○天城
政府委員 ただいまの御
質問、
教員の
給与の沿革的な事情並びにこれに伴います
教員の
勤務態様についてのたいへん広範な基本的な御
質問でございます。
沿革的に申しますと、御案内のように
昭和二十三年の十五級制の切りかえのときに、一般の行政
職員よりも一割程度増額して
給与が切りかえられたことは事実でございますし、その当時も一般の
公務員よりも高くしたことと関連いたしまして、原則といたしまして
超過勤務を命じないという
指導方針並びに
勤務時間の
管理につきましては、いわゆる変形八時間制の活用等の
指導をしてまいったわけでございます。しかるに
給与制度はその後幾たびか変遷を遂げておりまして、特に
教員の
職務と
責任の
特殊性に基づいて俸給表が別立てになって以来、
一般職の
職員との
給与水準の比較というものが簡単にまいりませんで、
給与制度の変遷が続いて今日に至っております。
この間も
超過勤務に対する
考え方も分かれてきておったわけでございまして、
現実に一昨年われわれが
調査いたしました
実態におきましては、時間外の
勤務と
考えられる
実態が把握できたわけでございます。そこで、これに対する
措置を
考えなければならぬという段階に至ったわけでございます。そこで、この
教員の
勤務につきましては、御指摘のように
制度上は、
公立学校につきましては
条例で一日八時間、週四十四時間というものが原則として定められております。したがって、
勤務時間が把握できない、あるいはあいまいであるという
考え方は毛頭ございませんで、正規の
勤務時間というのは明らかにされておるわけでございます。ただ、この正規の
勤務時間外の
勤務について、
実態としていろいろ事実が出ておりますけれ
ども、これを一般の行政
職員のように、一時間幾らという時間単位の形でとらえるのには適しない
実態がずいぶんあるんじゃないか。要するに、
勤務の態様からいって時間計測になじまない
実態が
考えられるわけでございます。したがいまして、時間外に対する
措置はいたさなければなりませんけれ
ども、この
措置のしかたは、一般に
考えられている
超過勤務と同じような方法でない方法のほうが
教員の
勤務の態様に即するのだ、こういう
考え方から、このたび新しい手当の創設を
考えたわけでございます。
なお、このことと関連いたしまして、
制度上は正規の
勤務時間、一日八時間一週四十四時間という形が定められておりますが、御指摘の夏休みの話が、常識的には始終出るわけでございます。一がいに夏休みといわれておりますが、これは
制度上は子供の休業日——休業日ということばが
学校教育法系統の
法律で使われておりますが、これは
教育の面から
考えた休業日というのは、子供の
授業が俗にお休みの日をいうわけでございまして、
教員という
公務員の立場から申しますと、これは決して休暇でもなければ休日でもないし、休業日でもない。要するに
勤務日に当たっておるわけでございます。したがいまして、
勤務日であるから
勤務に対応する報酬としての俸給が、たとえば夏休みでも学年末の休みでも支払われているわけでございます。
それでは、俗にいわれる夏休みにおける
教員はどういう
実態なのかということになるわけでございますが、われわれの
調査で見てまいりますと、
学校活動の関係で、最近は夏休みにおきましてもいろいろな
学校の行事がございます。林間あるいは臨海
学校等の
指導もございましたり、あるいは
補習授業を積極的にやるところもございますし、
学校に出てくる日あるいは
学校外で
勤務するという
実態もございます。なお、全体といたしまして
学校の
授業、要するに子供の
授業がない日でございますので、
教員については、いわば自宅における研修という形を認められておりまして、
職務の一環として
勤務するという
考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、形式的に申しますれば、年間の時間
外勤務と、あるいは夏休み等の時間、休業日における
勤務の態様とを相殺できるじゃないかという議論もあろうかと思うのでございますけれ
ども、一応われわれは、
勤務は
勤務、
勤務外の時間は
勤務外の時間という形で
考えていったほうがいいんじゃないか、
現行制度の上で
考えてそういう
措置を
考えたわけでございます。
なお、夏休みの問題というのは、実は
教員の
勤務を
考えます場合に一番基本的な問題でございまして、諸外国においてこれをどう扱っているかということは、われわれも現段階において
検討はいたしておるのでありますが、事情はいろいろ違います。たとえばアメリカの例フランスの例等をいま調べておるわけでございます。アメリカなど州によって異なりますが、アメリカでは一般に
教員の
給与は年俸の形をとっておりますが、通常その年俸の
内容といたしましては、休暇を除いた計算にいたしておるところがございます。一般
教員は九カ月であるとか、あるいは校長は十二カ月だとか、あるいは十カ月だとかいうように、その契約の中身に基づいた俸給の積算をいたしまして、それを年俸として幾らと計算し、支払いは十二カ月に分けて分割支給するというようなやり方をしている例もあります。これはまさに
授業を中心とした
勤務に対する俸給という
考え方で、それ以外の
勤務、
日本における超週
勤務とは違いますが、クラブ活動の
指導員に対しては課外活動の手当を別に出すというような、かなり時間を中心とした
考え方をとっているところもございます。
なお、諸外国の
給与制度につきましては、われわれも今後の課題として詳しく調べたいと思っておりますが、フランスあたりは一般官吏と同じ身分扱いで、特に俸給についても一般
公務員と同じようなやり方をいたしておるようでございます。詳しいことはなおわれわれも
検討した上で、あらためて御
説明申し上げたいと思います。
教員の
勤務時間につきましてはたいへんむずかしい問題がざごいますが、現行法に基づく限りは、一日八時間、週四十四時間の
勤務時間というのは明らかにされておる、時間外の
勤務という
実態も把握できる、ただ、その時間外の
勤務については一時間幾らという時間計測になじまない
実態がある。このように
教員の
勤務時間については把握いたしておるわけでございます。