○田中榮一君 ただいま議題となりました三案件につきまして、外務
委員会における審議の
経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知のとおり、一九六四年五月から始められたケネディラウンドは、
わが国をはじめ五十四カ国及びEECが参加して、三年の長きにわたり交渉が続けられてきましたが、昨年六月交渉がまとまり、その結果ジ
ュネーヴ議定書その他が作成されたのであります。
まず、ジ
ュネーヴ議定書及び
関係交換公文について申し上げます。
ジ
ュネーヴ議定書は、参加国がこの議定書に附属する譲許表に掲げている品目について、一九七二年一月一日までに
関税を段階的に引き下げることを
約束しているものでありまして、
わが国は、二千百四十七の品目について、本年七月一日にその総引き下げ幅の五分の二を引き下げ、残りの五分の三は、三回に均分して、それぞれ一九七〇年、七一年及び七二年の一月一日に税率を引き下げることになっております。
関係交換公文は、イタリア
政府が、
わが国の乗用自動車に対する輸入ワクを、一定数以上漸増するか、または自由化することを
条件に、
わが国の乗用自動車に関する譲許を修正することを取りきめているものであります。
次に、ガット第六条の
実施に関する
協定について申し上げます。
ガット第六条のダンピング防止
措置に関する
規定は、抽象的
原則的であるため、その乱用を規制し得ないうらみがありました。そこで、ガット第六条の
実施について、国際的に統一された規制を行なうために、ダンピングの存在及び損害の判定基準等について
規定を設けているものであります。
最後に、
国際穀物協定について申し上げます。
わが国も締約国である現行の国際小麦
協定は、本年七月末に失効することになっておりますが、ケネディラウンド交渉において、
わが国を含む主要締約国の間に合意された覚え書きを基礎に、現行の小麦
協定にかわるものとして、この
国際穀物協定が作成されたのであります。
この
協定は、小麦
貿易規約と食糧援助規約の二部からなっており、
わが国など主要国はこの双方に参加しなければならないことになっております。
小麦
貿易規約は、価格に関する
規定に改正を加え、価格帯の水準を若干引き上げているほかは、大体従来の小麦
協定を踏襲しているものであります。
食糧援助規約は、従来の小麦
協定にはなかったものでありますが、参加国が年間四百五十万トンの小麦または現金を拠出して、開発途上国に対する食糧援助を行なうことを
規定し、参加国の拠出割り当てを定めているものでありまして、
わが国の割り当てはその五%に当たる二十二万五千トンとなっております。しかしながら、
わが国は、開発途上国に対する援助の
必要性は認めるものの、この
協定によって援助を義務づけることは妥当でないとの考えから、援助義務
規定である第二条の受諾を留保して参加しようとするものであります。
なお、
わが国は、留保を行なうにあたって、
わが国の割り当てにひとしい額を、米または農業物資で援助を行なう意図を表明しております。
以上三案件は、三月十四日外務
委員会に付託されましたので、
政府の提案理由の
説明を聞き、
質疑を行ないましたが、詳細は
会議録により御了承を願います。
かくて、四月二十四日、右三案件についての
質疑を終了しましたので、討論を省略して採決を行ないましたところ、右三案件はいずれも多数をもって
承認すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(
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