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大出委員 そうすると、十二のうち二つできて十残っているということですね。
そこで実は公営交通の例をあげて申し上げたいのですが、私は横浜ですので、一番手近に住んでおるということで実は我田引水云々ではなくて申し上げておきたいのですが、
現状はどう
考えてみてもこれはやっていきようがない。どこからどう
考えても六大都市の交通ができていない、こういうわけなんであります。これがでまていないままで、さて
人事院の
総裁の先ほどの
お話では、来月の中旬に
勧告がまた出る。こういうことになるでしょう。できていないといって、実は当面は片づいているわけです。実力行使云々だと組合の
皆さんも
考えられて、市長さんが集まって相談をさたれりして、市長さんが当面の団体交渉の相手方でございますから、交渉権がございますから、その面で各都市にも一応労使間では線を引いておいた。ところが、さて自治省と各六大都市の
理事者の側とでは、それ以降どうもお手切れのままで、どちらもくちびる寒し秋の夕風ではないが、ものを言わないというかっこうのままで現在まできている。そこへまた今度出てしまう。これは再建
方式をつくるときには、ずいぶん
大蔵省の
皆さんともいきさつがあり過ぎた。特に横浜などの場合には、返還期間が長いからなお問題があった。あるいはどこまで利子補給をするかという補給部分についてもずいぶん問題があった。こういう点で、これは自治省の
皆さんは
大蔵省の
皆さんとやり合ったいきさつがございます。三分五厘だ、やれ六分だということでさんざっぱらやられた。これは自治省としてはずいぶん苦心惨たんをして、暗いトンネルから明るい日ざしの外へ抜け出なければならぬということでおやりになった。ところが、さて
現状はさっぱりで、トンネルが続く
ばかりだということになる。
ここで私は例をあげて申し上げておきたいのでありますが、横浜の場合で申しますと、昭和四十三年から五十四年まで再建
方式に従って自治
大臣の認可を求めてこれを均等返還をする。一年据え置きですから、十五年返還だと大体
年間十五億近い金を返さなければいかぬ。それではこれをずっと返していった結果がどうなるかというと、不良債務というものが六十六億八千万円ある、これをずっと返還して昭和四十三年から昭和五十四年で払い終わったとすると、何が残るかというと、この分だけそっくり、借金が六十六億八千万円また残るということです、簡単に申し上げれば。これが
一つ。それからもう
一つ、第八次
賃金引き上げ、つまり昨年の
賃金引き上げ分だけを例にとりますと、これは大体
年間で三億八千万円、まあ三億四、五千万円と言ったほうがいい。これは四十三年から
実施をしていったら、五十四年まで、つまり再建期間の五十四年末までの間に昨年の
勧告だけで、一回の賃上げ分だけで一それが毎年累積されていくわけですから、ことしの
勧告分を抜きにして、つまり四十二年度の
勧告分だけで大体
年間三億四、五千万円かかりますが、これがずっと赤字になっていって幾らになるかというと三十七億円、一回の賃上げ分だけで三十七億円が五十四年までにかかります。
さて、そこで合理化をやれという
お話で路線撤去をやれというからやる、さらにこれを早めろというから早めた、車掌さんのいないワンマンカーをやれというからやった、それから四十八時間制はうまくないから四十四時間にしろというから、これもやった、それから始発、終発をゆるめろというからゆるめた、もうずっとやれといわれたことでやれるものはすべてやってきた。そうしてもう
一つ、バスの料金の値上げの問題とからんでバスを三十円に上げた。このバスの料金の値上げについて自治省の言い分は、バスの料金を上げて黒字になったらそれを軌道に回せという。ところがその所管は運輸省ですが、運輸省のほうは三十円に上げるのを認めるから、ここで黒字になったからといって軌道なんかを埋めたらいかぬという。ところが原価計算をすると、バスを三十円に値上げしてもとんとんです。トロリーバスが四、五百万円もうかっているだけです。
あとは全然もうからない。赤字だ。
あと何をどうあがいみても何もない。そうすると、もう赤字の累積だらけだ。かといって、いまさらこれを民営でといっても、とんでもない。受け取り手がない。そうなると、これは軌道電車だけならいざ知らず、バスも含めて、とにかくいまの公営企業というものは、せっかく企業法の改正を鎌田さんはずいぶん御
研究になっておやりいただいて
——私は鎌田さんと忘れたくらい多く
論議を尽くしてまいりました。地方行政
委員会にまで出かせぎに行って私は何べんも
質問をいたしましたが、それでやって結果的にこういうことなんです。ここまでくると、
理事者の責任、自治体の責任だとは言い切れない。ましてやそこに働いている従業員の責任だとも言い切れない。横浜の交通の職員は、市役所のほかのどこにでも行っている。清掃にも行っている。
方々の職場で、やあ
大出さんと言われる。次々と交通から出ている。みんな泣きの涙で出ているわけです。横浜の観光バスの案内をする女性、これは試験まで受けてそっちに交通から車掌さんに行っている。こういう実は苦労をし抜いていて、なおかつどうにもならない。とすると、何がしかここに
皆さんのほうで手を
考えていただかぬと、たとえば企業外要因、年々物価が上がり、春闘で
民間賃金が上がってしまう。
官民比較で
人事院が毎年、これは国の政策の問題ですから、
勧告をする。それが
一つの非常に大きな根本原因ですね。さっき申し上げた四十二年度
賃金だけをとらえましても、五十四年まで、返済期間末年までに三十七億も累積してしまうわけです。そうなると、そういった企業外要因に基づいて公営企業がどうにもならぬ、公営交通がどうにもならぬ、あるいは公営水道がどうにもならない、こういう
現状、しかも資本となるべきものは何も国はめんどうを見たことがない。戦災で焼けたって、横浜の市電、市バスというようなものは従業員が一生懸命直して、
一般財政も苦しいところを少しずつ入れながら焼けた電車を直して走らしてきたわけです。そうなると、資本となるべきものは間接的な社会資本ですから国が見て、その上で経営というものを独立採算というならまだわかるのですけれ
ども、それもない。そうすると、これは早川さんがやめて赤澤さんの時代にメリットシステムで借金を埋めたことがございますが、とにかくそういう小手先ではどうにもならない。とすると、何かそこに鎌田さん、もう一ぺんここでものを
考え直す時期が来ているんじゃないか。地下鉄もありますよ。ありますが、地下鉄といえ
ども、これはどこへ行ったって黒字になりっこない。東京の地下鉄一号線と、貨物線を含む山手線を計算したって、一キロ当たりの建設費が地下鉄は六倍かかるのです。そうすると国
会議事堂前から霞ケ関まで、いまの料金三十円の六倍、百八十円取らなければやれないのです。そうすると、地下鉄ということを
考えても、横浜も四十六年から地下鉄が走ることになりましょうけれ
ども、それをやりましてもこれはどうにもならない。そうすると、抜本的にここで
考えなければ賃上げ
一つできない。それは、電車の車掌さんや運転士さんは古くからいるから高いという人もいるでしょう。いるけれ
ども、バスの新しい
方々は低い、これも合わせてストップなんです。そういう
ばかげたこともできないし、古い
方々が高いからといったって、これは古くからつとめているので高いのはあたりまえだということになる。何とも見ていられないのです。ここらあたり、自治省の
皆さんの側で何かもうお
考えがなければならぬと思うのですが、何か
考えていられることはないですか。