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1968-03-07 第58回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月七日(木曜日)     —————————————  議事日程 第五号   昭和四十三年三月七日    午後一時開議  第一 経済援助資金特別会計法及び余剰農産物   資金融通特別会計法を廃止する法律案内閣   提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  人事官任命につき同意を求めるの件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  土地調整委員会委員任命につき同意を求めるの   件  文化財保護委員会委員任命につき同意を求める   の件  赤澤自治大臣昭和四十三年度地方財政計画に   ついての発言及び地方交付税法の一部を改正   する法律案内閣提出)及び地方税法の一部   を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明並   びに質疑  水田大蔵大臣昭和四十一年度決算概要につ   いての発言及び質疑  日程第一 経済援助資金特別会計法及び余剰農   産物資金融通特別会計法を廃止する法律案   (内閣提出)    午後一時二十五分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  人事官任命につき同意を求めるの件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  土地調整委員会委員任命につき同意を求めるの件  文化財保護委員会委員任命につき同意を求めるの件
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) おはかりいたします。  内閣から、人事官佐藤達夫君を、原子力委員会委員武藤俊之助君、與謝野秀君を、土地調整委員会委員谷口寛君を、文化財保護委員会委員石田茂作君、細川護立君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。  まず、人事官原子力委員会委員及び土地調整委員会委員任命について申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。  次に、文化財保護委員会委員任命について申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  赤澤自治大臣昭和四十三年度地方財政計画についての発言並びに地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出)及び地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  6. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) この際、昭和四十三年度地方財政計画についての自治大臣発言を許し、あわせて、内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案、及び地方税法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。自治大臣赤澤正道君。   〔国務大臣赤澤正道登壇
  7. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 昭和四十三年度地方財政計画概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案、及び地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  昭和四十三年度におきましては、内外のきびしい経済情勢及び国、地方を通ずる財政環境にかんがみ、地方財政においても、国と同一の基調により、行政経費使用重点化に徹し、節度ある行財政運営を行なう必要があります。  昭和四十三年度地方財政計画は、このような考え方で策定いたしたのでありますが、まず、子の策定の方針及び特徴などについて御説明申し上げます。  第一は、地方税負担現状にかんがみ、個人住民税個人事業税等について負担軽減を行なうことであります。これらについての減税総額は七百四十二億円となっております。  第二は、財源の適正かつ効率的な配分につとめ、地方経費使用重点化を徹底することであります。そのため、道路目的税として自動車取得税創設し、道路交通安全施設の設置の財源として、交通安全対策特別交付金百二億円を交付するほか、社会経済情勢進展に対応する財政需要変化に即応するため、いわゆる過密地域後進地域にかかる事業等に要する地方債重点的に増額するとともに、地方交付税配分合理化を推進することといたしております。  第三は、財政運営効率化を進めるとともに、財政秩序を確立し、地方財政健全化を促進することであります。  その方策として、行政機構改善定員管理合理化をはかるとともに、既定経費節減し、また、昭和四十三年度に限り、地方交付税繰り入れ額法定額から四百五十億円減額して翌年度以降に繰り越すとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計において二百五十億円を借り入れ、地方交付税に加算するほか、二百五十億円の地方債について繰り上げ償還を行ない、一定の特別事業債にかかる元利償還金財源として、特別事業債償還交付金九十億円を交付することとしております。  なお、いわゆる超過負担の問題につきましては、国庫補助負担金改善などの措置を講じ、解決をはかってまいる所存であります。  第四は、地方公営企業経営健全化をはかることであります。  以上の方針のもとに、昭和四十三年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は五兆六千五十一億円となり、その前年度に対する増加は八千三百三十七億円、一七・五%となるのであります。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。第一は、地方交付税算定方法改正であります。  道路整備計画等各種長期計画進展による公共事業費等増加分生活保護基準引き上げ等に伴い増加する社会保障関係経費給与改定の平年度化などにより増加する給与関係経費、その他制度改正等によるものを基準財政需要額に算入するため、関係費目単位費用改定をはかるほか、人口学校数等が急激に減少した地方団体にかかる補正の特例を設けるなど、算定方法合理化をはかるとともに、いわゆる過密地域及び後進地域における所要財源に対する適切な配慮を加えてまいりたい所存であります。  第二は、地方交付税総額特例であります。  昭和四十三年度分地方交付税総額については、現行法定額から四百五十億円を控除した額に、別途交付税及び譲与税配付金特別会計に借り入れる二百五十億円を加算した額とすることとし、これに伴って、昭和四十四年度から昭和四十六年度までの各年度分地方交付税総額について、それぞれ特例を設けることといたしております。  第三は、特別事業債償還交付金交付に関することであります。  特別事業債償還交付金は、昭和四十三年度から昭和五十六年度までの各年度に限り、普通交付税配分方法に準じて交付することとし、その総額は、昭和四十三年度分にあっては九十億円、昭和四十四年度以降の各年度分にあっては、政令で定める基準に従い予算で定めることといたしております。  以上のほか、地方団体昭和四十四年度以降に償還すべき地方債を、昭和四十三年度に繰り上げて償還する場合における必要経費基準財政需要額に算入するなど、所要改正を加えることといたしております。  次に、地方税法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。  明年度地方税制改正にあたりましては、住民負担現状にかんがみ、個人住民税個人事業税等について、負担軽減合理化を行なうとともに、地方道整備緊急性にかんがみ、地方道路財源充実をはかるため、道路目的税として自動車取得税創設することとしたのであります。  以下、順を追ってその概要について御説明を申し上げます。  第一は、個人住民税につきまして、夫婦子三人の給与所得者課税最低限を十万円程度引き上げることを目途として、基礎控除配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げることといたしております。  第二は、住民税及び事業税を通じまして、中小事業者負担軽減をはかるため、専従者控除を、青色申告者については五万円、白色申告者については三万円引き上げることといたしております。  第三は、ガスにかかる電気ガス税免税点を八百円に引き上げることといたしております。  第四は、自動車取得税創設であります。自動車取得税は、道路に関する費用に充てるため、自動車取得者に対し、自動車取得価額課税標準として、百分の三の税率によって課するものとしております。なお、その免税点は十万円としております。  この自動車取得税は、その収入額より徴税費相当額を控除した額の十分の七の額を市町村交付するものとし、もって市町村道路財源充実に資することといたしております。  このほか、不動産取得税たばこ消費税固定資産税軽自動車税国民健康保険税などについても所要改正を行なうことといたしております。  以上の改正により、昭和四十三年度増減収額は、個人住民税個人事業税等におきまして七百四十二億円の減収が見込まれますが、一方、自動車取得税創設等により、三百九十三億円の増収が見込まれますので、差し引き三百四十九億円の減収となります。  以上が昭和四十三年度地方財政計画概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案、及び地方税法の一部を改正する法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  昭和四十三年度地方財政計画についての発言並びに地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出)及び地方税法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  8. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。細谷治嘉君。   〔細谷治嘉登壇
  9. 細谷治嘉

    細谷治嘉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明がありました昭和四十三年度地方財政計画地方交付税法の一部を改正する法律案につき、若干の質問試みたいと思います。  まず、地方交付税について質問をいたします。  国の予算編成上において、四十三年度ほど地方財政の問題が焦点となったことは希有のことで、特に地方交付税国鉄納付金の取り扱いは、予算折衝の最初から最後までもめ続け、しかもその経緯と結末にはいろいろと問題が残されております。地方財政はいま新しい局面に立たされており、その動向いかんによっては、地方団体自治活動はさらに抑制され、住民の民主的諸要求が押えられる危険性が多分にあると考えられるのであります。  大蔵省は、昨年九月、四十三年度予算概算要求を集計した段階で、突如地方交付税率を二年前の二九・五%まで引き下げるべきだとの意向を表明しました。そしてその理由として、一、二千四百億円にのぼる地方交付税増加が国の財政硬直化の主因である。二、地方財政も国と同様フィスカルポリシー観点から財政を引き締めるべきで、この点からも地方交付税伸びを抑制する必要がある。三、地方財政は、地方税交付税伸び公共事業の縮小などでかなり余裕ができてきたと、鳴りもの入りで宣伝につとめたのであります。ところが地方団体はもちろんのこと、自治省地方制度調査会、学者、マスコミなど、各界各層から強い反論が巻き起こり、第一に、地方交付税は国と地方との税源配分を補完するもので、これを他の経費と同様に財政硬直化原因とするのは誤りである。第二に、国のフィスカルポリシー地方に押しつけ、これを実施するのは無理であり、特に地方交付税抑制をこれに利用することは筋が通らない。第三に、地方財政は根本的には何ら好転していないことなどが強調されたのであります。  世論が大蔵省の主張にくみせず、交付税率引き下げが不成功と見るや、今度は四十年度の不況時に超過交付した四百八十二億円という裏取引の、いわゆる出世払いの古証文を持ち出し、四十三年度地方財政は好転し、二千億円近い余裕財源があるので、五百億円を限度として国のほうに貸せと迫った。のみならず、昨年末の臨時国会では、七百四十九億円の追加交付税額のうち、二百億円を繰り上げ償還させたことは、すでに御承知のとおりであります。当時、このことは大阪城の外堀を埋めるものであり、やがて四十三年度予算編成を通じて交付税率という本丸がゆらぐのではないかと憂慮されたのでありますが、予想は全く的中、交付税総額から四百五十億円を差し引き、これを国に貸すという前代未聞のこととなったのであります。しかも、奇怪なことは、資金運用部からあら沈めて二百五十億円を借り受け、これを災害債の繰り上げ償還財源として、交付税として配分することがつけ加えられていることであります。  言うまでもなく、交付税は、地方団体一般財源であって、補助金のごとくその使途が定められてはならないものであります。にもかかわらず、今回の二百五十億円は、実質的にひもつき交付されることとなり、交付税法の本質に触れる内容ともなりかねないのであります。  さらに、交付税率改定は、これまでも制度改正による財政需要の大きな変化または税制の大幅な移動があった際に限られており、国や地方財政状況のみによって改定された例を見ないのであります。たとえば四十一年度における二・五%の率の引き上げは、所得税及び法人税における初年度千七百二十億円の減税によって生じた地方交付税の減少を補てんするための恒久的措置なのであって、国債発行に伴う地方財源不足は、四百十八億円の臨時地方財政交付金特別事業債によって別途措置されたのであります。  そこで、自治大蔵大臣にお尋ねいたしたいのであります。  地方交付税は、法第一条の目的である地方自治の本旨の実現に資し、地方団体独立性強化のための財源であって、国からの恩恵的なものでは決してないのであります。したがって、交付税額や率の決定は、この精神にのっとって措置さるべきもので、今回のごときやり方はとるべきでないと確認できるかどうか。また、現行普通交付税特別交付税比率は九十四対六となり、後者の金額が六百六十億円をこえる巨額に達している今日、前者の比率を上げてルールに基づいて交付すべきだと思うが、いかが。  さて、昭和四十三年度地方財政計画によりますと、地方税において四千億円余、交付税約二千二百億円と、従来にない伸びを示していることは事実であります。これは主として四十二年の経済界景気動向によってもたらされたものであって、これらの増収も、今後の景気によってはその伸びが鈍り、再び歳入構造が悪化することも、十分予想されるのであります。  試みに、地方財政好転説の根拠になっております四十三年度歳入構成を見ますと、地方税四二%、地方交付税二〇%であって、もし例年のような公共事業伸びがあり、交付税年間予算主義によらずに計上されたと仮定いたしますと、その構成比はそれぞれ一%程度下がり、従来の歳入構造と何ら変わるところがないのであります。  私が、この際特に指摘しておきたい点は、地方財政は国のそれよりもはるかに古くから硬直化している点と、その原因が従来しばしばいわれてきたような人件費の増大にあるのではなく、むしろ国公共事業にしゃにむに協力させられ、その財源を付与されるどころか、逆に多額の超過負担をしいられ続けてきたという点であります。(拍手)  試みに、地方財政計画における地方税の比重は、三十一年度以降おおむね三八ないし四一%の範囲でほぼ一定しておるのに対し、給与関係費は三十一ないし三十四年度では約四〇%、四十一ないし四十三年度では約三五%と、おおよそ五%も低下しており、他方、投資的経費は二六ないし七%から三六ないし七%と約一〇%も大幅に伸びておるのであります。このことは、給与関係費の節約によって公共事業費が生み出されている何よりの証拠であり。地方財政硬直化の真の犯人は、国策である高度経済成長基盤整備のための公共投資であったといえるのであります。今国会政府地方公務員定年制実施の法案を準備中と聞くのでありますが、その理由人件費節減にあることは明らかであり、かくして地方財政は一段と国への協力と従属の度を強めつつあるといえるのであります。  地方行政の水準は今日なおきわめて低いのであります。地方制度調査会提出された自治省の資料によってみましても、社会資本整備の著しい立ちおくれが目立っております。たとえば、全道路の八五%を占める市町村改良率は一二%、舗装率はわずかに四・四%にすぎず、また市町村の小一学校は一五%が危険校舎で、屋内体育館不足率も四二%、また最近問題が多発しておるごみ処理も、その衛生処理率は四割弱にすぎない状態であります。加えて、最近、社会経済情勢変化に対応して、公害防止施設交通安全施設等の新しい需要が急激に増加しており、地方団体緊急実施を要する財政需要は、きわめて大きいものと見積もられておるのであります。特に、四十二年度からの第五次道路整備計画は六兆六千億円の巨額に達し、これに必要な市町村財源は六千七百七十六億円と見積もられながら、事業に対する特定財源は、国七九%、府県七二%、市町村ゼロという状態であります。今度の地方税法改正による自動車取得税創設がかりに実現いたしたとしても、わずかに二〇%にすぎないのであります。私は、第五次道路整備計画の一重点地方道整備に置かれているのにかんがみ、この際、計画の抜本的再検討と、国、府県市町村を通じて、特定財源の合理的再配分が必要だと考えるのでありますが、この点に関する総理基本的態度と、自治建設大臣の御所見を伺いたいのであります。  現在緊急を要するもう一つの点は、都市財政強化策だと考えます。たとえば大都市指定都市と呼ばれ、これらの市では、地方自治法第二百五十二条の十九の規定により、十六項目及び個別法に基づいて、府県事務が処理されているのでありますが、これに対する財源措置は皆無にひとしく、すべての指定市が交付税法上の交付団体に転落し、その財政事情は極度に逼迫を告げておるのであります。その主たる原因が、異常な人口増とそれを上回る各種財政需要の激増にもかかわらず、市税収入が全く伸び悩んでおるところにあります。試み昭和三十年度を一〇〇とした場合、四十一年度における税収は、都道府県六二〇、指定市所在の府県七〇〇、地方税全体で四六〇であるのに対し、五大市税収は四〇〇と、平均にも達しない状態なのであります。今日、過密過疎の問題はいよいよその重大さを増しているにもかかわらず、これに対する国の政策は四分五裂の状態であり、その方向すらさだかでありません。ところがこの問題の重要な一環をにない、中心的役割りを果たすべき大都市が、財政上十分な動きがとれず、拱手傍観に近い状態はまことに遺憾と申さなければなりません。また地方交付税制度自体も、本来の目的である財源調整機能を十分に発揮し得ない状態であります。都市都市的な財源を、過疎地帯交付税傾斜配分をという叫びはすでに久しいのであります。過密過疎に対する行財政上の基本姿勢、なかんずく指定財政対策について佐藤総理にお尋ねしたいのであります。同時に、今日の社会経済情勢に対応する開発政策方向企画庁長官に、これに対する税財源付与具体策自治大蔵大臣に伺いたいのであります。  次に、地方公営企業について若干お尋ねをしたい。  地方公営企業は今日六千をこえ、地方団体行財政の中で占める位置はここ数年来急速に高まり、決算額では普通会計の約四分の一、建設投資額職員数はいずれも三分の一をこえるに至っておるのであります。ところがその経営状況は、昭和三十八年度以降毎年二百五十億ないし三百億円の赤字を積み重ね、四十一年度末には、その累積赤字は千二百億円をこえるに至っております。これらのうち、交通が七百九十億円でトップ、上水道、病院事業の順で続いておるのであります。一昨年、これらの事態に対処するため、地方公営企業法大幅改正が行なわれ、財政再建が進められることになったのでありますが、現在までの推移を見ますと、必ずしもその効果を評価するわけにはまいらないばかりか、逆に独立採算制の名のもと、年々大幅な料金値上げが行なわれ、また、企業職員に対する労働条件の切り下げ、地方公営企業関係労働法の実質的たな上げ、民間への委託、あるいは身売りなど、公営企業としての公益性忘却が著しく目立っておるのであります。  地方公営企業のこのような経営悪化と危機は、ただ単に一企業内部努力のみによって克服できるものとは絶対考えられません。社会経済の激変に対応する政府抜本的施策が強く要請されるのであります。したがいまして、この際今日までの一面的な再建方式を再検討するとともに、国、地方を通じての普通会計からの大幅な補助出資はもちろんのこと、低利の借りかえ債の増額、利子補給、あるいは法に規定されている償還期限を定めない企業債の導入、公営企業金融公庫への大幅出資など、総合的、具体的な措置を早急に講じ、もって地方公営企業の真の再建をはかるべきだと思うのであります。これらの点について、企画庁長官自治大蔵大臣の具体的な御所見を伺いたいのであります。  最後に、今回の地方財政計画は、国の年間予算歩調を合わせて作成されているのでありますが、公務員給与改定に対処するため、国は予備費に五百億円を加えて千二百億円を計上していますが、これに対応するものとして、地方公務員分は、一般行政経費中の国庫補助負担を伴わないものの中に七百五十億円計入されているものと理解しております。今年もまた人事院勧告が行なわれることは必至であり、物価の異常な騰貴などから、この額をもってしては不足する場合が十分予想されるのであります。その場合、地方財政計画上はすでに相当額経費節減が見込まれておりますので 何らかの新たな財源対策が必要となると思われるのであります。これらに対する自治大蔵大臣所見を承りまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  10. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 細谷君にお答えいたします。  大蔵大臣あるいは自治大臣、その他の答弁と重複しないように、特に名ざしをされました点についてお答えをしたい。  御承知のように、四十三年度地方財政はたいへん明るい感じが持たれる、かようにいわれております。これは申すまでもなく、地方税並びに交付税自然増収の結果であります。したがって、かような状態がいつまでも続くとは思いません。今日は、こういう際にこそ一そう地方財政健全化について努力すべき状態だ、かように私も考えております。  ところで、地方財源と国の財源、その関係についての言及がございました。同時に、国の仕事地方仕事というものも、これも申すまでもなく関連のあることでございます。国は地方自律性を尊重することはもちろんでありますが、同時に地方も国の施策、これと歩調をともにすべきものだと私は考えております。したがいまして、限りある財源、その財源を最も効率的に、重点的に配分してこそ両者がうまくいく、かように私、考えます。いわば地方財政、国の財政、これはちょうど車の両輪のような関係にあると思います。その二つが健全でありまして初めて国の繁栄がある、国民生活の向上がある、かようなものではないだろうかと思います。そういう意味で、私どもがこの財源を適切に配分していく、過去におきましても、行政事務配分とあわせてこれらの点を考えてまいりましたが、今後ともその観点に立ちまして、続いてこの努力を続けてまいるつもりでございます。  なお、過疎過密対策についてのお話がありました。ことに過密対策、いわゆる都市化対策から申せば、公共投資の部門が非常に必要でございます。そういう意味におきまして、国自身もまたこれについて最大な関心を払っております。地方自治とあわせて、十分過密対策、いわゆる都市化政策充実すべきだと思います。この点は、私の施政演説でもはっきりうたっておるのでございますから、御承知のとおりでございます。  過疎対策につきましては、いわゆる総合的開発計画、これが進められておりますから、それに譲ることにしたいと思います。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  11. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) お尋ねの第一点でございました今回の交付税にとられた措置についてでございますが、これは総理がお答えになりましたとおり、交付税の本質をゆがめようとするものではございませんで、国と地方を通ずる公経済の円滑な運営をはかろうとする趣旨からとった特別の四十三年度限りの措置でございます。四十四年度、五年度、六年度において、今度は法定額よりも百五十億円ずつ増額するという、結局短期的な年度間の調整措置にすぎないものでございまして、地方交付税制度をゆがめようとするような意図に出たものでないことは、もう御承知のとおりと存じます。  それから、地方公営企業健全化をどうしてはかるかということでございましたが、これも御承知のとおり、昭和四十一年の七月に地方公営企業法改正いたしました。何といっても、当該企業とか、あるいは地方公共団体自身が経費を節約したり、料金の適正化をはかったり、あるいは一般会計との負担の区分を明確にするというような努力によって是正さるべきものでございますが、もし地方団体がこういう努力をするという場合には、国がこれに対して奨励援助をすることが必要であるという考えからこの法律をつくったものでございます。財政再建を行なおうとする場合には財政再建債の発行を認める。そしてその利子については一定額を国から補給するということをいたしております。また、公営企業の健全な運営をはかるために借りかえ債の申請があった場合には、これを優先的に許可する。そして財政健全化をはかるということをやっておりますが、案外この二つの措置が効果を生じまして、一時非常に危機になりました公営企業もいまようやく立ち直りかけてきておりますので、結果は順調に進んでおるときでございますので、政府は必要に応じてさらにこの公営企業の立て直しについては援助をいたし、努力するつもりでございます。  それから、地方財政計画における給与費の問題についてのお尋ねがございましたが、ちょうど今回、国がとった予算編成方針と同じように、地方も極力定員を押えるということをやりましたし、またいわゆる総合予算主義に準じて、恒常的な補正要因をなくするようにというようなことで、公務員の給与の改定に備え、そして予備費充実を国がはかっておる、これに準じて地方も同一歩調によって一定額を計上しておるというようなことでございますので、こういう点から見ますと、給与に対してとられた今度の地方財政計画も以前よりは非常に健全化したものというふうに考えております。  以上でございます。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇
  12. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方財政方針につきましては、先ほど総理がお答えになりました大筋のとおりでございます。しかし主管大臣といたしまして、多少こまかく補足してお答えいたしたいと思います。  いまの四百五十億円の問題でございますが、この扱いにつきましては、ただいま大蔵大臣が述べましたとおりでございまして、地方交付税は、申すまでもなく、国と地方との税源の配分を補完するものである。その繰り入れ率は軽々に変更すべき性質のものでないことは申すまでもありません。ただ、明年度に限って特例措置として、四十四年度以降の三カ年、百五十億円ずつ地方交付税法定額より増額するということを前提としてとられたものでありまして、これによって地方交付税制度に変革が加えられたものであるとは考えておりません。  次に、交付税会計の二百五十億円を借り入れる措置についてですが、これは明年度地方財政の状況を考慮いたしましてとったものでありまして、地方債の繰り上げ償還は、地方団体の将来にわたる財政構造を健全化するための措置でありまして、両者の間にはひもつきなどという関係は全然ございません。  二番目は、これも先ほどお答えがありましたが、地方財政は好転したじゃないか、だからこういう措置をするのじゃないかということを言われる方がありますけれども、決してそういうふうには考えておりません。先ほども細谷さんがお述べになりましたとおりに、財政計画においても、歳入構造では税収入の割合が高くなっている、歳出構造もよくなっていると言うが、交付税では補正なしの措置が行なわれている今回の場合、これを総体的に見ると必ずしも好転したと言えないと思うがどうかということでございます。明年度地方財政はこれまでに比べて健全化したものと考えております。先ほど総理が御指摘になったとおりでございます。しかしながら、これは地方税地方交付税などの自然増収に負うものがあって、財源を国に依存する割合はやはり以前と同様に高い。また歳出につきましては、人件費その他義務的経費の歳出総額に占める割合が減少しておりますが、これは歳出規模の増加による相対的なものでありまして、今後さらに財政構造の健全合理化をはかっていく必要があると考えております。  次に、昭和三十年から三十五年に至る財政計画における給与費の割合についてお述べになりました。ずっと四〇%であったが、現在では三五%となっておる、この点では財政構造が硬直化していない、むしろ地方財政の根本の問題は、国庫支出金の増、投資的事業増加など、国の施策に従属した運営が行なわれようとしていることに原因があると考えるがどうかということでございました。これには総理もお触れになりました。つまり、地方財政計画における給与関係経費の歳出の構成比はお説のとおりでございまして、年々下降してきておりますが、昭和四十一年度決算によれば、人件費、扶助費及び公債費の義務的経費が歳出総額の四四・九%を占めております。昭和三十六年度から四十一年度までの六年間に、これらの義務的経費は二・一四倍にまで増加しております。財政硬直化の傾向はなお衰えておりません。また、社会資本の充実をはかり、住民の生活水準の向上に直接つながる建設事業は、単に地方団体だけで行なえばよいということではなくて、国、地方を通じて積極的に行なうべきものであって、これをさして国の施策に従属するものであるということは、私どもはそういうふうに考えてはいけないと考えておる。しかし、地方団体に対する国の関与は、できるだけ少なくするように努力してまいりたいと考えております。  次に、日本の社会資本は非常に貧弱であって、これが財政需要のほうは無限といっていいくらいたくさんある、従来、国と地方財政構造は、歳入では七対三、歳出では四対六の比率となっておる、地方財政需要を満たすためには、税源配分の方法を検討して地方の自主財源充実をはかる必要があると思うがどうかという御質問でございます。地域住民の生活水準向上のための建設事業などは、社会資本の充実をはかるためには、お説のごとく地方の自主財源の強化をはかる必要がもちろんあります。税源配分の方法などにつきましては、今後あらゆる機会を通じて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、地方公営企業経営の問題にお触れになりました。この財政措置等につきましては、先ほど大蔵大臣もかなり詳しく申し述べられたようでございますが、私どもは、やはり基本的には、この独立採算をたてまえとする地方公営企業におきましては「職員の給与の財源なども企業経営に伴う収入をもってまかなうべきものであるので、企業職員について給与改定を実施する必要がある場合には、まず企業努力によってその財源を生み出した上、実施すべきものであると考えております。したがいまして、昭和四十三年度地方財政計画などにおきましては、従来と同様、企業職員給与改定に対する財源措置はいたしておりません。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  13. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 地方公営企業の内容が悪化するようになりましたのは、昭和三十七、八年のころからでありまして、当時、私といたしましては、物価という観点から、主としてこの問題に関心を持ったわけであります。検討いたしますと、やはりただいま細谷議員の言われますように、内部努力は必要でありますが、内部努力だけではどうも解決がむずかしいという感じがいたしました。  そこで、三十九年に地方公営企業制度調査会というものを自治省に設けてもらいまして、そこで検討いたしまして、一年たって答申が出ました。それがただいまの公営企業法の改正になったわけであります。  その内容は、先ほど大蔵大臣の言われました三つの施策が中心になっておりますが、やはりただいままで見ておりますと、大体それを中心に進めていくことによって、改善ができるように考えます。もちろん、従来の経営に比べますと相当きびしい経営方針要求されますけれども、各団体ともそのつもりでやっておられますので、これで進めていけば問題は解決するのではないだろうかとただいま考えております。  それから、地域開発でございますが、これは、過疎地域の開発、過密地域の再開発を含めまして、おのおの地域に応じた開発の青写真及びそれをどうすれば可能になるかというようなことを、このたび新しい全国総合開発計画に盛り込もうと思っております。  なお、この新しい計画は、秋ごろには公にできる予定でございます。(拍手)   〔国務大臣保利茂君登壇
  14. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 地方道の整備事業財源関係についてお答え申し上げます。  来年度地方道整備事業は、全体といたしまして三千九億円でございまして、とのうち、地方負担分を一千四十三億円と予定いたしております。このうち、市町村道路にかかる分は八百九億円でありまして、地方負担分は二百七十四億円を予定いたしております。  これによりまして、地方道全体としましては、改良二千十六キロ、舗装三千七百八十七キロ、うち、市町村道分につきましては、改良四百七十六キロ、舗装三百五十キロを実施することといたしております。  道路整備五カ年計画につきましては、ただいま検討いたしておりますが、およその見込みといたしましては、地方道整備事業費約一兆八千億円で、うち、市町村道分は約五千億円を予定いたし、これによって、地方道全体といたしましては、改良一万一千四百四十キロ、舗装二万四千百九十キロ、うち、市町村道分につきましては、改良二千七百三十キロ、舗装二千九百キロを実施いたし、その結果、昭和四十六年度末におきまする府県道の改良率は四一%、舗装率は三八%になる見込みであります。市町村道は八十三万キロの膨大な道路でございますが、この改良率は、四十一年度末で一二・四%が、四十六年度末におきましては一二・五%、舗装率におきましては、四十一年末で五・二%が四十六年度末におきましては五・四%と上昇する見込みでございます。  地方公共団体の道路財源につきましては、軽油引取税等の特定財源収入及び地方交付税交付等によりますほか、新たに自動車取得税を加えますならば、地方単独事業二千六十億円を含め、昭和四十三年度所要額三千七百五十二億円は十分まかなえる見込みであります。  また、新道路整備五カ年計画財源計画につきましては検討いたしておりますが、地方単独事業一兆一千億円分を含めまして、地方公共団体が負担すべき額は約二兆一千五百億円、うち、特定財源見込み額約一兆三千百億円と見込んでおります。これに対しましての財源調達の見通しは、おおむね可能であると推定いたしております。  なお、市町村道路整備のため、財源措置といたしましては、自動車取得税創設せられることになりますれば、相当の好転をするものと期待をいたしております。(拍手)     —————————————
  15. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 河上民雄君。   〔河上民雄君登壇
  16. 河上民雄

    ○河上民雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました地方税法の一部を改正する法律案に対し、若干の質問を行ない、政府の所信をたださんとするものであります。  まず冒頭に、今日地方税の当面する二つの問題を指摘しておきたいと思います。  地方税において最も緊急なる課題は、住民税は重過ぎるという庶民の切実なる声にこたえることであります。今日の勤労者の税負担現状を見るとき、税は重いという実感は、国税よりもむしろ地方税においてはなはだしいといわねばなりません。昭和四十二年度における五人世帯、夫妻と子供三人の世帯の所得税課税最低限は七十一万千八百八十九円であるのに対し、住民税課税最低限は四十三万三千五百二十五円であって、その差は実に二十七万円をこえるのであります。地方税たる住民税は、国税たる所得税に比して、はるかに低い所得階層にまで容赦なくかけられておるのであります。統計によれば、均等割り住民税の納税者は三千万人をこえ、所得税がかからないのに住民税の所得割りがかかってくる階層が実に五百万人に達し、所得税住民税とをあわせて考えるとき、こうした階層における税負担は、下へ行くほど重いという逆進性が如実に示されておるのでございます。  大蔵省昭和四十二年の所得税減税案の資料として国会提出した計算によりますと、五人家族サラリーマンの年間基準生計費は六十三万七千円となっております。昭和四十二年の住民税課税最低限は四十三万円余りでありますから、この大蔵省年間基準生計費と比較するとき、そこに浮かんでくる明瞭なる事実は、住民税課税最低限が、最低生活を維持するに必要な生計費に大きく食い込んで課税されているということであります。総理は、一体この事実をどうお考えでありましょうか。  政府は、課税最低限所得税住民税とにおいて著しい差のあることを、税理論の相違によって説明してまいりました。所得税は富の再配分目的とし、住民税住民地方公共団体のサービスに対し受益者の立場から負担を平等に分担する、いわゆる負担分任の原則に立っている。能力に応じて税金を払う所得税が応能の原則に立っているとすれば、住民税は応益の原則であるから、課税最低限が違うのは当然だと力説してこられたのであります。だが、しかし、これは取るほうの理屈でありまして、出すほうのがまぐちは一つであります。勤労者に対する所得課税が応能原則に立たなければならないことはもはや常識でありまして、応益原則でよいという理論的根拠は薄弱かつあいまいであるといわねばなりません。むしろ、いま重要なことは、生計費には課税しないというこの単純なる原則を実行することでなければならないのであります。  ここ数年、政府は口を開けば大幅減税を唱えてまいりました。しかるに、今日、住民税課税最低限がこのように低く押えられている事実は、住民税がここ数年の減税から取り残され、実質的に据え置かれていたことを雄弁に物語るものであります。さきの五十五特別国会で、住民税課税最低限を約十万円程度引き上げるために、さしあたり四十三年度には各種控除を一万円ずつ引き上げることをめどとするという地方税法改正の附帯決議が可決され、税制調査会もこれに踏み切り、この答申と衆参両院の審議経緯を尊重いたしまして、今回の改正案で、住民税課税最低限が国税の課税最低限と同じく十万円程度引き上げられることになったことは、先ほど説明のあったとおりであります。これはおそきに失したとは言え、一歩前進であることは確かであります。しかし、今回の改正案をもってしても、国税の課税最低限住民税課税最低限との差は依然として縮まらず、また、住民税課税最低限は、さきに紹介いたしました大蔵省の認める最低生活費を依然としてはるかに下回っておるのであります。この意味におきまして、問題は依然として解決されておりません。  第二に指摘せねばならないことは、地方税はいまや社会経済の変動に応じて新しい性格と体系を持つ必要に迫られているという点であります。現行地方税制度は静態的な、スタティックな財政需要に応ずるものでありまして、今日の都市化現象に伴う激しい財政需要にダイナミックに対応することは、きわめて困難であります。特に大都市財政の危機は緊急を要する問題でありまして、地方税もこの角度から根本的に検討されなければなりません。今回の地方税法改正案には、この点に関する配慮がきわめて不十分であります。  私は、以上の観点に立って、次の四点につき質問を行ないたいと思いますので、総理大臣並びに関係閣僚の御答弁をお願いいたします。  質問の第一点は、今日の最低生計費に大きく食い込んでいる住民税課税最低限をどう引き上げていくかという点であります。  生計費には課税しないとの原則に立って、住民税課税最低限を幾らに引き上げていこうというお考えでありますか。特に総理にお尋ねいたしたい。所得税においては、昭和四十五年度までに課税最低限を百万円にするという目標が示されておりますが、住民税についてはどうするお考えでありますか。具体的な減税の年次計画を示されたい。住民税課税最低限引き上げの目標をお示しいただきたいのであります。  質問の第二点は、今回の改正案の内容についてであります。  その一つは、住民税及び事業税における専従者控除の限度額の問題であります。個人事業者の奥さんとか子供さんが事業に専従いたしている場合には、それがもし通常のサラリーマンとして勤務しておれば、当然三万なり五万なりの月給を受け、源泉所得税の対象となり、また企業の側も経費として税の対象から全額はずすことができます。ところが、個人事業者には、所得税のレベルでは、家族専従者に対する給与制が昨年の改正で採用されているにもかかわらず、専従者控除青色申告者につき十七万円、白色申告者の場合は十一万円にすぎません。これでは月額に直しますならば一万円そこそこでございまして、税制の上で家族専従者の生活と権利は全く無視されているといわなければなりません。所得税の場合と同様に、家族専従者の給与制を採用すべきではなかったでしょうか。  その二は、住民税改正において基礎控除額を一万円引き上げて十一万円とし、配偶者控除は八万円から九万円になっておるのでありますが、所得税ではすでに基礎控除配偶者控除は同額とされ、現行の十五万円からそろって一万円ずつ引き上げられております。夫婦の同権と相互の協力をうたう憲法第二十四条を引くまでもなく、住民税においても所得税並みに同額にすべきと思うが、いかにお考えか。今回の改正でも相変わらず二万円の差を置いております根拠はどこにあるのか、お答えいただきたい。  その三は、道府県民税の税率であります。これは昭和三十七年以来現行のとおり百五十万円を境に二%と四%の比例税率をとっておりますが、応益、負担分任の原則に立っているため、この税は、低所得層にはきわめて過酷な税制となっております。直ちに比例税率制をやめ、超過累進税率に復帰すべきであると考えますが、自治大臣の御答弁をいただきたいのであります。  質問の第三点は、減税に伴う減収の穴埋めの問題であります。  今回の改正案では、課税最低限引き上げに伴う約六百八十億円の減収の穴埋めの措置がとられておりません。これは、昭和四十三年度税制改正に関する税制調査会の答申に「地方税については、地方財源の確保に適切な考慮を払いつつ住民税課税最低限の引上げ等地方税負担軽減合理化を行なう」とある精神を全く無視したもので、許しがたいことであります。その上、先ほど細谷委員の御指摘のありましたように四百八十二億の出世払いを求められ、結局四百五十億円国に地方から貸し付ける措置をとり、さらぬだに苦しい地方財源を一そう圧迫しておるのでございます。  今回の改正案では、課税最低限引き上げに伴う減収の穴埋めとして、事業税などの自然増収に期待したほか、先ほど御説明のありました自動車取得税の新設という安易な措置にたよっておるのであります。自動車取得税は、地方道路目的財源でありまして、その使途は道路に限られており、減税の穴埋めとは言えないと思うのであります。しかも、その政府案は内容的にも多くの問題点が含まれております。われわれとしては賛成しがたいものであります。また、かりに市町村道路特定財源として見ましても、今日わが国の道路の延長の八五%を占めます市町村道路に対する財源としては、まことに貧弱、安易といわなければなりません。むしろ、自動車取得税の新設の前に、ガソリン税の配分を変えることこそ、まず考えるべきではなかったでしょうか。この際、特に今後の市町村道路財源の確保についてどのような展望を持っておられるか、自治大臣のお考えを伺いたいのであります。(拍手)  減税地方税減収をもたらすという現実の矛盾は否定できないのであります。しかし、問題はこの矛盾をいかに克服するかにあります。地方財政確立のためには、自主税源の充実、国税と地方税を通ずる抜本的改正、たとえば所得税の一部地方移譲、住民税法人税割りの税率調整など、いまこそ真剣に取り組むべきではないでしょうか。大蔵大臣及び自治大臣のお考えを承りたいのであります。  最後にお尋ねしたい点は、地方税における租税特別措置の問題についてであります。  地方税の場合、国税における特別措置地方税へのはね返り、地方税独自の特別措置及び地方の条例によるケースの三つが考えられるのであります。国の租税特別措置によるはね返りの減収分は、昭和四十二年度においても一千十四億円に達し、これに地方税法による非課税分八百二十九億円を合わせれば、実に千八百億円をこえているのであります。さきに私が述べたごとく、住民税課税最低限が低所得層の生計費に大きく食い込んでおり、そのわずか十万円の引き上げにすら、その穴埋めに苦慮しておる今日を思いますときに、これら租税特別措置はすみやかに撤廃すること、少なくとも地方へのはね返りを遮断することが考えられなければなりません。  今回の改正案においても、特別措置による電気ガス税の非課税品目は減るどころか、さらに加えられ、三年の臨時非課税品目の幾つかは恒久的非課税に切りかえられておるのであります。税調、地方制度調査会の答申、さらに政府の答弁の中では、しばしば非課税の整理、合理化がうたわれ、言明されてきているのでありますが、事実は逆にますます拡大、恒久化する傾向にあるのであります。租税特別措置は、いまや政府と産業の癒着を象徴する存在となったといっても過言ではありません。(拍手)おびただしい非課税品目のうち、それが不要になったものが一つもないというのは、ふかしぎな現象であります。少なくとも一定期間ごとに洗い直すべきが至当であると思いますが、総理大臣のお考えはいかがでありましょうか。  過日、私は、あの悪名高い電気ガス税に関する特別措置を話題に供したとき、その集まりにおりましたある大学の哲学教授がこんな質問をしたのであります。そんなに便利な制度があるならば、自分は毎晩おそくまで書斎で研究し、電気代が生計費の五%をこえておるが、どこか減免税を申請する方法はないのかと、こういうふうに半ば冗談に、半ば真顔で尋ねたのであります。これは一場の笑い話でありますけれども、しかし、われわれは、これを笑い話として聞き過ごすことはできないのであります。この割り切れない気持ちを佐藤総理大臣はどのようにお考えでありましょうか。かつて、佐藤総理は、電気ガス税を悪税とまで断言されたのであります。この点についての総理のお考えを伺います。  以上をもって、私の地方税一部改正法案に対する質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  17. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 河上君にお答えいたします。  ただいま住民税についていろいろ御所見を述べられました。しかし、その中にもありましたように、住民税所得税、これはただ単に国税と地方税という差だけではございません。その性格に相違のあること、これは御指摘のとおりでありますので、ものの考え方も、所得税のように全部を割り切って考えるわけにはいかないように思います。しかし、この住民税がまだ相当高いという、こういう御批判は当たっておると思います。したがいまして、政府も今回これを改正する、こういう立場でございますから、この点は、そのお話のうちにもありましたように、おそきに失するとは言われましたが、御賛成をいただいたようであります。ありがとうございました。  そこで、今後この住民税減税計画を持っているかどうかというお尋ねであります。いわゆる課税最低限をどこに置くのかというお話であります。これは御承知のように、地方財政に最も大きな影響を持つ財源でありまして、ただいまこの数字をはっきり申し上げる、その状態にはございません。したがいまして、まだ年次計画はない。なお、これらの点については、後ほど自治大臣から詳細にお答えするだろうと思いますが、私自身は、さらにこういうことも、今後の経済情勢、あるいは社会情勢の変化に対応いたしまして、さらに私どもが努力すべきものであり、慎重に検討してまいるつもりでございます。  その次に、租税特別措置についてのいろいろの御意見が述べられました。租税特別措置は他の場所でも申し上げたと思いますが、政策目標を持った措置でございます。したがって、これが慢性化したり、あるいは既得権化しないように、絶えず留意しなければならないものであります。したがって、このもの自身がいわゆる悪税だとは私は思いません。それは既得権化するとか、あるいは慢性化しないように絶えず留意していかなければならない問題だと思います。  ところで、この租税特別措置地方税にも影響を持つ、これは御指摘のとおりであります。ものによりましては、たいへん地方税にもはね返ってきておる。これを区別する方法はないか、遮断する方法はないか、こういう御意見であります。これは、完全に遮断することは、なかなかできないように私は思います。たいへんむずかしいことじゃないかと思います。申すまでもなく、自治体の自律性、これは尊重しなければなりません。同時にまた、政策的には国と地方自治体とがからみ合っておる場合もございます。そういうからみ合いの場合には、この租税特別措置、これを区別して関係のないように遮断するということ、これはなかなかできないことで、むずかしいことではないかと思います。しかし、さればと申しまして、すべてを承認するものではございませんから、ケース・バイ・ケースで十分これらのものを考えていく。そうして地方財政について悪影響をできるだけ少なくするように、くふうしてまいるつもりであります。  その他は関係大臣からお答えいたします。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  18. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 地方税伸び率の少ない税種目が多い、一たん減税を行なっても、それを補てんする財源に乏しい。したがって、ここでもっといい自主的な財源を与えるように検討する必要はないかというお話でございましたが、これは長期的な税制を考える上で非常に重要な問題であると考えます。現在、国税におきましては、所得税とかあるいは法人税、これが約六割を占めておりますが、これらの税は景気弾力性が非常に高い。景気変動に対して自動調節作用も持つ。したがって、国税としては非常にすぐれた税であるというふうにいわれております。  他面、地方団体のほうの要望を申しますと、学校とかあるいは消防あるいは警察というようなものは、住民の日常生活に密着したサービスを主体としておりますので、景気の変動に関係のないほうがいい、一定水準のサービスが確保されればいいという要請の面が非常に強い。したがって、こういう経費をまかなう税というものは、景気の弾力性の高いものよりも、なるたけ安定した税がほしいというのが地方の要望でございます。確かにそうだと思いますが、それじゃいまどうなっておるかと申しますと、現在の地方税は、やっぱり住民税事業税等の、景気に非常に敏感な税目が大きい比重を占めているということは事実でございます。これは、景気がよくなったときには伸びるし、非常に伸長性は持っておりますが、そのかわり、景気が悪くなったときには、非常に不安な財源ということになります。また、この税は、地方に地域的に偏在しておるために、地方団体では均一水準のサービスを確保することができない、そういう財源としては問題があるというようなことでございますので、地方財政の要望する税と現実の税との食い違い、これを今後どういうふうに総合的に勘案していくかということは、いま長期税制の中央、地方税のあり方に関連して私どもも各種の機関でこれは検討しているところでございますが、非常にむずかしい問題でございます。今後もっと積極的にこれは取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇
  19. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お答えいたします。  所得税については、課税の最低限の引き上げについてちゃんと目標が示されているが、住民税についても年次的にその目標を示せ、こういうことでございました。今回は、とりあえず住民税負担軽減をはかりますために、夫婦子三人の給与所得者課税最低限を十万円程度引き上げることを目途として、各種所得控除の額を一万円ずつ引き上げることといたしました。住民税課税最低限引き上げにつきましては、これが地方財政に与える影響をも勘案しながら検討しなければならないところでありまして、いま直ちに今後の具体的な目標を示すことは困難でございます。  これは、電気ガス税につきましてもやっぱり同じことが言えると考えます。しかし、この問題につきましては、税制調査会の答申の趣旨に沿って、今後とも、住民税の性格、国民生活水準の推移、地方財政の状況などを考慮しながら、引き上げを検討してまいりたいと考えております。  それから、住民税基礎控除配偶者控除などの各種所得控除の額が、国税における控除の額より低い、また国税においては、事業専従者控除ともいわれる完全給与制をとることになっているが、住民税事業税においては国税の取り扱いと異なる取り扱いをしているのは一体どういうわけか、こういうお尋ねもありました。住民税は、税制調査会の答申にもありますとおりに、所得税と違いまして、これは先ほど総理も申されましたが、地域社会費用をその住民が能力に応じて広く負担するという性格を持っている税であることは御承知のとおりでございます。したがいまして、住民税は、所得税に比較して、より広い範囲の納税義務者がその負担を分かち合うべき性格のものでございますので、その所得控除の額は所得税のそれよりも低く定められてあります。青色事業専従者の給与額につきましては、所得税においては昭和四十三年からいわゆる完全給与制に移行することとされておりますが、この制度を地方税に取り入れることにつきましては、地方税収入に及ぼす影響と、また事業における事業主控除との関係など、検討すべき問題が非常にたくさんありますので、いま直ちに結論を出すことは困難でございます。  いずれにいたしましても、地方税は翌年課税のたてまえになっておりますので、昭和四十三年度中における所得税の取り扱いをよく見ました上で、四十四年度以降の問題として慎重に検討したいと考えております。  なお、四十三年度におきましては、その控除限度額を、青色申告につきましては十七万円、白色申告者につきましては十一万円に引き上げることといたしまして、所得税との格差をできるだけ詰めていくようにつとめております。  それから、道路補修のための財源措置につきまして御質問がございました。自動車取得税は非常に安易な税であるという御指摘でございましたが、これも道路目的財源として創設することにいたしました。道路整備の財源としては貧弱であり、非常に安易だという感がある、道路整備の財源としては、もっとほかに充実した財源が考えられないか、こういう御質問でした。自動車取得税地方道路目的財源として創設いたします趣旨は、道路整備の必要性が、自動車の著しい増加によって引き起こされておることにかんがみ、自動車の使用と道路整備との間の密接な受益関係に着目して、自動車の取得の際に、応分の税の負担を求めようとするものでございます。同時に、本税は、従来道路目的財源が全く与えられていなかった市町村道の整備について、新たにこの目的財源を付与するという重要な意義を持つものでありまして、これによって地方道路財源はかなり充実されることとなると期待をいたしております。  なお、地方団体道路財源充実の方法として、たとえば燃料課税の引き上げはどうかとか、いろいろ説がございます。しかし、こういうものにつきましては、物価に与える影響など国民経済に及ぼす影響も非常に大きいわけですから、今回は取り上げなかったと御承知いただきたいと思います。  なお、これも例の国税の租税特別措置地方税にはね返る、これを遮断する方法はないかという御質問でございました。これは総理もお答えになりましたところでございます。自治省といたしましても、地方税は特に地域内の負担の公平をはかることに留意する必要があると考えられますので、国税の租税特別措置による減税の影響が地方税に及ぶことにつきましては、一般的にはこれを回避するようにすることが望ましいと考えられます。しかしながら、国税の租税特別措置の中には、地方税においても同様に減税を行なってしかるべきものもありますし、また国税の租税特別措置の影響を地方税で回避することが、課税技術上困難なものもあるわけでございます。これらの事情を考慮しながら、国税の特別措置の影響が自動的に地方税に及ぶことにつきましては、可能な限りそれを避ける措置を講じておるのでございますが、今後とも御指摘の方向努力いたしたいと考えております。  地方税全体での各種の特別措置についても、政策手段としての効果などの点から常に再検討をいたしておりまして、その整理、合理化をはかるべきであると考えております。したがいまして、期限の到来した特別措置などをどうするかという問題につきましては、十分検討して、その取り扱いを決定しておる次第でございます。  それから、大蔵大臣が述べましたが、国税、地方税を通ずる税制の抜本的改正をする必要があるのじゃないかという、これはいつでも論じられる問題でございます。国税、地方税を通じての税制改正は、国と地方団体との間の事務配分、それから地方交付税、国庫支出金など、国、地方団体を通じての財政制度との関連において総合的に検討すべき問題であると考えます。  地方制度調査会からは、さきに地方事務配分に関する答申が出されておりますが、現在それを裏づける財政上の具体的措置について検討が行なわれておるところでございます。地方団体にできる限り事務を委譲するとともに、地方団体の支出はできる限り自主財源である税によってまかなうことができるようにすることが必要なことであると考えておりますが、政府としては、地方制度調査会税制調査会の審議もわずらわしまして、適切な税制改正を行ないたいと考えております。(拍手
  20. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  水田大蔵大臣昭和四十一年度決算概要についての発言
  21. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 大蔵大臣から、昭和四十一年度決算概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣水田三喜男君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔国務大臣水田三喜男登壇
  22. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 昭和四十一年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。  昭和四十一年度予算は、昭和四十一年四月二日に成立いたしました本予算昭和四十一年十二月二十日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。  昭和四十一年度予算は、公債政策の導入及び大幅減税の断行等により積極的に有効需要を喚起拡大して、景気の早期回復をはかるとともに、社会資本の整備等長期にわたる安定成長の基盤を培養することを基本として住宅及び生活環境施設の整備拡充、社会保障施策の推進、道路、港湾等の社会資本の計画的整備拡充、災害復旧の促進及び治山治水対策計画的実施、農林漁業及び中小企業の近代化、高度化、文教の刷新充実、青少年対策の促進、科学技術の振興、輸出の振興と対外経済協力の推進、雇用対策の強化、労働力移動の円滑化、物価安定のための諸施策等の重要施策を推進することとして編成されたものであります。  なお、本予算成立後、給与改善費、災害対策関係費、農業共済再保険特別会計への繰り入れ、食糧管理特別会計への繰り入れ、稲作改善対策特別事業費、石炭対策関係費、商工組合中央金庫出資金、地方交付税交付金、臨時地方特例交付金、その他義務的経費の追加等に関し所要予算補正を行なったのであります。  昭和四十一年度におけるわが国の経済を顧みますと、昭和四十年の経済の停滞状態は徐々に回復過程に移行し、さらにさきに申し述べましたような昭和四十一年度予算における公債発行及び大幅減税を中心とする政府の積極的な財政運営と民間経済界における自主的努力とによって不況は完全に克服され、経済は順調な拡大過程をたどるに至ったのであります。  このような経済の推移の結果、昭和四十一年度の国民総生産は三十六兆六千六百十四億円となり、前年度に対し一六・九%、実質一二・三%という著しい増加となったのであります。  また、鉱工業生産は、前年度に対し一五・九%の増加となり、国債収支は、輸入が国内景気の回復に伴い大幅に増加しました反面、輸出も前年度に引き続き着実な伸びを示し、貿易収支では二十億ドルの黒字となったのでありますが、貿易外収支及び資本収支の赤字が大きかったため、年度間の総合収支では五千八百万ドルの黒字にとどまったのであります。  以下、決算の内容を数字をあげて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は四兆五千五百二十一億円余、歳出の決算額は四兆四千五百九十一億円余でありまして、差し引き九百二十九億円余の剰余を生じました。この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、翌年度、すなわち、昭和四十二年度の歳入に繰り入れ済みであります。なお、昭和四十一年度における財政法第六条の純剰余金は二百二十七億円余であります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額四兆四千七百七十一億円余に比べて七百四十九億円余の増加となるのでありますが、このうちには、昭和四十年度の剰余金の受け入れが予算額に比べて四百四十七億円余増加したものを含んでおりますので、これを差し引きますと、昭和四十一年度の歳入の純増加額は三百二億円余となるのであります。これは租税及び印紙収入、専売納付金、雑収入等において九百四十八億円余を増加いたしましたが、公債金等において六百四十六億円余を減少いたしましたためであります。  一方、歳出につきましては、予算額四兆四千七百七十一億円余に昭和四十年度からの繰り越し額四百二十六億円余を加えました予算現額四兆五千百九十七億円余に対しまして、支出済み歳出額は四兆四千五百九十一億円余でありまして、その差額六百五億円余のうち、昭和四十二年度に繰り越しました額は三百九十億円余となっており、不用となりました額は二百十五億円余となっております。  次に、昭和四十二年度への繰り越し額の内訳を申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ国会の議決を経て繰り越しましたもの三百七十六億円余、財政法第四十二条ただし書きの規定により、避けがたい事故のため繰り越しましたもの九億円余、財政法第四十三条の二第一項の規定により、継続費の年割り額を繰り越しましたもの四億円余であります。  次に、予備費でありますが、昭和四十一年度一般会計における予備費予算額は四百八十億円でありまして、その使用総額は四百七十九億円余であります。  次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は千百九十七億円余でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は千百四億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額千百九十四億円余を加え、昭和四十一年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額千百八億円余を差し引きました額千百九十億円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は百億円でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は三億円余でありますので、昭和四十一年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額二億円余を差し引きました額九千万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  次に、昭和四十一年度特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十五でありまして、これらの特別会計の歳入歳出決算額の合計額は、歳入決算において八兆六千五百八十三億円余、歳出決算において七兆六千六百九十八億円余であります。  次に、昭和四十一年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、資金への収納済み額は三兆四千七百四十四億円余でありまして、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は三兆四千六百八十億円余でありますので、差し引き六十三億円余が昭和四十一年度末の資金残額となるのであります。これは主として国税にかかる還付金のうち、支払い決定済み支払い命令未済のものであります。  次に、昭和四十一年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。  以上、昭和四十一年度の一般会計、特別会計、国税収納金整理資金及び政府関係機関の決算につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  昭和四十一年度決算概要についての発言に対する質疑
  23. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小山省二君。   〔小山省二君登壇
  24. 小山省二

    ○小山省二君 ただいま大蔵大臣から報告のありました、昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算外二件につきまして、自由民主党を代表いたしまして、総理並びに大蔵大臣に対し、二、三の点に関し質問をいたしたいと存じます。  私があらためて申し上げるまでもありませんが、昭和四十一年度決算はこれから審議がなされるものであります。したがって、ただいまここで、四十一年度決算そのものの内容につきまして詳細なお尋ねを申し上げるわけにはまいりませんが、過去並びに現在の決算を通しまして、かねて私の疑問といたしておりますことを総括的にお伺いをいたすわけでありまして、四十一年度決算審議の前提をなすものとお考えを願えればよろしいかと存じます。  昨年の六月、第五十五国会におきましてわが党の吉川議員から発言されたことでありますが、御承知のとおり、決算委員会といたしましては、予算が効率的に使用されたかどうか、予算そのものが妥当なものであったかどうか、予算の意図するところが十分に実現されたかどうか、これらの諸点を審議するのがその主たる任務でありまして、これがまた決算審議の重要な柱となり、前提となるものであろうと私は考えるのであります。  そこで、まず第一にお尋ねいたしますことは、毎年、決算を議決いたしますつど、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶ということを、繰り返し声を大にして、政府並びに関係各省に対し注意を喚起しておるのでありますが、今日まで依然として改善の実があがらないばかりか、いわば、その場限りの警告、勧告として、委員会の結論は全く無視され、その結果、いかなる改善が行なわれたか、指摘事項がどのように処置されたか、ただいままで何らの報告がなされていないというのが現状でございます。政府関係者がしばしば御答弁の中に、改善されつつあると指摘されておりますが、ここ数年の会計検査院の統計等を見ましても、一向に減少の傾向を見せておらないのは、はなはだ遺憾にたえない次第であります。しかしながら、行政管理庁が取り上げ、推進されている一省一局削減案や、公団公社の整理案等が、おそまきながら非常な熱意を傾けられて、合理化計画昭和四十三年三月七日 衆議院会議録第九号推進されておりますことは、深くその労を多といたす次第であります。したがって、行政姿勢を正すためにも、また今後の決算審査の効果を確保し、政府の責任を明確にいたしますためにも、特に重要な改善事項と認めた点につきましては、そのつど、委員会の決議あるいは委員長の強い要望事項として、関係各官庁に処置方を求め、政府からその結果を必ず報告するという義務づけを願いたいと思うのでありますが、総理の御所見を承りたいと思うのであります。  近時、突如として、財政の硬直ということが強く打ち出されておるのでありますが、何が硬直であるのか、その原因は何か、その硬直を正すには、いかにしたらよいかということになりますと、その診断、治療は、むしろ決算面からの厳格なる審査を通してこれを正すことが、最善の道であろうと考えるのでございます。  そこで私は、英国の決算制度を思い出すのでありますが、聞くところによりますと、イギリスでは、議会においてなされた決算審査の決議あるいは勧告等は、行政庁が将来適切な処置をとるよう、国会がこれを強制することができるということであります。すなわち、英国の決算制度の特色は、決算委員会の審議の結論がそのまま放置される事例はなく、すみやかに具体化され、活用されるよう、定められておるということであります。  また、アメリカの決算制度を見ましても、その審査のやり方は、わが国の制度と著しく趣旨を異にしており、アメリカにおける決算は、収支のつど、支出官吏のなす経理行為を会計検査院長が検査、確定するものでありまして、わが国のごとく、一年分の収支の計数書では、決算目的を達することができないといわれておるのであります。すなわち、米国におきましては、年間の総合決算では、長い日時の経過等もあり、その審査が満足な成果を得られないところから、さような方法がとられているものと思うのであります。  ところが、御承知のとおり、わが国の決算は、会計検査院の検査と、その後における国会の審査と、二重の調査を受けるのであります。これは、会計検査院が法的見地から、決算内容の合法性と適確性とを調査し、決定するためのものであり、国会の審査は、政治的見地から決算内容を批判し、予算執行責任者たる内閣の責任を明らかにするためのものといわれておるのであります。両者とも、すでになされた収入、支出に関して何らの効果を及ぼさないという点では、同様であります。  これに対しまして、アメリカでは、違法な支出は、単に違法支出として批難されるだけでなく、支出そのものが否認をされるのであります。すなわち、違法支出と確認されますると、責任者はその支出した金額を国庫に返還しなければならないということであります。いま私が申し上げました諸外国の事例から見ましても、わが国といたしましては、その予算の執行にあたっては、一段と厳格にその使い道を正し、予算の経済的効果、あるいは行政面からの成果等が十分反映されまするよう、政府としても真剣に考えていただきたいと思うのであります。(拍手)  いやしくも国民の税金を行使する者が、少額たりとも不当不正の行為があってならないことは、いまさら言を待つまでもありません。私ども議員が、常にこのような問題に深い配慮を払い、審議を重ねておりますのも、一に予算の執行が適切であったかどうか、国民の信託にこたえておるかどうか、これらの点をただし、責任の一端を果たしたいと思うがゆえであります。(拍手)  しかるに、今日まで長い間、あらゆる面から、決算制度のあり方、または決算審査の効果的な方法を比較検討し、これが改善方に鋭意努力しておるにもかかわらず、政府各機関は、依然として予算の獲得のみに狂奔し、一たび予算をとってしまうと、事後における執行や決算関係については何ら意としない状態であります。私は、このような考え方の上に立って、財政の運用が行なわれまするならば、財政の硬直はいよいよ激しく、予算ぶんどりの弊害は一向に改善されないものと信ずるのであります。憲法八十三条は、国の財政処理について、国会中心主義を明らかにいたしております。国会財政処理の結果に深い関心を払うこともしごく当然といわなければなりません。決算予算に劣らぬ重要な議案にかかわらず、大臣の出席すらもきわめてまれであります。内閣の責任者たる総理は、今後決算審査のあり方、または決算制度をどのように改革あるいは活用されるお考えでございますか。特に国民の政治的不信感をなくすためにも、不正不当な事実に対し、責任体制をどう確立なさるお気持ちでございますか。綱紀粛正を強く打ち出している現内閣としては、これらの点につきまして、明確なお考えのほどをお示し願いたいと思うのであります。  財政法第四十条には、「内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会提出するのを常例とする。」とあり、私どもは、この提出された決算を、可能な限り、次年度決算提出されるまでに終了するよう審議を進めておるのであります。しかし、決算の審査結果を予算の編成時に参考に供するには、あまりにも内容が乏しく、かつ古いので、したがって、新しい年度のものについても、できる限り資料の提出を願って、審査を進めたいと思っておるのでありますが、一向に決算につきましては、関係当局の誠意のほどが示されておらないのが現状でございます。これはまことに遺憾しごくでございますが、常にこのような形を繰り返しておりましても、何ら前進、解決するわけではありません。  そこで、私は、いまこそ政府が、政治姿勢を正すたてまえからも、これらの問題を含め、法的見地から根本的な解決をはかり、委員会多年の要望を実現せられるよう、特段の配慮を強く要望するものであります。  次に、第二点といたしまして御質問申し上げたいことは、国の決算が国民に対してあまりにも知られていないということであります。  憲法第九十一条に、「内閣は、國會及び國民に對し、定期に、少くとも毎年一囘、國の財政状況について報告しなければならない。」としるされ、さらに、財政法第四十六条には、「内閣は、予算が成立したときは、直ちに予算、前前年度歳入歳出決算並びに公債、借入金及び国有財産の現在高その他財政に関する一般の事項について、印刷物、講演その他適当な方法で国民に報告しなければならない。前項に規定するものの外、内閣は、少くとも毎四半期ごとに、予算使用の状況、国庫の状況その他財政の状況について、国会及び国民に報告しなければならない。」と、報告の義務を強くうたっておるのであります。  ところが、国会における審議はともかくとして、国の決算なるものがはたして国民にどれだけ周知されておるかといいますと、これまた関係者のたいへんな認識不足があるように思われるのであります。そこで、私は、どのような報告が国民になされておるか調べてみたのでありますが、結果は、官報の附録のようなものが四半期ごとに大蔵省調査、「国庫の状況」として、大体十カ月おくれの資料で出されており、内容に至ってはまことに無味乾燥、おそらくこの資料が憲法及び財政法が示しておる政府に対する唯一の広報義務だといたしまするならば、思い半ばに過ぎるものがあります。村役場や町役場に配付される程度でその任を果たしたとするならば、あまりにも国民を軽視した方法と申さねばならないのであります。内閣は、少なくとも憲法や財政法の示す精神に従い、親切でわかりやすい内容にして、新聞等にでも差し込んで、各家庭にくまなく送り届けるぐらいの努力は当然のつとめではないかと思うのであります。広報の民主化を進める佐藤内閣としては、いささか片手落ちの感を免れないのではないかと思うのであります。  私は、今日ほど広報活動の必要性を感ずるときはないと思うのであります。政府がそのような努力をいたしまするならば、必ず国民は、国家の財政、経済について深い関心を持ち、私どもが審査をしている決算の内容も、おのずから国民の一人一人に十分理解が願えるのではないかと思うのであります。総理政府は、憲法に規定された国民に対する財政報告の義務をどのように理解されますか。今後、大蔵省の出している、この枯れ葉をかんだような「国庫の状況」なる数葉の報告書を、もっと親切丁寧に、わかりやすい内容のものに書きかえ、国民の前に提出して、国民とともに国の財政を考えるということにしてはいかがですか。御所見のほどを承りたいと思うのであります。決算は、決して汚職とか黒い霧をあばき、つつき回す舞台だけではありません。その職責は、どこまでも、先ほど申し上げましたように、国民の納めた税金が正しく、効果的に使われたかどうかを審議するところでありまして、それには国民の一人一人の関心と協力を得なければ、大きな成果を期待することはできないからであります。  第三にお尋ねを申し上げたいことは、今日なお、本決算分に二百五十七億五千四十二万円、さらに前期残分百三十二億四千七百万円、計三百九十億余万円に及ぶ膨大な会計検査院の未確認事項があるということであります。  本件は、いずれも二つの特別会計分を除けば、残余の九割九分は防衛庁の武器購入代金の前払い金または概算払いに関する分であり、古きは三十八年度にさかのぼるもので、九年、四十年、四十一年と、数年にわたって、いまなおこれらの発注品が納入されておらないというためであります。委員会の報告資料によりますれば、一部の艦船建造費の前払い金を除き、いずれも艦船及び航空機の部品程度で、数年を要するほどの特別機材でもないようですが、これらの督促、整理について、長官はどのような御方針をお持ちでございますか。いつごろ発注品が納入され、引き続き検査が確認できるのか、これらの見通しについて、まずもってお尋ねをいたしたいのであります。  四十一年を最終年度とする第二次防衛力整備計画は一兆三千二百十七億円で、うち装備品関係諸費は千四百四十七億五千万円でありまして、各国に比較いたしますれば、きわめて低額な防衛費で侵略に対する万全を期しておるのであります。この警備体制のもとで多少不安を感ずることは、支払い方法などは別として、長期間武器もしくは部品が納入いたされない、このような契約状況のもとで、はたして自衛隊がわが国の平和と安全を保障できますか。防衛体制に支障はないのでありますか。多少の不安というのは、実はここにあるのです。このような調達状況下で、万々一にも国土の一部に侵略行為が行なわれた場合、部品が届かぬ、そろわぬでは、一体兵器として何の役にも立ちません。その結果ははたしてどうなるのですか。受注国には関係がないのですか。そして、その発注方式で武器や部品の補充は万全を期せられますか。かく考えまするとき、防衛兵器の国産化計画こそ、前向きの形で早期解決を進める必要があるのではないでしょうか。ころばぬ先のつえです。いまからでも海外発注の弊を改め、多少の犠牲は忍んでも、国防の自立体制はすみやかに解決せねばならない緊要の問題ではありませんか。一部の政党には、防衛産業不要論も聞きますが、今日の国際情勢下、自主防衛体制は現下の急務であります。このような方針は、現に世界の現状が、そしてわが国国民の決意が、選挙を通して明らかに示しておるではありませんか。(拍手)長官の御見解はいかがでありますか。犠牲を払わぬ前進などはあり得ません。明確な御答弁を期待いたしまして、四十一年度決算概要に対する質疑といたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  25. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 小山君にお答えいたします。  決算の重要性については、御指摘のとおりでございます。編成前の予算の審議につきましては、たいへん論戦がかわされ、また非常に大事に扱われますが、一たん執行したのちにおいては、これらは等閑に付せられておる。そういうことでは国民に対しても相済まない、私はかように考えます。したがいまして、小山君がその点でるる述べられたこと、私もそのとおりだと思います。これは申すまでもなく、予算の執行が政策目的を果たしておるかどうか、また不正、不当、そういうようなことはないかどうか、こういうことを事後においてトレースするのでありまして、これはたいへん大事な仕事であります。その審議の結果は、必ず予算の編成にも、また執行にあたりましても、大きな示唆、参考にいたしておるような次第でございます。したがいまして、決算の審議があったにかかわらず、あるいは警告事項その他等が一体どうなったかといって、たいへん御心配でございますが、私は、それぞれの行政官庁におきまして、この警告、あるいは批難事項等については、その趣旨を十分反省し、徹底するようにいままでも努力しております。また、審議の結果を、それぞれ決算委員会を通じまして、その審議のつど報告さすようにもいたしております。したがいまして、私はこれらの点で法律をただいまつくる必要がないのではないだろうか、かように考えております。しかし、御指摘になりましたように、欧米諸国におきましても、それぞれの国に適した決算制度を持っておりますから、決算制度について、さらにこの上とも検討していくことは、私どもの当然の義務ではないだろうか、かように思います。  また、さらに、報告義務について、いま政府のやっておる報告は、なるほど一応は済むけれども、あまりに無味乾燥で、これでは国民の関心も引かないじゃないか、かような状態ではいかぬというおしかりを実は受けました。私もいろいろ決算の報告、いわゆる憲法や財政法で命じておる報告、それはどういうように扱われておるか、かように考えてみますと、官報その他「政府の窓」、あるいは政府の「ファイナンス」等で一部報告されておる。こういうことでは、いわゆる財政の民主化、その目的を達するのに不十分だと私も考えますから、こういう点では国民がさらに関心を持ち、予算についても積極的な姿勢で理解をいただくように、この広報関係においてはさらに私どもがくふうすべきだ、かように思いますので、具体的な名案等についても御意見も聞かしていただきたいと思います。  また最後に、防衛庁の予算等についてお尋ねがございましたが、この点は増田君に譲ります。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  26. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 私への質問、もう総理がお答えになってしまったようでございますが、決算についての国会の審議、議決につきましては、政府も従来からその趣旨を十分尊重いたしまして、これを行政に反映させるように、たとえば予算編成前におきましては、大蔵省の主計局を中心にして、各省の連絡会を開いて、そして会計検査院から指摘を受けた事項、それから国会決算委員会から御注意を受けた事項ということを中心の連絡会議を開いて、そして二度とこういう誤りをしないようにというような措置を、例年とっております。こういうような措置は、今後決算委員会を通じて、当然御審議を受け、さらにいろいろ注意される事項であろうと思いますが、できるだけ政府としては、この決算の結果を行政に反映させるように努力しているつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣増田甲子七君登壇
  27. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 小山さんにお答え申し上げます。  国産及び一般輸入関係につきましては、契約をいたしましてから納入されるまで、長時間を要する艦船の建造及び航空機の製造でございまして、このため国庫債務負担行為、及び継続費の予算により契約いたしますが、履行途中に支出された前払い及び概算払いは、契約が終了するまで未確認事項となっておるわけでございます。航空機等は、契約に定められた年度ごとの納入数量どおり納入されております。艦船につきましては、起工、進水等計画に応じて納入されております。契約に定められた納期を過ぎたものはございません。  第三の有償援助調達物品は、米軍から購入するものでございまして、物品の納入までに二年程度かかっております。中には納入が米軍関係のものは遅延しているものが相当ございまして、その対策といたしましては、外務省ルートを通ずるほか、米軍に常駐させておる防衛庁の調達本部の部員その他を通じまして、米側に対し、出荷を促進いたしておる等、最善を尽くしておる次第でございます。  なお、相当部品が納入されていない、これで国防ができるかという御質問でございまするが、実際において未確認事項でございましても、納入されたものが相当ございまして、現在の状況におきましては、まず艦船、航空機その他装備品の活動には支障はないと考えておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  28. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 華山親義君。   〔華山親義君登壇
  29. 華山親義

    ○華山親義君 決算審議の目的は、過去の事実を明らかにいたしまして、これによって将来の向かうべきところを求めることにあります。私は、この見地に立ち、日本社会党を代表し、若干の問題について政府所見を伺いたいと存じます。(拍手)  まず第一に、近年の日本のおもなる経済指標は、世界の先進国といわれる中において、最高または最低を示しております。経済成長率は最高であるが、通貨供給増加率、消費物価上昇率はまた最高であります。一人当たり国民所得は最低、外貨準備高は最低であります。この上に、昭和四十一年度決算において、世界最高のものをさらに加えた。すなわち歳入総額に占める公債の割合、いわゆる公債依存度は諸国をはるかにこえて、最高のものなのであります。多くの経済学者は、日本の通貨供給増加率が経済成長率を長い間上回っていることが、このギャップが慢性的物価上昇の基本的要因であると指摘しておりますが、いまここに、公債発行によって通貨供給増加に拍車を加える要因が生じたのであります。  昭和四十一年度予算に初めて本格的に公債が取り入れられるにあたりまして、政府は、おりからの経済不況は深刻であり、これを脱却するには二、三年を要するものとし、公債発行は不況克服のためのフィスカルポリシーであると説明いたしました。しかるに、政府の予想に反して、一年ならずして不況を乗り越え、またたく間に民間設備投資の額が予想よりも一兆円をこえるような景気過熱の状態に入ったのであります。四十二年、この過熱の中においても、公債発行は依然続けなければならなかったし、さらに景気抑制型と自称する四十三年度明年度予算におきましても、これを計上しなければならなかったのであります。事ここに至っては、公債発行はもはやフィスカルポリシーではない、歳入不足補てんのための公債であります。この歳入補てん公債が、国民所得の蓄積の中で行なわれるものであるならば、その名のとおり建設公債としてわれわれはこれを了とするものであるが、四十二年の経過を見るに、実際は日本銀行券の増発によって行なわれたと断ぜざるを得ません。すなわち、四十一年においては、金融緩慢によって、一面政府保証債の日銀買い入れにも助けられて、市中消化も一応進んだのであるが、四十二年には金融の繁忙につれて消化は困難に相なりました。公債購入を市中金融機関にほとんど強制的に割り当てざるを得ないわが国の実態におきましては、金融繁忙の場合、本来オーバーローンを体質とする金融機関が公債購入資金を日銀に求め、また日銀がこの要求に押されることは、当然の成り行きであります。この事情のもとに、四十二年中日銀は一年経過公債に買いオペを行ない、同年末における買いオペ総額は四千八百億円にのぼっております。これに日銀貸し出し担保国債約四百億円を加えれば五千二百億円となり、七割をこえる公債が、発行後一年を経過するとともに、順を追うて日銀に還流したのであります。四十二年中発行公債市中消化高は五千二百億円、日銀還流高も全く符節を合わせて五千二百億円、まさしく昭和四十二年公債の市中消化は、公債買いオペなどによる通貨供給の増加によって行なわれたといわなければならないのであります。(拍手)四十一年公債発行に際して、わが党が日銀還流について政府の見通しをただしたのに対し、市中に滞留することを期待した政府の見通しは、ここでも完全に裏切られております。  さて、公債発行の背景となる今後の財政需要は、公債費の漸増、佐藤内閣の性格から生まれる軍事費の増大によって次第に圧力を強め、今後も公債の発行は続き、これが日銀に還流して、その累積は慢性的通貨インフレーションとなり、これが物価上昇につながり、国民生活を脅かすとともに、日本経済の危険を深めていくことをおそれるのであります。大蔵大臣、公債発行以来の経過にかんがみて、その反省に立って、今後の公債発行を中心としての経済財政政策を承りたい。短期的には明年度予算に計上された公債は、日銀に還流することなく、市中消化が可能であるかどうかを承りたいのであります。  第二に、総理は、施政方針演説において、核エネルギーの平和利用を強調されたのであるが、これとともに宇宙開発も新しい時代をになうものでありましょう。しかし、この二つのものの開発は、発足において、また開発の過程において、戦争目的と不可分のものであります。これを純粋に平和利用に徹して開発するには、その国の不動の平和的良心に求めるほかありません。私は、決算審議にあたって、宇宙開発に関し、東大宇宙研究所の不始末、開発行政の不統一、開発の困難、相手国における兵器研究のためと認められる東大ロケットの輸出など、複雑な実態をつかみ得たのでありますが、総理は、昨年十一月、アメリカ、ジョンソン大統領との共同コミュニケにおいて、平和利用のための人工衛星の開発、打ち上げを中心に、協力の可能性を検討するとしている。しかし、今日、世界においてはABMさえも無力化するといわれ、宇宙条約では押えることができないといわれる宇宙軌道爆弾の開発さえも行なわれていることが示すように、人工衛星の開発、打ち上げが兵器と不可分のものである以上、ここに当然機密が存在する。はたせるかな、今年に入って、アメリカ駐日大使は、これらの協力に関して、日本の機密保持を申し出たのであります。一面、日本においては、さきに宇宙開発審議会は、わが国の宇宙開発は平和の目的に限るとし、公開を原則とする旨を答申し、政府はこれを尊重する旨をしばしば言明してまいりました。総理大臣、宇宙開発について、今後も平和利用に限られるのか、公開の原則を堅持し、機密を持ち込むことはないか、この原則に立つ場合、アメリカとの協力において、機密保持のアメリカの要求と調整し得る可能性があるのか、明らかにしていただきたい。  第三に、私は、決算審議に際して、宇宙開発、素粒子の研究、防衛施設など、完成までに相当の時日を要し、その途中において、進歩を伴う巨大な経費を要する事業は、その性質上、随意契約となり、一たん一業者と契約された場合は、永久的にその業者の独占になるのであります。しかも契約額の積算についても、管理費、利益率、特に開発費の見積もりについて、ここに情実と誘惑の生ずる落とし穴があります。業者の受注のための暗躍と、業者と官界、政界との間にこの点から不正の起こることをおそれまして、機会あるごとに警告してまいりました。私のおそれたことは、いま、防衛庁の不祥事件によって早くも明るみに出たのであります。(拍手総理は、防衛庁の最高所管大臣であるとともに、国防会議議長でもあります。あなたは明治百年といわれる明治、大正、昭和の前半にかけてこのような事件が起こった場合には、総理は骸骨を請う性質のものであります。ここに総理の責任を明らかにしていただきたい。このような防衛庁を持つあなたに国民の防衛意識を高める資格はありません。あなたのことばは数カ月にしてくずれ去ったのであります。  また、防衛庁長官は、一昨日の予算委員会において、当初の契約金の不足はあとで幾らでも追加ができるしかけになっていると言われた。しかも、これは会計法上の違反ではないと言われた。決算審議上聞き捨てならないことばであります。(拍手大蔵大臣からこのようなしかけのからくりを詳細に説明していただきたい。私はこのようなことをおそれ、業者との間の悪事を予防する一つの方法として、進歩を伴う巨大な事業については、現在の会計法規は不十分であることをるる指摘してまいりました。これに対し、大蔵大臣は、今後の推移、実態を見た上でと答弁されてきました。実態はいま防衛庁の不祥事によって明らかになった。(拍手)これにかんがみて、大蔵大臣は会計法規を検討される気持ちになおならないのかどうか、お伺いをいたしたい。  最後に、国費の使用にあたって政治的介入のあることをあげて、政府の反省を求めたいと思います。  一つの事実だけを申し上げる。昭和四十一年、政府は、南ベトナム難民救済費七千二百万円の予備費支出を決定し、その実施を日本赤十字社に求めたのでありますが、同社が交戦国一方の救援はできないとして拒否した。当然のことであり、政府の不見識を示すものであります。この拒否にあうや、ベトナム協会なるものに補助することにした。この協会の組織は、自民党国会議員一萬田尚登君を会長とし、副会長七名中五名は自民党国会議員、一名の専務理事は自民党の職員、常務理事七名中四名は自民党国会議員であります。その他の役員に財閥会社の代表的人物が名を連ねております。政党と財閥との結びつきの一縮図であります。(拍手)しかも、この団体の事務所なるものには電話は一本もない。監督官庁に届け出たところによれば、定款に定める各種事業について、決算はいずれもゼロであって、何らの事業もしておらない。典型的な睡眠法人である。この団体に全額補助されるや、綿織物、毛布、家庭薬品を、競争入札もせず、見積もり合わせもせず、それぞれ一業者に発注したのであるが、中でも綿織物六千余万円は三井物産一社に発注した。公益団体の役員が、その団体の仕事から独占的利益を得るがごときは、常識として許されないところであります。また、この政府のベトナム協会に対する支出は憲法第八十九条後段の規定に違反しないかとの私の疑問に対し、法制局は、協会の行なったことが救済事業であるならば違反であるとし、外務省は、現地においては外務省が直接行なったのであって、協会には国内において物資の買い入れ、輸送を行なわしめたものであると言いのがれをいたしました。それならば、外務省みずからがこれを行なって事足りるものであります。事務費を協会に与えるがごときことは、国費の乱費と申さねばなりません。大蔵大臣は、結局、決算委員会において、「今後このような場合については、適正であるように十分に注意をする」と答えられました。いまここではあらためて答弁を求めることはしない。総理大臣以下深く反省をしていただきたい。もしも御意見があるならば承りたい。  いま南ベトナムにおいては、さらに多くの難民が出たと報ぜられて、今後事態の推移とともに難民救済のことが日本でも問題にのぼるだろうと思うのであります。その際、日本政府は、南北を問わず、全ベトナム人民に対し、日本赤十字社、万国赤十字社を通じて救援の手を差し伸べるべきだと思います。これによって、日本のアジアを思う心は純化され、日本人と全アジアの人々は、アジアの人間として結びつく、アジアの平和を求める基本はここにあると信ずるのであります。今日、この基本は、あまりにも政治的思惑によっておおい隠されている。可能なる機会を求めて、この基本に返るべきだと思うのであります。全ベトナム人民に対する赤十字精神に基づく救援は、この絶好の機会であって、政府が、これに踏み切るならば、赤十字を中心とする全日本国民の参加による救援も考えられ、私はこれを望んでやみません。外務大臣所見を伺いたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  30. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 華山君にお答をいたします。  これからの時代は核の時代並びに宇宙開発の時代だ、かようにいわれております。わが国が、核にしろ、宇宙開発にしろ、平和的な利用をすることは当然でございます。お話にもありましたように、宇宙開発審議会、これは三十七年に開かれたものでございますが、その答申では、平和利用として宇宙開発に乗り出すということであります。これは御指摘のとおりであります。私どもは、この答申に基づきまして、ただいま、宇宙開発、これにいろいろの心血を注いでおる状態でございます。またこの平和利用、そのワクを越すようなことはございません。御心配のようですから、あらためてはっきり申し上げておきます。かような点で、これは平和利用、それに限る。また核につきましても、これは過日来申し上げておるとおりであります。新しい科学技術の進歩、これは日進月歩であります。そういう際に、その目的をはっきりさして、そしてその方向に検討する、そうなければ、国の進運はなかなかないと私は思います。立ちおくれるということになります。どうか、そういう意味で、この目的が正しい、それが保たれておる限り、皆さん方の御支援、御協力も得たいと思います。  また、公開の原則、これは、私どもがすでに採用し、また今日以後におきましても続けられるものであります。宇宙開発の場合におきまして、米国の協力ということも申し出がございます。そうすると、ただいま御心配なように、米国にはいろいろな秘密の事項があるから、そういうものは一体どうするだろうか、公開の原則に反するのではないか、かように御心配でございます。しかし、私は申し上げますが、私どもは自立的なその立場において研究開発をするつもりであります。米国自身が、機密が漏れるような心配があって情報を出さなかったり、技術援助をしないなら、これはもちろんそういうものを私はアメリカから求めるつもりはございません。おそらく、今日の状態では、アメリカも援助するにいたしましても、ただいま申すような機密漏洩の心配のないものについて協力するのだ、かように理解しております。  なお、この機会につけ加えて申し上げておきますが、いわゆる商業上の問題がございます。いわゆるノーハウ等がありまして、この秘密は保たれなければならない。これは商業上の問題であります。商業道徳を守っていくこと、これは、私ども、いわゆる公開の原則に反するものではない、かように考えております。  次に、防衛庁の不正あるいは秘密漏洩の事件、その疑いについての私の責任についてお尋ねがございました。私は、この種の事柄がただいま起きたことそれ自体について、たいへん国民に対して申しわけがない、相すまない、かように考えております。申し上げるまでもなく、ただいまこれらのものはせっかく捜査中でございます。その全貌をただいまから明らかにするわけにはまいりません。しかし、私自身、最高責任者といたしまして、国民に相すまない、かような考え方から、徹底的にこれを究明いたしまして、そして、断固これらについての厳正なる処置をするつもりでございます。これが私の国民に対する責任だ、かように考えております。  なお、ベトナム問題について種々お尋ねがございましたが、これは外務大臣からお答えさせます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  31. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 国債問題についての御質問でございましたが、お答えいたします。  公債発行が経済の状況に見合って行なわれて、国民経済全体の需要と供給とのバランスが保たれておる限りはインフレを招くということはありません。したがって、政府は、今後とも、建設公債であるということ、市中の消化であるということ、この二つの原則を堅持しながら、時々の経済情勢に即応して公債発行を行なっていく所存であります。日本銀行の行なう国債の買いオペレーションは、これはもう御承知のとおり、わが国経済の安定成長を確保するために必要な通貨を円滑に供給するという金融調節の手段でございまして、その額は、国債の発行量とは別に関係を持ちません。その時々の金融情勢によって、日本銀行が決定するものでございます。四十三年度予算におきましては、私どもは、国債の発行を六千四百億円ということに圧縮いたしましたが、そのうちで、五百億円は政府資金運用部資金がこれを引き受ける。市中消化は五千九百億円という見込みになっておりますが、この発行量は、シンジケート団とも相談し、この意見を聞いており、市中の消化能力も十分に勘案して決定したものでございますので、これは円滑に完全に消化するものというふうに私どもは考えております。  第二の問題は、国と事業者の取引における悪事行為を防ぐために、現行の会計法を改める考えはないかというお話でございましたが、国の契約は、契約のつど競争を行なって入札するというのが原則でございますが、契約の内容によっては、関連した契約について、すでに契約した同一業者にこれを行なわせることが経済的に有利だというものもございますので、そういう場合には、引き続きその者を随意契約者として契約できるという特例がございますが、これによっていろいろな不正行為が行なわれたということはまことに遺憾でございますが、はたしてこれは制度的な欠陥であるのか、運用する人の欠陥であるのか、いろいろむずかしい問題があろうと思いますので、今後は十分研究いたしまして、このようなことが問題にならぬように、この発生を防止したいと考えております。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  32. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 華山君は、南ベトナムの難民救済に対して、七千二百万円の予備費を支出したことに関して、日赤との関係はどうか、憲法八十九条の違反ではないか、北ベトナムの援助はどう考えるかという御質問がございました。これにお答えをいたします。  第一の日赤との関係については、非公式の打診をしたことは事実でございます。しかし、結局において日赤に引き受けてもらえなかったのであります。これは華山君の御指摘になったような配慮も日赤にあったことと考えております。  次に、憲法八十九条との関係でございますが、この予備費支出は、ベトナムにおける社会的安定に寄与するという日本の外交政策に根ざして、日本政府が行なった対外援助でございます。したがって、社団法人のベトナム協会は、この政府の外交方針に従って物資を購入したり、物資を輸送したりしたような仕事をいたしたのでありまして、同協会自身がみずから難民の救済をやったとは考えておりませんので、憲法八十九条の違反だとは政府は考えていないのでございます。  第三の北ベトナムに対する援助についてでございますが、華山君の言われるお気持ちもわかりますが、北ベトナムとは国交はなく、したがって要請もなく、北ベトナムヘの援助は、現実問題として実現性があるとは考えておらないのでございます。お答えをいたします。(拍手)     —————————————
  33. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 吉田賢一君。   〔吉田賢一君登壇
  34. 吉田賢一

    ○吉田賢一君 私は、民主社会党を代表して、ただいま御説明のあった昭和四十一年度決算等に関して、佐藤総理及び担当閣僚の諸氏に以下若干の質問試みたい。  いまや、財政も行政も生活さえも硬直化しております。これはまさに現代日本の象徴ではないでしょうか。私は、ここに、忘れられた国の決算、しかし重要なるこの決算の角度から、財政と行政と政治の実態を批判しつつ、佐藤総理と閣僚諸氏に向かい、その所信をただしたいのであります。  会計検査院が国の予算執行につき不当、不正を指摘するもの、毎年数十億円にのぼります。これは氷山の一角である。その他行政、財政の制度と運営から生ずるむだづかい、非効率、浪費は、年々千億円を下らないのであります。ここに財政硬直化の真の原因があります。わが国の財政硬直化は、各種政策的要因もさることながら、この構造的陳腐と欠陥によるものを無視しては、真に打開、回復の対策はあり得ないのであります。結局、財政硬直化対策と行政硬直化対策は共通の場を持っております。この重要な関連性を把握して、総合的に行財政の制度と運営の改革が指向されねばならないと思います。  すなわち、行政硬直化の実態は、その非能率で合理性が乏しく、組織、人、経費にむだが多く、戦後二十年積み重なった幾多の悪習と弊風は根が深く、また、長年の泰平ムードに毒せられまして、綱紀は弛緩しています。広範な行政改革の実現が切実に叫ばれるゆえんもそこにあります。臨時行政調査会が権威ある改革の意見を出しましてすでに三年有半、佐藤総理もしばしばこの答申の尊重を言明せられましたが、遅々として進みません。いまはその果断と実行のみであります。総理、いかがでしょう。  そこで、行政、財政硬直化打開の対策は、具体的に言うならば、第一には予算制度の改革に触れねばなりません。すなわち、財政の長期的、計画的運営のためには、数年間の長期財政計画の策定を必要とします。予算制度は、計画予算制度の導入に踏み切るべきであります。しこうして、事業計画と実施計画、これに必要な経費予算の効果は用意周到に分析、測定せられて、かの現行予算制度の不正と不当の防止に役立つ統制よりも、予算の節約と効率につき正確な資料を確保しまして、少ない経費でよりよい行政需要に応じ得る、この合理的新予算制度の実施に進むべきであります。ことに、毎年予算編成期には、予算ぶんどりへの政治、経済、行政、各界のすさまじい現象は、まさに混乱と非合理の支配であります。明治、大正を通じ完成したわが国の予算制度は、戦後、財政管理の体系を変え、個別的に制度の補完をしましたが、いまだ根本的反省は加えられていない。私のこの提言は、大切な国民の血税を百円たりとも浪費せず、国民に、より豊かな生活と環境を約束せんとするもので、また、この制度のねらいであります。水田大蔵大臣の御所見いかん。  第二は、ことし二月二日閣議決定した各省庁総点検、三カ年目途の行政改革計画の案を、この六月までに一斉に内閣提出することになっておるが、過去の行政改革のはかどらなかった実情に顧みて、見通しはいかがでしょう。行政管理庁長官は、別途にその促進への対策がありましょうか。  次は、補助金の整理問題であります。この整理合理化が重要であることは申すまでもありません。累年増加いたしまして、四十三年度の一般会計、特別会計、政府関係機関の補助金の総計は、三兆五千余億円にのぼっております。池田内閣以来のこの懸案の四十三年度における整理対策はいかがでしょう。  また、昨年十二月十五日、閣議決定しました国家公務員定員三カ年五%削減と、去る二月二日、定員削減三カ年計画との関係はどのようにあるのでしょうか。また、定員減は伸ばすべき行政の芽をつむことになりはしないか。その以前に事務の簡素化、行政事務の再配分が必要ではありませんか。また、それに伴い税源の再配分財源措置はどうしてするのでしょう。  さらに、国の行政改革に伴い、地方公共団体においても、これに準じて、組織、運営等の改革の推進が要請されておるが、いかにこれにこたえんとする構想でありましょうか。赤澤自治大臣の御所見を伺いたい。  さらに、責任回避、隠れみのあるいは休眠中などと悪評されておりまする二百六十にのぼる審議会の整理への具体的構想はいかん。  また、特殊法人百八つ、うち、すでに二十三個に対しては、相当具体的な整理、統合への意見が出ております。しかし、これまた、なかなかに抵抗があるらしく、成果はあがらず、これらにつき確実な整理、統合への約束はできませんか。これまた木村長官より率直な御答弁を願いたい。  また、無数かつ煩瑣なあの許認可事務の整理のことは、もっと大胆に整理の促進をはかってはいかがでしょう。巨額補助金を自由裁量で左右し得る地位、威圧、誘惑の機会の少なくない許認可事務は、ことに運輸行政で大きな汚職の契機となった。中曽根運輸大臣はすべからく省内総点検をして、汚職根絶への抜本対策を立てるべきではないか。御所見はいかがでしょう。  第三番目には、公務員制度の改革であります。最も重要な一つの根本問題であります。臨時行政調査会の意見を尊重しまして、真に本腰を入れて取り組まねばなりますまい。詳細はここには述べませんけれども、この改革に成功するかいなやは、すべての行政改革の成否を決定するからです。  特に顧みたい点は、行政改革阻止の力と傾向であります。一つは、国民が税金の重さは身にしみて感じておるが、税金の行くえには比較的無関心であります。二つには、行政府の内部で改革及び経費節減への努力がありません。むしろ、官僚は行政改革に抵抗の本能があるのであります。三つには、国会自身、行政改革に熱意が乏しい。また、予算の浪費、むだづかいに対しましても、厳然たる態度が乏しいのであります。佐藤総理は、国会の良識と国民の正論を信じて、与えられた権限を行使して、行政改革の実現に邁進すべきではありませんか。  綱紀の粛正について一言お尋ねしたい。わいろは亡国への指導標といわれます。公務員は権力を行使し、法律を執行し、その地位と任務は、国民の福祉、国の安危に直接つながる重要な関係にあります。近時、公務員の汚職と綱紀の紊乱の激増が目立つ。まことに憂うべき傾向である。犯罪白書を見るまでもなく、最近の事例によって見ても、一昨年は黒い霧に国民はひんしゅくし、昨年また引き続くLPG運輸行政の汚職、都庁、住宅公社、招待ゴルフ、さらにまた過日来表面化した防衛庁の機密漏洩事件、これで高級職員の逮捕となり、一空将補の自殺事件さえ続発しました。ことに防衛庁の幹部が機密を守り得ないというに至っては、言うべきことばを知りません。まことに近来の不祥事件であります。増田防衛庁長官の御所見を承りたい。  しからば、その原因は何か。一つは、政治の腐敗、行政の綱紀退廃。二つには、物質万能の社会風潮が支配しております。三つには、公務員の道徳基準の低下を思わします。四つには、利権獲得の外部的攻勢は、金力によって意思の弱い公務員を買収する。これらを背景とし、あるいは公務員の腐敗した生活と結びつき、行政の体質の長年の病弊となっておるのではありませんか。もちろん、複雑な公務員制度、奉仕を忘れた特権意識も見のがすことはできません。官紀退廃の時節には、わいろの企ては危険にあらずして多望なり、すなわち、望み多しであります。  これの対策はしからばどうか。綱紀紊乱の病根をついて、その防止の対策を立てることは特に重要であります。一には、国会は議員みずから潔癖であること、党も個人も政治への姿勢を正し、憲法による国民の厳粛なる信託にこたえて、その責任を果たすことが第一義であります。二には、行政府は綱紀を粛正し、公務員制度等、組織運営への改革に積極的に協力すべきであります。三には、司法部は、綱紀粛正の陣頭に立つ気魄を持って、厳正に法を執行すべきであります。四つには、社会の各職域、地域の指導層は、特にきびしい罪の意識を持って、自己の行動を律するようにあるべきです。  終わりに望みまして、いまや内外とも政治は危機に直面しております。外は世界的に戦争と緊張の威迫さえあります。内は、行政、財政の改革の国民的要望にこたえて、果敢にその実現を期さねばなりますまい。佐藤総理、びょうたる一吉田の発言と思わぬようにせられたい。重大なる危局に直面して、与党の総裁、内閣の首班たるあなたは、一死万難を突破するくらいの決意と覚悟をもって、かの国民的な無理解や官僚の抵抗や、政党のエゴイズムの前に、強く勇気を持って、一億国民のこの声なき悲願にこたえられんことを切望します。(拍手)  佐藤総理の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  35. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 吉田君にお答えいたします。  吉田君からも、先ほどの小山君同様、決算の重要性について触れられました。私も教えられるところが大いにあったと思っております。先ほど小山君にもお答えしたところでございますので、それは小山君の答弁でひとつ御了承いただきたいと思います。  決算は最も大事なものでありますし、ことに予算の執行が適正に、またその目的を十分達しておるかどうか、それを検討するのでありますから、最も大事なことであります。ことに最近のように財政硬直化が云々されるこの際に、決算の審議の結果を予算編成やあるいは執行の面に取り入れること、最も大事な時期だと思います。それにつきましてるる御意見を述べられ、財政の硬直化は同時に行政の硬直化、これと組み合わせのもとに整理していかなければだめだという御意見でございまして、私もそのとおりだと思います。ただ、財政の硬直化の面では、一面に今後予想される労働力の不足というものが経済成長を必ずしも維持できない、こういうような原因がございますが、官庁としては行政組織、行政機構とあわせて考えていかなければならない。でなければ、財政の硬直化はこれを解決はできない、私はかように考えるのでありまして、吉田君と全然同感でございます。  そこでこの際に、臨調の意見、答申があってすでに三年有半を過ぎている。政府はこれについて果断、ただ今日は実行あるのみ、かような判断を下され、政府を鞭撻されたのでございます。私は、最近政府の取り上げておる施策につきまして、後ほど木村君から詳細にお答えをいたしまするが、この意味において、さらに御鞭撻を賜わりますようお願いをする次第であります。  予算制度についての改正意見等を具申されました。これにつきましては、水田君からお答えをすると思いますが、その要点としての、事業計画を持つと同時に実施計画を持たなければだめだ、こういうことはそのとおりだろうと私も思います。  次に、行政機構の改革、さらに審議会の整理、また事務の処理等、これらの問題は、現在の公務員制度のもとにおきましてこれを実施することはたいへんむずかしい問題でもありますし、非常な抵抗のあることも御指摘のとおりであります。したがいまして、政府がさらに熱意を持って、そして根気強くこの問題と取り組んでいかなければならない、これは御指摘になったとおりで、そのつもりで私も進むつもりであります。  さらにまた、綱紀粛正についてお触れになりました。ことに防衛庁の秘密漏洩のおそれのある事件等についてもお触れになりました。私は最高の責任者といたしまして私の決意を先ほど御披露いたしましたが、この際さらに私自身責任体制を整備する、あるいは服務規律の確立、部内監察の強化等をいたしまして、真に公務員が国民の奉仕者であるということにほんとうに徹していただきたいと思います。そうして、大事な税の使い方におきまして間違いのないようにいたしたいと思います。この意味におきまして、起こりました事件はまことに残念しごくであり、国民に対して申しわけなく存じております。一たんかような点が出た以上、それをどこまでも究明して、そしてこれに対する適切なる処置をとること、これが私に課せられた責任だと思います。  最後に、幾多困難な問題につきまして政府に対しての御鞭撻のことばをいただきまして、まことにありがとうございました。私も最善を尽くす決意でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  36. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 最初に、補助金整理の御質問についてお答えします。  補助金の整理合理化につきましては、三十八年度の審議会の答申、それから三十九年度の臨時行政調査会の改革意見、これに基づきまして、毎年度その整理合理化につとめてまいりました。特に昨年度は、零細補助金の整理ということを中心に合理化をいたしてまいりましたが、昭和四十三年度におきましては、財政硬直化現状にも顧みまして、財政制度審議会の報告の線に沿って、まず新規の補助金はこれをつくらない、それから補助率は引き上げないということを中心とし、非効率的な補助金は廃止する、そうして終期をつけられる補助金最後の終期をここでつける、それから民間団体に対する補助金等で整理すべきものが相当多いというようなことで、本年は三百三十七件にわたって合理化をいたしました。そうしますというと、過去二、三年の努力におきまして、いわゆる零細補助とか、あるいはもうはっきりこれを合理化してもいいという補助は、たいていこれで整理してしまったというような気がいたします。そうしますと、今後する仕事は、先ほど言われましたように、中央、地方事務配分の問題、財源の再配分の問題、こういう大きい問題を中心としての合理化の段階に入るのじゃないか、これに触れない限りの合理化は、大体一応ここで私どもは整理がついたのじゃないかというふうに考えております。  その次に、長期財政計画の導入をはかるつもりはないかというお尋ねでございました。財政計画という以上は、単なる将来の収支の予想とかあるいは試算を示すだけでは、私は意味がないと思います。財政健全化のための、ほんとうに具体的な措置の裏づけがあって、初めてこういう計画をつくる意味があるだろうと思います。たとえば、西独におきまして、今度中期の財政計画を発表いたしました。同時に、増税だとかあるいは支出の削減とか思い切った措置を講ずることを、この計画と同時に明らかにしておりますが、ドイツがこれをするためには、特別の委員会が数年かかってこの準備をしておりまして、これは短時日の間にできた計画ではございません。そこで、私どもも、そういう将来の計画に備えて、当面、財政制度審議会に対して、硬直化を解決するための基本的な問題をいま諮問しておりまして、この調査会は、三部に分かれてあらゆる財政についての検討をいましておりますので、こういう検討が済んで、そうして問題解決のめどがついたら、ここで初めて財政収支の長期的な見通しというものへ取り組める段階に入るのじゃないかと私は考えております。現在そこまでいっておりませんので、いまできております経済社会発展計画とかあるいは各種審議会の答申、この線に沿った財政運営をやっておる次第でございますが、やはり、おっしゃられるような長期的な財政についての展望というものは、私は必要だというふうに考えております。(拍手)   〔国務大臣木村武雄君登壇
  37. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 行政改革はなかなか困難な問題であります。取り組んでしみじみと感じましたが、行政改革にとって一番大切なことは総理の態度です。しかし、総理の態度は確固不動でありまするから、その点は御安心ください。(拍手)もう一つは、各行政官庁を担当いたしておりまする関係大臣の態度でありまするが、足並みはみごとにそろっておりまするから、これも御安心ください。私は、いまこうして頭に包帯なんか巻いておりまするけれども、健在であります。それに行政の対象になりまする各官庁でありまするが、一省庁の一局削減に見られたとおりに、きわめて協力的な態度を示しております。したがって、自信を持ってこの問題を計画し、実行していきたいと考えております。ただ、非常に大きな問題でありまするし、それ相当の困難が伴い、あるいはまた、反対もあるには違いありませんが、それは私は無理解な反対だと思っておりまするから、努力してこの問題は解消して皆さまの御期待に沿いたい、こういう考えであります。  三カ年計画の問題でありまするが、この計画を樹立するにあたりまして、六カ年計画案、五カ年計画案、三カ年計画案、こうあったのでありまするが、先ほど吉田議員の仰せになりましたとおりに、財政硬直、行政硬直がそのまま国民の生活の硬直につながったならばたいへんだ。非常な卓見であります。一日を争う問題だと考えておりましたので、最短期間の三年を選んだ次第であります。思い切ってやる決心でありまするから、御協力くださいましたならば非常に幸いであります。  審議会や特殊法人の問題でありまするが、これは各省庁の協力をあまり求めないで行政管理庁自体でやらなければならない問題でありまするが、いま行政管理庁はこうした大きな問題と取り組んでおりまするし、能力に限度があります。したがって、一時にこれを取り上げてすべてを解決するというわけにはまいりませんから、行政管理庁の能力に応じまして、順次取り上げまして解決していく考えでありまするから、その点はお許しをお願いしたいと存じております。  それから、最近の汚職事件でありまするが、やはり管理、監督しなければならない行政管理庁にも非常に責任があると存じております。打ち続く汚職事件などは、全くいまいましい事件であります。特に最近の防衛庁の事件などは、不愉快きわまりない事件であります。しかし、こういうようなものは一日も早く解決しなければならないと思っておりまするが、何と申しましても一番大切なことは、上に立つ者の態度であります。上に立つ者の態度がしっかりしておりましたならば、下は自然にこれに見習うと考えております。私は、そういう気持ちでこの問題と取り組んでまいるつもりでありまするから、足りない点がありましたら、ぜひ叱吃激励してくださるようにお願いを申し上げます。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇
  38. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方財政の硬直化について御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございまして、地方財政の状況は、四十一年度決算によりますと、人件費、扶助費及び公債費の義務的経費が、歳出総額の四五%を占めております。地方団体が自主的に使用することができる一般財源のうち約五五%が、これらの義務的経費に消費されております。昭和三十六年度から四十一年度までの六年間に、これらの義務的経費は約二倍に増加しており、財政硬直化の傾向はいまなお衰えていないのは、まことに残念に思っております。財政硬直化を打開するためには、やはり今後、機会あるごとに地方団体の自主財源充実をはかるとともに、補助金あるいは通達、指示、こういう種類の国の関与をできるだけ少なくするように努力していかなければならぬと考えております。  それから、行政改革の問題ですけれども、やはりその前提として、事務の再配分をやらなければ進まないわけでございまして、国と地方との事務配分につきましては、臨時行政調査会及び地方制度調査会がそれぞれ答申をいたしております。これらは、いずれも地方自治を尊重して、できるだけ事務地方公共団体に委譲して、民主的、能率的な行政を行なうという立場に立っておるものでございます。自治省としましては、関係各省におきまして関係法令の改正などをいたします際には、これらの答申の趣旨に沿いまして、逐次事務配分の実現をはかるように努力してまいりましたが、現在ちょうど、国及び地方を通ずる行政改革を進めるために、行政改革本部が中心となって、各省庁において具体的な改革の計画案を作成する運びになっておりますことは、いま行政管理庁長官が申されたとおりでございます。この機会に、この問題も必ず取り上げて、解決を促進するように努力をいたしたいと考えております。なお、特に財源措置を要する問題につきましては、現在、地方制度調査会で検討中でございますので、近くその答申を得まして、本格的にその趣旨の実現に努力をいたす考え方でございます。(拍手)   〔国務大臣中曽根康弘君登壇
  39. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 運輸省は、最近の自動車の非常な激増とか、あるいは交通事情の変化とか、そういう新しい事態に対応して、行政体系を刷新しなければならぬ段階に来ていると痛感しております。  従来、運輸省の大臣というのは、課長とか係長だとさえいわれております。なぜかと申しますと、許可認可の権限を持っているのはその人たちでありますから、その権限の上にあぐらをかいているという感じがなくもないのであります。そこで、もう少しいわゆるトップマネージメントという行政の方向を取り入れて、上の人が責任を持って判断、方向を示して誘導していくという形に変える必要があるように思います。そこで、運輸省の内部に行政刷新本部をつくりまして、民間コンサルタント等の意見もいま聴取いたしまして、あるいは電子計算機を入れるとか、あるいは許認可事務を整理するとか、そういうあらゆる方面にわたりまして運輸省の行政を刷新して、御期待にこたえるようにいたしたいと思っております。(拍手
  40. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 大蔵大臣から答弁の補足をいたしたいとのことであります。これを許します。   〔国務大臣水田三喜男登壇
  41. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 吉田議員の御質問に対して答弁が漏れておりましたので、あらためてお答えいたします。  それは、計画予算についての御質問でございましたが、おそらく、いわゆるPPBシステムのことであろうと存じますが、この制度は、アメリカにおいて、予算の編成及び執行を合理化し、また、効率化するための手段として研究され、最初、国防省から始められて、いま、逐次、全官庁に導入されつつあるものでございます。日本におきましても、これが、いままで全く行なわれていなかったというわけではございませんが、問題は、こうした方法を今後組織的に取り入れて、かつ、分析、検討の手法を深めていくという必要があるのではないかというところにあろうと思います。財政硬直化の打開といっても、結局は、予算編成合理化と執行の効率化、これが基本でございますので、そういう意味で、こういうPPBのシステムというようなものは、今後前向きにやはり私どもは研究すべきものだと考えます。大蔵省におきましても、目下、この問題は研究中でございまして、参考とすべき点は将来積極的に取り入れる、こういう姿勢でいま勉強している一つの制度でございます。(拍手)     —————————————
  42. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 小川新一郎君。   〔小川新一郎君登壇
  43. 小川新一郎

    ○小川新一郎君 私は公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十一年度決算に関し、総理並びに関係大臣質問いたします。  昭和四十一年は、御承知のとおり、共和製糖グループ事件をはじめ、田中彰治事件、閣僚の公私混同行為等々、佐藤総理の言ういわゆる積年の病弊が一挙に爆発した年であります。かくして国民の政治への不信は極度に高まり、ついに政府国会解散を余儀なくされたのであります。以来一年有半、佐藤内閣の施政の奥にひそむ病根は、いままた汚職事件を多発し、まことに憂慮すべき状態にあります。LPGタクシー汚職をはじめとし、大阪通産局JISマーク事件、住宅供給公社汚職等、地方に目を転ずるならば、東京都財務局の汚職、静岡中央病院薬品納入にまつわる汚職等、枚挙にいとまありません。これらはいまだ氷山の一角であるとともに、およそこれらの責任は行政府の責任であります。議決された予算の忠実なる執行とともに、国政に寄せられる国民の信頼にこたえ得る正しい行政姿勢を持つべきであることは当然であり、総理が綱紀粛正を口ぐせのごとく述べられるゆえんもここにあると信ずるものであります。  第一点として、今日のかかる汚職発生の実情に対し、総理はいかなる具体策をもって臨まれるのか、まず国民の前に所信を明らかにしていただきたいのであります。  果てしなく発生する不祥事件の根底にあるものは、人間性の退廃とはいえ、さらに深く見るならば、現在の官僚機構にその原因があると思うのであります。  その第一は、高級官僚の政界への進出であります。重要な行政責任を放棄し、逆にその権限を私して自己の票田培養にきゅうきゅうとする姿は、明らかに公務員たるの本分を忘れた行為であり、これを許す官界こそ人間性退廃の温床というべきで、これが行政に及ぼす弊害は、かつての小林章事件に見るごとく明らかなのであります。  昭和三十九年、臨時行政調査会が内閣総理大臣にあてた勧告には、現職の公務員が、近い将来国会議員の選挙に立候補し、行政権力を乱用して事前運動を行なってはいけないということを申しております。また、「単に公職選挙の公明を阻害するだけでなく、公正な行政の執行を確保する上からも、見過ごすことのできない問題である。」と明確に指摘しております。高級官僚の立候補には規制を加えるべきことを述べておりますが、総理は、この勧告と実態を見て、いかように考えられますか、御答弁を願うものであります。  第二には、高級官僚の関係業者への天下りについてお尋ねいたします。国家公務員法第百三条は、公務員の私企業からの隔離を規定しておりますが、人事院の報告書によると、昨年一年間において離職承認済みの民間企業への転出者は百二十一人、そのうち、四十二人は大企業の重役になっております。報告書には、離職までの五年間のポストは就職する企業との間に密接なる関係がなかったとして承認されておりますが、大蔵省を退職した三十四人中十一人は、銀行、信用金庫などの重役になっております。また、建設省の十三人中の十人までが、土木建設会社の幹部に迎えられております。また、顧問、嘱託という肩書きが十一人おりますが、これらは当座の隠れみので、やがて重役につく前提といわれております。  防衛庁においては、三十七年四月から四十二年三月までの五年間に、将官、将官補クラスの退職自衛官で関係民間会社に天下りした者が二百六十五人。防衛庁の黒い霧は予算委員会で追及され、機密漏洩から逮捕者まで出し、ついにとうとい人命まで失われるに至ったことは、すでに新聞で報道されたとおりであります。四十一年度の天下りの内訳も大同小異であり、これらの人々が行政機関となれ合いを生むことは、常識として国民の不信を買っております。これについて臨時行政調査会は、「民間企業への天下りは、特定の営利企業と行政との間に特殊な関係を生じやすく、公務の公正を阻害するおそれが多いので、規制を加える必要がある。」と勧告しておりますが、このような実態は明らかに公務員法第百三条の精神に反するものであり、なぜにこれが野放しにされているのか、これに対する総理の明確なる御答弁を承りたいのであります。  第三には、交際費に対する課税特別措置についてお尋ねいたします。昨年十一月の国税庁発表によれば、昭和四十一年度の全国七十二万の法人企業の交際費支出は実に五千九百二十六億円で、同期間の企業所得額の三兆七十二億円の五分の一に当たっております。しかるに、税制面で、交際費は大幅な控除の特典を受けておりまして、これに対する税収は、交際費総額の七%弱に当たる三百六十億円にすぎません。このような税制が、汚職、腐敗の基盤を造成しております。すなわち、汚職、腐敗の温床は、社用消費にこと寄せて、贈賄、供応等を自由にできる基盤にあるということであります。諸外国では、交際費に対し非常にきびしく課税しておりますが、わが国においては、交際費課税に対する特別措置の廃止に対しては消極的であります。交際費に対する大幅控除の特別措置をはずす場合、税収は二千億円近いものとなり、贈賄、供応の基盤をくずすとともに、大衆減税にも有効なる財政効果があることは、すでに御承知のことであります。あえてこれをなし得ない理由について、総理並びに大蔵大臣のお考えを明瞭にお答え願いたいのであります。  第四に、入札制度についてお尋ねいたします。会計法第二十九条は、国の機関が契約を締結する場合、一般公開競争入札の手続を踏むことが原則であるとしております。しかし、現実には、ほとんどの契約手続が、例外的な場合にしか許されていないはずの指名競争入札となっております。予算決算及び会計令第七十二条によれば、悪質不良業者をチェックする方法として、適格業者の登録制によってその弊害を防除しているにもかかわらず、数社の業者にしぼった指名競争入札が公然と行なわれているのは、いかなる理由によるのか、承りたいのであります。  最も厳正であるべき公の契約がこのように乱れているということは、驚くべきことであり、このように会計法違反の疑いある行為について、政府はどのような措置をとるつもりなのか伺いたい、また、このような入札の実態に汚職と談合の原因があるともいわれております。これに関連して、刑法第九十六条ノ三の談合の罪の適用がほとんど見られないのは、そのような事実がないからなのか、それとも摘発の意思がないからなのか、これらの点について、国民の疑惑を晴らすために、総理並びに関係大臣の明確なる答弁をお願いいたします。  次に、第二点として、地方公共団体に対する国の財政姿勢についてお尋ねいたします。  地方財政法第十八条によれば、「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行うために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」と規定されておりますが、四十一年度における地方公共団体の超過負担額は一千四百四十三億円の巨額にのぼっております。地方公共団体の財政を極度に圧迫し、しかるがゆえに、武蔵野市、調布市等五市長が、国を相手に行政訴訟の準備を始め、埼玉、千葉県も同様な動きがあると仄聞しております。これらの地方公共団体に対する地財法違反の疑いがある国の行政姿勢は、今後ゆゆしき政治問題に発展する可能性もありますが、一体、地方公共団体が国を相手どって行政訴訟を起こすなどということは、われわれには理解できがたいことなのでありますが、総理並びに自治大臣はどのような政治責任を感じておられるのか、御答弁願います。  第三点は、郵政省の外郭団体である財団法人郵政互助会に対する法人税の課税方針についてお尋ねします。  同会は、公益法人たるの本分を忘れて、高利貸し的金利でもって不動産業者に融資しているという事実を、昨年来参議院決算委員会において、わが公明党議員がその究明を行なったのでありますが、その運用の実態は、法によって規制を受けている金融業と同様の行為と見るべきであり、当時その検討を約束したが、その後どのような具体的な措置を講じられたか、大蔵大臣並びに郵政大臣に御答弁をお願いいたします。  最後に、四十一年度決算の不用額並びに不当支出について質問いたします。  四十一年度決算における会計検査院の抽出検査は、ごく一部の事業所を検査したものでありますが、指摘された不当事項は三百三十七件、金額にして十三億三千万円であり、全事業所にわたり推計する場合は、ばく大な数字になります。さらに、不用額についても二百十五億一千万円、繰り越し額については三百九十億八千万円で、前年度と比べ、ほとんど改まっていないのが現実であります。この現実を見るとき、これは一に予算執行の責任を法的に負荷しない決算制度にあるというべきであります。すなわち、決算は単なる報告事項であり、決算そのものについての国会の評価や認否の意思を求める必要はないという決算軽視が政府の姿勢になっている以上、もはや国民の血税の行くえをきびしく監視することはできないのであります。非は非として認め、今後の具体的な改善策を次の予算に生かしてこそ、国民全体に根ざした政治不信を晴らすことであり、国民のひとしく期待しているところであります。国家財政を正す基本である決算審議に対して、総理はいかなる考えを持っておられるのかお伺いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  44. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) これから御審議をいただく四十一年度決算、いろいろ問題があるだろうと思います。十分ひとつ御審議をいただいて、そうして、その当否等につきましても、どうか忌憚のない御意見を述べていただきたいと思います。そうして、私は、決算の重要性、これも先ほど来お答えをいたしましたが、予算執行後の問題ではございますが、予算が執行された、政策的にその目的を達したか、あるいは不当なものはないか、不正なものはないか等々をひとつ十分御審議していただきたいと思います。その意味におきましては、小川君と私も同じような観点に立って決算の重要性を認めておると思います。これは先ほど吉田君からも、またわが党の小山君からもお尋ねがございましたので、大体同様な点ではないかと思います。  そこで、汚職に対してたびたび注意を喚起していながら、政府は相変わらず同じような答弁をいたしております。しかし、事実これを根絶さすことはまことに困難でございます。私ども、まず各省においてそれぞれ責任体制を明確にするとか、あるいはまた服務規律を厳正にする、そうしていわゆる信賞必罰と申しますか、賞罰を明らかにしていく、こういうことを厳正に実施いたしまして、また同時に、部内の監察も一そう強化するつもりでございます。そうして公務員一人一人が国民全体の奉仕者であるという、その考え方に徹していただいて、国民のとうとい税、その負担であるその税を使うのでありますから、どこまでも目的に適合しなければならない、こういうような基本的な考え方を持つことが望ましいのであります。そういう意味で、一そう注意してまいるつもりであります。  そこで、問題になりますのが高級公務員の立候補、あるいはまた、天下り人事といわれるものであります。  この高級公務員の立候補の問題については、第一回選挙制度審議会におきましても答申をいただいております。しかし、憲法上あるいは立法上の技術から、高級公務員だけを制限することはまことに困難だ。そこで、かわるものといたしまして、いままで考えられましたのがいわゆる地位利用の禁止であるとか、あるいは地盤を培養するための特別な措置をとる、それの禁止であるとか、あるいは連座制等につきましても特別な考慮を払っていくというような間接的な制限を使って、そうして選挙が適正に行なわれること、これをねらったのでございます。ところで、この制度で、ある程度私は目的を達しておると、かように考えております。  次に、今日のいわゆる天下り人事といわれるもの、これは御指摘のように、時に汚職の温床になったり、あるいは秘密漏洩の問題を巻き起こしたり、いわゆる綱紀の弛緩、そういうことにもつながるようでございますので、特に厳正にしなければならないと思います。でありますから、人事院規則あるいは公務員法等が、一般公務員については再就職と申しますか、あるいは利害関係のある私企業への就職について、いろいろの制限を加えております。ところで、もう一つ防衛庁の関係におきましては、これは自衛隊法で就職、再就職が規定されておりまして、防衛庁自身でその処置を取り扱っておるのであります。私は、今回のような事件が起こるにつきましても、これらの制度ではたしていいかどうか、もう一度ひとつ検討してみたい、かように思っております。  次に、決算のあり方については、先ほど申しましたから、ひとつ省略さしていただきます。  そうして、いま具体的な問題として交際費あるいは競争入札、さらにまた、郵政省の互助会等についての具体的な問題のお尋ねでございますが、それらは私からでなしに、それぞれの所管大臣から答えさせます。御了承いただきます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  45. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 交際費の課税につきましては、昨年、相当抑制的な改正を行なったばかりでございますので、あと二年間の期限内において、実施した効果を十分に吟味しながら、次にとるべき措置について検討をしたいと考えております。  郵政互助会についての課税方針についてのお尋ねでございましたが、郵政互助会は郵政大臣の許可によってつくられた公益法人でございます。公益法人に対しては、法人税法によりまして、所得のうちで、収益事業から生じた所得については、法人税を課するということになっております。したがって、郵政互助会に対しましては、その行なう事業のうち収益事業に該当するものについては、当然課税する方針でございます。いま国税庁としましては、収益事業課税と関連してこの事業内容を目下調査中でございます。(拍手)   〔国務大臣小林武治君登壇
  46. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 郵政互助会の業務につきましては、かねて国会から御指摘もありましたので、郵政省におきましては、先般、特に立ち入り検査をいたしまして、融資状況等の実情の把握につとめたのでございます。特に不正と認められる、こういうものはなかったのでありまするが、不当あるいは業務運営上適切でないものが少なくなかったのでございますから、私どもにおきましては、これらの各事項につきまして改善の指示をいたしておるのでありまして、続いて、これらに対する監督を厳重にいたしたい、かように考えておるものでございます。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇
  47. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方公共団体の超過負担について御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございまして、これもずいぶん長い間議論を続けてまいりました。やっと去年本格的に取り組むことになりまして、比較的多額であると考えております保健所職員費など六つを取り上げまして、実態調査を行なったわけですが、この六事業についても地方団体補助基本額をこえて支出した額は四百二十二億円であったことがわかりました。その内容を分析してみますと、やはり単価差など早く解消措置をしなければならぬと認められるものと、それからまた地方措置しなければならぬと考えるものと、ほぼ半々であるということがはっきりしたわけでございます。このうち解消措置を要するものにつきましては、単価差の是正その他早急に措置をいたします。  それから、今回の実態調査を行なわなかった事業がまだかなりあるわけでございまして、これは関係省庁とも協議をいたしました上、必要に応じて、昭和四十三年度において実態調査を行なって今回の措置を終わりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手
  48. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
  49. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事金子一平君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔金子一平君登壇
  50. 金子一平

    ○金子一平君 ただいま議題となりました経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  経済援助資金特別会計及び余剰農産物資金融通特別会計の両会計は、それぞれアメリカ合衆国から贈与を受けた資金または借り受けた資金の運用に関する経理を明確にするため、昭和二十九年度または三十年度に設けられたものでありますが、現在では、いずれも当初の貸し付けを終わりまして、回収金の再投資を行なっている段階であり、毎年度の貸し付け原資も少なく、いまや独立の会計として存続させる意義が薄れたと考えられております。  そこで、この法律案は、両会計を昭和四十二年度限り廃止し、その権利義務を農業投資特別会計に引き継ぐことにより、産業投資関係の特別会計を整理統合して、国の会計経理の簡素化をはかろうとするものであります。  本案につきましては、審査の結果、昨六日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、村山喜一君は日本社会党を代表して、整理される規定がゆがめられないことを条件として賛成である旨の意見を述べられました。  次いで、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  51. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  52. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  53. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。    午後五時二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         郵 政 大 臣 小林 武治君         建 設 大 臣 保利  茂君         自 治 大 臣 赤澤 正道君         国 務 大 臣 木村 武雄君         国 務 大 臣 木村 俊夫君         国 務 大 臣 田中 龍夫君         国 務 大 臣 鍋島 直紹君         国 務 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君