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1968-03-05 第58回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月五日(火曜日)    午前十時九分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 小川 半次君 理事 北澤 直吉君    理事 正示啓次郎君 理事 二階堂 進君    理事 藤枝 泉介君 理事 加藤 清二君    理事 中澤 茂一君 理事 小平  忠君    理事 広沢 直樹君       相川 勝六君    愛知 揆一君       上村千一郎君    植木庚子郎君       小沢 辰男君    上林山榮吉君       川崎 秀二君    小坂善太郎君       坂田 英一君    鈴木 善幸君       田中 正巳君    登坂重次郎君       中野 四郎君    野田 卯一君       野原 正勝君    福田  一君       船田  中君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松野 頼三君       森山 欽司君    山崎  巖君       石田 宥全君    大出  俊君       大原  亨君    角屋堅次郎君       川崎 寛治君    北山 愛郎君       久保 三郎君    阪上安太郎君       島上善五郎君    田中 武夫君       畑   和君    細谷 治嘉君       森本  靖君    山内  広君       山中 吾郎君    横山 利秋君       麻生 良方君    塚本 三郎君       浅井 美幸君    正木 良明君       松本 善明君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 園田  直君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         労 働 大 臣 小川 平二君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     赤澤 正道君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官北海道開発庁         長官)     木村 武雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         人  事  官 佐藤 正典君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         総理府人事局長 栗山 廉平君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛庁人事局長 麻生  茂君         防衛庁衛生局長 浜田  彪君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         経済企画庁調整         局長      赤澤 璋一君         法務省刑事局長 川井 英良君         外務省経済局長 鶴見 清彦君         大蔵省主計局長 村上孝太郎君         大蔵省関税局長 武藤謙二郎君         文部省大学学術         局長      宮地  茂君         文部省管理局長 村山 松雄君         社会保険庁長官 熊崎 正夫君         通商産業省通商         局長      宮沢 鉄蔵君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省選挙局長 降矢 敬義君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         国防会議事務局         参事官     久保 卓也君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 三月五日  委員角屋堅次郎君、阪上安太郎君、島上善五郎  君、楢崎弥之助君、畑和君、細谷治嘉君、横山  利秋君及び松本善明辞任につき、その補欠と  して北山愛郎君、石田宥全君川崎寛治君、久  保三郎君、岡本隆一君、大出俊君、成田知巳君  及び谷口善太郎君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員石田宥全君大出俊君、岡本隆一君、成田  知巳君及び谷口善太郎辞任につき、その補欠  として阪上安太郎君、楢崎弥之助君、畑和君、  横山利秋君及び松本善明君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算  昭和四十三年度特別会計予算  昭和四十三年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  昭和四十三年度一般会計予算昭和四十三年度特別会計予算昭和四十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行ないます。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、去る二十七日に阪上委員が、主として地方行政地方財政の問題を中心として質問されたのでありますが、その質問に対して、納得のできない幾多の答弁あるいは当面する重要な地方行財政上の問題がありますから、それにつきまして若干質問をいたしたいと思います。  まず第一点は、東京都の特別区の区長公選問題について若干質問をしてみたいと存じます。  最近新聞の社説なりあるいは解説等で、都の区長不在地方自治、あるいは区長不在区政、こういうような見出しでこの区長問題が取り扱われております。現在二十三区のうち、はなはだしいところになりますと区長が八カ月をこえて不在でございます。すでに区長不在のところが六カ所もある、こういう状況でございます。言ってみますれば、東京都の二十三区の区民福祉を推進しなければならない重責をになっておる区長選任問題をめぐって混乱が起こっておる、こういうことが言えると思うのでありますが、これについて主管自治大臣としてどうお考えになっておるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 お答えいたします。都の特別区は法律的には独立の法人格を認められておりますけれども、同時に、これは二十三区の存する地域全体にわたる大都市行政を行なっている東京都という市の性格を持っております地方公共団体の一部を形成しておるわけでございまして、この点につきましては、普通の地方公共団体、いわゆる憲法九十三条二項にいうものとは違っておることは御承知のとおりでございます。ただ現在の、ただいま御指摘になりました区長選任方法につきましては、必ずしもうまくいっておりません。そういうことから、数区にわたっていまだに区長ができないところがありますことは、まことに遺憾千万なことでございます。しかし、この問題は、人口が一千万人もある東京日本首都である、こういう特殊な事情もございますので、首都制度全般について合理化を進める一環としてこの問題の解決もすみやかにつけなければならぬと考えまして、目下大都市制度というものについて検討を加えておる次第でございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 目下大都市制度についての関連において検討を加えておる、こういうおことばでございますけれども昭和二十二年に地方自治法制定されまして、この二十三区の区長というのは公選制度になったわけです。ところが昭和二十七年に地方自治法の一部が改正をされまして、公選が廃止されたことは御承知のとおりであります。そこで先ほど私は、いま二十三区のうち六区もすでに区長が、長いところは半年以上、八カ月をこえて区長不在だ、いろいろなトラブルが起こっておる、こういうことを申し上げたのでありますけれども、二十七年に公選が廃止されてからどういう状態になっておるかということを、過去の記録から申し上げてみたいと思うのであります。  空白期が存在したのを過去十五カ年全体を通して見ると、いわゆる二十七年に法律が改正されましてから大体今日までの十五カ年間に、三カ月以上の空白が十四回あるんですよ。二カ月ないし三カ月の空白が六回、一カ月ないし二カ月の空白が十六回、計三十六回で、一カ月以下の空白は二十八回となって、空白期間がなく選任されたのはわずかに一回だけなんです。こういう過去十五カ年間の実績からいきますと、いま大臣が言ったように首都圏首都はどうあるべきか、そういう問題との関連において、その一環として、ただ区長をどうするかという問題一点じゃなくて、総合的に検討して結論を出さぬととおっしゃいますけれども、いま私が申し上げた十五カ年の実績、現在の混乱からいっても、区長公選を廃止したことがたいへん大きなやはり問題になっているという何よりの証拠でないかと思うのですよ。そういう意味において、自治省主管の省でありながらこの問題については私は怠慢じゃないかと思うのですね。あなたの前の大臣、ここにいらっしゃるのですが、やはりどういうことをおっしゃっておったか、同じことを言っているのです。区長公選ということは一つ前進であろうと思いますが、やはりこれは東京都全体をどうするかという問題とからめていかなければならない。区長公選にすればすべての問題が解決するということではございません。いずれにしましても、この問題については積極的な取り組み方をしたいと思っております。こう前の大臣もおっしゃっている。その前の大臣もおっしゃっているのですよ。いまの東京都知事は美濃部さんでありますけれども、その前に東さんという知事がおった。この東さんという知事は二回知事をやったのですが、選挙のたびに、区長公選にしますといって公約に掲げた、公約に掲げなければ当選できないというのが今日の実情なんです。これは十五カ年の実績が示しているとおりであります。にもかかわらず、十五年間廃止したままでこういう抽象的なことでお茶を濁していることは怠慢と申さねばならぬ。もうちょっと誠意ある答弁をしていただきたい。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 区長がきまらない各区の実情もよく調査しております。それから過去のいきさつもずいぶん調べております。これをどう前向きで解決するかという問題になりますと、簡単に割り切る人は、もうとにかく一つの市、もと東京市なんだから、東京都といっても中心は二十三区なんだ、いっそこれを行政区にしてしまって、東京都を市の扱いにしたらどうかと言う人もあるし、またそうでなくて、おっしゃるように各区長公選にすればすぐきまるわけですから、公職選挙法を適用する選挙をやってきめる、そのかわり東京都というものはもと東京府の姿にしてしまえとか、簡単に割り切る方がございますけれども、それは御案内のとおりになかなか軽率に右、左きめられる性質のものではないのであります。ですから、ただいま申し上げましたように、都の事務だとかあるいは区の事務だとかいろいろな配分関係等も考慮し、また財源措置等も考慮して、そうして一つ東京、二十三区がまとまった形で行政が行なわれるということを中心といたしまして、ただいま申しましたような案件につきまして御検討願っている最中でございます。いずれにしても大問題でございますので、さらに御指摘のとおりに検討を進めてすみやかに結論を得たい、かように考えております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの大臣答弁も全くおざなりで前向きじゃないわけですね。いまおことばにもありましたように、私が引用いたしました前自治大臣、ここにいらっしゃいます藤枝さんの答弁というのは、これは四十二年の十一月十三日の答弁なのです。当時、まだ自治大臣ですよ。ところが、十二月の二十一日、それから一カ月ばかりたったあとでは、自治省の幹部は、東京市政復活するのだと、こう言っているのですよ。復活するのだ、こういうことを考えますと、大臣事務当局とばらばらですよ。大臣が言っておるかと思うと、下のほうでは、いや、東京市政復活するのだ。いま赤澤大臣は、そういう意見もあるがと言いますけれども、十二月二十一日付の新聞には、東京市政復活するのだという意見自治省意見として出されております。一方では、大臣は、区長公選はいいけれども、その前にもっと総合的な検討を必要とするのだ。やはり一歩前進だということを認めた上で、そればかりじゃなくて、ほかの問題も検討しなければならぬということを言っておるかと思うと、一方では東京市政復活論をぶっておるのですよ。これは全く私は無責任なことばだ、こういうふうに申さなければならぬと思うのであります。二十七年に改正されましてからずっと混乱が起こって、今日まで続いておる。この混乱は、これから十五年たったからといってよくなるという保障は何もないですよ。大臣、御存じですか。この問題について、住民の中から、何といっても早く区長選任してもらわなければならぬ、こういう声が起こりまして、条例制定権というような住民請求が起こったことは御承知ですか。その住民請求権をどういうふうに党なり自治省が扱ったかということを御承知ですか。御承知であったら、お答えいただきたいと思うのです。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 行政局長をして答弁いたさせます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣が知らぬでどうなるのですか、重要な問題なのに。
  10. 有馬元治

    長野政府委員 練馬住民の中から区長選任に関しまして条例の直接請求が出ましたことはお話のとおりであります。それは、練馬区長候補者決定に関する条例というようなことでありまして、その内容は、区長候補者区議会決定をいたしますために、選挙権を有する者につきまして、区議会に届け出をいたしました者につきまして、実質上投票によってその多数を得た者を選ぶというような内容であったと考えます。そういう問題につきまして、現在の区長選任は、区議会都知事同意を得て選任するというのが地方自治法のたてまえでございます。したがいまして、そういう点では、区議会区長選任のイニシアチブというものを持っておるわけでございます。条例は、その点について実質公選に近い形で多数を得た者を区長候補者にきめるということでございますので、現行法のたてまえと異なる内容を持っておるわけでございます。そういう意味で、条例制定——でき得ない内容制定しようという直接請求という形でございますので、練馬区におきましては代表者証明書の交付をしなかったという、こういういきさつでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 練馬区におけるいわゆる住民請求、これについてはいま行政局長がおっしゃったような趣旨のものであることは、私も承知しております。  大体現行法では、区長選任というのは、区議会知事同意を得て選任をするということになっておるわけですね。言ってみますと、区議会がどういう形で選ぼうが、これはフリーハンドですよ。その場合に、区議会選任方法について一つ条例を自主的につくって、それに基づいて候補者選任をしていくことはこれはフリーハンドなんです。法律に何も書いてないわけですから、ある学者は、これは法律空白状態と言っておる。フリーハンドの中においてこういう方法区議会はいくんだという形で条例をつくって、それに基づいて区長になる人を選んで、知事同意を得て——知事はむろん拒否権を発動することはあり得るわけですね。やればこれは自治省は違法違法の一点ばりですね、いま裁判になっておるのです。こういうふうな混乱を起こしているのも、これは自治省の責任じゃないですか。私は、二十七年に自治法を改正したのも、区民住民福祉を増進するという問題よりももっと前に、一つ政治情勢、政治的な意図、こういうものから区長公選がはずされたとしか言えないのではないか、今日混乱があるのは、大臣みずから認めているように、一歩前進であるということならば、進んで区長公選を実現すると同時に、その他の問題については、あわせてやはり積極的な改革をはかっていくべきだ、こう思うのです。それすらやらぬ。しかも主管庁である自治省が、大臣以下意見がまちまちだ。しかも十五年たった今日において、混乱の中においてそういう事態にあるということは許せないことだと思うのです。もう一度ひとつ大臣……。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま申し上げましたとおりに、これは非常にむずかしい問題でして、私も自治大臣になりました機会に、せめてこれ一つと取っ組みたいくらいな考え方を持っておりますけれども、御案内のとおりになかなかそういう状態ではございません。練馬の場合は、ただいま行政局長が申しましたとおりに、そういう条例制定を直接請求されておることはよく承知しております。しかし結果的には、公選と同じ内容のものを認めろということでございまするので、いまの段階では適当ではないという判断を私どもは持ったわけでございます。  いずれにいたしましても、地方自治法が施行になりまして二十年を迎えるわけでございますけれども自治省としての指導の足りない面は、たいへん恥じ入るわけでございます。しかしながら、御案内のとおりに、どの区を見ましても、多党化傾向と申しますか、なかなか相談がまとまらない。過半数の党がおりましても、中にもいろんな事情が伏在しておりまして、これが一つにならぬという妙な状態になっております。しかし、私どもといたしましては、とにかく誠意を尽くして、この問題をいまの段階解決していただくように、さらに努力は重ねなきゃならぬ、かように考えております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 努力はするということでありますが、大臣承知かと思うのでありますけれども、非常に保守的だといわれておりますロンドン、これは一九六五年にロンドン行政法という法律ができまして、言ってみますと、大ロンドンというものと、ロンドン区、または市、こういうものになりまして、そして一種の、日本で言うと、都道府県と市町村という形の、二重の地方行政というものが進められることになったわけですね。これは六五年のことです。ある雑誌にそれを調べた人が出しておりますが、ロンドンの面積は千六百七十平方キロだ。人口八百十三万だ。そして、今度設けられた区または市の数というものは三十二だ。東京都の場合は二千二十三平方キロだ。これはむろん伊豆七島等を除くわけです。人口は二十三区で八百五十九万だ。こういうことでありますから、この大ロンドン行政法、こういうものを一つの参考にいたしました、昨年のロンドン大学ロブソン博士の「東京都政に関する報告書」というものがありますが、それを読みますと、東京都の問題について、四十日間の研究の結果というものが、かなり的確に、一つの見方として、この報告に要約されておると私は思うのですよ。この報告は、東京都の二十三区というものは、ひとつ区長公選自治区にしたらどうか、それから周辺の三多摩のほうのあれは、人口三十万から五十万くらいの市にひとつまとめて、完全な自治体としてやったらどうか、こういうことに尽きます。あとで、また大蔵大臣等に申し上げたいと思うのでありますが、国の地方に対する行政上、財政上の姿勢というものについてかなり痛烈な批判というのを、このロブソン博士はしているのでありますけれども、こういう一つ報告というものもあるわけであります。ところが、自治省のある人は、東京市の復活だ、こういうことを言っております。私は、今日の二十三区の実情からいっても、あるいは過去の混乱からいっても、もう早く区長の問題は何とかしなければならぬ、あるいは、東京全般をどうするか、そういうような問題も、むろん検討は必要でありますけれども、この問題は、もはやこのままほうっておくことはできないと思うのであります。  そこで、あまり時間を食ってもどうかと思うので、自治大臣に、この問題はいつまで結論を出すのか、二十七年以降今日まで混乱混乱を重ねてきて、しかもまだ四分五裂の状態なんでありますが、いつまでに一体結論を出すつもりか、ここでひとつ具体的な見通しを約束していただきたいと思うのです。いかがですか。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この問題だけはすみやかに結論を出したい気持ちはありまするけれども、いつまでという時間を切られましても、なかなか解決ができる状態ではございません。事務当局等が何か意見を発表しているかのごとくおっしゃいましたけれども、どういう新聞に出ておったか知りませんが、そういうことはございません。自治省といたしましても、冒頭に申しましたように、これはやはり大阪、名古屋並みのああいう姿にするのがいいのか、ただいまロブソンさんが指摘しておられますような形にするのがいいのか、まだ最終的な結論はもちろん得ておりませんし、非常にむずかしいことでして、私は四、五年前に、公選制廃止は違憲ではないかということについて裁判所が出しました判決を読んでみまして、非常に感心したわけですけれども、これは細谷先生はもちろんお読みになっておると思いますが、それほどむずかしいことでございます。しかし、合理的な解決は早くしなければなりませんので、努力をいたしておりますが、その結果はいましばらくお待ちを願いたいと思います。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 いましばらくというのが、あとでまた御質問したいのですが、臨時とか、当分の間とか、いましばらくということで、具体的になったためしはない。これもその例でしょう。ですから、大臣、いま私は六つ区長不在だと言いましたが、ことしのうちに三つか四つまた区長任期満了になるのですよ。いま予算編成期なんです。どうにもならぬでおるのです。来年になったら、また相当数区長任期満了になるのですよ。佐藤総理沖繩の問題で、両三年でめどをつけると言ったでしょう。東京都の問題についてはもう十何年ですよ。しかも、あなたは専門でしょう。どういうことにするかということについては、両三年ぐらいのめどくらいつけなければどうにもならぬでしょう。はっきり言ってくださいよ。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 根本的な解決につきましたは、ただいま申し上げたとおりに、時間を切ってというわけにはなかなかいきません。しかし、おっしゃる意味は私どもも痛切に感じておりますので、一日も早く結論を得たいと努力をしておると申し上げるほかございません。具体的には、やはりいまの選任方法になって区長ができぬはずはないのでございまして、やはりこれはいまの区会議員諸君十分職責を尽くしていないと判断されるわけでございまして、自治省といたしましては、円満話し合いで、一日も早く区長をつくるようにという指導をいたすつもりでございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの大臣答弁は不満ですけれども、できるだけ早くということでありますが、この問題は決してほうっておいていいことではありませんから、ひとつほんとうに早急に結論を出していただくように、特に強く要請をしておきたいと思います。  次の問題に入りたいと思うのでありますが、地方自治法の附則八条というのがありまして、これに、官吏である都道府県職員という規定がございます。これは昭和二十二年にできた法律そのままでありまして、この法律の中にも、「政令で定める事務に従事する都道府県職員は、当分の聞、なお、これを官吏とする。」こういうことになっておりまして、昭和二十二年から今日まで二十年以上たっておるのでありますけれども、依然として当分の間が続いておるのであります。これもいいかげんなものだと私は思うのでありますけれども、これについては、いわゆる国費職員と、あるいは地方事務官、こういうふうにいわれておりまして、三十九年の九月に臨時行政調査会の答申というものができ上がりまして、そこでは、その三一ページに「現在、地方事務官が従事している行政事務は、都道府県知事に機関委任されているが、人事権が今なお本省に属していることは、地方事務官を「当分の間」存置するという昭和二十二年制定地方自治法(附則八条)の規定の趣旨に反し、機関委任事務の遂行上異例に属するので、地方事務官は速かに廃止すべきである。ただし、現在特別会計により処理されている行政事務については、会計上別途の措置を考慮するものとする。」こういうふうに臨時行政調査会は指摘をし、その具体的な内容についてもこの勧告はうたっております。ところが、三十九年にこの臨時行政調査会の答申ができて、もう当分の間もいいかげんにせぬか、こういうことになったわけで、行政管理庁のほうでもいろいろ手を打ってまいりました。  たとえば、行管長官から四十一年の七月の二十九日に行政監理委員会の意見に基づいて、厚生大臣と労働大臣と運輸大臣と、そして自治大臣にあてまして、この臨時行政調査会の答申の線に沿うてやりなさい、こういう行政監理委員会の措置案についての要請をいたしておるわけです。自治大臣は四十一年の七月の三十日の日に全面的な解決の約束を行管長官に返答しているのです。ところが、いまだ何にも進んでおりませんね。  そこで、この問題について、ひとつ行管長官、その後どういう態度をとってきたのか、どういう努力をなさったのか、まず伺っておきたいと思うのです。
  18. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 お答え申し上げます。  私がこの問題と取り組んだのは去年の十一月の末からであります。行政改革は、抽象的には国民の大半が賛成でありまするが、さて具体的な問題になってみますると、なかなかむずかしいのです。非常に問題が困難なのでありまして、私自身もその困難さに実は驚いておるような次第なんであります。しかし、自分は行政はずぶのしろうとであってよかったと、いまさらながらつくづく感じております。知らないがためにできることがたくさんある、こう思っております。そうでありまするから、この問題は、いまだ行政管理庁としても、そういう二つの答申は出しておりまするけれども、まとまってはおりません。それから各省の意見もいまだまとめてはおりません。しかし、そういうような問題をいつまでも等閑に付しておくわけにはいかないと存じております。細谷委員の御指摘のように、二十年間もたなざらしになった問題でありまするから、もう解決しなければならない時期に差しかかったと思っておりまするから、全般的な行政改革の答案を各省から六月の末までに出してもらうことにしております。それをまとめまして、八月一ぱいまでの間に向こう三年間にわたる行政改革の具体案をつくる中に織り込んでおりまするから、少なくとも八月までの間には具体的なものを皆さま方に提示するお約束だけはできると存じております。したがって、いまだ各大臣との意見は取りまとめてはおりませんけれども、これから精力的に取りまとめてみたいと存じております。  私はそういう点でしろうとでありまするから、めくらヘビにおじずで、あるいは大胆に取り組んでできるかもしれませんが、もしも力が足りなかったならば、どうか御援助くださるようにお願い申し上げておきます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 行管長官、だいぶ前向きのことばであります。ことばだけは前向きでありますけれども内容がうつろなんですよ。  私がお尋ねしたい点は、四十一年の六月の末に行政監理委員会の結論が出されて、七月の末には関係各大臣にあなたのほうからこういう線で処置してくれ、とう言ったのですね。   〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕 そうして、いま大臣がおっしゃったのは、六月三十日というのは、ことしの二月二日の閣議決定内容でしょう。二月二日の閣議決定の間に何ら事が進んでおらない。何ら事が進んでおらぬというより、私は、むしろ混乱しておる、あなたの期待の方向に問題は進んでおるのじゃなくて、逆に混乱したのではないか、あとで各省にそれぞれお尋ねするわけでありますけれども、そういうことで、行管は二月二日の閣議まで、いわゆる四十一年の七月二十九日から二月二日の閣議決定の間まではただ単に一片の要請を関係各省にしたにすぎないのではないか、こんなことじゃいかぬじゃないか、こういうことをうつろだったのじゃないか、こう私は申し上げておるのです。そうじゃなかったのですか。
  20. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 ごもっともでありまして、先ほども申し上げましたとおりに、具体的に取り組んでみますると、なかなか困難だ、こう申し上げておったのであります。  私は、地方事務官の制度の問題だけでなく、すべての問題と取り組んでみましたけれども、やはり行政管理庁だけが独走したのではなかなか解決つかないのであります。やはり全体の省が行政改革の中に協力してもらわないとこの問題が解決できないものですから、その点では今日まで非常に苦労してきたのであります。したがって、実るときには一度にすべてが実るという考えを持っております。実らせる自信もまた持っております。私は、少なくとも言ったことだけは実行してみたい、実行できないことは言わない、こういう考えで臨んでおりまするから、在来のことばだけのとおりだとお考えにならないで、どうかしばらくその時間だけお与えくださったならば非常に幸いであります。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、各大臣質問をする前に、この附則八条の立法の趣旨をまず自治大臣質問しておきたいと思うのです。  これはもう当分の間なんというのが言えない立法の趣旨なのだということなのであります。昭和二十二年の五月三日に、附則八条を受けての政令が出ております。その政令はどういう名前かといいますと、地方自治法施行規程という政令であります。いわゆる一般的な法律があって、政令があって、そうして規則がある、そういうものじゃなくて、地方自治法という新しい法律の施行にあたって、従来のレールから新しい地方自治法のレールに乗せるための経過措置なんです、地方自治法施行規程という政令は。その政令の二十二年五月の三日に出ました六十九条というのは「地方自治法附則第八条の事務は、左の通りこれを指名する。」こういうことになっておりまして、そのときは四号しか出てないのです。四号ですよ。ところが現在の政令は、地方自治法施行規程第六十九条というのは六号まで出ておるのです。追加されておるのです。当時一番最初出ました、二十二年五月三日に出ました四号のうちの一つは、小学校、中学校、高等学校、大学校、幼稚園並びに少年教護院における事務に従事する職員は当分の間官吏だといっている。二号は厚生省関係であります。三号は労働省関係であります。四号は国の公共事業または産業経済費の支弁にかかわる、北海道開発にかかわる事務であります。これだけあります。その他はこの当時出されました附則六条によりまして、これは全部県の職員に切りかえられたのであります。例外はこの四つだけであります。その例外がその後につけ加えられたのですよ。現在はなくなったものがあって、そして六つになっているのです。こういうことからいきますと、この法律の政令が「当分の間、」といって、戦後二十二年から四十三年の三月五日の今日まで続いていること自体が法律的な常識からおかしいばかりじゃなくて、この政令そのものの本質からいって、立法の趣旨からいってあり得ないことだと私は思っている。どう思うのですか、自治大臣。こんな法律はもう今日の段階では早く全部なくなしてしまわなければいかぬですよ。
  22. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 全く自治省の立場としては細谷委員の仰せのとおりでございまして、私どもは、ここへいま御指摘になりました地方自治法の附則第八条の条文を持っておりますが、まあ卑俗なたとえから申しますと、自治省側としては、ちょっと関係各省にひさしを貸したような立場でございまして、おもやの中に入っていただきたい。と申しますことは、冒頭おっしゃいましたように、やはり日本行政の根底は地方自治にあるわけでございますので、やはりこういう形の存在は望ましくないという考え方に立っております。地方自治法施行規程もここに持っております。なるほど六号までありますが、一、四、五はすでに削除になりまして、三つだけ残っております。いろいろこの間の事情を調べておりますけれども、それぞれなかなか違った所管省でございますので、事情もあります。私どものほうといたしましては、やはりひたすらお願いをして、そして関係地方公共団体の中に入れていただきたい。それはただいま行管の長官が申されましたように、私は一つのチャンスであると思う。と申しますことは、先般一省庁一局削減というたいへん手荒い療治が行なわれました。これは、行政改革はこれでもちろん終わるものではなくて、この精神でやれという一つの範を示されたものと考えております。そこで、それに引き続いて、それを受けてと申しますか、やはり各省庁で行政改革をほんとうにやるという決意を持つに至りまして、六月の末までに各省庁それぞれ行政改革案を行管長官の手元に出すということになっておりますので、私どもは関係各省にもぜひお願いをして、そして地方自治の趣旨をぜひ通していただきたい、かような考え方を持っておる次第でございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、もうちょっとこの法律内容についてお尋ねしたいのでありますが、いまの法律附則八条の定数は、政令六十九条の二号関係が一万四千五百六十六、それから労働省関係の三号関係が二千三百九、運輸省関係の六号関係が千九百九十一、四十三年度の場合には六号関係が二千百三十六に改められるように承っておるのでありますが、定数はそのとおりですか。合計一万八千八百六十六、これは四十二年度の現行政令定数ですね。間違いありませんか。
  24. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 四十二年までは御指摘のとおりでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 四十二年まではよろしいということでありますが、大臣地方制度調査会におたくのほうから出た資料があります。それによりますと、厚生省関係の一万四千五百六十六というのは、これは変わっておりません。四十三年度は一万四千四百八十二と予算定数はなるようでありますが、職業安定行政関係は七百七十人の地方事務官の数のはずでありますけれども、一万六百八十五人おるとあなたのほうの資料はいっているのです。それから失業保険関係は、地方事務官は千五百三十九の定数のはずでありますが、六千二百四十九人おるとなっております。予算の数からいきますと、おたくのほうの地方制度調査会に出された数字が合っているのですね、これは。定数オーバーじゃないですか、どっちがほんとうなんですか。
  26. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その数字は事務当局から申し上げます。
  27. 有馬元治

    長野政府委員 お答えいたします。  地方事務官の現在の合計は一万八千九百三十八人でございまして、先ほど御指摘のございました数字は、職業安定関係に、いわゆる職業安定所に労働事務官がおりまして、九千九百十六人おりますが、失業保険関係にも、その関係の労働事務官が四千八百三十四人おりまして、地方制度調査会に出しました資料は、地方事務官とその労働事務官合わしました数字が、内訳の明細を欠いてお手元に出ておるように思います。そういう意味で、地方事務官だけにいたしますと、職業安定関係は七百七十人、失業保険関係は千五百三十九人、こういうことに相なります。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 この出た資料には職業安定関係、四十二年度一万六百八十五人、うち地方事務官七百七十人、人件費八十七億三千三百万、一人当たり八十二万、物件費八億八千八百万、一人当たり八万円、合計人件費、物件費九十万、維持修繕費、施設整備費その他として九十七億円というのが計上されているのですよ。これは国費でしょう。いまの行政局長答弁と違いますよ、これは。地方事務官と労働事務官なんという、そうじゃないですよ。失業保険については六千二百四十九名、うち地方事務官千五百三十九名、こう出ているのです。その予算額六十一億一千万円と出ていますよ、国費職員でしょうこれは。この六十九条の三関係で合計五百億円程度の国費職員が出ているのですよ。定数オーバーじゃないですか。
  29. 有馬元治

    長野政府委員 お答え申し上げます。  地方事務官の定員につきましては、厚生年金、国民年金等の社会保険事務関係は一万四千五百六十六人でございます。それから、御指摘のございました関係になりますが、職業安定関係の地方事務官は七百七十人でございます。それから失業保険関係の地方事務官は一千五百三十九人でございます。七百七十人と一千五百三十九人を加えますと、労働省関係の地方事務官は二千三百九人と相なります。運輸省関係の陸運事務所関係は二千六十三人でございまして、合計いたしまして一万八千九百三十八人でございます。地方制度調査会に出しております資料は先ほども申し上げましたが、そのほかに労働省の関係で職業安定所の職員は労働事務官ということになっております。その労働事務官の関係の定員と事務費もちょっと資料が正確を欠いておるおそれがございますが、それを加えたものをお示ししているように思います。したがって、その関係を引いていただきまして、純粋の地方事務官はただいま申し上げました厚生省関係の一万四千五百六十六人、労働省関係の二千三百九人、運輸省関係の二千六十三人、合計一万八千九百三十八人、こういうことになっております。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 今日、七百七十人で職業安定行政なんてできるのですか。私はやはり一万人くらいという——実人員一万六百八十五名、うち地方事務官七百七十名と出ているのですから、そして地方制度調査会に出た資料というのは、事務の再配分に関連して財源がどういうふうに動くかという資料でありますから、行政局から出た資料じゃありません。財政局から出た資料であります。どっちがほんとうなんですか、はっきりしてくださいよ、同じ自治省から出ているのだから。大臣、判断に困りますよ、これは。
  31. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 なかなかこまかいことでございまして、いま説明を聞きましたけれども、関係各省の政府委員の説明のほうが早わかりがすると思いますので、そのほうからお聞き取りを願います。   〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 有馬元治

    ○有馬政府委員 数字が少し混線しているようでございますが、労働省の関係、いわゆる職安関係の府県段階における地方事務官の定数は二千三百九名でございます。それで、先ほど七百七十名という御指摘がございましたが、これはこの二千三百九名のうち、一般会計に所属する者が七百七十名、それから失業保険特別会計に所属する者が千五百三十九名、合計で二千三百九名、こういう数字でございます。それからさらに安定所につとめておる労働事務官の定数がこれに加えられて、地方事務官という定数で先ほど論議されておりますけれども、これがさらに四十三年度は一万四千五百五十四名労働事務官がございます。これは四十二年度と比べますと七十二名の減になっております。したがいまして、この労働事務官と地方事務官と両方合わせますと一万六千八百六十三名というのが来年度の成規の定数でございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 私はいま話を聞きまして、附則からくる六十九条の定数なんというのもいいかげんなものだ、こういう感じをぬぐえない。そこで、地方制度調査会という長い間地方制度の問題に取り組んでまいった、言ってみますれば、権威ある調査会に出した資料、そういうものと、いまの説明をお聞きしますと食い違いが起こっておるように思うので、詳しい資料は後ほど四十二年度と四十三年度にわたってのわかりやすい一覧表をひとつ提出していただきたいと思うのです。  そこでお尋ねいたしたいのでありますが、この予算定数、実数というのはずいぶん多いようでありますけれども、この定数は今度国会に出されます行政機関の職員の定員に関する法律案の第一条、五十万六千五百七十一人の中に含まれておりますか、含まれておらぬのですか。
  34. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 含まれておりません。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 含まれておらぬということになりますと、この地方事務官というのは、附則で例外として官吏ですから国家公務員のはずでありますけれども、国家公務員の定数には入らないわけですね。地方公務員の定数の中にも入らないのでしょう。一体これは何ですか。その身分は何でしょうか。国家公務員の定数にも入らない、そして地方公務員の定数にはむろん入ってない。そして、きわめて臨時の臨時の、もう当然廃止されておらなければいかぬはずの地方自治法施行規程の第六十九条の「当分の間、」という職員の身分なんだ。その数も、言ってみますと、予算定員とそれから実員との間にはものすごい食い違いがある。こういうことになりますと、この職員の身分というのは、これはえたいの知れないものだと申さなければならないのでありますが、どういうことなんですか、これは。
  36. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 局長をして答弁させます。
  37. 大国彰

    ○大国政府委員 お答えいたします。  地方事務官は都道府県の機関に属する職員でございまして、先ほどお話がございました五十万六千の中には入っていないわけでございます。五十万六千は各省、国の行政機関に所属する職員でございますので、この中には入れてございません。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 長官、この中には入っておらぬ。言ってみますと、地方の仕事をしているのであるから当然原則は六十九条でありますけれども地方公務員であるという原則に立っておるわけですね。仕事もそうだし、原則も地方公務員なんだ、これは確認されている。ただ、当分の間ということで官吏の身分になっているだけなんだ。そういうことでありますから、ここをすっきりしなさいというあなた方の主張、臨時行政調査会の主張というのは、文字どおり正しいと私は思うのですね。  そこで、私は進みたいと思うのでありますが、ところで二月二日の日に会議が開かれたのでありますけれども、閣議決定がなされました。行管の方針の線に沿ってやることになったということでありますが、新聞等を見ますと、その後運輸省の動きは激しい。労働省の動きもやや激しいようであります。新聞等でわりあいに静かにしておるのは園田厚生大臣のようでありますが、園田厚生大臣、この問題——いままで大体本質上の問題ははっきりしたと思うのですが、この問題はどういうふうにお思いなんですか。どういうふうに解決しなければならぬとお思いなんですか。まずひとつ厚生大臣、六十九条の二号の問題、お尋ねしたい。
  39. 園田直

    ○園田国務大臣 お答え申し上げます。  まず私の所管の数字は、御指摘の数字に一名も狂いはございません。明年度四十三年度は定員減の線に従って一万四千四百八十二名、こういうふうでございます。御指摘の点は全く私もそのとおりであると考えて、申しわけないと存じておりまするが、ただ政府管掌の社会保険、各保険とも、それぞれ制度の適用、保険料金の額、あるいは給付の内容等、全国統一的に法定されておりまして、経営の主体である国が責任をとり、全国におる被保険者それぞれを対象として一体的に運用せらるべきものであって、特に年金については、世界各国の例をとりましても、これは経営の主体者である国が中心になって一体的な運営をしておる関係がございまするので、非常に困難を感じておるわけであります。しかしながら、いま御指摘のとおり、まず法律上の問題から暫定的な問題で、しかも定員法に示されない人々、自治法の施行規程の中で定めた定員、しかもそれは暫定的なものである。なおまた、あとで御追及あると思いまするが、その地方事務官の給与の問題についても、各県それぞれ調べてみますると、地方公務員との格差があるところがございます。中には、中堅以上の公務員については地方公務員より高いところもございまするが、なおまた人事の適材適所という点につきましても、現在保険所長、あるいは課長等は地方採用の者を充てておりますものの、何といいましてもそういう点から考えますと、ただこれは困るからほうっておくべき筋合いではないと考えます。ただし、現場を担当いたしておりまする厚生大臣といたしましては、なおまた、社会保障制度が年金と保険の二つの柱を中心にして発展していかなければならないとすれば、これを地方に移管するならするで、それに対する国の監察の制度であるとか、あるいは指導強化の方法であるとか、あるいは地方に委任いたしました場合に、保険の料金徴収、そういうもの等についてどうやって一体的な運営をするのか、あるいはやむを得なければ人員をうんとふやして国家公務員にするのか、どちらかそういう現場の業務を、保険、年金の本質条件を満たすだけのいろんな手当てができなければ、私のほうでは踏み切るわけにはまいりません。しかし、いま御指摘の点は全くそのとおりでありますから、これを早急になどという通りことばではなくて、近々のうちに各省と話し合って、そうして適切な処置をしたい、このように考えておるから、私は沈黙をしておったわけであります。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣指摘のように、私は先だってある県に行きました。社会保険事務に従事している職員、これは主として現地採用でありますが、同僚の人は県の職員であります。同じ県庁の中で仕事をしているんですね。やはり収入は一万円くらいの差があるというのであります。そればかりじゃないのであります。課長や係長というのは中央人事なのであります。知事の人事権も及ばないのであります。厚生省の人事なのであります。幾らつとめておろうとも、幾らまじめにやろうとも、課長補佐なり課長になるという希望もなければ、そういう心配すらもないと、こういうのであります。これでは大臣、励みは起こらぬですよ。それはやはりこういう人たちの身分が、国家公務員のごとく見せかけて、国家公務員の定数からはずした、そうしてこの暫定法の中の当分の間という中の官吏にされておるというところに問題がある。大臣は剣道をやるんですね。面が得意なんでしょう。すぱっとこういうものは結着をつけるべきですよ。それでなければ大臣、やはり行政は国の立場もありますが、府県の立場も信用してやらなければならぬのであります。今日中央の一番悪いくせは、縦割り行政の弊害というのが地方の不信という形に起こっておる。そういう形にあるところに問題があると私は思うのでありますから、これはひとつ積極的に取り組んで、私は今日の方向は、やはり臨時行政調査会の答申を尊重するという立場に立った行監委員会、そして行政管理庁長官が示した方向が基本的な解決の方向であろうと思うのでありますが、ひとつそういう方向で厚生大臣、園田さんらしく早急に結着をつけていただきたい、こう私はお願いしたいと思います。
  41. 園田直

    ○園田国務大臣 一昨年行政管理庁長官に対しましては、六月に保険庁のほうからこれに対する回答をいたしております。正直に申し上げまして、この回答は、厚生関係の保険、年金等の事務地方に委任することはなかなか困難であるという条件だけでございますから、私は事務当局に、ただ困るというだけではなくて、地方に委任した場合にはどういう手当てをすればいいのか、あるいはやむを得なければ国家公務員にどのように切りかえるのか、両方の検討を命じておりますから、その検討のでき次第、十分考慮し、御意見も十分拝聴して解決したいと考えております。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 次に運輸大臣質問したいのであります。  運輸大臣の一月二十八日の前橋市における記者会見というのを、私は新聞記事で拝見いたしたのであります。それによりますと、要点は、陸運行政改革のため民間コンサルタントに業務診断させ、許認可事務は民間や地方自治体に極力移管さしていく、こういう方針であったようであります。そういう談話があったのでありますけれども、その後のいろいろな新聞を見ますと、運輸大臣は、二月二日のその後の閣議決定もありますけれども、その後、だいぶ運輸大臣の前橋市における方針というのは後退したように思うのであります。私がそういうふうに申し上げますのは、せんだって、あなたの部下から二月六日に「陸運事務所制度について」という書類をいただいたのであります。それによりますと、運輸大臣の考えているのを全く否定するような文章であります。全く否定するような文章が長々と書かれてあります。陸運局、陸運事務所の移管、さらには地方事務官を地方に移管するなんというのは言語道断だと、こういうふうにぴしゃっと運輸省というこの書類には書いてあります。こうなってまいりますと、私は運輸省の方針というのは、せっかく一月二十八日の運輸大臣の前向きの姿勢というのは、大臣古体も少し動揺しているところへもってきて、その部下は全く大臣と違った方向で動いておると申さなければならぬと思うのであります。この点、いかがですか。
  43. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私の考えも部下の考えも一貫して変わってはおりません。基本方針としまして、この六月までに、省内に行政刷新本部を設けまして、いろいろ事務の再点検、検討をやらしております。その中に民間コンサルタントや学者の意見も取り入れまして、必要な改革をやろうと思っておるのであります。そして私の考え方では、陸運行政の中にもいろいろ種類がある。たとえば車検、登録事務というような問題は、これは自動車の戸籍、財産権、抵当の対象になるような問題でありまして、これは土地の登録と同じように国が行なうべきものであると思います。なぜならば所有権の公証に関することでありますから、国が責任を持って全国的に統一しておく必要があると思うのです。現にそういう意味から、臨調の報告でも、車検、登録のこれは特別会計になっておりまして、これは地方に回す必要はないと臨調の報告にも書いてあります。大体こういう仕事は、私は電子計算機を入れまして、全国的に中央センターに登録を一括して行なおうと考えて、来年からそういうことをやろうと考えておるのであります。これはいま電々公社ともいろいろその打ち合わせをしております。それによって、たとえば自分の登録した県へ行かなければ、いろいろ登録事務がまたできないというようなことはなく、どの県へ行ってもボタン一つ押せばわかる、あるいは犯罪防止その他につきましても、ボタンを押せばすぐわかるようにするという意味において、そういう必要な改革を、民間コンサルタントの意見も聞きまして実はやろうと思っておるのであります。そういう意味において、この車検、登録のような仕事は、これはむしろ国の支分部局として行なうべきであって、必ずしも地方に委譲すべきものではないと思っています。  それから第二に、安全基準の確保、その他で国家的統一を要する問題がございます。そういう技術水準とか安全基準とか、そういう方面で国家的統一を要する問題は、これまた国が行なうのが適当だと思っております。  しかし、地方的な道路運送行政、たとえばバスのタイムテーブルの問題であるとか、そういうような局部的な地方的なタイムテーブルの問題は、これは地方に委譲してもいいし、また、ものによっては民間に移してもいいと私は思うのです。陸運事務所の場合は、ほかの役所と違いまして、ほかの労働省やその他の場合には、わりあいに県庁の中で同じ机を並べて働いておる場合が多いのです。しかし、陸運事務所の場合は、別に事務所を持っておりまして、県知事に機関委任をしておりますが、知事がまた陸運事務所の所長に相当な委任をして、判こまで預けてやっておるというのが実情なのです。それはやはり仕事の性質が、県庁が地方的に取り扱っておる問題と違う問題がかなりあるのでありますから、そういう取り扱いになっておるのだろうと思います。  そういう意味におきまして、必要に応じて民間に委譲するものもありますし、地方に委譲するものもありますけれども、いま申し上げた限度における範囲内のものは、これは国家的統一を要するがゆえに国が行なうべきである、そういうふうに考えておるのであります。この考えは当初から一貫しておるのでありまして、一部民間委譲とか、地方委譲というふうなことばも言いましたから、そこで新聞が大きく書きたてましたが、それ以外の国家的統一を要するというようなことはあまり載せないのであります。そういう点で、新聞の記事は必ずしも私の真意をそのまま表明したものではないのであります。  以上、私の考え方を申し上げた次第です。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの大臣答弁は、具体的な点についてはどうするかという点については、大体臨調の答申なり、あるいは地方制度調査会——実情に応じて、これは社会保険事務とか、あるいは労働省の行政とは違ったものであるということを臨調なり地方制度調査会の答申がうたっておることは、私も承知しております。しかし大臣、あなたのところから出た書類にはこう書いてあるのです。「陸運事務所の移管は、この計画の進行に著るしい支障となり、業務の合理化を阻害する。」からだめだ。「陸運事務職員も国家公務員たる身分を強制的に地方公務員とすることに強く反対している。」からだめだ。だめだ、だめだとこう書いてあるのですよ。この運輸省の——これは公式文書じゃなく、私は資料としていただいたのでありますが、こういう考えをいただいているのです。この考えは、いまの大臣答弁とは違っておりますから、大臣答弁が運輸省の方針だと理解してよろしいわけですね。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私の考えが運輸省の考えでありまして、その文書がいかなる文書であるか、まだよく知悉しておりませんが、それは省内において試案として考え方を書いたのだろうと思います。最終決定は運輸省内にありまする行政刷新本部できめて、それを行管のほうに持っていくのが最終決定であります。それに至る間、いろいろな考え方が省内の一部にあるのだろうと私は思いますが、いま申し上げましたように、車検、登録事務のような所有権の公証に関する事務は、これはすみやかに電子計算機等を使って全国統一をやって、犯罪防止や、あるいはお客さんの便利が中心で動くようにしたいと思っておるのです。それから技術水準であるとか、安全基準であるとかいうような、同じく国家的統一を要することは、国の公務員たる陸運事務所の者がやるべきである。地方的な問題については、やはりこれはお客さんや県民、国民の利便を中心にものを考えてやったらいいと思っておるのであります。そういう点からしますと、やはり陸運事務所というものは国の支分部局として、私は存置すべきであると思うのでありまして、それは仕事の一番大きい大筋が、いま申し上げたような仕事が大筋になっておるからであります。したがって、地方的な問題につきましては、地方団体に一部委譲をすることも必要に応じて考えられますし、あるいは地方団体なんかに委譲をしないで、ことによったら民間団体にやらせていい。思い切ってそうやったほうがいいというものもあるかもしれないと考えておるのであります。しかし大骨は、国家的統一を要する問題や所有権の公証ということが仕事でありますから、これは国の機関としての陸津事務所というものを存置してやるべきである。このように考えておるのであります。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの大臣のおことばの中に、民間に委託ということばがありました。新聞等によりますと、そういうものについての民間委託については、行管が強く反対しているという記事も拝見したことがあります。さらには道路運送法なり、あるいは道路運送車両法等には、明確にやはり機関委任すべきもの等も書いてございます。そういう点から幾多の問題点を大臣のおことばの中には含んでおるようでありますけれども、時間がありませんから、その辺の問題は後日に残しまして、労働大臣に一言質問したい。  労働大臣も、このことについて、趣旨はわかるけれども、労働省の場合は特殊事情があるから国が確保すべきものだ、だから地方事務官というのは、もう言ってみますと、純然たる国家公務員にすべきだという趣旨と解される発言を新聞でしておるようであります。労働大臣、これはどういうお考えなんですか。そうしますと、これは行管と考えがまっこうからまた対立していますね。
  47. 小川半次

    小川国務大臣 先ほど説明がございましたように、都道府県の職業安定課に勤務しておりまする地方事務官が七百七十名、失業保険課に勤務しておりまする地方事務官が千五百三十九名、合計二千三百九人でございます。失業保険の仕事と申しますのは、保険料をプールいたしまして、全国的な規模で一本の基準で運営していかなくてはならない。これは事柄の性質上当然そうであらざるを得ないのでございます。それから職業安定の仕事は、最近における労働力の需給逼迫の非常に深刻な状況は御高承のとおりだと存じます。しかるに産業の分布と労働力の分布が合致しておりませんから、この際、これまた合理的な規模で労働力の流動化をはかっていかなくてはならない、こういう要請がますます強まってきておるわけでございます。  そこで、現状を改めて地方事務官を廃止いたしました場合、こういう制度がはたして今後にわたって趣旨どおりに適切な運営がなされていくかどうかという点について不安を感じないわけにまいりませんので、直ちに現状に改変を加えるということには踏み切りがたいというのがありのままのただいまの気持ちでございます。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 労働大臣は全くうしろ向きですね。  そこで、時間がありませんから、二月二日の閣議決定の前に、昨年の十一月九日に行政監理委員会が「行政事務の再配分を中心とする国と地方との関係の抜本的な改革は、多年の懸案でありながら、いまだにほとんど実現を見ていないのであるが、この問題は現在の行政制度のうち、最も緊急に措置すべき問題の一つである。」こう言っております。  そこで私は行管長官にお願いしたいのであります。あなたの部下に聞きますと、いや、四十一年の七月に自治省に通達を出して、自治省と各省のお話にまかしてありますと、こう言っております。こんなことではだめなんですよ。長官、やはりこれはあなたがその主役なんであります。主管大臣でありますから、行監のこの意見、あるいは二月二日の閣議の決定のそういう趣旨、あるいは巨額の費用を使ってでき上がりました臨調の三十九年九月の答申、こういうものに基づいて、二十二年間、当分の間、その根拠法たるや全く根拠といわれないようなものに基づいてやってきておる今日の姿、しかもそこで働いている公務員の身分はきわめて不安定だ、こういう実情から、私は早急に解決すべき問題だと思うのであります。特にひとつ行管長官の格段の努力を要請しておきたいと思うのであります。
  49. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 行政の中に飛び込んでみますると、非常にややこしくて私も驚いております。しかし、この問題は二十年間たなざらしになった問題でありまするから、先ほども申し上げましたとおりに、八月までの間に必ずめどをつけます。そうして具体的なものはそのとき提示申し上げたいと思っております。  私、非常にうれしく思いますのは、私のほうから言いますると、役人でない、与党でない、野党的色彩の人々からいろいろなほんとうの話をお聞きすることができて、私がこの改革と取り組んでおる問題で非常に役に立つのでありまして、きょうなんかも、聞いておりまして非常に役に立ってうれしく存じております。どうかよろしくお願い申し上げます。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、定年制の問題についてひとつ承っておきたい。  今度の国会に地方公務員法の一部を改正する法律案の中で、国家公務員には設けない、地方公務員に定年制を設ける、しかも分限規定の中においてこれをやるという法律案を提案するやに承っておるのであります。そこでまず承っておきたい点は、四十一年の三月九日、第五十一国会に、給与関係閣僚会議が定年制に関する地方公務員法改正案の提案をきめたのでありますけれども、その翌々日、四十一年の三月十一日の閣議で、この定年制を地方公務員に設けることは、これはやはり地方公務員の分限の重大な問題でありますし、労働条件の基本に関係する問題であるので、これはやはり公務員制度審議会の意見を聞くべきであるということに三月十一日の閣議決定をなされたはずであります。総務長官いらっしゃいますか。——そのとおりですか。確認してよろしゅうございますか。
  51. 田中武夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  その当時の閣議の事情は私よく存じませんが、ただいま聞くところによりますと、閣議決定ではなくて、閣議の終わったあとで話が出た、こういう事実だそうでございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 三月十一日に、閣議では、公務員制度審議会の意見を聞くことを決定したはずです。赤澤さん、そうではないですか。
  53. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 意見を聞くべきものと決定した事実はないというふうに私は聞いております。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたの部下である公務員部長が、「地方自治」という雑誌の巻頭言に、三月十一日の閣議で決定したと書いてあります。うそを書いてあるじゃないですか。二月号ですよ。三月十一日の閣議決定、私も新聞で——その新聞の記事を持ってきておりませんけれども、閣議で、地方公務員法の改正案で定年制を設けることは重大問題だから五十一国会に出すことは見合わせるが、この問題については公務員制度審議会の意見を聞いた上で政府の態度をきめようという閣議決定をしたと書いてあります。これは重大な問題ですから……。
  55. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは、公務員部長の名前が出ましたけれども、思い違いではないかと思います。私が知っております範囲におきましては、この審議会の審議事項ではない。しかし、せっかく審議会が開かれておるので、意見を聞いてみたらどうかという話がちょっと出たというだけであって、正式にこの問題を公務員制度審議会の意見を聞くべきものとしたものではないというふうに聞いております。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 公務員部長はそういう論旨の立て方じゃないですよ。私も当時の記録を持ってこようと思ったけれども、持ってきませんでしたが、閣議決定をして公務員制度審議会の意見を聞こう、そのかわり今度は法案の提出は中止だ。さらにあなたのところの公務員部長はどう言っているかというと、それから今日まで二年間を経過した、すでに自然消滅したんだ、閣議決定の事項は。二年間したら閣議決定は自然消滅したと書いてありますよ。たいへんな問題を含んでいるのです。巻頭言ですよ。あなたのところの雑誌。
  57. 井出一太郎

    ○井出委員長 細谷君に申し上げます。あなたの持ち時間は経過いたしております。
  58. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私はそれは読んではおりませんけれども、間違いでございまして、私が言うことがほんとうでございます。  大体この定年制の問題も、公務員制度審議会にかける労働に関する基本的な問題というふうに私たちは考えておりませんので、当然審議会にかける事項ではないという判断を持っておるわけでございます。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 これは基本的な問題でないなんという前提で大臣の議論していることについて、私はたいへんな問題を感じます。しかし、時間がありませんし、なお阪上質問財政問題等にいろいろな問題点残しておりますが、いずれまた、この問題は他の機会に譲っておきます。  きょうの質問を終わります。
  60. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて細谷治嘉君の質疑は終了いたしました。  次に、塚本三郎君。
  61. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、文部大臣にお尋ねしてみたいと思っております。  最近各地に引き起こされております大学の紛争について、文部大臣をはじめ関係各大臣に所信をただし、かつ円滑な運営について指導の責任をただしてみたいと思うわけでございます。  大学の紛争の中でも、最近、特に私立大学の学園の自治に関する問題は、すでに社会問題化しておる実情でございます。私学におきましては、すでに私学の危機ということばが使われております。もちろんこの内容等を分析してみますると、第一には、何といいましても財政的な危機が一番大きな問題ではなかろうか。それとともに、大学当局対学生の間における対話なき対立、こういういわゆる態勢が最も不安を与えておると思うわけでございます。したがいまして、私は、学問の自由をうたっておりまする憲法第二十三条に「学問の自由は、これを保障する。」と明記せられております。このことは、ひとり研究及び学問の内容における自由だけではなくして、教育全般にわたるあるいは学問全般にわたる自由でなければならない、ひとりこれは研究内容だけの自由ではないと判断いたしておりまするが、文部大臣の所見を最初にお伺いしたいと思います。
  62. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お答えいたします。  学問の自由というものが憲法で保障せられておることは仰せのとおりであります。その関係から、大学における学術研究の自由というものはきわめて重要なものでございますので、御承知のように、多年の慣行として大学の自治というものが認められておるわけでございます。ただ単に学問研究の内容だけの問題ではないと思います。その自由なる学問研究を行ないますために必要ないろいろの要素があると思いますが、それらを含めて私は大学の自治というものがあるものと考えます。
  63. 塚本三郎

    ○塚本委員 ただ研究内容だけの自由ではないと大臣は言明をしておいでになりまするが、ところが、最近におきまする学園紛争、特に私立大学の紛争の根本は、何といいましてもやはり財政の問題からきておるのではなかろうか。昭和四十三年度の提示せられた予算案を見てみますると、国立大学に対する助成は一千五百数十億円と記憶いたしております。ところが私立の大学に対する国の助成はその二十分の一にも当たらないぐらいの七十数億とされておるようでございます。しかも調べてみますると、大学の学生の数は、ある人に言わせると、七、三くらいで、私立のほうが数が多いのではなかろうか。それを計算いたしますると、まさに国立大学と私立の大学との助成の差は五十対一という形になってしまう。根本問題はこの助成の問題のあまりにも大きな差、ここから出発しておるのではなかろうか、こんな感じさえいたすわけでございまするが、どうでございましょうか。
  64. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国立大学は、申すまでもなく国が設置いたしておるものでございますから、国立大学に対して支出する国の経費というものと、私立大学に対する国の助成と、これを直ちに比較するのはいかがであろうかと実は考えます。日本の沿革から申しますと、国立の大学以外に私学がそれぞれ特殊な性格を持って発足してきたと思うのであります。戦前にはさしたる問題はなかったと存じますが、戦後は御承知のような事情で進学率も非常にふえてまいりました。そういう関係で私学の増設ということも盛んに行なわれておるような状況でございますが、一面において、急激に増加する学生を対象といたしまして、私学が非常に大きな役割りを果たしてくるように相なったわけでありますが、その間に設備、施設等の増設、拡張あるいはまた人件費、物件費等の増加、こういうふうなことで私学の財政が非常にいまむずかしくなってきておる、これも明らかな事実であろうと思うのであります。これに対応いたしまして、政府といたしましては、今日まで、いわゆる私学振興、こういう名のもとに助成を進めてまいったわけでございますが、その助成が必ずしも十分ではないと私も言わざるを得ないと思うのでございますが、努力はしてきたつもりでおります。ことに先般私立学校の振興方策調査会というようなものを設けまして、そこから答申もいただいておりますので、それを基準といたしましてわれわれとしましては一そう私学の助成に努力してまいらなければならぬ、このように考えておる次第であります。明年度予算におきましても、その意味におきましては、私学振興会を通じての融資の額につきましても増額をいたしておりますし、それから従来行っております研究設備等に対する助成金も若干の増額はいたしております。なお、新たに私学のために経常的な研究費の助成という道も開いた、かようなことで若干の進歩はいたしておると思いますが、さらに一そうこれは努力しなければならぬ問題と心得ております。
  65. 塚本三郎

    ○塚本委員 必ずしも十分でないという実態はお認めになったと思いますが、その壁はやはり大蔵の問題にあると思います。この点今後の対策として、大蔵大臣、助成の予算の問題について見解を述べていただきたいと思います。
  66. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私学の問題は、御承知のとおり発生の過程から見ますと、これは国の助成を受けない、そうして独特の特色を持った教育を民間の手でするということから発達してきた歴史から見まして、つい最近までは、むしろ私学側のほうから国の助成を受けることを快しとしないということでございましたが、しかし日本の経済の急速な成長に伴って技術者の養成が必要となり、人材の養成が急に必要となったという国の要請に応じて、私学がこの国の目的の教育を分担するという役割りが非常に大きくなって、私学もそういう意味で公共性というものをはっきり持ってきた。これに対応してこの私学への助成もやはり国は相当やってくれということになって、初めて私学への国の助成というようなものが、これはきわめて最近になって踏み切られた、こういういきさつでございます。したがって、一番最初はやはり教育の設備費とか、あるいは私学振興会を通ずる融資というようなものでだんだんにその助成を強化してきましたが、御承知のように本年から、いま大臣が言われましたように、恒常的な、経常的な教育費の補助もやはり国は見べきである、こういう調査会の答申に基づいて政府は今年度からこの予算措置をとったということでございまして、今年度の予算を言いますと、大体国の一般会計の助成は九十五億円ぐらい、これに財政投融資の金が入りまして、私学振興会の貸し付け額は三百四十億円に拡大しているというようなことで、私学の助成は、私はこれからの問題で、いま始まったばかりだというふうに考えております。   〔委員長退席、小川(半)委員長代理着席〕
  67. 塚本三郎

    ○塚本委員 やっと、大学当局から助成の要請があったから、踏み切ってきたのだ、これからだという、いま大蔵大臣からの御答弁がございました。しかし、今日の私立大学の財政決定的ないわゆる破綻の段階に立ち至っておるといわれております。それでは、これから私学振興会のほうから、あるいは各私学の当局から強い要請があったならば、さらにこれから増大をするということを前提にしてまず手初めにと、こういうことに了解してよろしゅうございますか。
  68. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 もう前からもやっておりましたが、今回あらためて私学についてどういう方策をとるべきかという調査会ができまして、長い間研究してもらいました。この答申がようやく出てまいりましたので、この答申に基づいて本年度から私学助成を私どもは本格的に考えるようになったということでございます。
  69. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは今度もう一つ、これは憲法第八十九条にございますが、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは團體の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に射し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」、こういうような、おそらくこれは国が金を出すことによってひもをつけてはならないというふうな、いわゆる自由を確保する、自発的な意思を尊重するという規定であろうかと思っております。したがって、私学振興に対する助成の問題は、大学当局から積極的にそのような助成の意思さえあるならば、この規定にはとらわれない、こういうふうに判断して大蔵大臣ようございますか。
  70. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国が特定の宗教団体に対して応援してはならぬというものと、この私学の振興に国が力を注ぐということは、これは全く全然別のカテゴリーの問題だと思っております。
  71. 塚本三郎

    ○塚本委員 大蔵大臣、簡単におっしゃいますけれども、「慈善、教育若しくは博愛の事業」というふうにして、教育についてもこの規定は述べられておりますけれども、このことは全然私学の助成に対しては関知しなくていいというふうにもう一ぺん確認をとりたいと思います。
  72. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 さっき言われましたように、私学の求めがあるからその場合にはやっていいという問題でございまして、この教育といっても、いま私どもが問題にしている私学の教育は、別にこれに国が助成の道を講ずることは憲法に違反するというような問題じゃないと思います。
  73. 塚本三郎

    ○塚本委員 手始めということでございまするから、その金額の点につきましてはきわめて不満足でありますが、これから飛躍的に大きくなるというふうな判断に立っていきたいと思いまするが、もう一ぺん私は、この憲法八十九条に対する不安が残ると思いまするので、文部大臣から見解を承りたいと思います。
  74. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 憲法八十九条は、公の支配に属しないものに対しては公金を出してはならぬ、こういう趣旨の規定であったと記憶いたしております。現在の私業に対します助成は、公の支配に属するという前提のもとに助成をいたしておるようなわけでございます。
  75. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、先ほどお話がありましたように、国からの助成に対しては手始めだからほんのわずかであるがということでございまするが、現在の大学の財政にとりましては、これはきわめてもう小さいことはお認めいただいておると思いますが、それでは寄付をする場合における——学校当局にとりましては一般法人からの寄付を受け付けるという場合に、特別な措置を実は考慮してもらったならば、この財政の問題は相当大幅に解決される。このことはおそらく再三にわたって文部当局にもこの意見が出されておると思います。これについて文部大臣はどのように対処してみえますか。
  76. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私学に対しまして法人とかあるいは個人が寄付をするということは、私学の財政を助ける意味におきましてはきわめて適切な方法ではないかと実は思っておるわけであります。われわれといたしましてもこの私学に対する法人その他の寄付をできるだけ楽にいたしまして、そうしてどんどん寄付の道が開けてくる、こういうふうにいたしたいものという希望を持ちまして、税制その他につきまして今日まで大蔵当局と御相談をしてやってまいっておるわけであります。だんだんと改善はせられつつあるように私は思うのであります。昨年も相当な改善をいたしました。また明年度におきましても、御承認を得ればある程度の改善ができるもの、このように存じておる次第でございます。もし詳細説明をする必要がありますれば、政府委員からでも答弁いたさせます。
  77. 塚本三郎

    ○塚本委員 全くだんだんということでございまするが、大学当局から考えてみますると、あまりにもこの措置でも追いつけないような実は微々たる状態でございます。  大蔵大臣にお尋ねしなければならぬと思いますが、租税の特別の措置が各企業においては大幅に認められております。しかしそういうものを多少整理してでもこの際大学に対する特別の措置は大幅に前進をさしていかなければいけない。このことが学園問題をいわゆる正しく導く最も大きな要素になっておると思いますが、そうなさる御意思がございませんか。
  78. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私学におきましては、先般私学振興会の資金の貸し付けが、旧債の借りかえもできるというような措置をとりましたが、私学にとってやはりこの措置が一番大きいのじゃないかと考えております。また、それと対応しまして、指定寄付金の対象範囲にも、今回いままでの範囲のほかに、旧債の返済資金とかあるいは育英奨学資金というようなものも指定寄付金の対象の範囲に入れるというようなこともいたしましたし、いま文部大臣の言われたような、来年度における寄付金の特別措置の問題もいまとっておりますので、やはり私学に対する寄付金に対する優遇というものは、これは相当強化していくべきものであるというふうに私も考えております。
  79. 塚本三郎

    ○塚本委員 以前におきます私学のいわゆる財政の問題は、法人から多くの寄付金が相当に自由になされておった。だから今日のように財政の問題はそんなに国に強く要望しなくてもよかったのではないか。しかし最近、特に法人においては財政によってずいぶん締めつけられてきております。したがって、手も足も出ないような形でございますから、独立財政でやっていこうとしますと、こんな形になってきてしまっておる。救済の方法として、借りかえ等が認められると言われますが、いま大臣が言われましたように、いわゆる融資の金でもたかだか三百四十億でございます。国立に対しては助成だけで千数百億という金が出されております。全くその点比較にならないような状態であると思います。若干ずつは緩和せられてきておりますが、そのパーセントは全く取るに足りないものだ。したがって、学校運営者にとりましては、こんなものという表現は恐縮でありますけれども、全く少ないと言わざるを得ない。もっと大幅にこのことを進める必要があると思いますが、いかがですか。
  80. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私も私学経営に関係しておりますので、その辺の必要性というものは十分に承知しておるつもりでございます。
  81. 塚本三郎

    ○塚本委員 承知しておいでになって、こんな状態でおっていいとお思いになりますか。
  82. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それですから昨年と今年と二年続いて、寄付金の問題についてはいろいろ対策を立てているというつもりでございます。
  83. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、全く承知しておるという意見と、昨年、今年とこういうふうに比較してみますと、十分必要性はわかっておる、だからやった、やった額は全く少ない、これはお認めだと思います。そうすると、ほんの手始めであるから、来年度あたりから、あるいは来年度はこんな状態であるけれども、次からは急激にその効果があらわれてくるならば増大させるという腹組みで実は手始めにこれをなさった、こういうふうに理解をされるべきだと思いますが、どうでしょう。
  84. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私学は本来民間の経営にかかるべきものでございますので、したがって民間資金が私学に集中するという道はやはり開かなければならぬ、そのためにはやはり寄付金の問題は重要に考えなければならぬというふうに考えております。
  85. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、これから急激に増大をさせなければならぬ、こういうことに御答弁をいただいたというふうに受け取っておきたいと思います。  次に、学園の中の紛争の問題について文部大臣にお尋ねしたいと思います。  最近におきますいわゆる学園の問題は、大学の自治ということと、それから学生運動のいわゆる学生の自治ということ、これが実は相いれないような態勢になりつつある。特に発端は、多くはこの財政の問題、授業料の値上げ等を契機としてではございましょうが、いずれにいたしましても、この大学当局の自治というものが学生の自治と相いれない形になって、言ってみるならば、一般社会人から見るならば、学校こそ最も秩序のある、最も正しき規律のある学園でなければならぬという、いわゆる社会人の考え方、常識を裏切った状態になっておりますが、この原因がおよそどんなところにあるのでございましょうか、文部大臣の見解を……。
  86. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大学という学園の中でいろいろ紛争が起こっておりますことはまことに遺憾な事態であると存じます。ことに近ごろの一部の学生の行動はすでに遺憾という問題を通り越しておるというふうに申し上げてもよろしいのじゃないか、私はかように考えるのであります。  その紛争の原因は、いろいろ各大学によってあろうと思いますけれども、ただ単に授業料の値上げとかあるいは学生寮の管理とか、そういうことだけでいまのような激しい学生運動というものが行なわれるものとはちょっと了解しにくいと私は思うのであります。  申すまでもなく、学生の自治、これは現在大学においてそれぞれ認めておるところでございますが、しかし、この学生に認めておりますところの自治というものは、やはり大学教育の一環として私は認めておると思うのであります。大学の自治とその大学の自治の中で大学が認めておりますところの学生の自治、これは次元を異にすると私は思うのであります。現在の学生の諸君は、その辺の区別がわからないで、いわゆる本来学生の自治として認めておるところを逸脱いたしまして、大学自治そのものにまでかれこれと問題を起こして、世間から申しますと、大学自治に対する信頼さえ失なわせしめるような行動にさえ出ておるというような状況でございます。私はそれは、日常の問題を通じての紛争もございましょうけれども、いま多く起こっておる問題は、ただ単にそれではない、もっと深いあるいはもっと大きな目標のもとに学園の紛争を巻き起こしておるというのが実情ではないか。しかもそのことが自治会の名において行なわれるというようなことは、明らかに、もはや学生自治の範囲を逸脱したことをやっておる、かように申してもよろしいと思います。大学自治を唱えておる大学当局といたしましては、このようなことにならないようにひとつ十分善処してもらいたいものと念願をいたしております。
  87. 塚本三郎

    ○塚本委員 紛争の原因やあるいはまた持ち上がり方は幾多あると思っております。しかし世間から見ますならば、あるいはわれわれ部外者から見ますならば、それよりもその紛争の解決のしかたに実は最も大きな問題が出てきておるのではなかろうかというふうに感じられるわけでございます。いま学生の自治の問題について若干お触れになりましたが、大学当局が学校運営のために与えられた自治自治会活動の論拠というもの、これをもう一ぺん文部大臣から、いわゆる確として、どの論拠に基づいて学生の自治が与えられておるか、このことをお伺いしたいと思います。
  88. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大学におきまして学生の自治が認められておりますゆえんは、学生生活における自律性の涵養でありますとかあるいは社会性の陶冶でありますとかあるいは学生相互の啓発、こういったふうな教育的な意義によるものと私は考えるのであります。このように大業によって学生の自治が認められておるわけでありますが、したがって学生固有の自治権があるわけではないと思っております。これは大学によって認められておる自治権である、このように私は考えております。
  89. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうであろうと思うわけでございまするが、今日の社会状態を引き起こしておりますその自治会の活動は、あたかも天賦人権のごとき、いわゆる自治の力をほしいままにしておるという状態でございます。このことは文部大臣もお気づきだと思いまするが、問題は、こうなってくるとき、この解決のときに、いわゆる大学管理の責任者であろうといわれる理事会が全く筋の通ったといいまするか、一応法にきめられたところの解決のしかたをしておらない。その根源がどこにあるかということをもう少し掘り下げてみますると、実はこのいわゆる理事会と学生の中にはさまっておりまする教授会の存在あるいは実際に大学を運営しておりまする職員組合、こういうものの存在が実は最も大きなウエートを占めておりはしないか、かように思うわけでございます。一般のいわゆる社会におきまする労使の状態を見てみまするとき、株主的存在であります人たちはほとんど経営にはくちばしをいれない。そして経営者と労働組合との中におけるよき慣行の中でこれが解決を見ておるというのが社会の、経済界の姿でございます。一体こうなりますると、いわゆる理事会と学生との中にはさまっておりまする教授会、これは多くの大学におきましては人事権を持っております。あるいは処分権を持っております。にもかかわらず大学の最終的な運営に対しては権限が与えられておらない。ここに一番問題があるのではなかろうか。私は教授会に権限を与えよとかどうとか申し上げるのではございません。この教授会というものが、私は何といっても生徒に対する決定的な影響力を与えてもきておると思いまするし、将来もまたそれでなければ教育は成り立たないのではなかろうか。一体教授会というものは私学においてはいかなる位置づけをなすべきであるか、これはどうでしょうか。
  90. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御質問はなかなかむずかしい御質問でありまして、私もお答えしにくいのでありますが、いずれにいたしましても、私学の経営につきましては、従来御承知のように理事中心でやってまいっております。ところが、おっしゃるように重要な地位を占めておる教授会と、それから理事会との間に十分な意思の疎通を欠く場合が往々にしてあると思うのであります。また、そういう状態がありますために、いわゆる学園紛争というものが混乱するとか激化するとか、こういう事態になった事例もあるように私は思うのであります。したがいまして、教授会の重要な地位にかんがみまして、またその役割りにかんがみまして、理事者といたしましても事前に十分教授会とも打ち合わせ、了解を遂げ、理事会、理事者あるいは教授会等がほんとうに一丸となって必要な合理的な措置というものをとる場合におきましては、き然たる態度を持ってひとつやってほしいというのが私どもの希望でございます。
  91. 塚本三郎

    ○塚本委員 確かに、希望でございまするが、文部大臣の希望とは実は大きくいま離れた形に流れていこうとしておるし、しかもこのまま放置いたしまするならば、さらに大臣の希望とはもっともっとかけ離れた実態に流れていくと予想せざるを得ません。これは、何らかこれに対する指導の処置というものに対してお考えがあるかどうか。
  92. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私といたしましては、各大学についていろいろと干渉がましいことを実はするつもりはございません。どこまでも各大学におきまして自主的に問題を考えてほしいというのが実は私の基本的態度でございます。しかしお話しのように、いろいろ問題を起こしております。このような状態でいけば一体どうなるんだろうか、こういう心配をさせられる大学もないわけじゃございません。そういう意味におきまして、私としましては、私学側の諸君と密接な懇談の機会を得、そうしてわれわれの希望も申し述べ、私学側において希望せられるところは十分承る、同時に私学側も真剣に自分の問題として学園の確立という問題について努力してほしいと思いますが、十分懇談の機会を得て、問題の解決に向かって努力してもらうように話をいたしたい、かように考えております。
  93. 塚本三郎

    ○塚本委員 学園の自治の問題は、ちょっと力を入れ過ぎますると統制的な機運を醸成するでございましょう。私は大臣の気持ちはわからないことはございません。しかし今日の状態は、大臣のその希望にもかかわらず、実はそれとは全く違った方向に歩みつつあるという状態でございます。これは私この場で申し上げるのはたいへん恐縮でありまするが、異様な雰囲気の中にいま包まれておると思います。私ども政治家の立場からいいますると、自民党さんはもちろんのこと、社会党さんあるいは公明党さん、われわれ民社党にいたしましても、いずれも国民の支持を受けて、そうしてある程度世論を代表しておると思います。にもかかわらず、われわれ各四党が考えておるような考え方が全く受け入れられないような極端な実は思想、そういうものが学園を支配しておるという状態——一般の社会の中の極端な部分が出てくるというならわかるのでございます。ですけれど、革新政党といわれておりますわれわれ民社党やあるいは社会党さんたちでも、われわれの考え方さえも全く受けつけられないような極端な、あるいは先ほど大臣が言われたような破壊的な思想が、学生全体ではございません、ほんのわずかであろうとは思いまするけれど、しかし、にもかかわらず、そういう諸君が学園のいわゆるリーダーシップを握る、現実にこれが学生の総意として大学当局に当たっておるという事態、これは私は何らかの形で指導し、直さなければならない問題であると思っております。どうでしょうか。
  94. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その点につきましては全く同感でございます。現在のような事態がこのままで推移するということになりますれば、大学それ自体の基礎を危うくするものと私は思うのであります。そういう意味におきまして、それぞれの大学において、大学は決してかつて気ままな施設ではないと私は思う。今日の大学というものは、申すまでもなく社会の公共性を多分に持っておる、大きな役割りを果たしておる大学であります。したがって大学の当事者もその責任を自覚いたしまして、大学を健全化するために懸命の努力をやってもらいたいと実は思っておるわけでございます。それに対しまして、私どもが御協力できることは何なりと御協力したい。このようなつもりで私は私学の諸君と接しておるわけでございます。
  95. 塚本三郎

    ○塚本委員 そのような異常な行動をしております指導者の問題をもう少し掘り下げてみますると、たとえば自治会の役員になっている諸君のいわゆる相当部分が留年組であるといわれております。多いのになると八年間も実は落第をして、そして大学の主になってしまっておる。あるいはまた四、五年といういわゆる留年はざらだ、こういわれております。新しい学生が入ってまいりますると、すでに卒業した年限であるべきにかかわらず、四年も五年も大学に残っておりまするから、もうベテラン中のベテランでございます。こういう諸君が、学校当局に対する弱点というものをそのまま純真な諸君に説明いたしまして、そうして学生にわずかでも有利であるようなことを取り上げて宣伝いたしますると、それがいわゆる純真な諸君にすぐ受け入れられて、これが実は大学の学生を動かしていくという形になっておる。ここに一般社会では想像つかないような状態を引き起こしておる問題がある、これが事実上の問題ではなかろうかと思われております。この点が、実は学園の役員の選挙を見ましても、わずかの参加者の中で、わずかな投票の中でありまするが、一般の学生は全く無関心、こういうことで、プロ化した指導者がいわゆる学園を占領した形になっております。これを当局は手を出さずにおりまして、文部省も、当局に要望しておるということでこのまま見過ごすというような形になりますと、だんだんこのことが実は既定の事実として、いわゆる力を累積していく結果になりはしませんか。どうでしょうか。
  96. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お話しの点は、私もそのように考えます。現在の状態がこのまま続いていくということになりますれば、ますますそういう連中が力をたくわえることになるだろうということは当然考えられることであります。したがって、大学当局といたしましては真剣になって正すべきものはみずから正して、大学の経営等につきましても、かれこれ非難のないりっぱな経営もやってもらいたいと思います。き然たる態度をもって対処してもらいたい。そういうことでありますが、問題は、一面において、いま申しましたような連中というものはおっしゃるとおりにごく一部であります。大多数の学生ではないのであります。また、よく教授会の中に云々ということもございますが、これらもおそらく一部であろうと私は思います。しからざる人たちがもっと勇気を持って学園を守っていく、学園の改善をはかっていくというその考え方に立って、大学当局と一緒にぜひ努力してもらいたいもの、これを皆さんにもひとつ鼓舞激励していただきたい、こういう気持ちもいたしております。いずれにいたしましても、この問題は、このような状態がどんどん推移するということはたいへんなことでありますので、われわれとしましては私学の当局者と十分話し合いまして善処の道を発見したいものと考えております。
  97. 塚本三郎

    ○塚本委員 戦時中に育った私どもにいたしますると、最近の学生の諸君の行動、たとえばこの間の王子におきまする野戦病院の問題あるいは成田におきまする問題、学校から鉄かぶとをかぶって角棒を持って、学徒出陣の姿を再現しておる状態でございます。これは教育の舞台の学校として、それでなおかつ慎重にということだけで文部大臣遠くから呼びかけておって、一体将来どういうふうになるであろうか。まさに学徒出陣の二十数年前を再現しておると思いますが、もう一ぺん御答弁いただきたい。
  98. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お述べになりましたような事態を考えますと、すでに、一体大学の自治があるのか、こう言いたくなるような事態でございます。決して私は遠くのほうからただながめておるというようなつもりではございません。しかし問題の解決は、やはり大学を中心にいたしまして大学の人たちがみずから問題を正していく、この気概とこの努力がなければならぬものと考えておる次第でございます。それを前提といたしまして、私はできるだけの御協力はしたいと思っております。
  99. 塚本三郎

    ○塚本委員 公安委員長にお尋ねします。  最近、どうも世間では「狂っておりはしないか」ということばがはやっております。かのライフル魔が実は記者会見をし、英雄気どりで、ついに人種差別の問題まで堂々と、殺人をしておきながらこのことをぶっております。実は学園から鉄かぶとをかぶって角棒を持って出陣する、それだけならよろしいのでございますが、それをしておいて、あるところへ参りまして、場所はおたくのほうで御存じだと思いますが、堂々と記者会見をいたしております。その言動なんか見てみると、機動隊が勝つか、われわれ全学連が勝つか、諸君見ておりなさい、きょうは必ず機動隊をやっつけてみせる。あるいは病院のごときは火をつけてでも中に乱入してみせる。こんな記者会見を堂々とやっておられるわけでございます。まさにその姿はもう——最近治安の行き過ぎということに対してずいぶんここで問題になりました。しかし一面におきましてこういう問題を一体どう考えてみえるか。どうでしょうか。
  100. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても最近のこの大学の状態に非常に不安を感じておりますし、また子を持つ親の立場から考えれば、全く同感でございます。ただ、私どもは取り締まりの責任者でございます。先ほどから大学の自由ということについていろいろ御議論がございました。   〔発言する者あり〕
  101. 小川半次

    小川(半)委員長代理 お静かに願います。
  102. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは文部大臣の言われるとおりだと思います。ただ、私どもといたしましては、やはり大学というのは真理を探求する場所である。だから今日の科学技術の進歩あるいは民主主義の理解などがここまで高まりましたのは、やはり大学の教育に負うところも多かたっということを考えますし、だからこそいろいろな警察その他の権力が外からこういう研究の自由あるいは教えること、教わること、こういったものを制肘することは厳に戒めなければならぬ。このことは事実でございます。これは最も尊重しなければならぬ。ただ、いまおっしゃるとおりに、いろいろなこういう不法事犯がどんどん起こってまいります。ですから、当然学園の自由ということは何も治外法権につながるわけではありませんので、やはり警備当局といたしましては治安維持の責任を警察が持っております。そのために学内にやむを得ず入ることもあり得るわけでございます。ただ、その際にわれわれといたしましては、やはり大学の特性にかんがみまして慎重な態度はとっております。ただいま記者会見の話が出ましたけれども、こういうことはやはり日本人の良識が許さぬと思います。ただ、新聞社の諸君は会見に応じられますでしょう。それぞれ個々の事実について報道のあることは、これはまたマスコミの責任であると思うわけでございますけれども、この批判はやはり日本人がその良心に照らして、間違いは間違いだという指摘、また判断を持たなければならぬものである、かように考えております。
  103. 塚本三郎

    ○塚本委員 目的が正しければ手段はいかなる方法をとってもいいという考え方は間違いだと私は思っております。学生の諸君の良心、私たちはこのことは実は疑っておりません。しかも彼らはまだ若い。このことも私たちは承知いたしております。しかし、目的が正しければ正しいほど、それを実現すべきその手段は法に許された範囲内でなければならない。純真な者のとるべき姿はこれであろうと思っております。その点、実は治安の問題で行き過ぎがあったことが論ぜられております。しかも新聞紙上においてもそのことの事実が報道されております。そのことはそのことで私どもは多く責任を感じていただかなければならぬと思っております。しかし、だからといって手も足も出ない状態でおるという姿は、私は学園であればあるほど、その点はもっと正していかなければならぬと思っております。この点が、実は一方が行き過ぎてしまったらもうおそろしいから手を出さないというような状態でもって、鉄かぶとをかぶって、そして角棒を持って出る姿、私はこういう姿を許される段階ではもうなくなってきておるのではなかろうか。あるいは某大学に参りました。あのおそろしい、いわゆる空にそびえ立つほどに机と腰かけが張られて、そしてバリケードが築かれております。こういう姿を見まするとき、まさにいわゆる責任不在の大学だと言わなければなりません。もちろんこのことは即警察権力の介入をせよというわけではございませんが、しかしその任に当たっております文部当局、この点は呼びかけておるだけでは私は済まされない段階で、多くの学生の諸君が、しかもその大学のバリケードを張られております前では、多くの学生の各団体が、話し合おうではないか、大学当局も学生もすなおに話し合えということが学生の中からも出ている。バリケードが張られております中で、プラカードが一ぱい立っておって、学生の中でも、話し合おうではないかという声が各サークルの中からたくさん出てきております。にもかかわらず、このような良心的な学生運動の声というものが全くかき消されてしまっておる。これは一体どういうことでございましょうか。私は、急進的なものを押えるということを強く申し上げるのは、大学の問題では問題があると思います。しかし、まじめに伸ばそうとしておりますその芽ばえは、実は強い壁に当たっていかんともすることができない。この問題を実は取り上げていかなければならぬのではなかろうか、かように思いますが、どうでしょうか。
  104. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お話しのとおりだ存じます。
  105. 塚本三郎

    ○塚本委員 お話しのとおりということではなくて、具体的にどのような方向をもってこれからそのような諸君を指導なさろうとしておいでになりますか。
  106. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どのような方向ということでございますが、私は、先ほどお話もございましたが、学生の行動はあくまでも理性的であり、知性的でなければならぬと思うのであります。それが事のいかんを問わず、暴力的な行動に出るということは、断固として排撃しなければならぬ問題だと存じます。その暴力的な行動の前に、学校当局にしましても、あるいは一般の学生にしましても、思うように話し合いもできない、こういうふうな状態ではないかと思うのであります。私は学校当局に対しましても一般学生に対しましても、もっと勇気を持ってほしいということを言いたいのであります。と同時に、そのような状態が大学の中に蟠踞しておる、こういうことは、すでに大学の自治が破壊せられておると申してもよろしいと思うのであります。警官の問題と学生の問題とを同一視することには私は賛意を表するわけにはまいりません。警官はその職務を執行するものであります。片っ方は非合法な、不法なことを行なっておるものでありまして、これと同列において問題を見るということは私は絶対に賛成はできないのであります。学校当局としましても、学園の自治を確立する、学園の秩序を維持するためには、自分の力に越えておる場合には、正当な職権を持つ警官の協力を受けて何の差しつかえもないと私は思うのであります。そういう点について、とかく従来大学が消極的であったと思うのでございますが、今日の事態におきましては、もちろん話し合いで済むものは話し合いを大いにやるべしであります。しかし話し合いもできない、暴力のために話し合いもできないというような状態もとにおきましては、私は、大学当局は、正当な職権を持っておりますところの警察官を導入することに何らちゅうちょする必要はないと思うのであります。
  107. 塚本三郎

    ○塚本委員 私がお聞きしたいのは、警官導入を早くやれというふうに、文部大臣がえたりかしこしと御答弁してみえるように、とられたらたいへんだと思っております。実は今回のいわゆる中央大学の紛争にいたしましても、彼ら学生諸君は何と言っておるか。籠城したことによって、三日も四日も学園の中で泊まったことによって初めて学生としての親密感がわいた、こういうことを漏らしております。実は私どもも卒業いたしまして、おそらく大臣もそうでございましょう。学生時代の一番の収穫は何であったか、それは学問研究によって知能と、あるいはまた人徳をみがき上げたとおっしゃるかもしれません。それ以上にわれわれが学園にあこがれますのは、教師と学生との中におけるよきつながりであり、そしてまた学生間におきます同じ共感を友情として積み上げるところに最も大きな収穫があると私たちは判断いたしております。にもかかわらず、今日のマスプロ教育の中においては全くそれが疎外されている。したがって、事件が起きてからこういう形になってしまって、最後は警察権力にたよらざるを得ない。今日までの過ぎ去った時点はもう議論はおくといたしましても、これからの問題として、もうそのようなバリケードが築かれる状態に至ってしまったその時点ではおそ過ぎると思うわけでございます。事態解決の今日から、実は教師と学生の間、学生間におけるどのようなよき友情を生み出すか、こういうことをもっと真剣に、学園というものの本来の姿をいわゆる指導していかなかったら、私はいつまでたってもこの問題は解決しないのではなかろうか、かように思っておりますが、どうでしょう。
  108. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お話の筋はそのとおりであろうと私も考えます。現在の学園の状況から申しまして、学生と教官との対話とか、あるいは学生相互間の対話というふうなことがなかなか思うようにいかないという実情もあろうかと思うのでありますが、これは何とかして是正をしなければならぬ問題でございますけれども、とにかくお話しのように、それぞれが静かに、冷静に学園のことを考え、また学問のことを考える、こういう雰囲気をつくるということが何よりも大事であるということは、これはお話しのとおりであります。したがって、そのようなつもりで大学当局者も考えてほしいと思いますし、学生諸君もまた同じように、自分の学園の問題でございます。その学園の平静な秩序ある雰囲気をつくり上げるということのためにはぜひ協力してもらいたいものと思うのであります。これは相互の努力によってやっていかなければならないと私は思います。ただ教育環境の点から申しますと、なかなかそれが困難なのが現在の実情であろうということは私も認めざるを得ないのであります。しかし、なかなかそう簡単に片づく問題でもございませんが、そういう方向に向かってお互いが協力していくということが今後の私どものとるべき道であろうかと考えます。
  109. 塚本三郎

    ○塚本委員 大蔵大臣お聞きいただいていると思いますが、この問題を解決するには何といいましても、いわゆる学校側の誠意だけではいかんともすることができない。マスプロ教育という財政の問題が実はかかってくると思います。これはあるミッションスクールの学校の一例でございますが、こんな話が出ております。入学をいたしますと、入学早々その新入生を箱根の山に入れまして、そうしてある期間一緒にいわゆる合宿をいたしまして、そこでいろいろとこれからの学内の問題について実はオリエンテーションをやった。これは学生たちの感想でございますが、そこで大学当局は何をするのであろうかということについて、実は宗教活動はしてはいけないとかあるいは学生の自治会活動をやらないようにお説教されるというふうに思って参加をした、しかしそれらの問題には大学当局は一切触れなかった、そうしてこれから四年間大学ではこのような課程によって教育をするということを十分に大学当局が学生に対して教育をした。その中ですでに教師と学生との中における深いつながりができた。最初にすでに学友という友情ができた。したがってこの中ではすべての問題が、いわゆる学生自治の問題もあるいはまた大学当局の問題も、一切問題なく過ごしてきているのだ。このことがわが校におけるところの——いわゆる最もりっぱに教育をなしとげるところの自負心を持っている、こういうことを学生諸君みずからが言っております。こういう状態、私はかつての学園生活を振り返ってみるとき、こういう体制は最も好ましい姿であろうと思います。しかしこれには最初申し上げましたような経済的な裏づけがあって——いまのように生徒が全員来てしまったら廊下にはみ出して運動場にも入り切れないというようなマスプロ教育では、とうていこのことは至難のわざだと思っております。したがって、このことは文部大臣も十分お考えいただいていると思いますが、それを裏づけるべき、やはり大蔵当局の助成はもちろんのこと、いわゆる寄付金に対する税の特別控除の問題につきまして特段の考慮を払っていただかなければ、せっかく教育者があるいは学生がそのつもりになっておっても、言ってみるならば異常事態のような事態が実は普通の状態になっているという状態はいつまでも続くのではなかろうかというふうに考えます。どうでしょうか。
  110. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私も賛成でございます。この私学の財政問題は、やはり国費の助成も必要でございますが、国費の助成を待つというよりは、私は、やはり民間の寄付金が円滑にその学校に集中されるという道を開くことのほうが、私学にとってはより重要な方向じゃないかというふうに考えますので、私学に対するこの寄付金の税制というようなものについては、今後十分考えたいと思っております。
  111. 塚本三郎

    ○塚本委員 時間がございませんから、問題を経済外交に移してみたいと思います。  外務大臣にお尋ねいたします。  アメリカが、去る二日、日本の政府に対して非公式ながら輸入課徴金の制度を実施したいと申し入れてきたようでございます。これは連日新聞紙上でも報道されておりまするが、産業界にとっては、おそらく二、三年先には受け入れなければならぬであろう特恵関税の問題でいろいろと対策を講じておったようでございますが、しかし、それが一度に、それよりも大きな被害となって、実はいま産業界に見舞われようとしておるのがこの輸入課徴金の制度であろうと思っております。政府は、輸入課徴金の実施の阻止に対して、実現の阻止に対して、外務大臣も再三アメリカ大使を通じあるいは米当局に対してこのことを強く申し入れておられると報道されております。外務大臣、この点は、よほど強い姿勢でかかっていただかなければたいへんな事態になると思っております。どうでしょうか、これからの見通しと外務大臣のこれからの折衝の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  112. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま御指摘のように、これは日本の産業界にも非常に重大な影響を与えるわけであります。アメリカ自身としてもまだ正式に決定はしていない。しかし、そういう輸入課徴金のような制度は、非常にこれは実現の可能性を持っておるのではないか、こういうふうに見られておりますから、ワシントンにおいて、下田大使を通じ日本は強い申し入れをいたしましたが、昨日も私はジョンソン大使に会って、ケネディラウンドも昨年妥結をして、世界貿易拡大の大きな世界的な潮流の中にあって、アメリカの国際収支の悪化ということはわかるけれども、こういう世界貿易を縮小するようなことになりかねないことをアメリカが今日やられることに対しては、まことに遺憾である、したがって、どうか一ぺんこういう政策の実行は思い直してもらいたい、もしこういうことをアメリカがやれば、これに対して各国が対抗措置をとるというようなことになれば、世界の貿易は縮小をする傾向にいかざるを得ない、貿易の拡大という大きな世界的な要請の中にあって、自由貿易の主張の上に立つアメリカが、事情はともかくこういうふうな政策を採用することは非常な矛盾ではないか、アメリカの再考を求めるということを強く申し入れたわけでございます。今後とも、このワシントンにおける輸入課徴金の動きと申しますか、こういう政策の今後どういうふうになっていくかというここを注目しつつ、日本政府としてはこれに対する適切な処置をとってまいりたいと考えております。
  113. 塚本三郎

    ○塚本委員 外務大臣、これは理由はともかくというような姿勢のようでございますけれども、私は、この理由にはなっていないのじゃないかと思う。現にアメリカは貿易において五十億ドルという黒字をかかえておるはずでございます。だから、これは全然理由になっておりません。なっておるとするならば、ベトナム戦争を初めとする、通商貿易とは何ら関係のないアメリカの国内自身の問題ではなかろうかというふうに思いますが、どうでしょう。
  114. 三木武夫

    ○三木国務大臣 理由はともかくというのは、こういうアメリカが、ベトナム戦争もあるでしょうし、国際収支が悪化しておるから、何かやらなければならぬという、そういうふうなアメリカ自身の理由というものは別として、やる方法が悪いということを私は言っておるのでございます。
  115. 塚本三郎

    ○塚本委員 これはガットの一般協定の違反になると判断されますが、どうでしょうか。
  116. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ガットの精神に違反するものだと考えます。
  117. 塚本三郎

    ○塚本委員 違反であるといった場合、これに対する対抗措置はどんなことをなさる予定ですか。
  118. 三木武夫

    ○三木国務大臣 むろん、イギリスにも例もありますから、ガットに対していろいろな手続をとるということをするだろうと思います。しかし、ガットの精神、これに対しては違反をしておることは事実であります。今後どういうふうな手続をとるかは存じませんが、しかし、ガットの精神は、こういうことをしないというところにガットの精神があるわけで、それに違反することは事実であります。日本がどういう対抗手段をとるかということは、いまは何とかこういうことをアメリカが思いとどまるようなことはできないかということで努力をしておるわけでありますから、検討はいたしております。対抗処置を検討はいたしておりますが、この場合において、こういう対抗措置をとるということをいろいろ申し上げる時期としては適当ではない、そういうことは検討はいたしておるということの答弁にとどめさしていただきたいと思います。
  119. 塚本三郎

    ○塚本委員 これこそもっと胸を張って、高い姿勢でこのことをアメリカに、いわゆるこれを実施したならばたいへんな事態になるということを、これはもう主張していかなければならない立場ではなかろうか。だって、日本は今日ドル防衛に協力までしておる立場でございましょう。にもかかわらず、これに対して輸入課徴金というようなしっペい返しをやられてきておる。そうして、おそらくアメリカでは資本の流出を防ぐということに対して、実は海外投資に対して禁止をするくらいの姿勢をとっておるのならば、私は、まだ真剣に、ドル防衛の立場を堅持して日本にもがまんしてほしいという理屈はあるいは成り立つかもしれません。片一方において輸入を差しとめるような方策をしながら、もともと資本取引の自由化ということは、五年先、十年先をねらった日本の産業界支配のために彼らが日本に要求しておる内容ではございませんか。こんなばかげたことを、私どもはしないようにお願いしますとかいうような立場ではなくして、堂々と要求をして、そうして絶対に食いとめるという何らかの手段と方法を講じなければ、今日この事態に直面いたしております日本の産業界、なかんずく中小企業の産業界はたいへんな事態になるということは、これはもう目の前に見えておると思います。どうでしょうか。
  120. 三木武夫

    ○三木国務大臣 資本取引の自由化を、アメリカ資本が日本産業界の支配のためにそういうことを要請しておるのだという評価については、私は必ずしも同意いたしません。しかし、この輸入課徴金は、これはアメリカは何ら弁護の余地はない。こういうことをすべきではない。自由貿易論の上に立って世界貿易の拡大を考えなければならないアメリカが、率先して世界に貿易縮小の連鎖反応を呼ぶがごときこういうことをやるべきではないということで、われわれとしては、強くアメリカの反省を求めたいと思うものでございます。
  121. 塚本三郎

    ○塚本委員 通産大臣、これに対して産業界防衛の立場からいかなる考え方をお持ちか、聞かせていただきたいと思います。
  122. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 この課徴金に対する考え方は、いま外務大臣からお答え申しましたとおり、私は別につけ加えるものはないと思います。  産業界といたしましては、非常にこの成り行きを心配して注視しておりますが、うわさだけであって、はっきりした向こうの課徴金の内容等については、まだ詳細な実態がわかりかねておるのです。で、その実態が明らかになった上でこれに対する対抗策を考えなければならぬ。これはまあ御承知でしょうが、ジョンソン大統領が年頭の国民に対する味びかけの際に、アメリカのドル防衛の大綱を話しております。それで、その中に、輸入量というものを五億ドル減少させたい、こういうようなことを言っておる。で、もし輸入課徴金を実施するということになれば、これによってねらっておる目標は結局五億ドルの縮小である、こう思うのでありますが、その場合に、一体日本がどの程度までかぶらなければならぬのか、それを対抗措置によってどの程度まで減殺することができるか、そういったような具体的な問題に入っていくわけでございますが、いまのところ、どうもまだはっきりしない。注意深くただいま見守っておるような状況であります。
  123. 塚本三郎

    ○塚本委員 ガットの精神に反することは、これは外務大臣もおっしゃったとおりでございます。かつて、輸出所得の控除制度というものをわが国においても実施されておったことがございます。これは他国に指摘される前に、実はきわめて紳士だと思うのでございますけれども、わが国はいわゆる違反のおそれがあるというだけで廃止をいたしております。にもかかわらず、いわゆる貿易において五億ドルというような——それは総合においては赤字でございましょう。しかし、先ほどから申し上げておりまするように、別の問題で、これはいわば国際貿易の問題では断じてございません。アメリカの国内の政治情勢によっていわゆる赤字になっておるという事態でございます。そうであるならば、それはアメリカの国内でいわゆる政策的に処理すべきものであって、いわゆる貿易の中ヘアメリカの国内自体の問題を、自由経済の中にこれを投げ出すということは、全く不見識な状態で、日本の国は、他国から指摘をせられなくても違反のおそれがあるというだけでもって引っ込めてしまっております。こういうようないわゆる全く不平等な——それは規制的にあるいは強制的になされたことではございませんけれども日本政府は、あまりにも世界貿易に対して低姿勢といいまするか、あるいは卑屈な状態で、業界に犠牲をしいておるような感じさえも受け取られるわけでございます。万が一アメリカがこのような課徴金制度を実施したときには、当然の措置として、もう一ぺん輸出所得の控除の制度を復活させるという形になっていくのは当然の筋道だと思いまするが、どうでしょうか。
  124. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま対抗手段についてはいろいろと検討を加えておる最中でございます。もし実現をした場合の対抗手段は検討を加えておるところで、いままだ具体的にこういう処置をとるということを申し上げる段階に来ておらないのでございます。検討段階であると御承知おきを願いたいのでございます。
  125. 塚本三郎

    ○塚本委員 それはとめられるという自信があれば、そういうことも言われるでございましょう。しかし、とめられる可能性が少ないという場合においては、実は対抗手段を打ち出すことによって、ひとり日米間におけるよき慣行をくずすだけではない、世界の自由貿易に対する際限なきどろ沼にと突っ込んでしまう形になってしまう危険性さえあるはずでございます。であるならば、それをきめられる前に、もしきめたならば、対抗措置としていわゆる所措控除制度やあるいは輸出の奨励金制度等を設けて、そして対抗するぞということ、向こうがしかけたところの問題でございまするから、堂々と受けて立つ、こういう体制が日米間における対等のいわゆるやりとりではないか、かように思いますが、どうでしょう、外務大臣。   〔小川(半)委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 三木武夫

    ○三木国務大臣 当然に輸出がいろいろな障害を受けるわけでございますから、これらに対して何らかカバーする政策をとらなければなりませんが、それはやはりいろいろ検討を加えて、発表の時期というものはおのずから時期があろうと思います。ただいま検討を加えておるので、具体的にこういうことをいまするんだということをまだ申し上げる段階ではないと思っています。
  127. 塚本三郎

    ○塚本委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、もし対抗措置を講ずるということになりますと、これはもはやいわゆる経済的な実力の行動でなければ効果はあらわれないと思います。かりにいま外務大臣が言われたような対抗的な措置を具体化するとするならば、いわゆる予算的な裏づけを必要とするだろうと思います。外務大臣がしたいという形でそのような強い姿勢をかりにおとりになったといたしましても、大蔵当局が、予算が組まれてしまっておるのだ、これはできないんだということになりますれば、外務大臣のせっかくの決意も無になってしまうと憂えざるを得ません。この点は、やはり通産、外務当局と歩調を合わせて、その場合には大蔵当局もまた予算に対して特段の考慮をする、こういうことにならざるを得ないと思いますが、どうでしょうか。
  128. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 通産大臣の言われましたように、まだ向こうの内容もきまっておりませんし、したがって、もしこういう課徴金制度がとられたという場合にはどういう対策を立てるかということは、関係省でもいろいろ相談しておるところでございまして、そういう事態が起こったら万遺憾なき措置を私どもはとりたいと思っております。
  129. 塚本三郎

    ○塚本委員 もう一度だけ外務大臣にお尋ねしますが、起こったらという仮定のことよりも、起こらせないことが大事だとは何度も言明なさっておられます。やはり向こうから具体的に四%から六%という数字まですでに大使館を通じて漏れてきているはずでございます。であるとするならば、それを阻止するためにはこちらはこういう体制でいくぞということを——素手でもって実はやめてくれ、やめてくれだけでは、本気でその体制にあるかどうかということを向こうに腹の底を見透かされてしまうのじゃなかろうか。だから、やったらこのような措置をとるぞというところの具体的な方策まで言明をする必要がある。そのことが、実はこれを阻止する最も有効な手段だと判断いたしますが、いかがでしょうか。
  130. 三木武夫

    ○三木国務大臣 数回にわたってアメリカ政府に対して、こういうことを行なわれることは、アメリカの従来の立場と非常に矛盾するものであって、これが世界的に連鎖反応を起こして貿易の縮小になるということを、友好国としての日本が強く注意を喚起して、もしそういうことをやれば、これは各国とも対抗処置を講ずることになるし、日本もまた対抗の手段を講ぜざるを得ないということは、具体的にこういうことをやるのだ、ああいうことをやるのだと言って一々やることをあげなくても、アメリカに対しての注意の喚起の目的は私は達成できる。ただ、日本が実効のあがるような方法を、ただそのときにこれを阻止する手段としてではなくして、こういうことは実現するかもしれない可能性を持っているわけでございますから、日本の輸出の上においてこれを縮小させないように政府が周到な検討をいま加えるということが必要なのであって、一々こう具体的にこれだあれだと言わなくても、これは日本政府の意図をアメリカに伝達する方法として、私は日本政府の意図はアメリカに対して伝え得ると考えております。
  131. 塚本三郎

    ○塚本委員 いまの見通しでございまするが、もう一度御答弁いただきたいと思います。阻止し得る自信があるかどうか、どうでしょうか。
  132. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはアメリカ政府のことでありますから、われわれは阻止したい、こういうことは実際に世界経済全体に対して非常な悪影響がある。阻止したいとは考えておりますが、ワシントン政府を拘束することはできませんので、自信があるかと言われれば、それはわれわれとしては日本政府からできるだけこれはやめてもらいたいという強い要請をするということであって、それ以上はアメリカ政府を拘束することはできないことは御承知のとおりでございます。
  133. 塚本三郎

    ○塚本委員 足元を見られておるのではないかという判断をする人がございます。かつて、先月でございましたか、このことがすでに流れたとき、通産当局では、おそらく一・五%かあるいは二%程度のものが実は課されるのではないかということでもって、すでにこの課徴金制度については通産当局は相当の手配をして、これを防がんとの体制を築いてみえたはずでございます。一・五かあるいは二%の課徴金でもたいへんな状態になるという、そのデータまでそろえて御心配になっておられた。にもかかわらず、今度言ってきましたのが実は四%ないし六%。全く足元を見られた弱腰の態度ではなかろうか。それをまだ具体策を言わぬほうがいいというような態度は、これはやってみたところ、しょせん、そのように言うけれども、日米間の状態からいくとやり得ないであろう、こういうことを勘定に入れた今日の姿ではないかというふうに判断されるわけでございます。この点は、もはや片一方においてドル防衛に対して協力をしておるという立場で、あるいはまた資本取引の自由化も日本の経済界にとって全く至難のわざだといわれておるにかかわらず、ついに昨年七月一日からスタートを切ることを実は承知をしたはずでございます。何もかにも、対米問題となりますると、ひとり国防の問題だけではなくして、経済的にも全くいいお得意さまに日本はさせられておるわけです。あるいは政府の立場では入り込んで行かれたのかもしれません。このしっペ返しがこんな形であるということ。しかも、この課徴金制度につきましての経過から言いますると、全く足元を見すかされた姿だと思います。したがって、この際、厳たる態度をとるためには——向こうから言ってきたらたいへんなことだ、ワシントン政府のことは何とも言えない、そのとおりだろうと思います。であればあるほど、そのことをはっきりと食いとめるために、この際は、十分アメリカには義理はお尽くしになっておられる今日の日本政府の立場からするならば、はっきりとそのことを言明をしていただきますることが、アメリカをして反省をせしめる最も大きな歯どめになると考えるわけでございます。違うでしょうか。
  134. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは両国とも、経済的な国益を守るという点において何も遠慮は要りません。どこの国に対してだって日本の国益を守るということは、これは外交のABCであります。われわれは対米だからどこだからということで遠慮をいたしておるような事実はありません。したがって、いまここで対抗手段を一々言えということは、何もいま言うことがアメリカに対してどうこうというのではない。これは具体的に実効のあがるような方法を各省間でいま検討を加えておるので、時期としてこの予算委員会の席上でまだ申し上げる時期になってないということで、アメリカに遠慮して言わないのではないのであります。アメリカに対して何かこう遠慮がある、自主的な態度でないのではないか、こういう考え方というものは、私はそういう考え方に賛同しないのであります。アメリカであろうがどこであろうが、外交が自主でないというようなことはあり得ないのであって、やはり国益を中心にして外交をやっていく以上は、外交は自主的であるべきであります。自主的でない外交なんか、そんな外交をやっておる国はどこにもない。いろいろ全体の利益というものを考えなければなりませんから、いろいろ交渉のしかたというのには方法はありましょうが、日本日本の国益を守るということに遠慮は一切していない。これについては十分塚木君も御了承を願っておきたいのでございます。
  135. 塚本三郎

    ○塚本委員 外務大臣がおっしゃることがそのまま実行されておったならば、向こうはこんなばかにしたような態度はしてこないのではなかろうか。なるほどEECはそのような態度をとってきました。しかし、日本に対してこんなばかげた、いわゆるばかにしたような態度をしてくるということは——しかも、すでに一・五%か二%というときでさえも、通産省はずいぶん警告を発し、これに対する対抗の措置についてはずいぶん配慮しておられた。そのときに、五%という倍以上のものを言ってくるということそのこと自身が、こちらはその気持ちでないとしても、向こうは完全にこちらを見下した態度できておるのではなかろうか。何度も申し上げておりまするように、いわゆる通商貿易の中でアメリカが赤字になっておるならば、これは協力してあげてもいいと思います。しかしながら、何と、貿易の関係においては五十億ドルでございますよ。こんなに膨大な黒字を生み出しておる国が、アメリカ以外にどこにあるでございましょうか。ところが、総合貿易において本年は日本政府が発表しておりまするように日本は赤字国でございます。にもかかわらず、五十億ドルの黒字国が課徴金を二%、それでなおかつ、今度、通産省がこんなに悲鳴をあげておられるにかかわらず、さらに四%ないし六%とかけてきておって、それで言わぬがいいとか、あるいは自主的だとか、対等だとかおっしゃっても、気持ちはなるほど雄々しいでございましょう。しかし、中身は何もないではございませんか。もう少し厳たる態度をとっていただかなかったなら、産業界はたいへんな状態になることは御承知のとおりでございます。なぜそんなことを、具体的に対抗措置を明言なさらぬのでございましょうか。私は、そのことに国民は疑惑の念さえも持っておると思うわけでございます。
  136. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この政策がアメリカが日本を見下げているとか、日本をばかにしているとか、私はそういうふうには思わない。ただ、アメリカの国際収支のためにとろうとする政策が適当ではないという批判を加えておるので、この政策をやったから、日本を見下げてこういうことをするという塚本君の考えのようには私は受け取っていないのであります。見下げて経済政策をするというようなことをするわけはない。みなやはり自分の国益を増進しようとしてやる政策に対して、アメリカの今度やろうとする政策は適当でないという批判を加えて、アメリカの反省を求めておるのであって、これは特に日本を見下げるとかなんとかいう、そういう問題ではない、アメリカの政策が、今日の世界貿易拡大という見地からして、従来のアメリカの主張からして適当ではないということで、アメリカの反省を求めておるのでございます。
  137. 塚本三郎

    ○塚本委員 この問題は、十分に外務大臣の決意だけは述べられましたので、実行されるものと期待をいたしまして、この問題はまた次の機会に譲りたいと思います。  法務大臣にお尋ねいたしますが、最近新聞紙上をにぎわしております日通のリベートの問題でございます。わずか数億の取引で半分近い三億円というリベートが小会社に対してなされておることが紙上をにぎわしております。あるいはある新聞によりますると、いわゆる戻し金は十億というような報道さえもされておるわけでございます。この取り調べにあたりましては、特に警察の力よりも特捜部が直接に介入しておるように思われますが、その調査の状況を概略御報告いただきたいと思います。
  138. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お答え申し上げます。  日通事件につきましては、目下東京地検において捜査中でございまして、詳細な報告は受けておりません。私は、個々の刑事事件の捜査、処理につきましては、検察当局を信頼してこれにまかせておるような次第でございまして、格別、指揮権を発動するとかいうようなことは一切考えておりません。御了承願います。
  139. 塚本三郎

    ○塚本委員 けさの新聞を見ますると、何と驚いたことに、これはある新聞の見出しでございますが、「これは豪勢“役員記念品”金の延べ板を分配 三年間に五千四百万円」、実はその目方が八十キロというのでございますから、金の延べ板の目方が私の目方より重いというのでございますね。これを実は役員に配ったというような状態が報道されておるわけでございます。まあ金の不足がどうかこうかということは、この場では時間的な余裕はございませんので、後に譲るといたしまして、日通はたしか多くの品目に対して、政府のいわゆる物資等を独占的に扱っておる部面が非常に多いといわれております。この点、運輸大臣、その政府関係の扱います物資の年間の金額は幾らくらいか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  140. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 日通は、現在、大口で契約しております貨物は、政府の食糧関係のものが多いのでありますが、そのほか鋼材、セメント、織維、これは私的契約でございましょう、あらゆる分野にわたっておりまして、その数量、金額は、もし御必要でしたら、局長答弁させます。
  141. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいまの日通の大口運送契約でございますけれども、四十一年度におきまして私ども承知いたしております実績は、金額でございますけれども、米麦、これは食糧庁でございますが、約六十四億円でございます。それ以外に、専売公社のたばこが約三十四億円でございます。その他国鉄等がございます。国鉄は、たとえばレールあるいはコンクリート、まくら木等で約四億でございます。それからそれ以外には、大口の、これは民間の関係でございますけれども、鋼材とかということでございます。これは日本鋼管が約十八億、それから富士鉄が十一億、ビール三社が三十一億というようになっております。
  142. 塚本三郎

    ○塚本委員 運輸大臣、それでは日通の全収益におけるこういう大きなものの元請の金額は、およそ何%くらいになりますか。
  143. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいま明細な資料がございませんけれども、米が全体の収入の三・四%というふうに聞いております。もし御必要であれば……。
  144. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういう政府関係の全体の収益は、日通の収益の中のどれくらいになりますか。
  145. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 それ、いま全部手元にございませんので……。
  146. 塚本三郎

    ○塚本委員 いわゆる売り上げの金額の割合は、全体で何%くらいになりますか。
  147. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいま食糧庁の米麦関係だけわかっておりますけれども、三・九%、全体の数字はいまわかっておりませんので、御必要があれば出したいと思っております。
  148. 井出一太郎

    ○井出委員長 塚本君、時間が来ております。
  149. 塚本三郎

    ○塚本委員 それではもうちょっとだけ……。  この会社が政府関係の相当に金額ののすものを独占的に輸送していることは、御承知のとおりでございます。にもかかわらず、その会社が、実は多くの下請の会社に出資をいたしております。一時は百をこえるといわれておりました。今日でも数十といわれておりますが、それは幾つくらいになっておりますか。
  150. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 具体的なことはよく存じませんので、局長をして答弁させます。
  151. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 日通関係の関係会社でございますけれども、いわゆる子会社でございますが、これが十三社、これは日通商事とか、日通不動産とか、あるいは日通観光とか、そういったほうで十三社子会社がございます。それからそれ以外に、いわゆる関連会社というのがございます。これが……。(「十三社で出資総額は幾らだ」と呼び、その他発言する者あり)その子会社が約十三社、関連会社が約五十幾つございます。
  152. 塚本三郎

    ○塚本委員 十三と五十幾つと合わせた日通から出資しております金額の総額は、幾らになりますか。
  153. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 いまその全額は手元にございませんけれども、子会社におきましては、日通の出資は資本金のおおむね平均いたしまして大体六〇%以上を出資しておるわけでございます。一番多いのは日通不動産が一〇〇、それからあるいは日通観光が八六%ということでございます。   〔「日通が出資した総額を言えと言っているんじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  154. 井出一太郎

    ○井出委員長 不規則発言は御遠慮願います。
  155. 塚本三郎

    ○塚本委員 出資の総額の金額をお尋ねしておるのでございます。一、二のパーセンテージしか御発表になりませんけれども、どうでしょうか、これは。
  156. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 金額につきましては、調査いたしまして後刻御報告いたします。
  157. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、運輸大臣、この資料を提出していただきたいと思います。  委員長、この資料は提出していただけますね。
  158. 井出一太郎

    ○井出委員長 さよういたします。
  159. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは最後に、法務大臣にお尋ねしますが、特捜が特別に手を入れておるという事態でございます。これはよほど決意があると思いますが、これからの捜査に対する決意のほどをお伺いしたいと思います。
  160. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 当事件は、お述べになりましたように、東京地検の特捜が捜査に当たっております。公明正大に十分な捜査をやるものと存じております。
  161. 塚本三郎

    ○塚本委員 これは金額が、いまちらっと出ただけでも三億、再度調べてみますと、戻し金だけで十億、こんな記事まで出ております。世間は相当に関心を呼んでおると思います。これはかつての造船疑獄以上の金額であることは、御承知だと思います。  私は、最後に御答弁いただきたいのは、いかなる事態に発展しようとも、断じて指揮権は発動しないということは言明していただけますか。
  162. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お答えします。  お説のとおり、指揮権は絶対に発動いたしません。
  163. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて塚本君の質疑は終了いたしました。  午後の会議は、本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十分休憩      ————◇—————    午後四時三十七分開議
  164. 井出一太郎

    ○井出委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質疑を続行いたします。大出俊君。
  165. 大出俊

    大出委員 増田防衛庁長官にまず承りたいわけでございますが、防衛庁のそれ相当な役職をおやめになりまして、民間の商社等においでになる方々がだいぶございますけれども法律的には一体何に基づいておいでになりますか、御答弁を賜わりたい。
  166. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 お答え申し上げます。  防衛関係の、営利を目的とする職務上密接なる団体あるいは会社の責任ある地位につくときには、特に許可を受けた場合以外はつき得ないわけでございまして、普通そういうわけでございます。
  167. 大出俊

    大出委員 私は、法的な基準というのを承ったのでありますが、御存じないようでありますから、時間がありません。私から申し上げましょう。自衛隊法六十二条の規定、これが一つでございます。ここには「隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。」という前段の項がありまして、第二項で「隊員は、その離職後二年間は、営利を目的とする会社その他の団体の地位で、離職前五年以内に従事していた職務と密接な関係のあるもので総理府令で定めるものについてはならない。」こういう規定があるわけであります。さらに、施行規則の同じく六十二条、ここに列記条項がございまして、その前後に、「隊員がその離職後二年間についてはならない営利企業体の地位は、長官が定める。」と書いてある。長官が定める、おわかりですね。さらに二項で列挙式にあげてありますのは御存じのとおりだと思いますが、ここで私はずばりひとつ御見解を承りたいのは、国家公務員の場合におきましても、百三条という規定がほぼこれと似たような規定になっております。人事院規則の一四−四というのにも取り扱いが載っておりますが、これは明らかに中立機関が反対をする、チェックをする、こういうシステムであります。防衛庁の場合には、自分のところにつとめておってやめる方、将であるとか将補であるとかあるいは一佐であるとか二佐、三佐の方、この方々について防衛庁自体、その責任者が判定権がある。いうならばお手盛りでございます。そうとられてもいたし方がない。しかも、一佐までは長官の許可が要ります。いまお説のとおりであります。二佐以下は、この列挙してあります六十二条の規則の規定、ずばりこれで処理をしている、こういう中身であります。お読みいただけばわかります。ここに非常に大きな問題がある。まず、それをひとつどうお考えか、御答弁賜わりたい。簡単でけっこうです。
  168. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 二佐以下と一佐以上とに区別があるのは、その従事しておった職務の地位からかんがみまして、影響力が大きいというようなことで、慎重を期するわけだと思っております。
  169. 大出俊

    大出委員 質問にお答えをいただきたいのでありますが、お手盛りであるということを私は申し上げている。人事院規則、あるいはそのもとになっております公務員法百三条とは違う。中立機関がきめるのではない、この点であります。  時間がありませんから、次にもう一点指摘を申し上げます。現在防衛庁のいわゆる民間に出ていく方々に対するものの解釈は、防衛庁の長官がおきめになる形式を実際上はとっておりますけれども、ところがその中で予算の積算あるいは契約の積算等に直接タッチしていた人、そういう人はMならMという商社、1ならIという商社に行くにあたって、これは禁止ができる。またしなければならない。ところが、部隊編成その他のほうにタッチしていた人については、この項に該当しない。だから、いかなる商社にも出せる、こういう取り扱いをやってきているわけであります。しかとさようでございますか。
  170. 麻生茂

    麻生政府委員 先ほど先生から御質問がありましたように、自衛隊法上、私企業からの隔離は、六十二条の第二項に規定されているわけでございます。この条項によりまして、「隊員は、その離職後二年間は、営利を目的とする会社その他の団体の地位で、離職前五年以内に従事していた職務と密接な関係のあるもので総理府令で定めるものについてはならない。」こうなっておるわけでございます。そこで、総理府令では——先ほど先生の御質問の中にありました長官の定めるというのは、現在はすでに総理府令で規定しております。したがいまして、登録会社である営利企業体の役員または役員に相当する地位ということに総理府令で現在なっているわけでございます。その点、先ほどの御質問に対してちょっと前提としてお答えいたしておきたいと思います。  なお、一般隊員につきましては、ふだんは部隊の訓練に精進をしておるわけでございます。その職務は、先ほど申しましたような営利企業体の役員または役員に相当する地位と、密接な関係に実はないわけでございます。したがいまして、大体第一線部隊において教育訓練に従事しておった者というものは、客観的に見ますならば、密接な関係がないというふうに見られるのが常識ではないかと思います。
  171. 大出俊

    大出委員 しかとさようですなといま質問をいたしましたら、しかとさようだという御答弁でございます。つまり直接契約その他に携わっていない方、部隊編成その他そちらのほうのえらい人、この人の場合には、直接取引のある会社にも出ていくことができる、こういう扱いをやっておる。しかも、防衛庁自体が防衛庁自体できめるのでありますから、中立機関でも第三者機関でもないところがきめる。かくて至るところに防衛庁の退職をされた方々が出ていっているという事実があります。  私は、ここに昭和三十五年四月一日から四十二年三月十五日までの将補以上の方々、民間商社にたくさん行かれた方々のリストを持っておりますが、この片一方のページに何と三十二名ございますから、十ページございますので、三十二の十倍、三百二十名ございます。これは三十五年四月一日から四十二年三月十五日までであります。まだあるはずだからそのあとをくれと言ったところが、出てまいりました。ここにもたくさんあります。これは四十二年三月十五日以降であります。実にこれはたくさんある。しかもこれは事将補以上、将補、将であります。そうなると、一佐以下はこの中に入っていない。十倍あるとすれば、三百二十名あるのでありますから、三千二百名あるんだ。たいへんな数の方々が、ともかく直接取引のある会社に行っている。ながめてみると、この中は、被服関係から始まりまして、食料関係、あるいは兵器関係、航空関係、通信関係まで、至るところにこれは行っている、こういうわけであります。これが防衛庁自体がきめるという法律、規定のもとに置かれているというところに、たいへんな大きな問題が起こる筋合いであります。前からこれは何べんも私ども指摘をしているところであります。一向に改まる気配はない、こういうことであります。しかも契約に直接タッチしていなければ、どういう商社のどういうポストに行ってもいい。防衛庁の側の契約にタッチしている人、この人と同期であろうと一期先輩であろうと、防衛庁側にいて商社との契約、積算にタッチしていない方は行ける。現に行っている。ここに最大の問題がある。機密保護法どころの騒ぎじゃない。ここのところを明らかにしない限りは、次から次からこの種の問題が出てくる筋合い、こう私は考えております。  そこで、ひとつ承りたいのでありますが、伊藤忠というところ、ここに行っている方、丸紅飯田、ここに行っている方、おもな方を数名ずつあげていただきたい。
  172. 麻生茂

    麻生政府委員 伊藤忠には、和田という旧陸将が行っております。それから先ほど言われました丸紅には、浦元航空幕僚長が行っております。
  173. 大出俊

    大出委員 私がいま質問いたしましたので重ねて申し上げますが、質問にお答えをいただきたいわけであります。私があなた方に前から要求をいたしまして、いろいろやりとりをして私が手に入れております資料、これは将補以上でございまして、一佐以下が載っていないのであります。したがって、いま言われる浦さんあるいはかつての和田陸将、これは私はよく承知しております。したがって、数名と申し上げたのは、一佐以下の方々が中心になって行っておられるので、それをあなたのほうからおあげをいただきたい、こういうことで申し上げている。はっきりお答えください。
  174. 麻生茂

    麻生政府委員 名前についてはちょっと控えさせていただきますが、(「名前を言え」と呼ぶ者あり)一佐以上の者は、丸紅飯田で一名でございます。先ほど申しましたように、浦元空将でございます。それから伊藤忠には、やはり将、将補、一佐では一名でございます。先ほど申しました和田陸将でございます。
  175. 大出俊

    大出委員 したがって一佐以下と申し上げているので、もう一ぺん早く答えてください。二佐、三佐のところをあげてください。
  176. 麻生茂

    麻生政府委員 それでは私の記憶でお答えいたします。ちょうど二佐以下については資料がありませんから、あるいは間違っているかもしれませんが、伊藤忠には為我井という二等空佐、それから床司という、これは三等空佐ではなかったかと思いますが、一応佐官級で記憶によりますのは、その辺のところでございます。
  177. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいわけでありますが、川崎さんという一等空佐の方が逮捕をされたわけでありますが、新聞の伝えるところ、またマスコミ関係の皆さんにいろいろ確かめてみますというと、防衛庁の側で、資料が外国には伝わっていないとか、いろいろ談話を出しておりますけれども、ずいぶんいろいろな資料が商社に流れていっておるようでありますが、何と何と何が流れておりますか。
  178. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 各種のうわさがございまして、防衛庁としては規律を引き締めるという関係から、昨年の十月ごろから防衛庁の各幕僚部にございます警務隊を督励いたしまして、厳重に各幕とも調査をさしておる次第でございます。そこで、昨年から本年にかかりまして各種のうわさがございましたが、ある程度の被疑事実を認めましたので、この川崎健吉なる者に対しまして、警務隊から告発をいたしました。そこで、土曜日の夕刻から逮捕に踏み切り、昨日から検事勾留に相なっておる次第でございます。
  179. 大出俊

    大出委員 何べん申し上げたらおわかりかわかりませんが、質問にお答えいただかぬと困るわけで、何と何が流れたかと聞いているのであります。
  180. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 現在捜査中でございまして、被疑関係の書類の内容は申し上げかねる次第でございます。  ただ、ここに申し上げ得るのは、昭和四十年十一月、東京都千代田区平河町の北野アームスで、ヒューズ社極東部部員ジョー・沖本に権限なくしてその保管する秘密文書「三次防地上通信電子計画概要(案)」を貸与し、職務上知ることのできた秘密を漏らした疑いでございました。これは川崎健吉をこの文書によってわれわれが告発いたし、二日間の勾留を経た後に、いま検事勾留になっております。この文書以外のことは、いま捜査中でございまして、各種の文書があると称せられておりまするが、目下捜査中でございますから、申し上げかねる次第でございます。
  181. 大出俊

    大出委員 捜査中であるけれども、各種の文書があるということでありますから、わからないけれども、いろんな文書が出ている、こういう理解をしなければならぬと思います。そこで承るわけですが、私が防衛庁の関係の方に承った限りでは、川崎さんなる人物、昨年の春ごろから、非常にはでに各種料亭その他に出入りをしていたということで、防衛庁の側もそのことを心配をして、途中からある学校の副校長の地位にかわってもらった。さらにまた、昨年来御本人の態度が非常におかしいということで、数名の方々をいつも一緒に寝泊まりをさしてきた、こういうわけであります。ということになりますというと、これは先般この予算委員会で、二回にわたりまして、技術研究開発計画の問題なり、あるいは治安行動教範の問題なり、いろいろマル秘あるいは機密などという、ことばの上でやりとりが行なわれましたが、あなたのほうは当時から十二分にそれらのことを知っておったことになる。知っておりましたか。長官どうですか。
  182. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大出さんの御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、もっと私のわかるようにおっしゃってくだされば、またお答えを申し上げます。
  183. 大出俊

    大出委員 もう一ぺん言います。昨年の春ごろから川崎、一度空佐の方、この方は料理屋その他にいろいろ出入りをするということで、防衛庁の皆さんのほうでは非常に警戒をしていたということ。そこである学校の副校長さんに転勤を命じた。そのあとで、どうも態度がおかしい、こういうことで寝泊まりをするときには、いつも何人かの方に川崎さんと一緒に泊まるというふうなことまで注意をしてやってきたということを、お宅の相当な上の地位の方が言っております。昨年の春ごろから昨年の末、本年にかけてそういう配慮をしてきている。そうだとすると、この予算委員会でマル秘であるとかあるいは機密であるとかいうことでいろいろやりとりをしたときに、漏れていたらあなたのほうから出してくれなんていうことを長官は反論をしておりますけれども、機密が漏洩している、商社に渡っている、中身は大体こんなものであるということが、あのころすでにわかっていたはずです。わかっていたはずだが、あなたはわかっておったのでしょうと私は聞いておるのです。あなたは知っておったのでしょう。
  184. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大出さんの御質問の趣旨がわかりました。昨年の春以来料亭等にひんぱんに出入りして、豪奢なる生活をしておった云々ということは、私は存じません。昨年の八月ごろ某航空学校の副校長にしたということは、私が結局サインをしたものでございまするから、知っておらねばならぬはずであるということを申し上げます。  それから、いよいよ防衛庁では機密がたくさん漏れておって捨ててはおけない事態であるということを私の六感といいますか、道徳的感覚から、警務隊に厳重に指示をいたしまして、各三幕の警務隊に活動させて今日まで至ったわけでございまして、ほぼ事実が明瞭になりかけたのは先月の末のことでございます。そこで、本人に自殺のおそれがあるから人をつけたというようなことは、昨年、本年についてはないのでございます。
  185. 大出俊

    大出委員 あなたはしきりに森羅万象にまで気を配る方だから、おそらくいまの御答弁からいうと、知っておったのだということになる、こう理解いたしますが、先ほどお話にヒューズ社ということばがございましたが、ヒューズと申しますというと、バッジシステム、このときにヒューズに落ちている。間違いございませんね。
  186. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ヒューズ関係に随契をいたしまして、アビオトロニクスという特別の会社をつくりまして、それが随意契約の対象でございます。なおこのジョー・沖本なる者に川崎健吉一等空佐が貸与したというこの被疑事実は、秘密文書「三次防地上通信電子計画概要(案)」でございまして、バッジそのものではないのでございます。
  187. 大出俊

    大出委員 新聞の伝えるところによりますというと、四年前からというふうに書いております。ということになりますというと、このバッジシステムはヒューズ社に落ちておりますが、これも国会でずいぶん論争されたところであります。私ども何べんもこれについて、おかしいのじゃないか、リットン社あるいはGE、こういうところとの関係で、ほとんどそこにきまりかかっていた状態のものが、一体何でヒューズに最終的にきまるということになったのだ、おかしいではないかと、何べんもとれは国会でも追及され、論及しております。あなたのほうは、これに対して、安いからということを答えている。時間がないから詳細に議事録をあげて申しませんが、結論は安いからということです。安いからいいということにはならぬではないか。黒いうわさが流れておるのだから、政治的にそこに何かあるのではないかという疑惑は、国民一般が持っておる。われわれも持っておる。私も持っておる。ところが、今日一体バッジというのはどうなっておるか。うまくいっておりますか、長官どうですか。
  188. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 バッジがヒューズ社、結局アビオトロニクスでございますが、その社に随契をいたしたことはその経緯等についてはよく知りません。しこうして現在どう行っているかといいますと、現在いま試験中でございまして、ほんとうは昭和四十一年の三月三十一日まで、三次防にはないわけでございまして、二次防の末期に完成して政府に提供する、こういうことに相なっておりまするが、まだ暦年で申して一年も経過しても完成いたしておりませんが、部分部分は相当完成しておりまして、北海道、東北等は完成いたしております。最近試験をいたしましたところが非常によい装置である。りっぱに機能を果たしております。それから関西、九州のほうは今月中に完成いたしまして、これも防衛庁の実施本部長が参りまして関係係官と試験をいたしますが、おそらく合格の成績を出す——時はどうもうまくないという時代もございました。しかしながら、でき上がったあんばいから見まして東北、北海道は合格ということでございます。非常にうまくいっておる。関西、九州もうまくいくという結論が出るだろうという報告を部下から私は受けておりますことを、この際申し上げておきます。
  189. 大出俊

    大出委員 あなたはそういうそらぞらしいことを言っちゃいかぬですよ。私もずいぶん、これは記者の方々にも聞き、おたくの関係の方にもいろいろ聞いた。私もこれを五年やっていますからそのくらいのことはわかっている。私のほうから申し上げますが、これは二百五十億に金がふえた、延ばしましたから。昨年の夏にアメリカから入ってまいりました電子計算機の第一号がまずテスト中に故障を起こした。各レーダーサイトに備えつけた電子機器に不良品が続出、その修理費や改良費がかさんでいるのだけれども、これは防衛庁が負担するのか、契約会社の日本アビオトロニクス会社が支払うのか、決着がつかないままに不良品の修理、搬入が続けられている。事実です。私も調べました。日本アビオトロニクスというのは私の住んでいる横浜の戸塚なんですよ。私も何べんも行って知っている。このほかに最初の計画から一年おくれ、三月末までに予定されていた総合テストはさらに六カ月ほどおくれて、航空幕僚監部ではバッジが軌道に乗るのは来年になるものと見ている。あなたはまことにスムーズにどんどんうまくいっていると答えるけれども、まるきり正反対、何もかもうまくいかないじゃないですか、そんなでたらめ言っちゃいけませんよ。そういうふざけたことありますか。
  190. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私も契約期間内に納入されないということにつきましては不審を抱きまして、しばしばバッジはどうなっているんだということで督励を続けておりまするが、最近は北海道、東北のバッジはうまくいっておるということでございまして、これは合格いたしましたことは事実でございます。かくのごとく、ほかのほうも行きまして、結局中央管制で府中へ来る関係がうまくいかないといけませんから、私はその点はほんとうは心配しております。しかしながらまずうまくいくんではないかと思います。  それから契約金額が最初とだいぶ違うという点につきましても、私は部下に相当調査を命じましたが、これも契約関係はだんだんふえてもいいしかけだそうでございまして、普通の土木請負とは違うんだ。こういう、私のちょっと納得のいかないような答えがございましたが、そういうようなことだそうでございまして、詳細なことは装備局長からお答え申し上げさせます。不愉快に思っている、厳重に正確にやらなければならぬという点は、大出さんと大体において同感でございます。
  191. 大出俊

    大出委員 あなたはいつもそういうとんでもない答弁をする。それが問題の、紛争の種だ。そんないいかげんな答弁がありますか。どんどんふえてもいいしかけになっている。どんどんふえてもいいしかけはどこできめたんですか。どんどんふえてもいいしかけとは何ですか。
  192. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は、契約金額というものがもし上回った場合は、普通は受注者が破産するのがあたりまえだと言って一時はおこったこともあるのです。ところがこの関係だけは、どんどんということばがございましたならばこれは修正いたしますが、ふえてもいいしかけだそうでございまして、これも私の良心から肯定できないのです、ほんとうは。大出さんとその点は同じでございますが、ふえてもどうも受注者が損をしないしかけになっているというのですから、ちょっと私もよくわからないのです、ほんとうに。でございますから詳細のことは装備局長からお答え申し上げます。
  193. 大出俊

    大出委員 大蔵大臣に二、三承りますが——大蔵大臣に承りたいんだ。ちょっと装備局長待ちなさい。どんどんふえても契約金ですからね、ふえれば払うんですからね。どんどんふえてもいいしかけを、大蔵大臣、あなたはお認めになりましたか。お認めになったんならば、明確に、認めた基準、積算の中身、説明してください。これは国民が聞いたらおこりますよ。
  194. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういう契約の方式があるかどうか、私、事務当局に説明させます。
  195. 大出俊

    大出委員 大蔵省はいま大臣が知らない。いいですよ、そんなことは。大臣に聞いているんだから。大蔵省が知らないものを何ですか。防衛庁長官、あなたはそんな無責任な答弁がありますか。
  196. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 詳細は装備局長からお答え申し上げさせますが、最初の契約金額からふえるというようなことは私は許さぬ、非常に不愉快きわまりないということで、しばしば部局長等をしかりつけて、一体いつできるんだ、ひょっとしたらできないかもしれないじゃないかということも、またおこっております。そこで、詳細は装備局長から申し上げさせますから、どうぞお許しを願いたい。
  197. 大出俊

    大出委員 大臣、あなたにもう一つ聞く。ちょっと待ちなさい。大臣、いいですか。あなたはどんどんふえるなんというのはおかしいからだめだと言っているんだけれどもふえてしまう。あなたは長官でしょう。防衛庁長官でしょう。大臣でしょう。あなたがだめだと言ってもどんどんふやすからしかたがないということになるんですか、これは。そんな長官ならばやめなさいよ。
  198. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は不愉快きわまりない、こう思っておるわけであります。しかたがないとは思っておりません。
  199. 大出俊

    大出委員 不愉快きわまりないで済む筋合いではないでしょう。どんどんふえたら、それは国民の税金で払うんでしょう。そうでしょう。会社にどんどんふやしてやらなければならぬ義理はないでしょう。予算委員会は、予算審議はしたんでしょう。あなたが不愉快きわまりないからだめだと言ってもふえてしまうというようなばかなことで審議になりますか。それじゃ審議できぬじゃないですか。
  200. 井出一太郎

    ○井出委員長 一度事務当局の説明をお聞きください。
  201. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 ただいまの予算の問題でございますけれども、最初の予定しました予算どおりにやっております。いま長官の申し上げましたのは、追加分が出てまいりましたもので、その問題について追加が出たことを長官がおっしゃっておりますけれども、私のほうの数字を申してまいりますと最初のバッジは……。   〔発言する者多し〕
  202. 井出一太郎

    ○井出委員長 静粛に願います。
  203. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 最初のバッジの三社の規格の中でそれぞれございましたけれども、その本体のヒューズ社の百三十億につきましては一文もふえておりません。あとから実は三社がやりました場合でも同じでございますけれども、たとえば電波妨害の防止装置、そういうものにつきましてはその当時防衛庁も十分な知識がございませんでしたし、またその肝心のものがアメリカ側からも機密がありましてもらえませんで、あとから折衝しまして追加しまして、その追加の関係が出てまいっております。だからいま申しました最初の百三十億の本体はそのままでございますけれども、結果的に二次防では二百四億の予算を食いまして現実は二百三億ででき上がるようになっております。いま申しましたように最初の契約とあとの追加契約とまぜましてふえた。それを長官は不愉快だとおっしゃいましたけれども、現実はそういうことでございます。  それから、先ほどの先生の御質問の中で、その後の故障があって、その故障の修理の負担がわからないままにというお話でございますけれども、契約にはっきりと、われわれが引き取るまでのそういうような経費はすべて受注者のほうで持つという契約になっておりまして、これは、私のほうが一文も払う——日本アビオが、全部われわれが試験をしまして、完全に引き取るまでの間は、天災異変等特別な事由がない場合には全部受注者が持つという契約でございます。だから、これは防衛庁のほうで払うものでは全然ございません。  それからもう一つ、現在の機械に故障があって領収がおくれるのではないか、いまの総合試験が半年ほどおくれるのではないかという御質問に対してお答えいたしますが、確かに七月に一回峯岡の電子計算機が故障しました。われわれは初めから約四カ月の試験期間を持っておりましたけれども、初めてのものであるので七月から試験に入りたいと思っておりましたけれども、残念ながら故障しまして、これはアメリカに返しまして、すぐ直させました。十一月から試験を始めまして、余裕期間はございませんでしたけれども、結果は非常に良好でございまして、一番むずかしい技術試験を二月三日で終わっております。これは非常にむずかしい試験でございますが、当然でございますけれども、成功裏に終わっております。現在は、その完全領収試験を始めておりますけれども、北部のほうはもう終わりまして、いま中部、西部をやっております。  いまお話し申しましたように、予算はふえておりません。その追加計画は別につくりましたけれども、これは当然別に組みましたもので、初めのものが安かったから、悪かったからふえたという問題ではございません。  それから、われわれはいまの段階では、特別の故障がない限り、いまの機械は良好であるという考えでおります。
  204. 大出俊

    大出委員 長官、あなたは、どんどんふえる、不愉快である、ふやしちゃいけない、できないかもしれぬじゃないか、そう言ったんだけれども、どんどんふえてしまう、したがってたいへん不愉快である、こういう御答弁。いまの局長答弁とまるっきり違う。大臣、あなたはさっきから何べんも同じことを答弁している。それで、あなた、一体責任を持てますか。あなた、長官なんですからね。長官は、できないかもしれない、どんどんふえちゃ困る、不愉快だと何べん言ったってふえてくるとあなたは言う。一体これはどういうことなんですか。これでは審議を前に進めようがないじゃないですか。長官、はっきり整理してください。
  205. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大出さんにお答え申し上げますが、政府委員と私との答弁の違いがございましたならば、数字のことは、政府委員答弁でございますから、私の線は修正いたします。ただ、社会人といたしまして、従来聞いておった線は、百三十億で何もかにもまかなえる、こういう話を聞いておりました。それから、そのときの競争相手の会社は二百億かかるということを二つの会社が言っておったという記憶がございます。しかるに、両方加えて一たん受注しながら、あとではだんだんふやしまして二百五十何億になるというようなことはおかしくはないか、不愉快であるということは、これは社会的の常識的の立場で申し上げたわけでございます。どうぞ、数の線は装備局長の言った線でございますから、その点が違っておりましたら、私が修正いたします。大出さんと同じような常識的な立場で、社会人として、聞いたときの数とだいぶ違うじゃないかと言って部下をしかったこともだいぶございます。それから、いつできるのだ、一体できないのじゃないかと言ったこともございます。そういうわけで、厳重に監督をいたしておるということだけは、その線を大出さんに御了解を願いたい、こう思います。
  206. 大出俊

    大出委員 これは了解できないのですよ。なぜかと申しますと、当時リットン社はすでに完成品ができて、アメリカの海兵隊が使っていた。バッジは完全に動いていた。GE、こちらのほうはアメリカの空軍が使っていた。これも完全に動いていた。ところがここで言うところのヒューズ、これは完成していなかった。完成品じゃない。だからこの点の論争が続いた。あなた方のほうは百三十億だと言い切った。これをこしらえ上げて持ってくれば百三十億でやれるのだと言い切った。それがどんどんふえるから、あなたは不愉快だと言う。それはあたりまえですよ。あなたはどうしても不愉快だと言う。できないかもしれないとまで言った。当然ですよ。そういうことの裏に、先ほど私が申し上げているように、リットン社であるとかあるいはGE、現に動いているもの、アメリカで使っているもの、わざわざそこに行かないで、安いからという理由——百三十億なんですから、ほかのほうへやれば二百億をこえるのだからというので、だからこそヒューズに落としたと言う。それが現にいまになってみれば、川崎空佐は四年前からあるいはそれ以前からと新聞に書いてある。これは明確に黒い霧ですよ。政治的にいろいろな裏の政争、商戦、そういう中で、百三十億という形式的なものの言い方を表面に出して、ヒューズに落とした、こういう結果になるじゃないですか、今日のこの逮捕事件をながめてみれば。あなた自身がふしぎに思って納得していない。われわれが納得しないのはあたりまえじゃないですか。そういうような責任は一体だれがとるのですか、明らかにしてください。
  207. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 百三十億というような安いことで受けておいて、社会的な常識から見て、あとでどんどん高くなるというようなことは私は不愉快であるということは今日でも同じでございます。そこでいろいろ聞いてみると、理屈はございまするし、会計法違反ではないそうでございます。が、しかし、第一納入が一年もおくれておるのですから、これが大体なっていないのでございます。そういうようなこともやはり監督上の責任がございまして、その責任と言えば、責任の継続性というものがございますから、結局は私が責任を負うことになると思っております。
  208. 大出俊

    大出委員 これは前任者だということばを私は承りたくない。あくまでも今日増田さんが防衛庁長官でございます。したがいまして、これはあわせてあなたが責任を負うべき筋合いのもの、こういう前提に立って私は質問をいたしております。したがって、あなたも非常に良心的にお認めのようであります。だとすると、この不明朗な、現に使って完全に動いているものがある、しかも、一ペんそこにきまりそうになっていた。過去の資料を全部ここへ持ってきて見ましたけれども、全部ちゃんとそうなっておる。にもかかわらず、どたんばで一体何でヒューズに落ちたのか、国民一般がふしぎに思ったことです。予算を審議した方々も同様でしょう。内閣にいた人も同様でしょう。それがいまになって、逮捕事件が起こった。ヒューズ、いきなり名前が出てくる。ヒューズの沖木さんという米人の方は、捜査が始まったというのでアメリカへ帰って日本へ来ない。一体こういうばかげたことがありますか。そうなると、いにしえの問題に返って言わざるを得ないのですよ。責任を一体だれがどこでどう負ってくれるのですか。現長官は増田さんですから、お答えいただきたい。
  209. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 責任の継続性という意味からは私が責任を負います。  そこでこの責任をどう果たすか、いま一生懸命監督いたしまして、毎日のように、バッジをりっぱに早く完成するようにという会議も開き、また現地にも、できるだけ早くりっぱなしかけが防衛庁に納入できるように督促をいたしておる次第でございます。
  210. 大出俊

    大出委員 いまの点は、私はあくまでも責任の追及をいたします。時間の関係がございますので、最後にもう一ぺんこの問題に触れます。  次に、たいへんお気の毒なことでございまして、私も御冥福を祈りたいところでございます。けさほど枢要な地位におられる空幕の防衛部長さんがおなくなりになったという新聞記事が出ております。私、これをけさほど来聞いておりまして、おなくなりました方にはたいへん弔意を表しますし、御冥福を祈るわけでございますけれども、私はかつて長官に、森田装備局長さん、いまの蒲谷さんの前任者の方がおなくなりになりましたときに御質問申し上げたことがございます。それらをあわせ考えますと、この際おなくなりになられた方の御冥福を祈る上からも、国民一般に対する疑惑を払う上からも明確にすべきものは明確にしなければならぬ責任が私どもにある、こう私は考えております。そういう意味で、けさほど来いろいろな方に電話もしたり直接話も承ったり、もちろん防衛庁関係の方々にも承りました。マスコミ関係の方々にもいろいろ承りました。しかしこれは重大なこと、たいへん重大な、これまた長官の重大責任と言わざるを得ない、こういう問題がたくさんございます。さっき私は丸紅飯田の問題についてもだれが行っているのだという質問をいたしましたが、新聞にはMIと書いてある。丸紅飯田であります。FXにからむCL1010の問題等、丸紅飯田は御存じのとおりロッキードでありますからCL1010であります。しかも新聞に先般来出ておる記事では非常に有力な機種に現になっている。こういうわけであります。そこで、一つずつ三点ほど承りますが、おなくなりになりました山口さんという方は、いまの防衛部長さんである前にどこにおられましたか。さらにその前にどこにおられたですか。簡単に御答弁ください。
  211. 麻生茂

    麻生政府委員 お答えいたします。  防衛部長の前には中部航空警戒管制団司令でございます。その前はバッジ室長でございます。
  212. 大出俊

    大出委員 バッジ室長を二年ほどおやりになっておりましたね。前々のポストであります。このときに、川崎一空佐なる逮捕されました方は、この山口さんの部下の課長さんか何かをやっておられたわけであります。間違いないですね。しかも川崎さんが副校長になります前の地位、きわめて重要な地位でありますが、ここにおつきになるときにこの山口さんという方が最も強く川崎さんを推したということについても、本日私は関係の向きに連絡をいたしまして承りました。長官間違いございませんね。
  213. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 不幸自毅を遂げました山口空将補と川崎健吉の上下関係は、いま人事局長が申し上げたとおりでございまして、バッジの室長をずっと長いこといたしておりました——山口空将補でございます。そのあとを受けまして川崎がバッジの室長をいたしておったわけでございまして、一緒に働いた期間が約二年間、フルの二年間でございます。
  214. 大出俊

    大出委員 そういたしますと、遺書を残しておいでになりますけれども、この中身をいろいろな新聞関係の方に承りましたが、防衛庁では何か遺書は見当たらなかったという発表をされたようでありますが、関係の方に承ってみますというと、明確に遺書を見てきたという方がたくさんおいでになります。この新聞に載っておりますのは、「皆様の御愛顧に対して衷心より感謝いたします。私の不明不徳誠に申訳なく」というところから始まっておりますが、この川崎一空佐の逮捕についての責任をとるということも明らかにされているというふうにけさほど来何べんも何人もの人に私は承っております。だということになると、これは長官が現時点でお考えになりまして、この責任の所在、どういうことになるとお考えになりますか。
  215. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 警務隊をして、ことに航空幕僚部が怪しいというわけで調査させておったのが去年の十月からでございます。そこで、警務隊も種々調査いたしましたが、結局川崎健吉なる者があらわれました。しかし、巷間のうわさでは空将補が一人怪しいということを聞いておるからしっかりやれと言っておったやさきでございまして、私は人命の保護という見地において怪しい者が自殺でもしてはいけない、こういうようなことを配慮する点は足りなかったと思っております。ただしかしながら防衛庁は巷間の伝うるところ伏魔殿とも言われております。私は厳重に、きびしく規律を、どんな犠牲がございましょうとも乗り越えて、国民から信頼を得る正しい強い自衛隊、防衛庁を建設しなければとんでもないことになる、こう考えておる次第でございまして、私が主体的立場をとりまして昨年の十月からきびしく警務隊を督励いたしておる次第でございます。
  216. 大出俊

    大出委員 法務大臣に承りたいのでありますが、マスコミ関係の方あるいは防衛庁関係の方にいろいろ私承ってみましたけれども、いうならば逮捕寸前にあった、こういうわけであります。辞表のほうは四日付で、どうも五日の日にとったようでありますから、あとになって辞表をとったような感じに受け取れるわけでありますけれども、逮捕寸前、地検に呼び出しがかかっておったというわけでありますが、法務大臣、この辺の事情をおわかりでございますか。
  217. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 地検で呼び出し寸前であったということは私は承知をいたしておりませんでした。
  218. 大出俊

    大出委員 きょうは刑事局長はおいでになっておりませんか——刑事局長にあらためて聞きますけれども、私もはじめて法務省刑事局長質問するわけじゃないのでありまして、吹原産業事件以来何べんも質問しております。そう不確かな資料でものを申し上げておるのではない。あなたからもう一ぺん——大臣がお知りにならぬこともあるでしょう、時間的に。あなたのほうからもう一ぺんお答えをいただきたい。
  219. 川井英良

    ○川井政府委員 先ほどまでに東京地検から私に対して報告がありましたことについて申し上げます。先ほどの山口空将補につきましては、一昨日、防衛庁から東京地検に対して事件送致がなされました川崎一佐の事件に関連いたしまして参考人として取り調べの必要があるということで本日、東京地検に出頭するように連絡がとってあったとのことでございます。
  220. 大出俊

    大出委員 参考人ということばにはいろいろな意味がございますが、そこまで深くは追及いたしませんが、いま大臣、あなたは御存じない、こうおっしゃるのですけれども、私が指摘をいたしましたように、ちゃんと地検に呼び出しの手続がとられていたわけであります。間違いない。そこで自殺という行為に出られたわけであります。人道的には、なぜ一体長官の地位にある増田さん、あなたがこの方を自殺させるようなことにしたかという責任を問いたい。なぜならば、警務隊というのは、自衛隊法に基づきまして権限を持っておるわけです。いうならば憲兵ですね。司法権がある。そうなりますと、あなたのほうでそういう措置をおとりになろうと去年の十月からお考えだとするならば、しかも航空関係の将補の関係に怪しい人がおるとまであなたがさつき答弁をされた。そこまで考えておったのだとするならば、前に森田さんのときの例もあるのだけれども、またこういう世上一般から非常に、なくなった方にはお気の毒ですけれども、またまたこうかということになったのでは、私どもも国会に席があって責任が負えませんよ。これは増田さん、あなたは御存じあると思いますけれども、私は森田さんのときもあなたに質問した。しかも、大蔵省の海堀主計局次長さん、一番最後に話した方、その方にも御出席を求めて私は聞いておる。さらにその前には佐藤総理をお呼びいたしまして、松野さんの時代に、黒い墓標から始まりまして葬送行進曲、汚職の道教えます、全部私は質問をした。東京警視庁に、捜査ではなくて調査を依頼してやると総理がお答えになった。そのときにも、将来この種のことは絶対に起とさないから御安心をということだった。  さらにホークの問題。ホークの問題をめぐって森田さんがなくなったときに、遺書の問題を私が追及をした。精神錯乱を起こして、きめなければならぬ方向と別な方向の決定をして、死んでおわびをするという遺書であります。あなたは、遺書は知らぬとおっしゃった。あとで私は詳細調べてみましたが、ちゃんと遺書はございます。あなたは、あなた自身が有能な人だというので通産省からよんだのが森田さんだという。疲労で錯乱をしてなくなったというが、そうではない。そういうことを次々にあなたは起こしておる。そうすると、このあたりで大臣、あなたは国民一般の大きな疑惑、こういうものに対してどういう責任をおとりになるおつもりですか。はっきりしてください。もうがまんができません、私は。
  221. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 森田君のときのことをまず申し上げます。  森田君は、その後遺書が出てきたわけでございます。それからホークの発注のことではなくて、その前の、アメリカ政府にホークの開発に要する費用三十六億円ないし二十九億円を支払う、この問題で連日徹夜をいたしまして神経衰弱の結果死亡した、こういうわけでございます。この死亡につきましてはもとより私も責任を感じております。しかしながら、ホークの受注がよくなかった、そこに黒い霧があったから犠牲者になったというわけでは断じてないということを、この機会において申し上げておきます。  その次に山口二三でございますが、これは自殺のおそれがあるところまでまだいきませんで、昨夜検察庁から呼び出しはございましたが、その呼び出しの事実を知らずに本人は家出をいたしたのでございます。その一分後ぐらいに検察庁から、明日せびろを着て出頭せられたい、参考人とも何とも——これは刑事局長からのお答えと多少違うかもしれませんが、われわれが聞いたところでは、明日はせびろを着て地方検察庁に出頭せられたい、これだけの連絡が警務隊にございまして、警務隊から本人に伝えましたところ、本人はおりませんで、夫人にお伝えをいたした次第でございます。そこで、本人の行動等について、できるだけ国民の皆さまに申し上げなくちゃいけませんからこの機会に申し上げまするが、昨日からの状況、人事教育部長に、今回の秘密漏洩事件については非常に申しわけないといって辞表を提出いたしております。山口空将補でございます。同じく幕僚長に対しまして事務報告をいたしましたが、幕僚長の感じでは、平素と違って非常に元気がなかった、意気阻喪しておった、こういうことでございます。それから十九時過ぎに私服で退庁いたしまして、二十時三十分ごろ自宅に帰って軽食の後に入間のほうの友人のところに行くと言って外出したわけでございます。その後のことは御承知のとおり自殺の方向に走ったわけでございますが、本人の身柄を自殺にいかずに守るというようなことについてはやはり私が責任があると思いまするが、おとなで、幹部のことでございまして、一々本人の身柄を守ったりして一緒に警務隊が寝泊まりするというところまでの容疑ではないのでございまして、検察庁へ行ってから初めて明らかになるであろう——いま刑事局長も参考人と言われておりました。そこで参考人が事態が発展するかどうか、その点は疑問でございますが、まずその程度でございまして、本人の遺書等によりますと、「不明不徳誠に申訳なく、一死以て深くお詑び申し上げます。」この文書はその文言どおりに解釈いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  222. 大出俊

    大出委員 あなたはしきりに、絶対にホークの関係ではないなどというようなことを言われますけれども、二月の二十八日の毎日新聞、それから幾つかの総合誌の記事等々によりますと、東芝、三菱の関係で争いが頂点まで達しておりました。私もこれは私の委員会で質問をした経験があります。二十七億のミサイル開発研究費、これは三十数億から始まりまして二十七億、こういうかっこうになっていったわけでありますけれども、大蔵省が、海堀次長をさしているわけでありますけれども、最終的な段階でこれに難色を示したというところから、ホークの発注先に関してある程度の条件をつけた。ところが、報告を受けた三輪次官は、政治的判断から、海堀次長の条件に反対をした。森田局長は完全に板ばさみになったというところから、ずっと解説をしております。あなたがいろいろ否定をされても、これだけいろいろな問題が出てくると、否定にならないわけです。  バッジの問題につきましても、二月の二十八日の毎日新聞によりますと、「はげしい売込み合戦を展開。この間、輸入代理店の大手商社もからみ「航空自衛隊の最高幹部の一人が商社から数百万円をもらった」「政務次官経験者の某代議士が競争会社の一方にビル建設にからみ出資金を要求した」などのうわさが流れ、」云々というところから始まりまして、いろいろ記事になっております。現時点で起こっている幾つかの問題をながめてみると、現に機密は漏洩をしている。ハッジの最終的のヒューズ社の社員、有力な方に情報が全部筒抜けに流れている。これに反対給付がないと思うほうがおかしい。川崎空佐という方が、料理屋その他をやたら飲んで歩いたように書いてあるのは、あなたもお認めになっている。防衛庁から一体幾らもらっているか知らぬけれども、昨年の春から非常に身辺がはでになったというふうに書いてある。金が動かなければ、大体そんなことはできないでしょう。常識で考えてください。あなたはしきりにきれいごとを言うけれども、あなたは一体こういう情勢の中でそれを信用しろとおっしゃいますか。言い切れますか、あなた。もう一ぺんはっきりしてください。
  223. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ホークの発注については、私が通産大臣、総理大臣と相談をいたしまして、あれが最も妥当であるという線で決定をいたしました。私の責任でございます。あの問において何ら不正はない、こういうことは私は言い切れるのでございます。  それから、秘密漏洩事件その他、防衛庁が機密は筒抜けだの何だのといろいろいわれております。また、贈収賄等があってもいけませんし、私は武器産業等には一銭一厘の不正があっても許さぬ、こういう立場で、いませっかく規律の関係において清掃中でございますから、どうぞ積極的に責任を果たさせていただきたい。その清掃中における犠牲者が山口空将補であると私は思っております。
  224. 大出俊

    大出委員 あなたはいろいろいわれておりますがと言うが、あなたが言っているじゃないですか。あなたが伏魔殿と言っているのじゃないですか、御自分で。読みましょうか。三月四日の東京新聞に載っておりますが、これは確かめてみました。「増田長官は「防衛庁は伏魔殿? と聞いていたが、これでは百鬼夜行ならぬ百鬼昼行だ。」——百鬼が昼間歩いていると言う。「業者はなんでも知っているのに、知らぬは長官ばかりとは……」ということで、「なげくことしきり。」と書いてある。「世間体を気にして処分もほどほどというのでは、いまに本当にくさってしまう。荒療治して自衛隊を再建する」こう書いてある。荒療治をするのなら、長官、まずあなたがおやめにならぬというと荒療治にはならぬのじゃないですか。あなたは現職でしょう。逮捕されているでしょう、現にあなた、しかも今度は二回目の長官でしょう。あなた、御自分の責任を、それじゃどうお考えになるのですか。第三者みたいなことでは困りますよ。あなたが長官じゃないですか。あなた自身の責任はどういうことになりますか。
  225. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 今回の関係におきましても、私がイニシアをとりまして各種の調べをいたし、ようやく端緒がつかみ得たわけでございまして、これを終始一貫いたしまして規律を厳正に保持するように防衛庁の立てかえ、立て直しをしなくてはならぬというのが私の良心的の信念でございます。
  226. 大出俊

    大出委員 この記事の最後のほうを読みますと、「もちろん大部分は「からだを張って命をまとに働き、その結果毎年五、六十人もの事故死者を出すというのに一方では高級幹部が甘い汁を吸うのは許せぬ」「事件の根源は政界−財界−高級幹部のクサレ縁にある」というきびしいムード」が若い自衛隊員一般を包んでいる。こうなっているわけです。無理からぬと私は思う、現時点で。この責任を、あなたが、私がやったからという、それで負えるとあなたはお思いですか。あなたは現職の長官ですよ。現に起こっている。いまあなたのお話を聞いていると、自殺をされた方が出たりあるいは逮捕された方が出てきたり、その前にはあなたがよんだ方が自殺をされてみたり、そういう方々が次々に出てきている。国会が知らないのに、あなたがマル秘と言い機密と言う文書がどんどん流れている。しかも私は本会議でこの問題をあなたにも質問をした、総理にも質問をした。シビリアンコントロールがほんとうにできるのか。自衛隊ができて十六年かそこらの間に、二十何人も長官がかわる、できるのかという質問をした。総理は、私が目の黒いうちは絶対御安心を……。あなたが知らぬ、ここに自分で言っているじゃないですか。知らぬは長官ばかりなり。シビリアンコントロールにも何にも全くなってないじゃないですか。それを長官である現職のあなたが、私がやっているのだ、私は責任がないと言わぬばかりにおっしゃるというのは、これは私は解せない、納得できない。あなた自身は前期も長官であったはずだ。今回初めて長官をやっているのじゃない。人に責任をおっかぶせるようなことを言いなさんな。もう一ぺん答えてください。
  227. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 この事件の主たる関係は昭和四十一年六月までに漏洩されております。そこで私はイニシアをとりましてせっかく綱紀粛正中でございまして、積極的に規律を正していくというのが責任を果たすゆえんではないかと思っております。その後のことは、また、その後に考慮いたしたいと思っております。
  228. 大出俊

    大出委員 もう一つ承っておきますが、こういう時期にどうもあなた方、米軍との関係でゴルフをやっているという追及が出ているわけであります。どういう方々が一体、こういうむずかしい時期に——しかも昨年の春ごろからもう問題がいろいろあって、防衛庁内にいろいろ陰ではうわさがされている。その神経のほどがわからぬわけです。写真が載っておりますが、これはだれらしいというふうにわかりますけれども、一体いつごろまで、だれとだれとだれがこういうところへ出入りしておったのですか。非常に似た人の写真がここに載っている。ゴルフのバッグをうしろから持っていくやつの前を歩いている。こういうばかなことをやっておれば、若い方々がおこるのはあたりまえですよ。明らかにしてください。あなたはえらい責任を感じたようなことをおっしゃるけれども、これは一体何ですか。
  229. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 詳細は人事局長がお答え申し上げる、あるいは官房長がお答え申し上げますが、私自身のところへも米海軍司令官から会員券が来ておりますが、私はゴルフをたしなみませんし、またゴルフをかりにたしなんでも、週日はいけない、また、ただよばれるということはいけない、もしそういう者があるならば首を切るということを言っております。そこで、米軍の顧問団なんかと一緒におつき合いで週日に行ったような事件は出ておりますが、そうでなくて、ただ自分が好きで、たとえ米軍のゴルフ場といえども、招待券が来ておりましても、ゴルフをしたような事実があれば私は厳重に処断をするつもりで、現在調査中でございます。
  230. 大出俊

    大出委員 公務員というのは、わずか一時間、三十分でもその職場を離れれば片っぱしから賃金カットをされる、戒告が出る、処分をされている。あなた方はこういう時期に昼間からゴルフ場に行って、いろいろ高官の方々がおやりになっておる。一体いつからあなたは首を切るというふうに言明されたのですか。それはいつですか。
  231. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いま調査中でございまして、厳重に——いろんな会談もございますから、私はそういう表現では言っておりますが、戒飭関係の官紀、綱紀の維持のための各種の手段がございます。その手段を講ずるということで取り調べをさしております。それから、私はいたしておりませんから、あなた方といううちには私は入っておりませんから、どうぞ……。
  232. 大出俊

    大出委員 あなたはいま首を切るという表現を使われたのだが、いつそれをあなたが言ったのかと私は聞いている。
  233. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 このごろ参議院において黒柳委員からの御質疑がありましたときに、私はそれぞれ人事局長、官房長、次官等に厳重に申し渡した次第でございます。でございますから、目下調査中でございます。
  234. 大出俊

    大出委員 あんまり大きなことを言えた義理じゃない。国会で指摘をされてからというのであれば、あたりまえじゃないですか。指摘をされておいて——まだ四、五日前でしょう。それでもあなたはそう言わないと言うならば、長官の責任は負えませんよ。あなた一々みずからの責任回避をされるけれども、あなた自身の責任を次々に回避されようとするこれらの問題は、あなたが長官なんだから、すべてあなたの責任ですよ。そうでしょう。あなたは長官の責任をまずみずから明らかにすべきですよ。どうお考えですか。
  235. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 昨年、国防関係の先輩が顧問として行っておるところの商社によばれたという——もっともこれは会費は払いましたが、その事件のときに厳重に戒飭を加えました。すなわち規律上の処分をいたしております。そのときには全自衛隊に私は通告をいたしたわけでございます。でございますから、最近の機会といえばそれでございますが、その前はそのときに申し渡しましたし、また内閣においてきまりまして、官房長官から——各省庁大臣が厳重に、勤務時間中等において招待ゴルフをしてはいけない、招待マージャンもいけない、招待パチンコもいけない、こういうことを注意したときに私は重ねて注意しておりますし、今回で三回目でございます。絶対にそういうことがあるべからずという立場で、私はまじめな態度で臨んでおるわけでございます。
  236. 大出俊

    大出委員 いまの答弁によると、長官、ずいぶんいろんなことをやっていたことになる。そんなに一ぱいいろんなことをやっていたのですか。もう一ペん答えてください。
  237. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 各種の招待というようなことは、業者等は厳重にあってはならない、絶対にあってはならないという態度で強く臨んでおるということでございます。
  238. 大出俊

    大出委員 官房長官、あなたにひとつ聞いておきます。総理は何べんもいままで私ども質問に答えて、こういうことは一切私の責任において御心配なく、シビリアンコントロールも私の目の黒いうちは完全にやってまいりますと答えている。これは一体あなた次々に——総理がおいでにならぬからあなたにとりあえず聞いておくのだけれども、あなたも何べんか談話を出しておられる。あなたは一体この現実をどういうふうにお考えになりますか。
  239. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 内閣におきましてもたびたび通牒その他で厳重に注意をいたしておりますが、単に一片の通牒ではこれはとうてい達成できないことは明白でございます。したがいまして、こういう事件があるたびに厳重に処断いたしまして、一罰百戒ということでいきたいと思います。
  240. 大出俊

    大出委員 ただいまの答弁では納得できる筋合いではない。空幕の防衛部長が責任をとるというので自殺をしておるわけですよ、問題は。国民一般に一体どういう影響を与えるとあなたはお思いになりますか。国防会議決定をしておる中身がどんどん、私どもさえ質問しても出さないという資料が流れている。先ほど冒頭に申し上げたように、たくさんの、この三百二十何名の方々が昨年の三月末までに各商社に行っている。しかもその間に黒いうわさが山のように新聞その他に一ぱい出てくる。しかも現にたいへんはでに、身辺はでに動いてきている方々がある。こういう状態。これは私は、総理の重要な今日まで答えてきた発言に対する責任問題だと思っている。シビリアンコントロールも一つもできていない。さっきの装備局長答弁の食い違いにしてみてもそのとおりです。私は、どんどんふえるから納得できない、不愉快だ、何べん言ってもどんどんふえていくしかけになっている。百三十億だと思っていた。ところがそれが百二十五億もふえてくる。どうしても、それはだめだと言ってもふえてくる。そういうことでこれは一体責任が負える筋合いですか。長官、先ほどの食い違いについてもう一ぺん明らかにしてください。
  241. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いまの正確な話は装備局長の話でございまして、私が前に申し上げましたのは、一年間何しろ納入がおくれておりまするから、これは一体どうするのだ、こういうことでだいぶ、前の次官にもいまの次官にも督励いたしております。それから社会人として聞いたときに百三十億であって——それは長官になる前でございます。これは発注は前でございますから。そこで、そのときに百三十億というのがだんだん二百五十億にもなっておる。これは一体どういうことなんだ。それから当時の私の社会人として聞いたときは、リットンとGEというのは二百億ということを聞いておる。一方は百三十億ということである。それで受けておきながら、あとでどんどんふえるというのは一体どういうことなんだということで、私は厳重監督する意味から、不審にたえませんから、監督いたしておるわけでございまして、局長その他の答弁は、会計法上は適法である、つまり追加発注したのであるから適法であるということでございますが、やはり社会の皆さまが常識上納得のいく線をいかなくてはならぬということはいまもって私は心得ておりまして、その点は大出先生と同じ意見であるということをたびたび申しておるわけでございます。
  242. 大出俊

    大出委員 あなたが納得していないとすれば、大臣決裁はおやりになっていないでしょうな。
  243. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 発注は昭和三十八年でございまして、あと追加発注というのは昭和三十九年、四十年ごろでございまして、昭和四十一年度で終わる。すなわち昭和四十二年の三月三十一日に納入されてあるべきはずでございます。
  244. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは一体いつ大臣決裁したのですか、追加分について。
  245. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いま局長をしてお答え申し上げさせますが、追加発注は三十八年の十二月だそうでございます。
  246. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 お答えいたします。  バッジにつきましては、三十八年に計画をしまして、四十一年末に、二次防期間中に終わるという予定で初め企画しましたけれども、先ほど申しましたように、ECCMの機密の解除がございまして、この際それを入れるべきであるという結論に達しまして、米側と交渉しまして、その話し合いのもとに、あとからそれを追加するんであれば、かえって機構が複雑になるし期間がかかるということで、この際一年おくらして、そうした電波妨害防止装置を同時に入れたほうがいいということで、そういう方針になりまして、三十九年の国防会議の懇談会におはかりしまして、その了承を得まして一年間おくらして、四十二年度末つまり四十三年の三月三十一日までにこの計画を終わる。その追加したもの、全部の二百五十三億という総予算のものを入れるということを、たしか三十九年の十二月三日か四日の国防会議で了解を得まして受けたことになっております。初めからの契約で、そうしたおくれた契約をしております。その追加の決裁は四十一年の三月三十一日ぐらいではないか、ちょっと私……(「だれだ」と呼ぶ者あり)ということで、いま手元に確実な資料がございませんが、たしか四十一年の三月末というふうに記憶しております。
  247. 大出俊

    大出委員 いまの答弁は非常に不確かな、明確でない時点がたくさんあるわけでありまして、したがって、一体だれが決裁をしたかという点、明らかにしてください。
  248. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 前々長官でございます。
  249. 大出俊

    大出委員 先ほど私、これを大蔵大臣質問をいたしましたが、全然そういうことは知らないということでございました。重ねて答弁をいただきたいのですが、やはり知りませんか。
  250. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は、当時閣僚でありませんでしたから存じませんでした。
  251. 大出俊

    大出委員 大蔵大臣は知らないと言う。これは百三十億のものが二百五十三億になっておりますから百二十三億ふえている。そうすると、この増加分についての決裁、前々長官、こういうわけであります。  あわせて聞いておきますけれども、故障その他でだいぶ金がかかっている、これは最終的にどこが払うのですか。
  252. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 その点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在の契約条項で私のほうが完全に領収しますまで、つまり三月三十一日をもって完全に領収しますまでの間のそうした経費、故障したものあるいは直すもの、そうしたものはすべて相手方の日本アビオトロニクスが負担するという契約でございます。  また、私のほうの契約自体が上限をきめました契約でございまして、あとは中途確定で、もしいまの二百五十三億をこえてはならぬと——いまのたとえばアビオとの契約はそれぞれ項目がございますけれども、それぞれ項目の契約額はこえないという契約で、しかも中途契約でございますので、最終的にその調査をしまして、余ったものは当然取り返すということでございます。いまの二百五十三億はこえない、それから、しかもその間のよけいにかかります費用は当然向こうの負担であるということの契約になっております。
  253. 大出俊

    大出委員 これは長官答弁とだいぶ違いがありますね。あなたの先ほどの答弁は、どんどんどんどんふえると言うんだが、長官答弁のほうは百三十億ということで一切を含めている、こういう先ほど来のお話でありますが、これがふえる仕組みになっておるというわけ。ふえる仕組みのほうの最高額を二百五十三億ときめた、これを最終的にこえないと言うんだけれども、一体幾らになるかわからない。いまこういう装備局長答弁である。どういうことになるのですか、この関係は。長官、もう一ぺん答弁してください。——そこを話し合って答弁してください。
  254. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 局長が申し上げた数字で正しいと思っております。百三十億の本体は少しも変わりないという話で、私どもが従前に考えておりましたとおり、三、四年前には百三十億の一方が二百億、二百億、こう聞いておりましたから、その数字に照らしてだいぶ変わっているじゃないかということで、部局長、次官等を督励した事実はあることはあります。最初安い値をオファーしておいて、あとで高くなっていいのかということを言った時代も私はあるのです。これは常識人として言ったことでございまして、会計法上その他のことで正確な答えは装備局長でございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  255. 大出俊

    大出委員 ただいまの答弁、どこから考えても納得できない中身でありますが、私は、ここであなたにもう一つだけ承っておきます。  CL1010の丸紅飯田の関係、情報が流れております。この関係で何と何がFXをめぐって流れたということにあなたのほうの調査ではなっておるのですか。
  256. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ちょっと大出さんのおっしゃることがよくわからないのですが、もっと詳細におっしゃってくださらないとちょっとわかりかねます。
  257. 大出俊

    大出委員 詳細に言いましょう。「FX調査報告もらす?」こんな大きく書いてある。「受注戦に巻きこまれて」こういう見出しです。お見えになるでしょう。めがねをかけておられるから。どこの新聞にも全部載っている。これだけある。詳細に書いてある。ただし、丸紅飯田と書かないでMIと書いてある。そのCL1010の日本での販売権を一手に引き受けているMI、ここに「政府は第三次防衛力整備計画策定上、FXの選定は今夏にも行ないたいとして決定を急いでいる。」FXは二千億円に及ぶ大きな商売であり、国内商社が入りまじって、それに財界の有力者もまじえ、グラマン、ロッキード空中戦に匹敵する激しい商戦を繰り広げている。こういった商戦の中で、山口空将補、この方がFXに関する情報をMI、つまり丸紅飯田の諸君に流している。これが今回のなくなられた原因だ、こういうふうに書いてある。したがって、FX問題というものは、私も本会議でも質問いたしましたし、委員会でも何べんもあなたに質問している。ここまで明らかになっているので、一体何が流れているのかということを私が聞いている。あなたは昨年から調べているのでしょう。
  258. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 わかりましたからお答え申し上げます。  FXのことは目下検討中でございまして、その機種は九種ばかりございまして、どれこれということはないわけでございます。CL1010もその候補機種であることは明瞭でございますが、山口空将補がそれに巻き込まれてどうこうということはないのでございまして、山口空将補は昨日空幕長のところへ行きまして、自分が監督上の責任その他を痛感しておる、やめさせてくれ、こういうことを言った。それから夜は、おそらく警務隊でも相当調査をいたしておりまするし、検察庁に呼ばれておりまするから、そういう苦悩の結果、不明不徳云々という遺書を残して、一死もっておわびをいたしますということで自決されたものである。でございますから、FXということは関係は全然ございません。まだ昭和四十八年にようやく製造しよう——もっともその機種の選定は本年の秋かあるいは明年でございまするが、そういうわけでございまして、山口空将補が機密を流したなどということは全然ないと思っております。
  259. 大出俊

    大出委員 あなたはいろいろ否定をされますけれども長官、私もこのFX問題を何べんも質問をしておりますから、中身をよくわかっておりますが、あえてこごで繰り返しません。しかし、あなたがいかに否定をされても、これだけ各紙にいろいろと中身が書いてある。われわれが質問をすると、いつもあなたは資料は出さない、事実は否定をする、そのたびにあとからあとから出てくる。あなたは、三千七百キロも航続距離のある足の長いもの、敵に脅威を与えるものを持たないというようなことを何べんも答えている。本会議でも答えている。ところが、いま九種と言いましたが、九種全部足は長い、敵に脅威を与える、間違いない。あなたは言わないだけだ。ここまでくると、言わないでいるあとからどんどん出てくると、こうなりますと、しかも、自殺をする人がこれで二人目だ、あなたになってから。本来ならば、空幕の防衛部長が自殺をした、しかもこういう中身だなんということになれば、あなたはもう防衛庁長官の価値はない、この時点で。あたりまえのことですよ。こういう状態ではこれは放任できない。何とあなたが言われても——房長官、総理に明確に、たくさん重なってある問題についての明確な答弁を私はいただきたい。  さらにもう一つ、三矢の問題が表に出ましたときに、当時自衛隊に関する調査特別委員会をつくれ、あのときの委員会でわれわれからこういう提案が行なわれています。最終的にあなた方は言を左右にされましたが、そういうところで、詳細に自衛隊の今日的状態というものをあなた自身が認めておる、百鬼夜行ではない、百鬼昼行である、ここまであなたが言っている。荒療治の処置をしなければどうにもならない、ほんとうに腐ってしまうとあなたが言っている。そういうものをあなただけにまかしておけませんよ。このままでは腐ってしまうとあなたおっしゃるのだから、百鬼昼行なんだから。しかも、この問題が起こって、わがもの顔に飛び歩いていた商社の出先の商社員は、防衛庁からきょうは姿を消しているという。あらぬ疑いをかけられたくないからと言っているという。そういう状態を放任できません。どうしてもこれはやはりとことんまでのものを出していただいて、一体現時点における状態はどうなっているのか、あなたの言うように百鬼昼行とは何かという点について明らかにする必要がどうしてもある。自衛隊調査特別委員会をつくるべきです。総理に、その点についても明確に私は御見解を承りたい。国民に責任が負えない。あなた、次から次から起こっていると、さっきからたくさんあげましたが、答弁も食い違う。そういうことでは責任が負えないはずですから……。これはあなた自身の御発言です。その点、私は明確にしていただきたい。どちらかお答えください。
  260. 井出一太郎

    ○井出委員長 大出君に申し上げますが、約束の時間はすでに過ぎております。どうか……。
  261. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 もう一ぺん申し上げますが、山口空将補がFX関係にからんで自殺したとは思っておりません。川崎健吉なる者が被疑者として現在検事勾留になっておりまするが、その関係で、参考人としてではございましょうが、検察庁に出頭を命ぜられておる。こういうようなことはおそらくわからぬわけではございませんでしょうし、監督上の責任、責任ということを昨日も空幕長に言っております。そういうわけで御了解願いたいと思います。  それから、FXというものは、これからわれわれが調査して検討するわけでございます。そこで、昨年調査団を派遣いたしましたが、調査団は、各会社につきましてその作業の状況、それから主として機能を書いた紙をもらってきたわけでございまして、いま結論を急いでおります。私のところには報告はまだまいっておりません。報告がまいりまして、差しつかえない限り国会の同意を得るためにお話を申し上げることはお約束できます。  それから、三矢関係の調査委員会というものが結論としてどういうふうになったかということは、国会のほうにおゆだねいたしておるわけでございます。
  262. 大出俊

    大出委員 これは国防会議できめているわけですから、国防会議議長は総理なんで、ここまで来ると、やはり国防会議議長、総理に明確な答弁をいただかぬと、国民に対する疑惑は晴れない。自衛隊の現状というものはこうなっているということについての責任は負えない。よもやあなたはそんなことは考えていないと思うのだけれども新聞には、一面機密保護法みたいなものを云々する文面も出ている。防衛庁内部にこれだけ問題がある。問題はそこにある。たくさん商社に人が行っている。そういう状態の中で、よもや機密保護法みたいなことを言い出す筋合いはないと思いますけれども、それらについても、明確にこれは総理に明らかに確認を求めたい。  委員長、国防会議議長は総理ですから、しかも、これだけ問題が山積をしている。当面国民にたいへんな疑惑を招く。なくなられたことだけでもたいへんな影響を与える。先般来国会で何べんも問題が出てきている。そうなると、これは総理に国防会議議長としても責任のある立場で明らかにしていただかぬと——長官自身が百鬼昼行だなどと言って、腐ってしまう自衛隊ということばを口にする。隊員の諸君はかんかんにおこっているという現状、若い方々はかんかんにおこっている。これは幾らいま長官が強弁をされてもきれいにはなりません。これはどうしても総理に出ていただいて、総理として、かつ国防会議議長として明確に答弁をいただきたい。委員長に要求をいたします。
  263. 井出一太郎

    ○井出委員長 ただいまの大出君の申し出に関しましては、追って理事会にはかり措置することにいたします。  これにて大出君の質疑は終了いたしました。  次に、島上善五郎君。
  264. 島上善五郎

    ○島上委員 実は総理大臣にぜひ伺いたかったのでありますが、総理大臣がお見えにならないので、総理大臣にお伺いする分については官房長官にお伺いいたしますから、総理になったつもりでひとつはっきりと御答弁をいただきたい。  私は、この際、一言苦言というか、御注文申し上げておきますが、その場しのぎのそらぞらしい答弁は、事政治資金規正法に関しては、ほかにもありますけれども、あまりにも多く聞かされておりますので、ひとつ責任を持った答弁を願いたい。いま申しましたように、総理からはあまりにも多くのその場限りの、その場しのぎのそらぞらしい答弁を承っておりますので、このことをあえて、あなたには必要ないかもしれませんけれども、御注文申し上げておきます。  まず最初に、政治資金規正法を特別国会に政府が提案をしまして、これは廃案となりました。その提案の前に、すでに答申がなされる以前から、総理は、答申がされたら尊重する。私の本会議質問では、わざわざ総理が審議会設置法の第三条まで読み上げて、答申を尊重しなければならぬということを書いてあると読み上げて、尊重する。それから、出したものは相当の骨抜きで、尊重ではないと思いますが、出しますと、出したからには必ず今国会で成立を期する、これは当然だ。これは当然です。ところが、御承知のように、自民党の引き延ばし審議、だらだら質問、そうして最後には、自民党の委員長が雲隠れして、せめて最後には継続審議だけにはしろ、こう総裁として指示したはずでありましたが、その継続審議にもしなかった。廃案になってしまった。これは、総理大臣として政府提案がこのような形で廃案になった責任、総裁として党をまとめることができなかった、あるいはリーダーシップを十分に発揮することができなかった、こういう責任は、私は当然感じなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
  265. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 総理がたびたびお答えの中で、前の国会の苦い経験をかみしめてと言っておりますが、これは総理自身、前国会の国会の審議のことはとにかくといたしまして、この成案を得なかった、また、国会で成立しなかったことについての総理みずからの反省のことばでございます。その反省を生かしまして、今国会においてはぜひとも成案を得まして、この国会で成立をさせたい、これが総理の責任のある考え方でございます。
  266. 島上善五郎

    ○島上委員 この政治資金規正法が廃案になったときに、選挙制度審議会は緊急総会を開いたのは御承知だと思う。政府の無責任に対して、選挙制度審議会は非常に憤慨しまして、たしか七月二十二日です、緊急総会を開いて、その場に総理の出席を求めて釈明を求めました。   〔委員長退席、北沢委員長代理着席〕 成立しなかったのはたいへん遺憾である、この次の国会には必ず出して成立をはかりたい、こう申しました。その後、次の国会は第五十六、第五十七と二回あったわけですが、その次の国会に出していない。次の国会ということは、ほかの場でも答えております。同僚の山花君が質問した際にも、この次の国会と、こう言っておる。この二つの国会にも出さない。今度の国会にもまだ出していない。先般は、二月二十四日のこの予算委員会で、今月中に出すと、こう言いましたが、二月中どころではない、きょうは三月五日ですが、こういうふうに空虚な答弁をしてきたということは、質問をしておる野党を欺くばかりではなく、私は、国民を欺く行為だと思うのです。自治大臣あとで詳しく聞きますけれども、私は、おそらく今月中も出せないだろうと思う。その上、先般来の質問に対しての答弁では、成立を第一義とした案をいま練っておる、ということは、この前の骨抜きをさらに骨抜きし、これはもう大骨小骨どころではなく、背骨まで抜いたものを出そうとしているんではないかと疑われる。そういうことでは、私はいままでの責任を追及しなければなりませんが、今国会における責任も当然総理として、総裁として負わなければならぬと思う。一体、答申を尊重するということを口をすっぱくなるほど答弁しておりますから、答申を尊重した案をいつごろ出される見通しであるか、この際、はっきりしていただきたい。
  267. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 ただいま、御承知のとおり、その成案につきまして調整中でございます。できるだけすみやかな機会に国会に提案して御審議を願う、こういうことでございます。
  268. 島上善五郎

    ○島上委員 自治大臣は、十二月十二日ですから前の国会ですが、参議院でこう答えています。「次の国会に提出できればいいがという心配」をしておる。それは「率直に、いつでも選挙前の国会というのは、議員が不在がちでございますので、ただ、予算もあるし、すぐ選挙を控えておるし、衆参両院、この重大法案を通すことが可能であろうかという心配」をしておる。これは私は、わりに正直な心配だと思うのですが、そういう心配は、これは国会に席を持っておる者の常識としてしなきゃならぬ。そうすると、今月塗二月でしょう。私は、かつて質問の際言ったことがありますが、二月中に出さないと、逆算しまして、衆参両院で審議をする、この法律だけではありませんから、公職選挙法、すでにもう三本出されておりますし、いわゆる選挙の自由化という法律もありますから、二月中に出して、さらに選挙法の委員会で大馬力をかけて、私たち一週間二回やれと、こう要求しておりますが、それでもなかなかたいへんだと思う。三月中に出ないということになれば、出せないということになれば、政府は口で何と言おうとも、今国会で成立させようとする熱意がないものと断ぜざるを得ないのです。赤澤大臣、どうでしょうか。
  269. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 総理大臣がたびたび申しておりますとおりに、今国会に必ず提案して、しかも成立させるのだということを申しておられます。ただいま御指摘になりましたとおり、この国会は参議院が半数改選の年でありまして、あとになりますとなかなか時間的に窮屈になる国会で、お互いの経験でよく知っておるわけでございますので、われわれ側としては、一日も早く成案を得て提出したいと考えておりますが、御案内のとおり、この前、前々国会でああいう結末に終わりましたのは、やはり与党側の調整が不十分でありましたためにああいうことになった、そのことを総理は苦い経験にかんがみと言われたと思っております。少し提案がおくれましても、まあ与党側で納得をしてもらえば、まあ皆さんに十分御審議もいただかなければなりませんけれども、しかし、法案を成立させるということを前提といたします場合においては、何としてもこの点を突破しなければなりませんので、ただいま苦慮をしながら与党側でいろいろこの法案について検討を願っておる段階でございます。
  270. 島上善五郎

    ○島上委員 私は納得できません。なぜならば、答申されてから特別国会で提案するまで二カ月以上かかっております。それから、いま申しましたように、二回の臨時国会を経ております。その間にほんとうに出そうという、成立させようという熱意があるならば、幾らでも与党との間に意見調整でも交換でもできる時間があったはずです。まぎわになって、もうぎりぎりになって意見調整に名をかりて引っぱっておるのは、成立させようとする熱意がないからだと思う。そう思わざるを得ない。それともう一つ、成立しさえすれば何でもいい、政治資金規正法改正というタイトルで成立しさえすれば何でもいいというものではないのです。私たちは四月七日の答申が最低の線だと思うのです。まだあれでも不十分だと思いますけれども、最低の線だと思う。小骨一本も抜きませんと言いましたから、たぶん抜かないだろうとも思いますけれども、しかし、新聞報道は、ついせんだって自民党の選挙調査会をやった際に、まっこうから反対する意見がだいぶ強かった、新聞で報道しております。政党に対する規制そのものに反対である、制限そのものに反対であるという意見が非常に強かったそうであります。それで松野会長は——ここにはお見えにならぬようですが、松野会長いわく、三月中をめどにと、こう記者会見で発表しておる。一つは、提出の時期がおくれることが成立不能におちいる心配があるのと、もう一つは、調整に名をかりて答申が元も子もないような状態にずたずにされてしまうのではないか、こういう心配、要するに、何ら規制の実効があがらないような法律ではこれは意味ないわけですから、提出の時期とあわせて、内容について、私はここでは別に詳しく一つ一つを伺おうと思いませんけれども、答申の線に沿うたもの、答申の線に忠実であるものということをお答えいただけますか。
  271. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 言うまでもなく、答申の線に沿うたもので準備をしておる最中でございます。しかしまあ御案内のとおり、いろいろな意見がたくさん出ておるわけでございまして、これも無視することは実はできないわけなんです。で、私どもといたしましては、答申の線に沿うという意味で調整するのに苦労をしておるわけでございます。近く成案ができる予定になっておりますので、いましばらくお待ちをお願いいたしたいと思います。
  272. 島上善五郎

    ○島上委員 あとでだんだんともう少し詳しく伺いますが、官房長官に伺いますけれども、あなたの党でも、党内ですでにこういうことが、五年も前に党の組織化、近代化ということで論議されておる。実はこの政治資金規正法改正の答申が出たのは去年の四月七日といわれていますけれども、ほんとうはそうじゃないんです。選挙制度審議会の第一次の答申にあります。第二次の答申にもあります。ちゃんと私ここへ持っていますが、第一次の答申、これはもっときびしいです。政党及び政治家に対する献金はすべて個人に限る、こういう簡明直截なきびしい答申を第一回の審議会でしております。八年前です。第二次審議会でもこれを確認して、やはり答申の文章の中へ入っております。決してきのうきょう起こった問題ではないのです。一昨年のいわゆる黒い霧以来世論が急に高まりましたことは事実ですけれども、あなたの党でもたいへんけっこうなことを言っておるのです。これは三木外務大臣が組織調査会の会長であった当時の答申です。昭和三十八年十月十七日。この中に「個人の後援会については、同一人または同一法人から年間を通じて最高三十万円以上の資金を受領してはならないことにする。」ちゃんとこういう項目がある。ですからあなたの党の中にも、良識を持っている人はこういうことを考えておる。これも八年も前。それなのに、さっぱり法案を提出しないし、かりに法案を提出しなくても、法律化しなくとも、それなら自民党自体が改善のための努力をしている形跡があるかといえば、その形跡も全然ない。これでは、法律をきびしく改正して、その面からこのような弊害を取り除くしかないと思うんです。先ほど来防衛庁の黒い霧に関する質問がありましたけれども、いまの政治資金規正法と公職選挙法でいきますならば、当該選挙に関してはという、これだけのまくらことばがついておりますために、防衛庁の兵器の生産を下請する会社が自民党に一千万円寄付しようが、一億寄付しようが、できるようになっておるのです。こういうことを許されてよろしいと思いますか。私は、国民は絶対に納得しないと思うのです。国から何百億という兵器の請負をしている会社が、何百億という請負をすればたいへんなもうけになるのですから、そのもうけの十分の一を自民党に献金したからって、ちっとも痛くもかゆくもない。いまの法律だと、できるのです。こういうことが許されてよいと思いますか。
  273. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 党関係のことはお答えする限りではございませんが、ただ政党の近代化ということのためには、政治資金規正法の改正はぜひ必要だ、これは政府も考えております。
  274. 島上善五郎

    ○島上委員 私はあまり悪口を言いたくないけれども、少し悪く言うならば、大蔵大臣、五兆も六兆もの予算を編成する際に、政治献金を受けるということを頭に描きながら予算を編成したら、私はほんとうに国民のための予算はできないと思うのです。いまの法律は、それもできるのですよ。可能なんですよ。そういうことを頭に描きながら、今度は兵器関係の会社からどのくらい献金があるだろう、参議院選挙にどのくらい献金があるだろう——これは、あなたのほうで献金を受けた資料もありますよ。たいへんな献金ですよ。こういうことで、一体政治に対する国民の信頼を回復することができると思いますか。国民のための予算ができると思いますか、こういう状態で。どうでしょうか。
  275. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういう問題がありますからこそ、この政治資金規正法をつくろうということでいろいろ努力しておるのだと思います。
  276. 島上善五郎

    ○島上委員 ところが、そうおっしゃいますけれども、骨抜きにしようとしているでしょう。骨抜きの話はあとでしますけれども……。  四十一年の下期、四十二年一月選挙ですから、選挙の面前、自民党は五十九億五千六百七十四万五千六百三十三円という数字があります。四十二年の上期は、選挙が済んだ後ですから少し減っておりますけれども、この自民党の献金は、全部といってよいほど、会社、法人ですよ。しいてパーセンテージで出せば、自民党の資金源であり、自民党に二十二億三千五百万円献金しておる国民協会、この国民協会が集めた資金は、個人の寄付は〇・〇七八ですよ、金額にして百九十九万。みんな会社ですよ。   〔北澤委員長代理退席、委員長着席〕  官房長官に伺いますが、会社というのは、言うまでもなく企業ですから、利潤をあげること、もうけることを目的として経営されておりますね。こういう会社がもうけと全然無関係に、すなわち反対給付と全然無関係に、時の与党にこういう多額な献金をするとお思いになりますか。私は、そうじやないと思う。何らかの形で反対給付を期待しながら献金するものが大部分だと思う、あるいは全部かもしれませんけれども。いかがでしょうか。
  277. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 各会社の実態によって相違はあると思いますが、利益を計上しない会社が政治献金をすることはこれは不健全だと思います。
  278. 島上善五郎

    ○島上委員 赤字を出している会社でもやっておるし、それから政府から投融資を受け、補助金、交付金、利子補給を受けている会社あるいは政府と請負関係にある会社、さっき話の出た兵器関係もその中にもちろん入ります。そういう会社がばく大な献金をするということは一体好ましいことと思いますか。好ましいこととお考えになりますか。
  279. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私は好ましくないと思います。そのために今回の政治資金規正法の改正案が必要だ、こう考えております。
  280. 島上善五郎

    ○島上委員 これはだれが考えたって好ましくないですよ。好ましくないからこそ、いまの規正法でも、ゆるふんで、ざる法であるけれども、規制しておるのです。これはしかし、当該選挙に関してとまくらことばがついておるために全くのざる法で、何ら実効があがらない法律ですから、これを実効があがるように規制しなければならぬ、こういうことになっておるわけです。  そこで、私は赤澤自治大臣にお伺いしますが、大臣大臣になる前の政治資金規正に関する考えと、大臣になった今日の考えとに違いがございますか。
  281. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この問題につきましては、私どもの党でもそれぞれ考え方がありまするので、私は昨年の衆議院の本会議で党内にある意見を若干申し述べたわけでございます。しかし、いま自治大臣として規正法の責任ある立場に立っておるわけでございますが、言うまでもなくやはりこの法案に対する国民の期待もありますし、それにこたえるという意味でいま鋭意成案を得る努力をしつつある最中でございます。
  282. 島上善五郎

    ○島上委員 あなたが大臣になる前の考えと今日の考えが違うということを聞いておるのは、党内にいろいろ意見があることを聞いているのじゃない、あなた御自身の考えを聞いている。昨年の代表質問、これは党の代表質問ですけれども、その中に御自分の考えが出るのは、これは当然ですね。私が心配するのは——私が心配するだけじゃなく、国民も心配しておるのですよ。政治資金規正法の成立に、少なくとも当時の政府提案に強く反対しておった赤澤さんが自治大臣になった。これはもう政治資金規正法を流してしまう下心だろう、こういうふうに国民はとっておるし、私どももとっておるのですよ。そこであなたが大臣になる前の考えと今日の考えと違っているかどうかということを伺っておるわけですよ。
  283. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政治資金の規制のやり方は何もあの答申が一つではないわけでございまして、これは各人いろいろ案があると思います。しかし私も何がしかの私見は持っておりますけれども、いまの立場でそういう私見を申し上げることは遠慮いたしたいと思います。
  284. 島上善五郎

    ○島上委員 申しにくいことでしょうから、私のほうから伺いましょう。  政治資金の規制のしかたにはいろいろあります。それは私どもも考えは持っております。しかしいまここで私どもが問題にしておるのは、あの答申に沿うた案を出すかどうかということなんですよ。白紙のところへ新規に案を考えるのじゃなくて、答申が出て、これを尊重をして、小骨一本も抜きませんと何回も国民にも私どもにも公約をしてきたそのあげくの提案ですから。あの答申に対して、あなたはさっきも答申に沿うた案をと、こういうことをお答えになりましたが、答申に沿うた案でなければ——もっとあれよりもいいものならもちろんいいのですよ。せんだって、この問題を心配した婦人が二百人ほど集まった会合で、あなたの党の代表が、この前の政府提案、あれよりもっといいものを出します、こう言明しました。婦人を喜ばしておりました。あの案よりもいいものといえば、抜いた大骨小骨をまたもう一ぺんあの中につき加えて、答申どおりのものを出す、こう解釈するのが普通なんですよ。勇将のもとに弱卒なしということばがありますけれども、あまりにもその場限りのいいかげんな発言だと思って、私は実はあきれ返っておったのですよ。  じゃ、あなたにもう少し具体的に立ち入って伺いますが、あなたは政党に対する寄付は制限すべきではない、こういう考えをお持ちでしたね。これを代表質問の際にはっきり申しましたね。政党に対する寄付は制限すべきではない、これはもう答申の精神と全く相反しておるのですよ。全然似ても似通ってもいないものですね。全然正反対です。そういうお考えは、今日いかがでしょう。
  285. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 あまたある考え方の一つであると御理解を願います。
  286. 島上善五郎

    ○島上委員 あなたがその代表質問でこう言っているのですから、その考えを、個人でもよろしい、大臣個人でもよろしいが、いまなお持っていらっしゃるか。そういうことを言ったのは実は間違いだった、こうお思いになっているかということを聞いているのですよ。
  287. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しましたとおりに、自治大臣といたしましては、なるべく先般の答申の線に沿うた結論を得たいと考えておる次第でございます。
  288. 島上善五郎

    ○島上委員 それから、罰則を設けることは反対だ、こういうことも言っておりますね。こう言っております。この程度の——答申のことですよ、この程度の寄付について罰則を設けることは、あまりに神経質に過ぎぬ納得がいきません、こう言っているのですね。罰則を設けない法律というものは一体実効があがりますか。罰則を設けない規制というものがありますか。
  289. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政治資金を規制するという意味では、先ほども申されました政党を規制するといっても、やはりその裏に、政党というものは議会政治、民主政治の主柱でございますから、これが国民の信を失いましては、その次に来るものはもう独裁しかないわけでございまするので、もちろんそれ相当の別の角度からの規制は当然伴わなければならぬと思いますし、また、当時の議論のうちに、罰則云々のことも、これは罰則は刑事罰もあるいは税法上の罰も、いろいろあるわけでございまして、いろいろな議論があったのです。そのうちの一つでございまして、そういうふうに御理解をお願いいたします。
  290. 島上善五郎

    ○島上委員 ごまかしちゃだめですよ。ちゃんとあなたの速記録がここにあるのですから。この程度の——ということは答申のことですよ、この程度の寄付について罰則を設けることは、あまりにも神経質過ぎて納得いかない。要するに、はっきりいえば、罰則を設けることは反対ですね。私は、罰則を設けない法律というもの、これは何の実効もあげない、価値のない法律だと思う。もしそういう考えをいまなお持っているとすれば、罰則をかりに設けても、ずいぶんとあってなきにひとしいような罰則に後退してしまいはしないかということを私心配するから聞いておるのですよ。
  291. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 当時からでございますけれども、やはり善意の寄付者に対して、刑事罰をもって臨むのはどうかという議論があるわけでございまして、やはりこの資金を規制します上において、罰則は全部はずしてしまえなどということを言った覚えもありませんし、何らかの形で規制するからには、やはり罰則は必要であると考えております。
  292. 島上善五郎

    ○島上委員 こまかいことは、また法案審議のときに伺いますから、あまりこまかく申しませんけれども、しかしまだまだたくさんあるのですよ。先ほど官房長官は国と請負関係にある団体あるいは国から補助金、交付金、融資を受けている会社から献金を受けるということは好ましくないと言いました。そのとおりです。これは汚職につながりますよ。ところが、これについてもそう言っているのです。こういう国から請負その他金融機関から融資を受けている法人等の寄付制限についても、「これに罰則がつくとすれば容易なことではなく、この法律の運用いかんによっては、生産活動、経済活動を麻痺させ、警察国家の招来なしといたしません。」こういうオーバーなことを言っているのですね。これも、国と請負関係にある、そういう好ましくない団体からの献金についても罰則を設けることは経済活動、生産活動を麻痺させてしまう、だから防衛庁からの兵器の発注を受けた会社が献金をする、これで麻痺する、生産活動、経済活動が麻痺することは一体どういうことですか。自民党の活動が少し窮屈になるかもしれぬけれども、国の生産活動、経済活動が麻痺するなんということは一体あり得ることですか。
  293. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その議論は、おそらくは罰則は当然つくわけですけれども、やはり会社の資本金も違いますし、何万ある会社の事情はいろいろ違うわけでして、そういうものにうかつにいろいろな制限をつけますと、もしそれに触れた場合に刑事罰を食うということになれば、容易ならぬいろいろな問題も起こる。ことに、事が重大ですから、議員の身分にも関するわけでございますので、やはりそういった点に警察権が介入するということがもしありとすれば、容易ならぬ事態が起こるのじゃないかという議論もありましたので、そのことを申したことと記憶いたしております。
  294. 島上善五郎

    ○島上委員 これは前の藤枝自治大臣が政府案として提案した法律案に対してのあなたの見解ですよ。あまり、そういう意見もあるとか、ごまかさないでくださいよ。そうして最後にこう言っているのですよ。「政治に金をかけるのは悪である、資金さえ制限すれば政治活動も衰えるであろうという誤った考え方が法案を支配していることはまことに遺憾であって、私は資金規正の方向を誤っているものと判断せざるを得ないのであります。」ですから、あの法案そのものにまっこうから反対しているのですね。まっこうから反対です。そうして、おまけに最後に、「この法案起案の過程を通じて、世論の圧迫があったことは事実で」——世論の圧迫とお思いになりますか、これは官房長官に伺いたい。去年の政治資金の答申があってから——これは東京の大新聞だけですが、これだけ政治資金規正法について書いているのですよ。この中に、ただの一つでもあの答申に反対の意見がありません。全部あれを促進しろ、あれではまだ手ぬるい、こういう論説、キャンペーン等です。一つも反対の意見などないのです。これは世論の圧迫とお考えになりますか。ことしになってから、最近でもずいぶん書いていますが、世論の圧迫とお考えになりますか。
  295. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 おそらくそれは世論の反対という意味だと思います。
  296. 島上善五郎

    ○島上委員 そういう御答弁しかできないでしょうけれども、とにかく赤澤自治大臣は政府案として出された法案に対してまっこうから反対する立場で討論されている。私は、そういう考えが今日まるで手のひらを返すように変わっていなければ、今度出るであろう法案が心配なんですよ、どうでしょうか。大臣になって——まさかあのとき大臣になると思ってこういうことを言ったのじゃないかもしれませんけれども大臣になった今日こういう考えを持っておられたのでは、それは出てくる法律はおよそ想像できますよ、どうでしょうか。
  297. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 当時いろんな議論がありましたので、その問題点を提起した形で質疑をいたしました。しかし私は、政治資金を規制することについて反対ではありません。もともと私は賛成で意見を持っておりますけれども、ただいまおっしゃったとおりに、あれ一つだけではなくて、やはりやり方はいろいろあるわけでございます。ただ、ただいま申しました政党に金を寄付することは悪である、政治に金を使うことは悪であるというふうにきめつけたとおっしゃいますが、やはり、いわゆるきれいな金なら何もそう気にかける必要はない。ただ島上さんも当時の委員でしたから御承知のとおりに、あの二千万、一千万、五十万という数字は最後の日に出てきた数字でして、あれは審議はほとんどできておりません。ですから私どもは、それをあえて言うわけではありませんが、答申の線を守ろうとする意味は、もちろんそのことをずいぶん頭に入れてやろうとしているわけでございますので、私どもは何もそれに反対しておるわけではありません。いまの段階では、重ねて申し上げますけれども、ああいう答申をいただいたわけでございますので、その線に沿うような成案を得たいと考えておる次第でございます。
  298. 島上善五郎

    ○島上委員 藤枝さんに質問するわけにいかぬだろうけれども、あの当時の政府案が、「政治に金をかけるのは悪である、資金さえ制限すれば政治活動も衰えるであろう」と、こういう考えで支配しておったといまでもお考えですか、そういう考えであの法律を支配しておった、こう言っているのですから、これはたいへんな問題ですよ。政治資金の寄付を全然禁止しているのじゃないのですから、会社は二千万円まで、個人は一千万円まで寄付できるのです。寄付を全然禁止しているわけじゃないですよ。この二千万円以上で該当して抑えられる団体は数にしたら幾らもないですよ。自民党はたくさんの会社から献金を受けているけれども、二千万円以上というのは五つか六つですよ。三千万円の会社が二千万円になるだけですよ。決して政治献金は悪だなんという考えがあの法律を支配しているわけじゃないのですよ。藤枝大臣答弁もあるから参考にしてもいいのですけれども、いまはあなたに聞いておる。あの法律は政治に金をかけるのは悪である、こういう思想で支配された法律だという考えをいまでも持っていらっしゃいますか。これはそうなったら大問題です。
  299. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いろんな考えがあったことを申し上げたわけでございまして、ただ政治資金を規制するにあたって、水道のじゃ口を締めさえすればいいのだ、こういう単純なことでやれるはずはないわけでございます。それが最終、突然として二千万、一千万、五十万という数字が出てきたわけでございます。これは当時、党でも十分協議するひまもなかったわけでございまして、それに関しましていろいろ議論がありましたことを申し述べた次第でございます。
  300. 島上善五郎

    ○島上委員 いろいろ議論があったことを言うたのじゃなくて、そういう考えで支配しているこの法律は、政治資金規制の方向を誤っているから反対だ、こう言っているのです。ですから、あなたはこの法律にまっこうから反対している思想がはっきりと出ているのですよ。そういう考えを持っている大臣が、法案の新しい提案に対して当然参画するでしょうから、そうなると、全く背骨まで抜かれた実効のない法律になるんではないかということを心配しているのは、私ばかりじゃないのですよ。国民がみなそれを心配をしておる。だからそういうことをしつこく伺うわけですけれども、一体この法律は、次の参議院選挙に間に合わせようというお考えですか。
  301. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 参議院選挙に間に合わせるという意味がちょっと私わかりませんけれども、しかし任期もございますので、両院を通過させたいという考え方でございまするから、その意味だったら間に合わせたい、こう考えております。
  302. 島上善五郎

    ○島上委員 これはとうてい参議院選挙には間に合わせるという考えはない。  それから、例の、七カ月か八カ月あとから答申されてきた選挙運動の自由化の法律、いま自治省で自民党と相談をしているようですが、これは出されますか。
  303. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どっちが先、あとということを考えておるわけではありませんが、これは選挙運動の方法でございまするから、これこそ目前の参議院の選挙にはぜひ新しい方法でやっていただきたいという考え方をも合わせて持っておるわけでございます。
  304. 島上善五郎

    ○島上委員 私は自由化ということを方向としてもちろん賛成している者の一人ですが、自由化すれば、反面たいへん金がかかるのです。特に政党本位の自由化ですから、金がかかる。私は自由化の改正と政治資金規正法の改正は、答申の時期からいってもそうですか、政治資金規正法の改正を先にびしっとやるということを前提として自由化の改正をすべきものである、こう考えるのです。これは少なくとも一緒でなければならぬ。それこそあなたのほうのお得意の両輪論、自由化と政治資金規制とは全く、前にするか、おそくとも、少なくとも一緒でなければたいへんな弊害を生む心配があると思うのです。その点いかがですか。
  305. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何ぶんここで両輪諦めいたことを展開しようと考えておりませんけれども、この間の、二度目のと申しますか、一番最近に出ました選挙制度の改善に関する答申でも、一番重点がかかっておると判断いたしますのは、今日のような金のかかり過ぎる選挙の実態から脱却し、個人本位の選挙から政党本位、政策本位の選挙に転換すべきであるというふうにいわれておるわけでございます。ですから、政治資金規制は別の角度からまた必要だ、国民の期待にこたえなければならぬと思っておりまするが、しかしこの選挙の自由化、またさらに一歩進んで区制の問題に至るまで、重大関心を持って検討すべきものと考えておる次第でございます。
  306. 島上善五郎

    ○島上委員 またこの前の質問を引き合いに出しますが、あなたは選挙区制と政治資金規制と両輪、一緒でなければならぬということを強く主張しております。区制は御承知のとおり、答申には具体的な答申がありませんから、これは少なくとも当分はたな上げだと思います。区制との両輪論というのは事実上なくなったわけですが、区制との両輪ということは今日は考えておりませんか。
  307. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 両輪論を申しますと、また非常に誤解を呼ぶ面もあります。私の考え方では、先ほども申しましたように、資金規制また運動方法などは別に考えておりますけれども、さらにもう一歩進めば、両輪どころか四輪にも五輪にもなるというふうに考える。つまり政治資金規正法も一輪なら自由化のこれも一輪であります。区制は大きなまた一輪であるというふうに考えております。何と申しましても私どもの党で一番困っておりますことは、たびたび皆さんにも訴えましたとおりに、同士打ちの選挙に耐えられない。同士打ちの選挙が一番選挙を誤り、また選挙民諸君を悩ますポイントであるという観点に立っておりまするので、やはりこの結論を得たいということをたいへん主張をいたしたわけでございます。私は、いま島上さんは答申にはなっておらぬとおっしゃいますけれども、しかしながら、明らかに方向は出ておるわけでございまして、長い間審議会の委員先生には御苦労いただいたわけでございまするので、これは何もなかったというふうには私たちはとりたくない。やはり方向は示されたものである。この方向の上に立って、さらにお互いにこのことは検討していかなければならぬというふうに考えておるものでございます。
  308. 島上善五郎

    ○島上委員 それじゃ伺いますが、あの小選挙区三案ありましたね。三つの案、小選挙区の考え方に立つ三案、あの三案のいずれかをとって政府が小選挙区制を近いうちに出すというお考えですか。私は答申尊重というたてまえからすれば、答申と無関係に出すなら別ですけれども、答申を尊重するというたてまえに立つならば、一つの具体案がない以上は政府は小選挙区制は出せないもの、したがって、小選挙区制の両輪論というものはもう消えたもの、こういうふうに理解いたしますが、いまの御答弁だと、小選挙区制をまたあの中から政府が自由に選択して出すようなふうにも解釈されますが、いかがですか。
  309. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、やはりこのこともお互いに前向きに検討すべき課題だということを申し上げたわけでありまして、いますぐこれを取り上げて、この区制改正をやろうというふうには考えておりませんが、しかし島上さんよく御承知のとおりに、この委員会のその面における結論は、出席委員三十三名中各案の支持者は、中選挙区二名制限連記投票制案一名、それから小選挙区制案、単純な小選挙区制を支持なさった方が七名、比例代表中選挙区制案支持が四名、それから小選挙区制と比例代表制の併立方式案が六名、それから中選挙区制の改正案支持が一名、それから小選挙区制と比例代表制の併用案が九名で、いずれも過半数の賛成がこの面では得られなかった。しかし、本審議会において小選挙区制を柱とし、これにより生ずるひずみを正すため適切な方途をとることが適当であるとする委員及び小選挙区制を適当とする委員を合わせると多数であっという、こういう答えになっておるわけでございます。長い間の努力の積み重ねでございまするので、こういう作業の結果得られた答申というものは、私は粗末に扱いたくないという考え方を持っておる次第でございます。
  310. 島上善五郎

    ○島上委員 官房長官何かお忙しいということを聞いているが、官房長官に二、三伺っておきたいと思います。  選挙制度審議会は、いまもちょっと話が出ましたが、諮問事項のうちで、まだ懸案として結論を出していないものがあります。この前の答申でも、私は赤澤大臣と多少解釈が違いまするが、選挙運動の自由化については、これは具体的に答申と見てよろしい、選挙区制については、これは答申ではない、一つも具体案がないのですから。参議院制度の改正についてはなお検討を続けている、こういう状況です。選挙制度審議会、第六次、どういうふうになさるお考えですか。
  311. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 政府といたしましては、六次審のことについてはまだ未定という状態でございます。
  312. 島上善五郎

    ○島上委員 政府としては考えがきまってないというのですか。
  313. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 重要な問題について、ただいま御指摘のとおり最終的な結論がああいう形で出ておりまするので、私どもといたしましては、さらにこれを続けてやっていただきたいという気持ちはあります。が、しかし、五次の答申が出て、その扱いにまだわれわれといたしましては忙殺されておる段階でございますので、いますぐに第六次の選挙制度審議会を出発させるということは、ちょっとむずかしいと考えております。
  314. 島上善五郎

    ○島上委員 私は、むずかしい理由は違った角度から考えておりますが、それは、せっかく苦労して答申をつくっても、政府が全然尊重しようとしない。これでは、この政治資金規正法の成り行きを見た上で、もし答申を尊重した法律が成立すれば、あとを引き受けるかもしれませんけれども、この前の国会みたいに、骨抜きにしたものを廃案にしてしまう、それをさらに骨抜きにしよう、それもどうだかわからぬ、こういう状態では審議会の、少なくともいままでの委員諸君では引き受け手がないと思うのです。そういうことで実は低滞しているのだと思う。「総理府に、選挙制度審議会(以下「審議会」という。)を置く。」、審議会設置法の第一条ですが、選挙制度審議会を置くということは、置いても置かなくてもいいという意味に解釈するのか、置かなければならないというふうに解釈するのか、どちらですか。
  315. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 常置機関でございますので、言うまでもなく置くたてまえになっておりますけれども、先ほど申しましたように、先般のあの答申の扱いに苦慮しておる最中でございまして、これはやはり委員諸君の御期待にこたえる意味におきましても、りっぱな解決をしなきゃならぬと考えております。今後は諮問事項に応じまして、諮問事項があれば、そのときにまた人選をお願いしまして御審議願うことになっておる、かように考えております。
  316. 島上善五郎

    ○島上委員 法律のたてまえからいっても「置く。」となっているのですから、置いても置かなくても、どうでもいいということではない。「置く。」ということは置くということですから、ことばをかえて言えば置かなければならぬということです。それを委員の委嘱もできないでいる現状は、あなたは正直に言いませんけれども、この政治資金規正法の成り行きいかんによってはやり手がないのです。少なくともいままでの委員の多数はごめんこうむると、こう言っているのですから、そういう意味でも答申に忠実な案を出さなければ今後の審議会設置は不可能になります。  官房長官にもう一、二伺っておきますが、参議院選挙を目の前に控えて、いろいろ動きがありますが、政府として、さらに自民党として、この参議院選挙に臨む姿勢と申しますか、きれいな正しい選挙をやろうとするために、何か具体的にお考えになっておりますか。
  317. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私がお答え申し上げますのは政府の立場でございます。公明選挙が行なわれることは、もちろんこれは政府の選挙対策を通ずる最も重要な目的でございます。しかしながら選挙が公明に行なわれるということは、やはり何よりも候補者選挙運動者等の当事者の自覚とその実践ということが第一でございます。しかしながら、そういう選挙運動が公明に行なわれるために、政府といたしまして、啓発運動その他は非常に必要であろうと思いますので、そういう面を中心として万全の措置をとってまいりたいと思っております。
  318. 島上善五郎

    ○島上委員 官房長官、あなたはさっき、私が指摘したような団体から献金を受けることは好ましくない、こうおっしゃいましたね。これから受ける献金は、公職選挙法及び政治資金規正法にいう「当該選挙に関し」と私は解釈すべきだと思いますけれども、かりにそういう解釈が成り立つか成り立たないか別としまして、国と請負関係にある法人、国から補助金、交付金を受けておる法人、融資を受けておる法人、そういうところから献金を受けることは、私は当該選挙、参議院選挙関連しと解釈いたしますけれども、かりにそういう解釈をしないとしましても、あなたのさっきおっしゃったとおり、好ましくないと思いますけれども、そういうことに対して何か——これはあんた政府ですから、党のことはと言って逃げるかもしれませんけれども、総理大臣だったら総裁ですから、総理大臣にも伺うつもりでおったのですが、そういうことに対して自粛をするというような必要、そういう心がまえをお持ちかどうかという点を一点伺っておきたい。
  319. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 迫っております参議院の選挙に、政治資金規正法の改正が間に合うかどうかは、先ほど自治大臣からお答えしたとおりでございますが、選挙運動に使われる資金と、いま私のほうで考えております政治資金規正法による政治資金、これは、その使い方においては同一ではございますが、今回の参議院の選挙に関しましては、まだ政治資金規正法の改正案が成立しない限りにおいては、従来の古い規正法によって実施するわけでございます。それが道義的に好ましくないかは別といたしまして、新しい政治資金規正法が通らない限り、成立しない限り、従来の政治資金規正法では決して不正ではないということは御承知のとおりでございます。
  320. 島上善五郎

    ○島上委員 法律上はそれは可能です、さっきから何回も言っておるとおり。しかし道義上は好ましくないということはあなたの答弁したとおりです。私は今度の政治資金規正法は、成立そのものさえ怪しいと思うのです。内容に至ってはなお怪しいものだと思いますけれども、そうだとすれば、あなた、党の代表じゃないというからもう答弁は要りませんけれども、そうだとすれば、好ましくないものは党としては自粛をする、このくらいの心がまえがなければ、明るい正しいきれいな選挙などといっても、これはもう、から念仏だと思うのです。この際もう一言あなたに、総裁たる佐藤さんに伝えていただきたいのですが、口ではずいぶんときれいなことをおっしゃる、えりを正して反省するとか、自粛するとか。しかし今度の選挙に際して、この前、その前の二度の選挙で、野党から、きれいな正しい選挙をやるために各党が集まってひとつ申し合わせしようじゃないか、それを下部に指令し、通達し、あるいはこの実行を督励するような措置を各党ともとろうじゃないか、こういう申し入れをしたのに、全然応じなかった。それで御承知のようなひどい選挙違反があった。史上最大の選挙違反者と言われる人を、さすがに当時は自民党から離党させましたけれども、少したってほとぼりがさめたら、ちゃんとまた自民党に復党させておる、こういうような心がまえでは、この次の選挙も実は思いやられるのです。輪をかけたような不正腐敗の選挙が行なわれるのではないかと思う。そういうことのないように、総裁たる佐藤さんに、ひとつしっかりとお伝えおき願いたい。これはいずれまた佐藤総理、総裁に質問する機会があれば伺っにおきたいと思いますが、これはもう御答弁要りません。お伝え願いたい。  赤澤大臣に。選挙運動自由化の法案について、自治省と自民党がたいへん調整をしているようですけれども、これまた答申を尊重するという線でいくのか、自民党の都合のいいような線でいくのかということが関心の的になっておる。もしいままで新聞で伝えられるようなことが事実だとすれば、答申のうち自民党にとって都合のよさそうな部分だけを取り上げて、そうでない部分はほおかむりしてしまう、こういう心配がありますが、この自由化については答申を尊重するという考えと受けてよろしいですか。
  321. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 日本公職選挙法はあまりに取り締まり事項が多過ぎて、選挙そのものが非常に陰惨な様相を帯びておる。これではいけないということで、やはり審議会では大幅に自由化せよという御意見であったように私は承知をいたしております。しかし、この問題につきましても、やはり政府与党といたしましては、法案を調整するのは当然のことでございますが、その中で、何も自分の党にこれが有利だ、これが不利だなどという考え方を交えてやっておるわけでは決してありません。そういった考え方はぜひ捨てていただいて、そしてこれがほんとうに自由化されて、いい姿で次の選挙が行なわれるようにということを念願しておりますので、そういうふうにお考えをお願いいたします。
  322. 島上善五郎

    ○島上委員 いままでの新聞報道がそっくりそのとおり事実であるかどうかは、それはにわかに申されませんけれども、いままでの新聞報道によれば、どうも自民党に都合のよさそうな部分だけ取り上げて、そうでないところはほおかむりするという傾向が非常に強い。私たちはそういうことは許されないと思うのです。自由化は、あなたも一緒に審議して、私どもも方向として賛成する。しかし、それでは進んだ外国のように、すべてを野放しにしてよろしいかとなると、日本の現在の政治的風土からしまして心配なところがある。おそるべき弊害が発生するだろうと心配されるところがある。そういう点はある種の規制と申しますか、制限と申しますか、私ども段階的に緩和していくというのが実態に合っているのではないか、こう考えますが、その点いかがですか。
  323. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  324. 島上善五郎

    ○島上委員 法務大臣おりますね。——法務大臣に一、二伺いますが、選挙違反の裁判が非常におくれておる。百日裁判ということを選挙法は精神としておりますけれども、百日どころではない、二年も三年もかかっている。前の選挙違反の人が、最終的にきまらないために、次の選挙に立つというような事例がしばしばございますけれども、これは一体どういうわけですか。そうしてこれを促進するという何か具体的なお考えをお持ちですか。
  325. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  公職選挙法違反事件の一部に、審理が、お述べになりましたように非常に遅延しておるということがございますので、常々検察当局に対しまして、機会あるごとに訴訟促進のために格段の努力をするように指示をいたしておるような次第でございます。しかし、これも御承知のとおりに検察の力だけではどうも促進が思うようにまいりません。これの促進のためには、裁判所を中心として、検察官、弁護士以下、いわゆる訴訟関係人がさらにいまよりも一致協力して、訴訟促進のために努力をしなければ成績が上がらないのではないかとかねがね考えておるのでありまして、今後は裁判所に協力をいたしまして、一そうこれが促進に努力をしてまいりたいと考えております。  なおまた、裁判の問題につきましては、ぜひこれを努力をして促進せにゃならぬという考えからいたしまして、幸いに昨年の十二月に、裁判所と法務省と弁護士会、この間におきまして、何とかしてひとつ裁判がもっと早くいくようにやろうというために、具体的な方策をきめまして、この具体的な方策をお互いに守って促進をはかっていこうということに議論がまとまっておりますので、今後はひとつこの三者の具体的な方策を十分督励いたしまして、できるだけ早く裁判が進むように努力をしていきたい、かように考えております。
  326. 島上善五郎

    ○島上委員 そのような御答弁はいままでも何回か聞いておりますが、実効があがっていない、同じことを繰り返しておるような状況ですが、そのために法律改正が必要である、法律は現状のままで促進する方法がある、どういうふうにお考えですか、いかがですか。
  327. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 法律を促進するということについては、目下のところ考えておりませんが、裁判所と検察と弁護士、これがやはり一体になって裁判を促進するというよりほかに方法はないと考えております。いまも言いましたその三者の話し合い事項をひとつ忠実に守っていって、特にこの選挙事犯の裁判の促進に努力をしていきたい、かように考えております。
  328. 島上善五郎

    ○島上委員 これは警察庁の所管かと思いますけれども、参議院選挙についてもいろいろと事前運動があるようです。その中には、党の政治活動と見られるような、問題にするほどでないような運動もありまするし、広い意味では事前運動でしょうけれども、党の活動もしくは議員としての当然の政治活動と思われるものもありまするし、はっきりと買収供応すれすれあるいは買収供応そのものであるような運動も私どもの耳にちらほら入っておりますが、こういうことに対して、何らかの防止するための手を打っていらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
  329. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今度は取り締まりの方面からお答えいたします。  参議院の事前運動のことにつきまして、やはり取り締まりの一線にある警察といたしまして、たいへん心配をいたしておりますが、事前運動またはこれがまぎらわしい行為は、遺憾ながらまだかなりあるようでございます。それから、いまの悪質なものに対してはどうかということですが、これは言うまでもなく、検挙の方針で臨んでおる次第でございます。
  330. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お答えを申し上げます。  お述べになりましたように、もうすでに一部においては事前運動の疑いのある行為が発生をしておるように見受けられるのは、非常に遺憾に考えております。事前運動の取り締まりにつきましては、警察その他関係方面と協力しまして、随時警告を発してこれを未然に防止することに努力をいたします。選挙の公正を害するような悪質なもので、しかも証拠の十分な事犯につきましては、これを放置することなくして、期日前においてもひとつ断固として検挙の取り締まりを行なう方針を持っております。このために、数日前に全国の次席検事を東京に招集をいたしまして、特にこの取り締まりにつきまして、私から直接訓辞を行ないました。今後の参議院選挙は、明朗にしてしかも公正な選挙が行なわれるようにとくと配慮をいたしたい、かように考えております。
  331. 島上善五郎

    ○島上委員 実は、過去の選挙において同様の措置をとられたようですが、往々にして、たいして問題にならぬようなものをほじくり出して、悪質なものを見のがすというような傾向があったのです。私は、広い意味の事前運動というものは、政党の政治活動あるいは議員としての当然の政治活動と紙一重だと思うのです。文書を自由化しようという方向が打ち出されている際ですから、そういう紙一重ともいうべき広い意味の事前運動をとやかく言うよりは、買収供応、それと紙一重の悪質な運動に対して重点的に防止する、あるいは取り締まる、そういう考えでやっていただきたいと思うのです。いかがですか。
  332. 井出一太郎

    ○井出委員長 島上君、あと十分でございます。
  333. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 警察当局といたしましては、言うまでもなく、取り締まりの立場から、選挙の公正の確保に寄与するという考え方でやっておるわけでございます。事前運動にわたるものに対しましては、形式犯、実質犯の区別なく、厳正公平を旨として取り締まりに当たる考え方でございます。
  334. 島上善五郎

    ○島上委員 では最後に、赤澤自治大臣に伺いますが、自治省選挙局も今度廃止になりますか。この廃止について、全国の選管では、選挙を軽視するものではないかといって非常に心配しておるのです。私は、かりに廃止するとなりました際に、それではいまの選挙を軽視するという意味で廃止するのであるならばこれは承服できませんが、選挙管理委員会をもっと強化して、直接地方の首長の息のかかった状態から独立的な機構を持たして、もっと強力にし、そうして選挙の管理執行を公正にやる、こういうようなことをお考えになっていないかどうか。そういう考えなしに選挙局を廃止するということになれば、選挙を軽視するというふうにとられてもいたし方ないと思うのですが、いかがでしょう。
  335. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今回行政改革の第一着手として、御案内のとおりに、一省庁一局削減という案が出まして、自治省といたしましては、たった四局しかないわけでございまして、しかも行政局あるいは財政局、税務局、こういうものをやめるというわけにいかない。選挙局も、言うまでもなく、ちょうど選挙制度審議会の答申を実現しなければならぬ一番大事な時点でございまするので、私といたしましては、やはり自治省はこの四局をくずすわけにはまいらぬという主張はいたしました。しかしながら、これは総理も一つの意図がありまして、全部どの省庁も、いろんな理由があるけれども、全部一局ずつ減らすのだから、ぜひ君のほうもやってほしいと、これは行政管理庁長官のきつい御要求でありました。ただ、これは政府のほうでは、局をかりになくすにいたしましても、選挙局だけはずっと時期をおくらすということには一応しております。しかし、選挙局を廃止したからといって、何もこの選挙局でやっておる仕事というものを自治省からはずすわけではございませんので、私どもは、やはりさらに選挙局のやっておる仕事というものは充実をいたして、そうして選挙管理委員会などの御期待にこたえなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  336. 島上善五郎

    ○島上委員 選挙管理委員会の機構を強化し独立化するということについては何も考えていませんか。
  337. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 選挙管理委員会の制度は、現在やっておるとおりで十分であるという判断をいたします。
  338. 島上善五郎

    ○島上委員 もう一つ最後に、さっきからの答弁でどうもまだ不安なんですよ。今月中に政府案を出せるという、はっきりとした見通しはお答えできませんか。
  339. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 成案を得て提出して、これを成立させるということを考えました場合に、もう終着の時点はきまっておりまするので、どうかその点は島上さんのほうでもひとつ御推量いただきたいと思います。一日も早くこの成案を得たいという努力をせっかく毎日やっておる最中でございます。もちろん、気持ちとしては、当然あなたのおっしゃるとおりにいたしたい気持ちですけれども、ここでいつという時間を切るということはちょっと申し上げる段階ではございませんので、お許しをお願いいたします。
  340. 島上善五郎

    ○島上委員 申し上げる段階にないと言うけれども、私は、その段階はおそきに失しておると思うのです。先月に総理が二月中に出すと言ったじゃないですか。三月になって申し上げる段階でないなんて、そんなことは納得できませんよ。いまこの時期に至ってなおそういうあいまいな答弁をしているようでは、今月中もあぶないですよ。さんざん骨抜きにしようとしてもみくしゃにして、なお今月中も結論が出ない。来月になれば、これはもう申しわけ的に出すだけ出そう、こういうことになってしまいますよ。  納得できませんが、これ以上具体的な答弁がないようですから、終わります。
  341. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて島上君の質疑は終了いたしました。  明六日は、午前九時三十分より理事会、午前十時より公聴会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時四十二分散会