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1968-04-19 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十九日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 浦野 幸男君 理事 塚田  徹君    理事 藤尾 正行君 理事 松澤 雄藏君    理事 大出  俊君 理事 木原  実君    理事 受田 新吉君       内海 英男君    菊池 義郎君       塩谷 一夫君    野呂 恭一君       淡谷 悠藏君    浜田 光人君      米内山義一郎君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         総理府恩給局長 矢倉 一郎君  委員外出席者         総理府恩給局恩         給問題審議室長 大屋敷行雄君         大蔵省主計局主         計官      辻  敬一君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月十八日  王子野戦病院開設反対に関する請願加藤勘  十君紹介)(第四一二八号)  同(島上善五郎紹介)(第四一二九号)  同(河野密紹介)(第四一七五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四二六六号)  公務員賃金抑制及び定員削減反対等に関する  請願川村継義紹介)(第四一三〇号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四一三一号)  金鵄勲章受章者処遇に関する請願(瀬戸山三  男君紹介)(第四一三二号)  国及び地方公共団体建設関係職員現場手当支  給に関する請願森下國雄紹介)(第四二九  四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五四号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 昨日、恩給審議会会長新居さんにお見えいただきまして、理事会結論に基づき会長のみに対して質問をする、こういうことで質問申し上げたわけでありますが、実はこの答申を昨晩少し念を入れて読んでみようと思って読み始めたところが、きわめて不親切きわまる答申でございまして——答申そのものではなくて、書き方なんですね。これは世の中の方にこの答申を読ましたって、何をどこでどう言おうとしているのかさっぱりわからぬということだらけでございます。しかも、これから将来に向かって恩給制度を新しい時代にどう適合させるかというような問題あるいは戦後処理に類する問題などを中心にいたしまして、ある意味ではバイブルになりかねない問題でありますから、そういう意味で実は相当なこれは時間をいただいて、一つずつ詰めてまいりませんと、将来、担当委員会は一体当時何をしておったかということが問題になりますから、したがって、その辺をひとつお含みの上で御答弁をいただき、時間がかかりますけれども、ひとつ論議を尽くさしていただきたいと思うわけであります。  そこで、この答申が出ているわけでありますが、恩給審議会に、恩給法の二条ノ二を加えまして、その二条ノ二の趣旨、これをおそらく中心にした諮問をしたのだろうと思いますが、この答申ページ数がありませんから何ページと申し上げられませんけれども、一番勢頭にこの諮問趣旨らしいことが書いてあるのでありますが、これではわからないわけであります。何を一体諮問をしようとされたのか、恩給審議会諮問をした重点内容、こういうものをこの席でひとつあらためて御説明を賜わりたいわけであります。ここに書いてあるだけではわかりません。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 この諮問内容は、基本的に重要な問題につきまして答申を願ったので、戦後における退職公務員及びその遺族に対する恩給上の処遇について、いわゆる軍人恩給の廃止ないしは復活、あるいは公務員給与改定というものに伴う恩給年額増額等、戦前には見られなかったこれらの消長と変遷について、特に重要な事項について御答申を願いたい、こういうばく然たる趣旨の要望が出されておるわけでございます。なお、その間の経過につきましては、担当恩給局長からさらに詳細に御報告をいたさせます。
  5. 大出俊

    大出委員 長官、いまのお話はなおわからぬです。話を区切って承りたいのですが、二条ノ二というものについてはどういう諮問をされたのか。実は昨日審議会会長に承りましたら、解釈権などということについては諮問を受けていない、運用についての諮問をいただいたんだと言っておるのでありますが、前に私が塚原総務長官に御質問申し上げました議事録をここに持っておりますが、たいへん中身が食い違いますので、はっきりしていただきたい。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 特に二条ノ二の問題を諮問いたしたというわけではございません。
  7. 大出俊

    大出委員 特に二条ノ二を諮問したというわけではございませんと言ったって、ここで矢倉さん、あなただって答えている。恩給審議会解釈運用について諮問をすると書いてある。長官、あなたそういう答弁は困るじゃないですか。前の議事録はほごになったんじゃないんですから。
  8. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は当委員会でもたびたび申し上げたわけですけれども、諮問のしかたといたしましては、いま田中長官の答えられましたように、恩給に関する重要事項ということで、その重要事項の中には、当然恩給に対する諸課題とともに、新たに設けられた調整規定運用のしかたをどうするかという——これは申し上げましたように、解釈権は確かに政府にございます。したがって、解釈のしかたをどうするかということは政府側でできるんだけれども、これを運用面としてどう運用していくかというときに、せっかく第三者機関としての審議会ができたので、そこで学識経験者の御意見を伺って、その運用あり方を公正ならしめよう、こういうことでやりましたので、したがって、当時諮問事項としてあげました、その重要事項という抽象的表現で御諮問申し上げた、こういうことでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 文章に書いて抽象的な諮問をされたにしても、審議委員の方々が恩給を知らないから云々という意味ではありませんけれども、抽象的な諮問をした以上は、審議会の席上で、この抽象的な文言の意味する内容はかくかくしかじかでございますと説明をしなければ、審議会の諸君にわかるはずはないでしょう。そこで矢倉さん、塚原さんがおいでにならないからあなたの答弁を申し上げますが、四十二年六月二十日の私の質問に対するあなたのお答え議事録によりますと、「二条ノ二の御審議をいただきましたときに、政府側としてお答えを申し上げました中で、この調整規定についてはいろいろな解釈のしかたがあろうかと存じます」これがまず一つです。「そこでこの運用については、やはりそれなりにいろいろな制度運用にも影響を与えます」つまり、解釈のしかたで運用のしかたにいろいろな影響を与える。したがってそれらのことを審議会諮問をする、こういうあなたの答弁なんですね。私は、解釈権というものは提案をした政府になければならぬということを一貫して申し上げておる。ところが、そのときのあなたの答弁は、解釈権はそうかもしれないけれども、解釈のしかたがいろいろあるんだ、そのうちのどれかということは、あなたのほうはおっしゃらない。どれかを言わなければ、政府解釈というものは出てこない。法案を提出する以上は、いろいろあるんだからどれだかわからないという解釈のしかたはない。つまり解釈のしかたがいろいろある、運用のしかたもいろいろある、それを諮問する、こういうのだから、私は解釈権がないではないかと申し上げているわけであります。そうすると、この形で諮問した限りは、審議会はいろいろな解釈のしかたのうちのどの解釈をとるかということが諮問内容になっているはずだ。その解釈のしかたの一つとして、物価中心にして公務員給与というものに補完的な役割りを持たせるというような解釈のしかたをとった。そうでしょう。解釈のしかたがいろいろあった。そのうちのどれだということを政府諮問をしたわけなんだから、政府には定まった解釈のしかたがなかった。だから、昨日審議会会長はしきりに運用についておっしゃったけれども、解釈権を含めて、解釈のしかた、いろいろあるうちのどの解釈をするのが正しいのかということと、運用の方法と、これが重要な諮問事項であったはずなんです。そう理解しちゃいけませんか。
  10. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この点については、先ほどお読み上げになりましたようなお答えを申したと思います。また、別に受田先生からの御質疑で、解釈権政府にないというのはおかしい、こういう御質問がございまして、確かに解釈権政府にございますというお答えをそのときにもいたしたと思います。ただしその解釈のしかたというのは、たとえば公務員給与とか物価とかその他の諸条件をあげておりますので、そこでそれをどういうふうに理解するかということが、一つ運用のしかたの問題につながりますので、そこで実は昨年のお答えが少しあいまいであったかもしれませんが、解釈権そのもの政府にないとは申しておりません。そのしかたの問題と運用とからみますので、そこで運用あり方とともに、実は審議会には、この規定解釈のしかたというのがいろいろあるので、恩給本質論から出発してどう考えるかというふうな御説明を、われわれはそれなりにいたしてまいったわけでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 これは簡単なことではないからこういうひっかかり方をするのですけれども、解釈のしかたがいろいろある、そのうちのどれを一体審議会はおとりになるのかと言う。だからこそ審議会は、きのうの答弁の中では、いろいろ解釈のしかたがありました、いろいろな角度から論議をいたしましたと言っている。私がアメリカ法フランス法の例をあげましたら、そういった議論もいたしましたと言っている。そうなると、解釈のしかたについて、審議会はいろいろ論議をされたわけですね。それから運用のしかたについても、いろいろ論議をされたわけです。お説のとおり、解釈のしかたをこれだというふうにおきめになれば、その解釈のしかたに続いて、つまりその解釈に基づく運用というものが出てくるわけでありますから、つながってまいります。それがこの答申中心になっているというように理解をしなければならない。本来、政府がこう解釈をするというべきであったのに、審議会に預けて審議会から出してもらったという形で、将来こういう運用をするということになっていく筋合いになる、こういうことなんですね。そこで念のために承っておきますが、この審議会答申でいうところの五%の物価変動、これが中心になっておりますが、今後政府は一体どういう解釈運用をお考えになっておりますか。
  12. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 審議会答申は、きのうも会長から申されましたように、一応恩給実質価値というものを維持していく、その一つ考え方消費者物価ということになる。その消費者物価を五%という一つ基準によって運用していくという線をお示しになりましたので、したがって政府側は、今後この御答申趣旨審議会としての運用あり方ということに相なりますので、これらの点については審議会答申の線を尊重しつつこれを制度化していくというのが、今後のあり方でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 そうすると、もう少し具体的に重点を明らかにさせていただきたいのですが、「調整基準」という項が審議会答申にございますが、この中心点は、「恩給年額調整における不可欠の要件である。」という前段が一つありまして、「この場合、その運用については、五%以上消費者物価が上昇した場合にはそれに応じて恩給年額改定すべきものとし、将来におけるその実効性確保する観点から、これを制度化するなど所要の措置を講ずることが適当である。」これが運用のポイントだと思うのですが、このとおり尊重するという立場にお立ちになるわけですか。
  14. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この審議会を設置されました本旨からいたしますと、この答申の御趣旨に沿いつつ政府側としては実行に移すべきであろう、かように考えております。
  15. 大出俊

    大出委員 さらに念のためにお伺いいたしますが、きのうの新居会長答弁によりますと、この答申に従ってこの調整基準等をこのとおり実行していくということが政府義務であるというふうに義務づけろ、こういう意見審議会委員の方の中にあった。これは会長解釈です。しかし私は、政府諮問をした限り、このとおりこの趣旨でやっていくということは、書かなくても、これは当然過ぎるほど当然な政府義務だ、実はこういう理解をいたしましたから、特に義務づけるという表現を使わなかった。しかし、諮問を受けて答申を出す限りは、これを政府が実行していくということは、制度化していくということは、当然過ぎるほど当然な義務だ、こういうふうに言っておられました。それで私はこの制度化にこだわって念を押しましたが、これは当然制度化なんだということをはっきり会長答弁をしておられます。したがって、これを出すにあたっては、事務当局としてその事務に当たった恩給局の皆さんも、それは承知の上でしょう。だとすると、そこの意思が疎通していないはずはない。してみると、きのう会長答弁をされたときに、当然な義務として、当然過ぎるほど当然であるということばを使いましたが、そういう理解をお持ちですか、どうですか。
  16. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 会長からきのう御説明がございましたように、審議会過程ではいろいろな論議がございました。そうして会長のお説のような政府側義務づけるという意見も、確かにあったことは事実でございますが、しかし、審議会としてそこまで申すのは申し過ぎであろう、こういうことになりまして、ただいまお読み上げになりましたような、いわゆる「不可欠の要件」ということと「改定すべきもの」というこのことばの中に、そういった審議会意思を十分盛り込めているのではないだろうかということで、昨日のような会長の発言になったことでございましょう。
  17. 大出俊

    大出委員 ここにいうところの「恩給年額改定すべきもの」、つまり「五%以上消費者物価が上昇した場合にはそれに応じて恩給年額改定すべきもの」、ここにその意思をあらわしている、こういういまの答弁でございますから、それはそのとおり当然の義務として受け取っておられるもの、こう理解をいたします。  そこで、ここに「実効性」ということばがありますが、実効性というのは、一体どういう理解をすればよろしいのですか。
  18. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 そこに掲げられている考え方、その基準の最初に、恩給実質的価値ということをしきりにいっておられます。そこで、この実質的価値というものが失われないということを考えなければならぬ、その意味実効性という言い方を、これとちょうど裏はらの関係実効性確保が求められるのだ、その意味表現をこのような形でなされたことと、それをやはり制度化するということで、実効性という強められた形での表現に相なったのではないか、かように考えます。
  19. 大出俊

    大出委員 少し足りないような気がするので、これもくどいようですが申し上げておきますが、実効性とここでいっておりますのは、これは恩給根本理念に結びついていると考えなければなりません。つまり恩給というものは何ですかという質問を、きわめて素朴な質問のようでありますが、先般の国会で私が質問を申し上げたわけであります。退職時における給与一つ価値判断になっておりますが、退職した場合にその何割かをもらう恩給でございますので、その意味では、勤続年数によりますけれども、所得の多少の減耗というものも出てまいります。それをひとつ詰めていこうということが、一つあったわけであります。つまり所得というものが中心になる限りは、ここでいうところの実効性というのは、あるいは価値を保存していくということは、退職のときの価値という一つの時期判断があるだろうと思います。つまり退職のときの給与基準になるわけでありますから、その価値を、物価変動あるいは公務員給与の上昇、国民生活水準変動等があった場合に、それを保存していく、こういう意味だろうと私は考えるわけでありますが、そこらのところはどういうふうにお考えでございましょうか。
  20. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 大出委員からの御質問で、恩給というのは何かということがこれまでも論議されたわけでありますが、恩給そのものは、やはり公務員長期に在職し、そうして国に奉仕をしたことに対して、いわゆる経済条件変化による減損補てんというようなことばで申し上げてまいりました。そこでいわゆる減損補てんをしていくというときの恩給の基本的な態度というのは、やはり旧来とも退職したときの一応の条件考えられたと思います。いわゆる退職時俸給と在職年ということを基準にして、これまで恩給運用されてまいりました。したがって、ただいま御指摘のようないわゆる退職時における給与と年限を基礎にして恩給考えていく、経済条件が非常に安定しておれば、旧来ともそのままで推移してよかったのでございましょうが、経済的な諸条件が大きく変化していく中では、当然それに見合って考え直していくということが必要であるところから、いわゆる実効性確保という点においても、そういうふうな経済的な諸条件変化に対応させて恩給を見直していくという考え方であったと考えられます。
  21. 大出俊

    大出委員 そこで、きのうの問題に重複をするきらいがありますけれども、審議会会長さんという立場政府恩給所管責任者という立場である矢倉恩給局長さんとは立場が違いますから、そういう意味で確認を求めておきたいのでありますが、この答申の言う運用中心点調整機能の問題でございますが、いまおっしゃった経済的な低下所得低下に対する減損補てんだということ、言い方はいろいろございましょうが、要するにそういう意味のことだろうと思います。したがって、それを補てんする、実質的価値低下させない、実効性確保する、こういう観点から、物価の五%という変動一つ基準に取り上げた。あわせてこの公務員給与というものが補完的な立場で見られている、こういうことになるわけです。それに大きく国民生活水準というものがかかってくる、こういう立場だろうと思います。このことが改正恩給法の二条ノ二にいうところの「国民生活水準国家公務員給与物価其ノ他ノ諸事情二著シキ変動が生ジタル場合二於テハ変動後ノ諸事情総合勘案シ速改定措置ヲ講ズルモノトス」と規定されている調整規定、この立て方ですね、問題は。昨日も私ちょっと触れましたが、すなおに考えれば、物価中心になるべきものではない、あくまでも退職時の公務員の経済的な価値判断をいたしまして、その価値を維持していこうということが中心になる限りは、所得基礎にならなければならない、こういうことになるというふうに実は考えておるわけでございますが、ここで物価という問題が他の公的年金と違った形で国家公務員恩給法の二条ノ二というところには入ってきておる。これは昨日申し上げましたが、厚生年金が他の公的年金一つ中心になっておりますけれども、他の公的年金のほうには物価公務員給与というものが入っていない。「国民生活水準その他の諸事情」なんですね。してみると、ここに明確な違いがある。歴史的には、これは厚生年金に合わせようとしたんだけれども、公務員恩給というものには歴史がある、そういうふうな点から色をつけるということで、物価が入り、現職公務員給与が入ってきているわけですね。したがって、歴史を踏まえてすなおに解釈をすれば、どうも物価基準になるということには多少の無理を感ずるわけであります。今日たまたま物価変動が激し過ぎるということが、人間ですからどうしても頭にくることは事実ですけれども、だからといって、長い将来を考えた場合に、やはり理論的にはそのようなものであってはいけないのではないかという気がするわけであります。そういう意味で、この法律のすなおな解釈からいけば、いま読み上げましたとおり「公務員給与物価其ノ他ノ諸事情」、こうなっておるわけでありますが、そこらはどういうふうに理解をされておるわけですか。
  22. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給法の二条ノ二の立法過程では、申し上げてまいりましたように、一応恩給受給者というのは、かつて公務員であった人たちである、したがって、厚生年金法調整規定の先例はあるけれども、やはり恩給法独自性というものが出てまいらなければなるまい、こういうことで、一応公務員給与というものについてはやはり一つの項目として考えておく必要があろう、こういうところから、立法経過といたしましては、公務員給与というものが入り、それから物価という御指摘のようなそれと、その他の諸事情という形で結んで、そうしてそれらに著しい変動があった場合ということで規定をいたしてまいった経過でございます。この点は大出先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、それをどういうふうに考えてまいるかという点につきましては、きのう会長からもいろいろ御報告がございましたように、実は公務員給与をにらんでいくべきではないだろうかという意見が、かなり強く出たことは事実でございます。そこで、一体それでは公務員給与をどういうふうに考えようかというときに、昨日のお話にもございましたように、公務員給与にはいろんな要素が入り込んでいるので、これをばらしていくということがかなり技術的にむずかしい。そこで、そういうことを基準とする場合に、それではどこにその内容的なものをよりどころとして考えるかという点に技術的な困難性を感ずるというふうなところから、一番端的に出てくるという問題、しかもいわゆる恩給受給者生活という問題をやはり長期在職者については考えていかざるを得ない、こういう点からそういう考え方をとるときに、先ほど御議論のございましたような、いわゆる恩給実効性確保というふうな点も、実は生活面から考えていくときに、まず物価という問題が考えられなきゃならない。しかし、物価考えるときに、その物価を不可欠の要件とするという基礎考え方を明確にしつつ、実は公務員給与についてはまるっきり無関係なのかということでは、この法の規定運用として適切ではあるまい。そこで、物価を不可欠の要件としつつ、公務員給与その他のいわゆる国民生活水準ということも言われている。そこで、生活維持的な部分生活向上部分との両面からの考え方を必要とするだろう。こういうところから、維持分物価で押え、向上分公務員給与または国民生活水準ということで見ていこうとする考え方が御議論の中に出て、あのような結論になったわけでございます。
  23. 大出俊

    大出委員 きのう審議会会長は、いまの維持分向上分に分けたなどということをおっしゃっておりません。おりませんが、より専門家である恩給局長のほうが詳しいわけでありますから、おそらくそうだったのだと思います。そうすると、なおここに問題が出てくるわけであります。というのは、少し詳しい説明がほしいのでありますが、きのうも例にちょっとあげましたが、フランスの一九四八年法といわれる、文武官退職年金制度の改革に関する法律というふうに訳していいものがあります。この中身は、おそらくお調べになっておると思うのでありますが、公務員給与比例して上げなければならぬというのが原則なんだ。現職公務員給与比例して退職公務員恩給というものは上げられなければならない。比例なんです、これは。そういたしますと、何が差になるかということになると、現職公務員は昇給をいたしますけれども、退職公務員は昇給いたしません。一定比率退職時の給与基礎になって恩給額がきまるわけであります。したがって、これをそのまま価値をどうして維持していくかということなんでありますが、その限りで現職公務員給与との比例、こういうことなんですね。そうすると、これは非常に明確なんですね。それじゃ、一体フランス公務員給与は、何によってどうきまるか、制度的に。ここに一つの問題がある。日本の公務員給与は、何によってどうきまるかという問題が一つある。同じ相関連する問題です。それからもう一つアメリカ法でいうと一九六四年、アメリカの公務員退職法という法律ができております。この公務員退職法に基づきますと、物価指数が基準ですね。物価指数が年間平均三%以上の変動があった場合となっておる。この答申はきわめて不明確なんです、ここのところは。「物価」と、こういうふうにあげておるのだけれども、五%と単にいっておるだけです。アメリカの場合には、三%以上物価が上がったら指数をかける、きわめて明確なんですね。そうすると、アメリカの公務員給与というのは、一体何によってきまるか、制度的に。これは相関連をしておるのですね。そうなると、フランス法の成り立ち方、アメリカ法の成り立ち方は、おのおのの国の現職公務員給与の決定の方法によって違ってきておる。じゃ、日本の場合はそれにならってどうするかといえば、日本の公務員給与の決定の方法とからまなければならない。筋からいえば、こういう筋になる。そこらのところまで御論議がいっておりますか。
  24. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 各国の恩給制度は、それぞれその国の独自性から、あるものは物価指数により、あるものは公務員給与による、そういうそれぞれの特異性に即応して、やはりこの退職年金制度もできていると考えられます。しかし、年金であるたてまえ上、ある程度の共通性を持つということは事実だろうと思うのです。したがって、わが国の公務員給与の決定される経緯、それからその給与の決定の条件となる諸要素、これらの問題が、必然的に年金を考えるときのものさしになるであろうと考えられます。したがって、議論の段階といたしましては、これらの諸国の制度というものと対比しながら、日本の恩給のいわゆる調整規定をどのように運用していくかということが、課題にもなったことでございます。日本の給与というものを考えるときに給与の変遷を追ってまいりますと、大出先生の御専門でいらっしゃるわけでありますが、いろいろな要素で変化を遂げてきておりますので、そこでその経緯を追ってきたときに、公務員給与を直ちにそのままでフランスのそれのようにしていくということにはやはり問題があるんじゃなかろうかという議論が出ました。また物価でかりにまいります場合にも、アメリカの場合には三カ月間でいわゆる三%以上の上昇が指数で示されたときに、その一番高い率でもって実は調整をしていくということに相なっておりますので、物価考えるときにもアメリカ方式をどう考えるかという議論もございました。しかしながら日本のこの考え方消費者物価に求める場合、先ほど申し上げましたように、公務員給与も、実はアメリカと異なって消費者物価以外にも一応——先ほどいわゆる維持分向上分と分けましたけれども、その向上分的なものとして見ていくという線が一応成り立つという考え方をとられましたので、そこでアメリカ方式でもフランス方式でもない日本の年金制度運用あり方はいかにすべきであろうか、かようなことが論議の筋道として出てまいったわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 この答申ことばからいきますと「五パーセント以上消費者物価が上昇した場合」ということで下降の場合をとっておりませんから、その限りでは一つの歯どめがあるから、まあ曲げて理解しようと思えばできないわけではないのでありますが、筋論からいきますと筋は通らないと実は私は解釈している。日本の独自なとおっしゃるのだが、しからば日本の公務員給与というものはどういうふうにきめるかという場合、これは矢倉さん人事院の御出身でありますからよく御存じだと思いますが、人事院は公務員法に書いてあるとおりやっていない。公務員の生計費というものが前段に出ていて、ポツが打ってある。それから民間給与比較なんですね。そうすると、公務員生活の実態というものは、人事院は常に把握していかなければいかぬわけだね。独自の給与決定をしていいわけだ。ところが例年やっております——昨年の例ではございませんが、六千七百事業所をとりました民間比較が中心になるのですね。これは先般春闘の積み残しがどうのこうのという議論になっているわけですね。物価というものは独自にはとらえていないけれども、日本の公務員給与はしからば物価はどこに入ってくるかというと、民間給与上昇分に物価が含まれているという解釈で、間接的に日本の公務員給与には物価の要素が入っているんだということできめられてきているわけですね。そうすると、そういった日本の給与決定のあり方からして、直接的に物価が出てくるということはどう考えても筋が通らない。たとえば、民間の給与基準になるとするならば、物価変動と民間給与はどういう関係にあるかということは理論的に考えればわかるとおりです。しかしこれはここでこれ以上議論したところで、答申が一応出ているわけでありますから、しかし将来のために私は一言言っておきたかったわけでありますけれども、やはり公務員給与というものが中心考えられるのが公務員恩給基礎でなければならぬという気が私はする。なぜならば、これは単に恩給法だけに出てきているものではなくて従来の公的年金とからむ。共済年金等ももちろん大きくからみます。私学共済ともからむでしょう。そうなってまいりますと、ますますもってこの答申というものが基準になるとすれば、厚生年金には物価なんということばが入っていないから、厚生年金をもって統一しようとする限り公的年金のほうには物価は入っていない。だからきのうも申し上げましたが、政府は各種年金の改定基準なんというようなことをあわてて考えざるを得なくなっているわけですね。物価スライド制に共通基準年金指数を新設なんということでしょう、そうですね。これはどうなるかわからないようですね。それはなぜかというと、いままでなかったところに基準を求めたからです。その証拠に、あとから御質問いたしますが、昨年の恩給改定一〇%、二〇%、二八・五%をめぐって私が質問をいたしましたが、そのときに一体何が基礎かという点で、物価はどうだと言ったところが、局長はついに物価ということを言わなかった。言えない背景があるということは私も知っている。軍恩連だってあるいは遺族会だって傷痍軍人会だって、物価と言われて納得しない。そういった要素もあった。だからあなたのほうは物価を表面に出していない。藤尾さんの質問のときに、私は横のほうで聞いておって、あなたは物価ということを言われた。あれはだいぶ答弁が変わってきておる。つまりこの審議会答申物価重点が置かれたので、局長は安心して物価という言い方をしたんだろうと思いますけれども、私は藤尾さんの質問をまた聞きをして輸入をしておるものですから、あらためて聞きますけれども、つまり物価というところに焦点を置いたということは、どうも少し逆な感じにならざるを得ないという気がするわけであります。そこのところだけあとで関連をいたしますので一言申し上げておきたいわけであります。  それからこの答申の前段は、恩給に対して三つの、しいて言えば四つに分けて問題をとらえておられるわけであります。つまり経済事情変動に際してのいまの恩給価値、これの維持、これがいままで論議をさしていただきました中身につながっていく問題だと思います。  それから次の問題は、戦後の恩給問題の第二という意味軍人恩給とのからみ合い、これが一つ。過去の軍人恩給あり方と、二十八年復活以後いろいろな変遷がありまして、現在に適応する新しい軍人恩給の姿というものが加味されて流れてきておりますが、ここでとらえているとらえ方、そこで二番目の点で聞いておきたいのでありますが、恩給局あるいは恩給審議会は、かつての軍人恩給があり、二十八年に復活をして今日に至っている。その間に特例法にしようとか議員立法にしようとか山のようにある。ちょっとやそっとではしろうとにはわからないということになっておりますが、多岐にわたるこれらのものをどこかでけじめをつけたい、あるいは打ち切りたいという意思がどうもこの中に流れておる。これはおそらく恩給局にあった考え方だろうと思う。あるいは現在ある考え方だろうと思う。どこから拾うかという問題と、どこかで切りたいという問題とが錯綜している。この中に、つじつまの合わぬことが、個々に見ていくと幾つかある、こう実は私は思うわけでありますが、それを詰めれば、あなたはおそらく政策が入っている、こう言うだろうと思うのですが、それしか逃げ道がないのであります。しかし、ここで言わんとするところは、打ち切るという意思、けじめをつけるという意思、この辺でという考え方、とれをどこまであなた方は通されたつもりですか。以下こまかく質問いたしますけれども、前段で伺っておきたいのですが、どの程度まで——いまの懸案をこの辺で離したい、切りたいあるいはこの辺で切ると問題が起こるかもしれない。しれないけれども、一応切っておけなどという配慮が方々に見えるのですけれども、その辺の基本的な考え方をどこに置かれたのか。  なぜこういう質問をするかというと、どうも恩給局に定見がない。場当たり的に、こっちのほうをちょっと政策的に手直しをしてみたら、こっちが不合理だからこっちを入れろというような形であらわれてきた。もっとも無理のないのは、その間にだれかえらい政治家というのがいて、おれは満州に特に関係があるから、満−日、日−満−日、みなやってしまえということを言ったので、あわててソ連参戦の日なんというのをあとからおっかけて出してくるものだから、この答申の中には妙なものが出てくるのです。だからそこらを踏まえて、そういう意思をどこまでお通しになったつもりですか。これで打ち切れるとお思いですか。
  26. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給につきましては、この制度を追ってみますと、いわゆる当初に恩給法として成立したころからいたしますと、八十年という非常に古い歴史を重ねておりますので、そこでこの古い歴史の中で、やはり戦前においても恩給制度としてはそれなり変化をいたしてきております。たとえば、先ほど例にお出しになった満州の関係にいたしましても、すでに戦前にその片りんが出た制度でございまして、したがって、やはり八十年というのは、それなりにいろいろなそのときどきの要請というものが法制度の中にあらわれてきたことは事実でありますし、それが終戦という非常な異常事態が起こりましたことに基づきまして、それに関連したいわゆる制度的な大変化というものもこの中に入っております。そこでいまながめ直してみますと、確かにいろいろな問題がその内容にあることは事実でございますし、これを曲げるわけにはまいりません。そこで私は実は恩給というものも一つ給与だと考えざるを得ませんので、そこで給与にはある程度のやはり合理性が望ましい。しかし合理性を追求していく中で、どの範囲まで合理性を満たし得るかということがこういう制度考えるときの課題でございますので、実は意気込みは、審議会にお願いするのはやはり合理性をある程度追求していってもらわざるを得ない、その意味からの恩給問題に対するあるケリをつけていただきたい、こういうところに本旨はあったわけでございます。しかしいま申し上げましたように、長い歴史の中での変遷の中で、当然、一つ制度の改革は次の制度の改革を生みかねないというところに給与問題のむずかしさがある、こういう点で、実は審議会で非常に苦心をされた結果でも、やはり先生御指摘のような問題点が皆無とは言えないと思います。
  27. 大出俊

    大出委員 非常にいまのお答えよくわかるのでありますが、合理性の名のもとに、と言うたら熱心におやりになったのに悪いと思うのですが、とにかく世上一般的にながめてみて、無理からぬところ、一般論としてはこのあたりが合理性という意味だろうと思うのです。まあこれはやむを得ぬじゃないかというところ、このあたりをひとつ追っかけて、そうすれば一応ここでケリがつく、こういう気持ちだったのではないかというように私はこれを読んでおるわけであります。その意味では、一生懸命そうおやりになったのだけれども、残念ながらいろいろなことを無系統に——これはあえてそう言っていいと思うのです。局長さんはずいぶんおかわりになった。昔の、恩給法にほんとうにしがみついて、それでなければというふうに考えておられた三橋さんの時代もある。歴代かわられてきたわけですから、そういう意味ではどなたの責任であるというわけにはいかない。そういうことで、ある意味では荒唐無稽に近い——二十八年に軍恩の復活をした、押えに押えていたのが爆発をしたわけですから、ずいぶんそれは激しい要求も当時はあった。そうすると、それに押されてやむを得ず手をつけた。つけたら次に不合理ではないかということでそっちのほうにいくということになる。だからそういう合理性の追求をおやりになっても、いろいろはみ出しておりますから、切り切れない、けじめがつけ切れないという点が見えるのですね。だからここで基本的にそうお考えになったとするならば、そこでこの中にきめ切れなかった問題については、やはり答申答申として、手が出たり足が出たりする形にはなっても、やはりそれなりの処理をしていかないと逆に問題がこじれてくる、こういう気がするのであります。したがって恩給答申は原則としてバイブルでいいのでありますけれども、しかし、そこに言い切れていない、意を尽くし切れていない、審議を尽くし切れていない、そういうものについてはやはり手当てをしていくということはひとつお考え置きをいただきたい。そうしないと、恩給答申の本質がくずれてきますから、そういう立場で、手直しすべきものは、それが世間一般から見て合理的である、あるいはやむを得ざるものと理解ができるとすれば、たとえば答申趣旨に違ってもその処理はしていただかぬと困る、こう実は私は立場考えるわけであります。ここらあたりは基本的な問題とからんで念を押しておきたいところでありますが、いかがでございますか。
  28. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この点については、先生お持ちかと思いますが、第2とございます個別問題の初めのところ、その前文をちょっとお読みいただきますと、ある程度はそういうふうな合理性を求めて一応の結論的なものをここへ出しておられるわけでございますが、これで一切の問題が解決するかという点については、必ずしもこれで完ぺきに問題の処理意見を示し切れたかという点に多少の問題がないわけではございませんので、そこで一応こういう、いま申し上げましたような合理性の追求という形で問題を考えていく、たとえば、法文でいけば「何々等」とか「その他」というふうな形式に近いような考え方を一応は持っていくということを審議会でもいっておられます。しかし、問題はこれまで大半出尽くしていると考えられますので、そこで出尽くしている問題の処理に一応の結末をつけたので、審議会としてはこれですべてが終わったと考えるという趣旨であります。趣旨でありますが、なおそれと関連して問題がかりに起こった場合には、というふうな意向をお持ちになったようでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 具体的問題で相当時間がかかりますから、あまりここで時間をとりたくはないのですけれども、具体的な問題の重要な論点にかかわり合いがありますので、実はいまのようなものの申し上げ方をしているのであります。  ページ数がないので何とも申し上げにくいのですけれども、佐藤榮作さんあての第一ページがありますが、この一枚あけた2のところで、「提起された問題についてはすべてを審議の対象として取り上げ、適正な意見を示すことによって、多年懸案とされている恩給問題の処理に区切りをつけようとしたものである。」こう書いてありますが、そうするとこれは、すべてを取り上げたことになっている。そうして「適正な意見を示すことによって、」懸案について区切りをつけた、こういうものなんですね。そう理解しなければならぬ。だから、それをそのまま受け取るとすれば、すべてこれによれということなんです。ところがそうはいかないのだということを私は提起をしたわけです。あとからこれは指摘をいたしますが、そういうふうに、実はいまの御答弁からすれば、そのつもりだが、なおかつ出てくるとすればそれはというお話なんですから、その範囲に含まれるものという理解をしたいのでありますが、それでよろしゅうございますか。
  30. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 政府諮問事項として、先ほど議論のございましたような比較的抽象的な文言での諮問をいたしたわけですが、しかし、政府側としてこの審議会に提起すべき問題というものは、実は審議会の日取りの関係で、中間におきましてはそのうち重要事項だけを審議するかという御審議経過もあったのですが、しかし、やはりいろいろな問題を提起されていることについて、ここらで一応のケリをつけるべきじゃないかという審議会の御意向もございまして、そこで問題として提起すべきものはすべて出せ、こういうことになりまして、そこで出した結果が、要するに五十数項目の課題ということになったわけでございます。したがって、審議会の態度としては、出されるべき問題はすべて出尽くしたのだ、こういう認識のもとに立っておられるわけでございます。そこがいわゆるケリをつけたという、こういう表現になっておるわけでございます。
  31. 大出俊

    大出委員 わかりました。  それから三番目の問題は、恩給の終戦に伴う特殊事情に基づく諸問題、言いかえれば戦後処理ですね。終戦処理、戦後処理といわれるもの、これが三番目にあるわけであります。ここで私は一つ答弁をいただきたいのは、終戦処理というのは、あくまでも終戦処理ということに限られる性格のものであります。この委員会でも在外財産の問題を取り上げましたり、農地報償などというものを取り上げましたり、いろいろやりました。まだまだ終戦処理はたくさんあると思いますけれども、しかし恩給における終戦処理、戦後処理、この問題が今回のこの答申の中にもたくさんあるわけであります。そこで、この種のものは特殊事情に基づくやらなければならない処理でありますし、ある種の団体があったのだが、その団体はすでに解散をしているなんという問題が出てくるわけでありますから、そうだとすると、できるだけ広くこれは救済をすべきであるというのが私の解釈なんです。終戦処理、戦後処理ということに関する限りはできるだけ広く救済をしていくべきである。こういう実はものの考え方をとるべきだと思っているわけであります。ここでは「本旨に則って妥当な対策を講ずることが必要であると考えた。」というようなことで戦犯の皆さんの問題、追放者の処遇あるいは外国特殊法人というようなことについてのいろいろなものをあげております。しかし私は、これはいま申しましたように、救済し得るものはできるだけ救済していくという態度が私は終戦処理だろう、こう思っているのでありますが、そこらのところを、さっき私が申し上げたどこまで広げるかということと、どこで切ろうかということ、むずかしいことでありますが、御答弁いただきたいと思います。
  32. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ただいまの御質疑の点でございますが、実は恩給問題の処理で一番難物がこのいわゆる戦後処理の問題でございます。したがって、もしこれを無制限に広げればどこまで広がるかという課題になりますし、そこでやはり一定の限界を維持していくということを考えなければならない。その限界の考え方のときに、一応やはり何がしかの恩給と結びつけ得る一応の論拠を見出さないと困るというところに一つの線の引き方がございますので、そこで今回のいろいろな諸課題に対する答えの引き出し方も、審議会としてはそのような点に着目しながら結論を出されたわけでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 この中で切っておるものでありましても、そうなると恩給と結びつけ得る処理のつけ方、こういう観点に立って理屈があるとなれば処理をつけていただかなければいけない、いまのお話からするとこういう理屈になる、持って回った言い方でありますが。なぜそういうことを言うかというと、十分理屈があるものを切っておる。しかも他のほうの取り扱いと比べてみて筋が通らない、別なことを言っておる、こういう面等がありますので、これはあるかないか審議していかなければわかりませんが、皆さんには皆さんの考えがありますから……。しかし、もしそこで理屈があるとなれば、答申ではこうなのだがということで、私はあんまり突っぱっていただきたくないと考えるわけです。言い方がどうも少し、中身に入らずに、前段で網をかぶせているような言い方で恐縮なんですけれども、お気がつくだろうと思うので、ひとつ御答弁いただきたい。
  34. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 非常に微妙な表現をされておりますので、なかなかお答えがしにくいのでありますが、ただ審議会のこういう答申考えられたときの考え方は、先ほど申し上げましたように、問題として出すべきものは出し尽くしているという感じが一つ。したがって、その中で一体どう始末をつければいいであろうか、こういうことで、先ほど申し上げましたように、恩給と無縁のものにまで広げていくということになりますと、これはもう処理の範疇を越えてしまいますし、したがって、恩給との関連を十分に考慮しながら各種の問題について判断を下していかれたわけでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 具体的な問題に入りたいわけでありますが、その前にもう一点だけ承っておきたいことがあるわけであります。それは「国家公務員給与の上昇が国民生活水準の伸びを上回るような特別の事情が生じた場合には、」とあります。いわく浜口さんの内閣の時代のように、世の中たいへんな不景気で、民間の給与がどんどんどんどん下がっていく。失業者は町にあふれる。しかし公務員給与は下がらない。公務員天国という時代があったそうであります。私の子供のときですからわかりませんが、たとえばそういうときのことをさすのですか。
  36. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 これを具体的に予測されたわけではございませんでした。想定のしかたとしては、たとえば公務員について生活向上分をうんと高く見ている。そうすると、たとえば何か特殊事情があって非常に高く見過ぎていっているという場合、ここの場合に、それは何らか国民生活水準の引き上げ分がある程度作用しながら公務員生活水準の引き上げに影響しておるかもしれないけれども、異常に高くなっている公務員生活水準向上分は、そのときには恩給受給者に見るというときのしかたとして、公務員を見るよりは国民生活水準の上がり分で見ていくほうが——ここへ三本あげた趣旨のこれは解釈に際して先ほどのようなことになりますが、その解釈のしかたとして、公務員給与にストレートに寄せろといわれればこれはそういう点が問題、その点が、公務員だけを見ていけばいいのじゃないかということになりますが、三本の柱がございますので、そこで国民生活水準が生きるときはいつだろうかという見方でいまのようなことになったわけであります。
  37. 大出俊

    大出委員 ただ矢倉さん、私は一つ異論があるのです。公務員給与の上昇が国民生活水準の伸びをはるかに上回るようななんということは、過去から今日まで私の世の中に生きている限りあっただろうかという疑問を持っておるのです。過去からいままで考えてみたけれどもどうもないですね。インフレ、インフレで官吏なんというものはみんな——官吏ばかりそろっておりますが、どれもこれもろくな生活をしてきたものはない。そうでしょう。そうすると、公務員給与が異常に高くなってしまったというようなことをここに麗々と書かれたのでは、一体日本の公務員というものは浮ばれるのかという気になる。そこで実は考えてみると、浜口さんの内閣というものは緊縮政策だなんていって、公務員天国だったのだというようなことを年寄りが回顧いたしますので、あるいはそんなことでも、古い方々が審議会委員をやっておられるから考えたのかなと思っていま例に出したわけであります。あまり若い生きのいい方は入っていないようでありますから……。ところがそれも、学問的に振り返ってみると、大正三年ないし九年戦役なんというものがあって、世の中は民間はたいへん景気がよ過ぎた。そのときは公務員は歯を食いしばって景気のいい中でがまんしていた。そのあとに不景気が来た。緊縮政策だなんということになって取り返しができたくらいのつもりで、ささやかな給料なんだが、世間に比較して失業という脅威に直接的にさらされないで幾らか助かった、こういう時代だったのだそうですね。そうすると、ここへ麗々と——あまりたいして恩給生活者は楽な暮らしをしたことがない方々ですね。物価ばかり上がってしまって四苦八苦しておる。そういう恩給論議しておるのに、どうも夢みたいなことをここに載っけて何事かという気がするのです。だから、これを制度に引き直すときにはこんなものはとってしまってほしいと私は思うのです、例がないというならば。そういうものを想定するのだといっても、いままで生きてきたおい先短い方がたくさんあるのですから、夢みたいな話をされても現実に恩給はふくらまないのですから、これはどうもひっかかるけれども、全く特別な事情はないのですか。
  38. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は二条ノ二の理解を、つまり選択的に基準を取り上げていくという考え方一つございましょうし、それから当初は、あるいは総合的に考えていくという考え方一つの問題の理解のしかたとしてあり得るかもしれぬということで、公務員給与なり国民生活水準なり物価という三本の柱を並べて、そして公務員であった恩給受給者生活実態をできるだけ見ていこうという趣旨でこう掲げました。そして審議会でいろいろ討議されました中で、一体国民生活水準というものはどういうふうに働くだろうかということも議論がございまして、そこで恩給受給者というものを見るときに、不可欠の要件として物価を見る。国民生活水準というものと公務員生活水準というのは確かに違いがあるかもしれない。しかし、一応次の段階としては、公務員生活水準というものがある程度反映すれば、それで調整規定運用としては一応の目的を果たすかもしれない。こういうことが話の中で出てまいった。それじゃ、国民生活水準というのはまるっ切り無縁なのかという話になりまして、そこで国民生活水準というものも、やはり特にこれを拾ったほうがいいという場合が起こってきたときに、それを何ら考慮に入れないということは適切ではなかろう。たまたまいま大出先生は浜口内閣云々の例をお出しになったのでありますが、将来の経済的変動というのはどう出てくるかわかりませんので、そこでひとつてこに考えられるという程度に理解していこう、この程度であります。
  39. 大出俊

    大出委員 大きな基金あるいは大きな共済制度の中に限界価値計算をする日本の制度でありませんから、ある意味調整規定式なものを、経済情勢の変動その他に応じて再検討ができるとか、何となく入れる習慣がありますから、その程度のものと理解をいたしますが、どうも少し飛び離れたような感じがするわけで、この答申という文書の中だから言うのでありまして、話なら何でもないのですけれども、それで実は指摘しておきたいと思ったわけであります。  そこで、具体的な問題について、ひとつここで比較的総括的な意味質問を申し上げておきますが、今回のこれは恩給法改正案の提案とからんでいるのでありますが、この老齢者の厚遇であるとか、あるいは遺族、傷病者の厚遇であるとか、厚遇というのは厚く遇するという意味でございますね。これが先般の手直しのときには出てきている。これをこの答申がとらえて、そういう必要が生ずる場合も否定はできないと思われる、しかしながらかかる措置調整基準の適用とは別な問題として考えることが適当である、こうなっているわけですね。別な問題だ。前の改正、今回の改正案、これが一体この調整基準とどうからむかという論点も一つありますが、ここで言っておるのは、明らかに調整基準の適用の問題とは別の問題だと言っておるわけです。そうすると、一昨年十一月二十九日でしたか、中間答申を受けて改正したもの、また今回提案をしているもの、これとのからみ合いをあとで論議しなければならぬと思うのです。そこで、おまけに経過措置の中で、「ある程度是正しておくことが必要である。」ということになっておったり、それから「調整基準を参酌して」というのがその前についておる。こういう問題が実はあるわけです。したがって、ここらのからみ合いをどう考えて、つまり現実に一ぺん改正をしてしまった、改正案が出ている、これを踏まえて答申が出てきている。この関連は一体「調整基準を参酌してある程度是正しておくことが必要」だということとどうからむのですか。
  40. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 御審議過程の中で現在までの改善措置がいろいろな経緯で行なわれてきたわけでありますけれども、その中で昨年の改正が年齢とかあるいは傷病者とか、そういう特殊な条件にある人たちの厚遇制というかっこうで、社会政策的という表現をしたわけですが、そういう形で改善措置を講じられたわけであります。  そこで調整規定というものを、これを昨年の場合には、中間答申でも、調整規定運用を妨げない範囲で、こういうことになっていたわけですが、そこで調整規定運用というものを考えるときに、この三本にすることの問題点というものは決して考えないわけではございませんでした。そこで一応そのときに調整規定をどういうふうに出してくることになるだろうかという一応の予測を立てつつこの経過措置のからみのお話が出ましたわけですが、そういう、少なくとも現在の公務員給与とあるいは恩給の仮定俸給との比較の問題等も出てまいりまして、さような問題から、昨年は一応その中においてなおこういう措置をするということが調整規定運用を必ずしも妨げるものではなかろうという判断。しかし審議会といたしましては、調整規定というものを考える以上は、調整というのはだれにも同じように適用していくのが当然のことなので、そこでそういう人たちの優遇を増額という形でやることは必ずしも適切でない。しかし、当時はまだそういう調整規定運用しておりませんので、そこで増額の中でそういう厚遇措置まで考えたという結果になったわけですが、そういう点では今後の運用のしかたとしてはやはり調整基準というものは一本にしていくという前提の中で措置していくべきだ。その一本にするについての経過的な措置というものが起こってくるかもしれないのであります。そこで、その経過的な扱いというものを一方で考慮しつつ一本化へと進んでいく、こんなことがこの考え方のようでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 三本立てというて、六十五歳未満、六十五歳以上七十歳未満、七十歳以上とこうなっているわけですね。ここで言っておりますのは、「各種の恩給受給者を区別することなく、一律に実施することが適当である。」という解釈一つある。これと年齢差、厚遇差というものは別個のものだというふうに言っているわけですね、もっと具体的に言えば。そうして将来においてそういうことが生ずる場合もあるいはあると思われるけれども、別個な問題として考えろという前段を踏まえて、今度経過措置のほうでは、調整基準を参酌して、公務員給与水準との間の格差、これは仮定俸給表との間のことでありますが、これらのことをある程度是正しておくことが必要だ、こうなっておるわけです。そうして三本立て、仮定俸給表の統合をはかることだ、こうなっておるのですね。これは前回私が質問したときの御答弁からするとずいぶんおかしなことになると思うのです。一ぺん局長はこの答弁をしておりますからね。私はずいぶんうまくないのじゃないかと言ったんだけれども、それなりに理由はいろいろお考えになっておられると思うからいいけれども、そこに入っていくと話がだいぶ長くなりますので、基本的考え方だけを聞かしておいていただければいいのですが、すべての恩給受給者を区別することなく一律に実施するという原則がある。これは調整の方法ですがね。そうしておいて、特殊な優遇措置というものがときにはあるかもしれない。これは、それをやれと言っているのじゃないです。つまりそういうことも規定できないものと思われるという消極的表現ですね。ここらとしましても、やってしまったんだからということになるのだろうと思うのですけれども、からみ合いが出てくる。そこらのところを基本的に、長い御答弁要りませんけれども、いまならずものはならしてから調整規定の適用に入っていく、こういう意味なのか、いままでやったのがこの調整規定と合致適合していて、答申と合っていてその必要なしということなのか、そこらのところをひとつお答えいただきたい。
  42. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実はその調整規定の適用ということになると、一本でいったほうがいいという線でございますので、そこでそれを発動していくためには、旧来のいわゆる年齢差等による増額の率を、その中で一応出発のスタートラインをある程度そろえるという考え方、したがっていままで高く出ている者はその穴埋めのときにはそれだけ少なく率が出てまいります。そうしてそれによってできるだけそろえていけるような姿勢をつくって、それから調整基準というものを発動していきたい、こういうことでございます。
  43. 大出俊

    大出委員 だから七十歳以上というのは十月に二八・五%上がった。それから六十五歳から七十までが二〇%上がった、末満が一〇%だ、こうなっておるわけですね。これは確かに格差がついたわけですね。仮定俸給表をそういう形で掛け算をしたのですから、こう格差がついておる。それを今度の提案でこういうふうに直そうとしている。その限度でいいということなのか、それともやはりもっとちゃんとこの差をそろえて一本にしておくべきなのかどうか。ここでちゃんと三本立て、仮定俸給表の統合をはかることが適当だ、こういうのですか。そこらがどうかということなんです。
  44. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給にはベースという考え方はいまとっておりませんけれども、やはり仮定俸給としては一応そろえたかっこうでスタートラインにつかせる。そうしてそれから調整規定運用していこう、こういう考え方でございますので、御指摘のとおりだと思います。
  45. 大出俊

    大出委員 そうしますと、もう一ぺんこれは調整をはかった上で調整規定のほうに入っていくという考え方になると考えていいわけですね。
  46. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 調整と申しますか、ことばの使い方ですけれども、調整規定にいうところの調整ではなくて、要するに三本立てでやっているやつを一本に調整していく、そうしてスタートをそろえたらどうか、こういうことでございます。
  47. 大出俊

    大出委員 それなら前回私が力説をしたところに一致してくるので、どうも局長はあのときは別な観点に立っておられたようですが、それはあとで質問させていただきます。  そこで、具体的な問題に入りますが、たくさんありますので、長い答弁は要りませんが、実はその前に昨日、うしろにおいでになる課長さんですか、私のところにどういう中身でという実は質問を受けたのでありますが、何しろたくさんありまして、どうも忙し過ぎる人間の一人なものですから手が回らずに、お答えをしていないままに実は質問をいたしますので、あの時点では実は私のほうもそこまで調べておりませんでしたから、とっさにどうも妙な質問というようなことになるかもしれませんが、何しろたくさんありますからごかんべんをいただきまして、お答えをいただきたい、こう思うわけであります。  そこで、第一番目の問題は「その他の恩給問題に関する処理意見」というところの1の問題であります。さっき冒頭に申し上げましたように、これは読んだってなかなかわからぬのでして、こういう理解でよろしゅうございますかという確認を求めますから、いいならいいとおっしゃっていただいて私のほうで意見があります点はつけ加えますので、それにお答えをいただくというふうにさせていただきたいと思います。よろしゅうございますね。  そこで「旧文官の恩給年額に関する問題」「(1)退職年次による恩給年額の格差に関する問題」ということで、ア、イと並んでおります。これは言わんとするところは二十三年六月三十日以降、つまりそれ以前は官吏俸給令の時代だったのですが、それ以後はつまり人事院の給与勧告の時代、公務員法の時代、大きく分ければこういうことになるのですね、この間にかつての警察職員の場合なんかで見られますように、調整号俸的に新給与以後上がっておるケースですけれども、つまり前が落ちているというケースが出てくるわけですね。そういう点について給与制度の変遷というものがそこにあったのだが、しかし格差が生じているのではないか、だからこの格差について調整をはかったらどうか、こういう趣旨に受け取るということでよろしゅうございますか。
  48. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ちょっとこの趣旨が違いまして、要するにここになお書き以後に出ておりますのは、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた文官等の恩給については、過去数回手直しが行なわれておる、六月三十日以前と七月一日以後のいわゆる恩給受給者との均衡問題がございまして、三十日以前と七月一日以後の不均衡のあるものを是正していこう、こういう趣旨でございまして、その中には当然警察官等の方々もございますが、それらすべてを含めてこういった制度改正に基づく不均衡が生じているものの是正をしたい、かような点でございます。
  49. 大出俊

    大出委員 そうしますとここに例があがっておりますが教育職員であるとか警察監獄職員等の例にありますように、官吏俸給令時代、それからそれ以後給与制度の変革があった。そのあと是正をいろいろやってきている。その間に是正に際しての、つまり幅の相違その他があって不均衡が生じている、これを直してもらいたいという問題の提起でありますか。
  50. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ちょっと室長から説明いたさせます。
  51. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 このなお書き以下の意見と申しますか、問題点は、そういうような問題点を含めまして、昭和二十三年六月三十日以前と、それ以後との公務員給与恩給の差、これを是正していこう、こういうことでございます。
  52. 大出俊

    大出委員 私も当時在職しておりましたからわかっておりますが、公務員法に基づく給与切りかえがありましたね。あのときには一つの職場の中だって、一つの号俸が三つないし四つに分かれていっておるのです。ちょっと間のいいというか、うまいところにぶつかった人はきわめてうまくいってしまって、回り合せの悪い者は最後までそれがついて回った。あのとき新給与切りかえでうまくいった人はその後もずっとうまくいっていて、そこで乗りおくれた連中はいつになってもうまくないというようなことがよくあった。これは同じ職場の中の同じ体系の中にあった人の場合でもそういうことがあった。だからそのときのことがこの(1)の理由にあがっているような気もするわけで、すが、つまりそこらのところを事務当局のほうでは——ここのところは皆さんのほうから言っていただきたいのですけれども、結果的に見て制度の相違というのはしかたがない、また給与切りかえのときに一つの号俸が三つにもなっていった時代があったんだから、それなりにいろいろ格差のついた場合もあった、したがってこれはしかたがない、こういう解釈ですか。
  53. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 制度の問題としていっておりますのは、たとえば二十三年六月三十日以前に局長であった人と現在の局長とを比較して、現在の局長と相応に変えろということは無理でございますといっておりますので、しかし、二十三年の六月三十日というのは御承知のように給与制度の根本的な切りかえのあったときでございますので、それによってひずみが出てくる人がありますので、そのひずみは是正していけ、そうして先ほどお話のございましたように、三つに分かれていくという場合の解決の問題は(2)の中に、もう一つの解決策として、そういうことによる不合理があった場合には不合理も是正するということで、(1)と(2)でいま御指摘の問題を解決していく、こういうことにいたしておるわけでございます。
  54. 大出俊

    大出委員 つまり二十三年六月以前でやめた人、それ以後まで引き続いておってやめた人という場合がありますね。その場合に、以後まで続いていた人でなお以前よりも低いという問題がありますね。これは現にありますね。そういうことも含めておるわけですね。そう理解してよろしいかどうか。
  55. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 そのとおりでございます。
  56. 大出俊

    大出委員 この二番目の「旧軍人恩給に関する問題」、たくさんあるわけでありますが、ここで例の加算問題がございます。ここに書いてありますように、普通恩給を受ける権利を取得するための資格期間としてのみ認めてきた旧軍人の加算がありますね。ところが、恩給年額を計算する場合には、加算年を除いた実在職年数、これが中心になっている。だからそれだけ減額をされる。減額をされるから、言うならば小づかい恩給になってしまうということ、これを恩給計算の基礎在職年数、加算年を含めて基礎在職年数としろ、こういう要求だというふうに理解していいですか。
  57. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 そのとおりでございます。
  58. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは生きて帰ってきて元気でやっているんだから、旧来のとおりでいいじゃないか、こういうことですな。
  59. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 旧来年齢的に少し進んでいる人には、いわゆる最短年限まで認める、こういう線を出しましたので、御趣旨のとおりだと考えます。
  60. 大出俊

    大出委員 問題ないところに多く時間をかけたくありませんので、確認だけ求めて進めますが、戦地外戦務加算、それから各種職務加算、戦地外であっても、そこで戦闘があった、その場合、戦地外戦務加算という問題が出てまいりますね。それからたとえば飛行機に乗っかったとか潜水艦に乗っかったというような場合に、各種職務加算という問題が出てきますね。ところで、これは、いままでのところは調査が非常に困難であるという理由がついておったように思うわけでありますが、今度の場合には、これは多少前向きで解釈をしているようでありますから、調査その他はできたわけですか。
  61. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 現在調査ができたわけではございません。そしていま御指摘のとおり、実はかなり資料が紛失しているかもしれませんので、この点については、これの確認には非常な困難が伴うかもしれませんけれども、ただここに書いてありますように、いわゆる旧来の裁定を受けている人はそれがついておりますので、そこでそれとの均衡上はどうしてもやるべき筋じゃないかということで、筋論から、やはりそういったこれからの調査を十分に行なって、そうしてこれを解決する方向で進むべきだ、こういう御指摘でございます。
  62. 大出俊

    大出委員 つまりはっきりしているものは、今日まで裁定が出ているわけですね、そうすると、これからも、そういう確認が行ない得るという場合は裁定をする、こういうことですね。
  63. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 つまり軍人恩給を廃止する前に裁定を受けてしまった方がおられるわけです。この人はもう確実な資料でやっております。そうすると、その廃止後は、かなりの年限たってからのことでございますので、そこで、調べようと思ってわれわれもやってみましたわけですが、かなり困難だという点が出てまいりましたので、旧来はかなり困難でございますということを申し上げてきたわけであります。ところがいま申しましたような指摘の受け方をいたしますと、その後における新たな裁定を求める人たちには、それなりの、やはりわれわれの調査をもとにして支給すべきかどうかを判断していかなければならぬ、われわれは、この答申を尊重する線からすると、さような義務を負うことになろうかと思います。
  64. 大出俊

    大出委員 これは何らか法律改正の形、そういった形で出てきますか。
  65. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 法律改正によります。
  66. 大出俊

    大出委員 そうすると、法律改正のときに確認の方法云々という条件がいろいろついてくる可能性がありますね。
  67. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給は、御承知のように請求を待ってやるということがたてまえでございますので、そこで請求される側が資料をそろえてお出しになるということ、そうしてそれをわれわれが確認するときに、調査データを用意して、それによっての確認を行なう、こういうようになります。
  68. 大出俊

    大出委員 筋が出てきただけでありますから、あとは法改正のところで論議をするというのが残る筋だろうと思いますので、ひとつそちらのほうで論議をさしていただこうと思います。  それから(3)の「南西諸島等において抑留された者の在職年に関する問題」、これは沖繩が中心だろうと思います。私、この問題、先般の改正のときにだいぶいろいろ御質問を申し上げた記憶がございます。これはおそらく内地という解釈、つまり沖繩は内地であった、だからそこで抑留をされていた場合には抑留期間という解釈に入らない。したがって、沖繩の場合であっても、戦地であったのだから、旧来の内地という解釈でなくて抑留期間に入れろ、こういうことについて抑留期間に入れる、認めるという筋なんだろうと思うのでありますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  69. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 さようなことでよろしゅうございます。
  70. 大出俊

    大出委員 これは法改正の関係はございませんか。
  71. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 これも立法措置を要します。  それから、ついでに申し上げておきますが、これらの改正問題はすべて法の規定によるのが原則になりますので、法によらないところがございましたら、その点だけを追加して申し上げることにいたします。
  72. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは外地において終戦後抑留されておられた方々の加算年と同様の加算年をとろう、こういうことだと思います。  それから「旧軍人の仮定俸給の格付に関する問題」、これは将官、佐官——きのう私、元審議会長さんにちょっと質問もしたのですが、これはどうもあまりに旧の軍人恩給に返り過ぎるのではないかという感覚でものを申し上げたわけであります。古い制度を今日に適合させるという態度が一面必要であった二十八年復活当時の世相等からいたしましても、将官、佐官という方々、旧軍隊の特に著しい階級差というものもありましたから、そういうような点がおもんばかられて、そこのところは遠慮した形で出てきていたのだという気がします。したがって、それが将官においては二号、佐官においては一号低く格づけされていた、これが文官恩給との権衡という問題を一つ取り上げて、もとに戻せ、昔に返せ、こういう趣旨だろうと思います。昔に返せということになったと思います。どうもここのところは私はひっかかるけれども、あの当時の状態からすると、それが定着して今日にきているのに、ここまできて、将官、佐官を手直しする必要が一体あるのかどうかということですね。これは審議会論議がなかったのですか。
  73. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は将官、佐官につきましては、はっきり昭和二十八年の百五十五号のときに御遠慮願うということで号俸を下げてあったわけでございます。そこでいま課題に出ておりますように、軍人の仮定俸給を、ある程度文官と比較してそこに是正を求めるということを基本的に態度としてとるなら、やはり将官、佐官についても、そこにかつて明確に号俸引き下げをやったので、そういう論議というよりもむしろ均衡上の問題として一応是正措置を講じていってはどうだろうか、こういうことでございます。
  74. 大出俊

    大出委員 これは旧来の仮定俸給を含めまして、あったから、なかったから、こういうことが基礎になるとすると、どうもやみの中にある旧恩給法をひっぱり出すという形になる。どうもそういう論議をすることがはたして妥当かどうかという点が大きな問題として一つある。そんなことを言い出せば、これはいまの恩給というものは矛盾だらけになってしまうと思うのです。軍人恩給というものはさすがにどうもそこまでは行き切れないものがある、ここの中にはそこら辺どうも首尾一貫しないような気がするわけであります。だから新しい見方からすれば、旧海軍の特務士官の方々、その次にありますが、これはきのう私もちょっと指摘したのですけれども、ここに書いてあるとおりですが、ところが仮定俸給の面で、給料が違ったけれども、区別していなかったから、こういうのでありますが、俸給が基礎になるということを原則とするならば、旧来法律はどうであろうと、違うものは違うのでありますから、直すものは直すということでいいわけですね、一つの筋としては。ところがこういうことは旧来なかったということで、現実に高くても押える、二十八年当時御遠慮願った、下がっておる、今日まできてしまったものをここで復活しようとする、これは旧来あったから。そこらがどうもつじつまが合っているようで合わない。そういう意味では皆さん方の苦心のところでもあるのでしょうけれども、そこらのつながりをどういうふうに理解すればいいか。旧来あったからというなら、あったからでいいのですけれども……。
  75. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 軍人の仮定俸給について、文官のほうが不合理是正ということで戦後の措置をとってまいりましたので、そこでそれとの均衡上の問題がいろいろ生じますために、いわゆる軍人の仮定俸給について新たな観点考え直すという問題が起こってまいりましたので、そこで将官、佐官もそれの関連で考えるべきじゃないだろうか、こういうことになったわけであります。ところがそういう点については、特務士官も含めてのいわゆる軍人の仮定俸給の考え方は一応大体これを一本に扱ってきた、その制度一つ軍人恩給考えるときの旧来からの特性でございましたので、それはそのままに維持していくよりしようがないじゃないか、こういう点で、若干実はその前の問題と考え方の面が違っておりましたので、そこで一応特務士官の問題はということに結論づけられたのでございます。
  76. 大出俊

    大出委員 この辺に長くひっかかっておりますと総当たりに当たらずにしまいますので、多くは申し上げませんが、これはずっと御意見を聞いていきながら、どういうことになるか結論をひとつ自分で考えてみたいと思うのでありますが、どうも筋があっちへ行ったりこっちへ行ったりする感じがするわけであります。  次に、「実在職年数三年以上七年未満の旧軍人に対する一時恩給に関する問題」、これも結論から申し上げますと、階級差というのは、基本的な考え方の中で一体撤廃するかしないかということですね。といっても、これは技術的に問題はあります。ありますが、兵についてはやらない、下士官以上についてはやれなどという、どうもここのところあたりもつじつまが合わない。予算的にも対象人員が非常に広い。これは、俸給ということをあらためていまの世の中で考え直すのだとすれば、兵——私も兵から入っていったのですが、営内居住ですから、食事は営内でしているのですから、その意味では安い。これはあたりまえ。ここらの点のからみはいろいろあるわけですけれども、この一時恩給についての考え方、基本になるものを御説明いただきたいのです。
  77. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 一時恩給につきましてはどういうふうに考えるか、これもかなり議論の存したところでございます。むしろ認めるべきでないという意見もございましたし、それから下士官については戦前そういう制度があったし、文官との対比上も考え直していくべきではないかというふうな御意見もございました。そこで、それを一時恩給について兵にまで広げるというような、一たんとられたのであるから、兵までという考え方も決してないわけではございませんでした。しかしこの制度考えるときに、一時恩給の性格等も考えていくと、やはり文官のそれとバランスを一応とっていくことが必要であろう、そこで下士官以上ということが、考え方としては文官とも対比して戦前もあったことだし、そういうところに線を置くことが適当ではないだろうか。こういうことで、いろいろな議論の末にかような一つの線の引き方をされたというのが経緯でございます。
  78. 大出俊

    大出委員 これは今日、兵と下士官の方を比べてみて、兵だからのんびりしている、下士官だから苦しいというのではなくて、生活の実態は変わらない。またここに問題になったからいいじゃないかというなら、なぜ二十八年の復活のときにああいう形態をとったのか。ここらがどうも、もとに返そうという——公務員の権衡をいまさら云々するのはおかしな話で、それならばなぜあのときに権衡論がもっと出なかったのかということになる、いままで過ぎてきたわけですから。ですから、もしやるとするならば、兵の皆さんも含めてこれは当然考えるべきであって、その意味では予算的にも相当大きなことになると思いますよ。思いますけれども、前向きでできるだけ拾っていこうということになるなら、そこに基礎を置いてそうすべきだと思うのです。この点は、私はいまの御意見に納得できない。審議会の中では、兵の皆さんも引き上げろ、つけろという方々はまことに少数だったのですか。
  79. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 多数の意見は、やはりここの結論に出されたように、審議会としてはこういった下士官以上の者について考えるということがたてまえとして適切である、こういうことで出されたわけでございます。数の点についてはちょっとごかんべんをいただきたいと思います。
  80. 大出俊

    大出委員 少し文句を言いたいところなんですけれども、これも法律関係が出てまいりますから、あとで論議の場所がございますので、賛成しかねるという意見だけ申し上げておきます。  それから、「最低保障に関する問題」、これは他の公的年金との最低保障についてのしんしゃくが必要だという考え方がここにあるのでありますが、他の公的年金との関係を現在のところしんしゃくして、ある程度の増額を、こういうのでありますけれども、どのくらい、どうしんしゃくしようという考え方なんですか、これは。
  81. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 審議会は具体的にお示しになりませんでしたが、審議の中で何が論議になったかと申しますと、当然、厚生、国家公務員の共済年金、こういうものが一つのメルクマールになるであろう、こういうことでございました。
  82. 大出俊

    大出委員 そうすると、このしんしゃくの度合いその他は、これから恩給局が作業をする、こういうことになるというわけですか。
  83. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 そのとおりでございます。
  84. 大出俊

    大出委員 そこで、関連があるから申し上げるのでありますが、先ほどの問題とからんでまいります。どこかで申し上げなければならぬのですけれども。  つまり、スライド制度ということになる。五%の変動に基づいてです。この制度あり方としては、他の公的年金との関係は一体どうお考えになるつもりですか。
  85. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この点は、審議会答申をもしそのまま受けるといたしますと、恩給については非常に緊急性があるということを指摘しておられまして、したがって他の公的年金との関係考えるときに、一方で他の公的年金制度との関連をもしんしゃくしながらということをいっておられると同時に、恩給の緊急性という問題について十分に考えていくようにという意味合いのことが、審議会の最終的な態度に示されておりますので、そこらのかね合いをこれから考えていかなければならない、かように考えております。
  86. 大出俊

    大出委員 傷病療養中の方もあり、また老齢の方もたくさんある。したがって、緊急性というのをうたっておりますね。ところが、いまの緊急性のほうのお話からすると、何かしらぬけれども緊急性のほうにウェートがかかって、どうもこの恒常的制度としての立場というものから少し離れそうな答弁にいま受け取れるのですね。もうちょっと具体的に——緊急性があるのだから、他の公的年金との関係もあるけれども、では具体的にたとえばどういう制度をおつくりになろうというふうにお考えですか。
  87. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 制度については昨日も会長から申されたのですが、審議会の意向としては、たとえば法律なりあるいは政令なりその他のいわゆる実効性確保ができるような制度を考慮してもらいたいということでございますが、政府側がこれを受けてどういうふうにしてまいるかという点がこれからの課題でございますので、今後十分に検討させていただきたいと考えております。
  88. 大出俊

    大出委員 実はそれが一番大きな問題で、終始一貫それにひっかかるのですけれども、たとえば五%の物価上昇があった場合には、その五%上昇に見合う恩給改定をしろ、給付改定をしろ、あるいは仮定俸給を引き上げろ、こういうふうに法律に書く。こういうふうになった場合に、そこにまた、人事院勧告じゃありませんけれども、取捨選択の余地を残すということになれば、これこれ上がったのだけれども、これこれぐらいにしておけということになりかねない。そこらを含めて、ほんとうの意味法律的な義務づけという形のスライドになるのかどうか。たとえば労災保険法の附則十六条、三十五年の法律のように、二〇%ということでこれは強制規定です。そういう他の公的年金あり方と比較すればそういうものもある。これは強制規定ですから、一番進んでいるのですね。そういうふうなものにするつもりなのか、しないつもりなのか、そこらの一番根本になるところがお答えいただかぬと困りますがね。
  89. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに、この審議会答申の非常に主要な部分調整規定であり、その期待として制度化ということをいっておられる。したがって、これを諮問いたしました政府側としては、この答申趣旨を生かしていくということが必要なことであろうと考えられますので、これをどのような制度にするかということは、いま先生御指摘のように根本的なものであるだけに、われわれも実はそれの制度化については軽はずみなことはしたくないということで、目下これについての慎重な検討を重ねておるところであります。まだ今日その結論に至っておらないわけでございます。
  90. 大出俊

    大出委員 そこがはっきりしないと、せっかく五%上昇ということを中心に、公務員給与を補完的にといって出した答申意味がないですね。せっかく名目を与えてみてもうしろのほうは抜けていたということになる。そのめどについてもお話しいただけぬということであるとすれば、これはちょっと大きな問題だといわざるを得ないわけでありますけれども、この答申を受ける以上はそのくらいの用意はなさっておかなければならぬ筋合いではなかったかという気がするのですが、いかがなものでありますか。
  91. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 しかし、先ほど来もるる申し上げておりますように、実は審議過程は決して物価だけにしぼられたわけではなくて公務員給与に置く、いろいろな論議がございましたので、むしろそっちのほうに集中することのほうが主体でございました。それを制度化するということは最終的に出された考え方でございまして、論議は、二年間のほとんど半分くらいは調整規定にかけられたわけです。したがって、そういうときにどういうふうな基準でやるかあるいはどれを柱にするか、これは非常な論議を重ねたところでございます。したがって、われわれはそれが最終に結論が出た今日の段階で何をどうすべきかということが課題になっておるわけでございますので、もう少しお時間をちょうだいしないと、いまこうやりますということを実は政府側として最終態度をきめておりませんから、これは私だけの考え方で申してもかえっていかがかと考えられますので、いまのような御答弁を申し上げておるわけです。
  92. 大出俊

    大出委員 くどいようですが、義務づけたいと考えるとか義務規定にすべきであるとか、そこらのお考えはないのですか。
  93. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 答申の御趣旨は、つまりその実効性確保ということで制度化とうたい、そうして実質価値の保持のためには何々すべきものとありますので、そこらの辺が先生のいまの問題の御指摘のなされたところでございますので、答申を尊重するというたてまえでそれを考えるという立場は、いまのような御趣旨が当然課題になろうかと考えます。
  94. 大出俊

    大出委員 どうもいまそこから先をはっきりということは無理のようでございますから、ぎりぎり一ぱいのお答えだろうと思うので先に進めます。いまの問題は他の公的年金との最低保障をめぐるしんしゃくの問題とからみましたから申し上げたわけです。  次に、「傷病恩給に関する問題」でありますが、「傷病恩給の年額の算出基礎に関する問題」、これは昔と制度が変わっているのですね。三十三年の法律第百二十四号で統一をして、将官ならもらえるが下士官ならもらえないなんというのは直したのですね。これはさっき私が申し上げましたように、旧恩給法との関係はあるけれども、まさかどうもここまではということで、まあいたしかたがないということに踏み切ったような感じの文章の書き方なのですが、このあたりの真意のほどをちょっとお伺いしたいと思います。
  95. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この傷病恩給は、実は傷病の程度で見ていくという考え方に立ちましたので、そこで傷病の程度は階級差ということではなくて、一応重い障害がある人はやはり重く処遇すべきだし、軽い障害の人は軽く処遇すべきだという本質論に立っての制度になっておりまして、ただその額を計算するときのしかた、つまりそれは御承知のように特項から四款までに分かれておりますので、その基準の額をどうきめていくかといいますと、上と下との間差ということできめていっておりますが、この額がいいかどうかという点はなお問題が存するので、今後さらに、やはり傷病者の障害の程度を非常に軽く評価しているという場合もあり得るかもしれぬし、そういう点も十分考慮してその評価について少なくとも合理化をはかっていくべきである、こういう趣旨答申のようでございます。
  96. 大出俊

    大出委員 これは旧来兵の恩給基礎とする考え方というのがたてまえなのでしょう。下士官の場合——ここらあたりはどうも方々入れ違うのですけれども、これはそういう考え方ですな。
  97. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 つまりその評価をするときに、何か基準になるものがなければなりません。当時一般的に傷病を受けられる方は兵の階級の方が非常に多かった。そこでそれを基本にして算定していっておるわけでして、実際にはわれわれもいろいろな計算をしてみたわけですが、実は上の下士官をとると計算上低く出てくる場合も考えられますので、一応現在の額を基本にしていっているわけですが、さらに審議会としては、これをそのままでいいとはいえまい、こういう趣旨の御答申であると思います。
  98. 大出俊

    大出委員 どうも片一方のほうでは、一時恩給じゃないけれども、下士官以上は昔あったのだからというので兵は見ないということになって、今度はこっちのほうへくると、兵は一番よけいけがをしたり死んだりすることが多いのだからというので、かつまた高くなるからというので兵をとる。そういう点は階級差がないならないように、あるならあるようにということなのですけれども、旧恩給法との関係がチャンポンになってきましてはっきりしない。どうもこれは納得できないのですがね。これは幾ら言っても出ている答申ですから、法律でも論議するときよりしかたがありませんけれども、そういう気がするわけであります。  それから特別加給の支給範囲ですね、先般少しあげましたいわゆる介護手当という問題だと思うのであります。この特別加給ですが、今回はこれをもう少しワクを広げるということですか。
  99. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 御要求の線は、実はいま二項症まで介護手当を出しておりますので、それを三項以下にも下げてもらいたい。これは重症度に応じて、俗称でございますが、介護手当と称しております。俗称介護手当というのがある程度意味内容をあらわしておりますので、そこで二項症の範囲程度のものでよくはなかろうか。それを下げてもらいたいという御要求はあるけれども、現行どおりとするということが妥当なのじゃないか、こういう結論でございます。
  100. 大出俊

    大出委員 特別項症の増加恩給の年額に関する問題ですね、これは現実的にほどういうことになるのですか。ここでいっていることはどうも少し中途はんぱな感じがするのです。時間を節約してあんまり長々と申し上げませんが、もし目が片一方見えなくなったというような場合には、これは六項症くらいですね。両手がなくなるというか、そういうふうなことになると三項症ですね。それから腰が立たないという場合があり得るわけです。そういうものが積み重なった場合に、これは特別項症という形が出てくるわけですね。その場合に、幾つかのケース、何項症というふうに当てはまるケースを総合しろ、積み重ねろ、こういうことですか。
  101. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 つまり、たとえば一項症と六項症というのがございますね。目が全然だめだとか、足が半分切れておられる。つまり足の切れた症状と、目が全然見えないというのが重なって考えられるのが通常でございますが、そうすると、その目が全然見えないときの金額と足が全然切れているときの金額を単純に加えてくれという要求があるわけです。ところが、こちらの見方は、その項症を加えてどれだけの額に見ればいいかという、つまりその両方を単純に加えるわけじゃなくて、その症状の判断をいたしまして、そういうふうに両方の障害が加わった形での評価でございますので、要求の線からいきますと多少低くなっておるわけです。その額の算定が現在十分の六くらいなんです。それじゃ低過ぎるからもう少し高めてくれ、こういう要求に対して、やはり十分の七程度まで引き上げたらどうだ。旧来の計数をずっと当たってみますと、大体七くらいになる計算が出てまいりますので、そこで、いままでそれは少し低過ぎた、こういう点で、十分の七程度まで上げたらどうだ、こういうことでございます。
  102. 大出俊

    大出委員 第一項症の年額に十分の六といまおっしゃいましたが、ここにありますように、十分の五以内なんです。そうでしょう。
  103. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 失礼しました。十分の五です。
  104. 大出俊

    大出委員 第一項症の年額にその十分の五以内の金額を加えると、そういった意味で増加恩給ということになる。それが幾つか合わさった場合に、実際はそれよりも高くなっていたというのでしょう、いまの御説明でいくと。いまは十分の五以内というのが低く査定をされているから、合わせたものにしろという要求が出ると思うのですね。そうしたらそのほうが高くなるなら、こういう症状の方はあえて五以内というふうに押える必要はないんじゃないか。できるだけ前向きに、見れるところまで見てあげるという筋が正しいんじゃないかと思う。これは予算の関係もあるんでしょうけれども、これは限られた方ですから、そういう意味ではこれを中途はんぱなものにしないで——七くらいになっているから、法律が出てくればまた七以内ぐらいになるだろうと思う。そして、七以内にしたんだから五だなんということになりかねない。だから、いまの場合だって十分の五以内なんでしょう。そうすると、やはりこの辺のところは思い切って高く見てあげるような方法をなぜとらなかったかという気がするのですが……。
  105. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに症状の評価の問題いろいろあると思いますけれども、しかし、そういうあちこちの障害が生活に与える影響等を考えますので、そこで、その障害が純粋に、単純に加わっていくということではないだろうという判断がこれまで用意されており、それで措置されてきております。ただその場合に、最高の限度額を十分の五以下というのでは低過ぎる、こういう点で七程度までは引き上げるということが適当だ、こういう意見にされたわけでございます。
  106. 大出俊

    大出委員 (4)の「増加恩給受給者の普通恩給に関する問題」、これはあまり問題はないんじゃないか。区別することは適当でないということですが、そういうことです。  (5)の「普通恩給と併給される傷病年金の減額制に関する問題」ですね。これは四十三年改正になるのですか、増加恩給の中の第七項症で言うと八万一千円ですね。七十歳以上の者の傷病年金でいくと十万二千円、これは傷が重いのになぜ安いかという問題なんだと思うのでありますが、増加恩給の場合には普通恩給が必ずつく。たとえば三日間戦闘に行かれてけがをされたという場合であってもつく。片一方、傷病年金のほうは、自分が十二年なら十二年つとめなければつかない。ところで、これはつけば減額がある。こういうことで、これはこの内容によりますと、七項症は一款症をこえないようにという配慮だと思うのですが、加算恩給ではこれは百分の二十五、つまり四分の一まで削る、こういう規定がありますね、一方に。そこらはいささかもつて不合理ではないか。ここらのところは一体どういうふうに見ておられますか。
  107. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ただいま御指摘のございましたように、七項症が八万一千円、第一款症が十万二千円、普通恩給は五万八千四百円。それはかりに一款症の人も、普通恩給をもらえる資格年限までつとめておられますと、それを加えて第一款症が十六万四百円に相なります。片や第七項症の重いほうの方が十三万九千四百円というふうに、実は傷が重いのに低くなってまいりますので、一款症以下の症状については普通恩給を併給しないというたてまえで、それだから款症の金額を高くしてございます。そういう意味で、款症の金額は普通恩給がつかないことがたてまえなものだから、そこで、ついた人の場合は現実的に七項症より高くなりますので、それを二割五分の制限でいきますと少し引き過ぎるという場合が出てまいります。そこで、それは引き過ぎるから、今度はまるっきり引かない場合と、それから限度の一ぱい一ぱいまで認めていく、その二つの措置を講じてこの減額措置の緩和をしていく必要がある、こういう結論でございます。
  108. 大出俊

    大出委員 書き方はきわめてあいまいなんですね。「加算恩給を併給されている者の傷病年金の年額については、第7項症の増加恩給受給者恩給額との均衡を考慮して、この減額を行なわないかまたは緩和することが適当である。」こうなんですね。だから、もうちょっとはっきりしないと、いまの趣旨なら趣旨のようにしてやらぬと明確を欠きますので質問したわけですが、いまの御趣旨だというわけですね。いいですね、それで。
  109. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 そのとおりでございます。内容的にはそういう論議の中で出てきた結論でございます。
  110. 大出俊

    大出委員 次の「職務関連罹傷病者に関する問題」でありますが、これは見てやれということだと思いますね。死亡の場合に公務扶助料の六割支給なんですね。戦争で死んだんではなくて、内地でということになりますかね。これは議員立法の特例法なんだろうと思うのでありますが、そのときの趣旨と、それからいまここで言っております中身、つまり「今次大戦の特殊事情を考慮し、」とありますね。ここらの関連、これはどういうふうに解釈するのですか。
  111. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 職務関連の場合には、御承知のように扶助料について認めておりますので、そこで罹傷病者についてもそれとの均衡を考えてまいりますと、またそれらの傷害を受けておられる人たちの実態からいきますと、やはり職務関連罹傷病者に対する特例傷病恩給というものを新設していったらよかろう、こういうことでそういう結論が出されたわけでございます。つまり特例的な職務関連についての扶助料を認める以上は、均衡的に認めるべきであろう、こういう線でございます。
  112. 大出俊

    大出委員 つまり特例法によって、これは議員立法ですが、死んだ人を見たんだから罹傷病者についても見ろ、こういうことなんだろうと思うのですが、罹傷病者と遺族との間の処遇を異にする理由はないというようなことがここにありますね。それから下のほうに「傷病恩給処遇に準じた措置」とこうありますが、この辺のところはどういう程度のことになるんですか。
  113. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 まだこれからの検討に入るわけでございますが、大体特例の扶助料は七割程度でございますので、それらの点を考慮して特例傷病恩給考える、かようなことになろうかと思います。
  114. 大出俊

    大出委員 扶養家族加給というのは、家族手当の変更に従って一人四百円なら年間四千八百円というのが、今回は妻が千円で第一子が六百円、第二子が四百円ですね。そういった基礎に基づいて計算し直す、こういうことですか。
  115. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この点は御指摘のとおり公務員についてのいわゆる家族手当が増額されましたので、それとの関連を考慮してこういう扶養家族加給についても現在の四千八百円は低過ぎるだろう、こういうことでございます。それをどのような額にするかということは審議会では触れておられないわけでございます。
  116. 大出俊

    大出委員 八番目の「増加恩給受給者が非公務により死亡した場合に給する扶助料に関する問題」。増加非公務扶助料と俗称言うケースだと思うのですが、これは全部十割出せというのを多少上げる、こういう言い方のように思うのですけれども、この中身はそういうことですか。どのくらいのことになるんですか。
  117. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 増加恩給受給者が、その公務が原因でなくなられますと全額出すわけですが、しかしこの場合は増加非公務死でございますので、そこに格差があり得るのは当然である。したがって、現在の大体十分の六という一応の基準処遇されておる点をもう少し引き上げて、そうして均衡的に考えていけばよかろう、こういうふうな趣旨で出されておるわけでございます。
  118. 大出俊

    大出委員 この次の、これは印刷がよくわかりませんが(9)だろうと思うのですが、「目症程度の傷病者に関する問題」。これは職業軍人にはもともとない制度ですね。そうですね。
  119. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 下士官、兵だけでございます。
  120. 大出俊

    大出委員 これは指一本なくなった場合に一時金、こういうことになっておったのを昔に返せという議論なんですかね。これは返す必要がないが、返せ返せになっていると思うけれども……。
  121. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 この程度の方に支給する傷病恩給は、戦前においても一時金でございました。
  122. 大出俊

    大出委員 だから私も一時金と言っているわけですけれども、指一本なくなっても一時金だ、だから戦前においてそうだったから返せという主張なんだろうけれども、これはその必要がないと思われます。これの対象はどのぐらいあるんですか。
  123. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 調べましてあとで御報告申し上げます。
  124. 大出俊

    大出委員 「傷病年金受給者の遺族に関する問題」。これは一般の災害保険等の例から見ると、労災保険等から見ると、この程度の、つまり傷病年金受給者が公務外の原因で死亡した場合の傷病年金自体が一般的に言うならば少し優遇されている、だからやむを得ないんじゃないか、こういう程度の審議会理解ですか。
  125. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 これは、傷病年金受給者の遺族というのは確かにいろいろ気の毒な面があるかもしれないけれども、大体傷病年金というのは比較的軽いほうでございますので、そこでおなくなりになった場合にも遺族にこれを支給することは適当ではなかろう、かような理解でございます。
  126. 大出俊

    大出委員 「有期の傷病恩給に関する問題」。有期でいくという結論なんだろうと思うのでありますが、内部疾患、肺結核であるというような場合、よくなったり悪くなったりするということでそのつど検査をして格づけする。もう戦後これだけたっておるからいいじゃないか。それを皆さんのほうは、いやだめだ、まだやるんだ、こういう審議会結論なんだろうと思うのでありますが、たいへんな手数を要してそれまでやらなければならぬことに予算的な関連あるいはその他が考えられるのですか。
  127. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 予算の関係よりも、大体われわれ見ておりますと症状がかなり変化がございます。重くなる人もありますし軽くなる人もありますので、そこで五年有期のような形で見直していく現実的要求がございます。
  128. 大出俊

    大出委員 そうすると、重くなった方には検査をしてなおしていかなければ不利になる、だから有期でなく無期にしてしまうとそういう手直しができないというほうにウエートがある。
  129. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに重くなった場合はもう一つ別途にいわゆるその事後の重くなりましたということによる事後重症の請求ができる道を開いてあります。しかしそれだけでは不十分な場合がございますので、したがってこういうときに重くなれば当然重く考えるという筋でございます。
  130. 大出俊

    大出委員 これは問題のあるところでありますが、「外国政府職員等の恩給に関する問題」。これは先般の恩給法改正にあたりまして、長時間私と恩給局長との間で詰めてきた問題がこの中に含まれておるわけであります。日−満−日、満−日、日−満というケースだと思います。そこで特に問題はこの中で満の期間の年四・五%ですね。これは単利計算でいっておりますね。前のときにも長時間私が力説いたしましたところなんですが、まずこのケースについて、公務員の昇給率との関係等があるからということなんですが、それなら別に四・五%を四にしても複利計算にしたに違いない。そこらの処置のしようもあるわけですが、そうするとこれはもう少し前向きに見てあげられないかという気もしきりにするのですが、まずその点はどうですか。
  131. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は昭和十二年というものを基準にして終戦まで約八年ございますが、その八年間の予算上の平均昇給率というものを見てまいりますと約一・三六九に相なりますが、そういう点複利計算でそれくらいになるわけでございますので、それを結局こういうふうな一般の昇給のほうを見ていく、恩給上の計算上単純化していくということで考えて四・五%ということを引き出したというふうになっておりますので、したがって現状においてはこの程度がまずまずのところではないだろうか、こういうことで審議会でもそれを是認するという態度をとったわけであります。
  132. 大出俊

    大出委員 これはここで論議するよりも、いずれ法律ということでしょうからそこで論議しなければならぬ問題でありまして、旧来趣旨をとっておりますので、その限りではワクに入っておるというわけでありますが、論議の場所であらためてやる得るというふうに思いますが、ここで満−日ケースを在日恩給年限まで認める、たとえば満州が十年でこちらが十年ある場合に十七年で押えるということですね。これはどうしても納得できないわけでありまして、この点については一応皆さんの意見を言っていただいて、納得できない点はできない点で私のほうで申し上げまして進みたいと思います。
  133. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 満−日のケースは、実はこれまでの委員会でもたびたび論議になったところでございますが、今回恩給審議会では、制限廃止は適当でないという結論をお出しになったのであります。その経緯はこういうところにあったようでございます。つまり、旧来、いわゆる満州との関連を考えるときに、一般的に日−満−日とか日−満という形で考えられるいわゆる恩給公務員として日本政府にあった人たちが満州に行かれた場合の措置と、それから、まず初めに満州国政府あるいは満鉄等においでになった方と、そこにある程度の格差があってしかるべきではないだろうかという、これも一つの戦後処理のしかたの問題でございますが、そういう観点から、旧来の扱いとしてそういう格差を認めてきたというのは、やはりそれなりの理由があったと考えられるし、今日においても、そういう満−日といわれるケースにつきましてはこれを見ないというのではなくて、最短の恩給年限まで見ていくという線が適当であろうということで、旧来とられてきた措置を是認する形で、恩給審議会答申されたわけでございます。
  134. 大出俊

    大出委員 審議会意見というのは、全く簡単にさっと片づけている。何か、どうもこれは少し遠慮して理由づけたような感じがするのですが、「外国政府職員または、外国特殊法人職員から公務員となった者について、」つまり、満州から日本なら日本、満鉄なら満鉄から、電電なら電電から——「その職員期間を普通恩給についての最短恩給年限に達するまでを限度として通算することとしているのは、終戦という特殊事情を考慮してとられた特例措置であるので、この制限を廃止することは適当でない」、これだけです。日−満−日なり日−満なりといういろいろなケースがあるわけですが、それらとの関連その他ここでは何にも述べていない。これだけ強い要求を持つ国鉄だの電電だのというところは、退職年齢に達している方々さえもわざわざ先におくらせながら、前の附帯決議の趣旨に沿ってやっているわけですね。こういう方に、断わるなら断わるにしても、こういうそっけない説得力を全く欠いた答申考え方というのは、何と言われても納得できない。当時この席上であれだけ長時間私も——議事録をながめてみても相当のページを費やして議論している。お互いにたくさんの理由を述べあっておる。それが、こういう理由も何もわからぬ全くそっけない断わり方というのはないと私は思うのです。だから、ここにこの該当者の方々の言うところの恩給審議会答申に対する反論というのがありますが、これは私も同感なのです。そういう意味で、せっかく皆さんが真剣に考えておるわけですから読み上げておきます。   昭和四三年三月二五日の恩給審議会答申は「外国政府職員または外国特殊法人職員としての在職期間の通算に関する問題」について、「外国政府職員または外国特殊法人職員から公務員となった者について、その職員期間を普通恩給についての最短恩給年限に達するまでを限度として通算することとしているのは、終戦という特殊事情を考慮してとられた特例措置であるので、この制限を廃止することは適当でない。」との意見を述べて、満日ケースの者の恩給完全通算に反対の意向を示している。しかしながら審議会の理論は、日滞日、日満、滞日のいずれのケースにも平等公平に適用さるべきものであるから、日満日、日満もまた最短年限をこえて通算することは適当でないこととなり、現行法で日滞日、日満を完全通算していることを審議会は如何に理解しているのか。若し日満日、日満の完全通算は適当であり、滞日の完全通算は不適当であるというならば、それは何故であるか。日満日、日満の通算が適当である理由は何か。日満日、日満の在職期間と満目の在職期間と何処に差異があるのか。同一国策機関に、同時に同一条件で勤務していた者に対し、処遇上の差異を付ける根拠はどこにあるのか。   昭和十八年法律第七八号は「外国政府職員となるため退職したる後、二年以上外国政府職員たりし者が、公務員として再就職し、一年以上在職した場合には、外国政府職員期間を通算する」ことを定めているが、この規定は、外国政府職員にだけ適用されるものであつて、外国特殊法人職員には適用はない。したがつて、特殊法人職員であつた日満日、日満の者の完全通算の根拠は、この規定にあるのではなく、その特殊法人の本質が、その形式如何にかかわらず実質的には国家機関であつたこと、これはそのとおりだと思います。この昭和十八年法律第七十八号に根拠を求めて、日−満−日あるいは日−満というものを完全通算しておるのではないんですね。これは明らかに特殊法人ですから、そうすると、この特殊法人の性格、これが完全通算をしておる理由にならざるを得ないわけです。これはここで言っておるとおりです。  及び従来政府自体がその法人及び職員を、種々の点において国家機関及び公務員と同様に取扱つてきた事実が、日満日、日満の完全通算の根拠であると理解せざるを得ない。このことは累年の国会審議において明らかに理解されたところである。   審議会もまた「普通恩給権を得て、外国政府職員等となつた者の通算に関する問題」については、「外国政府職員等となる前に普通恩給権を有していたかどうかによつて通算上差別して考えることは適当でないので、この要件を廃止すべきである」との意見を述べているが、その根拠は(人事管理上の必要ならば、既に普通恩給権を得ている者に対して、さらに加算する必要はないので)「その機関が国家機関と同様に取扱うのが本質上適当である」との審議会意見であると考えるより外には考えようがない。しからば滞日通算の場合も同一理念に立つべきではないか。   満日の者は、この特殊法人に、日満日、日満の者と同時に、同一箇所に勤務したが故に、処遇の不均衡不公平(現実に満目の者の年金額は、同一条件の日満目の者の二分の一ないし三分の一であり、生活扶助の六割程度にしかならない)を是正して、日満日、日満と平等の処遇を要求しているのである。   問題のポイントは、現行法の不均衡是正にあるのであつて、審議会答申は、問題の核心をそらし、問題のポイントに答えていないと言わざるを得ない。すなわち、満日通算に関する審議会答申を「外国政府職員等となる前に公務員であつたかどうかによつて通算上差別して考えることは適当でないので、この制限を廃止すべきである」と改むべきであつて、この答申は満目の通算問題と、普通恩給権を得て外国政府職員となつた場合との間の基本理念に矛盾撞着があると言わざるを得ない。  こういう反論ですが、これは前にすでに私は述べておるわけでありまして、その上で、この委員会は附帯決議をつけた。ところが、その附帯決議がついていて、こういう論議を長々とやっておる。この場合も恩給をもらっていた人について論議しておるわけであります。向こうでもらっていたからというなら返還措置をとればいい。方法は何ぼでも書いてある。だから、それはやはり特殊法人の性格論議になっていくわけであります。だから、そういった議論の上にそのことを御承知で答申が出たんだとすれば、こんな三くだり半みたいな書き方というものは、私はまことに不都合だというふうに考える。何でこんなにわずかばかりになったのですか。
  135. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ただいま反論として出ているような課題は、その本質を考える当委員会論議の中で、たとえば満鉄の性格をどう考えるかとか、あるいはその場合に、国家機関そのものでないかという御議論、あるいは見方によると、そういうふうにも見ることが困難だという議論、いろいろな議論も繰り返してまいっておるわけでございますので、そこで実は恩給審議会におきましても、われわれ事務当局者としては、さような論議のほどは十分に御説明を申し上げたわけでございます。そうして、先ほど御指摘になりましたような、確かに日−満あるいは日−満−日との格差というものはこの明文に触れた形で答えておりませんけれども、審議過程では、やはりさような問題につきましても、われわれの側から説明をいたしておるわけでございます。そういう点から、どういうふうに考えるべきだという論議が繰り返された後、確かに答えとしては非常に簡単な文章になっておりますが、この背後にはかなりの論議が繰り返された上でかような答えをお出しになったわけでございます。
  136. 大出俊

    大出委員 この答申の中には——だから私は不親切きわまるというのですけれども、きわめて長く書いてある、意を尽くして書いてある文章があるかと思うと、なかなか複雑な問題については、あっさり何行かで片づけてしまう。長年の懸案であり、ここでひとつけじめをつけようというならば、言うだけの説得力のある書き方をしなければ、納得しろと言われたって納得しようがない。私どもこの委員会で再三理論構成をし、理由をあげてものを言っているわけですから、そのわりにかみ合う議論をした結果として、検討をさしてくれという恩給局長答弁になったと思うのです。総務長官にも答弁さしたら、検討をしてまいるということで、この委員会の席上では、理論的にはいずれが是かという結論は出ていない。相反する意見が出た結果、検討しますということになっておるのですから、そうだとすれば、審議会の検討の結果、出すならば、やはりわれわれの意見に対する反論としてかく考えたということがなければならない。何もないというふざけた話はない。書けと言ったらわずかだ。答申の性格から、非常に不満足、不親切きわまるということになる。しかもなおよく考えてみると、あっさり、こう理由にならぬ理由を書いたのは、何とか国会のほうで適当な審議をして、四党共同提案で附帯決議をつけたんだから、一応この審議会としては、対大蔵省の金のほうのこともあるとかなんとかいろいろなこともあって、昨年の予算折衝のときにも問題になったんだからということで、一応ここでけじめはつけたという形だけはとっておきたいというようなことであれば、それならばそれなりにわからぬわけでもないですよ。  ここでひとつ、大蔵省の方がお見えになっていたのではないかと思いますが、たいへんお待たせして恐縮でございますが、いまの点について、昨年の暮れの予算折衝の段階で、私はまあこういう席でありますから、だれがどうだということは申し上げませんが、四十億五千五百万円、留守家族援護費その他を含めて五億円厚生省の分がありましたから、したがって、三十五億五千五百万円になるんだろうと思います、恩給関係は。その一番どんじりで野党の側が反対をするだろうからという理由がついて、与党の皆さんの予算折衝がだいぶ難航した。そこで、一体わがほうは、つまり私どものほうでありますが、どうなんだという御相談をいただきまして、私も実は何とか恩給——いまの恩給というものは、増額改定をすべきだという意見を持っていましたから、そのほうの党内の立場を専門にやっておる関係もありまして、反対でないということを申し上げた。結果的に大蔵当局は、野党の恩給関係の方とのやりとりの中では、その趣旨のことが反対の理由にあげがたくなったというようなこともあって、最終的にまとまった。その過程で満−日のケースというのは一体どういうことになったのだということを私が承ったところが、与党の関係の筋の方々といろいろ御相談を進めておりますのでと、実はこういうことだったのです。そこで私のほうも、その関係の筋の方に念を押しましたら、話し合いが大体いいところへきている、何とかなる、だからひとつ御安心をというので、しからばそこから先に深入りはしませんからということで、私は実は納得したわけであります。ふたをあけてみたらどこかに飛んでいたということになると、どうもいささかここでものを言わざるを得なくなるわけであります。今日的事情の中で、そこらのところは、どういうふうに満−日ケースについて、予算という立場で大蔵省側がお受け取りになっているかということですね。御答弁をいただきたいと思うのです。
  137. 辻敬一

    ○辻説明員 四十三年度予算編成当時におきましては、御承知のように、恩給審議会審議中でございまして、お尋ねの問題も他の制度とあわせてその審議の対象となっておりましたので、その結論をまちまして検討いたすのが適当ではなかろうか。このように申し上げた次第でございます。
  138. 大出俊

    大出委員 この四党共同の附帯決議がついている問題でございますから、立法機関で。したがって冒頭に何回か私は恩給局長にも念を押しておるのでありますが、けじめをつけると言うても、けじめにならないというものについて、これはやはり解決をどこかではからなければならない、こういう趣旨のことを先ほど来るる申し述べてきているわけでありますが、まさにこれは一つのケースである、とこういうふうに実は考えているのであります。そういう意味で、附帯決議の趣旨というのをどういうふうに大蔵当局なり恩給局なりは受け取っておられるわけですか。
  139. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 これまでこの問題は、当委員会及び参議院でも論議になりまして、それぞれ御主張の点も、それからわれわれの説明申し上げる点も、ほとんど論議が尽きたかっこうに相なっておりますが、いずれも政府側といたしましては、検討をしてまいりますということを申し上げてまいりました。それに関連して、それぞれの委員会で附帯決議として、この満−日の問題については制限撤廃をすべきであるという御意見が出ておるわけでございます。そういう意味で検討の段階の中で当恩給審議会結論が出されましたので、そこで政府側としては、いわゆる当審議会結論が適当でないという返事を出されておるというところに政府側考え方のよりどころがきまってまいろうか、かように考えております。
  140. 大出俊

    大出委員 ということになると、これはそうなれば当委員会が処理する以外に道はない。これは大蔵省の方も、当時恩給審議会審議中だからということが——最終的にこれは、私はまとまると思って、そこまでにしたのでありますが、何カ月かおくれてという趣旨のことだったですね。十月からということになれば一月からという話があった。私もそう理解をした。ところがいま聞いてみると、その間に、恩給審議会審議過程であったから、こういうわけなんですね。これは理由にならぬ。あなたをあまり詰めてもしようがないのですが、理由にならぬわけですね、いまの答弁は。なぜならば、恩給審議会は、恩給全般の——たいへん御足労だったのですが、そこにおいでをいただいたわけですが、三つに分けまして、締めくくりの一つを入れて、四つに分けて恩給というものを審議会は検討した。そうすると、ある時点で三十五億五千五百万なり、全部で四十億五千五百万、援護費が入っておりますから、厚生省関係が五億ありますから。これらのこともその大半が、調整規定も含めまして審議会の検討事項なんですね、恩給というのは。だからこそ大蔵省の方々は、すべて審議会の検討事項であるからというので、もともとあそこで恩給予算を組むことに不賛成だったはずなんですね、新聞の伝えるところによれば。そこのところをまず明らかにしていただきたい。
  141. 辻敬一

    ○辻説明員 予算編成当時恩給審議会の御審議中でございまして、まだ最終的結論を得るに至っていなかったことは御指摘のとおりでございます。しかし四十二年度におきまして、恩給の年額の調整をいたしました趣旨は、四十二年度に中間答申趣旨に従いまして、それにもとらない範囲内において改善措置を講じた、こういうことでございます。
  142. 大出俊

    大出委員 おかしな話を承りますが、中間答申というのは何回出ましたか。
  143. 辻敬一

    ○辻説明員 四十一年の十一月二十九日に中間答申があったように承知いたしております。
  144. 大出俊

    大出委員 その中間答申を受けて昨年恩給改定をしたのです。そうでしょう。そうすると、予算編成が終わって、三月末までに審議会答申をすることは明らかになっておった。二年間ということだったから、二年間ほっておけないので、審議会をつくるときに私はここで条件をつけた。だから、中間で審議会はものを言えと言った。そこでものを言った。それは処理をしたのです。そうすると、いまお話しのとおり、四十一年十一月の中間答申なんですから、そのあとでもう一ぺん中間答申が出たのじゃない。これは間違いなく政治的な配慮というものがあって、今日のこの恩給改定につながる予算措置が行なわれたはずなんです。そうだとすると、それは審議会の検討事項なんです。何も満−日ケースのみが審議会の検討事項じゃない。その中で満−日ケースは審議会の検討事項だからということで、そのほかは予算を認めますというなら、これは筋が通らない、こういう筋書きになるのですね、筋道は。この点だけはお認め願っておきたい。時にいろいろな政治情勢がありますから、無理を申し上げる気はない。
  145. 辻敬一

    ○辻説明員 四十一年十一月の中間答申におきましては、「政府が、将来の調整規定運用を妨げない限度において、」「昭和二十六年を基準点とし、その後の消費水準の伸びを考慮して」「適当と考え恩給の増額措置を行なうことが望ましい」ということになっておりまして、これによりまして四十二年度に調整を行なったことは御指摘のとおりでございますが、その後四十一年、四十二年におきましても、消費者物価の伸び等もございますので、先ほど申し上げました中間答申趣旨にもとらない範囲内において今回の改善措置をとったわけでございます。
  146. 大出俊

    大出委員 当初大蔵省は、一生懸命恩給審議会審議中だからといって全額拒否をしている、これはもう隠れもない事実です。私も話しをしたのですから。頼まれたのですから。野党がまっこうから反対だというのじゃ困るんだということが大蔵省側の拒否理由になったというので、野党の側が賛成だと一言声をかけろというので、だから私はその間の事情をみんな知っている。それをここであなたにそこから先答えさせようと思いません。うなずいておられるからいいんですけれども、そういったデリケートな事情があって、今日恩給の改正案になっている。だから、そういうことになるとすれば筋道として、満−日ケースは審議中であったから、あれだけは特に除いたんだということにはならぬのですね。もしも審議会がこの満−日ケースについては拒否回答を出すんだということがわかっておってというのだとすれば、なお事件はたいへんなことになる。だからそうではないんだと思う。そうだとすれば、それは理由にならない。だから今日まで来ると、そういう意味では十分理由があることですから、私どもの機関、この委員会でいずれこれを処理をしなければならぬ問題になる、こういうふうに思うのですが、各党の皆さんにひとつ御論議をいただいて、附帯決議の趣旨に従って処理するという方向で、私は理事会その他で御相談をいただきたい、こういう問題をこの際提起をいたしておきたいと思うわけであります。  どうもたいへん長くお待たせしまして恐縮でございました。
  147. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 先ほど御質問がございました目症者の該当者でございますが、調べましたところ約五万人でございます。
  148. 大出俊

    大出委員 わかりました。  それでは次に、少し急いでものを申し上げますが、「外国政府職員等の抑留または留用された期間の通算に関する問題」というのが一つございます。満−日ケースは、先ほど申し上げたとおり、あとでひとつ処理をさせる努力をお願いいたしたいと思います。  これは八月八日にソ連が参戦をしたこの日で区切って抑留期間を公務員は見てきた。軍人は二倍でしたかね。こうなっているわけです。この外国政府職員の抑留、留用された期間を公務員期間に通算するかどうか、こういう問題だと思うのです。これは結果的によかろうという結論のようですが、ちょっとここのところを説明してください。
  149. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 そのとおりでございます。
  150. 大出俊

    大出委員 確認だけしておきたかったわけであります。  次に、「普通恩給権を得て外国政府職員等となった者の通算に関する問題」。日本で普通恩給をもらっていた、満州につとめた、その場合、これはもらっちゃっていた人の通算をしない、こういうわけですね。これは前に私は、返還なら返還という方法をとってやれという意見を述べましたが、さっきのこの例にも反論の中にもありましたが、これは何とかしょうということのように思いますけれども、ところで返還の方法その他はどうでしょうか。
  151. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 これは、旧来はもう恩給をもらって行かれた人だからという意味で、それを見ない、ことにいたしておりましたが、今回はこれを見ることにいたして、そして通算をしてまいりますので、今度はその間の旧来受けられた恩給についてはその額を一応調整していく、かようなことになろうかと存じます。
  152. 大出俊

    大出委員 それから、「外国政府職員等の在職期間を通算する場合の昭和二十年八月八日まで在職したという要件に関する問題」、これは八月七日でやめたらだめなんですね。ここらあたりのところは、具体的に言えばだいぶん問題がある。簡単でけっこうですけれども、これは論議をされたところではないかと思うのでありますが、どういうことになっておりますか。
  153. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 一応いろいろな論議の末、八月八日というソ連参戦の日をけじめにいたしまして、こういう措置旧来とってきておるわけでございます。軍人等につきまして、そのときに、たとえば、八月七日に応召になるというふうな場合に問題が存する。しかし、この人たちは、旧来のわれわれの調べた例では、大体身分を継続しながら行っておりますので、たいていの人はそれで救われていると思います。したがって、八月八日ということの制限はそのままにいたしましても問題はなかろう、かようなことでこういう結論が出たわけでございます。
  154. 大出俊

    大出委員 大部分はとおっしゃる限り、少しはというのが出てくるはずでありまして、その少しはの方が気の毒だから取り上げているわけです。私自身もそうなのでありますけれども、私も召集を食って出かけたほうなのですが、当時は帰ってきましょうといって出ていく人は少ないのであります。私も官庁に籍があって出征をしたのですけれども、籍を抜いて出かけていったわけですよ。そういうケースが当時たくさんあった。ということは、主任なら主任のポストで籍がありますと、この人は兵隊に応召したのだからということであけておくということになる。そうすると、そこで困ったことが起こるというのでやめて出ていく。そうすると、あとの人は非常に助かるということになる。あと補充もできますし、そういうことが実はございましたから、そういう意味では籍を抜けていったのもずいぶんあり、抜くと言わないで行って、本人の意思にかかわらず抜けたのもある。後段のほうになりますと、そういう例が幾つもございまして、こういう実例は私どもの関係の省の中でもたくさん見たり聞いたり、戦後直したりしてきた経験がございます。したがって、そういうのは全く顧みられないということになってしまう。これはまことに不合理ではないか、たいへんおかしなことだという気がするのでありますが、いかがですか。
  155. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 私たちの調査ではたぶんこれについては問題がなかろうかというふうに実は事務当局としては考えておったわけでございますが、いまのような例がございますれば、十分に検討さしていただくというふうにしたいと思います。
  156. 大出俊

    大出委員 いま私があげたようなケースがあるとすればというお話なんですが、現に私自身がそうなんでありますから、あるのであります。ただ、私は士官学校の先生をやっておりましたから、外地に行かなかったということでありますけれども、そういうケースは幾つもあるわけでありまして、したがって、やはりこの点はもう少しお調べいただきたい。たくさんのケースでなければ、答申がこうであろうとやりようは幾らでもあるだろうと思うのであります。八月八日というソ連の参戦の日を持ち出したこと自体が一つ問題があると思うのです。これは言いたくないのですけれども、岸さんが総理のときに、あの人はかつて二年満州におられたということもあって、二キ三スケというような時代もありましたから、縁が深いのでしょうけれども、満州のやつは見ろということになって、これは見ることになってしまってから、恩給局大あわてにあわてて八月八日なる参戦の日を持ち出したという歴史過程があるのですから、矛盾があるのはあたりまえです。だからその矛盾がある限りは私はこれを直していただきたい、御調査をいただきたい。いかがですか。
  157. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 十分調査します。
  158. 大出俊

    大出委員 次に、「外国政府職員等の在職期間を通算する場合のこれらの職員となるため公務員退職したという要件に関する問題」ここのところはいろいろ問題があるのですけれども、まずひとつこれはどういうことが理由になったのか。
  159. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この問題は、たとえば関東軍におられて、それから満州国政府に移られた、この場合に、引き続きの問題は必ずしも明確でない場合がある。そこでそういう場合は結局なるために行かれたということが推認できるような事案が多いので、そういうものは見たらいいじゃないか、こういう結論でございます。
  160. 大出俊

    大出委員 これは「事実上外国政府職員等となるため公務員退職したものと認められる事例については、通算措置を講ずるよう配慮すべきである。」という条件がついておりますからね。これはどうせ一言、おまえ行けというようなことを言ったのでやめたとか、あるいは満州開拓の青雲の志を抱いて出かけたとか、意気に感じて大陸に行ったとか、いろいろなケースがあると思うのです。それをいまこの条件でいきますと、あなたは上司から言われたのですか、あなたは青雲の志の口ですかと聞かなければいけないわけですね。こういう条件がつくと、法律ができたときに、申請が出た場合にですね。そういうややこしいことになるのです。この種の日−満ケースもいろいろなケースがあると思うのですが、これはあまりこういう条件は付さないということでいいのじゃないかと思うのです。いかがですか。
  161. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 やはり恩給公務員として考える場合には、何がしかのそういう条件がつかなければ困りますので、そこでこれは立法化いうことよりも制度運用面考えていく、かようなことで措置をしていきたいと思っております。
  162. 大出俊

    大出委員 ということならばその点はよくわかりますので、冒頭に申しましたように、なるべく幅広く救えるものは救うという——確かに恩給と結びつかないものは困りますけれども、そういう立場に立った運用をお願いしたいと思います。  それから「外国政府職員として公務死した者の遺族に対する公務扶助料の支給に関する問題」、こういうことであります。これは私は非常に大きい問題があるように思うわけです。これは少し機械的過ぎはせぬかという気がするのであります。仏さまに聞かなければわかりませんということでは事済まぬのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  163. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かにこの方々は非常にお気の毒だと思うのです。しかし、外国政府職員そのものでおられた方は、やはり恩給対象の方々ではなかったものでありますから、そこで、通算関係の対象としては見てまいりますけれども、遺族にまで及ぼすというのは本来の公務員制度を曲げることになるのじゃなかろうかという懸念から、かような結論を出されたわけでございます。
  164. 大出俊

    大出委員 この点は別な拾い方はないかという気もするのですがね。建設省の満州国の事務所長をやっておられた方で、匪賊の討伐をやってびっこになった、この当時の満州国の恩給制度に基づいて傷病恩給を、証書を持ってもらっていたわけですね。これが時の変動で満州国がなくなったわけでありますから、たまたま日本の官庁に帰ってくれば別ですけれども、そうでなければその証書はそれっきりになってしまって、相変わらずどうもからだが悪いというようなケースがあるのですけれども、これは、死んだ人もだめだというのだから、生きているのだからなおだめだということになってしまうのですね。死んだ人の場合だって、どうやって死んだかわからない、仏さまに聞いてくれということになってしまう。だから、これはそう簡単に割り切ってしまっていいのかどうかという気がする。拾えば拾えるのではないかという気がする。あるいは別な方法も必要になるのではないかという気もする。したがいまして、これらの問題は、いま提起されている理由はわかりますから、それらのところを、もう少し時間をかけて、いろいろなケースをながめていただいてひとつ御検討いただきたいと思う。  それから「旧北支新民会および在外国策会社等の職員期間の通算に関する問題」です。これは、旧北支新民会というのを入れますと、これはだめだ、こう簡単に言ってみても、実は当時の記録があるのです。記録といいますか、「外国政府・外国特殊法人・外国特殊機関の職員の在職期間についての恩給法上のとり扱いについて」の一番最後ですね。第四十六国会における改正。昭和三十九年ですから、最近なんですね。法律百五十一号。「次の外国特殊機関の(政令で指定)の職員となるため、普通恩給所要年限未満で恩給公務員(既存の法律によって認められている外国政府職員、外国特殊法人職員を含む)を退職した者が終戦時まで当該外国特殊機関職員として在職していた場合には、その職員期間を恩給公務員期間に通算することとした。」「政令指定の外国特殊機関」ここに問題があるのですね。「1、旧満州開拓義勇隊訓練機関」「2、旧満州協和会」「3、旧上海共同祖界工部局」こういうことなんですね。これでいきますと、旧満州協和会というのは、日本でいえば大政翼賛会みたいなものですね。戦争協力機関です。そうすると、旧大政翼賛会と同等のものを旧満州協和会ということで、政令指定の外国特殊機関として認めたのですね。そうなると、ここにある、つまり旧北支新民会、旧北支那開発株式会社、旧満州農産公社、旧満洲拓殖公社、以下ずっとありますね。これらも関連は出てくるのですね、これを入れておりますからなおのこと。いまさらこれは切るわけにいかぬでしょう。そうすると、これらの関係はどうなのですか。権衡を欠きますよ。
  165. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 広げていけばどこまで広がるかということでございますが、協和会を認めるときには、協和会の職制が非常にはっきりしておりまして、その内容からして恩給公務員として是認したほうがよろしいということで、いわゆる特殊法人と特殊機関という分け方をいたしまして、特殊法人というものは比較的厚くした。それから特殊機関といわれる協和会などは、それからすれば若干の制限を付した形で是認するというのが、いまお読み上げのときの立法の趣旨であったわけであります。それと比べますと、実はここに出ております北支新民会等はその点が非常に不明確でございまして、またそこに理由としてあげられたように、同種国策会社というのはどこにもありましたので、それを一方では恩給公務員として見ておりませんので、それとの関連上もこれを是認するということには問題がある、かような結論に相なっておるわけでございます。
  166. 大出俊

    大出委員 この種の旧会社等に関係のあった方々がもし一つの団体という形でお集まりになるようだとすると、それほどの方々がおらなければ別でありますが、もしそうだとすると、これは今後新しい運動が起こってもいけないとはいえない一つの根拠がいまの協和会にある。どこまではっきりしていたかということは見方でありますから、したがってその点についてはやはりそう簡単に切り捨てておくというわけにもいかない。広げるものはどこまで広げるかということとつながる。それは冒頭に私は申し上げておるのです。したがって、どこから切るかという問題が出てくるわけでありますから、これが一つのけじめだとすれば、そのけじめをつかむものの一つであろう、こういうふうに実は私は思うわけであります。したがって、そこらのとともひとつ御検討いただきたい問題だ、こういう気がいたします。いまの点は意見だけ申し上げておきます。  それから、「満鉄社員に対する恩給に関する問題、」これははっきりしていると思うのでありますけれども、日−満だとかあるいは日−満−日、満−日を見るならば、満鉄につとめておった人、これは満州電電も入るかもしれませんが、それも見ていいじゃないか、政府機関にすべきものをしなかったのですから、国策会社なのだから。これこそはっきりし過ぎているくらいはっきりしているのです。当時の歴史を読みますと、満州国政府自体がやろうか、日本がやろうかと考えたのだけれども、国際的な関係で会社をつくったということでありますから、それを見ろ、こういう意味だと思うのでありますけれども、これはそういうことでありますか。
  167. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 満鉄オンリーの方については、実はこの結論としては残念ながら認めにくい、かように考えます。
  168. 大出俊

    大出委員 実は私、これはずいぶんこまかく申し上げてまいりましたが、さっき申し上げましたように、お聞きいただいておわかりになると思うのですけれども、すらっとこれを読んだだけでは残念ながら何をどう書いているのかさっぱりわからぬのですね。君がそれは不勉強なのだからしかたがないじゃないかと言われればそうかもしれませんが、相当関心の強い方がたくさんおって、私のところにも答申なるものを何とか送ってくれというのがずいぶんあるのです、私が恩給を手がけているせいもありましょうが。ところが、これを送ってやっても世の中の諸君にはわからぬのですよ。だからせめて私が一項ずつ質問申し上げてお答えをいただいて、議事録ができ上がれば読めばわかるだろう、こう実は思って、なおかつ各項に意見がありますのでやってまいりましたが、こんな時間になりましてたいへん恐縮でございますが、ただいま民社党の受田委員のほうからも先ほどの満−日ケース等に関しての御意見がおありになるそうでございまして、これは理事会の運営のしかたからいきましても、関係の党で御相談をいただくのには御発言を賜わっておくのが当然でございますので、私ばかりが発言しておるわけにはまいりません。しかし、あと残ったところには看護婦さん、日赤というところにおるがゆえにこうなっているとか、戦犯の方あるいは追放関係の方等々の問題など、だいぶ大きな問題もあります。それから教育職員の問題等があります。したがいまして、中には、御主人が働いておって奥さんが働いておる、両方学校の先生だという場合に、御主人のほうがなくなったという場合なら問題はないのでありますが、奥さんのほうがなくなった場合に、つまり御主人が遺族として何がしかの恩給をもらうというケースなんかについてはだいぶ条件がついているのですね。これは公務員法上男女平等の原則がございまして、いまさらここで実質的にどうのこうのなんて妙なことをいっておる面もあります。これは日本の皇室典範が、皇位継承権は女性にはないなどというばかなことになっている国でありますから、考え方としてはあるいはやむを得ないのかもしれません。しかし、そういう問題がたくさんありますので、たいへん恐縮でございますが、いままで申し上げたのが大部分でありまして、残りのほうが数少ないのでありますから、ひとつあらためて火曜日にでも締めくくりをさせていただきたい。この点をつけ加えて申し上げまして、受田さんのほうとかわりたいと思います。時間の関係で途中で打ち切らしていただきたいと思います。  たいへんどうもありがとうございました。
  169. 三池信

    ○三池委員長 受田新吉君。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 このたびの恩給審議会答申の中にうたわれている外国政府職員または外国特殊法人職員としての通算措置に関する幾つかの問題だけをきょうは取り上げてお尋ねを申し上げたいと思います。  外国政府職員とうたわれている外国政府、これは日本のかいらい政権と申されていた満州国政府、蒙疆、南京政府、そのほかにありますかどうか、お尋ねを申し上げます。同時に、外国の特殊法人と称せられて日本の国家目的に合致した九つの特殊法人、満鉄、華北交通あるいは華中鉄道でしたか、そういうような九つの法人、これ以外に問題のものがあるのかないのか、実際はこの審議会でこれ以外のものが討議されたかどうか、お答えを願いたいのです。
  171. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 いわゆる外国政府等ということであらわされます問題点は、外国政府と称せられる満州国政府その他蒙疆関係政府職員であった人たち、それから特殊法人としての満鉄等これに類する機関の職員、それから先ほど来申し上げておりますような協和会等の特殊機関職員及びそれに類型を同じくするじゃないかという御主張でいろいろな問題が出ておりますので、これは先ほど課題になりました新民会その他国策会社関係、かような点につきましても審議会で現に提起をされている課題はすべて論議の対象にする、かような状態で進んでおります。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 一例を満州国にとりますと、満州国は日本がつくった政府である、これはもう当時及び今日において世界周知のことであります。したがって、満州国には、大臣は向こう様の人がおっても、次官以下はこちらの人が全部——こちらの意図でつくられた政府だけに、職員は日本の政府と同じような形のものであった。したがって、関東軍司令官もおれば駐満大使もおる。そういうものの実権は、満州国皇帝陛下の向こうのお役人を実質的に指揮命令をしてきた。これは周知のとおりであります。そうすると、戦争中の末期に、南方に司政官というのが出た。まつろわぬ者どもをまつろわすために司政官が出た。それと同じ仕事を満州でやっておったとするならば、一方は司政官で赴任した、一方は満州国の職員として採用されたという者の間には、実質的な相違は私はないと思うのですが、いかがでしょうか。
  173. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 これまで論議が繰り返されてきた点でございますが、司政官の場合と同じ条件になりますのは、いわゆる日−満とか日−満−日の場合が一般的に類似のケースだと思われます。ただ、満州国政府というものをどういうふうに見ていくかという点でいろいろ論議がございまして、やはり当時の恩給制度及び今日の恩給制度の中で考え立場からいきますと、恩給的にはそのものずばりというふうな考え方で評価しにくい.そういうところから、これまでは、最初から満州国政府あるいは満鉄にお入りになった方は、いわゆる制限の付せられた形で資格を見ていこう、これがいわゆる戦後処理の精一ぱいのやり方だということで今日までやられてまいったわけでございますが、しかし御論議が非常に実は繰り返されてまいりまして、その間でそういう考え方をとるときに、一体均衡上それを日−満とどう区分できるのかという論議がございました。そこに私たちも検討の課題が存しますということを申し上げてまいったわけでございます。しかし恩給審議会でかような答申が出てまいりまして、どのように考えるかというふうな点がおそらく御論議中心であろうと考えられます。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 すでに、日−満−日というコースをたどった方々には、十年以上前にこの通算措置の特典が付与されておる。そのときにも私お尋ねをして、日−満−日を通算する以上は、日−満も、あるいは満−日も同じ条件でやればいいのではないかということを、きょう私が申し上げておると同じような形で、外国政府すなわちかいらい政府は日本がつくった政府であって、そこの公務員は日本の命令で動いた公務員という意味で、かってに、そこへ就職させてくれというような簡単なことではなかったという趣旨を十年以上前からずっと私は述べておる。だから満州国、満鉄、こういうものは日本の内部における者と同等に見ていい性格である。駐満大使あるいは関東軍司令官の命令によって宣誓をし、そしてそれによって公務を執行した、こういう形でありまするから、国家の公務を執行した責任者としては同じ立場に置くべきである。ただ、いま局長が言ったように、制限をせられたというととろに、何かこう奥歯にもののはさまったような印象を御答弁でいただいておったのでございますが、満−日の場合に最小限の恩給年限に達する者を認めた以上は、これはもう当然その性格からいって、日−満であろうと日−満−日であろうと満−日であろうと、同じ観点でこれを論ずるべきものである。私もそれを終始考えておりましたけれども、答申にそれがはずされていたということをはなはだ奇異に感じたわけなんです。しかし、これは恩給局長さんを中心政府から出た幹事役の方々の圧力ではなくして、審議会そのものがきめたということでございまするから何をかいわんやと思うのでございます。政府としては、私がいま指摘した日−満−日あるいは日−満、さらに満−日というコースは公務執行の基本問題として同一視すべきであるという観念については、局長さん、いまの公務執行上の宣誓並びにその性格等を判断するときに、これはかいらい政権であったがゆえに、向こうの意図はもうほとんど看板だけ置いてあるだけで、実質的にはこっちがやったという意味においては同じに見ていただくべきではないかと思うのです。恩給局長さんとしては、従来の恩給のたてまえからの議論でたいへんお苦しいであろうと思いますけれども、その政府のかっこうというものは私がいま論述したようなかっこうでお認めいただけませんかね。
  175. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は満州国政府という例をおあげいただきますと、いま御指摘のような非常に近い、あるいはもう日本政府とほとんど格差がないくらいに——かいらいというおことばを述べられましたけれども、非常に近いじゃないかということでよくわかるのですが、なお、これは満州国政府と満鉄を同じに扱っておりますし、関係の諸機関というものを考えてまいりますと、ぴたりそのものだということが非常に言いにくい点がございますし、したがって、旧来実は満−日がまるっきり措置されていないのではなくて、ある程度これを最短資格年限まで見るということを言っておりまして、その措置は、日−満あるいは日−満−日との均衡的な一つ立場で、まずそれくらいが適当ではなかろうか、かようなことを旧来政府側はとってきておりまして、実は当委員会の附帯決議もあり、また片や審議会答申も出ておるというところに非常に御答弁申し上げにくい線がございますので、御了承いただきたいと存じます。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 おしまいですが、満鉄から国内に帰られた職員はいまちょうど退職盛りであるという意味で、この国会の附帯決議の実施の一日もすみやかならんことを期待しておるという段階、そしてその退職金におきましても大きな開きができておるという意味で、もう戦争が終わったという観点からは、この問題の処理は、国内でずっと勤務した人も、外国から帰られてこちらで勤務を続けられた人も平等の原則、戦争犠牲公平負担の原則を尊重するという意味からも、恩給法のたてまえからいっては異例ではあろうが、多少忍びないものがあろうが、性格的には平等であるという意味から、私はこの国会の附帯決議もできておることを確信しておるのでございます。いま非常に含みのある御発言をいただいたのでございますが、私が指摘した問題も含めまして、最後に御意見を伺って私の質問を終わります。
  177. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この問題はいずれにいたしましても戦後処理の問題でございますので、戦後処理の限界をどのように考えるかという点に国会の御論議の点もございますし、また政府側の従来答えてきた態度もそこから出発いたしておりまするので、そこらの点のかね合いをどのように考えるかという点に課題があるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  178. 三池信

    ○三池委員長 本会議散会後再開することとし、休憩いたします。    午後一時五十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕