。それじゃ値下げすれば多少いいのかというと、値下げはダンピングの材料になってしまう。だから値下げは荷物を送る人のほうへ行ってしまって、トラックを動かすほうへはちょっとも歩どまりがないという仕組みになっているようですね。その仕組みを変えると同時に、もう一つ考えてほしいのは、高速道路、もちろんこれは必要だと思うのでありますが、いまの料金設定のしかたに一つは問題があるのではないか。都心部はたくさん通りますから安くてもいい。ところが離れれば交通量が少ないですから高くなる。いっときプール計算でという話があったようでありますが、その料金計算というか料金設定について、あるいはこの道路公団の経理のやり方、そういうものに関連して何か新しい考えをいまされているのでしょうか、どうでしょうか。
  13. 保利茂

    保利国務大臣 お答えいたします。  料金の問題は、だんだん高速道路供用区間が大きく、長くなってまいりますと、従前の料金の立て方でいいかどうか、だんだんお話しのような点もございまするし、道路審議会で料金部会を設けていただいて、来年の五月に一応東名の全線開通を予定されておりますので、それまでの期間にひとつ料金制度を根本的に検討し直していただいて、新しい料金体制をとりたいということで、いま料金部会のほうで御審議をいただいておるわけで、そういうことで慎重に扱っております。
  14. 久保三郎

    久保分科員 極端な例をひとつ大臣お話し申し上げたいのですが、選挙区の話でたいへん恐縮なんですが、茨城県に銚子の対岸に波崎というところがございます。利根川をはさんでこちらは千葉県の銚子、対岸は茨城県の波崎というところですね。ここに銚子大橋が、これはたしか一キロ百くらいの延長ですが、りっぱな橋がかかっております。非常に不便なところでありますから、東京から銚子を通っていくのがこの波崎には非常に便利なんです。そこで、汽車なり何なりで銚子の駅に行く。タクシーを雇います。従来は渡船がありましたが、いまはとぎれとぎれで、ほんとうは橋ができたのでやめろという話がありまして、いっとき問題があったようでありますが、いま細々ながら運航をしておるのだろうと思いますが、車に乗れば、御承知のようにどうしてもその銚子大橋を通らなければいかぬ。すぐに帰りませんから片道であります。そうしますと、運賃は百四十円くらいなんです。それに橋の通行料は片道でも帰りの分まで払わなければいけませんから、片道百二十円で二百四十円払う。これはちょっと払うほうの身になれば、何か運賃は百四十円で橋の料金が二百四十円、三百八十円払う。これでは、なるほど有料橋というからやむを得ないというふうになるでありましょうが、どうも割り切れない。いわゆる近代的な橋をつくって地域格差をはなはだしくしているという極端な見方もございます。そういうことをお考えになったことがあるんだろうか。それはバスにしてもそうですね。かなりのものが——バスだって大きいですが、その中で観光バス等は多少の犠牲はやむを得ないにしても、波崎という町は実際銚子に依存したような町です。だから非常に交通が多いんですね。そういうものを考えると、これは少し考えてもらわにゃいかぬじゃないかというふうにわれわれはかねがね思っておるわけです。こういう点はどうですか。運賃が百四十円で、橋代が二百四十円というのです。
  15. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 波崎の銚子大橋については、これは三十七年の十二月から供用を開始している道路公団有料道路一つでございますが、確かにいま御指摘のように、非常に高いという声は私たち聞いております。いまの有料道路料金のきめ方は、やはり建設費を償還し、かつ便益の範囲ということできめております。そういう形でいまの料金はきまっておりますが、いまのように料金が非常に高いということもございます。われわれは今後有料道路をやります場合、やはり建設費を償還いたしますということになると、橋とかトンネルの有料道路は、どうしても建設費が普通の道路より金がかかってくるということで高くなってきております。今後の問題といたしましては、こういうものを今後新しくつくる場合には、やはり適正な料金の中でできるような形で、これは公共事業費を一部使ってやるというようなことも考えていかなければならないというように考えております。
  16. 久保三郎

    久保分科員 こういうことですよ、大臣。この橋の前後には橋がないんですよ。もともと渡船でやっていたところに橋をつくるというのですから、渡船代くらい取るなら別ですが、新たに有料橋としてやる分には、やはり非常に無理がある。だからこういうのは、あなたいま的確なことは言わなかったが、これは少なくとも三分の二は国費で持つ、三分の一だけは有料にしましょうとかいうのでなければ、これは理屈に合わぬ。大体が、もともと道路公団が有料橋として携わるには間違いがあると思うのです。財源的にもこれは考慮をしなければならぬ。つくるときにもそうですよ。国の財源がないから、道路公団の費用でということでありましょうが、それはちょっとおかしい。同じ私の選挙区にあるいは、海門橋があります。これは有料橋ですよ。これは文句はあまりありませんよ。もっとも短いし、料金も安い。しかしその上流、すぐそばに別な一般の橋がある。これはこれでいいと思うのです。料金を取ってもいいと思うのです。ところが銚子大橋のごときものは、前後に橋がないんですから、これを有料橋にしたこと自体がやはり間違いであろう。いまそれを取り消せといっても、これはそういうわけにはいかぬでしょうが、少なくとも財源的に何か考えて、道路公団だけの中で、これは赤字経営らしいから……。
  17. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いや黒字です。
  18. 久保三郎

    久保分科員 黒字ならまけなさい。そうですよ。それで道路公団がぐあいが悪いなら、建設大臣がめんどうを見るということじゃないですかね。これは観光客ばかりではなくて、銚子−波崎というのは非常に交流の多いところですから、私は特に言うのです。
  19. 保利茂

    保利国務大臣 銚子大橋は三十七年に供用しまして、開通して、いまの料金で償還を見込みますと三十年以上もかかるのじゃないか、そのくらいの料金をつくったらしいのでございますけれども、現実はどうかというと、非常に利用者が多い。したがって、三十年どころでなしに、十年足らずで償還してしまうというような料金の立て方になっているようでございます。御指摘のように、せめて二十年くらいの償還見込みをすれば、料金はぐっと安くて済むのじゃないか。こういうのはどうも料金の立て方が間違っていると思いますから、今後是正の機会には考えられるだけひとつ考えるようにしたいと思います。
  20. 久保三郎

    久保分科員 たとえば、大臣、片道しか乗らないタクシーに往復の料金を与えるのではなくて、片道の場合には帰りには少しはまけてやるとか、帰りはただにするとか、そういうくらいの配慮は、やはりさしあたりでもできるのじゃないかと私は思うのです。とにかくいずれにしても、これは一つの不合理の典型的なものだろうと私は思うので、そういう意味で、ぜひそういう基準を考えてほしい、こういうふうに思います。  もうこれでやめます。
  21. 松浦周太郎

    松浦主査 どうも御協力ありがとうございました。  森本靖君。
  22. 森本靖

    森本分科員 あと質問者が非常に多いわけでありますので、私も簡単にやりたいと思います。  まず、この間私は予算委員会保利さんに質問をしたわけでありますけれども、総括質問で簡単でありましたので、ひとつきょうはちょっと聞いておきたいと思いますが、例の本四架橋の問題であります。  この建設省予算書の三ページの道路事業調査費という中に四億九百万円組んでいる。これが今年度の調査費ですか。事務当局でけっこうです。
  23. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 本州−四国の四十三年度の調査費は三億二千万円でございます。
  24. 森本靖

    森本分科員 それは予算書のどこに入っていますか。
  25. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これは調査費の中に、そのほかの調査も全部合わせて一本に入っております。
  26. 森本靖

    森本分科員 この予算書の三ページの七項目の中に入っているわけですか。これは北海道か。
  27. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 御指摘の三ページの七番目の道路事業調査費十四億五千三百万円の中に入っているわけでございます。
  28. 森本靖

    森本分科員 その中に結局三億二千万円入っているわけですね。それから道路公団には百億円入っているわけですか。
  29. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路公団の中には、いま一応百万円ということでございます。
  30. 森本靖

    森本分科員 そうすると、建設省関係で三億二千万円と道路公団で百万円、これは鉄道建設公団のほうはあなたのほうではわからぬと思いますが、ちょっと参考までに、連絡した分ではわかっておりませんか。まああさって聞いてもいいのですが、わからなければわからないでいいのです。
  31. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いまちょっとわかりません。
  32. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、本年度のこの三億二千万円と百万円とでどういうふうな調査をせられるわけですか。
  33. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 主として、これは土木学会の報告書にございましたいろいろ技術的な調査が主体になろうかと思います。技術的な調査の内訳といたしましては、やはり海洋の気象の調査、地質の調査のほかに、かなり水深の深いところで基礎を施工するための実験、こういうものが大部分でございます。そのほかに船舶航行の安全その他、そういうものを海上保安庁に委託して成果を出してもらうというようなものを含んでおります。
  34. 森本靖

    森本分科員 そこで、大臣にお聞きしますが、これの今後の段取りは、この間の予算委員会の総括質問で一応今年中にできれば結論を得て、そうして来年度できれば実施に移したいという概略的な話があったわけでありますが、これについては現実には閣僚会議でやるのですか、それとも閣僚の中における関係閣僚会議で行ないますか。
  35. 保利茂

    保利国務大臣 経済企画庁でありますとか、運輸省でありますとか、そういう関係閣僚の間で一応相談をいたしまして、そうしてその段階でしぼり上げるか。いや、それはやっぱりここじゃいくまい。もう少しくふうが要るか。ないしは最終的にはまあ私は閣議ということを申し上げたとおりでございますけれども、しぼり上げていく段階に一応は関係閣僚の間で御相談をして、そしてそのまま閣議にのぼせるようにしますか、もう一くふうしますか、その辺はその関係閣僚の相談会を持ったところで、——いまから予定いたしていないのです。そこで相談をしてどうするかということをやろうとこういうような……。
  36. 森本靖

    森本分科員 保利さん、まあ実力者であるし、まとめていかなければならぬのでなかなかこれはむずかしい問題ですが、しかし、最初はやはりこれは関係閣僚で一応の一つの試案といいますか、素案といいますか、そういうものを一応つくり上げて、そうして最終的に閣議にかけていくというのが大体普通のやり方ではないでしょうか。これは関係閣僚会議の中に関係のない外務大臣が入るなんということは必要ないことであって、実際問題としてはこれに関係がある建設省とか、運輸省とか、通産省とか、これは経済効果の問題もありますから、そういう関係閣僚において一応素案なり、試案というものをつくって、そうして最終的に閣議にかける。閣議でそれは意見が山ほど出て、ああでもない、これでもないということになってまた突き戻すということになるかもわかりません。そうなるかもわからぬが、順序としては私が言うような順序を踏んでいくのが妥当じゃないでしょうか。
  37. 保利茂

    保利国務大臣 それは森本さんのお考えは私は否定する考えは毛頭ないわけです。そういう扱いでいければ一番いいじゃないかということは考えております。しかし、まあここで、この閣僚懇談会でしぼり上げるということはどうか、それよりはもう少しこういうものをつくってかけたほうがよろしくないかというような意見が出ないとも限りませんものでございますから、大事をとってものを申し上げておるところです。しかし、基本的には関係閣僚でこれはしぼり上げ得ないということはおかしな話でございますから、本来そうあるべきだろうと思うのでございますけれども、どういう意見が関係閣僚懇談会が出てまいりますか、それをいまから予測しがたいものでございますから、大事をとってお答えいたしておるようなわけでございます。
  38. 森本靖

    森本分科員 そうすると、関係閣僚会議以外に審議会とか懇談会とかをこしらえるという意思はないでしょう。これをやると、またよけいややこしくなりますから。
  39. 保利茂

    保利国務大臣 なるべく避けたいと思います。
  40. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、大体政治的な問題はいろいろあるけれども、一応順序としては関係閣僚会議で十分に審査し、懇談をして、そうして一つの試案を得て、最終的には閣議にかける。しかし、その閣議にかけても、その場合、閣議もおいそれと簡単に通るかどうかなかなかわからない。しかし順序としてはそういうふうにいくのが常識であろう。常識以下の場合も政治的にあり得ることも、これはいま大臣が濁したようにあることもあり得るけれども、常識的に考えた場合にはそういうことになるということは大体わかりました。  それからもう一つ、これは現実にやるということになった場合には、鉄道併設橋の場合は鉄道建設公団が当然やると思いますが、どこが主体になってやることになるわけですか。道路公団ですか、建設省ですか。これは事務当局でもけっこうです。
  41. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 どこがやるかにつきましては、まだはっきりした方針を出しておりませんが、しかし有料道路といたしましては、現在の制度の中では道路公団がやるようになっております。また、併用橋鉄道部分につきましては鉄道建設公団がやるようになる。こういう二つがやるわけにもいきませんので、どちらかといいますと私のほうは、道路公団あるいはそれとまた別な形の公団をつくるか、そういうような一つのかなり大きな機構をつくらなければ、相当大事業だし、できないのではないかというふうに考えております。
  42. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと大体判断ができるのは、これは大体有料にしたいということは考えられますね。
  43. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 現在のところはまだ有料か無料かは、区別するのは非常にむずかしいかと思いますが、いまの情勢ではやはり有料になるのではないかというように考えております。
  44. 森本靖

    森本分科員 そういたしますとこれは道路公団鉄道建設公団というふうなものがそれぞれ別個の形において進めるということはなかなかむずかしい。それから両者が連絡をとってやるということもなかなかむずかしい。そういうことになるとすれば、たとえば本州・四国架橋公団というふうな別個の形のものができ上がってやっていくということが一番望ましい。いいですか、結論をここで言っておるわけじゃないけれども、そういうふうなやり方が一番望ましいというふうにはお考えでしょう。これは現実に別々にできませんよ。
  45. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 私たち、これは橋梁にいたしましても非常に大事業でございます。やはりばらばらというものじゃなくて、それに専念してかかれるものがあったほうが望ましいと思っております。
  46. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、大体私が聞いておるのは、すべて常識ですからね。いまはっきりした結論をどうこうということを言っておるのじゃないのです。ただ一つの青写真を描いてみようということで質問しておるわけですから。要するに道路公団鉄道建設公団というようなものが別個にそれぞれやろうとしたところでなかなかむずかしい。そうすると、やはりこれだけの大事業ですから、何千億も使って、しかも世界的な大事業ですから、その場合には道路公団鉄道建設公団も入った一つの本州・四国架橋公団というふうなものができることが最も望ましい形であろう、こういうふうに私は考えておるわけでありますが、大体それには同調できるでしょう。   〔主査退席、湊主査代理着席〕 それがそうなるとかならぬとかいうことを私はいまここで言明しようということを言っておるわけじゃないのです。そのことが望ましいではないか、こう言っておるわけです。
  47. 保利茂

    保利国務大臣 道路単独橋の場合は道路公団、これはもうそれでよかろうと思うのであります。ただ併用橋でいく場合には、いまの機構でいいかどうか、これはくふうを要する。大体あれだけの大事業を遂行しよう、しかも入り乱れてやれるというものではないでしょうから、やはりこれは常識的には私もそういうことを考えなければなるまいと思います。
  48. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、これは道路橋、併設橋とよく言われますけれども、現実にはやはり併設橋が一番望ましいということもこれは常識でしょう、大臣
  49. 保利茂

    保利国務大臣 常識になっておりましょうかね。まだなかなか常識までにはなっていないんじゃないかと思いますがね。
  50. 森本靖

    森本分科員 これは保利さんらしくないことを言うのであって、道路鉄道も両方が通る鉄道併設橋というものが、一番これは四国と本州にとっても望ましいんじゃないですか。ただし、併設橋を一つこっちにつけて一方にまた道路橋をつけるというような政治的な含みがあれば別ですよ。別ですけれども、一本しかつけないということになれば、鉄道併設橋が一番望ましいということは言えるのでしょう。
  51. 保利茂

    保利国務大臣 どうもそこが常識的だというふうになりますというと、いろいろルートについて……。
  52. 森本靖

    森本分科員 ルートのことを言ってません。
  53. 保利茂

    保利国務大臣 それはよくわかります。わかりますけれども併用橋を予定していないところもあるわけでございまして、したがって、そういうところの関係の深い地帯からしますというと、第一の本州−四国連絡架橋というものは、最も簡易に安全にかつ迅速に行なえるものをやることが常識じゃないかというお考えもあるわけなんでございますから、そこのところは、したがって、どうも普遍的な常識観になっているということは、併用橋が常識だということには、私はまだ少し早いような感じがします。いろいろの含みがあります。
  54. 森本靖

    森本分科員 それは大臣、私が言うのは、本州と四国の間に一本しかかけないということになるとするならば、一番併設橋が望ましい。これはもう国土の開発、経済効果、あらゆる点から言っても常識として——一本しかかけないということになるとするならば、鉄道併設橋が望ましい。鉄道併設橋、それから道路橋と二つつければ別ですよ大臣。しかし一本しかつけないということになれば、鉄道併設橋が望ましいということは常識でしょう。それは保利さんともあろう者が、そのくらいの常識はあるはずですよ。だから私は鉄道併設橋と道路橋と二つつけるということになればそれは別だけれども、一本しかつけないということになれば、鉄道併設橋をつけるということが、本州−四国開発には一番よろしいというのが常識と言えるのではないか。決定的なことを私は言っておるわけではないのです。そういうことが常識ではないか、こういうことを言っておるわけですよ。
  55. 保利茂

    保利国務大臣 その常識的なことが、おそらく関係閣僚懇談会の席上の非常に重要な相談事項になるであろうと思いますから、森本さんの御意見の、それが常識だよと教えられている点につきましては、十分私も意を体して閣僚懇談会に臨むようにいたします。
  56. 森本靖

    森本分科員 それからこの工事の規模、そういう点については一応新聞でも発表になっておりますから、これは別として、この経済効果というものと国土総合開発、船舶航行、この三つについては、大体どういうところを重点的に調査をするわけですか。これは事務当局でけっこうです。まず最初の経済効果というものを、どういうものを重点的に調査をしていくのか。
  57. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 経済効果につきましては、やはりこれは将来の西日本、瀬戸内海及び四国が一体将来どうなるかというようなものから出発すべきだと思います。四国開発が将来どうなるか、そのためにはどの地区にどういうような一つの産業構造のモデルをつくりまして、想定いたしまして、それによってどれだけのものが本州と四国の間の交通量として発生するのか、物の輸送量として発生するのか、それを四国と中国はもちろんでございますが、九州へ行く物資がどのくらいあるか、近畿に行くのがどのくらいあるか、関東以北に行くのがどのくらいあるか、それをいろいろ四国のモデルをつくりまして、それでそういう計算をいたしまして、どのくらいの交通が発生してそれによる経済効果はどのくらいだというような形で積算をするつもりでございます。
  58. 森本靖

    森本分科員 そうすると、交通量というものと物資の交流というものが主になる、こういうことですね。
  59. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 そういうものがもちろん主体になろうかと思います。
  60. 森本靖

    森本分科員 それから当然そのことは国土総合開発とからんでくるということになってくるわけであって、やはり国土総合開発というものが完全にでき上がって、そのプランができ上がって、それにおける四国、中国、九州、関西、それの地位というものが総合的に判断をせられるということになるわけであって、この経済効果というものは非常にとりにくいということも言えると思います。それから経済効果というものはとり方によってはどうでもこれは数字ができ上がるものであって、その辺を調査する場合には、一つのきちんとした基準をつくって、政治的に左右せられないようにやっていくことが将来非常に重要ではないか。純技術的に検討していくということをよく考えないと、この数字のとり方というものは魔術ですから、どうでもなると思います。そういう点をひとつ十分にお考えを願いたいと思うわけであります。  それからもう一つ、併設橋の場合は、国鉄の長期ビジョンに当然影響されてくるでしょう。これは運輸省の所管になりますけれども、建設省としても併設橋をもしつくるということになれば、その併設橋の場合には国鉄の新幹線その他の長期ビジョンにも相当大きな影響をされてくるということも事実でしょう。——事務当局でいい。大臣は慎重だから。
  61. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 当然国鉄の長期ビジョンに影響されてくると思います。まず四国開発がどういう形で進むかというのは、これはいろいろ企画庁でやっております。全国の総合開発計画、こういうものもやはり政策的にものを考えて四国の開発を考えていかなければ、いまの自然発生で二十年たてばこうなるだろうということではいけないというふうに考えております。やはり四国の開発をどういうような国の企画としてやるんだというようなことになりますと、これは当然建設省だけでなくて経済企画庁その他と十分連絡をとって四国の将来のビジョンをあわせていきたい。また鉄道についても当然一つ鉄道の長期ビジョンがございまして、これについてもやはり企画庁が中心となってもらって、鉄道の長期ビジョンと四国の中のいろいろ産業構造に伴いますわれわれの道路のビジョンというものとの調整をやはりとってもらう必要があろうか考えております。
  62. 森本靖

    森本分科員 私は四国開発審議会の委員を十年以上、この法律ができたときからずっとやっているわけですが、四国総合開発計画というのは総花的ですよ。はっきり言いまして、それしかできないんだ、いまの政府としては高知県も愛媛県も徳島県も香川県も総花的に開発していこうということがずっと開発計画がきている。だから国土総合開発などといったところで、総花的に開発をしようというわけなんだから。四国もそうしないとなかなかそれぞれの選挙区の政治家が了承しないのだ、はっきり言うと。一つのビジョンに立ってなどと言うけれども……。しかも経済企画庁と国鉄と完全な連絡をとっておるかというと、そう完全な連絡をとってない。それからまた経済企画庁と建設省との連絡が完全にできておるかといえば完全にできてない。これは、私は毎年この四国総合開発の審議会において、あなた方のほうでだれか局長が出てくるけれども、質問をすると、全くちぐはぐになってしまう。経済企画庁は各省から四国の予算を全部寄せ集めてきて、これが四国総合開発の予算でございますと、こう出してくる。これは私は十年以上審議してきているからよくわかっている。そういうことでは、とてもじゃないが、ほんとうの国土総合開発というものはでき得ない。だから、そういうふうな政治的なことも、いまは民主政治ですからそれを全然考慮に入れぬということはいけませんけれども、できる限り、そういうことよりも純技術的な国土総合開発ということを考えていく必要がある。それに歩調を合わせて、国鉄の計画、またこの本州−四国架橋という点についても考えていかなければならぬということを私は言いたいわけであります。私は自分の選挙区に我田引水をしようと一つ考えておりません。しかし、いままでの例から見るとそういう例が非常に多い、こういうことを言っておるわけで、これは非常に大事業でありますので、慎重の上にも慎重を重ねていってもらいたいと思います。  それからもう一つここで大事なことは、船舶の航行の問題であります。この架橋をした場合に、少なくとも船舶の航行についてどういうふうな考え方を持っておるわけですか。
  63. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 船舶の航行につきましては、いままで一応こういう計画をいたします場合に、明石では主航路大体何メートルくらい必要か、備讃瀬戸では何メートル必要かというようなもので計画しております。ただ、やはりこういう主航路が幾らということのほかに、工事中はさらにそれより船舶の航行は阻害されてきます。また、そういうような主航路何メートルということが、今後の海運の将来を考えた場合にはたして妥当かどうか、そういうこともございまして、実はこの辺は私どももいままでいろいろ研究しておりましたが、さらに、四十三年度では海上保安庁に委託費を出しまして、もう少し具体的なこまかい調査まで入りたいというふうに考えております。
  64. 森本靖

    森本分科員 そうすると、これは何万トン級の船、あらゆる船が全部航行できるというふうな考え方ですか。それとも何万トン級ということでしぼるつもりですか。
  65. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 現在のところ、水深がございますが、水深からいえば現在考えている大きなものは通行できる、かつ、橋梁の下と水面とのいわゆるクリアランスでございますが、これも六十五メートルをとっております。現在ある船舶は大体高さがみんな六十五メートル以下であろうかと思います。そういう面ではどんなものでも通れるとは思います。ただ、非常に巨大な船になってきますと、船と船との間の接触を防ぐためのブレーキ、このために非常に距離がかかる、そういう問題がこれからのどの程度で調整をしていくかの一つ問題と思います。また、しかしこれについては、将来ああいう瀬戸内海みたいなところを走る船舶のブレーキとか方向変換、こういうものに対して、もう少し船舶技術上いろいろ進歩してくるのじゃないかということも一応考えております。
  66. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、現在瀬戸内海を航行しておる船舶はこの橋ができても完全に航行ができるように考えておる、端的に言えばこういうことですね。
  67. 保利茂

    保利国務大臣 そうです。
  68. 森本靖

    森本分科員 それでは次に移ります。  建設省所管の治水関係の十三ページの十二番目、仁淀川大渡ダム建設費の中に三億九千五百万円というのが組んでありますが、これは調査費ですか。
  69. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これは建設費でございます。調査費ではございません。
  70. 森本靖

    森本分科員 これは何の建設費ですか。
  71. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これはダムの建設費そのものでございます。
  72. 森本靖

    森本分科員 ダムの建設費そのものというが、このくらいの金でダムができるかね。
  73. 坂野重信

    ○坂野政府委員 全体計画はまだ多うございますが、今年度で見込んでいるものが三億九千万でございます。
  74. 森本靖

    森本分科員 三億九千万円で何をつくるのですか。
  75. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ダムの基礎の岩盤を固める建設費が主体だと思っております。詳細についてはここに持ち合わせておりませんが、大体基礎工事費でございます。
  76. 森本靖

    森本分科員 それではあとでこの三億九千五百万円の積算根拠を資料としてお出しを願いたいと思います。  それから、大渡ダム建設の総合計画の資料をひとつあとでお出しを願いたいと思います。ここで質問をしませんから……。
  77. 坂野重信

    ○坂野政府委員 あとでお出しいたします。
  78. 森本靖

    森本分科員 私は予算に限ってひとつ質問をしていきたいと思います。  一般会計歳出予算各日明細書の二ページですが、公園緑地調査員謝金三万三千円というのがある。これはどんな金ですか。
  79. 小林忠雄

    ○小林説明員 これは明治百年の記念の国営公園を埼玉県等につくる予定がございますので、それにつきましての専門家の調査のための謝金でございます。
  80. 森本靖

    森本分科員 専門家の調査費ですか。
  81. 小林忠雄

    ○小林説明員 調査の謝金でございます。
  82. 森本靖

    森本分科員 積算根拠は。
  83. 小林忠雄

    ○小林説明員 これは一日当たり何千円という単価がきまっておりますので……。
  84. 森本靖

    森本分科員 幾らですか。予算だから予算のことをやらないと……。政策論議よりも数字で——時間がかかるから、あとでひとつ資料で知らしてくれませんか。  次に、その次の三番目、これもうんと金額は少ないのですが、人事管理研究会講師等謝金六万一千円、これの積算根拠はどうなっていますか。えらい安い講師ですが、何人ですか。
  85. 志村清一

    ○志村政府委員 ちょっとただいま資料の持ち合わせがございませんが、講師に対する謝金を考えておったと思います。
  86. 森本靖

    森本分科員 一人何ぼだ。
  87. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまちょっと資料の持ち合わせがございませんので、後ほど……。
  88. 森本靖

    森本分科員 これは予算審議をするときであって、政策論議ばかりやるわけじゃないですからね。本来ならば、予算委員会分科会はこういうことをやらなければならぬ。こういうことをやると、あなた方はむちゃくちゃをせぬようになるのだ。私は郵政省予算をやるときは、款項目、十時間ぐらいやったことがある。経理局長音を上げて、次から全部予算については一々相談に来たことがあるが、とにかく数字の問題ですよ。  それから、次の大臣等視察旅費二十六万七千円という数字がある。大臣の視察費とすればえらい少ないが、これは何回視察をする経費ですか。
  89. 志村清一

    ○志村政府委員 二十六万七千円の大臣等視察旅費がございますが、この内訳につきましてもただいま資料がございませんので、まことに申しわけないわけでございます。
  90. 森本靖

    森本分科員 それから、五ページに宅地造成指導費、これも金額がわずかですが七万八千円。五ページの上から十三段目くらいに宅地造成指導費七万八千円……。
  91. 川島博

    ○川島(博)政府委員 それもただいま資料を持ち合わせておりません。
  92. 森本靖

    森本分科員 私は人がいいからいいのですが、とにかくこの少ない予算はちょっとおかしいと思うのです。  それから、六ページの上から二番目に日本住宅公団法施行費、これはわずかに二万円です。これはどういう経費ですか。
  93. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これは日本住宅公団におきまして宅地を購入いたしましたり、国有財産を出資してもらいます。その出資してもらいます場合に、評価委員というものがございます。その評価委員の手当と申しますか、謝金でございます。   〔湊主査代理退席、主査着席〕
  94. 森本靖

    森本分科員 それは評価委員一人に幾ら出すわけですか。
  95. 三橋信一

    ○三橋政府委員 三千五百円でございます。
  96. 森本靖

    森本分科員 これは一日どの程度やりますか。
  97. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これはまとめておきまして、一日二時間くらいで相当件数さばいております。
  98. 森本靖

    森本分科員 一日二時間で大体三千五百円で何人ですか。二万円で、数字が合わぬが……。
  99. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これは民間の方はお一人でございまして、あとは大体公務員関係関係各省、これには支払いませんので計算が合いませんけれども、三千五百円ということになっております。
  100. 森本靖

    森本分科員 だから、三千五百円で二万円だったら、どう足しても数字が合わぬから私はおかしいと思って聞いたわけですが、それはいいです。私は非常におとなしいから、あとでけっこうですから、資料でこれもお出しを願いたいと思います。  それから、その次の七ページですが、四百十八万五千円という交際費です。これは本省の交際費ですか。
  101. 志村清一

    ○志村政府委員 本省分でございます。
  102. 森本靖

    森本分科員 この本省の交際費は、大体積算根拠としてはどの程度ですか。——これは去年は幾らですか。
  103. 志村清一

    ○志村政府委員 去年も同額でございまして、各省共通でございます。
  104. 森本靖

    森本分科員 この交際費の内訳についてはどういう始末をしておりますか、内容は。すべて領収書を取っておりますか。
  105. 志村清一

    ○志村政府委員 大部分については領収書を取っております。雑費につきましても、一括した領収書は取っております。
  106. 森本靖

    森本分科員 雑費の一括した領収書を取っておるというのは、どの程度の雑費になりますか、金額は。
  107. 志村清一

    ○志村政府委員 金額は月によってまた違ったりいたしますけれども、こまかい雑費的なものでありまして……。
  108. 森本靖

    森本分科員 最低何ぼくらいだ。
  109. 志村清一

    ○志村政府委員 数万程度かと存じます。
  110. 森本靖

    森本分科員 数万ということがありますか。大体十万円なら十万円、五万円なら五万円以下はもう合併して領収書を取る、それから十万円以上の分についてはちゃんと領収書がある、一万円以下の領収書などというものはまとめてどうなっておるというふうに、大体それぞれの各省に内規があるでしょう。それを大体どの程度にやっておるかということです。
  111. 志村清一

    ○志村政府委員 お茶代等は一カ月幾らというふうなことでまとめまして、それを一括して領収書を取ってやっております。
  112. 森本靖

    森本分科員 茶代も交際費から出しておるのかね。茶代は交際費からでなしに、茶代は別に出ておるはずだろう。
  113. 志村清一

    ○志村政府委員 接待費から出しております。
  114. 森本靖

    森本分科員 この交際費じゃないんだろう。
  115. 志村清一

    ○志村政府委員 大臣室等におきましては、この交際費から出しております。
  116. 森本靖

    森本分科員 この交際費からお茶代なんか出ていないよ。それは各省のそれぞれの経費から出ておるわけであって、とにかく私がここで言いたいのは、要するに、こういう交際費というものは、ややもすると経理が——これは実は会計検査院もこまかに見ないはずです。だから大まかな領収書で済んでしまうので、そういう点を管理する人がよほど慎重に管理しないとだめだということを私は言いたいのであって、建設省が何も不正をしておるということを言っておるわけじゃなしに、そういう点はひとつ厳正にやっていただきたいということです。  それから、一般会計の明細書の中の一二ページの庁費の中の無線局維持運営費、この中の千五百万円、この経費はどういうふうになっておるのですか。
  117. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これは全国に洪水予報関係の無線機がございまして、それの関係の油代だとか電力代、そういうものでございます。
  118. 森本靖

    森本分科員 油代というのは、ガソリン代でしょう。これは大体全国にいまどの程度警報機を置いておりますか。
  119. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ちょっと資料を持ち合わせておりませんので……。
  120. 森本靖

    森本分科員 このくらいなことは——私がほんとうのところ言いたいのは、この予算項目における積算根拠くらいはぴたっと答えるくらいのことができないとほんとうはだめなんです。これは非常に重大なことなんです。  私は専門家だからよく知っておるけれども、よく建設省のほうからわれわれのところに逆に陳情がある。洪水警報のために無線機をぜひ置いてくれというのです。上流から下流に通報するこれがあったら非常に違うわけです。私に言わせれば、この経費だけはもっともっとふやして、無線警報というものをもっとふやせば、いまの洪水警報はもっと順調にいくというふうに考えておるわけです。本来ならば、これは私に言わせれば、それだけあなた方はこれを重大視してないわけです。本来いえば、これは全国にどの程度ありまして、どういうふうにやっております。まだどの程度足りませんというふうな答弁を期待しておったわけです。しかしながら、いま言ったように、あえて私は追及しようとは思いませんが、こういういわゆる無線局、これはほとんど洪水警報の無線局なんですよ。だから、こういうものについては極力まだふやさなければならぬところが多いでしょう。どうですか。
  121. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そのとおりでございます。
  122. 森本靖

    森本分科員 この洪水警報等については、非常に重要なことですから、これは来年度予算あたりでも早急に考えていただきたいということを特に要望いたしておきたいと思います。それから、これは傍系機関ですからあまり大事でないと思いますけれども、実は洪水警報のときには一番重要な事項ですから、いまわからぬぐらいの答弁でなしに、そらで覚えているくらいに勉強しておいてもらいたいと思います。  それからもう一つ道路整備費の、八ページの事務費の中の郵政事業特別会計への繰り入れが百五十五万円あるのですが、これはどういう経費ですか。
  123. 志村清一

    ○志村政府委員 郵政事業特別会計への繰り入れでございますが、これは金の支払いをいたします場合、郵便局を使いますので、その手数料を納めるわけでございます。その費用が百五十万円、こういう数字になっております。
  124. 森本靖

    森本分科員 これは、郵便局に納めて、郵便局から支払うというのは何でやっておりますか。
  125. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 申しわけありませんが、ちょっとはっきりしないもので、いまどういう形でやっておるか、すぐ調べて御報告いたします。
  126. 森本靖

    森本分科員 私がいままで質問をしたこの予算の積算根拠、半分以上全然わかっていないわけであって、これはひとつ、大臣に特に言っておきたいと思いますが、この予算委員会分科会は政策論争をするところでもありますけれども、本来ならば、こういう数字を一つ一つあげてその積算根拠をやっていかなければ、はっきり言うと、国会が官僚の諸君になめられてしまう。そこで私は、しょっちゅうこの予算委員会分科会でこういうことをやる。ところが、いま建設省の答弁を聞いてみると、半分以上回答が即座にできない。これはひとつ、十分経理当局を中心として各部課長は、こういう内容については、予算書にちゃんと載っておるわけですから、いつでもお答えができるようにこの次からやっていただきたいということを特に大臣に要望しておきたいと思います。
  127. 保利茂

    保利国務大臣 森本さんの御指摘、洪水警報機等の政策にも触れる問題、非常に大事なものについて十分な資料を用意していなかったということはまことに遺憾に存じます。気をつけまして、十分御審議に支障のないように注意をいたしたいと思います。
  128. 森本靖

    森本分科員 それから最後に、いままで、河川にいたしましても大きな河川、道路にいたしましても国道、こういう方面に建設省は非常に努力をいたしておりましたが、昨年あたりから中小河川それから地方道、こういうものに対してようやく建設省が本腰を入れかけてきた。特に中小河川それから地方道、こういうものについてはいま地方でも非常に困っておるわけであります。本年度の予算を見てみますと若干ふえておりますが、地方道、中小河川、こういうものについても本年度は積極的にこれの改修、補修についてひとつ御努力を願いたいというふうに考えるわけでありますが、最後に大臣の答弁を聞いておきたいと思います。
  129. 保利茂

    保利国務大臣 中小河川や都市河川を重要視すべきであるということは、昨年の一連の災害のあとにも政府は特段のそういう関心を持ちまして、しがたって、現行治水計画をもってしては、その要請にこたえること、はるかに遠いものを感じまして、中小河川等に重点を置いた新治水五カ年計画を持ちたいということで努力しておるところであります。  地方道の整備が立ちおくれておりますことは、もうこれは御指摘をまつまでもなしに明らかな事実でありますが、しかし、交通の性質からいたしまして、やはり幹線の整備にとにかく一生懸命かかった。これも不完全ながらほぼ目安がついてきた。さあ、これから地方道だというかまえになってきておりますから、これからは地方道の整備に対して重点的な努力を払っていかなければならぬというふうに私も感じております。
  130. 森本靖

    森本分科員 私の持ち時間はまだだいぶありますが、主査協力いたしまして、これで終わりたいと思います。
  131. 松浦周太郎

    松浦主査 次は、山口鶴男君。
  132. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 まず、大臣にお尋ねをしたいのですが、大臣が就任をされました直後、十二月二十五日の記者会見で、群馬県で問題になっておる沼田ダムの問題でありますが、沼田ダムの建設は、首都圏の長期的な水の確保の面から、困難があっても地元の協力を得て建設する必要がある。この建設には犠牲も多少伴うが、将来の展望から見れば日本の経済の発展の基盤になるのでぜひやりたい。こういう趣旨の発言をされたことを新聞で拝見をいたしました。  大臣も御案内だと思いますが、この沼田ダムは、八億トンもの水をためるという非常に大きな構想でございまして、群馬県の議会はこれに反対決議をいたしておりますし、また、地元の沼田市におきましても同様な議決をいたしております。そういう中で、この大臣の発言は群馬県民の非常な注目を集めたわけでありますが、当初記者会見で話されました、困難があっても沼田ダムは建設をしたいという大臣のお考えに、その後変化はありませんか。その点をまずお伺いをしておきたいと思います。
  133. 保利茂

    保利国務大臣 沼田ダムというその事柄を知っている程度で、実際のいきさつがどういうふうになっているかということは、まだ私もつまびらかにいたしていないわけでございますが、おそらく御指摘のその記事は事実だろう。私は、その記者会見でさような御質問を受けてそういうお答えをしたのじゃないか、それはそのとおりだろうと思います。しかし、河川局長から話を聞いてみますと、なかなか容易なことじゃないということで、まあ、ほかのことに忙殺されておるものですから、そのほうは、そのままその後何らの手を加えていないわけでございます。しかし、大体の感じから言いますというと、地元が絶対に協力できぬということになればまた別でございますけれども、長期の首都圏構想等、固まったものはないにいたしましても、関東一円の将来を考ますときに、のみならず、また災害防除等のことを考えます場合に、あの大利根の水利と申しますか、治水と申しますか、いつの日か抜本的な対策を講じなければならないのじゃないかということは、これは一つの大きな課題であろうと思います。しかし、そういう課題と現実的に取り組みます場合には、沼田ダムのみならず、どこでも同じわけでございますけれども、地元の意向を無視、ないしは地元の協力を得ずしてやるというようなことはできることじゃないと思います。まだ具体的に事務当局からもそういう計画を聞いておりませんし、考え方としては、とにかく大利根の治水、利水ということについては、長い首都圏の繁栄ということを考えますと、抜本的な対策を講ずることが必要じゃないかという程度考えておる次第でございます。
  134. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ただいま御答弁をお聞きいたしましたが、将来の首都圏の水の対策という面では考えなければならぬけれども、しかし、地元の協力を得なくてはこの問題は解決されるはずもない。したがって、慎重に取り扱うのだという趣旨だと存じます。この点につきましては、群馬県議会の反対の議決、地元の沼田市等の反対の議決、地元住民の意向等も十分配慮されまして、慎重に対処いただきたいことをお願いをしておきます。  時間がありませんから、私はこの沼田の問題はこれでおきまして、他の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  いま、同じく群馬県で八ツ場ダムというのが問題になっております。沼田ダムの規模からいきますと約八分の一でありまして、一億トン程度の水を湛水するというダムであります。しかし、二百五十九世帯が水没をする、田畑、山林含めまして三千三百五十三ヘクタールもの地域が水没をする。地元住民にとっては重大な問題であります。私は、過般、昨年の衆議院の建設委員会におきまして、当時の西村建設大臣にもこの点をただしたわけでありますが、ただいまの大臣の御答弁と同じように、首都圏の将来というもの、首都圏の水の対策という面では必要であるけれども、しかし、地元住民の意向に反して強行などはしない、こういう御答弁であったわけであります。ただいま沼田ダムに関して大臣の御見解を承ったわけでありますが、その見解は、この八ツ場ダムについても同じような御見解だと承ってよろしいですか。まずお答えいただきたい。
  135. 保利茂

    保利国務大臣 八ツ場ダムという計画を、私はまだつまびらかにいたしておりませんけれども、しかし、考え方は、私は、ダム問題のみならず、公共事業を推進するにあたっては、とにかく地元の協力を得るということが第一だという考え方を強くとっておるわけでございます。同様でございます。
  136. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは、事務当局にお尋ねいたしましょう。大臣の御見解よくわかりました。強行しないということであります。  私は、昨年衆議院の建設委員会で、調査事務所を設置する場合においても同様であるかということをお尋ねしました。当時の古賀河川局長は、調査事務所を設置する場合にあたっても、あくまでも地元の納得の上でなければ強行はしない、こういう御答弁をされたのであります。しかし、その後の推移を見ますと、昨年の八月三十一日に建設省は地元におきまして現地説明会を開催をされました。しかし、この開催はきわめて不備なものでございました。地元の町長を通じて会場を貸してもらいたいと言ったところ、地元の議会が反対決議をしているから貸すことはできません、町長も出席はできません、こういう回答であったわけです。地元の町長も出席をしない、場所も貸さない、こういう中で、いま二割ほどが賛成派であります。八割ほどが反対派でありますが、この二割のほうの賛成派の事務所を借りて、そこで建設省は現地説明会を強行されました。まさに強行したわけです。どうしてこういう衆議院の建設委員会での答弁に反するようなことをやったのですか。事務当局からひとつお答えをいただきます。
  137. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもの基本的な態度といたしましては、調査を含めて、すべて建設については、地元の納得を得まして、協力のもとでやっていきたいということについては、基本的には全然先生の御指摘のとおりでございます。御承知かと思いますが、やはり私どもは地元の役場を通じまして、そして説明会を開きたいということを事務的に筋を通して多くの人たちにお知らせいたしました。その際、あるいは間違っても困ると思いまして、新聞紙上等にも公告を出し、いつ何日説明会を開くからぜひ出てもらいたいというふうに、十分手順を踏んだ上で説明会を開いたわけです。たまたま説明会の席上には、私どもの予想していたよりも出席者は少なかったのてありますけれども、自分たちとしては、十分手順を尽くして、十分意のあるところを尽くしたつもりでございます。
  138. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 賛成、反対分かれておるわけですね。その場合に、町長に場所を貸してくれと言ったら貸してくれないのに、賛成派の事務所でこそこそと説明会をやるというようなところに、かりに新聞で公告をしようと多くの人が集まるはずはないじゃないですか。しかも、不備な説明会をやったあと、賛成派の事務所に八ツ場ダム調査事務所というような看板をかけて、そして水没の人たちと対話をしたいと言ったようですが、幾ら美濃部さんが対話と言ったって、賛成、反対分かれておって、賛成派の事務所でこそこそと説明会をやって、賛成派の事務所に看板をかけて反対派の住民と対話をしたいなどと言っても、これはできるはずはないじゃないですか。なぜそんな無理をするのですか。
  139. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、私たちといたしまして、できるだけ地元の町長さん、要するに正式なルートを通じて最大の努力を払ったわけでございます。しかし、八ツ場ダムの必要性その他から考えまして、いつまでも放任できないということで、できるだけ役場を通して事務所の設置等の場所についても御協力を要請したわけでございますけれども、なかなか適当な場所も見つかりませんので、やむを得ず設置できるところにひとつ設置しようということで、たまたま賛成派の方の場所を拝借しまして、ほんとうの一時的な場所でございまして、そこに一時的ということで設置いたしたのでございます。その後、御承知のように、今度は公式の建設省の事務所のあるところに、別の砂防の事務所でございますが、それを利用いたしまして、一時的にまた事務所を移したのでございまして、私どもとしましては、暫定的なことで、まことに不本意でございましたけれども、正式の筋を通して努力した結果、ああいうぐあいな場所に一時的に設置したということでございます。
  140. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣、時間の御都合があるそうですから、大臣関係だけひとつお聞きしましよう。いまの問題はまたあとでやります。  実は、昨年の十二月の衆議院の建設委員会だったと思いますが、同僚の井上普方議員が入札の問題について触れまして、そしてこの入札に対する大臣の見解をただしました。大臣は、いやしくも疑惑を招くようなことは絶対ないようにいたしたいという御答弁をされたのであります。ところが、いろいろな新聞を見ますと、いま群馬県で問題になっている神戸ダムは、これは鹿島建設が入札をする予定であるということがいわれています。それから八ツ場ダムについては、これは間組が入札をすることが明らかだというようなことが一部の新聞に伝えられているわけであります。私はこういうことはきわめて遺憾だと思うのです。しかも、このことについては裏づけがあるのです。八ツ場ダムのダムサイト付近は、すでに間組直接ではありませんが、昭和実営という会社が昭和四十年の三月五日に旧土地所有者から購入をいたしまして、相当面積を取得をいたしておるのであります。大体一万四千四百二十四平米の保安林及び山林、保安林等を含めまして、そのほか約四反五畝程度の土地を取得をいたしています。すでに昭和実営というのは、これは間組の本社の中にあるのですよ。しかも、その代表者は、間組の社長である神部満之助氏が昭和実営の社長ですよ。そういう形で、その八ツ場ダムの少なくとも重要なダムサイトは間組に買われていると同じです。そういう中からこれは間組が入札をするのじゃないか、こういわれておる。こういったこともいわれておるし、さらに、私時間がないから申し上げますが、その土地所有者から間組、昭和実営が買った、その買ったところからさらに建設省がすでにまた土地を一部買っているのじゃないですか。こういうことでは、これはもう八ツ場ダムをつくる、間組が請け負うということは、だれが考えてもあたりまえじゃないですか。そういった不明朗なことが現に行なわれている。大臣、そういう点についてお聞きですか。
  141. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘のことは、私はまだ承知いたしておらないのであります。建設省の行ないます建設工事の入札の問題につきましては、いま山口さんお話しのとおりの考え方を貫いてまいりたい。そういうことがまだ具体化もしないうちに、当事者はだれだというようなことがほんとうにそうであるなら、そういうところにはいかぬようにしたらいいじゃないかというような——私はずいぶん激しい言い方をしますけれども、そのくらいの考え方でひとつ臨んでいきたい。しかし、いますでに何とかが土地を買い込んだとか、それを建設省が譲り受けたとかというようなことは、実は私まだ全然聞いておりませんので、一ぺん聞いてみたいと思います。
  142. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 沼田ダムも同様ですよ。これも同じ昭和実営です。これが沼田ダムのいわゆるダムサイトといわれる地域を、これは昨年の暮れの建設委員会で私が資料を提示いたしまして、井上委員のほうからも大臣にお示しをしたと思うのですが、沼田ダムのダムサイトと予想される地域を約八千坪にわたって昭和実営がすでに取得をしていますよ。こういうように、あそこにダムができるのではないかというようなことがいわれる、また建設省のほうでも調査をなされる。そういう地域がみな土建会社の手によって次々買い占められている。これで一体入札の明朗化、大臣が言われるような、いやしくも疑惑を受けることのないような公正な入札というものが行なわれますか。先ほど大臣は言われました。もしそういう疑惑があるならば、そういう業者には入札をさせないということまでやってもよろしいのじゃないか、考えてもいいのじゃないかと大臣は言われましたね。とすれば、八ツ場ダムはどうなるかは将来のことといたしまして、かりにそのダムサイト地点をすでに間組が土地を取得しているけれども、つくる場合は間組以外の会社と申しますか、土地をそこに早くもつばをつけたというようなかっこうをとっていない会社に入札さすことのほうが公平である、こういう方針で臨むというふうに理解してよろしいですか。
  143. 保利茂

    保利国務大臣 具体的な御指摘でございますから、間組という優秀な土木会社をはずしたほうがいいかどうかということは、これは非常に慎重を要するところだろうと思うのですけれども、そのくらいの気持ちで扱っていっていいのじゃないか。それは、かりにお話しのようなことになりますと、疑惑が疑惑として実際だということになるわけですから、それは私のとらざるところであります。施工にあたりましては、そういう実施の段階にあたりましては、いまの御指摘のダムにつきましては、私自身でそういう気持ちを貫いてみたいと思っております。
  144. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 事務当局にお伺いしますが、八ツ場ダムのダムサイトの地点といわれている地域ですね、そこを何で昭和実営から土地を買う必要があったのですか。そういうことをするから疑惑を招くじゃないですか。この点はどうですか。
  145. 坂野重信

    ○坂野政府委員 私自身実は先生のお話は初耳でございまして、それは現地でやっておることでございますが、その売った場所が昭和実営であったかどうか、よく調べてみたいと思いますので、そういうことをいままで存じませんでした。
  146. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 昭和四十年の八月四日、昭和実営から建設省は保安林、一筆は百六十一平米、次は二百五十四平米、その次は百八十平米、合計約六百平米にわたって昭和実営から買っておるのですよ。ちょうど八ツ場ダムについて実施調査の予算がついたのが四十二年ですね。ちょうどこの段階は実施調査の予算はついていないけれども、予備の調査でいろいろと建設省が調査をしている段階でしょう。その以前にも地元の土地所有者から昭和実営は土地を買い、そうして昭和四十年の八月四日には——昭和実営が地元の土地所有者から買ったのが四十年の三月五日ですけれども、それから五カ月ばかりたった八月の四日には建設省がその一部を昭和実営から買っておるのですよ。これではだれが考えても、ここはもう間組がやるのだなというふうに思われてしかたがないじゃないですか。わかる範囲でひとつ答弁してくださいよ。
  147. 坂野重信

    ○坂野政府委員 私はその当時実は関東地建の局長をしておりましたが、昭和実営という会社と間組が何か関係があるということは全然存じませんし、それから、私が知らぬくらいでございますから、現場の連中は昭和実営が間組と関係があるということはもちろん全然知らぬわけでございます。どういう偶然か知りませんが、昭和実営の持っている土地を買ったということは初耳でございますが、おそらくそういう現地におってその事情を知って昭和実営から買ったということは断じてないということを私は確信いたしております。私自身がそういうことをきょう初めて先生からお聞きしたわけでございます。
  148. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そんな答弁は私はおかしいと思うのです。昭和実営というところへ土地を買うために電話をかけるでしょう。昭和実営へ電話をかければ間組が出るのですよ。間組が出て、昭和実営さんのほうですかというので回すわけだ。いわば代表番号が間組で、その内線に昭和実営があるのですよ。そういう状態です。電話一本かければわかることじゃないですか。しかも、土地を買うのですから、電話くらいかけたでしょう、建設省当局は。それでおってわからぬということは、それは答弁にならぬと思うのです。正直に答えてくださいよ。
  149. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほどちょっと申し上げたことは、私の前の局長の時代でございました。ちょっと間違いましたが、いま聞きますと、何かボーリングをする用地として買ったということでございます。その辺のいきさつがどういうことであったのか、正直なところ全然知りませんけれども、先ほど申し上げたように、きょう初めて昭和実営という会社も知ったわけでございます。
  150. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、昭和実営がここに土地を持っておる、そのために、言われておるような間組がこの八ツ場ダムを入札するというようなことはない、大臣の言をかれば、そういう土地所有者以外の業者が入札するようなことのほうが明朗であり、そういう方針で臨みたいということについては事務当局もいいわけですね。
  151. 坂野重信

    ○坂野政府委員 このダムは現在調査中でございまして、事業にかかるのは一年先か二年先かわかりませんが、その段階におきまして、私ども事務当局としては、大臣の指示に従いまして、大臣の御意向によっていろいろな手続を進めていきたい、かように考えております。
  152. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私たち八ツ場ダムをつくることは困難だろうと思います。それは、先ほどから申し上げておるように、八割もの人たちが絶対反対をしている。賛成だと言っている人は二割にすぎないのであります。  それで、またもとへ戻しますけれども、その二割の方を対象にして現地説明会を開き、その賛成派の事務所に調査事務所の看板をかける、そういうやり方が、かえって地元民を刺激をして反対派の意向を固めるということになることは当然ではありませんか。古賀前河川局長は、地元の納得を得てこの調査事務所の設置はやりたい、こう言ったわけでありますが、地元の納得ということは、すなわちその地域について考えれば、長野原町の町長の了解を得る、具体的には長野原の町議会の了解を得る、また、地元民の過半数の同意を得て事務所を設置をするというのが、私は納得を得た手続だと思うのですけれども、これはひとつもなされていないじゃないですか。議会は絶対反対の議決を二回にわたってやっているじゃありませんか。町長も議会の議決に拘束されることは当然です。地元民だって、過半数の了解なんというものは得ているわけじゃありません。そういう中で、地元の納得を得て設置をしたいと言われたのがほごになっておる。明らかじゃありませんか。経過はわかりましたよ。しかし、少なくとも地元の納得を得ていない。これについて、事務当局は一体どう考えておられるのですか。
  153. 坂野重信

    ○坂野政府委員 おことばを返すようでございますけれども、ダムの問題については、二割ぐらいしか納得というか、あと大多数は絶対反対だとおっしゃいますけれども、私どものほうの目算では、二割という低い程度じゃない。少なくとも半分以上は、積極的賛成とまでいかないにしても、条件によってはダムの建設もあえて反対しないという方々があるのじゃないかと実は考えておるわけでございまして、その辺は、あるいは見解の相違で、おしかりを受けるかもしれませんけれども、私どもはそういうように考んております。  先ほど申し上げましたように、事務所の設置については、再三私どもとしては誠意を披瀝して地元の折衝に当たったわけでございまして、町長さんあたりも、その間にあって、いろいろな立場上、表向きはなかなか建設省に対しても協力しがたかったでございましょうが、実質的にといいますか、精神的には私どもにかなり同情をいただいたというぐあいに解釈しておりまして、私どもといたしましても、いつまでも放任できませんので、やむを得ず、地元の方の中にも賛成の方も相当多いということを私どものほうで推察をいたしまして事務所の設置に踏み切ったわけでございます。その点ひとつ御了承を願いたいと思います。
  154. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これは、地元を当たっていただけば、水かけ論ではなくして、はっきりするわけです。議会の議決の票数等を見ていただけばわかるわけです。十五対六なんですから、はっきりしております。そういうことについては、水かけ論は私もやめたいと思いますが、事実はやはり御認識いただきたい。これはお願いしておきます。  それで、この調査事務所は、現在大臣の告示による正式な調査事務所ですか。
  155. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そのとおりでございます。
  156. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 とすれば問題ですよ。とにかく、地元の納得を得てからやるというふうに答弁をされて、大臣告示による調査事務所の設置が地元の納得を得ないままにやられておるということは、前の答弁と全く違うじゃないですか。これはどういうのですか。議会でそういう発言をしておいて、ほごにしてよろしいのですか。議会をその程度に軽視してお考えになるのですか。建設省の河川局のお考えは一体どうなんですか。  これはむしろ次官にお聞きしたほうがいいと思うのですが、調査事務所の設置は地元の納得を得てやる、強行はせぬとはっきり約束したのですよ。ところが、いま聞きましたら、大臣告示による調査事務所がすでにできておる。おかしいじゃないですか。
  157. 松浦周太郎

    松浦主査 山口君、時間の関係がありますから、結論に入ってください。
  158. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 ただいま私、大臣のかわりに出たばかりで、前の事情がよくわかっておりませんが、私ども実は高知県では早明浦ダムとかいろいろなダムを終戦以来たくさんやっておりまして、ダムの建設の問題につきましては、慎重の上にも慎重を期して、そうして、でき得る限り地元の人の納得を得て施行していくということが当然でございまして、また、そういうことでなければ全きを期することはできないのであります。ただ、承りますと、この八ツ場ダムの問題にいたしましても、事務当局としては、一応地元の半数以上の了解を得てとりあえず調査事務所をつくったということでありまして、その点について、山口先生の考え方と若干相違があるようでございますが、なお、そういう点につきましては、せっかくできた事務所でありますから、できるだけ地元の方々の御了解を得るようにこれから努力をしていかなければならぬ、それがほんとうの仕事ではないか、かように存じております。
  159. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 半数以上の納得ということはありませんよ。それは間違いですよ。私は、半数以上の納得があって事務所を設置したのならば、前の言明と違うとは言いません。当該町村の議会は十五対六で絶対反対をきめておるのですよ。しかも、八割近い人たちは絶対反対で署名をしておるのですよ。これは事務当局のほうがどう詭弁を使うのか知らぬが、私はそういうことはいかぬと思うのですよ。どうですか、局長、現に半数以上の賛成があるのですか。それだけはっきりしておきましよう。
  160. 坂野重信

    ○坂野政府委員 それは先生の御解釈と私どもの見解は違うかもしれませんが、私どもとしては、まず半数ぐらいは大体条件的な賛成派だ、かように考えております。私ども県当局といろいろ折衝いたしまして、それから町当局とも十分折衝を持ちまして、確かに地元の町村のそういう反対決議ということもよく了承いたしておりますけれども、私ども大体の空気を察しまして、その辺の解釈が間違っておるとおっしゃればそれまででございますけれども、私どもの解釈では、どうにか半数は条件的な関係で御了解願っておるというふうに現在でも考えております。
  161. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そういう一方的なことではいけませんよ。では、正式に調査して、半数までとてもいっていない、せいぜい二割か三割というのが実態であるということがわかりますれば、調査事務所は取り消しますか。私は、やはり議会に対する言明というものは重視してもらいたいと思うのです。立ち会いで調べたっていいですよ。二割か三割くらいしか賛成はなかったというのだったら調査事務所は撤回しますか。どうなんですか。
  162. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 私は、自分の体験から実は申すわけですけれども、ダムを建設する場合には、ダムのために非常に犠牲を払う地区の町村等は議会等でも反対議決をされることがしばしばありますし、関係の人々も全面的に反対という声の出ることもよく承知をいたしておりますが、これは県全体が考えて、県自体は多目的ダムとして何らかの形で推進したいという大きな考え方を持っておると私どもは思うのでありまして、そういう趣旨から一応調査事務所を設けて調査をするといたしましても、調査の結果、あくまでも地元が反対で納得しない限りは実施できるものじゃございません。したがいまして、調査事務所ができて、その調査の結果に基づいて、それでもなおかつ町村も地元も絶対反対で納得が得られないということであれば、絶対に実施はいたしません。そういうふうな意味で一応調査をするということ、事務所を設けたということについては、いろいろ見解の相違もあるようでございますが、御了承いただいて、ひとつ進めさしていただくようにお願いをいたしたいと思うのです。
  163. 松浦周太郎

    松浦主査 山口君に申し上げますが、特別時間が過ぎておりますから、これで結論に入ってください。
  164. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それじゃこれで終わります。  ただいまの御答弁、了解しました。今後はひとつ間違いのないように実態を把握いただくことをお願いしたいと思いますし、同時にダムサイトの土地の取得をめぐって、地元とすれば非常に疑惑を持たざるを得ないと思うのです。今後ともそういう疑惑を持たれることのないような厳正な態度を建設省は堅持していただくことをお願いをいたしまして、質問を終わります。
  165. 松浦周太郎

    松浦主査 どうも御苦労さまでした。  次は玉置一徳君。
  166. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣が来られるまで一言だけお伺いしたいと思うのです。  首都圏の人口流入の問題は非常に大きな問題になっておるわけでありますが、単身者、世帯別、年齢別等に分けまして、毎年一体どのくらい入ってくるのか、昭和六十年くらいをめどにすれば、どのくらいの人口の流入を見るか、お答え願いたい。
  167. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 首都圏の一都七県でございますが、この人口は昭和三十年には約二千百五十万でございます。それが四十年には二千七百万にふえております。この十年間に約五百五十万人増ということに相なっております。今後もなお増加の趨勢が続くものというふうに考えておりますが、私どもの推定では、昭和五十年におきまして、約三千三百万人程度になるのじゃなかろうか。さらに昭和六十年におきましては、これはいろいろ推計がありまして、相当長期にわたる問題でございますので、いろいろ考えはあろうと思いますが、一部では四千万人をこえるのではなかろうかという想定もございますが、現在、全国各地で新産業都市建設等、地域開発が行なわれておりまして、そういうふうな開発の効果も期待できるのではないかということで、首都圏整備委員会といたしましては、六十年に約三千八百万人弱になるのじゃなかろうかというふうに考えております。この想定に基づきまして、現在首都圏整備の基本計画の改定作業を進めております。これを世帯別に見ますと、昭和四十年には、一世帯の平均人員が首都圏の中では約三・九人でございます。普通世帯の数が約六百五十五万でございます。これは六十年になりますと、おそらく一世帯の平均人員が三・五人程度に下がるのじゃなかろうか。これは先ほどの人口増加もあわせて考えますと、普通世帯の数が約一千万程度になるというふうに考えております。  なお人口の流入の問題でございますけれども、首都圏におきましては、昭和三十年代の十年間に約二百八十万人の社会増がございました。社会増の傾向も今後も続くと考えておりますけれども、しかしながら、全国的に見まして、人口の年齢別構成等も変わってまいりますのと、それから地方の開発が進むというふうなこともあわせて考えますと、昭和四十年代の十年間には社会増が約二百四十万人程度。それから昭和五十年代の十年間で約百六十万人というふうに逐次下がってくるものというふうに考えております。  なお、社会増と自然増との関係でありますが、昭和五十年代の十年におきましては、社会増の約二倍の三百二十万人程度が、この首都圏の中で自然増としてふえてまいるのじゃなかろうかというふうに見通しております。
  168. 玉置一徳

    玉置分科員 公共投資が一人当たり——一人当たりということは計算しにくいかもわかりませんが、いつか私は新聞で拝見したように思うのですが、自動車のふえるため思い切った道幅の拡張が要るとか、都市計画もしくは水の問題、いろいろな問題の公共投資を必要とするのですが、一人入りますと大体どのくらい要るかという積算がありますか。
  169. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 現在、昭和五十年を目途に基本計画の改定を急いでおる段階でございまして、どの程度の投資量が要るかということはいま詰めつつある段階でございますので、総事業費につきまして現段階でお答えいたすわけにまいりませんけれども、人口の増加のみならず、過去におきます社会投資の不足、これを早く取り戻さなければならぬという問題、両方ございまして、相当膨大な社会投資が要るだろうというふうに考えております。ただいまお話しいたしましたように、その資料を目下詰めつつある段階でございますので、一人当たり幾らになるかというのはこれがきまったあとで計算ができることであろうと考えます。
  170. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣、いまお話を承っておったんでありますが、年々首都圏に流入する人口がますますふえてまいりますが、このような状態で推移してまいりますと、はたしてその輸送機関あるいは水の問題、あるいは道路の問題、交通の問題、そういうものがいつかは行き詰まると思うのですが、大臣、どうでありますか。
  171. 保利茂

    保利国務大臣 玉置さんの御指摘のように、もう現状はまさに一部行き詰まってしまって、どうにもならないというところにまできていると思うわけでございます。   〔主査退席、湊主査代理着席〕 したがいまして、今後の首都圏の計画を立てるにしましても、特にこの分散対策も抑制対策も相当力強くやらないというと、どうにもこうにも——少々の公共投資をしてもどうにもならぬようになるのじゃないかというようなことで心配をいたしております。
  172. 玉置一徳

    玉置分科員 先ほどの話のように、財政投資もものすごく要るならば、その原資の問題も問題でありますけれども、そういう問題よりは、おそらく行き詰まっちまうというのは、いまの大臣の御答弁のとおりだと思うのですが、そこですみやかに手を打たなければいけませんが、少なくとも入ってくる者を漸減させる手だけは直ちに打たなければいかぬと思いますが、妙策がございますかどうか。
  173. 保利茂

    保利国務大臣 これはもうだれが考えてみましても妙策があろうわけがございませんけれども、とにかくこの首都圏で指定をいたしております十五、六の開発都市地域、そういうところを整備して、首都圏へ流入してくる人口を吸収していくというような方途を講ぜられなければならぬじゃないか。それから、これは東京都なら東京都の今後の姿をどう持っていくかということ、現状のとおりであれば、これはどうにもならないわけですが、ここをある程度生活環境、都市環境を整備し得るような、多少いま少しく高度の利用をなし得るように、そうすれば、相当そこに空地を確保できるというようなことが行なわれれば、現在のたとえば東京都二十三区なら二十三区の人口にしましても、もっともっと収容力は得られるのではないか、しかも改善せられた環境の中に入れられるのじゃないかということは一応考えられるわけであります。それを実際に、それじゃどうやっていくんだということがこれからのお互いの努力すべきところだと考えております。
  174. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣お話のように、各地に分散された新産都市が生まれることもこれを抑制する一つの手でありますけれども、これとても相当な日数がかかりまして、直接即効薬にはなりにくいのであります。それから市街地改造も確かにそうであります。けれども、これはついでに聞きますが、霞ケ関三井ビルという三十六階のが建ちました。建築基準法でいけばああいうものは規格には合っているわけですが、今後もああいうものがどんどんできるのです。あれは建築基準法の現在の基準だけじゃなしに、はたしてそこに入る一万人の人間が移動するだけの交通機関ができているかどうかということも考えた上で、これからああいうものの許可をしなければいかぬと思うのです。若干関連して脱線いたしましたが、そういうことについて建築基準法の改正なり再検討を要すると思われますが、いかがでありますか。
  175. 保利茂

    保利国務大臣 御説のとおりだと思っております。この交通とか保安とかいうことを考えないで、ただ高度に利用さえすればいいという考え方は私は断じてとらないところであります。のみならず、そこのなには法律的にも合法的な手続きの上にできていると思います。また地震とかなんとか、そういう憂いは全然ないように仕組まれている。それじゃそれだけでいいのかというと、私はそうはいかぬ。やはりそこに蝟集してまいります。しかもそれは非常な活動を伴うわけでございますから、また交通難のまっただ中においてやることでありますから、第一番にそういう点を考えなければいかぬのじゃないか。それで私は、それが十全であったかどうかということに関して、あなたと同じように多少疑義を感じております。
  176. 玉置一徳

    玉置分科員 その問題はその問題にいたしまして、今後高層建築の許可の場合には、いまの大臣お話のように、ただに建築基準に合っているだけじゃなしに、ひとつ高度の見地からお考えをいただきたい。  そこで、市街地の再開発と同時に、新聞にも載っておりますように、通勤用の高速鉄道をもうすみやかに着手せなければいかぬ時期に来ているのじゃないか。運輸省のほうでもこの問題の検討を進めておりますが、建設省のほうといたしましても、ひとつすみやかにこの問題に手をつけていただくようにお願いをしたいと思いますが、どうでありますか。
  177. 保利茂

    保利国務大臣 前大臣当時から、前大臣かもっと前か知りませんが、運輸省と私の建設省のほうで、連絡首脳会談みたいなものを持って、私になりましてからも続いてやっておるわけであります。問題は要するに、お話のように、輸送機関と開発とがちぐはぐにならぬように最善のくふうをしていかなければならぬじゃないか。そのためにこそ両省の連絡会等も持っておるわけでございますから、全く御同様に考えております。建設省といたしましても、やはりそういう輸送の増強、現状の通勤状態を緩和するということにはそれ以外にないと思います。
  178. 玉置一徳

    玉置分科員 そこでそれについてでありますが、その高速鉄道は、目下通勤用のあれでありますので、それに見合うような運賃になるような助成がなされねばならないということが第一点と、せっかく計画をいたしまして、思い切って百キロ圏外に出ましても、計画するなりそこの土地代が上がったのでは、また同じことを繰り返すわけでありますので、先行してそこに土地収用法をかけるとか何かの考慮が必要だと思うのですが、将来検討されるかどうかお伺いいたします。
  179. 保利茂

    保利国務大臣 したがいまして、この宅地造成の任に当たっております住宅公団等におきましても、将来輸送施設が増強せられるであろうという地点を想定して、できるだけ手おくれのないように開発してまいるというような方針をとっておるわけであります。
  180. 玉置一徳

    玉置分科員 先ほどのお話のように、いろいろな手を打ちましても人口の流入はなかなか阻止することがむずかしいようにいわれておりますが、これもしかしできるだけの手は打たなければいかぬということは、事実だと思うのです。そこで、都市に流入する人口に対して税をかけるというようなこともあまり感心いたしませんので、せめてこれの明確な原因である大企業の新しい雇用に対しては、社宅もしくは独身寮というようなものを何割だけは確保しなさいという義務づけをするか、もしくはその方々に公社、公団あるいは住宅金融公庫の土地の造成の債券、国債というようなものをある分買うてもらうとかいうように、住宅資金もしくは土地購入資金に協力を願うようなことを考える必要があると思いますが、大臣どう思われますか。
  181. 保利茂

    保利国務大臣 いずれも重要な御提案でございますから、ひとつ十分検討してまいりたいと思います。特に人口の流入を抑制する一つの案として、いわゆる雇用選択税ですか、そういうものが設けられている外国の事例もあるようでございますし、そこまで手を打たなければこれを押えることはできないかどうかというような観点から、ひとつただいまの御提案は十分検討してみたいと思います。
  182. 玉置一徳

    玉置分科員 時間がございませんので、きょうは問題提起だけにとどまりますが、そこで一般的に住宅政策でございます。  大臣並びに当局の方々が一つの重点目標にして今度がんばっていただいたのでありますけれども、財政硬直その他の関係で、昭和四十三年度を終わりまして、住宅五カ年計画の達成率が五〇%少し出たところにとどまるということは、事情はよく了承できますがまことに残念なことだ、こう思うのです。そこで、私は財政硬直なり経済界の見通しは、ことしは去年よりはなお明るくなるという見通しはございません。したがって現状におきましては、住宅政策を遂行するのには二つの問題点がある。一つは原資をどういうようによけいにやるか。他の民間資金の活用だとか、あるいは民間需要、民間の住宅建設、それの刺激とか、こういう問題を考えなければ、量的にふやすということは不可能じゃないだろうか、こういうことを考えますので一、二お伺いしたいのです。  現在までに住宅公団の建てておりますのは、大体五カ年計画の一割未満だと思います。したがって、これはどういう階層のために用いるのだということをある程度——いままでもそうでありますけれども、もう少し明確にやっていって、より家賃が下がるような土地政策、住宅の土地の購入について、思い切って先行するような手を打つべきじゃないだろうか。でないと、このごろは民間の家賃と変わらぬようになってきておることも事実であります。したがってどういう者を入れるのだ、低所得者を入れるのだということになれば、それだけの土地政策、先行投資ですね、土地購入に思い切って手を打つべきじゃないだろうか、こういうように考えます。  第二点は、民間に五カ年計画の六割近くを期待しているわけであります。したがって、民間の従来のやり方をもう少し規制いたしまして、好ましい住宅づくりの行政指導をもう少しきびしくする。と同時に、それに対して財政面、税制面の助成、指導、刺激をやっていかなければならないと思いますが、これについてどうお思いになりますか。
  183. 保利茂

    保利国務大臣 玉置さん、たいへん御心配をいただいておりますが、民間の予定いたしております建築戸数は予定よりもとにかく上回るような勢いで——なかなか住宅投資というものはとういうところにあるのか、いろいろこれはなにすればおのずから明瞭だと思うのですけれども、意外に強いということ。しかしとにかく、ために住宅水準が乱されることになりますと、いかに民間のほうで建ちましてもあまり好ましいことじゃございませんので、やはりある程度の住居水準は維持され、そして民間の自主建築が行なわれるということが歓迎すべきことだと思うわけであります。したがいまして、お話しのように金融面、税制面からの助成等については、さらに努力を払うべきじゃなかろうかと思っております。  なお、四十三年度一ぱいかかって計画の五〇%そこそこでは、五カ年計画の遂行が非常に危ぶまれる。来年度また財政事情必ずしも好転するとは思われないというような点もございますけれども、しかし政府としましては、とにかく五カ年計画は何が何でも達成しなければならぬということは、予算委員会でも大蔵大臣ともども申し上げておるようなところでございますから、いろいろの御提案やお知恵をいただいて、全力をあげて取り組ましていただきたいと思っております。
  184. 玉置一徳

    玉置分科員 決意のほどはよくわかりましたが、ただいま申し上げましたとおり、住宅公団の土地購入が毎年の分をその前の年くらいに買っておるような関係で、近年の建築ほど家賃が高くなってまいりまして、何の目的をねらっておるのかがややわからぬようになりつつあることも現実でありますので、思い切った土地先行取得というようなものが要るんじゃないか。  それから民間の住宅が非常に建っていっておるのは好ましいことでありますけれども、あと十五年すれば不良建築になるようなおそれのあるようなものがいまごろ建つということは非常に考えなければいかぬから、その点をひとつ十分に考慮して指導し、そのかわりにいろいろな恩典を与えてあげていただきたい、こういうことをお願いをしたわけであります。  それから土地の取得が土地問題で非常に重要でありますが、いまの住宅金融公庫の土地購入原資だけでは私は少ないんじゃないだろうか、かように思います。これは債券発行のできるような仕組みにしてあげなければ——先行取得というものを思い切ってやりまして、土地の需要にこたえるというところまでいけば、自然土地の値上がりというものはなくなる。資本主義の現体制におきまして土地の私有権のある現状におきましては、一番たやすくやれるのはこの方法しかないのじゃないか、ほかは少々荒いことが伴う、こう思うのです。そういうような意味では、原資をもっと与えるような画期的な方法をお考えいただきたい、こういうように思います。  時間がございませんのでこれは希望にとどめておきまして、大臣、一番悩んでおいでになる土地問題でありますが、第一点は、私がいま申しました住宅金融公庫あたりに思い切って先行取得をさせるような原資を与えて、豊富低廉な住宅供給地をこしらえることが、現行の秩序をあまり阻害せずにやれる一番やりやすい方法だと思います。これをお考えいただくと同時に、よく公共投資をいたしますと、その近辺の土地が値上がりをいたしますのに差益金を取れという考え方が非常に多うございます。考え方としては非常に筋の通ったことでありますけれども、道路に面した何メートルまでは幾らで、何メートル以上は幾らだというのは、技術的にはなかなか困難があるので、名案ながらだれもきょうまでやれないのじゃないか。そこで、先ほど申しましたように土地債券とか、そういう国債に似たものを購入していただくということを、強制というよりは、それにほぼ近いような行政指導でやっていただくということはでき得ると思いますが、検討の余地ありやいなや、お伺いいたします。
  185. 保利茂

    保利国務大臣 開発利益の社会還元という考え方は、やや普遍的な考え方になってきているんじゃないかと思うわけです。この夏に結論を得られるという税制調査会の結論にどの程度これがあらわれてくるかということを期待いたして、私も、やはり今後の都市計画法の成立の暁に予想いたしております諸計画を進めてまいります上にも、非常に大事な一つのきめ手になってくるんじゃないかということで期待をかけておるわけであります。それに関連をいたしましてのただいまの御提案につきましては、十分検討をいたしたいと思います。
  186. 玉置一徳

    玉置分科員 大都市への人口流入が急に衰えるような見通しはない。あらゆる施策を同時に遂行する。やりやすいやつから同時に着工していくというような考え方でなければ、いつの日にか、どえらい問題が起こるのじゃないか、こういうふうに思いますので、ひとつ果敢な施策の推進をお願いを申し上げて、次に移りたいと思います。  問題は小さくなりますが、道路局にお願いをいたします。  道路の幅員は、いままで一級国道にいたしましても大体八メートルくらい、二車線が多いのでありますが、このごろ通勤、通学児童の安全ということを考えまして、歩道がわかるように小さいさくなり、いろいろなものをこしらえております。したがって、二車線がもうきゅうきゅうの二車線になりまして、そこに緩行車が一つ入りますと、もう渋滞おびただしいという形になりまして、それがどこでも行なわれておるように思います。  私のお願い申し上げたいのは——私は一国が大体終わったのじゃないと思う。大都市間の交通ではもうすでに全く行き詰まってしまっておるところばかりでありますから、これのバイパスに値する道路をすみやかに、ようやく終わったなんという考え方ではなしに、同時にその着手にかかっていただきたいということと、これからの道路行政は、二国にしても一国にしても、とにかく八メートル二車線というような考え方はやめていただきたい。二車線をゆっくりとって、その外に緩行車あるいは歩道をかねたようなものをつくらなければならないと思います。これが第一点。  第二点は、跨線橋、歩道橋をたくさんつけていただいてありがたいのですが、場所によっては一日のうちに登って通っておるというようなのをほとんど見ないところが、二車線において非常に多い。この点ももう一回検討されまして、せっかくの投資でありますので、より効率の上がるような投資をお考えになる必要があると思うのですが、見解を事務当局からお伺いいたします。
  187. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 最初の、国道が非常に狭くなっているということでございますが、御指摘のように、交通安全を考えまして車道に外側線を引きまして、車はその内側を通れ、歩行者は外を通れというようなことをしております。それがいま御指摘のように、追い越しその他に非常に不便になってきているわけでございます。御指摘のようにやはり都市間の国道につきましては、国道の一次改築がだいぶ終わったといいましても、都市間の国道の混雑が非常に増してきております。これにつきましては、バイパスなり現道を広げるような工事をやりたいと思っております。また現に、かなり四十三年度の予算でもそういう事業をふやしております。また一般の国道、県道についての全幅八メートル程度の二車線の道路ということも、道路投資の問題とも非常に関係してきますが、やはり歩行者が非常に多い、緩速車が非常に多いというものについて、やはり今後つくる道路はそういうものも十分安全に通れるようなものにしたい。しかしまた山の中の、緩速車も歩行者も非常に少ないというようなものになりますと、やはりいまの道路投資の予算の限度もございますので、二車線ぐらいのものをつくっていくということもやっていかなきゃいかぬと思います。  また、歩道橋の設置につきましては、交通事故の発生の状況とか、歩行者及び自動車交通量、現在の道路の幅員、こういうものを勘案して、どこに歩道橋をつくるのが一番効果があるかということで設置しておりますので、これをつくって使われないということは、まあないと思いますが、ただ、昨年議員提案で成立いたしました通園通学路の学童の保護のために設けられますものにつきましては、やはり学校を中心として、学童が幾ら横断するということを中心として設置個所をきめておる関係もございまして、こういう歩道橋につきましては、一部には一般の利用者の少ないものもあろうかと思います。ただ、今後歩道橋をつくる際には、やはり利用ということも考えてやっていきたいということと、今後の安全施設といたしましては、歩道の設置に力を入れていきたいというふうに考えております。
  188. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に河川局長にお伺いしたいのですが、私は在来、約三年にわたりまして、河床低下いたしまして、当然自然流水によりましてまかなっておりました農地が取水困難になりまして、上流部に合同井ぜきをつくらざるを得ないようになっております。そういう場合に、お百姓さんの側から見ますと、原因は河川の河床低下であります。不特定多数の原因者であります場合は、管理者がやはりその責任を負うというのが普通の取り扱いでございます。したがって管理者である建設省がと、こういうわけじゃないのですが、農家が床どめ堰堤から全部引っぱってくるようなところまで、六割補助のいまの農地のほうでやっておりますと、これは新しく農地を開拓することと同じなのです。もともと農地は各河川の外側に昔からいまの状態に置かれているのが、河床低下によって取水困難になっておる、こういうことで、これは建設大臣と農林大臣とが相談されて、農家の極度な不利にならないような施策をひとつ講じていただきたいということを、きょうまで三年間ずっとお願いをし、農林大臣建設大臣から御趣旨ごもっともだから、ひとつ両方で協議してやりましょうというようなことを三年お伺いしたのですが、大臣はそれぞれ一年有余でおかわりになるものですから、同じことをきょうまで繰り返して言ってきておるのです。聞くところによりますと、河川局のほうでは私の質問に対しまして、全国のそういうような河川の状況を調査されつつあるということも聞いておりますが、目下どの程度まで研究が運んだかを事務当局からお答えいただきたいと思います。
  189. 坂野重信

    ○坂野政府委員 河床の低下問題につきましては、先生も御指摘のとおり相当全国にある。そのために農業用水の取水に困難を来たしておる例がたくさんございまして、そこで河川局といたしましては、昭和四十年から全国の主要な直轄河川につきまして河道計画の調査を進めておりまして、その結果を待って具体的な計画を逐次固めていきたいというぐあいに考えておるわけでございますが、基本的な考えといたしましては、こういった河床が低下する河川につきましては、河床低下対策工事といいますか、そういうものを河川計画の一環として考えていきたい。河川計画の面からいきまして、これ以上河床が下がっては困るというような場合には、そこに逐次床どめをつくるというようなことも含めて、ひとつそういった対策工事を考えていきたいというわけでございます。いろいろ農業用水等も関連がございまして、農業のほうの計画と、河川のほうで考えております床どめの計画が一致いたしますと、合併施工というような形ができるわけでございまして、そういう観点から、できるだけ農林省と建設省とが歩み寄りまして、建設省のほうは河川計画の一環としての立場から仕事をやるということで、いわば砂利採取をしたために河底が下がる、それが原因者というような考え方ではなくて、河川計画の一環として、川底の下がる原因にもいろいろございますので、必ずしも砂利を掘ったからというだけではございませんから、そういった総合的な観点で河床低下対策の一環として床どめの必要なところにはできるだけつくっていく。その床どめがたまたま農業用水の床どめと機能的に一致する場合には、その分だけひとつ河川のほうから経費を出していきたいというような考えでおりまして、その辺の調整は、河川計画の外のほうで農林省がそういった合口というものを考えている場合にはなかなかそれと合併しにくいということもございますが、できるだけそういう観点で、前向きに考えていきたいと思います。
  190. 玉置一徳

    玉置分科員 建設省のほうでは河積断面が大きくなるんだから治水上非常にありがたいのです。それは堤防にかさ持たせするだけの費用が助かるわけです。そういう意味で、いま局長の言っているようなことばを数年間、判を押したように同じことをおっしゃっているのです。片一方農地のほうでは、水が全然取れぬようになってしまっているわけです。だから、すみやかにやらなければならぬ。しかもそれは大体上流のほうで水を取りまして流しますね。そのせめて床どめ堰堤の分だけでも建設省が持つくらいのことを考えてあげたらどうですかということを、これは私数年間叫んできておるのです。まだもう一つ御勉強をいただけませんので、この問題に関しましては時間もございませんから、大蔵省の主計局を入れまして、農林省の農地局長とそれから建設省の河川局長とでひとつ御相談いたしまして、その問題を両大臣でお考えいただくということでひとつきょうピリオドを打っておきたいと思います。でないと、私も五年でも六年でも七年でも同じ返答で、いい答えですが、何にもなりませんので、どうぞそのように運びますから、ひとつよろしくお願いいたします。  終わります。
  191. 湊徹郎

    ○湊主査代理 それでは下平正一君。
  192. 下平正一

    下平分科員 住宅政策について三点ほどお伺いをしたい、こう思います。  一つは五カ年計画の三年目に入りましたが、この二カ年で、ことしの予算の執行を含めて、住宅難の事情というものは一体どう変化をしてきているのか。この五カ年計画がどれだけ住宅難状況というものを救済したのか、こういう現状を御説明をいただきたいと思います。  それから、なお、いろいろの民間の調査も出ておりまするけれども、いま一体住宅難の事情というものはどんなふうになっているか。たとえばある調査では、所得階層別住宅難調べというようなものもありますけれども、どういう人たちがどういうふうに住宅を困っているのか、こういう現状をしさいにまずお伺いをいたしたい、こう思います。これは局長さんのほうでけっこうであります。
  193. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねの、どのような階層がどのように住宅を希望しておるか……
  194. 下平正一

    下平分科員 五カ年計画からやってください。五カ年計画の実施でどの程度救済されたか。
  195. 三橋信一

    ○三橋政府委員 五カ年計画が四十一年から始まっておりまして、御存じのとおり、六百七十万戸、そのうち政府施策二百七十万戸、民間自力四百万戸となっております。四十三年度までに公共施策の住宅、つまり公営住宅、公庫住宅、公団住宅その他政府関係機関の施策住宅、これを合わせまして五〇%を少し越したところまで達成しております。それから民間自力の関係でございますが、これにつきましては四百万戸のうち五四・六%程度できております。両方合わせまして六百七十万戸に対しましては五二・八%程度できておるというのが、私どもの一応のいままでの調査統計によります見通しでございます。  次に、しからば住宅需要というものがどういう階層にどの程度あるかということでございますが、まず一般的に申し上げますと、四十一年度に住宅事情実態調査というのをいたしました。これによりますと、所得が比較的高くなりますほど、持ち家あるいは修理、増築等を需要する者が多い。それから公的借家を希望の世帯の比率は、月収が五万円未満の所得の階層に非常に多いというような結果が出ておりまして、そういうのが一般的な傾向でございます。これに対しましては一応数字の持ち合わせはございますけれども、そういうような状況でございます。
  196. 下平正一

    下平分科員 そうすると、五カ年計画住宅困窮状態というものは、計画が実行されたから大体五〇%解消された、こういう理解でいいですか。
  197. 三橋信一

    ○三橋政府委員 四十三年度の事業を実施いたしますれば、半ばを越すということでございます。
  198. 下平正一

    下平分科員 その認識についてたいへん違うわけです。ぼくは違うと思っているわけです。と申しますのは、実は私が質問するについて一番困ったことは、大臣、これは大臣に聞きたいのですけれども、資料がないのです。住宅不足はどういう階層がどういうふうに困っているかという資料が実はないのです。正確な資料としては、政府の施策の基本になるものさえも五年ごとしかないのですね。総理府統計局の住宅調査しかないのです。いま局長が答弁したのはおそらくこれだと思うのです。あとは建設省が出している住宅需要実態調査だと思うのです。ところがこれは御承知のとおり、いま世帯数はおそらく二千六、七百万世帯くらいあるのではないですか。その中でこの調査の対象になるのはわずか三万三百九十四戸です。実はそれしかないのです。住宅調整調査は七分の一か何かの、まあ悉皆調査までいかないですけれども、かなり近いところまで出ておりますが、実は調査資料というのがないわけです。私も実は、何を基礎に住宅というものの困窮状態を見ていいかわからない。そこでこれは局長に聞きたいのですけれども、建設省が重点政策として住宅を取り上げたのですが、基礎になる調査というのは何を基礎にしているのですか。そして年々の変化というものを、何によってその住宅困窮状況その他の変化というものを求めているか、それをちょっとお聞きしたいのです。
  199. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま下平先生お尋ねのとおり、住宅統計調査というのを五年ごとにやっておりまして、最近では昭和三十八年に実施いたしました。したがって、これは五年ごとにやっております。その間におきまして、国勢調査がまた五年ごとにございます。これは最近においては昭和四十年度に実施されました。住宅統計調査から二年たちますと、国勢調査が行なわれます。したがいまして、国勢調査の要素の中に住宅関係も若干入れてございます。それによりまして、住宅統計調査による見通しというものに、われわれの住宅政策の見通しというものを両者あわせまして見通してまいるというのが、大筋でございます。さらに建築の動態統計調査がございますし、それから着工の統計調査をやっております。着工統計と申しますのは、これは着工の届け出によりましてそれを集計しておりますが、それによりましてどのくらい建っておるかということを見通しまして、そこいらで、これらの住宅統計調査あるいは国勢調査によりますものを補いつつあるというのが実情でございます。
  200. 下平正一

    下平分科員 これは大臣にお願いしたいのですが、少なくとも内閣の重要な政策だというふうにわれわれも理解をし、またわれわれとしてもやはり、住宅問題は与野党を問わず重要政策として実現する方向に協力し合っていかなければならぬという気持ちを持っているのです。そういう面から見ると、その政策の基本になる調査というものが、総理府の統計局の住宅調査ですか、これが唯一のものであって、その他は補完的です。建築の動態調査にしろ何にしろ、ほとんど補完的なものです。私は、住宅政策の中でひとつ厳密に、住宅事情を建設省が中心で調査をするようなことを考えてみたらどうか、そしてその上に適確な施策をやっていくべきでないか、こう考えておりますが、これは希望ですから大臣、答弁は要りません。  そこで質問を進めますけれども、一応建設省でやっております需要実態調査ですか、これは傾向として主観的なものだと思うのです。お前は住宅建設をどう思っているか、こう聞いているものですから、この住宅統計の中に出てくる、九畳に二人住んでいるから狭小過密だ、十二畳以下に四人も五人も住んでいるから狭小過密だ、そういうのは客観的なものじゃないことは承知しておりますが、少なくとも住宅の事情についてのある程度の目安だと考えてよろしゅうございますか。
  201. 三橋信一

    ○三橋政府委員 目安になると思って私ども調査をしております。
  202. 下平正一

    下平分科員 そうすると、これは住宅実態調査でない。いま住宅不足、住宅難、希望はあるけれども何とかしなければ建てられないという住宅難の階層は、この調査を見ても、あるいは新聞その他の世論のあれを見ても——この間新宿区だけ見てきたのです。新宿区一区だけぼくは自分で二日かかって調査をしてきたのですけれども、それから見ても、やはり住宅に困っているという階層は低所得階層に非常に多いんだ、こういうふうに理解ができたわけですが、この住宅実態調査を見てもかなりの数、要するに低所得階層の住宅を調査してみると、月収四万円未満の低所得階層では約五〇%が住宅難を訴えている。それから四万−十万の中でも約三〇%。勤労世帯全体を一〇〇として見るならば、月収六万未満の世帯は八六・六%が住宅困窮の実情を訴えておる、こう書かれておりますが、ほぼ実態に近いと理解をしてよろしゅうございますか。
  203. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これは入居者と申しますか、その調査をしました対象の方の主観的な要素が入っております。したがいまして、そういう主観の問題というものがまるごとその要素になるかどうかという点については、いささか私どもも問題はあると思いますけれども、おおむねの傾向は出ているのではないかというふうに考えます。
  204. 下平正一

    下平分科員 そうすると、私はいま住宅というものを、どんな人にどういう住宅をどういう形で建ててやるかということをある程度明確にしていかないといけないと思うのです。  そこで、御承知のとおり、五カ年計画ができる前に公営住宅法ができまして、これは、低所得階層については公的な低家賃住宅を供給するのだという基本的な考え方に立っていると思うのです。そうしていま住宅実態調査を見ても客観的な条件を見ても、やはり依然として住宅難というものは低所得階層のところにあるのだ、こういう理解をしておりますので、住宅政策のある中心点、柱というものはやはり公営、賃貸による低所得階層救済というところに置くべきだ、こういう理解をしておりますが、その理解について、これは大臣のほうから御答弁をいただきたい、こう思います。
  205. 保利茂

    保利国務大臣 下平議員の御認識は、私も実情がやはりそうだと思っております。
  206. 下平正一

    下平分科員 そうすると、そういう認識に立ちますと、やはり今後賃貸の公営住宅、この量を大量にふやしていくという点。もう一つ、やはり民間の自主建設の団体がたくさんあります。あとで質問しますが、勤住協という民間の自主的な団体がございますが、それらの団体の自主建設を通じても、やはり公的資金による賃貸住宅というものをある程度従来のウエートからふやしていくということが当然現状認識から必要になると思うのですが、この点は大臣どうでしょう。
  207. 保利茂

    保利国務大臣 この住宅の需要は、きょうの場合とあしたの場合とまた動いていくわけですね。ということは、やはり所得も上がっていくし、家族構成も違ってくるわけだから、なかなか状態がそこで的確に定着していないわけです。お互いの家庭生活の状態を見ましても、家庭の状況というものは非常に流動しているというそういう事情ですから、からんとしたものを押えるということは、相当密度の高い統計方法をとってしてもなかなか容易じゃないと思うわけです。ただ、どちらにいたしましても、いまさっきお話しになっておりました月収四万円以下等が実際困っておるじゃないか、それはどういうことだといえば、新家庭を持つというような人たちも一番切実に考えられるところであろうと思うのです。そういう人たちは何を望むか。やはり楽しい家庭を持ちたい、ないしはまた、多数の家族をかかえておって所得に恵まれない階層、こうごちゃごちゃあるわけなんですね。したがって、どっちにしてもそういう階層は当分持ち家の希望は持てない。できるだけいい条件の貸し家を求めたいという階層がやはり多いということ。それに対して政治は手を打っていかなければいかぬじゃないかということは、やはり私もそう考えておるわけでございます。
  208. 下平正一

    下平分科員 大臣、時間がありませんから簡単でいいですよ。実態調査にもやはりそう出ているのです。低所得階層の一体どういう形の家をほしいかという調査は、九〇%以上が公的な賃貸住宅を希望しているのですから……。  そこで、そういう現状認識ということになると、私どもと大臣、あまり違わないのです。ところが実際の施策になると、大臣ちょっと違ってきているから、私はふしぎでしょうがない。そこで第二の問題点は、五カ年計画というものはどうなるかというと、五カ年計画はできないという私は認識を持っておるわけです。量的にも質的にも退化をしてきている、こういう判断をしているのです。たとえば一つの例を見ますと、四十三年度までに五十数%の達成率ができる、こう言っておりますけれども、実はこれをしさいにながめてみますと、公的な資金の伸び率というものは、特に公営住宅においては劣っているのです。これは住宅局長から説明してもらいたいと思うのですが、いままでの認識からいきますと、大臣、やはり公営住宅というものは少なくとも、ほかのところは達成できなくても、公営住宅は五カ年計画を達成しなければいかぬと思うのです。そういう点でながめてみますと、実は一番公営住宅が落ちているのです。それからもう一つは、賃貸が持ち家に比べて大臣の認識とは違うふうに落ちてきているのです。だから、これは事務的にちょっと聞きますけれども、公的資金の中の公営住宅というものは、昭和四十三年度で一体どのくらいの戸数ができて何%に当たるか。これは改良を含めてけっこうです。  それから、御承知のとおり、二十七万戸の調整戸数というのがあります。これは当初の昭和四十一年の計画をお伺いしたときには、公営住宅には改良を含めて調整戸数の家六万戸ぐらいは持っていくという数字を建設委員会説明をしております。そうすると、公営住宅建設戸数は五十八万戸にならなければ計画通りいかないということになります。そこで住宅局長に、公営住宅の、改良を含めてよろしいですよ、五十八万戸に対する調整戸数を含めた見通しというものは、一体今年度で幾らになっておるか、来年度幾ら建てなければいかぬかということ。  それからもう一つは、持ち家、賃貸というものの比率が去年と比べて一体どう変化しておるか。この点をお伺いしたい。
  209. 三橋信一

    ○三橋政府委員 まず最初の、公営住宅がこの三カ年でどのくらい建ったかというお尋ねでございますが、公営住宅は調整戸数を除きますと五十二万戸ということになります。一割が調整分ということになりますと、いま先生のおっしゃったような五十八万戸ということになるわけでございますが、現在まで建ちました戸数は二十五万六千五百戸でございます。
  210. 下平正一

    下平分科員 公営住宅では、調整を含めて一体どのくらいの達成率か。
  211. 三橋信一

    ○三橋政府委員 調整を含めまして四九・三%でございます。  それからもう一つのお尋ねの持ち家と賃貸との関係でございますが、給与住宅と申しますもの、これも賃貸住宅でございまして、いわゆる借家等を含めましてことしの賃貸分が全体では五七%になっております。昨年度は、全体に対しまして五九%でございます。ただ、戸数は去年より相当数ふえております。
  212. 下平正一

    下平分科員 時間がありませんから、こっちで指摘していきます。いま住宅局長の指摘の中で、一つだけ間違っていると私は思うのです。調整戸数を含めた達成率というものはもっと低いんです。御承知のとおり調整戸数は五万戸引きますと五十八万戸やられたのでしょう。去年あなた方からいただきましたこの資料の中に五十八万戸とはっきりしているのです。そうしますと、大臣、達成率は四四・二%ですよ。公営住宅の調整戸数を含めたところの達成率は、四十三年度実施して四四・二%になります。計算してみてください、間違いないと思いますから。それからいま局長が言われましたとおり、公的なものを一切含めて、低所得階層というものは賃貸を希望しているのです。しかし賃貸と持ち家の比率は変わってきているのです。大臣。賃貸をふやしていくという現状に対して、実際は賃貸が減ってきているんですよ。去年は公的資金によって四三%賃貸がつくられている。ことしは四一%に二%減って、それが持ち家に変わってしまっている。だから五カ年計画の中というものは、少し質的に現状に合わない方向になっていはしないか。それからもう一つは、達成率は調整戸数を含めますと四四・二%であと三十二万戸建てなければいかぬ。もし数字が間違っていたら指摘してください。調整戸数を含めました公営改良の建設戸数は五十八五尺現在まで四十三年度を含めて建つものは二十五万六千五百戸です。そうしますと、残りは三十二万三千五百戸、三年間で二十五万六千戸、これから二年間で三十二万三千戸建てなければいかぬのです。これは数字の間違いがあったら指摘してください。
  213. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かに先生のおっしゃいますように、調整戸数が全部一割ずつそれぞれいくということになりますと、先生のおっしゃったようなパーセンテージになることは事実でございます。ただ二十七万戸の調整と申しますのは、二百七十万戸の一割でございまして、そしてこの二十七万戸の調整戸数は、そのときの情勢に応じて建設大臣がこれを政府施策の住宅のところに割り振っていくという仕組みになっております。これは理屈でございますけれども、したがって、そういう点から、実は私さっきのような御答弁を申し上げました。調整を除いた率を申し上げた次第でございます。
  214. 保利茂

    保利国務大臣 御趣意の存するところ、大体わかりました。私もとにかく五カ年計画で策定いたしております六百七十万戸、これは是が非でも達成しなければならぬ。達成するためには、政府全体の責任としてこれは達成したいということは予算委員会の総会でも明らかにいたしておるところでございます。ただお話しのように、それについても公営を中心に賃貸にウエートを置いていかなければいかぬのじゃないか、そうでないと、住宅の要請にこたえていないということにつきましては、よく私も考えをつけまして最善の努力をいたしてまいりますから、さよう御了承願います。
  215. 下平正一

    下平分科員 時間がもうほんとうにないのでこれはできませんが、結局ぼくが言わんとするところは、そう大臣ここで誠意を持ってやると言っても、これはもう来年度二カ年間で折半してやるということになると、予算のときだって三〇%から四〇%つけなければできないんですよ、大臣。ところが客観的にはそういう情勢ではないんで、これはあとは建設委員会に譲りますが、少なくとも現状の中での低所得階層というものは非常に住宅に困窮度を感じているんだ、それを救済する方法は、やはりこの階層に限って言うならば、公営賃貸というものに重点を置いていかなければ救済できないんだ、こういう認識だけはひとつ一致をしておきたい、こう思います。  ずっと飛ばしまして、大臣承知のとおり、一昨々年ですか、与野党、自民、社会、民社を含めまして、たいへん難産の結果、勤労者住宅協会法という法律ができました。実はこの法律は非常に難産でありましたものですから、生まれた子が非常にひよわなんであります。よほど政府が、ミルクを人一倍与えてやるとかあるいはいろいろな手厚い保護を加えていただかぬとこれは成長しないと思うのですが、勤住協というこの民間自力の建設の会に対する今後の方針について、大臣の所見を聞かしていただきたいと思います。
  216. 保利茂

    保利国務大臣 この間もお話しの勤労協の話はどういうふうになっておるか。それでまさに不平さん言うように、まことにひよわいような状態ではないだろうか、大事な、とにかく、特に勤労者住宅といいますか、しかも広範な低所得者の住宅にどうしてもこれはウエートがいくわけでございましょうし、だからこれはやはりひよわでは困るので、だんだん強靱になってもらうように施策の上におきましても配慮をいたしておりますから、そういう方向でひとつ強化してまいるような方向で考えてまいりたいと思います。   〔湊主査代理退席、主査着席〕
  217. 下平正一

    下平分科員 たいへんひよわいという点で認識が一致して、うれしいやら、不幸なことかもしれませんが、そこで具体的に、これは丈夫な子供に育てるという大臣の御意思でありますから、どういうことをすればよいか、ビタミンのBをやったらいいか、Aをやったらいいか、Cをやったらいいか、めしは何ばい食わしたらいいかというようなことについて、二、三の点だけ、時間の許す限り御質問をしたいと思いますので、お答えをいただきたいと思うのですが、一つは、勤住協というものが法律ができたにかかわらず、税制面その他でちょっと差別待遇を受けているのであります。一例を申し上げますと、印紙税は、これは全廃された。ところが登録税は御承知のとおり勤住協については公庫の資金に限るという条件がついているのです。そのために具体的にどうなるかといいますと、御承知のとおり住宅を建てるには宅地がもう先決条件であります。したがって先行取得というものをしなければ、なかなか宅地は、ことしの予算で建てるからあした土地を売ってくれといったって見つかりっこないのです。そこで、三年ないし五年の先行取得は常識論であります。ところがこの勤住協が先行取得をする際には、自己資金として勤労者の積み立てた労働金庫、この金を融通して先行取得をしているわけです。ところがこの先行取得については登録税を取っているわけです。公庫、公団について、地方供給公社については全然取っておりませんが、この勤住協に対してだけ取っているわけです。これは不合理ではないか。したがって、それがどういうことでなっているか調べてみたら、登録免許税法の第四条別表の二に公社、公団というものが入っている。別表第三の二十二というところに勤住協が入っているのですが、これについては大蔵省の証明書を発行されたもの、事業承認をされたものについては登録税を免除すると書いてあるのです。これが適用されます。したがって、公庫からの資金は一年ぽっきりでくるわけです。したがって、一年ぽっきりのやつについては登録税を免除されるが、事業を拡大しようと思ってわざわざ高い自己資本を借りてきて先行取得をした、この分については登録税が取られるということはきわめて不合理じゃありませんか。この点は大臣どうでしょうか。
  218. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これは自己資金の分は当然取られております。そのとおりでございます。
  219. 下平正一

    下平分科員 ほかの公社、公団等は一切取られてないのです。したがって、どうせ、これは公庫の資金を使うのですよ。公庫の資金も一定の限界があるものですから、わざわざ高い自己資金を借りてきて先行投資をして買い上げをしているわけです。これは当然公庫資金に肩がわりするのです。したがって、大蔵省で証明したものについてはよろしいと書いてあるが、この大蔵省の証明の基準が事業承認とこうなっている。したがって、事業というものは単年度ですから、非常に不合理になっているのです。この点は、どなたでもいいですから、解明してくれませんか。そうだとしたら、ぼくは直していただきたいと思う。
  220. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これにつきましては先生のおっしゃるとおりでございますが、税のいろいろ公平の議論がございますので、大蔵省と十分相談いたしましてお答え申し上げたいと思います。
  221. 下平正一

    下平分科員 もう一点だけ。もう一つ、不動産取得税がやはり不公平なんですね。不動産取得税は御承知のとおり地方税法の七十三条の四に用途によっての非課税が書かれておりますが、この九号の二に公社その他が入っておりますが、勤住協は入っていないわけです。七十二条の十四というところに実は減免規定があるのです。しかしこの減免規定は不動産業者と同じでありまして、やはりこれから大臣にお願いしたいところですが、勤住協を育成するという面においては、税制面としていまのような不公平があるのです。先行取得ができないような税制になっているのです。こういう点はやはり育成をするという立場で、税制面でもしかるべき恩典というものを与えていただくような努力をぜひしていただきたい、こういうふうに思うわけです。
  222. 保利茂

    保利国務大臣 勤住協の問題につきましては、私は少しまだ勉強不足なんであります。ありていに申しまして。少し勉強しまして、お話の趣意のようなことが適切であればこれをなにしていくように努力していきたいと思います。
  223. 下平正一

    下平分科員 それじゃ一点だけ。  最後に、勤住協は御承知のとおりひよわな状態でありましたが、昨年は四千五百戸ぐらいの公庫資金の割り当てを受けております。ぜひことしは少なくとも、一般住宅投資の伸びくらいのものは勤住協のほうにも認めていただくような配慮をしていただきたいというお願いをしたいのですが……。
  224. 保利茂

    保利国務大臣 事務的にも、私としましても十分配慮いたしてまいります。
  225. 松浦周太郎

    松浦主査 どうも御苦労さまです。  次は華山親義君。
  226. 華山親義

    華山分科員 あまりむずかしいことは言いません、私も簡潔に言いますから、簡潔にお答え願いたい。  地方に行きますと、小さな住宅が市の公営住宅としてあるわけです。それは相当古くなっている。それを今度はそういうところをつぶして、そしてその土地に高層の公営住宅を建てるというふうなお考えがおありになります。それは当然そう考えてしかるべきことだと思いますけれども、その土地の状態が非常に変わっておりまして、他の住宅が込んできております。そういうときには、高層建築を建てることによって私は日照権の問題が生ずるだろうと思いますが、そういう場合には、やはり付近の住宅に対する日照権というものを十分考えられて建築されますでしょうか。
  227. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かに、公営住宅を建てかえまして高層化したいということは、私どもかねがね考えておるのでございます。その際に、つまり北側の一般の住宅に迷惑をかけるおそれがあるのじゃないか、そのようなことは、公営住宅等に関しまして一年じゅうの、冬至のときどのくらい日が確保できるかということで考えてやっております。
  228. 華山親義

    華山分科員 その次に、昨年水害が起きたわけでありますけれども、私も県におりまして、大体十年前もいまも、水害が起きた、あああの場所かと私はすぐわかるのです。水害地に見舞いに行くわけなんですが、非常に早く行けるのです。あそこに行けばあそこだなとすぐわかる。それで私は、十年も十五年も同じようなところにそういうようなことが起きるということは、これはやむを得ないことかもしれませんけれども、非常に問題があると思いますので、昨年のいろいろな水害のあったような土地につきまして、そういう中小河川等に重点的に水害の起きた場所については河川の改修等につきまして御配慮願いたいと思いますが、どうでございましょうか。
  229. 保利茂

    保利国務大臣 中小河川に重点的な考えを持って施策を講じてまいりたいという趣意から、治水五カ年計画も改定させていただきたいと願っておるようなわけであります。おおむね一度災害が起こりますと、東北のほうはどうもそうじゃなかったようでございますけれども、全体として見ますと、災害の復旧にはかなりの改良も加えておりますから、やはり金をかけたところは金をかけただけの効果はあがっておるようでありますし、その方針は貫いて、しかもお話しのように、重点的に中小河川に持っていきたい、こういう考えでございます。
  230. 華山親義

    華山分科員 昨年の経験もおありなわけでございますから、特に常襲的水害地につきましては、重点的な御配慮をお願いいたしたいと思います。  それから降雪地帯ですね。総じて会計検査院の報告等を見ますと、降雪地帯、寒冷地帯に不正といいますか、指摘される事項が多いですね。これは、それだから私はそういう工事を許されるというわけではごうもございませんけれども、その理由を見ますと、コンクリートが凍ったためにといった事件が多い。それでもう御承知のとおり、このごろは農村の労働事情も変わっておりますし、それからいろいろな点もございますので、実情を申し上げますと、六月の臨時県議会で予算をきめて、七月になって発注した。ところが十月、十一月になってくると、多くの農村の人たちが出かせぎに出てしまう。そういうふうなことでは工事に無理がいくと思うのです。それですから、まあひとつ今度は予算もおくれておりますから、それはそういうこともあるかもしれませんが、決して事務的に一週間や二週間のおくれということで支障があるわけでもございませんし、降雪地帯、寒冷地帯につきましては、できるだけ早く決定をしていただきたい。そして府県や市町村の準備を早めていただきたい、こういうことをひとつお願いしたいと思います。
  231. 保利茂

    保利国務大臣 積雪寒冷地帯の公共事業につきましては、優先的に事業が早くできますように——とにかく予算が早くでき上がるということが第一でございますから、ひとつお願いいたします。
  232. 華山親義

    華山分科員 大臣予算には関係ありませんよ。予算ができるまで仕事をほったらかしているわけじゃ役人はないのですから、もうちゃんちゃんと準備をしているのですから、よろしく。
  233. 保利茂

    保利国務大臣 準備は進めております。
  234. 華山親義

    華山分科員 それから、この点私は今後の建設業界にとりましては非常に重要な問題だと思うのでございますけれども、その資料といたしましては公平を期する意味から、我田引水にならないように、経済企画庁の年次報告書をもとにしてお尋ねをしていきたいと思うのでございますけれども、今後労力の問題が長い目で見た場合、建設業に重大な支障を来たすのじゃないか、こういうことを経済白書は述べております。「建設事業に対する労働力の供給について効果的な対策を講じなければ公共事業の進捗がいちじるしく妨げられるおそれがある。」こういうふうに経済白書はいっているわけでございます。この対策といたしまして、もちろんプレハブ住宅とか規格とかあるいは機械とか、いろんなことがあるだろうと思いますけれども、私はやはり根本的に労力の不足ということはあると思うのです。それでこの白書を見ましても、労力に対する依存度というものは、ほかの産業の平均に比べまして、四倍ないし五倍になっているわけです。そういうふうな実態、しかも今日におきまして、今後ほかの企業も労力不足になってくる。そういたしますと、そちらから引っぱられることも多い。しかもこの建設業におきましては、昔の観念はもうなくなっておると思いますけれども、屋外労働者等に対する都会人の、何かしらべっ視するような傾向もある。そういうふうなことを考えますと、私は今後の建設業界の発展ということにつきまして、労力をどう持っていくのか、機械力だけでやるんだなどということもできませんし、その点非常に大きな問題だと思うのでございますけれども、この点につきまして、建設省のほうでお考えになっているようなことがございましたら承りたい。
  235. 保利茂

    保利国務大臣 特に建設技能労務者の確保ということは、これは焦眉の急になってきておる。やがてくるのではなくて、もうすでに今日の問題でございます。したがいまして、建設行政といいますか、公共事業をはじめ建設事業を推進してまいります上におきましては、おそらく今後の一番大きな課題であろう、重々そのことをわきまえて対策を講じておるわけであります。労働省とも十分の連絡をとって、建設技能労働者の養成、確保ということについて万全の策を講じてまいりたいと思っております。
  236. 華山親義

    華山分科員 私の申しますのは、建設技能労務者じゃないのです。とにかくこの経済白書でも明らかでございますけれども、ほかの事業に比べまして、日雇い労務者、出かせぎ労務者を使う量というものは非常に高いんですね。そういうふうなことにつきまして、私は、一体どういう策をとっていかなければいけないのか。労働省は労働基準の考えがありますけれども、労働基準法は、第一条に、この法律に定めるところは最低なものであって、これを向上しなければいけないと書いてあるわけです。それですから、労働省のやるところは、最低が守られているかどうかということをやっているわけです。それ以上に向上さしていくということは、私は、各省の所管なんであって、労働省だけにまかしておいて、消極的に違反だけを取り締まっていくということじゃいけないんじゃないか、こう思うのです。現在私の地方は、出かせぎ者が多いものですから、出かせぎ者の状態というものを見てまいりますと、出かせぎ者は、もう屋外労働の土建事業、そういうところには行きたがらなくなってきた。できることならば、工場に行きたい、こういうふうに言ってきている。それから集団的に役場等におきまして世話する場合にも、安心して自分の村民を建設業には向けない。できることならば、一応信用力のある工場に向ける、こういう傾向になっております。それで現在のところ日雇い労務者にたよらなければいけない。とにかくこれで見ますと、昨今は少し落ちてまいりましたけれども、四〇%から三〇%をそういう労務者に依存しているわけです。こういうのがよその工業に向いてくるということになったならば、私は建設業界というものは労力の問題で非常に困った状態になるのじゃないか。この点につきまして、経済白書は反省を求めている。労働災害の多いこと、福利厚生の低いこと、おくれた面の多い建設業の実態を改善していかなければならない、こういうふうに結んでいるのです。これからの日本の発展のためにも、また一般の人々の幸福のためにも、公共的な建設事業に非常に依存しなければいけない。そういう面につきまして、私は労働省にまかしている、連絡をしているというふうなことでなしに、建設省自体が深刻に考えなければいけない問題だと思うわけです。大臣、御所見いかがでございますか。
  237. 保利茂

    保利国務大臣 お話しのように労働条件が悪くなれば、幾らやってもらいたいといってもだれも働き手はないわけです。しかし建設業の需要というものは、あなたが御指摘のように、どうしてもこれは確保しなければならない。としますれば、労働の環境なり条件なり、すなわち就労条件を改善していかなければこの確保はできないわけです。ほかへ動くわけでございます。その点につきましては、これはもうひとり建設省がどうこうでなしに、労働省と連絡をとって、これらの方々の就労状況なり環境あるいは条件が改善せられるように、よほど力を入れていかないと、建設業に働いてくださる人がいなくなるということをわきまえておらなければならないのじゃないかと思っております。
  238. 華山親義

    華山分科員 建設省並びに大臣は、この建設事業建設省にばかり関係するわけではございませんけれども、やはり建設業者には一番近い立場にもございまするし、積極的にその面を進めていただきたいと私は思います。  それで一つの例を申し上げますと、非常に労働界というものは非近代的だ。私のところにも、出かせぎのときになりますといろいろなことを訴えてまいりますが、最近のことを一つだけ申し上げておきます。それは、ある建設現場で下請が二つあったわけです。ところが一つの下請、これも出かせぎ者らしいのですが、間違いでもう一つの下請の出かせぎ者に傷をつけてしまった。傷をつけたというのは、何か物を落としたらしいのです。その傷を受けた方は労災で手当てを受けたわけでございますけれども、その係の下請の何とか組の組がしらが、おまえに見舞い金を取ってやる、こう言って、その傷をつけたほうの組に見舞い金を取ってやると言ったわけです。そうしたところが両方で暴力団が出てやり合うわけです。それでその出かせぎ者はこわくなってしまって、もう見舞い金は要りませんからと言ったところが、君、いまごろそんなことを言われては困る、いままであっちのほうに交渉したのに八万円ばかり金を使ってあるから、八万円だけはおまえに払わない、こういうわけですね。暴力団が入ってみたりそういうふうな実態、それから下請の下請の下請につきましては、もう皆さま方も御心配くだすっていろいろな御施策をやっていただいておりますけれども、相変わらず絶えないわけです。そういうふうな実態は、私は建設業界自体の非近代性からきているのじゃないか。建設業界を経営の面によってもっともっと近代化していかなければならない、これが根本だと思うのです。大臣の御所見を承りたい。
  239. 保利茂

    保利国務大臣 ひとつ建設関係のみならず、われわれの社会にさようなことが行なわれるという社会の実態をわれわれがかかえておるということは、はなはだ遺憾に思うわけであります。業の関係におきましては建設業法というかなりきびしい監督法規があるわけでございますし、この監督法規をもってできるだけの処置は講じてまいります。やはりこれはお互いさま、社会の風潮というか、実態というか、そこからやはり根本的に手直しをしていかないと、あるところに不正が行なわれた、それだけを摘出して、これさえやれば社会がよくなるというものではないと私は思う。しかし、だからといってそういうことに対しては寛であってはならないという感じはいたしております。
  240. 華山親義

    華山分科員 私は大臣と感想が違いますね。ほかの産業界にはそんなでたらめなことはないのですよ。建設業にそういうことがある。そこを私は大臣に直していただきたい、近代化していただきたいと申し上げる。その点どうですか。何か私の言っていることを、世の中が悪いのであって建設省が悪いのではない、こんなふうにお受け取りになっているようですけれども、それは世の中がよくなることはもちろん根本でしょうけれども、建設業界がそういうふうな実態では、私はなかなか労務者が集まらないのじゃないか、その点についてひとつ建設業界の労務管理の近代化について、総括的でよろしいから御所見を承りたい。
  241. 保利茂

    保利国務大臣 すでに建設業法の改正意見等もそういうことで起きておるわけでございまして、建設業の近代化といいますか、そういうことをはかっていかなければ、いまのままじゃ法規の不備もあろうという意見も出ておるわけで、慎重に検討をいたしておるわけであります。現行法の中におきましても、許される限りの正すべき方途は正していかなきゃならぬ。そしてできるだけそういうことの事例が少なくなるように努力をしてまいりたいと考えております。
  242. 華山親義

    華山分科員 下請業者の賃金の不払いは、非常に御努力はしていらっしゃることと私には考えられますけれども、相変わらず建設業において多い。私はこの間東京都の知事と議長に言いました。これは大臣も御存じだと思います。米の少ないときには東北に来て、私のところにも何かおみやげなんか持ってきて、東京から米を出してください、出してくださいと言ってきたじゃないですか。いまは一体何だ。水道事業でも下水事業でも夜まで働いておるのに出かせぎ者の東北人じゃないですか。そういう意味で私は出かせぎ者というものを大事にする、そういうふうな姿勢が東京都になければ、東京都の建設なんかできませんよ、こういうことを申し上げた。その点につきまして、ほんとうに深く考えていただきたいと思うのであります。ことに下請の下請の下請みたいな末端に参りますと、まるで人入れ稼業のような、そんな事業建設業以外にありません。どうぞひとつそういう点を御考慮願いたい。なぜ建設業界の中小企業者に倒産が多いのかという問題につきまして、中小企業庁は簡単に下請けさせるから多いんだ、こう言う。それで私は建築でも何でも総合的なものですから、一つのある事業について、たとえば建築をするのに、電気なら電気あるいは暖房なら暖房、そういうものの下請は考えられるのですけれども、同じ事業について重なった下請が多いのですね。こんな業界はありませんよ。その点をほんとうに私は直していただかなければいけない。この点をひとつお願いいたしておきます。
  243. 保利茂

    保利国務大臣 特に東北のほうが多うございますが、われわれの地方もその事例に漏れないわけでございまして、最愛の家族を残して長い期間出かせぎに出られる。それはやはり残された家族たちのしあわせのために、犠牲を払って行かれるわけでありますから、その出かせぎ労務者が労働法上の保護を受けなければならぬということについて、私は人一倍実は関心を持っておるわけでございます。こいねがわくは、それはいろいろのけしからぬ業者もおると思うのでございます。ついては、できるだけ職業安定所を通じて、出ていかれるほうもほんとうに安心のいける職場を求められるようにしていただきたい。どうも職業安定所を通らぬで行かれるところに非常に間違いが多いような、関西のほうでも、私のほうでも同様なのでございます。私は、その点を特にそういう方々に訴えておきたいと思います。
  244. 華山親義

    華山分科員 おっしゃるとおりです。私も出かせぎ者に会うたびに、あなたは職業安定所を通してきたか、行く際には職業安定所を通しなさいよということは常に注意している。御同感でございますが、ただ、残念ながら職業安定所を通じてきましても間違いが起きるのですね。困ったものです。  この点につきましてもう一つ、私はこの非近代化につきましていやなことでございますけれども、これからは財政硬直化という、できるだけ少ない財政力をもって大きな仕事をしなければいけない、そういうようなことなのでございますけれども、言いにくいのですが、前からそういう渦の中にも私は入っておりましたが、業界に談合ということがあるのです。これは私は非常にけしからぬことだと思う。しかし労働力の問題もいまのような状態ですから、この白書にも書いてあるとおり、できるだけ仕事を業者に分けてやるということは、私はやり方としては適当だと思うのですけれども、談合ということがあるのです。それでお聞きいたしますが、法務省のほうで統計をおとりになっておると思いますが、刑法上の談合につきまして、件数でよろしゅうございますが、ありますか。
  245. 石原一彦

    ○石原説明員 先に数字を申し上げます。実は談合罪は刑法九十六条ノ三の二項に規定されているのでありますが、一項が競売入札妨害でございまして、それと一緒に統計がとられておりますので、厳密には談合罪の数字はちょっとわかりかねます。しかしながら、競売入札妨害事件といたしまして、談合を含めました数字を申し上げますと、昭和三十七年は合計二百十一人の被疑者を検察庁で受理しております。以下、昭和三十八年は百九人、それから昭和三十九年は五十四人、昭和四十年は百十五人、昭和四十一年は二百三十一人と増加いたしております。なお、昭和四十二の分につきましてはまだ統計ができておりませんので、数字ははっきりいたしておりません。かような状態でございます。
  246. 華山親義

    華山分科員 われわれの耳に入るところ、またわれわれの経験したところによりますれば、それは非常に少ないものだと思う。それで、その二項の公費に関する談合の罪というのは、どういうときに談合の罪になりますか御存じですか。どういうときになれば談合の罪になるか、だれか御存じの方あったら……。
  247. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  これは刑法の条文に書いてございますように、「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタル者」については、刑法の罪にあたります。
  248. 華山親義

    華山分科員 そういうふうな御答弁をなさるから、談合ということについて、熱心じゃないということなんです。間違えたら法務省直していただきたいが、談合の罪というのは、入札をする前に話し合いをしたから談合になるのじゃないのですよね。最高価格あるいは最低価格というものをお互いに話し合って入札したって、それは談合の罪にはならないという判例なんです。判例は何かと申しますと、入札価格はどうでもかまわない、また予定価格と入札価格の間に違いがあろうとなかろうと、そういう問題ではない。あらかじめ話し合って、だれが入札するかをきめて入札価格を話し合っていくということが罪になる。法務省判例はそうでしょう。
  249. 石原一彦

    ○石原説明員 判例ということばが出ましたので、判例上談合といっている定義だけを述べさせていただきます。  「競売人または入札者が互いに通謀し、ある特定の競落または落札希望者をして契約者とするために、他の者は一定の価格以上または以下に付値または入札をしないことを協定すること」というのが判例上の定義であります。
  250. 華山親義

    華山分科員 私の言ったとおりでしょう。そういうことも御存じなくて建設行政はできないと私は思うのですよ。それから建設省の方で御存じの方があったらお聞きしたいのですが、天の声というのをしばしばいうのですが、何だか御存じですか。御存じの方があったら立って答えていただきたい——それでは私から。天の声というのはとにかく私はほんとうだと思うのですよ。お互いに話して、だれに入札させるか話し合いのつかない場合には、東京に協会のようなものがありまして、上のほうで話をつけるそうだ。ところがその協会でも話のつかない場合には、県庁なら県庁、市役所に対して、あなたのところはどこを希望しますかということを聞くわけです。そうすると、そういうことを言ってはいけないのでしょうけれども、たとえば何々組あるいは何々会社ということを言うのです。それが天の声というのですよ。常識化している。ひとつこういうふうなことは気をつけてもらわなければ困ると私は思う。そういうところに近代化が始められなければいけない、私はそう思います。ひとつそういうことで、一般的にいって建設業界の近代化、労務の近代化を進めていただきたい。
  251. 松浦周太郎

    松浦主査 ちょうど本会議ですから切りよく時間が終わりました。  本分科会は本会議散会後直ちに再開することとし、それまで暫時休憩いたします。    午後二時四分休憩      ————◇—————    午後三時二十二分開議
  252. 松浦周太郎

    松浦主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  253. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 建設大臣にまずお尋ねいたしますが、時間がありませんので、端的に答えていただいてけっこうです。  河川敷の開放についてまず第一点お尋ねいたしますが、都市計画の中からも、また最近の都市問題からも、都市に緑がない。公園が非常に不足しておるわけです。その点につきまして、建設省では大都市周辺の河川を開放して国民、県民のいこいの場を与えようというので、昨年通達が出ております。これを東京の荒川、多摩川、江戸川だけに限らず、関西の、大阪の大都市周辺の河川にも適用する考えはないのか、この点についてお尋ねいたします。
  254. 保利茂

    保利国務大臣 河川敷の開放につきましては、御指摘のような関東の東京周辺の河川についてはかなりその実があげられておりますことは御了解いただいておることと思いますけれども、都市状況が、だんだん大阪方面にも同様の状態を起こしてまいっておりますから、同様の措置を講じてまいりたいと考えております。
  255. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 具体的には淀川とかその他の河川に適用するわけでありますが、その時期はいつごろでありますか。
  256. 坂野重信

    ○坂野政府委員 いま検討中でございまして、はっきりした年次計画はまだ明らかにしておりません。
  257. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、国土総合開発計、画の中ではそういう計画が織り込まれていないのですか。
  258. 坂野重信

    ○坂野政府委員 国土総合開発計画といまおっしゃいますけれども、直接……(小川(新)分科員「地域開発」と呼ぶ)地域開発ですか。まだ河川敷の開放計画が具体化しておりませんので、それに伴った公園計画等はそれを追っかけるということになっておりますので、現在のところはまだ確定しておりません。
  259. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 早急にこれを実施していただくことをお願いしておきます。
  260. 保利茂

    保利国務大臣 承知いたしました。
  261. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 次に荒川、江戸川、多摩川でございますが、四十三年十二月一ぱいまでに整備、四十四年一月に開放する予定になっておりますが、この見通しはどうですか。
  262. 坂野重信

    ○坂野政府委員 現在までのところ、四十一年度、四十二年度につきましては、大体順調に進捗いたしております。四十三年度につきましても、できるだけ予定どおり進捗するように最大の努力を払いたいと思います。
  263. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 荒川、江戸川の第二次計画というのは、四十三年十二月までに整備を行なって、四十四年一月から開放するということを建設省で発表しているわけですね。これは間違いありませんね。その進捗状況の中で、荒川においてはゴルフ場、自動車教習所、こういうのがこの開放計画に幾つ引っかかるのですか。
  264. 坂野重信

    ○坂野政府委員 荒川につきましては、自動車練習場が二つで、ゴルフ場が三つでございます。
  265. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これらの既存のゴルフ場、自動車教習所には多額の金がかかっておりますが、これを接収する場合に補償金は払うのですか。
  266. 坂野重信

    ○坂野政府委員 補償金は払う計画はございません。
  267. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 多摩川においては五千万円だか六千万円だか、ちょっと値段は忘れましたが、多額の補償金を取られた例がありますが、それはどこですか。
  268. 坂野重信

    ○坂野政府委員 多摩川の開放につきましては、補償費は払っておりません。それはたしか別の問題だと思います。
  269. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これらのゴルフ場とか自動車教習所の人たちの話を聞きますと、われわれはここに多額の費用をかけているのだ、これを無償で建設省に没収されるには応じない、こういう話もちらちら聞いておりますが、そういう場合になって、四十三年というとことしでありますが、ことしももう三月まで来ております。十二月一ぱいまでにはあとわずか九カ月足らず、まるまる数えて八カ月しかありませんが、これではたして河川敷が国民、県民のために開放できる状態にあるのでしょうか。
  270. 坂野重信

    ○坂野政府委員 確かに自動車練習場等から、開放の時期を延ばしてもらいたいとか、あるいは補償がもらいたいというような要望が出ております。それらにつきまして審査請求も出ておりますけれども、現在のところ、私どもの事務的な考え方といたしましては、既定方針どおり、その補償を払うことなしに河川敷の開放を実行いたしたい、そういう方向に向かって努力したいと考えております。
  271. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは法的に、土地収用法のように、こちらが強権的に収用できる何か法律があるのですか。
  272. 坂野重信

    ○坂野政府委員 法的という問題よりも、方針の問題でございます。占用を与えるときの条件がそういう条件になっておりますので、その条件どおり実行していきたい、かように考えております。
  273. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 この河川敷は元来、多目的ダムができない前は、荒れるにまかせておったわけであります。治山治水の立場からも、現在埼玉県、荒川の例をとりますと、二瀬、玉淀のダムができている。こういった多目的ダムによって河川が最近非常にりっぱになってきた。また、そういった治水の面でも安全度が高まった。そこで、その河川の流域の公有地、民有地を借り受けて、一坪幾らというばく大な金を費やして、ゴルフ場の場合でありましたならば芝生を植え、敷地を整備し、自動車場の場合にはコンクリートまで流して、こういった多額の金を河川に投入し——これは一年契約です。これは知事の管理になっておりますが、そういう場合に、業者がそれだけの多額の資金をこの河川に投資した、これを四十三年十二月一ぱいまでに整備するのだからどけといって、はたしてこれがうまくいくものかどうかということで非常にその関係市町村の間でも疑問を持っておりますが、この点についてはどうお考えになっておりますか。これは建設大臣にお願いいたします。
  274. 保利茂

    保利国務大臣 河川敷の開放の問題につきましては、これまで、先ほど河川局長も申し上げましたように、とにかく昨今の東京の状況からいたしまして、都民のいわゆるレクリエーションの場として提供されるようにということがきめられました。そこで、お説のように、現在いろいろの自動車教習所であるとかゴルフ場であるとかについては相当の投資をしておる、金をかけておると見なければならぬ。それをしかし補償というようなことは、どうも一般の方々の了解を得るということは困難である。やはり貸し付け条件に照らして、必要とする場合にはそれを返上してもらう。それはもう条件がそうなっておりますから、条件どおり、少しこれはきびしいなという感じはしますけれども、どうもそういう明確な条件があります以上は、その条件を守って、そしてそれらに携わる関係の向きには非常に気の毒な面もありますけれども、これはどうもやむを得ない。それでひとつ御承知を願うようにお願いするはかなかろうと思います。
  275. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうしますと、この状態でいくならば、四十三年十二月までにはできそうもないですね。強制執行をかけて何が何でもどかして、ここは国の公園にしてしまうんですか。それとも強制的に土地収用みたいにかけて……。
  276. 保利茂

    保利国務大臣 もうそういう事例は、小川さん御承知のようにやっているわけですから、今度はいわばごねごねやれば何とかなるんじゃないかというようなことはちょっと考えたくありません。とにかく前例どおりやっております。そういう無償返上をしてもらっておるわけですから、そのとおりに、それは条件を守っていただくということで押していきたいと思います。
  277. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、いろいろなあらゆる方面から権力、圧力、そういうものがおそらく政府当局にも相当かかると思いますが、江戸川の場合は百七十六ヘクタール、多摩川の場合は二百四十五ヘクタール、荒川の場合は三百五十二ヘクタールですか、これだけのものは昭和四十三年の十二月一ぱいに開放する、このように政府としては方針をきめているんだから、たとえそれにどんな高い投資をかけたゴルフ場があろうとも、自動車学校があろうとも、この方針どおりもう強制的にでもやっていく、こう確認してよろしいんですね、局長。
  278. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そうでございます。そのとおり努力いたしたいと思います。
  279. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 では、その点、時間もございませんから私のほうもそれ以上追及いたしません。その点確約をいただきましたので、では市町村のほうもそのような態度をもって整備関係に移ることを私どものほうからも要請したいと思います。  次に、日照権の点につきまして建設大臣にお尋ねいたしますが、最近の都市問題として日照、通風の問題が問題になっております。この問題はいろいろありますけれども、建築基準法の違反ではない、だけれども、当然非常にいまの建築基準法があいまいであるということは建設大臣もよく御存じのとおりで、都市計画法、市街地開発法、建築基準法、この都市三法を一括して当然検討しなければならぬと考えますが、今国会に建築基準法を提出する決意でございますか。
  280. 保利茂

    保利国務大臣 日照権という権利が、私はよくまだ理解をいたしておりませんけれども、要するに、日の当たらぬような建物をめちゃくちゃに建てられちゃ困るという近在の方々の主張は当然だと思っております。しかしこれを法的に規制するといいましても、現行法では直接これを規制する根拠はないようでございます。しかし昨今の実際の社会情勢からいたしますと、近在のあたりかまわず自分だけいいというような土地の利用方法はもはや許されなくなってきておるんじゃなかろうかということには、相当期待をかけていいのだろうと思います。現行法で許される限りの指導はしていかなければならぬ。建築基準法をこの国会に出し得るかどうかということは、今日私はここで言明はできませんけれども、基準法の検討を進めておりますことは、もう御案内のとおりでございます。
  281. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 都市問題で非常に御配慮をいただいている建設大臣のおことばとしては、まことに弱腰であるように感ずるのです。建築基準法をどんどん提出して、都市三法、収用法をあわせて四法、これは当然検討を一括してやらなければならぬ、現在都市問題の隘路はその点にある、こう私ども指摘しておきたいと思います。  それで、具体的な例に移りますが、川口市の東京郵政局西川口二号宿舎が今度設計になっていまやっておりますが、これが約三千坪、約百六一戸この寄宿舎ができるために約三十何世帯の方々が、日も当たらなければ風も通らないという請願が約百八十名から出ております。建設大臣がおっしゃったように、建築基準法やそういった法律では確かに取り締まるものはないけれども、民法においては相隣の精神があります。お互いに隣保、並びにお隣関係の人たちが、自分のものを主張すると同時に他人のものを奪ってはならない、こういう定めがあるわけです。それを、この東京郵政局の官庁の建物ができるために、多くの大衆が泣くということが私どもには理解できないのですが、この点についてはどのように郵政省としてはお考えになっておりますか。西谷参事官にお願いしたい。
  282. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。いま先生のお話しのとおり、たしか川口市青木町四丁目であると思います。これはとくと御承知と思いますけれども、たしか住民七戸利害関係が直接ある者があると思います。それから昨年の十二月二十日ごろ日照の問題について陳情がございまして、いろいろ検討したわけでございますけれども、まあ法律をたてにとるわけではございませんけれども、とにかく何か自分の家の前に建物ができるというようなことになりますと、これは幾らかやはり日が当たらなくなるという事実はいなみ得ないわけでございます。しかしそのことのみを考えまして建築をいたしますならば、非常な高価な土地に非常に不経済な建物を建てなければならないというようなことにもなりかねないわけでございます。したがいまして、その譲歩し得る限度は那辺にあるのかということを考えましても、やはりある程度それは法なり政令によらなければならないものと考えておる次第でございます。そういうわけで、いまお話しの民法の相隣関係等のこともいろいろ考えまして、できるだけ譲歩するということをいたしまして、従来ならば道路が、実はお説のとおり北側に七メートルの道路があるわけでございます。それから約二メートル離れたところに建築しても基準法ではいいということでございますけれども、間をとるためにそれを六メートル南に寄せたわけでございます。したがって私のほうは、そこに四棟建っておりますけれども、南のほうの道路からも南の棟は六メートル離してございます。したがって両方とも六メートル離れて四棟の建物、四階建てを建てよう、こういうことにしておるわけでありまして、これ以上譲歩するといいましても、現段階では、東京簡易裁判所におきまして調停の段階に入っておる関係もございますし、考えていないというわけであります。
  283. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 確かにいま仰せのとおりでございますけれども、そういうように譲歩してなおかつそういった被害が出る、こうわれわれは認識しているわけです。それで私どもは、何もそれを建てちゃいけないとかなんとか言うのじゃない。それは郵政省のほうの態度もある。あの前に、お建てになるあき地があった、三千坪の土地があったけれども、どこの何のという立て看板もない。住民はいつ何を建てられるかわからない。うわさには出ていたでしょう。そういう問題も感情的にも相当あると思う。そこで私は、何でも法をたてにとって建築基準法に違反してないのだから多少当たらなくたってがまんしろよと、これは少し——いまの建設大臣保利さんのお話をいろいろ聞いていて、大臣はそんなような精神じゃないですよ。その中から建築基準法というものを改正しようという、特に憲法でうたわれている健康にして文化的な生活を営む権利をわれわれは有しておりながら、なおかつ、これは最大の自然の恩恵である太陽が当たらなくなったのではだめだ。そこで私は、何も全部やめろと言うのじゃない。その北側のほうの四階を三階ぐらいにしてもらったらどうか。その点を地元住民は二階と要求しているけれども、それでは一方的であるから、おたくのほうでお建てになる四階を三階ぐらいにしてはどうなのか、そこのところは検討できないのか。あと縦に並んでおりますから、郵政省でお建てになる列は全部日が当たるように設計されているのですね。そうでしょう、その間隔からいうと。ところが、その北側の日の当たらない側のほうは、そんなことは全然考慮されてないで、日が当たらなくなっちゃう。通風も悪くなっちゃう。ところが郵政省のほうの建てる列は全部それは検討され、健康的なことを考えた上で設計なさっている。それを住民は指摘している。だから、少なくとも北側のその当たらない側の列だけは、四階を三階ぐらいにはならないのか、ここまで住民は折れていっているのですが、その点についてはどうでしょうか。
  284. 西谷馨

    ○西谷説明員 目下建築中で、もうすべて基礎工事が終わっているわけであります。その調停申請の中にも、要するに設計変更して二階ないし三階にしたらどうか、あるいはそれができない場合、四メートル下がったらどうかという内容の調停申請が実は出ておることは承知しております。これについていろいろ検討したわけでございますけれども、四階を三階にいたしますということになるとどういうことになりますかというと、あそこに大体百人の世帯が入れるものをつくりたいということを念願しておりまして、土地を物色しておったわけでございます。幸いこれは土地が入手になったものですから、その規模の建築を推進していこう、こういうことになったわけですけれども、これが一階なくなりますと、金額も二千万円ちょっとの損失ができるということになるわけでございます。したがって、国費の使用でありますから、できるだけ効率的な建物を建てなければならないということもわれわれはやはり考えなければならぬ問題じゃないかと思います。  それから、これはいささか私見にわたって申しわけないと思うのでありますけれども、いま一番北側建物とその申請者の出ております。軒のうちとの間は大体十三メートルいま離れておるはずでございます。しかし、十三メートルといいますのは、向こう側の土地のはずれまでが十三メートルでありまして、それから向こうの家そのものが約一メートルないし二メートル中に建築されておりますから、都合十四メートルないし十五メートルになると思います。ここで一つ問題なのは、その七軒のうちの、両端でなくまん中のほうのうち、アパートを含めまして、ここに三軒の違反建築があるということでございます。これは川口市役所の言でありますから、私実際見ておりませんのですけれども、結局建蔽率の違反である。そうしますと、これを適法の建物としたならば、またいま以上に二メートルあとに下がれるというようなことも実は考えあわせますと、都合十六、七メートルの間隔ができるわけにもなります。そうしますと、いま考えられておる以上の日照というものが得られるのではなかろうかというふうにも実は考えております。せっかくでありますけれども、四階建てを三階にする——いま調停段階にもあります関係上、そのようなことは直ちにやるような、また将来に向かってもやるということはいま考えておらないわけであります。
  285. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ずいぶん薄情な答弁で私は残念に思います。二千万円かかろうが一千万円かかろうが、政治の姿勢というものははっきりしていかなければならぬ。最初からそういうことを計算に入れてやっていただきたいと思うのです。この点はあとに譲ります。  建設大臣にお尋ねいたしますが、埼玉県の人口増はものすごいものがありますが、この交通難緩和のために地下鉄七号線、これを県内に導入できますかどうか。この点だけ、将来の見通しになりますが……。
  286. 保利茂

    保利国務大臣 ちょっと私はそれは……。
  287. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 じゃけっこうです。  流域広域下水道でお骨折りいただいておりますが、荒川左岸と対抗して、新河岸川が最近ものすごくよごれておりますが、新河岸川流域広域下水道並びに中川流域下水道、この二つをぜひともやりませんと、荒川の水質がものすごくよごれることになっております。そして隅田川の汚濁対策のためにフラッシュ場水等でいま緩和しておりますが、新河岸川は御存じのとおりどぶ水以下の非常な悪臭を放っておりますので、この新河岸川流域広域下水道並びに中川流域広域下水道の設置という点は考えられてはおられませんでしょうか、この点についてお尋ねします。
  288. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 新河岸川の東京都の部分につきましては、先生御承知のように水質汚濁とも関連いたしておりますので、すでに中間処理場を完成いたしまして、さらに終末処理場を建設し、その付近の管渠工事をやっておりまして、これは非常に急いでおります。ただ、その上流につきまして、あるいは中川につきまして、現在流域下水道として取り上げるという段階にまで至っておりません。現在調査いたしております広域下水道の個所は相当ありますが、まだ調査にも入っておりませんので、今後なお調査いたしまして必要があれば流域下水道として調査に移っていきたい、このように考えております。
  289. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは今年中に調査の段階に入れますか。
  290. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 今年度は予定いたしておりません。
  291. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 来年度……。
  292. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 来年度というようにはっきりまだ申し上げる段階には至っておりません。調べまして、必要があれば調査に移りたいと思います。
  293. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 じゃ時間がありませんので、最後に一問だけ。交通安全対策事業は今年度をもって三カ年のあれが終了いたしますが、最近の自動車の増加、事故等考えまして、この存続、またさらに効果度をあげるためにさらに規模を大きくするとかいうようなことを建設大臣はお考えになっておりませんか。
  294. 保利茂

    保利国務大臣 一応さしあたりの三カ年計画は本年度で達成いたしますけれども、交通の現状からいたしまして、さらに強化してまいらなければならぬというふうに思っております。
  295. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 存続してさらに強化するわけですね。
  296. 保利茂

    保利国務大臣 さようでございます。
  297. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 中小河川対策につきまして、建設大臣はなみなみならぬ御配慮をいただいておりますが、埼玉県の緑川と芝川が非常にいま困っておりますが、この改修計画は入っておりますか。
  298. 坂野重信

    ○坂野政府委員 緑川と芝川の問題は、四十一年度の出水にかんがみまして、特に改修事業を促進しようとしております。直轄の事業と中小河川事業、あわせてひとつ緊急に事業の推進をはかりたいというように考えております。四十三年度においても、大幅に事業の推進をはかることを考えております。
  299. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 具体的に言いますと、緑川の場合は、どれくらい予算その他で御心配をいただけるのでしょうか。
  300. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ちょっとまだ河川ほどのはりつけばやっておりませんので、これから大臣の決裁が済みましたら、その段階において御報告したいと思います。
  301. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 なぜ私がこのような問題をお尋ねしているかと申しますと、埼玉県は首都圏の中の一環でありまして、東京都の人口を受け入れるためにばく大な犠牲をいま払っております。そのために、ひとつ特別の御配慮をいただきたいというわけでございますので、よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  302. 松浦周太郎

    松浦主査 次は勝澤芳雄君。
  303. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣にお尋ねいたしますが、道路整備の現状を見てみますと、たとえば窮一次五カ年計画でも、二十九年から三十二年まで四年間、第二次でも三年間、第三次が四年間、第四次でも三年間、こういう形で五カ年計画自体が繰り上げられておるわけです。いま第五次五カ年計画が行なわれておるわけでありますけれども、これですら、いまの現状を見てみると、また繰り上げざるを得ないということになると、一体経済の伸び、それから交通の混乱、こういうものから考えて、いつも追いかけられている、こういう状態なんです。こういうふうに考えてみますと、やはり私は、道路計画には夢がない、ビジョンがないじゃないか、こういうことを実はいわざるを得ない。今度の五カ年計画でも、最初の計画から相当縮まって、そのしわ寄せば地方財政、こういう形になっているわけであります。私は、こういう点で、道路計画についてもっと根本的に、しっかりした、二年か三年ですぐやり直さなくてはならないようなものでない計画を、きっちりと立てていただきたいと思う。いかがですか。
  304. 保利茂

    保利国務大臣 そういう御非難もさることでございますが、一方、夢を持ち、これを具体化するということになりますれば、ちょっとそろばんに乗るような数字では片がつかぬだろうと思いますし、そこで財政の推移とにらみ合わせまして、重点的に道路整備をはかっていくためにはどうあるべきかということで、各計画次途中で、財政の推移と見合い、また交通量の増大と見合って、とにかく最大限考えられる計画をお願いをいたしておるようなわけです。夢がないわけじゃないので、本州−四国の連絡架橋でありますとか、あるいは国土縦貫道でありますとか、そういう大きな夢を追いつつ、また一面には、目前の事態に即応して着実に改善していく整備計画を立てざるを得ない。これが実際現状でございます。私もあなたと同様に、大きな夢を持って立ち向かいたいという気持らは十分ありますけれども、現状はそのようでございます。
  305. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 たとえば、四国とかあるいは縦貫道とか、一つの夢はあります。しかし、いま目の前がまっ暗になっているわけです。どこもかしこもめちゃくちゃなんです。ですから、これを解決して、そしてどうなるのか、たとえば東京都は交通事情が五年後どうなるのだ、あるいは東海道は五年後どうなるのかといったって、夢がない、私はそう言っておるのです。三年たったら、いまの道路がどうなる、いまの交通事情どうなる、お先まっ暗で一体どうなるだろうか、こういうことを言っておるわけです。これは財政の関係もあると思うのです。先行投資しなければならない部分もあるし、あるいは現状をとにかく早急に打開しなければならぬ部分もあると思うのです。ですから、全体的な国の予算との関係にもなるでしょうけれども、たとえば大臣、きのう予算委員会で、大出君が防衛庁にバッジの質問をいたしておりましたけれども、ハッジというのは百三十億でできるということでやった。しかし実際には二百五十億かかって、まだまだと言っておる。一体バッジをやるほうが先か、道路をやるほうが先か、いろいろのものの見方があるでしょうけれども、やはり実力のある大臣なんだから、この際——首を横に振らぬでもいいですから、実力があることはもうわかっておるのですから、そういう意味で、この場所場所の人たちに対して、希望を持たせるようにやっていかなくてはいけない。道路の場合でも同じです。住宅の場合も同じです。だからそういうものを建設行政というものは持たなければならない。こういうことでありますので、その点大臣おわかりになっていますから、御答弁要りません。  次の問題ですが、たとえば東海道の東京−大阪間を見てみますと、ベルト地帯といわれておりますけれども、いままさに、これはにっちもさっちもいかなくなっておるわけです。そこで特に東海道ベルト地帯といわれるこの地帯における道路計画というものは、具体的にどういうようにお考えになっておるかという点について御説明願いたい。
  306. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 国道一号線につきましては、御指摘のように非常に現在交通がふくそうしております。現在は国道一号線の交通の緩和といたしまして、来年の五月くらいには全線供用開始できると予想されます東名高速道路、そのほかに、これができてもさらに区間の交通量が相当ございますので、現在バイパスを鋭意施工しております。現在施工中のバイパスといたしましては、神奈川県の大磯から小田原間、静岡の沼津のバイパス、同じく富士から由比を通りまして興津に行きますバイパス、島田から大井川を越えまして金谷に行きますバイパス、浜松市のバイパス、愛知県の、これは岡崎の少し西から名古屋を通ります。ずっと桑名のほうに参ります名四国道、大阪府の寝屋川のバイパス。この七つを現在施工中でございまして、そのほかに計画中のものといたしましては、静岡−清水の静清、藤枝−磐田間のバイパス、掛川のバイパス、浜名のバイパス、名古屋−豊橋間のバイパス、京都から大津に抜ける京滋バイパス、こういう六カ所を現在計画中でございます。
  307. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこでこれは昨年衆議院の建設委員会が現地を見た調査報告書があるわけでありますが、その中でもこう言われておるわけです。「東名高速道路が完成いたしましても、今日の道路輸送需要の伸びから見て、国道一号線の渋滞解決は解消し得ず、これに伴うバイパスは、単に地域的なものではなく、第二東海道としての使命が強くなるのではないかと思われるのであります。したがって、この点を勘案して、本道路のバイパスについて、現在建設省で企画検討中の第二東海道のルートとあわせて全面的に検討する時期にきているのではないかと考えられるのであります。」こう言われておるわけです。東名高速道路は来年五月完成するでありましょう。いまやっておる部分的なバイパスはできるでありましょう。しかしその後の道路というものを、やはりいまから考えておかなければ、また行き詰まることはこれもはっきりしておるじゃありませんか。ですからそういう点はどうなっておりますか。
  308. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 東名ができまして、さらに東海道が四車線のバイパスをつくります。その後さらにふえるだろうというような御指摘でございます。これは確かに東名ができまして、現在のバイパスができますと、交通容量といたしましては約十二、三万台の容量はできるかと思いますが、さらにその後どういうような形で東海道の交通需要がふえるかということは、これはやはり地域の、全国の総合開発計画と合わして今後検討事項にいたしたいと思います。
  309. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 いまの局長の、それができると十二、三万台の交通容量があるというのは、私はそんな計算にはならないと思うのです。いまでさえ、いまの現状から見れば、二車線で大体四、五万台走っているわけです。この前の話で、大体二車線で七、八千台だと言われたのに、四、五万台走っているわけでありますから、これは相当な問題です。いま四車線と言われますけれども、四車線といったって、全部四車線であるわけではないわけであります。まあ東名も完成されるでありましょう。そういう点から考えてみると、私はもっと根本的なものの考え方と計算のしかたをしなければ、それはほかの道路に追いつかないと思うのです。ましてやこれは国道なんですから。いま御案内のように、運送会社は、もうこんなにおくれてはしようがないから、ひとつ建設省あるいは国に向かって損害賠償の要求をしなければならぬではないかというような意見すら出ているのです。これは業者から見てみれば無理からぬことだと思うのです。そういう点で私は、やはりもっとこの問題はお考えいただきたいと思うのです。  そこで大臣、この国道一号線の問題は、衆議院の建設委員会も昨年現地を調査していただいたわけです。交通安全対策特別委員会も現地を見ていただいたわけであります。それから西村建設大臣もわざわざ現地を見ていただきまして、これはやはり何とかせねばならぬ、こう言われて——実は何とかしているんですけれども、実に努力していることはわかるのですけれども、これではテンポがまだおそ過ぎると私は思うのです。そういう点で、また大臣がおかわりになりましたから、これはくどい話でありますけれども、何回も聞いているということでありますけれども、大臣がかわったときにやっぱり聞かしておかなければいけないということで、いま質問をいたしておるのでありますが、御所見をひとつ賜わりたいと思います。
  310. 保利茂

    保利国務大臣 お説のとおり、社会資本の立ちおくれと申しますか、とにかく公共投資の立ちおくれの上にもってきて、急激な経済の発展がもたらしてきておる。この十数年にわたりまして、すでに東名道路にしましても第五次の計画をもってやっておりますように、かなりの資金を投じてきておりますけれども、肝心の自動車のふえ方、足取りというものが、いわばウサギの足取りだ。社会資本の入れ方というものはカメの足取りだ。まことに不足しておる現状で、これは同様深憂にたえないところであります。国道一号線だけならこれはもうそれでも何とかなっていきましょうけれども、おそらくどの国道をお通りになりましても、大なり小なり程度の差こそあれ、ほとんどこれはもうどうにもならないというようなところになっておるものでございますから、各地ともとにかく緊急度の高いところからバイパスの補完施設を急いでやり繰りをやっているのが正直言って現状でございますし、それでとにかく、国力の許す限り道路の整備に力を入れてもらわなければならぬという強い感じを持っておるわけでございます。
  311. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 それは大臣、二キロの道を二時間ですよ。二キロの道を二時間で走っておるわけですよ。十二時間もいらいらむかむかと、清水国道一号線で交通麻痺。二時間で二キロしか走れぬという状態なんです。これが連日のように交通渋滞が続いておるわけです。これは極端な例ですよ。静岡県でも御承知のように、建設大臣竹山さんもやりましたし、遠藤さんもやりましたし、西村政調会長とか、りっぱな人たちがおるけれども、道路だけはろくなことができないじゃないか。自民党はだめじゃないか。社会党じゃなければ、こういう話が出ていて、とにかくそれは別としても、これじゃひど過ぎるじゃないか。私なんかは興津におりますから、朝起きて、きょうは自動車で東に行けるか西に行けるか見て、これはだめだ、電車に乗っていく以外にないというような、とにかく仕事をしている人たちがみなそういう状態なんです。それがいつ解消するか、こう思うのです。いつ解消するかと思うけれども、東名がかりにできたとしても、バイパスはまだまだのことですから、これはたいへんなことなんです。ですから大臣、そういう点で私は申し上げておるわけですから、実情はよくおわかりになっているでしょうけれども、やっぱりこれは何回も言っておいたほうがよくおわかりになると思いまして申し上げておきます。  それから、東名高速道路がこの五月から部分開通をするわけです。それから来年全面的な開通料金問題はどういうふうにおきまりになりましたか。
  312. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 東名の料金につきましては、これはやはり全体の高速道路料金がいかにあるべきかということが今後の一番大きな問題になりますものですから、実は道路審議会の中に料金部会を設けていただきまして、そこでいろいろ高速道路料金の問題また都市高速の料金の問題その他あわせまして一体どうあるべきかということで、いろいろ検討してもらっておる次第でございます。大体この秋くらいまでにこれの結果を出していただきまして、全線開通のときには、その結果に基づいて一つ高速道路料金体系をきめていきたいというふうに考えております。それまでのことし四月の——私は五月の初めごろになると思いますが、部分供用になりますものにつきましては、これはそれまでの一つの暫定的な考えでやっていきたいというように、いま検討しております。何ぶん静岡のインターにいたしましても清水のインターにいたしましても、本線の高速道路はできたのでございますけれども、その取りつけにつきましていろいろ用地の問題がございまして、まだできていないところがございます。そこに交通のキャパシティもあまりないような場所もございますので、そういうものを勘案いたしまして暫定的な料金をいま検討しております。早急にきめたいと思っております。
  313. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで私は、暫定的な料金について希望があるわけですけれども、大臣、地元では料金をぜひ無料にしてくれという運動が起こっているわけであります。一万世帯署名簿をとったり、あるいは各地区からあるいは篤志家から募金してきて、それをひとつ道路公団に寄付するから、交通難緩和のために、たった一年でもいいから何とか、ただで無理なら料金を少しでも下げて、できるだけうちの前を通る自動車を減らしてくれ、これが実は切なる願いなんです。前の西村大臣も腰だめでという言い方で、腰だめというのはどういう意味かむずかしい話ですが、されておったのですけれども、これはやはり全体的に出たときにはいろいろ問題があるでしょうけれども、やっぱり一年くらい何とか、やはり地元の交通対策といいますか、交通安全対策の上からも、できるだけ東名を通過する自動車が多くなるような形で、やはり料金問題というものは特殊なものをひとつお考えいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  314. 保利茂

    保利国務大臣 道路局長が申し上げましたように、私のところにも暫定的に無料開放してくれという強い御陳情をいただいております。いろいろ相談いたしましたが、無料というわけには、これは道路のたてまえ上いくまい。さればとて現在の料金仕組みのとおりでやるか、これも少し実際の実情に合わないのじゃないか。そこで先ほど申しますように、来年の全線開通に至るまでの暫定料金として、あまり大きな御期待をされると当てが違うかもしれませんが、暫定料金をつくりまして実施したいということで、そういう強い要請に基づいて検討をいたしておる次第でございます。いましばらくお待ちをいただきたい。
  315. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣も実情おわかりになっているようでありますから、これ以上申し上げませんけれども、地元では無料ということで私も何回も陳情を受けましたけれども、これは無料は無理だ、しかしいまの名神とは変わった形で料金はできるだけ安くしてもらって、とにかくできるだけ部分的でも向こうへ、静岡の東名のほうへ乗ろうかということになるようにぜひひとつやっていただきたいと思います。  それから最後にもう一つ、いまバイパスをいろいろ計画されておるようですけれども、これはできるだけ早く路線をおきめ願いたいと思うのです。路線をきめれば、これは建設省予算がつかなくても、竹山知事はやはり自分の経験からいってできるだけ県で先に土地を買ってしまおう、そして建設省できまったときには早く使ってもらおう、こう言われておるわけでありますから、路線を決定して、できるだけわれわれ県にも協力をさせますし、また建設省からもいっていただいて、きまったところは建設省予算がなくても、先に土地を買わせる。それからやはり問題になるのは漁業補償の問題もあるわけです。最近の漁業補償を見てみましても、なかなか簡単にいかない。相当長い時間がかかるわけであります。やはりそれも建設省予算がきまった段階でそういう仕事を始めるよりも、何とかしなければならぬというのはみんなわかっているわけですから、できるだけひとつ路線決定を急いで、先行投資というものを県と相談をしながら用地問題を早急に解決する、こういうような方向で特に私はやっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  316. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまのルートを早くきめまして用地の先行をしていく、この考えに私どもも全く賛成でございます。県の協力を得ましてできるだけそういうようにしていきたいと思っております。ただ、五カ年計画六兆六千億の非常に膨大な金ではございますが、いろいろこれを下までおろしていきますと、一体東海道に幾ら金が入るのかということもございます。先ほど言いました計画中のものを全部はたしてできるかどうかということもございますので、そういうことも勘案して、できるだけ交通のネックになっておるところのバイパスのルートから早くきめまして、用地の先行をお願いしていくという考えでございます。
  317. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 それからもう一つ運輸省がいらっしゃっておりますからお尋ねいたしますが、この間のこの建設委員会の現地調査へ行った報告の中でも、特に道路交通渋滞の激しい区間のバスストップ帯について、現在のような状態では後続車はバスの乗客の乗り降り中相当の区間うしろでとめられてしまっているわけですね。こういう点をこの際やはり私は検討をしなければならないのではないかという気がするわけです。バスがとまってしまうとそのたびにずっとうしろの車がとまってしまって、動けない。ですから、できるならばバスの停留所をこの際検討して、うしろがつかえないようなところにしなければならないし、あるいはそこだけふくらますなり、そういう用地などについてはバス会社にも協力さして、道路をふくらまして混雑をある程度緩和するような対策をこの際道路の中で考えていかなければならないのではないだろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  318. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまの先生の御意見はまことにごもっともな点でございます。まことに随所でそういう現象が出ておりまして、実はバスの公衆の足としての効用が非常に大きいということで、私どもといたしましては非常に憂慮しておる問題でございますが、いまの道路の状況とかあるいはその他いろいろ問題がございまして、なかなか一ぺんにこれは解決できないのではないかと思います。しかし私どもといたしましては、極力そういった路線の停留所の位置につきまして、後続車のじゃまにならないように、それから安全問題がございますので、たとえばそういうようなおそれのないところへ停留所を移すとかいうようなことも考えたいと思います。そういう点につきましては、実は道路交通の規制をやっております警察庁なり地元の警察でございますね、そういった警察当局の御意見も十分にお聞きいたしまして、そういうような渋帯が起こらないようにやっていきたいというふうに現在措置しております。これももちろん十分でございませんので、一番の問題はやはり道路の拡張だとかあるいはバイベイといいますか、要するにバスがとまるときに道路筋から少し引っ込んでとまるということも場合により必要だと思います。そういう点につきまして、もちろんバス会社の負担もありますけれども、現地、現地におきまして警察なり道路管理者なりがバス会社に協力するように県警本部が中心となって指導しており、そういう形でうまくいっておる例もございます。そういうようなことで極力そういう現象を少しずつつぶしていくということで努力いたすつもりでございます。
  319. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 自動車局長、たとえば一つの信号が赤なり青なりありますね。そのために国道一号線が、信号が動くために渋滞が大体二、三百メートル続くわけです。それを使わずに今度点滅にすれば渋滞がなくなる。それほど実に緊迫している交通事情です。ですから一つの停留所を廃止する、そのために起こる交通の緩和というものは大きなものです。ですからいま言いましたが、私も県に帰りまして県警本部長にもよくお願いしますが、やはり運輸省として交通渋滞のところは積極的な指導によって停留所をなくすなり、あるいは停留所を少し変えるなり、あるいはいま言いました停留所を引っ込めるなりということを少しでもしていただくと、さっき言いましたように二キロ、二時間かかるやつが少しでも楽になることになるわけですから、やはり私はそれは積極的な指導をしていただきたいと思う。いま地元の住民は歩道橋一つつくるために町内会長あげて、町内でもって地元負担がありますから、地元負担の金を集めて、そうしてその用地取得のために一月とか二月とか町内の衆があげてそのじゃまになるうち、あるいは上になると見えるとかいうので、ものすごく苦労しながらそういったことをやっているわけです。そういうことを片方でやっておりながら片方で渋滞が起きている。そうして住民は、自己防衛のために役所にまかしておけないということで立ち上がっておるわけでありますけれども、まだまだそういう隘路があるのでありますから、これは交通安全対策の上からも、私たちも地元で積極的にそういう問題については要請申し上げますので、ひとつ上のほうからも、いまおやりになっているようですけれども、再検討されて、十分交通安全の対策のために努力をいただきますように要請いたしまして、質問を終わります。
  320. 松浦周太郎

    松浦主査 次は井上泉君。
  321. 井上泉

    井上(泉)分科員 さっき勝澤さんの質問の中で、非常に夢を持ってということを大臣も言われたのでありますが、政治家は夢を持たなくてはならないし、国民も夢を持たなければならないわけですが、その夢を実現させるのはやはり政治家の任務だと思います。  それで本土−四国の架橋の問題につきましては、これは原口さんが神戸の土木出張所長の時分、つまり三十年以上昔ここへ橋をかけたらいいなということが発想になったというように私どもは聞いておるわけですが、その夢を今日追うて、いままで原口神戸市長を中心に進んできたわけですが、その夢をいまこそ実現をさすのが現実の政治家としての任務ではなかろうかと思うわけです。そういう点で建設大臣、きょう午前中の森本さんの答弁の中にもいろいろ聞かされておるわけですが、やはり大臣という日本の政治を担当される責任の衝にあられるのですから、これは、政治的に解決をするということ、この橋をかけるということを断行することが政治だと思うわけですが、こういう点について、何か政治的に解決をすることを遠慮されるような話があるわけですけれども、それでは国会というものは一つも意味をなさぬ。やはり国民的要請にこたえて、政治的判断を加えて、政治的解決をはかって、それに対して事務当局が処理をしていく、こういう筋道を追うていくのが当然だと思うのですが、この点についての大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  322. 保利茂

    保利国務大臣 本州−四国の連絡架橋の問題につきましては、これはよけいなことでしょうけれども、原口市長さんと私は同郷でございまして、だいぶ前から吹かされて原口さんの御抱負なるものを伺ってきておるわけです。政府として具体的に取り上げてからもはや十年近くになる経緯があるわけでございまして、そして、基礎的な調査には念には念を入れて、土木学会等の応援をいただいて調査を進めてまいってきており、調査の一段階はやっとたどりついたというところでございます。  そこで、午前中も申し上げましたように、工費、工期のみならず経済効果等、将来の中国、四国、西日本一帯に果たすこの橋の役割りというものがどういうものであるかというようなことについては、さらに綿密な検討を要するというようなことで、ただいま調査を進行しておるわけでございます。これは、森本さんからもだいぶん御指摘がありましたように、問題は、もののとらえ方、基準のとり方でいろいろ変わってくるという場合もあるのだろうと思うのですけれども、極端に申しますれば、いろいろのデーターに基づいて、電子計算機にでもかけて、そして当然落ちるところに落ちていくというように持っていくべきであろう。そういうことで、冷静に慎重に客観的に落ちつくところに落ちつけるべきものであって、それにいろいろな政治的意図を加えてはならないという御趣旨だったと思うわけです。そういう意味において、政治的に取り扱うことは絶対に避けなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、やること自体は、大きな日本事業でございますから、断固としてやっていかなければならぬと考えております。
  323. 井上泉

    井上(泉)分科員 私は、どうも陳情が多いからこれをつけろとかつけたらどうかというような、そういう意味の政治的なものではないわけで、その点は大臣も言われたとおりですが、これは、経済審議会の地域部分からの調査の資料でも、この四国地方の開発は、本土架橋ができた場合には、これを予測しない段階においても、今後二十年間には生産がざっと二兆二千億と、四国は日本の九ブロックの中で最高の伸び率を示す、こういうふうなことが言われておるわけであるし、現実に四国という未開発の地点を開発するかなめがこの橋であるということ、これは大臣も御承知のとおりだと思うのですが、そういう場合に、いまこの橋を一本の橋にせよということで一本橋をかける、この線へ持ってこい、この線へ持ってこいというようなことで大きな陳情合戦が行なわれておる、その陳情合戦に左右されてはならないという大臣の御見解だと思うわけですけれども、現実に、その地域の住民の要求というもの、そういう経済効果の点から考えましても、いままで明石−鳴門だけでも昭和四十二年度まで三億五千万使っている。今年度だけでも、これに関係をしておる神戸あるいは徳島、高知、こういうふうなものを含めますと、約六千万円の金が、いろいろな技術の調査とかあるいは経済調査とかいうようなものに、自治体自身も取り組んでおる、あるいは香川にいたしましても、岡山においても、広島においても、そういうことが行なわれておるのです。そういう点で、四国を開発するという点においては、これはどの路線であろうともそうたいした違いはないと思う。ところが、併用橋ということが、きょう午前中の森本さんの質問の中にも、常識として考えられる、こういうことが言われたのですけれども、私は、そのとおりだと思う、それと同じように、もう今日の段階では、二十年先を予測する場合において、一つの橋が十年かかる。十年かかって一つの橋をかけて、また一つの橋をかけると、今度は二十年先でないと四国と本土との接続の橋が二つかからないわけです。こういう場合に、今日では一つの橋で四国の開発とかいうことを考えるのではなしに、やはり日本の国土の大きな開発の見地から考えて、そこへ複数以上の橋、単数でない橋をかける。一つは併用橋、一つ道路橋、こういうような形で大臣としては決断を下すべきもう今日の段階ではないかと思う。これほど地方財政の窮迫しておる中でも、必死となっていろいろな運動をしておるわけですから、運動といっても決して飲み食いではない、ほんとうに地道な活動をしておるわけですから、そういう住民の要求にこたえて、それこそ政治家として、これはもう吉田内閣以前からもずっと保利さんと言えば自民党切っての大政治家ということは、私ども評判として聞いておるし、また今日の佐藤内閣の大黒柱、こういうことから考え、ぜひともひとつその政治的判断というものを、複数以上で考えるようなお気持ちはないのかどうか、その点を承りたいのです。
  324. 保利茂

    保利国務大臣 まあ、だれが考えてみましても、四国と本土がほんとうに橋でもって連絡するということになりますれば、おそらく十年後一本では間に合わぬということ、これは考えられるところじゃないかと思います。したがいまして、とりあえず、とにかくさしあたりそう二本も一ぺんにちょっとやそっとでできる仕事でございませんから、かなり大きな資金を要することでございますし、それでとにかく一本の橋をつけるにしても、やはり諸般の基礎を固めて、そして悔いを残さないように持っていくということで、四国全体の利益のために考えていかなければならないということから、ただ将来をお互いの夢としまして考えますことは、どこへかけましても二本くらいは瀬戸内海の架橋は必要であるということは、私もそう感じております。
  325. 井上泉

    井上(泉)委員 橋の問題については、大臣も二本くらいは必要だ、十年後の経済的な発展の度合いを考え、四国という地域の問題を考えれば、橋は二つだ、一つではいかぬということは、御理解をされておるようですから、私は、ぜひとも四国、日本の国土の開発という点からも、複数以上の橋を、これは両方、かりに明石−鳴門、坂出−児島、どこへかけましても、かりに三つかけても、一兆円ということになるわけですから、そうすると、山陽新幹線、東海道新幹線あるいは万国博に要する金、そういうことから考えて、これは十年に割ればそうたいした金額になりはせぬのじゃないか、これはやはり有料道路として徴収をする、こういうようなことになりますと、これはかなり大胆な政治的判断を下してやっていただきたい。それにまたこたえるような日本建設省の技術陣だと思うのです。二つでは建設省は持てないとかいうような、そんな弱気な建設省事務当局ではないと思うのですが、その点について道路局長の御意見を伺いたい。
  326. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの御質問は、二つ一緒にやった場合に建設省の技術陣が十分かどうかということかと思います。これはやはり二つの橋そのものは全然別なものじゃございませんで、やはり長大つり橋ということについての研究は、一本でやれるということは現在までとってきた道でございます。それをやっていけば、一方は千百メートルの長大つり橋、一方は千五百メートルの長大つり橋ということで、共通した点が非常に多いと思います。千百メートルのつり橋をつくることがすなわち千五百メートルのつり橋をつくることに技術的には一致するものでございます。そういう点では、建設省の技術陣が二つやることに非常に手薄だということはないと思います。ただ問題は、やはり施行するほうからいいますと、日本では初めての長大つり橋でございますので、ケーブルを渡します仕事、補剛けたをかけ渡します仕事、これにはかなり熟練した技能者が要るのではないかというふうに考えておるわけでございます。やはりこういう者の養成が今後第一だと思います。まずここ数年間でやろうと思っております門司と下関間の第二関門のつり橋、これは七百メートルくらいのつり橋でございますが、この辺が一つの大きな、そういう技術者を養成する職場になるのではなかろうかというふうに考えております。
  327. 井上泉

    井上(泉)分科員 非常に時間が少ないので、橋のほうの問題は建設省の技術陣をもってして、二つやっても何ら不自由はない、こういう確信のある御見解なので、今日の四国開発、日本国土の開発という高い見地に立って二つ、一つは併用橋、一つ道路一本とかというようなことで、ぜひとも単数ではない橋架の問題を取り上げていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、四国は建設政務次官も出して、大臣の直系といわれる仮谷さんの出身地でもありますので、これは仮谷さんがあるいは遠慮されてと思うわけでありますが、高速道路の一兆一千億という計画の中で、四国は一銭もそういうことが予定をされないということは、まさか仮谷さんが荒舩清十郎さんのようなことで非難を受けると思って遠慮したものではないと思うわけですし、あるいはまたそういう点から四国というものは、やはり橋の問題があれば、橋の問題と必然的に蔵速道路も二年や三年でできる問題ではないですから、やはり十年近い年月がかかるものですから、この際やはり高速自動車道というものが、四国を貫く道路計画というものが実施をされなかったということは、非常に残念に思うわけですが、その点大臣どうですか。
  328. 保利茂

    保利国務大臣 四国の縦貫及び横断の高速道路のことにつきましては、私も建設省へ参りましてからさっそくどういうふうになっているかということを聞いてみたのであります。なるほど今日までは計画はまだ基本計画も立っていないわけでございます。いまその基本計画を立てるために調査を行なっておる。四国は皆さん御承知のように、何さま中央部に峻険な地帯があり、(「それは縦貫でしょう」と呼ぶ者あり)いや縦貫と横断両方ございます。要するに四国の一番大きな道路——それで、調査をやっておりまして、できるだけ早く基本計画を立てて、そうして、これはちょっと脱線かもしれませんけれども、もう四国はあの県、この県でなしに、四国一体ということになるべきである、こういうふうに実は考えておるものでございますから、少し急ぎたい、こういう考えでございます。
  329. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは大臣、ぜひ四国は一体として、高松から高知まで自動車道を整備すれば一時間ですから、これはどこまでも四国は一体という考え方で建設行政を進めていただきたいと思います。  これはローカルだけになるわけで恐縮ですけれども、高知県は四国の約五分の二くらいの面積を持っておるわけですが、国道三十二号線、三十三号線はどうにか改良ができてきたわけです。いま五十五号線、五十六号線をやっておるわけですが、その改良とあわせて国道がそれしかないわけですが、もう絶えず高知県としても十年来要求をしております窪川−宇和島それから須崎−梼原、この国道昇格の問題は一体どうなっておるのか、これは事務当局の方から御答弁をお願いしたいと思います。
  330. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 国道の昇格につきましては実は全国から非常に要望がございます。現在、いつ昇格するかは問題でございますが、この二つにつきましては全国的な規模の中で四国の道路、国道はどうあるべきかという観点でいま検討しております。
  331. 井上泉

    井上(泉)分科員 それではもう時間がないので、最後に高速道路等いろいろ道路が整備をされておるわけですけれども、今日やはりいわゆる高速道路をつくり、縦貫道路をつくりましても、今度はそこから車は必ず地方道に入るわけです。地方道に入らない車はほとんどないといっても差しつかえないわけです。その地方道に対する建設省予算措置というか、改良計画というものは、今日まで国道へ投資する日本道路予算の額から考えてみてもきわめて貧弱な予算ですが、こういう点について、大臣思い切って地方道の整備のための財源措置も講じ、そうしてまた建設省としては高速道あるいは大きなバイパス道路をつくる、その作業と並行して地方道の整備の計画を、ただいまの勝澤さんの質問の中にもありましたが、これはもう繰り上げて青写真をつくって、国民の前に示されるということが必要ではないかと思いますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  332. 保利茂

    保利国務大臣 とにかく十年余り国道の整備に重点を置いてやってきておるわけでございます。さっき勝澤さんからおしかりを受けたようなわけですが、だんだん地方道のほうに力が入っていく、とにかくちぐはぐにならないように、大きな国道から地方道への連絡がスムーズに流れていくように、ちぐはぐに、こっちはこっち、あっちはあっちというような形にならないように心がけていくべきではないか、全く御説のとおりだと思っておりますから、そういう配慮をしてまいりたいと思います。
  333. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは原口さんが三十数年前に見た夢、そうしてまた国土開発の構想の中で、四国−本土を結ぶ橋の計画を立てられて、それが今日ではもう夢の段階ではなくなって、現実の段階になってきておる。そうしてまた現実の段階というものは急テンポに成長する経済の状態から考えて、一線だけではこれから十年後の日本の経済を支配をしていく上においては無理だということは、大臣も理解をされておるようでありますから、早急に、もう調査研究とかいうことではなしに、来年度は実施段階にぜひとも入るようにしていただきたいということを強く要望し、あわせて高速道の整備と相匹敵する計画の中で地方道の整備を進めていかれることを、これもあわせて要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  334. 松浦周太郎

    松浦主査 西風勲君。
  335. 西風勲

    西風分科員 東京と大阪を比較いたしますと、道路交通事情について、東京のほうももちろん十分ではありませんけれども、東京のほうがはるかに進んでおりまして、大阪の交通事情、道路事情というのは非常に悪いわけですね。そういう点で万国博覧会とかいうような問題も一つの目標になりましょうけれども、大阪はいうまでもなく東京に次いで、産業、経済の中心の都市であります。この産業、経済の中心の都市であります大阪が麻痺するということは、オーバーな言い方かもわかりませんけれども、日本の経済、産業に非常に大きな影響を与えるというふうに言うことができるわけであります。そういう点で、いまそういう大阪の道路事情を緩和するために建設省を中心にした計画がどの程度進んでいるか、何%くらいどういう内容で行なわれているかという点について、まずお尋ねしたいと思います。
  336. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 大阪の交通難及び大阪周辺の都市間の道路について鋭意整備を進めておるのでございます。現在六兆六千億の五カ年計画の中でどれだけができるかということをいろいろ検討しておる次第でございます。ただその中で、道路関係で一番問題はやはり一号線、先ほど言いました寝屋川のバイパスの問題及び第二阪神と称しております四十三号線の大阪市内の問題、これと和歌山へ行きます国道二十六号線の問題、この辺が大阪を出ます三つの大きな幹線かと思います。そのまわりに京都−神戸、百七十一号でございますか、ああいうものとか、大阪の中央環状、外環状、こういうような大阪を中心とした外郭環状線というものと、阪神高速道路公団がやっております都市内の高速道の問題、こういうものを鋭意進めていきたいと思っております。全体のパーセントは、全体の計画の中でどのくらいが五カ年でできるかまだはっきりした数字が出ておりませんが、できるだけそういうものを整備していくつもりでおります。
  337. 西風勲

    西風分科員 いままで大阪全体の運行をよくしていく上で、聞くところによりますと、七十本くらいの幹線道路計画があるようであります。その中で主要な十数本が全部分断、まん中で切られたような形になっておるというふうに言われておるのですけれども、そういう点どういうようになっておるのですか。   〔主査退席、森本主査代理着席〕
  338. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 大阪の市街地を中心にいたします幹線道路網は十七本くらいの放射線、環状線を計画いたしておりますけれども、先生御指摘のように、大阪市内は主として区画整理によって街路区画を従来やっておりましたため、ところどころつかえているところがございます。今度の万博関連事業といたしまして、それらの主要幹線の中で隘路になっているところを取り上げまして、鋭意現在工事をいたしておるわけでございます。
  339. 西風勲

    西風分科員 そういうことを聞いているのじゃないのです。もっと具体的に、大阪の中で幾つか幹線道路の完成が予定よりもはるかにおくれているために、大阪全体の道路事情、交通事情を緩和する上でネックになっているところが何カ所かあるでしょう。それはどこですかということを聞いているのです。
  340. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 一つは築港−枚岡線の丼池でございます。それから御堂筋の大阪駅に結ぶ路線でございます。それから中央環状線でもまだ南のほうができておりません。そういうところがネックになっておるわけでございます。
  341. 西風勲

    西風分科員 計画よりもはるかにおくれておるわけですね。おくれておるというのはあなた方の責任というのじゃなくて、立ちのき問題その他非常に複雑な問題がありますから、簡単には考えておりませんけれども、その中で第二阪神国道ですね。これは当初の計画はいつ完成する見込みだったのですか。
  342. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これはいつまでというようなことはございませんでしたが、今回、もちろん大阪の万博もございますことですので、昭和四十五年までに大阪市内の十キロの分、兵庫の県境から二十六号につなげるものを四車線は少なくとも供用開始をしたいというふうに考えております。
  343. 西風勲

    西風分科員 第二阪神国道については いま伝え聞くところによりますと、昭和四十五年ですか、万国博覧会までにできないんじゃないかというようなうわさが出ておりますけれども、そういうことはないわけですな。
  344. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これはいまの国道二十六号線の西側でございますが、この辺が——大体木津、尻無川で橋をかけなければなりません。橋が水面よりもかなり高いために、その前後が高架になるわけでございます。その工事そのものは万博までに間に合うかと思います。ただ用地の問題がまだ全部十分解決したということを聞いておりませんので、今後の問題はやはり用地にかかっておると思います。
  345. 西風勲

    西風分科員 さっきあなたは、第二阪神国道はどうかと言うて私が聞いたら、四十五年までに完成しますという話だったわけでしょう。私が四十五年に必ずできないといううわさがあるけれども、そんなことないのか、そんなことはないのでしょうねと言うて聞いたら、今度は用地の問題があるというような話です。さっきの答弁といまの答弁と違うのですが、それはどういうことですか。
  346. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 先ほどは、私たちの計画といたしましては、そういう用地の問題がいろいろございますが、これも地元の協力で解決して、四十五年までにぜひ完成さしたいという計画でございます。その中でいまできないんじゃないかということは、やはり用地の問題に一まつの不安があるためにそういうことを申し上げた次第であります。
  347. 西風勲

    西風分科員 建設大臣にお伺いしますけれども、河野さんが建設大臣をやっておられたときに、非常に実行力がある、私どもは必ずしもそうは思いませんが、一部の人が、あれが政治家であるという話があったのです。私は河野さんのような行き方もあるけれども、佐藤内閣の中で大黒柱というよりも、事実上佐藤総理大臣の代理としていままで仕事を進めてきた、しかも、はったりではなしに、静かに潜行しながら実をあげるというような非常な有能な練達の建設大臣であります。そういう点でこの大阪にあります道路問題の解決は、これは保利建設大臣のまさに政治的成果をあげていく上でも、保利さんがいま守り続けられておる佐藤内閣の命運にもかかわる重要な問題ではないか。こういう点について、第二阪神国道ほか大阪にあります幾つかの寸断されている道路について、四十五年までに、河野さんのような行き方ではなしに、保利方式で解決するという点について確言をいただきたいのです。
  348. 保利茂

    保利国務大臣 私は、建設省のスタッフに信頼を払っておりまして、またこの間万博関係で、大阪で大阪府、市、兵庫県、神戸市の首脳者とお会いしまして、とにかく万博の開催はもちろんのことであるけれども、万博の開催を機としてまさに大阪の都市改造を断行する絶好のチャンスであるから、ひとつそういう意気込みで、太閤さんの大阪城みたいなつもりでひとつ取りかかってみましょう。しかし、それにしてもとにかく何から何まで政府だけに期待をかけられても、これはできぬ。結局土地問題がすべて——ほとんど大部分が民有地に属することでございますし、それに用地がどうしても必要になってまいります。そういう上から知事さんや市長さん方にも特段に、とにかく四十五年の万博を盛大に、つつがなく行なうということのためにも、これらの諸計画というものはどうしてもやってもらわなければならぬ、やり上げたいということで、地元のほうは私よりもまたさらに一段の熱意を持っていらっしゃるから、ただいま道路局長が申しますように、一まつの不安等もちろんありますけれども、その不安を乗り越えて達成をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  349. 西風勲

    西風分科員 それでは道路局長にお伺いいたしますけれども、第二阪神国道の問題と関連して、千本架橋という計画があるでしょう。大阪の区で言えば、大正区と西成区という重工業地帯を結ぶという計画予算もついているはずですよ、調査費かどうか知りませんが。その点、どうですか。
  350. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 千本架橋ということばはちょっと私聞いておりませんが……。
  351. 西風勲

    西風分科員 名前はまだ正式にきまっていないかもしれませんが、木津川に堺へ通ずる大きな橋をかけるわけです。千本渡しという渡しがありましたから、したがって千本架橋と住民は呼んでおるのであって、名称はきまっていないでしょうけれども、かなり大規模な橋なんです。大阪にいままであります橋の中で、この橋ができれば一番大きいといわれるような、その架橋の計画があるはずですよ。これは大阪府、大阪市が中心になってやっておりますし、建設省でも若干の調査費というのですか、そういうものがついて、すでに地元で買収その他やっておりますから、これは相当大きな計画ですよ。まさか知らぬということはないでしょう。知らぬとしたら、建設省、何をやっているのか……。
  352. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ちょっと私千本架橋ということばを聞いたことはないのでございますけれども、できれば街路の名前とか道路の名前があればわかると思います。
  353. 西風勲

    西風分科員 どういう番号かおかりませんが、さっき私が言った……。
  354. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 ちょっと私もいま千本架橋というのはわかりません。どの川にかかって……。
  355. 西風勲

    西風分科員 木津川です。
  356. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 木津川でございましたら、第二阪神にいま阪神道路公団が架橋の計画を持って工事に着手いたしましたが、その橋でございますか。
  357. 西風勲

    西風分科員 それは阪神の公団でしょうね。これは道路公団だけがやっているのであって、建設省は全然関係ないのですか。
  358. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 これは阪神公団でございますので、建設省が監督しておるわけであります。木津川の橋でございますれば、私どものほうで公団にやらしている事業でございます。
  359. 西風勲

    西風分科員 その橋はどこからどこまでかかるかということはわかりませんか。いま言われている木津川にかかる橋です。
  360. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 ただいま手元に資料がございませんので、後ほど調べましてお伝えいたしたいと思います。
  361. 西風勲

    西風分科員 その橋の問題についてきょうは少し聞きたいと思ったのですけれども、それがなければ結局何にもないのと同じですが、なかったらしかたがないですけれども、私のほうもちょっと番号がわからないのですが……。
  362. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 資料はあとで提出いたします。
  363. 西風勲

    西風分科員 それではひとつそれを説明してもらってからやりたいと思っておりましたが、できないわけです。  実はこの木津川架橋の問題については、これは単に地域の一般的利益というようなこまかい問題ではなくて、四国の架橋ほど大きな橋じゃありませんけれども、この橋によって大阪の中心的な工業地帯と他の地域が結ばれて、大阪全体の都市再開発ですか、その他をやっていく上でこの橋が非常に大きな内容を持っているわけです。したがってこの橋について、できるだけすみやかに計画を全体にわかるようにしてもらうと同時に、この橋ができる意義を住民に徹底させることによって、そういう公共的な問題をもっと大衆的に宣伝することによって、立ちのき問題その他について——それだけでなかなか納得しない部分もありますけれども、しかしそういうことをやることによって、若干の不十分な点を改革していくことができるわけですから、そういう点で積極的な努力を払ってもらいたいということを言いたかったわけです。だからいずれ機会をあらためて、別な機会に、資料を出してもらった上で質問することにします。
  364. 森本靖

    森本主査代理 次に北側義一君。
  365. 北側義一

    北側分科員 さきに総理府から総理府長官通達で、綱紀粛正通達が出されたわけでございますが、その後におきましても、防衛庁の犠牲者一人まで出した機密漏洩事件、また高級公務員のウィークデーゴルフ問題、このようにまことに悲しむべき公務員のモラルが日々の新聞に載っておるわけであります。さらに今日建設省その他職員が地方に出張した際に、接待行政でずいぶんいろいろな問題起こしております。今後の政治姿勢を正すためにもこれを明らかにしていきたい、私はこのように思うわけであります。  まず最初に広島県議会でも大きく取り上げられた問題でありますが、これは広島県民の注目を集めました。昨年の七月豪雨で多数の死者を出しましたが、建設省査定官に対する慰労会事件、このような事件が大きくこのように新聞に報道されたわけであります。この事件は、昨年の七月七日からたぶん十五日までと思いますが、広島県三原市、呉市、竹原市等の、三十九年、四十年の災害の再査定のために出張している期間中に、たまたまあのいまわしい昨年の七月豪雨があったわけですが、その最中のできごとです。  御存じのように、七月豪雨で多数の死者を出した三原市で、建設省の災害査定官と、広島県職員が、三原市の一流料亭の喜楽園で、七月十日、七月十一日、十二日の連続三日間の査定官の飲酒による慰労会事件であります。災害の最中に、災害査定官一行が飲酒をするというまことに常識では判断できないようなことが大きく新聞に取り上げられたわけです。当時建設大臣は西村さんで、保利さんは御存じないと思いますが、志村官房長はこの件につきまして御存じだと思うのです。それで志村さんのほうから、この件についての見解を簡単に承りたいと思います。
  366. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま御質問のございました、昨年七月の災害査定に関連する問題につきましては、建設委員会におきましてもいろいろお話がございましたが、現に広島県におきましても調査団を派遣いたしまして、いろいろお調べになったようでございます。   〔森本主査代理退席、湊主査代理着席〕 経緯は先生御承知のとおり、災害の再査定に参りましたところに災害が起きましたので、災害査定に切りかえて、七月十日から十三日まで三原に泊ったわけでございますが、私ども承知しておりますところでは、災害査定という仕事はたいへん忙しい仕事でございまして、朝から晩までいろいろ仕事をやりまして、夜分仕事が終わりましてから会食をした事実はございますが、新聞に出ておりますように、どんちゃん騒ぎをするとかいうふうな事実はなかったように承知いたしております。
  367. 北側義一

    北側分科員 いまあなたの言われたことは、ある一面では真実が言われておるように私も思うのでありますが、たとえば十月の三日ですね。広島の県知事である永野さんがお見えになったときのことがやはり新聞に載っておりますが、そのときはそのようなことが言われておるわけです。ところが、実質この三日間で、では一体幾らの金額をこの旅館に対し支払ったか、これを御存じでしょうか。
  368. 志村清一

    ○志村政府委員 新聞の報道その他によりますと、二十万円近いお金が支払われたやに承知いたしております。二十万円というお金はたいへん多いお金でございますが、災害査定官三名のほかに、県の職員等もこの災害査定に一緒に行動したわけでございます。具体の人数は明確にございませんが、七、八人程度がおった。災害でございますからあちこちに出回らなければならぬ。そういう意味で自動車の運転手等も、二、三人泊まり込んでやっております。いわばその旅館が災害対策本部的な場所になりまして、部屋とかあるいは電話とか食事、茶菓といったようなものがいろいろ使われたようでございます。さような意味におきまして、この二十万円という金が単に旅館に泊まりまして接待を受けた費用であるとしますと相当大きな金でございますが、ただいま申し上げたような事情であるように承知いたしておる次第でございます。
  369. 北側義一

    北側分科員 県のほうで日にち別に支出科目が記載されております。ですからこれは調べたわけです。いま言われたとおり、なるほど災害の本部になったかもわかりません。ところが、災害の本部になって使われた金と食糧費で、いわゆる会食費に使われた金、それから総務費から本部になった会場費として使われた金、明快に出ているわけです。それをいま読み上げますから……。七月十日の食糧費四万二千九百七十三円、会食費は八ないし九名、総務費三千六百十七円、これは会場使用料、使用料八百円、これは電話等です。宿泊費一万五千百四十円、六名分、計六万二千五百三十円、こうなっております。以下十一日が合計六万一千四百一円、このうち食糧費が四万三百七十一円、総務費、会場費ですが、四千九百九十円、電話料等使用料九百円、宿泊費六名分一万五千百四十円、こうなっております。七月十二日分の食糧費四万一千百一円、総務費四千五百八十三円、使用料七百円、宿泊料七名分一万六千四百六十円、こうなっておるわけです。去年の十一月の二日に臨時監査を受けて非常に厳重に注意をされたと聞いておりますが、これからいきますと、いまあなたの答弁なさったようにならないわけなんです。その点が私は問題じゃないかと思うのです。ただ問題は、こういう事件にありがちな、建設省側から非常にきらわれては後々のためにならない、そういう気分が新聞には非常に報道されておるわけです。あなたも御存じのとおりだと思うのです。たとえば九月二十七日の広島県議会本会議での某議員の事件に関する発言直後、県会議長は、広島県はまだよいほうで、他県はもっとはでにやっておる、こういうような発言をしておる。また同じ地元紙では、地元の各委員の中には、「査定に来てもらった建設省の査定官をもてなすのは常識だ。不利な査定があったり、これを機会に査定官がやってこないようになれば県民のためにもならない」このようなことを書かれておるわけです。  私が一番心配することは、こういう問題は県民なり国民に対して政治不信をもたらしていく非常に大きな問題だと思うのです。これだけではない。このほかに、いまから質問しますが、あるわけです。このようなことは、いまあなたの言われた点と相違があるわけです。というのは、知事が陳謝に来られても、実際の問題としては事実を明らかにしておらない。調査班は、この十二日の件だけは明らかにしたようになっております。しかし事実は、十日、十一日、十二日、この三日間を見ると、はっきりとこのように出てくるわけです。  また知事が陳謝されて、あなたが言われたことばというのが新聞には載っておるわけです。それは名前は伏せておきますが、報道された某議員の発言は「常識では考えられないことであり、一応潔白が証明されてよかった。地元として誤解を招かないように配慮してほしい」あなたはこう言われたことになっておる。本来ならば、これはあべこべだと思うのです。あべこべに、こちらが迷惑をかけて申しわけなかった——逆じゃないかと思うのです。官房長がほんとうの姿を御存じになったら。その点、私のいままでずっと質問したことについて、どうでしょうか。
  370. 志村清一

    ○志村政府委員 私、その当時知事とお会いしまして、こういう事件が起きたことは遺憾ではございますが、いろいろお話を伺うと、新聞で報道されたことはなかったように承知する、きわめてよろしかったというようなことは申し上げた覚えはございません。それがどのように地元の新聞に発表されたか存じませんが、きょう初めてお聞かせいただいたわけでございます。  知事さんからいろいろお伺いしましたところ、先ほどの食糧費等の経費の支弁の方法の問題につきましても、実はああいう急場のことでございまして災害等がございましたので、本来は会議費あるいは庁費等で支払うべきものを食糧費等でまかなった事実はあったというようなお話もございました。それらを勘案いたしまして、知事さん自身から、査定官が豪遊をした、どんちゃん騒ぎをしたというようなことではなくて、朝早くから夜おそくまで作業をして、そしてみんなで会食をした程度であるというふうなお話を承ったものでございますから、先ほど来申し上げておるようなことで了解をいたしたような次第でございます。
  371. 北側義一

    北側分科員 あの七月豪雨で、御存じのとおり呉市では相当死んでおります。ましてや、その三日間のうち、査定官の人も、疲れたというような点もあるでしょう、見てみましたら八時ごろ帰っておられます。しかしそのあとは、私らの常識としてはちょっと判断できないわけです。それだけの金額が使われておる。しかも食糧費で、はっきり何名と、そこまで出ております。そういう点で非常に遺憾だと思うのです。特に十二日の夜は、豪雨注意報が発令されておったというのです。死者もそのように出ておる。これは問題にするなといっても、問題になるのは当然だと思うのです。しかもその支払いの金額は個人負担分は一人千円になっているのです。三日間で三千円、こうなっております。一万八千円だけは個人負担になっている。その個人負担の金はいつ払われたのですか。一応、三原土木事務所が立てかえて払っておるわけです。御存じですか、いつ払われたか。
  372. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま、こまかい金額の計算については私も詳細に承知いたしておりませんが、夕飯を一緒に食べようじゃないかということで、私の聞いておりますところでは、地元の県の出張所長と、八時半ごろ帰ってきてそれから会食をした。そして、疲れたから一ぱい飲もうと、酒も若干出た。それもよけいなものではなかった。一緒に食事をしようというようなことであったように承知しております。向こうから宿泊料は千円だということで、千円ばかりお支払いしたというふうに承知しておる次第でございます。
  373. 北側義一

    北側分科員 では、あまり志村さんも御存じないようですから、新聞にあることを読んでみましょう。調査班が編成されて三原市へ調査に行って、その後においてその調査報告がなされたわけです。その調査報告がなされた内容をここに書いてあるわけです。読んでみます。「調査班の調べでは七月十日から十二日までの三日間、乱行は毎晩続けられ、その間の飲食費、宿泊費は、十日が六万七千五百五十円、十一日が六万六千四百一円、十二日が六万七千八百四十四円、計二十万一千七百九十五円。飲食は査定官、査定立ち会い官三人、」この査定立ち会い官というのは中国の財務局です。それからこれが三名ですね。査定官二名と立ち会い官一名、「県土木建築部職員二人と三原土木事務所一−二人で、宿泊は地元職員を除く五人と運転手一人の六人。宿泊した六人は、宿泊代として一人が三千円、計一万八千円を個人負担し、県が一括して支払っている。個人負担分がいつ県へ納められ、県が飲食、宿泊費をいつ一括支払いしたかは、調査班もつかんでいない。」こうなっております。志村さんのお考えの様子と内容はだいぶ相違があるわけです。
  374. 志村清一

    ○志村政府委員 私の考えておりました金額と違った点につきましては、調べまして、適当に善処させていただきたいと存じます。
  375. 北側義一

    北側分科員 私は何もやかましく言いたくないのですが、これ一件だったら、私実はきょうやっておりません。ところが、今度は大阪でまた同じことが起こっておるのです。新聞見てごらんなさい、志村さん。大阪で起こっている。大阪府議会で取り上げておる。「接待行政 許さぬ 大阪府会鋭く追及」こういうあれで載っているわけです。これは何も建設省関係だけじゃないですが、やはり建設省がこれにも関連しておるのです。  このように、大阪でも同様な事件が起こっておるわけです。これは大阪府の府議会の決算委員会で、二月十六日に決算委員会がありました、そこで取り上げられております。この手元にある新聞報道、これを読みますと、要点はこのようになっております。「昨年の七月豪雨の災害復旧費や補助金ほしさにもてなしたフシのある接待もみられる」、四十二年十一月十五日、高槻市内のかまぶろで、建設省都市局員二人と、府土木部都市整備課員二人とを高槻市職員が接待し、六万九千九百円を支払ったと報じており、そのほか「市が府を接待するのと同様、府も国の役人をもてなしている疑いもあり、府のある幹部は「私らの身体を守るためにも接待費を減額してもらわんことには……」とこぼしているほど。」このようにこの新聞には報じておるのです。これは要点ですがね。  これを見て私思うのですが、これから先こういうことがことしもずっと続くようではいけないわけです。やはりあくまでもこれは公務員の——公務員法九十六条の一項には「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」このようにあるわけです。そういう点、この公務員法の精神にも私は反するのじゃないかと思うのです。特にこれは、ともに七月の豪雨に関係あるようなそのような見方をされて、そうして国民に報道されることは、まことに遺憾なことであると思うのです。その点、大臣どうですか。
  376. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘のようなことは、一々取り上げれば、これははなはだ遺憾なことだと思います。ただ、実際問題として非常な災害を受けられて、一日も早くその救助の手を待つというところへ査定官が行って、朝早くから夜おそくまでほんとうに精励して、救助の手を伸ばすべく査定を急いで、そうして、夜おそく帰ってきて、関係の町村長さん方や何かとまた一ぱい飲みながら、あそこはどうだ、こうだというようなことは、私は望ましいことじゃないかと思う。それが乱に流れてはあなたが心配されるようなことになるから、そこは節度は非常に大事だと思いますけれども、そうかといって、ほんとうに災害を受けた方々が、わらをもつかむような気持ちのところに査定官が来られて、そうしてほんとうによく実情を把握して、その実情に合うた査定を願うというのが民衆の声だと思うのです。それをもしあなたの言うようにきちんと——これは公務員法はそう期待をいたしておるところだと思う。おれの仕事だが、あとはもう時間がきたからやめた、こういうことでやられたら、私は実際のなめらかな国政運営はできないと思う。それはお互いに節度のところであろうと思うのです。それは幾ら払って幾ら飲んだと、目に余るようなことであれば、これは大いに指摘をしていかなければなりませんけれども、要は、その災害被災地の方々の要請に十分誠実に公務員がこたえ得るような任務を果たしてくれるということが望ましい。  そこで、行動は公務員としての節度を失ってもらっては困る。私は幸いに建設省に参りまして様子を見ますと、意外に建設省の規律というものは守られているのじゃないかということで、非常な愉快を感じておるようなことでございますけれども、たまたまそういう御指摘の点があったということは非常に残念だと思って、以後十分気をつけてまいります。
  377. 北側義一

    北側分科員 私は小さいことについてとやかく言うのじゃないのです。私の思うのは、そういう七月豪雨で死者まで出した中で、これだけの新聞にたくさん取り上げられて、そういうことから国民が政治に対してどのような心情を持つかということです。一ぺん見てください。ずっと連日載っているんですよ。まだこういうことが次に載ってきておる。これでは国民に対して政治不信というものがますます大きくなる一方です。ましてや、二月の六日には綱紀粛正の通達も出されておる。この事件はこの通達の出される前ですが、しかし、綱紀粛正の通達の中にも、もうはっきりとそういうことが載っております。たとえばこう載っておりますよ。本省庁等監督の立場にある機関の職員が出先機関や地方公共団体の職員と接触する場合についても、上記の趣旨にのっとり厳に自粛する、このようにあるのです。何を自粛するかというと、こういうことです。常に公私の別を明らかにし、職務上利害関係のある業者や関係人との接触にあたっては会食、贈答、遊技等、その他国民の疑惑を招くような行為は厳重に慎むことと書いてあるのです。このようにやっていただきたいわけです。でなければ、せっかく大臣が幾らごりっぱな施政をやられても、施策を施されても、全部死んじゃいます。こんなに新聞に書かれたら。それを私は心配するわけです。それでなくても、政治に対しては非常に疑惑が満ちておるわけです。そういう政治ではいけない。政治姿勢をこのように私は思うわけです。その点できょうこのような質問をさせていただいたわけです。これから先も、建設省関係は特に補助金、こういう問題がつきまとっておるわけですから、それだけに厳重に身を戒め、慎まなければいけない、このように私は思うわけです。これに対して人事院の職員局長がお見えですが、どうでしょうか。
  378. 島四男雄

    ○島政府委員 官庁綱紀の粛正について、ほとんど毎年のように閣議決定あるいは総理府総務長官通達等をもって注意が喚起されているところでございます。先ほど来御指摘のございましたいわゆる接待行政につきましても、たとえば、そういった閣議決定の中で、職務上利害関係のある者との会食等で疑惑を招くような行為は厳に慎むことということがうたってございます。確かにその節度の問題かと思いますが、私どもとしてもそういう点については十分注意を払っているところでございまして、人事管理官会議等におきまして、そのつどいろいろ御注意申し上げておるところでございます。
  379. 北側義一

    北側分科員 どうでしょう。通達も出されたあとですから、これをひとつ人事院のほうで、これに対する罰則規定とかそういうものはないのですか。これから先つくるような御意思はないのですか。
  380. 島四男雄

    ○島政府委員 これは罰則というものはございません。そういった服務違反の行為については、各任命権者におかれましてしかるべき懲戒処分をされることになっておりますが、どのような処分をされるかは、まさに各任命権者の裁量いかんによるものと存じます。
  381. 北側義一

    北側分科員 私の質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。
  382. 湊徹郎

    ○湊主査代理 それでは、次に堀昌雄君の発言を許します。
  383. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は、大臣にまず最初に、日本の行政というものが、とかくどうも各省庁に分かれておるために、いろいろな点で総合性といいますか、統一性といいますか、これに欠ける点が非常にしばしば起きておると思います。特に私は、国土を利用するという場合には、日本の土地というものは全体から見ると有効利用できる土地が非常に少ないわけでありますから、現在は、御承知のように土地の価格も異常に上がってくるということの背景の中には、絶対量に制限があるということがやはり一つの要素になっておると思うのであります。  そこで、まずきょう取り上げる問題にもそれは関連をするわけでありますが、単にそれだけでなく、いろいろな道路計画等が設けられるときに、あわせて、たとえば鉄道だとかいろいろなものとの関連で、もう少し長期的なマスタープランのようなものを政府考えて、そのマスタープランをもとに、たとえば新しい道路をつけるなり、新しく国鉄が路線を引くなり、そういうことがもう少し有機的に、統一をされた形でできないものだろうかということをかねがね考えておるのですが、大臣はいまの土地利用の有効化というもの、それと行政の総合性といいますか、そういう問題についてはどんなふうにお考えになっておるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  384. 保利茂

    保利国務大臣 堀委員指摘のように、各省庁がそれぞれの立場に立って、といいますのは、戦後おびただしく立法されているそれぞれの法律権限、それに予算というものが各セクション、セクションにあるのでありまして、それが総合的に運営をされていくということに非常に欠けているところがあるのじゃないかということを、おりにつけ痛感をいたしております。ただいま直接のお話の、たとえば土地利用にいたしましても、交通の整備にしましても、鉄道道路との関係というもの、これはほんとうは日本の狭い国土でございますから、総合的な交通政策が樹立されることが、広いような狭いものでございますから、最も望ましいわけでございます。  したがいまして、前からの前任者もとっておられたようでございますし、私も運輸省首脳者とも連絡をとりまして、何とか、たとえば郊外に住宅街を開発するという場合に、一体そこまでの将来の輸送計画というものはどうなっているかというようなことは食い違いを起こさないようにやっていかなければならぬ点が非常に多いんじゃないか、そういう点では十分気をつけてまいりますけれども、何さまそれぞれの省庁、それぞれのがっちりした法律、それに基づく権限、それをまた裏打ちする予算、そういうものがあるものでございますから、なかなかむずかしいところがあるように思います。
  385. 堀昌雄

    ○堀分科員 お考えは私の申し上げたことと大臣とほとんど変わりないと思いますが、ただ、いまおっしゃったように、確かに法律がおのおのの省に関係のあるものがありますし、予算もそういうことで個々につきますけれども、私は、やはり今後の日本のそういう発展を考える場合には、これは経済の問題を通じて見ましても、いかに有効に資源を利用するかということが非常に緊要な課題になってきていると思うわけです。私は、これまではなるほど多少ばらばらでもまあ何とかいけたんだと思うのですが、これからはいまの形のままのばらばらではたいへんなロスになってくるというふうに思いますので、ここらは、建設大臣は与党としては非常に重要な立場にもおいでになりますから、一体どこから解きほぐしすればそういうものがもっと一元的になるのか、特にきょう一番触れるところの交通政策といいますか、要するに、世界各国の中で、道路建設省で、国鉄その他のようなものが運輸省と、そういうものが分かれていないところがかなりあるようですね。一元的にそういうものが処理されておるところもあるように私聞いておるわけです。ですから、今後一番関係のあるのは、運輸省建設省のそういう道路関係が特にそういう問題があると思いますので、現実の法律なり予算関係というもの、及び省庁が分かれておることは分かれておるとして、何とかひとつ具体的にそれを統括できるような方向に具体的な検討をまず進めていただきたいし、同時に、すでにいろいろな計画があった場合に、計画が同時にみな出てくれば非常に問題がないのですけれども、たいてい計画というのは各省でやっていますから、先行して積み上がってきますから、そこで、新しい計画ができたときには、そこに関連のある部分は多少洗い直すような、見直してみるような処置をやれるような、何か幅を多少考えていく必要があるんじゃないだろうか、こう思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  386. 保利茂

    保利国務大臣 やはりただいま建設省のいろいろな主要な公共事業を営むにいたしましても、できるだけ経済社会発展計画と見合って、それに適合するように持っていかなければならぬ。いま堀さんお話しのように、ここまでは何とかやってきた、また三十七年の全国総合開発計画もだいぶちぐはぐして、いまもう一ぺん見直して、立て直さなければいかぬということで作業を進められております。それは私どもとしては上位計画として一つの標準になっている。考えますことは、たとえば国土総合開発計画が打ち立てられる、首都圏、中部圏、近畿圏ないしは四国開発、中国開発というようなことで中位計画が立ちます。それと末端の都市計画であるとか、あるいは農業振興計画であるとかというようなものが打ち立てられて、ちょうどいま御指摘のところでほんとうに角度なりを一新して出直していくところへ際会してきていると思います。  そこで、いま御審議を願っております都市計画法でありますとか、都市再開発法とかいうものが実施せられる段階にいきますれば、農政のほうでは農業振興計画地域というものを、あるいは工業については工場立地計画地域、そういうものと交通とがまたちぐはぐにならないように持っていかなければならない、そのちょうどいい時期に際会してきておると思いますから、非常にいい御注意でございますし、さらに十分の検討を進めていきたいと思います。
  387. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、少し具体的な問題に入るわけでありますが、実はいま国鉄が新大阪から岡山まで新幹線を延長しようとしております。これはやがて岡山から福岡まで行くことになるんだろうと思います。そのあとのほうはもちろん、岡山−新大阪間もまだ土地の買収も済んでいないようでありますが、もうすでに岡山−新大阪というのは路線がきまったようですが、こういう路線をこれからきめるときに、やはり建設省とも十分協議をして、その地方における都市計画道路なりそういうものがもしそれと並行に使われるならば——いま新幹線問題というのは、非常に新しい公害として、特に都市では非常に重要な問題にもなっておるわけですが、そういうときに、有効な土地利用という意味では、その新幹線の横を都市計画道路が走ることになれば、当然その外側に幾らかの土地が必要な部分を道路をもって代替できる、土地有効利用ということでは非常に効果がある、私はこう思うわけですが、そういう点については、やはりいま具体的に前段で申し上げたように、今後幹線をつけるほうもやはり幅を持って考えるべきだし、また同時に、道路のほうも、幹線のいろいろな都合から見てそこを通るのがやはり適当だという場合には、多少道路のほうで幅を持って考えてやる、そこらを総合的に考えてやっていただくような今後の交通網をお考えいただくことが、私前段で申し上げたことの一つの具体的な例として当てはまってくるのではないかと思いますが、これはまだ抽象論でありますけれども、考え方としてはいかがでございましょうか。
  388. 保利茂

    保利国務大臣 話は違いますけれども、いま各都市の所在の駅、そこへ軌道、鉄道が走っている、そのために、都市交通といいますか、これは非常に何しているのを、立体化であるとか、高架であるとか、連続高架であるとかいうことでもって交通の隘路の打開をはかっていこうということ、これも御案内のように長い懸案でございましたけれども、これらは建設省運輸省協調いたしまして、どっちが主であるとか従であるとかいうことでなしに、とにかく時代に即応した都市改良を行なっていくということから、建設省も積極的に協力していこうというふうに来年度からやろうとしておる。お話しのように、これは一つの幹線ができる、鉄道ができるというときに、多少幅をとっていただいて、それはもちろん運輸省だけ、ないしは国鉄だけの資金でなしに、建設省もそれに相応するところの予算を出してやっていけるような仕組みが最も望ましいのではないか。そうでないと、おっしゃるように、鉄道と結びつけて、すぐ両側を利用していくということであるならば、そこに非常なむだがあって、新たにまたこれだけの道路を別につくるということから考えますと、だれが考えても、それは国費の経済という点からいってもたいへんなものではないか。また、公害防止等からいっても非常に益するところ大きいのではないか。それが実際問題としてどこまでやり得ますか、ひとつ道路局にも奮発するところは奮発をし、勉強するところは勉強してやらしていきたいと思います。
  389. 堀昌雄

    ○堀分科員 国鉄に伺いますけれども、いま岡山−新大阪間はもう路線が決定していますから、いま私の言っている幅の問題はないわけですが、国鉄としても、いま大臣もああいうふうにお答えになっているわけですが、今度新幹線を岡山から福岡につける間には、やはり事前に大体こういうラインにしたいということで建設省と十分話し合いをして、ある程度の幅を持ちながら、双方歩み寄ってそういう国土の有効利用ということを考えるべきだと思いますが、国鉄側としてはその点どうですか。
  390. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 お説ごもっともでございますが、実は東海道新幹線をやりましたときにもその問題が非常に出たのであります。   〔湊主査代理退席、主査着席〕  先ほど堀先生からお話がございましたように、当時はまだ多少余裕があったというか、運輸、建設の連絡が悪かったと申しますか、比較的その間の相互の意思疎通というものがなしに強行されたというのが実情であります。その経験に基づきまして、実は山陽新幹線をやりますときにはいろいろ考えようとしたのでございますが、ルートの設定あるいは駅の設置というものが政治的に扱われるということを非常におそれまして、いままで国鉄のルートの発表のしかたは、突然神がかり的な発表のしかたをするというようなことでございました。ところが、最近になりまして、山陽新幹線の実施をいたしております段階でいろいろ建設省にもお願いをいたしておりますが、なかなか思うようにまかせません。  これは決して建設省がどうのというのでなしに、建設省にも前々からの計画があり、これに伴ういろいろないきさつもございまして、簡単に直すというわけにはまいらないということのようでございますが、今後西に延ばすということは、大体国鉄も所定のとおり公表しているわけでございます。その途中の沿線におきます各都市におきましては、現在いろいろな都市計画道路計画等が行なわれておりまして、これにつきまして、国鉄の新幹線計画、あるいはそれに伴う各種の設備の改良計画がどうなるかということにつきまして私どもの手元に非常に強い御連絡がございます。  しかし、先ほど申しましたように、まだ国鉄といたしましても、いろいろ駅の問題、ルートの問題等につきましていろいろな思惑が起こっては困るというので、いま慎重に取り扱っておりますが、しかし、先生御指摘のように、いまの段階では、昔のように神がかりのように発表をして、それで国鉄が推していくというのも非常にむずかしい面もございますし、国家的に見ましても非常にむだのある場合もございますので、今後のやり方につきましてはもう少し研究いたしまして、事前に建設省あるいは農林省等とも十分連絡をするほうがよいのではないかというので、その方向で前向きに検討している段階でございます。
  391. 堀昌雄

    ○堀分科員 国鉄もそういうことで、確かに利権とかいろいろな問題がありますから簡単だとは私も思いませんが、しかし考え方によって、利権の問題は防ぎようはまた別途あろうかと私は思うのです。ですから、やはりいま私が申し上げたように、土地の有効利用ということを何とかもう少し真剣に考えてみて——早い話が、私、東海道新幹線にしょっちゅう乗っていて思うのですが、これの横にずっと、ともかく三十メートルなり五十メートル幅の道がついていたらこれはずいぶん便利なことだろうなあ、こういう気がするのですね。いま全然別途に東名道路というのをえっちらおっちらやっているのが新幹線から見えるわけですけれども、何か、東名道路もいいでしょうけれども、ああいうようにせっかくあそこをこうやって——工事をするためにはやはり道路がなければ工事ができないわけで、その道路をちょっと広げてそれが使えるものになっていれば、また今後の日本の輸送の問題としてはたいへん有効利用ができることで、おそらくあれをつくるために、道路なしに仕事ができるわけではありませんから、その道路をもう少し幅を広げてあとで有効に使うことになることが私が前段に申し上げたことだと思いますので、ぜひこれは政府においてもひとつ取り上げていただいて、現在行なっておる新大阪−岡山間についても、建設省側としてもそれを少し有効に使って道路考えようという点も再検討してみていただく余地もあるんじゃないか、私はこう思いますので、その点も含めて、ひとつ建設大臣に善処方をお願いをしたいと思うのです。これが第一点であります。  第二点に、実はこの新幹線が通るのは、さっき国鉄の理事からお話しのありましたように、神がかり的に実は路線がきまってくるものですから、そこで私どもの居住しております阪神間で、私どもはあの線が六甲山の北を通って行くほうが効率的だと考えていたのですが、どういう考えですか、六甲山の南側に駅をつくってもらいたいということを神戸市が強く主張したために、いま六甲山トンネルというものを縦にぶち抜きつつあるわけです。これはたいへんな工事でして、いまの現状ならば、六甲山の中にドライブウエーが幾らもあるのですから、横浜だって、横浜の駅にくっついているのではないし、かなり北のほうにあるのですから、将来はあれはちゃんとした横浜の駅になるようになると思うのですが、私はあんな六甲山をぶち抜かなくてもよかったんではないかと思うのですが、実は結果としてぶち抜きつつあるわけです。それがたいへんむずかしい工事で、水がふき出して非常に問題が起きて、いま国鉄工事は難航しておるようです。そういうコースをとるために、実は西宮市の非常に閑静な住宅地帯、静かな文教地帯といわれる住宅地帯のまん中を新幹線が通る、こういうことが起きてきたわけです。この地域の住民の皆さんはたいへん驚いて、いろいろな意味でいま反対が非常にやかましいのですが、いまこの問題については一番みな心配しておりますのはやはり公害なんですね。  この新幹線、現在のは大体二百キロですか、そのくらいで走っているわけですね。ところが、今度の山陽新幹線というのは二百五十キロで走るんだということになっているんですね、もっと早く走るんだということ、そうしてこれが延長されてくると、だんだん今度は夜も走る。いまは夜も走りますが、大体十二時には終わりになるようですね。だんだん延長されると、将来は夜中も走る、こういうことになるようであります。そうすると、夜中にあのすごいやつが通ったら近所はたいへんなことで、これはもう公害の新しい問題になると思うのです。  そこで、実は地元の諸君は地下鉄にしてくれ、こういう議論が出てきたのですが、全部地下鉄にするなどということはたいへんな費用で、これは私も政治家としてそういうことには賛成できません。路線も変更はとてもできないとなれば、最小限、要するにそういう公害を取り除くために、積極的な意味を含めて、ひとつその新幹線の通る道の両わきにグリーンベルトをつけたらどうだろうかということを実は提案をしてきておるわけです。  そこで、現在の都市公園法という法律があって、ここでは、要するに「地方公共団体が設置する公園若しくは緑地又は同法第三条の規定により決定された都市計画施設である公園若しくは緑地で地方公共団体が設置するものを」都市公園、こう言うんだ、こういうことになっているわけでありますが、私はいま国鉄に、どっちにしたって、工事をするためには道路が必要なんだから、両わきに、道路分はひとつ国鉄で考えなさい、その外側に地方自治体がひとつ都市計画法に基づいて都市公園を都市計画審議会にかけてそこにつくりなさい、そしてそれを緑地にする、そうすれば、それはただ単に公害に対する騒音防止とかその他だけではなくて、都市における緑地化という積極的な面も含めて、そうして災害なりいろいろな問題のときもそういう緑地地帯があることはたいへん有効でもありますから、そういう意味で都市公園を考えたらどうか、こういうことを提案をして、住民もそういう形で処置がされるんならば自分たちも納得いたしましょう、こういうところに実はきておるわけです。  そこで建設大臣にお伺いしたいのは、なるほど現在の都市公園の補助金というものは必ずしもそんなに十分なものがついておるわけではありませんから、これは新しい観点から考えていただかなければ、単にいまの都市公園についての補助金という形では問題は解決しないと思いますけれども、地方自治体がそういう意味で負担をして、また県もそれなりの負担をして都市公園をそういうことでつくっていこうという場合には、私は、この都市公園法に基づいて建設省もひとつ協力をしてもらいたい、こう考えるわけですが、その点についての建設大臣のお考えをひとつ承りたい。
  392. 保利茂

    保利国務大臣 法律的の関係は私もよくわかりませんけれども、来年度の予算にも緩衝緑地帯という予算措置をとって、公害防止、同時にそういう地帯の緑地化といいますか、それと同じことだと思うのです。したがいまして、これはなかなか御案内のような土地の問題がやかましゅうございますので、うまくできますればあなたの御提案のような方向が一番望ましいのではないか。建設省としてもそういうことで協力ができるような面については、今後も予算もひとつ奮発して出してもらって協力してまいるようにしたいと考えております。
  393. 堀昌雄

    ○堀分科員 いま私、まだことしそういう緩衝緑地というものの予算は、ちょっと去年のしか持っておりませんでしたから承知しておりませんけれども、確かにいまの問題は、公害対策というのと、もう一つ緑地としての都市再開発の積極面がありますので、その点は私は非常に有効な土地の利用だというふうに考えるわけであります。  そこで、いま大臣がそういうふうにお答えいただいたので私もたいへんうれしいのでありますが、ともかくそれは自治体の協力によりまして、なかなかそれだけの土地が自分で買えないというところもあるかもしれません。しかし、もし自治体がそれをひとつこれだけ負担をします。県もこれだけ負担をします。そういうことで国もひとつ三分の一くらい協力してもらいたいというような情勢に立ち至るならば、これはひとつ積極的に建設省としても御協力いただきたい、こう思いますので、その点をもう一回、いまの、もし下が準備を整えたならばそういう形で御協力をいただきたいと思いますので、その点について……。
  394. 保利茂

    保利国務大臣 なかなか用地の確保ということが困難である、しかし、それをも克服して地元でやられるという場合には、何とかしてひとつ御協力を申し上げるようにしたいと思います。
  395. 堀昌雄

    ○堀分科員 ありがとうございました。終わります。
  396. 松浦周太郎

    松浦主査 次は、田邊誠君。
  397. 田邊誠

    田邊分科員 先ほど沼田ダムに関しては何か若干質問があったようでありますけれども、さらにひとつ角度を変えましてお伺いをいたしたいと思います。  大臣の言われたことを私はつまびらかにいたしておりませんが、この問題は、御承知のとおり二十七年に当時の国会でもって問題になりまして、つくる意図のあることが表明をされてからいわば十五年にわたって問題になってきたことであります。その間には民間の産業計画会議昭和三十年八月にいわゆる百二十五メートルのダム構想を打ち出し、三十四年には再度具体的な考え方を明らかにいたしまして、さらに再三にわたって松永安左エ門さんを中心として積極的にダム建設をすべきであるということの態度を表明してまいったのであります。しかし、産業計画会議の中には自民党の有力者も含まれておりましたことから、当然政府もこれに相反するものではないという考え方を私どもは持ってきたのであります。むしろ政府の明らかにできない立場というものをこの産業計画会議が代弁をしているのじゃないか、こういうふうにも読み取れたのであります。その後、昭和四十年に佐藤総理が参議院選挙の際に群馬県に参りましたについては、沼田ダムは非常に重要だから、地元の人たちの納得がなければ建設はできないという御発言がありました。ところが、その直後、当時の建設大臣の瀬戸山さんが成田空港にからんでヘリコプターでダムサイトを視察をされた。続いて四十一年の国会で建設大臣は、佐藤総理と同意見であるという前提で、沼田ダムを設置したい、また設置すべきである、できることなら地元の皆さんの御理解を得て調査させていただきたい、こういう御発言がありました。これが地元にたいへんなショックを与えたのであります。その後、この地元の衝撃というものが広がりまして、賛否両論の意見が分かれて火花が散っている状態でございます。その後の橋本建設大臣は消極的な御発言をいたしましたが、私は、昨年本会議でもって代表質問をいたしました際に、この問題に触れて総理の所見を問いただしましたところが、先ほど申し述べたとおり、ダム建設については現地住民の納得のいく方法でなければならない、こういう、どちらともとれるような発言を総理はしたのであります。当時の西村建設大臣も、基本的に建設する計画はまだ持っていないけれども、調査を十分したいという御発言がございました。私は当委員会でも西村建設大臣に対して質問をいたしましたところが、沼田ダムのいわゆるダム地点といわれる岩本地点は、ダムとしては適地であると思う、ただ、この建設には資金や水没地域の犠牲等に対する対策があるから問題であろう、こういう発言をいたしておるわけであります。  いわばこの十五年の間、この沼田ダム問題は国会の場所でも取り上げられてまいりましたが、そのつど、実は責任者である建設大臣の御発言もまちまちでありましたし、いわば、とりようによっては、政府建設に踏み切っておるのではないか、その腹を固めたのではないか、こういうふうにもとれまするし、一面また、まだ慎重な態度をくずしてはおらないというふうにもとれるのでありまして、非常にその点が統一をされておらなかったと思うのであります。しかし、これらの発言がございましたがために、地元はいずれにいたしましてもたいへん動揺が実は続いてきておる、土地は非常に高騰をしておる、こういう状態であります。政府の積極的な御発言の際には、これを受けて地元の議会やあるいは民間の団体等が賛成、反対二つに分かれていろいろとこの問題に対処をしておる、こういう状態でございます。  私はあとで事務当局にお伺いをいたしまするけれども、長い間調査も進めてまいりました問題でありまするし、いつまでも地元に対して、いわば不安と動揺を与えていることは、政治的に判断をしてもこれは好ましいことではない、もうそろそろ政府としてはある程度の調査も行き届いたことであるから、つくるかつくらないかの政治的な決断を下すべき時期にきておるのではないか、こういうように実は私は考えるのであります。保利建設大臣は、就任の際に、この問題に触れての記者会見ではかなり積極的な御発言をしたというふうに聞いておるわけでございますけれども、あるいはけさの当委員会における御発言はそれとまたやや違った御発言があったやにも聞いておるわけですが、私は、いま申し上げたような観点で、この際やはり政府の意図を明らかにすべきじゃないか、こういうふうに考えておるわけですが、いかがでございましょうか。
  398. 保利茂

    保利国務大臣 非常に大事な問題を、まだ就任後よくいきさつも知らないうちに新聞記者の方に問い詰められて、どうするんだというような話で、どうなっているかもわからないところへどうするんだという話だったのですが、やれるものならやらにゃいかぬでしょう、こういうようにお答えしたように記憶するのですが、どっちかに決断を下すべきときにきておるのではないかというようにおとりになっていらっしゃるようでございますけれども、私自身のことを率直に申し上げますと、沼田ダムなるものの名前は聞いております。しかし、どうも不勉強で、先ほどおっしゃいました産業会議でございますか、そういうところなんていうものは、私は話も聞いたことはないのであります。ただしかし、利根川という、とにかくわれわれ民族の持っておる資源といえば、年々歳々台風がもたらすその水くらいのものだと思います。水は大事にしなければならぬ。その水に脅かされ、水の不足に悩むということは恥ずかしいことではないかということが私の感じでございます。利根川の事態は一体どうなっておるか、じゃ、現状において洪水等の不安は全然感じていないかというと、そうでもない。依然としてやはり洪水等による不安感もまだある。のみならず、利根川の水系の持っております水資源というものは、今後日本の繁栄をはかっていく上に非常に大事なものであると思います。したがって、この水はあらゆる利用をしなければならないという、そういう基本的な考えはありますけれども、しかし、何せたくさんな非常に大きなもののようでございますし、私は正直、知りませんが、大きいもののようであります。また、関係される民家もたくさんあるようでございますから、それらの方々がなるほどそれならというようなことで協力態勢にならないと、やってみようとしてもなかなかやれないのじゃないか。それで、やるぞやるぞというようなかまえだけときに見せるというようなことは、実は愚の骨頂だと私は思っておるわけであります。まだその辺のところを私は捕捉するに至っておりませんので、どちらかに決断を下すべきときであるかもしれませんけれども、どうもそこまでの準備が至っておりませんので、時間をかしていただきたい。しかし、いずれにいたしましても、地元の非常な不安、そして何かこうおっかぶせてやるというようなことは私は避けたいというようなことを基本的な姿勢として、研究してみたい。
  399. 田邊誠

    田邊分科員 いま大臣のおことばはもっともだろうと思うのであります。きょうは時間がありませんから、またあらためて掘り下げて御質問をいたしますけれども、若干の時間、実は事務当局にいままでの推移と今後の考え方についてお伺いをいたしますのをお聞きをいただきますと、実は大臣の言われただけでは済まぬ事態になってきておるのではないか、こう私は思うのであります。  もう一つお伺いいたしますけれども、いわば、いま申し上げたように十五年という長い間ですから、地元の沼田市、いま申し上げたように、大体当初二千五百戸といわれましたけれども、その後四千戸といわれるような水没家屋があるといわれております。国鉄の駅も三つ水没する、もちろん国道十七号線等もつけかえをしなければならぬ、こういうことであります。たいへんな実は問題をはらんでおるわけでありますが、十五年間、何しろこの問題がくすぶってきた。したがって、沼田市をはじめとするその周辺の地域はダムに水没するならば、当然積極的な事業もできない。たとえば工場誘致等をやっても、近い将来に水没するというようなことではこれも積極的にできない。こういう形で、これが一年、二年という話ではございませんから、実は非常に大きな悩みを持っておるわけであります。これが実は原因をしたことでございましょうか、沼田市は昨年赤字再建団体に指定をされた、こういう状態もございまして、いわば、たいへんなマイナスの状態が続いてきておるわけでございます。  ですから私は、いま大臣の地元の協力がなければできぬという基本的な考え方はそのとおりであろうと思うのでありますけれども、やはりこういう地元の状態であることをお考えいただきますならば、つくる方向で検討中であるということでもこれはよろしゅうございますし、あるいはまた、そういう前提がないにいたしましても、これは早急の機会に地元の県なり地元の市町村と国は、この問題に対して、つくるという前提でなくて、早急にこれは話し合いをされる配慮は当然必要ではないか、こういうふうに私は思うのでありますけれども、いま私が申し上げた点について大臣考え方はどうでありましょう。
  400. 保利茂

    保利国務大臣 お説のとおりだと思います。とにかく、沼田市の市長さんともまだお会いをしてないというようなことで、これをどうするとかああするとか私が言えることじゃございませんから……。しかし、もし利根川全体の利水、治水というものの上から考えなければならぬというようなことになりますれば、私がとにかくまず市長さんにお目にかかって、よく地元側のお話を伺わなければならぬと思っております。
  401. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、事務当局にお伺いいたしますが、利根川上流のいわば調査は、三十五年以来水文観測を主として進めてこられたのでございます。もちろんこれは沼田ダムという特定のものでない形でありましたけれども、その中にはもちろんこの問題も含まれておったわけであります。三十九年までいわばそういった形で一般的に調査が進められてきた。三十九年にその調査の中に、わずかであるけれども、沼田ダムを対象とした予算も組まれてきた。四十年においては、その千七百万円のうち五百万円が地元沼田ダム関係であった。四十一年は単独で二千万円の予備調査をされるという状態になった。四十二年は五千万円、こういう形でございました。したがって、いままでのこれらの調査を合わせますと、利根川上流の調査、沼田ダムの予備調査合わせまして約一億二千万円直接間接の調査費が組まれてきたという状態でございます。  そこで、四十三年度は、一体どのくらいの調査のための費用を建設当局は見込まれておりますか。
  402. 坂野重信

    ○坂野政府委員 まだ最終的にはきまっておりませんが、大体四十二年度と同額程度、あるいは若干上回る程度考えております。まだ本格的には決定いたしておりません。
  403. 田邊誠

    田邊分科員 大体五、六千万円の予算を予定をいたしておるということでございますが、これを合わせますと約二億近い予算がこの調査に直接、間接に使われている、こういう状態でございます。四十三年度に一応調査をされるとしますと、どのような調査をされる予定でございますか。
  404. 坂野重信

    ○坂野政府委員 大体四十二年度と同じような調査になるのじゃないかと考えております。水理、水文的な基礎的な調査が主体になるわけでございますが、それと並行いたしまして、周辺の沼田を中心とする地域開発に関する調査、その他周辺の経済、社会一般的な調査、そういうぐあいになると思います。
  405. 田邊誠

    田邊分科員 だんだん調査が進んでまいると思うのでありますが、その中で建設省が直接調査をされるのは、いろいろな面から実は都合が悪いと申しますか、避けなければならぬ、あるいはまた、いままでの通例の調査からいっても、直接調査ばかりではないわけでございますが、四十一年から四十二年にかけて、日本能率協会に関連地開発についての可能性と方向についてということで、約二百五十万円で委託をいたしまして調査をせしめたわけでございます。その結果はすでに出たはずでございますが、いかがでございますか。
  406. 坂野重信

    ○坂野政府委員 中間的な報告として調査が出ることは出ておりますが、その後最終的な結果がどうなったか、私も最近まだ調べておりません。一応中間的な調査の方向というものは出ております。
  407. 田邊誠

    田邊分科員 その中には現地において調査しなければならぬ部面が非常に多かろうと思うのでありますが、その調査も含まれて中間報告されている、こういう形でございますか。
  408. 坂野重信

    ○坂野政府委員 詳しく内容を覚えていませんが、現地の立ち入り等については非常に問題がございますので、主として地図によりまして、経済的な調査を主体としてやっているはずでございます。
  409. 田邊誠

    田邊分科員 四十三年度の調査もいまお話しのありましたような調査でございますけれども、私どもが他のダムのいろいろな調査の積み重ね等を勘案してみますと、そろそろ現地に対して調査をしなければならぬところまで実際にはきていると思うのです。すでに水文調査や流出解析や洪水解析、低水解析等を積み重ねてこられて、それに対する地域開発の問題も含めて調査されるということが昨年あたり考えられているわけでございますから、そういう点から言いますならば、四十三年あたりはそろそろ現地の問題、特に地質等も含めて調査をしなければならぬところまできたと思いますけれども、段階としてはいかがでございますか。
  410. 坂野重信

    ○坂野政府委員 まだそういった基礎的な経済調査あるいは統計的な人口調査、そういう関連の調査がずいぶん残っておると思いますので、四十三年度から直ちに現地に入っていろいろ実地に即した調査というところまではまだ段階は至らないのじゃないかと考えております。
  411. 田邊誠

    田邊分科員 実際には、地元に対して調査に協力してもらいたいということも前にあったわけですね。そういった事実に照らして見た場合には、実際には、いま私が申し上げたように現地調査もしなければならぬ段階であることは間違いない事実なんです。あなた、そこまで聞かれておらないとすれば、これはひとつお調べをいただきたいのでありますけれども、そういう過去の実績から見て、いわば図面上の調査や数字的な面におけるところの調査だけでは済まないという形ではないかと思うのです。あとでひとつお調べいただいて御報告いただきたいと思いますが、いかがですか。
  412. 坂野重信

    ○坂野政府委員 調査資料を提出いたします。
  413. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、私は昨年委員会で、利根川水系のいわば治山計画というか、治水計画は五カ年計画等があるわけでございますけれども、利水に対する総合計画がいままで立てられておらなかったうらみがあることを指摘した覚えがあるのです。その後建設省では国土建設の長期構想というものを発表され、それに基づいて二十年後の水需要にいかに対処するかというものをまとめられたのであります。この中身については、あとで私は建設委員会等でひとつ御質疑をいたしたいのでありますけれども、要するに、今後の人口増加、特に三大都市圏に対する人口集中がますます著しくなり、そのために水の需要はさらに拡大をする。数字はここであげませんけれども、三大都市圏に対して四千八百二十万トン一日に必要になってくる、こういうことでございます。特に東京圏に対しては、三十九年に六百九十万トン一日に必要だったのが、四十年から六十年にかけては二千百三十七万トン、約四倍の水が必要になってくる。しかも、この調査によれば、水需要のバランスは関東についてはたいへんくずれておる。新規需要が毎秒六百三十トンあるにもかかわらず供給は三百三トン、約半分にも満たない、こういうアンバランスの状態を来たすということを指摘をされて、したがって、六十年までには、ダムやその他のものを含めて約四兆三千五百億円の公共投資をすべきである、その中の中心は、たとえば今年度の渇水に大きな効用を果たした利根川の八木沢ダムのような多目的ダムである、こういうふうに指摘をされておるわけであります。  そういった点から見まして、いわばこの中に多目的ダムを新規に二百四十つくるという、こういう構想があるわけであります。もちろんこの中には沼田ダムの建設の問題が含まれておる、こういうことになっておると思うのでありますけれども、この点はいかがでございますか。
  414. 坂野重信

    ○坂野政府委員 二百四十のダムということでございますが、沼田につきましては、これはまだ着工ということまでは考えておりませんので、まあ当分調査を続けていきまして、地元の了解が得られるような段階になってきて、いよいよ政府の方針がきまりますれば、その段階においてやる、一応現在のところは調査を続けていくということであります。沼田は二百四十の中には見ておりません。
  415. 田邊誠

    田邊分科員 二十年後の水需要にいかに対処するかというあなた方の構想、いま私が申し上げたような水の需要のために必要なダム群、この中には当然沼田ダムが構想としては含まれておる、それはそのとおりですね。
  416. 坂野重信

    ○坂野政府委員 構想としては入っております。
  417. 田邊誠

    田邊分科員 大臣、大体事務当局からいま御説明がありましたとおり、やはり建設当局の長期の水需要にこたえるための公共投資の中には、当然この柱として、何といっても八億トンの水をためるのですから、やはり沼田ダム構想というものもその中に含まれておることはお聞きのとおりであります。そういった点から言いますならば、私は、長期展望に立った計画を立てる際にもこのものが含まれておるという、このような状態の中で、もちろん調査はしなくちゃなりませんけれども、ある時期には政府としての態度をきめなければならぬときがくるのではないか、この時期は早くなるのではないか、こういうように私は思っておるわけですけれども、いまの質疑応答を通じてどうお感じでございますか。
  418. 保利茂

    保利国務大臣 具体的な長期構想の中に入っているようでございますけれども、御案内のように、当節の科学技術の進歩というものがどうなってくるか。第一番は、やはり水から沿線の住民が保護されるという、治水ということが第一だと思っております。治水の果たす役割りというものはどうである。利水というほうから考えますと、何しろ太平洋という大きな水が一ぱいあるわけですから、これの冗談ごとじゃなしに淡水化というものがどの程度経済的に利用できるようになるか。と申しますのは、私の地方のほうには、地上に水源を発見することができないものですから、海岸をなにして、そこを淡水化してというようなことを計画しておるところもあるようでございます。のみならず、この塩水を淡水化するということは、今日はまだちょっと採算的に考えられないですけれども、それが一体どのくらいその方向に進歩を見ますか、それとこっちのほうの要請がどういうふうになってまいりますか等、まだ不確定な要素が多過ぎるんじゃないか。それは先々考えてみますと、利根川水系の水は一滴も余さぬように利用することを考えていかなければならぬというようなことは、ずっと先にはあると思いますけれども、そこまでは今日まだ考えられないのじゃないか。  どちらにしても、治水当局としては、可能な限り、また財政の許す限りにおいては、調査は全国的に私はそういう意味においては整えておらなければならないじゃないかという程度に実は問題を把握しております。
  419. 松浦周太郎

    松浦主査 田邊君、あと三分で時間ですから、結論に入ってください。
  420. 田邊誠

    田邊分科員 いま大臣の言われましたとおり、いろいろと今後の科学技術の進歩に伴って、この問題に対しても私はもっと深い洞察力を持って対処しなければならぬと思うのであります。ただ、いまの構想から言いますと、河川の依存度を、昭和六十年までの間に大体八一%ぐらいに見ておるのです。利根川の水は現在約二八%しか利用されておらない、こういうようなことで、かなりこの利根川にたよる考え方をとっているわけでございまして、これに対しては、ひとつ逐次私どもも大臣とともに勉強さしてもらいたいと思うのであります。  最後に、今後これらのいわば沼田ダムのような大きな問題が控えておるわけでございますから、これらの問題を処理するためには、いままでのような、ただ単なる法律なり事業主体ではなかなかできない。中には産業計画会議のごとく民間にこれをやらしてもらいたい、こういうような意見もございますし、あるいはまた、従来の法律では、この建設事業やあるいは地元の開発、補償等を完全に行なうことが非常にむずかしいという観点から、水源地開発法等のような特別立法をつくるべきではないか、こういう意見もあるやに聞いておるわけでございますけれども、この点に対しては一体どういうような考え方を持っておるか。沼田ダムばかりではございませんで、今後の問題としてお考え方を明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
  421. 坂野重信

    ○坂野政府委員 確かに先生のおっしゃるように、水源地開発法というような御提案も知事会であるようにわれわれは承っておりまして、いろいろ検討しておりますけれども、内容を伺っておりますと、非常に問題が多過ぎまして、一体その資金手当をどうするのだとか、水源地開発法の地域指定というような話も出ておるが、どういう考え方で地域を指定するのか、その計画のまとめ方をどうするのか、いろいろな考え方、手法的な問題、いろいろあまりに問題が多過ぎまして、いま建設省も事務的に検討いたしておりますけれども、まだはっきりした結論を出していない段階でございます。
  422. 田邊誠

    田邊分科員 どうか大臣、私もこの問題はさらに煮詰めていろいろと意見を開陳したいと思いますので、さらにひとつ大臣考え方をまとめておいていただくように要望いたします。
  423. 保利茂

    保利国務大臣 私ももう少し勉強さしていただきます。
  424. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて田邊誠君の質問は終わりました。  次は、広瀬秀吉君。
  425. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 東北自動車道の問題について、建設大臣並びに関係局長にお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、この東北自動車道は、最終的に何年までに完成を目標にされておるか。それからまた、栃木県関係東京から宇都宮までが第一期工事とされておるようでありますが、これの完成の目標年次というようなものについてちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  426. 保利茂

    保利国務大臣 非常に重要な東北縦貫自動車建設を急いでおるわけでございますが、すでに施行命令を出しております岩槻−仙台間につきましては、四十八年度に完成をしたいということが第一期の希望計画でございます。
  427. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 岩槻−宇都宮間はどのくらいですか。
  428. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 岩槻−仙台、岩槻−宇都宮間につきましても、できれば全線一度に開通するように考えたいと思います。
  429. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま栃木県でも県会が開催中なんですが、この工事が予定よりも非常にずれ込んでいるということがかなり問題になっておるわけでありますが、予定よりどのくらいずれ込んでおるのですか。
  430. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実はこれは東北縦貫自動車道に限らず、全国の幹線自動車道の建設の順序といいますか工程でございますが、大体七年くらいはかかるだろうというような工程を組んでおります。その内訳は、まず一年目は実施計画のための測量調査に当てる。あとの二年半ないし三年間が、地元とのいろいろ用地の買収その他に当てたい。工事は三年ないし三年半、合計約七年ということで、東北縦貫自動車道も四十八年に完成を取りつけております。ただし、この中にはやはり用地問題のトラブルがあまりないところ、こういうところについてはインターチェンジとインターチェンジの間で供用開始ができるような形で、それ以前に供用も開始させたいというふうに考えております。
  431. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 おくれているということが非常にいわれているわけですが、その主たる原因というものは建設省としてはどういうように見られておるのですか。   〔主査退席、湊主査代理着席〕
  432. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 私どもいまの計画でいきますと、おくれているという感じはまだないのでございます。ただいま言いましたように、二年半から三年、これは非常に膨大な用地を買収しなければならぬものですから、こちらがこのルートをとる、すぐ土地を売れということだけではとてもこの大事業ができないように思います。やはり一番問題になりますのは農地だと思いますが、地元が農地を手離せるような形に持っていくためには、農林省のいろいろな土地改良の問題もございますし、その点は地元が不安なしに手離せるような形に持っていきたいということで、用地の買収は十分時間をかけていきたいというように考えておるのでございます。  現在おくれているといいますのは、これは普通の道路と同じように、中心ぐいを打てればすぐばたばた用地が買えるというようなことを県のほうの一部でも考えているんじゃないかと思います。そういう点で、中心ぐいを打ったけれどもなかなか進まないじゃないかということで、おくれているといううわさになったんだと思います。一部の供用開始も効果がありますが、やはり全線が開通した東北縦貫自動車道のほうが効果がありますので、全線を開通するということになりますと、いま言いました用地の問題は、非常に問題が多い個所もございますので、その辺は地元が十分納得のいくような調整をとりながらやっていきたい。そのためには、先ほど言いました用地の買収に少なくとも二年半か三年くらい置きたいというような考えでおります。そういう考えからいえば、おくれていることはないと思います。
  433. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その点では見解の相違もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、農民との話し合いあるいは関係者との話し合い、折衝というようなものにかなり時間がかかっておるということがいえるだろうと思うのです。中心ぐいを打つについても、またそろそろ幅ぐいを打とうかという段階を迎えているわけですが、そういう中で補償の問題で、一体どのくらいで自分たちの土地を買ってくれるだろうか、協力はしたいけれどもその点が問題だというように、農民の関係者、いわゆる地権者の諸君が考えているわけです。ところが何一つそれを出さない。とても不安でそういうものには応じられないという抵抗というようなものが不必要に出てくる。できるだけその工事に必要な準備というものはどんどんどんどん進めてしまって、もうこれだけやっちゃったんだから、おまえらこの段階で、提示した価格でもう文句を言うなというようなことが行なわれるんじゃないかという不安が非常に多いわけであります。そういうことがやはり問題をおくらす一番大きい原因になっているんじゃないか、こういう感じを持つわけであります。  そこで、一体この岩槻−宇都宮間、栃木県の部分だけきょうは触れますけれども、近く幅ぐいも打つという段階で、田植え前にやりたいと県当局も議会で答弁をしているわけなんですが、その段階になりますと、やはりかなりもめごとが起きるんじゃないかと思います。その段階でもう、このくらいで買い上げたいんだというようなものをざっくばらんに提示をしてやっていくというようなことが必要なのではないか、こういうように思うわけですが、一体どういう時期にその土地の買収価格というようなものを地権者に提示をしてやられるおつもりですか。
  434. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまのお話のように、土地をどのくらいの値段で買うかということを実際示さないと、用地の買収にあたりまして地元の人が非常に不安だということは事実だと思います。  私たちいまの方向といたしましては、まず路線を発表いたしまして、その路線に協力が願える態勢になれば、中心ぐいを打ち、さらにいろいろな工事の説明をいたしまして、どういうような構造物がそこに入るか、また地元の希望でどういうことをやっていくか、そういう工事の説明をよく聞きまして、それで必要な高速道路の用地幅の幅ぐいを打つということになると思います。やはり工事の説明、用地幅ぐいを打つような段階になれば、当然そういうような用地の価格についての考えを発表しなければならぬと思います。  ただ、これが非常に問題になると思いますのは、大体用地の買収の時期をどのぐらいに見るか、いつごろに見るか、これは一年あとに見るか、いま現在に見るかで、やはり土地の値段というのは多少変わってまいりますので、その辺で用地の買収の時期が大体どの辺かというような目鼻をつけないと、なかなか公団としても発表しきれないんじゃないかというような感じがいたします。ただいまの先生のお話のように、やはりある程度のめどとして示さなければ、地元も不安が非常に強いと思います。そういうめどについては幅ぐいの設置、工事の説明のときにいろいろ、このぐらいからこのくらいの——幅はあるかもしれませんが——幅の範囲内で示すということは可能だと思います。
  435. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 このことばかりやっていると時間がなくなってしまいますので次に移りますが、そういう問題についてもやはり農民の不安がどこにあるかということをしっかり見きわめて、それにこたえるような考え方というものを積極的にとっていかないと、どんどん不必要な摩擦や抵抗というものも起きるんじゃないか、こういうように思うわけでありまして、十分その点注意をしてやっていただきたいと思います。  次に、これもちょっとこまかい問題なんですが、中心くいを打つ際に——もう栃木県は大体ほとんど全路線にわたって打っているわけですけれども、この補償の問題で農民の間にも非常に不満が起きました。これは、栃木県の場合は五十円だ、長野県あたりの、中央道ですか、こういうようなもので長野県では二百七十円まで出したんだ、あるいは仙台あたりでは百円出している、こういうまちまちであったというような例があるわけであります。これについてはその後建設省でも、何か統一的な基準をきめようということでだいぶ御苦労なさって、新しいならした、平準化したものが何かできたようでありますが、そのいきさつはどうなっておりますか。そして一本当たりどのくらいということになっておりますか。
  436. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実は昨年の秋にもやはり、そういう先生の言われました御指摘を受けました。いろいろ私のほうも公団を調査してみますと、やはり中心ぐいを打つ際にコンサルタントその他に一括して、ここからここまでの中心ぐいという形で契約をするわけであります。その契約のときには、一応中心ぐいが何本あるから大体単価が幾らだということで契約をするのでございますが、やはりそれを契約いたしました業界のほうは、いろいろ地元とのトラブルその他を避けるために、自分でかってに安い金額で中心ぐいを打つ場合と、かなり単価を高くして、さらに手ぬぐいも一本つけるとか、いろいろそういうことをやって打っているものがあると思います。どうもこれは契約の上から見ると、公団が測量会社に契約したんだから、おまえのほうでかってにやれということになるかもしれませんが、やはり受け取る地元にすると、まちまちだということは非常に困りますので、今後基準をきめまして、大体一つの中心ぐいを打つときの補償をきめまして、それでやっていきたいと思います。いまのところ大体一本百円くらいのものを考えておりますが、やはりこれもたんぽの中に打つのと、山の中に、林の中に打つのと、はたして同じ単価でいいのかどうか、その辺もございまして、またよく検討したいと思います。
  437. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、いずれにしてもそういう事態というものがあるわけです。抵抗が強ければ高くなる。栃木県の場合には非常に協力的で、一番先に全路線が確定してしまい、中心ぐいも順調に打てた。そういうところは五十円だということで、農民があとで情報があっちこっちから入って、われわれはばかにされているんだということで憤慨をしておられる事例があるのです。いま局長がおっしゃったいろいろな事情があろうと思います。しかし、そういうごね得——一種のこね得だと思いますが、そういうことではせっかくスムーズにいっている農民だっておこり出すわけでありますから、そういう点については、これは業者が手先でやってしまうという面ももちろんあろうかと思いますけれども、ある程度やはり建設省から、こういうものについてはこういう方向にやりなさいということで、二百七十円出した理由としては、中心ぐいのまわり一メートルぐらいのところはいじらんでくれというようなこともついているんだということも聞いているのです。それじゃ五十円だって同じじゃないかというということもありますが、それは名目なんです。そういうことで非常にアンバランスがある。たとえば栃木県では五十円だったということで、これは追加支払いもしてもらって、百円くらいの基準というものが、それにも問題があるとしても、やはりすなおに協力したというところが損をしないようにめんどうを見てやるといいますか、当然補完してやるというようなお考えはございますか。
  438. 保利茂

    保利国務大臣 広瀬さんの御心配されますように、協力しているところが割り損をするというような事態は、御同様まことに遺憾に思います。道路局において、臨時国会のときにも問題になりまして、自来検討しておりました。必ず妥当なところで今後指導してまいるようにいたしたい。そうして、そういう著しく協力したところが意外にどうも軽く扱われておったというような事態は、ぜひ改善をしていかなければならぬと思っております。
  439. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 次にお伺いいたしますが、この路線を選定されて、栃木県の場合でも確定をしておるわけですが、その中で農業問題との関係が非常に軽視をされたと申しますか、せっかく鯉名沼の干拓をやって、すばらしい美田が誕生した、そのどまん中を通ってくる。あるいはまた、構造改善のモデル地区だといって、すばらしいものが二、三年前にでき上がった。たとえばこれは矢板市の市役所のすぐ西、国道四号のすぐ西のところでありますが、そういうところが、これは矢板市の例を引きますと、面積で三百三十七ヘクタール、関係戸数で三百五十六戸、こういうようなものが完全にでき上がって、すばらしい土地基盤整備が完成したわけです。その直後に今度は中心ぐいが打たれて、そのどまん中を通っていくということになったわけです。これは総工費一億四千七百二十五万八千円かかっているわけです。国、県、市の負担はさておきまして、地元の借り入れ金が二千三百六十万円、それから関係農民の個人負担が五百八十五万一千円、こういうこともあるわけであります。せっかくそれだけの個人負担やまた借り入れというようなこと、個人負担は直接金を出したものでありますが、いずれにしても約三千万近くは農民負担であります。そうしてせっかく完成したものが台なしになるような形で、縦貫道が通っていくわけです。こういうものに対して、これは一体どうなるのだろうか。大体計画が立てられるときに農林省と建設省との間に、そういう矛盾した現象が出ないような調整というものが考えられなかったのかどうか。そういう問題が当然あるわけでありますが、それと同時に、こういう個人負担、大量の個人負担までしてでき上がったものが、今度台なしにされてしまうということに対して、一体この損害はどうしてくれるのだろうかということが一つあります。  もう一つの問題は、まとめて言ってしまいますけれども、一体それを買い上げの段階にきたら、まだ仮換地で、土地基盤整備が終わったあとの所有権の取得の登記が行なわれるまでにはかなりの長日月を要するというようなことになりますと、仮換地の状態では一体売り主はだれなんだということにもぶつかるわけです。こういうような問題等を含めて、一体どういうことなんだという疑問を持っておりますが、大臣いかがでございましょう。
  440. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの矢板の場合につきましては、構造改善が終わりまして、ちょうどそれのまん中を東北縦貫自動車道が通るような形になります。地元でもう少し山側にルートを変更してくれという要望もございました。実は先生がいまおっしゃいましたように、国が国の施策として相当な金をかけ、構造改善をやったところを、また一つの国の施策である高速道路が通るというのは、やはり初めからの計画としておかしいじゃないかとおっしゃる、そのとおりだと思います。ただ、高速道路自身もそういうものをできるだけ避けて、ルートについては非常に考えた末現在のルートになったのでございますが、何分にも高速道路自身が——これは東北縦貫自動車道は、やはり東北と東京を結ぶ幹線の自動車道の中のさらに幹線になるもので、かなりスピードを出さなければいかんということで、道路の線形その他で、どうしてもやはり矢板市は通らざるを得ないということは、私も非常に残念に思いますが、いまの状態ではこれを山に振るということは線形その他の問題で非常に難点があるということになっております。  なお、これについてはまだ、うちのほうもよく調査を続けますし、地元ともよく話したいと思います。いまのその損害をどうするかということになりますと、やはりこれはつぶれ地に対しては当然補償を払わなければならぬ、またその構造改良がそれによって全然阻害のされないような、全然だめにならないような道路のいろいろな構造も考えていきたいということでございます。もちろんいま言いましたつぶれ地に対しては、構造改善が行なわれない前と行なわれたあとでは、これは単価が相当違うかと思います。そういう点も改良したいと思いますし、また仮換地についての問題は、これはそこの一部だけのことについて言えば、二、三年待ちましても、その一部だけの工事ということは簡単にできますので、そういうのはやはり地元の態勢を整えるということも十分考えて、考慮の中に入れまして用地の登記がえを進めていきたいと思います。
  441. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いまのお答えの中で重要な問題があるわけでありますが、これは端的にずばりで言えば、長期借り入れの二千三百六十万と、あるいは個人が直接負担をした五百八十五万、こういうようなものが土地の買い上げ価格の中に完全に織り込まれるような方向で考えていきたい、こういうことですか。
  442. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いや、私のいま言いましたのは、借り上げの金額が完全に織り込まれるというのではなくて、やはり構造改良をやった畑、耕地と、やらない耕地の差というのは、やはりその単価に大きな差はあるんだろうということで、やはり現状において耕地の値段を、何といいますか、査定いたしましたときに当然その部分はほかのものよりよけいに評価されるということでございます。
  443. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣、この点ですね。私、具体的な数字をあげたわけですけれども、そういう気持ちというものは一応筋の通った話だと思いますが、それがどう具体化するかは別として、考え方としてどうかという点を大臣から、ひとつお考えをいただきたいのですが……。
  444. 保利茂

    保利国務大臣 思い出しておりますけれども、矢板の方から私もじかに投書というか、御注意をいただいたのでございます。ほんとうにもったいないところを通るらしいのでございますが、何とかそのところをはずれることはできないだろうかという、そのことも検討してくれていると思いますけれども、どうもただいまのところはやや否定的じゃないかという感じがしておるわけです。その際に、一体補償はどうなるのか、これはもう局長が申しておりますように、改良工事をされる前とあととでは格段のその地価の相違を来たしておるわけでございますから、したがって、それを全部補てんができますかどうかは別としても、相当価格の上において、評価の上において考慮されなければならぬということはもう当然だと考えております。
  445. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 私は、まだ路線を変更できるものなら変更してもらいたいという立場で実は言っているわけなんですが、それがもしできないとした最悪の場合でも、いま大臣がお答えになったような考え方で対処していただくようにしていただきたいということです。  それから次の問題は、もう時間があと四、五分しかございませんが、農地関係で、いろいろな意味での補償が問題になると思うのです。たとえば一つは、その道路ができたために農地として意味がなくなってしまう、いわゆる残地といわれるものについてどういう補償をされるのだろうか、こういう問題があります。それから、ずっと長い路線でありますから、同じような土地でも買収の時期によって土地の標準値をとって買収価格をやるというような構想があるようでありますが、そういうものに物価の値上がりや何かで価格の変動がある、そういうような場合にどうするのだというようなこともございます。それから宅地の場合でも、代替地がないというような事態も相当ある、そういうような場合に一体どうされる気持ちなのかということがございます。  それからもう一つ非常に大事な問題ですけれども、農業補償というものをなされる考えはないのか。たとえば道路が通ることによって経営規模が著しく、もう主たる農地にかかってしまって、たとえば二町歩つくっておった人が一町以下になってしまうというようなことになると、自立経営農家としてはもはや体をなさない。代替地も求められない。さらに、二町歩あるいは二町五反に見合う機械設備も持っておった。その機械がまるきり遊んでしまう百姓に転落をする。そういう者に対して、いわゆる最も効率的にその農機具なんかが——いままでもうすでに持っている農機具がいわゆる完全燃焼をしない非効率状態におとしいれられる。そういうようなもの等に対して、一体これはどうなさるのだろうか、こういういろいろな問題があるわけでございますが、これらについてお考えをいただきたいと思います。
  446. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 現在農地の補償につきましては、建設省のやっております公共用地の補償の要綱というものがございまして、それによって補償をやっているのでございます。ただいま言いました中で、価格の変動の問題がございます。価格の変動につきましては、やはりこれが一年たてばまた値段が上がるということでございます。実はこういうような連続した長いものにつきましては、できれば一斉に買うということがきわめて必要かと思います。そうしないと、あとから買ったものが高くなるということにもなりまして、被買収者のほうから見れば、おれたちのところは非常に協力したのに安いじゃないかというようなことにもなります。そういうのを避けるために、全線一度に買収できれば、一番都合がいいのでございますが、なかなかそうもいきませんということになりますと、やはりかなり長い区間を一度に買収する。それで、話がついてもすぐその隣が話がつかなければ、一緒に話がつくまで待つというような形なり、そういうような形で、できるだけ価格の変動によって協力者が損をしたというような感じのないような買収に心がけたいと思います。また代替地がないということになりますと、これは非常に問題かと思います。ことにいままで農業をやりまして、今度は農業ができないというようなことになりますと、これは幹線自動車建設法の中にもありますように、そういう点はやはり皆さんがあと営業できるような形、こういうものをやっていかなければいかぬ、また、そういうものについてのいろいろ本人の意見本聞いて、できるだけ転業するなら転業のあっせんをするなり、そういうことをやっていかなければいけないというようなことになっておりますので、できるだけ——これは道路公団だけではなかなかできない問題でございます。そういう意味で、やはり県のような広く行政をやっているところも入れまして、できるだけそういう被補償者の生活が成り立つような形で、いろいろな職業のあっせんその他も考えていきたいと思います。  次の農業の補償でございますが、やはり残地も、これはもう農業としてできないということになれば、それを買い取るということは制度としてできますが、ただ、いま言いました二町あったうら一町なくなって営農ができなくなるというようなことになりますと、一町歩というような大きな残地補償はいまやってないのでございます。やはりそういうものがもし農業ができなくなるということになりますれば、まあ広い範囲内で適当にそういうものを再配分してやっていくとか、何かそういう広い範囲で農民がいろいろ納得できるようなことを考えていきたいと思います。
  447. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大体時間が来たのですが、残地補償の問題は、二町歩が一町歩になったということを私は言っているわけじゃないのです。十坪かそこいら、あるいは二十坪というものが、全然そこは入っていけないというような場合が出るわけですから、それは買い上げ対象になるのだということで、それはわかりましたが、農林省も来ているようですからお伺いしたいのですが、先ほど言ったように、機械も効率が悪くなる。それから二町歩が一町歩になって営農形式をまるきり変えないことには、いままでのような農業では立ち行かないというような事例が一方に出る。そういうものに対してどうするか。商店なんかの場合、あるいは工場なんかの場合には、完全に営業補償というものがなされるようでありますが、農業についてそういう事態が起きた場合、一体どういう施策を講ぜられるのか。これは建設大臣も農林大臣をやられたそうでございますから、そういう問題についてもどういうようにお考えになっておられるかということをひとつこの際示していただいて、そういう事態に直面している農民を安心させていただきたいと思いますが、建設大臣及び農林省の御所見を伺いたいと思います。
  448. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  経営面積が縮小あるいはそれがなくなるために農業が引き続いてやれなくなるという場合の補償は、土地の買収補償とかそういうこととは別に、いま先生のお話に該当するものとして考えられますのは、たとえば離作補償でございますね、離作補償の制度、やり方がございます。つまり職業をかえることによって受ける損害、被害をある期間の間補てんしてあげる、いわゆる離作補償の考え方に近いのじゃないか、そういうことが、まあ実際の運用でこの場合どの程度広く解釈できるかどうかわかりませんけれども、ほぼ似たような考え方が成立するのじゃないかと思いますが、なお検討が必要だと思います。  それから非常に優良農地がこういうことのためにつぶされまして……。
  449. 湊徹郎

    ○湊主査代理 持ち時間が経過していますので、簡潔に願います。
  450. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 せっかくいい農地がつぶれていく場合には、まあ農地の転用基準等もございまして、なるべくそういうところはつぶさないようにしておりますけれども、こういう国の施策に関連するものにつきましては、関連のいろいろな農業施策、土地基盤整備、そういうものをやって、引き続きその地域の農業がりっぱに続けられるような方法をとるということを原則としてやってきております。
  451. 保利茂

    保利国務大臣 ただいま農林省のほうから申し上げておりますように、ために農業効率が非常に落ちてくるというようなことについては、農林省ともよく相談いたしまして、できるだけそういう事態を防止してまいるように努力していくはかなかろうかと思います。また、そういうふうにやってみたいと思っております。
  452. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 時間がございませんのでこれで、予定した質問がまだ一つ残っているのですが、これはあとで河川局長からまた聞くことにしたいと思います。ダムの問題があったのですが、時間が参りましたので、時間を守るということで、これで終わります。
  453. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に佐野進君。
  454. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は首都高速道路について大臣並びに局長に御質問したいと思うのです。  首都高速道路は、首都高速道路公団にその業務をやらしておるわけですが、当初、昭和三十二年、三年ごろ計画が策定せられていろいろな紆余曲折がありましたが、オリンピックを境にして道路計画が急速に進展し、いま相当程度利用されておるわけですが、この計画について当初八路線七十一キロという計画を十年以内で完成する。十年以内というか、もっと早く完成するという計画でありましたが、その後路線がいろいろな方面に延びていっているようです。特に横浜方面に路線が延長されておるということは、首都高速道路公団が道路公団とは別の性格があるということでつくられた趣旨に反して、いわゆる首都という東京を中心として出資その他が行なわれておる団体に対して、横浜方面にまで路線を延長させておるということについて、その法的根拠をひとつ説明してください。
  455. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 首都高速道路公団は、首都高速道路公団法に基づいて業務の運営をやっておるわけでございますが、首都高速道路公団法の第一条では「東京都の区の存する区域及びその周辺の地域において、」自動車専用道路の整備を行なう、こう書いてございまして、確かに表題は「首都」とこうなっておりますけれども、当初から目的としては首都及びその周辺をやる、こういうことになっておったわけでございます。
  456. 佐野進

    佐野(進)分科員 八路線七十一キロの当初計画の中ではその周辺という区域がなく、いわゆる東京都内二十三区を中心にしてその計画が策定されておったようです。そういうことで住民なりの協力を求めながら事業をやっておったのですが、その八路線七十一キロは、全部計画が遂行された後そのような計画変更をなしたのですか。
  457. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 当初は特に東京都の区部の交通難ということが問題でございましたので、八路線七十一キロの計画で発足したわけでございますが、その後横浜方面の交通状況及び東京と横浜を結んでおる交通の状況というものが逼迫いたしましたので、その後昭和三十九年になりまして、横浜−羽田空港線というものを計画に追加したわけでございます。
  458. 佐野進

    佐野(進)分科員 だから、当初計画の路線が完成するという見込みのもとに新線について三十九年に延長したのか、あるいは、既存の計画路線が不必要になり、新しい計画が必要ということになって計画変更したのですか。
  459. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 既存の路線はそのまま継続してやるが、さらに新しい路線が必要だということでやったわけでございます。既存の路線のうらで不要の部分があったわけじゃございません。
  460. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は首都公団について、あるいは計画を策定する建設省に対して非常に不満に思うのは、七十一キロの八路線の計画計画策定せられて実施されてから、まだそう年月がたっていないのですね。特にオリンピックの年、昭和三十九年が最も建設がピークになったときなんですね。このときすでに計画変更がなされておる。そしてその計画変更なされると同時に、実施計画に入っておる。その反面、他のいわゆる一号線延長あるいは七号線あるいは六号線というように、同じ都内交通の中においても交通事情が非常に渋滞を来たしておる道路に対して何ら考慮を払わないというか、そういう路線については計画の変更も、あるいはまたその充実もはからないで、あちらをこちらをという虫食い的な計画をするということは、本来昭和三十三年ですかに計画をつくったとき、建設省はすでに見通しを誤ったということをいうのですか。
  461. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 当初は確かに八路線で出発したわけでございますが、その後都市間の高速道路が、東京に向かってだいぶ各種の計画が出てまいりましたので、それを受けますために、私どもとしては外郭環状線というものを環状八号線の外側に考えまして、そこまでは東京都の高速道路を延ばしていこうという計画に向かってその後延伸計画も逐次固めながらやっている、こういう状況でございます。
  462. 佐野進

    佐野(進)分科員 あなたの言うことが、計画を変更した真の理由ではないんじゃないですか。横浜方面へ延ばさなければならないというその理由は、横浜方面に延ばすための政治力が背景になって新線の計画変更を行ない、こちらへ伸ばす。既存の計画路線についてはこれを放置する。こうした現状は、たとえば池袋方面にしてもあるいは京葉道路方面にしても、なかんずく京葉道路方面の七号線に至っては、いまだ着工のきざしさえ見えない。着工しているというけれども、いつ完成するのか見通しは見えない。しかも成田方面その他については、京葉道路の渋滞からするいろいろな社会問題が発生しておるじゃないですか。  私がまず第一番に首都高速道路問題について建設当局にお聞きしたいことは、無原則的な一時の、その時点、時点の中における政治力あるいはまた建設当局の判断ということになるかもしれないけれども、そういうことでなく、少なくとも計画を立て、その計画を実施する要件が失われざる限り、その計画に基づいて早期にその事業を遂行することが当然じゃないですか。大臣、どう思いますか。私は、そのことが完全に行なわれておらないということで質問しておるのです。
  463. 保利茂

    保利国務大臣 たいへんごもっともな御意見だと思います。私もそういうふうに感じますが、横浜−羽田の間をやっておりますのは、おそらく御案内のように、とにかく非常な錯綜した状態から延伸を急いだものだと思うのでございますけれども、しかしお話しのように、政治力云々ということでそういうことが行なわれたものとは私は思いません。  それからまた、これはたいへんごもっともなことで、オリンピックを中心にこっちの西南地区のほうにかなりの主力がいったものですから、こっちのほうがおろそかになっている、あと回しになっている。それが整備されないうちにまた向こうのほうへ延びていくという感じは、そのとおりだと思います。とにかくこっちのほうを急ぐことに重点を置いた。私がいま最もやかましく言うておりますのは、東名道路が来年五月に開通する。都内との結びつきを一体どうするんだということで、三号線の延長なんか私自身がやかましく言っておることは御了承願いたいと思います。
  464. 佐野進

    佐野(進)分科員 局長、それではことしの計画の中で、七号線、京葉道路に結びつく高速道路はどの程度進捗する予定ですか。
  465. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 七号線につきましては、今年度中に全区間にわたって用地買収を行ないまして、四十二年度は工事に入りまして、約六十数億の資金を投下して工事を継続実施していく、こういう予定になっております。
  466. 佐野進

    佐野(進)分科員 完成はいつですか。
  467. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 竣工は一応四十五年度を予定いたしております。
  468. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、その次の質問に入ります。  高速道路の当初計画を立てたとき、首都の交通事情の中でかえって混雑を助長するのではないか等々、議論がたいへんありました。特に東京都民の住む上の部分を主たる道路にするために、排気煙その他による被害が非常に多くなるのではないかという心配がありました。それについては、いまの段階ではまだその心配がそれほど実現されていないことはたいへんけっこうなのですが、当時特に言われたことは、これは真に都民のための道路である、したがって都内交通を緩和する必要があるのであるから、住民もある程度犠牲を耐え忍んでもらいたい、こういうことでその説明が行なわれた。特にこの道路は、収支相償ったときに、建設費に対して収入が相償ったとき無料にするのだ、こういう見解が表明され、そういう形の中で道路建設が進められたと思うんです。いままでの建設費に対する収入の比率がどの程度になっているのか、いますぐと言っても無理かもしれませんが、ひとつ答弁してもらいたい。
  469. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 いままでのもの全部は、数字がここにございませんが、供用延長は七十四キロでございまして、一日の通行平均台数は約十五万六千台になっております。二月で申し上げますと、一日平均二千三百万円くらいの収入になっておる。四十二年度は七十億円をこえる収入があると思われます。これは大体予定収入に見合った収入であります。
  470. 佐野進

    佐野(進)分科員 この収入の見通しでいくと建設費に対して——新しい線の計画というのは私はいろいろ議論があると思うのだけれども、ともかくそれをしばらく伏せておくとして、既存八路線七十一キロに対して償却が行なわれるめど、もちろん当初計画に比べると建設がぐんとおくれていますから、なかなか合いませんけれども、それは大体どの程度のおくれで実現する見通しか。
  471. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 大体、先ほど首都高速道路の償還計画を立てます場合には、一部供用開始から大体三十年で償還が終わるということで現在立てております。したがいまして、八路線の中でまだ着工していないものもございますので、いま、八路線全部のものがいつ償還が終わるかということはちょっとわかりませんけれども、考え方としてはそういうことであります。
  472. 佐野進

    佐野(進)分科員 当初計画が非常におくれておることによって、その計算についてもなかなか具体的なものは出てこないと思うのですが、私は、当時建設計画が出されたとき、十年たったらただにするのだということを聞いておったと記憶しているのです。したがって、もう十年たつわけだから、そろそろどの程度の見通しが持てるのかなと思って聞いてみたわけです。そこで、日本道路公団等においては、供用開始した路線について、収支償い、償却が完了したとき、無料ないし適当な値下げを行なうというようなことが現実に行なわれておりますね。この路線もそれに該当する路線の一つだと思うのですが、その原則はどうですか。
  473. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 首都高速道路公団についても、償還が完了すれば無料にするという原則になっております。ただ、首都高速道路公団の場合は道路網になっておりますので、統一的に料金を一律に取っている区間全体の償還が完了しなければ、無料にするわけにはいかないのじゃないかと思っておりますけれども、将来延伸線等が出てきました場合に、その延伸線を別の料金体系にするのかどうかというような問題もからんでまいるかとも思います。
  474. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、ちょっとお尋ねしたいのです。これは政治的な質問ですから政治的に答えていただいてけっこうだと思うのですが、私は、これから八路線あるいは九路線、どんどん高速道路はできていくと思うのです。いま一定料金百五十円ですね。いかに遠くまで行こうとも、いかに近くでも百五十円ですが、この百五十円という料金は、やはり一般都民が利用するについては非常に負担を感ずるわけです。したがって、下の道路は非常に込んでおっても高速道路は非常にすいているという現状、いわゆる自家用車に類する乗用自動車に主に供用されておるように感ずるわけです。したがって、将来の見通の点からいって、料金に格差を設ける必要がある、あるいは料金について一定の差をつけていく。差をつけるというのは距離に基づいて差をつけていく、そういうような点が当然考えられていっていいのではないか。そうしてもっと高速道路についての利用度、いわゆる近距離なり遠距離なり、そういう点についての考えがあっていいのではないかと思うのですが、その点どうですか。
  475. 保利茂

    保利国務大臣 私もこれはしろうとでございますが、道路公団のほうの道路は、それぞれその線、その線で償還計画、無料改定の時期を——したがってまた料金の変更等もやれるようになっております。この首都高速道路のほうは、少なくとも当初計画の七十一キロというものは、これはもうワンセットとしてプール計算でいくほかはなかろうと思うのであります。この中で、距離が少し近いから幾らというような料金の徴収方法は、おそらくどちら側にとってもたいへんなことだろうと思いますのでできませんけれども。でありますから、当初計画されておりました御指摘の七十一キロ区間は、少なくともプール制にすべきじゃないだろうか。安くなるときはみんな安くする、無料にするというふうになると思いますけれども、ただそれをこえて、先ほどの御指摘のこれから延伸していくところ、そういうところはおのずから別のくふうがあってしかるべきじゃないかというように感じます。
  476. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、そういう既存の計画に基づく路線は統一料金でいくんだということですが、これを安くする考えはいまのところございませんか。いわゆる百五十円をもう少し安くして、利用をふやしていくという形の中において。これは大臣がもし無理なら、局長でいいです。
  477. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 首都高速道路の場合は、自動車が相当伸びておりますので、これをスムーズに通過させるという問題と、それから料金体系をどうするかという問題がからむわけでございます。したがいまして、現在のところ供用を開始しているところは統一料金でやっておるわけでございます。したがいまして、この統一料金でやっているものを、三十年という償還期限をもとにいたしまして、料金をはじいておるわけでございますけれども、現在相当伸びておりまして、予定の償還計画というものと大体とんとんだという状況でございます。現在の百五十円をさらに下げるという考えは現在持っておりません。
  478. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は下げたほうがかえって利用度があって、いまの程度よりもっとよくなると思うのです。これは先の課題にしておいてもらってけっこうですが、検討しておいてもらいたいと思います。  これに関連して、高速道路建設されるに従って、非常にたくさんのその道路に付帯するいろいろな設備ができておるわけですね。たとえば橋をつくった、その下が駐車場になるとか、あるいは地下を掘ったので、地下のところが駐車場になるとか、こういうような形の中で、あるいはまた立ちのき先のない人たちを無理に立ちのかしたということで、その下に立ちのき者を収容するとか、いろいろそういうのがあるのですが、私はここで一つ聞いておきたいことは、首都公団の中でそういうようなことを取り扱うものとして、首都高速道路公団協会、こういうようなものを、いま世の中で非常にやかましい、公団や公社をつくってはいけないよということになっている中で、建設大臣が認可して、こういうものをつくったということは、建設省は一体とういう考え——その首都高速道路公団にまたもう一つ子会社をつくるなんということを、建設大臣はどうして許可しているのですか。
  479. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 財団法人首都高速道路協会というものがございまして、これは前に首都高速道路厚生会という高速道路に関する知識の普及でございますとか、道路利用者に対する便益増進というようなことで設立されて事業をやってきたものを引き継ぎまして、新しく首都高速道路施設関係の美化、愛護、あるいは道路等の利用者に対する便宜の増進をはかるということを目的にいたしまして、道路協会というものができたわけでございます。
  480. 佐野進

    佐野(進)分科員 できたのはわかっているから聞いているのだけれども、当時からそういう公団、公社に類するものについては政府の閣議においても了解事項になってやらなければならぬというとき——首都公団というのは、ともかく道路をつくって、首都における都民とか国民とか、一般の人たらの便宜に供するためにやっておるんでしょう。決してその公団をつくって、公団に入った人たちの生活を守るために首都公団があるわけじゃないでしょう。そうしたら、そういうやかましい状態があるとき、建設大臣はなぜこういうのを許可しなければいけないのかと私は聞いておるのです。どうしてこういうのをつくらなければいけないのかということを聞いておるのです。
  481. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 首都高速道路と密接な関係がございます各種の調査なり、あるいは仕事なりを円滑にやらせていくという考え方で、民法の法人として認めたわけでございます。
  482. 佐野進

    佐野(進)分科員 だから民法だ、それはあなた方がつくって許可をするのに、法的な誤りがあると私どもは言っているわけではないのです。しかしこういう状況の中で、少なくとも利権に関係することでしょう。あなたは首をかしげるけれども、高速道路というものは何千億という金をかけて道路をつくっておるんですよ。それに付随するところの財産というものは、上を使う、道路を使うということが目的でやっているのだけれども、上を使ったから、もったいないから駐車場をつくるのだ、あるいは家を建てるのだということになっておるでしょう。そうなると、その家をつくって人を入れるとか、自動車の駐車場をつくるということになると、ばく大もない財産が特定の人たち、いわゆるあなたが認可したその人たちに利用されるとかどうとかいうことになったとしたら、これはもっと慎重に考えなければならぬことでしょう。時間がもうなくなってきたからそこまで追及できないのはたいへん残念だけれども、この中でただ一点だけ聞いておきたいことがあるのです。  それはこれに関係があるかどうかわからぬが、首都公団の運営の中で、ともかくつくった道路が、まだ何年もたたないうちに穴があいて、車が通れなくなったというのはこの前でしょう。あるいは、汚職があってどうとかいうことで調べられたこともあるでしょう。とかく役所というものは、直接よりも間接になったときのほうが緊張がゆるみがちになるでしょう。そういうような形の中で、こういうものをまたその下につくったとすれば、一体だれが監督するのですか。だれが一体これに対して意見を差しはさむことができるか。かって気ままなことができるじゃないですか。そういうことをあなた方がかってに認可したとするならば、これは実におかしなことになるのじゃないかと私は思うのです。きょうは時間がないから、またあらためて別な機会に聞きたいと思うのですが、ただこれに関連して一つだけ聞いておきたいことは、こういうことがあるのです。首都公団が高架の道路をつくりますね、そうすると高架のところに適当なあき地があるから、そこに店舗なり住宅なりをつくって人を入れるということになる。それから立ちのき者を入れることになる。この立ちのき者を入れることは私ども非常にいいと思うけれども、行くところがないから入れるのはけっこうなんだけれども、これに対して協力金という名目で入る者に対して取っておるのです。一体協力金というのはどういうことなんですか。
  483. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 首都高速道路の高架下で、その道路敷におりました営業者で移転先がないというような人を、やむを得ず下に店舗、事務所等をつくりまして、これは公団がつくりまして、公団が直接貸すわけでございますが、そういうような形で、営業者のうち移転先のない人を入れていこうということでございます。その場合に、補償料は補償料として別個に払っております。したがいまして、ただその場所を現地に求めるということでございますので、一般のそういう建物の賃貸の条件となるべく同じような条件で賃貸さすのがしかるべきではないかということで、一部協力金という形で、民間で申しますと、敷金に類似するようなものをとっているわけでございます。
  484. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は首都公団が発足した当時から、当時都議会議員をやっておりましたから、非常に深い関心を持って見てまいりました。当初は非常に熱心にやったおったようでありますが、近時、いわゆる建設省の監督がゆるんできたのか、あるいは東京都の監督がゆるんできたのかわかりませんが、運営の中で、非民主的というか、官僚的というか、そういうような点が幾多の面で見られるようになってきたわけです。これは私の感じですが……。したがって、この協力金という制度そのものの中でも、一体これは民法上、あるいはまた首都公団の性格上、その金が予算上どこに措置せられ、どのような形の中でこれが運営されるのかということになると、しかも、無利子十年間据え置き、年均等賦払いとか、いわゆる契約書そのものの持つ内容については、普通社会一般の常識をはずれる契約の内容を持っておるわけです。私はそういうことをいまここでやっておる時間的な余裕がございませんから、追及はいたしませんけれども、こういう問題について公団側は、何らそれに対象する人たちとの話し合い——内容証明を何通も出しているのです。話し合いをしてくれ、ともかく会ってくれ、何とかしてくれと何通の申し入れをしても、何らこれに会うことをがえんじない。そういうような形の中で、ただ一方的に契約の文書を入れて、この中には十七条、十八条、二十一条、二十三条という何条かにわたって一方的に、いわゆる公団の気に入らないようなことがあれば、直ちにこの契約を解除し、立ちのかせることができるというような内容を持っておるわけです。しかも、との内容を持っておるこれらのものがだれに将来にわたって管理されるか、あなたがいま言ったとおり、公団が直接、直接と言うけれども、公団はいつまでこんなことやっていられないでしょう。協力金というものを取って……。公団の建設業務の中で管理部門は本来の仕事じゃないのだから、したがって、いまあなたが言われたような下部機関に移管されるわけです。その金がどこに行くか、協力金というものが……。そういうようなものをプールしておくと言いながら、どこへ行くかということになれば、当然管理したりなんかする形の中でやられるということの危険性を持つわけです。私は三十分という時間の制限がございますので、たいへんあれでございますから、ここで質問は打ち切りたいと思いますが、ひとつ公団に対して、至急当事者と話し合いをし、その問題の発生しないように十分注意した上で、その運営に当たるよう強く注意を喚起していただきたい。大臣の答弁をいただいて御質問を終わります。
  485. 保利茂

    保利国務大臣 お話のようなこと、私もちょっと不審に思うようなことでございます。問題は要するに、首都高速道路公団は、都民というか、交通を緩和するために国も都も大きな犠牲を払ってやっておるわけでございます。こいねがうところは、三十年とかいうことでなしに、一日も早く無料で開放する時期を迎えなければならない。そのために高い料金もいただいておる。その道路の中で、いわゆる自動車料金でなしに、利用できる収入がありとすれば、それらもやはり無料開放への貢献をしていかなければならない。したがって十分に利用されていかなくてはならない。その利用のしかたがおかしなふうに持っていかれたのではたいへんなことじゃないかという感じ、私も少し部内的に勉強をしていくつもりであります。
  486. 佐野進

    佐野(進)分科員 じゃ終わります。
  487. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に村山喜一君。
  488. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣もだいぶ長時間でお疲れだろうと思います。私の質問は非常に簡単でございます。いま建設省が所管をいたしております。鹿児島県に川内川という川がございます。その上流に吉松町という町がございます。これは先日災害特別委員会の席で、私、えびの地震に関連をいたしまして、被害を相当受けた地域でございますので、大臣に質問をいたしました町でございます。その町と隣の栗野というところの町との間に、水俣の日本窒素の栗野発電所の井ぜきがあるわけであります。この阿波堰と呼んでおりますが、これが大正六年八月十四日に知事名で、窒素をつくるための発電用施設として設置を許可されておるわけであります。それから五十年の月日が流れまして、四十二年六月の三十日でその水利使用権、権限が喪失をすることになるわけでございます。そこで五十年間の被害をずっと今日の価格で換算をしてみますと、吉松町の被害総額だけで八億円という被害を受けておる。その井ぜきがあるがために、昭和三十年から四十年の間に水が逆流をしてまいりまして、そのために減収をしたというのが作物の統計の上で、農産物の価格を当時の米価の価格に引き直しまして計算をいたしてみますと、四千百二十三万円の被害を受けておるわけでございます。こういうようなことがございますので、地元としてはこれを撤去してもらいたいという要求運動が起こりました 県が中に入りまして、九州地建の河川部長等と話をいたしているわけでございますが、一向に話の解決が進まないというので、六カ月間の仮契約をいたしまして、その間に話を進めようということになったのですが、それでもなおお話が進まない。今日に至るまでなお未解決の状態にございます。この解決の方法等の内容を聞いてまいりますと、水俣の日窒工場のほうは、現在の井ぜきを下げる。撤去に近い程度に下げるためには、九十センチほど井ぜきを下げなければならない。ところが会社のほうとしてはそれをを下げる意思はない。補償金で解決をしてくれ、内々話を町当局のほうが聞いておりますのは、百五十万円程度で解決をしてくれという話を聞いておるようでございます。それに対しまして地建のほうは、四十センチほど井ぜきを下げたらどうだろうか、こういうような話で調停に乗り出しておるようでありますが、これは難航をいたしております。南日本コンサルタントというところで、逆流水によります被害をなくしていくためには、九十センチほど下げなければだめだという結論が出ておるわけでありますが、これに対しまして話が煮詰まらないまま、今日なおそういうようなところにおいて不満を生じているわけでございます。この問題につきましては、このごろは天災で毎年被害を受ける地域でございますが、おまけに地震まで今度は発生した、そういうような気の毒な情勢の中にそこの町民があるわけであります。何とかしてこれを解決してもらいたいというので、これは与党も野党もございません。同じ選挙区の中馬辰猪代議士あたりも、九州地建に参りまして、督促をしてもらっておるようでございますが、なかなからちがあかない、こういうような状況でございますので、やはりこの問題は、建設大臣にそういうような問題についての認識をいただいた上で、今後どういうふうに解決していくかという方向をお示しをいただきたい。今日の状況と今後の解決の方向について、そのめどをこの際明らかにしていただいたら、被害住民等は非常に喜ぶのではないかと思いますので、質問をいたす次第でございます。
  489. 保利茂

    保利国務大臣 私はただいまのお話は初めて伺うわけでございます。河川局においては、いろいろ検討をいたしておるようでございますから、一応河川局長から御答弁させていただいて、ともどもに考えてみたいと思います。
  490. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生の御指摘のとおり、川内川に日本窒素の栗野発電所がございます。それも大正六年ごろに、その発電所の水利使用許可が出て、ずいぶん古くなっておるわけでございます。その当時は上流側は全然堤防というような状態も川内川にはない時代で、狭窄部の大体まん中ないし少し下流のほうにダムができておるようで、私も現地を見ておりませんが、まあ九州地建の話を、昨日も河川部長に来てもらいましていろいろ検討したわけでございます。確かに地元と会社側に紛争が生じておりまして、現在県が中に立ちましてあっせんに努力しているようであります。水利使用許可の手続関係から言いますというと、そういう問題がございますので、とりあえず四十二年の七月から四十二年の十二月末日までの第一回の暫定更新を行なっております。それから四十三年、ことしに入りましてからまた第二回目の一年間の暫定更新ということで現在やっております。手続上はそういうことでございますが、いろいろな対策上で、せきを下げたらどうかというような提案もいろいろあるようでございますが、現在の河川の改修計画を見てみますと、大体せきは一応現在のままでということで、せきを下げたりあるいは可動ぜきにするということを考えないで、一応せきがあるものとして上流の堤防の河川の改修計画もでき上がっておりまして、その線に沿いましていま鋭意堤防工事が上流のほうで進行中でございまして、あと一、二年ないし二、三年すればこの堤防の工事は完成する段階になっておりますので、あとしばらくしんぼうしていただきますというと、この改修工事が完成いたしますので、完成した暁におきましては、その洪水のはんらんの被害というものは解消されることになっております。ひとつできるだけ私どもも予算を重点的につけまして、改修を一刻も早く完成することによって問題の解決をはかりたいというぐあいに考えておりまして、その間に湛水等の被害も起きておるようでございますので、それにつきましては県と建設省とひとつ共同いたしまして、さらに実情を調査いたした上で、何らかの円満な解決をはかっていきたい、そういうぐあいに現在のところ考えておるわけでございまして、御了承願いたいと思います。
  491. 村山喜一

    村山(喜)分科員 いま河川局長からお伺いをいたしますと、二つの点をお考えになっていらっしゃるようでございますね。第一は堤防工事をすみやかに完結をしたならば被害は出ない、これが第一点。したがってそれまでは待ってくれ。それから第二点はいままで起こっている湛水被害については何らかの措置を、地建でしょうか、あるいは県だろうと思いますが、それが中に入って会社側からの何らかの補償金でこれを措置する、こういうふうにお伺いしたと考えてよろしいですか。
  492. 坂野重信

    ○坂野政府委員 大体そういうことで、補償金になるかどうか、その辺の問題は私どもまだ具体的に考えておりませんが、十分地建の出先等とも連絡いたしまして、県のほうも一生懸命に何とかしょうというぐあいに努力しているようでございますので、県とも相談して、ひとつ円満に解決をはかるように持っていきたいと思います。
  493. 村山喜一

    村山(喜)分科員 これも水利権が当時は県知事のもとにあった。今日においては建設省設置法の上から見まして大臣にあるわけですね。その大臣の権限は地建の局長に委任をされているのですか、それとも大臣がまだ握っているわけですか。
  494. 坂野重信

    ○坂野政府委員 期間更新は地建局長に委任されております。
  495. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、大臣は委任をした地建の局長に対して、適当な指導監督というのですか、それはできますね、設置法において。
  496. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そのとおりでございます。
  497. 村山喜一

    村山(喜)分科員 これの水利権を認める権限というのは、今日においてはもう大臣が地建の局長に専決委任しているわけですから、地建の局長がこれを許可する権限を持っているわけですね。
  498. 坂野重信

    ○坂野政府委員 期間の更新については地建局長に委任しておりまして、新しく認可するときには、もちろんこういった問題は大臣みずから許可するということでございます。
  499. 村山喜一

    村山(喜)分科員 それも期間更新という単なる更新であれば、継続して水利権を使用させるという単なる契約であれば、地建の局長段階で可能だ。しかし契約を解除して、そうしてそれについてはもう使わせない、こういうことにするためには、これは大臣が決定をしなければいけませんね。
  500. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そのとおりでございます。
  501. 村山喜一

    村山(喜)分科員 ところで、この水利権というものは、一定の権限内においては補償をされるが、その期限を切れた場合に、もしそれを取り消す、そのときには補償費は払わなくてもよろしいということになっておりますね、水利権を保有していたものに対して。
  502. 坂野重信

    ○坂野政府委員 補償費は払う必要はございません。
  503. 村山喜一

    村山(喜)分科員 その補償費も支払う必要はない、だから、水利権の使用権というものが四十二年六月三十日で切れたわけですから、今度は新たな立場において更新をすべきであるかいなかということを判定をし、そうしてその必要性があるかどうかということを認知しなければならない。そのときには地建の局長でそれが十分できるのですか。あなたはそれに対してどういうような指導をなさるつもりなんですか。先ほどの話を聞いておりますと、これは上流の堤防工事が終わればそれでおさまるものだ、こういう認識に立っていらっしゃるようでございますが、そうするならば、引き続いて契約更新をしていく、あらためてまた五十年なりの許可を与えていく、こういうことを考えていらっしゃるわけですか。
  504. 坂野重信

    ○坂野政府委員 現在暫定の更新期間中でございますので、まだ日にちもございますので、できるだけその間において地元の調整もはかり、堤防のほうも促進するということで、そういうことによって地元の円満な解決をはかり、河川の水利使用権問題については、もちろん河川の治水上の問題もございますけれども、河川の総合的な管理という立場からいいますと、やはり利水も重要な問題でございますので、その辺も勘案しながら、そういった水利使用権問題等を扱っていくわけでございますので、総合的な時点において、そういった努力を払った上で、その時点がまいりましたらその時点において地建局長にいろいろ行政指導をしていきたいというぐあいに考えております。
  505. 村山喜一

    村山(喜)分科員 昭和二年の八月の十一日ですね。これは私は自分の選挙区内ですから場所をよく知っております。非常に山が迫りまして関所みたいに——川内の上のほうは川幅の広いところですが、その地点だけ山合いの地点になりますから関所みたいな形になるわけです。また、下のほうはだんだん川幅が広くなっていきますが、その地点につくっているわけです。ですから、そこをもう両側を切り取って川幅を同じようなふうにするならば、治水の上から考えたら一番いいのです。にもかかわらず、そこに発電所の水利施設をつくってありますから、その天然のいわゆる狭い関所みたいなところにつくってあるわけですから、そこで水がせきとめられる。そのために逆流しまして大水害が発生をしておる。当時の記録を調べてみると、死者が六名、当時は馬がおったわけですが、馬十一頭が溺死をした。そうして当時の被害金額は十万円だという記録が残っております。役場はわりあいに高いところですが、役場のありますそこも四尺くらいの水が濁流として流れて、たいへんな状態だったという記録がある。その当時はもちろん堤防はなかったでありましょう。しかし、今日堤防があってもなおそこに水が集中してくる。堤防ができるということは、上流のほうの遊水地帯がなくなるということにもなるのですよ。遊水地帯がなくなって一ぺんに大きな水がそこに集中してくるというのが堤防じゃございませんか。ですから、堤防をつくるということはそれだけ、雨の量にもよりますけれども、水圧が強くなっていく。当時そういうようなたいへんな事故がありましたので、水圧式の可動とびらに改善をした。それを今回はもっと、そういうような状態であるからせき堤を下げて、そしてもっと増水になったら自然に水が押し出されるような形のせきをつくってくれということを、その被害を毎年受けている吉松町の農民の諸君は言っておるわけです。ところが、建設省の地建のほうと話をしてみると、さっぱりそれが響いてこない。だから交渉に行った諸君は、地建の役人の諸君とこの水俣の窒素の株式会社のほうとはぐるになっているんじゃないかという感じを持って帰ってきているのですよ。ですから、そこに今日非常に大きな問題が発生をして、いま大臣のところにお示ししましたように、役場、議会が中心になって、町をあげてのそういうような集会、運動が行なわれているわけです。ですからそういうような問題が一向に解決をしないということは、その堤防工事が完結したあとにおいて水害が発生をしないという証明を責任をもって局長、答えられますか。
  506. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ちょっと私のお答えをする前に先ほどの説明を、若干技術的になりますけれども、御説明しておきたいと思います。  先生御承知のようにダムのございますのは、私現地を見ておりませんけれども、資料によりますと狭窄部の中にあるわけでございます。その狭窄部を離れて上流側のいわゆる水がはんらんするところまではかなりの距離があるわけでございます。いろいろ九州地建その他におきまして計算を行なっております。それは水の量によりましてダムの影響が——ダム地点では大体三メートルくらいせき上げておるようでございますが、上流に行くに従ってせき上げの影響はだんだん減ってくるわけでございます。水の量の多い場合には、大体せいぜい二、三センチくらいの影響しか洪水の場合にない。ですから、非常に極端な言い方をおっしゃっているようでございますけれども、水位の上がりというものはわずか二、三センチだ、洪水の場合。大半の水のはんらんする場合には、上流に堤防ができたために、上流から来た水がこの堤防のできていないところにはんらんするのであって、昔は初めからはんらんして堤防がなかったようです。もちろん、水の量の少ないときにはこれはまあ何センチになるか、もう少しせき上げの影響は多いかもしれません。そういう観点で、ダムがあるために致命的な影響があって、そのために田畑がやられたり牛が流れたり、家屋が流れたりということじゃございませんので、これは大きな誤解でございまして、その点だけはひとつ御了承願いたいと思います。ダムの影響がどのくらいあるかということが問題でございまして、相対的な関係からいうと二センチとか三センチ、あるいは非常に水量の少ないときにはその影響が若干大きくなりますけれども、まあせいぜい一尺くらいの影響があるかないか。その辺は計算のしかたによりまして私どもの計算と、あるいは地元で計算をおやりになっておるということも聞いておりますけれども、その辺は議論のあるところでございますけれども、たかだかそういった大台的に申しますと、全体のはんらん水深が何メートルあるか知りませんけれども、二メートル、三メートルといいましても、まあそれの一割かあるいは何分ということでございまして、それにいたしましても、そういった影響のあることは間違いないわけでございますので、程度の差はございますけれども。それといろいろ私どもが河川改修を考えますときにはそういった狭窄部のある場合にはこれを開さくするのも一つ方法でございます。それから狭窄部の上にそういったせき堤をつくるのも一つ方法で、いろいろ総合的に勘案いたしまして——先ほど申し上げましたように、河川というものはもちろん治水が重点でございますけれども利水ということもまた非常に重要なことでございまして、その辺を勘案しながら河川計画というものを長年調査しながら立てていくわけでございます。そういう観点から私どもとしましては、この川内川の基本計画というものは一応あの狭窄部を開さくしないであのダムを生かしておくというような前提に立って計画を進めて、もうここ数カ年、それによって実施しておるわけでございまして、あとここ一、二年すればこの堤防が完成いたします。完成すればおそらくは、よほどの異常出水がない限りは私どもの考え方ではまずだいじょうぶと考えておるわけでございます。もちろん最近の水の出方等を考えてまいりますと、非常な異常気象というものが起きてまいりましてそういう状態になりますと、それは必ずしも堤防ができ上がっても絶対にだいじょうぶだ、どんな洪水が来ても絶対にだいじょうぶということは申し上げられないかもしれませんけれども、まずまず私どもの考えているような計画の流量が来た場合に対しては安全だということを申し上げておるわけでございますので、いろいろ御不満はございましょうけれども、できるだけひとつ堤防を進めてまいりたい。その間の被害の問題についてはできるだけ並行して、ひとつ地元の協力を得たいということで、九州地建の発言等で何か誤解がございまして、ダムの立場だけ考えておるようなことをあるいは地元の人たちあたりに申し上げたかもしれませんので、その点があればまことに申しわけないと思いますけれども、決して電力側の肩を持ってやっておるということは毛頭ございませんので、その点はひとつ十分御了承いただきたいと思います。
  507. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間があと五分しかありませんので、この前のえびの地震の被害によりまして、川内川だけでも一億数千万、ひび割れその他堤防に亀裂が生じております。山のほうを見てみると、しらす地帯でありますから大きな山林の崩壊がある。土砂くずれがありまして、地すべりが起こっております。いまでもなおその震動が続いておるわけでございますが、そういうように山くずれがし、土砂が崩壊をしたものが水路をいま埋めておる。これは災害復旧事業としてやってもらいますが、それにしても雨が降るたびにそういうようなところから崩壊した土砂が河川のほうに流出をしていくことはいなめない事実であります。そのような状態の中にありますときにこの問題がまだ一向に解決しないという状態で放置されておりますと、不測の被害、災害が発生する可能性のほうが大きいと思うのです。建設省で、じゃ一年間の間に堤防を完全に直し、なおできていないところは全部つくり上げていくのだ、だから心配するなとおっしゃれば、それはそれで答弁になりましょう。しかし予算関係もありますから、それは二年かかるかあるいは三年になるかわからない、こういうような状態でその間待ってくれといわれても、それは住民としてはまだおれたちは毎年水のためにやられているのだがということで苦情は絶えないし、心配もまた絶えないと思われる。だからこの問題は、もっと住民の立場において問題を考えていただきたい。大臣どうでございましょう。
  508. 保利茂

    保利国務大臣 私は川内川のこの間からの地震被害については、実は河川局長が、あの地帯の土質の関係からして、河川に土砂が流入するというようなことを非常に心配しておりました。したがって、川内川の改修整備というものは、そうでなくても急がなければならない、そういうような事情もあるようでございますし、時代が違いますから、とにかく五十年前の頭ではやはり何といっても沿線の住民の福祉の増進ということは、第一に考えていかなければならぬわけでございますし、そういうことで河川局でも力を入れて心配をいたしておりますから、いわんや九州地建のほうが何か会社側とぐるになってというようなことは、これは許さるべきことではない。それは村山さんもそんなことを信じておられるとは思わぬのですけれども、さようなことは絶対にあるわけはございませんし、局長が申しておりますような線をひとつ強化して、できるだけ地元の方々の御不安を解消するように努力をしていくということが大事だろうと思っております。
  509. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私もそういうようなうわさは信じたくないのであります。しかし会社側と話をしてみると、なかなか渋いのです。というのは日窒が七百名の合理化でいまの人員を、働いている従業員をやめさせなければならないという問題をかかえている。  それからもう一つは、熊本県内に五、六カ所の同じようなそういうダム水利施設の発電所の井ぜきがございます。それに波及するおそれがあるということでなかなか補償費は渋いのであります。そういうような問題がございます。これはやはり建設省のほうが積極的に、もう前はそれは県知事が許可をしたのでございますから知事の責任でございましょうが、今度は大臣責任を持っていただく直轄河川になっているわけでございますので、今後早急に円満な解決が見られるように要望を申し上げまして終わりたいと思います。
  510. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次回は明十三日午前十時より開会し、引き続き建設省所管について審査を行なうこととして、本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十三分散会      ————◇—————