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1968-03-26 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十六日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 熊谷 義雄君    理事 坂村 吉正君 理事 森田重次郎君    理事 石田 宥全君 理事 角屋堅次郎君       小沢佐重喜君    小澤 太郎君       小山 長規君    佐々木秀世君       齋藤 邦吉君    白浜 仁吉君       田澤 吉郎君    中村 寅太君       中山 榮一君    橋口  隆君       長谷川四郎君    本名  武君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       工藤 良平君    兒玉 末男君       實川 清之君    柴田 健治君       永井勝次郎君    美濃 政市君       神田 大作君    斎藤  実君       樋上 新一君  出席政府委員         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農政局長 森本  修君  委員外出席者         農林省農政局拓         植開発課長   平   弘君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         食糧庁総務部長 小暮 光美君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員赤路友藏辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として赤  路友藏君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員長谷川四郎君及び赤路友藏辞任につき、  その補欠として橋口隆君及び永井勝次郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員橋口隆君及び永井勝次郎辞任につき、そ  の補欠として長谷川四郎君及び赤路友藏君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十二日  魚価安定基金の解散に関する法律案内閣提出  第九〇号) 同日  家畜導入資金貸付単価引上げに関する請願(  二階堂進君紹介)(第二八三一号)  乾草粉末飼料に関する請願前尾繁三郎君紹  介)(第二九三四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十一日  農業者年金制度確立に関する陳情書外二件  (第一二五号)  同  (第一六五号)  同外一件  (第一九九  号)  農業経営規模拡大に関する陳情書  (第一二六号)  国有林野の活用に関する陳情書  (第一二七号)  草地改良造成事業促進に関する陳情書  (第一二八号)  南九州防災畑作営農改善資金融通臨時措置法の  早期制定に関する陳情書  (第一  二九号)  カンショ及カンショでん粉の価格安定に関する  陳情書  (第一三〇号)  ノリの白ぐされ病害対策に関する陳情書  (第一五三号)  米価の審議に関する陳情書外二件  (第一六四号)  農薬取締法整備強化に関する陳情書  (第二〇〇号)  農業構造改善事業事後指導事業実施に関する  陳情書  (第二〇一号)  豪雪による農作物等被害対策に関する陳情書  (第二〇二号)  農林漁業近代化に関する陳情書  (第二〇三号)  松くい虫の防除対策に関する陳情書  (第二〇四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の  一部を改正する法律案内閣提出第七九号)  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第八〇号)  南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案(内  閣提出第八一号)      ――――◇―――――
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案の各案を一括して議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋口隆君。
  3. 橋口隆

    橋口委員 今回提案をされました南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法案について、若干の質疑を試みたと思います。  提案理由の説明にもありましたように、また、ただいま陳情もございましたように、南九州、すなわち宮崎、鹿児島両県は、全産業の中で農業の比重が圧倒的に大きいところでございます。しかるに、この地方は全般に高温多雨による障害、あるいは梅雨季集中豪雨、その後の日照り、台風の常襲的襲来等気象条件が悪い上に、畑地面積の七一%に当たる地域は、シラス、ボラ、コラ、アカホや等火山性特殊不良土壌が分布しておりまして、土地改良もおくれているため、農業経営上きわめて不利な立場にあるのでございます。しかも、営農方式が合理化されていないために、カンショ、陸稲、麦、なたねなど収益性の低い作物が主として栽培されております。そのために畑地生産性も低く、また、労働生産性全国最低状況でございます。したがって、この地域農業生産を向上さすためには、耕地面積の六五%を占める畑作農業に対して政府が特別の助成方策を採用することが、久しく待望されてきたのでございます。今回、この南九州畑作振興対策の一環として、営農改善資金融通臨時措置法案提案されましたことは、まことに適切な措置でございまして、ここに深く敬意を表する次第でございます。ついては、この制度が最大限に活用されるように、若干の点をただしてみたいと思います。  まず、本融資制度適用されます畑作振興地域指定基準についてお伺いしたいと思います。この法案によりますと、南九州地域のうちで自然的、経済的条件に類似するものごとに南九州畑作振興地域として指定することになっておりますが、いかなる基準指定をすることになるか、それをまずお伺いしたいと思います。
  4. 森本修

    森本政府委員 南九州は、ただいま御指摘がございましたような自然的あるいは経済的条件にございますので、そういうことに着目をいたしまして本融資制度を創設するということになっております。したがいまして、地域指定対象になります地域も同様の考え方に基づいて基準を設定していく、こういう考えでございます。  やや具体的に申し上げますと、政令地域指定基準を設定をしておくわけでございますが、まず年間及び五月から七月までの降雨量という基準一つ、それから特殊な土壌の分布の状態というのが第二番目の基準、第三番目といたしましては畑地状態に関する基準、こういうほぼ三つの基準によりまして、政令地域指定基準を設けていきたい、こういうふうに考えます。
  5. 橋口隆

    橋口委員 この法案本土についてだけ適用されるのでございますか。それとも熊毛あるいは屋久島、甑島、大島等離島についても適用されるわけでございますか。その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 森本修

    森本政府委員 地域指定は、ただいま申し上げましたような政令基準に該当するものにつきまして、両県の知事から申請を待って指定をいたすたてまえにいたしたいと思っております。したがいまして、ただいま御質問のございました各種離島につきましても、そういった基準に該当いたしますれば、両県知事からの申請を待って指定をいたすということに相なろうかと思います。
  7. 橋口隆

    橋口委員 それでは、ただいま申し上げましたような地域についても適用があると了解してよろしゅうございますか。
  8. 森本修

    森本政府委員 具体的にどの地域指定になるかということは、いま必ずしも確定をいたしておりませんが、抽象的に申し上げられますことは、先ほど言いましたような政令基準に該当するものについて、両県知事から申請がございますれば、本土といわず離島といわず平等な取り扱いをする考えでございます。
  9. 橋口隆

    橋口委員 南九州では、普通畑の割合が九〇%を占めており、代表的作物としては、防災的な収益性の低いカンショ、麦、なたね等作物が主となっております。また、農業における商品生産のおくれ、あるいは災害に対する危険分散等が原因して、多数の作物は不規則に耕作され、他の畑作地帯に比べて主産地形成が非常におくれておるのでございます。  そこで、本法案営農改善のため指導金融を行なうものでございますが、その改善方向としてはどういうふうにお考えになっておりますか。果樹畜産等の主産地形成重点を置いて今後の南九州畑作改善考えておると思うのでございますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。
  10. 森本修

    森本政府委員 南九州畑作地帯営農問題点は、先ほど御指摘もございましたように、きわめて悪い自然条件のもとにおきまして、そういった自然条件に適応するといいますか、防災的な観点から、たとえばイモでありますとか、そういった収益性の低い作物が広範に作付をされておるという点でございます。したがいまして、私どもとしては、土地基盤整備を進めつつ高収益作物導入してまいることが、基本的な畑作改善の方法であろうというふうに思っております。したがいまして、畜産でありますとか、あるいは果樹でありますとか、高級な菜でありますとか、そういうものにつきまして、地域の特性に応じて導入していくということが適切な方策であろうと思っております。
  11. 橋口隆

    橋口委員 果樹畜産等の高収益作物についての主産地形成重点を置いておられると思うのでございますが、それならば、将来こういう果樹畜産等需給見通しあるいは価格安定については、どういうふうに考えておりますか。
  12. 森本修

    森本政府委員 それぞれの作物につきまして、事情は多少ずつは異なりますけれども、総体的に申し上げますれば、ただいま御指摘になりましたような作物は、いわゆる成長作物という部類に入るかと思います。したがいまして、多少年次的な変動はございましょうけれども、総体的な関係としては、需給にはそれほど大きな心配はないといって差しつかえないと思います。しかしながら、やはりそういった長期的な動向をみながら作付ないしは生産の体制をつくっていくということが、この際必要であろうというふうに思います。
  13. 橋口隆

    橋口委員 それでは関連してお伺いしたいと思いますが、南九州ではカンショが、現在防災作物の基幹となっておるのであります。したがって、今後サツマイモをどうするかということは、南九州の農民にとっては最大の課題となっておるのでございますが、このサツマイモの将来については、どういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 森本修

    森本政府委員 所管のことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、サツマイモにつきましては特に園芸局所管をいたしております。したがいまして、私、需給等については最近の実情等つまびらかに承知をいたしておりませんが、営農の姿から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、必ずしも従来広範に作付されておりますところのサツマイモについては、そのまま続けていくということではなしに、長期的には他の高収益作物に転換をはかっていくというふうなことのほうが、地域によっては——もちろん個々経営によっては種々ありましょうけれども総体論としては、さような方向に向けていくのが適当ではなかろうかというふうに思っております。
  15. 橋口隆

    橋口委員 それでは本法案による貸し付け条件について御質問したいと思います。  この法案による資金貸し付けにつきましては、土地改良あるいは施設造成果樹等植栽あるいは畜産等、こういうセット融資を原則としているようでございますが、場合によっては単独融資でもよいかどうか、その点について伺いたいと思います。  また、果樹あるいは特産農業酪農畜産等につきましては、それぞれの振興計画あるいは近代化計画もあるのでございますが、そういうものとの調整についてはどういうふうに考えておりますか、伺いたいと思います。
  16. 森本修

    森本政府委員 まず、資金貸し付けの問題でございますが、この資金は、提案理由でも御説明申し上げましたように、農家営農状態を、現在の不安定な状態から安定的な経営の姿に持っていくということが主としたねらいでございます。そういった目的を達成いたしますには、農家としては、あるいは家畜導入いたします場合には、家畜導入なり畜舎の拡張なり必要な施設が要るというようなことで、大体数種の資金をまとめてお借りになるというふうなことになるのではないかと思っております。資金のたてまえとしてはそういうふうなことに相なろうかと思いますが、ただ、個々営農改善計画を拝見いたしまして、各種施設は十分ある、家畜だけ導入すればその計画が達成されるというふうなことに確実に認定されるという場合におきましては、家畜導入資金のみを貸し付けることについても、あえて排除する必要はなかろうというふうに思っております。
  17. 橋口隆

    橋口委員 南九州は、農家一戸当たり平均耕地面積がおよそ七十七アールとなっておりまして、きわめて零細でございます。これを拡大するためには、農地取得がどうしても必要だと思うのでございますが、その融資についてもこの法案適用されるかどうか、あるいはほかの制度によってそれが適用されるかどうか、その点について伺いたいと思います。
  18. 森本修

    森本政府委員 土地取得につきましては、公庫資金で別途農地なりあるいは未墾地取得資金がございますので、本資金ではそれは対象にいたしておりません。したがいまして、営農改善計画によって土地取得が必要であるという農家に対しましては、別途公庫資金がございますから、その取得資金を同時に申請いたしまして、並行的に融資するというふうな措置をとりたいと思っております。
  19. 橋口隆

    橋口委員 農地等取得資金の利率は三分五厘と承っておりますが、その場合、この法案と並行してこの三分五厘の制度を活用することにしてよろしいのでございますか。
  20. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたような手続によって借ります場合には、もちろん三分五厘の土地取得資金適用になるというふうに思っております。
  21. 橋口隆

    橋口委員 それでは次に伺いたいと思いますが、施設園芸の場合にもこの法案適用されますか。あるいはまた野菜その他の作物についても、この法案適用してよろしいのでございますか。この点をお伺いいたします。
  22. 森本修

    森本政府委員 もちろん、営農一つタイプとしましては、施設園芸なりあるいは野菜導入といったようなことも営農改善方向に入ってくると思います。したがいまして、そういったものをやっていきますに必要な資金は、当然この南九州資金から供給されるというたてまえでございます。
  23. 橋口隆

    橋口委員 農地または牧野の改良造成資金については、据え置き期間後の利子は五分でございますか。または四分五厘という制度適用されましょうか。
  24. 森本修

    森本政府委員 土地改良資金につきましては、この南九州資金の中で、まず四分五厘というふうなことで融資が行なわれます。ただその中にも、御案内のように公庫保証土地改良の小団地資金というものがございますが、そういうものの認定を受けますれば、三分五厘の金利が適用になるというふうな運用になろうと思います。
  25. 橋口隆

    橋口委員 家畜購入の場合におきましては、現行の貸し付け基準、すなわち資金借り入れ後三年以内に六頭以上の乳用牛あるいは肉用牛を飼養するという基準がございますが、そういうものをやはりこの法案においても適用されますか。あるいはもっと緩和する必要はないかどうか、その点について伺いたいと思います。
  26. 森本修

    森本政府委員 南九州資金貸し付けますときに、農家営農改善計画をつくっていただくということになっておりますが、それの作成の便に供するために、各県で営農方式例というのを作成していただく。営農方式例というのは、それぞれの営農タイプによってつくられますが、家畜頭数にいたしましても、それぞれのタイプによって頭数が違ってくるというふうに思います。したがいまして、畜産経営拡大資金考えておりますような条件は、必ずしも画一的にこの資金貸し付けるときに考えないというふうに思っております。
  27. 橋口隆

    橋口委員 次に、貸し付け限度額について承りたいと思いますが、この法案では三百万を限度としておるようでございますが、その限度についてはどういうふうになっておりますか、少し具体的に伺いたいと思います。
  28. 森本修

    森本政府委員 限度額でございますが、私どものほうで限度額を予定いたしておりますのは、代表的な営農改善の事例を想定いたしまして、現在の標準的な農家状態からそういった安定的な営農の姿に達するために必要な事業費を計算いたしまして、それぞれ考えておるわけでございますが、目下のところ想定いたしております限度額は、畜産をおもにする経営につきましては一戸当たり三百万円、それからその他の経営については二百万円というふうなことで持っていきたいと思っております。
  29. 橋口隆

    橋口委員 南九州では農業所得水準がきわめて低い状況でございますが、本法を適用する農家基準はどういうふうになっておりますか。農業所得限度をどのくらい考えておられますか。その辺を承りたいと思います。
  30. 森本修

    森本政府委員 貸し付け対象農家お話だと思いますが、いわゆる中庸的な農家以下、抽象的に申し上げますとそういう考えでございます。そう言いましても、やや具体的なめどがなければいけませんので、所得のみでものごとを判定するわけにはまいりませんけれども所得としてはおおむね四十万円程度以下というふうなことで運用をいたしてまいりたいと思っております。
  31. 橋口隆

    橋口委員 対象農家中庸程度以上の農家にまで拡大し、営農改善計画目標を、将来における自立経営農家に置いたらどうかという意見もあるようでございますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  32. 森本修

    森本政府委員 本資金性格といたしまして、できるだけ不安定な農家を安定的な状態に到達するように誘導していくということが性格でありねらいであるわけでございます。したがいまして、適用対象としてどの程度がいいかということは、もちろん画一的にはなかなかきめにくいのでありますが、いま言いましたような性格農家でございますれば、なるべく広く差別をしないで対象としていきたいというふうに思います。したがいまして、先ほど言いましたような基準につきましても、それほど硬直的に運用するという考えはございません。
  33. 橋口隆

    橋口委員 それでは次に伺いますが、四十三年度から新しく総合資金制度が発足するわけでございますが、これについて、この新しい法案とともに総合資金制度適用できるかどうか、その点について伺いたいと思います。
  34. 森本修

    森本政府委員 総合資金制度との運用上の関係ということであろうと思いますが、この資金総合資金とはねらいなり性格が若干違っております。そういうことから、私どもとしましては、本資金貸し付けを受けられまして営農改善目標に到達するといったような農家でございましても、そういう状態以降において総合資金貸し付けが受けられるというふうなことになろうかと思います。また、本資金貸し付け対象にならないような、すでに相当な水準に達しておる農家、これはもちろん総合資金貸し付け対象になろうというふうに思っております。
  35. 橋口隆

    橋口委員 それでは、次に担保制度について伺いたいと思いますが、聞くところによりますと、マル寒資金等貸し付け適格認定がおくれているのは、借り入れ農家担保力がないことが大きな原因になっているように聞いております。この点、農林省では動産担保することができるよう検討中と聞いておりますが、担保力の小さな北海道あるいは南九州農家に対して、担保制度改善をはかるというお考はおありでございますか。
  36. 大和田啓気

    大和田政府委員 公庫資金を貸し出します際における担保の問題につきましては、実は最近までは公庫農地評価がだいぶ低いところにございましたけれども、最近は時価の八割まで担保価値として考えることになりましたことが一つと、それから、いま御指摘にもございましたように、実は農業動産信用法施行令を近く直す計画がございまして、それによりますと、従来は農協、信連、漁協、漁信連というものだけが農業動産抵当としてとることができたわけでございますが、これに新しく公庫と中金を加えるということが一つ、それからさらに、何と申しましても昭和八年につくりました法律で、それ以降施行令を直しておりませんので、農業用動産といいましても農業機械等におきまして、現在使っておりますものと農業動産対象になりますものと違う点がだいぶございますので、耕うん機その他現在広範に使われているものを農業動産抵当対象にするということの改正を、現在検討をいたしておるわけでございます。それが近くまとまりますと、これは北海道の場合でも南九州の場合でも同様でございますし、また、全国を通じての問題でございますが、畜産経営で乳牛あるいは肉牛等何頭か飼いました場合に、それを動産抵当として公庫が取るということが可能でございますから、先ほど申し上げました農地評価のアップ、それから農業動産抵当の新しい制度改善によりまして、相当うまく運用ができるだろうというふうに考えております。
  37. 橋口隆

    橋口委員 それでは、ただいまのお話のように、担保制度についてはぜひひとつ改善をしていただきたいと思います。  次に伺いたいと思いますが、四十三年の融資ワクは九億六千万円となっておりますが、初年度は何戸ぐらい農家対象としておられるか、その点を伺いたいと思います。
  38. 森本修

    森本政府委員 初年度は、とりあえず四千八百戸程度想定いたしております。
  39. 橋口隆

    橋口委員 本計画は、認定申請期間は五年となっておるようでございますけれども、これは五カ年でおやりになりますか、それとも十年の期間を採用されるかどうか、また、その期間中において総計何戸くらい対象とされておるか、さらに、将来の総額としてはどのくらいを予定されておるか、この点について伺いたいと思います。
  40. 森本修

    森本政府委員 本資金は、一応五年間ということで出発をいたしたいと思っております。  それから、その間における貸し付け農家想定でございますが、全体として二万四千戸程度というめどを現在のところ立てております。  それから、資金の総ワクでございますが、先ほど申し上げましたように、四十三年度はとりあえず四千八百戸についての初年度資金需要ということで、九億六千万円ということにいたしておりますが、制度を実行してまいりますと、それぞれ実績その他もわかってまいりますので、そういったものを勘案いたしまして、次年度以降の資金ワクを設定していきたいと考えております。
  41. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、かりに五年間といたしますと、その総額はどのぐらいの予算になりますか。
  42. 森本修

    森本政府委員 ただいま申し上げましたようなことで、それぞれ前年度実績その他を勘案いたしまして、次年度における資金ワク考えていきたいというふうに思っておりますので、現在のところ、総ワクを幾らに押えるかといったような考えは持っておりません。資金需要がある限り、それにこたえるような金額は出してまいりたいと考えております。
  43. 橋口隆

    橋口委員 それによって、中庸以下の不安定な農家安定農家とするのに十分な見通しがおありになるのかどうか、これを承りたいと思います。
  44. 森本修

    森本政府委員 まずまず現在の想定といたしましては、その程度でやっていけるのではないかと思います。ただ、その後の実行状況いかんによりまして、弾力的に考えていきたいと考えております。
  45. 橋口隆

    橋口委員 参考のために伺いたいと思いますが、北海道の場合の成果は現在までどういうふうになっておりますか。
  46. 森本修

    森本政府委員 北海道のほうは、二回マル寒資金制度を延長いたしまして、昭和三十四年から四十二年までの——四十二年は一部推定でございますが、貸し付け農家は納一万戸というふうになっております。
  47. 橋口隆

    橋口委員 この制度適用につきましては、該当の県から地域営農方式例を提出することになっているようでございますが、その点につきましては、現在どういうふうな営農方式がそちらに出されておりますか、その点を承りたいと思います。
  48. 森本修

    森本政府委員 これは最終的には、この法案の実行の段階におきまして、県のほうで私たちと相談の上おつくりをいただくということになろうと思いますが、現在想定をいたしております営農方式の例といたしましては、ミカンあるいは野菜、酪農それから肉用牛といったようなものを主作物といたしました経営の体系、それから複合の形といたしましてはお茶と肉用牛、養蚕と肉用牛といったようなものが、現在のところ想定されているようでございます。ただ、最終的には、県のほうでももう少しお詰めになるというようなことでございますから、私どものほうもよく相談いたしまして、適切な営農方式例を作成するようにつとめたいと考えております。
  49. 橋口隆

    橋口委員 この法案の提出はまことに時宜を得たものと思いますけれども、これによってどういう目標を達成しようと考えておられますか。五年あるいは十年後において、南九州農業というものをどういうふうにお考えになっておられますか。その農業生産額あるいは農業所得額をどういう点に置いておられるか、その点を承ります。
  50. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたように、この資金性格は、個々農家に対しまして、その営農改善に必要な資金を供給するということでございますので、必ずしも南九州全体の農業生産額との関連は、数量的には明確にならないと思います。ただ、個々農家がそういうふうな形で営農改善につとめられますならば、南九州における農業生産なりあるいは農業所得の向上に対して、相当の寄与をするというふうに考えておるわけでございます。
  51. 橋口隆

    橋口委員 現在、南九州農家所得額は二十万見当でございますけれども、将来この制度適用されるとどのくらいの規模になりますか、それをひとつ御説明願います。
  52. 森本修

    森本政府委員 先ほどの営農方式例をつくります際に、いろいろな作物の種類なりあるいは施設の装備の程度なりといったようなものをつくるわけでございますが、それをつくります際に、一応のつくります所得めどが必要でありますので、私どものほうとしても、そういったものをめどとして実施をしたらどうかと思っておりますが、そのめどとしては、現在のところ目標——目標といいますか、そういった改善計画が達成される状態のときにおきまして、七十万ないし九十万というふうなことにしたらどうかと思っております。
  53. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの農政局長お話では、七十万あるいは八十万ということでございますが、それは少し無理ではないかと私は思います。現在二十万でございますから、五年あるいは十年後に七十万あるいは八十万というのはちょっと無理ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  54. 森本修

    森本政府委員 こういう営農改善目標でございますから、個々農家状態から比べますと多少いろいろな差異があろうと思いますけれども、やはり営農改善目標としては、ある程度努力目標といったような形のものも必要であります。ただいま申し上げましたようなことを、個々農家に画一的に押しつけるというふうなつもりはございません。総体としてはそういったところが適当な水準ではなかろうかというふうに思っております。
  55. 橋口隆

    橋口委員 それでは、次に営農指導体制についてお伺いしたいと思いますが、この法案によりますと、貸し付けの手続が非常にやかましいのではないかと思われます。また、長期にわたって営農指導が非常に必要だと思いますが、この第一線の指導については、どういう制度を活用されるつもりでございますか。
  56. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、本資金運用にあたりましては、営農指導が不可欠の問題でございます。したがいまして、私どもとしましては県のほうとよくお打ち合わせをいたしまして、県のほうでも、たとえば特技の普及員などを畑作振興地域にかなり適切な形で配置をしていただくといったようなこと、あるいは各段階にそういった、たとえば農業経営診断班といったようなものを、各種の専門家に集まっていただいて設置するというふうなことで、こういった資金制度の活用につきまして、農家営農指導上適切な体制をつくり上げるよう、県ともよく相談をいたしたいと考えております。
  57. 橋口隆

    橋口委員 今回のこの融資制度は、南九州農家にとりましてはまことに一つの福音であろうかと思います。その点で、どうか今後この制度が最大限に活用されますようにお願いを申し上げる次第でございます。  そこで、次に南九州の特殊農地保全整備事業についてお伺いしたいと思いますが、四十三年度予算においては、この特殊農地保全整備事業につきましてはどういうふうになっておりますか、それを伺いたいと思います。
  58. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  御承知のように特殊農地保全という仕事を四十三年度から初めて実施することにいたしておりますので、最初の年のことでもございますから、南九州地域に二地区、まずやることに予定しておりまして、四十三年度はこのために農地保全の事業に対する設計をまず第一年目にやりまして、二年目から工事に入りたい、こういうふうに考えております。
  59. 橋口隆

    橋口委員 この制度は、保全事業と整備事業とを兼ね合わせて行なわれるように聞いておりますが、特にこの制度の利点と考えられるものについて御説明を願いたいと思います。
  60. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 一般に土地改良事業は、個々の事業種類ごとに行なってきておりますが、今回の南九州のこの法律の趣旨に沿いまして、特別な土壌地域に対するシラスの対策事業、これを根幹といたしまして、密接不可分にある土壌整備とか、あるいは畑地かんがいとか、開拓の仕事とか、こういうものを一貫してやらなければならないという必要が非常に高まってまいりまして、従来のように個々ばらばらにやりますよりは総合一貫してやりますと、工事の効率もよくなりますし、仕事も早く済むというような点もございますので、総合的にやっていこう、こういうことにいたしたわけであります。
  61. 橋口隆

    橋口委員 この制度は、今後何年くらいでおやりになるつもりでございますか。また、何カ所くらい実施をされるか、そういう点についてお伺いします。
  62. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 現在のところ、県のほうから出てまいっております。要望されております地区数は百三十地区余り、総体の面積三万二、三千ヘクタールくらいに及んでおります。これらの仕事は、あるいは今後まだ拡大されるかもしれませんので、特に何カ年計画というふうにまだ確定はいたしておりませんが、事業の進度、今後の予算のつき方等もにらみ合わせまして、なるべく早期に効果的に年度計画を立てて進めたいと思っております。
  63. 橋口隆

    橋口委員 この事業は、末端まで一貫して県営によって施行されると思いますけれども、四十三年度の補助率はどういうふうになっておりますか。
  64. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 この特殊農地保全事業は、シラスとか圃場整備とかその他の事業が一貫して入ってまいりますが、四十三年度はその中のシラス対策として行なわれます事業、つまり、この補助率は六五%でございますので、六五%を適用するつもりでおります。
  65. 橋口隆

    橋口委員 私が調べたところによりますと、四十三年度の補助率は四五%になると思うのでございますけれども……。
  66. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 この特殊農地保全全体で申し上げますれば、四十三年度に計上される予定の仕事は、シラス対策とそれから圃場整備、この二つがコンバインされて始まる仕事でございますが、シラスのほうは、いま申し上げた六五%、それから圃場整備は四五%の補助率になっておりますので、それぞれの地区のそれぞれの事業量に応じて補助率を適用することになるのでありますが、四十三年度は、先ほど申し上げましたように、設計をするための費用でございますので、四十三年度については、シラスの補助率を適用したいと思っております。
  67. 橋口隆

    橋口委員 それでは政府の補助額が、現行シラス対策と同率の六五%になりますように、どうかひとつ今後ともよろしくお願いを申し上げます。  次に伺いたいと思いますが、この特殊農地保全整備事業のうち、最も要求されますものは営農用水の問題であろうかと思いますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  68. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 南九州シラス地域に対しまして、特に営農用水という名目を持った考え方は、ただいまのところいたしておりませんけれども、こういう地域を含めまして畑作地域に対する水の問題は、畑地かんがいその他によりまして、あるいはかんがい排水事業等によりまして水の手当てをする事業、そういう制度をつくっておりますので、こういうものによってあの地域の水の問題は考えていきたい。シラス地域は、私、申し上げるまでもなく、台地上でございますし、水源等もかなり技術的にはいろいろ問題があろうかと思いますので、それらのことも今後よく調査いたしまして、なお検討を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  69. 橋口隆

    橋口委員 政務次官にお伺いしたいと思いますが、ただいま御説明を願いましたような畑作農業改善融資制度、それと特殊農地の保全整備事業、この二つの柱はきわめて大事な施策と思いますけれども、この点につきましてひとつお伺いしたいと思いますが、昭和四十一年三月のマル寒法の延長に際しましては、北海道南九州等の畑作地域農業につき抜本的な振興方策を樹立するという附帯決議がなされておりますけれども政府は、今回とった措置で十分とお考えになっておりますか、あるいはもっとほかにも方策考えておられるかどうか、その点について伺います。
  70. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 一応、昭和四十一年の衆参の附帯決議にこたえた内容を盛った法案であると思いますけれども、さらに今後とも、改めるところがあれば積極的に改めて活用をはかっていきたいと思っております。
  71. 橋口隆

    橋口委員 それでは、南九州あるいは北海道畑作農業については、農政局に特別の調査室が設置されておりますので、今後とも十分御調査の上、さらにこの地域農業改善について十分の施策を講じていただきますように、切にお願いを申し上げます。  そこで、最後にお伺いしたいと思いますけれども、ことしの秋を目標といたしまして、全国総合開発計画が樹立されることになっております。これの中に、地域別の農業計画を織り込む必要はないかどうか。農業基本法の第八条によりますと、必要に応じて地域別の生産見通しを立てるということがうたわれておりますけれども、日本列島の各地域の特性を生かして、大きな主産地形成をすることが今後必要だと思いますけれども、この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  72. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 地域営農の振興をはかるにあたっては、国といたしましては、需要に応じました生産の維持、増大をはかる観点から、地域の実情に即した各地域農業生産の発展方向、役割り等を明らかにする必要があると考えておるわけでありまして、こういう方向づけは、地方農政局が活発にやる必要があると思います。すでに生乳や野菜については地域的な生産目標が設定されておりますが、他の農産物についても、今後における需給の変化、技術水準の推移、海外農産物の需要の動向等に着目しつつ、さらにこれは検討を加えてまいりたいと思っております。
  73. 橋口隆

    橋口委員 農林当局の南九州あるいは北海道に対する非常に誠意のある態度につきましては、深く敬意を表したいと思います。今後この両地域畑作農業改善につきまして、一そうの御尽力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  74. 足立篤郎

    足立委員長 関連質問を許します。鹿野彦吉君。
  75. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 農政局長に尋ねたいのですが、南九州農家の平均所得が四十万円以下というふうにお聞きしましたが、それでいいのですね。
  76. 森本修

    森本政府委員 南九州の、この地帯の一種農家の平均が四十万円です。
  77. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 まことに恐縮ですが、一種農家というのはどういうのですか。
  78. 森本修

    森本政府委員 一種農家といいますのは、最近農林統計で使っております統計上の概念でございますが、抽象的に申し上げますと、社会的な農業としての生産単位に属する農家というふうなことで、そういうふうなものに該当いたしますのに、物的な基準を多少設けておりまして、たとえば、耕地面積でありますと五反歩以上といったようなことだとか、あるいはその他畜産であればどうというふうな外形的な標準を設けまして、統計上整理をいたしておるわけであります。
  79. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 一応純粋な農家に属するというふうに解釈いたしますが、この際、北海道農家のいまのような基準所得水準は、どういうふうになっておりますか。
  80. 森本修

    森本政府委員 北海道のほうの平均は、たしか一種農家について七十万円ということであったかと思います。
  81. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 そうすると、この際こうした区域別に、たとえば東北、北陸、関東、関西というようなことについて、区分けをしたいまの数字をちょっと示していただきたい。
  82. 森本修

    森本政府委員 ちょっといま全国のそういうブロック別の数字は手元にございませんので、後ほど調べましてお答えいたします。
  83. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 実は、ことし北海道の米作が、一戸当たり七町歩平均の耕作反別で、反収十俵で七百俵の収穫があった、こういうことを私は北海道の現地でも聞いてきましたのですが、こうした数字は、信用していい数字だろうかどうか承りたいと思います。
  84. 森本修

    森本政府委員 ちょっと私、その数字について確認をする材料がいまございませんので、正確なお答えを申し上げることは差し控えたいと思いますが、おそらく四十二年産米のそういった状況でありますから、北海道の米作地帯におきましては、経営規模も相当大きいですし、かなりな農業所得をあげておるというふうに思います。
  85. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 そうしましたら、あとでその点を調べて知らせていただきたいと思います。  そうすると、七百俵の平均収穫ということになると、これは畑作もあわせて耕作しておることであろうし、そういたしますと、平均所得が七十万円というような数字がどういう点から出てきておるのか、そういう点についての詳細を知りたいと思いますので、一ぺんそうしたことについての詳細なる統計等を、あしたまででもひとつお調べくださって御答弁願いたいと思います。  以上で終わります。
  86. 足立篤郎

    足立委員長 美濃政市君。
  87. 美濃政市

    ○美濃委員 最初に、マル寒法について御質問いたしたいと思いますが、今回改正しようとする、まあ通称マル寒法でございますが、この所得目標と積算温度を承りたいと思います。
  88. 森本修

    森本政府委員 御質問の積算温度というのは、温度の関係でございますか。
  89. 美濃政市

    ○美濃委員 適用地域の積算温度です。
  90. 森本修

    森本政府委員 まず、営農改善目標所得めどということが第一点であろうかと思いますが、それは北海道の場合におきましては、百十万ないし百三十万というふうなことに一応のめどを置きたいと思います。  それから積算温度の関係でございますが、地域指定対象になります積算温度は二千五百以下ということでございます。
  91. 美濃政市

    ○美濃委員 百十万ないし百三十万という所得は可処分所得、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  92. 森本修

    森本政府委員 一応そのように理解をいたしております。
  93. 美濃政市

    ○美濃委員 一応可処分所得とすると、これを分類いたしまして、いわゆる当該農家の生活費に充当でき得る所得ですね。その可処分所得はいろいろ要素がございますが、その所得目標は何ぼと考えておりますか。
  94. 森本修

    森本政府委員 ちょっと御質問の趣旨をもう一回言っていただかないと、よくわからないのですが……。
  95. 美濃政市

    ○美濃委員 可処分所得、いわゆる生活費として使える所得ですね。それと通例不可分所得といっておりますものがありますが、この見解を承っておきたい。
  96. 平弘

    ○平説明員 私から御説明申し上げます。  営農改善目標に示しております所得考えます場合の農業所得は、粗収益から農業経営費を引いたものでございますが、通常可処分所得と申しますのは、農家所得から租税公課諸負担を引いたものでございますが、租税公課諸負担はおおむね農外所得等にも見合うという関係で、さほど大きな比重を占めるものではございません。私ども考えておりますのは、いわゆる農業所得でございます。
  97. 美濃政市

    ○美濃委員 このマル寒資金等を入れて経営改善をする場合、ただいま御答弁にありましたような所得に対する不十分な見解では、償還その他が困るのですがね。やはり不可分所得というものを——借り入れ金がなくても、再生産可能な所得というものは、たとえば機械を使っておっても、あるいは設備にしても、やはり健全な農業経営の中では、それらのものの償却は積み立てていかなければいかぬでしょう。そうしないと代替購入はできない。それを借り入れ金で、このマル寒資金で借りて設備をした場合には償還しなければならぬでしょう。それは農産物価格の地代であり、資本利子であり、償却であるということになる。それを生活費に見込んだのでは、きわめて不安定なことになるわけです。ですから、不可分所得というのがあるわけですが、それを何ぼに見ておるかと聞いておるわけです。
  98. 森本修

    森本政府委員 農業所得の計算では、先ほど申し上げましたように、農業の粗収益から農業経営費を控除いたしまして算定をされておるわけでございます。農業経営費の中には、私どもとしては、先ほど御指摘がございましたような償却あるいは借り入れ金についての利子といったようなものが含まれるということで、所得の計算では一それを粗収益から引きまして計算をしておるわけであります。
  99. 美濃政市

    ○美濃委員 しかしいまの答弁、ちょっとおかしいんですがね。このマル寒資金北海道農業改善を進める大宗の目標は酪農です。保証乳価の中にそういう計算をしておりますか。資本利子として保証乳価には計上しておりますけれども、経費の中に金利は除いておりませんよ。農産物の支持価格体系といまの農政局長の答弁とは、ちょっと食い違うのですがね。そういう計算方式にはなっていないのです。
  100. 森本修

    森本政府委員 乳価と関連を持ってまいりますのは、農業収益の計算の前提であろうと思いますが、先ほど申し上げましたような農業収益の計算は、牛乳につきましては四十一年の牛乳の価格、それからその他畑作物につきましては価格に変動がございますので、最近の三カ年の平均ということで計算をいたしておるわけであります。
  101. 美濃政市

    ○美濃委員 この農産物価格試算の中で経費に見ておるのは、いわゆるその年度のたとえば肥料とか、そういう借り入れ金の利子は確かに経費で見ておりますけれども、固定設備の利子というものは見ていないでしょう。資本利子として見ておるのでしょう。経費控除はしていないです。したがって、この百十万、百三十万という可処分所得の中に、固定設備の資本利子というものが入ってくる。これから除外されておるということは、私どもは了解できないのですがね。固定設備の利子が百十万あるいは百三十万のほかにあるんだというふうにはならない。いわゆる可処分所得と表現すべきである。固定設備の利子は資本利子となって可処分所得の中に含まれておるものである。経費計算に除外されていない。こういうように、通例乳価計算でも全部そうなっておるのですがね。経費の中に見込まれておる利子というものは、いわゆる経営借り入れ金利子であります。これからこの資金貸し付ける場合に、これは安定計画書で償還ができるかできないかという計算をする基礎になるから私は聞いておるわけです。ですから、不可分所得は何ぼと計画をしておるのかということを聞いておるわけです。百三十万は不可分所得ではないはずです。可処分所得というふうに答弁されておるわけですから、さらにこれを分類して不可分所得は何ぼあるのか、こう聞いておるわけです。
  102. 平弘

    ○平説明員 ただいまの先生のおっしゃっていました点でございます。が、私の理解が不十分であったかと存じますが、私ども農業所得の概念は、先ほども御説明申し上げましたように農業収益、つまり売り上げから経営費を差し引いたもの、これを農業所得とみなしておるわけでございます。この場合の経営費の中には、お話しにございましたような肥料代とか飼料代、あるいは労賃等が入ることはもちろんでございますが、固定設備の償却費が含まれております。さらにまた営農方式例等を用いて試算いたします場合には、新たに借り入れますマル寒資金、あるいはこれと協調して借り入れを行ないます農地取得資金等の借り入れ金の利息をも経営費の中に含めて計算をいたしまして、これを控除いたしまして農業所得を算出してきておる次第でございます。その結果が百十万ないし百三十万になる、かように申し上げておるわけであります。
  103. 美濃政市

    ○美濃委員 それではお尋ねいたします。私は、北海道は酪農が主体だと言っているわけですが、そうすると、いま言った計算原理でいくと、これは所得目標頭数に置きかえた場合何頭を標準としておるか。乳牛の飼育頭数、これは育成牛を除きまして、搾乳牛何頭を標準としておるか。
  104. 平弘

    ○平説明員 ただいまの点でございますが、私ども、今回の資金融通制度の改正にあたりまして、道の協力を得て各種の代表的な営農方式例というものを採用しておるわけでございますが、酪農を主体とする経営につきましては、酪農の飼養頭数目標時におきまして、搾乳牛につきまして大体十七、八頭、かなり大きな規模の経営想定いたしております。
  105. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは次にお尋ねいたしますが、この資金貸し付け対象事業、それから限度額、これをお伺いいたしたいと思います。
  106. 森本修

    森本政府委員 この資金貸し付け対象種目は、土地改良、主務大臣指定施設、それから家畜導入に必要な資金ということになっております。一戸当たり貸し付け限度額は、公庫の業務方法書で定められるということになるわけでございますが、現在のところは、酪農を主体といたしますものについては一戸当たり五百万円、それからその他のものにつきましては三百万円ということになる予定でございます。
  107. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、今回の法改正は五年の時限立法になっておりますが、この五年間で貸し付けをしようとする戸数は全体計画では何戸であるか。四十三年度計画は何ぼであるか。
  108. 森本修

    森本政府委員 一応現在のところ考えております貸し付け対象農家は、五年間で一万二千五百戸、それから四十三年度は二千五百戸というふうに考えております。
  109. 美濃政市

    ○美濃委員 この主務大臣が認可する施設ですか、この内容をちょっと明らかにしてもらいたい。どういうものを主務大臣は認可するのか。
  110. 森本修

    森本政府委員 かなりたくさんございますので、代表的な事例を申し上げますと、農舎、畜舎、それから堆肥舎、サイロ、家畜用牧きく、それから排水施設、かん水施設その他農産物の加工処理、それから病害虫の防除、農機具、運搬用機具といったようなものが代表的なものでございます。
  111. 美濃政市

    ○美濃委員 それは改修もしくは新築ですか。品目はわかりましたが、適用する基準はどうなっておりますか。
  112. 森本修

    森本政府委員 それをやりますのは、改良、造成または取得ということになっております。
  113. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、この取得という解釈の範囲になってまいりますが、よくこの資金申請しますと、事前着工は認めないといって非常にやかましいのですが、事前着工は別といたしまして、その取得の中に、いわゆるそういう設備を完成して都合によって農業をやめる。たとえば、あと取りむすこが農業をやるということで畜舎なりそういう主務大臣施設に該当するものをつくって、そして年限も五年とか六年とかで十分使えるような有力な施設である。これを購入取得として適用するかしないか、これをお尋ねしたい。
  114. 大和田啓気

    大和田政府委員 取得については、購入取得も当然入ります。
  115. 美濃政市

    ○美濃委員 従来の貸し付けの中で、購入取得はあまり喜ばないのでありますが、従来の貸し付けの中でかなり消化できておるかどうか、購入取得というものは。
  116. 大和田啓気

    大和田政府委員 公庫から融資を受けて施設取得するわけでありますから、大体の場合は新設することが多いわけであります。たてまえとして、できておるものを取得することを、公庫としていままで否定はいたしておりません。
  117. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、営農改善を進めていくと旧債が問題になるわけです。たとえば、前段にありました所得目標、こういう経営改善をこの資金で進めるというのでありますが、その場合土地取得なりあるいは機械なり——土地取得は別でありますが、従来、制度資金のいわゆる資金ワクというものが足りないから、主務大臣該当施設申請しても資金ワク関係から締め出されて、いわゆる農協プロパー資金等で購入する。そうすると農業生産性から見て、日歩三銭五厘とか年利にして一割以上の金利で、しかも年限は一年償還を義務づけられておるというような資金で苦しんでおるわけです。   〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕 そのかわり五百万は要らない。一つ改善計画を立てて三百万の融資でいわゆる所得目標が達成されるが、その三百万という融資ですでにできているんだ。できているものは、そういう高利、短期でそれを解消しなければ安定できない。たとえば、今度つくった資金条件にしてやれば、その農家の自立経営は非常に安全確実に経営していけるんだ、しかし、そういう短期の借り入れ金の支払い条件、金利なりがネックになって、経営の安定性を欠いておるという場合、これに合わす負債整理という方針はどうなっておるか。だから、あくまで五百万のうちでいいわけです。五百万の外というわけではない。しかし、すでにできてしまっているもの、すでに自分がつくっておるのですが、それは取得ということでお考えになっておるかどうか。あるいは別の資金でそれを解消することを考えておるかどうか。
  118. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、現在、相当広範な計画北海道の負債整理を進めておりますけれども、負債整理事業に乗るものは別といたしまして、乗らないもの、いま御指摘になりましたものを今度の資金で見ることは、これはやはり無理だろうと思います。私どもそういうふうには考えております。
  119. 美濃政市

    ○美濃委員 この資金に即該当するということは、法律をそういうふうにすればできるのですね。しかし、それをしないで進めることは、やはりこの制度として、努力をしてやっておる農家に対して不親切だと思うのですがね。それは別の資金か何かで考えるという政策の意図があるかどうか。別の資金でやるか、この資金の中で取得とみなして解消策をはかるか、法律をそうつくれば私はやれると思うのです。しかし、必ずしも別の——公庫資金にはまだその他の資金があるわけですが、自作農維持資金適用するといっても、自作農維持資金法律の、いわゆる貸し付け目的にはそれが入らないわけですね。自作農維持資金にはいま入っていないわけですね。新しくつくるものはこういう資金適用される。資金ワクが少なくて、この資金をつくっても、私はそういうものが出てくると思うのですね。資金ワクのつけ方によっては。改善規模に資金ワクが伴わない場合、あるいは従来の土地取得資金あたりでも、この種の資金あたりでも、資金ワクが少ないと、計画に対して資金ワク上から削減貸し付けをするということが起きてくるわけです。これは審査上限度額を貸さないで、件数をふやすということが出てくるわけですね。あるいは国でなくて、実際には北海道資金北海道が窓口になって処理いたしますから、件数が多いと、少し自己資金をふやしなさいということになる。自己資金をふやしなさいということは、自己資金、現金を持っていれば貸し付けにならないので、自己資金をふやしなさいといわれると、それがさつき言った短期、高利のプロパー資金等でまかなわれるわけですね。従来そういうふうになってきておるわけですね。その需要が起きれば、それに間に合うだけの資金需要を調達するのか。従来はそうなってきているわけですが、従来そうなってきたものを、まず解消してやらなければいかぬじゃないか。あるいはそういう仕組みの中から、これから新しくできる制度によって改善しようとするか。  繰り返しますが、五百万限度のうち三百万借りれば、この法律目標とする所得額を達成されるのだ。その構造のうち、過去の制度資金資金ワクの不足から、短期プロパーを借りておるのだ、主務大臣該当施設はできておるのだ、こうなった場合、それをやはり何とか解消しなければならぬというのが政策でなければならぬと思うわけです。その政策はどういうふうにお考えになりますか。
  120. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほども申し上げましたように、相当広範な負債整理事業を進めておるわけでございますし、さらに今回の法律の改正によりまして、相当低利の資金が多額にいくわけでございますから、私ども実際問題として、いま御指摘のように負債整理事業にも乗らない資金が、この資金適用について非常な障害を起こすということ自体はあまりないのではないかというふうに思います。これはとにかく四十二年度及び四十三年度におきまして相当広範に、いままでかつてやったことのないような規模で負債整理事業を進めるわけでございますから、その成果も見て、これは国がやりませんでも、道の処置、あるいは北海道の道連における金利というのは内地に比べまして相当高いわけでございますから、道連自体の御処置ということもあり得るわけでございますから、負債整理事業を進めた時点において、相当の結果が出てきた時点において、私どもこの問題について取り組みたいというふうに思います。
  121. 美濃政市

    ○美濃委員 経済局長は、いま進めておる負債整理にかなりウエートを置いておるようですが、実際に現在進めておる負債整理はどうなったのか。貸し付け窓口を規制いたしまして、単にいわゆる被害認定額から見た、その被害認定額から共済金であるとかあるいは災害資金であるとか措置された金額を除いた額という、まことに限定されたことを対象に進めておりますから、私の見た予想では、今回の負債整理が自創資金でおおよそ百億、それから道の政策に基づくものが七十億、合計百七十億といっておるが、半分ぐらいしか消化できぬのではないか。いまの事務処理要領からいって、そういうふうに見ておるわけです。ですから局長が言うように、あれが終わったあとといっても、私がいま言っておるような性格の負債は、審査上ほとんど除外されておるわけです。資産の取得負債は見ない。単に連年災害の被害認定額から措置された金額を引いた残額、いま言っておるのはこういうことなんですね。それではまずいではないか、こう言っておるのだけれども、なかなかそこは硬直してしまっておる。あれは局長のほうからそういうふうにせいという指令が出ておるのだと思うのです。ですから、いまの局長の答弁と実際北海道で負債整理を進めておる現況とは一致しないと思うのです。あの方法では、あなたが期待しておるようには解消されません。
  122. 大和田啓気

    大和田政府委員 北海道の負債整理事業につきましては、出発してまだそう時間もたっておりませんし、私どもどこに具体的な実施上困難を来たしておる問題があるかということを、まだ十分現地から話を聞いておりません。私ども、別にお示しした案からことさらにしぼってこれを実施するつもりは毛頭ございません。負債整理事業がうまくいく立場から、今後具体的な問題として検討して、改善すべきものは改善いたしたいと思います。  ただ、私が申し上げておりますのは、負債整理事業で相当な負債整理ができますと、とにかく全部旧債は解消いたしませんでも、相当部分が解消すると、農家経済に対する圧力がそれだけ弱るわけでございますから、残ったものが全部解消しなければ、北海道の畑作の営農改善が進まないという、そういう事態ではまずないのではないかというふうに思います。
  123. 美濃政市

    ○美濃委員 私も、全額解消を言っておるわけではないのですが、かなりのものが残ると思うのです。しかしその負債整理も、いま仮定でございますから、ここで私の見ておるところを申し上げたのでありまして、そういう資産の取得負債、そういうものが残って、この計画を進める上にネックがあるということがはっきりした場合には何らかの措置をとる、さっきの答弁はそうであったと思うのですが、そういうふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。いまここでどうするこうするという結論は無理だと思いますから、結論は求めませんが、仮定ですから……。
  124. 大和田啓気

    大和田政府委員 もう一度繰り返すことになりますけれども、私ども負債整理事業につきましては、まず自作農維持の法律の範囲内で最大限にこれを利用してやっておるわけでございますが、今後におきましても、そういうことで施策を進めていきたいと思います。  ただ、今回の北海道の負債整理につきましても、実は農林省と道庁と、いわば抱き合いでやっておることで、農林省だけの施策ではございませんから、今後負債整理を進めていく場合におきましても、ただ農林省の施策というだけではなくて、北海道信連なり、あるいは農協なり、あるいは道庁なり、そういうものと共同して政策を進めていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  125. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、経営資金について伺いたいと思いますが、同時に出されております総合資金制度には、経営資金農業信用保証保険に適用しようという提案が行なわれているわけですが、これは南九州も含めて、この際信用保険適用を行なうべきでないかと思うのです。この点はどうしてこれをはずしたのか。信用保険は適用できないのか。それともこの改正なりあるいは南九州法律想定する中に、その点の想定は入らなかったのか。
  126. 大和田啓気

    大和田政府委員 北海道あるいは南九州の今回の資金にいたしましても、また総合資金にいたしましても、たとえば乳牛の育成資金近代化資金で御利用ができますし、果樹の育成資金につきましては公庫から育成資金として出ますし、運転資金として考えられるものの範囲はそんなに大きいものではございません。肥料とか、農薬とか、あるいは雇用労賃等々でございます。それで、北海道及び南九州資金につきましても、運転資金が必要であることは申すまでもございませんが、大体農協がこれをまかなうことになりますが、農協の金が足りなければ、信連あるいは中金等を動員して資金の手当てをいたすつもりでございますが、近代化資金につきましては、これは信用保証制度に乗っておりますし、それから近代化資金以外の運転資金をかりに農協が貸す場合に、必要であるといたしますれば、それぞれ北海道あるいは宮崎、鹿児島で県に農業信用基金協会がございまして、そこで資金のゆとりもあるようでございますから、私ども県と相談をいたしまして、北海道あるいは南九州資金に必要な運転資金については、信用保証に乗せるように話をいたして、その方向で現在県当局においても進めておるわけでございます。それで総合資金と違いまして、保険制度に乗せないということだけの違いでございます。北海道あるいは南九州は、きわめて特殊な地帯に集中した融資でございますから、それをいきなり全国的な保険制度に乗せることについては、いかがかという問題が一つあります。それから、額が保険制度にまで乗せるほどの大きな額ではあるまいという問題もございまして、私ども北海道あるいは南九州について運転資金が円滑に流れるように資金の手当てをすると同時に、それぞれの県なり道なりの信用基金協会の信用保証に乗せることによって、まず運転資金融資は円滑に行なわれる、こういうふうに考えているわけでございます。
  127. 美濃政市

    ○美濃委員 特殊地域農業生産事情が悪いから特殊立法をつくるのでしょう。  もう一つは、農業保険を見ても、たとえば昨年つくりました果樹保険でも、果樹全体はかなりの県にわたりますけれども、あれをしさいに分類して果樹別に見ると、今度の地域らいのものですね。果樹別の生産県というものは、四県か五県ぐらいが大宗県であります。果樹性格によってつくらないところとつくるところがあります。ああいうものを見ても、これを特殊地域だから信用保証保険に該当させないという考えはどうかと思うのです。どうですか、その考えは。
  128. 大和田啓気

    大和田政府委員 運転資金がそれほど多額にはならないだろうというふうに私、考えますけれども、道なりあるいは県なり農業信用基金協会なりで近代化資金融資保証をする以外に、一般資金についての融資保証制度がございます。相当たくさんの県で一般資金——一般資金と申し上げますのは、農協から出る普通の資金でございますが、それについて信用保証をやっておりますから、その信用保証制度には乗せるという話を、現在県当局あるいは県の信用基金協会と進めておりまして、そういう方向で処置しようということになっておるわけでございます。したがいまして、いま農協が運転資金を貸すことは、ある意味ではあたりまえでございますから、信用保証制度がなくてもどうこうということは別にないと思いますけれども、しかし、それぞれの県の信用保証制度を利用して、運転資金はそこに乗せる必要があれば乗せて、確実にまた円滑に資金が流れるようにいたしたい、そういうことでございます。   〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、動産信用法の適用を先ほど聞いておったわけですが、動産信用法を適用することを検討したい、こういうことでありますが、動産信用法の適用について、この資金の流し方、受託金融機関の体制、これは従来どおりと解釈してよろしいですか。
  130. 大和田啓気

    大和田政府委員 北海道あるいは南九州関係資金については、従来どおりでございます。
  131. 美濃政市

    ○美濃委員 そういたしますと、動産信用法を適用するということになれば、もちろん、中金あるいは金融公庫法律改正して入れる、これは賛成なのでありますが、しかしその前にやれるのですね。入らなくても、受託金融機関が抵当に取って、それを抵当に移すなりなんなりして、このとおり債権保全をやりましたでも目的は達成されるわけですね、法律改正前といえども
  132. 大和田啓気

    大和田政府委員 農業動産抵当として取れる融資機関は、現に先ほどお話ししましたように、農業関係におきましてこれを変えることは、法律の改正を必要といたしませんで、政令の改正で足りるわけであります。ですから、そんなに時間がかからないうちに政令の改正をいたすつもりでございます。
  133. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一回お伺いしますが、そうすると、系統金融であるから、公庫、農林中金を入れるには政令でよろしい、法律の改正は要らないということですか。
  134. 大和田啓気

    大和田政府委員 そのとおりでございます。
  135. 美濃政市

    ○美濃委員 そこで、この動産信用の取り方なのでありますが、たとえば、動産信用法を拡大しても、取り方が悪ければ効果にならぬわけです。一、二お伺いしますが、これから先動産信用法を適用するとなった場合まず一点として畜舎、サイロあるいは機械等、これは取得価額を担保力とみなして信用貸しをするかどうか。従来はみなさないようですね。信用評定の上ではみなさないのですよ。土地は時価額一ぱい信用評定額に見ますけれども公庫の金を借りてつくった畜舎あたりはいわゆる時価額、たとえば、サイロと畜舎で二百万かかったわけでありますが、それを二百万の限度の信用保証とみないわけです。これを今後みさすということですか。
  136. 大和田啓気

    大和田政府委員 いまお話の畜舎、サイロ等は、農業動産信用法対象でなくて、むしろ一般の不動産抵当であります。農業動産信用法対象としては、大きくいえば農機具と牛馬が対象になるわけであります。これは金融機関が担保評価をする問題でございますから、相当技術的な、あるいはまた一般の金融上の慣行もございますから、そう甘い評価もできないわけでございますけれども公庫資金を借りてそれらのものを建設する場合、最初は取得価額、だんだんに再取得価額になるというのが常識であろうというふうに思います。
  137. 美濃政市

    ○美濃委員 それを見ないところに、実際に五百万円という限度額をつくっても、保証人とこういいますけれども保証人よりも先に、融資にあたって信用価値を評価しますから、そこに絶えず問題が起きるわけです。  それから、建てたそういうものの信用価値基準というものが、いまのところある程度不明確なわけで、再評価をどうするか、その再評価価値をあまり下げると、これは受信力の上で非常に困るわけですね。しからば、再評価額というものをどういう体制に持っていくか。これはやはりこういう資金制度をつくった上における施設の再評価、受信力というものは非常に大切なわけです。いまの場合、あまり見ないのですね。  それから、もう一つの問題は、動産抵当家畜を入れる場合、たとえば乳牛を見ますと、この計画で十五頭なり十六頭なりという乳牛を飼育いたしますと、大体年間平均三頭の更新を必要といたします。しかも、資金の償還年限は二十五年です。そうすると、牛籍をつけて、登録書をつけて、動物を固定的な動産抵当に入れると、一年に三頭ぐらいずつ抵当更新をしていかなければならない。あの硬直した金融公庫との業務の間で、抵当差しかえといったら、とんでもなくいやがるのですね。抵当差しかえせぬから、当初に入れた抵当は、七、八年経過したらみな変わってしまいますよ。それからまた飼育している者も、牛籍票から登録書をとられてしまって、あるいは売ることもできない。売るといっても、頭数を減らすという売り方ではないのですよ。育成牛の中で質のいい牛ができて、そして七歳なり八歳なり——内地には一腹しぼりという体系の酪農があるわけです。その一腹しぼりの体系の酪農が、絶えず北海道へ七、八歳のはらみ牛を買いに来るわけです。そうすると、育成牛の質のいいものを残して、そういうものを処分するのが慣例になっております。そういうものが、全く動産抵当で阻害されてしまう。  そこで大数の法則で、乳牛二十頭なら二十頭、十五頭なら十五頭という頭数を、きちっと何らかの方法で頭数確認の抵当、固定的にあまり縛らないという動産抵当のあり方に、動物はそうしなければならぬと思う。トラクターとかその他機械は、これは耐用年数が短くても、これは物件ですから固定的に縛ってよろしゅうございます。しかし、動物を固定的に縛ってしまうと、とった公庫もおかしくなるし、とられた農民も全く困る。こういう問題が起きるのですが、こういう点の煮詰め方はどうなっておりますか。
  138. 大和田啓気

    大和田政府委員 これから農業投資として相当重要なものは家畜でございますが、家畜担保としてどういうふうに考えるか、これはわれわれにとって大問題でございます。したがいまして、いま御指摘のように、一つの畜舎に十頭なり二十頭なり乳牛がおります場合に、それを家畜群として動産抵当対象にならないかということを、私どもずいぶん昨年以来検討をしてまいっております。しかし、これは法律学上実は大問題でございまして、そう半年、一年の間に解決できる問題ではございません。私ども将来の検討問題といたしまして、現在のところは十頭なら十頭の牛をそれぞれについて抵当に入れる、いわば共同抵当でございますが、共同抵当にしたものをできるだけ簡単に、申請その他で処置ができるように、現在法務省と相談をしておるわけでございます。  なお動産抵当、特に家畜抵当ということについて、公庫はいままで全然経験がないことでございますし、それから農協、信連等につきましても、実は畜産がこれだけ伸びてきましたのも最近のことであるという事情もございましょうが、それほど熱心に牛馬を動産抵当として系統機関が利用しているということも現在ございません。私ども、新しい問題として公庫及び系統に対して、動産抵当のうまい処理のしかたということを十分検討してもらうように、現在話をしておるわけでございます。
  139. 美濃政市

    ○美濃委員 制度は人間がつくるのでありますから、家畜群を対象動産抵当を結ぶという方法は、私はきしてめんどうなことじゃないと思うのです。そこで移動した場合、牛籍や何かを縛らないで、文書か何かで届け出一本で簡単に済ますか、いま一つは、家畜群の抵当にするか、これをどっちかにすることにしたらどうか。やはり問題は、実際にここでやりとりするときは、皆さん方も、どっちかというと行政的な立場にありますから、できるだけ質問に合わしたいという答弁に努力する誠意もわかりますが、実際に公庫の借り入れ窓口に行くと、だいぶん食い違ってくるわけです。非常に規制がきびしいわけです。そのために目的だけのものが借りられない、こういう問題が現実に起きてきます。この点はこれからの問題で、これは経済局だけで措置できない問題ということはわかりますから、御答弁も趣旨もわかりました。十分趣旨に合うように、実情に合うように、制度をひとつ整えてもらいたいと思います。  次に、利率と償還年限について。これは先ほど、前段にもちょっと触れましたが、この利率と償還年限は、牛乳の保証価格と合わしてもらわなければならぬ、こう考えます。保証価格の中で見込まれる、いわゆる先ほどから申し上げております地代なり保証されておる償還財源と、五百万借りた場合、それは土地取得が三百万——三百万かどうか、土地取得はあとでやりますが、土地取得と合わせて返せるかどうかということを、検討してもらわなければならぬわけです。これは畜産局と、企画立案した農政局、それから金融を担当する経済局、三者合議が一致しておるかどうか。これが一致していませんと、資金ワクをつくっても、その最高限度額貸し付けた場合、貸した時点において償還できないという宿命に立った融資が行なわれるということはおかしいのでありまして、これは政治的に合わさなければならぬ。  そこで、まずお伺いしたいのですが、畜産局長の出席を求めておりましたが、何か審議会の関係で来られないというから、きょうその回答が出せるかどうか、畜産局長と電話で、保証乳価の中の地代、償却、資本利子を明確にできるかどうか、それだけでいいから、それを経済局長に伝えておいてもらいたい、こう言ったのですが、どうなっておりますか。
  140. 大和田啓気

    大和田政府委員 乳価につきましては、現在財政当局と相談をしておる最中でございますので、まだ明確に申し上げられる段階ではございません。
  141. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは、この問題はあすは出るはずですから、この点の質問はあすにします。乳価を保証する体系とこの資金制度の金利、償還年限が合致するかどうかという点につきまして、明日まで質問を保留したいと思います。それを見てからでないと質問できませんので……。  次に、土地取得資金についてお伺いいたしますが、これは三百万ということをかねがね農林政策としては打ち出しておったわけです。現況の推移はどうなっておりますか。
  142. 大和田啓気

    大和田政府委員 土地取得資金の個人の借り入れの限度額が、現在百万円でございます。私ども、それを拡大いたしますように、現在財政当局と相談をいたしておるわけでございまして、まだその結果について申し上げる段階には至っておりません。
  143. 美濃政市

    ○美濃委員 いつごろこれはきまりますか。
  144. 大和田啓気

    大和田政府委員 いつというふうに明確に申し上げるわけにもまいりませんけれども、そんなにおそくならないうちに大蔵省と相談をまとめたいというふうに考えております。
  145. 美濃政市

    ○美濃委員 関連質問者もございますし、さつき申し上げた点を明日まで保留いたしまして、きょうはこれで終わります。
  146. 足立篤郎

  147. 永井勝次郎

    ○永井委員 最初に、いま議題になっていますこの法案について伺います。  北海道のマル寒資金は、自然条件、経済条件の悪いところで、おくれている畑作の関係を盛り上げていこう、こういう趣旨だと思います。さらに今回、南九州地域として加えられ、内容として乳牛や肉牛が加えられたと思うのです。そうしますと、この法案の背景になっている問題としては、この地域の畑作振興という総合的な青写真があって、その青写真の中で血を通わすものとしてこの融資措置が講ぜられておるのか、その青写真と、それから総合的な畑作振興の中におけるこの法案の位置づけはどういう関係なのか、これをひとつ明確にしておきたい。
  148. 森本修

    森本政府委員 御指摘のように、この法案がねらっておりますのは、北海道がきわめてきびしい気象条件のもとに置かれておる。また土地条件としても排水不良、あるいは不良土壌の分布といったようなことで、きわめて条件が悪い。そういう中にありまして、できるだけ安定した経営が営まれるように——いままではきわめて不安定であったといったような状況でございますから、安定した農業経営が営まれるように持っていくのが法案のねらいということになっております。したがいまして、主として考えておりますことは、土地条件の整備をいたす。それからまた、その上に立って寒冷な気象条件のもとにおきまして安定的な作物を極力導入してまいる。一口に言いますと、酪農化なりあるいは輪作化なりといったような方向に畑作の経営を持っていったらどうかというのが、基本的な畑作改善方向というふうに私どもは受け取っておるわけでございます。
  149. 永井勝次郎

    ○永井委員 畑作振興の総合的な施策というものが、いま固まっているのですか、あるいはこれから固めていこうとしておるのですか、あるいは安定した経営というけれども、低い安定もあるし高い安定もあるので、その安定の位置づけはどういうところに置くのか、水稲や何かと肩を並べるのか、あるいは畑作のところは運命的に低いんだから低いなりに安定させよう、こういう考えなのか、その点はいかがですか。
  150. 森本修

    森本政府委員 この法案のねらっておりますのは、不安定な個々畑作農業経営を、安定的な経営の姿に持っていこうというふうなねらいでございます。安定的な経営といいますと、これは画一的になかなかきめにくいのでございますが、それぞれ北海道にも地帯的な区分がございますから、この地帯の区分に応じて酪農が基幹作目、あるいは肉牛が基幹作目、あるいは多少の畑作もそれに入れていくといったような、各種地域に応じた営農タイプ想定いたしまして、そういったタイプに応じた営農改善計画を各農家でつくっていただいて、その目標に向かって進んでいただくということを考えております。  ただ、そういたしましても営農の規模といいますか、そういうものがございますので、先ほど来お答えをいたしておりますように、所得目標といたしましては、営農改善が到達をいたしました時点において、約百十万ないし百三十万円程度ということをおよそのめどにして営農方式を設定しよう、そういうふうな考えでございます。
  151. 永井勝次郎

    ○永井委員 この法案プロパーの内容については時間がありませんから省略いたしますが、その中における重要な部位を占めておると考えられる麦の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  北海道の斜網地区、この地区はイモ、ビートが大体作付の半分以上恒常的に入っている地帯だと思います。その地帯に麦を奨励し、カントリーエレベーターやその他のいろいろな機械化を進めまして、いまそれが盛り上げられておる過程にあるわけでありますが、この地帯における麦の指導、勧奨、それから機械化、そういったいろいろな問題は農業経営的にはどういう性格を持ち、それから農家の経済的にはどういう性格を持った奨励であるのか、これをひとつ明確にしていただきたい。
  152. 森本修

    森本政府委員 先ほど申し上げましたように、北海道の全体を通じます畑作経営方向といたしましては、先ほど申し上げましたように、酪農化といったような方向が適当ではないかと思っておりますが、地帯により、経営によりそれぞれ輪作体系といったようなものをやってまいるのが当然であろうと思います。そういう際におきまして、一つの畑作物として麦が位置づけられる、簡単に言いますとそういったことでございます。
  153. 永井勝次郎

    ○永井委員 農業経営の輪作形態、そういう面からいえば、イモ、ビートが半分以上入っているのですから、ローテーションの相手作物としての麦が必要であることはわかります。しかし、これはただできればいいんだ、収穫すればいいんだというのではなくして、その経営の結果が、農家収益の向上につながるものでなければならぬと思うのです。そういった総合的な関係というものはどういう位置づけでおやりになっておるのか、こういうことを聞いているのです。経営的、技術的にはわかります。それから収益的にはどうなのか。
  154. 森本修

    森本政府委員 現在の北海道におきます麦の収益性といいますか、そういう点は必ずしも高いというふうにいえない状態であろうかと思います。ただ、御案内のように、北海道は内地等と比べまして、個々農家におきましてもあるいは地帯全体といたしましても、かなり耕地規模が大きいといったような有利性がございます。そういった有利性を活用いたしまして、麦につきましても、できるだけ集団的な形で栽培をしていただくというようなことをやってまいりますれば、生産性についてもかなり向上し得る余地はあるのではないかというふうに思っております。
  155. 永井勝次郎

    ○永井委員 有利性ということばも非常に抽象的で、何に比べて有利なのかという問題がありますが、イモなりビートなり、こういうものの主産地であり、そこへ麦の主産地として指定してやっていく。そうすると、イモやビートに比べて輪作の相手作物としての麦の収益農家にとって有利である、こういうような一つの基礎に立って指導されておるのかどうか、その点を一応明確にしておいていただきたい。
  156. 森本修

    森本政府委員 収量なり生産性の問題でございますが、ちょっと私いまここに持っておりますのは、物量的な、収量で表示をされたものでありまして、十アール当たり収量といったようなものでございますので、必ずしも金銭的に計測をした状態は明確にわからないのでございますが、安定度を見てまいりますと、大豆なりあるいは小麦なりに比べまして、収量の安定度合いはわりあいに高いというふうに思います。ただ、バレイショなりあるいはてん菜、牧草等に比べますと、最近十年間における生産の変動が大きいというような状況でございますので、いま申し上げましたような作物に比べましては、経営の中における安定度はやや低いといいますか、不安定度が高いというか、そういう状況でございます。
  157. 永井勝次郎

    ○永井委員 食糧庁、見えておりますね。——昨年暮れ、麦の管理改善対策要綱に基づいて、農林事務次官通達で、麦の管理改善対策実施要領が通達されましたことは御承知のとおりと思うのでございます。その結果として契約栽培が実施されて、契約栽培によって北海道の場合、ことに斜網——北海道の中の斜網地区というところは、先ほど申し上げましたとおりに、ビートそれからイモの主産地である。そこで、どうしても輪作の回転の上から、禾本科の麦なり何なりを入れることは、農業技術の上から、経営の上から、これは妥当だ、こういうことで奨励がされたと思うのですが、そういうように一面で農林省の中の農政局なりそういう方面からどんどんそれが奨励されて、ここに二億の金が投資されて、地元負担も九千何百万の負担をして、いまこれはちょうど出発点について、向上しようとしている過程です。  そこで、今度は契約栽培が実施されたことによって、麦の主産地帯が、工場から買い入れの契約を拒否された非契約地帯になっておるわけであります。そのことによって、収益面において、現在政府が実施しておる当然受くべき利益を受けられない、非常に不利益な条件で耕作をするなりしなければいけない、こういうところに位置づけされたわけでありますが、これらの問題について、あらかじめ食糧庁はこういう関係が部分的にできるんだ、できた場合には経過的にはどういう措置をとるんだ、それから長期展望の中ではどういうふうにこの地域を救済するんだ、こういう一定の計画のもとに推し進めになっておるのですか。そういうところはもう切り捨てごめんでやむを得ないんだ、こういうお考えでこれは割り切っておやりになる考えなのかどうか。それから農業経営の指導面と農家収益面との総合的な農林省の施策というものは、十分に政策の中で打ち合わされておるのかどうか。現在あらわれている実態というものが、そういう面から見てこれは矛盾しないのかどうか。これらについて総合的にひとつ所見を伺いたいと思います。
  158. 小暮光美

    ○小暮説明員 たいへん遅刻してまいりまして申しわけございません。  ただいまのお尋ねの麦管理改善対策との関連ですが、当然受けるべき利益と申しますか、それが阻害されて不利益になっておるんじゃないかという御指摘でございますが、今回、麦管理改善対策を考えますにあたりまして、品質あるいは経済立地といったような点から、加工業者との間でいろいろと話し合いをしてもらう場合に、話し合いのつかないものが一部出るんじゃないかということは、実はこの管理改善対策の本旨から申しまして、そういう部分が多少あり得るということは、当初から考えておったわけでございます。  ただ、食糧管理制度のもとで、どのような場所で生産されました麦でございましても、これは年々パリティ麦価ということで定めます政府買い入れ価格で、間違いなく全量を申し入れに応じて政府は買うことにいたしております。この政府が食用として買いました麦につきましては、政府需給操作の面でこれを適宜売りきばいていくということをいたしますので、営農上の不安は、現行制度のもとでは絶対ないというふうに私ども考えておるわけです。  ただ、契約栽培の実行上、契約に乗りました麦につきまして若干の奨励金が出るということになっておりますので、奨励金が出ない場合に、奨励金の出たものとの間で不利益ではないかというお話があろうかと思うのですが、この奨励金も実は初年度でございますので、今回は、契約に乗りましたものには一律四十三円ということで仕事を取り進めておりますけれども、これは全販とかねて打ち合わせておるわけでございますが、今後年を追ってこの仕事を進めてまいります際に、奨励金についても逐次段差を設けるという方向検討する考えでおりますので、初年度の一律単価というものとの比較で見ますと、どうも契約に乗らなかった部分だけが不当に扱われておるというようにお考えになるかと思いますが、この点は何ぶん初年度でございますので、その点の御理解が必ずしも徹底しない面もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、パリティ麦価で全量買い上げるという基本方針はいききかも変わりはございませんので、その辺は、営農上の御不安はないというふうに御了解いただきたいと思います。
  159. 永井勝次郎

    ○永井委員 私はきつき前提として、安定というけれども、その安定は低いところの安定か、高いほうに向上していくところの安定かということを言っているのです。一俵について四十三円損をするんだけれども、それは初年度だからやむを得ない、四十三円の奨励金は出ないけれども、あとは全部政府が買うんだから安定的な営農じゃないか、そういうばかな話を私はここでしょうとしておるわけじゃない。その四十三円の不利益を最初から農民にしわ寄せして、初年度だからというので、その四十三円の犠牲を農民に払わせるのか、そこに出るそういう格差を政府のほうなりあるいはメーカーのほうなり、もっと公平な分担によってそこを処理しながら、基本的にあるそういう矛盾を是正していこうとしているのか、そのかまえの問題をひとつ聞きたい。四十三円切り捨てたって、その不利益をがまんすれば安定していけるじゃないかという話を私はしているんじゃない。その四十三円の格差を農民にしわ寄せして、それでいいと考えておるのかどうかへその点をひとつ明確にしてもらいたい。
  160. 小暮光美

    ○小暮説明員 契約奨励金の性格でございますけれども政府法律に基づきましてパリティ麦価で買い上げるという基本線は堅持いたしておるわけでありますので、契約にかかわります奨励金のあり方は、やはり加工業界と生産者団体との間で十分なお話し合いをいただきまして、契約に乗ったものにこれを支払うというようなたてまえでまいっておるわけでございます。営農の安定という観点からは、やはりパリティ麦価に基づく全量買い上げということで、一本かんぬきが入っておるわけでございますので、その点を御了解いただきたいと思います。
  161. 永井勝次郎

    ○永井委員 一体、四十三円の奨励金というけれども、四十三円の奨励金の金はどういう性格の金ですか。これは去年麦価の対策を立てましたときに、需要家に対して、製粉業者に対して、トン百七十八円値引きしたんでしょう。安くしたんでしょう。そうしてその安くしたうちから、麦の買い入れの協会を指定して、そこに積み立ててあるのでしょう。その金は国の金でしょう。払い下げたんだから、それだけ損しているんだから、その金はメーカーのふところから出す金ではなくて、トン百七十八円を値引きして、そしてその金をここで積み立てなさい、こういう金でしょう。その金は一方的にメーカーのかってな自由意思によって、恣意的な運用によって、これが農林省農業経営にまで影響するようなそういう操作をして、それで黙っておられる金ですか、どうですか。
  162. 小暮光美

    ○小暮説明員 積み立てました金の性格は、先生御指摘のとおり、食糧庁の行政上の配慮から生み出されたものであります。法的な性格を言いますと、また多少こまかい理屈になりますが、御指摘のとおりの性格の金だというふうに思います。これの使い方につきましては、奨励金の単価等を定めます委員会と申しますか、全販あるいは製粉協会等も交えまして、関係業者話し合いのもとに、初年度の単価を四十三円と定めたような次第でございます。  なお、業界が恣意的にというおことばでございますが、私どもとしましては、業界と農業団体それぞれに話し合いの場を設けまして、食糧事務所長等もこれに立ち会いまして、できるだけ両者の話し合いで、契約に乗るものが一トンでも多いようにということで、指導はいたしておるわけでございます。  北海道の問題につきましても、種々問題があるということはかねてより聞き及んでおりますので、当初予定いたしました三月二十五日という締め切りも実は若干延ばしまして、なお話し合いを続けるというようなことで、できるだけ現地の話し合いで問題が解決するようにいたしたいと考えておりますが、冒頭のお尋ねが、契約栽培のいわば性格と申しますか、考え方にかかわるお尋ねでございましたので、たてまえを申し上げた次第でございます。
  163. 永井勝次郎

    ○永井委員 北海道の場合でも工場が買い入れの契約をするのです。そしてこういう制度を実施するにあたっては、麦の生産の実態と工場の経営とが必ずしも一致するものではないということは、これは実施する前に常識的にわかるわけです。実施してみて初めてわかったというのではなくて、実施する前にわかっているはずです。それは工場は工場でかってに工場を建てている。それから生産生産で、年度によって伸び縮みはあるけれども、大体主産地形成でつくられているわけです。それだから、この買い入れ制度の実施の実態と、工場の買い入れるという実態と生産の実態とがまっすぐ結びつかない、部分的にいろいろな矛盾ができるということは、あらかじめ予想されたことだ。もし予想せられなかったとするならばよほどどうかしているので、常識があればその食い違いができるということは予想される。ことにその中で、九州の種子島のようなうんと遠方の離島作付をしているというようなものについては、そういう特殊な事例については別途に考えなければならぬけれども、正常な一つの地続きの中で一線を画して、こっちから向こうは買わない、こっちから向こうは買う、こういうような地点については、これは行政的な措置としても、農業政策としても、私は配慮があってしかるべきで、それくらいのことは最初から、経過措置としてこういうふうにするのだ、長期の展望としてはこうするのだ、こういう配慮がなければいけない。そういう配慮が一つもないのですが、これはやってみて初めてわかった、そこで何か経過措置考えなければならないといまお考えになっているのですか。このままでいいのだというふうにお考えになっているのか。そのいまの時点に立っての一つ考え方を、部長には無理かもしれないが、しかし食糧庁長官に出てこいと言ったのだけれども来ないのですから、食糧庁なり何なりを代表して、ひとつ責任のある答弁をしてもらいたい。
  164. 小暮光美

    ○小暮説明員 やってみなければわからないのかという御指摘でございますが、御指摘のような問題点は、実はこの制度の発足当初からも一つの論点でございました。たとえば、北関東で非常に麦の主産地ということで定評のございます地帯、北関東といえば茨城ですか、茨城のように麦の主産地ということで非常に定評のある地帯に、実は今回の仕組みで議論を進めました際に、供給可能量の一五〇%程度の申し込みがあったわけであります。しかし、茨城県全体としては一五〇%の申し込みでございますが、そういう地帯でもなおかつ最初の第一回の申し込みでは、数千トンの麦が実は非契約になった。非契約と申しますよりは、最初の申し込みがなかったということがございます。こういった問題は、もちろん理論的に考えました場合にも、ある程度想定はできる問題ではございますが、実際にやりませんと、どの村のあるいはどういう銘柄の麦がそういう問題をはらんでくるかというようなことは、必ずしも的確には出てまいらないわけでございます。  そういう形で、具体的に問題となります地帯並びに銘柄といったようなものが浮き彫りになってまいりますが、こういったものについて生産面と加工面と、それから指導の立場にございます行政庁とが、三者相寄って十分議論をし、検討してこの打開策を練っていく、こういうふうに事が運ぶべきものと私どもは了解しております。
  165. 永井勝次郎

    ○永井委員 大体、この買い入れ契約制度に切りかえる趣旨は、経済的な関係では、政府がトンに百七十八円安売りする、値引きして売る金をこういうふうにして協会に積み立てなさい、そうしてこれを直接食管会計の中で扱えば会計検査がうるさい、奨励金なりなんなりが末端までいろいろ検査されたりしてうるさいから、運用を簡易にする、あるいは公正にできる、そういう趣旨からこういうふうに切りかえた。もう一面は、麦の集荷は非常に成績がいい、米なんかと比べると。千円の格差があるのですから、これはほとんど政府の倉庫へ入ってしまう。非常に集荷率がいいということから、メーカーなり需要者は、農家と直接の取引は全然なくて政府の麦をいただく、こういう関係になって、需要家と生産農民との直接のつながりがついていない。だから、もっと生産農民と需要家のところと血のつながりをつけよう。それで政府の金であるにもかかわらず、その金を協会に積み立てさせて、それをメーカーから農家に奨励金として払っていく、契約をしてそこに血のつながりをつけていく、こういう意味でこれは設けられたものでしょう。  ところが、そういう趣旨であるにもかかわらず、その実施の過程では、ここから先は買わないんだ。四十三円の奨励金は出なさいんだ。その金も自分の金ではなくて、政府から安売りを受けた金の運用なんです。だから食管会計の運営についても、食糧庁はいつ主導権をメーカーに移譲しちゃったのですか。また、それの裏づけとなる、その前提となる農林省の麦の奨励なりなんなり、耕作面におけるいろいろな条件というものを、いつ、どこで、どういうふうに話をして、どういうふうにやっているのですか。全くこれは農林省が精神分裂にかかって、そうして自分の持っている金をメーカーにすっかり移譲してしまって、そうしてこれからの麦耕作なり麦の経理というものは、メーカーに全部主導権を移譲してしまったという形になっているのです。これらの事柄について、農林省の中で総合的にみんなお話になりましたか、どうですか。そうして、農政局なりなんなり奨励している関係は、それでけっこうだということでこういうことをお始めになったのかどうか、ひとつ両方の関係から説明を聞きたいと思います。
  166. 小暮光美

    ○小暮説明員 この問題につきましては、実は昨年の六月の米価審議会に食糧庁から御提案申し上げましたが、そこに至る間には、実はその前数年にわたりまして、麦について生産面と流通面、両方の角度から麦の生産振興ということをねらって問題点検討し、具体案を立案するようにという御示唆が米価審議会からございました。数年にわたって議論を経まして、昨年の米価審議会に素案を実はおはかりしたわけでございます。大筋につきましては御了解をいただきましたけれども、これは生産者団体と十分具体的な取り進めについて相談して、円滑な実施をはかるようという附帯決議をいただいた経過がございます。  したがいまして、農林省といたしましては、食糧庁だけの問題というふうにこれを考えませんで、関係の部局ともちろん御相談いたしまして、特に全販等集荷団体も委員に入ってもらいまして、先ほど申しましたようにとりあえず初年度を四十三円の奨励金にいたしまして、第二年度、第三年度逐次これが改善をはかっていくというような方向で、本日も実は格差の委員会等も開かれておるような状況でございます。やはり生産担当の部局と、食糧庁のような流通面を主として担当いたします部局と相互に連絡をとりながら、生産者団体の意見を徴しながら進めていくという姿勢でございます。
  167. 森本修

    森本政府委員 麦の関係につきまして、生産の体制と消費の体制といいますか、流通消費の体制とが、長期的には調和がとれた形で進行していくということが望ましいことであるという考え方で、先ほど来食糧庁でお答えしております集荷改善対策、管理改善対策が採用せられてきておるわけです。従来は、御案内のように食糧庁が両者の関係をほとんど遮断いたしておりましたから、そういった消費面なりあるいは流通面からの生産に対する一つの影響といったようなことが十分行なわれていない。それで長期的に見れば、やはりそこいらで十分調和された形で生産が進んでいくのが、正しい姿であるという考え方に立っておるものと思います。原則論としてはそういうことでございましょう。私どもとしましては、麦の生産に対して所管を預かっておりますので、現在麦について相当力を入れておるというふうなところにつきましては、相なるべくはそういった集荷の面においても軌道に乗ってまいることが望ましいということには変わりはございません。したがって、先生のおっしゃいますお気持ちは十分わかるわけでございます。  ただ、現在やっておりますこういった制度個々の地帯に適用されるというふうなことになりますと、若干そういう点についてのギャップといいますか、そういうものが出てくるということでございますので、そこいらの点は、先ほど来食糧庁が言っておりますように、きめこまかく業界の方とお話をする、団体の方と調整をするというふうなことで、根気よくそういう面についての調整に努力をするということが必要であると思います。
  168. 永井勝次郎

    ○永井委員 原則としてはこうだとか、言うことはわかるとか、しんぼう強くどうするとか、粘り強くどうするとか、そんなよけいな形容詞は私は必要ない。ばかでもわかることです。四十三円の奨励金がもらえるかもらえないかということは、もらえなければそれだけ不利だということがわかるのです。それから、農政局のほうでは奨励しても、現地ではいろいろな自己負担がありますよ。九千八百万の自己負担をしているのです。こういう奨励の中で、これは安定したと思ってそれだけの負担をしておる。ところが四十三円ぶった切られた。今後も、不利益な地帯では、おまえのほうは奨励区域ではないんだぞ、こういうことが指定されたと同じようなことになる。しかも私は、これが経済的に成り立たないなら別ですよ。いま積み立て金が小麦で四億一千百五十万円、大裸で二億三千八百二十万円、計六億四千九百七十万円の積み立て金を持っているのでしょう。金は残っているのでしょう。やろうと思えば金はあるんですよ。どうしてそれができないのです。しかも私は、こういうやり方は農民と工場と血のつながりをするといいながら、ねらいは、小麦をつくる者は製粉工場の永久小作に奴隷化するものです。ビートをつくれば製糖工場の奴隷にするのだ。酪農家になれば乳製品工場の永久奴隷にするのだ。こういうふうにみんなメーカー本位で農民を操縦する。そこに押え込む。そうしてメーカーがもうからなければ、そのしわ寄せは常に農民のところへ持っていく。そうしてもうかるときは知らぬ顔をして、やかましい世論が押え切れなくなるまでは、その利益を知らぬ顔をして、ほおかぶりしながら収奪する。血のつながりをつけるという形がこういう形で、もうへたにメーカーのごきげんを損じたら、買い入れ契約を受けなかったら、一俵について四十三円損するんた、こういう政府——金はメーカーに預けて、その運用をメーカーにまかして、そうしてメーカー御自由にしてください。そして営農経営の実態も破壊されていく。そういうことまでして、小麦をつくる農民を製粉工場に売り渡さなければならぬほど見下げ果てた経営を一体やるのですか。そういうかまえでやっているのですか。そんなことはゆっくり考えるも何もなくて、  一刀両断でどうするかわからなければならぬ。対策がすぐ立たなければならぬ性質のものだと思う。ゆっくりあなたのほうでは考えているかもしれないけれども、現実に損する農民はきょうの問題ですよ。二年、三年先の問題じゃないのですよ。
  169. 小暮光美

    ○小暮説明員 積み立ての原資は、御指摘のようにございます。ただ、ぜひ御理解いただきたいと思いますのは、あらゆる条件を克服して、生産者の売り渡します麦に、全量漏れなく一俵四十三円の奨励金を交付するということに仮にいたしますと、これは実はパリティ麦価の上に四十三円麦価を乗せたということと経済的には何ら異ならなくなるわけでございます。  ただ、私ども先ほども初年度ということを申しましたのはそういう意味もあるのですけれども、十数年の長きにわたって、生産者と加工業者とがおよそ顔を知らなくてもいい、全量政府に売り上げれば、政府の割り当て売却という形で、全然別の世界で物がさばかれるという形にお互いになれてきたわけでございますから、これを一朝一夕に、あらゆることを理想的に変えることはできないというように思いますので、これは生産者あるいは加工業者と十分話し合いながら徐々にやっていく仕事だとは思いますけれども、それにいたしましても、全量漏れなくすべて、暫定措置ということで四十三円を乗せるということになりますと、これは米価審議会に御説明しました趣旨とも基本線において異なってまいります。また、パリティ麦価に四十三円上乗せる、麦価として支払うということと何ら変わらなくなりますので、その点はひとつ御了解いただきたいと思います。  ただ、先ほど申しましたように、初年度でございますので、四角四面にものを考えるということでなしに、できるだけ締め切りの期限等も延ばしながら、加工業者、生産者あるいは食糧事務所、三者相寄りましていろいろと御相談するというような、柔軟性のある態度で事を進めておるつもりでございます。  なお、先ほど茨城等よけいな例を申しましたけれども、経済立地としては決して悪くなく、県全体として一五〇%の申し込みがあったというところでも、特定の銘柄につきましては、かねてかなりの論争が加工業界でもございました。県全体として一五〇%の申し込みがあるような県で、なおかつ数千トンの申し込みが最初なかったというような事態は、具体的にこれを生産しておられる農協と、これを加工する業者との間で話し合いを行なって、今後もし銘柄等について十分の話し合いが成立すれば、次年度以降一応望ましいかっこうに変わっていくというような前向きの見解もあります。  御指摘の地区につきましては、私どもの聞き及ぶところでは、どうも品質、銘柄の問題ではない。むしろ、北海道地域が非常に広いという実態からきた引き取り運賃の問題が中心であるということに了解しておりますので、それらの点をめぐって、なお業界と生産者団体との話し合いを続行したいというように思います。
  170. 永井勝次郎

    ○永井委員 もう約束の時間ですし、それから関連質問でありますから、この問題については、なお場所をあらためてなにしますが、先ほど部長の言ったように、最初から理想的にいかないと言う。少なくも理想とかなんとかいうような高道な問題でなくて、一線を画したら、四十三円損するところがばんと出たのだ。こんなばかでも、あほうでもわかる問題を経過的に措置できないというような、そんな低能な話はないと思うのですね。こんなことはもうわかり切った問題です。それで一方では奨励しておる。そうして負担をかけておる。一方ではぶった切って奨励金は圏外に置く。それを理想的とか、高邁だとか、順次いくとか、そんなゆっくりした問題ではないし、私なんかが言えば、あほうでもばかでもわかる問題です。それをゆっくり考えなければ、何年も考えをめぐらさなければ対策が出ないというなら、よほどどうかしておる。精神病院に行かなければならぬほどの問題だと私は思う。  ことに、私は政務次官に聞いもらいたいのですが、斜網地区は遠いとかなんとか——地続きですよ。地図を持ってきて見たらわかるのです。これは島や何かでないのですよ。そこは主産地ですよ。そうして、そこでいまカントリーエレベーターなんか新しい機械を入れてやっておるが、この機械はみな新しい機械なものだから、どんと入れたけれども、これは修理しながら、実験しながらいま現地ではやっておるのですよ。ですから、これは実験していいものが入ったのでないのです。斜網地区で生体実験をいまやられておるわけです。そうしてその一つは、北大に委嘱して実験をやっておる。一つはみずからが使いながら実験をやっておる。その実験費や何かは全部地元負担ですよ。技術者はいないのですよ。機械の使い方を指導する技術者がいなくて、しろうとの農民が生体実験やらされておるのですよ。その上にこの麦が、いま言ったような理想的にいかぬとか、ねっちりかからなければだめだとかいうようなことで、ことしの麦が四十三円一俵についてぶった切られる。そんなばかな話が世の中にありますか。それほどむずかしい問題じゃないのです。私はこの問題については、こんなあほうなことがまかり通るということはおそるべきことだと思うのですね。機械を入れて、機械メーカーの側に立って現地では生体実験させられ、しかも非常な負担をさせられておるのですよ、機械そのものでも。そういうことをやりながら、あすに希望をつないで、そうして当局の指導に期待してやっておる。そうすると今度はこういう制度で四十三円はだめだ。そうして問題になると、おまえのところの品物は質が悪いのだ。距離が遠いのだ。そんなあほうなことがありますか。距離はこの制度ができてから急に延びたのではないのです。地図にちゃんと固定しておるのですよ。そこに線を引いたのはだれが引いたのですか。こんなばかなことは了承するわけにはいきません。  きょうは私は時間がありませんから、いずれあらためてこの問題について明確にしていきたいと思います。
  171. 足立篤郎

    足立委員長 次回は明二十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会