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1968-04-18 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年四月十八日(木曜日) 午前十時四十七分
開議
出席委員
委員長
三池
信君
理事
浦野
幸男
君
理事
塚田 徹君
理事
藤尾 正行君
理事
大出
俊君
理事
木原 実君
理事
受田 新吉君 内海 英男君 桂木 鉄夫君 菊池 義郎君 塩谷 一夫君 野呂 恭一君 淡谷
悠藏
君
武部
文君 浜田 光人君
伊藤惣
助丸君 鈴切
康雄
君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
総理府総務長
官) 田中 龍夫君 国 務 大 臣 (
行政管理庁長
官) 木村 武雄君
出席政府委員
総理府恩給局長
矢倉
一郎
君
総理府青少年局
長 安嶋 彌君
委員外
の
出席者
参 考 人 (元
恩給審議会
会長
)
新居善太郎
君 専 門 員 茨木 純一君
—————————————
四月十七日
委員武部文
君及び
華山親義
君
辞任
につき、その
補欠
として
江田三郎
君及び
栗林三郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員江田三郎
君及び
栗林三郎
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
武部文
君及び
華山親義
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十八日
委員渡部一郎
君
辞任
につき、その
補欠
として鈴
切康雄
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
四月十六日 旧
陸海軍等
の
爆発物
の
爆発
による
被害者等
に対 する
見舞金
の
支給
に関する
法律案
(
岡田利春
君 外十一名
提出
、
衆法
第二二号) 同月十八日
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
第一三号) 同月十六日
王子野戦病院
の
開設反対
に関する
請願外
四件 (
河野密
君
紹介
)(第三九九六号) 同外四件(
河野密
君
紹介
)(第四〇六四号) 同外二件(
河野密
君
紹介
)(第四〇八九号) 国及び
地方公共団体建設関係職員
に
現場手当支
給に関する
請願
(
小川平二
君
紹介
)(第四〇三 四号) 同(
浦野幸男
君
紹介
)(第四〇八八号)
金鵄勲章受章者
の
処遇
に関する
請願
(
久野忠治
君
紹介
)(第四〇三五号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
恩給法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 五四号) 許可、
認可等
の整理に関する
法律案
(
内閣提出
第九五号)
行政機構
の
簡素化等
のための
総理府設置法等
の 一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一〇号) ————◇—————
三池信
1
○
三池委員長
これより
会議
を開きます。
恩給法等
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、審査を進めます。 本日は
参考人
として元
恩給審議会会長新居善太郎
君の御
出席
をお願いしておりますので、この際、三月二十五日
提出
されました
恩給審議会
の
答申
について御
説明
を聴取することといたします。
新居善太郎
君。
新居善太郎
2
○
新居参考人
新居
でございます。かぜのためにのどをちょっと痛めておるので、あるいはお聞き苦しい点があるかもしれませんが、あらかじめ御了承願います。
恩給審議会
は、かねて
諮問
せられておりました
恩給
問題についての
審議会
の
処理意見
を去る三月二十五日
政府
に
答申
いたしましたが、その
内容
及び
審議
の
経過
などにつきまして
概略
説明
させていただきます。
恩給審議会
は、
昭和
四十一年四月に設置され、その
委員
として私のほか
学識経験者
として九名の
委員
が任命され、同年五月十一日に
内閣総理大臣
から、
恩給
に関する
重要事項
について
貴会
の
意見
を求めるとの
諮問
を受けたのであります。
諮問
の
趣旨
としては、「戦後における
退職公務員
及びその
遺族
に対する
恩給
上の
処遇
につきましては、いわゆる
軍人恩給
の
廃止
ないしは復活あるいは
公務員給与
の
改定
に伴う
恩給年額
の
増額等戦前
には見られなかった
消長
と変遷を経てきました
関係
上、いろいろと
検討
を要する問題も多く、
さき
に
政府
は
昭和
三十二年に
臨時恩給等調査会
を設置し、同
調査会
の報告の線に沿って
恩給
問題の
解決
に
努力
してきたところであります。しかしながら、今なお
関係
諸
団体等
から
早期解決
を
要望
されている
問題点
は多数あり、
他方公務員
についての
共済年金制度
の
創設
、
社会保障制度
の
充実等諸般
の情勢の
変化
と相まって、
現行恩給制度
の
あり方
について
総合的見地
から根本的な再
検討
を必要とする時期にあるものと痛感いたす次第であります。本
審議会
におかれましては、これらの諸
事情
を十分に勘案され、適切な対策をお示しくださるようお願いいたします。」とあります。 自来、
審議会
は、本年三月二十五日まで二カ年間にわたり、四十三回
会議
を開き、その適切な
処理方策
について慎重に
調査審議
を重ねてまいりましたが、その
結論
を得るに至りましたので今回これを
答申
した次第であります。 一口に
恩給
問題と申しましても、これは戦後における社会的、
経済
的諸
事情
の
変動
や
恩給制度
の
改変
によって生じてきたものであり、実に広範な分野にわたる
事項
を含んでおり、その
内容
も
複雑多岐
なものが多いのであります。
審議会
で
審議
した
事項
は
恩給年額
の
調整
の問題をはじめ、約六十項目の個別問題についてでありましたが、
審議会
としては、これら多年
懸案
となっていた
事項
について、その影響するところの大小を問わず、そのすべてについて
解決
の
めど
となる
結論
を出し、これらの
問題処理
に区切りをつけようとつとめた次第であります。 これら
恩給
問題の
審議
にあたっては、まず、問題のよってきた
背景
との関連において正しく問題を認識しておく必要がありますので、
答申前文
においてこの
事情
を述べておる次第であります。 すなわち、
恩給
問題について第一にあげられますものは、
恩給年額
の
調整
の問題であります。これは
経済事情
の
変動
、
社会状況
の
変化
に際して
恩給
の
価値
をどう維持していくか、ということであります。言葉をかえていえば、
物価
の
上昇
、
公務員給与
の
改善
、
国民
の
生活水準
の
向上
など
経済
的、社会的諸環境の著しい
変動
の中にあって
恩給年額
の
価値
をどう維持していくかということであり、これは
恩給
についての基本的な問題であります。この点につきましては、
政府
におかれましても、過去数回にわたって
恩給年額
の
増額改定
を行なってきたところでありますし、また本
審議会
においても
昭和
四十一年十一月に
恩給
の
増額
は緊急に
措置
すべきものと判断いたしましたので、「当面の
暫定措置
として、
政府
が、将来の
調整規定
の
運用
を妨げない限度において、適当と考える
恩給
の
増額措置
を行なうことが望ましい、」という
中間答申
を行ない、これによりまして
政府
では
所要
の
改善措置
をとられたところであります。
審議会
では、この問題については
昭和
四十一年の
法律改正
により設けられた
恩給年額
のいわゆる
調整規定
を具体的にどう
運用
するかについて
審議
したところでありますが、これは
審議会
に課せられた重大な
課題
でありました。
恩給
問題の第二は、
昭和
二十一年に
廃止
され同二十八年に再発足した
軍人恩給
をめぐる諸問題であります。この再発足した
軍人恩給
は、
戦前
の
制度
に相当な
改変
を加えたものであり、その後の
改正
もそのときどきの
社会的要請
に沿って
改正
せられたものでありますが、このような
消長
を経てきた
関係
上、この
制度
をめぐって今日においても多くの問題があるわけであります。
恩給
問題の第三は、
満蒙
など
外国政府職員等
、
琉球政府職員
、
海外抑留者
、いわゆる
戦犯者
、
追放者
などを
恩給
上どう
処遇
するかということで、
終戦
によってもたらされた
特殊事情
に起因する問題であります。これまでもこの問題については、
政府
におかれて
各種
の
措置
を講じてきておりますが、なお、未
解決
の問題が残されていたわけであります。 ところで、これらの問題を
審議
するにあたり、
恩給
の
理念
とするところは何かということを考えてみたわけであります。
恩給
は、
公務員
が長年
公務
に従事して
老齢
となり、また
公務
により
傷病
にかかり、
退職
あるいは死亡した場合に国のために他を顧みることなくその
職務
に忠実に専念したことに対して、
公務員本人
あるいはその
遺族
に国がかつての
使用者
の
立場
から、その適当な
生活
を維持するために
支給
するものであると考えたわけであります。したがって、まず、
恩給
問題は当然この
理念
に照らして見ていくことが必要であると考えました。一方、
公務員
の
共済年金制度
の
創設
、
各種
の
社会保障制度
の整備など他の社会的諸
制度
の
改変
は、
恩給制度
の
あり方
を考える場合において考慮すべきものでありますし、また
社会的要請
に沿って問題を見直すという
配慮
が必要なわけであります。さらに、ここで忘れてはならないこととして、
恩給受給者
の置かれております特殊な
事情
というものがございます。現在、約三百万人の
恩給受給者
がおりますが、このうち
遺族
、
傷病者
、
老齢者
が多数を占め、これらの人々にとっては、
恩給
問題は日々の
生活
に直結するきわめて切実な問題であることを考慮すると、その
早期解決
の
緊急性
を痛感する次第であります。
審議会
では、これらの
事情
を十分に認識した上で
審議
に当たりましたが、この点については、
昭和
四十一年十月に東京において
恩給関係
の諸
団体
の
代表者
から、詳細にその
要望
を聴取しましたが、さらに、また翌年七月から八月にかけて福岡市をはじめ全国八都市において、
地方在住
の
恩給受給者
から直接その
要望
を聞くなどして、
審議
が現実に離れたものとならないようにつとめたところであります。 以上述べましたように、
恩給
本来の
理念
、社会的な
要請
、
恩給受給者
の置かれている
事情
などいろいろな
観点
からこの問題を考え、客観的な
立場
で
恩給
問題の
解決策
として、適正な
結論
を出すことにつとめましたので、この
答申
の示すところは、
恩給
に関する多年の
懸案事項
を
解決
する
めど
となり得るものであると信ずるところであります。
審議会
としては、
政府
がこの
答申
の
趣旨
に沿い
国家財政
その他諸
施策
を
配慮
しながら、すみやかに善処されることを望むという
態度
を明らかにしたのであります。
概略
以上のことを
恩給
問題についての
審議会
の基本的な
態度
として
答申前文
にあらわした次第であります。 次に、
答申
は、この
前文
に続いて
調整規定
の具体的な
運用
と個別問題について
意見
を示しておりますので、以下
調整規定
の具体的な
運用
及び個別問題について御
説明
をいたします。 まず、
審議会
に課せられた重要な
課題
であった
恩給年額
の
調整
の問題について御
説明
をいたしますと、これは
恩給法
第二条の二の
恩給年額
の
調整規定
を具体的にどう
運用
していくかという問題であります。 この
規定
は、
恩給年額
について、
国民
の
生活水準
、
国家公務員
の
給与
、
物価
その他の諸
事情
に著しい
変動
が生じた場合には、
変動
後の諸
事情
を総合勘案してすみやかに
改定
の
措置
を講ずるというものであり、これをどう
運用
していくかということは、
恩給受給者
にとっては影響するところがすこぶる大きく、
恩給
の基本的な問題となっているものであります。 この
規定
にあります
国民
の
生活水準
、
国家公務員
の
給与
、
物価等
という
要件
を、
恩給年額
の
改定
にあたってどう勘案していくか、また、どのような
条件
のときに、いかなる
基準
で
改定
していくことが合理的であるかについて
審議
したわけであります。この場合の
考え方
としましては、
物価
特に
消費者物価
の
上昇
は
年金恩給
の
実質価値
を低下させ、
恩給受給者
の
生活
に直接的に影響を与えるということで、これを
調整
の
要因
として取り上げたわけであります。そして、
消費者物価
が著しく
上昇
したときには、それに応じて
恩給
の
実質価値
が維持されるように
恩給年額
を
改定
することが、
恩給年額調整
における不可欠の
要件
であるとしたのであります。 この場合、その
運用
にあたっては、
消費者物価
が五%以上
上昇
した場合には、それに応じて
恩給年額
を
改定
すべきものとし、将来におけるその
実効性
を確保するという
観点
から、これを
制度
化するなど
所要
の
措置
を講ずることが適当であるとしました。 以上申しましたとおり、
消費者物価
の
上昇
に応じて
恩給年額
の
改定
を行ない、その
実質価値
を維持することによって、
恩給年額
の
調整
については、ほぼその目的を達し得るとも考えられますが、
恩給法
第二条の二の
規定
にある
国家公務員
の
給与
及び
国民
の
生活水準
という
要件
についてみますと、
恩給受給者
はかつて
公務員
であった者またはその
遺族
であるということから、
国家公務員
の
給与
の
上昇
を勘案して
恩給年額
の
調整
をはかることが考えられますし、また、
経済
の
成長
に伴い、
国民
の
生活水準
が著しく
向上
した場合には、
恩給受給者
にもこれをある
程度
反映させて、その
生活内容
の
改善
をはかるような
恩給年額
の
調整
を行なうことも考えられるところでありますが、このように
国家公務員
の
給与
の
改善
あるいは
国民
の
生活水準
の
向上
に基づく
調整
は、
恩給受給者
にも
経済成長
の成果を均てんさせる
趣旨
からみて必要なことであると考えた次第であります。 以上のことから、
消費者物価
の
上昇
に応じて
恩給年額
の
改定
を行なっても、なお、
国家公務員
の
給与水準
と
恩給
との
格差
が著しく開いている場合には、それをある
程度
解消することにより
調整
することが望ましいと考えた次第であります。 ただし、
国家公務員
の
給与
の
上昇
が
国民
の
生活水準
の伸びを上回るような
事情
が生じた場合には、
国民
の
生活水準
の
推移
を考慮して
調整
することが適当であるとしました。そして、この
恩給年額調整
における
国家公務員
の
給与
の
上昇
あるいは
国民
の
生活水準
の
推移
に対する
配慮
については、他の
公的年金制度
その他国の諸
施策
との
均衡
を考慮することが必要であり、
消費者物価
の
上昇
に基づく
調整
の
補完的要因
として
政府
の合理的な判断によるべきものとした次第であります。 ところで、現在、
恩給受給者
の
年齢区分
により三本立ての
仮定俸給
の
制度
がとられており、また
遺族
、
傷病者
、
老齢者
を厚遇する
措置
もこれまでの
恩給年額
の
改定
においてとられてきていますが、これらの
措置
は、それぞれ
妥当性
が認められるところであり、また将来においてもこれらの
方々
を厚遇する
必要性
が生ずることも否定できないところでありますが、これら
厚遇措置
は
調整規定
の
運用
とは別の問題として考えることが適当であるとしました。これは、
調整規定
の適用による
恩給年額
の
調整
は、
恩給年額
の
改定
における最も基本的な
措置
であるので、
各種
の
恩給受給者
を区別しないで、一律に
調整
するのが必要だと考えたわけであります。 また、この
調整規定
を具体的に
運用
していくにあたっては、
経過措置
として、その
出発点
となる現在の
恩給額
を是正しておくことがぜひ必要であります。すなわち、
昭和
四十二年十月一日
改定
前の
仮定俸給
と
国家公務員
の
給与水準
との
格差
を
調整
の
基準
として示したところを参酌して、ある
程度
是正するという
措置
をとることが必要であります。その際、
現行
の
年齢区分
による三本立ての
仮定俸給
をも統合することが適当であるとした次第であります。 次に、
調整規定
の
運用
以外の
恩給
の個別問題につきましては、それぞれ
問題点
と
処理意見
を示しましたが、これらの内訳は、旧
文官関係
の問題、
軍人恩給関係
の問題、
最低保障額
に関する問題、
傷病恩給関係
の問題、
外国政府職員等
に関する問題、
琉球政府職員等
に関する問題、
特例扶助料関係
の問題、いわゆる
戦犯者
、
追放者
に関する問題などとなっております。 これらの問題につきましては、
審議会
においては
さき
に述べましたとおり、
恩給
の
本旨
にのっとり、
恩給受給者
の置かれている
特殊事情
を考慮し、
社会的要請
に沿った
均衡
の取れた適正な
解決策
を打ち出したものと信じております。ここでは、そのうちおもだったものについて
処理意見
を御
説明
いたします。 まず、
文官恩給
につきましては、
退職
時における
給与
と
在職年
によって
恩給年額
をきめていくというのが
恩給制度
の原則でありますので、
退職
時によって生じた
恩給年額
の
格差
については、これを是正しないことといたしましたが、
恩給制度
の全面的な切りかえがあった
昭和
二十三年七月一日前後の
退職者
の
恩給
については、当時における特殊な
事情等
を考慮し、
調査
の上、必要な
範囲
で是正することが適当であるとしました。
長期在職者
の
最低保障額
は、現在六万円、
遺族
については三万円となっていますが、これは、他の
公的年金制度
における
最低保障額
を参酌して、ある
程度
増額
することが必要であるとしました。
軍人恩給
につきましては、その
仮定俸給
を
文官
との
均衡
上必要な
範囲
で引き上げること、また、特別な
職務
に従事した方の
職務加算等
につきましては、
軍人恩給廃止
前に
裁定
を受けた方の場合には認められているので、
裁定
を受けていない方についてもこれを認めて、その間の不
均衡
を解消するのが適当であるとしました。なお、旧
軍人
の
方々
の
加算年
を
恩給年額
の基礎とすることについては、現在の
老齢者
、
遺族
にとられている
考え方
は適当であるという
意見
を示したところであります。 三年以上七年未満引き続き勤務された旧
軍人
の方の一時
恩給
については、下士官以上の方は
戦前
の
恩給法
においても認められていたところであり、また
文官
の一時
恩給
との
均衡
をも考慮いたしまして、これを
支給
するのが適当であるといたしましたが、兵のほうにつきましては、
戦前
においてもこれは認められていなかったことにかんがみまして、
現行どおり
とすべきものであるという
意見
を示したのであります。
傷病恩給
につきましては、特に
重症者
である
特別項症
の方に
支給
せられている
年額
は、第一項症の
年額
にその十分の五を加えたものとなっておりますが、第一項症以下の
増加恩給
の額の
割り増し率
との
均衡
を考えまして、これを十分の七
程度
にまで引き上げること、また
普通恩給
を
支給
せられている方の
傷病年金
につきましては、
傷病
の
程度
の軽いほうの
年額
が高くなるという点がありますので、
減額制
をとっていたのでありますが、これをある
程度
緩和すること、また
内地等
で
職務
に関連して負傷しあるいは罹病した方には、そのために死亡した方の
遺族
には
特例扶助料
が
支給
せられていることとの
均衡
を考慮いたしまして新しく
特例傷病恩給
を
支給
することなどを適当であるといたしました。なお、自
症程度
の軽い障害のある方に
年金
を
支給
するかどうかという件については、
支給
することは適当でないといたしました。また、第二項症以上の常時
介護
を要するような重い
傷病
を負っております方に
支給
せられております
介護手当
を第三項症以下の方にも
支給
するかどうかという件につきましては、
介護手当
を
支給
することは適当でないといたしました。
傷病恩給
及び
公務扶助料
につけられている
扶養家族加給
の額につきましては、
公務員給与
において
扶養手当
が引き上げられていることを考慮いたしまして、これを
増額
することが適当であるといたしました。
公務扶助料
につきましては、
昭和
十六年十二月八日以降
内地等
において
職務
に関連して死亡された旧
軍人等
の
遺族
の方に
支給
せられる
特例扶助料
の額をある
程度
引き上げるとともに、
支給条件
である死亡時期の制限を撤廃することなどを適当であるといたしました。なお、この
特例扶助料
の負傷、罹病の時期は
昭和
十六年十二月八日以降の
在職期間
内となっておりますが、これを
シナ事変
にまでさかのぼらせるということは適当でないということにいたしました。 次に、
琉球政府職員
については、
恩給法
上の
処遇
としては
本土公務員
と同様に扱うという
趣旨
のもとに、できるだけその
格差
を解消するという方向で
検討
していくこと、
海外
に抑留せられた者及びいわゆる
戦犯者
については、これは一個人の責任とはみなしがたい理由で、自由の拘束を受けていたのでありますから、必要な
改善措置
をとることなどが適当であるといたしました。また、
満蒙
など
外国政府職員等
であった方に対する
在職期間
の
通算措置
につきましては、
恩給
の
本旨
に沿いながら、
終戦
という
特殊事情
を考慮して必要な
範囲
においてその
通算
の
条件
を
廃止
し、または緩和するという
意見
を示しました。 以上、個別問題についてそのおもなところを
概略
御
説明
申し上げたわけでありますが、これらの問題の
処理意見
を出すにあたりましては、繰り返し申し上げましたとおり、
恩給
は
公務員
が永年
公務
に従事して
老齢
となり、または
公務
によって
傷病
にかかり、
退職
あるいは死亡した場合に、
公務員本人
またはその
遺族
の適当な
生活
を維持するものであるという
考え方
から
出発
しております。すなわち、
恩給
は
一般
の
勤労者
を
対象
とする
厚生年金
あるいは
一般
の
国民
を
対象
とする
国民年金
とはその
対象者
の点で異なり、また、同じ
公務員
を
対象
とするものでありましても、
保険数理
に基づく
共済年金制度
ともその
あり方
が異なっておるわけであります。また、
恩給受給者
の大多数は
遺族
、
傷病者
、
老齢者
で占めておるという
特殊事情
をわきまえて、前に述べましたとおりの
改善措置
をとることが望ましいとしておるわけであります。したがって、
恩給
問題については、できるだけすみやかに
審議会
の
答申
の線で
解決策
を講じてもらいたい、以上のように
答申
をした次第であります。
三池信
3
○
三池委員長
質疑の申し出がありますので、これを許します。
大出俊
君。
大出俊
4
○
大出委員
たいへん二年という
長期
の
期間
にわたって御
努力
いただきまして、実は本
委員会
が
恩給審議会
をつくって御
努力
をいただく旨の決定をいたしておりますので、その
意味
で、私も
委員
の一員として感謝申し上げる次第でございます。 そこで、まずこの基本になるべきものにつきまして、たいへんな御
努力
の上に
答申
をいただいているわけでありますけれども、なおかつこれからの
審議
の
参考
といたしまして、ぜひともお聞かせを賜わりたいというふうに考える点がございますので、承りたいわけであります。
調整規定
といわれるもの、つまり、
改正恩給法
の二条ノ二というのを御存じのとおりに挿入をしたわけでありますが本来これは、この
委員会
で
提案者
である
政府
の
諸君
と
論議
をいたしましたが、「
年金
タル
恩給
ノ
額ニ付テハ国民
ノ
生活水準
、
国家公務員
ノ
給与
、
物価其
ノ他ノ諸
事情ニ
著
シキ変動ガ生ジタル
場合
ニ於テハ変動
後ノ諸
事情
ヲ
総合勘案シ速ニ改定
ノ
措置ヲ講ズルモノトス
」こういうわけでありますけれども、これは一体どう
解釈
すべきものかという
論議
につきまして、
政府
の
諸君
のほうは
提案者
でありますから、本来ならば、提案した
法律案
の
解釈権
をお持ちでなければならなかったわけでありますが、実はこれをどう
解釈
したらいいかを
審議会
に
諮問
をするということになっていたわけであります。非常にこれは奇妙な話でありまして、
提案権
は
政府
にございますから、
法律案
を提案される、そこまではいいのでありますが、だとすれば、当然どう
解釈
をするかという
解釈権
が
政府側
になければならぬことになる。そこを質問したところが、それは
審議会
におまかせをするという、こういう実は筋の通らぬ
出発
になっていたわけであります。したがって、
諮問
の中身というのは、ここで
答弁
をしておられる
政府
の
諸君
の言い分が正しければ、間違いがなければ、つまりこの
解釈
のしかたを
諮問
したことになる、こう私どもは実は理解をしておるわけであります。そこで出てまいりましたのは、一つの
中心
としては、
物価
、つまり五%というところがポイントになっているというように考えるわけであります。そうなりますと、他の
公的年金等
との
関係
も出てまいりますので、おそらく
審議会
のお
立場
では、この
恩給法
といわれるもの、特に二条ノ二、これについて
審議
をしたのだという御
答弁
になりそうに思いますけれども、しかし、この
答申
全体をながめてみますと、
最低保障等
の問題の中でも、他の
公的年金
を勘案してという形の書き方も出ております。してみると、他の
公的年金
との
関係
を御
審議
はくださったのだろうと思いますが、そういう
意味
で、この
物価
、特に五%というところを
中心
におとりになった
背景
にあるいは
論議
の中に、他の
公的年金
との考え、あるいは他の
公的年金
との
関係
というものはどのようにお考えになっておられたかということですね。ここをひとつお聞かせを賜わりたいと思います。
新居善太郎
5
○
新居参考人
二条の二の
解釈
というふうなあらたまった
審議
のしかたは、正直のところいたしませんけれども、これは法律できまったものであるから、それをどう具体的に
運用
していくかということを
中心
に調べました。それで、他の
公的年金
と言いますけれども、他の
公的年金
と
恩給
との性格の違いというふうなことにも関連してくると思います。それで
恩給
は社会保障というものとは別個のものであるというふうな
考え方
で
審議
を進めましたが、しかし現実の問題といたしましては、他の
公的年金
の存在、またその何といいますか実際に発動せられる場合というふうなことも考慮の中に入れて
審議
を進めたというのが実情であろうと思います。
大出俊
6
○
大出委員
他の
公的年金
との性格の相違というお話がありますが、あわせてまた
解釈
というのではなくて、いかに
運用
をするかということを
中心
にいまお話がございましたが、これは当時の議事録にも残っておりまして、私が長時間質問したのであります。
政府
の皆さんの側は、
解釈権
がないのはおかしいじゃないか、こういう私の質問に対して、それは
審議会
で御
論議
をいただくのだ、こういう御
答弁
になっております。しかしこれは
政府
に私が言うべき筋合いでありまして、
審議会
の
会長
さんに申し上げる筋合いではありませんから、その
事情
がつまびらかになればいいわけでありまして、主としてこの
調整規定
をどう
運用
したらいいか、こういうお
立場
であったというわけでございますね。 そこでこの他の
公的年金
との性格の相違と、こう言うのでありますが、実は
恩給
が復活をいたしました段階で、特に
軍人恩給
を含みますけれども、すでにかつての
恩給
の態様というものからたいへんかけ離れまして、先般のこの
委員会
における私と矢倉
恩給
局長との間の
論議
でも、社会保障といっていい政策的分野が多分に今日の
恩給制度
の中には入ってきている、こういう点がたくさん見受けられるわけです。旧来の
恩給
の観念では
解釈
できない問題もたくさんある。これが今日の
事情
です。本来、
恩給
というものはあくまでも当時の所得が
中心
になるべきものですから、所得という概念、その減耗を補てんするという概念からすれば、七十五歳以上だとか七十歳以上だとか六十五歳以上だとかというような年齢的なものを入れてくるという高齢者優遇というものが正面から出てくるということは、かつての
恩給
にはない。ところが戦後の
事情
からすると、政策的にそういうものも入ってきている。今回の
答申
の中からいきますと、つまり年齢その他の優遇
措置
というものは、これは別個に考えるべきものであるというふうに皆さんのほうもお出しになっている。これは何かというと、実質的
価値
の保存ということを強調されるからそうなるわけなんですね。そうすると、明らかにかつての旧
恩給法
の時代とは性格、態様を異にしている、今日の状態はこういわなければならぬと思うわけであります。そこに他の
公的年金
との違いが当然出てくる。だからこそ奇妙なことでございますけれども、この
恩給法
の二条の二の中には
公務員給与
あるいは
物価
、こういうふうなものを
調整規定
の中に他の
公的年金
と言わないものを入れたわけですね。歴史的には逆なんですね。ほかの
公的年金
があった。ところが二条の二
調整規定
を入れるにあたって他との振り合いをいろいろ考えたときに、
恩給
の場合にはそこに多少の色がつかなければならぬ筋合いだということで、
物価
と
公務員給与
というものとを入れたわけですね、この
恩給法
の二条の二は。他の
公的年金
の
制度
の中にはそういうものはなかった。ところが、いみじくも今回の
審議会
がお出しになったのは、色がついた部分、
物価
と
公務員
の
給与
、これの中で色のついた部分を取り上げて、奇妙な話ですが
物価
が
中心
になった、
公務員給与
その他は補完的役割りということになった。つまり色のついた部分だけは、
運用
を
中心
に御
検討
の上で出てきたのでございますが、ここが実は他の
公的年金
との
関係
の面で、つまり結果的にそうなったわけでありますが、どういう
関係
の御
審議
をいただいたものかということが実は気になるわけであります。もちろん、それは二条の二の中に書いてあったから、こういうことかもしれません。しれませんが、基本的に
調整規定
の
運用
を御
検討
いただくならば、当然他の
公的年金
にないものが
公務員
恩給
の中には入っているわけでありますから、
恩給
の場合にはそこの
関係
というものが
論議
の
対象
になってしかるべきじゃないかというふうに思って質問いたしましたので、差しつかえなければもう少しその
関係
をお知らせいただきたいと思います。
新居善太郎
7
○
新居参考人
ただいま御質問の
趣旨
は、あるいは取り違えるかもしれませんけれども、色がついたというふうなことをどう理解するか、ちょっと理解しかねるのですけれども、私どもは二条の二に、あそこに明瞭に三つのことがあげられておりますから、その三つのことを一面においては法律に
規定
せられている事柄でありますから、それを尊重して、それをどう標準に持っていくかということが一つです。 それからいま一つは、そこにあげられておるばかりでなしに、
物価
特に
消費者物価
については、この
恩給
の
経済
的
価値
を維持するという点からいって一番適当な標準ではないかというふうな——ほかのほうも
検討
しました、
公務員給与
が上がったら、ずばりそれにと、あるいはずばりとまでいわなくても
生活
給に該当するものをとってやるということもあるんじゃないか、いろいろなことをやったのですけれども、しかしやはりその三つの要素の中には、お互いにオーバーラップしているものもありますから非常にむずかしいですね。それで結局は、少なくも
物価
というものの
上昇
ということに応じてこれを
改定
するということが不可欠の
要件
じゃないだろうかというふうに落ちつきました。しからば今度
公務員給与
の
上昇
あるいは
国民
の
生活水準
の
上昇
というものの二つはどうかといいますと、
公務員給与
の
上昇
ということはまあこれはとり方によっていろいろのとり方があるようですけれども、
公務員
または
遺族
はかつての
公務員
であって、しかもきびしい制限の上にもっぱら
公務
に専念して、
退職
後のことなどを考えている余裕はないというふうな
生活
をしておるのだというふうなこと、それが現在の
公務員
の相当の、また待遇が上がればそれも考えてもいいんじゃないか。しかし
物価
で主たる要素としてやっていますから、それで事足りるわけでありますが、そうやってもなおかつ現在の
公務員給与
との間に著しい違いがあれば、それをある
程度
反映させるというのは
恩給
の本来の性質からいっても適当ではなかろうかというふうなことで、
公務員
の
給与
の
上昇
というものを補完
要因
として、そういう場合に一つ考えるんだということ。 それからいま一つ、さればといって、あるいは
公務員
の
給与
は上がったけれども、その
背景
なりほかの
事情
との
関係
を考えると、
国民
の
生活水準
よりも非常にかけ離れて、今度
国家公務員
のほうが上がった場合に、
恩給
の受給者がそれに一緒にならわなければならぬということはどうであろうかというふうなことを考えますと、そのときには
国民
の
生活水準
というものを考慮していまの点を考えるべきだ、大体そんな考えで、それでいまのような——ですから
物価
ということを主要な要素とし、それから
公務員給与
の
上昇
、それから
国民
の
生活水準
というものを補完
要因
としたというふうに考えたわけであります。
大出俊
8
○
大出委員
御
論議
いただきました御
趣旨
のほどはよくわかったわけでありますが、私が実は取り上げました
趣旨
は、まあ一番早くできたのは
厚生年金
なんですね。これはたしか
昭和
十六、七年ごろに、大東亜戦争のころにできたわけですが、戦費調達という
背景
もあったのでしょうけれども、
厚生年金
がいろいろな変遷を経てきておりますけれども、
政府
の側にすれば
各種
の
公的年金
といわれるものをこの
厚生年金
の
基準
に適合させたいという気持ちが今日まで非常に強くあった、これは事実であります。ところが、
恩給法
二条二を加える段階ではどうも
厚生年金
のほうに適合させ切れない面が出てきている。そこに
物価
なり
公務員
の
給与
というものが入ってきた。ここが違うわけですね。そこでこの厚生年等金の例からすれば、
国民
の
生活水準
あるいはその他の諸
事情
が入っているというかっこうが
中心
だと思うのです。そこに
物価
が入り
公務員給与
が入ったというのが
恩給法
の二条の二だと思います。これはこれだけでなくて、御存じのとおり地方
公務員
の場合の共済組合法がございます。
国家公務員
、当然、これまた共済組合法がございます。五現業、それから三公社ですね。これは私が組合運動をやっているころに、私の組織が参議院議員の永岡さん、横川さんという人を通じて提案をやったんですけれども、当時大蔵省の岸本さんが
給与
課長をやっておられまして、そういう趨勢になるんだとすればというので大蔵省が案を出した。それでこれは共済
年金
のほうに行ってしまったわけですね。二国会継続
審議
をいたしましてそういうかっこうになったわけであります。議員立法を取り下げて
政府
提案になったわけであります。おくれて地方
公務員
が右へならえをしている。こういうかっこうなんですね。国鉄、専売、それを追っかけて電電公社がなり、あと五現業が追っかけて、それが地方
公務員
にまで進んでいる。こういうかっこうになるわけです。これらの
関係
等もありますから、これが
物価
の下にあるわけでありまして、他との関連で切り離せない。そこであと
国民年金
があり、私学共済なんかも性格的にはある。さらに労災保険法があるわけであります。当然あわせて
国家公務員
災害補償法が出てくるわけです。
国家公務員
災害補償法の場合は二十六年に制定をされた法律でありますが、それまでは裁判所であろうと国会であろうとみんな一緒だったわけです。そういう歴史的
経過
を踏まえていまここで考えてみますというと、これが四月十五日の新聞でございますけれども、これを読んでみると、
各種
年金
の
改定
基準
基本方針固まるというので、
物価
スライド制にというこの
答申
を受けた
政府
の皆さんの側が気がつかれたんだろうと思うのでありますが、大騒ぎになっている感じですね。したがって、他の
公的年金
にないものを、つまり
恩給法
二条の二に
物価
、
公務員給与
を入れた。そこで
審議会
の皆さん御
努力
の結果、
物価
が
中心
になってきた。そうすると、それが入ってない
各種
公的年金
のほうをどうするんだという問題が逆に出てきているという、これは非常に奇妙な現象になった。私はこれは悪いことではない、ぜひそうあってほしいと思うのであります。 ただ、そこで念のために承っておきたいのでありますが、アメリカの場合とフランスの場合と形態が違うわけでございます。それでアメリカの場合ですと、一九六四年の
公務員
退職
法という法律があります。これは
物価
が
中心
になって年間平均で三%以上の
変動
というのが
中心
になっております。ところがフランスの場合には一九四八年法であります。文武官の
退職
年金
制度
の改革に関する法律というわけでありますが、こちらのほうは
公務員
に比例して上げなさいということになっているわけです。この
関係
を、
物価
を
中心
にして
公務員
を補完的にとした何か著しい理由がありましたら、これから
論議
の
中心
点の一つでございますので、いま
概略
のお話は承りましたが、特に
物価
が
中心
になっているアメリカ法、
公務員給与
が
中心
になっているフランス法を対比いたしまして、それらをおそらく御
検討
の結果だと思いますので、なぜそこに
物価
が
中心
になって
公務員給与
を補完的という要素にお取り上げになったかという点ですね。ここのところを念のためにお知らせいただきたいと思います。
新居善太郎
9
○
新居参考人
いまの点は外国の例も資料として出していただきまして、みんな各
委員
とも話し合いました。またそれに関連しまして、
公務員
制度
といいますか、官吏
制度
も必然的に関連してくる事柄でありまして、そういう点ももちろん考慮に入れましたが、先ほど申しましたとおり、われわれとしては国会で制定した法律を尊重してというのが前提でございます。ですから、立法論はなるべくしないようにしよう、既定の法律を尊重してその
運用
をどうするかということ、それから日本の官吏
制度
、
公務員
制度
というもの、それから従来の
恩給制度
の変遷というものも考えに入れまして、結局のところ、具体的にはいまお話のあった二条の二がどうして出てきたかという政治的あるいは社会的のことはつまびらかにしませんけれども、それを尊重してやろうということにいたしますと、事実世間、といいましても、新聞で当時ちらほら見たりあるいはいわれているものが、スライド制——
政府
はスライド制とはいっていないが、しかしスライド制といわれておるものが、どうも
公務員
の
給与
とスライドするというふうに
一般
にいわれているんじゃないかというふうなことも、少なくも私は考えました。そういうことからいうと、
公務員
の
給与
というものをどうこれにあたって要素として取り入れるかというふうなことも相当真剣にやったんです。やりましたけれども、
公務員
の
給与
というものは官吏
制度
が変革され、また
給与
制度
が変わってきたというふうなこと、それから学歴とか職階とか職種ということで非常に複雑になってしまって、
恩給
と対比するのが技術的にも非常に不可能に近い困難だというふうな面もありますし、それからまた、
公務員
のほうは初任給を上げるとか、あるいは
戦前
と比較しまして、ある職種が非常にウエートをとってきまして優遇されるというふうな政策的な
変化
もある。そういうことでやる
公務員
の
給与
の
上昇
を、そのものずばりをそうでない時代の
恩給受給者
にやるというのは適当じゃないんじゃないか。そうなると、そのうちで
生活
給に該当するものを抽出してきてやるというのが理論上は考えられるのじゃないか。そうすると、その方法はどうするのかというふうなことになりますと、学者によっていろいろな方法が考えられるのですが、これでいいというきめ手は私の記憶ではちょっとないように思いますし、ですから世間の、ことに受給者の
方々
は、なぜいまの人の月給が上がるのにおれたちは上がらないのか、簡単に考えますとそういう点があると思うのです。そういう点はいまのようにわれわれは真剣に考えたんですけれども、そういう理由でこれは主たる
要件
だ、しかし
公務員
の
給与
の中にはもちろん
物価
というものの要素も入っておりますし、いろいろ民間の会社の実情というものも入っていますから、尊重しなくちゃならぬけれども、やはり主たるということではぐあいが悪いんじゃないか。結局
経済
的
価値
を維持するといえば何といっても
物価
というふうなものをとるのがいいんじゃないかというので、
物価
というものを
中心
の要素としてとり、先ほど申し上げましたように、かつての
公務員
でありその
遺族
であるということ、それからほかの
公的年金
の
対象者
と違って国家に一意専心、しかも無定量の勤務の義務とまでいわれて、当時は超過勤務手当というようなものはもらえない、
退職
金も
規定
としてもらうのじゃないというふうなことで、いちずに
公務
に専念したというふうな
遺族
や何かのことを考えれば、今日、
物価
を考えて
調整
したその額と、現在の
公務員
の
上昇
率と著しく違えば、そこは何とか考えてやったほうがいいんじゃないか、こんなような考えでございます。
大出俊
10
○
大出委員
たいへんどうもありがとうございます。非常に御苦心のあとがうかがわれますし、かつまた現実的にものを見ておられると思いますが、ただ一つだけいまのお話の中で気がつきましたのは、欧州の各国の例などを調べてみますと、特に年齢の非常に高い、生存余命の長いところはスカンジナビア三国なんですね。あとはイスラエルが高いですけれども、各国の
公的年金
といわれるものあるいは
退職
年金
といわれるものをながめてみますと、一つの思想的な
背景
が違うのですね。この定年制というのは
退職
年齢と合わせて考えられておりますが、年をとった方というのは一体どういう
方々
かといえば、いまお話にちょっとありましたが、長年この世の中で御苦労をされて社会
一般
に尽くしてこられた。じゃ、尽くしたその労働の
価値
というものを全部俸給という形でもらってきたかどうか、もらっていない。たとえて言えば三分の一俸給の形でもらって三分の二は社会に残してきた。それが今日のあるいは文明であり文化であるのかもしれない。してみると、完全にもらっていない、次の世代に残していく、そういう高齢の
方々
が、ある一定の年齢に達した場合には当然休息の権利があるはずだ。社会に対する貢献の度合いに応じた休息の権利があるはずだ。それを一歩進めて十分な休息の権利を行使していただこうということになると、そこに老後の
生活
が完全に保障される
意味
の
公的年金
というものが考えられていいんだという一つの思想がありますね。ここが日本のいまお話しの官吏俸給令の時代から日本の旧
恩給制度
というものとの思想の相違があるのですね。それが、戦後新しい憲法のもとにいまの
恩給制度
が復活をして、
軍人恩給
を含めて今日にまいりましたが、この新しい思想に立つと、昔の
恩給法
の
あり方
とはそういう
意味
で多分に違った面が出てきていいのだ、そこに社会保障的な要素が、政策的な要素が多分に加味された現在の
恩給法
になっている、こういうことなんですね。それがどうも実はこの
答申
の中身というのが、こういうことを言ったら言い過ぎになりますけれども、どうも旧
恩給法
というもののところにどうしても引かれるという形、幾つかありますけれども、旧
恩給法
にあったからと、あるいはあったけれどもいまの世の中に照らしてあまりどうも元に返ることは逆戻りが過ぎるからという点でがまんをする、あるいはもっともだけれども、旧
恩給法
にないからというような一つの
基準
が、これは
会長
の責任ではなしに、
恩給
局の責任ではないかという気がするのでありますけれども、それにどうもひっかかるものですから、こういう言い方に私はなるのですけれども、しかしながらいま私が申し上げた上に立って、何がしからば
退職公務員
の皆さんの
基準
になっているかというと、やはり
退職
時の俸給なんですね。その減耗の補てんなんですね、一貫したこの形にあらわれたものは。だから、これをこうすなおに読みますと、法律に基づいてという話でございましたが、すなおに読みますと、「
国民
ノ
生活水準
、」とこう書いてありますのは、他の
公的年金
一般
とほぼ同じことばであります。したがって、これは
一般
論としてそう見ていくべきだということになると思うのでありますが、その次に書いてありますのは「
国家公務員
ノ
給与
、」とまず書いてあるわけですね。そうしてそのあとに出てまいりますのが、これがいま
中心
になっております
物価
なんですね。そうなりますと、
公務員
の
給与
が一つの
基準
になって、
物価
が補完的になって、それを押えて全体は
国民
の
生活水準
ということになっているという立て方にこの法律条文は読めるわけですよ。ところがいま皆さんが出しておられますのは、この下のほうに書いてあります
物価
が
中心
になって、補完的に
公務員給与
があって、一番てっぺんに
国民
の
生活水準
があって、一番下のほうに、その他の諸
事情
の中にべらぼうに
公務員給与
が高くなっちゃったというような場合には考えなければいけませんよということになっているのですね。そういう構成になるのですね。そこがどうも
解釈権
が
政府
にないのですから、
政府
が悪いのですからしかたがありませんが、
政府
に一つの
解釈権
らしきものが初めからあって、こうだと言えばそれをすなおに
審議
すればこうなったという、あるいは変わった出方になったかもしれませんけれども、どうも法律にとおっしゃられると、この法律の立て方からすると、いささかひっかかるという気がするわけでありまして、そうそう年がら年じゅう
物価
ばかり上がるような政策をおとりいただいたのでは困るわけでありまして、そうすると、長い目で見て
物価
が安定して動かないという世の中がほしい。そうなると
公務員給与
というものに在職時の所得の減耗というものを補てんをするという形で見合っていくという形が、実は体系がどう変わろうとも、今日、だからこそ
仮定俸給
表
制度
をとって
恩給
計算をしているわけでありますから、そこが私は正しいように思うのでありますけれども、これは
会長
さんのほうとかみ合わない私の
意見
でありますが、たまたま
恩給
局長さんもおいでになりますので、言うだけは言っておかぬとぐあいが悪いので申し上げますが……。そういうふうに思うわけでありますけれども、おそらくそういうことを、私がいま申し上げたようなことも、たくさんあった議論のどこかにはあったのではないかと思うのでありますが、そこらのところだけ、ひとつ承っておいて、多数
意見
、少数
意見
があるのだと思いますが、あとの
論議
に差しつかえますので、そこだけひとつ承りたいと思います。
新居善太郎
11
○
新居参考人
いまの、二条ノ二にああいう順序である、これは順序に何か
意味
があるのか、それから「其ノ他ノ諸
事情
」というものはどんな
事情
があるのかというふうなことも一応
検討
いたしました。
検討
いたしましたが、私の記憶違いでなければ、その順序はたいして
意味
はないのじゃないか、それから「其ノ他ノ諸
事情
」というのは、立法技術としてエトセトラというのをたいがいつけておるからそんなものじゃないだろうかというふうなことも、これは一致した
意見
じゃありませんけれどもいろいろあったのです。われわれもその辺はずいぶん
検討
をしたのですけれども、あの順序はまず第一に出てくるから、三番目に出てくるから
物価
は補完でいいのじゃないかという考えは毛頭ございませんでした。実質上明瞭に出ておるのは三つだ。三つをどう組み合わせるか、みなオーバーラップしておるのだ。そうすると、そういうふうなことをやるにはといって先ほど申し上げましたような考えもほぼ順序でやったわけです。 それからいま一つは、旧来の
恩給
と——
戦前
の
恩給法
を私はあまり勉強しておりませんけれども、だいぶ変遷してきた。その大きな要素は、この
答申
文の中にもありますように、
終戦
という
特殊事情
ということが大きくあると思うのです。それから、その後に来た
経済
的の激動あるいは社会情勢の
変動
というものがあって、従来の
恩給法
そのものずばりではこの
解釈
あるいは
運用
ができない問題をもまた
対象
とせざるを得なかったというふうな
事情
もある。ある人のことばをかりれば、
終戦
処理的のものを
恩給
のほうで引き受けたという形もあるのじゃないか、そういうものをそうかといってだんだんに広げていくとこれは切りがないのじゃないかというので、今度は
恩給審議会
という銘を打って
審議会
が発足しました。御承知のとおりその前、あれは三十二年ですか、
臨時恩給等調査会
としてあれは「等」がついていて
恩給
ばかりじゃないんですね。それで、私は今度の
恩給審議会
の発足にあたりましてはその点を確かめて、
恩給
の分野でこれは
審議
してよろしいのじゃないかといってやりましたから、
恩給法
の中でやる、しかも
恩給法
の中で、
運用
については、先ほどのような
恩給
以外のものを
恩給
の中に取り入れたといっては誤弊があるかもしれませんが、そういうものについては相当
検討
しないとそれからそれとだんだんにいくのじゃないか。言い過ぎかもしれませんが、私はざっくばらんに申し上げますが、そういう気持ちも多分に
委員
の中にはありまして、それでなるほどと思うものは早くやってやる、そうでないものはここできっぱりけじめをつけて、そういう問題があるなら
恩給
以外のほうの問題でやっていただくというふうなことがいいのじゃないかという考えがありました。それだけ申し上げます。
大出俊
12
○
大出委員
よくわかりました。いまのお話もそうですか、古い
恩給
の法律、
あり方
がありまして、いまの世の中でそれをどう適合させるかという新しい一つの
あり方
なり試みなりが出てきまして、もう一つその中に介在するのは
終戦
処理、戦後処理というふうな形のものをどうけじめをつけ、決着をつけるかというのが私は当面の
課題
だと思うんですね。その
課題
をおのおの
審議会
の皆さんがお取り上げになっておられるわけであります。ところが、戦後処理にはいささかどうもきびし過ぎると見なければならぬ。私見でございますが、あまりにも法律条文にこだわり過ぎておるという感じの個所もあるように思います。ところで、新しい時代に適合する
恩給
という
意味
からすると、どうも古いところに引っぱられがちになっておるという感じのところもありますが、これは合議をされたんでしょうから私的な欲を言ってもしかたがありません。ありませんが、実はそういう気がしてなりません。 そこで、それはそれとして、一番私はそれらの根底になければならぬものは、どういうふうに間違いなく、いま
審議
をされました皆さんの思想が、この法律条文の面でこれから生かされていくかという点だろうと思うんですね。この二条ノ二を挿入したときに、世の中の新聞は、ようやく日本の
恩給
も、おっしゃるとおり昔苦労された先輩各位が
退職公務員
の
立場
で
生活
をされておりますけれども、
物価
の
変動
でずいぶん苦しんでいる。これでようやく日の目を見るのじゃないかと、いわく
物価
スライド制という新聞の表題が出た。さああけてみると、スライド制ですかと矢倉さんに聞いたら、そうじゃございません、
調整規定
でございますという。
調整規定
とは何ですかと言ったら、
審議会
で御
審議
をいただくのです、こういうことになっているわけです。そこで出てきた
答申
でございますから、これはここまでくらいお書きになることが精一ばいであったのだろうというふうにはお見受けをするのですけれども、しかし欲をいえば、もう少しぴしゃっときめていただきたかったという感じがするのです。将来それが、
恩給審議会
がぴしゃっときめたんだから、これはそのまま尊重して法律条文になって、ほんとうに
物価
スライド制ですといって世の中の
退職公務員
が安心して
生活
ができるところまで実は行っていただきたかったという欲があるのでありますが、そういう
意味
で、これから一体どういうふうにこの
調整
をしていくかという
調整
の方法というようなのがここにございます。
中心
は実質的
価値
の保存ということを
中心
にして、さっき申しましたように高齢者等は別に考えろ、こういう基本はあくまでも実質的
価値
の保存だ、こういうことになっているわけですね。 そこまでで、さてそこから先、
経過措置
をながめましても、スライド——
調整規定
というのだそうでありますけれども、じゃどういうふうに具体的にやるのか。たとえば
国家公務員
法のように五%
程度
上がったらこれは何か
政府
は出さなければならぬ、こういうふうにきめつけるのかつけないのか、ここには書いてないけれども、きめつけてほしいということであったのかなかったのかというふうな点ですね。 例をあげて申し上げますと、さっき他の
公的年金
との比較を申し上げましたが、三十五年の労災法の附則十六条、ここで、平均
給与
の額が二〇%こえたときは、強制
規定
でございまして、強制的にこれは変えなければならぬことになっていますね。そうするとこれは、
基準
法を受けて労災保険法ができておりまして、
国家公務員
災害補償法にも
関係
がございまして、災害補償法のほうでは
均衡
性の原則となりまして、労災保険法にならわなければいかぬことになっております。こういう
関係
が一面あるわけであります。言うならば、そういったような形に最低保障なんかでも他の
公的年金
との比較を述べておられるわけでありますから、そういうところまで行くべき性格のものであろうと——私は実はこの
答申
をながめて、その意図するところがそこまで行くべきものというお考えで、しかしながら立法権は
政府
にあるのだからという御遠慮でここまでにとめたんだろう、実はこう理解をしたいのでありますけれども、そこらのところはいかがなものでしょう。
新居善太郎
13
○
新居参考人
私ども、ものごとをすべて適当な判断ができたらすぱりすぱりといきたいという気持ちは多分にあったのです。あったのですが、何ぶんにも二カ年の期限がついております。それで、この点も御了承願いたいのですが、初めは毎月第二、第四の月曜に午後一時半から五時までということで忠実に、優先的に日取りをとってもらいまして、
海外
出張やら病気以外はほとんど皆
出席
です。それでしまいに、計算してみるとまだ足りないというので、回数をふやそうということになった。ところが、この忙しいのに回数をふやしては困るから時間延長をしようじゃないかというので、一時半から七時までにしたのです。それが十一月の半ばごろからですから、十一、十二、一、二、三は夕めしも食わずに一時半から七時までやったわけです。そういう制約がありますものですから、御承知のとおり関連する問題はだいぶある。それから、これをきめていいという問題ではなしに、これはこの
程度
にしておいて、こっちをまたやらぬとアンバランスが起こるというふうな問題もありまして、そこのところは非常に苦労したのですが、いまお話しのとおり、せっかくこういうふうにしても、これが確保されなければ何にもならぬじゃないかというのが
委員
全般の気持ちです。それですから
物価
というものを
中心
の要素としてとった。それも
物価
に見合ってというのではいかないので、それで五%という具体的の問題も、いろいろ議論はありましたけれども、持ち出しました。 それから、ただそれだけではなしにこれを
制度
化するということばを使いましたが、ざっくばらんにいいますと、この点はひとつ
政府
の義務としてやってもらうというふうな気持ちがあり、またそういう発言もあったのですが、
政府
の義務はあたりまえじゃないかというふうなことで、そういう表現はせずに
制度
化する。では
制度
化するのはどうするのだというふうな、法律を
改正
するのか、あるいは政令を出すのか、あるいは閣議決定するのか、いろいろあるでしょうけれども、それは
政府
でやるべきことで、われわれがいまここでその先をやったのでは時間もなくなるし、そう法律論もやっておられないからというのでそういうふうになったのであります。しからば、それでは非常に隔絶した場合に、その
公務員
の
上昇
あるいは国の
生活水準
、これをどういうふうにまた織り込むかということも、おそらくもっと具体的なことを言ったらいいじゃないかという御批判もあろうとは思いますけれども、とてもそれをやっておる余裕はなかったので、これはそういう
趣旨
を尊重して
政府
が合理的にやる、いわば私ども
政府
を全幅的に信頼して私どもの精神を受け取ってくれるというふうなつもりでやったのが実情でございます。
大出俊
14
○
大出委員
たいへんその点もよく御
説明
賜わりましてわかったわけでありますが、そういたしますと、皆さんのお気持ちとしては、ここに五%と
物価
の一つの水準をおあげになって、これを
制度
化して
政府
の義務としてやるべきだ、これが大体皆さんの御
意見
だった。しかしそこまで念には念を入れて書かぬでも、
政府
がやることは、われわれに
諮問
したのだから当然の義務ではないか、こういうことでそこまではお書きにならなかったというふうに理解を申し上げていいのではないかと思うのでありますが、よろしゅうございますか。
新居善太郎
15
○
新居参考人
大体そんな気持ちでございます。とにかくこれを
制度
化して、言い過ぎかもしれませんが、
政府
がかわってもこれはずっと実行できるようにしてもらいたい、少なくとも私はそう思っております。
大出俊
16
○
大出委員
どうも私も国会在職はそう長くないのですけれども、なかなか
政府
が義務としてお受け取りいただかぬで困ることばかり経験してまいりまして——しかし
新居
会長
、ここまで御熱心な
論議
をおやりになって、しかもいまここでお話しになりましたように、皆さんずいぶん心配して、せっかくの
検討
の結果がそのとおり、
政府
がかわろうとどうしようと、形の上であらわれて、
退職公務員
の皆さんの
生活
を完全なものにしていかなければならぬという、そういうお気持ちでこれを進めてこられたというわけでありますから、これは総務長官も
恩給
局長もおいでになりますけれども、特に
恩給
局長も一緒になって苦労された結果でございましょうから、これは当然疑う余地なくそういうお考えだと思います。ひとつ総務長官にはいま
会長
がおっしゃっておる
趣旨
はおくみ取りをいただいて、できるだけこれは尊重して
制度
化して進めていくというふうにお願いをしたいわけであります。長官、別に御
答弁
いただかぬでも、またあらためてあれしますからいいですけれども、たまたまいまお入りになりましたので、ことばの上でつけ加えて申し上げたわけであります。 そこで、大体の大筋はいまお話しをいただきましてほぼわからせていただきましたからよろしいというふうに思うのでありますけれども、ただ先ほど私少し口にいたしましたので、何点かピックアップをして実はお聞きいたしておきたいと思うのであります。 私どものいただいておりますのにはページ数がついておりませんので、いささか不親切な
答申
案でございまして、何ページと申し上げられないわけです。しかしこれは私の責任ではございませんのでごかんべんを賜わりたいのですが、三月二十五日の
新居
会長
さんの
答申
の、厚さから見てほぼまん中ごろになりましょうか、これは中身を申し上げればおわかりいただけると思うのでありますが、
軍人恩給
でございますが、将官あるいは佐官の
仮定俸給
表の号俸が
文官
に比較して将官が二号、それから佐官では一号、こういう差があるという点、これは「将官、佐官の号俸を低く押えておく理由は乏しい」ということになっているのでありますけれども、これが実は私が先ほど申し上げましたような、古い
制度
というものを復活して今日
制度
化しているわけでありますから、何もかも必ずしも旧来の
恩給制度
にあったからというのでそこに戻らなければならぬ筋合いのものではない、こういう気がしきりにするのであります。これはなぜこういう形になったかというと、御存じだと思うのでありますが、戦後、
軍人恩給
復活の時代というのは、いまでは私ども賛成をいたしておりますが、社会党という私どもの党の
立場
からいっても、これはまっこうから反対ということで、ずいぶんほうぼうに反対の声が強かった、
軍人恩給
復活については。したがって、かつての
軍人
時代の階級差というものが極端にあらわれるということはできるだけ避けなければならぬという思想があって、極端な階級差と見られるものを押えて出してきたわけです。したがって、それがいまの
恩給法
に定着をしているわけです。つまり、こういう極端な差というものを、旧来あったのだからといって復活するなら、ほかにもいろいろな矛盾が逆に出てくるところがあるわけであります。私どもはそう理解をしているわけであります。当時そういう
配慮
から、旧来の極端な階級差を押えて出している。それが今日まで続いている。これがあったからという理由で旧
恩給法
に戻っていくということは、どうもいささか理解しがたい点があるのでありますが、そこらのところの御
論議
等がございましたら、ひとつ伺っておきたいと思います。
新居善太郎
17
○
新居参考人
何といいますか、階級的のことをどう考えるかというふうな方面から詳しく
論議
したというふうな記憶は私ありませんけれども、旧
軍人
と
文官
との
関係
が非常にアンバランスだったというふうな中の一つの具体例として、いまの将官、佐官というものが——私の記憶が間違っているかもしれませんが、初めの
仮定俸給
をやるときには、
一般
に
軍人
さんのほうが
文官
に比べて
仮定俸給
が低くされておった、それをだんだん
改正
して、その
改正
の方向は、おそらく
文官
と
均衡
を得るようなという
配慮
じゃなかったかと思いますが、それに取り残されておるのが将官、佐官、二号、一号という違いだというならば、その流れも考え、また
文官
と武官というものを差別するという考えをそう固執しなくてもいいのじゃないかという気持ちからやったわけでございます。
大出俊
18
○
大出委員
その次のページにありますように、旧海軍特務士官等の
仮定俸給
表なんかの場合でいきますと、つまり在職中ば特務士官のほうが高額だったのです。これは間違いないのです。私も士官学校の教官をやっておったのですから、知らないわけじゃないのであります。したがって
一般
士官と特務士官の在職中の俸給は、特務士官のほうが高い。これはおそらく旧来そういう
制度
がなかったからということだと思うのでありますが、昔の
制度
にはないからというのでだめだ、こういうことだと思うのですが、新しい世の中で新しくものを考えるならば、かつてそうだった、俸給が高かったのだというところに
中心
を置いてものを考えるとすれば、高いものは上げたらいいということになるので、階級云々ではない。当時もらっていた給料が現に高かったのだとすれば、特務士官と
一般
士官の場合は、特務士官が高いのですから、旧
恩給法
にこだわることなく、これは認めるべきだ、そこらがどうもつじつまが合わない気がしてならないのですが、何かそこらについてございましたら、その辺をおあげいただきたいと思います。
新居善太郎
19
○
新居参考人
旧海軍
軍人
の特務士官の点につきましては、俸給はなるほど高かったが、
仮定俸給
としては同じだったのだ、それで
軍人
さんはみな俸給ずばりを
恩給
の基礎にせずに、
仮定俸給
を基礎にしておった、これるずっとやられておった、それを今度その
仮定俸給
を別にするということになりますと、旧
軍人
に対してとってきた
恩給
の根本を
改正
することになるのだ、そこまでやるのはどうかというふうなことで、たぶんそのままということになったように記憶しております。
大出俊
20
○
大出委員
だから私は申し上げているのですが、つまり旧
恩給
というものを一つの基礎にされるとなると、そこに引き戻せという議論になるのです。ところが、戦後いろいろ政策的な要素が多分に加味されて、たとえば前回の場合でも、三十八号兵のところですが、ここを
中心
に前回の
恩給
改正
ではとりまして、これを月額一万円にするのだというので、十万円を十二万九十六円に引き上げた、月額一万円という原則で。そうすると、これを七十五歳のところを、ABCのCのランクを逆算すると、二八・五%の
上昇
にならざるを得ぬというので、年齢差をつけて一〇%、二〇%、二八・五%とこうやった。そうすると、これはどうも少しあまりといえばあまりではないか。どこかに公約があったからというので、無理にそこに持っていった。だから差がついた。十一月に
中間答申
を受けて、こんなべらぼうな話がありますかということを私が言ったら、不
均衡
是正だ、しまいには不
均衡
ではない、高齢者優遇なんだ、これは政策です、こうおっしゃる。今度は皆さんのほうは別個に扱えと言うのですから、なかなかうまい
答申
をお出しになったと思うのです。それは矛盾だと言って力説したら、今度お出しになったものを見ると、逆にひっくり返っている。それが矛盾だったから今度は逆にいたしましたと言わんばかりの——理屈はほかにちょっとついておりますよ。ついておりますが、これは
論議
していけば明らかになりますけれども、そういうことが今日まで
恩給
にはちょいちょいある。だから、そうなりますと、旧
恩給
にこだわってということになるならばなるように、それからそれを離れて、現時点に立って新しい世代に適合させるというように考えるなら考えるように、戦後処理なら戦後処理で割り切るようにしていきませんと、どうもつじつまが合わぬ点が間々出てきてしまうという気がしてならないのです。 それで、たとえば一時
恩給
でありますが、この一時
恩給
も、予算的には
対象
人員が、兵のところまで手をつけますと相当多くなります。これは七年以上というのを三年からに引き上げると当然多くなる。これなんかも、どうも下士官以上にはやれというのではないか。私もよく
検討
しておりませんからわかりませんが、ちらっと見たところ、そういう感じがするのであります。ここらあたりも何か特別な
事情
でもおありになりましたか。
新居善太郎
21
○
新居参考人
具体的なことを一々私よく覚えておりませんけれども、もし間違っていたらお許し願いたいと思いますが、たぶん七年以上在職という
条件
を三年以上ということにしてもらいたいという
要望
の問題じゃないかと思いますが、いろいろ聞いてみますと、そういうふうにして兵にこの一時
恩給
をつけたその場合に、下士官以上が、いわばことばが悪いかもしれませんけれども、巻き添えを食ったというふうな形になったという
経過
のように私は承知しているのです。そうすれば、これ以上問題の全般として
要望
を是認するということは適当でないのではないか。ただし過去において、この兵がそうなったときに、一緒に不利益のような扱いを受けた者はもとのようにしてやっていいのではないかというふうであったと記憶しますが、もし間違っておったら、またあとで
恩給
局長に直してもらいます。
大出俊
22
○
大出委員
会長
さんの御
努力
の結果でございまして、実はこの各項目につきましては、私は
恩給
はしろうとでございますけれども、やはりしろうとなりに長く——人事院が始まりまして、
公務員
法の中で、人事院が
恩給
を研究しろ、研究の成果を発表せい、こういう法律になっているわけです。これは何かというと、旧来の
恩給
というものは過去のものであって、
公務員
法に基づいて
恩給
は新しくなる。新しくなるのだから、人事院は新しい時代に即した
恩給
を研究して成果を発表しろ、こうなっていたわけです。これはマイヤースが来まして、マイヤース勧告を出してお帰りになった。あの人は一週間くらいしか日本にはおりませんでしたが、りっぱな勧告を出された。人事院は苦心惨たんして、このマイヤースの勧告に基づいて無拠出制の
恩給
を勧告したが、これは日の目を見なかった、こういう経緯があります。戦後の法律のたてまえは、明らかに旧来の
恩給法
というものではなくて、
公務員
法に基づく新しい
恩給
というものを意図していたことには間違いない。だから、私はあまり古い
恩給
の型にとらわれていただきたくない。やはりいまの世の中に適合する合理的なものにしなければならぬ。なぜならば、この
答申
はおそらく
政府
にとっては、あるいは
恩給
局長さん以下の
恩給
局にとっては、これはバイブルだろうと思います。そう簡単に、二年間の日時をかけてまた
制度
審議会
をつくりますというわけにはいかない。ここにあるものを取捨選択しながら、
長期
にわたって手直しが続いていくことになると思うのです。それだけに、そうおろそかにはできない勧告、
答申
なのです。だから、ほんとうのことを申し上げるとずいぶんたくさんあります。これは実は逐一
会長
さんをわずらわしたい気持ちなのです、一々気になるところがたくさんありましてね。これはソビエトが入ってきたときにいたとかいなかったという問題でも、旧来
調査
が不可能であったとかなんとかということもありましたし、飛行機に一ぺん乗ったとか飛行艇に一ぺん乗ったとかなんとかいうことで、問題はある。一々やっていけばずいぶんいろいろあるのですが、
会長
さんにこの際そこまでお手をわずらわせることは、御苦労の結果おまとめになった
会長
さんの
立場
に、私どもは少しく無理をし過ぎる感じになりますので、こまかい点につきましては御遠慮を申し上げたいと思うのであります。また別な何かの機会に、この
答申
が問題になることでもあれば御見解をいただかなければならぬと思いますけれども、あとの問題は、そういう
意味
で
恩給
局の
方々
のほうに、あるいは総務長官にひとつ機会をあらためて承りたいと思うのであります。 いずれにしても、二カ年間にわたりましてたいへんな御苦労をいただきまして、この
委員会
で
審議
いたしました者の一人として御礼を申し上げるわけでございますが、先ほどのおことばのように、ぜひひとつこの
答申
の真意が守られて、現に
恩給
で
生活
をしている
退職公務員
の諸先輩
諸君
が、
物価
の
上昇
する今日の
事情
の中で安心して
生活
ができるところまでこれが形づけられてまいりますように、いろいろな面で今後ともひとつ御尽力を賜わりますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
新居善太郎
23
○
新居参考人
御丁寧なおことばをいただきまして、まことにありがとうございます。 一言つけ加えますと、私どもも、短
期間
ではありますが、その間できるだけのことをしたと思っておりますけれども、決して独善的な考えを持っておるわけでありませんので、この個別問題も
結論
だけ言えばいいのじゃないかというふうなことも考えましたけれども、やはり
恩給
を受けている人の身になってみれば切実な問題ですから、理由もちゃんとつけて、それで納得してもらったり批判してもらう、いわんや
国民
に対してもそういう
態度
でいくべきじゃないかというので、少し分厚くなったり——いろいろの御
意見
はありましたけれども、丁寧につけて、それで御批判は受けたいと思っておりますので、御了承願いたいと思います。
大出俊
24
○
大出委員
どうもたいへんありがとうございました。
三池信
25
○
三池委員長
受田新吉君。
受田新吉
26
○受田
委員
新居
先生に、久しい間
懸案
の
恩給
問題の処理に関する
審議会
の
会長
として
答申
をおまとめいただいた御苦労に対して、深甚の謝意を表させていただきます。
新居
先生御自身は、これまで
恩給
を詳しく御勉強されたわけではない、むしろ大所高所から
国民
の期待する方向に
恩給
の
あり方
を進めていきたいという高度の判断力を用いられた
会長
としての御苦労であったと存じあげます。したがって、
大出委員
が質問された問題に引き続きまして、事務的な問題を避けて、
恩給審議会
長として御苦労をされた
各種
の問題の中で、
審議会
が十分討議をしたであろう過程を含めた
意味
の大まかなお答えだけをいただくことにさせていただきます。 私、十年前の
臨時恩給等調査会
の
委員
をやらせていただいて、あのときの
答申
についていままざまざと記憶がよみがえっております。それを受けて、十年後の今度の
答申
を見ますと、時勢の流れというものも十分くみ取られた、ある
意味
においてはいい処理をされている点を数多く拝見をしております。もちろん前の
調査会
は等ということばがありましたから、援護の問題も討議しました。金鵄勲章
年金
の問題も
意見
だけ聞くという
程度
に進めたわけでございまして、金鵄勲章
年金
は、ついおととしの暮れに片づいたわけであります。まだ一時金の問題が残っておりますがね。それから援護の
関係
における
恩給法
の
あり方
というものについても、前の
答申
にはその
関係
をある
程度
うたってあったわけです。今度は
恩給
とすかっと割り切られたので、たとえば、
恩給法
に
規定
する
公務扶助料
と援護法に
規定
する
遺族
年金
の
関係
などを論及しておられないのです。これは
恩給法
のたてまえからはすでにそうなると思いますが、同じ国家の
公務
に従事しておっても、準軍属という
関係
のほうになると、同じ戦死者となって、全く
公務
の性格は同じだが、その置かれている身分の差だけで援護法へやられて低い
年金
をもらっているという、いまどき考えるとこれははなはだ不合理な問題等があるわけです。そういうものが今度全然問題にされておらぬようでございまするが、しかし
答申
になくても、そうした、これは当然
恩給法
の適用に入れるべき援護法の
対象
であるというような
論議
はされたかどうか、お答え願いたいのです。
新居善太郎
27
○
新居参考人
いま受田さんのおっしゃられたように、前回は臨時
恩給
等といって、
恩給
以外のたとえば援護の問題も入っておりました。今回は、先ほど申し上げましたように、関連するところが非常に広くて、たとえば先ほどの個々の問題でも、一つぶつかると一日それで
論議
するという状態で実際のことを言うと、二カ年では時間が足らなかったわけです。それで、できるだけ
恩給
本来の分野の方面に重点を置いて、関連するところは考えるがという
程度
でやりましたので、この援護の問題とどう関連するか、援護の
関係
に、いまお話があるように、
恩給
の
対象
じゃない、援護のほうの分野だ、しかしこれは何とかしなければならぬのではないかというところまで考える余裕はなかったというのが実情でございます。
受田新吉
28
○受田
委員
そこでその
関係
をまずお尋ねして、今度は基本問題から、
会長
さん御苦労された道のりを振り返っていただくことにいたします。 つい
改正
されたばかりでありますけれども、
恩給法
の第二条ノ二の、いま
大出委員
が指摘された
調整規定
、これは他の法律にも類似の似通った
規定
が、共済
制度
等にも地方
公務員
を含めた諸法律にうたわれておるわけです。したがって、この
規定
は
恩給法
を本家にして、他の類似の法律が新宅のようなかっこうで取り上げられておる。これは非常に
年金
制度
のポイントになる基本問題であると思いまするし、したがってそこに力点を置かれておることもよくわかります。ところが、ここで
恩給
局長は、この
審議会
の責任ある幹事役として諸資料の
提出
からその
説明
に当たられると思うのでございますけれども、この
調整規定
の中にうたわれてある三本の柱の中で
物価
が一つ取り上げられてあるが、その他の諸
事情
のほうはあまり考えておらぬというようなお答えでありますし、また、そういうふうに出ておるわけですが、この
国家公務員
法の第百八条にもはっきりとうたってある
規定
は、この
退職
年金
制度
、これはペンションの
解釈
をいま採用してもらうとして、その中にはっきりと、例の、さっきから御
説明
になっおる、減損能力を補てんする学説を採用して
国家公務員
法第百八条はできておると私は
解釈
しておるのですが、この
国家公務員
法の第百八条の学説のほかに、なお恩恵説とか、あるいは賃金あと払い説とか、超勤説というような——あと払い説は超勤説に通ずると思うのですが、諸説があるわけです。その諸説の討議は十分されたでしょうか。どうでしょうか。
新居善太郎
29
○
新居参考人
最初に、三回か四回でしょうか、
恩給
局から資料を出していただきまして、従来の
経過
やら個々の問題について
説明
を聞きまして、それから実質討議に入ったのですが、やはり
恩給
というものの本質については相当
論議
いたしました。それで、
政府
のほうの資料も、古くは大正十二年に法制局長官の馬場えい一氏が議会で言っていること、あるいは齋藤内閣のときですか樋貝詮三氏が言っていること、それから高木
恩給
局長が言っていること、それらのことも聞きましたし、また学説についても、
戦前
戦後の学者の説をすっかり資料に出していただきまして、われわれもそれを読みまして、十分
論議
したのでありまして、大体従前とられた
政府
の
解釈
というものが、いま受田さんのおっしゃったように、結局
経済
的能力というものを消耗する、その補てんということを実質に考えて、国家が
退職
後に相当
生活
を維持するというふうなことをしてやるんだ、平たく言えばそうじゃないか、こんな考えでやっております。
受田新吉
30
○受田
委員
私、減損能力を補てんするというこの学説は、非常に筋が通ると思いますし、またその学説に基づいた
国家公務員
法第百八条の
規定
も、
現行
制度
として肯定をします。その中にはっきりうたわれていることは、すなわち
経済
能力を取得する上において、
公務員
であったがゆえに、私企業等に
関係
することなく、忠実に
公務
に従事しなければならなかったというので、別のもうけの道が断たれておったわけですね。非常にきれいに
生活
をしてこなければならない服務
規定
があるわけで、それを生き抜いてきた
方々
が
退職
後、あるいは死亡後においてはその
遺族
が、その後においての適当な
生活
を維持するということを前提にしているわけですね。そうすると、この適当な
生活
の維持ということは、
公務員
であったその誇りも十分含めた適当な
生活
という
意味
であると私は
解釈
しているのです。そうしますと、ただ
物価
だけ——
物価
は、いま
大出委員
が指摘されたように、非常に安定する時代が来た、しかしそのほかに、
国民
の
生活
様式というものが高度の文化水準を持つようになってくると、
公務員
であったということによって、やはりきちんとして
生活
をしなければならないという
意味
の文化
生活
部分というものが当然加味せられなければならない。現に
昭和
二十三年六月三十日以前に
給与
事由の生じた
退職者
に対する
恩給
改定
措置
が五回もされております。それから、
昭和
二十七年十月三十一日以前に
退職
、
給与
事由の生じた
公務員
に対する
措置
も一ぺんほどされておる。
昭和
二十八年にされておる。そういうもので、ある
程度
古い
公務員
の救済を一応されておるのでございますが、しかしながら、現実に旧
恩給法
の適用を受けた、特に
終戦
間もないころにやめられた、以前の方は、たとえば学校の先生にしてもあるいは警官にしても、非常に低い。親任官、勅任官、奏任官さらに判任官——大体小学校の教員というのは判任官があたりまえだ、待遇は。巡査も判任官。そういう者がまれに特例で奏任官の待遇を受けるという
制度
であったわけですね。そういうところでやめた
方々
というものは、昔の判任官の
給与
でございまするから、小学校の校長にしても百六十五円が月給の最高で、百八十五円というのは特号俸であったわけです。ところがそのころの知事の
給与
といえば、大体五千円から七千円である、国務大臣が八千円、総理大臣が一万二千五百円、こういうような時代でございまして、もう学校の先生とか警官とかいうのは、ばかに低い水準で手当をもらっておる。それが
退職
して後に
恩給
をもらうのでございますが、その三分の一ですから、お話にならない低いものであるから、いまでも、
年額
六万円以下というのを整理したのだけれども、非常に低い
恩給
で、月に五千円にもならぬものが多いです。扶助料の半分しかないというようなかっこうの
方々
がおられる。しかしいまは、学校長を見ると、少なくとも、学校長の俸給の一番高い水準は、官庁でいうなら課長クラス——課長よりも高いところへいっています。都道府県でいえば部長級よりも高いところに学校長の
給与
はいっておるわけなんです。そういうのを見ると、当然かつての
制度
をそのまま踏襲した
恩給法
には是正すべき点があげられなければならないわけです。旧
制度
の身分に伴う、その当時の身分に伴う
給与
、この著しい
給与
の低い水準をそのまま根拠にして
改定
措置
をしたにしても、まだ差が残っているという問題が一つあります。したがって、今度の
答申
を見ますると、
昭和
二十三年の六月以前の者がその六月三十日に在職したとしたならば、もっと高いものであった者の
改定
措置
のことが、この
答申
の中に出ておりまするが、それだけでなくして、もう
昭和
二十七年ごろまでの
退職者
というものは、全体を通じて、当時の身分といまの身分とを比較した場合には、非常にバランスがくずれておるというのがまだ残っておるのです。これをこのたび何かの形で御処理いただいたらと思っていたのでございますが、それがまだ完全にないように思います。同時に、かつての
公務員
であった人の
生活
の維持というものは——昔の学校長というものは貧乏なあずま屋に住んでおればいいのだ、いまの校長はりっぱな家に住んでいればいいというわけにはいかない。いま先生御指摘のように、かつての
公務員
は、ただ本俸へささやかな年功加俸がついて、それを
恩給
の算定基礎にした。ところが戦後の二十三年以後の
退職者
には
退職
金
制度
ができて、その後ものすごい
退職
金
制度
の
増額措置
が
国家公務員
等
退職
手当法などによって生まれてきておる。それをまるまる貯金するだけで
恩給
金額ほどの
年金
額が来るというふうな
退職
金をもらっておる。超過勤務があり、期末手当がある。期末手当というものは四・五までいっておる。昔はささやかな一月分ぐらいしかなかった。そうすると、以前の
公務員
で、非常に窮屈な暮らしをしながら薄給に甘んじておったという者の
措置
は、やはり
恩給法
において
退職
当時の
給与
というものを原則にしながら、時の流れを十分くみ取った
措置
をされるような形にしていただかなければならない。そのことは、さらに今後の
調整規定
の上におきましても、ただ
物価
だけを
基準
にして
恩給
改定
をするという
意味
でなくして、
生活
様式あるいは
公務員
の
給与
——私は、
公務員
の
給与
を
基準
にするのが一番筋が通ると思うのです。つまり、
退職
の時点の以前は現職の
公務員
だ、
退職
以後は
退職公務員
ですから、結局現職であろうと
退職
であろうと、一貫した流れがそこに見られなければならないのです。現職の間は
公務員給与
の人事院勧告でどんどん上がっていくが、
退職
すると同時に、
物価
上昇
にすぐつながるだけで、あとはあまり考えられないというのでは、ぱっとダウンしますですね。これを考えてあげるという
意味
からは、私は、たとえば
公務員
の
給与
の九〇%あるいは八五%を下回ったならば、これの
年金
額を
改定
しなければならないとかいうような
調整規定
、スライド制にしていただくほうが、つまり、まるまるとは言いません、九〇%か八五%以下に下がったら
改定
するとかいう具体的な数字を示した
改定
措置
をされる。それに
物価
とか
生活水準
とかを大体考慮して、そういうものの総合的なものの比率でもけっこうですよ。そういうところへ力点を置いて、具体的にスライド制らしい答えをひとつ
答申
で実はすかっとうたっていただきたかったのですが、そういう比率を提案した人は一人もありませんか。内幕を暴露されなくてもけっこうですか。
新居善太郎
31
○
新居参考人
受田さんのお気持ちは、私も実によくわかるような気が失礼ながらします。ことに
臨時恩給等調査会
当時、受田さんもずいぶん
委員
として御苦心されて、またその当時、主として従来の小学校教育に
関係
した人が一番不遇であるというふうなことも聞いておりますので、私も今度はそんなような気持ちもありましたけれども、先ほどお答えしましたように、
公務員
の
給与
というものを
基準
にするということは一応考えたのですけれども、
公務員
の
給与
の中には、
戦前
の官吏
制度
あるいは戦後の
公務員
制度
のものに相当の変革があった。従来は身分というもの、今度は新しくは
職務
というものを
中心
にしてやった。それでいろいろ
職務
とか職責とか、あるいは学歴とか経歴とかというふうなことをやっておったので、どれをどれに当てはめるかということがなかなかできにくい。これは技術上の問題ですけれども。しかしそこを流れる問題としては、
制度
が変わったのを、そこまで
恩給法
のほうでやるということはどういうものであろうか。つまり従来は、たとえばある種の職にあった人は、非常にことばは悪いですけれども、低く見られた。今度は、戦後においてはそれが高く、厚遇されるようになったという、これは
制度
自身の
変化
の結果ですから、そこに手をつけなければ、
恩給
だけでそこをいくというわけにはいかぬのじゃないかという考えもありまして、ずいぶんこの
公務員
の俸給を主たる
基準
としていくということは研究し、それからそうなりますると、やはりそんな
制度
の
変化
とか、あるいは政策的の
変化
とかいうものの要素を差し引いたものを見るという方法はないかといいますと、
恩給
局のほうでも苦労いたしましていろいろな方式も出ました。それからまた
委員
の中には学者がおられますものですから、学者からもいろいろな
意見
が出ましたけれども、なかなかこうというきめ手がありませんでした。それで、いまのお尋のような、これを総合的にやってすぱりとというふうな
意見
はあったかといいますと、それは遺憾ながらなかったのです。それで、やって結局一体何が一番困るかということを考えると、
物価
の
上昇
ということで、それで困るというのはどの要素をとっても一致するのだし、またそれが一番端的なんだ。だから少なくもこれだけは確保しようじゃないかというふうな気持ちであったろうと思うのです。それで
物価
というふうにいきまして、それじゃ
物価
を具体的にやるというところまではどうしてもいこう。それは主たる要素です。しかし補完的要素として、やはり
公務員
の
給与
の
上昇
率と、それから
生活水準
の
上昇
というものを見ますから、その要素としていろいろやるということは合理的にやっていただきたい。これは
政府
の責任でひとつやっていただきたい、こういう気持ちでやりました。
受田新吉
32
○受田
委員
御苦心のほどはよくわかりますけれども、これは
会長
さんに申し上げる問題ではなくて、どうせ
政府
へ私たちが追及する問題になるので、
会長
さんには御苦労さまでしたと申し上げる以外には何ものもないわけです。その点について、ただその
経過
だけを一応伺っておきたい。その
意味
で気楽にお聞き取り願いたいのですが、
退職
後もその
生活
が適当な
生活
を維持できるということばは、決して
物価
だけにつながる
意味
の適当な
生活
じゃない。かつて
公務員
であったという権威を十分——もし
公務員
でなかったら、別にいろいろな商売をやってもうけてもよかったのですから、蓄積した財産もあるということになりますから、それを全部捨てて、厳格な官吏服務紀律に従ってやった
公務員
というものを考えていただく、またこれから後の
公務員
のこと、いま現職にある
公務員
が、将来
物価
だけにスライドするので、どうも
公務員給与
改定
のような恩典に浴さないということになると、なるべく粘りに粘って、六十までも六十五歳までも粘らないとだめになるぞという、つまり
公務員
の新陳代謝にもたいへん影響する問題があるから、やっぱりこのあたりで、
退職
後も適当な
生活
というのは、すなわち現職の
公務員
の先輩として適当な
生活
という要素を十分考えていただかないといけない問題だと思う。そのほうの
意見
はありましたね。
新居善太郎
33
○
新居参考人
これは実情いいますと、
恩給
の本質というものに、個々の問題をやっておると戻ってくるのです。そうすると、今度はその前提となる、昔のことばでいえば官吏の
本旨
というものに戻ってくるわけです。そういうことで、やはりいま御指摘のありました官吏服務紀律によれば、官吏ばかりでなくその家族も上官の許しを得なければ商業を営むことができないといって、
経済
活動は全部封じられておるということ、それから
退職
金ももらえない、年末賞与も予算には組んでない、それから時間外勤務なども無定量の勤務ですからないというきびしい
生活
をしておりましたから、それで国家が
恩給
というものをやるのは、その人自身に安心を与えるばかりでなしに、
恩給
のたてまえからいえば、現在の人に対しても、後顧の憂いなく専心
職務
を尽くすという大きな利益がある。これは
昭和
八年齋藤
内閣総理大臣
が議会で
答弁
したときにもそういうふうに言っております。ですから、過去の人に対するばかりでなしに、国家としてもそれで非常によく忠実の義務を尽くしてもらえるのだというふうな、これはお説のとおりでありまして、そういう気持ちは十分ありました。
受田新吉
34
○受田
委員
ただ
物価
スライドだけでいきますと、将来
生活
保護の適用を受ける
公務員
がどんどん出てくる。現に薄給の
公務扶助料
をもらう奥さんたちというものが、そういう年をとった七十、八十になった
方々
は、もう
生活
保護の適用を受けている人も私聞いておるのです。かつて
公務員
であった人、またその妻が不遇になっておるというところの人は、年に三万とか四万とかいう扶助料、六万
程度
の
恩給
では食っていけない。もう
生活
保護の適用を受けるほうがむしろ高額なのですから、そのほうへかわるということになってくる。だから、一応現職の
公務員
の
給与
というものを前提にするという
意味
でみんなが言うてきたと思うのですけれども、そういうところを十分勘案してこういう答えが出たということでございますから、そこら辺にしておきます。 もう一つ、いま
大出委員
が指摘されたことに関連するのですが、この
恩給法
というものは時代とともに社会保障の要素をたくさん取り入れておる。家族加給
制度
など入れたということは、以前はなかったわけですからね。その後どんどん入ってきておるのです。若年停止などというのも、これは社会政策的な見地でこういうことが起こっておる。昔は、スタート時代はなかったわけです。三十歳でやめても
恩給
をもらったのです。
恩給法
そのものが
軍人恩給
に
出発
しただけに、
軍人
になる人を求めるために、いかに若くやめても、
恩給
はそのままもらえたのですが、
昭和
八年若年停止
規定
が誕生してからというものは、今度それを現に現在の
恩給法
でどんどん活用して七十歳、六十五歳、六十歳というような差をつけておりますね。これは完全に
恩給法
の本質から逸脱して、スタート当時の
恩給法
の精神から逸脱しておる、こう思うのです。しかし、これは社会の情勢の
変化
に応じた
意味
でわれわれ歓迎せんならぬ面もある。特に傷痍
軍人
の場合など、
普通恩給
部分は階級差があっても、
増加恩給
部分は階級差を圧縮した。大将の負傷も兵の負傷も、負傷としてはもう同じに見ようという精神が
増加恩給
の上に流れてきた、これは非常にけっこうなことなんです。こういう
意味
で、
恩給法
は性格が変わってきつつあるということはもちろん討議されたと思うのです。 同時に、一つの例でございますが、私も質問しようと思っていたところ、
大出
さんが質問されたことですが、特務士官というのは、やめた当時の俸給は違っていたわけですね。ところが旧
恩給法
は階級差で一本にしておったからというこの理屈は、この機会には捨てていただく性質のものだと思ったのです。なぜかというと、
退職
時の
給与
を前提にしてその
生活
を維持するということでございますから、もちろん
仮定俸給
はそれよりもちょっぴり高いところに置かれていたから——普通の士官は非常な高いところで
仮定俸給
をつけられる、特務士官はちょっぴり上に積み上げられたところで
仮定俸給
がきめられたからいいじゃないかという理屈は、これはやめた当時の俸給を基礎にいまみんなやっているのですから、昔の
制度
の悪い点があったらいまの
制度
のいい点に切りかえて、該当者も少ないことでございますし、年をとって軍務に服したというこの
老齢
な旧特務士官に報いる
意味
においては、やはり本俸に準じた
仮定俸給
を設けてやる、多少の差でもいい、やめるときの俸給を基礎という新
制度
をここへ採用する英断をふるうべきとき、私は
新居
先生には特にそこの英断をふるってもらいたかったと思うのですがね。何となれば、国会では、すでに曹長であれば十二年で
恩給
がつく、准士官になったら十三年なければ
恩給
がつかぬというのを、
終戦
当時のきわどいところにおった皆さんに対しては、十二年で曹長であった人にも十二年で准士官になった人にも同じような
恩給法
の適用を受ける
制度
をつくってしまったのです。だから准士官に昇進の早かった人、少し早いと十三年にならぬ間の分は何ももらわぬでやめなければならぬのが、今度は
恩給
をもらうようになったわけですから、明らかにこの一角でそうした待遇のバランスを考える
制度
ができておる。これは討議の材料になりましたかしら。いまの十二年で下士官の場合、兵の場合は
恩給
になった、准士官になると十三年でなければ
恩給
にならない。そこで
終戦
当時十二年と十三年の間で、ちょうどきわどいところにおった者で准士宮になった人にも
恩給
をつけるということになったことは、
恩給
局長、
説明
されたかどうか。
新居
先生に進言されたかどうか、
恩給
局長にちょっと聞きたい。
新居善太郎
35
○
新居参考人
私も記憶がはっきりしませんから、いま
恩給
局長に確かめたのですが、その
説明
は受けました。受けて、討議をいたしまして、やはり御不満でもございましょうが、
現行どおり
ということになりましたのは、これはわれわれ十人を構成メンバーとしておりますから、それで——いまの点は
説明
を受けた中に、
法律改正
をしておるということで、それで、われわれもそれを受けまして、
法律改正
の結果のとおり過ぎたわけでございます。 それからいろいろ御
意見
ございますけれども、私どもも十人の
意見
をずっと総合しますから、なかなか御期待のようなことにいけぬところもあるということを御承知を願いたいと思います。
受田新吉
36
○受田
委員
これは
新居
先生もいろいろ
審議会
の運営をやられてお考えでしょうが、やはり幹事役の
政府
の
関係
の
方々
がおぜん立てするのに押される危険がときどきありますからね。そういうときに、これは旧
軍人恩給
体系をこわすからなるべくやりたくないというような含みのある発言、そういうことは言われなくとも、なるべくこういうものはというように言われると、みんな
委員
が一斉になびくのですね。だからやはり
恩給
局長さんなどここはやはりすかっとやっていただいて、こういうものは直していただきたかったし、また英霊となられた准士官以下の
方々
の扶助料はせめて下級将校、少尉並みぐらいにして、英霊だけは、少尉以下は全部少尉の扶助料で、神となった人を階級差は設けるべきでない、兵の階級を圧縮して兵長に一本にし、それからいまのような下士官、准士官というような階級が出ておるのを漸次圧縮さして、百円か二百円刻みに圧縮しておるのですけれども、こんなものは整理したほうがいいという、この問題はどこでも討議されたことがないようですが、私が多年主張しておる問題で、英霊となった戦死者の
遺族
に対する
公務扶助料
は、いまの
大出
さんが指摘された上のほうの問題というのでなくして、下の者はやはり将校並みの扶助料を差し上げるという、この
制度
がどうかというような
意見
は、私の多年主張した
意見
が漸次
恩給法
にあらわれてきたのですが、そういう
意見
があることはお聞きになったかどうか、お聞きになっていないとすれば
恩給
局長怠慢であると思う。
新居善太郎
37
○
新居参考人
ただいまの点は、一つ一つは申し上げられませんが、かなり資料としては詳細に出してもらい、また
委員
のほうからも要求し、それについては相当懇切に御
説明
をいただきました。 それから、
恩給
局のやり方と
審議会
との
関係
についてちょっとおことばがありましたが、
審議会
はあくまでも自主性を守るという
態度
は堅持いたしまして、事柄は申し上げませんが、
恩給
局で考えた
意見
と反対の
意見
を、相当
審議会
の
意見
としてつけた点もありますし、これは申し上げたくはありませんが、ときには
恩給
局の力に全部御退席を願って、それで
委員
だけで
審議
したという点もありますので、非常に懇切丁寧に
説明
はしていただき、また教えてもいただきましたが、
審議会
は
審議会
として独自の
意見
を出そうという気持ちのあらわれは、そういういう場合もあったということを御了承願います。
受田新吉
38
○受田
委員
新居
先生のことですから、
政府
の圧力に屈せられるような方でない、しんのある方だということはよく存じ上げておりますから、了承さしてもらいます。 時間の
関係
で、私これだけで質問を終わります。この膨大な
答申
書の中で、いま
新居
先生お読みになられた、ごあいさつされた中に、ちょっとおことばが違っていたのか、あるいは私の聞き違いであったかはっきりしない点があるのですが、外国
政府
職員の項のところです。「外国
政府
職員または外国特殊法人職員から
公務員
となった者について、その職員
期間
を
普通恩給
についての最短
恩給
年限に達するまでを限度として
通算
することとしている」というあの項で、
終戦
という
特殊事情
を考慮してとられた特例
措置
であるので、この制限を
廃止
しまたは制限を緩和するという
意見
で
答申
したというようなおことばがあったように記憶するのですが、間違っておりますか。
新居善太郎
39
○
新居参考人
「
外国政府職員等
であった方に対する
在職期間
の
通算措置
につきましては、
恩給
の
本旨
に沿いながら、
終戦
という
特殊事情
を考慮して必要な
範囲
においてその
通算
の
条件
を
廃止
し、または緩和するという
意見
を示しました。」これでございますか。
受田新吉
40
○受田
委員
ええ、それです。
新居善太郎
41
○
新居参考人
このとおりでございます。
受田新吉
42
○受田
委員
そうすると、この
答申
の中にある、いまの
通算
ということの「制限を
廃止
することは適当でない。」という、この
意見
の文章とはどういう
関係
になるのですか。
新居善太郎
43
○
新居参考人
いまの申し上げましたことは、外国
政府
職員になるために
公務員
を
退職
したというふうな
条件
が従来ついておったわけですね。しかしそれが実際上同様に認められるという場合には同じように
通算
してもいいじゃないかというふうな事柄や、またそういう
条件
を具備する者で、すでに日本で
恩給
年限に達していた者が外国
政府
の職員になったという者は、従来はその外国
政府
職員の
在職期間
は
通算
されていなかったのでありますが、今回はそれを
通算
するということでございます。また同じような、いまの外国
政府
職員になるために
公務員
を
退職
したという
条件
を具備する満州国の職員が今度抑留せられたというようなときに、その抑留
期間
は従来は
通算
されておらなかったわけです。それはやはり
通算
しようじゃないか、こういうようなことが
内容
になっております。 〔
委員長
退席、
浦野
委員長
代理着席〕
受田新吉
44
○受田
委員
そうしますと、その次の、抑留など、兼ねたことばとしていま言われたわけですか、
廃止
もしくは緩和という二つのおことばはその
意味
でございますか。
新居善太郎
45
○
新居参考人
いま言うふうなことが
内容
となってこれを
廃止
またば緩和ということになっております。
受田新吉
46
○受田
委員
そうするとこの
答申
書にある「この制限を
廃止
することは適当でない。」というのは、そのうちのどれにひっかかることになるのでしょうか。このことばといま先生の御発言との
関係
をちょっと……。
新居善太郎
47
○
新居参考人
いまの点は、表現では「必要な
範囲
に」と言っておりますから、いま私が申し上げたのは
通算
するというふうになりますけれども、たとえば満州国の
公務員
であった人が今度は日本の
公務員
になったというふうなときには
通算
しない、従来のとおりだというふうなことも入っております。
受田新吉
48
○受田
委員
違う場合を指摘されて二つをあげられた、この
答申
書にある「この制限を
廃止
することは適当でない。」というこのことばは、この文書に書かれた点はこのまま認めていいわけになりますか、
答申
書のこのことは。
新居善太郎
49
○
新居参考人
答申
書のあるほう、そのとおりを御了承願いたいと思います。つまり私のきょう申し上げましたのは、個々の問題が六十もありますものですから、その中のこれはと思った問題を申し上げただけで、それ以外はきょうは申し上げませんでして、それで、それ以外の問題ともし
関係
がどうであろうかというふうなお疑いがありましたら、この
答申
書のほうをひとつお読み願いたいと思います。
受田新吉
50
○受田
委員
そこまでにしておきましょう。
新居
先生の御苦労に感謝するほんのあいさつだけで……。あらためて、どうも御苦労さまでした。
浦野幸男
51
○
浦野
委員長
代理
伊藤惣
助丸君。
伊藤惣助丸
52
○伊藤(惣)
委員
いままでいろいろ御
説明
がございましたので、私からは三点について御
意見
を伺いたいと思います。 初めに、たびたびお伺いいたしましたが、スライド制についてであります。
調整
の
基準
を五%以上の
消費者物価
に置いているわけですが、
審議会
としては、これを実施するのに
政府
に対して、法律上これを明記することを望んでいるかどうかという点をまずお伺いした。
新居善太郎
53
○
新居参考人
われわれ
審議会
といたしましては、法律にするか政令にするか、それは専門的に研究していただくとして、実行のできるような
制度
にしていただきたいという、それを法律に明記するかあるいは政令に明記するかと聞きますと、閣議決定なんということもあるそうでございますが、それはとにかく、将来これが必ず行なわれるという形にしてもらいたいということでございます。
伊藤惣助丸
54
○伊藤(惣)
委員
次に、下士官以上の旧
軍人
の実
在職年
三年以上七年未満の者に一時金を
支給
すべきだとしております。そして兵については
戦前
においても一時金を
支給
されていなかったとして、
支給
の必要なし、このように除外しておるのは、あまりにも終
戦前
の
恩給法
、ひいては
戦前
の旧軍隊組織にこだわって、戦後の
一般
国民
感情にそぐわないものがあるのではないかと思うわけです。その点について御
意見
を承りたい。
新居善太郎
55
○
新居参考人
ただいまの点は、先ほども申し上げましたように、そういう
条件
緩和、兵ばかりでなく下士官以上の者に対してどうかというふうな
意見
も実はあるのでございますが、それをいろいろ考えまして、それで
戦前
において受けており、しかも今度は戦後において兵が新たにそういうふうな
処遇
を受けるというときに、何といいますか、不利益な
処遇
を受けるに至った
事情
なども考えますと、少なくも下士官以上の人についてはそういうふうに緩和していいんじゃないか、兵のほうは戦後においてそういうふうに一歩進んだ厚遇をしてもらっているんですから、それでひとつがまんを願ったほうがいいんじゃないかというふうな
考え方
でございます。
伊藤惣助丸
56
○伊藤(惣)
委員
三番目でありますが、日赤救護員についても、事変地または
戦前
における勤務
期間
に
通算
するという
考え方
は書いておりませんが、かつて白衣の天使などと、戦争遂行に対してきびしい
職務
をしいておきながら、
戦前
官吏でなかったという理由だけでこの職員としての勤務
期間
を
通算
しないという
考え方
も、今日の
国民
感情から考えてそぐわないのではないか、こう思うわけです。
会長
の御
意見
をお伺いしたい。
新居善太郎
57
○
新居参考人
戦争に協力し、戦争に非常に力を尽くしたという
観点
からいいますと、非常に分野が広くなるのでございまして、そういう点においてわれわれ決して敬意を払わないという
意味
ではございません。ございませんけれども、やはり
恩給法
というものは国家に対して
公務員
として忠実に勤務し、それで一定の
条件
を備えた者に
恩給
が交付されるんだということからすると、どうもそこまでやることはできないんじゃないか、そうなりますと戦争中あの空襲下においていろいろ協力したいろいろの
方々
がありますから、そういうことも考えますと、ちょっとこの辺で区切りをつけたほうがいいんじゃないかという考えでございます。
伊藤惣助丸
58
○伊藤(惣)
委員
以上で終わります。
浦野幸男
59
○
浦野
委員長
代理 これにて
新居参考人
に対する質疑は終了いたしました。
新居参考人
には御多用中のところ御
出席
いただき、まことにありがとうございました。 ————◇—————
浦野幸男
60
○
浦野
委員長
代理 次に、許可、
認可等
の整理に関する
法律案
を議題とし、
趣旨
の
説明
を求めます。木村
行政管理庁長
官。
木村武雄
61
○木村(武)国務大臣 ただいま議題となりました許可、
認可等
の整理に関する
法律案
について、その提案理由及び概要を御
説明
申し上げます。
政府
は臨時行政
調査会
の
意見
の
趣旨
を尊重し、行政の簡素化及び合理化を促進するため、許可、
認可等
の整理をはかってまいり、その一環といたしまして第五十五回国会において許可、
認可等
の整理に関する法律の成立を見たのでありますが、さらに同様の
趣旨
のもとに許可、
認可等
の整理を行なうため、ここにこの
法律案
を
提出
することとした次第であります。
法律案
の
内容
について御
説明
申し上げますと、第一に、許可、
認可等
による規制を継続する
必要性
が認められないものにつきましてはこれを
廃止
し、第二に、規制の方法または手続の簡素化をはかる要があるものにつきましては規制を緩和し、第三に、下部機関において迅速かつ能率的に処理を要するものにつきましては処分権限を下部機関に委譲し、第四に、統一的に処理を要するものにつきましては許
認可等
を統合することにいたしました。これによりまして、各行政機関を通じまして、
廃止
するもの三、規制の緩和をはかるもの三、権限を委譲するもの一、統合するもの一、計八、
関係
法律数にしまして七法律を整理いたすことといたしました。 以上が、この
法律案
の提案の理由及び概要であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。 ————◇—————
浦野幸男
62
○
浦野
委員長
代理 次に、
行政機構
の
簡素化等
のための
総理府設置法等
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。
大出俊
君。
大出俊
63
○
大出委員
委員長
に御質問を申し上げますが、どなたもおいでにならない。私のほうは社会党二名、民社党さん一名、公明党さん一名で、私のほうは九人ですから、
出席
率は少し悪いんですけれども、与党のほうは非常に少ない。これでも
審議
をやれとおっしゃるのですか。
浦野幸男
64
○
浦野
委員長
代理 至急人を集めますから、質問をお続けいただきたいと思います。
大出俊
65
○
大出委員
委員長
は質問を続けろという権限はないのじゃないですか。しきりに一局削減をやれとおっしゃるが、こういうことでやれと言う気持ちが知れないですね。きょうはやめようじゃないですか。
浦野幸男
66
○
浦野
委員長
代理 ちょっと待ってください。今すぐ集めますから……。
大出俊
67
○
大出委員
成立してなければ直ちに散会して帰ってこいという国対の指令なんです。いる人だけは一生懸命なので何ですが……。 ところで、総理大臣佐藤榮作さんが施政方針演説で青少年非行の問題その他を特に取り上げられまして、四十一年でありますが、青少年対策本部などというけちなものでなくて、青少年局を置くという
意味
のことをおっしゃったことがあります。これは行管の長官には質問をいたしません。総理府つまり総理大臣の直属でございますから、総理府の総務長官に承りたい。総理はいかなる心境で今回青少年局を
廃止
するというお考えになったのですか。長官の御
答弁
がいただけなければ総理に御
出席
をいただいて承りたい。
田中龍夫
68
○田中国務大臣 いかなる心境で青少年局を
廃止
するかという御質問でございますが、御案内のとおり、佐藤内閣といたしましては、青少年問題、青少年に対するビジョンというものを掲げるということは、組閣以来の大きな柱でございます。かような
意味
からいわゆる青少年局といったようなお役所式な静的なものから、より一そう充実した機動性を出す、活動的なものにいたしたいというような
意味
合いのもとに、このたび青少年対策本部というような、むしろ後退ではなく一歩前進と申しますか、強化いたした、かような次第でございます。つまりいえば八条機関になった、かく申してもよろしいかと思います。
大出俊
69
○
大出委員
ただいまの御
答弁
は総理の御心境というわけでありますか。
田中龍夫
70
○田中国務大臣 こと青少年問題に関します限りは、私はさよう心得ております。
大出俊
71
○
大出委員
私はということになるとこれは総務長官の御
答弁
でございまして、総理の
答弁
ではないわけです。したがって、その点は保留をさしていただきまして、総理の御
出席
をいただきまして御質問を続けさしていただきたい、こう思うわけであります。
浦野幸男
72
○
浦野
委員長
代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
浦野幸男
73
○
浦野
委員長
代理 速記を始めて。
大出俊
74
○
大出委員
あとでそういう機会をつくるから質問を続行せよというお話に御回答がなるのなら続けてもいいです。
田中龍夫
75
○田中国務大臣 総理の御心境をそんたくいたしまして私からお答えをいたした次第であります。
大出俊
76
○
大出委員
総理は御
出席
をいただけますか、いただけませんか。
田中龍夫
77
○田中国務大臣 つかさつかさがございますので、私がおります以上、その必要はないと思います。
大出俊
78
○
大出委員
そんたくはしたけれども総理の
答弁
じゃないわけで、いやしくも本
会議
で総理が施政方針演説の中でおっしゃった。それがにわかにこういう変わり方をするということになると、これはやはり本
会議
で
国民
に対してものを言っておられるのですから、それがなぜこういうことになったかという点は、これは総理が答えるべき筋合いだ、こう考えるわけでありますが、この一九六七年版の青少年白書によりますと、
昭和
四十一年四月一日、総理府に青少年局が設置されたが、これは多くの省庁にわたって所管されている青少年行政の総合性と一貫性を確保する上にきわめて大きな前進を示したものということができる。青少年局の発足に伴い、
内閣総理大臣
云々というところから始まるわけでありますが、これはたいへん大きな取り上げ方を皆さんされておるわけであります。そうだといたしますと、これはやはりこの青少年局を
廃止
をするとなると、八条機関だとか、強化だとか強弁をされましても、きわめて大きな
国民
に与える影響があるわけでありまして、何で一体あれだけ強調した青少年局をやめるのか、そこはどうしても総理に承っておかないと
審議
が進まない、こう思うわけであります。それで、重ねて承りたいのですけれども、当然むしろ総理が出てきて
説明
をすべきもの、御本人が一局削減というものを提起をされたのでありますけれども、私がアメリカに行って帰ってくるまでに各省から答案を出せ、総理府もそれによって答案をお出しになったにすぎない、そう考えるのでありますが、無理でございますか。
田中龍夫
79
○田中国務大臣
考え方
というものはいろいろその人その人によって違うかわかりませんが、私は青少年対策本部となりましたことは決して縮小にあらずしてむしろ強化である、かように信じている次第でございまして、総理の意向は十二分に反映されている、かように考えます。
大出俊
80
○
大出委員
それでは総務長官に承りますが、一局削減というものは機構を縮小するというのがねらいではないのですか。強化することがねらいですか。
田中龍夫
81
○田中国務大臣 一局削減の
内容
は、
本旨
はあくまでも行政効率を高める、そうして強力な政治を行なおうということにあると存ずるのでありまして、お隣に行管長官がおられますが、私どもは一局削減の
本旨
を決して行政効率の低下なりあるいはまた形式的なものとは心得ておりません。さような
意味
におきまして、一応は一局——局というものを
廃止
せよということでございますので、これは当然内閣の一部を担当するものといたしましては、その御
趣旨
に従うと同時に、半面また御
趣旨
を体して強化拡充いたしたわけでございます。
大出俊
82
○
大出委員
これは学者でございますから少なくとも総務長官よりも学問的には詳しいだろうと思いますが、ここに岡部史郎さんの書物がございます。行政管理、これは新しい書物でございます。その中に機構というのはあくまでも
国民
に対するサービス行政を含む
制度
であるという書き方をしておりますね。そうすると、この内閣編にも書いてありますけれども、まさか内閣をやめてほかのものにして強化されたのだといばっているわけにいかない。局という
制度
がとられているものをやめて、何かわけのわからぬ本部というものをこしらえて強化というわけにはいかない。
行政機構
というものは機構論がある。あなたがそういう常識的な、中身はきわめていいのだからだいじょうぶなんだというのなら、各省大臣はみんなやめてもらいたい。次官以下で十分動いていく、そうでしょう。それでけっこうなんですからそう軽々しくものを言われては困りますよ。これの
説明
は二、三時間かかりますからやめますけれども、そういうものの
考え方
、局というものを本部にしたらそれで強化されたのだというのは、もってのほかだと思います。もうちょっと理論的に答えてください。
田中龍夫
83
○田中国務大臣 行政組織論から申しまして、局というものの削減というものは確かに仰せのとおりでありますが、しかしながらこの機構を静態的なものから能動的なものにいたすということは申し得ると存ずるのでございます。私どもは、局の削減はいたしましたが、しかしながら佐藤内閣として非常に重要視いたしております青少年問題に対しましては、その
趣旨
に沿いまして
改善
をいたしたい、かように思います。
大出俊
84
○
大出委員
青少年局をなくすることも、自治省の選挙局をなくすることも、労働省の安全衛生局をなくすることも、厚生省の公園局をなくすることも、機構という面からいけば、ひとしくこれは削減なんです、簡素化したわけだから。そうでしょう、複雑にしたのじゃないのだから。これをながめてみれば
行政機構
の簡素化でしょう。違いますか。
田中龍夫
85
○田中国務大臣 私どもは、そういう面から申すならば、事総理府に関しましては、いまよりむしろ充実した、かように考えます。
大出俊
86
○
大出委員
それでは、これは
行政機構
の充実のための総理府設置法の一部
改正
というふうにして出し直してください。あなたのところで出した
法律案
には、
行政機構
の
簡素化等
のための
総理府設置法等
の一部
改正
というふうに書いてあるので、それが充実なり拡充というなら、そうしてお出しになってください。
田中龍夫
87
○田中国務大臣 これは簡素強力という
意味
でございます。
大出俊
88
○
大出委員
簡素強力というのは、どういうことですか。
田中龍夫
89
○田中国務大臣 簡にして要を得、能率を高めることでございます。
大出俊
90
○
大出委員
そうすると、簡素化には違いないのですか。どうなんですか。
田中龍夫
91
○田中国務大臣 行管の
趣旨
に沿いまして、簡素化をいたすことにつきましては、軌を一にいたしております。
大出俊
92
○
大出委員
それでは簡素化じゃないですか。そのあとの簡にして要を得てなんというのは、あなた個人の精神論じゃないですか。そういういいかげんなことをするから筋の通らぬ
答弁
が出てくる。これでは話にも何にもならぬじゃないですか。これはやはり組織論、
制度
論ですから、あなたがそう簡単に考えているように、簡にして要を得ているなんてそんなことを言うと笑われますよ。 ところで、青少年白書というのは、どういう
趣旨
で毎年お出しになっておるのですか。
田中龍夫
93
○田中国務大臣 青少年白書の問題は、これは青少年の問題についての行政の
内容
を詳述しておるわけでございますが、これについては担当の局長からお答えをいたさせます。
安嶋彌
94
○安嶋
政府
委員
青少年白書は、毎年年次的に出しております青少年行政全般に関する
政府
の公式な報告でございます。現状を広く
国民
一般
にお知らせいたしますとともに、将来の
改善
に資したいという
趣旨
で、現状を明らかにし、広く
一般
のごらんに入れている次第でございます。
大出俊
95
○
大出委員
一九六七年の、つまり昨年の白書の特徴というのは一体なんですか。
安嶋彌
96
○安嶋
政府
委員
ただいま申し上げましたように、白書は毎年定期的に出しております報告でございますので、全体の立て方といたしましては、従来と特に変わった点はございませんが、昨年の全体の立て方の特色と申しますと、第十章に「都市化の進展と青少年」という新しい章を一章起こしまして、現在問題になっております都市化問題にある角度からスポットを当てまして、問題の解明をしたという点が六十七年度版の立て方としての特色でございます。
大出俊
97
○
大出委員
このはしがきのところですが、ここにいまの
趣旨
のことが書かれてありますが、この青少年白書をながめて見まして、いずれも見方がきわめて極端で恐縮ですけれども、実情はこうである、対策は明らかではない、こういう書き方ですね。したがって、その
意味
では、この青少年白書一冊を取り上げて私が質問いたしますと、一週間くらいかかるだろうと思います、各省多岐にわたりますから。しかし、それにしても毎年お出しになってきて、特に都市化現象を
中心
にお書きになっている。この中身を見ると、青少年局がこれから取り上げてぼつぼつ方向づけをしてやらなければならぬという問題が山積している。だから、そう簡単にこの青少年局を
廃止
して、総理の施政方針演説から始まりまして、組織化したものをここでまた別の機構に切りかえていくなどという性格のものではないという気がするわけです。 そこで冒頭に承っておきたいのですが、対策本部と青少年局とはどう違うのですか。
田中龍夫
98
○田中国務大臣 青少年局の場合は、総理府の長であります私が責任者となりまして、そうして局長がこの仕事を所掌するわけでございますが、対策本部の場合においては、総理大臣みずからが本部長となられ、そして局長が次長として仕事をいたすわけでございます。 以下、
各種
青少年
団体
に対します育成強化の行政指導の面、あるいはまた各都道府県等に対します組織の拡充強化の面におきましては、従来同様の既定方針で進めてまいります。
大出俊
99
○
大出委員
そうすると、これは局長が次長になって、その上に本部長がいて、それが総理だというわけですね。 それで法律の中身を見ますと、第十六条で「総理府の機関として、青少年対策本部を置く。」それから「青少年対策本部は、次の事務を行なう機関とする。」こうなっておりますが、この事務の
内容
というのは、一体青少年局とどう違いますか。
安嶋彌
100
○安嶋
政府
委員
法案の第十六条第二項にございます青少年対策本部の事務は、現在の青少年局の事務と同様でございます。
大出俊
101
○
大出委員
全く同様でございますか。
安嶋彌
102
○安嶋
政府
委員
字句文言全く同様でございます。
大出俊
103
○
大出委員
そうだと思って承ったわけでありますが、中身は一つも変わらない、全く同様だ、そうなりますと、違った点というのはどことどこですか。中身が全く一緒で何が違うのですか。
田中龍夫
104
○田中国務大臣 八条機関に相なりましたことと名称が対策本部と相なったことと、本部長に総理大臣、局長が次長ということでございます。
大出俊
105
○
大出委員
念のために承りますが、八条機関というのを詳しく
説明
してください。
田中龍夫
106
○田中国務大臣 国家行政組織法の八条でございまして、一例を申すならば、たとえば検事局とか試験所とか研究所のごときも、あれだけ膨大なものはやはり八条機関でございます。
大出俊
107
○
大出委員
検察庁もですか。さっぱりわからないので、もう一度答えてください。
田中龍夫
108
○田中国務大臣 私がただいま申しましたのは、八条機関といいましても、非常に小さな
審議会
や協議というようなものもございますれば、また反面、検事局とか試験所とか研究所とか何かというふうな大きな機構もございます。
大出俊
109
○
大出委員
そうなると、局と全く同じ八条機関、こういうわけですね。そういう例はどこにどのくらいありますか。八条機関の中には
審議会
から何から一ばいありますよ。そうでしょう。——きょうは行管長官に質問する気はありません。あとで一日でも二日でもぶっ続けでゆっくり質問しようと思っているのです。 そこできょうは総務長官だけに承っておきたいのですけれども、いま総理府をながめてみると、
審議会
なんというものはどんどんどんどんふえるばかりなのです。ふえっぱなしです。前の内閣官房副長官は、私と個人的に非常に親しい方がやっておられまして、いろいろお話を聞いてみると、
審議会
は花盛りということでありますし、きょうは休んだと思ったら、
審議会
が始まるんだ、だれか来てくれというので、副長官が専属で一日に四つも五つもかけ持ちで飛んで歩く、こういうわけだ。行管は、臨調の
答申
もあるわけでございますから、
審議会
は当然縮小の方向にいかなければならぬ。ところが、これは二百二、三十もあるだろうと思ったらもっとあった。最近また幾つもふえたという。それはどこだと言ったら、各省みななわ張り争いがございまして、みんな総理府につけておけというようなことになって、総理府は
審議会
の花盛りです。副長官なんというのは何もやることはない。そればかりかけずり回っていれば一日終わってしまう。現状はそういうことになっているでしょう。これも八条機関ですね。八条機関というのはずいぶん都合がいいんですね。 一つずつ承りたいのですが、総理府もたいへんだろう、また、対策本部長なんかをつくって対策本部もたいへんだろうと思うのですけれども、
審議会
の数というのは最近ますますふえておりますが、ここのところでどういうふうになっているのですか。
田中龍夫
110
○田中国務大臣
政府
全体の
審議会
の数が二百六十三でございまして、総理府の所掌いたしておりまする
審議会
が六十二ほどでございます。なお私どもは、これをぜひとも縮減していきたいと考えて鋭意
努力
いたしておりますが、最近の
関係
では、たとえば交通安全対策の問題でありますとか、あるいはまた公害の推進連絡本部でありますとか、そういうふうな各省庁の総合
調整
というふうな
意味
で、総理府に関します限りは、減るというよりはむしろ増加傾向にございますことは、御承知のとおりでございます。
大出俊
111
○
大出委員
これは前に藤尾さんがここで机をたたいて質問したことがありますが、とにかくふえるばかりだというわけでありまして、ことごとく首尾一貫しない。簡素化に関する
法律案
というのを出しているけれども、片方ではどんどんふえている。局がなくなったと思っておると八条機関へ持っていった。しかも検察
関係
の本部みたいに大きなものがある。その大きなものに類似する局を、あまり中身は変えずに横すべりさせて本部に持っていったのですから、そういう性格の八条機関というものはどこにどのくらいございますかと聞いているわけです。総務長官の
答弁
によると、局ではなくなったけれども、たいへんに拡充強化されたのだというのでありますが、しかもこれは八条機関だという。そうすると、八条機関の中で、青少年局を青少年対策本部にしたようなケースはいままでたくさんありましたか、何省のどういうものがそれに該当するか、こう聞いておるわけです。
田中龍夫
112
○田中国務大臣 私は寡聞にしてあまりよくその辺を存じませんのでお答えできませんけれども、しかし、たまたま総理府を
対象
にいろいろの御
審議
をいただきますといまのような状態でございますが、総理府以外の場合におきましては、やはり
政府
の方針に従いまして簡素化いたしてまいりつつある、かように存じております。
大出俊
113
○
大出委員
どうもそれがおかしいのです。総理府は拡充強化いたしてまいりましたが、その他の機関については簡素化をしたというのですか。そうすると、これは総理府については拡充であり、他省については簡素化に関する
法律案
だ、こういうふうになるのですか。
田中龍夫
114
○田中国務大臣 それは先ほど申し上げましたように、各省庁の総合行政というふうなことで、各省にまたがりますいろいろな
調整
事務というものがますます多くなりつつあります。さような
意味
におきまして、事総理府に関するいまの場合におきましては、連絡協議会でございますとかあるいは
審議会
でございますとかいうふうな機構がやむを得ない姿におきまして増加いたしてまいっておりますことはどうぞ御了承賜わりたいと思います。
大出俊
115
○
大出委員
総務長官、そういう場当たりな
答弁
をしてはいけませんね。私は順を追って聞いていったんですからね。長官は、決して削減ではなくて、対策本部にしたんです、しかも本部長には偉い人がいるんです、そうして現局長は次長でございます。こういう御
答弁
ですから、その限りではことばどおり受け取らざるを得ない。それならば簡素化どころではなく、拡充強化です。そうでしょう。どこか違いますか。中身はちっとも変わらない。局長は横すべりで、いままでない本部長が乗っかってしまう。いまの局長一人でいいところが本部長が乗るというわけですね。そういうことをやろうと初めから思っておったわけではないでしょうが、総理が一局削減で答案を出せと言われたから、しようがないからというのでしょう。それまでは青少年局でちゃんと局長がおって、青少年白書には、これからわが青少年局はこの中身でいろいろな問題をやっていきますと書いてある。これは一貫した方針できた。四十一年の四月一日にできましてから、これは何の理由もないんですよ。いまあなたは総合的事務がやたらふえてまいりましたと言われたが、読んでごらんなさい。総合的事務がみなここに書いてあるんです。各省網羅して書いてないものはない。初めからこれだけあった。家庭
生活
問題
審議会
だとかなんとかいう
審議会
や、この中に七つぐらい青少年に関する
審議会
も全部書いてあります。新しくふえたものはないんですよ。交通だって私はここにちゃんと資料を持っております。大橋運輸大臣のときからちゃんとあって、この問題もいまに始まったことではない。そうなると、何もふえたわけでも何でもない。あくまでいままで総合的にやってきた。それをあなたのほうは、佐藤総理が言うからというので、しようがないから何とかしなければならぬ、しかし一局削減だから局をやめて部にいたしますというのでは、佐藤総理が施政方針演説でぶち上げておいて、こしらえて、青少年白書でいばって書いておるのに、何をやっておるのだということになるとぐあいが悪いから、総理を対策本部長とすることはおかしくはないかということで、そういう
論議
をいろいろおやりになったら、形だけでもつけておかないと、
一般
の
国民
の受け取り方がまずかろうということになって、総理を対策本部長として乗っけたというわけですか。こんなことまでする必要が一体あるのか。総務長官、いまの局長でやっていったのでは不足ですか。りっぱな局長安嶋さんがおられて、不足ですか。青少年局はりっぱに動いているでしょう。どうですか。
田中龍夫
116
○田中国務大臣 もっとよく動かすためにいたしました。
大出俊
117
○
大出委員
あらわれてもこないような総理を乗っけて安嶋さんを次長にしたらもっとよく動く、ずいぶんどうもものを言う気力がなくなるような
答弁
で往生するわけですが、まあけさの
理事
会で、三十分ぐらい前にやめろということでもあり、二時に本
会議
で、その前にめしを食う時間がなければならぬのでやめろということですから、いま、一時三十五分になりましたから、一つだけ言って次回に譲りますけれども、たくさん問題があります。ありますが、いまあなたが口にされたからこれだけ聞いておきたいのですが、交通事故による青少年の死傷、これがたいへんふえているわけです。おたくの白書を見ると、私のほうの資料にもありますけれども、たいへんふえている。しかもその中で、時間帯、どういう時間が一番事故が多いかとか、どういう年齢が一番事故が多いかとかいう点をテキストを見ていきますと、
昭和
四十一年の交通事故による死亡者が一万三千九百四人、負傷者が五十一万七千七百七十五人、このうち青少年二十歳未満、これで見ると青少年の一応の目安は二十歳未満ということだと思うのですね、そう書いておられますから。これの交通事故による死者数は三千四百四十七人で二五・一%、負傷者数は十六万六千五十八人で三二・三%、このうちで男子の死者が二千六百九人、七五・五%、負傷者が十二万五千七百二十人、七五・七%、こういう高率を示しているわけです。それから年齢層別に人口十万人当たりの死傷者について
調査
の結果は九歳から十五歳が最も少ない、十六歳から十九歳の年齢層が最も多い、九歳から十五歳の二・三倍、こういうわけです。 そこで何が原因かということをここでは究明をしているわけです。十六歳から十九歳までというのは自分で自動車を運転する年齢層なんだというわけです。それから精神的に非常に不安定な年齢だというわけですね。したがって、これらの青少年が車両等を運転し交通事故の第一当事者となった件数は全件数の一七・五%、六万七千五百九十八件ある。これを二輪車事故、四輪車事故等に分けて書いてある。 それから特に十六歳未満の人たち、通学児童というところを
対象
にとっておりますね。ここでも非常に事故が多い。しかも、その時間帯が学校から帰ってくる時間帯、三時過ぎのところに非常に集中的に多いという表の出方です。そのうちで特に幼児、学童の交通事故というのは、歩行中の事故が八二・六%、これは学校から帰った解放感であるとかあるいは両親の注意力がひょっとそれる時間であるとかいうふうな理由がいろいろあげられておりますが、ところがここまであげておりましても、さて一体これからどういうふうな具体的な
配慮
でこの種の事故を防いでいくか。これは人間同士の注意力で防げることですから、やればできる。ここらあたりになってまいりますとさっぱり具体性がないわけです。したがって交通事故防止対策というところに何と書いてあるかというと、「交通暴力の排除を徹底し、さらに安全運転に関する雇用者等の責任体制の確立を図ることとしている。」こう書いてありますが、これは一体何ですか。事故防止の方向としてはいま申し上げたように交通暴力の排除を徹底するのだ、さらに安全運転に関する雇用者等の責任体制の確立をはかることにしている、これだけのことです。「このうち幼児・学童、老人に対しては交通安全教育等の徹底の一項目として、幼児および学童に対しては保護およびしつけを、」これはあたりまえのことです。「老人に対しては保護をそれぞれ徹底するよう保護者に対する指導を強化する。」ということが書いてある。そうでしょう。これだけであって、一体白書と称する限りは何かあってしかるべきなのにさっぱり具体性が何もない。よってきたる原因というものを究明してきているわけですから。しからば一体どうするかということについては、しつけを強化するなんということは、
政府
がそんなことを幾ら言ったってしようがないのですからね。そうするとそこに何かがなければならぬことになる。そこら辺は一体どうお考えですか。
安嶋彌
118
○安嶋
政府
委員
ただいま御指摘の御不満の点はまことにごもっともだと思います。ただ、この白書に限りませず
政府
が発行いたしております白書全体の性格は
問題点
を明らかにするというところに主眼があるわけでございまして、それに対して具体的な、つまり対策の方向というものはただいまお話がございましたように、ある
程度
は書いてあるわけでございますが、さらに突っ込んだ対策の方向でございますとか、さらには具体的な
施策
の
内容
ということになりますと、これは予算上の問題、法律上の問題、その他いろいろの問題が伴うものでございますから、それについてはあまり深入りをしないというのが白書の基本的な性格、したがってそのワクでございます。この白書は御不満の点が多々あるかと思いますが、そういうワク内で執筆をいたしております
関係
上、御指摘のような御不満をお持ちになったかと思います。
大出俊
119
○
大出委員
理事
会の約束の時間も過ぎて恐縮なんですが、一つぐらいは具体的な点を申し上げておかぬと質問の
意味
がありませんので申し上げますけれども、法律的な予算的なものには深入りをしないということではほんとうの
意味
で問題の解明にならない。何が法律的に不備であるか、何が予算的に不足であるかという点が指摘をされなければ、
解決
の方向にほんとうに取り組めない。 そこで私例をあげますが、私のおります横浜で五大新聞にでかでかと載った学童の朝の集団登校に対して、ダンプが飛び込んでたくさんの人が死んで大騒ぎになった。いまそこに碑まで立っている。これは三十八年のことです。そのダンプ、これはもう白ナンバーの営業類似行為ですね。そういう怪しげなものが一ぱいある。ところがこれは法的にも不備であり、予算的にも足りない、現実問題として取り締まれない。対策本部を幾らこしらえたって三文の
価値
もない。 そこで例をあげますが、ダンプのひき逃げだとか、あるいは白トラの問題だとか自家用車による営業類似行為とか、この取り締まりの問題は——東京の陸運局自動車第一部旅客第二課監理第一係、こういうふうなところは免許、許可、認可の事務をあずかるところ、あるいは事業監査、行政訴訟事務などをやるところですが、これは一括やらなければいけないのですけれども三名しか人がいない。約四千五百件あるこれを三人で処理をする。これは東京陸運局です。これから見ていくと貨物
関係
などにいたしましてもそうでありますが、免許を出したあとの行政指導、事業監査から街頭に出て街頭監査まで全部やるように法律上
規定
されております。ところがもうこれはどうにも手の下しようがない人間しかいない。こういうふうなことは皆さんのほうが法的に予算的に具体的な点を指摘しなければ正常な取り締まりができない、普通の取り締まりもできない。こういうかっこうに現になっている。こういうふうな点について何も触れないというのはどういうわけですか。
安嶋彌
120
○安嶋
政府
委員
ただいま申し上げましたように、各省自体のワクということがあるわけでございますが、交通問題についてだけではなくて、この白書に指摘されておりまするいろいろな問題につきましても、
問題点
を指摘するという
程度
にとどまっているわけでございます。ただしかし、この交通対策の問題につきましては、青少年局のほかに総合
調整
をやる組織といたしまして総理府に別個の組織がございまするし、またその方面の特別ないわゆる白書というものも出ておるわけでございますから、私どものほうの白書におきましては比較的簡単に取り扱わざるを得ないということでございます。
大出俊
121
○
大出委員
つまり、それらのものはこれから青少年局が
中心
になってやっていこうという意欲なんでしょう。法律的な問題あるいは予算的な問題等々ひっからむのですから、白書は全体を明らかにした、明らかにした中で対策を立てなければならない、だから表に出す出さぬはともかくとして、隘路というものがこういうところにあるから、これはこうしなければならないということを逐次究明していかなければいかぬことだけは事実でしょう。それはおやりになる意欲があるわけでしょう。 そこで、これを見ますと、これは念のために読み上げておきますが、「東京陸運局自動車第二部貨物第一課は、関東地区一部七県の路線、区域貨物事業の免許、許可、認可、事業監査、街頭監査をたった十一名で行なっており、年間の申請件数が七百件以上もあり、現地
調査
をぬきで聴聞会を行なって処理しても」——これは現地
調査
をやることになっているのですが、やらないで聴聞だけで処理しても、年々申請事案がたまっていく一方だというんですね。街頭取り締まりなんて全く時間がない。しかも業者数は東京で千六百五十八業者、地方二千四百八十二業者、この事業監査のための要員は三名です。それから白タクだの、白トラだのの取り締まりの本拠は、これは陸運事務所なんですが、たとえば東京陸運事務所の貨物課、これはたった五人で四千四百四十七業者を相手にしている。一カ月約二万一千件の許認可、届け出件数をかかえて、一カ月約四十件の車庫の確認業務を行なっている。そのほかに街頭監査もやらなければならぬということになっている。四十一年度の街頭監査日数は十四日、こうなっているのですが、これは全然行けない。行ってない。こういうことに現になっているところに、白トラだの、とんでもない営業類似行為などでやみ行為をやっている、そういうものが集団登校などに飛び込んじゃう。そうすると、そういうところを押えなければならないということになれば、法律的にも、予算的にもそこまで手を入れていかなければ押えようがないですね。ところがそういうふうなところまで実は青少年局がものを言うとすれば、白書に限界があるならある、ワクがあるならあるでいいけれども、現にそこまでいかなければ、ここで取り上げている事故対策は実際には成り立たないわけです。ところが、そうなると、そういうものは一体どこでやるのかということです。青少年局というのは、こういう現実について何をどういうふうにしようとする、あるいはどういうふうに言おうとする組織、機構なのか、ここがわからぬのですがね。
安嶋彌
122
○安嶋
政府
委員
御指摘のとおり、この青少年の交通事故という問題も、これは青少年問題の中の非常に重要なものの一つでございます。が、しかし、青少年問題は御承知のとおり非常に間口の広い多数の問題をかかえておるわけでございますので、先ほどもちょっと申し上げましたように、交通問題につきましては、青少年も含めまして総理府に陸上交通安全
調査
室という、もっぱらそれを担当する総合
調整
の機構があるわけでございますから、私どもは主として交通対策につきましてはそちらのほうの総合
調整
の推進に期待をいたしておるわけであります。非常に重要な問題でございまして、もちろん青少年問題は私どももやらなければならないわけでございますが、それは主としてそちらに期待をいたしまして、その他の青少年問題いろいろございますので、そういう方面に力を注いでいきたいというふうに考えます。
大出俊
123
○
大出委員
この白書に、いま私が一例をあげたのでありますが、この本年の特徴である十章「都市化の進展と青少年」というところに至るまでほとんど読んでみましたけれども、ずっといまと同じ羅列のしかた、それは全部おのおのそういうものがあるのだから、そこでやるのだということになれば、国際交流だって、青年の船までみんなありますけれども、ほんとうを言うと、青少年局がやらなければならぬ仕事は一体何と何と何かということになる、少なくともこれを見ると。だからこそ統括をして、青少年局は青少年対策の一元化をはかったはずです。冒頭にそういうふうに書いてある。だということになっているのに、交通事故対策はこっちでございます。何々対策はあっちでございます。公害対策だって厚生省でございます。通産省でございます。こうなったのでは、何が一体一元化なのか。私がここで問題を取り上げて質問しようとするならば、
関係
各省全部ここに並んでいただかなければ質問ができない。そうなると、青少年局をつくった
意味
がない。総理は大向こうに対してものを言うという
意味
でぶち上げたというだけである。こうなると、今度対策本部をつくったのも、中身は何にもないのだけれども、年間青少年白書をこしらえるときだけだ。これを見てごらんなさい。各省の各事務官の
諸君
がこの編さんをしてくれた労を多とすると書いてある。あなたのほうはこんなものをつくってくれと言っておいたら、文部省は文部省で、青少年教育といって書いてある。ただ、ワクはこれだけです、法律に触れてはいけません、予算がないなんて書いてはいけませんということで、ずっと書いてある。だから、労を多とする、こういうことでは対策本部もへちまもあったものではない。そんなことを言うならば、ほんとうに対策本部も青少年局も要らない。白書編さん局だ。青少年白書編さん局です。それじゃ
意味
がない。だから、そこのところを、あなた、もう少し器用に
答弁
できませんか。
安嶋彌
124
○安嶋
政府
委員
ただいま
大出
先生が交通問題をお取り上げになりましたので、交通問題につきましては総理府に陸上交通安全
調査
室という特別な機構がございますから、勢い私がただいま申し上げましたような
答弁
になったわけでありますが、青少年問題は、繰り返し申し上げておりますように、非常に広範な間口の問題でございまして、その中の一例として非行対策という問題を取り上げてみますと、非行対策については、青少年局ができます前でございますが、中央青少年問題協議会がございました。これは、警察庁の問題あるいは法務省の問題等がございますが、そのほかに、たとえば学生生徒の非行対策について学校がどういう処置をとるか、あるいは有職少年の非行対策について職場の
関係
者がどういう対策をとるか、あるいは非行の問題に関しまして、いわゆる不良マスコミの問題等が非常に大きな問題でございますが、そういった問題についてどういう対策をとるか、非行対策を一つ取り上げてみましても、そういうことが各方面にあるわけでございまして、そういうものを総括しながら全体を推進していくというのが青少年局の任務であるわけでございます。そういう面につきましては、ただいま申し上げましたような活動をいたしておるわけでございます。交通問題につきましても、もちろん基本的にはそういう
立場
でございますが、それにつきましては総理府に特別な機構があるものでございますから、そちらに期待したい、こう申し上げたわけでございます。
大出俊
125
○
大出委員
そう言い出せば、学校の問題は文部省があるのですから、非行少年というのは警察あるいは法務省があるのですから、みんないいことになってしまう。そうでないところに青少年局の
意味
があるのでしょう、実際は。しかし、それを言っているとますます時間がなくなりまして、本
会議
が始まってしまうからやめますが、たくさんありまして、対策本部にしたことと局の性格と含めて、あらためて一日ばかり時間をいただいてじっくりやりたいと思います。 それから、これは
理事
会等で御
論議
いただきたいと思っておりますが、やはり総理にお出かけをいただかないと話の口があきませんので、ひとつそういう点をつけ加えまして、保留をさせていただきます。
浦野幸男
126
○
浦野
委員長
代理 次回は、明十九日午前十時
理事
会、十時三十分
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時散会