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1968-03-26 第58回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十六日(火曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 齋藤 憲三君 理事 志賀健次郎君    理事 田澤 吉郎君 理事 坪川 信三君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 金丸 徳重君    理事 山花 秀雄君 理事 小沢 貞孝君       加藤 六月君    金丸  信君       佐藤 孝行君    塩谷 一夫君       根本龍太郎君    羽田武嗣郎君       水野  清君    渡辺  肇君       大柴 滋夫君    島本 虎三君       中井徳次郎君    森本  靖君       中野  明君    田代 文久君       古内 広雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         郵政政務次官  高橋清一郎君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         郵政省電波監理         局放送部技術課         長       大村  保君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   三熊 文雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         放送総局総務) 藤根井和夫君         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員水野清辞任につき、その補欠として上林  山榮吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員上林山榮吉辞任につき、その補欠として  水野清君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員内海英男辞任につき、その補欠として正  力松太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員福永健司君、古井喜實君、石橋政嗣君及び  八百板正辞任につき、その補欠として塩谷一  夫君、渡辺肇君、森本靖君及び島本虎三君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員塩谷一夫君、渡辺肇君、島本虎三君及び森  本靖君辞任につき、その補欠として福永健司君、  古井喜實君、八百板正君及び石橋政嗣君議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十二日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願外一  件(大村襄治紹介)(第二八三二号)  同外一件(上林山榮吉紹介)(第二八三三  号)  同外三件(二階堂進紹介)(第二八三四号)  同外一件(井出一太郎紹介)(第二八八〇  号)  同外一件(上林山榮吉紹介)(第二八八一  号)  同(田澤吉郎紹介)(第二八八二号)  同外八件(竹下登紹介)(第二八八三号)  同(八田貞義紹介)(第二八八四号)  同(古川丈吉紹介)(第二八八五号)  同外一件(細田吉藏紹介)(第二八八六号)  同外一件(上林山榮吉紹介)(第二九二七  号)  同(金子一平紹介)(第二九二八号)  同(田村良平紹介)(第二九二九号)  同(古内広雄紹介)(第二九三〇号)  同外一件(伊能繁次郎紹介)(第二九八二  号)  同(内海清紹介)(第二九八三号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第二九八四号)  同外一件(上林山榮吉紹介)(第二九八五  号)  同外一件(佐々木良作紹介)(第二九八六  号)  同外一件(玉置一徳紹介)(第二九八七号)  同外三件(渡辺肇紹介)(第二九八八号)  同(内田常雄紹介)(第三〇一三号)  同(広川シズエ紹介)(第三〇一四号)  同外一件(上林山榮吉紹介)(第三〇一五  号)  同外二件(齋藤邦吉紹介)(第三〇一六号)  戦傷病者に対する放送受信料免除に関する請願  (加藤常太郎紹介)(第二九九六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十一日  京都地方貯金局廃止反対に関する陳情書  (第一四〇号)  郵便物の日曜配達廃止に関する陳情書外一件  (第一四一号)  同  (第一六八号)  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する陳情書  (第一六九号)  同外一件  (第二〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ――――◇―――――
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 私は、会長にこれから順次質問してまいりたいと思いますが、諸先輩のいろいろな御支持を得まして、一時間五分の予定でありますけれども答弁いかんによっては四十五分で済む予定でございますので、しかるべく御協力をお願いして質問をさしていただきます。  まず第一に、第三次の長期構想の件でございますけれども、今後はUHFによる放送カラー放送充実を骨子とした案を持っている、こういうようなことを聞くわけでございます。そこで、四十三年度はとりあえずカラーテレビジョン充実に力点がある、こういうように伺っているのでありますけれども長期ビジョンというものは、最近の一つ傾向でございまするけれども、いま、白黒テレビ受信者の頭打ちによって、財政固定化に対処してカラー料金を新たに設定した、この段階のもとに、長期ビジョンと申しますか、この次にくるものはどういう構想なのでございましょうか。まず、この広大な構想の一端を伺いたいと思うわけでございます。
  4. 前田義徳

    前田参考人 お答え申し上げます。  今回は、従来と異なりまして、まず確定的な長期計画というものは結論を得ておりません。ただ、第二次六カ年計画を終わるにあたりまして、私どもは、御審議いただく予算前提として、少なくとも五カ年間の考え方を一応固めているわけでございます。  これにつきましては、すでに一部申し上げておりますが、大体第一点は、ただいま私ども実用化試験を行なっておりますFMが、将来国策として最終決定をいただく時期になるということが第一の前提でございます。  第二の前提は、ただいま御指摘がありましたように、明年度予算におきましても、たとえば高松、佐賀等はすでに免許をいただきましたUHF親局をつくることになっており、こういう観点からも、UHF最終国策決定が、かなり近い時期のうちに最終判断が下されるのではないかということを第二の前提にいたしております。  第三の一般放送事業界考えての前提といたしましては、御指摘カラーテレビジョンの問題でございます。これはすでに私どもといたしましては、過去十年近くカラー放送というものを行なってきておりますが、この問題については、ひとり日本のみならず、欧米全体が完全カラー化スタートを切っておる。アメリカはもちろんのことでありますが、ヨーロッパにおいても、たとえばBBCのような、今日イギリスの経済情勢がきわめて困難な事態に遭遇しながらも、現在BBCカラー時間の放送は一週間三十時間であり、明年からは一週間七十時間の予定を立てております。その他、フランス、イタリアを除くすべてのヨーロッパ諸国は、東ヨーロッパをも含めてカラー化方向に向かっているわけであります。イタリアはこの中でおおよそ三年間のおくれを持つのではないかと考えております。  こういう点では、まずカラーテレビジョン放送強化ということが第三の前提になるわけでありますが、その背後に、これは白黒ももちろん含めての問題でございますが、第四の前提となるものは、宇宙中継時代現実の問題として世界的な事実となるという前提でございます。  以上、一般的な放送事業界内外のこれからの情勢考えての四つの前提を持ったわけでありますが、その次の第五の前提は、NHK自体中心とする将来の考え方であります。  NHKは、すでに御承知いただいておると確信いたしておりますが、いまから六年前に第二次六カ年計画一つの柱として、企業の近代化ということを目標といたしました。これが幸いに皆さんの御支援と御指導によりまして、ようやくここ数カ月のうちに完全に完成する時期に到達いたしました。機械化におきましても、放送センター建設にいたしましても、紆余曲折を経ながら、この六月からすべて新しい経営の基礎としてこれが一つの基盤を提供することになったわけでございます。こういった観点に立ちまして、いわゆる協会内部の新しい近代化合理化スタートが、同時に御審議いただいておるこの明年度予算の骨格の一つとなっており、これが今後五カ年間にいかなる成果をあげ得るかという一つの想定が、ただいま申し上げた将来の五カ年構想ビジョンの最後の項目、すなわち第五の項目になるわけでございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 その第一の前提になりましたFM放送の件でございますけれどもラジオ受信料は、御承知のように廃止されました。これはまことにけっこうなことだと思います。しかし、これは受信者の場合、貧困家庭が多いことからして、やはりテレビ、ことにカラーテレビは見られない階層の人がラジオを聞く、したがって、ラジオ料金廃止は社会的にもこれは十分理解され得る措置だ、こういうふうに思うわけでございますけれども、第一の前提に持ったところのFMステレオ受信の増加も当然今後予想されることは、私は会長もそのとおり思われるだろうと思うのです。その場合、貧困者のために無料にしたものが、今度はFM放送が高度な技術と格調の高い放送を受ける人も無料になる、そうなると、負担公平の原則がくずれるおそれがないかという心配がありますが、この点等を対処する妙案あらば、発表願いたいと思います。
  6. 前田義徳

    前田参考人 一般ラジオ放送の点につきましては、御指摘のように、この四月からラジオ料金はすべて全廃されるわけでございます。しかし、これに対する私ども考え方は、いわゆる貧困者あるいは社会政策的にお助けしなければならない方々に対しては、すでに放送法によりまして私ども免除基準を設定し、過去ずっと引き続いて郵政大臣の認可を経て、そのような方々に対しては、ラジオはすでに無料となっているかあるいは軽減いたしておったわけであります。したがいまして、こういう基本的な政策としては、テレビジョン白黒、及びある意味ではカラー等についてもやはり同じような措置が今後もとられるわけでございます。  したがいまして、FMの問題はどうであるかという観点に立ちますと、FM等につきましても、これがほんとうに社会生活に直結ししてくるという点においては、一般ラジオ考え方基本的範疇に入る問題だと、まず第一に考えられます。  第二に、このFM放送は、FMという波の特質を生かして、それと関連する、たとえばステレオ放送であるとかこれらの問題は、かつて考えられなかった範疇外のものと考えられます。ただし、日本ラジオ放送現実から申しますと、混信、ことに海外からの混信あるいは電波の波の錯綜している現状からいって、現在FMは、同時に、根本的には難視聴地域の解消との関連においても地域的に非常に重要な役割りを演じているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、ことに実験、実用化試験放送という現実の上に立って、明年度はこの問題を取り上げておりません。  しかし、たとえば、これは将来の想像になるわけでありますが、FM放送基本的目標は何か一いうようなことが、最終国策決定と同時に一種の原則ができ上がり、これが、たとえばステレオ中心であるとかあるいはその他多重放送というような問題と関連する場合においては、将来特別の考え方もあり得るかとも想像いたされます。しかし、少なくとも私どもは、これらの問題については、やはり全国普及という点から考えますとまだ時間を必要とするという意味で、将来の、いま申し上げたような点での変化可能性を認めながらも、現在のところはこの問題を、私どもの立場で申しますと、特別の題目としては取り上げていないというわけでございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 やはり負担公平の原則からして当然今後は問題になる可能性のある事項でございますから、これに対処するのに十分考えておいてもらいたいと思います。  なお、その次には、私は前回の予算分科会大臣意見は伺いました。しかしながら、会長意見はまだ聞いておらない問題が一つあります。  それは、今回の予算の中にもはっきりありまするけれども、今度のNHK沖繩放送協会とのいろいろな協力関係であります。三億五千万円の予算を計上して整備するように伺っております。そういたしますと、この関係がどうなるのか。NHK沖繩放送協会のこの関係がどうなるのか、それから、この条件が明らかにされているのかどうか。大臣はまことに乗り気であります。放送協会はどうでもいいからまかしておいてもらいたいというような意気込みなんです。しかしながら、それはこのままにしておいては、やはり傾向によっては危険も伴いますから、これはこの際はっきりした基本を打ち立てておく必要もあろうかと思います。実際、NHK沖繩放送協会と申しますか、これとの関係、それから条件、こういうようなものについて明らかにしておいてもらいたい、こう思うわけであります。
  8. 前田義徳

    前田参考人 沖繩放送協会との関係につきましては、従来非公式な接触もございました。ただ、私どものたてまえとしては、当面の沖繩日本本土との関係を土台として、まず政府間の関係が開始さるべきであるという考え方を持っております。しかし、同時に、沖繩住民日本人、われわれの一部であるという考え方も併存するわけであります。  こういう見地に立ちまして、ことに、現行放送法というものに立脚して考えますと、沖繩放送協会NHKに援助を求めたとしても、ただ感傷的にこれに応ずるわけにはまいらない。したがいまして、今回、特別立法の成立を待って、NHKとしては当面なすべきことをなしたい、それが建設費に盛られておる三億五千万円でございまして、これは沖繩放送協会の那覇の放送局建設関連しまして、その建物を除いた、建物の中の放送設備NHK貸与するという方向でございます。  この貸与関連しましては、もちろん所有権NHKが持っているわけであります。ただ、この貸与方式無料貸与ということになると思います。少なくとも、NHK財産を現在の行政機構の中では日本放送法実施されていない地域にそれを置くわけでございますから、この点につきましては、法律が成立し、いよいよいま申し上げた範囲協力するという段階では、私どもとしては沖繩放送協会との間に契約を締結いたしたいと考えております。  その契約は、これからの沖繩放送協会NHK話し合いに基づくわけでありまして、NHKとしては、先ほど申し上げたように、あくまで協力はするが、しかし現行法のもとでは異質のものである、国内放送料金をいたずらにあの地域に投ずべきではないというたてまえを堅持しながら、しかし、実際的にはわれわれの同胞の一部であるという点を勘案しながら、私どもとしては、NHK財産の保全に完ぺきを期すと同時に、心理的に沖繩住民との一体化をはかり得る方法をとりたい、このように考えております。
  9. 島本虎三

    島本委員 これは当然NHK目的外のことでもあろうかと思いますから、今後やはりこれに対しての対処は慎重に、なおかつ十分やってもらいたいと思いますが、あわせて、小笠原がもう返還されるようになっておりますけれども、その方面に対処する具体案がありましたらお知らせ願いたい。
  10. 前田義徳

    前田参考人 小笠原は、すでに政治的にも行政的にも日本に復帰する日は近いわけであります。  この地域におけるラジオについては、すでにNHK放送が聞こえるというように聞いているわけでありますが、テレビジョン放送につきましては、幾多技術上の問題点がございます。端的に言って、国内と同じマイクロ方式による中継同時放送ができるかどうかという点については、まだ技術的にも確信を持っておりません。しかし、この地域テレビジョン放送を行なわないということは、われわれのたてまえからいっても、また放送法の精神からいってもそういうことはできないわけでありまして、したがって、現在技術的にいかなる方法をとるかという研究をいたしております。最悪の場合でも、同時放送という点を除外するならば放送可能性はあるわけでありまして、これらについては、御審議いただいております明年度予算の中にははっきりした項目を載せてありませんけれども予備費その他の処置によって、一日も早く小笠原地域においてもテレビジョンを享有できるような努力を続けたいという研究をいたしております。
  11. 島本虎三

    島本委員 これは現在の技術的な観点からしても不可能ですか。
  12. 前田義徳

    前田参考人 マイクロ方式においては、不可能とは申しませんが、非常に困難である、不可能に近いということであります。
  13. 島本虎三

    島本委員 何らかの方法があるかに聞いておるのですが、私は技術者でございませんし、ないというならば、あなたの人格を信じてこれ以上私は追及できません。ただ、諸先輩のいろいろなお話によりますと、方法はあるかのように聞いております。ただし、それは多額の費用を要する、しかしながら現在の技術的な点からしても可能である、こういうように聞いておるわけであります。  なお、そういうような点についても、十分配慮して今後善処してもらいたいと思いますが、この点等NHKだけの問題じゃない、郵政省当局の問題でもあろうかと思います。政務次官、どうですか。
  14. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 現状においては全く困難な内容である、いまお話しのとおりであります。でありますが、島本委員の御熱意等もございますから、一、二年ではだめでも、五、六年後には、将来は何とかという目安がつかないとも限らぬ。結局は技術的な改革等の問題も出てまいりましょうけれども、あとう限り誠意と熱意をもって対処したいと考えます。
  15. 島本虎三

    島本委員 NHKでは四十三年の六月ごろから番組制作コンピューターが導入されるということを聞いておりますが、そうなりました場合、資材、要員、これを効率的に運用されることになろうかとも思いますけれども、一面、今度は番組が定型化されるおそれがないか、同時に今度、従業員と申しますか社員と申しますか、この労働者労働条件がこれによって悪化するような懸念がないのか、創造性が失われるような懸念がないかどうか。コンピューター導入について、以上の点がちょっと気になりますので、この点はいかがでございますか。
  16. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおり、NHKはこの六月以降、番組システム並びに現業技術技術運用システムというものをつくりました。これは世界で最初のものでございます。  したがいまして、いろいろな問題点は、あるいは将来起きるかと思いますが、御質問にお答えいたしますと、第一に、このシステム人間創造力を無視するものではないということであります。これは要するに、制作過程における、たとえばコスト計算であるとか、重複事務というものを定型化して、これをコンピューターによってはじき出す、簡単に申しますと、そういう点と、同時に、制作された番組コンピューターによって、少数の人間によって全国放送あるいは地域放送が可能になるということであります。したがいまして、創造部分コンピューターによる実施部分とは関連はございますけれども人間能力を阻止するものではない、あくまで番組人間創造力によってのみ質の向上がはかり得るということについては、全く変化はございません。したがいまして、関連経費合理化されるということでありまして、人間能力合理化する、あるいは画一化する、あるいは一つのフォーム化するという考え方は毛頭持っておりません。  第二の点で、労働強化になるかという点につきましては、NHKがこの問題と取り組んだのは七年前でございます。そうして、すでにここ四年間、あるいは人事面経理面等においては実施しております。ことに、営業面等においてもここ二年間非常な成果をあげております。このことは、労働強化をするということは全く異質のものでございます。  同時に、私どもといたしましては、これを策定する当初から将来の効果を、いま申し上げたような経理人事営業等の面の実施関連して将来の定員機械化関係を検討してまいりました。したがいまして、これは自画自賛になるかもしれませんが、過去六年間この制度を開発しなければ、今日NHKの職員の総数は、あるいは一万八千をこえておると思います。そういう点で、現在御審議をいただく予算面では、NHKの総人員は約一万五千でございますから、そういう面からお考えになりますと、すでに労働強化が行なわれているのではないか、また、六月以降についてはさらに労働強化が行なわれるのではないかという御印象があるかもしれませんが、これは要するに、間接事務というものが機械にゆだねられて、人手にかわったという限度のものであります。しかも、NHKとしては、幸いに六年前からこの計画をしたために、放送時間の増あるいは波の出そろいということを勘案しながら行ないましたから、要するに、人員の整理ということは全く必要のない状態でございます。  今後の問題は、機械のいわゆる効率を少なくとも明年度中に測定いたしまして、新しい事業量機械効率労働力との調整をはかっていく、ことばを変えて申しますと、将来において新しい定員制考えるという方向に参ると思います。  ただ、一部おそらく問題となりますのは、いままであった仕事が人手によらないという部分が出てまいりますので、明年度等の御審議いただいております予算の中でも約二百名内外配置転換という問題が起こってまいります。この点については、私どもとしては、まず労働強化を緩和するという方向へこの配置転換の主眼を置き、第二には、個人の能力と志向ということを基点として、この配置転換についての人間フィーリングの撹乱を防いでまいりたい、このように考えております。
  17. 島本虎三

    島本委員 まあ、コンピューター導入そのものは、やはり労働条件制作条件向上に役立てるものでなければならない、こういう考えで聞いたわけでございます。さすがにそういうようにりっぱに考えてこれを実施するとなりますと、何人も反対する人はなかろうと思いますが、労働組合との間の話し合いは、コンピューター導入についてはっきりできておりますか。
  18. 前田義徳

    前田参考人 この問題は、六年前に、私どもは毎年、随時また定期に組合の幹部と、私ども最高経営協議会というのがございまして、これとこの問題を検討し、当初においても原則として合意が行なわれております。ただ、現在組合との関係で処理しつつある問題は、そして、おそらく今月中に見通しが出るという問題は、ただいま申し上げました明年度において二百名内外配置転換についての具体的話し合いが限度でございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 その二百名の配転の問題についても、やはりいま申しましたような条件からすると、あくまでも労働条件制作条件向上に役立つということになりますから、役立つのであるならば、当然有利になりますから反対はあり得ないじゃないか、だから、これは話し合いは十分ととのっておりますかということなんです。配転まではわかりました。そのすることについての話し合いが十分できておりますかどうか、このことなんですが……。
  20. 前田義徳

    前田参考人 大体基本線はでき上がっております。お説のとおり、労働量の問題と、それからまた番組制作その他についての人間能力の問題、これを中心として、ほぼ大筋では終わっておるということを申し上げたいと思います。
  21. 島本虎三

    島本委員 大筋で終わっておるのはわかりました。  官僚答弁というのがありまして、できなくとも、善処するということばによって、あとはどうなりこうなりやってしまう傾向なきにしもあらずですが、いままだ十分ではないようでありますけれども、大筋はきまっておっても、あと残る小筋――小骨一本抜かないといっても、ほとんど背骨まで抜かれる例が昨今ありますから、まあ、おそらく大綱はきまっておっても、あと残った小綱によって、これはもうとんでもないことになり得ないということは断言できません。私、これは善意を期待しておきたいと思います。これは、こういうような傾向のいいものについては、良識ある者は十分対処できるはずです。会長は、あくまでも合意の上でこの問題を進めてもらいたいと思います。そう思って差しつかえございませんか。
  22. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりでございます。
  23. 島本虎三

    島本委員 では、NHK番組編成の基本的姿勢でございますけれども、これはどうでございますか。これは公共放送としての影響力は、NHKの場合は大きいということは申すまでもございません。これに対処して、番組の編成にあたっては、会長としては十分考えて当たらなければならないと思っております。これはどういうようなことですか。この指導と指示、こういうようなものに対して、はっきりしたものを持ってやっておりますかどうか、会長の見解を承りたい。ことに、外部からの圧力というようなものが現在はあるのかないのか、考えられるのか、見えるのか、その辺も含めて、ひとつ見解を表明してもらいたいと思います。
  24. 前田義徳

    前田参考人 公共放送の最も大事な問題は、御指摘の点でございます。番組の種類は非常に多角的でありますが、要するに、私ども放送番組編成の基本的な方針は、御指摘の点と関連する問題でございます。したがって、放送法も堅頭に、その編集の自由と自律性と申しますか、あるいは、不偏不党ということばを使い、あるいは、具体的に議論が分かれた場合にはどうせよというようなことを放送法がその堅頭に述べている理由も、放送基本的問題は番組の制作にあるということを自覚しているからだと考えます。  この精神にのっとりまして、私どもは、制度としては、これは放送法指摘しているわけでございますが、一般的には、たとえば番組審議会、これは中央、地方ございまして、あらゆる番組の具体的問題について私に意見を述べてくださることになっておりますし、それからまた、自律的には、私の直轄機構として考査室というものがあり、全国的に、NHKのみならず商業放送もすべての番組研究いたしております。また、この放送法をうけて、NHKとしては番組基準というものを設定いたしまして、これは最高は経営委員会の議決をも経ているものでございます。しかし、問題は、このような法律とかあるいは規定だけで、実際生きている番組の運用はできません。  そこで、御指摘の御質問が出てくると考えるわけでございますが、私どもといたしましては、まず社会的良識に従って個々の意見に左右されない番組をつくることを最終目標といたしております。これは、別に専門的権威であるとか専門的知識が必要な問題というよりも、社会人としてのできるだけあたりまえの完全な良識をまず持つべきであるということと、それから、また同時にこれが主観的なものであってはいけないわけでございますから、その良識の発露がやはり社会的コンセンサスを受け得るもの、社会的同意を受け得るものというところに精神的な方向を置くべきだと考えております。たとえば、先生の御質問の中にも、いろいろな問題を中心として、いろいろな圧力があるのかないのかという御質問もございますが、NHKの場合、私は率直に、正式な圧力はあり得ない、ただし、いわゆる潜在的圧力はあらゆる社会各層から受け得る可能性があると考えております。それは単に政党のみならず、社会人としてのある種の特別の活動をしているグループ、あるいは学者的に個人的な見解、その他からいわゆる間接的なインフルエンスが、ときにないとは限りません。しかし私は、公共放送の責任をとるということは、同時に、社会各層、政治的にもあるいは経済的にもあるいは一般社会生活の面でも常に批判されるというところに私どもの公平性を生み出す基礎があると考えております。  したがいまして、ことに公共放送の責任者は―これは数年前、オーストラリア放送協会経営委員長であり、その後駐日大使になった方が私に語ったことばは、公共放送は、常に批判される特権を持つ、その特権に対して虚心たんかいでなければならないということをおっしゃったことを記憶するわけでありますが、私は、これはまことに名言だと考えます。ただし、このようなきわめて複雑な個人的あるいは社会的あるいは専門的な批判に対して、しかもなお、われわれの先ほど申し上げた良識に基づいて、国民的同意を受けるという方向での編成方針と申しますか、精神を堅持するためには、私は、局内のすべてに対して、やはりあらゆる思想からの解放、いわゆる自由の精神の確立なくしてはこれを行ない得ないということを言っているわけでございます。  非常にちぐはぐかもしれませんが、以上のような気持ちでおります。
  25. 島本虎三

    島本委員 最近、卒業式がはやりますが、会長のいまの説明は、大学の総長の訓辞のように、なかなかこれは格調が高い。しかしながら、やはり私はそれでいいと思いますが、ただ説明や考えだけじゃこれはいけない。いまのように潜在的圧力、こういうようなことばが出ておりますけれども、権力を伴った潜在的圧力ということになりますと、往々にしてわれわれの心配と合致するわけであります。これをはねのけなければなりません。国民のいろいろないわゆる潜在的圧力があるとするならば、それは受けなければなりません。われわれは、そういうようなところを、賢明にして進歩的なあなたの考えによって取捨選択して、十分これをこなしてもらいたい。これをこなせなかったならば、とんでもないことになる。国営にして誤った例だってあります。  私は、そういうような意味で、ひとつ、今後の活躍を心から期待すると同時に、考えや説明だけじゃなく、それを具体的に番組制作、並びに四十三年度から始まるこの基本的な構想というものはもう打ち立てられていなければ予算は出てこないと思います。この基本的な方針というものを、ありましたら、この際、あまり格調高くなくてもよろしゅうございますから、項目羅列的でもよろしゅうございますからお知らせ願いたいと思います。
  26. 赤城正武

    ○赤城参考人 四十三年度の予算編成にあたりまして、まず最初にやはりNHKとしてきめておかなければならぬものは、いま先生の御指摘の四十三年度における番組の編集の基本計画でございます。これは先ほど会長からお話しありましたように、中央番組審議会にかけまして、理事会、経営委員会を経て最終的に決定したものでございます。この計画に基づきまして予算案もできておりますので、その項目は八項目あげておりますが、これを具体的に、簡単に御説明申し上げたいと思います。  NHK放送の社会的役割りと責任について明確な認識に立って、先ほど申し上げました日本放送協会国内番組基準に基づきまして、次のような重点施策をやるということをうたってあります。  第一番目には、放送文化の一そうの発展を期しまして、先ほど来お話しのありましたカラー放送の重点的拡充、それから宇宙中継の駆使、それから制作体制の集約、近代化、これは先ほど御質問のありましたコンピューターを使って六月以降その問題をやっていこうという制作体制の集約、近代化、それから総合的企画による番組の新分野の開発を推進して、あわせて特別番組の機動的編成を行なう。総合的企画による番組新分野の開発というものは、これは明治百年に関連した番組でございますが、そういうものを企画するということが第一点でございます。  第二点は、教育関係番組でございますが、現在もう大学講座を実施しておりますが、その内容を拡充、刷新して、さらに勤労青少年向けの教育番組、学校放送番組充実する、これが第二点でございます。  第三点は、国民の国際的視野を広めまして、海外との文化交流をはかるために、海外取材番組充実、これは現在午後七時半にやっておりますけれども、その拡充、充実をはかり、さらに外国の放送機関のつくったすぐれた番組も導入して、あわせて国際的鑑賞にたえる番組の開発を行なう、これが第三番目でございます。  第四番目は、御承知のように、来年度は参議院選挙がございますので、参議院議員選挙の年にあたりまして、選挙放送実施に万全を期することはもちろんでございますが、議会政治の正しい発展と選挙の浄化に役立つ番組を積極的に編成しよう、それが第四番目でございます。  それから第五番目が、これも御承知のようにメキシコの第十九回オリンピック大会の年に当たりますので、スポーツ精神の振興と国際親善に資するために、オリンピック開催期間を通じて、これを中継放送する、同時に、国内のアマチュアスポーツの中継放送も盛んに実施しまして、アマチュアのスポーツの振興に資したいということが第五番目でございます。  それから第六は、これはすでに現在もう発足して放送しておりますが、明治百年に当たりますので、わが国の近代化の歩みを十分振り返るとともに、その現状を正しく認識し、かつ、将来の発展の指標となるような番組を編成しよう、これが第六点でございます。  第七点は、ローカル放送の問題でございます。地域社会の要請にこたえまして、県域を基本とするローカル放送番組の一そうの充実をはかりたい。ことにテレビジョンにつきましては、UHF帯周波数の割り当てで、佐賀、高松地区が新たに親局として設定されましたので、この地区において県域ローカル放送を拡充していきたいということでございます。  第八番目には、各地方のいろいろ特色ある話題を全国に紹介するために、地方からの全中放送を生かして、各地の素材を生かした番組を、ローカルでなく全国に紹介する意味において大いに編成をしていこう、そういうふうな八つの重点項目決定いたしまして、これによって来年度の放送計画をやっていこうというふうに考えております。  なお、つけ加えて申し上げますが、本年度の重点施策事項というものがございます。本年度の重点施策事項で、来年度にも持ち越してやる重点的な問題が六項目ありますが、これは引き続きまして、本年もこの基本的な方針は受け継いでいこう、そういうことで四十三年度の基本的な計画を進めておるわけでございます。
  27. 島本虎三

    島本委員 よくわかりました。  それで、りっぱな放送を海外から輸入しているというようなこともあったようでございまするけれども、逆に、日本から海外に輸出している番組はないのかどうか。これは海外の放送局と交換してやっているのはどのくらいあるのか。日本も、この際ですから、少し充実した内容のものを海外に売って、かせいでみてはどうか、こうも思うのですが、海外に積極的に売り込む考えはないのかどうか、輸入ばかりするのが基本原則なのかどうか、この点、私の誤りあらば正してもらたいと思います。
  28. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおりでありまして、ここ数年来、ことに第二次六カ年計画の中で、NHK番組を海外に送り出すということを一つの重点施策といたしております。したがいまして、昨年の秋、NHKとしてはサービスセンターの中にNHKインターナショナル、国際部門をつくりまして、これで大いに海外への番組の進出をはかるということを実行に移しております。昨年九月以降今日まで、これを中心として海外に送り出した番組の総額は、いまのところは三万五千ドル程度でございますが、私といたしましては、これをさらに拡大強化して、世界の各放送機関との連携を高めながら、御説の方向に前進してまいりたいというように考えております。  これと関連しまして、たとえば教育番組の国際的コンクール、これは今年度は、御審議いただいております明年度予算においては第四回目になりますが、こういうものをできるだけ積極的にやってまいりたい。また、アジア放送連合を中心としても幾多の多角的な番組の提供を行なってまいりたいという計画を具体的に立てております。
  29. 島本虎三

    島本委員 ついでですから、輸出しているのは三万五千ドル程度、これではなんでございまするけれども、海外に支払っているのはどれほどになりましょうか。
  30. 前田義徳

    前田参考人 私が申しました金額は、昨年の九月からことしの一月までの分でございます。これはただいま、おそらく総局長から御説明申し上げると思いますが、たとえば紅白歌合戦なども実はアメリカ地域に送り出しております。
  31. 島本虎三

    島本委員 今後、やはりいまのようにして海外に積極的に売り込むように、優秀な内容のものをやっていただきたいし、それによって国内を豊かに潤わせるような方策をとってやるべきだ、こういうように思います。十分でないようでございまするけれども、この辺も重要方策の一つですから、ぜひこれをやっておいてみたほうがいいのじゃないかということを私は思う次第です。答弁に関連してそのように考えましたから、この点、よく取捨選択をしておいてもらいたいと思います。  そこで、話の中に出てきております重点方策の一つの宇宙中継の問題でございまするけれども、これは四十三年度ではどんな番組実施考えているのか。それと、皆さんも十分聞いておられると思いまするけれども、あえてお願いしたいのは、オリンピックの放送計画、こういうものはもうすでに準備されていると思いまするけれども、この準備はどのように進捗しておりましょうか、この点をひとつ御発表願いたいと思います。
  32. 赤城正武

    ○赤城参考人 来年度の宇宙中継の計画は、大体先のお話ですが、一応予算的には年間三十回程度考えております。これはメキシコ・オリンピックを除外しての計算でございます。一応いろいろな予想される問題もございますが、たとえばアメリカの大統領選挙とかあるいは来年の年頭教書とか、いろいろそういうものも具体的にはもうはっきりしているものもありますけれども、大体そういうことで約三十回宇宙中継を計画してございます。その内訳は、アメリカが二十本、ヨーロッパが十本というふうな大まかな計画でございます。  それから、オリンピック計画でございますが、メキシコ・オリンピックにつきましては、詳細計画がほぼできております。大体、中継するのは、宇宙中継でカラーで全部やりたいということで計画をしております。もちろんその期間は本年の十月十三日から二十八日まで十六日間でございまして、競技種目は大体十九の種目、まあ日本選手が大いに活躍するのを中心にしてやりたいというふうに考えております。放送時間は、開閉会式はおのおの二時間でございますが、その間は毎日四時間の放送計画しております。したがって、午前、午後の二回にわたりまして、おのおの二時間ずつ宇宙中継をもってその実況を放送するということになります。  大体以上、大まかなメキシコ・オリンピックの取材計画でございますので、何かほかに御質問がありますれば、なお詳細に御説明申し上げます。
  33. 古川丈吉

    古川委員長 島本委員に申し上げますが、持ち時間が迫りましたので、ひとつ結論をお願いいたします。
  34. 島本虎三

    島本委員 一時間と五分ということで、計算しながらやっているわけであります。時間の観念のきびしいことは委員長に劣りませんから、御心配なく。  続いて聞きたいことは、いまのような状態で、これから宇宙中継の番組でもいろいろ行なわれるようになるわけであります。そうなりますけれども、そのために必要なパラボラアンテナが国際電電の手によって行なわれ、それをNHKのほうで料金を払って利用しているのか、それとも、何か契約によって別に使用しているのか、この辺の機構が何かわかりませんが、NHKが直接できないのですか。この点についてはっきりさしていただきたいと思います。
  35. 前田義徳

    前田参考人 これは、端的に申しますと、戦後の機構改革、行政改革によりまして、NHKとしては国際電電の施設を、商業的にお借りする、通じて行なうというのがたてまえでございます。
  36. 島本虎三

    島本委員 それは、国際電電にできて、NHKにできないというような理由があるのですか。なぜ借りなければならないのですか。
  37. 前田義徳

    前田参考人 NHK放送を目的とする、国際電電は国際間の通信を処理するということでございます。
  38. 島本虎三

    島本委員 放送と通信と形式は違うけれども、やってやれないというような重大な理由はないじゃないですか。
  39. 前田義徳

    前田参考人 これは政府の方針でございます。私は政府の代表ではございませんので……。
  40. 島本虎三

    島本委員 それでは政務次官、これはどういうわけなんですか。
  41. 石川忠夫

    ○石川政府委員 一口で申し上げますと、いま国際中継をやっておりますインテルサット組織におきましては、その指定事業体として、国際電信電話株式会社が出資いたしまして指定事業体になっておりますので、その事業体が中継をする、こういうことになっております。
  42. 島本虎三

    島本委員 したがって、それは国際電電がやっておるということはわかりました。しかし、それで、じゃNHKができないという理由があるのですか。それをちょっと聞いているわけなんです。いま政府の命令でやったというなら、その理由をちょっと聞かしてもらいたい。
  43. 石川忠夫

    ○石川政府委員 公衆電気通信法によりまして、国際的な通信は、日本国策として国際電信電話がやる、こういうことになっております。
  44. 島本虎三

    島本委員 国際電電になっている、まあ、こういうようなことで、放送は別だという意味でしょう。そうだとするならば、今度は、あらためてなんですけれども、いま宇宙通信衛星と申しますか、これは四十五年度までに打ち上げる必要があるんじゃありませんか。これがおくれると、これはまた日本のほうでは重大なる損失を招くようなおそれがないのかどうか。いわゆるインテルサットの契約によるところのこの日本の施策のおくれというものはないのかどうか。これをひとつ政府当局にお聞きいたしたいと思います。
  45. 石川忠夫

    ○石川政府委員 いままでいろいろな機会に、大臣その他の方々から御答弁申し上げておりますように、インテルサットの暫定協定は四十五年に本協定になるわけでございまして、そのときまでにできているということは非常に望ましいことでございますが、現在までのところおくれがございまして、ただいま先生御指摘のように、静止衛星につきましては、大体四十八年を目標日本政府としては努力をしているところでございます。
  46. 島本虎三

    島本委員 結局、アメリカにたよって、アメリカのほうのいろんな便宜供与を受けているから、日本はやらなくてもいい。あたら実力がありながらそれをやらないで、ただたよっているという傾向政府の内部にあるからこういうことになるんじゃないですか。それだけはひとつはっきり言ってみてください。
  47. 石川忠夫

    ○石川政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、ただいままで私どもが聞いている問題は、アメリカにたよるというよりも、日本自身として、打ち上げの能力その他いろいろな点でまだ十分でない、こういうことで、いままでのところ計画としては四十八年に静止衛星を上げる、こういう計画になっておるわけでございます。
  48. 島本虎三

    島本委員 これはなかなか重要な問題なんです。財政硬直化の前に皆さんのこういうような姿勢が硬直しているから、おそらく頭脳は優秀にもかかわらず結果があらわれないんじゃないか―頭脳が優秀でなければなおさらのことです。今後やはり十分この辺には対処しておかなければならないと思います。  私もいろいろ聞きたいことはまだまだあるのでございますけれども、しかし、そろそろ時間のようでございます。(「もっとやれ」と呼ぶ者あり)もっとやっていいならば、私はあんまり遠慮しないでやりますが、今度はどうですか、カラー番組について。カラー番組の場合は、民放とのいろいろなかね合いもあろうかと思います。NHKはNKHで独自でやっていくのか、民放といろいろ調整してこれを行なっていくのか、この点等について、NHK考え方を伺っておきたいと思います。
  49. 前田義徳

    前田参考人 NHKとしては、日本放送事業界の実情を無視する気は毛頭ございません。しかし、同時にNHK放送法の命ずるところによって、基幹放送としてあらゆる問題にパイオニア的役割りを演ずべきである、かように考えておるわけでございます。
  50. 島本虎三

    島本委員 万国博に対する皆さんの協力体制というのはできていますか。
  51. 川上行蔵

    ○川上参考人 万国博は四十五年に開かれますが、これは日本の国情を世界に知らせるとか、あるいは外国からいろんないい材料が国内に入ってまいります。それを国内的にいろいろあれをしまして、国内あるいは海外との交流をはかる絶好の機会と存じますので、放送の機能を生かしまして、万国博の普及、理解を国内、海外に促進する、これを第一の目標にいたしております。  それから第二には、海外各国が万国博を取材いたしましてそれぞれの国に放送する、その体制に対しまして全面的に協力する、このように考えております。  それから三番目に、万国博でいろいろな儀式そのほかが催されますが、その際にいろいろなプロデューサー的な、演出的な協力をするということ。  それから、万国博でいろいろな委員会がございますが、それに対しまして、NHKのいろいろな経験そのほかを提供する。  それから最後に、万国博の中にマスコミ関係のセンターをつくることになっております。それに対するいろいろな技術的な協力をする。この五点をいま考えて、鋭意進めております。
  52. 島本虎三

    島本委員 質問した範囲では、NHKのほうはなかなかよくできております。しかし問題は、これを実施したあとの採点によるわけでございます。  私は、今後NHKの御健闘を祈って、私の質問を終わります。
  53. 古川丈吉

    古川委員長 金丸徳重君。
  54. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、私の質問を始める前に、委員長に要望をかねて所信をまずお伺いいたしておきたいのであります。  ただいま議題となっておりますNHKの来年度予算につきましては、提案が三月十二日であります。今日まで二週間であります。いままで私が調べたところによりますと、二週間で議了したという例は、昨年の五十五回国会においてだけであります。ところが、昨年は総選挙のあとの特別国会でありました。ああいう事情の中で行なわれたわけでありまするから、審議時間が多少窮屈でございましたのでそういうことになった。三月十四日に提案されまして、三月二十五日にこれを議了して参議院のほうに回したのであります。これが唯一の例外でありまして、ここのところ数年、ほとんど長きは一カ月半くらい、短きも二十日、三週間程度の審議時間をもってやっております。しかるに、今回はどうしても急がなければならないというような再々の御意見であります。私どももできるだけその方向に持っていきたいと思って努力いたしてまいったのでありますが、今日に及びました。ただ私は、でき得べくんば、今回のNHK予算は、いままで四回、きょうで五回でありますが、五回の委員会開催中の質疑において明らかにされておりますように、非常に大きな問題をかかえておる。端的に申しますと、料金体系が変わってきておるのが一つ、それからもう一つには、民放におけるUHFの新しい発足というのもあります。続いては、FMの波の実用化ということも予想されまして、NHKの今後における運営の問題等、大きく検討しなければならないことが多々あると思います。したがって、でき得べくんば、来年度の予算に関する限りは、十分に委員意見をも尽くし、また、できれば専門家の意見をも聴取するというような場を持ってこれを扱ってまいりたいのでありますが、いかんせん、時間が追られておりますからそういうこともできずにおります。われわれは、前回の委員会は、途中大臣の出席ができないという事情もありましたからではありますが、前後十時間かかって、深夜というほどでもありませんけれども、夜おそくまで努力を重ねてまいっておるのであります。こういう努力をしたにもかかわらず、ただいまの島本委員の御趣旨の中にもありましたように、まだ十分ではないけれども、時間がきたからやめようというようなことまであって、たいへん残念でありますが、この点につきまして、委員長はどういうふうな御見解を持っておられまするか。今後われわれが担当いたしておりまするところの多くの法律案その他の扱いにつきましても、考えを固めてかからなければなりませんものですから、お伺いをいたしたいと思います。
  55. 古川丈吉

    古川委員長 ただいま金丸委員のおっしゃいましたとおりに、提出されました議案につきましては、十分審議をするという考え方は、私も金丸委員と同じように考えております。また、来年度のNHK予算というものは、ただいま金丸委員のおっしゃいましたとおりに、非常に重大な事項を持っておることも、私、十分承知をいたしておりまするし、また、委員各位もそのつもりで審議を願っておることと思います。  しかしながら、御承知のように、今年度はNHK予算の提出の期限がおくれたこと、これは、そのいきさつについては関係大臣その他から御説明のあったことは御承知のとおりでありますが、さらに、衆議院における予算の審議が非常におくれた。したがって、参議院へ予算案が送付されてから総括質問が参議院で行なわれておる、そういう事情にひっかかりまして、担当の郵政大臣がこちらにお見えになることができなかった。そういうような特殊な事情で、皆さんの熱心にかかわらず、審議があるいは不十分だとおっしゃるかもしれませんけれども、しかし、一方から考えますれば、この予算は年度内に成立しなければならない性質のものでありますので、委員長自身としましては、時間外でも、先ほどお話がありましたとおりに、各委員会が終わってからでも、この委員会で特に皆さんが審議しようという御方針がきまりますれば、できるだけそれに従ってやりたいというのが私の考えでありまするし、今後もまた、この議案だけではなくして、提出されたあらゆる議案はできるだけ審議を十分尽くしたい。あるいは、一週間の定例日の二日を三日にしても、また同じ委員会でも、先ほど申しましたとおりに夜になっても、皆さんの理事会の御方針に基づいて、できるだけ審議を尽くしたいという気持ちでおります。いままでの点は、金丸委員理事でおられますから経過はよく知っておられるわけでございますが、その点は、ひとつ委員長の気持ちもお察し願いたい、かように思います。
  56. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、委員長の気持ちはよくわかります。ただ、委員長がどれだけ努力なさったかについて、若干の希望も持っておったものですからお尋ねをいたしたのであります。  三月十二日に提案されました。これについて、提案がおそきに失するのではないかということについて、委員長としては、今日のこの事態を想像しながら、政府に向かって何かの意見を発表なさったかどうか。  もう一つには、衆議院で一生懸命やっておるけれども、参議院への送付がおくれます。参議院の審議の時間がなくなっております。したがって、先例によりますと、事前審議、予備審査ということで参議院のほうでやってもらうという手もあろうではないか。実質的には、そういうことによって両院の審議が十分やられるという手もあろうじゃないかと思いましたものですから、委員長のそのお気持ちはお察しいたしますが、その御努力をお願いいたしたいと思ってこのようなことを申しておるのであります。いかがでありますか。
  57. 古川丈吉

    古川委員長 その点につきましては、私も考えておりまして、本日、委員会の審議が終了いたしましたら、参議院に連絡をとりまして、あすは定例の衆議院の本会議がないようでありますけれども、参議院に予備審査をお願いいたしたい、かように存じております。
  58. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 政府に対してはどういうことをやっておられますか。
  59. 古川丈吉

    古川委員長 政府に対しましては、先ほど申し上げましたとおりに、今回の予算案提出のおくれましたいきさつにつきましては、大臣がよく申し上げたとおりであります。もちろん、早く提案されなければなりませんが、本年度は、御承知のように、衆議院の予算審議がああいうふうでストップいたしましたので、おそらく提案されておっても、今度の場合はあの後でなければ早く審議はできなかったと思います。けれども、まだ私申し上げておりませんけれども、いま金丸委員の御注意がありましたから申し上げておきたいと思いますが、来年度につきましては、そういうことのないように、私は郵政大臣に注意をしておきたいと思います。
  60. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 委員長のこれからの御善処をお願いいたします。  実は、私もこういういやらしいことを申し上げたくはなかったのであります。しかし、実は私は、この扱いにつきましては一種の被害者で、一生懸命努力はいたしてきたのでありますが、事実上こういうことになった。委員長は一週に何回も開いてもよろしいじゃないかということも言われました。しかし、われわれもなま身であります。そう、委員長の御命令だからといって、定例日を変えたりいろいろすることにもまいりません。それぞれいろいろ用もかかえてもおります。問題は、やはりできるだけの時間をとる必要がある。  それから、これはことばじりをとるようでいけませんけれども、本予算案がおくれておるからということは理由にはなりません。早く提案されますれば、われわれはそれぞれの手によってそれぞれ研究する時間もあった。いかんせん、十二日の提案ということでありますので、一生懸命勉強いたしましてもこういうことになるということを、ひとつ腹の中におさめておいて、今後における御善処をお願いいたす次第であります。  そういうことをお願い申し上げまして、NHKのほうにお尋ねを申し上げるのであります。  実は、もう今日までの質疑応答の中でずいぶんこさいにわたっての意見が開陳せられました。また、当局からは、あるいは格調高き御答弁が、また実行上のこまかい点についてのお話もありましたので、私のお伺いいたしたかったことも尽くされておるやに思われます。ただ、この提案を読ましてもらいまして受けた印象と、その間に、素朴に、はてと思いました一、二の点についてお尋ねをいたして、私の責任の一端を果たさせていただくのであります。  まず、たいへん素朴な、あるいは幼稚なといいますか、お尋ねになって恐縮でありますが、「計画概説」の中に「すぐれた放送実施して、」ということばがあるのであります。私は、この「すぐれた放送」ということにたいへん印象深きものを覚えたのであります。いままでにもあるいは各所で使っておられたことばかもしれませんが、今回、特にこの冒頭に「すぐれた放送」ということを承りまして「すぐれた放送」とは何であろうか、こう自問自答いたしてみたのであります。私なりに「すぐれた放送」の内容や夢や、また現実に即したものというようなものを描いてみたのでありますが、この「すぐれた放送」というものの実体を、もし、ことば短かにわかりやすく、また地方の聴視者に納得させるようなわかりやすいことばで聞くことができますればありがたいと思います。
  61. 前田義徳

    前田参考人 私ども考えております「すぐれた放送」と申しますことは、第一に、主観的な、そしてまた職人的専門満足感と申しますか、そういうものによって番組をつくるべきではない、やはり、ことばが非常にばく然といたしますが、文化、福祉、それらの向上に役立つ番組をつくるべきである、そして大きくは、私ども基本方針は、平和を確保する、そうして人間の価値を高めるという方向にいくべきである、こういう考え方を持っているわけでございます。
  62. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私はたいへん安心いたしました。ということは、「すぐれた放送」ということばでちょっときましたのは、民放と比較してすぐれた放送というようなことであっては、ちょっと残念なように思ったものですから、そうではなくて、そういう比較論ではなくて、本質論としてのりっぱなる放送、理想高き放送である、こういうふうな考え方を持っておられる。  そこで、会長がお考えになっておられる「すぐれた放送」というものの一面といたしまして、聴視者負担もできるだけ軽からしめるということも、その理想の一つの中に入っておるかどうか。
  63. 前田義徳

    前田参考人 全くお説のとおりであります。
  64. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういたしますと、次に私はお伺いいたしたいのでありますが、NHKは今度、ことしからラジオの乙契約が全廃になる、そして今度は、普通テレビといいますか、普通契約といいますか、普通契約の料金を約五%近く下げることになりました。この点は、会長の「すぐれた放送」の一面の実行としてたいへんいいことだと思います。ところが、それとはまた逆に、カラーの特別料金を付加するという方法もおとりになりました。これとは二つが相矛盾するような感がしないわけでもありません。この点については、いままでにも質疑の中で出てまいったのであります。  私がお伺いいたします道順といたしまして、ここでもひとつその間の事情や理由や、今後における見込みなどをもあわせてお伺いをいたしておきたいと思います。
  65. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおりでありまして、私といたしましては、NHK全体もそうでありますが、料金は安きにこしたことはないという考え方を持っております。  たとえば、ラジオ料金は全廃されますけれどもラジオ放送に要する直接的経費だけでも百数十億かかることになっております。したがいまして、私としては、現状維持か、それとも大衆―大衆と申しますと語弊がありますが、端的に申しますと、明年度末の約二千百万世帯の契約の中で、少なくとも二千万世帯の分については、私としては、敢然として、いまの経済情勢にもかかわらず負担軽減の方向に向かうべきであるという判断をしたわけでございます。ただし、百四十万世帯につきましては、私としては、将来の発展、放送の内容、あるいはカラーといえども、宇宙中継との関連その他を考えますときには、今日二千万世帯がカラーテレビを享有できないという段階においては、そのコストを二千万世帯にも負担さすべきではないという考え方を私はとったわけでございます。したがいまして、その部分については、原価計算をいたしまして、その平均値としての百五十円の追加料金の御協力を願うということを考えたわけであります。  将来この問題がどうなるかという点になりますと、NHKは、基本的には、事業計画を上回る財政の余裕というものを考える必要はないわけなんです。これは国民の機関でありまして、われわれNHKに働く者の機関ではございません。したがいまして、これは国民と表裏一体の関係にございますので、今後五カ年間に、それではこの追加料金の部分がどうなるかという見通しも立てました。  一応私どもは、この五カ年間に把握世帯数の増加は四百万内外であろう、したがいまして、最終的には二千四百万内外の世帯が料金の対象になるという計算のもとで、それでは、一体カラーセットをお持ちの世帯はどのくらいになるかという計算をいたしまして、これが二千四百万世帯のうちでおおよそ六百五十万内外に達するであろうという考え方のもとに、その五カ年構想を基礎としてもこの問題をさらに検討して、そして実は百五十円という数字を出したわけでございます。この数字で、もしわれわれが考えるように順調に契約ができるといたしますならば、少なくとも今後三カ年間はきわめて緊縮、自制の方式をとらなければなりませんが、四年後はおそらく数億、五カ年目にはそれが十億台に乗るかどうかという意味で、これまでの事業計画と比較いたしますと、やはり全体的にはそれをお認め願っても、今後五カ年間は、時代の技術の革新あるいは社会の発展に応じて常に後退せずというたてまえをとって事業計画を進めるためには、かなりの苦心を必要とする、このように考えるわけでございます。  もちろん、これに対して、メーカーの製造の台数であるとかその他等を勘案して、この考え方は甘くはないかという御意見はございます。しかし、私どもは、セットの台数によって契約するのではなく、基本的には世帯を対象として契約するわけでございまして、台数とは関係がございませんし、それからまた、今後の社会生活、経済生活の内容が名実ともに豊かになるかどうかという経済の発展についても、私どもなりの計算を立てているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、事業を進める上には、一つのうわ立った考え方で数字の検討はできません。いかなる場合においても、この限度においては事業を後退さしたり、あるいは、国民の機関であるNHKの性格を失わせるようなことがないというぎりぎりの数字を考えるのが、私ども執行機関としては、当然放送法による義務を遂行するただ一つの基礎になる、このように考えるわけであります。   これと関連しまして、私どもは、この目標を達成するためにはやはり一万五千の職員の日常の努力が必要である、こう考えるわけです。たとえば、税金等につきましては、一定の目減りがあったとしても、税率の決定によって最小限度の収入は実際にも確保できるという国家権力を使う方式でございます。私どもの場合は、すべて一世帯ごとに話し合いの上で契約して、相互理解のもとに契約を完成するという企業体でございますので、これは一万五千の職員の努力なくしては、ある意味では、最低の目標を立てても達成し得ない場合がある。逆に申し上げると、この最低基本線を上回るということは、私どもの理解では、一万五千の職員の努力の結果にまつということと全く同じことになると思います。その意味では、私は、われわれが想定したこの予定数を上回ることを内心実は期待しているわけでございます。  それから、この問題と関連して、過般も御質問をいただきましたが、これが予定をはるかに上回るということは、五カ年目に、二千四百万世帯を目標として一千万世帯をこえて追加料金の対象があるという場合には、先ほど来申し上げましたように、私どもとしては、国民の機関であって、われわれがプラスと考える必要のない機関であるという点においては、そのときは、外からの御要請がなくても、われわれとしては当然料金の調整を行なうべきであるという考え方を持っており、過去四十三年のNHKの歴史の中でもこのことは明らかに四回行なわれており、ことに、戦後の経済情勢のこんとんとした時代においても、ある意味では二回行なっているということを御理解いただきたいと思います。
  66. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 ただいま会長から、これからの聴視者の料金の対象になるものの見込みの御表明がありました。私も、世帯を対象にして考えますと、あるいは二千四百万とか二千五百万程度ということになろうかとも思うのであります。  そこで私は、NHKの料金を考えるときに、あくまでも世帯を基本としてやらなければならないのかどうか、長い将来のことを考えて見、またこの二千四百万、現在は二千百万の世帯の中には、台数で見ますと、また、利用効果とでもいいますか、利用効率というようなものから考えてみますと、非常に浮動があろうかと思うのであります。あるいはカラーを持ち、白黒を持ち、ラジオを持ち、またステレオも持っているという世帯もあるかもわかりません。わずかに雨の降るような古い白黒テレビ一台だけを守り通して、それに満足しなければならないという世帯もあろうじゃないか。そういうようなことを考えますと、はたして今後世帯だけを対象として考えることがいいのか。こういうことについてはどういうふうな検討をなさっての上でありましょうか、お伺いをいたします。
  67. 前田義徳

    前田参考人 受像機単位というものが世帯単位の例外であるという考え方は、今日御提出を申し上げてある明年度予算も、考え方の基礎はそのとおりでございます。しかし、将来の社会生活のあり方、それからまた、これはまだ私が御質問にこたえて局内でその組織を通じて検討したわけではございませんが、私自身が考えておりますのは――実は、この案を出す前にもその点については私のスタッフと討議したことがございます。  それからまた、私自身、将来の展望に立ちますと、これらは実際問題と関連しての幾つかの問題をはらんでくるわけでありますが、社会生活の深みが一応の底をつくという段階においては、私としては、台数による方向日本社会もいくべきではないかという考え方を持っております。今日私、個人の見解を述べることになりますが、同時に会長の職にあるわけでありますけれども、今日、アメリカに次いで日本テレビ契約世帯が非常にふえているということは、私は、逆に言えば社会生活の底の浅さを示すものであるという考え方を持っております。中央、地方を問わず、いわゆる個人的娯楽と申しますか、インフォーメーションの対象は、テレビジョンないしラジオにたよらなければならぬという点では、欧米諸国に比べて、私は社会生活の分野がまだ開発の途上にあるというような印象を持つわけであります。  したがいまして、そういう状態においては、NHKの場合は世帯主義をとるべきであるという考え方を持っておりますが、ただいま申し上げましたように、それが何年後かは別として、社会生活の深みが一定の水準に達した場合には、この聴視料の体系はもちろん変わるでありましょうし、その徴収の方法も当然変わってしかるべきではないかというような感じを持っております。
  68. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 将来の展望としては、世帯主義のみにより得ない場合もあろう、そういうことに備えて検討を進めていかれるようであります。私も、そういうことでなければ、なかなか今後たいへんであろうかと思います。  そこでもう一つ、今度ラジオ料金の全廃ではないということをしきりに言っておる。ただ乙契約を廃するということであり、今度新しくなります三百十五円の中にはラジオが入っておる、こういうふうに先般の説明では承ったのでありますが、その点はよろしゅうございますか。
  69. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりであります。
  70. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういうことになって、今度私が心配いたしますのは、当然ラジオ聴取者にもその経費は分担してもらわなければならないのにかかわらず、乙料金については、これが比較的少ない、契約数も少ないし、また手数もかかるということで全廃したということでありますが、今後さらにカラーが普及してまいりまして、白黒のほうが少なくなるといったような場合においては、その白黒の料金の中に入っておるところの――いや白黒だけを見ておる、ラジオは持たないという者については、何か、経費負担の公平を期する上からいえば考えなければならないときがくるのではないかと思いますが、いまの台数主義をもねらわなければならないという時代に処して、その辺の考え方向づけぐらいはしておかなければならないと思うのです。いかがでありましょう。
  71. 前田義徳

    前田参考人 私は、いまの御質問に対して、ある程度の共感を感じながら伺っておりました。  今回御審議をいただく普通料金は、同時にラジオのコストをも含んでいるということを申し上げたのは、従来は無線電信という考え方が潜在いたしまして、したがって、受信料という名前がそれぞれの性格をあらわすという印象になっております。私は、前回の国会でもお答え申し上げたように、将来、これは放送料であるべきであるという考え方を持っているわけです。電信電話と異なりまして、単に電波法であるとか、潜在的、あるいはその背後にある法律の用語と関連して、国民のものである放送機関の料金を受信料という簡単なテクニカルタームで打ち切ることの不満さを私としては持っております。したがいまして、私としては放送料金とするべきであるという考え方を持っており、御審議いただくこの予算の中で、ラジオ料金も含まれているんだという意味は、普通放送料金と同時に、私どもとしては、カラーテレビジョンを含むカラー放送料金という意味での気持ちでございます。したがいまして、私は、カラー部分部分的な需要にこたえているとか、あるいは部分的な公平負担との関連で設定されたものでなくなる状態になれば、何年後かは別として、当然この問題は一本の放送料金という形であらわさるべきであるという考え方も持っているわけでございます。
  72. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 広く放送料金関係をおとりになっていかれる時代がまたくるとも思います。ただ、過渡的に考えますと、いままでずっと受信契約をした者は、あるいはテレビにおいて、あるいはラジオにおいてそれぞれ料金を出しておった。特に免除の対象になった者以外は出しておった。この四月一日からは、ラジオだけの乙料金については免除されるという一つの事態が生じます。  そうなりますと、私が心配いたすのは、現場の人たちが、料金の納入といいますか、そういうことについてとかく苦労をいたしておる。たいへん理屈を言う人も世間にはあります。ことに、現実面としては、民放が盛んに広範な仕事を始めており、カラーなどにつきましては、むしろNHKよりも先に進んでおるというような事情もあります。したがって、NHKなどの番組一つも見ておらぬ、聞いておらぬというようなことを言い出しかねないとも限りません。私どももそういうことについてたびたび現地において意見を聞かされております。それについて、現場で働いておる人たちがいろいろと苦労しておることもあります。ほんとうに公平の原則にのっとるような料金体系の中で進められなければならなかったのが、ラジオ契約が全免ということからして、その利益率や負担能力ということは別個にして減免されてきたということ、片一方においては、今度は白黒だけなどについては多少減額してもいいじゃないかというような意見が強く出ておると思うのであります。  料金体系を将来に向かって方向づけるという意味において、これからどのような施策をとっていかれますか。同時に、過渡的にそういう不公平さがあるにもかかわらず、なお、おことばにちょいちょい出てきますように、聴視者の理解と信頼をバックにして、ということのようでありますから、その聴視者の信頼を博するというためには、どういうふうな具体的な方法を講じていかれるのか、承っておきたい。
  73. 前田義徳

    前田参考人 簡単にお答え申し上げますが、ラジオ料金の全廃の問題は、これはいままでの意味での免除ではございませんで、法律によって取らない、単設ラジオ受信者からは料金を取らないということになったわけでありますが、すでに国会において議決された法律の実施については、私は、日本国民の一人として完全に実行いたしてまいりたい。事ここに至るまでについては、私は多少の意見を持っておりましたが、今日もうそういう意見はございません。  問題は、御質問の要旨は、単に公共料金あるいは公共的料金のみならず、商業的な料金にしても、すべてやはり負担の公平という点を原則としてコストからの計算があり得るわけで、それについて区別はないと私自身は考えるわけでございます。そういう意味で、NHKが行なうすべての放送について、将来いずれの日か一種類しか料金というものがないという時代がくることを、私としては強く要望というか、期待いたしたいと思っております。  ただ、NHKと商業放送との併存の時代というものが、放送法制定の精神から離れて、今日理解のしかたが非常な変化を遂げつつあるということに対して、私はかなりの疑義を持っております。  放送法は、商業放送に対しても国民の波を開放するという立場において、公共放送といわゆる民放の併立ということを、あまねく波を享有させるという点でこれを規定したと私は考えるわけでありますが、しかし、放送事業体としてのNHKの存在は、波の配分とはかかわりなく、私は、基本的義務と責任を負わされていると考えているわけであります。これに対して、巷間ややもすれば、商業放送NHKの併存ということは、商業放送の限度にとどまれという結果を期待するがごとき言辞や批評やあるいは行動があることは、私としては非常に遺憾だと思っております。しかも、商業放送はスポンサーにたよるという方式によって、聴視者との関係においては無料であります。無料放送と同じたてまえをとれというところに、今日放送政策の混乱のもとがあると私は考えております。同時に、NHKとしては、一方ではけんらんたる無料放送があって、しかも、NHK経営は聴視料にたよるほかなしという現状においては、われわれとしては、NHKは全く国民のものであるということを一世帯ごとに理解していただかない限り、私はこの料金の徴収はいよいよ不可能になると考えております。  そういう意味で、私どもは数年前に、何と申しますか、いわゆる従来のNHK的感覚を放棄して、加入局というようなことを考えないで、これを営業局と改めて、そして一人一人が聴視者と直結する、しかも、その直結の基礎となるものは番組の質であるということを考えるわけであります。したがいまして、放送事業のあらゆる面での根本は番組であり、その番組を通じて国民の信頼を得ない限り、現行制度がきわめて世俗的に考えられるところから、放送事業界の将来というものは大混乱を引き起こすおそれがあると私は考えておるわけです。  そういう意味で私は、聴視者との結びつきを一そう強固にしてまいりたいというように実は考えて、その施策の概要は、必要あれば担当理事から説明させたいと思います。
  74. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 時間がまた制約されました。残念ですけれども、しかし、委員長の立場もありましょうから、なるべく時間をぴたりといたしたいと思います。  いま、もしか一歩誤れば、NHKの根底に触れてきはしないかというお話がありました。私もそのことを心配いたします。現在の料金が、強制的に、税金同様に取れるものではないというようなたてまえにありますだけに、料金体系をじょうずに立てておくこと、理解しやすく立てておくこと、納得しやすい方法で信頼を得るようにしなくてはならぬことと同時に、さらに、その基本において、番組がいかにも公共放送らしい品位と理想と、そうしたものの合体となったところのすぐれた放送でなければならないということでありたい、こう思います。そういう意味において、NHK当局の会長はじめ、皆さん方の御苦心はよくわかります。そうでなければならないと思います。  そこで、私は時間がありませんからあまりこまかく入っていくことはできませんけれども、ことしの予算で、特に、これも私がずっと拝見いたしまして一つ印象に残ったことは、業務関係予算、管理関係予算がいままでにもなく伸びが多いように思うのであります。この伸びの多い理由の一つは、この新しい料金体系をもって、新しい出発をするための用意が含まれておるのが基礎にあるのではないかと思いまするので、その内訳を、ごく簡単でいいですからここで御表明願いたい。
  75. 志賀正信

    志賀参考人 お尋ねの四十三年度の業務費の予算につきましては、総額六十五億二千六百万円でございます。昨年度に比べまして三億三千六百万円増額いたしております。ただいまお話しのように、契約収納関係で五十三億三千六百万円でございまして、昨年度よりもこの面で四億七千万円の増加になっております。一方、受信改善あるいは広報関係、主として印刷物の節約等をいたしまして、若干その面で減額をいたしてございますので、その総体といたしましては三億三千万円の増額に相なっております。いまお話しのように、特に四十三年度は受信料体系を改めることになりましたので、特にカラー関係契約につきまして公平を期するために、またその周知に万全を期するために、これに十分な力を入れて約三億円を計上いたしてございます。  管理関係につきましては、総額九十四億六千七百万円でございまして、昨年度の八十五億円に比べまして九億六千万円の増加に相なっております。この中で、一般管理関係といたしまして十九億五千万円でございまして、この面で約五億円の増加になっております。先ほど会長からも申し上げましたように、特に四十三年度を中心といたしまして、この業務の機械化が全面的に軌道に乗りますので、これの機械のレンタル料等が四十三年度から増額に相なっております。それから、一般の社屋その他の施設の管理関係といたしましては二十二億円でございますが、約一億六千万円の増加でございます。それから、その他の一般の雑経費といたしましては、全国の会議費とか、その旅費とか、そういうものでございます。二十五億三千万円でございますが、これは前年度より約二千五百万円ばかりの節減に相なっております。  以上でございます。
  76. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 業務関係で、新しい料金体系などを周知あるいは納得してもらうために相当の予算を盛ってあるようであります。これは現場の人々への活動費とでもいいますか、あるいは、地方での何か詳しいことが出ておるのかもしれませんが、団体をつくるとか、あるいはその他の、学校においてNHKの料金――料金というとおかしいかもしれませんけれども、業務内容を周知させ、そして信頼を博するために何かの方法を講ずるというために特に盛ったものがありますれば、それがどのくらい盛られておるかを承りたいと思います。  それからもう一つ、管理関係においては、ただいま会長からNHKの非常な重大責任に基づくところの職員の決意といいますか、行動の規範のようなお考えが表明されました。私は、そのために、新しく職員の心がまえといいますか、職員ばかりではありませんで、NHK放送関係に携わる人々のNHKならではの考え方基本を徹底させるための何かの方法が講ぜられなければならない時期だと思いますので、この管理関係予算が去年よりずっとふえたその中にはそういうものが相当含まれておるのではないか、こう思ったものですから、その内容をお示し願いたい。それは、私が期待いたしておった、また承って安心したかったからでございますが、いかがでありますか。
  77. 志賀正信

    志賀参考人 先生のただいまの御質問の後段の管理関係の問題につきましては、特に職員の研修関係に力を入れることにいたしておりまして、約二千万円を計上いたしてございます。  それから前段の、新しくカラー契約体系をつくるにあたりましての受信契約者に対しましての措置につきましては、佐野理事のほうから御説明申し上げることにいたします。
  78. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ただいまの御発言のように必ずしも新規の団体をつくるというようなことは設定いたしておりませんが、先ほど来御説明申しましたように、新たな契約ないし収納のための若干の事務費等の増をはかりましたほか、新しい料金体系の周知のために、各種の印刷物あるいは新聞、雑誌等の広告、あるいはNHK自身の活動といたしまして、これまで、たとえば聴視者座談会というようなものを年間三百五十回程度開催いたしてまいりましたものを、倍の七百回台にする、あるいはNHK相談室その他の各種の協会の持っております聴視者との接触のいろいろのパイプの拡大を考えてまいりたい、このように考えております。
  79. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、さらに進んで受信契約の内容、これからの動き、かつ、従来でいいますれば乙契約、甲契約、それから今度新しくなるところのカラー契約、普通契約、こういうことの動き、傾向などについて私なりに考えたことを申し上げて、と思っておるのでありますが、大臣の都合で時間を打ち切るようにということであります。詳しいことに入り出して時間をとってもいけませんから、委員長協力いたします。しかし、私は、決して私の責任まで放棄いたしたわけではありませんので、委員長、ひとっこれは、これからもなにをしないように、協力はいたしますけれども、責任まで放棄させないように願いたい。  そこで、NHK放送内容が、将来の日本全体の経済なり文化なり、あるいは社会全体に影響するということの立場に立っての非常な責任、重大な立場に立ってこれから会長は運営なさっていかれるようであります。その御労苦に対しましては、私ども深く敬意を表するのであります。ただしかし、先ほどのなにもありましたけれども、そういう意欲はあっても、現実面として実際にあらわれるということは容易ではない。あるいは職員全体の訓練において、あるいはまたNHKを取り巻くところのいろいろな協力団体の協力、善意の良心的な協力を得るという意味においてずいぶんと心を砕かなければならないことと思います。世間には、もしかすると、NHKは料金の上にあぐらをかいておるのではないかというような心配を持つ者もおります。そういう心配を持つ者がある限りにおいては、現場において一人一人納得させ、協力を得るようにしなければ、この料金の完全なる収納を得るわけにはまいらぬのではないか。そういうような意味におきまして、料金体系はきわめて公平に、きめこまかな検討の中で進められなければいけないと思います。昨年問題になったところの乙契約の全廃の中には、もちろん政府のツルの一声ということもその動機であったとは思いますが、しかし、それと同時に、乙契約というものをまんべんなく、落ち度なく、漏れなくつかみ取ることが、なかなか実際問題としては骨だということも原因の一つのように私には思われたのであります。  たとえばカーラジオが問題になったんだが、これがなかなか漏れなくというわけにはまいらない。かりにそれをつかんでみても、それと同じような状態における他のものをつかむということもなかなか困難であるということもその一つであろう、こう思ったのであります。そこで、今度また新しいカラー契約というものを対象にして付加料金を取ることになりますと、これがまた、もしか漏れたり、あるいは不公平があったりするということであると、ここにまたNHKの料金そのものに対して、料金体系そのものに対しての不信感が生じてきやしないか、これを心配するのであります。どういうふうにして漏れなく、ことにカラーについて漏れなく協力を得るという方法をとられるか、おそらく業務関係の先ほどの三億という中にはそれが相当入っていると思いますが、それを承りたい。
  80. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 しごくごもっともな、かつ、貴重な御意見を承ったわけでございますが、この四月一日から幸いにいたしまして新しい受信料金が設定されますれば、いわゆる協会内の営業業務といたしまして最大の力点をそこに置かなければなりません。初年度百四十万の契約化を目標といたしておりまして、先般来話がございましたように、現在、大かた九十万台出ておりまして、また、来年度、四十三年度の三月末に国内出荷が百五十万と想定されておりますので、四十三年四月一日以降、来年度一ぱい二百四、五十万の台数に対しての百四十万の契約化ということになろうかと思っております。もとより、白黒テレビの出荷と契約の平均的な推移というようなこれまでの経験値がございまして、この二百四、五十万台の中から、流通在庫、買いかえあるいは故障等による廃止、また同時に、実際国内に出荷いたしましても、協会が契約をいたします間の時間的なズレとか、もろもろの事情がございまして、大かた二百二十万台に対する百四十万台、七〇%の把握ぐらいになろうかと思います。しかし、将来、四十七年度に指向いたしましては、その時点におきます国内出荷に対して九〇%の契約まで推し進めたいという五カ年計画を持っておりますが、当面の百四十万台につきましては、協会がこれまで持っております契約のろいろいろな経験、現在戦力といたしましては、大かた四千に近い職員ないし外部の集金取り扱い者、あるいはサービスセンターの四百の契約専門の取り次ぎ人、あるいは三千六百にのぼります郵政委託、各般の契約ないし収納の体制を総動員いたしまして、まず第一期、四十万の契約目標といたしたい、したがって、私どもといたしましては、この四月から、四、五、六、七というような時期が最大のこのカラー料金の運命をトする重大な時期と思いまして、ただいませっかく準備を取り進めておりますが、非常に困難とも言えますし、あるいは、意外に円滑に契約ができるのではないかという両論ございまして、いまいろいろな意味で諸般の準備を進めておるという状態にございます。
  81. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私はこれで終わりますけれども、難易両論がある、そうだと思います。なかなかむずかしいことだと思います。しかし、むずかしいながら、これをもしか怠っておりますと、また漏れ出してしまいまして、一そう現場においては苦労をいたします。  そこで、漏れなく公平にという意味において、契約の基準などはきめこまかにおきめになること、それからして、それをできるだけ早く徹底なさることが必要だ、そういう前提に立って私は思うのでありますが、カラーは先ほど六百五十万、これから五年間でありますか、というお見込みのようであります。私はいなかに住んでおりますから、いなかにおけるカラー受信機などの売れ行き、あるいはカラー受信機に対するあこがれの状況というようなものを見てみますと、これは相当早く普及されていくのではないか、白黒からどんどんとカラーにかわっていくのではないかというような気配がいたします。ちょうどラジオからテレビにかわったときのような勢い、あるいはもっと早い勢いでかわっていくのではないかという気配も感ぜられます。もしそういうことになりますと、五年を待たずして、あるいは三年程度でその理想の数が実現されるかもしれません。そのような場合におきましては、先ほど会長は、もちろんこれは国民のものであり、受信者の負担であるからして、負担軽減のためにこれは回すから、現実としては付加料金を引き下げる場合もあり得るということであります。同時に、カラーばかりではなくて、普通契約のほうにおいても、全体といたしまして引き下げの方策というものが講じられてもいいのではないかというような気がいたすのであります。  こういうことにつきまして御見解を伺い、私の考えに合いますれば、私はこれで終わりたいと思います。いかがでございますか。
  82. 前田義徳

    前田参考人 先ほど来、私もおりに触れ、御質問等の関連でお答え申し上げましたように、何年のいつということは、これから実行することでありますから、予測は許さないと思います。しかし、お話しのような事態が起これば、もちろん料金の両面にわたってこれを調整し、国民の負担を軽減する方向にいくことは当然であると考えております。
  83. 古川丈吉

    古川委員長 田代君。
  84. 田代文久

    ○田代委員 時間が十分しかございませんので、ひとつ結論だけお答え願いたいと思うのです。  これは、この前私、それから森本委員質問の中で御回答があったんですが、教育番組センターをつくるために、NHK予算の予備金から大体二億円見当を見込んでおられるというのでありますが、その支出の法的な根拠はどうなっておるかということをお伺いいたします。
  85. 川上行蔵

    ○川上参考人 放送法の九条の二項十号、これによりまして支出いたしたい、このように考えております。
  86. 田代文久

    ○田代委員 これは、過去にもこういう支出がごさいましたか。
  87. 川上行蔵

    ○川上参考人 いまお話しがありましたように二億とかいうことになりますと、そういう大きな例はなかったかと思いますけれども、小さいのは過去にあったかと存じます。
  88. 田代文久

    ○田代委員 放送法の第九条の二項の十ということを根拠にしてこれほどの予算を結んでおられるというのですが、これは、政府から何かこの支出については話がありましたですか。全然そういう話もないのに、NHK自体が自発的にこれをなさったんですか。
  89. 川上行蔵

    ○川上参考人 予算にはまだ組んでおりません。これはまだ政府から別に公式にお話があったわけじゃございません。ただ、そういう示唆が郵政大臣から放送連合の席上であったという程度でございます。
  90. 田代文久

    ○田代委員 そういう政府の示唆もあったし、予備金の中から本件それくらいの見当のあれを出すという腹づもりでもあるということになるわけですね。
  91. 川上行蔵

    ○川上参考人 これは、大臣のその席上でのお話は、UHFの局が新しくできる、UHFの局は、今度は受信機も普及していないから経営が非常に無理であろう、困難が予想される、しかし、やはり放送事業体として教育放送充実をはかっていくように努力してもらいたい、そのためには、既存の放送関係団体が協力して、そのUHFの局においても教育番組充実できるように努力してやってほしい、そういうお話でございました。それに基づきまして、それでは、商業放送各会社間におきまして、そのUHFの局を支援する体制が整うということになりましたら、その様子を伺い、あるいはその計画を伺い、それで、同じ放送界におきまして、特に教育放送を専念充実いたしておりますNHKがお力添えができるならば、応分の御協力をしよう、その程度の考え方でございます。
  92. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、大体そういう状態になれば、応分の支出を考えておられるということですね。そうして、それは予備金の中から予定しておられる、こういうことですね。
  93. 川上行蔵

    ○川上参考人 大体そのように考えております。
  94. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、いまのお話を伺いますと、大体この第九条の該当する項目では「特に必要と認められる業務で郵政大臣の許可を受けたもの」こういうことになっておるのですね。そうしますと、こういう教育番組センターというものは、これは郵政大臣としては、特に認可を認める必要があり、また、これを認可するという形になっておるのか、認可はすでになされておるのか、また、なされようとするのであるか、これはひとつ政府の次官にお伺いしたいのですが、どうですか。
  95. 左藤恵

    左藤説明員 ただいまの段階では、まだ申請も出てまいっておりません。その出てきました申請の内容を見ました上で検討いたしたいと思います。
  96. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、これは非常にぼやっとしていますね。ぼやっとしておるわけですが、大体、いつごろそういう申請があり、あるいは認可というような手続が完了するようなお見込みですか。
  97. 川上行蔵

    ○川上参考人 これは現在商業放送関係方々中心となって集まって、いろいろ相談をしていらっしゃいます。それで、NHKもその中にオブザーバーというような形で参って、お話の進行を伺っておりますが、きのうまでのところでは、確実にどういう形、あるいはどの程度の方法ということを伺う段階にまだ至っておりません。
  98. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、あるいは、四十三年度中にこの認可をするとか、あるいは、その事業が発足するというようなことにならない、そういうことも予想されるわけですか。
  99. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりでございます。
  100. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、これは前田会長は非常に食言されているのじゃないかと思うのです。というのは、まだ実際に四十三年度中にこれが認可になるものやら、実際に発足するものやらわからないような事業に対して、そういうぼやっとした幽霊みたいなものに対して、予備金の中から二億円なら二億円を見込んでおられる、いまの御答弁ではっきりしました。そういう腹づもりでおられることが具体的に明確になっているということは、これはどういうことですか。そういうことが許されますか。
  101. 前田義徳

    前田参考人 私がただいまお答しましたように、いつできるかわからないというのと表裏一体で、できる場合には応分の協力をしたい、その財源は予備費しかない、こういうことでございます。
  102. 田代文久

    ○田代委員 私は、予算の使途なり考え方に対して、非常に違法な考え方をしておられるのじゃないかということを危倶するわけなんです。そうすると、いずれにしましても、この予備金の中から二億円程度の金を出すということ自体は、明らかにそういうセンターが認可されることを前提にした上でのプランになるわけですね。また、事実そうなっていると思うのです。そうしますと、そういう教育番組のセンターができる、そうすると、認可されるということになれば、NHKとしては二億円程度の金を予備金から振り込んでいくというレールは、すでにもうその点では敷かれているということになるわけなんですがね。そうでしょう。
  103. 川上行蔵

    ○川上参考人 いま申し上げましたように、どういうものができるか予想がつきません。ただ、それが大臣の示唆があり、あるいは、商業放送方々がいま鋭意努力しておられるものが、ほんとうに放送界で必要であるものならば予備費から出そうということでございまして、予備費の中にそれを見込んであるということでもございません。
  104. 田代文久

    ○田代委員 実におかしいと思いますね。何か、これはあけてみなければわかないようなものだとおっしゃるのですね。そういうわからないものを、しかも、予備金の中から具体的に二億円という、そういうことは許されないじゃないですか。事実おかしいです、それは。もしそういうことであれば、認可というものがあってから後でいいんじゃないですか。あらかじめ予備金の中から二億円というようなことを言われるから、これはおかしいというんです。
  105. 前田義徳

    前田参考人 その点についても、そのとおりであります。ただ、前回の御質問、あるいはただいまの川上理事のあれでは、要するに、商業放送NHKを上回る数億を出すということで、一つの法人ができる場合にはNHKもこれに協力するといりたてまえをとっているわけで、その法人ができない前に、予備費の中でそれを想定して、そうして認可を受ける準備をしているということではございません。  したがいまして、これは全く未定の問題でありまして、前回お話し申し上げましたように、NHKとしては教育放送は三十数年の歴史を持っておりまして、したがいまして、今度民間放送のほうでその必要があるということであれば、放送事業者の一員としてこれに応分の協力をするというたてまえの程度のものでございます。したがいまして、二億円という金も、いまのところはいろいろなお話を伺いますと、民放は必ずしもそういうお金は考えていないようでありますので、この時点では、必ずしも二億円という金高は実際に即しない結果になるであろうという予想もつくわけでございます。
  106. 古川丈吉

    古川委員長 田代委員に申し上げます。  時間が参りました。
  107. 田代文久

    ○田代委員 いまの御答弁は、これは森本委員のときにも二億円というあれが出たのですよ。だから、あなたのいまおっしゃることと内容が――そんなことであれば、二億円とか予備金からということは全然白紙で、こういうことは発言すべきじゃないのです。しかし、あなたがそういうアドバルーンを上げられておるわけでしょう。  それから、なお申し上げますけれども、予備金というのは、大体どういうお金かというのですね。これはちゃんとあなたのほうから出ておる予算総則にも出ていますね。第六条にはっきり出ている。「予備金は、予見しがたい予算の不足に充てる以外にこれを使用することができない。」というんですね。
  108. 古川丈吉

    古川委員長 田代君に申し上げます。  結論をお願いします。
  109. 田代文久

    ○田代委員 これは結論を出さないとぐあいが悪いのです。  そういう予備金をあらかじめされるという事態が違法であるし、全体として、私は、こういうことを発言されるとすれば、撤回していただく必要がある。そうでなければ、これは話が合わない。どうですか。
  110. 前田義徳

    前田参考人 こういうことです。  前回の御質問に答えたのは、その当時は民放間は五億円出すというお話ですから、それにこたえる額というのは大体二億円くらいが要請されているということでございます。しかし、ごく最近の情報によりますと、これは情報ですから、私がその現場であれしたのじゃありませんが、民放はたかだか一千万円だということでございますので、前回の情報に基づく二億円という根拠は、現在のところ全くないわけでございます。  さて、その次の、予備金を想定することは違法ではないかという問題につきましては、予備金は、もともと予算編成時において確定しなかったその後の事態に即応するために予備金というものがあるわけでございますから、予算編成後に始まった問題については、今回の場合も、大臣の御意見書の中に、チャンネル等に関連しては、変更することもあり得るということがございますので、これは先例もございまして、予算編成時に決定しなかった問題の処理には従来も予備費を充当しているわけでございます。
  111. 古川丈吉

    古川委員長 田代委員の持ち時間はもう過ぎました。
  112. 田代文久

    ○田代委員 いま会長は、金額を二億とか一千万円とかおっしゃいましたが、これは金額の問題じゃないのです。あらかじめそういうことをされておること自体が正しくない、たとえ十円であっても。たとえば教育番組センターというものは、これはつくるべきでない。できない。また、私のほうも、こういうものは反対だといって、これはつくらぬということになりましたら――そういうこともあり得るでしょう。そういう可能性もあり得ますね。そういう可能性があるときに、かりに一千万円であろうと何億円であろうと、そういうこと自体は、もうすでに予見されておるということは明白な事実であります。ですから、そういうことをプランされ、あるいは発言されるということは明らかに違法です。
  113. 前田義徳

    前田参考人 私は、まだ法律上の行為はしておりませんので、したがいまして、私自身は違法とは考えておりません。ただ、御質問に答えて、一般情勢との関連でこういうことがあり得るかもしれないという御説明を申し上げた程度でございます。
  114. 古川丈吉

    古川委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――    午後四時四十四分開議
  115. 古川丈吉

    古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。森本靖君。
  116. 森本靖

    森本委員 過日私は、NHKのこの予算案につきまして、NHK側にはだいぶ質問をいたしましたので、本日はおもに大臣にお聞きをしたいというふうに考えておりますが、その前に、まず事務的にお聞きしておきたいと思います。  いま東京においてFMのいわゆる音楽放送局云々ということが盛んに言われておるわけでありますけれども、事務的な問題として、東京においてこれから先使おうとするところのこのFM放送の周波数帯は、何メガサイクルから何メガサイクルの間をとろうとしておるのか、それをひとつ御説明願いたいと思います。事務的でいいです。
  117. 左藤恵

    左藤説明員 東京におきまして使おうといたしております周波数は、ただいまのところ、七十六メガから八十六メガの間の周波数帯を使いたいと考えております。
  118. 森本靖

    森本委員 七十六メガサイクルから八十六メガサイクルまで使う、こういうことでありますが、それ以上の九十メガサイクルまでについてはどうなるわけですか。
  119. 左藤恵

    左藤説明員 FM放送の周波数帯といたしましては、九十メガ帯までを割り当ててあるわけでございますが、VHFの、テレビの第一チャンネルに妨害を与えます関係がありますので、四メガの間はガードハンドとして、その間を免許することができません。
  120. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、このFMの波をとる場合には、その波の幅は幾らずつになっておるわけですか。
  121. 左藤恵

    左藤説明員 八百キロサイクルでセパレートしております。
  122. 森本靖

    森本委員 八百KCで、チャンネルそのものの幅は何KCになっておるわけですか。
  123. 左藤恵

    左藤説明員 二百KCでございます。
  124. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、八百KCと二百KCということで計算をいたしまして、七十六メガサイクルから八十六メガサイクルまでいくとするならば、FM放送が何チャンネルとれることになりますか。
  125. 左藤恵

    左藤説明員 大体十二波とれるのではないかと思われます。
  126. 森本靖

    森本委員 もう少しとれるのではないですか。これは数字の問題ですから……。
  127. 左藤恵

    左藤説明員 十二か三だと思います。
  128. 森本靖

    森本委員 十二か十三では困ります。これは一波のことでも問題になるわけでありまして、七十六メガサイクルから八十六メガサイクルまで、実際は九十メガサイクルだけれども、これは第一チャンネルの妨害ということを考えて八十六、こういうことを考えておる、こうでありますから、七十六から八十六の間において、いま言った二百KCと八百KCの幅をもってとっていった場合に何チャンネルとれるか、正確な数字をお教え願いたい、こう言っておるわけです。
  129. 左藤恵

    左藤説明員 計算的には十二波でございます。
  130. 森本靖

    森本委員 十二波ということになりますと、そのうちで現在使っておりますのはNHKと、東京ではFM東海、この二つになるわけですね。
  131. 左藤恵

    左藤説明員 現在はそのとおりでございます。
  132. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、十波ということになるわけでありますが、関東近県に将来県域のFM放送をおろそう、こういう考え方を持っておりますか。というのは、大臣がよく新聞会見その他において、東京のFM放送というものの波は一波しかない、こういうことをしばしば言明いたしておるわけであります。それについては、どういう意味でそういうことを言っておられるのか、それをお聞きしたいわけです。
  133. 左藤恵

    左藤説明員 広域圏内の全体に二波東京から出すといたしまして、その他の各県につきまして、各県に二波ずつ県域放送を認めたというふうに、かりに仮定いたしました場合には、東京は広域圏の二波だけしか免許できないことになるわけであります。
  134. 森本靖

    森本委員 その五つというのは、どこどこですか。
  135. 左藤恵

    左藤説明員 神奈川、千葉、埼玉、群馬、茨城、栃木の各県であります。
  136. 森本靖

    森本委員 これをそれぞれに割り当てた場合、こうすると、たとえば群馬それから神奈川という場合に、電力のとり方によっても違いますが、同じチャンネルを使うということは不可能なんですか。
  137. 左藤恵

    左藤説明員 技術的に、神奈川県と栃木県だけが共用できると考えております。
  138. 森本靖

    森本委員 そうすると、現実にそうなると十四波を使えるということになるわけですね。
  139. 左藤恵

    左藤説明員 そのとおりでございます。
  140. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、東京に一つしか波が残らぬということには理屈上ならぬわけですね。
  141. 左藤恵

    左藤説明員 東京には、広域圏で出しました場合二波とれることになります。
  142. 森本靖

    森本委員 いま言った理屈でいくと、十二波あるわけでしょう。そこへさらに、それに両県が同じものを出せるということになれば、理屈からいって十四波使えるということになるでしょう。十四波使えるという理屈になれば、いいですか、そこでかりに五県に対して二つずつやるとして、二、五の十。十でしょう。そうすると、東京に四つ残るわけでしょう。四つ残った場合に、そうすると、二波は今日のFM東海とNHKが使っておる、あとまだ二波は使える。
  143. 左藤恵

    左藤説明員 県が六つございます。したがいまして、十二要ることになります。
  144. 森本靖

    森本委員 そうすると、この十二の中には、東京も含めて十二、こういう意味ですか。
  145. 左藤恵

    左藤説明員 東京の出します広域圏を別にした勘定でございます。
  146. 森本靖

    森本委員 意味がちょっと私のほうでわからぬですが、この十二の中に東京の二つは入っておるのですか。
  147. 左藤恵

    左藤説明員 入っておりません。
  148. 森本靖

    森本委員 そうすると十二が東京の中に入ってないとするならば、この十二の中で、いま言ったように、二つのところは同一のものができるとするならば、十四使えることになるわけですね。
  149. 左藤恵

    左藤説明員 そうでございます。
  150. 森本靖

    森本委員 十四使えるということになると、東京を除いた以外の各県で県域放送をやろうとしておるのは幾つですか。――五つでしょう。さっき五つと言ったでしょう。だから、そうすると二、五の十で、十波でしょう。そこで四波残るわけでしょう。四波残るということになるとするならば、現在のFM東海とNHKとの波は二つある、これは別途だ。それ以外にさらに四波ある、こういうことになるんじゃないですか。
  151. 左藤恵

    左藤説明員 広域圏で放送いたしました場合に、群馬県とかそれから栃木県とかの山の中で中継局を設置しなければなりません。その分の波の保留も必要でありますので、各県には二つずつ出した場合にも、広域圏では、東京から出します広域圏も二つしか出せない、こういう数になります。
  152. 森本靖

    森本委員 どうも、私がさっきから言っておることとあなたの答弁の内容が食い違うわけでありますが、いずれにいたしましても、私が聞きたいのは、東京におけるFM放送の波が一波しか出ないという理屈がどうしても私にはわからぬわけであります。二波というのは、NHKFM東海を合わせて二波だ。それ以外には一波もFM放送が出ないという理屈がわからぬわけだ。先ほどからの質疑応答の速記録を見たらわかると思う。私は、これ以外にさらにもう一波、二波程度は出ると見ておる、この七十六メガサイクルから八十六メガサイクルの間においても。  だから、一体、大臣に対してどういう説明をあなた方はしておるのか。大臣はこれに対してどういうふうに受けておられるのか、これは大臣に聞いておきたいと思います。  私は、技術的な問題から、波が一つしかないということを言われておると言うから、現実にいま言ったような計算をしていったならば、波がさらに出てくるじゃないか、こういうことを私は言いたいわけなんです。その点、大臣としてはどうお考えですか。
  153. 小林武治

    ○小林国務大臣 私は森本委員のような専門知識はないから、事務当局が言うことを信頼して、さようでございます。と言うことしかできません。
  154. 森本靖

    森本委員 これはひとつ大臣、十分によく検討願いたいと思います。  ということは、いままでも、Vの波におきましてもUの波においても、ないないと言われておったものが、最終的には、技術的にどこからかひねり出してきて免許するということが往々にして今日まであったことがあるわけであります。そういう観点から、こういう問題が、いわゆる政治的に使われるということについては、私は非常に残念に思うわけでありますから、この点については、ひとつ十分もう一ぺん大臣は事務当局から意見を聞いてみて、再検討してもらいたいというふうに考えるわけであります。  それから、近く技術審議会において答申が出されますところのサブチャンネルの問題でありますけれども、おそらく、この技術審議会の答申においても、サブチャンネルは使い得るという答申が出ると私は思います。  そこで、そのサブチャンネルについては使い得るという答申が出ましても、現実的に――理論的には、これは一応現在のステレオよりは音質が落ちる。要するに、ハイファイ音楽なんかを行なうなんということは困難である。しかしながら、ニュースとかあるいは気象とかあるいはその他の報道を行なう、こういうことについては何ら遜色がない。教育放送を行なうについても、現在の中波より遜色がないということが、私は技術審議会の答申で出ると思います。この点についてはどうお考えですか。
  155. 石川忠夫

    ○石川政府委員 第二次サブチャンネルのエリアの問題でございますが、いままで私どもが聞いているところでは、そのサブチャンネルの波の到達距離が、メーンチャンネル並びに第一サブチャンネルに比べて非常に短いということ、それから、この波を使った場合に、音質はその他に比べて非常に悪いということ、ただいま中波放送に対して遜色がないというようなお話でございましたが、私どもが承っているところでは中波放送に比べて落つる、こういうふうに聞いておりますし、それからもう一つは、この第二サブチャンネルの波につきましては、現在の受信機では聞けない、こういうことでございます。
  156. 森本靖

    森本委員 現在の受信機ではいかぬということについては、これは私は全くあなたと同感でありますが、中波放送より落ちるということは、一体どこの技術者が言われたか、ちょっと参考に聞いておきたいと思います。これはすぐわかることでありますから……。音質が中波放送よりサブチャンネルが悪いということは、一体どこの技術者がそういうことを言ったのか。
  157. 大村保

    大村説明員 大村技術課長でございます。  電波技術審議会におきましては、サブチャンネルの使い方につきまして、いろいろ広い角度から検討いたしてまいりました。その場合に、まずサブチャンネルの使い方というものを十分考えなければいけないわけでございます。これにつきましては、まず、放送的な性格から考えてみます。  この場合にこの使い方はモノ放送あるいはステレオ放送というものに影響がないということが大前提でございます。そういう段階で検討いたしてみますと、中波の特性、中波で得られます音質というところまではまいらないということが一つと、それから、放送区域というものを考えてみますと、大体半径にしまして七割でございますから、面積というものを考えてみますと七、七、四十九で、約半分というふうな結果が出てまいります。したがいまして、エリアの面と特性の問題、この両方において高質の放送というものは不可能であるというふうに考えます。
  158. 森本靖

    森本委員 エリアの面についてはそのとおりでありますが、音質の面において中波放送に音質が落ちるということについてはだれが言ったかということを聞いておるわけです。結局、エリアについてはあなたの言ったとおりのことを認めます。それから、その特性ということについても「たとえば中波放送がずっと広域に夜間は飛んでいくとか、そういう特性についても、それを認めます。しかしながら、このサブチャンネルの音質そのものが中波放送の今日の音質そのものより落ちるということは、一体どういう技術者が言われたのか。
  159. 大村保

    大村説明員 お答え申し上げます。  電波技術審議会内におきます専門委員がいろいろ検討いたしまして、結論が出ております。
  160. 森本靖

    森本委員 結局、私が言っているのは、エリアとか特性とか、そういうことを言っているわけじゃありませんよ。その出るところの放送の音質そのものが中波放送の音質そのものよりも落ちるということがはっきりと技術審議会で言われておりますか。
  161. 大村保

    大村説明員 中波放送と比較した段階で御答申をいただく段階にはないと思います。
  162. 森本靖

    森本委員 私が言っておるのは、エリアの問題も、それからいま言った中波の特性の問題についても、あなたと同意見だということを言っておるわけです。ただし、ぼくが言っておるのは、その行動範囲、エリアというものが小さくても、利用することによっては利用し得る方法があるわけだから、そういうことについては、要するに、このサブチャンネルの音質そのものが、現在の中波放送の行なっておるところの音質そのものと比べて落ちるということを言われるから、私は、音質そのものは中波放送より落ちることはない、現在のFM放送の行なっておる音質より落ちるということは率直に認める、こういうことを言っておるわけですよ。そのことについて、あなたも技術屋だから、私の言っておることは大体わかると思うのだがね。
  163. 大村保

    大村説明員 ただいまのお話の中で、中波との比較においてお話しいただいたというふうに受け取りますが、中波の場合には、やはり技術的なことばでございますけれども、十KC、これまでの特性というものを忠実に電送したいという内容のものでございます。しかし、実際には、現状七千サイクルあるいは八千サイクル、その付近どまりでございます。したがいまして、そこまで考えてみますと、現在のサブチャンネルに与える限界というものは少しく及ばないというふうに考えております。
  164. 森本靖

    森本委員 これは、いずれ実験をしていけば、技術的な問題が明らかになると思います。ただ私は、音質そのものが変わりないというふうに考えておるわけですし、それから、これの使い方によっては、さらにFM放送のやり方そのものの考え方を根本的に変えていかなければならぬというふうに考えておるわけであります。  そこで、大臣にお聞きしたいと思いますが、大臣は、FM放送については、音楽放送の専門局というものを、東京あるいは大阪、名古屋、こういう方面に許可したいということを言明せられておるようでありまするが、その内容はどういうことですか。
  165. 小林武治

    ○小林国務大臣 内容と申しますか、要するに、私が根本的に考えておることは、FM放送を実用化したい、こういうことが第一前提、実用化するについては、波の数の関係もあるから、東京に、私が聞いておるところではいまは二波しか使えない、こういうことになると、NHKが一波使っておるから、他の一波は、一般局などにすることになれば、またいろいろの摩擦が起きてくるから、一般大衆から見ての最大公約数的な何かの局ができないか、こういうことから、主として音楽をやるような局が実用化できないか、こういうことを考えたわけであります。
  166. 森本靖

    森本委員 主として音楽と言われましたが、音楽以外にどういうことを考えておられますか。
  167. 小林武治

    ○小林国務大臣 その局はニュースも出したらよかろう、こういう御意見もありますが、ニュースを出すということになると、いまいろいろ新聞社もあって、どこが出すかというようなことについてなかなか話し合いがまとまるまい、したがって、この際ニュースはそこへ入れないようにしたらどうか。音楽とかあるいは音楽教育とかあるいは教養とか、いろいろな問題がありますが、要するに一般娯楽的なものは排除する、こういうふうな考え方であります。
  168. 森本靖

    森本委員 これは電波監理局長に聞きますが、外国に、そういうふうな、いわゆる音楽放送専門局というふうな、ニュースを放送しないFM放送局がある例がありますか。
  169. 石川忠夫

    ○石川政府委員 聞いておりません。
  170. 森本靖

    森本委員 これは、私は特に大臣にはっきりと申し上げておきたいと思いますが、いろいろ各社それぞれがあって免許がしにくいから云々というふうなことで、おそらくこのFM放送局を免許する際に、その中にニュースをのけるということについては、私は世界でも初めてのことになろうと思います。そういうことを、大臣が開拓精神でやるということについてはけっこうでありますけれども、私は、世界の放送界のもの笑いになるようなことについてはやってもらいたくない。やはり放送というものの根本的な問題から考えていった場合については、少なくとも、ラジオにおきましてもテレビにおきましても、現実にここにあるものを同じ時間に大衆に見せるというのが、大体放送というものの根本的な理念であります。もともと、いわゆる放送というものをビデオテープにとったり録音テープにとったりして送るのは、大体便宜上やっておることであって、現実には、その場で起こったものをその場で放送するというのが放送の特性であります。  そういう点からいくとするならば、たとえば音楽放送の専門局で音楽放送ということだけするならば、ちょうどこの間大臣はおられませんでしたけれども、いまちょうど東京で盛んに行なわれておりますところの有線音楽放送でけっこうであります。あるいはまた、ミュージックボックスといいますか、そういうものでもけっこう通ずるわけであります。そういう点からいくとするならば、FM放送局というものをつくるとするならば、その中にニュース、報道性というものを除くということについては、これは私は、どう考えても放送局の設置ということについてはおかしいではないか、こう考えるわけであります。これは後世にいろいろ残るわけでありますから、私は、あえてこの意見大臣に言っておるわけでありまするが、どうしてもニュースは除く、こういうことですか、大臣
  171. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは理屈の上ではニュースを除くというような問題はない。一種の便宜論といえば便宜論、要するに、あまり方々に摩擦がなくて実用局がどうしてできるか、こういうふうな考え方から出てきておるのでありますから、そういうふうな問題がある程度片づけば、ニュースを入れるのは、私はあたりまえだ、こういうふうに考えております。
  172. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、やはりそういうところのもろもろの条件を解消して、そうした上においてニュースを入れて免許をするのが当然ではないか。私は、ニュースを抹殺したラジオ放送局というものはあり得ないと考える。だから、やはりニュースを入れたならばなかなか免許がしにくいということになるとするならば、それを入れても放送ができ得るように、郵政省としては全力をふるって努力をすべきではないか、それがむずかしいからといって便宜論でやるということは、放送界にとって将来に大きな一つの禍根を残すのではないか、私はこういうように考えるわけです。だから、大臣考えておるように、そう簡単に音楽放送専門局でいくと考えてもらったのでは、私はこの点は、はっきり言って困る。だから、この点については、もしニュースの点について、波が一つか二つしかない、まあ一つということを電波監理局は言っておりますが、私がいろいろ計算してみたところ、二つくらい出そうでありますが、それは時間がかかるのできょうはおきます。  とにかく、ニュースを放送するということになれば、これは新聞社が四つも五つもあってなかなかむずかしいということであっても、なおかつそれを統合して、そして何とかこのFM放送局というものからニュースが流れていくというふうなことで解決をつけなければ、私は、こういうふうな音楽放送専門局というものは、およそ将来においてもの笑いになる、その点、大臣のはっきりした見解を聞いておきたいと思うわけであります。
  173. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは、いま申し上げたように、性格的な問題というよりか、実用化がいかに早くできるか、こういう一種の便宜論から出ておることでありますから、お話しのように、ニュースを入れることがもとより当然のことである、こういうふうに思いまするし、そういう努力もひとつしてみることにいたします。
  174. 森本靖

    森本委員 そこで、努力してみたけれどもできなかったから、便宜的に、やむを得ず音楽放送専門局というのを許可しないようにということを言っておるわけであります、私ははっきり言うと。というのは、大臣に、こんな放送局を許可した大臣はだれだということを後世において言わしたくない、こういう考え方であります。およそ世界に例のないそういう放送局を許可するということは、あなたにとっても望ましくないと私は思う。それから、日本放送界にとっても望ましくない。だから、そういう点については、私は、大臣が最大の努力をして、そうしてどうしてもむずかしいということになるとするならば、これはもうやむを得ませんから、許可しないということになるかもわかりません。あるいは、そういうことをするよりかは、私が前から言っておりますように、全国のFM放送のチャンネルプラン、さらに中波放送のチャンネルプラン、これを全体を合わせて、その一環として東京にも許可をするということであるとするならば、一応筋が通ります。しかし、いま言ったように、七十六メガサイクルから八十六メガサイクルの間において関東においてはこう使うというはっきりしためどもなくて、現実に東京だけに一つだけおろすということは、これはまた筋が通らぬわけであります。  放送行政の筋からいくとするならば、少なくともFM放送をやろうとするならば、全国的にFM放送の波はこういうような周波数計画を持つのだ、そうして、NHKはこういう放送を行なうのだ、さらに、民間放送についてはこういう内容の放送を行なうのだ、置局はこことここにこういうふうに置くのだ、こういう計画を立てて、そうしてその上に立って免許申請者の中から適当な基準をつくって免許をしていくというのが、これがほんとうのやり方であります。それを、大臣一つずつつまんで許可していくというようなやり方は、私はあまり好ましくない。  ただし、私がUHFのときに黙っておったということは、あの場合には、はっきり言いますと、各県でいままで一つしか見えていない局について二波以上見せるということについては、これは前の放送法の改正のときからもう与野党が一致しておるものでございます。だからUの問題については私は黙って見ておったわけであります。そういう点からいくと、いままで一つしか民放が見えない所が二つ見えるという点については、国民側から見れば、これはいいことになります。しかしながら、今回のFM放送について、これは東京か大阪か名古屋か知りませんけれども、そこに一つか二つか、音楽放送専門局みたいなものを簡単に許可するということでなしに、この問題こそは、やはり全国的なチャンネルプランをつくって、その周波数計画のもとに一つの大きな放送行政を立ててやっていくのが妥当ではなかろうか、少し大臣は功をあせり過ぎて、はやり過ぎているのではなかろうか、こういうふうにも私は感じます。その点、ひとつ―私は別に、はっきり言って、大臣のあげ足をとるとかなんとかということではありません。これは、放送行政のあり方というものを基本的に大臣にお尋ねをしておるわけであります。
  175. 小林武治

    ○小林国務大臣 FMの免許をするにあたっても、お話しのとおり全国的のチャンネルプランをつくって、その中のこととしてやる、こういうふうには郵政省もきめております。全体をきめて、そうして、それをどういうふうに個々に免許するか、こういう問題となっております。
  176. 森本靖

    森本委員 それでは、時間もだんだん迫ってまいりますので、再度確認しておきます。  FM放送局については、全国的な周波数で使用計画をつくり、その上に立ち免許を順次行なっていく、さらに、音楽放送専門局といって、いままでニュースを除くというようなことを言っておったけれども、そういう点については、ニュースは、これは放送局として入れていく、こういう考え方に立っておる、こう解釈をしてよろしゅうございますか。
  177. 小林武治

    ○小林国務大臣 私は、いまのFMの局の性格として、やはりニュースが入るのが自然の、当然の弊である、こういうふうに考えておるから、そういうための努力は十分いたしたいと思いまするが、これがいまのような状態においてはなかなか摩擦が多くて、めんどうな事情があろう、こういうふうに考えて、実用化を早くするにはどういうふうにしたらいいかということで、いまのような当面の便宜的の方法としてニュースというものを除いたらどうか、こういう考えであります。しかし、恒久的の問題としては、当然ニュースを入れていくのが世界のどこの放送局もそうであるという一どは、お話しのとおりでございます。したがって、どっちを、要するに拙速をたっとぶか、よく十分考えてやるかといえば、早くできるなら当然ニュースを入れて考えていくべきである、こういうふうに考えて、そういうふうな努力をこれからもしてみましょう。
  178. 森本靖

    森本委員 その努力をせられることはけっこうでありますけれども、その努力をせられても、なおかつ非常に困難であるということが、大臣の先ほど来の答弁によってうかがわれるわけであります。だから、大臣としては、便宜そういうものは除いて、音楽放送専門ということで許可しようというふうに考えておられるわけです。それを私が言っておるのは、もしそれを大臣がやったら、いまの段階において、大臣は当面いろいろな争いを片づけるにはそれはいいかもしれないけれども、私は、後世においてそれは放送界にとってはもの笑いになる、だから、性急に事をし損ずるということになるからそれはやるべきでない、こういう意見を先ほど来言っておるわけであります。私は、大臣に、大臣のためを思って言っておるわけであります。この点は、ひとつ大臣も、これは常識的な問題であり、私が言っておるのは最も望ましい、そういう方向に努力しよう、こう言っておるわけであります。しかし、万が一、努力してもできなかったならば、違った、変則的なものでもしかたがないから、とりあえず便宜的にやろう、その、とりあえず便宜的にやろうということはやめてもらいたい、こういうことを私は言っておるわけであります。
  179. 小林武治

    ○小林国務大臣 いまの森本委員の御意見はよくわかりました。ただ、結論的にまだどうこうということよりは、あなたの御意見というものはまことにごもっともな御意見であると私も拝承いたします。
  180. 森本靖

    森本委員 もっともな意見で拝承せられても、私は実はその方向に実行してもらわなければならぬわけでありますので、これはあえて私はこれ以上の追及はしませんけれども、私の意のあるところはよくくんでいただいて、そうして、ものごとは考えれば考えるほど何らかの一つの解決策というものは見出し得るものであるというように私は考えております。その解決策というものをやはり見出すべく努力を今後とも大いにすべきではないか、こういうように考えておるわけでありますので、とにかく、原則的に意見が一致をするならば、その原則的な意見の一致の方向にやはり努力をしてもらいたいということを、重ねてひとつ大臣に申し上げておきたいと思います。これは、今後始まりますところのFM放送の非常に基本的な問題になりますので、特に要請しておきたいと思います。それから、先ほど申し上げましたサブチャンネルの問題の件でありますけれども、この問題についても技術審議会が近く答申をする、こういうことを言われておりますけれども、その審議会の答申の結果を待たなければなりませんけれども、もしかりにそのサブチャンネルが、エリアが小さくともある程度放送に使えるということになるとするならば、これはやはり私は有効に使ったほうがよろしいというふうに考えておるわけであります。そういう点については、事務当局にもよく意見を聞いていただいて、大臣としても慎重な政策を立ててもらいたい。  さらに、大臣によくお願いしておきたいことは、こういうことについては、事務当局からものを聞いても、根掘り葉掘りよく聞いて、とことんまで腹から納得のいくまで、波の問題については大臣みずからがよく頭の中に入れるようにしてもらいたい。そうしないと、技術的な問題でありますから、ややもすると、もうこれ以上出ません、そうか、何ぼやっても出ぬか、うん、というようなことになると、これは何にもならぬわけでありますから、そうなると、どうも自分でおかしいと考えるならば、やはり自分で研究してみるということも必要でありますし、他の人の意見も聞いてみるということも必要である。だから、こういう技術的な問題等については、ぜひ各方面の意見も十分聞いていただきたい。もちろんこれは、電波監理局長並びにその下にいる人の意見が主流である。でありますけれども、各方面にもそれぞれの技術者もおるわけでありますから、参考的に各方面の意見を聞くについては決してやぶさかであってはならぬ、こういうように考えるわけでありますので、そういう点についても、大臣は十分に今後御配慮を願いたい、こう考えるわけでありますが、大臣の御所見を聞いておきたいと思います。
  181. 小林武治

    ○小林国務大臣 実は、根掘り葉掘り聞くほどの材料がないものだからして、どうも事務当局の話を承ることになりますが、しかし、お話しのように、他の機関の方にも聞いてみろ、これは当然なことでありまして、私もときどきお聞きはいたしておりますが、最後は、郵政省の担当者の言うことを聞くということになっております。
  182. 森本靖

    森本委員 いまの大臣の最後の御答弁は、私はけっこうだと思います。各方面の意見を聞くということは非常に大切なことでありますから、十分にやっていただきたいと思います。  時間も迫っておりますので、約束どおりやめたいと思いますが、ただ一つだけ聞いておきたいと思いますことは、例の教育番組をつくるところのいわゆる教育放送センターというものの構想でありますが、これの構想を具体的に大臣としては現在どう思っておられますか。
  183. 小林武治

    ○小林国務大臣 まだ構想を持っておりません。
  184. 森本靖

    森本委員 構想を持っておらぬということでありますが、これは、何か新聞かどこかで発表したことがありますか。
  185. 小林武治

    ○小林国務大臣 発表したことはありません。
  186. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、現在の業界紙、新聞その他に載っておることはすべて誤報であって、まだいまのところ教育放送番組センターということについては、郵政大臣としては毛頭考えておらぬ、こう解釈していいわけですね。
  187. 小林武治

    ○小林国務大臣 いろいろ考えてはおりますが、外へ出すほどの固まったものは持っておらぬ、こういうことであります。
  188. 森本靖

    森本委員 これは非常に重要なことでありますから、いろいろの考え方を持つのは、大臣、けっこうでありますけれども、実行に移す段階においては、これはかなり慎重に考えていかなければならぬ問題であろうと思います。これを権力によって押しつけるとか、そういうことがあってはならぬし、それからまた、この教育放送番組センターというものはいかなる内容であるかということについては、これは非常に大きな問題であります。教育放送というものは、私は昔から考えておりますが、少なくとも、最低二つ以上の教育放送がなければ非常に危険であるということを考えておるわけでありますが、いずれにいたしましても、現在のところ、外部に発表するような段階には大臣はない、このことははっきり言えるわけですね。
  189. 小林武治

    ○小林国務大臣 さようでございます。
  190. 森本靖

    森本委員 これは、この間も中野委員との間においていろいろやりとりをやって、私も聞いておりましたが、こういう点については非常に誤解を生むような点もあろうかと思いますので、大臣がかりに談話を発表するなり、いろいろの会見をせられるときには、ひとつ十分に言動に責任と慎重さを持っていただきたい。といいますのは、いま、教育放送センターについて大臣が現在全然考えておらぬ、こういうことを言われましたけれども現実前田会長としては、私の質問に対して、場合によっては、そういう要請があった場合には二億円程度は出したいということも答弁をせられておるわけであります。しかしながら、いまの大臣の答弁を私はそのまま率直に受けて、現在は全然白紙であるという考え方に立ってこれ以上この問題については追及いたしませんけれども、こういう重要な問題については、ぜひ大臣、慎重な発言と行動を行なっていただきたいということをひとつ要請しておきたいと思いますが、最後に、大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  191. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは、放送番組をつくるセンターと放送実施する機関と、こう二つに分かれると思うのです。  放送番組のほうは、これは自主的にいまの民放等でお考えになってきておるようでありますけれども放送実施する機関のことを私は主としていま申し上げたのであります。教育放送番組センターというものは、これは役所が関与すべき問題でない。これは民間の放送機関が自主的に御相談なさっておやりになったらよかろう、こういうことに考えておりますから、われわれのほらはこれに関与してない、こういうことであります。
  192. 森本靖

    森本委員 だから、放送実施するところの機関も、それから番組のセンターについても、どっちもいまのところ大臣は部外に発表するようなことについては考えておらぬ、こういうことでしょう。
  193. 小林武治

    ○小林国務大臣 放送実施する教育放送機関、施設ですね、こういうものと、番組をつくるというセンターと別なものであって、放送実施機関については、将来どうするか、われわれは具体的なものを持っておらぬ、それから、番組センターについては、これは放送団体が自主的におやりになることであるから、われわれとしてはそういうものに関与しておらぬ、こういうことでございます。
  194. 森本靖

    森本委員 そこで、一応これははっきりしてまいりました。  会長にも特に申し上げておきたいと思います。いまああいうふうな大臣の答弁でありますから、会長としても、こういう問題についての答弁は今後慎重に願いたいと思うわけでありますが、会長の御意見をちょっと聞いておきたいと思います。
  195. 前田義徳

    前田参考人 私も、従来のお答えの中でも、民間放送というものが主体であって、それに応分の協力をするというたてまえ以上に出ておらない、内容についてはまだ何も決定をしていないという報告を受けているということでございます。
  196. 森本靖

    森本委員 この問題については、われわれとしては、今後どうなってまいるかということについて相当大きな関心を持っておるわけでありますので、この点についても、大臣は今後慎重なる言動と配慮をもってやってもらいたいと考えるわけであります。  もう一点だけ聞いておきたいと思いますが、今後のこの郵政大臣意見書は、いままでの意見書と違いまして、訓示的な意味がだいぶ入っておるように感ずるわけであります。この意見書の意味は、たとえば特記事項ですね、こういうものは、はっきり言いまして、こういう意味であるかどうか。今後「国民の受信料負担の軽減という見地から、これが適正化についてさらに考慮すべきである。」と書いてあります。これは将来カラーテレビ受信料が多くなってきた場合については、それによってNHK受信料そのものについても、減額なりその他のことについて考えろ、こういう意味のことであるかどうか。これは大臣から聞いておきたいと思います。
  197. 小林武治

    ○小林国務大臣 いまおっしゃるような意味であります。
  198. 森本靖

    森本委員 これで大臣意見が一応はっきりいたしましたので、もう一点、NHKに聞いておきたいと思います。  地震あるいは天災地変、こういう天変地異の災害があった場合、あるいは、こういうことは日本にはもう今後起こり得ないと考えますけれども、かりに政治的なクーデターがあった場合、こういう非常事態の場合における放送体系について、これはNHKよりも、まず郵政省に聞いておきたいと思いますが、郵政省としてそういう非常事態の場合における放送体系について平生からどういうふうにお考えになっておるか、この構想をお聞かせ願いたいと思う。――なければないでいいのですよ。
  199. 石川忠夫

    ○石川政府委員 非常事態について、特に非常事態用の放送網その他については、いままでのところ考慮されておりません。
  200. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、かりに地震その他において東京が全滅をしたというようなかっこうを仮定いたしました場合、結局そのキーステーション局はいまの他の大都市に移っていく、こういうかっこうになるわけですか。
  201. 石川忠夫

    ○石川政府委員 テレビにつきましては、キーステーションが壊滅した場合に直ちにというと非常にむずかしい問題があろうかと思いますが、ラジオにつきましては、各地とも番組の編成ができますので、そこからキーステーション的な役割りを相当程度果たすことができると考えられます。
  202. 森本靖

    森本委員 NHKについては、こういうことを想定したことがありますか。
  203. 前田義徳

    前田参考人 天災地変については、特別の法律もあり、われわれとしては、第一次、第二次長期計画を通じていかなる場合にも放送を中断しないという建設計画を完成したわけでございます。
  204. 森本靖

    森本委員 たとえば東京に例をとった場合、東京が壊滅をしたという場合でも、それぞれのローカルがそのまま生きてくる、具体的に言えばこういうかっこうですか。
  205. 前田義徳

    前田参考人 具体的に言いますと、東京が半壊の場合にどうあるべきか、東京が全壊した場合にどらあるべきか、この両面にわたって、放送を中断しないという設備と体制を整えております。
  206. 森本靖

    森本委員 おそれ入りますが、ひとつそのNHKの体制を、あとでけっこうでありますので、資料としてひとつ御提出を願いたい。われわれのほうとしても検討してみたい、こう思っております。  さらに、NHKがそういうふうな計画を持っておるのにもかかわらず、郵政省としてはそんなものは全然知らぬというようなことについては―私は、こういう点こそ、郵政省とNHKが十分に連絡をとり合ってしかるべき問題であると思う。NHKにああせよこうせよと、番組その他についていろいろなことを言うのじゃなくて、こういう非常事態の問題こそ相談をしておくべきであるというふうに考えるわけであります。しかしながら、そういう点については、いまの機構ではなかなかむずかしいと思いますが、天災地変があったときには、一体この放送というものについてはどうするかということについては、郵政省は郵政省としての放送行政として考えなければならぬと思うのです。  やはり天災地変が起こった場合に一番大きな問題は、とにかく最終的にはラジオになると思います。ラジオが生きておるということが、国民に対して大きな一つの望みを託するわけでありますから、これしかないわけでありますから、こういう点についての態度については、今後郵政省としても十分ひとつ御検討を願いたい、こう思うわけでありますが、大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  207. 小林武治

    ○小林国務大臣 御意見のとおり、ひとつ計らいたいと思います。
  208. 森本靖

    森本委員 では、終わります。
  209. 古川丈吉

    古川委員長 小沢貞孝君。
  210. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、NHK予算を審議する上にあたって、非常に広範ないろいろな問題があろうと思いますが、時間がないので、きょうは主として経理面についてだけお尋ねをしたいと思います。  前回の質問のときにも私申し上げましたが、放送の中立性といいますか、番組を編成するにあたっては、政府からも政党からも支配されず、中立性を守る、こういうことは非常に重要なことだと思います。しかし、そういうことと経理というものが、だれからもくちばしをいれられないで―私は、ことばが悪いかもしれませんが、政府及び関係経理、たとえば電電公社あるいは専売公社、あるいは、それとは性格が違いますが、NHK経理、そういうものを見ると、国民の税金にひとしいようなものを取っているのに、みずから経営近代化合理化し、それをやろうとする意欲というものがその経営の体内から一体出てくるであろうか。こういうことについては、何もNHKばかりではありません。電電公社の経営委員会だかもそうで、そういうシビアーな国際情勢なんかで、民間企業は一生懸命に努力している。しかし、どうも政府企業とくれば、郵政省の年金もそうだし保険もそうだが、そういうようなものが、みずからの体内から経営近代化し、合理化しようというものが一体出てくるであろうか。こういうことについて、私は、この国会を通じてどうしても疑問に思っておるわけです。  たとえばNHK予算についてもそういうことを若干考えました。私は、宮澤発言の中で、余裕金があり過ぎるというような発言を新聞記事で読みましたが、なるほどと考えて、少し研究してみると、そういう点がありはしないかというように考えたわけです。  そこで、私は前田会長にお尋ねをしたいが、NHKの企業自体の中で、一体どこからそういう意見なり考えなり企画が出てくるであろうか。経営委員会の中でやらなければならないことは私は当然だと思いますが、経営委員会は一体そういうことを考えているか、あるいは、経営委員会に監事が報告するというのも、宮澤発言によれば、単なる口頭発言程度であって、というような意味のことが書いてあるわけです。そうすると、会長以下、理事がそういうことに取り組んでこたえるべきか、その三つ、あるいはまた、民間企業等においてはもう当然のことになっていますが、民間とは違います。違いますから、そのまま当てはまらないかもしれませんが、民間においては、新しい時代に即応して、労働組合が産業政策なり何なりというものを提起して、みずから合理化を進めよう、こういうような意欲も民間に出てきているから、NHKの職員あるいは労働組合の中からそういった体質的な何か発言が出てくるとか、内部から考えれば、以上四つくらいしか経営合理化なり何なりということについての出てくる場所がないんじゃないか、こう考えるわけです。これに対してどうでしょう、会長さんの御意見をひとつお尋ねをしたいと思います。
  211. 前田義徳

    前田参考人 まことに同感でありまして、NHKは、ただいま御指摘の四つばかりでなしに、もっと衆知を集めて、積極的に近代化、体質改善、同時に、国民にこたえる意味での番組の質的向上、その裏打ちとなる財政の節減、合理的な使用ということに努力をいたしております。  簡単に申し上げますと、まず協会内部で申しますと、経営企画の部門がございます。さらに、各部門を合わせたもので経営企画会議というのがございます。それで一応の基礎的検討をしたものを、今度はわれわれの間で、いわゆる通常の会社に比べますと、社長、副社長を含めた専務会というものがございまして、そこで問題をしさいに検討いたしまして、今度は、法律上の機関としての理事会にかけるわけであります。理事会にかけて、しかる後、また放送法規定に従って、経営委員会に詳細な執行機関としての説明を申し上げて経営委員会の御意見を承り、基本的方針は、すべて経営委員会によって議決されるという形になっているわけでございます。  さらに、経営委員会と執行機関との関係を結ぶこの面からのかけ橋としては、御指摘の監事がおります。経営委員会NHKの首脳を任命するものは二種類であります。第一は会長、第二は、監事も経営委員会の自主的任命にかかわるものでございます。監事は現行三名おりますが、NHKの相当な経営の経験を経た者は、この三名のうち一名でございます。他の二名は各界の専門的権威者によって構成されており、現在は会社経営、民法上の最高権威である鈴木教授と、経済の最高権威である中山名誉教授がその監事になっておられます。各理事会においては監事の代表が必ず出席するというたてまえ――これは法律上にはございませんが、実際、運営上はそういうたてまえをとっております。ですから、毎回の、一週間二回定時的にある理事会にはすべて監事が出席して、これを聞いております。さらに、経営委員会は執行機関の意見に対して監事の見解を聞く場合も非常に多くございます。それからまた、監事の事務局が設定されております。それから、監事の経営委員会に対する報告は、単なる口頭報告のみではございません。私どもは執行機関の長として、ことに、私は放送法によって協会を代表することになっておりますので、その点では、郵政大臣に協会の業務執行の内容とその財政の現状を決算の場合に必ず御報告申し上げるわけでありますが、その報告書をしさいに監査検討しているのが監事でございます。  したがいまして、私の印象としては、従来、これはむしろNHK側に多少の欠陥があるかと思いますけれどもNHKぐらい全般にわたって、ただいま御指摘の点について最大の努力を払っている機関はそれほど多くはないのじゃないかというように、逆に考えている次第でございまして、特にNHKの場合は、ややもすれば、電電公社、国鉄、専売公社などと同列に置かれるわけでありますが、電電公社及び国鉄等は、国の資金、すなわち税金によってこれをまかなう部分がきわめて膨大であります。専売公社は、御承知のように、国の徴税権を専売の形において委譲代行する機関でありまして、その点においても、これは国家と直結している機関であります。これに対してNHKは、放送法という特別法が存在することが最も明らかに説明しているように、国民の機関であって、特別の部門に所属する付属機関ではないというたてまえでは、私どもはことさら、こういう責任あるいは経営の実態の発展、節約、合理化近代化については特に全力を注いでいる。ただ、おそらく外部のいろいろな方は、私ども能力、これの限界を無限に近いものとの想定の上で、まだ不完全ではないかという御指摘があると私は解釈しておりまして、その点についても、内外の御意見にはきわめて敬虔な態度でこれを承り、できるだけ経営の鈍化に役立てたいというのが私ども考え方であります。
  212. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 まことに精神訓話的な、全NHKの職員にそういう気魂でやっていただいていることを実は感謝を申し上げておるわけですが、それだけの気持ちでやっておっても、たとえば民間企業等においては、他動的に、よそから近代化せざるを得ないような要因がくる。しかし、公社とか、たとえばNHKとかいうところにおいては、外的なそういう圧力ということばはおかしいかもしれませんが、そういう要因がないわけです。したがって、自律的にみずから合理化近代化を推進しようということについては、特別の意欲を持ってやってもらわなければならないのだ、こういうことを、私は電電公社のことについても、政府の事業についてもしょっちゅう考えておるわけです。だから、その点についてはあとで具体的に触れたいと思いますが、もし、そういうことが協会みずからの体質の中からできないとするならば、これはよそからの意見に耳を傾けざるを得ない。よそからの発言によって経理なり何なりというものは口ばしをいれられなければならない。そのよそとは何ぞや。政府意見か、あるいは国会の意見か、いろいろあるだろうと思いますけれども、特別の機構をつくるか、こういうことにならざるを得ないわけです。だから、いま言われた幾つもの中のどこかから、自律的にもっと企業の近代化経営合理化ということについては――経理面だけです。私の言うのは事業的な面だけです。そういうことについてはシビアーに検討しなければならないのじゃないか、こういうような意見を常に持っておるわけです。  そこで、そういう立場からその面についてだけ御質問をいたしますが、今度の料金改定、受信料の改定というものは、会長自体としては、一体値上げと考えるのか。白黒は十五円下げました、ラジオのみの場合はやめました、こういうことと抱き合わせでいま提案になっています。なっていますが、これは一体料金値上げと考えるのか、値下げと考えるのか。これは、見方は長期的な展望と、ことしだけを見る目とによってずいぶん違います。端的にいってどういうようにお考えでしょう。
  213. 古川丈吉

    古川委員長 前田会長、御答弁は非常に要領よく、熱心でございまするが、時間の関係がありますので、なるべく簡単にお願いいたします。
  214. 前田義徳

    前田参考人 少なくとも、今回の予算編成の基礎となっております私どもの五カ年間の想定から申しますと、値下げであるという考え方に立っております。
  215. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこがわれわれと根本的に違うところです。この間もどなたか、中野委員か何かの御質問にもありましたが、これからカラーテレビは、いまの長期構想、あとからようやく出していただきましたけれども、五年後においては六百四十万だったでしょうか。そのときに、値下げの時期というものは、それが一千万くらいになったときに値下げが可能であります、こういう発言があった。将来カラーテレビは伸びていくということは明らかなわけです。だから、比重はだんだんカラーテレビに移るということは明確なんです。将来その比重がふえるであろうところのものを、三百三十円から四百六十五円にしたわけですから、これは約三割、三三%くらいに相当する値上げであるわけです。将来は比重が下がっていくような白黒と、ラジオはもうほとんど有名無実だと思いますが、こういうものをなくしたり減らしたところで、これを値下げという感覚で提案をされているということについて、私は非常に会長との意見の違いがあるわけです。どうでしょう。
  216. 前田義徳

    前田参考人 お考え方いかんによって、当面の問題として御意見は私どもにも理解はできるわけでありますが、私どもとしては、総括的にいって値下げであり、その中で、いわゆる放送法原則からはずれてきた受信料制度の根本的理念であるいわゆる受益者負担の原則もここであわせて確立いたしたいといろ考え方を持っており、また、今日まで数次の御質問に対して、値上げであるという考え方について、もし結果が何年後かにそういうような結果になる場合には、これを減額し、調整する用意は持っているということを御説明申し上げているわけでございます。
  217. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 会長は今度の受信料の改定を値下げであるという感覚に立つものだから、この予算案を私は見たときに、企業努力というか、合理化努力というものがなされていないのだ、こういうように見えるわけです。われわれから見れば、将来ふえるカラーテレビは三割も上げているのです。三割三分も上げているのですから、これは明らかに値上げだ、こういうように理解できるわけです。  そこで会長、私は事務的なことを若干事務当局にお尋ねします。  たとえば、去年の予算のときには前年度からの繰り越しが二十億ありました。ことしは六億にしております。しかし、もうそろそろ決算が近づいてくるだろうから、これは六億の予算だけれども、もっとふえるだろうと私は思うのです。そういうことから始まって、この予算項目一つ一つ申し上げると、たいへん時間が長くなってしまうから申し上げませんけれども、この中身をしさいに点検すれば、ことしの努力によっては二十億前後くらいなものが浮いてくるのではないか、こういうふうに理解できます。  そこで、事務的からイエスかノーか答えてください。ことし最初から六億という予算を前年度からの繰り越しにあげてあります。これは七、八億か十億くらいになるでしょう。二、三億ふえるでしょう。もう決算もそろそろ近いからわかるでしょう。その一点だけ……。
  218. 志賀正信

    志賀参考人 四十三年度の予算に、四十二年度からの持ち越し額を六億と計上してお手元に差し出してございます。  これは昨年の十一月に策定をいたしたものでございまして、当時予備金の残及び債券の償還のための積み立て金の債券発行によるズレ、こういうものを合算いたしまして六億と想定いたしたものでございます。おっしゃいますとおりに、ただいま決算の最終週間に入ってまいりまして、いまおおよその詰めをいたしておりますが、大体六億程度の、予算に計上いたしましたものは確保できるという見通しでございますが、何ぶんにも全国的に局所がばらまかれておりますので、あと一、二億程度のものはこれにさらに上回って予算が余ってくる、各局とも、できるだけ赤字を出さない努力をいたしておりますので、そういうものは事務的に出てくるのではないかというふうに考えております。まず六億はかたいところであると考えております。
  219. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 まだ二億ふえるのか三億ふえるのかわからないようですが、昨年の様子から見ると、私は三億前後くらいはこの繰り越し金がさらにふえると思います。  次にお尋ねします。この売却固定資産の代金については、これから売ろうということについて九億というぐあいに掲げてあるが、その固定資産を調べていただいたら、全体としては約十億に近いようです。しかし、これは地理的条件とかいろいろ考えると、九億ばかりではない。だれが見ても十何億に売れそうだという可能性を私は見るわけです。これも非常に内輪に見積もってあるようですが、これは予算だから九億にしか売れませんということですか。
  220. 志賀正信

    志賀参考人 予算を編成いたします際には、いま予算に載せております個々の物件につきましては、先日資料として御提出を申し上げましたが、中にはすでに評価をとって、おおよそこの程度という見通しをつけたものもございます。しかし、全般的には建設の年度がいろいろございまして、中には三十六年度程度のものを、業務の合理化の都合で売却をするというようなものも入っておりまして、これは比較的年次が浅い関係から、あまりそう差額は出てこないという問題もあると思います。大体九億はかたいところではないかと思います。しかし、売却をいたしますにつきましては、できるだけ有利に売却したいというふうには考えております。
  221. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは私は、十何億に売れるだろうと思うのを、九億というかたいところでとったということだから、これは予算のとおり方でしようがないと思います。一件一件様子を聞いてみると、さらにこれよりも高く売れるのじゃないか、われわれが見ても明らかにそう考えられるわけです。  だから、ここにも余裕が出てくるだろうと思いますし、そういうことをやっていけば切りがありませんけれども、いま一つお尋ねしたいと思いますのは、この収納費というのは、一体どういう項目にあげられているわけですか、この事業支出の中の。
  222. 志賀正信

    志賀参考人 業務費の中に収納費がございます。
  223. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その収納費は全部で幾らになりますか、この業務費六十五億のうちで。
  224. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 四十六億程度でございます。
  225. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この郵政省委託は、この資料は私は出してもらったから、こっちで言ったほうが早いと思うから言うが、全体の収納の二八%、その経費は十二億六千万、これでいいわけですね。
  226. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 そのとおりでございますが、ただ、一部説明を加えますと、その費用は営業関係の内勤者の人件費も加算されております。
  227. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 いずれにしても、郵政省ですな。
  228. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 いや、郵政省委託でありましても、郵政省委託の事務を取り扱う協会自身のデスワークもございますから、その分だけ人件費が加わっております。
  229. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、九百何十名の直接の従業員が収納するのは二割一分、十八億五千万円、これでいいわけですね。
  230. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ただいま私が郵政委託で触れましたように、同様の内部の営業関係の人件費も含めてそういう数字を出しております。
  231. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、一般に委託するのが全収納費の約五六%で、これは三十二億六千万、口座振替七%で二億五千万、これはいいわけですね。
  232. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 そのとおりでございます。
  233. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これで見ると、私は、出してもらった数字だけだけれども、料金一%当たり、一体だれが最も効率よく収納しているか、大体六十六、七億、約七十億の収納費をかけるということは、NHKの料金七百何億に対して約一割に相当します。私はこの一割を見た場合に、これは非常に大きいなと考えました。地方において、あのたいへん捕捉しにくいような地方税の徴収にあたっては、徴税費というものは四%前後ではなかろうか、こう思います。国税なんかはどのくらいに当たっているかよくわかりませんが、そういうことと比較すると、NHKの徴収というのは、なかなか困難な点は伴うだろうけれども、そういうものと考えると、この収納費は約倍に相当しているわけですね。そうして、全体の料金の約一割に相当しております。こういうものを多少なりとも節約しようとする努力さえあればこれはできるだろう、こういうように私は考えるわけですが、郵政省へ委託するものについては、料金――ここはパーセントで単純に割ってみます。パーセントにして〇・七五、一%の受信料を徴収するに〇・七五、だから七千五百万かかっている。直接おたくで集金する場合には八千八百万かかっている。一%の料金を集金する収納費、割ってみただけです。一般に委託しているものは五千八百万、振替口座のものは三千六百万、こういうことです。それは間違いない、私が計算したから。  そういうことになれば、この直接集金費をどうやったら節約できるだろうかというようなことについて、さっき会長の言うような、経営委員会だか企画委員会だか何とかでこういうものに真剣に取り組んでみたことが具体的にあるかどうか、こういうことです。とにかく、一割も収納費をかけているということは、私はたいへんなことだ、こういうように考える。
  234. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 少しお答えが長くなりますが、ただいまの総体の金額は必ずしも一割とも思いません。八%強だろうと思います。もう一つ、この八%の中に、直接契約費ないし収納費以外に、御承知のように、共同受信施設の助成、あるいは全国の二千万にのぼる聴視者と協会を結ぶための万般の広報関係費等も含めての金額でございまして、直接の契約並びに収納費はもっと。パーセンテージが小さくなります。必ずしも外国の例を引くことが当を得たものかどうかは存じませんが、やはり西ドイツ、オランダ等におきましては二〇%に近い収納経費をかけておる例も現実にございます。  そのことはしばらくおくといたしまして、ただいまの御指摘のことを詳しくお答えいたしますと、実は、協会がいま当面いたしておりますいわゆる大都市圏におきます契約ないし収納の困難化、あるいは地方の農村、漁村等におきます人口の減少というような、国家的ないし社会的構造の変化に対応いたしまして、協会自身が大きく外務体制の変革を考えなければならないという時期に遭遇しておることは事実でございます。したがいまして、昨年来、協会内部にその専門の委員会を設けまして、四十三年を試行期といたしまして、これは何ぶん膨大な人間と膨大な金額を扱う問題でございますので、四十四年以降、数年間をかけまして慎重にこの改革を意図したい、このような状況にあります。  もう一つお断わりしたいのは、私がいま御報告いたしましたように、たとえば大都市圏等におきましては、この東京はじめ大阪、名古屋あるいは北九州というような地域では、この生活環境の大きな変化によりまして徴収のいろいろの困難というものが増大してきておりますために、これらに関する経費の増高等もございます。これらの地域は主として職員が直接集金をいたしておりまして、事実、その関係から申しますれば、収納の単価、コストは一番高うございます。また、郵政省委託費は、言うまでもなく、非常に農村あるいは山村、漁村等のへんぴな地域でございますので、これは収納上、郵政省との協定で毎年その単価をきめるわけでございますが、これまた、いま申しましたような立地条件関係からコストも比較的割り高になっております。この意味では今日三千七、八百万に及んでおります部外の委託集金が、一番単価といたしましては割り安という数字になっております。
  235. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 こまかいことをいまさらやっていてもしようがないと思うのですが、とにかく、私たちにしてみれば値上げをする、こういう段階にあたって、何とかして節約をして、できるだけ自分で努力をしようということをやったかやらないか、そういう結論だけでいい。来年から検討しようということじゃないわけです。それはどうでしょう。  もう一つそれにつけ加えて、放送債券は金利その他どのくらいかかるわけですか。長期借り入れはどのくらいかかるわけですか。
  236. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 前段につきまして私からお答えいたしたいと思いますが、ただいま私がやや状況説明をいたしたわけでございますが、協会が聴視者との間に大きな信頼と支持の関係の上に成り立って、この収納を九九・〇二%――本年度の目標でございますが、これだけのものをさしあたり円滑に徴収していくということは非常に困難があり、かつ、新しい外務体制の中でそれをこなしていくという努力をいたしておりますが、これはもとより将来、たとえば収納上の新しいアイデア、営業代理店というようなもの、あるいは婦人団体等にお願いをいたすというようなことで、全般的に収納コストの合理化、低減化というものを同時的に考えなければならぬ、このように考えております。
  237. 志賀正信

    志賀参考人 放送債券と長期借り入れ金の金利につきましてのお尋ねがございましたのでお答え申し上げます。  放送債券につきましては、七分三厘の利息で、七年物でございますが、利回りといたしましては八分一厘でございます。それから、銀行から借り入れますものは一銭八厘でございます。
  238. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 パーセントでいけば幾ら。
  239. 志賀正信

    志賀参考人 六分六厘弱でございます。
  240. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、長期借入金、ここで二十六億だ。それで、この前、会長の説明のように、当面ことしの収入源に対して、事業運転資金というのですか、事業のために十五億、建設のために十一億三千万、こうだったと思います。それから、放送債券のほうはことし二十億、こういうことです。この放送債券を、それだけの八・一%、それから借り入れは六・六%、一・五%も違うような放送債券というものを発行しなければならない格段の理由はありますか。そういう金利の高いものはやめちまったらどうですか。何か特別の理由があるでしょうか。  それともう一つは、これのおもな保有者はだれですか。
  241. 志賀正信

    志賀参考人 放送債券をお買い上げいただくものは、主として中央、地方の金融機関及び共済組合、及び約三五%は個人でございます。放送債券は本年度も二十億円発行いたしましたが、ただいま申し上げましたとおり、金利の面から見ますと、銀行借り入れのほうが有利でございます。これはただいまの銀行からの借り方がたまたまそういうことでございまして、今後も、銀行の金利につきましては、すでにお話に出ておりますとおりに、この一銭八厘でいけるかどうかにつきましては、いろいろ今後の事情もあるかと思います。放送債券につきましては、やはり相当長期の七年物でもございますし、また、銀行の金利との関係で、ある程度一年に一、二回は出しておきたいというのが現在の希望でございます。また将来金利が逆転いたしますような場合には、社債として放送債券をもっと多額に発行するということも必要かと思われますので、その辺のかね合いをもちまして、最小限度にいたしておるわけであります。
  242. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これで最小限度ということですか、二十億で。これをどうしても発行しなければならない理由があるか。ことし八・一%の利回り、はっきりわかっている。片方は六・六%とはっきりわかっている。それをどうして借り入れのほうは二十六億で、放送債券は二十億も出さなければいけないのか、こういうことです。やめちゃだめか、こういうことです。
  243. 志賀正信

    志賀参考人 放送債券につきましては、考え方としては、できるだけ一年に一本ないし二本は、十億単位でございますが出していきたいと思います。将来銀行借り入れが、金利が非常に歩合が高くなりまして、そのほうが逆転してまいりました場合には、放送債券に依存する必要もございます。また、放送債券と申しますのは、社債の仲間入りして一緒に出すわけでございまして、起債懇談会の関係もございまして、ある程度の実績もまた必要でございます。また、放送債券そのものが約三割以上の個人消化もございますので、そういう知名度と申しますか、そういうこともある程度考える必要があるということで、最小限度の発行は継続したいというように考えております。
  244. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 われわれ考えてみて、片方は八・一%、片方は六・六%というならば、もう放送債券からおさらばしてもいいじゃないですか。そうしておいて、また放送債券がたくさん残っているので、宮澤発言に指摘されているように、約百億もの績み立て金をしておかなければいけないとは何事だ、こういうことになってくるんじゃないですか。
  245. 前田義徳

    前田参考人 まことにお説のとおりでございます。したがいまして、七年前かと記憶いたしますが、この予算総則の変更をお願いいたしました。したがいまして、予算総則は長期借り入れかもしくは放送債券ということになっております。  御審議いただいております明年度予算におきましては、総額四十六億の借り入れ金のうち、二十億を放送債券にたよるという構成でございますが、放送債券の問題は、金利のほかに、聴視者との結びつきということも考えまして、一定限度の放送債券は、ただいま志賀理事から御説明申し上げましたように、総額の三五%が個人によって求められているという点を私どもとしてはかなり重視しているわけでございます。したがいまして、いかなる借金の方法をとるかということにつきましては、数回会議を開きまして、また、経営委員会の御意見も伺って、ただいま申し上げた原則に従って明年度は二十億という考え方に到達したわけでございます。
  246. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私の言っているような方向で長期的にはやろうという計画があるんでしょう。ことしは、たとえば二十億なんだけれども、来年からだんだん減らしていこうじゃないか。長期展望をいろいろ言っている間がないので、放送債券というものは、将来はだんだん減らしていこうという意図じゃないですか。
  247. 前田義徳

    前田参考人 金利の、経済の情勢を勘案しながら、できるだけ利率の低いお金で経営していくという考え方でありまして、その点については、原則的には私どももそう考えております。
  248. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その問題はまた後にいたしまして、私は、この支出については、過去においてもたびたび決算のときに追及をしてまいりましたけれども、たとえば、ことしは雑収入十二億とってあります。これは金利等のことで浮いてきた金だということで、毎年毎年借り入れのほうで浮かせ、それから片方のほうで、関連経費のほうで浮かせということで、この両方で十億近くのものが浮いてきたと思います。だから、四十三年度のここに計上されているところの十二億の雑収入、それから関連経費二十五億五千万、これはまた四十三年度の予算の決算のときには七、八億両方で浮くのではないか、いろいろ過去の数字とことし出された数字とを比較してみて私はそう考えます。いいですか。これは私の見通しです。そういうこともあり、また、さっき午前中の質問で、教育放送番組センターというものに二億円ばかり予備費の中から出そうということになったが、どうも民放のほうは出しそうもないから、これは出さぬでよさそうだ、こういうようなことも言っておられました。だから、そういうものも二億ある。こういうように上からだんだんと足していってみると、二十億前後の金というものは、この四十三年度予算の中から節約できるんだ、こういうように私は考えます。百五十円の値上げをしたカラーテレビの収入、増収は幾らかというと、それは十三億です。だから十円当たり幾らか、一億が十円か何かで計算をしましたけれども、そういうことを考えると、もっとシビアーに企業努力をするならば、四十三年度においてカラーテレビを上げないで済むのだ、むしろ白黒だけは下げっぱなし、ラジオ廃止しても、単年度だけの短見的な立場から見ればそういうことが可能だ、そういうように、この予算書だけで、過去の決算等を比較してみて、これを詳細に検討してみると見えるわけです。これはどうでしょう。
  249. 志賀正信

    志賀参考人 雑収入につきましては、去年の七月の決算時の御審議の際にいろいろ先生から御意見を賜わりました。きょうお出しいたしております予算には十二億四千六百万円の雑収入を計上いたしてございます。そのうちで預金利息が九千万円、それから放送債券利息として四億五千五百万円というふうにいたしてございまして、年間の平均残高をとりまして、それに対応して、できるだけ有利にこれを回して利息収入をかせぎたいというふうに予算を組みましたものでございますけれども、お話しもございましたように、なおこの予算を百円でも千円でも上回るように、利回りを努力いたしたいというふうには考えております。
  250. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 郵政省の方、どなたかいますか。ことしは公務員のベースアップを予備費に四・五%、一般予算の中に定昇で何%とったわけですか。――答弁がなければいい。このNHKのは、昨年の予算百八十六億円と比べて十八億六千七百万円、きちっと一割のベースアップをとってあるわけですね。
  251. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりであります。組合との交渉が妥結したので、実数を加えたわけでございます。
  252. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこで私は、先ほどからこまかい数字をくどくど申し上げましたが、前年度からの繰り越し金はなお二、三億あるだろう、固定資産の売却というのは、ここに九億とってあるが、あの場所で資料を見せていただいたところで具体的に当たってみると、もっともっと、三億から四億くらいふえるのではなかろうか、あるいは関連経費や雑収入、そういうものをみんな合わせていって、収納費等の節約等も考えれば、私たちしろうとが見ただけで、企業努力によって二十億やそこらのものはこの中で浮くのだ、こういうように考えるわけです。だから会長は、単年度で見れば、ほかのほうは値下げをしてあるから値下げだ、こういう形で提案をしているものですから、そういう感覚で予算を編成していると思います。私は、長期的に見れば、この三割三分にも当たる値上げだと思う、企業努力をどうしているか、こういうことを追及しているわけです。企業努力をするという努力があるならば、私は、こんな予算の編成にならないんじゃないか、こういうように考えるわけです。これでもって、企業努力をしても――最大のことをしたからカラーテレビ三割三分上げてください、こういうように国民に対して言えるだけの企業努力をしたか、こういうことなんです。
  253. 前田義徳

    前田参考人 まことにそのとおりでありまして、私どもとしては非常な努力をいたしました。三百十五円になるということは、それだけで、従来の方式に従って三十六億ばかりの減収になるわけであります。ラジオ料金廃止されるということは、それだけで七億の収入減になるわけでございます。したがいまして、三百十五円プラス百五十円で明年度の収入は、昭和四十二年度に比べますと、わずかに三億未満の聴視料の収入増でございます。これに対しまして、機械化の完成と近代化、これを土台として、一切の可能な範囲での最大限度の節約をしたものがこの予算書でございます。  先ほど来、番組センターとの関連予備費に二億円が組まれていると申しますのは、私は、お答えの中ではっきり申し上げてあると思いますが、それは明年度予備費ではございません。今年度の決算を控えての今年度の予備費の残がはっきりしておりますので、もし民放等において五億程度の基金が集まり、これに応分のNHK協力を求められた場合の想定は、四十二年度予算において処理するという考え方でございます。
  254. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは、具体的には、カラーテレビことし百四十万台という数字は、年度当初に何台、年度途中で何台、どういう積算に立っていますか。カラーテレビ百四十万と、ことしは想定しております。それに伴う百五十円を上げて十三億だ、こう言っておりますが、一体、現実にいまカラーテレビをどう捕捉し、当初の契約はどう、中間においてはどう、年度末においては百四十万がどうなるか、その積算はどういうふうにして出してあるか。それをちょっと教えていただきたいと思う。
  255. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 四十三年度に限って申し上げますと、来年度三月末現在百四十万の契約を想定いたしております。  まず、御承知のように、集金が二カ月を一期としていたしておるということでございますので、第一期、つまり四月、五月、第二期が六月、七月、こういうふうになるわけでございますが、第一期に当初四十万、第二期、第三期、第四期に十五万ずつ、第五期、これは十二、一月という時点になりますが、これが三十五万で、最終の第六期に二十万、このような把握のことを考えておりまして、平均値をとりますと、御承知のように、大体この収入の半額が十三億ということになるわけでございます。
  256. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 NHKの企業努力をわずらわさなければいけないが、早く捕捉すれば、この十三億はこればかりじゃないでしょう。努力さえすれば、私は年度末に百四十万を捕捉できるのを、なるべく早く年度当初に捕捉すれば、これは十三億ばかりの増収じゃないでしょう。私は、努力によって、これが十六億、十七億、二十億になる可能性を持っておると思うのです。この積算を聞いただけで、すぐそういうことがわかると思うのです。
  257. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 何ぶんにも新しい受信料体系の設定でございまして、ただいま申し上げたようなことで、本日の午前中の当委員会でもお答えいたしたわけでございますが、やはり第一期に四十万を把握し得るかどうかということが、非常に重要なかなめになると存じます。できましたら、お説のように百四十万かあるいは百五十万、百六十万というような数字になりますれば、NHKにとりましてもまことに幸甚でございますが、しかし、全体の経営論の上から、一応私どもとしては最も堅実、着実な数字として百四十万をただいま申し上げたテンポで把握し得る、それはくずしたくない、このようにいま考えておるところでございます。
  258. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 時間が参りましたので、私はさらに進みたいと思いますが、ただ、いまの私の二、三の質疑から、私は、私自身がこの予算を見てみれば十三億、カラーテレビ百五十円上げて増収になりますということなんですが、やり方によってはさらに増収になるし、節約のほうはさらに節約ができる、そういうように考える。それを前田会長は、ことしは値下げだからということで、そういう企業努力に対して、私は、安易な立場であったのではないか、こういうように考えるわけです。  そこで私は、こういう企業努力が体質自体の中から出てこないということになれば、これは予算承認したら、料金、受信料というものは自動的に承認されるのだ、こういう放送法というものについて検討を加えなければならない、こういうように考えます。やはり受信料だけは放送法の中にうたって、そうして、法律改正でもってやらなければならない、こういうようなこともまた検討せざるを得ないのではないか、こういうように考えるわけです。  大臣は、放送法の改正等についていろいろの意見を出しているようなんですが、料金の改定等の問題については、現状ですか、あるいはまた、放送法の改正によって料金を改定するようにしたほうがいいとお考えですか。その辺、どうでしょう。  それともう一つ、これまた大臣からあとで御答弁いただくとして、NHKの資産というものが毎年、三十九年度が六百五十億、四十年度が七百三十億、四十一年度が八百億、こういうように、資産というものはなかなかっかみにくいけれども、そういうふうにふえてきております。しかし、放送法の中でこういうようにやらなければならないというようにうたわれておるようなんですが、こんなに毎年毎年資産がふえるようなことを一体しなければならないか、あるいは、自動的にそうなってしまうのか、この辺も、われわれ資産ということについてよくわからないわけなんです。一体どうなんでしょう。これはあとで会長から御答弁いただきたいと思います。
  259. 小林武治

    ○小林国務大臣 NHK受信料のきめ方は、私は現在の方法は適当でない、したがって、何らかの改正をしたいというのが、私ども考えであります。
  260. 前田義徳

    前田参考人 資産は、われわれが難視聴地域解消のために置局を促進していけば、当然資産はふえることになるわけであります。
  261. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 放送法の改正の問題について、私はもう冒頭から申し上げておりますけれども、やっぱり経理経営といいますか、そういう問題については、もっともっと外部から企業努力を求めるような形に、簡単に言えば、番組の中立性を保つ放送法と、事業経営といいますか、経理を保つほうの放送法と、二頭立てにしなければならないのではないか、こういうことをわれわれは考えておるわけですが、いま大臣の答弁では、料金が、予算がきまったときにきまるようなことではだめだから、改定を考えている、こういうことなので、これはその程度にとどめておきたいと思います。  時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、そういうことを含めて、宮澤発言等の中ではずいぶん――放送法の改正のときに放送債券の問題等がうたわれておりますが、いま大臣に最後に一つだけ、そういう放送法の改正で抜本的に、あるいは当面の問題、こういうことで、最初からずいぶん論議がされてきて、どうも途中で引っ込めたようなものもあります。あるいは、いまのように、ぜひやりたいというものもあるようです。そういうことを整理して、もし放送法を抜本的にやろうとすれば、項目別にどういう点を改正しようとしておるか、構想の一部でもいいですから、ひとつ御発表いただきたい。それで質問を終わりたいと思います。
  262. 小林武治

    ○小林国務大臣 改正のいろいろな、相当複雑な問題でありますから、きょうでなく、また他日ひとつお答えしたいと思います。
  263. 古川丈吉

    古川委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  264. 古川丈吉

    古川委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。佐藤孝行君。
  265. 佐藤孝行

    ○佐藤(孝)委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、私は、自由民主党を代表して、これに承認を与えるに賛成の意を表するものであります。  NHKの昭和四十三年度の収支予算、事業計画等は、第二次六カ年計画の達成によって新段階に入るNHKの新路線を示すものとして注目されるのでありますが、当年度の事業計画は、そのおもなものとしては、テレビラジオ放送網の整備、放送番組充実放送利用の促進、受信契約者の開発維持、放送衛星の開発を含む調査研究強化経営合理化などの施策を積極的に推進するほか、テレビジョンカラー化についてはカラー受信料の新設など、順次計画の拡大をはかっていくことといたしております。  この事業計画は、第二次六カ年計画成果を基礎として、事業経営長期構想のもとに策定せられたものでありまして、NHKの設立目的にかない、放送発展の現状に即した手がたい施策であろうと思いますが、さらに、国民の支持と理解を得るようにつとめるとともに、経営基盤の確立をはかるべきであります。  また、当年度計画の焦点である受信料体系の改定も、ラジオ受信料廃止白黒テレビ受信料額引き下げについては、もとより異論がなく、カラーテレビの付加的料金の新設も、内外におけるテレビカラー化の伸展から見て当然であり、その料額の算定も一応合理的であると認められますが、将来、カラーテレビの増加によって計画を上回る収入があった場合、放送内容の充実をはかるはもちろん、難視聴地域の解消につとめ、もって、NHK本来の使命実現のため一そうの努力を尽くし、国民の期待にこたえるべきであります。  わが党は、かかる判断のもとに、本年度収支予算等について、その適正な執行を期しつつ、これを承認するに賛成する次第であります。
  266. 古川丈吉

    古川委員長 山花秀雄君。
  267. 山花秀雄

    ○山花委員 ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、私は、日本社会党を代表し、希望意見を付して、これを承認するに賛成の意見を表するものであります。  このNHK昭和四十三年度収支予算等は、第二次六カ年計画に次ぐ長期構想の初年度計画実施しようとするものでありまして、事業計画は「テレビジョンラジオ放送全国普及の早期達成につとめるとともに、すぐれた放送実施して、国民の要望にこたえる。」これをその基本方針とし、テレビジョン放送局の置局の推進、放送番組充実刷新、受信契約者の開発維持等の諸施策を積極的に推進することといたしております。  これらの諸施策は、新分野の展開を含みとしながら、さきの六カ年計画成果を発展させていこうとするものであります。  公共放送としてのNHKの使命より見て、がいして適当な施策であろうと存じます。  わが党は、かかる判断に基づいて、本議案の承認に賛成するものでありますが、この際、本件の執行に関連して、特に希望を申し添えておきたいと存じます。  まずその第一は、放送受信料に関してであります。  申すまでもなく、NHKは、国民の負担する放送受信料を唯一の財源として事業を営む、いわば国民を基盤とする業態でありまして、その経営の財源となる受信料は、国民とNHKをつなぐ信頼のきずなともいうべきものであります。その使途については、NHKは最大級の責任を負わなければならないのであります。したがって、NHKとしては、常に経営効率向上をはかり、最少額の受信料をもって最大の効果を発揮するようつとめる必要があり、今回の新受信料についても、その支出の適正を期するとともに、料額の調整についても不断に考慮し、カラー受信契約の急増等によって想定を越えた収入があげられる場合においては、普通カラー等の再契約を通じてその引き下げをはかるようにすべきであると存ずるものであります。  次に、NHKに望むのは、その自主性の堅持と放送の公平確保と、政治的には不偏不党の立場に立つことが絶対的な条件でなければなりません。本委員会で、先日来の質疑でもしばしば指摘されましたとおり、放送に対する政府の圧力強化が最近とみに目立ってきており、ことに、放送法の改正に関しては、受信料政府認可制、NHK経営委員会の改組、民放の事業免許制、番組審議会の強化等、一連の監督強化案を打ち出す等、放送規制の意図をいよいよ露骨にしております。そのような政府筋の動きが放送に対する圧力になっていることは疑いのないところであり、NHKもまたその影響下に置かれていると見られているのでありますが、NHK放送が、真に国民の信頼をつないでいくためには、かかる不当な圧迫に屈してはならないのであります。  放送番組の編集はもちろん、事業経営のすべてに至って、自主性の堅持を強く望むのであります。  NHK当局がその存立の基本というべき点に深く思いをいたし、今後の事業に当たられることを強く希望し、日本社会党を代表する私の討論を終わるものであります。
  268. 古川丈吉

    古川委員長 小沢貞孝君。
  269. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、民社党を代表いたしまして、本年度の日本放送協会予算に対しまして、強い希望意見、それから政府の、ただいまの大臣の料金改定問題に対する態度、こういうものに期待をいたしまして、賛成をいたしたいと思います。  NHK会長は、先ほど値下げという点について強調され、私もまた、白黒については十五日の値下げ、ラジオのみの場合には全廃する、こういうことについて出された方針に対しては深く敬意を表する次第であります。  しかしながら、長期展望から見るならば、五年後には一千万くらいにふえるであろうということから考えれば、カラーテレビ契約料金が百五十円、三割三分上がったということについては、非常に不満が多いわけであります。多いわけでありますが、あとでつけられるであろうところの将来の受信料の軽減について検討する、こういうことを国会の中で満場一致決定をしようとしております。あるいはまた、大臣意見書に「事業の運営にあたっては、その経費の効率的使用と節減に努めるべきである。」こういうような意見書も出ておりまして、先ほどの質疑の中で、大臣からこの問題についての明確な答弁もあったようであります。さらにまた、NHKの企業努力、合理化努力等については、きょうの質疑においては必ずしも私は満足すべきものではありませんが、会長の、一生懸命それに対して取り組もうという努力を多といたしたいと思います。  そういうような点を総合いたしまして、われわれは、いずれにしても態度をきめなければならない。不満が多いから反対をして、一人が反対するということは、みんなが反対してこの予算がつぶれてしまうのだ、こういうようなぐあいで、賛否について十分な責任を持たなければならない、こういうことを私はいつも討論のときに考えておるわけです。たとえば、四九%反対で、五一%賛成だというときにも、たった二%の違いでも賛成に回らなければならない、こういう態度を決定しなければならない。これが責任ある態度というように考えられる。この予算を反対をしてつぶしてしまう、こういうことは、今日においてはできないことではないか、こういうふうに考えるわけです。  以上、申し述べまして、将来の値下げを強く期待し、またNHK会長の言われたように、合理化努力に対しては真摯なな努力をする、あるいは、大臣の言われたように、料金の定め方については放送法の改定の中で検討する、こういうような諸条件を十分監視しながら今後やっていく、こういう立場から、この予算に対して賛成いたしたいと思います。  NHKの大いに努力されんことを期待いたしまして、討論を終わりたいと思います。
  270. 古川丈吉

    古川委員長 中野明君。
  271. 中野明

    ○中野(明)委員 私は、ただいま議題となっております日本放送協会の昭和四十三年度収支予算、同事業計画及び資金計画に関し、公明党を代表して、要望を付して、これを承認するに賛成の意を表するものであります。  このNHKの四十三年度の収支予算等は、第二次六カ年計画成果を基礎とし、事業経営の長期的構想のもとに、公共放送としての諸事業計画を積極的に推進し、国民の要望にこたえようとするものでありまして、事業計画の大綱としましては、ラジオテレビのための置局の推進並びにFM放送局の置局の推進、国際放送の拡充、放送衛星開発に関する研究カラーテレビジョン改善の研究等をあげております。  これらの諸施策は、いずれも当を得たもので、国民の寄託に沿うものであると考えNHKの使命より見てほぼ妥当と見られます。わが党は、かかる判断のもとに、この収支予算等が、細心の注意をもって厳正に執行されることを期待して、本案の承認に賛成をいたすものであります。  しかしながら、この際、二、三の要望を述べ、関係者の今後の努力を心から期待するものであります。  その第一は、協会は、事業の経理放送のあり方に関して、いやしくとも他の省庁や国民より批判を受けることのないよう十分注意を払うと同時に、今後も一そう経営合理化をはかり、受信料の減額に努力することであります。  第二は、協会は、その公共放送の性格と使命にかんがみ、カラー受信契約が五カ年計画目標台数を上回った場合、その増収分はそのまま受信料の値下げに還元すること。  第三には、難視聴地域の解消を積極的に推進し、カバレージ一〇〇%達成に鋭意努力してもらいたいことであります。  最後に、協会は、放送法の精神にのっとり、どこまでも厳正中立、不偏不党の放送形態を守り抜く決意をさらに固められんことを要望するものであります。  以上、賛意と要望を申し述べまして、私の討論を終わります。
  272. 古川丈吉

    古川委員長 田代文久君。
  273. 田代文久

    ○田代委員 私は、日本共産党を代表して、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、不承認の態度を表明いたします。  第一に、協会は、受信料を独占し、全視聴者の支出によって経営を維持しておるにもかかわらず、自主性を口実にして、経理の明細の公表を極力避けており、運営は、十分民主的であるとは言えないのであります。  第二に、本予算は一千億円をこゆる国民の受信料を収入源としておるにもかかわらず、その支出は、第二次建設計画に続いて、四十三年度より始まる計画においても、カラーテレビ放送を重点にしたものであります。これによって、二千万世帯をこえる契約者は、五%足らずのカラーテレビ受信者のために犠牲にされているといえましょう。また、カラー受信機や放送施設を製造する大企業に膨大な需要を保証し、これを助けるものであります。  第三に、教育番組センターの設立に予備金二億円程度を支出することが、質問によってようやく明らかになったのでありますが、これは、教育番組政府の指導のもとで編成し、佐藤内閣の国防教育などに協力するものであり、放送法の精神に背反するものであります。しかも、この教育番組センターは、協会の支出を規定している第九条二項の十の「郵政大臣の認可」を得られるとは限っていません。にもかかわらず、これをあらかじめ予定することは、不当な支出であります。しかも、これを予備金で支出することは、予備金を規定した予算総則第六条、「予見しがたい支出」にも違反しております。  第四に、剰余金は年々膨大になっています。四十一年度は二十億円、四十二年度は六億円をそれぞれ次年度に繰り越しております。四十三年度も当然相当額の剰余金が生ずるでありましょう。これらは放漫な支出の削減とあわせて、料金引き下げに充てるべきものであります。  第五に、放送専属の芸能人の一部の組織である運営会に対する助成は不当であります。劇団、音楽団に対する助成は、劇団、音楽団全員に差別なく行なうべきものであります。しかるに、協会は、劇団、音楽団等の自主的組織である日芸労を分裂させ、第二組合を育成し、日芸労に残る芸能人に対しては、六年間も賃上げをせず、差別待遇を行ない、弾圧しております。このことは、大阪地方労働委員会の審理からも明らかであり、基本的人権を踏みにじるものであります。  以上のような協会の運営方針に基づく本予算案をわが党は承認するわけにはいかないのであります。  特に、協会の最近の番組編成は、不偏不党、自主的編成の方針に著しく反しているといわなければなりません。吉田茂氏の国葬の放送に際しては、何らの法的根拠もないいわゆる国葬であるのに、自粛という口実で、戦前の軍国主義時代のごとき歌舞音曲停止を行ない、佐藤内閣と自民党に全く追従したのであります。また、今国会で重要問題となった憲法否定の倉石発言問題においては、ことさらに解説者に倉石発言が茶飲み話であることを強調させ、また、野党側を審議拒否として攻撃させておるのであります。これは、倉石問題の国会での結末を見ても、協会の番組編成方針の偏向は明らかであります。  わが党は、このような協会の非民主的方針を改め、経営委員会を民主化し、経理の民主的運営と公開を要求するものであります。  これをもって討論を終わります。
  274. 古川丈吉

    古川委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  275. 古川丈吉

    古川委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  276. 古川丈吉

    古川委員長 この際、加藤六月君外三名より、本件に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨説明を求めます。加藤六月君。
  277. 加藤六月

    加藤(六)委員 私は、ただいま議決を見ました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、附帯決議を付する動議を提出し、あわせて、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、附帯決議の案文を読みます。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施につとむべきである。  一、協会は、新受信料制度の実施にあたり、国民の支持と理解を得るようにつとめ、経営基盤の確立をはかること。  一、難視聴地域、とくにテレビ視聴地域の解消を積極的に推進すること。  一、協会は、受信者の増加等により計画を上回る増収があった場合においては、放送内容の充実など受信者への利益還元の措置を講ずるとともに、将来の受信料の減額についても検討すること。  一、放送法の精神にのっとり、表現の自由と放送の不偏不党を確保すること。 この決議案は、自由民主、日本社会、民主社会、公明四党共同提案にかかるものであり、また、この案文は、先般来の審査の動向を参酌して起草いたしたものでありますから、あらためて御説明するまでもないとは存じますが、簡単にその要旨を申し上げますと、  第一は、新受信料制度の実施に関しての要望でありまして、今回の制度改定が、受信料体系の画期的変革であることにかんがみ、その実施にあたっては、協会はあらゆる手段を尽くして、新制度の周知はもとより、協会の使命についても十分に国民の理解に訴え、その支持のもとに新制度の円滑な施行をはかり、もって経営基盤の確立を期せられたいというのであります。  第二は、難視聴地域の解消に関してであります。申すまでもなく、放送はいまや国民生活に不可欠の要素となっており、国民の中にいまなおその恩恵に浴し得ない者が残っている現状は、国として一日も放置すべきではなく、また、放送普及の責務をになうNHKとしてもその解消につとむべきは言うまでもありません。なかんずく、テレビジョン放送については、これに対する渇望の輪さからいっても、また、文化格差是正の効果から見ても、早急に難視聴地域の解消をはかる必要があり、政府及びNHKがともに相携えてその対策を推進されるよう希望するというのであります。  第三は、受信者の増加等によって計画を上回る増収があった場合の処置についての要望でありまして、かかる場合においては、協会は、放送内容を充実させるなどの受信者への利益還元措置を講ずるとともに、カラー、普通両契約を通じて、将来の受信料の減額についても検討すべきであるというのであります。  最後は、放送法の目的の確認であります。  先日来の審査の過程でしばしば言及されましたとおり、放送による表現の自由と放送の不偏不党とは、民主体制下における放送存立の基本原則でありまして、その重要性はあらためて説くまでもないところでありますが、この際、政府並びに協会に対しその再確認を望んでおこうというのであります。  以上、附帯決議案の趣旨について申し上げましたが、何とぞ全会一致御賛成くださるようお願いいたします。
  278. 古川丈吉

    古川委員長 加藤君の趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  加藤六月君外三名提出の動議のとおり、本件に附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     ―――――――――――――
  280. 古川丈吉

    古川委員長 なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
  282. 古川丈吉

    古川委員長 この際、小林郵政大臣及び前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。小林郵政大臣
  283. 小林武治

    ○小林国務大臣 本件に関しましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認いただきましたことを厚く御礼を申し上げます。  ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりまして、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
  284. 古川丈吉

  285. 前田義徳

    前田参考人 連日、昼夜を分かたず非常に御熱心な御審議をいただきまして、ここに日本放送協会昭和四十三年度予算、事業計画並びに資金計画について御承認をいただきましたことにつき、厚く御礼を申し上げます。  特に、ただいま議決されました附帯決議四項目につきましては、私どもといたしましては、これを今後の経営指針といたしまして、御期待に沿いたいと存じます。  また、御審議を通じて各党代表からそれぞれ私たちに与えられた示唆深い御意見については、これを日常の経営の中に生かしてまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  286. 古川丈吉

    古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十六分散会