○猪俣
委員 もう一、二点
お尋ねいたします。やはり
裁判のスピード化と
関係があるのですが、これは
裁判官会議でもひとつあなたから問題点として出していただきたいと思うのですけれ
ども、相当難解な
訴訟事件については、なるべく
判事を更迭したくないわけです。さらばというて、一生その場所にくぎづけもできませんけれ
ども、同じ東京都内、たとえば
地方裁判所から
高等裁判所にお移りになったような場合においては、やはり難解な大きな
事件については、同じ東京なんだから、その担当した
事件を終末をつけていただく。実は鹿地亘君の電波法違反
事件を東京
地方裁判所の一審でやりましたが、判決まぎわになって、
判事は
高等裁判所へ転勤させられたのでございます。その
裁判長は、
高等裁判所の
裁判長になりながら、この
事件についてわざわざ
地方裁判所へ出てきて結審をされ、判決をされたのです。私はこれはこういうふうにやっていただくといいと思うのですが、いま、地方ですが、奈良の五条の
裁判所で山林の境界問題で非常にむずかしい
事件がある。この
事件は、証拠調べが終わり、判決まぎわになると
判事が転任する。そうするとまた初めからやって、五人くらいかわっちゃって、とにかくもう五、六年たつけれ
ども、まだらちがあかぬのです。判決がめんどうなものだから、いいかげんになるとすらっとほかへ転勤しちゃう。置きみやげを置いてまた転勤しちゃう。そうすると、また初めからやっておるのですよ。こういうことでは、これはいかに
判事の数をふやしても、
裁判のスピード化にならぬのですね。さればというて、ある
事件のために大阪から東京まで出張してきてかつて東京で取り扱っておった
事件をやるといっても、それは無理だと思うのですけれ
ども、とにかくそれほどの距離でないところにおいては、自分が引き受けた
事件をある
程度結末をつけるというようなことでやっていただかぬと、これは自分自身の
弁護士で取り扱った
事件を基準に言うことは何かちょっとはばかりますけれ
ども、そうしないと具体性が出てこないので……。ある離婚
事件の損害賠償
事件、これは簡単な
事件なんですが、五人ぐらいかわっちゃって、示談をすすめる、示談がうまくいかない、いよいよ結審というときになると
判事がかわるので、もうらちがあかぬのです。これも五、六年ですが、一審でさっぱり進まない。こういうことでなしに、私は、
裁判官はやはり引き受けた
事件についてはできる限りその
事件の結末をつけていただく。また転勤先に大きな
事件をかかえ込んで、あるいは無理かもしれませんが、判決まぎわになってはかわられたのでは、いつまでたっても結末がつかぬという現象を起こしているわけでして、実に
判事の更迭が激し過ぎるのですね。それは、もうちょっと
裁判行政として、
判事というのは、特殊の人が場所が変わらぬでも、たとえばいなかの小さい
裁判所でも、そこにきちっとまじめにつとめた人は、俸給も上がれば出世もさしてやるようにしてやらぬと、いかぬのではないかと私は思うのです。何か出世するにはいいところ、いいところと移っていかぬと出世しないというようなやり方がありますと、やはり
判事といえ
ども人間ですから、いいところに移ってしまう。いなかの
裁判所から東京といえばすぐ飛びついてしまう。どんな
事件もほっぽらかしてきてしまう。そうすると、置きみやげにしてこられたら、もう困っちゃうのですね。また初めからやっておる。これを何とかひとつ、
裁判官会議にでもかけて、根本的な対策を立てていただきたい。
判事が数多くあるならばこういうやりくりまでしないでいいのでしょうけれ
ども、いま限られた
判事で、何としてもスピード化ということが
国民の要望です。いまのような
裁判では、ほとんど
意味がないのです。これも私は体験からきているわけですが、私の子供が自動車でひかれた
事件なんか、十三年かかってしまいました。これではとても救済なんかなりやしません。貨幣価値まで違ってしまいますから、十三年前の十万円といまの十万円じゃ、まるで問題にならない。これは損害賠償になりませんよ。そういうふうな遅延した場合においては、
裁判所で損害賠償していただきたいと私は思うのだ。まるで貨幣価値が変わっちゃうのだ。とにかく、最も
国民の要望するのは
裁判のスピード化ですから、これに対して何らかのくふうを——そのスピート化をはかるのには、人員の
要請もありますが、いま
裁判の継続性といいますか、事実審理の継続性といいますか、そういうことも少し勘案していただいて、そうして
一つの
事件についてはやはり結末をつけるという考え方を
判事さんが持ってもらいたい。これは極端かしらぬが、めんどうな
事件というと逃げる
判事が多いのです。それをまたどんどんと許されて異動をさしておるというようなことでは、これは私はいかぬと思う。根本対策を立てていただきたい。
それで、これは要望として申し上げておきますが、ことに選挙違反
事件です。これは
法律には百日
裁判となっているのだけれ
ども、これは選挙
制度の
委員会には提唱されていることだと思いますけれ
ども、いますぐ御答弁にならぬでも、当
委員会に出していただきたいことは、一体選挙違反
事件はどのくらいかかっているのか。百日というのは
法律の
要請でしょうが、そのとおりにやって判決が出ているのがどのくらいで、平均大体どのくらい選挙違反はかかっているのか。これはもう次の選挙まで
裁判を引っぱっているのだから、何もそれは制裁になりませんわ。そしてまた、
裁判の中途に解散になって、やり直しということになってきている。有名無実みたいになっています。これはまあ
弁護士も悪いわけです。なるべく引っぱって期限一ぱいつとめさせようとする。
裁判所だけ責められない、これは
弁護士も悪いのですが、しかし、
裁判所が職権をもって、百日と
法律に規定があるのですから、もう少しスピード化をはかっていただきたい。これは
実情がどうなっているか、最近の統計を出していただきたい。これは私、
定員法にからみまする要望として申し上げておきます。
時間もまいりましたから、たくさんありますけれ
ども、この
程度で終わりたいと思います。