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1968-04-09 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月九日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    辻  寛一君       中尾 栄一君    永山 忠則君       野呂 恭一君    藤田 義光君       太田 一夫君    河上 民雄君       三木 喜夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       大野  潔君    小濱 新次君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     石丸 隆治君         厚生省社会局庶         務課長     穴山 徳夫君         厚生省児童家庭         局企画課長   鈴木  猛君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 四月九日  委員沖本泰幸君辞任につき、その補欠として小  濱新次君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月八日  地方公務員定年制反対等に関する請願(春日  一幸君紹介)(第三四七三号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第三五三一号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第三六四一号)  同(穗積七郎紹介)(第三六四二号)  同(横山利秋紹介)(第三六四三号)  地方公務員定年制法制化反対に関する請願  (石川次夫紹介)(第三四七八号)  同外八件(岡本隆一紹介)(第三四七九号)  同(金丸德重君紹介)(第三四八〇号)  同(神近市子紹介)(第三四八一号)  同(河野正紹介)(第三四八二号)  同(小林信一紹介)(第三四八三号)  同外一件(佐野進紹介)(第三四八四号)  同(原茂紹介)(第三四八五号)  同(柳田秀一紹介)(第三四八六号)  同(井上普方紹介)(第三五二六号)  同(河上民雄紹介)(第三五二七号)  同(田中武夫紹介)(第三五二八号)  同外六件(谷口善太郎紹介)(第三五二九号)  同(中嶋英夫紹介)(第三五三〇号)  同(安宅常彦紹介)(第三五八五号)  同(阿部昭吾紹介)(第三五八六号)  同(赤路友藏紹介)(第三五八七号)  同外一件(淡谷悠藏紹介)(第三五八八号)  同外十二件(井岡大治紹介)(第三五八九号)  同外一件(石川次夫紹介)(第三五九〇号)  同(石田宥全君紹介)(第三五九一号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三五九二号)  同(枝村要作紹介)(第三五九三号)  同(大出俊紹介)(第三五九四号)  同(加藤勘十君紹介)(第三五九五号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三五九六号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三五九七号)  同(金丸德重君紹介)(第三五九八号)  同(神近市子紹介)(第三五九九号)  同(川崎寛治紹介)(第三六〇〇号)  同(川村継義紹介)(第三六〇一号)  同(河野正紹介)(第三六〇二号)  同(木原津與志君紹介)(第三六〇三号)  同(久保三郎紹介)(第三六〇四号)  同外六件(工藤良平紹介)(第三六〇五号)  同(小林信一紹介)(第三六〇六号)  同外五件(小松幹紹介)(第三六〇七号)  同(神門至馬夫君紹介)(第三六〇八号)  同外二十二件(佐野進紹介)(第三六〇九号)  同外二十三件(島上善五郎紹介)(第三六一  〇号)  同(田原春次紹介)(第三六一一号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三六一二号)  同(高田富之紹介)(第三六一三号)  同(只松祐治紹介)(第三六一四号)  同(堂森芳夫紹介)(第三六一五号)  同(中井德次郎紹介)(第三六一六号)  同(中澤茂一紹介)(第三六一七号)  同(中村重光紹介)(第三六一八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三六一九号)  同(成田知巳紹介)(第三六二〇号)  同(野間千代三君紹介)(第三六二一号)  同(長谷川正三紹介)(第三六二二号)  同(畑和紹介)(第三六二三号)  同(原茂紹介)(第三六二四号)  同(平岡忠次郎紹介)(第三六二五号)  同(広沢賢一紹介)(第三六二六号)  同(平等文成紹介)(第三六二七号)  同(古川喜一紹介)(第三六二八号)  同(松前重義紹介)(第三六二九号)  同(松本善明紹介)(第三六三〇号)  同(松本七郎紹介)(第三六三一号)  同(八木昇紹介)(第三六三二号)  同外一件(安井吉典紹介)(第三六三三号)  同(山田耻目君紹介)(第三六三四号)  同(山本政弘紹介)(第三六三五号)  同(山花秀雄紹介)(第三六三六号)  同外三件(米内山義一郎紹介)(第三六三七  号)  同(神田大作紹介)(第三六三八号)  同(中村時雄紹介)(第三六三九号)  同(和田耕作紹介)(第三六四〇号)  特別区の区長公選に関する請願大柴滋夫君紹  介)(第三五二五号)  地方税青色申告事業専従者完全給与制適用  に関する請願横山利秋紹介)(第三五三二  号)  同外二件(佐藤觀次郎紹介)(第三六五一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五一号)      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 厚生省に引き続きお尋ねいたしたいと思います。  この前、保育所のことにつきましてお伺いいたしたのですけれども保育所関係の方はおいでになっておりますか。社会局のほうで御答弁願えるでしょうか。――資料をいただきましたのですが、無認可保育所につきまして今後どういうふうな方針厚生省としてはおとりになってまいるのでございましょうか。
  4. 穴山徳夫

    穴山説明員 失礼いたしました。私は事業団関係ということで参ったのですが、いまの問題についてすぐに児童局の者を呼びますから、ちょっとお待ち願います。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 児童収容施設のほうも穴山さんのほうではないわけでございますね。
  6. 穴山徳夫

    穴山説明員 社会局ではないわけでございます。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それでは社会福祉事業団のことにつきましてお尋ねいたしたいと思います。  最近、各県におきまして、社会福祉事業団社会福祉法人あるいは財団法人として府県出資のもとに設置されておるようでありますが、ことに四十年以降に急速にこの事業団認可を受けておるというふうに思えるわけであります。これらに対しまして、厚生省といたしましてはどういうふうな将来の指導をなさるか、あるいは厚生省として社会福祉事業団の将来の運営等について御方針があろうと思うのでありますが、それら基本的な方針並びに将来の運営につきましてお聞かせ願いたいと思います。
  8. 穴山徳夫

    穴山説明員 いまお話しのございましたように、事業団は三十九年から設置が始まりまして、現在約二十ございます。それで、この事業団構想が出ましたのは、一つは公による安定性と申しますか、それからもう一つは、民間的な運営のよさというようなものをミックスした形で、そういったようなことによって保育所施設運営がよりよくなるようにというような構想で始められたものでございまして、現在、いま申し上げましたように、二十ほど設置されているわけでございます。ただ、こういった形態のものにつきまして、将来これをどういうような方向に持っていくかということにつきましては、まだいろいろと私どもとしても検討をすべき問題もございまして、そういうことで、私どものところにあります中央社会福祉審議会というようなところにはかりまして、こういった社会福祉事業施設のこれからのあり方というものを検討いたしてまいります一つ問題点というように考えております。  それで、現在の私ども考え方といたしましては、こういったようなものをつくりたいという県の希望がございましたときには、私どもといたしましても慎重に審査をいたしまして、たとえば財政的な面で質やその他の低下を来たさないようにという指導をしつつ認可をしている状態でございます。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 各県の社会福祉事業団事業の中には、民間社会福祉を援護助成する、たとえば融資について考慮を払う、あるいは収容児童の就学、就職の資金というふうに、福祉法に規定しておる事業以外に、欠陥のある部分について社会福祉を伸ばしていくという見地からの福祉事業内容にしておるものもあるわけであります。この点は、私、事業団の使命からいうと、社会福祉が当然国の助成のもとに今日府県市町村の重要な本来の仕事になっておるわけであります。それが財源関係で十分に充実ができないという現在において、しかも広範にわたる福祉を、足らないところを補うという意味事業を推進していくということは、これはむしろ強化してまいらなければならぬ。ことに、従来、民間から出発いたしました社会福祉施設が、この前も大分県の精薄施設みのり学園の建物が老朽化しているということで、収容児童焼死事件という悲惨な事件もあったわけでありますが、これら老朽校舎を、そういう事業団を通じて、あるいは国の社会福祉事業振興会でございますか、そういう融資をはかることと並行いたしまして、助成をしていく団体としてそういう法人内容充実されることは非常にいいことだと思うのであります。  最近の地方財政人件費で非常に行き詰まっておるという見地から、府県で出てまいります事業団が、民間施設公共団体施設との中間的な存在で、いわば逐次そちらのほうに肩がわりをするという傾向にあるのではないかと心配をするわけでありますが、このことは、国の助成等も、できれば少しでも削る余地があれば削るという考え方が、福祉施設には非常に無理がかかっておるということも言えるわけでありますけれども、それにしても、そういうような事業団として今後進むということになりますと、私は本来の市町村事業あるいは府県事業、しかも今後ますます社会福祉の面からいって強化しなければならない面が後退するのではないかという感じがするわけであります。これらについて厚生省はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  10. 穴山徳夫

    穴山説明員 いまお話しがございましたように、私どもの原則といたしましては、やはり公で設置いたしましたものは公の手によって経営されるという形が、一番望ましいと思います。ただ、現在の事業団というものは、まあそのほかのいろいろな問題もございまして、いま御指摘になりましたように、よく見れば中間的な形のものじゃないかというような御指摘もございました。そのとおり正確にいろいろ分析をいたしますと、そういったようなこともあるわけでございまして、そういう意味でも、私どもとしては、これからの一つ社会福祉事業形態あり方の検討すべき問題だと考えております。ただ、いまお話しのございましたように、県がみずからやる場合よりも後退するのはいかぬという御指摘につきましては、私どももそのとおりだというふうに考えております。したがって、私どもが、先ほど申しましたように、認可の申請が出てまいりまして、それに対しての審査なり指導なりをいたします場合には、県がみずからやる場合と同様に、それのいわゆる財政措置と申しますか、いわゆる財政的な配慮というものはやらなければいけないということを、これはきつく指導をしているわけでございます。たとえば、そういったような面については、かりに事業団に委託いたしましても、後退しないようにということを私どもとしては十分考えておりますし、今後ともその点はきつく指導してまいりたいというように考えておる次第であります。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 児童福祉のうちの保育所のようなものは、従来民間もこれをやり、民間保育所地域需要に応じられない場合には公共団体がこれををやっていくというふうな経路をたどっておるわけですが、今後必要になってまいります児童福祉のうちの精薄だとか心身障害児の問題だとか、こういうものは従来民間でやっておった施設もあるわけですけれども、実際は、その必要がありながら府県の大部分は、こういうことに手が出せないという府県におきまして、府県事業としてこれを行なうということになって、各県に一カ所くらい出てきておって、まだひな形的な、府県なり市町村地域児童福祉という面からいくとややモデルケース的なものであって、十分な児童福祉の名に値するほど充実していないのじゃないか、これから強化をしてまいらなければならぬのじゃないか、と同時に、いままでせっかくあります民間施設は、これはいろいろな意味において民間の力の足らない点は、憲法に違反しない範囲において、これがいろいろな助成考えていくということでなければならないと思うわけであります。いわば児童福祉のうちで最もおくれておった部門が、今後公共団体によってやっと地域需要に応じてくるという、いわばこれからの段階だと思うのです。そういう段階に、私は本来の府県市町村の力を入れなければならない事業について、しかも施設が十分行き渡ってない段階において、社会福祉事業団というかっこうで民間移管という姿は好ましくない、もっともいろいろこういう社会福祉事業民間篤志家によって成績をあげるとかいう問題もありましょう。それは私どももよくわかるわけでありますけれども、しかし、その篤志家にこたえるだけの民間経済人の協力だとか、資金の援助とかいうようなことが十分行なわれない限りにおいては、やはり公共団体でそれらの施設充実をはかっていかなければならぬという段階ではなかろうか、こう思うのです。そういうときに、ことに本年度あたりから国の財政硬直化というふうなことと並行して、地方公共団体の長年にわたる財政硬直化を、この際国と並行して打開をしなければならないという考え方、この考え方に私は賛成をしていないわけなんですけれども、そういうことで、せっかく充実を見ようとするこういった施設が、県のわずかな出資によりまして事業団の手によって肩がわりするということであっては、最も重要な児童福祉が、好むと好まざるとにかかわらず、後退するではないかということを非常に心配するのであります。事業内容についておそらく全国の各県のうち、半数ぐらいは、この事業団運営ということが出てまいりますと、ほかの県も右へならえをする。せっかくりっぱな運営をしながら、事業団方式に切りかえていくというふうな、財政に非常に圧力がかかってまいりますとそういう考え方になるのではないか。児童福祉の本筋を後退させるような基本的な問題だと思うのでありますが、厚生省とせられても、その辺の関係を、民間施設充実しなければならぬ、それはあらゆる方法で、国、県でこれに努力する、しかし、本来の重要な府県行政市町村行政は、あくまで公共団体によってこれを充実をはかっていくというたてまえを堅持願いたい、こういうふうに考えております。もう一度将来の方針について御答弁を願いたいと思います。
  12. 穴山徳夫

    穴山説明員 一番最初申しましたように、事業団そのものにつきましても、私どもといたしましては、まだいろいろ検討すべき余地がございまして、ただいまこれを将来どういうふうに考えていくかということを検討いたしておりますが、そのときには、いまお話しがございましたように、どういうものが委託に値するかというようなその事業内容の問題と、それから、いわゆる財政的な面から見ましても後退しないようにするためにはどうしたらいいかということについては、慎重に考えまして、認可にあたりましては、そういうようないろいろな角度から十分審査をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 次に、環境衛生につきましてお伺いいたしたいと思います。  環境衛生につきましては、今日市町村が当面いたしております重要な問題でありまして、地域保健衛生を確保するということからいいましても相当重要な仕事になり、市当局は日夜この問題の処理について苦悩しておるというのが現状であるわけでありますが、今回の法案提出予定の中に、清掃施設整備緊急措置厚生省ではお考えになっているようでありますが、これはどういうふうになっておりましょうか。
  14. 石丸隆治

    石丸説明員 今回提出を予定しております清掃施設整備緊急措置法は、今後五カ年間に整備すべき清掃施設のうちの終末処理場の総事業量を定めようとする法律でございまして、この法律どおりに施行されますと、特別清掃地域住民が全国民の九〇%になるように措置いたしまして、その住民につきまして、し尿処理につきましては一〇〇%の衛生処理ができるように、なお、ごみにつきましてはその七五%が焼却処分できるように措置する、そういう施設をつくる法案でございます。
  15. 山本弥之助

    山本(弥)委員 法案提出になるのでございましょうか。
  16. 石丸隆治

    石丸説明員 現在提出しておりますが、まだ審議が行なわれておりません。
  17. 山本弥之助

    山本(弥)委員 五年間にし尿については九〇%、ごみについては七五%でございますか。
  18. 石丸隆治

    石丸説明員 特別清掃地域住民が全国民の九〇%になりまして、その特別清掃地域内におきましては、し尿につきましては一〇〇%の衛生処理をやる、ごみにつきましては七五%を焼却処分する、こういう計画でございます。
  19. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その清掃地域におきましては清掃施設をほとんど整備するという計画ですが、五年間にそれだけの整備をするということについては、その仕事自体市町村仕事にかかっておるわけでございまして、財源的にも市町村といたしましては相当の負担になると思うのでございます。それら将来の市町村にかかる財源関係につきましては、どういうふうにお考えになっておるのでございましょうか。
  20. 石丸隆治

    石丸説明員 この五年間に投資すべき総事業量といたしましては、千三百三十億の総事業量になるわけでございますが、そのうち、市町村と県あるいは国との経費配分等につきましては、今後閣議におきまして決定するものでございまして、そういうふうに法律でも閣議で決定するようになるわけでございますが、現在の方法によりますと、し尿関係につきましては、総事業量の三分の一を補助いたしまして、残り三分の二の七〇%を起債で見る、こういうふうな計画になっておるわけでございます。なお、ごみにつきましては、補助率四分の一でございますが、補助対象事業というものを、炉の本体の設置に要する費用、そういうふうに限定いたしておりますために、市町村に相当財政的な御迷惑をおかけしておるわけでございますが、総事業量から補助金を差し引きました残り七〇%につきまして起債で見ておるわけでございます。
  21. 山本弥之助

    山本(弥)委員 このできましたあとの運営につきましても、相当市町村負担になると思うのでございますが、その運営につきましては、どういうようにお考えでございましょうか。
  22. 石丸隆治

    石丸説明員 運営につきましては、現在のところ市町村経費でやっておるわけでございますが、運営に要する費用のうち、料金徴収することができるという規定になっておるわけでございますが、現在のところは料金はあまり徴収されておりませんで、し尿のほうは五〇%以上は料金徴収が行なわれておりますが、ごみにつきましては約二〇%が料金徴収が行なわれておる状況でございまして、八〇%が市町村でまかなわれております。
  23. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いまの建設につきましての財源関係、あるいは将来の運営につきまして、自治省はどういうふうにお考えになっておるのでございましょうか。
  24. 細郷道一

    細郷政府委員 いまのお話しに出ておりました五カ年計画の本年度分としては、地方負担が百九十二億円になっております。そのうち、起債で百四十一億円の処理をいたそう、こう考えておりまして、残りにつきましては、交付税需要算定に織り込んでまいる、かように思っております。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 将来の運営については、交付税算定によって運営に支障のないようにする、そういうことでございますね。
  26. 細郷道一

    細郷政府委員 施設ができますれば、その施設に必要な運営費というものを交付税で見てまいる考えでございます。
  27. 山本弥之助

    山本(弥)委員 このごみにいたしましても、あるいはし尿処理場にいたしましても、相当多額経費を必要とすると思うのであります。ことに、自治省方針としては、共同処理方式ということを慫慂しておるわけであります。私も、両方ともこれらの施設共同処理については、単独の市町村では相当の無理がかかる、やはり共同処理すべきであるというふうに考えておるわけでありますけれども、それにいたしましても、建設についての、ただいまいろいろな点で問題になっております市町村超過負担ということについては、これは市町村としては重要な問題でありますので、将来の五カ年計画の策定にあたっては、それらの配慮を十分なされなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけでありますが、いかがでございましょうか。
  28. 石丸隆治

    石丸説明員 この清掃施設につきましては、やはりその運営いかんによりましては、将来公害問題等も生ずるおそれがございますので、できるだけりっぱな施設をつくるよう現在指導しておるところでございます。ただ、ごみ施設につきましては、先ほど申し上げましたように、補助対象事業を非常に限定しておる関係上、実際上の市町村負担分が多くなるようになっておるわけでございますが、今後りっぱな施設を多数つくるためには、この市町村超過負担分につきましては、できるだけこれを軽減するよう努力いたしてまいりたいと存じます。
  29. 山本弥之助

    山本(弥)委員 このごみ処理につきまして、一応の基準が厚生省におありでございますね。たとえば五トンの場合には四百万円、あるいは百トンから三百トンまでは五千二百万円、これは非常に実情に遠いものじゃないでしょうか。
  30. 石丸隆治

    石丸説明員 これは規模別にちょっと問題があるわけでございまして、先生ただいま御指摘のような場合におきまして、規模の小さなものにつきましては、ただいま御指摘になりましたような単価で大体十分やっていけるようでございますが、大規模のものになりますとその単価では不十分な場合が生ずるようでございます。
  31. 山本弥之助

    山本(弥)委員 自治省のほうなりあるいは厚生省のほう、両方十分お打ち合わせを願いまして、こういう非常に多額経費を要し、しかも、施設欠陥のあるような建設をいたしますと、それの補修とかあるいは改造につきましては多額経費を必要とするわけなんです。従来、市町村におきまして、過去の終末処理場にいたしましても、あるいはごみ焼却場にいたしましても、技術的の指導ということが非常におくれておるのじゃなかろうか、いろいろな方式を御指示願いまして建設をしたが、一、二年たつうちに、これをさらに大きな金をかけて、しかもそういう場合には市町村みずから責任を問われながら経費を投じなければならぬ、今日技術が相当進んでおる時代に、市町村の今後整備をしていかなければならない焼却場にしても、あるいはし尿処理にいたしましても、技術面指導といいますか、あるいは研究といいますか、それらはひとつ相当力を入れていただかなければならぬと思うのであります。大都市におきましても、ある程度規模の大きなごみ処理あるいはし尿処理等に関連いたしまして、今日あちらこちらの市で汚職も起きておるということは、私ども非常に残念に思っておるわけでございますが、むしろそういう方面の検討が必要であると同時に、補助単価も実情に合わしていただきませんと、市町村は、三分の一とか四分の一の補助といいましても、持ち出しが大きくなる。それに充当する起債も、本来市町村で自由に起債ができるならいいわけでありますけれども、補助事業ですと、残りに対して起債を全額認められても持ち出しが大きくなる。ましてや起債充当額の七割とか八割という制限をされますと、どうしても安上がりの施設整備に頭を使いまして、安ければいいんだということによって、請負契約ということになると、汚職が伴い、あるいは、将来その施設が動き出してからもまたいろいろな欠陥が出て、むだな金を使う。これらの施設市町村にとってきわめて重要であり、早急に整備しなければならないだけに、それらに対する配慮が望ましい。しかも、小規模のところは補助単価が間に合うといいますけれども、今日共同処理をいたしますと、五トンや六トン、あるいは十トンくらいの処理場というのはおそらくなくなるんじゃないか、ある程度までの規模処理場ができてくる、こういうふうに考えますが、その技術的な指導あるいは補助基準等も実情に合ったように変更願うという検討をされるのかどうか、お伺いしたい。
  32. 石丸隆治

    石丸説明員 ただいま先生のおっしゃいました、技術的に内容を向上させていくという点につきましては、われわれも非常に努力いたしておるところでございまして、先日も全国の関係課長会議におきましても一つの案を示しまして、今後そういった維持管理基準の徹底につきまして努力いたしておるところでございます。  なお、先ほど先生の御指摘になりましたように、りっぱな施設をつくり、またそれを高水準の基準の維持管理をやっていくためには、やはり小さな施設を方々につくったのではなかなか困難でございますので、できるだけこれを広域化いたしまして、一カ所にまとめて大きな施設をつくり、そこに技能を持った技術者を設置するよう指導してまいる所存であります。  なお、補助金単価の問題につきましては、今後できるだけ実態に合わせるように努力してまいりたいと思います。
  33. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、補助基準につきましては、早急に法案提出されてこれが成立を希望しておられるということであれば、補助単価等につきましても、本年度あたりから十分御検討を願えるわけでしょうか。
  34. 石丸隆治

    石丸説明員 できるだけ実態に即するようにやってまいりたいと思います。
  35. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういうふうに施設が大きくなり、あるいは焼却場のごときは、簡単なように普通考えがちでございますけれども、これの運営につきましては、やはり将来の使用にたえ得るような施設ということになりますと、管理の面におきましても市町村は十分配慮していかなければならない、かように考えるわけでありますが、現在相当大きな市におきましても、ごみ焼却場運営民間に委託するような事例が出てまいっておるようでございますが、これらにつきましてどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  36. 石丸隆治

    石丸説明員 清掃事業におきます市町村の責任につきましては、清掃法で規定しておるわけでございまして、同法第六条によりまして、特別清掃地域で集められた汚物につきましては、市町村の責任においてこれを処理すべきことを規定しておるわけであります。  そこで、市町村の責任において処理すべき方法といたしまして、現在二つの方法をとっておるわけでございまして、一つは、市町村の職員みずからこれを行ないますいわゆる直営方式というものでございます。その二は、市町村の職員以外のものにこれを行なわしめております委託方式という方式でございまして、この二つの方式が現在行なわれておるわけでございますが、従来の許可業者でこれを行なっておりましたときの経験等からいたしまして、直営方式が望ましい、できるだけ直営でこれを行なうよう指導しておるわけでございます。
  37. 山本弥之助

    山本(弥)委員 清掃法にも、そういうふうに終末処理といいますか、そういうものを市町村の責任に規定せられておるという中で、その処理場運営といいますか、これらは当然市町村の直営でやるべきであって、これを委託することによりまして、あるいは委託の関係のいろいろな――この点、私、今日国の行政におきましてもそうでありますけれども市町村の行政でも、いろいろ市町村に汚職その他がありますことは、本来やるべき仕事民間に委託してもいいというようなことから、ややもすれば民間会社との不純な関係によりまして処理されるという心配があるわけであります。しかもこういう処理は、当然直営でやるべきであって、市の責任において処理をする、機械の関係、補修その他の関係におきましても――貧弱町村におきましては相当な経費をかけて建設したわけであります。安上がりの委託によりまして、自後の運営が、一時的にあるいは経費の節減ができるにいたしましても、将来の関係におきましては、必ずそこに経費の節約にならないという問題が出てまいる、かように私は考えるわけでありまして、あくまで直営によってこれを遂行するというたてまえをとるべきである、こういうふうに考えるわけであります。厚生省のそういう委託でもいいというような考え方が、市町村の行政面を市町村の責任において真剣に処理させるという考え方が、財政の面からゆがめられるという形が出てくることを私は非常に心配しているわけでございます。現実に将来せっかく五カ年計画を立てて整備をはかるというときに、先ほど自治省でも交付税で自後の問題は処理する、こういうようなお話しもあることですから、はっきりしておいていただきたい、かように考えます。
  38. 石丸隆治

    石丸説明員 委託を行ないます場合には、委託基準に基づいて、住民との関係におきましては、あくまで市町村の責任になるような配慮をいたしておるわけでございます。したがいまして、市町村の責任を明確にいたしますために、清掃事業のうちで、収集、運搬、処理計画の樹立、料金徴収あるいは苦情処理相談、こういった面につきましては、業者に委託しないよう指導しておるところでございます。  ただいま私申し上げたのは、清掃事業全部についての一般的な方策でございまして、なお先生御指摘になりました処理場につきましては、市町村設置する処理場につきましては市町村みずからこれを維持管理していく、こういう方式でまいっております。
  39. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷委員の関連質問を許します。細谷治嘉君。
  40. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょっと関連で、いい機会ですから、質問したいのです。  清掃施設整備緊急措置法というのは、現在の清掃、ごみなりし尿に、あなたのほうはどういうふうな位置づけをしておるのですか。――意味がわからないですか。たとえば、要焼却分の七割五分というのは、ひとつ処理するんだ、あるいは既設分の改良をするんだとか、この程度で、そして、し尿処理関係では六百四十億円だ、ごみ処理では六百九十億円だ、合計千三百三十億円だ、こういうあなた、さっき答えたですね。これが現在の清掃事業というものにどういうふうに位置づけられるのか。大体こういうものは、所得水準が上がれば、ごみなんてどんどんふえていくわけだ。そういう現在の社会経済環境とどういうような関係でこういうものを打ち立てたのかということをお聞きしているわけであります。
  41. 石丸隆治

    石丸説明員 先ほど申し上げましたように、特掃地域の人口をできるだけ拡大いたしまして、九〇%の国民がそれによってカバーできる、こういう努力をいたしておるわけでございます。さらに、し尿につきましては、一人当たりの排せつ量というものは一・二リットルでございまして、これはあまり時代とともに変化するものではございません。ごみの量につきましては、ただいま先生御指摘のように、所得の増大とともに一人当たりのごみの排せつ量というものは増大してまいるわけでございまして、この五カ年計画の最後の段階におきまして、一人当たりの一日ごみ排せつ量を八百七十グラムというふうに推定いたしておるわけでございます。  なお、このごみの量につきましては、最近一応われわれのほうで外国の所得等との比較におきましてごみの量を推定いたしたわけでございますが、現実問題といたしまして、都市部におきましては非常な勢いでごみの量がふえておるわけでございます。  なお、従来ごみといわれたものの概念が相当変化してまいっておりまして、いわゆる耐久消費財が最近におきましてはごみとして排せつされて、その処分を迫られるような状況になっておるわけでございまして、そういった点につきまして、今後なおこれらの量的な関係におきましては検討修正してまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、ごみの量を現在の量より一五%増大するものと見込んでおるわけでございます。
  42. 細谷治嘉

    ○細谷委員 八百七十グラムですか、そんなもので片づくなんて思えないのだ。それは一五%ぐらいの伸びだ、こういうふうには思わない。しかも今日は、いわゆる家庭の台所から出るごみばかりじゃなくて、おっしゃるように、工場廃棄物というやっかいなものが出ているわけだ。大阪だけでも三十数万トン出るというわけだ。たいへんな量なんだね。そういうことでありますから、私は、この清掃施設整備緊急措置法というのは、現在の位置づけとしては、少しことばをやわらげますと、必ずしも的確なものではない、こういうふうに申し上げる以外にないと思う。  ところで、そういう位置づけをされるこの法案で、千三百三十億と先ほどお答えがありましたが、自治省からいただいた資料によりますと、大体従来の補助等の例から概算すると、千三百三十億のうち国費がおおよそ百八十億円だろう。地方費が千百五十億円だろう、こういうふうに自治省の資料はいっているわけだ。これはそのとおり確認できるのですか。
  43. 石丸隆治

    石丸説明員 これは、先ほど申し上げましたように、いずれ閣議決定をしなければならない数字でございまして、いまのところ緊急整備五カ年計画の一応の案でございますが、千三百三十億のうち二百七十八億五千七百万円が国庫補助金という計算に一応しております。
  44. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省の資料は百八十億くらいですね。特別な補助、だいぶふえますね。だいぶふえますとほめられたわけじゃないですけれども、百八十億といっているのが二百七十八億五千七百万円補助が出るのですか。自治省だいぶ計算違いしているようですよ。
  45. 細郷道一

    細郷政府委員 私のほうで推計をいたしたものでございまして、差し上げました資料にも四十三年度の割合で当初推計をいたしておりますから、今後五年の間に厚生省としてはいまのような計画をお持ちのものと考えます。
  46. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二百七十八億五千七百万円、あなたはまだ閣議決定していないと言うけれども、この法案は国会に出ているのでしょう。緊急措置法案は出ているのでしょう。二百七十八億は確認してよろしいですね。
  47. 石丸隆治

    石丸説明員 これはあくまで案でございまして、この法案が通りますと、この法律に基づきまして閣議決定を行なう、こういうふうになっておるわけであります。
  48. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二百八十億というのは、そんなら責任持てないのですか、ここで答えたのは。法案が通った上でその内容を決定するのだから、これはあなた責任持てないのですね、二百八十億というのは。どうなんですか。千三百三十億要るのに、百八十億という補助、そういう一応の従来の実績から出た自治省の資料が出ているから、私は確認しておるんだ。あなたはそれよりも百億近く上回った数字を言っているんだが、いや、これは法案が通った上で閣議決定でありますから、私は単に数字を申し上げたのであって、責任は持てませんということではいけませんので、念を押しておるわけだ。
  49. 石丸隆治

    石丸説明員 われわれの試算のほうでは、年度を追って幾何級数的に総事業のうちの補助対象部分の率を伸ばす、こういう案になっておるわけでございます。したがいまして、自治省のほうで御試算になりましたのは、本年度の率で五カ年間を推定されているので、それだけの数字の食い違いが出たわけでございます。  なお、ただいま申し上げました数字は、一志われわれのほうで考えておる数字でございまして、ただいまのところ、総ワクにつきましてのみ閣議の了解が得られている段階でございます。
  50. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そんなことなら何のために質問しているのですか。大蔵省、百八十億と二百七十八億と、五カ年計画の国庫負担分が差が出ちゃった。それで聞いてみると、まだ法律案が通った上で、計画内容地方負担分等は閣議決定するのだ、言ってみると、厚生省のあるいは石丸課長の個人的意見の域を出ないようなことがここで述べられているんだ。これはちょうど大蔵省主計官がいらっしゃいますが、これはたいへん重要な点ですよ。私はあとで出てくる地方負担分についておもに質問をしたいと思ったんだけれども、問題はここで大きな数字の食い違いをしていますから、大蔵省でどっちをとるのか、はっきり言ってくださいよ。
  51. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 はなはだ逃げるようで申しわけないのですが、これは厚生担当主計官のほうで責任を持ってお答えすべきが筋合いだと思いますが、ただいま石丸課長さんの御答弁を聞いておると、事業量については千三百三十億を一応目途として緊急措置法をつくり、今後再建措置については関係各省間で十分検討するという意味で申し上げたのではないかと私は仄聞しておるわけでございます。その意味で、自治省の数字、それから石丸課長の数字については、いずれも今後関係各省間で十分協議検討なされるというふうに私は理解しておる次第でございます。
  52. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはいま法案で、こんなに大きな数字が、それぞれ自治省の資料、厚生省の責任者の答弁が食い違っては、われわれのほうはどういう判断をしていいか見当がつかぬわけです。私が申し上げたように、それから出てくる地方負担分というのが、いま審議中の地方交付税の中において、地方債の中において、どういうふうに消化されるかということについて、先ほどの答弁が不十分であったから、その辺を追及したいと思って、まず国庫補助のほうから質問をしたわけですが、ここが食い違っているわけだ。これでは先に進めないわけだ。
  53. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 私が御答弁申し上げるのは筋合いではないと思いますが……。   〔「筋が違うなら答弁せぬでもいいよ」と呼ぶ   者あり〕
  54. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは自治省は、私どもの資料要求について前提を置いて、従来の実績で計算すると百八十億になる、こういうことですし、厚生省のほうは、緊急措置法案をやって新たなる五カ年計画をやる以上は、国としても従来以上の努力をしなきゃいかぬということで国庫補助をふやす決意をしたんじゃないかと私は思うのですよ。前向きなんですよ。ところが、これも聞いてみますと、一体何が何だか一向わからぬ。言ってみますと、課長の私見のような実態のようであります。これでは先へ進めませんから、ひとつ保留しておきます。  もう一点聞きますが、御承知のように、清掃費の単価交付税単位費用を決定する際に重要な問題は、標準都市でどのくらいの人が作業をするのが適切か、こういうことがたいへん大きな単位費用決定の要素になるわけですね。厚生省は、十万都市、標準都市で何人と御主張なさっておるのか、要求なさっておるのか、お考えになっておるのか、まずこれをお聞きしたいと思います。
  55. 石丸隆治

    石丸説明員 われわれのほうといたしましては、標準都市におきまして百十名程度が必要ではなかろうかという将来構想を描いておるのでございます。
  56. 細谷治嘉

    ○細谷委員 百十名というのは将来ですか。将来というのは何です。五カ年計画が完了した段階とかなんとかいうことですか。
  57. 石丸隆治

    石丸説明員 百十名は四十三年度でございます。
  58. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたのほうは、清掃のほうは自治省よりも専門なんだからちょっと聞いておきたい。「清掃事業改善の方策」という日本都市センター、全国市長会の清掃に関する標準作業的なもので、ぴしゃっときめた方針がありますね。あなたこれは御存じですか。
  59. 石丸隆治

    石丸説明員 持っております。
  60. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それはどういう数字になっておりますか。
  61. 石丸隆治

    石丸説明員 ただいま持っておると思いましたが、持っておりませんで、数字の点につきましては正確な数字を記憶いたしておりません。
  62. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それじゃ、私のほうが教えてあげよう。百十二名と兼務一名なんだ。あなたのほうは百十名。ところで、あなたのほうの百十名というのは、これはいつきめたんですか。ずいぶん古い話でしよう。
  63. 石丸隆治

    石丸説明員 昨年の十月の試算でございます。
  64. 細谷治嘉

    ○細谷委員 百名というのをきめたことがありますね。これはいつきめたんですか。
  65. 石丸隆治

    石丸説明員 百という数字はないのでございまして、四十二年度の試算によりますと百八という数字が出ておるわけでございます。百ぽっきりの数字というのはちょっと記憶にございません。
  66. 細谷治嘉

    ○細谷委員 清掃の単位費用が衛生費から独立して設けられた昭和三十九年ごろに、厚生省が一応の算定基準として百名を大蔵省に要求した、こういうときの数字なんだね。それから五年ぐらいたっていま百十名。「清掃事業の改善の方策」という全国市長会なり日本都市センターから出ておる資料だと百十二名。ほぼ数字が合うわけですが、自治省、今度の単位費用決定の人員は何人ですか。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 九十一名でございます。
  68. 細谷治嘉

    ○細谷委員 九十一名というのは何年からですか。
  69. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年九十一名、四十三年も同様でございます。
  70. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三十九年は六十三名、四十年は七十九名、四十一年は八十五名、四十二年が九十一名、四十三年が九十一名、毎年上昇してきているんですがね。また厚生省は百十名だ、こう言っているのに、ことしは増加していないのですね。毎年毎年若干の改善をしてきているのですが、ことしはどうして数字をいじっていないのですか。
  71. 細郷道一

    細郷政府委員 いろいろ当省のほうの経費関係もございまして、員数につきましては据え置きをいたしました。
  72. 細谷治嘉

    ○細谷委員 おかしいでしょう。地方財政は好転したとはおっしゃっておらぬけれども、いろいろな単位費用の改定をしているのに――ニューヨークの清掃ストというのはたいへんなことになった。北九州の清掃ストというのもたいへんなことになったでしょう。これは日常生活にたいへんなことなんですね。しかも厚生省の清掃事業改善の方策というのは――財政局長、あなたはメンバーじゃないかもしらぬけれども、あなたの部下は全部メンバーですよ。この人数をきめたときには、あなたのところも当然相当入っておりますよ。ことし若干でも上げるならいいんだけれども、毎年毎年上げてきて、四十二年から四十三年が横すべりというのは解せない。単価の問題もありますよ。単価の問題はありますけれども、人数が横すべりというのはどうしても解せない、いまの説明だけでは。これはおそらく下請か何かでごまかしちゃえ、こういうことかもしれませんが、どうしても解せないのです。若干でも上げているなら、誠意のほどは受け取れますけれども、横すべりなんということはおかしいですよ。
  73. 横手正

    ○横手説明員 本年度の清掃事業の単位費用の改定にあたりましては、清掃施設のうちごみ処理施設につきまして、一日の処理量の増加をはかってはおりますが、その処理に必要な施設あるいは車両、こういったものにつきまして積算の結果、人員の異動まで生じなかったわけでございます。しかし、一方におきまして、施設の償却年数の短縮をはかる等、清掃費の充実を一応はかってまいっております。  なお、地方団体の決算額と需要額との比較検討、こういったものも行なってまいっておりますが、大体、地方団体の決算額に十分な配分がなされておりますような現状であります。そうしたこともございまして、今年度はそうしたかっこうにとどまっております。  なお、現在の九十一人と申しますものは、先生御承知のように、人口十万の市、しかも特掃地域人口が七万人、こういうような基礎のもとに算定いたしております。したがって、実際の市にありましては、その質の高低によりまして、態容補正等によっての割り増し措置がなされておるわけでございます。
  74. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三十九年から四十一年までは六万七千七百人、四十二年から七万人になった。だから、特別清掃区域の人口は七〇%ということだ。そして九十一の内訳は、じんかい五十一、し尿四十ですよ。合計九十一です。過去においても、三十九年が六万七千七百人からずっと変わりありませんが、その中でも人数については、清掃とじんかいとでは、それぞれ検討した上で適当な増員が行なわれておるわけです。今度は何もしていない。四十二年から四十三年というのは、少なくとも現在あなた方は厚生省の設定した基準から二十名も引っ込んでいるのですから、やはり前向きでそれに近づける努力がしかるべきだと思いますが、全然なされていない。いまの説明でも了解できない。
  75. 細郷道一

    細郷政府委員 私も特に人口のふえております都市における清掃が非常に重要な行政になっているということは十分承知をいたしております。したがいまして、これに対する財源措置はできるだけやってまいりたい、こう考えております。  いま御議論になっておりますのは、いわゆる標準地帯、人口十万都市の計算の基礎になります段階についての御議論でありますけれども、今回は、すでに先般もお答え申し上げましたように、人口のふえます都市、特に大都市周辺におきましては、都市圏に対する補正を採用することにいたしました。昼夜間の人口の増減率を使うなり、あるいは距離を使うなりいたしまして、補正によって従来以上に態容補正の面でこれを充実して、実際の費用にこたえるように努力をしたい、こう考えております。  なお、いまいろいろございました都市センターでつくりました案、これも私ども承知をしております。これらにつきましては、先ほど厚生省からもお答えがございましたように、いずれこの千三百三十億の中身をまとめた計画というものを政府全体としてきめる時期がくるわけでございます。それがきまりますれば、私どもとしては、それができますように十分な財政措置考えてまいりたい、かように思います。
  76. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題については、人数にしても、それからこの清掃の作業員というのは、給料単価が二万四千二、三百円、これで家族持ちが清掃で食っていく、こういう単価もおかしい。しかも前向きの姿が一向見えない。こういう問題がいろいろありますし、先ほどの計画に関連をしてまだいろいろな問題点がありますけれども、いずれもきょうのところは関連でありますから留保しておきます。
  77. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま細郷さんも、清掃事業についてはその緊急性を認めておられるようでありますが、将来市町村におきましても、やはり清掃事業が行政の相当重要な部門を占めてまいると思うのであります。しかも、従来大都市の施設であったものが、中小都市にまでこれが必要な施設に相なってくるわけでありまして、この点につきましては、厚生省におきましても、補助単価あるいは将来の運営についての人員の算定、ただいま細谷委員からも指摘がありましたように、全国市長会におきましても、これらの点は将来の問題として十分検討し、必要な人員等も検討した資料等も出ているわけでありまして、私ども中小都市のことを考えます場合に、十分な財源のもとにこの事業を緊急に整備していかなければならぬというふうに考えているわけであります。そうでなければ、財源の面においても、超過負担の問題なり、あるいは地域住民の要望にこたえ得ないようないろいろ行政上の紛糾の種になる、かように考えておりますので、十分検討を願いたいと思います。この問題につきましては、自治省のほうでは民間委託だとか、あるいはただいま運営の人員の問題等は、局長は十分配慮するということでありますが、重ねて自治省としての考えをこの際聞かせていただきたと思います。
  78. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもの原則としては、それはそれぞれの団体がやるべきで、法律でそうきまっておるわけです。しかしながら、こういう種類の事業につきましては、事業形態が非常にフルタイムでない場合もあるわけです。そういうようなことから、民間委託をするということも、私どもとしては十分研究すべきである、こういう立場をとっております。単に財政的というだけでなく、私のほうとしましては、それによって能率的な仕事ができるというようなことも考えてやるように、こういう指導のいたし方をしております。なお、民間委託にかりになったといたしましても、交付税需要計算におきましては変わりません。その分だけ交付税需要を落とすわけではございませんから、この点も念のために申し上げておきます。
  79. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これらの施設がフル運転でないということを私は了解できないわけでございますけれども、将来の人口増の地域においては、私どもはむしろ将来の人口増に対処するような十分な施設整備すべきだという考えを持っておるわけです。補助金の率から言いましても、きわめて市町村負担の重い実態にありますので、実際は必要に間に合うような施設をつくっていないのが実情だと思います。したがって、これはフル運転ですよ。しかも、民間委託というようなことは、施設の補修、整備その他から言いましても、やはり責任のある市がやるべきであって、これからこういう施設整備していこうというときに、民間委託というようなこと、大都市の一部を補完的にそういう施設民間委託にするというようならいいのですけれども、緊急施設を必要とする中小都市の施設を、一般論で民間委託というようなことを多少でもお考えになっておるということであれば、それは私きわめて重要な問題でありますので、そういう行政指導をなさらないように、地域の要望にこたえ得るような直営でやるということに自治省もはっきり方針をきめていただきたい。厚生省もこの点はあくまでその方針を厳守をするという体制を確立しておいていただきたい、こう思います。
  80. 細郷道一

    細郷政府委員 まあ、フルであるかどうかというのは、これはそこの人口形態と立地条件によると思います。したがいまして、これは議論だけでは済まない実地の問題であろうと思います。よくいままで民間委託が行なわれておりますのは、どちらかといいますと処理場の問題ではなくして、収集業務の問題について起こっておるのでございまして、そういう点はそれぞれの団体も十分事業の実態を考えて判断をすべきものと私は考えております。したがいまして、私ども民間委託といって全部が全部民間委託をしようというような非常識なことを言っておるわけではございません。やはり、それが民間に委託することによって可能な部分、そして、それによって能率的になる部分、それは進んでやることを研究すべきである。特にごみ処理し尿処理等につきましては、先生御承知のとおりに、団体規模によっても十分考えなければいけないことでございます。一時はどこの団体もそういうものをつくるということのために、非常に経済単位を構成しない団体でありながら施設をつくるためにむだなことになったという例も聞いておるのでございます。したがって、そういう面では私どもは共同的な管理運営をするように共同的な施設をするようにという奨励のしかたをしておるのであります。
  81. 山本弥之助

    山本(弥)委員 一点だけ申し上げておきます。  私は、施設が合理的に運転するということについて、共同処理ということについて、これは当然行なわれていいと思うのであります。五トンや十トンの施設をやって、それがいかに公営の仕事であろうとも、一応の経営規模を無視したような施設であってはいけない。あくまで共同処理によりまして最も能率のあがる規模のもとに、それぞれの地域の人口等の配慮によって検討を加えるべきだ、こう思います。しかし、収集についても、こういうものを合理的に、最も市町村の重点的な、地域住民との関係の深い問題を処理するというときに、民間との関連においていろいろな紛争が起きているということは、局長も御存じだと思うのです。その捨て場の問題、これは処理場をつくるにいたしましても、大都市においても、今日完全に、ごみすら焼却場処理をしていないで、埋め立てをしておる。しかも埋め立てにおいても非常に付近に非衛生的な処理をしておる。これらを考え合わせますと、今後の、たとえば人口増の都市はもとよりのこと、衰退していく都市の整備の点におきましても、少なくともそういった都市において、人口が減少しようとも、環境の整備によって、これらの市町村がある程度までシビルミニマムといいますか、そういった体制を保持されるということは、私は公共団体としては堅持すべきであるということで、そう急に民間委託、民間委託ということは、十分実情を把握、また検討の上に指導すべきであって、安易に、民間委託が安上がりなことによって、これから整備しなければならない公共団体事業の芽をつむ、あるいは中途はんぱな処理のしかたをするということは、避けるべきではなかろうかと考えておりますので、財政上の問題でなくて、地方公共団体の行政上の指導面から十分お考えおきを願いたい、かように考えております。  次に、時間もたちますので、児童収容施設の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  今日児童収容施設につきましても、地方公共団体は、教護院だとかあるいは養護施設、すべてにわたっていろいろ苦心をいたしておるわけでありますが、これらを強化いたしまして、そこの職員もそれらの施設の活用を十分はかる、生活の安定の上に立って活用をはかるということでなければ実効があがらないのじゃないか。今日青少年の不良化という問題も出てまいりますし、また、過般岩手県におきましても、山中の児童が、母親が家出したためにひとり取り残されて餓死をしたというような事例も出ておるわけでありまして、私どもはこの施設の強化ということについて考えていかなければならぬ、かように考えておるわけでありますが、厚生省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  82. 鈴木猛

    ○鈴木説明員 児童福祉施設はいろいろございますけれども、その中で、先生お話しの重点となりました特に収容施設、これにも、たとえば先生御指摘になった養護施設でございますとか、あるいは重症心身障害児施設あるいは精神薄弱児施設あるいはその他多数の施設がある。類型があるというわけでありますけれども、それらの施設につきましては、それぞれ片方の面では施設整備の強化をはかる、つまり収容定員の増加をはかるというのが一つ仕事でございまして、そういうことにも努力いたしておりますけれども、また、その児童の処遇に当たります施設職員の待遇改善あるいはまた労働条件の改善等につきましても、毎年努力を続けているところでございます。
  83. 山本弥之助

    山本(弥)委員 仄聞するところによりますと、本年度の措置費につきまして多少方針が変わるようなことを聞いておりますが、いかがでございましょうか。
  84. 鈴木猛

    ○鈴木説明員 措置費のいわゆる支弁の方針につきましては、かねてからいろいろな問題が実はあったのでございます。特に、ただいま先生の御指摘の問題を推測いたしますると、特に定員と現員の開差の激しい施設、一例を申し上げますと、養護施設あるいは母子寮等でございますけれども、そういうような施設につきまして、本年度からその支払い方式を変えるというようなことで、いろいろ検討はしたのでございます。しかし最終的には、厚生省が当初考えました案を一応白紙に戻しまして、従来のような方式指導するということに方針を決定いたしまして、昨日付で児童家庭局長名をもって各都道府県知事にその方針の示達を行なったところでございます。
  85. 山本弥之助

    山本(弥)委員 従来どおりの方針で支弁されるということでございますので、私ども心配いたしませんが、こういう収容施設は最初からきびしい制限のもとに定員に応じた施設整備いたしておりますし、また、できますれば私はそういう施設が十分フルに利用せられまして、しかも収容する必要のない児童は早く一般家庭に帰すという措置が好ましいのであって、そのために一時的に定員が欠けるということは、これはむしろ施設の活用からいくと好ましい現象である。しかもそれらの措置費にいたしましても、本年は特にきびしいようでありますけれども、いろいろ定員についての職員の定数等の改正等、他の施設ともどもに英断をふるっていただきましたことは、私どもは非常にいいことだと思うのであります。しかし、こういう施設の活用に重点を置くべきであるのを財政の面で締めつけるということは、ただいまのお話だと安心をいたしましたが、どうか施設の活用の方向に指導するということに重点を置かれまして一その措置費についても十分な増額を配慮しなければならぬというときに締めつけていくというようなやり方は、むしろ児童福祉の後退になるわけでございまして、今後ともそういう考え方のもとに御努力願いたいと、ちょっと要望いたしておきます。どうもありがとうございました。  次に、交付税の配分についてお伺いいたしたいと思いますけれども、その前に一言、府県で不交付団体、それから市町村、これは概括でよろしゅうございますから、大都市と中都市、町村に分けましてどのくらいの不交付団体がございますか。
  86. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度につきまして申し上げますと、府県で不交付団体が四、それから市町村で合わせて百四十八、内訳は大都市で一、都市で八十五、町村で六十二でございます。
  87. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その府県のうちに東京都は入っておるわけですか。
  88. 細郷道一

    細郷政府委員 入っております。
  89. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私、地方税のときにも申し上げたわけでありますが、今日大都市におきましてもだんだん交付団体が多くなっておるわけでありますが、いわば一部の特殊の市町村を除きまして、貧弱町村も、本来豊富な財源を持っております大都市も含めまして、ほとんどが交付団体になるというふうな実態で、交付税の配分といいますか、こういう問題を従来の方式考えていくと、何らか――府県もそうでありますが、ことに市町村は非常に激動しておることは、これは大臣の所見発表にもあったようでありますが、いろいろな意味で激動しておると思うのであります。人口の移動ということもともかくでありますけれども、企業の移動にしましても変わってきておりますし、また農村地帯におきましても、都市周辺の農村地帯、あるいは東北のような農村地帯というふうに、いろいろ内容が複雑になってまいっておるわけであります。本来地方税の補完的役割をしておる交付税、これが大都市から貧弱団体まですべてに及ぶというふうな交付税の配分方式、これらについてどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 市町村の標準団体十万を基礎にして上下を補正によってカバーしていくというのが現在のやり方でございます。いまお話しの点は、おそらくもう少し市町村分を分けて計算をしたらどうだろうか、こういうような御意向かと思います。確かにそういう意見も私ども聞いております。実は研究はいたしておるのでございます。しかし、なかなかむずかしい面がございまして、どの程度のグループでこれをとらえるのがいいか、またグループの境目はどういうふうにしたらいいかといったような問題もございますので、なかなかむずかしい問題でございますために、いまだにそういうことに踏み切れずにおるというのが現状でございます。
  91. 山本弥之助

    山本(弥)委員 早晩踏み切らぬといかぬのじゃないでしょうか。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 市町村の行ないます行政をどういうふうに見ていくか。それから、その市町村内におきます行政の位置づけを都市ごとにどう見ていくかということについて、ある見通しが立ちますれば、私は踏み切ることも可能だろうと思います。と申しますことは、やや抽象的に申し上げましたけれども、大都市ならばこういう行政をやる、こういう行政が非常に重点が置かれておる、中都市ならばこうなんだ、町村ならばこうなんだというふうに位置づけ、それぞれ行政のウエートがそのグループごとに分かれてくる、区分ができるという状態ができると、私は非常にそういうことに踏み切りやすい環境が生まれると思うのであります。現状は、御承知のように、必ずしも人口の多寡によってだけで行政のウエートが変わってきていない。一般的には、都市は都市行政でやる、町村は町村行政でやるというふうにいわれておりますけれども、現状は国土全体の絵というものが十分に描かれておりませんために、そういうことが困難でございますので、いまの段階におきましては、交付税は従来のやり方の十万を基礎にいたしまして、補正という方法によりましてそれをできるだけカバーしていく。そうして、それ以外に地域的にさらに国の財政援助を必要とするものにつきましては、地域立法というようなことでこれをカバーしていくのが現状の段階でございますので、そういう両面をいま推し進めておるというやり方をとっておるわけでございます。
  93. 山本弥之助

    山本(弥)委員 十万基準だけでも、大都市周辺の十万の都市あるいは地方の十万の都市――地方の十万都市も、伸長性のある都市あるいは衰退する都市というふうに非常に変動が激しいのじゃないか。それらを地域の特殊立法といいますか、そういうことではなしに、もっと英断的に、市町村は当然起債の財源も必要になってまいりましょうが、ある程度まで将来伸びていく都市に対する起債のウエートといいますか、あるいは衰退都市に対する傾斜配分とか、あるいは町村ももとよりそういう実態があると思うのでありますが、多少腰だめ的にも十万都市といっても、財源を持っておる大都市に交付税を交付する。十万都市の基準都市ですら、都市周辺は行政需要がふえていっておる。それにどう対処するか。あるいは堅実な伸びをする都市もある、あるいはむしろ十万がその次には九万五千になるという衰退都市がある。ある意味においては、十万以下の都市は相当てこ入れをするといいますか、そうしなければ全部衰退するのではないかという都市も見受けられるわけなんです。そういった都市に対する交付税の配分といいますか、私あとでお伺いいたしますけれども、人口が減るということは、ある意味においては、その地域に生活することが、他の地域で生活することよりもその個人にとりましては生活の向上を期しがたいということで移動することになろうかと思うのであります。それをどういうふうに食いとめるかということは非常にむずかしい問題であり、今日大都市の集中をどうするかと幾ら議論してもいろいろ議論も分かれますし、問題のところがあると思いますけれども、しかし、その町がいかにいい施設をやり行政をやりましても、大都市あるいはその他地方の中堅都市への移行によって減少していく事実、それらに対して残った人口で最小限度の行政の需要にこたえることが十分できるかどうかというふうなことも考えなければならぬと思うのであります。それを、いまの交付税方式では、そういう流動性にこたえ得るかどうか、これはすでに議論されたような問題かと思うのでありますけれども、根本的に変えないまでも、ある程度それらに対しての配慮といいますか、検討ということを早急になされなければならぬじゃないか。今日農村地帯では、ほとんど交付税でまかなっておるというようなところもあろうかと思いますが、交付税地方公共団体の自主財源であるとするならば、そういう町村が交付税の配分によりまして最小限度の行政費にどう配分するかということをそれなりに配慮していくのではないかと思うのです。そういう点からいいましても、流動性を加味した交付税の配分方法、ある程度まで大都市には何らかの腰だめ的な、すでに地方税のときにも申し上げましたように、地方税の操作によりまして交付税の対象にしないような、傾斜配分といいますか、僻地の傾斜配分をもっと強化するというふうな根本的な検討がなされないならば――ある程度まで実情に即したような配慮が好ましいと思うのでありますが、そうでありませんと、先ほど私はくどく社会福祉の問題について厚生省に御質問したのでありますが、地域地域によりまして、それらが当然どの町村におきましても整備しなければならぬ施設、それが自己財源を持ち出さなければならぬということになりますと、起債をしても将来の償還に対する財源がない、それらをどう確保していくかというようなことについての交付税配慮、これらはもう何かめどをつけておられるのじゃないかと思うのでありますが、どのような方向にお考えになっておるか。自主財源、地方起債との関連もありましょうが、それをどう交付税の配分において考えておられるか、承りたいと思います。
  94. 細郷道一

    細郷政府委員 結局、現実の財政需要が非常に激増しておるのにマッチさせるという御趣旨だろうと思います。私どもも、現実の需要の中で、それがいわゆる標準的経費として見られるべきものについては交付税で措置すべきである。現実に合わせるといって、何もかも合わせる、それが交付税の筋ではないと私は思います。その限界をどの程度に見るか、これは水準の問題であろうというふうに思っております。したがいまして、現実に何か標準的な姿を合わせるというふうになってまいります場合に、いまの都市を、十万一つとってやるのがいいのか、あるいはもう少し段階別に分けてやるのがいいのか、これは先ほども議論が出たわけであります。ただ、いずれの場合にいたしましても、三千五百の団体をそれぞれ測定するわけではありませんので、必ず補正ということによってこれをカバーせざるを得ないと思います。グループをかりに三つに分けましても、三千五百に対しましてはやはり補正ということが必要である。したがいまして、現在は補正というものを最大限研究することによってそれをカバーしようと実はいたしておるわけです。したがって、補正の活用ということがどうしても必要である。そういう意味におきましては、先ほど来お話の出ておりました人口が非常にふえていくところ、これに対しましても、いろいろな意味で毎年補正の方法によってその需要に応ずるように考えていく。人口の減るところにつきましても、補正によってこれに応ずるようにしていく。特に、減るほうにつきましては、従来割り落としの補正をしておりましたものをやめてしまうといったようなことも実は行なっておるわけであります。したがいまして、当面はやはりそういうことによって処置をしていくべきであろう、こう私は考えております。もとより根本的な検討を怠るものではございませんけれども、毎年毎年の現実の問題としては、そういう方法によって一歩一歩実態に近づいていくようなくふうをしていこう、こういう考え方をとっておるわけでございます。
  95. 山本弥之助

    山本(弥)委員 自治省としては、交付税の配分について、態容補正その他の補正によって公平を期したいということについていろいろ苦労をなすっておられるということは、私どもよくわかるのです。しかし、現実に財源の多い六大都市が交付税の対象になっているということ自体を見ましても、これは交付税の本質からきわめて離れていくのだ。いわば全国の府県市町村を全部自治省でこまかく、それこそ精緻をきわめて算定をして、そして公平を期そうということでは、これはなかなか容易ならぬことだと思うのです。ですから、伸びていく都市はある程度まで自主財源だとか起債で充当する。それの償還財源も伸びていく都市は可能なわけですから、それらのことをもう少し単純化できないか。そうしないと、これはもういつまでたっても補正補正で、交付税の配分というものはあれだ。ある程度まで市町村の――衰退都市、成長都市、あるいは十万都市の基準を分けて、もう少し腰だめ的に配分することで、その市町村の努力によっていい行政ができ、財源の確保もできるというようなやり方が好ましいじゃないかと思うのでありますが、これは将来の基本的な地方税制の改正等もありましょうから、それが長引くようなことであれば、私はこの交付税の問題で思い切った配分についての新しい方式を真剣に検討すべきではないか、かように考えております。いかがでしょうか。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 税制の改正ももとより考えていかなければいけませんけれども交付税需要算定のしかたについては、私どもも真剣に検討をいたしておるつもりでございます。いろいろ大都市の問題が議論になるわけでありますが、私は大都市が交付団体になるということは、一面からいえば非常に需要をよく見てきたということも言えるだろうと思うのでございます。それだけですべての答えになるとは思いませんけれども、そういう考え方すらもできるわけでございまして、現実において大都市の需要というのは交付税の計算上はかなり見てきておるわけです。しかしながら、大都市がなおかつそれで財政運営が苦しいとか赤字があるということにつきましては、やはり先ほど来出ております急激に動いていく施設、あるいは追いつくための施設、そういうものの問題であろうと思うのでございます。したがいまして、私どもは、それに対しましては、起債でありますとか、ものによりましては特別交付税というものによってこれを処理する方針をとっておるのでございます。したがって、もちろん税制の問題も緊急を要すると思いますが、交付税の面で絶えずそういう態度での検討を続けておる、こういうことでございます。
  97. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この点について議論をしても始まりませんけれども、大都市の需要を多く見ておるということ自体、交付税の性格から離れていくのでないでしょうか。しかも大都市の需要が大都市における――先ほども地方税と関連があると申し上げましたように、最も人口が集中しあるいは経済が集積いたしまして、自主財源の捕捉の大きいところが、その需要の増に対応して――本来自主財源の乏しくて交付税でめんどうを見なければならぬという都市から大都市まで、交付税の配分を需要の増に応じて考えていかなければならぬという考え方が、精緻をきわめればきわめるほど、交付税の本質と地方自治の本質から離れていくのではないか、こういうふうに私考えますので、これは早急に基本的なあり方の検討を願いたいと私どもは思っておりますが、交付税それ自体としても検討を加えるべきで、いつまでも十万都市ということであってはならないのじゃないか、かように考えております。ですから、十万以下の都市は非常に苦労しておるわけですね。町村はむしろ仕事がなくなるので、ある程度まで交付税の配分によって何とか町村行政を糊塗しておる。しかし十万以下の都市というものは、みんなほとんど、大都市周辺の急激に上昇する都市を除いては衰退をしておる。それらの都市にどう地方都市としての使命を果たす行政をやらすかということは、これはいまのような交付税だけではとてもそういったやり方はとれないと私は考えております。  そこで、今回の交付税配分について、過密過疎対策で十分考えておるというふうな重点施策の一つになっておりますけれども、これはどういうふうな配慮をしておられるか、私も十分勉強いたしておりませんので、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  98. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度におきましては、過密都市関係需要措置といたしましては、人口急増補正の強化あるいは都市的経費の態容補正の合理化、そのほか都市公園とか小中学校の事業費補正とか、あるいは清掃費の充実とか、そういったような都市対策関係を合わせまして二百十二億考えております。  それから、過疎の問題と申しますか、後進地域の問題につきましては、道路橋梁費の引き上げ、あるいは農業行政費の充実、人口急減補正による激減の緩和等を含めまして、市町村分として二百億の需要増を見込んでおります。
  99. 山本弥之助

    山本(弥)委員 過密対策として二百十二億ですか、御配慮になったということでありますが、これはどういう都市にどうばらまかれることになるわけですか。
  100. 細郷道一

    細郷政府委員 これは、御承知のように、この法律によりまして種目別の単位費用をおきめいただき、それから適用すべき補正係数の種類をおきめいただきますと、それに基づきましてそれぞれの補正数値の計算をして、八月の算定の際に、こういう額が出るという見込みのもとに補正係数の作成をいたす、こういうやり方でございます。
  101. 山本弥之助

    山本(弥)委員 きわめてしろうとのような質問になりますけれども、そういたしますと、この二百十二億円はどういうふうにばらまかれるわけですか。
  102. 細郷道一

    細郷政府委員 その中で比較的大きいと思われますものは、いわゆる人口急増補正の強化五十億、それに都市的経費の態容補正の強化五十億、こういったものがございますので、大都市並びに人口のふえております大都市周辺の都市に主としてこの需要見込みが上乗せになるものと考えております。
  103. 山本弥之助

    山本(弥)委員 六大都市とその周辺の都市というのは相当の数に上ると思うのでありますけれども、たとえば大阪とか横浜をとりましても、将来の公害対策とかあるいは交通対策、その他特定財源を得てやるにいたしましても、相当の財源不足に悩んでおると思うのであります。主として大都市あるいはその周辺にばらまかれるにしても、多少その他の都市にも全国均分するところが出てくると思うのでありまして、こういうことでいわゆる過密対策と言えましょうか。
  104. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度におきましては、いま、去年に比べまして全体で五千百十九億円の需要増が見込まれるわけであります。そのうち給与関係経費で約二千億、一般行政費で千五百億、投資的な経費で約八百億、その他として八百数十億、いわゆる残でありますが、それがその他としての需要配分になるわけでございます。その、その他の中で、私どもがいま申し上げておりますような政策的なものを特に見ていこう、こういう考え方でございますのは、この数字だけをごらんいただきますと、大都市や都市の需要額というものは、もっと何十億、何百億のものがございますから、非常に少ないようにお感じになるかもしれませんが、根っこのものは、全体としてベースは上がってくる、それにこれだけのものがこぶがついていくのだ、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのです。
  105. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それはお話しがなくても当然そうなるべきで、交付税の配分からいくと当然なわけであります。その過密対策としてそういう過密都市の財源配分ということからいけば、当然こういった二百十二億がさらに薄められていくということになるわけでございまして、多少配慮したといえば配慮したというところでございますけれども交付税全体の計算から言いますと、それは人件費もありましょうし、行政費用もありましょうし、いろいろな事業をやっておる、補助事業、単独事業、それぞれに算定をなさっておられるわけでありまして、上積みになることは当然でありまして、特に過密対策として上乗せにしたことで問題が解決したというふうには、私どもとうてい考えられぬわけであります。  それでは次に、過疎地帯の二百億というものはどういうふうにばらまかれますか。
  106. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申しましたように、道路橋梁費関係で約五十億、それから農業行政費の関係で約五十億、それから小中学校の単位費用の引き上げで四十三億、そういったようなもの、それに人口急減補正の緩和によります五十億等を入れまして、約二百億の需要の増を見込んでおります。
  107. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうしますと、過疎対策も、主としてそういう該当町村に薄められて上乗せされるということになるわけですか。
  108. 細郷道一

    細郷政府委員 考え方としてはそういう考え方になります。
  109. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういう町村というのは相当多いと思うのでありますが、それらを上乗せして薄められていく金額は二百億ということになりますと、人口が減っていく農村地帯、それらに財源の減少分を多少配慮するというだけで、積極的にそういうところでどうするかということを考慮するだけの財源と言えないじゃないですか。
  110. 細郷道一

    細郷政府委員 財源をどのくらい与えるかということになりますと、考えようによれば、人間の財政需要にどう対処するかという問題になってまいりまして、それは担税力との比較において私は判断をすべきであろうと考えるわけであります。いま持っております財源の範囲内では、先ほど申し上げました来年度の需要五千億の増のうち、そういう投資的経費あるいはその他の経費を合わせて千五百億、こういったものをどういうふうに配分をしていくかということになりますれば、先ほどお答えいたしましたようなことで、後進の市町村に対してもそれをこぶにつくようにという配慮をいたしておるつもりでございます。もちろんこれが単に人口の減るのをカバーするだけか、こういう御議論もございまするが、後進の市町村が人口の減るのをカバーしなければならないというのは一体どういう行政需要であるか、こう考えてまいりますと、一番典型的なものは、たとえば学校みたいなものだろうと思うのであります。学童数によって計算をしておるといった場合には、人口が減れば学童数が減るのでそれだけ需要が落ちる。それはささえをして直していく。しかし、反面、農業行政費のようなものは、むしろ農業の構造前善と申しますか、合理化をしていかなければならない、そういうものは前向きのものだろうと私は思うのであります。今回はそういうものにも約五十億を投入するようにいたしておるのでございます。私がいま申し上げましたのは、明年度におきますものだけを申し上げたわけでございますが、そういったやり方によりまして、たとえば後進地域市町村に対するものとしては、四十二年度では百七十六億、四十一年度では百九十八億、おおむね二百億足らずのものでございまするが、そういうものを、毎年ふえております需要の中から特にそういう方面にさいていっておる。こういうことによってその積み上げが実は出てきておるわけでございます。いま申し上げましたのは四十三年度に新たに積み上がるものとしての二百億を申し上げたものでございますので、御承知でありましょうけれども、そういうものもあわせて御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  111. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この過密過疎対策は府県に対する配慮はないわけですね。
  112. 細郷道一

    細郷政府委員 府県に対しましては、主として後進府県として農業行政費によってそれを充実するという方向を現在の段階ではとっております。
  113. 山本弥之助

    山本(弥)委員 交付税に関連いたしまして、今回は辺地対策の起債を三十億から四十五億にふやしておりますが、これもどういうふうな事業をお考えになっておるか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  114. 細郷道一

    細郷政府委員 辺地対策の起債としては、昨年度に対してふやしまして四十五億にいたしております。それは御承知のように、辺地につきましては辺地度点数によっての辺地、それから山村振興地区、そういうものに対しましてそれぞれそこの行政需要、たとえば消防施設でありますとか、あるいは場所によりますれば電気でありますとか、あるいは水道であるとか、そういったようなものをとらえまして、それぞれの団体に三年ぐらいの計画をつくっていただいて、その計画に基づいて起債の許可をいたしております。
  115. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいまの過疎過密対策の基本的な問題について、政務次官にひとつ、自治省として将来どうお考えになっていくか、基本的な政策をお聞かせ願います。
  116. 細田吉藏

    ○細田政府委員 私は、地方税法の御審議の際にも申し上げましたが、現在の日本の産業構造の大きな変革、また人口のたいへん大きな流れ、怒濤のような流れといってもいいかもしれませんので、都市集中、これは非常に大きな都市に集中するだけでなくて、地方的にも、たとえば県庁所在地とかいうようなところへ集中をする。市と名がつきましても、先ほど御質疑の中にもございましたように、山村あたりほどではないけれども、年々人口が減少する市がかなり多い、こういうかっこうでございますが、こういうふうに非常に激動いたしておりますのにどう対処していくかというところで、この間私申しましたが、やや在来のやり方でそれを何とか、パッチワークといいますか、情勢に合わせるように手直しをしていく、こういうかっこうでやってまいっておる。私は、率直に申しましてそういうふうに感じております。  そのやり方については、先ほど来財政局長がお話し申し上げておりまするように、過密過疎それぞれに対しまして、考え得る、しかも財源の許す範囲で――これは非常に範囲が小さいかもしれませんけれども、私はかなり精緻にできるだけのことを見ておると思います。しかし基本的にそれでいいかどうかということについて、こうした激動のさなかではございますけれども考えなければならぬ時期が来ておる、かように存じております。  そこで先般来地方税についてもいろいろ御意見がございました。私ども、これは単に税金だけではなくて、交付税の問題あるいは起債の問題、いろいろな行政のやり方、いろいろな点を総合的に考え直していかなければならぬ、かように思うわけでございまして、先ほど来の御意見は、私よく承っておったのでございますが、少なくともそういう方向で急速に検討を進めていかなければならないのではないか、実はかように存じておるわけでございます。交付税の配り方につきましても、これは税の問題その他の問題とあわせて考えていかなければならぬ。先般の税法のときにも申しましたが、一つのワク組みができておりますると、これを根本的に変えるということには非常な困難が伴います。俗なことばで言うと、非常に得するところもあれば非常に損するところもある。しかも財政需要はどんなところでもあるわけでございますから、少しでも分が悪くなったところでは文句が出る、こういうふうなこともあるわけでございます。非常に困難なことであろうと思いますけれども、困難であるからといって避けて通るわけにはまいらない、かように存じておりまして、先般も申し上げましたとおり、御説のような点を十分考えて、これは検討を単に一日延ばしにするということでなくていたさなければならない、かように存じておる次第でございます。
  117. 山本弥之助

    山本(弥)委員 昨年の十一月十日に自治省では中都市を基幹とするというような構想を打ち出されましたが、これはどういう方法で育成していかれるわけですか。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 国土の全面的な均衡ある発展ということのために地方団体がどういう役割りを演ずべきであろうかということが、私どものいまの一番大きな課題であるわけでございます。最近におきます社会経済情勢の変貌を見てまいりますと、このままでは特定の都市に集まる一方で、地方自治体としての役割りを果たす余地がだんだん小さくなってくるんじゃないかと思います。私は、地方自治体がもっと積極的に、住民の所得水準を引き上げたり、就労の機会をふやすなり、そういうことをやるべき時期に来ておるのではなかろうかと考えておるわけであります。そういうことがいまわが自治省としての非常な課題でございますので、それをどういうふうに実現をしたらいいのかということは、一つには大都市に対する人口の流入の抑制をはかっていくという強力な施策を打てるかどうかという問題であります。それから、いま一つには、人口の移動というものは、いまのような社会経済の動きでございますと、大なり小なり私は避けられないことではないか、情報、文化というものがどうしても都市の中枢に集まってくる、それは避けられないことではないだろうかと思うわけでございますが、その避けられないものをどの程度に食いとめるかということから、地方に中堅的な都市というものを育成することによって、その中堅都市を中心にした一つの圏域を想定をして、そこに社会経済生活圏というものを求めるように考えながら、それぞれの町づくりをやっていったらどうであろうか、こういう気持ちがいたしておるわけであります。  そういうことから実は中堅都市というものを全国に幾つか想定をしていってみてはどうだろうかといったことで、ああいった議論をいたしておるのでございます。もとより問題は非常にむずかしい問題でございます。個々の団体には個々の団体の希望がございまして、なかなか自治省がこういうふうにせいと言っても地方自治体がそのとおりになるものでございません。しかるに現実に社会経済がどんどん動いていくというような状態でございますので、なかなかむずかしい問題でございますので、実はまだ結論を得ておりません。おりませんけれども、そういう方向で多少のニュアンスの相違はあれ、考え方をだんだんまとめていくというのがいまの段階でございます。
  119. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は考え方においてはいい考え方だと思っております。問題は早く自治省が総合的に、経済企画庁においても国土総合開発計画を今秋に策定をするといっておるようであります。地方自治体のあり方ということと関連しながら、それらの問題を中核にして、自治省でも一つの成案を得てほしい。そして総合的に経済企画庁あるいはその他の各省との関係において自治体の自主性を尊重するというたてまえをとりながら成案を得ていただきたい。今日、中都市といえども着実に伸びておる。都市は住宅用地あるいはその他の都市施設にいたしましても、当然周辺都市との関連なしにはその都市の人口増加に対応できなくなっておる。いわば大都市と同じように周辺農村がスプロール化するおそれが多分にあるわけでありまして、そういう周辺町村と中核都市が自主的な話し合いによりまして、それぞれの町村の自主性を尊重しながら、共同施設の推進なり、あるいは住宅地の伸びておるところの都市計画の素案とか、そういった問題を一日も早く決定する必要があるのではないか。それが大都市における弊害の地方都市に及ぶことも避けられるのではないか、かように考えるわけでありまして、企画庁の国土総合開発の策定ということについても、これと関連しながら一志の議論を進めていただきたい。多少あの素案なるものを私拝見したのでありますけれども、それらの役割りを府県にやらすというようなこともありますけれども、これはやはり府県全体としての地域的な発展という考え方も必要だと思いますけれども、あくまで私はその関係市町村の自主性によって相互の利害の調節をはかるということを、そういう体制を早くつくることが必要なのであって、そうしないと市町村行政というのはいつも上を向き、国がきめたものが府県に流れ、府県が国の方針に従って市町村を拘束するような行政が行なわれるということになりますと、私は、地方公共団体の末端単位である市町村が、人口流出というような問題に対処しながらどう打開していくかという自意識がだんだんなくなってくるのではないか。だからそういう問題も早くこうあることが好ましい、そのためにはどういうふうな財源措置あるいは行政を考えるかということを御配慮願いたい。私どもの村に経済企画庁の案で、たとえば産業センターも行政センターもその他福祉センターも一緒にした合同庁舎といいますか、モデルケースを全国で二カ所くらいきめたと思うのであります。これからの市町村の行政はああいうふうに総合的になると思うのです。自治省財政で全国の市町村一つの型にはめる、あるいは、それぞれの各省は各省で、補助金単価をきめて、大都市も農村も同じような施設が必要であるのに対して一つの型にはめるというようなやり方は、総合行政で市町村が健全に伸びていくということと逆行するのではないかという考え方を、私の過去の経験から持っておるわけであります。いわば総合的に地方行政が動きやすいような、行政、財政面におきましても、交付税の配分につきましてそういうことを自治省は中心になっておやりになる、そうしないと、中小都市の育成ということも、そういう中の一環でなければそれが孤立いたしまして、そして十分な成果をあげ得ないという結果になりますので、この構想それ自体について私ども賛意を表しますが、それなりに末端の公共団体が総合的な運営のできるような考え方をしていただきたいということを要望いたしまして、政務次官の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  120. 細田吉藏

    ○細田政府委員 私は、自治省がいまいろいろ考えております中堅都市構想につきましては、こういうふうな考え方を持っております。ただいまの御質疑の中にもございましたが、経済企画庁が国土総合開発計画を立て、あるいはそれぞれの地域開発の計画を立てております。また拠点都市といったようなもの、あるいは新産都市、いろいろそういう各般の計画を立て、いろいろな実施を、政府の中で経済企画庁の所管でいたしております。しかし、私ども自治省といたしましては、ただいま御指摘がございましたように、地方自治という立場からこれを見直すといいましょうか、一つのより基本的な角度から見る、こういうことで、その間にそごがあってはいけないので、これは全体の計画としては、結びついた、それらを包括した、総合したものでなければならぬ、こういうことだと思うのでございます。いままで、私どもよくはわかりませんけれども、そういう感じがいたすのは、地方行政といいましょうか、地方自治の立場というものが、そうした国土総合開発計画その他の中で一応考えられながらも弱かったのではないか、そういう点を中堅都市構想というものによって私たちが裏づけもしてやる、地方自治という立場から全体の計画をさらに検討して、そうして総合する、こういうことが自治省がいま中堅都市構想というものを打ち出そうとしておる趣旨である、こう了解いたしておるわけでございまして、まあ本来から言いますと、行政機構全体の問題にも私は一種の問題があると思っております。大きく言いますと自治省のいまの行政のやり方、それから政府の他の省庁のやり方、そういうものとの結びつきについて根本的に考えなければならぬ問題があるのではないか。縦割り行政と地域の行政についての問題等も複雑な問題があり、だんだんある意味では悪い方向にいっているのではないかというような点も考えられますので、そういう点、かなり大きな野心を持って私どもは中堅都市構想というものを考えたい、かように思っておるわけでございまして、大体おっしゃっておる趣旨と私ども同じだと思うのでございます。そういうふうに考えておるのでございまして、今後特に、最近から始めておりますけれども、各省のいろいろな地域に対する法律をきめるとか、いろいろやり方が出てくるわけでございますが、そういうものに対しましては、いままで以上に私ども地方自治という立場から発言をし、やってまいっておるわけでございまして、今後もそういう点を強めていかなければならぬと考えておる次第でございます。
  121. 山本弥之助

    山本(弥)委員 本来、地方公共団体というのはやはりその地域の健康な環境をよくするということに重点が置かれるわけでありまして、国は国全体の経済をどう推進する、そのことが地方公共団体に影響を及ぼすことは当然なわけでありますが、あるいは防衛にいたしましても、治安にいたしましても、あるいは外交にいたしましても、そういう問題が国の大きな仕事なわけでありますから、常に一貫して地方自治に流れておりますのは、その地域の環境をどうし、収入が少なくてもどうすれば豊かな生活ができるかということが地方自治の重点なわけでありまして、それがはっきりしておりませんと、本来人員の削減につきましても、自衛隊は別問題といたしましても、警察官の増員だけは無制限に認めていく、一般のほうの必要な社会福祉の要員は、場合によっては民間に委託してもこれを削っていくというような、自治体の本来の体制と、それぞれの持っておる、努力をしていかなければならない目標が、国のほうに引っぱられていくような自治体であってはいけないのじゃないか。いわば地方自治体のナショナルミニマムをあくまで確保するということが自治体の使命であるわけでありますから、それらを自治省としては、交付税の配分にしましても、財政計画を樹立するにいたしましても、よく御配慮を願わないと、今度の財政計画は、国の予算それ自体が非常に欠点を多く持っておるということと同じように、これについていくことに努力しておられる地方財政計画が今後の地方自治体のあり方に逆行するような要素を多分に持っているような印象を私どもは受けるわけなんですよ。その点を十分地方自治体側に立つ自治省としてのあり方をはっきりしておいていただきたいというふうに要望して質問を終わります。
  122. 吉川久衛

  123. 河上民雄

    河上委員 私は地方財政計画の中で地方公営小業、特に上下水道――もちろん下水道は公営企業ではないわけでありますが、上下水道の占める役割りというようなことについてお尋ねしたいと思っております。  と申しますのは、近年水道料金の値上げ問題が各地で話題になっておりまして、昨年暮れ北九州、ことしに入りましてからも横浜、京都、神戸さらに東京、名古屋も値上げがいろいろ取りざたされておるのでございます。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 料金問題が市民の間に非常に大きな話題となっておるわけであります。大阪はすでに行なわれているようでありますし、どうも最近水道料金の値上げが次第にひんぱんになっておりまして、それに伴って市民の間では、水道料金がなぜ上がるのか、また料金を上げてもなおかつ赤字がなくならないのはどういうわけか、水道というのは本来地方公共団体がやるべき固有の仕事であるはずなのに、どうしてこういう採算ベースで処理されなければならないのか、そういうような疑問が次第に高まっているようであります。それに伴って市民の矢面に立ちますのは地方の公共団体だと思いすすが、しかし、実態を少しく深く考えてみますと、やはり国の施策というものが背後にあって、こういう地方公営企業、特に上水道に対する国の姿勢というものが大きく横たわっているわけであります。そのような意味におきまして私は質問を少しく行なってみたいと考えております。  まず初めに予備的な質問でございますが、こうした公営企業問題の場合に、一つの解決のネックになっていると思われる地方公営企業法の十七条の二を自治省ではどういうように理解しておられるか、お尋ねいたしたいのであります。
  124. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように経費負担区分についての規定でございまして、その一号では、その性質上その公営企業の収入をもって充てるべきでないという、たとえば水道についてはやはり消火栓の費用、そういったものを考えております。その二号におきましては「公営企業の性質上能率的な経営を行なってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる」場合、たとえば病院事業等におきまして一般の水準よりも高い医療設備を設けるといったような場合を考えておるわけでございます。
  125. 河上民雄

    河上委員 いま言われたことは消火栓とか病院とかいうようなことでございますが、そのほかにも若干あるようですけれども、これは全般としては一般会計からの繰り入れば許さないという一つ方針ということに考えておられるかどうか。
  126. 細郷道一

    細郷政府委員 原則的には独立採算、こういう考え方に立っております。
  127. 河上民雄

    河上委員 それは、ここで許されているものについては交付税で見ておられると理解してよろしゅうございますか。
  128. 細郷道一

    細郷政府委員 いまおあげになりました負担区分の原則によります政令に基づきますものについては、交付税のほうで見ております。
  129. 河上民雄

    河上委員 それでは、全体で四十三年度でその額はどのくらいになっておりますか。
  130. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和四十三年度におきまして六百八十六億でございます。
  131. 河上民雄

    河上委員 それは水道だけではなく、ほかも入るのでございますか。もし入るのならば、それを地方公営企業全体とすれば、つまり一般会計からの企業特別会計への繰り出し金とすれば、その内訳を少し示していただきたいと思います。
  132. 細郷道一

    細郷政府委員 水道は五十四億でございます。
  133. 河上民雄

    河上委員 交通、病院は。
  134. 細郷道一

    細郷政府委員 六百八十六億が今回の措置額でございますが、その内訳といたしましては、水道がいま申し上げました五十四億、交通が七十八億、それから病院事業が百七十億、下水道事業が三百五十二億、その他再建企業についてでございます。
  135. 河上民雄

    河上委員 これは全体の額から見ますと、たいへん少ないように思うのでございますが、水道について考えてみた場合、起債額は昭和四十三年度で幾らになりますか。
  136. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和四十三年度上水道事業千四百四十五億でございます。
  137. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、水道事業について交付税で見ていると申しますか、国で見ておるものというのは非常に少ない、一%にも満たないということが、ここで明らかになってくるのであります。  先ほどちょっと十七条の二で認められておりますもの、これは水道関係者に聞いたのでありますが、なお念のため伺いますけれども、消火栓に対するものとか、公園の水飲み場とか、公衆便所の水とか、そんなようなことがあげられておったのでございますが、大体そんなものと理解してよろしゅうございますか。
  138. 細郷道一

    細郷政府委員 地方公営企業法施行令の第八条の五にあがっておりまして、水道につきましては、「公共の消防のための消火栓に要する経費その他水道を公共の消防の用に供するために要する経費及び公園その他の公共施設において水道を無償で公共の用に供するために要する経費」、こういうことでございます。
  139. 河上民雄

    河上委員 いまのお話しで、われわれの目につくものがそういう例外として一般会計から繰り入れられているわけでございますけれども、なお十七条の三を読みますと、災害の場合も一般会計からの繰り出しが認められているようでございますけれども、こういう例は実例があるのでしょうか。それともまた特別交付税か何かそういう形で見るのでしょうか。
  140. 細郷道一

    細郷政府委員 今回、干害等について特別交付税で見ております。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょっと関連してお伺いしますが、先ほど四十三年度の地方公営企業等への繰り出し状況の見込み額が六百八十六億円というのですが、四十一年度の実績は幾らでしたか。決算額。
  142. 細郷道一

    細郷政府委員 法適用企業で四十一年度の繰り出し統計が五百八十七億、法非適用で三百二十六億でございます。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷委員 六百八十六億というのは、法非適用も一応考えているのでしょう。法適用だけですか。
  144. 細郷道一

    細郷政府委員 非適用も入っております。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、四十一年度の決算額というのは千十一億円でしょう。そうですね。
  146. 細郷道一

    細郷政府委員 国保を入れてですね。国保やその他の事業をみな入れているわけです。ですから、ほかの一般会計のもあるわけです。公営企業だけじゃないです。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財政白書に出ているのは、法適用が五百八十八億、法非適用が三百二十七億、国保会計八十六億、その他の事業十億、合計千十一億ですね。これは全部六百八十六億の対象でしょう。そういうことでしょう。それははっきりしてください。
  148. 細郷道一

    細郷政府委員 千十一億の中には国保会計の分もございますし、その他の事業会計もございます。いわゆる白書に載っております千十一億は、公営企業等に対する繰り出しの状況でございますから、ほかのものも入っておるわけでございます。  それからなお、この法非適用の公営企業会計の中には、それぞれの団体によって多少の相違があろうと思います。しかし、計数上は一応そういう数字でございます。
  149. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、私がお尋ねしたいのは、白書にも出ておりますけれども、大体三十八年から四十一年度までの決算額を見ますと、法適用事業、法非適用事業というものをずうっとながめてみますと、実績というのは年々大体二〇%ぐらいずつ伸びていっているんだな。そういたしますと、いま四十一年度の、白書にあった国保等を除いたものでも九百億円あるわけです。二〇%ずつ伸びていきますと、その金額は相当なものになりますよ。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 相当なものになりますね。私は、国保等を入れましたその白書に書いてある公営企業への繰り出しを見ますと、三十八年度が前年比一九%、三十九年度が三三%、四十年度が一〇%、四十一年度が二〇%伸びておりますから、全体として二〇%伸びているとつかみますと、大体千三百億ぐらいになりますね。公営企業法適用、非適用加えますとこれは半分しかないのです。なるほど昨年と比べますと、五百五十一億が六百八十六億になったのですから、かなり思い切った伸びでありますけれども、これでずいぶん見方が不十分じゃないですか。いかがでしょう。
  150. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもも、別にこれで全部の実績をカバーしようという考えでやったわけではございませんから、実績と比較されれば十分でない面もあろうと思います。  ただ、もう一つは、実績の上に出ております準公営企業、非適用企業の中には、宅地の造成でありますとか、港湾の整備でありますとか、そういった種類の事業もございます。したがいまして、先ほどもちょっと団体によって違いますがと申し上げたのは、そういう意味であったのでございます。この実績をすぐそのままに公営企業の繰り出し金と見るべきであろうかどうか、これは個別に見てみないとわからないと思います。と申しますことは、たとえばいま申し上げました四十二年度六百八十六億といいますのは、水道、交通、病院、下水道、そういった事業について申し上げたわけでございますが、それからの事業においても、繰り出し金の形をとらなくても、別個にさらに三十四億という一般的な繰り出し金の形でない経費財政需要に織り込んでおるものがございます。たとえば伝染病の運営費でありますとか、あるいは軌道の路面の復旧費でありますとか、そういったようなものは、そもそも道路事業費あるいは衛生事業費に入っているものもあるわけでございます。したがいまして、もう少し中身を検討いたしてみませんとわかりませんけれども、結論的には、実績どおりというふうに私ども考えずに、先ほど申し上げましたような法令の規定によって区分すべきものというのを一応計上したつもりでございます。なお、本年度は昨年に比しますればかなり額をふやして改善をいたしたつもりでおります。
  151. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう一問。  それにいたしましても、先ほどのお答えでは、四十一年度の実績というのは、上水道は五十一億円で、四十三年度は五十四億ですからわずかにふえていますね。交通事業は七十八億というのですが、四十一年度の実績は百二十六億ですよ。病院は百七十億というのでありますが、四十一年度の実績は百三十一億、公共下水道が三百五十二億というのですが、四十一年度の実績は百八十五億、これを見ますとずいぶん凹凸がありますね。今日の交通問題というのはたいへん大きな問題になっておるにもかかわらず、四十一年の実績の百二十六億の半分程度しか財政需要としては財政計画の中に織り込まぬというのは、かなり凹凸が出てきている。これは何らかの意図があるのじゃないか。こういうふうに考えなければなりませんが、どうなんですか。これだけ一応聞いてあとへ残しておきます。
  152. 細郷道一

    細郷政府委員 別に御心配になるような意図はございません。公営企業法の施行令の第八条の五の二項にございますように、軌道事業につきまして一般会計で持つべきものとしては「当該軌道事業の用に供する車両以外の車両が通行することにより必要を生じた軌道事業の維持、修繕及び改良並びにに道路における交通の混雑を緩和するため当該軌道事業を経営する地方公共団体の長が必要と認めた場合に行なう軌道の撤去に要する経費」、こういうものも御存じだろうと思いますが、そういうようになっておりますので、それを私どもは見込んでおるわけでございます。
  153. 河上民雄

    河上委員 いまの御答弁でも明らかなように、現在の地方公営企業の実態に対して、地方公営企業法十七条がむしろ足かせになっているという感を非常に強くするのであります。それはすでにもう依田委員も質問されたところでございます。ここに問題があるということを強調いたしまして、次の質問に移ってまいりたいと思います。  地方公営企業が現在赤字の累積に悩んでいることは御承知のとおりでありますが、水道の場合、地方公営企業全体でもけっこうなんですけれども、いつごろから極端に悪くなってきたというふうに自治省ではお考えになっておりますか。
  154. 細郷道一

    細郷政府委員 いろいろ企業の種類によって違いますが、ここ数年だんだん悪化をしてきた、こういうふうに見ています。
  155. 河上民雄

    河上委員 その原因はどういうところにあるという大体の目星は、どういうような理解をされておりますか。
  156. 細郷道一

    細郷政府委員 これも事業の種類によって違うと思います。たとえば水道のようなものでありますれば、人口の急激な増加に対応するための資本費、建設費の非常な増高。交通事業でございますれば、他の交通機関の発達によりまして、いままで営んでおりました交通事業自体の利用率が下がった、そういったようなことが非常に特徴的にあげられると思っております。もとより、いま申し上げました以外にも、いろいろ経営の内容についても議論のあるものが残っておると思います。
  157. 河上民雄

    河上委員 もし現在当面している地方公営企業の危機というものを解決するとするならば、それは当然危機がよってきたる原因、その中でも最も大きな原因に対して、適切なる処置をしなければならないはずであります。先ほどの御答弁によりますと、現在、水道は人口増に伴う新しい建設費の増高というようなことに求めておられる。交通の場合は、他の交通機関の発達に伴う、公営企業の交通機関の利用率の低下というようなことに求められておるというようなお話でございました。もしそうであるならば、水道問題の危機、現在の一般利用者の料金値上げにはね返ってきておりますこの危機を解決するとするならば、いま局長が指摘されたようなところに集中的に対策を、また頭脳をしぼるべきではないか、こういうように私は思うのであります。  ところが、実際に政府がここ数年やってこられております、あるいは地方公共団体に対して指示しておられる対策というのは何か。それは二つ。つまり、合理化ということと、料金値上げ、この二つを地方公共団体に対して激しく迫っておる。それ以外に適切なる処置が十分なされておらない。こういうように私どもは見ているわけであります。  自治省は、こうした合理化というようなこと、端的に申しますならば、労働者の首切りあるいは業務の民間委託というようなことに対しまして、どういう考え方を持っておるのか。こういうことはやらない、やりたくないのだ、そういうことをやらせるような指示はしてない、こういうように言われるのでありましょうか、その点について……。
  158. 細郷道一

    細郷政府委員 水道につきましては、人口増あるいは需要の増、水道消費量の増といったようなことが建設資金の必要性を高め、建設費がふえ、その資金繰りから赤字が出てくる、こういったことが特徴的だろうと思うわけであります。これらに対しまして、企業としてどういう態度をとっていくかということになってまいりますと、まず第一に考えるべきことは、企業の独立採算というたてまえに立ってまずどこまで問題が解決できるのかということで、最近適正な料金についての決定が行なわれてきておる、こういう現状でございます。もとより、それの反面においては、企業内でいろいろな意味での合理化をやってもらわなければならないと思うわけであります。たとえば水道について申しますれば、やはり建設資金が非常に膨大に要ります。一つには資金量をふやしてその需要にたえていくという意味で、年々水道の地方債の許可額もふやしております。また、同時に、その中で資金コストをできるだけ引き下げていきたいというようなことから、わずかずつではございますが、政府資金のウエートを高める。また、そうでなくても公営公庫の貸し出しの利子を引き下げるというような措置でこたえていっておるわけでございますが、なおもっと努力すべき余地があろう、こういうふうに考えております。
  159. 河上民雄

    河上委員 自治省では合理化が必要であるという態度をとっておられる、こういうように理解してよろしいわけですか。
  160. 細郷道一

    細郷政府委員 国としてもやるべきものはやっていき、企業自体としても企業自身の態度としてあくまでも能率化、合理化に徹すべきである、こういう指導をいたしております。
  161. 河上民雄

    河上委員 自治省でいわれておりますいろいろの対策というものが、総合的に行なわれるということが前提条件だろうというふうに思うのであります。いままでのところ、そうした資金量をふやすとか、あるいは利子補給をやるとか、そういうようなことに関しましては十分な実効をあげ得ないで、そうして、ただいたずらに地方公共団体に対する首切りとかあるいは民間委託というようなことのほうは、これは力関係から言いますと、前者のほうは大蔵省との関係があって十分プランが実現しないというのに反しまして、地方公共団体に対する指示は、力関係から確実に実行されていくということになっては、これはいわゆる合理化が単なる首切りに終わり、非常に片手落ちになるのではないか、そういうことを私どもは憂えているわけでございます。自治省では、これまで地方公共団体に対しまして、具体的に通達その他で合理化の指示をされたことがありますか。
  162. 細郷道一

    細郷政府委員 個別の団体にはございませんけれども、一般的には経営の考え方ということで、企業の合理化も他の問題とあわせて通達の中に含めております。
  163. 河上民雄

    河上委員 実は私、ここに写しを持っておりますけれども、下関の市長に対しまして、昭和四十三年二月二十七日に自治大臣並びに事務次官の通達が出ておるのございます。それをここで読みあげてみますと、    財政再建計画の執行について   貴市上水道事業財政再建計画については、  本日づけ承認され、別途通知されたところであ  るが、その執行にあたっては計画の承認にあ  たって附された条件を厳守し、財政再建計画を  誠実に執行することはもとより、更に一層の合  理化に努め、計画の確実な達成を期される様命  により通知する。   尚、この財政再建計画は、料金収入その他収  入の応の見積りを基礎として承認されたもので  あるから、その収入額が当該見積りを下廻る様  な場合においては、支出の執行を抑制する等の  措置を講ずることにより、財政再建計画の遂行  に支障を生じさせない様配慮されたい。これが事務次官の通達でございます。  それから自治大臣の通達によれば、    財政再建計画の承認について   地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九  十二号)第四十九条第二項で、準用する同法第  四十四条第一項の規定に基づき、貴市上水道事  業の財政再建計画は、次の条件を附して承認す  る。      記   事務の改善等については更に検討を加え、そ  の合理化を図ると共に、人件費については、職  員の給与制度及びその運用について、地方公営  企業法第三十八条の趣旨に則り一段と合理化を  徹底すること。こういう通達が出ておるのでございます。  先ほど局長は、こういうものは出ておらない、ごく一般論として努力をせよという指示をしているにすぎないというお話しでございましたが、事実は、そういう一般論ではなくて、かなり具体的に再建計画の承認に伴ってこういうきびしい条件をつけ、「一段と合理化を徹底すること。」というような非常に強い表現が使われておるのでございます。このような点から見まして、自治省でいま考えられております公営企業問題に対する態度は、総合的になされるというのではなくて、実際には非常に片手落ちな結果におちいっているのではないか、こういうことを私どもはおそれるのでございます。この点自治省の政務次官に御意見を承りたいと思います。
  164. 細田吉藏

    ○細田政府委員 通知を出した出さぬのお話は、あとで財政局長からお答えいたします。  いまの下関に出しましたのは、再建計画を承認するにあたってのことだと思います。私は、経営の合理化というものは血のにじむような合理化をやるべきだ、経費節減をやるべきだと思います。これは、企業でございます以上は、納税義務者に対する責任でもございます。これはもうできるだけやるべきだ。ただその限界はございましょうと思いますが、合理化というものは徹底的にやらなければいかぬ。これについてはそのとおりだと思います。そういう意味で指示もなされておると思うのでございます。公営企業の再建計画というものは、これは不十分ではございましょうが、ある程度国としてその再建に協力をするという体制が一つ前提としてあるわけでございます。その反面、一方で経営の合理化もやっていく、しかもなお、再建計画は一応は地方自治体でこういうふうにやりましょう、こういうことで出たものでございまして、それを承認するわけでございます。その過程において、実際問題としてはいろいろ自治省との間に打ち合わせがある。そこに無理がいってないかどうかという問題は検討されなければならぬと思いますが、一応形式的に見ますと、地方から出してまいりまして、これを承認しようということでございますので、私はむしろそのことは再建の法改正ができましたこと自体から当然出てくることだと思います。ですから、むしろ問題は、すべていま申し上げたことの中に尽きるわけでございます。その合理化というものがたいへんむずかしい問題ですけれども、不当なまでにきびしいものであるかどうか、そういうものが要請されておるのか、あるいは計画に盛り込まれておるかどうかということ、しかもあらかじめの折衝において、そういうことが、力関係というおことばもございましたが、無理があるかどうかということ。それからもう一つは、先般も申し上げましたが、国のめんどうの見方というものが一体いいのかどうか、こういうことで問題を解決すべきだ、かように実は思っておる次第でございます。これは基本的な考え方としてそう思っておるわけでございます。とにかく、この委員会でもしばしば出ておりますが、合理化、合理化といって合理化のほうばっりやっておるじゃないか、首切りと労働強化ばっかりやっておるじゃないかという御質問が出ますが、私はそういう行き過ぎがあってはいけない、かように思っております。ただ、基本的には、徹底的に合理化をやる、それによって初めて、大蔵との折衝その他の問題につきましても、私どもがここまでやっておっても、なおかつこういうことではないか、こういうふうに話を持っていく。私は、公営企業全体に対する国のめんどうの見方が十分であるとは考えておりません。不十分であると思います。企業によっていろいろ違うかと思いますけれども、さように存じておる次第でございます。
  165. 細郷道一

    細郷政府委員 いまおあげになりましたのは、個別の再建計画を承認するにあたって、その計画内容になっておることについて特に念を押して申し上げたものでございまして、多少私が取り違えて、一般的にそういうような計画のないようなところに、個々の企業の合理化を指示したことがあるかということとは違っておったわけでございますが、多少ことばが十分でなかったかもしれません。
  166. 河上民雄

    河上委員 いまの政務次官並びに局長のお答えで、ある程度自治省の地方公営企業に対する姿勢というかお考えがおぼろげながらわかってくるような感じがいたします。と同時に、いまおっしゃられたことの中には、非常に重大な問題が多々見出されるのでありまして、ことに、こうした一片の通達が末端にいってどういう結果を引き起こすかということに対する十分な考慮というか感覚が、いま欠けているような感じもいたすのでございます。したがって、私はそれらの点につきましてさらに詳しく質問を続けてまいりたいのでございますが、すでに一時半でございますし、本日は本会議がございますので、私は一応残りの質問を留保いたしまして、あらためていま次官並びに局長が出された問題点につきましてなお深く質問させていただきたいと思います。本日はこれにてやめておきたいと思います。
  167. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十三分散会