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大出委員 ここに
一つこれも学者ですが、医者の定義がありますが、主として仕事、労働の環境条件、労働条件、労働の対象や材料や用具、設備または労働の動作や姿勢や時間の無理などが原因となって、特に
事故、
災害といえる状態がなくても、健康が破壊されたならば、病気のいかんにかかわらず、その病気、
つまり健康
障害そのものが職業病なんだ、こういう定義をしておりますが、いろいろな定義のしかたはあるのでしょうが、おそらくこういうことだろうというふうに、医者ではない私の
立場から理解をするわけであります。そこで、だとすると、一番この根本は、先ほどおっしゃっておりましたように、健康管理という問題が非常にむずかしくなるわけであります。この職業病なるものの起こってくる根源となるものを取り除くということがなければ、医者の薬ではなおらないということになる。これは間違いない事実だと思います。そうすると、その職場の労働条件なり勤務条件なり、姿勢なり、そういうものが問題になるわけであります。
そこで、
裁判所の例を一お見えになりませんが、
裁判所に一番多いようでありますから、いま十件というふうに
お話しになりましたから、そうなれば、
裁判所は集中的に多いということになります。私のほうでいろいろ調べております限りでは、この議事録にもございますけれども、ソクタイプを扱っている速記官の
方々が
おいでになるわけであります。ところが、この速記官の
方々の欠員はどのくらいあるんですかという
質問に対して、
最高裁の先ほど申し上げた
代理の方は十六、七名というふうにお答えになっておるわけであります。私が電話で非公式に承っても、そういうふうにおっしゃっている。十六、七名くらいでございましょうか。ところが、速記官の
方々の定員はおおむね九百名くらいあるのであります。九百の定員のうちで実人員というのは六百名足らず、六百名欠けるのであります。正確に申し上げますと、
あとから養成された方を入れてみても、期別人員
——これは速記官を
裁判所が養成しておりまして、一期、二期、三期、四期というふうに、十六期まで速記官の
方々がいる。それで、一期から三期までは内部の養成した
方々だけを入れていた。それから四期から十二期までの卒業生の間は外部の人も入れたわけです。ふやしたわけです。それから十三期から十六期まではまた内部の
方々だけに限定して、戻ったわけです。この計をながめまして、ここに総計七百十五という数字がありますけれども、やめている方がありますから、おおむね六百を欠けるくらいなんです。これはそういう特殊な
方々を養成しておりますから、名簿の一覧表が全部ある。一人残らずどこで何をやっているか、全部わかる。そうすると、それは幾ら
裁判所の
方々が
大蔵省の
関係その他いろいろあって、定員は九百なんだけれども、実際は十六、七名欠員なんだと言われても、ここに全部載っているわけですから、これは隠しようがない。
裁判所に二、三当たってみましたが、間違いない。そうしますと、おおむね三百名ばかり欠員があることになる。じゃ、それをどういう
運用をしているかといいますと、この東京の地裁なんかを見ても、刑事部二十一部とか二部とかいうふうにどんどんできて、裁判がふえる。そうすると、三人なら三人で交代制勤務をやっていた
方々が、一人というのはむちゃくちゃな話ですから、三名の中から一名引き抜く。そうすると、二名になっちゃって、ふえません。いきなり養成できない。ここで書いておられる手書きではない。ソクタイプです。しかも、ソクタイプを扱っているのは
裁判所しかない。そうすると、交流もできない、こういうことになりますから、そういう
意味で、どうしても二人でやらなければならない。そうすると、公判の性質その他からいきますと、一人で何と六時間もソクタイプを打ち続けなければならないような場合が出てくる。ずいぶん定員の面でむちゃくちゃなんですね。それでどうにもならぬというので、書記官の方が録音機持って入ってくる。ところが、録音機でとってみても、今度はこれを翻訳するときに、音量調整はできるんですけれども、普通書くのに困らぬ程度に音を出すと、隣り近所うるさくて仕事にならぬ。耳に直接入れて、無音で耳で聞くということになると、今度はとてもじゃないけれども、頭にきて書けない。だから、書記官のほうも非常に困ってしまっているのです、録音機を入れてきても。ところが、実際は、
世の中じゅうがソクタイプに変わるだろう、
国会なんかでもソクタイプになるだろう、そういうふうに
裁判所は判断をされて、この一期養成のころに、ソクタイプをみずから養成をして使っているうちに、そこらじゅうソクタイプになるだろう、交流も自由になるだろう、足りなければ入れられるだろうというのでやった。ところが
世の中がついてこない。機械も特殊な機械でありますから、そこで外部の者まで入れてどんどん養成を始めてふやしたのですが、機械も特殊な機械でありますから
世の中がついてこないのでどうにもならないというので、また内部だけに限ってきた。いま欠員があるのは承知でおられて、どこかで優秀な録音機か何かに切りかえてソクタイプをやめようじゃないか。それじゃ、みずからせっかく養成した速記官はどうなるのか。書記官と交流できないのかというと、技術者ですから交流ができない。速記官は書記官より給料が高い。
国会に入れても、
国会はソクタイプではない。みずから養成した者の
責任を負わなければならないから、置いておかざるを得ない、こういう実情にある。そこで、過渡的な状態であっても、これじゃとてもじゃないけれども病気はひどくなるに違いないじゃないかという点を
お話しすると、何とお答えになっているかというと、御
指摘のとおり非常にいろいろな無理があるのです、そこでことしは何とかというのでふやすようにしております。確かに聞いてみるとふえているようです。しかし、こんなに幅があるものを、とてもじゃないがいきなり埋まりやしません。そうすると、
最高裁の事務総局のほうでは、せいぜい三十分くらいで交代でやらしてくれ、こう書記官なり裁判官に言っておるけれども、性格上それがどうしてもできない。実際にはそうなっていない。そこにさっき申し上げた頸肩腕症候群とか斜角筋症候群という形のものになっていく要素が、事実問題としてどうしても抜けない。そうなると、いま一番問題にされている定員の問題これをどうするかという問題なんですね。現時点でものを聞いてみると、これはもうそんなことを言っていられないから、東京地裁の場合には、金でもって外部から入れて一千時間やってもらったりしてきている。こういう状態なんです。だから、もっとふやすよりしようがない。やめて録音というといまのようなことになるので、しょうがないと思っているというのがいまの状態です。
つまり、定員と仕事のアンバランス
——裁判はどんどん促進しろといって、各部で裁判競争をさしている。たまったものじゃない。そのたびに忙しくなるのは速記官です。そこにこういう状態が起こってまいりますので、その職場環境の健康管理の手当てが直ちにできないとすれば、残る問題は、病気になった方をとにかく救わなければいけないのですよ。無理があることは認めておられるのだから、そうすると、このあたりは、十件しか聞いていないということではなしに、連絡はあるわけですから、もう少し皆さんのほうで
裁判所の実情も調べてやって、注意すべきものはしていただかないと、私はさっき
準用という点について私の
考えを申し述べましたが、あまりにも私はひど過ぎると思うのです。ここらのところは、
自分のほうは管轄違いだ、向こうへ行けじゃ済まないので、
人事院がこの
法律をつくったときのものの
考え方をさっき私は御
説明しているつもりなんで、ぜひそういう出発に立ち戻っていただいて、もう少し皆さんの側で実情を調べていただくなり、聞いていただくなり、何とかそういう方向を打ち出していただけないものかと思うのですがね。ここのところ、いかがなものですか。