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大和田政府委員 普通、
農家が金を借ります場合の担保につきましては、物的保証と人的保証がございます。
公庫はすでに十五年の歴史を持っておりますので、
公庫発足当時につきましては、担保の徴求についていろいろ問題があったようでございますが、最近、たとえば
土地の評価を、従来は時価の五割
程度を限度といたしておりましたのを、時価の八割ぐらいまで評価を上げる、そういうこともございましたし、また
公庫の事務がなれてまいりましたために、事務上の問題は私はよほど少なくなったと思います。物的保証がうまくいかないような場合は人的保証でやるという形で、担保についてはそれほど問題はなくなったと申しますか、よほど少なくなったと思いますけれ
ども、しかし、いずれにしろ
公庫も金融機関でございますから、担保がなければなかなか金が貸せない。
農家としては、
土地建物以外は見るべき担保が不動産としてはないわけでございますから、担保不足の問題が相当問題としてあることも事実でございます。
そこで私
ども、これは
南九州の
畑作改善ということだけではございませんで、全体の問題でございますが、実は
昭和八年に
農業動産信用法という
法律ができまして、動産について抵当権を設定するということで、
法律学の問題にしてははなはだ興味がある問題であったわけですけれ
ども、実際の
運用としては
運用されませんで、ほとんど死法、死んだ
法律というふうに見られておったわけでございます。しかし私
ども、何か不動産以外に
農家が担保といいますか、抵当に入れるものがないかということをだんだん詰めてまいりますと、
農業動産信用法が一体いまどういうふうに
運用されているかという
実態が、これはだれも死んだ
法律と思っておりますから、あまり調べてないわけでございますが、私
ども念を入れて法務局を通じて調べてみましたところ、死んだ
法律といわれながら、全国で、とにかく毎年三、四千件ぐらいの利用がございます。その大部分は漁船
関係でございますが、
北海道その他で牛馬あるいは農機具を、動産抵当として現に使っておる例があるわけでございます。それで
農業動産信用
制度を改善すれば、多少これでいけるのじゃないかという自信を得まして、現在、私
どもが
農業動産信用
制度の欠点と
考えられますことは、
融資機関が
農協及び漁協、その連合会に限られておりまして、
公庫なり中金なりが入っておらないということ、それから、何しろ
昭和八年にできました
法律制度で、それ以来全然手直しておりませんから、農機具といっても、
昭和八年当時の農機具でございますから、現在使われて、相当担保価値がある農機具が入っておらないということがございます。
そこで、政令を近く直す手続を、現在法務省との間に進めておりまして、まず
農業動産を抵当としてとれる金融機関として
公庫、中金を近く加える、さらに、最近の実例に合わして農機具の種類をつけ加えるということで、私
ども、今度
南九州の
畑作営農改善に
畜産が相当問題になるでしょうから、乳牛、肉用牛等々を入れて、
融資を受ける場合に
土地、畜舎ばかりでなしに、その牛自体を担保に入れるということをやれば、私は相当信用がつくというふうに思います。これは
公庫にとりまして初めての経験でございますから、よほど私
ども注意して
公庫と相談してまいるつもりでございますが、近く政令を直すことによって、
農業動産
制度の
運用が、私は相当うまく行なわれるのじゃないかという期待を持っておるわけでございます。