運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-05-23 第58回国会 衆議院 法務委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十三日(木曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 大竹 太郎君    理事 田中伊三次君 理事 高橋 英吉君    理事 中垣 國男君 理事 猪俣 浩三君    理事 神近 市子君       鍛冶 良作君    瀬戸山三男君       千葉 三郎君    中村 梅吉君       村上  勇君    畑   和君       横山 利秋君    岡沢 完治君       山田 太郎君    松野 幸泰君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君  出席政府委員         警察庁保安局長 今竹 義一君         法務省矯正局長 勝尾 鐐三君         法務省人権擁護         局長      堀内 恒雄君         法務省入国管理         局長      中川  進君  委員外出席者         法務大臣官房秘         書課長     安原 美穂君         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         外務省アジア局         外務参事官   金沢 正雄君         文部省初等中等         教育局高等学校         教育課長    石川 二郎君         文部省大学学術         局審議官    清水 成之君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         自治大臣官房企         画室長     近藤 隆之君         自治省行政局行         政課長     林  忠雄君         専  門  員 福山 忠義君     ————————————— 五月二十三日  委員岡田春夫君、佐々木更三君及び西村榮一君  辞任につき、その補欠として畑和君、横山利秋  君及び岡沢完治君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員畑和君及び横山利秋辞任につき、その補  欠として岡田春夫君及び佐々木更三君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所司法行政に関する件  法務行政に関する件  検察行政に関する件  人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 大竹太郎

    大竹委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  裁判所司法行政に関する件、法務行政に関する件、検察行政に関する件、及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 本日私は、数項目にわたって、本国会における当委員会において議論されました諸点を整理をいたしまして、大臣の所見並びに今後の仕事をやられる方針について、お伺いをしたいと思います。  第一は、刑事補償法の問題であります。刑事補償法は、本日参議院も政府提案が通過する向きだそうでありますが、本委員会におきましては、審議と並行いたしまして、社会党から、私ほか数名の皆さんが提案をいたしたところは御存じのとおりであります。本件は、勾留の場合の補償並びに裁判費用政府負担等を主としたものでございまして、先日、与党大竹田中委員から、私に対する、また政府に対する質問がございました。政府側答弁は、一応その意味におきましてはございましたけれども、しかし、まだ大臣からは正規のお考えをいただいておらぬのでございます。本提案は、ただに提案者提案でなくして、先般、前法務大臣田中さん及びあなたからも、本趣旨につきましては原則として御同感の意を表せられておるところでありますから、私どもといたしましては、その政府与党としてのいわば公約であり、超党派的ともいうべき提案でございますから、本国会をぜひとも通過をさせたかったと痛感をいたします。しかしながら、この時期に及んではこれは事実上不可能でございますから、この際法務大臣から、この提案について今後どうなさるおつもりであるか、明白にひとつ御意見を伺っておきたいと思うのであります。
  4. 赤間文三

    赤間国務大臣 御質問の点につきましては、法律上並びに法制上慎重な検討を加える必要がございますので、今後前向きの姿勢で十二分に研究をいたしていきたい、かように考えます。
  5. 横山利秋

    横山委員 先日田中委員から御質問がありました際に、法制審議会の問題と、この種の提案はすみやかに政府側からすべきだという趣旨の御意見がございました。私は、その後段につきましては、本来この種の提案は当然政府が出すべきものだと痛感をいたしておった次第でございますが、この国会が終わりましてから、すみやかに法制審議会相談をされ、結論を得、次の国会政府側から提案なり意思表示をされるものと考えてよろしゅうございますか。
  6. 赤間文三

    赤間国務大臣 ただいま申し上げましたように、いろいろな点から十二分に検討をいたしたい、しかも前向きの検討をする、かようにお答えを申し上げます。
  7. 横山利秋

    横山委員 同じことを二度言いたくないのであります。私の質問は、すみやかに法制審議会に付議をされ、次の国会提案をなされる——田中委員の御質問に対して率直にお答えを願いたいと思うのです。
  8. 赤間文三

    赤間国務大臣 これは、御承知のことと思いますが、前からも現行刑事手続の基本的な考え方がございますが、現行のこういう基本的な考え方との関係行政処分等によって生じた損害に対する一般補償制度との均衡問題等、重要な問題があるのでありまして、私は簡単に割り切ってお答えすることは、今日まだ困難だと考えております。よって、法律上並びに法制の上で慎重な検討を前向きの姿勢で加えていきたい、かようにお答えを由し上げたのであります。
  9. 横山利秋

    横山委員 私、同じことを三べん聞くつもりはございません。少なくとも私の質問は耳に入っておるわけでございますが、私の質問を含めてそういうお答えをなさったと、こう理解してよろしゅうございますか。
  10. 赤間文三

    赤間国務大臣 私の考え方はそういうふうにきまっておりまするので、同じ問題につきましては同じお答えをすることがときどきあっておしかりを受けますけれども、これは私のほんとうの考え方を申し上げておるのであるから、同じことを何べん言っても、御意見に沿わぬからといっておおこりにならぬように、御質問のつどお答えが変わるような答弁はいたしておりませんので、何べんお尋ねになりましても、私の信念に属することは一向変わらない。それで、問題が変わってくればまた答弁も変わりますが、同じ質問であれば、いま言いましたように、現行刑事手続の基本的な考え方研究しなければならぬ、また行政処分等によって生じた損害に対する一般補償制度との均衡問題等も、私はこれは重要な問題があると思うのでございまするから、こういう基本的ないろいろな諸問題につきまして、法律上並びに法制上慎重な検討をする必要がありまするので、前向きの姿勢検討をしていく、これが私のお答えの筋でございますので、御了承願います。
  11. 横山利秋

    横山委員 あなたはそれは自分信念だと言っているけれども、それでは質問者に対してきわめて不親切な、はぐらかした答弁であります。しかし、いつまでいってもこれは切りがなさそうでありますから、少なくとも自分ばかりでなく、田中委員もそう質問をされて、私もそう言っておる、すなわち超党派でそう主張しておるということをお忘れにならないように、大臣はお仕事を願いたい。  その次の問題は、刑法附帯決議になりました十一項目についてであります。十一項目につきまして一つ一つお尋ねする時間がございませんので、一点にしぼって政府側誠意を聞いてみたいと思うのでありますが、その第三項目に「交通事犯等刑事事件により起訴され、休職となり、あるいは給与、恩給、退職金等について不利益な措置をうけ、後日に無罪となった場合、その救済について法改正を含む適当な措置を講ずべきである。」と附帯決議がされ、そうして大臣がまたこの問題につきまして私の質問に答えまして、「関係者が寄って誠心誠意あなたの趣旨が通るように努力いたします。向き方は前向きで、ただ聞くというだけでなく、前向きの姿勢関係者寄って、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたします。」与党側から拍手、こういうことで終わっておるわけであります。この措置はどうなさいましたか。
  12. 赤間文三

    赤間国務大臣 関係部局に命じまして、諸官庁とも十分な連絡をとった上、その趣旨実現化について十二分な検討を行なっておるような状態でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 その所管省はどこになりましたか。
  14. 赤間文三

    赤間国務大臣 関係方面は、法務省が中心になりまして、御承知のように関係のあるのは大蔵省とかあるいは人事院とか、そういうところが関係が深いと思います。関係のあるところとは全部連絡をとってこれが実現について検討を行なっておる、かような次第でございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 その第一回の会合はいつ行なわれましたか。——担当の方でもけっこうです。
  16. 赤間文三

    赤間国務大臣 政府委員から、こまかい点は詳細に報告させます。
  17. 石原一彦

    石原説明員 当委員会におきまして附帯決議が可決されましたのは三月二十九日でございますが、刑法の一部改正法律案が成立いたしましたのは、御承知のとおりつい先ごろでございまして、やっと私ども公布手続を終えまして、六月十日から施行することにきめたわけでございます。この点につきましては、まだ全省の関係者を集めまして法務省会議をするということはいたしておりません。しかしながら、三月二十九日御提案附帯決議が可決されて以来、ただいまの大蔵省人事院、総理府、それから労働省等に電話をいたしまして、法律的な問題点及び実施に当たっての問題点の双方を詰めていただくようにしております。二、三その点に関する回答を得たのでございますが、まだ全関係省庁での意見が一致するところまで至っておりませんが、ただいま大臣から答弁もありましたように、今後も引き続き前向きの姿勢ということで検討を続けてまいりたい、かように考えておるのであります。
  18. 横山利秋

    横山委員 次は、四月二十三日、赤間さんから私に、その点はひとつよく研究をいたします、なぜそういうことがいかぬのか、私はわからぬ、よく研究をして善処する旨答弁がございましたが、端的に申し上げれば、北朝鮮商社が行って、帰りに直接日本に帰せという問題であります。それによってソビエト経由の場合よりも数十万円、数日間便利になるという点であります。その後、予算委員会並びに当法務委員会議事録を見ました商社筋が、それならばぜひひとつ検討願いたい、現に協会の者が向こうに行っておるから、決済の問題の取りきめ次第直ちに帰らせたいという希望がございまして、私から法務大臣並びに三木外務大臣にその手紙を添えてお手紙を提出した次第であります。しかるところ、特に私がお手紙を差し上げたにかかわらず、正式な御返事が両相とも私のところに来ないのであります。たいへん私は不親切なことだと思っておるわけであります。個人的な御連絡はいただきましたけれども、少なくとも三木さんと赤間さんに同じ国会議員として、一つは公的ではありますが、一つにはある意味では私文書ではありますけれども、決して私事とは思いませんので差し上げましたところ、何らの公的な御返事がございません。それでこの際、赤間さんから、それは一体どういうふうになさるおつもりであるか、お伺いいたしたいと思う。
  19. 赤間文三

    赤間国務大臣 政府委員から報告させます。
  20. 中川進

    中川(進)政府委員 この前この席で先生お答えいたしましたごとく、入国管理局といたしましては、日本商社が有効な旅券を持って帰国されるという場合においては、直接入国を認める次第であります。
  21. 横山利秋

    横山委員 つまり端的に言えば、平壌から直接帰っても入国を認める、こういうわけですね。
  22. 中川進

    中川(進)政府委員 さようでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 外務省はいかがですか。
  24. 金沢正雄

    金沢説明員 お答え申し上げます。外務省といたしましては、有効な渡航先追加なしに北鮮におられるということに関しましては、これは旅券法の第八条の違反でございますので、その旅券法違反ということの結果につきまして特別の配慮をいたしますとか、そういうことは、旅券法違反自体を認めるということになりますので、その辺は考えかねる、こういうことでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 小さい声で言っても大きい声で言っても速記録には同じように載りますので、結論は何か含みのあるような、ないような、よくわからぬのでありますが、もうちょっと結論——いろいろ微妙な点があることは私もよく存じ上げて御質問をしているわけですから、なるべく私もデリケートに聞くつもりではございますが、もう少しわかるように言ってくれませんか。
  26. 金沢正雄

    金沢説明員 有効な渡航先追加なしに北鮮に渡航しておられるということは、これは旅券法違反になるということでございます。したがいまして、そういう旅券法違反の事実を前提としてどういうふうに考えるかということを御質問いただきましても、われわれとしてはそれに対してはっきりした御回答をいたしかねる、こういうことでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 わかりました。  そこで、これ以上聞いていいかどうかわからぬような気もするのですけれども、実際問題として中国やあるいは北朝鮮その他国交を回復していない国に対して、日本人がずいぶん商社をはじめ多くの人が出入りしておることは、事実問題としてよく御存じのはずであります。そういう事実があるということが十分わかっておりながら、形式論として、まずソビエトなり香港へ行ってから入る、そこから経由してくるならば外務省の知らぬことである。事実そういうふうにたくさん——数千人の人が行っていることはわかっているけれども、しかしまあおれの知らぬことであるというのは、たいへんお役人根性のまる出しのことだとぼくは思うのです。そういうつまらぬことをいついつまでも続けておるのも、いかがなものかと私は率直に思うのであります。一歩譲って、行くときにはそれはしようがなかろう、旅券法を改定をしなければいかぬのですから、行くときはしかたがなかろう。しかし、帰ってくるときに、まさにモスクワ経由で帰って、数日間、数十万円を費消するよりも、平壌からいつも船があるのだから、それに乗って横浜へ帰ってきたという場合に、入管としてはそれに対して日本人を追い返すようなことはしない、こう言っておる。問題はその帰ってきた者を外務省が監獄に入れることはないと思うのです、そういう力もありませんから。そうすると、その次に行くときに、おまえこの前そういうことをしたからもうどこの国にも行ってはならぬということでは、これはたいへん影響がありますので、私もいまの段階旅券法に抵触することはわかるけれども、しかし、そこまで深追いはしないというふうに理解をしたいのでございますが、どうでございましょう。
  28. 金沢正雄

    金沢説明員 その点は、旅券法規定によりますと、外務大臣は一定の条項に該当する場合には旅券を発給しないことができるという規定がございます。そういうおっしゃいましたような事例がございました場合に、どういうふうに認定するかということでございますので、その点は、正直申し上げますところ、外務省としては具体的な事例がございませんので、その点についてはっきりした方針はこうだということをはっきり申し上げるような段階にないということが、いま御回答できることでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 これはあなたに事前に質問趣旨は通告してありますから、十分お考え願っての御答弁をしてもらわなければ困るのでありますが、法務大臣外務大臣本件については、予算委員会並びに当委員会において、ケースバイケースでまた別の角度で相談をしようと言ったから、こういうことになったのですよ。初めて私が聞くわけじゃないのです。法務省側は、先ほどの答弁で、私はまあ不満足でありますけれども、それでいいと思うのです。外務省側は、三木さんが予算委員会で言ったことなんです。責任を持ってもらわなければ困るのです。いいとは言わなかったけれども、悪いとは言わなかったのであります。つまりケースバイケース相談をしようと言って、そして今日の事態に発展したわけでありますから、私は旅券法に抵触しないと言えと言っているわけではないのです。事実問題、現実行為としてケースバイケース相談をしようと言った趣旨はくんでいらっしゃるでしょうね、こういう聞き方をいたしますが、いかがですか。
  30. 金沢正雄

    金沢説明員 外務省といたしましても、そういう事態が起こりました場合に、個々の事態検討して態度をきめたい、こういうことでございます。
  31. 横山利秋

    横山委員 いま起こっておる。だから、お手紙を差し上げた。私の出し外務大臣あてのお手紙ごらんになりませんでしたか。
  32. 金沢正雄

    金沢説明員 拝見いたしました。いま横山先生の御質問に私お答えいたしましたのは、将来の旅券の発給の件をお聞きになったのかと思いまして、そういうふうにお答えいたしたわけでございますが、御質問が現在北鮮におられる方の直接帰国を認めるかどうかという御質問でございますと、先ほど私お答え申し上げましたのでは足りないわけでございますが、その点につきましては、同じようなことを繰り返すことになりますが、先ほど一番初めに先生の御質問お答え申し上げましたように、北鮮に現在行っておられるということは、これは旅券法違反でございますので、その違反を根拠にして、その事実を認めて処置をしろとおっしゃられることにつきましては、われわれとしてははっきりした回答は申し上げかねるということを申し上げたいと思うわけでございます。
  33. 横山利秋

    横山委員 これは堂々めぐりになりますが、答弁のむずかしいことはわかっているのです。わかっているが、少なくとも法務省側としては、入国しても追い返すというようなことはしない、認めるつもりでございます。そうすると、この次に海外へ旅行する場合に問題が生ずる。今度あなたのほうの番です。その場合に、こういうような事実があったからといって深追いはしないなという聞き方をしている。その聞き方については、先般の予算委員会三木さんの答弁からしても、また事実問題がいま起こっておるのですから、私はお答えをなさらなければいかぬと思うのです。それはその場合においては善処しますとか、それではひとつ考えましょうということでなくては、私はきょうおいで願った意味が全然ないと思うが、どうですか。
  34. 金沢正雄

    金沢説明員 その点につきましては、そういう事態が起こりました段階におきまして、外務省といたしましては検討いたしたいと思います。
  35. 横山利秋

    横山委員 大臣のお時間の関係で、あなたに対する御質問はもう少しあとに延ばします。  法務大臣にお伺いをいたしますが、これまた当委員会で何回もあなたに真意を尋ねたのでありますが、帰還協定の問題であります。  国会が終了になるにかかわりませず、一万七千人になんなんとする朝鮮人諸君帰還問題は、いまなお手がかりがつかめないような雰囲気であります。これではかねがね申しましたように、人道上の問題がいつまでも放置をされることは好ましくないことだと私は痛感をするわけであります。その後、北鮮帰還の問題はどういうふうに御努力なさったでしょうか、また、どういう事態に発展をして解決をするでありましょうか、あなたの御意見展望を聞かしていただきたいと思います。
  36. 赤間文三

    赤間国務大臣 北鮮帰還の問題は、人道上の問題としてこれを取り扱っていきたい、かように私は考えております。そうしてこれは厚生省あるいは外務省法務省とよく相談をいたしまして、人道上の立場から北鮮帰還ができるようになることを心から希望をしております。
  37. 横山利秋

    横山委員 どうも大臣は、自分の都合が悪いと質問にまともに答えないようなお考えがあるようでありますが、私がお伺いしているのは、この国会がもう終了するに際して、一体どういう条件、どういうふうな展望帰還実現をするのかという点でお答えを願っておるわけであります。一般論なんかはもう何回もお伺いをしておるので、そういうことを聞いておるのじゃないのですから、もっと真摯な態度質問者の意向に沿っていただきたい。それがまだ実現ができないならできない、見通しがつかないならつかない、こういうふうにするつもりならするつもりだと、率直にお答えを願いたいのです。
  38. 赤間文三

    赤間国務大臣 ごく率直にお答えを申したわけでございますが、私はやはりこれを人道上の問題として、ほかの考え方を入れないで純然たる人道上の問題として、この問題を取り扱っていきたい、こういう大きな眼目を持っております。関係しているのは、外務省厚生省等はみな関係しておりますので、これらの省とよく打ち合わせて、なお日赤等ともよく打ち合わせをしまして、これが実現ができるように今後努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。  いまどういうふうに具体的にやるかとおっしゃいましたが、そういうものについては、まだ具体的な考え方は持っておりません。
  39. 横山利秋

    横山委員 外務省は、本件について御答弁ございますか。
  40. 金沢正雄

    金沢説明員 外務省といたしましては、この北鮮帰還の問題は人道的な問題だというふうに考えております。したがいまして、そういう考慮から、昨年、モスクワ、それからコロンボの両会談をいたしたわけでありまして、それが決裂したということは残念に存じておりますが、佐藤総理もおっしゃいましたように、帰国したい者を帰すということは当然なことでございますので、その点につきましては、法務省厚生省検討をいたしておる、こういう段階でございます。
  41. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、大臣本件につきまして、格別に今日進展はないのでありますか。
  42. 赤間文三

    赤間国務大臣 日本人道的の立場から、申し述べられました一万数千人の残っておる者だけでも早く帰したいという非常な熱意に燃えて誠心誠意協議をやったのであります。これは御承知のとおりであります。おそらくできるであろうとわれわれは期待をしておったのが、それがとうとう決裂をしたというような状態であるのであります。それだけ長い間かかって熱意を持ってした、しかもそれがうまくいかなかったような問題でありますので、これがすぐできることを希望はいたしますが、やはり相当の日時がかかるのじゃないか。日本といたしましては、人道的な立場で、これがうまくいくように、十分関係方面と力を合わせて、実現するように善処してまいりたい、かような考え方でございます。
  43. 横山利秋

    横山委員 次にお伺いしたいのは、大臣は御出席はございませんでしたが、法務政務次官並びに大蔵政務次官が御列席の際に両政務次官からお約束をなさいましたが、経営者責任という問題であります。つまり一言で申しますと、労働者違法行為をした場合においては、政府は直ちに政府声明なりあるいは監督官庁大臣の警告なりというものをしばしばお出しになる。しかしながら、日通のようなとほうもない金の延べ棒を配分したり、あるいは大会社が軒並みに粉飾決算をやっておるという時代に、政府は大企業経営者に対して放置しておるではないか、この際、経営者責任というものを法的にも、あるいは政府が大企業経営者に対して戒める上においても、何らかの措置をすべきではないかと言いましたところ、両政務次官、それぞれこもごも同感である旨、特に法務政務次官はすみやかに次官会議その他をもって善処いたしますとお答えになりました。その結果はどうなりましたか、お答えをいただきたいと思います。
  44. 赤間文三

    赤間国務大臣 お答えを申し上げます。経営者不正行為については、これは両政務次官からお答えがあったとおりに私も考えております。厳正な態度で臨むというのは、これはわれわれの当然考えるべきことであります。いわゆる経営者倫理向上をはかる必要があると、私は考えております。どうして経営者倫理向上をはかるかという、必要を痛感しておりますが、その方法については、研究中でございます。
  45. 横山利秋

    横山委員 私がいままでずっと質問をいたしましたのは、ほとんどといっていいほど本委員会、本国会において、少なくとも法務大臣あるいは政務次官、皆さんが約束をされたことなのであります。私は、本委員会の権威のためにも、その決議され、約束されたことが誠実に守られることを常に望んでいるのであります。先般の国会附帯決議の進展状況を念査をいたしましたのも、そのゆえんであります。この委員会における質疑応答というものが、一つ法律案を通すためにかりそめにも空虚な御返事で終わるようなことがあっては、断じてならぬと思うのであります。なるほど決議をされ、お答えをされてからそんなには時間はたってはいない。したがって、私はとことんまで言うつもりはございませんが、いままで確かめました諸点に関する限り、大臣のお考えは承ったけれども、約束したことにはこうしたという実績が一つもないといっていいほどであることは、私はきわめて遺憾千万に考えます。本委員会について、もう少し責任を持ってもらわなければ困ると私は思う。すでに承るところによれば、新聞の報ずるところによれば、園田厚生大臣予算委員会で言ったことを全部下僚に整理をさせて、おれの言ったことはとにかく実行するのだから、どういうふうに答弁をしておるか調べろ、こう言われたそうであります。結果はどうだか知りません。結果はどうだか知りませんけれども、きわめて誠実な政治的態度だと思って私は感心いたしておるわけであります。いままでのお答えの中で、なるほどこうだという点が私にはあまりうかがわれないのであります。あの質問をしたときの答弁が、そっくりそのままオウム返しになっておる。しかもどういう結果になったか大臣御存じにならない。私は念のため、これらの質問につきましてはもう三日前から政府側にわざときちんと通報して、そしてお答えを願っておるわけであります。ところがいまのような状態では、私は法務大臣に対して心から感謝をする気持ちになれません。考えようによっては、これから質問するときには、もう少し念を押して、日にちもきめて何かしなければならないのではないかという気さえ私はするのであります。こういうことでは、委員会の運営というものをお互いに誠意、信頼感を持ってやるわけにいかぬのではないかという気さえするのであります。この点はかたく政府側に対しまして、特に大臣に対しまして善処を促したい、こう考えるものであります。  次に、亡命者の問題についてお伺いをいたします。亡命者の問題につきましては、同様前田中法務大臣以来、あるときには抽象的でありますが、原則論、あるときには猪俣委員ほか多くの皆さんから具体的な問題を取り上げて、政府の意向をただしてまいりました。私どもがこの質疑等を通じまして考えましたことは、これは現在のあり方について、現行法について改正をしなければならぬのではないか。わが国はアサイラムに関する、つまり庇護権に関する条項は、憲法にはありません。また、亡命者の地位に関する条約は、五十四カ国が批准をいたしておりますのにもかかわりませず、わが国は批准をしておりません。それにはそれだけの政府側の言い分があることは、私も認めます。しかしながら、だからといって引き渡し犯罪が政治犯罪であるときには、逃亡犯罪人引渡法によってこれは引き渡さないときめられておるだけでありまして、自余のことは出入国管理令におきまして「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。」という点だけでありまして、全く法務大臣の自由裁量になっておるわけでございます。その自由裁量なるがゆえに、私どもからもいろいろな疑惑が生まれ、政府側もときに判断に苦しむときがあるように私は考えておるのであります。わが国に対する亡命者が今後なおあとを絶たないことが予想され、また憲法が人権において最も基本的な柱となっておることを考えますときに、わが国に対する亡命者の地位に関する何らかの原則、運用に対する取りきめ、そういうものがもうあってしかるべき時期ではなかろうか、こう考えるのでありますが、大臣のお考え伺いたい。
  46. 赤間文三

    赤間国務大臣 たびたびこの亡命者については申し上げましたように、具体的に言いますと、日本に亡命してきた者を帰すとその者の生命に危害が及ぶかもしれぬという危険が伴うようなところには帰さない、こういう方針を確立してとっております。これは私だけでなくて、前の大臣からずっと、要するに危険なところには亡命者は帰さないという方針を終始一貫とってまいっております。なおまた、日本の国益ということも十分考え、それから日本の治安という点もあわせて考えて、できるだけ亡命者の趣旨に沿うようにやりたい。趣旨に沿うというのは、こういうところに行きたいというような希望があるならば、そこに送るというようなことを考え、これを実行してまいっておるような次第でございます。要するに、あぶないところには送り返さないし、それから本人の希望にはできるだけ沿う、日法の国益というものを十分考え、治安というものもあわせて考える、こういうことを考えて亡命者に対する措置を講じておるのでございます。御承知のように、国際慣習上の政治亡命者の概念というものは、まだこれは熟していないように承知をいたしておりますし、お述べになりましたように、憲法にも規定はないようでございます。また、難民条約も、これはいろいろな歴史もありましょうし、またこれが欧州を中心としてきたというような故事来歴もございます。これにも加わっていないというような実情でございます。この亡命者の問題は重大でありますので、これは法律的にどういうふうにして法制化するかというようなことは、今後研究をしてみたい、かように考えておるわけでございます。
  47. 横山利秋

    横山委員 この間テレビで柳文卿事件についての放送を拝見をいたしました際に、大臣がこの問題に触れて、そして同様将来は法律について検討を続けたいというようなことをおっしゃいましたのを、テレビで拝見をいたしました。それに関連してこの際伺っておきたいと思いますが、本委員会において、次の国会ないしはその次になるかもしれぬが、今後の法務省法律改正の問題点としてあげられるものについて、本委員会はすでに商法並びに監獄法あるいは少年法、いま大臣のおっしゃったところによりますと、やはり出入国管理令も話題になるかと思うのでありますが、次期国会政府側からこれらの重要な諸問題に関する法律案として提案をなさる御予定のものは、どんなものがありますか。どういう研究が進んでおりますか、お伺いをいたします。
  48. 赤間文三

    赤間国務大臣 次の国会に提出を予定しておる法案は、まだ決定をいたしておりません。
  49. 横山利秋

    横山委員 それはわかっております。そういう意味でお伺いしておるわけではないので、本委員会におきまして、政府側からいろいろ御答弁があって、今後さらに研究を進めるといわれた諸法案についての、そういう意味でのお伺いでありますから、話題になりました商法、監獄法、少年法、出入国管理令その他は、どの程度まで検討が進んでおりますか、そういう御質問であります。
  50. 赤間文三

    赤間国務大臣 問題になっておる諸法案につきましては、今後熱意をもっていかにするかということを十分勉強していきたいと考えておる次第でございます。
  51. 安原美穂

    ○安原説明員 秘書課長でございますが、全省全体の問題でございますので、私から取りまとめて、現在の主要な法案についての改正作業の進捗状況を簡単に御説明申し上げます。  できるだけ改正の案ができますれば出したい法案として検討中のものといたしましては、横山先生御指摘のように、出入国管理令、監獄法、商法、少年法等が重要な法案として指摘されると思いますが、入管令につきましては、ただいま入国管理局におきまして試案を作成いたしまして、ただいま全省的な立場検討を進める段階に入ったところでございます。  それから監獄法につきましては、前大臣当時からでありますが、矯正局の中に監獄法改正準備会というものを設けまして、いまその案をつくっておりますが、これは案ができましても、あと矯正保護審議会あるいは法制審議会等にかけますので、次の国会に出せるかということは明確な見通しはかなきません。  それから商法につきましては、御案内のとおり、監査役の権限の強化ということを中心といたしまして、ただいま法制審議会において種々検討中でございますが、これも結論を得ておりません。  それからなお昂事関係につきましては、根抵当の法律化、成文化をするということで、各界の意見を聴取中でございます。これはまだ法制審議会段階にも入っておりません。  それから少年法につきましては、一昨年五月に公表いたしました少年法改正構想につきまして、各界から有益な意見が寄せられておりますので、それをさらに取り入れて、具体案を検討中でございます。以上、簡略でございますが……。
  52. 横山利秋

    横山委員 大臣お急ぎだそうですから、御退席くださってけっこうです。  次の質問でありますが、事情がございますので、委員長のは許しを得られれば速記をとめていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  53. 大竹太郎

    大竹委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 大竹太郎

    大竹委員長代理 速記を始めてください。
  55. 横山利秋

    横山委員 先ほどの直接本国へ帰る問題について、外務省お答えにどうも満足ができないのでありますけれども、重ねてお伺いいたしますが、そういたしますと、まだ御本人が直接帰ると決意をしておるわけではないので、少なくともそういうことがしてほしい、望みたい。そして日本における商社も、一刻も早くその報告になまで接したい。したがいまして、強行して帰ってくるという意味ではありませんが、できるならば、あとに問題を起こさない立場において日本へ帰ってきたいと熱望をしておる。当然なことであります。この熱望に対して、あなたの側としてはいわく言いがたしというようにおっしゃっておるように見えるわけでありますが、つまりいわく言いがたしでございましょうか、どうでしょうか。
  56. 金沢正雄

    金沢説明員 あらためてお答え申し上げたいと思いますが、そういうふうに一回帰ってこられました方から将来再び渡航の申請がございました場合には、そういう事情を十分聴取いたしまして、そして旅券を発給するかどうかを検討して処置をしたい、こういう考えでおります。
  57. 横山利秋

    横山委員 一がいにいかぬと言わないで、十分検討をしたい、善処したい、こう考えてよろしゅうございますか。
  58. 金沢正雄

    金沢説明員 そういうふうに御了解いただいてけっこうだと思います。
  59. 横山利秋

    横山委員 私の質問を終わります。
  60. 大竹太郎

  61. 畑和

    ○畑委員 きょうは、私、人権擁護に関する二、三の点について、質問をいたしたいと思います。法務省人権擁護局長、それから通産省の関係で、重工業局関係のオートレースと競輪の選手の関係、それと自治省関係につきましては、いまのオートレースにも関係がございますが、同時にまた、いまだ行なわれておる村八分の問題について、町内会の除名問題がございますので、自治省に関係があります。自治省はあとから来ると思いますから、始めます。  まず最初に、簡単なほうから手をつけて、三つございますけれども一つは村八分の問題です。私、この間陳情を聞きまして、いまだにそんなことがあるのかというふうに実はびっくりしたのでありますけれども、これは町内会のいわゆる除名の問題でございます。事はこまかい問題でございまして恐縮でございますけれども、実は川口市の北町というところ、そこに田中富八という人がおりまして、その人から承ったのでありますけれども、この北町自体には自治会がございませんので、南町というところに自治会があって、両方一緒にして南町自治会としておるんだそうでございますが、ここの住人であります。たまたま去年の半ばごろでありますけれども、共同募金の問題について町内会での会合があった。そのときに、この田中さんという人が、町内会の役員たちの提案であるところの共同募金を町内会でまとめて出そうという動議に対して反対をいたした。大体共同募金というものはそういう形でやるべきものではない、各人の任意の拠出でなければならぬ、町内会でまとめて強制をするというようなことはいけないというような意見を強く吐いたけれども、とうとうそれがいれられなかったということで、町内会の会費を納めなかったということが発端であります。ところが、その後——ここにはやはりこども会というのがございまして、そのほうの会費は従来どおり払っておった。そうしたら、こども会の関係から関連していって、そういった形になっておったことが発見されまして、そしてまた会費を払って自治会のほうへ戻ってくれという話がございました。それで会費を払ったのだそうです。それで一たん受け入れられたと思ったところが、それがまた突き返されて、そして除名になって、どうしても町会の仲間に入れてくれないということになった。それでやむを得ず、本人のほうはいま町会費を供託をいたしておる、こういうことなんだそうであります。この件につきましても、当時浦和の法務局の人権擁護課に申し出たそうでありますけれども、結局、正式の受け付けになっておらぬことがあとで判明した。そのときの課長さんは転任してしまっていないけれども、正式の受理の事件になっておらなかった。したがって、何も処置はしておらなかったということだったそうであります。そういう点、もう少し親切にやっていただかなければならぬと思うのであります。  同時にまた、私も人権擁護委員の一人でありますけれども、こうした案件につきましては、おのおのその地区に人権擁護委員がおるわけでございます。ところが、その人権擁護委員の担当地域というのがはっきりしてないんじゃないかと思うのです。この点、人権擁護委員の担当地域というのは、受け持ち区域をはっきりさして、そうして民衆に徹底させるような措置が必要ではないか、私、自分の経験からそういうふうに考えます。そしてほかの人権擁護委員がそういう相談を受けたときには、一覧表があってすぐわかって、その地区の擁護委員連絡をするというような形で指導する。やはり受け持ちの地域の人権擁護委員なら一番実情もよくわかるし、そういうことでそれをやっていただく。そういうことの処置にまだ欠くるところがあるのじゃないか、かように思うのであります。  しかも、こういった問題等につきましては、町内会の運営が非常に非民主的に行なわれているところが相当あるわけであります。したがって、そういった問題は、まず、相当地域の人権擁護委員があっせんをして、それでもなかなかその人権擁護の目的を達するようにいかないというときには、やはりマスコミ等に訴えて、そうして新聞等によって糾弾をする、こういうことも必要だ。特に私が考えるのは、人権擁護の問題というのは、ばく然としたものが非常に多く、しっかりした法的な裏づけのあることがわりあいに少ないのでございまして、そういう点では、大いに社会問題として扱わるべきものだけれども法律的にはなかなかそのとおりの裏づけがない。こういった種類の事件が相当あると思う。そういった問題については、新聞社等の協力を得て、一般に訴えることによってそうした人権を侵害している人に反省をしてもらう、社会的に問題にして反省をしてもらう、こういうことが必要だというふうに考えたのでありますが、この問題につきまして、その後依然として対立が続いておる。一番不便なことは、結局市役所等からいろいろな連絡の文書等がまいります。市政だよりその他衛生関係等についての連絡がまいりますけれども、市役所が直接持ってきてくれない。それから町内会は除名になっておるから、町内会ではそれを一つの制裁と心得て、そしてそういった文書をそちらに回さぬというようなことだそうであります。これは私、非常な問題だと思うのです。町内会の除名問題自体が一種の村八分で人権の問題であります上に、市役所等からの連絡、たより等が配布されないということは、非常に問題だと思う。この点が自治省にも関連がございますので、自治省においで願ったのでありますけれども、もちろんこの町内会制度自体が、これは任意団体で、正式の法的なものでないことはもちろんであります。しかし、昔の戦時中の隣組とも違うわけでありますけれども、しかし、依然として同じような傾向が相当残されておる、こういうふうに考えるわけでありまして、その辺の行政指導も、一面必要だと私は考えます。  そこで、人権擁護局長にお尋ねいたします。こまかい件ではございますけれども、この点についてはまだお耳に入っていないと思いますが、今後どういう処置をしていただくか、その点について、ひとつ御所見を承りたい。
  62. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 ただいまお尋ねのありました事件につきましては、私ども初めて伺うのでありまして、実はそのもう一年前の昭和四十一年にこの田中富八という人から申し立てがありまして、やはり同じように町内会に会費百円を納めなかったところが、市役所から配布されるような市政だよりあるいは消毒薬など、そういうものが配布されなくなったという申し立てがありまして、また町内会がいわゆる村八分をしたという申し立てがありましたので、浦和の地方法務局で調査をいたした事件がございます。その調査の結果は、村八分の事実は認められないということで、その事件としては人権侵犯の事件としては該当しないということで処理が終わった、そういう報告がございます。ただいまの先生の御質問は、私どもその際尋ねなかったのでございますが、昨年、また今年引き続きまして同じような事項があるといたしますれば、私どもなお浦和の法務局に指示をいたしまして、対処させたいと思います。  それからお尋ねの中にありました委員の担当区域でありますが、人権擁護委員の担当区域は、それぞれ人権擁護委員の住居地があります市町村の区域の範囲でございます。お尋ねのように、どの村、どの町でだれが人権擁護委員であるかということが周知されていないというのははなはだ遺憾でありますので、この周知方につきましては、私どもなお指示をいたしまして、おっしゃいましたようなパンフレットなどを配りまして、どの町ではだれが委員であるかということの周知方については、なお努力いたしたいと思います。
  63. 畑和

    ○畑委員 人権擁護委員の担当区域は、浦和市なら浦和市全部ということ、一応法制上はそうだと思います。ただ、おのずとその住んでいる場所がございますので、非常に広範な土地に何人もいるわけですから、それを大体何町と何町はだれだれ、何町と何町はだれだれといったようなこまかい担当区域を、浦和市内の人権擁護委員会の内部できめてもけっこうですから、それをきめてもらう。そうすると、おのおの責任体制がはっきりとするのでありまして、そうでないと、ついこういう案件は——委員になっていても、名ばかりの人も中にはおります。だから、そういう点で責任づけをする意味からも、そういう意味のこまかい担当区域をきめたらいかがか。そうしてそれを全部の人権擁護委員に配ってほしい。その市だけではなくて、ほかの市にも配っておきますと、相談をちょっと受けたら、地図を見るとそれは何市の何町であるから、一応だれだれさんの担当だ、それでその名簿等に応じてそこに連絡をしてそのほうに回す、こういうような形があれば非常に便利だと、私自分で経験して思ったのであります。自分でもこの地域は、川口市なら川口市のこの辺にはだれがおるのだろう、こういうことが私法務省人権擁護委員でありながらわからぬというような不便を、この間もつくつぐ感じたわけであります。それはいろいろ調べれば、特に法務局に電話をしたりすればわかるのでありましょうけれども、そういった一覧表でも各委員の手元にあれば、非常に都合がよろしいかと、かように思ったのであります。  それからもう一つは、いまの申し立てがかつてあって、人権侵犯事件に該当しないということだったそうでありますが、当局が調べてそういう結論出したのだと思いますから、あるいはそうかもわかりませんけれども、重ねての私のほうのいまお話でありますし、この人自身が、何と申しますか、非常に協調性のない人かどうか、そういう点も若干は問題があろうと思います。しかしながら、こうした共同募金の例などを聞いてみますと、私はむしろ田中富八さんの主張が正しいと思う。そういう主張をしても、大人数の、あるいは一部のボスたち、一部の幹部でそれを圧殺するというようなことで結局そういうふうになる場合が多いのでありますが、この点をひとつ重ねてよく調べていただきまして、そういうことがないようにお願いしたい。  それからそれに関連して自治省の方いらっしゃいますか。林行政課長いらっしゃいますか。
  64. 大竹太郎

    大竹委員長代理 近藤企画室長がおります。
  65. 畑和

    ○畑委員 では近藤さんのほうにお尋ねいたしますが、いまの関係で自治会のあり方ということが問題になっております。自治会から除名をされた……。
  66. 近藤隆之

    ○近藤説明員 所管か違いますから——担当の林行政課長があとで参ります。
  67. 畑和

    ○畑委員 それではこれはあと回しにいたしましょう。この問題はこれだけにいたしまして、あとで林さんが来たら、お尋ねいたします。  次に質問をいたしたい件は、やはり川口でございますけれども、オートレースの騒音被害の問題であります。これまた大きな立場から言いますれば、人権擁護の問題だと思うのであります。実は川口市の一番はじのほうにオートレース場が施設されておりまして、県と川口市が開催の施行者になっておると思うのであります。それで一カ月に九回だそうでありますから、大体一年間に約三分の一はオートレースが開催されております。こういう計算になるわけであります。そこですぐ隣に実は鳩ケ谷市が接しておりまして、鳩ケ谷市の南八丁目という町会がございますが、その地域がすぐ川を隔てまして隣接いたしておるわけであります。しかもスタンドを、スタンドが反対のほうについておりますので、最近非常にもうかると見えて増築をいたしております。そんな関係で、風向き等によると、もろに鳩ケ谷市の南八丁目のほうに小型自動車の爆音が響いて、すごい音で住民が悩まされておる、こういう問題がございまして、この間はしなくもその地区住民で署名簿をとりまして、私何委員会の担当になるかわかりませんけれども、こちらにも請願の紹介をいたしておいたところであります。それから県あるいは川口市に対して、そこの住民からあわせて請願なり陳情なりが出ているはずでございますけれども、一体どういう被害があるかと申しますると、ちょっとしたたんぼを隔てて直線距離で三百メートルぐらいのところに住家が密集いたしております。千二、三百人の住民が住んでおると思います。そこでちょうど開催されるとき、特に風向き等によりましては——私も実際に行って経験してみましたけれども、話も何もできない、こういうような状態。それからテレビ、ラジオといったものの映りが悪い、あるいは聞こえない、こういうような被害が出ております。また子供は昼寝ができない。老人、病人等が非常に困っておる、こういうような事態が確かにございます。そのほか、またその南八丁目ではございませんけれども、それよりちょっと離れた、やはりたんぼをずうっと見通して辻小学校というのがございます。これは直線距離五、六百メートルであると思います。そこの児童、生徒の授業に非常に差しつかえがあるようでありまして、学校の先生の話も、ちょうどやっておって爆音が響くときには聞き取れない、こういうようなことで、これからますます夏に向かいまして窓を開放するようなことになると、非常に困る。この間PTAの会合があって、そのときに学校の先生がマイクを持って話をしたけれども、そのマイクでの話も聞き取りづらかった、こういうような体験者の話も聞いておるわけです。そういう被害がある。それからもう一つは、その間にあるたんぼ、その辺を今度知事から指定されまして都市計画を実施することになるわけで、住宅地区という指定でございまして、たんぼを埋め立ててそこが住宅地になる。都市計画がこれから実施されるわけでありますけれども、そうなりますると、せっかく都市計画をやって住宅地を造成いたしましても、そこに住む人がおらぬ。ちょうどやっていないときにでも行きますれば、わからないからあっさり買うかもしれぬけれども、あとで問題になる。こういうようなことになろうと思いまして、鳩ケ谷の地区民としては、実は非常に迷惑いたしておるわけです。必要悪とは申しながら、ギャンブルでございます。そのギャンブルで埼玉県と川口市が相当利益金をあげておるわけです。一方的に被害を受けるのは、そうした利益のあがらない鳩ケ谷市民だというところに、さらにただの人権問題ではなく、そういった問題が出てくるわけでございまして、これは全国でオートレースそうたくさんやってはおらぬかと思いますので数はあまりないと思いますけれども、そういう例があるかどうか知りませんけれども、そうした問題が現在起きております。こういう問題について、通産省のほうがこうした関係の小型自動車競走関係監督官庁と思いますけれども、通産省のほうでこれに対してどういう処置をこれからとろうとするか、こういうことをお伺いしたい。防音装置、騒音の防止の処置が機械か何かのぐあいで緩和できるものなのかどうか、またそうするつもりがあるかどうかというようなことをまず承りたい。そういった点について、また何らかの陳情等、あるいは自治体等からの話などあったかどうか、こういう点について、まず通産省のほうへお伺いいたしたい。
  68. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。川口のオートレース場に隣接しております鳩ケ谷市の市民の方々で、いま先生御指摘のような小学校の教育、あるいは病人、老人の安眠、あるいはテレビの視聴等に困難があるということで、これに対して騒音防止の措置を講じてほしいという要望が施行者であります埼玉県あるいは川口市のほうに出ておるということを施行者の側から聞いておりまして、これにつきまして、現在施行者であります県、市のほうで騒音の実態調査を始める運びになっておりまして、その結果をまちまして措置をしようという段取りになっておりますが、そのほかに騒音防止としては、レース自身につきまして適当な消音器をオートバイにつけることをいま研究いたしておりまして、適当な消音器の規格がきまりますれば、これの採用について検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  69. 畑和

    ○畑委員 これは話に聞きますと、やはりああいうギャンブルで車券等を買う人は、あのダッ、ダッ、ダッという音が高く聞こえないと、なかなか射幸心があおられないそうで、あの音がないと気分が出ない、こういうような話を聞いておるのでありますけれども、しかし、それが優先すべきものじゃないので、できるだけ音を小さくしてやってもらう以外にないと思う。いままず騒音の実態を調査されて、それからその上に基づいて消音装置の器械のほうの研究をしたい、取りつけをしたい、こういう話でありますが、ひとつそれをなるべく早く始めて実施をしてもらいたいと思います。それから自治省のほうにその点をお聞きいたしたいのですが、これは県と市が施行者であります。ところでその被害を受けるところはその隣の鳩ケ谷市民、そういうことになりますけれども、いま言った学校の授業に差しつかえるということになりますれば、学校のガラス戸等を二重窓にするとか、あるいは夏でも締め切っておれるように冷房装置にするとかいうような措置も、必要だと思うのであります。ところが、鳩ケ谷市でそういうことをやる財政的な余裕がない、こういうことだと思うのでありますけれども、そういう点について、埼玉県なりあるいは川口市なり、利益の入るところの地方自治団体のほうで鳩ケ谷市のほうにそういった資金を交付をして、そうして防音とかそういった授業に差しつかえないような処置を講ずることができるかどうか、また状況によってはそう指導する考えでおるかどうか、こういう点も聞きたいと思うのであります。  同時にまた、そうは言っても、学校等はそういうことができても、一軒、一軒のうちなぞはむずかしい、それも二重窓にしたりなんかすれば幾ぶん緩和することができるかもしれぬけれども、限られた一番近接した住民の福祉になるような、かわりの何かそのためのたとえば道路をちゃんと整備するとか、結局それの騒音を全然なくせないということになれば、そのかわりにそういった反対給付でその住民のそうした被害をある意味補償するというか、そういうようなことができるものかどうか、またそういった例がいままで何かほかのことであったかどうか、またそういったことで指導していくお考えがあるかどうか、この点をひとつ承りたいと思います。
  70. 近藤隆之

    ○近藤説明員 オートレースの騒音が相当ひどいものである、近所の方々がそれによってお困りになっておるという事情は、関係団体のほうからの報告によって承知いたしております。これに対する対策といたしましては、オートレースをやめれば一番すっきりするわけでございますけれども、御承知のように、地方団体の財政事情、それからこれによって生計を立てておられる方が相当数ございますので、直ちにそういう方向に持っていくことは困難だというような見解を県市とも持っております。できるだけこの騒音の被害を少なくするということになりますと、騒音をもっと低くする方法はないか、あるいは、たとえば二重ガラスというようなもので騒音を防御する方法はないかということになろうかと思いますが、一方の騒音を低くする方法につきましては、いま通産省の重工業局次長さんのほうからお話しになりましたように、車に防音装置をつけるかどうかという問題ですが、県市ともぜひそういう方向で何とかならないものかということで、具体的には、日本小型自動車振興会のほうへ検討を依頼しておるというような状況でございます。他方、地域住民の方の迷惑という問題につきましては、できるだけ県市のほうでやりたいというような希望を持っておりますが、具体的な問題といたしましては、まだ鳩ケ谷のほうからも県市は聞いておらないような状況でございます。  こういうギャンブルに伴う公害につきましては、それぞれの施行主体である団体においてある程度の措置はとっておるわけでございますが、この場合のケースは、団体が別のところでございますので、こういうケースについて、それぞれの団体が何らかの措置を講じたという例を私は現在の段階では聞いておりませんけれども、これは関係県市間の話し合いの問題であろうと思います。
  71. 畑和

    ○畑委員 ひとつその点は自治省としても県や市に指導していただいて、両市等でよく話し合いができるようにお願いいたしたい。とにかく、ギャンブルで何ら関係のない地域の住民が非常に困る、被害を受ける、また、少しも市のほうに上がりが入ってこないで、隣の市だけが上がりが入るというのは、非常な矛盾です。何といっても、これを何とか解決してやらぬと不満がなかなか消えないということになりますから、その点通産省のほうでも自治省のほうでも、その辺の指導と改善をお願いいたしたい。  それでは、先を急ぎますから、この問題についてはこれだけにいたしまして、次に、さっきの例の村八分の問題ですが、林行政課長さん、聞いていらっしゃいましたね。川口市で、町内会の自治会の除名問題があったわけです。先ほど人権擁護局長から御答弁をいただいたのでありますけれども、御承知のように、町内会は任意団体であるわけで、場所によってはないところもないではない。私の住んでいる浦和市におきましても、駅前あたりの高砂町というところは、自治会はございません。これは強制すべきものではないし、昔の隣組とは違うはずだから、それでもよろしいのですが、大体全部が入っておって、不当なことで除名をされるということがある。そうすると、たまたま自治体では町内会を利用していろいろな文書を配布するが、そういった文書を、懲罰の意味もあって、うちのほうの自治会は、除名してもう会員でないのだから配る必要はないということで配らない。これが私に対する訴えであったわけです。その点は、人権擁護局のほうでも、またさらにこの問題を処理してもらうことといたしまして、文書の配布等について市のほうへ申しますと、市のほうでは、それだけのために持っていけません、取りに来てくださいと言う。取りに来てくださいでは……。どうも一々言いませんが、こういうことであります。本来、自治会を除名されておっても、文書だけは、あるいは衛生関係といったものだけは、やるべきだ。また、聞きますと、場所によっては、どうもあまり発言力が強過ぎて、うるさいから町内会に入れられないという人もいるようです。私も現にそういう話を聞いておりますが、しかし、その町内会はなかなかりこうで、そういう問題を起こさぬようにということで、町内会に入っておらなくても、文書等はちゃんと配布しておるそうであります。そうだとあまり文句はないのだけれども、この町内会では、懲罰の意味で文書の配布をしないという不都合な問題が起きている。この辺は、ひとつあなたのほうでも指導してもらいたいのであります。これは川口市の問題でありまして、南町と北町とがありまして、両方合わせて南町自治会というのだそうでありますが、この南町自治会でのそういう処置に対して、あなたのほうとしては、行政指導を川口市のほうにもしていただいて、そういうことがないように自治会のほうをまず指導し、もし自治会が聞かなければ、市のほうで直接そういう文書を持っていくようにしなければならぬと思いますが、どういうふうにされるか、簡単でけっこうですから、ひとつお答えいただきたい。
  72. 林忠雄

    ○林説明員 おっしゃいますとおり、これは任意団体でございます。しかも、地方自治法上の市町村の下部機構という立場にございません。こういう任意団体ができておりますときに、市町村がそこを使うというか、お手伝いをお願いして、文書の配布その他をやっている場合は非常に多いのでありますが、ただ、これは組織としてそういうことをやるということにはなっておりません。自治法上もそこまでの組織は考えておりませんので、市町村行政の一つの組織とは考えられない。言ってみれば、私どものほうの組織に関する指導の幅には、地方自治の立場からは入らない。ただ、市が広報を出す場合に、その広報がくまなく市民に行き渡るように市が配慮するのは当然でございますから、この問題も、先生の御質問があるということで、実は初めてきのう電話をしましてややその状況を知ったわけでございますが、そういうことはこちらのほうにも一切入ってまいりませんし、また、直接自治省のほうから具体的にどこの町でどういうことがあったということを指導しますと、へたをすれば自治の干渉にもなりかねない。一般的には、広報は必ず住民の皆さんに渡るように注意して配ってくれという指導はいたしておりますし、今後もいたそうと思いますが、この事件だけを取り上げていくとすれば、いささか調査もしなければならぬと思いますし、それはむしろ最初の御指摘のとおり、人権問題のほうが主体の事件ではないかと考えておりますが、一般的に市町村の運営についての指導は、今後も遅滞なくやってまいりたい、このように考えております。
  73. 畑和

    ○畑委員 時間がございませんから、第三の問題に移ります。  最後の問題は、競輪選手の出走についての問題です。出走というと走ることですが、それに対するあっせん配分というのを日本自転車振興会がやるわけでございますが、その日本自転車振興会が、ある競輪選手が競輪選手として不適格だということで、二年間もの長い間あっせんを保留しまして、最後にようやく今度は登録の取り消しをやりました。そういった問題にも関連した人権の問題でございまして、この前にも、商工委員会で二度ばかりこの件について私は質問をいたしました。最初のときには人権擁護局長もおいで願ったと記憶しておりますけれども、去年の八月十八日と十二月二十二日に、この問題について質問をいたしたことがございます。ところで、今度人権問題でありますから、こちらの法務委員会のほうで質問をさせていただくことになりました。最初の経過はおそらく人権擁護局長承知されているだろうと思いますが、長いことあっせん保留になったままで二年間もほっておかれたということで、鳥山厳也さん、この人は埼玉県に住んでおられますが、この人がしびれを切らしまして、東京法務局のほうに人権侵犯の問題として申し出ました。その結果、人権擁護局のほうで若干動かれまして促進をされた。促進はされたけれども、結果として登録取り消しという処分になったわけです。それに対して鳥山選手は、そういったことは自分に身に覚えがないということで、実は強くこれに反発をいたしまして、日自振のほうにそういった取り消し処分のまたそれを取り消す申し立てもいたしました。同時にまた東京地方裁判所のほうに対して行政訴訟の訴えを起こして、その取り消し処分の無効の判決を求める、こういう本訴を出すと同時に、回復しがたい損害を免れるためにということで、執行停止の仮処分を申請をいたしました。そういうその後の経過等について私商工委員会質問をいたしたのでございまして、実はいつも日自振がこちらへ出てまいりません。参りませんというよりも、お呼び出しが、参考人だということでいつも厳格でなかなか来てもらえないので、今度も要望を出しておいたのですが、理事会のほうでそれは取り上げられなかったと見えます。実はそういうことで隔靴掻痒の感があるのでありまして、ずばり日自振の責任者に出てもらえば非常にその点がよろしいと思うのですが、その点今回もまた隔靴掻痒の感がいたすわけであります。いままで二回の質問を通じまして、いいかげんな、合理的な根拠もないのに、選手のめしのかてである出走が取りやめられる、出走ができなくなるということは、非常に大きな問題である。この鳥山選手は月に三十万ぐらいはかせいでおった選手でありますが、それがもう二年間以上も食糧の道を断たれておる、こういう事態であります。しかも、この点訴訟でだいぶ明らかになりつつあります。けれども、非常に根拠が薄弱であるのです。それだからこそ東京地方裁判所におきましても、この間決定が出まして、その登録消除処分の執行を停止するという決定がなされたところであります。この問題につきましては、当初のころからも讀賣新聞その他の中央紙にも、一つの競輪選手に対する人権の問題として相当大々的に報道されたところであります。その決定——本訴でありませんから決定でありますが、決定は昭和四十三年三月八日に出されております。ところが、その決定が実際に行なわれておらぬわけでございます。そこにまた問題があると思うのです。そこできょうの私の質問となったわけです。私は模様を見ておりまして、なるべくこういう問題は別にそう問題にしないで当事者間で片づけられるようにと思いまして、成り行きを見ておりましたけれども、実際に鳥山選手がいまだに出走ができないというような状態で、せっかくの裁判所の配慮による仮処分の執行停止の処分が実際に実効をあげておらぬというようなことになっております。その辺で日自振自体が非常にこだわっておるという模様が見えるわけでありまして、日自振がその決定が出た上で一般の施行者等に対して出した文書があるのでありますけれども、その文書を見てみましても、何となく奥歯にものがはさまったような書き方でありまして、実際には執行停止の仮処分によりまして登録選手になっているはずです。登録の取り消し自体が無効なのでありますから、処分自体が執行停止されたのですから、選手になっているはずなのに、元選手と書いたり、あるいは本案の判決があるまでほんとうのことはわからないのだ、かりの処分なんだ、こういうことを注釈で書いてみたり、そういう文書でありますと、各地の施行者といたしましては、日自振の腹の底が大体読み取れる。したがって、さわらぬ神にたたりなしというようなことで、あっせんの配分を受けてもこれを辞退するというようなことが出てまいります。さらに、最近の川崎競輪みたいなああいった事件等がありますので、そういう点も考えて、問題のある人は出走させないようにということをやる地方の施行者の気持ちもわからないではないのですけれども、それを指導する日自振のやり方がぐあいが悪い。この点について、実はやはり大きな人権問題でございますので、しばらく人権擁護局長のほうにもそのままでおいで願ってなかったのでありますが、そういう事態になって、裁判所の決定が出てなおかつそれが実効があがらない、こういうことなのでありまして、この点について、ひとつ人権擁護局長法務省立場としてのお考えを承りたい。
  74. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 鳥山厳也選手の件につきましては、昨年三月末に東京法務局に、登録されておりながら出走できないということに対して申し立てがあったのであります。それにつきましては、東京法務局が、先ほど先生おっしゃいましたように、すみやかに処置をするようにということで目自振のほうに説示として処置いたしました。その結果、逆にかえって登録が早く消除されたということになりました。それにつきまして鳥山選手から訴訟が起こされまして、仮処分が出たそうであります。その消除処分をかりに取り消すという裁判所の決定が出ました以上は、私ども考えといたしましては、一般にはやはり裁判所の決定を尊重して、そしてあたかも登録があるというかりの地位が定められたものとして、その上に立って出走を認めるのが望ましいと考えます。したがいまして、裁判所の決定が出たにもかかわらず、なお出走のあっせんをしない、あるいはあっせんをしたにもかかわらず、結果において出走できないというような事態があるとすれば、人権上問題があると考えられますので、私どものほうでも何らか今後の処置を検討してみたいと考えております。
  75. 畑和

    ○畑委員 この問題につきましては、そういった裁判所の決定等が出る前に、私の調べたところによりますと、相当日自振のほうで感情的な問題になっているようだから、そういった問題はもう抜きにして、率直にひとつ人権の立場考えて話し合いでもして早く解決しろというような趣旨でこの前もさんざん質問をやったのですが、なかなかそうはいかぬでここまできてしまったのであります。しかも決定を出したのは、今度おそらく裁判の本訴のほうでいずれ本案の判決が下るわけでありますが、仮処分の決定を出したのが例の杉本良吉さんが裁判長でありまして、相当権威のある人ですが、その人がまたさらに本訴のほうもやるのでありますから、そう違った判決が出ようとは私は予想していない。しかも仮処分の裁判のほうも、相当時間をかけてやっておられます。相当の疎明資料もお互いに出されておりますので、それに対して反対のような判決はないのではないかと思っているのでありますけれども、訴訟が長引きますと、ますます本人の生活が困るわけです。人権擁護局のほうでも、この前これについて関係をされて配慮願ったわけでありますけれども、先ほどの答弁によっても、今後何らかの措置を講じていきたい、こういうことでありますから、その点、人権擁護局の立場として、法務省立場として、さらにこの問題を目自振等にもひとつ申してもらいたい。一応あっせんはするとしても、そういった文書を出しておるわけでありますから、どうも地方のほうの団体が目自振の裏の意向をくんで出走させるようなことをしてないのが現状であります。その辺、地方の施行者等にもそうした趣旨人権擁護立場でひとつ指導願えれば、非常にけっこうだと思うのであります。いろいろ訴訟の関係で問題になりました点も、この前も私質問でも申しましたのですが、非常に根拠が薄弱で、その鳥山選手の出場したレースの売り上げが、非常に異常売り上げだ。鳥山選手に対するだけでなく、総体として一回、二回、三回とだんだんと売り上げが自然のカーブを描いて上がっていくものだ。ところが、鳥山選手の参加した場合には急に上がって、また次下がる、こういうようなことだったという異常売り上げ。あるいはその鳥山選手だけに対して投票が多かった。異常投票だ。こういったようなことが一つの理由になっている。ところが、いずれも統計的にも根拠が私としては考えられない。そういう点もございまするし、さらに暴力団と関係があったようだ、これも根拠がさっぱりあいまいなんです。さらにまた、現にこの前も申し上げたのですが、にせ鳥山選手がおりまして、それが結局八百長を私がやるということで金を詐欺した件で、京都だったかの警察でつかまりまして、それが起訴されたような点を、ようやくこれらがいろいろな苦心をした結果、そういったにせの鳥山の起訴状まで取り寄せた。こういうようなことで、そういったうわさや何かは根拠がないものだ。あるいはにせの鳥山にだまされて、競輪の好きな女の人が相当金を使っちゃった。そのあげくに鳥山選手をたずねてきたので、本物が応対したところが、こっちが本物で、にせものにだまされたのだということがわかったというようなこと等、いろいろありまして、相当うわさ等がもとになってやられた処分、しかも感情的なものでやられたものが非常に多いような感じがいたします。そういうことがだんだんと裁判の上でもわかってまいると私は思う。  それから目自振関係の異議の申し立てですが、これはさっぱり進んでない。八カ月に一ぺんしかその審理がされなかったというようなことすらあるわけでありまして、裁判所裁判所のほうとして二つやり方があるわけですから、二つのやり方について申し立てがあるのですから、それもどんどん進行をさせるように、人権擁護局のほうでもひとつ指導していただきたいと思う。  同時にまた、これは通産省のほうの重工業局のほうの関係ですが、何回も私この点でしつこいほど質問をいたして今日までまいった。そのつど目自振当局者が来てないので、どうも間接になってしまっておるのですけれども、あなたのほうでもそういった監督の機関でございますから、その辺をひとつぜひとも強く指導してもらいたいと思う。ずいぶんそういうことで陰で泣いている者がおる。独占的な団体でありまするし、これは必ずしも目自振だけ、日本自転車振興会だけではありません。私、ほかにもいろいろ具体的な例を聞いております。競馬関係の地方競馬の協会とか、あるいは小型自動車競走会、そういったところもやはり生殺与奪の権を握っておる。中には悪いやつもおります。悪いやつはびしびしやってもらいたい。けれども、同時に単なるうわさ等によって処理することのないようにしてもらわぬといかぬ。そういう点は、今後厳重に、今後もあることでありますから、通産省の重工業局のほうにおきましても、それをやっていただきたいと思うのであります。その点に対する通産省のほうの考え方を聞きたい。
  76. 本田早苗

    ○本田説明員 先ほど先生のお話にありましたように、三月八日に、登録消除処分の取り消し請求の訴訟の判決が確定するまで消除処分の効力を停止するという決定が行なわれました。その後、したがいまして登録選手と同じような扱いをすべき状態になったわけでございますので、出場選手あっせん委員会におきましていろいろ審議したのでございますが、その際はすぐには結論が出なかったようでございますが、先ほど法務省からもお話がありましたように、当省といたしましても、日自振として登録あっせんを行なうのが適当だというふうに指導いたしまして、その後日自振といたしましては、登録あっせんの手続に入るために、かなり長期に休んでおりますので、身体検査並びに走力検査を実施いたしました。この間に、お話のように施行者と協議会との間で協議が行なわれまして、各地の協議会の会長からあっせん辞退をしたいという文書が出されまして、このため、業務規程第百二十四条の規定に基づいて、日自振としてあっせんできないという状態になっておるわけでございますが、近くまた出場選手あっせん委員会を開くことになっておりますので、その結論を見たいというふうに考えておりますが、われわれとしても、一応あっせんすべきものと考えて指導してまいったわけでございます。
  77. 畑和

    ○畑委員 わかりました。ところで、日自振はどうやらこうやらそういってあっせんをするようになったけれども、いま言った地方の施行者のほうでさわらぬ神にというようなことであっせんを辞退するというようなことになると、せっかくの裁判所の決定が出ましても、それがだめになります。それからまた、裁判で本訴できまればおそらくそういうこともなかろうと思いますが、それでもまた地方の施行者は、あっせんを辞退する権利はあるわけでしょう。そうなると、一体どうするのだろう。これは非常な深刻な人権問題だと私は思いますが、その辺、あなたのほうでも、施行者のほうに対してもそういった偏見を持たずにやってもらうように、あっせん辞退などをしないように、ひとつ指導はできないものでしょうか、どうですか。
  78. 本田早苗

    ○本田説明員 近く行なわれる出場選手あっせん委員会意見を聞きまして、その上で施行者並びに協議会のほうの意見も一ぺん聞くことにいたしております。
  79. 畑和

    ○畑委員 けっこうです。終わります。
  80. 大竹太郎

    大竹委員長代理 神近市子君。
  81. 神近市子

    ○神近委員 私ば、きょうは国士館大学の問題で、人権擁護局長、それから文部省関係審議官、また大学課長に若干質問をしてみようと思います。私の時間が非常に制限されましたので、一時までにやらなくちゃならないので、能率的に御返事を願います。  国士館大学のことで私が変なところに口を出すようになりましたのは、国会に始終出入りしていた人が、千枚とじ一本で子供に殺されたという事件が起こったのです。その人がたしか二日ばかり前に国会に参りまして、国士館大学の選銀制度ですか、選挙の名前をつけてお金を集めている、そしていまに国士館内閣というものをつくるんだというようなことで、その話が初耳であったのと、千枚とじ一本で一体中年のがんじょうなからだの人を小さな子供が殺せるか、十代ぐらいの子供が殺せるかということが、私には疑問だったのです。ですけれど、それは三年半か四年の懲役で片がついてしまったので、私も探訪なんかできないのでそのままでございますけれども、そのことが動機になって、国士館大学の状態が始終頭にあるということなんです。この間、十三日ですけれど、東京弁護士会の人権擁護委員会が、国士館大学から解雇された国士館学園教育を守る会というところのちら人権侵害の調査を願い出ていた、その結果がまとまって近日発表されるということになっているそうですけれど、これは人権擁護局には警告をし、それから文部省やその他に対してはもう少し指導をよくするということを勧告するということになっているそうです。私くち、東京弁護士会が長い間何の報酬もなしに調査をよくしてやっているというのに、給料をもらっている法務省の中の人権擁護局というところが、四十年のことをもう二年半近くもほっておいていらっしゃるということに何とも納得のできない感じを持って、そして今日の法務行政というもののあり方は一体どういうことかということで、今日の質問を申し上げる次第であります。  四十一年の三月八日の内閣委員会質問がここにございます。そのときに人権擁護局長——そのときは鈴木さんでございますから、いまの方とは違いますけれど、大体この人権擁護に関する調査は、普通の進行状態なら本年六月過ぎには結論が出ると思います、こういう御返事があったのです。そして東京法務局人権擁護部では、四十二年の二月には百四人の人を調査して、それが全部済んで、法務省人権擁護局に報告は終わっています。それが握りっぱなしで今日まで結論が出ていないということに、私どもは今日の法務行政というものが一体どうなっているのかということに深い疑惑を持たなければいられない。握りっぱなし、そして四十二年の二月には調査が済んだので、それから報告があるというようなことを約束していながら、何回も延期していらっしゃる。その調査をどうしてお出しになることができないか。この四十一年の内閣委員会では、こういうことを言っているのです。一年間に人権擁護局に受け付けるところの件数は、大体七千件くらいある。早いものは半年のうちには結論が出る。長ければ、これは例外だけれども、一年かかるものがあるけれども、一年以上というものはめったにない。こういうことをそのときの人権擁護局長がお話しになっている。ところが、四十二年に提訴されたものが、もうそろそろ四十三年五月も終わろうというときに決定をお出しにならないのは、私はよほど深い理由がなければならないと思うのです。この遅滞というか、ほんとうの民間の弁護士会の調査が早く結論が出ているのに、擁護局がお出しにならないということについて、何がそこにあるのですかということを私は伺いたい。
  82. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 国士館大学の事件につきましては、昨年の七月二十日に神近委員から御質問がありましたときに、近く何らかの措置をとりたいとお答えを申し上げたのでありますが、その後いろいろ検討しました結果、この関係では問題になっている事実が多くありまして、なお大学総長が病気であったというようなこともありまして、それから大学側の十分な弁解も聞きたいということを考えまして、ただいまいろいろな問題点を整理しました上で、大学側に東京法務局を通じまして質問いたしまして、ただいま最終的な回答を待っているところでございます。したがって、そんな関係でただいま処理がおくれているということでございます。特に特段の事情はございませんが、そのような状況でございます。
  83. 神近市子

    ○神近委員 小田原町の東京の人権擁護部では、百四人調べて、ちゃんとあなたのほうに報告が出ているんですよ。一体東京の人権擁護部というのは、何のためにあるのですか。そういう地元の問題を調べるということは、高いところにおいでになる法務省の中の人権擁護局より、そのほうが楽でしょう。それで百四人調べている。その上にまたあなた方が、その書類の報告を調査して——これがちょっとおかしいと思えば、調査はできると思うのです。だけれども、いまごろになって、もう四十一年、四十二年、四十三年も半ばになろうというのに、二年半かかってこういう簡単なことを調べることがまだ十分でない。いつごろその結論が出るという見込みを持っていらっしゃいますか。
  84. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 この事件が二年もかかりました事情は、申告がありましてからその調査を始めておったのでありますが、その後になりまして次々と新しい事件が発生した、そういう関係からだいぶおくれてまいったわけであります。  それからお話しのように、東京法務局では百十名くらいの関係者を調べまして、調査をほぼ終わっておりまして、そして私どものほうに相談がありました。そして先ほど申しましたように、問題点を整理した上で学校側の弁明を聞こうということで、いま回答を求めている、こういう段階でございます。
  85. 神近市子

    ○神近委員 次々に問題が起こるというのは、国士館についてですか、あるいは人権擁護局全体——人権擁護局に持ち込まれる案件は、年間七千件と言っていらっしゃいますが、それが多くてやれなかったというのですか、国士館に関する案件が続々と入ってきて判断が困ったということですか、どっちですか。
  86. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 国士館に関係する事件が、その後発生したということです。申告がありました事件以外に、次々と、あとからあとからと事件が起こりまして、この国会でもたびたび御質問がありましたとおり、先生御存じのとおりの事態で長引いたわけでございます。なお、東京法務局で調査が終わりました以後の問題は、またさらに問題を検討するという段階が長引いたので、これはややおくれたきらいがございますけれども、現在は学校側の回答を待っているという段階であります。
  87. 神近市子

    ○神近委員 国士館に関する案件、これは文部省にも御反省を願わなくちゃならぬ要点をずいぶん含んでいる案件です。だけれど、あなた方のほうに持ち込まれるという案件は、国士館に関する情報ですか、あるいは提訴ですか、どういう性質のものですか。
  88. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 一番最初に申告がありましたのは、お話のように、昭和四十年の十二月十日でございますか、鹿島宗二郎外二名の方からありました。それは同教授外二名の方に対する解雇の関係の事件でございます。そういう申し立てがありました後になりまして、学生監が暴行をしている、あるいは学生同士で他の学生に対して暴行を加えた、あるいは選挙権銀行倶楽部に関係する事件であるとか、そのほか学園民主化運動というものに参加した学生に対して千駄ケ谷のあたりで暴行を加えた、あるいは同人の持っておるかばんの中から所持品を取り上げたというような事件とか、あるいは学校内に写真を張って、そしてアカの手先であるとかなんとかいうようなことを掲示した、そういうような事件が、次々に起こったということであります。
  89. 神近市子

    ○神近委員 それはもうとつくの昔に起こったことじゃありませんか。千駄谷の乱暴の事件だとか、それはここの委員会でも何度も出ていますよ。そしてこの鹿島さんという方、たいへんりっぱな人のようです。あなた方はこの人に必ず出すという約束を——あなたのほうにいらっしゃる宮代さんという課長さん、この人が五月一ぱいには出しますと去年言っていらっしゃる。そしてもう調査は完了しましたので、この五月一ぱいには結論出します。それから、六月、七月、九月、十月、そのたびごとに鹿島さんには、出します、それでちゃんと課長が集まって、係長が集まって、御返事したこともあるし、それから辻本部総務課長という方がいらっしゃいますか——その方は、年が明けたら必ず結論出します、こういうようなこと、そして一月の終わりには、二月の末には出します、これは堀内局長がお約束になっているはずであります。それで、まだ調査しなければ結論が出ない。今日のお役人というのは、私どうも——これはこの前も問題になりましたように、柴田という国士館の館長は、昔の黒竜会という右翼の団体の会員だそうですね。そういうことが何かの記録に出ておりました。その会員の中に、前の法務大臣、いまの衆議院議長の石井さんが関係していらっしゃる。これは石井さんが法務大臣のときにもいろいろお聞きして、これは過去のことですから、時世の違った時代だから、私どもは問題にはしないのですけれど、その関係で、石井さんあるいは岸さん、名前を忘れましたけれど、まだ二、三の閣僚級の方々、これが国士館のバックにいらっしゃる。選銀というようなことは、そのことに関係があるかないか知りませんよ。とにかく柴田という人は、いまは病気で富士ホテルに入っていて、月に一回しか大学には出てこないそうですけれど、この人が健康がよかった時代には、もう一切独裁的にやっていた。私は、これは非常におそろしいことだと思いますよ。こういう大学、たとえばかすのような大学であれ、大学の中では非常に末席にいる大学であれ、ここに数千人の若い人たちが育てられるということは、私はいまの日本の情勢にとっても、非常に——いまフランスだの西ドイツだの、あの学生の問題をかかえている、そういうところのことと考え合わせても、これはもうちょっとあなた方が本気になって、そうして問題を解決なさらなければ、非常におそろしい時世になる。日本でも三派全学連というものをかかえているのですから、私はもっとはっきり行政というものにあなた方が——たとえば法務行政というものは、行政の一端ではありますけれど、要路の人に気がねをしながら、のろのろと何かやっていらっしゃる時世じゃないと私は考えるのです。その点で、たった人権擁護局一局のお話ですけれど、私どもの目の前にはよい実例なんです。四十年の年末に提訴したものが、三年目の五月の末になってもまだどうだという結論が出せない、私はこんな役所の能率はおそろしいものだということを考えて、日本の政治全体にいろいろ疑惑を持たなければならないということになるのですけれど、その責任一つは、あなたのような局長が、いや、何でございます、あれでございますと言って、まだこんな簡単なことが調査が済まないということは、私は非常に不忠実な行政官だと考えるのです。その点は、簡単な案件に二年半かかっているということを反省できますか。
  90. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 先ほどお尋ねありましたように、鹿島さんその他の方が局のほうへお尋ねになった際に、早く処理するということを申し上げたのでありますが、その後に至りまして、問題点を整理いたしました上で学校側の弁明を聞こうということになりましたので、ただいま回答を待っているためにおくれているということでございます。お説のように、早く処理するほうがよろしいことはもちろんでありますので、学校側は今月の末かまたは来月の初めに回答をよこすと申していますから、それを待ちました上で、かりに学校側が回答を怠りましても、私のほうでさらに処置を早くしたいと考えます。
  91. 神近市子

    ○神近委員 いまごろになって、これだけ事実がわかって、そうして東京弁護士会のこの調査も終わったのに——この前ここに館長代理という人が参考人に出てきました。その人は、いま館長が病気だから代理しています。そのときのつべこべ言ったことをあなたは読んでいらっしゃるか、お聞きになったかしれないと思うのですけれども、そういう人がいま館長をしているのですよ。その調査が、妥当な、正しい返事がくるとあなたは考えていらっしゃるか。学校側の調査、いまやっているというのでしょう。私は、そこらに今日の法務行政というものが国民のためにあるのか、あるいは行政自身のためにあるのかということが、この間からまだひっかかって、頭の中にぐるぐる回っているところがあるのです。私くち、このことであなたを痛めたくないのです。だけれど、七千万か八千万の予算をもらっていて、この人権擁護局というものは一体何をしているか。まあ年間七千人も相談に来る人があるということでなるほどとも考えましたけれど、ともかくもこの問題が延べ三年ひっかかっているというようなことは、あなたもうちょっとはっきりなさらなければならない。この間、国士館をよくする会の七人のうちの一人が提訴を取り下げて、国士館側と和解をしたのです。九十万の退職金をもらって和解している。これは提訴が妥当ということを示す一つ事例になっていやしませんか。七人のうちの一人が学校側と妥協して、そして不当解雇である、あるいは停職させられたということの見返りとして、九十万もらっている。そうすれば、この七人の提訴は妥当である、不当な停職であるということを認められた結果ではないのですか。これはどういうふうになりますか。
  92. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 訴訟を起こした何人かのうちの一人が和解をしたということから全体が正しいかどうかということは一がいには言えないので、やはり個別的に考えるべきだろうと思うわけでございます。
  93. 神近市子

    ○神近委員 国民から給料のただ食いというふうに思われないためにも、こんな簡単な事案を——片方に石井さんとかなんとかいう強力にバックをする人があるというようなことを頭からのいて、ほんとうに国民のためのものであるということなら、正義の正しい立場に立って判断なさって、そして勇気をふるってこの人権擁護という任務をお果たしになるべきだと思うのです。  私は、時間が非常に制限されておりまして、あと七分かそこらですから、文部省側にこの大学のあり方についてちょっとお尋ねしたいと思います。  国立学校であるからどうだとか、私立学校であるから監督が十分できないというふうなことを、この前の内閣だか文教だかでお話しになっていますけれど、私立大学に対する文部省の権限は、どの程度のものですか。その点をはっきりしていただきたい。
  94. 清水成之

    ○清水説明員 いまのお尋ねでございますが、段階を分けまして、設置段階の場合につきましては、学校法人、大学の設置認可という認可権を文部省としましては持っております。それからあといろいろな変更の場合に、認可事項と届け出事項の問題もございますが、いまお尋ねのポイントにつきましては、文部省としましては指導助言という機能を持っております。それからまた、法人運営等につきまして勧告をする権限も、私立学校法で持っております。お尋ねの点は、指導助言の問題ではないか、かように考えます。
  95. 神近市子

    ○神近委員 いま国士館大学では、非常に右翼的な、そして帝国憲法時代のことが次々行なわれている。いまくち館長が病気で半分引退で、月に一度しか出てこないということですから、それほどでないかもしれませんが、この代理の人が旧軍人の非常に右翼的な考えの人であります。一度参考人に出ていただいた。こういうものを勧告も監督も文部省はしないで、どこかに気がねする人がいるのかもしれない。それでいてこれをほっておいて——いまいろいろ三派全学連的なものが、フランスであれだけの大騒動になっている。また、西ドイツでも同じようなことが起こっている。その他の国でもぼつぼつとそういうようなことが起こっているというときに、一つの国家の産業とかあるいは日常の市民の生活が撹乱されるということが、もう現実に目の前に起こっているのですよ。物価高、あるいは大学の教育——フランスの場合は大学法か何かの不満のようでありますけれど、私どもは他山の石として、こういうことが起こらないようにスムーズに国政を運営していただきたい。  なぜ私がこのことにこだわるかといえば、国士館というものは、帝国憲法がよいという頭がグループの中にはあるらしくて、昔の紀元節か天皇誕生日かどっちかには、いままでの館長は元帥服に似たものをちゃんと着て、そして告辞をしたということがあるのです。これは見た学生たちのうわさでありますから、うそではない。そして二時間に達する訓辞をする。その間にちょっとお手洗いに立つとか隣の者と話し合いをすると、壇上に引っぱり上げて踏んだりけったりのようなことをする。そういう悪夢のような事実が東京の周辺にあるということを、一体あなた方はちっとも御存じないのか、それは聞いているけれど、われわれの干渉することではないというように考えていらっしゃるのか、どちらですか。
  96. 清水成之

    ○清水説明員 ただいまの点でございますが、四十年以来非常に御鞭撻も受け、また私どもも学校当局から来ていただきまして、いろいろ事情を聴取いたしました。私ども立場では、なかなかしっかりとした確証が得られなかったわけでございます。しかし、再三の御指摘もございまして、四十一年の九月でございますが、私どもすべて指摘事項を指摘いたしまして改善を求めてまいった。四十二年の三月の下旬でございますが、改善要綱を持ってまいりまして、四十二年度からその線に即して運営をしております。そういう次第でございますので、全然黙って指導助言もしなかった、こういうことではございません。その改善の中身につきましては、管理運営上の問題、それから教育面の問題、また先ほど御指摘になりました選挙権銀行倶楽部の問題も含めましての改善事項が出されて実施されておるわけでございます。
  97. 神近市子

    ○神近委員 選銀は二月に廃止になりましたね。それは文部省からの御忠告があった結果かどうか知りませんが、とにかくそれはなくなった。だけれど、あなた方は大学側の言い分だけをお聞きになって、そしてたとえば教授会、これが非常にルーズなものなのです。それで首になった七人の人たちというものは、みんな親睦会、教授会というものはないのだから、だから少なくもこれではどうもいけないんじゃないか、少し御飯を食べながら話し合おうじゃないかというような会をつくろうとしたときに、それがどこからか漏れて、そしてみんな首になったということなんです。それからお医者さんに対して乱暴を働いて、二カ月の重傷を加えた。この問題は警告ですか、館長を法務省は一度も呼ばなかったのです。一度も出てこなかった。それで不起訴に突然なっている。こういうところに、私は、今日の法務行政というものがだらしのないものだ、結局政府に対して気がねしているというか、国会の要人というか、そういう人たちに何かやられれば、それでもう一言でしぼんでしまう。正しいことなら政府に対して反抗しても正すということが、これはあたりまえだと思うのですけれど、この点で、私は、いま人権擁護局長にも申し上げたように、行政という面に、この一つの例をあげても非常な不信を持つものであります。なお、この問題では次の国会で文教委員会あたりで、私も文部省関係法律をよく読んできまして、また御意見を伺うということにしようと思うのです。  時間がもう一時を過ぎましたから、委員長との打ち合わせでございますので、私の質問はきょうくちこれをもって終わります。
  98. 大竹太郎

    大竹委員長代理 次回は、明二十四日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三分散会