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大出委員 審議会の
意見というのは、全く簡単にさっと片づけている。何か、どうもこれは少し遠慮して理由づけたような感じがするのですが、「外国
政府職員または、外国特殊法人職員から
公務員となった者について、」つまり、満州から日本なら日本、満鉄なら満鉄から、電電なら電電から
——「その職員期間を普通
恩給についての最短
恩給年限に達するまでを限度として通算することとしているのは、終戦という特殊
事情を考慮してとられた特例
措置であるので、この制限を廃止することは適当でない」、これだけです。日−満−日なり日−満なりといういろいろなケースがあるわけですが、それらとの関連その他ここでは何にも述べていない。これだけ強い要求を持つ国鉄だの電電だのというところは、
退職年齢に達している方々さえもわざわざ先におくらせながら、前の附帯決議の
趣旨に沿ってやっているわけですね。こういう方に、断わるなら断わるにしても、こういうそっけない説得力を全く欠いた
答申の
考え方というのは、何と言われても納得できない。当時この席上であれだけ長時間私も
——議事録をながめてみても相当のページを費やして
議論している。お互いにたくさんの理由を述べあっておる。それが、こういう理由も何もわからぬ全くそっけない断わり方というのはないと私は思うのです。だから、ここにこの該当者の方々の言うところの
恩給審議会の
答申に対する反論というのがありますが、これは私も同感なのです。そういう
意味で、せっかく皆さんが真剣に
考えておるわけですから読み上げておきます。
昭和四三年三月二五日の
恩給審議会答申は「外国
政府職員または外国特殊法人職員としての在職期間の通算に関する問題」について、「外国
政府職員または外国特殊法人職員から
公務員となった者について、その職員期間を普通
恩給についての最短
恩給年限に達するまでを限度として通算することとしているのは、終戦という特殊
事情を考慮してとられた特例
措置であるので、この制限を廃止することは適当でない。」との
意見を述べて、満日ケースの者の
恩給完全通算に反対の意向を示している。しかしながら
審議会の理論は、日滞日、日満、滞日のいずれのケースにも平等公平に適用さるべきものであるから、日満日、日満もまた最短年限をこえて通算することは適当でないこととなり、現行法で日滞日、日満を完全通算していることを
審議会は如何に
理解しているのか。若し日満日、日満の完全通算は適当であり、滞日の完全通算は不適当であるというならば、それは何故であるか。日満日、日満の通算が適当である理由は何か。日満日、日満の在職期間と満目の在職期間と何処に差異があるのか。同一国策機関に、同時に同一
条件で勤務していた者に対し、
処遇上の差異を付ける根拠はどこにあるのか。
昭和十八年
法律第七八号は「外国
政府職員となるため
退職したる後、二年以上外国
政府職員たりし者が、
公務員として再就職し、一年以上在職した場合には、外国
政府職員期間を通算する」ことを定めているが、この
規定は、外国
政府職員にだけ適用されるものであつて、外国特殊法人職員には適用はない。したがつて、特殊法人職員であつた日満日、日満の者の完全通算の根拠は、この
規定にあるのではなく、その特殊法人の本質が、その形式如何にかかわらず実質的には国家機関であつたこと、これはそのとおりだと思います。この昭和十八年
法律第七十八号に根拠を求めて、日−満−日あるいは日−満というものを完全通算しておるのではないんですね。これは明らかに特殊法人ですから、そうすると、この特殊法人の性格、これが完全通算をしておる理由にならざるを得ないわけです。これはここで言っておるとおりです。
及び従来
政府自体がその法人及び職員を、種々の点において国家機関及び
公務員と同様に取扱つてきた事実が、日満日、日満の完全通算の根拠であると
理解せざるを得ない。このことは累年の国会
審議において明らかに
理解されたところである。
審議会もまた「普通
恩給権を得て、外国
政府職員等となつた者の通算に関する問題」については、「外国
政府職員等となる前に普通
恩給権を有していたかどうかによつて通算上差別して
考えることは適当でないので、この
要件を廃止すべきである」との
意見を述べているが、その根拠は(人事管理上の必要ならば、既に普通
恩給権を得ている者に対して、さらに加算する必要はないので)「その機関が国家機関と同様に取扱うのが本質上適当である」との
審議会の
意見であると
考えるより外には
考えようがない。しからば滞日通算の場合も同一理念に立つべきではないか。
満日の者は、この特殊法人に、日満日、日満の者と同時に、同一箇所に勤務したが故に、
処遇の不均衡不公平(現実に満目の者の年金額は、同一
条件の日満目の者の二分の一ないし三分の一であり、
生活扶助の六割程度にしかならない)を是正して、日満日、日満と平等の
処遇を要求しているのである。
問題のポイントは、現行法の不均衡是正にあるのであつて、
審議会の
答申は、問題の核心をそらし、問題のポイントに答えていないと言わざるを得ない。すなわち、満日通算に関する
審議会の
答申を「外国
政府職員等となる前に
公務員であつたかどうかによつて通算上差別して
考えることは適当でないので、この制限を廃止すべきである」と改むべきであつて、この
答申は満目の通算問題と、普通
恩給権を得て外国
政府職員となつた場合との間の基本理念に矛盾撞着があると言わざるを得ない。
こういう反論ですが、これは前にすでに私は述べておるわけでありまして、その上で、この
委員会は附帯決議をつけた。ところが、その附帯決議がついていて、こういう
論議を長々とやっておる。この場合も
恩給をもらっていた人について
論議しておるわけであります。向こうでもらっていたからというなら返還
措置をとればいい。方法は何ぼでも書いてある。だから、それはやはり特殊法人の性格
論議になっていくわけであります。だから、そういった
議論の上にそのことを御承知で
答申が出たんだとすれば、こんな三くだり半みたいな書き方というものは、私はまことに不都合だというふうに
考える。何でこんなにわずかばかりになったのですか。