○中井
委員 大臣は私と同じ
程度に、条約の問題はいわばしろうとじゃないかと思います。そういうあなたのきょうの答弁ですが、この前もそれに似た答弁がどなたかからありましたから、私もそうかいなと、そのときは思いました。しかし、帰って、どうもこのような重要なことを国会の
承認を得ないということはやはり国会軽視でないか。それで少し調べてみました。
学者の通説などを調べてみましたら、確かに財政負担はありませんけれども、国会にかける条約
——条約と名のつくものはみなかけなければなりませんが、それ以外でも、協定でも実質的に条約になるようなものについてはかけております。これは安保のときでもいろいろ議論がありまして、こまかく、それの附属協定まで全部かかったのでありますが、そういう観点からいたしますと、国際法上の通説として、また、
日本の憲法のたてまえからいいまして、国会にかけねばならぬものとしましては、いまのように、あなたのおっしゃったように、
予算及び財政負担をかけるものはこれはかけなければならぬ、国民の権利義務に関するものはかけねばならぬとありますが、もう一つの理由に、政治的利害に関係するもの、将来にわたって政治的な非常な利害、政治的な判断に待たねばならぬようなもの、これは必ずかけねばならぬ、これがむしろかけねばならぬ第一の項目に上がっておる、これは通説であります。私も、研究をしておる二、三の人に尋ねてみましたら、みんな、それはそうですと言う。この条約、協定はどうですか、こう言いましたら、これは
内容を拝見するとどうしてもかけねばならぬ、こういうふうな御意見であります。
いまお話しの中で、暫定だからいい、再来年の一月一日からは本条約だからこれは考えていく
——考えていくということは、かけることだろうと思うのですが、それはまた
法律的にはだめなんです。時限立法でも何でもそれはかけねばならぬ。だから、四十五年の一月一日ですか、本協定のときにかけるなら、筋としてはこれも必ずかけねばならぬ、そういうふうなことになるのです。私は、自民党の諸君もついうっかりしておられたんじゃないかと思うのですが、私どもも実際うっかりしていました。私もうっかりしておりました。
内容を調べてみると、たいへんなことじゃないか。この間、アメリカの大使が佐藤総理に会って進言をしたというものとの関連で私ちょっと調べてみました。そうしますと、これはたいへんなことだ。
大体、宇宙時代、宇宙時代といって、
日本国におきましても、そういう関連の科学
技術関係で各種の
委員会をつくったり、また
予算を組んだりやっておりますが、防衛的な、いわゆる憲法九条を持っています
日本といたしましては、軍事というものを考えない。それで、実利のある、月の土地を百円で買うとかなんとかいうような、そういう楽しい夢物語は一応おきまして、人間生活に実利として
ほんとうに密接になるものはこの通信衛星、気象衛星ですね。こういうもの以外に一応ないわけですね。そうして、それに関する協定なんです。ですから、これはどうしてもかけねばならぬ。そして、これはサインを済ましまして、国際連合に
届け出の義務までちゃんとあります。十四条に「この協定が効力を生じたときは、アメリカ合衆国政府は、これを国際連合憲章第百二条の
規定に従って国際連合事務総長に登録するものとする。」これはもう国際条約であるということなんです。ですから、こういうものをかけないというのは非常に怠慢であった。外務省のごく二、三の行政官が、うるさいからこれはやめておけというようなことでなかろうか。といいますのは、それは国民生活に関係あるとか、いろいろいいますが、たとえば南アフリカにこのごろ新興国がたくさんできます。その新興国に大使館を置く、これまで公使という名前であったものを大使にするというようなことでも一々外務
委員会にかかりまして、私ども、本
会議で、ああまたそんなふうになったんかなという一これは国民の権利義務と関係あるといえばあるでしょうけれども、名前が変わるくらいのものまでかけておきながら、こういう実質上のものをかけないというのは、政府の非常な怠慢じゃなかろうかというふうに考えるのであります。それからまた、国民生活に直接関係ないといいましても、国際電電のやっております仕事はみんな国民生活に直結した仕事でありますし、また、この間も、香港との関係において国際電電が料金等の改定などもいたしておりました。そういうものもやはり通信衛星との収支の関係もございましょうし、ここへ二%近い六億
程度のもの、一・七五二八九九%というものを、金額にしまして百五十五万三千七百ドル、五億五千九百万円というものを国際電電が出しておるわけでありまして、これは私はどう考えても国会にかけてもらわねばぐあいが悪いんじゃないかと思うのであります。
そこで、いまからでもおそくない、政府はぼんやりいたしておりましたら、これはやるべきです。いまからでもおそくないというふうに思います。
それから、これはへ理屈になりますが、まあまあそれは国際電電にやらしておけというふうなことだったんでしょうけれども、そもそも、こういう将来性のある重大なる通信の一つの
形態ができるわけですから、たとえば国際電電がアジア諸国に向かってこの間から海底ケーブルの計画があります。台湾からジャカルタまでいくやつがございます。これについてもしばしばこの国会で議論になっておる。私は海底ケーブルなんかやめて、もう通信衛星にしたらどうかなんという意見を言うたこともございますが、そういう関連からもいたしまして、どうしてそういう計画のために
——特に使用いたしますのは、運輸省の気象関係もありましょう、また
NHKもございましょう、あるいは
民放も私はあると思うのであります。したがって、このために特別の
会社をつくったらどうだ、アメリカの組織は、これは新しい一つの組織であります。それに対応して、
日本だって何も国際電電にやらす必要はありません。気象もあり、
NHKもあり、何もあるのだから、そういうものの連合体なり何なりで、政府が音頭をとってやってもいいことなんでございまして、私は、非常に重要な
内容を含み、将来にわたって通信業界の、通信界といいますか、電気通信界の
ほんとうに最大課題といいますか、まん中にこうすわっていく問題でございます。それを、何かこれは政治的なことじゃなくて行政的なことだから、外務省の役人がサインをしてちょこちょことやったというわけには私はいくまいと思います。
どうですか、郵政
大臣、国務
大臣として、これはやはり当然かけるべきものだ、実はかけるべきものだ、ただ、どうも簡単に考え過ぎて、というふうな御答弁ぐらいはあなたがなさる必要があるのではないかというふうに私は思うのです。私は強要するわけではありませんけれども、筋として、これは研究すればするほどどうもおかしい。こんなものをほおかむりしていったら、政府の非常な怠慢であるというふうに考えます。ひとつ御意見を伺いたいと思います。