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1968-03-27 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十七日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 草野一郎平君    理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君       小沢佐重喜君    小澤 太郎君       小山 長規君    佐々木秀世君       佐藤洋之助君    齋藤 邦吉君       白浜 仁吉君    田澤 吉郎君       田中 正巳君    中村 寅太君       中山 榮一君    橋口  隆君       本名  武君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    粟山  秀君       赤路 友藏君    伊賀 定盛君       工藤 良平君    兒玉 末男君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       西宮  弘君    芳賀  貢君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    斎藤  実君       樋上 新一君  出席政府委員         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農政局長 森本  修君  委員外出席者         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         農林省農林経済         局金融課長   松本 作衛君         農林省農政局拓         植開発課長   平   弘君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         農林省園芸局総         務課長     山下 一郎君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月二十七日  委員長谷川四郎君及び伊賀定盛辞任につき、  その補欠として橋口隆君及び芳賀貢君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員橋口隆君及び芳賀貢辞任につき、その補  欠として長谷川四郎君及び伊賀定盛君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十六日  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(江田  三郎君紹介)(第三一二五号)  同(浅井美幸紹介)(第三一二六号)  同(有島重武君紹介)(第三一二七号)  同(伊藤惣助丸君紹介)(第三一二八号)  同(石田幸四郎紹介)(第三一二九号)  同(小川新一郎紹介)(第三一三〇号)  同(大野潔紹介)(第三一三一号)  同(大橋敏雄紹介)(第三一三二号)  同(近江巳記夫紹介)(第三一三三号)  同(岡本富夫紹介)(第三一三四号)  同(沖本泰幸紹介)(第三一三五号)  同(北側義一紹介)(第三一三六号)  同(小濱新次紹介)(第三一三七号)  同(斎藤実紹介)(第三一三八号)  同(鈴切康雄紹介)(第三一三九号)  同(田中昭二紹介)(第三一四〇号)  同(中野明紹介)(第三一四一号)  同(樋上新一紹介)(第三一四二号)  同(広沢直樹紹介)(第三一四三号)  同(伏木和雄紹介)(第三一四四号)  同(正木良明紹介)(第三一四五号)  同(松本忠助紹介)(第三一四六号)  同(山田太郎紹介)(第三一四七号)  同(渡部一郎紹介)(第三一四八号)  同(神近市子紹介)(第三一六三号)  同(大原亨紹介)(第三二〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の  一部を改正する法律案内閣提出第七九号)  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第八〇号)  南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案(内  閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農財政資金融通臨時措置法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 農政局長に、特に今回の北海道並び南九州畑作営農関連するこの法案についてお伺いしたいのでありますけれども、御承知のとおりわが国の畑作というのは、単に北海道あるいは南九州という限定された地域のみならず、全体的に技術水準が低いということや、あるいは価格流通条件というのが非常に不利である、また経営規模の零細という共通問題点があろうと私は思うのですが、北海道の場合は、すでに昭和三十四年からこれに関連するいろんな問題が提起されておるわけですけれども、今回、特に南九州関係が、こういう全国共通の問題の中から特別にこの措置が出されるに至った背景といいますか、特に強調さるべき特殊事情といいますか、これはどういう点に一般との相違性というものがあるのか、この点、まず明らかにしていただきたいと思います。
  4. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、全国的に見ましても、畑作農業が問題が多いということは一般的にいわれておるところでございますが、北海道は従来やっておりますが、今回、南九州についてこういうふうな対策をとるということにいたしましたのは、昨日も申し上げましたけれども畑作地帯の中でも南九州は、土地条件あるいは気象条件が特別に悪い状態でございます。それからまた、畑地生産性あるいは農業所得というふうなことを見ましても、全国的に最低位にあるといったような条件実態的に、そういったような畑作地帯の中でも特に対策を要する地帯であるというふうなこともございます。また、経緯といたしましては、四十一年のマル寒法改正の際に、国会のほうの附帯決議にも、北海道それから南九州ということが特定をされて名前があがっております。またそういうことを反映いたしまして、従来からも南九州につきましては、防災営農というふうな形で若干の対策をとってきたというふうな実態面から、あるいはいままでの国会附帯決議等、またとってまいりました対策経緯というふうな面から考えまして、南九州について特に対策を講ずることにした次第でございます。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 この南九州農業につきましては、いま局長お答えの中の一環にありましたが、すでに昭和三十五年に宮崎、鹿児島県の両知事から農林省に対しまして、南九州防災営農に関する具体的な対策を特に要望してまいったわけですが、今回の立法措置に至るまで、私は非常に期間が長過ぎた感がするわけであります。もちろん、これは受け入れる側の立体的な条件等もあったかと思うのですけれども、こういうふうな作業が、今回まで非常に間が延び過ぎた感がするわけでございますが、その辺の背景はどういうところに原因があるのか。  それと同時に、資料によりまして、南九州防災営農改善対策要綱に基づく融資事業実績等を見ましても、きわめて進行の度合いがおそいし、三十六年度から四十一年度までの融費事業実績におきましても、両県でわずかに六億五千万そこそこという非常に停滞した状況になっておりますが、この背景というものは一体何に基因をしておるのか、その辺の経過についてお聞かせいただきたいと思います。
  6. 森本修

    森本政府委員 そういった特定地域対象にいたします対策でございますが、何ぶんにもそういった地域営農なりあるいは自然条件といったようなことについての調査をしなければならぬというようなことがございまして、私のほうでもできるだけ早く調査をし、対策を立てたいということでやってまいりましたけれども、県それから私どものほうの共同の調査、それからその後の対策についての検討、各省間の折衝といったような関係がございまして、一定の日時を要したという点は御了承をいただきたいと思います。  それから、従来やってまいりました防災営農対策でございますが、これは三十六年に始まりました。当時はこういった融資事業、それから補助事業といったようなことが組み合わさって行なわれているというふうなことでございましたが、途中から構造改善事業が実施されるというようなことに伴いまして、若干対策内容に改変がございました。そういうふうないろんな経緯をたどって今日まで来ております。  先ほど融資関係のことについて、実績並びにその動向はどうかというお話で、数字等についてはすでに御案内のとおりでございますが、何ぶんにも融資対象事業というのが、主務大臣指定施設のみであるというようなこともございまして、単にこの融資額だけで推定ができないといった面もございます。そのほかいろんな公庫資金等南九州にはいっておる、あるいは構造改善事業各種補助事業も行なわれておるというふうな関係がございます。これだけで南九州に対する対策を推定するというわけにはまいりませんが、資金内容としては、ただいま申し上げたようなことになっております。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 私が特にお尋ねしたいのは、三十五年にこういうような防災営農に関する運動が展開され、さらにまた三十六年八月に南九州防災営農改善対策要綱が決定されて、こういう振興策がとられたにもかかわらず、結局、それから五年後の昭和四十一年の、いわゆる北海道マル寒法改正の際、特に南九州畑作農業に対しても北海道と同様の、いわゆる抜本的振興対策を樹立すべきだ、こういう附帯決議をやって、今回のような積極的な改善融資対策がとられた。この間、私は農林省の取り組みというのが、ある程度消極的ではなかったかと思う。もちろん、四十一年のマル寒法改正の際の附帯決議に、私は非常に積極的に取り組んでいただいていることは十分了知できるわけでありますが、この辺は一体どういうことに基因しているのか、その点お聞かせをいただきたい。
  8. 森本修

    森本政府委員 先ほど来申し上げましたように、三十六年にこういった防災営農改善対策要綱をつくりまして、その後鋭意貸し付け事業あるいは補助事業等についてやってまいりました。こういう対策をやりまして、その後の対策をどうするかというふうなことになりますと、やはり三十六年にやりました対策一定期間継続をいたしまして、その状況を待って検討するということが普通の手順になるかと思います。そういうこともございますし、また四十一年の附帯決議といったようなこともございまして、私どもとしては、特に北海道南九州対策の部屋を設けまして、鋭意調査をして今日に至った、こういう経緯でございます。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 経過の責任をどうこうということはさておきまして、むしろ私たちは、非常にこれはおそきに失したという感を深くするわけでございますが、それでは、一応具体的な内容についてお伺いしたいと存じます。  御承知のとおり、いま申し上げましたような点につきまして、現在、いわゆる特殊農地保全整備事業というのが土地改良事業一環として行なわれようとしておりまして、南九州の場合は、大体二地区計画されておるようでございますが、これとの関連と申しますか、今回のこの臨時措置法というものと私は密接な関係にあろうかと思うのでございますけれども、その辺の見解をまずお伺いしたいと存じます。
  10. 佐々木四郎

    佐々木説明員 特殊農地保全と称しまして、来年度から新たに発足させようとしております仕事は、南九州地域に限りましてやっていく予定にしておりますが、一方では、御審議願っておりますこの法律趣旨に沿いまして、そういう制度、そういう新しい方式をスタートさせようとしておるわけでございますが、この方式というのは、御承知と思いますけれども、現在土地改良事業でやっております各種事業を組み合わせまして、あわせて一本にしてやっていく方式でございまして、特に新しい事業を組み入れておるわけではないわけであります。そういう仕事内容からいたしまして、別途予算措置等でこういう仕事を進めることが可能であるということを、われわれ検討してきめましたので、そういう方式で進めていくことが可能であるならば、土地改良法という法律でその仕事はやっていけるわけでございますので、今度のこの南九州地域の特別な振興のための法律の中に組み入れなくてもやっていける、こういう考えで始めるわけでございます。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 今回の特別融資措置というのは、現在までの非常な低位生産性を脱却して、高収益性の、いわゆる限定した農畜産物を導入して、そうして収益度を高めようということにあるわけですが、これは特に土地基盤整備土地改良密接不可分関係にあろうかと思うのでありまして、十地改良と今回の営農改善対策というのがばらばらの状態では、その実効を期待するということが非常に困難ではないか。同時にまた土地保全整備事業等は、やはりこのような今回の営農改善計画とは密接な関連があり、しかも長期、継続的な改良事業というものがなされなければ、全体的な成果をあげることはできないと思うのですが、その辺の関連について、特に農政局長の御見解を、参事官の御見解とあわせてお聞きしたいと思います。
  12. 森本修

    森本政府委員 お説のとおりでございまして、土地改良事業とその上に営まれる営農改善計画なりあるいは努力が当然相関連をして、基盤整備の上に立って営農改善が行なわれていくということは当然でございます。ただ土地改良は、ある意味ではそういった営農改善の先行的な投資といったような形になりまするので、運用としては、必ずしも営農改善計画が立てられた地域なりあるいは農家に、ストレートに結びつくといったような——時間的にですね、そういうことでなくても、土地改良事業先行性にかんがみていいのではないというふうな感じがいたしております。そういう意味合いで地区内で適当なところといいますか、必要な地区地帯があれば、土地改良事業はある意味で先行的な形で推し進められていくというような運用もあり得るのではないかというふうに考えております。
  13. 佐々木四郎

    佐々木説明員 ただいまのお説のように、営農改善計画土地基盤整備計画がマッチいたしませんければ、この地域農家近代化所得水準の上昇も期し得ないのでありますが、私どもでは、南九州畑作地域というのが他に比較いたしまして、土地条件等がかなりおくれておりますので、特に特殊な土壌地帯でもございますので、御承知のような、特殊農地保全というシラス対策をやっておりますが、あの地域のそういう計画が先行して進んでまいりませんと、あとの営農がしっかり続いていかないという考え方に立ちまして、従来からもシラス対策だけはやっておりましたけれども、今回は、それにさらに圃場整備等を加味いたしましてこれらの仕事を進めていく、そして営農のいろいろな施策をそれに後続させていく、こういう考え方で進めていくつもりでおります。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 再度お伺いしたいのでございますが、特に現在の南九州畑作地帯というのは、この説明の中にもありましたとおりに集中的に雨が降る、こういうことで、せっかく農地基盤整備ができましても、いわゆる砂防関係、あるいは集中的な降雨期におけるところの排水溝など、総合的な立場からの土地改良ということがなされなければその効果を期待することができない、こういう多面性を持っておるわけですが、その辺はどういうふうな考慮を払っておられるのか、その辺をお聞かせをいただきたい。
  15. 佐々木四郎

    佐々木説明員 農地保全という仕事をやっておりますが、これはもともと、いまたまたま先生お話になりましたような、ほかの地域ではあまり見られない農地状態があの地域ではあります。といいますことは、特殊な土壌であり、その特殊な土壌の上に特殊な気象条件がございますために、農地が崩壊したり、作物収益がそのために非常に低かったり、そういうような状態がありますために、農地保全という仕事を進めてまいったわけであります。  今回のやり方は、そういう農地を保全する、つまり守るということだけでなしに、さらにそういう立地条件の悪い農地を保全する上に、なお圃場整備畑地かんがい、そういうものを加えまして、前向きに農地生産力を上げよう、そういうねらいを持っておりますので、一般土地改良事業とはいささか趣を異にしておる、そういう考え方に立ちませんというと、南九州畑作振興も将来性が危ぶまれる、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 農政局長にお伺いしたいのでございますが、いま参事官答弁もございましたが、特に今回の営農改善計画対象品目というのが限定されておるわけです。これはきのう橋口委員からも質問がありましたが、あの畑作地帯におきましては、主たる作物というのがカンショでございます。しかし、今回の対象はお茶なり桑あるいは畜産、酪農というのが主体になっておるわけでございますが、この辺の関連におきまして考えられることは、特に果樹園芸あるいは桑園等の場合は、たとえば防除作業等においても、私は相当相反する状況に置かれていると思う。しかも、土地基盤整備というものは、そういうことは関連なく、いわゆる土地改良事業が先行する。こういうことになりますと、今後の営農改善計画を立てる上において、やはりその辺の関連性というものを持たせていかなければ、せっかくの今回のこの臨時措置法というものが、その実効を期待する上においていろいろな隘路になるのじゃなかろうかと私は思うのでございますが、もちろんこの点は、単に一農民の意思だけによって策定せられるべき問題ではないし、相当積極的な指導性というものが要請されるわけでございますが、この辺の点について、特に農政局長の御見解を承りたい。
  17. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げたことが、あるいはちょっと舌足らずでございましたが、私が申し上げましたのは、営農改善計画を現実に立てた農家が相当存在しないと、土地改良事業はやるとかやらぬとか、そういうふうな直接的な関連性を持って土地改良事業を実施する、こういうことになりますと、かなり窮屈なことになるということを申し上げたわけであります。  ただいま言われましたような趣旨は全くそのとおりでございまして、南九州の今回の対策をいたします地区の中で、ある程度自然条件なり営農条件を同じくするところを十幾つかにくくりまして、ブロック別営農方向なりあるいは方式なりといったようなものをきめるというふうなことになっておりますから、そういった意味では、ここいらは一体どういうふうな作物を選定するというような、地域内の大まかな営農方向というものが策定されるということになると思います。したがいまして、土地改良事業もそういった方向とマッチして先行的に行なわれていくというふうなことでありますから、先生の言われておりますような御趣旨で、土地改良事業が行なわれていくというふうに御理解を願いたいと思います。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 ここで私、非常に懸念される点は、今回の融資条件というものは非常に前進した形でなされているわけですが、設備なり施設あるいは導入資金等今後の改善計画の基調をなすものでありますけれども、これに関連する今後の、いわゆる運転資金等に関する他の金融部門融資条件とは、かなりのアンバランスがあると思うのですが、今回のこの営農改善計画で、いわゆる低生産性から農家経済を安定させるその過程における運転資金等との関係、この点が非常に問題があろうかと思うのでございますが、総体的な資金制度との関連というものをどういうふうに調整をとっていかれようとするのか。これはむしろ経済局のほうになろうかと思うのですが、この辺の関連についてお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 大和田啓気

    大和田政府委員 南九州畑作改善営農資金公庫から貸し出されます場合に、当然運転資金が必要になるわけでございます。ただ運転資金が必要と申しましても、実は近代化資金で相当カバーされる面がございます。たとえば、乳牛のえさ代近代化資金で見る。それから茶とか桑の育成資金近代化資金で見る。果樹育成資金南北資金、つまり公庫から出るわけでありますから、純粋に運転資金として必要とされる額は、私はそれほど大きな数字ではないと思います。これは当然系統資金で見られるべき筋合いでございまして、きのうも御答弁申し上げましたけれども農協信連等資金手当がかりに不十分でありますれば、中金等資金を動員して資金手当をいたしますし、それほど多額の運転資金ではございませんから、通常のルートで、通常の方法で農協資金貸し出しをすると思いますけれども、念のため、農協貸し出しに不安を感ずるような場合があるといたしますれば、県にそれぞれ信用保証協会がございますから、その信用保証制度に乗せて信用保証をして、農協が安心して金を貸せるように、現在、県あるいは県の農業信用保証協会と話を進めておるわけでございます。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 農政局長にお伺いしたいのでございますが、今回の説明資料によりますと、当初九億六千万という資金規模が明らかにされておるわけでございますが、少なくとも私は、いままでの実績等からにらみ合わせましても、この程度資金ではたして初年度における計画遂行は可能なのかどうか。あるいはまた第一年度だけ資金量が明らかにされておりますけれども、四千八百戸の五カ年間で二万四千戸という南九州予定計画でございますけれども、いま経済局長お話によりますと、運転資金等とのそういうふうな融資条件アンバランス等は、十分に克服できるような御答弁をなされておりますが、その関連と含めてお伺いをしたいと思います。
  21. 森本修

    森本政府委員 初年度融資ワクお話でございますが、私どもは、初年度におきましては、融資希望者が四千八百戸あるだろう。これは、五年間にわたって必要な投資に見合う資金を供給するというたてまえになっておりますので、それの初年度分ということで、九億六千万円というワクを一応設定いたしております。次年度以降につきましては、当然、やりました実績なり、あるいは二月当たりの所要額といったようなものも実績が出てまいりますから、そういったものを勘案しながら、次年度以降それぞれの資金ワクを設定していくというふうな考えでおります。  なお融資ワクは、御案内のように、予算項目別金額といったようなものとは多少性格が異なるわけであります。公庫資金全体の金額の中の一応の区分というふうな性格でございますので、そういった性格のものでありますれば、実態に応じて多少の弾力性を持つということもあり得るわけでありますから、最初のスタートとしては、この程度のめどで私ども考えております。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 北海道等の例もあって、いままでの実績は、必ずしも農林省が当初策定したようにいっていないということも指摘されておるわけですが、かりにこの二万四千戸が一応予定どおり計画の中で遂行される場合、資金面の供給というものは、十分にその見通しというものがあるのかどうか、この点、あわせてお聞きしたいと思います。
  23. 森本修

    森本政府委員 先ほどお答えをいたしましたように、次年度以降はそれぞれ実績なり、あるいはそのときの状況に応じて必要な資金ワク考えていきたいということでございますので、資金需要があるにかかわらず、資金ワクでもって貸し付けができないというふうなことにはいたさないというつもりでおります。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、これと関連しまして一番問題は、提案説明なり資料によっても明らかなとおり、南九州の約二十九万町歩の中の七〇%近くが、畑作地帯の中の特殊土壌地帯にあるわけですが、今回のこの融資対象地域というものも、特に畑作振興地域として一定基準が設けられておるわけでございますが、御承知のとおり、この特殊土壌地帯というものは、行政区域関係なく非常に複雑な形態をなしておるわけでございます。この基準の策定ということが、対象地域としての関連におきまして、一定基準以上の特殊土壌地帯、こういうことに限定をされますと、なかなか振興地域指定の作業というものが困難を伴うのじゃなかろうかと思うのですが、この基準については、ある程度弾力性を持たせて、振興地域の指定をしていかなければ、所期の目的を達成することはなかなか困難ではないかと思うのですが、その辺の点についてお聞かせいただきたい。
  25. 森本修

    森本政府委員 冒頭にも申し上げましたように、この対策趣旨は、南九州の特殊な自然条件ということに着目をしてやるわけでございますし、そういった性質に合うような基準でもって地域を指定してまいるというつもりでございます。したがいまして、先ほど言われましたように、そういった地帯であるにかかわらず指定に漏れるということは、対策の性質上困るわけでありますから、実態をよく考えまして、指定等にあたっては十分配慮したいと思います。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで、今回の対象農家戸数が、一応両地域の中以下の畑作農家対象とする、こういうことになっておりますけれども、二万四千戸というこの戸数を算定したのは、大体どういう基準といいますか、どのような根拠において二万四千戸という戸数を一応の対象戸数として算定をされたのか、その辺の背景についてお聞かせいただきたい。
  27. 森本修

    森本政府委員 私どもが二万四千戸を一応計算いたしましたのは、全体の地区内の農家数、それから、そのうちで畑作農家がどの程度あるか、それから、対象農家というものの性格がおよそ出ておるわけでありますから、そのうちで融資対象の資格のある農家の数、たとえば所得が、この前申し上げましたように四十万円ということが一応のめどになっておりますから、そういうふうなところ、あるいは農業の従事者が、兼業に傾斜しておってほとんどいないといったような農家も存在するわけであります。そういうふうな農家の数といったようなものを勘案いたしまして、貸し付け対象となり得る農家数を算定いたしたわけであります。  ただ、そういった農家が全部が全部貸し付けの実行といいますか、希望を持ってくるであろうかということになりますと、御案内のように、北海道等実績もございます。しかし、また、この資金がある程度多くの人に均てんをしなければいかぬというふうなことで、融資対象事業をかなり拡大をした、その他融資条件も改善したといったようなことも考慮いたしまして、貸し付けの認定の見込み戸数を二万四千戸ということで算出をいたした次第でございます。
  28. 兒玉末男

    兒玉委員 同時に、この貸し付けの限度額というものが、最高、南九州の場合三百万円になっております。同時に、その基礎となる考え方は、今後の中庸以下の農家の所得を安定向上させる目標として、南九州の場合七十万円から九十万円を一応の目安に置いておるわけでございますが、この事業計画から考えましても、五年の経過を要するわけでありますが、少なくとも今後の経済の変動等から判断をいたしました場合、きのうは、七十万から九十万は高過ぎるというふうな質問者側の意見もあったようでございますけれども、私は、むしろ、ある程度この所得目標というのは、今後の経済変動から考えます場合に、まだこれでは低過ぎるんではないか、こういう判断をいたしたわけであります。この辺の分析なり判断というものをどういうふうにお考えになっておるのか。  また、この所得目標額を引き上げることによって、先ほど局長答弁されましたような、四十万前後のいわゆる低位にあるところの農家対象が、逆に底上げをされるようなことになれば、これは逆効果でございますが、少なくとも本法のねらいは、中庸以下の農家対象であることは局長が再三言明されておるところでありますが、限度額の引き上げ、所得目標の設定を、私はもう少し高めていくべきではないかと思うのですが、この辺の関連についてお聞かせいただきたい。
  29. 森本修

    森本政府委員 まず目標額でございますが、これは昨日もお断わりいたしましたように、一応のそういった営農方式例をつくります際のめどということで県にお示しをずるという性質のものでありますので、この数字をあまりストリクトに考えていただきますと、また問題があるわけでございます。私どもとしましては、現在のそういった中庸以下の不安定農家を、一応安定的な姿に持っていくということが当面の目標でございますから、その目標自体があまりに高いということは、現実の営農のテンポというふうなことを考えますと、これまた無理なことを目標とすることになる。またあまり低いと、それは目標としてはあまりに低きに過ぎるといったようなことがございますので、いろいろな角度から検討いたしまして、現在のところは、穏当なところ七十万ないし九十万というところが、目標としては適当であろうということにいたしております。  そういう関係からいたしまして、営農目標を達成するのに、現在の標準的な営農の姿からいきまして、限度額というものを、畜産を主体とするものについては三百万円、それから、その他のものについては二百万円というふうなことで設定をする予定になっております。
  30. 兒玉末男

    兒玉委員 やはりこれに関連する融資の問題でございますけれども、現在までのいわゆる果振法なり畜産経営等に関する改善資金等におきましても、その貸し付け計画がなされておるにかかわらず、いまだにその貸し付けがなされていない面もある。そういうふうな点、さらにはまた、現在まですでに、先ほど読み上げましたような、過去五年間における六億数千万円の貸し付けを受けている既存の農家、こういうもの等を、今回の新しいこの制度対象とする場合、現在貸し付けを受けている農家が、そのことによって、いわゆる新しい融資対象となる査定の際に大きなネックになるんじゃないか。その辺の関係はどういうふうに処理されようとしておるのか、この点お伺いしたいと思います。
  31. 森本修

    森本政府委員 従来の制度資金を利用された農家が、この資金を新しく利用されるについて、その関係はどうかというふうな御質問だろうと思うのですが、南九州についてやってまいりました防災営農関係資金貸し付けを受けた方、こういう方が新しく営農改善計画を立てられて、この資金を利用されるという場合には、もちろん貸し付け対象にするという予定であります。それから、畜産なりあるいは果樹なりの公庫資金を受けられた方、この方につきましても、貸し付け対象農家状態にいまだあるというふうな実態でありますれば、所要の手続を経て貸し付けをする予定になっております。
  32. 兒玉末男

    兒玉委員 それから今回は、この貸し付け対象というのが、いわゆる一農家対象になっておるわけですが、少なくとも今後の農業経営の展望というものを考えてまいりますと、極度の労働力の不足、こういうことで、たとえば親戚関係で三名なり五名なり、そういうふうな共同の形で、いわゆる畜産関係の管理をやり、さらにはまたかんきつ類等におきましても、防除作業あるいは植栽、手入れ等におきましても、特に共同管理的な傾向がだんだん強まっていくんじゃないかと私は思うわけですが、あくまでも一戸当たりの農家対象であるという原則はわかるわけでございますけれども、今後の農業経営の動向というものが、いわれるところの協業または共同、こういう形において、いわゆる乳牛等の飼育管理も行なわれる傾向にあると思うのですが、その辺の対象農家というものがここになるのか、あるいはそういうような二ないし三、あるいは複数のこういうような経営については、どういうふうな御配慮がなされようとするのか、この点をお聞かせいただきたい。
  33. 森本修

    森本政府委員 従来は、マル寒資金等におきましても、個々の家畜経営ということを主体として考えてまいりました。しかし、御指摘のように、法人経営なりあるいは協業の形態がふえております。また、今後そういうものが、希望される農家営農の一つの形としては適当であるということであれば、私どもとしても援助の手を差し伸べるということは、政策として当然のことでありますから、適用にあたっては多少の苦心を要すると思いますが、たとえば、その対象になります農家の要件が一定の要件を備えるといったようなこと、あるいは法人経営としての営農設計が十分できるといったような要件がそろいますれば、対象として加えることに検討をいたしたいというふうに思っております。  それから、なお、法人経営でなしに、数戸の人が共同施設なり共同の機械を利用するといったような場合も非常に多いわけでございますが、そういう場合に、各人がそれぞれ資金を持ち寄っていろいろなものをつくる、あるいは購入するということになるわけですが、そういった持ち寄りの資金につきましても、対象にしたらどうかというふうに思っております。
  34. 兒玉末男

    兒玉委員 これは、今回の宮崎県のえびのの災害の際に、県が、各農家で飼育は不可能だということで、せり市場に全部乳牛を集中管理しまして、そうして約二週間県の予算で飼育したところ、非常に搾乳量もふえたということでもって、貴重な体験から、今後やはり共同管理、共同飼育という傾向が非常に強まるのじゃないかという点から、特に私はただしたわけでございます。  これに付随いたしまして、今後の経営規模を拡大するためには、どうしても土地の取得、農地の取得ということが、これは自然の趨勢じゃないかと思うのですが、たしか現在の貸し付け限度額は百万円ではなかったかと思うのですけれども、そういうふうに複数の経営なり共同管理の方向がだんだん拡大していきますと、いわゆる営農改善計画の中において、農地等の取得ということが当然並行的に配慮されると思うのです。このような農地取得に対する融資限度額というものを、当然増額していくべきではないかと思うのですが、この辺いかがでございますか。
  35. 大和田啓気

    大和田政府委員 農地取得の公庫資金ワクは、現在個人百万円でございます。百万円では実情に即して不足である面も確かにあるわけでございますが、百万円を一気にどれだけ上げるか、あるいはどういう場合に限って上げるかという、なかなかむずかしい問題がございまして、必要な場合につきまして、百万円のワクを拡大させるために、現在、財政当局と検討をいたしておる最中であります。
  36. 兒玉末男

    兒玉委員 再度局長にお伺いしたいのございますが、この法案策定の過程におきましてで、特に南九州の両県知事からも、金利の面におきまして、いわゆる今回の四分五厘の五分という制度に対して、三分五厘という低金利の要請がなされておりますが、このことは、特殊事情の中にありまして、全国でも最低位にある生産性農家所得という状況から類推し、今回の対象品目でありますところの桑なり、お茶なりあるいは果樹にしましても、または肉牛なり乳牛にいたしましても、金利なり元金償還の態勢までは、私は農民が相当苦しい状態一定期間忍ばなければならないと思う。こういう点から考えますならば、やはり融資条件の緩和ということがきわめて重要なポイントになろうかと思うのですが、今後の金利を含めた融資条件の緩和ということについてどういうふうな御見解をお持ちか、お聞かせをいただきたい。
  37. 大和田啓気

    大和田政府委員 従来、南九州でこれに類似した制度でやっておりました金利は、御承知のとおり六分で、私ども、今度の南北資金についての利子をどうするかということについては、ずいぶん検討いたしましたが、まず、相当長い期間の据え置き期間四分五厘、据え置き期間後五分ということは、現在の金利体制においては、私どもまずまずだというふうに思います。これをそう簡単に変えるつもりは実はございませんが、農業金融自体について、私ども絶えず全面的な検討はいたすつもりでございますから、農業金融につきまして、金利を含めて今後検討する過程で、この南北問題の資金についても十分考えてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
  38. 森本修

    森本政府委員 大体、ただいま経済局長お答えをいたしましたところと私も同様でございます。御案内のように、従来ありました主務大臣指定施設についても金利が下がっておる。それからまた、取り込みました果樹なり家畜なりにつきましても、取り込まない以前よりもかなり金利としても下がっておるというふうなことで、当面は、私どもこういう条件で取り進めてまいりたいというふうに思っております。
  39. 兒玉末男

    兒玉委員 やはり私は融資条件というものが、マル寒法による北海道の場合でも、先ほどもちょっと触れましたが、当初の計画どおりになかなか実績があがってない。この辺の原因というものが一体どこに伏在しているのか、そういうふうな要因を排除するためにはどうしなければいけないのか、この点について再度お伺いをしたいと思います。
  40. 森本修

    森本政府委員 従来やってまいりました資金の実情でございますが、いろいろな観点から検討いたしまして、マル寒資金についても、それぞれある程度営農改善に対して効果を持っておるといったような面がございます。もちろん、当初立てました予定の戸数に対しまして、実際に貸し付けをした戸数が多くないというふうな点はございます。これは、単に金融の条件といったようなもののみが影響しておるとも思いません。やはりそういったそれを受けられますところの農家が、災害等の事情でなかなかそこまで手が回らなかったとか、あるいは他の仕事に、北海道におきましては転ずるといったようなこともございまして、いろいろな要素が複合いたしまして、ああいった形になっておるというふうに思っております。  ただ、こういった自然条件が不良な地域営農を改善していくというためには、融資条件はきわめて重要な問題であるということは、先生と意見が、私は決して違わないと思いますけれども、今回実施していこうと思いますところの融資条件は、かなり私どもとしても勉強したつもりでございますので、当面は、この融資条件で進めてまいりたいという考えでございます。
  41. 兒玉末男

    兒玉委員 やはり北海道の場合も、当初の予定どおりいかなかったということは、今後の南九州の場合におきまして、政府から非常に条件はいい融資を受けるわけでございますが、やはりこれは返さなければいけないという一つの重荷がのしかかっておるわけです。ですから、酪農にしても和牛にしても、あるいはミカン、桑、お茶にいたしましても、せっかく構造改善なり営農改善をやって生産を高めたとしても、問題は、生産された農畜産物というものがどういう価格形成によって取引がなされるか、これによってどの程度収益性をあげながら償還に応ずることができるかというところに、私は農民の大きな悩みがあると思うのです。この問題の解決ということが長期の展望に立ってなされなければ、なかなか金を借ることにちゅうちょする。これは、もちろん南九州だけに限定された問題ではないのでございますが、問題は、生産、価格政策ということとの関連について、農民が安心してこの計画に積極的に取り組むという意欲を燃やすような背景がなければ、この効果を期待することはできないと思うのですが、この辺の関連をどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  42. 森本修

    森本政府委員 こういった地帯営農の改善をはかっていきますためには、やはり全体の生産の方向づけといいますか、計画といいますか、そういうものと十分マッチして進めていかなければならないということは当然であります。したがいまして、私どもとしましては、それぞれ果樹なら果樹、あるいは酪農なら酪農ということで、近代化計画なりあるいは改善計画というものをつくっておるわけでありますから、そういった諸種の計画と十分調整をとりつつ、営農方式例なりあるいは営農改善計画を指導してまいるというつもりでございます。  また、できましたそういった農産物につきまして、価格なりあるいは流通面についていろいろ整備をしなければ、営農改善の実があがらないということもお説のとおりでありますので、主要な作物につきましてのそういった対策についても、十分整備をしていく所存でございます。
  43. 兒玉末男

    兒玉委員 流通関係なり価格政策については、明日また特に畜産関係で御質問したいと思いますが、この点特に農政局としてもひとつ積極的な取り組みを、私は強く要望したいと思います。  次に問題は、今回のこのような営農改善計画を実際に指導し、そして直接推進する立場にあるのは、私は都道府県であろうかと思うわけでございます。この地方公共団体というものが相当意欲的に取り組んでいかないと、なかなか農民を引っぱっていくことができない。ですから、この際特に考えなければいけないことは、いわゆる農業改良普及員等の積極的な、ほんとうに農民の身になったところの緻密な生産指導が必要ではないかと思うのであります。  先般の全国の農協に対する世論調査等におきましては、農民が現在の農協に対して、いわゆる販売、信用関係、こういうことだけに力を入れて、生産技術の改善、改良、こういうことに対して農協等の取り組みが非常に不足しているということが、大多数の調査の中から指摘をされておるわけですが、このことを含めまして、特に営農指導体制の整備拡充ということは、私はこの計画を遂行するのに全く不可欠の要件ではないかと思う。同時にまた、地方公共団体等においては、少なくとも若干の利子補給等を含めた財政的な援助対策ということについても、相当思い切った措置をとらなければ、この効果を期待できないと思うのでございますが、これらの点について局長の御所見を承りたいと思います。
  44. 森本修

    森本政府委員 御指摘のとおりでございまして、営農の指導体制の整備と相まちまして、こういった資金が十分効果を持っていくということは当然でございます。したがいまして、私どものほうとしましても、特にこの地帯におけることでございますから、当該諸県と相談をいたしまして、たとえば、それぞれ特技の普及員を必要な地帯整備配置するといったようなこと、あるいはまたそういった普及員と、関係の機関なりあるいは団体とよく連絡がとれるように、普及員の中でも連絡担当普及員といったようなものをきめまして、十分な緊密な連絡をとってやってまいるといったようなこと、あるいはそれぞれの段階に農業経営の、たとえば診断班といったようなものをつくりまして、個別の農家営農改善計画の立案なりあるいはその後の営農改善の過程につきまして、十分診断なり相談に応じていくというふうなことで、かなりきめのこまかい指導についてお打ち合わせをしてやってまいりたいというふうに思っております。両県におかれましても、本資金運用については、特に熱意を持っておられるようでありますから、よく連絡をいたしまして、遺漏のないように取り運びたいというふうに思っております。
  45. 兒玉末男

    兒玉委員 現在までの各種制度金融等におきましても、特にこの貸し付けの適格認定が、いま申されました改良普及員等の診断というもので、私は非常に大きく左右されると思うのですが、ここで問題となっております農業動産信用法というのでございますか、担保制度というものをやはりこの際緩和していくべきではないかと思うのです。これが、特に今後の貸し付け適格認定の際重要なポイントを占めるじゃないかと思うのでございます。現在までの貸し付け認定がおくれた理由としては、資金借り入れの希望農家の担保能力ということが、特に問題となっておるようでございますが、この担保制度についてどういうふうな御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  46. 大和田啓気

    大和田政府委員 普通、農家が金を借ります場合の担保につきましては、物的保証と人的保証がございます。公庫はすでに十五年の歴史を持っておりますので、公庫発足当時につきましては、担保の徴求についていろいろ問題があったようでございますが、最近、たとえば土地の評価を、従来は時価の五割程度を限度といたしておりましたのを、時価の八割ぐらいまで評価を上げる、そういうこともございましたし、また公庫の事務がなれてまいりましたために、事務上の問題は私はよほど少なくなったと思います。物的保証がうまくいかないような場合は人的保証でやるという形で、担保についてはそれほど問題はなくなったと申しますか、よほど少なくなったと思いますけれども、しかし、いずれにしろ公庫も金融機関でございますから、担保がなければなかなか金が貸せない。農家としては、土地建物以外は見るべき担保が不動産としてはないわけでございますから、担保不足の問題が相当問題としてあることも事実でございます。  そこで私ども、これは南九州畑作改善ということだけではございませんで、全体の問題でございますが、実は昭和八年に農業動産信用法という法律ができまして、動産について抵当権を設定するということで、法律学の問題にしてははなはだ興味がある問題であったわけですけれども、実際の運用としては運用されませんで、ほとんど死法、死んだ法律というふうに見られておったわけでございます。しかし私ども、何か不動産以外に農家が担保といいますか、抵当に入れるものがないかということをだんだん詰めてまいりますと、農業動産信用法が一体いまどういうふうに運用されているかという実態が、これはだれも死んだ法律と思っておりますから、あまり調べてないわけでございますが、私ども念を入れて法務局を通じて調べてみましたところ、死んだ法律といわれながら、全国で、とにかく毎年三、四千件ぐらいの利用がございます。その大部分は漁船関係でございますが、北海道その他で牛馬あるいは農機具を、動産抵当として現に使っておる例があるわけでございます。それで農業動産信用制度を改善すれば、多少これでいけるのじゃないかという自信を得まして、現在、私ども農業動産信用制度の欠点と考えられますことは、融資機関が農協及び漁協、その連合会に限られておりまして、公庫なり中金なりが入っておらないということ、それから、何しろ昭和八年にできました法律制度で、それ以来全然手直しておりませんから、農機具といっても、昭和八年当時の農機具でございますから、現在使われて、相当担保価値がある農機具が入っておらないということがございます。  そこで、政令を近く直す手続を、現在法務省との間に進めておりまして、まず農業動産を抵当としてとれる金融機関として公庫、中金を近く加える、さらに、最近の実例に合わして農機具の種類をつけ加えるということで、私ども、今度南九州畑作営農改善畜産が相当問題になるでしょうから、乳牛、肉用牛等々を入れて、融資を受ける場合に土地、畜舎ばかりでなしに、その牛自体を担保に入れるということをやれば、私は相当信用がつくというふうに思います。これは公庫にとりまして初めての経験でございますから、よほど私ども注意して公庫と相談してまいるつもりでございますが、近く政令を直すことによって、農業動産制度運用が、私は相当うまく行なわれるのじゃないかという期待を持っておるわけでございます。
  47. 兒玉末男

    兒玉委員 私も、いまの動産信用法というのをよく中身を研究しておりませんけれども、いま局長の言われたとおりに、昭和八年と現在では相当時点の差もあるし、情勢の変化もある。特に南九州等の場合は、非常に耕地面積なり農業経営規模が小さいために、勢い担保能力も少ないという特殊な事情があるわけです。加えまして、今回動産信用法の制度等の改善ということをいま言われましたが、問題は、今回の融資というものはかなり長期であるわけです。ところが、乳牛にしても肉牛にしても——乳牛の場合、少なくとも五、六年程度は飼育したとしましても、和牛の場合は、大体二年か三年くらいで売却をする。こういうところに非常に微妙な関係があるわけですが、担保能力の少ない南九州としては、このような牛等も当然対象になるわけでございますけれども融資条件はわりかた長期である。ところが、これの売り買いは短期間にされる。この辺が私は非常に問題になろうかと思うのですが、この辺の関係はどういうふうに考えておられるのか。
  48. 大和田啓気

    大和田政府委員 現在の法律のたてまえによりますと、牛馬を動産担保として抵当権を設定する場合に、牛馬一頭ずつ抵当権に入れるということになります。しかし、たとえば南九州畑作営農改善資金公庫が二百万円貸し出すとして、二百万円の債権に対して、一つの手続として、牛何頭かを共同して抵当に入れることができるわけでございます。しかも、抵当権の設定にあたりまして、登録税の免除は公庫で行なわれておりますから、多少私は事務が繁雑になると思いますが、牛について抵当に入れて、その牛が死んだりあるいは売られたりしてまた新しい牛が来るという場合は、抵当権の設定が新しく行なわれるわけでございますが、設定が新しく行なわれる場合でも、抵当権を公庫が得る場合は登録税免除ということで、私はそれほど——公庫が事務の運営をどうするかということは、これからの研究問題でございますが、やり方によっては、農家にそんなに迷惑をかけないでやれるのではないかというふうに思います。  私ども多少欲をいえば、一つの畜舎の中にいる牛、たとえば十頭なら十頭、その牛が具体的にかわっても、全体として家畜群として抵当権に入れるという法制ができれば一番いいわけでございますが、それは民法学上大問題で、そう簡単に、私どもが希望しても半年、一年の間にそれが実現するというふうの問題でございません。これは今後の私どもの検討問題でございます。
  49. 兒玉末男

    兒玉委員 この問題は、もう少し突っ込んで、またいずれの機会かにいろいろお聞きをしたいと思っております。  次に、私ども南九州の場合は、特に畑作振興、それから酪農振興地域近代化計画、果振法によるところの果樹農業振興計画、さらにまた地域特産農業推進計画などいろんな振興計画が樹立されまして、それに基づく酪農なり、あるいはかんきつ類なり、あるいはカンショなど、多くの計画に基づいていろんな諸計画というものが錯綜しているわけでございますが、これらの諸計画の遂行というもの、これらの制度と今回のこの営農改善計画との調整ということが、やはり私は大きな問題ではなかろうかと思うのですが、これらの相互関連の調整についてどういうような今後手を打っていかれようとするのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  50. 森本修

    森本政府委員 御指摘がございましたように、それぞれ作物別に近代化計画なり、あるいは振興計画というものがつくられるようになっております。いま南九州についてやろうとしておりますことは、主として個別農家の経営の改善ということでございます。それで先ほど来の計画は、やはり地域なり地帯なりのある程度広い範囲のそういった作物計画ということになっておるようであります。したがいまして、県でつくられますところの営農方式例なり営農類型なりといったようなものも、そういった各種作物近代化計画といったようなものに即しつつ立てていただく。そういうことになりますれば、それに応じて各個別農家営農改善計画も自然に調整がついていくというふうに私どもは思っています。何ぶんにもそういった計画と今回の南九州対策とは、それぞれ相呼応して、相調整のもとに取り進めなければならないという考えは、私どもも十分わかっております。
  51. 兒玉末男

    兒玉委員 次にお伺いしたいのは、せっかく酪農関係で乳牛を導入し、一生懸命やろうとしておるわけでございます。これは多少税制上の問題でございますが、一応考えられることは、せっかく資金を借りまして乳牛を導入してやっても、やはり酪農は、サイロなり畜舎なりかなりの施設を必要とします。ところが、そういう畜舎なりサイロ等ができると、一躍財産取得税なりあるいは市町村における固定資産税の対象になるということでもって、収益があがる以前にこういうものが農民から取られることは、営農計画にも非常に大きな負担になるわけでございますが、この点一応農政局として——所管は大蔵なり自治省の関係でございますけれども、この計画を遂行する過程において、関係農民が非常に苦慮する問題でございますが、この辺の関係は今後どういうふうな折衝をされていこうとするのか、この点お伺いしたいと思います。
  52. 森本修

    森本政府委員 主として地方税に関連をすることのようでございますが、現在やっておりますことは、近代化または合理化のために共同で施設を取得するということにつきましては、不動産取得税の関係で優遇措置を講じております。これは御承知のとおりだと思うのです。今回の対策関連をいたしまして、不動産取得税なりあるいは固定資産税について、そういった優遇措置を検討しろというふうな御趣旨であろうと思いますが、事は税制に関することでございますし、それぞれ税につきましては固有の税の原理といいますか、そういうものもございますので、いまその見通しについて、私ども確たるお答えをすることはできませんが、ひとつ研究をさしていただきたいというふうに考えます。
  53. 兒玉末男

    兒玉委員 まだたくさんありますけれども、あとまた質問者もあるようでございますので、最後に一点だけ。  特に北海道なり南九州は、御承知のとおり経営基盤も小さい。すでに開拓地なり一般振興地域におきましてもかなり農家各種制度金融等の負債というものがございます。これはいままで局長答弁されましたが、特に固定負債というのが、今後の経営改善計画を遂行する過程において大きな一つのネックになろうと思うのですが、やはりこの固定負債の処理ということといわゆる営農改善計画の確立ということとは、きわめて重要な関連を持つものでございます。当然この計画遂行の過程において、固定負債の処理という問題も並行的に配慮していく必要があるのではないかと私は思うのですが、最後にこの点をお伺いをしまして、私の質問を終わります。
  54. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、営農改善計画を立てます際に、従来借り入れておりました資金がネックになるというふうなことがありますと、これはまたその目的を達しないということでございますが、現在南九州状態では、私ども数字で拝見をいたしますと、特に他の都道府県の状態よりも多く借り入れ金をしておるというふうな状況でもないように拝見いたします。その点、北海道等に比べますとかなり計数的に差があるというふうに見ております。しかし、個別に見てまいりますと、あるいは御指摘のようなことがあり得るかと思います。そういう際におきましては、自作農維持資金運用等にあたりまして十分ひとつきめのこまかい配慮をしてまいりまして、心配のないようにしていきたいというふうに思います。
  55. 足立篤郎

  56. 斎藤実

    斎藤(実)委員 私は、マル寒法の今回の改正案に関連して、一応北海道の冷害という一つの問題について最初にお尋ねをいたします。  このマル寒法については、昭和三十四年から今日まで九カ年、さらにまた今回五年間延長というふうに案が出ておりますが、われわれといたしましては、このマル寒の法律によって、多くの自作農家が酪農に切りかえて大いに生産をあげておりますことは、非常に心強いというふうに考ております。ですけれども、これが寒地農業確立の抜本策ではないというふうに判断をしておるわけです。そこで、今回の改正案につきましては、金利あるいは据え置き年限の延長、貸し付け限度等の増額等も含まれておりますが、私はこの今回の改正が、北海道の寒地農業の確立の抜本策ではないというふうに考えておるわけです。  まず、最初にお尋ねをいたしたいのは、北海道は将来寒地農業を開発して、酪農を中心とする食糧を増産して、日本の食糧生産基地になるべき使命があるというふうにわれわれは考えておるわけです。それで、この北海道が、わが国における重要食糧供給基地として政府はどのように位置づけされておられるのか、最初にお尋ねをいたします。
  57. 森本修

    森本政府委員 北海道農業の話でございますが、気象条付なりあるいはその他自然条件の非常に苛熱な中にありまして、それぞれ農家の方々も営農に努力をされる、また開発について種々の手段が講ぜられるということで、北海道農業がかなり伸展をしてきておる。また今後におきましても、日本の中で開発可能性という観点からいきますと、北海道農業はかなりの希望が持てるというふうな状況であることは、言うまでもないと思います。今回の対策は、その北海道の中で、特に問題の多い畑作特定地帯につきまして、個々の農家の経営を安定するという、いわば個別の農家対策というふうな性格が強いのであります。したがいまして、そういう観点から各種資金なり、土地改良ということを中心にして対策考えてまいるわけであります。  ただ、御指摘がございましたように、そういった北海道を中心にした寒地農業の体制の確立ということにつきましては、従来から北海道開発審議会等におきまして、有益な建議等も出されております。そういった全体の地域についての農業の開発なり営農条件一般的によくしていくというふうなことにつきましては、別途そういった建議を受けまして政府としても検討を進める、こういうことになっておりますので、両々相まって北海道農業振興に役立つものというふうに思っておるわけであります。
  58. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いま農政局長から、北海道農業は日本の農業の中から見てかなり希望が持てる、したがって今後とも十分な対策考える、こういうふうに御答弁があったのですが、それでよろしいでしょうか。
  59. 森本修

    森本政府委員 大体そのとおりでございます。
  60. 斎藤実

    斎藤(実)委員 北海道昭和三十九年から連続三年の冷害がありましたし、昨年は大豊作がありました。しかしながら、依然として農業の生産基盤というものが弱い。したがって、いまだに依然として冷害の脅威があるわけです。そういうことから考え合わせまして、私どもはいまのような政府の農業施策では、再び冷害に見舞われて甚大な家国的な損害をこうむるのではないかと憂慮するわけです。それで私どもは、何らかの形で北海道の寒地農業確立、冷害克服という立場から、先ほどの御答弁で今後検討するというお話がございましたが、農林省のほうでもいろいろ検討されていると私は考えるわけですけれども、どういう具体的な施策をお持ちなのか、現時点の段階で何か施策があれば、概略でもひとつ示していただきたいと思います。
  61. 森本修

    森本政府委員 北海道の自然的な条件にできるだけ農業が対応する、また冷害等の災害から回避していくというふうなことが最も必要でありますが、そのためにやってまいりましたことは、たとえば、水稲なりその他作物の品種にいたしましても耐冷性の品種を育成をする、また土地改良でありましても、温水ため池でありますとか中小排水路の掘さく等、寒冷地向けの土地改良事業というのに特に力を入れておるといったようなことで、各種対策を講じてきたわけです。そういった対策につきまして、十分今後強化拡充をしていくということでやってまいりたい。また、それぞれの営農につきましてやはり災害を受けにくいような、寒冷の条件下において安定した状態作物を導入する、また営農を進めていただくということが必要でありますから、それは主として今回の北海道対策の中に、その主要点を盛り込んでおるという関係に相なっております。
  62. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いま御答弁がありましたように、いろいろ考えていることは了承いたしました。しかしながら、現実に北海道の農民の方の希望としては、早急にそういうふうに対策ができるというふうに考えていないわけで、多くの畑作農家の方は、米麦と同じような水準で総合的な畑作共済制度をぜひとも確立してもらいたい、こういう声が非常に強いわけです。そうすれば農業災害による被害も補償されますし、経営安定にもなるわけですから、非常にこの点の要望が強いのですけれども局長、この点どうでしょうか。
  63. 大和田啓気

    大和田政府委員 北海道畑作共済につきまして、かねて道から非常に熱心な御要望があることは承知いたしております。私ども数年前から、畑作共済が一体できるかできないか、やるとすればどういうふうにするかということを検討いたしておりますし、現に北海道と鹿児島について、畑作共済について相当集中的な調査をいたしておるわけであります。その調査の結果を待ちませんと、私ども軽々に言うわけにもまいりませんけれども、現在のところなかなかその実施はむずかしいというふうに考えております。これは決して不可能というふうに申し上げるわけでございませんで、むずかしいと申しますのは、共済はとにかく一年間では収支が成り立たなくても、十年、二十年の長期間では収支が成り立つということが前提でございますし、作物の間における平衡関係、あるいは地域的に豊凶が相殺される、あるいは年次的に豊凶が相殺されるということで、相当広い範囲にわたって安定的に作付されるものについて共済が成り立つわけでございます。  ところが、残念ながら畑作共済についての希望は、北海道においてございますことと、鹿児島のなたねについてございますこと、北と南の端にそういう希望があるだけで、中間においては、畑作共済についての希望は全然ないわけでございます。私ども県に調査を頼もうといたしましても、県も全然熱意がございませんし、共済関係及び農家の方も熱意がないという状態が現実でございます。したがいまして、北海道だけ、あるいは南九州といいますか、鹿児島県のなたねだけについて共済というのが成り立ち得るかどうかということは、これまた共済としてなかなかむずかしい問題でございます。私ども、そう簡単にあきらめないで現在調査を続行中でございますので、結論はもうしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  64. 斎藤実

    斎藤(実)委員 北海道の特殊な農産物として、大豆、アズキ、ビート、ハッカ等あるわけですね。向こうの畑作の特異性というものもありますし、相当な農家がこれで生活をしているわけですね。この連続三年の冷害でひどく痛めつけられておるという点から——いま御答弁ありましたように、これは調査の段階かもしれませんけれども、いまからむずかしいなんて言わないで、ひとつもう少し前向きの姿勢で、実現できるようにお願いしたいと思います。  それから、大体いつごろ調査の結果が出るか、それをひとつ……。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
  65. 大和田啓気

    大和田政府委員 北海道と鹿児島県でやっております調査は、たしか四十三年度中に一応終わることになっております。その調査の結果を見て、できるかできないかの判断及び、やるとすれば相当大がかりなものになりかねませんから、どういうふうにやるか、あるいはいままで、たとえば果樹共済をやりました場合にも、行政面での調査以外に世論調査等もやっておりますので、畑作共済の問題につきまして、その調査の結果を見て判断をいたすわけでございますが、ここ二、三年くらいの間には、この問題についてどういうふうに取り組むかという大体の姿勢は、きめなければいけないというふうに私ども思っております。
  66. 斎藤実

    斎藤(実)委員 農政局長に先ほどちょっと私がお尋ねしたのですが、寒地農業開発法というものを審議会で答申しておりますが、これは北海道の寒地農業の確立という意味で非常に賛同が多いし、その点について早く制定してもらいたいという要望が非常に強いのですけれども、この寒地農業開発法に対して農林省はどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  67. 森本修

    森本政府委員 先ほどもちょっとお答えの際に申し上げましたが、ああいう建議が北海道開発審議会から出ております。また、その内容を拝見いたしますと、北海道農業の開発の可能性を引き出す、また今後の開発を促進していくという上におきましては、きわめて示唆に富むといいますか、有益な御意見だというふうに思っております。ただ、それを法律としてやっていきますには、各種地域立法とかその他調整の問題もございますし、それぞれその辺の検討を進めなければならぬということでございます。  特に北海道につきましては、御案内のように北海道の総合開発計画といったようなものもございます。そういったものとの関連、あるいは位置づけといったようなことが、当然問題になるということでございますので、第一次的には、北海道開発審議会は北海道開発庁のほうに建議を出されたという関係になっておりますから、開発庁のほうで所要の予算を、たしか四十三年度とられたということになっております。その予算を使いまして、必要な調査検討を進めていくということになっております。私どもも、もちろんそういうことについては十分関心を持ち、検討をして見る必要がありますから一北海道開発庁と協力をして検討を進めていくつもりでございます。
  68. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いまお話しのように、北海道総合開発計画が現在行なわれておりますけれども農業部門が計画とは非常にずれておるわけですね。当初の目標よりだいぶ遅滞をしておる。こういうことも、北海道の農民としては危惧を持っておるわけです。ですから、北海道開発計画にも関連があるでしょうけれども農林省としては北海道開発計画農業部門の進展状況というものを把握されておるかどうか、その点ひとつお尋ねをしたいと思います。
  69. 森本修

    森本政府委員 もちろん、先ほど来申し上げておりますように、私どもも重大な関心を持ち、その動向を注視いたしております。詳細な計数等につきましては、いまあれにわたりますから申し上げませんが、私ども、十分その動向を承知をし、また今後取り組んでいきたい。この問題の進展についての検討をするという考えは変わりはございません。
  70. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いま農政局長から、審議会の出されている寒地農業開発法については、北海道開発法との関連もあるから、これはいろんな調整問題もあるし検討もする、こういうふうに答弁がありました。この寒冷地農業開発法の内容について、農林省見解はどうでしょうか。
  71. 森本修

    森本政府委員 内容につきましては、先ほど来申し上げておりますように、北海道農業振興するという立場から拝見いたしますと、きわめて示唆に富む有益なものだというふうに思っております。
  72. 斎藤実

    斎藤(実)委員 それでは、法案内容に入ってまいります。  農地取得資金について最初にお伺いします。  この資金については、現地の話を聞きますと、これをマル寒資金の中に入れてもらいたい、こういう意見と要望が非常に強かった。その理由として考えられることは、不安定な畑作、イモ等もそうですが、これを酪農に切りかえて安定した経営をしたい。したがって、それを実現するためには、経営規模を拡大しなければ酷農経営は不可能である。そういう意味で、これを一つの制度の中で、簡単な手続で十分な資金量を借りたいという、つまりマル寒の中に入れてもらいたい、こういう強い要望があったわけです。しかしながら、結果的には、現行の別建ての制度を利用するように落ち着いた。この運用にあたっては、いま私が申し上げた点に考慮して実施すべきでないかというふうに考えるわけです。一戸当たりの貸し付け限度を引き上げる必要があるんではないかというふうに考えるわけですが、この問題については、現行の百万円を三百万円に引き上げる、こういう意見が非常に強い。百万円ではどうしても十分な農地の取得もできないし、価格等の関係から三百万円に引き上げてもらいたい、こういう意見があるのですが、この点はどうでしょう。
  73. 大和田啓気

    大和田政府委員 土地取得資金をマル寒資金の中に含めることにつきましては、私どもも検討はいたしましたけれども、取得資金の利子がとにかく三分五厘でございますから、それをマル寒資金の中に入れて考えることはどうであろうか、かえって農家にとってマイナスになりはしないかという考慮が一つございました。  取得資金ワクにつきましては、百万円を必要な額まで引き上げることについて、現在大蔵省と協議中でございますので、なかなかむずかしい問題があるわけでございますけれども、しばらく結論はお待ちいただきたいと思います。
  74. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いま大和田局長から答弁がありましたが、大蔵省と協議中である。農林省としては三百万円に引き上げるというこの問題について、絶対必要なのかどうか、こういう考えがあるのかどうか、あるいは百万円でもいいだろう、こういう考えなのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  75. 大和田啓気

    大和田政府委員 百万円の限度を引き上げることにつきましては、引き上げる必要があるというふうに私自身も思うわけでございますが、実は土地得取資金運用が、現在相当楽にといいますか、相当条件が楽に運用されておることは事実でございます。あまりそうむずかしく土地資金の借り受けをする農家の範囲は縛りませんで、農業所得あるいは漁業所得を合わせて、半分以上所得を占めておれば借り受けの資格があるとか、きわめて零細な二種兼業農家を除いてはともかく借りられるような体制に近いものがあるわけでございまして、限度を上げるとすれば、そこのところを一体どう考えるかという問題があるわけであります。いまの条件のままで限度を引き上げることは、制度の運営からいっておかしいではないかという意見もありまして、それも決して理由がないことではございません。したがいまして、私は百万円で絶対に押えてそれでいいというふうには思わないのでございますが、全体の借り受けの条件をどういうふうに考えるかということとあわせてこの問題を処理いたさなければなりませんので、相当時間がかかるわけでございます。
  76. 斎藤実

    斎藤(実)委員 先ほど私が申し上げましたように、従来から、土地を売って離農する場合、それは相当な面積になりますし、それから価格等も相当高いという意味から、これは非常に現地の要望が強いわけであります。それで、いま局長から答弁がありましたように、百万円ではいいと思っていないというお話がございましたけれども、実際にこの資金を使う場合、やはり客観情勢はそういうふうになっておりますし、これはぜひともひとつ実現をしてもらいたい、こういうわけです。それで局長、この見通しはどうでしょうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  77. 大和田啓気

    大和田政府委員 現在、相談を進めておるときでございますから、まだ見通しについては、私からとやかく申し上げる段階ではございませんが、とにかく私といたしましては、必要なものについては、実情に即して問題を解決いたしたいというふうに考えております。
  78. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いまの取得資金について資金を借りる場合は、マル寒とは別々の手続で借りるようになっております。その手続に非常に手間がかかる。資金がほしいときに融資ワクが、すでに内地府県に使われてもう残りが少なくなっている、そういう心配も考えられる。この資金をマル寒農家の分として別ワクに確保してもらいたい、こういう要望が強いのですが、この点はどうでしょう。
  79. 大和田啓気

    大和田政府委員 土地取得資金につきまして、相当資金ワクを最近ふやしておりますから、そう資金ワクが窮屈だということは私はないと思います。マル寒資金でとにかく営農改善計画を立てて経営の改善をやろうとするわけでございますから、事実上そういうところに相当程度土地取得資金が回ることを私は考えております。特に別ワクをつけるというふうには考えておりませんけれども、マル寒資金営農改善をする者に土地取得資金について不自由がないように、相当努力をいたしております。  なお、手続につきましては、マル寒資金とそれから土地取得資金と実は従前は別であったわけで、最近は御要望もありましたので、これを一本にいたして手続の簡素化をはかっておるわけであります。
  80. 斎藤実

    斎藤(実)委員 資金ワクが相当あるというお話でございましたけれども、どれくらいございますか。
  81. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十三年度計画におきまして、農地の取得関係が二百八十億、未懇地関係がたしか四十八億程度でございます。
  82. 斎藤実

    斎藤(実)委員 四十年、四十一、四十二と、この三年間幾らでしょうか。
  83. 大和田啓気

    大和田政府委員 申し上げます。  三十九年から申し上げますと、三十九年が農地関係で百六十五億、四十年百六十六億、四十一年二百二十一億、四十二年二百六十億、四十三年は先ほど申し上げましたとおり二百八十億でございます。
  84. 斎藤実

    斎藤(実)委員 私は、一般農家と違って、まじめな経営改善計画を立てて、国の指導にのっとっている農家に対して、当然優先的に農地取得資金を確保すべきではないかというふうに考えるわけです。  それで、ただいま答弁がありましたように、三十九年から四十三年までのワクでございますね。これが北海道はどのくらい使われておるか、お尋ねしたいと思います。
  85. 大和田啓気

    大和田政府委員 手元に数字を用意いたしておりませんので、できるだけ早く数字をそろえてお渡しをいたしたいと思います。
  86. 斎藤実

    斎藤(実)委員 その数字をいただいてから、ひとつその点は御質問したいと思います。
  87. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 委員長からも申し上げますが、できるだけ早くひとつ数字を御提出願います。
  88. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いま資金量ワクのことをお尋ねしましたが、畑作が、たとえば大豆経営が成り立たなくて、寒地農業拡張のために酪農に切りかえる、こういう農家に対して、先ほど申し上げましたように、農地取得資金の確保という意味で、この点は農林省としてどういう態度で、どういう考え方でおられるのか、まず伺っておきたいと思います。
  89. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども土地取得資金貸し出します場合に、当然、その農家の経営をどういうふうに改善するかということを念頭に置いて貸し出すわけでございますから、マル寒資金の運営で、営農改善計画に即して公庫融資をいたします場合に、そこに必要とせられる経営拡大のための資金というものは、公庫から円滑に貸し出されるということを期待しております。
  90. 斎藤実

    斎藤(実)委員 それに対する質問はまた後ほど……。  次に、今回の改正によって貸し出す限度は、酪農は五百万円、その他の畑作は三百万円となっておりますが、酪農に対して五百万円とした限度額の根拠は一体どういう根拠なのか、お答え願いたいと思います。
  91. 森本修

    森本政府委員 限度額の算定の根拠でございますが、私どもとしましては代表的な経営改善の事例を想定いたしまして、現在そういう農家がどういう規模なり資本装備の状況であるかということを頭に置きまして、それに対して目標とする規模というのはどの程度であるかということで、その間営農拡大をしていきます際の必要事業量と申しますか、そういうものを算定いたしまして、限度としては酪農が五百万円、その他のものは三百万円ということで限度額の想定をいたしたわけでございます。
  92. 斎藤実

    斎藤(実)委員 ばく然とした答弁でちょっと納得できないのですけれども、もう少し具体的に言っていただけませんか。
  93. 森本修

    森本政府委員 御案内のように、これは中庸以下の農家に対して貸し出すということですから、酪農経営の代表的な事例を北海道庁と相談いたして持ってまいりまして、そういった状態農家がいまどういう資本装備なり家畜の頭数を持っておるのかというのが標準的に出てまいります。それで、目標とすべき営農の姿としては、たとえば農業所得でありますれば、一戸当たりの所得が百十万ないし百三十万程度というふうな状態になるように、それぞれ牛が何頭要るか、あるいは畜舎なり草地が幾ら要るかというふうなモデル設定をいたしまして、それに到達するには一体何が幾らかかるかということを計算いたしまして、そういう計算に基づきまして必要な限度額というものを算定したということでございます。
  94. 斎藤実

    斎藤(実)委員 酪農経営のための土地取得資金でありますから、やはりそれ相当の経営分析なり所得目標なり、あるいは畜舎の問題並びに土地の問題とかいろいろあると思うのですが、具体的に、たとえば中産農家といいますか中程度農家といいますか、そういう農家を目ざして土地を買う場合の算定の大体の基準ですね、ばく然としたいまの答弁じゃなくして、もう少し具体的に答弁していただけませんでしょうか。
  95. 平弘

    ○平説明員 斎藤先生のただいまのお尋ねにつきまして、最高限度額の積算の考え方につきまして御説明申し上げます。  大筋は局長申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、いま局長からお話がございましたように、北海道調査いたしました代表的な酪農経営の営農方式例によりまして、中庸以下の水準にあるものが、ある改善目標まで到達するのにどれだけの事業費が要るかということを見ますと、これは幾つかの類型がございますが、酪農専業の場合でございますと、平均いたしまして事業費として四百八十五万円、約五百万円程度事業費がかかってまいります。ところが、現在この営農方式例にある状況以下の農家が、将来この営農方式例によって営農改善の道を歩もうとしているわけでございますので、そのために、さらにこの中庸以下の農家というものが中庸までに到達するまでの間の資本装備の不足分、これが百万円ございますので、五百万円に百万円を加えまして六百万円という事業費が出てまいります。これに融資率というものがございまして、この融資率が八割になっておりますので、六百万円に八割をかけまして、おおむね四百八十万円ということで五百万円を算定しているものでございます。ただいま申し上げましたのは、土地取得資金は別でございます。
  96. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いまの答弁で大体わかりました。  それで、今回五百万円の貸し付け限度は、従来の制度でいえば、旧マル寒制度の限度が土地改良と主務大臣の指定施設を合わせて二百五十万円、それから家畜導入のための畜産経営拡大資金の限度もこれまた二百五十万円、そうしますと、二つ合わせていまでも合計五百万円であったわけです。だから、今回の五百万円というのは何ら前進していない、こういうふうに考えるのですが、この点はどうでしょうか。
  97. 森本修

    森本政府委員 従来のマル寒資金の貸し付対象種目は、御指摘がございましたように土地改良と、畜産経営拡大資金のほうは、施設関係と家畜の導入に必要な費用、こういうことになっているわけであります。したがいまして、今回二百万円を増加いたしましたけれども、そういう関係からいたしますれば、家畜の導入の資金が加わることによって二百五十万円がふえたというようなかっこうになっております。全体のワクとしては、かなりゆとりのあるものということではなかろうかと思っております。もちろん、個々の経営の形からいきますればいろいろございますが、まずまず五百万円の限度額で大体の目的は達せられるのではないかというふうに私どもは思っております。
  98. 斎藤実

    斎藤(実)委員 局長の意見とだいぶ違うのです。きのう搾乳牛の目標を十七、八頭というふうに答弁がありましたが、かりに二十頭の目標を立てて酪農をやりたい、こういう場合はマル寒の対象にはならないのかどうか、認めないのかどうか、この点ひとつお伺いします。
  99. 森本修

    森本政府委員 大体の計算の基礎といたしましては、先般来申し上げておりますように、一つのめどとしては搾乳牛が十八頭程度ということでございますが、これは営農改善計画の一つの現在のめどであります。また、実際にそういうふうな形で改善計画例が定められましても、そこに多少の弾力性は持たして融資に当たるということでございますから、御指摘になりましたような事例でございますれば、十分貸し付けができるというふうに思っております。
  100. 斎藤実

    斎藤(実)委員 そうしますと、二十頭なり二十五頭なりそういうふうに現在もやってきておるのもおりますし、そういう目標を立てた場合でも対象になる、こういう御答弁でしょうか。
  101. 森本修

    森本政府委員 もちろん、酪農をやってまいりますのに、それぞれ資本装備の関係もございますし、一番大きいのはやはり労力の関係だと思います。したがって、一軒の農家で酪農をやるときに、そう頭数が無制限にふえていくという酪農の形ではないというふうに思います。したがって、そこいらが農家営農改善計画として適切であれば、もちろん融資対象にしてまいるというつもりでございます。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 斎藤実

    斎藤(実)委員 そういうものもあるのでまあ認める、こういう話ですが、五百万円の限度では不足だ、どうしても上回る、かりに五百五十万円どうしても必要なんだ、こういう資金の要求があった場合はどうなりましょうか。
  103. 森本修

    森本政府委員 限度額としては五百万円でございますから、標準的な形としては先ほど申し上げましたような姿でありますけれども、多少家畜の頭数がふえても、まず限度の中で資金の調達ができるというふうな形に私は相なるというふうに思います。したがって、そういった関係については、大体限度内で適切な計画が立案できるものというふうに私ども考えております。限度自体も、ある程度計算上ゆとりをとっておる限度でございますので、そういう関係になろうと思います。
  104. 斎藤実

    斎藤(実)委員 そうしますと、資金が不足した場合でも五百万円で打ち切る、それ以上は貸さない、こういうわけですか。
  105. 森本修

    森本政府委員 まずまず五百万円程度の範囲内でやっていただくという考えでございます。
  106. 斎藤実

    斎藤(実)委員 私は、この法の趣旨からいって、いまの答弁ではどうも納得できないのです。償還年限もあるいは金利等も非常に優遇されている措置でもありますし、もし足が出た場合は高い農協資金等も借りなくちゃいかぬ、こういうふうに酪農する人にとってはこれは常に問題の多い政府の考え方です。これはひとつぜひともそういう点について配慮してもらいたい、こういうふうに思います。  それから、先ほどの数字がわかったでしょうか。
  107. 大和田啓気

    大和田政府委員 たいへんおくれて申しわけありませんが、三十九年、四十年、四十一年の実績について申し上げます。  農地の取得資金は、予算ワクは先ほど申し上げたとおりで、実際貸し付けた額は、やりくりでそれより多少増加しておりますが、北海道に対する貸し付けの額を申し上げますと、三十九年度が二十八億でございます。四十年度が三十八億、四十一年度が四十六億でございます。
  108. 斎藤実

    斎藤(実)委員 四十二年度はどうでしょうか。
  109. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十二年度は、まだ数字ができておりません。
  110. 斎藤実

    斎藤(実)委員 これはいつごろわかりますか。
  111. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十二年度は、これは三月末のあれですから、おそらく五月から六月くらいにかけて大体の推算はできるだろうと思います。
  112. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に、北海道畑作農家は、私どもの調べでは五万か六万戸はあるだろう、こういうふうに考えております。それで五年間で一万二千五百戸の計画ですが、残りの人に対してはどういうふうに考えておるのでしょうか。
  113. 森本修

    森本政府委員 南九州のときにも申し上げたような考え方で、五年間の当面の貸し付け予定戸数というのを一応想定いたしておりますが、畑作農家は、御指摘がございましたように五万九千戸くらいございます。しかしその中にも、先ほど来申し上げておりますように、かなり高水準の状態に達しておる農家もございますし、また、あるいは兼業にかなり精を出されまして、農業のほうにさく人がほとんどいないといったような農家もございます。それぞれ勘案いたしまして算定をいたしますと、この五年間に貸し付けの希望があるだろうというふうに推定される農家としては、一万二千五百戸というふうにいたしております。私ども考えとしては、これは現在における見込みの数字でございまして、現実に貸し付けの希望があるというふうなときにおきましては、まず資金貸し付けの申し込みに対して、充足ができないような運用をするつもりはございませんので、希望のある農家に対しては、大体資金が渡るというふうに考えております。
  114. 斎藤実

    斎藤(実)委員 農林省の推定では、一万二千五百戸程度資金を要求する農家だろうというふうに考えている、必要に応じて資金ワクを十分拡大する、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  115. 森本修

    森本政府委員 借り入れの申し込みに対しまして、資金ワクがないから貸し付けができないというふうな運用にはしないつもりでおります。
  116. 斎藤実

    斎藤(実)委員 一万二千五百戸が対象になっておりますけれども、かりに実際にふえた場合、どうしてもこれはぜひとも必要だという戸数がふえた場合はどうでしょうか。
  117. 森本修

    森本政府委員 先ほど来申し上げておりますように、資金ワク関係から貸し付けができないといったような運用をするつもりはございません。
  118. 斎藤実

    斎藤(実)委員 なお、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、今回の改正では、担保の点についても相当前進が見られるようでありますが、この際事務手続を、こまかくいえば、借り入れ申請書の書式等についても思い切った簡素化をすべきだ。こういう手続の簡素化について、どう考えているのかお伺いしたいと思います。
  119. 森本修

    森本政府委員 従来からも、マル寒資金の借り入れ手続の簡素化について強い要望がございました。私どものほうでも、できるだけ簡素化につとめてまいりました。たとえば書類の経由にいたしましても、それぞれ支庁なり支所に認定の段階をおろす、あるいは借り入れなり認定の手続についても、合体をして同時併合的に進めていくといったようなことで、時間的にもあるいは手間の関係からいきましても、改善をしてきたつもりでございます。しかし、なお御指摘のように、改善の要望が依然としてあるわけでございますから、今後におきましては、たとえば現在までやっております営農改善計画書と長期農業経営設計書といったようなものを付帯資料としてとっておるのでございますが、その中にもかなりダブった項目がございますので、そういったものを整理するとか、あるいは道の段階でございますが、書類の取り扱いについての支庁の窓口を一本化するとか、各種機関の認定行為は合議体でできるだけ迅速に、あちこち持ち回らぬように一カ所で事務が取り運べるというふうなことについてきめこまかく検討して、手続の簡素化につとめたいというふうに思っております。
  120. 斎藤実

    斎藤(実)委員 先ほど公庫土地取得資金について、昭和四十三年度は一一百八十億のワクがある、こういうお話でございましたが、北海道ワクとしては幾らでしょうか。
  121. 大和田啓気

    大和田政府委員 最近、土地取得資金ワクを相当全体としてふやしましたが、県別のワクは一一きめません。大体その年度が始まりまして、しばらくして各県の希望なり意向なりがわかりますから、それに応じて、必要に応じて資金融資をしていくということで、北海道は、幾らというふうには初めからきめておりません。
  122. 斎藤実

    斎藤(実)委員 初めからきめてないと言いますけれども、五カ年で一万二千五百戸というワクもきまっておりますし、大体の考え方がないというのは私はおかしいと思うのですが、どうでしょうか。
  123. 大和田啓気

    大和田政府委員 マル寒資金対象になる農家で、一体どれだけが土地取得をするかということもまださだかではございませんし、あらかじめワクをきめるよりも、とにかく資金ワクが全体として相当ふえておりますから、各府県ともそれほど御迷惑をかけていないつもりでおります。  それから、三分五厘の資金でございますから、年度の終わりごろにあたりまして、いつも項目間の多少の流用をいたしておるわけで、土地取得資金は三分五厘ですから、そうやたらにふやすわけにもまいりませんけれども、いままでの実績で、毎年相当の増ワクをいたしておりますので、当初から北海道に幾らというふうに割り当てなくても、特にマル寒資金の借り受け者に御迷惑をかけるということは、私は万ないというふうに考えております。
  124. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大体時間も参りましたので、私の質問をこれで終わりますが、北海道寒地農業の確立という意味で、ひとつ十分今後とも思い切った施策と運用をはかってもらいたいことを最後に要望いたして、私の質問を終わります。
  125. 赤路友藏

    赤路委員 関連して。ただいままで兒玉君、斎藤君の質問と答弁を承った。質問はいたしません。ちょっと注文を一点つけておきたい。  けさNHKのニュースの中で、青森県と岐阜県の水田開拓の問題が出ておったのです。ことに青森では——全国的にそういう傾向があるらしいのだが、水田づくりがブームになっておる。それが平地でなしに山地の水田開拓です。十アール当たり大体二十万、それを請負でやっておるのがある。こういうことなんですが、なぜそういうことをするのかということに対する答えは、行政のやってくれるのを待っておれない、こういうことを言っておるわけです。まあ政府のやってくれるのは、やるやると言ったって、なかなかそう早くやってくれないのだ、それを待っておれぬからやるのだ。これが一つある。もう一つは米価が安定しておるということなんです。この二つの要素がからまって、そうして反当たり二十万の金をかけて、農民みずからが請負に出してやっていく。だから、現実にトラクターでやっておるのを見せておるのです。  いままで私、質問と答弁をお聞きしておってふっと思ったのですが、おそらく、へたなことをやっていますと、これらの農家土地を離して、夜逃げをしなければならぬような事態が来るかもしれない。いま四十二年度のあなたのほうの出しておる米の生産は、大体千四百四十五万一千トンになっておる。そうすると、五十一年度農林省が出しておる米の需要量は千四百二十万トン、現在もうすでにそれをオーバーしておるのですね。それになおかつ水田がどんどんできていく。もちろん壊滅するものもありましょうが、これはよほど考えてもらわなければならない。  私の言いたいのはそこなんで、何かいままで聞いていますと、率直に言って、大和田さんにしても、森本さんにしても、農林省局長の最右翼が一だからこそ私は言うわけなんですが、並みではいけない。何かいままで聞いておりますと、少し迫力が足らぬように思うのです。よしまかしておけ、やってやる、このぐらいの迫力は持ってもらわなければいかぬと思う。それが足らぬのだ、ずっと見ていますと。特に私は、最近決算委員というので、決算で一生懸命になって過去のやつをずっと洗い出していますが、どうも農林省の例をとって言いますと、サラブレッドと駄馬の競走みたいなものなんです。ほかのほうはどんどん速度が進んでいく。農政関係は進まない、こういうことを言っておるのだ。やっていますと言っておるのだ。走っておることは事実なわけですけれども、速度が違う。ここのところを、私はきょうのその質問と答弁の中から特に感じた。その点だけを一言申し上げておく。それだけです。こっちから入ったやつをこっちへ抜かしたってかまいません。ただそういうことでは、どうも私たちも不安を感じますから、十分情熱を持って取っ組んでいただきたい。これだけです。
  126. 足立篤郎

    足立委員長 午後二時より再開することとし、これにて休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後二時十七分開議
  127. 足立篤郎

    足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。工藤良平君。
  128. 工藤良平

    ○工藤委員 私も、午前中の質問に続きまして南九州畑作営農改善資金の問題につきまして、若干御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、この問題を論議する前に、農林省としてのこれからの畑作営農の問題について、特に全体的な畑作振興の問題についての姿勢というものを伺っておく必要があろう、こういうふうに考えておりますので、今後の農業方向として畑作振興に対する基本的な考え方を、まずお伺いをいたしたいと思います。
  129. 森本修

    森本政府委員 御案内のように、日本の耕地面積から見ますと約四七%ということで、ほぼ半ばに達するような畑地状態でございます。国土の利用の面からいたしましても、畑地の問題はたいへん重要でございます。また、将来食糧の需要に対して生産を適応していくという面からいいましても、野菜なり果樹なりあるいは畜産なりということが、畑地における作物として非常に大きなウエートを占めておりますから、そういう面からも、畑作物の生産の安定なり増大ということが、きわめて重要であろうと思われるのであります。  なお、御案内のように、畑作営農としては土地条件も必ずしも十分整備されておらない。また、その上における作物状態も、今後進展していかなければいかぬというふうなことでありますので、土地整備の問題、また果樹なり野菜なりこういった選択的な拡大部門について、できるだけ農林省としても指導なり助成を続けていきたい、こういうふうに思っております。
  130. 工藤良平

    ○工藤委員 先ほど赤路委員のほうからも御意見がありましたが、現在の日本の食糧需給体制の中で、米に対する依存度というものが非常に傾向的に変わってきておるということが言えるわけであります。したがって、本年度農業白書を見ましても、農業総生産の伸びというものは相当伸びてきております。しかし、その伸びというものが、価格の上昇ということに非常に大きなウエートがかかっているわけでございまして、生産の上昇というものが必ずしも十分ではないのではないだろうか、こういうように私ども考えられるわけです。  したがって、そういった意味からも、特に生産性の低い特殊地域畑作振興という問題については、もちろんマル寒地帯の問題とあわせて非常に重要な問題であろう、こういうように考えるわけであります。もちろん、先ほどからそれらに対する十分な政府の考え方も聞いてきたわけでありますけれども、特殊条件下における畑作振興について一体どのような姿勢で臨まれるのか、その点、もう一度お伺いをいたしたいと思います。
  131. 森本修

    森本政府委員 主として特殊地帯におきます営農の問題でございますが、その営農を阻害しておりますというか、安定なりあるいは向上を阻害しております条件そのものが、地帯によりいろいろ違ったものがございます。今回の対策にいたしましても、北海道とそれから南九州ではそういった自然条件に相違がございます。自然条件そのものは、ある意味では直すことのできない要素もございます。しかしまた土地条件のごとく、土地改良その他政策を遂行していきますれば、十分改善の余地のあるものもあるわけであります。したがいまして、私どもとしましては、そういった改善できるものにつきましては、特に土地改良事業等に力を入れて改善をしていく、また気象条件その他克服のできない条件がございますが、そういうものにつきましては、そういう条件のもとでも十分対応できるような営農の姿に改善をしていくということが、基本的な方向であろうと思っております。
  132. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、この資料にもありますが、この特殊地帯、特に南九州農家経営の実態というものを見ますと、総世帯数に比較をいたしまして総農家数が四七%ということで、他の各都府県に比較をいたしますと、約倍程度の相当大きなウエートを持っているわけであります。あるいはまた農用地の現状を見てみましても、畑地率五〇%以上が六一%、畑地率七〇%以上が三五%というように、全国平均を相当上回った地域ということが、この資料からもうかがえるわけでありますが、このような地域については、このような特殊的な条件として融資制度をはかるということも非常に大切でございますけれども、他の総合的な対策というものが特に必要ではないだろうか、こういうように考えるわけでありますが、その点については並行的にどのように施策を講じているか、お伺いをいたしたいと思います。
  133. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように南九州のほうは、全体の戸数の中で農家戸数が多い、いわゆる農業地帯というふうな特色を持っております。それから、耕地の状況も、御指摘がございましたようなことであります。したがいまして、そういった地帯農業振興していくということになりますれば、単に今回の資金制度あるいは土地改良事業といったようなもののみにとどまらず、農林省が従来やってまいりました各種作物に対するいろいろな施策、あるいは予算、金融措置といったようなものを同時並行的にこの地帯に実施をいたしまして、総合的な施策、手段をもってこういった地帯生産性の向上なり農業の伸展なり、そういうことにつとめなければならぬものと思っております。
  134. 工藤良平

    ○工藤委員 現在、具体的にこの趣旨説明の中にもありますけれども南九州地域は非常に多雨、しかも火山噴出物の多い劣悪な土地条件にある。したがって生産力農業所得ともに恒常的にきわめて低い。そのためにこのような措置をとる。それと同時に農地保全という意味も実は相当含まれているということがいわれているわけでありますが、そのことは、具体的に公共事業等がどのように進んでいるか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  135. 佐々木四郎

    佐々木説明員 南九州地帯に行なわれております農業関係の公共事業といたしましては、一般のその他地域に行なわれます土地基盤整備事業は、−もちろんこの地域にも進められておりますけれども、特に特色といたしましては、特異な気象条件土地条件の影響下に置かれておりますので、御承知特殊土壌地帯ということで、農地保全事業というものを進めてきております。この農地保全事業は、特別な土壌のために崩壊、がけくずれ等を防止することがおもなねらいでございますけれども、今回考えられておりますのは、そういう保全的な目的を達するのみならず、その農地を守るとともに、圃場整備、あるいは畑地かんがい、あるいはさらに新しい開拓、そういうものがあれば、それも一緒にくっつけてその農地保全事業とあわせてやっていこう、そういう趣旨で、公共的な土地基盤整備事業を進めていきましてこの地域畑作振興に役立てよう、こういうふうに考えております。
  136. 工藤良平

    ○工藤委員 その点、土地基盤整備等については、これから実施をされるということでございますか。現在の土地基盤整備の中においても、こう  いう特殊地域については、その生産性と所得を引き上げるために努力をしてきたのか、その点を具体的にお聞きしたいと思います。
  137. 佐々木四郎

    佐々木説明員 もちろん、いままでもこの地域につきましては土地基盤整備、いわゆる土地改良事業と称せられます各種仕事を、その土地の地元の人たちの申請に基づきまして進めてはきておりますし、先ほども申し上げましたように、他の地域にない特別な農地保全事業なるものも、特にこの地域にだけは進めてきておりますが、そういうふうに従来もやってきておりますけれども、そういう従来の個々ばらばらにやってきておるものだけでは、今後のこの地域の発展にはなかなかマッチしていかないであろうということから、総合的に、いわゆる特殊農地保全と称する仕組みのものを新たに起こしまして、こういうふうに一本化してやりますならば、事業も促進されますし、工事も効率的に進められるということから、そういう仕組みの仕事を始めようとしておるわけでございます。
  138. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、この地域につきましては、一般畑作地域と比較して圃場整備あるいは畑地かんがい、こういった全体的な土地基盤整備土地改良右業等については優遇措置を講ずるのかどうか、その点をまず明らかにしてもらいたいと思います。
  139. 佐々木四郎

    佐々木説明員 今回始めようとしておりますのは、特殊農地保全事業という名目のもとに、従来のシラスの保全事業を根幹といたしまして、これに圃場整備事業畑地かんがいあるいは開拓。パイロット、こういう仕事を一緒にやろうとしておりますが、圃場整備は、一般では二百ヘクタール以上を県営にすることにしておりますが、この地帯についてだけはこの基準を下げまして、百ヘクタールまでは県営でやれるように考えております。
  140. 工藤良平

    ○工藤委員 その点については、先ほどから再三私が申し上げますように、ぜひ積極的な政策を打ち出していただきたいと思います。  それでは次に、融資制度そのものについて若干内容を詰めてみたいと私は思います。これはそもそもの始まりが、私も詳しくは存じませんけれども北海道の特殊地域に対する融資制度というものが一つの前提になりまして、それと並行的にこの問題が出てきたというふうに、その経過について知るわけでございます。ただ、この資料によりますと、せっかく始められました北海道寒冷地の畑作営農改善資金運用についても、先ほど答弁がございましたが、その利用率というものが必ずしも十分でない。この資料によりましても、三十四年から五カ年計画で始まりまして、当初二万八千戸の目標でありましたのが六千九百六十七戸、三十九年に法律改正をやりまして、若干金利その他の改善をして、三十九年から四十一年までの間に四千七百戸の目標でありましたのが七百九十一戸ということです。現在の状態は後ほどまた報告をしていただきたいと思いますが、そしてまた四十一年に法改正をして今日に至っているわけですね。ところが、その利用率というものは年々低下をしているわけです。私が計算をしてみますと、三十四年からの五カ年間の平均をとってみましても二五%弱、その後法律改正があって、三年間延長されたその利用率が二〇%弱、それ以降今日までの間にどのような傾向を示しておりますか。飛躍的に進んだかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  141. 森本修

    森本政府委員 マル寒資金のその後の利用の状況でございますが、これは一部推定でございますが、四十一年と四十二年を加えますと、制度の発足以来合計で一万七百二十一戸というふうな数字になっております。
  142. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、農林省予定をいたしました目標に対しまして何%になりますか。
  143. 森本修

    森本政府委員 約四割でございます。
  144. 工藤良平

    ○工藤委員 四割というのはどこから出るのでしょうか。この二年間に急激に大幅に伸びておりますれば四割になりましょうけれども、そんなになりませんよ。
  145. 森本修

    森本政府委員 ラウンドの数字でございますが、二万八千戸の当初の目標に対しまして、先ほど申しました一万七百二十一月というのは、ほぼ四割になるということを申し上げたのであります。
  146. 工藤良平

    ○工藤委員 最初、三十四年にできたときの五年間の計画は二万八千戸でしょう。それの達成率は二五%弱なんです。ところが、あまり利用されないということで法改正をやったわけでしょう。そうしてそのときに目標をぐんと下げまして四千七百戸を農林省は出しておるんです。それに対して七百九十一戸なんです。そうすると、最初の五年間は二万八千戸ですよ。その次に二年間延長しておりますから、新たに四千七百戸の目標をあなたのところは立てたわけでしょう。そうではありませんか。
  147. 森本修

    森本政府委員 累次法律を延長してまいっておりますが、途中で、たとえば四千六百戸とかあるいは三千百戸とかいったような、法延長期間内における戸数というものがおそらく手元にあるのだろうと思います。それは性質としては、当初の二万八千戸の中の一部であるというふうに私どもは理解をいたしております。
  148. 工藤良平

    ○工藤委員 その点についてはどういうとり方をするか、いずれにいたしましても、当初の二万八千戸というものをとりましてもその利用率は非常に低いわけであります。しかもなおかつ、その後に二年間、二年間と二回改正をして延長したけれども、利用率は悪いという結果が出ている。これは一体どういうところに原因があるのか、詳細に調査はしただろうと思いますが、その点について明らかにしていただきたい。
  149. 森本修

    森本政府委員 午前中にもいろいろなお答えを申し上げたのでありますが、当初の計画なり目標なりというものは、大体貸し付け対象に相当いたしますところの全体の戸数というふうなかっこうになっております。したがいまして、こういった対策でございますから、農家が自発的に営農改善計画をお立てになり、それによって資金の申し込みをされるというふうなことでございますから、私どもとしては、当初の戸数というものは、そういった農家資金を利用されるであろうということで、一応の目標といったような形で置いております。したがいまして、実際に出てまいりますのは、それぞれの農家営農に対するポジションといったようなものから出てまいるわけでありますから、通常の公共事業のように、計画的にものごとを遂行していくといったような性質とは多少違ったようなものであるということであろうと思います。  しかしながら、私どもとしては、決して利用の度合いが高いとかあるいは成績がいいとかいったようなことを申し上げるつもりはございません。そういった農家側の事情もございましょうし、あるいは手続関係でいろいろ複雑な手数がかかるといったようなことも従来いわれております。また、資金の種類も、必ずしも全体の資金種類を包括していないといったような点もございます。また、融資条件についても、なお改善を要望されていることは重々頭に置いております。そういった点がいろいろな形で複合いたしましてこういった実績に相なっているというふうに理解をいたしております。
  150. 工藤良平

    ○工藤委員 したがって、そういう具体的な幾つかの問題が提起をされてきたが、それは法改正のたびごとに改善をされていかなければならないはずであります。どのような経緯をたどってその事務的な——あるいはいま言った農家が借りようとしてもなかなかそこまで目標に達し得なかった幾つかの理由というものを、どのようにして改善をしてこられたか、その点若干御説明いただきたいと思います。
  151. 森本修

    森本政府委員 そのつど、私どもとしては、できるだけ改善につとめてきたつもりでございますが、たとえば、手続の関係におきましては、先ほどちょっと申し上げたのでありますが、いろいろな書類等についてあまり煩瑣なことにはならぬようにというふうなことで、文書の簡素化といったようなこと、あるいは手続の関係で、道の本庁まで持ってこなければいかぬといったようなことがありましたのを、支庁段階、あるいは公庫でも支所段階といったようなことで、できるだけその手続が簡便にかつ早く進むように、いろいろな形で検討をしてまいりました。また資金の種類の点におきましても、従来はマル寒資金と他の制度金融との関連が必ずしも明確でないといったようなことがございましたので、マル寒資金にあわせて土地取得なりあるいは畜産経営拡大資金なりを、並行的に融資をするといったような手続も講じてまいりました。その他諸般の点につきましてできるだけ改善をしてきたつもりでありますが、従来のそういった手直しでは、必ずしも実情に合わないといったようなこともございましたので、今回マル寒資金について、相当大幅な改正考えて御審議をいただいておるというところでございます。
  152. 工藤良平

    ○工藤委員 その点については、最後に私さらに詰めたいと思いますが、この貸し付け対象者でございますが、この資料によりますと、「平年における農業所得がおおむね四十万円以下の農家」こういうように書かれているわけでありますが、この点については、先ほど兒玉委員の質問に対して答弁なさったようでありますが、農業所得がおおむね四十万円以下の農家、こういうことになりますと、この地帯ではどの程度の規模の農家になりますか、お伺いをしたいと思います。
  153. 森本修

    森本政府委員 農家の規模でございますが、大体規模といいましてもなかなか画一的には言いにくいのですが、たとえば、耕地面積というようなところで表示をいたしますと、一町から一町五反といったような規模になろうかと思います。
  154. 工藤良平

    ○工藤委員 農業所得が四十万円以下の農家ということになると、この地帯では一町ないし一町五反というお話でございますが、今度出た農業白書によりますと、農業所得〇・五ヘクタールから一・〇ヘクタールで大体三十五万二千円という一応全国平均が出ておるようでございますが、それからいたしますと、一町ないし一町五反という規模になると、おそらくこの地帯では専業農家みたいなものになるのじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  155. 森本修

    森本政府委員 この地帯におきましても、線の引き方としては多少高いというふうな感じもいたします。しかし、これは貸し付け対象農家をきめる際の基準でありますから、できるだけ対象農家が多く均てんするほうがよろしい、制度趣旨からはずれない程度においてよろしいということで、私どもはその線を引いておるわけであります。
  156. 工藤良平

    ○工藤委員 農業所得が四十万円ということは、この地帯では非常に農業所得が低いから、したがって、おそらくこれから農業を専業としてやろうという意欲を持っているけれどもなかなかそれができない、だからそれを手助けをしてやろうという法律が、私はこの法律だと考えるわけです。全国平均で見ますと、四十万というのは、これは農外収入と大体五分五分の収入程度になるわけでありますけれども、問題はこの四十万という程度のものでも、南九州地域では、やはり農業で生きていこうとする意欲を持つ者を対象にして考えるのかどうか。そこをやはり一つの基点に置かなければいけないと思うわけで、その点をどのように把握しているかということを私はお聞きをしたいわけです。
  157. 森本修

    森本政府委員 四十万円以下の農家をすべて対象にする、こういう考えであります。ただ、御指摘がございましたように、それ以下の農家でありますと、たとえば、相当兼業に傾斜をしておって、農業にはそれほど力を入れたくないといったような農家もあるかと思います。また、家族員の大部分が他産業に従事をしておって、農業については、ほとんど手間をさく余地がないといったような形の農家もあろうかと思います。そういう農家は、当然営農改善計画の樹立といったようなこともしないでありましょうし、こういった資金対象からはずれてくるというふうな関係になろうかと思います。
  158. 工藤良平

    ○工藤委員 私はこの資金制度が、農業を専門にしてその所得を引き上げていこうという意欲を持っている者に貸し付けをするという意思であるとするならば、五十万、六十万という人たちが、むしろ非常に資金的にほしいということになるのではないか。そこら辺の幅というものをある程度持たしていかなければ、実際のこの貸し付け運用においては、法律はつくったけれども借る者が二割しかなかったということになりはしないか。その点、四十万円というのは非常にきびしいものなのか、福があるものなのか、その点をひとつ運用面でお聞かせをいただきたい。
  159. 森本修

    森本政府委員 数字の問題になりますけれども、このたてまえは、県のほうで営農方式例ということでいろいろな形のものをつくっていただきまして、それをつくられる際のおよそのめどということでこういうものが示されたわけであります。したがいまして、当然こういったものは弾力的に解釈をされ、運用されるもの、こういうふうに思っております。
  160. 工藤良平

    ○工藤委員 ぜひひとつそういう意味で、この運用については、農業をやろうという意欲のある者については、やはり幅を広げて運用していただく、こういうたてまえで御指導いただきたい、こういうように考えるわけです。  さらに、先ほどからいろいろと特殊な条件だということを政府自身も認めているわけでありますが、そこで、この資金制度というものは、他の資金制度よりは非常に優遇されなければならないと私は考えるわけでありますが、その点についてはいかがでございますか。
  161. 森本修

    森本政府委員 しばしばお尋ねがございましたので、お答えを申し上げておりますように、公庫資金の中の南九州振興のために必要な資金種目をここに集めまして、一般公庫資金よりはかなり有利な条件貸し出しをするという趣旨でございます。
  162. 工藤良平

    ○工藤委員 それでは確認をしておきたいと思いますが、金利、償還期限についてお答えをいただきたい。
  163. 森本修

    森本政府委員 金利は据え置き期間中は四分五厘、それ以外の期間は五分、それから償還期間は二十五年、据え置き期間は八年以内ということでございます。
  164. 工藤良平

    ○工藤委員 経済局長にお伺いいたしますが、これはまだ議題には出ておりませんけれども、今度の総合資金制度の金利、償還期限についてお答えいただきたい。
  165. 大和田啓気

    大和田政府委員 総合資金の金利は、南九州畑作営農改善資金と同様、据え置き期間中四分五厘、据え置き期間後五分でございます。償還期限は同じく二十五年以内、据え置き期間につきましては十年以内になっております。
  166. 工藤良平

    ○工藤委員 農政局長、いまの二つの答弁を聞きまして矛盾を感じませんか。
  167. 森本修

    森本政府委員 私が申し上げましたのは、従来の公庫資金各種目を集めまして、そういった種目に適用されますところの融資条件から、かなり緩和をしておるということを申し上げたのであります。  補足的に御説明を申し上げますと、おそらく総合資金との融資条任の比較のことを言っておられるのだろうと思うのですが、金利等につきましては、総合資金におきましては、土地取得資金を含めて、先ほど来申し上げておりますような金利になっておるわけであります。南九州資金は、これまたしばしば御説明を申し上げましたように、土地取得資金は別ワクにして、そうしてあわせて貸し付ける、こういう関係になっております。土地取得資金のほうは三分五厘ということでありますから、営農改善計画を達成するに必要な資金として、それが一緒に借りられるということになりますと、これはそのウエートによっていろいろ違いはありますけれども、それを加重平均した金利ということになりますと、若干下がってくるというふうな実態になろうかと考えます。
  168. 工藤良平

    ○工藤委員 一般農家の方がこの二つを見た場合に、総合資金制度の場合には八百万円まで貸し出せるわけです。金利も償還期限も同じ、ただ据え置き期間が二年こちらのほうが長いのです。非常に特殊的な条件であるというマル寒、そして南九州のこの融資制度については、据え置き期間が二年短いのです。優遇措置をとるといっておられる農林省が、私はこれは矛盾を感じるだろうと思います。そうじゃございませんか。したがって、よく言われますように、農林省はエリート農業を育成しているんだ。八百万円借りるという人は、しかもこのワクというものがごくわずかでありますから、全くのエリート農業です。こちらのほうは、ほんとうに生活に困った人で、しかし農業をやろう努力をしていこうとする人たちに貸し付けるものが、据え置き期間が二年短いということは、他の条件が同じであっても、私はどうも納得ができないのです。わずか二年という据え置き期間でありますけれども、これは金利の計算をしてみてください。どういう程度になりますか。
  169. 森本修

    森本政府委員 融資制度でありますから、それぞれ融資性格なりあるいは目的なりに応じて、若干そういった貸し付け限度額等が変わってまいります。南九州資金のほうは、中庸以下の非常に不安定な状態にある農家を安定的な状態に持っていこうということでありますから、到達すべき営農のスケールも、ある意味においては総合資金よりは低いといったようなことになろうかと思います。したがいまして、資金ワクとしても別段差別待遇をするわけではございませんけれども、それぞれの計算に従いますと、ああいった限度額ということになってくるわけであります。したがいまして、そういう点については、やはり資金性格が違うという点を御理解いただきたいと思います。  それから、償還といいますか、据え置き期間についてお話がございましたが、これはその限度内ということになっております。総合資金のほうは、あるいは経済局長のほうから御説明があろうかと思いますけれども、全国を通ずる一つの制度でありますから、作物なり営農のタイプというものもきわめて広範多岐にわたります。南九州のほうは、大体そこで何がつくられ、どういうタイプになるかということが想定がつきます。そういうことでやってまいりますと、八年ということでまずまずいけると思います。総合資金のほうは、ところによっては果樹等、たいへん償還期限といいますか、据え置き期間が長きを要するようなものを専業的にやるといったような農家も想定される。そういう意味で、限度としては十年ということになっておるということであります。それは、別段冷遇をしたとか差別待遇をしたというようなつもりはございません。
  170. 工藤良平

    ○工藤委員 私は、その理由がはっきりわかりません。さっきから再三回答をいただきましたように、特殊的な条件だということをお認めになってこられた。ところが、この条件というものが、金利、償還期限については全く同じでありますけれども、据え置き期間を、なぜ一方を十年認めて一方を八年にしたのか。悪い条件のところに八年で、いい条件のところに一いい条件と言うと、これは他のほうに問題があるかもわかりませんけれども、やはり八百万円を借りるというのは、比較的いい条件だと思いますよ、現在の農業の中においては。そうすると、悪い条件のところに八年で、いい条件のところに十年というのは——総合資金は十年まで据え置き期間ですから、金利はわずかのものであろうと思うから、その点については、やはりそういった措置を講ずることが当然ではないだろうか。いまの答弁ではどうも納得ができないわけでありますが、もう少し明確なひとつ御返答をいただきたいと思う。
  171. 大和田啓気

    大和田政府委員 私からお答えいたしましても、農政局長の繰り返しにあるいは近いかもしれませんが、融資条件は、ただ償還期間あるいは据え置き期間、利子、一つ一つをお取り上げにならないで、全体をながめて御判断を仰がなければいけない問題だと思います。据え置き期間十年といいましても、果樹振興資金の据え置き期間は十年、これは利子五分五厘であります。総合資金につきましては、先ほど農政局長からも話がありましたが、三分五厘の土地土地取得資金を総合資金の中に含め、三分五厘あるいは四分五厘の土地改良資金も総合資金の中に含めて、とにかく、相当大きく農業をやろうとする者が、まとめて金を借りられるという趣旨でございます。据え置き期間につきましては、果樹等のものが十年ということで、据え置き期間が十年以内でございますから、稲作、蔬菜、畜産等々の営農の類型に従いまして、当然据え置き期間は十年以内で、具体的に私ども定めるつもりでございます。だから、総合資金全部が全部十年ということではございません。  したがいまして、実際の運用におきまして、南九州畑作営農改善あるいは北海道畑作営農改善が八年以内ということと、総合資金の十年以内ということは、実態的にそう差がないというような運営方法になるであろうということ、それから先ほど申し上げました利子でだいぶ総合資金のほうが条件が悪くなっておりますから、彼此勘案いたしますと、まあまあこの辺でいいのではないかというふうに判断をいたすわけでございます。
  172. 工藤良平

    ○工藤委員 たいへん苦しい答弁のようですが、据え置き期間が一番長いのはそれでは何年ですか。
  173. 大和田啓気

    大和田政府委員 林業等で相当長いものもありますが、農業関係では十年が最長でございます。
  174. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、一番条件の悪いところに、十年という据え置き期間が一番最長のものを適用してやるということがほんとうの施策ではないだろうか。特に、このように四十万円以下という低農業所得者層に対する貸し付けでありますから、返済の据え置き期間が長いということが、実際の農業をやる者にとってはきわめてありがたいことなんです。ですから、やはりそういう意味でこの点についてはぜひ再検討する必要があるのではないだろうか、こういうように考えますが、その点についてどうでしょう。
  175. 森本修

    森本政府委員 据え置き期間は、金融のあれでいきますと、やはり貸し出される用途なりあるいは使われる施設なり、そういったそれぞれの資金種類に応じて計算されておるわけであります。したがいまして、先ほど経済局長からお話がございましたように、林業等をきわめて長期にわたる投資については、そういった関係実態に合うように据え置き期間が定められておる。農業内部においても、果樹の場合と畜産の場合ではそれぞれ違うというふうなことで、資金の用途、使途に応じて据え置き期間がそれぞれきまってきておるというのが、金融のいままでの一つの慣習であります。したがいまして、据え置き期間の長さをもちまして、ある資金は優遇しておる、ある資金は優遇していないというふうには判断ができないというものだと私は思っております。  ただ、御指摘がありましたように南九州につきましては、そういう特殊な条件でありますから、北海道においても、従来の六年から八年に延ばすというふうなことで、金融の慣習上許される限度において延長につとめて、御審議をお願いしておるところであります。
  176. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、これであまり時間をとってもしょうがないのですが、やはりいま言ったように農業資金として最高十年の据え置き期間があるとするならば、やはりそれをなるべく適用してやるということが一番いいんじゃないか、こういうように考えますので、この点についてはいま直ちにということは不可能でありましょうけれども、六年を八年にしてきたという経緯からすると、十年にするということも不可能ではない。先ほどからの答弁を再三聞きますけれども、どうもすっきりとした答弁ではないわけなんで、この点についてはぜひひとつ、据え置き期間十年ということについて、私は御検討いただくようにお願いをしておきたいと思います。  それから次に、これは農林省の具体的な農業政策の中でこのように資金貸し付けをやります。もちろんそのことによって、意欲のある農業経営者はそれをもとにいたしまして農業の発展につとめるわけでありますが、問題は貸し出しだけではなくて、その後におけるあとの保護、アフターケアの問題について、やはり農林省がどのように指導していくかということが、私はきわめて重大な問題であろうと思います。したがって、これは先ほども兒玉委員のほうから質問をいたしましたが、この南九州の問題については、どのような作目を選んで畑作振興をはかられるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  177. 森本修

    森本政府委員 南九州におきましては、ああいった気象条件でございますから、導入され得る作物も多いわけでございます。しかし、従来からの営農状態を見ますというと、そういった自然条件、恵まれておる気象条件ということで、いろいろな作物をかなり多種類一戸の農家でつくっておるといったようなことで、必ずしも、特定作物に集中をするといったような傾向が、他に比べて少ないという点が、営農状態としても必ずしもよろしくないということであろうと思います。したがいまして、できるだけ有利な作物を主幹的に取り入れて、営農の体系をつくっていくということが必要であると思います。  それで、現在考えておりますのは、ミカンなり、野菜なり、酪農なりあるいは肉牛なりといったようなものを主幹としたような営農のタイプ、それから、ところによりあるいは農家性格によりまして複合的な形態のものも適するところがございます。お茶と肉牛を組み合わす、あるいは養蚕と肉牛を組み合わす複合のタイプといったようなものも、それぞれの地域実態に応じて方式例をつくっていただくという考えであります。
  178. 工藤良平

    ○工藤委員 この点は、特に、たとえば果樹あるいはお茶、畜産、こういったものがやはりこの南九州地帯については主として選ばれる作目であろう、こういうように考えられるわけであります。私は、御存じのように大分の出身ですけれども、たとえば大分あたりの場合にも、これは南九州とは違いますけれども、かんきつの栽培が非常に盛んであるわけであります。このかんきつの栽培を奨励し始めましてから五年程度で、私どもの農政審議会では、すでにかんきつの作付制限をしなければならないということがいわれているわけであります。したがって、この作目の選定というものは、資金貸し付けをすると同時に、これは並行的にやはり農林省の指導というものが伴っていかなければならぬ、こういうように考えるわけであります。したがって、この生産、価格、流通、販売、こういった総合的な指導という面は、一体どこで、どういうふうにしてやるのか。県にまかせるのか、あるいは農政局あたりでそこら辺の指導をやっていくのか、その点についてひとつお聞きをしておきたいと思います。
  179. 森本修

    森本政府委員 主要な作物につきましては、先ほどもお答えをいたしましたように、果樹でありますとか畜産、酪農でありますとか、そういうものにつきましては、近代化計画といったようなものを農林省段階においてもつくっております。またそれに応じまして、各県においてもやはりそれぞれその県におけるそういう目標なり計画をつくっていただいておるわけであります。したがいまして、私どもとしては、全国的な視野から、また各県においては各県の特性に応じて、それぞれ主要な作物についての生産目標なりあるいは方向なりというものをお定めをいただいて、そういうことで生産者に対して指導していただくというふうに考えております。
  180. 工藤良平

    ○工藤委員 私がこのことを特に強調いたしますのは、これは園芸局の方見えていますか。——具体的に私は申し上げたいと思うのです。これは昭和三十三年に農林省畑作振興ということで紅茶の一万町歩造成運動ということをやりました。紅茶の奨励をいたしたわけでありますが、私ども地域でもこれに乗りまして、国からの資金等もお借りして始めたわけであります。もちろん、この過程の中においては幾つかの条件がありまして、途中で挫折するという事態もありましたけれども、どうにか現在生産も軌道に乗りまして、二百数十万円という紅茶の製茶工場もつくりまして、その生産も軌道に乗ったわけであります。ところが、ことしあたりから紅茶の買い付けを相当制限されるということは、生産者にとりましては非常に死活の問題ということがいわれているわけであります。  ところが、これに対してどのような指導がなされているかというと、それを緑茶に切りかえればいいではないか。緑茶は御存じのように、この白書を見ましても、相当量の輸出がありますから、緑茶ならば確かに伸びるだろう。しかし、いまだに  この資金の返済は半分しかしていないわけです。その半分しか資金の返済が終わっていない段階で緑茶に切りかえろといいましても、これは施設その他の問題からきわめて困難であります。こういう問題について、紅茶の需給の問題なりあるいはそういった指導の問題について、一体農林省はどのように考えるのか。これは私は、この南九州の作目の選定の問題につきましても同じようなことがいえるだろうと思うし、その点について、ひとつ指導の方針というものをお伺いしたいと思います。
  181. 山下一郎

    ○山下説明員 ただいま御質問ございました紅茶の経過なり現在の考え方でございますけれども、御指摘がございましたように、戦後食生活の変化等に対応いたしまして、紅茶の需要は伸びてまいっております。そういう現状を踏まえまして、昭和三十四年に、関係の学識経験者を網羅します茶業振興調査会を開きまして御検討いただきまして、農林大臣への答申をいただいたわけでございますが、これに基づきまして、栽培適地に紅茶の作付を奨励してまいったわけでございます。ところが、国産紅茶につきましては、栽培農家の努力にもかかわらず、現段階では、残念ながら品質が外国産紅茶に劣っております。この理由は、外国では手づみでありますけれども、わが国では省力化のために機械づみをやっております。このようなことが原因で、品質が、率直に申しまして外国産に比べまして劣っております。  それから、御承知のように、ただいまもニューデリーで開かれております第二回のUNCTAD、国際貿易開発会議の最終段階になっておりますけれども、こういうところで発展途上国、具体的に申しますとセイロン、インド、これが中心でございます。こういう国々から貿易の自由化、関税の引き下げ、こういうことが強く要望されてまいっておりますので、農林省といたしましては、昭和三十八年までに植えつけました二千ヘクタールの紅茶園を整備していく、したがって、三十八年以後は新しく作付面積の拡大はしない、こういう方針のもとに現在紅茶の育成を行なっております。  御参考までに申し上げますと、昭和四十二年度の国産紅茶の生産量は八百八十四トンでございますが、これは外国産紅茶の輸入割り当てに関連づけました国産紅茶の引き取り制度によりまして、全量をメーカーが買い取っております。そういう方針で今後とも対処してまいりたいというふうに考えております。  それからなお、緑茶に転換のお話がございましたが、これは現在のところ園芸局といたしまして、紅茶を緑茶に転換するという方針は打ち出しておりません。  以上でございます。
  182. 工藤良平

    ○工藤委員 この問題については本題じゃありませんから、また後日あらためていろいろと詳細にお聞きをしたいと思いますが、いま御指摘のように、たとえば手づみであれば品質がよくなる、これは現在の状態の中でも改善できることであろうと思いますね。問題は、こうして奨励をしたものが、生産が軌道に乗った段階でうっちゃられるということが、やはり一番農家にとって痛いわけであります。これは死活の問題であります。したがって、このようなことのないように、やはりアフターケアを重視するということ、これは私は農林省の農林政策としての責任だと思います。それで紅茶の問題については全量買い上げをあくまでも堅持していただく、こういうことについては、ぜひ園芸局のほうに指導をお願いいたしたい、私はこういうように思うわけであります。  なお、時間もすでに一時間を経過しておりますから、私この程度で終わりたいと思いますが、先ほどから再三申し上げておりますように、この特殊地域の、低所得者といわれるこの農業地域振興というものが非常に深刻な問題になってきているわけです。もちろん、これは出かせぎその他の関係等も関連をいたしまして、非常に重要でございます。したがって、資金制度あるいは土地改良事業を中心にいたしましたいろいろな国の助成措置、こういうことが当然必要になってくるわけでありますが、これらの問題を推進していくためには、やはり農林統計といったようなものも、生産それから市場、流通調査こういった関係からも私はきわめて重要であろうと思いますし、そういう意味から、これらの指導体制について農林省として一体どうするのか、最後にその点をお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  183. 森本修

    森本政府委員 御指摘がございましたように、中央、地方を通じましてこういった資金制度なりあるいは土地改良事業等々総合いたしました形で、南九州に対して指導を強化していかなければならないというふうに思っております。特に、お話がございましたように、それの前提になる統計資料整備、それから普及なりあるいは農家の経営に対する相談の体制といったようなものにつきまして、できるだけ私ども整備につとめまして、指導に遺憾のないようにいたしたいと考えております。
  184. 工藤良平

    ○工藤委員 終わります。
  185. 足立篤郎

    足立委員長 美濃政市君。
  186. 美濃政市

    ○美濃委員 昨日保留した分について御質問をいたしたいと思います。  まず第一点として、昨日の質問の所得目標の中で、百十万ないし百三十万の所得を確保する乳牛頭数は何頭か、酪農主業でやる場合をお聞きしたのですが、十七頭ないし十八頭ということであります。本日、四十三年度の保証乳価を畜産振興審議会に諮問する案というものが正式に出てまいったわけであります。これで計算すると、それは保証乳価で何頭になるか。十七頭、十八頭という頭数に私は疑問を持っておったわけです。計算されたと思うので、御答弁を願いたい。
  187. 平弘

    ○平説明員 昨日も御説明申し上げましたように、営農改善の目標として想定いたしております所得目標は、おおむね百十万ないし百三十万であるということを申し上げた次第でございますが、そのために、この前提として目標にいたしております酪農を主体とする営農方式につきましては、搾乳牛十七、八頭程度の飼養数ということを一つの目標にいたしておるということは、お話しがあったとおりでございます。十七、八頭で一応百十万ないし百三十万の農業所得と相なる。この場合の農業所得の計算にはマル寒資金あるいはそれとあわせて借り入れます農地取得資金等の借り入れ金の金利というものは、控除して農業所得を計算いたしておる次第でございます。
  188. 美濃政市

    ○美濃委員 この乳牛頭数には、いわゆる育成牛と搾乳牛とあるですが、十八頭というのは、いわゆる加工原料乳生産地帯における総頭数を意味しておるのか。
  189. 平弘

    ○平説明員 ただいまのお尋ねの件でございますが、搾乳牛の頭数でございます。
  190. 美濃政市

    ○美濃委員 搾乳牛のみの頭数ということになると、この基準からいって、私どもの計算と合わないんですがね。そういう十七頭ないし十八頭を基準にして標準構造とするという審査規定にすると、非常に矛盾が起きるのです。それからまた、この乳価そのものについては本日はやりませんが、とりあえず本日提案されておるこの資料に基づいて、これなりに計算しても、私の計算では十四頭です。それから計算方式は、きのうの質疑の中では、私は償還体制の問題で、この乳価の中の地代償却というものを分類積算していったのですけれども、その額と元利償還額が合うかという質問をして、その営農方式例で計算する方式と違っておりましたから、ちょっと質疑のタイミングが合わなかったようです。  きょうは営農方式例による、そちらで計算する方式を採用してよろしいのでありますけれども、そちらの計算方式で計算しても十四頭ないし十五頭で、提案されておるこれで計算して、あなた方の言う営農方式例計算にして、百十万ないし百三十万の所得は十四頭ないし十五頭で出るのです。十八頭の中に育成牛が含まっておるということなら話は別ですけれども、しかし、搾乳牛だけということになるとね。このことは、たとえば十四頭と十七、八頭というのでは資本装備が変わってくるわけです。  また、今度は労働力から計算をいたしますと、この方式では、十五頭以上の飼育体系に入るときには専従労働者が——標準家庭、夫婦二人子供三人、この標準世帯の普通の状態で行なう酪農というものは十五頭である。頭数がそれをこえる場合、専従労働者が別におるか、もしくは高度な機械化を必要としてまいります。省力機械だけでも、セットで千五百万ないし二千万くらい。相当省力体系の機械を入れなければ、それをこえての頭数飼育というものは、いまのところ無理なんです。そうしなくても、これで計算して目標所得は一応出るのですがね。そうすると十七頭、十八頭というのは、私はどうも気がかりなんです。
  191. 森本修

    森本政府委員 酪農につきましては、たいへん御造詣の深い先生でございますから、私どもとしては、おそらく北海道における実態から御経験によって積み上げられたお話であろうと思います。ただ、私どもとしては、持っております資料北海道庁と相談をいたしまして、まあほぼこの程度のことではないかという段階のものでございまして、いずれ正式に営農方式例として出しますには、さらに十分皆さんの御意見をお聞きしながら固めてまいるというふうな手続になるわけでございますから、お聞かせをいただきました御意見は十分尊重いたしまして、そういう問題を固める際に研究をしてまいりたいというふうに思います。
  192. 美濃政市

    ○美濃委員 頭数についてはいまの答弁で了解いたします。  次に、そうすると、北海道地域における農業家庭ですね、標準世帯の年間生活費は何ぼと計算しておりますか。
  193. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたような性質の数字でございますが、私どもの計算では、現在のそういった農家の家族家計費というのがございます。それは約六十五万円程度ということになっております。その後の家計費の上昇も見込まなければならないということで、最近におきますところの家計費の伸びの実績、その程度のものは将来も家計費として伸びていくであろうというふうな想定のもとに計算をいたしております。
  194. 美濃政市

    ○美濃委員 私の計算では、大体寒冷地でございますから医療費その他が高くなりまして、北海道地域における農業の標準生計費は八十五万円を要すると思うのです。昭和四十三年度です。物価の上昇で、昨年で八十万、ことしは八十四、五万円を要するのではないか。その点の見解はどういうふうにお考えになりますか。
  195. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたように、現況では、大体現在の状況北海道庁と相談をいたしまして、そういうことであろうという数字を置いております。それは必ずしも目標とする状態というわけではございません。それから先ほど言われましたように、漸次家計費等の上昇を見込んで営農改善計画の中に織り込んでいくべきものというふうに思っておりまして、まあまあ最近の五、六年の平均的な家計費の上昇程度は織りこんでいこうということで試算をいたしておるわけであります。
  196. 美濃政市

    ○美濃委員 そこで、百十万ないし百三十万から基準生計費を引くと、私は百三十万の場合は八十万で引けばいいと思うのです。いまの答弁の六十五万でもいい。まあそこらは中間で引いてもらっていいと思うのですが、何ぼ残ることになりますか。たとえば生計費は七十万とする。百十万ないし百三十万ですから、その中間をとって百二十万から七十万引くと、五十万ということになる。七十五万円引けば四十五万ということになります。そこで、そこら辺が、いわゆる営農方式例からいった、いわゆる借り入れ金をした場合に元利償還、支払い得る能力、こういうふうに判断して間違いないかどうか。
  197. 森本修

    森本政府委員 昨日も申し上げたかと思いますが、私ども農業所得の計算は、粗収益から農業経営費を控除して計算をしております。その経営費の中には、融資金に対する利子も含めて差し引いた結果の農業所得の計算になっておるわけであります。
  198. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると問題が起きますね、そういうふうに計算するということになると。十五頭で計算をしまして、設備総額は一千万かかる。これは皆さん方の計算はどうなっておりますか。これは加工原料乳地帯で——酪農は面積を必要とするけれども北海道は地価が比較的安い。東北六県、加工原料乳地帯北海道以外の県はかなり地価が高いですから、大体標準一千万を必要とする。搾乳牛十五頭の体制の投下資本というのは、一千万以下ということはあり得ないのです。一千万以上と言えるのです。一千万を最低とする。
  199. 森本修

    森本政府委員 確かに、白紙の状態からそういった形の経営をつくり上げるということになると、先生の言われるような資金量はかかるかと思います。しかし、私どもの想定は、ある程度営農をすでにやっておる、そういう営農状態から、目標とするような経営の姿に到達するのに幾ら事業量が必要であろうか、また、したがって融資金としては幾らを想定すればいいか、そういった式の計算になっております。
  200. 美濃政市

    ○美濃委員 そういたしますと、最低はゼロから計算するとそうなるということは、私もそのゼロから計算のあれなんです。  そこで今度の制度は、土地取得資金の限度額引き上げがまだ明確でないのです。しかし、農林省の限度額引き上げ案というものは三百万です。これは計画としては間違いないですね。
  201. 森本修

    森本政府委員 農林省としましては、北海道については三百万ということで、目下折衝中でございます。
  202. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、融資率八〇%と、こういっておりますが、一千万かかるとして融資率八〇%であれば、土地取得は、今度の最高限度稲を含めて八百万ということです。八百万を貸し付けた場合の元利償還額は、約定償還額は、何ぼになるかということであります。
  203. 森本修

    森本政府委員 農地の取得資金のほうは、融資率は別段かからないそうでございます。だから、事業費に対してまるまる貸し付けができるということであります。二割は自己資金でなくてよろしいということのようであります。ただいま言われました金額は、ちょっといま計算をしておりますので……。
  204. 美濃政市

    ○美濃委員 時間を急ぐようですから、計算はあとでいいです。  そうすると、皆さん方の答弁どおりでいくのであれば、この営農改善計画書を書く場合に、融資金の元利償還額を経費へ落とすというのであれば、所得目標は高過ぎるのじゃないか。百十万とか百三十万は要らぬじゃないか。融資の元利償還額を全部経費に落として計算するというのであれば、生活費だけ残ればそれで貸すということでいいじゃないですか。局長答弁どおりでいくと、たとえば七十万の借り入れ金の元利償還をしながら、なおかつ三十万、四十万の収支余剰が出るというが、実際の農業の場合はそんなことできませんよ。どうしてそんな無理なことをさそうとするのか。必要ないじゃないですか。このマル寒の借り入れ金の元利償還額を経費に見込むというのであるから、残る所得は生活ができる所得であればいいのじゃないか。それで元利償還もできるのだし、経営拡大もできるのだ。答弁どおりでいくと、百十万、百三十万という所得目標を掲げて、そういう基準でなければ貸さぬというのであれば、だれも借りぬことになると思うのです。借り入れ金の元利償還額を経費に入れてなおかつ収支余剰が三十万、四十万でなければ貸さぬということ、それが営農改善計画書というのであれば、そんな無理な制度はないと思うのです。
  205. 森本修

    森本政府委員 農業所得の計算のしかた、そういう点についての食い違いであろうかと思います。先ほど私が申し上げましたのは、経費として控除いたしますのは金利分であります。したがいまして、もう一回繰り返すようになりますが、農業の粗収益から金利を含めた経営費を引きますと、農業所得と一応なりまして、それから租税公課等、また多少被贈収入等も統計上ありますから、そういうものをかげんいたしましてあと家計費を引きますと、農家経済余剰といったような欄が出てまいります。それから償還金が返済されていきます。そういう表の形式になっております。
  206. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、百十万、百三十万、それから生活費を引いた収支余剰で償還するというのですか、そうですね。そうすると、前の答弁とちょっと違うわけですね。前は全部引くという答弁だった。そうすると百三十万から生活費を引いた収支余剰と元利償還額が合うか合わぬか、合わなければ、それに合うように利率年限を合わしておかぬと延滞が発生する、こうなるわけです。
  207. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたような様式で私どもは計算をいたしまして、計算としては十年間やってございますが、十年間に借り入れました金利と、定められました年額の償還金が、ほぼ償還ができるというふうな計算が一応できております。
  208. 美濃政市

    ○美濃委員 最後に申し上げておきますが、この関係はそういうふうに、実際に借り入れをする農家経済あるいは——近代化資金というような性格資金は、酪農の基本施設をするのには、利子が高くて年限が短くて、あの資金でやった場合、全然大幅な延滞が発生するわけです。相当合わないわけです。今度のマル寒の改正は、若干でありますが利子も前よりは緩和されている。しかし、私が言わんとするところは、なおかつ不十分である。私が先ほどから申し上げたように、その計算をすると、私の計算では、この資金は、約定の捉え置き期間中四分五厘、償還に入って五分、年限二十五年で払い得るいわゆる保証乳価にすればいいのですけれども、今度出てきた乳価を見ても、この支払いの条件に足る乳価になってない。そうすると、それは反面物価との関係があって、そういう局長の言う収支余剰になる部分といえば、この乳価計算の中では、資本利子とか地代とか、そういうものしか計算に出てこないわけです。労働費は、もう生活に足りない労働費しか見てないのであります。これはあすやります。  やはり国の制度資金でありますから、この保証乳価に制度資金を持っていって合わすということで計算をしますと、三分五厘、三十年ということになるわけです。したがって、そこが一致してないということを申し上げるためにいろいろ質問をしたわけで、これは一致しておりません。あとから計算してみてください。  ですから、この資金は不十分である。しかし、いまここで修正動議を出そうとは思いません。修正動議を出すと混乱しますから。ここまで来ておるのでありますから。しかし、不十分であるということで、今後合わすように努力をしてもらわなくてはならぬです。  これは政務次官に、去る十二月に、こういう制度資金を変更するにあたって、国が保証する価格から出る収支余剰として保証する価格と制度資金を一致させるように要求したわけですね。そのときの政務次官の答弁は、そういう矛盾が起きないように努力するという答弁をされておるわけです。ここで私は修正意見は出しませんが、不十分である。だから、今後一致するように、価格で一致させるか、金融制度を一致させるか、いずれにしてもこういう矛盾した制度は一致させるようにする、こういうふうにしてもらいたいと思うのです。御意見を承りたいと思います。
  209. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 いま美濃委員のおっしゃったように、この制度にもいろいろと不十分な点があると思います。徹底したものじゃない点はわれわれも認めるわけですが、一応四十一年の国会附帯決議にもこたえた内容を盛り込んでおると思いますし、畑作農民の要請にもこたえておると思います。しかし、いろいろ御指摘の点につきましては、今後ともひとつ善処するといいますか、検討していかなければならないことになると考えております。
  210. 石田宥全

    石田(宥)委員 関連でちょっとお尋ねしたいと思うのです。  先ほど来最高限度額の問題がずいぶんやかましく議論が行なわれ、ただいまは償還計画について質疑が行なわれたわけでありますが、元来この償還計画というものは、年限が長くなればなるほど実態とはおよそ縁のない作文になるのです。これは多年の経験から申し上げるので、償還計画というものは作文なんです。だから私はそういう問題をやかましく言おうとは思いませんが、この酪農の場合に五百万円までということもよろしいし、その他百万円を二百万円にし、三百万円にするのもけっこうだと思いますけれども、実際問題としては、百万円まで貸すといって百万円まで手続をする、しかしそれが五十万円、七十万円に値切られるというのが、これが窓口における規制なんです。これは、現実に窓口の担当者は償還能力第一主義になるものだから、結局値切ることになるのです。そうすると、百万円の計画をいろいろつじつまを合わせて出しても、償還能力がどうもなさそうだということになると、それを五十万円、七十万円に削られる、しかたなしに非常に無理な金を使うということが、ますます計画を狂わせることになるわけなんです。これは局長、あなたおわかりだと思うのですが、窓口はやはり償還能力を中心に実際問題としては考えるのです。  そこで問題は、最高限度額が多くなるのもいいけれども、多くなればなるほど窓口担当者の選別融資が行なわれる可能性がある。将来相当に成長できる、計画どおりに進みそうだという、たとえば自立農家としてやっていける見通しが立つか立たぬかということで判断をする場合には、現在すでに自立経営農家であるようなところに選別融資が行なわれて、この融資が行なわれればかろうじて、いまはまだそこまでいっていないけれども、今度は自立経営農家になり得るという、そういうものが振り落とされて、現在でも自立経営として可能性のあるようなところに選別されてしぼられてしまうと、これはほんの見せかけだけのものになるおそれがある。これはいままではすべてそうなんです。いままですべてそうだから、皆さんが計画されて、先ほど工藤委員が質問をされたように、目標はいろいろ掲げるけれども、そういう面が配慮が足らないというか、あるいはまた、窓口の担当者は責任を感ずるからしぼるというか、そういう点の配慮が十分行なわれないと、結局は絵にかいたもちになるおそれがある。これはひとつ局長、特別の御配慮をされるおつもりであるかないか。特別の配慮をされないというと、ほとんどこれは無意味なものになり終わるおそれがある。すべての農業関係融資はそういうふうになるのです。ですから、償還計画などというものは幾ら議論をしても、全くこれはナンセンスの作文になっておる。いままで十年、十五年なんというものはみんなそうです。その点を実態に即するように、窓口にまで配慮が行なわれなければならないと思うのですが、現状はよく認識しておられると思いますが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  211. 森本修

    森本政府委員 ただいま、融資の実行の段階におきまして、あるいは選別になる、また窓口において必ずしも十分な融資体制が行なわれていないというふうな御指摘がございました。この資金制度は、昨日来御説明を申し上げておりますように、むしろ貸し付け対象といたしましては不安定な農家、中庸以下の農家といったものにほぼ焦点を合わすというふうなことで、しいて選別といいますと、そういった大まかな基準があるのみでございます。あとは融資機関におきまして、できるだけ制度の本旨に合ったような形で融資の実行に当たっていただくということを私ども強く希望いたします。また、将来とも十分指導につとめてまいりたいと考えます。
  212. 石田宥全

    石田(宥)委員 法案趣旨や何かはよくわかっておるのですよ。われわれももう長い間農業関係融資を見てきておりますからね。立法するときにはもっともらしい説明をされるのですけれども融資機関は別ですからね。農政局がおやりになるのじゃないですから、別の機関だから、その機関というものは、それはやはり償還能力第一主義になるのです。するなといったってなる。そういうところに、保証基金の制度や何かありますけれども、よほど政府のほうから強く要請をされないと、やはり同じことを繰り返してはならないから私はここで念を押しておくわけです。ぜひひとつ政務次官のほうも、一切の農業関係融資について、特に御配慮をわずらわしたいと思います。
  213. 足立篤郎

  214. 樋上新一

    樋上委員 昨日来から両法案に対して、あらゆる角度から質疑が行なわれ、私が最後になったようなことでございまして、もうほとんど私のお尋ねしたいところも尽きているように思うのであります。少し角度を変えまして、関連した点にも触れたいと思います。ごく簡単に要点のみをお伺いいたしたい。多少重複するところもあるかも存じませんが、その点はどうかひとつ確認の意味で御回答願いたいと思う次第でございます。  南九州農業については、台風の襲来、特殊土壌の分布などで劣悪な条件のために畑作の経営が低位になっておる。このような条件の中で、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案が上程されたことは、おそきに失したと私は思うのでございます。その点につきまして、若干不備な点があると思いますのでお伺いいたしたいと思うのでございますが、南九州におけるシラス地帯地域指定は何%になっておりましょうか。
  215. 森本修

    森本政府委員 地域指定は、政令で地域指定の基準をきめまして、その基準はいまのところ、昨日も申し上げましたが、年間とそれから五月から七月までの雨量と、それから不良な土壌の分布の状態、それから畑地状態といったようなものを基準にして、政令で定めるというつもりでございます。その基準に当てはまりました地域を両県の知事が申請をしまして、私どものほうで告示をするという手続になります。大体の見通しとしましては、宮崎なりあるいは鹿児島の主要な畑作農地帯については、指定がなされるというふうな想定をいたしております。
  216. 樋上新一

    樋上委員 そのパーセンテージは幾らぐらいですか。
  217. 森本修

    森本政府委員 全体の地域の約八割くらいに及ぶかと思います。
  218. 樋上新一

    樋上委員 いわゆる基準になったところは八割くらいですね。私は、四〇%か四五%くらいのもっと低い層を対象にしてはどうか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  219. 森本修

    森本政府委員 私が申し上げましたのは地域の広がりで、両県の地域に対してどのくらいカバーするかという数字を申し上げたわけです。
  220. 樋上新一

    樋上委員 私はシラスの含有量の問題を聞いておるのですがね。
  221. 森本修

    森本政府委員 両県における特殊土壌の分布の比率は、六六%くらいでございます。
  222. 樋上新一

    樋上委員 いま私が申し上げましたのは、それの四〇%か四五%くらいのところを対象にしてはどうか、こう言うのです。意味がわかりますか。
  223. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  224. 足立篤郎

    足立委員長 速記を始めて。
  225. 森本修

    森本政府委員 実は基準は、単位当たりの面積にシラスがどの程度土壌の中にまざっておるかということは調べにくいものですから、全部土地をほじくり返さないとなかなか調べにくいということでございますから、主としてシラスは表土といいますか、表のほうにあるわけですから、そのシラスをかぶっておるところの土地の広さというものが六六%ということでお答えしたわけでございます。
  226. 樋上新一

    樋上委員 このシラスを含んでいる地域は、農産物のいわゆる生産性が非常に低い。そのゆえにその基準を下げて、対象農家の範囲を広げてみてはどうか、こう申し上げておるわけです。いまあなたのおっしゃたところと私の尋ねたところと多少の食い違いがありましたけれども、、それはそれでいいでしょう。わかりました。  それでは角度を変えまして、最近、数回にわたって大きな地震がえびの町を中心に起こっておる。これは、被災地が狭いために激甚法の適用がされない。個別に見ると被害は甚大である。特に、地震被害による半壊は全壊と同じ状態でありますが、これに対しても考慮すべきである。これは総理府のほうに回答を求めようと思いましたけれども、本日は出席がありません。私はこれに関連いたしまして、こうした数回にわたるところの大きな地震が起きておるところのえびの町に対して、こういった災害の激甚法が適用されなかったらこれと同等の処置を考えてはどうか、こういったことを質問申し上げたかったのですけれども、この被害状況は、三月十九日現在の県報告によれば、公共土木施設等に六億七千万円、うち文教施設が一億円、農地等が二億五千万円、林地が十億円、中小企業が九億円、合計二十九億二千万円という大きな被害を受けておる。そして、この地域のいわゆる地下構造等の専門的なことは、地元で調べた結果によると明らかではない。そこで早急に技術調査団を派遣して、危険地帯の早期調査を行なうべきではないかというようなことを、きょうはいろいろなそういう立地条件から質問したかったのですけれども、これは明日に譲ります。  今度は厚生省にお伺いするのですが、この地震に対する安全な緊急避難所等をつくるべきではないかと私は思うのですが、いかがでございましょう。
  227. 大和田潔

    大和田説明員 えびの地震につきましては、すでに私ども災害救助法の適用をいたしております。今回の第二次の地震につきましても、災害救助法の適用期間を延長いたしまして対処いたしております。  なお、避難所につきましては、鹿児島県の吉松町につきまして、現在十五坪の避難所を二十五棟建設中でございます。また、宮崎県のえびの町につきましては、十一棟の避難所を現在手配中でございます。
  228. 樋上新一

    樋上委員 宮崎県、鹿児島県が要請しておるのは、天災融資法を拡大してくれとの要望があるのですが、この点はどう処置されていますか。
  229. 松本作衛

    松本説明員 天災融資法につきましては、一応国民経済全体に影響があるというふうな法律考え方でいままで適用しておりますので、えびの地震につきましては、局地的には非常に被害がはなはだしいわけでございますが、従来の適用されました基準に照らしまして、天災融資法をそのまま適用するのは無理ではなかろうかというふうに考えております。ただ、被害の実態によりましては、自作農維持資金についての融資の必要があれば、通常の場合ですと、天災融資法の発動があった場合にのみ自作農資金は出しておるわけでございますが、えびの地震につきましては、特別に配慮する必要があれば、自作農維持資金融資を考慮したいというふうに考えております。
  230. 樋上新一

    樋上委員 この被災地域は、わが党の議員も調査に行ったのですが、実にひどい状態であったのですが、この地域については、融資貸し付け条件を特別に緩和するお考えはございませんでしょうか。
  231. 松本作衛

    松本説明員 この点につきましては、従来、災害につきましては限度が五十万円ということになっておりますが、被害の実態等を見まして、さらに検討させていただきたいというふうに考えております。
  232. 樋上新一

    樋上委員 では、南九州は、今度の法案対象戸数のうち、営農による負債戸数はどのくらいあるのでしょうか。
  233. 松本作衛

    松本説明員 農業の災害につきましては、農地農業施設、治山施設施設的な災害はございますが、農作物につきましての災害は比較的少ないわけでございまして、いわゆる農業的な被害というものは、比較的少ないというふうに聞いております。
  234. 樋上新一

    樋上委員 本融資事業は、中下層農家対象として施策を進めておるが、災害による負債が累積し、それが原因となって改善計画の樹立が不可能になっておる。そういったときには、農家改善計画の認定を受ける際に、除外されることはありませんか。
  235. 森本修

    森本政府委員 先ほども同様のお尋ねがございましたが、私どもとしましては、既往の借り入れ金がございまして、営農改善計画が立てにくいというふうな農家に対しましては、自創資金等を円滑に融通をいたしまして、その負債についての適当な肩がわりをしていただいて、営農改善計画が立てられるように、十分指導していきたいと考えております。
  236. 樋上新一

    樋上委員 私は、新しいこの南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案貸し付け条件の、一そうの緩和を要望する声が関係者に非常にあがっておる。そこでそういうことをお尋ねしたのですが、地元では貸し付け計画ワクを少なくとも三百五十万円程度に引き上げてもらいたいとの要望が強いのですが、その点はいかがでございましょう。
  237. 森本修

    森本政府委員 私どもが、一応標準的なパイプで限度額を計算いたしましたところ、三百万円ということになっております。したがって、いまのところでは、そういった三百万円でまずこの制度を取り進めてまいりたいというつもりであります。
  238. 樋上新一

    樋上委員 将来、たとえば一、二年先にも引き上げる考えは、現在のところありませんか。
  239. 森本修

    森本政府委員 将来は、またそのときの実態に応じましてそれぞれ検討してまいるというのが当然でございますから、十分実態調査の上対処いたしたいと思います。
  240. 樋上新一

    樋上委員 宮崎県下の農家の平均貯蓄は二十四万円であります。全国平均いたしましてどういう程度かというと四十万円で、その四十万円に比べてはるかに低く、全国的に見て最下位にランクされているというようなことでございます。一方、また負債状況を見ると、二戸平均二十二万円と全国的に見て最上位にあり、さらにこの法案対象となる南部地方は、特に多額の負債に悩んでおる状態でありますが、このような農家に対しては、たな上げの措置等を考えてやったらどうかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  241. 森本修

    森本政府委員 地帯全体としては、北海道のように固定化負債に困っておるというふうには、私どもは見れないのであります。ただ、個々の農家につきましては、あるいは借り入れ金がかなり多いというふうなこともあろうかと思います。したがいまして、先ほど申しましたように、営農改善計画を立てるのに支障がないように、自創資金等によってそういう農家に対しては対処していきたいということを申し上げておるわけであります。
  242. 樋上新一

    樋上委員 現地の宮崎県におきましては、出かせぎ状態が非常に多いといわれている実態考えてみますと、離農者が多い。こういった点で全国で最も多く、特に、生産性の低いシラス、ボラ、アカホヤの土壌地帯が多いといわれておる悪いところです。また、先ほど申しましたようにシラスの含有率の最も多い、いわゆる一番不作なところの貸し付け条件を、もっと緩和しても当然であると私は思うのですが、この点はどうでしょう。
  243. 森本修

    森本政府委員 先ほども申し上げましたように、シラス地帯に対しましては、特別に農地保全整備事業というようなことで、土地改良事業を来年度からやってまいるといったようなこともございます。また、今回の金融の融資条件にいたしましても、まずまず私どもとしてはこの程度のことで出発をさせていただいて、対策趣旨に沿うのではないかというふうに思っておりますので、さようなことで取り運びをいたしたいと思っておるわけであります。
  244. 樋上新一

    樋上委員 わが国の農業の現状を見るとき、過日の農業白書にも見られるとおり、いわゆる農業人口の減少は、一に他産業との所得格差にかかっていることはもちろんであるわけであります。季節的災害による悪条件のために苦心惨たんし、その末、収穫まぎわになった農作物が一瞬にして水泡に帰する絶望感から、いわゆる農業に見切りをつけて離農する率もかなりの数に達してきた。   一例をあげれば、この間の二月十五日に本土を襲った、俗にいう台湾坊主の風と雪のいたずらのために、高知県その他のビニールハウスの園芸農業等が相当な被害をこうむっておるのですが、全国で、今度の台湾坊主であの被害をこうむったのは、県別にしてどのくらいございましょうか、ひとつ……。
  245. 松本作衛

    松本説明員 ビニールハウス関係の災害といたしましては、被害額で約八十億以上の統計が出ておりますが、天災融資法の発動につきましては、現在できるだけ早くこの政令を公付する準備をいたしておりまして、その際には、ビニールハウスにつきまして従来の限度額を引き上げるというような方向で、現在準備をいたしておるところでございます。
  246. 樋上新一

    樋上委員 一瞬のできごとに一戸当たり二百万円前後の被害をこうむって、ぼう然自失して、むざんにも打ちひしがれたビニールハウスのそばで泣いている農家の人たちの姿を見たときに、何とか救済の手を差し伸べなければ、農業に対する意欲も希望もなくなって、せっかくの選択的拡大による新しい農村づくりに励もうとする農家の大きな障害となっていることは、これは万人の知るところでございます。この際、ぜひとも特殊災害についての救済対策を考慮すべきであると考えますが、当局の所信をお伺いいたしたい。
  247. 松本作衛

    松本説明員 ただいまお話がありましたように、農業におきます天災の影響というものは非常に大きいわけでございますので、融資面のみならず各種の災害復旧等の事業によりまして、従来とも対処しておるわけでございます。融資面におきましては、天災融資法の発動ということで、その対策を適時とっておる所存でございますが、今後とも天災融資法の発動、必要に応じましては激甚災の発動ないしは関係資金融資というようなことで、金融面におきましても努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、先ほどビニールハウスの被害につきまして八十億余と申し上げましたが、あれは農作物の被害でございましたので、県の報告によりますと、ビニールハウス関係の被害は二十四億でございますので、訂正をさしていただきたいと思います。
  248. 樋上新一

    樋上委員 最後に、天災融資法の規定が適用を受けられない場合、しかし一軒当たりの被害は甚大なものがございますから、ぜひとも特別の措置が必要であると私は要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  以上でございます。
  249. 足立篤郎

    足立委員長 ただいま審査中の北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案につきましては、他に質疑もないようでありますので、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  250. 足立篤郎

    足立委員長 引き続き討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  まず、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  251. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  252. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  253. 足立篤郎

    足立委員長 この際、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案の両案に対し、坂村吉正君外三名より、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。坂村吉正君。
  254. 坂村吉正

    ○坂村委員 私は、ただいま議決されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案の両案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表して、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたり、北海道及び南九州畑作農業の特異性とこれが振興策確立の緊要性にかんがみ、左記各項の実現に十分留意すべきである。      記 一、融資対象農業者が到達すべき最低の農業所得目標については、実情に見合うよう定めるとともに貸付限度額の引上げを検討すること。 二、本制度発足の主旨に即し貸付適格農家営農改善計画の認定と資金貸付が当初の計画どおり円滑に行なわれるよう、公庫の貸付ワクの確保、農地取得資金の貸付限度額の引上げ手続の簡素化、担保制度の改喜、固定化負債の整理及び指導体制の強化等について適切な措置を講ずるよう努めるとともに営農指導体制の強化に伴う地方公共団体の財政負担については特段の配慮を加えること。 三、本融資制度運用と相まって畑地帯総合土地改良事業営農用水事業特殊農地保全整備事業計画的に実施する等国の援助について特別の配慮を加えること。 四、北海道南九州畑作の特殊性にかんがみ、協業その他地域の実情に即した営農方式を助長するよう適切な指導を行なうこと。  右決議する。 以上であります。  附帯決議趣旨につきましては、本委員会における質疑等を通じて十分明らかにされておると思いますので、説明を省略させていただきます。何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。
  255. 足立篤郎

    足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  別に御発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。  坂村吉正君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  256. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、両案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。安倍農林政務次官
  257. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、今後とも、北海道及び南九州畑作振興に努力いたしたいと存じます。(拍手)     —————————————
  258. 足立篤郎

    足立委員長 おはかりいたします。  ただいた議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  260. 足立篤郎

    足立委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  ただいま本委員会で審査中の農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案及び農林水産業の振興に関する件、特に畜産物の価格に関する問題について、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は明二十八日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会