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1968-07-25 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年七月二十五日(木曜日)    午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君       小澤 太郎君    佐々木秀世君       田澤 吉郎君    中山 榮一君      三ツ林弥太郎君    粟山  秀君       赤路 友藏君    工藤 良平君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       高田 富之君    西宮  弘君       芳賀  貢君    美濃 政市君       神田 大作君    斎藤  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      木村 俊夫君  委員外出席者         内閣官房長官 亀岡 高夫君         農林大臣官房長 大和田啓気君         食糧庁長官   檜垣徳太郎君         食糧庁次長   田中  勉君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 七月二十五日  委員實川清之君及び森義視君辞任につき、その  補欠として高田富之君及び芳賀貢君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米価問題)      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 檜垣長官にお伺いしたいのでございます。  本年度生産者米価決定関連いたしまして、最も基本的な問題でございます食管法に関しまして、少なくとも食管法原則は、いわゆる生産米については、これの全量買い上げというのがその原則になっていようかと思うのでありますが、先般の長官発言の中におきまして、いわゆる買い入れ制限が可能であるかのような発言があったことは、きわめて重大であろうかと存じますが、これに対して、長官のその思想というものは一体どこにあるのか、その基本的な姿勢というものはどういうところに根拠しているのか、この点、まず明らかにしていただきたいと思います。
  4. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私の食糧管理法解釈に関します米価審議会委員懇談会の席上における発言が、いろいろ報道をされておるのでございますが、この際、私の法律に関する解釈を明らかにいたしたいと思います。なお、その席上でもお断わりを申し上げたのでございますが、私の解釈は、食糧庁長官としての解釈であって、政府統一見解として一致しておるというように御理解願っては困りますというふうに申し上げておりますので、その点、あらかじめお含みをいただきたいと思います。  まず、委員から質問がございましたのは、食糧管理法では、生産者が生産した米穀はすべて政府が買い入れるべき義務を負っておるかという質問でございます。それに対しまして、私は、食糧管理法というのは、そもそも食糧管理法第一条にもございますように、「国民食糧確保及国民経済ノ安定ヲ図ル食糧管理シ其需給及価格調整並配給統制行フコトヲ目的トス」ということでございますから、したがって、食糧管理法第三条の米穀強制買い上げという第一項の規定は、これは「命令ノ定ムル所ニ依リ其生産シタル米穀ニシテ命令以テムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」という、政府需給調整上必要とする米穀については、命令の定むるところによって、生産者政府に売り渡すべき旨の義務を課する規定でございます。したがって、この条文から全量政府が買い上げるのであるという意味は出てこない。  ただ、政令五条の五に、生産者政府以外に米穀を売り渡すことはできないという規定がございます。したがいまして、現行法律及び政令の上では、生産者米穀を売り渡そうとすれば、政府以外には売ってはならないということでございますから、したがって現行制度のもとでは、これは全量政府が買うべきものであるというふうに理解をいたします。  ただ、政令五条の五は、解釈のいかんによりましては、もともと食糧管理法国民食糧不足の時期に制定をされたものであって、したがって、三条の強制買い上げ生産者政府売り渡し義務を課すると同時に、その実効をあげるための手段的規定として規定されておるというふうにも理解をされる。したがいまして、政令規定のしかたによっては、これは政府以外の者に売ってならないということは排除され得る。法律的には排除され得ることである。なおまた、政令五条の五のただし書きでは、政府以外の者に売ってはならないという規定を置いて、ただし書きで、特別集荷業者に対しては例外である。つまり、そういう者に対しては、政府以外の者に売ってはならないという規定が排除されておる。したがって、この規定からは、ある特定のルートといいますか、ある特定の取引の形態については、政令をもって、食管特別会計を通じない、つまり、政府へ売り渡すことなく流通をする可能性法律的にはあり得る。現にそういう規定がございますから、法律解釈上はあり得るということを申し上げたのでございます。  ただ、そのことは純然たる法規解釈の問題でございまして、そういうことが適当であるかどうかという政策的判断の問題は別でございますということを答えたわけでございます。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、長官に回りくどい言いわけを聞こうと思っていないわけでございまして、ずばり申し上げまして、私は、現行食管法精神なり政令の定めるところによって、法的解釈ということと同時に、それでは生産農民は、他に米を売っても差しつかえないかのような印象を与えたことは否定できないと思うのですが、もしそういうことが解釈上できるとするならば、これはきわめて重大な問題ではないかと思う。  しかも、昭和十七年以来今日まで、この食管制度がもたらした、国民に寄与したその貢献度というものははかり知れないものがあろうかと思うのであります。しかも、敗戦以来今日まで国民経済の発展に重大な寄与をしてきましたこの食管制度、しかも、昨四十二年産米が若干豊作であったという需給状況の一時的な現象をとらえて、食糧管理の元締めである長官が、かりそめにもそういう発言をされたことは、国民に非常に大きな疑問を与えたのでございまして、その点、私は再度すっきりした形での長官の御見解を承りたいと存じます。
  6. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 要約して申し上げれば、現在の法律政令をもって定めております制度下においては、生産者の生産した米穀政府以外には売ってはならない、したがって、政府はその全量を買うべきであるということは、前提としてはっきり申し上げざるを得ないわけでございます。  ただ、法律解釈の問題として、政令規定のしかたによっては、全量政府が買わなければならないという、そういう本来法律的な限界として、政府以外に売ることは一切まかりならないというような規定のしかたではないということを私は申したのであります。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 これはわが党が先般——これはあと木村官房長官にも石田氏から質問することになったのですが、十八日に社会党は、この食管制度関連をいたしまして、今次の参議院選において自民党がはっきり公約したわけでありますけれども、少なくとも政府が米の買い入れ制限を行なうかのような言動というものは、明らかに現行食管法違反であるということを明確に申し入れておるわけでありまして、いま長官法解釈上は云々ということは、明らかに食管法基本的精神を否定する考えではないかと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  8. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 現行法律政令のもとで、全量政府が買い入れるべきであるという点については、私はごうも疑いを持っておりません。  ただ、法律解釈の問題として、いかなる需給事情のもとにおいても、全量政府生産農家に対して強制買い上げという形で収買をするということを、法律があらかじめ予定したものとは私は解釈をいたしておらないのでございます。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 いま長官の言われました、強制ということを再三にわたって表現されておりまするが、では、食管法の中に強制ということばがどこに載っておりますか。
  10. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 食糧管理法第三条の条文の見出しは、「米穀強制買上」ということを付しておるのでございます。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、長官にお伺いしたいのですが、この食管制度のもたらした歴史的背景から考えましても、先般長官統一見解としてではないがという前置きをされましたけれども、少なくとも今日の食管法基本的精神は、全量買い上げというものがその原則前提になっていることは、長官も否定できないと私は思うのですが、それはいかがでございますか。
  12. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 国民食糧確保という観点から、政府以外の者に売る道を残したのでは、本法施行目的を達成できないという場合に、政令をもって政府以外には売ってはいけないという規定が初めて働いてくるのである、したがって、この政令がある限りは政府以外には売ってはならない、したがって、政府全量買い上げすべきものであるということは間違いがないというふうに思いますが、私は、第三条の政府の指示による強制買い上げというものが、およそ農家が生産したもので自家保有を除くものは、すべて政府に売り渡す義務を課する、そういう性質のものであるというふうには私は理解をいたしていないのでございます。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、きょうは時間も限定されておりますのでやめますが、非常に基本的な見解の違うところであり、これは少なくとも農林省の統一した見解とは認めるわけにはいきません。  次に、私は、これに関連してお聞きしたいのは、少なくとも本年度政府予算化されているものは大体八百五万トン。ところが、一昨日出されました試算の内容等から判断しますと、約八百八十万トン程度が一応買い上げ予約する量になっておるようでございますが、現実は少なくともそれを上回ることが予想されるわけでございます。長官のいままでの発言というものは、いわゆる食管会計と財政的な問題とからまして、こういうような発言が出た感が非常に強いわけでございますが、少なくともこの食管法というものが、国の財政上の問題、あるいは昨年の産米が非常に豊作で、ことしも二百六十五万トン程度持ち越しがある。このことが総合予算制の中におきまして、少なくともそういうふうな予算上の問題で、この食管法の基本的な点が、その解釈があいまいにされるようなことでは、私はどうしても理解ができないわけでございますが、その辺の関連はどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたい。
  14. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 本年の食糧管理特別会計予算の上におきまして、政府買い入れ量の推定を米穀年度間八百五万トン、会計年度間八百万トンというものを計上しておることは、御審議を通じて明らかになっておる点でございます。  ただ、現時点に立ちまして、農林省におきまして暫定平均反収というものを求めることができたという段階で平年収量というものを算定し、従来の政府売り渡し比率をトレンドで求めましたパーセンテージをかけますと、ほぼ八百八十万トンの売り渡しがあるであろうということが予測されましたので、米価審議会における御審議の参考として、その数字を推算いたしましたものをもって説明をしたことも事実でございます。  総合予算主義という観点から、今後の食糧管理の問題についていろいろな配慮といいますか、いろいろな点を考えるべきであるという意見は、別途あり得るわけでございますけれども、私がただいま申し上げました法律解釈の問題は、何もそういう需給事情というものをもとにして解釈をいたしておるのではございませんで、元来食管法第三条の規定は、政府国民食糧確保需給調整配給統制を行なうというたてまえから、必要な数量確保については、法律によって農家売り渡し義務を課すことができるという規定であって、これが、およそ生産されたもので、保有量以外のものは農家政府に販売すべきである、そういう解釈のものではないという本来的な法律上の解釈を、私としては申し述べたのでございます。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 とにかく、いずれにいたしましても、結局いまの長官答弁というものは、いままで一貫して、生産農民は、法律的には自由販売をすることもあり得るというふうに、私は反論的にとれると思うのであります。しかも、少なくとも先般の参議院選挙中において、政府食管制度根幹はこれを堅持するということを国民に明確に公約をしておるわけでありまして、この思想から考えましても、法解釈という点からいま述べられた長官のその考え思想というものは、明らかに食管制度根幹を否定する考えに通ずるものと私は判断せざるを得ないのでありますが、その点はいかがでございますか。
  16. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私は、法律解釈上そういう解釈をとっておりますから、全量買い上げ全量強制収買をしなければ、食管法根幹を守れないのだというふうには考えていないのでございます。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 これは、特にことしの米価算定の問題が提起されることを転機としまして、いま長官のようなそういう態度であるから、間接統制論なりあるいは自由販売等の問題も出てくるわけでございますが、少なくともいまの長官答弁というものは、この食糧管理制度の基本的な思想というものを否定する考えだと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  18. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私は、この第三条の規定に基づく解釈は、私のようにいたしましても、食糧管理法精神をおかす、あるいは間接統制を示唆するものであるというふうには考えないのでございまして、国民食糧確保需給調整配給円滑化を期するという意味では、第三条の規定がある限り、所要の数量について政府が直接管理をするということは、これは、私は根幹として堅持すべき点であるというふうに考えておるのでございます。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、これはやはりどうしても最高責任者である大臣のこれに対する、ほんとうの農林省としての、政府としての統一した見解を聞かなければ、長官のいまの御答弁を聞いておりますと、どうも一貫した思想がないというふうに私は判断せざるを得ないのであります。この点は、特にこの際私は保留をします。長官答弁ではどうしても納得できません。
  20. 足立篤郎

  21. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま長官は、法三条並びに政令五条の五、この問題に触れて、食糧庁長官としての解釈だとこう言っておるのですね。ところが、二十日の日に農林大臣が当委員会に出席いたしまして、しかも、これは官房長田中次長との三人の間で打ち合わせをし、メモを交換しながら、いまの食糧庁長官答弁と同様に、要するに全量買い入れというのは義務規定であって権利規定ではないと、こういう答弁をしておるのです。  そうしますと、食糧庁長官としての法律解釈ということではない。少なくとも農林大臣が、官房長田中次長打ち合わせた上で答弁をしておる限りにおいて、私は少なくとも、政府とは言わないが、農林省としての統一見解であると受け取らざるを得ないのです。この点は、打ち合わせがあったはずだと私は思うのでありますが、この点もっとはっきりしておいてください。
  22. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私が米価審議会懇談会の席上で、解釈として申し上げたのは、食糧庁長官としての立場から解釈を言ってみろということでございますから申し上げたわけでございます。  農林大臣から法律解釈についてお話があったといたしますれば、これは農林大臣としての御解釈でございますから、もし私の解釈と異なっておるとすれば、私が誤りであるかどうかを反省をしなければならないと思いますが、お話を承りますと、私の解釈と同一であったということは、法律というものは客観的に解釈すれば、明確な点はほぼ一致するものであるというふうに考えられるのであります。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 これは今後非常に大きな問題となる点でございますので、いま石田さんからも御質問がありましたが、少なくとも私たちはすっきりと理解ができないところであります。  これに私は関連をいたしまして、今度の米価算定にあたりまして、特に私たちが問題とするところは、いわゆる生産者米価に三%上積みして消費者米価決定する、こういうことがいわれておりますが、この三%上積みということは、少なくとも消費者大衆にとりましても、この食管法思想でありますところの、いわゆる国民生活の安定をはかるという思想から大きくかけ離れた考え方じゃないかと思うのですが、これに対する長官の御見解を承りたいと思うのであります。
  24. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 生産者米価基準にいたしまして、その上にほぼ三%程度上積みをした消費者価格改定を行なう必要があるということは、これはすでに見玉委員も御案内のことと存じますが、現在の生産者米価というものと、末端における消費者米価の間には、五百十五円の逆ざやがあるわけでございます。つまり、昭和四十二年産米で申せば、生産者米価が百五十キロ当たり一万九千五百二十一円、消費者米価を玄米換算いたしますと、一万九千六円ということでございまして、生産者から政府が買う米の流通の最初の価格が、いろいろな経路を経て最終の消費者に渡るときに、五百十五円の逆ざやの状態で価格が形成されておるというのは、どう見ましても不自然でございます。また、食糧管理制度運営の上にも、必ずしも好ましいことではない。したがいまして、最小限両米価正常化という場合に、末端価格と、それから生産者価格とを均衡させる必要があるという考え方を、ただいまのような表現で申し上げてきたわけでございます。  ただ、生産者米価食管法第三条第二項の規定に基づきます精神によって価格決定をされますし、消費者価格については食管法第四条第二項の規定の趣旨に従って消費者米価というものを決定してまいるということに相なりますれば、いわゆる家計米価消費者米価改定する場合の上昇限度ということに相なりますので、この末端逆ざや解消のための三%の上乗せという問題が、そういうルールの中でいかように相なるかは、今後の問題でございまして、政府として一つ食糧管理制度運用上の問題点であるということだけは確かでございますが、問題は、今後の問題であると考えております。
  25. 兒玉末男

    兒玉委員 長官に私はお伺いしたいのでございますが、特に今年度予算の仕組みが総合予算制度にある。でありますから、今回答申されました内容、あるいはいままでの農林省なり大蔵省経企庁等のこの一連の新聞報道を通じて考えることは、少なくとも生産者に対しましては、極力この生産者米価を押え、しかも消費者に対しては、いま長官答弁されたように、二千四百十五億のこの赤字解消するための一つ手段として、消費者農民に犠牲を強要するような思想じゃないかと思うのでございますが、この思想は、明らかに食管法のこの制度にも違反する考え方であると私は思うのです。この辺の関連について、再度長官の御答弁を要求いたします。
  26. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 三%の上積みをして末端逆ざや解消をいたしたいということは、食糧管理運営上必要性から、私どもは第一義的にそういうことを申しておるのでございます。  総合予算主義の問題は、これは本年度予算案が編成されましたときに、閣議において、最近の経済諸情勢に即応するために、年度中に事情変化があっても、予算の補正は行なわないという方針でいくということを閣議決定いたしておるのでございまして、また、その閣議決定は、食糧管理特別会計もその例外ではないということが明らかにされておるのでございます。したがいまして、私ども政府の職員として、閣議決定方針を体して運営をしてまいるということは、これは私は当然のことであろうかと思うのでございます。  それはさておきまして、お話では、末端逆ざや解消が、二千四百十五億円という食管赤字解消するための意図として取り上げられておるのではないかという御質問でございましたが、かりに消費者米価改定を行ないまして、生産者米価基準にし末端逆ざや解消ができたといたしましても、食管赤字といいますか、食管に繰り入れられるべき金額というのは、二千四百十五億円を下回る場合というのはとうてい考えられないのでございます。私どもは二千四百十五億円という赤字範囲内で、いかに舞いを舞うかというのは、相当に苦心の存するところであろうというふうに思っておるのでございます。
  27. 兒玉末男

    兒玉委員 再度長官にお伺いしたいのでございますが、少なくとも今年度におきましては、食管会計における政府の当初予算の八百五万トンをはるかに上回る、おそらく九百万トンをこえるであろうということが予想されるわけでございますけれども、それでは一体これに対する措置はどういうふうに御配慮されておるのか。まさかこれを、消費者米価を大幅に引き上げて、それによって赤字解消を、消費者だけにそのしわ寄せをするかのような措置は、これは決して許されないことだと思いますが、この辺の関連はどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたい。
  28. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 生産者米価の引き上げが行なわれますれば、消費者米価改定に手をつけざるを得ないということは、大臣もたしか当委員会でも発言をいたしておるはずでございます。総合予算主義を貫くということ、言いかえれば、二千四百十五億円の食管繰り入れ範囲内で本会計年度における食管特別会計運営をやっていこうということに相なりました場合に、どの程度消費者米価改定によって吸収され得るかということは、今後の問題でございまして、明確には言い得ないのでございます。集荷量増大が、食管特別会計赤字増の原因になることは御指摘のとおりでございまして、現在の相対米価関係から申し上げますれば、トン当たり約三万円の赤字を伴うわけでございますから、御指摘は私はそのとおりであると思います。  ただ、食管特別会計赤字というのは、両米価関係数量関係その他諸経費の関係等、総合的な結果として出てくるものでございますから、私は両米価関係等を見きわめつつ、あらゆる方法をもって二千四百十五億円のワク内で舞いを舞っていくというくふうをこらさなければならないというふうに考えております。
  29. 兒玉末男

    兒玉委員 あらゆる方法ということをいま長官答弁されましたが、少なくとも私は、当初予算に比較して、この政府買い入れというものが八十万トンをこえるとするならば、二百五十億から三百億近くの予算不足をどうしても生ずると思うのですが、これの措置は具体的にどういうふうに処置していこうとするのか、その点、あらゆる方法ということの具体的な内容について、この際お伺いをしたいと思います。
  30. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 買い入れ予定数量が、平年作を基準にいたしました八百八十万トンの集荷ということになりますと、先ほど申し上げましたとおり、トン当たり約三万円の赤字増になりますから、二百四十億円の赤字増大ということになるわけでございます。これは、先ほども申し上げました末端逆ざや解消を行ないますれば、八百八十万トン程度集荷量増大は、両米価正常化の中で解消され得るというふうに考えておるのでございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が参りましたので、あと一点だけにしぼって御質問しますけれども、まずその第一は、長官にお伺いしたいのは、少なくとも戦後二十三年間のこの食糧状況というものを見てまいりますと、四十二年度のように、このような大豊作というものは全くないわけでありまして、二百六十五万トン程度持ち越し——これからずっと米が豊作であり、おそらく四十五年度には、大蔵省がいっているように一年分の米が持ち越しになる、こういったことは私は全然考えられないと思うのでございます。しかも、今日相当量の外米、外麦を輸入している中におきまして、今後の食糧事情というものは決して楽観を許されない。世界的にも、私は今後の米の状態というものは、おそらく現在程度以上の輸入に依存することはきわめて困難である。そういう点から考えますならば、今後ますます国内における食糧の供給体制というものは強化すべきではないかと考えるわけであります。  そういう状況の中におきまして、先ほどの長官の、特に食管制度の根本をゆるがすようないわゆる法理論、解釈をもってしては、今後の国内における食糧需給関係というものは、重大な危機に至ることをわれわれははっきり予見できるのではなかろうかと思うのですが、今後の食糧の見通し、それに、先ほど来再三申し上げておりますところの食糧管理制度の基本というものは、あくまでも堅持していくべきだということを私は強く主張しまして、これに対する長官の御答弁を求めて私の質問を終わりたいと思います。
  32. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 御指摘の全体を通じまする御趣旨として、一億人の消費人口をかかえておりますわが国が、国民食糧確保という点に重大な関心を払うべきであるという点については、私も全く同感でございます。  ただ、米の需給の問題につきましては、昭和四十年産米まではむしろ相当不足の状態であったわけでございます。四十一年産米のおおむね平年作への回復ということによって、やや需給に余裕が出たのでございますが、四十二年度が御案内のように千四百四十五万トンというような異常な大豊作でありました関係上、そこに本年十月末における古米繰り越し量の見込みが二百六十五万トンというような、いまだかってない大量のものになったということでございます。  そこで、最近のナショナルベースで申しますと、内地米の需要量はおおむね千二百四十万トンないし千二百五十万トンという線で停滞をいたし、あるいはことしは微減をするかもしれないというような状態であります。これに対しまして、昭和四十二年の生産が千四百四十五万トンでございますから、ナショナルベースで見ましても、四十二年だけで約二百万トンの供給増ということになったのは、これは算術計算上もごく簡単な数字として出るわけでございます。  私は、長い将来のことを——たとえば大蔵省等が、いろいろなショッキングな数字を見通しのものとして出しておりますけれども、私どもはあの数字を直ちに、といいますか、承認をいたすわけにはまいらない。米審の懇談会の席上でも申し上げたのでございますが、食糧の需要の動向なり、あるいは生産の動向なり、あるいは買い入れ比率の動向なりは、過去のトレンド、傾向によって、近接時点の推定は可能であるけれども、長期の推定はできるはずがない、むしろそういうのは計測方法としても問題があるということで、私ども大蔵省が、参考のためでございましょうが作成しました資料については、昭和四十二年度までは私どもと同じ計測をいたしておりますから問題はないにしても、四十三年度以降の計測については、関知せざるところであるということをはっきりいたしておるのでございます。  ただ、御参考までに申し上げますと、昭和四十三米穀年度の一応の需給の推算をいたしてみますと、暫定平年反収というものを用いまして、四十二年の米の作付面積と同面積に作付をされるという計測をいたしますと、生産量は千三百二十二万トンということに相なるわけでございます。おそらく来年の内地米の需要量も千二百四十ないし五十万トンという線であることはほぼ間違いがないと思いますから、したがって、昭和四十三米穀年度末におきましては、古米の持ち越し量は玄米石で九十万トンないし百万トン程度の繰り越し増に相なるであろう、これはまず私は間違いないであろうと思うのでございます。  ただ、それ以後の問題は、これは神ならぬ身のことでもございますし、また、平年反収等はことしの作柄を見た上でなければ算出は不可能なのでございますから、私は、四十四年度以降を直ちに計測するわけにはまいらない。ただ、そういたしましても、四十四米穀年度、つまり来年の十月末には、玄米で約四百万トンの古米在庫を食糧管理特別会計としてはかかえてくるという事実は、まず大きな狂いはない。したがって、米穀に関します限りは、当分の間、現在の需給事情が著しく変動するということはあり得ないということだけはいえるかと思っておるのでございます。  ただ、長期的に国民食糧確保ということに重大な関心を払うべきである。また御案内のように、米はともかくといたしまして、日本の総体の食糧自給力というのは漸減をいたしておるという状態のもとでは、総合的なわが国の食糧自給力を高めるという努力を、あらゆる観点からいたしてまいる必要がある、また、そのために必要な配慮を加えていく必要があるという点は、兒玉委員の御意見に私も同感でございます。
  33. 足立篤郎

    足立委員長 神田大作君。
  34. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間の関係がありますから、食糧庁長官に簡単に答弁をしてもらいたいと思います。私の質問する貴重な時間が減ってしまうので、その点ひとつ要領よく答えてもらいたいと思います。  まず第一に、長官は制限買い入れすることをほのめかしておりまして、これは法的に何ら違法でないということを言われておりますが、食糧管理法のどの点をつかんでそう言われるか、これをはっきりお聞きいたします。
  35. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 制限買い入れというようなことが世上でいわれておるのでございますが、現行法の上で明確であることは、三条の政府売り渡し義務を持つ数量というものは、それは食糧管理法一条の趣旨からいって、国民食糧確保需給調整配給統制ということのために必要な数量の限度で行なわるべきものであり、したがって、義務数量の限度というのは、全量意味するものではないという点を私は申しておるのでございます。  ただ、制限買い入れということの意味の中に、それでは、義務買い上げ量以外は一切買わないのかという議論とは別問題でございまして、現行政令五条の五という根本的精神から申せば、全量政府へ売り渡す義務を伴うような形で買い入れるということと、農家政府に買ってくれといって申し出をしてくる、それにいかように対応するかということとは別問題であって、世上に伝えられております制限買い入れというようなことを軽々に、私はそれが是であるというようなことを言った覚えもありませんし、また、そういうことは言うべきではないというふうに思っておるのであります。
  36. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、農家が生産した米を政府に買ってくれという申し入れをした場合においては、これを買い入れるということでございますか。
  37. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私は、現行法律政令の上では、まさにそうなっておると解釈いたしております。
  38. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、新聞紙上においてあなたが発表いたしました自由販売とか、あるいは制限買い入れをするというようなことは取り消していただきたい。新聞にもちゃんと出ているわけです。申し入れしたものに対しましては、あくまでも全部政府はこれを買い上げるということに間違いないですね。
  39. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 現在の政令が現存する限り、仰せのとおりでございます。
  40. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、農家が買い入れを申し入れないものが市場に流れて、それが自由販売になるというような考えをお持ちでございますか。
  41. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 先ほどの兒玉委員の御質問にもお答えいたしましたように、私は、現段階で米の自由流通について何らの見解を持っておるわけではございません。  ただ、政府を通さないでは一切米を売ってはならないというのは政令五条の五の規定によるのでございますから、政令の書き方によって、農家政府へ買い入れを申し出てそのルートで販売するか、あるいは政令上許されたルートで政府へ売り渡さないで販売する道を開くか、そういうことは政令の書き方で、法律論としては可能であるということを言ったにすぎないのでございます。  ちなみに、私は、政令五条の五を全部廃止をすれば、米については三条の強制買い上げ数量以外は、いわゆる自由販売ができるのであるかという質問に対しては、それは現行食管法のもとではきわめて疑問である。断定的には、これは政府内部でもっと公定解釈を必要とするところであって、政令五条の五をかりに撤廃いたしましても、いわゆる政府買い入れ以外のものは、完全な意味での自由販売が許されるのであるかどうかはきわめて疑問である。その点は、従来から私の解釈としては留保いたしておる点でございます。
  42. 神田大作

    ○神田(大)委員 なかなかややっこしい答弁をしましたが、現在においては政府売り渡し政府はその買い上げた米を配給する、こういう基本線、これはくずれないのであって、政府に売り渡さない米を自由に売れるという法令はどこにも見当たらないと私は思うのです。これが食管法根幹だと思うのです。これがくずれれば、政府に売らないでかってに売れるという道を開けば、食糧管理法根幹はくずれるわけでございます。これはたいへんなことになると思うが、どうもそういうふうにして政府当局が完全な解釈の一致もしないで、そのような自由販売をできるかのような言動をするということは、農民並びに消費者に非常な不安を与えることであって、食糧庁長官ともあろう責任者がそのようなことを申すことは、これはたいへんな間違いであると私は思うのですが、長官どう思いますか。
  43. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私が、食糧管理の事務的責任者であることは十分意識をいたしております。食糧管理法解釈につきましては、その法律に基づいて運営すべき私が、私としての確固たる解釈を持つということは当然でありまして、したがって、その解釈質問をされれば答えるということも、また避けがたいことであろうと私は思うのでございます。  世上いろいろな伝わり方をいたしますのは、どうも私の責任だけというわけにもまいりませんで、本日出てまいりましたのも、法律上の解釈というものはこうである。ただ、そういうことが是であるか非であるかということは別の問題であるということを、私の解釈を申し上げますつど申し上げてきたのでございますが、なお、世間に誤解もあるようでございますから、当委員会において明らかにしたいという気持ちもあって、ただいまのようにお答えをいたしてまいっておるわけでございます。
  44. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、法律を忠実に守ってそれをやっていくというのがあなたたちの仕事じゃないですか。長官が自分に都合のいいように、あるいは世間の思惑といいますか、そういう圧力といいますか、あるいはまたそういう考え方に引きずられて、法律にちゃんと規定されているものを曲げて解釈をし、曲げた言明をするということは、あなたの権限を逸脱していると思うのですが、いかがですか。
  45. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 法律解釈としては、私は曲げて解釈しておるとは思っていないのでございまして、法律解釈論としての私の考え方は、曲がっておるとは思わないのであります。
  46. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたはまだわからない、疑問である、そういう考えを持っておって、それにもかかわらず、自由販売が可能であるかのごとく、制限買い入れ以外の米を自由に流しても差しつかえないようなことを言うことは、これは食糧管理法精神にもとることじゃないですか。食糧管理法というものを、あくまでも守っていくというのがあなたたちの仕事じゃないですか。どうですか。だから、あなたが間違っているなら間違っているでいいですよ。この委員会で私の言ったことは、少し言い過ぎた、これは食管法に違反するかもしれぬというととを言明すればいいのですよ。
  47. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 法律は、国会の御意思によって決定をされたものであることは私が申し上げるまでもない。ただ、法律上の解釈につきましては、立法をされますと一種の客観的存在になるということは常識でございまして、したがって、法律について客観的な解釈というものがなければならない。私の解釈について、それが客観的であるかどうかという批判は私はあり得るかと思いますけれども、私がただいま申し上げたようなことは、自分としては間違いがないというふうに確信をいたしておるのでございます。
  48. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはたいへんなことだと思う。それは学者やほかの人が解釈をするならいいですよ。しかし、あなたは食糧庁長官なんだ。食糧庁長官として、閣内におけるそういう解釈の統一もないうちに、あなたがいろいろ、自由販売や制限買い入れのようなことを申すことはけしからぬじゃないか、私はこう言っているのですよ。これは第三者がどんな解釈をしようと自由ですが、それをあなたが事務的責任者として、この国会がつくった法律について自分の私見をはさんだ解釈をして、それを言明するということは、食糧行政上はなはだたいへんな間違いではないか、こういうことなんだ。
  49. 足立篤郎

    足立委員長 食糧庁長官に議事の整理上申し上げますが、質疑応答を聞いておると、どうも食い違っておるように思うのです。食糧庁長官自由販売ができると言明なさったのかどうか、その点を明らかにしていただいて、いまの質問にお答えいただきたいと思います。
  50. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 それでは要約をして申し上げますと、現在の法律及び政令のもとでは、特別指定集荷業者以外の者については、食管特別会計を通じないで販売することはできない、いわゆる自由販売は認められないということは明確でございます。  そこで……。   〔「そこまででいいんだ」と呼ぶ者あり〕
  51. 神田大作

    ○神田(大)委員 長官がそれだけはっきりすれば、自由販売や制限買い入れはできないということでありますから、私はそれで了承します。長官は、よけいなことを言って世の中を惑わさないようにしてもらいたい。  次に、私はいま一点だけお尋ねします。米価審議会に諮問いたしました数字を見ますると、平均反収ということを大きく浮き彫りにし、いままでの限界反収から平均反収にするための数字を載せて、そして米価が当然引き上がらなくちゃならぬものを、約三%程度しか上がらないように数字でもってこれはつくっておりますが、この限界反収と平均反収について長官はいかなる考えを持っておるかお尋ねします。
  52. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 今回米価審議会に四十二年度米穀政府買い入れ価格決定するにあたって諮問をいたしまして、その諮問に付随をいたします政府試算として提出いたしましたものの中で、従来と方式が違いますのは、米生産費調査農家の調査によって求めました生産費をそれぞれ評価がえいたしまして、評価がえ平均生産費というものを出し、それを百五十キログラム当たりの生産費に引き直して米価をきめるという算定の過程において、昨年までは、平均反収から反収の分布表から算出いたしました十アール当たり収量の標準偏差を差し引きましたもので割っておるというやり方をやっておったのでございますが、この平均反収から一シグマを引くということは、必ずしも明確な理論的な根拠があるものとは思えないのでございますが、過去において米穀の生産の増大、それを刺激いたしますために、平均反収農家以下の反収農家にも、平均生産費を補償することによって刺激を与えるという、そういう配慮から設けられたというふうに、経過としては認められるわけでございます。  昨今の米穀需給事情は、先ほど申し上げましたような、米管理制度発足以来いまだかつてない大量の古米の持ち越しが予想されるというような状態のもとでは、当然といいますか、需給事情を反映した算定方式を用いる必要があるということについては、政府部内で一致した見解でございまして、従来からの生産費・所得補償方式というものを基本として算定をいたします場合に、可変的な部分は、分子になる限界反収農家をどこに置くかということ以外にはないわけでございます。そこで、単純な理論から申せば、分子のほうが、御案内のように平均評価がえ生産費でございますから、平均反収で割るということにいたしますと、生産農家全体としては平均評価がえ生産費を補償するということに相なるわけでございますが、しかしながら、そういうことは従来からの生産農家の立場からいたしますれば、非常に急激な衝撃、急激な変化を与えることになりますので、最小限限界反収というものを引き上げて需給事情を反映させるという方法をとったのでございます。そういう観点から、標準偏差一シグマに〇・九をかけたという算定方式を試算として提出したわけでございます。
  53. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 足立篤郎

    足立委員長 速記をとって。  神田君。
  55. 神田大作

    ○神田(大)委員 だから問題は、そうなると長官、これは反収の低い農家はもう米をつくるな、いわゆる貧農切り捨てといいますか、そういうことになっていくわけですよ。いわゆる、農家の人たちは百姓はやらなくてもいい、おまえらどこへでも行っていい、どこか工場へ行って働けというのと同じことなんです。それは、農林大臣が総合農政とかそういうことを何もやらぬで、米をつくらなくても差しつかえないような農政をやらぬで、あるいは米をつくってもやっていけるような肥料価格を下げるとか、あるいは農機具の価格を押えるとか、あるいは農薬の合理的な価格体系をつくるとか、そういういろいろな面における施策を施して、米作農家が平均反収でもやっていけるような施策をしてからこれはやるべきですよ。そういうことも何もやらぬで、一年の豊作でもって、おまえら今度損してもいいのだ、おまえら損してもいいから安く売れ、貧乏しても、食えなくなっても、死んでもかまわないのだ、こういうのとこれは同じじゃないですか。米が急にことしふえたからといってこういう計算をするという、そういう冷たい政治がありますか。冷たい農政がありますか。食糧庁長官としてどう考えますか。時間がないから私はそのことだけ聞いて終わります。
  56. 足立篤郎

    足立委員長 食糧庁長官、簡潔に答えてください。
  57. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私は、米価審議会に出しました試算の程度のことが、著しく農家の生産意欲を減退させるというふうには理解をいたしません。私は、農家経済に及ぼす急激なる変化、急激なる衝撃を避けるべきだという考え方を持ちつつ、需給事情を反映をさせるという考え方から、ああいう形で算定方式の中で表現をいたした、こういうことでございます。
  58. 足立篤郎

    足立委員長 斎藤実君。
  59. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 食糧庁長官にお尋ねします。説明はけっこうですから、ひとつ簡単に明確に御答弁をお願いします。  御承知のように、今年度から政府総合予算制度を採用して、生産者米価が上がれば消費者米価が上がるというスライド制をとりました。それで、このことは食管制度本来の考え方から全くはずれているというふうに私どもは判断をしております。農民の生活を一方では守りながら、消費者にも安い食糧を提供するという食管制度本来の基本原則がなくなってしまっている。私は、こういう政府の態度は食管制度違反であるというふうに考えているわけですが、食糧庁長官、率直にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  60. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 総合予算主義というものを私どもが念頭に置いて食糧管理運営をせざるを得ないということは、先ほど申し上げたので省略をいたします。  そのことが私どもの念頭に置くべきことであると同時に、御指摘のように、生産者米価については再生産の確保を旨とするという趣旨で生産者米価をきめるべきであり、また消費者米価については、家計の安定を旨として定めるべきであるということでございますから、少なくとも従来の考え方を踏襲いたしますれば、消費者米価については、家計米価を越えて引き上げるということは許されない。したがって、たとえ総合予算主義ということでありましても、家計米価の限度を越えて消費者米価を上げるというようなことは、私どもはできないことであるというふうに考えております。
  61. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 長官、西村農林大臣が二十三日の閣議後の記者会見で、消費者米価の値上げは十月一日からになるであろうというふうに発言をしておりますが、この消費者米価の値上げは、生産者米価の引き上げ幅とからめてきめていくのかどうかをお尋ねしたい。
  62. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 消費者米価改定の時期をいつにするかは、まだ確定をいたしておるわけではございませんが、農林大臣からは、今後の私どもの事務作業のめどとして、十月一日改定ということあり得べしということで作業の準備を取り進めろということを言われております。その際、いかなる改定を行なうかということは、現在まだきまっていないのでございまして、申し上げにくいのでございますが、少なくとも生産者米価が上がれば消費者米価を上げざるを得ない。また、農林省としては、末端における逆ざやはぜひとも解消するという方向で考えてまいりたいというふうに思っております。
  63. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 国民の率直な気持ちとしては、三年連続消費者米価が上がりましたので、これ以上消費者米価を上げてもらったのではこれはもうたいへんだ、諸物価値上がりもするし、実際家計の中でもこれはたいへん困る問題だ、この辺が限界だというのです。これはどなたに聞いても、もう上げてもらっては困るというのが国民の声です。西村農林大臣はここにいらっしゃいませんが、私は、消費者米価をこの十月一日から上げるというこの西村発言は、非常に重大なる発言だと思う。先ほど長官もおっしゃったように、家庭生活の安定ということが消費者米価基準になるという話がありましたが、私は、この西村発言あるいは政府考え方というものは承服できない。先ほど私が質問したのに対して、まあ何%になるかわからぬというのですけれども、大体のめどはどうですか。
  64. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 消費者米価改定をいたしますについては、いま申し上げましたように、まず限度として、家計米価の上昇率を越えるわけにはまいらないということが一つのワクでございます。そのほか具体的に決定をいたしますについては、生産者米価との関係、特に私どもとしては末端逆ざや解消して両米価正常化をはかりたいという一つの課題を背負っておりますので、それらの関係を詰めてみませんと、この消費者米価改定のめどはつかないのでございまして、現段階で軽々に申し上げますと、世上を惑わすことにも相なると思いますので、この点はお許しをいただきたいと思います。
  65. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 消費者米価の問題ですが、実際に消費者米価が引き上げられるということは、他の食料品並びに物価の上昇に拍車をかけるということが、これはもうはっきりしております。この秋にはまた一斉に諸物価が上がるでしょう。で、いま佐藤さんはおりませんからあれですけれども、物価抑制は佐藤内閣の表看板の一つです。米の所管は食糧庁長官ですから、諸物価に大きな影響を与える消費者米価の値上げについては、もう一ぺんひとつ検討すべきじゃないかというふうに考えるのですが、再度御答弁いただきたい。
  66. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 消費者米価改定を行なうにあたりましては、物価の動向、あるいは生産者米価との関連、あるいはまた財政との関連、いろいろな配慮をすべきであると思いますが、特に、御指摘のような物価の動向等につきましては、やはり念頭に置くべき点であろうというふうに思いますので、私どもこれからの検討にあたりましては、御指摘の点も十分考えるようにつとめたいと思いますが、食糧管理特別会計のいろいろな条件のもとで私どもは判断してまいらざるを得ないわけでございまして 改定の問題について、基本的にどうするかというようなことは、私、食糧庁長官といえども軽々に判断のできない点でございますので、仰せの御趣旨はよく体してまいりたいというふうに思います。
  67. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 長官うまく逃げましたが、それでは、食糧庁長官が二十四日の米価審議会の席上で、ことしの秋からは消費者には七〇%は古米を食べてもらうつもりである、こういう発言をして、そのあとに、特に東京、大阪などの大都市の配給米には八〇%古米をまぜる方針である、こういうふうに米審の委員質問に答えたということをわれわれは聞いておるのです。これは重大な問題でありますので、その辺どういう意図でそういうふうにおっしゃったのか、見解を伺いたいと思います。
  68. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 先ほど来申し上げましたように、本米穀年度末、十月末には二百六十五万精米トンの古米を持って新年度を迎えるわけでございます。玄米にいたしまして約三百万トンということになるわけでございますが、これは、全国民食糧配給量の五カ月分に相当いたすわけでございまして、この量は、私ども食糧管理特別会計運用の責任を持つものとしては、国民食糧として有効に活用していくということを真剣に考えざるを得ない。そういうことに相なりますと、来年のつゆどきを越しますと著しい質的変化が考えられるということでございますので、せめて来年の六月差でには、この古米の配給を完了いたしたいという強い希望を持っておるわけでございます。  そういうたてまえに立ちますと、五カ月分ということを六月差でにやるということになりますから、当然全国平均で七〇%は古米で供給するということに相なるわけでございます。その際、出荷その他の関係との調整上、米生産地におきましては、低いところで三・五カ月分、多いところは四・五カ月分程度の古米を消費していただくということに相なりますので、その自余のものは消費地において配給せざるを得ないということになりますと、十一月から三月の間は、古米の払い下げ比率は八〇%を継続せざるを得ない。四、五、六の三カ月は六〇%の古米払い下げ率でもって処理をするということに相なりますので、これははなはだ困難な配給操作と思いますが、私どもとしては、その目標で配給計画を立てていきたいということを説明したわけでございます。
  69. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 特に東京、大阪などの大都市の配給米にはと、こういう発言をされておるのですが、これは農村もあるいは中小都市も全部含めてという意味なんですか、どうですか。
  70. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 生産地におきましては、次の四十三年度米穀買い入れ量等の受け入れの体制もございますから、全国平均に古米の払い下げ比率をひとしくするということは不可能でございます。でございますので、消費地におきましてはどうしても古米の払い下げ比率というのは高くなる。いま申し上げましたのは、東京、大阪その他の消費地においては、大体三月までは八割の古米を食べていただく、四、五、六の三カ月は六割の古米を食べていただくということにいたしまして、初めてつゆを越さずに済むという計算であるということで申し上げたわけでございます。
  71. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  72. 足立篤郎

    足立委員長 速記を始めて。  石田宥全君
  73. 石田宥全

    石田(宥)委員 いよいよ四十三年産米価の決定の時期が迫ってまいりましたが、参議院選挙中、自民党の総裁である総理大臣が、至るところで食管堅持の姿勢を示しておられたわけであります。しかるに、米価審議会並びに当委員会を通じて、食管制度の危機を感ぜしめるような発言が重ねて行なわれたわけであります。よって、本日は総理大臣の出席を求めまして、総理大臣の真意を明らかにいたしたいと考えたわけでありますが、総理大臣が出席できないという理由は納得いたしがたいのでありまして、この点の事情を御説明願いたいと思います。
  74. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 総理大臣が出席できないのは、はなはだ申しわけないと思っております。すでに当委員会理事会で御了承を得たかどうか私わかりませんが、その日程については、もうすでに国際行事その他で時間が一ぱいであるということでございます。
  75. 石田宥全

    石田(宥)委員 私ども社会党といたしましては、去る七月十八日に食管制度に関する質問状を佐藤総理あてに、木村官房長官に文書を手交したわけであります。特に、あまり時間を制約することはどうかと考えまして、七月二十日までには回答をせられるように要請をいたしたのでありますが、今日までその回答をいただいておりません。そこで官房長官、手元にありますればよろしいと思いますけれども、しかし、ほかの委員との関係もございますから、きわめて簡単でありますので、質問状を朗読いたします。    食管制度に関する質問状   参議院選挙を通じて、自民党の福田幹事長は、食管制度の堅持を公約し、佐藤首相も食管改廃の論議は尚早であるといってきたが、選挙が終ると直ちに態度を一変させ、大蔵省は米の買入制限と自由米構想を唱え、農林大臣食管制度検討の方針を明らかにした。   これは公党として許せない公約違反であり、国民の政治不信をひき起す行為であるといわざるをえない。   わが党は、食管問題が日本農業と国民生活にとって、きわめて重要な問題であることにかんがみ、次の諸点につき、政府の責任ある態度を明らかにするよう質問し、回答を求めるもので  ある。  質問一 政府は、参議院選挙中に食管制度根幹を堅持すると公約したが、この公約を今後何年間守るか。この公約を変えるときは総選挙で国民に信を問うか。   食管制度根幹とは、生産者米価は再生産確保を旨として定め、消費者米価は家計安定を旨として別個に定めるという二重価格制にある。この根幹をくずすようなスライド制や同時決定を行なわないと約束するか。  質問二 政府は、米の買入制限を検討しようとしているが、これは明らかに現行食糧管理法違反ではないか。見解を明らかにせよ。  質問三 政府は、古米在庫量の増加を誇大に宣伝しているが、昨年の豊作は自然条件に恵まれた一時的なものであり、万一、災害や凶作にあえば逆に不足のおそれもある。災害等にそなえた非常備蓄が必要と考えるが、政府は非常備蓄の必要量はどの程度が適正と考えているか。  質問四 政府は本年度の外米輸入量をどの程度予定しているか。  質問五 政府部内には、米の生産者価格算定について、平均生産費方式をとるとか、一定量以上には価格差をつけて安くするとか、極力価格を抑制しようとする動きが強いが、これは米作農家の重労働にたいする労働報酬を切り下げ、農民をますます不安定な出稼ぎや日雇い兼業に追いやることになると思うがどうか。  質問六 米の再生産を確保し、国民に主食を安定して供給するための食管会計への財政支出は、社会政策費としても重要な役割をはたしている。これを確保するため、防衛費や海外経済協力費などの削減、大企業に対する租税特別措置による減税の廃止などを行なうべきであると考えるがどうか。  質問七 畜産、果樹、野菜等の生産を高めるためには、食管制度を堅持しつつ、米以外のこれらの主要農畜産物にも、米に準じた価格支持制度を確立し、あわせて土地改良事業の促進等が必要である。政府は逆に、食管制度まで崩そうとしているが、これは米以外の農産物の生産減退の道を米にも歩ませ、日本農業を衰退させるものである。政府食管制度を堅持するとともに、さらにこれを米以外の主要農畜産物にまで拡大させていこうとする考えはないか。    昭和四十三年七月十八日                日本社会党    内閣総理大臣      佐藤栄作殿 以上であります。  これに対して御答弁をいただきたいと思いますが、さきに申し上げましたように、文書をもって七月二十日までという期限を切って御質問を申し上げたにもかかわらず、いまだ回答が出されておりませんが、この席上でこれを明らかにしていただけますかどうですか。
  76. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 ただいまお読みになりました公開質問状、確かにいただきました。その節お話し申し上げたことでもございますが、現在この食管制度に関するいろいろな論議が行なわれておりますが、最終的な政府の意見なり見解というものは、当然閣議決定をもってきめるものでございますので、それに至るまでの各種マスコミ等を通じて出る議論は、一切政府としての最終決定ではない、こういうことで御了承願いたいと思います。  また、公開質問状に対する御返事でございますが、当然、連日のごとく農林水産委員会をお開きになっておりまして、この問題に関する論議が政府当局との間にかわされております。したがって、国権の最高機関である当委員会で論議されている、その以前において政府が御回答申し上げることもどうかという気持ちもございまして、しばらく余裕をかしていただいた上で、もしそれでも必要となれば、書類をもって御回答申し上げるということを考慮中でございます。
  77. 石田宥全

    石田(宥)委員 いよいよ今晩中にも生産者米価はきめられようとしておるわけです。米審はすでに答申をいたしたわけであります。この時点において回答が出されないということは許しがたいことでありまして、私どもはここで明らかにしていただかなければならないと考えるのであります。総理大臣が、先刻御答弁のように、どうしても都合がつかないということでありまするならば、やはり生産者米価の最終決定の前に農林大臣の出席を求めて、農林大臣木村官房長官との間で意思統一をはかって、ここで回答を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  78. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 農林大臣の都合は聞いておりませんが、御承知のように、答申が出まして政府決定に至るまでのこの期間は、非常に多忙であると思います。しかしながら、国権の最高機関である当委員会において御質問があれば、当然これはお答えをしなければならぬので、農林大臣とよく相談して、御趣旨に沿いたいと思います。
  79. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは政府部内のことでありますから、木村官房長官の名において農林大臣の出席をお求めを願わなければならないと思うのであります。なぜならば、総理大臣に対する質問状に回答が出されておらないわけでありますから、そして木村官房長官だけでは回答ができないということであるならば、やはり農林大臣と意思統一をはかられてこの場で御回答を願いませんと、もうすでに着々と準備が進んでおりまして、夕方までには生産者米価決定を見ようというこの段階でありまするだけに、私どもはここで便々と何日も回答を待つというわけにはいかない性質の問題であるということを御承知の上で、農林大臣の出席は、きょう官房長官の名においてできるようひとつ要請いたします。
  80. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 よく農林大臣の都合を聞きましてお返事いたしたいと思います。
  81. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは委員長に申し上げますが、農林大臣の都合はよくおわかりにならないということでありますが、これはやはり木村官房長官のほうから直ちにお手配を願ってもらわなければならぬと思うわけです。そういうことで、早急にひとつお手配を願います。
  82. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  83. 足立篤郎

    足立委員長 では速記をとって。  斎藤実君。
  84. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 では官房長官にお尋ねします。  佐藤総理が選挙期間中に、秋田あるいは宇都宮等で、食管制度そのものは農政の基本方針であるばかりでなく、日本経済全体に影響があるので、制度の根本は守るのだ、こういう発言を随所でやっておるわけですね。私どもは佐藤総理の、食管制度が日本経済全体に影響があるということを認めて、そして根本を守るのだというこの発言について、非常に疑問に思っておる。実際は、これは食管制度を踏みにじる行為を政府はやっているのではないか。  さらに、もう一点お尋ねをしたいことは、経済企画庁の宮澤長官、あるいは水田大蔵大臣等が、米価の抑制、食管法の改正をずいぶん主張し、発言をしておるわけです。こういうことで、内閣の統一見解が非常にばらばらであるというふうにわれわれは判断をしているのですが、この点、官房長官どうお考えですか。
  85. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 総理が参議院の選挙中に発言いたしましたが、その当時における総理の考え、現在における総理の考え方には、毛頭差異はございません。  先ほどおっしゃいました食管制度根幹というものは、当然、政府が米を管理いたしまして、生産者の再生産を確保すると同時に消費者家計を守る、そのための基本的な管理のあり方ということを意味しておるものと思います。その間におきまして、あるいは財政当局または経済企画庁長官から、いろいろマスコミを通じて意見が出ておるのは、私どもも知っておりますが、これはやはり財政的な考え方、あるいは物価の点からの考え方、いろいろあると思います。  しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、政府としてのこの問題に関する最終的な決定は、ただいま、いろいろ国会審議を通じまして皆さまの御意見も拝聴し、また答申も出ております。また政党政治でございますから、党側とも十分連絡した上で、最終的に閣議でもって決定する、それが政府考え方だ、こう御了承願いたいと思います。
  86. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 食管制度は、いまさら私が申し上げるまでもなく、農民の所得を補償し、消費者に対しては安い食糧確保するというのが食管制度の基本方針であります。ですけれども政府が今回とってきた政策は、やはり食管制度に対してはこれはくずす考え方である。総合予算制度で、生産者米価が上がればそれがスライドして消費者米価に影響してくるというような、これは非常に納得できない考え方である。この制度を改めるべきではないかというふうにわれわれは考えるのですが、官房長官どうですか。
  87. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 政府といたしましては、財政的な見地と申しますか、財政上の必要から総合予算主義をとって今年度予算を編成しました。しかしながら、総合予算主義といいましても、これは財政法上の一つの方式でありますから、したがって、国家経済上あるいはまた国民生活上、それ以上の重要な課題が出ましたときにも、これを堅持して絶対貫かなければならぬという筋合いのものではないと思います。  しかしながら、この財政上の見地からとりました総合予算主義は、現在の昭和四十三年度予算におきましては、あくまで、よほどの事情でない限りこれを絶対貫くという方針は、いまもなお堅持しております。したがいまして、かりに今年度におきまして大災害が不幸にも発生いたしまして、これが現在考えております予備費の額でまかない切れない場合に、しかもなお総合予算主義を堅持すべきかどうかということは、これは当然国民の常識上判断できるものであります。そういう意味におきまして御了承願いたいと思います。
  88. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、官房長官のいまの答弁納得できませんが、また後日あらためて質疑したいと思います。
  89. 足立篤郎

  90. 石田宥全

    石田(宥)委員 先ほどの官房長官の答弁では、閣議を開かなければ回答は出せない、こういうお話でしたけれども、いま斎藤委員質問に対してはちゃんと答弁をしていらっしゃるのですよ。そういう意味においてなら、私、要点だけを御質問を申し上げますから、それにひとつ答弁をしていただきたい。  第一、食管制度の問題でありますが、これは第一条、第三条、第四条というものが柱になるわけです。それで問題は、生産者価格消費者価格は全然別建てであるということ、これが中心ですけれども、何と申しましても、やはり保有米を除く全量政府が買い上げるということが、より重要な問題でなければならないわけです。  長官御記憶だと思いますけれども、終戦後には一体どういう事態が起こっておったか。いまと同じ食管法、いわゆる食糧管理法というものが柱になって、政省令でこれを包んで、これが食管制度でしょう。そうしてその中では、農民自家保有米以外はすべて政府に売り渡さなければならないという規定が入っておるわけです。ところが、食糧庁長官法律解釈というものの中でも、これは農民義務規定であって権利規定ではない、こう言っておる。そうすると、終戦直後ずっと長い間に、政府以外に売ったために、いわゆるやみ売買をしたと称して処罰をされた者が数多くあるわけですよ。いわゆるピストル供出といって、ピストルを突きつけて進駐軍がやってきて供出をさしておったのはこの条項に基づくものです。今度政府が、自由に販売しても法律違反でないというような見解を明らかにしたということは、この食管制度自体を崩壊さ、せようとする意図のもとに行なわれておる以外に考えることはできないのです。まずこの点について長官見解を伺いたい。
  91. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 どうも私、専門家でございませんので、御満足のいく御返事ができないと思いますが、先ほどおっしゃいましたように、食管法第三条第一項の規定は、政府に対する売り渡し義務規定しておるものである。したがって、厳格な法律解釈から申しますと、必ずしも無制限買い上げを要求しておるものではない。これは法制局もそういう統一解釈をしております。  しかしながら、従来食管制度は、二十数年来経てきたものでございますから、その従来の運用のいろいろないきさつもございましょうし、また、生産者が当然これによって受けている利益、また今後の期待利益もございましょう。そういうことを考えますと、政府といたしましては、いかように米の管理について、運用について改善を加える場合におきましても、生産者米穀の再生産の確保をはかり得るような仕組みというものは、あくまで用意することが条件である、このように考えております。
  92. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと石田委員に申し上げますが、御承知のとおり、官房長官は非常に無理をして時間をさいて御出席をいただいておりますので、だいぶ時間も超過しておりますから、ひとつなるべく簡潔にお願いいたします。
  93. 石田宥全

    石田(宥)委員 いよいよ官房長官の答弁で明らかになりましたことは、政府全量買い上げをしなくともよろしいということです。これは、先ほどは食糧庁長官としての見解を承り、二十日の日には農林大臣としての見解も承ったのです。きょうは官房長官としての見解を承り、同時にそれは法制局の見解であるということが明らかになりました。こうなりますと、これは三条、四条どころの問題ではございません。必要がなければもう買い上げをしない、こういう措置がとれるという見解が明らかになったというふうに理解してよろしいわけですね。
  94. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 先ほど申し上げましたのは、法律解釈を申し上げた。したがいまして、この問題についての政府方針法律解釈とは、また別の見地から考えなければならぬ、こう考えております。
  95. 石田宥全

    石田(宥)委員 その点は、たとえば国会運営にいたしましても、法律法律、慣行は慣行というものがございまして、そう簡単に法律解釈どおりにいけるとは考えられません。しかしながら、いま答弁のあったような法解釈というものが明らかになった以上は、これは米作農民に対しては青天のへきれきともいうべき問題でございます。これは全く夢想だにしなかった見解でございますので、私どもはそのつもりでこれに対処したいと考えるのであります。  そこで、一体必要以外のものは買い上げをしないという法律的な見解が明らかになったとするならば、本米穀年度末には古米が二百六十五万トン余る、持ち越しになる、こういうことなのでありますが、この二百六十五万トンというものがなぜ余るようになったかというと、これは政府食管法をなしくずしに崩壊させようとする意図のもとにこうした持ち越し米をつくったのではないか、  こう考えられるのでありますが、そういう意図のもとに行なわれたのかどうか。端的に申しますと、昭和三十九年から昨年四十二年までに外米の輸入量が、ちょうどこれに見合うところの二百六十五万トンになるわけです。もしこの輸入をしなかったとすれば、古米の持ち越し量というものは  一粒もなくなったわけです。そうすれば買い入れ制限をする必要はなかったはずなんで、これは計画的に食管制度をくずそうとする意図のもとに輸入をされたと断ぜざるを得ないわけです。そういう意図はなかったかどうか。
  96. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 そういう意図は毛頭ございません。
  97. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういう意図は政府になかったとおっしゃるけれども、事実は明らかに、完全に輸入した米だけが持ち越し量になるということであります。  それから、あわせて伺いたいのでありますが、いよいよきょうじゅうにも閣議決定をなさる米価の問題でありますが、去年の農民の米の生産費は二五・五%上がっているわけですね。それから、生産者米価の中に含む労働賃金は、六五%ないし六七%占めているわけです。その労働賃金は一三・六%上がっておると労働省の統計では示しておるわけです。労働賃金が一三・六%も上昇しており、また生産費が二五・五%上がっておるという時点で、本年度生産者米価というものは諮問案では三%の値上げと、こうおっしゃるのですが、これを勘案しますと、米作農業はつぶしてしまうという政府の意図があるのではないか。これはきわめて簡単な数字上の問題でありますが、日本の米作農業というものを徹底作戦でつぶしてしまうという意図があるのではないかと疑わざるを得ないわけですが、どうでしょうか。
  98. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 詳しい内容の問題については私はわかりませんが、しかし、米作農家をつぶしてしまおうというような御発言は、私どもにとってまことにけしからぬ発言であると思います。
  99. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  100. 足立篤郎

    足立委員長 速記を始めて。
  101. 石田宥全

    石田(宥)委員 たいへんお忙しいそうでありますから、それでは、米審並びに当委員会においてほぼ政府考えておることはもう明らかになっておるのでありますが、若干部分まだ不明瞭な点があります。これらについて、これから専門家に作業をさせれば簡単でありますから、きょう何時までに御回答がいただけるか、これを明らかにすれば私は質問をこれでやめてよろしいと思うのでありますが、時間をひとつ切っていただきたいと思います。
  102. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 御質問書に対する回答の件でございますが、先ほど申し上げましたとおり、もうすでにこうして国会審議の場に移されておりますし、政府として文書でもって回答することは差し控えたい、こう考えております。
  103. 石田宥全

    石田(宥)委員 さっきは、それは閣議の了解を得なければ云々という答弁があったわけですが、私は必ずし——これは専門のことでありますから、農林省食糧庁部内で作成ができると私は思いまするし、また、これは先ほど申しましたように、もう論議の中でほぼ明らかになっておるのです。ですから、それを文書にして、時間を切ってひとつ回答を出していただきたい。文書はできないということならば、ではだれを窓口にはっきりした回答を出させますか。
  104. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、政府の最終的な見解というものは閣議をもって決定いたしますので、閣議決定の暁において、文書をもって御回答申し上げることは考慮いたしたいと思います。
  105. 石田宥全

    石田(宥)委員 文書をもってとおっしゃるけれども、ものによっては閣議の了解を得ないで回答しておる場合もあるのです。特に私は、いま念入りにこっちのほうから皆さんのお手数を省いて、農林省食糧庁とでまとめられてもいいのではないか、そして閣議の了解は、別にわざわざ閣僚が全員そろわなくとも、米価決定などというものには持ち回り閣議という手段もあるわけで、あるいはまた電話連絡ということもないわけではございませんので、やる気があればやれる、こう思うのですよ。でなければ、総理大臣にこれからひとつ会見のあっせんをしていただいて、総理大臣じきじきにわれわれは回答を承らなければならない事態になると思うのです。私のほうはそういう点を考えて、長官の立場も考えながらいろいろと質問をしておるわけですが、そうかたくなな答弁でありますと、なかなかこれは終止符を打つわけにはまいりませんよ。ですからその点を、われわれここで終止符を打てるようにはっきりした態度を示していただきたいと思います。
  106. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 政府部内でよく相談させていただきます。
  107. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは片づかないのですよ。文書でなくてもいいから、じゃだれが窓口になって回答なさるか、あるいは文書ならば何時までにその回答をするか、それの約束がつかなければ、ここで話の終止符を打つわけにいかないじゃないですか、当委員会としては。だから、あなたの立場をも大いにこっちで考えていろいろと質問を申し上げておるのですから、私がここで、はい、よろしゅうございますと言うことのできる答弁ができそうなものだと思うのですが、どうですか。
  108. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、政府部内で相談をしたいと思います。
  109. 石田宥全

    石田(宥)委員 政府部内で相談をされて、その回答は何時までにいただけますか。
  110. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、農林大臣もこの問題で非常に時間もございませんので、何時までということはここでお約束いたしかねますが、なるべく早くそうしたいと思います。
  111. 足立篤郎

    足立委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  112. 足立篤郎

    足立委員長 速記を始めて。  木村官房長官
  113. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 文書で回答することについては、なお政府部内で相談をいたしたいと思いますが、それも含めまして、今日中に委員長の手元まで私からの御返事をいたしたいと思います。
  114. 足立篤郎

    足立委員長 暫時休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕