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1968-04-05 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月五日(金曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 井原 岸高君 理事 上村千一郎君    理事 浦野 幸男君 理事 塚田  徹君    理事 松澤 雄藏君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       内海 英男君    菊池 義郎君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       武部  文君    華山 親義君       浜田 光人君    安井 吉典君      米内山義一郎君    永末 英一君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府人事局長 栗山 廉平君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局厚生課長 佐分利輝彦君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月五日  委員武部文君及び山本幸一辞任につき、その  補欠として栗林三郎君及び華山親義君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として武  部文君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五七号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊
  3. 大出俊

    大出委員 国家公務員災害補償法の一部改正につきましては、人事院から総理府に対してこの一部改正について要望があったわけでございます。これは労災その他との権衡というふうなこともあっての筋だろうと思うのです。そこで九級の一二号のあとに一三号、一四号、神経系統のものを特に追加する、こういう筋道だと思うのですが、私はまだやり足りないと実は思っておるくらいなんです。そういう意味で、この提案理由説明の中では、人事院側からの要望としてきわめて簡単に述べられておりますので、もう少し詳しいところを御説明いただけないか、まずこう思うわけです。
  4. 島四男雄

    島政府委員 このたび災害補償法の一部改正法律案につきまして、その改正趣旨が那辺にありやという御質問でございますが、実はこれはたしか三十八年の十一月に三池の炭鉱爆発事故によりまして一酸化炭素中毒症発生がまずございまして、それから最近非常に自動車事故が激増しておりまして、それに伴ういわゆるむち打ち症の発生というような社会的な背景事情がまずございます。そこで労働省のほうで四十二年十月二十四日に従来の労働基準法施行規則及び労災保険法施行規則の一部を改正いたしまして、従来の障害等級の区分の取り扱いを改めたわけでございます。ところが、そういった社会的な背景事情というものは公務においても同じでございまして、従来この精神障害障害補償につきましては、一級、三級、七級ということしかございませんで、それより軽度のものはちょっと救いようがなかった。それからまた神経系統障害につきましては一級、七級、一二級、一四級という段階で非常に大幅な刻みだったものですから、この際、もう少し従来の七級より軽度のものについても何とかしなければならぬということで、いろいろ医学的に判断した結果、九級としてそういうものを救おうではないかということが、この改正趣旨でございます。
  5. 大出俊

    大出委員 私は国家公務員災害補償法ができるころに関係をいたしておりまして、その後、手がけておりませんので、その意味では現時点ではしろうとなんであります。そこで、そういう意味冒頭に御質問を申し上げておきたいのでありますが、これは別に審議をストップするとか、そういう性格のものではございません。おわかりいただけなければわかった方に御答弁をいただければけっこうでございます。  二つあるのでありますけれども、一つは、国家公務員災害補償法成立するまでの経過の中で二転、三転いたしておるわけでありますけれども、労働基準法一つあり、それから、いまお話しがございました労働者災害補償保険法がございます。あるいは船員保険法がございます。あるいはこの国家公務員災害補償法がある。こういう関係なんでありますけれども、そこで、公務員という身分法の面で公務員法、こういうワクの中におられる方々で、現在この国家公務員災害補償法そのものではなくて、幾つかに分かれているはずでありますけれども、どういうふうに分かれておるのか。そこらのところをまず明らかにしておいていただきたいと思うのであります。たとえば、ここに速記の方もおいでになりますけれども、国会職員公務上の災害に対する補償に関する件というのがございますね。これは明らかに、国家公務員災害補償法そのものではない。別な取り扱いになっているわけであります。それから裁判所等の問題も、これは裁判所職員臨時措置法、これは昭和二十六年の十二月六日、法二百九十九号というのでありますが、これも分かれているのだろうと思うのであります。そういうふうな意味で、これは読みかえという法律なんでありますが、これは実際の過去の成立に至る間の経緯がありますので、現在どうなっているかという点、当時から私も離れておりますので、これらの分かれ方について、ひとつ明示をいただいておきたい、こう思うわけであります。
  6. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 お答えいたします。  国家公務員災害補償法は、一般職公務員に関する規定を設けておる法律でございまして、特別職につきましては、特別職職員給与に関する法律国会職員公務上の災害に関する補償に関する件というのがございます。それから、国会議員秘書給料等に関する法律、これは秘書のものでございます。それから、裁判所でございますと、裁判官の災害補償に関する法律裁判所職員臨時措置法、それから、防衛庁でございますと、防衛庁職員給与法、これに基づくそれぞれの災害補償を行なっておりますが、その内容は、国家公務員災害補償法に準じておりますので、全く同じでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 幾つかに分かれているのでありますが、私いま二つ申し上げたのは、一つは、ちょっと読み違えておられたようでありますが、国会職員公務上の災害に対する補償に関する件、こういうことでありまして、これが昭和二十九年の八月の十七日であります。もう一つは、先ほど私が申し上げました裁判所職員臨時措置法でございます。あとでこれは関係がありますので、特に裁判所職員臨時措置法については読みかえという形の中身でありまして、そのことが実は今日までの経過の中で、いろいろ不都合を生じておるという気がするのでありますけれども、その点だけ、いまの点に関しましてはひとつ御指摘申し上げておきたいと思うわけであります。ところで、この成立の過程、経過から見まして、こういうふうに幾つかに分かれているということ自体に、はたしてこれが妥当であるかどうかということについて、人事院の側に意見がなければならぬと思うのでありますが、その辺の事情について、お聞かせをいただきたいわけです。
  8. 島四男雄

    島政府委員 ただいま先生の御指摘裁判所職員災害補償に関しましては、臨時措置法に基づいてやっておるわけでございます。幾つかこの読みかえ規定がございますが、内容はおおむね同じでございます。ただ、実施機関は、私のほうは実施機関といたしまして一般職公務員を所管しているわけでございます。一般職公務員に関します災害補償については、私のほうで各省の実際の運用の統一をはかり、かつまたその指導をしておるわけでございます。裁判所につきましては、あるいはこれは先生からおしかりを受けるかもしれませんが、実際問題として、私のほうは直接指導なり、その内容について関与はしておりません。
  9. 大出俊

    大出委員 そこでおしかりを受けるかもわかりませんがというおことばがありましたように、御存じないわけではないという気がするのでありますが、関与しておりませんということ自体に私は人事院責任がある、こう実は申し上げたいのであります。  ここでひとつ摘出をして明らかにしておきたいのでありますが、これは私が当時官公労事務局長などをやっておった時代であります。課長さんの前任者になると思うのでありますが、人事院給与局補償課長さんで堀込惣次郎さんという方がおいでになりました。この人は当時非常に苦労されて災害補償関係を手がけたわけであります。昔のなつかしい人事院型の、恩給でも何でもこうなっておったのでありますが、慶徳さんの時代の、これも慶徳給与局次長の序がついておりますけれども、これの一番末尾のページをお開きいただくとわかるのであります。「二 特別職災害補償」という項がありまして、この特別職災害補償の中に、「災害補償に関し特別職一般職と別々の制度となっておること自体はなはだ不明瞭である。」まずこういう書き出しなのであります。分かれていてはいけないのだ。なぜ分けたかという人事院自体のつくった経過を踏まえての明確な態度がある。これは公務員法に基づいて研究成果を発表することに義務づけられておる人事院でありますから当然そうなるのがあたりまえです。しかも特に「一般職労務者公共事業費支弁にかかる特別職である労務者とは、同一職場で同様の作業に従事しておる場合」というところから始まりまして「特別職についても、補償法準用する立法措置を講ずるはずであったが、いろいろの関係で同時にできなかったので、いずれは早晩同一制度によることとなると思う。」こういう見解人事院は持っている。それから特別職災害補償は当時応急措置法なんというのがありまして、大蔵省関係がございました。「大蔵大臣の定める調整及び支給手続に従って」云々とこうあるのでありますが、という形でなくて、つまり人事院がすべてを一本にまとめて所管するという趣旨にならなければ完全なものにならないという意味の結論が出ておる。そうするとあれから——これをお書きになった時点が昭和二十六年の七月十五日でありますが、二十六年と申しますと、ずいぶん期間がたっているわけです。私に言わせれば、その間一緒にしようとしてできなかった、いろいろな勢力がありまして。その結果として専門家立場からするならば、それが将来にわたって特別職方々にいろいろなしわが寄る。それでは困るから早く一緒にすべきである、不明瞭である、こういうふうに言っていたわけですね。そういうことになりますと、現在置かれている裁判所方々などというのは、そのために非常に状態としては悪過ぎるのでありまして、これは一にかかって当時公務員法というものを踏まえての人事院責任、こういう点からいたしますと、どうもその責任を果たしていないという感じが強いのであります。これに関連をいたしまして、その意味では、あと人事院にもう少し積極的に問題の焦点を掘り下げていただいて、幾つかの手を打っていただかないと、この裁判所職員のほうに及ばない。この点を私は心配するわけなのでありますが、いま私が申し上げましたいにしえの給与局補償課長さんの文言なるものはあなた方いまどういうふうにお考えになっておられるかという点を、過去を振り返って承っておきたいのであります。
  10. 島四男雄

    島政府委員 特別職の、たとえば裁判所職員についての補償制度についても人事院が統一的な運用をすべきである、そういう御趣旨で御質問があったと思いますが、もちろん先生指摘のように、公務員法に「人事院は、なるべくすみやかに、補償制度研究を行ない、その成果国会及び内閣に提出するとともに、その計画を実施しなければならない。」という九十五条の規定がございます。そういう意味において一般職特別職を通ずるほどの補償制度まで人事院が立案並びに実施責めを負うというふうには、この規定では直ちには読めないと思いますが、人事院というのはあくまでも一般職職員を対象としておりますので…。ただ、おっしゃる御趣旨はよくわかるのですが、一つ立法論の問題になると思います。怠慢ではないかとおっしゃいますが、現在の制度のたてまえからいえば、一応いま申し上げたようなことでございますので、そこまで人事院特別職補償制度について一々意見を申し入れるのみならず、その運用まで所管するということにはなっておらぬわけでございます。ただ、こういう社会保障制度というものは、民間との均衡という問題もございますし、また、公務員部内における均衡ということもございますので、特別職一般職の扱いが非常に異なるということであってはならないと思います。ですからその関係は、一般職であろうと特別職であろうと、また公務員であろうと、民間であろうと、共通する考え方によって運用されるのが筋道かと思いますが、制度としては人事院はそこまでくちばしをいれるというのは、法のたてまえからいっていかがか、こういうふうに思っております。ただ、また実際問題といたしまして、公務上の認定が絶えず争われるわけでございまして、その場合の審査というものは裁判所職員については裁判所に訴える、一般職職員については人事院、こういうふうになっておりますので、その辺はやはり裁判所自体のお考えによらないと、実際の運用も期せられない、かように考えております。
  11. 大出俊

    大出委員 おそらくそういう答弁をなさるだろうと思っていたわけであります。だから私は、この法律成立をする経過を振り返ってと申し上げたわけであります。人事院国家公務員災害補償法を立案する経緯の中で二転、三転いたしております。当時は、基準法施行による必要な措置のみに限定するということで、労働基準法等施行に伴う政府職員に係る給与応急措置に関する法律というものを制定して、当時急場をしのいだのですね。まことに応急措置ですね。しかしそれではいけないという声が当時ほうはいとしてあった。労使関係もいまとは違いまして、末弘厳太郎さんの見解世の中を押し通っていた時代でありますから、そこでこの応急措置というものはよくないのだということになりまして、国家公務員災害補償法案、さらに国家公務員共済組合法案、この二法案人事院が準備をした時代があるわけであります。これは第二国会に提出することになっておった。この当時の災害補償法案というのは、官業共済組合で行なわれていた公務員災害給付、これを共済組合事業からはずして、官吏、雇用人身分別による差別をなくする。そして一方では基準法規定災害補償責めを果たす。他方では従前のこの制度のいいところを取り入れていった。重廃疾つまりこれはからだのほうの廃疾でありますが、重廃疾及び死亡の場合は年金制とする。ここで年金という問題が出てきているのですが、年金制をめぐりましても当時いろいろ反対があったり、やるべきであるという意見があったりしたのでありますが、このあとで問題は、人事院国家公務員法の九十三条から九十五条までの趣旨を取り入れて案をつくった。この案によりますと、これは昭和二十四年八月一日にできた案であります。この中身によりますと、「(一)人事院の定める基本方針に従って、人事院代理として労働省が一元的に実施する。」ということ。これは労働省に持っていくというわけですよ、特別職を含めた公務員全体の災害補償ということで。「(二)補償内容官民同一原則とする。」これはあたりまえです。したがって、基準法及び労災法と全く同様とする。これが二番目です。三番目が、「補償予算は 人事院に一括計上し、労災特別会計に繰り入れる。」こういうことになっておる。四番目が「異議の申立についての審査機関は、一審を労災保険審査官とし、二審を人事院とする。」つまりあらゆる分野に分かれている労災というものを全部統合して、労働省一本にして代理権を与えて労働省に持たしてしまう。そして審査は新たな第三者機関がやる。だから、一審は労災審査でいい、いいけれども二審は人事院がやる、こういう立場を貫きたいというのが一貫した考え方だった。私は当時官公労事務局長としてタッチしておりましたからよく知っている。さんざんやり合った仲です。この原則はくずしたくないというのが一貫した人事院の当時の考え方だったんですね。今日、給与局長は、他にかえがたい人物とされていた瀧本さんがやめられて尾崎さんにかわられた。尾崎さんは当時研究課長をやっておられた時代です。この原則が生かされておれば、今日裁判所の問題なんか出てこない。なぜかというと、あなたはいま裁判所のほうは申請をする、却下される、申議申し立て審査請求をする、審査機関裁判所だと仰せられた。いみじくも、全くそのとおりなんですね。準用が全く違う、問題は審査機関がたいへんなんです。却下された場合に、その審査を一体どこでやるかという問題です。そうでしょう、重大な問題です。人事院の場合は明らかに第三者機関です。実施責任者は一体どこかというと各省です。審査機関はどこだというと、人事院です。明らかに第三者です。ところが、裁判所の場合は実施機関裁判所である、最高裁である。しからば審査機関はどこか、これも最高裁です。自分のところで却下してまた異議申し立て、そして自分のところで審査する、そんなばかなことは世の中に通用しない。ここに私が原則的に申し上げている当時の人事院考え方がある。つまり一審はということで、審査機関は非常に重視している。一審はどこにするかというと労災保険審査官がやる、二審はどこでやるかというと、全部一緒にして人事院がやるということですね。労災保険特別会計ができて、そこに金をほうり込む、こういうわけです。いまやっておるのを見ていると各省、それは人事院人事院規則の十の四か幾つか出しておりますよ。特別職のほうでやっておるのを見るとまちまちです。だから予算を組んであるもののうちの六割を使って四割は余っている。じゃ一体、労災適用をすべきであるかないかということを論議しなければならぬケースがあるかというと、山のようにあるんですね、集中的にあるんです、裁判所のほうは。そうでしょう。にもかかわらず、予算は四割も余っている。私は給与局長さんに電話で確かめた、数字を全部あげていただきました。余っております。組合の皆さんは流用するんじゃないかと思っているかもしれないが、これは私は法律を知っておるから、できないことは百も承知、流用できません。そうすると大蔵省は、前年の予算に見合ってものを考えていくんですから、実際は実績がなければ減らされるのです。しかも、これは総務長官に承りたいわけですが、予算大蔵省に請求する場合に裁判所関係は一体どうなるかというと、二重請求権なんというのが法的にはありますけれども、使ったことはない。使ったことがないから、最高裁は直接大蔵省予算要求するんですよ。そうでしょう。そして適当に切られております。弱いんですよ、その点では。私は法務大臣がもっと力を入れてくれなければいけないと思うんですよ。一番近いのは法務大臣だけれども、それもあまりやってくれてない。だから、最高裁予算を出すたびに大なたをふるわれて切られて、ますます四苦八苦です。しかもおまけに四割も余している。これとても人事院規則関係ですね。人事院規則でやっておりますから、最高裁最高裁審査機関のところで何とかしたいと思っても、一般職との権衡の問題も出てくる。実際にはこういう問題がある。明らかにこれは全くの準用じゃない、審査機関が違うということは重大な問題です。  一例をあげますけれども私も、防衛庁のバッジの問題を予算委員会質問いたしましたが、隊法六十二条というのがある、防衛関係法律の中に。そこで天下りの場合に一佐以上つまり大佐以上は長官が認めて民間産業に出す。中佐以下、二佐以下は列挙式基準がありまして、基準に該当すれば長官の承認が要らない。つまり自分の省の人間が民間に行くにあたって、自分の省の長官審査権を持っているというんですね。ここに問題があるんですよ。人事院審査権を持っているというのが普通一般の場合なんです。そうじゃない。そこにやはりお手盛りに流れやすくなる。あたりまえですよ。年じゅう顔を合わせているんですから。そこでおさまりつかぬことができ上がるので、これは法務委員会で取り上げられましたが、私もこの点は追及いたしましたが、防衛庁長官は何と答えているかというと、民間に行くにあたっての審査権第三者機関に持っていきたいということを後刻の委員会答弁をしております。おそらく次の国会のときに、私どもが質問をすればそのなると思います。つまり裁判所職員方々最高裁に、国家公務員災害補償法の読みかえ臨時措置法に基づいで請求する、却下をされる、異議申し立てる、また同じところで審査をする、こういうばかなことであっては、事、働いている公務員の健康上の問題、からだの問題、即、生活にかかわる問題でございますから、そういった基本的な、大切なことを、却下したところが審査するなどという——一ぺん却下をして、同じところで認められるわけにいきませんよ。そうでしょう、裁判所なんですから。実施機関として、そしてまた審査機関を兼ねておる。そういうばかなことを放任できないでしょう。してみると、先ほどの防衛庁の場合の民間天下りにしても、やはり第三者機関に持っていってもらわなければ困るというのと一緒で、どうしてもやはり二重権限を持ったのでは公正な審査はできない。この点は、明確に、あなたのおっしゃる全くの準用ではない。ここのところを、総務長官お聞きになっておると思うけれども、私は総務長官に無理な御質問をしようと思っていない。事非常にこまかい問題ですから、ある程度専門的にやってなければわからぬ問題ですから、無理な質問はしませんが、申請があった、却下した、却下したところに異議申し立てをした、またその機関が当たる、なんというのは、私は正しいあり方ではないと思う。これは、いま直ちに直すとは言えないでしょう、政府ですから。言えないけれども、将来に向かって、防衛庁の例をあげましたけれども、防衛庁でも、自衛隊というところですから、あれだけやりにくいところであっても、なおかつこの問題は第三者機関に持っていくように検討さしていただきたいということをやっと言うようになった。少なくともそのくらいのことは、将来に向かってできるだけすみやかに第三者機関に持ち込むような形に検討してみたい、くらいのことは長官に答えていただかぬと、あとから具体的な例をあげますけれども、困る問題だ、こう思うのです。
  12. 田中龍夫

    田中国務大臣 御指摘の点を承りますと、非常にこの点は問題が存するところだろうと存ぜられます。しかし、冒頭お話がございましたように、国会職員でありますとか、あるいはまた裁判所職員でありますとか、三権分立の問題から来た一つのエアポケットかもしれませんが、非常に重大な問題でもあると存じますので、十分に調べさしていただきとうございます。
  13. 大出俊

    大出委員 三権分立の話が出ましたから申し上げるのですが、立法府である国会がつくった法律でございますから、私も別にその当時に籍があったわけではありませんけれども、ここに籍がある立場から、その点からはとやかくは言えない立場であります。しかし、問題は、これは常識で考えていただいてもわかるのですけれども、司法、行政、立法という三権分立趣旨に直接に抵触する問題なら、いまお話があったことも成り立ちます。しかし、そうではなくて、立法が行なわれて、法律になって世の中を一人歩きしているこの法律適用に関する問題なんですね。適用に関する問題を、立法府だ、司法だからといって、直接的に実施機関審査機関を兼務しているということがあっていいかという問題です。つまり立法そのものではない。でき上がった法律適用の問題、そこにはひとしく労働契約によって、これは学説的にいろいろな意見がありますけれども、給料をもらってつとめているという関係は変わりはない。そうなれば、当然労働というものに対する報酬というものもございますし、あわせて労働災害に対する権利という問題もあります。そうだとするならば、その関係、この一点に関する限りは、一般公務員であろうと特別職であろうと、変わりはない。したがって、そういう意味で私は長官の言うこともわからぬわけではありませんけれども、それでは今日的段階で筋が通らない、こう思います。御了解のようですからこれ以上申しません。  そこで、一つ池委員長にお願いがあるのですけれども、私は実は何ら他意あるわけではなしに、今回国家公務員災害補償法の九級の一二号の次に、神経系統を中心にして一三、一四を付加する、こういうせっかくの改正の時期でありますので、この種の関係でいま問題になってきている幾つかの職業病といわれる性格のものがあるが、これらの問題もあわせて論議をしておかなければならぬ責任を感じるわけです。しかも、その種のものがいま問題になって、一番多いのが裁判所職員なんですね。さっき申し上げたような隘路があります。したがって、幾つか問題が提起をされて堆積をしている。どっちにもきまらぬままになっているものが幾つかある。こういう状態なんで、特に集中的に、たとえば頸肩腕症候群といわれるようなものであるとか、あるいはまた単なる書痙なんというものよりももっと進んでいる斜角筋症候群であるとかいうふうなものが幾つか出てきている。それから腱鞘炎の問題もあります。そうだとすると、それが集中的にあらわれているのはなぜか。職業病という定義に当てはまるか当てはまらぬかは学説的にはいろいろありましょう。ありましょうが、職業病と名がつくものは、医者が治療してもなおらぬ。つまりその職業病を発生させる根源になっている職場の仕組みを変えなければなおらぬ。これは学者の学説です。そうだとすると、この職場はどうなっているかというと、国家公務員災害補償法適用という問題をめぐって、どういう御見解をおとりになっているかということも含めて、当面の大きな検討事項として提起をしたいと思って、この委員会に御出席をいただこうとした。ところが国会法第七十二条の規定の中に、会計検査院長並びに検査官の場合には、議長を通じて出席をする、こういう規定が前段にありまして、七十二条後段の規定は、そうではない。三権分立のたてまえが背景にあるのでしょう。向こうさんの都合で出席をしたいといった場合にのみ、そのことを認めるか認めないかだけをこの委員会がきめて、いいとなれば出席していただくということになっている。事立法に関する問題ではなくて、現在ある法律適用についての質問を私はしたいわけであります。それにも出席ができないという形になっているということは、将来に向かって立法府法案を審議する立場からいって、やはり欠けるところがある。これでは完全な立法措置は行ないがたいわけであります。したがって、私は先輩各位にも承ってみましたけれども、この問題はここまでくると、立法機関がつくった法律であり、国会法もそうでありますが、しかしこの種のことは即立法そのものではなくて、つまり法律適用に関する問題という立場に立って、やはり御出席をいただくような筋合いのものにしないと、いろいろな面で私は障害が出てくるのではないか、こういう気がいたしますから、これは一ぺんしかるべき方法をおとりいただき、時期をお考えいただきまして、ぜひひとつこれは取り上げていただきたいというふうに考えているわけであります。  特に先ほど私二つあげました国会職員公務上の災害に関する補償の面も、似たようなことですけれども、このほうは救われるのです。なぜかというと、われわれみんな国会におりまして、議院運営委員会というものがある。そうすると、あそこで問題を取り上げればたとえば、国会の速記の皆さんというのは、裁判所とは違って速タイプは使っていない。交代の時間が早いというふうなことで、いま申し上げたような病気が比較的少ない。直接皆さんに私は承ってみましたが、こういう状態のようです。またかりにそういう問題があったとしても、議運なら議運で直接処理のしようがあります。ところが裁判所というのは、それこそ別な世界なんです。これは非常に悪い条件が山積している、そうして病気は山ほど出てきているとなりますと、捨てておけない気がするわけで、そういう意味で、ここらあたりについて、いま長官が先々検討をされるという趣旨のことをおっしゃっておりますので、ぜひひとつそういう御配慮を強めていただきたい、こう思うわけです。一言お答えをいただきたい。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 ちょっと承りますが、冒頭大出さんのあれは委員長に対する御質問であったろうと存じます。これは国会裁判所の非常にむずかしい問題でございまして、行政府の介入する問題とはちょっと意味が違うかも存じませんが、しかし御指摘のようないろいろな問題が現存して、しかもそれがいろいろ労使関係の雇用の面における補償関係において支障になっておるという事実につきまして、ほんとうに御注意ありがたく承っておきます。
  15. 三池信

    ○三池委員長 大出委員にお答えいたします。  先ほどのお話の筋、まことにごもっともだと思いますので、当委員会としても理事諸君と相談の上、善処をはかりたいと思います。
  16. 大出俊

    大出委員 たいへんどうもありがとうございました。  ところで、一番基本になるべきものという意味で承っておきたいことがあるのであります。国家公務員災害補償法、先ほど申し上げましたように労災保険法が一面ございます。あるいは船員保険法などもございます。根源は基準法が先にできましたから、労働基準法というものが中心にございます。したがって、基準規則改正が行なわれるとなりますと影響するところが出てくる、こういうわけでございますが、これは別個な法源と申しますか、法の根底にあるものという意味で、立法趣旨ということを含めまして、一体どういう理論に基づいてこの種の補償関係法律ができているかという点、これを一体どういうふうに見るのか。生活権というものに結びつけて考えるのか、あるいは人権というものなのか、あるいは単なる補償のワクの中に入るのか、これはいろいろな見解があると思うのですが、現時点で国家公務員災害補償法を担当されておる人事院立場から見て、この法律の一番立法趣旨になるべきものはどういう理屈、どういう理論を立てておられるのか承っておきたい。しかも、それが労災保険法その他と差異があるのかどうかということも含めて承っておきたい。
  17. 島四男雄

    島政府委員 まず、労災保険法なり基準法との関係につきましては、補償法の中で、均衡を考慮してその補償を行なえという意味規定がございます。こういういわば社会保障制度というものにつきましては、先ほど先生の御質問の中にもございましたように、公務員であるとか民間人であるとか、あるいはまた公務員部内における一般職特別職とか、そういう差異による区別というものは本来望ましいものではなくて、やはりその公務なり業務上起こった災害なり疾病に対する補償というものはバランスをとって行なうべきものである、かように理解しております。  ところで、この法律の根底にある考え方ということでございますが、やはりこれは職員にとって重大な勤務条件になりますので、こういう公務に基因して起こった災害なり疾病については十分補償をする。それによって安んじて公務につくことができるようにという国の配慮から行なっておるものでございまして、その関係はまさに民間事業所におきまして使用者が考え考え方とほぼ同じではないか、かように考えております。
  18. 大出俊

    大出委員 そこのところをそう言っていただければそれでいいわけでありますが、私もここにしばらくぶりで学説らしきものを労災に関しましてあけけてみたのでありますけれども、明治二十三年の鉱業条例というのがありますが、はるかにさかのぼれば明治十年の大阪府の製造場取締規則、これが一番最初なのですね、労災らしきものは。ここから始まりまして、主要府県で発布されました汽罐汽機有害健康上に対する取締規則、そのあとで例の足尾銅山その他方々に問題が起こって出てまいりました鉱業条例、こういうところから端を発しまして、どうやら労働災害全体に対する国内の一つの世論ができ上がってまいりまして、これが災害扶助、こういった規定に工場法の中で広がっていったという経緯があるわけであります。この趣旨からいきますと、それが進んで、これはもちろん工場生産もやるようになりましたから、明確に資本主義的な社会になったわけでありますが、この中で、災害というのは労働者の生命と生活を破壊する反価値的なもの、これは単なる資本の側の損失だけではなくて社会的な損失だという解釈ですね。そういう形で労働災害発生に対する近代生産機構というものを対比いたしまして、補償制度を広くつくらなければならぬというふうに進んできたという経過があるわけでありますが、公務員災害補償なるものもこの一環なんですね。そこで、ここから先を申し上げますと、比較的私の理論で階級的になりますので申しませんが、つまり世間一般に通用するものの解釈からいってもそうなる。だから一般の工場、資本の側が負わなければならぬ責任自分が使っている労働者に対して負わなければならぬ責任と同じ責任を国が負うのであるというのが、国家公務員災害補償法成立の一般的に通用する理屈、私どもはそれから一歩入りたいわけですけれども、そういう理屈ですね。  そこで、私が申し上げたいのは、この法律国会に初めて提案をされたときに参考人を呼んでいるわけであります。この参考人が国会に出てまいりましていろいろいい御意見を述べられております。主として学者であります。これは皆さん御存じの明大の、当時はまだ今日ほどのお立場になかったようでありますが、松岡三郎さんであるとか、官庁側からは林野庁の深谷清さんであるとか、警察からは国警本部の種村一男さんであるとか、共済組合側からは運輸省の山内公猷さんであるとか、いろいろな方がずっと並んで意見を述べております。この意見をずっと読んでみますと、相当多角的に出ている意見の中で比較的多い意見としては、この法案労働基準法均衡を保つということになっている。これはあたりまえであります。しかし、公務員には団体交渉権も罷業権もないのではないか。そうすると、民間の最低基準によるということだけではあまりにも貧弱なのではないか。単なる均衡では貧弱過ぎるのではないか。民間の労働組合の場合であるとすれば団体交渉権も罷業権もある。ところがそれがない。こういう特殊事情をどう考えるべきなのかという意見が出ております。年金制度の問題についても相当議論が出ております。人事院が一方的に決定するのではなくて、労資代表、学識経験者をもって構成する委員会を各方面の層が納得のいくようにつくるべきではないかというような意見つまり審査権というものをもっと、当時のことばでいえば民主的にという意味ですね、この法律に対していっているわけです。この法律が予想をしている審査機関というものから見て、もっと労働者の代表その他を入れるべきではないかという意見等々が出ているわけであります。これはいま考えてみましても、いまだに国家公務員の諸君には団体交渉権、罷業権等がないのであります。理論的には私どもはあると考えておりますが、現実には行なわれていない。そうすると、それらの意味を含めた均衡あるいは権衡でなければならない。均衡をとり権衡を保つものでなければならない、こういうふうに理解すべきだと実は思っているのです。これが立法趣旨であります。  そうすると、今日置かれている状態が、今回人事院要望いたしましたように、労災のほうが先に手直しをされてきたということを一つの前提にして、基準法施行規則が手直しされたということを前提にして、だから国家公務員災害補償法のほうを直してくれというのではなくて、むしろ罷業権も団交権もないという現状から考えるならば、先ほど裁判所の例をあげましたが、むしろ人事院のほうがもう少し積極的に直すべきものは進んで直す、そのことが一般の労災のほうにも横に流れていくというふうに常に気を配っていただかないと、国家公務員災害というものは救われない。こう私は実は思うのです。それが実は私がさっき申し上げた人事院の皆さんの側に意見はございませんかということを承っておいて、どうやら私が予測したような御答弁になったので、そうではないんじゃないですかということを申し上げたわけなのでありますけれども、実は私がなぜこういうことを言うかというと、これから論議をしなければならない問題とそういう意味でかかわり合いがあるからなのであります。  田中総務長官提案理由説明人事院から要望がありましたから出すのですよという実は形にとれる提案理由説明なんですね。だから皆さんの側は、もう大出さん、あなたが質問されるなら人事院がやったのだから人事院質問してくれ、こういうお話なんですね、陰のお話は。それでいいんです。それは総務長官にこまかいことを承ろうとしても無理な話ですからいいんですが、しかし、やはり私は、提案をされる総理府総務長官の立場からすれば、人事院から要望があったから出すのですよ、人事院にお聞きくださいではなくて、人事院にひとつぜひやっていただきたいのは、人事局を今度はお持ちなんだから、言っていただきたいことは、民間のほうが先によくなってしまう、だから権衡をという形、あるいは民間のほうから提起をされた、だから国家公務員災害補償法のほうをというのではなくて、常に社会的変化の中心をこの国家公務員が受け持っていかなければならぬ立場でもありますので、むしろ積極的な意味で人事局、人事院を督励されてもひとつできるだけ情勢即応の体制を、国家公務員災害補償法という法律立法あるいは改正あるいは適用の面でおとり願わなければならぬ筋合いのものだと思うのですが無理がございますか、長官
  19. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、公務員の置かれておる立場というものはただいまお話しのように、あるいは団交権あるいはストライキ権というふうな基本権が制約されておるということから特に保護機能、公平機能という問題については人事院を中心としてこれを尊重し、同時にまた、われわれのほうもむしろただいま大出委員のおっしゃったように、積極的にその問題は考えていかなければならぬ問題だ、こういうふうに考えるものでございます。しかし、これは基本的なものの考え方だけでございまして、具体的ないろいろな問題になりますと、なかなかむずかしいいろいろなことがあるだろうと心得ますが、一応さようにお答え申し上げます。
  20. 島四男雄

    島政府委員 先生の御趣旨は、民間労働者に比べて公務員のほうがそういう補償が全体的におくれる。要するにあと追いというのではいかぬ。もっと前向きで、労働基準法なり労災保険がこういうふうに変わったから国のほうもこうあとを追いますというのではなくて、もっと進んでどんどん積極的に施策を進めるべきじゃないかというところに御趣旨があったと思います。したがって、総理府人事院という関係ではなくて、むしろ民間労働者対公務員との関係ということが主眼だと思いますが、実は私のほうとしては、こういう災害が起こってから補償をするというのは、こういうものを所管する役所としてはむしろ第二義的に考えるべきなのであって、まずこういうものが起こらないようにという、その予防的な措置をするのが国としての積極的な姿勢ではないかと思うわけでございます。そういう観点からいたしますと、私のほうとしてはいわゆる各全省庁のあらゆる職種を詳細に研究をしておりまして、そのための適切な災害防止なり健康管理についてはいろいろな手を打っております。これは自信を持って申し上げられるのですが、民間事業のあらゆる最も進んだ健康管理なり安全管理に比しても国の場合は決して劣らない、それだけはここで申し上げておきたいと思います。
  21. 大出俊

    大出委員 たいへん確信を持った御答弁でございまして、これが予算委員会とでもいうなら大反論をするところなんですけれども、別に国会審議をとめるのが趣旨でもございませんからそういうことは申し上げませんが、私が調べた限りでは、もっともっと積極的な手が打たれてしかるべきものが、いま御答弁があったにもかかわらず、病気が出てあわてて人事院規則の中の健康管理その他についても改正をされるというふうなあと追い結果になっておる。その病気がどの程度であるかということについても、たとえば、腱鞘炎なら腱鞘炎を一つとらえても、第一段階、第二段階、第三段階、第四段階という形で、学者のいう病気の程度に基づく区分がございます。そうすると、第一段階で手を打っておけばいいものが、第二段階になると三日休めばなおるものが一週間になり、第三段階にいったら一カ月やそこら休まなければどうにもならぬことになる。しかもそれが初期の段階ではなくて、もう第三の段階へいっておる人まで出てきておる。第四の段階へいったらあるいは相当な危険状態、こういうものがあらわれてからおなおしになるのではおそいんですね。だから、民間との比較といいましても、民間というものは数が多うございますから、人事院が調べるのだって六千の事業場をお調べになる。そうなると、民間というものは資本の大小もありますし、性格もありますし、きわめてりっぱなところもあり悪いところもある。比較にはなりません。そういう意味で、ぜひひとつそういうおくれがないように手を打っていただきたいということを実は私は申し上げているわけでございます。  そこで、お話が出ましたからそちらのほうに入らしていただきますけれども、四十三年三月二十七日の官報がございます。私も官報を見たわけでありますが、この官報の中の三ページのところに、「人事院は、国家公務員法に基づき、人事院規則一〇−四(職員の保健及び安全保持)の一部を次のように改正する。」ということで改正をされておりますね。この中に「別表第六の特別定期健康診断の表の筆耕、タイプ、速記等で書けいを起こすおそれのある業務に従事する職員の項中『、タイプ』を削り、『1上肢特に手指の機能検査 2眼の検査(視力及び輻輳)』を『1自覚症状の検査(書けい)2上肢の機能検査』」とかいろいろとありますね。それから「別表第六の特別定期健康診断の表の異常気圧下における業務に従事する職員の項中『1心臓の検査(エックス線直接撮影)』」というふうなことが入ってきておりますね。これ一つ例にとりましても、これはどういうつもりでお直しになったのかわかりませんが、ここでいうところの「表の筆耕、タイプ、速記等で書けいを起こすおそれのある業務に従事する職員の項中『、タイプ』を削り、」こうなっておりますね。これはおそらく健康管理という面でもう少し積極的にやれという趣旨なのだろうと私は思います。それにしては、いまごろになって人事院規則をこんな手直しをするなどということは、おそきに失するどころの騒ぎではなくて、全くどうもその感覚を疑うくらいおそいのであります。なぜならば、職場の中で手をつけてくれないから、健康カードなどというものをかってに労働組合などがつくって、こうこうこういう人は黄色でございますよ、こういう人は何色でございますよということで、職場の方を集めて、あなたの健康はあなたが注意をしなければ国は守ってくれないのだということで、記入欄がございまして、自分たちが職場に一つ委員会をつくって、労働組合の組織で自主的な健康管理をずっとすでにやっている。そうでしょう。そういうことをやっているあとのほうになって人事院規則を直しますでは、いささかどうも、あなたが確信を持つと言われるほどの確信は、私どもにはそのとおり受け取れないことになる。  さらにもう一つ、この同じ官報の「別表第六の特別定期健康診断の表の坑内における業務に従事する職員の項を次のように改める。」ということで、「せん孔、タイプ等の打鍵作業を長時間にわたって行なう業務に従事する職員」、この下につまり「自覚症状の検査」であるとか、「上肢、肩、頸部及び背部の検査」であるとか、「眼の検査」であるとか、こういうふうなかっこうに、従事する職員の項を次のように改めている。これとても、世の中でずいぶん問題が大きくなって、騒ぎになってきた中でお改めになったのだというふうに考えるわけです。そうすると、先ほどの御答弁からするならば、そういった騒ぎが起こらぬ前に直っていなければならぬ筋合いであります。起こってからではおそいのであります。したがって、私はこれをあなたに、だからどうしてくれという言い方じゃないのでありますけれども、一つ指摘だけ申し上げておきますから、そこで、この二つはどういう御趣旨でお直しになったかという点を平たくお述べをいただきたいわけであります。
  22. 島四男雄

    島政府委員 確かに時期的には、ことしの三月二十七日に初めてこういうものをつくったと言うと、いままでやってなかったじゃないか、あまりにもおそきに失するという御質問のあるのは当然なんですが、実際問題としましては、従来からこの種の特別定検はある程度行なわれておるわけです。ところがたまたま、従来特別定検に関する費用は残念ながら予算が認められておりませんで、一般定検が月一人当たり三百円という金額が認められておったわけです。ところが四十三年度からそれが四百三十円になりまして、おおむね特別定検に要する費用として七十円見当を見込んでおります。そうしますと、こういう指示をしても十分趣旨を義務づけることができる。従来は、こういう種類の作業につきましてはその役所の庁費の流用によって実際問題としてはやっておったわけでございます。そういうふうな事情から、この際、そういうものを明確にしたいというのがこの趣旨でございます。
  23. 大出俊

    大出委員 庁費の流用というおことばがあるのですが、これはなかなか表に出しかねる問題でございまして、ある職場でいろいろな車などを配置いたしておりましても、大蔵省予算折衝額というのは何十台ときまっているのですね。ところが実際にはだいぶ多いということが私自身にはわかっておっても、こういう席でそれを申し上げると次の折衝に困るのですね。私も官公労働者の出身でございますので、どういうふうに予算が使われているかなんということは比較的よくわかっているのですけれども、あまりそれは言いたくない。そこで、予算がないからということは、先ほどの御答弁からすれば理由にならぬと思うのですね。つまり民間その他に比べて、人事院はそういう病気が起こっては困るのであって、起こる前に健康管理という手を次々に打っておかなければ、起こってからでは困る。そういう手を私どものほうは確信を持って打ってきておりますというお答えなんで、打っていないじゃないか、こう言ってもしょうがないので、いま申し上げたような例をあげたというわけです。したがって、予算云々ということであるとすれば、国家公務員の健康に関する問題ですから、委員会の皆さんに御協力いただいて、私どもはかねや太鼓でそれこそ大蔵省責めあげなければならぬと思いますけれども、その種のことが人事院の事務的なワクの中でじっとしているのでは、問題は片づかない。やはり立法機関が法をつくった。さてその運用はどうなっているかということを論議する場所で、かみ合う議論をしていただかないと、ものごとは前に進まない。ですから、私は決して他意あって言うのじゃないのでありまして、そういう意味でまともにお受け取りいただいて、いまでもこれを改正していただいたことは非常にありがたいんですよ。その職場の労働者諸君にとっては、これが出てきたことで非常に勇気づけられておる方々もたくさんある。それほど人事院というのは大きな権能をお持ちなのですね。皆さんのほうがこれをお出しになったことで、皆さんは関係がないとおっしゃっている裁判所職員方々だって実際に非常に喜んでいるんです。自分たちでカードをこしらえて一生懸命やった方々が、こういうことをしてもらえば定期健診でなく特別健診その他もどんどんやれる、少なくともそういう足がかりはできる。こういうわけでありますから、ぜひひとつ、いままで確信を持っておやりのことは先ほどの御答弁でわかりましたけれども、なお足らぬところがたくさんあると私は思っておりますので、人の健康のことでありますから、ぜひひとつ人事局、人事院御相談の上で、この種のことには、まさに先ほど御答弁にありましたように、病気になってからではおそいのだという前提で、ほんとうにそういう前提で手を打っていただきたい。これはお願いを申し上げる次第であります。  そこで、裁判所方々はこの席には旧来の慣行上お出かけはいただけない。そのかわり私に人事局長さんなり給与課長さんなりが直接——給与課長さんが十日にお帰りになるそうでありますが、時間をとって説明をしたいというお話でありますので、それはそれなりによく承って、いずれかの機関、いずれかの機会にそちらのほうには申し上げるわけでありますが、実は密接な関係が皆さんのほうとあるのです。裁判所のほうは実例をあげまして幾つかの質問をさしていただきたいのでありますが、参議院の法務委員会におきまして、昭和三十二年以後の裁判所職員の全国の速記官とタイピストに半年に一回ずつ特別健康診断を実施するということを最高裁判所長官代理矢崎憲正さんという方が答えている。そういう経緯がある。この中で人事院を取り上げているわけであります。どういう取り上げ方になっているかと申しますと、実は最初にかいつまんだものの言い方をいたしますが、人事院のほうで、職業病というところに五十六種類だと思いますけれども、規則の面で病名を並べているわけであります。そこに入っていないということで、実は裁判所のほうとしてはやりようがないのだということを答弁しておる。そうすると、裁判所のほうがやりたいと思っても、人事院のほうの規則が直ってこなければ、あるいは規則解釈と運用の面で人事院がものを言ってくれなければ、先ほど申し上げたように裁判所実施機関であり、審査機関なのですけれども、さてその審査機関異議申し立てに基づいて審査をして認めようと思っても認めようがないのですという答弁をここでしているのですね。そうすると、これは私が裁判所の諸君にものだけ言ったって、人事院がということになる。この問題を片づける主体は人事院なのです。たとえて言えば、恩給法がこの委員会に提案されておりますけれども、地方公務員の皆さんにすれば国家公務員のおやめになった方、恩給法該当者の方々の手直しが行なわれなければ地方公務員は上げないというのと一緒で、一般公務員をたくさん押えておられる人事院の側にそこまで足を踏み込んでもらわなければ、予算は六割しか使ってないから四割余っておる、余っておるのだけれどもそこまで踏み出せないというのが答弁中身なのですね。こういう関係を御存じでございますか。
  24. 島四男雄

    島政府委員 裁判所のほうでどういう言い方をされているか存じませんが、少なくともある疾病が職業病であるかないかという判断は、非常に医学的な専門的な方々意見を聞かないと簡単に結論が出ない問題が非常に多うございます。したがって、私どもとしてはこの職業病のただいま御指摘のような表をつくって、五十六種類でございますか、一応職業病に指定しておるわけでございますが、ある種の疾病が全くその職業に伴う疾病なのかどうなのかという判断については、なおまだ相当詳細に各先生方の意見を聞いてきめたい、こういう態度で実は参っているわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 こういうふうに言っているわけです。これは参議院議員の久保等さんが質問をいたしておりますが、この中で最高裁判所長官代理者の矢崎憲正さんという方が、お答えになっておりますが、「もちろん十分御承知のことと存じますけれども、人事院規則で職業病というものを五十六種掲げているわけでございます。この五十六種掲げられております職業病につきましては、これは反証がない限りは公務上の障害というふうに認定されることになっているわけでございます。ところがそれ以外のものは、公務に起因することが明らかであると認められる病気に限って公務上の障害と認めるということに相なっているわけでございますが、そこで五十六種の病気の中で書痙」——手首のけいれんですね。「書痙については職業病ということで掲げられておりますけれども、先ほど来問題になっております腱鞘炎とか、頸肩腕症候群とか斜角筋症候群というようなものにつきましては、人事院のほうで職業病としては掲げていないわけでございます。したがいまして、公務に起因することが明らかな腱鞘炎であるかどうかということが問題の中心になってきたわけでございますけれども」いまお話がございましたように、「これは何分、御承知のように、非常に医学的な専門知識を必要とするものでございます。実は、私初めて人事局長になりましたときは、仕事に関連して手がふるえたりなんかすれば、当然公務上の災害だというふうに、ちょっと素朴に考えたわけでございますけれども、なかなかそうではなくて、医学的にいろいろ問題がございまして、医者の鑑定によりまして、公務と、手がふるえるなら手がふるえる、それから肩が痛むなら肩が痛むということの間に明らかな因果関係があるという医師の鑑定と申しますか、認定が出てまいりませんと、私どものほうとしては、直ちにそれを公務上の災害と認めることは非常に困難だというのが、一般的な公務災害の扱いだということになっております。」こういう答弁をしておるのですが、時間がありませんから一々読みませんけれども、人事院の皆さんのほうと相当よく打ち合わせをしてやっておられるということなんであります。ほかにもございますが、人事院のほうと密接に連絡をとっておやりになっておる。そうだとすると、人事院のほうがこうだと言っているのに片方でこうだとは明らかに言えない。となりますと、問題は人事院に戻ってまいります。事実そういう連絡をとってやっておると言っているのですが、すると、皆さんのほうと最高裁のほうと何か定期的な話でもおやりになっているのか、それとも何かそのつどの話になっておるか、その辺も参考のためにお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 島四男雄

    島政府委員 裁判所との間に定期的な会合その他委員会等は設けておりません。おりませんが、担当者の間でそういういろいろ疑義を生じたとかいう場合に、質問等は間々あるようでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 そこでいまの答弁の、先ほど来問題になりましたという問題を、実はあげて申し上げたいことがあるのでありますが、この裁判所の皆さんの中で、昨年の四月、定期健康診断を行なったのであります。この際に、問診の程度で最初やったところが、「八割と申しますか、八十一名が肩や手等に少し異常があるということを申し出たわけでございます。」八割、最高裁判所長官代理の矢崎さんが御自分答弁している、これは議事録の抜粋でございますが、「これは本人が申し出たわけでございます。そこで、その者たちに第二次の健康診断を行ないましたが、八十一名申し出ましたけれども、第二次の健康診断に出てきたものは」七十五名ないし六名だった。これは私調べてみたところが、出てない方は、仕事の関係で出られない人が大部分でございます。八十一名中第二次のときにお出になったのは、七十五、六名、そこで、その者たちについていわゆるタッピングだとか皮膚の温度だとかそれから疎血検査だとかあるいは問診などを行なって、それを済ませたあとで、さらにまたからだ全体について第三次の検査を四十名について行なった、こういう実情を述べておられます。これはどういうことかというと、大体頸肩腕症候群、斜角筋症候群、書痙の方、軽い方もあります、重い方もありますが、そういう形の方々であります。  そこで私が一つ承っておきたいのは、頸肩腕症候群なんというのは新しい名称なんですね。こういうふうなものについて、人事院のいま扱っている範囲でも統計関係のところや何かにないわけではない、こう私は考えておりますが、大体現状どんなふうなぐあいに、たくさん——二十二名ばかり、合計三十名ばかりになるのでしょうけれども、裁判所関係方々のほうからは異議申し立て審査請求が出ているわけであります。なかなかどうもはっきりしないままに推移しておるようでありまして、先般私が私的に承りましたら、非常にむずかしい問題でありますがなるべく早く結論を出したいと思いますという御答弁でしたが、だから結論が出ていない。この種のことについて人事院の側としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  28. 島四男雄

    島政府委員 ただいま御指摘の腱鞘炎であるとかあるいは頸肩腕症候群等の疾病に関しまして、各省庁からいろいろ御相談を受けております。四十年度以降いままでに私のほうで御相談をいただいております件数は、約十件程度でございます。その中で公務上というふうに回答したものもございますし、公務外という回答をしたものもございます。非常にこの種の疾病につきまして、各専門家方々意見はまちまちでございまして、いまだこれを職業病とする段階に至っておらないと申し上げておきます。
  29. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、職業病というのはどういうものをおさしになるわけですか、いま職業病とおっしゃいましたが。
  30. 島四男雄

    島政府委員 まあ災害に基づく疾病ではなく、その職業に従事しているがために、当然といいますか、それに付随して起こる病気、したがって長年ある職種に従事していたために起こる病気であって、その人の個人の持っている肉体的条件であるとかあるいはたまたま突発的な事故によるそうういものではなくて、まさにその職業に、職務内容として持っているその仕事からくる病気、まあそういうふうに私どもは考えております。
  31. 大出俊

    大出委員 ここに一つこれも学者ですが、医者の定義がありますが、主として仕事、労働の環境条件、労働条件、労働の対象や材料や用具、設備または労働の動作や姿勢や時間の無理などが原因となって、特に事故災害といえる状態がなくても、健康が破壊されたならば、病気のいかんにかかわらず、その病気、つまり健康障害そのものが職業病なんだ、こういう定義をしておりますが、いろいろな定義のしかたはあるのでしょうが、おそらくこういうことだろうというふうに、医者ではない私の立場から理解をするわけであります。そこで、だとすると、一番この根本は、先ほどおっしゃっておりましたように、健康管理という問題が非常にむずかしくなるわけであります。この職業病なるものの起こってくる根源となるものを取り除くということがなければ、医者の薬ではなおらないということになる。これは間違いない事実だと思います。そうすると、その職場の労働条件なり勤務条件なり、姿勢なり、そういうものが問題になるわけであります。  そこで、裁判所の例を一お見えになりませんが、裁判所に一番多いようでありますから、いま十件というふうにお話しになりましたから、そうなれば、裁判所は集中的に多いということになります。私のほうでいろいろ調べております限りでは、この議事録にもございますけれども、ソクタイプを扱っている速記官の方々おいでになるわけであります。ところが、この速記官の方々の欠員はどのくらいあるんですかという質問に対して、最高裁の先ほど申し上げた代理の方は十六、七名というふうにお答えになっておるわけであります。私が電話で非公式に承っても、そういうふうにおっしゃっている。十六、七名くらいでございましょうか。ところが、速記官の方々の定員はおおむね九百名くらいあるのであります。九百の定員のうちで実人員というのは六百名足らず、六百名欠けるのであります。正確に申し上げますと、あとから養成された方を入れてみても、期別人員——これは速記官を裁判所が養成しておりまして、一期、二期、三期、四期というふうに、十六期まで速記官の方々がいる。それで、一期から三期までは内部の養成した方々だけを入れていた。それから四期から十二期までの卒業生の間は外部の人も入れたわけです。ふやしたわけです。それから十三期から十六期まではまた内部の方々だけに限定して、戻ったわけです。この計をながめまして、ここに総計七百十五という数字がありますけれども、やめている方がありますから、おおむね六百を欠けるくらいなんです。これはそういう特殊な方々を養成しておりますから、名簿の一覧表が全部ある。一人残らずどこで何をやっているか、全部わかる。そうすると、それは幾ら裁判所方々大蔵省関係その他いろいろあって、定員は九百なんだけれども、実際は十六、七名欠員なんだと言われても、ここに全部載っているわけですから、これは隠しようがない。裁判所に二、三当たってみましたが、間違いない。そうしますと、おおむね三百名ばかり欠員があることになる。じゃ、それをどういう運用をしているかといいますと、この東京の地裁なんかを見ても、刑事部二十一部とか二部とかいうふうにどんどんできて、裁判がふえる。そうすると、三人なら三人で交代制勤務をやっていた方々が、一人というのはむちゃくちゃな話ですから、三名の中から一名引き抜く。そうすると、二名になっちゃって、ふえません。いきなり養成できない。ここで書いておられる手書きではない。ソクタイプです。しかも、ソクタイプを扱っているのは裁判所しかない。そうすると、交流もできない、こういうことになりますから、そういう意味で、どうしても二人でやらなければならない。そうすると、公判の性質その他からいきますと、一人で何と六時間もソクタイプを打ち続けなければならないような場合が出てくる。ずいぶん定員の面でむちゃくちゃなんですね。それでどうにもならぬというので、書記官の方が録音機持って入ってくる。ところが、録音機でとってみても、今度はこれを翻訳するときに、音量調整はできるんですけれども、普通書くのに困らぬ程度に音を出すと、隣り近所うるさくて仕事にならぬ。耳に直接入れて、無音で耳で聞くということになると、今度はとてもじゃないけれども、頭にきて書けない。だから、書記官のほうも非常に困ってしまっているのです、録音機を入れてきても。ところが、実際は、世の中じゅうがソクタイプに変わるだろう、国会なんかでもソクタイプになるだろう、そういうふうに裁判所は判断をされて、この一期養成のころに、ソクタイプをみずから養成をして使っているうちに、そこらじゅうソクタイプになるだろう、交流も自由になるだろう、足りなければ入れられるだろうというのでやった。ところが世の中がついてこない。機械も特殊な機械でありますから、そこで外部の者まで入れてどんどん養成を始めてふやしたのですが、機械も特殊な機械でありますから世の中がついてこないのでどうにもならないというので、また内部だけに限ってきた。いま欠員があるのは承知でおられて、どこかで優秀な録音機か何かに切りかえてソクタイプをやめようじゃないか。それじゃ、みずからせっかく養成した速記官はどうなるのか。書記官と交流できないのかというと、技術者ですから交流ができない。速記官は書記官より給料が高い。国会に入れても、国会はソクタイプではない。みずから養成した者の責任を負わなければならないから、置いておかざるを得ない、こういう実情にある。そこで、過渡的な状態であっても、これじゃとてもじゃないけれども病気はひどくなるに違いないじゃないかという点をお話しすると、何とお答えになっているかというと、御指摘のとおり非常にいろいろな無理があるのです、そこでことしは何とかというのでふやすようにしております。確かに聞いてみるとふえているようです。しかし、こんなに幅があるものを、とてもじゃないがいきなり埋まりやしません。そうすると、最高裁の事務総局のほうでは、せいぜい三十分くらいで交代でやらしてくれ、こう書記官なり裁判官に言っておるけれども、性格上それがどうしてもできない。実際にはそうなっていない。そこにさっき申し上げた頸肩腕症候群とか斜角筋症候群という形のものになっていく要素が、事実問題としてどうしても抜けない。そうなると、いま一番問題にされている定員の問題これをどうするかという問題なんですね。現時点でものを聞いてみると、これはもうそんなことを言っていられないから、東京地裁の場合には、金でもって外部から入れて一千時間やってもらったりしてきている。こういう状態なんです。だから、もっとふやすよりしようがない。やめて録音というといまのようなことになるので、しょうがないと思っているというのがいまの状態です。つまり、定員と仕事のアンバランス——裁判はどんどん促進しろといって、各部で裁判競争をさしている。たまったものじゃない。そのたびに忙しくなるのは速記官です。そこにこういう状態が起こってまいりますので、その職場環境の健康管理の手当てが直ちにできないとすれば、残る問題は、病気になった方をとにかく救わなければいけないのですよ。無理があることは認めておられるのだから、そうすると、このあたりは、十件しか聞いていないということではなしに、連絡はあるわけですから、もう少し皆さんのほうで裁判所の実情も調べてやって、注意すべきものはしていただかないと、私はさっき準用という点について私の考えを申し述べましたが、あまりにも私はひど過ぎると思うのです。ここらのところは、自分のほうは管轄違いだ、向こうへ行けじゃ済まないので、人事院がこの法律をつくったときのものの考え方をさっき私は御説明しているつもりなんで、ぜひそういう出発に立ち戻っていただいて、もう少し皆さんの側で実情を調べていただくなり、聞いていただくなり、何とかそういう方向を打ち出していただけないものかと思うのですがね。ここのところ、いかがなものですか。
  32. 島四男雄

    島政府委員 この種の作業に伴う疾病が最近非常に問題になっているということは、私どもよく存じでおります。この種の疾病についてどういうふうに扱うか、これは私ども重大な関心を持っていま検討しておるところでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 総務長官の時間が十二時十分までで、参議院に呼ばれているということですから、悪どめはいたしません。そこで長官の時間のあるうちに——あと十分ほどありますので、あと二、三分私はものを申し上げますので、お答えいただきたいと思います。  実はいま病気になっておられる方々、女子の方が大半ですが、十人ばかりの方にお目にかかってみた。そうすると、六年やっているという方、八年やっているという方、何人もおりました。でも、年齢はまだ若い方なんですが、ほんとうに実情を私に、中には涙ぐんで説明している方もありましたが、風に当たるとまず痛いのです。それで一番困ったことがあるというので例をあげた方がありましたが、うちへ帰ってふろに入るので、ふろの湯かげんを右手を入れて見た。ちょうどいいと思って飛び込んだところが、熱くて飛び上がったというのです。つまり、かかっているこちら側が感覚がなくなっているので、熱いと感じないのです。これがひどくなっていきますと、下痢を起こして非常にやせるというのです。それで寝込んでしまう。ところが今度は寝られないというのですね。からだ半分がおかしくて、季節の変わり目に、寒くなると痛んだり、風に当たると痛んだりするというのです。そのほか、症状の代表的な話を幾つか聞いてみた。私ここに直接聞いて書いたのですけれども、神経が集中しない、ぼんやりするというのです。そして、寝ても眠れない。からだの半分が何かいつも別なところにいっているような感じになっておるというのです。これは神経質な人が多くなるというのですけれども医者に聞いてみると必ずしもそうじゃないらしいのです。下痢が起こってやせてくる、そして風に当たると非常に痛いというようなことが共通的に出てくるというのです。これはいろいろ聞いてみると、手を片一方伸ばしてやっているのでそれがやはり原因になっておるということを皆さんが異口同音に言うわけです。決してこれは実情に即さない話ではなくて、私もここでものを申し上げる限りは御本人たちに会ってみなければと思って、お目にかかっていろいろ聞いてみたわけですから聞違いないわけです。現にそういう状態が起こっているわけです。  これはさっき申し上げた定員事情であります。これは急速に充足ができません。そうだとすれば、ともかく健康管理は厳にやっていただいて、早目に休ませてなおすということが先決なんですが、回復を待って、その間は金がかかっても一時間幾らとかいうことになっておりますけれども、こういうことはひとつ予算的な措置をやるなり、なるべく早く健康管理をして、わかった者については休んでもらうということと、それから現に一期、二期、三期、四期とさっき私が申し上げましたが、そうなってしまっている方々については、これは人事院が学者の見解見解をと、そう慎重に過ぎる態度ではなしに、先ほど私が申し上げたように、公務員には団交権が何もない、そういう状態の中でむしろ民間よりは積極的にやらなければいかぬのだ、こういう出発点なんですから、そういう意味で何とかそういう方を救うということに御留意をいただく。規則に入れられなければ、五十六項目に入れられなければ、直接公務関係があるという認定が審査権のあるところで下せればとりあえずは救えるわけですから。それがなお続発するということになれば——これはキーパンチャーとかいろいろなところにありますが、そういう点も含めて、救えるものは救っていただく。まして最高裁判所の場合、予算も私調べましたが、六割使って四割余っておる。これは事実ですよ。それを不用額にしてどこかへ持っていっちゃうのもむだな話ですから、そういう点もお考えになって、何とか、長官、していただきたいと思うのです。そして事実を調べて、適切な手を打っていただきたい。せっかくの改正案が出ておる際ですから、その点についてだけ長官にお考えを承っておきたいわけであります。
  34. 田中龍夫

    田中国務大臣 お話しのソクタイプの問題で裁判所のほうで非常にお困りになっている。なるほど承れば承るほど非常に深刻な姿でございます。何ぶんにも専門的なことでございますし同時にいまの行政のわれわれの権限の問題とも関係があるから、十分話を承って、そしてしかるべき何らかの処置をして差し上げなければ相すまぬという気持ちでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 確かに、最高裁方々お見えになっておるわけではございませんので、その限りではいま前向きな御答弁をいただきましたので感謝を申し上げます。ぜひひとつ、さっき私が申し上げたような筋で、人事院の側からやはり何かを言っていただかなければ——この参議院の答弁にありますように、やはり人事院の側を見る。それはあたりまえですよ、この法律の所管は人事院なんですから。臨時措置法が向こうにあって読みかえるわけですから、読みかえて、その意味準用をやっていく側が先走ってものが言えないのは理の当然だと思うのです。いまの長官の御答弁趣旨に従って、人事局長さんなりあるいは職員局長さんなりのほうで、ぜひ御配慮を賜わりたい。いまは、長官の時間の関係がありますので、長官の御答弁をいただいておいたわけです。  そこであと、事務当局の皆さんのほうに幾つか承っておきたいと思うのでありますが、配者の認定のしかた、判断のしかたというものに幾つかの段階があるようでございます。いま私が申し上げた新しい職業病といわれている頸肩腕症候群等の問題につきましても、四つぐらいの症状に基づく段階に医者の立場として分けておられるようでありますけれども、そこらのところを、人事院が手がけた中でもう少し詳しくお話を承れぬものかと思うのですが、どうですか。
  36. 島四男雄

    島政府委員 事柄が専門的にわたりますので、厚生課長のほうから答弁いたさせます。
  37. 佐分利輝彦

    佐分利説明員 お答えいたします。  頸肩腕症候群を例にとりますと、これは職業性の理由以外に起こる場合がきわめて多いわけでございますが、骨に変化があるとか、あるいは筋肉とか筋膜、そういうところに変化があるとか、何らか神経を圧迫するような原因がございますと起こってくるわけでございまして、自然に素因として起こってくる場合もございますし、またそういう素因があってキーパンチャーのような職業に従事するためにその発現が促進されるというふうな場合もあるわけでございます。こういう関係で現在まだ医学の経験則では職業病と言い切ることができないような状態になっておるわけでございますが、個々の症状を検討いたしまして、医学的にそういう症状が発現するという理由が可能な場合あるいはさらに進んで医学的にそういった個々の症状がはっきりと認められる場合、こういった場合には、現在補償法でも公務上にするということにいたしております。ただ、こういった頸肩腕症候群というのは、痛みを主体にした病気の状態でございますので、ただ病みだけでございますと、本人は痛いとおっしゃるけれども、医学的に見てどうもほんとうに痛んでおるのかどうかというふうな疑問が生ずる場合もございます。また、業務との関連者、はたしてそういったキーパンチャーあるいはタイプによって起こったかどうかというふうなことが、その方の実働時間とか就業期間というふうなものから見てはっきりしないというふうなこともありまして、その辺の認定がむづかしいわけでございます。
  38. 大出俊

    大出委員 私の持っている資料によりますと、たとえば腱鞘炎ということばがありますけれども、これは頸肩腕症候群とかいろいろ名前がありますけれども、ある意味では似たような原因、原理に基づくのですね。私は、兄貴が医者なんです。私は医者でないのですが、いろいろ調べてみますと、腱鞘炎というのは、つまり筋肉が骨にくっついている部分に見られる白い筋があるのだそうですか、このあたりは私も知らないからわかりませんが、腱ですね。これを包んでいる組織、これを腱鞘というのだそうであります。ここに炎症が起こるというのですね。毛細血管から水分だとか白血球などの細胞がしみ出してくる反応、これが起きた状態、これがいろいろな形であらわれるというのですね。一定をしない。したがって、腱鞘炎であるかないかは明確にわかっている。それから、斜角筋症候群なんといわれているものは、首の筋肉あるいは顔、これを一定の方向に向け続けることによって疲労が出てくる。つまり首の重さというようなものが肩から腕にかかるというようなことのようであります。それから、左か右に首を曲げる程度が非常に強いという仕事の状態、伸ばされてじっとしている筋肉の疲労という問題そういうようなことがその斜角筋症候群というものになっていく原因らしいのですね。これはやはり傾向としてはタイプあるいはキーパンチャー、ソクタイプも含みますが、そういうところに多いということだけは実際には間違いないですね。だから、その辺までは学者の意見としては一致してきている。そうすると、学者の学説的な意見が職業と結びつくかどうかという明確な判断をと言われても、これは私も経験上二つあるのですけれども、職場を知っている側からすれば職場と結びついた点はわかるのだが、医学のほうはわからない。ところが医者の立場からすると、医学の学問のほうはわかるのだが、職場との結びつきはわからない。こういう関係があるのですね。そこにもう一つ悪いことに、予算のワクなどということを頭に置くと、なおわかっていてもわからない結果になるわけであります。したがって、医者の立場から、職場との結びつきがわからないのだからといって、医学の立場に閉じこもっている形をとれば、これは片やてっぺんのほうには予算のワクがあるということになると、悪く言えば、都合よく問題はそれてしまう。こういうことになる。しかも、きまった病院を指定されて、そこだけで調べていると、そこの方々は、審査権を持つ方々ともちょいちょい交流をする機会があるでしょうから、そうなると、その間で、人事院はこういう状態ですとかいろいろなことが耳に入ると、もうしばらく見ていようということになる。なぜならば、医者とのつながりで、職場との結びつきはほんとうに痛切に感じてないですから。つまり、人がながめて痛いだろうと言うのと、本人が痛いと言うのとは、ここのところは違うということですね。だからそこのところをひとつ踏み込んでいただいて、何も規則の面でいま直ちに五十六項目に追加をしなければならぬということを申し上げているのじゃないけれども、私ども職場の経験のある人間がながめてみて、直接御本人に会って聞いてみて——それは御本人が痛くもないのに私の前に来て、痛くて痛くてしょうがないとか、こうでございますなんて、そらぞらしくて、そんなことを言いやしませんよ。そんなことは調べる方法で間違いなくわかる。万人の見るところ、それは間違いないですよ。だからそういう点等もひとつ御勘案をいただいて、できればその定員のほうを片づけてあげようという気で、裁判所の方をここに呼んでいただいて、責めるつもりはないですが、隘路を剔決して、どうしても何とかしなければならぬというところに持っていってもらおうと思ったのだが、お出かけをいただけないので、どうもくつの裏から足をかくようなことを言ってしまうわけですけれども、人事院の側が、一般的な問題としてけっこうですから、少し前向きに踏み切っていただければ、全部が全部とはいかぬかもしらぬけれども、一、二、三、四と分けていって、非常に悪い方々ぐらいまず救えるのではないかというふうに私は思う。痛切ですよ、お話を聞いてみると。おそらく局長さんが、ほんとうに悪い方をお呼びになって聞いてみるとその点はよくわかると思うのですよ、お互い人間ですから。だから先ほど申し上げたように、団交権を制限されている公務員でございますし、この立法趣旨に基づきまして、ぜひひとつそこまで手を伸ばしていただきたい。この点について、ひとつお答えいただきたい。
  39. 島四男雄

    島政府委員 ただいまの大出先生のおことばにありましたように、確かに職業病を検討する場合に、仕事の内容とお医者さんの医学的判断との結びつきが、お医者さんの立場からすると、なかなか医学の非常に専門的な立場だけに閉じこもって、実際にその仕事の内容というものは十分御存じないという点は確かにあろうと思います。その点は全く同感だと思うのでございます。で、私どもとしては、こういうものについて将来検討する場合には、十分その点もよく考えながら検討していきたいと思っております。  なお、先ほど私どもで十件程度あると申しましたのは、これは人事院に相談があった、協議があった件数でございまして、各省庁内においてどのような実情かということは実はまだよくわかっておりません。  それからもう一つ申し上げておきたいのは、タイプあるいは、キーパンャチーによる腱鞘炎について、わがほうで公務に基因するものであるという認定を下して回答したものも何件かございます。
  40. 大出俊

    大出委員 総務長官お見えになりませんので、委員長、あまり長い質問をしてもしかたがないと思うのでありますが、おられれば実はまだだいぶ承りたいこともあるのでありますけれども、法律提案者が、責任者が、おいでにならぬのですからぽつぽつ途中で切りたいと思います。  それで、いまのお話なんでありますけれども、事人事院に限らず、民間企業の中にもあるのですよ。しかも、民間企業は労働省所管でございますが、私がここに持っておる資料によりますと、民間の場合にも職務に基因をするということで、いわゆる頸肩腕症候群などといわれる形のものが労働者災害補償保険法適用を受けているケースも実際にあるんですよ。これは何も公務員に限ったことではない。私も正直いって真剣に調べたのですが、やはりぼくはこれは間違いないと思う。だから医者の見解、これはいまお話しのとおりだと思うのですよ。そこが一番むずかしいところだ。もう一つは国の予算規模というものがあります。これも無視はできない。それも認めます。だがしかし、問題は人の健康のことですから、そういう意味では民間の企業にもあって、すでに認められているケースも同じ形のものでいろいろあるわけでありますから、それらのところもひとつ気を配っていただきまして、悪ければ将来、予算の立て方なり人の配置なりを直せばいいのでありまして、それはこれから私ども努力をする責任がありますからやりますけれども、実は問題は、いま起こっている、いま痛いという人をではどうするかということをやはり考えていかなければならぬ。まあ政治というのは私はそういうものだというふうに思っておりますので、どうかひとつそういう点を御配慮をいただきまして、早急に何らかの形でお調べいただくようにお願いしたい。  で、私は、形の上でここにお出になれないのであって私が申し上げたことについては重々わかっておりますから、実はむしろここで御説明をするほうがいいと思っているのですけれども、実はいままで法務、予算、決算しか出席をしていないという先例を破ると、新たなケースをつくることがいいか悪いかという相談が先になります。御出席ができないのであらためて私のところへ来て、人事局長さんと給与課長さんとで詳細な御説明をいたします、こういう実は御返事なんで、それはそれで承っておきます。また人事院の皆さん方にお願いいたしますけれども、どうかひとつ、この席で申し上げたことは、他意あって申し上げているのではないという点をおくみ取りいただきまして、何人もの方にも会い、捨てておけぬという気持ちで申し上げておりますから、その点をひとつそうお受け取りを賜わって御尽力をいただきたい。この点だけつけ加えまして、一言何かお話を承りまして終わりたいと思います。
  41. 島四男雄

    島政府委員 ただいまの御趣旨を十分体しまして調査、研究してまいりたい、このように考えております。
  42. 大出俊

    大出委員 それでは委員長総務長官おいでになりませんから、この辺で…………。
  43. 三池信

    ○三池委員長 次回は、来たる九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時十九分散会