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枝村委員 確かにあなたが言われたように、大下さんが酒を飲んでいわゆる
事件発生の原因をつくった飲食店での発言は、腰抜けだなんだと言ったことはどうか知りませんけれ
ども、自衛隊がとにかく横暴だということで相当攻撃をしたそうですね。これは私
ども認めます。それでそういうことになったのですけれ
ども、ところがよく調査してみますと、単にいわゆる偶発的に起きた問題、人と人との単なる関係において発生した
事件でないということがわかってくるわけであります。その点についてあなたのほうもいろいろ第三者あたりからの忠告やその他の
意見も十分聴取していらっしゃると思いますけれ
ども、私のほうで調べたところでは、どうも平生から自衛隊の人たちのふるまいが、一般の人たちを見下げたような状態がしばしばある。たとえばさっきもちょっと言いましたように、一般の人たちを民間人というように呼んでおる。これは昔軍隊が一般の国民に対して地方人というようなそういう名前を使って、おれたちは一段上のところで国防の任に当たっておるんだという、そういう意識が支配しておりました。兵隊というものは偉いんだ、そういうのが、自衛隊の中にも非常に蔓延してきたのではないかと思う。単にそれは今林という人だけの問題に限らず、そういうのが防府自衛隊――よその自衛隊のことは私わかりませんけれ
ども、自衛隊の中に非常に流れておる。ですから、その付近の人たちは一様に言っていますよ。自衛隊が最近非常に横着になった。そしてたとえば学校に行く通路――これは地元民の利害関係に属するのですけれ
ども、通路も自衛隊専用にして、小学生は遠回りをして冬の寒い日などは学校に通っておる。それから昔にさかのぼれば、その地域の土地を二足三文で取り上げられて、それが結局自衛隊に回されて今日に至っておる。こういう利害関係も相錯交いたしまして、しかも自衛隊の隊員の最近の言動がきわめて前より――前は確かにおとなしかったというのですけれ
ども、ちょっと横暴になった。そういうのが周囲の環境としてあった中で、大下さんは平生からやはり自衛隊に対してそういう
意味の感情、憎しみを持っておったようであります。それが酒を飲んだところで、偶発でなくしてそういうやつが出てきた。そうして
事件が発生したというのでありまするから、これは防衛庁関係の皆さん幹部が、そういう風潮に対しては今後相当戒めていかなければ、この種の
事件は根絶しないことになるのではないかというように私
どもは見るわけであります。しかも、自衛隊の関係の
事件が、これだけではなくして、同じ隊でその後また明らかにされた
事件があります。これはあなたも知っていらっしゃいますように、川合武彦二佐ですね。この人が昨年の九月十三日に、当時の下宿先である防府市新道で普通乗用車で帰る途中、同市の新田の県道で、同じく同市の下新田の会社員村田敏夫さんをはねて、左足の骨折などの四カ月の重傷を負わした。ところが、これを
自分ははっきり現認しておりながら、そのまま逃げてしまった。しかも巧妙に、これは悪質なんですけれ
ども、車のバックミラーがこわれておりますが、これを隠すために二、三日人目のつかぬところに車を隠して、さらに知っている人に頼んで浜松のほうまでその車を回送させて、自動車工場で修理させておる。そういうたくらみ、悪質な
事件を起こしておる。しかし、本人もついにこれを隠し切れずに、本人が自首して出たのかなんかわかりませんけれ
ども、これによって明るみに出された。本人はもちろん停職処分ということで、その後どうなったか知りませんけれ
ども、そういう程度の処分をされた。こういう
事件も同じ時期に発生しておるのですから、先ほど言いましたように、ますます一般の市民の人たちは自衛隊に対する不信感、これがやはり出てきておるというのであります。ですから、何回も言うようですけれ
ども、いまのような空気そのものをやはり変えていくためには――幹部の人たちがいまのような問題を放置しておくと、それを助長するようになる、このように私は思います。もう時間がありませんから、実は私の一方的な話になるわけでありますが、さらに私
どもは大きな立場でこれを見た場合、もう少し深い原因があるように思うのです。それは何かと言えば、やはりいまの
政府の姿勢のような気がします。
法務大臣がおりませんから
質問できませんけれ
ども、どうも最近の佐藤さんのやり方、特に愛国心、国防精神を養えという、こういう
考え方が非常にPRされております。そしていまのベトナムの侵略戦争を、支持はしていないとおっしゃいますけれ
ども、やはり加担しておる。それから北爆も支持する、こういう政治姿勢ですね。戦争政策を進めていくような佐藤内閣の
態度、施政方針というものが、自衛隊の中に先ほど言ったような風潮――一般の国民とは格別な存在であって、国防任務のために遂行しておるのだ、こういうふうに、本人たちは知らないけれ
ども、知らず知らずのうちに突き進んでいっている
一つの大きな要因をなしておるように私は思うのであります。私
どもは、もちろん自衛隊というものを社会党は認めませんけれ
ども、しかし、先ほど言いましたように、だから、認めないからこういう問題はという、こういう取り扱い方はいたしませんから、重ねて言うようでありますけれ
ども、ひとつ規律だけはぴしっとやる。やはり兵隊であれば、その
意味では、昔のようなきびしい
態度に幹部は隊内を指導していく。そしてもしこういう不祥
事件が起きた場合には、依願退職とかそういうことでなくて、あるいは懲戒免職――停職でごまかすということでなくて、やはりきちっと厳罰に処していく。そのことが、やはりそうでないという印象を国民に与える、防府の地域における住民に対していまのような悪感情を少しでもぬぐい去っていくことの役に立つのではないか、このように私
どもは
考えておるのです。
最後に、そういうことをした地元のいわゆる防府自衛隊の当局は、やはり一般市民に対して何らかの形で悪かったという、そういう意思の表示をすべきである。それから二番目には、この補償問題はどう片がついておるか知りませんけれ
ども、やはり自衛隊の問題として取り扱った場合には、自衛隊当局が責任をもって遺族に対する生活保障を十分見てやるべきだ、このように思いますので、ひとつ
質問というよりは、強く要求しておきたいと思います。そういうことを申し上げまして、時間もまいりましたので、私の
質問をここで終わるわけでありますが、だれか代表して所信を表明してもらいたいと思います。