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1968-03-12 第58回国会 衆議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十二日(火曜日)    午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 大竹 太郎君 理事 田中伊三次君    理事 中垣 國男君 理事 濱野 清吾君    理事 猪俣 浩三君       鍛冶 良作君    河本 敏夫君       瀬戸山三男君    田中 角榮君       千葉 三郎君    中馬 辰猪君       中村 梅吉君    中谷 鉄也君       岡沢 完治君    山田 太郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君  出席政府委員         法務政務次官  進藤 一馬君         法務省刑事局長 川井 英良君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務局長  寺田 治郎君         最高裁判所事務         総局人事局給与         課長      武居 二郎君         最高裁判所事務         総局民事局長  菅野 啓蔵君         専  門  員 福山 忠義君     ————————————— 三月十二日  委員岡田春夫君及び西村榮一辞任につき、そ  の補欠として中谷鉄也君及び岡沢完治君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也君及び岡沢完治辞任につき、そ  の補欠として岡田春夫君及び西村榮一君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五三号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山田太郎君。
  3. 山田太郎

    山田(太)委員 定員法の細部に入ります前に、きょうは本会議がありますので、時間が非常に短い予定でございます、そこで、大切な問題でございますから、まず裁判所人事のことについてお伺いいたしたいと思います。  三権分立のもとにおいて、現在立法府行政府においては汚職事件が多発しておりまして、国民信頼をやや失いかけてきている、そういう憂いがありますが、その中にあって、司法権信頼は現在国民の中で絶大なものがあります。その意味においても裁判官人事の問題はゆるがせにできない大切なことだと存じますので、最初人事のことについてお伺いしたいと思います。調査官とか裁判官判事転任あるいは昇給昇任、すなわち地位の変動等について、どのようにやっていらっしゃるか、それをまず御説明願いたいと思います。
  4. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいま山田委員からお話のございました裁判所人事の問題でございますが、これはきわめて重要な問題でございますので、実は山田委員から内々その問題についてお話があるということを伺いまして、ぜひとも所管人事局長出席いたしまして、親しく申し上げるというふうにいろいろ手配いたしたわけでございますが、本日よんどころない差しつかえで出られません。私、大体承知をいたしておりますので、課長も参っておりますから、その補佐を受けまして御説明申し上げさせていただきたいと存じます。不行き届きの点は御容赦願いたいと存じます。  そこで、裁判所人事でございますが、いまお話のございました裁判官人事に関しましては、これはほとんど大部分最高裁判所裁判官会議で行なわれておる、かように承知いたしております。若干高等裁判所の中で異動しますような場合に、高等裁判所で案を立てまして最高裁判所のほうでやるということもあるように聞いておりますが、まず実際上問題になりますようなものはすべて最高裁判所がやっておる。そしてそれは裁判官全員合議体である裁判官会議できめられておる、かように承知しております。  それからその他の職員の場合につきましては、これはそれぞれのランクに応じまして、最高裁判所みずからやっておるものもございますし、比較的俸給等の低い職員の場合には、高等裁判所なり地方裁判所でやるような手配になっておるものもあるわけでございます。大体さような現状でございます。
  5. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、最高裁判所裁判官会議決定するというお話でございますが、それに至るまでの経緯といいますか、それはどのような経緯を経て最高裁判所裁判官会議にかけるか、あるいは一部高等裁判所でやるというお話でございますが、それもどのような経緯を経て行なわれておるか、それをもっと明確に教えていただきたいと思います。
  6. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 通常の場合、最高裁判所裁判官会議決定いたしますにつきまして、事務当局のほうで案をつくることが多いようでございます。ただ、これも全然案をつくらずに裁判官会議でおやりになる場合もあるように伺っておりますが、多くの場合は事務当局のほうで案をつくるように聞いております。ただ、この案と申しましてもいろいろございますが、昇給等の問題につきましては、その名簿をつくるように聞いておりますし、それからたとえば特定のポスト、たとえば地方裁判所所長であるというような場合には、それの候補者数人を出して裁判官会議で御決定いただくということが多いようでございます。もっとも、その出しました候補者全部について考え直せということで、あらためて候補者を出し直すこともあるとも聞いておりますが、この辺のところは、私どもがさように承知いたしておるという程度に御了解いただきたいのございます。
  7. 山田太郎

    山田(太)委員 人事課長は見えていますか。
  8. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 私どものほうの編成といたしましては、人事局が局でございまして、そこの筆頭課長給与課長でございますので、本日人事局給与課長出席をさせておるのでありますが、ただ、これは担当としては主として給与問題の所管課長でございます。お尋ねによりましては、私の承知しておる範囲で申し上げますし、また課長によく意見を聞きまして御説明申し上げたいと思います。
  9. 山田太郎

    山田(太)委員 では、先ほど事務当局において提出するという御答弁でございましたが、その事務当局という構成、あるいは事務当局においてその名簿を作成するというのは、どのようにして作成されているか、それを答弁していただきたいと思います。
  10. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 御承知のとおり、最高裁判所には事務総長というものがおります。これが事務総局のいわば筆頭の者でございます。それから事務次長というポストがございますが、これは必ずしも常設ではございませんが、多くの場合には事務次長というものがおるわけでございます。その下に各局が教個あるわけでございますが、その中に人事局というのがあるわけでございます。そうしてそこに人事局長というものがおるわけでございます。そこで、先ほど申し上げました裁制官会議で御決定いただく場合の問題でございますが、そのいろいろ一応の案をつくるというようなときには、事務総長事務次長人事局長との相談で大体一応の案をつくるように聞いております。そうして裁判官会議にかけるわけでございますが、この裁判官会議には、通常議題討議いたします場合には、各局長が大体原則として出席いたしまして、そうして所管事務について裁判官お尋ねがあれば御説明する、こういう仕組みでございますが、人事問題の議論のときだけは別でございます。人事局関係でも、たとえば一般の給与制度の問題を議論する、こういったときには各局長が列席するわけでございますが、具体的な人事討議いたします場合には、各局長は退席するわけでございます。そうして総長次長人事局長のみが、事務当局としてはそこに残るわけでございます。なお、それに記録係として秘書課長が列席いたします。裁判官十五人のほかはその四人、次長が欠の場合は三人でございます。それだけの者がそこに残るわけでございます。したがいまして、私の申し上げますことも、それからここに給与課長おりますが、給与課長自身もその席には連なったことはないわけでございまして、私ども総長なり人事局長からいろいろな形で聞いておりますことで御説明を申し上げておるわけでございますが、そういうふうにしてできました案を裁判官会議にかけまして、そこで活発な御討議がある、かように伺っております。
  11. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで私が先ほどお伺いしたのは、事務総長人事局長と、あるいは事務次長をまじえて最高裁判所裁判官会議にかけるまでの討議をする、それはいま御答弁のとおりでございますが、その前に、その三者——記録係は別といたしまして、その三者の会議の席に出される、それはどこで出されておりますか。
  12. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これは私全般的に詳細には存じておりませんので、もし間違っておりましたらあとの機会に人事局長から訂正させてもらいたいと思うわけでございますが、高裁のほうからいろいろの案が出てまいって、その高裁の案を基本にしてそういう原案ができる場合もあるように聞いておりますし、それから最高裁事務当局のほうでいわば自主的に案ができる場合もある、かように聞いておるわけでございます。いろいろそのランクその他によりましては、むしろ高裁のほうの上申をいわばそのまま承認するというような形のものもあるように聞いておるわけでございますが、高級のほうになりますれば、自然に最高裁で、この裁判官会議あたりでおきめになることになりますので、原案裁判官会議準備機関たる事務局のほうでつくる公算が高くなる、かように一般的には承知いたしておるわけであります。
  13. 山田太郎

    山田(太)委員 法務大臣がお見えになりましたのですが、前もって裁判所方々が見えたものですから、順序を変更しまして裁判所のほうに先にお尋ねいたしておりますから、御了承してください。  そこで、もう一歩具体的に教えていただきたいことが、こっちに入ってこないわけです。なぜここまで申し上げますかと申しますと、最初に申し上げましたように、何といってもいまの司法権への国民信頼というものは、現状の日本においてはくずすことができない。雑誌等においては汚職天国といわれるような、そのようないまの公務員の汚職だとか——これは国会議員までも含めて、そのような現実の状態である。立法府とまた行政府、その中にあって司法権への国民信頼というものは、これは繰り返して申し上げますが、一番大切な現状でございます。そこでしつこくお伺いするわけでございますけれども、先ほど御答弁のあった高裁においてきめられる場合においても、その高裁常置委員会といいますか、そういう制度もあると聞いておりますが、そこへ出されるまで、あるいは高裁において一部の人によって会議されるという場合、裁判官昇任、あるいは転任、あるいは裁判長の推薦なり、裁判長の選任なり、それは高裁において、もっと詳しく、高裁あるいは最高裁において——最高裁のは大体わかりますが、高裁においてどのようにして決定されておるか、そのきめる資料ですね、それはどこから出ているのか、それが一番ポイントだと思うわけです。まず最初の一番のポイントである……。
  14. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 裁判官の現在の人事でございますが、実は裁判官人事と申しましても、まずその給与の問題は、これはもう大部分がいわば年功序列的になっておるわけでございます。上のほうにまいりますと若干の抜てき等もあるようでございますし、むろん病気欠勤者等あと回しになるわけでございますが、少なくとも判事補から判事になりますような段階では、大部分が何年たてば何号になるということでなってまいるわけでございますので、その点の原案ということについて、おそらくほとんど問題になる余地はないと私どもは理解しております。外部からもそういう点についていろいろの批判を聞いたこともございません。  いまお話しの裁判長という問題でございますが、裁判長というものも、現在の制度では総括裁判官と俗称いたしておりますが、つまり部事務総括する、つまり裁判所に部というものがございます。この部というのは東京地方なんかの場合でございますと、おそらく六、七十もあったと思いますが、そのくらい部がたくさんあるわけでございます。その部に一人ずつ総括裁判官がいるわけでございます。これを部長と申しますが、部長という名前は俗称でございまして、部内では総括裁判官と申しております。その総括裁判官というものも六、七十名おるわけでございます。それをきめますのは、最高裁判所がその当該、たとえば東京地方の場合なら東京地方意見を聞いてきめるわけでございます。所長のほうからその意見を出してまいるわけでございます。その場合に、たとえば東京地方なり東京高裁でどういうふうに意見をきめるかというのは、これはおのずから大きな裁判所と小さな裁判所では多少は違うようでございます。小さな裁判所でございますと、もう所長が実際によくわかっておりますし、したがって、従来の総括裁判官意見等も聞いてきめるというふうなことで自然に片づくわけでございます。大きな裁判所のような場合には、たとえば常置委員会にはかりますとか、あるいは裁判長、いわゆる総括裁判官で構成しております一つ委員会と申しますか、そういう会議意見を聞くなり、そういうふうな形で聞いてなってまいる。しかし、これもそういうことがいいことかどうかわかまりせんが、実際問題としてはほとんど先輩からなる場合が多いわけで、そこに人事上問題が生ずるということは、少なくとも総括については絶対とはいえないかもしれませんが、あまりないのでございます。あるいは先ほど来いろいろお話のあります問題で、たとえば部外であるとすれば、所長を選任する場合にどういう順序でするかというような点が、ときおりいろいろな声を、部外から批判めいた声を聞くことがないでもありません。それについても、私ども十分な御説明の材料があるわけでございますが、そういう点でございまして、おそらく総括裁判官、いわゆる部長以下の人事でそう問題になるところはないのではないかと一応考えておるわけでございます。
  15. 山田太郎

    山田(太)委員 私が友人あるいは知人の弁護士の方々から聞いたところによりますと、これは事実かどうであるかということはまずおいていただくとして、そこに裁判官学閥といいますか、あるいは人脈といいますか、そのような弊害が絶無とは言えない。あるいはそのような弊害がわりあいと多いということさえも聞いております。これは読み上げると時間がかかりますから読み上げませんが、不幸にも一部の人によって——先ほど御答弁のありましたように、最高裁においては事務総長事務次長人事局長、ほかの局長は追い出される。まずそこにおいても、すでにわずか三名によって最終決定がなされるという。これはどう答弁されてみても、形はそういう形になっております。そこにまず弊害の一番上の弊害があります。それからそこに行くまでに、下部から推薦されていった名簿がだんだんと消えていってしまう。そういうことも、読みませんけれども、ちゃんと書いてあります。その問題はどうですか。
  16. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 私の説明が行き届きませんために、たいへん誤解を山田委員に生じさせたような印象を受けるわけで、これはまことに申しわけないのでございますが、先ほど、三人以外は退席すると言いましたが、それは事務当局の人間は、三人以外は廊下に退席する。そこには中心になる十五人の裁判官がおられるわけでございます。そこでは本来は十五人だけでおやりになればいいわけでございます、ただしかしながら、十五人だけでおやりになるといっても、一体これと同じくらいの年輩の者がほかにおるかどうかという御質問があったときに、事務当局が一人もいなくてはわかりませんから、やはり専務総長人事局長等が、同期にはこういう人もおりますという資料を出さなければならない。あるいはこれよりもっと先輩には適格者はいないか、先輩は一人もいないのかというお尋ねを受けたときに、いやこういう先輩もあります。ただしこの人は病気ですからだめですというような、そういう資料を出すために、人事局長事務総長がおるわけでございます。あくまでも決定は十五人の裁判官でやっておるわけでございまして、十五人の裁判官にもし偏見があれば、これは裁判所人事がうまくいかないということになるわけであります。  ちょっと学閥というお話が出ましたので、つけ加えさしていただきたいわけですが、確かに戦前にはそういうことがあったようにも聞いております。戦後においても、そういう点について批判を受けないわけではございません。しかしながら、現在の最高裁判所裁判官十五人は、決していわゆる国立大学出身者ばかりでないのみならず、比例からいってもおそらくそうはなっていないと思います。国立大学私立大学といろいろまじっておる。私立大学もいろいろな大学がまじっておる。そういう状況でございますから、その十五人の裁判官会議が最終的な決定権をお持ちになるわけでありますから、学閥ということがないはずのものでございます。そういう批判を受ける点については、われわれも反省しなければならないわけでございますが、実情はそういうことでございます。
  17. 山田太郎

    山田(太)委員 では、一応これを読み上げましょう。「人事問題ですが、甲という裁判官を、地方裁判所長に出そうとか、乙判事の階級を相当上にしようという重要な場合は、常置委員会極秘候補をきめ、これを最高裁上申するのです。しかし裁判長にするというような場合は、高裁会議だけでできたように覚えています。そして長官に接続する事務局長の金庫に各判事の詳しい身上資料が保存してあり、それの記載は常に添加され、民刑各一人の代行判事事務局長長官以外は、誰にも見せないように極秘として取扱われていた。そういう資料常置委員中の上級者は、各判事人柄、能力などを知悉しているので、人事をきめる場合は大体において大過なくいっていたと信じています。」しかし、全くあやまちがなかったとは言えないということを言っております。ぼくが申し上げたいのは、ここでわずかな人たちによって——いいですか、常置委員会にかける場合とかけない場合とがあるわけですね。この常置委員会にかけない場合は、わずかな人たち会議で行なわれている。しかもそれは極秘扱いになっておる。まず問題点は、なぜ極秘にしなければいけないのか、われわれにもそれを見せることができるのかどうかという問題点と、弊害が全くないと言明できるならば、だれに見せてもいいものなのかどうか。もう一つは、なぜこのような少数会議できめなければいけないのか。少数会議できめたなら——ここでは四人になっております。ということになると、その中の、四人なら四人の中の一人にきらわれておったならば、これは公平な判断ができるはずはないということはおわかりでしょう。あるいは二人にきらわれておったりしたならば、これは断定的と言っていいほど、その上申された人はオミットされてしまいます。これは常識的に判断してもわかると思います。ここに一番の弊害が起きる根源があるということは、だれの目から見ても、だれが考えてもわかることだと私は思うのですが、どうですか。
  18. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 あるいは御質問中心を十分理解せずにお答えすることになるかもしれませんが、あとで御指摘いただきたいと思うのですが、私の伺いました範囲では、高裁総括裁判官、すなわち裁判長をきめるときには、これは最高裁ではなくて高裁できめられる。それは場合によると大ぜいできめるが、場合によると三人くらいできめることもある、こういうふうに伺ったわけであります。あるいはこれは間違っておるかもしれませんが、日弁連の機関誌の「自由と正義」にそういうことが出ておったのを、私もちらっと見たことがあるような気がするわけでございますが、そうであるといたしますれば、そのとき御出席の元裁判官の方は、いずれも最高裁の御経験の方で、高裁についてはあまり御経験のなかった方かと思いますが、高等裁判所総括裁判官をきめるのは最高裁判所であることははっきり出ているわけでございまして、下級裁判所事務処理規則の第四条第五項に「最高裁判所が、当該高等裁判所長官又は当該地方裁判所若しくは家庭裁判所所長意見を聞いて、指名した者とする。」そういうことで、意見は聞きますけれども、あくまで決定権最高裁判所にあるということは、規則の上ではっきりしております。また、これはそのとおりやっております。そうしてこれは実は官報に掲載されております。毎年一回ずつ変えるわけでございまして、毎年一月初めの官報をごらんいただきますと、ずらりと並ぶわけでございます。ただ、その意見を述べる手続で、あるいは場合によると大ぜいの意見を聞かずにお出しになる長官なり所長もあるかもしれません。その場合に、いまお話のようなことが絶無かということになりますと、これは最高裁判所十分審査はいたしますけれども高等裁判所から出てきたものはある程度尊重するという過程において、ミスなしとは言い切れないわけでございます。しかしながら、そうは言いましても、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、裁判所では、大体総括というのは年功序列でいっているわけでございます。これがよくないという意見がないではありませんが、実情はそういうことでございます。なかなか総括になれないということがあるのかどうか、この点はもう少し具体的な問題になると思いますが、私ども承知いたしております範囲では、大体順序になってまいる。しかし決定権最高裁判所にあることは明瞭であり、いろいろの手続をやらないということはあり得ないわけであります。
  19. 山田太郎

    山田(太)委員 ミスがないとは言い切れないということばじりをつかまえるわけではありません。しかし、現実においてミスがあるということは、これは名前は申し上げませんけれども、事実ございます。これはここに原因がある。先ほど局長さんの御答弁にありましたように、わずかの人数できめる場合があると思います。この弊害は取り除かなければ、有能な人が、力のある人が、しかもりっぱな人か——ただ年功序列だけによって昇進していくということは、これは大きな弊害を伴う問題であると同時に、わずかの人によってきめられることによって、先ほど申し上げたように、一人に握られておったならば、そこにもう不公平が生じてくる。どうです。
  20. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 繰り返して申し上げましたように、最終的な決定権はあくまで最高裁判所にあるわけでございます。高等裁判所は単に意見を述べるだけでございまして、それを改めました例もあるように聞いております。したがいまして、最高裁判所裁判官会議がしっかりしております限りは、かりに高等裁判所上申が多少不正確でも、最終的には正しい結論が得られる。こういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 山田太郎

    山田(太)委員 そこまでおっしゃいますならば、そういうことは絶対に絶無だと言い切れますでしょうか。
  22. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これは私、当初申し上げましたように、所管でもございませんし、それにまた、何が正しく何が正しくないかということは、非常にデリケートな問題であろうと思います。総括裁判官にどの人が最も適するかということは、非常に判断余地のある問題で、これを総括裁判官にしたところが、絶対に間違いであったということになるのかどうか、その辺は非常にデリケートな問題ではないかと考えるわけでございますが、しかしまた、御指摘によりまして十分これを注意いたしまして、今後とも適正な運用をするようにはやってまいりたい、かように考えます。
  23. 山田太郎

    山田(太)委員 時間がありませんから、こちらのほうから言いますけれども、あやまちもなく、しかも人柄もりっぱであり、しかも有能であると衆目の見るところの人も、中には昇進がおくれているという人も間々見受けられるわけでございます。その原因を尋ねてみると、やはりそこの人事における弊害が認められるわけです。これは詳しくはここでは申し上げませんが、これは事実あります。この点についての注意をしていただきたいということを要望しておきましょう。  もう一つ最後に、初めにお聞きしましたこの極秘であるということ、極秘、これは事実ですか、どうでしょうか。明瞭に……。
  24. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 極秘と申しますのは、どういうことでございましょうか。
  25. 山田太郎

    山田(太)委員 それがわからないから聞いているのです。
  26. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 それはつまりそういう人選をします手続の過程で作成される文書が、極秘かということでございますか。——それはおそらく簡単なメモ的なものではないかと、私思うわけでございますが……。つまり要するに名前を出しまして、そのどれが最高で選ばれるかということでございます。それから高裁から最高への上申書類というのは、これはそのつど、つまり毎年毎年出すわけでございますけれども極秘ということですか、どうですか、ちょっと私検討いたしませんと——普通の行政文書でございます。人事関係の行政文書ということになっております。
  27. 山田太郎

    山田(太)委員 私のことばが足らなかったと思いますが、これはメモ程度のものではないと聞いております。局長さん、御存じないかもしれませんから……。  ただ、もう一つお伺いしたいことは、このようなものを、人事をきめるその資料といいますか、それはだれにでもとはいかないかもしれませんが、私どもにも見せることができるものでしょうか、どうでしょうか。
  28. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 私が先ほどメモと申しましましたのは、つまり事務当局でたとえば数名の候補者の案をつくりまして、裁判官会議にかける。これがおそらくメモ程度のものであろうということを申し上げたと思うのでございます。人事関係資料ということになりますれば、これは私どもがいわゆる司法修習生になり、判事補になりましてから、何年何月どこに転任になって、どういうふうに昇給し、あるいは家族がどうなっておる、健康がどうで、というふうな非常に詳しい資料はあると思います。これは人事関係書類でございますから、一般には公開しないものというふうに理解いたしております。
  29. 山田太郎

    山田(太)委員 私どもが見せていただきたいという場合には、見せていただけるものでしょうか、どうでしょうかということをお伺いしたわけです。
  30. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 その点は人事局長に尋ねてお答えしたほうがいいかと思いますが、私は人事秘密書類ではないかと思いますので、議員の方々にもお見せしないのがたてまえではないかと思いますが、その点はもう少し研究させていただきたいと思います。
  31. 山田太郎

    山田(太)委員 その点は、きょうはそこでおいておきましょう。また次の機会にするといたしまして、じゃもう一点お伺いいたしますが、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の参考資料七ページです。ここに秘書官の高等裁判所における定員八と書いてあります。この秘書官というのは何をやるのです、仕事の内容はどのようなことをやるのですか。寡聞にして、しろうとのようなことを聞いて恐縮でございますが……。
  32. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ちょっと先ほどの一言だけ補足させていただきますが、先ほど私がいろいろな書類と申したのは、いわば世間でいう履歴書、そういうことを申し上げたのでありますから、御了解いただきたいと思います。  それからいまの秘書官の問題でございますが、これは裁判所法の五十四条というものに規定がございまして、「最高裁判所最高裁判所長官秘書官一人及び最高裁判所判事秘書官十四人を置く。」それからなお、高等裁判所長官の秘書官につきましては、五十六条の七というところに規定がございます、その高等裁判所長官の秘書官は「高等裁判所長官の命を受けて、機密に関する事務を掌る。」かようなことになっておるわけであります。
  33. 山田太郎

    山田(太)委員 これが欠員になっております。見ていただけばわかりますが、欠員になっております。いまの御説明で納得をして次を聞いているわけではないのですが、急ぎますから……。この欠員はいつごろからずっと欠員になっておりますか。
  34. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 最高裁判所裁判官の秘書官はずっと埋まっておりますが、高等裁判所長官の秘書官は、これは当初からずっと欠員でございます。
  35. 山田太郎

    山田(太)委員 当初からずっと欠員だということは、必要がないということと同じではないでしょうか。 寺田最高裁判所長官代理者 いまの山田委員お話、まことにごもっともなとろで、私どもとしても絶えずこの定員の処置について検討は続けておるわけでございますが、なぜそれではいままで埋めなかったかというと、実はいろいろ事情がございまして、長官秘書官というものは特別職になっておるわけでございます。そしてまた、事柄の性質上、いわば個人的な信頼関係に立つ人を選ぶのが通常であろうと思います。こうなりますると、高等裁判所長官の秘書官がたまたま現在の場合は非常に短いわけでございますから、そうすると秘書官になっても、いわばすぐに首になってしまうというような関係がございまして、なかなか実際にその人も得られないという面が一つございます。しかし、その仕事は秘書係のほうで便宜やっているというのが実情でございます。  それから、そういうことならば今後とも不要ではないかというお話も、まことにごもっともなお話でございますが、ただ、これはいわば現在の高裁長官は部内のいわゆるキャリアのある判事がなっておりますので、適不適が少ないわけでございますが、いわゆる臨司等の意見もありますように、弁護士等からおいでになった場合には、これはまたいろいろ連絡の関係等で専属の秘書官をおつけすることが非常に仕事をおやりになるのにぐあいがいいのではないか、つまり法曹一元と申しますかそういう形で高等裁判所に出てまいった場合には、ぐあいがいいのではないかという関係もありまして、そういういろいいな点からお尋ねのような状況が続いておるというのが実情でございます。
  36. 山田太郎

    山田(太)委員 ベルが鳴りましたが、法務大臣せっかくお見えくださいましたので、法務大臣に最後に御答弁願いたいと思います。ほかの政府委員の方には、せっかく来ていただいてお聞きする用意もまだまだたくさんあるのですが、時間の関係上、きょうは御了承を願いたいと思います。  そこで法務大臣は、今国会においての所信表明の中で、「綱紀の粛正についてであります。この点は、私が就任にあたりまして当委員会で申し述べたところでありますが、国政に携わる者の綱紀の弛緩は、国政に対する国民信頼を失わせ、民主政治の基盤を危うくするものと考えます。私は最近の情勢にかんがみ、このような立場から、公務員の汚職事犯につきましては、特に厳正な態度をもって臨みたいと考えておる次第でございます。」このように表明はされておりますが、どのような具体的な方策を講じて——ただ一片の表明で綱紀粛正ができるならば、汚職事件が少なくなるならば、何も憂える心配はないでございましょうが、ただ、この表明だけで、あるいは通牒だけで、これが少なくなったり、あるいは絶滅することができる、そのようなことはとうてい考えられないわけです。具体的な施策として、法務大臣としてどのようなお考えを持っていらっしゃるか。具体的な施策について御答弁願いたいと思います。
  37. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 佐藤内閣は、清らかな政治をやるということをモットーにいたしておりまして、ただいまお読みになりましたように、私は、綱紀の粛正ということについては最も力を入れてやっていきたい、かように考えておりまして、機会あるごとにこの綱紀粛正の必要を述べておるのであります。先般も、次席検事の会同がありまして、厳重にこの綱紀粛正に関する件につきましては訓示をいたしました。なおまた、総理府の田中総務長官、官房長官等とも話し合いまして、通牒も出し、あらゆる機会をとらえて綱紀の粛正の徹底をはかっていこうということに努力しておる次第であります。ただ一片の通牒とか、そういうもので綱紀の粛正ができるとは考えておりませんが、全力をあげて、あらゆる機会をとらえて、公務員の綱紀の粛正、特に上に立つ者が綱紀の粛正ということに努力をしてもらいたいということを私は念願をいたしております。これが見られなければ、国民の政府に対する信頼、あるいは司法に対する信頼等もなくなりますので、民主主義の根幹をなすものはこの綱紀の粛正にありと私は信じておりますので、今後もあらゆる努力をいたして綱紀の維持ということに邁進していきたいと、私は念願をいたしております。
  38. 山田太郎

    山田(太)委員 法務大臣の先ほどのお答えの中には、どのような具体策をということはちょっと感じられなかったわけでございますが、時間の関係上先に進めますが、上に立つ者がきれいでなければいけない。佐藤総理も、本会議で、上正しからざれば下濁るというふうな名言も吐いていらっしゃいましたが、このことは決してお忘れなく——次の委員会なりあるいは分科会等々において、また、汚職等の問題について、法務大臣あるいは刑事局長さんにもお伺いしたいと思いますが、きょうは、時間の関係で、これで質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  39. 永田亮一

    永田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四分散会