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1968-04-10 第58回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十日(水曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 齋藤 憲三君 理事 志賀健次郎君    理事 田澤 吉郎君 理事 坪川 信三君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 金丸 徳重君    理事 山花 秀雄君 理事 小沢 貞孝君       小渕 恵三君    金丸  信君       佐藤 孝行君    根本龍太郎君       羽田武嗣郎君    水野  清君       大出  俊君    米田 東吾君       中野  明君    田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省郵務局長 曾山 克巳君         郵政省人事局長 山本  博君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  北原 安定君         日本電信電話公         社理事         (計画局長)  井上 俊雄君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 四月十日  委員石橋政嗣君及び栗林三郎辞任につき、そ  の補欠として大出俊君及び米田東吾君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員大出俊君及び米田東吾辞任につき、その  補欠として石橋政嗣君及び栗林三郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  理事小沢貞孝君同月五日委員辞任につき、その  補欠として小沢貞孝君が理事に当選した。     ————————————— 四月八日  FM東海等の存続及び実用化試験局の本免許切  替えに関する請願金丸徳重紹介)(第三四  六七号)  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願(河  本敏夫君紹介)(第三四六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三八号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  去る五日、理事小沢貞孝君が委員辞任されままた結果、理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によって、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認めます。それでは、小沢貞孝君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 古川丈吉

    古川委員長 公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  5. 大出俊

    大出委員 大臣冒頭に承っておきたい点があるのであります。公衆法の一部改正ということなんですが、この公衆電気通信法なるものを再度ずっと読んでみて感ずる点があるのであります。どうも、いまの公衆法というものは再検討をしなければならない点が幾つもあるように私は感ずるわけであります。そういう点で、いまの公衆電気通信法というものを、この際もう少し再検討してみるというお考えはございませんか。
  6. 小林武治

    小林国務大臣 お話しのとおり、これは時世に合わないところが相当多いわけであります。料金のきめ方あるいは制度自体といたしましても再検討をして、政府としても次の機会には相当な改正をひとつ加えたい、こういうふうに考えております。
  7. 大出俊

    大出委員 昔のかたかな郵便法というようなことはございませんけれども、データ通信だとか、マイクロ建設などと進歩してきている段階でございます。それと、いまお話し料金決定なんかも各方面で取り上げられておりますけれども、そういうお考えに立っていただきたいものだと実は思っておるわけであります。  そこで、この公衆電気通信法に基づく料金決定原則考えていいようなものは、何と何がございますか。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 これは御承知のように、現在は基本的に申せば、いわゆる資本勘定的なものとして設備負担金がある、それから、一般料金としては基本料、それから市外通話料市内通話度数料、こういうふうな、料金としては大体三つに分かれておりますが、この三種類というものは大体存置してもよいと思いますが、その三種類の内容が非常に時世に合わない、こういうふうに思っております。  また、電気通信法といたしましても、たとえば農村集団電話なんというものはまだ実用化しておりませんし、有線放送電話なんというのも、たいへんな大きな施設が一方に出てきておりますが、これとの調整というようなこともこれはできておりません。非常にいろいろなものがあるのでありまして、実は、この際も二、三出したいと思っておりましたが、どうせ次に相当な大改正をやるから、その際に一括したいという公社側の希望もあって今度は延期しておる、こういうことでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 公衆電気通信法にしろあるいは公社法にしろ、まあ公社法なんかも、四十条に予算の弾力性というところがありますけれども、少し手を入れなければいけないんじゃないかと思われる点が、これは私見ですけれども幾つかあります。ただ、私は、実は郵政大臣である小林さんに御質問申し上げるのは初めてなんですけれども、この部屋で、昔厚生大臣をおやりになっているときに保助看法の中の看護婦さんの問題その他を三時間くらい実は御質問申し上げたことがあるのですが、たいへん合理的な御回答をいただいておりまして、あの時点から少し前に進んでおる。たとえば看護婦さんの定員決定基準なんというもの、したがって、きょうこれから少し原則的なことをお伺いをしながら、何とかそのことを契機に、もう少し突っ込んだ改正考えていただけないかという気がするのです。  そこで、一つ例をあげて申し上げますが、私は、いま種類を伺ったのじゃなくて、料金決定原則という形で実は御質問申し上げたわけなんです。ということになりますと、この公衆法の第一条に七字、文字にいたしまして七つしかありませんね。ここに書いてありますのは「公衆電気通信役務を合理的な料金で、」と書いてあるわけです。「合理的な料金で、」つまり七字、これしか、実はこの公衆電気通信法を全部あけてみましても、料金決定原則と見られるもの、理解できるものはないのでございます。そうすると、ここでいうところのこの「合理的な料金で、」というのは、たいへん重要なことばになる、こう実は考えるわけです。  一体「合理的な料金で、」というのは何かということであります。漢和大字典を引っぱるまでもなく、合理的というのは、社会一般通念で理にかなったということであります。反対語は、これは不合理というわけでありますから、不合理な料金決定原則を持ち出すわけにはいかないということになる。きわめて抽象的でありますが、こう理解をしておるのですけれども、何かこれはもう少し解釈のしようがございますか。これは原則でございますから、これしかないのですけれども、ほかにあったらひとつ反論していただきたい。
  10. 小林武治

    小林国務大臣 これは、合理的というのは非常に常識的なことでありますが、要するにこれは、電話事業というのは一つサービス事業、そうして、このことは一つ企業だ、したがって、その企業を合理的に能率的に経済的に運営して、そうして、この事業運営に必要な経費料金で賦課する、こういう考え方でありますから、私は、まず経営あるいは運営に非常な重点があると思う。それを非常に合理的に運営することによって、必要最小限度のものを料金として取る、こういうふうなことが基本じゃないかと私は思います。
  11. 大出俊

    大出委員 前段のほうには異論がありますけれども、必要最小限度とおっしゃったから、まあまあという感じがするのでありますが、どうも、いかに合理的に運営してみても、筋の通らぬ料金をきめるとなれば、これは世間一般通念からいって、合理的な料金料金にかかる合理的ということばでありますから、合理的な料金とは言えないことになる、こう考えているのです。だから、ほかにない以上は、これをやはりたてまえとしなければならぬ。しかし、このままだと、わがほうはこういう理由づけをして提案をいたしました、われわれの解釈でいうと、きわめて合理的なんだ、いや、これはわがほうの解釈からいけば不合理だ、合理的でない、こういう論争になってしまうわけです。そうすると、合理的である、あるいは合理的でなければならぬ料金だとすれば、合理的という文章の表現は、具体的にいって、何が一体合理的なのかという基準をさらにこの中に細分化して入れないと、ほんとうのところ料金決定原則にはならない、こう実は考えているわけであります。これはまあ前置きでございますから、深く論争する気はありません。  しかし、何かここで、もう少し世間一般がこの法律をながめて——これはなかなか、公衆電気通信法なんというものを町の人が読むわけではありませんけれども、たてまえとしては、国民皆さんが知っていなければならぬことになっているわけでありますから、どなたか必要があってあけてみても、なるほどそうなのかという理解がいくような法律規定というものが必要ではないか、こう思うのでありますが、いまの問題の締めくくりという意味で、再度御答弁いただきたいわけであります。
  12. 小林武治

    小林国務大臣 これは、いまのように包括的な表現では、こういう時世に、あんまり世間で納得を得ることはできないと思います。したがって、もう少しこれは分析して、そうして、料金はこういう趣旨できめるのだというようなことを入れるのが適当であろうと私も考えます。
  13. 大出俊

    大出委員 世間一般の方が、設備料の値上げをする、しかも三倍だなんて、ふざけるなというので、私のところに言ってくるわけです。私は、この電気通信法関係については、郵政の出身でございますからまきにしろうとでございますけれども、ときに、料金というのはどういうことできめるのですか、こう言われて、公衆電気通信法第一条にあるのです、何と書いてあるのですか、合理的な料金と書いてある、それだけですか、それだけです、さっぱりわけがわからぬじゃないか、こういうことになってしまうわけですね。したがいまして、いま大臣がおっしゃるように、そこのところを、もう少し突っ込んだものの考え方規定づけるという必要があるのじゃないかという気がするのであります。  それからもう一つ、たくさんございますけれども、それだけやっていますと、それで一日たってしまいますからもう一つ承っておきたいことがございますが、料金というのは、しからば、公衆法上、どういう理解をすればいいわけでございますか。
  14. 小林武治

    小林国務大臣 私は、これは要するに、国民の要望にこたえるためにはどれだけの仕事をしなければならぬか、どれだけの拡張をし、どれだけの経営をしなければならぬか、それをもとにしまして、これは税金も要らぬし利益も要らぬし、こういうことが公社の本質でありますから、したがって、その仕事に合う、ペイするだけの最小限度経費をいただく、こういうことが私は料金根本であろうと思うのです。
  15. 大出俊

    大出委員 これもちょっと理解が違うのでありますが、私は公衆電気通信法なる法律を問題にしているわけでありまして、この法律上いうところの料金とは、しからば、この法に基づいてどういう理解をすべきなのかという点を実は承りたいわけであります。  私は昔、逓信省専門学校官練学生会長時分に、当時の小林逓信院総裁をたずねまして陳情したことがありますが、あの時分にも、実は料金とは何ぞやという疑問を抱きまして、だいぶ学生時代に論議したことがあるが、この公衆法でいう料金、これは見方、理解のしかたによりますと、おかしなものになっているという気がするわけであります。したがって、料金というこの法律上の解釈は、まずどう定義づけておけばいいかという点をはっきりしておきませんと、これはあとの論議と関連いたしますので、まあ、大臣にそうこまかく承ろうというのじゃありませんけれども、お気がつきになったとすれば、もう一ぺん御答弁いただきたいのであります。
  16. 小林武治

    小林国務大臣 料金というのは、サービスに対する対価、簡単に言えばそういうことになります。ただ、これが公社仕事であるだけに、私企業と違って、単純に、それだけの相当な対価を取るということに必ずしもきまらないのであります。たとえば、安い財政投融資等をやれば、そういうことがすべて料金にはね返るとは限りませんから、やはり公社事業としての料金というものは、一般私企業料金とは多少違ったところもありますが、要は、サービスに対する対価、こういうことになります。
  17. 大出俊

    大出委員 きわめて常識的な御答弁をいただいたわけでありますが、法律というものは、私もしろうとではございますけれども、なかなか常識的になっていないのでございまして、したがって、法律に即してどう解釈するかということをはっきりしておく必要がある。うしろのほうに、どうも首をかしげておられる料金専門家がおいでになりますけれども、公衆法の第二条は「この法律及びこの法律に基く命令の規定解釈に関しては、左の定義に従うものとする。」ということで、定義が述べられております。ここで、定義の第一は、「電気通信有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること。」これが電気通信定義であります。それから、第二条の二のところに「電気通信設備」という定義がございます。ここでは「電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備」これがつまりその法律にいうところの「電気通信設備」の定義でございます。さらに、この第二条の三、ここに電気通信役務という定義がございます。「電気通信設備を用いて他人通信を媒介し、その他電気通信設備他人通信の用に供すること。」これが定義解釈していい役務定義であります。  この定義に基づきまして「料金」という条項があるわけであります。たしか私、六十八条だという記憶がございますが、六十八条から「第五章料金」、こういうわけであります。先ほど申し上げました定義に基づいて——これは法律でありますから、定義に基づいて、ここに「第五章料金」という章が出てくるわけでございます。  ここで「料金決定」というところから問題が出てまいりますが、「公衆電気通信役務料金であって、」——冒頭にこういう表現がございますから、そうなりますと、料金とは、電気通信役務料金という理解になるのであります。  そこで、専門家武田さんにひとつ伺いたい。料金の項は、この五章以外にございますか。
  18. 武田輝雄

    武田説明員 公衆電気通信役務料金に関する限りにおきましては、公衆法以外にございません。
  19. 大出俊

    大出委員 そうなりますと、この五章にいう料金つまり五章のうちの六十八条「料金決定」というところにある「公衆電気通信役務料金」、これしか料金はないのであります。そうなりますと、これは大臣に承りたいのですが、いま私が御説明申し上げたつもりでございますけれども、公衆法の第二条にいうところの定義がございます。その定義の中では、電気通信設備役務というものは明確に分けられている。したがいまして、厳密な意味での定義でありますから優先をいたしますので、ここでいう役務定義に基づいて料金がきめられる、これしかないのであります。私は、との理解は、方々いろいろ専門家にも承ってみましたけれども、その理解が正しいというのであります。もし私の立論に間違いがございましたら、専門家である武田さんなり総裁なりに承りたいところであります。関係の今回の法律をやっておりますところには一応当たっておりますけれども……。
  20. 武田輝雄

    武田説明員 「公衆電気通信役務料金」と申しますのは、公衆電気通信法規定されております御指摘のありましたもの以外はないと存じます。ただし、「公衆電気通信役務料金」とは何かということがこの際問題になるだろうと思います。  公衆電気通信役務につきましては、公衆電気通信法におきまして第三章以下、「電話」とか、あるいは「有線放送電話接続通話」とか、あるいは第三章の三「加入電信」、あるいは第四章専用とか、そういうふうにきめられておるわけでございます。  そこで、電気通信役務料金というのは、たとえば、通話をした場合に通話料をいただくとか、あるいは市外通話をされた場合に市外通話料をいただく、こういった種類役務に対する対価としての料金もあると思います。もう一つは、そういうふうな通話ができる状態に置く、すなわち、役務を提供し得る状態に置くことに対する対価もこの中に含まれると思うわけであります。たとえば、電話で申し上げれば、基本料あるいは定額料金局におきます電話使用料あるいは専用線料金、こういったものは月ぎめできまっておりまして使用されるかされないかにかかわらず、使用し得る状態に置いたということに対する対価だと思うわけでございます。  また、一歩進みまして、使用し得る状態に置くことも役務だということになれば、それに対する料金も当然公衆電気通信役務料金になるわけでございますが、公衆法の別表の中に「設備料」というのもございます。この設備料は、電話申し込み者に対して、使用し得る状態に置く際にいただく料金でございますから、基本料役務料金であると同じような意味において料金であるというふうに思いますので、同じく公衆電気通信役務料金と申しましても、こういうふうに、使用のつどいただく料金と、使用し得る状態に置いた場合にいただく料金、この二つに分けられるのじゃないか、こういうぐあいに考えるわけであります。
  21. 大出俊

    大出委員 したがって私は、この二条の二、三、ここのところを実は取り上げているわけであります。この二条の三号にいうところの「公衆電気通信役務」とは何かという定義、ここでいう中身というのは「電気通信設備を用いて他人通信を媒介し、」というのでありますから、媒介しなければ、この限りでは役務ではない。それから「その他電気通信設備他人通信の用に供すること。」供しなければ役務ではない、こういうことなんですね。  そうなりますと、五章にいうところの料金は、ここで出てくる「公衆電気通信役務料金」の「媒介し、」「供する」、これが前提になって「役務料金」ということばが使われていると理解しなければならぬ。そうすると、いま言われます「設備料」というものまで含めてものをお考えになるとすると、設備費であっても、解釈上この条項は非常にむずかしくなる。はたして通信役務というものの解釈を、定義に照らしましてそこまで広げるべき筋合いかどうかという点——私はここで詰めてしまおうとは思わない。詰めてしまうと、何ができ上がるかというと、この法律改正しなければ設備料なんというものは定義に反するものになる。しかし、いまここでそれを言ったって、できている法律ですから。ただ、ことで私が取り上げたいのは、昨日ここで、かつての吉田さんの時代法制局長官であり、現人事院総裁佐藤達夫さんを相手にいたしまして法律論争を少しやっておったのでありますが、あの専門家佐藤さんが書きました書物の中に「法律ミステーク」という書物があるのであります。できてしまうと、まことしやかに理屈をつける。つけざるを得ないのでありますが、たびたびその法律の中にミステークがあるというわけであります。どうもミステークがあってはいけないのであります、立法府の責任でありますけれども。しかし、できてしまうと、一人歩きしますから、何とか理屈づけを専門家はしなければならぬ、こういうことになるわけでありまして、私は、いささかもってこれは無理があると思う。そういう意味指摘をしておきたいと思ったのであります。  大臣、これは法律である以上は、常識的にものは解釈できないのでありまして、これは近代社会でありますから、だれが見てもわかるように、しかも、公衆と名のつく電気通信なのでありますから、そういう意味でひとつ御検討を、ということを冒頭に申し上げたのでありますが、どうも釈然としない。過去の議事録を読みましても、設備料というものはそのつど負担法のときもそうでありますが、そのつど、いろいろ異論が出ているわけでありますから、先ほど「第三章電話」というようなことを武田さんおっしゃいましたけれども、この席で郡郵政大臣に、私は、電話とは何ですかという質問をしたことがありまして、有線放送電話接続通話などを公社電話だと麗々しく入れておること自体に問題があるということを申し上げたことがあるのです。そういう点等とあわせまして、少しこの点あたりは御検討を要する問題ではないかと思うのでありますが、大臣、いかがでありますか。
  22. 小林武治

    小林国務大臣 一応お話しのとおりだと思います。ただ、いまのところ役務に対する対価、こういうサービスに対する対価というのは一般的な考え方でありますが、サービスを提供するためには市外線もつくらなければならない、局内設備もやらなければならぬ、こういうサービスを提供するための資本というものは、当然役務のための必要経費、こういうことに広く解釈しておるわけでございまして、そうして、いまの設備料の問題はときどき解釈が違うといってしかられますが、実は、電話そのものをつけるのには三十万円ぐらいかかる、三十万円かかるとすれば、その三十万円というものは、一つ資本投資として、これが償却の形において料金に反映しなければならぬ、したがって、その三十万円の中で十万円は債券でいただくということ、あるいは、いままで一万円だったものが今度は三万円にするということは、その三十万円のそれだけ——初めから三万円というものは償却対象にならぬ、こういうことで、私は、料金にも当然反映しなければならぬ。  要するに、私は、これを全体の工事費一つ負担金として考えたいということを言ったが、従前とはだいぶ違うというて、方々からだいぶおしかりを受けたのでありますが、しかし、計算の基礎なんか妙にやったら、これは実際問題としてできません。なぜ三万円にしたかなんて言ったって、これは幾ら説明したってできません。私は、それが説明できるなら、その二万円上げたなら、なぜ債券をもっと下げないか、それを、債券は従前どおりいただいて、今度は二万円上げただけで、だから、これは全体三十万円のうちの一部を事前にいただくのだ、これは、したがって減価償却対象にならぬ、したがって料金にもはね返りはない、こういうふうにもっと簡単に考えなければ、とてもこれは、なぜ二万円上げたということは絶対説明できません。こういうことで、私は、あらかじめ一部をひとつ負担していただく、そのかわり、それは減価償却対象にもならぬし、料金のほうにも関係しない、早くにそれだけは償却はできているんだ、私は頭が大ざっぱなせいか、大体こんなふうに考えております。  今度は前の説明と違うと言われましたが、私は実際、またこれから大出さんが、一体その二万円はどこに根拠があるなんて言ったって、説明できません。することはしますが、いいかげんな説明になる、こういうふうに私は考えておるわけであります。  そういうわけでありまして、とにかく、役務を提供するために、単なる交換というサービスだけでなくして、そのために各種の施設をしなければならぬ、その施設に対する償却金がみんな料金に入ってくる、こういうふうなことを考えております。  だいぶ先回りいたしましたが、設備料は、正直に言うと、説明できません。
  23. 大出俊

    大出委員 どうも、私のおやじさんみたいな大臣にそう先回りをされて、用心深くものを言われると、私もいささかおとなしくなるかっこうになりますけれども、しかしまあ、そこまで気を使っておられるのだろうと思うので、善意に解釈いたします。  ただ、これは大臣、あれですよ。この席は世間一般に、国民相手にしゃべっていることになるのですから、説明のつけようがないということになると、つけようがないものは引っ込めろ、こうなってしまう。これは言論の府ですから、納得できないものはできないのですから、これは説明のつけようがないのだ、とにかくこうなるのだから、ということでは、世間一般に言ったって、何をぬかしやがるということになってしまう。これは大臣、やはり理屈をつけていただかなければならぬ。公社というものは、ときどきでたらめなうまい理屈をつけまして、あとになって、あのときうまく理屈をつけたから通っちゃったなんていばっている人がいるが、これはまことに衛生上よくない。ところが、それは私の大先輩の中にいるんだからしようがない。残念なことだと思っているんです。  しかし、それにしても、やはり一応国民の皆さんを、ともかくなるほどというところに持っていかなければものごとは前に進まない、こういうことなんです。大臣がしきりにいまのように言われるけれども、公社のほうは一生懸命、ここから先はマル秘でございまして、そこまで質問が出たらしようがないからこれは答えるように、こんなふうに用意して、そこに書いてあるようでございます。ここまで聞かれなかったら、ここでやめておけ、こういうことを聞いたら、これはしゃべれ、そんな手練手管はいけませんよ。大臣がいささか先走って、聞かぬことをお答えになるから言わざるを得なくなったわけですけれども、ぼつぼつ後ほどそこらのことについても、ここにおられる方々に出している資料はここから先を切ってしまって、皆さんの持っていらっしゃる資料と違う、そういう資料の出し方はよくないということをあとで申し上げたいと思っておるのであります。ところで、ここで承っておきたいことが実は一つございます。それは、先ほど料金の問題に触れましたので、少しこの料金問題について承りたいのであります。  戦後料金改定をおやりになりましたが、二十八年の改定、三十七年の改定ですね。この武田さん得意の三十七年の改定がございます。これなどからいきますと、まあ距離別時間差法などという、わかったようなわからぬような基準をおきめになりまして、電電公社そのつど方式という出し方をされておるわけであります。三十七年九月三十日からこの距離別時間差法は実施されたわけであります。  ところで、これは戦前、戦時中の料金がありましたね。これといまの料金、二十八年改正を踏まえて今日までの料金をながめたときに、根本原則という面でながめてみて、何か大きく違ったという点がございますか。
  24. 武田輝雄

    武田説明員 料金役務対価ということでございますが、ただいま御指摘のように、現在公衆電気通信法には料金決定原則というふうなものが書かれておらないで、ただ、合理的な料金で、ということしか規定されておりません。  したがいまして、合理的な料金というものは何を意味するかということは、六十八条で、別表として国会で審議をしていただく段階においてはっきりするわけでございますが、たとえば、ガスとかあるいは電気事業法などを見ますと、それにはやや料金決定原則的なものが入っておるわけでございます。それは、たとえば電気事業法の十九条には、電気事業料金は通産大臣の認可料金になっておりますが、通産大臣が認可をされる場合には「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」というふうに規定され、以下二号ほどの規程がございますが、原価に適正な利潤というふうになっております。そして、通産省令で、電気・ガスにつきましては八%ないし八・六二%の公正報酬率が適当だといういわゆる公正報酬原則がとられているわけでございます。  そこで、電信電話料金でございますが、戦前あるいは戦後におきます電信電話料金は、主として損益の経費をまかなうというたてまえでできておったと思うわけでございます。そこで、昭和二十八年に料金改定が行なわれておるわけでございますが、終戦後二十八年までにはしばしば料金改定が行なわれております。しかしながら、これはすべて戦後のインフレあるいは人件費の高騰等に伴う損益の赤字を補うためのものでございました。ところが、昭和二十八年のときには損益の赤字を補うということではございませんで、そうでなくても非常におくれておりました日本の電話の普及、そして戦災によりまして半分を烏有に帰しまして、電話サービスというものがきわめて劣悪であった状態、こういう普及がおくれ、さらにサービスがきわめて劣悪であった状態を一日も早く回復するということのために、どうしてもサービスの改善、拡充を行なわなければならぬ、しかも、サービスの拡充、改善というものは、電話事業の特質といたしまして、結局は電話加入者に還元され、加入者の利益になるものであるということで、そこで初めて損益の点から離れて、一定の利益、二割程度の利益を得て、それを電話の拡充、改善に回すというふうにされたと思います。したがいまして、二十八年を境といたしまして、電信電話料金決定原則というものが大きく変わったというふうに承知をいたしております。
  25. 大出俊

    大出委員 武田さんの本にはそう書いてあるようですし、そこに書いてあるのをいまお読みになっておるようでありますけれども、この戦前の料金と申しますのは、それは料金を調べてみてもそうでありますが、言うなれば、料金というよりは手数料なんです。電話の場合は手数料でございまして、時間がありませんから私のほうから言ってしまいますけれども、言うなれば、これはある意味では税金なんですね。当時の古い資料を集めて、ここに書いてありますけれども、中身を読んでみますと、仰せのとおりに、当時の料金というのは、軍事費あるいは一般会計の赤字を埋めるという意味での料金ですね。その後、戦後になりましてから、インフレその他で、旧料金掛ける倍率で操作をしてきた。  ところで、二十八年改正のときはどうなったかというと、これまた倍率なんですね。旧料金を倍率で引き継いでいるのですね。これは、先般私が米澤総裁に御質問申し上げたときに、二〇%は全部建設勘定に入れたのだという答弁でございましたが、まさにそのとおりです。このときに提起をいたしましたのは、皆さんのほうからは二〇%の提起をしただけじゃない、これは国会で修正をされた結果二〇%になっているわけであります。明らかに、これは戦前の料金を倍率で引き継いだ、こういう料金です、二十八年の料金というのは。ところが、これは公社考えていたのよりは、提案したのよりは削られたわけです。国会で三党共同修正で削られたのだけれども、その後一体どうなったかというと、ここに表がございますけれども、収入のほうはだいぶいいわけでありまして、予想しておりましたのよりははるかに金が入ってきたわけです。したがって、この面から建設勘定へどのくらい回っているかというと、つまり損益勘定から建設勘定に、二十八年が四十六億、二十九年が百六十三億、三十年が百二十五億、三十四年が二百七十五億、三十五年が三百九十一億、三十六年が四百八十二億というふうに金が回っていっているわけですね。これが真実なんでありますけれども、加又者からよけい取りまして、建設勘定がふくらんできて、急速度に建設が進んだという、そういう結果、たいへんなこれは、その意味では加入者負担、言いかえれば大衆負担、こういうかっこうになっているわけであります。  ところで、ここで一つ取り上げておいたほうがいいように思いますけれども、これまた時間がないので申し上げるのでありますが、二十八年当時の営業局長さんというのは、どなたがやっておられましたか。
  26. 米澤滋

    ○米澤説明員 当時、営業局と運用局が一緒になったような形で業務局という形だったと思います。吉沢武雄氏が局長になっております。
  27. 大出俊

    大出委員 私の持っておりますこの本には元営業局長と、こう書いてあるのでありますが、業務局長であればそれはけっこうであります。将来、皆さんあまりうまい理屈をおつけにならないために引用するのでありまして、この吉沢武雄さんという方はたいへんな人物でございまして、みごとな立論をされ、当時の公社の非常に重要な時期を乗り切られたのだと思うのでありますけれども、私がこれから申し上げると、吉沢さんは私の先輩でございまして、目下逓信同窓会会長でございますから、どうも不肖な後輩があらわれたと思って、おこられそうでありますけれども、しかし、事の真相を述べておられるので、真相だけは明らかにしなければならぬと思います。  ここに私が持っておりますのは「電信電話業務研究」の三十五年九・十月合併号、これはこの図書館の、上にはございません。本館にございます。三十五年の九・十月合併号、一四ページから一五ページにわたって書いてあります。これは一ぺんお読み願いたいのでありますが、何と言っているかといいますと、戦前から電信電話サービスの原価をめぐって、あるべき料金考えられてきた。当然、料金じゃないのですね。原価主義で、あるべき料金、これが考えられてきたのですね、いま、どうも原価主義に立っていないようでありますが。そして、二十八年の改正当時にも、料金とは何か、経費プラス建設資金の一部ですね、そういうプラスアルファ方式について批判があったというのですね。それで、この営業局長ここでは営業局長と書いてありますが、総裁のお話によると、業務局長吉沢さん、この改正を担当したまさに責任者でございましょう。で、「建設資金を料金で賄うのは不当ではないか。現在の加入者に将来のサービス改善の負担をさせるのは納得できない。」という反論の多かったことをこの中で述べておられて、この反論に対しては、学問上の問題としては、一応理屈のあるところを認めておられる。それで、その次に「公共事業料金資本に対する適正利潤を認められること、米国の公共企業体の近代化基金あるいは建設改良資金を料金で賄ってもよいという諸立法などを引例して、要は程度の問題で、」1電話のおくれという意味では程度の問題で、電話がつかなければ産業経済の発達をはばんでいる、そういうふうな問題、それから、国民に不利不便を与えている現状、こういうものを解消するために建設資金を含むということは、ある意味では程度の問題なんだ、こういうふうに説いたというわけですね。そして、負担が過大でなければ容認されてもよいということで、アメリカの立法等を引用した。これらの所説には、公益事業学者の北久一先生や古川栄一先生——丈吉さんじゃないです、古川栄一先生、いまでも電電公社経営関係に入っておられる現職の方です。この方々に知識を授けられて、公聴会の公述人としてもサクラになってもらって、当方へ応援してもらったというわけですね。しかし、現加入者への負担の是非の問題については、一口に電話の建設というけれども、現在の加入者の話し相手がふえるし、話し中だといってつながらないのも少なくなるし、市外通話も早くなるし、また、改式や区域合併によって新規加入者よりも現在の加入者の利益が非常に増加するんだ、こういうふうに説明した、また、言ってもらった。「差支えないことだとして、二十八年度建設計画中この見方から分析すると六七%が現加入者に還元されると、実例をまことしやかに挙げて説明をした」——まことしやにというと、どうも真実でないということになるのでありますが「実例をまことしやかに挙げて説明をしたが、この数字は大分無理をしてデッチあげたものである。」こう書いてある。「しかし、この見方は、その後種々の方面に援用されて、公社説明としては判り易い進歩した観念として発展したことを買うべきだ。」そうすると、これはどうも一生懸命、公社の方はこれから御説明をいただくことになるのでありますけれども、援用されて、これが定着し、公社のわかりやすい説明として発展をした、まことしやかにあげて六七%が加入者に還元されるんだと言ったところで、だいぶデッチあげて無理をしたんだけれども、うまく通っちゃった、こう書いてあるわけですよ、これは。私は根拠を明らかにしているんですから「電信電話業務研究」九・十月合併号一四ページないし一五ページ、これをお読みいただきたいのであります。  となりますと、まきに、大臣が先ほど御答弁になったように、料金決定原則と、こういうのでありますけれども、どうもあまり理屈はないですね。原価主義なんということになってない、こういうこですね。したがって、私は、二十八年当時の例をあげたのは、こういうことで改正をやったから、きつき数字を申し上げましたように、どんどん収入がふえてまいりまして、建設勘定に大幅に回っていくという結果になった、こういうわけですね。今日までの経過をたどってみると、皆さんの料金改定は、大なり小なりそういうことになっていたと言わざるを得ない。反論ございましたら、これは大先輩、当時の責任者でございますから、反論をいただきたいわけでございます。
  28. 武田輝雄

    武田説明員 当時、確かに料金原則に立ちまして議論があったことは事実でございます。また、原価だけでやるべきか、それに適正なる報酬を入れるべきかといったような議論もいたしたことも事実でございます。ただ、電話の場合には、いま六七%というふうにおっしゃいましたが、確かに、自動改式をいたしましたり、あるいは即時にいたしました。そういった経費は、全部旧加入者の利益のために投資される資金でございます。また、電話をふやしてまいりますと、それだけ多くの古い加入者の方々通話範囲も広がるわけでありますから、そういう意味で申し上げますれば、現在公社が言っておりますように、六五%は、広い意味では旧加入者に還元されるということも事実であります。  したがいまして、電話の拡充あるいは改良の緊急性にかんがみまして、また諸外国におきましても、電話の特殊性からいたしまして、アメリカなどは建設勘定の一九%程度、イギリスでも一五%程度、フランスは設備料込みでございますので、はっきりしたことは言えませんが、フランスでもそれ以上の額を入れております。これは電話一つの特質であるということが言えるかと思うわけでございますが、従来日本におきましては、二十八年以前におきましてはそういう理論がなかったわけでありますから、二十八年当時にそういうふうな理論を立て、しかも、従来、逓信省という形で、独立採算という形でやっておりませんでしたが、電気通信省になりまして独立採算制がとられて、そういう新しい料金設定の原則を打ち出したことは確かでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 私は、これを取り上げたからといって、責任追及の気持ちも何もないのです。吉沢さんは今日ある公社というものをつくり上げた大人物でございますから、また、私の先輩でもありますし、しごく存じ上げているから。ただ、しかし、私が将来に向かって申し上げたいことは、ここまでくると、世の中は二十八年当時と違うのでありまして、諸物価も上がってくる、国民一般が非常に神経をとがらしておる、公共料金の値上げを政府が主導する、けしからぬというような声もたくさんある、こういう時期ですから、ここまでくると、来年度また料金を上げようというお考えで、総裁、八月までにおまとめになるのだろうと思いますし、この方式をここでもう一ぺんおとりになると困るから、もうちょっと料金決定原則というものは明確にすべきであると考えるから、そういう意味で取り上げたのです。当時の世相としてはこれで通った。したがって、もうここまでくるとそれでは通らない、こう実は思うので申し上げておるのであります。その点ははき違えないでいただきたいと思います。  総裁に承りたいのですが、「電信電話業務研究」三十七年八月号の六ページ以下のところに——当時の総裁は大橋さんですね。このところに責任継続の原則がございますので、現総裁にお尋ねする以外にないのですが、電信電話料金料金原価主義ということについて、総裁自身の発意で検討するということで、ずいぶん長い文章が載っております。したがいまして、三十七年の八月号でございますから、三十七年の改正のときであります。この原価主義の発意によって検討したものは一体どこへいってしまったか。三十七年の改正も、実は原価主義に立っておられない。来年ということで、八月までにおまとめになるとおっしゃるのだけれども、もうそろそろ、この辺までくると、料金決定原則というのは、まさに原価主義というものを基礎にしなければならぬ時期にきておる、こう実は思うわけですが、この辺の関係につきまして、総裁のお考えを承っておきたいのであります。
  30. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま料金決定原則という御質問がございました。確かに、これはサービスに対する対価、こういうふうに考えます。サービスというのは、役務ということと必ずしも一〇〇%一致しているかどうか、私は問題があると思うのであります。  そこで、問題になってまいりますのは、料金の水準、絶対値の問題それからもう一つ料金の体系の問題、こういうふうに大きく二つに分けられます。ただいま二十八年の例をお引きになりまして、確かに、そのとき吉沢氏はそのように考えたのかもしれません。私はじかに聞いておりませんから……。しかし、いずれにいたしましても、その時点においては、いわゆる現在の技術状態と非常に違っているのではないか。たとえば、二十八年にやりましたときには、公社が最初に政府のほうへ要望して、たしか、政府が国会に出した場合には、電話の一度数七円ではなくて十円単位で出たのではないか、国会で修正されて、たしか七円になった。そのときの話を私、当時の方に聞いてみますと、一度数七円というのは、おそらく数年しか持たないのじゃないかというふうに考えられたのであります。ところが、それが、ただいま大出委員がおあげになりましたように、損益勘定の収入額が現実に相当予定以上に入ってきたということは、やはりそこにエレクトロニクスの世界的な進歩というものがあったのじゃないかと思います。たとえば、ダイヤル即時ということ、市外に対しましてダイヤルでつながるということは考えてなかった、そのころは手動装置が主体であった。そういうふうに、技術の違い、あるいは見通しが違ってきたのじゃないかということが相当大きな影響を持ってきておると思います。  それから、料金体系の問題につきましては、結局料金というものは、基本料もありますし、度数料その他専用料とか、いろいろございますが、それをきめた場合に、それが加重的に、いわゆるウエートの持ち方というものがいろいろ変わってくるのじゃないか、事業の内容によって。したがって、たとえば基本料が何パーセント、あるいは度数料が幾らときまった場合に、度数料事業の収入の中で占めるウエートはいろいろ変わってくるので、その見通しの問題が非常に大事じゃないかと思います。  原価主義ということにつきましては、現在の電電公社料金というものは、原価主義はあまりそのままなっておるとは申し上げにくいのであります。一つの例では、電報の赤字というものは電話が持っておるということも一つの大きな点であります。それから、大都市の電話と農村の電話というものの負担の問題があります。ビジネス電話と住宅電話等にいたしましても、いろいろ問題があるのでありまして、理論的と申しますか、正確に言うと、原価主義に徹しておるとは言えないのであります。しかし、次第にこれを原価主義のほうに持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。その具体的な案はまだ検討中でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 原価主義とは言いがたいのじゃなくて、原価がないのですね。原価があったら、その資料をお出しいただきたいと思うのです。そう言われても、なかなかお出しいただけないだろうと思うのです。調べてみましても、そういう計算のしかたをしておられないのですね。  しかし、総裁がいま最後におっしゃったように、その方向にいきたいという意欲をお持ちですから、その点、私もわかるわけでありまして、いまないものを出せと言ったって、出ないのでありまして、ただ、総裁そうおっしゃるけれども、一、二点私も異論があるのは、二十八年当時というのは、まだそんな時代でないというのですが、そうじゃないのですね。当時はたいへんな問題になっていた時代です。いましきりにマイクロ問題などがやかましく言われておりますが、当時すでに問題になっておったマイクロウェーブ方式、あるいは同軸ケーブルの方式などが、いずれをとるかなどの論争があった。これを最初入れたのは日本テレビの正力松太郎氏、昭和二十九年四月に東京−名古屋−大阪間に建設した。これは公社がやったのではない。正力松太郎氏が、電電公社のお役所仕事ではとても間に合わないというので、正力さんらしい考え方で、おそらくテレビが今日普及したのは正力さんの力でしょうが、そこで、アメリカから外資を入れて、民営でマイクロ網をつくろうとした。これは根拠を申し上げておきますと、三十七年八月三十日の朝日新聞が詳細にこれを解説しておる。ところで、これは通信の自主権をそこなうものであるというので、公社との間に論争があって、とうとう正力さんのほうをつぶした。これは二十九年です。二十八年料金決定、二十九年、すでにこうなんです。いま第三の通信データ通信と騒いでおりますが、もうミリ波通信という時代でしょう。マイクロウェーブなんて、ぼくも防衛の関係のほうで調べてみたのでありますけれども、たいへんなものなんですね。確かに、そういう意味では、総裁が言っておられるように、従来のケーブルでは一度に六十通話が限度だった。ところが、マイクロ回線になると、一度に九百六十通話、四千メガサイクル、たいへんなものです。同軸の場合だって同じ、こういう状態だったのですから、だから、いま総裁がおあげになった原価計算のシステム、あるいはそういう方向に行かなかったというのは当たらないと思うのです。つまり、原価主義に立とうという意欲を持たなかったということに尽きると私は考えておる。原価主義に立とうとするならば、当時より今日のほうが進んできておりますから苦しい。いま、いろいろテレビその他の関係で、マイクロ建設だとか、今度の予算でもデータ通信だとかいっておりますが、価格はまだきめていません。法律上、試行という条文がありますからやむを得ませんけれども、しかも不特定多数のところ三つばかり、特定多数のところ九カ所、そのうち二、三カ所しかまだきめていないでしょう。地銀協なんかは当然きまっておりますけれども、そういう状態でしょう。そうすると、これは原価計算しようがないでしょう。だから、ほんとうに原価システムをとろうというのならば、当時のほうがとりやすい。いまのほうが間違いなくとりにくい。だから、そういう点では三十七年のこの料金改定というものは、距離別時間差法というものは、原価主義のたてまえからすると、でたらめ千万ですね。こういうばかげた——武田さん得意の論法なのですけれども、これはそうはいかない。距離別時間差法などというものは、まことにこれは不合理きわまるわけであります。私は、だから、いま総裁がおっしゃっているとは申しながらも、つまりこの原価主義のほうにこれからいきたいというお話でございますから、実はそのところを承っておきたいと思うわけであります。  そこで、いま話が出ましたから申し上げるのですが、三十七年の九月三十日から実施されましたこの三分・三分制で、距離ごとにこの三分を単位として七円の整数倍数の料金をとっていたのを変えたわけですね。これでいきますと、七円でかけられる時間は短くなった。東京−横浜では三十八秒、名古屋までは五秒、大阪までは四秒、福岡までは二・五秒、こういうふうにきめられているのですね、距離別時間差法というのは。もう一ぺん言いますが、武田さんよく知っておられますが、東京から横浜が七円でかけられる時間、これは三十八秒、名古屋は五秒、大阪は四秒、福岡は二・五秒、こうなっているのですよ。そこで、公社はうまいことを言うんですね。短く話せば安くつく、それはそうに違いないのですよ。これは五秒で話せといったって、それは話がてきやしません。ダイヤル市外通話は最低七円でかけられる、当時こういうスローガンで宣伝をされた。これはPRのしかたというのは非常に政策的なんですね。原価なんというものはどこかにけし飛ばしてしまいまして、安いか高いかという価値判断だけにしぼって国民にPRをした。原価主義というのはみごとに消しているのです、この論法というのは。ここが私は納得しかねるところなんです。そうして、中長距離あるいは近距離も含めまして、一体、国民一般、加入者一般に平等負担この距離別時間差法というのは、あまねく平等に負担を負わせるという通話料であるかどうか。そこだけひとつ聞いておきたいのですけれども、いかがですか。
  32. 武田輝雄

    武田説明員 距離別時間差法を採用いたしましたのは、即時通話を進めます場合に、従来のZZZ方式でございますと、度数料七円の倍率で三分、二十一円あるいは三分、二十八円というふうな料金体系でございます。そういうふうな形で自動即時を進めていきますと、課金機器の動作の関係で九登算まで、したがって六十三円の区間までしかいかないわけでございます。東京から申し上げますれば、大体小田原程度までしか自動即時が進まないという状態でございました。そこで、それ以上の中距離並びに遠距離につきまして自動即時を進めてまいります場合には、その料金システムを変えざるを得ない。そこでいま御指摘のありました距離別時間差法というものを採用いたしましたので、そのときに、料金決定原則といいますか、原価といったようなことをその際検討したわけではなくて、当時の料金水準のまま自動即時を進めていく、そのために採用した制度でございます。
  33. 大出俊

    大出委員 これは大臣、ひとつ念のために申し上げておきたいのですが、正直にものを解釈いたしますと、公衆電気通信法の一条にいうところの料金というものは「合理的な料金で、」こう書いてあるあとに「合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって、」こういうふうに表現されておりますね。「合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に」国民に、こうなっているのですね。公衆電気通信法の第一条ですよ。そうすると、あくまでも正直にものを考えれば、公平でなければならぬのですね。そうすると、この距離別時間差法というのは、課金、つまり金を計算する、幾ら取るか決定する課金装置、あるいは交換や伝送設備の問題等々の関係のほうが一つかたわらにあって距離別時間差法というものを考えたわけですね、皆さんのほうは。ということは、三分、七十円、あるいは距離にして百キロくらいまでしか、技術上その辺が限度で、困難だという一つの制約もあった。だから、そこで距離別時間差法というものができてくる。そうすると、これはあまねく、公平じゃない。たとえば、いまの距離によって違っている。つまり七円というものの秒測、どこまでが二・五秒というようなもの、これを原価に依拠計算していくと、はたして七円、七円、こういうきめ方をしたことが、負担の公平、あまねく平等になっているかどうか。もしなっているのだとすれば、その原価をお示しいただきたいのでありますが、あまねく、公平になっていない。皆さん方の技術的な都合というものが優先をしていくことになる。この点はどうですか。将来の問題ですが。
  34. 小林武治

    小林国務大臣 私は、おっしゃるようなことだと思います。実は、料金の今後の値上げ問題につきましても、私は、前の電電公社で頼んだ佐藤調査会というものは、料金体系とか料金の内容のきめ方、こういうことについてあまり関心を持たなかったというか、これは改正を加えないで、結果的には、ただ全体に向かって二二%、こういうふうな出し方をしておったことは、私はこれは非常に不適当な答申であると思う。したがって、いまおっしゃるように、私は、原価式なんということはとうていむずかしい問題と思いまするが、やっぱりあくまで公平でなければならぬ。こういう点からいたしましても、いまのその種類に対する料金の割り当て方、また、種類の内容における公平ということについて、私は、ぜひひとつこの際考えてもらわなければならぬ、かように考えております。
  35. 大出俊

    大出委員 私は、実は料金問題を、料金決定原則などを中心にしてものを申し上げたのは、いままで公社が大きな改正として二十八年、三十七年と二回おやりになったのだけれども、この中身というものをいろいろ調べてみると、必ずしもこれは合理的ではないんですよ。技術という面に縛られたり、建設資金というものをどう生み出すかということが頭にあって、したがって吉沢さんのような苦労をされる面が出てくるわけです。そうすると、料金決定の背景がそうなっておるのに、ここで何で二兎を追って、ようやく法律にしたんだからということなんでしょうけれども、二百四十四億が必要なんだからということで設備料などという筋の通らぬものを値上げをするのかということを言いたい。それよりももっと、料金体系というものを含めて、決定原則を含めて慎重にひとつお考えになって、経済社会の発展進歩の状態に合わせて、積滞の状態なども押えて、今日あるべき姿というものを公社が明確に確立をして、その上で建設資金がかくかく必要だとするならば料金値上げというものはこうなんだという出し方を、あくまでもわれわれを説得し、国民を説得する形で出してくれば、大臣がいみじくもおっしゃったように、理屈がないんだ、ないけれども認めてくれないというようなばかげた論議をしないで済む。私はそれを言いたい。時間がありませんから、昼ごろまでということですから、実は、順を追っていわないで、飛ばして話しております。ですが、順次、理詰めで言いますと、これはそう言わざるを得ないのですね。これを申し上げたいので実はいままで時間をかけたんですが、総裁は、原価主義の方向へという意欲をおっしゃっておられますし、大臣からは、必ずしもあまねく、公平というふうに思えない面もあるという意味のお話もありましたし、どんどん科学技術が進歩してまいりますから、ミリ波通信という段階までくるとすればえらいことですから、したがってそう簡単にはまいりませんけれども、少なくとも、国民に対して、公共性というものを忠実に生かそうとするならば——もしそうでなければ、公共性は飛んでしまいますからね。ですから、そういう方向で御努力いただいて、八月という時期に、来年度の値上げ問題をめぐって、これは総裁のおことばなんですから、問題提起をしようという時点なんですから、そこのところをひとつ頭に置いて料金をお考えいただいて、私は実は、この設備料の値上げなんという筋の通らぬものはおやめをいただきたいという見解なんです。  そこで、設備料の問題について承りたいのでありますが、先ほども大臣は理由がないとおっしゃっているのですけれども、理由がないけれども通してくれということなんでしょう。大臣のおっしゃることと公社のお考えとは違うので納得しがたいので承っておきたいのでありますけれども、設備料というものを値上げするという必要性その他はここに書いてありますけれどもわからない。旧来の設備料というものに対するものの考え方と、今回出されておりますものとは百人十度考え方が違う。明確に違う。  そこで、一ぺん御説明いただきたいのですが、旧来の考え方はどうであって、今回三倍にしようという基礎になるものの考え方はどうだったのか。その違いを明確にひとつ御説明をいただきたいわけです。
  36. 武田輝雄

    武田説明員 現在の設備料は、電話架設の際にいただく料金でございます。そして、その額は、引き込み以下、電話機を除きます部分の工事実費を勘案して定められているものでございます。そして現在の設備料は、やはり電話架設の費用の一部に充てるということを目的としているものであります。  今回改定をお願いいたしております設備料は、電話架設の費用の一部に充てるということについては全く同じでございますけれども、最近におきます電話架設に対します非常に熾烈なる一般の御要望に応じていくということ、それから、電話を架設いたしますには三十数万円の資金を必要とするということ、それからまた、加入者が一たん加入者になられますれば、電話使用するという地位を永久に持たれるわけでございます。そういう点、並びに電話サービスが向上いたしまして、その効用もずいぶんあがっておるといったような点を勘案いたしまして、この際、その額を上げるというふうにさせていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なお、欧州諸国におきましてもこの程度の額を取っておるところもございますし、また、国民所得も向上いたしておりますので、そういう意味で、架設の際にいただきます設備料の額を修正さしていただく、こういうふうにお願いをいたしておるわけでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 そこにお書きになっているのを読んで、きわめて慎重でございますけれども、さっぱりわからないのであります。  そこで、具体的に承りたいのでありますが、ここに国会の議事録の抜粋があるのでありますけれども、これは電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律であります。  その前に念を押しておかなければいけませんけれども、昭和二十一年四月一日に設備料というものが定められた、これは歴史的に御存じでしょう。昭和二十一年の四月一日、設備料、九百円から三百円、東京はこれは九百円です。二十二年四月一日に装置料八百円というのがございます。これが二十三年六月二十五日、それから二十三年七月十日、こう変わってきております。装置料千五百円。二十六年四月一日以降また変わって、七月一日以降また変わっている。二十八年一月一日、これもそうであります。いろいろあるのでありますけれども、負担金が二十六年七月一日に出てきている。公債というのは、二十三年六月二十五日から二十四年三月三十一日まで三万六千円、こうなっておるわけですね。ところで、装置料四千円というのが、昭和二十六年四月一日から出ている、そして昭和三十五年四月二十八日まで続いている。この装置料四千円なるものを、三十五年四月二十八日から設備料一万円に切りかえた。これは歴史的に間違いございませんね。  そこで、そのときの国会の論議でございまして、中身は、いま申し上げました電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律です。ここで「加入電話の新規架設の宅内工事費に相当する部分を、装置料として四千円と定めておりますが、この装置料にかえ、加入電話の新規架設のために直接必要な工事費、すなわち加入者開通工事費に相当する部分につきまして、これを設備料として一万円とすることとして、附則において同法の一部を改正することといたしております。」というのが答弁です。これは国会でお答えになっておる。旧来の設備料の正規の答弁、解釈です。こういうふうにお答えになっている。お答えになった方もあげておきます。これは提案理由ですから、当時の大臣、それから進藤さんという方が逓信委員会におられたようで、松田という政府委員の方が皆さんのほうにおられたようです。その間のやりとりがずっと続いておる。この中には、ほんとうに消耗品という解釈で、そういう式のものを計算いたしまして約四千円という数字が出てきた。各方面の局の設備あるいは線路の設備、そういうものがあるけれども、それは全然別だということです。つまり電話局から管路の埋設あるいは線路埋設をやっていく、それは別だということをはっきりここで明言されておる。それから末端の電話機、これも全然別ですと、ちゃんとここで答えておる。そうかと思うと、このドロップワイヤーというのですか、回っている。あれは備品なんですけれども、そんなことは両方気がつかずに触れておりませんが、とにかく消耗品でありますから、なくなってしまうもの、そういうものだけなんです。それは四千円だったけれども、一万円にいたします。こういうことなんですね。それだけです。ほかの、電話局から出てくるなんというもの、電話電柱というようなものは入っておりません。末端の電話機も入らない、こう言っているのですね。ところが、武田さんはいろいろ書いてあるものをお読みになりましたが、私は今回の質問を考えまして、いろいろ公社の方に承りました。ところが、今度は全然話が違うのですね。こういうばかげたそのつど主義方式というのはわからないのですね。電話局から管路埋設、線路埋設、線路敷設をやって、電話電柱から宅内工事をやっていく、末端の電話機を含むのですね。そういうみみっちいことはおやりにならないほうがいいのです。そこのところは大臣のおっしゃるとおりでいいのだ。いいのだけれども、皆さんの解釈電話機を含むという。専門調査室に聞いてもそう言っている。  そこで、一つ電話の架設費、創設費が、大臣は本会議で三十三万円とおっしゃった。いまは三十万円と概略をおっしゃった。三十四万円なんて書いてある。そうかと思うと三十六万円と書いてある。ほんとうのところは幾らかさっぱりわからぬのです。それもあとで聞かしていただきたいのですが、つまり電話一加入創設三十万円から三十六万円の、間のある解釈で、皆さんのほうは、これを電話局から計算すると三十何万円かのうちの六万円に該当するというのですね。六万円に該当する、その半分を持っていただきたい。つまり三万円です。こういうのですね。これは一体旧来の国会でお述べになっている立論というものはどこへいってしまったのだと聞きたいですね。どこへいってしまったのです。
  38. 武田輝雄

    武田説明員 三十五年に装置料から設備料に変更いたしました場合におきまして、変更いたします以前の装置料は、いま御指摘のありましたように、完全に消耗品的なものでありました。それを一万円に上げさせていただいたわけですが、その説明としていまのような説明をいたしております。これはあくまでも設備料といいますのは、電話架設の際に電話架設に要します費用の一部をいただくという性質のものでございまして、これが今回単独電話については三万円、共同電話につきましては二万円というふうにさせていただきましたのは、先ほども申し上げましたように、電話架設の緊急性、そして電話サービスが向上してき、加入者の地位は永久ということに基づくものでありまして、なぜ三万円にしたかということは、三万円という額は、いろいろなことを勘案してきめたわけでございますけれども、その三万円というのは全体の一割弱に相当する。また、加入者が専用されるというと語弊がありますけれども、各電話局、分局から加入者の宅内までに至ります線路費の半額に相当するということでありまして、その半額でなければ絶対いけないという理論はございませんけれども、その程度の額を、いろいろな点から考えまして、適当と考えてお願いいたしておるわけでございます。
  39. 大出俊

    大出委員 一つ一つ承りたいのですが、時間の関係もありますので、簡単に御答弁願います。  電話というのは、一加入創設いたしますと幾らかかりますか。
  40. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  一般加入電話に帰納いたしますと、約三十六万円でございます。それから、先ほど三十万円というお話がありましたが、農集を含めまして、全体を割りますと三十万円余り、こういうことでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 普通どっちをとるのですか、皆さんに説明する場合。
  42. 井上俊雄

    ○井上説明員 大体、一般加入電話に帰納したものが一番安定度が高い、こういうことです。そのかわり、片方の度数のほうはそれに対応するものを使うわけです。
  43. 大出俊

    大出委員 そうすると、三十六万円という理解でいいのですね、世間一般の皆さんには。大臣は三十万円、あなたのほうで三十六万円かかります。——いや、三十万円と言っておる。本会議大臣がお答えになっている議事録がありますよ。まことにどうも困る。統一をしておいていただきたい。農集を含めて三十万円なら三十万円、こういうふうに言ってもらいたくない。出てくるあれでみんな違ったのでは困る。そこのところを明らかにしていただきたい。それから、いまのお話で、三十六万円の一割とおっしゃれば三万六千円、そういう腰だめで、三十六万円の一割ぐらいがいいだろうといういいかげんな御説明では通りませんよ。  そこで、あなたのほうがそんなことをおっしゃるならば、時間がないので節約して申し上げますが、ここに、あなたは原価計算をしているじゃありませんか。原価というか、数字計算。「二共同電話設備料を二万円とし、多数共同電話設備料を一万円に据え置く理由」、四十三年二月七日営業局、こういうことで、ここに別紙一——ございますでしょう。これを見ると、創設費A、宅内一万五千五百三十八円、単独の場合、線路——線路がちゃんと入っておる。これは資産ですよ。耐用年数がありますね。五万一千四百五十三円、計六万六千九百九十一円。これがAの単独の場合の創設費。Aというのは、計算上のAの場合ですよ。二共同、宅内一万五千五百三十八円、これは同金額、当然でしょう。線路——ここが違う。二共同の場合は二万五千七百二十六円、これは二共同ですから二つに割りますから、半分ですよ。電話電柱までですか、途中の分かれるところで割りますから。それから多数共同が八千五百七十五円、これも五共同ぐらいまでできるはずですよ。どういう理屈かわかりませんけれども、これが二万四千百十三円。これと設備料関係つまりAかける〇・五、こうなるのですね。Aかける〇・五というのは、つまりAの半分ということです。そうでしょう。すると、ここにあがっている半分は三万三千四百九十六円、これは単独、それから、二共同は二万六百三十二円、多数共同は一万二千五十七円。最後に査定額、端数切り捨てその他をやっているのでしょう。単独は三万円、二共同は二万円、多数共同は一万円、こうなっておるのですね、これを見ると。武田さん、そうでしょう。これは明らかに、電話局から始まりまして、線路を伝わって計算をしていくわけですね。だからこれは、私がさっき言ったとおり、三十六万円というのだから、おおむね六万円というのが電話局から創設をした額である、その半分を持っていただきたい。そういう計算でしょう、これは。一割もへちまもないでしょう。大臣は、さっき、そんなものは理屈にならぬとおっしゃったけれども、これが理屈になるか。理屈にならぬなら、ならぬとおっしゃってください。これはおたくが書いたものです。おたくで印刷したものですよ。
  44. 武田輝雄

    武田説明員 私が申し上げましたのは、一加入創設いたしました額の約一割弱、それから、加入者が専用されます——占有といいますか、電話局から加入者宅内へ入ります部分の半分を引き受けていただく、こういう意味で、単独三万円、二共同については二万円というふうにさしていただきたい、こういうふうに申し上げたわけであります。
  45. 大出俊

    大出委員 末端電話機を含めた解釈だというのですか。私がいまここで申し上げたとおりでいいのでしょう。いろいろいまおっしゃるけれども、これでいいのですか、どうなんですか。
  46. 武田輝雄

    武田説明員 線路をもとにして計算すれば、いまおっしゃったとおりでございます。
  47. 大出俊

    大出委員 そうたくさん計算方式があってはうまくないのです。こっちをもとにしたの、あっちをもとにしたのといって、筋が通らなくなってしまう。大臣は、そんなことつべこべ言ったって筋は通らぬのだとおっしゃっておりますが、それでも、理屈をおあげになればこうなる、そう理解していいのですか。
  48. 武田輝雄

    武田説明員 理屈があると思って資料を出したわけでございます。
  49. 大出俊

    大出委員 どうもそういうことのようであります。となりますと、理屈でないものを理屈を付してみても、ますますもって混乱をいたしまして、へ理屈ということになります。  ところで大臣、これはまさに理屈がないのでありますけれども、かといって、これは加入権という思想でもないのですね。過去に加入権論争という論争があったのです。学者の説まであったのですが、それらはどうなんですか。あなた、いま加入権ということまでからんでいいのですか。かつて加入権の問題をめぐる論争があって、加入組合というものをつくって出させるという——例ですけれども、たとえばガス等のように、これに要する料金は全部詳細な原価計算があるのですよ。また、電力というものは、送電線の二乗に比例するロスが出る、そこから始まりまして、詳細な原価計算がしてある。だから比較にはなりません。なりませんけれども、いまあなたが言われる理屈のないものを、何か理屈が——いにしえにあった加入権という思想を考えておるのでもないのですな。
  50. 武田輝雄

    武田説明員 私は、いま理屈があると思って資料を御提出申し上げたので、ないというふうにとられたとすれば、訂正さしていただきます。  なお、加入権の問題でございますが、加入権は、電話使用される権利でありまして、これは永久に続くということでございます。したがいまして、そういう電話加入権の永久性といった点から申し上げましても、電話架設の際に、この程度の額を現時点においていただくということは適当であると考えておるわけでございます。
  51. 大出俊

    大出委員 どうも、国民一般を相手に、このくらいいただくのが適当だなんて、かってに言われても困るのです。いま理屈がないとは言わぬ、あるとおっしゃった。そのあるという理屈が通らないだけであります。したがって、理屈が通らない——確かに理屈ですが、ここで言っておるのは、通らない理屈だということです。  そこで、加入権ではないのですね。加入権ではないと、いまあなたはそう御答弁になった。そうすると、ますますよりどころに非常に苦しむのであります。電話に加入する権利というふうに解釈していいのですか。あなた言っておりますが、どうですか武田さん、それならそれで論議がある。
  52. 武田輝雄

    武田説明員 申し上げましたのは、三万円の根拠といたしまして、加入者線路の部分の半額をいただくということで理屈があると思いますし、なお、加入権という意味におきましても、加入権は、電話使用する権利でございますが、これは永久に続くものでございます。したがいまして、永久に続くこの加入権を取得されます場合に、この程度の額を設備料としてお支払い願うことは許されてしかるべきじゃないかと考えておる、こういうように申し上げたわけであります。
  53. 大出俊

    大出委員 いまの答弁では、これまたますます筋が通らぬのです。加入権というものは、設備料の負担だ、そんなことじゃない、加入する権利なんです。加入権というものは、明確にそれだけなんです。いいですか。加入する権利を永久に取得するために、設備料をこのくらい払ってくれるのは当然だという解釈は、二本立てになるのですよ。加入権といいますと、長い加入権論争がある。公社は、加入権ではないということをずっと理論づけてこられた。だから、加入権だという解釈をおとりになるとすれば、根本的に問題が別になってくる。そこを私はどっちなんだと聞いておる。
  54. 武田輝雄

    武田説明員 三万円の額と直接関係いたしますのは、線路の費用でございます。加入権と設備料の額とは直接関係ございません。ただ、一たん加入者におなりになれば、永久に電話使用する権利を取得されるわけでありますから、補足的な意味で申し上げたわけであります。
  55. 大出俊

    大出委員 からめないでください。理論的に違うのですよ。これは、私の逓信官吏練習所の学生時代からある理論ですから、したがって、あまり前に戻りますと論争が非常にめんどうになりますよ。したがって、さっき大臣が言った趣旨なら趣旨で、それに何か理由づけが必要であるというか、あるいは理由づけが先行して、大臣が、とは言ってみても、筋の問題になってくると、大筋からいっていろいろ理屈もあるけれども、ともかくこれだけ必要なんだ、こう言っているんだ。どっちなんだ、そこのところをやはりこれは一つにまとめていただきたいと思うのですが、大臣、御発言あるようですからひとつ……。
  56. 小林武治

    小林国務大臣 私は、これは非常にその理屈づけはむずかしいと思いますが、しかし、出すからには理屈をつけなければならぬ。これは御承認いただくかどうかは別問題にして、われわれのほうが提案するにはやはり理屈をつけて出す、こういうことになってくる。非常にむずかしいことではありますが、そうせざるを得ないということであります。
  57. 大出俊

    大出委員 要するに、問題は二百四十四億必要だというわけなんですよね。言うならば、建設費をもっとほしいということでしょう。料金値上げだってそうでしょう。
  58. 小林武治

    小林国務大臣 そうです。要するに、先ほどからお話しのあったように、料金からいわゆる資本勘定にだいぶ繰り入れている。これを今度は直接的に、料金を通さないで、いわゆる電話料金を通さないで、すぐ資本勘定の働きをなすものをいただこう、こういうことでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 そこで、一言で旧来との違いを、電電公社の皆さんの変節の焦点を申し上げますと、旧来は電電公社の資産となるべきものを加入者に負担はさせないのだという思想だった。資産となるべきもの、こうなんですね。だから、末端電話機も消耗品じゃございませんから含まない。そうでしょう。線路も入らない。そうでしょう。当然そうでしょう。つまり電話電柱から宅内工事、これだけ、こういう思想だった。ところが今度は、明確に資産となるべきものも見てくれと言うのです。国民の皆さんに言う言い分は。明確に電話局から管路を伝わって流れてくる線は、これは資産だ。そうすると、その半分を持ってくれという限りは、資産となるべきものも今度は含むということです。非常に大きな違いがここにある。そのことをどう一体納得させるかということ、この点は非常に大きな理論的な焦点だと私は思うのです。明確にそう変わっているわけですね。そこのところだけ念を押しておきたい。
  60. 小林武治

    小林国務大臣 私はやはり相当変わっていると思うのです。たとえば、いままで負担させておったものを、値段が上がったからこれだけ上げるということでは、これはありません。ともかく、総体のものが投下資本として要る、その投下資本の要ったものは、加入者が負担されるものは従来償却として料金に反映せしめておった、こういうことでありますから、要するに、要っただけの金は、一部は直接負担していただく、一部は債券で持っていただく、残りはいわゆる減価償却対象になる、こういうふうなことでありますから、従来とはだいぶ変わったと私は言わざるを得ないと思うのです。
  61. 大出俊

    大出委員 将来に向かって、料金と名がつく限り——私は、設備料はこの公衆法に基づく料金とは言いがたいと思っておりますけれども、将来に向かってますます変節をするということでは困る。そこで私は、先ほど冒頭大臣に申し上げたのは、何が一体料金決定原則であるかということをきちっと立てておいていただかぬと、そのつど言うことが変わってくるということでは困る、こういうふうに実は考え冒頭に申し上げたのであります。つまり、そういう決定原則があれば、不用意に、いまの思想で設備料などというものは提出はできないのである。ここらあたりが、合理的な料金、こういうことしか書いてないというところにそれが許されるということですね。これは非常に将来お気をつけいただきたいと実は思っておるのであります。私は、公社資産となるべきものを加入者に負担させるべきではないという明確な割り切った考え方一つ持っておる。したがって、これは納得をいたしません。  そこで、もう一つ承っておきたいことがありますが、皆さんはよく資金を内部、外部と分けて出しておられます。内部資金あるいは外部資金、こういうふうに分けておられますが、内部資金とは一体いかなるものをさすのか、外部資金とは一体いかなるものをさすのか、その考え方を聞きたい。何と何が外部資金であり、何と何が内部資金だなんということは、皆さんが年じゅう言っておる答弁でありますから私も一目りょう然心得ている。内部資金とは何をもって内部資金とするのか、外部資金とはどういう根拠で外部資金とするのか、その根拠をひとつ聞きたい。
  62. 中山公平

    ○中山説明員 お答えいたします。  企業が建設投資あるいは債務償還、こういったものに充てます資金の源泉を、何を内部と称し、何を外部と称するかということにつきましては、画一的に定義をした規則とかそういうものはございません。したがいまして、予算におきましては、内部資金、外部資金の区別をいたしておりませんが、公社の予算を御理解いただくときの説明資料といたしましては、内部資金、外部資金の区別をいたしております。  この考え方は、現在ございます日本銀行統計局発行の「主要企業経営分析」あるいは三菱経済研究所の「企業経営の分析」こういう日本において企業分析では権威ありとされておりますものの区分、これを参照いたしたわけでございまして、その場合におきまして、両方とも、いわゆる内部資金というのは、引き当て金、いわゆる社内留保ですが、これと、収支の差額、利益、これを記載しておりまして、増資のようなものも外部資金の中に入れておる、こういうことでございまして、企業活動の成果を示す損益勘定から発生した資金のみを内部資金と称し、それ以外のものを外部資金といたしておる、こういうことに私どもならって、参考資料を作成しておる次第でございます。
  63. 大出俊

    大出委員 どこを見ましても、外部、内部に分けなければならぬ理由は、法律上ないわけですね。そこで私承ったわけであります。  そこで、ここにある表、どの表をとっても一緒でありますけれども、第一次五カ年計画の資金調達状況というような表がございます。これは電電公社公社概要に載っておるわけでありますが、これによりますと、外部資金、内部資金に分けまして、これは負担法のあった時代のことでありますが、負担法、拡充法によるもの、これは、負担法に基づくものは契約失効の場合には返すというのですから、その意味では全くの公社資本ではない。こっちへ入っておるのは当然だと思います。それから、加入者債券設備負担金、公募債券、受益者債券設備料、装置料、こういうものが外部のほうに入っているのですね。ここで性格が違うのは設備料ですね。これは返さなければならぬ必要は何にもない。明らかに公社のふところに入ってしまうものであります。内部資金のほうを見ると、すべてそういうところがけじめになって内部資金といっているわけですね。たとえば公募債にしても、加入者債券にしても、あるいは負担法に基づく債券にしても、これは間違いなく返さなければならぬ。だからこういう分け方をしている。したがって私は、もしも設備料というものを内部資金と見ないとするならば、ずいぶん公社にとって都合のいい区分であるということになる、ならざるを得ない。設備料というものを内部資金と見ない、外部資金に入れておく、これは公社に非常に頭のいい方があって、こういう分け方をして、それが定着してしまって、公社予算案を論議する立場の方々が、もうそういうものだと思って今日進んできている。そうなると、ずいぶん頭のいい方がおったのだと私は思いますけれども、これは私は非常に大きな問題だと実は考えているのであります。設備料というものを外部資金に入れなければならぬ理由は特にございますか。ないでしょう。どういうわけで外部資金ですか。
  64. 中山公平

    ○中山説明員 先ほど申し上げましたように、規則とかそういったもので設備料は内部資金であると規定されたようなものはございません。ございませんが、先ほども申し上げましたように、大臣も先ほどおっしゃいましたように、その設備料なるものは、それ以外の料金と違いまして、損益勘定を通ぜずに資本勘定のほうに入ってまいる、こういう関係から、いわゆる資本勘定収入であることは間違いないところでございます。なお、会計的にもこれは資本剰余金として処理をいたしております。この点も大かたの学者等においても認められておるところでございますけれども、そういうものであって、損益勘定という企業の活動をあらわすものから発生をしておる減価償却引き当て金、債券発行差損償却引き当て金等の内部留保あるいは収支の差額というものとは性格を異にいたしますので、こういうものは外部資金になる、そういう定義のもとに割り切っておるわけでございます。
  65. 大出俊

    大出委員 非常にじょうずだということになる。頭がいいということになる。これは、少なくとも営業収入でないとしてみたところで、公社の負債ではございませんね。そうでしょう。営業収入ではないとしてみても、これは公社の借金じゃない、負債じゃない。公社に入ってしまうのですよ。つまり、あなたいまちょっと口にされましたが、貸借対照表上、これは明確に資本の部に計上されておりますよ。資本の部でしょう。そうだとすると、資本の部に貸借対照表上計上しなければならぬものをなぜ外部資金にしたのですか。——待ってください。お答えになるのはわかっているんだから、幾ら答弁されたって意味がない。というのは、時間がありませんが、あとでまた申し上げますけれども、そうなると、外部資金に入っているから、公社の収支には影響がないのです。つまり、これは公社事業事業収支、この面には、営業収入でない限りは、そう見ない限りは入ってこない。外部資金がふくれるだけでしょう。そうなると、公社事業収支の面からいきますと、設備料を幾ら上げたって、公社の収支の面では、赤字なら赤字と言えるのです。そうすると、将来値上げの根拠、論拠ということになると、事業収支はかくかくしかじかでありますからということになる。その中には設備料を三倍にいたしましても、営業収入と見ないのですからそれは入らない。そうなるじゃないですか。
  66. 中山公平

    ○中山説明員 この点につきましては、少し角度を変えて御説明申し上げます。  この設備料等によって資産をつくっていく場合、これを損金処理をするかしないかという問題がございます。いまの税法等においては損金処理をいたしております。そして、減価償却費の関係におきましては、固定資産は圧縮記帳ということでございます。ところが、企業会計原則においては、資本剰余金としてこれをあげて、そして減価償却減価償却として圧縮記帳をしない、こういうたてまえをとっておりまして、よりどころによりまして差がございます。これは事実のことでございますから明確に申し上げますけれども……。  そこで、私どもの場合におきましては、企業会計原則に従いまして、いわゆるそういった損金処理をいたしておりません。そうして、これは外部資金、こういう考え方をとっておるわけでございます。しかし、税法等の、たとえば電力事業におきますところの負担金により設備をつくる場合は税法によっておりますので、私どもと扱いが違っております。
  67. 大出俊

    大出委員 そういう扱いが違ってしまっては困るわけです。これは世間一般の通念からいって通らないのです。それを詰めてみたって、これはまたこうやってきているのですし、私も内閣委員で、よそのほうから入ってきましたが、ここで皆さんがいいと言っているものを、私だけが納得しないと言ってもどうもしようがないのですけれども、問題提起を申し上げておかぬと、将来これはまた問題になるのですよ、設備料が三倍にもなってしまうのですから。そうでしょう。ここのところはよほどお考えいただかぬと、外部資金でございますと、こっちに置いておいて、関係のないような顔をして、事業収支には入っておりませんからと言って、今度だって、皆さんのほうでは概計要求では五百億からの赤字を計上しているわけでしょう。そうして料金値上げの根拠をつくっておられる。私は、あの概計要求というものは粉飾概計要求なりと断じて差しつかえないと思うのですよ。それを詳細に、克明に分析して申し上げる時間がありませんけれども。おまけに、減価償却などというものはでたらめ千万だといわなければならない。三五%なんかかけているところは、どこの会社にもありはしない。これは筋が通らない。いまあなたが減価償却のことをお話しになったから一言だけ触れますけれども、これは通用しません。だから、そういうところはどう考えてみても筋が通らない。だから、設備料というものを値上げして、ということはおやめになったほうがいいのです。大臣がおっしゃるように、理屈もない。理屈を立ててみたけれども、通らない理屈、言うことが一々違ったりしたのでは、とてもじゃないが、理屈にならぬ。おまけに、設備料というものは外部資金ということになっている。そういうことでなしに、やはり国民にわかるように正道を歩いていただきたい。しかも、いにしえに、公社施設となるべきものは加入者負担にさせないのだという原則が立っている。そう答弁している。だから電話機なんか含んでいない。ところが、今日変節をされて、半分持ってくれというのです。そこまで無理をされないで、やはりことしは設備料というものを値上げすることはむしろ思いとどまって——これは大臣もお聞きになっているとおりで、ことしは押えたんだけれども、来年はどうにもならぬということになれば、どうしてもそこまでいくだろうが、料金値上げのほうで検討するならするということにしないと、私は筋が通らないと思う。これも指摘だけにとどめておきます。  次に、もう一つだけここであわせて承っておきたいことがあります。それは、表に出ているのか出ていないのか、私、逓信委員じゃないからわかりませんけれども、実は、予算に対する収入予定額というようなものを、四半期ごとだろうと思いますけれども、皆さんはおきめになって、これこれですよというようなことで流しておられる。そして、その四半期ごとの収入予定額というものを目標にして収入を分けてきておられるのだろうと思います。そこで、私のほうで当たってみたところが、どうも少し公社の旧来の積算——常にそうなんでありますが、たとえば三十七年の料金値上げのときだって、何々は幾らくらいということで、ちゃんとパーセンテージを計算してふやしておられる。ちゃんともうかるようにできている。短く話せば安くつくなんて言っているけれども、うしろのほうにはちゃんと——人間の舌はそんなに回りませんよ、あまり早くしゃべっては相手にわかりませんから。そうすると、二二%くらいの増収があるということをみな距離別時間差法の中で計算して数字が出ている。あとになって調べてみると、そのとおり収益が上がっているということです。  そこで、これも簡単に申し上げますと、私のほうで数字をあげて申し上げたほうがいいと思いますが、四十二年席損益勘定で申し上げますと、収入が六千五百二十億円、支出が六千四百四十九億円、差額が七十一億円です。これが収支差額で黒字、こういう立て方であります。したがって七十一億円を資本勘定に繰り入れておられますね。資本勘定の面でいきますと、収入が五千二百六十二億円、それから繰り入れてまいりました七十一億円、それから減価償却引き当て金が二千百二億円、債券発行差損、差益でない償却引き当て金二百五十二億円、それから資産充当、これも実はいろいろ問題があるのでありますが、資産充当は二十一億円、設備料がここで百八十九億円見込まれておりまして、電信電話債券は二千六百二十六億円、こういう勘定であります。これで五千二百六十二億円という数字が出てまいります。  そこで、五千二百六十二億円、この使い方を調べてみますと、債券借り入れ金の償還、これが三百五十六億円、建設勘定の繰り入れ四千九百六億円、それから妙なものが一つありますが、日本船舶通信株式会社に対する出資が七千五百万円、これはこれで全部です。こういうかっこうになっているわけであります。  さて、そこで前の四千九百六億円の中身については、私は四十二年度は調べておりません。四十一年度の決算で調べておりますが、これは資材調達費が二千三百億円もございます。それから請負工事費一千億円があるわけであります。それが大体みんな建設勘定を食ってしまうわけですよ。  時間がございませんから、私はこの中身を詳細なことは一切申し上げませんが、こういう計算になっておりまして、さてそこで、どのくらいいままで収益があがってきているかというと、七十一億円の金なんでありますが、どのくらいの収益があがってきているかという点を、皆さんがお立てになっている四半期ごとの予想収益額、あるいはどういうふうに文書を書いておられるかわかりませんけれども、それでまいりますと、本年の一月まだ三月までのやつが出ておりませんからわかりませんけれども、本年の一月でながめておりますと、どうも七十一億円どころではなくて、二百十億円、あるいはもっと金がよけい入ってきているように見えるのであります。まあ事業外収入なんというのが百億円ぐらいあるのじゃないかと思うのでありますが、大体二百十億円ぐらい本年一月段階で黒字になっている、こういうふうに私は見るのであります。そうすると、三月末までにどのくらい黒字になるであろうかということを推定してみて、まあ二百何十億かわかりませんが、少なくとも二百何十億の黒字になる、こういうふうに思うわけでありますが、ここらのところを皆さん方のほうでどういうふうにながめておられますか。
  68. 中山公平

    ○中山説明員 四十二年度の予算収入に比べましての実績収入の比較でございますが、この点につきましては、大体仰せのとおりでございます。一月末までの月次試算ができております。それによりますと、予定額五千四百三億円に対しまして、実績が五千六百十三億円ということで、二百十億円の増収、大体三・九%ということになっておりますので、三・九%で、このまま二月、三月が横ばいでいっておるとしますならば、二百五、六十億円になるのではないか、これは横ばいという仮定でございますけれども。  そこで、こういう増収があった場合に、どういうふうにこれを充てておるか、使っておるかという問題になるわけでございますけれども、従来、この増収がございますと——増収がある年もありますし、減収の年もございました。詳しくは御説明申し上げませんが、いろいろ波を打っているわけでございますが、かりに増収になった年は、まず業績手当に充当いたします。あるいは、その年度で弾力発動による建設工程の増加がある場合にはそれに充てます。なお余裕があるという場合におきましては、これは従来の例でございますけれども、仲裁裁定がございましたときには、その仲裁裁定の所要資金に充てます。なおそれでも余剰がある場合がかりに出た場合には、これは翌年度以降において資産充当ということで、資本勘定収入となって、建設資金あるいは債務償還資金に充てる、こういうふうなことにすることを例としております。
  69. 大出俊

    大出委員 いま非常に慎重な御答弁で、私もその慎重さに感心をいたしましたが、これはうかつに、ベース財源ですなんて言うと、ベース改定を予想しているのかということになりますから、過去にそうであったとおっしゃる限りは抵触をいたしませんので……。しかし、これは当初予算の収支見込みにおきましてベース改定を予測はしていないのでありますから、その限りは、この金はこう使うのですよと、ここで言い切れない筋合いなんです、皆さんの側からすれば。明確に、二百十億円が私の申し上げたとおりの額であったとすれば、横ばいであったとしても、やはり二百十億円はあるのであります。これはベース改定なるものを当初予算で予測しない、どこにも書いてないですから。そうでしょう。そうだとすると、この設備料の値上げで、これに要する費用はたしか二百四十四億円くらいのお話だったと思います。そうすると、いまの公社予算のたてまえからするならば、まあ大ざっぱなことを言うと、どうも資材調達費二千三百億円なんというものは、これは一割ひっ切れ、ひっ切ったら二百三十億円浮くじゃないかというのが世間一般の議論で、これは理論的な議論じゃありません。四十一年度決算によれば、請負工事費一千億円、これは一割切ったら百億円浮くじゃないか、こう言われる。言われるんだけれども、これはこの席では通用しない議論です。この席で通用する議論は、二百十億円はあるじゃないかということは間違いなく言える。そうすると、これはどうしろと、予算編成権がわれわれにあるんじゃないですからあえて言いませんけれども、二百四十四億円くらいなことは、郵政大臣に承りたいのでありますが、そんなにまで無理して、通らぬ理屈を通そうとなさって、設備料の、しかも三倍という値上げをしようとあえてお考えになりますかどうですか、大臣
  70. 小林武治

    小林国務大臣 ここではいろいろ言いにくいこともございます。先ほどお話しのありましたような設備料だけことし出すということにも、非常に大きな意味がある。料金でなく、これを出したということも、おっしゃったようなこともだいぶ私は含まれておると思うのであります。  そういうわけでありまして、これはお考えのように、概算が粉飾概算であったかどうか別にしまして、あれだけの赤字が、本予算においてはとにかく黒字を少し出した、こういうことになっておるが、それは設備負担金を加えたからこういうふうになっておるのでありまして、五百何十億の赤字というものを料金の値上げでもって消してもらいたいというふうなことが、相当強く方々から主張されたことは御承知のとおりでありまして、その半分足らずのものを設備負担金で消しておる、こういうことでありまして、それによってなお多少の財投その他も減らしておる、借金も減らしておるということも御承知のとおりでございます。  これは、予想すれば、なるほど二百何十億出てくるから、ちょうど設備料に該当するじゃないか、こういうお話もありますが、当初はそういう予想はいたしておりません。また、四十一年度も相当な剰余金が出たということは御承知のとおりで、この剰余金を活用したと言えばどうかと思いますが、償却の引き上げというようなこともいたしておるのであります。何しろ、ことしは電電公社当局はまず料金を上げてもらわなければならぬというふうに大騒ぎをしたのでありますから、増収を予想しておるわけはありません。したがって、これは見込み違いと申せば見込み違い、たまたま出てきておる、こういうことでありまして、その費途はどういうふうにこれをやるかということは、これからまた考えなければなりません。
  71. 大出俊

    大出委員 公社法等をたてにとって、長期借り入れの限度額を上げてどうしろうしろというようなことを言ってもしようがありませんから言いませんが、いま大臣が言ったことばに触れて申し上げたいのですが、いま財投を、というお話がありましたが、四十三年度の予算査定額でいきますと、財投は二百七十億円くらいですね。たいへん少ない。この中身を見てみますと、内訳は、縁故債が百二十億円、公募債が百五十億円ですよ。とこでどうしてもわからぬのは、縁故債なんというもの、これは米澤総裁に承りたいのですが、何で百二十億円なんということにされたのかという点です。四十一年度だったと思いますが、この席で私が質問いたしましたときに縁故債は四百五億円あったんです。米澤さんが看板をぶら下げて借りて歩くようなばかなことをしないようにしてほしいということを言ったけれども、設備料を上げるというときに縁故債を百二十億なんて——電電公社は入札じゃなくて、随意契約が九割もあるんじゃないか。それによって、予算上大企業に幾らかずつしぼっていこうという節々が見える、そのものずばりは申し上げにくいけれども。だから、それらのことを考えると、どうも財投をこういうことでする。たとえば日通建とか協和だとか大明だとかいうような一級大手、こういうようなところに、工事の発注を通じて、非常に予算上のも問題ありますけれども、また中身の問題がありますが、こういうふうに寄ってきている感じです。これはしろうとのおか目八目で見る感じかもしれませんが。そういう時期になっているにもかかわらず、どうも縁故債というものは、かつて四十一年に私がここで総裁に御質問したときに四百五億円あった、それをここで百二十億円に減らして、大臣が財投も減らしたなんと言うけれども、これは明らかに間違いですよ。そんなに加入者に負担をさせるなら、何で四百五億円にしないか。そうでしょう。ここでもって二百四十四億円というものを引き当てに設備料が三倍ということになるとするならば、何で一体縁故債というものを百二十億に切ったのかわからないのですけれども、お教えいただきたい。
  72. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  公社といたしましては、実は、もともとあまり縁故債を多額に発行することは希望しなかったのでありまして、四十一年度四百億、四十二年度予算では、たしか六百億くらいの縁故債があって、予算の積算の過程において認められておったのであります。しかし、実際問題といたしまして、たとえば共済組合が持つとかいうようなものがたしか六十億くらいあるんじゃないかと思います。したがって、今年度の中で約半分くらいは共済組合が持つというふうに考えております。   〔委員長退席、田澤委員長代理着席〕  それから、縁故債をもっと持たして設備料をやめたらどうかという御質問でございますが、それにつきましては、私たちといたしまして、縁故債は七分三厘の利子を払わなければならない。設備料は、これはただでいただくわけでございますから、やはり公社の全体的な経営基盤ということ、いわゆる独立採算制を維持していくということは、国民のためにも国家のためにも必要じゃないかというふうに考えておりますので、このような法案を政府にお願いした次第であります。
  73. 大出俊

    大出委員 来年料金に手を触れようといわれる総裁が、一年間七分三厘の利息を惜しんでまでここで設備料の値上げをしようとなさるのですか。いまのお話からするならば、たとえば縁故債を四百五億出してみても、消化はできる、ただ、しかし利子がかかる。しかしそれは、来年料金値上げを想定されているんだとするならば、一年間ですね。そうなると、そのことを惜しんで旧来縁故債を出しておるのじゃないですよ。私は全部ここに数字を持っておる。銀行だって引き受けているのですよ、勧銀かどこか忘れましたけれども。にもかかわらず、私が質問したときには、来年も銀行のほうでワクをつくっている。本年は三十五億円ですか、来年は五十億円くらいは何とか持ってくれそうです、という御答弁を総裁からいただいたんですよ。そうだとするならば、出せば消化はできる。そうだとすると、これは出して消化をすべきであって、そして本年の八月までにお出しになって、その中で全体のバランスをとるべきであって、その間の利子負担くらいのことをさっき私は料金の問題をさんざっぱら言いましたけれども、ああいう料金体系を組んでおられるのですから、しかも、設備料にも大臣がおっしゃる筋の通らぬ面もあるのですから、そうすると、そのくらいのことを、利子が惜しいから、大衆負担になって、ただでございますからといって、三倍に引き上げるということは、これは私は筋が通らぬと思うのですが、いかがなものですかね。−いかがなものですか、という聞き方よりしようがありませんけれども……。
  74. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  実は、公社といたしましては、先ほど私も申し上げたのでありますが、この設備料の引き上げと、それから料金修正を同時に四十三年度の概算要求のときに政府にお願いした次第であります。今回、との設備料のものだけが認められて、いわゆる政府案をして提出されておるのでありますけれども、もともと、公社側としていえば、新規の架設のあることに対する問題と、それからすでに電話を利用されておる既存の加入者の方と、両方同時に解決していただくことを希望いたしたのでありますけれども、結果的にはこういう形になりました。しかし、私はこれでもやはり一歩前進したというふうに考えておる次第であります。  それで、いま御指摘がありましたが、この設備料というのは、いわゆる四十三年だけの問題ではないのでありまして、四十四年が五カ年計画の中におきまして大体約三百億円といたしますと、五カ年間に千五百億円の資金ということになるのでありまして、やはり非常にウエートが高いというふうに考えておるわけでございまして、実は、料金修正ができました暁においては、縁故債というようなものは、共済組合が引き受けるものは別といたしまして、実はあまりふやしたくないということは前々から考えておったわけでありまして、そこは御了解願いたいと思います。
  75. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから、問題をあと二、三点指摘いたしまして結びたいと思うのでありますが、この第一次五カ年計画のときからずっとながめてみますと、たくさん問題があるのですよ。詰めれば一つの問題でも、これは非常に大きな問題提起になる問題もあります。ありますけれども、時間がありませんから簡単に申し上げます。この第一次五カ年計画を見ますと、つまり、先ほどお話に出ました外部資金の持ち方、この中で、計画では公募債というものが七百四十三億円あって、予算では四百億円あって、実績では二百八十七億円しか公募債は消化をされていないのであります。計上されていないのであります。これは第一次五カ年計画の中身です。第一次五カ年計画の資金調達状況、こういうわけであります。おたくの概要にある資料であります。ところで、加入者負担の加入者債券なんというものは、百九十七億円という計画しかない。予算上でも二百六十億円しかない。にもかかわらず、実績でいきますと三百四十三億円にもなっているわけであります。設備負担金なんかにいたしましても、当時は百六十億円しか計画にはない。予算上は二百六億円、実績で二百七十四億円、こういうわけであります。そうなりますと、公募債に比較いたしまして、初めから公社は公募債のほうは計画ではぽんと出してみせたけれども、極端に二百八十七億円に押えちゃって、片一方のほうは思い切って上げようという計画があったといわれてもいたし方ない。つまり、これは明らかに大衆負担、加入者負担です。そちらのほうに全部しわが寄ってしまった、こういう経過です。これは言えば切りがありませんが、第二次五カ年計画でも似たようなことが言える。この公募債は計画、予算、実績、こうながめてみますと、ずっと三十三、四、五、六、七年と、こうありますけれども、この辺でもずっと減ってきているわけであります。これは総裁がいま強弁をされましても、電電公社は公共性というものを中心にする性格上、できるだけ加入者負担なり大衆負担にしない、こういうたてまえをとるべきなんです。だから、料金決定原則なんかでも、そういう意味で明らかにすべきだ。逆の方向をずっととっている、こういうわけです。しかも本年は、予算上は、四十三年度予算面からいきますと、さっき私が申し上げたように、財投は二百七十億円にしぼっている、片や二百四十四億円の増収を設備料ではかろうとする。これは全く筋が通らない、私はこういうふうに言わざるを得ない。そこで、一つだけ承っておきますが、外国の設備料というものは、武田さん、どんなことになっておりますか。武田さんは専門ですから、念のために聞いておきます。
  76. 武田輝雄

    武田説明員 フランスでは六百フラン、四五二千七百円ほどになっております。スウェーデンでは邦貨に換算して二万円、イタリアでは四万円、ノルウエーでは三万円、デンマークでは四万八千円、フィンランドでは二万五千七百円、そういったことになっております。
  77. 大出俊

    大出委員 大臣、どうも都合のいいところだけしか言わないので困るのですが、いいですよ、私のほうから言いますから。  おたくのほうの資料を見ますと、これは皆さんの手元に渡っている四十三年三月、日本電電公社資料、目次とあって、確かに、おっしゃるようこフランス、スウェーデン、イタリア、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、ここしかない。この中に、あるべき国がない。まずアメリカがない、イギリスがない、西ドイツがない。この三つがなければ資料にならない。そうでしょう。この三つを言いましょう。イギリスは工事実費、ただし、最低額八千六百四十円しか取ってない。単純比較の邦貨換算で八千六百四十円、換算率は十ポンド、西ドイツは九十ドイツマルク、八千百円、アメリカは、シカゴの例で、アメリカのベル会社は方々からいろいろ集めてあれをつくりましたから多少の地域差がありますが、シカゴで三千六百円、十ドルです。アメリカ、イギリス、西ドイツをおっしゃっていただかぬと、フィンランドだとかノルウェーの向こうの鯨のほうの話をされてもちょっと困る。これは邦貨換算でございます、こう武田さんあっさりおっしゃいますけれども、電電公社の末端で、私も昔郵便配達ですけれども、電報配達をした。その賃金と、アメリカの末端の電報配達をしている賃金を単純に比較をすると、どのくらい差がありますか。−時間がかかりますから、いいです。私が調べた限り、地域にも多少差がありますが、八倍から十三倍向こうのほうが高い。そうなりますと、一例ですけれども、単純比較はできないのですよ。これはお出しになっているけれども、比較にならない。都合のいいところばかりあまりお出しにならないで、都合の悪いところも出しておかないと、真実味に欠けますよ。それから、武田さんの女性に対する審美眼が、もし八頭身が美人だという基準をお持ちだとすれば、アメリカのほうが美人が多いことになる。なぜならば、背が高いから、八頭身が多いから。ところが、あなたの基準が、背は低いけれども、どうも日本人型が美人だとお考えになるんだとすれば、これは逆になるのですよ。そうでしょう。つまり、ここへ出しておられるけれども、比較の基準がないのですよ。フランスの例をとりますと、モネ・プラン、つまり佐藤さんがお出しになった経済社会発展計画というのはモネ・プランを日本語に訳すとそういうことばになりますけれども、あれの第四として、全体が二八%しか成長しないところに、電信電話、特に電話は五〇%をこえた成長を見込んで政府投資しておりますね。そうでしょう。しかし、人口が四千六百万ぐらいしかないのですよ。土地は一・五倍あるのですよ。そうだとすると、設備をするといったって、一軒一軒に引くには非常に距離が遠い。アメリカなんかもっとたいへんです。そうなると、日本のようにごしゃごしゃとあるところに電話を引くのとわけが違う。比較にならぬですよ。そうでしょう。だから、それらのことを考えると、日本の状態というのは外国よりはるかに安くていい。にもかかわらず、主要な国、アメリカ、西ドイツ、イギリス、これが一万円取ってないのですよ。アメリカのごときは三千六百円、十ドル。こういう中で、ここに出しているのは、フランス、スウェーデン、イタリア、ノルウエー、フィンランド、デンマークの国々をあげて、最低二万五千七百十三円取っておりますよ、三万よりはちょっと低いというふうにお出しになっても、これは筋が通らぬ。だから、そこらのところに御配慮をいただきませんと、せっかくお出しになった資料が、都合のいいのばかり並んでいると、これはうそになります。したがって、そこらのところも念のため実は申し上げておきたいのであります。  それから、これは度数料つまり通話料ですね。通話料なんかでも違うのですね。これも比較にならぬのです。だから、やはりもう少しそこらをお考えの上で、今度おそらく皆さんは料金改定をお出しになるのでしょうから、そのときは、そういうことにならないような資料の取り方、出し方をしていただきたいわけでありまして、七円というのでありますけれども、度数料でいきますと、英国とアメリカの例をとって申し上げれば、アメリカは二百度までは、事務用で十七円十銭、おおむね十七円、二百一度からは十五・三円、これは度数逓減の方式なんですね。これはもう専門でしょうけれども、英国の場合十二・六円ですね。フランスは二十一・九円、ドイツが十六・二円、こうなっておりますが、次のときにこれを持ってきて、日本よりは高いのです、こういっても、これでは比較になりませんよ。そこらのところは、ひとつそういう立場でなしに今回の設備料値上げというものもお考えを願わぬと困る、こういうふうに思うのです。この点は武田さん、どうですかな。そうなるでしょう。
  78. 武田輝雄

    武田説明員 いまお話しがございましたが、確かに、一般の消費物価等におきまして、あるいは賃金ベース等におきまして、法定為替レートで比較するということは、必ずしも実勢レートを示していない点があるかと思うのです。しかしながら、電話の場合におきましては、大体設備産業でございまして、いまアメリカ、イギリス、ドイツの例を申されましたが、アメリカ等におきましても、固定資産の額は、三百六十円で換算いたしまして、大体日本の固定資産と同額でございます。電話料金の中で大部分を占めますのは、やはり設備に帰納いたします経費であると思いますので、その点は一般の消費物価と若干違うのじゃないかというふうに考えております。  設備料の点につきましては、諸国、それぞれ電話の普及状態あるいは国情等を異にいたしておりますので、いろいろな形があらわれておりますが、日本の現在の普及状態、それからなお、現在の需要の状態からすれば、現在お願いいたしておりますような額をお願いするのが適当であるというふうに考えております。
  79. 大出俊

    大出委員 要するに、比較にならぬのです。アメリカのほうがだいぶ給料その他も高い、生活水準も高い、そして、はるかに日本よりも低い設備料ということになります。そういうことでありますから、たまたまこれらの国で高いところがあるということだが、内部の立て方等の違いがありますので、これまた比較にならないということになります。  まあ、私いろいろ申し上げましたが、どれをとらえても、どうも設備料をこの際上げて二百四十四億ということを肯定しなければならぬという理屈というものは、どこにも出てこないように思う。そうだとすると、大臣が言っておりますように、何とかしていただかなければならぬというわけでありますけれども、やはり何とかするについては、何とかするだけの理屈がどうしても必要になる。ところが、どうも、どこからいっても公社予算の面で何とでもなる、何とでもなるものを何ともしないで、設備料ということにしてきたということになる。となると、ますますもって賛成しがたいということになる。  私が初めの質問でございますから、予算その他、まだ一ぱいあります。これは数限りなく言わなければならぬ点がありますけれども、私だけでみなやってしまうわけにいかない筋合いでございますので、以上のポイントを指摘を申し上げておきますが、   〔田澤委員長代理退席、委員長着席〕 一つ特にお願いを申し上げておきたいのは、この料金決定原則は、合理的な料金、これしか一条にないのでありまして、しかも、一条では、あまねく、公平に、となっております。距離別時間差法などというのは、その意味ではあまねく、公平ではない。しかも、大先輩の吉沢さんのお話をいたしましたが、武田営業局長さんが後年、談話か何かをお書きになって、第何回国会の設備料討議余話とかなんとかいって、いまだから言うなんていって、大出俊というのが質問していたが、わが武田理論に彼はついに負けて、設備料は通ってしまったなんて書かれたら、政治生命にかかわりますからね。だから、私はそこまで念を押しておきますから、ひとつ、どうかそういう意味で、大臣設備料は御再考をいただきたい、総裁にも御再考をいただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。
  80. 古川丈吉

  81. 米田東吾

    米田委員 大出委員から料金問題につきまして、きわめて問題点をついた集中的な質問がございましたが、私は、角度を変えて、次元を下げまして、主として農村の集団電話やあるいは公衆電話等による対策、それから公衆電話、そういうものを中心にいたしまして、さらに委託業務に及ぼす関係等も含めまして、こまかい問題でございますが、御質問をしたいと思います。  最初に、総裁からお答えをいただきたいのでございますが、公社は、今日まで第一次、第二次、第三次と、五カ年の計画をもちまして、電信電話の近代化、そうしてまた能率化に向けて大きな躍進を遂げてこられたと思います。いまや、日本の電信電話事業というものは、先進国に匹敵する、あるいはそれを追い越す成長を示しておる、そういうふうにいわれておるわけであります。しかし、問題は、そういう成長の陰にひずみあり、私はこういうふうに指摘せざるを得ないわけでありますが、総裁は、第三次までの五カ年計画における電話産業のひずみというものをどういうふうに理解をしておられて、どういう観察を持っておられるか、私は、これが今後引き続く第四次五カ年計画の重要なやはりポイントにならざるを得ないと思うわけであります。そういう関係で、総裁から、どのような判断をなされておるかということを冒頭にお聞きしておきたいと思うわけであります。
  82. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社が発足いたしました昭和二十七年の加入電話が百四十万でございます。それが、一次計画、二次計画、三次計画と、三次の五カ年計画を終えまして約一千万の加入電話になりました。普及率におきましては、いわゆる人口百人当たりに対する電話機数でまいりますと、まだ世界でたしか十六、七番目だと考えております。ですから、普及率におきましては依然としておくれておるというのが、まず第一でございます。  それから、技術につきましては、これはヨーロッパを抜きまして、現在アメリカとほぼ対等というところにきております。  それから、ただいまひずみの話がございましたが、結局、成長が非常に早かったということ、それからダイヤル即時になったということによりまして、日本の経済発展には、私の口から言うのはおかしいのでありますけれども、相当お役に立ったのじゃないか。ただ、しかし、たとえば電話の普及が都会におきましては相当進みましたけれども、農村方面においては非常におくれているということ、それからまた、加入区域の問題につきましては、四十三年度予算で北九州の合併等は盛り込まれております。また、全国的に六キロの範囲におきましては、同一市町村内の加入区域の合併をいたしましたけれども、それより遠いところはまだ手がつかない、こういうような問題が残されていると思います。
  83. 米田東吾

    米田委員 総裁の答弁でも認められておりますように、私も実はそういうふうに思うわけであります。要するに、成長の陰にひずみありといいましょうか、大きな躍進、成長を遂げましたが、一面、あまねく社会に貢献しなければならない電話というものが、どこかやはりひずみとして抜けておる。それが集中しているのが農漁村であり、そうしてまた、それをある程度障害として、置き去られておるのが加入区域の問題ではないか、こういうふうに思っておるわけであります。  そこで、いま普及率の問題が総裁から答弁ありましたが、私も、資料に基づきまして普及率を見まして、端的にそのことを物語っておるのではないかと思う。  そこで、ちょっと御質問でありますが、いわゆる普及率、日本の場合は、いまイタリアを追い越して、百人に対して十三台、これは四十一年末の調査だと思います。西ドイツやフランス等におきましては同じく十一・六というふうに追い越しておる状況でございますが、問題は、これは全部ひっくるめての普及率であります。  そこで、都市と農村の普及率の割合はどんなふうになっているか、あなたのほうで資料がございますか。ただ全体として、千人比あるいは百人比ということで出されてもひずみはわからないわけであります。そこで、農村における普及率はどういうデータになっているか、ありましたら、ひとつ答弁していただきたいと思います。
  84. 井上俊雄

    ○井上説明員 これは四十一年度末の状態でございます。また、その分類のしかたといたしまして、必ずしもお尋ねにぴたりとしないかと思うのでございますけれども、まず、六大都市におきましては、普及率が一七・二%、その他の市制地におきましては八%であります。それから町村部が、これは全部入れまして四%、こういうことになっております。
  85. 米田東吾

    米田委員 これは四十一年末の調査だということでございまして、おそらくこのパーセンテージどおりだと思います。ここで明らかになっておりますのは、町村という部類に分類されておりますいわば農漁村、一般の農村における普及率がわずか四%、こういうような資料でございます。そこで、いわゆる第四次五カ年計画、これがいまのところ電電公社として、引き続き長期計画として取り組んでおられるものだと私は思うのであります。今度の設備料改正につきましても、そこから出発して今度の三倍も上げるという提案になっていると私は思います。それで、第四次五カ年計画というものの中心は、私も資料をいただいておりますからわかりますけれども、要するに、日本の電信電話機能をあげて産業に奉仕する、こういうことに端的にいえると思うのであります。あるいは大都市に奉仕する、こういうことにもなろうと思います。そうなりますと、計画では、農漁村に対する電話の増設あるいは公衆電話の増設等示されておりますけれども、これは実現性のない数字でありまして、やはり中心は、産業に奉仕する電話としてデータ通信あるいは産業通信、こういうふうに成長していき、ますます格差は激しく拡大をしていくのではないか、こういうふうに思うのであります。  そこで、総裁としては、ひずみの是正につきましてどういう熱意を持っておられますか。むしろ、この計画からいきますと、拡大こそあれ、是正は見込まれないのではないかという懸念を私は持っておるわけでありますが、いかがでございましょうか。私は、むしろ第四次五カ年計画の中身というものは、第一に、産業用電話の普及でなくて、農山漁村における普及、地域格差の是正、これが第一になり、ここに力点が置かれなければならないのではないかと思うのでありますけれども、そういうことも含めまして、格差の是正、ひずみの是正について、どういう熱意、方針をお持ちでございましょうか。数字だけでは信用できませんので、総裁からお答えいただきたいと思います。
  86. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えをいたします。  第四次五カ年計画につきましては、昨年の八月にその大綱というものをきめた次第であります。これは四つの柱があるのであります。四つの柱と申しますと、一番目が一番ウエートが高いというふうにお考えになるかもしれませんが、そうではないのでありまして、柱が四つあるというふうに御了解願いたいのであります。  まず第一が、経済の効率化、この中にはデータ通信が入っております。データ通信につきましては、私のほうは、ちょうど電報について電話からある程度資金を流しておるということを変えまして、独立採算でやることを考えております。それから第二が、地域開発、格差の是正、第三が、生活の向上と近代化、大体三世帯に一台電話がつくことを予定いたしております。第四が、同一市町村の通話区域の統合拡大による地域社会の発展、この四つを柱にしておりまして、この地方におきまして、特に農村方面につきましても、おくれておる普及率をさらにそれを広げていくというふうに考えておるわけであります。ただ問題は、農村方面に対しましてひとつ考えなければならないことは、大体、公社の直轄局というものがほとんど全部もう自動改式に終えてしまったわけであります。残っておりますのは、郵政省に委託しております委託局の改式が残されておるわけです。ところで、この共電を自動に改式する場合に、やはりいろいろ順序もありますし、積滞の状況あるいは地域社会とのいろいろなマッチングとかあるいは要員の配置転換の問題とか、いろいろありますので、これはやはり一ぺんにいかないのでありまして、計画的にこれを進めていかなければならないというふうに考えております。
  87. 米田東吾

    米田委員 四つの柱は、どれが重点であるとかないとかということについては、御説明はわかりますけれども、しかし、私は、今日の政府の施策あるいは産業開発その他、総体的に見ます場合に、この五カ年計画の第一の中心点は、これはもう言わずもがな、第一項にある、こういうふうに思うわけであります。また、そこに力点があればこそ、設備料やあるいは料金を受益者負担、加入者やそういうところにももっと負担をしてもらって、公社の開発施策に協力してもらわなければならぬ、また、こういう皆さんの言いがかりにもなっていると思います。問題は、いまの御答弁だけでは、この私が指摘をいたしましたいわゆる電話の過疎あるいは過密に対する対策というものについて、十分な熱意を持っておるというふうにはなかなか私は受け取れないのであります。これはしかし、ことばのやりとり、抽象論だけのあれでは解決しませんから、これはあとでまたいろいろ申し上げたいと思いますが、冒頭に、もう一回ひとつ総裁からお聞きしたいのであります。  第四次五カ年計画の中心点に、電話の過密、過疎対策というものをほんとうに第一に据えて、あなたが示されておるこの計画どおりやるということについて約束されますかどうですか、もう一回、ひとつ御答弁をいただきたい。
  88. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほど申し上げました四つの柱を実現することにおきまして、農村方面も十分いくのじゃないかと思います。ただしかし、先ほどお話ししましたように、やはりこの自動改式をしなければならないという地区が相当出てくるのではないか。ところが、これについては、やはり計画的にやらなければならない、自動改式が済まないと、たとえば、農村方面において磁石式のままに設備をふやすというわけには、これはその次にまた自動改式にしなければならないので非常にむだが起こりますし、実際問題として、局舎が一ぱいで台が置けないというような局も相当あるのではないかと思います。したがって、われわれといたしましては、この第四次五カ年計画の大綱に盛られた目標を達成するように努力をいたしたいと考えております。
  89. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、自動改式は、要するに自動化という方向が、委託事項を含めてどんどん進行しない限り、この計画にいう農山漁村における電話の普及というものはなかなか成功しない、こういう御答弁にも受け取れるわけであります。私はそれではならないと思うのでありますけれども、むしろ私の言いたいのは、現状においても、あなたのほうの熱意と施策があれば十分可能だ、また、やらなければならない点は、電信電話の社会性からいって、私は当然そうあらなければならないのではないかという立場に実は立っているわけです。それで、もう一回、いまの点がひっかかりますので、総裁の真意はどういうところでございますか。
  90. 米澤滋

    ○米澤説明員 総括的なお話をいたしましたが、たとえば農村集団自動電話は、公社が、これは衆参両委員会の決議によりまして、なるべく安い電話をつくりたいということで開発いたしまして、現在いろいろ設備いたしております。これあたりは、いまの磁石式の局の場合でも、電話を普及する一つの方法であるというふうに考えます。ですから、たとえば農集をある程度普及するということも一つの解決策にはなると考えます。あるいは、農村公衆電話あたりを普及することも大事なことでありまして、あるいはまた、自動改式が行なわれた局等において、計画的に年次計画をつくって通話区域を拡大していく、同一市町村内の通話区域を拡大していくというようなことも考えられると思います。
  91. 米田東吾

    米田委員 まあそういうことだと思いますから、熱意を持ってやっていただきたい、こういうことであります。  そこで、私はもう少しこまかい問題に入りますが、第一に、農村の集団電話、いわゆる農集であります。農集についてお聞きをしたいのでありますが、いまも答弁がありましたように、農桑につきましては、従来からもこの委員会でいろいろ議論をいたしております。しかし、この農集は現在試行段階だという条件もございます。聞くところによりますと、期限の切れることしの十二月以降、これを本施行に直すといいますか、そういうふうにして、本格的にこの農集に取り組むというようなことについての方針があるようにも聞いておりますが、これはひとつ明確にしていただきたいと思いますけれども、とにかく、いま農集というものは、これはためして行なわれておるものでありますから、これを今後どういうふうにされようとするか。あわせて、期間の問題につきましては第五十一国会の附帯決議等もございます。しかしてまた、この問題については、一方逆に、郵政審議会の特別委員会等の答申等もございます。  いずれにいたしましても、農山漁村に対する電話の普及という点については、これは私は一致しておると思いますが、とにかくこの現状の農集の試行あるいは現在の設備基準その他、あなたのほうが行なわれておる行政のいろいろな措置がありますけれども、これではきわめて不十分だ、こういう指摘は一致しているものではないかと思いまてが、この点について、要するに、今後本施行の方向でこれを本格的に公社として取り組むということになるのかどうか、ひとつこれもお聞かせをいただきたいと思います。
  92. 米澤滋

    ○米澤説明員 農集につきましては、最初やりましたあと、一昨年の十二月にその制度上のいろいろな点を改めまして、たとえば、いま四キロ範囲であったものを五キロにするとか、あるいはまた料金の額を変えるとか、いろいろいたしました。たしか、一昨年の十二月ごろからその改正したものについていま進めておる次第であります。公社といたしまして、本年度、四十三年度の予算案におきましても二十五万個の農村集団自動電話をつけることを計画しております。これを本実施することを、やはり近い将来に要望したいと思っております。
  93. 米田東吾

    米田委員 この点につきましては、大臣からもちょっと見解をお聞きしたいのでありますが、いま総裁からは、方向として本実施の方向で取り組んでおられるように聞いております。これはしかし、御承知のように、有線放送等の関係その他、いろいろございまして、政治的には相当これは問題になっている点だと思いますが、いま総裁が答弁されましたように、大臣もこれを本実施の方向で、対有線放送との関係等十分見通しを持たれて、そういう方向で対処をされるという確信をお持ちでございましょうかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  94. 小林武治

    小林国務大臣 これは前の国会でもこの委員会で、いつまでこんなものを試行しておるのだ、こういうお話がありまして、私は、最近の機会において制度として実施をしたいということをここで申し上げたことがありまして、実は、この国会にもこの公衆電気通信法の中に入れてこれを提出したい、こういうことで検討をしてきたのでありますが、なお、この類似の集団電話はほかにも一・二ある、有線放送関係の答申のこともある、こういうことで、この国会へ出すことは取りやめたのでありますが、次の通常国会にはぜひこれらをまとめて提出したい、こういうふうに郵政省も考えております。
  95. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  続きまして、もう少し内容を御質問いたしますが、第一に、本施行という方向に行くとすれば、たとえば料金使用料や、あるいはいろいろあなたのほうで行政上措置されております基準の設定その他につきまして、それに見合うだけの改正等も相当行なわれるものだろうと思うのでありますが、そういうものを含めて、次の国会もしくはその次の国会等に出すということで準備をされておるのか、この点、事務当局のほうとしてはどうでございますか。
  96. 浦川親直

    ○浦川政府委員 ただいま大臣が申されましたように、次の国会にはぜひ農業の本制度化をいたしたいということで、事務当局といたしましても、この制度の内容につきまして、ただいまちょっと触れました新しく試行しております集合自動電話、こういうようなものとのからみ合わせにおきまして目下検討しておる次第でございます。
  97. 米田東吾

    米田委員 じゃ、一つ一つ聞きますけれども、電電公社のほうでは、この農村集団電話につきましては、設置基準というものがございますね。これはなかなかきつい幾つかの条件がついておりますが、こういう内容等については、再検討されるなり、現状に合わせるなり、検討しておられますか。
  98. 武田輝雄

    武田説明員 農村集団自動電話を試行いたしました当初におきましては、設置基準といたしまして、交換設備が設置される地点から半径五キロ以内の地域であって、二百名程度の需要がある場合ということに限定いたしておりました。それから、その設置をされます場合には、六万円の債券と一万円の設備料をいただくわけでございますが、四キロをこえ五キロに至る部分につきましては特別負担を課する、あるいは、区域外でありますれば付加使用料をいただくとか、また、二つの加入区域にまたがるようなものは認めない、いろいろの条件をつけておったわけでございますが、その後いろいろの改正を行なっております。  それを申し上げますと、第一は、秘話装置を付すようにいたしたことでございます。これは四十年の七月にいたしております。  それからもう一つは、小さな規模のものでありましても、一定の条件に合うものにつきましては、二百名に満たない百名程度のものでも設置するということにいたしました。これは四十年の七月でございます。  それから三番目は、いま申し上げました二以上の加入区域にまたがる農集の設置を認めていなかったわけでございますが、同一市町村に限ってはそういうものも認めていくことにいたしました。これが総裁の申し上げましたように四十一年の十二月でございます。  同じくそのときに、農集の交換設備が二つ以上ありまして、その農集の交換設備がそれぞれ違った電話取扱い局の区域内にあります場合でございましても、農集相互間は自動中継によって、磁石式局の交換手の手を経ないで通話ができるように改正をいたしました。  同時に、秘話装置を付しておりますものと秘話装置のないものとの間の料金は、級局にかかわらず、百円の料金差に改めたわけでございます。  また第六番目といたしましては、一般の普通加入区域内外によりまして従来は付加使用料を付しておりました。区域外にあります場合は二百円高い料金にいたしておりましたが、これを廃止をいたしまして、普通加入区域の内外を問わず同一の料金にするというというようなことをいたしました。また、四キロメートルをこえます場合の特別負担といったようなものも廃止したわけであります。さらに、もし御要望があれば、委託工事として放送設備もいたしますような道を開いたわけでございます。  それで、これを試行いたしましてからまだ一年ちょっとの間しかたたないわけでございますが、話し中が多いとかいうような、一部苦情はございますが大体の御満足を得ておると思いますので、さらに検討はいたしますが、現在のところ、いまのような制度で大体法律化していっていいのではないかというように考えております。
  99. 米田東吾

    米田委員 ちょっと確認をしておきたいのでございますが、申し込みにあたって、農集の契約約款第六条第二項の制限、要するに、大体あなたのほうでは二百加入くらいでまとまらないと受け付けないといいますか、それに対応しない、こういう一つの制限条項があったように思いますが、現在これはあるのかないのか。いまあなたからお答えいただきましたものとこれは違った項目だと思いますけれども、農集の契約約款第六条第二項の制限は現在あるのかないのか。それから、将来、いまお答えいただきました今後本施行の方向で法律整備をするときにはこれはどういうように措置をされようとするのか、それを聞きたいと思います。
  100. 武田輝雄

    武田説明員 原則として、半径五キロメートル、二百名というものは置いております。しかしながら、百名程度の、需要がもっと狭い範囲に発生するという場合がままあるわけでございます。したがいまして、そういうものは、通信局長の判断においてやってよろしいというふうにいたしております。したがいまして、百名程度のもので狭い範囲のものは、通信局長の判断において承諾するということになっております。
  101. 米田東吾

    米田委員 そうすると、現在これはないわけですね。生きておらないわけですね。いまのあなたのお答えでは、必ずしも二百名というものにこだわっておらない、半径の五キロ以内で、百名程度であっても、それは現地の局長あるいは通信局長が認めればよろしい、こういう御答弁のようでありますが、そうだとすれば、私が聞いておる契約約款の第六条第二項の内容というものは、すでにいま効力を発生しておらない、こういうことになろうかと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  102. 武田輝雄

    武田説明員 原則としては生きておりますけれども、通信局長において弾力的に運用することを正式に認めておるわけでございます。
  103. 米田東吾

    米田委員 まだいろいろありますが、いま理事の先生からもお話がありまして、午前中は適当なところで切ったらどうか、こういうことでございますが、引き続きましてあとに質問いたしますので、とりあえず、ここで私は打ち切りたいと思いますが、委員長、それは約束してくれますか。
  104. 古川丈吉

    古川委員長 それでは米田君に申し上げます。次回に質問を継続していただくことにいたします。  本日はこれにて散会することといたしまして、次回は、来たる十二日に委員会を開会することといたします。    午後一時一分散会