○
平塚参考人 平塚でございます。
この
法案についてのことは、 いままで三人の方々からいろいろお話がありましたので、私は、現在都立品川ろう
学校に
勤務して三歳児、一番小さな幼稚部の子供たちを受け持っておりますそういう
立場、それから
教職に約二十年近くおりますので、いままでの経験を通して、この問題について
皆さん方の何か
参考になればと思って申し上げたいと思うわけです。
いまお話しありましたように、
教育という
仕事は事務系のお
仕事と違って、きょうここまでやったという
——もちろんプロセスによってやっていくわけですけれども、子供の
実態とかそういうものから、きょうここまでやったということをはかりにかけていえるものではないと思うのです。そういう
教育の
特殊性ということは
皆さん方もよく
御存じだと思います。そういう点から、もしもそのクラスがどうしても成績があがらないということになると、
責任上やはりその
先生は、
超過勤務とかなんとかそういうことでなくして、実際にその子供の成績をあげるために、ちょっといえば二十四時間
勤務と言いたいくらいにやっちゃうわけです。夢にまで子供のことを思ったり
考えたりということがあるわけです。そういうことから
考えてきますと、いまもお話しありましたように、
超過勤務が何時間、そういうことはいえないと思うのです。それぞれのその
先生の熱意とかそういうものによると思いますが、時間はきめられない。そういう点から
考えると、私は、それを
法律化して、そしてそれである程度職員の何かプラスになるというようなことばたいへん疑問点が多いわけです。
そして、現在私どもの職場でも校務分掌あるいは
研究分掌というものがあるわけです。たとえば私もあまり数に強いほうでないので、給食のカロリー計算の係を年間担当してやれといわれたときに、家にまで持ち込む、あるいは手伝ってもらってということで、もちろん給食の部門ですから、子供の
教育に大いに
関係があるのですけれども、実際
教育上の問題ではなくて、
先生のいわゆるオーバーワークといいますか、そういう点が最近すごく多くなってきたわけです。ある
教員が、ワークブックを市販のものを使わないで、その受け持ちの子供に適したプリントをしていた。そのために、ある
学校の
校長のほうから出せといわれていた書類がおくれてしまったわけです。そのことでたいへん
校長から叱責を買ったというような矛盾点が出てくるわけです。
ほんとうに子供と実際につき合うことが少なくなって、
先生が事務上の
仕事を多くする、そしてそれをわが家まで持ち込む、そういう時間外の
仕事が最近ふえてきた。そういう点ももう少し
改善して、
教師というものはある程度子供と取っ組んでいく、そして将来
日本の国を背負う次代の子供たちを成長させていく、そういう
教育というものにもっともっと私たちは時間がほしい。これじゃもう事務屋なんだか
教育者なんだかわからない、そういうような、私たちの実際の声があります。
それから週間のスケジュールを見ましても、ほんとうに教材の
研究、そのクラスの子供たちのために、教材
研究をするという時間が少なくて、各会合
——職員
会議とかそういうものは子供たちのために実際になっていくわけですけれども、だんだん長年つとめておりますと、いろいろな校務分掌とか
研究分掌が中心になる。そうすると、そのためにどうしても子供をある程度
犠牲にして書類を書いたりというような
仕事があるわけです。
そういういろいろな
実態から、要は私どもの
仕事というものは、時間できちっとはかり得ないものがあるのだということを知っていただきたい。
現行の
給与制度は、ある程度学歴とか経験年数とか、そういうことできめられているわけですけれども、やはりもう少し
教員自身の
研修、質の向上、こういう発展している社会にあって、新しい感覚を子供に与えていくというために、もう少し私どもは
研修の時間がほしい。そのこともやはり交通費の予算だとか、それからやはり子供を捨てておいて
研究会へ出ていかなくちゃならないとか、そういうことで出たくても出られないということもございます。そういうことから、もう少し
教員自身の質の向上がはかれる、そしてそれによっての
給与が与えられる、ほんとにいい
先生が子供たちの前にあらわれる、そういうようなシステムにしていただくために、もつと現在の
教員の
給与を上げていただいて、そしてそのことによって若い有能な
先生、それから経験豊かな
先生が新しい
教育学を勉強して、そして子供の前に新鮮な姿であらわれてくる。もう少しそういう時間的な余裕といいますか、それから
給与の上での
改善、そういうことを、特にこういう文教
委員の
先生方に、もっともっと実際を知っていただいて、そして安心して
教員が子供たちと取っ組める、そういう姿にしていただきたいということを、ちょっとこの
法案や何かとははずれるかもわかりませんけれども、
現場の声としてそういうことをお願いしたいと思うわけです。
以上、ちょっとまとまりがつかなくなりましたけれども、私の気持ちの一端を申し上げました。
(
拍手)