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大出委員 実は、この桜木町駅前
商店街等で、幾らこれを市に持ち込んでも、県に持ち込んでも、市の場合は、労働行政は所管でないという。確かにそのとおりです。したがって、市の
委員会のいずれにも属さないものは
総務委員会――第一
委員会ということでありまして、そこに持ち込んで
総務局の
担当でやっているのでありますが、行政権は何もない。そこで、県の労働部長さんのところには、
労働省との
関係における安定行政その他の行政権がありますから、そこを中心に私も労働部長さんに何べんもお話をいたしまして、ようやく県の労働部長さんにも真剣にやる気になっていただきました。そうして昨年の十一月に、桜木町駅周辺環境整備協議会というものをつくりまして、警察や基準局、桜木町駅も入っていただき、県も市も入っていただくという形で、各行政機関を入れて相談を始めていただきました。しかしながら、県の労働部長さんが一生懸命やり出しましたら、国が何にもしないものを、県の労働部長一人が幾ら一生懸命やったってなんのことはない、何にもならぬじゃないかということを逆に言われる。それではどうにもならぬということで、私は
予算委員会の分科会でこの問題を小川
労働大臣に申し上げた。
労働大臣もこの点については非常に共鳴をされまして、翌日神奈川県の陌間労働部長に電話連絡をされ、その
あと労働省においでいただいていろいろと実情を聞かれて、そうして
労働省もひとつ一生懸命やろうということに大体なっていただけたというふうに実は思っておるわけであります。
私は、ここで荒々しいことを申し上げようという気は毛頭ございませんが、実はこの間に、駅前
商店街の諸君は、むしろ旗を立てて、たむろする労働者の中に朝からすわり込もうという計画を立てました。本年の三月のことです。とにかくどうにもならぬ、商店で山積みしてあるくだものがひょいと持っていかれたり、酒屋では酒を並べていて、ダンボールなんかがそこらに積んであると、就労していないで寝ていた労働者諸君がだんだんと店ににじり寄ってくる、そのうちにダンボールがなくなると思っていると、ダンボールの中に酒の一合ビンをほうり込んでいつの間にか持って行ってしまう、こういうことがちょいちょいと出てくるわけです。それで、われわれも一人前に税金を払っている、国税も県税も市税も払っている、にもかかわらず、市に言っても県に言っても国に言ってもやってくれない、そうだとすると、売り上げは減り、その上に税金を取られる、捨てておけない、死活問題だというので、ついにむしろ旗を立ててすわり込むという計画ができ上がって、それをやった。集まってくる労働者諸君に携帯マイクで、おれたちの生活権なんだから、ここに集まらぬでくれといって呼びかける。そうすると、そこに集まる人たち、雇われて、やみでも何でも給料をもらうのですが、そういう人たちとぶつかり合いやトラブルが起こっても何もしてくれない。警察も国も県も市も何しているということになる。そこで私は、しかたがないから町内会の諸君を押えまして、県、市、警察に話を始めて、実は
委員会に持ち込んだという経緯があるわけであります。したがって、もうここまでくると、押えに押えても押えきれない。何らかの方針を示していただいて、こういうことをするからということにならぬと、いま押えておりますけれ
ども、毎日売り上げが減るという状況でありますから、人通りがだんだん減ってしまう。だから捨てておけませんので運輸
大臣に問題を
提起申し上げておるんですが、この点をぜひ実はおくみ取りいただきたいのであります。
そこで、これも参考までに申し上げますが、この
手配師などの調査の実態報告というのを私もずいぶん苦労して――明確に安定法違反でありますが、必要ならばいつでももっと詳細なものを提出いたします。人の名前から、住所から、もらっている金まで全部わかっておる。ただしかし、ここではその方の生活権を奪おうというのが目的ではありませんから、実態だけを詳細に申し上げておきますが、
手配師の数がどのくらいあるかというと、野毛地区には
手配師が三十名ばかりおります。名前も住所も全部わかっておる。それから寿町という隣接の地区でありますが、ここにも三十名ばかりおります。もちろん、これも住所も名前もわかっております。
それから
手配師の区分というのがございまして、
一つはイということにいたしますが、イは各会社と契約しておるもので、これは職安法違反であります。やみ
紹介であります。
手配師の方が、いまそこに名前をあげました、印刷してあります会社と契約いたしております。まさにやみ契約であります。職業安定所を通しておりません。それから二番目のロは、独自で労務者を集めて、労務者を求めにくる会社に渡しておるもので、やみです。人入れ稼業でございます。これも明確にわかっておる。それから三番目に、先取りというのがございます。先に取るというわけであります。先取りと称する
手配師の手先になって労務者を集めておる者、以上三つに分けられるわけであります。
手配師の子分の形で、先取りといいまして労務者を集めておる。集め方もいろいろありまして、全部わかっております。
それから次に、
手配師仲間の用語の中に、
手配師のことを頭取さんと言う。それからまた、親方ということばを使っております。先取りというのは、頭取、親方の子分であります。何々組というのが背景にあります。そうして
手配師の手先になって、先取りがまず労務者を集める。また、ポンコツというのがあります。このポンコツとは何かというと、一ギャング十五名
編成になっておりますが、その中に十三名は働く人、二名はポンコツといって働かない人を入れておく。それで船内荷役に行って、二人は荷物の陰に寝てしまって何もしない。それで
仕事は十三人でやりまして、賃金のほうは十五人分もらって十三人で分ける。寝ている連中は寝番というので、一人二百円とか三百円とかで、
あとは頭割り、こういうことになっておるわけであります。だから、実際に一ギャング十五名
編成といっても、十五名分の
仕事はしないという状態になっておるわけであります。金だけは頭分けをしておる。この寝番、つまりポンコツと称するそういう
編成がみごとにできております。
それから、各社で多少の相違はありますが、一ギャング十五名
編成で賃金は一体どういうふうに払っておるかといいますと、船舶
関係で申しますと、日勤の人は千八百円から二千百円です。これは会社との契約で、これもやみのものであります。
夜勤が二千五百円から三千円で、これもきまっております。オールナイトという徹夜でやりますのが、朝から翌朝までで三千五百円から五千円。それからドックの
関係、これが日勤が千七百円から千八百円、
夜勤が三千円から三千五百円、オールナイトが五千円から五千五百円。それから日産、こちらのほうが日勤が千七百円から千八百円、
夜勤が三千円から三千七百円、オールナイトが三千五百円から五千円。土木
関係、こちらは日勤が千七百円から千八百円、
夜勤が二千五百円から三千円、オールナイトが三千五百円から五千円、こうなっている。これは職安より高いのです。だからどうしてもこちらに集まる。やみです。これは会社との契約金額であります。このほかに残業した場合には、一時間について、
仕事によって二百五十円ないし三百円、これが残業手当になっているわけです。それから作業の中身によりましては、五百円の洗たく代、二百円の入浴代、これも契約の中に含まれております。これを封筒に入れまして、会社から直接労務者に支給する。
それから支給されている賃金の封筒の内訳、これを直接もらった人から全部見さしていただきました。「定」という字が書いてありまして、これが九百六十円、強行手当、これが三百円、奨励金四百九十円、残業二百五十円、計二千円、こう書いてある。これは全くのやみであります。封筒の中身にちゃんとそう書いてある。
それから
手配師の収入ですが、きわめて巧妙に、この封筒の中で明確にわかっております。労務者一口について、会社から労務者一名分の日当
相当額を支給する、こういうふうに
話し合いがついているわけであります。これは、そこにあります各社全部共通であります。
手配師が労務者とともに作業に従事した場合、自分で手配をして、また働いた場合、これも全部内訳がきまっております。日当袋の内訳、これもちゃんと調べましたから申し上げますが、「定」が九百六十円、同じであります。強行手当三百円、奨励金四百九十円、残業二百五十円、そのほかに千五百円、こうなっている。この千五百円は何ですかと聞いたら、一人につき百円の手配料である。つまり十五名のギャングを
編成いたしましたから、一人百円、合計これが千五百円なんです。それからそのほかに二千円と書いてある。これは何だと言ったら、労務者一名分の日当です。一ギャング世話しておいて、自分も
一緒に働いた場合、封筒の中にちゃんと千五百円と二千円と分けて書いてある。二千円は自分も働いたから一日分の日当、千五百円は頭数十五名の
紹介をしたから十五名分千五百円、こういうふうに封筒に明記してある。こういうふうに実はなっているわけでありまして、この
手配師が先取りを使いまして労務者を確保するために、
仕事のない雨の降った日などは、めし代と称するものを全部やって、そのかわりおれのところに来いということで、めし代、たばこ代というものを先に渡している。
また
手配師は、昼、正午に集まる場所が、会社によってみな違っておりますが、きまっております。やみ
手配師はそこに集まって、会社との打ち合わせを昼にやりまして、翌日の手配に入る。きわめて系統的にできております。最近の特徴として、多数の会社が、それでも労務者がだんだん減ってきておりますし、
港湾労働者が一般に減っておりますから、会社のほうも
心配なんで、半月分の勘定を
手配師に先渡ししている。半月計算で先取りした、先にもらった
手配師が、それをめし代、あるいはふろ代、あるいは酒代というので労務者にやって、ちゃんと全部確保してある。こういう組織になっている。
ここまでまいりますと、これはもっと詳しいことを申し上げてもいいのですが、これから先申し上げるところは全く職業安定法違反で、ただでは済まないことになりますから、状況だけ申し上げておきます。
これはもうちゃんと、どこのだれ兵衛まで全部わかっている。会社側の
責任者までわかっている。だから、こうなってきますと、これはますますほうっておけない。しかも何々組ということになっている。まことにこれはゆゆしきことだと実は思っているのでありますが、これは明らかに職業安定法の四十四条違反であります。それから六十四条の四号の違反であります。それから六十七条違反であります。四十四条、六十四条の四号、六十七条、三つ
一緒に違反しているケースもございます。なぜかといいますと、これは会社の
方々がやみ
紹介というものを承知していて集めに行った場合には、会社のほうも職業安定法違反になるという条項なんであります。これは間違いないのです。したがって、私はそこまで御
指摘を申し上げて、だからこの人を摘発してくれ、どうしてくれというのではなくて、そういう事実があるのですから、そのことをひとつ
労働省の側と御相談をいただきまして、現地の職安の所長さんにお聞きになればわかりますので、その点を明らかにしていただきまして、一日も早くこの形のものをなくしていただくということが主眼でございます。そして、だれとだれが安定法違反だというのではなくて、その
方々も、それなりに職を求めて生活ができるようにしてあげなければならぬのであります。これは国の
責任でございましょう。そういう意味で実は
提起をいたしておるのであります。運輸行政の面からこの
現実について手をお打ちになる気持ちになっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。