運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-15 第58回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十五日(月曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 八百板 正君    理事 小笠 公韶君 理事 砂田 重民君    理事 竹内 黎一君 理事 武部  文君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    坂村 吉正君       村山 達雄君    山下 元利君       村山 喜一君    吉田 之久君       有島 重武君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         大蔵政務次官  倉成  正君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         厚生省薬務局長 坂元貞一郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         通商産業省公益         事業局長    井上  亮君         運輸大臣官房長 町田  直君         建設大臣官房長 志村 清一君  委員外出席者         議     員 砂田 重民君         議     員 武部  文君         議     員 和田 耕作君         議     員 有島 重武君         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示課長   伊従  寛君         行政管理庁行政         監察局監察官  鬼塚 金寿君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政課長     岩田 幸基君         文部省初等中等         教育局審議官  佐藤  薫君         文部省初等中等         教育局中学校教         育課長     奥田 真丈君         厚生省公衆衛生         局栄養課長   鴛淵  茂君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 野津  聖君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小高 愛親君         厚生省薬務局薬         事課長     野海 勝視君         厚生省薬務局監         視課長     岡  浩策君         通商産業省企業         局消費経済課長 谷村 昭一君         工業技術院標準         部長      久良知章悟君         中小企業庁指導         部商業第二課長 小津 修二君         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         建設省計画局宅         地部長     播磨 雅雄君         自治省行政局振         興課長     遠藤 文夫君     ――――――――――――― 四月十日  消費者保護基本法案砂田重民君外二十四名提  出、衆法第二一号) 同月八日  物価値上げ反対等に関する請願勝間田清一君  紹介)(第三四五八号)  同(勝間田清一紹介)(第三五一二号)  公共料金値上げ反対等に関する請願田代文  久君紹介)(第三五一一号) 同月十日  公共料金値上げ反対等に関する請願松本善  明君紹介)(第三七五三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  消費者保護基本法案砂田重民君外二十四名提  出、衆法第二一号)      ――――◇―――――
  2. 八百板正

    八百板委員長 これより会議を開きます。  砂田重民君外二十四名提出消費者保護基本法案を議題とし、提出者からの提案説明を聴取することといたします。提出者砂田重民君。
  3. 砂田重民

    砂田議員 趣旨説明を申し上げます前に、お許しをいただきまして、ちょっと一言申し述べておきたいと思いますが、本法案提案をいたしますまで、私ども一緒に本法案の作文に努力をしてこられました同僚の戸叶里子議員が、たいへんな、不幸なアクシデントにあわれまして、重傷を負われて宇都宮で入院をしておられます。今日ここに同席できませんことは、私どもといたしましてもまことに残念なことでございますが、一日も早い御全快をまずお祈りをさせていただきたいと思います。  それでは、消費者保護基本法案につきまして、提案趣旨を御説明申し上げます。  わが国経済は近年、急速な成長を遂げてまいりましたが、反面におきまして消費者利益を侵害する各種の問題が生じてまいりました。すなわち、経済発展究極において健全な国民生活発展目的としていることは言うまでもありませんが、商品役務の一部には、安全、衛生などの面で、国民消費生活危害を及ぼすおそれのあるものも残されている上に、経済発展が、一面において、商品多様化による選択困難化、不当な表示増大等を通じて消費生活の健全な発展を阻害する面も露呈してきたのであります。  アメリカのケネディ大統領が、議会に送った消費者利益保護に関する教書の中で、有名な消費者四つ権利を宣言いたしました。安全である権利、知らされる権利選択できる権利、意思が反映される権利四つがこれであります。消費者がこのような権利を持つことは、わが国においても全く同様でありまして、消費者の購入する商品役務が、社会的基準に照らして正常な品質内容を有し、かつ、安全、衛生などの面で危害をもたらさないようにすること、購入する商品役務価格その他の取引条件が公正かつ自由な競争によって形成されるようにすること、商品役務品質その他の取引条件について必要にして十分な情報が提供されるようにすること、消費者意見が国、地方公共団体並びに事業者に十分反映されるようにすることを確保しなければなりません。  もとより、従来から消費者利益関係のある個別の法律は数多く制定されております。しかし、それらの法律は必ずしも当初から消費者保護目的として制定されたものばかりではありませんし、また、各省庁行政がとかくばらばらに行なわれがちであるという弊がありました。  この際、国民生活優先という姿勢をはっきりと打ち出して、国、地方公共団体消費者行政が統一的効果的に行なわれるようにすることが必要であります。  また、事業者も良質な商品を豊富に供給することがみずからの発展を招来するゆえんであることを自覚しなければなりませんし、消費者自身も必要な知識の吸収につとめ、自主的合理的に行動することが、みずからの利益を守るために必要であることを認識するべきであります。  ここに提案いたします消費者保護基本法案は、消費者利益擁護とその増進に関して国、地方公共団体事業者並び消費者の果たすべき責務役割りを明らかにし、かつ、その施策基本となる事項を示すことによって、消費者権利を守り、消費生活の健全な発展をはかろうとするものであります。  この法案では、国の責務地方公共団体責務事業者責務消費者役割りを示すとともに、危害防止計量適正化規格整備表示適正化、公正自由な競争確保等に関する施策のあるべき姿を示しておりますが、さらに消費者保護会議設置を定めております。  消費者保護会議は、内閣総理大臣を会長とし、関係行政機関の長を委員とするものでありまして、消費者保護に関する基本的な施策に関して審議し、かつ、その実施を推進していく役割りを受け持つものであります。これは、総理みずからが消費者保護を推進する姿勢を示すものであります。  最後に特に申し上げたいことは、この基本法制定によって、消費者問題が解決されるということではなく、基本法制定によって消費者問題はその解決のための出発点にようやく立つことができたという点であります。したがって、こうした意味からもすみやかに現在数多くある消費者保護関係法令について消費者利益擁護するという観点からの再検討が行なわれ、必要な改正や運用の強化がはかられなければなりません。  行政の最終の目的国民生活向上にあり、生産目的消費にあることは、頭で理解できてもこれを行動で示すまでには時間と努力が必要でありましょう。行政に携わるすべての人々にこの考え方が定着して、消費者行政が真に実り始めることをこの基本法は要求しております。  業界経営者が高い識見と企業社会的責任を自覚しておられることをわれわれは確信しております。しかし、ごく一部分の不徳義な企業行動によって、その業界全体の信用が傷つけられ、大きな痛手を受けることも少なくありません。企業が自主的に消費者苦情意向を聞き出す対話の機会を設けて、これを取り入れ、公正な生産販売方法を積極的に開発されることを本基本法は希望しております。  消費者がみずからの生活向上と、経済全体の効率化を促進するため、きびしい選択努力をするという役割りを果たしてくださることをこの基本法は期待しております。  深まった生産消費の間のギャップを埋めて、企業消費者との間にかつてはあった心のつながりを取り返さねばなりません。  御審議の上御賛同くださいますようお願いをいたしまして、提案趣旨説明を終わります。
  4. 八百板正

    八百板委員長 次に補足説明を求めます。提出者武部文君。
  5. 武部文

    武部議員 消費者保護基本法案提案趣旨に関連いたしまして、若干補足して御説明申し上げます。  言うまでもなく、消費者とは、生産者販売者も一面においては消費者でありますから、国民全部をさすわけであります。わが国憲法には、健康で文化的な生活を営むことは国民権利であり、これを確保することは国の責務であることを明示しております。したがって、国のいかなる施策も、究極には、すべての国民一般消費者として充実した消費生活を営むことができるよう、その利益確保を指向するものでなければなりません。  しかしながら、わが国の明治以来の諸施策は、欧米先進国に追いつくために生産力の拡大に最重点が置かれ、生産者及び販売者が手厚く保護されてきましたが、消費者利益確保に関しては著しく配慮を欠くうらみがあったのであります。このため、安全、衛生表示量目等について消費者の不利益や危険が高まり、特に技術革新による商品及び役務多様化高度化、マスメディアの発達や大量生産大量販売方式の進展に伴う販売競争激化等によって、近時その弊害が急増し、これを放置することは許されないほど大きな政策課題となってまいったのであります。  しかも、現段階においては、国民努力によって経済力西欧先進国の一角に到達したのでありますから、消費者利益確保し、その増進をはかるための施策をこれ以上おくらせることはできません。  したがって先般国民生活審議会によってなされた消費者保護組織および消費者教育に関する答申にも明らかなように、もはや、生活経済の犠牲になるのではなく、経済生活に奉仕すべきであるという国民生活優先の原則にのっとって一切の行政運営が行なわれるべきであります。  本法案はこのような考え方から消費者保護の新たなあり方を明らかにし、これに関する施策基本方向を示すために提出した次第であります。  次に、本法案の概要を御説明申し上げます。  第一は、国、地方公共団体事業者消費者のそれぞれが消費者利益擁護とその増進に関して果たすべき責務役割りを明示したことであります。  すなわち、国は経済社会発展に即応して、消費者保護に関する総合的な施策を策定し、実施する責務を有すること、地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有すること、事業者は、その供給する商品役務について危害防止、適正な計量表示実施等必要な措置を講ずるとともに、国、地方公共団体施策協力する責務を有すること、消費者は、必要な知識の修得及び自主的合理的行動につとめることによって、消費生活安定向上に積極的な役割りを果たすものとすることを定めております。  第二に、国の消費者保護に関する施策を明示したことであります。すなわち、商品及び役務についての危害防止、適正な計量実施確保、適正な規格整備、普及、適正な表示実施確保価格等についての公正自由な競争確保及び公共料金決定に際しての消費者利益配慮消費者啓発活動及び教育の推進並びに消費者意見の国の施策への反映の各項目について国の施策の目標を示したのであります。  第三は、苦情処理についての事業者等責務を示したことでありまして、事業者は、消費者との間の取引に関して生じた苦情を適切かつ迅速に処理するため必要な体制整備等につとめること、市町村は苦情処理あっせん等につとめること、国、都道府県苦情処理が適切、迅速に行なわれるよう必要な施策を講ずることを定めております。  第四は、消費者組織化についての規定でありまして、国は、消費者がその消費生活の安定及び向上をはかるための健全かつ自主的な組織活動が促進されるよう必要な施策を講ずることを定めております。  第五は、消費者保護会議設置を定めたことであります。これにつきましては、先ほど提案趣旨説明の中でも御説明のあったとおりでございます。  もちろん、この法案内容基本法という性格から訓示規定的でありますから、この法案だけで消費者行政が充実するものではありません。したがって、この法案を真に効果あらしめるためには、この法案の精神に照らして次の点について早急に検討し、具体策を講ずる必要があります。  それは、既存消費者保護関係法令改廃及び新法令制定についてでありまして、この点については、本法案の中でも特に一条を設けて、必要な関係法令制定または改正を行なわなければならないことを定めております。  消費者保護関係法令としては、厚生省所管食品衛生法栄養改善法薬事法農林省所管農林物資規格法通産省所管電気用品取締法工業標準化法家庭用品品質表示法建設省所管建築基準法宅地建物取引業法公正取引委員会所管の独禁法、不当景品類及び不当表示防止法等々数多く制定されております。  しかし、これらの法令のほとんどは、消費者保護という立場から制定されたのではなく、公衆衛生あるいは企業生産性向上といった立場から立法されたものであります。したがって、これらの法令を真に消費者利益擁護増進をはかるものとするために既存法令を検討し、これらの改廃あるいは規格基準引き上げ等について具体化する必要があります。また、場合によっては、新しい法令制定をはかる必要があると思います。  なお、これに関連して、基本法には明文化されておりませんが、流通機構整備近代化についての具体策を樹立することも必要であると思います。  商品及び役務消費者価格生産及び流通の各段階で形成されるのでありますから、その適正化をはかるためにはそれぞれ近代化を進める必要があります。とりわけ流通段階での機構複雑多岐であり、また多くの前近代的な慣習や組織が残存し、それらに対する対策もきわめて立ちおくれている現状であります。  したがって、とりあえず国民日常生活に直結し、特に重要性の高い商品及び役務についてその流通機構の実態を調査検討し、その改善整備策を策定する必要があると痛感するものであります。  いずれにいたしましても、消費者利益擁護増進をはかるためには、この基本法制定を契機として、次々に具体的な対策がとられることが絶対に必要な条件であることを重ねて強調して、私の補足説明を終わることといたします。
  6. 八百板正

    八百板委員長 以上で提案理由説明及び補足説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 八百板正

    八百板委員長 消費者保護基本法案に関連する諸問題について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、 これを許します。砂田重民君。
  8. 砂田重民

    砂田委員 私は、きょうは産業構造審議会でありますとか国民生活審議会でありますとか、そういった審議会等政府答申を行ないました、その答申内容、あるいは行政管理庁各省に対して行ないました消費者保護に関する行政監察結果に基づく勧告、その内容、また、各省庁が持っておりますモニターから各省庁へいろいろな報告苦情意見がはね返ってきておりますね、そのモニター苦情報告あるいは意見とその内容、すでに消費者行政をりっぱにスタートさせている幾つかの府県がありますので、その府県自身で持っているモニター意向、また各種消費者団体意見やら要望、こういったものを取りまとめまして、私自身考え方を加えながら、この消費者保護基本法案姿勢に基づいて、行政庁皆さんがいま持っておられる消費者保護関係現行法令と結びつけて、この答申勧告苦情意見を実行するためにはどのような問題点現行法令にあるのか、どうすればこういった問題点解決できるのかということを、ひとつ皆さん一緒考えていきたいと思うのです。したがって、どうもこういうふだん予算委員会をやっているようないす並べ方で議論をしていくのは、この委員会の席の並べ方等については少しそぐわないものがあるかもしれませんが、ひとつラウンドテーブル一緒に勉強をして解決点を見出していくというお気持ちで気楽にお答えもいただき、お考えもお聞きかせいただきたいと思います。  まず、大蔵政務次官お見えをいただきましたので、大蔵省政務次官にひとつ伺っておきたいと思うのですが、消費者行政というものが非常におくれておりますことは、ただいま私どもが読み上げましたこの消費者保護基本法案趣旨説明によってもおわかりいただけると思うのです。それだけに、いままで、政府として消費者保護行政というものを充足してりっぱにやっていくんだという基本的な、どう申しますか、姿勢もお示しになったこともまだございませんし、各省それぞれ課なり係なりで、それぞれの役所の所管している消費者保護行政をその課の中だけで今日までやってきておられる。したがいまして、大蔵省財政当局としても、予算編成のときなどにおきましてもそれほど消費者保護行政というものに御関心がなかったということは、これはもういなめない事実であろうと思うのです。これは財政当局を責めるわけではなくて、やはり消費者問題というものがともかく人の口に上がるということがきわめてごく最近のことでありまして、基本法案の準備を始めてから、報道機関新聞社でも一面の政治欄なりあるいは社説なりで、消費者保護ということばが市民権がやっと与えられたようなことでございますから、これはいたし方がないことだと思うのです。したがって、これまで手がつけられてなかったこと等を、やはりこの消費者保護基本法案姿勢に基づいて政府がこれから相当きめこまかく取り組んでいっていただきますためには、いろいろ事業費というものはそう大きな事業があるわけでもございません、ほとんどが事務費でございますから、そんな大きな金ではないにしても、やはり予算的な措置というものが、いままであまり予算の上に出てこなかった問題がいろいろ出てくるだろうと思うのです。先般の参議院の予算分科会で、大蔵省主計局長からも、たとえば食品衛生上の監視なんということはいままで非常に弱体だった、こういうことについては財政当局も十分の協力をしていきたい、こういう御答弁があったようでございますが、新しくスタートをしていこうとしている一連の各省におきます消費者保護行政が、四十四年度からは相当事新しいものが出てくると思うのですが、こういったいままでなかった行政、新しく出てくる非常に社会的要請の強いものにつきまして、財政当局としても当然御協力がいただけるものと私は思うのですが、それについて政務次官のお考えをお聞かせいただけましたら……。
  9. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  消費者保護行政がこれからの行政の中で非常に重要な地位を占めるということは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、ただいまお尋ねのような、この行政に関連するいろいろな施策につきましては、関係各省十分連絡をいたしまして、前向きで対処いたしたいと思っております。
  10. 砂田重民

    砂田委員 ありがとうございました。政務次官お忙しいでしょうから、いまの御答弁だけでけっこうでございますからどうぞ……。  次に、行政管理庁おいでをいただいていると思いますが、どうぞこっちへいらっしゃって、総理大臣いすにすわってください。  行政管理庁は、四十二年の四月に、消費者保護に関する行政監察結果に基づく勧告を各省庁に出されました。実によく調査をなさっておられまして、まことにりっぱな勧告をされたと心からまず敬意を表します。この私たち基本法案を作文いたしますときも、われわれを十二分に啓蒙をしていただいた勧告でございました。そこで、この勧告に忠実に従って各省庁消費者保護行政を充実させるためには、行政を所管している機関職員を相当増員しなければならないという問題が当然起こってくるだろうと思うのです。行管がなさいました勧告を私もずっと読んでみましたが、いまの現有勢力ではとてもやり切れない、こういう問題を私も数カ所に発見をいたしております。また、この勧告自体は直接触れておられませんけれども消費者保護行政のように需要増大しているもの、社会的な要請が非常に強まっている行政、たとえば検査、検疫などを行なう職員、こういう人たちの数などについては、積極的に増員を行なうべきだと私は考えるのですが、一方におきまして、政府が取り組んでおられる公務員の数の削減の問題、公務員数の制限問題との関連においてこれをどういうふうにお考えになっておられるか、御所見を承っておきたいと思います。
  11. 大国彰

    大国政府委員 お答えいたします。  御承知のように、ただいま行政管理庁におきましては、公務員総数増大を抑制いたしまして、国民税負担の軽減に資するべく努力をしておるわけでございますが、これはもちろん、単に削減だけが目的ではございませんで、新しい行政需要に応じます部面につきましては必要最小限度必要数確保する、そのために、すでに不要あるいはまた削減し得る部面の人員を削減するということでございまして、新しい行政需要に対しましては、まずその省庁内におきましてできる限り配置転換でその充足をはかり、それでもなおかつ足りません場合には、最小限度増員は認めるという方針でやっておるわけでございます。御承知のように、消費者保護行政は、今後新しく出てまいります問題でございまして、その面におきまして、今後各省庁から増員の要求がございましたならば、十分慎重に検討いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたい、かように考えております。
  12. 砂田重民

    砂田委員 もちろん私は、公務員削減の問題は、行管考え方に賛成をしております一人でございますが、消費者保護行政は、いろいろな現行法を詰めて考えていってみますと、特に衛生監視でありますとか、あるいは工業製品検査を通った、市中、市場に出ていった商品についての監視検査、こういった技術屋さんを充足しなければならない問題がいろいろ出てきているわけなんです。なかなか省内でのやりくりだけで、あっちの人を減らしてこっちへ持ってくるというふうなことが、できにくい面がいろいろあるのではないかと思う。農林省は、JASの監視体制を充足拡充させていくために、この国会に農林省設置法改正をやっておられる。輸出品検査所職員をこれに流用するというふうなことを、非常に前向きの姿勢で取り組んでおられますけれども、やはりそういう技術屋さん確保というのは、省内のやりくり、配置転換だけではやりにくい面がいろいろ出てくると思うのですが、こういう点については、必要最小限の増員といういまの御答弁そのものずばりというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  13. 大国彰

    大国政府委員 配置転換と申しましても、現在つとめております職員そのものを移しかえるのではございませんで、欠員のやりくりというようなことでもできるわけでございます。技術関係職員がどうしても絶対に不足するという場合には、考慮せざるを得ない場合も生ずると思っております。
  14. 砂田重民

    砂田委員 もう一つ行管庁に伺っておきたいのですが、非常にこまかいことのようですが、行管庁はやはり零細補助金の整理ということを考えておられる。これは財政当局も同じような考えを持っておられますが、この点も、私も原則的には大賛成のことでありますが、しかし、消費者行政というものが、行政としてごく近年問題化してきた新しい仕事でありますだけに、さらに消費者行政というのは事業費というものがあまりありませんね。ほとんどが事務費でありますが、それだけに国の予算としてはきわめて少額のものしか計上されていない。そこで、たとえば各省モニターという制度を持っているのですが、経済企画庁、通産、公取、農林、それぞれみんなそういうモニターの制度を持っておられます。他の省庁モニターというものは大体庁費でまかなわれているようですが、経済企画庁のモニターだけは、庁費ではなくて府県への補助金で計上されているのです。経済企画庁モニターというのは六千名でございますか、一番数も多く、また非常に意見報告苦情等を経済企画庁にはね返らしてきているのですが、ところがこれは府県への補助金ということで計上されておりますために、一府県当たり写ると――これは四十二年度からスタートしたばかりのモニターの制度でありますので、一府県当たり六十万円程度にしかならない。金額で押えた場合の零細補助金そのものずばりにこれは該当するわけなんです。しかしながら、汽車を走らせるためにレールを敷いている、そういう施設づくりといいますか、レールづくりのようなものでございますから、むしろ充足させていくべきもので、金額が少ないからといって金額面だけで零細補助金をすべて切るというふうなお考えでは行管もなかろうと思うのですが、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  15. 大国彰

    大国政府委員 ただいまの補助金の問題でございますが、これにつきましては、本年の二月二日の閣議決定に基づきまして、「今後における行政改革の推進について」ということで、三年計画を立てまして行政全般につきましての改革を行なうことになっております。その中におきまして補助金の項目もあがっておりますので、関係省庁と慎重審議しました上、十分検討いたしたい、かように思っております。
  16. 砂田重民

    砂田委員 しつこいようですが、慎重審議ということではなくても、現に私いま具体的に一つの例をあげたので、こういうものについては零細補助金ということで金額だけでは押えません、そういうお考えはありませんか。
  17. 大国彰

    大国政府委員 零細補助金につきましては一応金額の線を考えておるわけでございますが、個々の補助金の性格によりまして十分検討しなければならないと思っております。なお、補助金の関係は主として大蔵省のほうが担当することになっておりますので……。
  18. 砂田重民

    砂田委員 行政管理庁のお考え方を伺いまして、ありがとうございました。行管もけっこうでございます。  いまモニターの話が出たついででございますから経済企画庁に伺っておきたいと思うのですが、さっき大蔵政務次官からああいう御答弁をいただいて、これから各省といろいろ御相談をしてまいるのにちょっと安心をしたような気がするのですが、四十三年度予算モニター予算というものは、大蔵省の第一次の内示では全部ゼロ回答であった。予算編成をわあわあやっております段階で、大蔵省各省を担当しております主計官が、消費者保護基本法の検討をその当時しておりました、たたき台になっていたようなものを読んでくれました。さらに、この委員会消費者問題に関する小委員会での議論などを速記録等を読んでくれて、全部モニターが復活をしたのですが、そういったモニターの制度の効果、効力というものを理解した大蔵省は、逆に今度は、モニター制度の運営というものをじょうずにやってくれ、これは非常に有効な制度であるから、各省てんでんばらばらにならずに、できるだけ有効にこのモニターの制度を運用してくれというふうなことが、予算のつく段階でむしろ積極的に大蔵省から出たようにも話を聞いておりますし、また、経済企画庁自身で、各省モニターの今年度の運営をうまくやっていこうというふうな御計画があるように伺っておりますので、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  19. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 いまお話しになりましたように、また私どものほうから申し上げるのもいまさらということでございますが、消費者行政の一番大きなやり方の一つといたしまして、モニターの制度の活用ということがあるわけでございます。何といいましても、消費者行政を進めていく場合には、消費者の声あるいは意向をいかに政府当局のほうへ反映させて、それにわれわれが対応をしていくかということにあるわけでございますが、そういう意味におきまして、各省の各方面の行政的な必要からモニターがあるわけでございますが、一面、モニターになられる方あるいはモニター制度を横からながめておる場合には重複があるのではないか、あるいはもっと有効にモニター制度をやっていく必要があるのではないかという御批判もあるわけでございます。私どもといたしましては、モニター制度の重要性ということについてはいま申し上げたとおりでございますから、ますます漸進的にこれを活用していかなければならないと思っておりますが、一面、そういう批判にこたえて改善をしていくということも、これまた必要な任務であると思っております。そういう意味におきまして、いま申し上げましたように、それぞれのモニター制度についてはそれ固有の目的もございますので、やや一般的にしてしまいますと、その目的をまた十分に達しないというような弊も出てまいります。しかし、いま申し上げましたように、ばらばらにするということも行政効率から見てはなはだまずいわけでございますので、予算編成の過程でも、いま先生の御指摘になりましたような問題が出ましたので、とりあえず四十三年度におきましては、予算の形といたしましては従来どおりということでございますが、経済企画庁がいわば肝いりをいたしまして、関係各省のそういうモニター制度のいわば調和、調整ということを考えておるわけでございます。ことしの三月関係各省と打ち合わせをいたしまして、テーマの調整あるいはモニターの任命等について具体的に、すでに批判があったことに対してこたえようということで、都道府県等に対しても指導、通達を出すというようなことをいたしましたが、今後ともそういう観点に基づきまして改正、改善を加えていくというつもりでございます。
  20. 砂田重民

    砂田委員 自治省来ておりますか。――厚生、農林、通産の方にちょっと申し上げておきますが、厚生、農林、通産に非常にたくさん問題があるものですから、これはあと回しにさせていただいて、早く済むところから先に順にやっていきたいと思います。  建設省来ていただいておりますか。――建設省に伺っておきたいと思うのですが、通産省はこの国会に割賦販売法の改正を出され、消費者の掛け金を守っていくという意味合いからは、一つの大きな進歩だろうと思うのです。そこで、住宅問題が非常に深刻でありますだけに、住宅と宅地の割賦販売がいろいろな方式で、いろいろな形でだんだん盛んになってきております。ますます利用者がふえていくと思うのです。そこで、住宅と宅地の割賦販売についてはまださしたる問題が起こってないから、トラブルが起こってないからというお気持ちはあろうかとは思いますけれども、問題が起こる前にこれを規制するそういう宅地、住宅割賦販売法というようなものの立法を考えるべきじゃないだろうか、私はこういうふうに思うのです。さしたる確信が実はなかったのですが、一昨日の新聞か何かで、神戸でそういうトラブルが起こってきておる。何か新聞の伝えるところでは、相当スケールの大きな、消費者にかけておる迷惑だけで二十億、需要者にかけておる迷惑だけで二十億あるのじゃないだろうかというふうなことで、これは新聞の記事でございますからはっきりした確証があるわけではありませんが、そういうトラブル、問題が起こってくる可能性は多分にあると思うのです。そういった宅地、住宅についての割賦販売を規制する新しい法律をつくっていくというふうなお考えはございませんか。
  21. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 ただいま御質問の前払い割賦式の宅地、建物の取引でございますが、これにつきましては、現在私ども調査では、大きいのから小さいのまで入れまして全国に大体十七社ございます。私たちも、先生御指摘のとおり、この問題につきましては前から必要性を感じておりました。現実にやはりいろいろの苦情が私どもあるいは都道府県の主管課のほうに参っておりまして、そのつど解決はいたしておったのでありますけれども、御承知のとおり、この業界が本質的に歩合制を中心とする外交員制度を採用しておるということで、どういたしましても契約時にいろいろ将来問題を起こすような場合が起こりやすいのでございます。それともう一つは、大きな業者が年商三百億ほどの仕事をやっておる。そういったことも考え合わせますと、たまたま、従来はたまにしか問題がないとか、あるいはそれぞれ個々の指導で解決しておったとは申しながら、将来のことも考えますと、やはりこの際根本的に対策を講じておく必要があるということは、私どもも全く同感でございます。昨秋来各方面からの御指摘もございまして、現在検討あるいは調査をいたしております。できるだけすみやかに成案を得まして提案にこぎつけたい、かように考えております。
  22. 砂田重民

    砂田委員 おそらく次の通常国会くらいにはお出しになるだろうと思いますので、りっぱなものをひとつつくっていただきたい。消費者の掛け金を、やはり通産省の割賦販売法のように守っていく方針で、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいことをお願いしておきます。ありがとうございました。建設省けっこうです。  自治省まだ来ませんか。――それでは経済企画庁に伺いたいと思いますが、一昨年の十一月四日国民生活審議会答申をなさいました。消費者保護消費者教育の今後のあり方について、この答申内容の中の消費者教育のことについてちょっと伺っておきたと思うのです。  答申は、消費者教育目的を明示しておられまして、「消費者ひとりひとりが自主的な判断力をもって生活を長期的に設計してゆくための知識考え方を開発する」、こういう目的を書いておられますが、そのために必要な生活経営学という新しい学問の体系をつくる必要がある。この生活経営学の内容については、消費経済知識でありますとか、生活設計の方法でありますとか、消費者保護問題点消費者経済にどう働きかけていけばいいかというふうな制度の問題などを取り上げるべきだといっておられるのです。さらに答申は、こうした消費者教育が人々の中に浸透するようまずリーダーを養成すべきだ、こういうことを強調しておられますが、経済企画庁としてはこういった学問体系づくりとどう取り組んでいかれるか、リーダー養成について具体的なそういう養成方法等を考えておられるのか、どう答申を受けとめておられるのか、伺っておきたいと思います。
  23. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 生活経営学という新しい概念を打ち出しておるわけでございますが、御承知のように、現在の消費者教育というものにつきましては、いろいろな点で過去におけるそれらしい学問の体系だけでは不十分であるというような観点から、まずそういう学問的な体系が必要であるということで答申があり、われわれのほうもそれを受けておるわけでございます。国民生活研究所という、それにふさわしい研究所が私ども関係いたしておりますところにあるわけでございますが、そこで野田信夫先生を会長にいたしまして、それにふさわしい関係の学者の方等にお集まりいただいて研究をいたしておるわけでございます。結論的に申しますと、今年の夏ぐらいにはほぼ一応の骨格をつくって、いわば生活経営学というものの第一歩を踏み出したいというふうに考えております。その前に、ある程度そういう方々のお集まりによりまして、昨年の暮れにその生活経営学と申しますか、消費者教育の重要な一環である学校教育、特に中等教育の中で消費者教育というものをこうお進め願いたいというようなことで、私どものほうから文部省当局にもお願いを申しておるというようなことで、まず経営学の最終的――最終的と言うのは語弊がございますが、形をなす過程でもそういうことをやってまいったわけでございます。  なお、もちろんそういう生活経営学ができなければ何事も進まないということではございませんで、一方、具体的な、いまお話しのございましたようないわば消費者リーダーというような必要は、現在あるいは過去においてすでにあるわけでございます。そういう点につきましては、私どものほうも、すでに消費者協会というようなところに短期あるいは長期の講習等をやりまして、各方面に対するそういう人材を養成いたしてまいったわけでございますが、四十三年度におきましてもその線でやってまいるつもりでございます。
  24. 砂田重民

    砂田委員 それから教材のことを局長に伺っておきたいと思うのですが、文部省の所管の婦人学級、それから総理府所管で新生活運動の一環としてやっておられます生活学校、こういったところでの教材が非常に不足しているということがあります。これは行政管理庁勧告の中にも、資料の問題について勧告をしておられるのでございますが、社会教育活動の消費生活知識の修得の必要があるのに、資料の不足が原因となってなかなかうまくそれが動いていない、農林省生活改善普及員が普及活動をするのに、消費知識等に関する適当な資料がないので、自分の金で購入した月刊誌から資料を自分でつくって農家の主婦などに配布している、こういう事例が行管勧告にもあるようなことなのですが、統一的な企画による教育資料の提供ということで、どういうふうにこの資料づくりと取り組んでいかれるか、伺っておきたいと思います。
  25. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 確かに教材については不足をしておるというのが現状でございます。たとえば、一つ例をおあげになりました農林省生活改善普及員につきましても、私ども比較的濃密な指導をしておるというその農林省生活改善普及員の教材についてもいまのような現状でございますから、もう少し一般的な場合には、さらに不足をしておるということは十分うなずけるわけでございます。ただ、消費者教育のいわば受け持ちます分野というのはかなり広い範囲、多岐にわたっておると思いますし、それから情勢がどんどん変わっておりますから、それに対応して政府が何もかもこまかくそろえるということはなかなか困難であろうと思いますが、私どもとしては、せっかく関係各省にそれぞれの知識と申しますか、教材のソースがすでに相当程度あるわけでございますから、できるだけそれを取りまとめていろんなそういう部面に流すということは、進めなければならない仕事だと思っております。従来もそういう観点から、はなはだ不十分でございましたけれども、私どもといたしましては「消費者行政」というような名前の、いわば教材のつもりの雑誌を出しておりましたけれども、これは部数も少なく、あるいは時間的にもかなり間遠にしか刊行いたしておりませんでした。今年度は若干それを拡張いたしまして、関係各省の御協力も得てもう少し広い分野に、かつもう少しひんぱんにこれを刊行していくというようなことで、まず第一歩を進めたいというふうに考えておるのでございます。なお、そういうことのみならず、いろんな機会に教材をできるだけ流していくという努力を今後ともいたしたいと思っております。
  26. 砂田重民

    砂田委員 同じ行管勧告の中に、こういうことが書いてあるのです。「消費者教育について国および地方公共団体それぞれの果すべき基本的な役割と、それを遂行するための具体的な内容と方法を早急に明確化し、地方公共団体に対し積極的な指導をする必要がある。」私もまさにそうだと思うものですから、この点について、この勧告が出た段階では「消費者教育について国および地方公共団体それぞれの果すべき基本的な役割」と書いてありますけれども、この消費者保護基本法が成立いたしますと、役割りではなくてあなた方の責務に今度はなってくるわけですが、この消費者教育におきます国と地方公共団体責務の明確化、地方公共団体における実施体制整備、こういったことについて経済企画庁がいままでやってきておられることの概要、これからどういうふうにこの国と地方公共団体の仕事の分担等についておやりになろうとしておられるのか、また、各府県とは会議の機会を企画庁は持っておると思いますけれども基本的な問題について自治省と話し合ったことがございますかどうですか、そういうことをひとつ伺っておきたい。
  27. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 いまの問題は、すでにお話にございましたように、責務に、本日と申しますか、変わるわけでございますが、もちろん国の行政だけでは、消費者教育というようなきわめて末端にまで本来おりるべき行政が、相進むわけではございませんので、そういう勧告等もございましたし、私どもといたしましては、自治省と共同で、ひとつ各府県においてもまず担当する部課をつくってほしいという通達を出しておりますが、幸いにいたしまして、各府県におかれましても、そういう観点の必要性を感じられて、かなりな程度に担当の部ないし課をそれぞれきめて進めつつあるようでございます。私ども国の段階と地方――地方におきましても、県と市町村というような段階は、もちろん行政のいろいろな部面において、多少ずつ受け持つやり方というものは異なるかと思いますが、一般的には当然それぞれのランクに応じてやっていく必要があるわけでございます。私どものほうとも、漸次各府県との連絡というものも、いま申しましたような責任部局が各府県にできつつあります段階では連絡がとれてきておりますし、各府県ともかなり積極的に私どものほうへいろいろな連絡がございます。しかしながら、何といいましても、今後とも自治省が府県行政、市町村の行政についていわば大筋をやっておられるわけでございます。自治省におかれましても、かなりな程度に私ども行政について御関心がおありでございまして、役所の中では話しやすい役所というような感じを私ども持っております。今後とも、自治省となお十分連絡をとってやってまいりたいと思っております。
  28. 砂田重民

    砂田委員 自治省まだ見えませんか。――それでは文部省にお伺いしたいと思います。  さっき経済企画庁からもお話を伺ったのですが、国民生活研究所の中に、生活経営学研究委員会というものが野田信夫先生を主査にしてできまして、「中学校における消費者教育内容について」と題して、中間取りまとめをなさいました。これを企画庁のほうから文部省のほうへ、何かの形で連絡がいっていると思うのですが、私は中学校、高等学校の学校教育の中に、消費者問題をできるだけ早い機会にどうしても取り上げていくべきだと思うのですが、文部省は経済企画庁の申し入れをどう受けとめておられるか。それと、中学校の学習指導要領の改定は四十七年ですか。しかし、四十七年を待たなくとも、現行の中学校学習指導要領の中でも、社会科の中で「財政と家計」という項目で、きわめて抽象的にではありますけれども消費者生活国民生活に関連したことが書かれておりますね。そこで四十七年の改定まで待たなくても、現行の中学校学習指導要領の中にそういうことも書かれておりますから、中学校教育の中に消費者教育を具体的に取り入れていく準備ぐらいは、すぐにでもかかれるのじゃないか、しろうと考えでは、そう思うのです。いかがでございますか。
  29. 佐藤薫

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  中学校の教育課程につきましては、現在教育課程審議会で審議中でございます。なお、高等学校につきましては、一昨々日諮問いたしまして、これから作業に入ります。特に中学校について申しますと、大体、その審議会の答申は五月ごろに予定されております。それを受けまして、指導要領の作成作業にさっそく入りますが、その際、先生のお説のような問題については、十分に企画庁の御意見も承っておりますし、法の精神を尊重しまして、できるだけ中に織り込みたいというふうに考えております。  第二の問題、確かにお説のとおりでございますが、来年の春に指導要領が公示されましても、実施は四十七年になります。しかし、指導要領が出ますと、さっそく教職員にその指導要領の精神を徹底的に普及する必要がございます。言いかえれば、来年の夏ごろからは、その趣旨を徹底的に伝えるわけでございます。そういう機会に、先生の御指摘のような問題につきましては、できるだけ現在の指導要領の精神が許す範囲におきまして、実行できるように、四十七年以降の問題としてと同時に、また四十四年以降の問題としてでも、十分に生かしていけるように指導したいというふうに考えております。
  30. 砂田重民

    砂田委員 私は文教問題はよくわからないのですが、学校教育消費者問題を取り入れていくといっても、これが別にまだ体系づけられているものでもありませんし、どういうふうにその消費者問題を教育の中に体系的に確立していくのか。何か文部省としての御構想がいまございますか。
  31. 佐藤薫

    ○佐藤説明員 この問題を扱いますとしますと、現在また扱っておりますが、小学校においては社会科というものがございます。また一方、道徳と  いうものがございます。さらに家庭という科目がございます。この三つの分野で扱うことになっていますが、私は小学校もわりあいにやっていると思いますが、これも、今度の改善でもう少し具体的に前進させたいと考えております。  中学校におきましては、一つは社会科があります。その社会科は、地理的分野、歴史的分野、政治・経済・社会的分野とありますが、今回、政治・経済・社会的分野を公民的分野として、特に社会人としての、国民としての資質を強くいたしたいというふうに考えておりますので、その新しい公民的分野の中で、いまの消費者問題を十分にやっていきたい。同時にまた、道徳の面でもさらに強調したいと思いますし、一方、技術・家庭科という科がございますので、この方面においても一そう充実したいと考えております。  高等学校におきましては、政治・経済という科目がございまして、その中でこの問題を取り上げて、改善をはかっていきたいと考えております。
  32. 砂田重民

    砂田委員 文部省がそういうふうに前向きに取り組んでいただきましたら、まことにありがたいことだと思うのです。ひとつ御参考までに申し上げておきますが、府県の中で消費者行政の非常に進んだ兵庫県は、四十三年度から、中学校十一、高等学校七ですか、そういうふうにモデル学校をつくりまして、中学校における消費者教育、高等学校における消費者教育をスタートしてみよう、そういう企画を持ってやっているようでございますから、そういうことが始まりましたならば、文部省としても何かの御参考になるのではないかと思いますので、よくそれを見ていただきたいとお願いいたしておきます。  運輸省、郵政省に、公共料金のことをちょっと伺っておきたいと思うのです。  公共料金公共料金といいますが、法律的にはそういうことばを使わないのですね。その価格の形成について、決定、認可その他の国の措置が必要とされるものの料金のことを伺っておきたいと思うのですが、そういう公共料金のようなものを、大蔵、文部、通産、農林、厚生、運輸、建設、郵政と、皆さんそれぞれ持っておられるわけです。公共料金のきめ方等について規定された、公共料金関係のある現行法だけでも、三十幾つかあるようでございますが、今度の基本法の中に書かれておりますような、消費者意見を国の施策に反映させなければならないという点と、消費生活において重要度の高い商品及び役務価格等公共料金措置は、その措置を講ずるにあたっては、消費者に与える影響を十分に考慮するようつとめるものとするということが、訓示規定的に基本法には書いてあるわけでございます。各省の持っておられる公共料金に関連しての現行法、それの運営のしかた等、いろいろお話を私も伺ってみたのです。運営のあり方にはいろいろ私も不満があるのですが、かっこうだけは、一応関係審議会等で、その中に消費者代表のような方を入れて、料金決定の参考意見を徴しておられる。その消費者の声がどれだけの数あり、どれだけ大きいものであるかという運用の点は、いろいろ問題があるのですが、どうもそういうふうな消費者意見を聞いておられないのではないかと思われるものに、運輸省の一連の料金とNHK料金があるんではないかと思うのです。そこで、審議会等で、運輸省の一連の公共料金決定にあたっても、もう少し消費者意見というものをお聞きになる、そういうふうなことを――運輸省としては、幸いに行政刷新本部というものを省内におつくりになって、運輸行政全般にわたって刷新していこう、大臣はそのサービス官庁としての使命を遂行するんだということを言っておられるようですが、そういう意味合いからも、まず運輸省に伺いますが、運輸省の料金決定で消費生活に非常に影響の深いものについては、何かもう少し消費者意見を聞くようなものを、制度的にでもお考えになりませんか。
  33. 町田直

    ○町田政府委員 お答えいたします。  ただいま砂田先生から御指摘ございましたように、運輸省関係のいわゆる公共料金は、十指に余るほどございます。その決定に際しまして、どういう形で消費者意見を聞くかという問題でございますが、まず制度的に申し上げますと、運輸省の料金はほとんど全部でございますが、その重要なものにつきまして、運輸審議会という制度がございまして、運輸審議会に学識経験者の方が委員として御出席になっておられまして、ただいま申しましたような重要な料金関係の案件については、すべてその審議会にはかるという形になっておる次第でございます。またその審議会では、利害関係人の申請のあった場合、その他運輸審議会が必要と認めた場合、あるいは運輸大臣が必要と認めた場合には公聴会を開く、そうして公聴会で公述人の意見を聞くという制度、それから参考人の意見を聞く、そういうような制度がございまして、繰り返すようでございますけれども、重要な運賃、料金につきましては運輸審議会にはかってきめる、こういうことになっておるわけでございます。ただいま申しましたのは重要な運賃、料金でございまして、若干軽微なものになりますと、運輸審議会の軽微事案として審議会にはからない、こういう制度。それからもう一つは、地方組織――陸運局、海運局というのがございまして、その陸運局長、海運局長に権限を委任しておるもの、そういうものにつきましては、運輸審議会にはからないことになっております。それらにつきましては、たとえばタクシー料金等でございますが、また海運関係の定期船の運賃、料金、こういうものにつきましては、それぞれ道路運送法とかあるいは海上運送法で、聴聞という制度がございまして、利用者を含みます利害関係人の申請によりまして、聴聞会を開催いたしまして、その意見を聞く、こういう形になっておる次第でございます。  そして運輸審議会につきましては、法定でございますので、付議事項につきましては全部運輸審議会に必ずかかるということになっておりますが、後ほど申し上げましたタクシー料金あるいは定期船運賃等は、利害関係人の申請があった場合というようなことでございまして、必ずしもその完全な活用がはかられていない向きもあるわけでございます。先生の御指摘の、利用者の意見を十分に聞いてやっておるという面は、なお今後とも運用上かなり改善をはかる必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  ただいま先生から御指摘ございました臨時行政刷新本部というものを、大臣の御命令によりまして現在行なっておりまして、この臨時行政本部は、先ほどちょっと話が出ましたいわゆる運輸省の組織機構の問題のほかに、運輸省全体の今後の進むべき方向、運輸行政の進むべき方向という意味で、非常に重要な問題といたしまして検討いたしておる最中でございます。その中で、御指摘のいわゆる公共料金のきめ方というようなことについても、現在の制度がはたして十分であるかどうか、あるいはもっといい方法があるかどうかということについて、真剣に検討いたしておる最中でございます。この消費者基本法の成立に伴いまして、その趣旨が十分生きるような方向を至急に考えたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  34. 砂田重民

    砂田委員 官房長、その審議会で議論をしている段階は、まだ料金が決定をされていない、公聴会で聞かれるときは決定したものをお聞きになるんだろうと思うのです。他の省庁がやっておられる審議会の中には、消費者意見を聞くための消費者代表を入れておられるけれども、もちろん運輸審議会というのは、相当専門的な技術的な問題が多いですから、ああいう形になっているのだと思うのだけれども、運輸審議会の中には消費者代表は入っていない。審議委員の構成を見ても、そうなっていると思うのです。そこで、消費者保護基本法姿勢に基づいて、運輸省の行政刷新本部で前向きに取り組んでいただくならば、決定したあとの公聴会で意見を聞くということではなくて、決定をする前の審議会の段階で、消費者意向というものがくみ取れるような、そういう運用ができないか、そういう制度ができないかということを一臨時行政刷新本部でひとつ取り組んでいただきたい。いいですか。
  35. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま先生からお話しがございましたけれども、運輸審議会で公聴会を開きますので、運輸審議会で運賃、料金の運輸大臣からの諮問に対する答申の前の段階で、公聴会が開かれるわけでございます。したがいまして、運輸審議会の委員の中に消費者代表が入っていないとおっしゃいましたことは、あるいはそのとおりかと思いますけれども、その運輸審議会の委員が運賃、料金を答申する場合に、公聴会を開きまして、一般の消費者代表の方々ももちろん入る公述人から御意見を伺って、それを十分参照して、運賃、料金の答申を決定する、こういうことになっておる次第でございます。
  36. 砂田重民

    砂田委員 官房長、しつこいようですが、運輸審議会できまった最終的な審議会の答えを出す前の、運輸審議会が主宰するような形の公聴会、そういう形になるんですね。しかし、その公聴会をやるときは、実際問題としてもうきまっているようなもので、事実問題としては、公聴会というのはかっこうだけみたいなものではないかと思うので、たとえば運輸審議会で公聴会にかけるような原案を決定する前に――運輸審議会というものは他の審議会と少し様子が違うと思うのです。半分常勤みたいなことになってもおられる。しかし、臨時的な審議委員というものを設けられて、その問題についての非常に利用度の高い、そういった消費者代表を臨時的に審議会に加えて、その意見を十分に取り入れていくとか、何かそういった方向で取り組んでいただきたい。ひとつお願いしておきます。  それから、NHKのことでございますが、NHKの番組編成などについては、視聴者の代表等が大ぜい入られて、番組編成の審議会ですか、NHKが持ってやっておられと思うのです。非常に民主的に運営をしておられて、たいへん好ましいと思うのですが、NHKというものが全国民のものでありますだけに、料金決定も、やはり何かそういう形のものをお持ちになるべきではないかと思うのです。料金決定はどういうふうにきめておられますか。
  37. 左藤恵

    左藤説明員 お答え申し上げます。  NHKの受信料額の決定につきましては、NHKはもちろん聴視者懇談会、そういったところで国民皆さん意見を伺って、経営委員会で当年度の収支予算の案を決定いたしまして、それを国会に提出いたしまして、国会で御承認いただきましたことによりまして、そのままNHKの受信料額が決定する、現行法はそういう手続になっておりまして、郵政大臣といたしましては、その収支予算案に意見書を付して、国会に御提出申し上げるということになっておるわけでございます。ただ、今回のカラーテレビの受信料の額の決定につきましては、受信料体系の一つの大きな変更になることでございますし、新たな制度でもございますので、郵政省といたしましては、NHKから、そういった問題につきまして事前の御相談を受けております。そして、これにつきまして、NHKの意図されておるところを私のほうでも十分お伺いいたしまして、それを検討いたしました結果、おおむね適当であるという旨の意見書を付しまして、国会に御提出申し上げたわけでございます。ただ、現行の受信料の決定方式につきまして、国会が収支予算を御承認になって、それで自動的にきまるという方式が適当であるかどうかということにつきましては、いろいろ意見もございますので、大臣からも、これをたとえば法定化するとか、放送法の改正の際にひとつ十分検討するように命ぜられておりまして、ただいま検討いたしております段階でございます。
  38. 砂田重民

    砂田委員 NHK料金があなたのところへ出てくる前の問題を、私は伺っていたのです。番組編成の審議会のように、視聴者の代表の意見というものを十分聞き取っておられるとは、実は私に思えないものですから、料金決定についても、番組編成を考えられるような、視聴者代表を大ぜい入れての料金決定のしかた、その内容等についても、視聴者の意向をもっと反映する形で、NHKは原案をつくられて、それからあなたのところへ出てくるようにしていただきたいものだ。これは私一人の考えではなくて、各省モニターからも、非常に強いそういう要望がたくさん出てきていますから、私は伺っているのでありまして、そういう方向でひとつ取り組んでいただきたい、これをお願いしておきたいと思うのです。
  39. 武部文

    武部委員 ちょっと関連して。運輸省の関係ですが、先般の通学、通勤定期の値上げの際に、いま砂田委員から発言があったように、公聴会が開かれました。審議会の公聴会の日取りは、たしか三月十五日だったと記憶いたしておりますが、四月一日から通学、通勤定期の値上げがきまる。したがって、もう各区間の料金も全部きまって、ほとんどの雑誌や新聞にはそういう金額が公表されておる。そういう段階で、わずか半月ばかり前に公聴会を開く。また、その公聴会の反対、賛成の議論を聞いてみると、反対意見が非常に多い。にもかかわらず、先ほどの御意見のように、これは全くありきたりの、一応公聴会を開いておこうという程度のものにしか終わっていない、私どもこういう点を先般この委員会で指摘をしたわけでありますが、現実問題として、国鉄から申請があって審議会にかかる。同時に、これは早急にそうした公聴会を何回も開いて、具体的な意見国民の前に明らかにする、その上でないと、これは幾ら考えても納得できないわけであります。したがって、そういう点について今後運輸審議会等を通じての公聴会のあり方について、運輸省として特に検討する必要があるのではないか、この点が運輸省に対する質問の第一点。  それから、NHKの問題を、先般当委員会で、私は宮沢長官の意見を徴したわけでありますが、経済企画庁としては、NHKの内容についていろいろ見解を持っておられるようでありました。しかし、本年度のカラーテレビの増額なりあるいは白黒テレビの減額についても決定してしまったわけでありますから、それ以上のことを申し上げるわけではありませんが、いまの答弁を聞いておりますと、NHKが常時相談所を各地で開いて、そのような点を十分経営委員会にはかって予算というものをきめておるのだ、こういう筋書きだということもよくわかります。ただ問題は、経営委員の任命は確かに郵政大臣の同意が必要だということにはなっておりますけれども、経営委員のすべての費用は全部NHKから出ておるわけであります。その点を郵政大臣が一時指摘したことがありますね。これも確かに問題がある。したがって、NHKの料金決定について、いまのような相談所開設等を経ていろいろ意見を聞いておるというけれども、私の調べたところでは、相談所なんというものは何回開いたって、料金がどうだ、こういうようなことはやっていないのですよ。一つもそんなことはないのですよ。番組の編成についてどういう苦情がございます。そういうことは聞いておるけれども、事料金について、国民の側の意思を聞いておるなんということは全然ないのです。したがって、これは当たらないと思う。特にNHKが国民のものだということをしばしば会長は言明されておるわけですが、国民のものだというならば、特にそういう配慮が必要ではないか、こういうふうに考えるので、監督官庁である郵政省としては、NHKの料金決定について、来年度のことになりますが、いま同僚砂田議員から発言があったように、もっと根本的にこれを考え直す必要があるのではないか、こういう点を私は考えるのですが、両者からひとつお答えをいただきたい。
  40. 町田直

    ○町田政府委員 お答えいたします。国鉄の定期料金の改定の諮問でございますが、御指摘のように、三月十五日に公聴会を開いたわけでございます。国鉄の運賃は、実はほかの一般の私企業の運賃と若干違いまして、予算の事項でもあるわけでございます。したがいまして、政府としての予算の原案がきまるということが一つの前提になるわけでございまして、もちろん予算原案がきまりましてから、国鉄から正式に運輸大臣に対して運賃、料金改定の申請がございまして、それを運輸大臣が運輸審議会に諮問する。それからまた、公聴会その他の手続は、実はいろいろこまかい規則がございまして、たとえば一週間前だったと思いますけれども、公述人等の選定をする。その前に公示をするというような手続がございまして、四月一日から上げるという一つの方針のもとにやりました場合には、かなり迫ったことになってしまう、こういうことが事実あったわけでございます。しかし、御指摘のように、公聴会を開く意味は、できるだけ一般の方々の御意見を聞くということが趣旨でありまして、その御意見を十分反映して、答申をしていただくということでございますので、できるだけ余裕を持った時間で開くということは、先生の御指摘のとおりでございますので、今後ともそういう点で気をつけていきたいと考えております。  それから、賛成、反対の問題でございますが、これも運輸審議会のことでございますので、私から申し上げるのは若干筋違いであるかと思います。けれども、私の報告を受けておりますところでは、個人、団体を含めまして、賛成と反対がほぼ同数くらいであった。ただ、それを全部の方々の御意見を聞くのが、時間的に非常に制約等もございますので、公述の申請のありました方々の中で、運輸審議会のほうで選定いたしまして、団体につきましては、賛成団体が三、反対団体が七、こういう選定をいたしたわけでございます。それから個人につきましては、たしか五、五という同じ数の賛成、反対の御意見を伺ったというふうに存じております。したがいまして、公聴会の御主張は、反対、賛成は、反対のほうが非常に多かった、こういうことでございますけれども、御申請をなさいました方々の数で申しますと、大体十五、十五くらいであったというふうに聞いております。
  41. 左藤恵

    左藤説明員 先生の御指摘のとおり、視聴者の意見を受信料の決定に十分反映いたしますようにNHKに伝えますとともに、明年度のNHK予算編成段階におきまして、どういった形でそれが受信料の案の決定までの段階で反映されたかにつきましても私のほうで十分伺いたい、かように考えております。
  42. 砂田重民

    砂田委員 消費者保護行政を拡充強化していかなければならないという、その社会的要請でありますとか、経済的な要請は、いま非常に強いものであるということは、これは自治省も理解していただいておると思うのです。この基本法も、そのような全国民的な要請にこたえようというので、議員立法されたものなんですが、私たちが、この基本法改正に基づいて現行消費者行政を見ましたときに、新しい行政制度の創設や、従来やってきたことを改善しなければならない非常に多くの問題が出てくるのです。これらの問題点解決するためには、政府の受け持つべき責務と、地方公共団体に受け持ってもらわなければならない責務は、だんだん体系づけられていくと思うのですが、いずれにしても、地方公共団体行政事務がふえていくことだけは間違いのないところなんです。  そこで、地方自治法では、第二条と別表第一、第二で、地方公共団体が行なうべき行政事務というものを、こまかく分類して書き並べて、明記しておられるのですが、消費者保護行政に関する事務というものはまだ書かれていない。今度はひとつ消費者保護行政ということばを、地方自治法でも認知するべきだと思うのです。別にこの国会に間に合うことではありませんが、地方自治法改正というものをしばらくやっておられないので、いろいろな基本法、他の基本法に基づき、当然書いておかなければならないことが書いてないようなものが、だいぶ自治省でたまっているのではないかと思う。おそらくその作業をしておられるのではないかと思うのです。この次の国会ぐらいには、そういった地方自治法改正が出てくると思うのですが、その場合には、これだけ社会的要請の強い消費者保護行政でもあり、地方公共団体がやらなければならない事務が非常にふえてくることでもあり、いままで新聞社の社説などには、者保護なんということばは見たことがないのですが、新聞社の社説にも認知をされるようになった消費者保護行政です。地方自治法改正の機会に、消費者保護行政に関する事務というものを、第二条並びに別表第一、第二等において、ひとつ明確に認知をしてもらいたい、こう思うのですが、どうお考えになりますか。
  43. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 いま御指摘のありましたように、自治法の中におきましても、現在地方団体が行なうべき仕事を、ないしは別表におきまして、その行なうべき事務を、明らかにしておるわけでございまして、お話のありましたように、新しい行政の伸展に対応いたしまして、やはり新しい行政事務の内容というものを明らかにしていくというのが私ども責務だと思っておりますが、この消費者行政の問題につきましても、お話しのありましたとおり、新しい行政分野の問題といたしまして、別表につきましては、実は新しい法律ができました場合に、それに伴うところの改正を、追って整備するという形でいたしておるわけでございますので、追っかけまして、御指摘のありましたようなほかの基本法との関連というものもあわせて考えた上で、検討させていただきたい、かように存じておる次第でございます。
  44. 砂田重民

    砂田委員 追いかけてやっていくということに理解してよろしゅうございますね――ありがとうございました。自治省けっこうです。  それでは、産業関係各省の問題に入ろうと思うのですが、まず厚生省から……。食品衛生法から始めましょう。  食品衛生法が、消費者保護行政の中で、私は一番重要に問題をたくさん持っていると思うのです。そこで、現行法令を、冒頭に私が申し上げましたように、各審議会の答申でありますとか、モニター各省にはね返してきているモニター意見苦情報告、こういったようなものを実現するためには、食品衛生法というものがどういう問題点をかかえているためにそういったことが解決されないのか、そういうことを一緒考えていただきたいと思うのです。  そこで、食品衛生法について、私は大体この食品衛生法法律の第一条の目的について、二番目に食品等に関する規制の強化について、三番目に監視体制整備の問題について、こういったことで伺っていきたいと思います。  食品衛生法の第一条には、「この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生向上及び増進に寄与することを目的とする。」こう書かれているのですが、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止、こういうことが書かれているものですから、このとらえ方が非常に狭い限定されたものしかつかまえられない。とらえ方としては非常に狭い。この法律の及ぼす範囲というものを、自分で極端に狭くしてしまっている。したがって、こういうところから、これから御意向を伺っていく。食品等の規制の内容を強化しょうとしても、現行以上の規制内容向上であるとか、規格基準の適用やその引き上げは、この第一条の法目的自身が消えてしまって、動きがとれないのじゃないかという気がするのです。そこで、消費者保護の角度から、この食品衛生法というものの一これからこの法律運営をしていくんだということであるならば、消費者保護の角度から考えるならば、いわゆる不良食品も駆逐できるような、そういう品質規格を設定することができるように、不良食品を駆逐するための品質規格をつくるその根拠となる文章を、まずこの第一条に入れなければ、何もできないことになってくるのじゃないか。消費者利益を保護するというふうなことばづかいが、この法体系上そぐわないというのであるならば、たとえば健康の保持、増進を積極的にはかる、そういうふうなことを法の第一条に入れなければ、あなたのお仕事もたいへんやりにくい。いま食品衛生課長が、消費者サイドで密接にコンタクトしておられても、消費者意向というものの解決が、この第一条で縛られてしまって、あなた自身動きがとれないようなことではないかと思うのですが、どうお考えですか。
  45. 野津聖

    ○野津説明員 お答えいたします。  ただいま先生のほうから御指摘いただきましたように、食品衛生法目的が、現在のところ「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生向上及び増進に寄与する」ということになっているわけでございまして、従来ややもしますと食中毒関係が主体となりました考え方で、この目的がきめられていたわけでございますが、国民の食生活といいますものは、日常生活に非常に密差したものでございますし、また健康の保持というためあるいは健康の増進というためには、非常に大事な分野を占めているという状態があるわけでございます。またさらには、わが国経済向上あるいは国民生活向上等に伴いまして、国民の食生活というものが非常に多様化してきております。また一方、業界の側といたしましては、これが技術の進歩に伴いまして、食品の加工技術なども非常によくなってきておりまして、それによります食品の多様化というふうな問題も出てくるわけでございまして、この現状にかんがみまして、先生御指摘ございましたように、健康の保持あるいは国民生活の安全衛生というものを考えました食品衛生法内容を、より広げていくというふうなことを考えてみたいと思っております。
  46. 砂田重民

    砂田委員 それでは、第一条というものをそういうふうにこれから一ぺん考え直していってみるということを前提にして、次に進んでいきたいと思いますが、法八条で、食品器具、容器包装について、清潔にして衛生的でなければならないということが書いてあるのですが、まるで基本法のように抽象的な書き方なんで、この清潔にして衛生的なということが、具体的に定義づけられますか。
  47. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘のとおり、基本的な問題が書かれているわけでございます。ただ、法の一つの体系といたしまして、現行法の四条あるいは六条くらいまでは、一つの総則的なあるいは基本的な問題として、考えていってもいいのではないかというふうにも思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、できるだけ具体的に国民生活を守るというふうな考え方で、処理していきたいと考えておるわけでございます。
  48. 砂田重民

    砂田委員 そこで、四条で不衛生な食品、添加物の販売、製造、輸入の禁止がしてある。七条、十条で、食品及び添加物、器具、容器包装の基準規格を定めておられる。十一条、十二条で標示についての規定がしてあるわけです。しかし、こういった販売、製造、輸入の禁止でありますとか、規格基準をきめるということ、あるいは標示についての規定、いずれも公衆衛生の見地からということが前提になっている。この公衆衛生の見地というワクの中だけの規制ですから、消費者苦情が続出して、これの解決ができない。私は、この食品衛生法の一番大きな問題点はここにあると思うのです。  それで、販売、製造、輸入の禁止あるいは規格基準のきめ方、標示についての規定、この問題をひっくるめて、私自身もいろいろ考えてみたのですが、そこで一つの例をあげて――これは私が自分で考えたことなので、適切な例であるかどうかわからないのですが。こういった考え方基準になる、おわかりいただきやすい一つの例をあげて、私は提案をしてみたいと思うのです。  これを見てください。ぼくはアイスクリームをひとつ例にとってみますが、いまごらんに入れたのはアイスクリームのカップのふたなんです。それにはアイスクリーム乳脂肪分三%、これはどんぴしゃりアイスクリームの規格に合っている。アイスクリーム乳脂肪分二%というのがある。これはいままでの考え方でいくと、アイスクリームというものは、きめられている基準が乳脂肪分三%以上ですから、乳脂肪分二%でアイスクリームという標示をして売っていれば、これはまさに不良食品ですけれども、不衛生食品ではないですね。乳脂肪分が規格に合わないということだけであって、それを食べたからといって、細菌等がなければ、別に衛生上の見地からいえば不衛生な食品ではない。だから食品衛生法の取り締まりの対象にはならない。それから乳脂肪分の標示がしてないで、アイスクリームのアイスと大きく書いて、その下に小さくバニラと書いてあるものがある。これはおそらくアイスクリームの規定に合わない、乳脂肪分の足りないものを、アイスクリームという標示をしてはしかられそうだから、アイスバニラということで、おそらく乳脂肪分二%くらいなものがそういうことで販売をされているんじゃないかと思うのです。皆さんも興味があったらごらんください。この乳脂肪分三%以上がアイスクリームであって、乳脂肪分それ以下のものはアイスクリームではないという基準が一方にある。現行法でいきますと、二%乳脂肪分のものにアイスクリームと標示をして販売すれば、これは不良食品であるけれども、いま言ったように、公衆衛生の見地からということであれば、食品衛生法でいうところの虚偽の標示にはならない。したがって、衛生上の危害が及ばないので取り締まりの対象にならない、ここに問題があると思うのです。  そこで、ここからが、私の考えた一つの提案なんだけれども、アイスクリームについて、人工甘味だとか、それからのりのようなものとか、増量剤のような、そういう添加物の基準規格を厳密にひとつきめて、これを標示させる義務を負わせる。一方でアイスクリームにも、それからアイスクリームの規格に合っていないアイスクリーム類似製品にも、それぞれその乳脂肪分についての内容標示を十分見える大きさの字で標示するように、標示規定をもう一つつくっておく、こうしたらどうかという気がするのです。法一条の中に、健康の保持、増進のためということをこれから書き入れていこうとするのであるならば、それに基づいての標示としてならば、私はできることだと思う。いま申し上げたような人工甘味であるとか、のりだとか増量剤とか、そういうものの、これから新たにきめていかれるその添加物の基準に合わないものは、これはまさに不良食品として明確になって、規制ができる。普通のアイスクリームを食べたい人は、乳脂肪分三%の、そこにあるようなものを買って食べる。太りたくない御婦人などは、いまでいえば不良食品のアイスクリームではあるけれども、乳脂肪分の低いものを、大きな活字で標示がしてあれば、そういうものを選ばれればいい。子どもさんの栄養源としてアイスクリームを求めようという人は、これはあとからまた伺っていきたいと思いますが、JASの規格に新たにできるかもしれない、乳脂肪分八%というような非常に栄養分の高いものを選ぶこともできる。そういうふうに明らかな不衛生なものの取り締まりの規格基準、添加物の規格基準について明確にきめて、あとはその内容の標示、脂肪の標示等を明確にさせていくならば、不良食品というもの、不衛生食品というものの線の引き方が明確になってくるんじゃないかと思う。アイスクリームが適当な例であったかどうか、実は私としては心もとないのですが、専門家のあなたには、大体おわかりいただけるのじゃないかと思う。すべての食品について、公衆衛生の見地からだけではなくて、健康保持、増進という角度からも考慮した添加物の扱い方、同様な角度からの標示の方法、要するにこういったことを新たにきめていくということです。  要約すれば、食品等の品質規格を設定するようにする、食品衛生法の標示制度を整備する、不良食品の製造、販売を厳格に禁止していく、この三点なのですが、こういうとらえ方についてどうお考えになりますか。
  49. 野津聖

    ○野津説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、現在の法律目的から生じてまいります公衆衛生の見地からというふうなことになりますと、非常に狭い解釈しか行なわれにくいような現状があるわけでございまして、今後の方向といたしまして、この公衆衛生上の見地というものを広く考えてまいりました場合には、当然、消費者立場から選択できるような正しい標示が行なわれるということと、それから、公衆衛生の見地からという立場から考えられます幾つかの食品につきまして、はっきりと成分規格整備いたしまして、そしてそれを消費者のほうで選択するためにわかりやすいような標示をはっきりつけるというふうなことを整備していくことが非常に重要なことでございまして、また、それに根を置きまして、不良な食品というものの定義をはっきりさせまして、そしてこの製造なり販売を禁止する、あるいは取り締まっていくというふうなことが非常に大事なことじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  50. 砂田重民

    砂田委員 そこで、その標示の問題をちょっと伺っておきたいと思うのですが、鯨の肉を牛肉と言って売っても虚偽の標示とはならない現行法では困るわけです。施行規則第五条にきめられている標示の基準だけではなくて、食品によっては、安全性、使用法、保存法、量目、こういったこともやはり食品衛生法においても標示をさせる、そういう標示事項をふやしていく必要があると思う。メーカーの品質管理の合理化のために――事故があったときに、それどこのメーカーでつくられたものか、いつつくられたものかということをメーカーの段階でつかまえよう、あと事故があったときの取り調べがしやすいようにという、そういう意味合いがいままでの法律にはあったと私は思う。しかし、こういう目的で定められた標示では、これからは困るのであって、あなたがおっしゃったような、消費者選択決定のための情報として、消費者に提供される標示であるべきだ、このように考えのですが、いかがですか。
  51. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 おくれて参りまして恐縮でございます。  ただいま御指摘のように、現在の食品衛生法の標示というものが、場合によりましたら、あとの検査を便利にする、こういうものが中心になりまして、消費者がほとんとうに品質について判断をするために提供されている面がやや乏しいということは、私どもも全く同感でございます。したがいまして、先ほど来お話があったかと存じますけれども、将来の食品衛生法におきましては、やはり食品の品質――単に衛生上の添加物の基準でありますとかいうことよりも、なお広い意味で、食品の品質というようなものも必要によってはきめ、かつそれが消費者の方にわかりやすい形で標示される、そういう方向で検討を進めたいと考えておるわけでございます。
  52. 砂田重民

    砂田委員 次に、規格基準のことでちょっと伺っておきたいと思うのです。食品が非常に複雑化しておりますね、新しいものがどんどん出てきている。そこで、乳児用の食品であるとか、妊産婦用の食品であるとか、病人用の食品であるとか、こういった特殊用途の食品についての規格基準というものを、栄養改善法と違って、食品衛生法でもきめておくべきだ、そう考えるのですが、いかがですか。
  53. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 いわゆる特殊食品、特殊な用途に用いられますことを目的とした食品につきましては、単に栄養上の目的だけじゃない観点からの標示なり規制なり、品質規格なりということがやはり必要でございます。そういう意味で、その点につきましても、前向きに検討したいと考えております。
  54. 砂田重民

    砂田委員 厚生省も前向きの検討を準備していただいておりますので、たいへんありがたいと思うのですが、そこで添加物のことを少し伺っておきたいと思います。  食品添加物はたいへんやかましい議論になっておりまして、衆参両院でも、しばしば各委員会で議論されてきているようでありますが、いまの添加物の規格基準というものは、従来何か問題が起こってから、事故が起こってから、つくられているような気がしてならない。食品にも新しい技術がどんどん導入され、新しい原材料が使われるようになってきておりますが、問題が起きてから規格基準をきめるのではなくて、前向きの処置が必要だと思う。添加物の規格基準の体系整理というものが、現在ではできていないという感じがいたします。何さまあの法令集を見ましても、あまり膨大なものですから、とてもみんな読み切れないんですが、しろうとの私がさっと読んでみても、どうも添加物の規格体系整理ができていない。これはどうしても必要なことだと思うのですが、いかがでしょう。
  55. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 食品の添加物というものは、ある面におきましては、食品加工技術あるいは食品化学の進歩の結果と、また国民の食品に対しますいろいろな要望というものに対応し、かつ非常に複雑になりました流通機構というものの中で、なおかつ一定の食品の品質等が保証されていくために、いろいろとくふうされてきたというものが多いわけでございます。しかしながら、この中には、しばしば委員会等でも御指摘いただきましたように、やはり国民側から見まして、有害ではなかろうかと思われるようなものが入っております。確かに一つ一つの物質をとりましては有害性というものはあるわけでございますけれども、ただいまの基準では、少なくとも人体に、その物質がその程度の量であれば害を起こすことは絶対ないという観点で、検討した上で認めておるわけでありますけれども、さらに今後、添加物の種類も非常に複雑になってくるということが予想されます。したがいまして、従来のように単一の品目だけについての検討ということではたして十分かどうか、むしろ複合された場合の姿というものを想定しながら検討する。これは非常にむずかしい問題かと思いますけれども、そういうことの可能性も十分考慮していかなければならないと思います。それで、添加物の検討につきましては、私どもは、単に事故が起きて、何か問題が起きて検討するのではなくて、ただいままで指定されておりますものにつきましても、絶えずこれに対する評価、あるいは基礎的な、化学的な進歩というものがあるわけでございますので、常時、同じものについても、この際繰り返し検討していく。そういう検討の中で、必要でないものは落としていく。あるいは代替物があって、そのほうがより安全であれば、一定の期間をおいて、それに切りかえさしていく。やはり常時の体系の中で再検討をするという方向で進めていきたいと思っております。
  56. 砂田重民

    砂田委員 おっしゃるように、添加物一つ一つについては非常に厳密な試験をやって、よくやっていただいていると思うのですが、しかし、いまのお話の中にあったように、複合された場合にどうなるかという問題が一つあると思うのです。ちょっと私がいまここで献立を申し上げますから、聞いておいていただきたいのですが、添加物一つ一つについては非常に厳密にやっておられるけれども、人間は一日に一品だけ食べるものではありません。たとえば私たちにいたしましても、朝めしにパンを食べる。マーガリンとジャムをつけて、ハムエッグスでミルクを飲む。そうやって国会へ出てきて、委員会に出て、途中で、のどがかわいたから、委員会を抜けてトマトジュースを一ぱいそこの喫茶店で飲んでくる。昼めしは政務調査会の会議で幕の内弁当が出た。その幕の内弁当の中には、かまぼこ、魚のフライ、こぶ巻きのつくだ煮、御飯の上に梅干しが載っている。御飯の横っちょにたくわんがついている。食後に甘い和菓子を一つ食べてお茶を飲む。うちへ帰って晩めしに、奮発してビーフステーキを食べて、ワカメのおつゆを飲んで、タラコと煮豆を食べる。そしてふろ上がりにのどがかわいたからジュースを飲む。ざっといま私いろいろな食品を申し上げたのですが、この中で添加物が入ってないと思われるものが幾つぐらいあると思われますか。おわかりですか。――それじゃ申し上げますが、おそらくハムエッグスもエッグスのほう、卵は添加物が入っていないと思う。ミルクもおそらそうでしょうね。それから魚のフライと申しましたが、油に異状がなければ、これも添加物は入ってないのじゃないか。私が申し上げたのは、実は二十一の食品を申し上げたのですが、いまの三つだけは添加物が考えられない。ほかのものは全部食品添加物が含まれているわけです。それは、防腐剤の場合もあり、色素の場合もあり、増量剤の場合もあり、いろいろだろうと思うのです。こういうふうに、食べていった場合の複合的な相乗的毒性というものの研究はどういうふうになされているのか、それを実は私は心配するわけなんです。防腐剤添加物というものを私は全面的に否定するものではありません。やはりかね合いだろうと思うのですね。防腐剤を使わない場合にどれだけの細菌がふえてくるか。それによる人体への危害と、防腐剤を入れたことによっての人体への危害、これのかね合いの問題だろうと思います。色素にいたしましても、もう一切の食品色素はやめろとは私はあえて申さない。全く色素を使っていないウインナソーセージなんというものは食べられるものではありません。色が、食卓に出てきただけで食欲がなくなるような色をしております。やはり漂白があり、着色をしなければ、とても食べる気になれない色をしておるものがある。だから全く無意味だとは私は言わない。しかしながら、限度の問題なんで、こういうふうな相乗的毒性の研究というのはどうなっておるか、さらに慢性毒性の研究がどう行なわれているのか。このような根本的な研究をしていくことが非常に大事だと思うのですが、いまの国立衛生試験所には、こういった相乗性毒性、慢性毒性を研究していくだけの人と力がありますか。
  57. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 先ほど来私からも申し上げた点ではございますけれども、国際的な、たとえばWHO、FAO等でもこの食品の添加物の基準その他いろいろ専門的には研究しておるわけでございますが、残念ながら総合的な形での研究あるいはその勧告というものはまだなされていないという段階でございます。したがいまして、まさにこれからの問題である。私が先ほど来申し上げますのも、単に個々の問題ではいけないのじゃないか、というのは、むしろ国際的なそういう傾向に引っぱられているのではなくて、私ども自身がそういう観点に立って検討すべきであろう、こういうことの発想から申し上げておるわけでございます。ただ、その研究なり調査なりはおそらく非常に至難な問題であろうと思います。それから単に相乗作用というものが考えられる場合もあり得ると思いますが、同時にまた、化学的な物質であれば、よくいわれますところの拮抗作用というものもあるかもしれない。いわば打ち消すような作用もあれば、お互いにプラスになるような作用もあるということが一応は考えられるわけでございますけれども、それをそれぞれ非常に徴量なものの中で組み合わせて影響を実際に確認するということはむずかしい問題だとは存じます。しかしながら、私どもは、これの研究に手をつけるにはどういうものから重点的にしぼって探っていけばいいかということは、専門の学者の方々等にお願いをすればある程度見当がつく問題であろうということで、そういう方向で、先ほど来申し上げたように、さらに今後検討は進めたいと思っております。  なお、そういうような状況でございますので、衛生試験所等でこれらの問題について積極的にやっているという実態は乏しいかと存じます。しかしながら、この毒性的な問題の衛生試験所の強化がすでに計画されて進んでおるわけでございまして、これもやはりいま申し上げたような必要性というものに立って対応したいという配慮からでございます。  なお、慢性毒性の問題がございましたが、これもたとえば残留農薬の点について先般特定の規定をいたしましたけれども、こういう問題、あるいは農薬等の代替物、これから出てまいりますこういうものにつきましても、私どもはやはり衛生試験所でかなり厳密な批判に耐えるような実験計画のもとに慢性毒性を研究していくという計画をやっております。たとえば動物実験を使うにいたしましても、その動物の選び方、あるいはその動物の一生というものについて続けて行なわなければならないわけでございますし、また同時に、その一代限りでなくて、次の代に生まれる動物の子供についてもやはり観察を続けていく、こういう体系のもとに慢性毒性をほんとうに安心できるところまで追及するという計画をただいま立てておるわけでございますので、その能力等から見まして一〇〇%ということは無理でございましても、そういう方向でようやく着手するという姿勢で進めております。
  58. 砂田重民

    砂田委員 相乗毒性の研究、慢性毒性の研究ということは非常に大事なことだと思います。しかもわれわれの口に入りますものは、食品の中に含まれている添加物だけではない。添加物プラス残留農薬プラス洗剤の毒性、そういうものがみな積み重なってきておるわけです。厚生大臣も、先般参議院の委員会で、その点を非常に心配して、答弁をしておられたようです。厚生大臣は、気の毒な奇形児の生まれる原因がここにないという保証はないのだということまでおっしゃっていたようですが、いまおっしゃったその能力がそこまであるかどうかということを危惧しておられるように承りました。先ほどの大蔵政務次官並びに行管考え方では、こういった社会的要請の強い新しい行政については十分の協力をしていくということでございますので、いまの国立衛生試験所の能力だけをお考えにならずに、これを金も人も充実させていくという方向をあわせて、ぜひともこの点は真剣に取り組んでいっていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  それから、昨今、昨年でございましたか、一昨年でございましたか、赤色や黄色、だいだい色などというタール色素が七種類ばかり、一ぺん前に許可になっていたのが不許可になりましたね。これでわが国の許可合成色素というのは十五種類になったのですか。これはやはり肝臓、じん臓、心臓、副じんなどに異状を来たすということが研究をしていたらわかって、そこで取り消されたのだと思うのですが、事は重大なことでございますから、食品衛生法の中に、一度許可をした添可物であっても、研究段階で何か異状が発見されたような場合に、すぐ取り消しのできる取り消し規定を明確にしておかれるほうがいいのではないかという気が私はするのです。いかがでしょう。
  59. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 タール色素等につきましては、ただいま御指摘のように、一度認めておったものを取り消しをいたしました。それで現在のところ約十四品目であろうと思います。国際的に見ましても、これは決して多いほうではございません。むしろ少ない種類にまで落としてきたという状態でございまして、残ったものにつきましては、ただいまの学問的な意見でいえばまずおそらく心配はないものだと考えられておりますが、しかし先ほど来添加物の問題としても申し上げましたように、すでに認めたものをそのまま既得権としてもういつまでも認めておくのではなくて、やはりそれに対する評価、あるいは学問の進歩、医学の進歩、技術の進歩というものによりまして、常にこれは再評価すべきものでございます。そういう姿勢でやはり考えなければならないものでございますし、また同時に、代替物でよりいいものが出てきた場合、当然それにかわって既存のものを落とすべきでございますので、そういった姿勢は固めておりますけれども、御指摘のように、それをやはり法的に明らかにすることが一番妥当であるというような点につきまして、十分ひとつ検討してまいりたいと思います。
  60. 砂田重民

    砂田委員 ひとつ漂白剤のことを伺っておきたいと思うのですが、法六条で化学的合成品とは何かということをきめておられて、それを政令で品目をはっきり明確にしておられるのですが、食品の漂白に用いられておる亜硫酸については残留物の基準がきまっておりますけれども、過酸化水素については残留物の基準がきまっておりませんね。したがって、その標示の対象にもなっていないし、規制の対象にもなっていない。これが最近消費者の中から、パン、かまぼこ、こういったものについての苦情が非常に多い一つの原因になっておると思うのです。過酸化水素は食品の漂白に使っても、熱や調理で簡単に消えていくものだというのが従来の学問的な常識であったように伺っておりますが、どうも最近はそうではない。最近の検査では非常に安定度が高いので、逆になかなか減っていかない。たとえば、私は神奈川県の衛生研究所の所長さんの児玉さんといわれる方がおしゃべりになったことを印刷したもので読んだのですが、はんぺんに加えた過酸化水素は二時間加熱しても相当残るということがわかった。こういうものを毎日食べていたらどういうことになるのか。慢性毒性の実験をしたら三、四年かかってしまう。そこで、精密な結果が出ないその間は有害ということが明確に証明されないから、現状のまま放置しておかれているのではないか。私はここに問題があると思うのです。こういうものは、残留農薬も、最近幾種類かあのようにおきめになりましたが、その前には暫定許容量というものをおきめになったと思うのです。この過酸化水素についても、早急にそういう措置をおとりになるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  61. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 過酸化水素は、いわゆる普通で言いますと、オキシフルというものでございまして、家庭の中にもいろいろと治療用等のために用意されておるものでございます。御指摘のように、熱等によりまして、酸化物でございますので、容易に酸素を離して分解できるであろうという常識があったことは事実でございますけれども、私のほうの手元にも、やはり熱処理によりましてもそういう製品の中から容易に去らないという実態がはっきりしてまいりました。ただいまこれについて緊急に、御指摘のような暫定の方針なりあるいはそれの実際の取り扱い上の問題まで含めまして、何か至急一つの基準をつくらなければならぬ。厚生科学研究費の緊急課題分といたしまして、四十二年度のたしか年末からだったと思いますが、研究班を組織いたしまして、緊急課題として学者の研究にゆだねております。いずれ近いうちに結論が出ましたら、それに基づきました措置をとりたいと思っております。
  62. 砂田重民

    砂田委員 宮澤企画庁長官がお見えになりましたので、私の質問をここでちょっと中断をいたします。
  63. 八百板正

    八百板委員長 ただいま宮澤経済企画庁長官がお見えになりましたので、この際、消費者保護基本法案に関連して、政府の所信について、和田耕作君及び有島重武君からそれぞれ質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田耕作君。
  64. 和田耕作

    和田委員 きょう、物価問題の特別委員会消費者保護基本法が初めて正式に上提されたわけでございます。本来、長官のお時間が許せば、午前中の砂田委員趣旨説明あるいは武部委員補足説明に次ぎまして、この消費者行政の中心の役割りを持っておられる経済企画庁長官から、この法律についての決意と申しますか、そういうものをひとつぜひとも承っておきたいということだったのですけれども、お時間の都合でこの時間になったわけでございます。  物価問題特別委員会では、昨年の九月以来ちょうど八カ月にわたりまして、この消費者保護基本法の問題について検討してまいりました。特に理事懇談会をひんぱんに開きましてこの問題を検討してまいったわけでございますけれども、ようやく本日正式に議員立法として上程をするという運びになったわけでございます。  宮澤長官は、経済企画庁長官といたしまして、現在でも消費者行政についての各省の総合調整あるいは推進の任に当たられる責任者でございます。また、いまここで、基本法で予定されておる消費者保護会議、これが中心の一つの行政主体になるわけですけれども、この会議でも総理大臣を補佐してこの法を推進していく役割りにあるわけでございますので、そういうお立場の長官に要望申し上げるわけでございます。  よく基本法というものがこの数年前から中小企業基本法あるいは農業基本法というようにできてまいりました。また昨年は公害基本法というものができてまいりました。またこのあとでもいろいろと基本法の策定が予想されておるわけでございますけれども基本法はつくっても何もしないんだ、あるいは具体的なことができないので、国民への申しわけのために基本法をつくるんだと、いろいろきびしい御批判もいただくわけでございます。これも、火のないところは煙は立たぬということですから、こういう基本法の取り扱いについて若干中身のない形式的なものになりがちだと思うのですけれども、この問題について特に私が長官に御決意をお聞かせいただきたいと思いますのは、つまり、昨年の公害法とよく似た性格のものだと思いますけれども、明治以来、戦後でもそうですけれども行政あるいは政治の一つの基準というものが、生産者中心と申しますか、資本活動中心と申しますか、そういうふうな立場でいろいろな法律がきめられ、行政の指導が行なわれておる。これはある意味で当然のことだったと思います。おくれた、あるいは急速に復興しなければならない日本にとって当然の一つの態度だったと思いますし、また相当の効果をあげてきたと思いますけれども、特にここ数年来、経済の飛躍的な拡大という問題を契機にして、あるいは都市問題、都市化というような問題を契機にして、国民生活問題、消費者生活問題が非常に緊急な要事になってきたという段階だと思うのですが、これは単に消費者としての国民を守ってあげなければならないというのではなくて、国の重要な生産そのもの、あるいは資本活動そのもの、国の全体の行動そのものから見て、消費者利益をはからなければ生産活動自体ができないというような段階に来ておるということだと思うのです。したがって、今後のいろいろな施策をはかる場合にも、その判断の第一義的な基準消費者立場というものを考えなければならないような状態に来ているということですね。いままでであれば、そういう問題が出たときには、善処いたします。あるいは至急に相談して検討いたします。というような、二義、三義あるいは四義、五義というふうなランキングの基準だったものが、一義的な基準になってこなければならない、こういうふうな状態で消費者保護基本法というものができるわけだと思うのです。したがって、そういうふうなお気持ちでぜひともこの問題に取りかかっていただきたい。  特に物価の問題なんかでもそういうふうな感じがするわけなのです。たとえば、各省公共料金を次から次へとお上げになっておられる。運輸省にしましても、あるいは厚生省その他の省にしましても、値上げをしなければならない理由を拝聴しますと、しごくもっともな理由を持っておられる。酒、たばこの問題にしましても、政府の全般的な行政立場から――こう言ってはおかしいのですけれども、当然の理由のようなものもわかるのですけれども、しかしそういうふうな個別的な立場から見れば当然であっても、国全体の政治の立場から見れば、そういうふうに上げていくことが不適当だというような判断にもなってくるわけなんです。消費者という立場から、そういうふうな総合的な判断をなさる場合も、こういうようなことを第一義的な一つの標準としてお考えをいただくような手がかりとして、私どもはこの基本法提案をしているわけでございます。この点についての企画庁長官のお気持ちをお聞かせいただきたいと思うのです。  特に、その次の問題は、けさ砂田委員あるいは武部委員からの趣旨説明の中に、この法案のいろいろの問題点を指摘されたわけでございますけれども、とりわけ私がここで特に長官にお願いしたいことは、先ほど申し上げたように、行政姿勢あるいは判断の基準というものが二次的なものから一次的なものへ変わっていくという切りかえどきの一つの重要な意味を持つ基本法でございますので、特にこれを推進する任務をお持ちになる長官が、その消費者行政というものを運用する組織なり運営というものについて、特に実効のあるものをお考えいただきたいという気持ちが非常に強いのです。特にいままでの消費者団体の幾つか名前の出ておる、いろいろ活動なさっておる方々に、この基本法に対するいろんな意見を聞きましても、このような意見を出しておられる。つまり一つの問題は、閣議の中にインナーキャビネットとして消費者保護会議をつくる計画のようだけれども、これはいままでどおりの申しわけのものじゃないのか。一つも他の省に対して権限を持って勧告をする、あるいは推進をするようなものがないのじゃないか、したがって、こういう基本法をつくる場合には、そういうふうな意味を持った消費者委員会というもの、つまり公共取引委員会のような、そういう性格の行政機関を置かなければならないのじゃないか、こういう御意見があると思うのです。こういう御意見は、現在、私は、それをすぐそういう形のものをつくることが適当だとは思っておりません。おりませんけれども、そういう感じが重要な消費者団体の中から真剣に出てくるということは、ぜひともお考え願わなければならない問題だと思うのです。実際に、現在の段階消費者行政を進める場合に、たとえば経済企画庁が他の役所に対しての勧告権を持つとか、あるいは強制的な提案権を持つとかいうような権限を持つよりは、むしろ保護会議というところで実効のあるような総合行政をしたほうがいいというふうな意見もあると思います。したがって、そういうふうなことを至急に求めるわけではないのですけれどもそういうふうに国民が求めておる、つまり実効のあるような行政の運用という面について、ぜひともひとつお考えをしていただかなければならぬじゃないか、こういう感じがしてならないのでごございます。  また、これは中央官庁の総合行政だけではなくて、最近地方の六大都市関係の市長さんから、消費者行政という新しい角度の行政について、国と地方の公共団体とのそれぞれの任命分担についての明確な一つの基準がほしいのだというような要望がございます。熱心にこの問題を考える地方の行政団体の首長は、おそらくそういうふうな問題を考えてこられると思いますけれども、要するにこれを第二の問題として、消費者保護基本法というものを実効があるように運営するために、中央官庁における、あるいは中央と地方の行政的な連絡について遺憾のない措置をぜひともひとつお願いをしたいものだというふうに思うわけでございます。  それから第三点といたしまして、この基本法の中にこれはよく世間でも問題にされておりますのに、「(消費者の役割)」ということばを入れております。「(消費者の役割)」ということは、二、三の新聞では、これは政府は何もしないのに消費者にお説教をするものだというような感じで受け取られておるのが実情ではないかと思います。最近では少し変わってこられたようですけれども、しかし、この基本法に私どもがこの問題を入れましたのは、そうではないのでございまして、全くそれとは逆の立場から「(消費者の役割)」という項目を入れたのでございます。御案内のとおり「(国の責務)」、あるいは「(地方公共団体責務)」、あるいは「(事業者責務)」ということばをつけ加えたのに対しまして、「(消費者の役割)」という違ったことばでもって消費者、つまり国民のこの問題のつかまえ方を表現したつもりなのですけれども、これが誤解されて、何も国がしないのに何か国民だけに説教するんだ、そんなものは無用のことだというような御意見すらあったようなんですけれども、私どもの気持ちというのは、それと全く逆の気持ちなんです。つまり消費者に王さまといわれておる。その王さまとしての力を発揮できるような自主的な国民組織、運動というものを奨励していく、そのための適当な措置を講じなければならない、こういうのが私どものほんとうの気持ちなのでございます。これは各党とも了承された気持ちなのでございます。たとえば、消費者組織といえば、生活協同組合という非常に重要な、大事な組織がございます。あるいはまた、消費者協会あるいは消費者科学センター、いろいろな名前で呼ばれておるところの、消費者に正しい選択ができるような援助をする、そういう機関もございますし、あるいは主婦連とか地婦連のようないろいろな国民が持っておる政府の政策に対する要望や反対や活発な意思を表明する機関もある。その他いろいろな消費者団体があるわけでございますけれども、こういう団体にはひとしく重要な役割りを今後とも果たしてもらわなければならないし、また公正な自主的な行動によって、政府あるいは事業者責務と公正な消費者行政についての監視役になってもらわなければならない、あるいは促進役になってもらわなければならない、こういうふうな人たちあるいは団体を、この法律に基づいて今後推し進めていくような役割りを果たさせたいというのが、私ども提案者の気持ちであるわけでございます。したがって、今後こういう各省関係法律の場合にも、私はいろいろ質問をしたいと思うのですけれども、こういう国民の自主的な運動、特に消費者協同組合という先進国のどこにもある、消費者みずからが自分の立場を守るための強力な一つの運動というもの、あるいは組織というものを、官庁としても、もっと積極的に理解をし、進めていくような措置が必要ではないか、こういうことについて長官のお気持ちをひとつお聞かせをいただきたい、こういうように思うわけでございます。  以上の点に加えまして、現在砂田委員らが、この消費者基本法実施に伴う既存の各法律の点検を行なっている最中でございますけれども、こういうようなことにつきましても、今後私ども基本法に照らしての法律問題点を具体的に指摘いたしまして、適当な方法で、この基本法の附帯決議なり、あるいは単独の決議なりで出してまいりたいと思っておるわけでございます。こういうことについての長官の今後の熱意のある、実効のある運用を御期待申し上げたいわけでございます。ひとつ長官のお気持ちを表明していただければありがたいと思います。これで私の質問を終わります。
  65. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 消費者保護基本法案につきまして、御提案趣旨説明並びに補足説明を直接承ることができませんでしたが、御準備の段階ですでに十分御連絡いただいておりますので、その内容はよく存じ上げております。私どもといたしましては、当委員会委員の各位が非常な御労苦を重ねられまして、このたびこの法案を御提案されるに至りましたその経緯につきましては、心から敬意を表したいと存じます。  ただいま和田委員からいろいろ御指摘でございましたが、政府あるいは国家というものの役割りは、歴史的にいろいろ変遷してまいったと思います。ある段階では、国によりましては、政府権力というのは国民を抑圧するための機構であったときもあったでありましょうし、またその後、有効に他の国と戦争を遂行するための機構であったこともあったと思います。しかし、現在わが国において、あるいはまた多くの福祉国家を目ざす国において、政府役割りは、国民自身の福祉、利益増進するということを主たるものにしておると考えるわけであります。その場合、人あるいは国民というものは、いろいろな機能を持っておると思いますけれども消費生活面というのは、何といっても非常に大きな部面でありますから、したがって政府は、当然に国民のそういう消費生活面についての利益擁護ということを最も大きな任務の一つと考えなければならないと思います。  先ほど御指摘になりましたように、本来、生産機構そのものが、市場経済のもとにあっても、あるいはその他の機構のもとにあっても、広い意味での消費者の希望なり嗜好なりにそのまま即応するはずでございますけれども、実際には必ずしもそういうことが行なわれずに、生産そのものの持っておる論理等々から、消費者の名において、実は消費者利益に必ずしも合致しないような生産がしばしば行なわれてまいりました。またそういう前提のもとに消費を促進するようないろいろな宣伝の方法であるとか、表示の方法であるとか、そういうこともまた行なわれた場合がしばしばございます。現在でもあるように思います。また、消費者の側では、そういうことを意識していながら、その知識が体系づけられておらない、あるいはそれに対する抵抗が組織づけられておらない、あるいはまた所得が十分でないために安かろう悪かろうというもので満足しなければならないといったような、いろんな場合が今日といえどもあるように思うわけでございます。しかし、今日政府役割りが先ほど申し上げましたようなものであるとすれば、これはやはり政府自身が地方の公共団体とも一緒になりまして、その主たる任務であるところの国民利益保護、ことに国民消費生活面における利益保護ということについて責任を負うことは当然であると存じます。そのための基本的理念を述べた基本法というものは従来なかったわけでございますから、そこで私はこのたびこういう法案提案されましたことは、何といってもそういうものとして政府役割りの非常に大事な部分を規定するいわば意識革命であるというふうに認識をいたします。私はそういうふうにこのたびの御提案を受け取りたいと思っているわけでございます。  そこで、このたび、この法律案が成立いたしましたときに、具体化すべき私どもに課されました任務はいろいろあると思いますが、まずそのような改まった意識のもとに在来幾つかございます消費者に関連するところの法令等々、これらは必ずしもさきに申しましたような理由から消費者利益を第一に考えるというたてまえになっておりません。したがって、そういう角度から既存法令を見直すということが必要であると思います。また行政面においても、従来消費者行政といわれながら、必ずしもはっきりした意識に立っておらなかった。  で、これをだんだん改めていく必要があると思います。消費者保護会議というものは、おそらくそれらのものの中心になるべき機能であると思います。地方との関係においても、従来かなり努力はいたしておりましたけれども、ばらばらでございました。地方によりましては、住民のそういう意識、あるいは当然地方の首長は公選によって職をとりますので、そういう住民の意識を反映することが公選の意義であると考えられた首長のところは相当進んでおりますけれども、そうでないところもございます。今度こういう法律案が成立いたしますならば、その機会に十分地方との連絡も緊密にしてまいりたいと思います。  それから消費者側に対する、この法律案で示唆しておられることでありますけれども、これは私ども国民の福祉、利益増進することは、政府の当然の任務でありますけれども、またそれは国民一人一人の自分に対するつとめであるというふうにも考えて、ただ従来それらの認識が消費者自身にとって、個々の人々にとって十分でなかった。あるいは消費内容商品とか、サービスとかいうものに対する知識に欠けておった。またかりにそれらが十分であっても、それに対する対策あるいは研究等が組織的でなかった。これらのことは従来とも見られたわけでございますので、それについてもこのたびの法案が成立いたしまして、そこでも新しい意識革命が起こるということを期待いたしております。  この法案が成立いたしますと、私どもの役所が当然その中心になりまして施策もし、また各省あるいは地方との連絡もいたさなければならない任務を帯びると思いますが、立案の御趣旨に十分沿いますように行政をいたしてまいりたい、こう考えております。
  66. 和田耕作

    和田委員 ただいま宮澤長官から非常に熱意のあるお気持ちを聞かしていただきまして、まことにありがたいと思っております。私どもは、率直に言って、宮澤長官は、その見識からいっても、そしていままでのいろいろの問題を処理していく態度からいいましても、非常に適任の方だと思いますので、これは冗談でなくて、宮澤長官の今後のひとつ御健闘を心からお願いを申し上げまして、私の要望を終わる次第でございます。  ありがとうございました。
  67. 八百板正

    八百板委員長 有島重武君。
  68. 有島重武

    有島委員 昨年の秋以来、提案者四党のそれぞれの意見を反映いたしまして、ここに一つの形をとることになりましたこの消費者保護基本法が本日本委員会提案されまして、質疑に入ることになったわけでございますが、今後本法案関係各省庁また地方公共団体の積極的な協力を得て実効をあらわしてまいりたい、同時にまた国民各層の理解と共感を呼び起こして、これは官民を通じての一つの国民的な連帯感のくさびになっていくようになりたい、そのように願っておる次第でございます。  国の内外の各層に繰り広げられておりますいろいろな段階、いろいろな分野において、対立とか不信感の中でもって不毛な論議がいたずらに空転するような、そういったおろかな状態が見られますけれども、これが一つの歯どめともなり、従来ややもすれば閉鎖的な孤立状態の中で営まれてまいりました努力が、国民経済の全体の有機的な働きの中で、より開放的に実りある成果をもたらすささえとなり、ひいては国民生活の中に大きなナショナルコンセンサスを形成するよすがともなることを期待しておるわけでございます。政府におかれましても、一たび家庭に帰れば一国民であり、一生活者としての立場であるわけでございまして、複雑で非常に力の強い経済状態、国の経済現象の中に放置されている一消費者の実感に立ち返って、本法の趣旨に沿って、発展的な取り扱いをしていただきたい、行政上にしっかりとした実効をあげていかれますように要望いたすものでございます。  ここで宮澤国務大臣に若干の基本的な点を質問して、御所見を確認しておきたいと存ずるわけでございますが、その第一は、先ほどの質問とやや重複することもございますが、従来各省庁におきましての消費者保護行政、この諸施策が、この基本法の成立を契機として一段と前向きの変化、変質をもたらすことが期待できるかどうか。その可能性について、ただいまも意識革命というお話がございましたけれども、これはきょうのこの基本法案提案によって一つの大きな飛躍をすることができるかどうか、その点についての可能性をまず伺っておきたいと思うのです。  それで、一部の消費者の中にも評論、報道関係者の中にも、また政府部内の中にも、このような基本法というものはあってもなくても同じである、あるいは有害無益であるというような声も少しはあるわけでございます。先ほど本法案趣旨説明また補足説明におきまして、私ども提案者側の見解はほぼ明らかに御説明申し上げたわけでございますが、およそ法律は、これを運用する人によっては、有益ともなるし、また無益にもなる、あるいは有害ともなれば無害ともなると思うのでございますが、本法によって、運用上特に有益な成果を出しますためには、政府としてはどういうような配慮をあらかじめすべきであるか、この二点について御所見を承っておきたいと思うわけでございます。  それから第二番目でございますが、物価対策とそれから消費者保護行政との関連性についてでございます。本法成立というニュースを聞きまして、期待をたれておられる消費者の中には、消費者保護行政がそのまま物価対策であるかのような考えを持たれておる向きも見られるわけなんです。出発の当初にあたりまして、物価対策とそれから消費者保護行政とのおのおのの分野及びその関連のしかたにつきまして、国民経済のあり方の上から明確にしておくことが必要じゃないかと考えますので、御見解をただしておきたいのでございます。並びに行政の主体、主責任がいずこにあるのか、国民経済の運営にあたりましての責任主体、責任体系と申しますか、そういうことを明らかに示していただきたいと思うわけでございます。これが第二の質問でございます。  それから第三番目でございますが、法文上の問題でございます。初めに消費者ということばの定義でございますが、これは非常に広義の解釈と、それから狭い意味の解釈とあると思います。本法運用に関しまして、政府消費者ということばの意味をどのように解せられていくか、同じく消費者組織についても、これは幾つかの問題を含むと思いますので、この際はっきりしておきたいと思うのです。これらの点が明らかになりませんと、政府のあらゆる施策は、そのままですべてこれは消費者保護行政に通ずるのであるというような論理も成立する場合もありますし、それから最近消費者保護という用語が非常にポピュラーになってまいりましたが、こうした態度で不適当に乱用するおそれもなきにしもあらずであると思うわけでございます。この点についての御所見をただしておきたいと思う次第でございます。  それから第四番目、これは消費者保護行政監視報告の問題でございます。国民にとってはきわめて身近な問題でございますから、国民のすべてが消費者保護行政監視しておる。そうして衆参両院並びに地方議員が国民の代表としてこれに当たるのは当然のことでございますけれども、専門的な取り締まりの権限というか、これは一人一人の消費者には保有されないわけでございます。当然行政管理庁であるとか公正取引委員会等の一そうの御努力を願わなければなりませんので、この点も要望し、監視体系、報告体系を明らかにされたいと思うわけでございます。特に年次報告につきましては、本法案の草案の段階で論議がかわされた問題でございまして、これは形式的な文書の種類を多様にするよりも、従来の国民生活白書の中に消費者保護行政報告を細密に記載されるならば、これを国会に承認を求められて、実質的な検討、審議の対象にするに便利であろう、そういうような意見によりまして、あえてこれを基本法の中から削除したという経緯もございました。報告体系につきましては、ただいま申しました国民生活白書中に記載していただきたいという点、この点を要望いたします。  以上四項目につきまして大臣の御所見を承りたいと存じます。  なお、これは質問ではございませんが、将来の問題となると思いますので、消費者保護行政の実質的な効果というものは、関係諸法の改正と同時に、情報ネットワーク、あるいは情報中枢の確立、それから商品テストの厳密な実施、これには基礎的な実験施設の問題であるとか、規格に合格するかしないかとか、それから消費者に便宜を与えるかどうかとか、そういったようないろいろな要素があると思いますけれども、そのための商品テスト施設の整備等が必要な条件となるのじゃないかというような意見もございます。これらは今後の審議の中でもってそれぞれ進めてまいりたいと考えておりますが、以上提案者としての所感、要望を交えまして、質問申し上げる次第でございます。
  69. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず最初の問題でございますけれども、私どもは、先ほど和田委員にも申し上げましたように、このたびこういう法律案が御提案になりましたことを、わが国消費者保護についての大切な新しい出発であるというふうに考えております。戦後二十数年、とにかく平和国家を考え、福祉国家を考えてここまで参りましたが、ようやくこういう基本法提出されるところまで来たかという、そういう感懐を持っております。そういう新しい出発点に立って、これから意識革命をどういうふうに進めていくかということになると思うのでございますが、確かにこの法律ができたから、ものごとが解決するというものではございませんと思います。けれども、従来ありました消費者関係法律というもの、法令というものが、先刻申しましたように、実はかなり生産者本位になっておるものが多いわけでございますから、当然この母法に照らしてそういうものを検討していかなければならない。従来その必要はいわれておりましたし、私ども申しておりましたけれども政府がそういうことを法律で義務づけられておるということはなかったわけでございます。今回は、この法律案の成立によって、そういう法的な義務づけが生まれることになるというふうに考えます。したがって、非常に率直に申しますと、いままでの法律あるいはいままでの法令をそのまま運用しておった立場からいえば、やっかいなものが生まれたという感懐があるかもしれない、私はあるのがいいのだと思います。むしろそういう新しい義務づけを私ども行政の上で受けるということが、この法律案の一つのねらいであるというふうにすら思いますので、私は、裏を返せば、それだけの大切な意味があるというふうに考えます。もちろん、この法律が成立いたしましたときその趣旨を十分生かし得るかどうかは、主として私ども行政に当たる者の共同責任でございますけれども、何としても一つの指針を法律によって示されるということは、今後に対する意義は非常に大きい、世の中で法律一本つくってもと言っております批評とは、私どもかなり違ったものを感じておりますし、そうなければならぬと思いますが、やはり各省行政が、法令、ことに法律を中心になされておりますから、法律がなければなかなか事がやれないというのと同時に、法律がありますと、それに義務づけられるということの意味は大きいと思います。  それから物価との関係でございますが、もともと物価問題というものがこれだけ大きくなりましたのは、消費者の意識が出てきたからであると思いますので、そういう意味では消費者を保護するということと物価を安定させるということは、私は同じ問題意識を持っておるというふうに思います。もちろん物価政策そのものは経済全体の指標のようなものでございますので、これを成功させるためにはいろいろな手法を用いなければなりませんけれども、問題の中心になっておるのはやはり消費者であるという意味において、両方は共通の根を持っておる。またもっと現象的に申しますと、物価問題がやかましくなってまいりました過程で、生産者の側で、価格を動かすことは抵抗が多いので、内容を低下させよう、そういう動きに出た場合がしばしばあるわけでございます。そうしますと、これは直接に消費者保護のこの法律考えておられることに結びついてまいると思います。  それから、消費者というものをどういうふうに認識するかということでございますが、それは、広い意味では、住宅であるとか上下水道であるとか、いわゆる生活環境全部との関連でいう場合もございますが、この場合、私どもとしては、一応商品なりあるいはサービスなりを消費する主体としての消費者というものを考えていってはどうであろうか。そういうことになりますと、それらのものの安全性であるとか、衛生であるとか、あるいは量目であるとか、表示であるとか、あるいは誇大広告の抑制であるとか、取引の公正化であるとか、あるいは消費者に対するいろいろのインフォメーションの供与、提供であるとか、そういうことになると思いますが、それらがまた消費者行政内容になっていくと思います。  それから取り締まりの問題でございますが、これは当然いろいろな段階でのフィード・バックが必要になると思いますし、それらはある程度モニターあるいは検査等でやってもできますけれども、その背後にあるものは、公正取引の原理であるとか、それらを担当する行政であるとかいうものが監視体制をとるということが特に大切であると思います。また行政そのものにつきましては、今後とも当該商品なり、サービスなりの生産提供を主管する官庁が、一義な責任を持つことでやっていったほうがいいのではないか。と申しますのは、そういう監督の立場からものを言う場合が従来の経験にかんがみまして一番有効でございますので、したがって、私どもとしては、そこは動かすつもりはございませんが、今後は、この法律ができますと、私ども、そういう一義的な権限を持つ官庁に対していろいろ注文を出したり、あるいはお互いに事前に話し合ったりすることがたいへんにしやすくなると思います。ぜひそういう意味での私どもの役所の調整機能は強化してまいりたいと考えております。  それから年次報告等に関連することでありますが、御指摘のように、国民生活白書は、国民生活向上、改善を目途として国国に報告する白書でございますから、その非常に大きな部分はやはり消費生活であろうと思います。でありますから、ここで消費生活内容がどのように変化したかということは、当然報告内容の大きな部分であると思いますし、また消費者保護行政がどのように行なわれておるかということも、やはり白書の内容になるべきだと思います。実はこの点につきましては、今年度、白書をいまどういう骨格で書くかということを検討しておりまして、一部で消費者保護行政の現状と問題点について提起をしてみようかということを一ぺんは実は考えたのでございます。ところが、どうもいまの段階では、まだこれは地方のそういう問題に関心を持っておる行政官に対する、情報の提供には非常によろしいのでございますけれども国民生活白書という、消費者一般が読まれるものの内容としては、いまの程度の貧弱な消費者行政組織では、国民一般が関心を持って一般的な読みものとして読まれるには、まだ少し熟度が低いと考えましたので、今年度はそのために特に一部を設けるかどうか、いま実は考えておる最中でございます。一般的な読みものの内容になる程度に、やがて、この消費者行政の問題がこの法律案とともに高まってまいりますでしょうから、そういたしますと、白書については将来消費者生活内容ばかりでなく、消費者保護組織なり、保護行政というものが、各地でどのように行なわれるようになっていくかということは、やはり国民生活白書が取り上げてみていい問題であろうと思います。現在すでにお手本として紹介してもいいような例が、数少なくはございますがございます。ですから、やはりそれを国民が読んで興味を持つような形で扱えば、将来の問題としては非常におもしろいのではないか。当然それらのことは、これからの国民生活白書の内容になっていくと思います。  それから最後に、御提案として言われました流通関係の情報等々でございますが、これは今般そのごく初期的なものが、農林省で生鮮食料品について行なわれようとしております。またテストについては、いままでテストということはございますけれども、テストの施設というものはまだまだはなはだ十分でございません。今度の法律を契機に、おそらく消費者保護という認識は非常に高まっていくと思いますので、そういたしますと、特定の商品について権威のあるテストを行なうというようなその施設についても、これはやはり直接、間接に政府が関与すべき仕事の一つになっていくのではないか、こう考えております。
  70. 有島重武

    有島委員 お答えいただきまして、たいへん今後の基本法発展について、確信を深めることができました。私どもとしても、これからこまかい部分にわたっての検討を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
  71. 八百板正

    八百板委員長 以上で和田耕作君及び有島重武君の、経済企画庁長官に対する質疑は終わりました。  午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十九分休憩      ――――◇―――――    午後二時十九分開議
  72. 八百板正

    八百板委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  消費者保護基本法案に関連する諸問題について質疑を続行いたします。砂田重民君。
  73. 砂田重民

    砂田委員 食品衛生法のことが少し残っておりますので、添加物のことでもう一点だけ伺っておきたいと思うのですが、ズルチンを昨年でしたか、ある程度商品別に規制をされたのですが、どういうものがまだ残っておりますか。
  74. 小高愛親

    ○小高説明員 お答え申し上げます。  現在ズルチンの使用を許しておりますのは、品目といたしましてはつくだ煮、魚介かん詰め、ソース、つけもの、煮豆、魚肉練り製品ただし魚肉ハム及び魚肉ソーセージを除いております。それからジャム、しょうゆ、みそでありまして、これ以外の食品に使用することは一切禁止されております。
  75. 砂田重民

    砂田委員 おそらく、ズルチンを最近禁止されたのは、あまり熱を加えない食品は禁止をなさって、相当熱を加えるような食品が、いま伺ってみると残っているように思うのですが、ズルチンを食品に使用することを許可している国は、世界じゅうにどれくらいありますか。
  76. 小高愛親

    ○小高説明員 現在ズルチンの使用を許しておりますのは、日本のほかにドイツとオーストリアでございます。
  77. 砂田重民

    砂田委員 ズルチンの毒性については、たしかWHOも、その毒性の、非常にその人体に及ぼす影響が危険度が高いということを明確にしていると思うのです。そんなことから、ほとんどの国がズルチンの使用を禁止をしていると思うのですが、私は、わが国においてもズルチンの使用はもう禁止をするべき段階ではないか、こう考えるのです。  そこで、いまおっしゃったような食品に、いまなおズルチンの使用を許しておられるその理由はどういうことでしょうか。
  78. 小高愛親

    ○小高説明員 ズルチンの毒性につきましては、これはWHOではまだ見解を出しておりませんで、勧告のようなものはまだ出ておりませんがただしアメリカのFDA、これは食品薬品管理局でございますが、そこで、十年ほど前になりますが、動物実験をいたしましたところ、これが発ガン性があるという報告を出したのでございます。そして直ちに日本においても、これは国立衛生試験所におきまして追試をいたしたのでありますが、そのような所見が見られなかったのでございます。それからさらにドイツにおきましても、その後再三動物実験をやっておりますが、現在もなお、そういったアメリカにおけるような発ガン性があるというような所見をいまだに報告をしておりません。しかしながら、こういったものは、戦後非常に砂糖の逼迫しておりましたときに、サッカリンと同時に許可されたものでございまして、現在もう砂糖も非常に豊富だというような状態でございますので、この際これはもうほとんど無用かと存じますが、一部いまおっしゃいましたように加熱するもの、それから塩分の濃度の多いもの、あるいは水素イオン濃度の低いもの、こういうものにつきましては、ほかの人工甘味料でいまだ適当なものがございませんので、そのものに限りまして使用を許しておる、かような次第でございます。
  79. 砂田重民

    砂田委員 ズルチンを残しておられるその御事情は、いろいろあると思うのです。日本古来の食品というようなお考えもあるかもしれませんが、日本古来の食品は、少なくとも徳川時代ではズルチンは使われていなかったはずなんです。  もう一つは、いまおっしゃったように、アメリカの検査結果の発表が十年も前でありますから、それに追従してほとんどの国がズルチン使用を禁止していると私は思うのです。あなた御自身も、ズルチンを無害なものだといって言い切れる確信はないだろうと思うのです。やはり相当権威のあるそういう研究機関検査結果には、私は追従していっていいんじゃないかと思うのです。アメリカのそういう機関検査をして、ズルチンがどうも発ガンのおそれがあるぞというふうなことであるならば、それに追従していっていいんではないですか。アメリカ追従といっても、これだったら社会党からもおしかりを受けないだろうと思うのです。  もう一つの、ズルチンをいまだに少しは使用を許しておられるのは、ズルチンメーカーが非常に零細であって、ズルチンを一ぺんに禁止してしまうと、その零細なズルチンメーカーが参ってしまう、そういう御心配もあるんじゃないかと思うのです。しかし、そういうことについては、なるほど零細なズルチンメーカーの方々にはたいへんお気の毒ではありますけれども、そういう危険な食品ということを考えれば、これはバランスをとって考えれば、どちらに旗を上げざるを得ないかということはもう明確だろうと思うのです。その零細なズルチンメーカーをやはり救わなければならないというのは、私はそれは厚生省だけの仕事ではないと思うのです。そういう零細なズルチン業者の方向の転換といいますか、そういうことについて中小企業庁あたりと御相談になったことがありますか。
  80. 小高愛親

    ○小高説明員 もちろんこのような場合に衛生問題が第一でございまして、その中小メーカーが非常に困るとかなんとかいうことは、私どもとして考える必要はないわけでございます。したがいまして、われわれとしては、あくまでもその安全性というものに力を置きまして、その確証を得次第――現在も検討は続けておるわけでございますので、そういった確証あるいは国際的な見解というようなものが出されましたならば、これは廃止する方向で検討したいと思います。  なお、御質問のございました中小企業庁との連絡につきましては、われわれは、もちろん切ることも大事でありますけれども、まあそういった業者を救う道があれば、そういったことは考えていただきたいというわけで、中小企業庁とも相談をいたしております。
  81. 砂田重民

    砂田委員 先ほどから消費者保護基本法姿勢に基づいて、食品衛生法というものをこういうふうに見直していこうという非常に前向きな御答弁を相当こまかく伺ってきておるのですが、どうもズルチンのことについては、ちょっとうしろ向きのような感じを受けるのです。検査をやって確信を得てからということではなくて、先ほどのオキシフルですね、漂白剤に使われておる過酸化水素こういうものについて緊急にいまやっておるというお話を承りましたが、ズルチンなんというものは、疑わしきを罰せずというような考え方でなくても、とにかく世界じゅうのほとんどの国がその使用を禁止しておるのですから、直ちに私は、ズルチンは使用禁止をするべきだと思う。それだけに気の毒なズルチンの零細な企業者の転換の問題は、中小企業庁とあなたのほうと的確に連絡をとって――そういう中小企業行政をやるのが中小企業庁の責務でございますから、中小企業庁のほうでも的確に、ひとつ熱心にその方向転換を一緒に相談に乗ってもらって、制度融資の道にも乗せるとか、そういう方向があろうかと思うのです。できるだけ早い機会に、ズルチンだけは使用禁止をしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  82. 小高愛親

    ○小高説明員 現在、御趣旨のような方向で検討をいたしております。
  83. 砂田重民

    砂田委員 それでは、次にひとつ製品検査のことを伺っておきたいのですが、食品衛生法の第十四条で、製品検査を行なう対象として「食品、添加物、器具又は容器包装の製品」ということが書いてあるのです。ところが政令を見ますと、政令の第一条では添加物のみに限られてしまっている。したがって、法十四条では、製品検査を行なう対象が食品だ、添加物だ、器具だ、包装だ、たくさん書いてあるけれども、実際は何も行なわれていない。政令のほうでたいへん狭められて、添加物だけということになってしまっておる。これはやはり食生活も変わってまいりましたし、相当一つの食品の流通圏も広くなってきておることですから、そういった流通圏の広い食品や食器などについては、製品検査をもっとやれるように法律の上で明確にしておくべきじゃないか。もしも前からそういうことをやっておったとするならば、ユリア食器のあの事件なんかは未然に防げたかもしれない。鉛の塗料の問題も、あなた方のほうで取り上げて、積極的に事故の起きる前にはっきりしたものをつかんでいかれるべきだと思いますから、そういう製品の検査ができるように、法律の上でも直していかれるべき筋合いのものだと思いますが、いいがでしょうか。
  84. 野津聖

    ○野津説明員 お答えいたします。  御指摘のございましたように、現在の食品衛生法で製品検査ができるようになっておるわけでございます。ただ、製品検査は、現在厚生大臣あるいは都道府県知事が行なうような形になっておりまして、その製品検査に合格しましたものについては、証紙を張って、その安全性を担保していこう、こういう形になっておるわけでございます。しかし、一般的な食品についてこれを考えてみました場合に、厚生大臣あるいは都道府県知事に一般的な食品の安全性について担保させるということは、その食品そのものの性質上非常にむずかしい問題があるのではないかということで、現在、比較的安定性のございます添加物についてのみ製品検査を行なっているわけでございます。しかし、御指摘がございました容器、包装などにつきましても、これは食品とは違いまして変質するものでもございませんので、できるだけその方向で製品検査内容を増加していきたい。それからまた、一般食品につきましても、このように流通圏が広がりました場合には、製品検査ということは本質的にむずかしい問題ではございますけれども、それにかわるような何らかの形で製造段階でチェックできるようなことも考えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 砂田重民

    砂田委員 それでは次に、ひとつ非常に大事な問題の監視体制のことを伺っておきたいと思うのです。監視員の定員というのは満たされているのかもしれませんが、法律で、あるいは政令で規定されている食品衛生監視員の資格というものがなかなかむずかしいのですね。したがって、監視員の増員ということは、その定員をふやすだけではなかなか確保しにくいんじゃないか、そんな気がするのです。そこで、政令の四条一項できまっている厚生大臣の指定した養成施設、ここを卒業した人も資格を得られるわけですが、この厚生大臣の指定した養成施設というのはいまどういうふうな養成施設があるのか、また今後どういう形でそれをふやしていこうとしておられるのか。
  86. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘ございますように、食品衛生監視員の仕事と申しますのは非常に権限を持っておりますし、また内容等も高度の技術を要する、こういう状態がございまして、現在、厚生大臣の指定します養成施設及び医師、歯科医師、獣医師、薬剤師等の資格を持っておる者、あるいはその学部を卒業した者というふうな形になっておるわけでございますが、現在、厚生大臣の指定をしております養成施設といたしましては、公衆衛生院にございます養成機関の二つの学部と、ほかにこれは現在政令できめられておりますのに、はっきりと医師、歯科医師、獣医師、薬剤師となっておりますが、それらの学部と同じカリキュラム、教科課程を持っております学科――最近新しい食品加工学科などもできております。そういうようなものを指定いたしております。現在全部で五つの養成施設を指定しております。
  87. 砂田重民

    砂田委員 私は、あの食品衛生法による食品の衛生監視というものが、あまりにも貧弱過ぎるという気がするのです。地方公務員としての食品監視員が五千名ばかりあるわけですね。そのほかに主として輸入食品を見ておられる十の港に十九名ですか、これだけ。食品衛生監視が貧弱なので、あなた方が一生懸命大蔵省とかけ合って予算編成のときに苦心惨たんなさって、来年度一名増員確保された。羽田の空港に来年から一名配属をされるわけです。これだけ輸入食品がたくさん港へ、あるいは飛行機で運ばれてきているのに、飛行場に至っては羽田空港に四十三年度からわずか一名の監視員。輸入食品のほうが、国内産食品よりも、衛生という面からは全くあぶないものをわれわれは食わされているかもしれません。書類審査だけで通っているんじゃないかと思うのです。そこで私は、食品衛生監視員という監視の制度を整備していくについても、いま申し上げたような資格もなかなかむずかしいし、たいへん気の毒なお仕事でもあると思うのです。聞きましたところでは、東京都では勤続十五年の監視員が三百名おられる。ほんとうに一生懸命下働きといいますか、縁の下の力持ちのような仕事をしてくれているのですが、十五年も勤続しておられてもこの人たち課長にすらなることはできない。課長のポストがないのですね。こういうところに私は食品衛生監視員をふやして監視体制整備していくについてのいろいろな問題点があるのじゃないかと思う。給与体系だけの問題でもないような気がするのです。  そこで、たとえば各保健所に食品衛生課という課を設けたらどうですか。食品衛生課長にその人たちがなることができるということになるだけでも、私は、食品監視員を集められる、数をふやすことができる一つの方法ではないかという気がするのですが、どうお考えですか。
  88. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 食品衛生監視員の確保の問題は、御指摘のとおり、食品衛生監視体制のいわば一番困難をきわめている問題でございます。資格の問題につきましても、これを緩和していくという見方もあり得ると思いますが一面、その監視業務なり指導業務なりというものは非常に高度な専門的なものを逆に要求されておる、こういうことでございますので、先ほど来、野津課長からもお答えいたしましたような養成施設とかそういうものも拡大し、また、他の同等の学科というものもこれに含めるということで確保する方向を考えたいと思っております。  それから、しかし、そういう専門的な知識を持った方々の優遇の問題でございますけれども、保健所等にそういう独立の課を置くかどうか。これは確かに、そういう面におきまして優遇する上におきましても、そういう職責というものを非常に重視しておるという姿勢を示す上におきましても大事な問題だと思います。しかし、これはまた保健所全体の公衆衛生活動の業務のあり方とも関連をいたしておりますので、十分そういう点を含めながら関係の部局とも相談をして、検討をしてまいりたいと思っております。
  89. 砂田重民

    砂田委員 そういう待遇の問題ともう一つあわせて、私は、食品衛生監視員の方の資格を低めるということはあまり賛成できないと思うのです。やはり相当な専門的知識がないと悪い影響も出てきましょう。しかし、そういう人たちを補助するような人ですね、そんなふうなことも含めて、ひとつ食品衛生監視体制というものをぜひ整備していただきたい。いまの現状では、われわれ消費者というものはあまり安心してものを食べられないような気がいたしますので、それだけはぜひひとつお願いしておきたいと思うのです。  そこで、そういったことにもう一つ関連をして、通産省の計量モニター的な任務を持った、そういうモニター活動を、経済企画庁のモニター――先ほど経済企画庁のモニター活動をことしはうまくやっていこうというようなお話もございましたが、こういった経済企画庁のモニターを利用して、何かそういうふうなデータをとられることもいいことではないかと思う。これはひとつお考えおきいただきたいと思うのです。  それから、やはり検査機関として、国立、公立の衛生試験所だけではなくて、りっぱな民間の検査機関もあることですから、もう少しそういった民間の検査機関の施設その他の充実しているもの、そういうものに委託費を与えて検査委託をしていく、そういうふうな制度を――受け取ったデータを判断なさるのは、これはもう国の行政でおやりになってしかるべきだと思います。そういった民間の検査機関というものを活用していく、そういうふうなことができるように、法律の上でお定めになっておかれたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  90. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘のとおり、検査を十分にやり、それによりまして検査の実績をあげていく、これは食品行政における根本の問題でございます。先ほど来、午前中にもお話がございましたように、国の機関あるいは都道府県検査機関、また、ただいま御指摘のような保健所の検査能力、こういったものもあわせてやはり拡大すべきことは当然でございますけれども、これにはやはりおのずから限度があると私ども考えております。したがいまして、民間のしかるべき資格を持った信用のできるところ、あるいはまた単に民間でなくても他の研究の機関、大学その他の問題もあり得ると思いますが、そういったところに、ある一定の条件のもとにこれを認めまして、そこに委託して検査を依頼する、そういう道はぜひ開くべきだと思っております。しかしながら、これの最終的判断はやはり公的な立場に立つものがやるべきでございます。したがって、検査の成績だけは民間その他のところに委託して広く検査をしてもらう、しかし、そのデータの最終的判断の責任は、やはり食品衛生法に基づく衛生監視員その他公的なところで確保したい、こう思っておるわけでございます。  なお、これに関連いたしまして、さようないろいろな監視体制その他を十分に拡大しようと努力をいたしましても、おそらくは、全国非常に広い地域における非常に複雑な、流動いたしております食品というものを、ばらばらではなかなか能率的にチェックすることは不可能ではなかろうか。そういう意味におきましては、たとえば生産地であろうと消費地であろうと、全国の都道府県というものをやはり一つの検査のネットワークの中に組織づけまして、そしてたとえば九州の某県があるものについてデータを検査し、同じ製品をまた東京でやるというように二重な重複というものをなるべく避けまして、そういう計画のもとに各都道府県がネットワークをきめ、そのすみやかな情報を交換するということによりまして、みずから検査しなくても十分状況を承知しているというようなことも必要ではなかろうか。こういう点を十分研究してみたいとただいま検討中でございます。
  91. 砂田重民

    砂田委員 たいへん前向きの御答弁をいただいて、まことにありがとうございますが、いま私が御質問したことや御答弁いただきましたことに関連しまして、私はここに一つの実例を申し上げてみたいと思うのです。  昨年の六月二十一日に、兵庫県の生活科学センターで、法定外色素赤色一〇一号が入ったジャムが発見されました。これは、英国の世界的に一流と世間が認めている大食品会社がつくったイチゴのジャムでございます。それを生活科学センターの技術屋さんが分析して発見をいたしました。法定外色素が入っていたわけです。それが六月二十一日で、六月二十三日に、さらにそれをもう一度試験をし直して同じことを確認をして、神戸の生活科学センターがそういう技術的な試験研究をやるのにいつも協調をしてくれておりましたデパートの大丸の商品試験所へそれを問い合わせてみたところが、大丸の試験所では、実はこれはもう前に検査をしてあります。まさに法定外色素、有毒な赤色一〇一号がその商品には入っております。そこで大丸では、自分のところの試験所でそういう結果を得たので、大阪市の衛生研究所へ試験結果を連絡すると同時に、大阪市の衛生研究所でそれの検査をしてもらったところが、大阪市衛生研究所からは、入っておりますという返事を大丸としても受け取りました、そういうことを兵庫県の生活科学センターが聞いたわけでございます。そこで、同日、兵庫県の生活科学センターから大阪市衛生研究所へ、その問題について、それを行政措置をしてくれるように行政機関に連絡をとってくださっておりますかということを問い合わせましたら、ただいまの食品衛生法では委託を受けた方へお返事をすればいいことになっているので、行政機関への連絡はしていない、こういう返事であったわけです。翌二十四日には、生活科学センターから兵庫県の衛生部と神戸市の衛生局に文書によって処置の依頼をいたしまして、県の衛生課の了解を得て、市中に出回っているおそれが十分あるものでありますから、新聞発表をして、新聞社協力要請しまして、あぶないぞという記事を書いてもらっております。二十五日がたまたま日曜日であったので、二十六日、二十七日には県、市の衛生試験所でこれの検査を行なって、それぞれ確認をいたしました。厚生省の神戸衛生監視官は、生活科学センターにその日に来てくださっていろいろな事情を調べて帰られたわけでございますが、翌二十八日に、兵庫県の衛生課係官が現品を持って厚生省へ出頭してまいりまして、広域的に販売されているようだから必要な処置をとっていただきたいというお願いをしたわけでございます。そのときの厚生省のお返事は、これはいま御答弁いただいたことに関連してくるわけですが、厚生省自身検査をしていないから、府県のほうでしかるべく措置をとってもらいたい、厚生省としては全国的には販売停止等の処置はとらない、こういうお返事であったわけでございます。そこで二十九日に、兵庫県知事名をもって全国の府県知事に販売禁止を連絡をいたしまして、同時に、同日、兵庫県下には県知事が食品衛生法に基づいて販売停止を命じて、問屋に返品するよう指示をしたわけであります。厚生省は、その後やはり国立衛生試験所で検査をして同じ答えを出されて、厚生省としても全国的な処置をとられたように聞いておりますが、六月二十一日に発見されたこういう危険食品が、二十九日になるまでは何の措置もとられておらない。この間はどんどん自由に販売をされて家庭に入っていっているわけです。  私はこの問題を、少なくとも消費者保護基本法姿勢に基づいて現行食品衛生法を見た場合に、現行の食品衛生法はいろいろな不備があること、いろいろな問題を物語っているような気がするのです。輸入食品の監視が全く弱体であるという問題から始まって、監視検査を国だけではとてもやれることではない。府県協力というものがないと適切な監視はなかなかしていけない、こういう問題も含んでおりますし、もちろん府県段階での消費者行政としてこれだけのことがやれるという一つのわれわれの確信にもなるわけですが、そこで各府県知事に対して食品衛生法に基づくこういう問題の厚生大臣が全国的な措置をする、処分をする、そういう処分請求権というものを各府県知事に持たせるということはどうでございましょうか。そういうふうにいたしましたならば、各府県衛生試験所が食品衛生法に基づいて厚生省に対して全面的に協力をしていくことになる、食品衛生監視体制というものはずいぶん私は拡充強化をされていくと思うのですが、こういうことはどう考えられましょうか。
  92. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 先ほど御指摘のございましたようなものの取り扱いは、まことに残念な事態だというふうに考えております。特に検査機関が委託者だけに返事をすればいいというような態度では、とうていこういう行政の万全を期し得ないと思います。従来からもそういう点につきましては、御承知のとおり一次的には都道府県がいろいろな検査をする、取り締まりをする、また処分をする、こういうたてまえになっておりますために、都道府県間の十分な連絡をはかるということに重きを置きまして指導してまいっております。しかしながら、厚生省がみずからやはり指令をいたしまして、広域的なものに対して処分をする、処置をする、あるいはそれを命ずるということは当然のことでございまして、一面法律的な問題と考えられますか、あるいはむしろ行政運用上の実態のほうが不備であるというふうに考えるべきかもわかりませんけれども、私どもは、そういうネットワークを完全にしていくという意味におきまして、先ほど来申し上げたような気持ちも含めまして、法的にもやはりそういうものが必要であるかどうか、積極的な姿勢で検討してまいりたいと思います。
  93. 砂田重民

    砂田委員 どうぞそのようにお願いをいたしたいと思います。非常にこまかいことのようですが、そういった食品が小売り屋さんに出回っていて、販売停止の処分がある。そういう場合でも、食品小売り屋さんというものは非常に零細な企業がたくさんあるわけですから、問屋さんなりメーカーにそれを返品しても金を返してくれるだろうか、そういった心配をまた零細な食品小売り屋さんは持つだろうと思う。したがって、そういうものをメーカーあるいは輸入元に回収させる、これを法律でうたっておかないからできないということでもないだろうと思いますので、そういった行政運営上の措置ができるようにひとつ徹底をしていただきたい。小売り屋さんがそういう処分があったときに売るのをやめるというだけではなくて、全部メーカーなり輸入元なりに返品すれば、払った金は返してくれるのだという安心感を持ってすぐにその食品を返せるように、問屋やメーカーに返そうと思っても、返したって、あとで金を返してくれなければ困るという気持ちを小売り屋さんが持っておるのが現状でありますから、あるものだけ早く売っちゃったほうがいいやという気持ちを持たせないように、そういう行政運営をぜひともお願いをしておきたいと思います。食品衛生法につきましても、少なくとも消費者に対して食品衛生に関する正しい知識の普及や、そういった啓発活動が非常に足りないような気持ちがいたしますので、そういう啓発運動は、これは食品衛生法に限らず、JASにしてもJISにしても同じようなことが言えるのではないかと思いますので、そういう啓発活動を積極的にやっていただきたいということをお願いをいたしまして、食品衛生法はひとまずこれで終わります。  次に、栄養改善法のことをお伺いをしたいと思います。  栄養改善法という法律は、昭和二十七年にできた古い法律でございますね。そこで、十二条に特殊栄養食品というものをきめておられるわけですが、この栄養改善法という法律は、この時分に、なかなか国民の食品に栄養が足りない、栄養をとるのに苦労をする、それほど豊富に食品が出回っていた時期ではありませんから、そういうことから主食にビタミン類を強化した、そういうものを出していこう、そういったことから始まった法律ではないか、私はさよう理解をしておるのですが、この国民の栄養が通常の食事のみでは確保しにくい時代にできたこの特殊栄養食品というものが、今日ではすっかり様子が変わってしまっているという気が私はするのです。ずいぶんたくさんの特殊栄養食品、いわゆる人形マークをつけた食品が出回っておりますけれども、今日では、何かそういう食品にビタミンを補強しなければビタミン類が不足するというふうな、そんな食生活はやっていない。これは先ほど宮澤長官が所得の低い方々のこともお話しになりましたけれども、日本国じゅう一般的に見てみましても、ビタミンを人工的に補強したそういう特殊栄養食品がなければ、日本人の栄養確保上問題であるという時代ではなくなったと思う。そこで、この人形マークをつけた特殊栄養食品というものが、今日では人形マークを単に販売手段の一つとして利用しておられるにすぎないという気がするのです。むしろ消費者に対しては、人形マークというものが、その食品の実力以上の栄養価があるかのごとき間違った印象を与えている。そういうものが特に地方の出先出先で、むしろ食品衛生的には危険だと思われるような食品にすら特殊栄養食品マークのついたものが出回っている。特殊栄養食品というものをもうおやめになったらいかがでしょう。どうお考えになりますか。
  94. 鴛淵茂

    鴛淵説明員 確かにおっしゃいますように、二十七年に法律ができましてから十五年経過いたしました。おかげさまで国民の栄養状態は毎年非常によくなってまいっております。ただ、私ども四十五年を目途といたしまして栄養基準量を定めまして、それに達するような栄養指導をやっておるわけでありますけれども、ビタミンA、ビタミンB1、B2等はまだ目標に達しておりません。カロリー、たん白、それから脂肪、ビタミンC等は相当目標に近いわけでございますけれども、ただ、ビタミンの場合には料理に使いますときに相当の損耗を考えなくてはいけませんので、できれば目標以上にほしいわけでございます。そういうことで、確かに先生の御指摘のように改善はされておりますけれども、まだビタミン類については、国民栄養調査の結果からいくと十分ではないというような状況かと思います。  それともう一つ、この強化食品の中には必須アミノ酸が、現在はLリジンがただ一種だけ入っておるわけでございます。将来国民生活の変動、栄養問題の学問的な変化でございますとか、あるいは食糧事情等によりまして将来補強すべき栄養素があるいは出てくる可能性があるわけでございます。そういう意味から、まだ私どものほうでは、非常によくなってはおるけれども、これを廃止するまでには至っていない、そのように考えているわけでございます。
  95. 砂田重民

    砂田委員 国民の栄養確保のために非常に御努力していただいて、まことにありがたいことだと思うのですが、どうも人形マークのあの食品を実際に手に取って私たちが見た場合、あなたのおっしゃることと何かほど遠いような感じがするのですよ。たとえば地方の小学校の運動会なんかで、PTAで用意をするお菓子のようなものをたとえば兵庫県なら兵庫県の生活科学センターにおかあさんが持って来られて、これは人形マークがついているからいいだろう。しかし、そのビスケットなり飲みものなり、そういうもの自体を見ましたときに、私は、食品衛生法あるいはJASに期待していくほうがいいのではないかという気がするのです。これは私だけではなくて、先ほど申し上げたかもしれませんが、いろいろなモニターからの意見というものも圧倒的にこの声が高い。ですから、いまおっおしやったようなお考えを聞くと、そのお話だけを承るともっともと思うのですが、実際に人形マークのついた商品を見てみると、そんな感じはおよそしない。私はむしろ乳児用、幼児用、妊産婦用、病人用というような特別の用途に適する食品の基準というものは、食品衛生法のほうでおきめになって――前はそういうことではなかったかと思うのです。食品衛生法からこっちの法律へ持ってこられたような気がするのですが、返されたらどうですか。そして人形マークという制度は、むしろやめていただくほうが消費者にとっては食品を選択するのにまぎらわしくない。食品衛生法とJASに依存をしていけば、それで食品の選択判断をするりっぱな資料になるのであって、何か人形マークがあるというので、特別にそれをとると栄養があるような、むしろ間違った印象を消費者に与えている、そういう気持ちがするのです。大事なお仕事で、いまお話を承りますと、たいへん熱心にやっていただいているのですが、四十五年という計画の限度もおありなそうで、私、きょう初めてそれを伺いました。私たちのこの基本法づくりを一緒にやってまいりました同僚とも、この問題は、われわれなりにもう少し検討してみたいと思います。ただ、きょうのところは、特殊栄養食品というものの人形マークはやめたほうがいいのではないかという感じをわれわれが持っていることだけは申し上げておきます。  薬事法のことを伺いたいと思います。  薬事法についても、あまりたくさんお聞きすることはないのですが、サリドマイドの悲劇が起こりましたときに、事の原因となりました睡眠薬等の許可の取り消しが外国に比べると一年もおくれた。いろいろ厚生省にも言い分はおありだろうと思うのですが、一つには、一ぺん承認を与えた薬品のアフターケアのチェックが足りない。不十分だ。それから一度製造承認を与えた薬品でも、あのような新しい副作用が起きたときに、また副作用のおそれがあるということを発見されたときには、直ちにその製造承認を取り消す法の規定が薬事法にはありませんね。私は、そういうことをやはり法律で明確にしておかれたならば、あのサリドマイドの悲劇が起こったときの睡眠薬の取り消し等についても、ほかの国に比べてあんなにおくれずに、適確な処置ができていったのではないかという気がする、いかがでしょう。
  96. 海勝視

    ○野海説明員 いま御指摘のように、サリドマイド問題というものが昭和三十七年にあったわけでございますが、その当時、世界各国におきまして、日本のみならず他の国におきまして、あのような予期せざる副作用についての問題意識がなかったというようないろいろな事情があるわけでございますが、その後そういった副作用問題、医薬品の安全性の問題について、各国とも非常に関心を持つようになり、WHO等の国際機構においても問題として取り上げられてきておるわけでございます。わが国におきましてもその後いろいろ検討を加えました結果、御承知のように一昨年度末から、医薬品が承認されたあとにおける副作用の問題をフォローアップするための副作用情報モニターというような制度を設けまして、使用中において生じました各種の副作用について報告してもらう。それにつきましていろいろ整理し、検討し、分析した上で適当な措置をするというような制度を発足させたわけでございます。  また、先生御指摘のように、現在の薬事法には、確かに医薬品の承認について問題があった場合に明確に取り消しができる旨の規定はございませんけれども、これについて法律解釈上の問題として一つの問題がございまして、学問的に明らかにこの医薬品を世に存在せしめておくことがおかしいのだということが立証されるような場合には、これは法律趣旨からして取り消しができないということではないのじゃないかという議論もございます。その点、実はわれわれ、法制局との間におきましても法律論としていまいろいろと詰めておるわけでございますけれども、必ずしも絶対にこの取り消しができないという問題ではないというふうに考えております。ただ、今後の立法措置の問題としては、さらにわれわれ検討してまいりたいと思っております。
  97. 砂田重民

    砂田委員 サリドマイドの取り消しがよその国に比べて一年もおくれたというのは、それでは原因はどこにありますか。
  98. 海勝視

    ○野海説明員 サリドマイドの問題につきましては、私専門家ではございませんけれども、私の承知しております範囲では、現在もなお学問的に、これが奇形児の発生と因果関係があるのだということが立証されておるとは言えないというふうに承知しております。したがいまして、あのときにとりました措置は承認を取り消したということではありませんで、業者が、ああいった問題が発生した、またそれが社会に与える影響というものを考えまして、業者が回収をし、販売停止の措置をとった。また、法律上の手続としては製造廃止の手続をとった、こういうことでございます。
  99. 砂田重民

    砂田委員 学問的に立証されなければ、そういう措置法律的にできないということでは困るということを申し上げているのです。学問的に立証されなくても、実態はああいう悲劇が現に目の前に起こっているのですから、これは人道問題でしょう。それを学問的に立証がわが国ではできないからということを理由に、直ちに製造の停止、販売の禁止、そういうことを業界の自主的ではなくて、法の上からも規制をすべき筋合いのものだと私たち考えるのだけれども、あなたのほうは業者が自主的にやったのだと言っておられるのだけれども、何かたいへんのんきのように聞こえるのです。お気持ちはそうではないだろうと思うのですが、お聞きしてみるとたいへんのんきに返事をしておられるように聞こえるものですから、やはりこういった問題が出た場合は、学問的な立証がたとえなくても、現実問題として目の前にそういう事象が起こっているのですから、こういった場合の処置が何かとれるようにするのにはいまの薬事法ではやれない、そうではないのでしょうか。薬事法に縛られて、あなた方も心配しながらやれないのではないか。もしもそうであるとするならば、法律的にもお考えおきをいただかなければいけないし、あるいは法律はこのままであっても、こういうことは法の運用でできるのだということであるならば、どういうふうに運用したら的確なのか。一年もおくれなくてもやれたはずではないか。過去のことを責めるのではなくて、これからの問題のことを私は言っているので、そういう点、ひとつお答えをいただきたい。
  100. 岡浩策

    ○岡説明員 この問題につきましては、法律のほうでたとえそういう規定を入れましたとしても、立証の問題が非常にむずかしくなってくる。問題は、学問的に立証されなくても、いち早く、そういう疑わしいときには回収をするということは、むしろ法律の問題よりも行政指導として十分できると考えておるわけでございます。  では、サリドマイドのときに一体どうしておくれたのかということは、法律に規定がないとかあるとかいうよりは、その情報のキャッチといいますかそういう点が、医薬品で奇形が起こるというふうなことが専門家の間といいますか、学者先生方に聞きましてもそれほど関心がなかったような状態でもあったわけです。それが唐突としてドイツのほうで出たわけでございます。その辺のところで判断が的確にできないという状況もあり、また情報のキャッチも不十分であったということがむしろ原因ではなかったか。これにつきましては、WHOでもその点を反省しまして、どこかの国が重篤な副作用によって、その理由で何か行政上の措置を、販売をとめるとかあるいは使用上の注意を書かせるとか、あるいは自主的な回収を指示するとかいったような措置をとった場合にはすぐWHOに報告をする、WHOはそれを加盟国にすぐ流すという方法をとったわけでございます。そのためには、各国がまた情報をキャッチするような方法を考えなければもとが出てこないということから、各国の国内での情報のキャッチということを考えるようにという方法をとったわけでございます。  それで、先ほど薬事課長から説明のありましたように、国内でも副作用のモニター制度というものを、一昨年ですかから予算もいただきまして、そういう制度をとったわけでございます。したがいまして、今後はこの副作用の情報ということを、モニター制度でございますか、これを活用しまして、これは日本だけではございませんので、WHOからの報告等も参考にしながら行政指導をやっていけば十分行なえるのではないか。  なお、この情報が入りましたときには、薬事審議会の中に副作用調査会というのも設けてございますので、そこで検討をして対策を練るということにしておるわけでございます。
  101. 砂田重民

    砂田委員 要指示薬の取り締まりが大体的確ではないんですよね。そういうことから消費者の、先ほどから私たちが議論しているのは、たいへん大きな心配の問題なんです。別に法改正をしなくたって行政指導でやれるのだというお答えでしたけれども、それではサリドマイドのときには的確な行政指導ができてなかったということなんで、現にあれだけおくれたのですから、できてなかったということですよ。だから、これからは副作用モニター等も活用していくので、サリドマイドの悲劇のようなああいう悲劇は繰り返さない、そういう行政指導がやれる体制になったというふうに私は解釈をしますが、どうかこういう点、ひとつ的確にやっていただきたい。何も外国崇拝ではないけれども、諸外国にサリドマイドの原因の睡眠薬の取り締まりが非常におくれたなんということは、もう今後二度と繰り返しては断じてなりません。ことしから、サリドマイドのあのかわいそうな子供たちが学校へ行っておりますよ。あの姿を見れば見るほど、私は大ぜいの消費者人たちが、そういう要指示薬の取り締まりがゆるやかであるだけに、非常に大きい心配を数多くの人たちが持っておりますから、十分そういう点ひとっこれから的確な行政指導をやって、あの悲劇を繰り返していただかないようにお願いをしておきたいと思います。  それから、薬の有効期限のことを承っておきたいと思うのですが、有効期限を書かせることに法律でなっておりますね。どういうものについて有効期限をその薬なりあるいは包装の箱にしなくてはならないことになっているのか、ひとつ簡単に御説明いただきたい。
  102. 海勝視

    ○野海説明員 御指摘のように、現在薬事法によりまして、省令の規定あるいは個々の医薬品の基準、これは厚生省の告示で出ておりますが、基準の規定によりまして有効期限の表示を義務づけるということができるわけでございます。これによりまして現在有効期限の表示をしておりますものは、ワクチンのたぐいと抗生物質等がおもでございまして、あと日本薬局方の基準等において有効期間を表示せしめておるものが若干ございます。
  103. 砂田重民

    砂田委員 その有効期限を表示させるという薬品が非常に狭いんじゃないかと思うのです。必要な基準を設けて、「製法、性状、品質、貯法等に関し、必要な基準を設けることができる。」ということが法第四十二条にきめられていて、五十条で直接容器等の記載事項が一から十まで定められておって、その六に「第四十二条第一項の規定によってその基準が定められた医薬品にあっては、貯法、有効期間その他」を書かなければいけない、そうなっていて、おっしゃった告示では、百日ぜきのワクチン基準、抗菌性物質の製剤基準、こういうものだけがきめられている。ほかのものは、有効期間は書かなくてもいいことになっている。最近非常に大ぜいの人が使っております例のドリンク剤は、有効期限を書かせる必要はありませんか、変質のおそれはありませんか、ビタミンCがこわれるおそれはありませんか。
  104. 海勝視

    ○野海説明員 ワクチン類あるいは抗生物質等を除きました一般の医薬につきまして、ごく一般的に申しますと、期間の経過による効力の低下といったようなことについてさほどの心配がないということ、それから個々の医薬について有効期間をきめること、あるいはその有効期間なり保存期間なりの基準を設けることは非常に技術的にむずかしい。こういったものにつきましては、薬事法の一般的な基本的なたてまえとしまして、流通段階、販売段階におきまして、たとえば薬剤師等の専門家がその医薬品をチェックする。もし品質が変化したものがあれば、それを試験等の方法によってチェックして、それを不良医薬品として売らないというような体制にございます。したがいまして、一般的に有効期間を書かせるということはしていないんですが、いま御指摘のドリンク剤等につきましては、確かに、相当の期間を経過すれば効力が低下するといったような問題もあるかもしれません。そういったものにつきましては、今後何らか製造年月日あるいは有効期間、いろいろな方法があると思ますけれども、それを表示させるという問題につきまして、十分検討してまいりたいと存じます。
  105. 砂田重民

    砂田委員 経済企画庁のモニターがいろいろな意見経済企画庁へはね返らしてきている中にも、あのドリンク剤というのは変質をしてないだろうか、そういう心配がたくさんあるわけです。いま製造年月日とおっしゃったが、私は、製造年月日である必要もないような気がするんです。製造年月日を入れてしまうと、新しいものから買ってしまいます。古いものは買いませんよ。変質してない、先月できたものが先に売れちゃって、先々月できたものが売れない。そういうものが残っていって、返品の形でいったら、それはコストにも影響してくるから、消費者は逆に値段が高くなって不利益な形ではね返ってくるおそれもある。だから、製造年月日でなくてもいい有効期限でもいいから、私は書かせるべきだと思う。いま、薬局等で薬剤師などが変質したものがあったらそれを検査するとおっしゃったけれども、ドリンク剤は、あけて薬剤師が積極的に検査するということは、現実問題としてはあり得ないことじゃないかと思う。いかがでしょうか。ドリンク剤なんというものは、ビタミンCというものが特にこわれやすいような気がわれわれしろうとでもするし、また変質の危険があるのではないかと思う。店頭に置いてあるものもだいぶ沈でん物があったりしますね。あの沈でん物は、必ずしも私は有毒とは言いませんけれども、何か変質しているのではないか、そういうおそれがある。あのドリンク剤というものは、非常にそういう危険感がわれわれにもあるし、大ぜいの消費者からそういう心配が出ておりますから、有効期限を書いてもらいたいものだ。あるいは保存方法を併記しなければならないかもしれませんね。それでもかわまない。そういうものをぜひ書いてもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  106. 岡浩策

    ○岡説明員 医薬品の場合には、こわれるような可能性が一般的に考えられるものにつきましては、経町変化の成績をとって、それに基づいて承認をしておるわけであります。また、現実に薬局がそれを実際試験をするということが行なわれないだろうというお話でございますが、都道府県がこれを店頭から収去いたしまして、随時検査をしておるわけであります。この検査は都道府県衛生研究所、これは検査機関になっておりますが、そういうところでやっておるわけでございまして、これから私ども報告が参ります。それを見ますと、そんなにこわれていないわけでございます。  なおかつ、ビタミンCがわりにこわれやすいと考えられるほうでございますけれども、ビタミンCが入れてあるというものはそんなに多くはないわけでございますが、入っておりましても、それほどにはこわれていない。許容限度というものがございますので、その幅の範囲内に大体とどまっておる。中にはやはり落ちておるものもございます。これはおそらく保管の方法が悪かったのではないかと考えられるわけでございますが、そういう場合にはもちろん返品をさせるという措置をとっております。
  107. 砂田重民

    砂田委員 あまりこわれていないあまり変質をするものでないというお話だったのですが、私は変質をするのだろうと思う。楽屋話をするようですが、ドリンク剤の税制の問題を自民党の税制調査会で議論をしたときに、夜おそくまでかかって毎晩詰めていたときに、晩おそくなって、ある委員がおれは疲れたからと言って、厚生省が持ってきておったドリンク剤を、おれ、これ飲むよと言ったら、あなたのところの薬務局長が、先生、飲むのはおやめなさいと言ってとめたでしょう。その委員が、ああ、これは古いのかと言ったら、これは古いからおやめなさいと言った。変質を薬務局長が心配していたのだろうと思う。これはひとつお書きになるべきだと思う。われわれのほうでももう少し研究を続けますが、何か的確な保存方法と有効期限というものを書かせる、そういう方向であなたのほうもひとつ考えておいていただきたい。  もう一つ、薬は再販売価格維持契約の制度に乗せて売っておられますが、その薬品に小売り価格表示させる気はありませんか。
  108. 海勝視

    ○野海説明員 現在医薬品につきましては、一部の、たとえば配置家庭薬あるいは家庭薬の一部等については小売り価格表示をいたしておりますけれども、いま御指摘の再販品目につきまして、今後小売り価格表示するように行政指導してまいりたいと存じております。
  109. 砂田重民

    砂田委員 ありがとうございました。  次いで、ひとつJASをやりましょう。大和田局長、たいへんお待たせしまして済みません。  農林物資規格法、これは昭和二十五年に制定された法律で、だいぶ古い法律ですから、消費者保護基本法姿勢に基づいてこの法律を見ると、いろいろ私たちには足りない点が出てきているのではないかという感じを受けるのです。この法律のまず第一条に、「適正且つ合理的な農林物資の規格制定し、これを普及させることによって、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、」と書いてあるわけですが、この法律の最終目的は、私は、生産面の品質向上だとか流通面の取引等、そういった単純化を目的としている、そういう最終目的はりっぱに果たしてきておられるという感じがいたしますが、ただ、消費者保護という観点からでは、ちょっともの足りない。今後も、法律のたてまえは現行どおりの強制的なものではなくて、食品衛生法と違って警察的な法律ではありませんから、たてまえはいままでどおりの業界の自主性を尊重して、国としては後見的な役割りをしていく、そういうことでいいと思うのですが、消費者保護社会的要請にもこたえなければなりませんから、積極的に消費者利益擁護してその増進をはかる、そういう目的もやはり第一条に明示されるべきじゃないだろうか。そういうことによって、日本農林規格消費者商品購入のガイダンス的な役割りを十分果たし得るようにするべきではないだろうか、このように考えますが、いかがでしょうか。
  110. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 いまお読みいただきました法律の第一条の目的から見まして、消費者の保護ということがこのJASの法律について欠けておるとは思いませんけれども、このたび消費者保護基本法を生み出すようないろいろな経済的、社会的な条件から考えますと、この法律についてさらに一段と消費者保護立場を強化すべきだろうというふうに私も考えます。したがいまして、いまJASの法律について、いろいろな点について改正法案の準備をしておる段階でございます。
  111. 砂田重民

    砂田委員 農林物資規格法改正の方向でお考えいただいているのは、私はたいへんありがたいと思うのですが、そこで輸入物資は、JASの対象にいまの法律ではなっていない。やはり昨今、海外からの輸入品が非常に多いことでございますから、いま考えておられる法改正の中には、輸入食品もその対象にしていっていただきたいと思うのですが、その点いかがです。
  112. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 確かに現在のJASの法律では、国内で生産される物資が基本でございまして、輸入物資についてJASの規定はございません。しかし、最近におけるような農産物及び食品の輸入が激しくなりましたことから考えますと、輸入物資の取り扱いについては、私は一段とくふうは必要であろうかと思いますけれども、輸入ものにつきましてもJASの適用があるようにすべきではないかということを現在検討いたしておるわけでございます。
  113. 砂田重民

    砂田委員 規格基準がちょっともう低過ぎるという感じがするので、すでに同じ感じを持っておられると思うのです。もう事こまかくは申しません。行管勧告にもありましたし、そういう規格基準の引き上げをやっていただかないと規格基準が低いので、社内基準のほうが高いからということで普及していない、そういう商品も出てきているように思いますから、規格基準の引き上げをぜひともやっていただきたい。同時に、いままでのJASにはなかったことですけれども、たとえば食品衛生法の最低基準というものが明確にきまってきた場合に、やはりJASのほうでは、食品によっては、商品によってはある程度の等級をつけるような規格のきめ方、そういうことも必要になってくると思うのです。いかがでしょう。
  114. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私どもも、実情に即して規格基準の引き上げを現にやっておるわけでございます。たとえばしょうゆ等につきましてもやったわけでございますが、今後も規格基準の引き上げについては、まあ業界の社内基準よりも低いということではおかしいわけでございますから、十分実態に合わして、引き上げについて努力をいたすつもりでございます。  それから等級の問題につきまして、これはものによりましては等級を定めがたいものもございますが、等級の定めがないために、いいものと悪いものといわばごちゃまぜになってJASが施行されているということから、いい品質のものについてJASの希望がはなはだ少ないという問題もあるわけでございますので、これもものの性質に即して、できるだけ等級についても規定をいたすように努力をいたすつもりでございます。
  115. 砂田重民

    砂田委員 表示にもいろいろ問題があると思うのですよ。加工食品の新製品が何でつくられているのか、消費者にはとても判断のつかないものがたくさん出てきているので、やはり保存方法をどうすればいいのか、さっきのドリンク剤ではないけれども、どれくらい変質するおそれがないのか、そういったことをやはり明確に見える大きさの字で、消費者に見えるような表示をぜひともしていただきたいのです。  そこで、ちょっと大和田さん、これ見てください、即席ラーメン。即席ラーメンはJASがきめられていて、それはまさにJASのマークが入っている。JASのマークの入った即席ラーメンは、製造年月日を表示することになっておるのですが、その製造年月日が大和田さんに読めますか。
  116. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私には、どうやら読めるようでございますけれども、現在製造年月日を記入しているもので略語その他を使っておるものがございますので、それはできるだけ必要なものにつきまして略語を使わないで、どなたでもわかるものにいたしたいという努力をいたしておるわけでございます。
  117. 砂田重民

    砂田委員 それを実はお願いしたかったので、大和田さんもそれを見ていただいただけでわかっていただけたと思うのですが、それはたしか昨年の十月、十一月にできているラーメンです。YとかZとか、そういう表示のしかたでは消費者にはわからない。メーカーの品質管理のためには役立っていると思いますが、やはり消費者にわかるような日にちの入れ方をぜひとも実行していただきたい、これはぜひひとつお願いをいたしておきます。  それから表示の問題につきましては、食品衛生法とできるだけ二重の手間を企業の側にかけないようなことを考えていただきたい。やはり企業にむだな負担を負わせることは、消費者にとっても利益なことではありませんから、ぜひともこの点については厚生省と十分意見の交換をしていただいて、むだな負担を企業にかけないような、そういう表示方法を食品衛生法農林物資規格法とでうまくやっていただきたい、お願いをいたしておきたいと思います。  それから認定工場制度をいまやっておられるわけでございますが、私は、品質管理の優良工場の製品格づけ手続等を緩和するという意味合いからも、これは非常にけっこうな制度だと思うのですが、認定工場というのは、これは行政運営でやっておられるので、認定工場というものも、せっかくJASの法改正をお考えになっているならば、ひとつ法律の上で認定工場というものを、法制度として明確にしていただくほうがいいように思いますが、いかがですか。
  118. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 認定工場の制度は、現在実は事務次官通達で行政指導としてやっておるわけでございますが、現在検討いたしております改正法案の中で、認定工場の法律化についても十分考慮をいたしておるわけでございます。
  119. 砂田重民

    砂田委員 その法律の上で明らかにしておく必要はありませんか。
  120. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私は、いま申し上げましたように、改正法律の中で認定工場の法律化をする方向で、現在検討いたしておるわけでございます。
  121. 砂田重民

    砂田委員 ありがとうございました。JASの普及がこれだけ広まってきますと、やはり法制定当時と違った責務を、この法律に対して消費者が要求するようになってきております。メーカーのほう、生産者のほうでもJASをやはり販売手段の一つに当然使っておられますし、消費者のほうでも、商品選択するその判断の材料にこのJASを使っている。兵庫県の生活科学センターで兵庫県のモニターに、即席ラーメンを一つずつ買ってきてほしい、ただそれだけのことを言って買ってきてもらいました。モニターの八割五分がJASのマークを確認して、JASのものならば安心だからという買い方をしてきたのが、あとで統計で出ております。それだけにやはりそこまでJASが信頼されてきたわけでありますから、農林省もJASの制度の監視体制を充実して、JASマークに対する保証的な役割りをこの法律でやってもらわなければなりません。そういう監視体制というものを確立するのに、格づけ機関の登録基準を現在よりも高めるとか、指導監督の強化等について、何か御意見がありましたら伺っておきたい。
  122. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 現在JAS関係監視機関といたしましては、登録の格づけ機関がやっておるわけでございますけれども、私ども、いま御指摘のような必要を十分感じておりますので、四十三年度の予算におきまして、実は農林省で輸出品の検査をやっおります輸出品検査所というのが全国に十カ所あるわけでありまして、商品的な知識も相当あるわけでございますから、農林省設置法の一部を改正いたしまして、輸出品検査所にこの関係の指導行政をやれるように、現在改正法案提案をいたしておるわけでございます。  なお、将来の問題といたしましては、多少むずかしい技術的な問題をこなす必要があるかと思いますので、本省機構及び輸出品検査所機構をフルに使いますと同時に、やはり試験研究機関といたしましての、たとえば食糧研究所でありますとかあるいは水産研究所でありますとか、そういう試験研究機関協力も仰ぐように、これは内部の問題でございますが、現在せっかく検討中でございます。
  123. 砂田重民

    砂田委員 試買検査等も強化していっていただけるものと思いますが、試買検査をやる商品の選び方につきましても、経済企画庁のモニターなどを利用していただいて、モニター意向に沿った試買検査をしていっていただきたい。これはお願いをしておきたいと思います。  それから、JASは任意制度でありますけれども、JASの規格はきまっている。しかし、それを利用していない商品、そういうものについて、私はただ手放しでいる手はないような気がするのです。通産の家庭用品品質表示法からも、何かもう少しJASのほうでやれるような示唆をこっちの法律からも受けるのですが、JASの規格がきまっていて、それが業界に普及していない、そういうものについて何かもう少し強力な指導体制はとれないものですか。
  124. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 JASの利用度の相当高い商品もございますし、また、御指摘のように、はなはだ低い商品も現にあるわけでございます。これは行政的にどういうふうにこなすか、JASが業界の自主的な運動であるということとも関連いたしまして、なかなかむずかしい問題でございますけれども、そしてこれは、ただ行政指導ということだけであるいは処理しがたい問題があるかもわかりませんけれども、現在私ども検討いたしております問題の一つとして、JASの規格があってこれを利用していないメーカーに対して、最小限度といいますか、きわめて必要な部門につきましてJASで定めた程度の表示をするような指導ができないものかということを現在検討中でございます。実はこれは、法律改正の問題とも関連して、いま私ども考えております大きな問題の一つでございます。
  125. 砂田重民

    砂田委員 そういうふうにぜひ取り組んでいただきたいと思います。  先ほどのあの即席ラーメンですが、聞いてぼくもびっくりしたのですが、年間三十億食だそうですね。たいへんな数ですよ。おととしは夏場の変質で相当事故が多発をして、去年は事故が出ていない。私はやはりJASだと思う。その間にJASが制定されて、JASを使うメーカーがふえてきた。ところが、御承知のように、いまメーカー側がたいへんな過当競争で、何か安売り競争になってしまっている。私は安いばかりが消費者利益でないという説をなす一人ですけれども、ちょっと危険な状態になっているんじゃないかと思うのです。あの安売り競争を続けられますと、おそらく品質に影響してくるんじゃないか。特にそういった点にひとつ御留意をお願いいたしまして、製造月日の表示等もぜひやっていただきたい。  それから最後に、食品衛生法農林物資規格法公正取引委員会の不当表示のあの法律、この三つの法律がありながら、今日まで食品の表示全体について、その責任はどの法律でどの役所が負うのだということが一つも明確でなかったわけです。だから、何か事故が起こると、それを農林省へ持っていけば厚生省へとぽんとはねられる。厚生省へ行けば公取へ行ってみなさいと言われる。二つならばピンポンだけれども、ピンポンにもう一つあり、責任の所在が一つも明確でなかった。こういう点がいろいろな問題の解決をおくらせて、一体どうなっているか、わけのわからないまま終わってしまっている状態がたくさんございました。そこで、先ほど食品衛生法も法改正の方向で考えておられるように承ることができましたし、農林物資規格法も、大和田局長言われるようにこれから改正していこう。いずれも消費者保護のためにという角度からこの法律を拡充していこうというお考えでございますから、この法改正段階で、ぜひともこの食品に対する責任を明確にすることをはっきりさせていただきたい。ぜひこれはお願いをしておきたいと思います。いかがでしょう。
  126. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 いま御指摘になりました三つの法律は、それぞれ特異の目的と領域とを持っておるわけでございますから、これを簡単に統一したり、あるいは行政機構を一本にして処理するということはなかなかむずかしいと思いますけれども消費者保護といいますか、食物関係を通じての消費者保護をはかることをいわば究極目的といたしておるものであることにはかわりございませんから、私ども現在JASの法律改正考えておりますし、厚生省ではまた食品衛生法改正考えておられるようでございますから、これらの法律改正の過程におきましても、十分両者あるいは公取を含めて三者連絡をよくして、いわば消極的な権限争いといいますか、どちらも自分の責任でないという形で、たまがまん中に落ちるということがないように私ども努力をいたしてまいりたいと思います。
  127. 砂田重民

    砂田委員 ありがとうございました。ひとつそういう方向で取り組んでいただきますようにお願いをいたしておきます。  通産省、まずJASのことを伺っておきます。  工業標準化法、これも古い法律で、JASの話をいま私が農林省経済局長といろいろ一緒に検討してみましたのと、同じような問題がJASにもあると思うのです。やはり消費者保護的な性格は、第一条でももの足りないような感じがいたします。このJIS、工業標準化法の本来的な性格は、非常にうまく高度に利用されて、いろいろな鉱工業商品品質向上のためにはたいへん役立ってきているという感じがするのですが、やはりJASの場合と同じように、メーカーの側もJISというマークを今日では販売手段に使っておられる。したがって、消費者のほうもJISマークを信頼して商品選択をする。そうなってきておりますだけに、消費者の信頼を得るための一つの保証的な性格をこの法律にも盛っていただきたい。JASのほうは、私と同じような考えであるという御答弁をいただいたのですが、JISについてはいかがでございましょうか。
  128. 久良知章悟

    ○久良知説明員 工業標準化法の一条に法律目的が書いてございまして、ただいま先生がおっしゃいますように、生産取引、使用、消費の面における合理化ということが目的でございますので、広く考えれば消費者の保護ということも入ってはおるわけでございますけれども、直接的にこれが盛り込まれていないという条件農林物資規格法と同じであろうかと考えますが、私ども、実は標準化法のいろいろな問題点について、現在内部の作業としていろいろ検討しておる段階でございますが、今度の法律が成立いたしまして、これによる関連法律改正という一貫作業の中でやはりこの第一条の問題についても考えていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  129. 砂田重民

    砂田委員 前向きに取り組んでいただいて、たいへんありがたいと思うのですが、そこで、この法律に対する消費者が持っている信頼感、それに対して品質保証的な意図をこのJISマークにも持っていただきますために、私が一つお願いしたいと思いますことは、たとえば電気冷蔵庫だとか電気洗たく機だとか電気掃除機だとかいったものに、JISの規格には実用性能の規格が何もない。寸法でありますとかあるいは電気のアンペアでありますとか、そういう規格はあるのかもしれませんが、実用性能としての実用特性の規格というものを持っていない。消費者が電気掃除機を買う目的は、何も電気掃除機の先っちょで雑誌をたくさん積み重ねて吸いつけるために買うのじゃないのです。ですから、実用特性の規格というのは非常にむずかしい問題だろうと思うのです。技術屋さんのお話を伺っても、非常にむずかしい問題だとぼくは思うのですが、こういった特に耐久消費財についてのそういう実用特性規格というものを制定していただきたい。これは、お願いをしてあす、あさってにできることではありません。国、公立の試験研究機関体制から強化してかからなければ、答えが出てこない問題じゃないかと思うのです。あなたはおいででなかったかもしれませんが、大蔵行管も、それぞれ新しく消費者保護行政として社会的要請の強い問題についてはひとつ前向きに検討していく、各省とも連絡をとってやっていこうということでございますから、こういう試験研究機関を現在の能力のワクの中でお考えいただくのではなくて、こういうところを強化してまいりましたならばそういう実用特性というものの規格づけができるかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  130. 久良知章悟

    ○久良知説明員 規格をきめます場合に、いま問題になります消費財につきましては、これは鉱工業製品といいますか、製品としての規格が問題でございまして、その中心をなすものは、やはりいま先生のおっしゃいました実用性能ということが規格の中心であるべきだろうと思います。ところが、この日用品の実用性能といいますものは、先生がいま例示にあげられましたように、電気冷蔵庫にしましても掃除機にしましても、また簡単なもので申しますと、刃物、かみそりというふうなものの性能というものをきめますことは、工学的には非常にむずかしい問題が多々あるわけでございまして、私どもといたしましても、この基礎的な調査研究からこれに手をつけておりますし、それから国際的にも、やはり日本だけの問題ではございませんで、これは各国ともむずかしいながら努力をいたしておりますし、国際的な標準化機構でございますISO、IECでもこの問題に手をつけまして、最近電気アイロンの性能試験方法というものが、ようやく国際的にも大体考え方がまとまったというふうな事情にあるわけでございます。問題はむずかしいということは事実でございますが、やはりわれわれとしてもかなりな努力を従来からやってきておるわけでございますが、なお一そうこれに力を重点的に注いでいきたい、そういうふうに考えております。  それから試験研究機関についてでございますが、御承知のように、現在通産省関係で申しますと十五の試験研究機関を持っておりまして、現在ではそれぞれの該当の試験所で標準化のための特別試験研究ということを、毎年別ワクの予算をとりましてやっておるわけでございますが、日用品につきましても所要の試験研究機関、該当のところを強化するということを考えましてこの目的に沿っていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  131. 砂田重民

    砂田委員 たいへんなことかもしれませんが、ひとつ実用特性の規格づけということにぜひ取り組んでやっていっていただくことをお願いをしておきたいと思います。  それから、一般的な標準のレベルアップについては、もうことさら触れません。御承知のとおりであると思うのです。JASと同じように、これも規格がきまっていながら利用されない。商品の中には、社内規格のほうがはるかに高いというようなものがたくさんあるような気持ちもいたします。大企業の製品、中小企業の製品を一列に並べてきめていかれるJISのことですから、どの方法、段階で線を引くかということはなかなかむずかしいことであろうと思いますが、一般論的にいって、規格基準が低過ぎる商品が非常にふえてきている。この洗い直しをぜひともやっていただきたいと思います。  それから、やはり消費者に対して品質保証的な性格を持っていただきたいものですから、試買検査というものをもっともっとやっていただきたい。それも、試買品目の選定については、消費者モニター意見を反映した商品を選んで、そういうものから先にひとつ試買検査というものを十分やっていっていただきたい。お願いをしておきたいと思います。  そこで一つ伺っておきたいのですが、繊維品の加工がたいへん高度に、新しい技術がどんどん出てまいりました。薬品で加工された繊維の毒性というものについてお考えになっておられましょうか。
  132. 久良知章悟

    ○久良知説明員 先生御指摘のように、最近非常に各種の鉱工業製品が出ておりますし、また、日常使われますいわゆる消費財についても種類が非常に多くなっております。これらにつきましては、技術の進歩段階にあるものが非常に多いのでございまして、そういう段階にあるものについて製品としての規格をきめるということは、かえって進歩を妨げるというふうな事情もございまして、標準化の時期ということについては慎重な考慮が必要なわけでございますが、私ども考えといたしましては、そういういろいろな製品につきましての共通した性能の試験方法、検査方法というふうなものをまずきめるのがいいのではないか、そういう考えのもとにいままで運用してきておりまして、いま御指摘の繊維の加工法につきましても、これは樹脂加工の試験方法というふうなものをきめまして、その中に、たとえば樹脂加工で申しますと、遊離したホルマリンが出てくるというふうな問題もございますので、そういう遊離ホルムアルデヒドの試験方法というものをその中に含まして、間違いのないようにやっていくというふうな方法をとっておる次第でございます。
  133. 砂田重民

    砂田委員 最近は、目に痛いのはカーテンばかりじゃなくて、はだ着にもそういうものが出てきているようでございますから、新しい加工された繊維品の毒性について、ひとつ危害防止の観点から積極的にやっていただきたいことをお願いいたしておきます。  建材の問題はどうでしょうね。最近、火事があると非常にたくさん人が死ぬのは、新しい建材から出てくる煙に毒性があるせいだというふうなことが巷間いわれているのですが、こういった新建材といったものの毒性、火事の場合の、その建材が燃えて出てくる煙の毒性、こういっものについては、工業技術院で検討しておられましょうか、それともほかの機関でやっておられましょうか。
  134. 久良知章悟

    ○久良知説明員 最近の新しい建築材料につきましても、先ほど申し上げましたように、各種の新しい製品が出ておるわけでございまして、技術的にも安定したものについては規格化ということをはかっておりますが、やはり先ほど申し上げましたように、こういう製品の試験方法ということから手をつけるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。最近この新建材の火災時の問題、特に着火性、燃焼性、それから着火時に出る有毒なガス等の問題につきましては、まだ調査研究が十分に行き渡っておるといえない状態にございますので、四十三年度に工業技術院のほうで予算をとりまして、建材試験センターのほうにこれは委託することになると思いますが、火災及び焼却時における建築材料の燃焼試験方法確立のための調査研究というものを三年間の予定でやる予定でございます。研究成果の済みましたものから順次規格をきめていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  135. 砂田重民

    砂田委員 四十三年度の予算でそういう予算がとれたことは、たいへんけっこうなことだったと思うのです。ただ、おそいですよ。火事はあしたにもあさってにもあるかもしれない。できるだけ早くそういったものを研究していただいて、規格化をしていっていただきたい。  それから繊維品のサイズの問題をひとつ伺っておきたいと思うのですが、繊維製品のJASのうちで特に既製服メーカーによって、たとえば三越で買った五、六歳用の子供服と高島屋で買った五、六歳用の子供服と西武で買った五、六歳用の子供服と、みんな五、六歳用であっても全部それが寸法が違うような状態、既製服のサイズの問題に日本人が非常に感覚的に鈍いから、日本へ行ったってとても既製服では入っていけないんだといって外国の既製服メーカーが日本へ入ってこないという話を聞いた。外資、外国会社と対抗するのにはまことにけっこうなことかもしれませんが、家庭生活としてはほんとうに不合理なことでございます。工業技術院では日本人の体格調査をもう最近お済みになったのじゃないかと思うのですが、この工業技術院で調査を終えられました体格調査というもの、これを分析して、これから各種既製服に及ぼしていこうというお考えだろうと思うのですが、このスケジュールをお聞かせおきいただきたいと思うのです。年齢別にあるいは品目別にこのスケジュール、大体何年ごろから市中へ出ていくだろうかということをお聞かせいただきたいと思います。
  136. 久良知章悟

    ○久良知説明員 衣料の大きさの規格の問題につきましては、現在ある程度の規格はあるわけでございますが、いま先生御指摘になりましたようなことも事実でございまして、私どもといたしましては、一日も早く厳密な衣料基準寸法というものをきめたいと考えておる次第でございます。作業といたしましては、これは昭和四十年から始めた調査でございまして、昭和四十年に日本人のからだの形というものを根本的に厳密に測定をし直そうという計画を立てまして、四十年にはいろいろな測定法の方法論的な研究をいたしたわけでございますが、四十一年、四十二年の両年にわたりまして、小中学生それから高校生、それから成人というふうに各階層別に約三万人、測定にいたしますと約百万の測定をいたしまして、現在その資料が集まっておるわけでございますが、考え方といたしましては、人間のからだのかっこうと申しますか、体格といいますのが成長に従って大きく変化をいたしますので、男子について申し上げますと、三歳までくらいの乳児の間、それから六歳までくらいの幼児の間、それから小学生、中学生、高校、それから成人男子というふうに六つの大きな体型に分けまして――正確に年齢をどこで区分するかということについてはまだ問題が残っておるわけでございますが、そういうふうなグループ分けを大きくやりまして、その各グループグループにつきまして、どういうふうな事項をとらえてその大きさを表現するのが一番妥当であるか。これはできるだけ多くの人にぴったり合う洋服をつくろうということにしますと、かなりな数の大きさをきめなければいかぬ。そうしますと、せっかくこの規格をつくりまして単純化したいという目的とも相反する結果にもなるわけでございますので、各グループに分けました各その一つ一つのグループの間でどういう仕法をとるか。たとえば、体重をとるか身長をとるか胸囲をとるかというふうなことを、これは統計的に電気計算機を使いまして、どういうふうな仕分け方をするのが一番学問的にも的確か、むだが少ないかということを、ことし一年かかって計算をやる予定にしております。これは、先ほど申し上げましたように、日本人のからだのかっこうというものをどういうふうに区分して考えれば一番合理的であるかという、いわゆる形をきめる作業でございまして、これをきめまして、その次にその体型に基づきまして、それではせびろ服についてはどういう区分をした既製服をつくっていけばいいか、パジャマはどうか、ワイシャツはどうか、トレーニングパンツはどうかというふうに、個別の衣料の規格制定に入っていこう、これが大体四十四年からの作業として予定をしておるわけでございまして、現在の計画によりますと、衣料約二十の規格の新しい制定改正をする予定でございますが、四十四年の半ばから四十五年一ばいにかけまして、そういう関係規格整備を完了する予定にいたしておるわけでございます。
  137. 砂田重民

    砂田委員 そういうものが整備されてきますと、家庭生活は非常に合理化されてきますので、どうぞひとつできるだけスピードアップをしていただいて、市場に流れる商品にそれが当てはまってくるようにできるだけ早い機会に実現をしていただきたい、お願いをいたしておきます。  JISの問題はそれで終わります。  公益事業局長来てくださいましたから、電気用品取締法のことを伺っておきたいと思うのですが、本国会に改正案を提出なさいまして、電気蚊とり器のあの事故のような事故が起こってからやるということでなくて、今度の法改正について拝見いたしますと、包括的にとらまえていこう、たいへんけっこうなことだと思うのです。ところが、省令で定められた技術基準に不適合の用品が、どうもあまりにも多いような気がするのですね。たとえば、私はここに日本消費者協会が検査をした資料を持っているのですが、電気毛布については九銘柄検査をしてみたら四銘柄不適格である、電気ロースターは十七銘柄やってみたところが八銘柄不適格である、ヘアドライヤーは十八銘柄のうちで九銘柄が不適格、電気ポットも十六銘柄のうち四銘柄が不適格、スチームアイロンも十銘柄のうちで四銘柄が不適格、あまりに多過ぎるような気がするのです。こういう傾向は、日本消費者協会がやった試買テストだけでなくて、日本電気協会御自身でおやりになった場合も似たような数字が出てきておると思う。通産省ではそういった問題を取り上げて、違反銘柄に対して公文書でもって戒告を行なったり、不良内容の原因の追及もちゃんとしておられて、結果を報告させる、立ち入り検査をやって改善状況を追跡して確認はしておられる、こういうことになっておりますけれども、あまりにも不適格品が多過ぎるので、ちょっとびっくりしているのです。こういう不適格品を減らしていく何か的確な改善方法というものはないものでしょうか。
  138. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 ただいま先生から、電気用品の市販されておりますものの中に不良品が相当多いという御指摘を受けたわけでございますが、私どもも立ち入り検査をいたしておりまして同じような感想を持っておるものでございまして、今般この国会で電気用品取締法改正をいたしたいと思いましたのも、やはりそういった立場からでございます。今回のこの電気用品の改正法案は、従来危険度の高いものについて特に登録制度をしきまして、型式検査を受けまして合格したものを販売するというような制度をとらせ、さらに型式には合格しましても、つくられます製品の中に不良品がまじってもいかぬわけでございますので、技術基準適合義務を課して、その適合しているかどうかは実際の検査によりましてそれを確認する。先生御指摘のありましたように、消費者団体とかあるいは電気協会にある安全委員会におきましても、市販品を買い上げてそれを検査する。そうして不良品があればどんどん注意もしますし、勧告もしますし、不良品の出回るものにつきましてはさらに回収もさせるということも私どもやっておるわけでございますが、今度の改正では、危険度の特に高いものだけでなしに、危険度の観点からしますと、学問的に、技術的に見て危険度は薄くても、やはり危険性があるというようなものにつきましては全部網羅する。したがいまして、従来の危険度の高いものは甲種電気用品という名称をつけて、その他のものにつきましては一括乙種電気用品というふうにいたしまして、しかし危険度の薄いものについては、危険度の高いものと全く同じ規制をするというのは酷でございますから、それはそれに応じて技術基準適合義務は守らせる、検査もやるというような体制を今回強化したいということで、ただいま国会に電気用品の改正案を出しておるわけですが、ずばり申しまして、私どもこの法律が通りますれば、またさらに監督の対象がそれだけふえるわけでございます。と同時に、やはり実効をあげますには、私は、やはり型式検査等を厳重にやるということもさることながら、――これはもう指定検査機関で厳密にやっております。ここでも相当不良品が出るわけであります。出ましたものは全部不合格という形で改善していきまして、合格したものはよろしいというような制度をやっておるわけですが、しかし、これは型式検査ですから、技術基準に適合しているかどうかというチェックは、結局は立ち入り検査とか、先生おっしゃいましたような、市販品の相当広範な買い上げ制度、やはりこういう制度を拡充いたしまして、不良品があればどしどし製造業者に対しまして回収命令を出すとかあるいは改善命令を出す、設備が悪ければ設備の改善命令を出すということが必要でございます。そのもとになりますのは、やはり何と申しましても市販品につきまして、型式検査はもちろん厳正にやってまいります。と同時に、これは当然のことでございますが、プラスの措置といたしましては、やはり市販品をできるだけピックアップする、抜き取りの検査をやる、この度数と範囲を拡大することが必要だと思いますので、先生もただいまおっしゃいました電気協会の中に、全国に電気用品の安全委員会というものをつくっております。これは消費者団体等ともタイアップして御一緒にやっておる、学識経験者あるいは消費者あるいはメーカー、そういったもので構成しておる委員会でございますが、そこの予算を私は少し拡大いたしたい。それも、先生御指摘になったように不良品が非常に多い現状でございますから、予算も相当思い切った拡大をさせたい。この予算は国家予算ではありません。主として電力業界、それから機器業界というようなところからの、要するに出資になります。電気協会の中の安全委員会です。これは電力業界にしましても、まじめな機械業界にしましても、不良品が出ないようにするということ、つまり消費者に対するサービスをするということは、本来の使命でございます。というような立場で、予算につきましても拡充しまして、要すれば組織も充実させまして対処してまいりたい、こう考えております。
  139. 砂田重民

    砂田委員 メーカーに対してのそういう規制強化はぜひやっていただきたいと思うのですが、同時に、ひとつ気をつけてやっていただきたいと思うのは、メーカーの段階であなたのほうから規制をされて、立ち入り検査をなさってやっておられるその時期に、その規制の対象になる商品が一方小売り屋ではまだ売られているわけです。そこのところを十分気をつけてやっていただきたいと思うのです。あぶないと思うものをメーカーの段階でとめてみても、その同じ商品が小売り屋にもうすでに流れておるわけですから、そこのところを特に配慮してやっていただきたい。  それから、これは公益事業局長に伺っていいことかどうかわからないのですが、家庭用電気製品の耐用年数というものが大体見当がついておるはずですが、その耐用年数の間は、その型のものの部品は、メーカーはちゃんと準備をしておいてくれておりますか。
  140. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 御指摘がありましたように、耐用命数はそれぞれの商品でもちろんあるわけですが、品目が違いますと、おのずから違うかと思います。電気アイロンとそれから電気蚊とり器では、やはり違うと思います。メーカーとされましては、もちろん自分の製品についての部品等はあるのがたてまえでございます。しかし、私どもこれは安全性を確保するという意味から申しますと、単に耐用年数というような考え方でなしに、やはり型式検査を、一定の期間を経ましたらもう一ぺんメーカーに受け直させたい、こう考えております。現在の電気用品取締法では、一律に七年たちましたら型式認可をもう一ぺんやり直すという制度になっておりますが、今回の法改正内容におきましては、少なくとも、品目によっていろいろ技術の進歩の早いものもありますから、そうなりますと、もう少し、何といいますか、型式検査をする期間を短縮したほうがいいという問題もありますので、三年から七年以内、品物によっては三年目にもう一ぺん型式検査を受ける、物によっては五年ぐらいというような、三年から七年以内に型式検査をもう一ぺん受けさせる。つまりそれによって安全性をさらに確保しようという制度もあわせてやっております。ですから、そこで不合格になれば、またいまの部品の関係も私関連してまいると思いましたものですから、一言申し上げたわけであります。
  141. 砂田重民

    砂田委員 ぼくが伺ったのは、むしろ消費経済のほうに伺ったほうがいいんじゃないかと思うのですが、消費者がテレビならテレビを買って、いろいろな形のテレビがありますが、それが二年目に一部分だけがこわれた。ところが、そのテレビの形については、その一部分の部品だけ取りかえればまだ十分使えるものが、もうメーカーにその部品がない、そういうふうなことのないようにしてもらいたいのです。だから、いま公益事業局長が言ったように、品物によって、それはみんな耐用年数は当然違いますけれども、正常に使用した場合に考えられる耐用年数の間ぐらいは、消費者に対して取りかえられる部品の用意は、アフターサービスとして、していってもらいたい、こういうことを伺ったのです。
  142. 谷村昭一

    ○谷村説明員 いま先生のお尋ねになりました件につきましては、通産省の産業構造審議会の中に消費経済部会というのがございまして、その部会におきまして「家庭用機械器具のアフターサービスの適正化についての答申」という答申が出されておりまして、その中で、いま先生の御指摘になりましたような、耐用期間中は少なくとも部品を確保しておくというような方向で指導するような形での答申が出ておるわけでございます。その個々の期間につきましてはここで申し上げませんが、一応たてまえといたしましては、個別の電気用品ごとに耐用年数の基準がきまっておりまして、その基準に応じて各メーカーが部品を確保するという方向で行政指導をいたしております。
  143. 砂田重民

    砂田委員 たいへん時間がたってしまいましたので、計量法等々ちょっと割愛させていただいて、家庭用品品質表示法とあと公取だけ、ひとつおつき合いを願いたいと思います。  家庭用品品質表示法に品目の追加を要することは、もう通産省でも十分承知をしておられて、準備をしておられることと思いますが、繊維品の表示は組成表示といいますか、どういうものでこの繊維品ができているかということだけが、今日では表示の対象になっているのですが、ここで私は、公正取引委員会の有賀美智子委員が朝日新聞に寄せられた記事がありますので、短いものですから読んでみます。こういうことを有賀さんは書いておられるのです。「このごろ、二歳になる孫がナイロンキルティングのガウンを着て、朝夕家中を得意気に走りまわっている。出生祝いにいただいたもののうちで、これは秀逸な贈り物だと若い母親もご満足である。ところが、この間、このガウンのひざのあたりにトーストパン大のやけこげを見つけた。びっくりして母親にきくと、孫が石油ストーブの前近くに立っていただけでできたこげなのだという。日本がアメリカにナイロン繊維織物や衣服を輸出して外貨をかせげるようになったばかりのころは日本製ナイロンのブラウスを着ていた少女がナイロンの可燃性のために焼死した事件があった。一九五八年、アメリカではこの事件を契機に、可燃性衣服にはすべて可燃性であることの表示をすることを義務づける法律がつくられ、」、「連邦取引委員会がこの法律を施行するようになった。日本の子どももアメリカの子どものようにガウンを着るようになり、生活様式や条件が似てくると、輸出品に要求される注意が国内にも要求されてくるのは当然である。」。「直接火にふれないでも引火の危険のある繊維織布で作った依類の製造販売業者が可燃性表示をつけるようになったら、人命の安全は一段と確保されることになると思う。企業のマス・プロダクションを可能にするためには、商品の販売面に開拓がおこなわれなければならない。一方、消費者は、企業が提供してくれる商品で必要なものをすべてみたす仕組みの中におかれている。便利なものが製造されるのはありがたいが、可燃性の幼児用ガウンなど作ってもらいたくない。しかし製造販売するのは自由だから、製品には是非とも可燃性の表示をつけてほしい。表示のついたガウンをいただいた子どもの母親は、ストーブをたく冬をさけ、春や秋の火の心配のない時節に着せてよろこぶことだろう。」いかにも有賀さんらしい記事が朝日新聞に寄せられているのです。こういうふうに、この衣類はどういうものでできているかというだけの表示では、私は足りないと思うのです。いま申し上げたような防災性、難燃性、可燃性の問題、それから収縮率、染色の堅牢度、洗たく方法とアイロン温度の問題、こういうことをあわせて表示をしていくようにすべきではないだろうか。伺いますと、収縮率については、四十三年度でその基準調査の予算がとれたけれども、染色堅牢度の調査費はとれなかった、したがってこれはあと回しだというふうなことに伺っているのですが、そうなんですか。これは予算要求をなさって、けられたのですか。
  144. 谷村昭一

    ○谷村説明員 染色堅牢度の予算要求はいたしましたけれども、確かに、先生御指摘のように、今年度はつかなかったわけであります。ただ、補足御説明申し上げておきたいのは、現在品質表示審議会の中に繊維部会というのがございまして、そこで品質表示研究会という会をつくりまして、いま先生の御指摘になりましたいろいろな形での、いわゆる組成表示以外の内容をさらに充実するという観点からの諸問題を検討いたしておりまして、五月ないしは六月ころまでにはある程度の具体的な成案をつくりまして、できるものから実施していきたいと思っております。特に難燃性の問題につきましては、まずカーテン等から実施をはかっていきたい、こう考えております。
  145. 砂田重民

    砂田委員 難燃性の問題はカーテンだけにとどまらず、やはりからだにつけるものにもぜひとも及ぼしてやっていただきたい。できるだけ早い時期にやっていっていただきたい。  それから、いま私が申し上げたような表示を次々にやっていこうというかまえでおられますけれども、絵表示のことも、いま調査会ですか研究会ですか、何かそういったところで検討していただいているようですが、非常に急ぐと思うのです。というのは、家庭用品品質表示法で絵表示の統一的なものを出そうとしておられるのだと思うのですが、市中にはもうすでにいろんなものが出てきつつあるのです。これは谷村課長承知かどうか、こういうものをごらんになったことがありますか。   〔砂田委員、谷村説明員に資料を示す〕 三越では三越方式というものがある。そのほかに日本繊維製品消費科学会というところがこういう絵表示の研究をして、もうその成案をつくって、それを各メーカーに採用方を要請しておるわけです。これは一番複雑な場合の絵表示のようです。さらに伊勢丹と問屋さんが中心になってやっている繊維製品品質研究会でも、これは伊勢丹方式というそうですか、また別の表示のしかたをしている。それがこの子供のシャツについている絵表示方式なんです。これは伊勢丹方式といいますが、伊勢丹と問屋さんが一緒になってやっています。これは三越で売られていた表示なんです。このほかに三越には三越方式が別にある。  こういうふうになって、ある程度これが普及してしまっていると、家庭用品品質表示法で統一的なものをつくっていこうとなさっても、またその統一したものにもう一ぺん統一し直していく、たいへんな手間がかかるし、企業側にもむだな負担をかけることになるおそれなきにしもあらずです。したがって、いま家庭用品品質表示法に基づくところの絵表示の統一化といいますか、その研究はできるだけ早くおやりになって、こういったところにも呼びかけてやっていただかないと、またてんでんばらばらなものが市中に出ていきかねません。現にもう市中にはそういうばらばらなものが出ていっているわけですから、急ぐ問題だろうと思いますので、スピードアップをひとつお願いしておきたいと思います。
  146. 谷村昭一

    ○谷村説明員 いま先生の御指摘になりましたとおりでございますが、私ども、先ほどちょっと申し上げました品質表示研究会で、現在各種表示のあり方について検討いたしておりますが、その一環としまして、絵による表示の問題も研究を進めておりまして、この二、三カ月の間には役所としての何らかの一つの案を出したいと思っております。  なお、現に実施しておられます三越等におきましては、そういう統一の方向がはっきりすれば、その方向で協力していただけるということになっておりますし、これからやろうとされるところにつきましては、できればわれわれがきめたあとに実施していただくように、個々のケースに応じて依頼をしておる段階でございます。できるだけ早く具体的な絵表示内容をきめたいと思っております。
  147. 砂田重民

    砂田委員 先ほど工業技術院からJISのことを伺ったのです。繊維品のサイズのことを伺ったのですが、とりあえずのところ百貨店協会で統一的なLMSの表示をやろう、そういうふうに承っておりますが、いつごろから実行されますか。
  148. 谷村昭一

    ○谷村説明員 LMSにつきましては、先ほど申し上げました産業構造審議会消費経済部会で百貨店の案が出まして、そこで一応決定された段階でございますが、現在百貨店だけではなくて、スーパーいわゆるチェーンストア関係協力を依頼いたしております。同時に、問屋、メーカーにも協力依頼をいたしておりまして、その協力依頼の最中でございまして、具体的な日時を申し上げるわけにはまいりませんが、通産省がきめましてから百貨店が実施し得るまでに約一、二カ月ということでございますので、早急に通産省がそういう関係業界協力を得る体制を整えまして、百貨店その他において、通産省がきめてから一、二カ月の間に東京地区では実施に入るという方向でまいりたいと思っておるわけでございます。
  149. 砂田重民

    砂田委員 それでは最後に、公正取引委員会にお願いをいたします。  まず最初に、マーガリンの表示に関する公正競争規約にどうして原料表示が入っていないのですか。
  150. 伊従寛

    伊従説明員 マーガリンの表示に関する公正競争規約は昨年の三月一日に認定いたしましたけれども、これは純粋の食品としましては最初の公正競争規約で、これが問題になりましたのは、バターとまぎらわしい商品名を使う、あるいは牛の絵をかいてバターとまぎらわしいような表示をするということがきっかけで出てまいりました。業界のほうとしましては商品名を変えるということを非常に重大な問題として考えておりまして、実は原料の表示の問題については、そこまで検討がいかないうちに、早く規約をまとめたいということで処理してしまいましたので、その点問題をあとに残したようなことでございますが、これは先生からおっしゃられるように、原料表示の問題について消費者の方や何かから問題も出されておりますので、業界のほうにも検討するようにということを申しておりますし、私たちも、この点について原料をはっきり書けるような方向で検討したいと思っております。
  151. 砂田重民

    砂田委員 純植物性とうたってたくさん売っておられるわけですが、何を原料にしているのかわからない、これはもう原料表示をすべきだという消費者の声が非常に強いことは、公取自身で御存じのとおりでございます。マーガリンに原料表示ができるまでは安心してマーガリンを使えないという人がたくさんいるのですから、表示はなさるほうがこれは企業利益にも通じるかと思いますので、そういう指導をぜひともお願いをしておきたいと思います。  それから不当景品類及び不当表示防止法についてですが、事業者または事業者団体が第十条によって公正競争規約を締結設定をして、これを公取が認定して告示をしたときに、この規約は第十条2の四の規定で、これに参加するもしないも、あるいは脱退するも自由だという形で公正競争規約が法律的に発効されるわけですね。ところが、参加の自由、脱退の自由ということでありますから、アウトサイダーは何も規制をされない。そういったところに原因して、公正競争規約というものがもう一つたくさんの商品に伸びていかないのじゃないか。他の商品に伸びていかないどころではない、すでにわずかな数ではあるけれども公正競争規約ができているものについても、この規約に参加しているわれわれ正直者は損をして、参加をしていない人がかってなことをするじゃないか。正直者は損をするじゃないか。公正競争規約はばからしいという声が、すでにもう公正競争規約が締結されているものについても業界内で出てきている。これは、私は一ペん十分検討しなければならない問題じゃないかと思う。一つくずれると、公正競争規約というものはばたばたとみなくずれるおそれがあります。私はアウトサイダー規制というものをやはりやるべきだという感じがするのです。ただ、そのやり方についてでありますけれども現行法の参加、脱退自由な公正競争規約という制度はそのまま残しておいて、アウトサイダーをも規制する公正取引制度を新設する、ただし、その中小関係のアウトサイダー規制を行ない得るいろいろな法律のように、一業種の何十%以上の業者が当初参加していなければ、アウトサイダー規制を伴ったものはいけないという、そういう歯どめはもちろん必要でございましょう。こういう制度を新たに新設をして、参加、脱退自由という制度を選ぼうが、アウトサイダー規制を含んだ公正競争規約の制度を選ぼうが、これまた業界の自主的な判断でどちらの道を選ぶかということは自由だ、こういう行き方が一つあると思う。  もう一つは、現行どうりの公正競争規約ができた業種で、規約に定められている表示方法が非加盟者の活動によって混乱させられるおそれがあるときに、その規約の内容を参酌をして、公正取引委員会が当該業種に対して当該業種における全事業者にその特定事項の表示を義務づけることができるように、公取委員会がそういう権限を持てるように、そういう制度を置く方法もまたあるだろうと思うし、いずれにいたしましても、こういった公正競争規約というものが、いまのままであっては非常に危険だし、いまのままであっては伸びていかない。たいへん御努力をしていただいておりますのに、いまだにわずかの品目しかできていない。ここに一つの原因があるような感じがするのです。  また、現にアウトサイダー規制ができないからというので、つまらぬ、やめてしまおうというふうな声を、すでにきまっているある業種から聞くこともあります。何かそういうアウトサイダー規制のことについてお考えになっておられませんでしょうか。
  152. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま御指摘のございました問題は、さわめてむずかしい問題でございまして、私ども十分検討いたしてまいりたと思います。と申しますのは、公正競争規約といえども、やはりあれは一種の競争の制限なものでございますから、従来は加入、脱退がすべて自由であるということを必ず条件にいたしまして認定をいたしてまいったわけでございます。ただいま御提案のございましたような二つの方法、十分検討させていただきたい、かように考えます。  ただ、正直者がばかを見るケースがありはしないかというお話しがございましたが、私どもといたしましては、これは、ただいまにおきましても、運用の上において正直者がばかを見るようなことのないように十分つとめてまいりたいと思います。  それはどういうふうなことでいたしますかと申しますると、もしもかりに業界の過半数、ある程度多数の業者が参加いたしまして、公正競争規約をつくっておるといたします。それで、たとえば馬肉を使ったものなら馬肉ということを表示をしようという規約があるといたしまして、それをアウトサイダーが表示をいたさなかったというような場合を想定いたしますと、公正競争規約が大部分の業者において行なわれております以上は、私どもは、表示をいたすことが正常な商慣習があると認定をいたしてまいりたいと思っております。正常な商慣習に反して表示をいたさなかったのは、不当な、景表法に抵触する行為であるといたしまして、排除命令を行なう。かようなことで正直者がばかを見るということはないようにいたしてまいりたい、かように考えております。
  153. 砂田重民

    砂田委員 公正取引委員会という役所は、カルテル的行為に対してはもう体質的にこれを受け付けない性格をお持ちでございますから、アウトサイダー規制ということばを私が使いますと、必ずそういうことで反発をなさるのだろうと思います。もう当然のことだろうと思います。しかし、私がいま御提案申し上げております不当景品不当表示防止法の公正競争規約のそれについてのアウトサイダー規制というものは、私はカルテル行為では断じてないという気がするのです。業界が自主的に締結するものだとはいいながら、公正取引委員会の認定がなければ公正競争規約にはならないのですから、カルテル行為をもう体質的に受け付けない、公正取引委員会が御審査をなさって認定されるのであるならば、その段階でカルテル的行為のおそれのある場合は当然認定なさらないでありましょうし、チェックする機会が十分あるわけでありますから、委員長のようなお考えではなくて、私の提案のほうを受け入れていただきたい。排除命令のことをおっしゃいましたが、排除命令というのは出たあとでなさる処分でございます。そういうことではなくて、予防行政的に考えたならば、排除命令よりは公正競争規約にアウトサイダー規制ができるような能力を公取がお持ちになっていただく、あるいは業界自身がそのどちらかの道を選んで、自主的にアウトサイダー規制をも含めた公正競争規約をやっていく、そのほうが私は予防行政的には正しいのじゃないかという気がするのです。重大な問題とおっしゃいましたけれども委員長のおっしゃった重大な問題という意味、その意味の中の九〇%方はカルテル行為を受け付けない公正取引委員会の性格にあるだろう、私はいまそういうふうに伺ったのですが、この問題はひとつ前向きに御検討いただきたいと思うのです。私どもも公正競争規約を結んでいる各業界とも一度懇談をいたしまして、この人たちはどういう考えを持っているか、いつくずれるかわからないというおそれのもとにやっておられるのか、そういうアウトサイダー規制までやれるような公正競争規約、そういう制度をつくってもらいたいという気持ちでおられるのか、実情をわれわれはわれわれなりに検討してまいりまして、われわれのほうも結論を出したいと思いますので、公取でもひとつ御研究をお願いしたいと思います。  それから、不当表示のことを少し伺っておきたいと思うのですが、これは表示課長自身ちょっと見てください。不当表示です。  表示課長には、私がいまごらんに入れた四つ商品の中のどこが不当表示であるのか、おわかりになるのとおわかりにならないのとがあるだろうと思う。  そこにトイレット用の洗剤が一つあります。私はトイレット用洗剤の一つだけを持ってまいりましたが、最近市販されておりますトイレット用洗剤のほとんどは、大体一〇%までの塩酸が混入されております。ところが、ごらんになるように、塩酸と違って皮膚や衣服をいためるような危険がない、そういうことが箱に書いてあります。中に書いてある説明書きには衣服や皮膚についたものは十分よく洗ってくださいということが書いてあります。もしもそこに書くとするならば、濃塩酸と違ってと書かれていたならば、私は不当表示じゃないと思う。しかし、塩酸と違ってということは、これは明らかに不当表示だと思います。これはまさに塩酸が含まれておりますことを、兵庫県の衛生試験所で分析をして答えを出してまいりました。これは濃塩酸の入った劇物ではないということを言おうとしておるのだろうと思うのですが、危険ではないということではない。やはりあと十分な水洗いをしませんと、手や何かについたときには危険なものであります。  それから、そこに衛生ぞうきんというのがあるのです。商品名は私は申しません。布に不乾性油やワックスなど、よごれを吸着するものや帯電剤などをつけたもの、それを販売したり、このごろは損料を取って貸しているのです。取りかえに来る。その袋をごらんになりますと、よごれをとり、つやを出し、しかもふいたところを殺菌消毒いたしますと書いてあります。これは不当表示でございます。殺菌消毒力は持っておりません。たいへん便利な新製品で、ずいぶん普及をしていっているのですが、殺菌消毒力は全くありません。その布自身が殺菌してあるというだけであって、何もその布でふいたところが殺菌消毒されるわけではないわけです。広告業界の自主規制が非常に的確によくできているものですから、新聞半ページ大のその衛生ぞうきんといいますか、広告が出ておるのを最近見ましたけれども、新聞の広告には殺菌消毒力があるとは書いてない、商品には書いてある。ずるい使い方、表示のしかたをしているわけです。  それから、そこにニューコンビーフがありますが、これは新聞を盛んににぎわせた、それがまさにニューコンビーフでございます。コンビーフというから牛肉かと思ったら、それは馬の肉でできているものです。ニューというのは馬ということばらしい。それもまさに不当表示です。  もう一つ、小さな粉ワサビがあります。粉ワサビというものはワサビ大根でできるもので、そこに、そのかんには穂高特産の山ワサビを使ってと書いてあります。山ワサビが穂高特産だということは私たち承知をしておりまけれども、ワサビ大根が穂高特産だとは思えない。不当でございましょう。いかがですか、これは不当表示ですか。
  154. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま拝見いたしましたトイレットの洗剤でございますか、それから科学的ぞうきんでございますか、これはかなり不当表示の疑いが濃厚であると存じます。  それからニューコンビーフにつきましては、近く公正競争規約が設定せられまして、その場合には必ずここに馬肉ということを併記されることになっておりますので、これは解決がつくと思います。  それからワサビでございますが、これはただいま調査中でございまして、近く結論が出ると存じます。
  155. 砂田重民

    砂田委員 そこで委員長、私は自分でそこらでちょっちょっと買ってきてもそんなものが一ぱいある。公正取引委員会でそんなもの全部に目を光らすわけには、行政能力を越えた問題で、とてもできることではありません。そこで地方公共団体、特に府県の景表法違反事件に関しての協力がなければならない。各府県が公取に協力してくれますならば、私は非常に成果があがってくるだろうと思うのです。行管もそういう勧告をしているはずでございます。そういうことから、地方公共団体、特に景表法の違反の問題について、処分請求権を府県に与えたらいかがですか。そういたしますと、各府県消費者行政を非常にこれから盛んにやってまいるようになってまいりますと、不審に思う消費者が当然そういうところへ持ち込んでまいりましょう。各府県は自分のところの衛生試験所で検査をしてみて、その結果を出す、さらにそれを、処分請求を公取にする、そういう処分請求権的なものを府県に与える、不当表示監視のために地方公共団体にそういう力を持たして協力をさせたならば、私はそういったものはだんだん取り締まりができてくるのじゃないか。取り締まりをすることが目的なんではなくて、そういう体制に各府県があるということは、企業側に非常に大きな自粛する気持ちを植えつけるだろうと思う。府県へそういった処分請求権を与えていくというふうなことについてはどうお考えでしょうか。
  156. 山田精一

    ○山田政府委員 十分前向きにその点も検討いたしてまいりたいと存じます。ただ、現在でも、実際上は私どもの役所の地方事務所と、それから各府県との間に、できるだけ実際上の連絡を密接にいたすように指示を私どもからいたしておりまして、これは府県によりまして、よく御協力いただきます県としからざるところとはございますけれども、実質上できるだけその方向に努力をいたしておりますことをあわせて申し上げておきたいと思います。
  157. 砂田重民

    砂田委員 地方事務所と各府県との連絡を密接にするようにお指図をなさっておるわけでありますけれども、実際上公取の府県事務所の能力も、また表示自身の能力も、四十三年度で三人か四人ふえるようですが、とても対処できるものではない。どこの観光地で上げ底の商品があったといって課長が自分で飛んで行かなければならない、こんなことではとてもやれるものではないわけですから、私は、各府県にそういう処分請求権というものを持たしておきますならば、各府県が処分請求権をすぐ公取にたくさん持ち込むという意味ではなくて、府県段階でそういうことを防いでいける。また、府県のほうから処分請求をしなくてはならない、あなたのほうは改めますか、改めてくださいという、そういう交渉が企業の側ともできるようになってくる。そういう体制府県を置きましたならば、企業の側での自粛体制というものも十分徹底をしていくのじゃないだろうか。そういう意味合いから申し上げておりますので、一昨日は主婦連の方々が委員長のところへ参られて、不当表示をしっかり取り締まれとおっしゃって、委員長は十分にやっていくとおっしゃったそうですか、私は、その十分にやっていこうとされる委員長のお気持ちは十分わかりますけれども、公取の能力が足りないと思うものですから、府県協力を得る意味で、また有効適切に府県が働けるように、こういう処分請求権を持たしたらどうであろうかということを御提案申し上げておるわけでございまして、ひとつこれも前向きに御検討を続けていただきたいと思います。  それから、あるいはとっぴなことかもしれませんが、広告のことで一つだけ伺っておきたいと思うのですが、いまは広告業界の自粛的、自警的な規制は相当きびしいものがあると思います。全国広告連盟でありますとか、広告協議会も、媒体別の自警的な組織も非常にりっぱにできていると思うのです。不動産取引業者の団体も広告の規制を非常によくやっておると思いますが、この広告業界での自粛的な規制の中に、比較広告は一切やらないということになっておるようでありますが、私は、比較広告をある程度許したらどうだろうと思うのです。ある程度ですよ。たとえば、さっき議題にあげましたマーガリンについても、マーガリンのメーカー自身が何かコンプレックスを持っている。一ころ市中に出したときに、マーガリンというものはくさいものだという印象を消費者が持ったものですから、企業側もまだそういうコンプレックスを持っているのじゃないか。それでおかしな表示が出てきてしまうのじゃないですか。マーガリンの広告に、バターと全く違うのだという特性だとか、動物性脂肪が全くない、純植物油でできているのだから、高血圧の人とか高コレステロール症の人にはマーガリンがいいですよということを言わしたっていいのじゃないか。そういう比較広告をマーガリンの企業の側でやられたらいいのじゃないか。私は、こういう広告は悪性広告じゃないという気がするのです。消費者にとっても、その選択の判断材料が正確にとれるわけですから、それがうそであってはいけませんが、真実を語っているのならばいいではないかという気がするのです。ただ、限界もまた必要だと思います。こういう比較広告というものをある程度許していくということは、委員長はどうお考えになりますか。
  158. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいまおっしゃいましたとおり、自己の商品の特性につきまして、これを、真実でございまする限り、強調いたしまして広告することは、何ら差しつかえなかろうと存じます。ただ、自己の商品が、競争者の売り出しております商品に比べて著しく優良であると消費者を誤認させるような表現になります場合に、ただいまおっしゃいましたごとく、ある基準を越えたものになるのではないか。わが国では道徳上競争相手の商品をちょっとくさすようなことは慎むほうがいいというような考え方が多いようでございまして、たとえば現に教科書の販売に関しまする特殊指定の中では、他の出版社の出しました教科書を中傷したり何かしないことという一項目が入っておりますから、むろん事実無根の中傷ではいけないわけでありますが、自己の商品特性をある程度強調いたすことは差しつかえないか、かように考えております。
  159. 砂田重民

    砂田委員 もう一つだけ広告のことで、不動産広告の問題ですが、不動産広告の広告媒体も非常にうまく規制をしてくれていると思うのです。ところが、新聞の折り込み広告までには、不動産業者のほうの広告規制の協議会のようなものも、広告媒体の自警的な組織というものも及びませんが、折り込み広告にどうも好ましくない広告が多いのですね。新聞折り込み広告には、こういう新聞社の自警的な規制等は及んでいないのでしょうか。
  160. 山田精一

    ○山田政府委員 及んでおりませんけれども新聞社で自粛の規約をつくっております。それからまた、私どもの役所といたしまして、折り込み広告を違反として摘発いたしましたケースはたくさんございます。
  161. 砂田重民

    砂田委員 たいへん時間が長くなってしまって、皆さんにたいへん御迷惑おかけいたしました。きょうはこれで終わりたいと思うのですが、実はこの基本法づくりをいたしますにつきましても、産業行政を行なう産業官庁が同時に消費者行政を行なっても、それはできない相談だという意見がだいぶたくさんあるようでございます。消費者行政は産業行政に負けてしまって何もできないから、産業行政機関とは別に、全く別個の消費者行政機関を創設すべきだという議論がありましたことは、きょう御出席いただいた各省の方々もお聞きになっておると思うのです。私は、できない相談ではなくてできる相談だと考えているのです。消費者問題は、消費者企業の間の戦いではないはずなんです。健全な企業なくしては消費者消費生活向上もあり得ませんし、賢い消費者選択なくしては健全な企業の育成もまたない。消費者企業の間の相互理解こそが必要であって、戦っていてはどちらも利益を得られない。ちょっと自民党と社会党との関係とは違うような気持ちがするのです。  そこで、われわれ立法府と皆さん行政府は、消費者企業との間の取引が公正で自由で安全なグラウンドで行なわれるように、そういうグラウンド整備を私たちがやらなければならない、これが責務だろうと思う。役所の中で、産業官庁が消費者行政を行なう係と産業行政を行なう係とで、消費者利益企業利益の一致点をぜひとも見出していただきたい、この御努力を願って、りっぱな答えをぜひ出していただきたいものだ。産業行政をやる官庁と対抗し、対立する消費者行政官庁を置くよりも、産業行政官庁にまかせてよかったと消費者にも企業にも喜んでもらえる好ましい結果をひとつ得たいものだ、かように考えておる次第でございます。われわれも努力を当然続けてまいりますので、どうぞ特段の御努力皆さんにお願いいたしまして、終わりたいと思います。長時間ありがとうございました。
  162. 八百板正

    八百板委員長 次回は明十六日、火曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を第六委員室において開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会