○中曽根国務
大臣 私の考えも部下の考えも一貫して変わってはおりません。基本方針としまして、この六月までに、省内に
行政刷新本部を設けまして、いろいろ
事務の再点検、
検討をやらしております。その中に民間コンサルタントや学者の
意見も取り入れまして、必要な改革をやろうと思っておるのであります。そして私の考え方では、陸運
行政の中にもいろいろ種類がある。たとえば車検、登録
事務というような問題は、これは自動車の戸籍、財産権、抵当の対象になるような問題でありまして、これは土地の登録と同じように国が行なうべきものであると思います。なぜならば所有権の公証に関することでありますから、国が責任を持って全国的に統一しておく必要があると思うのです。現にそういう
意味から、臨調の
報告でも、車検、登録のこれは特別会計になっておりまして、これは
地方に回す必要はないと臨調の
報告にも書いてあります。大体こういう仕事は、私は電子計算機を入れまして、全国的に中央センターに登録を一括して行なおうと考えて、来年からそういうことをやろうと考えておるのであります。これはいま電々公社ともいろいろその打ち合わせをしております。それによって、たとえば自分の登録した県へ行かなければ、いろいろ登録
事務がまたできないというようなことはなく、どの県へ行ってもボタン
一つ押せばわかる、あるいは犯罪防止その他につきましても、ボタンを押せばすぐわかるようにするという
意味において、そういう必要な改革を、民間コンサルタントの
意見も聞きまして実はやろうと思っておるのであります。そういう
意味において、この車検、登録のような仕事は、これはむしろ国の支分部局として行なうべきであって、必ずしも
地方に委譲すべきものではないと思っています。
それから第二に、安全基準の確保、その他で国家的統一を要する問題がございます。そういう技術水準とか安全基準とか、そういう方面で国家的統一を要する問題は、これまた国が行なうのが適当だと思っております。
しかし、
地方的な道路運送
行政、たとえばバスのタイムテーブルの問題であるとか、そういうような局部的な
地方的なタイムテーブルの問題は、これは
地方に委譲してもいいし、また、ものによっては民間に移してもいいと私は思うのです。陸運
事務所の場合は、ほかの役所と違いまして、ほかの労働省やその他の場合には、わりあいに県庁の中で同じ机を並べて働いておる場合が多いのです。しかし、陸運
事務所の場合は、別に
事務所を持っておりまして、県
知事に機関委任をしておりますが、
知事がまた陸運
事務所の所長に相当な委任をして、判こまで預けてやっておるというのが
実情なのです。それはやはり仕事の性質が、県庁が
地方的に取り扱っておる問題と違う問題がかなりあるのでありますから、そういう取り扱いになっておるのだろうと思います。
そういう
意味におきまして、必要に応じて民間に委譲するものもありますし、
地方に委譲するものもありますけれ
ども、いま申し上げた限度における範囲内のものは、これは国家的統一を要するがゆえに国が行なうべきである、そういうふうに考えておるのであります。この考えは当初から一貫しておるのでありまして、一部民間委譲とか、
地方委譲というふうな
ことばも言いましたから、そこで
新聞が大きく書きたてましたが、それ以外の国家的統一を要するというようなことはあまり載せないのであります。そういう点で、
新聞の記事は必ずしも私の真意をそのまま表明したものではないのであります。
以上、私の考え方を申し上げた次第です。