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八塚政府委員 昭和四十三
年度の
物価関係予算について御
説明申し上げたいと存じます。
その前に、
昭和四十二
年度の
物価の概況でございますが、
卸売り物価につきましては、ただいま
長官の
あいさつの中にもございましたが、四十一
年度は二・七%という
騰勢でございました。四十二
年度に入りまして落ちつきを見せたのでございますが、夏ごろからまた
騰勢に転じまして、四十二
年度の
見込みといたしましては、一・五ぐらいになるのではないかというふうに考えております。来
年度につきましては、
景気の鎮静ということも考えられますので、一%ぐらいであろうというふうに見通しておることは御
承知のとおりだと存じます。
卸売り物価の
上昇の大きい因子は、たとえば
供給のなかなか思うようにまいりません
木材であるとか、あるいは
労働力不足というようなことで、やはり
生産が
需要に対応しにくいのではないかと思われます繊維、さらに、海外の
状況といたしましては、
年度当初低かったのでございますが、
産銅ストというようなことで
外国からの
供給が不足がちになり、高くなりました
非鉄金属等が
影響いたしておるわけでございます。一方、もちろん
工業製品でございますから、
鉄鋼等がかなりな
程度に軟調でございますので、四十一
年度よりは四十二
年度は低かったのでございます。四十三
年度は、もちろん
木材等の
供給がそう急にふえるということは期待されませんけれ
ども、やや
騰勢が鈍るということも
林野庁方面ではいっておりますので、その他の
景気活動も勘案いたしますと、一%ぐらいになるであろうというふうに考えておるのでございます。
消費者物価につきましては、これは四十一
年度は四・七%という
年間の
上昇率、その前の四十年は六・一%という
年間の
上昇率でございまして、四十二
年度は、ただいま
長官がやはり申し上げましたように、四・五%以内にとどまるであろうというふうに見ております。ただ、四十二
年度の
消費者物価四・五%以内という平均的な
数字ではございますが、上期は約三・一%ということで、比較的落ちついておったわけでございます。十月以降、あるいは干ばつによる
蔬菜等の不足の反映、あるいは
消費者米価の
値上げ等によりまして、大体六%近く、五・何%というふうに考えられるのでございます。それにいたしましても若干、十二月、一月は前
年度ほどではございませんので、四・五になることはまずなかろうというふうに考えておりますが、ただ、
年度間のカーブといたしまして、下期が非常に
騰勢を強めている。したがいまして、来
年度四・八%というふうに見込んでおりますが、これは相当
努力を
政府としてはいたさなければならないというふうに考えております。もっとも、全く
努力目標であって、およそかけ離れた
数字ではないかということではございません、というふうに申し上げたいと思います。一つ一つ積み上げたわけではございませんけれ
ども、傍証と申しますか、いろいろな
物資の値上がりをある
程度勘案して考えてみますと、そういうふうに出し得る
数字であろうというふうに現在考えておるのでございます。
以上のような昨年の——昨年と申しますか、四十二
年度の
物価の情勢ないし四十三
年度の見通しでございますが、いまさらそういうことについて申し上げますのはどうかと思いますが、やはり
物価上昇の遠因というのは、従来とも言われておりますように、たとえば
生産性の比較的、特に
消費者物価指数に
影響をいたします。あるいは
消費物資のもとでございます
生産、
消費物資に対する
生産は、何と申しましても、現在の
日本の段階ではまだ
生産性がはなはだ低いわけでございます。
物価の
対策ということは、やはり迂遠ではございますが、その点についてやはり
努力をいたしていかなければならないのではないだろうか。それから一方、従来、過去におきましては非常に
労働力が過剰であるということが言われておりましたが、最近の事情はそういう
状況ではなくて、むしろ
労働力という問題が一番
生産に、あるいは
物価に響く
状況になってまいっているのではないだろうか。そういう
意味におきまして、これはなかなか各
方面にわたると存じますが、
労働力をさらに一そう
流動化していくというようなこと等が必要であろうと思います。
一方、
日本の、そういうふうにして
生産されます種々の
物資が、十分に
自由市場の
価格メカニズムを受けまして、そして適正な
価格になるためには、
競争条件というのが当然問題になるのでございます。そういう点につきましてもいろいろ注意をし、かつ、そういうことがうまくいくような
努力をいたさなければならないというふうに考えます。
いずれにいたしましても、
生産等がかりにうまく行なわれましても、従来からの長い慣行と申しますか、やり方でやっております
流通機構、これの
改善が適切に行なわれなければ、
消費者のところへ物がなかなかうまく
流通しない、あるいは
価格が適正に落ちつかないということもございます。とりわけ
流通の問題は、一部分を直してどうこうということではなかなかうまくまいりませんので、行政的にははなはだつかみにくいところがございますが、そういう点について力を入れていくというようなことが必要だろうかというふうに存じます。
少し前置きが長くなりましたが、お手元に、そういう
意味で四十三
年度の
物価対策関連予算というのをお配りいたしておるのでございます。ただ、いま私がくどくど申し上げましたように、
物価関係というのを、どこまで
物価関係ということでつかみ、どこまでは
物価関係でないということはなかなか困難な問題でございますので、この
物価対策関連予算というのも、ある面では、少し常識的にはこれまで
物価対策関連予算だというのも入っておりますし、ある面では、場合によっては、もっと
物価対策関連予算としてあるのではないかというのも落ちている場合もあるかと思いますが、一応私
ども、四十三
年度の
予算要求案におきましてこういうふうにまとめてみたわけでございます。
いま申し上げましたような
物価の
対策の区分に応じまして、一といたしまして低
生産性部門の
生産性向上、これは
農林畜水産物あるいは
中小企業の
生産というようなものに対するかなり基本的な
対策をも含めてでございますが、二千七百二十四億七千三百万というふうな今
年度概算要求額でございます。
それから、
先ほども申し上げましたように、
労働力の
流動性の問題あるいは
質的向上の問題がございますが、これは従来とも
労働省等でやっております
労働力の
流動のための、たとえばセンターを設けて、適切に
地域の、あるいは
事業所の配分をやっていくための
施設であるとか、あるいは
地域間の
労働力の移動に対する宿舎の建設であるとかいうことでございます。
それから
競争条件の
整備は、これは言うまでもなく
公取関係の
予算が主でございます。
先ほど申し上げるのを落としたわけでございますが、家賃、
地価等は、きわめて根本的に
物価の問題として考慮されなければならないのでございますが、主として
建設省関係でこの
対策をさらにやっていただく。
それから
流通対策でございますが、
先ほどの
長官の
あいさつの中にもございましたように、
卸売り市場の
整備であるとか、あるいは昨今次第に問題になっております
地方市場の
対策であるとか、そういうことが含まれておるのでございます。
生活必需物資等の
安定的供給、これは非常に金額が大きく出ております。二千五百九十六億九千五百万。これは要するに、ここでくくりましたのは、食管のように
価格差補給金をして
消費物資の
価格安定をはかるという、いわば
価格に関する
制度的な
対策が主でございます。
消費者行政につきましては、
先ほどもやはり
長官から申し上げましたように、金額的には
価格に関する他の
予算ほどではございませんけれ
ども、
関係各省の
予算の中では、たとえば
通産省等におきまして新しく
商品テストを
地方においてやるというふうな、新しい芽が入っておるのでございます。
交通施設の
整備まで
物価対策に入れることはどうかという問題があるいはあろうかと思うのでございますが、
流通コストの軽減というようなことからいいましても、あるいは
遠隔地の
物資を大
消費地へ持ってくるということを促進するというような
意味におきまして、一応これをも
物価対策関連予算として含めておいた次第でございます。
具体的にいろいろこの中身について詳しく申し上げますのは、正直に申しまして、
各省にまたがっておりますので、私からではあるいは不十分であろうかと思います。時間の
関係もございますので、このあたりでやめたいと存じます。