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細郷政府委員 言い分どころか、実は非常に意外に思っております。私
ども政府の中で
議論をするときは、いろいろな
立場から
議論があっていいと思います。
大蔵省の中にもいろいろな見解を持っておる人がおるのです。
交付税の見方にしても、
地方財政の見方にしても、その指導のあり方にしても、いろいろな意見を持っておる人がある。
大蔵省としては、そういう
意味で、ぴしゃっとまとまっておるかどうか、実は疑問に思っているのです。また、それでもいいのかと思っておるのです。実は役所というものは、いろいろな意見があって、そして、そのときそのときの具体的な施策のときにそれが出てくる、こういうふうに思うのです。
いま、いろいろ数字をあげて、赤字黒字とかあるいは依存率とかいうようなことで、
地方財政に対する見解が述べられましたが、私は、国と
地方の仕事の分野というものを実態的に把握していない
議論ではないか、こう思うわけであります。国は、なるほど補助金というものを多額に出しております。一兆七千億くらい出しております。補助金を出しても、それだけでは仕事じゃないわけです。住民には何もないわけです。補助金を出して、それを
地方公共団体がこなすから初めて住民のための仕事になる。そういう国と
地方の非常な違い、私は、
交付税もそうだと思うのです。
交付税は税の配分だと思っておるわけであります。税金であったらこんな
議論は起きないわけです。それを調整するためにと言っておられますが、実は一面では、国がいろいろな施策をするのに、
交付税に見込むことによって施策の浸透なり、施策の実現を期待しているわけです。それが
財政調整機能だということであっては、もう全く
交付税というものは
意味がないんで、そんなくらいなら全部補助金でやってもらったらいいと思います。そういうような基本の
考え方が違うんじゃないか。特にいま述べられた点は、私は、平素から秋吉主計官といろいろつき合って、いろいろ
議論していますけれ
ども、この方も、あれだけ一方的な
議論の持ち主だと私は実は思っていないのです。いつも、話せばいろいろ、なるほどそういう
議論もあろう、こういう
議論もあろう、私は、それでいいだろう、こう思っておったのですが、非常にはっきり言われたので、私もはっきり言わざるを得ないのです。
ただいまの
議論でいくと、そういうことじゃないか、一体いまの
地方財政の見方につきましては、好転論とか出世論があります。一番俗耳に入りやすいのは、庁舎がデラックスだとか、海外旅行が多いとか、陳情が多いとか、飲み食いが多いとか、こういった冗費から出てくる好転論、出世論です。これは私はいけないことだと思っております。
地方団体にも厳重にたしなめなければいけないと思います。そんなことで転したとか出世したとか思われるのであれば、これは
地方団体も非常な心外なことであるし、われわれも心外なことであります。これは私は戒めていきたいと思います。
その次によく出てまいりますのは、赤字黒字論でございます。私は、赤字黒字論というのは、
地方団体はそれぞれ自分で仕事をしていく団体です。黒字が出たら、おまえ、余裕があるよといって金を取る。赤字が出たら、貧乏だ、かわいそうだ、やろう、こういう態度は、少なくとも一個の人格者を育てる態度ではないだろう。私は、黒字赤字で
議論をする限界があると思っております。私は、その
議論を全然否定はいたしませんけれ
ども、黒字赤字論の限界があるだろう、限界をわきまえずに言うのは間違っておる。何を言うにも、やはり実態を見て、最初に申し上げましたように、一体国が仕事をしておるのか、
地方が仕事をしておるのか、こういう実態をよく見て
議論をしていかなければならない。そういう
意味で、私は、国も
地方も、ある
意味ではあくまで別個の対立したものではないだろうと実は思っておるのです。両方がほんとうに一緒になっていかなければ、住民福祉は得られない。そういう
意味で、実態論を
議論をして、実態をよく直視した上での
議論の展開でないと、私は、この問題の真の姿がつかめないじゃないか。そういう
意味では、私
どもは、絶えず、補助金の整理の問題でございますとか、
超過負担の
解消の問題でございますとか、あるいは
行政機構の簡素化の問題でありますとか、非常にむずかしい問題ばかりでございます。これは
自治省だけがやっておって、よそがみな
反対でございますから、四面楚歌のような仕事でありますが、そういうのに一生懸命取っ組んでおるわけでございます。私は、
大蔵省も、単に
財政ということよりも、国と
地方の仕事の分野というものを
考えていけば、必ずそういう問題に取っ組んでもらえるだろう、こう
考えておるわけであります。そういうものの上に立っていろいろ
財政の
議論をすべきではなかろうか、こういうのが私
どもの基本的な
考え方でございます。