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1968-02-29 第58回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十九日(木曜日)    午前九時四十四分開議  出席委員    委員長 八百板 正君    理事 金子 一平君 理事 砂田 重民君    理事 竹内 黎一君 理事 粟山  秀君    理事 唐橋  東君 理事 武部  文君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    坂村 吉正君       中山 マサ君    村山 達雄君       山下 元利君    戸叶 里子君       村山 喜一君    吉田 之久君       有島 重武君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君  委員外出席者         公正取引委員会         委員      菊池 淳一君         公正取引委員会         委員      梅田 孝久君         公正取引委員会         委員      亀岡 康夫君         公正取引委員会         委員      有賀美智子君     ――――――――――――― 二月二十二日  委員岡本茂辞任につき、その補欠として金子  一平君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員正木良明辞任につき、その補欠として有  島重武君が議長指名委員に選任された。 同日  理事岡本茂君同月二十二日委員辞任につき、そ  の補欠として金子一平君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月二日  物価値上げ反対に関する陳情書外一件  (  第一〇七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  物価問題等に関する件(物価対策現況等)      ――――◇―――――
  2. 八百板正

    八百板委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  理事岡本茂君が去る二十二日委員辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。つきましては、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八百板正

    八百板委員長 御異議なしと認めます。よって、金子一平君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 八百板正

    八百板委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、まず、政府物価対策現況につきまして、宮澤経済企画庁長官から説明を聴取することといたします。宮澤経済企画庁長官
  5. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 本年度消費者物価は、政府が当初見通した四・五%の上昇の範囲内におさまる見込みでありますが、昨年秋以降騰勢を強めております。卸売り物価につきましては、昨年夏以降強含みに推移しており、本年度は一・五%程度上昇になるものと思われます。  政府は、明年度において、消費者物価上昇を四・八%程度にとどめ、卸売り物価上昇を一%程度にとどめるよう努力してまいる所存でございますが、最近の物価動向から見て、この目標を達成することは決して容易ではありません。  物価は、国民生活に直結する問題であり、その安定は当面する最も重要な政策課題であります。したがいまして、第五十七回国会に続き、このたび、衆議院に物価問題等に関する特別委員会が設けられ、物価問題について特に御審議いただくことは、きわめて意義深いことと存じます。政府といたしましても、当委員会の御審議の結果を十分物価対策に反映させ、物価の安定のために一そうの努力を払ってまいる所存でございます。  近年における物価上昇は、わが国経済の急速な構造変化に根ざしている面が少なくありません。したがいまして、物価上昇を抑制するためには、経済活動の水準を適正に維持するとともに、経済の各分野における生産性向上をはかり、労働力流動化を促進し、競争条件を一そう整備するなど、各般の施策を引き続き総合的に推進する必要があります。  政府は、昭和四十三年度予算編成にあたり、財政規模及び公債発行額を極力押えるとともに、新たに総合予算主義をとり、財政健全化をはかることといたしました。このような措置は、総需要の抑制を通じて、国際収支改善のみならず、物価安定にも資するものと考えます。  さらに、明年度予算におきましては、物価対策のために、引き続きできる限りの配慮をいたしております。特に、家計に直接つながる生鮮食料品については、野菜の指定産地の拡充、食肉対策強化などの対策を実施するほか、流通機構合理化をはかるため、卸売り市場整備を促進し、農林漁業金融公庫等特別融資制度を設けることといたしました。  また、物価問題と並んで国民生活に身近な消費者行政につきましては、消費者啓発活動強化、中央、地方を通ずる消費者行政体制整備を重点的に進めてまいります。  政府は、このたび、たばこ、国鉄定期運賃間接税の一部について最小限度の引き上げを行なうことといたしました。これは、明年度におきましても所得税の減税を行ない、また、財政体質改善をはかるため、公債依存度を引き下げることといたしたのに伴い、やむを得ずとった措置であります。これらの措置は、当面、物価に好ましくない影響を与えるものと思われますが、他方で、政府が、今回の予算編成にあたり、財政健全化に向かって第一歩を踏み出したことは、長期的には、物価問題解決への糸口になるものと考えます。  なお、昨年来、政府は、内閣総理大臣中心関係大臣が一体となって物価問題に対する国民各層の意見を聞くため、物価安定推進会議を開催しておりますが、すでに、米価公共用地取得等について示唆に富む提案がなされております。政府といたしましては、これらの提案の実現に努力するとともに、今後引き続きこの会議の積極的な運営を行ない、有効適切な物価対策を推進してまいる所存でございます。  本委員会におかれましても、このような政府の考えを御理解いただき、今後とも、よろしく御鞭撻と御協力を賜わりますようお願い申し上げます。(拍手)
  6. 八百板正

    八百板委員長 次に、昭和四十三年度物価関係予算概要について、八塚国民生活局長から説明を聴取することといたします。経済企画庁八塚国民生活局長
  7. 八塚陽介

    八塚政府委員 昭和四十三年度物価関係予算について御説明申し上げたいと存じます。  その前に、昭和四十二年度物価の概況でございますが、卸売り物価につきましては、ただいま長官あいさつの中にもございましたが、四十一年度は二・七%という騰勢でございました。四十二年度に入りまして落ちつきを見せたのでございますが、夏ごろからまた騰勢に転じまして、四十二年度見込みといたしましては、一・五ぐらいになるのではないかというふうに考えております。来年度につきましては、景気の鎮静ということも考えられますので、一%ぐらいであろうというふうに見通しておることは御承知のとおりだと存じます。  卸売り物価上昇の大きい因子は、たとえば供給のなかなか思うようにまいりません木材であるとか、あるいは労働力不足というようなことで、やはり生産需要に対応しにくいのではないかと思われます繊維、さらに、海外の状況といたしましては、年度当初低かったのでございますが、産銅ストというようなことで外国からの供給が不足がちになり、高くなりました非鉄金属等影響いたしておるわけでございます。一方、もちろん工業製品でございますから、鉄鋼等がかなりな程度に軟調でございますので、四十一年度よりは四十二年度は低かったのでございます。四十三年度は、もちろん木材等供給がそう急にふえるということは期待されませんけれども、やや騰勢が鈍るということも林野庁方面ではいっておりますので、その他の景気活動も勘案いたしますと、一%ぐらいになるであろうというふうに考えておるのでございます。  消費者物価につきましては、これは四十一年度は四・七%という年間上昇率、その前の四十年は六・一%という年間上昇率でございまして、四十二年度は、ただいま長官がやはり申し上げましたように、四・五%以内にとどまるであろうというふうに見ております。ただ、四十二年度消費者物価四・五%以内という平均的な数字ではございますが、上期は約三・一%ということで、比較的落ちついておったわけでございます。十月以降、あるいは干ばつによる蔬菜等の不足の反映、あるいは消費者米価値上げ等によりまして、大体六%近く、五・何%というふうに考えられるのでございます。それにいたしましても若干、十二月、一月は前年度ほどではございませんので、四・五になることはまずなかろうというふうに考えておりますが、ただ、年度間のカーブといたしまして、下期が非常に騰勢を強めている。したがいまして、来年度四・八%というふうに見込んでおりますが、これは相当努力政府としてはいたさなければならないというふうに考えております。もっとも、全く努力目標であって、およそかけ離れた数字ではないかということではございません、というふうに申し上げたいと思います。一つ一つ積み上げたわけではございませんけれども、傍証と申しますか、いろいろな物資の値上がりをある程度勘案して考えてみますと、そういうふうに出し得る数字であろうというふうに現在考えておるのでございます。  以上のような昨年の——昨年と申しますか、四十二年度物価の情勢ないし四十三年度の見通しでございますが、いまさらそういうことについて申し上げますのはどうかと思いますが、やはり物価上昇の遠因というのは、従来とも言われておりますように、たとえば生産性の比較的、特に消費者物価指数影響をいたします。あるいは消費物資のもとでございます生産消費物資に対する生産は、何と申しましても、現在の日本の段階ではまだ生産性がはなはだ低いわけでございます。物価対策ということは、やはり迂遠ではございますが、その点についてやはり努力をいたしていかなければならないのではないだろうか。それから一方、従来、過去におきましては非常に労働力が過剰であるということが言われておりましたが、最近の事情はそういう状況ではなくて、むしろ労働力という問題が一番生産に、あるいは物価に響く状況になってまいっているのではないだろうか。そういう意味におきまして、これはなかなか各方面にわたると存じますが、労働力をさらに一そう流動化していくというようなこと等が必要であろうと思います。  一方、日本の、そういうふうにして生産されます種々の物資が、十分に自由市場価格メカニズムを受けまして、そして適正な価格になるためには、競争条件というのが当然問題になるのでございます。そういう点につきましてもいろいろ注意をし、かつ、そういうことがうまくいくような努力をいたさなければならないというふうに考えます。  いずれにいたしましても、生産等がかりにうまく行なわれましても、従来からの長い慣行と申しますか、やり方でやっております流通機構、これの改善が適切に行なわれなければ、消費者のところへ物がなかなかうまく流通しない、あるいは価格が適正に落ちつかないということもございます。とりわけ流通の問題は、一部分を直してどうこうということではなかなかうまくまいりませんので、行政的にははなはだつかみにくいところがございますが、そういう点について力を入れていくというようなことが必要だろうかというふうに存じます。  少し前置きが長くなりましたが、お手元に、そういう意味で四十三年度物価対策関連予算というのをお配りいたしておるのでございます。ただ、いま私がくどくど申し上げましたように、物価関係というのを、どこまで物価関係ということでつかみ、どこまでは物価関係でないということはなかなか困難な問題でございますので、この物価対策関連予算というのも、ある面では、少し常識的にはこれまで物価対策関連予算だというのも入っておりますし、ある面では、場合によっては、もっと物価対策関連予算としてあるのではないかというのも落ちている場合もあるかと思いますが、一応私ども、四十三年度予算要求案におきましてこういうふうにまとめてみたわけでございます。  いま申し上げましたような物価対策の区分に応じまして、一といたしまして低生産性部門生産性向上、これは農林畜水産物あるいは中小企業生産というようなものに対するかなり基本的な対策をも含めてでございますが、二千七百二十四億七千三百万というふうな今年度概算要求額でございます。  それから、先ほども申し上げましたように、労働力流動性の問題あるいは質的向上の問題がございますが、これは従来とも労働省等でやっております労働力流動のための、たとえばセンターを設けて、適切に地域の、あるいは事業所の配分をやっていくための施設であるとか、あるいは地域間の労働力の移動に対する宿舎の建設であるとかいうことでございます。  それから競争条件整備は、これは言うまでもなく公取関係予算が主でございます。  先ほど申し上げるのを落としたわけでございますが、家賃、地価等は、きわめて根本的に物価の問題として考慮されなければならないのでございますが、主として建設省関係でこの対策をさらにやっていただく。  それから流通対策でございますが、先ほど長官あいさつの中にもございましたように、卸売り市場整備であるとか、あるいは昨今次第に問題になっております地方市場対策であるとか、そういうことが含まれておるのでございます。  生活必需物資等安定的供給、これは非常に金額が大きく出ております。二千五百九十六億九千五百万。これは要するに、ここでくくりましたのは、食管のように価格差補給金をして消費物資価格安定をはかるという、いわば価格に関する制度的な対策が主でございます。  消費者行政につきましては、先ほどもやはり長官から申し上げましたように、金額的には価格に関する他の予算ほどではございませんけれども関係各省予算の中では、たとえば通産省等におきまして新しく商品テスト地方においてやるというふうな、新しい芽が入っておるのでございます。  交通施設整備まで物価対策に入れることはどうかという問題があるいはあろうかと思うのでございますが、流通コストの軽減というようなことからいいましても、あるいは遠隔地物資を大消費地へ持ってくるということを促進するというような意味におきまして、一応これをも物価対策関連予算として含めておいた次第でございます。  具体的にいろいろこの中身について詳しく申し上げますのは、正直に申しまして、各省にまたがっておりますので、私からではあるいは不十分であろうかと思います。時間の関係もございますので、このあたりでやめたいと存じます。
  8. 八百板正

    八百板委員長 以上で経済企画庁からの説明は終わりました。  質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  9. 八百板正

    八百板委員長 次に、公正取引委員会山田委員長から業務状況について説明を聴取することといたします。山田公正取引委員会委員長
  10. 山田精一

    山田政府委員 昭和四十二年におきます私ども公正取引委員会物価対策関係業務につきまして御説明を申し上げます。  御承知のごとく、ここ数年来、物価問題が非常に大きな課題として取り上げられてまいりまして、物価対策の面から公正取引委員会の果たすべき役割りというものが再認識されてまいりまして、独占禁止法等の運用を通じて、いかに物価の安定に寄与するかと申しますことが公正取引委員会に与えられました大きな課題であると考えておる次第でございます。  物価対策の面で公正取引委員会の果たすべき役割りと申しますと、独占禁止法等を厳正に運用いたしまして、公正にしてかつ自由な競争を促進することにより経済の発展を促進いたし、究極において一般消費者利益を確保すると申します本来の任務に尽きるわけでございますが、具体的には次の四点に重点を置いております次第でございます。  第一点といたしましては、価格協定等違法なカルテル取り締まりとともに、独占禁止法適用除外となるカルテルの許容につきまして主務大臣等からの協議にあたりましてきびしい態度をとったことでございます。第二点は、最近問題となっております再販売価格維持行為規制についてでございます。さらに第三点は、いわゆる管理価格など硬直的な価格実態を究明いたしまして、その対策を考えることでございます。第四点は、商品の不当な表示を排除し、過大な景品つき販売規制することによりまして、消費者商品選択にあたっての価格意識を高めるように努力いたすことでございます。  まず第一点の違法な価格協定等取り締まりでございますが、独占禁止法ではこれを「不当な取引制限」と申しておりまして、事業者協定によって価格を決定いたしましたり、また維持したり、引き上げたり、あるいは生産数量販売数量などを決定いたしたりすることによりまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限することでございまして、法律第三条においてこれを禁止いたしております。  昭和四十二年におきまする審査件数百六十七件のうち、価格カルテルに関するものが八十八件を占めております。また、審査した事件のうち法的措置をとりましたものは九件でございますが、価格に関するものは七件にのぼっております。  なお、三洋電機外五名によるテレビジョンの価格協定事件等十一件につきまして審判を行なっております。  次に、独占禁止法では、原則としてカルテルを禁止いたしておりますものの、例外として、中小企業関係として中小企業団体組織に関する法律環境衛生関係営業運営適正化に関する法律貿易対策の見地から輸出入取引法など四十の法律によりまして合法的にカルテルを認めておるのでございますが、この数は昭和四十二年十二月末現在千一件にのぼっております。これらのうち中小企業団体組織に関する法律に基づくカルテルが一番多く五百九十件、次いで輸出入取引法に基づくカルテルが二百十三件、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律に基づきますものが百二十三件となっておりまして、これらが大部分を占めておる次第でございます。  公正取引委員会といたしましては、これらのカルテルの認可にあたりまして主務大臣から同意あるいは協議を求められました場合には、それが必要最小限度のものであるかどうか、あるいはそれが関連事業者一般消費者利益を不当に害するおそれがないかどうかを厳重に審査いたしまして同意または協議に応じております。  そのほか、独占禁止法自体にも不況カルテル制度が認められておるのでございますが、現在では不況カルテルを実施しているものはございません。  第二点は、再販売価格維持行為規制の問題でございます。  再販売価格維持行為は、製造業者卸売り業者小売り業者販売価格を指定しこれを守らせる行為でございまして、これは、原則として独占禁止法の「不公正な取引方法」の態様の一として禁止されているところでございますが、特定の商品につきましては、製造業者卸売り業者間あるいは卸売り業者小売り業者間の再販売価格維持契約独占禁止法適用除外としておるのでございます。  一昨年の物価問題懇談会におきましても、再販売価格維持契約物価に与える影響が大きいとして、その規制強化提案しておられるのでありますが、公正取引委員会としてもこの制度に対して何らかの規制を加えることが必要であると考えておりまして、昭和四十二年中には、規制すべき問題点検討、諸外国立法例及びその経済的背景調査検討並びに指定品目実施状況及び法的要件の適否につきまして検討を行ないましたほか、指定商品以外の商品についての再販売類似行為について、その実態を把握するため、全国のスーパー、農協、百貨店等約二百五十を対象といたしまして、「日用品小売価格拘束に関する調査」を行ないました。また、違法な再販売価格維持行為につきましては、昭和四十二年中に十八件につきまして審査を行ない、二件につきまして法的措置をとりました。  第三点は、いわゆる管理価格調査の問題でございます。これは、比較的少数の大企業業界を支配しているような業界におきまして、生産性向上しているにもかかわらず価格が硬直している商品につきまして、その原因がいずこにあるかということを探求することでございます。申すまでもなく、公正取引委員会は、単に価格が硬直しているからといって価格の引き下げを命ずる権限を有するものではございませんが、調査の結果、価格協定などの事実が明確となりましたものにつきましては、独占禁止法違反として排除措置を講ずる所存でございます。  また、新規企業の進出をはばむ等の行為が行なわれているようなことがございますれば、これは不公正な取引方法として排除措置をとることと相なります。  公正取引委員会といたしましては、昭和四十一年に引き続き昭和四十二年にもこの調査に着手いたしております。  その方法といたしましては、日本銀行の卸売り物価指数対象品目七百七十のうち昭和三十五年から四十年に至る六年間における価格動向調査し、その中で価格変動回数の少ないもの、変動の幅の少ないもの、あるいは上昇一方のもの三百三十九品目を取り出しまして、さらに大企業製品管理価格といわれる疑いの深いものを選別いたしまして、そのうち現在、合成洗剤とバターにつきまして精密調査を行なっております。  公正取引委員会といたしましては、この問題の重要性にかんがみ、今後とも真剣な努力を続けてまいりたいと存じておる次第でございます。  第四点は、過大な景品つき販売及び不当な表示規制でございます。  過大な景品つき販売、虚偽誇大な表示は、消費者の正しい商品選択を妨げますばかりでなく、いたずらに事業者景品競争表示競争の激化を招き、その結果、正常な品質や価格による能率を中心とした競争を阻害することとなりますため、公正取引委員会といたしましては、消費者価格意識を高め、消費者を保護するという立場から不当景品類及び不当表示防止法を厳正に運用することにより、これらの規制につとめております。昭和四十二年中には、過大な景品の提供二件、不当表示二十七件につきまして排除命令を行ない、また景品二件、表示二件の公正競争規約の認定を行ないました。  以上が昭和四十二年における物価対策関係業務概要でございます。この上ともよろしく御指導、御鞭撻をお願いいたす次第でございます。
  11. 八百板正

    八百板委員長 以上で公正取引委員会説明は終わりました。     —————————————
  12. 八百板正

    八百板委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。武部文君。
  13. 武部文

    武部委員 私は、最初に、政府委員任命の問題について委員長の見解をお伺いしたい次第であります。  たとえば人事院は、人事院総裁ほか人事官はすべて政府委員であります。公正取引委員会委員長事務局長政府委員になっておる。しばしば委員長が、公正取引委員会の決定は合議制だ、こういうことをおっしゃっておるわけでありますが、委員長が事故のときには委員でない事務局長が一人政府委員として出席をしておる。こういうことでは、国会承認人事である委員としてちょっと私はおかしいと思う。なぜ公正取引委員会だけが委員長事務局長だけ政府委員としておられるのか、この点についてお伺いしたい。
  14. 山田精一

    山田政府委員 お答え申し上げます。  政府委員任命は、内閣両院議長の御承認を得まして発令をされるのでございまして、私どもは、予備と申しましょうか、候補者名簿内閣にお届けいたしておるわけでございます。ただいま御指摘のように、ここ数年来、慣例といたしまして委員長及び事務局長政府委員任命されてまいったのでございます。しかし、御指摘もございますので、もしも内閣及び両院議長においてお許しがございますならば、今後必要に応じまして、また現に過去において一、二委員政府委員任命せられました事例もございますので、しかるべく検討をいたして善処いたしてまいりたい、かように存じます。
  15. 武部文

    武部委員 向こうが求めておるのが二人だというように私は受け取っておらないのであります。したがって、いまの御回答にありましたように、私は、五名の方がやはり政府委員として当然任命され、同時に、この委員会等に出席をされるのが適当だと思いますから、そのようにひとつ善処方をお願い申し上げたいと思うのであります。  そこで、きょうは公取の関係だけに質問をいたすわけでありますが、せっかく委員の方にきょうはおいでをいただいたわけでありますから、ひとつ次の点について見解をお述べいただきたいと思います。  現在の再販制度がわが国の経済にどのような役割りを果たしておるとお考えになっておるのか、また、この制度についてどのように評価をしておられるのか。これはしばしば委員長が、当委員会で公取は合議制だということを何回もおっしゃる。したがって、各委員の方から私はお伺いしたいのであります。そのために、たいへんお忙しいところでしょうがわざわざおいでをいただいたわけでありますから、ひとつ菊池委員からこの問題についてお伺いしたいと思います。
  16. 菊池淳一

    ○菊池説明員 いままで再販の問題につきまして委員長からいろいろお答え申し上げておりますが、委員長は、やっぱり委員会の討論の結果について政府委員として御説明を申し上げておるものと承知いたしております。私どもも、それぞれ各個人の意見としては討議の際にございますけれども、お互いの意見を聞いているうちに考え直すこともございますし、また、多数決の採決の原理で運営しておりますので、この意見が通らないということもございますが、この再販の問題につきましては、その制度と申しますか、役割りにつきまして、私ども委員の間に大きな差はございませんで、大体委員長から御答弁申し上げておることが私の意見でもあると存じますけれども、あるいはそれで重複いたすかもわかりませんけれども、重ねて私の所見を申し上げますと、一がいに再販価格維持制度と申しましても商品によっていろいろ機能が違うと思いますし、また、流通機構のいろいろの段階と申しますか、卸あるいは小売りの果たす機能というものがいろいろ業界によって違っておると存じます。また、それぞれの立場から、商標品をつくるメーカーの立場、またそれを販売する流通機構の、特に小売り業の立場、あるいはそれを買う消費者の立場ということで、この功罪については、いろいろ立場によって評価が違いまして、一がいに割り切ることは非常に困難かと思います。  いずれにしても、そういう三つの立場の主張というものは、それぞれその立場において意味があると存じますけれども、それを総合して、いまどういう時期にあるかと申しますと、消費者物価の下ざさえになっているという点が、現時点において非常に大きな問題であると存じます。確かに競争は非常に行なわれておりますけれども、その競争が、流通機構の内部におけるリベートとか、あるいは旅行とか、あるいは景品というようなことでゆがめられておりまして、それが最終消費者に渡る小売り物価という点において、公正な競争が反映するということがこの再販制度によって妨げられているという点が、ものによっては非常に多いかと存じます。  そこで、こういう弊害を除くためにどうしたらいいかということになるわけでございますが、現在、法律上認められておりますのは、二十四条の二の指定された品目、これはいろいろ多くの品目の中のわずかの品目でございますが、それだけは認められております。それ以外のものは、公正な取引という基準で判断されるわけでございまして、これは従来も調査をし、審査して、あるいは審判をしておりますけれども、要は、その方針の問題じゃなくて、あとは実行の問題でありまして、従来もそういうことでやっております。  それから、現在指定されております品目も、そう多い品目ではございませんけれども、これについて、現在の事情によって判断いたしまして、削減できるものは削減するということを委員会としても検討しておるわけでございます。また、認められておりましても、いろいろ弊害が部分的に、ある特殊な事情で出てくるという場合には、それをも規制していくということが、この法律上認められておりますので、そういう点も今後さらに強化していく。結局、問題は実行の問題ではないか。そういう点におきまして、ますます厳正にこの規制強化してまいりまして、弊害を除去する。一般的な評価の問題、いろいろ各国でも立法例が違っておりまして、その国その国の事情によって違っておりまして、そういう経済的な背景というものを考えなければいかぬむずかしい問題であると存じますけれども、とにかく差しあたり、はっきりわかっておる弊害を除去していくということが必要ではないか、かように考えておるわけでございます。
  17. 武部文

    武部委員 亀岡委員いかがでしょうか。
  18. 亀岡康夫

    ○亀岡説明員 お答え申し上げます。  再販規制の問題でございますが、これを考え方と申しますか、制度を分析して申しますと、まず第一は、再販を規制する面でございます。これは不公正な取引方法という行為でありまして、具体的には、法律の規定によります公正取引委員会の指定八号の行為ということで、内容を申し上げますと、正当な理由がないのに、相手方とこれから物資供給を受ける者との取引を拘束する条件をつけて取引するという行為でございます。この行為につきましては、不公正な取引方法でありますので、当然に公正な競争を阻害するおそれがあるということでございます。申すまでもなく、独占禁止法は公正かつ自由な競争を促進するということを眼目にしておりますので、この趣旨に反するという意味において再販規制、すなわち、生産業者が卸売り業者、また卸売り業者小売り業者に対して一定の価格で自分の売った商品を販売しなければならないというようなことは、すなわち卸売り業者相互間ないし小売り業者相互間における自由な、また公正な競争を阻害するものであるということで禁止されておると思います。その結果、一般消費者から見ますと、当然競争によって下がるべき価格が下がらないで物を買わされるということになるのではないか。そういう意味で、再販行為というのは不公正な取引方法として取り締まらなければならない。それで、現在もこういう行為に該当いたすものがありますれば事件として取り締まっておりますし、今後も厳重に取り締まり強化してまいりたいということであると思います。  次に、もう一面は、ただいま申しました再販行為、これに対して、一定の商品の再販指定については、いま申しました不公正な取引方法に対して適用を除外する、すなわち、そういう行為を認めるという制度がございます。これは御承知のとおり、法律では二十四条の二という規定がございまして、この規定によりまして、公正取引委員会が一定の商品を指定する。もっとも、この商品を指定いたします場合に、法律要件が二つございまして、一般消費者が日常使用する商品であること、自由な競争が行なわれること、こういう要件を厳重に定めまして、そういう要件に該当する商品を指定する。そしてこの指定された商品を販売する場合の価格を拘束しても、それは法律の適用を受けない、こういうかっこうになっているわけであります。もっとも、こういう再販指定行為でございましても、ただし書きがございまして、一般消費者利益を害したり、また、販売業者が行ないます再販については生産者の意に反して行なってはならない、こういうただし書きがついておりますので、かりに商品の指定がございまして適用除外になっても、たとえばリベート等によりまして、当然消費者から見ますと安い価格で指定されなければならない、そういうものが高い価格で、ことばは俗的になりますが、硬直しておるような価格で再販が運用されているということになりますと、これは内容を検討しなければなりませんが、一般消費者利益も害するというようなことで、そういう点については、法律適用除外という意味で十分監督の規制強化してまいらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いまの適用除外行為につきましては、まずしなければならないことは、現在指定されている品目、これは何品目かございますが、そういう品目を、はたして再販の適用除外として法的要件を備えた品目であるかどうかということを、十分いまの段階で洗い直して検討する必要があるじゃないかというような点でございます。  それからもう一点は、先ほど申しましたこういう指定された商品で再販行為が行なわれておっても、それがはたして流通段階等のいろいろな操作によりまして、一般消費者利益を害していないかどうかという点も十分監視する必要があるのではないか、こういうふうに考えております。  以上、簡単でございますが、お答えといたします。
  19. 武部文

    武部委員 梅田委員
  20. 梅田孝久

    ○梅田説明員 いままで両委員から申し上げましたことで私も同意見でございますが、いささか蛇足を加えさしていただきまするならば、結局、現行法で再販行為を例外的に許容しておりますのは、やはり大量生産、大量消費という経済を前提といたしまして、生産者にもスムーズに安心して生産ができる、それから、特に小売り業者もおとり販売とかなんとかいうふうな不正な競争をしないで安心して売れる、また、消費者もどこへ行ってもいつでも同じ物が買えるということが、結局品質に対する安心感というものの根底になっておるんじゃないか。そういうふうな三者の利害を調整いたしまして、まあ独禁法上そう弊害はなかろうということで許されておるものと私は考えておるのでございます。しかしながら、その再販行為法律として認められまして以来、いろいろな弊害が生じてまいったのでございます。これは両委員が申し上げたとおりでございます。私として申し上げたい角度は、結局メーカーのほうの、あるいは販売業者のほうの利益ということがおもになってしまって、消費者利益あるいは消費者が不当に害されないかどうかという、それはちゃんと法律の条文がございますが、公取の運営において若干そちらのほうに目が回らなかった、届かなかったという弊害が大きくなってきたんじゃないかと思うのでございます。しかし、そういう状況でございますので、私といたしましては、現行再販制度をどう評価するかということにつきましては、従来三つの利益のうち比較的軽く——全然無視したわけじゃございませんけれども、軽く見られがちであった一般消費者利益ということを相当重視して法を運用していかなくちゃならない、かように愚考いたす次第でございます。  以上でございます。
  21. 武部文

    武部委員 それじゃ有賀委員
  22. 有賀美智子

    ○有賀説明員 再販の規制につきましては、いままでお話しくださいました委員長及び委員の御意見とほとんど大差ないのでございますけれども、ただ、私は事務局に長いことおりまして、二十八年の改正のときに二十四条の二がつけ加えられまして、その後、十幾年の同条の施行の間にも役所におりましてつとめておりました関係上、この再販の問題が二十八年の当時と違いまして、非常に違った局面を持って私どもにあらわれたことは、決して唐突なことではございません。私ども仕事をしております者は、それを絶えず問題にして考えていなければならなかったのでございますのに、今日非常にこれが問題になって、われわれ事務局におきましても非常に勉強をこの面にしなければならなくなったことにつきましては、私、恐縮でございますけれども、個人の立場から、いままでの自分の仕事に対しての努力が足りなかったことを痛感するのでございますが、考えますのに、再販制度が最初二十八年にできましたときのものの見方というのは、商品についての末端価格が一定にきめられることが、第一には生産者の、あるいはそれの販売に従事されている方のためにいいことであると同時に、そのことが消費者にとってもいいことなんだというので、あの規定に書いてあります条件の一般消費者利益を守るということは、指定のときにすでに読み込まれていたのでございます。  それを最近の物価高におきまして見ますときに、同じものを見るときに見る面が違えば新しいことが教えられるわけでございまして、私どもは今日物価高にあえいでおります。そのあえいでおるということは、これは一般消費者利益に一体この制度がなっているのかというように、指定されております。つまり適用除外になっております商品についてのものの見方が変わってきておるわけでございます。私どもは、もうすでに制度を持っておりますので、この制度がはたしてよく運営されているかどうかということを、あの二十四条の二の条件のうちの一つに特に大きな光を当ててこれを大きくして、今日の制度を批判していくのでございます。で見ますと、商品の指定ということにも、この法律自体をどうやって施行していったらよろしいかという問題についての勉強のしかたも足りなくて今日のような状態になっておりますので、この点に重点を置いて現在の指定をよく見てみますと、物価の下ざさえになっている——非常にいやなことばでございまして、再販の制度というものは、そういう意味のそういった使命を持った制度ではないのでございます。それが下ざさえになっているということは非常に困ったことです。  そうして商品を一つとりましても、それにはたくさんのいろいろな種類のものが大きなカテゴリーの中に含まれておりまして、その一つ一つには、それぞれその商品についての特異性というものがあります。ですから、これをこまかく勉強していきますと、現在の指定の中からはずされていってしまうもの、最初しなくてよかったはずのもの、そういうものがだんだんわかってまいります。そうして現在は、経済の動きによりまして、その商品の置かれている立場というものが時代によってやはり違います。ですから、ほかの経済の条件でもって、たとえばその商品競争という問題を考えましても、あるいは寡占的なものになっていく、あるいは非常に競争はあるけれども、今日の商売のしかたの中に、販売の中にマスプロダクションがかえって再販自体を、いいものを悪くしているような面もございますし、そういったいろいろな経済のことも勉強しながら商品を洗っていきますと、私はほとんど残るものは何もないように思います。ですけれども、絶対にないとも言えない。というのは、一般消費者利益を守っていくという立場から、われわれが守ってもらいたい価格の面との関係で、再販を維持していくことが、ほんとうの消費者利益になるような商品が絶対に理論的にないとは私は言えないと思う。それは外国制度を見ましても、再販は、そのものを一般的に禁止している国でもこまかく商品を見ますと、あるものについては指定の適用除外をすることの必要が認められておりますから、絶対にないということは言えなかろうと思います。現在のものをよくよく見ることによって、実態的に見ますと、あとから見れば、日本法律は、二十四条の二はほとんど再販を認めないように運用されているということになろうかと思います。そうなれば、あるいはほとんどないものに除外の規定を残すというような問題も考えられてきましょうから、そのときにはまた新しいことを考えてもいいだろうと思います。現段階では、現在のほんとうにものをこまかくよく見て、その作業が一年あまりの中で非常によく行なわれまして、私どももよく勉強をいたしましたので、そういう方針でほんとうに消費者利益というものからこの制度検討した行き方でまいりたいと思っております。
  23. 武部文

    武部委員 山田委員長からは当委員会でしばしばお聞きしておりますから、きょうは省略いたしたいと思いますが、いま四名の委員の方からそれぞれ見解を述べられまして、大差がないという前提のもとに発言がなされたわけであります。私はお伺いをしておりまして、やはり違う点が若干あるように思います。これは具体的にこれから申し上げてみたいと思います。  まず、前回北島委員長の際に、再販の新法の提出をめぐっていろいろごたごたがあったわけであります。委員会でもいろいろその新法の取り扱い方について、あるいは内容についてございましたが、委員長辞任あるいは事務局長の突如辞任というような事態となったのであります。今回、山田委員長の就任後における再販の新法の提出をめぐるいろいろな動きを見ておりますと、たいへん失礼な言い方かもしれませんが、公取の内部に、運営について一貫性がないように私は思う。こういう点については、委員長としてどういう御見解をお持ちでございましょう。
  24. 山田精一

    山田政府委員 お答えいたします。  公取の運営について一貫性がないのではないかというおしかりでございましたが、むろん私ども公正取引委員会は、御承知のように、扱います対象が非常に複雑微妙な経済界の動きというものを対象といたしております関係上、ほかの役所と違いまして、しばしば申し上げますごとく行政委員会制度をとっておる次第でございます。したがいまして、時に委員の中でいろいろな意見が出る、これはむしろ法の望むところではないか、かように考える次第でございます。もしもすべての委員の意見が必ず一致をいたすということであれば、あえて行政委員会制度を置く必要はないのではないか。あらゆる角度から、異なる角度から対象の事案を検討いたしてまいって、それを適切に処理、統一いたしてまいるというところに、その真の生命があるかと存じます。  ただいま一貫性という御指摘がございましたが、なるほど初めは新法を提出する案が有力であったのでございますが、現在の段階におきましては、さしあたり新法の提出を必要としないという結論に到達しておりますが、しかし、再販に対する取り組み方と申しますか、再販に対する姿勢におきましては決して一貫性は欠いておらない。ただ、その取り組み方の方法において、外見一貫性を欠くようにごらんになるかもしれませんけれども、その精神においては何ら一貫性を失っておるものではない、かように存じておる次第でございます。
  25. 武部文

    武部委員 それでは、再販法のいわゆる新法の提出を見送ったその理由を、ひとつこの際明らかにしていただきたい。
  26. 山田精一

    山田政府委員 先ほど来各委員から申し上げましたことで大体おわかりかと存ずるのでございますが、当委員会といたしましては、昨年来、わが国における再販行為が、流通段階におきます価格拘束を通じまして、消費者物価の下げささえの一因と相なりましたばかりでなく、消費者利益に反するゆがめられた競争をもたらす要因となりまして、公正で自由な競争を阻害するという弊害の面を露呈してまいりましたので、これに対してどのような方法で再販行為規制してまいったら最も効果的であるかと申します点につきまして、慎重に検討を加えてまいりました次第でございます。そのためには、まず再販行為につきます過去の審決例でございますとか、あるいは審査案件に基づきまして禁止すべき再販行為の類型、俗なことばを使わせていただきますならば、いわゆるやみ再販行為の類型について検討いたしました結果、現行の独占禁止法のもとにおける運用の強化をはかりますことによって、最も有効にその効果を発揮し得るとの結論を得たのでございます。  次に、独占禁止法第二十四条の二によりまして適用除外となっております再販行為につきましては、現行の指定商品が、指定以来すでに十数年を経過いたしておりますので、現時点におきまして法律上の指定要件につきまして、先ほど亀岡委員から御説明申し上げましたが、この指定要件に適合しておるかどうかということをさらに掘り下げて検討いたしまして、その品目について大幅な整理を実行いたすこととした次第でございます。  さらに、再販行為が許容される商品につきましても、たとえば流通段階における過大なリベートの提供のような、一般消費者利益を不当に害する場合には、法律のただし書きの条項に基づきまして、その再販行為を適切に規制するよう十分監視することといたしたいのでございます。  このように検討してまいりまするというと、当委員会といたしましては、再販行為規制に関する当面の措置といたしましては、新しい立法を行ないますよりも、独占禁止法体制のもとにおきます運用を忠実にいたす、こういうことに努力いたすことがまず急務であるという結論に到達したものでございます。また、再販許容品目を大幅に整理いたしまして、さらにその再販行為が許される品目についてもその監視をきびしくしてまいりまするならば、一昨年の物価問題懇談会提案の御趣旨にも沿いまするし、また、一般消費者の期待にも十分おこたえいたすことができるかと考えるものでございます。今後は、違法な再販行為取り締まりと、再販許容商品における個々の再販行為の監視に万全を期しますとともに、あわせて再販行為規制に関する基本的な制度のあり方等につきましても、さらに常時検討を怠らないようにつとめてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  27. 武部文

    武部委員 お聞きいたしますと、運用を忠実に行なう、あるいは品目の洗い直し、そういうことによって新法を制定する必要はない、端的にはこういう結論だと思います。洗い直しということをしばしばおっしゃっているわけでありますけれども、そのことは、二十四条ができた瞬間から当然考えられることであって、何もいまさら考えが新しく出てきたものではないと私は思う。そういうことでは実効があがらないから、新法をつくらなければならぬと言われたのが前委員長であったはずであります。そういうことができないから新法を制定して取り締まるんだ、そのことが一昨年の物懇の提案に忠実になる、そういう見解から新法を立案されて、そして各省と折衝されたと私は思っておるのであります。いま全くそれとは反対な意見を言われるわけでありますが、そうなってくると、当時委員の職におられた菊池、亀岡両委員は、一体どのような御見解をお持ちでございましょうか。ひとつ菊池、亀岡両委員からお伺いしたいのであります。
  28. 菊池淳一

    ○菊池説明員 お答えを申し上げます。  先ほどのお答えの冒頭に申し上げましたように、委員会におきましてはいろいろの意見というものがございまして、それが討論の結果一つの委員会の意思になるわけでございまして、おそらく政府委員として委員会の意思を御答弁申し上げるのが本来の義務ではないかと存じます。あの当時の討論の過程におきます各委員の個人の経緯を申し上げるようにという御質問でございますが、この問題に限って申し上げれば、私は、新しい法律をつくるにつきましては、いろいろ法律上の問題もございまして、現在公正取引委員会が考えておりますような、要は実行の問題として解決していけば、法律に盛り込む内容というものは、現在の法律の運用でやっていけない問題ではないのではないか、また、いろいろ実行上の問題として研究すべき問題をはらんでいるのではないかというように、当時も考えておりましたし、現在もそう考えておる次第でございます。
  29. 武部文

    武部委員 亀岡委員いかがでしょうか。
  30. 亀岡康夫

    ○亀岡説明員 お答え申し上げます。  ただいま私が考えております結論は、現在委員会で決定をされました方針どおりでございます。ところで、昨年の五月当時、私が委員会におりましたときに考えておりました事項と申しますか、考え方を御披露を申し上げまして、お答えにしたいと思います。  まず、これを法律的に申しますと、一つは、再販行為規制するという規制のしかた、その前にどういう行為規制するかという問題が一つあるかと思います。それから次は、再販行為に対してこれを適用除外するとすれば、どういう考え方で適用を除外をするか、また、適用除外をいたします場合に、その制度をどういう形で行なうかという問題があろうかと思います。そこで、一昨年でございましたか、物価懇談会の御答申がありますので、その答申をもとにして、いま申しましたことを昨年の五月当時考えてみたわけでございます。  そこで、まず問題になりますのは、現行法であります再販行為というのは何かということになりますと、これは一般指定の八号の項に、すなわち正当の理由がないのに、相手方とこれから物資等の供給を受ける者との取引を拘束する条件をつけて取引することとあります。これが、いわゆる生産業者、卸売り業者がその販売の相手方に対して価格を指定して、その指定する価格で物を売らすという行為に当てはめて考えてみなければならないわけであります。そこで、一番問題になりますのは、公正な競争を阻害する行為、これは不公正な取引方法の前提概念でございます。公正な競争を阻害する行為として、どういう行為類型が考えられるかということでございます。それからその次には、こういう行為類型がございましても、正当な理由があれば、その行為は不公正な取引方法とならないということになるわけでございます。したがって、この再販の行為を類型的に考えてみました場合に、いま申しましたような公正な競争を阻害するとか、正当な理由がないとか、拘束する条件をつけて取引するということとか、これは非常に法律概念的にむずかしい問題にぶつかるのではないか。したがって、先般国会の御審議までは至らなかったのでありますが、事務当局の段階で考えました禁止行為の類型、一から五とございますが、一から五の行為類型で、はたして現在の再販行為として規制するにふさわしい類型であるかどうかという点が問題になったのであります。その当時、一から五まで、確かに事務局の案としてはございました。しかしながら、この一から五までの行為でそれでは再販行為として十分であるか、また一から五までの行為がそれで行き過ぎな規制になっていないかどうかという点について、これはまた十分検討しなければならないという考えを持っておりまして、そういうことで、確かに昨年の五月当時においてはそういう考え方までは到達したのでありますが、その後よくよく考えてみますと、いまの段階では、そういう行為類型だけでは現行法の再販行為としてまだ不正確ではなかろうかというふうに考えております。したがって、現在の委員会で先般結論が出ました考え方に立ちまして、昨年の五月当時考えました案についてはいまだ審議が十分ではなかったのではないか。したがって、かりに法案を考えるとしても、まだまだいまの段階では結論を出すには至らないというふうに言えるのではないかと思います。  それからあともう一点は、適用除外をいたします場合の規制のしかたでございますが、これは確かに二十四条の二という制度がございます。これについてどういう考え方でもって再販を認めていくのか、その理由づけ、また、先ほど来お話がございました一般消費者利益の観点に立ってその適用除外制度をどういうぐあいに考えるかという点について、これまた非常にむずかしい問題がございます。同時に、再販の制度を組み立てました場合のその組み立てます中身の問題として、これまた非常に大きな影響のある問題を含んでおると思います。昨年の五月当時事務局で考えられました案につきまして、これらの点についても確かに審議が十分行き届いていなかったのではないか、現段階においてそれを反省して考えてみますと、これを国会に御提案申し上げて御審議願うという案に至るような内容までは、十分審議が尽くされていなかったというふうに考えております。  結論的に申しますと、昨年の五月当時の案について、確かに関係方面また関係各省、いろいろ御相談申し上げたのでありますが、その過程においてもいろいろ問題がある、審議が十分尽くされなかったということは、その当時も認めざるを得なかったのではないか。で、その後十分検討しましたところ、先ほど委員長から御答弁申しましたとおり、現在の制度の運用を強化することで現段階においては十分ではなかろうか。しかしながら、再販の制度、また適用除外をいたす場合のいろいろな問題については、今後とも検討してまいる。  以上でございます。
  31. 武部文

    武部委員 いま菊池、亀岡両委員から御見解が述べられましたが、特に菊池委員は、前回の新法には反対であったということをはっきりお述べになりました。  大体御見解がわかりましたから、次に委員長にお伺いしたいと思います。  現行法の運用で十分やれるんだということを、いつごろからそういうふうに思われたのですか。
  32. 山田精一

    山田政府委員 いつごろとおっしゃいますが、これは検討いたしております段階においてそういう結論、考えを抱くようになったということでございますが、要するに、先ほど経済企画庁国民生活局長からも御説明がございましたように、わが国の経済、いま流通の部門におきまして一番改善を要する点が多いように私は考えておるのでございます。すなわち、ことばをかえますというと、わが国の経済流通部門というものは流動的な状態にある、こういうふうに考えるのでございます。その結果、これを流動的な状態においてそれを瞬間的にとらえて類型化をいたしましても、これは常に対象は変わっていく可能性が強い、こういうふうに思うわけでございます。それが、ただいまの時期において類型化を明確にいたしました新法をつくるのには適当ではない、こういう考えを持ちました原因でございます。  また第二に、従来指定されました商品の指定いたします時点においては、法律の定めます条件を厳密に検討いたしました結果指定したものであったわけでございますが、その事後の管理において、人手の関係とか、いろいろ言いわけがましいことは申し上げませんが、事後管理が必ずしも十分に行なわれておらなかったように思います。したがいまして、今後は、この指定商品の数を大幅に減らすことによりまして事後管理を十分徹底的に行ないますならば法の目的を達成し得る、かように考えておるわけでございます。  もちろん将来におきまして、ただいま申し上げました流通段階が一応の安定点に到達いたしまして、これを新法によって捕捉するほうが適当であるというような時勢が到来いたしました暁におきましては、何らその際に必要があれば新法の制定をちゅうちょいたすものではないわけでございます。
  33. 武部文

    武部委員 順を追って日時から申し上げますと、去年の三月二十四日、北島委員長は当委員会で法案を提出すると説明されました。七月の十一日、佐藤総理は当委員会で私の質問に答えて、必ず法制化すべきものだ、次の機会まで待ってくれ、こういう答弁でございました。八月二日、木村官房長官は、次の機会とは一体いつかという私の質問に対して、次の通常国会に必ず提出する、こういうはっきりとした説明がなされました。山田委員長は、本年の一月十一日、本年初めての記者会見でこういうことを言っておられますね。今月末までに結論を出して新しい法案を作成することになるだろう、再販法案を国会に提出する、必ず月末までに結論を出す、こういうことをあなたは一月十一日、はっきりとお述べになっておるわけであります。したがって、私が先ほど、現行法の運用で洗い直しをすればいいと思われるお考えになったのは一体いつかと聞いたのは、そこにあるわけであります。私は、こういう過去の、去年の三月以降のずっと日を追った経過あるいは答弁の内容から見て、非常に納得できぬわけであります。したがって、はっきりとその見解をお伺いしたかった。しかし、もう現実には立法化は断念されたわけですから、それ以上のことは申し上げませんが、そうなってくると、一体これらの公式見解と食い違って、特に佐藤総理の言明というものは食言になりやしませんか。はっきりとここで言明をされたわけであります。それと全く違うことが現実に行なわれておる。こういう点についてどう思われますか。
  34. 山田精一

    山田政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、当委員会といたしまして、総理の補佐の点におきまして十分でなかったということをおわび申し上げねばならないと思います。  なお、私の新年の記者会見の席の発言ということの御指摘がございましたが、そのときの私の発言をいたしました重点は結論を得たいというところにあったわけでございまして、そのときのやりとりの関係であるいは新法案ということばを申しましたかもしれませんが、その重点は結論を出したいというところにあったわけでございます。
  35. 武部文

    武部委員 それじゃ次のことについてはどうお考えでしょうか。きょう柿沼事務局長おいでになっておりませんが、去年の五月一日号の「ジュリスト」の「再販売価格維持と独禁法」という座談会に出席をされておって、ワイシャツやキャラメルが取り消されましたですね、そのときのことについて——長くなりますから全部は申し上げません。端的に言うと、機先を制して取り消しを行なった、いわゆる使われてないものは取り消すのだ、こういうことを言われて、今村北大教授は、それはおかしい、こういうことが「ジュリスト」に載っておる。私読んでみましたが、これはどういうふうにお考えでしょう。
  36. 山田精一

    山田政府委員 私、ただいま御指摘の「ジュリスト」の記事を読みませんでしたのであるいはお答えが適切でないかもしれませんが、使われていないというのは、その経済的必要性がないから使われておらないのでございまして、それは取り消されるのは当然ではないかと思います。私どもがいまやっております作業は、使われておらないものを取り消すということだけではございませんで、繰り返し申し上げるようでございますが、法律の要件を具備していないものは取り消す、こういう観点から作業をいたしておるわけでございます。
  37. 武部文

    武部委員 私が言うのは、機先を制してやるとかなんとか、そういうことではこういうことは説明がつかぬのですよ。ですから、少なくとも——当時五月一日のころは事務局長でなかったようですね。なかったけれども、そういう軽々しい発言というものは、私はやっぱり誤りだと思うのですよ。まあそれはそれとしておきましょう。  そこで、時間がだいぶんたちましたので、ひとつはっきり数字をお示しいただきたいのですが、なぜかといいますと、ある全国新聞にこういう記事が載っておりまして、「実質的に再販が行なわれているのは三千六百品目、」——品目と書いてあるのですよ。「二兆数千億円(公取委調べ)。」と、こう書いてある。「医薬品など公取委の正規の指定を受けている製品の販売額は年間一兆円足らず。残り一兆数千億円がヤミ再販」、こういう記事が載っております。いままで公取が新聞等に発表された品目商品、これをごっちゃにしてこういう記事が書いてあって、これでは少し国民としては疑問を持つと思うのですね。したがって、現在、化粧品、医薬品、石けん、洗剤、歯みがき、染毛、これの正確な品目商品及びそれの大体の販売額、総額ですね、それをちょっと念のために聞いておきたい。
  38. 山田精一

    山田政府委員 ただいまの数字は、四十二年の十二月末現在の数字につきましては、現在再販を実施いたしております業者からの報告書の提出を求めまして集計中でございますので、これはいましばらく御猶予をいただきまして、集計のでき次第御報告をさせていただくことにいたします。  少し古くて申しわけないのでございますけれども、四十一年の十二月末現在の数字を一応御報告申し上げます。合計では六品目ございますが、その合計から申し上げますと、届け出をいたしております事業者の数が八十二社でございます。契約品目の数は四千四百十二、販売金額は二千三百五十二億三千四百万円、かように相なっております。  内訳は、申し上げましょうか。
  39. 武部文

    武部委員 いや、これでけっこうです。
  40. 山田精一

    山田政府委員 それからなお、四十三年、ことしの一月末現在の届け出事業者数、これは八十九社でございます。
  41. 武部文

    武部委員 はい、わかりました。  それでは次に、具体的なことについてちょっと……。独禁法二十四条の二に規定する再販維持行為は、本来独禁法上いかなる行為とされておると御認定でございますか。どの法文で……。いわゆる再販維持行為は、本来独禁法上……。
  42. 山田精一

    山田政府委員 お答え申し上げます。  独禁法の本条から申しますと、第十九条に「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」かように規定してございます。そして、不公正な取引方法に関する一般指定の第八号が拘束条件つき取引を不公正な取引方法と指定いたしておりますので、これに該当いたすもの、かように心得ております。
  43. 武部文

    武部委員 十九条ですね。それで二条七項四号、不当拘束条件つき取引、これでございますね、関連するものは。そうでございますね。
  44. 山田精一

    山田政府委員 はい。
  45. 武部文

    武部委員 それでは、やみ再販あるいはやみ再販類似行為は何によって取り締まられますか。
  46. 山田精一

    山田政府委員 これはやはり直接第十九条の違反に相なる、かように考えております。
  47. 武部文

    武部委員 十九条の不公正な取引方法、こういうことになってくると、次の二十条で、規定に違反する行為があったときには当該行為の差しとめを命ずる、こういうことになっておりますね。そうすると、たとえばやみ再販類似行為、これであなたのほうから摘発される、そうすると、それじゃやめました、まことにすまぬことでございましたと頭をかいてしまえばそれで終わり、こういうことになりますね。何ら罰則というものはないわけですね。そういうふうに理解していいでしょう。
  48. 山田精一

    山田政府委員 これは直接罰則はございませんが、私ども委員会から勧告なりあるいは審決なりの形で命令をいたしまして、それに違反をいたしますと罰則がかかるといことになっております。
  49. 武部文

    武部委員 いや私が言っているのは、摘発された、おまえは何だ、やみ再販だ。松下のように、いやそれは勧告に従わぬというなら別ですよ。私が言っているのは、何だ、だめだと言われたら、はいすみませんでした、悪うございましたと頭をかいてしまえばそれで終わり、こういうことでしょう。それに対して罰則行為も何もないでしょう。そういうことなんですよ、私が言っているのは。
  50. 山田精一

    山田政府委員 お答え申し上げます。  悪かったと認めました場合におきまして本勧告をいたします。それに先方が従う旨の意思表示をいたすわけでございますから、これに違反をした場合、後日前言をひるがえしてまた違反を重ねました場合には、当方の勧告に違反したと、かように相なってくるわけです。
  51. 武部文

    武部委員 私が言っているのは、結局罰則規定が軽いというのですよ。これは、この再販あるいはやみ再販類似行為なんというものは全く言語道断な行為だ。それに対しての取り締まり条項、罰則条項というものはほとんどない。そういうことを私が言っておるのです。  それはここで言い合っておってもしようがないことですから、そこで、今日再販行為というものは、消費者利益を阻害しておるいわゆる縦のカルテルだというふうにこれを把握すべきだと思うわけですが、委員長どうお考えでしょう。
  52. 山田精一

    山田政府委員 確かにそういう面がかなりございます。ただし、すべてではない、かように思うわけでございます。再販行為あるいは再販類似行為という限界をどこに引きまするかということになかなかむずかしい問題、先ほども申し上げましたごとく、日本経済流通部面がただいま動いておる状態にございますので、先ほど来各委員から申し上げましたように、年産者の利益、それから流通関係業者の利益消費者利益、この三本の柱のどこに調和点を引くかということはむずかしい問題であります。むろん現在の時点におきましては、消費者利益に最重点を置かなければならない、かように考えておりますが、そのすべてについて、再販とその限界の引き方、これは微妙なものがあると存ずるのでございます。御指摘の悪質の不当な再販類似行為、これはきつく排撃いたすべきものと、かように存じております。
  53. 武部文

    武部委員 昨年の七月十九日、参議院の物価問題特別委員会で木村美智男委員が同様な質問をいたしまして、これに対して当時北島委員長はこういうふうに答弁をしておられます。正しい指摘である、再販の場合、実質上横の競争も押え、縦も押えるのであるから、独禁政策上カルテルよりも強いと言える、こういう答弁を北島委員長はしておられるわけであります。したがって、先ほど委員長が言われるような、十九条にいう不公正な取引方法、こういうことではなくして、法第二条六項にいう不当な取引制限、そういう認定をすべきではないかと私は思うのですが、その点についてどうでしょうか。
  54. 山田精一

    山田政府委員 その程度のいかんによりまして、なるほど御指摘のごとく、第二条六項に該当いたす場合もあり得るとは存じますが、すべてが直ちにこれに該当いたすとは思わないのでございます。  縦のカルテルの問題につきましては、昭和二十八年の三月九日の株式会社朝日新聞ほか二十六名に対する件の東京高裁の判決によりまして、取引の段階を異にする事業者間の当事者の一方にだけ拘束を加えるような行為、これは該当しないということに判決が出ておりますわけでございます。
  55. 武部文

    武部委員 私が昨年の七月の参議院のことを言ったのは、前北島委員長の見解とそれから山田委員長との見解に何かちょっと開きがあるように思うので、そういうことを引用したわけであります。まあ山田委員長は、かなりあるけれども、すべてではないとおっしゃる。前委員長は、明らかに不当な取引制限と解すべきような発言をしておられるわけです。これを適用すべきだというような、そういう意味の発言をしておられると私は見解をとったので、そのような見解をとるいわゆる不当な取引制限行為ということによって違反行為を取り締まるならば、三年以下の懲役または五十万円以下の罰金、そういう処罰をすることができる、先ほど言うように悪うございましたと頭をかかえてしまえば済んだ、そういうことではいかぬのじゃないか、そういうことを考えておるわけでありますが、いまの発言でほかに変更ございませんか。そのとおりでございますか。
  56. 山田精一

    山田政府委員 ただいま申し上げたごとくに私は考えております。
  57. 武部文

    武部委員 それじゃ最後になります。  そこで、私が申し上げたのは、不公正な取引というようななまぬるいことではなしに、不当な取引制限行為ということで取り締まる必要があるのじゃないか。そうなってくると、三条の法文が問題になってくる。その援用によって取り締まるというようなことが困難ならば、この際、再販行為というものが国民からあれだけ注目をされておるわけですから、昭和二十二年制定当時にあって、二十八年の独禁法の改正で削除された旧法文の四条、それを復活して、そしてその中には共同で何々の行為をしてはならぬ、対価の決定、維持という項目がございます。したがって、そういう項目のいわゆる横のカルテル行為ということを規制する、そういうような条文を手直しして、二十四条の二を削除してしまう。これによって再販行為というものを取り締まることができるじゃないかと私は思うのです。これについて委員長の見解をひとつお伺いしたい。
  58. 山田精一

    山田政府委員 旧四条が削除されましたときの理由は、旧四条と申しますものは、事業者の共同行為による対価の決定でございますとか、生産数量の制限等につきまして、競争に対する影響のきわめて軽微なもの以外をすべて画一的に禁止をしておりましたわけでございます。したがって、有効な競争が活発に行なわれておるにもかかわらず、形式的にこれに該当するとすぐに違法として処理をされるという弊害がございましたためにこれを削除した、かように聞いておる次第でございます。この当時の事情と今日における事情、すなわち有効な競争が行なわれておりまするならば、たとえ形式的に若干これに触れますようなことがございましても、法律の目的は、要は有効な競争が活発に行なわれるということを確保することにあるように私は考えておりますので、旧四条の復活はただいまの時点におきましては必要はない、かように存じておる次第でございます。将来さらに経済事情が変わりましたときに、再び旧四条の復活でございますとか、二十四条の二の削除とかいう必要が起こることもございましょうけれども、現在の時点におきましてはその必要はないように存じておる次第でございます。先ほど来申し上げましたごとく、現行法の忠実な運用によりまして法の目的を達成し得るものと、かように考えておる次第でございます。
  59. 武部文

    武部委員 これはこれ以上やりますと、旧四条の復活あるいは二十四条の二の削除ないしは取引制限を適用する、そういうようなことは論争になりますから、次回に譲りたいと思います。  そこで、もう一点ぜひこの際明らかにしていただきたいのでありますが、この委員会で牛乳問題のときに緊急停止命令のことを取り上げて話題になったのであります。緊急停止命令については公正取引委員会としては近く結論を出す、こういうお話が正式にこの場でございました。したがって、この点について公正取引委員会の正式な態度をここで御発表願いたいと思います。
  60. 山田精一

    山田政府委員 先般来検討いたしました結果、緊急停止命令は、これに適切な案件がございました場合においてはちゅうちょなく発動をいたす、しかし、事案の性質によりまして緊急停止命令の発動に、いわばなじまないようなケース、これもございますので、その辺を十分見分けまして、緊急停止命令を発動いたすにふさわしい案件におきましてはちゅうちょなく発動方を要請いたす、こういうふうに方針を決定いたしました次第でございます。
  61. 武部文

    武部委員 なじまないようなケースという新語は、私はちょっとわかりません。どういうことでしょうね、なじまないケースというのは。たとえば牛乳は、なじまないようなケースですかどうですか。
  62. 山田精一

    山田政府委員 なじまないという一種の俗語を使いましたのではなはだなにでございますが、たとえば先方の、私ども公取から指摘を受けました業者が、私どもが違反と指摘をいたしました行為をしていることを否定していない、しかし、それは違法ではないので合法的であるのだというようなことを主張しておりますような場合、しかもそれを審判の結論が出ますまで放置しておきますと、この公正で自由な競争秩序が阻害されてしまうおそれがある、こういうような場合においては緊急停止命令は最もその事案になじむもの、かように考えておるわけでございます。牛乳事件の御指摘がございましたが、牛乳事件は、小売り価格につきまして価格協定をしておるのではないかという疑いを持ちまして、当方が取り上げて、これが審判にかかっておる次第でございます。したがって、私どもが先方に対しまして命令をいたします内容は、協定を破棄すること、そしてそれを組合員に対して周知徹底させること、それにさらにそのやったことを当委員会に報告せよ、この三点を命じておるわけでございますから、緊急停止命令をいたすのにはなじまないように考えておる次第でございます。
  63. 武部文

    武部委員 もう終わりますが、ちょっと私、頭が悪いせいかわかりません。この緊急停止命令のことについては、後刻またやることにいたします。それから洗い直しの点についての基準、こうした点についても若干私疑問もございます。しかし、時間もございませんのできょうはこれでやめまして、次回に保留しておきたいと思います。
  64. 八百板正

  65. 有島重武

    ○有島委員 私も、ただいまの武部委員質疑にやや重なると思いますけれども、独禁法の第六章、特に二十四条の二をめぐりまして少し質問さしていただきたいと思います。  本法が二十二年の四月に制定された。これが二十八年に大幅な変更をされました。このことにつきまして、その改定の背景となりました情勢の変化と申しますか、改定の根拠となるもの、またその改定の目的、それらについてお伺いをしたい。これは先ほど有賀さんからそれについてお話があったようなので、有賀さんからひとつお話を伺いたいと思います。
  66. 有賀美智子

    ○有賀説明員 私の存じております問題は、商品が消耗品である場合に市場に置かれた場合、その商品が扱われることによりまして、つまり安売りをされるというような場合に、その商品の品質がひいては——直ではございませんけれども、値段が安売りをされていきますと、そうしますとそれはやはり長いこと続きませんで、上のほうに向かってマージンを要求するようになることが、ひいてはその品物の品質を低下しなければならないようにメーカーにはなってくる。そのことは、品質の悪いものを買わされることになる、消費者にとっても。それからまた安売りが行なわれる場合に、その安売りがどういう状態で行なわれるか、いろいろな場合がございますけれども、そのこと自体が品物を扱っているほかの業者にも影響を及ぼして、ひいてはマージンのほとんどないものの商品を扱わなくなる。そのことがまた消費者にとっても困るということで、そういう特定の性格を持った商品についての再販価格を指示する行為を認めたというように私は記憶をいたしております。
  67. 有島重武

    ○有島委員 質問のしかたがちょっと悪かったかと思いますけれども、その独禁法そのものが、成立以来いままで経緯をたどって、いまここでもって四十三年の現在において、先ほどもお話がありましたように、単独法はやめにして洗い直しをするのだ、そういうふうになっておりますね。二十二年に本法が制定された、そうした一つの背景、それから二十八年に改定されたその背景、そういったようなことについて委員長から伺いたい。
  68. 山田精一

    山田政府委員 私、当時まだ公取に関係しておりませんでしたので、あるいは御説明が適切でないかもしれませんが、お許しを得まして大づかみのところの背景を申し上げます。  二十二年四月の本法が当初制定せられました時期におきましては、これはいささか表現が適切でないかと存じますが、占領中に属したわけでございます。それが数年間運用いたしました結果、わが国の経済の実情にこれを合わせて修正をいたすというのが二十四年、二十八年の改正の大きな理由であったように思うのでございます。  それから二十八年の改正のときには、御指摘の二十四条の二の再販に関する規定でございますとか、二十四条の三の不況カルテル、二十四条の四の合理化カルテルというような規定がつけ加わったわけでございますが、これはやはり当時におきます朝鮮動乱の終わりましたあとの深刻な不況、これも大きな理由であったように考える次第でございます。
  69. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、朝鮮動乱が終わったそのあとの不況を克服する、日本経済をひとつてこ入れしてささえていかなければならぬ、そういうような一つの必然性があって、それで二十四条というものは成立しておるように伺いました。私もそのように思います。それで、そうした根拠は四十三年の現在、いまなお根拠となるかどうか。だいぶ情勢が変わっているわけでありますね。先ほども、これがいまは消費者の保護という立場からもう一ぺん見直されているということになりましたけれども、たとえばおとり販売なんか、こうした不正行為を守ったり、それから生産者のブランドの信用保持に役立つのだ、そういうようなことが、これは委員長が申されたのだと思うのですけれども、ございました。こうした場合に、現時点におきましておとり販売を行なった場合に、消費者としてはおとり販売は非常に困るかどうか。だれが一体一番困るのか、そういったことについて御意見を伺いたいと思います。
  70. 山田精一

    山田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のおとり販売でございますが、どの程度のものをおとり販売と申すか、これは非常にむずかしい問題でございますが、ごく大づかみに把握いたしますと、おとり廉売は要するに目玉商品と申しますか、損益を全く度外視いたしまして、かりに自分の仕入れた価格が五百円の商品、これを二百円で売ってしまうのだという広告を出しまして、それによってお客を引きつける。法律の用語を使いますれば不当に誘引いたしまして、そして自分の商売に役立てる、こういうのを言うのであろうと存じます。したがいまして、消費者利益の点から考えました場合には、安ければただ安いだけでよろしい、五百円の品物を二百円で買えればいいじゃないかというものではないように存じます。と申しますのは、さような出血おとり廉売は、長い期間、また多数多量の商品についてこれを実行いたすということはとうてい考えられないのでございまして、そのほかの商品についてマージンを大きくしておいて、入ってきたお客はついつられて、それも安いものだと誤認をして買ってしまう、こういう事態が大部分であるように私は存じております。したがいまして、流通段階におけるコストを切り詰めまして、合理的に安く売っておるものというものは、これは消費者利益に合致いたしますけれども、ただいま御指摘のようなおとり廉売を私がいま申しましたように理解をいたしますならば、これは消費者利益にはつながらない、かように考えております。
  71. 有島重武

    ○有島委員 それこそ、昭和二十八年のそうした時点におきまして、そういったことがおそらくかなり行なわれていたでありましょう。ここには、再販売価格維持行為はおとり廉売等の不当な取引から小売り業者等の利益を守る、こういうことが書いてあります。ここでは小売り業者等の利益を守るというふうにございますけれども、これはどういうふうなことになるのですか。
  72. 山田精一

    山田政府委員 なるほど、昭和二十八年当時におきましても、私がただいま申し上げましたようなおとり廉売もあったでございましょうけれども昭和二十八年当時の時点におきまして一番問題になりました安売り、これは景気が好況から不況に急に転換をいたしまして、これに対して生産者のほうの態勢が、必ずしもすみやかに切りかえが行なわれませんで、俗なことばで申し上げますならば、押し込み販売をいたしました商品が多いように思います。つまり生産のペースを落とさないで、需要が減っているにもかかわらず、従来どおりの数量を生産して、それを、金融も苦しいおりでございますから問屋に押しつける。問屋は、また自分がそれを抱いていくのには金融の負担が大きいから、小売り業者にさらに押しつける。かようなことで、当時は問屋の倒産も相当件数あったように承知しております。それから、おとりと申しますよりも、いわゆる乱売、金融の負担に耐えかねての換金処分売りみたいなものが非常に多うございまして、したがって、まともなマージンを取って商売をしておりますところの小売り業者は非常な迷惑を受けた、こういう事例があったように承知いたしております。
  73. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、現在でもそういった点については、同じようなおそれがあるというふうに判断されますでしょうか。
  74. 山田精一

    山田政府委員 昭和二十八年当時と現在におきましては、二つの点でかなりの違いがあるように存じます。一つの点は、これは私の仕事の領分ではございませんけれども財政政策の運用なり金融政策の運用で景気の調整が適切に行なわれまして、二十八年当時におけるような深刻な不況というものは起こらないであろうということが第一でございます。それから第二の点といたしましては、昭和二十八年の当時におきましては、生産をいたしました商品の在庫管理、どこの段階で、問屋の段階ではどのくらい滞っておるか、小売りの段階ではどのくらい滞っておるかということをメーカーがキャッチいたします機構において欠けておる点があったように思うのでございますが、昨今は、大企業におきましてはコンピューターを入れましたり、在庫管理がよほど行き届くようになっております。この二つの事情が非常に違っておる、かように考えております。
  75. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、おとり廉売のことに関しましては、二十八年の状態と四十三年の現在の状態とは非常に変わっておる。したがって、このために再販価格維持行為というものを意義づけるということは、これは根拠が薄くなるわけでございますね。そういうふうに理解解してよろしいでしょうか。
  76. 山田精一

    山田政府委員 そのウエートは減ったわけでございますけれども、その根拠がなくなったとは決して申さないのでございます。ある程度のその必要性というものは現在においても現存いたしておる。ただ、そのウエートの関係がかなり変わってまいって、当時における小売り業者保護というウエートよりは、消費者保護というほうによけいウエートをかけなければならない、かように存ずるのでございますが、しかし、小売り業者は、これは業種によって差はございますけれども中小企業あるいは零細企業と言ったほうがよろしいかと思われるものが大部分でございますから、これを保護しなければならないという法益はなお現存しておる、かように考えております。
  77. 有島重武

    ○有島委員 全くなくなったのではなくて、これはウエートが減ったのである、そういうお話でございますね。  それから第二点の、「生産者のブランドの信用保持に役立つものと認められてきた」、これは明らかに生産者のほうを擁護したことでありまして、現時点における消費者保護という立場からいいますと、これも当時よりははるかに根拠が薄くなっておる、かように理解してよろしいでしょうか。
  78. 山田精一

    山田政府委員 ただいま御指摘のございました生産者のブランドの利益ということでございますが、これは私ども、独禁法の運用上は、生産者の利益を保護するということは二十八年当時におきましても現在においてもない、かように存じております。ただ、商標権と申しますか、自分のブランドによって売り込んでまいっておるというところの、いわば無体財産権のようなものでございますね、これは保護されなければならない。何がし銘柄といって売り込んでまいったものを、不当にその商品の声価を傷つけてやろうというような悪意をもって、それをむちゃくちゃに廉売をする、もう商売のことではなく、競争をしようというのではなくて、あの商品のイメージをこわしてやろうというために、千円の定価のものを二百円でもってむちゃくちゃに売って、あの商品は信用ができない商品らしいというような印象を消費者に与えるような行為、これは現在の時点においても不当性が十分ある、こういうふうに考えておるのでございます。
  79. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、独禁法の成立当時というものは、これはむしろGHQの為政下にあって、日本の国の財閥を解体する方向が非常に強かったと思うのです。それで、そうした情勢のもとにこうしたものが行なわれた。そして朝鮮動乱などがあった、また中国においては共産革命があった。これはアメリカといたしましても、日本経済に対しての考え方というものが非常に変わってきた時点であると思います。それで、ただいま独禁法はもともと業者を擁護していくものではないというふうに言われましたけれども、二十八年のときには、これは少なくともアメリカの政策、したがって日本国内の趨勢といたしましても、これは大きく大企業を助成していくという、そうした一つの方向に切りかわったときではないかと思うわけなんです。先ほども朝鮮動乱のお話が委員長のお口から毛出ましたわけですけれども、やはりそうしますと、二十四条というものは、成立当初は業者の保護ということに重点がうんとかかっている、むしろその方向が非常に強かったのではないか、私はそういった印象を非常に受けるわけなんです。それで、その中にも、消費者保護という立場からなお検討すべきものがうんと残されているのではないかというような程度に受け取れるわけなんですけれども、そういうような理解のしかたについては、山田委員長の御意見はどうでしょうか。
  80. 山田精一

    山田政府委員 私はさようには考えませんで、独禁法の基本精神は、第一条をお読みくださればすぐにおわかりいただけると思うのでございますが、事業者を保護いたすというのは、単に事業者を保護いたすのではございませんで、どこまでも第一条に書いてございますように、「事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、」こういう文句が使ってございます。それから「雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」かように書いてございますが、これをせんじ詰めますれば、公正かつ自由な競争を促進して、国民経済の民主的で健全な発達を促進するということに尽きると思いますので、大企業を保護いたすとかあるいは消費者利益を保護いたすとか、そこに直接の重点はない、かように思うのでございます。消費者利益、それから生産者の創意を発揮させるための利益、これらのバランスの上に日本経済全般の利益を確保いたす、これに重点がかかっているように思うのでございます。
  81. 有島重武

    ○有島委員 山田委員長の御見解はよくわかりました。  次に、山田委員長のこのたびの方針でありますが、この再販行為規制強化をなさっておる。その内容についてもう一度御説明願います。
  82. 山田精一

    山田政府委員 端的に申し上げますと、先ほど来いろいろ御説明申し上げましたごとく、二十四条の二において規定しておりますところの要件を忠実に当てはめてまいりまして、その適否を判断いたす、かように考えて作業をいたしておるわけでございます。要件は、繰り返して申し上げますると、公正取引委員会が指定をする要件といたしましての一般消費者によって日常使用されるもの、それから、自由な競争がその商品について行なわれておるもの、この二本の柱がございます。さらに、その前提といたしましては、いわゆる商標品でなければいけませんことでありまして、それから、その商標品の価格を決定、維持するための正当な行為、それからさらに、この第一項のただし書きで、当該行為一般消費者利益を不当に害することとなる場合においてはこの限りでないという規定がございまするので、この要件を忠実に当てはめて判断をいたしてまいりたい、かように思う次第でございます。
  83. 有島重武

    ○有島委員 いまお話がございました作業は、すでにもう何カ月も始めていらっしゃるわけでありますけれども、その進捗状態と申しますか、今後の可能性の見通しと申しますか、そういったことについて……。
  84. 山田精一

    山田政府委員 現在の洗い直し作業、はなはだ時間をとりまして申しわけないのでございますが、現在の洗い直しに関しまする限りにおいては、ここ一カ月以内ぐらいにはこれを完結いたすつもりでございます。なおそれでもって完結したというわけではございませんで、先ほど来申し上げましたごとく、今後機動的にいつも見直して作業を続けてまいりたい、かように考えております。
  85. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、現行の指定品目につきましては、大体あと一カ月ぐらいでもってこれを全部再検討いたすことができる、そういうことでございますね。  そこでもって、これを強化していったときに、この独禁法の精神にのっとっての一つの限界と申しますか、これを完全に行なったとしても、この程度のところまでのことはできるのだ、それから、こういったことについてはいまの行き方では限界があるとか、そういったような見通しははっきり出ておるのでしょうか。
  86. 山田精一

    山田政府委員 ただいまの時点におきましては大きな限界はない、かように存じましたのが、新しい法律を御審議願わないという結論に到達した大きな理由でございまして、大体において必要にして十分な措置ができ得るものと考えております。将来、もしも限界点が出てまいるようなことがあればすみやかに新しい措置を考えたい、こういう考えでおります。
  87. 有島重武

    ○有島委員 立法措置として考えられるものはどういうことですか。もし将来、立法措置を行なわなければならぬという場合。いまは大体二十四条全部を削除してしまえというような話もあるようでありますし、それから単独立法をしたほうがいいという話もあるようでございますね。そうした措置について、将来のことをお考えになっておるでしょうか。
  88. 山田精一

    山田政府委員 先ほど来申し上げましたごとく、日本経済流通部面が、現在非常に流動的でございまして変わっていく段階にあるわけでございますが、それが将来いかように変わってまいるか、非常に好ましい方向にだけ変わってまいるか、好ましくない面が出てまいりますか、これはなかなか予見ができないのでございますが、もしも現在の法律によって捕捉し得ないような類型——不当な取引、不公正と考えられます取引の類型が現在の法律でもって捕捉し得ないようなものが出てまいりましたならば、これは新しい法律がないと取り締まっていくことができませんので、そういう場合に対処したいということを申し上げたわけでございます。現在具体的にどういうことということは、まだ考えておらないわけでございます。常に注意をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  89. 有島重武

    ○有島委員 やや具体的なことになりますけれども、化粧品だとか医薬品等につきまして、どういうような基準でもってこれを洗い直しをされていくのか。これは先ほどからのこういう条文に書いてあるとおりやっていくのか、そういうわけでありますけれども、再販の運用強化だけではこれを全部取り締まることができるかどうか。これはいまのところ、検討の結果そうした限界は認められないというお話でもって私は安心してもいいわけでありますけれども、あるメーカーによりますと、チェーンをつくってそれ以外の買い付けば許さない、そういうようなことが現実行なわれておるわけですね。こういうものについては取り締まれるのですか。
  90. 山田精一

    山田政府委員 その拘束の程度が、法律に規定しております不公正な取引方法に該当いたしました場合には取り締まり得る、かように考えております。
  91. 有島重武

    ○有島委員 その不公正についての議論は長くなるので次回に譲りたいと思いますけれども、もう一つ、テリトリーの場合がございますね。こうした場合、どうでしょうか。
  92. 山田精一

    山田政府委員 テリトリーの問題は、これはやはりいま非常に流動的ないろいろな形態が出ておりますので、いまの段階で的確にこれを捕捉することはむずかしいと思います。ただ、テリトリアルな制限というだけで直ちに違法になるかどうか、これは現在の段階ではちょっとむずかしいのではないかと考えます。
  93. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、この問題については一つの限界がある、そういうふうに判断してもよろしゅうございますか。
  94. 山田精一

    山田政府委員 そのほかの点と総合的に判断をいたしてまいりますならば、限界はそれほど出てこないように私は考えております。
  95. 有島重武

    ○有島委員 私どもが心配いたしますのは、限界があるかないか、これはしろうと目には立ち至って考えると非常にわからなくなる。大ざっぱに考えていくと、非常に明らかに、こんなことをなぜ取り締まれないのかというようなことがたくさんあるわけなんですね。それで、そちらの言う限界がないというお話の裏には、ある一つの限界の中だけでそれを一生懸命仕事をされていく、そういうようなことが、これは非常に心配なんですよ。  それから委員長は、その指定にあたっては弾力ある運用をしていくのだ、それで不況のときには少しゆるくする、好況になったならばまた調整のきびしさを変えていく、そういうようなことを言われたことがありますか。
  96. 山田精一

    山田政府委員 ただいまのお話の前段の限界というものを、非常に限界の中だけで考えていく心配があるという御指摘がございました。私どもは常にその点を反省いたしまして、役所の中だけの知識でやっておりますと、御心配のような限界の中で仕事を考えていくというようなことになりがちでございますので、たとえば消費者モニターをお願いいたしますとか、先ほど御報告申し上げました全国のスーパー、農協、百貨店等から日用品の小売り価格拘束に関する調査というようなものを随時行ないまして、外部から取引の実態に関する知識を謙虚に吸収いたしまして、限界の出てまいらないようにいたしてまいりたい、かように考えております。  それから後段の御指摘の点でございますが、これはたとえば不況カルテルを認めるか認めないか、法律によって認める例外の場合が規定されておりますが、これを認可いたします場合には、景気の好況、不況によってこれはおのずから違うことが出てまいると思います。好況の時点において相当強い理由がありましても、不況カルテルを認めるということは、これはできないと思います。しかし、経済界全般が不況であります場合におきましては、ある程度の要件を具備いたしました限りにおいては、ある程度のものは認めざるを得ないであろうと存じます。そういう意味において弾力的というように受け取られる表現をいたしたことがあるかもしれませんが、要は法律を忠実に運用してまいりたい、かように思っております。
  97. 有島重武

    ○有島委員 御答弁も非常に弾力があるので……。ただいま外部からの声を聞いておる、そういうことでございましたけれども、公取でもってやっておられる外部からの声ないしは消費者からの声、そういうもののくみ上げ方、それはどういう措置をとっておられて、どういった状況なんでありますか。それを伺いたいと思います。
  98. 山田精一

    山田政府委員 先ほど申し上げました消費者モニターを、まだ小規模ではございますが、お願いいたしまして、あらゆる角度から積極的に御通報願う、また役所のほうでこういう点を聞かせていただきたいという事項を指定いたしまして報告をお願いする、こういう活動をいたしておりますのが第一点でございます。  それから第二といたしましては、先ほど申し上げましたクエスチョネアを送りまして、その実態について関係業界から報告を徴して、それを整備いたすという方法が第二点でございます。  それから第三点といたしましては、各消費者でございますとか、あるいは業界からいろいろの申し出がございます。  また第四点といたしましては、役所の中で考えましてわからないことは、業界の御協力あるいは消費者団体の御協力を得まして、その意見を拝聴する。たとえば不当表示でございますとか、不当景品につきましては、いつも公聴会を開いておるわけでございまして、官報に告示をいたしまして公述人を公募いたしております。それらの御意見を拝聴しております。  こういうようなことをいたしておるわけでございます。
  99. 有島重武

    ○有島委員 ただいまの第一番目のモニターのことでございますけれども、これはあまりうまくいっていない、そういう話を伺ったのでございますけれども、それはいかがですか。
  100. 山田精一

    山田政府委員 これは予算関係どもございまして、モニターの数を十分とることができませんので、私どもといたしましては、もう少し広げたいという気持ちを常に持っておるのでございますが、モニターをお願いいたしました相手の方は非常に熱心に御協力くださいますので、その点においては何ら不満は感じておらないわけでございます。
  101. 有島重武

    ○有島委員 モニターの場合に、数を広げていって、かなり見当違いないろいろな話が持ち込まれる可能性があるのではないかと思うのですが、そういう徴候は見られませんか。
  102. 山田精一

    山田政府委員 私ども、いままでのところ、そう見当違いな御報告はいただいたことはないのでございます。
  103. 有島重武

    ○有島委員 わかりました。  最後に昨年この委員会でもってブラザー工業のやみ再販の事件、これは北島委員長のときでございましたけれども、これはすぐに是正する、監視するというようなことがございました。それ以後の経過について伺いたいと思っております。
  104. 山田精一

    山田政府委員 ただいまお尋ねの案件につきましては、北島前委員長時代に、違法の疑いの深い事件がございましたので、これを十分に調査いたしました。先方もその点を是正いたすということを約束いたしましたので、相当長期間にわたってこれを監視いたしてまいりましたのでございますが、先方は誠意をもって、従来販売店等との間に取りかわしておりました契約書、特約店の契約書、これらを全部文言を取りかえまして修正いたしまして、疑わしい節の残っておりますような条項は全部これを削除いたしましたので、私どもは、昨年の暮れでございましたか、それの審査を打ち切った次第でございます。
  105. 有島重武

    ○有島委員 私たちとしては、公取委員に非常に大きな期待を抱いているわけであります。で、今後の御活躍をお願いもし、期待もいたしているわけでありますけれども、どうしたら公取の機能を強化することができるか、これについての御意見をひとつ伺っておきたいと思うのです。
  106. 山田精一

    山田政府委員 これはもう一に世論の御支持をいただくことが一番力強い味方だと思います。
  107. 有島重武

    ○有島委員 先ほど武部委員から罰則についてのお話がございました。この罰則もかなり昔の罰則でありまして、こうしたものの変更ということについてはお考えになっておりますか。
  108. 山田精一

    山田政府委員 私どもは、基本的な考え方といたしましては、独禁法の精神というものを、財界はもちろんのこと、消費者流通業者、皆さんにあまねく十分に御理解いただきまして、違反者が一人も出ないということを一番願っているのでございます。したがって、不幸にして違反者が出た場合には、それを十分説得いたしましてこれを改めてもらう、法律のことばを使いますならば、そういうような違法の状態を実質的に排除いたす、完全に排除いたすということに眼目を置いております。罰則をいたずらに重くしてこれに臨むということは、いまの段階においては考えておらないわけでございます。また、私どもで排除の命令を出し、あるいは勧告を出した場合においては、従来口先だけですぐにまた違反しているというような事案は見当たっておりませんので、現在の段階ではこれをもって足りるものと考えております。
  109. 有島重武

    ○有島委員 以上で質問を終わります。
  110. 八百板正

    八百板委員長 砂田重民君。
  111. 砂田重民

    ○砂田委員 もう時間がありませので、少しだけ伺っておきたいと思うのですが、再販問題につきまして当委員会もだいぶ長い間いろいろ公取の御意見なんかも拝聴してまいりましたが、いままで私たちが公取の前委員長の時代から再販問題を承っておりましたときには、何か再販という制度自体を全部なくしてしまったらいいのか悪いのかというふうな議論であったわけなんです。きょう委員長のお話を伺うと、非常に具体的にきめのこまかい仕事をしていこうという取り組み方をしておられる。これは私はたいへんけっこうなことだと思います。実はこの問題につきまして、昭和四十一年のこの委員会だったと思うのですが、再販制度というその制度の善悪が論じられたことがあったのです。そのときに、私は、この再販制度の上に乗っておる商品、そのメーカーであって、二十四条の二に規定されておる自由な選択を消費者に許していない、その商品が非常に大きなシェアを持ってしまって、そのシェアの上とそれからこの制度の上にあぐらをかいて暴利をむさぼって、それによってたいへんな配当をしておるというふうなものがあれば、それは大問題である。消費者利益というものは、ただ安価というだけが消費者利益ではないというふうに少なくとも私は考えているものですから、たとえば日本の化粧品で——外国製の、世界を風靡しているような、非常に大ぜいの人、どこの国の人も知っているような品質とブランドで売っているもの、そういうものが日本にあってもいいではないか、また、そういうものをつくっていく努力企業自体もしなければならないし、その企業努力に対して、政治も行政もこれに応ずる態勢があっていいはずである、そういうお話をいたしたのでありますが、そのときに実は商品別の資料をお願いしたのです。私は、いま申し上げたようなシェアとそれからこの制度の上にあぐらをかいているようなそういうものがあるのかどうか、そういう御調査ができていたら出していただきたいということを言いましたら、当時の事務局長は出せるというお話だったものですから、それ以来実は足かけ三年私はお待ちをしているのですが、一向出していただけない。再販問題は同僚議員も非常に熱心に研究をいたしておりますので、再販問題にからんでのいろいろな資料、何をということはこまかく申し上げませんが、調査をなさっておられるその結論が出たような資料がありましたならば、逐次この委員会にお出しを願いたいのですけれども、ひとつ委員長にもお取り計らいをお願いいたしておきますのと、それから今度一つ一つの商品について洗い直しをなさるわけですが、先ほども同僚議員の質問の中にありましたように、基準をおきめになっていくと思うのです。そこで、私たち国会議員といたしまして、消費者といろいろな話をいたしますときにも、安いものをというものの言い方が実は一番受けるのです。一番簡単に調子よく受けられる。しかし私は、安価というだけが消費者利益ではない、やはり低廉であって良質なものでなければ消費者利益とはいえない、そういう考えを持っておりますので、この基準をおきめになるにつけましても、非常にアカデミックなこの委員会で個々の商品等にこれから基準を設けるお仕事をなさる場合は、非常に下世話なお仕事もなさらなければならないのじゃないかと思うのです。たとえば再販の制度からはずしてしまった、はずしてしまったためにメーカーの逃げ場所は品質を落とす以外にはない、そういうふうなものも基準をおきめになるときの考慮にお入れになるのかどうなのか。独禁法では商品の品質のことは当然何も触れておられるわけではありませんけれども、再販問題を制度自体どうこうということでなくて、個個の商品についてこれから基準を設けて、これははずしていくべきだ、これは残していったほうが企業者、消費者双方の利益であろうというふうな、その基準をおきめになる作業をおやりになるとするならば、その作業の中には、従来公取が持っておられたアカデミックな性格だけではおやりになりにくいのではないか。特に再販といえばすぐに化粧品、医薬品というムード的な商品が多いわけですから、そういう下世話ないろいろな事情というものも、基準決定の作業の中に含めて御考慮になりますかどうか、伺っておきたいと思います。
  112. 山田精一

    山田政府委員 ただいまアカデミックな委員会というお話がございましたが、ほかの委員はいざ知らず、委員長の私は非常に下世話な人間でございますので、決してアカデミックなということはございません。  それから品質ということは独禁法の領分ではないだろうがというようなお話がございましたけれども、私の理解いたしますところでは、独禁法にいう公正にして自由な競争、これには値段だけが安ければよいのだということは一つもないと思います。品質と、それから値段、それから商品によりましてはサービスも付随いたすと思います。これらを総合いたしました競争、これを確保してまいりますのが私どもの使命である、かように存じております。したがいまして、もしも品質が必然的に低下されるようなものは、これは再販制度を認めることが適当であろう、かように存じております。
  113. 砂田重民

    ○砂田委員 いま同僚の有島委員からお話がありましたモニターのことで、私はひとつこういう考え方をもしも公取で取り入れていただけるならば、モニターという制度のと申しますか、一つの新しい行き方ではないかと思うのです。  四十三年度予算では、モニターの数はあまりふえることができませんでした。そこで公取のモニター、私はちょっと有島委員と違う見方をしているので、他の役所の持っておられるモニターより公取のモニターが一番よく活躍しておられるのではないかと思うのです。また募集しておられる応募数もたいへん多いように承っております。これはたいへんけっこうなことだと思っておるのでございますが、一般公募のモニターだけではなくて、たとえば消費者問題等——もうここ三、四年の間、そういう社会的要望が非常に強いものですから、学校の先生方などで消費者問題を非常に専門に勉強しておられる方がふえてこられたと思うのです。あるいは報道機関各社の論説委員にもそういったことを非常に熱心に勉強しておられる方方があるので、モニターの数がふえなかったことでもありますし、またそういう方々のお知恵拝借というような機関が公取のほかにはないようでございますから、何十人かあのモニターの定数内でそういう方に委嘱をなすって、そういう方々の意見もいわゆる消費者の立場からくみ取っていかれる、こういうことをひとつ考えていただきたいと思いますので、これは御要望申しておきます。  それから、もう一つだけ最後に検討をしていただきたいお願いがあるのです。これは再販問題ではございません。不当景品類及び不当表示防止法第十条で、事業者または事業者団体は公正競争規約を設定することができるということになっております。公取の、あれは認定というのですか、というのがございましたならばこれを企業側が守っていくということなんですが、私は、企業の考え方が、やはり消費者問題というものの取り上げ方がずいぶん変わってきていると思うのです。企業みずからが企業団体等で自警的な活動をしなければいけない。企業利益消費者利益の一致点を見つけようというふうな機運が非常に高まってきていると思うのです。それだけに、この公正競争規約というものがだんだん数がふえていっているのではないのか。最近伝えられるところによりましても、準備しておるものも幾つかおありのようでございます。そこで、この不当景品類及び不当表示防止法が成立した当時と今日とは、消費者もまた企業も、ものの考え方がずいぶん変わってきていると思いますだけに、この公正競争規約というものに参加することも不参加することも自由である、脱退することも自由である、こういうことで、この法律の立法の当初はそういう御時世であったかもしれませんが、今日ではだいぶ変わってきていると思うのです。ですから、企業団体等の中で数社の企業公正競争規約を結ぶべきだ、もっとこれこれこういうような内容を持つ表示等をみんなで約束し合ってやろうではないか、それは消費者利益にもつながるし、市場調査をしてみても消費者意向というものはそういうところにある、これは消費者の意向に沿った製品を出していくことがまた企業利益にも通ずるものである、そういうことをやろうじゃないかという相談が起こってみても、守る者だけが縛られて、アウトサイダーが規制されないのでは、正直者が損を見るのじゃないかという気持ちがおそらく企業の中にはずいぶんたくさんあるのではないだろうか。公正競争規約というものは、もっとたくさんの商品について出ていくべき筋合いのもので、だんだんふえてきてはおりますけれども、われわれの期待するほどのものでもない。それの原因の非常に大きな問題点が、その同企業全体を縛る公正競争規約でないというところにあるのじゃないだろうか、そう考えます。これは、あるいは他の省にも影響があることかもしれません。したがって、公取委員長からきょうすぐに御返事を私はいただこうと思いませんけれども、この法改正をやって公正競争規約というものは、その商品をつくっている企業全部に及ぶのだという締め方をしてもいい、そういう社会環境になってきているのではないかと私は思います。御承知のように、当委員会では、実は消費者保護基本法というものを与野党一緒になってただいま勉強、準備をしておりますので、この法案を幸いこの国会提案できるようにでもなりましたならば、当然その姿勢に基づいて、不当景品類及び不当表示防止法法律ももう一ぺん見直してもらいたいと私たちは思っております。大事な問題点になっていると思いますから、ひとつこれを御検討おきいただきたい。あらためてまた御意見を承るような時期があると思いますけれども、それまでにひつと検討しておいていただきたいとお願いをいたしまして、終わりたいと思います。
  114. 八百板正

    八百板委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会