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1968-04-16 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十六日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員   委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 古屋  亨君 理事 和爾俊二郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 折小野良一君       青木 正久君    亀山 孝一君       中尾 栄一君    永山 忠則君       野呂 恭一君    藤田 義光君       太田 一夫君    河上 民雄君       三木 喜夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁次長   山本  弘君  委員外出席者         警察庁保安局外         勤課長     井口 孝文君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         海上保安庁警備         救難部長    長野 義男君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五一号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。小濱新次君。
  3. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣おいでになりましたので、施政方針の中から若干お尋ねしたいと思います。  その中で「過密・過疎の問題の解決は、地域格差の是正とともに、現在の政治行政の上で最も重要であり、かつ、緊急を要するものであります。私は、この際、変貌しつつある各地域社会の特性に応じた個性ある地方自治体の形成、振興につとめるとともに、地方中堅都市構想などを含め、制度運営の両面にわたり再検討を加えてまいりたいと考えております。」こういうふうに大臣はおっしゃっておられたわけであります。地方財政行政面においても、あるいは制度運営面においても、ここで何とか勇断を持って善処していかなければならない、そういう段階を迎えて、自治大臣施政方針がこのようにあったわけでございます。  これから質問するにあたりまして、大臣の具体的な方針なりあるいは財政措置なりについて、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 戦後特に人口の移動が激しくなりました。そのことは当然理由があるわけでございまして、大都市が比較的収入を得る道が多いということ、また施設が整っておって、文化生活が享有できるとか、いろいろ生活環境また収入等の上からみなそういった方面へ集まるということは自然の勢いであろうと思うのです。それで、こういう片寄った地域繁栄ということは正しくないという考え方から、国でもいろいろ今日の事態を分析し、検討いたしまして、まず第一には、産業分散をはかるということで、新産都市あるいは工特地域あるいは低開発地域工業開発特別措置といったようないろいろな制度をつくりまして、産業分散の道を開いたわけでございますが、まだこれが実を結ぶという段階ではもちろんありませんで、まだ過渡的な状態でございます。しかし産業分散と申しましても、自由経済ですから、やはりそれ相当の立地条件がありませんと流れていきませんから、それにはやはり政府のほうでいろいろな条件を整えてあげるということが先決でございますので、まずそのことをいたしております。  それから、過疎地帯状況を見ますと、主として農林漁業に従事しておる地帯でございますが、ここでは収入が十分でありませんので、こういった地域に対しては、やはり通勤可能な地帯に、ただいま申しました大都会のようなところまでいかなくても、そういう兼業収入の道を開くとか、あるいは一応高度の文化水準を求める気分を満足させるとかいったような都市をつくる必要がある。私どものほうでは、これを中堅都市といっておりますけれども、これを国でやりまして、そして全国立地条件をながめて分散するといったようなやり方でなくて、それぞれ都道府県に責任を持たせて、そして、その管轄区域内にそういう兼業収入を得られるような中堅都市を築くということが、人口を定着させる一つの道であると考えたり、いろいろなことがあわせて行なわれつつあるわけでございます。中堅都市のほうはまだそういう構想を持っている段階でございますが、いまは、やはりそういったことを総合的に各省庁でやっておりますものをまとめて、そうして人口分散、また国土全般にわたって平均的な繁栄をはかっていく道を考えるということをいま着々と進めつつある。その過程で自治省は、現状はそういう状態で至るところに弊害が出てきておりますので、まず過渡的な措置として交付税基準財政需要額の算定では、人口急増補正を強化するとか、あるいは都市的経費にかかる態容補正合理化などをいたしまして、今年度はそのために約二百十二億円を算定しております。  それから、地方債でこれに対処しようとしておりますが、その地方債資金の確保、それは公共用地先行取得債の百三十億円及び政府資金による学校用地取得債の増額など、それから地域開発事業債のうち都市開発事業債、また都市過密対策事業債、また大都会では地下鉄がたいへん金を食いますので、地下鉄事業債であるとか、こういったものを通じて地方債資金を十分確保いたしまして、そうして、そういった人口の偏在から起こる弊害に対処するというようなことをとりあえずはいたしております。  さらに道路目的財源の充実、御案内のとおりに自動車取得税を創設いたしまして、いままで市町村には道路財源が与えられておりませんでしたが、約四百億円弱だけこれに充てる。また今年度から交通安全対策特別交付金交付、これは交通反則金によるものですけれども、これも百二億円、こういったものを計上いたしまして、いまの段階でのこういう人口俵在によるまずい面を多少でも直していこうということで進めつつあるわけでございます。
  5. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと努力しておられるお話がいまございましたが、その中堅都市財政危機ということで非常に問題が山積しております。いま自治大臣の言われましたような御方針決意でこれから進んでいかれるとしましても——私は現在東海道を上って来るわけですが、朝、ラッシュ時には二五〇%ないし三〇〇%になる、もうみがいたくつもめちゃくちゃによごれてしまうような、そういう状態で来るわけでございます。着々と進めている過渡的な措置としてこういうふうにやっているんだということでございますが、相当早期に勇断をもってこれが対策に当たっていかなければ、なかなかこの道の解決はできないであろうと思うわけです。ソ連、アメリカのように、大臣が八年春十年も続けていただけるならば、もう申し分ないわけであります。いつかわるかわからないというそういう制度になっておるようでありますから、そこで、私どもとしては、一日も早く、もっと強烈な御方針を出していただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。ひとつその点についてはよろしく今後努力をしていただきたいということをお願いしておきます。  今度の地方交付税のことについて大蔵省でいろいろ問題があったようであります。自治省としてもいろいろと努力をせられたようであります。しかしながら、今回提案された法案を見ましても、まだまだ自治大臣考えの中に、財政が好転しているんじゃないかというような、一部のそういうひらめきがあるんじゃないかというような内面が出ているわけでございます。財政硬直化のおもな要因としてこの問題を取り上げられているようでありますが、どうかひとつ、地方財政こそ硬直化なんだという自治体からのたっての訴えがございます。私どもも、そういうふうに、いろいろな内面関係していますと感じられるわけでありますから、大臣もそういうお考えのこととは思いますけれども、もう一ぺんこの際、その財政硬直化の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 よく地方財政が好転したと言う人がありますけれども、決してそうではないということをるる申し述べてまいったわけでございます。国も硬直化しておるけれども地方は、私どもは、それ以上硬直化しているんじゃないか。経常収支率と申しますか、一言にして言えば、そういう率だって、もう七〇%以上八〇%にも届くような状態でございますし、また、地方単独事業をやろうといたしましてもやる余地がほとんどない。平均一〇%くらいのものじゃないか。これはもう財政が最も硬直化しておる状態でございますので、決して財政的に好転したといったようなことは考えられません。しかし、まあこの両三年来、次第に地方財政というものも健全化の方向に向かいつつあるということは、少なくとも数字が示しておりますので、言えると思いますが、決して地方財政が好転したなどということはございませんので、そういった話がありましたら、ひとつ先生方も打ち消していただきたいと思っておるくらいでございます。
  7. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣も、否定はしておられるのですが、そのことばの中にちびっと、しかしまあというようなことばが出てくるわけですね。こういう点で私どもは、将来を考え、危惧を持つわけです。  そこで、財政危機訴えている地方自治体、その地方自治体独自の財源であるところの地方交付税のうちから四百五十億円を国に貸し付けるということにこれはなっておる。これはいままでに例のないことが、今度は赤澤自治大臣の時代に起こってきたわけであります。私どもは、どうしてもこの問題を不合理と考え、そして、今後またこういうことが起こってはならないと思う。大臣考え方をはっきりとお示し願いたい、こういう考えお尋ねをしておるわけでございます。不合理という点についてはどうでございましょう。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この四百五十億円にからみまして始終議論が絶えないわけでございますけれども、この四百五十億円は、例の出世払い云々ということから出発したわけでございます。それと直接関係があるというわけではないのですが、ただ、国の内外をめぐるきびしい経済情勢から、この国の財政全体が非常に悩んで、将来日本財政を国際的にも国内的にも安全にしなければならぬということから、抑制型の予算を組むに至っております。地方財政の面でもそれを全然無視するというわけにはまいりませんので、やはり歩調をそろえるということが、また、地方財政を健全にいたしますためにも、充実いたしますためにも、全体は全体として国の財政そのものが健全であるということが前提となるとも考えますので、私どもとして、ある程度歩調をそろえざるを得なかった、と申しますより、むしろ、そろえたという考え方に立っているものでございまして、地方財政が豊かだから国に貸したなどということは全然ございません。
  9. 小濱新次

    ○小濱委員 国家財政地方財政とはおのずからその使命が違うように、その役割りというのですかね、これが違うように私どもは理解しておるわけです。したがって、国が財政硬直化を来たしているから、地方も当然国の財政硬直化打開協力をすべきであるというような形にここではなっているわけです。まあ言うならば、地方自治体犠牲を払ってまで国に協力をすべきではないと私はこういうふうに考えておるわけですが、この使命役割りについてお答えいたきだたいと思います。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私どもは、国の犠牲になったとは考えておりません。先ほども申しますように、やはり国自体財政が困難に直面しておりますので、これは日本の将来の財政をいろいろ考慮いたした結果でございまするので、地方財政も、これとは直接に関係はありませんけれども歩調をそろえる、そのほうが賢明であるという考え方に立ったわけでございます。
  11. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣の言われるような、そういう御答弁の内容であるならば、全国市長会がこぞって打って一丸となって、この問題について反対をし、陳情をしてきているわけですね、そういう姿にはならぬと思うのですが、やはりそこに理解ができないのか、実際に自治体としては硬直化訴えて、国の今度の計らいについて異議を申し立てているのか、いろいろと解釈ができると思いますが、私の知る範囲では、これはもうやりたいことは山積している自治体の真の訴えだというふうに考えているわけです。市長会がそんな反対を国にしてくるわけはないと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これはまあ地方公共団体としては多々ますます弁ずるという気持ちがあるかもしれませんが、今度の地方財政扱い方につきまして、全部反対などということは私は聞いておりません。それはやはり地方公共団体の首長もそれぞれ政治家でございますから、国の今日当面しておりますいろんな困難というものを無視して地方財政立場だけがよかろうはずはありませんので、そういったことはいろいろ私どもも皆さんと話し合いもいたしましたし、地方財政法にも、国の政策に反対しないで、国の立場というものをよく判断してやるといったような方針がちゃんと明記されてありますし、私どもは、やはり国とは全然財政は別でございます。性質も違います。違いますけれども、先ほど申し上げました理由によって、国の今日の財政に即応したわけでございます。
  13. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと大臣の御意見を伺って、私もそうかなとは思うのですが、こぞって今度の国の措置については反対はしてない、こういうふうに私は聞いておるということでございますが、私どもはまた書類をもってその市長会からこの訴えがきているわけです。それによると、やはりこの四百五十億という問題が大きくトップに出ているわけです。ですから、政治家であるその立場から、かけ引きというのじゃないでしょうけれども、いろいろと将来をおもんぱかってこれを処置したのじゃないか、こういうふうに大臣はお考えのようでありますが、実際に自治体はたいへんなんです。ひとつ大臣ももっと自治体訴えを聞いてやっていただきたいと思うのです。この問題についてはこれで終わります。  そこで、その問題について少し触れてまいりますが、今度超過負担という問題が起こってくるわけです。これが地方財政にとっては一番頭痛の種になっているわけです。この問題については、聞くところによりますと、東京都においては、武蔵野市をはじめとして五市が国に対して行政訴訟を起こしているという話を聞いたわけであります。四十三年度分の地方交付税によると、この超過負担解消のために三百二十億円これは計上してございます。これによってはたして問題の超過負担がどれほど解消できましょうか。また、年々累積されていくこの超過負担が今後どういうふうに解消されていくのであろうか、その対策について、これもひとつ大臣からお答えいただきたいと思いますが、お考えを聞かしていただきたいのです。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国と地方財政硬直化についての分析は、地方制度調査会でもずいぶん御議論、御検討になりまして、明確な結論を出しておられます。この四百五十億円の措置をいたしましたにからみまして、いままで懸案であったものは全部片づけようという気持ちから、例の特別事業債を御案内のとおり地方交付税に織り込んでもう疑義を残さないようにいたしますし、あわせていま御指摘の地方超過負担、これもいままで長い間問題になっておりましたものを精査いたしましてわかりましたので、とりあえずそれに対しては三カ年で解消するという措置もいたしましたし、また若干残っておりますものは、今年度中にやはりこれに準じてケリをつけるということも大蔵省と確約いたしまして、ケリをつけたわけでございます。  その他いろいろ疑義を残しておりました問題につきましても、たとえば例の国鉄の納付金の問題にいたしましても、こういったやっかいな懸案というものは今回明確にしたわけでございます。私は、疑問として残っておるものはあと幾らもないという考え方でございますが、ただいまの超過負担は、それぞれの事業金額などは事務当局から説明をいたさせまするけれども、一応長い間の懸案は片づけて、そのことは地方団体からもたいへん喜ばれておるというふうに考えておる次第でございます。
  15. 小濱新次

    ○小濱委員 三カ年で解消していきたい、あと残っている分も今年度努力をしていきたい、こういうことですが、毎年積み上げられていく超過負担についてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 長年悩んだ過去の超過負担分についてのお尋ねだと思いますが、しかし、それはそれで地方団体は迷惑はいたしましたけれども、一応片づけておるわけでございますので、将来こういうことを再び起こさぬという決意をいたしまして、ここまでの措置をすることになりましたので、今後はそういう御心配は要らぬと思うのです。ですから、過去のことは、何がしか迷惑がかかっていることはあっても、それはこの際ひとつ見のがしていただきたい、かように考えておるわけです。
  17. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、三カ年間で超過負担解消はできる、一応そういうめどで進んでいくわけでございますが、いま私の質問したことは、それは過去のことであろう、こういうことでございますが、そうじゃなくして、本年、また来年、再来年と、毎年超過負担は積み上げられていくんじゃないか、やりたいことはたくさんあるわけですから、そういう点でのその超過負担をどういうふうにしていくのであろうかというような疑問を持って私はお尋ねしたわけですが、お答えいただけましょうか。
  18. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 お尋ね意味は、超過負担金額がはっきりしたんなら、この際一挙にやれという意味ではないかと思うのですが、やはりいろいろな理由がありまして、年次的に三年間できちっとこれを解消してしまうということで段取りを進めておるわけでございますので、今後超過負担が逐年累増するなどということはないと考えております。
  19. 小濱新次

    ○小濱委員 これはちょっと私はやはり今後突発事故が予想されますので、財政と関連して若干お尋ねしたいのです。  これは消防関係なんですが、去る十日の夜に大阪商船三井船舶貨物船さばな丸、一万四百五十五トンというのですが、これが横浜入港の途中に爆発事故を起こしまして、そうして船首——もういかりは吹っ飛び、錨鎖は途中で切れてたれ下がっておりまして、大きな穴をあけてしまった、そして積んでいたドラムかんが次から次へと爆発していったという、そういう事件でございますが、海上保安庁長野警備救難部長さんおいでになっておりましょうか。ちょっと説明していただきましょうか。
  20. 長野義男

    長野説明員 さばな丸の火災事件概要について申し上げます。  本船は、大阪商船三井船舶の船でございまして、サンフランシスコを出港いたしまして横浜向け航行中、四月の九日午前零時三十分ごろに野島崎の東方四百五十海里の地点におきまして、一番船倉に積んでおりましたドラムかん入り化学製品爆発しまして、火災が発生しましたが、人命被害はありませんでした。爆発直後、乗り組み員は炭酸ガス等を注入いたしまして、同日の午前十時三十分火災を一応鎮火せしめました。その後一番船倉の中甲板以下の密閉消火を強化して、ドラムかんを捕縛する等応急措置を実施いたしまして、横浜向け航行を開始したのでございますが、十日の午後七時三十九分、横浜港の入り口、外防波堤の沖合い二・三海里におきまして、再び一番船倉爆発しまして火災が発生いたしました。お説のとおり船首の中甲板及び外板等に亀裂を生じたのでございます。幸いにして人命被害はございませんでした。  以上がさばな丸の火災事件概要でございます。
  21. 小濱新次

    ○小濱委員 そういうことで、爆発事故が次から次へと起こっていった。その爆発時間が約五時間四十五分、私のほうの記録ではそうなっております。その間消防艇は近づけない、したがって化学消防もできなかった。自主消火——船内でいまあなたが話されたような消化の任に当たってこられたということですが、その当時の海上風速、その模様等を少し話してくださいませんか。
  22. 長野義男

    長野説明員 当時の気象状況は南西の風十五メーターでございまして、したがって、出動いたしました消防艇あるいは巡視艇本船に横づけすることは、その当時の気象状況海象状況等から困難というよりも不可能でございました。  なお、巡視船「すみだ」がおりましたが、このほうは三百五十トンございますので消火につとめたわけでございます。そのほかタグボートがございましたが、タグボートではその性能上そのような海象状況気象状況にありましても、本船に横づけすることが可能でございますが、小さな消防艇においては、そのような海象状況においては横づけ不可能な状態でございました。
  23. 小濱新次

    ○小濱委員 あと巡視艇の大きいのがおったわけですね。それは南方方面に行っておるし、一ぱいは浦賀のドックへ入っておるし、全然処置がないということで、ただ一ぱいの三百五十トンが動いたけれども、これは化学消防装置を持っていない。消防能力は若干あったが、全然近づけない。いま風速十五メーターと言っておりましたけれども、私どもの調べでは、あの当時の状況では、一番低いときが十四メーター、高いときが二十メーター。十七メーター以上が台風ということですね。そうすると、東京湾内、しかも横浜港から二千メーターしか離れていないところで、そういう状態で船が近づけない。装置もない。ただあれよあれよと、引き船等にいろいろ連絡を頼み、物を運んでもらったりなんかして、かろうじて消火につとめた。消火につとめたのではなくて、燃え尽くして、ドラムカン十本ぐらいを残してあと八十本ぐらいが爆発してしまった。こういうような状態内容のようであります。  そういうことで、横浜あたり消防艇は、ちょっと波があると外防の外へは全然出られない。しかしながら、内防あるいは外防内に火災のあるときは、もちろん出なくちゃなりませんし、そういう協定もできているようですが、外防外だからといって出ないわけにもいかぬでしょう。ところが、船が小さくて出られない。そういうことで、これは、ただ沖のほうの一ぱいの船の被害でさえもこういう状態で全然もうお手あげ。新聞には全然その能力を発揮できない消防艇という見出しで書いてございます。  こういう姿でございますが、もう一つ大事なことは化学消火剤ですが、これは海上保安庁のほうではどのくらいを自分のほうで貯蔵しているわけですか。
  24. 長野義男

    長野説明員 東京湾におきましては、海上保安庁といたしましては、約八トンの化学消火剤を用意しております。なお、本年度十五トンの化学消火剤を用意する計画でございます。
  25. 小濱新次

    ○小濱委員 八トンといいますと、普通、筒先でけっこうですが、一本のホーズで何時間くらい使用することができますか。
  26. 長野義男

    長野説明員 普通、ノズルの大きさあるいはポンプの能力によっても違いますが、今年度建造を計画いたしております消防船等によりますと、これは最高の能力を持っておりまして、毎分十二トンのあわ消火剤を出すことができるような消防船を計画いたしておりますけれども、現在持っております消防能力といたしましては、毎分八百リットル程度の消防能力を持っておる次第でございます。
  27. 小濱新次

    ○小濱委員 京浜地帯を調べてみましたら、二十リットルかんが七十六かんしかない。これは八トンに対してどのくらいになるかわかりませんが、こういう状態です。御存じのように、京浜産業地帯コンビナート地帯あすこには五百トン以上の油タンクが約二千二百個建っているはずです。そういう施設が五千二百ぐらいあるようです。塩素かんがあります。あすこでも飛行機が常時飛んでいるわけですが、これで事故が起これはどうなるかということの心配もあるわけです。船も南方に行っている、ドックに入っている、一ぱいしかない。あるいはまた、消火剤もそのくらいしかない。ちょっと波が立つと沖へ出られない。処置なしです。こういう姿が海上保安本部にもあるし、また消防庁にもあるわけです。  そこで、私は大臣にお願いしたいのですが、とにかくこの京浜地帯一帯は、もうどういう被害を受けるかわからないというような危険状態にあるわけです。ゆうべ私は、たまたま早くうちへ帰りまして、十一時のテレビを見ました。そうしたら、「現代の映像」でコンビナートの災害ということが出ておりまして、よく見せてもらいました。これは真剣に見ました。アメリカでも、本年の一月に大きなコンビナートの事件が起こっている。川崎でもこの間爆発事故が起こっている。あるいは新潟でも、三十九年、あのタンクの事故がありました。二週間くらい燃え続けた。どこの被害を聞いてみましても、処置なし、お手あげ、やりっぱなしである。自然に燃え尽くして鎮火していくのを待っているというような状態なのです。私はあしたまた川崎方面に視察に行ってまいりますが、見れば見るほど大臣訴えたくなるような内容なのです。そういう点で、財政面で今後海上保安庁にばかりまかせておくわけにはいかないわけです。川崎の港には二千隻からの船が毎日おるわけです。あそこで一発爆発されれば誘爆していくでしょう。そうなった場合に、今度は流れ出した油による火災がどういうふうに発展していくかということを考えれば、船は全滅していくでしょう。海上保安庁のいまのような能力ではどうにもならぬでしょう。あなた方は逃げるのに精一ぱいでしょう。救難なんかできません。そこで、今後ともこの事件を通してひとつ何とかこれが対策を大いにやっていっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  28. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私、この前自治大臣をいたしましたときに、ちょうど新潟の地震に遭遇いたしまして、あそこのオイルタンクが燃え尽きるのを待った苦い経験から、その後鋭意科学消防につきまして意を用いまして、最近はだんだん消防能力というものも向上してまいっております。  いまの海上ですが、ただいま海上保安庁からも御答弁がありましたけれども、消防庁の場合は船が接岸、係留しておる場合が所管だと考えておりますし、それからいま水上署では、できるだけそういう地帯のために消防艇を充実することに逐年努力をしてまいっております。全部で三十七、八隻あると思いますが、私どもはそれで十分だとは思っておりません。しかし石油コンビナート地帯も含め、またその付近を遊よくする非常に積載量と容量の大きいタンカーなどに不測の事故がありました場合には、やはりお手あげの状態考えられますので、そういうことに対処いたしまして、関係各省といろいろこういう事故を予防いたしますための措置考え、また実行に移しつつある次第でございます。それで十分だというわけにはなかなかまいりませんが、しかし不測の事故に対しましては十分対処するだけの決意、また施設を一日も早く整えたい、かようには考えております。  それからさっきの塩素ガスのことですけれども、これは空気より比重が重いし、こういうものが流れました場合には、非常に刺激性の強い有毒ガスでございますので、こういうタンクが、まあ爆発はいたしませんけれども、何かの事故で破壊されたなどという場合には、付近住民はたいへんな被害を受けるわけでございますので、こういうこともいろいろ想定いたしまして、不測の事故を防ぐということについて措置を進めておるわけでございます。全体から申しまして、最近二十七万トンのオイルタンカーなども建造がすでにできて、間もなく就航するようでございますが、こういうタンカーに事故がありました場合などまで想像いたしますと、とてもじゃないが普通の方法ではいけるわけではございませんので、いろいろな想定はいたしてはおりますけれども、私どもといたしましては、石油コンビナートあるいはそれに伴って海上に遊よくしておりますこういうタンカー等に対する措置につきましては、できるだけのことはいたしたいと考え努力しておる最中でございます。
  29. 小濱新次

    ○小濱委員 消防庁関係は岸壁まで、これはわかりました。ただもう一つお伺いしたいことは、内防なり外防なり、あるいは外防外で油が流れ出して海面火災になった、その場合の消火剤についてはいろいろ研究しておるようですが、その海面火災に対して使用した消火薬剤というのですか、その問題については、たとえば市としてもほうっておけませんので、岸壁から離れて、その消化薬剤を持って飛んでいって鎮火に努力するだろうと思うのです。あなたのほうも当然やるわけですね。その場合の補償ですが、市のほうの消防艇で使った消化薬剤は市のほうで補償するのか、あるいはまた、岸壁外の海面火災の問題でありますから、これは国のほうで補償するのか、その点をここではっきりしておいていただきたいのです。どういうようにお考えでしょう、海上保安庁
  30. 長野義男

    長野説明員 この費用の分担につきましては、さきに三月二十九日、海上保安庁と消防庁との間に協定を締結いたしまして、原則としておのおのが負担する、特別に高額の費用がかかった場合にはそのつど協議するということになっておるわけでございます。
  31. 小濱新次

    ○小濱委員 海面火災ということになれば思い切ってやらなければならないわけですよ。ちゅうちょ逡巡していられないわけです。とにかく鎮火につとめるために大がかりな処置を講じなければならぬわけです。そのときにどうしても頭にちらついて問題になるのがこの分担の問題、補償の問題です。いまの話ですと、終わってから協議をして分担をきめる、これで消防庁関係、間違いございませんか。
  32. 山本弘

    山本(弘)政府委員 海上の火災につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、消防は一応原則といたしまして接岸あるいは入渠中の船舶でございます。しかしながら沖泊まりにおります船といえども、その港内のいわゆる海上の消防力いかんによっては消防が責任を持つというかっこうで現地において協定をすることはできるということになっております。先日の横浜の場合におきましては、港外、洋上でございますので、これは当然に海上保安庁の責任でございますが、いずれにいたしまして本、どちらに第一次的責任があるにいたしましても、相互は緊密な協力をなすことになっております。したがいまして、かりに海上保安庁に責任があるような状況で海上に火災が発生した場合において消防が協力した場合の費用の負担でございますが、これも協定の中におきまして協議をしてきめるというふうにいたしておるのでございます。しかしながら、先ほど海上保安庁のほうから御答弁がございましたように、消防といたしましても、これは協力という形で行ないましても、やはり当然の消防業務として消火活動に従事したものでございますので、非常に特別な費用を要したというふうなもの以外は、その費用負担について、それが前提となって消火活動について支障を生ずることはないものである、かように考えておるのでございます。
  33. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一度その点についてお尋ねしたいのですが、いま接岸中あるいは入渠中は、そこでの事件発生については消防庁関係で当然責任を持つ。ところがそこを離れて外防外で起こった場合は、これは当然国の責任区域じゃないですか。それなのになぜ自治体と話し合いをして分担をきめるのですか、ちょっと納得ができないですね。もう一ぺんお答えをいただきます。
  34. 長野義男

    長野説明員 先ほど消防庁のほうから御答弁がありましたように、原則として岸壁に係留中の船は消防庁、その他の海域におけるところの船舶の火災については海上保安庁ということになっております。このことは、港内岸壁以外の船舶の火災について、消防庁の権限を排除するものではないというふうにわれわれは解釈をいたしておりますので、双方の機関が使いました消火剤につきましては、普通の場合は双方が受け持つ。高額を要した場合には、そのつど協議をするというような事態になっております。
  35. 小濱新次

    ○小濱委員 これは長い間問題になっておることなんです。私が承知しているところでは、海上保安庁というのはじょうずなんですね。たとえば湾内、湾外でいろいろな沈船、そういう海難事故が起きますが、そういう場合でも自治体を相当動かしている。連絡をして従事さしている。自治体では、こんなことは国の仕事じゃないか、国でやるべきじゃないかということですが、国の言うことだからしかたがないということで、泣き寝入りしているような問題もずいぶんあるわけですね。その問題については触れませんが、とにかく消火剤が、いまのような話で地元負担ということになると、海面火災の場合、相当量お使いになりますね。これは一応訓練もできたそうでありますが、海面火災の処置はない、お手あげという結果になったそうですが、消火剤の使用に対する分担の問題については、消防関係で今後もう少し検討を要すると思うのですが、この点大臣どうでしょうか。
  36. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国が消すべきものは国の金で消さなければならぬのはあたりまえであります。私はまだそういう費用を地方公共団体で持ったという実例を知らぬわけでございますけれども、もしあるといたしますならば、やはりその点は分担を明確にしなければならぬと考えております。
  37. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣にもう一つお願いしたいのですが、高波に対処できるような消防艇、この建設について、これも相当年数がかかると思うのですが、運輸省でことし一ぱい建造中、来年できる予定がありますね。それしかないわけです。とにかく海面火災なんか近づけないのですから、逃げなくちゃならないのです。そういう点では、どんな高波にも、あるいは海面火災にも対処できるような、もっと大きな船をつくっていかなくちゃならないと思うわけですが、その点について、どんなお考えをお持ちになっていらっしゃるでしょうか。
  38. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、波が荒かったら消防艇が出ないということでは全く意味をなさないわけであります。消防庁のほうでも、たしか五隻か六隻準備をいたしておりますが、ただこれが安いものではございませんので、たいへん困るのでして、一隻の建造費が三千万円くらいかかる。それに対して補助もそう十分なことはできませんので困っておりますけれども、しかし御指摘の問題もありますので、すみやかに、できるだけ充実をしたい、かように考えております。
  39. 小濱新次

    ○小濱委員 その問題は終わります。  次にもう一つ。いろいろと競馬問題がこの委員会で審議されておりますが、私は公営ギャンブルの競輪について少しお尋ねしたいのですが、警察庁の方、おいでになっておりますでしょうか。——今月十一日に、川崎で放火事件の大きな事件がございました。それから先月は、売り上げ金を略奪していくような、そういう大事件が相次いで二回、ここのところ起こっているわけです。その内容被害状況等の模様についてひとつ語ってくれませんか。
  40. 井口孝文

    ○井口説明員 去る四月十一日に川崎の競輪場におきまして、ただいまお話のございましたような紛争事案があったわけでございます。川崎競輪場は川崎市の所有でございますが、競輪の施行者は、当日は川崎市でございました。十六時二十八分ごろ、当競輪場の開設記念の桜花賞典レースというものの四日目に当たっておりましたが、第十レース、これが最終、二千四百メートルでありました。スタートいたしまして、各車がそれぞれ牽制し合って、なかなかトップに出る者がないということからもつれまして、やり直しということになったわけでございます。しかしながら、二回目も、先頭に出る選手がなかなか出ないということから、二周目に、非常に人気のあります笹田という優勝候補にあげられている選手が先頭に立ちまして、これは六周目まで走ったわけでございます。最初に先頭に立つというのは非常に不利なんだそうでございまして、結局、その結果、笹田選手が最下位でゴールインということになったわけでございます。レースそのものは一番人気の選手が優勝しまして、穴にはならなかったのでございますが、そのレース展開に非常に観衆が不満を持ちまして、レースの途中から走路の中に新聞紙を投げ込むというような行為がありまして、レースの中止を訴える声があったのでございますが、結局レースは成立いたしまして、一そう観衆を硬化させ、投石行為が行なわれるというようなことが始まったわけでございます。主催者側では、場内放送をもってレース終了の旨を告げまして、観衆の大半は不承不承場外に出たわけでありますが、一部の不満分子が千五百人、競輪場の出入り口の近くの第一投票所の前で気勢を上げまして、午後五時ごろ、このうち五人ぐらいが同投票所の中央の非常口を破って侵入いたしまして、新聞紙等によりまして放火したわけであります。直ちに消防車が出動いたしましたが、群衆のため現場に近づけませんで、第一投票所は全焼したわけであります。さらにこれに接続する払い戻し所も半焼の被害を受けたわけであります。五時五十五分ごろ警備部隊が参りまして、群衆を全員場外に排除しました。その間群衆の投石あるいは角材等による暴行などによりまして、場内施設のガラスが相当数破壊されたわけであります。なお、その後も場外に排除されました群衆が場外周辺に蝟集いたしておりましたが、警備部隊の警告によって完全に解散したのは午後七時ごろでございました。これが先般の川崎競輪場における紛争の概要でございます。この事件に対しまして、現在警察も捜査中でございますが、逮捕者一名を出しております。  もう一つ、最近の事件という御指摘がございましたが、昨年の七月七日に花月園の競輪場で起こった事件であろうかと思います。この事件は、神奈川県公営事業所が施行者になっておりまして、花月園の競輪場で起こった紛争事案でございます。この事件の発端は、やはり二番手の優勝候補と見られておりました選手が六周までトップを走りまして、六周目でゴールインだというふうに誤認をいたしまして、そのまま速度をゆるめて第二コーナー付近から選手の出入り口の方向に入ろうとしたのでございます。この錯覚がございまして、これが後続の車の妨害になりまして、三番、四番の選手が逐次転倒いたしまして、本命の五番選手も三着に落ちるということから、たいへんレース全体が乱れまして、結局配当金が三万九百二十円という大穴になったわけであります。これを八百長だ、レースは不成立だということで群集が騒ぎだしまして、その結果、暴行によりまして現金が約四百二十五万円奪取されておるわけでございます。その他審判塔、国旗掲揚の旗ざお、あるいは各投票所のガラス、窓ワクの破壊個所が約三百カ所ということでございまして、二十八名の負傷者を出しておるわけでございます。この事件につきましても、十五名の逮捕者が出たわけでございます。  以上が両事件概要でございます。
  41. 小濱新次

    ○小濱委員 警備の警官の動員数とか、それから検挙者であるとか、重軽傷、けが人が従業員にも相当出ておるわけですね、そういう被害状況を少し話してくれませんか。そこのところだけでいいです。
  42. 井口孝文

    ○井口説明員 先般の川崎競輪場の事件につきましては、警察官は川崎署員七十八名、機動隊四十八名、百二十六名を当初配置しておったわけでございます。その後応援部隊を川崎の所轄署から警察官六十九名、さらに機動隊百四十八名、隣接署から四百二十一名などを加えまして六百三十八名応援に参りまして、結局最終的に現場に投入されました警備部隊は七百六十四名でございます。当日、検挙者として、一応現場で立ちのきを要求しましても立ちのかないという軽犯罪法の条項によりまして百名余り任意同行をいたしておりますけれども、最終的には放火で二名、暴力行為等処罰二関スル法律で五名、軽犯罪法違反で一名というものを逮捕いたしております。なお、捜査が終了しておるわけではございませんので、これは今後ともまだ変化することもあろうかと思います。  被害といたしましては、第一投票所の木造モルタルの二階建てでございますが、これが全焼いたしております。それから第一払い戻し所、これも木造モルタルの一部でございますが、これが半焼ということになっております。さらに、それに伴  います渡り廊下の二階部分が全焼いたしております。さらに消防車一台が群集の投石によりまして被害を出しておるということでございます。   負傷者としましては、警察官二名を含めまして消防あるいは自衛警備員、女子従業員、一般観客、それぞれ全部加えまして計二十二名の被害が出ております。  前の花月園の事件被害につきましては、先ほど申し上げましたように現金四百二十五万円のほか、破壊個所三百カ所、負傷者二十八名というような状況でございます。
  43. 小濱新次

    ○小濱委員 どこでしたか、売り上げ金を略奪された事件があったでしょう。
  44. 井口孝文

    ○井口説明員 ただいま申し上げました花月園の競輪場における事件でございます。このときに売り上げ金を約四百二十五万円略奪されておるわけでございます。
  45. 小濱新次

    ○小濱委員 今度の事件でも警察官が七百六十四名、重軽傷が二十六名、消防車もやられ、それから建物も千三百二十平米の建物がこわされている。そのほか被害が非常に大きかった。それから花月園ではファンが騒動を起こして建物をこわし、売り上げ金も略奪している。こういうことが最近非常にあちこちで起こっているわけですね。私はなぜこういうことを申し上げるかというと、これは自治大臣が指定する市町村ということになっている。あなたが指定しなければ、これはもう問題解決ができるわけです。自治体ではひものつかない財源ということでとうとばれておりますし、それから、自治省としても何とかということで、そこにまた御意見のプリントができているようでありますが、地方財政健全化、こういうことで戦後行なわれたこの公営ギャンブルが、もう二十三年過ぎてきているわけですが、なお地方財政は危機であります。たいへんな内容を持っておりますが、しかしながら地方財政を何とか豊かにしてあげたいという親心はわかりますが、片方でこういう事件を起こし、そして罪人をつくり、住民のひんしゅくを買っているようなことをわれわれは認めながら、片方での財源措置をこれは認めていくわけにはいかないと思うのです。そういうことで、これはどうしてもやはり自治大臣としては相当の決意でこの財政の問題と、それから選手、従業員の処置の問題等も含んで今後対策を練っていかなくちゃならない非常に重大な段階を私は迎えたと思うわけですが、ひとつ大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  46. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 公営ギャンブルは、御案内のとおりに敗戦直後財政難から窮余の一策としてこういう制度を始めたわけでございまして、もともと賭博には違いないわけですから、私どもはこういうものを公営でやるなどということは、根本的には反対でございます。そのことはたびたび申し上げたところでございます。しかも、戦後二十年も経まして、いま何もギャンブルの上がりがなくたって、それで地方財政が破綻するわけのものではありません。こういう競技場がない府県というものはたくさんあるわけです。市町村ももちろんたくさんあります。ですが、やはりこういうことで二十年間も続けてきておりますので、これを廃止いたしますためには激変緩和の措置というものを考えませんと、やはりそこに不測の間違いも起こってまいりかねませんので、いまその点につきましては各党でいろいろ方法について御検討をいただいておる最中でございまして、まだ結論が出るには至っておりませんけれども自治省といたしましては、激変緩和の措置といたしましても、これを一応許すとするならば、その一定額以上の収益というものを他の地方公共団体にも均てんさせるという方向で解決しなければならぬということを考えておる次第でございますが、まだ結論が出ておらないのをたいへん残念に考えておる次第でございます。
  47. 小濱新次

    ○小濱委員 昨年の十一月現在ですが、都府県と市町村の数は三千三百四十九ございます。そこで開催都市が二百十六しかない、非開催都市が三千百三十三あるわけです。いま均てん化という問題があったわけですが、均てん化ということになれば、平等に上がりを分けていくということになれば、今後もまたこれはやっていくということになると思うのですが、こういういまわしい事件があちこちに起こっていながら、なおこれをやっていこうとする自治大臣考え方に、私は改めてもらわなくちゃならない相違点があると思うのですが、もう一考していただけませんか。
  48. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まあギャンブルといえば、一応日本では禁止されておりますけれども、たとえばパチンコみたいなものだってギャンブルに違いないわけでございます。しかし、やっぱり庶民のささやかな楽しみをなぜこの際つぶしてしまわないといかぬのかという声も一方にあることでございますので、しかし、根本はやはり先ほど申しましたように、公営ギャンブルなどというものはなるべく早い機会に廃止するという方向で検討はいたしますけれども、何せ二十年も続けてきたものでございますので、一挙にというわけにはいかない事情も実はあるわけでございます。しかし、根本的な方向につきましては、いまおっしゃるとおりのところに私ども全く同感でございます。
  49. 小濱新次

    ○小濱委員 やっぱり大臣の心の中に、これを続けていこうという御意思があることがいまの発言の中にも出ておるわけですね。いま大臣は、ささやかな楽しみをなぜつぶしてしまうのかとの声もある、これは大臣の声じゃないのですか。ほんとうにこういう問題が大臣の心の中に一部分でもあっては相ならぬと私どもは思うわけですよ。もう一ぺんお答えいただきたいと思います。
  50. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、もともとかけごとはきらいですから、私がささやかな楽しみをこれに求めておるわけでは決してございませんが、しかしながら、特に競輪などは、家庭的な問題を起こしておる事例もよく新聞などで見てもおりますし、こういう射幸心をそそるということは、私は、正しい国民——正しいと申しますか、国民生活の根底から考えましてたいへんまずいという気持ちを持っておるということを言ったわけです。ただ、これを存続するかどうかということにつきましては、私は、廃止の方向にいくべきだとは申し上げましたけれども、やっぱりいまの時点ではなかなかそうはいきかねておるということは、公営競技調査会が出しておりますところの結論にも、一応存続するものとしてという前提のもとに議論がなされておるわけです。しかし私は、にもかかわらず、やっぱりなるべく早い機会にこういうものは廃止すべきだという私見を持っておるということをただいま申し上げたわけでございます。このささやかな楽しみというものは、何も私が個人でそういう気持ちを持っておるわけでは決してございませんが、事実あれだけの人が蝟集して、そして、ただいま警察庁から申し述べましたような事故を起こしますゆえんのものは、こういうもので何も巨利を博そうというよりは、ささやかな楽しみとして大衆の心の中にこういうものが巣くっておるということは、私は否定できない事実じゃないかという気がするということをただいま申し上げたわけでございます。
  51. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへん失礼なことを申し上げましたが、実は、公営賭博には必ず弊害が伴うという、その社会的悪影響、これがあまりにも大きいという、そういう事例がたくさんあるわけです。私の付近に大きな乾物屋さんがあります。そこのおじいさんが好きなんですね。それで、そこではこう言っていました。三悪といって、女と酒とばくち、この女の問題は年をとると解決できるというのですね。それから酒も、あるときには、委員長の前ですが、やまるそうであります。ところが、年とっても全然どうにもならないのはやはりこの賭博だそうですね。で、政府としては、財源難を理由に、大臣の心にも、そのようなお気持ちが出ているようにも私はくみ取ったわけであります。そういうことで、政府がこの公営ギャンブルを奨励してというふうに理解できるわけでありますが、そのために、大衆の射幸心をあおったり、健全な生活を破壊したり、そしてまた社会や家庭の悲劇を招いたような事例がたくさんあるわけですが、そういうことからも、ぜひとも今後廃止の方向に持っていかなくちゃならない、こういうふうに私ども考えているわけです。まあひとつ、大臣のお考えも若干わかりましたので、今後つとめて努力をしていっていただきたい、こう思います。この点は終わります。  本委員会でも、公営企業の中で水道問題がだいぶ取り上げられてまいりました。その問題については、もう長時間審議が尽くされてまいりましたので、私は、こまかくは申し上げませんが、きょうの新聞を見まするというと、横浜も今月約二百万都市になるそうです。そこで、非常にうれしいことでありますけれども、郊外地の学校建設や道路、水道、下水のいやも応もない整備を迫られている、うれしがってばかりもいられない、こういう話がございました。この横浜の問題につきましてちょっと申し上げますと、年間十万ぐらいずつ人口はふえておりますが、五十年度には県の人口もたしか六百五十万ぐらいになる予定です。そういう点で、横浜は、現状では、四十五年度以後は、その飲料水としてはもうお手上げ、処置なし、お先まっ暗という、そういう状態だそうでありますが、今度どこからこの水道をつくって水を引くのかということになると、もう県内にはほとんどないのですね。そこで、いろいろ考えを聞いてみますというと、静岡の富士川とか利根川、あるいは信濃川という、こういう話も出ております。それから、この間試みた人工降雨をやる以外にはない、こう言っておりました。で、この問題については、この間大臣も、何とか水のことは、でき得ればただという話もちょっと出ておりましたが、この間こういうふうに言っておりました。水は天からもらい水じゃないか、これを金を取るとはどういうことなんだ、空気と水はただにしろという意見を私は聞かされまして、びっくりしたわけでございますが、まあ将来は何としてでも、この首都圏地域における水資源の開発ということを考えていかなくちゃならない段階にきたんではないか。長期広域総合対策というのですか、これを確立していかなくちゃならない、そういうときだと思うのですね。で、これは自治省として、やはり知なないでは、無関係ではいられないはずの住民のことであります。住民の福利のために、繁栄のために、しあわせのために、何とか努力をしてもらわなくちゃなりませんが、そういう点で大臣はどういうふうにお考えを持っておられるか、そのいまの政府考え方ということで、自治大臣としてひとつお考えを聞かしていただきたいのです。
  52. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 人口の移動が激しいために非常にまずい現象が至るところに起きておりますが、そのうちでも特に飲料水の問題、これは人間の生活の上に欠くべからざるものでありまして、電気がなくてもガスがなくても生きていけるが、水がなかったら生きていくわけにいかない。そこで昔は遊牧民族だってやはり水を追うて生活場所を変えたわけだけれども、いまは水がなくても無理やり大都会に集まってくるような妙な風潮になってしまった。水がないから来るなと言いたいところだけれども、そういったって現に来るわけですから、これに水を飲まさないで日干しにしておくわけにはいきませんから、そのあとを追っかけて、われわれのほうでもいろいろ水源を求め、またできるだけ低廉な飲料水を供給するという意味で、意をくだいておるわけでございます。  水源の問題ですけれども、この前も当委員会で申し上げましたけれども、水には、原水を得るためには、それぞれ複雑な権利がからんでおりますので、なかなかむずかしい。むずかしいけれども、やはり何とかして人口の過密化、大都市集中化というものを押えなければならぬと思いながら、また努力しながらでも、残念ながら、将来を見越して、やはり地域人口の増大に応ずる給水というものは考えなければなりませんので、こういったことにつきましては、全国的にいろいろ調査もいたしまして、当省としても前向きで努力をいたしつつある次第でございます。
  53. 小濱新次

    ○小濱委員 いま、都市集中化を押えることも考えていかなくてはならぬという御意見もございました。とても無理な問題であろうと思うのです。そこで何とか水資源確保をしていく方策をとっていかなくてはならない。で、私のほういろいろ調べてみますと、水利権の問題もあって相当困窮すると思いますが、それが話し合いがついて、県外から水路をつくって引いたとしても、幾らも、二百万トンか二百五十万トン、このくらいしか県外からも引けないというような状態で、五、六年たつと、県としてももうお手あげという状態になってしまう。  そこでひとつ大臣に、考え方についてお尋ねしたいのですが、こういうことから浮かび上がってくる問題が、淡水化方式ですか、海水を蒸留水にして塩分を抜いて、真水にしていく。このことについては、かつて戦前は艦船では使っておった例があります。これも塩分が残っておりまして下痢等をするので、完全にはできてなかったので、そのままになってしまったようでありますが、この問題はもう世界的に取り上げられ、ソ連やアメリカでは近く完成するという状態だそうです。日本でももうすでに使われているところが九州にはあるそうでありますが、これは自治体にだけまかしておくわけにはいかない。県でも研究もやっておるようです。努力をしておるようでありますが、何とか国で取り上げてもらいたいという声が圧倒的に強いようであります。この海水淡水化方式、これにも蒸留等の十指にわたるようないろんな種類、方式があるようでありますが、どうでしょう、どうしてもこの問題は将来取り上げてもらわなくてはならぬわけでありますが、自治大臣考えを聞かしていただきたいと思います。
  54. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 日本はたいへん水に恵まれた国ではございますけれども、やはり人口の偏在が、水の飲料水としての十分な活用を妨げておるようにも考える次第でございます。だから、やはり過密がどうしたとかあるいは産業分散だとかに努力しておるわけですが、にもかかわらず、国全体としてやはり水が足りないということになれば、そんなことも国策として当然考えていかなければならぬかと思います。しかし、これは自治省が音頭をとってということにもまいりません。所管の役所もありますので、そういったところでいろいろ、たとえば海水の淡水化などにつきましては検討もしておると思いますけれども、いまの段階自治省でこれを取り上げるということは考えてはおりません。
  55. 小濱新次

    ○小濱委員 もちろんこれは世界的な研究の焦点ということで、その問題点は、淡水化のコストをいかに引き下げるか、この一点にもちろんしぼられておるのですが、いまのような自治体の悩みと訴えを聞いてみれば、当然これは基礎的な研究を国で取り上げなくちゃならない問題だと思うのですね。国で全然取り上げていないということはどういうことなんでしょうか、大臣お聞きになっておりませんか。
  56. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういった方面にはもちろん科学技術庁あたりでいろいろ検討を加えておると思います。しかしながら、まだ国で海水の淡水化をなぜ取り上げぬかということでございますけれども、そこまでやらなくても、適正に水を供給すれば、まだ国内の河川や雨の水でまかなえるということであろうと考えております。
  57. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、こういうことをお聞きになっておりませんか、この新聞によれば、県としては国に何とかその研究を取り上げていただきたい、こういうふうに再三にわたって懇願をしてきて、ことしこそはできると、こう期待しておったそうですが、厚生省側でもいろいろと意見が出たそうです。何か通産省でも出たそうです。企画庁でも出たらしい。最後に大蔵省、秋吉主計官にお尋ねしたいのですが、大蔵省の意見でこの計画がこわされていったというふうに新聞に出ております。残念ながらこの計画は実現できなかったというふうに書いてあるわけです。大臣はお聞きになっておりませんか。大蔵省どうですか。
  58. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 まだ勉強不足で、私その事実をつまびらかにしてございません。
  59. 小濱新次

    ○小濱委員 もっと辛らつなことを新聞には書いてあった。研究のなわ張り争いという見出しで載っております。ちゃんとリコピーして持ってまいりました。ここに出ている。ですから根拠のないことではないわけなんです。アメリカで完成された非常にりっぱなものも写真入りで出ておりました。そして日本でも、私、行ったことはありませんが、長崎県の西彼杵郡というのですか、ここでは、松島炭鉱池島鉱業所、そこで造水プラントを完成して使っているということで、もう非常に喜ばれている。こういう面から、これは国で取り上げていかなければならない、そういう問題でありながらも、どうもなわ張り争いをやっているというような見出しで新聞にたたかれているようなことでは、これの実現はとうていおぼつかないわけです。これは赤澤自治大臣、相当腹をきめてひとつ促進方をがんばっていただかないとできなかろうと思います。もちろんこれについては一元化体制、これは固めなければなりませんが、やはり自治大臣が中心になっていかなければならぬと思うのです。一日も早く実現すべきであるという点で、もう一ぺん大臣から……。
  60. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 世界的に、海水を淡水化して飲料水にするとか、あるいは人工降雨をするとか、新聞面でたびたび見た記憶はございます。しかし、日本でこれを企業化するとか、あるいは実施に移すということで地方団体がいろいろ陳情をしたなどということは耳にしておりません。しかし、私はやはり原水コストと申しますか、給水原価がどうなるかということが問題じゃなかろうか。これが非常に安くできるということだったら、すぐにでも手をうけていかなければならぬと思いますけれども、まだまだ、それぞれ関係官庁でこれを取り上げないでおるということは、おそらく給水原価がべらぼうなものになるのじゃなかろうかという段階から気乗り薄ではないかと思うわけでございまして、もちろんそれぞれ科学技術面では、こういったことにつきましてもいろいろ検討が加えられておるとは思いますけれども、これは自治省で取り上げて、ただいまいろいろな御意見がありましたけれども、まっ正面に取り組むべき段階でもないと思う次第でございます。
  61. 小濱新次

    ○小濱委員 どうも大臣まだちゅうちょ逡巡しておられるようですね。取り組む段階でもないし、コストダウンということでいろいろと悩んでおられるような、そういう話のようであります。大臣の御意見のとおりですが、だからこそ早く手をつけて、そしてコストダウンしていくような方向に持っていかなくてはならない。新聞によりますと、もうすでにアメリカあたりでは、ソ連もそうですが、非常に水は豊富でありますが、なおこの研究を完成してコストダウンもやっておるようですが、真剣に取り上げていただかなければこの問題はできないのです。ところがやはり大臣の心の中にいまのような御発言の内容があるからこそこの問題が取り上げられないで、まだ国で基礎的な研究も行なわれていない。自治体ではやっている。しかも九州の果てのほうではすでに完成している。住民から喜ばれている。こういうこともありますので、これはやはり各省でこういう姿でこの問題について残念ながら予算化することもできなかったというようなことで新聞にたたかれるようなことであってはならぬと思うのです。大臣、ひとつ将来計画を、抱負なり御見解をもう一ぺん聞かしてください。
  62. 吉川久衛

    吉川委員長 自治大臣、国務大臣として、閣議あたりでひとつ御発言を願って、そして将来に備えていまから十分な研究を進めていくということは必要だと思いますから、そういうような御発言をお願いします。
  63. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 やはり関係各省、たとえば厚生、通産、科学技術など、水道には重大関心を持っておりますので、よく関係各省の意見を聞いてみたいと思います。いま自治省でこの問題を取り上げてどう処理するという段階にはないと思いますので、よく協議の上、またお答えできると思います。
  64. 小濱新次

    ○小濱委員 この問題については終わります。  次には、やはり財政危機ということで少しお尋ねしたいのですが、人口集中化によって市民生活の一番の悩みは何か。私は中小都市について何カ所か回ってみた。ところが用悪水路の改修工事にあると、住民の人たちも役所の人たちもこういうふうに訴えておりました。用悪水路について、どういうふうなお考えを持っておられるか、これはひとつ局長にお答えいただきたいと思います。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 おっしゃるとおり、都市化の施設のおくれておりますところでは、そういう問題が起こっておりまして、私どももしばしば聞いております。そこで、一つにはやはり河川を浄化する、一つには下水を完備する、そういったようなことがさしあたって必要であろう、こう考えるのでございます。そういった面で、私のほうもできるだけの御援助をしてまいりたい、こう思っております。
  66. 小濱新次

    ○小濱委員 最近非常に町の中心部は密集しておりますので、下水は完備しております。そうしてちょっと離れたところの畑の中に、どんどんといま住宅が建ってくる。その田んぼの中にどんどん建っていくうちが、U字溝、下水の流れるほんとうの短い距離だけのそういう下水道はつくっていくわけですが、今度はそのさらに先に、かんがい用水ですか、農業用水、これが流れているわけです。そこへ落ちていく。それがずっと伝わっていって、今度は河川に落ちていく。これは御存じのとおりですが、こういう状態すで。この河川の問題は、これはもう大きな問題ですから問題ないわけですが、その河川に落ちるまでのかんがい用水、農業用水、これの下のほうが住宅になってしまいます。そうすると、今度はかんがい用水に対する補助金が切られちゃう。全然ない。途中で切られちゃうものですから、今度はかんがい用水に水がたまっていく。住宅からはどんどん家庭排水をやっていくわけです。U字溝から流れていった、そのかんがい用水の中にたまっている水、これがまたにおいが強い。またハエもここから起こっているようです。ハエは便所のウジからといわれておりますけれども、この汚水の中からボウフラがわいたりして、そうして蚊にかわっていくわけです。そういうことで、においは強いし、どうにもなりません。こういうことで、何とかかんがい用水を下水道にしてもらいたいという声があるわけですが、全然補助がないものですから、市としても取り上げられない。やりにくい。したがって、今度は地元住民負担になっているわけですが、住民も距離がありますから出し切れない。そういうことで放置してあるという問題、この問題から伝染病も発生した例もあります。そういうことから、どうしても人口集中化による都市の悩みということ、これは全国の市町村に通ずる問題だと思うのですが、やはり行政面であるいはまた財政面で、自治省として考えていかなければならないと私は思いますので、この点についてお尋ねしたいのですが、お考えはどうでしょうか。いままでに審議をされたことがあるかどうか、その内容についてお答えいただきたいと思います。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、農業用の悪水路排せつということで施設をつくりますと、そこがとたんに都市化をしてしまって、農業のために出した施設都市施設になってしまうといったような問題も現実には起こっておるわけでございます。そこでいまおっしゃるようなのも、それを相互遠慮し合った結果の盲点みたいなところになっている現象だろうと思うのです。私どもそういうことをしばしば市町村の、特に市のほうから伺うわけでございますが、市の当局としては、いまの段階ではやはり何よりもまず下水の本管を設けることによって、そういうものへの枝管まで実は手が回らないというのが実態のように聞いております。したがいまして、私どものほうも、そういった問題について市独自に単独事業で行なっておりますものには応援をする考えを持っておりまするけれども、多くの市は、それよりももっと元管のほうに力を入れるというような状況でございますので、結局まあ仕事の順序の問題になろうかと思います。私どもも、これは特に稠密化した新しい造成地等におきまして、特に周辺部でございますが、そういうところに非常に多いので、今後ともやはり考えていかなければならない問題だ、こういうふうに思っております。
  68. 小濱新次

    ○小濱委員 下水道の設置については、これは補助とか起債とか認められているわけですね。そうすると、なぜこの用悪水路の改修については補助が出ないのでしょうか。これがどこの町へ行っても市へ行っても、もう、ちょっと郊外へ行きますと大きな悩みになっているわけです。私ども参りますと、こういう声が圧倒的に強いわけです。これはどうしても考えていかなくちゃならない問題だと思いますが、この補助のない理由はどこにあるのですか、あるいは今後どのようにお考えになっておられるのか、もう一ぺんお答えいただきたいと思います。
  69. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたように、補助の対象となりますものは主として主管と申しますか導管と申しますか、いわゆる基幹部分で、枝になりますところについては従来も補助がない、こういう行き方が通例であるわけでございます。そこへ農業関係都市施設関係とのちょうど中間地帯に当たっているような問題でございますので、確かにいまの仁組みでいくとなかなか解決しにくい問題を持っておると思います。都市の取り上げ方によりましては、私のほうでもそれを応援できるように研究をしていきたい、こういうふうに思っております。
  70. 小濱新次

    ○小濱委員 私はこの間ある都市へ行きました。そうしたらば、この間新聞に載せていただきましたが、公営住宅が九年ぶりで二十戸建ちました。そのことは新聞に載ったそうです。ある都市へ行きましたところが、市制がしかれて十年間、今日まで公営住宅は全然建っておりません、こういう市もあります。それは市費持ち出しが多いので、何とかして建ててあげたいと思う心はあるのですが、どうにもならないというような財政面の窮乏を訴えられて、そういうわけでこの用悪水路の改修については手が出ないのですが、ぜひひとつ取り上げてもらいたいというようなたっての要望もあったわけです。いま局長が申しておられましたが、枝になるところ、そこはまあ盲点だということですが、この仕組みについては何とか解決の方法について努力をしていきたい、こういうことでありましたが、これも全国的な問題として、相当大がかりな問題として早く取り上げていただき、研究をしていただきませんと、これが解決は相当おくれるのではないか。自治省のその使命の上に立って、住民のこれはたっての願いでありますから、これは一都市の問題ではないと思う。どこへ行ってもこの問題は聞かれる問題です。ぜひ自治大臣にお願いしておきたいのですが、この問題も何かのおりにはひとつ促進方に努力をしていただきたい、こう思いますが、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  71. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりに、全国至るところにそういう個所があることはよく知っております。上水道もそうだけれども、下水道の場合は特に、やはり水のことですから、落差がありませんとなかなか排水ができぬわけでございまして、海抜ゼロメートル地帯あたりはポンプアップするよりしかたがないわけでございますので、やはり普通の手段ではなかなか排水は困難であろうと思うのです。しかし比較的落差のあるところでは、都市計画にも私は問題があると思う。そういった下水あたりを含めての都市計画がきちっと立てられてあれば、それに沿うてやれるわけですけれども、それさえできていないところではなかなか問題の解決はむずかしいと思います。しかし、まだなかなか全国水洗便所が行き渡るところまではいきませんけれども、やはり清潔な文化生活を営みます上におきましては、使った水をさらに排せつする機関というものは十分整わなければならぬわけでございまするので、ただいま財政局長が申しましたように、まだいまの段階ではメーンパイプまでした手が及んでおりませんけれども、ブランチのほうにもやはりいろんな行政面の手が届くようにならなければいかぬと考えております。次第にそういった方向へ運ぶようにいたしたいと考えます。
  72. 小濱新次

    ○小濱委員 住みよい町づくりということで、どうしてもこれは大きく自治省で取り上げてもらわなくちゃならない問題ですが、よろしくひとつお願いしたいと思います。  最後に、だいぶ時間も過ぎましたので、あと二つばかりでやめますが、もう一つ最後にお聞きしたい。  私は基地交付金のことについて少しお尋ねしたいと思うのです。基地の問題については、御存じのとおり日米安保条約によって米軍基地が全国で大小合わせて百四十七カ所もあるということであります。そこで関係する市町村はまた二百六十九都市になっているそうであります。これらの基地をかかえている自治体に対して基地交付——正確には国有提供施設等所在市町村助成交付金、こういうふうになるそうでありますが、これが交付されている。四十三年度予算においては十九億円が計上されているそうであります。この経過をたどってみると、全国基地協議会は五十億円の要求をされたそうであります。自治省で、ここで三十億円に何か削られた。それをまた今度大蔵省決定で十九億円になっていったという順序になっているそうであります。この十九億円に対する根拠といいますか、算定基準といいますか、どうしてこういうふうに大きな開きが出てきてしまったのか、非常に基地をかかえている市町村が悩んでおりますので、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  73. 松島五郎

    ○松島政府委員 基地交付金は、基地に所在します飛行場でございますとかその他の施設の価額を基準にいたしまして交付をいたしているものでございますが、まず第一番目のお尋ねの、基地協議会等が出しております要求額と、自治省が予算要求いたしました数字との相違でございますけれども、基地協議会のほうでは対象施設に、現在対角となっておりません米ドル資産——アメリカ合衆国がアメリカ合衆国のお金で取得いたしました資産でございます。そういうものを基地交付金の対象にすべきであるという前提のもとに計算をいらして要求をいたしております点が違っております。第二点は、この基地交付金は固定資産税にかわるものであるという観点から、その対象資産額に対しまして百分の一・四の率を乗じまして計算をいたしておるのでございます。その二点の相違から、基地協議会が出しております要求は五十億円でございます。これに対しまして、私どもは対象資産のうちに米ドル資産まで含めることはいかがかと考えまして、これを除きましたものに百分の一・〇の率で交付をするという前提で計算をいたしまして、三十億といたしておるものでございます。  しからば、百分の一・〇というのはどういう根拠かということになりますと、これは特別な根拠があると申し上げられる数字ではございませんけれども、しかし従来の予算額の例から申しまして、大体百分の〇・六から〇・七、多い年で〇・八というような線を上下をいたしております関係上、一挙に百分の一・四という線まで持っていくということは困難であるという判断から、百分の一・〇という計算をいたしたものでございます。  なお、予算額が十九億円と決定をいたしました経緯につきましては、これも特別の明確な根拠が必ずしもあるものとは考えられませんが、ここ数年来交付金額につきましては若干ずつ毎年増加をいたしてきておりまして、昭和三十二年にこの制度が創設されました当時は五億円でございましたが、それが三十三年度から十億円になり、十億円の期間が三十三年、三十四年、三十五年、三十六年と四年間続いたのでございますが、その後三十七年に十二億円と二億円増額になり、三十八年まで二年間同じ額でございました。それから五千万円、一億円という単位で毎年増額をはかってきておりまして、昨年は御承知のとおり四十一年の十五億に対して二億円増の十七億でございます。今年も昨年並みの増額をするということで十九億円にいたしたものでございます。
  74. 小濱新次

    ○小濱委員 都市によっては、百万坪も百十五万坪も国によって買い上げられたり、あるいはまた基地になっておったりして非常に大きな減収をしている、そういう都市があるわけであります。それで、自治省の算出方法と地元の算出の数字の違いについては、固定資産税は百分の一・四、しかし地域によっては百分の〇・八あるいは〇・七、こういうふうになっているという説明でございましたが、その点についての地元自治団体の理解ができないでいる。きのう、おとといあたりの新聞ですと、近々また、基地をかかえている都市は国会にぜひともひとつ聞いてもらいたいということで陳情に来るそうであります。この契約をつくられた責任は国にあるのだ、だからどうしても国の責任においてこの減収額は補てんをしてもらいたいということでありますが、でき得れば固定資産税並みに計算をしてもらいたいという声が圧倒的に多いわけです。どうしてもそこに大きな開きがあって、片方では五十億と出したが、自治省では三十億と削って、大蔵では十九億で決定された、こういうことになっているようです。この点を悩みとしているわけでありますが、この算定方法についてもう一度お考えを聞かしていただけませんか。その点はどうしてそうなっているのかということです。
  75. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、党におりましたときに、長い間基地対策特別委員長をやって、この問題ではずいぶん苦労をしてまいりました。もともと十年ばかり前に、出発は五億円くらいから始まって、伸びない年もあったし、五千万、一億あるいは多いときは二億でしたか、とにかく長い間かかってやっと、大蔵省と折衝して、いま十九億まで達したわけでございます。それはもちろん地元住民が言いますように、固定資産税見合いのものとして計算いたしますれば相当大きな金額になるのですけれども、なかなかそこに至るまで容易でなかった。やはりこれはあくまで一般財源です。しかし、地区の住民諸君は、ああいう騒音の被害だとか、いろいろ軍事施設のために生活上迷惑をする面もあるというので、地域住民の生活安定のための特別措置法というものをつくりまして、この面でも国費がだんだん、三年くらい前から出るようになったわけでございます。  そこで、この数字の根拠と申しますと、ただいま税務局長が説明いたしましたのが本筋であります。しかし、出発が出発なものですから、なかなか一挙に——自治省はちゃんと正当な計算をしておるつもりですけれども、そこに達するのに少し時間がかかっておるわけであります。このことは何も米軍に提供した施設だけでなくして、自衛隊が使っておりますものについても、同じように固定資産税見合いのものとして基地交付金というものを要求し続けて今日に至っておるわけでございます。自治省は毎年とにかく若干ずつでございますけれども、これを伸ばすという努力を傾倒してまいっておりますけれども、目下まだわれわれが希望するところまで到達しないという現状でございます。
  76. 小濱新次

    ○小濱委員 固定資産税の伸び率についてだいぶ開きがあるようです。年々五千万あるいは二、三年据え置く、そして昨年度は十七億が今年度は十九億になったということでありますが、その十九億を、いまたくさんあげました基地をかかえている都市あるいはまた関係している地域分散して分けていくわけですから、数字にすれば幾らにもならない。その基地をかかえている土地へ行ってみますと、どうしても行政面で非常におくれている面が見えるのですね。たとえば道路は全然直っていない。下水も完備されていない。公営住宅なんかも十年間一軒も建っていない。人口が四年間で倍になっている。相模原なんというのは百五十万坪もかかえておりますが、もうほんとうにそのほうのいわゆる持ち出しが多いので、逆に財政は圧迫されているというような声も聞いているわけであります。やはり固定資産税並みに上げてもらいたい、百分の一・四まで何とかしてお願いをしたいという声が、そういう実情から推してどうも真実の声のようであります。これはひとつまた大臣、いろいろとお考えをいただきたいと思います。  それからもう一つ、地元で悩んでいる問題がある。これは安保条約の地位協定の中に入っているようでありますが、合衆国軍隊財産等についての租税の免除、この問題について項目があるようでございます。これによると住民税は非課税、自動車税は減税、こういうふうになっているようであります。基地の外に住んでいる米軍人軍属、基地周辺の地方公共団体の区域に居住している人たちが——オンリーなんかも住んでおりますが、こういう人たちが、下水道、道路あるいはじんかい処理場等をはじめあらゆる公共施設を使用しているわけです。そうして地方公共団体等の行政による利便を一般市民と同様に享受しているわけです。こういう人たちはみんな減税あるいはまた免税、もちろん住民税もありません。固定資産税もない。こういう状態があるわけです。たとえば、この間私は、この基地問題について、まず一番身近なところで大和市へ行ってみました。大和市へ行ったところが、二万二千世帯ある中に千百何軒かこの軍人軍属の家があるわけです。これが免税になっておるわけです。ところが、こういう人たちが使っている車は大型なんです。油は基地の中から積んでくる。これも減税になっている。こういうことです。そういうことで、大型の車を運転しますもので道路や下水がいたむんですね。それで非常に悩みをかかえておるわけですが、こういう基地をかかえておる自治体のこの訴えをぜひ国でも取り上げてもらいたいという声が多いようであります。この減税、免税の点については何とか国で計らいをしてやるような方策はないものでしょうか、一ぺん答えてもらいたい。
  77. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大なり小なり、戦争に負けた日本ですから、そのあと始末として、まあ願わしくないことが国内に点々とあることの一つだと思います。そのうちに米軍だっていつまでもおりますまいから、みんな国外に退去する日もあるわけでしょうが、いまの段階では、やはり米軍によってつくられた資産というものは大体非課税になっておるが、米軍人が住んでおります建物でも、日本人が建設して提供したものは同じように課税されておると考えております。住民税の場合は、これは軍人なんというものはここへ定住するわけのものでもありませんので、軍人としてここへ勤務しておるという特殊な状況から、住民税云々ということにつきましても問題になっておらぬと考えますが、しかし、そう遠くない将来に米軍なんというものは全部撤退することになると考えますけれども、いまの段階でこの問題だけ取り上げるという状態ではございません。
  78. 小濱新次

    ○小濱委員 戦争のあと始末、大なり小なり何がしかの責任を果たしていかなければならぬであろうということの御意見でありましたが、そのあとに大臣は、米軍もいつまでもいまいからというお話をされました。これはちょっと何か思惑があって言われたのか、何かお考えがあり、また閣僚間においてそういう話が出ておったのか、それとも思いつきで使われたおことばなんでしょうか。一ぺんお答え願いたい。
  79. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何も別に閣内で話があったということではございませんけれども日本に外国の軍人がいつまでも駐留するということ自体が変則なことですから、やはり近い将来にはアメリカ軍というものは撤退する必要があるということを私は信じておるということを申し上げたわけでございます。
  80. 小濱新次

    ○小濱委員 また大和の例でございますが、進入地域——飛行機が入る地域でありますが、この危険な区域は国有地として国が初めは約五百メートルらしいですが、最近は千メートル周辺を買い上げておるようであります。大体十一万坪くらい買い上げたようであります。ところが、あの辺の地価ですと、いまはもう四万前後、五万くらいしているらしいですね。ところが、国の買い上げ額は一万円が最高だそうです。自治体としては、この国有地に対しては固定資産税も入らないわけですね。交付金の対象にもならないわけです。これがまた自治体の悩みにもなっておる。自治省としてこういうものに対する考えを何とか持ってやらなければならぬと思いますが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  81. 松島五郎

    ○松島政府委員 ただいまの問題は、提供施設というものになっていない部分につきましては、国有地でありますと課税の対象にならない、あるいは基地交付金の対象にならないということは御意見のとおりであります。その問題についてどう対処していくかという問題は、最近騒音の問題から国で買い上げる範囲をだんだんと広げていっておることとも関連いたしますので、今後私のほうでも何か特別の方策を考えてまいりたいと考えております。
  82. 小濱新次

    ○小濱委員 特定の方法を考えていくということでありますからお願いしておきたいと思いますが、国で買い上げた土地は国家の管理ということになっておるのでしょうから、これはやむを得ませんが、有刺鉄線、鉄条網がずっと張ってあるわけです。そこには立ち入り禁止の札が張ってある。ここはまた草ぼうぼうとおい茂っておるわけです。当然蚊の発生原因もここにありますけれども、大和であるときに火事が起こったそうです。ところが、有刺鉄線が張ってあるし、立ち入り厳禁ということになっている。ふだん痛めつけられておるという感情もあってだれも消しに行かない。ここの住民が火事の連絡を受けて消してくれと言われた。ところが、立ち入り禁止ですからねと言って住民は消そうとしなかったというようなエピソードもあった。これは住民としてはどうにもなりません。自治体としてもどうにもならない。そういう地域全国には相当あるわけですから、やはり自治省として何らかの方策を講じてやらなければならないだろう。財政援助の問題、あるいはそういう危険な地域に対して、国が管理しておる問題についてはやはり管理は地元にまかすべきであるというような、そういう方向づけをはっきりしてやらなければならないことがたくさんあるわけです。一ぺんこれは検討を要する事項だと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  83. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 全国にそうたくさんあるわけではありませんし、十分検討しなければならぬと思います。  それから、先ほどの、基地周辺に国がどれだけ意を用いているかという問題ですけれども、予算的には単に基地交付金十九億だけでなくて、騒音防止対策の一環として学校施設等につきましては、毎年百億円以上のものを、これは防衛庁の予算ですけれども出しておる。あるいは、先ほどの、新しくつくりました基地周辺の民生安定のために国費がたしか十億以上出ています。それから特交でも若干の措置をいたしております等、意は用いておりますけれども、不十分だということは、私どもかねがね感じているところでございます。その上にただいま御指摘のような問題もあろうかと思いますので、将来にわたっては十分検討していかなければならない、かように考えております。
  84. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣のお話がございましたが、いろいろ意を用いておられるようですが、基地周辺の整備法第三条ですか、これによりますと、学校等の防音工事をするようになっております。大和の場合、全部鉄筋コンクリートにしまして、学校は防音装置をいたしました。ところが、完成はできたけれども、維持費がかかってたまらない。たとえば冬は暖房、夏は冷房にしなければならない。ところが、その冷房で勉強をやるわけですから、子供は喜んでおりましょうけれども、学校側としては従来の三倍ぐらいかかるらしいですね。このことについて地方財政は非常に圧迫をされているのだということで、その点も考えてやらなければならないであろう。大臣のいまの心はわかりましたけれども、こういう問題もある。  時間がだいぶ過ぎましたので急ぎますが、大和では本年の予算で小学校を三校建てなければならない。基準でいくと土地も八千坪ですか、そして建てたいということです。人口増に従ってやむを得ません。建てなくてはなりませんから。来年の三月の初めまでに何とか完成しなければならない、こういうふうに言っておりました。こういう問題が基地をかかえているため、人口集中化のために、東京を中心とした周辺地域ではいろんな問題で悩んでいるわけです。これも当然国庫補助等も考えてもやらなければならないと思うわけですが、こういうことから、きょう財政問題について何とか今後対策を練っていかなければならない。その財政問題を論ずる前に、こういう問題もぜひ聞いておいてもらいたい、私はこう思いまして用意をしてきたわけでございます。まだ幾つかございますが、だいぶ時間が過ぎましたのでこれで終わりますが、どうかひとつこういう実情を勘案しながら、これから財政計画を大いに立てていってもらいたい、こういうことでございますが、もう一ぺん最後に大臣にお答えいただきたいと思います。
  85. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 全国の基地周辺の状況を私は比較的知っている者の一人だと思うのですが、たいへんないなかに豪華な鉄筋コンクリートの学校なんかができておりますのは、たいていこの基地周辺でございます。これはほとんど全額国庫の金で建ちますので、老朽でもない校舎でも、この際鉄筋にしてやろうということで、たいへんな陳情でございまして、単に騒音防止の設備をすれば足ると考えられるところも、無理をして鉄筋に改築をしておるということが実情でございます。ところが、今度は鉄筋校舎の維持費にまた金がかかるということになりますと、そういうことまでは実は計算をしていなかったわけですけれども、事実であれば、やはりこれは御指摘のとおりほってはおけぬ問題でもございまするので、さらに実態をよく調べて善処したい、かように考えます。
  86. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一言、大和市の場合においては、確かに全校舎鉄筋コンクリートになりました。ところが、これは子供の教育を最重点にして市費のすべてをここへ注入してやったわけであります。大和へ行ってごらんなさい。舗装してあるところは全然ございません。町の中にはない。国道、県道は別ですが、市道では全然ありませんし、下水なんかもほとんどない、やりっぱなし。そういう点で、もう市長も目をつぶって、やむを得ない、一切をなげうってこのことに注入しようと、こう言っておりました。ですから、鉄骨ができた、防音装置ができたということだけで、あとは全部おくれております。そういう点で非常に行政面でも苦しいし、国にお願いすることが非常に多い。こういうことで、この間も聞いてくださいということで電話が参りましたので、私は行っていろいろ聞いてまいったわけですが、全国にこういう地域が多いと思います。一そう大臣の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  たいへんありがとうございました。
  87. 吉川久衛

    吉川委員長 この際、去る十二日の河上委員の質疑中、地方公共団体が行なう公営競技に関する問題について、赤澤自治大臣から発言の申し出がありますので、これを許します。赤澤自治大臣
  88. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先般の御質疑に対してお答えいたします。  自治省としては、従来の競馬開催団体の財政の激変に対して、立法措置も含めて何らかの措置をすみやかに講ずるように引き続き努力してまいりたいと存じます。
  89. 吉川久衛

    吉川委員長 三木喜夫君。
  90. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 予算委員会から、それから当地方行政委員会で相当地方財政の問題、交付税の問題、地方税の問題を論議されました。その間を通じて、私、地方財政について自治大臣が非常に努力されておる、こういうことを知りましたし、さらにまた、いまおられなくなりましたが、亀山さんや、奥野さん、それに渡海さんを入れて地方行政の御三家というようなことで、この方々がたいへん努力されたということがある雑誌に出ておりました。これらの人の努力にわれわれは感謝をしたいと思うわけであります。しかしながら、この御努力をめぐりまして、どうしても私たち納得のいかぬ、これはどうかなと思うような疑念が残るわけなんです。それで、こういう問題は論議し尽くされておるかもしれませんけれども、念を押しておく意味におきましてきょうは質問をしてみたい、こういうぐあいに思います。  それから、地方財政がかなり好転したような印象を与えたことは私は非常に残念に思うのですが、いまの小濱さんの質問にもありましたように、決して地方財政が豊かになったんでもない。自治大臣も、地方はなかなか苦しんでおるのだというような認識で予算委員会では発言なさっておりましたからそのとおりでありますが、その中におけるところの公営企業、特に川崎の競輪問題を私きょうは質問してみたいと思っております。それからなお、地方のいろいろな財政負担とか交付金の対象になっておりますところの清掃事業、この問題についてもお聞きしたいと思うわけでありますが、時間がないので、三十分を限りましてその三分の一ほどをひとつ質問したいと思います。  そこで、大蔵省からおいでになっております秋吉主計官にお伺いいたします。今度地方財政を確立するという意味合いにおいて、予算折衝の段階で二つ問題が提起されております。一つは、交付税引き下げようとする動きが大蔵省においてあって、自治省にそういう交渉をなされたように思うわけであります。さらにまた、出世払いということで、かつて地方が借りておった金を大蔵省がこの際取り上げようといいますか、払わせようというような動きがあったわけなんです。この二つの交渉は、そういうことがあったんだということは聞いておりますけれども、はっきりと大蔵省からどんな経緯でこういうような話し合いをしたかということは、私、まだ寡聞にして、予算委員会あるいは当委員会等で論議があったと思うのですが、見ておりませんので、一体どういう考え方から大蔵省は、こういう交付税引き下げようという意図を持たれたか、あるいはまた、かつてこちらが地方財政として借りたいという名目で払え、こういうようなことを考えられたか、こういうことについてひとつお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  91. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 私は地方財政はかなり好転していると思っております。これはもちろん国の財政の比較においての議論でございます。もちろん、地方財政需要は無限でございまして、いろいろ議論のあるところでございますが、国の財政と比較したならば、比較的に余裕があるんじゃないかというふうに私は考えています。と申しますのは、これは現象的な数字を申し上げますと、まず、公債に対する依存率でございますが、国の場合は、過去におきましては、ここ一、二年一五%程度の依存率でございましたことは御案内のとおりでございまして、今回体質の改善ということでやっと一〇・九%の依存率になっているわけでございます。これに対しまして、地方財政地方債に対する依存率は七%、四・八%、四十三年度四・二%ということに相なっておるわけでございます。  それから、さらにまた、先ほど大臣からもお触れがございましたように、経常収支比率でございますが、この経常収支比率が地方の場合は約八割という御指摘がございました。国の場合は九五%でございます。つまり地方財政の場合は経常財源のうち二割、約七千億だと思いますが、これは投資的経費に回っておるわけでございます。国の場合はわずか五%しか投資的経費に回っていないわけでございます。それで、投資的経費の中の財源でございますが、この投資的経費、これは約一兆二、三千億かと思いますが、このうち、国も地方も大体同じような数字でございます。このうち地方債で充てられる分は、たしか地方の場合は約二割弱程度じゃなかったかと思います。国の場合は五割程度になっております。  そういう二つの点から考えましても、まだいろいろほかに資料はございますけれども、端的に地方と国の財政硬直化の要因といたしましては、先ほど申しましたような義務的経費であるとか、あるいは経常収支比率であるとか、地方債依存率であるとか、そういったことが一応の指標になるわけでありますが、そういった点から考えますと、国のほうは非常に窮屈になっておるという判断を私のほうとしては持っておるわけでございます。  それはそれといたしまして、私ども財政運営をいたす場合には、やはり住民負担、国民負担というその負担が、公経済、国民経済にとって最も効率的な資源配分を高めるということが一つの指標でなくちゃいかぬという考え方を持っております。その意味において、公経済全体が健全な形で運営するというのが、住民の負担、国民経済にも一番マッチしたやり方だという考え方のもとにおいて、先ほどお話がございましたような交付税率の引き下げ、これは提案したことはございません。そういったようなことは検討して差しつかえないじゃないかということを私ども考えておることは事実でございます。
  92. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これについて論議は私いたしません。しかし、いまお話があった中でちょっとふしぎに思うことは、交付税率を三二%から二九・五%に下げるような話があったように巷間伝えられておるわけなんですね。あなたのお話を開くと、それは提案したことがない、こういうことなんですが、なぜこんなことが伝わるのでしょうか。だれかの腹の中にあることを勘ぐってやるものでしょうか。その辺がちょっと、話を聞いておってもふしぎに思うのです。その辺ひとつ聞かしてください。
  93. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 あるいは、新聞紙上等においてそういうことが報道されたことを私ども見受けておりますが、大蔵省といたしまして自治省に提案したことはございません。
  94. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ますますおかしくなるのですね。新聞紙上にそういうものが出て、自治省には提案されてない、そして国会ではやはりこれは論議を呼んでいますよね。何もしないものを、ぐるりからやかましく言い立てるというのもふしぎなものですね。提案はなさらなかったということはわかりました。しかし新聞がなぜそんなものを書いたのですか。その辺おかしいじゃないですか。あなた方がおっしゃらなかったら新聞は書かないでしょう。その新聞に書いたところのネタはどこから出たかということ、これは私は知りませんということですか。その辺どうですか。
  95. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 突き詰めて言えばそういうことになろうかと思います。
  96. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それで、突き詰めて言わなかったら……。
  97. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 それは新聞の報道でございますから、私どもはこれを考えておるのだとか、こういうようなことを正式に公表したこともなければ——しかし、私どもは、やはり国と地方財政のあり方を検討する場合には、交付税率の問題も対象になるであろうということは、これは常々考えておることでございます。しかし、それを提案するというようなかっこうで議論をしたことはございません。
  98. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ニュースソースを私は突きとめようとするわけではないのですよ。かなり国の論議を呼んだ問題が新聞にも出され、そしてここでも論議をされたでしょう。それが私たちから出した覚えがないというようなことでは済まないと私は思うのです。しかし、あなたがそうおっしゃるなら水かけ論ですから、これはよしましょう。それはけっこうです。  そこで、いまお話を聞いておって、私引田の財政あるいは地方財政の把握のしかたというものを、あなたの観点からすれば、断面的に、時間的に言えば、現在時点を一つの断面に切ってそして見ておられるように思うのです。今日まで地方財政が苦しかったということは、累積赤字なりあるいは公債によるとか、あるいは公営企業の赤字とか、あるいは超過負担とか、こういうものがやはりあるわけなんですね。それを縦断的に見ていった場合の検討ですか。いまのお話を聞いておりますと、横断的に切ったような分析のしかたのように私は聞こえたのです。いまそうおっしゃったように思うのですが、そのどちらですか。
  99. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 私は、何も縦断的な面のみをとらえて言っておるわけではございませんで、たとえて申しますと、現在の地方財政のうち、累積黒字、積み立て金はどうであるかということを、もちろん私どもは数字を見ております。たとえて申しますと、あれは三十何年でございましたか、三カ年間は単年度実質収支は赤字できておりました。それが四十年から黒字に転向してまいりました。だんだん累積黒字がふえてまいっております。積み立て金を合わせますと、おそらく二千億円近い余裕資金があるという数字も累積の現在の姿としてあるわけでございます。これに対しまして国はどうかと申しますと、四十一年度の、これは剰余金でございますが、五百十七億円しかございません。それからまた、交付税が精算払いになり、残りは三百数十億ございます。私どもは、もちろんそういったことの比較検討もいたしております。それから、よく地方債によって黒字がまかなわれておるのじゃないかという議論も私どもは十分承知しております。それにつきましては、これは現在の地方債の累積の現在高でございますが、それは歳入に対する割合は、地方の場合は約三割ちょっと上回る程度だと思います。国の場合は、御承知のように、四十一年から建設国債の発行に伴いまして大幅に、雪だるま式にふえてまいっております。おそらく四十二年度末では、これまた私の私見でございますけれども、四割をこす率じゃないか、こういう状況も踏まえて、いろいろと先ほどのこともございまして、地方と国と比較したならば、私は、国のほうがかなり窮屈じゃないかということを考えておるわけでございます。
  100. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 もう一つお伺いします。  交付税というものに対して、大蔵省としてはどういう考えを持ってこれを見ておられるか。これは自治大臣の国会におけるいろいろな御答弁を読みますと、交付税というものは、決して恩恵ではない、税の配分であって、当然の一つの措置である、こういうようなとらえ方をしておられる。私は、これでいいんじゃないかと思うのです。しかし、ながら交付税を二九・五%にするんだぞというこの発想は、多分に国が地方を支配しておるんだ、こういうような発想があるような気がするのですが、交付税というものをどういうぐあいに把握されておるか、これもひとつ聞いておきたいと思います。
  101. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 これは地方制度調査会におきましても、これは大蔵省と申しますのはあれでございますが、谷村委員が大蔵省の代表といっては変でございますが、谷村委員が地方制度調査会のメンバーになっておりますが、そういったような機会においても、いろいろ地方交付税考え方等を私ども述べさせていただいておるわけでございます。地方交付税は、私どもは、地方配付税あるいは地方財政平衡交付金と本質的には同じものでございまして、これは地方財政調整資金であるというふうに考えております。それは機能といたしましては、もちろん財源調整の機能と財源保障の機能と両面を持っておるということは御案内のとおりでございますが、考え方といたしましては、地方財政調整資金として国が地方交付する財源である、このように私ども考えておるわけでございます。
  102. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そういうお考え、わかりました。  そこで、細郷財政局長さん、いま大蔵省からああいう御答弁をいただいたわけであります。私も納得のいかぬ点がありますが、これは自治省としても多分に言い分があるんじゃないか。言い分がなければ、それ相当な措置がまた大蔵省から要求されるわけなんですが、言い分があればひとつここでお聞かせいただきたいのであります。自治省立場からの解明をひとつしていただきたい。
  103. 細郷道一

    細郷政府委員 言い分どころか、実は非常に意外に思っております。私ども政府の中で議論をするときは、いろいろな立場から議論があっていいと思います。大蔵省の中にもいろいろな見解を持っておる人がおるのです。交付税の見方にしても、地方財政の見方にしても、その指導のあり方にしても、いろいろな意見を持っておる人がある。大蔵省としては、そういう意味で、ぴしゃっとまとまっておるかどうか、実は疑問に思っているのです。また、それでもいいのかと思っておるのです。実は役所というものは、いろいろな意見があって、そして、そのときそのときの具体的な施策のときにそれが出てくる、こういうふうに思うのです。  いま、いろいろ数字をあげて、赤字黒字とかあるいは依存率とかいうようなことで、地方財政に対する見解が述べられましたが、私は、国と地方の仕事の分野というものを実態的に把握していない議論ではないか、こう思うわけであります。国は、なるほど補助金というものを多額に出しております。一兆七千億くらい出しております。補助金を出しても、それだけでは仕事じゃないわけです。住民には何もないわけです。補助金を出して、それを地方公共団体がこなすから初めて住民のための仕事になる。そういう国と地方の非常な違い、私は、交付税もそうだと思うのです。交付税は税の配分だと思っておるわけであります。税金であったらこんな議論は起きないわけです。それを調整するためにと言っておられますが、実は一面では、国がいろいろな施策をするのに、交付税に見込むことによって施策の浸透なり、施策の実現を期待しているわけです。それが財政調整機能だということであっては、もう全く交付税というものは意味がないんで、そんなくらいなら全部補助金でやってもらったらいいと思います。そういうような基本の考え方が違うんじゃないか。特にいま述べられた点は、私は、平素から秋吉主計官といろいろつき合って、いろいろ議論していますけれども、この方も、あれだけ一方的な議論の持ち主だと私は実は思っていないのです。いつも、話せばいろいろ、なるほどそういう議論もあろう、こういう議論もあろう、私は、それでいいだろう、こう思っておったのですが、非常にはっきり言われたので、私もはっきり言わざるを得ないのです。  ただいまの議論でいくと、そういうことじゃないか、一体いまの地方財政の見方につきましては、好転論とか出世論があります。一番俗耳に入りやすいのは、庁舎がデラックスだとか、海外旅行が多いとか、陳情が多いとか、飲み食いが多いとか、こういった冗費から出てくる好転論、出世論です。これは私はいけないことだと思っております。地方団体にも厳重にたしなめなければいけないと思います。そんなことで転したとか出世したとか思われるのであれば、これは地方団体も非常な心外なことであるし、われわれも心外なことであります。これは私は戒めていきたいと思います。  その次によく出てまいりますのは、赤字黒字論でございます。私は、赤字黒字論というのは、地方団体はそれぞれ自分で仕事をしていく団体です。黒字が出たら、おまえ、余裕があるよといって金を取る。赤字が出たら、貧乏だ、かわいそうだ、やろう、こういう態度は、少なくとも一個の人格者を育てる態度ではないだろう。私は、黒字赤字で議論をする限界があると思っております。私は、その議論を全然否定はいたしませんけれども、黒字赤字論の限界があるだろう、限界をわきまえずに言うのは間違っておる。何を言うにも、やはり実態を見て、最初に申し上げましたように、一体国が仕事をしておるのか、地方が仕事をしておるのか、こういう実態をよく見て議論をしていかなければならない。そういう意味で、私は、国も地方も、ある意味ではあくまで別個の対立したものではないだろうと実は思っておるのです。両方がほんとうに一緒になっていかなければ、住民福祉は得られない。そういう意味で、実態論を議論をして、実態をよく直視した上での議論の展開でないと、私は、この問題の真の姿がつかめないじゃないか。そういう意味では、私どもは、絶えず、補助金の整理の問題でございますとか、超過負担解消の問題でございますとか、あるいは行政機構の簡素化の問題でありますとか、非常にむずかしい問題ばかりでございます。これは自治省だけがやっておって、よそがみな反対でございますから、四面楚歌のような仕事でありますが、そういうのに一生懸命取っ組んでおるわけでございます。私は、大蔵省も、単に財政ということよりも、国と地方の仕事の分野というものを考えていけば、必ずそういう問題に取っ組んでもらえるだろう、こう考えておるわけであります。そういうものの上に立っていろいろ財政議論をすべきではなかろうか、こういうのが私どもの基本的な考え方でございます。
  104. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いま大蔵省のほうから、いろいろ計数的におあげになりました。これは私もすぐにこれを分析せいと言っても、能力がありません。そこで、またもう一回これを読み直してみて、そうして分析してみたいと思うのですが、自治省細郷財政局長さんなり、いまつるつるとおっしゃったいろいろな財政的な根拠、これについて把握されておるだろうと思うのです。ずいぶんこの問題では専門的に折衝もされてき、過去の経緯もあろうと思うので、いまその財政的な問題について出されましたいわゆる計数ですね、これについていろいろな点がございますが、大体あのとおりだとお認めになりますか。いま概念的なお話は承りました。なるほど仕事の上で見いとか、あるいは対立したものではないというような考え方、あるいは一個の人格者を育てる態度ではないというようなことやら、それから秋吉主計官が非常に今度ははっきりと対立的にものをおっしゃった、これまでなかったというようなことも、あなたのお考えは、概念的には抽象的にはわかりましたけれども、一方は数字をあげて、このように地方財政はよくなっておるのだ。私が横断的だろうと言ったら、いや、そうじゃない、縦断的に考えてもそうだ、こういうようにきめつけられておるのですが、私はどうしても地方財政は苦しいという実態を見ておりますから、秋吉主計官の言われるこのきめつけ方には、ちょっと賛成できかねる。これはまた後ほど私も数字的に対抗したいと思いますが、いまはつるつると言われても、私には能力がないから言えないのですが、細郷さんのほうなら、ここは違いますということが言えるだろうと思う。そういう点があったら、ひとつ言ってください。
  105. 細郷道一

    細郷政府委員 いま数字的に出ておりましたのは、公債の依存率と経常収支の比率だけです。私は国と地方の間の財政の行きかたといいますか、やりとり、こういうことを捨象してものを議論しなければいかぬだろう。したがいまして、この計算には、いろいろな計算のしかたがあるわけです。経常収支比率といいましても、どこまでを経常支出に入れるか、どこまでを経常収入に入れるか、いろいろな見方があります。したがいまして、私はいまここでその数字がどうこうという議論はいたしません。大蔵省の秋吉主計官のおっしゃったような計算ならその数字になるでありましょう。それは数字でありますから、だれが計算してもそのとおりになるでしょう。しかし、私は、その二、三の数字だけでは問題を断定できないということを特に申し上げたい、こういう意味でございます。
  106. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 あとでまた、細郷さん、その数字のあれがそうなるとかならぬとかいう問題については、私にまた教えてください、伺いに参りますから。  それから、秋吉主計官、いま細郷財政局長が反論されましたが、それについて、あなたのほうで何かお考えがあったら聞かしてください。私はその次にものを言う予定がありますから。
  107. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 私の答弁が非常にきめつけたみたいな御印象を与えた点があったかと思いますが、先ほど細郷財政局長が言いましたように、別に国と地方とが対立するというような考え方は、私は全然持っていないわけでございます。財政局長が申し上げましたように、国も地方もまさしく車の両輪みたいな関係でございまして、国と地方がともども健全な形で財政運営して初めて日本の国民経済が進歩し、それがひいては地方財政にも寄与するというふうに私は考えております。細郷財政局長が言いましたように、あくまでも対立という意識じゃなしに、全くこん然一体として公経済全体の財政運営健全化していくことが望ましいというふうに考えております。
  108. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 非常にまたやわらかくなってきたのですが、一般論、概念論、そうして人生観、社会観というものが入ってきて、わけがわからぬことになってしまったわけでが、私は、ある程度、対立があっていいと思うのです。それでなかったらわれわれはわからないのです。だから、主張すべき点は主張していただきたいのです。  そこで、大臣にお伺いします。いま両者からああいう御意見が出ました。私たちもこれはつぶさに検討してみなければならないことばだったと思いますし、あるいはその数字だったと思っておりますが、私は大臣の国会における答弁を大体読んでみました。地方財政に対して大臣がどういう思想でどういう対処のしかたでおられるかということを知りたいために読みましたが、あなたの主張は、参議院でも、去年の十二月からずっと、地方は赤字で苦んでおって、いまちょっと曙光が見えたようなことだけで、これで地方がいいということを言われることは、私はもうしんぼうならぬ、そうではありません、地方は非常に苦んでおるのですと、こういう主張を終始なさっておられるわけなんですね。その中で、いま秋吉主計官は、好転し、地方財政は伸びたと、最初断定から始まったわけです。だから、あなたが主張しておられることとは全然うらはらに、反対の方向の答弁をなさっておられるわけなんで、大臣としてもこのことについては一言なかるべからずと思いますので、お聞かせをいただきたい。
  109. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 秋吉主計官のこの問題に対するお答えにすぐわが省の財政局長が立ったものですから、これはまた容易ならぬ論戦になるぞと思ったわけでございます。例の四百五十億の議論にさかのぼるわけですけれども、御指摘のような空気が一部あったことは事実です。しかし、もし大蔵省がそういうことを言い出したら、ひとつ徹底的に戦おうというので、私ども資料を準備万端整えておりましたところ、正式にはそういう申し入ればなかったわけでございまして、例の当時四八二というマージャンの計算みたいな数字が出ておったわけですけれども、ああいうものはなかったことにしようということで、新しい観点からこの問題の解決に向かったわけでございます。交付税をああいう措置をとりましたのは、これは国の窮迫した財政というものを見まして、やはりそれをある程度尊重しなければならぬという公経済全般の議論も出ましたけれども、そういうことで若干の金額を後年度に繰り越したということになっておるわけでございますが、たびたび説明いたしましたとおりに、交付税は、もともと税源の配分という面から考えますと、地方の独立税源だけでは地方行政需要をとうていまかなえるはずはありませんので、ですからずっと年次的にも交付税率を上げて今日に及んでおる。先ほど、財源調整的なことばもありましたけれども、そういうことでなくて、当然住民が独立税源として受け取るべきものを受け取っておるのだという考え方に私たちは立っております。また、不足だということは、国は国防だとかあるいは社会保障関係の諸費だとか、一律に国全体の繁栄のために、独立安全を維持するために使わなければならぬ、そういった経費もあるものですから、それはやむを得ぬけれども、その他のものはやはりこれは地域住民が額に汗して働いた、法人税であれ、酒税であれ、所得税であれ、そういうものの再配分という形であるべきものと私ども考えておるわけです。ですから三二%は多いとか少ないとかいう問題よりは、やはり地域住民の要求というものをまず先に取り上げるべきであるという根本的な頭がありますから、そういった意味で、大蔵省が何と申しましても、一歩も引かぬという気がまえを持って今日まで及んだ。ただ地方財政が好転したとかなんとか言いますけれども、これはここの諸先生御承知のとおりに、そういう形が一応見えたというだけでありまして、さっき財政局長が申しましたけれども、結局市町村だって、赤字赤字ということで団体を経営したくないから、やはりつじつまを合わせようとする努力の陰には、非常な地域住民の不満もあるわけなんです。それを知りながら、多少でも黒字を出したら、それがすぐ黒字で財政が好転したんだと考えられることは、たいへん片腹痛いと私たちは思っておるわけでございます。そうすると、赤字を出したら赤字を出しただけ得だということになりますからね。しかし、地方団体を指導しておる諸君も、健全な頭を持っておりますから、足りないものでもとにかくつじつまを合わせようと努力しておるその陰には、行政需要が非常にいびつな形で未消化に終わっている面があると私たちは常々考えておるわけでございます。国の財政も、地方財政も同じように、確かに硬直化はしておる。しかし、国の財政硬直化の原因というものは、何も地方交付税の三二%が原因ではない。私たちは、先ほど申しましたように、そういうものが硬直化の原因でなくして、やはり原因はほかにある。この交付税というものは、地方独立税源のかわりに当然の割り当てを受けておる。また、それをふやすということについては、もう一ぺん根っこから洗い直して、そうしてこの税源配分というものを考え直していかなきゃならぬという考え方に立っておるわけでございまして、その点は、いつでも予算折衝のときには、大蔵省とはちょっと感覚が違うので、議論を呼びそうですけれども、きょうはせっかく三木さんに取り上げていただいたので、予算折衝のときの議論の両端がちらっと頭を見せて、これはやはり大蔵省自治省の間ではもっと議論をして、みんなが理解がいくように解決すべきである、かように考えておる次第であります。
  110. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いま大臣がおっしゃいましたような考えを私も持ちましたから、あえてこの問題を、大体この質問の大かた終末になっておりますけれども、出したわけであります。と申しますのは、この間うち、いろいろの雑誌だとか何なりに書いてある記事を読みまして、自治省の態度、それから細郷財政局長のいわば硬骨的なお考え、それから地方財政の御三家というものがえらい努力をされた、これらがいなかったら、この次にはどうなるか。私は、秋吉主計官だけを追及しておるわけではない。大蔵省もそれに理解を示したからよかったと思います。しかし、あとのややこしい取り扱いがあるので、これは私はいただけないから、この次にやるとして、ただ心配なのは、秋吉主計官の話では——これは秋吉主計官だけでなくて、また次官に来てもらうとか、さらに大蔵大臣に来てもらうとかしてやらなければいかぬ問題です。秋吉主計官一人だけの考えはそうだろうと思うのです。この考えも、大蔵省としては高く評価されるだろうと思いますが、私たちは、この問題はまだ残っておると思います。ただ心配なのは、今度は出世払いというのは御破算にされた。それから二九・五%というものは、一応三二%のもとのさやにおさまったと言いますけれども、ああいう考え方なら、またまた来年むくむくとその考えが出てくる。そこで交付税に対してどういう思想を持っておられるかを聞いたわけですけれども、どうやらその思想にもだいぶん食い違いがあるようです。この思想の統一をしていただかなかったら、国の財政地方財政が車の両輪のごとくというのはことばのあやであって、ことばだけで終わって、それがうまくいかない。来年もまた御三家が活躍するか、何家が御活躍になるか、これはわかりませんけれども、そういう裏取引といいますか、裏の活躍がなかったらこんなことはできないというような情けないことじゃ困ると思うのです。努力は多とするのですよ。しかしながら——やられたことが情けないと言うのじゃないのです。そういうような回りくどいことをやらなければならぬということがいけないと思うのです。そういう意味合いできょうはお聞きしたのですが、来年度以降のことについては、また大蔵大臣にでも来てもらわなければならぬ。こういう食い違うたまま話を進めていくことはできませんし、また時間も一時半までということになっておりましたから、これで一応中止させていただきます。
  111. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は、明後十八日木曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十五分散