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1968-04-25 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十五日(木曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 藤尾 正行君    理事 松澤 雄藏君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    荒舩清十郎君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       菊池 義郎君    佐藤 文生君       塩谷 一夫君    野呂 恭一君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       武部  文君    華山 親義君       浜田 光人君   米内山義一郎君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         運輸省航空局長 澤  雄次君         運輸省観光局長 深草 克巳君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     三井  脩君         運輸省港湾局参         事官      見坊 力男君         労働省職業安定         局審議官    道正 邦彦君         自治省行政局行         政課長     林  忠雄君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 栄文君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  磯江 重泰君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  岩田 勝雄君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  高橋 淳二君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 四月二十四日  委員塩谷一夫辞任につき、その補欠として大  平正芳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大平正芳辞任につき、その補欠として塩  谷一夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十三日  王子野戦病院開設反対に関する請願勝間田  清一紹介)(第四三五九号)  公務員賃金抑制及び定員削減反対等に関する  請願島本虎三紹介)(第四三六〇号)  金鵄勲章受章者処遇に関する請願丹羽久章  君紹介)(第四三六一号)  国及び地方公共団体建設関係職員現場手当支  給に関する請願外一件(原健三郎紹介)(第  四三六二号)  恩給年金受給者処遇に関する請願外十一件  (山内広紹介)(第四三六三号) 同月二十四日  元満鉄職員であつた公務員等恩給等通算に関  する請願外一件(受田新吉紹介)(第四五三  七号)  王子野戦病院反対運動による地元住民被害補  償に関する請願河野密紹介)(第四五三八  号)  王子野戦病院開設反対に関する請願(江田三  郎君紹介)(第四五九〇号)  同(勝間田清一紹介)(第四五九一号)  同外一件(河野密紹介)(第四五九二号)  同(長谷川正三紹介)(第四五九三号)  行政職俸給表(二)等適用者差別撤廃等に関  する請願川上貫一紹介)(第四五九四号)  同(田代文久紹介)(第四五九五号)  公務員賃金抑制及び定員削減反対等に関する  請願谷口善太郎紹介)(第四五九六号)  同(林百郎君紹介)(第四五九七号)  同(松本善明紹介)(第四五九八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一三号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八号)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を求めます。増田防衛庁長官
  3. 増田甲子七

    増田国務大臣 今回提出いたしました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由内容概要について、御説明申し上げます。  まず、防衛庁設置法の一部改正について、御説明いたします。  これは、海上自衛隊自衛官を八百三十人増加するための改正でありまして、この増員は、艦艇の増加に伴い必要となる人員並びに航空関係部隊及び後方支援部隊等の充実のため必要な人員であります。  次に、自衛隊法の一部改正について、御説明いたします。  現在、海上自衛隊航空集団は、司令部及び航空群からなることとされておりますが、この改正は、航空集団編成航空群以外の所要の部隊直轄部隊として加えることができるようにするものでありまして、これは、海上自衛隊航空関係部隊任務遂行の円滑をはかるためであります。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。      ――――◇―――――
  4. 三池信

    ○三池委員長 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  5. 大出俊

    大出委員 大臣が少しおくれておいでになるようでございますので、その前に、昨年の設置法改正のときに私のほうから提起をいたしまして、数々御答弁をいただいております航空関係の問題で、二、三点だけ簡単にその後の経緯をただしておきたいと思います。  航空庁構想大蔵省との間でつぶれまして、地方航空局ということで百十人の内示が行なわれたのが四十二年度の増員の内訳であったわけでありますが、このときに実施時期がだいぶずれてまいりまして、その間に現場との関係で無理な要員配置が行なわれたんでは困るということで、たとえば総務であるとか、あるいは庶務会計経理関係のようなものについて、大阪などの場合に一緒にされてやられることになるとどうも困るんだがと言ったら、それは明確に分けて考えております、そういう御心配は無用ですという御答弁があったわけでありますが、その後の経過から見ますと、どうも総務課がなくなってしまったり、要員一つもふえなかったり、また最近は総務課復活をお考えになって復活をされたようであります。しかし、一人も人がふえなかったということになっておりますが、これが先々どうも波及する点が出てきそうに思いますので、そこのところは一体どういうことになっておるか、またどうお考えかを、簡単でけっこうでありますから御説明を賜わりたいと思います。
  6. 澤雄次

    澤政府委員 大出先生指摘のように、地方航空局設置につきましては、無理をしないように段階的にこれを整備していって、場合に応じて本省仕事を移していくという方針で昨年実施いたしました。まだ本省から地方局に移すべき事務も完全に移っていない。これは定員的に地方航空局配置は完了したのでありますが、まだ事務のふなれその他の点から移っていない事務相当あるわけでございます。  それから総務課につきましては、昨年度地方航空保安事務所総務課がなくなったわけでございますが、これは地方航空局のほうの庶務要員航空保安事務所庶務も見るということで、実質上一緒にやっておったわけでございます。ただ、そういたしましても、航空保安事務所のほうでいろいろ支障があるということで、今年度の予算を通じまして総務課をまた復活いたしたわけでございます。地方航空局保安事務所とは場所も幸い近うございまして、一体となって庶務を処理いたしておりますので、現在のところ不都合は生じておりません。
  7. 大出俊

    大出委員 地方航空局総務経理補給要員ですね、このところに、これらの空港事務所の業務をあわせて行なうようという形になったわけですね。その関係地方航空局管理要員、ここにどうもしわが寄っている感じがするわけであります。たとえば技術系統方々まで監理部要員仕事をさせられるというようなことがあったようでございますが、これは仕事の分担の上では明らかに分かっております。そこで、東京空港事務所なんかで、この間も空港事務所の方に御説明いただきましたが、給与の計算事務であるとか支払い事務なんかでだいぶどうも忙し過ぎて間違いがあって、職員方々から指摘をされたりいろいろあった。そのことについての責任を問われても、実際はどうにもならぬという担当の方の御意見ですよ。私も非常に心配しておりましたが、この四月一日から総務課復活をされ、発足をするという話を聞きましたので、何とかこれはうまくいくのかなという気がいたしましたが、定員が一名もふえない。そこで大阪空港事務所なんかの場合、警務課との統合案について、近畿の航空支部大阪空港分会なんかの組合のほうからもいろいろ意見が私の手元に参りました。その後、何か大阪組合の役員の方々が出かけて行って局長さんと交渉した情報などを私も見ましたが、どうもこの統合案というのは少し無理があるというので再検討する、こういうふうな局長さんの答弁が載っておりましたが、これは再検討の結果どういうことになるのかということ、ここのところだけ承っておきたい。
  8. 澤雄次

    澤政府委員 現在のところ、警務課総務課統合案ということは考えておりません。総務課総務課として将来にわたって定員要求を続けてまいりたいというふうに思います。
  9. 大出俊

    大出委員 東京空港事務所に十八名、それから大阪空港事務所で十五名、これは現に要員が必要なのですよ。ところがない。そうすると、この現実からいくと、各官署からの配置転換だとかあるいは転勤希望だとかいうふうな形のものをもし求めようと皆さんがされると、前に私が、いわく引き抜きという形のものはしわが寄るのだからやめてもらいたいということを申し上げたら、いたしませんということでしたが、強引に引き抜くのじゃない、希望をとったのだからという形でそれをおやりになると、あるいは中には転勤したいという人もいるかもしれぬ。しれぬけれども、それならそのあと補充をちゃんとして転勤をしていただかないと、いわく引き抜きをしてしわが寄る。先般の私の質問に対する御答弁と食い違うことになります。そこらのお考えはあるのかないのか承っておきたい。
  10. 澤雄次

    澤政府委員 今度の機構改革につきまして、先生からも御注意がございましたように、無理な人事の配置転換はやらないということで、これは本人とよく詰めて人事院配置をやったわけでございます。それで、あと補充につきましては、私どもとしてでき得る限り補充をいたしたつもりでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 ただ、これはどこの職場でも、陸運局なんかでもそうでありますが、ずいぶん人が足りない現実がございます。内閣委員会におりますから、そういう点が目につくせいかもしれませんが……。  そこで、いろいろ、皆さん管理監督立場にある方々組合側とのやりとりなどを客観的に情報で読ましていただいたり、おのおの出し合っているものを資料として私持っておりますが、それをながめたりいたしまして、東京空港事務所でいえば総務警務というところの要員がどうもやはり足りないようだという気がするのであります。それは組合皆さんの言うように二十名ということがはたして妥当かどうかという点には異論があろうと思います。思いますが、足りないことは現実だろうと私は思うのです。会計なんか見ましても、十名前後足りないというお話がありますが、これも確かにそうだろうという気がする。それから大阪空港事務所でも、総務要員の十六名だとか会計要員の九名だとかいう要求組合から出ておるようでありますが、これも現実に聞いてみるとずいぶん無理がある、こういう気がするのでありまして、おそらく管理監督の地位におられる方々は、足らないことはお認めになっているだろうと思うのです。思うのだが、その要求大蔵省予算編成のときに認めない、こういう事情なのだろうと思うのです。できるだけ足りないものは足りないとお認めをいただいて――航空関係は例の事故以来問題が非常にむずかしくなっておりますから、管制要員一つつかまえてみても大きな問題になります。だからそういう点をできるだけ、多少の時間はかかっても――引き抜いて当面埋め合わせをしなければならぬ面もあるのかもしれないけれども、そうすればしわが寄るわけでありますし、従業員との間の摩擦、トラブルも起こるわけであります。ぜひひとつ、これらの要員確保を前向きで大蔵省に向かって――これは現場なのですからね、そういう意味で御努力をいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  12. 澤雄次

    澤政府委員 ただいま大出先生の御質問のように、前向きで懸命に定員確保努力いたしたいと思います。
  13. 大出俊

    大出委員 昨年私、進入灯だとか、あるいは進入角指示灯だとかいうところから始まりまして、各種空港のこまかい要員の御質問を申し上げたことがあるのでありますが、そのときにも、実はあわせて申し上げておきました大阪、岩国、枕崎などの管制通信あるいは札幌、福岡の通信、また航務、それから全国各所航空無線標識所技術要員職場、こういうふうなところの勤務態様等は、前に申し上げましたから詳しくは申し上げませんけれども、一人夜勤という形のものが――これは、空港は二十四時間動いておりますから無理からぬ点はあるのです。夜間勤務があって決して悪いとは申し上げません。申し上げませんが、一人夜勤という形になりますと、やはりこれは問題があると思うのです。このロードが技術的な面を含めて非常にむずかしいところは昨年人事院にも多少のことは認めていただいて、幾らかかっこうがつきつつあります。ありますが、やはり一人夜勤の問題が片づいていない。一つ官署を形づくっております限りは、一人配置ということは避けなければいかぬと思うのです。まして、夜間の一人配置ということは避けなければいかぬですね。たとえば法務省なんかでも、出入国管理事務所なんかで出張所をどんどんつくります。ところが一人となりますと、これはどうにもならない。だから最低限度二名ということにして、非常に忙しい高知なんかのような空港でも二名、非常にひまなところでも二名、非常なアンバランスなんだけれども、一人配置ができないということで二名にしているわけです。登記所なんかの場合には一人配置がございます。また郵便局なんかでも、特定郵便局には一人宿直というのがある。ところが、これは随伴形式をとって、もう一人宿直をさせないといろいろな事故が起こる、こういうわけです。まして航空関係ですから、二十四時間勤務はわかりますけれども、やはり夜間の一人配置というのはどうしても避けていただきたいという気がするのです。この辺のお考え方をひとつ聞かせていただきたい。
  14. 澤雄次

    澤政府委員 先生のおっしゃいますように、一人配置というのはいろいろ障害があるわけでございます。ただ航空関係要員で、作業をする要員無線施設、それから照明もそうでございますが、保守管理要員とあるわけでございまして、保守管理関係要員増員ということは非常にむずかしいことであります。これは夜間勤務、たとえば照明灯でも、夜間勤務をいたしておりましても、故障がなければ何にもすることがないわけでございます。それで二人おりましても、一人おりましても、三人おりましても、火が消えるときは何らかの事故で消えるということでございまして、これは先生よく御承知でございますが、予算技術的にも、こういう保守管理要員増員ということは、現状では非常にむずかしいということでございます。しかし、御趣旨は全くおっしゃるとおりでございますので、この定員増につきましても、今後努力を続けてまいりたいと思います。
  15. 大出俊

    大出委員 これは照明灯と一口にいいましてもいろいろあります。また何々灯といっても、進入角指示灯もあれば、あるいは滑走路灯だとかいろいろありますから、技術免許を持っていなければ、消えたからといってこれは直せないですね。だから、その人が来るまで直らない、そういうところも確かにあります。だから一様にはまいらぬと思います。この点は、私も認めることにやぶさかでないのですけれども、しかしいずれにせよ、たとえて言えば、今年一月ですか、大阪空港事務所管制通信室勤務した方が、かぜ相当悪いのを押して一名で勤務をした。言うならば一人夜勤ですね。ところが、この方はその後におなくなりになっている例が一つある。これは実は医学的に見たら、必ずしも一人夜勤が直接的な死因であったかどうかという点はあるでしょう、学問的には。しかし、やはり相当疲労度の上にかぜをひいておったということは事実であります。だからそういう点は、後々になって、学問的に医者の意見でそのことが直接的死因であったとかないとかいう論争を巻き起こすのはやぼなことでございまして、いずれにしても、そういうことはないほうがいい。だから、先ほど来申し上げているように、必要なことは必要とお認めをいただいて、一ぺんにどうにもならぬとしても、それをひとつ年々――今日ただいま中曾根さんが大臣でございますから、なるべく力のある方に大臣をおやりいただいて、特に航空関係等についての要員充足には、私ども予算編成の過程で、ここでずいぶんものを言った責任上、大蔵省担当主計官主計局長次長等にいろいろものを言って歩いた経験もあるのであります。そういうわけで、ぜひ前向きで解決に御努力いただきたい。一人夜勤をなくすという原則は立てていいのじゃないかと私は思うのでありますが、いかがですか。
  16. 澤雄次

    澤政府委員 全くおっしゃるとおりでございまして、現在でも、一人夜勤のところはなるべく配置の上でやめるように努力はいたしておりますが、まだ総体の定員不足でありますので、一人夜勤のところが相当ございます。それはおっしゃるように、原則として二名の方向で定員要求をがんばりたい、こう思っております。
  17. 大出俊

    大出委員 昨年私が取り上げました研修要員の問題ですが、札幌なんかだいぶ穴があいておったりいたしましたが、その後これはどういうふうに動いておりますか。
  18. 澤雄次

    澤政府委員 研修要員につきましては、今年度予算では振りかえで十二名の研修定員がつきました。これでは非常に不足でございますが、一応前向きに出たわけでございます。しかし、さらに基本的には、これはいろいろ御助力を得まして、航空職員研修所――これは来年度から発足するわけでありますが、そういうことで、本年度、建物その他の予算がつきました。これが来年から発足いたしますと、管制官が四十名で二年。ですから八十名です。それから無線が三十名、これは一年。それから通信が二十名、これも一年でございます。こういう研修所定員が来年から正式に認められることに大蔵省話し合いがつきました。おかげさまで非常に前進いたしました。この点は来年から非常に改善されると思います。どうもありがとうございました。
  19. 大出俊

    大出委員 たいへん前向きで御努力をいただきまして、私もいろいろ心配をして問題提起をいたしましただけに、お礼を申し上げるわけであります。いずれにしても、だからといって満足であるわけではないのでございまして、この一定の資格を必要とする職種、これは幾つもございます。昨年長時間申し上げましたから、もう申し上げませんが、こういうところにはそれぞれ研修が必要でございます。そうすると、定員のそれぞれ一割近い研修要員みたいなものを、これは定員のワクとしてやはりお考えいただかないと、どうも御答弁と、実際にその後私が調べた中身と食い違いますので、何とかこれまたそういう努力を、せっかくの上げ潮の機会にお続けいただきたいと思うのです。  それからもう一つ、この資格を有していない研修生を現場実地研修をさせる、こういう場合です。私も郵政省の専門学校の出身でございますから、無資格の時代にいろいろ現場実地研修なんというものがございましたが、これはやはり資格者が十分に監督できる、指導できるという形をあわせて行なっていただかないと、定員が足らないという現状から、とかくそれが実務要員並みに使われていくということになりまして、やはり何かの間違いが起こることになります。したがって、それらも直接指導のもとに配置が行なわれるようにお骨折りいただきたいのであります。そうでない実例も幾つかありますが、一々あげている時間がございませんので、結論を申し上げているのですが、ぜひそういうことで御努力をいただきたいと思います。
  20. 澤雄次

    澤政府委員 ただいま申し上げましたのは本研修本科生でございますが、今度の研修所に再研修の制度も大蔵省と打ち合わせをいたしておりまして、資格のない方を再研修して資格をつけるように努力してまいりたいと思います。
  21. 大出俊

    大出委員 私ども、当委員会に席がございますから、そういう点については皆さんだけでなしに、私ども努力したいと思っておりますけれども、ひとつぜひ御尽力をいただきたいと思います。  大臣がお見えになりましたが、要員確保の問題につきましては、私ども立場からも大蔵省折衝までやった問題のあと処理をいま御質問申し上げまして、それぞれ前向きの御答弁をいただいておりますけれども大臣からも、お見えになりませんでしたが、ひとつ御報告をおとりになりまして御努力をいただきたい、こう思います。  ところで、これはぜひ大臣に格段の御努力をいただきたいという問題があるのであります。予算分科会の時点で、労働大臣の小川さんに私のほうから、あまりといえばあまりな状況が出てまいっておりますので御質問を申し上げて、その後御努力はいただいているのであります。と申しますのは、六大港いずれにも問題があるわけでありますが、私横浜におりますので、特に横浜の例を取り上げて御指摘を申し上げ、御努力をいただいているのであります。港湾労働法の制定が行なわれて、その後その法律に基づいて港湾労働が船内なり埠頭なりで行なわれているのであります。ところが、横浜でいいますと、ギャング数の想定から地区審議会で始まりまして、初めから足らないことがわかっている形で取りきめが行なわれる、これは月頭、月末の集中配船との関係がありまして、港湾運送業者立場からすると波動性が強い。だから常用の形でいつも雇っておるということは企業収益企業経営の面からプラスではない。こういうことから常用を非常に押えて、三・三答申の趣旨からいたしますとずいぶん違った形、それから、当時労働省運輸省との話し合いの結果行なっておりますものの考え方から格段離れた形で行なわれているわけであります。したがって、横浜で申し上げれば桜木町の駅のまん前のところ、大江橋という橋のたもとから桜木町の駅前の商店街、それから花咲町に向かっての商店街、そういうふうな商店街のまん中に朝の五時過ぎからぼつぼつ人が集まりまして、三百人、多いときには六百人ぐらいの方々がたむろをいたしまして、ここに手配師なる方々があらわれまして、何々組というのが背景にありまして、そこで十六条のただし書きが安定所長から発動されますと、門前募集の形で街頭募集をする。かつて浪人組などと言っておられた形のものがたいへん組織的になりまして続いている。天候いかんによりましては、非常に多くの人がそのままそこに残ってしまいまして、一日じゅうその周辺で酒を飲んでひっくり返っておったり、中にはばくちをしておったり、店先のものをたまたま失敬をしたりというようなことが常時続いている。車が入ってくると、とめてしまって幾らか金を払わぬことには通してくれない。女性なぞは全然歩けない。こういう状態で、ちょうど戦争直後の状態が今日まで尾を引いているわけであります。昭和二十七年ごろにこの問題を横浜市議会が取り上げまして、ずいぶん努力をして、それなりの施設を寿町というところにつくりました。これは労働省の方よく御存じでありますが、普通の職業安定所と港湾の職業紹介所と二つ並列をいたしまして、大半をそこで吸収をしたのでありますが、それが今度なおかつ六百名近い方が集まったりする、常時三百ぐらいの人が毎日集まっておる、こういう形であります。したがって、これは労働行政の方面からもとらえていかなければならない大きな問題であります。かつまた、ここに港湾運送業者方々が毎日車を持って参りまして人を集めていく。これは何カ月という期間集計をいたしました。会社とそれから集めにくる車のナンバーから全部ここへ記録してあるわけでございますが、この中身は、明確に職安法違反というふうに断定してもいいものがたくさんあります。そういう状態に置かれているわけでありまして、それを承知で各港湾業者の方々が車で集めにいく。こういうことになりますと、これはそういうことに現実になっているのだからしようがないと捨ておける筋合いのものではない。したがってこの問題は、労働行政の面と運輸行政の面と両方から処理をしないと片づかない、こういうふうに実は考えまして、労働大臣予算分科会で御質問申し上げたわけでありますが、このときに運輸省の所管の方に御出席をいただいておいたわけであります。その後私念を押しましたら、その旨報告をすべてしてあるということでございました。この事実について御存じであるかどうかを大臣に実は承りたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 横浜のケースについては、私はよく存じません。しかし、各港湾にそれに似たようなケースがあるということについては報告を聞いております。
  23. 大出俊

    大出委員 私もわが田に水を引く気持ちはございませんから、似たようなケースを御存じであればけっこうであります。最近では神戸三宮がずいぶん努力をした結果ようやく片をつけたわけでありまして、横浜市、神奈川県、両方から、三宮の実情調査等も私のほうから提起をいたしましてしてもらってあります。しかし、これは川崎にもございます。六大港ほとんどこの種のケースがいまだにある。だから、どこかを一つの突破口、モデルにいたしまして、六大港の、言うならば戦後処理に近いものを含んでおりますから、あわせてこれは片づける努力をいただきたい、こう思っているわけであります。  そこで、この実情がここにありますので、ひとつ大臣に差し上げておきたいと思うのでありますが、(大出委員、運輸大臣に資料を示す)これがやっている場所なんです。集めに来る業者の車があって、ばくちをやっておったり、たいへんなことなんです。あとで見ていただけばわかりますが、それは商店街でありまして、さびれる一方になってしまう商店街であります。この商店街は、一万七百坪にわたる広大な地域の商店街であります。桜木町駅前の非常に大きな地域であります。したがって、そこの町内会、駅前商店街が集まりまして再三再四その問題を論議してまいりました。そうして各新聞に訴えまして、ここ一年ちょっとの間ここに全部新聞を集約してありますけれども、神奈川新聞はもとよりのこと、朝日、毎日、読売、産経、このすべての新聞が全部その問題を取り上げて載せているわけであります。「たむろする労務者に悩む桜木町駅前商店街」、これは昨年の八月二十四日でありますが、「売り上げに影響、県、市に排除してと陳情」、「法的に手が出ない」という県、市の答弁が載っているわけであります。これは新聞記者が非常に義憤にかられて警察、県、市などがなぜほうっておくのだという書き方をいたしておるわけであります。これなんかも「風太郎さん自粛して」ということで、これは朝日新聞であります。「道で酒宴やとばく」、こんなに大きく書いてある。これは朝日新聞の京浜版であります。桜木町駅前、これは写真まで載っておりまして、せっかくの商店街がどうにもならぬという実情でございます。これは、あげていけばもちろん切りがありませんから適当にいたしますが、港湾労働組合皆さん方が日雇いの皆さんに対して、十六条のただし書き発動後における労働組合という立場から見たものの考え方から、港湾労働者というものはすべて職安の窓口を通さなければ雇えないのだということになぜしてくれなかったか、そうでないところにどうしてもこういうものができてくる、そうしてくれれば大半が片づいてしまうのだがという観点、それから、そういうやみで紹介をされることが、まじめに港労法の精神に従って港湾職業紹介所に届け出て正規の手続で雇われていく、輪番にしろあるいは有期にしろ雇われていく方々、そちらのほうの足を引っぱってしまいます。やみのほうが値段がいいのですから、こんなばかな話はないですよ。正規に行った人たちは日雇い健保その他三つばかり差っ引かれます。それは将来その人のためになるには違いないけれども、手取りがうんと少ない。ところがやみのほうは、手配料を払ってその上に高いわけです。必要に迫られますから、よけい払わなければ手配師がうんと言わない。そうすると、正規に届け出た人たちが、そっちの相場が高いものですから、そっちへ流れてしまう。そうすると、港湾職業紹介所のほうは、いつも形式的に何時になれば発動されるのだから、ただし書きがこういうことでおざなりになってしまう。安い。普通相場千八百円くらいなければならぬものが千二百円だという。そこで日雇いの正規に届け出たほうがあぐらをかいて、もう安定所長がしようがないからつかみ金を幾らか出すということまでやって、それでがまんしてもらっているのです。そういうことが事実行なわれているのです。つまりやみ市場が公然と行なわれているために、正規の日雇いの港湾労働者の方々の賃金の足が引っぱられる。こういう状態では、これは捨ておけた筋合いじゃない。こうなれば港湾労働がないほうがいい。実はそういう実情が現にあるわけです。これらは放任できません。これは単に労働省だけではできません。なぜできないかといいますと、さっき申し上げたように、各企業の皆さんがそこに集めに来るからです。(大出委員、運輸大臣に資料を示す)これも差し上げておきたいと思います。これはその後もとってありますが、現にここに車を持って行って――車のナンバーから会社から全部ございますが、たいへん大きなところがみんな入っているわけであります。小さなところじゃないのです。その中には藤木企業のような有名な企業が幾つもあります。したがって、そういうことでは困ると思うのでありますが、この港湾運送事業法が改正されまして、単なる届け出ではないのであります。そうだとすると、それらの管理、監督権というものから、そういうことをする業者は認可しないとか取り消すとか制限を加えるとか、運輸行政の面から何がしかの行政指導、行政措置が行なわれなければ、改正港湾運送事業法の意味もない、実は私はこういうふうに思いますので、それらについての御見解を承りたいわけであります。
  24. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私はしろうとでありますが、いまいろいろお話を承りまして、まことにもっともな、筋の通った話のように思います。これはわれわれ運輸省のほうにも手落ちがあるかもしれませんし、また、労働省のほうと十分連絡のとれていないところがあるとも思われますし、また、労務の需給関係、こういう経済条件からして、こういう問題が出ているのかもしれません。よく関係各省と話をしまして、早期に解消するように努力してみたいと思います。
  25. 大出俊

    大出委員 実は、この桜木町駅前商店街等で、幾らこれを市に持ち込んでも、県に持ち込んでも、市の場合は、労働行政は所管でないという。確かにそのとおりです。したがって、市の委員会のいずれにも属さないものは総務委員会――第一委員会ということでありまして、そこに持ち込んで総務局の担当でやっているのでありますが、行政権は何もない。そこで、県の労働部長さんのところには、労働省との関係における安定行政その他の行政権がありますから、そこを中心に私も労働部長さんに何べんもお話をいたしまして、ようやく県の労働部長さんにも真剣にやる気になっていただきました。そうして昨年の十一月に、桜木町駅周辺環境整備協議会というものをつくりまして、警察や基準局、桜木町駅も入っていただき、県も市も入っていただくという形で、各行政機関を入れて相談を始めていただきました。しかしながら、県の労働部長さんが一生懸命やり出しましたら、国が何にもしないものを、県の労働部長一人が幾ら一生懸命やったってなんのことはない、何にもならぬじゃないかということを逆に言われる。それではどうにもならぬということで、私は予算委員会の分科会でこの問題を小川労働大臣に申し上げた。労働大臣もこの点については非常に共鳴をされまして、翌日神奈川県の陌間労働部長に電話連絡をされ、そのあと労働省においでいただいていろいろと実情を聞かれて、そうして労働省もひとつ一生懸命やろうということに大体なっていただけたというふうに実は思っておるわけであります。  私は、ここで荒々しいことを申し上げようという気は毛頭ございませんが、実はこの間に、駅前商店街の諸君は、むしろ旗を立てて、たむろする労働者の中に朝からすわり込もうという計画を立てました。本年の三月のことです。とにかくどうにもならぬ、商店で山積みしてあるくだものがひょいと持っていかれたり、酒屋では酒を並べていて、ダンボールなんかがそこらに積んであると、就労していないで寝ていた労働者諸君がだんだんと店ににじり寄ってくる、そのうちにダンボールがなくなると思っていると、ダンボールの中に酒の一合ビンをほうり込んでいつの間にか持って行ってしまう、こういうことがちょいちょいと出てくるわけです。それで、われわれも一人前に税金を払っている、国税も県税も市税も払っている、にもかかわらず、市に言っても県に言っても国に言ってもやってくれない、そうだとすると、売り上げは減り、その上に税金を取られる、捨てておけない、死活問題だというので、ついにむしろ旗を立ててすわり込むという計画ができ上がって、それをやった。集まってくる労働者諸君に携帯マイクで、おれたちの生活権なんだから、ここに集まらぬでくれといって呼びかける。そうすると、そこに集まる人たち、雇われて、やみでも何でも給料をもらうのですが、そういう人たちとぶつかり合いやトラブルが起こっても何もしてくれない。警察も国も県も市も何しているということになる。そこで私は、しかたがないから町内会の諸君を押えまして、県、市、警察に話を始めて、実は委員会に持ち込んだという経緯があるわけであります。したがって、もうここまでくると、押えに押えても押えきれない。何らかの方針を示していただいて、こういうことをするからということにならぬと、いま押えておりますけれども、毎日売り上げが減るという状況でありますから、人通りがだんだん減ってしまう。だから捨てておけませんので運輸大臣に問題を提起申し上げておるんですが、この点をぜひ実はおくみ取りいただきたいのであります。  そこで、これも参考までに申し上げますが、この手配師などの調査の実態報告というのを私もずいぶん苦労して――明確に安定法違反でありますが、必要ならばいつでももっと詳細なものを提出いたします。人の名前から、住所から、もらっている金まで全部わかっておる。ただしかし、ここではその方の生活権を奪おうというのが目的ではありませんから、実態だけを詳細に申し上げておきますが、手配師の数がどのくらいあるかというと、野毛地区には手配師が三十名ばかりおります。名前も住所も全部わかっておる。それから寿町という隣接の地区でありますが、ここにも三十名ばかりおります。もちろん、これも住所も名前もわかっております。  それから手配師の区分というのがございまして、一つはイということにいたしますが、イは各会社と契約しておるもので、これは職安法違反であります。やみ紹介であります。手配師の方が、いまそこに名前をあげました、印刷してあります会社と契約いたしております。まさにやみ契約であります。職業安定所を通しておりません。それから二番目のロは、独自で労務者を集めて、労務者を求めにくる会社に渡しておるもので、やみです。人入れ稼業でございます。これも明確にわかっておる。それから三番目に、先取りというのがございます。先に取るというわけであります。先取りと称する手配師の手先になって労務者を集めておる者、以上三つに分けられるわけであります。手配師の子分の形で、先取りといいまして労務者を集めておる。集め方もいろいろありまして、全部わかっております。  それから次に、手配師仲間の用語の中に、手配師のことを頭取さんと言う。それからまた、親方ということばを使っております。先取りというのは、頭取、親方の子分であります。何々組というのが背景にあります。そうして手配師の手先になって、先取りがまず労務者を集める。また、ポンコツというのがあります。このポンコツとは何かというと、一ギャング十五名編成になっておりますが、その中に十三名は働く人、二名はポンコツといって働かない人を入れておく。それで船内荷役に行って、二人は荷物の陰に寝てしまって何もしない。それで仕事は十三人でやりまして、賃金のほうは十五人分もらって十三人で分ける。寝ている連中は寝番というので、一人二百円とか三百円とかで、あとは頭割り、こういうことになっておるわけであります。だから、実際に一ギャング十五名編成といっても、十五名分の仕事はしないという状態になっておるわけであります。金だけは頭分けをしておる。この寝番、つまりポンコツと称するそういう編成がみごとにできております。  それから、各社で多少の相違はありますが、一ギャング十五名編成で賃金は一体どういうふうに払っておるかといいますと、船舶関係で申しますと、日勤の人は千八百円から二千百円です。これは会社との契約で、これもやみのものであります。夜勤が二千五百円から三千円で、これもきまっております。オールナイトという徹夜でやりますのが、朝から翌朝までで三千五百円から五千円。それからドックの関係、これが日勤が千七百円から千八百円、夜勤が三千円から三千五百円、オールナイトが五千円から五千五百円。それから日産、こちらのほうが日勤が千七百円から千八百円、夜勤が三千円から三千七百円、オールナイトが三千五百円から五千円。土木関係、こちらは日勤が千七百円から千八百円、夜勤が二千五百円から三千円、オールナイトが三千五百円から五千円、こうなっている。これは職安より高いのです。だからどうしてもこちらに集まる。やみです。これは会社との契約金額であります。このほかに残業した場合には、一時間について、仕事によって二百五十円ないし三百円、これが残業手当になっているわけです。それから作業の中身によりましては、五百円の洗たく代、二百円の入浴代、これも契約の中に含まれております。これを封筒に入れまして、会社から直接労務者に支給する。  それから支給されている賃金の封筒の内訳、これを直接もらった人から全部見さしていただきました。「定」という字が書いてありまして、これが九百六十円、強行手当、これが三百円、奨励金四百九十円、残業二百五十円、計二千円、こう書いてある。これは全くのやみであります。封筒の中身にちゃんとそう書いてある。  それから手配師の収入ですが、きわめて巧妙に、この封筒の中で明確にわかっております。労務者一口について、会社から労務者一名分の日当相当額を支給する、こういうふうに話し合いがついているわけであります。これは、そこにあります各社全部共通であります。手配師が労務者とともに作業に従事した場合、自分で手配をして、また働いた場合、これも全部内訳がきまっております。日当袋の内訳、これもちゃんと調べましたから申し上げますが、「定」が九百六十円、同じであります。強行手当三百円、奨励金四百九十円、残業二百五十円、そのほかに千五百円、こうなっている。この千五百円は何ですかと聞いたら、一人につき百円の手配料である。つまり十五名のギャングを編成いたしましたから、一人百円、合計これが千五百円なんです。それからそのほかに二千円と書いてある。これは何だと言ったら、労務者一名分の日当です。一ギャング世話しておいて、自分も一緒に働いた場合、封筒の中にちゃんと千五百円と二千円と分けて書いてある。二千円は自分も働いたから一日分の日当、千五百円は頭数十五名の紹介をしたから十五名分千五百円、こういうふうに封筒に明記してある。こういうふうに実はなっているわけでありまして、この手配師が先取りを使いまして労務者を確保するために、仕事のない雨の降った日などは、めし代と称するものを全部やって、そのかわりおれのところに来いということで、めし代、たばこ代というものを先に渡している。  また手配師は、昼、正午に集まる場所が、会社によってみな違っておりますが、きまっております。やみ手配師はそこに集まって、会社との打ち合わせを昼にやりまして、翌日の手配に入る。きわめて系統的にできております。最近の特徴として、多数の会社が、それでも労務者がだんだん減ってきておりますし、港湾労働者が一般に減っておりますから、会社のほうも心配なんで、半月分の勘定を手配師に先渡ししている。半月計算で先取りした、先にもらった手配師が、それをめし代、あるいはふろ代、あるいは酒代というので労務者にやって、ちゃんと全部確保してある。こういう組織になっている。  ここまでまいりますと、これはもっと詳しいことを申し上げてもいいのですが、これから先申し上げるところは全く職業安定法違反で、ただでは済まないことになりますから、状況だけ申し上げておきます。  これはもうちゃんと、どこのだれ兵衛まで全部わかっている。会社側の責任者までわかっている。だから、こうなってきますと、これはますますほうっておけない。しかも何々組ということになっている。まことにこれはゆゆしきことだと実は思っているのでありますが、これは明らかに職業安定法の四十四条違反であります。それから六十四条の四号の違反であります。それから六十七条違反であります。四十四条、六十四条の四号、六十七条、三つ一緒に違反しているケースもございます。なぜかといいますと、これは会社の方々がやみ紹介というものを承知していて集めに行った場合には、会社のほうも職業安定法違反になるという条項なんであります。これは間違いないのです。したがって、私はそこまで御指摘を申し上げて、だからこの人を摘発してくれ、どうしてくれというのではなくて、そういう事実があるのですから、そのことをひとつ労働省の側と御相談をいただきまして、現地の職安の所長さんにお聞きになればわかりますので、その点を明らかにしていただきまして、一日も早くこの形のものをなくしていただくということが主眼でございます。そして、だれとだれが安定法違反だというのではなくて、その方々も、それなりに職を求めて生活ができるようにしてあげなければならぬのであります。これは国の責任でございましょう。そういう意味で実は提起をいたしておるのであります。運輸行政の面からこの現実について手をお打ちになる気持ちになっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 承知いたしました。
  27. 大出俊

    大出委員 時間の関係がございますので、これを御説明すれば長くなりますから概略をいまお話しをしたわけでありますが、実はいろいろな部面からいろいろな方に御協力をいただきまして、本年の神奈川県の予算横浜市の予算の中で、とりあえず調査費を県、市ともども百五十万ずつ組みまして、実態をなおよく調査をし、土地の確保と、建物をどことどこに求めたらこの人たちはそっちに移動ができるか、神戸の三宮の例がそうであります。新しい建物をつくって、そこで安い酒も飲める、安いめしも食えるというような、業者の方もそこに入っていただいて、そこに移って比較的気楽に集まれるという場所をつくる、こういうことをやった。必ずしも、そのことは安定法のたてまえをとったのでは片づきません。いわんや職安の窓口に行けといっても、やみのほうが高いという現実がある限りは、人は行かないのであります。だから、行かなければ行かないでも現実はしかたがありませんから、その手前のところで、ともかく公害といわれるほど町の中にたむろするような形のないように、三宮方式で、ある場所ある建物をつくってそっちに移ってもらう、そしてその中から、後ほど申し上げますが、港湾運送業者の諸君の料金の問題に関連をいたしますけれども、そういう手当てをしながら、もう少し常用がふやせる形に、日雇いの紹介のしかたについても、有期だ、輪番だといろいろありますけれども、それらをうまくしてあげて、やみへ行かないで、皆さんが正規のルートに乗ったほうがいいというようにさせるところまで持っていかなければ最終的に片がつかない。そういうふうにお進みいただきたいのであります。大多数は港湾でありますが、そのほかに、さっき申し上げた土木であるとかドックであるとかいうのもございます。しかし、大多数がそっちに行くとすれば、そこになむろしても意味がなくなるわけで、手配師の方が幾ら動いて回っても手配師の手間にならないのですから、やらなくなるのです。そういう点を含めて、安定法違反を強調するのではなしに、問題の解決をはかるというところに重点を置いていただきたい。この点を最後に申し上げまして、もう一ぺんひとつ御努力をいただきたいと思うのでありますが、労働省のほうは、これから県の労働部等を督励をしていただいて、調査費等も幸いについておりますから、来年というところをめどにされていまから計画を立てて、土地の確保等ができれば、全国のモデルケースとしてこれを片づける努力をするというふうにお進めのように聞いておりますので、あわせて御答弁を賜わりたいわけであります。できれば労働省からも一言御答弁をいただきたい。
  28. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 労働省及び港湾管理者等とも相談しまして、努力をいたします。
  29. 道正邦彦

    ○道正説明員 県から実は腹案も詳細聞いております。先生指摘のとおり、来年度を目途に、できるものは本年度からも進めるということでやりたいと思っております。
  30. 大出俊

    大出委員 先ほど申しましたように六大港おのおのあるケースでございますので、横浜に限られた問題ではございませんので、ここで取り上げさせていただいた次第でございまして、今後とも前向きの御努力をいただきたいと思います。  次に、昨年の港湾審議会の問題に関する設置法改正等をめぐりまして、私のほうから数々の御質問を港湾局長さん――宮崎さんの前で佐藤さんでございましたが、長年佐藤さんと港湾行政全体についての論議をしてきたところなんでありますが、今回は港湾審議会の中の一部ですね。この時限立法は一部会だけでございましょうが、期間延長という問題が出ておるようでございますので、それにからむ問題を二、三承りたいと思っております。  現在港湾審議会の中に置かれている三つの部会をおあげいただきまして、それがどういうふうに動いているかということと、管理部会その他と違って、今度は運送部会のほうを時限立法だからお延ばしになるというのでありますが、本来時限立法にした理由があって時限立法になっているんだと思います。答申も出ておる。今回はコンテナその他を含めてということでありますけれども、それも前からわかっておったわけです。それが一体どういう状態になっているかということと、なぜまたここで期間延長をしなければならないかということ、三部会の関連と運送部会の期間延長の理由を冒頭に御説明いただきたい。
  31. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御承知のように、港湾審議会の本来の目的は、港湾の開発、管理の重要事項につきまして審議するわけでありまして、そのために計画部会と管理部会がございますが、計画部会は重要港湾の施設につきまして、いろいろな将来計画その他の重要事項について審議いたしております。これは毎年三ないし四回開いておりますし、最近では東京湾、大阪湾の計画を審議いたして答申をしておられます。また管理部会のほうにおきましては、港湾管理者の財源問題あるいは埠頭の公共使用の問題、そういった問題をやっておりますが、これは一回答申をいただいだけでございます。  目下一番盛んに行なわれておりますのがこの港湾運送部会でございまして、これは御承知のようにことしの三月まで二カ年間ということになっておったわけでございますが、今回これをあと二カ年間延長いたすわけでございます。先ほどの労務者の問題とも関連いたしまして、港湾運送という企業は非常に中小企業が多うございますので、これの集約化ということが三十九年ころから問題になっておりまして、そのことにつきまして最近、四十二年の三月三日、いわゆる新三・三答申と申しますが、港湾運送事業の合理化に関します答申、それから七月の十七日には埠頭の効率使用に関する答申、一月の二十二日には港湾運送事業の料金体系に関する基本的事項、これはまだ答申ではございませんが、専門委員会の報告を受けております。また、最近三月六日、三月二十七日に、いわゆる集約の具体化に関しましての答申をいただいております。  このように港湾運送事業の集約化といった問題は、二年前でございますが、その当時は、あるいはそれまでにという目測があったのかもしれませんが、現在の時点に立って考えますと、いま集約がこれから始まろうとしているという段階でございまして、これはいろいろ経過があったのかもわかりませんですが、なかなか業界自体の認識の問題とか機運が出なかったとかいろいろ問題があろうと思いますが、私ども期限の延長をお願いいたしておりますのは、やはり料金問題もまだ残っておりますし、それからコンテナにつきましてもいまスタートしたばかりで、これの港湾運送部門がどういうふうになるのかといった問題、あるいはまた集約化をやりましてもいろいろな問題が出てきやしないか、こういうような関係でぜひもう二カ年お願いしたい。そうすれば必ずそれまでには片づける、また片づかなければ、周囲の関係から見まして、企業自体も集約化しておりますし、岸壁その他も近代化しておりますので、港湾運送事業も近代化しなければならないのではないか。また労働の問題も、労務者の逼迫といいますかだんだん少なくなってきておりますし、どうしてもこの際近代化して機械化しなければならぬ。そういう意味で、ぜひひとつ期限を延ばしていただきまして、いま申しましたいろんな問題の答申をいただいて、その答申の線に沿って現在に即した集約化の行政をやりたい、こういうことでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 そこで三部会はおのおの独立してやっておりますね。しかもこれは佐藤さん、あるいはその前の比田さんとずいぶん長い論議を、私ここ四、五年やっておりますので、お互いに言い尽くし合っている感じなんであります。ただ、これは相関連して考えていきませんと、この業の集約化だけを考えたからといってどうなるものでもない。今回の場合も特殊な法人を別につくって、たまたま前港湾局長の佐藤さんがそっちのほうに行かれておやりになる、どうも私は不納得なんです。そういうことをされたのではという実は気持ちがある。それも少し聞きたいのでありますが、その前に、そういうところまで進めていかなければならぬ前段に実は幾つも問題があるのであります。  そこで、時間がありませんから、まず二つくらいにしぼってものを申し上げたいのでありますが、昨年外貿埠頭公団法なる法律をこしらえて――これは大蔵省とその前年に折衝して途中でくずれましたのですが、この外貿埠頭公団というのは、なぜ一体これで埠頭をつくらなければならぬというところにきたのか。管理部会の答申もございます。これらの問題と相からんで、この要点を――これは昨年三時間くらい佐藤さんと論争したところでありますけれども、そのときには私の意見を申し上げていない。一々運輸省考え方をただしたのでありますが、外貿埠頭公団法なるものを提案するに至った理由は一体何であったかという点を要約して御答弁いただきたい。
  33. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御承知のように、港湾管理者の財政問題というものがございます。日本の経済成長が進みますと、貿易が非常な勢いで伸びてまいっております。それに並行して港湾施設を増強しなければならぬ。そういたしますと、港湾管理者の負担が非常に増大してまいる。外貿埠頭公団は御承知のように港湾管理者の出資金は一割でございます。そういった点から、港湾管理者の財政負担の軽減という問題が一つあろうかと思います。  またいま一つは公共利用という問題でございますが、はたして国と港湾管理者の公共の――われわれの税金から出した岸壁というものはどうしても公共規制を受けやすい。これはまだ港湾が成熟しないうちは、少ない岸壁を先着順に使うということがいいのでございますけれども、ある程度成熟してまいりますと、専門的に使ったほうが埠頭の効率使用ができるという問題がございます。したがいまして、公共事業であります場合にはこの専用貸しということが実はできないという問題がございますので、そういった観点から効率的な使用をさせる、そのためにはいまの組織ではできない。  大体、大きな点はその二つだと思いますが、それに拍車をかけましたのがいわゆるコンテナ船の導入、海上輸送の、雑貨輸送の革新と言われるようなコンテナというものがすぐ目の前にやってきた、こういうことじゃないか、こういうふうに私考えております。
  34. 大出俊

    大出委員 いまのお話は確かに現在港湾局長の職におられればそういうふうにおっしゃるだろうと思いますが、本来港湾法という法律は公共使用が原則なんですよ、この法律は。だからこの法律に特例をつくるか改正をしなければ、本来言うならば専用使用ということは考えられないんです、専用にしてもあるいは専有にしても。そのたてまえからすると、外貿埠頭公団法というものは皆さん方が強弁をする限り、これは現行港湾法の特例措置という言い方以外にないんですよ、港湾法のたてまえからいけば。これはあくまでも公共使用なんです。だから外貿埠頭公団法というものを新たにつくった意図というものは、公共使用であるべき港湾法に基づく埠頭の例外規定をつくった、こういう言い方しかないのです、皆さんの言い方からすれば。将来はそれは逆になってくるだろうと思っているのですけれども、例外だなんて言っているほうがこれが実は本筋であって、現在までの種々雑多な、あっちへ向いたりこっちへ向いたりしているほうが取り残された例外として残る、こういうことになる筋合いだろうと思いますが、本来港湾法というものはそういうものだ、こういうふうに考えております。  その前に一つ問題がありますが、港湾管理者の財政が苦しいから……こういういまのお話、これが一つ理由になっている。これは管理部会の答申にも書いてあります。ところで一体なぜ苦しいかについて、港湾は運営の時代ではない、ポートオーソリティーが中心になっての運営の時代ではない、港湾経営の時代に入ったというものの解釈があるわけです。否定はいたしません。経営の時代に入ったとするならば港湾の採算、これをどうしてとるかということで、たとえて言えば、よく私例にあげるのですが、ロンドンポートみたいに、ボンドあるいはビルなどという名前の債券がございます。短期債券、長期債券があります。九十九年債なんという債券まであります。ここで取り上げている問題というのは港税、港の税と書くわけです日本流に訳せば、とん税ではありません、ある意味の目的税です。これは一体どういう性格のものかという論争をここでいたしましたが、それは関税に類するものだという御答弁が出てまいりました。だとすると、今日二千八百億円もの年間関税収入があるのでありますから、しからば日本の場合は、この関税収入の中の二〇%くらいは港湾管理、港湾経営のために持ち込んでくるべきではないかという意見を何べんかはいている。これは歴史的にそういう時代がいろいろあった、この論争がされておった時代があった、税関が中心になるべきだという大蔵省考えがあった時代もある。管理部会ではこれらの論争から出て、何か目的税的なものを新設をするかとか、あるいは関税といったものはどう考えるかとか、それらのものを検討すべきである、こういうことで検討すべきものということになった。だとすると、それらの港湾経営のいま言われるポートオーソリティー、港湾管理主体の財政という問題についてのそれをどうするかという検討もあわせてなされなければならない筋合いですね。そこらのものはしからば一体これからどうなっていくのかということ。それから先ほどの港湾法のたてまえからすれば専用貸しができない、別のものをつくらなければならぬ、埠頭をつくるだけの公団をつくった、こういうわけですね。しからば関連をして港湾法の改正というものは将来に向かってお考えにならぬのかどうかということ。それからもう一つの問題が実はあるわけでありますが、港湾の各種料金、岸壁の使用料を含めて各種料金、これを一体どうしていくかという問題、総合チャージだとか云々だとかいう問題が出てまいりますが、これらの問題を一体どう考えるのか、将来の法案に向かって。岸壁の使用料なんということは日本の場合べらぼうに安過ぎるわけですから、それから荷役料金なんかだってべらぼうに安い、貿易外収支の大赤字になっている、積み取り比率のどんどん変わってくる今日の状況でございますから、それらのものは一体どういうふうに考えるのかという問題等あわせて考えませんと、そう簡単にほかから資金を引っぱってきてどんどんつくればいいという問題ではない。この辺のところは一体どうお考えでありますか。
  35. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港湾の収入の問題つまり港湾管理者の経営の内容でございますが、御承知のように普通の業務の費用にも達しない、約半分くらいのこの収入でございます。したがいまして、どのように財源を持ってくるかという問題があるわけでございますが、いわゆるいまのロンドンのポートチャージ、港税の問題でございますが、こういう取り方もございます。つまり港湾の一般的な施設を使う一般的な総合的なポートチャージというものを取ったらどうかということで、私ども港湾審議会の答申にもございましたように、現行の入港料金はどうだろうか、それも一つの方法じゃなかろうかということで、いろいろ試算もしております。また港湾管理者のほうでもそういうことになりまして、トン当たり二円というようなことも船会社のほうと目下折衝をいたしております。それから関税のことにつきましてはいろいろ従来からそういう御意見がございましたが、なかなか非常にむずかしい問題ではないかと私考えます。そのように向かいまして、いわゆるポートオーソリティーということではなしに、日本の港湾ではまだ国が、つまり国庫補助というものを、国庫支出金と申しますか負担金というものを修築費に出している段階でございますので、やはりこういった問題も総合的に考えなければならないのじゃないか。それからいろいろ各種の料金、荷役料金、こういったものが非常に安いというふうなお話もございましたが、こういった問題につきましても、荷役料金の問題につきましても、実はほんとうの作業でございますから、その作業に応じた荷役料金はどれくらいかあるいは管理費はどれくらいか、これは港湾運送料金のほうにも響くわけでございますが、そういうふうに検討を進めていかなければならぬと思うわけでございます。今後、港湾審議会においてこういった点も検討していただくつもりでございます。  また岸壁の使用料とかそういう使用料の取れる港湾施設、これにつきましては今後ひとつなるべく、船会社の支払い能力もございましょうが、港湾管理者の立場考えまして引き上げていきたい。まあ早い話が横浜港で申しますと本牧埠頭が相当でき上がってまいりましたので、やはりこれも岸壁の効率的な利用ということを考えまして、港湾審議会の答申にいただいております航路別優先使用というふうな方式も考える、これは公共規制というものと効率使用というものの両面から見た、いま公共使用の限界的な使用方法であろうかと思いますが、こういった方法も考えてそういう優先料金を徴収するとかあらゆるやはり総合的な手を打っていかなければならないのじゃないか。お話のように港湾というものを近代化していくためにはいろいろな方面から問題を解決していかなければならない、あるいは月末月初の集中の問題、これにいたしましても、これがなければ非常にいろいろな問題が解決する、非常にむずかしい問題でございます。しかし、こういった問題でもコンテナとかそういったものが近代化されるに従って、私は解決の一役割りになるのじゃなかろうか、こういった観点から、いろいろな面から港湾管理者とも相談をいたしまして、今後の港湾の開発に必要な資金というものを一緒になって考えていく、こういうふうな考え方でおります。
  36. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから極力簡単に申し上げますが、いまの御答弁どうも実は不納得の点がたくさんあるのであります。たとえば岸壁の使用料をさっき私は例にあげました。一九六三年の例でございますが、日本の六大港が一万五百円です。これは長さ百三十メートルの船を二十四時間係留した場合の使用料金です。日本の六大港が一万五百円に対して、サンフランシスコでは二万二千五百円、ロスアンゼルス一万八千円、ニューヨーク六万一千二百円、ホノルル五円四百円、モントリオール五万二千八百円、バンクーバー三万九千円、メルボルン一万六千四百円、シドニーなんかになりますと四万五千五百円、香港二万八千九百九十円、シンガポール五万四百円、マニラ五万円、ハンブルグになりますと十万一千八百八十円、ロッテルダムというのは変わった港でありますけれども、ここでも一万四千九百五十円、こうなっているのですね。市営港になっているわけです。岸壁の使用料だけをとりましてもたいへんな開きなんですね。これは一九六三年の例ですから、いまもっと高くなっている。これは角田達郎さんの「港湾財政について」なる書物の中にございます。こういうことになっている。岸壁使用料、これはいまに始まったことではない。いまあげたのは一九六三年の例、五年前のことです。ここにたくさん数字ありますが、あげてもきりがありませんので、もう一つだけ承っておきますけれども、いまの荷役料金の面でいきますと、国際比較はどのくらいになりますか。カルカッタの四分の一くらいになっているはずですが。
  37. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 ちょっといまここに数字がございませんので、あとで調べて答弁いたします。
  38. 大出俊

    大出委員 一昨々年比田さんが港湾局長の時代に、この問題をずいぶん詰めて私論議いたしました。運輸省のほうから調査結果を全部御報告いただきました。いまここで申し上げると長くなりますから申し上げませんが、以来、今日までどう変わったかが実は知りたいわけです。後ほどでもけっこうでございますから、積み取り比率とあわせて、現在どのくらいの貿易外収支の変動があるかという点を知りたいと思います。積み取り比率もここにございますけれども、これを申し上げていると時間がかかりますから、昨年、四十二年の五月二十三日の議事録をお読みいただければ私のほうから提起しておりますから、あえて申し上げるのはやめます。これらの点を考えますと、私がいまあげた例というのは、外貿埠頭公団をつくるということで、国が持つ分あるいは自治体が持つ分あるいは財投、一般資金、つまり一般資金というのは縁故債ですね、これらの比率がきまっている。先ほど港湾局長から答弁がございましたが、どうもこれはそう簡単ではないのです。その前にやっておかなければならないことがあったはずだ。いま申し上げたのは五年前の例なんですから、やっておかなければならないことは数々あったはずだ。にもかかわらずそれらについては何もおやりにならない。たとえば港湾荷役料金なんかも、比田さんのときに私の質問で、貿易外収支の赤字が三百億をこえておった。にもかかわらず今日まで手をつけようとはあまりしない。だから運送料金の値上げという申請が出ると、これは認可料金なんですから、ほんとうならば運輸大臣がここで直接的に認可をすればいい。ところが幾つかの団体にネゴシエートさせておいて、適当に押えてしまう、船主、荷主の関係もございますから。そういうことだけでは事は済まない段階に来ているということを申し上げたい。そういうことを一つもおやりにならないで、外貿埠頭公団のような形のものばかりをお考えになっても、これは町の市民、県民が損するばかりで、こういう結果になってしまうということを申し上げたいわけです。  そこで、外貿埠頭公団法をつくったときの、運輸省が大蔵折衝をやるにあたって世の中に発表した国と自治体の比率はどうなっておりましたか。
  39. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 出資金だろうと思いますが、国が一、自治体が一でございます。
  40. 大出俊

    大出委員 それは大蔵折衝をやって結果的にそうなった。運輸省原案はそうなっておりません。――私が言いましょう。一番最初運輸省が大蔵折衝をいたしましたのは、これは新聞にも発表したんです。つまり六対三対一という比率で提起をされている。大蔵省との折衝の最終了承の段階で一対一になってしまった。これを佐藤前港湾局長は、「この公団を考えます場合に、出資四割としたい、残りの六割を財投で借り入れたい、こういう構想でございます。したがって、その四割のうち三割を国の出資で、一割を地方公共団体の出資にしたいというのが、予算要求の構想であったわけでございます。」ちゃんと答弁している。あなたが言うように一対一じゃない。六対三対一なんです。四と六のうちの四のほうの三が国で一が自治体、こういうことであった。「予算が決定いたしましたときには、出資は二割でございました。国と公共団体の出資割合は一対一でございます。残りにつきましては、本年度の予算におきましては、半分を政府保証債にいたしまして、残りの四割につきましては縁故債ということで、縁故のあるものから公団が借りるという構想になっております。」こうなんです。国の出資が減って縁故債その他のほうに回っていった、財投の借り入れも公団でやる、こうなったということは、国なりポートオーソリティーの権限が狭くなって、結果的に公団のほうに権限が移っていくということになる。さっきあなたがおっしゃったように、港湾法のたてまえからいえば公共使用なんだけれども、外貿埠頭公団法というものをつくるとそれから離れていってしまう。だから本質的にはこれは港湾法の例外と言わざるを得ない。港湾法をそのままにしておいて、外貿埠頭公団法をつくるということは本来間違っているのです。しかし今日の段階ではそう言わざるを得ない、こういうことになっている。ただ、私がここで取り上げたいのは、その責任を追及するのではない。前任者の佐藤さんは長くやっておられて詳しい方ですから、いま宮崎さんに私はそのことを迫ろうと思っているわけではない。問題は、自治体の側が相当に苦労しているのですね。なおかつ問題は一という割合で地方自治体が持つのだけれども、一だけじゃ済まないのですよ。道路から何からみなつくらなければならない。言うならば、そういったきめられた額以上の超過負担に類する自治体支出というものは非常に大きい、そういう実態なんです。だからそのあとに行なわれるセミコンテナ埠頭にしてもあるいはフルコンテナ埠頭にしても、その使い方、運営のしかた等については、できるだけ苦しい自治体財政をお考えいただいて、その自治体が運営していけるようにごめんどうをいただかなければ、運輸省が当初ものを考え趣旨に沿わない、ここを実は私は申し上げたい、そういう意味で申し上げたのですが、おわかりいただけますか。
  41. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 御趣旨よくわかりました。港湾施設のでき上がりました分は、港湾管理者に管理委託して、その港の発展になるように港湾管理者がやることになるわけでございます。したがいまして、私どももそういった意味から、港湾管理者の立場に立ちまして十分に研究したいと考えております。
  42. 大出俊

    大出委員 宮崎さんとあまりどうもかみ合わぬ論議をしてもいたし方ありませんから、私のほうから問題提起をいたしますが、私がここに持っております「主要港湾の管理者財政一覧表」というのがございます。これも角田達郎さんの御研究をおまとめになったものであります。この中身によりますと、東京から始まりまして、門司まで七つの港を例にとっております。東京で申しますと、収入は三億七千九百万しかないのです。これは昭和三十六年度であります。古いのでありますから、いまはもっと開いております。昭和三十六年度の数字しかないのでこれで申し上げますが、東京が三億七千九百万円の収入があります。ところが支出は四十二億八千四百万円で、差し引き赤字が三十九億五百万円。横浜の場合は、収入が二億九千八百万円であります。支出が十五億九千二百万円、したがいまして差し引き赤字が十二億九千四百万円。この場合に東京の国庫負担は幾らであるかというと、五億三千八百万円であります。これは法律に基づいた負担であります。三十九億の赤字のうちで五億三千八百万は国庫負担をしております。それから横浜の場合に法律に基づいて国が負担しておりますのは二億五千八百万であります。名古屋の例をとりましても、収入が四億四千七百万、支出が四十三億一千百万、差し引きの赤字が三十八億六千四百万。名古屋の場合の国庫負担は十億五千九百万。大阪の場合は六億二千九百万の収入、支出が五十八億九千九百万、差し引き赤字が五十二億七千万、国の負担は十二億七千六百万。神戸まで申し上げておきますけれども、神戸は七億三千九百万の収入、支出が十八億六千四百万、赤字が十一億二千五百万、国の負担は一億三千万。ですからこれ全部を合計いたしました差し引きの赤字、横浜で申しますと十億三千六百万という赤字ですね、これは何かといいますと、埠頭ができる云々ということになりますと、上屋だのには国庫負担がありませんから、これは昔からそうでありますけれども、隣接地域、背後地におけるいろいろな施設などをつくらなければなりません。したがいまして、その埠頭が一人前に使えるために――先ほど成熟した港湾ということをおっしゃいましたが、そこまで完全なものにしていくのには自治体の負担というものがたいへんな規模になっておるわけです。これはなぜかというと、使用料から始まりまして目的税的なものもない、関税収入から入ってくるわけでもない。すべてこれは市民、県民の税金でまかなわれるということになる。それが産業保護だというならば、あまりといえば産業保護に走り過ぎていることになる。前港湾局長は、私のこの理論に対して、仰せのとおり、御指摘のとおりである、ただしかし、なぜそうなるかというと、港湾というものは道路と同じようにただで使えるものだという長年の港湾ができて以来の日本的経緯がある、それをもう少し何とかしようと思って、使用料その他についても、たとえば輸出入だけでなくして移出入、国内を動いておる船があるわけでありますから、それらの点でと思っても、船主、荷主その他のぶつかり合いで幾らこの点を強調し続けてもなかなかそれが前に進まない状態にございますと言っておりましたが、いずれにしても、そうだとすれば自治体の負担はふえるばかりであります。こういう状況を考えていただければおわかりのように、ますますもって自治体がこう運営したい、こういうふうに運営をしなければ収支採算がとれないという場合に、ある意味の管理監督権という意味で運輸省のほうでそれはだめだ、これはだめだとばかり言っておられると、苦しいこの種の自治体の港湾は経営が成り立たない。こういう点をぜひひとつおくみとりをいただきたいということで申し上げておるわけであります。おわかりを願いたいのですが、いかがですか。
  43. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 ただいまいろいろ港湾管理者の財政の問題で非常に苦しいのであるというお話がございました。私も八大港につきましては財政の資料もとりましてよく検討いたしております。最近ではほとんど公債によってまかなっております。一般財源からの繰り入れば、平均いたしますと、三十六年から四十二年までの間にはあまり伸びておりません。したがいまして、なるべく政府債の有利な方向に進むとかあるいはまた使用料の引き上げの問題でありますとか、そういったことにつきまして港湾管理者の財源がプラスになるように、いまのお話にございましたように努力したいと考えております。
  44. 大出俊

    大出委員 ところで、外貿埠頭公団法ができまして、一番最初運輸省は、京浜外貿埠頭公団、阪神外貿埠頭公団というふうに分けるお気持ちはなかったのです。東京に本社を置いて一本でいくという構想だった。ところがこれが変わってまいりまして、京浜と阪神に分けたわけであります。そこで、四十二年度から四十九年度までの事業計画が皆さんのほうにはできております。これもめんどうですから私のほうから申し上げますけれども、総事業費が千百十四億円、その内訳は京浜が総事業費六百七億円、コンテナバースが十一で定期船バースが二十六、計三十七バース。これは現有施設が三十二バース。それから阪神が総事業費五百七億円、コンテナバースが十一、定期船バースが二十六、計三十七バース。こういうことになっておりますね。現に四十一バースあるわけです。この負担が先ほどお話がございました一対一なんです。そこでこのコンテナヤードあるいはコンテナ埠頭について、大体設立をされて、今日までこれが一体どういうふうに進行しているかということですね。現在セミコンテナ船が来るとかあるいは今度フルコンテナ船が来るとかいう問題がございますので、その間どういうふうに運営していくかという問題とからみますから。いま申し上げたのはつまり四十二年度の予算です。ですからこれは総体をとらえてものを言っておりますけれども、したがって、この事業計画に沿ってどういうふうに進んでいくか。もう一ぺん言い直しますが、いまの計画の中で、四十二年度の事業費は五十億円で、政府出資が五億円、財政投融資が二十億円、残る二十五億円が地方公共団体の出資と縁故債、こうなっておるわけですね。したがって、いま私が申し上げた全体計画の中で四十三年度はどうなってどの辺までいくのか、ここのところを御説明いただきたいと思います。
  45. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 四十二年、四十三年合計いたしまして事業がどういうふうに伸びていくのか、こういうお話だと思いますが、いまのところ公団が両方とも大体工事を着工した時点でございまして、現在の見通しにおきましては京浜、阪神ともおのおの二バースずつつくるように指令いたしております。ところが、御承知のように東京におきましては、もうすぐ解決すると思いますけれども東京都の大井埠頭の既存の土地の値段の問題でまだ交渉は続いているように思います。横浜におきましては、昨日でしたか、埠頭の起工をやっております。横浜のほうは地質が非常によろしいので、確実に一バースはでき上がる。二バース目も来年の五、六月ごろにはでき上がるのじゃないかと思います。横浜のほうは非常に簡単でございますが、東京のほうは、値段のほかに実は予想以上に地質が悪いという問題があります。それから阪神埠頭公団でございますが、目下神戸市においては岸壁工事、おのおの工事を着工いたしております。これは私まだはっきりと実態をつかんでおりませんが、一応公団のほうに対しては一バースずっといって指令をいたしております。大体そういう段階であります。
  46. 大出俊

    大出委員 事業計画のうちのコンテナバース十一の内訳は、横浜が三で東京が八バースということですが、いま二バースずつやっておると思うのです。そこで私は、やはりセミコンテナを扱うにしても、ガントリークレーンなんかの関係もありますから、そうなってまいりますとそれが将来に向かって効用を持つようにやっていただかないと非常にうまくないというように考えるのです。いまのお話で、東京の場合に土地の問題でそう簡単にいかないでいろいろ苦労されているということも承るのです。  そこで横浜なんですが、先般横浜へ御足労いただきまして、横浜の市長からも話があったことだろうと思うのですが、四十二年の六月十五日に重量物埠頭の運営方針についてということで運輸省から指示が出ているわけです。これはめんどうですから、私のほうから先に申し上げてしまいますが、内容は、フルコンテナの暫定バースとして認められていた東京の品川埠頭、神戸の摩耶埠頭に準じて運営並びに使用料を定めるようにということだったわけです。あなたの御着任の前だろうと思いますけれども、四十二年六月十五日に運輸省がそういう指示をしております。  具体的には、一つは当該バースは外航コンテナ船の優先使用とし、バースがあいている場合には、一般船舶の使用に供すること。二番目は、岸壁及び上屋敷の部分(公共荷さばき地)はオープン使用とする。三番目は、背後地(従来の倉庫敷及び野積み場敷の部分)については従来どおり制限しない。四番目は、コンテナ船に対するバース指定にあたっては、原則として一船ごとに公共荷さばき地は津壁使用許可の方式をとることとし、公共荷さばき地の使用許可期間は、当該船舶の係留日数に前後一日を加算した期間を限度とする。五番目は、さく、フレートステーション等を公共荷さばき地に設置することは認めないが、その背後地については特に制限しない。六番目は、コンテナ埠頭としての臨時使用期間後(公団バース建設後)はすみやかに一般外貿埠頭に切りかえるものとする。こういう指示が出ておりますことを御存じですか。
  47. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 おおむね存じております。
  48. 大出俊

    大出委員 その後、この運輸省の指示の線に従って横浜の側でもいろいろ計画を検討してきたわけです。計画バース数三バース並びにその背後地の区画及び運営案並びに使用料を検討して、成案を得て運輸省に持ち込むという段階になった。ところが、その間にAPL、三井あるいは住友、この三社からD突堤の使用の申し入れがあったのです。これはそうだと思いますよ、会社側からすれば。ここにバースの地図を持っておりますが、D突堤をほしがる、これは無理もないと思います。そこでさらにSLほか五つの船会社の配船並びに背後用地の使用の希望があったのです。また四十三年二月二十八日に至り、シーランド社からここに出てきたいという希望横浜市に正式にありました。そこで横浜の港湾局長の山添氏のほうから宮崎さんのところに説明にお伺いした、こういう経過です。そこでなかなか一致点が出てこなかった。こういうことで四十三年三月四日になりましてから、運輸省のほうから声がかかりまして、背後市有地の一般使用方式についてはあらためて指示をするということで、その内容は、一がD突堤二十七号、二十八号バースは、ガントリークレーン一基並びにその軌条施設に対し地方債をあっせん済みであり、さらに上屋敷は建築物を設けず、重量物を荷さばきし得るよう平たんに舗装すべく地方債のあっせん済みなので、品川、摩耶の臨時コンテナ埠頭をそれぞれ二バースずつ認めている等の事情などにかんがみ、本牧の二バースを重量物埠頭にすることに同意する。本牧二バースは重量物バースにしてよろしいということです。なお、横浜港における重量物埠頭は、外貿埠頭公団による埠頭の建設状況等も勘案すると、現段階では前記二バースに限定さるべきものと考える。これもちょっと問題がある。またガントリークレーンについても、一基目の設置認められないということです。ここにも問題がある。それから二番目は、運営方法として重量物船(コンテナについては、横浜港においては揚積、これが五十個以上のコンテナを処理するセミコンテナ船をいう)は優先バースとして船会社に使用許可を与える。この場合、荷さばき地はバースとして使用許可を与える。三番目は、公共の重量物埠頭であって、コンテナをも処理する以上、公共荷さばき地及びその背後地をも含めて公共運営すべきである。したがって恒久構築物で、管理者以外の所有を認めない。  これがお宅のほうの指示です。この現状について、今日の段階で横浜市の側からいろいろ意見があると思いますが、さっき私が申し上げた自治体の状態等から見てどういうふうにお考えになるかということです。
  49. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 いま港湾局の意向として横浜市に伝わった詳細についてお話がございましたが、私横浜市の港湾局長とお話をしましたのは、たぶんそれまでの過渡的な問題ではないかと考えます。現状につきましては、横浜市と私、話をいたしましたときは、大体において意見は一致したわけでございます。つまりフルコンテナ船というのは、外貿埠頭公団の工事によって、横浜は地質もいいし、すぐにでき上がりますし、外貿埠頭公団がつくるのだから、そっちのほうにできるだけいってもらいたいというのが第一点。  それからそれまでの間、臨時的にどうしても使わなければならぬということであれば、これはやむを得ないから本牧埠頭につけてもよろしい。その場合には、コンテナ船には、シップテールと申しまして、コンテナを荷役する機械を積載した船がございます。たぶんそれだろうと思いますが、それはC突堤でございますが、そのC突堤の狭いところでもいいのではないか。そのコンテナの積載場所は、横浜のすぐ背後のところでいいのではないか、それではそちらにやりましょう、こういうことでございます。B突堤というのは、御承知のように非常に幅の広いところで――現在ほかの新港埠頭その他は幅が狭うございます。コンテナを置くのには非常に不便と申しますか不利なところでございます。D突堤はうしろが非常に広うございますから、コンテナを置くのに非常に都合がいい。だから、やはりいままでのセミコンをあそこに集中してやるべきではないか、こういうような了解を得まして――二バースというのは、いまのところコンテナはそんなに来ないのではなかろうか、もし二バースでどうにも片がつかなければ、三バースでもよろしいですよ、そういうことを考えております。この前横浜に参りましたときに、実は横浜の港湾局長のほうから、フルコンテナを、自分で機械を持っていないので、それをつくるのだ、そのときにはCバースのほうを使うようにしたいのだ、こういう話がありまして、これはDバースもCバースも公共使用でございますから、ほかの三バースについて、たしか横浜市の話では十二社くらいの希望があるそうでございますが、それと同じ公共使用であればやむを得ないだろう、ほかを排除するということになると、問題があるのではないか、さように考えているわけでございます。たまたまCバース以降は、まだ実は工事が完全にでき上がっておりませんので、C突堤、B突堤、A突堤はまだ管理委託ができていないそうでございますが、D突堤は管理委託がでまているそうでございますので、さっそく使わせるようにしたいと考えております。  それから先ほど来お話になった東京の品川と摩耶の場合は、これは臨時埠頭でございます。つまりコンテナ埠頭ができ上がるまでの暫定的なものでございますので、横浜のD区というのは恒久使用でございますから、その点はやはりあってもいいのではないか、さように考えております。
  50. 大出俊

    大出委員 わかりますが、時間の節約であまり横道に入らぬでものを言っておるのですから、要点詰めて申しますので、承りたいのでありますが、当初運輸省横浜市のほうから要望したことは、一つは、申し込み状況等から見て重量物バースはD突堤の二十七、二十八、二十九号の三バース及びその背後地を重量物埠頭としたいということだったのです。この場合、シーランド社を含めて受け入れたいということです。このときの船会社数は八社なんです。  二番目は、各バースは公共優先バースとして、公共荷さばき地は運輸省の指示どおり岸壁荷さばき地つきで優先使用をせしめ、各バースの背後地は前面バースに配船する複数以上の船会社の系列でグループ組織をつくってもらって、各グループごとに縁故債を持たして、それを建設資金にして管理者所有のフレートステーションを建設する、こういう希望です。コンテナ置き場及びフレートステーションの運営は、協議会をつくらせて円滑な自主的な運営をやらせる。なお、フレートステーションは三バースの背後に五むね建設するものとして、コンテナ置き場はおおむね一区画一千平米を単位として貸し付ける、こういう実は希望意見運輸省に申し上げたのです。  いろいろやりとりがいまお話のようにございまして、最終的な希望案というのが横浜にございまして、それを申し上げますと、これは最終的な希望案でありますが、一番目の従来の上屋敷については運輸省指示どおりで了承いたします、これはいいわけです。  それから、二番目に、背後地については、コンテナ荷役の性格上、集荷期間及びからコンテナの蔵置き場所、つまり、置き場所ですね、置き場所の確保などのため、前面バースに配船する複数以上の船会社系列にグループ化し、そのグループの使用を認めない限りは、コンテナを含む重量物埠頭として運営はむずかしい。ただし、フレートステーションは、地方債のあっせんにより建設することはやむを得ない、こういうのが一つなんであります。  第一点の上屋の問題は、御指示のとおりでありますが、二番目の背後地の問題、あるいはフレートステーション、起債を含めての問題等につきましては、どういうふうにお考えですか。
  51. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 私、詳細なこと、よく、いまここですぐどうとお答えするわけにいかぬかもしれませんが、基本的にはもうでき上がっているわけですから、その津壁もでき上がって管理委託いたしておりますから、希望社があればなるべくすみやかに、こまかい何か起債の問題とかいろいろございましたが、それにつきましては、すぐ話し合いをして妥結したい。要は、機械もでき上がっておりますから、さっそくにでも使わせるように善処したい、こう思います。
  52. 大出俊

    大出委員 これは港湾局長さんの立場がありますから、ここで即答をと申し上げても、これは無理かと思います。思いますが、横浜のほうでは、おっしゃるとおり、でき上がっておりますから、じりじりしておる感じでございます。何とかして、お申し出もいただいておるのですから決着を、こういう気持ちでございます。  それからもう一つ、シーランド社ですね、この配船については、運輸省の指示によれば、D突堤ではなく、B、C突堤に臨時バースを認めるということなんです。しかし、これは何とかD突堤にしていただきたいというのは、これは局長さんが横浜に行かれたときに市長からも申し上げたはずなんですが、これはセミコンテナだけでなしに、やはりガントリークレーンがむだになりますから、それにおまけに、シーランド社が本年九月に入ってきてしまうのですよ。そうなると、これは間に合わなくなります。B、Cという意味もわかりますけれども、これはやはり別にむだにするわけじゃないのですから、D突堤に何とかひとつお認めいただきたいというのが横浜の実情なんですよ。この辺はいかがですか。
  53. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、B、Cバースを臨時バースとして使ったほうがよろしいだろうと申しますのは、シーランド社のコンテナ船が自分で荷役機械を持っているということでございましたので、そういうことでいたしたわけでございます。したがいまして、どうしてもそういう配船上持てないのが来るという場合には、共同使用――一つしかないわけでありますから、機械はほかをそんなに排除しないで、同じように使うという点においては、これは差しつかえなかろうと私は思うわけでございます。
  54. 大出俊

    大出委員 その際のコンテナ置き場は、埠頭外の場所を暫定的に認めていきたいというのですよね。その場合、本牧のA突堤のバースができ上がれば、これは当然移転するというのが前提です。これはたいした問題はないと私は思うのですが、暫定措置としてお認めいただきたいという点と、それから、本牧のA突堤の公団バースが大体現在三バースにきまっているわけでありますが、さらにこれに一、二バース追加してもらえないか。これは電話でこの間局長に申し上げたところが、横浜については、立地条件その点からいっても、そういう申し込みが一ぱい出てくるだろう、ならば、ひとつうまく運営していくように、御安心くださいというような意味のお話を電話でいただいておるのですが、電話でございますので、できればここでもう一言おつけ加えいただきたい。
  55. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 このコンテナバースは、現在、私どものほうからの、つまり、長期的な計画の中では、三バースになっております。また、港湾審議会のほうもそのようになっております。四バースに伸ばして船の出入りに支障がないかどうかという問題が一点ございます。私、個人的には不安はないのじゃないかと思いますが、一応港湾審議会にはかりたいと思っております。  その次には、コンテナ船の需要の問題でございます。公団は、やはり需要のないときにはそう増加するわけにまいりませんので、需要があれば、なるべく需要に応じたようにつくっていくのが私ども交通関係の施設をつくっている基本的な立場でございます。したがいまして、需要がございますれば増設する。それには、いろいろ事務的な手続もあろうと思います。また、計画の変更とかそういったものもあろうと思いますが、そういうふうに努力していきたいと思います。
  56. 大出俊

    大出委員 その需要のことはわかります。さっきも申し上げたように、だいぶ四苦八苦しながらやっている自治体ですから、こうしたほうが運営上、採算上いいんだということについて、特段の支障があれば別ですけれども、できればひとつお認めいただきたい、こういうことをつけ加えておきたいわけでございます。  そこで、港湾審議会の運送部会の期間延長、直接その部門なんでありますけれども、ちょっと私、理解に苦しむ点が一つあるのは、これは大臣にも見解を承りたいのでありますが、港湾中央近代化促進協議会というのは、これは一体何者ですか。
  57. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 いまいろいろと港湾の運送事業の集約化につきまして問題がございます。したがいまして、港湾の管理者、それから港湾運送業者、荷役業者でございます、それから、荷主さん、船主協会、そういった方々の間で、役所だけにまかしていかずに、やはりお互いにそういう港湾近代化を側面から促進していこうといったような趣旨であろうと思いますが、そういう財団法人をつくって、これからわれわれのやっております事業を助けていこう、こういう趣旨だと私理解いたします。
  58. 大出俊

    大出委員 これは第一回設立準備会が四月六日に経団連ビルで開催されております。ここでしゃべられている中身を読みますと、一つは、中央団体は日本港湾福利厚生協会を吸収するという。こんなもの吸収した日にはえらいことになりますよ。一体日本港湾福利厚生協会というものは、そうなりますと、どういうものかという問題が出てまいります。それから地方に設立する協議会とは別個にするということだとか、これは佐藤前港湾局長が準備相談の中心をやっておられる。これはおやめになったのだから、それでいいですけれども、この集約化推進などの政府関係助成はこの団体を通じて行なう。どうもこういうことになってくると、これはまことにもって奇怪なことになると私は思っているわけです。  まず大臣に承りたいのですが、この港湾中央近代化促進協議会というのはどういう性格の法人で認可しようということなんですか。
  59. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 局長答弁させます。
  60. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 一応財団法人というかっこうになろうかと思います。
  61. 大出俊

    大出委員 しかし、これはあれですよ。これは皆さんの四十三年の三月の十六日に出しておりますこれからいきますと、財団法人じゃないですよ。単なる公益法人、運輸大臣の認可する法人で、公益法人になりそうな感じです。そこのところはどうなんですか。
  62. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 財団法人にいたしましても、公益法人だと思います。
  63. 大出俊

    大出委員 いや、しかし、問題は運輸大臣が認可する法人という形をとっても、これは公益法人でございますからね。これは公益法人ですよ。だから、財団法人であろうと、運輸大臣が認可しようと、公益法人に変わりはない。これを見ると、運輸省方々だとか、日本港運協会、日本船主協会、日本海事財団、日本船舶振興会、日本港湾協会、これが参加団体です。そうでしょう。そうすると、みんな関係団体です。設立資金二千万円というんですが、財団法人でもいいでしょうけれども、それでおやりになればそれでもいいですけれども、しかしこれをへたなことをすると、たいへんなことになる。この中身を見ると、この趣意書によりますと、「港湾近代化促進協議会の設立について」ということで、「物的流通体系の革新に当たって、最も大きな問題である港湾関係業務の近代化を推進するためには、関係各官庁や、港湾管理者のほか、各種港湾関係事業者、利用者、」これ全部一緒にしてやっていかなければならないということで、この近代化促進のために「強固な組織に結集して、」というわけです。「五大港をはじめとする各港湾に関する具体的問題の解明と対策の樹立」、みんなその対策をここで立ててしまう。この協議会というのは「運輸、労働両省の共管とする。」そうなると、これはどうも業の集約のためにこんなことを考えたって、業には業の正当な権利があるわけです。だから、こんなことを言ったって反対だと言った場合に、これだけの大勢力に押されたら、一たまりもないですよ。しかも、港湾審議会の中で港湾運送部会を延長してみたって、そこで何をきめたって、前港湾局長から、会長さんに予定されているのは元運輸次官の若狭得治さんですよ。こんな方々を全部並べて、業の船主から、荷主から、中心的なものを全部入れちゃって、おれのほうでこうきめたんだと言われれば、運送部会でも計画部会でも管理部会でも、こういう形をとればどうにもならないですよ。こういうものをつくり上げると、私はますますもって大きな中心になるべきところがその他の山ほどあるものをみんな押えて、引っぱるものは引っぱってということになりかねない。私はこういうものをほうっておけない気がする。そういうことを明らかにしていただかないと、うっかり運送部会の二カ年延長というものを認めるわけにいかぬという気がするのですが、もうちょっと中身を説明していただけませんか。
  64. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 それでは、私どもの参事官から説明させます。
  65. 見坊力男

    ○見坊説明員 港湾運送事業の集約化につきましては、御承知のように港湾運送部会でここ二年間検討していただきました。三月六日に五大港の一種事業についての集約の答申、三月二十一日に五大港の一種事業以外の事業についての答申がそれぞれ行なわれたわけでございますが、その答申の中におきましても、一つの集約の方向を示しております。その答申の中におきましても、さらに各港の実情に即して具体策を立てるために、事業者、利用者等、関係者の協力を得てそういう促進機関をつくるべきであるということがうたわれております。この趣旨は何かと申しますと、答申を実際に各港において実施していくにあたりましては、各港により、あるいは港湾運送事業の各業種ごとにそれぞれ相当複雑な事情がございます。元請、下請関係、従来からの取引関係等、非常に複雑な関係がございます。それらの特殊事情を十分考慮しなければならぬ。そこでこの集約を今後進めていくにあたっては、まず第一に業界の自主的な努力にまたなければとうてい達成できないということは、その答申でも強くうたわれておりますが、さらに利用者の協力がなければこれが達成できない。そこで、この促進協議会というものが生まれてくるまでには、事業者のみならず、利用者側の非常な協力がありましてこれが発足を見ることになったわけであります。  そこで具体的に申し上げますと、財団法人でございますので、基本財産としては二千万円を目標にいたしておりますが、その出資の半分は、直接の当事者である港湾運送業界から出資をする、寄付をする。それからあと船主協会、荷主団体、港湾協会、これは港湾管理者でありますが、港湾協会、日本貿易会、こういうそれぞれの皆さん方々の協力を得て基本財産をつくるということになっております。  それで、協議会におきましては、集約化のための調査研究あるいは運賃、料金体系の研究、その他利用者に対する宣伝であるとか、あるいは事業者の職員それから労働者の研修というような計画もございますが、とりあえずは、何もかにもひっくるめてやるというのではなくて、まず当面急ぐものからやっていこうということでございます。  それで、協議会の中に審議委員を置くことになっております。審議委員の下に、これは協議会自体の運営できまることでございますが、発起人会の相談でも、そこにこまかい専門委員会なり部会を設けて、各港の代表の方たち、事業の代表の方それぞれ各港からそこに御出席いただいて十分意見が反映できるようにしたい。もちろん港湾運送部会で今後集約化を進めるにあたりまして、いろいろな問題が出てまいります。基本的な問題はそこで議論されるわけでありますが、答申を受けたあと、それを実施するにあたって、各港のあるいは各事業の業主の意見を十分反映させるというためには、どうしてもそういうような事業者、利用者協力して集約を進めるというような、その場において関係者が半ば公的に議論をする、あるいは意見を交換するという場を設けることが必要であろうというふうに存ずるのであります。
  66. 大出俊

    大出委員 できるものからやっていくというのですが、この中身を見ると、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)とありまして、これ全部ですよ、これは何もかにもここで全部やろう、こういうわけです。港湾審議会もヘチマもあったものじゃない。これは明らかに越権ですよ。ここでいっていることを見ると、「合理的な運賃料金体系の策定に関する調査審議」なんて、そんな権限はこんなところにないですよ。これはまことにけしからぬと思うのです。いいですか、「港運事業基盤拡充のための助成」だとか、冗談じゃないですよ、これは。まるっきり小規模企業というのは切り払われちゃうのですよ。ここできめたのだからなんて押しまくられたんじゃとんでもない。こういうものをにわかに認めるわけにいきませんよ。こうなると、これは公正取引委員会にも聞いてみないといけません。日港労連の諸君が運輸大臣あてに公開質問状を出していますね。御存じでしょう。回答出しましたか。この中でも取り上げていますが、特殊な法人をつくってその特殊な法人に集約化の具体策を検討させることは、私的独占禁止法に触れるおそれがある、こういう指摘をしていますね。この中身からいけば、そういうことになる。そんなことやらないなら別だ。それから公正取引委員会の許可をたとえば得るとしても、反対意見を有する業者が不当な取り扱いとなることは事実と思われる、これは間違いなくなりますよ、反対の意見は山ほどあるのですから。そういうことを皆さんがほんとうに全力投球で、しかも運輸官僚の古い方々ばかりみんな入れてやってしまうなどと、そんなことを言えば第二運輸省ができてしまう。そういうことは私は非常に不明朗だと考えるのですがね。これは大臣はあまり御存じないようですけれども、中身を一ぺん御検討ください。これはほんとうに前次官から始まりまして、この間までおやりになっていた港湾局長が中心になって、料金体系の問題から何からやる。料金体系の策定なんというのは大臣のやることです。そういうことはよくないですよ。しかも助成措置もみんな――だからこっちに書いてある。これはこの間の例の準備会における説明した中身です。集約化促進等の政府関係機関の助成はこの団体を通じて行なう、あたりまえです。ここにちゃんと書いてある。そんなばかなことができるはずないですよ。そうでしょう。ここで直ちに結論を求めるといってもそれは無理でしょう。無理でしょうが、私はこれは大臣に御答弁いただいて、この問題は留保して、あらためてどこかの委員会でやります。いかがですか、これは。
  67. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 よく調査いたします。
  68. 大出俊

    大出委員 大臣が詳しく御存じないようであるから、これはここでそれ以上承ることは無理かもしれない。したがって、私はこの点は指摘をいたしまして、あらためてひとつどういう形かを考えまして、また皆さんの見解を承りたいと思うのです。  最後に、これは大臣に承りたいのですが、陸運事務所の問題でございますけれども予算委員会大臣答弁を私直接聞いておりましたが、いささかどうも気になる点があります。私は、この陸運行政の一元化、広域行政が、ある意味では非常に必要だという今日の事情、交通事故対策その他を含むたくさんの交通行政全般をながめたときに、臨調の答申の趣旨がわからぬわけではありません。これは行政管理庁にも承って、詳細に承知をいたしております。いたしておりますが、かつまた、四十一年の四月一日に、時の中村運輸大臣に、私はこの席で御質問を申し上げた。大臣相当明確な答弁を、当時いたしております。それらのことを含めまして大臣の見解をただしたいのであります。  当時中村運輸大臣の御答弁は、「陸運事務所の問題は、これはいろいろいままでいきさつもあったようでございますが、私は、名実ともに運輸省の出先機関としての体制を整えたい。」こう答えておられる。さらに「陸運事務所が担任しております行政事務というものは、一地域の問題ではなく、やはり広域行政の性格を多分に持っておりますので、これは運輸省の出先機関としての体制を整えることのほうが、行政の円滑をはかる上においても適当である、こういう考え方に立っております。ただ、関係各省庁との間に調整を要する点等がございますので、目下関係省庁との間に調整をはかりつつある実情でございまして、私としては、最も近い機会にこれをはっきりした体制に改めたい。地方の陸運事務所の職員等も、この問題についてはいろいろ不安な気持ちに置かれておるようでございますから、一日も早く地方の陸運事務所の職員等が安心した気持ちで行政に専念できることの体制を至急に確立したい、かように考えております。これに対する見通しも十分持っておる次第でございます。」ということなんです。以来二年目でありますけれども、最近自治省がしきりに――まだ運輸省に連絡がないようでありますけれども、そこらを切り離すべきである、自治体に移すべきであるなどということを言って歩いておりますけれども、まことに不見識きわまりないと私は思っておるのであります。そこらの大臣の御見解をひとつ承っておきたい。
  69. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 前から申し上げますように、車検登録というようなことは所有権の公証事務にも当たるのでありまして、これは土地その他の場合と同様に、国が行なって、国民に安心させるのが当然のことなのであります。  それから安全基準の確立であるとか、あるいは交通輸送の体系をつくるとか、やはり広域行政という面が非常に出てきておるので、そういう面から運輸省の下部機構としてあれを整備するということは、それは非常に理にかなった話であると思います。ただ地方的な仕事や、全般的に見てそれほど重要でないというようなものは県庁に渡してしまってもいいだろうと私は思っております。これは現在行政刷新本部というのを運輸省につくりまして、そこで検討しておりまして、結論を得次第、その方向で実施する予定でおります。
  70. 大出俊

    大出委員 行政管理庁の管理局関係の方に御出席をいただくようお願いしておきましたので、承りたいのですけれども、四十一年四月一日に私が質問をいたしました。これは長時間の質問でございまして、おおむね三時間ぐらいの長い質問でございますが、事こまかに陸運事務所の性格を申し上げて御見解をいただいておりますけれども、当時は深草官房長が答弁されておりますが、なかなか詳しい方で、かみ合った議論になっておりますが、この際行管の皆さんのほうでは、行政監理委員会になりましてから臨調答申を受けまして、逐一これは調査はできないにいたしましても摘出調査のような形でずいぶん調査をされております。で、おおむねその集約の段階なんだけれども労働省の所管、厚生省の所管の地方事務官というふうなものと、それからいまの陸運事務関係運輸省所管の地方事務官というものの調査をしてみた結果として、共通点がきわめて少ないという御見解でございました。したがって、平たく言えば、厚生、労働関係運輸省所管の陸運関係と違うという、実際に調査をした結果の御意見でございました。臨調答申の中では列記的にものを言っているけれども、それも現地に即してものを考えろという点がついているということで、そういう意味で調査をした結果、共通点がほとんどないと言っていい、そういう結論で、それをそのうちに行政監理委員会等にも出して明らかにしていきたい、こういう意味の答弁が行なわれております。現時点における行管のこれに対する取り扱い、どういうことになっておりますか。
  71. 大国彰

    ○大国政府委員 お話の陸運事務関係につきましては、四十一年の七月、行政監理委員会意見に添えまして行政管理庁としての見解を各省に示してあるわけであります。その大体の内容といたしましては、現在道路運送事務所におきまして可能な限り知事に委任することを検討しろ、その残りの部分につきましては、陸運事務所は運輸省の出先機関といたしまして、現在の地方事務官のうち、先ほど申しました知事の権限に委譲するものを除きました事務に従事する者は運輸事務官に移る、こういう結論でございます。
  72. 大出俊

    大出委員 先ほど来のお話の中で、やってしまうものはやってしまっていいんだというお話でございます。たとえば、バス路線の変更だとか、幾つかそういうものがございます。だから、限られた部門でそういう考え方を持つというならばそれなりにまた考えてみなければならぬ点があろうと思うのであります。つまり、どの辺の部門をさしていまのようなことを言っておられるわけですか。
  73. 大国彰

    ○大国政府委員 知事にできるだけ機関委任をするということになっておりますが、その具体的な内容等につきましてはなお関係各省とこれから詰めるということになっております。
  74. 大出俊

    大出委員 そうしますと、いまの大国さんのお話からしますと、移せるものは移しなさい、しかし本来運輸省の一貫した行政の中に入れなければならぬものは出先機関としてはっきりしておけ、こういうわけですね。どういうものが移せるかということは各省で検討しろと言っているわけですね。そういう理解でよろしゅうございますか。
  75. 大国彰

    ○大国政府委員 そういうことでございます。
  76. 大出俊

    大出委員 そういたしますと、大臣が先ほど御説明になりました、まあ陸運行政全体から見て、広域行政なりあるいは陸運事業の行政の一元化というようなものとそう関係がなく、まあ県段階に落としてみてもそう支障がないものがある、とすればそれらのものは、とこういう意味に受け取れるのでありますが、大臣の先ほどの答弁のその点について、もう一ぺんひとつ答えていただきたい。
  77. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありますが、行政管理庁の意見が出たのは四十一年ですか、その後自動車は非常に激増しておりまして、社会経済の状態もまた一段と変わっておるのでありまして、広域行政をやる必要というのはまた非常に出てきておるわけです。都道府県が道州制にでもなればまた考えも多少変わるでしょうが、現状の状況では、局部的なものや地方的なものでさして重要性を持たぬということは県にやってもいいですが、それ以外のことは運輸省の直轄の仕事として地方支分部局としてやるのが適当と考えております。
  78. 大出俊

    大出委員 大臣のいまの答弁でいきますと、局部的なもの、地方的なもの、直轄行政に影響のないもの。はたしてそういうものがあるかどうかという点は検討しなければいけませんが、私はそう簡単にそういうものはないのじゃないかと実は解釈いたしております。理由はいまから申し述べます。そこで自治省に一つこの辺で承っておきたいのですが、新聞で見る限りではどうもこれもずいぶん不納得な表現でありまして、こんなことをするなら、警察行政に返してしまうのですと言ったほうが気がきいていると思いますけれども、これは案ができているのかできていないのか、公にすべきものかすべきでないものか、そこらのところ、赤澤さんに言わせると、案をつくっているときにそこらじゅうから文句がつくのではかなわないと書いてありますけれども、ないならないでけっこうです。いかがですか。
  79. 林忠雄

    ○林説明員 現在自治省におきましては国と地方団体との行政の事務配分の関係その他につきまして独自の研究を続けております。この地方事務官問題もずいぶん長い問題でございます。これらにもピリオドを打つべくそれぞれについて検討しております。その検討の結果あるいは内容は、現在の段階では運輸なり厚生なり労働なりとまだ見解が一致するに至っておりませんで、それぞれ検討は進め、さらに話は続けたいと思っております。現在はそういう段階で、案の作成過程でございます。
  80. 大出俊

    大出委員 そうすると、新聞にずいぶんはっきり出ておりますが、そうではなくて、実情は検討中であるということ、それでよろしゅうございますか。
  81. 林忠雄

    ○林説明員 そのとおりでございます。
  82. 大出俊

    大出委員 そこでポイントを幾つか承っておきたいのですが、時間がありませんから大づかみなところだけにいたしますが、どうも警察行政と一緒にするような自治省の――これは新聞の方々がそう書いたのだということになりますけれども、それが出ておりますので念のために承りたいのですが、この今日の陸運事務所、これはかつて警察行政の一環であった時代もあるわけでありますが、この移り変わりについてポイントをひとつおあげをいただきたいと思いますが、時間がありませんから私のほうから言いますので、お認めいただければそれでけっこうです。  これは戦前は各都道府県の警察が所管をしていた。これが事実かどうかという点。ところで昭和二十二年の三月二十二日に、臨時物資需給調整法というのがありまして、自動車用の石油の資材の配給割り当て制度ができた。それを、当時鉄道局の自動車事務所というのがございまして、これが各都道府県庁の所在地につくられて、二十二年の五月十五日に自動車運送事業等の監督事務が都道府県から移管をされた。次いで昭和二十三年の一月一日に旧道路運送法が施行されまして、鉄道局自動車事務所は廃止されまして、運輸省地方支分部局でございます道路運送管理事務所というものが各都道府県に五十二カ所設置をされた、こういう経過を踏まえまして、自動車の輸送管理行政、車両管理行政及び自動車に関する資材行政、これを所掌しているうちに、東京外九カ所で特定道路運送管理事務所ということで広域行政をやるところという形の発展のしかた、さらに管理行政と現業管理を分離するGHQの方針が出てまいりまして、昭和二十四年六月一日に運輸省と国鉄が分かれて、それぞれ運輸省及び公共企業体の国鉄として発足をしたということに従いまして、従来鉄道局が所掌しておりました鉄道監督行政、通運行政などと特定道路運送管理事務所が所掌していたところの自動車行政、これを一緒にした。そして九つの地方陸運局が置かれた。運輸省設置法に基づいて同年の八月一日から道路運送管理事務所にかわった。そして陸運局分室が設けられて末端のこの自動車行政を担当する、こういうことになってきたわけであります。この際GHQの占領政策の一つという形で都道府県、市町村への権限委譲の指示があった。サゼスチョンがあった。各省がやむなく権限の一部を地方に委譲することになった。これが、この措置が閣議で了承されて、通産局の分室及び陸運局の分室が同年の十月三十一日限りで廃止をされて、十一月以降には分室事務が全面的に都道府県に委譲されることになった。  ところが一方、自動車行政の国家事務としての重要性、これが強調されまして、関係職員いわゆる地方事務官、地方技官その他の国家公務員、こういうことで知事直属の独立機関を構成することになった。続いて同年十月に、陸運局分室地方委譲に伴う職員処遇その他に関する件が閣議了解をされた。将来の国家行政と地方行政の再配分の問題というものがこのとき提起をされております。昭和二十四年の十一月一日に、この閣議了解の線に沿って地方自治法の施行規程に基づいて、都道府県規則によって各都道府県に一カ所、ただし北海道は七カ所、計五十二カ所の陸運事務所が設置をされて陸運局分室が廃止をされた。だから、この陸運事務所というのは知事に直属する独立した外局的な機関、所掌事務陸運局分室の事務を引き続いて継承してきている、こういう経過であります。  そこで、変則的とはいいながらも、この経過をずっとながめてみると、先ほど大臣も言っておられますように、大部分やはり運輸行政の一環としてとらえていいという気が実はするわけであります。戦前のこの警察行政というものが非常に悪評高きものであり、町の業者その他の方々を含めまして、陸運行政に携わる方々だけではなく、広く、そこに返されては困るという意見は非常に強い。ところが自治省がここで、これはまあ検討中とはいうのだけれども、警察行政と一緒にせよということが書いてある、自治省の検討中の中身は。そんなことをいまさらされては、これはえらいことになりますね。何と言われても了解に苦しむところであります。こういう経過があることについて御認識でございますか。
  83. 林忠雄

    ○林説明員 この経過については当方でもよく承知をしております。
  84. 大出俊

    大出委員 自動車局長さんのほう、それでよろしゅうございますね。
  85. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまの先生の御説明の経過につきましてはそのとおりと存じます。
  86. 大出俊

    大出委員 ということになりますと、大臣先ほど言われておりますけれども、この全体的な運輸行政の一環というとらえ方をした場合に、都道府県にはどうしてもおろせないという、たとえば、車検にいたしましても、登録にいたしましても、理由幾つもあると思うのでありますが、運輸省、特に担当局長さん、自動車局長さんの側から、運輸行政の一環でなければならぬという点をひとつ幾つか特徴的なものをおあげをいただきたい、こう思うわけであります。
  87. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 私どもといたしましては、陸運事務所が現在やっております仕事を二つに分けますと、第一番目は、これは一番人間も多く使っておりますが、車のいわゆる登録と検査の業務でございます。われわれこれを称しまして、安全並びに技術行政と言っております。それから第二番目は、道路運送に関します管理行政というものでございます。この二つでございます。  まず第一点の登録並びに検査等、自動車の安全技術行政につきましては、これはその性格から申しまして、やはり安全という問題を主眼といたしますゆえに、やはり専門的な技術が必要でございますし、さらに国が統一的な基準でもってこれは規制していくという必要があると存じます。そういう観点から国がじかにやるべきである、特にこの点につきましては、かりにこれが各地方地方で分割いたされますと、それぞれの地方の事情に応じましていろいろと格差が出てくるのではないかという点をおそれております。並びにそういう点を考慮いたしまして、現在すでに四年目になりますが、車検、登録につきまして特別会計制度というものを現在設けております。この趣旨はただいま申しましたような観点から申しまして、全国的に車検というものについての施設が各地方地方の格差を生じない、どこの府県段階に行っても同じ技術水準で車の検査ができる、並びに検査を受ける利用者がどこの県におきましても登録なり検査につきまして同じ料金でできるということ、そういう趣旨から申しまして、そういうような特別会計制度というものを設けた次第でございます。これはきわめて順調に進んでおります。またその手数料収入からあがりました収入をもちまして毎年設備の整備を行なっております。一部におきましてその整備がまだ足りないために、つまり車の数が急速にふえるということに追っつかないということでときどき御非難がございます。この点につきまして私どもは鋭意予算の面につきましても人員の面につきましても毎年努力いたしておりまして、そういう利用者の利便という点につきまして努力いたしております。今後とももちろんこれにつきましては、この特別会計制度をフルに利用いたしたいと思っております。  なおこういった面につきまして、特に最近は行管のほうからもそういう御意見がございましたのでございますけれども、こういう仕事はやはり人手を食う問題である、たとえば登録の問題もそうでございます。したがいまして、登録事務につきまして実はコンピューターシステムという近代的な電子計算機の機械を導入いたしまして、これを中央にセンターを置きまして、各府県単位にターミナルにいたしまして、中央で全部一括して電子計算機に覚え込ませる。どこの地検へ行ってもすぐに登録できる。たとえば東京の人が鹿児島で車を売る場合に、一々両方の県に行かなくても、その場でできるというようなシステム、これにつきまして現在電電公社にもお願いいたしまして、すでに青写真もつくっております。それに伴いまする準備要員定員も実は四十三年度からいただいております。そういう目的で統一的にやっていく、機械化していくということで私ども非常な努力を傾けております。そういう次第でございます。  そういうことでございますので、車検、登録等の安全技術行政につきましては、ぜひ国が直轄でやるべきであるというふうに私は確信しております。またそれが利用者の利便になると存じます。それからまた能率もあがるというふうに存じております。  それから第二点の道路運送管理行政につきましては、先ほども大臣が御説明申し上げましたけれども、これにつきまして現在検討中でございますが、現在陸運事務所がやっておりまする道路運送管理関係の業務というもの、並びにその系統の上にありまするところの地方の各陸運局がやっております自動車関係仕事といいますもの、これはやはり自動車輸送というものの本来の性格、特性というものがございます。これはやはり広域事業というのが大きな特性でございます。並びに寸断できないものではないかという特性もございます。かるがゆえにこういった事業につきましてはタクシーに至るまで免許制度をとっております。これはなぜかと申しますと、やはり広域性という見地から免許というきつい制度をとっております。したがいまして、私どもといたしましては、そういう免許制度のような重要な事業につきましては、やはり中央から地方へ一貫した一つの系列の機関が直接これをやるべきであるというふうに思っておりまして、途中から別の機関がかりにやるにいたしましても、木に竹を継ぐようなことであっては、これは行政の趣旨が徹底しない。また利用者におきましても非常な不便があるのではないかというふうに私は思っております。並びに、バスでもトラックでもタクシーでも、各種のそれぞれの陸上輸送機関というものを総合的にものを見ていかなければならぬではないか。またこれは単に自動車のみならず、あるいは鉄道との関係、それから海運との関係、そういったような問題につきまして、やはり輸送全体を一つの官庁が見ていくべきではないかというふうに存じます。特に先ほど大臣も触れましたように、自動車というものの経済における非常な重要性ということは、これはいまや鉄道を抜きつつあるような勢力でございます。こういったような傾向にございますので、やはり総合的に一貫した一つの官庁が下まで一系列において見るべきではないかというふうに私は確信しております。  そういう意味からいたしまして、非常に現実性が強い、そういう総合性の必要がないものとか、あるいは一貫してやるべき必要のないものにつきましては、先ほど大臣御発言のように、これにつきましては私は地方事務としてもいいのじゃないかというふうに存じます。ただいまその点につきましては理論的に検討いたしております。しかし、私が先ほど申しましたような前提の理論に立ちまする限り、それはきわめて僅少ではないかというふうに私は予想しております。いずれにいたしましても、いま検討しておりまして、先ほど大臣も申しましたように、六月末までの各省の行政の刷新ですか、各省でやっておりますその中に組み入れていきたいというふうに現在準備いたしておる次第でございます。  以上でございます。
  88. 大出俊

    大出委員 私も実は全く同感でございまして、ということになると、あまり切り離すべきものはないのじゃないかという気がするのであります。  これで終わりでございますが、時間の関係もありまして切り詰めて申しますと、私この前に質問をいたしましたときに、理由を三点皆さんの側からあげておられるわけであります。一つは登録業務であります。これはさっき大臣がお話しになっておりました不動産登記、法人登記であるとかあるいは船舶の登録であるとか、こういうふうなものと同等であるから、国が全国的に統一した観点で行なうべきである。私もそう思ってそういう質問をしたのでありますが、それが一つ。  それから第二点は、自動車の車体検査などの問題、これは自動車の安全確保という観点、これが一つあります。専門的な技能、知識を要するということ、あるいは一つの均衡論という点からいきまして、鉄道、車両や船あるいは航空機、これらの各輸送機関全部運輸省の直轄所管でやっておるわけですね。そういったバランスの問題もある。それから検査施設、これは非常に重要であります。要員の拡充、これも重要であります。だから、現在の自治体の状態から見た場合に、貧乏県が山ほどあるわけでありますから、自治体財政はますます困窮をしている。これは自治省が考えなければいかぬ筋合いだ。もう少し困窮させないようにしなければいかぬわけでありますが、そういうところに持っていって、どんどんふえていく自動車に対応する、満足な検査施設が一体できるかどうか。特別会計制度なんというものをそのためにとったわけでありますから……。そうすると、ある県にいけば簡単に通ってしまう、ある県にいけば通らない、こういうアンバランスが至るところに出てくる。ここではうまくいかないからこっちへ持っていって、というようなことになると、これはゆゆしきことになる。スキーバスなんというものがいま走っておりますけれども、あれはうしろにスキーを引っぱっておりますから、たいへん長い。いなかではいいのですが、町へ行けばたいへんです。そういったようなものにつきましても、これはやはり一元的な規制が必要だと思っている。そういう意味で、第二番目の問題点はそこにあります。したがってやはり一元的に施設もふやし、金もかけ、専門的な技能者もつくる、これには思い切って金をかけていただいていい、こう私は思っておるわけであります。  それからもう一つ問題になりますのは、三点目でありますけれども、広域行政ですね。いま最後に話題になりましたバス路線の変更一つにいたしましても、名古屋の例なんか隣に豊田市がありますから、百メートル道路が二本、十文字に走りまして幹線道路が九十二本もあるのですが、全部バスが走る。将来そういう方向にいかざるを得ない。地下には地下鉄、上にはバスということになる。そうすると、さっき大臣がおっしゃいましたが、道州制ということになればまた別な考え方が出てきますが、そうでない限りはやはり広域行政の一環として――いまそうなっていないのですから、運輸省なら運輸省というものが交通行政の一元化という観点から押えるということにならないと完全なものにならない。こまかく申し上げれば中身が一ぱいあるのでありますけれども、時間がありませんから簡単に要約して申し上げているのであります。  ところがもう一つ大きな問題がある。それは何かというと、いまの答弁で人事の問題が抜けている。陸運局があり陸運事務所が方々にありますので、人事の交流が常に行なわれている。たとえば、九州の佐賀県の陸運事務所につとめるようになった人が神奈川県に来て現在つとめている。いつの日かまた佐賀県に帰りたいと思っている。ここでいきなり地方に切り離された場合には神奈川県の事務官になってしまう。そうなると、交流のしようがちょっとないのであります。そういう意味では、地方事務官制度というものは臨調のいっている趣旨のようになくすべきである、賛成であります。しかしそれは運輸事務官というところに引き上げるべきものであって、県に切り離すべき趣旨のものではないというように考えるわけであります。さらに県に持ち込んだ場合に、相手のセクションが労働省、厚生省にはありますが陸運行政の面ではない。だからどこかの片すみに置かれることになる。自治省は警察行政と一緒にしようということをいって、そういうセクションによしんば入ったにしても、車検なら車検をやっている技能者は課長になるの部長になるのということは考えられぬ。いつになったって、技能者として結局そこでほこりをかぶる結果になってしまうということになると、そういった人事の面からいっても黙っているわけにいかない筋合いだというように実は考えているわけであります。  これらの問題は、実は四十一年の四月のときにもきわめて長い時間のやりとりをいたしております。いまの電子計算機の問題、コンピューターの問題も出てきております。当時、皆さんのほうで私の質問にお答えになっている中では、全国一本で電子機器を入れる。これは四十年度から準備に入って、四十一年から五カ年計画で完成させたいということです。全国一連の登録番号のようなことを考えて、どこの車でもどこにあっても、それは一連の登録番号で一ぺんでわかるというシステムをつくりたいということで、相当金をかけていま熱心に進めておられる過程だ。こんなものにうっかり手をつけられたら困ります。都道府県にはそんな金はありません。したがって、そこにもっと力を逆に入れていただかなければならぬという気がするわけであります。  それから外国を歩きまして気がつくのは、どこのハイウェーで自動車が故障しましても、いきなりそこに修理の車が飛んでくる。JAFというものが日本にもありまして、私が質問したときには五万人くらいが加入人員でありました。それも運輸省が助成しながらやっているように聞いておりましたが、そういう意味で最近だいぶ進んできております。こんなマークをつけた車が走っておりますが、全体的にとらえてものを考えていただかないと、交通事故多発の今日の状態を考えた場合に、やはり万全なものになっていかない。車検一つとらえましても、交通事故一つの起因になるという点を考えますと、私は逆に運輸省の直轄行政という形において、もっとこれは思い切った予算と人とをこの面にはつぎ込んでいただきたい。この登録なんかだって、ずらっと並んでおってたばこの煙がもやもやしている。神奈川の私のほうの陸運事務所に行ったって、陸運事務所の事務官がやらなければならぬものをみんな市民一般にやらせておる。いつになったって自分の番が回ってこない。おれたちだって税金払っているのだから、いいかげんで人をふやせという声が出てくる。こういう実情です。これが迅速万全に行なわれていけば、ずいぶん国民の皆さんには喜ばれる筋合いだし、そうしなければならないし、そのことが事故だ何だを防いでいくことにもなる。ともかく夜中に警察から電話がかかってくるわけです。しかもその方は本来の職務上、盗まれた車の番号云々を調べなければならぬ責任はない。ところがこれは人事院がいつの間にか、三十九年の末に人事院規則をつくりまして、その種のことは所轄の長の裁量でやれるのだなんというようなことにした。これはまことに場当たり的でいかぬと私は思っているのです。だからそういう意味でぜひひとつ運輸省の一元化行政の中で、金とそれから人とをつぎ込んでやっていただきたい、こういうふうに実は思うわけでありますが、最終的にもう一ぺん大臣に、十二分に理由のあることはあくまでもその線に従って、むしろいままであまり力をいれなさ過ぎるわけでありますから、運輸事務官に引き上げて、ほんとうの一元化行政が万全に行ない得るような体制にしていただくようにお願いしたいと思うのであります。御意見をいただきたい。
  89. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御見解に全く同感でありまして、敬意を表します。先ほどの自治省の考え方ですか、これを警察にというような話があったそうでありますが、警察なんかに渡すということはきわめて不適当なことであると私は思います。交通取り締まりは警察がやってもいいですが、警察というところは元来警備、公安あるいは刑事あるいは保安行政、そういうことをやるべきものであって、こういう管理事務をやるべきではない。新憲法になって、民主主義の世の中になって警察からはずしたのは、そこに意味があるのであって、そこをもとへ戻すというようなことは時勢に逆行しておる行為である、もしそういう考えがあれば間違いであると私は思っております。
  90. 大出俊

    大出委員 これは四十一年以来重ねての御質問になりましたが、最近どうもいろいろなことが出てくるので、心配になって実は再度の質問をしたわけであります。時間の関係できわめて簡単に要点だけにしぼりましたけれども、ぜひひとつ前向きで御努力を賜わりたいことをつけ加えまして、長い質問になりましたが、終わらせていただきます。  たいへんありがとうございました。     ―――――――――――――
  91. 三池信

    ○三池委員長 この際、おはかりいたします。  本案に関して、新東京国際空港公団総裁今井栄文君、理事磯江重泰君、同じく岩田勝雄君及び同じく高橋淳二君を参考人とし、意見を聴取したいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。     ―――――――――――――
  93. 三池信

    ○三池委員長 淡谷悠藏君。
  94. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 今井公団総裁にお伺いしたいのですが、この成田空港は計画以来いろいろな事件が発生いたしまして、全国的に注目を集めるような大きな犠牲を払ってまいりました。この後のやり方いかんによってはますます不慮のできごとが深刻になるような傾向がございますので、この際、大臣もおいでの前であなたの見解をはっきりさせておきたいのです。  この成田空港ができます前に富里の空港が計画されまして、それがいつの間にかなくなってしまったといういきさつがありますが、富里の案は一体どうして遂行できなかったか。総裁のお考えを聞かしていただきたい。
  95. 今井栄文

    ○今井参考人 先生もよく御存じのように、新東京国際空港公団が発足いたしましたのは一昨年、昭和四十一年の七月三十日でございまして、したがいまして、これは富里の空港予定地としての論議の最中には、実はまだ公団自体が発足をいたしてなかった時代の問題でございます。しかしながら私自身いろいろ伺った点についてお答え申し上げますと、北総台地は富里をも含めて非常な適地であると信じております。富里自体が空港として予定されながら中断されたということにつきましては、これは私なりの感じでございますが、当時私は浪人でおったものでございますので、その衝に当たっておったわけではございませんが、当時は七百万坪というふうな規模で理想的な空港をつくろうというふうな構想で出発をいたしておったように伺っておるのでございます。あの地域で空港をつくるとすれば、移転戸数が千数百戸になるというふうなことからいたしまして、しかも全部が民有地であるというふうな関係からいたしまして、それだけの農家の方々を他に移転して生業につかしめるということが非常にむずかしいというふうな状況があるために、必ずしも千葉県自体がこれに納得をされなかったというような事情によっておやめになっというふうに伺っております。
  96. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 今井公団総裁も直接この衝には当たらなかったというし、中曽根運輸大臣もやはりその当時は運輸大臣でなかったはずでありますが、やはり運輸大臣としての継承責任があると思うのですが、富里空港の案を廃止されました理由大臣からひとつお聞きしておきたい。
  97. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 一番大きな理由は、公有地が現在の成田のほうは多かった。県有地及び国有地、三里塚の牧場、そういう部面で約三割近くの公有地があった。したがって関係住民に対する迷惑をかけることも少ない。そういう点が一番大きな理由だったのではないかと思います。
  98. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 民有地の多いことは計画以前からわかっておりますので、民有地が多くて困るというのは、その民有地の所有者が反対するから困るのであって、賛成したら別段これは多くたってかまわないと思います。やはり富里でも反対があったためにやめたというふうに理解されますが、いかがですか。
  99. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公有地が多ければやはりそれだけ反対者は少なくなるわけですから、やりやすいのだろうと思います。
  100. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 民有地でも、反対者がなければできるわけですね。
  101. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それはそのとおりでありますけれども、やはりあれだけの膨大なところを手に入れようとしますれば、必ずいろいろな都合もあって反対者もあるわけですから、なるだけ反対者の少ないところを選ぶというのは、行政としてとるべき態度なのではないかと思います。
  102. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 富里の空港でも当時激しい反対運動の起こったのは、これは御承知だろうと思うのです。そして、この案もまたいま気がついたのではなくて、かなり抵抗も受けるだろう、しかしながら適地であるからということでおきめになったのだろうと思うのです。でたらめにきめたのではないと思う。この案を比較してみますと、大体富里の場合は二千三百ヘクタール、現空港はその半分の千百五十ヘクタールにも満ちません。滑走路の数にしましても、富里案は大体四千メートルが二本、それから二千五百メートルが二本、それに横風用の三千六百メートルが一本。この計画は理想的な案ということを、先ほどはからずも総裁口にされましたけれども、この四千メートルを一本に減らし、二千五百メートルを一本に減らす。横風用だけは三千二百メートル。これは大体四百メートル少ないのですが、計三本におろした。これで一体どっちの案がいい案なのですか。半分にしちった。半分で役に立つなら、富里も初めから半分にしたらいいじゃないですか。そうすると、関係住民の数が千五百戸あったというのが、半分にしたらやはり減るでしょう。初めからそのような狭い案でよかったら、富里案も半分にすべきではなかったか。どうして富里の場合は膨大な計画を立てて、今度はどうして半分にしたという変化が起こったか。これは大臣からお聞きしたほうがいいでしょう。
  103. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり選択の問題で、入学試験と同じようなもので、九十点の生徒のほうがいいのですが、九十点がだめなら八十点の生徒でも合格させる、六十点ではいかぬ、そういうような選択の問題だろうと私は思います。
  104. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは規模からいいますと五十点。落第点だろうと思うのです。  その前に、「新東京国際空港候補地としての羽田(拡張)案及び木更津沖案の問題点とその説明」、これは三十九年十月八日です。これをずっと読んできますと、両案ともに最も大きな――とは申しませんが、重要な障害点にブルー14という問題が出てまいります。いずれの場合でも、それがほとんど決定的な反対要素になっておるよう、でございますが、一体このブルー14というのはどういう性格のものか、大臣からお伺いしたい。
  105. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ブルー14というのは、横田、立川、あの辺のアメリカの空軍基地でございまして、それに対する進入路――日本の民間航空が妨害するのを避けようというわけで、大体進入路に沿って線を引きまして、日本の民間航空が使わない空域をきめたわけであります。これは合同委員会でも合意をいたしまして、そういう路線を承認いたしましたので、その点は使えないわけであります。そういう点で非常な制約を受けておりまして、東京を中心にして自動車で一時間、そしてブルー14の制約を受けないということになると、結局千葉県の北の方向に向かっていかざるを得ないのであります。そういう点からいたしまして、北総台地で富里、三里塚というものが候補地にあがってきて、比較的公有地の多い三里塚のほうへきまったのであると思います。
  106. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ブルー14についてもう少し詳しくお聞きしたい。空域などももっと正確にお聞きしておきたいのです。  それから、御承知のとおり空港設定の場合は、地上の広さももちろん問題ですけれども、空の広さがやはり相当問題になると思う。その点で、都の西北とは申しませんが、西南のほうにあるというブルー14なるものが、どこからどこまでのもので、どういう不自由を与えているものやら、この際率直に答えてもらいたい。
  107. 澤雄次

    澤政府委員 ブルー14について、大臣説明に若干補足させていただきます。  ブルー14を設定いたしましたのは、大臣の御説明のように、入間川、横田、立川、厚木、この四つの飛行場がございまして、これは風向きの関係で、御承知のように滑走路が全部南北を向いております。この四つの飛行場に入りますためには、大島のビーコン、VORから、この四つの飛行場の上空を通りまして日光に至る航空路でございます。この航空路は、この四つの飛行場がありました関係上、占領中から米軍によって設定されていたわけでございますが、空の管制権が日本に返りましたあと、もちろんこれは運輸大臣の管轄する航空路になったわけでございます。ただ、この四つの飛行場が、軍あるいは自衛隊の飛行機の往復が非常に激しいものでございますから、そして、これは民間の飛行機も入れるのではございますが、これを横切ることができない。横切ることができないということで、非常に大きな壁になっているわけでございます。
  108. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この羽田の拡張案も木更津沖案も、このブルー14が影響していることは事実なんですね。このためにできないんだということもいわれますね。
  109. 澤雄次

    澤政府委員 この羽田、木更津沖案の問題点をお読みいただきますればわかりますように、いろいろな難点がございますが、その一つとしてブルー14が大きな難点になっておることは御指摘のとおりでございます。
  110. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 最近何か伝えられるところによりますと、このブルー14に民間機が従来より自由に立ち入ることができるようになったというような新聞報道があったのですが、この事実はどうですか。
  111. 澤雄次

    澤政府委員 現在、このブルー14を横切る方法を一つとっておりますが、それは羽田を出まして西に行きます飛行機が――これは技術用語で羽田リバーサルと言っておりますが、羽田を出て西に行くのが、逆に東のほうに向いて飛びまして、それから戻ってまいりまして、羽田の上空で一万フィートになります。それからブルー14の上を一万五千フィートで通過する、こういう飛び方を考えたわけでございます。これは現在韓国へ行く航空路などに利用しておりまして、非常に限定された使用方法でございます。いま一つ、新聞に出ましたのは、現在西行きが全部大島まで下がりまして、大島からグリーン4、グリーン6に乗って西のほうに行っておりますが、これではやはり相当の迂回になりますので、羽田から横須賀まで下がりまして、横須賀からまっすぐに浜松に出るルートをいま米軍と交渉いたしております。これも羽田のレーダーと横須賀のレーダーでリレーをいたしまして、そうして限定的に西行きだけ直行路線をつくろうじゃないか、こういう交渉をいたしておりますが、まだテストの最中でございます。一般的に、ブルー14を通った航空路を自由に設定できるということは、現在のところ考えられない状態でございます。
  112. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはひとつ大臣にお聞きしておきたいのですが、ブルー14を未来永久に米軍の使用にまかせるといったような考え方か、機会があったら、これはやはり日本で自由に使えるようにしたいのか、大臣のお考えだけを承っておきます。
  113. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 機会があったら、できるだけ日本側の使用の方向に変更していきたい、こういうふうに考えております。
  114. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで、今度は今井総裁のほうに伺いますが、一体富里の案を半分にした現計画で完全な国際空港になると思っておりますか。
  115. 今井栄文

    ○今井参考人 私は先ほど、富里空港案、七百万坪というものが理想的なものであるというふうに申し上げましたが、これは当然、空港は広いほどいいわけでございます。しかしながら、御承知のように日本は地形的に見まして非常に山が多く、平たん地が非常に少ないというふうなことで、先ほど大臣も申し上げましたとおり、やはり現実と調和して最もいいものというところに、現実的には落ちつかざるを得ないというととでございます。したがいまして、東京の新しい空港、国際空港としての適地といたしましては、都心からの距離が約六十キロ、自動車で少なくとも一時間以内で到達できる距離において、しかも管制上空域が確保できるという地域を、航空局の中で数年にわたって、十数カ所について調査いたしました結果、富里と三里塚が適当であるということになった次第でございまして、その結果、国有地並びに県有地の多い現在の空港現実的に落ちついたという関係でございます。現在の三里塚空港は三百二十万坪の予定地でございますけれども、私は、現在マスタープランを作成中でございますが、あらゆる施設の近代化をはかりまして、必ずやりっぱな空港に仕上げるという確信を持っております。
  116. 木原実

    ○木原(実)委員 関連をして伺っておきたいのですけれども、これは総裁の問題じゃないと思うのです。われわれ一番納得いかないのは、いままでの過程の中で、たとえば三里塚に決定をするまでのいきさつ、これはどう聞きましてもわからないわけです。ですから、いま淡谷委員からお尋ねがありましたように、なぜ富里から三里塚に変わったのか、そのことの理由がきわめて不分明なんです。いろいろなわれわれの調査から見ましても、その過程の中にはきわめてあやふやなものがある。だから、富里であれだけの敷地が必要であったものが三里塚では――総裁のことばをかりますと、現実的には調和のとれるところに確定する以外になかったんだ、こういうことなんですが、調和よりも何よりも、ただそこにかっこうの土地があった、それだけの理由しか見当たらないわけですね。国際空港というものを建設していくたてまえから見まして、はたしてその程度のものでいいのかどうか、これが一つなんです。  それからもう一つは、十数カ所にわたってお調べになった、こういうお話もございましたけれども、一体どういうところをどういう形で調査をなすったのか、十数カ所お調べになったというならば、お調べになりました全部の資料を出してもらいたい。全国的な規模にわたって調べたというおことばは以前にも聞きましたけれども、どういう形でお調べになったという、その裏づけは一つもないわけですから、その裏づけをひとつ出していただきたい。
  117. 澤雄次

    澤政府委員 あとのほうの御質問からお答え申し上げますが、東京近くに新空港を決定いたしますにつきましては、昭和三十七年から調査をいたしておりまして、十数カ所と公団総裁は言われましたが、先ほど淡谷先生の言われた羽田の拡張あるいは木更津の埋め立てのほかに九十九里浜、波崎、水戸の射爆場、浦安沖、富津沖、白井、印旛沼、谷田部、稲敷台地、渡良瀬遊水池、このようなところを具体的には調査をいたしたわけでございます。それでいずれも先ほど申し上げましたような、羽田を将来ともに国内空港として生かしていくという見地から見ますと、管制の関係からどうしても東京湾周辺には設定できない。それから東京から西のほうは、先ほど淡谷委員の言われたブルー14がございまして、その壁にぶち当たってできない。それから霞ケ浦その他の土地につきましては、土木上の見地あるいは百里の空爆の飛行場との管制上の調整というようなことから不適当であるということで、北総台地に決定をいたした次第でございます。  それから前段の御質問につきましては、先ほど大臣からもお話し申し上げましたが、成田のほうが国有地、県有地がたくさんそこにあるということ。それから富里の場合は、住民の反対ももちろんございましたが、地方自治体が賛成されなかった。成田の場合には、いろいろな地元の方とのお約束をもとにして地方自治体の御賛成があったので、成田のほうに決定した、こういう経緯でございます。
  118. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、お調べになった地域はわかりましたけれども、適地であるかどうかを検討する場合の検討項目ですね、これは結局、たとえば空域の問題であるとか、あるいは土地の取得条件がいいとか、その程度のことでございますか。
  119. 澤雄次

    澤政府委員 空港の決定につきましては、ただいま先生のおっしゃった点が一番大事でございまして、空域の問題、それからその土地が飛行場として適しておるかどうかという問題、それから気象条件、それから都心からの距離が、鉄道を引くということも考えられますが、やはり何といいましても空港の場合は自動車で行くということが大事かと思いますので、自動車で行ける距離というようなことを中心にして検討いたしたわけでございます。
  120. 木原実

    ○木原(実)委員 関連ですから、これで終わりますけれども、これはひとつ大臣にお伺いしておきたいのです。  かなりさかのぼるわけなんでございますけれども審議会に諮問をいたしまして、そして三里塚にほぼ決定する段階の事情をいろいろ調べてみますと、大体運輸省の原案がかなりしぼられまして、いま局長答弁にございましたように、結局空域の問題であるとか、土地取得の条件であるとか、そういうところでふるいにかけたものを出して、審議会自体がたいへんしぼられたかっこうで、つまり広く適地を探して、それからあるべき国際空港の機能や姿や、そういうものを前提に置いて検討する余地のないままきめられてきた、こういういきさつがあるわけなのです。したがって私どもとしましては、そもそも三里塚に決定をしたそのことにさかのぼってはなはだ疑問があるわけなのです。ですから大臣がどういうお引き継ぎをお受けになったかわかりませんけれども、そこまでさかのぼって、一体その程度のことで国際空港の適地を決定していいのかどうか。これから先の問題もあると思うので、この段階でひとつ御見解を聞いておきたいと思います。
  121. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 地元の一部の方々には、急な決定でたいへん御迷惑をおかけした点もあるようでございまして、その点ははなはだ遺憾でございますが、いろいろな経緯を調べてみますと、やむを得ない措置であったように私は思います。   〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 広さその他からいたしましても、当初の予定よりは狭くなっておりまして、理想的な案からは少し後退したようでありますけれども、しかし四千メートル滑走路あるいは三千メートル、二千五百メートルの滑走路や、エプロンの位置、そういういろいろな面を考えてみますと、まあまあこれでもいい、国際空港としては十分やっていける、そういうものができる見通しがありますので、これを至急完成するように努力していきたいと思っております。
  122. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 航空局長の言うこと、ちょっとぼくは納得いかないのですが、自治体が賛成したから今度のほうにして、前のほうは自治体が賛成しないからやめたんだ、こういうのですね。これを決定したのは四十一年の七月四日閣議決定になっていますね。自治体が賛成したというのは友納知事がいいと言ったからですか。千葉県の県議会などはどういう意向だったのですか。
  123. 澤雄次

    澤政府委員 この七月四日前に、政府と千葉県知事とのお話し合いで千葉県知事が了承をされたのでございます。県議会の関係は存じませんが、県議会の関係も千葉県知事によって代表されていたのではないかと思うわけであります。
  124. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 知事というのはそういう独裁性はないでしょう。知事はやはり県議会の決定を得て知事としてのそれができるのじゃないですか。議会がどういう意向であろうと知事がいいと言えばいいんだというお考えはちょっと私は納得できない。しかしこれは追及いたしません。ただ少なくとも富里の案と成田空港案とでは半分の規模ですね。初めから半分の規模でよかったならば、間に合うならば、初めから半分にしてもよかったじゃないですか。理想案じゃないと言いますが、それは中曽根大臣、八十点と言いますが、区域から言えば五十点ですね、半分しかないんだから。では今後拡張しないのですか。公団の総裁どうです。絶対にこれは拡張しませんか。
  125. 今井栄文

    ○今井参考人 拡張の問題につきましては、むしろこれは政府の問題でございますが、私どもとしては絶対に拡張しないというふうに承っております。
  126. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 拡張しない。
  127. 今井栄文

    ○今井参考人 そのとおりでございます。
  128. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 確かめておきますが、中曽根運輸大臣、やはり拡張しないということに……。
  129. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 拡張いたしません。
  130. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ではもう一つ聞きますが、この成田空港というのは羽田と併用するつもりですか。それとも独立した国際空港とするつもりですか。
  131. 今井栄文

    ○今井参考人 これも政府側から答弁したほうがいいと思うのですが、公団自体、御承知のように建設と運営を両方やるわけでございますが、成田はあくまでも国際線の専用の空港だというふうに将来考えていきたい、したがって最も立地的に都心に近い羽田は将来は国内線の専用空港というふうに考えて、両者相まって東京空港として発展していく、こういうふうに考えております。
  132. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは、国際空港としてはやはり成田に限る、そうなりますと、一切の外国機は成田に集中するということになりますね。
  133. 今井栄文

    ○今井参考人 これも政府側答弁のほうがいいのですけれども、たとえば東京をオリジネイトしてソウルとか沖繩に行くとかあるいは台北へ行くというふうなきわめて近距離の国際線をどう扱うかという問題が焦点だと思います。つまり距離的にいいまして東京から非常に近い近距離国際線、しかもそれが東京をオリジネイトするものである、こういうふうなものをどう扱うかということが問題だと思いますが、しかし成田は原則としてあくまでも国際線のための新東京国際空港であり、羽田は国内線を中心とする東京空港である、こういうふうに考えていただいていいのではないかというふうに公団としては考えております。
  134. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 政府答弁はどうですか。
  135. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大体公団と同じ考えです。
  136. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうなりますと、この前運輸委員会で小川三男君の質問に答えまして中曽根大臣は、軍用機は発着を許さぬということを言っておりました。私の力でもって許さぬという御答弁がありましたが、椎名外務大臣の本会議での答弁を聞きますと、安保条約のある限りはこれはどうも拒めないと言っている。他に国際空港がないとすれば、軍用機などがどんどん着くことになりますね。これは中曽根大臣、幾ら一人でがんばったって着くことになるのではないですか。
  137. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 安保条約、地位協定等を見ますと、米軍の飛行機は日本の港あるいは空港に入ることができるようになっておるわけです。そこでMACチャーター機がいま羽田に発着しておるわけであります。社会党の方々は、あのときの小川さんの質問は、軍事基地にするか、軍事基地だ軍事基地だというお話がありましたが、軍事基地ではございません。軍事基地というのは、合同委員会で合意に達して、日本が向こうに出したところが軍事基地なんであって、そういう合同委員会で地域として提供する場所ではないから軍事基地ではございません。では次にMACチャーター機はどうであるか。MACチャーター機はできるだけ入れないようにするつもりだ、この国際空港ができた経緯にかんがみ、また米軍の飛行場そのほかの余裕等も考えてみて、この飛行場は日本の、やはりアジアの中心になる平和な飛行場としてこれを確保するということが私の考えでありますから、アメリカにも話しまして、軍用飛行機はできるだけ入れないようにする、そういうふうに申し上げたのであります。
  138. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっきの大臣答弁をかりますと、百点満点とまではいかず、いまの御答弁は七十点か六十点というところで、できるだけ入れないようにすると言うけれども、結局は入れることになるだろう。そうすると、新しくできる成田空港というものは軍用機を入れることもあるし、民間機を中心にしてやるというふうに理解せざるを得ない。  なお、このあなたのほうで出されました案に従いますと、非常に大事な項目があるのです。「現在羽田空港における北向きの離陸の場合には騒音対策上、東京都の市街地を避け離陸直後右廻り旋回を行なっている。しかるに新空港の滑走路は同時使用の平行滑走路であるため、」というのは、これは木更津沖案だと思いますが「であるため、その西側の滑走路についての出発経路は、千代田区、港区、品川区等東京都の中心部の上空に設定せざるを得ず、しかも、新空港の離発着回数は現在の羽田空港とは比較にならぬほど激増するので、新空港による騒音問題は極めて深刻となる。」こういう一項がありますね。  それからもう一つ「仮に燃料を満載した超音速旅客機(SST)が密集市街地上空で万一事故を起した場合を想定して見ると、約一〇、〇〇〇坪の範囲内に一〇〇トンの燃料が飛散し、その中にある百数十戸が爆発及び火災により全滅すると予想されるのみならず、その周辺地域に類焼等により及ぼす被害も極めて大きなものとなると考えられる。また事故の場所が川崎等の工業地帯である場合は被害はさらに拡大すると予想される。」こういう点を二つあげてあります。  これは空港公団の総裁に伺いますが、千葉県に持っていけばこういう危険はなくなりますか。
  139. 澤雄次

    澤政府委員 これは昭和三十九年に出しました資料でございますが、前段で言われておりますことは、平行滑走路をつくりました場合に、それが千五百メートル以上離れておりますと同時離着陸が可能なのでございますが、その飛び出しましたあと、右側の滑走路は右に迂回し、左側の滑走路は左に迂回するということによりまして、二本の滑走路で同時離着陸の効用を発揮するわけでございまして、右に飛ぶほうは現在やらせているわけでありますが、左のほうに飛ぶ場合は、先ほどお話しのブルー14に引っかかりますので、これがうまく利用できない。かりにこれをブルー14をくぐって飛んだとしましても、これが川崎の工場密集地帯の上を飛ぶのであぶない、こういうことが前段でございます。  それから後段のほうは、これは万一の事故がある場合にはどこでも同じような状態になるわけでございます。ただ人口密集地帯の場合にはその被害がさらに大きくなるだろうということがここに書かれているわけでございます。
  140. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いまのお答えによりましても、これはどこに移そうと騒音の被害並びに万一の事故の場合の被害というものはのがれられないということははっきりしております。これは総裁どうですか。いま千葉県に持っていけばこの種の事故はなくなりますか。油が落ちても燃えないでしょうか。密集地帯の人たちは困るが、それでも千葉県はいいというのですか。
  141. 今井栄文

    ○今井参考人 御承知のように北総台地は現在比較的人口もきわめて疎でございまして、私どもの滑走路は羽田と同じように南北に二本の滑走路をつくるわけでございますが、その飛行機の飛行経路については十分考慮いたしまして、できるだけ人家の密集地帯を避けるということで、飛行経路を設定するというふうに考えております。
  142. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 しかし幾ら避けましても、密集地帯におけるほど大きな惨害はなくとも、事故が起こった場合は惨害は免れないわけですね。これだけはごまかすわけにはいかぬでしょう。騒音はもちろんあるし、事故が起こった場合にはやはり千葉県でも被害はあるのだ、これははっきりわかっておるのでしょうな。これがないということであれば話はまた別ですよ。
  143. 今井栄文

    ○今井参考人 万々一の事故の場合にも、できるだけ被害が少なくなるという飛行経路の設定をやるわけでございますが、現在の飛行機の羽田における非常な発着回数の多い、しかも人口の密集地帯を控えた空港においても、しばしば空港の周辺――周辺といいますか、空港内における事故等もあったわけでございますけれども、私ども成田におきましてはそういった教訓を十分に生かしまして、事故その他に対しましては万全の措置を講ずるということを現在から考えております。
  144. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 本会議関係がございますから、私の質問は本会議後まで保留いたします。
  145. 井原岸高

    ○井原委員長代理 本会議散会後直ちに開会することとして、暫時休憩いたします。    午後二時休憩      ――――◇―――――    午後三時四十一分開議
  146. 三池信

    ○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。淡谷悠藏君。
  147. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 警察庁長官にお伺いしますが、いまの国際空港の問題でずいぶんたくさんの警察官が動員されておるようですが、富里それから成田両空港建設にあたりまして出されました警官の数は、積算でどれくらいあるのですか。
  148. 新井裕

    ○新井政府委員 富里以来出しました累計は出しておりませんので、ここでお答えをいたしかねますが、たとえば三月十日は大体五千人という警察官を動員しております。
  149. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 しかし、これはただでたらめに動員するのではなくて、大体計画があって動員されるのでしょう。そうしますと計数はつかまえられているのですね。富里以来この空港の問題に関して出された警官数というのはわかっておりますね、いまはお持ちでないかもしれぬけれども。何人出てどうしたかわからないというわけですか。
  150. 新井裕

    ○新井政府委員 富里以来というお尋ねでございますけれども、淡谷委員御承知のように、富里の当時はそれほど大きな警察官の動員はございません。成田の空港問題が本格化いたしましてから動員した警察官が多いわけでございまして、したがいましてどういう計算をしろとおっしゃるのか、警察次第で、たとえば地場におります警察官が通常の勤務の間に仕事をいたしました数を入れるか入れないかで若干違うと思いますけれども、いま申しましたように最大限度動員したときはその程度でございますが、それを全部累計いたしましてもおそらく何千という程度の数字だろうと思います。もちろんこまかく計算すればわかります。
  151. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 成田の空港が本格化したというのは、いつに時点を置いておるわけですか。警察としてはいつが本格化した時点と考えているわけですか。
  152. 新井裕

    ○新井政府委員 いまお尋ねがありました本格化ということばは、ちょっと私も不用意でございましたけれども、私どものほうの警察活動が、学生などが動員されたためにある程度大きな動員がなされるということをいま本格化ということで申し上げたのでございます。それと、先ほど来お尋ねがございましたように、富里等が本格的に設定されないで、成田へつくろうということでそこに持ってきたわけでありますが、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  153. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 富里の場合本ずいぶん激しい農民の抵抗があったのですが、あの場合は大体どれくらいの警官を動員したのがピークですか。
  154. 新井裕

    ○新井政府委員 千葉県だけの警察官の動員でございますから、おそらく最大限度でも何百名という数字だったと思いますけれども、的確なことは、いま手元に資料がございませんのでお答えできません。
  155. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 古いことはもうみな調べておりますから……。現在成田空港の警備状況はどうなっておりますか。
  156. 新井裕

    ○新井政府委員 大体は地元の成田警察署の警察官をもって、いろいろ起こります事象に対して取り締まりをいたしておりますが、この二、三日来、御承知のようなことで四人の地元の人たちを検挙いたしましたので、それのために成田署以外に本部から若干名増員をして配置をしている状況でございます。
  157. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 四名の逮捕事件の内容を、できるだけ詳細に御報告を願いたいと思います。
  158. 三井脩

    ○三井説明員 四名を先般逮捕いたしましたが、この事案はことしの二月十四日に発生した事案でございます。これは芝山町の岩山地区に住んでおられる木村という二人の方、この人が自分の所有する山林、宅地等の調査を行なうために依頼をいたしたわけでございますが、この依頼を受けた土地家屋調査士とその補助者、これが計三名でございますが、この人が二月十四日に調査をいたしまして車で帰る途中、芝山地区の反対同盟員と思われる約三十名、この人たちが午前十一時ごろから一時五十分ごろまでの間におきまして、芝山地区の道路上におきまして、この三人の人たちの乗っておる自動車を取り囲んでこれを引きおろし、なぐる、けるの暴行を加えて、二週間の全身打撲の傷を負わしたわけでございます。これは成東署管内でありますので、所轄の成東署では傷害事件として捜査をいたしておりましたが、先般四月二十一日に千葉の裁判所から令状の発付を得た上、翌二十二日の早朝に被疑者の自宅において四名の被疑者を逮捕いたしたわけでございます。この逮捕いたしました被疑者につきましてはそれぞれ取り調べの上、二十三日に千葉地方検察庁に身柄ともに事件を送致いたしました。この四名のうち三名につきましては、十日間の勾留が認められておる、こういう現状でございます。
  159. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この事件もずいぶん妙な事件なんですが、そのために逮捕して検察庁へ渡してから、どうしてたくさんの警官を派遣しなければならないのですか。本庁のほうまで手配しなければならないのですか。
  160. 三井脩

    ○三井説明員 これは御存じのように、三月三十一日に四千五百名に及ぶ三派系全学連それから反対同盟その他の反戦青年委員会も加わっておりますが、こういう大規模なデモ、また空港公団に対する攻撃等があったわけでございます。そのうちの学生はいずれも東京に帰っておりますけれども、さらに三派系の学生は数十人芝山あるいは三里塚地区にいわゆる民泊をいたしておったという現状でございます。この三派系の学生が、いわゆる検問と称して、一般の通行者その他に対してもいやがらせをする。身分証明書を見せろ、また近くの山林等に引き込んで、今後この地区には立ち入らないという誓約書を徴するというような強要事案、また団結小屋にその人たちを連れていって、ほうちょうをちらつかせるというようなことで、なぐる、けるの傷害事案を起こしているわけでございます。これは四月の二十日の日にもございます。十八日にもございました。また十七日にも起こっておるわけでございます。こういうふうに、ちょうどこの検挙は二十二日にいたしましたが、その前数日間にわたりましてそういう事案が続発をしておる、こういう事態でございましたので、この四名の逮捕の際にも、こういう学生がサイレンを鳴らし、あるいはドラムかんをたたいて人を集めた上、抵抗をするということを予想いたしたわけでございます。二十日には、この二十日に起こりました事案について警察官がかけつけましたところ、投石もいたしておるわけでございます。こういう状況でございましたので、警察としても、逮捕行為を円滑に行なうために警察官を動員をいたしました。このときは約二百名近く制服警察官を動員し、投石に備えて大だても持っていくというような装備をしていったわけでございますが、半鐘等をたたいて数十名から百名近い人たちが集まりましたけれども、そのときは早朝で、こちらは引き揚げるという時刻でありましたので、直接投石等を受けることなく、円滑にこの逮捕行為を終了したわけでございます。  以上のような状況でございましたので、その後におきましても若干の警察官が、先ほど長官がお答え申しましたように、成田署以外からも応援をいたしまして、事態発生について集団あるいは機動的な車両による警ら、いわゆるパトロール活動を行なって、引き続き三派系全学連等による暴行事案、傷害事案、あるいは脅迫事案ということが起こらないように対処をいたしておるわけであります。
  161. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 警察官の一般農民に対する検問は行なわれておりませんか。三派全学連の連中の乱暴の話は聞きましたが、大体学生が機動隊のまねをしているのじゃないですか。警察官もやはり農民を一人一人尋問している事実があるのですが、これはどうです。そういう命令が出ているのですか。
  162. 三井脩

    ○三井説明員 ただいま申しましたように、この一週間ないし十日の間に特にこの種事案が続発をいたしておる、こういうわけでございまして、付近の住民等からも、まるで解放地区ではないかというような陳情等もございますし、また三派系全学連自身も機関紙において、われわれがせっかくつくった解放地区を維持していかなければならぬというようなこともいっておるような状況にかんがみまして、こういうような事態は放置することはできない。一般の何ら関係のない人もそこに立ち入れば、金融機関の人でありましても、また土地会社の人でありましても、いずれも検問を受け、名刺の裏に立ち入らないという誓約書を徴する、こういうような事態は放置しがたいと考えたので、先ほど申しましたように警察官を増強いたしまして集団警ら等を行なう、こういうことでございます。したがいまして、この対象は、先ほど申しましたように主として三派系全学連でございますが、最近は三派系の全学連も、一見学生らしい服装をしておると警察官の検問を受けるというようなことで、農民を装うというような事態が出ておりますので、私どもの主眼は違法行為を行なう者、現在におきましては事件の態様から見まして主として学生ということでございますが、いまのような状況から、一般の人たちもあるいは学生にまぎらわしいというようなことで職務質問を受けるということもあろうと思いますけれども、主眼は主として学生ということに置いて職務質問その他を行なっておるということであります。
  163. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは長官、御記憶ないならばけっこうですが、成田空港に関していままで生じております負傷の実態、けが人は一体どのくらい出ておるのですか。
  164. 三井脩

    ○三井説明員 いままでの各種事案全体につきまして集計はいたしておりませんが、三月十日につきましては警察官も含めまして四百七十七名、うち警察官が二百七十七名という数字でございます。そのほかに、警察を除きました二百名の中には、学生のほか新聞記者等も含まれておる数でございます。
  165. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大きな衝突というのは二月二十六日と三月十日と三月三十一日に起こっておりますがね。三月十日はわかりましたが、二十六日と三十一日はどのくらいございますか。
  166. 三井脩

    ○三井説明員 二月二十六日は警察官が五百名余りでございます。その他学生側には数十名程度の負傷があったというように記憶いたしております。それから三月三十一日は負傷者は比較的少なかったというように記憶いたしております。
  167. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私たちの調査によりますと、三月十日の負傷者はさらに数が多い。約一千名くらいの負傷者が数えられております。このうちの最も多い負傷者は夜のほうであったか昼のほうであったか、どちらです。
  168. 三井脩

    ○三井説明員 三月十日は、大体六時ごろ市民グラウンドにおきまして集会に対する解散措置等を行ないましたので、事態は終わっておるわけでございます。したがいまして、五時半ごろから暗くなりかかったというような事態でございますから、五時半以後ということを夜といたしますと、それ以前とそれ以後という数字につきましては、この二百名の内訳をその時間で把握することは私たちのほうでできておりません。病院等につきまして事情を聴取いたしまして、できるだけその事実を明らかにいたしたいと思っておりますが、相手側が学生の場合には、特に名前も黙秘しているというような状況でございますので、どの時点でどういう状況でけがをしたということになりますと、あるいはその事件の被疑者というようなことにもなりかねないという心配をしておるのかとも、思いますけれども、警察の調査ではその状況は明らかになっておらないわけであります。
  169. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 だめですよ、自分の都合の悪いことも全部把握してなければ。都合のいいことだけ把握して、都合の悪いことは把握しない。それはけしからぬことですよ。この三月の十日の事件があった翌日警察に行っておる。この事態をもっと明らかにするように要請したはずであります。あのときの負傷者はほとんど五時半以降でしょう。現地の警察本部長もああいう命令は出してないはずです。本庁でもむろん出してないはずであります。それを解散しかかっておる百姓や学生にやみくもにおどりかかってめちゃくちゃにぶんなぐったのが、あの負傷者が多くなった原因でしょう。ほとんど無抵抗の農民なり市民なり学生なりがやられておるのですよ。すわっているところにぶんなぐりかかったのですから、文字どおりなぐる、ける、たいへんな暴力です。この事実は把握しておりませんか。把握してなかったら、これからでも把握してください。
  170. 三井脩

    ○三井説明員 先ほど申しました四百七十七名の負傷者のうち、警察官が二百七十七名で、警察官以外が二百名という数になっております。その二百名のうち、学生が百四十九名、報道関係が四名、一般の人が十七名、それから反対同盟、反戦青年委員等が三十名という数を把握いたしておるわけでございます。当日の負傷がどの時刻に一番多かったかという点は、警察官につきましては大体把握できますが、いま申し上げたような状況で、その他の方につきましてははっきりいたしませんけれども、いま御指摘の市民グラウンドでの集会に対する解散措置という点につきましては、現場の指揮官が判断をいたしまして、本部長の指示を得て解散をする、こういうような状況でございます。  この点につきましては、御存じのように千葉県公安条例の第八条並びに第十三条違反というような事態でありまして、この違反の事態は三時過ぎから起こっておりました。三時過ぎからは公団の正門に対して学生が投石、角材等で攻撃を加えてまいりましたので、これを凶器準備集合、障害、公務執行妨害、こういうような罪名により処理をいたしたわけでございますが、その後の事態につきましては、市民グラウンドに集合いたしまして、この場合もだんだん暗くなりかけるという時期でありましたし、また学生も一回市役所並びに公団に対する攻撃を行なって、またこれからもう一度攻撃をするというような情報もありまして、これは早急に解散の措置をとらなければ事態は一そう悪化するという判断のもとに、解散措置をとったわけでございます。
  171. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなた現地を実際に調べたのですか。全く違っているのですよ。私は、きょうこの委員会に千葉県の警察本部長も出席を要求したのですけれども、現地一線の警察官を呼ぶことはおもしろくないというので、御苦労でも長官においでを願ったのです。事実は非常に違いますよ。警察本部長ですら意外な事態が起こったのです。あのときは、昼さんざんけ散らかされた学生諸君が逃げて集まったグラウンドで、われわれも中に入って、穏やかに解散するように説得しておったのです。それを聞いておったのです。これから穏やかに解散しようというときに、いきなりなぐりかかってきたというのが実情なんです。千葉県の本部長もびっくりしているのですよ。そんな命令を出してなかったと言う。夜になるとたいへんだから、穏やかに解散するならそれでいいがと言っておりましたけれども、あの暴状に対してびっくりしておるのです。その点は、言っちゃ失礼ですけれども、事態を把握する態度が非常に甘いと思う。特に明らかにあらわれてきているのは、無抵抗な農民や何かに対しても非常な暴状をふるうというのが最近の機動隊の例です。  最もいい例は、反対同盟の委員長の戸村君に対する暴状でしょう。戸村君という人は非常におとなしいクリスチャンですよ。反対は反対していますけれども、暴力には反対ということをしょっちゅう言っている人なんです。その人が、目の前で学生がなぐられているありさまに見かねて入ったのを、さんざんなぐっているのです。幾ら警棒をふるうことを許しておっても、無抵抗な人に対して、鉄かぶとをとって重傷を負うほどぶんなぐるというような事例はおそらくないと思いますが、これはありますか。ここに二月二十七日の朝日新聞がございます。朝日新聞のこの写真をごらんになったらわかると思う。これが一体抵抗している姿ですか。乱暴している姿ですか。これなどはお調べになりましたか。一事が万事で、こういう事例がたくさんある。どうお考えになりますか。
  172. 三井脩

    ○三井説明員 戸村委員長が負傷した事案は二月二十六日の事案でございます。このときには、反対同盟のデモが先に出発いたしましたが、学生のデモ隊は直ちにそれを追い越すような形で併進をし、先頭に出て、市役所の前に、正門に来たわけです。当時はまだ警察部隊も、まさか学生であれほどの乱暴をすると思いませんでしたので、手に手に凶器にかわるようなプラカードを装った角材を持っておりましたけれども、一応は出発するであろうというような考え方で、市役所の正門前はバリケード等は一切ございません。ところが、突然向きを変えまして、市役所に対して、プラカードを地面にたたきつけて打ちこわして、そのまま角材を振り上げて突っ込んできたという状態でございました。これに対して、市役所の内部に配置されておりました部隊が前方に出てこれを規制したわけでございます。規制をいたしまして、投石、角材による暴行等がございましたが、学生を規制をいたしました際に、学生の中におりました戸村委員長も負傷したというような状況にございます。この際、戸村委員長は、学生に石を運んだり角材を手渡すというような行動をし、なるほどヘルメットは黒であったかと思いますが、学生とは全く同じという服装ではございませんけれども、学生のそばに一緒に行動をしておったというような状況でございまして、負傷されたその時期におきましてはなるほど直ちに抵抗しておるというような状況でなかったかとも思いますけれども部隊が規制に前進をするという状態におきましては学生とともにあった、こういう状況にございます。
  173. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それは少しこじつけの答弁だと思いますがね。幾ら何でも五十七歳の年寄りの牧師を、盛んな学生と一緒に間違うほど血迷ったわけではなかろう。しかも、なぐられたのは、学生が逃げてからですよ。幾ら乱暴したか知らぬけれども、逃げていくものを追っかけて、うしろからぶんなぐるといっような警備法はないでしょう。ありますか。この写真を見てごらんなさい。これが一体乱暴している形ですか。これはごらんになったでしょう。あまり見え透いた言いのがれはしてもらいたくない。われわれは、こういう事態の起こることを残念に思っております。少なくとも、一つの国策と称して空港をつくる場合に、国民同士が血で血を流し合って争うようなことは、われわれもおもしろくないと言っているのです。いろいろな欠陥はあるでしょう。しかしその事実だけは正確につかまえませんと、事態がおさまりません。  あなた、これをごらんになっているのですか。委員長、どうぞこれを見せてください。この新聞の写真ぐらい見てからひとつはっきりお答え願いたいと思う。それは乱暴している姿ですか。カメラは正直です。
  174. 三井脩

    ○三井説明員 この写真は私も前に見ましたが、ただいま申し上げたように、この上の写真にもございますように、そういう混乱の中で起こった事態である、なるほど全般としては終末に近い、その局面としては初めでなくて終わりのほうであったというようなことであろうと思いますけれども、先ほど言いましたように、学生が規制されてはまたあらわれてくるというようなことを何回も繰り返しておりまして、警察官数百人が負傷するというような事態の中で起こったものでございますので、この場面だけお互いに平静な状態において行動しておる、こういうふうな場合に起こったものではないという点も十分考慮しなければならないのではないかというふうに考えております。
  175. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いや、あなた、その写真を見たらわかるでしょう。周囲にだれもいないでしょう。倒れて手をついている戸村委員長に、それだけの人数の警官隊がなぐりかかっているじゃないですか。警棒を振り上げているじゃないですか。学生に対して凶器準備集合罪なんかたびたび適用しようとしておるらしいのですけれども、警官にも武器を持たせる以上は、一定の規律のもとに行動しないと、武器が変じて凶器になりますよ。ピストルを持たしているでしょう。こん棒の携帯を許しているでしょう。防御用と称して石よけのたてを持たしているでしょう。小だてを持たしているでしょう。その小だてすら武器に使われているじゃないですか。幾ら混乱したからといって、学生と同じように石を投げ合うということは、警官に許されておることじゃないと思うのですが、投石を警官に許していますか、これは長官、どうです。
  176. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいまいろいろ御質問がありましたことに対して、警備課長からも御説明申し上げましたとおり、ある時間的な経過に伴う行動のうちの一場面をとらえれば、確かにいろいろ御指摘のような点もありますけれども、全般から見れば、双方衝突の場面でございますから、一瞬においては無抵抗のように見えることもあり、その一瞬前は抵抗しておることもあるわけであります。  それからまた、いま御指摘になりましたように、警察官は権限と同時に責任を持っておるものでございますから、三派と同じようなことを、何をしてもいいとわれわれは考えておりませんけれども、警察官自体の生命なり身体を防護するための行動はもちろん許されておりますが、それ以外に職務上必要な行動は許されております。ただその間において、御指摘のようにおのずから規則もあり、限度もあることは当然でございます。
  177. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 投石は許していますか、石をぶっつけることは。
  178. 三井脩

    ○三井説明員 この前も淡谷先生から同じ質問が警備局長に対してございましたが、一般的には警察官はそういう投石をやらなくてもいいように、防石網を持っておりますし、それから防石用の大だて、小だて等を持っておるわけでございます。また特に実力規制を行なう場合に、必要なれば警棒等を持っておるわけでございますから、そういう石等を用いて規制に使うというようなことは警察としてはいたさないということでございます。ただ個々具体的な場面について、それでは投石ということは全くいけないか、こうなりますと、警察官にも一人一人について正当防衛、緊急避難という権利がございます。そういう意味におきまして、そういう事態に当てはまる例外的な場合に、それをやったから法的に違法であるということにはならないと思いますが、私たちといたしましても、いやしくも警察官でございますから、日ごろの訓練を通じ、定められた正規の用具等を用いて、でき得れば何ら警棒等を使わず、全く防御的に措置ができるというような訓練を積んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  179. 木原実

    ○木原(実)委員 関連。これは三月十二日でしたか、地方行政委員会でも若干質問を申し上げたわけですけれども、再度淡谷委員の御質問に対しまして、どうも警察御当局の答弁というのは、聞けば聞くほど、何といいますか、何か本末を間違っているのじゃないかと思うのです。というのは、三派の学生諸君がたいへんあそこで暴力的な行為に出た、それに対抗していろいろな警察側のやり方もあった、そこまで私ども認めるわけですよ。ところが、戸村さんの場合もそうですけれども、戸村さんがこういう形になったという状況についての事実の問題を追及されているわけですけれども、これは事実関係をほんとうにお調べになりましたか。私もあの近くにおりましたが、現場を現認はいたしておりませんけれども、戸村さんが石を運んだり、角材を学生に渡したり、そういう状況の中ではなかったわけです。戸村さんがおりましたのは市役所の広場の少し離れたところでありまして、そこに立っておったわけです。あるいは石を運んだ人と誤認したかもしれませんが、ただそのことによって――この写真は一カ所だけですけれども、その後出ました週刊誌なんかによりますと、その前後が出ておりましたけれども、戸村さんはそういうことをするような人ではないわけです。クリスチャンでもあるし、人柄からいいましても。ですから、その事実関係をほんとうにお調べになったかどうかという危惧の念を持つわけです。ということは、たとえば十日の五時半以降に起こりました警察官の行動についても、私はあとで関連で再度申し上げたいと思っていたのですけれども、三派の諸君の乱暴にこと寄せて――警察官にも一定の対抗手段は許されると思うのですよ。しかしだれが見ましてもそれを越えて、何か警官の感情といいますか、私憤を晴らすというような、そういう警察官自体の暴力行為があったという、この事実だけは確認をしておきたいと思うのです。ですから私はそのことについて三月十二日に御質問申し上げたのですが、それ以後その事態について何か警察でお調べになったことがありますか。戸村さんのことを含め、それから三月十日の五時半以降の警察官の行為につきまして、警察部内でお調べになったことがございますか。
  180. 三井脩

    ○三井説明員 先ほど長官からお答え申し上げましたように、私たちが措置をいたしておりますのは、最近の事案について、成田の場合にはほとんどそうでございますけれども、三派系の全学連が角材、投石というような、いわゆる武装で警察官を目がけて突撃をしてくる、こういうような事態にいかに対処するかということに日夜苦心しておるわけでございます。一般の農民の方あるいは反対同盟の方が、この空港設置反対あるいは賛成と言われる、こういう点につきましては私たちは何ら内容については関与をいたさない。ただその方法が違法にわたるというような点について、治安維持の観点から大いに関心を持っておるということでございます。したがいまして、ただいま御指摘の三派系全学連を中心とした暴力行為の事態、私たちがこれに対処をして規制をする、違法行為を行なった者はできるだけ検挙をするということで、この種事態の処理に当たってきておるわけでございますが、ただ御存じのように、最近はそうでもないかと思います、三月三十一日は様子は変わっておりましたけれども、二月二十六日、三月十日という事態のころまでは、学生の戦術も、一般の農民の人々をできるだけ巻き込んで、これを警察部隊の実力規制のたてにしよう、こういうような作戦といいますか戦術といいますか、これをとっておるわけでございます。これを選別し、学生だけを処理をしていく、取り締まっていくというように、いろいろの方法で苦心をいたしておりますが、実際上なかなかむずかしい場面も出てまいるわけでございます。たとえ違法行為をやっております三派系の学生に対しましても、これに対する実力規制というのは、検挙を含む節度ある実力規制というのが当然われわれに要求されるところでございまして、その節度ある規制をいかにして実現していくかという点について日ごろ訓練もし、いろいろと教養をいたしておるわけでございます。したがいまして、いまお話のような戸村委員長に対する事態が、写真からだけ見れば過剰な規制ではないか、こういう点につきましても十分関心を持って調査をいたしておるわけでございます。  また三月十日の御指摘のような事態につきましても調査をいたしました。ただ何ぶんにも、先ほど来申し上げておりますような混乱の事態の中で起こった事柄であるという点でありますし、また警察官の側と相手側と、両方関係者がおるというような関連がありまして、全くこれが真実であるというようなところまで結論が出るかという観点からいけば、まだまだ調査の余地があるというように思いますけれども、私たちとしては、ただいまの段階におきましてできるだけの調査をいたしたということでございます。ただ、いま先生指摘のように、ほんとうにはそうではなかったというような疑点も残るかと思いますけれども、ただいまの段階ででき得る範囲での調査ということにわれわれとしてはとどまらざるを得なかったというのが現状でございます。
  181. 木原実

    ○木原(実)委員 どうもあまり質問したくなかったわけですけれども、これはひとつ長官にも、それから当面の警備の問題ではありませんけれども、これは大臣にもしかと聞いてもらいたいんですが、そういうおっしゃりようですと、私は非常に危惧するわけですよ。というのは、問題は二つあると思うのです。  一つは、おっしゃるように三派系の諸君があの現場の中へ入ってきましていろいろな暴力行為等も働くわけですから、それに対抗して警察のほうで対抗手段をおとりになる、これは当然のことだと思うのです。われわれもそれを認めているわけですよ。ですから、われわれから見ましても、警察官がかなりな行き過ぎがあるわいと思いましても、そういう事態の中では、われわれはやはり警察官も人の子であるから感情に走ることもあるし、多少の勇み足はあるだろう、そこまでは認めるわけですけれども、たとえば戸村さんの事例といい、特に三月十日の午後五時半から起こりました事態というのは、混乱とかなんとかいうものではないわけです。これは文字どおり集会等が終わって大体平静な状態になっておるところに、一方的に警察官が襲撃をしてきたわけですから、その間ものの十分とか二十分くらいの範囲の中に千名をこえるけが人が出た、こういう事態が起こっておるわけです。私はこの前の委員会でも申し上げたわけですが、そういう場合には警察部内で調査の上しかるべき措置をとる、こういうことをおっしゃいましたけれども、従来そういう場合に警察が自主的にお調べになって、そういうことについての理非曲直が明らかになったことが少ないわけでございます。私は、その現場にいたわけですが、この頭のはげた、だれが見ましても学生じゃないと思うんですけれども、私の胸ぐらをつかまえて、そして警棒を突きつけて、国会議員だと名乗りをあげましたら、いいからやっちゃえ、こういう罵声を発する警官がいるわけですよ。しかもその前の段階というのは、この前も申し上げましたけれども、被疑者といいますか、学生らしき失神した人を五、大人の警察官が引きずってきて、ほだ火の中に頭を突っ込もう、こういうことをしているから、私はたまりかねてそこへ飛んで行ってそれをとめようとしたわけです。私どもに対してもそれだけのことをするわけです。あの全体の混乱を引き起こした責任というのは、文字どおり私は警察官のほうにあると思うのです。それから個々の事例についても証人はたくさんいるわけです。しかし、お調べになったというけれども、従来そういうことをされましても、ああいう一種の混乱の中ですから、私どももそれがだれであったか、あるいはその顔だとか特徴だとかもなかなか確認できませんから、告訴することもできないし、あげつらうことができないわけだから、それならばそれなりに警察部内での規律の問題なり調査の方法なりというものを考えて、しかと限度というものをわきまえてもらわないと、警察に対するわれわれの信頼感というものが非常に薄らぐ、こういう観点が一つあるわけなんです。  それからもう一つは、いま問題は、空港の賛成、反対ということで土地の取得の問題をめぐってまだかなりエキサイトされた部分が残っているわけですが、現状を見ましても、先ほど淡谷委員からパトロール云々ということがございました。これは反対を唱えておる地主関係の人たちが一割二、三分残っておるわけですけれども、これらの地主が次第に追い詰められておるわけです。そうしまして、農民の人たちとそれから今度は警察官の人たちとが相互に不信感が極度に達しておりますから、相互にエスカレートをやりまして、この間も三派系全学連の検問の問題でお話しございましたけれども、今度は警察官が検問を始めた。これは職務に基づいてやるのでしょう。しかしこの検問のやり方を見ておりましても、まことに常軌を逸したようなことをやっておるわけです。野らに行く農民をつかまえて写真をとるとか、これは顔を知っているから通せとか、こういうようなやり方をやっている。私は職務質問ということについてもおのずから限度があると思うのですね。ですから、無警察状態云々ということがありましたが、われわれ現場に近いところに住んでおりますけれども、警察に対する報告はえてしてオーバーの面もあります。それから起こった事案についても、警察の調べ方はいろいろございましょうけれども、私どもが聞いている範囲の問題とかなり食い違う面もあるわけなんです。そこで、空港をめぐっての問題がこれからまだいろいろ出ると思うのですけれども、何か早くも次のエスカレートをつくり上げていくような態度に警察が出ておる。これではとてものことに救いようがないわけです。口で言うことはたやすいわけです。この種の問題について確かに三派の諸君が来て暴力行為を働くというようなことについての取り調べ、取り締まりということは必要だと思います。しかしながらさらに突っ込んで、農民対あるいは公団、あるいは政府、それぞれの主張があるわけです、利害問題ですから。この賛成反対の中に警察が介入をしてくることによって、結果的にそういう事態を生み出すのじゃないか、これをおそれるわけなんです。ですから、現地の状態は微妙な状況にありますから、そのことに触れて、いままで起こりました事案についても、警察の非のあるところは非があるのだ、こういうことで処置してくれませんと、警察に対する不信感は徹底しておりますから、これから先一体何をもって現地の平穏な状態を保つのか、正常な状態を保つのかということになりますと、われわれは自信がございません。そうなりますと警察のほうもますます力、農民のほうも力、学生のほうもそれに便乗してくる、こういうことになると、何か非常に凄惨な状態がこれから先も起こるような懸念がある。ですからそういう前提に立ちまして、一つには警察の行動の限界、これを明らかにしてもらいたい。  それからまた、そういう事態が起こっておって、その上になおかつ政府は既定方針どおりやりましょう、こういうわけなんですから、これは守備範囲が違うといいましても少しは運輸大臣考えてもらわなくちゃならぬという側面もありますから、特に運輸大臣の御見解を承っておきたい、こういうように考えるわけです。
  182. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 警備行動その他については行き過ぎがないように、慎重にやるようにいたさせたいと思います。
  183. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 とにかくこういう事態が起こるということは決して好ましいことじゃない。事態は単に成田空港だけじゃなくて、佐世保にせよ王子にせよ、どっちに原因があるにせよ、非常にけわしくなってきていますね。そうして三派系全学連が大衆を巻き込むような戦術をしておりますけれども、大衆というものはもっと公平にものを見ております。目の前で機動隊の行き過ぎの状態を見ますと、自然に自分たちも立ち上がるというような傾向なんです。ですから、もしもこのままで警察側がいままでのやり方をよしとし、ことごとにこれをかばい立てていくならば、これはやはり非常に心配すべき国内戦的様相をことごとに露呈しますよ。かつて肩から上に上げちゃならないはずの警棒が、いまじゃ公然と振りかぶることが許されている。いまの御答弁だと、石をぶっつけてもしかたがないということになってきているらしい。それこそ無警察じゃないですか。警察がたとえば持っている武器を使う場合でも、良識を失わないところに警察というものの武器を持つことを許された範囲があると思う。私はこの点に対してのきょうの御答弁は非常に不満足に思います。同時に、今後もこの状態でいくならば、好ましからざることが続々と起こるんじゃないかということをきびしく警告しておきます。こういうふうになることを今井総裁、あなた予想されましたか。成田空港をつくり上げるために何千人といったようなけが人が出、逮捕者が出、なおそれが続くだろうといったような情勢は、あなたの計画の中に予想されておったのですか。
  184. 今井栄文

    ○今井参考人 率直に私の考え方を申し上げますと、先ほどの本会議前の御質問に対しまする大臣のお答えにもございましたように、私どもはあくまでも将来の日本の真に必要な平和的な国際空港をつくるというたてまえで、現在政府の指示に従って空港をつくっておるわけでございます。したがいまして、そういったところに非常に極端な、そういうては失礼かもわかりませんけれども、戦争につながるんだ、あるいはベトナムに直結するというふうなことで、非常に極端な議論で、農民の方々に対してそういう考え方を吹き込むというふうなことは、実は全く予想もしておらなかったわけでございます。したいがまして、三派系全学連のああいうふうな事態が成田の新国際空港で起こるというふうなことは全く想像も実はしておらなかったわけでございます。
  185. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 想像しないからといって、実際起こったところを見れば、予測が非常に誤ったと思うのです。さっき千葉県の友納知事が賛成してくれたんだから、富里のほうはやめたが、こっちのほうはやるという局長のお話があった。これはおそらく友納さんもこういうことは予想していなかったろうと思う。予想の違いじゃないですか。しかも、土質を調べ、さまざまな条件を調べるのも大事でしょうが、地元の農民は何もベトナムとかなんとを言っていませんよ。やっぱり土地を国家権力でしゃにむに奪い去るといっては悪いけれども、穏やかな理解を得もしないで、機動隊にこん棒を振り回さしてしゃにむに持っていこうといったような姿勢に対して非常な反発を感じだしているのです。こういうふうな反対運動があったこと、反対の気持ちがあったことさえも調べないで、一たんこういう計画をつくったんだからしゃにむに通すんだという、この公団の姿勢の中にも反省すべき点があるんじゃないですか。あなたはしょちゅう話し合い話し合いということばを言いますけれども話し合いというのは、富里におけるように、場合によっては計画を白紙に返してもといったような含みを持っていませんと、話し合いというものじゃないのです。友納知事と佐藤総理がきめたんだから、きめたことに対してはしゃにむにこれを押し通すために話し合いをしろというのであれば、降伏の勧告じゃありませんか。話し合いというものはそういうものじゃない。この間も、条件賛成派と称しております諸君との間に調印ができたといって、八八%の民有地はこれでもう調印できたんだから、あとはできたというのですけれども、滑走路の工事というのは、一人が反対してもできないでしょう。いわんや八八%とおっしゃることをほんとうとしましても、あとの一二%がほんとうに反対するならば、これは土地収用法でやろうといったって、そう簡単にできやしませんよ。もう少しそこには政府は政府らしい落ちついた態度で、公団は公団らしくはっきりした見通しを立ててやらないと、いたずらに国損を招きますよ。これで十分だと言っていますが、専門家に聞いてごらんなさいよ、いまの成田空港は使いものにならぬと言っていますよ。そういう説が一方にあるのに、十分なそういう論争もしないで、しゃにむにやろうという態度は、私はどうもこれは賛成できない。特にこの間の土地の価格ですね。百四十万、どういう根拠でああいうふうな線をお出しになったのです。その契約の内容はどうだったのです。しばしば資料提出を要求しておるのですが、まだ出てまいりません。この機会に内容を詳しくお聞きしたいと思います。
  186. 今井栄文

    ○今井参考人 土地価格の問題でございますが、土地価格につきましては、長い間地元と折衝を続けてまいったわけでございます。  若干長くなりますが、経緯を申し上げますと、一昨年、昭和四十一年九月の四日だと思いますが、閣僚協議会の御了解がございまして、準宅地見込み地として空港予定地の畑の基準価格を六十万から百十万というふうな了解があったわけでございますが、自来私どもはその基準の範囲内におきまして、昨年の十月に畑の基準価格を、その後の地価の値上がり等をも勘案いたしまして、基準価格反当たり百十万というふうな線で地元と折衝をいたしてまいったわけでございます。ところが、御承知のように、政府は成田空港の建設予定地を決定すると同時に、周辺の開発策を同時に千葉県とお約束をしたわけでございまして、したがって道路の整備あるいはまた都市、工場等の誘致というふうな、今後の北総台地の開発計画について相当詳細な、しかも非常に親身になっての地元対策を講ずることを約束いたしたわけでございます。そういうふうな関係で、周辺の地価が将来を見通して相当高騰してまいったわけでございまして、予定地の中の住民の方々は、とても百十万というふうな値段では売れない。現に周辺の実際の売買実例を見ると、宅地においてもあるいはまた山林あるいは水田、畑、そういうふうな各地目について非常な値上がりを示しておるという状況で、畑については少なくとも基準価格二百二十万ないし二百三十万でなければ手放せないというふうな要求が強く出てまいりまして、私どもと地元との折衝は、昨年の十月から本年にかけてほとんど中絶状態というふうな状況であったわけでございます。その間、これは私ども政府のほうにもいろいろ御相談を申し上げながら折衝いたしたわけでございますが、主として友納千葉県知事と私とで力を合わせまして、極力地元と折衝を続けてまいりまして、したがいまして、畑基準価格百四十万という値段も、折衝の結果できた値段ではございますが、私は、われわれとして出し得る最高の価格であり、それからまた地元の条件派の方々としては、それによって部落の方々を説得し得る最大の値段である、つまり両者の主張の接点であるというふうな考え方を現在でも持っておるわけでございます。  で、一体その値段が適当であるかどうかという問題につきましては、私どもとしては十分適切な資料を現在準備いたしておるわけでございますが、昭和四十一年度のたとえば国道五十一号線の当時の売買実例というふうなもの、成田の国道五十一号線周辺の売買実例というふうなものを見ましても、やはり相当な値段が出ておることは先生も御存じのとおりでございます。それに対して、やはり相当の期間がたっておりますこと、それからまたわれわれといたしましては、当公団といたしましては、やはりどうしてもあの土地にりっぱな空港をつくる、それからまた農民の方々に対しては、安んじてあそこから移って、将来の生活設計が立ち得るというふうなこともあわせて考えてやらなければならないわけでございまして、そういうふうな点を勘案いたしますと、私どもが今度妥結いたしました百四十万の値段というものは、あの周辺の今後の開発計画というふうなものを含めまして考えた場合には、必ずしも不当なものではないというふうに確信いたしておる次第でございます。
  187. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私は何もそれが不当だと言っているのじゃないのですよ。ただしそれはいまのお話だと、買い手、売り手の折衝の間にきまった価格で、別段根拠はないのですね。一体成田周辺の土地の値上がりの状態はどうなんです。去年、一昨年、一昨々年、売買の価格の上がった状況はどうです。いわば成田空港案が出てからものすごく上がっているのじゃないですか。その点を数字的に御説明願いたい。
  188. 今井栄文

    ○今井参考人 これは現在私どもは詳細に調べてございます。たとえば千葉興銀であるとか、千葉銀行であるとか、あるいは千葉の信用金庫であるとか、あるいはまた税務署であるとか、そういうふうなところから詳細な資料をとりまして、あの周辺で売れた土地につきましての売買の実例は相当詳細に調べてございます。ただし、現在手元にその資料は持っておりませんし、ここでその金額を申し上げるのもどうかと思いますけれども先生のおっしゃいますように、場所的にいいますと、たとえば道路沿いであるとか、あるいは面積的にいうとせいぜい一町歩というふうな程度、あるいはまたそれ以下の何反歩とかあるいは何坪というふうな狭い売買実例が比較的多いのでございますけれども、いざ売るとなると、なかなかそう安い値では簡単に売らないというのが現状でございます。
  189. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 詳細にお調べになっているのならば、あとでけっこうですからその資料をお出し願いたい。  私心配しますのは、この地価の値上がりに乗じまして土地ブローカーが非常に暗躍しておるのです。中にはブローカーならざる有力者の暗躍もあります。私はここで別にその汚職問題なんか出したくありませんから、あえて触れませんけれども、政治に関係する人なんかの暗躍もほんとうの話はつかまえているのです。この土地の値上がりを考えて、相当土地に移動があったはずですがね。この移動の実態もお調べになっておりますか。私はこんな空港に便乗して、いたずらに国費の乱費をはかるようなブローカーの暗躍や、あるいは利権屋の跳梁は許しておけません。土地の移動の調べはあなたのほうではおつきになっていますか。
  190. 今井栄文

    ○今井参考人 土地の移動の実態についての詳細な資料は現在私自身ここに持ち合わせておりませんが、用地部のほうではおそらく調査しておることと思っておりますが、その地価の高騰を押えるという意味におきましては、すでにそのきざしが見え始めたころから、千葉県知事が各関係の不動産業者に対しまして相当強い警告を発しますと同時に、当公団といたしましても、公団総裁の名前で関係業界に対しまして、場合によってはもうそういう高い値段で土地を買った業者とは公団は一切関係を持たないというふうな強い態度で、要するに土地の高い値段での買い取りを抑制するというふうな文書まであらゆる関係の業界に出しておるというふうなことで、極力押える努力をいたしておるわけでございまして、したがってそういう意味におきましては、ある程度の効果はあったのではないかというふうに感じておる次第でございます。それからまた実際問題といたしましても、千葉県においてもその点を心配いたしまして、たとえば具体的にある特定の業者で、非常に高い値段で空港のために何かしようとすることで農地を買ったというふうなものについての農地を宅地転用する問題については、相当シビアな態度で臨むというふうな方針を固めておる状況でありまして、私ども先生の御心配になっておられるようなことのないように、全力を尽くして地価の高騰を抑制するようにわれわれとしてできるだけの努力はいたしたい、かように考える次第でございます。
  191. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それはきびしくやることが逆に値を上げていると思うのですがね。土地ブローカーなどが、自分で金もないくせに、一たん買っておいてまた売るために銀行から資金を借りているのがありますよ。銀行のほうで資料をさがしたと言うけれども空港の騒ぎがあって以来の銀行の金融の動きを見てごらんなさい。これはそんな甘いものじゃない。あなたが百四十万で買うという土地は去年は幾らしました。あなたのほうは百十万だったでしょう。あるいは六十五万でしょう。その前はどうです。空港の騒ぎのある前には幾らに見積もりましたか。
  192. 今井栄文

    ○今井参考人 これはこの前の参議院の予算の分科会でも私お答え申し上げたのですけれども、実は当公団が発足する以前において、先ほど御質問の中に出ました富里空港問題が起こった当時において、私どもは直接関係はいたしておらなかったのでございますけれども空港用地は反当たり百万円で買ってもらえるのだ、あるいは買うのだというふうなお話が現地の方々にはだいぶ浸透しておったように伺っております。したがいまして、公団が発足いたしまして、それでいよいよ空港の用地問題に私どもが取り組むという段階に至った場合には、やはりそういった前の話が私どもの用地問題の処理に非常に大きな影響を与えておったということは言えるのではないかと思います。
  193. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 一体御料牧場は幾らにお買いになるおつもりです。
  194. 今井栄文

    ○今井参考人 御料牧場の評価はまだ決定いたしておりません。
  195. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大体きまっているんでしょう。私まで知っているのをあなたがまだ知らぬはずがないじゃありませんか。六十九万というのはその線じゃないですか。そんなに隠しなさんなよ。
  196. 今井栄文

    ○今井参考人 いや、まだ決定いたしておりません。
  197. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 決定してないが、腹がまえは大体そうでしょう。一体今度の土地を取得するための予算は幾ら取ったのです。
  198. 磯江重泰

    ○磯江参考人 空港用地の取得につきましての予算的な金額でございますが、実は公団が昭和四十一年に発足いたしまして、四十一年度から早速空港敷地を買収するということで政府より予算的措置を講じていただいておるわけでございます。それで四十一年度、四十二年度におきましては、御承知のように空港敷地の買収がごく一部分しか行なわれておりません。そのための用地買収費として組みました金額はほとんど繰り越して残されておるわけでございます。それから四十二年度におきましては、全体の事業規模といたしましては百億円ということで政府がおきめになっておるわけでございますが、そのうち用地費に幾らを充てるかということは、実は先般来決定いたしました用地買収の単価、それから各地目にわたっての単価等の関係もありまして、最終的にはまだ決定しておらないわけでございますが、予算要求のときの考え方といたしましては、大体四十三年度の百億円のうち相当部分に四十一年度及び四十二年度の金額も合わせまして、用地の大部分につきまして買収を終わる、こういう計算で予算措置を講じていただいておるわけでございます。
  199. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その取った予算が使えなかったというのは、やはり計画のおくれですか。予定した計画がずっとおくれているんじゃないですか。
  200. 今井栄文

    ○今井参考人 政府からの基本計画の指示によりますと、昭和四十一年の七月末に空港公団が発足いたしまして、四十二年度、四十三年度と、この二年度にまたがりまして用地の買収を終わり、四十四年度と四十五年度に第一期工事を完了するということが基本的な指示でございます。したがいまして計画がおくれておるかどうかという点につきましては、用地買収の面につきましては、四十三年度中に私どもとしては第一期工事についての用地を確保すれば、政府の指示には大体沿い得るのではないか、かように考えております。
  201. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは、さっきの御答弁では予算をそっくりそのまま残したということが、使わない予算ならとらないほうがいいのじゃないですか。その点でおくれてはいないかということです。
  202. 今井栄文

    ○今井参考人 御質疑のとおり、思ったほどの用地が四十二年度中に買えなかったということでございます。
  203. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そして今度の百四十万というのは、土地の差がありませんか。平均百四十万じゃないでしょう。いろいろと土地によって違うのでしょう。
  204. 今井栄文

    ○今井参考人 条件派との交渉につきましては、さっそく私どもとしては調印式の直後に公表いたしたのでございますが、畑地につきましてはすべてが空港の用地になるわけでございますので、一律に百四十万ということで取りきめをいたしております。
  205. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 宅地はどれくらいにお買いになるつもりですか。
  206. 今井栄文

    ○今井参考人 そのときの条件四派との協定によりますと、宅地それから水田並びに山林原野等の立木につきましては、畑は私どもが従来提示しておりました百十万から百四十万に上がったわけでございますが、その上げた大体の比率で各地目の買い取り価格を上げていくということがたてまえになっております。ただ折衝の過程におきまして、宅地については全体としてもごくわずかなパーセンテージであるし、住民の人たちを全部納得させるためにも、宅地については少しよく見てほしいというふうな非常に強い御希望がございました関係上、宅地につきましては反当たり二百万というふうに現在考えております。
  207. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いろいろ聞きましたけれども、非常に私やはり空港問題の前途というのは不測の事態が起こるような気がいたします。特に今度の条件派との調印なども、これができればもう直ちに強行ができるのだといったような発表でございますけれども、そう事態は甘いものじゃないと思うのです。これはもうなしくずしに、できたほうからやるというぐあいにいきますと、各地の例を見ても、たいへんなトラブルが起こります。なお反対者が相当強い反対をしているわけなんですが、この反対者も機動隊のこん棒でねじ伏せるというだけで進むつもりですか。
  208. 今井栄文

    ○今井参考人 反対派の方々に対する接触は私どもはこれから全力をあげるということで、先般も運輸大臣とそういう趣旨でお話しをいたしたのでございますが、さらに千葉県知事ともその点については完全に意見が一致をいたしておるわけでございまして、私どもは反対派の方々に対しましては特に代替地を用意する、それからまたもちろん買収価格その他については条件派の妥結した方々との間に一切の差別を設けない。特にいま反対をしておられる方々は純農で立っていきたいという、農地に愛着を持っている方々が非常に多いわけでございますので、その畑、水田等を含めまして農地の確保に全力をあげますと同時に、それらの方々の将来の生活設計についても、真剣にこれの相談相手になっていくというたてまえで、今後あらゆる方法をもって反対派の方々に接触を保っていく、すでにわれわれはその努力を始めておるということを申し上げたいと思います。
  209. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 時間も非常にたくさんちょうだいしましたので、もう終わりますけれども、私は大体この空港は出発が非常に無理だったと思うのです。土質を調べるくらいの慎重さをもって土地の農民の気持ちをはかってもらったならば、こういう結論は出なかったと思うのです。それから公団の総裁の言い方で私非常に不満なのは、代地を与え金さえやれば農民は土地を放すものだ、この前提が私は非常に不満なんです。農民が持っておる耕地は代々持っておる耕地なので、はだのあたたかさを感ずるくらいの愛着を持っておるのです。肥料のやり方一つでも、操作一つでも、他の土地にとてもかえられないような長い間の慣例がある。それを、金さえぶっつければどこかへ行くだろうというような態度は、私は非常に残念な態度だと思う。しかも、この空港については、あとで木原委員からもいろいろ質問がございましょうけれども、調べてみますとやはり非常な難点を含んでおる空港です。技術的にも設計的にも難点がある。  これは大臣に最後にひとつお聞きしておきたいのですけれども、どうしてあんな血を流してまでも土地にしがみついている農民から無理やりに持っていくというような――さっき、できるならば排除していきたいというブルーフォーティーンなんかを排除して、新しい条件をつくろうとなさらないのですか。私は、農民があのくらい血を流してまで抵抗するというのは容易な気持ちではないと思う。この際やはり姿勢を戻して検討し直すような気持ちはございませんか。万一これが異常な事態をかもすことになれば、いままで費やした金だけでも多大な国損を招くのに、さらにこれからできるものとしてやっていったら、私は思わざる事態が起きると思いますが、この辺でひとつ方向転換して、もう一度検討し直すといったような雅量をお示しになる気持ちはありませんか。反対者にも反対者の意見がございます。
  210. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 方向転換する意思は遺憾ながらございません。反対者の方々にも誠意を込めて説得いたしまして、御了解いただくように努力するつもりであります。
  211. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただ、さっきの局長答弁にもありましたが、富里はこんなに反対がなくてもやめましたよ。あなたに言わせれば理想的なところでしょう、倍も土地があるのですから。きめたのでも知事が反対すればやめて、あれくらい抵抗しても農民が反対した場合はやめないというのですか。知事も永久職ではありませんよ。これは長い警告ですよ。途中で別な知事が千葉県の諸君の信望を得て当選して、これはちょっと無理だというようなことになったらどうなさいますか、それでも運輸省はしゃにむに通しますか。
  212. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 地元の住民の皆さま方にともかく誠心誠意お願いいたしまして、御了解を得るようにするつもりであります。
  213. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 かんてん問答だからやめましょう。いずれにしても事態は終わっておりません。これは公団の総裁も十分に責任を持ってやっていたきだたい。不慮の事態が起こったら、きょうの答弁の手前上黙ってはおきませんよ。私はこのままで押し進むならば非常に困った事態になると思う。あなた方はそうじゃない。中曽根運輸大臣なんかもさっきまで居眠りしておって、あくまでもこれで通すのだと言っておる。そんな冷淡な態度で問題の解決がつきますか。警告して私の質問はこれで終わっておきます。
  214. 三池信

    ○三池委員長 参考人の各位には御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  215. 三池信

  216. 受田新吉

    ○受田委員 運輸省設置法の一部改正案に対しまして大臣に直接お尋ねしたいと思います。  この法案の趣旨は港湾審議会の設置の期間を延長するということでございますが、きのう運輸委員会でわが党の山下委員からも尋ねていただいたと思うのですけれども、この港湾審議会というものの性格から、その構成人員の中に、実際に港湾の直接の仕事担当者となって御苦労してもらっている船員の代表者が入っておらない。こういうことに対してあなたからお答えがあったのではないかと思うのですが、何とかそれは考えてみたいという御意見があったと伺っておりまするが、ちょうどここがいまこの法律担当する委員会でありますので、当委員会において大臣の御所見を承りたいと思います。
  217. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 委員の交代あるいは欠員の補充等適当な機会がありましたら、日本海員組合の代表者を入れることを考慮したいと思っております。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 適当な機会ということになると、この期間が二年延長された間に交代で可能であるかどうか。また、欠員ということがなかった場合はどうなるのか。最後まで船員代表は日の目を拝まずにおしまいになるのではないかということも懸念されますので、御意見を承りたい。
  219. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。  いま現在五十名の定員が満員でございますが、多分交代の時期はあるだろうと思います。しかし、また要望でもございますれば、委員としてではなしに、傍聴人でございますか、その会議で傍聴されてもけっこうだと思います。委員の交代の時期がございますれば、大臣のお話しのように考慮したい。あるかないか、いまのところちょっとはっきりいたしません。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、委員の交代以外にその機会を見出すということがあり得るのですか。   〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕
  221. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 現在のところ定員が五十名でございますが、これが全部ふさがっております。したがいまして、委員の交代とかあるいはまた委員が辞職なさる、そういう時期でないと目下のところ新たに追加するという機会はないと思います。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、まことにそのチャンスは希有の状況であるというかっこうですね。五十人も委員がおられるならば、このあたりでひとつ政治的配慮をもって、特に構成人員の中に直接港湾の運送、荷揚げ業務等に担当の重責を果たしている船員代表を入れてやる。そしてその的確な意見を十分審議会に反映させるという政策的見地をすみやかにおとりいただくすべはないか。お答えを願います。
  223. 町田直

    ○町田政府委員 この港湾審議会の委員は任期が二年でございまして、特にただいま御審議願っております港湾運送の合理化に関する事項に関しましては、実はことしの三月三十一日で一ぺん任期が切れましたので、新しくまた任命し直さなければならない時期にまいっておるわけでございます。ただいま大臣から御答弁がございましたように、先生の御質問趣旨を十分体しまして、いろいろなほかとのバランス等もございますので、十分よく考えさせていただきたい。なお、臨時委員の制度が港湾審議会にはございますので、それも含めて考えさせていただきたいと思います。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 委員の構成はできるだけ各界から人材を網羅するという方針でスタートしなければならなかったのが、そこに手落ちが行なわれておったというときには、改むるにやぶさかでないという大きな度量を持って、いま官房長のお説のような方向でできるだけすみやかな機会に御措置を願いたい。要望を申し上げておきます。  なお、最近の港湾関係におきましては、その仕事が非常にふえて、貨物の扱い量が高度成長のもとに高くなってきた。そこで計画と実施の間にいろいろなそごが起こってくる。そこで、この港湾の関係におきましては、港湾整備緊急措置法、いま運輸委員会議題になっておるようでございますが、そういう法律まで出てその整備をはかっておられるのでございますが、それが三十六年から三十九年、四十三年と終始五カ年計画が途中で変更せざるを得なくなって、しばしば五カ年計画を立て直しておられる。それほど現実はきびしいものであるということを私たちもよく理解することができるのです。しかし、このあたりで、少なくとも港湾行政におきまして、まず港湾に入ってくる船舶の問題がある。それから鉄道の関係がある。道路の関係がある。そして港湾自体の問題、この四つの柱の有機的な結合のもとにこの問題の解決をはかっていかなければならぬと思うのですけれども、この四要素を均衡させるという政策をとる上において、過去に三回までも五カ年計画な変更しなければならなかった事情がどうからんでいるか、御説明を願いたいのです。
  225. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 過去二回だけ計画を変更しております。第一回は昭和三十六年から四十年までの計画でございますが、これが一二十九年、四カ年間において七九%の実績をもちまして一回変更しております。それから、その次の第二次の五カ年計画が、今回改定しようという計画でございます。これは三カ年間で計画の変更ということになっております。  おもな理由は、やはり経済見通しと申しますか、貨物量の見通しが非常に大幅に変わった、予想よりも上回ったという点が第一点でございます。第二点は船型の大型化の問題でございます。なおまた、今回の変更につきましては、新しい海上輸送の変化、つまりコンテナとかそういったものが出てまいりまして、いわゆる海上輸送の革新と申しますか、そのような関係から変わったわけでございます。  船舶の問題につきましてはいま申し上げましたとおりでございますが、陸のほうにおきましても、この間に、順次鉄道輸送から道路輸送並びに海上輸送のほうへ転向しつつあるという傾向は見られます。  いずれにいたしましても、こういう輸送体系の変化ということに対応いたしまして、各港ごとに計画自体を徐々に変えなければならない。また、総合的に見ましても、こういう輸送需要の変化に応じました計画の変更ということはやむを得ない、こういうふうに考えております。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 ここで、資料がありましたら官房長からお聞きしたいと思うのですけれども、輸送量を、海、陸上における鉄道、自動車及び空の航空機と四つに分けて、最近のその量のふえ方についての比較検討をした結果をお知らせいただけたらと思います。
  227. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 私ども海運のほうから見ますと、いわゆる旅客輸送というのは量としては少ないという関係から、もっぱら貨物輸送に関しまして検討をいたしておりますが、昭和四十一年度の統計によりますと、国内貨物輸送は、トンキロで表現いたしまして、海運が四二・三%、鉄道が二六・六%、自動車輸送が一二・一%、四十一年のシェアはこのようになっております。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 航空機輸送の部門はどういう変化をしておりますか。
  229. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 航空機輸送は旅客輸送が大部分でございまして、国内の貨物輸送の分野からいたしますと、まだ取るに足らない分野だというふうに考えております。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 貨物輸送量が増強する傾向にある。少なくとも諸外国においては、大型貨物輸送機がそれぞれ活躍をしておるわけでございますが、短時間にすみやかに目的地に貨物の輸送ができるような計画は、一方で進められてはおらないのですか。問題にならぬという一言に尽きるようなことでは、空の輸送というものを実に軽々しく考えておられると思うのですけれども、今後の航空機輸送の計画を、人間の輸送だけでなくして、貨物輸送という点について御答弁願いたいのです。
  231. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま港湾局長から御説明申しましたものが国内輸送の数字でございます。航空機の貨物の輸送は、先生指摘のとおり、非常に急速に伸びつつございますけれども、それは主として国際貨物の輸送になっております。国際関係につきましては、わが国は日本航空株式会社がやっておりますが、最近の状況に応じまして、貨物専用便あるいは旅客混用便というものを増強いたしまして、非常に力を入れて各国に負けないようにやっておる状況でございます。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 国内における貨物輸送、生鮮食料品等の国内輸送ということは問題になっていませんか。
  233. 町田直

    ○町田政府委員 もちろん、食品等で非常に腐りやすいもの等の輸送については、国内貨物輸送として航空機が使われております。ただ、何と申しましても航空運賃はかなり高いものですから、高価品というようなものに使われておりまして、その量は、ちょっと手元に数字がございませんけれども、まだまだ非常に微々たるものであると思います。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 地方空港が、第二種、第三種というような空港になると、滑走路も短いし、航空機の発着の回数も少ないというようなことで、日本の地方空港はまことにささやかな存在になっている。こういうところに力点を置く政策を運輸省がお持ちであることも承っておるのでありますが、諸外国のように、空の人的、物的輸送を網の目のごとく張りめぐらしている段階で、日本の地方空港の整備――国際空港の計画は先ほどから議論されているとおり。しかし、国内における大型機の発着まで含めた整備計画というものを、しばしば伺っておるんですけれども、一向前進していないという現状をどう打開されようとしておるか、その点を承りたいと思います。
  235. 町田直

    ○町田政府委員 わが国の国内航空は、御指摘のように、まだ大型の飛行機の発着するほどの施設は比較的少のうございますが、ただ数は、ローカル空港としてはかなりできております。そこで、四十二年度に、もちろん航空の安全性も含めまして、千百五十億の予算をもちまして五カ年計画を立てました。ローカル空港でも、主要なものについてはジェット機が発着できるような滑走路施設をつくっていくということで、昨年度ではやっております。もちろん予算の制約がございますので、必ずしも十分とは申せませんけれども、だんだん緒についているという状況でございます。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 これはちょっと関連ですけれども、運輸大臣、小笠原の返還に伴う南への関心は日ごとに高まっているわけですけれども、硫黄島の飛行場を、防衛の飛行場とあわせて民間航空機の発着場にする御計画のことを承っておりますが、どのような形でこれを進めようとされているのか。国内では板付あるいは千歳、そういうところには自衛隊と民間航空とが併置されてある。そういう形のもので典型的なものをあそこへつくろうとされるのに、防衛庁の障害というようなものもどこかで聞いたこともあるのですけれども、そういうものにおかまいなしに、大所高所から、この小笠原の飛行場の設置に民間航空機の発着を自在にさせる計画が進められておるのかどうか。あなたとしてはより高い政治力からお答えを願いたいのです。
  237. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 小笠原にはまだ住民がおりませんし、実際民間航空を持っていく需要が起こるかどうか、まだ非常にアンノーンファクターズが多いわけでございます。しかし、三千メートルの滑走路がありまして使えるといういい条件もございます。そこで、民間航空の件は、そういう実際の需要が起きるときに考えるべきもので、そのときにはおそらく自衛隊と共用という形になるではないか。そのことは増田防衛庁長官とも話しておりまして、増田さんもその際には喜んで共用しよう、そういう話ができております。当分の間は――日本航空が持っておる大型ジェット機の訓練飛行場がないわけです。そのためにアメリカまで行きまして訓練飛行をやって、しかも外人のパイロットを相当数、百人ばかりも雇わなくちゃならぬという情勢でありますので、至急日本人の飛行士をつくる必要がありまして、それは小笠原が非常に適当な場所でありますので、大型ジェット機の訓練飛行場としてすぐ役立てるようにしたいと思っております。
  238. 受田新吉

    ○受田委員 非常に雄大な構想を承りました。小笠原に対する期待感は、観光あるいは南の海洋開発等で、いまから政策的に、こちらのほうからいち早く事前に計画を進めておかれるほうが賢明であると思います。  次いで、今度はこの関連で、一局削減の運輸省関係の問題をお尋ねしてみたいと思います。  運輸省は今度の一局削減方針に従って観光局を廃止されることを決定されております。これは行管との――行管はきょう来ておられませんね。それでは行管でなくても大臣だけでいい。なぜ観光局をねらい撃ちされてこれを廃止されたかということです。かつて国鉄時代には国際観光局というのがあって、新井堯爾、後の日本交通公社会長が初代局長として国際的にもデビューされた。これは非常に印象的な一幕を私も記憶によみがえらせております。自来、戦後におきまして、これが運輸省の観光課という課が観光部に伸び、さらに観光局として設置されて、三十年から国際的な観光事業を含んだ所管局が誕生したわけです。この観光局を、これからの観光行政の機関としてのセクションを、あえてねらい撃ちの的に選んだ理由を運輸大臣から御説明願いたいです。
  239. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり定員のかげんで、新しくできた局でありますから人員も非常に少ないですし、課も非常に少ない。そういう考えから観光局というところに雷が落ちたのじゃないかと私ら思います。しかし、これは認識不足もはなはだしいのでありまして、観光局を部に下げるということは、われわれ非常に忍びないところであります。そこで、行管長官とも話しまして――観光行政は内閣全体として一元化が非常に要求されておるわけです。厚生省の国立公園あるいは文部省の古都保存とか、あるいは運輸省の輸送手段とかホテルとか、そこでこれを一元化するという約束を行管長官から取りつけまして、この一局削減にすぐ隣接しまして観光行政を一元化するということをやってもらうということで、観光局をしばらくの間官房の部にするということを承知したわけなんであります。
  240. 受田新吉

    ○受田委員 これは大臣、あまり簡単にものを考えられないようにされないと、人数も少ない――確かに運輸省の局で人員を比較してみると五十二人しかおらぬ局はこの局しかないわけです。これは非常に簡単に、人間が少ないからということで整理の対象になったという理由をおあげになった。もう一つは、一番あとからできた局であるからというのでそれをマークされた、こういうことでございますが、いませっかく大臣指摘されたとおり、観光行政の一元化という問題は、もう国際的に見ても、日本の政治の上のポイントにしなければならぬことで、特にイタリアのごときは十数億ドルの観光収入をかかえて、国の収入の三分の一は観光収入でまかなっている、そういう西欧のりっぱな国もある。それから、アジアの諸国あるいはその他後進性を持っている国で観光資源を唯一のたよりにして外貨の獲得をはかっている国もある。いわんや日本は、観光資源にはどの国よりも恵まれたすばらしい国ぶりであります。  海外旅行者が急増して、観光白書を見ましても、最近とみに、運輸省が予定した人員を逆に上回るほどわんさわんさと海外旅行をされておる。しかし一方で、インランド、国内へお客さんを迎えるほうは一向成果をあげていないという実情、これは日本の外貨獲得政策上もたいへんなマイナスであって、五百ドルを何回でも使って海外に行ける、そして毎年のごとくわんさわんさと公務員までがどんどん出かけていくというような情勢になっておる。アメリカでは、ジョンソン大統領がその年頭の計画発表で、海外行きを極度に制限して、その中でいろいろな税の加重政策をとっておる。しかし一方では、国内へ招くほうは、国内の航空機の運賃を半額にするなど、ばかに外人のアメリカ旅行を誘致する思い切った政策をとっているときに、大事な役所の観光局をねらい撃ちにされたということは、われわれとしてはなかなか理解に苦しむ。いわんや観光一元化と仰せられておりますが、観光一元化ということになると、厚生省の国立公園局もやめてしまう、運輸省の観光局もやめた、ただ文部省の文化財保護委員会と文化局を一つにして文化庁をつくるという、あそこだけはちょっとサービスをやっておるようでございますけれども、観光一元化の体制が確立されてから観光局を廃止されるというなら筋が通る。柱をぼんぼん倒しておいて、全体の一元化の問題の解決しない前にその処理をされるということは、矛盾もはなはだしいものではないかと思うのでございますが、国務大臣のお立場からの御答弁を願いたいと思います。
  241. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 受田委員指摘のとおりで、これはできてから廃止されるとか縮小されるとか何かすべきものであると思いますが、一省一局削減というほかの省とも関係している大きな仕事をやろうということで、非常に時期を急ぎましたので、やむを得ずこれは承知いたしました。運輸大臣非力のいたすところでありまして、まことに恐縮にたえない次第であります。
  242. 受田新吉

    ○受田委員 運輸大臣、すなおにわびておられる。有力な青年国務大臣としての清らかな気持ちは、私よく理解できるのですが、やはり観光行政一元化の本家は私は運輸省だと思うのです。総理大臣運輸省の御出身である。世界の国々がこれからの政治の重点を文化性の高い観光行政に置こうとしておるときに、その一元化の政策も打ち立てないで、大事な運輸省の柱をまずぽっかりと打ち倒していくというあざやかな手ぶりというものは、良識を持った国民には理解に苦しむ点であると思うのです。それならほかの役所でいま削ったらいいのがあるか――私、一つ一つここで私案を出すのははばかる点が幾つもあるのでありますけれども、ずっと見たときに、幾つか同じ部門を担当する局があるわけです。観光局というのは別の部局なのであって、幾つも分割担当しておる部局の統合というほうが筋が通る形のものがあるのか、いかがだったでしょうか。官房長、協議に参画された一員として御答弁願いたいと思います。
  243. 町田直

    ○町田政府委員 昨年決定されました各省庁の一局削減につきましては、先生指摘のように、いろいろな考え方があると存じます。たとえば、非常に簡単に申しまして、運輸省には海と空と陸がございますから、海のほうだけを一つにするとか、陸を一つにするとか、いろいろな考え方があると存じますけれども、現在の運輸省の各局の形と申しますものは、それぞれ十分な存在理由があってできておりますので、簡単にどことどこをつけるというようなこともなかなかできにくいわけでございます。また、運輸省の行政と申しますのは、我田引水になるかもしれませんけれども、各局とも非常に仕事がかかってきておりまして、いわば発展的な局でございますので、簡単にそういう意味であまり存在理由がないからどうするということも非常にむずかしいわけであります。そういうような趣旨で、先ほど大臣から御説明がございましたように、一つの基準でございますけれども、課とか人とか、そういうところの面から考えて一応観光局を観光部にする、こういうふうに決定したわけでございます。  ただ、そのときに、私どもといたしましては、むしろこの際運輸省の観光局は供出いたしますから総理府なりどこなりしかるべきところで観光行政の一元化をはかっていただきたい、それによって運輸省とすれば、一局削減になり、それから年来の問題でございます観光の一元化もできる、こういう趣旨でいろいろ主張申し上げたわけでございますけれども、今回はとにかく各省とも一局を削減する、こういう趣旨でやっておるということもございまして、こういう結果に一応なったわけでございます。
  244. 受田新吉

    ○受田委員 現に観光省という一省を設けて担当国務大臣を置いている国も数多くある。国内においても、こうした高い文化性を持った国としては、平和を愛し文化の花をけんらんと咲かせるという国策推進の意味から観光省を設置すべきであるという強力な意見さえ国内の一部にある。観光政策審議会の答申も出ておる。また三十八年には、御存じのような観光基本法まで国会を通過している。その通過の際に、参議院の運輸委員会では、わざわざ観光行政の一元化に対する雄大な構想を附帯決議としてやっている。そういうときに、日本がこれから外貨の獲得をするのには最も賢明な道である観光行政を、大事な一元化をはかる前に根っこを倒すという行き方、これはわれわれとしてははなはだ解せない点があるわけです。もし減らす必要があるとするならば、さしあたり官房長という職務を、従来なかったわけでございますから、それは現在の優秀な官房長さんに申し上げているわけではありませんが、そういういき方もなきにしもあらずと思うのです、なわ張りがあってやかましければ。これはいろいろあると思うのですが、私は、時代の進運を国際観光及び用内観光というこの大事な文化事業を簡単に考えて、やがて一元化ができるだろうという期待感のもとに柱をぶつ倒していくという行き方、これはどこかに何か感覚のズレがあるのではないかという懸念がいましてならないのでございます。ここへ法案が出ておるのでありまして、こういう事業というものは割合弱い立場もあって、あってもなくてもいい、背景に強力なバックボーンがないということもあって、一番やり玉に上げられるところで、弱きものの味方をするものがあまりおらぬという悲劇が如実に示されたのがこの問題ではないかと思っておるのです。  そこで掘り下げてひとつ承りたいと思います。  運輸大臣は観光局をお握りになっておられるので、国策として外貨の獲得をするためにはインバウンド政策を推進して、できるだけわが国を他国に紹介し、同時に、その結果国内に落としてくれる外貨を獲得する、これをどのように進めようとしておられるのか。そして一方で、海外に年ごとに増加していくいわば無計画の旅行さえ、いまどんどん出て諸外国を旅行するときに、国会もお互いに自粛しなければいかぬと思うけれども地方議会も自粛しなければいかぬと思う。もう海外旅行花盛りというかっこうで、カメラをさげたぶざまな旅行者を見れば日本人と思えという批判さえ出るようなかっこうになって、海外旅行の教育も訓練もできておらぬままで、まことに不自然な赤ゲット式で多くの人が海外に出ておる。この行き方に対して、もう少し日本人らしい権威を持った旅行ができるようなそういう手だてをどうされようとするのか、それをあわせてお答えを願いたい。
  245. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 観光政策には、海外を相手にする観光政策と、自国をよく知るという意味で旅行するあるいは探求するという観光と二つあると思います。案外自国民を訓練するということが忘れられておるのでありますが、この点もいろいろ考えてこれから強化していきたいと思いますが、  いまの御質問趣旨は、海外を相手とするお話でありますので、その点を問題にしたいと思います。   やはり一番大事なことは、商業主義で日本の観光風景を切り売りするという根性から、世界人類の一員としての友愛観といいますか、観光は平和のパスポートという話がありますが、案外そういう精神的なものが私は非常に大事だと思うのです。露骨な俗悪な商業主義というものを排撃していきたいと思うのです。  それから、知らない文化をたずねる、あるいは知らない風光をめでる、そういういい意味の好奇心を起こさせるということが非常に大事だと思いますので、海外に対する宣伝活動というものをそういう点からも強化する。しかし、必ずしもフジヤマ、ゲイシャガールというようなそういう古いものではなくて、近代日本、生活しておる日本をよく知らしめるという考え方が必要だと思います。私は、映画なんかで案外大事なのはカンヌやベニスでグランプリを取るということだろうと思う。「羅生門」みたいなもので一発取りますと、世界じゅうであれを見てくれて、日本に対する非常な好奇心を起こすわけです。「羅生門」の内容は古い物語ですが、あそこにやはり精神構造その他で近代日本というものは生きている。そういう意味で黒沢さんとか三船敏郎という人も日本の観光政策に非常に貢献しておると思う。そういうある意味における非常に広い広がりを持った観光のしかたというものも考えていいと思う。映画というものは非常に大事であると思う。  それから、日本に入れてくるためには、入れる努力をした者にメリットを与える、そういう意味で外からネットのドルをかせいできたツーリスト業者等に対してはできるだけ減税してあげよう、海外に対する特許料なんかは五〇%免税しておりますが、いまたしか三%しか観光収入はやってないと思う。これを二〇%まで引き上げてやろう、そういうことにして、お客を入れれば入れるだけ所得も多くなるという妙味を与えるということをやりたいと思っております。  それから、国内におきましては、やはりサービス、設備というものが非常に大事でありまして、ホテル、ガイドあるいはさらに観光ライン、この観光ラインというものがまた非常に大事であると思います。そういう点に対する整備を行ないまして、やはり日本はいい国だ、日本人はいい民族だ、日本の子供はかわいい、そういうことを主眼点に置いて観光政策というものを強力にやっていきたいと思っております。
  246. 受田新吉

    ○受田委員 これは両面からほぼ的確な御答弁をいただいたと思うのですけれども、いまたとえば一般旅行あっせん業者が海外からお客を招いて国内を紹介してやるときの手数料が一〇%ある、その中の三%しか特別の措置がしてない、それを二〇%にしようというわけで、これは一〇%の二〇%でございますから大したものじゃないのですが、まあ大臣、なかなかいい構想だと承りました。これは一般旅行あっせん業者が非常に苦心惨たんをしても、なかなかお客が来ない。外国へ行くほうの扱い量ばかりふえて、手っとり早くこのIATAに入っておる旅行会社が簡単に手数料を取るのには、海外へ行くのが一番いい。国内へお招きするほうはえらい骨を折っても実績があがらない。そのほうに対する配慮を、いま一部を披露されたわけでございますが、時間をかけ、金を使って、なおかつ海外から日本へお客を招くことは容易でないという現実運輸省としては十分お考えを願って、いかにして日本をまじめに紹介し、日本を訪れる外客を激増せしめるかという緻密な誠実な政策をお進め願いたい。外務省の情文局があって、日本を紹介する映画を毎年幾つか製作してどんどん海外でこれを上映しております。また、国際観光振興会なるものがあって、そこでもいろいろと諸計画を立てておられるようだし、日本航空もいろいろな機会に日本を宣伝しておるようでありますが、そこに何か日本を宣伝するための統一した機関、ジェトロという貿易振興会などの海外の事務所などもちょいちょい寄ってみますが、何かあれは自分の国の貿易を振興するほうに重点を置いて、大事な日本の別のよいところを紹介することを忘れておる、こういうような危険があると思うのです。こういうところへ眼を向けられて、総合的な日本のよい国ぶりを紹介する政策を進められるのはやはり運輸省であり、そこはやはり一番中心局であった観光局でなければならぬと思うのですが、この考え方は間違っているかどうか、御答弁を願いたいのです。
  247. 深草克巳

    ○深草政府委員 御指摘のように、いろいろ海外で日本の紹介、宣伝をやっている機関がたくさんございます。おのおの主目的が違いますので、若干のズレがあることは御指摘のとおりでございまして、その点につきましては、早くから私どもも気がつきまして、現在役所といたしましては外務省、通産省、それから運輸省、国鉄、日本航空、それからジェトロ、大体この範囲内で事務局を国際観光振興会に置きました連絡会を発足させております。また現地におきましても、大体私が聞いている範囲内では、毎月一回程度連絡会を開いて、特に宣伝物の配布のしかたとか、あるいは映画にしましてもいろいろございますので、それらを同じやるなら一緒にやるとか、いろいろなくふうをいたしておるわけでございます。今後、この体制をさらに強化していきたいというふうに考えております。
  248. 受田新吉

    ○受田委員 そのやり方が少しなまぬるい感じがするのですね。もうこのあたりで総合的な紹介政策を強力に進めてよろしい、在外公館などを中心にして。私、海外へ旅行したときに思うのですが、外務省の出先である大公使館、その他の商社あるいはいま指摘されたようないろいろな機関との連絡が十分にできていない。ちょっと言うと、ばらばらな一家言を持ったかっこうになっておる。ところが、その他の、われわれと同じような有力な諸外国を見ると、在外公館と、あるいは通産省、運輸省等の出先と非常に密接につながって、より効果的な仕事をやっております。こういうところにひとつ、観光行政の一元化という意味からも、日本を紹介する役所は運輸省の観光局が中心になられて、各省のそうした日本紹介の部門の統一、そして、それをより効果的に海外に宣伝していただく。そして海外から日本へお客さんを招くことについても、日本の一般旅行あっせん業者に何らかの形で総合的な施策をはかって、それに協力してやる、こういうふうな行き方をしないと、一般旅行あっせん業者はそのインバウンドの問題については、ほとんど経理的に成り立たぬというような現状をわれわれは考えておるのですが、そういうところへひとつ親切な手ほどき、協力をしてあげることをより積極的にしていただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  249. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まことに同感であります。  それから、いま御指摘がありました、外へ出ていく問題でありますが、アメリカがああいうふうにドル防衛に狂奔しておる、イギリスがポンドの危機で国民生活を引き締めておる、そういう情勢から見ると、日本は非常にルーズであるような気がいたしまして、私は着任以来、日本航空等にも話しまして、あんまりああいう銀座のバーのマダムあたりがパリヘのこのこ行って、みやげものをうんと買っているような――みんなあのジャルパックですか、ああいうもので宣伝されて行く人が多いし、香港あたりへ行くと日本人がぞろぞろ歩いております。私はパリへ十四年ぶりで行ってみましたら、看板に日本語で「買えます」と書いてあるのを見ました。ああいうものは自粛させなければならない。実際は、業者は外へ出すともうかるようです、お説のとおり。ただ、あんまりそれをきびしくやりますと、観光政策というのは国際的な連携ができておって報復を食らうということもありますので、その辺はやり方をかなり注意してやる必要があると思いますが、ジャルパックの行き過ぎにつきましては、今後とも訂正させていくようにしたいと思っております。  おとといも松尾社長が外国から帰ってきましたが、制限をしたので解いてくれというのが日本航空の要望で、解かぬというと、パンアメリカンとか外国の航空機は同じようにそういうことをやれるものですから、その連中にお客をとられて外国へ行ってしまうという陳情がありましたが、それはどうも考えが違う。日本航空で行く気分と、パンアメリカンで行く気分とでは日本人は違うから、それほどのひどい被害はないですよ。やはりむだな外貨のロスを押えるということが大事で、日本航空の収益だけにはかえられないものがある。私はそう言って自粛を促しておるのであります。そういう面につきましても、今後大いに努力してまいりたいと思っております。
  250. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、実にすかっとしておられる。私、同感です。  もう一つ大臣に御説明願いたいのは、持ち出し金五百ドルをそのつど許されておるのです。こういうものは一年に一回ということで、すかっとした制限をする、そういうような御処置はどうですか。
  251. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点も同感でありまして、私は一月の閣議でありますが、そういう考え方を持ち出したのです。しかし、あればOECDの会議がありまして、そういう制限をすることを会議は非常に反対をしておりまして、たしか七百ドルまでというのを日本は五百ドルにした。そのかわり回数制限をしない。そういうやや了解みたいなものができておるので、大蔵省側からその点の検討を要するという話がありまして、いま省間でその間を協議しておるのであります。しかし、私は全く御趣旨は同感でありますので、そういう線にぜひ持っていきたいと思っておるのです。  それから円の持ち出しですね。円が国際通貨みたいに近ごろなっておるので、みんな胴巻きに入れて持っていくとか、為替法違反をして持っていくのが非常に多いようです。これも考えなければいかぬ。そういうふうに思っております。
  252. 受田新吉

    ○受田委員 いま大臣指摘された次の問題も同感なんです。胴巻きで持っていって、自由に交換できるというかっこうであるから、五百ドルのほかに、その五百ドルの何倍もかかえていくのがたくさん出ている。それでなければ、あれだけ外国に円が存在しないはずです。これはやみ金を持っていくようなものですからね。完全に法規違反にもなることなんです。出るときは、わずか二万か三万しか持ち出しができないのだが、堂々と羽田をまかり通っている。これは金の密輸を大いに摘発して利益をあげている国家としてはまことに残念なことであります。あれでもうけているわけですが、あれがないと金の需要を満たすことができないという悲劇の国になっている日本ですけれども、一方で国外に胴巻きで円を持って行って、自由に交換のできる旅行をして、ばく大な金を向こうで散財しておる。だから、その意味から言うたら、持ち出しの五百ドルのほかに、ばく大な金がやみで流れている。おそらく日本人は表面に見えないたいへんな金を海外に落としてくると私は思うのです。  もう一つ、ちょっと数字をお示し願いたいのですが、最近、為替の自由化、したがって海外旅行の自由がはかられるようになったのですが、三十八、九、四十、四十一、四十二の五年間の海外旅行者の伸びをお示し願いたい。
  253. 深草克巳

    ○深草政府委員 昭和三十八年を一〇〇といたしますと、三十九年が一一九、四十年が一四三、四十一年が一八三、四十二年が二三〇、ですから五年間で二・三倍になっております。
  254. 受田新吉

    ○受田委員 たいへんな伸びです。これが輸出の伸びということであれば大いに喜ぶべきことですが、五年間に二・三倍というふえ方、ネコもしゃくしも海外旅行ですね。まさにもう海外旅行の花盛りです。これに対するある程度の規制を加える必要があると思うのです。これは海外からのお客、インバウンドのほうに手が抜けて、海外に行くほうばかりに手が伸びておる。そうしてどんどんやみの円を持ち出しておる。これは羽田あたりで身体検査をして、持ち出しの金を調べるくらいのきびしい制度をお設けになる必要はありませんか。いかがですか。
  255. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり人権の問題がありますから、慎重にやらなければならぬと思いますが、一つは、やはり国民全体にそういう精神的心がまえをつくってもらうということが大事だと思うのです。愛国心ということを口先だけで言ってもだめなので、そういうことを実行するのが愛国心なのです。そういう事実で実行してもらうように――アメリカ人がバイアメリカンとかフライアメリカンと言っているように、日本もフライジャルとかフライジャパンとか、そういうことをもっと大きく宣伝していいと思うのです。私は日本航空の社長に、あのジャルパックのテレビの宣伝はやめてくれと言ってやめさしておるわけです。そのかわりフライジャパンとか国産品を買え、そういう宣伝をテレビでうんとしてください、そういうことを勧請しておるわけでございます。やはり一つは、国民全体にそういう自覚を、こういうものを動機に訴えるということが政治の仕事ではないかと思います。あとは、やはり人権の問題ということがありますから、あまり極端なことはとれないと思いますが、できたらガイガーカウンターみたいな機械を発明してもらって、おなかに当てれば札のあることがわかるというようなものが出てくればいいと思っております。
  256. 受田新吉

    ○受田委員 これは別に裸にしてという意味ではなくて、あなたは邦貨をたくさんお持ちではないでしょうねと、こういうふうに突っ込むと、これは心理的にぎくっとくるものです。そういう手だてもあるわけです。とにかく日本人の良心を目ざめさす時期にいまきていると思うのです。もっとまじめな海外旅行を考える、もっとまじめにインバウンドに協力するというような形、もしほんとうに海外に行けるという余裕ができたときには、小笠原あるいは伊豆の大島あるいはせめて種子島から鹿児島の大島のようなところに行って気分を出して、国内でそれを費消してもらうというような海外旅行計画というものを進めていかれるということ、その意味では小笠原などは国内ですが、小笠原などに行けば、もう南方の国々に行ったような味がします。熱帯植物もありますし、外国に行ったのと同じことです。ですから、そういうことを今後おすすめ願いたい。  そこで行管局長さん、いま中曽根先生指摘された中にこういうことがあったわけです。観光局をやめるけれども、いずれ観光一元化の行政機構をつくるから、まげて観光局をやめてほしいという申し出があったので、やむなくこれに協力しかということでございますが、観光一元化の基本的な機構ができない前に、国際観光、国内観光の大事な柱をぶっ倒しておいて、それで一体構築できるのかどうか。もちろん文部省の文化局と文化財保護委員会とを一緒にして文化庁をつくるというように、どちらかといえば、文部省のほうに重点を置いたような観光関係という印象を与えているのですが、国立公園局をやめる、これは観光行政というだけの意味ではないと思いますけれども、そして大事な観光局をやめて、観光一元化の行政機構はどういうふうにされるのか。世に観光省をつくるともいわれている。いま日本で前向きの外貨の獲得、貿易外収支の船賃の収入などよりも高いウエートを占めているのがこの観光収入です。日本の旅館、ホテルの料金は非常に高い。私たち海外を旅行してみて、日本のホテルと同じような規模のものを見てみると、物価が倍に上がり、公務員の賃金が三倍にも上がるような国々と比べてみても、日本のほうが高いところにある。世界で一番高いホテル代です。だから、そういうところにはお客さんは来ないようになる。だから、もっと大事な問題をこの際考えていくと、観光行政の一元化なら一元化で、運輸省の観光局の柱をぶっ倒したのなら、同時にそこに何かの柱を立てなければならぬと思うのだが、その点どうですか。
  257. 大国彰

    ○大国政府委員 観光に関係いたします行政は非常にたくさんございまして、それぞれ所管の省庁が分かれております。そのためにいろいろ観光行政そのものに影響をもたらすということは十分承知しているわけであります。今回の一局削減によりまして観光局が官房の部になるわけでございますが、これは各省それぞれみな重要な仕事をやっております局を一律に廃止いたしますことは――そのために観光行政そのものがいままでよりも退歩するということではないと思っております。なお、観光行政のさらに前進をはかりますためにも、機構につきましては、私ども長官の命を受けまして、いま鋭意検討している最中でございます。いずれ何らかの結論に達したい、かように考えております。
  258. 受田新吉

    ○受田委員 私の質問時間がきたようですが、私はその構想を承りたいと申し上げたのですが、その構想のほうは一つも御説明がない。弁解のほうだけで構想は何もないのですが、どうなんですか。
  259. 大国彰

    ○大国政府委員 問題は、観光に関する行政と申しましても、それぞれ各省また別の目的を持った行政でございまして、その中の観光に関係する部門だけを抽出するということは非常にむずかしい問題になっております。まだいまのところ構想とまではいかない段階でございます。研究中でございます。
  260. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだ心もとない御答弁をいただいて、私は非常な不安が全面をおおい尽くすというところまできたわけです。いまのような国策推進の大事な問題が抜けておるのです。これはまた後ほど、都合によればこの法案審査に総理大臣の御答弁をいただくわけですが、私きょうの御答弁を満足しないままでこの問題をおきます。  最後に一問だけ。富士見ランドの問題から発生した日通事件が今日世間をかくまでも騒がしておる。中曽根さん、あなたのような清潔な強力な政治家によってこの問題が漸次処理されていることに私は大いに敬意を表する。このことについて、日通は富士見ランドで客寄せをするときに、有線電気通信法に基づく専用電話を商売の上に使っていることはないか。監査機関があるはずですが、監査がしてあるかないか、ひとつ御答弁を願いたい。
  261. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 ただいまの御指摘につきまして、私どもいろいろと監査をいたしております。日通がそういうものに使っている事実はないと思います。と申しますことは、私どもとしましては、共同電話は御承知のとおり国鉄の業務に密着しているということで設置認めているわけでございまして、その間におきまして、私どもの内部で監査をいたしております。その結果におきまして、違反があれば直ちにこれを取り消させる、あるいは契約を解除するということでありまして、御指摘のようなことにつきましては、ないと私は考えております。なお、そういう点につきましてもう少し詳細に調査いたしまして、ありましたら厳重に注意をいたしたいと思います。
  262. 受田新吉

    ○受田委員 日通という国鉄とのつながりのある会社が、安い負担で済む専用電話を、長距離などでやればたいへんな金のかかるところを、客集めその他に使たっならば、これは独占企業としてもう非常に国民に迷惑をかけるわけなんです。これはまだだれも提案したことないでしょうが、ひとつ厳重に監査してもらいたい。接続のところで、一般公衆電話との間の比較を十分握ることができるから、その交換業務を担当する人からでもやってみる必要があると思うのです。最近の悪を重ねた日通のやり方を見ると、どこにもみな疑いを持ちたくなる。この点ひとつもう一度厳重な監査をしていただきたい。  それからもう一つ、日本交通公社も同様国鉄の切符の売りさばきができる。一般旅行あっせん業者でもあり、また特別の権能を持った業者でありますが、そこがかつて問題になった。一般旅客に売った切符代を何日に一ぺん納めるようになっているのか。鉄道切符というものは即日金が入る。現金収入です。借りて切符を買うわけにいかないわけです。どういう納め方をしておるか、御答弁を願いたい。
  263. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 交通公社の業務委託につきます乗車券の問題につきましては、現在は前の旬の十日分を翌旬の末に納めるということになっています。これは国鉄と交通公社の契約によって現在明確にされております。  こういうことがなぜ必要かと申しますと、実は現在交通公社で売っております乗車券は、一般の乗車券のほかに特急券、急行券、そのほかに周遊券、非常に複雑な乗車券でございまして、秋鉄の乗車券も含んでおります。それから、中にはお城を観光する観光券なども含んでおります。それから旅館券、旅館の切符も入っております。それらの問題を仕分けをする必要があるわけであります。さらに、現在交通公社が発売しました乗車券につきましては、これの払い戻しが月間大体三億円くらいあります。そうした面の整理といいますか、精算と申しますか、あるいは国鉄に払うべき金の精算に各営業所におきまして大体五日くらいはかかる。それからそれを送金するということになりまして、国鉄が請求書を出しますのが翌旬の末でございますので、その二日前にもうすでに私どもとしては交通公社の乗車券等について精査をいたしております。したがいまして、実質は、前の旬の十日分につきましては、その整理期間がわずかに七、八日くらいしかないわけでありまして、むしろ非常に多数の乗車券に対する整理ということに困窮いたしております。そういうような中から、現在、発売後十日におきまして翌旬の末に納めさせる、こういう実情でございます。
  264. 受田新吉

    ○受田委員 翌旬末で、平均して十日程度おくれますね。そうすると、一日にどれくらい売い上げがあるわけですか。
  265. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 年間大体八百五十億でございますので、一日に大体三億近くの……。
  266. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、十日間で大体三十億。それだけの利子をかせぐのは公社であり、国鉄に迷惑をかけておる。それだけ国鉄の収入が減っておるわけなんです。国鉄がそれだけ損をしているようなものです。  運輸大臣、この機会に、交通公社の切符売り上げ代金のいまの十日締め切りのこれを少し早めて――年間八百幾億のものが十日ずつおくれたとしても、三十億は終始おくれているわけです。その利息だけでもたいへんなものだと思うのです。いまのようなちょっとした旅館の宿泊費のような別途の利用なんというものは理由にならぬ。この機会に、交通公社の納入期をもっと縮めて、国鉄収入をふやすような――職員の優遇にもなるわけなんです。これをひとつ英断をもってあなたが大臣のときにやらないとなかなかできない。頼もしい大臣のときにそれを要求をして質問を終わりたいと思います。御答弁願いたい。
  267. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 よく調査いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたします。
  268. 松澤雄藏

    ○松澤委員長代理 伊藤惣助丸君。
  269. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、タクシー料金と個人タクシーの問題について伺いたいと思います。その前に、運輸大臣に運輸行政の姿勢について二、三伺いたいと思います。   〔松澤委員長代理退席、委員長着席〕  昨年は冷房料金あるいはせんべつ金あるいはLP課税問題等、運輸行政が非常に批判の的になったわけでありますが、その後の運輸行政の綱紀粛正について、その経過と措置について伺いたいと思います。
  270. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず、運輸省勤務している者の精神を引き締め、国民の期待に沿うように自粛自戒することが大事だと思いまして、運輸省勤務員全員に対して、私以下率先して刷新を行なうように努力をいたしました。  それから、人事の異動をやりまして、局長そのほかかなりの数の異動をやりましてその実を示すようにいたしましたし、特に業者と接触しておる係長クラスは三百人にわたる異動をやりまして、二年在勤した者はもうかえる、そういう方針でいま運営しております。  それから、機構上の問題につきましても、業者との接触やその他の面についていろいろ改善を加えまして、最近の情勢ではみんなかなり浸透してまいりまして、真剣な気分がみなぎっているように思います。
  271. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ただいま大ざっぱに聞いたわけでありますが、しかし、よく見てまいりますと、大臣のその綱紀粛正の姿勢は多少甘い、こういう見方も国民にあるわけです。たとえばせんべつ金の問題でありますが、これは非常に甘いのではないか。たとえばいまお話ありましたけれども、単なる人事異動で終わっておる。佐藤総理が綱紀粛正については信賞必罰をもって強い姿勢で臨む、こういうふうに言われている面から考えてみますと、非常に全体の異動はあったかもしれないけれども、当事者またはその問題をもう一歩深く突っ込んでの綱紀粛正という面から言うと非常に甘い考えだ、このように思うわけです。特にこれは元某参事官などについては、昨年の八月でしたか、読売新聞に、私が東京転勤した当時は何も受けていない、そのような公然とうそを言っておきながら、それが発覚すると、おくめんもなく、あのくらいなことは慣例として問題ない、このようなことを言っておるわけであります。言語道断な話です。そしてまた、彼らは、もらった金は返したというふうに言われておりますけれども、たとえば、いずれも五万円以上もらったとするならば、所得税の申告をしたの、税を納める義務がある。それがどのような形でどうなったかわかりませんけれども、たとえば所得税の時効なんというのは五年間くらいになりますか、脱税ならば懲戒免職にもなるわけでありますが、こういう点なんかもどうなったのか、非常にあいまいで終わっておるわけです。当時の陸運局長の所掌事務からするならば、あれ以外にせんべつ金をもらったということも考えられる。したがって、もっと深く突っ込んで、あるいは慎重にやるべきじゃないか、こういうような意見もあるわけです。  さらに、昨年の暮れでありますが、これは朝日新聞に載ったんですけれども、抜き打ち査察予告、こういう見出しで、年末年始の交通事故を防ぐために、バス、タクシー会社の抜き打ち査察をしているわけです。まあこれは札幌陸運局で査察の前日に、あす査察をやるとタクシー会社に予告するように局長職員に命令した。このために査察に行ったときには、もう前月まであった運転手別の水揚げグラフなんていうのははがされておった。聞くところによれば、夕方になっての連絡であるならば、運転日誌書きかえも間に合わないだろう、こういうふうに局長は言っておったそうでありますけれども、このような行政執行のやり方を見ていきますと、非常に問題がある。特に運輸行政については、議員も関係しているようでもありますし、また非常に業界の圧力もあると言われます。まあそういう点で運輸官僚がそのような圧力に屈しているんじゃないか。そしてまた、こういう報道があるにかかわらず、政府はこれらについて何も言及していない。こういう点について国民はさらに疑惑を大きくするわけです。その後の処置について運輸大臣に伺っておきたいと思います。
  272. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 札幌の例は、まだ調査してみないとわかりませんが、おそらく査察に行った場合に、責任者がいないというと実際は調べることができない。そういうおそれがあって夕方やったんではないかと思います。まあいろいろ査察にはやり方があって、ある場所ではほんとうに突然やらせる、ある場所では一日か二日前に予告するということもあり得るので、その場所場所の態様によって適当なことをやるのが私は妥当であると思います。  それから、人事の処罰やその他の面につきましていろいろ御批判があると思いますが、大体世間を騒がせた連中は、起訴猶予の者とそうでない者と分けまして、そういうような者は行政処分にしたわけでありますが、異動に際しましては、大体自分の後輩のあとを継ぐというようなことをやったわけです。たとえば、十六年に大学を出た者は、十七年、十八年に大学を出た自分の後輩のあとのポストへ行く。これは官僚にとっては非常に耐えられないところでありますが、みんなそういう措置をやったのであります。
  273. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 議員が中心となって陸運議員懇談会というのがありますけれども、これはタクシー業を経営している国会議員や自民党の政調交通部会のメンバーが中心となって数十人でこの会の運営が行なわれているということであります。たまたまその懇談会が赤坂プリンスホテルとか、またはそれぞれの場所において会合を開いているようであります。そして業者の陳情も聞いたり、また関係官庁の職員を呼びつけては、業者代弁の猛烈な圧力をかけている、このようにもいわれておりますし、またその実績があります。昨年の五月、六月ごろのタクシー料金値上げ運動が激しかった当時、早く業界案をのめとハッパをかけた。また、個人タクシーの免許については、そんなことをするとタクシー会社は総倒れになるから、からだを張っても断固反対する、こういうようなことを言った同僚議員もおります。運転手の歩合給制をやめることは、働かなくなるからやめることはできないとか、また業者の利益をはかるいろいろな圧力をかけている。そして、そういうことが最後には黒い霧になっていろいろな問題を起こしている。まあこのような姿があったわけでありますけれども、運輸行政の健全な運営をはかるためには、このようないわゆる圧力団体は、また、こういう懇談会等によって左右されることがあっては断じていけない、このように思うわけですが、聡明な運輸大臣のこの点に対する措置、今後どのように具体的に対処されるか、伺いたいと思います。
  274. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 陸運議員連盟というのがあったかどうか私は知りませんが、私が着任しましてからはそういうような運動やらあるいは圧力というものは全然ございません。私は着任のときに、政治のほうからの排気ガスは私が排除する、もしそういうのがあったら言ってこい、そういうことを私申して、運輸省の役人諸君を激励したのであります。そういういきさつもありまして、そういうプレッシャーというものは最近はもう解消したと私は思っております。局長やその他の諸君に聞いてみましても、そういうものは消えたようであります。過去においてはあるいはそういうことがあったかもしれませんが、まあ将来ともにそういう悪いプレッシャーグループの圧力を受けないように、健全な官僚制度を育てていくように努力したいと考えております。
  275. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 次に、個人タクシー問題について伺います。  総理は、非常に個人タクシーは評判がよい、積極的に今後は免許すべきじゃないか、これは現在では大都市だけに限っているようだが、個人タクシーを許す範囲を拡大すべきである、このような発言をしております。しかし、東京においては、わずかに免許事務のスピードアップをはかられたわけでありますけれども、しかし、本質的には従来と何ら変わるところがない。運輸大臣は、その佐藤総理の言う積極的な免許の方向に、総理と考え方が同じかどうか、伺いたいと思います。
  276. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 同じであります。
  277. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 少し具体的な問題で、大臣から答弁いただきたいのですが、個人タクシーの免許についての基準はものすごくきびしいわけなんです。個人タクシーとして免許を受ける基準は 何をもってその基準とされたかということでありますが、それをまず伺いたいと思います。
  278. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはりお客さんを乗せて、その生命の安全を守る立場にある運転手あるいはタクシー営業者でありますから、相当な担保力も持っていなければなりませんし、また、過去において違反その他の過失がないように、また、ガレージ等の設備においても、一応は整っておらなければその資格はないと思いますので、やはりある程度の条件を具備しないと、個人タクシーとしての有資格者と認定するわけにはいきません。もしそれをルーズにすると、いわゆる雲助タクシーというようなものが非常にはんらんいたしまして、かえってお客さんが不便をこうむるということも逆に現出いたします。過去においてもそういうことは円タクの時代にありました。そういう面から、寛厳よろしきを得て、できるだけふやしていくという方向に進めていきたいと思うのであります。
  279. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ちょっと総理に伺ったことと答弁が、違うようでありますが、いわゆるそういう基準というか、それはこれから聞いていくわけでありますが、一つ一つ具体的に言いますけれども、まず私たちは、この基準があまりにもきびしくて、このような基準というのは憲法にある基本的人権をじゅうりんしているのではないか、このように思えるところがあるわけです。たとえば年齢の点でありますけれども、どうして四十歳以上でなければならないのか。これは最近では三十九歳ぐらいでもいいようになっているそうでありますけれども、しかし大体四十歳以上としたその根拠がわからないわけです。いまも、人間的に非常に問題である、雲助みたいな運転手じゃしょうがない、こういうお話でありましたが、そういうことは年齢には関係がない、そう思うわけです。運輸省は、大体四十歳ぐらいになると、精神的にも家庭的にも安定する、こういうふうに前にも答弁しているのを聞いたことがございますが、それでは、四十歳以前の人は不安定なのかということなんです。もしそういうことであるならば、これは何も個人タクシーに限ったことではない。一般タクシー会社においてもその基準でいくべきじゃないか、私はむしろ、お客さんを安全に、しかも非常に人間的にも安定した年代というのは三十代ではないかと思います。そのほうが、体力的にも、すべての面で充実しているのではないかと思うわけです。また、民間会社では四十歳以下でなければ採用しないところが大部分なわけです。いま申しましたように、タクシー会社と個人タクシーと、そのように免許する場合に差別することがおかしいのではないか、こう思うわけです。その点について……。
  280. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり判断力の円熟という点で、四十というのを一つとったのだろうと思います。それから、一ぺんにその資格を下げると非常に応募者がふえて、審査のかげんで間に合わぬという要素もあるいはあったのではないかと思います。しかし、では四十をもう少し下げるかという問題でありますが、情勢によっては下げるということも考慮していいだろうと思っています。必ずしも四十でなければならぬというふうにきびしく制限だけつけておくのが正しいかどうかは疑問であると思うので、それはやはり需給関係、そのほか全体の調子をにらみ合わして検討していったらいいと思っています。
  281. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在の実態から言いますと、大体昭和二十九年ごろのものを審査しているように聞いております。そうしますと、当時四十歳であってももうすでに五十をこえているというように考えられるわけです。そしてまた、少し早くなったようでありますけれども、そういう審査期間が非常に長期にわたっている上からいっても、若い三十代の人たちをどんどん対象にしていくべきではないか、こういうふうに私は思うわけです。大臣からそのように前向きで考えていくというふうに御答弁があったわけですけれども、そのことをもう一回はっきりと伺っておきたいと思います。
  282. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 個人タクシーの申請と審査は昭和三十九年まで全部完了しまして、いま四十年代に入っているわけです。二十九年は何かの思い違いではないかと思います。  それから、四十というものを将来再検討するということは、需給あるいは客観的な社会情勢等も考えまして、将来考慮してまいりたいと思っております。
  283. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう一つは運転歴ということなんですが、これも十年という非常に長い期間でございます。これはもう当然運転は未熟であってはいけないわけでありますが、これも普通一般タクシー会社に比べてみますと非常におかしいわけでありますね。たとえば十年というのが、しかもタクシーの中においてだけその運転歴がなければいけないということも、これもまた少し矛盾しているのではないかと思います。たとえば五年以上でも、毎日車を運転し、また非常に器用な方であるならば、当然十年にならずともりっぱな運転者としてその資格が出てくるのではないかと思います。これなんか、もやはり個人タクシーに限って、一般のタクシー会社と差別をつけているところに私は問題があるように思うのです。この点についても伺っておきます。
  284. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり十年程度の優秀な経歴は持たなければいかぬと思うのです。野球の選手でも十年選手というのが特別な扱いを受けるので、運転手でも同じだろうと思っています。
  285. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは、一般の会社のタクシーの運転手さんは十年に満たなくともどんどん採用するわけですが、それはそれでいいというのですか。個人タクシーは十年以上であって、一般会社のタクシーの運転手さんは十年でなくてもよろしい、おかしいと思うんですがね。
  286. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そこが個人タクシーのいいところなんで、そういう経歴を持っている人だから安心してお客さんが乗れる、そこが普通のタクシーと違うところだと私は思います。
  287. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私はやはり一番大事なことは、先ほどもあなたがおっしゃたように人間性だと思うのです。技術ももちろん大事かもしれませんけれども、精神的にも安定し、人間的にも非常にいいという点は、必ずしも四十代にいかなくてもいいと思うのです。こういう点からいっても、選考するのも、たくさんの中から選んだほうがいい人が選べるのは当然です。だから私は、十年に限るという、また十年以上でなければならないといういま大臣のおっしゃるような考え方、基準というものはおかしいと思うのです。大臣のお考えを伺いたい。
  288. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この四十というのは、私は下げることも考慮していいと思いますが、十年の優秀な経歴という点は個人タクシーの非常に大きなポイントで、お客さんが安心して乗れる要件でもあるので、これはやっぱり維持する必要があると思っています。
  289. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大臣がそうおっしゃるのなら、それはまあけっこうです。  次に、個人タクシーの申請手続についてであります。これを見てまいりますと、非常に多くの種類があります。たとえば十六種類にわたってこれが添付するようになっております。しかしこの中で私が一番問題に思うことは、まず第一に車庫の問題がある。この車庫の問題というのは、申請する場合に非常にみんな悩みの種になるわけです。たとえばいつ免許をとれるかわからないという状況なのに、その車庫にするところの契約書、登記簿謄本、印鑑証明、こういうふうにきびしいわけです。まあ地主のほうから見るならば、実際に何年先のことかわからない、また、たとえそれが提供するということがはっきりしておっても印鑑証明も渡さなければ信用してくれないということについて、非常に大きな疑問を持っているというふうにも言っている人もおります。どうしてこのような、申請する方にとっては非常に過酷ともいうべき手続をとらなければならないのかというところに疑問があるわけです。もっと簡単にいかないかということなんですが、この点について伺いたい。
  290. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 自動車の問題でございますので御答弁申し上げますが、車庫につきまして、それを手に入れているのかどうかということを、聴聞の際に印鑑証明までつけて提出させております。申請者から見ますれば非常に過酷だ、あるいはたいへん手間がかかるということだと存じます。しかし審査する側といたしましては、やはり車庫というものが現実に手に入っているということが確実でない限り、路上に駐車するとかいう弊害も起こりますし、そういったような関係もございますので、たいへんやかましいようでございますけれども、そういう点まで調べておるわけでございます。
  291. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いろいろありますけれども、時間がありませんから進みますが、次に資金の調書です。これまた問題なわけです。まず一つは、自己資金でなければならないということが条件であるようです。しかもまたその預金通帳を申請するときに持参させる。また過去一年間の金の出し入れまでチェックする。そして預金をおろしたときがあると、その理由を追及するそうです。入院とか出産とか、場合によってはそういう引き出しはよろしい。しかしそれを証明する証拠を出しなさい、このようなことを言っているらしいのです。そうしなければ審査はパスしない、こういうふうにもいわれているわけです。しかし一般的には大企業や、普通、事業を始めたりまたは拡張したりするときはだれでも金を借りたい、またやりくりがあるわけです。どうしてこんなにうるさくするのか、そしてまた預金通帳のお金の動きまでチェックするというのはたいへんな人権侵害ではないかと思うのですが、この点について大臣から伺います。
  292. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やっぱりある程度の資金力がないと――お客に対する担保力という面が必要だと思うのです。人の生命の安全を預かるのでありますから、事故を起こした場合、単なる傷害保険だけで安心しきれるかというと、そういうものでもない。財団法人をつくるのでもやっぱり基金というものは入り用なものだ、そういう点についてお客さんが安心し得るような体制をつくって免許するのが運輸省仕事であろう。ただ手続の繁雑などは直さなければなりませんけれども、担保力を持つということはやっぱり必要な要件だと思います。
  293. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それから車の売買契約書ですが、これも聴聞のときに一回確定したものを提出するわけですけれども、許可になれば、現在のように新車がたくさん出ている時代においては、やはり違った車種の車を買いたいと普通思うわけでありますけれども、しかし一番最初に申請した車の車種を、どこまでもそれでいきなさい、またそれでなければならない、そういうふうに審査に当たってはやはり厳重にチェックするわけです。この点なんかも非常におかしいのですね。この点についても伺っておきたい。
  294. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 車の車種の変更につきましてまでチェックするというふうに私は聞いておりません。そういう事実がございましたら調査いたしたいと思います。
  295. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私一つ一つこういうことを申し上げるのは、申請した人たちから非常に数多く話を聞きました。そして聞いていきますと、あきれるばかりの態度なのです。したがって、何をもってこの基準をきめたのか、運輸大臣局長や、いわゆる上の方々がほんとうに知っているのかどうかということを私はこの際伺うと同時に、非常に人権侵害であるとか、また憲法に違反するような、そういう差別待遇をしていくみたいな姿であってはいけないと思うし、そういう点で一つ一つ伺っているわけです。真剣に正確に答えてください。  次に健康診断の問題なのですが、これも民間の診療機関のものはだめだ、国でなければならない、こういっているわけです。この点なんかも非常におかしい。一般のお医者さんに対して信用してないということはたいへん侮辱的なことだと思うのです。これはよそでもそうであるならばやむを得ないかもしれない。しかし個人タクシーに限ってこのようなことをしていくということになった場合には、たいへんな問題なのです。この点も伺っておきたい。民間の診療機関の健康診断証明で私は十分であると思うのですが、大臣から伺いたいと思います。
  296. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  普通の民間の医院とか病院ではいけないということはいっておりません。公立でなければいかぬということはいっておりません。
  297. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ではそのとおり伺っておきます。  いままで幾つか述べてきましたが、このような、一つは、申請をした中に、ある善良な運転手が非常に精神的、物質的に損害を受けた。そしてまた、このようなことは悪代官からいろいろ言われているみたいなものだ、このようなことから抗議をしておる。これは品川区に住む川上さんという人でありますけれども、八年来この問題を取り上げて、法廷で争っているわけですね。一審、二審とも国が敗訴になっているわけなんです。そういうことからしても、そういう問題が起きないように、さらにまたそういうことから国が、先ほども言うように、全然姿勢が変わらないと言われることのないように、厳重にその点は注意してもらいたいと思うのです。大臣から……。
  298. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 よく注意してやります。
  299. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大臣に伺いたいのですが、いずれにしても、この申請にあたっての添付書類は非常に複雑なわけです。これをもっと簡単にする考えがないかどうかということなんです。そしてまた、現在免許の許可は東京大阪になるわけですね。現在まだ三多摩だとか中小都市については、ほとんど個人タクシーの許可がおりてないのが現状なわけです。これは非常に評判がいいわけですから、そういうところからの申請があった場合には、中小都市に対しても、または三多摩や東京以外のところからも申請があった場合には、積極的に許可すべきじゃないかと思うのです。この点について大臣から……。
  300. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 手続の繁雑な点は検討を加えます。  それから中小都市に対する拡大は、これも順次広げていこう、そういう方針でおります。
  301. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 順次広げていくというお話でありますが、いつごろから行ないますか。
  302. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 埼玉県あたりではもう許可しているところもあります。それはやはり需給状況を見ながら、順次広げていこうという考えでございます。
  303. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 積極的にその幅を広げていただけるよう要望しておきます。  最後に、タクシー料金の値上げの問題でありますが、大臣は昨年末タクシー料金は値上げをしない、こう約束しております。今年においても非常に値上げムードがあるわけでありますが、今年もタクシー料金の値上げをしてもらいたくない、こういう国民の声があります。この点について、しかと大臣からその考えを伺っておきたい。
  304. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 値上げを認めない方針でおります。
  305. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 終わります。
  306. 三池信

    ○三池委員長 鈴切康雄君。
  307. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 本日は運輸大臣も朝から引き続いて、まことに御苦労さまでございます。  私が最後でありますので、もうしばらくごしんぼうのほどをお願いしたいと思います。  そこで、新島に射爆場ができると仮定したときに、想定される種々の問題というものが私はあると思いますが、たとえば航路についてお伺いをしたいと思います。定期旅客船用航路が、常時制限水域、使用時制限水域にかかると思いますが、その状況はどのようでございましょうか。
  308. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 若干かかるようであります。その点は、海上保安庁長官からお答えいたさせます。
  309. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 お答えいたします。  現在伊豆七島方面への航路のうちで、新聞に発表になりました防衛施設庁の示す常時制限水域にかかると思われる航路は、下田-三宅島航路、これは週に一回でございます。それから大島から利島、新島を経由して神津島に至る航路の一部が常時制限水域にひっかかる、さらに大島から三宅に至る航路が、場合によれば、風その他の状況によって常時制限水域すれすれのところを航海する。大体この三つの航路が常時制限水域にひっかかるか、もしくは天候の状況によってひっかかる、こういう状況であります。
  310. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 使用時制限水域にかかる航路はいかがですか。常時でなくて、使用時。
  311. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 常時制限水域の東側に広げられてある水域は、東京から三宅を経由して御蔵島に至る航路、これは週一回でございますが、ここがひっかかることになっております。
  312. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私がおたくからいただいておる資料もここにございますが、この資料から申し上げますと、あなたが言われたよりもまだ深刻な状況であると私は思います。  まず第一に、東京-八丈島-青ケ島航路、これは使用時制限水域にかかるわけです。東京-三宅島-御蔵島航路は、同じく使用時制限水域にかかります。それから大島-神津島-下田航路、これは常時制限水域に入ります。それから大島-三宅島も使用時制限水域に入ります。それから下田-三宅島、これは常時制限水域に入ります。新島-式根島航路、これは常時制限水域の接点になっております。西風が強風のときには、利島-新島、接岸不能な場合の航路は常時制限水域に入ります。島陰運航の場合の航路は、常時制限水域に入るという事実でありますが、これについてあなたの言ったことはいかがですか。
  313. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 東京-八丈島の航路は、私どもの調べでは、使用時制限水域からちょっと東側にそれておるというふうに考えております。その他の航路につきましては、申し上げましたように、東京から三宅-御蔵の航路は、使用時制限水域にひっかかっておる。それから大島を経由して三宅へ行く航路は、ごく一部が常時制限水域にかかる。それから大島-利島-新島経由神津島行き、これは常時制限水域にひっかかる。それから下田-三宅が、申し上げましたように、ひっかかるわけでございます。ただ天候によって航路を変えることがございますが、その場合には、もっとひっかかる距離が長くなるというふうに考えております。
  314. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四月十日にこの新島の射爆場が発表されてから、運輸省としては、当然防衛庁とお話し合いになったと思いますが、このアメリカの射爆場にB14ルートを通じて来るところの飛行機の練習、訓練は、どういうふうに打ち合わせをされましたか。
  315. 澤雄次

    澤政府委員 防衛庁がこれを御発表になるまで御相談がなかったので、よくわからなかったのでございますが、これを発表されましてから、東京周辺の航空交通も非常にふくそうしておりますので、相当の影響が生ずることは事実でございます。これを解決する方法を、防衛庁と運輸省一緒になって検討しましようということで、いま検討いたしております。ただ防衛庁のほうも空域制限についてはいままであまり検討がなかったようでございまして、現在一緒に検討しておる、このような状況でございます。
  316. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四月十日に発表されたときには、それでは全然運輸省に相談なくしてこの問題を発表されたのです。
  317. 澤雄次

    澤政府委員 そのとおりでございます。
  318. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は過日の内閣委員会においてこの問題を取り上げております。そして水戸におけるところの射爆の訓練は、土曜日、日曜日を除く約四時間から五時間、三機ないし四機の間の訓練が行なわれているわけであります。そうなりますと、この常時制限水域並びに使用時制限水域にかかるところの航路というものは、要するに伊豆七島の航路のほとんど全部がかかってくるわけであります。そうなってきますと、これは伊豆七島の死活の問題になってくると思いますが、大臣はこの問題についてどのように解決をし、またどういうふうに変更されるつもりでありましょうか。
  319. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 伊豆七島の民生の上にも非常に影響がありますし、それからそのほかに航空路の問題がございまして、航空路は大体伊豆大島の辺にみんな集まってきてそこから東京湾に入るというかげんになっておりますので、この問題はさらに重大な問題があるわけです。したがいまして、よく先方の案を検討し、こちらの考えも先方に伝えて、お互いに妥協できる線ができるかどうか検討させたいと思っております。
  320. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 航空路のことでお話がありましたので、では航空路のほうに入りたいと思いますが、西のほうから大島を通り羽田に入る大島の待機経路保護区域が制限水域で交差するという、全く予想のできない事態が起こるし、羽田に入る保護区域をどのように考えておられますか。
  321. 澤雄次

    澤政府委員 おっしゃいますように、ブルー14を通りまして大島上空からこの射爆場のほうに参りますと、この大島の上空は交通の要衝になっておりますので、先生のおっしゃるように、正面から大島の航空路、またその大島の航空路を中心にしてホールディングエリアというのをつくっておりますが、これともまたぶつかってまいるわけであります。したがいまして、これをどのように調整するか、高度によるセパレーションと申しておりますが、高度による分離をするか、あるいはこのホールディングエリアを横にずらすことができるかどうかというようなことにつきまして、ただいま防衛庁と打ち合わせをいたしております。
  322. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 西のほうから香港を通り大島を通過して羽田に入るスペンサーダラスの待機経路の保護区域が制限水域と交差します。ますます混雑する航路の保護区域が、米軍の射爆場の訓練飛行によって大きく制限されるばかりか、危険を伴うことについて、運輸省としてはどのような見解を持っておられますか。
  323. 澤雄次

    澤政府委員 危険を伴うことは絶対に許せませんので、このスペンサーというホールディングエリア、これを横にずらすことが可能であるかどうかということについて検討いたしておりますが、先ほども申し上げましたように、防衛庁からは制限水域については向こうの考えが示されておりますが、それに伴う制限空域がどの程度の大きさになるかということについて、防衛庁の案がまだ固まっていないのが事実のようでございます。それで私のほうといたしましても、まだ最終的なお答えができないわけでございます。これは何とかして防衛庁と調整をとってまいりたい、しかし先生のおっしゃるように危険は絶対に許せない、こういう考えでおります。
  324. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新東京国際空港、これについては運輸省としてもずいぶん頭を痛め、さらにそれに対する推進をはかってまいられると思うのですが、その新東京国際空港ができた場合の保護区域を三宅島を中心として考えていられるとすれば、これまた重大な変更と、新東京国際空港への与える支障というものは非常に大きな問題になってくるわけであります。新東京国際空港とそれから羽田空港に与える影響というものについてお伺いします。
  325. 澤雄次

    澤政府委員 羽田に入る経路は、先ほども先生指摘のように非常に混んでおります。新東京国際空港ができましたときは、三宅島にVORを設置いたしまして、そこにホールディングエリアを設定しようという、これはまだ運輸省の検討段階でございますが、考えております。もちろんここだけではなくて、鹿島灘の沖のほうにも設定することになるかと思いますが、その運輸省の三宅島を中心とするホールディングエリアが、制限空域の向こうの案がまだ示されませんが、制限空域が非常に大きく伸びてまいりますと、これも調整を要する問題になるかと思います。
  326. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私、調査をいたしましたが、水戸のほうでは土曜日、日曜日を除いて三、四機で四時間から五時間くらいの訓練をやっているわけです。要するに横田と厚木、立川から、このような頻度をもって訓練飛行をした場合、B14ルートの混雑と危険は十分に予想される問題だと私は思うのですが、飛行訓練が大きく旋回をするということになれば、さらにさらに危険は増すと思うわけであります。その点について運輸省としては今後どのように対策をされ、また非常に頭の痛いことだと思うわけですが、その見通しを、運輸大臣ひとつお伺いします。
  327. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 非常に危険を伴うようなことは断わる以外にないと思います。それで、その間に妥協ができるかどうかは目下検討さしておるということです。
  328. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどの航路の場合でありますけれども、要するにこの伊豆七島というところは、非常に観光として、なお非常に漁船その他の、日本の三大漁場といわれるくらいの漁獲があるわけであります。常に船の運航というものが予想されるわけでありますけれども、制限水域にそれだけの制限を加えられるということについては、運輸省としては今後どのようにしてそのことを対処されていくかということをお伺いします。
  329. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり住民の意向、あるいはそういう国民の反応やあるいは日本の天然資源の保存、やはり非常に広い考えを持ってこの問題の検討を加えなければならぬと思っております。
  330. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣個人としては、こういうふうなところに射爆場が持たれるということは、どのようにお考えになっておりますか。
  331. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この北のほうの茨城県の原研のそばのものは、もうあそこもまた危険でして、私は、科学技術庁長官をしておったときから、あれを撤去せよ撤去せよと米軍に言ってきた一人でありまして、あの辺は、いまMTRというような大きな原子炉もできますし、そういう意味で原子炉のセンターになりつつあるわけです。だからあそこはどうしても撤去してもらいたいと思うのですけれども、じゃ、新島のほうはどうかとなると、新島のほうもそれに劣らないだけの障害があるので、目下頭の痛いところであるというのが現状であります。
  332. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのことは、それ以上頭を痛くさせますと、長い間の時間のあれがありますので、次に進みます。  本年一月二十六日、運輸省から東京都知事あてに協力方を要請された東京国際空港滑走路の延長計画については、どのような目的であるか、概要の御説明をお願いします。
  333. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 B滑走路を二千五百メートルに延長するという案でございまして、これはいま使っておるC滑走路、あれが横風を受けた場合に、もう一本南北の線に向かってつくっておく必要があるというので、約千メートル海に向かって延長するという案でございます。あそこの地元の区議会で反対の決議や何かがありましたが、誤解に基づくところがかなりありまして、実際はいまのようなCランという海に面したほうの横のやつを使いますと、それがかえって大森のほうへ上がっていって、大森の住居地帯の爆音の原因にいまなっておるわけです。それを海のほうへ、房総半島に向かって飛び立っていけば海上に爆音が消えてしまうので、大森のほうは静かになる。そういう意味では、はるかにこちらのほうが住民の皆さんにはいいわけなんです。  それから、一番スタートするところの周辺がうるさくなるんじゃないか、そういうお話でありますが、上へ上がったときの爆音と、下でふかすときの爆音は、上に上がったときのほうが、散る力がはるかに大きいわけです。したがって、あの近くに建物をつくったりある程度の防音的構造物をつくりますと、それほど心配はない。実際はいまの横の滑走路を使っているのと、こっちの縦の新しくつくるのを使うのと、どっちが住民のためになるかというと、縦を使ったほうが実際は住民のためになる。われわれはそういう見解で、ぜひこの誤解を解いていただきたいと思っております。
  334. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 A滑走路を廃止してB滑走路を延長する、それも考えられないわけではないのですが、A滑走路をさらに海側に出すという方法なら、現在の騒音が海に逃げて軽減されることは明らかでありますけれども、そのことについては運輸省としては検討されたのですか。
  335. 澤雄次

    澤政府委員 運輸省といたしましては、A滑走路の横に先生のおっしゃるようにエプロンをつくりますので、海側にさらにA滑走路のかわりのものを埋め立ててつくるということも検討いたしました。しかしその場合でも、やはり海側に出ましても、東のほうから、これは3-3と申しておりますが、3-3のポイントから離陸をいたしますと、どうしても大森上空のほうへ飛行機がかかります。  それからいま一つ、Bラン延長に踏み切りました理由は、これは航空機のパイロットの協会がございますが、これも長い間、ここ十年間Bランを航空の安全上延ばしてくれということを申しております。というのは、西側から着陸する場合には、ぐっと海を回りまして、それから東京のまん中に出まして、そしてこちらの1-5と申しておりますが、1-5のほうから着陸するために、非常な危険が伴う。それでそういう形のときには、もしBランが延びておりますと、Bランが二千五百ありますと、Bランの海側から直接着陸できるわけです。それで航空の安全上Bランを延ばしてくれという要望が、これはもう十年来航空機のパイロット、機長会から出ております。そういう航空安全上の見地と騒音上の見地から、海側にAランのかわりをつくるという案をやめて、Bラン延長に踏み切ったわけでございます。
  336. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在羽田空港の年間の離着陸回数はどれだけと押えておられますか。
  337. 澤雄次

    澤政府委員 昭和四十二年の正確な統計は出ておりますが、約十二万回でございます。
  338. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和三十八年から四十二年までの間の着陸回数はどれくらいになっていますか。
  339. 澤雄次

    澤政府委員 ちょっとただいま資料を調べておりますから、後ほど御説明申し上げたいと思います。
  340. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 Bコースが二千五百メートルに延長できると仮定すれば、年間離着陸回数はどのように変わりますか。
  341. 澤雄次

    澤政府委員 Bランを二千五百に延長いたしますと――四十一年のBランの使用回数は、0-4から出る、0-14と申しますと、南側から北側に向かって離陸します回数が一万四千回でございます。二千五百にこれが延びたとなりますと、この数が、同じ状態で約二万五千回にふえる、こういうように考えております。
  342. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 Bコースを二千五百メートルに延長されて、さらにCコースを使われるとなりますと、年間どれだけの離着陸になりますか。
  343. 澤雄次

    澤政府委員 それは羽田全体の能力でございますか。
  344. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうです。
  345. 澤雄次

    澤政府委員 羽田全体の能力は、先ほど十二万回と申しましたのは、離着陸、離陸と着陸と両方でございます。それで、このBランを延ばしまして、Aランをしばらく使用を停止するという状態におきまして、約十七万回までの能力がございます。
  346. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、B滑走路ができるということは、しょせんは、現在私の手元にある資料から申し上げますと、昭和三十八年は八万五千三百九十四回、それから昭和三十九年は九万五千八百五十二回、昭和四十年は九万八千六百九十二回、昭和四十一年は十万八千八百二十四回、昭和四十二年は十一万一千四百五十四回、大体十一万そこそこの状態であります。すなわち、運輸省が言っている十七万五千回の着陸能力があるということは、これは要するにスポットとか、そういうふうな関係上、実際には机上の空論であって、現実の問題としては、どうしても時間の制限その他の関係上、現在は十一万回限度であるということですね。そうしますと、あなたのほうは十七万回にふえるとなれば、約六万回も増加になる。そうすると、当然そこに爆音、騒音というものが極度にふえてくるというふうに私は感ずるわけですが、運輸大臣いかがですか。
  347. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 回数がふえればやはり騒音の量もふえるだろう、そういうふうに思います。
  348. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのB滑走路ですが、現在は国内線しか使っていません。ところが、B滑走路が二千五百メートルに延長されたときには、当然今後大きなジャンボとか、そういうものの就航もあることでありますので、当然そこから出発をするということも考えられるわけであります。そうなった場合に、現在の爆音よりも小さくなるというような、そういうことはとうてい考えられないと私は思うのです。非常に大きい爆音が大田区全体に巻き散らされる、そのように私はしろうとながら感ずるわけですが、大臣いかがですか。
  349. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そのときは海のほうへ行きますから、大森の上を飛ばないわけですから、いまよりは大森は静かになるわけです。大体いまBランを使って横からこう行って大森の上で旋回しているわけだから、あそこは一番うるさいわけです。それを避けようというので海のほうへ、木更津のほうへ飛んでいくわけです。木更津へ飛んでいくのですから、下にはカバーされないわけです。その考えで延長しているわけですから、ぜひ誤解を解いていただきたい。
  350. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 運輸大臣の話を聞いておりますと、ばかに騒音は木更津のほうに逃げていくような、そういうふうな口ぶりで、いかにもそれに対して誤解を解いてくれというお話でありますけれども、それでは要するにコンターから推測されるところの爆音の測定、これについて現実に九十ホンあるいは百ホンがどの地域、どの町に入ってくるかということについてお答えを願いたいと思います。
  351. 澤雄次

    澤政府委員 騒音コンターは、実際に私のほうで数次にわたりまして大田区大森で調査をいたしております。それで大体九十ホン地域は、今度のBランを延長します場合、まず第一にちょっと申し上げたいのは、現在の滑走路の端が約二百メートルばかり北に上がります。これはILSをBランにつけますために現在の滑走路の端にローカライザーをつけますので、出発点が二百メートルばかり北のほうに上がるわけであります。そういう想定でコンターをつけますと、九十ホンにかかりますのは大田区のごく一部、海老取川を渡りましたごく一部のところが九十ホン地域であります。それから八十ホン地域になりますと、これは滑走路の端から約八キロメートルのところが八十ホン地域に相なると思います。
  352. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたはそのようにおっしゃっていますけれども、私はあなたのほうからいただいたデータによって、海老取川の手前のところが九十ホンで、あとはそうじゃないというのでありますけれども、私はこのあなたのデータを見ながら一応はかってみたわけですが、その点について何か誤解があるのではないか。百ホン、九十ホンの範囲が大田区はいかにもわずかのところであって、そのB滑走路ができれば静かなる町になるような、そういうような印象をあなたからは受けるわけでありますが、その点について、どこの町で九十ホンか、それからどこの町で百ホンで、どこの町で八十ホンか、これについてはっきりお答えを願いたい。
  353. 澤雄次

    澤政府委員 ちょっと町名は申し上げられませんが、Bランの根元になる地点は騒音が激しくなることは、これは確かでございます。それでただいま申し上げましたように九十ホンの地点は、海老取川を渡りましたわずかのところが九十ホン地域にかかるわけでございますが、これはなんなら資料を御提供申し上げてもけっこうでございますが、ただいまのように二百メートル北に上がるという想定のもとに、これは想定でございますから計画でございますが、Bラン延長の計画でございますが、そういう想定のもとでは、九十ホン地域というのは海老取川をちょっと渡った端のところにかかるというのが実情でございます。
  354. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 B滑走路によって大型機を海上から着陸させ、あるいは海上に向かって離陸させることがどうして空港の周辺地域の騒音を大幅に軽減されることになるのですかね。その点について。
  355. 澤雄次

    澤政府委員 先ほど大臣が御説明申し上げましたように、現状では約九〇%近くまでがCランの3-3というところ、東側でございます。ここから離陸しているわけでございます。そのためにその滑走路延長上にある大田区の一部、大森までの大部分がこの騒音地域に入っているわけでございます。それで今後の滑走路の使用方法といたしましては、Cランは木更津方面からの着陸に使う。それからBランは出発専用になるべく使う。これはもちろん風の関係がございますからあれでございますが、できる限りBランは海に向かっての出発専用に使うということにいたしますと、大田区の北のほう、それから大森一帯は航空機の騒音が現在よりはるかに減るわけでございます。ただ大臣が申し上げましたように、Bランを出発専用に使いますし、その機数もふえてまいりますから、このBランの根元あたり海老取川一帯の地帯の方には、いままでよりは騒音がふえてくるだろう。これにつきましては大臣も申されましたように、あそこに制限に触れない範囲の高さの鉄筋の建物を建てますことによって、相当に騒音が軽減されるだろう。このことにつきましては、東京都庁とも打ち合わせをいたしまして、東京都が今度都知事の肝いりでつくられました公害研究所と私のほうで共同研究して、建物を建てることによってどれだけ騒音が減るだろう、二百メートル北に上げることによってどれだけ騒音が減るだろうということを共同研究して、運輸省東京都と一緒になりまして大田区の方々の御了解を得るように、いろいろお話し合いをしたい、このように考えております。
  356. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたがいま、国際線の場合は二百メートル、スタートする場所を海側に持っていくということで、ずいぶん騒音が軽減されるようなことを言ったんですが、二百メートルぐらい先に持っていったからといって、それだけは騒音が軽減されるものじゃないと思うんです。そこで私はあなたにお聞きしたいことは、要するに九十ホンあるいは百ホンというものがどの町、どの地域までに及ぶかということは、これは当然航空局としては精密に、このB滑走路をつくるという以上においては、親切にやはりこれだけの騒音があるんだということは示すべきじゃないか。それでは私はあなたに聞く。たとえば九十ホンあるいは百ホンの人体に及ぼす影響はどういうふうになっておりますか。
  357. 澤雄次

    澤政府委員 この百ホン、九十ホンの人体に及ぼす影響につきましては、九州大学あるいは防衛庁におきまして長い間検討いたしておりますが、これは学校における教育はできない状態に相なります。したがいまして、そういう学校その他については騒音防止法で防音工事をさせていただくということになっているわけでございます。国電のガード下が大体百ホンの音でございます。それから尾張町の銀座四丁目の角におきます昼間の騒音が八十ホン、このようにお考えいただければけっこうかと思います。
  358. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣大臣が先ほどいかにもB滑走路ができることが大田区あるいはその周辺に対して騒音が軽減される、そういうように誤解を解いてくださいというような、そういう意味のことを申されたわけでありますが、私はそんな単純なものじゃないと思うんですね。少なくとも航空機の爆音というものは、あなたのほうの調査にあるとおりに、航空機の騒音の強度というものは、すべて風向きとか風速、気温、湿度あるいはその機種によって大きく変わるし、気象条件によっても変わるというふうになっているわけです。そうなると、騒音コンターの範囲もおのずと広範囲になってくる、私はかように思うわけであります。なおC滑走路をもって、そうして現在B滑走路にすれば、当然C滑走路はB滑走路に回数が移るわけでありますから、C滑走路のほうは騒音が幾らか軽減はされるでしょう。しかしB滑走路のほうを使うとなれば、それはかなりの、いま申し上げました条件というもので、大臣が言われるようにそのような単純なものではない、私はそう思うのですが、いかがですか。
  359. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大森の、あるいは大田区の一部のほうを飛ばなくなって海のほうへ飛ぶわけですから、私はいままでよりは軽くなる、そう思うのです。あなたの御意見は御意見として拝聴しておきます。
  360. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、大臣はそのような確信を持って言われているわけでありますが、私もかなり確信を持って調べたつもりでおります。そうなりますと、今後B滑走路ができた場合に、もしその滑走路ができたための騒音というものが意外にひどいというような状態が起きた場合、大臣はどのような御責任をおとりになりますか。
  361. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 意外にひどいというようなことは起きないと確信しております。
  362. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私もかなりこの問題については調べたわけであります。大臣は、ただ単にB滑走路自体が千葉のほうへ向かって飛び立つがゆえに騒音は非常に軽減される、そのような単純な考え方――私はあなたのほうのデータ、いろいろのものを調べて、そして航空機による騒音の強度というものは、航空機の大きさ、風向き、風速、気象状態によってかなり違ってくるんだ、そういうふうなことを調べてもきたわけであります。そうなった場合に、あなたは、もしもその時点において大田区にかなりの強度の騒音がまき散らされるような場合になったときには、どういうふうに責任をおとりになるわけですか。
  363. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 単純な考え方かもしれませんが、ともかく上空を飛ばないということが騒音を少なくする一番大きな要件である、私はそう思っております。上にあることが一番うるさいもとなんであります。わきにあるという場合には、その直下である場合よりははるかに軽くなるわけです。もちろん騒音というのは、いまお説のとおり、風の状態とか雲の状態とか気温、湿度、そういうものによって非常に影響されます。雲が低ければそれだけ爆音が大きくなるわけであります。風が強ければ爆音は吹っ飛んでいくわけです。そういう意味で非常に環境にも左右されますけれども原則的に見ればいま言ったようなことは言えますし、航空局が学者を集めていろいろ意見を聞き、また試験もしてみた結果、そういう判定を得ておるのでございまして、いいかげんなことを言っているわけではございません。もし万一騒音がひどくなるような場合には、その場合に処して住民の方に最大限迷惑をかけないように、その矯正策を講ずるつもりです。
  364. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではいま現在、たとえば騒音があった場合に、住民に対するところのいろいろの処置、その法律は何がありますか。
  365. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 騒音防止法がございます。
  366. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 騒音防止法によってどれだけの補償がなされますか。
  367. 澤雄次

    澤政府委員 騒音防止法によりましてとっております措置は、まず第一に航行の方法の指定をやるわけでございます。これは航空機の安全が保たれる限り騒音を避けるような飛び方をするように指示することができることに相なっております。  それから第二は、学校その他の公共施設につきまして、騒音のレベルによりまして騒音防止工事を実施することになっております。これは騒音防止に関する建築費の部門につきましては、原則として国が全額を持つ。もちろんそれ以外のものも建築にはございますから、地方公共団体と一緒になってつくることに相なりますが、それでも国の負担部分は七割から九割になるということでございます。  それから第三には、共同利用施設というのを地方公共団体がおつくりになりたいという場合には、これに対して補助金を出すことに相なっております。共同利用施設と申しますのは、たとえば生徒が家に帰りましてから勉強するための図書館であるとか、あるいは住民の方が集会をされるとかいうような施設でございます。  それから、東京の場合は実際上ないかと思いますが、農民の方が航空機の騒音あるいは危険感というものによって農耕が阻害されるという場合には、その農耕補償を実施することになっております。  それから、滑走路の端から千三百メートル以内で、どうしても自分はここに住めないからよそへ行くという方に、その移転の補償あるいは土地の買い上げということを実施いたすことになっております。  現在の騒音防止法の規定によりまして、騒音対策として政府がとり得る措置は以上でございます。
  368. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまそのようにお聞きしたわけでありますが、確かに公共施設においてはそのようにして防音校舎とか、そういうのが大田区にもかなり建っております。防音校舎につきましては、私も中に入っていろいろやってみましたが、その点においては確かに防音校舎として騒音は防げる点がありますが、しかし、いまあなたの言われた騒音を避ける為のいろいろのことを施すということであって、一般住民はこの恩恵にはほとんどあずからない。すなわち、一般住民は騒音があっても避けられない、騒音があってもどうにもならないというのがいまのその法律じゃないですか。
  369. 澤雄次

    澤政府委員 おっしゃるとおりでございます。一般住家に対して国が何らかの防音工事をするということは、現在の騒音防止法では規定されておりません。ただ、立ちのかれるという方の補償あるいは土地の買い上げ、こういうことができることに相なっております。
  370. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣、そうなりますと、住民の人たちは、いま言われたとおりに、たとえば空港における防音は何らかの方法でいろいろ対処はするけれども、しかし、騒音がかなり強くても、住民はどうにもならないという状態なのですが、その点について大臣はどのようにされるつもりですか。
  371. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 住民個々に対する対策は、予算も伴うことでありまして、法律改正を要することは、関係方面と相談しないとできないことであります。しかし、その実情が特にひどいという場合には、これは法律改正考えなければならぬと思います。
  372. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、羽田空港のB滑走路をつくるために、当然爆音を防止しようという考え方から、いろいろな施設あるいは防音施設をつくられるほかないと思うわけであります。考えられていると思いますけれども、その計画について伺いたい。
  373. 澤雄次

    澤政府委員 Bラン延長に伴います騒音対策につきましては、先ほども説明申し上げましたように、まず第一に、出発する滑走路の端を二百メートル北に上げるということが第一点でございます。  それから、二千五百メートルの滑走路になりますが、二千五百メートルの離陸距離を要しない飛行機、たとえばボーイング727のような飛行機は、ちょうど二千五百の三分の二ぐらいのところにタクシーウエーができますので、そこから海のほうに向かって飛ばすということを考えております。また、先ほどの騒音防止法の規定によりまして、このBランを使って川崎方面に飛ばすということは極力、原則として避けさせたい。これが実は先生も一番困っておられる騒音だと思いますが、Bランを使って川崎方面に飛ぶときの音が一番うるさいわけであります。これを原則としてやめさせたいというのが第三点でございます。  それから第四点は、大臣も先ほどおっしゃいましたように、海老取川の、国有地と申しますか、構内の部分でございますが、ここに二階建ての鉄筋コンクリートの家をびっしりと並べて建てさせたい。これによって五ホンから八ホンくらいの音が減ずるだろうという一応の想定はございますが、これは都知事ともお話し合いをいたしまして、東京都の公害研究所で、これで何ホン低くなるかということを早急に結論を出そう、こういうことでお打ち合わせをいたしております。  さらに、これらのことを実施いたしましても、この海老取川周辺のところが、ランアップと申しますが、離陸のための騒音によって、もしいままでよりうるさくなるというような事態がございましたら――ございましたらと申しますか、これを実験をいたします。実際に今度の滑走路のところにジェット機を持ってきまして、そしてランァップをやらせまして、それで騒音が幾らになるかということを大田区の方とも御一緒になって調査をいたしたいと思っております。それによって現在よりも、私らが想定いたしましたコンターよりも騒音が激しくなるということでございましたら、現在の騒音防止法によって許されております措置を、でき得る限りこの地区に集中的に予算を使わしていただきたい、このように考えております。
  374. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に大臣に、いま私が述べましたことはすべて住民の声を反映しての質問であるわけでありますから、十分その対策を講じられんことを要望いたしまして、質問を終わらしていただきます。
  375. 三池信

    ○三池委員長 次回は、明二十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時三十二分散会