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1968-07-24 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年七月二十四日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君    理事 松澤 雄藏君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       上村千一郎君    内海 英男君       桂木 鉄夫君    菊池 義郎君       藤波 孝生君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    武部  文君       華山 親義君    浜田 光人君      米内山義一郎君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 栗山 廉平君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君     ――――――――――――― 六月三日  委員浜田光人辞任につき、その補欠として山  田耻目君議長指名委員に選任された。 同日  委員山田耻目君辞任につき、その補欠として浜  田光人君議長指名委員に選任された。 七月十二日  委員華山親義辞任につき、その補欠として森  義視君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森義視辞任につき、その補欠として華山  親義君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月三日  一、行政機構並びにその運営に関する件  二、恩給及び法制一般に関する件  三、国の防衛に関する件  四、公務員制度及び給与に関する件  五、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十四日  旧軍人恩給の改善に関する陳情書外二件  (第  四三〇号)  同  (第四五八号)  自治省選挙局存置に関する陳情書  (第四三一号)  靖国神社国家護持立法化反対に関する陳情書  (第四三二号)  同  (第四七八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件      ――――◇―――――
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 総務長官一つ、それから総裁一つ冒頭一つずつ承っておきたいことがあるのです。  総務長官にまず承っておきたいと思いますのは、政府給与政策というもの、これは給与担当大臣という立場おいでになるわけでありますから、ただこれは主として公務員中心、こういうことになるんだろうと思いますが、給与政策といわれるもの、これは一体どういうふうなものであるかという点を冒頭にひとつ承っておきたいわけであります。なければないでけっこうですが……。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 給与政策基本というような問題でありますが、公務員給与というものはやはり適正なものでなければならない。公務員給与が不当に一般水準よりも低いというようなことが万一ありとするならば、これはやはり官紀の問題あるいはまた諸般の経済問題に基因する事件、事犯というものも生じてくるわけでございます。やはり国民奉仕者としての一定の体面と同時に、また生活を守っていくということが私は非常に重大な問題と思っておりますので、この点につきましては人事院の精密な調査、御検討をまって、私どもはそれに従ってまいる、これがたてまえであろうと存じます。
  5. 大出俊

    大出委員 適正なものでなければならぬ、民間その他と比較してみて不当に低いものであってはいけない、こういうことなんでありますが、非常に抽象的なお話でございまして、はっきりいたしません。  もう少し具体的に承りたいのですが、大蔵省が今年は総合予算主義という形をとって、予備費に総計千二百億、この中でおおむね五百億くらいの予備費を組んだ、当時の新聞の書き方をもってすれば、公務員給与は五%を予測している、こういうことだったわけでありますが、これは政府給与政策一環でございますか。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは政府給与政策一環というよりも、政府財政政策方針なり一環であろうと思います。その財政政策給与政策にいかに反映してくるかということについて重大な関心を持っておるというのが現状でございます。
  7. 大出俊

    大出委員 給与政策というものは財政的な裏づけを必要とするわけでありますから、財政のほうでかりに五%という押え方をするというと、重大な関心を持っているというその関心のほどが、五%というワクがはずれてはたいへんだという関心を持っておられるとすれば、これはたいへんなわけでありますが、そこらはどうですか。
  8. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの御質問の中の五%というのは私わからないのでありますが、予備費千二百億円というのがございまして、毎年の恒例のようになった補正予算主義というものに対して、通年総合予算主義をとってまいる、こういうことでございます。そういうふうな意味から、人事院勧告をまち、これを尊重しまして適正な給与を決定してまいりたい、かように考えております。
  9. 大出俊

    大出委員 わからないとおっしゃるので承りたいのですが、昨年が俸給表に関しては七%、実質七・九%の勧告が出ているわけですね。これは八月実施をいたしておりますね。これを年間十二カ月に引き延ばしますと、おおむね五・二六%になる。ところで七・三%というふうに想定をいたしますと、これが八月実施ならば年間引き延ばしますと四・九%、五%を欠ける。こういう数字になります。これはあとから中身に入って御質問を続ける上で非常に必要になってまいりますが、私が申し述べておりますのは、総合予算主義ということで年間予算を組んでいるわけでしょう、したがって、公務員賃金が大体ベースにして何%ぐらいというものの言い方というのは、年間でいうと、昨年は七・九だというのだけれども、十二カ月に引き延ばせば、これは八月実施ですから、そうなりますと残念ながらこれは五・二六、五・三足らずしかならない、こういうことです。だからそこで問題になるのは、五%で押えようというものの言い方考え方新聞で当時たくさん書かれておる。これは何べんも論議をいたしましたからあと大蔵当局方々に御質問をいたしますが、つまり総合予算主義補正は組まないわけですから、そうなるとある金しか使わないというたてまえですね。これは総務長官補正でも組むというなら別ですよ。そうでなければ、ある金しか使えないというたてまえになっているとすれば、ある金というのは一体限度どこまでかということはおのずから明らかだ。組んである。したがって具体的に承りたいのですが、おわかりにならぬそうですけれども予算的には一体どのくらい出せるのですか。
  10. 田中龍夫

    田中国務大臣 私のほうで通年に逆算して五・幾つになる、だからいままでの人事院勧告が七・九というのがこうこうなるのだと仰せられますが、私のほうは別にさように考えてどうこうというのではございませんで、ただいま申し上げたように、人事院のこれからの精密な御研究、御調査の結果を待って、これを尊重してまいるということでございまして、内閣、政府側のほうからごうごうというふうなものではなく、人事院勧告というものをあくまでも尊重するというたてまえのもとに今後進んでまいります。
  11. 大出俊

    大出委員 これは総務長官にひとつ決着をつけておいていただきたいのですが、総合予算主義というたてまえをとったことは間違いございませんね。これは補正予算を組まないということでしょうね。間違いございませんか。
  12. 田中龍夫

    田中国務大臣 総合予算主義ということは、たてまえの上からいって補正予算を組まないという一応の原則でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 そうしますと、公務員給与財源として組まれておりますものは旧来補正で組んでおりましたが、今回は補正で組まないたてまえですから、そうなると予備費に含まれている、こういうことでよろしゅうございますか。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 さような意味から、予備費は十二分にとってあるということに相なります。
  15. 大出俊

    大出委員 十二分にと、こうおっしゃるわけですが、どのくらい十二分なのかわからないわけです。予備費は千二百億ですね。災害予算というのはどのくらいございますか。
  16. 田中龍夫

    田中国務大臣 災害に関しましては、まだ普通の、通年から申しますと、えびの・吉松のあと始末と十勝がありましただけで、ことしはつゆも大過なく過ごしましたので、まだ序の口であろうと存じます。
  17. 大出俊

    大出委員 序の口はいいですが、予算的に予備費の中に予見しがたいものを組んだわけですから、これから台風が来たり何かすると、おそらく予見しがたいからそれらも含めて予備費がつくられている。昨年の例でいきますと組みかえを途中でいたしておりますけれども災害その他そっちのほうに入らないもの、つまりその他という形の予備費が百三億あるわけですね。だから、千二百億から百三億を除いて去年並みにその他があるとすれば、そうしてそれがことしは災害給与、こうなるわけですが、いまのところ十分に組んであるとおっしゃるのですけれども予備費は一体主として何と何と何を予見しているのですか。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 予備費は元来が、いままで国会論議になりました問題点は仰せのとおりの問題でございまして、それ以外は不測の用途に充当いたすことであります。  なお、詳細は大蔵当局からお答えをしていただいたほうが、かえって明快だろうと存じます。
  19. 大出俊

    大出委員 冒頭総務長官にと断わって私聞いているので、あとからこまかく承りますが、給与政策とからんで質問したところが、政府財政政策でこれが給与にからんでくる、したがって非常に慎重に注目している、こういう御発言でございます。しかも今度は、給与に関して、予備費で十分この予算を組んである、こう言うのですね。大体総務長官給与担当大臣として十分に組んであるというのであるとすれば、それはいま御答弁がございましたように、給与災害その他、こういう組み方でございますが、どの程度のものをもって十分とお考えでございますか。
  20. 田中龍夫

    田中国務大臣 人事院勧告もまだ今日出ておりません段階におきまして、計数的なことは差し控えさしていただきたいと思います。
  21. 大出俊

    大出委員 そうすると、何が十分だかわからないというわけで、あるいは不十分かもしれないわけですな、これは。  それでは、勧告が出た場合に、予備費でまかなえなかったらどうされますか。
  22. 田中龍夫

    田中国務大臣 勧告に対しまして、あくまでもこれを尊重するというたてまえのもとに最善努力を尽くさしていただきます。
  23. 大出俊

    大出委員 総務長官なかなか最近は答弁がうまくなったですな。  いま十分にとおっしゃるのだが、その十分に組んである予備費というのも私はあんまり十分じゃないと思いますけれども勧告が上回った場合には尊重するたてまえで努力する。そうすると、これは、予備費というもので、予備費ワクで押えるというものじゃないですな。幾ら勧告が出ても、予備費がこれこれしかないからだめだ、こういう態度ではないということですね。いまのお話は、それはどっちなんですか。
  24. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま私の言うように、最善努力を尽くすのでございまして、そういうふうなたてまえはいずれもとらないということでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 そのいずれもとらないという、いずれもとなると、これ、どっちかはっきりしないのですが、どっちをとらないのですか。
  26. 田中龍夫

    田中国務大臣 それはやはり人事院勧告というものが出ませんと、どうも仮定の論議になりますので、さいころの目が出てからのお話にさせていただきたいと思います。
  27. 大出俊

    大出委員 さいころの目の出方いかんによって考え直してみようというわけですね。いずれもとらないというのですから、ワクの中におさめようというふうにだけ考えているわけでもないし、かといってワクをはみ出して給与だけを考えているわけでもない、こういうふうにとれるのですが、あとさいころの目次第、こういうわけですね。しかし、旧来の例からいきますと、ことしの予備費というものは、さっき長官が言うように十二分だとは思えない、予算内容。これはあとから大蔵省に少し承りましてから あらためて具体的な数字でひとつ継続して質問いたします。大体の考え方だけ承っておきます。  ところで総裁に承りたいのですが、人事院ができて今日まで人事院給与算定あり方というものについて、一貫していままで同じ方式をとっておられるということでございますか。
  28. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大出委員のほうが実は詳しいことなので、なまじっかなことはお答えしないほうが安全だと思いますが、少なくとも私が総裁になりましてからは一貫して今日まで続けて同じ方針のもとにやっております。
  29. 大出俊

    大出委員 どうもおとなしい質問をしておるのにえらい警戒してものを言われるので困るのですが、私の申し上げたいのは、現在の、たとえば六千七百事業所、四十五万人なり四十七万人なりを調査をされるたてまえなんですけれども、前に何べんか私質問を申し上げておりますけれども、これは何もその方式をとらなくてもいいわけであります。法律上は公務員生計費の実態というのが先に書いてありまして、点が打ってあって官民比較の問題に入っているわけですね。ところがその先のほうのがない今日の状態であります。だから官民比較が主になって、生計費なんというものは初任給決定一つの要素になっているのにすぎない、こういうことなんですね。五人世帯まで全部生計費を出してきめているのじゃないですから、そうなりますと、そこで問題になるのは、これはお隣に専門家尾崎さんおいでになりますが、いまの対応等級という形で等級対応さして民間比較をおやりになりますが、九十一職種か何かお調べになるわけですけれども、これはあくまでも個別賃金という形での対応のさせ方になっている。ところがそれが全体的に出てきた結果としては一つベース賃金のような形のワクをおきめになる、そしてワク内で配分をされる、こういう方式になっているように思うのですが、そうじゃございませんか。大ざっぱな話ですが……。
  30. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 御指摘のように官民間給与につきまして精密に比較をいたしまして、その間の格差というものを算定いたすわけでございます。そうしてその配分にあたりましては民間における上下配分傾向職種別格差傾向、こういうものを十分に考慮いたしますとともに、内部におけるバランスという関係も考慮いたしまして配分をきめる、かつ生計費に関しましては一応のチェックをするという形でやっているわけでございます。
  31. 大出俊

    大出委員 そこに一つの問題があるわけであります。この個別に対応させて調査をされて、したがってこれは個別に調査をする限りあるいは職種別調査をする限りは、ある個々賃金、ある個々職種についてものをいえば、そこがたいへん民間は高い、公務員は低いという場合に、最終的に出てきたものを一つベースというとらえ方をする。つまり総平均賃金的なとらえ方をする。そうなると、民間が格段に公務員より高いものであっても、総平均賃金ワクの中でそっちを高くすれば全体に響くからということで押えざるを得ない。逆にその分を高く認めれば、総平均賃金ベースワクの中でものを考えますから、一般的にしわが寄る。こういう矛盾が出てくるわけであります。必ずしもそういう方式をとらなければいけないのかどうかという点であります。ぼつぼつこのあたりで人事院公務員給与算定あり方について考えてみる必要のある時期にきているのではないか。今回の勧告がまだ出ないからわかりませんけれども研究職の問題が出ております。しかしこれは旧来から研究職が高いとするならば、たとえば僻地に行くお医者さん等が高いとするならば、これは当然上げておかなければいけないわけですね。ところがそのことをやろうとすると、全体に響くからというので上げるべきものを上げない、こういう結果が出てくる。今度上げた場合にどうなるかといえば、全体に響くのだけれども、先に上げるべきものを上げなかったのだから逆にその方々は割りを食っておったのだから、今度はみんなから少しよけいとってもいいだろう。そうすると長い目で見れば、上げた当時は喜んでもらえても、あくまでもワクの中に入っているということでしかないということになる。そういった公務員賃金あり方でいいかどうかということですね。問題がもうあるのではないかと思う。だから基本原則からいえば、人事院というものはつくったときからいままでばか一つ覚え——これは言い過ぎかもしれないけれども、何かの一つ覚えみたいに同じことをやってきて、これは日本だけの独得のものでございますといばっている。そうなるとその方式がそろそろ価値なきものになりかねない。特に今回のように総合予算主義などということが片方にありますと、陰のほうから大蔵省に一生懸命突っつかれる。津吉給与課長押え込みか上のせかというお話をされましたが、今回の人事院勧告の結果いかんでは押え込みか上のせかはっきりするわけでありますから、総務長官はよくおわかりにならぬ点があってはっきりしないようでございますけれども、その辺の人事院公務員給与に対するものの考え方基本になるべきもの、ここのところをいまのままでいくとするならば、何年たってもこの行き方でいくのだろうと思いますが、そこのところを専門家立場あるいは佐藤総裁立場で一体どうお考えになっておるのかという点、ここをひとつ承りたい。あとから中身にからみますので……。
  32. 佐藤達夫

    佐藤説明員 現在のやり方は、先ほどばかということばがありましたけれども、これは賢明なやり方じゃないかというふうに、この数年間の経験からつくづく感じておるわけです。と申しますのは、この給与問題というのは各関係立場によって高過ぎる、低過ぎるあるいはもっと高く、もっと抑えろ——いま押え込みというお話がありましたけれども押え込みにかかるという立場の人もおりますし、もっと押し上げろというふうに推進される立場の人もありまして、特に昨今の経済情勢のもとにおいては私はこれは非常に深刻な問題だろうと思うわけです。  そういう場合に、たとえばいま生計費というおことばがありましたけれども生計費ということば意味というのは、実は私どもいろいろ検討はいたしておりますけれども公務員法の六十四条にいう生計費というものは一体何をさすのかということ自体いろいろな考え方があるわけです。たとえばそれをとらえたとしてもそのとらえ方は間違っておるじゃないかという論争を巻き起こして、われわれ絶対のきめ手をもってこれに対抗することはおそらくできないだろうというような気がいたしております。いわんや今後の賃金情勢に対処するにはこうしたらよかろうというようなところでほんとうに手ぶらで勧告でもした日には袋だたきになる、きめ手のない論争に巻き込まれる、そういう気配も昨今ちらちらと見えるような気もいたします。そういう面から見ますと、従来私ども先輩たちが固めてきましたきわめて大規模なしかも精密な民間調査というものによりまして、せめてその調査に基づく民間水準までは絶対に追いつかせていただきたいという立場が一番手がたいのじゃないか、また説得力もあるのじゃないか。もちろんその結果につきましては御不満の向きも立場によってはございましょうけれども、こういう結果に基づくこういう数字でございますといえば、もう渋々ながらも御納得をいただけるという面が従来あるわけです。そういう意味から申しまして、経済情勢がずっと変わってきて欧米並みの高水準賃金国民一般が享受されるという時期になればこれは別でございますけれども、当面の行き方としてはこれが最も賢明な方法で手がたい方法である、そういう気持ちを持っておることを率直に申し上げます。
  33. 大出俊

    大出委員 これはアメリカシステム一つのサンプルになっているわけでありますけれども、しかしアメリカの場合には、これは人事院的機関政府とが話し合って国会に出しておりますから、ここに一つ問題点がある。英国流の行き方もありますけれども、確かに問題になるところには違いない。違いないけれども、いまの人事院やり方は悪く言えばだましやすくできている。よく言えば説得しやすくできている。昨年も私が総裁質問を申し上げた。そんなことを言うなら調査表を出してみろと言ったところが、総裁おこり出して、そういう精密な御質問をいただくようならば春闘の積み残し分なんというものはやりませんということを総裁はおっしゃったけれども、どうも精密な質問をしてはいけないと言わぬばかりの御答弁なんです。つまりそのことは説得しやすいというか、まん中で中くらいによく言えばごまかしやすいというか、私のほうの資料にないような考え方をあなた方がされるわけです。だからこういったなまはんかな制度になっておりますと、よほど運営をされる総裁立場で、もうここまでくると、そのことをはっきりけじめけじめをつけていただかないと、国家公務員の諸君のほうはおさまらなくなってくる。あまり同じ方式が長く続き、あまり同じ答弁が長く続いて、出してくれといっても資料も出てこない、わからない、こうなっていくとこれはおさまりがつかぬことになる。しかも完全実施をしない。踏んだりけったりじゃないかということになる。そういうことでどうも緊迫感が、選挙どもあってあまりなかったのだということで、どうも人事院少し弱気ではないか、対大蔵省などに対して、あるいは対政府に対して、などということを敏感に感じ取って、公務員皆さんがいろいろと人事院に押しかける。トラブルが起こる。私は実はこれはあまり感心したことじゃないと思っているわけです。公務員給与というのをきめよう、基準を出そうとしている人事院ですからね。そこに公務員方々が出かけていって、トラブルが起こる。そういうふうなことは何としても極力お互いに避けなければならぬ。これはいまの現状がどうなっているかわかりませんが、この質問の終わりのほうで再度質問したいと思っておりますけれども総務長官に対しましても、みんなが会ってくれといってもなかなか会わぬという。からだが悪いというようなお話があって、これは前からお悪かったのですから私もよくわかっておりますが、選挙の前にみんなが一生懸命通ったら会ってくれない。どうしてだといえばからだがよくないと言う。私どもも聞かれましたので、よくないのだと言っていた。ところが選挙になってみたら、たいへんお元気で、島根県のはずれののほうまで歩かれた。島根県のとっぱずれ公務員から、こんな片いなかの山の中へ田中総務長官があらわれた、ここまであらわれる人間が何で選挙の前に会ってくれなかったのだという手紙が来る。つまりそこまで真剣なんですね。だからそうなると、公務員皆さんのほうもいても立ってもいられぬことになるから総理府に詰めかける、ここでまたトラブルが起こる。私はそういうことは避けなければいかぬと思う。これは事情がよくわかりませんので、この質問の最後のほうで申し上げますけれども、とにかくいまの人事院あり方というものは、私はこの辺で一ぺん考えてみる必要があるように思います。これだけは私は申し上げておきたいと思っているのであります。  総裁はまさか人事院総裁立場で、いまの方式はうまくありませんと言うのではおさまりがつきませんから、一番賢明な方式だと思っております。でいいけれども、表向きはこれでいいけれども考えるべきことは考えてもらわなければならぬ。その点を前置きをひとつしておきます。  ところで、いつも給与決定——と申しますのは、人事院勧告が出る基礎になっておりますものの中に、毎月勤労統計あるいは消費者物価、生計費調査、それから春闘における積み残しを含む労働省調査等、こういうふうなものがずっとあるわけでありますけれども、昨年でいうならば六千七百事業所、九十一職種九十五万人の調査をされた、こういうことですね。まず昨年と本年の毎月勤労統計がどの程度に違ってきているかという点、これは給与局長からでもいいからひとつ……。
  34. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 労働省の毎月勤労統計の結果を見てみますると、過去一年間の上昇につきましては、これはいわゆる超過勤務手当込みでございますけれども、本年の場合には七月現在で一二・八%でございますが、これは昨年は一一・四%でございます。したがって、一・四%ほど昨年より高目になっております。かつその内容は、昨年、一昨年におきましては中小企業に対しまして大企業がやや高かったのでございますけれども、本年の場合にはこれは逆になっておるといったような特徴があるわけであります。
  35. 大出俊

    大出委員 消費者物価が昨年はたしか三・一かそこらだったと思いますが、これは昨年と本年、どういうふうに変動しておりますか。
  36. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 消費者物価指数につきましては、やはり過去一カ年間の上昇率を見ますと、全国におきまして五・二%、東京におきまして五・一%約五%の上昇でございますが、昨年はこれが三%でございまして約二%程度高まっているということでございます。なおその内容につきましては、食糧等がかなり上がっているというのがこれを高めている理由のように考えております。
  37. 大出俊

    大出委員 生計費調査もたいへん大きく変動しているように思いますが、これも昨年、本年をあげていただきたい。
  38. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 生計費と申しますか消費者家庭の支出額につきましては、やはり同様に過去一年間の上昇率を見ますと、全国平均では一二・七%になっておりまして、昨年の七・〇%に比しましてかなり上がっているということでございます。東京の場合にはこれがことしは八・一%でございまして、昨年の一・四%に対しまして生計費関係はかなりの上昇を見せているというのが実態でございます。
  39. 大出俊

    大出委員 労働省を呼んでおりませんけれども、春闘なるものの労働省の発表は昨年が一二・一、本年一三・五くらいじゃないかと思いますが、正確なものがありましたらお答えいただきたい。いわゆる春闘であります。
  40. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 いわゆる春闘と申しますか春季の賃金改定の妥結結果といたしまして、これは労働省におきましてことしは約百五十五社でございますが、この百五十五社のいわゆる上昇率の平均結果を発表しておりますが、一三・五%ということになっておりまして、昨年の一二・一%に対しまして約一%ほど高目になっておるというふうに考えております。
  41. 大出俊

    大出委員 大体私のほうで調べておりますのとほぼ同じなのでありますが、これはいま昨年、本年を明らかにしていただきましたから、どこからどうながめましても昨年は物価などはたしか一昨年に比べて逆に落ちておると思いますが、ことしは落ちているものは何もない。すべてこれはたいへんな上昇を示しているということになる。人事院の昨年の資料がここにありますけれども、六千七百事業所調査をされて官民比較をずっとやられて調査諸票を集計される。そういう段階にこの数字は実際に当てはめてあらわれてこなければならぬ筋合い、理屈からいけばそうならなければならぬわけでありますが、そういうことになるとすると、これはどこから考えてもことしははね上がる。昨年は俸給表に関して七%、実質七・九%という勧告をされている。となりますと、これは一昨年との関係からいきましても、一昨年と昨年はこれほどの上昇はしてなかったんだけれども、一%くらい上がっている。そうなると、本年はこれはおおむね二%近い上がり方をしなければならぬと思うわけです。だからそれをまるめてものを言いやすく言えば、これは明らかに、新聞がこの間総裁会見の結果一斉に書いておりますように、まさに八%をはるかにこえる上昇になりそうである、そういう想定を新聞がしておりますが、これはそういう見当に物事を見て差しつかえない、こういうふうに思うのですけれども総裁いかがですか。総裁あと二週間くらいで全部の集計が終わるそうでありますが、もう大体見当がつくと思っておりますけれども総裁の感じとしてどうお考えですか。
  42. 佐藤達夫

    佐藤説明員 集計の結果によってわれわれが格差を確認するわけでありますが、いまのおことばにありましたようにその集計はまだ進行中でございまして、その結末が出ておりません。したがって、さいころのお話がありましたけれども総務長官と同様私自身さいころを握っておるつもりでありますけれども、もっともさいころは六までしかありませんけれども、これは二つ使うわけではありません。握っておる私自身にもわからぬというのが率直のところであります。
  43. 大出俊

    大出委員 しかし総裁、これは新聞がやたらそこらじゅうにみな八%以上と書いちゃって——あなた正式に記者会見をされているのです。それで、世の中がそう思って、本年は八%以下の勧告が出れば、そんなばかなことがあるかとみんな思う。これは世の中の常識になっているのじゃないですか。それをあなたがそう非常識なことを言われても困る。その辺はお認めになってもいいのじゃないですか、そんな傾向ですということを。
  44. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは、先ほどおことばにありました毎勤だとか物価だとか生計費だとか、これは公に発表された資料で、だれがごらんになってもおわかりになるわけです。ただし、先ほどちょっと基礎にしてわれわれが作業しておるように受け取れるおことばがありましたけれども、私どもは、それらについては別段基礎としては取り上げておらないわけで、そのものずばり四月に支払われた民間の六千何百の事業所における給与を調べるわけでありまして、その集計を待って正確なる数字を調べております。われわれとしては、それが一番自信もあり、かつ皆さんからも信頼していただける数字だと思っておりますから、それをいわば絶対の基盤として作業を積み重ねていくという立場におりますので、ふたをあけてみないことには一切わからぬというのが一番率直なところであり、先ほど新聞紙の報道のことにお触れになりましたけれども、今度の新聞の報道は、私は、スタイルとしては非常に上できなスタイルだと思っております。したがって、また中には、パーセンテージのことについては総裁は触れなかったがというようなことをちゃんと書いていらっしゃる新聞もあるわけで、これは記者諸君の推測された数字として出ておるというふうに御了解いただけることだと思います。
  45. 大出俊

    大出委員 なかなかじょうずなことをおっしゃるのですが、ほとんどみんな八%以上と、私ここに新聞を幾つか持っておりますが、書いてある。触れなかったがというのが一つくらいありますが、あなたこれを一々否定して回ってはいない。いま私が、八%以上とみんな書いているじゃないかと言っておるのに、あなたは、なかなかじょうずないい新聞の書き方だ、こう言っておられる。総裁は何%と言い切らなかったけれども、大体総裁の説明の中身からすると、昨年、本年と比べてみれば、昨年は大企業は人を採らなかったけれども、本年は中小企業などは大企業が採っておるから非常に困っておる、初任給がこう上がりましてということからずっと説明されたのだろうと思うけれども、その中で総裁の言われるニュアンス、あるいはいまの毎勤その他も出たのだろうと思いますけれども、そういう中で新聞に書いてあるわけで、これはなかなかいい新聞報道だと言う。私どももその点はなかなかいいと思っております。ですから、そこらあたりは世の中の常識、決して非常識なことじゃないと思うのですが、そのくらいいいでしょう。
  46. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そこまでおっしゃられると、ここで思い出話をしなければならぬことになります。新聞社の皆さんにこういうことを申すときにはよほど用心しなければならぬということで、私どもは二度ばかり過去に苦い経験を持っております。だいぶ前のことでありますけれども、ことしは去年を下回りますねという声がありまして、そのときに私は、そんなことはわからぬと言えばよかったのですが、黙っておったものですから、そういうことに総裁がそれを確認したような形に伝えられまして、公務員組合の諸君からものすごいつるし上げを食らったことがございます。そういうことが二度くらいありましたので、その点はもう絶対に貝がらのように口を閉じてしゃべらぬという態度を堅持してまいっておるつもりであります。したがいまして、やはり推測の記事としては、これはもちろん言論報道の自由から推測する、また先ほど御指摘になりましたようないろいろなデータをごらんになってそういう形から推測する私どもはそういうことに対しては何とも申しません。ただし初任給のお話をいたしましたが、これは私この間の記者会見のときに、ことしの上級職試験の応募状況ということをまっ先に披露いたしました。毎年毎年応募者が減って困っておる。去年より六%減った。こういうことになると、給与のほうもよほど考えないと、人材を官界に招致することはできないという感懐を漏らして、ことしは初任給は民間ではずいぶん上がっているのだがということを申しましたから、それはうそではない。初任給の点は十分考えなければならぬということははっきり申し上げました。
  47. 大出俊

    大出委員 何も貝がらが口を閉ざしたようにといってぱくぱくしなくても、私が聞いているのは、非常識ではなかろうと言っておるだけです。あなたに何%と言ってくれとは言っていない。専門の方々総裁の話を聞いて全部こう書いておる。私どもは、地域の公務員の方が、大出さん、ことしは八%以上の勧告が出るんでしょうねということをみな言っておるのですね。そこで新聞に書いてありますから、そんなものはできないと言うわけにいかない。総裁に会って書いているのだから、それは常識だとぼくは言わざるを得なかった。そうすると、私どものものの考え方は、なぜかというと私がいま質問申し上げたように、大まかな数字は出ておる、全部公になっておる。そうでしょう。そうなると、これは非常識じゃないと私も思っておる。それをあなたが非常識でないと私は思っておりますがと言っておるのに、貝がらの口の話をされることはないでしょう。非常識じゃないとあなただってお思いになるでしょう。だからこの記事はいいと言っておるのじゃないですか。そうじゃないですか。
  48. 佐藤達夫

    佐藤説明員 あともうほんのちょっとばかりでありますから、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
  49. 大出俊

    大出委員 尾崎さん、一昨年は何%勧告でしたか。六の六・九じゃないですか。
  50. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 昨年は七・九%でありましたが、一昨年は六・九%であったと承知しております。
  51. 大出俊

    大出委員 一昨年は俸給表六%、実質六・九となっておる。昨年が俸給表七%、実質七・九、このときいま私が申し上げた数字、その片っ方は、いま尾崎さんが昨年の例として上げていただいておる。このときにはマイナス要因——物価などは一昨年のほうが全然高かった、昨年のほうが低かった、マイナス要因がありました。ありましたが、しかし春闘その他を含めて積み残しを拾ってまいりますと、私は当時これはどこからどう考えても七%以上の勧告が出るということを言ったでしょう。総裁はあのときには、これもまたあなたの苦い経験の一つだということになるのか、同じ聞き方をした、それは非常識じゃないと私も思うとあなたおっしゃった。それをいま言いたくないと思って、一生懸命もうちょっとのことですからお待ちくださいと言うのだろうけれども、一昨年と昨年、本年と昨年と比べて、これだけ数字が高いのに、それを、あなたもうちょっとですから、そういう言いぐさはないでしょう。それを常識だとしなければ、一昨年六、六・九、昨年の七、七・九が出ていないときに私は資料をあげてあなたに質問した。それよりもことしのほうが数字がはるかに高い。それで、それが私が言っておる常識じゃないか、非常識な数字じゃないだろうと言っておるのに、それもあなた認めないというのは因業というものですよ。いかがですか、因業でないところを見せてもらわぬと、みな心配しているんですよ。
  52. 佐藤達夫

    佐藤説明員 因業でもいいですから、もうしばらくお待ちいただきたいと申すほかございません。
  53. 大出俊

    大出委員 ところで、実施時期についてでございますけれども、四月実施という出し方がどうしてできないのですか。
  54. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のとおり、従来ずっと五月ということで参っておりますし、その五月となったことについてはまたしかるべき理由があってのことであろうと思います。ただし最近四月ということにしたらばどうかという声がここ二、三年来非常に強まってきております。私自身も謙虚な立場から四月説というのは成り立たないものかどうかということで検討を重ねてきておることは前々から申し上げてきておるとおりでございます。したがいまして、その意味では四月説も一つ考え方ではないかというところまでは気持ちを動かしてまいっておりますけれども、五月実施になったときの国会の速記録などもいろいろ見ましたが、大体頭から五月じゃないかということを——その前はなるべくすみやかにと言った。これをなるべくすみやかにをやめて実施期日を書くべきじゃないかという御議論のときに、大体五月ということを皆さん頭に置いて発言していらっしゃるということもありまして、しかしなぜ五月でなければならぬかということは実は出ていない。四月末までに支払われたものだから五月というようなことばがちょっとありましたが、そういう点も謙虚に振り返って検討しなければならぬと思っておりますけれども、いま直ちに五月は間違っておる、四月のほうが正しいというところまでは率直に申し上げましてまだ踏み切っておりません。
  55. 大出俊

    大出委員 先般の内閣委員会で、私が、八田さんの質問皆さんが御答弁くださらぬので、人事院勧告の第一回から始めまして、実施時期について全部私が並べたことがございますが、百も承知でものを申し上げておるわけですけれども、四月にしても決してふしぎではないのでありまして、四月ではいけないなんということはどこにもない。特に五月にした理由もない。当時、私も関係しておりましたが、こういう理由だからと五月にしたのじゃない。四月に調査したから五月にしたのだということだけです。だから、四月に調査したのだから四月に実施をするということにしても一向差しつかえない。問題は人事院のものの考え方次第。  そこで、私はここで承りたいのは、ことし完全実施総裁は強力に御主張になるつもりなんじゃないですか。
  56. 佐藤達夫

    佐藤説明員 どういうことでそういうお尋ねをされるのか、ちょっとどぎもを抜かれたような気持ちであります。お答えはおそらく当然御期待になっているところだろうと思いますけれども、私は勧告をするには完全実施していただかなければ立つ瀬がない、大いにがんばります。
  57. 大出俊

    大出委員 だから申し上げておるのです。先ほど総務長官質問をいたしましたけれども数字については御無理ですから、大蔵省皆さんに承ります。大蔵省側の積算の根拠というのは、何年か私はこの席で質問を続けましたが、八月実施ということを前提にしておられる。そうしなければこれはそろばん上つじつまが合わない。そうなると、前の九月実施が三年続いたのだから八月実施もおそらく三年くらいはという考え方が出てくる。大蔵省側とすれば出てきてもふしぎはない。そうすると、よほどことしは完全実施を強力にあなたのほうで御主強にならぬと、これは八月で据え置かれるなんということになる。これは大きな社会問題が起こる、こう私は考えている。そこで三回目の実施時期に関しまして不完全実施になったときに、私は仏の顔も三度だと言ったらあなたがごもっともですとおっしゃった。三回目もだめだ、四回もだめだ、五回もだめだ、六回もだめ、七回目になって、ラッキーセブンだ、いいところだからこの辺で何とかしなければだめだと言ったら、お説のとおりです、何とかする機会だからこの際やりたい。ところがこれが八回になり、ことしは九回です。ちょうど不完全実施九回目、そうなると、この九回目あたりでこれはもう人事院制度の問題とからんで公務員制度審議会もどうなるかわかりませんが、いろいろの問題が出てきている段階、そうするともうせめてこのあたりで完全実施という点だけは何としてもという気がまえになっていただかぬと困る。だからそこまで考えると、いつも十一カ月の勧告をしておくという手はなかろう、やはり四月からきちっとやってくれということを総裁みずからが表に出てものをいうところまで進まなければ、四月調査をやっていて出せるのですから、そこまで割り切らなければ私は前に進まぬと思う。だから先般私が人事院皆さんに承ったときには、五月か四月かということを検討しているというお話だった。そこでこれから検討されるのですから、ことしあたりはもう四月実施というふうに割り切って出していただく、われわれは八月実施というものをどうしても認めない、完全実施でいけということで進む、こういうふうにおぜん立てをしてかかりませんと、公務員皆さん給与は、毎年毎年のことですけれども、常態の解決にはならぬと思います。これは今日的、それに歴史的に振り返ってみて五月実施云々といった理由は何もない。だとすれば、ここで四月調査をしているのですから四月実施で割り切ったらどうだ、こういう議論を私はしているわけです。そう簡単にあなたのほうでまだそこまでの気分になってないということでなくて、なぜ四月実施ができないのですか。
  58. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは先ほど申し上げたとおりでございまして、四月実施必ずしも間違った考え方ではないのではないか。しかし五月実施が間違っておるという結論も出ておりませんから、その辺のところをなお検討したいということでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 四月でも五月でも不完全実施で一緒だなんて考えられたら困りますよ。やはりそこは四月調査をしたのだから四月の時点でものの判断ができるわけですから、四月からこうしなさいといって一向差しつかえない。根拠は明確にあると思うのですが、四月ではどうしてもいけないという理由は何かありますか。
  60. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それがあれば断固として従来どおり五月でまいります。それをいわないところに悩みがある、検討の余地があるということで御了承を願えると思います。
  61. 大出俊

    大出委員 そうすると、断固四月といういい方をしてほしいという理由もない。いまの情勢からながめてみて、私は四月実施というふうにお出しになることが必要だと思う。そこのところおわかりになりませんか。
  62. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御趣旨は十分わかります。
  63. 大出俊

    大出委員 それじゃおわかりいただければひとつ検討していただきたいのですが……。
  64. 佐藤達夫

    佐藤説明員 なお検討いたします。
  65. 大出俊

    大出委員 ことしは、旧来五月ということでやってきたが、なかなか政府完全実施をしない、調査は四月にやっているのだから、人事院は割り切って、どうしてもこれは完全実施してもらいたいということで四月実施にしたのだといってもいいと思う。そのくらいの決意を総裁に持ってもらわないと、われわれのほうからいったら四月にたいして理由がない。四月調査をしたから人事院が四月に踏み切るということならば、なおのこと、大蔵省流に石の上にも三年で八月実施を三年くらいやっておいてということがあるのだから、そういうものの考え方では通らぬということに持ち込まなければ前進しない。率直に申し上げてしまいますが、そう考える。だから四月はいけないという理由はないんだから四月実施にしたっていいだろう、そのほうが私は問題が進むと思う。人事院のささやかな配慮で前に進められるならば、私はその道をとるべきだと考えるわけですよ。そこで先ほどから私は申し上げているわけですが、さらに検討されるということでございますから、ぜひひとつこれは皆さんのほうで御検討いただきたいと思うわけであります。  念のために承っておきますが、本年は調査方法として昨年と何か違ったことをおやりになっておりますか。
  66. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 勧告を策定するための諸資料の収集といたしましては、民間給与調査を行ない、一方におきまして公務員給与実態調査を行なうといったようなことは、基本的には従前どおりでございます。ただ民間給与調査中身におきまして、ことしは諸手当等の調査、通勤手当とかあるいは地域的な給与あり方民間ではどういう手当があるかといったようなことについて調査をいたしておるわけでございます。
  67. 大出俊

    大出委員 法定外の手当であるという意味だろうと思うのであります。  そこで一つずつ承りたいのですが、春闘のいわゆる積み残しというものに対して旧来調査のしかたが非常に不完全ではないかという気が私はするのであります。的確な資料をお出しいただけませんから、どこがどう不完全かということについてなお足らぬ点が私のほうにもあります。ありますが、これは長いのですから、お互いそうしろうとじゃないのですから、中身はわかり過ぎるわけであります。そういう意味で申し上げたいのですが、春闘の積み残しの拾い方について何か新しいくふう、考え方、こういうものはございませんか。
  68. 佐藤達夫

    佐藤説明員 拾い漏れのないようにできる限り努力して拾ってきてもらいたいということは、調査に行かれる人々に十分お願いしてあります。それ以外について別にどうということはございません。
  69. 大出俊

    大出委員 そうすると、やはり付属調査という形をおとりになっているのですか。
  70. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そのとおりでございます。
  71. 大出俊

    大出委員 これはどうせまたあなたのほうはそういうふうに出してくるのだろうという想定でものを言わざるを得ないのでありますけれども、この昨年お出しになった「参考資料」、これしかお出しになっていないからこれによらざるを得ないわけでありますが、その資料の中の一九ページでございますが、第九表、「昇給およびベース改定等の実施状況」という表がございます。「昭和四十二年職種別民間給与実態調査」、こういうわけであります。この中で「ベース・アップ」「昇給」「ベース・アップと昇給の同時実施」三つに分けて調査をされておる、つまりベースアップだけをやっているところ、それから昇給をやっているところ、ベースアップと昇給を一緒に実施しているところ、それから民間事業所の春闘の結果、ずっとこれを当たって数字が出ておる、つまりベースアップと昇給と同時にやったところが六・二%であるとか、あるいは昇給の場合に全事業所に直して二・三%、ベースアップだけが  一・九%、こういう出し方をしている。これは全部出せば一〇・四になる、こういう数字であります。つまり春闘の積み残しの算定のしかた、ここに非常に大きな問題があるのじゃないか。私が申し上げているのは、旧来どおりであるのかないのかということを含めてここをどう考えるかという点。ということは、皆さんのほうの昨年の計算のしかたからすると、どうも私どもから見ると不納得なのです。春闘の積み残しのはじき方、これは昨年どおりにおやりになるというおつもりですか。まずそれを聞きましょう。
  72. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 ただいま総裁からお答え申し上げましたとおり、昨年と同様の調査を行なっておりまして、その見積もり方につきましても、おおむね昨年と同様の方法でやりたいというふうに考えております。
  73. 大出俊

    大出委員 昨年は一二・六%上がったという。つまり事業所調査された。そうしてその事業所調査したときの官民比較の中の付属調査という形で、たまたま四月に遡及して、給与台帳に載っかって遡及して支払ったというところを、その事業所でやっていたというのを付属調査の中で拾ってくる。それはあなたのほうがおやりになった結果として一二・六%ばかり上がっておった、積み残した遡及分が。ところが、この中から四%かける四分の三、これを引いて、一二・六%マイナス四%かける四分の三、これは昇給の関係ですね。四%かける四分の三というのは三%になりますね。これを引いて、それに二三%かけた。二三%というのは何かというと事業所の数。つまり四月遡及で春闘で上がっていた事業所が、皆さん調査をされた全事業所のうちで二三%あった。だから二三%をかけた。そうして二・二になっているわけです。わかりますか。官民比較の面で出てきた格差というのは五・七%であったということですね、皆さんのほうは。四月の時点における官民格差という面から出てきたものは五・七%、それは春闘の積み残しといわれるものが一二・六%付属調査であらわれた。それから昇給一回分を引いた。算式からいけば四%かける四分の三だから三%ですね、これを引いて、それに二三%をかけたら二・二%になったというのですね。これはこの資料でいけばそうなりますよ。だから官民格差の面であらわれた数字の五・七%プラス二・二%に春闘積み残しを足して七・九%の実質賃金引き上げの勧告になった、こういうあなたのほうの説明のはずですよ。資料からいけば間違いないでしょう。違いますか。
  74. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 御指摘のとおりでございまして、四月において支払われました給与につきまして官民比較をいたしましたところが五・七%でございます。それにいわゆる春闘が非常におくれたという関係で、それを見込みまして調整した分が二・二%でございます。ただいま御指摘がございましたこの資料におきまして、第九表の「昇給およびベース改定等の実施状況と」いうのは、これは昨年四月に調査に参りました際に、過去一年間にどういう給与改定あるいは昇給等の実施状況であっかということを調べたものでございまして、この表はいわゆる積み残しの関係とは直接関係のないものでございます。御指摘のいわゆる積み残したという関係で調べてまいっておりますのはまさに積み残したものでございまして、四月にさかのぼって追い払いされるという関係を調べてきたものでございまして、それを調べましたところが全体の事業所中二三%ございました。それから、そこにおける平均的な改定率というのが一二・六%ございまして、それを相互勘案いたしまして二・二%という数字を見込んだということでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 そのとおりです。  そこで、官民格差の五・七、積み残し分が一二・六、これは二三%の事業所にあらわれているということで三%を引いて一三%を掛けた。そうして二・二%が出て、五・七プラス二・二、したがって七・九%、こういうことです。私がこの表をあげたのは、本来ならばこの表に説明がもう一つなければならぬ。これだけでは何にもわからない。つまり付属調査ということで調査をされた中身というものは何にも資料の上に出てない。出てないでしょう。何一つ出てない。出てないものは審議のしようがない。この表がそれに一番近い。これは、年間こういうふうなベースアップがあり、昇給があり、ベースアップと昇給を同時に実施したという表で、せっかくお調べになったものでしょう。これに付属調査したのをくっつけてもらわぬとわからない。この面から来るものが五・七%ならば二三%、つまりこれを換算していったならば二・二になったというものがくっついていなければ全体としてはわからない。七・九の根拠にならない。どこをさがしたって資料は何にもない。これが一番近い。これが追い払いでどう変わったかということを出してくれなければわからない。そういうことになりますよ、尾崎さん。ほかに関係資料がないのだから。そうでしょう。ないから、去年私は総裁に、それじゃ付属調査で調べたものを出してくださいと言ったのです。  二三%というのは事業所の数なんですよ。六千七百の事業所を調べた結果として、春闘の積み残し、つまり四月遡及で給与改定をしておるところ、これが事業所の数六千七百のうち二三%あったという、あなた方の言うのは。では、それはどういうものであるか、資料がない。事業所数で計算をするのが正しいのか、そこにいる従業員数で調べるのが正しいのか、いろいろ苦労して調べてみたら、この二三%の事業所の中に、人事院調査対象の中で、人員比率でいけば四〇%に当たる人がいる。つまり民間調査した中の四〇%の人たちが上がっているのですね、実際に一二・六%。ところが、四〇%の人が上がってしまっているのだけれども事業所の数でいけば二三%しかない。大きな事業所ですから、そんなことはあたりまえです。人員のほうからいけば四割上がっているのですから、二三%をかけるのではなくて、筋道は四〇%をかけなければいけない。だから人員比でいけば、   126%−(4%×3/4)×4〇% となる。明らかに皆さんのは事業所比でいっている。そんなばかなことはないでしょう。事業所が何もベースが上がっているわけじゃない。そこに働いておる方々が上がっている。上がっている人は幾らあるかといったら、調査対象の中の四割も上がっている。にもかかわらず事業所の数は二三%ということで減らしてしまったということになる。だから、総裁、先ほど、一番いい方法だと言うが、悪くいえばごまかしやすい方法だ、だましやすい方法だと私は言ったのだけれども、そういうことでは困ると思うのですよ、そこのところは。だから、総裁、もうちょっとお待ちくださいとおっしゃるのだけれども、これを一つ例にあげたって、さっきあたりのところで、おっしゃるとおり非常識じゃございませんと言っていたほうが無難だと私は言うのです。総裁、これはやり方をちゃんと明らかにしてこの次は出してください。そうでないとまた全部調査表を出してくださいといわなければならぬ。何にも手がかりがない。資料を何にも出さない。何にも出さないで、二三%の事業所で一二・六%上がっておりましたから、人事院の算式でいきますと四%かける四分の三、それに事業所数二三%をかけました、そうしましたら二・二%でした。これは四%かけましたら二・二どころじゃないですよ。そうでしょう。倍近くになる。だからそういうところはほんとうにそうなのかどうかわからない。どうですか、総裁、これは矛盾だとお思いになりませんか。資料をあなた方は出さないのですから。資料を出してください
  76. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いま、何か人事院のごまかしの種になっているようなことを言われましたから、ちょっと開き直らざるを得ないと思うのですけれども、この資料がついていない点は、それはいま給与局長が幾らでも御説明いたします。それは御説明いたしますが、大体この事の始まりは、これは大出委員十分御承知のとおりで、昔は四月調査だけで、そうしてそこで支払われたものだけを拾って、あとはもう口をぬぐって、残ったものは来年の勧告待ち、来年までお待ちくださいということでしゃあしゃあとしておったわけです。ところが最近、人事院と何らのお打ち合わせもなしにとにかく春闘のほうがどんどんおくれになるというようなことで、これが結局積み残しの大きな要因になっているわけです。そこで、われわれとしては何ら別に責任のあることじゃありません。おやりになるほうのおきめになったことでありまして、責任のあることでありませんけれども、これがみすみすつかみ残りとなることは、当の公務員諸君にとってもこれは非常に不幸なことであります。また、それが大きなパーセンテージが翌年の勧告に持ち越されるということは、非常に不自然な形でこれが出ていくという場面も想像できる。したがって、できるだけ拾えるものはその年度で消化しておくほうがいいのではないかということで私どもとしてはたいへんな決断でこれはやったことですけれども、幸いにして皆さんからたいへんに喜んでいただきまして、そのころは非常にいい気持ちだったわけですが、だんだんと話がこまかくなってきまして、この拾い方がどうの、算定のしかたがどうのということになるわけであります。そうなりますと、またもう一ぺん私どもとしては開き直らざるを得ない。それを要請されるならば、やはり調査時期が四月ということにしておきながらできるだけ拾っていくなんということは、それがそもそもなまぬるいわけです。やはり調査時期をずっとずらして、春闘が全部お済みになったということの御通知か何かいただいて、そのときに調査を開始するということにすれば、これは本調査と同じように精密にいきますから、これはどこからも御批判を受けるようなことはないわけです。したがって、これが今後にわたって春闘の時期というものが常におくれるということになりますと、むしろそっちのほうの調査時期のほうの問題を考えなければわれわれとしてはならないんじゃないかというふうにいきます。これが春闘が秋闘のほうに変わっていただければ、これはまた別でございます。そういう性質の事柄だ。そうしてこれは、翌年度の勧告の際の格差に結局精算されるわけです。春闘の積み残しのとらえ方が非常に少なくて積み残しがまだ依然として多く残ったということになれば、翌年の格差にそれが大きくやはり出てくる。精算として出てくる。つかまえ方がまだ足りなかったじゃないかという御批判を、その面からお受けするようなことになります。幸いにしてあの積み残しを算定し始めてから、翌年の格差をごらんになりますと、大体五%台になっている。そういうことから見て、私どものやっているのはそう大きな間違いじゃないなと思って自信を強めておる次第でございます。
  77. 大出俊

    大出委員 人事局長何か御用事があるようですから、私のほうはけっこうですから……。  総裁、いまの御答弁にいささか私はそちらが開き直ればこちらも開き直らざるを得ないのですけれども、昨年のようにあなたは興奮しないでおっしゃるから私は冷静に聞いているんですけれども、昨年あなたは、そういう精密な御質問をいただくなら、そんなことはやめてしまうなんということをおっしゃったから……。私は、やはりあなたのほうの責任だと思うのですよ。それは総評の岩井事務局長に、春闘というものを始めたのは総評だから、君、人事院の実態調査に困るから春闘はなるべく三月の末までに片づけてくれなんということ言えないでしょう、幾ら何だって。常態として四月、五月と六月になってくる。政府だって日経連だって似たようなものだから、いろんなことを言っているでしょう。だんだん延びてしまう。しょうがない。そうでしょう。そうだとすると、それを拾い上げないでおけばどうなるかというと——早くもっと高い賃金になっていて、その間ずっともらっているわけですよ。民間賃金が上がるということは、それだけ物価の上昇その他の開きがあるからでしょう。ところが、あなたのほうは特に物価調査をやっているわけじゃないでしょう。物価がどんどん上がるから民間賃金が上がる。公務員だって物価が上がれば生活が苦しいでしょう。苦しければ、それを拾ってあげて勧告に乗せてあげなければ、公務員は生活できやしないじゃないですか。だから、一刻も早くそれは皆さん努力して、積み残しと言われてきたものを大幅に拾い上げていただいて、それだけの機構が足らなければ機構の整備をしていただいて、そうして早急に——八月勧告なんですから、いままでの例からいけば。そうなれば、その間に何としても付属資料、付属調査というものをもっと拡大をしていただいて、何も八月まで春闘はやっているわけじゃないのだから、それだけの機構をつくるだけの努力をあなた方はすべきですよ。していただいて、それを乗せて、八月勧告には、それだけ民間は上がっているのですから、その分だけは公務員勧告に乗せていくということにしなければ、公務員の生活の実態を無視して、総裁、そういう論議をされては困る。そうすると、そこまでは理屈のやりとりだからいいけれども、言いたいのは、現実にあなたのほうは可能な限り拾っていくというのだけれども、少なく拾うということになったらどうなるかというと、悪く考えれば、そうでしょう、拾ってみてこれしかありませんでした、とてもじゃないが一二・六%なんか出ませんでしたという拾い方だって、やろうとすればできる、資料も何も出ないのですから。どこで調査された数字か、どういう資料か全然わからない、何もないのですから。おたくのほうの勧告でございますと、麗々と二三%の事業所では上がっていました、一二・六%でございます。四%かける四分の三で、それを差し引きまして二・二になりましたというのだけれども、この算式の基礎になるものは何もないというままでおかれたのでは、あなたのほうは少なく拾う——そんなことはないと思うけれども、あなたの性格だから。人を信ずるよりしようがない、きまりがないのだから。そうすると、少なく拾ったら何が出てくるかといえば、勧告それ自体が低くなるということです。五・七%の官民比較が、四月の時点において積み残しが二・二%あるのだからの昨年の勧告でいくと。そうでしょう。二三%の事業所で上がったということだけ見つけたのだから、このパーセンテージがさらにふえるということになった場合に、いやでもおうでも二・二%は上がるのですよ。そうなれば、それだけ高い勧告にならざるを得ないのですよ。逆に二三%の事業所を調べないで、二〇%しかございませんでしたというなら、二・二は出ない、一・八くらいになる。そうなれば五・七プラス一・八になってしまう。そうでしょう。そういう要素がこの中に明確にあるのじゃないですか。これだけお認めになるでしょう。私のほうはそんなことはしないとおっしゃるかもしれないけれども、何も資料がないのだから、客観的に見れば、そういう見方だってやってできないことはない。たまたま能力がある限りやってみて、拾ってみたら、二三%の事業所で上がったということを見つけ出したということなんです。能力がなかったら、見つけ出せませんでした、手が回らなくて一〇%で終わったといったら、半分になってしまう。そういう不安定な要素のままで推移するということは、まさに人事院の自由裁量だと言ってもいい。それじゃ困るんじゃないですかと私は言っている。現に物価が上がったから春闘で民間賃金が上がった。そうだとすれば、それだけ公務員だって生活が苦しいのだから、その分は拾って乗せてやらなければならぬでしょう。だから二三%の事業所なんであって、そこにいる人たちが四〇%あるという事実をぼくはたずね当てた。だとすれば、なぜその四〇%をとってやらなかったのかと私は言いたい。ことし公務員ベースが上がったら困る、ここらの操作いかんでは、一つ間違えば、大蔵省給与課長津吉さんが言っているように、押え込みか上のせかなんという、総合予算制度のたてまえからすれば、どうにでもなってしまいかねない。だから総裁、腹を立てても言わざるを得ない、しょうがないから。どう考えますか、このところ。そんなばかなことはないでしょう。
  78. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ちょっと待ってください。おっしゃることはよくわかります。けれども、それはごまかしとおっしゃるから、私は決然として立つわけなんです。
  79. 大出俊

    大出委員 悪く言えばということです。
  80. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ごまかしではないんで、事柄の性質上そんなに精密な、的確な調査ができないことは、いまおことばにあるとおりなんです。自由裁量とおっしゃいますけれども、自由裁量じゃありませんけれども、相当偶然の要素がそこに入っている。これは認めるわけです。したがって、その偶然の要素を誠実にとらえて、誠実に算出して、そこから先は誠実で一貫しているというところをお認めいただきませんと、何から何までごまかしということになったら、これはやはり開き直るよりしようがない。もう積み残しはやめましょう、むしろ調査時期をずらすのが一番お互いさまで安心な結果になる、という方向にどうしても落ちつかざるを得ませんよということを申し上げておるのであります。かりに大きなごまかしをしたとすれば、先ほども触れましたけれども、翌年度の格差に変な形でこれが出ますから、それ見たことかと御追及を受ける場面があるのですが、それが幸いにして、先ほど来申し上げましたように、大体においてうまくいっているなという形で五%台におさまっているということで、われわれも自信を持っております。こう言いたいところであります。
  81. 大出俊

    大出委員 だから総裁、そこを信じたいのですがね。翌年の格差に変な要素が出たら、それ見たことかと言われるとあなたはおっしゃる。あなたの言を信用すれば、昨年も誠実におやりになった結果こうなったのだろうということを前提にすれば、それがおかしくない限りは、本年これだけ——毎勤にしても、生計費調査にしても、物価にしても、春闘それ自体の労働省発表からしても、昨年の一二・一が一三・五になっているでしょう。そうなっているとすれば、このデータからいけば、昨年拾っているのは二三%の事業所しかない。ないのだとすれば、当然八%をこえる勧告が出るくらいは非常識なことではないじゃないかと私が言っているのに、あなたはそれにも口をつぐんだ貝で、何も言わない。そうなれば、あなたはつかまえどころがないでしょう、あなたの答弁からすれば。だから、ここまで言わざるを得ない。非常識じゃないでしょう、私の言っているのは。そうでしょう、お認めになりますか。
  82. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ごまかしを言っているというようなことをおっしゃらなければ、おっしゃることは一々ごもっともなんです。そうしてわれわれのやり方について御疑問があれば、給与局長から十分お答えさせます。またこうしたらよくはないかという御提案があれば、これは謙虚に拝聴したいと思います。
  83. 大出俊

    大出委員 それはあなたいま非常識じゃないということをお認めになったからいいけれども、私は昨年、一昨年から申し上げているのです。昨年は一昨年に比べて物価は逆に落ちておったのです。三・一%なんという、一昨年は五・何%とありましたけれども。そういうマイナス要因があったわけだが、その他からながめてみて、俸給表六%、実質六・九というのが、昨年は七%、七・九というふうになっておる。そうでしょう。私はいまの問題は昨年この席で質問しているのです、変わった角度から。そうすると、あなたはあのときは誠実にやったのであって、一切ごまかしみたいなことはないのだとおっしゃる。昨年二三%の事業所しか拾ってない、積み残しがある。そうだとすると、それはマイナス要因としてでなく、プラス要因として出てこなければならぬ。そうすると、ことしの資料からいって、さっき冒頭に申し上げたような数字になるとすれば、資料をお出しいただかぬ限りわからぬけれども調査諸票の結果としては関連しているのですから……。これはそうでしょう、だてや酔狂で労働省がでたらめな調査をしているのじゃないでしょう。毎勤だって、春闘調査だって、それは高くなるはずだ。そうなれば、本年は八%をこえると新聞は書いているけれども公務員皆さんは心配しているのです、生活がかかっている。だから、その書きっぷりというのは非常識なものじゃないと私は思うのだがと申し上げた。いまその点は、昨年のこの一件について人事院が誠実にやっているということをお認めいただければ、あなたの言う非常識じゃないということを私も認めると佐藤さんもおっしゃっているわけだからいいけれども、そこまで言わざるを得ないので、私はこれを持ち出した。  最初に返りまして、あなたは非常識じゃないということをお認めになりましたから、それはいいですけれども、誠実にことしもやってくださいよ。
  84. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いや、いまのおことばで御趣旨はよくわかりました。しかし、先ほど触れましたように、こういう方法はもっといい方法としてあるじゃないかという御示唆は十分いただく。それは謙虚な気持ちでおことばを拝聴いたします。
  85. 大出俊

    大出委員 私は質問しているのですよ。資料としてそこまでつけて出してくれませんかと言っているのです。そこまでやってくれないと困るじゃないですか。
  86. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 いわゆる春闘の積み残しの関係でございますけれども、私ども調査といたしましては、四月現在におきまして官民比較をするということでございますので、民間調査をいたします場合に、四月分として四月に支払われた給与を調べてくるということを実行しておるわけでございます。ところが、四月に支払われないけれども、間もなく給与改定があって、それが四月にさかのぼって追い払いされるというような事業所は非常にあるということでございますので、そういう事業所をつかんできておるというのがいわゆる付帯調査でございます。この付帯調査におきましての調査は、どういう事業所が幾つあるかということと、それからそとにおける事業所の平均的な改定率は何%であるかということの二点を調べてきておるわけでございまして、その結果は、結局全体の事業所の中でそういう事業所が何事業所あったかという比率、これが二三%でございます。それからその二三%の事業所における平均改定率は何%であったかという関係、昨年は一二・六%であったわけでございまして、その二点について調べてきております。給与報告の中でその二点について述べているわけでございます。したがって、その二点だけが資料といえば資料ということになりますので、特別にそれを付属資料として載せていないというのが実態でございます。
  87. 大出俊

    大出委員 私も、きのうきょう質問しているわけじゃない。そのつど調べるべきものは調べながら来ている。ここにもおたくのほうのいろいろなやつを、それなりに取るべきところは取って調べているのです。だから、そんなに見当違いなことを私は言っているわけじゃない。ところが冒頭から非常識じゃなかろうかと言ったら、あなたはものを言わない。そういうことでなくて、何も何%という、あなたが言っちゃいけないようなこまかいことを聞いているわけじゃない。こっちも百も承知で大ざっぱなことを聞いているのですから、こそらあたり、やはりせっかくこういう雰囲気であり、こういう世の中なんですから、民間賃金は春闘で上がっちゃってるんですから、総裁はやはり受けて立ってものを言ってくれなければ困るという気持ちがあるので、ここまでこまかい質問を実は続けているわけです。   〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 これは世の中で、八%下回るなんてばかなことあるか。総裁が昨年おやりになった中身が、先ほど来御答弁のようにおやりになったならば、だれが考えても当然なことなんです。それは非常識じゃないわけで、だからそこのところをあなたのほうがお認めいただけるならば、私のほうはあまりこまかく事を突っ込もうと思っていないのです。もう一ぺん聞きますが、どうですか。そこは。
  88. 佐藤達夫

    佐藤説明員 一連のお話、よもやと思いますけれども、何か人事院が内輪に内輪に出るように考えているんじゃないかというようなことを、まさかとは思いますけれども、前提にされての御発言じゃないかという気がいまだいぶしたのですが、それだとこっちはたいへんな迷惑でありまして、われわれは内輪に見積もったところで何ら得るところはありません。公務員諸君のことを考えれば、そんなことはとてもできたことじゃない。出てきた数字をそのまままともに受けて勧告をつくっていこうという立場に徹しているわけです。その立場に徹しておればおるだけ、あらかじめこうなりそうだという予測ができるはずはないわけだ。何かこっちに心づもりを持っていて、ことしはこの辺で行こうかという気持ちを私が持っておれば、それが常識でしょう、下回るでしょう、もっと上でしょうということを申し上げられます。そうでないから申し上げられないというふうに御了解を願いたいと思います。
  89. 大出俊

    大出委員 だから、そうでないということは、私が言っていることが非常識じゃないということですよ。いま総裁が私に言っているのは、私が下回るだろう、低くなるだろうということを何か先入主的に持ってものを聞いているように受け取れるわけです。そんなことは毛頭ない。なければ、私が言っているように八%をこえるだろう、これは非常識な考えじゃないだろうと私は言っているので、それをあなたにお認めになるのが当然でしょう。そうなるじゃないか。
  90. 佐藤達夫

    佐藤説明員 おっしゃることはごもっともな一つのおっしゃり方だというふうに拝聴いたしておきます。
  91. 大出俊

    大出委員 ここまで持って回らなければそこまでおっしゃれぬですかね、汗かきましたよ、一汗。  ところで給与局長にひとつ伺いたいのですが、先ほどの御答弁の中にちょっとひっかかる点があるのです。というのは、四月台帳その他から見たら、わからないけれどもこのくらい上がってくるであろうというところ、民間事業所におけるベース改定が、これはそんなに何もたいへんなことじゃないと私は思っている。というのは、たとえば日立なら日立、東芝なら東芝というところで、組合が春の賃上げ闘争をやる、そうすると、電気大手何社というところはおおむね五千五百円プラスアルファ、こうまとまった、こうなるわけですね。そこから先のわからぬ点はありますよ。五千五百円プラスアルファで妥結をした。ところが日立は六千百五十円だった。その六千百五十円というものをめぐって、基準内にするか外にするかという論争があった。あるいは表に出さないものがあった。これまでをということは無理だと思うのです。片や日立は六千百五十円になった、東芝は五千八百円だ、こういうことがあります。だから、それはあると思いますけれども、春闘の妥結額というものを、大体のアウトラインというものを、そんなに何もあなたは八月にならなければとか、七月にならなければとか、六月末にならなければということはない。おおむねメーデー前にはほとんどのところが形は出てしまっている。だとすると、やはりそこらのところは事業所別にお調べになったとしても、その事業所というのは何という事業所、何という事業所、何という事業所とみんなわかっているのでしょう。名前はついてないのですか。ついているのでしょう。行って調べた方が、私はどこへ行って調べてきましたということを報告しないことはないでしょう。東芝へ行って調べてきたらこうでございますとか、日産へ行ったらこうでございますとか、そうなんでしょう。違いますか。
  92. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 積み残し計算の場合、積み残し事業所について調査をいたすわけでございますけれども、その関係は、やはり確実な資料ということをモットーにしておるわけであります。御承知のとおり、四月現在の支払われたものにつきましては、非常に精密な相互比較をしておりまして、それにできるだけ近いような確実なものということを調査としてはとる必要がございます。したがいまして、調査に参りました場合には、四月の時点において支払われなかったけれども、その後におきまして給与改定というのが妥結をしましてきまった。きまっておってそれがかつ四月に追い払いされるということもきまっておるということまではっきりしておるところだけを行った場合につかんでおるというふうにしておるわけであります。その関係事業所をすっかり調べてくるということでございます。かつ、そういう事業所がどういう事業所であるかという点は、これは私どもとしましては、調査でございますから、それぞれしっかりつかんでおるわけでございますが、ただ、調査集計の常識でございますけれども、いわゆる抽出調査、サンプリング調査をしておりますので、どこどこの調査をやったということは、これは一応秘密にするというのがたてまえでございます。
  93. 大出俊

    大出委員 秘密であるということであって、人事院ではわかっているということですよ。そうでしょう。そうだとすると、どこどことどこどこの会社が上がっておるとすれば、そこの従業員は幾らいるということがわかっている。二三%の事業所というのは名前がはっきりしているけれども、表には出さない。人事院ではわかっている。そうすると、わかりついでに、従業員数を調べればこれまたわかる。二三%の事業所で一体何ぼの人員がいたかということをおつかみになっている。それを私はさっき四〇%と申し上げているのですよ。ならば、二三%の事業所数をかけるというのは、筋が通らぬじゃないですかと言っておる。わかっている限りは、そこの従業員数は明確なんだ。雇用契約を結んでいるのだから、結んでおる限りは会社は上げざるを得ないのだから。そうだとすると、そこの従業員が四〇%とすれば、二三をかけるのではなくて、四〇をかけるのでなければ筋が通らぬのじゃないかと申し上げておる。たいへん大きな狂いが勧告の中に出てきますと申し上げておる。総裁、これはおわかりでしょう。そこらが私は先ほど来ひっかかると申し上げておるのです。だから、これはここでどうこうしてくれとは言わないけれども、そこまで言っておかないと、皆さんのほうが親切にやってくださらぬと思いますから、悪意ではなしに、これはこれから大蔵省皆さんに申し上げなければならぬ要素があると思うから、特にそこまで申し上げなければならぬと思っておる。だから、そこらのところまで気を使っていただきたいということを、これは要望しておきます。御検討いただきたい。人員の数がわかっていないはずがない。そこの人はめしを食うのですから、物価が高くて困るのはその人間なんだから、そっちのほうをとってくださいよ。  そこで、次に問題になりますのは調整手当と暫定手当の関係でございます。この暫定手当、調整手当の関係で、これは風のたよりに承っておるのでありますが、どうも大蔵省皆さん方は、少し人事院はということで、いつの間にか官民比較にならないところで公務員給与は上がっているのじゃないかということで、その分だけは出た集計結果から引くべきであるというようなお考えのように承っているわけです。つまり昨年の勧告で都市手当が出てまいりました。六%、三%甲地、乙地。ところがこれは国会でいろいろ論議をいたしました結果として、調整手当という形で決着がつきました。さて、そこで暫定手当というもの、〇−二級地、本俸繰り入れ、こういう問題が出てまいりました。五分の一、五分の二、五分の二という繰り入れのしかたをする。この中で官民比較とのからみ合いというものが出てくる。そこらあたりは、大蔵省皆さんはどうお考えでございましょうか。
  94. 海堀洋平

    海堀説明員 先ほど春闘の話とかいろいろ出ましたが、官民格差比較する場合に、単に人事院勧告だけが官民格差の問題でなくて、たとえば定昇が公務員が高ければ、それはある程度官民格差比較した場合に埋めているであろうということであって、官民格差から差し引くということでなくて、定昇があれば、たとえば公務員のほうが民間よりも定昇率が高ければ、官民格差比較する場合に、そのベア率というものが、定昇とベアとに分ければ、役所のほうが低くて民間のほうが高いであろう。と同様に、〇−二級地について暫定手当の一段階分を今年一月から五分の一ずつ〇−二級地につけて、それを四月に本俸繰り入れをしまして、また四月から〇−二級地について一段階分の五分の二というものをつけておるということは事実なんでございまして、これは差し引くというのじゃなくて、官民格差比較する場合に、公務員についてそういうことがとられたということが、官民格差を比べる場合に公務員があるいは定昇あるいは暫定手当を〇−二級地につけることによって上がっておるということによってある程度差が縮まっておるであろうということは、それがなかった場合に比べてそれだけの措置がとられておるのだから、官民格差は少ないであろう。それは定昇がなかった場合とあった場合では官民格差は違うであろうということと、同じ意味であろうと思います。
  95. 大出俊

    大出委員 次長、いまあなたは差し引けというのじゃないと言うのですけれども、これは調査のしかたというものはきまっておるわけですから、いまのお話をせんじ詰めますと、やはり差し引きになるのです。これは新聞記者の皆さんが言うことが妥当かどうかぼくは知らぬけれども、たとえば五分の五になるわけです。〇−二級地平均二・三%くらいになるでしょう、パーセンテージにすると、本俸に入るわけですから。そうすると、これは五分の一、五分の二、五分の二と入れれば五分の五になる。二・三が入ってしまうことになる。これは例ですが、そのうちで五分の三が官民比較に乗らないものであるとすると、それは官民比較に乗せるべきものであるということになる、あなたの言い分からすれば。それは正当に調査すれば、それだけは格差が縮まる筋合いだということになる、理屈で言えば。そうでしょう。そういう理論になるんですよ。だから、本俸に入るのが二・三%平均であるとすれば、この五分の三ということになると、それをかければ一・三八が出てきます。その分だけは格差が縮まるわけだ。そういう理屈。これを私のほうから平たく言えば、人事院があげるべき最終集計からそれだけ落としなさい、つまりそれだけ縮まっておるはずだから、そういう理屈、同じことでしょう、その意味では。だから、そこのところを大蔵省はどういうふうに——いまそういうふうに申し上げましたというのだけれども、一体どの程度どうしろというふうに言ったのか、そこまで言ってくださいよ。何か歯にきぬ着せたようじゃなくてざっくばらんに。
  96. 海堀洋平

    海堀説明員 人事院が四月一日なら四月一日の公務員給与を確実に調べられて、それが四月中に公務員について払われた、公務員のある職種のある地域のという全部調べられて、それを民間事業所、ある数を調べられたのとの比較になるわけです。したがって、いま申し上げましたような、たとえば定期昇給が去年行なわれたとか、あるいは〇−二級地について措置がとられたということは、すなわちその四月時点における公務員給与の中に入っておるから、だから去年の七・九という勧告だけでなくて、定昇とかそういう措置によって公務員給与がある程度上がっておるであろうということは、推測はつくと思います。しかし、それは推測じゃなくて、四月一日時——四月一日時点というか、四月中の公務員給与とそれから民間給与比較するわけですから、出てきたものから差し引くというものじゃない。ともかく事実として四月中の公務員給与がそれだけの措置によって上がっているであろうということを私は推測はしますが、しかし、推測で事をするのじゃなくて、人事院はちゃんと四月中の公務員給与を調べられてそれを民間比較するのですから、その点は何ら御心配になる点はなかろうかと思うのですが……。
  97. 大出俊

    大出委員 そこが問題なんですがね。海堀さん、大蔵省が実態調査をやるのじゃない。要するに予算の方向を握って見ておられるわけだ。そうすると、大蔵省の言い分からすれば、昨年の人事院勧告のときに暫定手当、調整手当の問題が出てきた。勧告の文面からいけば都市手当ですが、出てきた。このとき何がしかのやりとりがあったわけですよ。これが本俸に入っていくという予算について、私は給与局長に、もしそういうことをするのだとすれば、四級地はまだしも、下関だ何だという問題はあっても、これは田中総務長官にもからむのだけれども、そんなところが落ちたのでは大騒ぎになってしまう、出身地だから。そこまで冗談を言ったことがありますけれども、しかし、片一方底上げをするとすれば、どこか落とすつもりじゃないか、そうしなければ予算のつじつまが合わないのじゃないか。だから、三級地を落とすつもりならつもりだと言ったらどうだ、こういう質問人事院にも私はした。そんなつもりはない。ないとすれば、その予算はどこから出てくるのだ。人事院も、参考ということであっても、三百何億という予算を出している。だとすれば、この予算に含まれているのは何と何と何ですよとわかっている。では一体その分はどこに入っているのだ。入ってない。なければ落とす以外にないじゃないか。こういう理屈になるでしょう。そういう詰め方を当時私はした。そこで、だから皆さんのほうからすれば、もし入っていないのだとすれば、官民格差比較の時点と今度の比較の時点を考えてみれば、それだけはその後俸給の中に入っちゃっているわけだから、公務員のほうが高くなっているはずですよ、これだけは皆さんのほうはわかるわけですよ、実態調査してないけれども。だから、そこをお忘れじゃいけませんぞということを言う言い方でも、人事院勧告権があるのだから、大蔵省がそこで一つ言い間違えると、私ども大蔵省はけしからぬじゃないかと言わなければならぬ。だから、何か歯にきぬ着せたような言い方をあなたはされるけれども大蔵省人事院にものを言っていることをぼくは知っているわけだから、隠さぬでもいいのです。そのものの言い方が、いまおっしゃるように、公務員の本俸に入っているはずですよ、そのことをお忘れじゃいけませんぞ、それだけ官民格差は縮まっているはずですよ、こういう言い方をあなたのほうはするはずですよ。いまおっしゃった。そのとおり。われわれの側から見ると、官民格差というものが出てくると、大蔵省はこれこれ、一・三八なら一・三八、これは例だけれども縮まっているはずじゃないか、あるいは〇・七、あるいは一縮まっているじゃないか、それだけのものが縮まっているはずだ、強くはずだと言えば、格差これこれ出たものをこれこれ落とせと言うに通ずるというのです。私の言っている理屈はわかるでしょう。そこのところはあなたのほうはどこまで強くおっしゃっているのか、数字は一体どの程度に見ているのかという点をざっくばらんに聞きたい。
  98. 海堀洋平

    海堀説明員 まず初めから、だいぶいろいろなことを仰せられましたので、これは人事院がどこまで御説明になっているか、私の理解するところであるいは間違いがあれば人事院から訂正してもらいたいと思うのでございますが、去年都市手当という形で六%、三%という勧告がございました。そのときの財源計算といたしましては、いわゆる暫定手当の四級地、三級地をそのままやっても十分なだけの財源計算をして六%、三%を勧告いたしておりましたので、したがいまして、その後調整手当に変わりまして、四級地、三級地にそのまま調整手当をつけたことによって、他に不利なる影響を与えるような形にはなっていなかった。これは数字を調べていただければわかることだと思います。  それからその次は、私の理解でございますが、いわゆる〇−二級地について一月から三月まで暫定手当の一段階分を暫定手当としてつけまして、四月に本俸に繰り入れるという、それはほんとうは高さの問題として考えるのであれば、五月勧告であるならば、その七・九という高さの中に五月から実施するだけの財源を、格差である限りほんとうはそれは入れてすべき筋合いであろう。ところが、七・九という財源の中に計算されたものは、三カ月分であったのじゃなかろうかと私は理解しております。したがいまして、七・九が格差であるとするならば、その暫定手当の一段階分の五分の一というものは五月からずっとやったという計算になっておれば七・九そのままなんですが、ほんとうは一月からの財源分だけを七・九として計算されて格差に入れておりましたので、多少その結果は高くなっておるはずだ。そしてまたさらに、ことしの四月から暫定手当の一段階分の五分の二を〇−二級地につけることは、これは七・九とは関係なしに、ともかくそういう給与の措置が妥当であるとしてとられたわけでございまして、これは人事院勧告をそのまま尊重する政府立場として、そういうふうに予算を組んでおります。したがいまして、要するに引くとか差し引くとかそういう問題ではなくて、四月における公務員給与はそういうふうな人事院勧告に基づく措置がとられたところの高さにありますということは、これは何も私のほうがどうしようというのじゃなくて、公務員に払われた給与の実態ですから、そこにそういう措置による給与の高さにはなっておるであろうと私のほうは推測いたします、これだけは申し上げても事実に反するわけじゃなくて、俸給表もそういうふうに変えておるのですから、そういう措置はとられておりますということを申し上げているだけの話でございまして、そういう措置のとられた公務員給与民間給与比較になるということでございます。それは、たとえば定昇がどの程度行なわれたかということとまた同じで、定昇も理屈でなくて、現実に定昇がどういうふうに行なわれてきて、四月現在の役人の給与がどうなっているのだということと民間給与との比較になるわけで、これも幾らであった、なかったと言ってみても、現実に四月に払われている役人の給与を調べられるわけですから、いま理屈を言ってみても始まらぬので、現実に調べられた給与民間給与比較される。ただ、そういう事実がありますということだけは私たちも知っており、人事院も知っておりますということだけの話でございます。
  99. 大出俊

    大出委員 いろんなことが耳に入るものですから、大蔵省側の考え方を聞いておきませんと、勧告権というものの上に立っている人事院ですから……。それがどうも、先ほど総務長官に私が冒頭に承ろうとしたのもそこであって、給与政策というのをお持ちかというように質問したのもそこに関係があるのだけれども、私どもはやはりあくまでも人事院立場というものを尊重していきたいのです。これは風聞ですけれども、さっき私は一例をあげましたが、そういうふうなことを私の耳に入れる人もある。あるいは筋が違うと言う人もある。私のほうも、いろいろ実にこまかく計算して全部数字まで出してみた。もしそこから先一歩突っ込んで海堀さんが言うのであるならば、私のほうもこれはただごとでないから、勧告権というものを踏まえている人事院ですから、少しものを言わなければならぬと思ったわけですけれども、いまのお話によると、大蔵省側がいろいろそろばんをはじいてみた、実際に給与が上がったあとの計算をするわけですから。すると、こういうことになっているのだということは事実として申し上げておく必要があるということで人事院に言ってあるというところまでであって、あと調査され、検討され、比較されるのは人事院立場、こういうことだから、たとえば昇給の例をおとりになったけれども、事実そうだからそうだということを言う場合があるという範囲であるというふうに考えていいわけですね。もう一ぺん言ってください
  100. 海堀洋平

    海堀説明員 そのとおりでございます。要するに、四月の公務員給与というものは事実上具体的ななにとして人事院がとらえられるわけで、これはうそも隠しもないわけです。ただ、その場合に、去年七・九上げたというそのなにだけではなくて、その後いろんなごとがあることはまた事実なんで、事実予算に〇−二級地分について一段階分の五分の二を組んだことも事実なんで、それは払う必要がなければ組まないのですが、法律にちゃんとそう書いてあるからそのとおりに組んで、そのとおりに払われるであろうということを私たちは想像いたしますということだけであって、調査した結果はたぶんそう出るであろうと思います。
  101. 大出俊

    大出委員 これは大蔵省側が計算上そう思っているというわけですね。もう少しあなたのほうでああだ、こうだと言っているのだとすれば穏やかならぬことがいろいろあると思ったのですが、そうなると、これに端数が一ぱいくっついていますね。これは二・三にも端数がうんとあるのかもしれませんが、実にこまかい。〇・〇一〇四〇二五というところまで計算をしないと出てこないですね。たいへんな数字の達人でないと出てこない数字です。これは議論すればなかなかむずかしいところなんです。この教育公務員の問題なんかをとらえましても、特殊勤務手当のようなものを前の教育三法の中で考えた時代がありました。こうなると、これは官民格差にたてまえとしては入ってくる。入れるか入れないかは別として。ところが、超勤のままでやっておれば入らないですね。実際にはずいぶんばかな話ですよ。だから、これは官民格差というもの自体が、はたしていまの人事院がやっておる官民格差比較方式が正しいのか、別な方法が正しいのか、きまったものは何もない。公務員法にも給与法にも、こういうことでこういうことを比較しなさいということは何も書いてない。何と何を入れなさいということも書いてない。そうすると、特殊勤務手当に教員の超勤をしてしまうと官民格差に入る。超勤のままでは入らない。これはひとつ聞いておきたいのですが、専門家尾崎さん、そうでしょう。教育三法式に手当にしてしまったら格差に入ってくる。この問の国会でさんざんもめたじゃないですか。超勤手当を特殊な手当にしようということでしょう。それならば入ってきますね。そこらはどうなんですか、人事院方式でいうと。
  102. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 いわゆる官民格差算定する場合には、民間におきましてはいろいろな手当がございますので、官民両側における通常の、いわゆる月給といいますか、そういうものを比較するというのがたてまえでございます。しかしながらその場合には、臨時に勤務する場合の時間外、あるいは超過勤務手当、そういったものは比較の対象外ということにしておるわけでございますが、ただいま御指摘のいわゆる教員の教職特別手当の類のもの、これはいわば超勤手当にかわるものとして提起されますならば、同種のものであるということであれば官民比較の対象になることになるわけでございます。
  103. 大出俊

    大出委員 だから、私は冒頭に言ったように、いまの人事院算定方式それ自体をもう一ぺん考えてみなければならぬことがいろいろあると思うのですね。これは非常にむずかしい問題ですが……。それじゃ、もう一つ聞きますが、通勤手当はどうなんですか。
  104. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 ただいま申し上げましたように、いろいろな手当の名前がございますので、民間におきましても、通勤手当と申しましてもいろいろな種類の名前をつけている場合がございます。したがいまして、それをも一々比較するというよりは、やはり両方総括的に比較をするということでございますので、いわゆる通常の月給の中に含まれているという形で、通勤手当は当然に両方の比較対象の中に入るということでございます。
  105. 大出俊

    大出委員 そこらにも問題があるわけであります。尾崎さん、話を表へ出しましたから人事院の見解をちょっと聞いておきたいのですが、先ほどの都市手当変じて調整手当、暫定手当などというようなものですね。この扱いについて、これは非常にむずかしい、どこまであなたのほうで言うかわかりませんけれども、これらのところ、実はああいう底上げ方式をとらなければ、昨年の状態としてはとてもじゃないが幾ら議論してもきまらない性格のものであったわけですよ。これは自治省にも伺いたいのですが、鎌田さん、調整手当の問題をめぐって、自治省は大反対で大騒ぎになった。言うならば、賃金問題研究会なんというものをこしらえたのはそこらからだろうという気がする。あなた笑っているけれども、公務員部長なんですからそんなことを言ったってだめですよ。ぼくは、これはそのくらいのものだと思うのですよ。だからそれだけずいぶん政治的にお互いものを考えてきめたはずなんですね。一たんこれが問題になって、何か知らぬけれどもいまになって——ぼくらはそういうつもりでまとめたわけです。底上げ方式だからというので、制度の改正だという答弁尾崎さんしておる。それらがいまひっかかりになってきて、勧告の段階で云々だということはもってのほかのことだという気がする。だからそこのところ——いま鬼山さんと話しているからわからぬかもしれないが、尾崎さん、あなたは底上げというのは制度の改正だという答弁をされた。ぼくはそのときに心配で、あなたにその質問をしておる。制度の改正だから関係はないということをあなたは答えておる。御記憶ありますか。そこらを含めて、何か人事院のほうから言うことあったら言っておいてください——議事録を読みましょうか。
  106. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 たいへん失礼しました。  昨年の、いわゆる都市手当の勧告に対しまして、暫定手当の非支給地におきましても、いわゆる都市手当が甲地、乙地に支給されます際には、暫定手当の底上げを行ないまして、逐次、一部支給しつつ底上げしていくという方式をとったわけでございますが、これらは、そういう一つ制度をとりました関係は、結局無給地におきます職員と、それから都市におきます職員との均衡ということと、それから暫定手当の整理方式ということを考慮してそういう措置をとったわけでございますけれども、その措置は去年の七月における官民格差七・九%と直接関係はございませんので、そういう意味合いにおきまして、七・九%を埋めるという関係と直接関係はないという意味合いにおきまして制度の改正ということを申し上げたわけでございます。したがいまして、それは一月から実施をするということでいたしたわけでございまして、その一月に実施しました結果、あるいは四月にさらに一部改正しました結果が、官民比較の場合の官のほうの給与の基礎になるということは当然だと思っております。
  107. 大出俊

    大出委員 あなたの答弁でいきますと、これはあまり掘り下げてもしようがないという気がここまで持ち出してみてするのです。あなたのほうは、現在の暫定手当から都市手当に移行いたします部分につきましては、積み上げ分だけは、いわゆる官民格差の中といたしまして、財源からさいてその内ワクということになるわけでございますけれども、暫定手当を無給地に逐次支給をいたしてまいりまして、底上げをしていくという方法といたしましては、これはいわゆる制度の合理化という関係に格なりますので、格差とは直接関係がないということでございます。これは尾崎さんの答弁です。私、心配だから質問しておるのですけれども、これで了解したのです。ですからこれが動くとなりますと、私も黙っておるわけにいかない。ですからこの次に勧告前にもう一ぺん、私どもけさ理事会で質問の機会はつくってあります。  そこで、これが人事院勧告権という上に立って、総合予算主義のたてまえから大蔵省側からいろいろなことが積み重なって人事院の側に入ってくるということになってくると、これはゆゆしき問題だというふうに思っておりましたから、耳に入りましたものを一つだけ取り上げまして御質問してみたのですが、大蔵省がはじいておる立場でこうなっておるはずですという立場、これは数字を扱っておるのだからどうということはない。だからそこらのところを一つ関係があるので持ち出した。だから、この答弁をこのとおり受け取っておいていいならそれでいいのですが、よろしゅうございますね。
  108. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 そのとおりでございまして、去年の格差の七・九%を埋めるにあたりましては、埋め方が一つございます。それとは別の問題であるということを申し上げたわけであります。
  109. 大出俊

    大出委員 それではこの点はこの辺にいたします。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと関連してお伺いしたい。この関連を終わると、私、人道的な問題で出かけさせていただく関係があるので、簡単に、大出さんのいままで質問された中に関連する問題だけで質問を終わりますが、さっき、大出議員の質問の中で関連する問題が一つ出ておる。  昭和四十二年度の予算案の中に給与改善のための予備費というものが計上されてある。それは、千二百億の予備費の中でどれだけかはつまびらかになり得ないと思いますが、昭和四十二年の給与ベースアップの七・九%を基準にし、八月実施というおおよそのめどをつけた予備費計上をされておるのかどうか。大蔵省主計局でけっこうです。
  111. 海堀洋平

    海堀説明員 四十二年度の予算を編成するにあたりましては、御存じのようにそのときの経済見通し、経済運営基本的な態度というものから、一応財政運営基本予算編成方針というものがきまりまして編成いたしたわけであります。そのときには、今後の経済見通し、財政運営基本的な態度から見て総合予算主義をとらざるを得ないということで、その場合に公務員給与だけではなくて、すべての施策について経済運営財政運営基本的な姿勢から編成されたわけでございます。したがいまして、公共事業のごときは経済に対する刺激というふうなことから非常に低目に編成をし、また公債発行も少なくとも前年度に比べては相当な減額をとってまいりました。  公務員給与につきましてどういうところをめどにしたのかということでございますが、これは人事院制度というものがある限りにおきまして、やはりあくまで人事院勧告を待って公務員給与を処理していくという基本的な姿勢は変わらないわけでございますが、財政運営の全体の立場から見まして、予備費災害その他公務員給与を含めまして千二百億円程度を計上することが最も妥当であるという判断で千二百億円というものをきめたわけでございます。もちろん、その場合に総合予算主義をとりますので、従来社会保障関係で多少その経費の計上のしかたをしぶく大蔵省的に押えまして、相当な精算不足が出ているというふうなのがいままでの例でございましたが、ことしは補正なしということを前提といたしまして、そういった義務的な経費は十分に実情に即して計上いたしております。したがいまして、千二百億円のうちで公務員給与についてはどの程度をめどにしたかということは、一応内部的にはいろいろ議論はありましたが、最終的には公務員給与その他災害等を含めて予備費を千二百億円計上したということが政府の姿勢でございます。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、いまさっきからの議論を承っておると、四月から実施する場合もあり得るということも考えられるのだ。そうしますと、人事院総裁に対しても注文があるのですが、政府実施期を早めさせるためには、四月実施という勧告をされると、どうしてもこれは一カ月は簡単に上がる。これははっきりしておる。あなたがそのかぎを握っておる。私は四月実施をしてもらいたい。そこで、そうすればいまの政府の八月より一月上がる。また、八月を七月にするつもりがあれば、もう一月上がって六月になる。幾らでも繰り上げが可能になるという、総裁、あなたはいま、なかなか実力をお持ちになるのでございますから、四月実施ということでこれをやられることで、これはもう一月上がりますよ。間違いなく上がる。これはもう常識で答えが出るわけです。だから、私がいまお伺いしていることは、千二百億円の予備費の中に災害あるいは米の問題がある、それから公務員給与があるという場合に、一つ問題は、四月実施勧告され、少なくとも七月、六月にかりに政府実施し、そして予測するところのベースアップ率は八%をこえるであろうことは、もう常識になっておる。そうすると、七・九%の割合で八月実施でこの予備費を計上された、約五百億という公務員給与改善費を考えておられたとするならば、相当大幅の増額をやらざるを得ぬ場合には補正予算を組むのかどうか、田中大臣から御答弁をお願いいたします。
  113. 田中龍夫

    田中国務大臣 仮定に基づきましていまお答えをいたすわけにはまいりませんが、いまの段階におきましては、それほど大災害もないことを最も望んでおるわけでありまして、さように考えますれば、総合予算主義政府方針に沿うて処理をいたしたいものである、かように考えております。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 これは補正予算は組まなくて総合予算で片づける、こういうことでございますか、その方針は依然として変わらないという……。大蔵省もそれでよろしゅうございますか。これははっきりしておきたいと思います。
  115. 海堀洋平

    海堀説明員 四十三年度の政府の経済運営財政運営基本的な態度、それから現在の内外の経済諸情勢等から見て、総合予算主義原則はあくまで堅持するという方針でございます。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 私これで質問を終わりますが、人事院総裁、重ねて勧告実施期の四月を勧告案に盛られることを私からも要望しておきますと同時に、ひとつこれについて、勧告案の中にあなたに一言御注文があるわけです。これで、関連ですから質問を終わるのですが、その御要望というのは、いまお隣の局長がお出しになっているその紙に書いてある。先般文教委員会で、教育公務員特例法の中に教員の特別手当制度を創設する、超過勤務を事実上やめて、やるという案が出た。ところが私は、公務員給与、少なくとも一般職の公務員給与を他省にかってに提案させるというのは筋違いだ、それを私はこの間も申し上げ、かつて大学総長の任免特別措置の認証官法のときも、文部省からこういう法案を出させるような愚かなことを、一般職の公務員を担当する人事院が大目に見るべきではない、人事院人事院の権威で、文部省側からかってな法案を出させぬように、一般職の親方のあなたがしっかりせよということを申し上げて、この間も文教委員会であなたに、あなたの御所管の大事な公務員基本的な給与の性格について、譲歩され過ぎて、文部省からかってにこういう法案を出させるということは、あなたとしては文部省に最敬礼をした残念なことだ、あなたは人事院の権威において、一般職の公務員の任免、それから給与基本線はおれのところでやるのだというはっきりした態度をお持ち願いたいと申し上げたら、最敬礼ということばははなはだお気に召されなかったと、私関知する数々の事例をいま知っているわけですね。しかしこの問題はすでに流れた。文部省はついに衆寡敵せず、流れた、敗北したのです。いまや基本線に立ち返るべきときがきたわけです。教職員の給与というものは、一般公務員の行政職(一)に比べても、その昇給の間差、それから三等級に分かれている等級制からくるところの昇格における大きな不利、校長、教頭にならざる一般教職員の不利、こういうようなところを考えて、専門的性格を持つ教職に対しては何らかの形の、そういう特別の専門的知識を持ち技術を必要とする職員に対する特別の給与の増額措置を考慮した何らかの措置をはっきり勧告案に盛るよう人事院でお考えになっておられるかどうか。つまり、この間の文部省の法案は流れた。流れたのをもう一ぺん盛り返すような愚かなことをさせないで、幸い流産したこの機会に、本物の、本家本元の人事院が、国家行政組織法のワク外にあって、政府機関ではあるが独立機関としての権能を持つあなたのところで、すっきりしたものをお出しになれば、文部省は再び蠢動をやりません。まだ間に合いますから、それについて御所見を承りたい。
  117. 佐藤達夫

    佐藤説明員 たいへん心強い御激励、御説明をいただいたわけですが、先ほど例にあげました大学総長の件は、いまおっしゃるとおりの趣旨で、うまく私は人事院勧告の中で処置したいものと考えております。ただ、この教員関係の、ことにこの間問題になりましたような方々は、この間も触れましたように、ほとんど全部が地方公務員の方ばかり、国立学校の付属の先生といったら全く一握りの人々だという実態もありますし、かたがたやむを得ないことという立場をとったのでありますけれども、御承知のように問題はわがほうの昭和三十九年の勧告の際の報告書で指摘していることでございます。超過勤務を正規に命じた以上は当然超過勤務手当を支払うべきである。なお一方、教員の勤務の特殊性に基づいて基本的に問題を検討し掘り下げていく必要があるであろうということを御承知のとおり述べたわけであります。その意味で、われわれとしては重大な関心を持っております。したがって、今度の勧告にどうこうということは、これはお引き受けできません。できませんけれども、問題は問題として重視しつつ今後に臨んでまいりたいという決意でおります。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 いまの御答弁の中で、大学の総長の問題については、私があの法案が出たときにあなたに警告して、文部省からこういうかってな法案を出させぬように人事院が本質に立ち返ってやれと激励申し上げて、私の激励したとおりに結果はなったわけです。あなたはあのとき会心の笑みをたたえられたと思う。私も会心の笑みをたたえた。このたびもまた会心の笑みがたたえられる段階にきましたよ。文部省の横暴を粉砕して本質に返ってこのような一般職の給与法で法律を提案するたてまえに——一握りといえども、これは基本はそこにある。本家はこっちなんですよ。一握りのほうが本家なんだ。本家を忘れて本末転倒の措置が政界にしばしば展開される。これを本質に立ち返らすのには、人事院総裁の賢明な御措置によってこれが実現できる。そして田中長官も、そういう場合に法案が出たら、これはあなたの御所管になる。文部大臣の所管ではなくなる。給与担当国務大臣として、人事局長を従えて堂々とこの問題がこの委員会で討議されるのだから。それを期待されるかどうかを田中大臣から御答弁願います。
  119. 田中龍夫

    田中国務大臣 まことにお話しの点につきましては十分に人事院とも談合いたしまして、その際には善処いたしたいと存じます。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 まことにというのは何やらわからぬが、関連質問ですからこれでおきます。
  121. 大出俊

    大出委員 あと急いで質問いたしますが、鈴切さんの質問もございますので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。  いま話が出ましたから大蔵省に続いて三つ四つ質問しておきますが、災害予算というのと公務員給与は確かに千二百億予備費に入っております。その他が昨年は百三億ばかりございましたが、入っておるはずでありますが、食管の米のほうは入ってない。これは明確にそういう確認を私はとっておりますけれども、いま受田さんから入っているという質問が出ましたが、入っておりませんね。間違いないですね。
  122. 海堀洋平

    海堀説明員 予算編成方針を読みますと「食糧管理特別会計繰入れについては、年度途中における米価改定等、事情の変化があっても、これにより補正財源を必要としない方式を確立する。」ということで、編成方針上追加財源を必要としない方式によって解決をするということになっております。
  123. 大出俊

    大出委員 だから米価のほうはあらかじめ予見ができるわけです。これまたけしからぬのだけれども、ここで生産者米価を上げただけ消費者米価を上げるというのだからまことにけしからぬが、予備費の段階には入ってないと確認していいわけですね。  ところで、さらに念を押しておきますが、災害関係予算、先ほど総務長官、あなたわかったようなわからぬようなことをおっしゃるのだけれども、これは例年例があるんですよ。申し上げておきますが、昭和四十年が災害関係予算は決算で見て五百五十億円です。それから四十一年が四百七十四億円、四十二年が五百七十億円、災害予算というのはこういう使い方をしてきているわけですよ。そうしますと、大体五百七十億円がここのところ数年では一番多い。これは限度があるのです。あと起こらないようにということをあなた言っておられましたが、だから大体例年の五百億前後のワクの中におさまりそうだということになる。そうすると米は入ってないわけですよ。その他というのが百三億、昨年の例では、組みかえたあと百三億になっている。そうすると残りは公務員給与に回ってきていい勘定ですね。これは次長笑っておるけれども、ないとは言わせないという——ただしかし、これは皆さん算定は八月実施というものの考え方、ここに問題がある。昨年の実施には、不用額、節約財源等々を見込んでおりますね。そこで大蔵委員会での大蔵省相沢さんの答弁と、私の質問に答えた大蔵省給与課長津吉さんの答弁が四億ばかり違うのであります。小さい数じゃないのです。議事録は両方とも違うのですから、海堀さん、ここではっきり一つにしておきたいのですが、昨年の七・九%で最終的に一体幾ら補正で組んだのか明らかにしていただきたい。参考までに申し上げておきますと、津吉さんのほうは五百四十七億九千万、それ以下の端数がありますが、それは切る。これが給与課長の言い分です。ところが相沢さんの大蔵委員会における答弁からいきますと五百四十四億円、こう言っているわけですね。たいへん違いがありますので、ひとつそこのところを……。
  124. 海堀洋平

    海堀説明員 いまの先生のなにの前からちょっと御答弁申し上げておきたいのでございますが、まず災害関係におきまして、ことしの予算総合予算主義をとっておりますので、補正並びに予備費を合わした額で災害の所要額を見なければいけないと思います。  それで各財政年度につき申し上げますと、三十八年度が五百十五億円、三十九年度が四百六十五億、四十年度が、先生の数字はちょっと間違いがございまして五百十五億円でございます。それから四十一年度が四百七十四億円、これは合っていたと思います。それから四十二年度が五百七十億円、これは先生の仰せられたとおりでございます。それから先生はその他として去年百三億円と申されましたが、これは予備費だけでございます。補正要因は全部予備費で処理しなければいけませんので、そういう意味で、その他の数字は去年は二百七十四億円でございます。予備費で百三億円、補正で百七十一億円組んでおりまして、二百七十四億円でございます。したがいまして去年を例にとりますと、災害で五百七十億、その他で二百七十四億円要したという事実、これは事実として存在いたします。ただ各年をとりますとそれぞれ多少の違いがございます。災害関係は大体先生のお見通しのとおり五百億円前後のところというのがまあまあのところじゃなかろうか。その他の数字は非常に出入りがございますが、まず二百億から三百億の間という見当ではなかろうかという感じでございます。これも各年非常なフレがございますので、年度の経過を見ないとちょっと何とも申し上げかねるということでございます。  それから去年の補正でございますが、所要額が五百四十八億円で、不用額といいますか、給与のほうで出しました額が三十億円で、補正計上額は五百十八億円でございます。これが一般会計が負担した給与改善所要額計上額でございます。
  125. 大出俊

    大出委員 おたくの相沢さんという方はいま何をやっておられますか。
  126. 海堀洋平

    海堀説明員 いま給与の担当ではございませんが、やはり主計局の次長でございます。
  127. 大出俊

    大出委員 これは話しておいてください。そう間違って答えられては困る。私がいま申し上げた数字は、相沢さんの答弁数字を申し上げたのです。三月二十二日の衆議院の大蔵委員会質問が出ておりますが、本年度だけ災害があったわけではないじゃないかということで、歴年どうなっているかひとつあげてくれ、こういう質問に対しまして、相沢政府委員答弁は、「四十二年度の予備費は七百億円でございましたが、補正で百七十億円減らしまして、五百三十億円というふうになっております。五百三十億円のおもな使途は、災害対策で四百二十三億円、その他で百三億円」——つまり予備費の使い方の百三億円ですね。この数字を私はあげたわけです。それからそのあとで「過去三年について申し上げますと、」——これは災害です。「四十年度が五百五十億円、四十一年度が四百七十四億円、四十二年度が五百七十億円」こうなっておりますから、先ほどそのとおり申し上げたわけであります。いまここで質問いたしましたように、ちょいちょい政府委員の方によって違うのですが、人間だからしようがないというものの、議事録に残りますので、気をつけておいてください。  いまのは間違いないですな、海堀さんのほうは。同じ主計局次長ですから、次長同士で違ったことを言われては困る。
  128. 海堀洋平

    海堀説明員 引き写しの資料でございますので、まず間違いないと思います。先ほど私申し上げました災害数字は、予備費で処理したものと補正で処理したものとの合計の数字でございます。もう一度申し上げておきますと、三十八年が五百十五億円、三十九年が四百六十五億円、四十年が五百十五億円、四十一年が四百七十四億円、四十二年が五百七十億円という数字でございます。  それから、先ほど去年の予備費五百三十億円のうちでその他に使われたのが百三億円というのは正しい数字でございます。ただし、ことしは総合予算主義をとっておりますので、補正によりまして百七十一億円追加されておりますので、これを加えまして、その他の追加財政需要として支出されたものは二百七十四億円となっております。
  129. 大出俊

    大出委員 じゃ、両次長のうちで給与担当海堀次長のおっしゃることが正しいということにいたします。  そこで、そうなりますと、節約財源が不用額含めて昨年はおおむね三十億、一般会計のほうから持ってきたということですか。
  130. 海堀洋平

    海堀説明員 三十億というのは給与の中で、要するに人事院勧告がなくて推移した場合に、一般会計の給与関係費で三十億円が余るであろうというものを、人事院勧告による給与改定に充てた額が三十億円ということでございます。それ以外に、補正を組むにつきましてはほかの追加財政需要もいろいろございましたので、官庁経費の節約を行なっております。それ以外に既定経費の節減といたしまして、補正の際に二百九十二億円の節減を行なっております。これは節約が百二十億円、不用が百七十二億円という金を、初めて予定された使途から追加財政需要のほうに振りかえて補正いたしております。
  131. 大出俊

    大出委員 ここで総務長官に申し上げておきますが、先ほど私は持って回った言い方で長時間かけましたが、八%をこえる勧告ということが新聞に取り上げられております。非常識のものではない、こういうことに落ちついたわけでありますが、そうなりますと、この予備費というのは、これまた衆議院の大蔵委員会の質疑の中では、大体五百億円ということになるとこれは何%になるかという質問が出ておるわけですね。これは目の子でございますが、相沢さんの答弁では、五百億円という金だと八月実施で七・八%になる、こういうことなんですね。だから、かつて新聞でいろいろ取り上げられたように、千二百億の中で五百億しか給与財源として予定してないとすれば、これは足らないのです。これはまん中にかきねをつくってないということを海堀さんおっしゃるわけだから、この千二百億という中には、災害があって給与があってその他がある。そこにかきねはないというのだから、かきねがないということになるとすれば、まだあるということになるのだけれども、当初総合予算主義をとったときに予備費千二百億とした、昨年の五百億に七百億を足したときのいきさつから見て、この見方は正しいということになる。そうなると、これは実際に足らぬことになって、受田さんの言うように大幅に補正しなければならぬじゃないかという意見も出てくる。あなたは先ほどまことにあいまいもことした答弁をなさいましたが、先ほど来、これは八%以下になることはないのだから、そうするともう目の子勘定ではない。五百億では七・八しかない。足らないとすれば、これは皆さんのほうで最善努力をして、人事院勧告完全実施に向かって、何とか補正なりあるいは節約なり、努力をするということしかないと思いますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  132. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、再三申し上げておりますように、人事院勧告をあくまでも尊重するたてまえで進んでまいりました。こいねがわくば、災害がないことを期待いたします。
  133. 大出俊

    大出委員 他力本願、神頼みになってきましたが、神に祈って災害がないように、そうすれば予備費が余るからということになりそうであります。とにかく、それでも足らなければ何とかしなければならぬというお考えのあらわれだろうと私は思うのです。  そこで、昨年は塚原総務長官でございまして、田中総務長官になりましてから給与をお手がけになるのは初めてでございますから、六人委員会のその意味の御経験がない。歴代の総務長官というものは給与担当の国務大臣でございますから、そうなると、おなくなりになりまして森さんの場合でもそうでありましたが、六人委員会の中で最後まで完全実施を主張されておられたわけであります。昨年の塚原さんのときには一カ月前進したという努力の結果が残っておりますから、そういう意味でいまの御発言はひとつお忘れなく。これからいよいよ本番でございますから、給与担当大臣田中さんも一、ひとつそういうことで、できるだけ公務員共闘の諸君だとか公務員各種団体の皆さんにも会っていただきたいし ひとつできるだけ人事院勧告を尊重して、いま何とか完全実施の方向に努力するとおっしゃるその誠意のほどを御披瀝いただきたいし、御努力もいただきたい、そしていろいろなトラブルは避けて、ものごとをまとめていきたい、こう思いますので、重ねてひとつそこのところの御決意を伺っておきたい。
  134. 田中龍夫

    田中国務大臣 内閣委員会はもちろん、皆さま方各党の御協力もひとえにお願いいたします。
  135. 大出俊

    大出委員 ともかく努力をする、こういうことですか。  それでは、次に問題点をあげて承りたいと思います。  人事院総裁に、大蔵省予算で通勤費のところでもう一つだけ質問がございますので、もうちょっといていただきたいのですが、ことしのつまり調査諸票、まだわずか時間がかかると思うのでありますが、これは大体いつごろまでに決着がつきそうでございますか。
  136. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 現在調査の結果を集計中でございますが、おおむね例年どおりの進捗状況でございますので、月末にはいろいろ諸資料が出てくるのではないかというように考えております。
  137. 大出俊

    大出委員 そうすると、勧告の時期的な判断でございますが、いつごろになりそうでございますか。
  138. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いま局長の申しましたように、大体手順の運び方は例年どおりに運んでおりますので、勧告の時期も大体例年どおり八月の半ばごろになるのじゃないかという気持ちでおります。
  139. 大出俊

    大出委員 昨年はこの委員会総裁からおもな特徴ということで御説明をいただきましたが、本年のおもな特徴という点で一つ一つ承りたいのであります。  昨年は各階層についておおむね同率の引き上げという表現をお使いになっているわけでありますが、昨年のこの引き上げ率、各等級別にながめてみますと、いわば上厚下薄の感じが強いと私どもは当時指摘をいたしました。ところで本年は、先ほどおことばにありましたように、大企業あたりが昨年はあまり新規採用をやっておりません。本年はだいぶふえております。だから中小企業等の例から見て、その初任給が上がってきておる。極端な上がり方をしておるところもあります。そういうふうな点から見ると、当然こういう下のほうが上がってきていい筋合いだというふうに考えられる。言いかえれば、ことばはいいか悪いか別ですが、下厚上薄になる筋合いだろうと思うわけでありますが、そこらはどうお考えでありますか。
  140. 佐藤達夫

    佐藤説明員 去年の御説明は勧告あとに申し上げた御説明でございまして、勧告の前にそこまで立ち入った御説明をしたはずもございませんし、できるはずもないわけであります。したがって、いまの段階で去年のような答えを要求されるのはこれはまたちょっと無理であるということを前置きさせていただきますが、先ほどちょっと新聞関係で触れましたように、初任給の関係は、これは常識的に見て民間の上がりというものはそれこそ顕著なものが見られる。おそらく民間調査の票を——開票といっておりますが、票をあけてみてもその傾向は出るであろうということは、これは常識的に推測できる。いわんや、片や公務員試験の応募者というのは年々減りつつある、これはこのままにしておけないということをにらみ合わせて考えますと、初任給の問題は一つのポイントであるという気持ちがいたします。
  141. 大出俊

    大出委員 大体そういう傾向にあるということをお認めのようででありますから……。  ところで昨年は一番目立ったのは何かというと、お医者さんである。四十一年が四〇%程度の格差であり、四十二年、去年は五〇数%の格差になっている。ことしは、新聞の伝えるところによりますと、研究職というものを非常に格差の面でウエートを高くお取り上げになっておられる。この中にはお医者さんもあるいは学校の先生も入るのかもしれませんが、したがってそこらのところを本年は一体、いままでの感じ方として、こまかいところはもちろん要りません。要りませんが、傾向として一体研究職、教育職、あるいは看護婦さん、お医者さん、こういうところをどういうふうにごらんになっておられるかという点を、差しつかえない範囲でひとつお答えいただきたい。
  142. 佐藤達夫

    佐藤説明員 研究職やいまおあげになりましたような職種について非常に顕著な要望が集中して出ておるということは、事実であります。私どもとして別に、それじゃこうしようというところまで態度はきめておりません。ただお医者さんは、いま数字をおあげになりましたように、率直にいってこれはまだ相当借りが残っているという感じがしてならないのであります。このまま、かりにことしの格差がどう出ますかこれはわかりませんけれども、とにかく去年の実態から見て相当借りが残っているという気持ちを持っておりますので、これを、非常に苦しい算段にはなると思いますけれども、その辺のところを何とかという気持ちを持っていることは、これは事実であります。
  143. 大出俊

    大出委員 昨年は指定職を非常に大きく見ておられたのです、指定職の甲、乙というところを。言うならば各省の次官であるとか局長さん、これは一級の局長さんもおられるでしょうけれども、指定職の乙あたりのところを……。  私はここで、ひとつ専門の皆さんに承っておきたいのですが、たとえばアメリカなんかの例、外国の例でいきまして、一般的にいって課長さんと一般の職員の皆さんというふうな俸給表の面での差ですね。これは私はもっと詰まっていいのじゃないかという気がするのでありますが、人事院皆さん一般的にながめて、どういうふうにお感じになりますか。   〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 給与におけるいわゆる上下配分傾向でございますけれども、やはり大きな傾向といたしましては非常に縮まってきておるということは否定できないと思います。たとえば昔の十五級の俸給表の当時は約十倍でございましたのが、現在六倍くらいに小さくなってきておるということであります。この傾向がさらにどういう方向に動くかという関係につきましては、やはり民間の状況を十分に注視していくということにならざるを得ないわけでございますけれども、たとえばアメリカなんかの、やはり同じような行政職俸給表がございますけれども、こういう関係を見ますると、日本の現在よりはやや縮まっておるという感じがございます。これは結局初任給が上がるということによって縮まっていく、そういう大きな傾向と見合って考えるべきような感じがいたします。今回の関係も結局民間におけるそういう配分傾向というものを十分とらえまして措置したいというふうに考えておる次第でございます。
  145. 大出俊

    大出委員 これは先ほど総裁が、初任給の上がってきた傾向を私申し上げましたところが、どうも結果が出ないからはっきり言えぬ、こうおっしゃったものですから、いまの点を差しはさんで質問したのですけれども、私もそういう趨勢に間違いないと思っておりますし、初任給がどんどん上がらざるを得ない、国際的に見てもそういう趨勢でありますから、その辺はひとつ十分御注意をいただいて御勘案願いたいと思います。  それから、初任給との関係一般の事務あるいは技術系の職員の初任給、これは昨年は高卒で千百円、大学卒で千八百円、こういう形になっておったわけであります。あとお医者さん、大学の助手、刑務官というふうなものの職種の方、ここらあたりもそういう意味でことしはぜひひとつお考えをいただきたい、こう思うわけであります。  それからあと諸手当でありますけれども、昨年は特別給との関係でこれを勤務手当〇・一の増額に回す、こういうことでございましたが、ここらあたりの傾向は何かお感じになりませんか。
  146. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その辺のことになりますと全然見当はつきません。
  147. 大出俊

    大出委員 少し見当をつけていただかなければいかぬですよ。どうも何にも勧告前に言わなかったときには出てこないということが通常でありまして、昨年の〇・一というものも一昨年はついていない、昨年は据え置きましたのでという断わり書きをつけて昨年は〇・一、これは政治的配慮でそういう断わり書きをつけたのだと思いますけれども、だからいまそういうことはふたをあけてみなければ全然わからぬ、こういうふうに総裁言われると、これは据え置きだな、こう私は受け取るわけでありまして……。
  148. 佐藤達夫

    佐藤説明員 困りましたね……。
  149. 大出俊

    大出委員 困ると言ったって、それは気をつけて言ってください。それこそことしは一時金だってみんな上がってきておるのですから、去年〇・一上げたのだからことしは据え置かないと大向こうはうるさいだろうということで考えられたのでは迷惑ですから。したがって、私は何かお感じになりませんかと聞いたら、何にも感じませんと言われる。感じないと何もないということになる。そういうことではこれは困るので、これはとくと御勘案をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  150. 佐藤達夫

    佐藤説明員 調査の結果を見ましてとくと勘案いたします。
  151. 大出俊

    大出委員 どうもいまからたよりないことを言われると——一般的な民間の一時金傾向なんかも全部上がっておりますから、これはおそらく民間事業所調査をやらなくても、民間のことしの夏期一時金等々をながめていただけばおわかりいただけると思うのですが、みんなほとんど上がっております。そこらのところをひとつ十分御配慮願いたいと思います。  それからお医者さんの、辺地に行かれるような場合になかなか行き手がないというふうな問題が実際にはございます。これは初任給調整手当なんというものが昨年は出てきておりますが、ここらの動きは特に変動をお感じになりませんか。
  152. 佐藤達夫

    佐藤説明員 去年地域別に逆の格差と申しますか、辺地ほど高い初任給調整手当をつくりまして、内心いささか得意だったわけであります。まだどうも初め期待したほどそれが徹底しているかどうかというので、一まつの疑問を持つわけで、これをもう少し徹底的に普及さしていったらどうかということと、さっきのお話にもつながりますけれども、場合によってはその辺ももう一ぺん考えなければならぬのじゃないかという一種の宿題的な気持ちも持って臨んでおるわけであります。
  153. 大出俊

    大出委員 私は特に一万円、七千五百円というランクをつくったというのは、前は五千円ですが、こういう手直しをことしもするというのは、他への影響もないわけじゃないんで——実際にこういう非常に苦しい、たとえば無医村に行けといったって、医者が行かないというようなことですから、そういうことでお考えになったのだとすれば、やはりその結果あたりは次の勧告時期に、それは結果的にこうなったくらいのことは出していただかぬと、何か割り切れぬものが残る。まだそういう感があるような気がするという点なども同じことが言えるのでありますけれども、そういう少しきめのこまかいところをやはりこのたび御配慮をいただけないかという気持ちでいま取り上げたわけであります。  宿日直手当については一体その後どうお考えになっておりますか。
  154. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のように去年そこを改めたわけでございますが、ことしは調査はいたしておりません。
  155. 大出俊

    大出委員 去年は私もだいぶこれは強調したのですが、夜間の通信業務等に従事する人等の優遇措置等も出てまいりましたが、これは追っかけてまたやれというわけにはまいりませんけれども、こういうところに手をつけられてきめこまかくやらなければいけないと思います。たとえば薫蒸手当というようなものも規則で出しておりますが、農林省関係の穀物なんかを消毒するのですけれども、ああいうところなんかも改正はいたしましたが、実際の現場に行ってみてもなおずいぶん不合理なんですね、わずかばかり直してみても。だからそういうところは、わずか色をつけたからいいわでなくて、勧告等の時期にできれば抜本的に調査をするものはする、そういうふうに私はすべきであろうというふうに考えるわけです。これはこまかくなりますから、その辺にしておきたいと思うのでありますけれども、そういう点まで実は人事院のほうでお考えを願えないかという気がするわけであります。  大体こまかいことを申し上げると以上のようなことになりますが、さてそこで通勤手当と住宅手当なんです。通勤手当のほうからひとつ承りたいのですが、ことしはどういうふうにするか。これはやはり民間を調べてみてということにはなりますけれども、しかし実際に住宅の状況等からながめてみて、距離的にはだんだん遠くなる一般傾向が見えます。それからもう一つ、これは値上げなどという問題ともからみますけれども、しかもこれは官民比較の中に入ってまいります。そういうこと等を考えると、これは片っ方のほうに影響が出てくることになる。したがって、そう簡単な問題じゃないと思うのでありますが、この点は一体どういうふうにことしは考えられますか。
  156. 佐藤達夫

    佐藤説明員 通勤手当はことしは調査をいたしました。したがって、その結果待ちの態勢でおりますけれども、いまお話に出ましたように、国鉄の定期あたりも相当大幅に上がっております。まあ、ただでは済まされないのじゃないかという気持ちを持っております。
  157. 大出俊

    大出委員 そこで大蔵省皆さんに承りたいのですが、課税云々の問題ですがいまどういうふうになっておりますか。海堀さんに聞くのは無理かもしれぬが……。
  158. 海堀洋平

    海堀説明員 実は私は通勤手当についての課税がどうなっているかはいまここで承知いたしませんので、いずれ主税局の担当者から御返事させるように連絡申し上げます。
  159. 大出俊

    大出委員 人事院皆さんのほうがそこら御心配になっておられないはずはないと思うでありますが、皆さんおられるところで、また大蔵省いいかげんなものですから——いいかげんというのは言い過ぎかもしれませんが、だいぶこれはいままでやり合いましてね。御相談をいただき、国税庁の長官などまでお集めになって相談をされて実施するというようなことをおっしゃったあとで取り消してくれと言ったり、いろいろありまして、しかも法律に入れないでやっておられた。それはだめだと言ったら、法律には入れようということで、あとになって法律を直されたりいろいろなことがありましたが、ここらあたり人事院の側ではどうお考えになりますか。どこまで非課税にするかという問題。
  160. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その点に関しては私ども立場はきわめてはっきりしておるわけでありまして、課税はもう絶対ごめんこうむりたいという気持ちを、これまた給与についての課税などももちろんまけていただけないかという気持ちを強く持っております。そういう立場でございます。
  161. 大出俊

    大出委員 念のために承りますが、いま通勤手当は半額まで非課税でしょうか、幾ら幾らと、こうなっておりますか。
  162. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 税のほうの正確なことばを承知しませんのでございますけれども、通勤手当につきましては公務員の最高支給限度額でございまする二千四百円までは課税されないというふうに考えております。
  163. 大出俊

    大出委員 これは前、大蔵省皆さんと私論議をいたしましたが、極端なことを言い始めまして、たとえば新幹線もできたから熱海あたりから東京へ通勤するなんという人、これを、どこまでこれに一体実費支給する形で手当と見るかとか、あるいは飛行機でだって通えるのだから九州の板付空港から東京に通う人だって、重役なんかにはいるんじゃないかという話も出ておりましたが、私どもはそういう極端なことを言っておるのではなくて、私がおるのは横浜ですが、神奈川県ですけれども、どんどん東京近郊の方々は向こうに入っていってしまう。安いところを求めようとすれば土地は先にいかざるを得ないわけでありますから、長距離通勤者が非常にふえてきておるわけですね。そうせざるを得ないですね。たとえば、どこどこへ就職を頼むという人が最近は二時間以内ならばとか、一時間半以内ならばとかいう人がどんどんふえてきておる。そうなると、このあたりで人事院の側でもそこらをよほど考えて手当てをしていただかぬと公務員にとっては非常につらいことになると思うのでありますが、これは住宅手当とからみますけれども、住宅手当のほうはどうなっておるかということといま申し上げました長距離通勤者がどんどんふえる傾向に対してはっきりさした増額の勧告を出すべきではないか、こう思うのであります。
  164. 佐藤達夫

    佐藤説明員 現在手当の二本柱を立ててやっておるわけですけれども、そのたてまえも実は民間におけるあり方を、二つのコンビの形で組み合わしてやっておるわけであります。今度、先ほど申しましたようにまた調査結果が出てまいりますから、それを勘案しつつ勧告の内容をきめていかなければならないと思っております。ここで新しく飛躍的な考え方は今日この場で持っておるわけでもございませんし、まだ考え方としては固まっておらない。これは当然のことでお察しできることだと思います。  住宅手当のほうは毎年しつこく調べてきておりますけれども、伸びというものがそうたいして顕著な伸びを示しておらないということで、なかなかそういう動きもなさそうでございますけれども、ことしも、先ほどちょっと触れたと思いますが、地域給に関係のある諸手当という面からこれは従来と同じようなやはり住宅手当についての調査をやっております。これはやはり調査の結果を見てからということになるわけでございます。
  165. 大出俊

    大出委員 どうですか、大蔵省の側で人事院のほうが思い切って前に出てひとつ通勤費相当分についての勧告をした場合に全額非課税という方針はどうしてもおとりにならぬとすればその理由は一体どこにありますか。
  166. 海堀洋平

    海堀説明員 現在の詳細は承知しておりませんが、人事院勧告に基づき公務員に支給している通勤手当の最高限度額一カ月当たり二千四百円までは非課税になっているようでございます。これが変わりましたらどうなるのだという御質問につきましては、私、実は税金のことは全く存じません。担当のほうに連絡いたして先生に御返事させるようにいたします。
  167. 大出俊

    大出委員 所得税法の改正をして一項を入れまして、それに基づいていま政令できめることになっておるわけです。本来ならば人事院勧告したら政令できめてくれればいいわけですけれども、いままでの例でいきますとなかなかそうはいかないのです。つまり実施時期がおくれるせいもありますけれども、税金というのは公平という原則なんですから取ってしまったら返せないということになりますからね。そこらのことも含めていま私は聞いているわけなんですが、したがって、もう人事院勧告したら自動的に政令でそこまでは非課税でいく、こういうことにできないものか。これはさかのぼれないのですから。だから、五月実施勧告——今年はまあ四月になるのかもしれません、八月に出たら。で、この決定がおくれていきますと、この間はいやでもおうでも払わされてしまう、こういうことなんですね。だからそこらのところ、もう少し知恵はないか、こういう意味なんですがね、申し上げているのは。
  168. 海堀洋平

    海堀説明員 この二千四百円というときには、勧告実施時期に非課税の限度の変更を合わしたというふうに聞いております。
  169. 大出俊

    大出委員 どうも担当でない海堀さんに言ってもしょうがないのですが、合わないんですよ、税金は先に取ってしまうのですから。八月実施がきまるのが十月でしょう。そうしますと、勧告が八月に出て、昨年の例からいけば、八月実施ですからね、ところが、八月も九月も十月も税金は取られちゃうわけですよ。そこで十月に実施になると、そこから先になるんですね、免税というのは。その間は取られちゃう。そうなっているわけですよ。これは、皆さんそう言ったって、そんなわけにいかない。返してくれるわけじゃない。さかのぼってお返しします。そんなことはできない。民間までみんな取っちゃう。公務員だけではないのですから。公務員を二千四百円が五千円になれば、右へならえで民間だって全部そうなっちゃう。みんな取っちゃったものを、それをたいへんな数の人に返すわけにいかない。その間は取られちゃう。さかのぼって税金のほうだけはやってくれない。そこで私は、そのあたりに知恵はないかと申し上げている。
  170. 海堀洋平

    海堀説明員 税金のことは全く承知いたしませんので、担当の者に連絡いたしまして先生に後刻連絡いたします。
  171. 大出俊

    大出委員 それから、日直手当、常直手当のほうの税金も、これは人事院総裁なり給与局長なり、どうですか。どうもおもしろくないのですけれども、どうお考えですか。
  172. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 宿日直手当につきましても、改定されました五百十円につきましては税金はかからないというふうに承知しております。
  173. 大出俊

    大出委員 常直手当はどうですか。
  174. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 常直手当につきましては、十分承知をしていないのでございますけれども、従前のいきさつがございまして一部課税されておるというふうに聞いております。
  175. 大出俊

    大出委員 こういうふうなものは、たとえば五百十円のときからそうでありますが、ズレによって取られるというようなことがないような形に——というのは、何月実施になるのかさっぱりわからないものですから、それでずれてしまう。税金のほうだけがさかのぼれないわけです。そうすると、これもずいぶんばかな話で、そこらのところをあわせてひとつ担当の方に——あらためてまた論議の場所を持って私論議いたしますけれども、いままでさんざんやってきたことでありますが、去年の場合には地方行政委員会で細谷治嘉君から質疑が出て、わかりませんから調べておきますということになっておりまして、この委員会で私が質問いたしましたら、まだわかりませんというので、したがって強引に担当の方を呼んでもらって、あとで相談いたします、こうなったわけです。いつもそれでは困るので、いまから申し上げておきますのでひとつ御相談おきを願いたい。と申しますのは、通勤手当の勧告は、出るのに間違いない。ただしかし、相当な額を出していただきたいと思っておるのです。そこはわかりませんけれども総裁、これは相当強気で考えているんじゃないですか、
  176. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは重大関心をもって臨んでおるわけでございます。
  177. 大出俊

    大出委員 時によっては重大な関心をもってなんということをおっしゃるわけですけれども、ともかく本年は一番大きな問題は完全実施、そうして出た数字は出た数字のように、あまり横やりに耳をかさないで、と言うとまたおおこりになるかもしれませんが、事実基礎になる数字は相当あがっておりますので、ひとつ思い切って、このあたりのところで、人事院が一々防波堤だのやれ逆に人事院体制がどうのということを言われないようなぴちっとしたところを——完全実施は、ことしはもう九回目ですから、九回の裏もいいところでして、このあたりでひとつ窮余の策ということで、私はさっき四月実施をお出しになるべきだと申し上げたのですが、それでひとつ人事院体制というものに九死に一生を得ていただきたいのです。総裁ひとつ大いにことしは前に出て、完全実施の思い切った勧告をする、こういうことでお進めいただきたいと思います。いかがですか。
  178. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先ほど大きな声を出しましたように、もちろん完全実施を目ざして努力はいたしますけれども、何ぶん現実の権力をお握りになっておるのは国会でありますから、どうぞ絶大なる御支援を賜わりますように私からお願い申し上げます。
  179. 大出俊

    大出委員 政府国会勧告するわけであります。昨年も国会にというお話がございましたけれども、私も反論はいたましたが、歴代の内閣委員会理事、与党の皆さんはきょうはあまりおいでになりませんけれども、いつも内閣委員会おいでになる間は張り切りまして、完全実施の決議をつけろといって、永山さんにしてもそうでありました。永山前内閣委員長は張り切って御本人先立って完全実施決議をつけた。ところが次に自治大臣になりましたら、財政事情を勘案いたしましてそう簡単にはというように君子豹変をいたしますしね。藤枝自治大臣も当委員会理事でございまして百も承知でございましたが、自治大臣になると、これはなかなかそうはいかない、こういうわけでございますので、このあたりのことが、国会の中にはどうも特殊部落的に存在いたしますから、ひとつ人事院のほうもそういう点は、今度出せば九回でありまして、重々御存じなわけでありますから、国会のわれわれのほうは完全実施総裁の味方でございまして、全力をあげてやっておることは御存じのはずでありますから、われわれの手の届かないあたりのところは、総裁の権威をもちましてひとつ御努力いただきたい、こう思うわけであります。  ところで自治省の皆さんに承りたいのですが、この予備費のいま大蔵省のほうでおっしゃっている千二百億に見合う形で地方財政計画その他の中で予定しているのは、どのくらいでございますか。
  180. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 四十三年度の地方財政計画におきまして八百五十億、これは給与関係の改定に要します経費と、それから本年発生災害の応急災害復旧に要する経費、これを包括計上いたしております。
  181. 大出俊

    大出委員 そうしますと、相関連して言わず語らずに同じようなことになっておりますという地方行政委員会なんかで答弁がございますけれども、大体右へならえという形になっているという理解でよろしいのですか。
  182. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 国家公務員に準じて給与改定を行なう、こういう前提での積算に相なっておるわけであります。
  183. 大出俊

    大出委員 あわせて承りたいのですが、昨年の七・九%勧告でどのくらいになっておりますか。
  184. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 一般財源で七百四十九億になっております。
  185. 大出俊

    大出委員 七百四十九億ちょっとになっておりますね。そこで、いまの人事院とのやりとりなり大蔵省とのやりとりの中で一つ気になって承りたいことがあるのでありますが、賃金問題研究会というのが発足をして、これは何回おやりになりましたですか。
  186. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 地方公務員給与問題研究会ということでございまして、七月一日に第一回、この二十九日に第二回を行なうことになっております。
  187. 大出俊

    大出委員 先ほどちょっと口にいたしましたように、どうも私の勘ぐりかもしれませんが、都市手当が勧告をされて、だいぶどうも波紋を呼びまして、自治省はこれを強固に反対をされたわけでありますが、どうもそこいらのこと等とからんで少し気になるので——たしかメンバーは六人だと思いますけれども、ここの中に東大社研の氏原さんだとか、あるいは慶応大学の峯村光郎さんだとかいう方々、そのほかに尾崎給与局長、いまここにおいでになりますけれども尾崎さんまで入れられた、前の人事院事務総長もたしか入っておったと思います。かと思うと、十条製紙の副社長さんが入っておったりするのでありますが、どういうものの考え方でこういうものを発足さしたのか。ずいぶん方々で聞かれまして、自治省のおやりになることですから、これはまた押え込みにかかったのではないかなんというので——その傾向は全くなきにしもあらずという気もするのですけれども、何が一体目的で、何が一体考え方なんですか。
  188. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 地方公務員給与問題研究会というものを設けたらどうかということは、実はかなり前から、私ども地方公務員給与問題に携わっております者の間ではあったわけでございまして、これはいろいろな要素があるわけでございますけれども、結論的に申し上げますと、地方公務員給与あり方というものにつきまして、私どもの政策的な問題もございましたでしょうし、あるいは端的に申しまして勉強不足もあったと思いますけれども国家公務員に準ずるという、いわば一本の非常に大きな指導方針でやってまいったわけであります。ところが現実の地方団体の給与の姿というものを見てまいりますと、遠隔地という理由もございましょうし、あるいは社会経済的な理由もあるわけでございましょうけれども、給料表の構造でございますとか、あるいは初任給のきめ方でございますとか、あるいはいわゆる昇給昇格の基準、こういったようなものにおきましてかなりの幅がある、そういった幅があっていいじゃないかという議論が一方でございます。完全に自由放任でいいじゃないかという議論がございます。他方におきまして、やはり国家公務員、地方公務員の公務の性質というものは共通するわけであるから、国家公務員に準ずる、あるいは国家公務員に右へならえしてもいいじゃないか、こういう意見もございます。その間にいろいろな立場からの意見というものがあるわけでございますが、先ほどたまたま大出委員からも御発言になりましたように、そういった意味におきまして、私どもの手元に、やはり地方公務員についての給与政策というものが一本しっかりしたものが立っておらないという感じがしてならないわけであります。  そういった意味合いにおきまして、この際、給与問題研究会というものを発足させまして、先ほど御指摘になりましたように、かなり幅の広い範囲の委員さんに御参加をいただいておるわけであります。国家公務員給与と当面最も関係がございますので、ここにおいで給与局長さんにも御参加をいただく、あるいは前の事務総長は、これは実は地方公務員法をおつくりになった当局者でございまして、いわば地方自治、地方公務員の法制、給与問題をひっくるめましての、そういった面での何と申しますか大先輩、こういうことでございますし、あるいは民間給与という関係もございます。これは民間給与についての権威でありますところの田中さんにお願いする、あるいは兼子さん、氏原さん、こういった、並べてみますとかなり幅の広い範囲で委員さんをお願いいたしまして、幅の広い議論をしていただく。もちろん、審議会といったような構成をやっておりませんでしたのは、特定の答申というものをお願いするというよりも、やはりそういうフリーなおのおのの立場で御発言をいただき、また私どもを啓蒙をしていただく、それに基づいて私どもがいろいろ給与問題について考える場合の指針をいただきたい。私どもが特定の結論を持ちまして、そこへそれぞれの委員さん方の御発言を、はなはだ失礼でございますが、誘導するといったようなことは毛頭考えておりません。この点はやや不当な誤解があると私どもは思っております。
  189. 大出俊

    大出委員 十条製紙の副社長の田中慎一郎さんは民間賃金に詳しい方ですし、いまお話しの、前の人事院事務総長の藤井さん、あるいは公労委の兼子さん、それから東大社研の氏原さん、あるいは慶大の峯村光郎さん、これは公労委にもおられますし、私は隣合って住んでおりましたから百も知っておりますが、どうも取り合わせ——というと、りっぱな方々がおられるのに恐縮なんですが、こういう方々をお集めになって、何か目的がなければ、ただお話を聞く会ならば、自治省がという形のものにしてはいささかおかしな話だ。何か研究会をつくった限りには——公につくられたのだから、そうでしょう。そうすると、それらしい何か目的がなければならないと私は思うのです。たとえば六大都市は高い、地方は低い。高ければ高い理由があるわけです。同じ公務員になりたいということがあるとすれば、地方に行きたいという人でも、だいぶ高いからというので六大都市に入った人もいるでしょうし、人を集めるには高くなければ地方公務員にならないということもあります。しかし、そうかといって地方公務員の場合、特に地方の場合、小さい自治体で財源がない。たとえば山形の酒田市なんかは高齢者が二人おって——超高齢者ですよ。やめたいといったら、退職金が一人分しかないから、もう一人の人は来年まで待ってくれ、こういう姿の自治体だってある。そういういろいろの実態に基づいて、現状六大都市と小規模の自治体との間に格差があったりする。たとえば、それを何か自治省が理由づけをして、公正妥当に手直しをするとかなんとかいうことを考えるとか、何かどうもそこになければならぬと思うのですね。ただ単にそうそうたるメンバーを集めました。何かにつけて御意見を承っておきますというだけのものなのか、私はどうも割り切れないのですよ。もう少し納得できるようなものの言い方をしてくれぬですか。
  190. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいま申しましたとおり、研究会でございますから、これは私はいろいろな立場からいろいろな御意見があってけっこうです。率直に申しまして、たとえば地方公務員給与基本的な問題、国家公務員給与と地方公務員給与、あるいは民間給与、こう並べまして、どこに独自性があり、どこに相違点があるか、この点を掘り下げまして、ただいま御指摘になりましたように、都道府県、市町村それぞれの財政規模も違いますし、あるいは生活の諸条件も違います。そういった中で、この公務員給与というものを現在のような国に準ずるという一本の方針だけでいってはたしていいのかどうか、こういう疑問点が基本にあることは間違いございません。しかし、いろいろ議論をしたあげくの結果は、やはり国家公務員に準ずるという方針が現在の段階においては一番いいという、あるいは研究会のメンバーの最大公約数の御意見になるかもしれません。あるいはもっときめのこまかいものがあっていいじゃないか、そういった場合において給与をきめる基準というものとして、どういうものを取り上げていくか、こういったことについて私どもとして期待をいたしておりますのは、委員さん方の御意見を拝聴いたしたい、こういう気持ちでございます。
  191. 大出俊

    大出委員 時間が長くなりますからやめますが、私はこう考えているのですよ。  率直に言いますが、地方公務員賃金というものは国家公務員に準ずるという法律規制が一つある。それが自治省がものをやる上に事ごとに障害になる。それで悪い意味のところだけはみな押えられてしまう、自治省側から見て。高いからといって、その点は準ずるという形のワクに入らない。これは困るのではないか。だから地方公務員賃金というものは国家公務員に準ずるという現在のワクをはずしたい。こういうところにポイントがあるように私は思えてならないわけですよ。そうすると、それはわれわれの側からすれば、自治省が地方公務員賃金を押えにかかったことになる、こういうふうに見ざるを得ないのです、率直に申し上げて。だとすると、一体これは中から何が出てくるかということを心配せざるを得ないということになる。そうであるのかないのか、この一点だけを承っておきたい。
  192. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 国家公務員に準ずるということが私どもにとって障害になるとは思っておりませんで、むしろこれは現在までのところでは、私は積極的な意義を持っておるかと思うわけでございます。したがいまして、いまこの研究会が国家公務員に準ずるということを取っぱずすために研究会を発足させたと受け取られますことはまことに心外でございます。
  193. 大出俊

    大出委員 あげ足をとるわけではありませんが、現在までのところ積極的な意義を持っておるという話になりますと、現在まできてみますと、積極的な意義を持たなくなったということにもなる。そこらが実は心配なんですが、いまのお話で、そういう意思は毛頭ありませんとおっしゃるのですから、現段階はまだ一回やっただけで二回目はこれからでしょうから、とりあえずいまの点だけ確認を求めた次第であります。  最後に、これは大蔵省皆さんにも一ぺんお考えいただかなければならないのですが、人事院皆さんは、これは直接的な関係というわけではないかもしれませんけれども、公営交通あるいは公営企業の賃金引き上げの問題を人事院勧告された。さていまの問題になった準ずるという形、公営企業法を改正して、そのワクを何とか取る努力を自治省がされた。ことごとにどうもそのワクをはずそうという先例があるから、私はいまの質問にならざるを得ないのです。ところで、さて公営企業法などの改正をおやりになって、再建方式を鎌田さんを中心におつくりになった。そこまではいい。だが、これは現状をながめると容易ならざることになっている。  そこで一つ一つお尋ねしていきたいのですが、八次賃上げといいますか、昨年の賃上げですが、現状で公営企業等の中でこれができていないところというのは何カ所くらいありますか。
  194. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいま私、公営企業の直接の主管を離れておりますけれども、仄聞いたしておりますところでは、六大都市交通、大都市交通は全部できておりません。
  195. 大出俊

    大出委員 そうしますと、鹿児島、山口が二つできてなかったのですが、これはできましたか。それと水道で一カ所、海南市があったと思うのですが、そのほかに病院があと二カ所あった。それと六大都市ですか、先般私が質問したときには、たしか十二くらいできていないところがありましたが、そこらあたり現状はどうなっておりますか。
  196. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいま申しました交通事業の中で鹿児島、山口は御指摘のようにできていないわけであります。それから海南は実施いたしたようであります。病院が一つ残っております。
  197. 大出俊

    大出委員 そうすると、十二のうち二つできて十残っているということですね。  そこで実は公営交通の例をあげて申し上げたいのですが、私は横浜ですので、一番手近に住んでおるということで実は我田引水云々ではなくて申し上げておきたいのですが、現状はどう考えてみてもこれはやっていきようがない。どこからどう考えても六大都市の交通ができていない、こういうわけなんであります。これがでまていないままで、さて人事院総裁の先ほどのお話では、来月の中旬に勧告がまた出る。こういうことになるでしょう。できていないといって、実は当面は片づいているわけです。実力行使云々だと組合の皆さん考えられて、市長さんが集まって相談をさたれりして、市長さんが当面の団体交渉の相手方でございますから、交渉権がございますから、その面で各都市にも一応労使間では線を引いておいた。ところが、さて自治省と各六大都市の理事者の側とでは、それ以降どうもお手切れのままで、どちらもくちびる寒し秋の夕風ではないが、ものを言わないというかっこうのままで現在まできている。そこへまた今度出てしまう。これは再建方式をつくるときには、ずいぶん大蔵省皆さんともいきさつがあり過ぎた。特に横浜などの場合には、返還期間が長いからなお問題があった。あるいはどこまで利子補給をするかという補給部分についてもずいぶん問題があった。こういう点で、これは自治省の皆さん大蔵省皆さんとやり合ったいきさつがございます。三分五厘だ、やれ六分だということでさんざっぱらやられた。これは自治省としてはずいぶん苦心惨たんをして、暗いトンネルから明るい日ざしの外へ抜け出なければならぬということでおやりになった。ところが、さて現状はさっぱりで、トンネルが続くばかりだということになる。  ここで私は例をあげて申し上げておきたいのでありますが、横浜の場合で申しますと、昭和四十三年から五十四年まで再建方式に従って自治大臣の認可を求めてこれを均等返還をする。一年据え置きですから、十五年返還だと大体年間十五億近い金を返さなければいかぬ。それではこれをずっと返していった結果がどうなるかというと、不良債務というものが六十六億八千万円ある、これをずっと返還して昭和四十三年から昭和五十四年で払い終わったとすると、何が残るかというと、この分だけそっくり、借金が六十六億八千万円また残るということです、簡単に申し上げれば。これが一つ。それからもう一つ、第八次賃金引き上げ、つまり昨年の賃金引き上げ分だけを例にとりますと、これは大体年間で三億八千万円、まあ三億四、五千万円と言ったほうがいい。これは四十三年から実施をしていったら、五十四年まで、つまり再建期間の五十四年末までの間に昨年の勧告だけで、一回の賃上げ分だけで一それが毎年累積されていくわけですから、ことしの勧告分を抜きにして、つまり四十二年度の勧告分だけで大体年間三億四、五千万円かかりますが、これがずっと赤字になっていって幾らになるかというと三十七億円、一回の賃上げ分だけで三十七億円が五十四年までにかかります。  さて、そこで合理化をやれというお話で路線撤去をやれというからやる、さらにこれを早めろというから早めた、車掌さんのいないワンマンカーをやれというからやった、それから四十八時間制はうまくないから四十四時間にしろというから、これもやった、それから始発、終発をゆるめろというからゆるめた、もうずっとやれといわれたことでやれるものはすべてやってきた。そうしてもう一つ、バスの料金の値上げの問題とからんでバスを三十円に上げた。このバスの料金の値上げについて自治省の言い分は、バスの料金を上げて黒字になったらそれを軌道に回せという。ところがその所管は運輸省ですが、運輸省のほうは三十円に上げるのを認めるから、ここで黒字になったからといって軌道なんかを埋めたらいかぬという。ところが原価計算をすると、バスを三十円に値上げしてもとんとんです。トロリーバスが四、五百万円もうかっているだけです。あとは全然もうからない。赤字だ。あと何をどうあがいみても何もない。そうすると、もう赤字の累積だらけだ。かといって、いまさらこれを民営でといっても、とんでもない。受け取り手がない。そうなると、これは軌道電車だけならいざ知らず、バスも含めて、とにかくいまの公営企業というものは、せっかく企業法の改正を鎌田さんはずいぶん御研究になっておやりいただいて——私は鎌田さんと忘れたくらい多く論議を尽くしてまいりました。地方行政委員会にまで出かせぎに行って私は何べんも質問をいたしましたが、それでやって結果的にこういうことなんです。ここまでくると、理事者の責任、自治体の責任だとは言い切れない。ましてやそこに働いている従業員の責任だとも言い切れない。横浜の交通の職員は、市役所のほかのどこにでも行っている。清掃にも行っている。方々の職場で、やあ大出さんと言われる。次々と交通から出ている。みんな泣きの涙で出ているわけです。横浜の観光バスの案内をする女性、これは試験まで受けてそっちに交通から車掌さんに行っている。こういう実は苦労をし抜いていて、なおかつどうにもならない。とすると、何がしかここに皆さんのほうで手を考えていただかぬと、たとえば企業外要因、年々物価が上がり、春闘で民間賃金が上がってしまう。官民比較人事院が毎年、これは国の政策の問題ですから、勧告をする。それが一つの非常に大きな根本原因ですね。さっき申し上げた四十二年度賃金だけをとらえましても、五十四年まで、返済期間末年までに三十七億も累積してしまうわけです。そうなると、そういった企業外要因に基づいて公営企業がどうにもならぬ、公営交通がどうにもならぬ、あるいは公営水道がどうにもならない、こういう現状、しかも資本となるべきものは何も国はめんどうを見たことがない。戦災で焼けたって、横浜の市電、市バスというようなものは従業員が一生懸命直して、一般財政も苦しいところを少しずつ入れながら焼けた電車を直して走らしてきたわけです。そうなると、資本となるべきものは間接的な社会資本ですから国が見て、その上で経営というものを独立採算というならまだわかるのですけれども、それもない。そうすると、これは早川さんがやめて赤澤さんの時代にメリットシステムで借金を埋めたことがございますが、とにかくそういう小手先ではどうにもならない。とすると、何かそこに鎌田さん、もう一ぺんここでものを考え直す時期が来ているんじゃないか。地下鉄もありますよ。ありますが、地下鉄といえども、これはどこへ行ったって黒字になりっこない。東京の地下鉄一号線と、貨物線を含む山手線を計算したって、一キロ当たりの建設費が地下鉄は六倍かかるのです。そうすると国会議事堂前から霞ケ関まで、いまの料金三十円の六倍、百八十円取らなければやれないのです。そうすると、地下鉄ということを考えても、横浜も四十六年から地下鉄が走ることになりましょうけれども、それをやりましてもこれはどうにもならない。そうすると、抜本的にここで考えなければ賃上げ一つできない。それは、電車の車掌さんや運転士さんは古くからいるから高いという人もいるでしょう。いるけれども、バスの新しい方々は低い、これも合わせてストップなんです。そういうばかげたこともできないし、古い方々が高いからといったって、これは古くからつとめているので高いのはあたりまえだということになる。何とも見ていられないのです。ここらあたり、自治省の皆さんの側で何かもうお考えがなければならぬと思うのですが、何か考えていられることはないですか。
  198. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 先ほど申しましたように、私も長年地方公営企業で苦労させていただいたわけですが、いまは所管が離れておりますので、財政当局のほうから御答弁があったほうがいいと思うわけでございますが、ただ、そういった前の立場の延長で私考えておりまして、まあ、これは非常にきつい見方になるかもしれませんけれども、あの再建計画を立てます際に定期昇給分は認めました。これは一般会計の財政再建のときよりそれだけゆるい計画に相なっておったわけでございます。一般会計の財政再建計画をやりましたときは、定期昇給も認めない非常にきびしい計画であったわけでございますけれども、公営企業の場合には定期昇給分だけは認める。それから一般会計の場合には各項目ごとに全部チェックしたわけでございますが、公営企業の場合には最終の不良債務解消額だけを押える、そういうことで、いわゆる公営企業らしい独立採算に基づいた機動的な運用ができるような再建計画というものをつくるということで始まったわけでございますが、その後の経過といたしましては、御指摘になりますように、売り上げのほうで伸びない。これはやはり一つの大きな見込み違いであったろうと思うわけであります。ただ、他方合理化の面も確かに苦労しておられるわけでございますけれども、一番大きな問題になっておりますところのこの給与改定というものについて、そう言っては当たりさわりがあるかもしれませんが、企業が赤字であろうがどうであろうが、少なくとも一般会計のベースアップ分だけはスライドアップしていくということで、現実の給与水準がかなり高い人が多いわけでございますので、そこらのところをやはりもう一つ管理者なり市、長さんのほうで蛮勇をふるっていただくべきではないかなという、これは私の意見でございますので、財政当局、さらにまたその上にプラスの意見があると思いますけれども、私としてはそういう感じがしてならないところでございます。
  199. 大出俊

    大出委員 つまり賃上げをストップしろ、こういうことになるのですが、これは再建計画を立てるときもそう言っているのですから一貫した意見なんですが、現実にはそうはいかない。さっき申しましたように、昨年の賃上げの分だけで年間幾らかといったら三億四、五千万円です。そうすると、六十六億八千万円の再建計画なんです。賃金というものは一年上げたって三億四、五千万です。六十六億八千万円のどこにも当たらない。そうすると、これはいまから十四年間一銭も上げなくたって——賃金を十四年もストップしてごらんなさい。これだって仮定ですよ。そんなことができるはずはありませんが、かりにそういう計算をしてみたって、何が残るかというと六十六億八千万円だけ赤字が結果的に残るということです。現状で上げないできてそうなんです。そうなると、これはもっと抜本的にとにかく考えなければならぬことだけは間違いない。これは一銭も給与を上げないで、十四年間もこれから先ほっぽっておくといったってできる筋合いのものじゃない、人が生活しているのですから。そうでしょう、極端な例を申し上げれば。三億四、五千万の金で、六十六億八千万の赤字があって、再建計画をやっているのに、市長にしたって、ここで三億幾ら公務員に押えてみたって、この次から何とかなるならともかく、なりっこない状態をかかえているのだからどうにもならないじゃないかということが一つあるのはあたりまえです。だからそうなればどこの都市だって、今度人事院勧告される分というのはおそらくできないと思う。そうすると全部横浜と同じケースになってしまう。横浜だけいままでは多少前に出ていたようだが、これから次の場面からは全部一緒になってしまう。十カ所できないならやはり十カ所できない。横浜が特に財産があるわけでもないわけです。前々からそれとなく大臣に話をしたり、非公式にはしておりますが、このあたりで自治省側の大臣に対する言い分としては、先般この委員会で皆川さんがおいでになって、鎌田さんのあとの参事官だと思いますが、その答弁の中で、御指摘のとおりであって、企業外要因についてはこの辺で一ぺんどうするかということを審議検討する機関を設けたいという御答弁をなさっております。しかもそれは経済企画庁等にものを申し入れて、そういった意味で、物価が上がって賃金が上がって、企業外要因が累積して毎年賃金が上がって、返済期間までには三十七億にもなる。これは毎年続く、こうなる。これはどういう手を打ってみたってどうにもならぬことは明らかだから、抜本的にどうするかということを一ぺん検討しなければならぬというところに来ている。だから私はそういう一つのものの考え方、抜本的にどうするかということを、ここで市長と自治省がけんかしてみたって、おまえのほうは貸し付けだどうのこうのといったってしょうがない。抜本的解決にはならない。江戸のかたきを長崎でということをやらないようにということでいろいろなことをやらせても意味がない。だからそんなことよりも、やはり抜本的にどうするかということを皆さん知恵をしぼり、おまけに自治省の財政局長さん、細郷さん等の言い分からしても、やはりこれは交通関係の閣僚協議会なり懇談会なり、そういうところで一ぺん抜本的に相談し合う必要があるのではないか。さらに総理にも現在の公営企業、公営交通、公営水道、病院等の置かれている実情というものをもっと痛切に知っていただく必要があるのではないか。そうしてせっかく企業法改正をやって再建計画を進めてきたんだが、こういう社会的な問題になってしまった。借金でやめてしまえば市民は足がなくなることに間違いない、電車、バス両方あるわけですから。そうなると、幾らなんでもそういうことはできない。政策としてもできない。そうするとこれを一体基本的にどうするかということ、技術的にどうするかということをこの間やったわけです。鎌田さん段階で、自治省当局と。利子補給という方式をとって、おまけに七分五厘までの利子補給ですが、自治体が借りている金は市中銀行を含めて世の中は八分以下では倍してくれない。そうすると金がないから再建計画をやるにしても七分三厘以上のところは七厘持ち出しですよ。これだって年間やはり三千万円くらいになる。だからといってそういうふうな小さいところでは片づかない。そういう抜本的なところを何とかひとつ相談をし合う、そしてそれまでの間はどうするかといったら、自治体の六市長と背中合わせになるんじゃなくて、いまのやはり再建債の償還期限の繰り延べなり、あるいは借りかえなら借りかえ方式なりというものをとっておいて、その期間に検討するならするという方式。私は、三十八年に当選して出てきて間もなく、皆さん方が提案したのは何かといえば、地方公営企業制度審議会ですよ。私は審議会の委員がきまらなければ通す意思はないと突っ張ったんだけれども、公営交通企業関係出身議員の皆さんから説得されて認めたわけですが、やはりここいらのところに立ち返って、抜本的な解決をはかるという方式方法をぼつぼつもう考えなければ、当面の問題の処理さえできない、こう私は実は痛切に考える。これは横浜をどうしよう、こうしょうではなくて、まして地下鉄がこの上に重なってくるわけですから、東京にしてもそうですし、大阪にしても名古屋にしてもそうです。だから名古屋だって、名古屋駅から栄町までの地下鉄ができたときは、予定乗客の六割しか乗らない。栄町から池下まで延ばしたら七割に上がったのですよ。そこから放射状に今度は走るわけですよ。そうすると、地下鉄というものだって全面的な敷設を考えなければ採算はなおとれない。そうすると、これはばく大もない社会的な間接資本がかかる。それを独算制のたてまえでやっていくなんていったってこれはできっこないと思う。それらのことも含めて地下鉄のあり方という問題のポイントが出れば、公営交通なら公営交通というものを将来の地下鉄の計画に引っかけて赤字解消へ持っていける。地下鉄に対する政府考えがはっきりすれば、つまりこれは基本的に言って資本となるべきものは国が持って、経営を自治体に独立採算でやらせるというなら話のしようもあるのですから、少なくともそういうところまでこれは検討しなければならぬ筋合いの問題だと思うわけです。というのは、いままさに本年の勧告が出る寸前の時期にきておりまして、総裁の御答弁によりましてもそういう御答弁でございますから、そうすると、もうこのあたりでそういったお考えを自治省の側に持っていただかなければならぬ、私はこう思っているんですけれども、この辺はいかがですか。
  200. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 やはりただいま御指摘になりましたように、基本的な問題、それからそれぞれの個個の企業特有の問題、両方やはりあるのだろうと思うのです。そういった点をふるい分けまして、やはり基本的な問題は基本的な問題として処理をしていく。個々の問題については、前の藤枝大臣がここで善導をするということを申しましたけれども、そういうきめのこまかいやり方をやっていかなければいけないのだろうと思います。  なお、地下鉄の問題につきましては、これはまさに御指摘のような問題がございまして、財政再建の対象からも除いたのはそういう意味でございまして、やはりもっと国なりあるいは当該地方団体の一般会計というものの負担分を確立しなければいかぬだろうと思います。
  201. 大出俊

    大出委員 昭和四十一年度ですか、私が調べた限り、地下鉄一号線なども年間の支払い利子が十五億円程度、そして収入は広告収入を含めて、部の一般会計支出も含めて——国の補助金がわずかに年間五千万円です。それを含めておおむね九億です。十五億という大きい利子を支払って、収入が九億しかなくて、新しくどんどんつくるから、差し繰るだけのことです。これは国の見地から見たって不経済きわまりない、たいへんな利息を払って。だからそういうことになると、これはやはり一時のがれの方式をどうこねたってどうにもならない。だから当面の問題を、あるいは個々の問題を片づけるために、いまおっしゃる藤枝さんの方式、ケース・バイ・ケースで知恵をしぼり合ってやっていきましょう、これはその背景に抜本的な対策を立てる準備が進まなければもう押えられぬところに逢着する。それで苦労するのは罪のない一生懸命働いている従業員だけだということになるこれは捨ておけない。これは一つ間違えば都民、市民、県民の皆さんのたいへんな迷惑になる。いま電車をうろ抜いているだけだって、ほんとうの末端の低所得階層の方々、電車でなければならぬ方々が三十分待っても来ない、四十分待っても来ないという状態の中に置かれているわけですから、やはりそこまで考えていただく必要がある。  私はきょうは細郷さんをお呼びしようと思ったのですが、鎌田さんがずっと出かけてこられて、立場もわかっているわけですから御無理申し上げなかったのですが、これはぜひそういう意味でしかるべき方々お話しいただいて御検討いただきたい、こういうふうに思っております。  最後に、一つ落としましたが、これは尾崎さんに御答弁いただいてもけっこうなんですが、扶養手当の関係を最近どのように見ておられるかということと、寒冷地手当増額支給に関して最近請願が非常に出ておりますが、これらについてどういうふうにお考えになっているか、これだけ二つ御説明いただきたいのです。
  202. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 扶養手当につきましては、先般若干の改定をしたわけでございますが、その際、やはりこういう手当につきましてはいろいろ問題があるといったような、こういう批判もいろいろあったところでございます。しかしながら先般の関係は、民間における実態が相当上がっておったということ、それから物価も相当上がりたというような関係もございましてやったわけでございますけれども、大きな方向といたしましては、やはり労働省のたとえば給与構成調査等もございますけれども、そういうところから大きな傾向を見てみますと、やはり扶養手当の比重といいますか、一人当たりの支給額も下がってきておりますし、ウエートも非常に下がっておるという関係もございまして、やはりこういう関係はどちらかというと本俸で見ていくというような大きな傾向がございます。そういう関係で、今年は特に調査をしておりませんけれども、今後そういう状況をやはり注視しながら必要に応じて民間の状況をとらえるというふうな形で進みたいというふうに思っております。  それから寒冷地手当の関係でございますけれども、寒冷地手当につきましては、昭和二十四年に法律ができまして、その後、たとえば石炭価格その他の上昇に応じまして改定を行なってきておるわけでございますけれども、現在、御承知のとおりこれは本俸に比例して支給される分と、それからいわゆる定額分、石炭の価格等によりまして支給するような、そういう定額分の二つに分かれておるわけでございます。しかしながら、その両方のかね合いの問題でございますけれども、毎年のベースアップ等がございまして、定率分につきましてはかなりのテンポで上昇しておりまして、そういう意味合いで現在の寒冷地手当のあり方というものをいろいろ見てみますと、昔、たとえば昭和二十四年のころにはやはりそういういわゆる本俸に比例して出す分に比べまして、定額的なウエートが非常に大きい、そういういわば生活給的な手当であったわけでございますが、やはり十数年もたちますと、中の性格が非常に変わってまいりまして、本俸に比例するというような中身がかなり性格が濃厚になってきております。やはり寒冷地手当というのは、そもそもの性格でございますけれども、寒冷増高費に対応して支給するべき性質のものではなかろうかというふうに考えるのでございますけれども、そう考えますれば、やはりそういう意味の生活給的なものであるというふうに考えますし、したがって、やはり現在のあり方というものを、少し制度の発足時のあり方というものも想起いたしまして検討をすべき段階にあるのではなかろうかというふうに考えて、いま検討しているところでございます。
  203. 大出俊

    大出委員 扶養手当のほうはいまの御説明で、反論はいろいろありますが、長くなりますので、承っておくだけにいたしますが、また寒冷地手当のほうについても、これは私は寒冷地手当ができるころから当初ずっと手がけておりまして、これは尾崎さんが人事院におられる時代でございますから御存じのはずでありますけれども、これはずいぶんぼくらも、この寒冷地手当——当時は東北の薪炭手当ができるとか、それより先に北海道に石炭手当ができるとか、これが津軽海峡を渡すの渡さぬのという騒ぎがあったり、そうかと思うと、飛騨の高山から、田中さんが寒対の委員長になって、あっちもつけろという騒ぎになったり、奈良県と鈴鹿山脈で雪の降り方が違うのだという騒ぎが起こったり、どこまで広げるのかという時代もあったわけです。しかし、これは歴史が重なりますと、この陳情書にもございますが、給与はこれだけ上がっているじゃないかという生活給的な色彩が非常に強いのですね。これはこまかく技術的に申し上げると切りがございませんけれども、陳情はおそらく人事院にはたくさん行っておりまして、私もこの寒冷地手当増額問題だけで委員会をと思ったこともありましたが、たまたまこれが佐藤総裁の改選の時期にぶつかってしまいまして、どうも寒対の論議どころじゃない、ちょうど本年の三月ごろでございまして、北海道の、私どもの党の安井先輩からも、とにかく内閣委員会を開いてくれとだいぶやかましく言われましたが、事情を人事院に承ったりして延ばしてきたわけでございまして、何とか事情は、陳情がたくさんありますし、けさもこの内閣委員会理事会に陳情をいただいたわけでありますけれども、言わんとするところはもう皆さんのほうでおわかりだと思いますので繰り返しませんけれども、何とか、このたいへんな精力を使ってまた皆さんが動いておりますので、たまたま給与勧告の時期でございますから、この時期をはずさずに、しかるべく陳情に対する善処方を最終的にひとつお願いを申し上げるだけにとどめておきたい、こう思うわけでございます。たいへんどうも長い間……。
  204. 三池信

    ○三池委員長 鈴切康雄君。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ただいま大出委員から長時間にわたってきめのこまかい質問をされましたので、その質問に重複する点はあろうと思いますが、それだけにやはり公務員給与の問題は公務員の死活の問題でもあります。いままでの惰性ということからもそれを打ち破らなくちゃなりませんし、また念を押す意味において、さらに質問を申し上げたいと思います。  佐藤人事院総裁は、国家公務員に対する給与改定の勧告、いわゆる人事院勧告の時期についての見通しを例年どおり八月十五日前後と、このように記者会見で発表されておりますけれども、すでに調査の集計の検討も最終段階であると思うが、ことしの春闘の高額ベースアップ及び三公社五現業の大幅賃上げなどから、実質上の上げ幅は昨年に比べてまずまず下回ることはないと予測されておりますけれども、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  206. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その点が先ほど大出委員にだいぶ責められましたところなんでございますが、カキのごとく口を緘してだいぶしかられましたのですが、まあ勧告自体は必至だろう、これはもう常識的に間違いないところでございますが、その勧告中身が何%になるかということは、御承知のとおり、われわれが腹づもりだけで、裁量できめ得ることであれば、もういまごろ、大体腹の中には数字ができておりまして、おことばの端々から、表情によってそれを表に出してしまうというようなこともございましょうけれども、先ほど申し上げましたように、われわれはその点はきわめて厳密な態度をとっておりまして、民間給与調査のはっきりした数字をつかんだ上で、公務員給与とそれと比べてその間の格差を求める、その格差だけは絶対に埋めていただきたいという立場に立っておりますために、いま全然予測はつきませんと申し上げることが、一番正直なお答えになると思います。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 すでに勧告は八月十五日前後というふうに確信をもって人事院総裁が発表されるということであれば、すでに目安が立ってないなんということは、この場所で言われるのも無理はないとしても、しかし人事院総裁としては答えが出ないのにこんなにゆう然としてきょうこの場所に出ておられるわけはない、こう私は思うわけであります。何か政治的に配慮があるということから、そのようにして人事院としては今日に至っても予測ができない、そのように言われているんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  208. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その点はもう絶対にそういうことはございません。政治的配慮で終始いたしますならば、御承知のとおり、いろいろなデータはすでに周知のデータがあるわけでございます。春闘の上がりぐあいあるいは労働省の毎月勤労統計あるいは生計費あるいは物価というようなもの、あるいはまた先般の公労委の仲裁裁定というものもございますから、それらのものを大体勘案して、ことしはこの辺でいこうやということでいくならば、もうお察しのとおり、いまごろはりっぱな腹づもりができておりまして、もう給与法くらいはちゃんとできておるという段階になるわけでございますが、これがいかんせんそういうことになりませんものですから、今日などもここへ出て御説明は申し上げておりますけれども、心の中ではのんびりどころじゃない、やきもきやきもきしておるというのが心境でございます。とにかく結論は、六千何百の事業所をとらえ、四十五、六万人の従業員  一々シラミつぶしにつかまえて調べておるのでございますので、先ほど申し上げましたようなことで、腹づもりだけでいきますならば、そういうことは全然必要のないことになるわけで、これは要するに私どもとしては私どもが責任をもって調べた大規模かつ精密なる調査をもとにして作業を完成する、そういうことでございます。政治的配慮とかなんとかその他の配慮というものは抜きにして、数字だけを相手にして取り組んでおるというふうにお考えいただいてけっこうでございます。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 すでに新聞発表によりますと、七・九%を上回り、実質上げ幅は八%台になるのではないか、そのように出されておるわけでありますけれども、そのことについて、やはりこれに近い線ではないかということについては人事院総裁としてどうですか、予測できませんか。
  210. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その点の推測になりますと、まさに鈴切委員と同じデータしか私持っておりませんので、わざわざ私にお尋ねになるまでもないということになりはせぬかというような、そういう性格の御質問だと思います。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では次に進みます。  問題の焦点は、やはり完全実施というところにすべて帰着すると思いますが、たしか昭和三十四年まで人事院勧告実施時期は、できる限りとか、すみやかに、あるいはなるべくすみやかにという抽象論でお茶を濁してきたようにも思いますが、労働基本権である争議権、団体交渉権の否認の代償として人事院制度が存在する以上、今度の勧告もさかのぼって完全実施せよと明記するのが当然だと思いますが、その点について。
  212. 佐藤達夫

    佐藤説明員 おっしゃいますとおり、その点については従来の方針を堅持してまいりたいと存じております。
  213. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで今度は大蔵省海堀主計局次長に、時間がないというようなお話でございますので、お聞きいたしますが、本年は総合予算主義をとって補正を組まない方針だと政府は再三明言をしております。予備費千二百億円の中で、給与改定のために約五百億円近い金が予測されておるということがいわれておりますけれども、いま人事院総裁が明らかに言われたように、完全実施をするというためには総合予算主義ワク内においてどのような処置をしていかれるか、その点についてお伺いいたします。
  214. 海堀洋平

    海堀説明員 ことしの財政運営基本的な態度、予算編成方針というものに基づきまして、総合予算主義原則をとりまして、補正は組まないということは現在の政府方針でございます。予備費千二百億円の中に給与改定部分はどういうふうに見込んだかというお話でございますが、どの部分を財政需要に充てるのか、どれだけかということは予備費の性格上、算定がつきませんので、ともかく千二百億円というものによって不測の財政需要に対処しているわけでございます。ただ例年と違いますのは、そういうふうに総合予算主義をとりましたものですから、いわゆる義務的な経費につきましてはできるだけ不足のないように十分に各費目に組み入れておりますので、予備費千二百億円をもって対処しなければならない財政需要の主なものは、災害公務員給与改定と、それからほんとうの意味でその他といっております不測の財政需要というふうに考えております。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、四十二年度において予備費の使用状況は、災害五百七十億円、その他が二百七十四億円、合計八百四十四億円であります。ことしの予備費の千二百億円から推して考えますと、三百五十六億円という計算に実はなるわけであります。そこで、これはこのような状態になるとも思いませんけれども災害とかいろいろの観点から考えてみますと、予備費としては、災害が大体五百億円、そしてその他が二百億円とすると七百億円。千二百億円から引きますと、ちょうど五百億円という数字が出てくるわけであります。そうなりますと、五月実施と見たとき、一%アップは大体百億円だということがこれは常識であるわけであります。そうしますと、五百億円といえば、五%アップというにすぎないわけであります。結局あらかじめ繰り下げを目的とした意図が含まれている。さもなければ、たとえば人事院総裁から少なくとも七・九%の近くにあるというようなニュアンスのお話がいまありましたけれども、八%アップとした場合に、財源として当然補正を組まなければ不可能になるのではないか。それに対して、総合予算主義をとっているから補正を組まないということは、明らかにそこで政府としてはもはや完全実施をする意図がない、そのようにいわれてもやむを得ないんじゃないか、そのように思うのですが、その点いかがですか。
  216. 海堀洋平

    海堀説明員 政府が四十三年度の予算編成に際しまして総合予算主義をとりましたのは、四十三年度の経済見通し、経済運営基本的な態度、それに基づきます財政運営基本から見まして、まず歳入は目一ぱい見積もって編成した。しかも経済運営基本的な態度から見て、やはり国債はある程度の減額をとらざるを得ないだろう。予算が経済に対して刺激を与えてはいけないというふうな基本的な考え方から総合予算主義をとったわけでございます。したがってその際に、何も公務員給与を特にどうするという考え方はございませんが、各施策、予備費に組まれない具体的な施策につきましても、その財政運営基本的な姿勢から見まして、この程度であらねばならぬ、したがってまた、予備費としてこの程度の額しか計上できないという、全施策の均衡から出てきた金額でございましてたとえば公共事業につきましては、昨年一〇%をこえるような伸びが、四%程度におさえているというようなことから見ましても、施策の斉合性から見まして予備費に千二百億円を計上するということはとり得る最も妥当な措置ではなかったかというふうに考えております。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総合予算主義として予備費として千二百億円を計上したということに対しては、私はその千二百億円を云々するものではないわけですけれども、しかし、当然いろいろな数字的な観点から考えてみますと、そこに、すでに完全実施は不可能である。しかも補正は絶対に組まないのだということの矛盾さ、これは言えるのではないかと私は思うのです。政府は、人事院勧告については尊重するということをたてまえとしていると言いながら、実際には金の出どころはどこかといえば、結局はそういう予算の点になってくるわけです。その予算の点をつまびらかに見てくると、そこに私は矛盾があるのではないか、その点についてあなたはどう思いますか。
  218. 海堀洋平

    海堀説明員 これは予算編成に際しましていろいろ論議されたのでございますが、公務員給与についても、いわゆる十二月の予算編成期にこうしろという人事院勧告というものがあって、それを各施策との均衡を見まして処理ができれば、これがほんとうは一番望ましい姿だと思います。ただ、そのときに、人事院総裁からいろいろと御説明がありましたように、そういう形には現在とてもできないということで、将来の問題としては検討に値するにしても、予算編成の時期に公務員給与の将来のあり方について勧告することは無理である、現状においては確かにそういうことはなかなかとりにくいであろう、そうしますと、去年の十二月−一月の時点におきまして、いままでだとそういうことは念頭からはずしまして、予算の編成を行なったわけでございます。ただ、四十三年度というものは税収を目一ぱい見ており、また経済の見通しから見ましても、その税収がさらにふえるというふうな状況が見通せないがゆえに、各施策の均衡上、予備費をできるだけ増額してそういう不測の事態に対処するとともに、各具体的な経費の計上につきましては、年度途中で不足が出ないようにという十分な配慮をいたして編成したわけでございます。したがって、初めから政府はどういうふうに人事院勧告があってほしいとか、あらねばならぬということを考えたのではなくて、財政運営基本的な姿勢の中において、各施策の均衡を考えた結果、不測の事態に対処するその不測の事態というか、予測し得ない事態に対処する対象としては、もちろん人事院勧告も予想したわけでございますが、そういう予見できない経費の不足に充てるために千二百億円という予備費を計上したわけでございます。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 田中総務長官の言うように、確かに災害がなければそれにこしたことはないと思います。しかし、災害国日本を思うときには、毎年毎年の一年平均の予備費というものは必ずといっていいくらい大体五百億円を前後として出されておるわけであります。そういうふうな観点から考えますと、どうしても私は人事院勧告完全実施というふうに出されてもそこからはみ出す、要するに、予算補正を組まないという点において私はどうしても納得がいかない、その点について総合予算主義であるけれども、もちろん完全実施をするためにはどうしても補正を組まざるを得ないというのだったら私はわかるわけですけれども、そこにおきめようとするところに無理があるのではないか、またおきめようとするところに今度完全実施ということはくずされてしまうのではないか、そういうように私は思うわけですが、この点についてもう一度お伺いしたい。
  220. 海堀洋平

    海堀説明員 経済の運営財政運営というものは年々のこともありますが、やはり日本の将来、日本経済の将来というものも見通しまして、その時点において最も適切な経済運営財政運営をはかっていくことが内閣の与えられた使命であろうと思います。その中において、それぞれの施策の均衡をとっていくということが財政運営基本的な姿勢でなければならぬと思います。したがって、たとえば災害が非常に起こった場合には、災害に対しては対処しなければならないと思います。しかし、災害の復旧というものは、御存じのとおり、公共事業でございまして、非常に景気刺激的効果が大きいという場合に、災害があったから予算をふくらしていいという形に、すぐものごとはいかないだろうと思います。そういうふうに非常に経済が不況であって、財政の側から刺激を与えてもよければ、そういう時点には、災害復旧について、それだけの増額ということも可能だろうと思います。しかし、現在のように、まだ引き締め自体の浸透度においても疑問のあるような際におきましては、やはり全体の予算国民経済に与える影響を十分に考えて施策をとっていかなければならぬ。したがいまして、費目については多少の、先ほどもちょっと御説明しましたように、あるいは節減したり、あるいは流用したりという問題がございましても、現在の日本経済の置かれている立場、世界経済の動向から見まして、現在の予算規模をふくらましてもいい、総合予算主義を守らなくてもいいというところは、現在の日本の経済の事情から見てとても出てこないのではないかと考えております。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは次ですが、勧告実施確定が毎回十月以降にきまり、新旧給与との差額がようやく十二月ないし一月の時期になって支給されている現状であります。政府はこれによってばく大な利ざやをかせいでいると非難されてもしかたがない。勧告が八月に行なわれ、支払いが数カ月も引き延ばされるような悪い慣行、このことについてどのような御見解を持っておりますか。
  222. 海堀洋平

    海堀説明員 これも、先生よく御存じだと思うのでございますが、人事院勧告が出まして、政府立場としてはできるだけ尊重したい。これはもう法律上そういう形になっております。ただ、日本の災害というものは、御存じのように大体八月の終わりから九月いっぱい、たとえば、あの大きな伊勢湾台風でも九月の終わりであったと思うわけであります。そういう時期に出るわけでございます。そういう追加財政需要として大きな部門を見きわめないと、あと災害の復旧ができないというような事態になっては、これはたいへんだと思います。そういう意味で、どうしても追加財政需要の大きなものの推移を十分に見きわめた上で、人事院勧告をできるだけ尊重するという立場で、それらの追加財政需要全体を均衡ある処理をとりたいということで、いつも十月ごろに大体意思決定が行なわれるということになっております。したがって、もし、災害はこの程度あるだろうからということで、非常に安全を期して処理ができるような状況であれば早く決意することも可能かと思いますが、そういうことは非常に国政の運営上危険なことでございますので、やはり追加財政需要の全体のほぼ落ちつく先を見きわめて、人事院勧告の処理についても決意しているのが従来のやり方でございます。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、どうもそのところが納得いかないのですが、財源の不足、景気の過熱、災害の予測ということを考えて、そしてすべて公務員給与を決定していくというような行き方は、本来の人事院勧告に対して非常に間違った考え方ではないか。大蔵省としてはそういうような考え方であるかもしれませんけれども、私は、その点について、そうあるべきではない、そのように思うのですが、その点ひとつ人事院総裁、いかがですか。
  224. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私は、また私の立場を持っておるものでございますから、したがって、いまの鈴切委員の御発言に対してはなるほどなという気持ちをもって拝聴しておりました。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院民間給与実態を、先ほどもお話がありましたように、四月に行ない、その結果、公務員給与引き上げの実施を五月にしております。なぜ五月でなくして四月実施としないのか。その理由について、先ほど少しお話がありましたけれども、はっきりしたことをお聞きしなかったのですけれども、その理由についてお願いしたい。
  226. 佐藤達夫

    佐藤説明員 実は、はっきりしない事柄でございますものですから、お答えもはっきりしないお答えをしてまいったのであります。御承知のとおり、従前はなるべくすみやかにという表現で勧告をいたしておりましたのでありますが、その後五月実施ということにしまして、そういう形でずっと今日まできておるわけでございます。先ほど触れましたように、なるべくすみやかにというのではいけないじゃないか、はっきり実施期日をうたうべきじゃないかというようなことは、当時国会の御議論にも出ておりました。そのときは、四月の調査なら五月からするのがほんとうじゃないかという御発言がほとんどで、そればかり出ておったわけであります。しかし、なぜ五月かという理由は、速記録を拝見しましてもわからないわけであります。しかし、そういうばく然たるお気持ちからそういうことが発言となってあらわれ、人事院当局もそれでずっときておったのではないかと思います。しかるに、最近二、三年来、四月調査なら四月にさかのぼるべきではないかという御意見が方々から出てまいりました。率直に考えてみますと、なるほどこれも間違いとはいえないのではないか、それも理屈ではないかというような気持ちに——私自身非常に正直なたちのものでございますから、それも一理あるなというところまで気持ちが動いておりますというようなことも申し上げてまいったのであります。しかし、それでは五月実施が間違っておるというところまでいっておるかというと、そこまで割り切れないというようなことで、相当謙虚な立場で、そういう点なお検討はしておりますけれども、ただいまこの席では、いや四月のほうに踏み切りましたということを申し上げる段階までには至っておりませんので、なお検討を続けます。
  227. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私のほうの意見でありますけれども民間給与の実態調査が四月末現在で行なわれ、公共企業体職員の給与改定が、労働委員会の裁定どおり四月から実施されている現状から見ても、民間職員との給与格差を是正するとのたてまえをとっている以上、四月にするのは当然だと思います。そして、財源不足だとか景気過熱だとかを理由に実施時期をおくらせるということは、本来の人事院制度あり方基本的にゆがめてしまうのではないか、それが心配されるわけです。また、政治的配慮を必要とはしない、すなわち中立の第三者機関としては、四月に調査をしたときから民間企業の給与公務員給与格差があるのだから、当然、五月でなくして四月から実施すべきではないかと思うわけでありますけれども、その点ひとつ参考にしていただきたいと思うわけであります。  現在は、完全実施人事院勧告しても、実際には完全実施されなくて、平気でマンネリ化しているような傾向であります。実に九回も繰り下げというような状態になっている。人事院は、政令二百一号によって公務員労働者から団体交渉権と争議権を奪う代償として、中立的な第三者機関として設立された以上、公正かつ公平に公務員給与を決定するためにも、勧告は当然全面的に実行されなければならないにもかかわらず、政府は極力尊重を唱えながら、財源不足や景気過熱を理由に、過去約二十回、これまで一度も勧告完全実施したことはありません。こうなると、人事院の存立の価値、また制度の権威に対して大いに疑義があるように思うのでありますが、本年完全実施をさせるのにどのような積極的な具体策をお持ちであるか、また、その決意についてひとつ人事院総裁からお伺いしたいと思います。
  228. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大体の御趣旨は全く御同感でございます。われわれとしては本年も例年どおりこれが完全に実施されますように全力を尽くしてまいるつもりでございますが、大体この公務員法のたてまえから申しまして、勧告を、内閣は当然でありますけれども国会にまで直接勧告するという道を一政府機関に法制上保障しておるということは相当重く見た扱いを法律自身やっておることであろうと思います。したがって、人事院総裁努力をしますけれども勧告をお受けになりました国会の側でこれを結局おきめになるわけでございます。私どもとしては国会のほうのお力もひとつ十分お願いしたいという気持ちでおるわけでございます。
  229. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国会のほうは御存じのとおりいつ何どきでもその点についての腹はきまっておりますし、またそのためにきょうのこのときも持たれたわけであります。しかし政府原案が国会に出てきて大筋の手直しが実際に国会でできたということはあまりないわけです。そこでいまの政党政治のたてまえからいうと、政府原案がきまるというところに私は勝負どころがあるんじゃないかと思います。そうしますと、人事院立場からいうならば、当然そこに一つの戦いの焦点を置いていかなくてはならない。また人事院総裁としてはそこに突っ込みを持っていかなければとうていこの問題が解決されていかないのではないか。要するに勧告をしたのだからあとは野となれ山となれ、自分のほうの責任は済んだ、国会あるいは政府にも勧告をしたんだからというようなことではいつまでもこの問題は解決されない。少なくとも人事院総裁として、完全実施をされないということはあなたが勧告をされていながらも非常に身の切れるような思いがするんではないかと思います。それであるなら私は当然ことしはその点に一つの焦点をしぼって力を入れていくべきではないか、そう思うのですが、その点の御決意をお願いします。
  230. 佐藤達夫

    佐藤説明員 おっしゃるとおりの決意でおります。
  231. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ILOのドライヤー勧告はその中で、公務員の統治権者としての政府と、使用者としての政府との区別がはっきりしてないという点を指摘をしております。政府は実際に失政を行なっていながら公務員が何かやるとすぐに処罰をするというようなことをやっております。すなわち勧告完全実施せよと要求する運動に対しては終始取り締まりを強化し、弾圧を続け、執拗に低い賃金政策を固守しようとしております。しかも人事院勧告した完全実施の繰り下げに対して、こん身の勇気をふるいあらゆる努力を重ねて今日までいろいろと来たというふうにいわれておりますけれども、結局だめだったでは、あまりにも公務員がかわいそうであると私は思う。言うならば、手も足も縛って値切り倒されてもどうにもならないというのが現在の公務員給与のシステムであるといわざるを得ないわけですが、その点について改善をすべきではないかというように私は思うのですが、その点についてお伺いします。
  232. 佐藤達夫

    佐藤説明員 お話の筋をたどっていきますと、勧告制度から脱却して団体交渉権を復活せしめるとか、あるいは争議権までも復活せしめたほうがいいのではないかという方向におそらくつながる問題だろうと思います。私どもはそういう大問題についてはとかく申し上げるべき立場にはないのでありまして、制度上は公務員法の誠実な実施に当たるということが人事院の責任として明記されております。そういう幅の広い問題にとやかくくちばしを入れますよりも、むしろ現行制度のもとにおいての制度が完全に実施されるように万全を期してすべての努力を傾注するということが私どもの当面の責務であるというふうに考えております。
  233. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院勧告では従来の公務員等級別標準職務表と民間の各職務の表との比較対応をしておりますが、これは非常にバランスがとれていないように私には思えます。公務に類似する職種官民給与比較は現在行なっておりますけれども、経験年数や年齢、学歴等を同じにそろえた比較は行なっていないようであります。同一比較であるならば公務員給与のほうがもっと高く支払われなければならないのではないか、その点にどうも不公平があるのじゃないかというふうに感ずるのですが、その点どうでしょうか。
  234. 佐藤達夫

    佐藤説明員 あとの分からお答えを申し上げますが、昔は六三ベースとか何とかベースということで、給与の引き上げについて、ことしは六三ベース勧告だったというようなことを言いました。これは公務員平均賃金が六千三百円に上がるということを示した表現だったのです。近ごろはそういうことはあまり言いませんけれども、たとえば去年の勧告はその言い方でいくとどのくらいのベースになるかというと——とにかく数字はいいですが、何万ベースということになるわけです。そうしますと、一般民間給与の上がりの平均としていわれている数字よりも実は高くなっておるわけなんです。そこでわれわれとしては、公務員だけがいいことをやっているのじゃありませんよ、なぜ高く出たかというと、いまお示しの学歴だとか年齢構成が民間と違うのだから、こっちのほうが民間より高いものだからそういう数字になって出ます、決してこっちだけが特権的に得をしているわけではありませんというようにある場面においては説明をしなければならないこともあるわけであります。そのことが示しますように、いま御指摘のような年齢とか学歴関係のことは十分計算をし、調整した上できっちり合わせている。それから職種関係でも、いろいろ御批判はありますけれども、われわれとしてはそういうような精密な分析のもとに突き合わしておるということでございます。
  235. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 勧告原則は、配分は職務の種類と責任に応じてきめることになっている。なるほど公務員給与は職務の種類と責任に応じた十五種類の俸給表によって支払われておりますが、全体的には生活給的要素が依然として強く、職務の種類と責任に応じた給与がそれほどに反映されてないように思うのです。研究職とか医療職等の専門職に相当する職種給与に職務給的要素があまり反映されていない、そういう点においてどうも公平を欠くばかりか不合理である、今度の勧告においてその点の職種に属する職員の給与に対してはどのような配慮がされるかということについてお伺いします。
  236. 佐藤達夫

    佐藤説明員 おことばにありましたたとえば研究職だとかあるいはお医者さんの関係あるいは学校の先生というような面その他それぞれの職種によって職務と責任が違うわけであります。私どもの従来の勧告におきましてもその点は十分留意しながらやってはおりますけれども、残念ながら皆さまからこれで十分だという称賛のことばは受けたことはないわけであります。したがいまして、その辺は十分とはいえないかもしれません。しかしながらわれわれとしてはそういう努力は積み重ねておるわけです。ただ、最初におことばにありましたあまりに生活給的ではないかというのは、実はこれは非常なポイントをついているおことばなんですね。要するに一般給与水準というものがずっと高ければ、これはすべて職務給的にずっと上から下まで割り切るということはできますけれども、御承知のように、職務給で徹底いたしますと、たとえば昇給の幅というものは非常に狭くなる。この仕事についている人はあとはくぎづけだ、あるいはせいぜい三、四号だという幅しか認められない、すぐ頭打ちが来てしまって生活に困るということで、現在の給与水準一般的に理想的な点からはまだ相当低いということは残念ながらこれは承認しなければならぬ、したがって、生活のほうによほど重きを置いて考えませんと、今度は食えなくなってしまうという面がありますから、生活給的になっているという御批判はまさにそのとおりであります。しかし、それはまた今日としてはやむを得ない姿であるというように考えます。
  237. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 また、公務員給与は単に民間給与比較できめるのではなく、生計費の変動を十分に考慮したものでなくてはならないと思います。八等級二号の初級試験の合格者ばかりでなく、もっと拡大して、二十五歳とかあるいは三十歳等の標準生計費をはじいて、それではたして生活ができるかどうかということについて勧告すべきではないか、それのほうが非常に親切でもあり、当然人事院としてとっていくべき姿ではないかと思うのです。その点いかがですか。
  238. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先ほど来申しましたように、私ども民間給与調査は非常に精密にやっておるわけでありまして、その民間給与というのはどういうふうにしてきまるかといいますと、大体労働者の方々が、物価が上がった、生計費が上がったということを旗じるしに掲げて団交なりあるいは争議権を行使されて、そうしてかちとられた額が、民間給与としてきまるわけです。したがって、その民間給与の中には物価の上がりも生計費の上がりも織り込まれているという見方が普通できるわけです。それに徹底すれば標準生計費も何も考える必要はないんで、給与給与とぶつければ、そこへ物価も何も織り込まれているということになりますけれども、それではどうであろうかということで、私どもはそれをささえる意味で標準生計費を特別に算定いたしました。そして、いまおことばにありますように、少なくとも八等級の二号ですか、高校卒の独身の男子の初任級をきめる場合には、標準生計費をもってささえとする、これを下回らないようにという考慮をして初任給をきめているわけであります。先ほどお話に出ましたたとえば二人世帯だとか三人世帯というようなものもあるわけであります。私どもは、初任給の場合ほど鉄則的には考えておりませんけれども、この年になればこの号俸になるだろう、そうすると、このところ大体世帯を持つであろうということで、給与とその点を常ににらみ合わせながら考慮はしておりますということは申し上げられます。
  239. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中途採用者においては食えるか食えない賃金であるということは、賃金体系に私は非常に問題があるのじゃないかと思うのですね。そこで年齢別の最低保障ができるような賃金体系として、国家財政の見地から公務員独自の賃金政策が検討されなければならないように私は思うのですが、その点について。
  240. 佐藤達夫

    佐藤説明員 今日の環境から申しますと、あまり独自性を発揮した賃金政策も立てるわけにはいかぬ。やはり納税大衆を含んでおる国民大衆の方々をも含んで御納得をいただかなければならぬということでありますから、やはり民間給与をまずとらえてこれを大きな基準にしてやっていくというたてまえをとっておるわけでありますけれども、しかしまた公務員部内におけるバランスの問題もありますし、それはそれとして考えておるわけであります。中途採用のお話も出ましたけれども、中途採用についても同様でございます。大体民間の場合をも考慮いたしまして、あるいは民間での過去の前歴というものも考慮して、これを取り入れて、給与算定といいますか、個人個人の給与を割り振る場合、そういうたてまえでやっております。
  241. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど大出議員から諸手当その他についていろいろ質問がありましたので、もう少し煮詰まった段階においてまた再び質問をするということにして、どうか人事院総裁としては完全実施をするという、そういう観点からもう一度力強い御決意のほどをお伺いします。
  242. 佐藤達夫

    佐藤説明員 十分努力をいたします。
  243. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では、けっこうです。
  244. 三池信

    ○三池委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会