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1968-03-07 第58回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月七日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 武部  文君    理事 小笠 公韶君 理事 砂田 重民君    理事 粟山  秀君 理事 唐橋  東君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    木野 晴夫君       佐藤 文生君    坂村 吉正君       周東 英雄君    中山 マサ君       伊賀 定盛君    戸叶 里子君       村山 喜一君    吉田 之久君       有島 重武君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君  委員外出席者         公正取引委員会         委員      亀岡 康夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(物価対策現況等)      ————◇—————
  2. 武部文

    武部委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、都合により委員長が出席できませんので、委員長の指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。   〔武部委員長代理退席唐橋委員長代理着席
  3. 唐橋東

    唐橋委員長代理 質疑申し出がありますので、これを許します。武部文君、
  4. 武部文

    武部委員 先般宮澤長官のほうから、本年度物価の問題についていろいろ説明がございましたので、この機会に、本年度物価上昇見通し等について見解を伺いたいと思うのであります。この間の予算委員会で、横山委員の質問に答えられまして、佐藤総理なりあるいは宮澤長官のほうからいろいろ答弁があったのを聞いておったのでありますが、さだかでない点がございますので、この機会にあらためてお伺いをいたしたいと思います。  前国会で、本年度消費者物価値上がりは、大体四・五程度に押えることができるだろう、こういう見通しについての相当強い自信を持っての説明がなされました。自来、公共料金その他でいろいろ具体的な例をあげて見解をただしたわけでありますが、伝えられる銀行筋物価指数は、必ずしも四・五という数字を示しておりません。特に私はいろいろ調査をしてみましたが、三和銀行なり住友銀行なり、そういう銀行筋は、相当詳しい資料で消費者物価上昇のパーセントを発表しております。一体経済企画庁は、本年度物価上昇がどの程度にとどまると思っておられるのか、また、おそらく宮澤長官自身も御存じだと思いますが、銀行筋が発表する数字となぜ食い違うのか、こういう点についてどのような見解をお持ちになっておるか、これをまず最初にお伺いしたい。
  5. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昭和四十二年度についてお尋ねを承りましたが、ただいままでのところ、二月までの東京都の指数がわかっておるわけでございます。全国は集計が常に一月おくれますので、一月までわかっております。それで、四・五と申し上げておりますのは全国でありますから、全国について今月の末に二月の指数が出、さらに四月の末に三月の指数が出ますと、それで完結をいたすわけであります。  そこで、私ども、ただいま、東京都の動き全国動きは、概して申しますとほぼ並行して動くのが従来でございますから、全国の二月の動き東京都の二月の動きとまずまず似たものと考えまして、そして三月に全国で何か非常に大きな変動があるというふうに考えない場合、通常程度の三月であると考えました場合に、四・五%のうちにおさまることはまずまずほとんど間違いない。〇・一とか〇・二とかいう、いわばおつりが来るような形になるのではないかというのが、ただいま考えられますあと二月間の見通しでございます。
  6. 武部文

    武部委員 後段の銀行筋ですね。私が言っておるのは、巷間伝えられるところの銀行筋等が、消費者物価値上がり指数政府の言う数字と違った数字、もっと高い数字政府は四・五と言うが、現実には四・五なんというものは——昭和四十年ですか、四十一年ですか、物価指数の取り方を変えましたね。変更がございました。したがって、政府が四・五と言っておるけれども現実には一%ぐらい違うのだ。銀行筋が言っておる調査の結果は五・五ないし六%、こういう数字を私ども新聞紙上で見るわけであります。この点についてはどうでしょう。
  7. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもが使っておりますのは、ずっと継続して内閣統計局調査を使っておるわけでございます。そしてこれは、おそらく、いまわが国であります消費者物価指数及びその調査方法としては、最もすぐれたものであるというふうに考えております。それで、武部委員の言われますのは、あるいは、たとえば日本銀行とか商工会議所とか、そういったようなものについてのお話かと存じますが、私必ずしもつまびらかでございませんが、調査のカバレージ、それから正確さ、それにかけております手数等々いろいろ判断いたしまして、やはり統計局数字が一番実態に即しておる、こう考えております。それで、銀行筋と言われましたのは、どういう調査もと銀行が言っておりますのかつまびらかでございませんが、おそらく統計局仕事より信頼度が高いというのは、ほかにはないのではないかというふうに考えております。
  8. 武部文

    武部委員 きょうは、消費者物価指数取り上げ方について論議をするような時間もないと思いますが、総理府統計局のやっておる三百六十四品目ですか、その品目についての消費者物価指数の、いわゆる全国的にいま統計をとっておる、たとえば私ども承知するところでは月のうちの十二日という数字の前後とか、いろいろございますね。しかし、現実に、この三百六十四品目そのもの内容についてもいろいろの問題がある。したがって、総理府統計局のいまやっておる消費者物価指数のそういう計算方法については、現状に即していない、こういう意見があることを私は承知しておるのであります。学者の中にも、確かに、いまの消費者物価指数取り上げ方には問題があるという指摘もあります。したがって、いまの段階で政府自身として総理府統計局の行なっておる三百六十四品目中心とした消費者物価指数のこの計算方法について変更する意思がおありか、検討する意思がおありか。現実にいまのは現状に即していない、そういう声が非常に強いのですが、これについて企画庁長官はどうお考えでしょうか。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは私からお答え申し上げるのは実はあまり適当でないと思います。と申しますのは、これは総理府統計局がそのほうの権威者を集めて、長年検討してやっておることでございます。私どもとは、どう申しますか、全く独立してやっておられる仕事でありまして、私どもが見ております限りでは、考えられる最善のものではないかと実は思っておりますけれども、具体的な御示唆があれば統計局へお取り次ぎすることはやぶさかでございませんが、いま政府を代表してこれを変更する意思がある、ないということを私から申し上げますことは、これは不適当ではないかと思います。
  10. 武部文

    武部委員 確かに言われることごもっともですから、この問題は、またあらためて別の機会にやりたいと思います。  そこで、佐藤総理なり企画庁長官が、来たるべき四十三年度物価上昇の見込みを四・八ということを言明されておるわけです。それは一体努力目標というふうに理解をするのか、確信を持って四・八ということをおっしゃるのか。たとえば本年度は四・五とおっしゃったけれども、それよりも若干下回ったというふうに評価をされておるようであります。四・八というのは一体どういう数字なのか、まずそれを伺いたい。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一つ一つの分類に従って積み上げ計算をすることが事の性質上できないものでありますから、過去からの趨勢値を伸ばしてみたり、あるいはまた米のように、今回の計算の場合には消費者米価値上がりはなしと計算しておりますから、そういうものもございますが、趨勢値を伸ばしてみたり、あるいは野菜とかくだものについては、五%くらいであろうとか一〇%くらいであろうとか、いろいろなことから推察をしつつ数字を考えるわけであります。したがって、この数字は絶対間違いないかというお尋ねでありますと、絶対間違いございませんという種類のものではございません。  今度の場合も、そういう趨勢から推していきまして、そうして昭和四十二年度を四・五と考えまして、その四・五のグラフを一応書いてみまして、したがって、四十二年度と四十三年度平均が四十三年度上昇分でございますから、その両方の平均の四十三年度に持ち越す、いわゆるげた部分がどのくらいあるかということで、それは四・五であるとすると三・四くらいになるのではないかと思われます。四・五を少し割りますとちょっとぐらい低くなるかもしれませんが、そこで、一・四というものが四十三年度中に許容される上昇の幅になるわけでございますが、それが先ほど申しましたいろいろなもの、トレンドを伸ばしたりなんかするその結果、それが一・四の中におさまるかどうかということを考えるわけであります。消費者米価の改定を考えない限りはまずおさまるであろう。しかし、どうしても全体的には底かたいわけでありますから、簡単なことではないが、できないことでもないというふうな考え方で、四・八というものを出しております。したがって、これには相当な政策努力というものが加味されております。  先ほど四十二年度についてお触れになったわけですが、同じように、御指摘のように四十三年度について各金融機関が出しております見通しというものは、四・八よりはおしなべて高いわけで、五・五ぐらいのものを出しておるところが多うございます。おそらくこれは、金融機関が予測をする立場から、政策努力というものをあまり自分で考えるわけにはいきませんので、それを考えずに言っておるものではないかと思います。
  12. 武部文

    武部委員 その四・八ということについては非常に困難だ、この委員会長官が述べられたあいさつの中にも、この目標を達成することは決して容易ではないということをおっしゃっておりました。かねがね長官は、この委員会で、消費者物価値上がりが五・五%以上になったら経済政策失敗だということを、何回も口に出して言っておられるわけであります。私どもは、いまお聞きをいたしますと、四・五とか四・八とかいう数字政府の口から出ますけれども現実には、もう長官がかねがね言っておられるように、経済政策失敗だといわれる五・五をこしておる、そういう理解を実は持っておるのであります。これはいろいろ報道機関等で、新聞でもやっておりますが、いわゆる消費者物価値上がり数字の魔術、こういうことを何回も新聞でやっております。前回宮澤さんと、米の値上がり、これが一体幾ら家計にはね返るかということについて、具体的な数字をあげてここで論争したことを私記憶しておりますが。たとえば一四・四%の消費者米価値上がり家計にはね返るのは〇・七だ、これを計算すると、一人の人間が一カ月に九十円足らずの値上がりにしかとどまらぬのであります。そういう数字が、一体現実のいまの国民生活の中から受けとめられる数字であろうか、こういうことを私は非常に疑問に思います。ただCPIのやり方から見ると、計算方法によって出た数字ですから、これについて、それが家計に一体どれだけの影響を与えるかということについては、また別な理解がおそらく出てくるだろうと思います。ただ単に政府が四・五だ四・八だというような数字を並べ立てて、ことしの消費者物価はこの程度におさまった、来年は四・八だ、たいしたことはない、こういうことを幾らPRされても、現実国民はそのことを理解いたしません。同時に、そらぞらしい数字を並べ立てて一体政府に本質的な物価対策の誠意があるのか、むしろ国民の側から見ると、数字を並べ立ててそれを欺瞞しているのじゃないか、こういう見解なり声が国民の中からたくさん出ておることを私どもは聞くのであります。したがって、ここで、そういう数字統計がどうだ、こうだということをあまり論争はしたくありませんが、一応政府が四・八だとおっしゃっておるのならば、そのおっしゃっておることについて私どもは疑問を持つわけですから、以下次のような点についてひとつ宮澤さんの御見解を承りたいのであります。  たとえば、いま四・五であった場合には三・四のげたがある、こうおっしゃった。そうすると、おっしゃるように四・五から三・四を引くと一・一だ、そうするとCPIに占めるところの国鉄定期運賃値上がりあるいはたばこ値上がり、さらにはNHKの受信料、これは大体米の七分の一程度CPI影響するというふうに私どもは聞いておるわけでありますが、一体この国鉄定期運賃たばこ、酒、特にビールについては六円九十六銭も酒税が上がる、大体七円。七円なんというはしたで、現実に百二十七円というはしたが出てきてビールが売れるかというと、そうは思いませんね。おそらくそれは百三十円になるだろう、これは当然のことです。そういう点を考えたときに——六円九十六銭の酒税の値上かがりはビール一本分についてですが、ところが、伝えられるところによると、やはり酒造会社あるいはウイスキーの会社ビール会社、そうしたものがこれに便乗して値上げしようとしておる、すでにそういう動きがあります。さらに、四・八の中には米を計算に入れておらない、いまこういうお話がございました。一体政府は、四十三年度生産者米価を絶対上げない、したがって消費者米価も絶対上げない、そういうことを確信を持ってここでおっしゃっておるわけでありますか、その点をひとつお伺いしたい。
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 総理府統計局消費者物価指数というものは、先ほど申し上げましたとおり、私の考えております限りでは利用し得る最善のものだと思っております。私どもにとってはしばしば必ずしもぐあいのよくない結果が出てまいりますけれども、これはしかたがないので、独立の官庁が独立の見識でやっておることで、これはもうそれで私はよろしいのだと思っておりますが、そこで、ただその結果出てきたところの消費者物価指数、たとえば四・五というようなものがどうも実感に合わなくて数字欺瞞があるのではないかということについては、私はそうは思っておりません。もしそういうことがほんとうにあるのならば、これは統計局にやり直してもらわなければならないことになりますが、私の感じでは、むしろそういう実感のようなものが、ことに家庭主婦などが持っておられるのはいろいろ理由があると思いますが、たとえば野菜のようなものはほとんど毎日買うわけでございます。そうしますと、これは一割くらいは平気で上がったりいたします。そうすると、比較的毎日買うものが一割とか一割五分とか現実に上がっているではないか、二十円の大根が極端にいえば三十円になったりしているではないかということが、やはり生活をする者の実感に一番身近であります。ことに毎日近くで買いますと、よけいそういう感じが深いわけであります。しかし、これを統計局立場からいいますと、それは消費者米価には、武部委員もよく御承知のとおりウエートというものがあって、全体を一〇〇〇〇にして野菜ウエートはたぶん三〇〇くらいのものでございますから、それに関する限りは確かに一割とか二割とか動いてはおりましょうが、それは一〇〇〇〇の中の三〇〇であります。ウエートというものは三〇〇であります。ウエートというものはそういうものでありますというような説明をしていきますと、そこのところが、説明がわかったようで少し気にくわないというような、そんな感じになって欺瞞があるというふうな批評になるのではないかと思います。統計局仕事そのものに、私は欺瞞があるというふうには考えておりません。  その次に、米の問題でございますが、確かに昭和四十三年度消費者物価上昇が、私どもの見込んでおる範囲にとどまるだろうか、とどまらないだろうかということを大きく左右する問題は、その消費者米価の問題であると思います。ことしの秋に生産者米価あるいは消費者米価をどうすべきかということについては、御承知のとおり、米価審議会にこれは毎年のように、そのときになって急にではなく、もう少し根本的に米価の形成及びこれに関連した事項について、前広に調査審議をしてもらおうということで新しく米価審議会委員の任命が行なわれたわけであります。したがって、私としてはその調査審議の結果に非常に期待をかけておるわけでございます。ただ、それがどういう結果になるかを予断いたしますことはできませんし、この問題は、もう御承知のように非常にあつい問題でございますから、所管大臣でない者があまりかれこれ申してはいけないと思いますが、この米価審議会の答申というものに私としては非常に期待をかけております。こう申し上げておきます。
  14. 武部文

    武部委員 どうもはっきりした答えがないのでありますが、私も、総理府統計局数字もとにして言うことをあまり好まぬのであります。やりたくないのでありますが、しかし、一応それをもとにしなければならぬのであります。したがって、国鉄定期運賃値上げというものは、CPIには〇・一%しかはね返らない、こういうふうに先般予算委員会でお述べになっておりました。それから、たばこは大体〇・二%程度はね返る、こういうことをおっしゃっておる。これで〇・三%。そこで、それ以外に酒、あるいはこれから行なわれるであろうところの授業料の問題、あるいはふろ賃、こうした問題等も考えたときに、おっしゃるようなげたを除いた一・四のうちで、すでにもう上がってしまう可能性のあるものは一体どのくらいで、これからの努力は一体幾らか、たとえば一%なのかあるいはそれ以下なのか、この点について企画庁長官の御答弁を伺いたい。
  15. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのことを先ほどお答え申し上げるのを落としまして、失礼いたしました。国鉄あるいはたばこ等々でありますが、これも昨年の米の論議のときと同じように、そのものの持っておる影響、つまり直接的な影響だけを申し上げるしかできませんので、それから間接的にどういう波及があるかというようなことは計算ができませんので、いま申し上げませんが、ただ、米ほどでないということは常識的に言えると思います。そこで、定期運賃の場合〇・一だと申し上げておりますのは、国鉄鉄道運賃全体のウエートがたしか一万分の百三十一ということでありまして、その中で定期の占めるウエートが千分の百四十でございますか、そうして今度の定期運賃値上げ平均して、通勤については三七・二%、通学で四〇・九%でございますから、それを乗じていきますと〇・一という数字になるわけであります。  それから、たばこについては、全体のウエートが一万分の百四十七である。そうして今度のたばこ平均値上げ率は、五月からでございますけれども、一八・九でありますから、これが〇・二ぐらいになる。  酒の場合、酒と物品税がございますが、これはまあ税分が上がりますので、それがそのまま小売り価格に全部化体するかどうかははっきりいたしませんが、かりにそうであるといたしまして、全部合わせて〇・一であるということになるわけであります。  それから、ビールの百二十七円でございますか、これは確かに非常にはしたの数字であって、取引のときにめんどうであろうということは仰せられるとおりだと思いますが、しかし、これが便乗して百三十円になるというようなことについては、私どもは、それは非常に適当なことでないと考えております。業界でも問題になっておって、むしろ百三十円にしてくれないかというような話をしてまいりますが、私は、聞かれればそういうことは許さないといって返事をしているわけでございます。  それから、テレビでございますが、これはおそらくはカラーのほうが値上げになるということよりは、白黒が値下げになるということのほうがCPIには響くはずであります。この辺になりますと、確かに問題が全然ないわけではない。と申しますのは、先ほど申し上げましたのは、昭和四十年という時点全国の何千の標準世帯をとって、現実に毎月支出しているもの、いわゆるマーケットバスケットをつくって、そうしてその中の構成分子のその後の毎月の足取りをその十二日を中心に見ておるわけでございますから、テレビなんかの場合も、カラーテレビといったものがその代表的なものではなくて、その時点においてはやはり白黒テレビが代表的なものであったと考えられますので、おそらくは白黒聴視料が下がるということのほうが、今後の指数に出てくるのではないだろうかと思います。  したがって、いまわかっているものを積み上げましても、実は数字の上ではそう大きなものにならない。一・四のうちに食い込む部分は、わかっているものの限りでは多くないはずであります。ただ、経験的には、いろいろなことが実際は起こりますから、一・四が楽だと申し上げている意味ではございません。わかっているもののウェートは、ただいま申し上げたようなことであります。
  16. 中山マサ

    中山(マ)委員 ちょっと関連。  いま伺っておりますと、ビールだとか、お酒もそうですけれどもたばこだとか、男性用の問題の値上がりウェートだけを聞かせていただいたようでございますけれども、私は主婦立場から考えますれば、去年であったかと思いますが、おしょうゆが一升二十円上がっております。私は、お米の次に家庭生活調味料として重要なものは、おしょうゆであろうと思うのでございます。これが全国的に日本人の絶対必要な調味料となっておりますが、 これのウェートはどれくらいになっておりますか。一ぺんに二十円上げられて、ちょっと私もびっくりしたんでございますが、このウェートお尋ねしたいと思います。
  17. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 生活局長から申し上げます。
  18. 八塚陽介

    八塚政府委員 しょうゆは一万分の五十七でございます。
  19. 武部文

    武部委員 いまの説明を聞きますと、四・八のうちの三・四がげたで、一・四だ。そのうちで大体〇・四程度のものはいまわかっておる。でも、一番問題になるのは米ですね。米については何とも言えないということをおっしゃっておるわけですが、この米が私はくせ者だと思うのです。ですから、残りの一%だからたいしたことない。私は、これはたいしたことだと思うのです。しかし、これはいまの時点でどうこうというようなことを論争するあれも、もちろん仮定の問題ですから、ないと思います。ただ、いま、たとえばビール百二十七円を百三十円にすることについて適当ではないというふうに企画庁長官おっしゃっておるが、現実ビール取り扱い高は、一年間に四十億本ないし四十五億本ですね。かりに百二十七円を百二十五円——まあ単価を一円なんというのはぐあい悪いですから、いま百二十五円にしたとすると、八十億円というのはメーカーから出さなければならない。そんなことをするビール会社と、企画庁長官思っておられますか。これを機会に百三十円に必ずする、そういうものの考え方企画庁はおらなければ、私は誤りであると思うのですが、どうでしょう。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はそれについてはかなり複雑な経緯がありまして、取り扱い業者——小売り、卸ですが、何といっても人件費上昇及び交通のふくそうということから、手数料をこの際上げてもらいたいという気持ちがあるわけであります。私は、それについては理屈がないわけではないと、自分は腹の中では思っております。他方で、メーカーのほうがやはり上げてほしいという気持ちを持っている。私は、それはもう絶対に許すことはできない。いまのビール四社でありますか、これだけの内容を持っておって、ここへ分け前を与えることは私は絶対に許せないという態度を実はとっておりまして、当初百三十円ということがいわれておったわけでありますが、それが百二十七円になった経緯は実はそのような経緯であったわけです。メーカーがとてもそんなもの負担できるわけはないと言われるのは、わからないわけではありませんけれども、実際は、ビールというものは、御承知のように数量がまとまるといろんな意味で値引きが行なわれておるわけであります。それはだれの負担になっておるかは一律ではございませんけれども、値引が行なわれておるし、また銘柄によっては、そのビールを扱わせてほしいという卸なりの申請が実際出てくるわけでございますから、そういう勢力関係をいろいろ考えてみますと、この際百三十円になってしまうというふうに考える必要はないのではないか。実際その間のメーカーと取り扱い荷さばき商人とのいろんな勢力関係が現実にございますから、必ずしもそう考える必要はない。それで私は、そういうことはだめだということを実は言っておるわけでございます。
  21. 武部文

    武部委員 だいぶ楽観しておられるようでございますが、私はそう甘いものじゃないと見ておるのです。ですから、こういう問題を考えてくると、宮澤さんがおっしゃっておるような、一%というようなことにおさまらぬのではないか。これはただ一つの例ですけれども、こうしたものが次々と出てくるのじゃないか。特に先ほど言うように、米の問題は全く白紙だということになってくると、これから米価審議会等の審議を通じて、いつごろからどうなるかわかりませんが、必ずこの問題が大きな問題になってくるだろう。そのときに政府の考えておるような四・八というようなものにおさまらない、そういうはっきりとした見通しの上に、やはり物価政策というものは立てていただかなければならぬ。私はこの点を強く要求しておきたいのであります。  きょうは、そのほかに例の東京の電話料金が、格上げによって年間二十四億円、何にも言わぬのに入ってくる、こうした問題もちょっと長官はクレームをつけられたようですから、そうした点についての見解を承りたかったのでありますが、時間の関係がありますので、あとまた次の質問者がありますので、次に公取のほうに移らしていただきます。——それでは、大臣にちょっと質問があるようですから、私の質問を保留して、関連のほうに……。
  22. 唐橋東

    唐橋委員長代理 村山喜一君。
  23. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 宮澤長官お尋ねをいたします。  あなたのいま政策目標として四・八%以内に物価上昇をとどめるという説明の、その公共料金分の負担割合の率が示されたわけです。これを四・八%にとどめるためには、いろいろな政策的な措置を講じて四・八%にとどめたいという、そういう目標の設定がございました。そこで、佐藤内閣の物価政策というのは、現在の物価を安定させるという考え方に立っているのであって、現在の物価上昇を食いとめるという程度にとどまるものなのか、それとも、不当な利得を現にあげているものについては、価格引き下げを誘導政策として進めていこうという考え方をお持ちになっているのか。現在の線に安定させるという考え方でなしに、それよりももっと、これはあまりにも不当な利益が取られ過ぎているというようなものについては、消費者物価も引き下げる、そういう政策目標というものが立っているかどうかということについて、大臣に一点お尋ねを申し上げたいと思います。  それからもう一つは、LT貿易が、御承知のように、ああいうような十万トンの小站米を入れるということになりました。この内容は協定文を見てみなければはっきりわかりませんが、昨年は二十万トン入れた。ことしは十万トン入れるということで話し合いがついた。これを取りきめるにあたりましては、硫安であるとかあるいは尿素であるとか肥料産業の働きかけも、相当佐藤総理になされたようであります。それとの見合いとの関係において、輸出入一億ドル程度の貿易量ということになった。そこで、小站米が日本に入ってまいりました場合に、これは日本の内地米と同じような、準内地米として食用に供せられると思うのでございますが、これは国際価格で入れるわけでございますから、日本の国内価格に比較をいたしまして約半分の価格で入ろうかと思うのであります。そういうようなものを物価値下げの方向に使っていくというお考えは、お持ちになっていないのか。具体的な考え方を申し上げますと、それを酒の原料米として使っていくという方向を打ち出していくならば、現在の酒の原価というものはこれによって値下がりをするはずであります。そうすることによって、公共料金値上げ分に見合う分を帳消しにしていくという政策も生まれてくるわけであります。そのようないわゆる具体的な政策の方法というものを、この際お考えになるべきではないか。私は、いまの日本の米の食糧需給状況から見た場合には、そのような政策というものが当然物価政策上とられてしかるべきではないかと考えるわけでございますが、このLT貿易に関連をする十万トンの米の使用方法について、物価政策の上から大臣の御所見をお伺いいたしたいのでございます。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 消費者物価というものを下げるという方向で考えるかどうかということでありますが、私は、いまのわが国の経済の、あるいは社会全体の変動から見まして、消費者物価を下げるということは実際上はむずかしいであろうと考えております。したがって、その値上げ幅を、上昇の幅をどれだけ小さく押えられるかということに政策の重点を置いておるつもりであります。その中で、ものによりましては、いわゆる生産性の低いものでございますが、生産性上昇のための施策を講ずることによって値上がりを押えられる部分がかなりあると思います。これはかなり長い間の努力を必要といたしますが、何年か続けてやってきております。他方で、生産性が相当高いと思われる産業の中で、あるいは寡占体制とか価格管理体制とかいうものがあり得るわけでありますから、そういうものについては、そういう不公正な取引に対してはこれを指摘して直していく。これは主として公取がやっていてくださるわけでありますけれども、従来にもそういう例がございました。そういうものについては、生産性上昇分はこれを企業者だけでなく、労働にも、また消費者にも公平に分配をしていくということがいいのではないかと考えまして、そういうふうにやっておるつもりであります。しかしながら、そうであるとは申しても、消費者物価全体が下がっていくということはなかなか考えられませんで、上昇をどれだけの小さな幅に押えていくかということが、私どもの政策の当面の現実的な目標になっておると思います。  それから、いまのLT貿易の小站米の話でございますが、私これをどういうふうに使ってまいるのか実は存じません。お尋ねでございますから一度確かめておきたいと思いますが、この酒米につきましては、御承知のように、一般の飯米と同じような売り方をしておりますために、酒の原料米は毎年上がってきております。そうして、したがって清酒の製造価格、コストが上がっておるので、清酒の価格の引き上げを認めてもらいたいという動きは、もう実は相当強い動きであって、またコストが上がっておるということは、これは隠せない事実であります。そこまでは私も実は認めております。これがまた、しかし、もう一ぺん、供給者と需要者との間の勢力関係がありまして、ことに二級などについてはいわゆる値くずれといったような現象が従来からあるわけでございますから、そこにつけ込むと言ってはことばが悪うございますけれども、なかなかそのきまった価格を現実には需給関係で維持できていないではないかということなど指摘をいたしまして、原料米は上がっているんでしょうが、がまんをしてくださいというようなことを私としては実は申しております。多少この申し方には立ち入ったところがありますけれども値上がりということは、私としては賛成できないという態度をただいままでとっております。カリフォルニア米を使おう、これならば安いからといったような動きも一部にございますけれども、どうもまだ本格的には成功しておりません。今度の小站米の扱いにつきましてはどういたしますのか。いままでの扱いでございますと、原料米だから安く売るということはいたさずに、やはり原料米でも食管がもうけて売るというようなことをやってきておるわけでございますから、どういうふうになりますか、一ぺんこれは主管大臣と御相談をいたしてみようと思います。
  25. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 関連でございますからこれでやめますが、佐藤内閣の物価政策の中で一番欠けているのは、下げられるものについて、それを下げようとする努力をしていないということだと私思います。  具体的な一例だけ申し上げます。それはコーヒー豆の輸入原料価格というものは、最近アフリカ産のものをだいぶ導入するようになりましてから、輸入価格自体は下がっておる。ところが、国内の最終販売価格というものは上昇の一途をたどっておるわけです。しかも、もう今日の時点においては四万トンをこえる輸入量でございます。そういうようなものが、原価計算をしてみるとコーヒー一ぱい分が四円だ。この四円分のものが六十円なり、あるいはところによっては二百円ぐらいで売られているわけです。そういうようなべらぼうな価格というものが一体あるだろうかということについて、大衆は非常にふしぎな思いをしながら見ているわけであります。だから私は、日本の国内に生産されるものでない、外国から輸入をしておる価格が下がれば、当然国内価格も下がるような方向で、そういうような誘導政策というものはとれると思うのであります。それはどこに問題があるかいえば、流通構造の中に問題があるわけです。こういうような問題に、やはりあなたのところの物価担当の国民生活局というのがあるわけでございますから、個別物価についても、これはウェートが幾らになるか、そこはわかりませんが、その品目について総ざらいをして、下がるようないわゆるくふう、努力というものをおとりになるのが、国民生活を守る立場の上から当然ではなかろうかと思うのでございます。そういうふうなものはしようがないからということで、放置するような物価政策というものはあり得ないのではないか。その点を申し上げまして、私の質疑を終わります。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 正直に申しまして、ことにいわゆる農林物資については、私どもも相当問題があると思っております。一番顕著な例であったのが、過去においてはレモンでございます。これを自由化するかしないか、この輸入権が権利になっておったために、レモンの価格が常非に高かったわけでございますが、この自由化に対して正面から提起された議論は、それは国内の生産者に脅威を与えるという議論であったわけであります。しかも、それが、事実においては輸入権を持っておるものが国内のわずかなメーカーを動員して、国内産業保護という形で問題を提起したわけでありましたが、自由化に踏み切りましたその結果、レモンの値段は、当時九十円しておったものが、いっときは三十円にまで下がったわけであります。今日も低い値段になっております。それは一例でありますが、たとえばバナナについて同じような問題がありますと、バナナの輸入ということはリンゴの生産者に不利な影響を与えるというのが、いわば定説のようになっております。バナナとリンゴの代替性というのははたしてどんなものであろうか、なかなか証明がむずかしゅうございますが、そういうことになっております。コーヒーの場合には、国際協定との関係もありますけれども、国内の茶の生産者に非常に不利な影響を与えるという議論になっておるわけであります。そういったように一部の農林物資には輸入権がいわゆる既得権になって、しかもそのことを正面から持ち出せませんので、国内の農民に不利な影響を与えるという理由のもとに、問題がなかなか進捗しないというものが幾つかございます。これはおりに触れて私どもは議論を提起して、ともかく一つずつ片づけていきたい、こういう考えでおります。
  27. 唐橋東

    唐橋委員長代理 有島重武委員
  28. 有島重武

    ○有島委員 ただいま物価の話が理論的に、またはやや具体的に出ておりますけれども、初めに非常にラフな聞き方で恐縮でございますけれども、最近野菜についてはやや安定してきたけれども魚が非常に高い。これは主婦の嘆きになっております。これは非常に実感としての話でございまして、いろいろなふうに考えられと思いますけれども、この魚の値の見通しは今後一体どうなるのか、これは主婦がいま非常に聞きたがっておる点でありまして、きょうの私の質問とはやや本質をはずれますけれども長官に一言伺っておきたいと思います。
  29. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 調べましてお答えさせていただきます。
  30. 有島重武

    ○有島委員 それでは本筋に戻りまして、独禁法、特に再販売価格の問題について伺いたいのでございますが、去年の七月十九日の参議院物価特別委員会におきまして、宮澤長官は、再販制度というものが何がしかの利益があるとしても弊害のほうが多過ぎる、これはむしろ全面的に禁止したほうがいいのじゃないか、そのような発言をしておられたと思うのでございますが、現時点においての再販制度についての評価について、このとおり理解してよろしいかどうか、そのことを確認しておきたいと思います。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、私がこう申し上げたつもりであったのであります。当時いわゆる新しい法律をつくるかつくらないかという議論に関係してのお尋ねであったと思いますが、私は、再販価格維持契約というものの法益は何であるかというと、これは全く法益がないのであればこういうものは認めないという立場がいいのであろうが、実際にはブランドの信用を維持するとか、あるいは零細な小売り店を保護するとかいう法益がやはりあるのでありましょう、あるのであるから再販売価格維持契約というものが例外として認められておるのだと思いますが、いざ法律を書くとなれば、もう一ぺんこの再版価格維持契約の法益は何かということを議論しなければならないと思います。その場合、これは比較的新しい法律上の概念でありますからなかなか議論が詰まらない、こういうところで、いま、というのは当時でありますが、公正取引委員会と各省が議論をしておられるのであろうと思います。こういう意味でお答えしたと思います。
  32. 有島重武

    ○有島委員 それからだいぶ年月がたっておるわけでございますが、当時検討なさるというお話であった。そして法益が何であるか、それがはたして現在にまで必然性が残っておるかどうか、そういったことを御検討なさったのじゃないかと推察するわけでございますが、昭和二十八年のときにこの二十四条二が挿入された、そのときどうしてもこれは入れたほうがいいのだという一つの評価があったと思うのですが、その背後の問題、それから去年の時点の問題それからまた、その後御検討になりましてのその御結論を伺わせていただきたいと思います。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 法律が改廃されました経緯につきましては、あるいは公取委員長がお詳しいかと思いますので、公取委員長にお譲りいたしたいと思います。  そこで、昨年以後の経緯でありますが、一般に関係各省から、ことにそれが業界をバックにして公正取引委員会に圧力をかけているのではないかというようなことがしばしばいわれていたようでありますが、それは私の知っている限りでは誤りだと思います。関係各省が反対意見を表明しておったことは確かですが、それは業界の圧力があるということではなくて、再販価格維持契約の法益は何か、これが認められるとすれば法益があるはずでありますから、そういうことについての純粋な法律論、行政論であったと思います。  そこで、今年になりまして、公取委員長の御裁断で新しい法律はこの際考えない。現在指定になっているところの六業種に関する品目を、いわゆる洗い直しをするのだということになったわけでありますが、私は、この決定はきわめて時宜に適していると思います。と申しますのは、私どもが関心を持っておるのは、再販価格維持契約の法益そのものを議論することもさることながら、現実には、指定されて十年になるものの中に、もはやその指定の要件に該当しないのではないかと思われるものがあるように思われる。それについて公正取引委員会が再検討して洗い直すといっておられるのでありますから、私どもはまさにそれを願っておったのでございます。したがって、やがてそういう公取の再検討が結論に達すると思いますので、私どもはその線に沿ってものを考えていきたいし、また、それは私どもが実際願っておったところであります。
  34. 有島重武

    ○有島委員 私の伺いたいのは、いま山田委員長におなりになりましてから、そういったような方針が打ち出されました。それは長官も願っておったといまおっしゃいましたけれども、それ以前に、去年の七月にこれは検討していく、いま法益は何かという議論はさることながらというお話がございましたけれども、それがまさにいま私聞きたいところでございまして、実は検討をなさっただろうと私は推察するわけです。それをさらに今度は引き延ばして、もう一ぺん洗い直してからこれをやるのだ、やや問題をすりかえるというか、引き延ばしにかけている。そういうような感じがいまのお答えから受けるのです。長官のお立場から法益は何か、それを去年七月もうすでに検討されている。その内容を伺わしていただきたい、そう思っております。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは主として公取委の権限に属することでありますけれども、私の推察では、すでに指定された品目を洗い直すということであるとしますと、おそらくは何がしかの法益ありということが前提になるのであろう、そうでありませんで全く法益がないのなら、これは全部取り消しになってしかるべきものでございましょうから、そうでないといたしますと、やはり法益がある、あるいはその法益についてはいろいろ問題があろうけれども、まだ最終的な結論が出ない、そのいずれかであろうというふうに私は推察しております。
  36. 有島重武

    ○有島委員 それに違いないというお答えでございますけれども、私が伺っているのは、昨年の七月現在、長官としては何かの法益がある、全然ないとは言えないけれども弊害が大き過ぎる、こういうふうに答えておられる。それでもって、そのことについて検討すると言われるわけでありますから、その時点においてもこれだけの法益だ、これだけの弊害だ、そういうことをはっきり御承知の上でもっての御発言であると思うわけであります。そのことについて伺いたいわけなのです。洗い直すというお話が出た以後のことはこれまた後に公取のほうにいろいろ伺いたいと思うわけであります。
  37. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、先ほど申し上げましたように商品のブランドの信用維持であるとか、あるいはこれを扱う最終段階の販売業者の零細業者が相当おりますから、その利益の擁護であるとか、物価問題懇談会が指摘いたしましたようにいろいろな問題があると思いますが、法益がないということは、私は決して思ったことはありません。ただ、それだけの法益があるにしても、十年近く指定されたままになっておるものが、当初考えられた要件をなお満たしておるかどうかということについては、確かに問題があるのではないか。したがって、いま法益の議論を私はいたしませんけれども、現に指定されておるものがそのままで今後もいいかどうかについては問題があるのではないか、こういうふうに申し上げたわけであります。
  38. 有島重武

    ○有島委員 やはりいまのお答えでも、今後の洗い直しということを言われますけれども、七月の時点においての法益がある、弊害がある、そうしてそういうことを言えば、どんな法律でも、はっきりと悪法であろうとも、ある一部の人にはこれは法益があるということになるわけであります。その去年の時点において、長官としては国務大臣のお立場として、そのことについては、これは弊害のほうが多いから改定すべきじゃないか、そのような意見に傾いておられたんではないか、このように推察するわけなんですけれども、そのように理解していてよろしいでしょうか。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 多少の法益があろうとも、圧倒的に弊害のほうが大きいから、再販売価格維持契約というものはもう認めるべきものではないというふうに考えたことはございません。
  40. 有島重武

    ○有島委員 非常によくわかりました。  それから、これは法の内容の問題でございますけれども、第十九条には罰則がない。このことが非常に問題になっているようであります。  それからもう一つ、基本的な問題でございますけれども、再販売維持契約ということが、これは縦のカルテルである、そのように多くの学者なんかも理解しておるようであります。  この二点につきまして宮澤長官の御意見を伺わしていただきたい。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 法律のことは詳しくございませんが、十九条は「不公正な取引方法を用いてはならない。」ということで、これに対して公取が禁止命令を出すことができる。その禁止命令に反したときには罰則がある、こういう構成になっておるというふうに聞いておるわけであります。  それから縦のカルテル云々については、たしか昨年も有島委員と当時の公取委員長といろいろ御議論がありまして、私拝聴しておりましたが、当時の公取委員も、その点については事態を相当よく御研究の上での御発言のように承りました。こういうふうに答えられたように記憶をいたしておりますので、私もそういうことがあるのであろうというふうに考えております。
  42. 有島重武

    ○有島委員 これは十九条については罰則があるというふうに御理解になっているという話ですね。  それからもう一つは、再販売維持契約というものはカルテルと同質のものである、これを横に広げればカルテルであり、縦にこれを用いていけば再販行為になる、そういうふうに長官理解していらっしゃる、そういうふうにこちらは受け取ってよろしゅうございますね。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 二十条に「不公正な取引方法の差止」という規定がございまして、そうしてこの差しとめに対しては九十条、九十七条に罰則が書いてございますから、おそらくこの差しとめ命令に違反をした場合に罰則がある、そういうことであろうと思います。  それから、いわゆる縦のカルテルというものについては、そういうことが実態的にあるのではないかということは先ほど申しましたように昨年の御議論から、私もそういうものではなかろうかと思って承っておりました。
  44. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、第二条に定義が出ておりますけれども、この法律で不当な取引制限というのが、いまのところの解釈では二条六項の解釈がカルテルということと、それから再販ということと分けて、カルテルに対しては非常な規制力があるけれども、再販については規制力が弱い、そういった点が問題になっておる。こういったことをどうしても、これは立法措置として検討しなければならないのではないか、そういうふうにいわれており、私たちも理解しておるわけでありますけれども、こういった点について長官の御意見を伺いたいと思います。
  45. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この法律に詳しくないものでありますから、正確にお答えを申し上げられませんが、要するに、再販価格維持契約というものを、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律が、法としてそれを一切禁ずるかあるいは例外的に認めるかという立て方の問題であろうと思いますので、私は、はっきりは存じませんが、再販価格維持契約というものは、擁護してやる法益があるという判断に立ちますので、したがって、これを全面的に禁止するということは、多少の弊害は確かにございましょうが、適当ではない、こう私は思っておるわけでございます。
  46. 有島重武

    ○有島委員 それでは、問題はやや先に参りますけれども、いまの価格形成ということの中に、大ざっぱに言いますとこれは需要と供給の関係である、そういうふうにいわれておりますけれども、実際的にはこうした縦の関係による管理価格制度というものは、これは現在の経済機構の中では一つの自明のことになっておる。それからこれは避けられないことではないか、そういうような議論もあるようであります。そういうような経済機構の認識のしかたについては、長官の御意見はいかがでございましょう。
  47. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはお尋ねが非常に広くかつ抽象的でありますけれども、いわゆる縦のカルテルというようなものがあること自身は、これはよろしくないことだということになるのではないかと思います。
  48. 有島重武

    ○有島委員 縦のカルテルがあるということはよろしくない、そういうお答えでございました。あとは公取のほうに伺うことにいたしまして、宮澤長官に対しての質問は以上で終わります。ありがとうございました。
  49. 武部文

    武部委員 それでは時間の関係がございますから、要約して二、三点、公正取引委員会に御質問いたします。  前回の委員会で、再販の数法を提案することを断念された理由をいろいろと述べられまして、洗い直しの点についていろいろ説明がございました。したがって、私がきょうお聞きしたいのは、ごく最近にその洗い直しの結果を発表するということを言われたわけでありますが、洗い直しの基準とは一体何か、まずそれを教えてください。
  50. 山田精一

    ○山田政府委員 洗い直しの作業を急いでおりますが、その基準は、法律の第二十四条の二に書かれておりますところの条件を忠実に当てはめまして、それによって洗い直しの作業をいたしてまいっております。すなわち、法律の定めておりますところのものは、一般消費者の日用に供する商品であるということが一つでございます。二つには、自由な競争が行なわれていること、これが二つであります。それから、第一項におきまして銘柄品でなければならない、これはものごとの性質上出然かと存じますが、第一項のただし書きにおきまして、消費者の利益を著しく害することとなるときはこの限りでない、すなわち独禁法の本来の適用に戻るという規定がございますので、これらを当てはめて洗い直しの作業をやっておる次第でございます。
  51. 武部文

    武部委員 いまおっしゃったことは、それは確かに法律上そうなっておるので、それに基づいて忠実だとおっしゃればそれでいいのです。ただ、具体的に伝えられておるところの内容があるので、もうこの際具体的に発表されてはいかがか、私はこう思うのです。それを次のように申し上げてみます。  まず、医師向けの抗生物質などの医薬品あるいは香水、さらには海外渡航用のカメラや染毛料は、一般消費者が必ずしも使用しているとは言えないから、これは全部取り消し。あるいは極度の高級品、さらにはクリームなどの基礎化粧品等、おとり販売に利用されるもの以外の化粧品は全部落とす。医者向け及び医師の指示によって買う医薬品、さらには医薬品のうち、医者向けであるけれども一般家庭でも使うところの薬、化粧品も二十八年の九月に認可したときの条件を満たしていないものははずす、こということがすでに報道機関によって知らされておるわけですよ。ですから、いまおっしゃったような、そういう法文の中の自由な競争だとかいうようなことは、これはだれもわかっておることなんですから、具体的にこういうことがもうどんどん発表されており、さらに医薬品の千二百商品ですか、その半分は落ちるだろう、こういうことさえ伝えられておるわけですね。ですから、この機会にはっきりと、どの程度のものを落とす、このものはしかたがない、残す、こういうことが発表されてもいい時期じゃないか、私はこう思うのです。
  52. 山田精一

    ○山田政府委員 まだ私ども、ただいま御指摘のような項目につきまして発表いたしたことはございません。これから近々に委員会で決定をいたします。大体において、ただいま御指摘になりましたような線に近いことになるかと存じますけれども、それはどこまでも、特殊でない、一般の消費者の日常使用いたしますもの、それに自由な競争が行なわれておる、かような見地から洗い直しをいたしておる次第でございます。
  53. 武部文

    武部委員 どうもはっきりいたしませんが、いまここで発表するとぐあいが悪いのですか。というのは、私ここにきょう持って来ましたが、こういうはがきがどんどん私の手元に来るのです。おそらく公取にも行っておると思うのです。これは奇妙なことに印刷してあるのです。これは薬屋です。薬屋や化粧品屋から、四項目にわたって全国から来るのです。はっきりとこの際お答えいただきたいのは、この第三項目にこういうことが書いてある。「再販法がなくなれば大型スーパーをトップに、大乱売合戦になり、吾われ弱小零細店はたちまち経営破滅におちいりましょう。」こう書いてあるのです。少なくともいままでの公正取引委員会なり経済企画庁説明によれば、こんなことはなかったわけです。ところが、全国の小売り商店から一斉に同じ文章がわれわれの手元に来るということは、残念ながら、これはメーカーがこういう商店を通じてわれわれや皆さんのほうに圧力をかけている証拠です。これははっきり言えば。ですから、この際、私は第三項目だけを申し上げましたけれども、このことについて公取ははっきりとこの場で、いま私が申し上げた再販法がなくなれば大型スーパーをトップに、大乱売合戦になり、吾われ弱小零細店はたちまち経営破滅におちいりましょう。」このことについて、ひとつ公取委員長の明快な御見解を示していただきたい。
  54. 山田精一

    ○山田政府委員 そこに書いてございます「再販法がなくなれば」という表現ははなはだあいまいでございますが、おそらく再販契約を許容される品目が全部なくなればということであろうと存じますが、そういうような考えは持っておりません。
  55. 武部文

    武部委員 そう逃げられるだろうと思っておりました。  そこで問題に、再販法が全部なくなるということはだれも考えてないですね、いまの段階で。あなたのほうは洗い直しをするというのですから、何がしかは残るのですから。ですから、そのことはちょっと通りませんが、しかし、問題はこの時期でこれが出るということなんです。ということははっきり言って、この取り消しを少しでも少なくしようというメーカーの作戦ですよ。そのことがこういうことになって、あなたのところにたくさん来ていると思うのです。お読みになったと思うのです。こんなことをどんどんやっている。なぜか。私がさっきから言うように、もうすでに商品、たとえば香水は、何千円から上の香水はだめ、クリームも、何千円から上のクリームはだめ、こんなことがすでに商店に漏れておる、メーカーに漏れておる。したがってこの際、この取り消しの品目をできるだけ少なくしよう、こういうあがきがこういうかっこうになってあらわれていると私は見るのです。したがって、もうごく最近のうちに、あなたのほうは、約四千何種類にわたるところの商品の品目はこれだけは落とす、これだけは残すということをはっきり言おうとしているでしょう。そうして私がさっき言うように、どんどん新聞に出ているのです。クリームはどうだ、医者向けはどうだ、この機会に大体の骨子を——あなたがさっきおっしゃったようなことは法律に書いてあるのだから、だれだって知っているのです。その具体的な内容は何かと聞いているのですよ。言ってはまずいのですか、悪いのですか。メーカーから圧力がかかりますか。
  56. 山田精一

    ○山田政府委員 私の判断では、ただいままだ決定いたしておりません、検討の過程に属しますので、できるだけ早く最終決定に持ち込みましてこれを発表いたす、こういう手順にいたしたい、かように存じております。
  57. 武部文

    武部委員 これはどうもいけません。そこで、医者向けの医薬品については、この契約について破棄をするということになった場合には、厚生省と相談をされるというようなことが報道されておりますが、厚生省と御相談になりますか。
  58. 山田精一

    ○山田政府委員 専門的の知識、判断を要しますことにつきましては、厚生省の御意見を必要に応じて承っております。
  59. 武部文

    武部委員 その程度のことならばよくわかります。問題は、厚生省や通産省が、前回この新法の成立をはばんだという事実を私どもは知っているわけです。この委員会で、たとえば通産省の企業局次長が発言した内容、議事録を見ても明らかに新法に反対だ、こういうことがはっきりしております。したがって、医薬品のうち一体どれとどれを落とそうかというようなことを厚生省に相談したり通産省に相談をするようなことがあれば、相手がどんな態度に出てくるかということは、いままでの審議を通じて明らかです。したがって、落とす品目についてよもやあなたのほうは御相談なさるとは思いませんが、そんな御相談をなさるならたいへんなことなんで、これは大蔵省に予算折衝をするようなもので、問題にならぬですよ。ですから、通産省や厚生省や、そんなものは度外視して、き然たる態度で、さっきおっしゃったような原則に従って早急にひとつやっていただきたい。また、さっき私が読み上げたこんなものがどんどん来ると思うのですよ。しかし、現実国民は洗い直しということについて非常に注目しておるわけですから、早急にひとつ、さっき私が申し上げたような態度で結論を出していただきたい。このことを特に要望しておきたい。  次に、不当景品類及び不当表示防止法についてお伺いいたしますが、この不当景品類及び不当表示防止法によると、景品額は最高十万円、こういうことになっておりますが、その十万円の算出根拠はどうでしょう。
  60. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいまお尋ねのございましたのは、昨年決定いたしました事業者に対する景品類の提供の金額かと存じますが、これは、これに先立ちまして昭和三十七年の公正取引委員会告示第五号、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」、すなわち共同懸賞の場合に十万円を限度とする例がございましたので、これとのつり合いを考慮いたしまして、従来無制限でございました流通段階の景品競争を規定いたしますために十万円に定めた、こういうことでございます。
  61. 武部文

    武部委員 わかりましたが、それでは公正取引委員会としては、十万円は妥当な金額だと思っておられましょうか。
  62. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいまの段階におきましてはおおむね——これはいろいろの御意見はあろうと存じますが、それほどかけ離れて不当なものとは存じておりません。
  63. 武部文

    武部委員 公取の告示十七号、昨年の五月二十日ですね、「事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限」第一項、原則として取引の相手方である事業者には景品を提供することを禁止しておる。ただし書きで、正常な商習慣に照らして適当と認められる場合についてはこの限りでない、これが十万円ですね。この十万円という金額について私は疑義を持つのですよ。そこで、いろいろ調べてみると、昨年五月二十日にこの十万円ということがついたときに、海外旅行ということがいろいろうわさをされました。五万円ならば、ちょっと海外旅行にならぬです。香港往復賃を調べてみますと大体十万円。一年間の香港の招待の旅行を調べてみると、ばく大な数です。五万円であったら景品にならぬですよ。効果がない。したがって航空会社が運輸省に圧力をかけて、運輸省が公正取引委員会に圧力をかけて、十万円にしたといううわさを私どもは耳にするわけです。この十万円という金額で海外旅行という、日本国民にとっては、少なくとも事業者にとっては一つの魅力ですからね、そういうことをするような景品の金額にした。これは私は非常に不可解です。したがって、こういう点について、これは第三条にいう「不当な顧客の誘引を防止する」という点からはずれておるじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  64. 山田精一

    ○山田政府委員 十万円が多過ぎるかどうか、これは諸般の経済情勢と相対的のことでございます。多過ぎるという御意見も承っております。十分これは常時検討して、適正を期してまいりたい、かように考えております。
  65. 武部文

    武部委員 もうくどくど申しませんが、そういうような一つの不当な顧客の誘引ということに私は該当すると思うのです。現実の姿を見てみると。先般参議院でカラーテレビがおまけについておったとか、一万錠のビタミンに二万錠のおまけがついておったとか、二泊三日の阿波踊りの見物だとか、いろいろなことが言われました。この十万円というのは、特に海外旅行という内容を含んでおるのですよ。したがって、この際、この法文の精神にのっとって、不当な顧客の誘引を防止するという意味から、このただし書きの十万円を五万円、こういう点に規制をする、そういうような考え方はございませんか。私はそうすべきだと思いますが、どうでしょう。
  66. 山田精一

    ○山田政府委員 常に慎重に検討を続けてまいりたい、かように存じます。
  67. 武部文

    武部委員 どうもはっきりしませんのでぐあいが悪いのですが、慎重な慎重なで一年も二年もたってしまうのでぐあいが悪いのですが、これ以上答弁を求めてもそれは無理だと思いますからやめまして、最後に、公正取引委員会の機構です。去年定員は何名ふえましたか。
  68. 山田精一

    ○山田政府委員 二十九名でございます。
  69. 武部文

    武部委員 本年は幾ら認められましたか。
  70. 山田精一

    ○山田政府委員 八名でございまして、ただしその中から凍結人員三名を差し引きますから、正味は五名でございます。一応八名が増員でございます。
  71. 武部文

    武部委員 去年の三分の一以下に実は削られておるわけですね。少なくとも私どもは当委員会で、公正取引委員会が十分な機能を発揮して、国民の信頼にこたえてもらいたい、そのためにはできるだけの努力をしようということを、自民党も社会党も、与野党通じてそういうことの発言がここであったのですよ。自民党からもあったのですから……。公正取引委員会がこれだけの仕事をどんどんして、国民は注目し、大いに期待しておる。ところが、現実公正取引委員会の定員等を見てみると——全国に出先機関があるわけじゃないのですから、少なくともいまの行政府に応じて十くらいの出張所はほしいと私は思っております。ところがたったの八名、それも凍結を差し引けば五名、これでは全く公正取引委員会としての機能を発揮するということにならないと思うのですが、一体どういう理由で削られたか、どういうふうに思っておられますか。
  72. 山田精一

    ○山田政府委員 私どもは当初もっと大幅な増員を希望いたしましたわけでございますが、いろいろ財政当局と折衝いたしておりますと、財政全般の御事情もございますので、右のような結果になりました次第でございます。今後とも私どもといたしましては、この定員の幅の中で、全職員その能力を最高に発揮いたしまして、使命の遂行に万全を期したい。なお今後も続いて増員につきましては極力努力をいたしてまいりたい、かような考えでございます。
  73. 武部文

    武部委員 それじゃこれで終わりますが、少なくとも私どもは、去年以上の増員が公正取引委員会はあるだろう、当然それは政府の責任でそうするだろう、そうして国民の信頼にこたえ公正取引委員会はこういう仕事をしておる、われわれも背後からこれだけの努力をしておるんだという、そういう結果が出ると思ったのです。案に相違して三分の一以下になっている。公正取引委員長も新任早々だったかもしれませんが、少なくとも去年、おととし三十名以上の増員があった。それがことしになって三分の一以下になる。たいへん私は疑問に思うのです。あなたの努力が実らなかった、まことに残念だと思いますが、少なくともこういう実情を政府に率直に大胆に述べて、公正取引委員会としての機能が——特に審判等見ておりますと、これも遅々として進んでおりません。審査官の数も問題でしょう。私ども審判を傍聴に行っておりましても、あの機能の運営についても若干問題があるように思います。それはまた別の機会に譲りますが、これでは国民の信頼にこたえる公正取引委員会としての機能、活動が非常に制限されると思うのです。今後ともひとつ大いに努力して機能を発揮されるように、委員長の手腕をひとつぜひ発揮していただきたい。この点を申し上げて、時間が来ましたので、私の質問をこれで終わります。
  74. 唐橋東

    唐橋委員長代理 有島重武君。
  75. 有島重武

    ○有島委員 きょうは亀岡委員に来ていただきましたので、亀岡委員に伺いたいと思います。  先ほどから問題になっております独禁法の二十四条の二でございますけれども、これについて前北島委員長は、これははっきりもう削除したほうがやりいいんだというような御意見だったと思うのであります。去年の七月の参議院の物価委員会であったと思うのですが、議事録でそのように承知しております。公取委員会では五人の委員の方々が各自それぞれの御意見をお持ちになっていらっしゃる、こういうふうに承っておりますが、亀岡委員としてはこの二十四条の二を削除したってかまわないと思っていらっしゃるか、あるいはこれはなお存続すべきものであると思っておられるのか、その御意見を率直に承りたい。   〔唐橋委員長代理退席、武部委員長代理着席〕
  76. 亀岡康夫

    ○亀岡説明員 お答えいたします。  ただいま有島委員からの御質問の中で、北島前委員長がそういうふうにお考えであったという点につきましては、私は当時委員会におりまして委員長からは承っておりませんでした。  そこで、あとのお尋ねの二十四条の二をどういうふうに考えているかというお尋ねでございますが、率直に、私の個人の見解になりますが申し上げますと、現行法で昭和二十八年にこの二十四条の二の規定ができまして、いわゆる不公正な取引方法の中で再販売価格維持行為、それに対して私的独占禁止法を適用しないという、いわゆる適用除外規定というものが設けられたのであります。設けられました当時の理由につきまして、つぶさに検討はいたしました。現在もそういう存続の理由があるかどうかという点についても検討いたしております。結論的に申しますと、いまのような二十四条の二の指定による適用除外品目、これについては、先般来話が出ておりますとおり、これは当然洗い直して品目の整理をやるべきだというふうには考えております。しかしながら、二十四条の二を全面的に削除して、再販売価格維持の適用除外を認むべきでないという結論には、そういうふうには考えておりません。したがって、この適用除外をどういうように今後持っていくかという問題はあるにしましても、これを全面的に廃止するというふうには、まだそこまでは踏み切って考えておりませんです。
  77. 有島重武

    ○有島委員 二十四条を全く削除しちゃった場合にはそれは不都合が起こるであろう、そういう当然な予想がおありになると思うのですけれども、どういうような弊害がありますか。削除してしまえば、それじゃどういう弊害が起こるのか、そのことについて……。
  78. 亀岡康夫

    ○亀岡説明員 現在二十四条の二にありますとおりに、その品質が一様であることを容易に識別することができる商品、これはいわゆる通俗的なことばで商標品とかそういうことが言われておりますが、要するにメーカー、製造業者が自分のところの商品であるということで商品を生産しまして、それが卸、小売り、消費者というふうに末端まで流れていった場合に、そのメーカーの商品であるということを消費者が認識しまして、要するに、簡単に申し上げますと、どこどこの製造業者の商品であるという信用と申しますか、品位と申ますか、そういう商品であると思います。そういう商品がかりに適用除外をはずすということになりますとどういうことになるかといいますと、卸売り業者なり小売り業者が、自由競争といいますか競争しまして、そしていろいろな価格で、たとえば商品の名をあげるわけにいきませんけれども、百円のものがあるとすれば九十円のものもあるし、八十円のものもある、七十円のものもある。そうしますとメーカーが、かりに品質は一様なものである、これは自分のつくった商品として、たとえば小売りにいった場合八十円相当の商品であるというふうに考えた場合に、それが小売り業者、消費者の段階において六十円であり、また五十円である、百円であるということになりますと、メーカーから見てそれは自分の商品の消費者に対する印象づけにおいて、品位といいますか、信用が傷つけられるのではないかという点が一点。それからもう一点は、今度は消費者の側から見まして、たとえば一つの商品を小売り店に行って買う場合に、あの小売り店では幾ら幾らしている、この小売り店では幾ら幾らしているということで、消費者が、たとえば日常消費するもより買い商品といいますか、それを買う場合に、そういう同じ商品が近くの同じような場所にある小売り店で違った値段で売られているということになると、やはりその意味で消費者の商品選択を誤らせるということになりはしないか。それからもう一点は、これは前回といいますか、二十八年当時の適用除外の法律が設けられましたときにもいわれておったのでありますが、要するに、おとり廉売であるとかそういう行為によって、せっかく小売り業者が消費者のためにその商品を適正な値段で売ろうとしている場合に、その商品がおとり廉売その他の行為によって売れなくなる、扱わなくなるということによって弊害が起こるんじゃないかというような意味で、やはりいま申しましたような諸般の理由を考えてみますと、二十四条の二というものは全面的にこれは悪である、弊害があるというふうにも考えられないのじゃないか、こう思っておるわけです。
  79. 有島重武

    ○有島委員 ただいま、一定の質を保ったブランド商品である、そういうことがございましたが、もしもそれじゃそういうことになると、いままで指定されておらない日用品で、たとえばテレビであるとか、あるいはこの間品目がはずされましたワイシャツであるとか、これはどこどこの品物というふうに消費者がすでに認めておる、そういうものがあります。それがいろいろな値段で売られると信用がなくなるかどうか、これはそうとは限らないのじゃないのでしょうか、それから同じ値段にしておかないと消費者が選択を誤るというのも、必ずしもそうじゃないのじゃないか。たとえばビタミン剤なんかでも、これは指定品目になっておりますけれども、店によってはけっこうおまけしてくれたり何かして、実は再販売価格維持契約のそのまた違反をやって、もとに戻して全く自由販売に近いようなことが現実に起こっております。それで、いまおっしゃった四つの理由でございますけれども、最後のおとり廉売のことについても、これはもうすでに、おとり廉売ということがはたして問題になるかどうかということがいま議論されている段階じゃないか。あるいは十九条でもこれは始末がついていく問題である、そういうようにもいわれておりますね。それですから、いまおっしゃった四つのことについては、それほどの絶対的な根拠があるかどうか。これはあまり根拠にならぬのじゃないかとわれわれは見るわけなんですが、最初の点、一定ブランドのものであれば、それではこれは全部再販の指定品目にすべきかどうか、その点はどうなんですか。
  80. 亀岡康夫

    ○亀岡説明員 決してそういうふうに考えておりません。と申しますのは、かりに品質が一様であるということを容易に識別できる、いわゆるブランド商品、そういうものでありましても、たまに消費者がその商品を買うとか、要するに、消費者が日常近くで買ってくるというテレビにしてもそうですし、ラジオにしてもそうだと思いますが、そういう商品については、価格を一定にさせるという必要性は認められない。したがって、そういうものはあくまで卸売り業者なりあるいは小売り業者の競争できまった価格で消費者に売っていただく、こういうふうに考えておるわけであります。
  81. 有島重武

    ○有島委員 あまり明快でございませんが、時間の関係で次の問題に移ります。  先ほども問題になりましたけれども、公取の審判が非常に延びているということが新聞にも出ております。これは委員長に伺いたいのでございますが、二月二十七日の朝日にこういった問題も出ておりました。この中に出ておりますのは、テレビの価格協定の問題、牛乳の問題、それからナショナルの電気製品の問題などが例にあがっておりました。このほかに大きな問題として粉ミルクの問題があると思うのですけれども、これはどうして取り上げられなかったのだろうか。これは非常にふしぎに思っております。その辺の事情について伺いたいと思います。
  82. 山田精一

    ○山田政府委員 取り上げられなかったかというお尋ねでございますが、育児用粉ミルクでございましたならば、現在三件取り上げて審判係属中でございます。近く審決の運びに至る予定でございます。
  83. 有島重武

    ○有島委員 この育児用粉ミルクにつきましては、たしか四十年の十二月ごろに勧告がすでになされていたのじゃないかと思いますが、それで審判に三種類あるというふうに聞いておりますけれども、これは正式審判の適用を受けているのですね。その点をお伺いしたい。
  84. 山田精一

    ○山田政府委員 審判は一種類でございまして、もっとも委員会自身が審判をいたします場合と、審判官に命じまして審判をいたさせます場合と、二つがございます。ただいま御指摘の三つとおっしゃいましたのは、審決の種類、たとえば勧告審決とか同意審決とか、それからほんとうの審決と、このことではないかと存じますが……。
  85. 有島重武

    ○有島委員 そうです。間違えました。  それで、この粉ミルクは非常に長く延びている。これは勧告をして、一つの審決案がすでにおりておるのですね。にもかかわらず、これの結論がいつまでも延びておる。その間に、粉ミルクの明治も森永も、もう一つは和光堂でございますか、三つとも商品は変えてしまっておる、値段も上がっておる、そういったようなことが起こっております。松下なんかの場合には、仲に弁護士を立てていろいろ引き延ばし作戦に出ておるように聞いておりますけれども、粉ミルクの場合にもそうしたような動きがあるのでしょうか。
  86. 山田精一

    ○山田政府委員 審決案ができまして、それに対しまして被審人側の弁護士から異議の申し立てがございます。したがって、ただいま委員会におきましてその異議を取り入れました審決の作成中でございます。
  87. 有島重武

    ○有島委員 その異議申し立てばいつごろ出たのでしょうか。
  88. 山田精一

    ○山田政府委員 一番早いのは昨年の五月くらいであったかと思いまするが、最近のは、去年のたしか十一月であったかと思います。いずれ正確に取り調べまして御報告したいと思います。
  89. 有島重武

    ○有島委員 これは去年のうちに異議申し立ても出ておる、あとは公取側の態度いかんにだけよるのだ、そういうように聞いております。にもかかわらずこれが延びておる。しかもその間に、問題になっている商品というのは、小売り店に行ってもほとんど見当たらないような状態になっておる。これでは、公取のほうでもってせっかくやっていることが、全部意味が半減してしまうというか、しり抜けになってしまうというか、これは非常に間抜けな感じを受けるわけであります。こうした審判、審決の制度について、もっとすみやかにこれを行なっていくような手だてを考え直さなければならないのじゃないか、いまの制度そのものに一つの欠陥があるのじゃないか、そういうように見えるわけでありますけれども委員長の御意見はどうでしょうか。
  90. 山田精一

    ○山田政府委員 お説のとおり、たいへん日数を要しますることは、私どもといたしましてもまことに遺憾に存じておる次第でございまするが、ただ、御理解おきをいただきたいと存じまするのは、公正取引委員会でいたしました審決は、被審人が不服で東京高裁なりあるいは最高裁判所にこれの取り消し請求の訴えを起こしました場合には、事実上第一審の判決と同じ効力を有することに事実認定に関する限りはなりまするので、司法裁判に準じた手続をとっておるわけでございます。したがいまして、審判記録の数も非常に膨大なものになりまして、また被審人側の人権も十分尊重しなければなりません。先方から申し立てました参考人の取り調べ等を、そうむげに削減いたすわけにもまいりません。ある程度はこの申し立てをいれて参考人の審尋をいたしております関係上、日数を要しておるわけでございます。できるだけこれはあらゆる方策を講じまして合理化をいたし、あるいは増員をいたしましてこの日数を短縮いたしたいと念願をいたしておる次第でございます。
  91. 有島重武

    ○有島委員 では、これは制度そのものを合理化なさるといういまのお話でございますね。必ずそういうふうにしていただきたいと思います。これは勧告されても、それでは、そうでしたか、やめましたと言えばそれでおしまいになってしまう。これはブラザーミシンの問題でも、かなり深刻な事件になりそうだった問題が何でもないことになっておる。あるいはこうして審決にかけられても、これはどうせ非常に時間がたつのだから、これが殺人の問題だとかなんとかいう一つの刑法の問題ですと、これはいつまでも有効でありますけれども、経済状態というものは刻々に変化してしまいますから、昔はそうだったが、いまはこうだということになってしまえば、これは何でもないんだ。それで業者は笑っているわけですよ。それは公取の権威も非常にそこなってしまう。これがざる法になってしまうということを心配するわけであります。これは速急に合理化をされるように要望をいたしまして、私の質問を終わります。
  92. 武部文

    武部委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会