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寺田最高裁判所長官代理者 これは前国会の際に御説明申し上げた事項になるわけでございますが、実はこの借地
事件が
裁判所の管轄に入りまして、
事件がどうなるかということをいろいろな形で推計をしてみたのでございます、しかしながら、その推計が実にむずかしいわけでございます。御
承知のとおり、これの対象になります
事件は、典型的に申し上げますると、たとえば借地権の上に建っております建物を借地権とともに譲渡する、その場合に地主さんがなかなか承諾をしてくれないという
事件、それから借地の上に建物がございまして、それに増築や改築をしてはならないというような特約があるけれ
ども、増改築をしたい、それにもなかなか応じてくれないという
事件です。その他若干ございますが、大きなものはそういうものでございます。そういう
事件の
件数というものは、いわば今後
発生するものでありますから、非常につかみにくいわけでございます。その際に、一応私
どもが計算の根拠にいたしました問題は、まず日本でおよそ建物の増改築がどのくらい行なわれておるであろうか。この
件数は、建設省の計画局でおつくりになっております
資料ではっきりした
数字があるわけでございます。それからまた、建物の譲渡というものがどのくらい行なわれておるであろうか。これはおそらく一〇〇%正確とは申せないかもしれませんが、自治省の税務局の府県税課というところでお調べになったものがあるわけでございます。まあ税の
関係でございますから、これが実数と完全に合っておるかどうかという問題もあろうかと思いますけれ
ども、まず
かなり正確な
数字でございます。この増改築あるいは譲渡の数というものは、一方でわかっておるわけでございます。それから全然それとまた別個に、およそ日本で借地の上に建物がどのくらい建っておるか、つまりいわゆる借地率というものも、大体はっきりしておるわけでございます。ただ、その二つを結びつけまするその借地の上に建っておる建物の譲渡の数、あるいは借地の上に建っておりまするものの増改築の数、こういうものの数は、いままでの内閣その他の
資料にも、何もないわけでございます。そこで、しかし、普通はそれがかけ合わせたものであろうというようなことで、それを二つかけ合わせまして、そして大体借地の上の増改築なり、譲渡の数はどのくらいであろうかというふうな推定をしたわけでございます。この数がすでに推定でございます。のみならず、その推定に基づきまして、さらに
事件が
裁判所にどのくらい出るであろうかということになりますと、これはいわゆる紛争
発生率ということになろうと思います。地主が理解のある方であればどんどん許可もするでしょうし、あるいは多少権利金を取れ、手数料を取れというようなことで簡単に話のつく場合も多々あるわけで、お互い同士で話がつけば
裁判所に来ないわけでございますから、紛争
発生率ということになりますと、もう完全な腰だめになるわけでございます。その点が私
どもとしては非常に苦しいわけでございますが、その腰だめのパーセントをあるいは二〇%と考え、あるいは五%と考え、いろいろ推計をしたわけでございます。しかし、いろいろな情勢から、その五%というような推計で
件数を出しまして、それで
増員等の数を出した、こういうことになるわけでございます。先般
大竹委員の御質問に対しまして、私説明いたしました点がやや正確を欠いた点があろうかと思いますが、その五%の
発生率という点から見ますと、この
数字は下回っておるわけでございます。ただ、私
どもが五%と考えましたのも、これはやはりおのずから世間にそういうことが知られていく普及度というものがあるので、まずそれを三年間見て、三年後には五%の
発生率があるであろうというところから、三年計画で
増員等の手配をしたわけでございます。そういうふうな
観点からいたしますと、そう違わない
数字になっておるわけでございます。ただ、初
年度に五%出なかったという
意味では、その
数字が少ないということになろうかと思います。それからもう
一つ、きわめて常識的な
意味で、もう少し
裁判所に来そうなものじゃないかという感じといいますか、そういうような計算的な
数字ではなしに、案外出ないものだなという気持ちがお互いにあるものでございますから、そういう
意味でそういう表現になってきておる、かように御理解いただきたいわけであります。