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大出委員 この
事務の処理能力というのは、算定上は一日一人で八件くらいなんですね。どこの
官庁でも能力算定
基準だとか、
定員算定基準だとか、何々方式というものがみなあるわけですが、これは一日八件。ところがいま一体どのくらいになっているかというと、十三件から十四件、おおむね十四件に達しているわけですね。こういうことでは、これはとてもじゃないが、たいへんなことになる、こういうわけであります。したがって、どうしてもこれは必要やむを得ざる点でありますから、
実測車の
定員というものはふやさなければならないことになる。
定員をつけなければならないことになる、こういうわけであります。厳密に申し上げますと、
定員がないのに乗れなんということは、口が腐っても言うべきではありません。事故が起こった場合の責任の所在が明らかに
なりません。業務に入っていないのに車で行った。交通戦争の世の中でありますから、何人かに一人は交通事故にあう。ついこの問も電電公社の総裁米澤さんが
うしろから追突されています。これはだれかが事故にあう。そういうことですから、本人が悪くなくても、
うしろからぶつかられればけがをする。そういう状態でありますから、どうしてもそこのところは、くどいようでありますけれ
ども、そういう
関係だということをお含みおきいただきたい。大臣が先ほどおっしゃったとおりでけっこうですが……。
そこで、先ほど私この席で申しましたように、京都で、十字路がありまして、非常に忙しい職場で、
登記のために
実測をしなければならぬというので出かけていった。たまたまここは二十台のうちの一台が
配置をされているところで、たまたま御本人も自分で免許をとっていた。そういうことで、車に乗って運転をして調べに行った。十字路に行ったら、十字路ですから、減速しまして、五キロ、そろそろ走っているわけですね。そうすると、十字路を渡り切るかどのところで、七十幾つの老人が出てまいりまして、右の肩に大きな荷物をかついでいる。したがってそろそろと行ったところが、老人が――老人も交通違反なんでありますけれ
ども、車に沿って歩いている。向こうに行かない。そこで並行してそろそろ行ったところが、しばらく行ってから、肩にかついでいるからこちら側が見えない。急に右に曲がってきた。それで、そろそろ走っていましたから、ぶつかったというのではなくて、接触した。右足のくるぶしに車が接触をした。そうしたら、年寄りですから、肩にかついでいますから、ひっくり返った。接触したほうの右足は何ともなくて、骨折というほどではないのでありますけれ
ども、骨折に類するようなけがを左足にされた。こっち側にぶつかった反動で、年寄りですから、こういう事故が起こったというわけであります。ここに地図も全部ございますけれ
ども、人が車と並行して歩いて、こっちに曲がろうとした。つまり、交通標識も何もないところでありますから、したがって、御本人のほうも、過失相殺ということになれば無過失ではない。しかし、おおむね人身事故は車の側にも責任があるわけでありますが、そういう
程度の接触事故であります。ところでこの人は何べんか、五回ぐらい病院へ行っておられるようでありますが、五回ぐらい行ってこの老人と
お話ししたところが、私のほうも悪かったと言っている。この老人は、入院しなければならぬ状態ではないけれ
ども、たまたま一人住まいでありまして、片方の足が、たいへんな骨折ではもちろんありませんけれ
ども、入院してなおすということで、一カ月入院をされた。そこで五回もお伺いをして、いろいろやってまいりました。逆にこのお年寄りは、私のほうが悪かったのにこんなに来てくれてと言って非常に恐縮しておる状態です。
ところが、これが片方では交通事故でございますから、先ほど御
説明いただいたのでありますが略式命令という形で、罰金が一万五千円ということになってきたというわけであります。このときに、藪内宏美さんという方でありますが、この方は、接触したんだから、確かに自分にも悪い点はあるけれ
ども、相手方も交通法規を守っているわけではないんだから、将来自分の身分に影響のある戒告処分なんというものが出てくると予測すれば、略式命令で、ああそうですかと話をつけるようなことはしない。ところが、
旧来、この種のものについてはそんなことはない。だから頭にない。まして自分が
実測車を運転しなければならぬ責任も義務もない、こういう状態でありますから、たまたま自分が運転免許をとっていたというので乗っていったというわけでありますから、そのほうが早いわけでありますから、まさか戒告なんかになるとは思わないわけですから、あっさり略式命令に応諾して、簡単に片づいていいからというつもりで、一万五千円納入してしまった。私も労働組合の親方でございますから、こういう場面にも年百年じゅうぶつかりましたが、先行きそういう影響がないやつは、みんなそういう略式命令で片づけたほうが早い。年じゅうそんなことをやってきている。だから、おそらく御本人もそう思った。ところが、
あとになってみたら、これは刑法の二百十一条でございますね、それでこれは戒告だということになる。刑法の二百十一条というのは、申すまでもなく業務上過失致死傷であります。「業務上必要ナル注意ヲ怠り因テ人ヲ死傷二致シタル者ハ三年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス」となっている。さらにこれは後段で「重大ナル過失二因リ人ヲ死傷二致シタル者亦同シ」と、こういう条文であります。重過失なんというものじゃない。単なる接触であります。ところがこれが、出てきた処分理由からいたしますと、
公務員法の九十九条、九十八条から始まるわけでありますが、二百十一条との関連で
公務員法の第九十八条、これは「
職員は、その
職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の
職務上の命令に忠実に従わなければならない。」という、これが前段です。九十八条は、たくさんありますけれ
ども前段であります。これが
一つ適用されております。それから九十九条、これは信用の失墜、こういう条項であります。「(信用失墜行為の禁止)」、こういう条項だと思いますが、ここで「
職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」こういうことなのであります。そこで私は、この二つの条項に照らしまして、はたしてその
程度の必要でいま私が御
説明したようなことが事実であります。私がよく調べましたが、本人は決して注意を怠ったわけではない。この九十八条の法令に従う云々というのがありますけれ
ども、これもそうなんです。本人は非常に注意して、何と五キロに落としている。老人が出てきたから、落として、老人のほうを見ながら並行していって、このまま向こうへ行ってしまうのだと思ったら曲がってきたものだから、そろそろと運転してたんだけれ
ども、接触した。重い物をかついでいたからひっくり返って、接触したほうでない足を、骨折までいってないそうですか、骨の損傷、そういうことであります。これをしゃくし定木に九十八条に該当いたしますという。どうもこれは、私は不納得であります。信用失墜行為というけれ
ども、月に五回も行ってよく話したが、相手の老人が私のほうも悪かったのですからと初めから言っている。逆に恐縮をしておられる。
登記所の官吏の方というのは、
公務員の方というのは、こんなにまで見舞いに来たりいろいろ親切にしてくれるのかというので、さすがに
役所の人だというのですっかり感謝をしている。信用失墜どころの騒ぎではない。その方に会ってみていただけばわかります。そういうことになっているというのに、これを戒告だという。私は、どうもここのところはわからぬですね。
官庁というものは、私も経験がたくさんありますが、一ぺん戒告なんというものを出してしまいますと、
あとになってしまったなと思ったって、なかなか出し直せないものですよ。大臣も御存じでしょうけれ
ども、組合運動なんかしてたって、いもしない人間を一山幾らで戒告だなんて、休んで彼女とデートしている者を戒告だなんて――ところがなかなか取り消せないのですね。しょうがない、
人事院で公平
審査をやってもらって、
人事院がこういうからということで取り消したなんということがあります。これはそういうことに類する中身です。これは、いまになれば、もう一ぺんその当時
考えておけばよかったという御意見だって出てくる筋じゃないかと私は思いますが、本人の日常の勤務の状態というものは、私はいろいろな
関係の方に聞いてみましたが、非常にまじめで誠実な方で、業務上も優秀な方で、何にも悪いことはない。そういう気持ちで毎日やっている人、と
なりますと、どうもこれは私は了解しにくいわけであります。この若い方の一生の問題ですからね。こういう事件が起こっておるのでありますが、まず大臣、このことについて御存じでありますか。