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1968-04-04 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月四日(木曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員   委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 折小野良一君       青木 正久君    亀山 孝一君       永山 忠則君    藤田 義光君       太田 一夫君    河上 民雄君       山本弥之助君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省財政局長 細郷 道一君 委員外出席者         大蔵省主計局主         官計      秋吉 良雄君         運輸大臣官房都         市交通課長   柳  昭夫君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 菅川  薫君         自治省行政局行         政課長     林  忠雄君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五一号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。依田圭五君。
  3. 依田圭五

    依田委員 人事院総裁がお見えでございますから、今回提案になっております地方交付税法財政計画の中にある地方公務員関係給与の問題につきまして、関連して人事院総裁に御質問申し上げたいと思います。  昨年からこの問題がたいへん議論されまして、特に本年度予算では総合予算主義をとりまして、新しい制度を発足をさせたわけであります。人事委員会は、昭和二十四年ごろですか、ともかく発足の当時から一貫して中立機関として公務員に、当然労働組合として保護されるべきいろいろの権利の代償として、人事委員会が客観的に勧告をしてそれを守っていってもらうというたてまえの上に設置をされました官庁でありますが、今回総合予算主義に移行いたしましても、ことしの勧告におきまして、やはり従来どおりの御方針であくまでも人事委員会設置の趣旨にのっとった運営を当然お考えになっていると思うわけでありますが、その点に触れて御答弁をいただきたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま人事委員会というおことばがございましたけれども、たぶん人事院についてのお尋ねであると思いますので、私の所管事項としてお答えを申し上げたいと思います。  人事院使命についてお触れになりましたことは、基本においてまさにそのとおりでございまして、私どもとしては中立機関として、しかも人事行政の公正を確保する使命を持っていろいろの仕事をやっておるわけでございます。いまお尋ねになりました給与勧告などは、その中の非常に大きな重要な使命だと思っております。この勧告完全実施ということが私どもの年来の念願と申しますか、悲願であったわけでございますが、その関係財政財源の問題ということが、いつも給与勧告実施についての焦点になってきたと思います。  昨年でございましたか、当委員会においてもいろいろほかの委員等から御議論があったことを記憶しておりますけれども、私ども立場としては、財源の確保というものが一番当面必要なことだろうということから、その説も申し述べたかと思いますけれども、従来の勧告の際には、いよいよ勧告が出たどたん揚になって財源政府はおさ、がしになる。主として自然増収にたよってきておられるというような点、われわれの立場からいうと、まことにたよりないという感じを持っておりましたので、私自身この席でたぶん申し上げたと思いますけれども、翌年度賃金上昇の傾向の見通しが大体つくならば、はっきりした基礎はなくても、ともあれ当初の予算の中で財源保留しておいていただいて、そうして、いざ勧告の際に、それで足りればめでたしでありますが、足りなければ、またそれの上積みとしての財源措置をとっていただければ、完全実施も非常にやりやすいんじゃないかということを実は主張してまいったのであります。(「佐藤構想だ。」と呼ぶ者あり)佐藤構想というとはなはだ僭越なことでございますが、宮澤構想であるとか高橋構想であるとか、非常に有名な構想が当時出ておりましたが、実は、それは佐藤構想登録順位が一番早いというようなことまで、ちょっと言い過ぎでありましたが、ここで申し上げたことがあると思います。そういうことであったわけであります。その意味の佐藤構想から申しますと、今回の総合予算の形はまさに佐藤構想ぴったりの形になっておるということがいえます。ただ問題は、この総合予算によってわれわれの勧告に何らかの制約を受けるかどうかという点が大方の御心配だろうと思うのです。私どもとしては、給与勧告はあくまでも従来のようなたてまえで、また態度で、これを堅持して官民比較という原則によって、民間水準に及ばざるところを査定いたしましてぜひやりたいという態度でもちろんことしもまいります。したがって、予算措置のほうは、これは財源政策の問題でありまして、給与政策の面は全然ない。したがいまして、千二百億の予備費があるわけです。たぶん、その中の食い合いの問題にはなりましょう。やりくりの問題にはなりましょうが、やりくりして済むか済まないか。済まなければ済まないで、また勧告当時の財政状況に応じて政府——千二百億の予備費の中の問題であろうかと思います。千二百億そのものがわれわれに対しては何らの圧力でも何でもない。いろいろなものが千二百億の中に入っておりますから、これでは足りぬこともあるだろう。足りぬときは、またその際は、従来毎年私が勧告の際にあらゆる方面にお願いしてまいりましたが、ぜひ完全実施をしてもらいたい、足りないところは足りないなりに適切なお手当ての上で完全に実施していく、この態度でまいるのがあたりまえのことだというふうに思います。
  5. 依田圭五

    依田委員 完全実施というお話を二、三回念押しをして聞かしていただきまして、たいへん心強く実は思っておるわけです。ただ、総裁のおっしゃるように完全実施ということになりますと、いま政府の、大蔵省のほうで組んでおる五百億では——千二百億ですか、そのうち五百億が充当されるであろうといわれております。そのとおりであろうと思いますが、間違いがあれば大蔵のほうからお答え願いたいのでありますが、そういうわけで、完全実施を四月に遡及いたしましてやっていただきますと、四・五%にしかならないわけですね。あなたに完全実施ということをいま二、三回力強くおっしゃっていただいて、たいへんありがたいのでございますが、その点、昨年度七・九%の勧告をやっておられまして、どうもいま保留してある財源では、完全実施というものはとうてい無理だと思うのですが、どうですか。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その五百億というのは私どものほうではわからないのでありまして、予備費の中に目じるしがついているはずもございません。これは何もしるしはついていない。私どもは、千二百億、そのワク内ということは考えられるということで、それを前提にしていろいろ申し上げているわけです。
  7. 依田圭五

    依田委員 総裁のほうも、わかっておりましてもわからぬというような御答弁をなさるから、私のほうも、四月にさかのぼって完全実施したらまだこのくらいの金が要ると言うのです。つかみで五、六百億の金は軽く要るわけです。とうていいまの予備費の中には入り切るわけではないのです。それを、完全実施をいたしますと片方でおっしゃりながら、その予備費関係については大蔵の問題であって、財源の問題であって、私のあずかり知るところではないという御答弁をなさるのですが、それ以外の御答弁はいただけませんか。
  8. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お金の問題は、先ほど申しましたように、従前はわれわれには全然見当のつかなかったことで、そのどたんばになって、ということばは悪うございますけれども勧告の際に、実施に臨むにあたって、財源を、主として自然増収によって財政当局がいろいろ調達されておったわけであります。ところがことしの場合は、少なくとも千二百億のワクの中に大きな根っこがあると私は信じているのでありますけれども、相当大きな根っこがその中に入っている。その点は前進である。その上、足りない場合はどうなるかという問題が残りますけれども、御承知のように、私どもこれから四月調査を始めるわけで、一体どんな結果になりますか、あるいは勧告しないということになるのか、これはちょっと口がすべりますけれども、全然見通しがつきません。したがって、足りる、足りないの点についていまはっきりしたことを申し上げる根拠はございませんけれども、足りない場合は、足りない分だけを何とかしていただかなければ困るわけであります。その態度は堅持してまいりたい。その辺の努力はしてまいりたい。これはまた、国会にも相当お力をお願いしなければなるまいということも考えられるわけです。
  9. 依田圭五

    依田委員 総裁のほうで、ことしはしないかもしれぬというようなことをちょっとおっしゃいましたけれども、過去において、しない場合が一、二回あるわけですね。五%こえましても、しない場合があるのです。一回だけ、朝鮮事変あとか何かで例外があるのですね。しかし物価指数の動向からいいましても、あるいは春闘動きなどからいいましても、しないなんていうことはとうてい想像もできないのですが、その点についてもう一ぺん重ねて御質問申し上げます。
  10. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 しないということばを申し上げて、あとでよけいなことを言ったなという、多少自責の念にかられた。したがって、そのことばの調子からもそのことは御推測いただけると思いますけれども、私どもは、とにかくまだ民間給与調査の全然できていない段階において勧告についてお尋ねがございますと、非常に手がたいお答えをして——調査の結果が出るまでは、勧告しないで済むものやら、あるいはすることになるのやら、まだこれは不明でございます。これは従来言ってきているわけです。したがいまして、理論的にはそれが一番正しい言い方で、先ほども言わずもがなのことを申しましたけれども、いまお述べになりましたような、今日までの客観情勢というものは、消極面よりも積極面のほうの推測の種がいろいろ多いように見える。したがって、しないで済むということを、大きな見通しとしてここで申し上げるつもりは全然ございません。
  11. 依田圭五

    依田委員 しないで済むというような見通しどころか、私は、いろいろの動きが、先にいってそうせざるを得ない方向へ何か追い込まれているような指標が現在たくさん出そろってきているように思うのです。消費者物価指数にしても、政府は大体四・八という値上がり考えて、いろいろことしの予算を組んでおるようでありますが、すでにもうこれは総理府の統計局の発表でも、ことしの二月で五・三ですか、もう〇・五もオーバーしておるわけですね。そのほか昨年の米の値上がりがあるし、あるいは諸物価値上がりがあります。また春闘のほうの問題でありますが、昨年は四千三百円くらいの結論が出ておりますが、ことしはどう考えましても六千円をオーバーするであろう、間もなく出そろってまいるでありましょうけれども、こういうようにいわれております。そういうような情勢の中で、しかも酒もたばこも、これはことし上がるのですが、いろいろの引き上げるファクターが多いという中で、ことしは当然相当ながんばりを見せていただきたい。よほどそうしないと、昨年の実際からいっても、私これから触れていきたいと思うのですが、公務員生活というものが非常に低位に置かれておる。極論をすれば、人事院のほうの各種データ、計算の基礎になるものがはたして作為がなかったかどうかというところまで、ことば言い過ぎもあるでしょうけれども考えたくなるような点が、これはエンゲル係数一つとりましても、あるわけです。その点につきまして、ことの見通しについて、これはまだ時期が早いからそういうことに触れる余地はないということでなくして、当然ここに予算も乗っかってきておりますし、われわれ審議する者の立場から、少なくも総裁という最高の立場におありなんですから、この勧告はきのうきょうではないので、もう十年も十数年も前からやっておるわけですから、確たる見通しをここでお聞かせを願って、それを参考に、われわれの立場責任であるこの審議のほうに入らしてもらいたい、こう思っておるわけです。
  12. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お答え申し上げますが、給与勧告の時期その他方法を変えたらどうかといういろいろ御議論が数年来あります中で、年度途中でやらずに、翌年度予算の編成の際に、翌年四月からこうなるという確たる見通しをつけて、この見通し、予測のもとに勧告をしてくれると、そのまま予算に組み込めるし、非常にぐあいがいいというお声が、この委員会でもかつて出たと思いますが、あるわけです。私どもは今日までは、それは困りますということで反対してまいっておるわけです。その根拠を申し上げれば、いまのお尋ねお答えすることになると思いますけれども給与の問題は、使用者側あるいは被使用者側になかなか深刻の影響のある問題でございますし、また一般納税大衆も見張っておる。その中でわれわれとしては、ぜひともこれは公正なものでなければならないということの見地から、御承知のとおりに、従来四月現在で民間調査を、六千数百の事業所に当たって四十七、八万人の従業員に一々面接をしてカードを集めて、そうして民間側水準を調べる。それから公務員側水準をやはり調べまして、それを突き合わせる。そうしてこれだけの格差がございます、これだけはせめてぜひ追いつかせていただきたい、そこまでぎりぎりのデータをつくっておきませんと、水かけ論の渦中にわれわれは巻き込まれる。値切られても、これは不当な値切り方だという反駁ができないわけです。したがいまして、われわれのやっておりました従来の確固たる四月というような時期を押えての現実をつかまえて、これだけぜひお願いしますというのが一番強いんじゃないかということでやっておりますから、先ほど来お尋ねのように、さあことしはどうなるだろうということは、私ども、そのほうの責任者でございますから、非常に気にして、たとえば物価上がりのぐあいだとか、民間賃金上がりのぐあいだとかいうことは見ておりますが、それはただわれわれの調査ができるまでの一つの横の現象でありまして、われわれの調査をわれわれとしては最も基本の問題として、その調査に基づいてパーセンテージを発見する、そういうことであります。そこでこの民間給与というものの実態を見ますと、たとえば賃上げ闘争の過程を見ましても、労働者側人たちは、物価が上がったから食えないというような形で賃上げを要求して、あるいは団交でこれが妥結する、あるいはその他のそういう手段の結果妥結されるということででき上がる民間賃金でございますから、かくしてできました民間賃金の中には、物価要素生活要素も一応織り込み済みの上で妥結しているのではないか、あるいは決定になっているのではないかということから、われわれは物価その他のわきの問題も見ますけれども結論民間賃金の中にすでに織り込み済みのものとして、そのものずばり賃金をつかまえて格差を発見しておるということでございます。たとえば物価だけを見ますと、去年なんかそうだったと思いますが、賃金上昇より物価のほうがずっと下回っている。物価のほうに引きずられたのでは、公務員賃金の場合も私はもっと低くなる、それよりも民間賃金そのものを、総合したものをつかまえるほうが正しい、そういう立場でおるわけであります。
  13. 依田圭五

    依田委員 総裁のおことばにある六千何百カ所ですか、五十人以上の民間の全産業のベースを調べて、それを材料にしておるというお話がありました。そのことについてついでに関連して御質問申し上げたいのですが、五十人というのですが五十人という企業単位は、もう住み込みあるいは内職、もちろん世帯主は別ですが家計をささえるために——私は日本の現在の資本主義社会の中で、五十人というのは無理だ、企業単価として存立し得ない、こう思うのですが、それを基礎に置いて、もっと上に上げて、もっと大きくしてやっていただきたいということを年来お願いをしてきておるわけですよ。その点について、これは勧告作業一つ材料の検討になるわけですが、御答弁をいただきたいと思います。
  14. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その点は、御指摘のとおり一つのポイントになるわけです。御承知のとおりに、数年前までは、企業規模が五十人でしかも事業所規模が五十人、どっちも五十人五十人でつかまえておりまして、その際は、いまおっしゃいましたような角度からのいろいろな御批判もあったわけでございますが、三年ばかり前にそれを少し前進といいますか、上のほうに持っていきまして、企業規模が百人、そしてその企業規模に属するそれぞれの事業所では五十人以上、百人五十人というところで押えて今日に及んでおるわけです。これは結局、企業の人員が五百人以上、千人以上、二千人以上、幾らでもワクのとり方がございますけれども、私どもとしては、やはり民間給与水準ということを押えます以上は、民間従業員の大半といいますか、半分くらいはカバーするものをつかまえておきませんと、下のほうだけつかまえてもいけませんし、もちろん上のほうだけつかまえても納税大衆を納得させるゆえんではあるまいというところから、百人五十人というところは、現在の水準としてその点から適切だというふうに考えております。
  15. 依田圭五

    依田委員 事業所単位五十人ですか、それから企業単位で百人だというのですが、これは私の知る限りではほとんど、ほんとうに低賃金でやっておるわけですよ。低賃金でなければ、いまの社会では企業そのものが生き残っていけないのです。ですから、うんとしわを寄させて、先ほど申し上げたように住み込みであるとか内職であるとか共かせぎであるとか、いろいろやりまして、しかも構成が非常に若い人が多いのです。これは事業所ごとにそのほうの統計を見れば、おそらくそういう結果が出ると思うのです。ですから、その点について、人事院のほうではやはり平均化して平面的に全国の企業をとって、そして一定の度合いから上をとられたわけですね。そうでなしに、日本経済社会の中で生き残っていく最低条件の中におけるあれを基礎にされるというお考えはおありかどうか、もう一ぺんお考えを願いたいと思います。
  16. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いま私の申し上げ方がちょっと不備だったかと思いますが、大体いまのおことばで御理解はいただいておると思いつつ念のために申し上げますけれども、申すまでもなく、百人以上、五十人以上という二つの柱は、それに満たない企業従業員は切り捨てる、その上のものは全部てっぺんまで入れて克明に調査をするということでございますから、その結果、日本の全民間従業員の半分くらいがちょうどそれでカバーされるからいいだろうということを申し上げておるわけであります。ただ、ものごとによっては、中小企業の下のほうの企業は若い人の給与が高いということもございまして、一時はそういう現象がありまして、かえって上だけとったら損になりはせぬかという見方をされるようなデータも出たことがございます。いまでもたぶん、下のほうでは若い人の給与が非常に高いということはいえるかもしれません。それはともあれ、やはりその過半数を制するその規模から上ということでいけば、あるいは下のほうは高いかもしれぬという要素も払拭できるということになるわけでございます。
  17. 依田圭五

    依田委員 やはり同じように内容の話にちょっと関連して二、三点お聞きしたいのですが、マーケットバスケットの問題ですが、大体二千八百二十カロリー、これなんですが、これはわれわれ軍隊のときの記憶なんですが、実際完全武装でやるときには六千カロリー、それから五キロ行軍は五千カロリー、四千七、八百カロリー、ただ生きているだけでも千四、五百カロリー。いま通勤ラッシュと、ますます遠くなる通勤距離の中にもまれて、そして住宅事情の困窮の度合いの中で、二千八百二十カロリーで成年男子、しかも成長盛り成年男子がこれでよろしい、こういうことを積算の基礎になさっておるようですが、これを大幅に上げるとか、何か改革案をお考えになっておりますか。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ちょっとその点のことを申し上げて、あと局長から答えさせていただきたいと思います。  先ほど申しました私ども基本原則からいいますと、物価生計費も実をいえば民間賃金の中に織り込み済みだということで、それに重点を置いてやっております。しかし、これも先ほど触れましたように、物価のほうも横から見ておる、あるいは生計費のほうも横から見ておる。特に生計費関係高校卒初任給をきめます際に、民間給与と一応合わせますけれども、なお標準生計費というものを別に算定いたしまして、それを下回るようであれば多少そこをささえをつけないといくまいというような、作業基礎には使っておるわけであります。本体は、生計費そのものもすべて給与に溶け込み済みだという基本態度で臨んでおるということだけを申し上げまして、いまの具体的なお話局長から……。
  19. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 標準生計費に織り込んでおります二千八百二十カロリーの問題についてのお話でございますけれども、二千八百二十カロリーと申しますのは、厚生省におきまして栄養調査をやっておるわけでございますが、その国民栄養調査実績に基づいてパーヘッド幾らということが出ておるわけでございます。それにつきまして十八歳程度まで換算し直す、いわば食べ盛りのところに換算してみるということをするわけでございますが、そのやり方は、各年齢間の栄養関係につきまして栄養審議会でそういう関係係数を検討したものがございまして、そういう実績に基づきまして二千八百二十カロリーというものを見ておる。そういう関係で、絶えず国民実績に基づいて調査の結果を反映するという形でとっているわけでございます。
  20. 依田圭五

    依田委員 二千八百二十カロリーに対する食費が二百五十一円二十八銭だ、去年に比べて二十三円——これは昨年の勧告内容なんでありますが、一食当たりが八十三円七十六銭、これは東京における標準生計費ですから、十八歳の成年東京における八十三円七十六銭という食費で実際問題としてやっていけますか。どこの食堂に行って八十三円という食費でもって育ち盛りの十八歳の、われわれよりも非常に体格のいい——私も子供がありますが、とてもこんなことではやっていけないですよ。小づかいを持たして外に出すのにも、こんなお金じゃ弁当代にもならぬですね。もちろんそれは外食する場合とは違うでしょうけれども、十八歳の男が八十三円七十六銭でよろしいという根拠について、少し詳しいお話を願いたいのであります。
  21. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 ただいま基準カロリーについて、これも国民実績に基づくものでございますということを申し上げたわけでございますが、それを金額評価あるいは物量内容に換算するというところが技術的には問題点でございます。私どもといたしましては、やはりこういう関係実態生計費に基づきまして栄養関係をどのような形の食物に配分するかという点を考えるわけでございますが、これは実績といたしましては家計調査生計費調査がございますので、その家計調査においてどのような食品をとっておるかという関係調査をしておるわけでございますが、その調査に基づきまして、どういう食品に対してどれだけの金を支出しておるかという関係調査がございます。したがいまして、その栄養の二千八百二十カロリーは、いろいろなそういう実績に基づきました形の食品の種類に金額を分配いたしまして、そしてこれによって金額を積み上げるということでございまして、そういう作業によって出てきた結果がいま御指摘の二百五十一円ということに相なっているわけでございます。したがって、この関係はきわめて統計的にかつ実績の上において、現在家計調査における実績がこうなっておるということの表示という形に御理解いただきたいと思うわけでございます。
  22. 依田圭五

    依田委員 いま御答弁の中にありました食品の費目なんですが、昨年二、三種類を動かしておりますね。それは魚介類ではブリを追加したのですか、野菜と海草類ではサトイモを追加した。それから加工食品の中でコンニャクを削ってしまった。これはどういうわけでこういうように動かすわけですか。
  23. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 いま申し上げましたように、二千八百二十カロリーの実績をどのような食品に分配するかという関係は、毎年における家計調査におきまして、家計における消費材の選択をどのような形でやっているか、言いかえますと、毎年毎年におきまして、それぞれの食品について値段が違ってきたり、あるいは新しい嗜好製品が出てまいりますと、そのほうに消費嗜好が回っていく、そういう関係を反映いたしまして毎年の消費実績というものが出てくるわけでございます。したがいまして、おととしに比べまして去年の消費実績において非常に少なくなったものは排除され、新しくふえたものは入れていくということで、その交代をやっているわけでございます。
  24. 依田圭五

    依田委員 エンゲル係数なんですが、これがどうも非常に少ない。大体五万以上の都市でも三割三分八厘、あるいは全国平均は三五・六%なのに、人事院のほうの資料は四割をこえておるわけですね。これはほんとうに客観的なデータなんですか。それとも勧告をしやすくするような作業が入っておるのですか。この点をお聞きいたしたいと思います。
  25. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 標準生計費考え方でございますけれども生計費の中にもいろいろな生計費が実際問題としてあるわけでございまして、非常に生活水準の高い生計費もございますし、また一般の大衆の生計費というものもございます。その標準というものをどこに定めるか、どこに水準を定めるかという点が、生計費算定における一番の問題点でございます。で、この関係は、どこの国でもそうでございますけれども、いわゆる生計に必要な費用、コスト・オブ・リビングという関係でいろいろ検討されておるわけでございますけれども、やはり生計費の中では、たとえば最近のようにルームクーラーとかカラーテレビとか、そういったようないわばぜいたく品を買っているような家庭もあるわけでございまして、全体を平均しますと、カラーテレビ、高級ぜいたく品を〇・〇何個買っておる、そういう関係も平均の中には出てくるわけでございます。全体を全く平均した場合には、そういう関係の作用がございまして、いま御指摘のようなエンゲル係数が三十何%という形に出るわけでございますけれども、そういうのは、やはり平均のいわば一つの魔術でございまして、実際の生活内容といたしましては、大衆の生活、向こう三軒両隣のいわば普通の生活といったところを標準というものでとらまえようということでねらっておるわけでございまして、したがって、統計における算術平均のものではなくて、やはりいわば大衆の生活というところをねらうところに、エンゲル係数も生活費の内容も変わってくるというところでございます。
  26. 依田圭五

    依田委員 それに関連しましてまだ二、三点あるのですが、自治大臣が実はあと十五分ぐらいしかいただけないということで、自治大臣にちょっと他の質問に関連いたしましてお聞きをしておきたいと思います。  まず第一点は、今度地方財政計画の中で五千六百六十六億円、これは国庫補助負担金を伴わないもの、この中に八百五十億、これは災害関係を百億とって、給与であろうと思われるものが七百五十億あるわけなんです。これをいま人事院のほうから御答弁をいただいておるわけでありますが、当然物価の動向、あるいは民間春闘相場その他を比較いたしましても、すでに政府の言っておる四・八なんというところはくずれておる。これはもう各銀行その他、みな統計を出しておるわけです。こういう中でこの予算が、少ない場合と多い場合と、たまたま偶然一致する場合とあるわけなんですが、基礎になる資料が違うのですから、これは必ず動くわけですね。ですからいまの状態ではもっと多くなる。ましてアメリカあたりのベトナムの情勢が、北爆が停止になるような可能性も出てきて、外貨の収支の動きもどんどんよくなっておるというような形の中で、相当景気も動いてくるだろうという中で、このお金がもし人事院勧告で足らなかった場合は、大臣としてはどのような御方針でもって地方団体に御指導をいただくのか、その点をお聞きしたいと思います。
  27. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 八百五十億円全部が地方公務員給与増額分の引き当てということではないわけでございまして、これは御承知のとおりに今年度の不時の災害に備えまして緊急を要するいろいろな事業費などがどのくらいかかるかということもこの中に入っておるわけでございまして、どこまでが給与に充てられるものだということのけじめはございません。しかし御案内のとおりに、地方財政面では国庫みたいに予備金なんて便利な制度がないわけでございまするので、毎年人事院から給与の改定について勧告がありました際に、そのつど補正を組まぬといたしますならば、やはりわれわれといたしましてはそのときの心がまえが必要でございまして、それにはあらゆる要素を勘案いたしまして——災害と同じで、まあ災害はない年はありません。がしかし、たいへん予想外の災害がありましたときは、国庫だってやはり普通の災害手当てでは足らぬということは言うまでもない。そのときにはまたしかるべき措置が講ぜられるはずです。人事院給与勧告が出た時点で、おっしゃるとおりに経済の大きな変動があってとても間に合わぬ、こういった金額でまかなうことはとうていできないというときには、給与勧告がありました時点で、よく大蔵その他政府当局とも相談をいたしまして勧告の線に沿う措置をいたしたい、かように考えております。
  28. 依田圭五

    依田委員 先ほどから総裁は、完全実施ということを何度も言われておるのです。もし完全実施ということになりますと、これは倍くらい組んでもらわなければ財源が足らぬわけですね。国の場合でしたら六百億くらい不足ですね。いま災害関係も含めておるというのですが、これは百億くらいつかみで持っておって、残りが大体給与関係じゃないかと当然思っておるわけなんですが、それは違いますか。
  29. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どこまでが給与関係であるということは、やってみなければ、災害の量も、またここに総裁いらっしゃるけれども、どういう勧告が出るのかいまの時点ではわからぬわけでございまするから、いずれ総裁のほうで御勧告に相なるでしょうから、そのときは国家公務員に準ずるということになっておりまするので、そのときに財政措置考えるか、かように考えております。
  30. 依田圭五

    依田委員 人事院勧告はきのうやおとといじゃないですから、もう十何年やっておるので、毎年毎年精密なデータが出ておるわけです。勧告基礎になるあらゆる作業データが出そろっておるわけです。それに関連して、政府のほうも総理府や労働省からどんどんデータを出しておるわけです。それらを含めて、当然ことしは自治省自体がこのくらいの金は要るであろうということで——大臣のほうは、いやそれはわからぬのだ、八百五十億のうちどうなるのかわからぬのだ。たとえば八百五十億全部、災害がないと仮定しても、あればなお足らなくなるのですから、ゼロだということにいたしましても、お隣にすわっておられる総裁の先ほどからのお話だと、完全実施、四月はなかなか困難でしょう。四月実施ということになると、これは倍は要るのです。一パート上がりましても、つかみで七十五億要るわけです。これに対して予算案だけは出し、財政計画だけは出しながら、時間はふんだんにあって、これほど精細な人事院勧告で、こんな厚い勧告の資料が、これは昨年まで努力をされておりながら、大きな官庁を持ちながら、質問の内容につきましては、大臣のほうがそういう形式的な答弁だけでは、これは了解できないと思うのですが、どうですか。
  31. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 人事院勧告というものはいまに始まったことではありませんので、長年のしきたりになっております。ですから、大体の見当がつくという面もあります。ただ大体のということでなくて、やはり経済に大きな変動がない限りは、小幅の変動でありました場合には、私どもといたしましても、しかるべく措置をする方法を考えてもおります。どういう方法であるかということはいま申し上げる必要はないと思いますけれども、申し上げることは、国家公務員のほうで勧告が出ましておきめになる時点で、私のほうでもそれに準ずる。国家公務員のほうはベースアップができたけれども、地方公務員はできなかったということは断じていたしませんから、その点はひとつ御信用を願います。
  32. 依田圭五

    依田委員 それではさらに、それに関連してお聞きしたいのですが、今度特別交付税が六百七十七億か何かあるわけですが、これを昨年に比較しまして、増加分は百三十二、三億あるわけです。物価値上がりや諸経費の値上がりを見ましても、これはせいぜい一〇%以内。それが二割二、三分になるわけです、増加分は。これはもう一定の歩合でもって機械的にまいりますから、母体が大きくなりますから、物価値上がり分を差し引きましても、つかみで七、八十億の自然増——ということばが当てはまるかどうかはともかく、百三十二億の増加分の中に含まれておるわけです。これはもう目に見えておるのですが、これを一体どのような方針でこれから運営をなさるのか。形式的には、その予測せられざる費目の財政需要にこれを充当するというお話なんでしょうけれども、もう少し突っ込んでお話を聞きたいと思うのです。
  33. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 特別交付税を、何も勘で、つかみで渡しておるわけではございませんので、地方行政を長く御担当の諸先生には御承知のとおり、それにはそのつどルールをつくりまして、全国公平に、実情に応じて行きわたるという仕組みにしております。どういう配分、区分でやっておりますということは、ここに財政局長もおりますので、そのほうからお聞き取りをお願いいたします。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 特別交付税は、御承知のとおり普通交付税で見た際に見られなかった需要、あるいは見たが得られなかった収入、そういったものを補てんするためにやっております。各地のそれぞれの実情も反映さして、たくさんの項目について事務処理をいたしております。
  35. 依田圭五

    依田委員 大臣に聞きますが、一定の歩合をやるんですから、客観的に数字が出てくるわけです。同時に、一応従来の経過から、特交の財政需要というものも統計的に出ておるわけですね。現在新しい費目を設定したり、内容を変えざる以上は。そこで自然にそれだけの——二割二、三分以上ありますから、百三十二億というのは昨年に比較いたしまして、もし当然にふえてくれば六、七十億でいいわけですよ、一〇%ぐらいで。それが母体が、ともかく国税三税の収入が多くなりましたので、機械的にその一定歩合できますと、非常にたくさん出てくるわけです。これは特に、昨年十分にやれなかった費目に対して交付するか、そうでなければ、万博やその他いろいろの費用に対して新たに交付するか。昨年不十分なところはいざ知らず、それを水増しするならともかく、そうでなければ、新しい費目を起こして処理しなければ、このお金は残っちゃうわけですよ。残れば普通交付金に回していくというわけにいかぬのですから、これは処理しなければいかぬですから、その点をお聞きしておるのです。
  36. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方の財政需要は、まず無限に近いといっていいくらいあるわけです。その中でわずかな特別交付税というものをどう割り振るかということは非常にむずかしい。ここで多少私的な感情がまじわるということは絶対にいけませんので、ただいま財政局長が申しましたとおりに、あらかじめ基準というものをきめまして、ルールをきめてそれに当てはめて配分しておるわけでございまして、もちろん先生御指摘の普通交付税分で不十分であるところなども要素として織り込んで公平に行きわたらせる、かように考えております。
  37. 依田圭五

    依田委員 あれですか、もし財源が不足のときには特交をこれに振り向けるようなことは、これはあり得ないことですか。
  38. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 特交といいましても、では、せっかく特交が予想外に増収の結果あったからということで、それを万博に振り向けてしまうとか、あるいは四国との架橋に使ってしまうとか、そういうわけにはいかぬわけでございまして、先ほどルールと申しましたことは、部内でいろいろ検討をいたしまして、まずだれが見ても至当であり、公平であるという基準をつくって、それによってやっておるわけでございます。
  39. 依田圭五

    依田委員 それはそれにしまして、あとわずかですからもう一点。公営企業でもちょっと聞きたいのですけれども、それを除きまして、最近の区長問題について、都区の問題と東京都の交付税に関連して問題をお聞きしたいのですが、練馬でやっております方法について、今月の十一日に結審になるようであります。そうしますと、これはいろいろな見方があるんですけれども、大体勝つんじゃないか。勝つというのは、住民側の異議の申し立てが勝つのではないかという見通しがあるんですが、この裁判に勝つということになりますと、これは一つの直接請求がありまして、委員会が条例でつくられまして、それにのっとって、選挙とは違いますが、内容は選挙と同じようにして、練馬区の全有権者の投票が行なわれるわけです。そうしますと、客観的に——自治省側といいますか区のほうで、これを高裁、最高裁というぐあいに訴訟を積み上げていけば、きょうあしたの問題にならぬでしょうけれども、これは簡単な法律論の問題ですから、一審だけで終わるということになると、来月の末ごろにはその話が出てまいります。あとで行政課長に関連して聞きますが、大きな問題として大臣にお聞きしたいのは、区長公選問題はいま非常に困っておるんですよ。ですから、東京都の税問題あるいは区との事務の配分問題、あるいは都区財政調整の問題、すべて非常に不満足というか、ストップ状態にあるわけですね。これを一体大臣はどのように御指導なさる御方針であるか、それをひとつ詳しくお話しが願いたいと思います。
  40. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この問題は、私がここでお答えいたしますと、何か一時のがれの答弁をしているようにおとりになる向きがありまして、たいへん困るわけでございますけれども、練馬一区の問題ではありませんので、練馬の場合、私が前回自治大臣をやりましたときに問題を起こしまして、今日に及んでおりますが、これがだんだん他へ波及すると申しますか、同じ姿でかなりの区が、区長がきまらないで困っておるのは事実でございます。そこで公選論も出てきておるわけですけれども、しかしながら、いま東京都というものを地方公共団体という形でどうつかむかということは、なかなかむずかしい問題でございまして、昔の東京市が東京都になっておるわけですけれども、やはり府がやること、市がやること、区がやること、非常に混淆しておりまして、そこらの行政事務その他の区分というものを明確にして、そうして再編成しなければ、なかなか市としての一体の機能を発揮することはできないのであるという考え方から、公選制必ずしもよくないじゃないか。以前、公選をやりましたときには大混乱を起こして、ついにいまのような形に返らざるを得なかったという面もあるわけでございまして、同じようなことを繰り返すということにつきましては、私どもは疑問を持っている。ただ区長ができないということにつきましては、区長を選ぶという道は開いてあるにもかかわらず、現実にできないのは、それぞれの区を分析してみますと、話し合いによってできるはずであるにもかかわらず、とにかく党派的に多数である人たちの中にもいろいろないざこざがありまして、きまらぬというのが実態になっておるわけでございますので、これはことばをかえていえば、やはり区議会の諸君が自分たちの職責を尽くしておられぬ面もあるのじゃないかということを私たちも憂慮いたしおるわけでございまして、行政指導はつとめていたしておりますけれども、実効はあがっておりません。しかし、もうぎりぎりの段階にきておることは御指摘のおとりでございます。  そこで、私どもも大都市行政というもののあり方につきまして検討を加えておる最中でございますので、弁解むきますけれども、この問題の解決につきましては、いましばらくの時間を拝借いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 依田圭五

    依田委員 私が聞きたいのは、いま大臣のお話しの大都市行政についていろいろ考えておるということですが、実はそこから先を聞きたかったのです。  先ほど、公選時代にも混乱があった、おそらくこれは区議会とか住民との間の混乱ではないと思います、機械的に選挙をやるわけですから。それは、ただ知事との間に混乱があったといえばあったと思います。それが安井さんの時代にこういうふうに変わったわけです。  そこで、お聞きしたいのは、いまの東京都知事が、これはもうぜひ公選制度を進めてもらいたい、けっこうだ、私が知事としての経験あるいは判断からいって、むしろ東京は公選制度にするのが望ましい、こうはっきり——これはもう大臣のところにも陳情に行っておるはずです。また、いざこざが区議会の中にあるということは、言いかえれば地方自治団体の最高の指導責任者である大臣みずからの責任です。デモクラシーも古いのですから、もうこういういざこざのないように、自治省が先頭に立って地方団体を十分に訓練し、指導し、引っぱってきているはずなんですけれども、それでいまだにこういう状態である。これはむしろ自治省自体の責任じゃないかと思うのですよ。  さらに、突っ込んで申し上げれば、わずか四十人や五十人の中で選任をするということが——その中で特に自由民主党の方が多いわけです。あるいはわれわれの政党が多いところもあるでありましょうが、ともかくその多数与党がまとまらないということ、しかもいつもキャステングボートを握るのは一人か二人ということ、しかも六区も七区もきまらずに——来月は千代田がまた新しい区長を迎えざるを得ない。江東、練馬あるいは江戸川はきまりましたけれども、これも全く警官を入れる一歩寸前あるいは入れたといような状態できまっております。これを考えますと、いまの制度はもう破綻状態じゃないか、批判されたんじゃないか。もうこの辺で何か考えるべきではないか。ですから、当然大臣の立場とすれば、大都市行政の中でどうこれを解決するか。最後にお話しになった点をもう少し詳しく、この機会に御方針を御説明願いたいと思います。
  42. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いろいろな議論があることは御承知のとおりでございまして、大ざっぱにいえば、もうこういういざこざをなくするためには、大阪、京都、名古屋でやっている式に行政区にしてしまって、そうしてもとの東京市の姿に返れという議論もありますし、そうでなくて、これだけの人口を擁している区があるわけでございますから、市並みにして、もう公選で取っ払ってしまえ、そのかわりに東京都というのは府の姿にしてしまって、府は府らしい事務の取り扱いをやる、住民の窓口は全部区にしてしまう、そうして、区で市としての役割りを果たせばいいじゃないかというようないろいろな御議論がありますが、やはりもう一つ広く首都圏行政というものを考えてみまして、行政を広域的に考えてみますときに、単にそういう割り切り方で結着をつけるというわけにもまいりません。私には私の意見はありますけれども、この問題は、これだけ議論したってたいへんな時間もかかりますし、皆さんにもいろいろな御議論もあろうと思うわけでございます。いまこの段階で私が私見を申し上げるということは、かえってきまるべきものもきまらぬということもあり得ますから、私見を申し上げることは差し控えたいと思います。
  43. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷君の関連質問を許します。
  44. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょうど大臣がいらっしゃるので……。いま区長公選問題について大臣の御答弁を聞いたし、私も予算委員会でこの問題について大臣の所見を承ったのですけれども、まあ言ってみますと、全くビジョンがない、こういう一語に尽きると思うのです。いろいろ質問したいのですが、大臣のおっしゃるとおり、この問題については、相当の時間をかけて私は議論をいたしたいと思うのでありますが、大臣の答弁の中で、二十七年に公選が廃止された、それは混乱があったから公選を廃止したのだ、こういうおことばがありましたが、これは重大な認識でありますから、どういう混乱があったのかということについてお尋ねしたい。
  45. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 区長を選ぶということは、公選にしてしまえば簡単でございまして、また練馬区議会の直接請求云々ということも、結果的には公選と同じことになる。公選すれば区長を出すことはきわめて簡単で、投票さえすれば事は簡単に解決がつくわけですが、しかし東京都というものを考えた場合に、また東京市というものを考えた場合に、有機的な一つの町としての形態を考えます場合には、やはりそれぞれの区長が公選で選ばれて、立場の違うものを、いまの包括的な東京都の傘下団体に置くということにいたしますと、いろいろな故障の起こってくることは当然想像ができます。行政の面でこういうものを統一してやるということだったら、またその面でプラスの面もありますが、それをやりますには、またいろいろ反対論もあるわけでございまして、当時の混乱ということにつきましては、事は行政局のほうでいろいろ調べておりましょうが、私はいまいずれに旗を振るということを申し上げないほうがかえっていいのではないか。  ビジョンの話が出ましたが、私も私なりに一つのビジョンを持っておりますけれども、そういうことをこういう席で軽々に申し上げるということは、かえってあと形をつける意味においてそういうことが支障になるのではないかということを憂慮いたしますので、申し上げないだけでございます。
  46. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二十七年に自治法を改正して区長公選制から選任制にしたことについて、混乱があったからそうしたのだといういまの大臣の御答弁はとても納得ができないわけです。当時パール・バックの「大地」を翻訳した有名な新居格という人が区長をやって、区長の一日の忙しさというものを書いた区長日記みたいなものを発表されたのを私は読んだ記憶がございますが、混乱はないんですよ。何をもって大臣は混乱だとおっしゃるのか、私にはわからぬ。その後自治法が改正されまして、選任制になりましてから今日まで二十八回もあったのですが、そのうち順調にいったのはたったの一回です、空白のなかったというのは。二十七回というのは全部混乱があったのです。現にもう半年以上区長が空白だ、しかも年度初めの予算編成期に区長ができていない、こういうことでありますから、むしろ自治法を改正して区長公選制をやめたところに混乱が起こっていると申し上げなければならぬわけですが、私の認識が誤っているでしょうか。
  47. 林忠雄

    ○林説明員 細谷先生のおっしゃる区長の選任に伴う混乱というのは、確かにこれは選任制以前にはそういう混乱はなかったかと思います。それが選任制に改まったために、議会において混乱があったということは、確かに相当例はあった。ただ、前に大臣が申し上げた選任前の混乱というのは、何も区長の選任方法に基づく混乱ではなくて、結局、都と区の間の事務配分の問題、権限の問題、そういうことが都としての行政の一体性、区としての行政の独立性という間に非常ないろいろな議論その他があり、毎年予算編成期にその確執が繰り返されるということを言っておられたと思います。これに対する価値判断というのはいろいろあると思いますけれども、それらを踏まえて二十七年に法改正がなされた、こういうふうに考えます。
  48. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それは混乱じゃないでしょう。現に、言ってみましょうか、大臣は鳥取県で政務次官は島根県でしょう。大臣と次官の両県の間の県境の問題ですらも今日解決していないでしょう。これは混乱でしょうか。行政区画の問題、行政上のいろいろな権限の問題、財源の配分の問題、事務の配分の問題、責任の問題とかについては、民主政治ですからいろいろ言い合いがありますよ。それが混乱なんでしょうか。毎年毎年予算をつくるときに。プリンスホテルに陣どって圧力団体が、よしあしは別として、これもいわばたいへんな国の混乱じゃないですか。現在そういう問題は民主的に解決してまいったわけであって、いろいろ問題はあるかもしれない。反省すべき点はあるにしても、混乱じゃないですよ。今日、長である区長が半年間も空白になっており、訴訟が起こっている。これが混乱でなくて何でありますか。おかしいですよ。大体、都制なんというのは戦争中にできたのですよ。昭和十七年ころでしょう。それをいま引き続いてやっているのでしょう。政治、経済は全く変わっているのですよ。ですから、自治法改正から区長公選ができなくて混乱が起こっている。その混乱を二十七年から今日の四十三年まで何らなすところなく指をくわえてじんぜんとして日を送ってきた。そうして、いまだにその方針が立っていないところに問題がある。自治省はやはり責任があるんじゃないですか。そうじゃないですか、大臣。
  49. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ですから、まだ結論が出る直前でございますので、いろいろ指導に力をいたしておるということを先ほど申し上げましたが、大部分はやはり自由民主党の内部事情にあることをよく承知しております。ですから私が、都連の会長その他国会におる東京都選出の諸君に、こういうことでは困るじゃないかということを申しますと、いや全くそのとおりだ、申しわけがない、帰ってよく都の同僚諸君に話して、そうして早急にまとめるようにしますからと言いますけれども実績があがらぬということはまことに汗顔の至りでございます。先ほど行政課長が申しますとおりに、私どもは、割り切ると思えばどういう形でも割り切れると思う。混乱というのは、ただいま申しましたように、公選にして、投票すれば一ぺんできまるわけです。しかし、東京都というものを普通の市という認識に立ちました場合には、その中の区というものは統一された一つの行政区画的に処理してまいりませんと、混乱はその面ではないとおっしゃるけれども、いろいろな事柄が起こってきております。いま踏み切るべき大事な時期でございますので、東京都は府にしてしまって、そうしてとにかく大幅に区に権限を移譲させて、区の選挙は独立でそれぞれ公選制によって区長をきめる。完全な市にしてしまうということは一つの案であると私は思います。そういうことをいま結着をつける段階にきておりますので、この国会で、時間もないのにそんなにいますぐおっしゃっても、なかなか無理でございますので、ほんのしばらく御猶予を願いたいということを言っておるわけであります。
  50. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二十七年から今日まででありますから十五年の歳月を経ておるわけですね。二十七年に自治法が改正されまして公選が取りやめになりましてから、その後の歴代の知事は、選挙の際に、すべて区長公選制というのを打ち出して公約をしてやってまいったのです。自民党の推薦した前の東知事も、二回にわたって、選挙の際には区長公選制というのが筆頭の公約になってやってきたのです。ところが、それも実現しない。いまの美濃部さんもやはり区長公選ということを言っておるんです。ところが、知事になってしまいますと、いろいろやってみますけれどもできない。できないところのガンは自治省にあるというふうに申さなければならないと思うんですよ。その自治省にあると言ったのを大臣は言明を避けた。自治省の中に、あなたの部下に、公然と東京市制復活論をぶっている人もおるじゃないですか。朝日新聞の記事にもそういうことがちゃんと出ておるんですよ。二十三区をやめて昔の東京市制にしろという議論もございます。ところが、二十三区というものをいま都との間に事務の再配分をやって——三十九年にやりましたけれども、もっと徹底したものをやり、税財源の再配分もやって独立した一つの区にしたらどうか、二十三区以外のところの三多摩のほうも、三十万か五十万ぐらいの人口規模の独立していけるような一つの行政区画にしたらどうか、こういうロブソン報告というようなものが出ております。そのロブソン報告を現在の知事は支持しております。  さらに、首都圏というような構想考えなければならぬという大臣の答弁がありましたが、そうしますと、これはいわゆるブロック論かどうか知りませんけれども、あるいは府県合併というようなことを描いての大臣の発言かと思うのですが、府県合併についてもビジョンは何もないじゃないですか。好きなところは合併させてやろうか、その窓口だけは開いておこうかということが今度継続審議になっている法律案でしょう。混乱の原因はあげて自治省の責任ではないかと私は思うんですよ。そうして、先ほど依田委員が言ったように、住民の請求が出た。これについてはその請求を葬る。ところが、区側の考えどおり——区側の考えというのは背後に自治省の考えがあるということですが、そのとおりには必ずしも裁判所のほうも動いていないという情勢のようであります。私は、この時期に、長い間の混乱を克服するために、自治省は、こうあるべきだという方向を出すべきだと思うんですよ。二十七年に公選をやめたから、二度と再びそういうことをやるとこけんにかかわるというようなことで、メンツにとらわれてはいかぬですよ。自治省がやはり決定的な混乱の責任を負っているわけですから、この際、この問題については、はっきりとした結論を出すことです。言ってみれば、私どもの意見は、区長を公選にする、二十三区というのをおおむね三十万か五十万くらいの人口でありますから、行政区としては、ロブソンが言うような大体適正な区画でありますが、そういうものを有機的にうまく連携させていくことが、これは都の知事がおるわけですから、それは調整してやればいいわけでありますから、そういうことでやっていくべきではないか、こう私は思っておるのであります。時間もないようでありますから、大臣、どうですか、私見でもここでお述べになったほうがいいんですよ。
  51. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私がいつまで自治大臣をやっておるかわからないけれども、ここで私がいずれに旗を振るかということを申し上げることは、いまこの制度調査会で真剣に取り上げておる段階で、その取りまとめにかえって障害になると思う。細谷先生のおっしゃることも私よくわかるわけであります。  それからまた、この問題はいつまでも放任できぬ、いま方向をきめて、ぴしっと割り切るべき時期にきておることもよく承知をしております。その前段に言われました、事務だけではなしに、財政面も含めて、そうして再配分と申しますか、どういうルールでやるかということをきちっときめませんと、やはり東京都は幾ら人口がふえたからといっても地方公共団体としての一つの単位であることは間違いない。その単位をこまかく割るのがいいのか、広域行政がここまで要請されておる際に、何十というたくさんな市をつくって、その上に府県みたいなものを乗っけるのがいいのか、なかなかこれは議論が広いわけでございますので、非常に大事な問題であって、申しわけございませんけれども、いましばらく時間を拝借したいということを申し上げたいと思います。
  52. 細谷治嘉

    ○細谷委員 関連でありますから、もうこれ以上申し上げませんが、いましばらくと申しながら、十何年経過したのですね。大臣が朝晩頭から離れないだろうと思う地方事務官制度、いわゆる国費職員ももう二十数年もたっているのですね。暫定的な経過措置の法律の上に乗っかって当分の間が二十何年きているわけです。区長も同じですね。十何年間待ってくれ待ってくれ、当分の間ということで混乱が起こっているわけです。そこで、大臣の発言の中に、しばらくということでありますが、自治省がひとつ早く出すべきだというのでありますから、たとえば今年一ぱいにはひとつそういう方向を打ち出したい、一つの議案、こういうものを打ち出したい、こういうふうに大臣、一応決意を固めて、ここで御答弁いただけるかどうか。これが一つ。  もう一つは、地方制度調査会といいますけれども、地方制度調査会というのは、御承知のように大臣の諮問に応じて検討をするところでありまして、大臣からそういう諮問をいただいておらないのですよ。いただいておらないのでありますから、その問題に取り組んでおりません。ですから、地方制度調査会に諮問するということであるならば、ここでその点をはっきりとお約束いただきたいと思うのです。
  53. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 正式に諮問しておりませんが、私は、制度調査会の中でいろいろ議論が行なわれておるというふうに承知しておったのですけれども、実際は、いまそういうことでなくて、省内で盛んに検討しておる最中だと行政課長が申しております。しかし、いずれにいたしましても、これは自治省に責任がある大事なことでございまするので、早急に結論を出して都民の諸君の期待にこたえなければならぬ、かように考えております。
  54. 細谷治嘉

    ○細谷委員 諮問するかどうか、これについてイエスかノーか、簡単でいいですから答えてください。
  55. 吉川久衛

    吉川委員長 大臣、前向きにはっきりやりましょう。
  56. 細谷治嘉

    ○細谷委員 諮問したらいいじゃないですか。先ほどそうおっしゃったんだから。
  57. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 諮問するかせぬかということは、なかなかそれ自体も重大なことでございまするので、私はその点諮問ということについては、細谷先生の御期待もありますし、前向きの方向で検討いたしたい、かように考えております。
  58. 依田圭五

    依田委員 林課長にお尋ねしますが、この前に地方制度調査会が答申をしておるのですね。その内容は、できるだけ早く、可及的すみやかに公選制を実施をせよという内容になっておるのです。にもかかわらず、現在になってもその答申のとおり行なわれないというのはどういうわけですか、それをお聞きします。
  59. 林忠雄

    ○林説明員 大臣のお話しに出ましたとおりでございまして、この大都市制度というのをどうするかということはたいへんな問題でございまして、この前の地方制度調査会の答申をそのまま制度化するかどうかということについての意見の一致を見なかったので、前の地方制度調査会の答申どおりの立法作業にはいまだにタッチしておりません。現在も、その後の社会情勢の進展に従って、大都市問題というものはますます緊急の解決を必要とする度合いを高めておりますので、現在さらにそれについての慎重な検討を繰り返しておるという状況でございます。
  60. 依田圭五

    依田委員 ひとつ林さんに聞きたいのですが、先ほど触れた練馬でこういう裁判をやっておるのです。それは「区条例制定の直接請求代表者証明書交付拒否に対して取り消し処分を求める行政訴訟」というのをやっておるわけです。これは練馬区長の代理と大島教授の間でやっておるわけですね。大体四月十一日に結論が出るわけです。これは冒頭に私が申し上げましたように、見方はあるにしても、これはもう簡単に住民側が負けますというような見通しでなくて、一〇〇%近く勝てるであろうというような見通しに立っておるわけですね。しばしば林課長の名前が関係者の間で出てくるのです。この制度を、第二条の一応直接請求で行なわれましたその条例の委員会が一票投票をやらせて、その結果に基づいてという点が争点になっておるわけですね。これはあくまでもその結果をそのとおりにとって、最高位当選者を区議会が当選としなければならぬという意味合いのものじゃないのですね。だれでもよろしいということなんです。ただ普通の法律の用語例に従いまして、法律上の、たとえば憲法は国民の総意に基づくといったような意味合いにおける慣用的なことばの法律用語の使い方に基づきまして、これは練馬におる公法学者ですが、起草されたわけです。それを自治省のほうで都を通じ練馬を指導なさったという、結果的にはそういう関係なのですが、いま裁判やっておるわけです。これは百十条に基づく委員会でありますが、これを投票の結果をすぐそのまま区議会がそのとおり行なわぬでもよろしい、こういう条文を中に入れまして、現在もそうなっておるわけです。こういう条例ならばつくってさしつかえありませんか。
  61. 林忠雄

    ○林説明員 いま訴訟になっておる案件は、その結果がどうなるか注視したいと思います。あの訴訟になっておる案件は、いま依田先生の御質問とは一つ前の段階でございます。訴訟になっておる案件は、制定することのできない直接請求の条例の制定に、直接請求であれば代表者証明書を交付するということがいま案件になっております。  その前のどういう条例が制定できるかできないかという問題につきましては、練馬から照会がありました条例の内容を拝見いたしましたところが、それは、現在の区長の選任制で議会に与えております権能を制約するものであるというふうに見られましたので、そういう条例は制定できないという回答を申し上げたのであります。それにどういう条文を入れ、どういうものをつけ加えれば制定できるようになるかどうかということは、具体的な条文その他を拝見してみないとはっきりした結論は申し上げられませんが、要するに現在区議会が選任権というものを一〇〇%持っておりますので、これに制約を加えるという形のものであれば制定できない、そういうふうに考えております。
  62. 依田圭五

    依田委員 制約を加えるというならば、それはそういうように拡大解釈をすればすべて制約を加えることになるんですよ。現在これはもう十四、五の区でもって実施して現在の区長を選出をしてきめてまいりましたプロセスの中に、公募制という方法があるわけです。その公募制という方法はそれは候補者を公募いたしまして、きめられた範囲内において区議会が選任権を行使するわけですね。そういうことになれば、あなたのおっしゃるように、やはり制度的にも事実的にも影響を与えるわけなんですね。影響を与えるということばを、あなたのおっしゃるように拡大解釈すれば、これはもういまの制度だっておかしくなっちゃうんですね。いま就任しておる公募制に基づく現役の区長だって、その選任過程の中にいろいろ疑問が生じてくるということになるんですが、その点どうなんですか。
  63. 林忠雄

    ○林説明員 影響を与える行為というものは、事実上この人を区長に選任するのがいいと推薦するとか、その他いろいろあると思いますが、その影響を与えることを条例という制度化することに問題がある。ですから、議会が現在一〇〇%与えられております選任権を行使してだれを選ぶかというときに、あるいは公募制をとるとか推薦制をとるとか、いろいろな方法をとられるその過程では、結局区議会がだれを選ぶかということについて影響を与える行為は事実上多くなされておると思います。そのことは別に法的問題ではございませんので、この際問題にしておらない。ですから、その法的な制度としての条例が影響を与えるか、あるいは与えることを目的としている制度かどうかというところに条例としての制定の余地があるかないかという議論になると思います。
  64. 依田圭五

    依田委員 条例は区議会で改廃できるんですからね。また、条例そのものが成立するかどうかも区議会がきめることなんですから、そういうことでまた制度として影響がある、違法であるということになるんですか。
  65. 林忠雄

    ○林説明員 条例は区議会の議決を経てなることはお説のとおりでありますが、一つの区に与えられた自主立法権という意味で区の法的な制度になると思います。その意味では区議会が改廃権を持っており、いつでもこれは変えられるのだから拘束を与えるんだということにはならぬ。やはり一つの条例として成立いたしますと、その区の制度となる。制度というのは法律で許された範囲内しかできない。これはきまっておる解釈でございます。そういう意味で現在の法律制度は区議会に区長の選任権を一〇〇%与えておる。事実上これに対していろいろ拘束をする、影響を与えるという行為をなされることはこの際問題にならない。ただそういう制度をつくるということが法的には認められておらないという考え方でございます。
  66. 依田圭五

    依田委員 もう一点聞きますが、それでは、制度をつくらずに、世論調査の形式をかりまして、一応二、三百万かかるでしょう。これはカンパか何かしまして、そして町の有権者に、役所の有権者名簿を売っておりますね、あれを千円ぐらいで買ってきまして、それで全部いわゆる世論調査の形でもって全有権者に、同じような政治効果を持つであろう人気投票をさせました場合に、民間ですから、あなたのおっしゃるような区の制度ではないのだから、これはかまいませんか。
  67. 林忠雄

    ○林説明員 事実上の行為であれば全く制度上の問題はございません。
  68. 依田圭五

    依田委員 もう一点聞きますが、それならばそういうことが許されますか。自治省としては認めてくれますか。これは問題ですよ。
  69. 林忠雄

    ○林説明員 事実上の行為であれば制度として成り立つかどうかという議論は全くなくなります。ここで事実上そういうことをたとえば公費を使ってやることがいいかどうか、あるいは選挙法上——この際は選挙法上ではございませんが、事実上そういう行為をやることがいいかどうかという問題は別の論点で議論が出てくるものと存じます。いま申しましたような、そういうことをするという条例として制度化するということを法は認めておらないということを言っておるわけであります。実際上の人気投票その他地方団体と全然関係のない民間の方がおやりになるという場合に、それが制度的にどうかという議論はございません。
  70. 依田圭五

    依田委員 そのことについて、それはいまたいしたお金でもないし、ともかく何十万という区民が行なうのですから、これはカンパを起こしましてもたいしたことないですね。おそらく二、三百万でできる。それは実現可能なんですよ。そのことについては、あなたは制度だからいけない、いけないと言っておるから、それなら制度でないこういう方法ならよろしいのか、自治省はそれを好ましいことであって大いにやれ、あるいはそう言わないまでも、違法ではないとおっしゃっているのかと、そこを詰めて聞いておるわけですから、その点について御答弁願いたいと思います。
  71. 林忠雄

    ○林説明員 制度論としてはないわけでございます。事実上そういうことが、たとえば公費を使ってやるとか、地方団体とは全然関係のない民間の運動として行なわれる、そういうことになりますと、それ自体制度として成り立つかどうかという議論はなくなるわけでございますが、ほかのいろいろな点、たとえば公費その他に影響があるとか、違法であるとか、適法であるとか、事実上の行為であるかどうかという議論はまだなされることはあると思います。しかし、ここで議論になっておりますようなこと、自治体の制度としてできるということがない限り制度論はございません。
  72. 依田圭五

    依田委員 私は制度論を聞いておるのではないですよ。区長公選運動というものがありまして、その過程の中にいま練馬の訴訟が行なわれておる。それは直接請求の代表者に対する資格証明の交付を自治省の指導によってキャンセルしたということが原因になって行政訴訟が行なわれておるわけです。その背景になる議論は何かといえば、一つの制度なり一つの事実がそのフリーハンドであるべき区議会の選任権に影響を与えるところに法の違反性があるからこれは困るのだ、そういうことでもって練馬の区長代理者もこれを拒否しなさいということを、都の行政部を通して往復書簡で御指導になっておるわけなんです。その線に沿って、あなたがそういうことは許されないのだという根拠の理由に制度論を取り出したので、私は、それならば、その制度じゃない方法で、同じような結果をもたらす民間の世論調査のような方法、これは一体よろしいのですかと聞いているのですから、それに対して当然自治省のほうでお考えになっていると思うのですよ。それをお聞かせ願いたいのです。
  73. 林忠雄

    ○林説明員 おっしゃるようなことで、そういうことが練馬区の公式な制度としてなることについて否定的な見解を申し上げたことは事実でございます。地方団体の行為としてでなく、民間でどういう行為が行なわれようと、この際は全然別の問題であります。
  74. 依田圭五

    依田委員 私の質問は、唐突に出た問題ではなくて、いままで関係者の間でさんざん議論されておる問題なんで、これは課長さんとしては、この方法による区の区長選任への一つの方法として、参考資料として、こういう世論調査なり形式のことを民間の団体がすることについてはっきり指導してもらいたいと思うのですよ。やってよろしいのですね。
  75. 林忠雄

    ○林説明員 民間の団体がするとおっしゃいますが、練馬区という公共団体と関係のないところで民間の団体がどういう行為をなさろうと、それは私のほうの指導範囲には入らないのです。
  76. 依田圭五

    依田委員 そうすると、あなたの答弁では、地域的な練馬区ではなくて役所の機構としての練馬区、それに関係のない民間団体がやることはかまわないという御意見ですね。そういうふうに理解してよろしいですね。
  77. 林忠雄

    ○林説明員 その行為がどういう行為であるか、それによってたとえば選挙の公正その他に影響を与えるとか与えないとかの適、不適の議論は、その場その場のケースによってあると存じます。私のほうで指導いたします場合に、練馬区という地方団体が関与してやることについての適、不適については当然指導がある。しかし練馬区という地方団体とは無関係なところで行なわれる事実上の行為というものについては、それなりのいろいろな批判その他はあると思いますけれども、私のほうが指導する限りではございませんと考えております。
  78. 依田圭五

    依田委員 自治省という役所は、形式的にはこれはあなたの所管外事項かもしれません。しかし、公選法に触れるわけでもないし、どこに触れるわけでもないのですよ。おそらくこの方法は、この大島教授以下練馬の人たちが遠慮をしていると私は思うのですよ。そして条例の直接請求という方法にたよって、現在それはあなたのほうが拒否いたしておりますが、そういう方法で訴えておると思うのですよ。林さんは、行政課長としてほんとうに区長公選問題についての総括的な指導の立場にあるのですから、先ほどの審議を見てもわかるように、大臣よりもあなたのほうがはるかに詳しいし、また実際あるわけですよ。ですから、はっきりここでお聞きしたいのは、私の所管でない、だからそれはかまわぬ——かまわぬというよりも知らないというお答えでなしに、区長公選運動というものが現在あって、各区の区長はこれだけ困難しておるのですから、自治省のあなたが、担当課長としてもっと突っ込んだ御答弁をいただいて指導していかなければ、二十三区各区がこれは困ると思うのですよ。
  79. 林忠雄

    ○林説明員 そういう運動その他が、現在の区長の選任制度というものを、たとえば否定しあるいはこれを改正しようという趣旨のものである限り、私のほうも非常に注視をいたしております。それは区民の意思、都民の意思が那辺にあるかという一つのあらわれであるとは考えております。しかし、そのことを、そういう運動がいいとか悪いとか指導する立場にはございませんけれども、同時に、現在区長公選運動がこれだけ起きている、条例の直接請求の要求というものもこれだけ起きている、一方また、大都市全体の行政の統一性の必要性があるという二ともこれだけ起きている、そういうあらゆる要素データにいたしまして、私のほうでは大都市制度をどうするかということについての研究を日夜やっておりますので、それについて、いまおっしゃるような事実上の運動に、私のほうが全く関心がないということではございません。きわめて重大な関心を持ってそれらを見守る必要があると思います。それらをすべて考え合わせた上で、大都市制度、がいかにあるべきかということを探求し、これを制度化していく、これが私たちに課せられた仕事であると考えております。
  80. 依田圭五

    依田委員 これは非常に重要なことで、とうとう御答弁がいただけなかったのですが、この辺できょうはやめておきます。  それから、人事院のほうにちょっとお聞きしたいのですが、先ほど中途でやめました案件です。住宅関係なんですが、これをわずか六千円くらいで三人世帯をやっておるのですが、六千百八十円、昨年に比べて住宅費がわずかに百九十円くらいしか値上がりしておらない。こういうような状態で、家計調査でも八・五%くらいもう伸びを示しておるのです。夫婦と子三人の家族が東京都内——これは東京都の標準生計費ですから、都の住宅事情がやはり入ってくると思うのですが、アパート一つ借りるのにも、三畳間でも五千円から六千円しておるのですね。こういう現実を踏まえてこの数字を是正する必要があると総裁としてはお考えになりますかどうか。  それから、質問を急ぎますのでもう一点お聞きしますが、いまの二人の費用は三万二千四百二十円になっておりますね。約十二年間たちまして年齢三十歳にならぬとこの数字に上がってこないのですね。等級別の資格基準表どおりに昇格昇級をしていったといたしますと、等級号俸がそういう数字になってまいります。言いかえれば、国家公務員は三十歳まで一切結婚してはならないというかすることができない。しかも非常に安い。先ほど言いましたように、十八歳でわずかに一食八十円足らず、二千八百カロリーくらいのものである。しかも生計費指数は四〇%、こういうお見込みの数字を基礎に数字を出しておるわけです。この二点について御答弁を願います。
  81. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 基本的なところを申し上げますと、先ほども触れましたとおりに、この標準生計費というものは、われわれとしてはこれをまともに全面的のささえにはしておらない。基本はあくまでも民間給与公務員給与ということで、そして標準生計費のごとき要素民間給与の中におのずから織り込まれておるだろうということでありますけれども、ただ高校卒初任給をきめます際に、民間初任給とも一応対比はいたしますけれども、なお念のためのささえとして十八歳独身男子の標準生計費をつくっております。したがって、いま御指摘の二人世帯、三人世帯というものがありますけれども、これは私どもの表のデータではないので、ただ参考としてよけいなものがあがっておる、いわばそういうことになるわけです。したがいまして、いまの住宅関係の費用の問題が標準生計費の計算として安過ぎやしないかというような、いろんな御批判が先ほどの食費についてもあるわけです。これらは、給与局長が先ほど大体の原則お答えいたしましたし、こまかいことをさらにお尋ねであればお答えいたしますけれども、私ども基本考え方は、そういう意味のこれをささえに使っておる、独身十八歳というところを直接使っておるということをあらためて申し上げます。
  82. 依田圭五

    依田委員 大蔵省に聞きますが、五百億ですか、これは答申があった場合に補正でも組むのですか、どうして財源を捻出しますか。
  83. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 政府といたしましては、総合予算主義の観点に立ちまして、今後の追加財政需要に備えまして極力予備費の充実をはかったことは御指摘のとおりでございまして、これにつきましては、現在の経済情勢等からいきまして、本年の歳入等は目一ぱい見積もっておるわけでございます。したがいまして、財政の運用の健全性をはかるという観点からいたしまして、特に官庁経費等につきましては相応の節約等もいたしまして、できるだけ予備費の充実に財源を充当しておるわけでございます。したがいまして、今後この予備費の充実をいたしましてどこまでも補正は組まないという考え方のもとに、政府といたしましては予算編成をしておるわけでございます。  そこで、予算委員会等において大蔵大臣が御答弁申し上げておりますように、今後予備費の大きな支出として予想されますものは、一応従来の慣例からいたしますと、災害であるとか、あるいは義務的経費の清算払いであるとか、あるいは人事院勧告に伴う給与改定、こういったものが大体予想されるわけでありますが、政府といたしましては、この予備費の範囲内でぜひ補正なしで対処したい、人事院勧告につきましては最善の努力を尽くしたいというふうに、予算委員会等において大蔵大臣が御答弁申し上げておるということを御答弁させていただきたいと思います。
  84. 依田圭五

    依田委員 自治省のほうに、いまの七百五十億のワク内でもって片づかない場合には、大蔵省としては、どういう指導といいますか、連絡といいますか、これは所管は大蔵ですから指導に近いと思いますが、どういうようにいたしますか。
  85. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 まだ人事院勧告がどのような内容のものであり、どういう形のものであるかということは予見できないわけでございますが、いずれにいたしましても、地方公務員給与改定については、国家公務員給与改定に準ずるというたてまえでいままで対処しておるわけでございます。したがいまして、国の給与改定がどのようになるかということとのバランスを十分考えまして、地方公務員給与改定について善処したい、かように考えております。
  86. 依田圭五

    依田委員 それでは、公営企業のほうをちょっと聞きたいのですが、運輸省からどなたかおいでになっておると思いますが、いま陸上交通事業調整法という古い法律があるわけです。これは昭和十三年につくられて、当時首都圏の中の民間と公営との関係をこれによって規律いたしたわけでありますが、この法律は現在生きておりますか。また、どういうような形でもってこの法律が援用されておりますか、簡単に御説明願いたいと思います。
  87. 柳昭夫

    ○柳説明員 陸上交通事業調整法は、お話しのとおり昭和十三年にできたわけでございまして、これによりまして昭和十五年に東京の交通分野の調整命令が出たわけでございますが、その後、戦後昭和二十五年になりましてから、その中身をなしますところの交通事業調整審議会が廃止されたわけでございまして、そのために、現在法律は生きておりますけれども、実効は全くないことになっておるわけでございます。ただ、そのときの事業分野というのが実はあるわけでございまして、その後個々の申請によりましてそれを運輸審議会においていろいろ検討いたしまして処分いたしておる、こういうことでございますので、事業分野は一応あるけれども、それは現在はもうそのとおりには守られていないということでございます。
  88. 依田圭五

    依田委員 陸上交通の付属の審議会、これは勅令で昭和二十年になくなっておるわけですね。それで重要事項の認定は運輸大臣にある。それについては諮問する必要なし、こういうことに法律の内容がなっておるわけですね。法律だけは、本法は生きておる。しかし、その手続をなす審議機関は欠格条項か何かでなくなっておる。こういう状態で、しかもこの法律によって現在に至るも民間と公営の問題は全部律せられてきておるんですね。いまは運輸審議会のほうでケース・バイ・ケースでやっておるというお話でありますが、基本的な考え方はこの法律のとおりにやっておるわけですね。実績尊重といいますか、いろいろ理屈のつけようはあると思いますが、そういう意味でこの法律は生きておる。また形式的にも生きておる。しかも重要な手続はもうなくなっておる。しかも一定の、その協議ととのわざるときに調整をする内容についての判断は、あなたのほうにまかされておる。これは法律の三条か何かでまかされておると書いてあるわけですね。もしあなたのおっしゃるように、これが援用されていないなら、やめちゃったらどうですか。法律を廃止したらどうです。どうしてこれを昨年も改正し、何か昭和三十七年にも改正し——関係法令の改正に伴う必然的な改正かもしれませんけれども、これがいま都市交通あるいは公営企業のガンをなしてまいっているわけです。これについてあなたの御意見をお聞きしたいと思います。
  89. 柳昭夫

    ○柳説明員 この法律は、現在すでに実施機関でございますところの審議会がなくなっておりますために、手続上全然実効がないわけでございます。それで、ただいま廃止したらどうかというお話でございますが、これは将来ともこれが必要があるかどうかということを十分検討いたしまして、廃止も含めまして検討したいと思っております。
  90. 依田圭五

    依田委員 そんなことはおかしいですよ。もう審議会がなくなってからだって二十三年たっておるのです。しかも、いまだに生かしておくというのはどういうわけですか。要らないなら要らないで切っちゃったらどうですか。私どもの質問があったので、廃止のことも含めて将来に向かっての必要度合いを検討いたしますと言うのですけれども、それじゃ、将来ともこれは必要だ、使い方はないけれども、これが形だけはりっぱに生きておる、手続の欠缺があるからこれはどうにもならぬけれども、理念だけは生きておる、法律の精神だけは生きておる、だからこれを廃止するわけにはいかない、こういうお話ですか。
  91. 柳昭夫

    ○柳説明員 先ほど申しましたように、この法律は現在のところは手続上は何も行なわれておらないわけでございます。ただ将来ともこれが必要があるかどうかということを検討の上で、廃止するなり何なりを含めまして検討いたしたいと思います。
  92. 依田圭五

    依田委員 これは二十三年もお考えになって、さらにまたお考えになるということだが、ひとつできるだけ早く結論を出していただきたいと思います。  それから、関連をしてお聞きしますが、これは自動車の関係ですが、道交法のときに調べたのですけれども、自動車の保有台数と、その自動車が一台当たり四平米ですかの面積を占めるとして、東京の場合は全道路、国道、都道、区道も入れまして、その道路面積と比較しますと、ほとんど七、八割までが自動車で埋まってしまうという結果が出ておるわけです。ですから、今回自動車取得税をつくって五百億ばかりの金を各地方へ回して、地方道も整備しなければならぬということを政府がやっておるわけですが、早晩もう都電はだめだ、軌道はだめだ、バスも現在のようなことでは行き詰まりが出てくるのではないかと思うわけです。そこで、この際、おわかりでしたら、乗用車の全台数と、同時にバスの台数、増加の比率、これを含めて、運輸省として大衆輸送機関としてのバスと個人の輸送機関としての普通の乗用車との関連について、将来の展望をお聞かせ願いたいと思います。
  93. 菅川薫

    ○菅川説明員 現在の自動車の増加状況でございますが、年度末で比較いたしますので、昭和三十八年の三月と四十二年の三月とを比較いたしますと、全国の自動車台数は三十八年三月末が約四百九十二万台、四十二年三月末が九百六十四万台、約二倍の増加ということになっております。そのうちで、いまお話しのバス関係だけを見ますと、三十八年三月を一〇〇といたしまして、一二三というような増加の状況でございます。  それから、大都市という問題がございますので、東京だけについて申し上げますと、昭和三十八年三月は全体で約八十四万台、四十二年三月で約百三十八万台、六五%の増加でございます。バスのほうは、営業用バスでございますが、大体横ばい状態でございます。こういう自動車の増加状況から申しますと、一般の車が非常にふえているという状況がうかがわれるわけでございます。  まあ将来の展望ということでございますが、現在お話しのように、大都市では非常に道路混雑ということでバスの運行本数なども低下をしているというようなことで、いろいろ問題が発生しておるわけでございます。しかしながら、バスはバスとしての将来の輸送分野、その輸送使命があるものと考えております。大都市における通勤、通学輸送というのは、何と申しましても地下鉄、国電あるいは私鉄等の高速鉄道がその主体的な役割りをなすものと考えますが、いろいろ都市の発展とともに、そういう高速鉄道に至る駅までの輸送とか、あるいは鉄道の路線網のないところを補完するというような意味で、バスの使命はなおあるものと考えます。ただいま申し上げましたように、いろいろ道路交通の混雑とか、そういう外部的な要因というものがいろいろございますので、そこら辺については都市交通全体の立場として改善をはかり、バスが十分にその使命を生かされるように努力してまいる、こういうぐあいに考えております。
  94. 依田圭五

    依田委員 自治省にお伺いしますが、大体、公営企業というものは、公益性と独立採算と全く矛盾をする二つの要求の上に置かれておるのです。私もしろうとですから、一体、民間と比較いたしましても、公益性、要するに不採算路線あるいはやむを得ざる義務的な立場でもって維持しなければならない病院、地方鉄道、あるいは都市における軌道、バス、その他いろいろあると思います。これについていろいろ調べてもみたのですが、実はなかなかわれわれにもよくわからない。この際、自治省から聞きたいと思うのですが、たとえば一例を東京都にとりますと、不採算路線、これはまあ賃金その他もありまして、簡単に公営のほうが非能率なんだというお話では困るのであって、現在都内を走っておる自動車の平均速度は十四キロなんです。郊外は、これは二十キロで走っておるわけです。ですから、そのキロメートル当たりの原価計算の中にはね返ってくる人件費その他は、当然そういうことを含めてひとつお考えを願いたいと思うわけなんですが、大体昭和四十一年で百二十六系統あるうち、都電は全部だめです。二十三区内は全部だめ、オール赤字です。採算がとれない。同じく昭和四十一年で、非常に希望が持たれておるバス路線なんですが、これでさえも百十九系統は全くの不採算路線であるわけです。昨年は少し少ない百十四路線、物価が上がって、そして料金が凍結され、それから自動車の数がふえてバスの運行のスピードが落ちると、それに逆比例して不採算路線がどんどんふえておる、こういう状態ですが、これに対して私は、公益性の部分だけは一般会計なりあるいはいろいろの保護をしていかなければならぬと思っておるのですが、数字を含めて、一体どこからどこまでが公益性があって、あとは独立採算で、民間企業と競争すべきであるということについて、これはもう審議会等を通しまして答申が出るまで、これは原局は自治省でありますから、自治省の担当局でもってこの数字についてはさんざん検討なさっておると思われますので、そういう意味でここで御答弁願いたいと思います。
  95. 細郷道一

    細郷政府委員 公営企業は、御承知のように、一方で公共性を維持しなければなりませんし、他面では、いわゆる企業性というものを追求していく立場にあるわけでございます。したがいまして、一般の私企業とは全く同じではないと思います。そういう意味におきまして、公営企業の存立のためには、現在負担区分といったような制度によりまして、一般会計からの負担分もきめられたものについては持っていく、こういうような仕組みをとっておるわけでございまして、また現実の問題としまして、一般企業でありますれば利益追求の結果、配当といったようなものも考えなければならないわけでありまするが、現実問題としては、公営企業としてはなかなかそこまで及ばないというのが現状であろうかと思います。また、税制の面におきましても、いろいろ違った扱いを受けておるのでございます。したがいまして、公営企業というものは、そういう意味において民間と全く同じであると考えることも誤りでございましょうが、反面におきましては、また、公共団体がやるのだから、純粋の公共事業と同じだ、こう考えるのもやはり過ぎていることだと思うのでございます。そういう意味で、公営企業はその中間に位するものでございますので、その限界をどこに引くかということはなかなかむずかしい問題でございます。私ども考え方としては十分わかっておりますけれども、では幾らまでが公共性で幾らまでが企業性の範囲に属するかということを具体的な数字で示していくということは、なかなかむずかしい問題であろうと思います。いまおあげになりましたような路線ごとの採算ということを考えることももちろん必要なことでございます。それだけで公営企業の持っております二つの性格に区分をするということも、はたして適当かどうか。なお、それが一つの基準になることは認めますけれども、それだけで判断をすることは、必ずしも個々の団体にとって適当かどうかは問題である。また、いまおっしゃいましたように、バスの将来といったようなことにつきましても、私は確かに問題があろうと思っております。現に六大都市の交通事業におきましても、バスの乗客が必ずしも思ったとおりの乗客数を得られていないといった問題もございます。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 こういった問題を公営企業ワク内だけで全部処理するということは、たびたび指摘されておりますように、むずかしい問題でございます。やはり、たとえば東京について言いますならば、東京都を中心としました交通機関の整備、交通網の整備ということに対して真剣に取り組んでいくべき段階である、そういうことによって問題の解決の糸口を見つけるべきではなかろうか、かように考えております。
  96. 依田圭五

    依田委員 私はもう少し数字的なものを聞きたかったわけです。というのは、百二十六系統のうち百十九というのですから、希望を持っておるバスですね、これはバスでさえも、たとえば東京都営の場合には、ほとんど九割に近く不採算路線になっているわけですね。それが全部企業努力によって埋められるものであるのか、可能性があるものであるのか、それとも、これは社会情勢の変化や経済情勢の変化、都市構造の変化によって——これはいま十四キロでしか走れないのです。先ほど申しましたように自動車で埋まってしまうわけですから、その中で無理して走っているわけですから、当然民間の会社ならばそんな路線は走りませんよ。デパートでもつくるか、宅地の造成でもするかして、兼業のほうに力を入れまして、そんな赤字の路線を事業部門に残しておったら会社がつぶれてしまいますから。しかし公営なるがゆえに、この二十三区の中に、先ほども申し上げました調整法によって、そこからはみ出ちゃいけないということでもってやられておるわけですよ。ですから、百二十六のうち百十九不採算路線であるが、どこからどこまでは公共のためにこれは不採算であってもやむを得ぬ、残置すべきもの、言いかえれば、これは国なり自治省なりが全力をあげて応援すべきもの、あとの何%はこれは企業体の企業努力なり内部の努力によって解消すべきものということがはっきりいたしておって、初めて私は、自治省がいろいろ政令をつくってみたり、たとえば経営負担区分の政令をいろいろつくって、この仕事とこの仕事は公共企業体にまかせてよろしい、これはまかせられないというようなことを判断してみたり、そういうものになってくると私は思うのですが、そういうことで、ぼくのほうではよくわからないのですよ。私もいろいろ調べてみたのですが、どうしてもわからない、私のほうは時間もないし資料もないから。しかし、たとえば小田急なり西武のキロメートル当たり単価の中における人件費の構成を見てもらえばすぐわかるわけですけれども、確かにそれは若干は高いところもあるでありましょう。しかし、肝心の走っておるキロメートルが半分くらいしか走っておらぬのですから、当然それはもう一万や一万五千のあれだったらそれにはね返ってくれば解消されるわけですね。そういうように考えていって、いまの公営企業のうち、一体どれだけが数字を裏づけとして公益性があり、どこからどこまでが独立採算の努力によって、企業努力によって解消できるはずなんだ、そこに限界を置きまして、そこまでは自治省では再建計画でも何でも締めていく、しかし、ここからここまでははっきり負担区分でも何でも、政令の内容も再検討して、これは公益性のものだから、不採算でも何でもやらしているのだから、これをひとつ守っていこうということだと私は思うのですよ。たとえば、一例に私がたまたま手に入れました資料で、百十九系統ありますが、百十九のうちどこからどこまでが不採算で、どこからどこまでは、これはどうしても公共企業体なるがゆえに、赤字であろうが維持しなければならぬ、これは公共の福祉のために保持すべき路線であるという数字が、自治省にはあるはずだと私は思うのですが、その点を重ねてお聞きします。
  97. 細郷道一

    細郷政府委員 非常に大切なことであろうと思います。ただ、東京一つを見ましても、いま御指摘のどの路線が赤であるか黒であるかということは、単に実績の上からだけこれを見ることによって判断すべきであるかどうか、そのこと自体にも実は問題があると思います。あまりにもいろんな要素が集約的に表現されておる関係もございます。そういう意味で、私はやはり先ほど来出ておりますような、以前からございます陸上交通事業調整法といったような考え方から脱皮して、新しい段階で都市交通の問題は考えるべきであろう、これは全く私個人の考えではございますけれども、そういう気持ちを実は持っております。しかし、そういった抜本的な問題に着手して全貌をつかんでという前に、さしあたって処置をすべきこともあるのではなかろうかというところから、いま交通再建というようなことに実は取り組んでおるわけであります。バスの運行能率が悪いというようなことにつきましても、たびたび御指摘がありますように、もう少し路面交通におけるバスの優先通行といったような問題についても、私どもさしあたっての問題としてもっと力を入れるべきことがある、こういうふうに思っておりますので、問題を一つ一つ整理しながら順次近づいてまいりたい、こういう気持ちでおります。
  98. 依田圭五

    依田委員 私は、自治省は、どの路線について、あるいはどの病院について、あるいはどの企業体についてこういう赤字が出ておる、しかしこれは当然の社会的な情勢や経済情勢や、いろいろのことから、あるいは不採算であるけれども、これはどうしても残さなければならぬ病院だ、路線だ、こういうことで、百十九のうち百本なら百本、あるいは五十本なら五十本は、これは公益性からくるところの、公共機関からくるところのやむを得ざる原因である、あとの六十本は企業努力が不足なんだ、だから五十対六十の割合でもって締めつけるぞ、そしてそういう割合でもって企業——どこでもいいですけれども、負担区分もきめるぞ、政令もそういう根拠に基づいていまはほとんど目ぼしい負担区分の政令はないですね。たとえば病院の場合は看護婦の養成事務、伝染病の医療費、救急医療費、集団検診以外は全部だめ、それから水道は公園と公衆便所だけ、あとは一切だめ、いろいろやっておるわけですね。軌道の場合は、撤去費と修繕費だけということで、あとはいろいろ貸し付けたりなんかしてめんどうを見ているかもしれませんが、政令内容はそうなっておるわけですね。これは十七条の一項ですが、そういう客観的なデータに基づいて、百十九の路線のうち、つかみでもいいですよ。六十本はこうだ、あとはこうだ、病院なら、この病院の何%は公共性がある、あとは、医者の給料が高いから採算がとれないのだ、あるいは患者の数が少ないから採算がとれないのだ、いろいろな問題があると思うのですよ。それを完全に裏づけとしてこの委員会で説明をして、これは俗に言えば公共率何%、だからこれだけ補助します、これはゼロだから、ともかく再建計画を通してとことんまで締めつけます、これならば、私は各六千幾らの公共企業体の、赤字を申請している団体は、全部じゃありませんけれども、納得をして、これは自治省のおっしゃるとおりやっていくと思うのです。そういうことじゃなく、質問している私と同じように、ばく然と、公共性と独算性の理念は矛盾するから調和をとりながら指導いたします、というようなことでは——大体そんなことはお釈迦さんにもできないことなんだ。その点を、もうちょっと局長さんの専門家らしい御答弁をひとつ聞かしてください。
  99. 細郷道一

    細郷政府委員 私は企業経営の経験はございませんけれども民間企業経験者に聞きましても、採算と不採算の限界というのはなかなか数字的に出ないようでございます。あるところまではいきましても、それからあと企業努力とか経営努力とか、あるいは時の情勢とか、いろいろな外的な要素が加わっておるように聞いております。公営企業におきましても、多少、先ほど来申し上げました基本の性格は違うといたしましても、やはりそういった問題をかかえていると思います。逆に言うならば、民間の場合より以上にむずかしい問題をかかえているのではないだろうか、こういう気持ちがいたしております。したがいまして、私どもも公営企業の長い将来を考えますときには、いま御指摘のありましたようなことにつきましても、基準というものを考えてみたいというような気持ちは持っておりますけれども、何ぶんにも、たとえば東京のバス事業一つをとりましても、いまおっしゃったように、幾つの路線があって幾つの路線が採算性があるといいましても、またその出し方自体にも問題があるわけでございます。したがいまして、これは私どもとしても将来にわたっての検討の題目と思いますが、さりとて現実の交通事業自体はどうかといえば、そのときそのときにおいて一つ一つ打つ手があるべきではなかろうかというふうな気がいたしますので、現在の段階では先ほど申し上げたような考え方の指導をいたしておる、こういうことでございます。
  100. 依田圭五

    依田委員 私まだ一年生のものですから、自治省の機構も作業内容もよくわからないのですが、結局、各六千幾らの公共企業体を窓口に呼んで、あるいは通達をもって指導いたします場合に、おまえのところの企業内容はこれこれだと企業診断をいたしまして、こういうような客観的なデータがある、こういうところから見ると、まだずいぶんその努力が足らないよ、これは監督官庁として締めつけますぞ、補助金もやりませんよ、起債も認めませんよ、また、負担区分でも、こんなものはもってのほかですよというようにして、あるいはまた、さらに一生懸命やっている団体が自治省に陳情に来る、そしてその経理内容を聞いたときに、あなたは努力しておるけれども、うちのほうでつかんでおる努力内容からいくと、たとえば百十九路線のうち、十本なら十本赤字から黒字にさした、しかし、うちのほうのデータからいくと、二十本が黒字になってよろしいはずだ、八十本まで認めましょう、あとはだめですよ、またさらに十本努力しなさいとかなんとか、大まかな基準か何かあってやっていると私たち納税者は実は信頼をしておるわけですよ。しかし、いまお聞きしますと、えらい人が何となく政令をつくって、そして大体この辺の目安でもってずっと全国的に指導しようじゃないか、あれだろう、これだろうという形でやっておるということになりますと、困った問題だと私は思うのです。  たとえば、例を二、三申し上げます。それは三多摩のほうへ団地ができまして、都の費用をかけて都の公園をつくって、多摩動物公園をつくったわけですね。その中でライオンをお客に見せておるわけです。その中で放し飼いのライオンを見せておるバスがあるのです。東京都の動物園の中に、三多摩ですよ、都費でもってつくった動物園の中を走らせるバス、これが都営バスと思って、子供を連れて行きましたら、これが京王のバス、私鉄のバスなんですね。なぜかといったら、調整法があるから、東京都に三多摩をやらせるわけにいかぬ、東京都は二十三区の中で、込んでいるところをやりなさい、外に出た場合には、都の施設であろうと何であろうと、走るものは全部都営では困る、これでもってライオンを見る人は全部京王か小田急のどちらかのバスに乗っておるわけです。  また、再建五カ年計画をやっておるわけなんですが、ずいぶん路線を撤去いたしております。たとえば金杉から八重洲までの路線を撤去するということになると——これは取ってもいいです、それは五カ年計画に基づきますから。ただ肝心のこちらの渋谷のほうから金杉に出る路線のお客が、その車がなくなったために、がたっと乗らなくなってしまうのですね。こま切れですから、連絡がないから——代替バスが入っているだろうというのですが、バスの停留所間の間隔が違いますから、これは全然コースが違うのですから、代替で全部吸収できるわけはないのです。それでその赤字がたいへんな金額でもって再建計画の中にはね返ってきておる。  時間がありませんから、一つ一つ聞きたいのですがまとめてお聞きいたします。あといろいろありますが、その二点だけでもお答えを願いたいと思います。
  101. 細郷道一

    細郷政府委員 多少私が基本的なことを申し上げ過ぎたのかもしれません。現実的なことになりますと、いまの段階におきましても、やはり経営者としては、一本一本の路線が、これは採算が合うであろうか合わないであろうか、かりに合わないとしても、これは路線をつけなければいけないであろうかという検討は十分いたしまして、そうしてそれを企業体全体として集めて全体の判断をする、こういうことであるわけであります。どうしても採算が合わないということの原因が、乗客数が非常に少ないのだというようなことになってまいりますと、その路線の存廃問題にまで及ぶことであろうと私は思うのでございます。したがいまして、現実にやってまいりますときには、いろいろおっしゃったようなこまかいデータを積み上げてやってまいるわけでございますが、最後の判断をいたしますときには、先ほど申し上げましたような包括的な判断がやはり必要ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  なお、ただいまの動物園云々の問題は、私も現実の問題を承知をいたしておりませんので、よく調べた上でまた御連絡申し上げます。
  102. 依田圭五

    依田委員 調べ直してもぼくの言うとおりなんです、動物園は。これは私は子供を連れて見にいってきたのですから。たとえば三多摩の青梅から荻窪まで一日六本の路線がある。八王子から新宿までの路線が一本あります。これは九千万円足らずの赤字になっておるのです。しかし、これは廃止するわけにいかないのですよ、地元の陳情もあり、いろいろの諸情勢からいって。こういうものをかかえ込んでおるということ。  それから、もう一つ負担区分の問題に一言だけ触れますが、これはぜひ政令を拡大をしてもらいたい。われわれのほうでは重要な要求になっております。たとえば苫小牧に一つの例があるのですが、スクールバスをやっておるわけなんです。このスクールバスは生徒が登校、下校のときに乗るだけで、あとはお客さんがないのです、いなかですから。苫小牧は御承知のように三十万都市をつくるということを前提にいたしまして非常に遠くに学校をつくったわけです。ですから、それを公営交通でもって何とか路線をやれ、公共企業体ではないか、こういうことでこれを現在やっておるわけなんですが、この赤字が非常にはね返ってまいりまして、苫小牧の市営交通の赤字の原因に相当寄与というか関係があるわけです。市議会でも問題になっている。こういうことを自治省にお願いいたしましても、これは政令の内容に書いてないのだから、そんなことはだめだ、こういうふうに一言でけられるわけです。この負担区分の問題は、十七条の二ですが、これはぜひひとつこの機会に何とか拡大をするように御努力を願いたい。そういう角度から局長の最後の御答弁をお聞きいたしまして、私は質問を終わりたいと思います。
  103. 細郷道一

    細郷政府委員 苫小牧の場合はよく実態を調べて考えたいと思います。
  104. 太田一夫

    ○太田委員 関連して……。
  105. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 太田君、簡単に願います。
  106. 太田一夫

    ○太田委員 それは、委員長、簡単にやりますけれども、大事な問題を、答え方がなっておらぬから、聞いておったって、こんなつまらぬこと半日やったって意味ないじゃありませんか。何ですか、この質疑応答は。細郷さんも簡単におっしゃればよろしい。たとえば公営企業のバスが動かないならば動くように通路を確保する、交通規制して優先通行をはかるようにしたいと思うといったって、将来の話じゃない。いつでもできる話を、なぜそんなのんきなことを言っておるか。そうしておいて、さあこの、バスはだめだから、赤字のところにおる者は、赤字というその条件に縛られて給与は低くあってしかるべきだ。一般会計からの繰り入れは認めない。どこにいま東京なら東京、大阪なら大阪の公営企業の電車なりバスなりの収益の低下という現象、これをまともに見て財政措置がしてありますか。あったらそれを一ぺん教えていただきたい。
  107. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、公営企業につきましては、負担区分の制度その他諸制度によりまして特殊性を維持しておる、こういうふうに私ども基本的に考えております。
  108. 太田一夫

    ○太田委員 だから細郷さん、それでは別のことばで聞きますよ。必要ある繰り入れならば、一般会計から幾らやってもよろしいですね。
  109. 細郷道一

    細郷政府委員 せっかく負担区分の制度を設けたのでございますので、それに基づいてやっていただきたい、かように思います。
  110. 太田一夫

    ○太田委員 歯に衣を着せないで、一般の人たちは、昨年は何とか少々の賃上げはできたけれども、今度はあなたは、赤字の企業に働いているのですから、まるでその辺の赤字会社に働いておる従業員のような考え方で、ことしの賃上げはできませんよ、それを言っているのでしょう。やってもいいのですか。
  111. 細郷道一

    細郷政府委員 公営企業の職員の給与につきましては、先生御承知のとおり、公営企業法にその基本があるわけでございます。したがいまして、それに準じてどれくらいにすべきであるかということを考えるべきものと考えております。
  112. 太田一夫

    ○太田委員 それは法律に書いてある意思のない、政策のないことばでしょう。政策という点から言うたら、ますます交通渋滞の中における企業赤字がだんだん進化する中における公営企業従業員に対する給与諸条件については、失望を与えない、並みの昇給をさせる、ベースアップを認めるという基本方針でその公営企業法の文字を解釈すべきじゃないか、そういう考え方でいいですか。
  113. 細郷道一

    細郷政府委員 私も別にこの法律を曲げて読もうとは思っておりません。したがいまして、具体的に申しますれば、現在の給与というものの水準が、一体その企業として、あそこに書かれております諸条件に適合しているかどうかということがまず第一に考えるべき問題である、こういうふうに思います。
  114. 太田一夫

    ○太田委員 それは法律を守る立場からはそれでよろしいよ。別に細郷さんのおっしゃることを、私はいかぬとは言わない。それは法律に書いてあることだ。政策としてそれを具体化して翻訳した場合には、具体的には東京でも横浜でも大阪でも神戸でも名古屋でも、赤字になっている公営企業従業員に対する賃金はどうあるべきかということを、あまりにも、あの公営企業法の文字を厳格に解すれば、上がらぬということでしょう、上がらぬというふうにあなたのほうは指導なさろうとしている。そうして一般会計の負担を少なからしめようと考えていらっしゃる。国家財政に負担がないように、労働者がしんぼうすることによって赤字をなるべく少なくしようとする御意図であるようにわれわれは仄聞する。それは間違ってますか。
  115. 細郷道一

    細郷政府委員 法律の考え方に基づいてそれぞれの企業で判断すべきこともあるわけでございます。ただ、私どもがいろいろとどうしたらいいかと言われて、他の団体の資料なり、あるいは民間のそういう資料などをお見せすることによって、この辺がいいのではなかろうかという相談ごとを、非公式にいたすことはございまするけれども、あくまでもその場合の考え方は、法律の考え方に基づいてやる、こういうふうに思っております。
  116. 太田一夫

    ○太田委員 そういう冷たいことを言っているだけで、細郷さん、それは最後の最後に言うことばで、日本の国家の存亡の危機に、あなたが今後の公営企業のあり方はどうあるのだというときに——やめちゃうつもりですか。運輸省の都市交通課長がいらっしゃるから、聞いてみたい。あなたのほうと両方で、あんなのじゃまだからやめるというのならやめるとおっしゃってください。そんな魅力のないところにおるということに対して、みんな非常な不安と失望を感じておるじゃありませんか。もっと公営企業本来の目的に目ざめて、勇躍して職場につくという、その勇気と魅力とを与えるということをなぜあなたはおっしゃらないのか。やめるならやめるとおっしゃってください。そのほうが早いじゃないですか。東京都は、もうそんな赤字のやつはやめるのだ、こういうことをはっきりおっしゃるなら、それはまた、ぼくはみんなとかわる職場を考えますよ。そうじゃないでしょう。公営企業というものは置かなければならぬのじゃないですか。どちらですか。健全な育成をはかるのか、それともはからないのか、これはどちらです。
  117. 細郷道一

    細郷政府委員 私は、やはり公営企業の将来にわたっての健全な発展をはかりたい、こういう気持ちでございます。
  118. 太田一夫

    ○太田委員 しからば東京都に例をとるが、だんだん動けなくなる、バス、だんだん乗らなくなる電車、全部が赤字であるところの企業、これをどうしていくか。将来の青写真を持っておりますか。
  119. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、電車も利用者が減ってきてうまくいかないというようなことから、さしあたってバスに転換をしていくという方向でやっておりますが、同時に、それだけでは輸送力あるいはスピードという点で問題がございますので、地下鉄も東京についてはもっと整備したい、こういうふうに思っております。  そこで、地下鉄につきましては、いまのままでは財政負担その他から見てなかなかやれない、こう思いますために、地下鉄について特別な財政援助と申しますか、そういう方式をつくりたいといって、いま一生懸命努力いたしております。
  120. 太田一夫

    ○太田委員 地下鉄の従業員は、その地下鉄がどんなに赤字でも、交通営団ないしは東武鉄道、東急、京浜電鉄等の従業員以上の待遇を保障するのですね。
  121. 細郷道一

    細郷政府委員 地下鉄に際して、その建設費に国なりあるいは関係の地方団体が応援をするということは、その事業自体を将来建設することによって、都民なり市民の生活に貢献をしていきたいということでございまして、そのことだけから、直ちに人件費の問題だけに結びつけて考えているというわけではございません。
  122. 太田一夫

    ○太田委員 私はこう思うのですよ。都営の地下鉄ができても、やはり線路あり、車両あり、駅あり、そうしてその運転あり、これは営団とちっとも変わりませんよ。変わっているのは何ですか。従業員に対する待遇が、自治省がとやかく申されるために、公営企業法を非常に厳格に解釈して、あまり上がらないという将来の暗い展望を従業員各位が持っておるということです。これは赤字にきまっておるじゃありませんか。いまのままなら、何年先になったら黒字になるのですか。見通しはあるのですか。たとえば五年しんぼうしなさい、公営企業の交通関係労働者よ、五年しんぼうしなさい、五年先になったら花咲く賃金を保障しますよ、こうあなたがおっしゃるなら、これは別で、皆さんに期待はしますよ。
  123. 細郷道一

    細郷政府委員 地下鉄の援助につきましては、私ども何とか実現をしたいというふうに思っております。ことしも予算の際に議論をいたしましたが、どうしても関係省との間で意見がまとまりませんで、そこで今度、交通関係閣僚協議会というところにおきまして、大都市交通の問題を幅広く取り上げようというふうにいま政府の中で決定をいたしております。そういう場面等を通じてもこの問題の推進に努力したい、こう思っております。
  124. 太田一夫

    ○太田委員 そのところはいいのです。そこまで大都市交通というものを幅広くお取り上げになるのはけっこうなことです。そういうところから、先ほどあなたもいみじくもおっしゃった、公営企業の大衆輸送交通機関の優先通行方式というものを確立したいとおっしゃった。打ち合わせできておりますか。
  125. 細郷道一

    細郷政府委員 打ち合わせ中でございます。
  126. 太田一夫

    ○太田委員 打ち合わせ中というのは、いつごろの見通しですか、話のできるのは。
  127. 細郷道一

    細郷政府委員 何ぶんにも、相手もございますし、いろいろな立場での論議もございますので、なかなか見通しについては、時期的にはっきりは申し上げかねます。
  128. 太田一夫

    ○太田委員 しからば、その打ち合わせをなさっていらっしゃる骨格について、たとえば電車は別として、自動車だけはこうするとか、どういう方向によって大衆輸送機関のいわゆるバスの優先通行を確保するという、そのマスタープランのマスタープランぐらいあるでしょう。素案の素案ぐらいあるでしょう。それをちょっとおっしゃってください。
  129. 細郷道一

    細郷政府委員 バスについてはやはり優先通行を何らかの方法で確保しなければならぬと私も考えております。それから、交通機関の充足自体につきましては、やはり地下鉄をもっと発達させることが必要であろう、こういうふうに思っておりまして、さしあたってその二点を私どもの当面の課題といたしておる、こういうことでございます。
  130. 太田一夫

    ○太田委員 運輸省当局にお尋ねしますが、そういうような総合的な大衆輸送交通機関の優先通行方式について、御相談を受けられたことがありますか。
  131. 菅川薫

    ○菅川説明員 いま自治省の局長からもお話しがございましたように、従来から政府内に臨時物価対策閣僚協議会というのがございますが、その事務的な形のものとして物価担当官会議というのがございまして、これは各省内に設けられておるわけですが、その中で都市交通全般の問題を再三にわたって協議いたしております。  お話しもございましたように、道路の改良の問題あるいは交通規制の問題等から、そういう大衆輸送の優先通行をはかるという方向で考えております。当面いろいろ、たとえば交通規制上の右折禁止の緩和等の措置は、これは警察当局でございますが、行なわれております。そういう方向をさらに推進すると同時に、もう少し抜本的な、大衆輸送機関以外のいろいろな車の乗り入れ規制を、これはいろいろと立法上の問題もございますので、それも含めまして今後さらに検討するということで、先月、臨時物価対策閣僚協議会でも、企画庁のほうから報告がございまして、その方向が了承されております。今後さらに方策を具体化するということで進んでおりまして、自治省その他各省庁間の打ち合わせもひんぱんに行なわれております。
  132. 太田一夫

    ○太田委員 それは課長としてその問題にタッチしていらっしゃるのですか。こういうことについて御議論なさるならば、それでは何かいままで、こういう点が問題点でございますと、少なくとも整理された、まとまった案というのはあるのですか。
  133. 菅川薫

    ○菅川説明員 物価担当官会議等を通じて議論した点は、企画庁のほうで資料等を整理いたしておりますが、いろいろ問題点として議論されている点といえば、これは一つは交通規制等の問題になろうかと思いますが、バスの優先通行等を確保していった場合、とにかくその他のいろいろな自家用関係にもそれなりのいろいろな交通目的あるいはその必要性というものもございますし、そういう規制をした場合、他の乗用車あるいは貨物等、そういうものの通行というものはどういうぐあいに確保するか、それは一般的な道路改良の問題にもなりましょうし、そういう諸般の点について従来議論を行なっております。
  134. 太田一夫

    ○太田委員 これはまた、聞いておれば、話があったようなないような、まとまっておるようなおらないような、熱があるようなないような、全くもってわからない。バスだけじゃないでしょう。大衆交通機関は都電もあるでしょう。都電もそういう優先通行の範疇に入っていますか。
  135. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生、大衆交通機関の確保の問題は都営交通の将来問題との関連で深く考えなければならぬというお話でございまして、まことにごもっともでございます。結局、問題は、東京都その他の公営交通の将来はどうあるべきかという問題に関連いたしまして、先ほど自治省側から申し上げましたように、路面電車の将来ということを考えますと、これは現在でもかなり大きな輸送力を持ち、大衆の足としての活躍をしておるわけでございますが、しかしながら長い目で見た場合には、これはやはりだんだんに他の交通機関に変わっていく趨勢にあるであろう。その場合に、そういう路面交通の主体をなすものといたしましては、やはりバスの整備ということでこれを処理していくよりしようがないだろう。しかしながら、さらに根本的にはこの大都市におきますところの路面交通のふくそうという点から考えますと、地下鉄等の整備によってこれを処理していかなければいかぬであろうということになるわけでございまして、この点は、一つには公営企業の経営の問題という観点と、さらに都内におけるところの輸送上の必要と都市機能の確保という観点から見たところの必要性という二つの面から、そういうような傾向になっていくであろうというふうに考えられるわけでございます。  そこで、その中の後者の地下鉄の問題につきましては、これは先ほどからも御議論がございましたように、これの緊急整備を急いでいるわけでございまして、現在でも東京におきましては、都市交通審議会を開きまして新たな路線網の決定など急いでいるわけでございますが、そういうような方向でこれをどんどん整備していく必要があるだろう。  それから、路面交通につきましては、路面電車は将来としてバスに転換をしていく。しかし、バスに転換しても、そのバス自身が動けないということでは、輸送上の問題としても、都内における補助的な交通機関の役割りを果たしていけないということになるであろうということになるわけでございまして、したがって、いま運輸省として考えております路面交通機関の確保の問題といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたが、バスの優先通行の確保、そのためには、たとえば一般の右折禁止をしておるような区域について、バスについては特別に右折禁止の制限を排除するというようなこと。それから、たとえば特定の路線につきまして、一般の自動車の制限をする。時間帯別に一定の車の乗り入れを制限をするというような、他の自動車の道路についての乗り入れの制限と、それからさらに、混雑をする地域におきまする、たとえば都心部の一定の区域の道路における一般自動車の駐車禁止の問題というようなこと。それから、その他鉄道の駅等への乗り入れの規制というような問題、いろいろな方法によりまして大衆交通機関を確保しなければならない。電車につきましても、当然路面内通行の禁止ということをできるだけ進めていくということによりまして、電車自体の通行も確保していくというような方向でやっていかなければならないわけでございまして、こうした各方向の問題につきまして、私ども運輸省並びに警察庁、自治省、経済企画庁その他等々、よりより事務的な相談を詰めておるというのが現状でございます。私どもといたしましては、何とかしてそういう基本的な線で輸送上の面におきましても支障のないようにしたいし、さらに、それによって公営企業の健全な維持というものにも役立たせたい、このように考えておるところでございます。
  136. 太田一夫

    ○太田委員 細郷さん、あなたのおっしゃった大衆交通機関の優先主義というのがだんだん目鼻がついてきて、本年度じゅうにその目鼻がほんとうについて具体化することを私は望みます。そうでなければ意味がないと思いますけれども、いままで自治省の考え方というのは、公営企業法というものを厳格に守って、そして地方公営企業理事者並びにその従業員をしぼる。いじめるというんですか、意地の悪いことばかりをおやりになったような罪深きことが多いんですね。こういう罪深き者は救われないというわけでありますから、この際、いさぎよく過去のやり方から脱して、大衆交通機関優先主義にまずほんとうに立ち返ることができるなら、バス、都電、市電等の公営企業従業員の前途はまことに花咲くバラ色時代が私は予見されると思う。それが両三年なんて長いことを言わないで、これはことしじゅうにめどをつければ黒字になりますよ。黒字になって、あなたも黒字になったか、それじゃじゃんじゃん給料を上げてもいいぞ、こういうことになると思うのです。いままで黒字のときには、適当によその一般行政職と同じに押えておいて、赤字になったらだめだめなんて、ちょっとまま子扱いし過ぎると思うのですね。そのようなことのないように私はお願いしたい。細田次官いかがですか。ことしの秋一ぱい、通常国会までには、大衆交通機関優先主義を目鼻をつけて実現する、こういう決意をお持ちでございましょうか。いかがですか。大臣にかわって御答弁をお願いいたします。
  137. 細田吉藏

    ○細田政府委員 私は年来大衆交通機関を大切にし、そうしてこれをむしろ育てていくという方向でなければ都市交通の問題は解決しない、長年そういう持論であります。いろいろ駐車禁止の問題あるいは部分的な交通制限の問題等については、先年実施いたしました。しかし、この程度では、東京、大阪、そういった大都市についてはまだ不十分である、かように存じておりますから、これは一日でも早いほうがよろしい、かように思っております。どうしてもこれはやらなければいかぬ、かように思っておりますので、秋からというようなことでなくて、これは警察庁のやり方の問題もあります。これは一般大衆からは相当文句が出てまいります。たとえばトラックを押えれば、これははね返って運送費が上がるから物価が上がるというような、いろいろな面からの反対がございますから、そんなことがなければすぐやっていけるでしょう。しかし、これは太田先生は専門家で十分御承知でございます。そういう事情がありましても、やはり大衆交通機関の優先確保というものはやらなければいかぬ、私はそう思っておりますので、できるだけ早く交通関係閣僚協議会で結論が得られて、一般の方々には多少迷惑はかかる。この迷惑は最小限度で効果があがるような方法を講ずべきだ、かように存じておりますので、私も一生懸命やります。
  138. 太田一夫

    ○太田委員 では最後に、これは次官、お話はわかるのですが、ひとつ夏過ぎたら秋までには実を結んでいただきたいと思う。そのためには運輸省、建設省、大蔵省、自治省、警察庁、それから総理府、経済企画庁等の関係閣僚の十分なる下打ち合わせが必要ですね。そうして、いまの交通関係閣僚協議会というような場もさることながら、いまの公営企業をどうするかという、その基本的な命題を中心とした具体案というものをすみやかにひとつ策定してほしいと思う。それは細郷さんの腕だと思うのだ。細郷さんの人相から見ればうそは言えないと思う。それだけに、言いたいことがあっても、条文だけをお読みになるからわれわれもわからない。われわれにわからなければ国民にわからない。これはたいへんだと思うのですね。地方財政計画を立てていっても、一応の財政計画であり、一応の交付税ではあっても、いま危機に瀕しておる地方公営企業の交通財政をほんとうに再建し、都民、市民の足を確保する、従業員の心配、労働条件の心配は解消するという確言がない限りは、われわれは心配でしょうがないので、すみやかにその関係閣僚の意見をまとめて御発表ありますように御期待します。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 関連して簡単にお尋ねしますが、先ほど来依田委員の質問、次に太田委員の質問に対してどうもはっきりしない。せんじ詰めて言いますと、細郷局長ことばは、現在の地方公営企業法というのがあるのだから、そのワク内でやる以外にない、これは官僚としてはしごく当然でありましょう。しかし、いままで議論してきたように、現在において都市交通というのはどうあるべきかというあるべき姿、交通規制の問題あるいは都市交通の建設の問題、そういうような問題についての結論というのはまだ出ておらない。ところが、その一端として地下鉄というものを増強せなければならぬということで予算を要求したけれども、残念ながら大蔵に切られた、実現をしておらない。明らかに地下鉄はつくればつくるほど損だ、五十億円もかかるわけでありますから、とてもそれは立っていきません。しかも現状において、依田委員の質問に非常に詳しくありましたが、公共団体がやっている事業でありますから、公共性というものと企業努力で解決すべき部分というものについて、かいもく見当がついてないわけですね。にもかかわらず、十七条というのを——そういう公共性というものが一体今日の赤字のどういう部分を占めておるのか、企業努力で解決されなければならぬ部分はどういう部分を占めているのか、そういう問題についてのマクロ的な解決すらもなされておらないのにかかわらず、言ってみますと、何もかにも未解決のままの現状において、地方公営企業法がございます、その十七条の一項にはこう書いてございます、二項にはこう書いてあります、十八条にはこう書いてあります、だからできないのです、こういう形で現在地方公営企業の再建を押しつけているわけでありますが、これでは、あなた方自体が非公式に言っておるように、現在の社会、経済の激変下における地方公営企業の法律そのものが現状に即しておらぬ、こう申さなければならぬわけであります。私は、端的に言って、いま言ったような公益性というもの、企業努力にまつべきものがどうあるべきかという、マクロの姿が具体的に描かれて、十七条の問題が具体的に解決する、都市交通はどうあるべきか、今後どういうふうにやっていくのだ、こういう問題が解決するまでは、現在の法律というのは、やはり公益事業でありますからがんじがらめの独算制という形で押しつけることはよろしくない、法律を改むべきだ、それが現状に即しているのだ、こういうふうに申さなければならぬと私は思うのですよ。政務次官いかがですか。現状を無視した地方公営企業の独算制を強行するところに問題がある。現状の解決の与えられないところで十七条の一般会計との負担区分を押しつけているところに問題があるわけでありますから、これを解決しなければならぬですよ。そう思うのですが、ひとつ政務次官なり財政局長、明確な答えをしていただかなければ、せっかく長時間かけて依田委員の質問したことは何にもなりませんよ。これをお答え願いたい。
  140. 細郷道一

    細郷政府委員 現在は公営企業法で御承知のように負担区分をきめております。私どもいま見るところでは、これは少なくともきめるべきことだ、こういう考えに立っておるわけであります。それから、公営企業法を全面的にとおっしゃる、これは将来にわたって公営企業法自体をどういうふうに持っていくか、大いに議論のあるところだと私も思っております。先ほど依田委員お答えをいたしましたように、多少長い目で見ての基本的な問題の所在は、私ども意識をいたしておるわけであります。しかしながら、それだからといって、現実の公営企業を、ではそれまでほっておいたらいいじゃないかというには、あまりにも問題があるのじゃなかろうか。そこで一歩一歩着実な道で行こうということでございまして、公営企業に公共性があることも承知をいたしておりますが、同時に、公営企業たるものはやはり独立採算というのは基本原則である。これは先般も参考人もそういうようなお考えを述べておられたわけであります。そういった考え方に立って現実の一つ一つの処理をしておるというのがいまの段階でございます。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この間の遠藤教授のことばの重大な前提条件を全部たな上げして、結論だけの独立採算制という形で遠藤教授のことばを引用するのはよろしくないですよ。あなたが主張しておる独算制と、遠藤教授の言っておる独算制というのは、条件がかなり違っておりますよ。  そこで、政務次官、私が申し上げたいのは、私どもは現状に幾多の解決しなければならぬ点があります。企業努力もいたさなければならぬのであります。しかし、それ以上の大きな社会、経済の激変という問題が都市交通におおいかぶさっておる現状においては、やはり独算制という形は、公共事業というものの優先するこの事業についてははずすべきだということで、地方公営企業法の法律を現状認識の上に立って改むべきだという提案を今回いたしておるわけですよ。次官、いままでの論議を通じますと、私どもの趣旨に御賛成いただくことになるんじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  142. 細田吉藏

    ○細田政府委員 私、公営企業のうちの交通問題だけについて申し上げてみたいと思います。  先ほど来いろいろな御意見がございまして、私申し上げたいこともあったのですが、まあ時間も時間ですから一般論はやめますけれども、いま日本の交通機関の中で何が一番困っておるか、これはもう申し上げるまでもなく大都市の問題、これは公営企業だけではございませんで、全部でございます。大都市内を走っておりますバスにしましても、あるいは東京都で言う営団地下鉄にいたしましても、昔は黒字を誇っておりました。国鉄でさえも、通勤電車の赤字はいま予想されておるわけであります。これは私ども長年交通に携わっておった立場から申し上げると、国の政策全体が交通にしわ寄せになっておるのだと思います。たとえば今度、三十六階のビルが立つ。これはもう通勤がふえるでしょう。しかし、通勤をどれだけ考えられて建てたか、私は問題だと思う。そういうようなものが交通全体にしわが寄っておる。したがって、これだけの人口の大都市集中でありますから、これは世界的にそういう傾向ですが、特に東京、大阪等についてはそういう傾向が強いわけです。ですから交通機関一般として非常な苦境に立っておるわけでございます。であればこそ、たとえば国有鉄道でも、ことしからは予算で利子補給をすることになりましたが、建設費その他についての政府出資が望ましいといっている。これは独立採算の例外でございますね。独立採算をするその基礎として、国鉄が金を借りてやるんじゃなくして、政府から出資してくれというんですね。  そこで私は、公営企業について考えますと、おっしゃるようにたいへんにたくさんの問題が一般的な交通機関の悩みとしてある、それからさらに、いろいろ付加されておる条件、いわば内包的といいましょうか、外側に問題があると同時に、中側にも問題がある。二つの問題がある。ですから、公営企業の中でも、いわゆる交通問題というのは特にむずかしい問題をかかえておると思います。したがって、先ほど来いろいろお話がございましたが、公益性と企業性の調和なんということは、私ども長年議論しておりますが、国鉄なんかについても議論しております。なかなかわからぬところもございますが、ただ独算制を一応いま立てておると申しましても、いろいろな条件がありまして、たとえばいま申しましたように、あるいは国鉄の場合出資に相当するようなものを考える、あるいは借金についてももっと長期で低利なものは何とかならないか、運賃はどうであるか、あるいは営業の範囲というものはこういうふうに限定されることがどうであるかといったようなものが全部関連をしております。したがいまして、たてまえとしては、私は独算制ということはいいと思いますが、その独算制をやらせるならやらせるようにしていく、こういうことが私は一番キーポイントじゃなかろうか。まあだんだん話すと長くなりますが、基本的には私そう考えておりまして、公営の交通機関につきましては非常に問題がございますので、これらの点につきまして、いろいろ私どものほうの省内でもやっておりますけれども、しかしこれは関係各省もございます。しかしこの問題にはさらにいろいろな角度から真剣に取り組まなければならぬ、公営企業法の改正の必要があるかどうかというような点につきましては、そうした立場から検討をしなければならぬ、かように私は考えておる次第でございます。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷委員 次官、きょうは非常に明快なお答えをいただいた。そこで私は、次官と同じような考えに立っております。やはり公営企業というからには、企業性というものはゼロなんだ、こんな考えには立っていない。条件が満たされるならこれはやはり独立採算でいくべきだ。しかし今日、残念ながら、条件というのが完全に満たされておらない、こういう状況にあります。そこで次官、太田委員も質問しておられましたが、あなたのところの省は、現状に即しないような、現状で条件がつくられておらないようなものを、地方公営企業法があるからという形で、これを超世間的にがんじがらめに適用しようといたしております。これは官僚の悪い癖でありますから、ひとつそういうことにならないように、現実を直視してやっていくように、次官のこれからの好指導を強く私は要請しておきたいと思うのです。
  144. 依田圭五

    依田委員 これで質問を終わります。
  145. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 山本弥之助君。   〔「一時半の約束じゃないか、だめだよ」と呼   ぶ者あり〕
  146. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 山本さん、一問だけ入ってください。   〔「約束だからだめだ」と呼ぶ者あり〕
  147. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 速記を始めて。  次回は、明五日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。    午後一時三十四分散会