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山中(吾)
委員 捕捉しがたい部分は号俸の引き上げで、専門性の立場も含んで、
特殊性をもって号俸で待遇改善をし、捕捉できるものは
超過勤務という
制度はやはり残してこの問題は近代的な労働体制の上に立って進んでいくというのが正当ではないのか。そういう考えを持たないから、一方に待遇改善と取引するというかっこうで
超勤否定の論議をして、待遇改善はどこかへ行くえ不明になり、そして
超勤の思想を否定するこういう
法案が出ておる。だから自民党の諸君の論議の中でも、東京から大阪までの切符を買っておいて、途中浜松で下車をして、そして下車した部分だけ出してしまっている。だからその思想論議は別にしても、私はそこに矛盾があると思う。待遇改善という
一つの保障が一方に保証されて、そして捕捉できる部分の
超勤というものは労働
基準法の
制度の上に置いて、初めて正しい
意味の
教育向上のために人権を認めた教師政策になると思う。この点についてもっとじっくりとまじめに論議をして、この
法案を出直すべきだと私は思うのであります。一番問題になった文部省の今村武俊氏自身がやはりこの
法案がどれだけ矛盾であるかということを自分も告白しておる。議員に対して誹謗するようなかっこうでああいうことになっておりますが、日本
教育新聞の記事の中にこういうことが書いてある。これはこのとおりだと思うのですよ。私は結論を申し上げたい。「この
手当ては、端的にいって
正規の
勤務時間をこえる
教員の
勤務に対する報酬である。
正規の
勤務時間をこえて
勤務を命ぜられた場合、一時間当たりいくらの計算で
超過勤務手当が支給されることは、
現行法の定めるところであり、
教員もその例外ではない。ただ、
教員には、
超過勤務を命じないという指導方針がとられており、
超過勤務手当の財源
措置をしてこなかっただけのことである。」、これは、いままで私たちが中村
文部大臣のときから言ってきたとおり、これは正直です。そうしてだんだんと論議をしているうちに、「けれども、
教員の
超過勤務について、一時間当たりいくらの計算で金を払うことは、教職者を遇する方法として適当でないという自民党文教部会の強い意見があり、本俸の一号引き上げで処遇したらどうかとの案もしめされた。しかし、本俸は、
正規の
勤務時間による
勤務にたいする報酬であるという定義があり、したがって、その引き上げが、
正規の
勤務時間外の
勤務にたいする報酬の支給についての解決策となり得ないばかりか、本俸の引き上げは人事院勧告の中核をなすものであり、人事院の勧告を待たずに
政府が一方的に
給与を決定することは公務員の労使
関係の基本に変動をもたらすものであるという反論があり、本俸引き上げ案を
政府の施策とすることは不可能であった。」「以上のようなことで教職特別
手当の支給問題は、「泰山鳴動、ねずみ一匹」の結果となってしまった。」と書いてある。いみじくも今村氏は、泰山鳴動ねずみ一匹
法案という命名をしているんだ。泰山鳴動というのは、いま言ったように二号俸引き上げ、一号俸引き上げという美名を中心に論議をしておって、泰山は鳴動したが、結論は、いわゆる
超過勤務という思想を否定するような否定しないような、ちょっぴり四%のネズミ一匹だという。このネズミ一匹というものは一体将来どうなるのか、恐竜になるか何になるか不明であるというふうなことを書いておる。私は、今村氏はなかなか頭がよくて、苦しまぎれに、いわゆる政党といままでの文部省の方針の中に入って苦心に苦心をして、そうして
国会の
審議を軽べつするようなことを一方言って責任を追及され、一方にまた、この
法案をネズミ一匹で困ったものだと、これは日本
教育新聞に書いてある。それほど行政官が、わけのわからぬ中に苦心をし、苦労し、一人の犠牲者が出ておる。こういう中でこの
法案の矛盾というものが明確に出ておると私は思う。この
法案はいさぎよく一応もとへ戻して、出発点で論議をするのは、われわれも賛成しましょう。それでこの
法案を一ぺんもとへ戻して、同時に今村氏も考え直してやったらどうです、かわいそうじゃないですか。
そこで私は申し上げたいと思いますが、夜おそくまでこうして大の男が論議する資格のある
法案ではない、値打ちのある
法案ではない。手続上からいっても、
国会に対して裏切り行為的なものがある。先ほど申し上げたことを繰り返して申し上げますが、同時に私は、ここまで政党が、
法案が
提案されるまでに深入りをすることはよろしくないのだ、これは改めてもらいたい。そうでないと、
政府の
法律提案権というものはないのだ、もしこれをやるなら議員立法ですべきである。
さらに、先ほど申し上げましたが、立法論上、これは労働大臣に私の質問の答えからも一応聞いておきたいと思いますが、現在の
憲法と労働
基準法の体制からいって、この
法案というのは違憲性が内在しておる。私は顕在とは言わない、内在しておるということだけは明確に指摘できるのじゃないか。予算
委員会の分科会において私があなたに質問をしたのを覚えておられると思いますが、労働
基準法は
憲法第二十七条に基づいた労働条件の基本法だと私は思うのですが、その点はいかがですかと分科会で私が質問したのに対して、小川国務大臣は、御指摘のありましたとおりでございますと答えている。間違いないでしょう。