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1968-03-26 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十六日(火曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 奥野 誠亮君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 和爾俊二郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    木野 晴夫君       辻  寛一君    永山 忠則君       藤田 義光君    河上 民雄君       三木 喜夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       沖本 泰幸君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁長官   佐久間 彊君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         建設省道路局道         路総務課長   川田 陽吉君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月二十六日  委員大野潔君及び谷口善太郎辞任につき、そ  の補欠として沖本泰幸君及び林百郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員沖本泰幸辞任につき、その補欠として大  野潔君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十三日  地方公営企業法の一部を改正する法律案(太田  一夫君外七名提出衆法第一五号) 同月二十二日  地方公務員定年制法制化反対に関する請願  (河上民雄紹介)(第二八三九号)  同(河野正紹介)(第二八四〇号)  同(北山愛郎紹介)(第二八四一号)  同(久保三郎紹介)(第二八四二号)  同(久保田鶴松紹介)(第二八四三号)  同(栗林三郎紹介)(第二八四四号)  同(黒田寿男紹介)(第二八四五号)  同(小林信一紹介)(第二八四六号)  同(小松幹紹介)(第二八四七号)  同(兒玉末男紹介)(第二八四八号)  同(河野密紹介)(第二八四九号)  同(佐々木更三君紹介)(第二八五〇号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第二八五一号)  同(佐野憲治紹介)(第二八五二号)  同(佐野進紹介)(第二八五三号)  同(阪上安太郎紹介)(第二八五四号)  同(柴田健治紹介)(第二八五五号)  同(美濃政市紹介)(第二八五六号)  同(八木一男紹介)(第二八五七号)  同(八木昇紹介)(第二八五八号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二八五九号)  同(安井吉典紹介)(第二八六〇号)  同(柳田秀一紹介)(第二八六一号)  同(山内広紹介)(第二八六二号)  同(山崎始男紹介)(第二八六三号)  同(山田耻目君紹介)(第二八六四号)  同(山中吾郎紹介)(第二八六五号)  同(山花秀雄紹介)(第二八六六号)  同(山本幸一紹介)(第二八六七号)  同(山本弥之助紹介)(第二八六八号)  同(山本政弘紹介)(第二八六九号)  同(阿部昭吾紹介)(第二八八九号)  同(岡本隆一紹介)(第二八九〇号)  同(木原津與志君紹介)(第二八九一号)  同(兒玉末男紹介)(第二八九二号)  同(淡谷悠藏君外一名紹介)(第二八九三号)  同外一件(戸叶里子紹介)(第二八九四号)  同(中井徳次郎紹介)(第二八九五号)  同(中谷鉄也紹介)(第二八九六号)  同(西風勲紹介)(第二八九七号)  同(野口忠夫紹介)(第二八九八号)  同(華山親義紹介)(第二八九九号)  同(浜田光人紹介)(第二九〇〇号)  同(原茂紹介)(第二九〇一号)  同外一件(平等文成紹介)(第二九〇二号)  同(村山喜一紹介)(第二九〇三号)  同(安井吉典紹介)(第二九〇四号)  同(小沢貞孝紹介)(第二九三七号)  同(斎藤実紹介)(第二九三八号)  同(芳賀貢紹介)(第二九三九号)  同(長谷川正三紹介)(第二九四〇号)  同(畑和紹介)(第二九四一号)  同(華山親義紹介)(第二九四二号)  同外二件(林百郎君紹介)(第二九四三号)  同(原茂紹介)(第二九四四号)  同(平岡忠次郎紹介)(第二九四五号)  同(平林剛紹介)(第二九四六号)  同(帆足計紹介)(第二九四七号)  同(穗積七郎紹介)(第二九四八号)  同(細谷治嘉紹介)(第二九四九号)  同(堀昌雄紹介)(第二九五〇号)  同(三木喜夫紹介)(第二九五一号)  同(武藤山治紹介)(第二九五二号)  同(村山喜一紹介)(第二九五三号)  同(森義視紹介)(第二九五四号)  同(八百板正紹介)(第二九五五号)  同(山本幸一紹介)(第二九五六号)  同(山本政弘紹介)(第二九五七号)  同(山本弥之助紹介)(第二九五八号)  同(吉田之久君紹介)(第二九五九号)  同(斉藤正男紹介)(第二九九九号)  社会保険等行政事務及び職員の地方自治体移管  に関する請願猪俣浩三紹介)(第二九〇五号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二九〇六号)  同(神田大作紹介)(第二九六二号)  地方公務員定年制反対等に関する請願佐藤  觀次郎紹介)(第二九〇七号)  同(穗積七郎紹介)(第二九〇八号)  同(玉置一徳紹介)(第二九六〇号)  同(永末英一紹介)(第二九六一号)  地方公務員定年制実現に関する請願渡辺肇  君紹介)(第二九六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 簡潔にお尋ねしますから、御答弁のほうもひとつ要点をついて簡潔にいただきたいと思います。  前回の委員会でお尋ねをいたした問題ですが、地方税法の三百五十条の改正、わざわざ自治省設置法まで改正する内容を含んでいるわけでありますが、これはどうでしょうか。先般の委員会で二十七団体状況について資料をお求めしておいたのですが、ございますか。
  4. 松島五郎

    松島政府委員 きょう資料を用意いたしまして、いまからお配りをいたします。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも、この固定資産税については、制限税率が二二%というのがあるわけですね。ですから税の税率がございますものに対して、わざわざ一・七%という線を引いて、そして自治大臣が指示をする必要は、私はないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  6. 松島五郎

    松島政府委員 一般的に申しますと、先生御指摘のとおりでございますが、特に一つの納税義務者が、たくさんの固定資産を持っておりますような場合に、税率を上げますことは、その納税義務者に対する影響が非常に大きいわけでございますので、そういった場合には、やはり慎重な配慮が必要であろうというふうな考え方から、こういう規定を設けようとするものでございます。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうでなくても、最近の風潮としまして、地方自治を尊重することとは逆に、中央統制が強まるのじゃないかという懸念があるわけです。そういうときに、わざわざ制限税率二・一というものがないのならともかく、ございます現在において、この三百五十条の改正は必要ない、かように私ども考えます。この点につきましては、ひとつ当局においても十分御検討いただきたいと思うのですが、この問題は、やりとりいたしましても、結論が出ないようでありますから、一応私たちの考え方だけここで主張しておきたいと存じます。  次に移ります。まだ通産省のほうがお見えでありませんから、木材引取税の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、いただきましたこの地方税に関する参考資料を見ますと、木材引取税伸びというのはたいへん悪いですね。私はこれをけげんに思うのですが、過般私どもいただきました林業白書拝見いたしますと、素材卸売り価格というのは非常な上昇なんですね。しかも、素材の生産というのはほぼ横ばいであります。ですから、少なくとも、木材卸売り物価上昇率くらい、木材引取税の税額は伸びていくのがしかるべきじゃないか、かように思うのですが、これがそごしているのは一体どういうわけです。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 木材引取税につきましては、御指摘のような問題が実はございまして、私どももこの収入増加について、いろいろ配慮、苦心をいたしておるわけでございますが、何分にも、木材引取税につきましては、把握の問題が非常にむずかしい点がございまして、大蔵当局におきましても、いろいろ努力をいたしておるようでございますが、その引取価格実態把握するということが非常にむずかしいところから、こういうような状態になっておるものというふうに考えておりますが、御指摘のような問題もございますので、私どもといたしましては、適正な課税について、今後とも努力していかなければならぬというふうに考えております。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昭和三十五年の指数が一三二ですね。そうして、昭和四十一年の指数が一七七であまりすから、この間ほとんど伸びていませんですね。ところが、その林業白書によるところの卸売り物価推移を見ますと、昭和三十五年を一〇〇とすれば、昭和四十一年は一五二になっているのですね。この指数伸びよりも、伸び方が落ちているじゃないですか。私はこれが問題だと思うのですね。このくらいまでは伸びていいのじゃないですか。本来、昭和三十五年を押えてみても、そのときの把握が実情に即しているかといえばそうではない。その上に、しかも卸売り物価指数推移すらいっていないということは問題じゃないでしょうか。
  10. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、非常に伸びが悪くて、私どももこれの取り扱いに苦慮いたしておるわけでございますが、何ぶんにも山村の市町村の税でございますので、徴税体制等についてもまだ十分でない点もあろうかと思いまして、今後ともこの徴税体制の確立に努力をいたしてまいりたいと思います。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次に、私は住民税のことを問題にしたいと思うのですが、この住民税につきまして、特に課税最低限を昨年の地方行政委員会附帯決議をつけました結果、本年約十万円ほど課税最低限が上がったわけであります。ところが、本年の所得税課税最低限は約八十一万円ですね。そうして住民税課税最低限は五十二万円、そういたしますと、三十万円ほどの開きはございませんが、二十八万からの差が依然として残っているわけです。しかも所得税におきましては、昭和四十五年に百万円まで課税最低限引き上げる、これは佐藤内閣公約であります。したがって、これは当然昭和四十四年、そして四十五年も引き上げられていくということは必至なわけです。しかるに、この住民税が依然として現在の状態にとどまるということになれば、かりにこれは勤労所得税の場合でも、はね返りがあったといたしましても、差は開くばかりだということになると思います。少なくとも所得税課税最低限標準世帯百万円にするという佐藤内閣公約があります以上は、住民税最低限についても、昭和四十五年においては一体幾らにするのかというくらいの見通しがあってしかるべきではないかと思うのですが、この点は自治省として、昭和四十五年の所得税との見合いにおいて、一体どうするつもりなのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  12. 松島五郎

    松島政府委員 住民税課税最低限所得税課税最低限との関係をどう考えるかという点は、なかなかむずかしい問題でございます。毎度申し上げまするように、住民税の場合は、所得税のような所得再分配というような機能を強く持っている税と異なりまして、地域社会の費用を広く住民に負担をしていただくという性格の税でございますので、所得税課税最低限が上がったから、それに付随して上がっていかなければならないという性格のものではないと考えます。しかしながら、所得税課税最低限を上げていかなければならないという社会的な背景を考えますと、やはり住民税についても、それ相応の配慮は加えていかなければならないものと考えております。ただ、所得税が、昭和四十五年に給与所得者についての課税最低限を百万円にするという場合に、住民税はどうあるべきかということになりますと、なかなか数字をもって一律にきめがたい問題がございます。かたがた承知のように、地方財政はその年々の事情によって非常に変動する要素が多いわけでございまして、一定の計画を持ってここまで上げるというようなことの目標を立てにくいという状態にございますから、目標はともかくといたしまして、私どもといたしましては、できるだけ適正な課税ということを念頭に置きながら、課税最低限の問題についても配慮をいたしてまいりたい、かように考えております。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 もう審議もだいぶ進められてきたわけですから、私はいろいろ考え方等をるるお述べいただくことを求めているわけではないのですね。少なくとも所得税において佐藤内閣としての公約というものが明示されている以上、住民税についても当然そのめどというものを考えるべきではないのかということであります。そこで、私はちょっと拝見をいたしたのでありますが、「町村自治旬報」というのが全国町村議会議長会から出ております。これを拝見いたしたのでありますが、自民党地方行政部長亀山さん、それから渡海さん、奥野さんがお出になられた。自治省側のほうからは、ここにおいでの松島さん、それから長野行政局長もお出になったようでありますが、そこで座談会をやっておられますね。その速記録ですが、それを拝見をいたしたのですが、自民党の有力な委員の方が次のようなことを言っておられる。「住民税課税最低限所得税課税最低限の六割ぐらいになっております。けれども私はやっぱり七割くらいにもっていきたいと常々考えております。」自民党の有力な方でも一応のこういうめどを持つべきだという主張をやっておるのですね。とすれば、野党側はもちろんそういう主張をいたしておるわけでありますから、私は、少なくとも自治省においても、このお話は松島さんも聞いておられたと思うのですね。とすれば、このくらいのめどについて一体どうなのか。どうでしょうか。
  14. 松島五郎

    松島政府委員 住民税の問題につきましては、課税最低限幾らにするかという問題、もとより重要な問題でございますが、同時に、市町村民税として考えました場合に、それが個々地方団体にどう影響するかという問題も、あわせて考えていかなければならないと思います。特に、市町村と一口に申しますけれども、この間からいろいろ御議論がございますように、最近の市町村実態というのは非常な開きが出てまいっております。特にいなかの町村におきましては、課税所得というものが平均して非常に低い状態になってきておりますので、この場合に課税最低限引き上げの与えます影響というものが非常に違うわけでございます。その結果、課税最低限引き上げによって納税義務者が非常に急激に町村あたりで減少してまいるということになりますと、市町村民税というものの性格からまた考えなければならぬ問題もいろいろと出てまいります。そういったことから、私どもといたしましても、抽象的に、あるいは一般的に申しますならば、課税最低限をできるだけ引き上げたいという気持ちを強く持っておりますけれども、それを市町村民税として町村までおろして考えました場合に、どの程度が適当かということにつきましては、今後の町村におきます所得増加状況というものもにらみ合わせながら、問題を考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも、与党有力議員の方もそういう主張をしておられる。野党はもちろん七割じゃ足りぬ、八割ぐらいまで引き上げるべきだ、こういう主張をいたしておるわけですね。与野党とも、ある程度この住民税がいまや非常に低所得層の方に重たい、これは軽減しなければならぬ、こういうことについては一致していると思うのですね。とすれば、私は当然自治省としても、このことについては慎重に考慮すべきじゃないのか、こう思います。  そこで、問題なのは、秋吉さんもおられますが、松島さんが言われるような貧弱町村事情も、もちろん私どもわかるわけです。ですからこそ、昭和四十三年度において七百億円の減税に伴う減収補てんをせぬことは、たいへんけしからぬじゃないかという議論があるわけですね。ことし、まさに悪例ですよ。いままで減収補てんというものはずっとやってきたわけなんですから、なぜことしはそれはせぬのだったのですか。
  16. 秋吉良雄

    秋吉説明員 大蔵省考え方といたしましては、地方税減税による減収財源措置というのは、本来地方税減税でございますから、それは地方税自然増収等をもって処理されるべきが筋合いであるという考え方を持っております。本年の地方財政計画から伺いますと、この七百数十億の減税をいたしましても、なおかつ地方税におきましては、自動車取得税の増もございますが、四千億の大台をこすような増税が期待できるというようなこともございまして、地方財政計画からいたしますと、相当の減税をいたしましても十分カバーできるというような状況でございます。したがいまして、地方税減税につきましては地方財源でまかなうという筋合いで、しかも本年は地方財政計画等によって十分それが見通しがつくということでございます。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 従来、本文に統一したときも減収補てんはしたでしょう。やってきたのが今日までの例なんですね。今回やらなかったのは、これは筋違いということになるのですよ。  そこで、さらに私は申し上げたいのですが、地方財政計画全般で見れば、確かに増税分もあるじゃないか、それでまかなえるじゃないかという話も一応できるかもしれません。しかし、問題は、税務局長も言っておるように、特に貧弱町村において、かりに住民税課税最低限引き上げた場合、そういう町村に大きな影響がある。そこが問題なのだということを言っておられるわけですね。ですから地方財政計画全体を見れば、確かに税の自然増収減税、一応いまお話しになったようなことは言えるでしょう。しかし、問題は、地方財政計画全体で市町村は何も財政運営をやっておるのじゃないのですから、個々の村へ行けば、個々の村の税収でもって、しかもまた交付税をもらって、そうして財政運営をやっておるわけでしょう。とすれば、地方財政計画全般でもって議論することは私は当を得ないと思うのですよ。だからこそ減収補てんというものが必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。
  18. 秋吉良雄

    秋吉説明員 個々地方団体地方財政需要をカバーするのは、これはまた別の方面から交付税の傾斜的な措置と配分というような問題で十分措置されることになっております。それから本年は、御承知のように国の財政におきましては実質減税ゼロというような状況でございます。そういった点から考えまして、本年の地方税減税がございましても、国の減収補てんをするという余力は全くないという事情もあわせ御賢察を願いたいと思います。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今回の例が全く異例であって、従来のよき慣例を破るものだということだけは、ひとつ秋吉さんも認めていただきたいと思うのですね、いままでの経過がそうなんですから。  時間もありませんから、大蔵省とのやりとりはやめておこうと思いますが、税務局長どうでしょうか。与党でも、この課税最低限引き上げるべきだ。めどについてはいろいろ議論があります。しかし、所得税課税最低限の七割ぐらいまでは持っていくべきだという意見もあるわけです。野党もちろんそれ以上の主張をいたしておるわけでありますが、この問題については、国会においてある程度の意思が表明されますならば、当局としては当然その実現のために努力をいただくということは、これはできるでしょう。
  20. 松島五郎

    松島政府委員 国会の御意思に従って私ども仕事をするわけでございますので、国会でそういう御意向が表明されますならば、できるだけ御趣旨に沿うよう努力をいたしてまいりたいと思います。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、この点はさらに与野党で御相談があると思いますから、一応住民税課税最低限については、以上でとどめておきます。  それから次に、中小企業者に対するところの減税の問題でありますが、所得税につきましては、青色申告者については完全給与制というものを昭和四十三年、本年度から実施をするということで税法改正が提案されておるようであります。そういたしますと、私は、地方税におきましても、いわば事業所得者住民税におきましても、当然こういった完全給与制というものがとられてしかるべきではないかと思うのでありますが、この事業専従者控除あり方について自治省としてはどうお考えですか。所得税の一年おくれというかっこうになっておりますから、少なくとも昭和四十四年においては、この事業専従者控除あり方については一体どのようにお考えになっておりますか。所得税との見合いにおいてひとつお答えをいただきたいと思います。
  22. 松島五郎

    松島政府委員 所得税において、青色申告者につきまして完全給与制を採用することになりましたので、地方税においてこれをどうするかという問題はたいへん大きな問題で、私どももいろいろ検討をいたしておる段階でございます。  この専従者控除というものの経緯から考えますと、これが現在では必要経費という扱いになっておりますけれども、その途中の経過におきましては、たとえば配偶者控除との差額控除をするというような制度があったりいたしまして、必ずしも必要経費という考え方で全部割り切られていたと考えられない面もございまして、一種の所得控除的な面も含んでおったように考えられます。そういった点から地方税におきましては別の控除限度額を設けてきたわけでございますが、所得税におきまして、完全給与制で、支払った給与については、それが適正なものである限り必要経費に算入するということになりましたので、私どもも従来の考え方を一歩前進させなければならない段階に来ているというふうには感じております。ただ、これを所得税並みにいたしますと、地方税収入に及ぼします影響もかなり大きいものがございます。また、かたがた承知のとおり、国の場合は所得税だけの問題でございますけれども地方税の場合には事業税住民税両方の税に共通する問題でございまして、事業税におきましては、御承知のとおり別に事業主控除という制度がございます。事業主控除というものの性格をどう考えるかということもなかなかむずかしい問題でございます。これは当初の沿革から申しますと、最初は免税点でございましたが、その後基礎控除になり、さらに事業主控除というふうに名称が変わってきております。こういうふうに名称が変わってきましたことのうちには、事業主勤労所得部分については課税しないという思想も一部含まれているものというふうに考えられるのでございます。もしもそういうものでございますと、専従者控除事業主控除との関係をどう考えるべきかというむずかしい問題がございます。事業専従者については支払った給与をそのまま考慮する。事業主については現在二十七万円でございますけれども、二十七万円でいいのかどうか。専従者のほうが事業主より多くなるような場合も完全給与制にいたしますと予想され得るわけでございますが、そういった場合に、事業主控除とは一体何だというような問題も出てまいります。したがいまして、私どもといたしましては、こういった問題を税の体系上説明し尽くし得るような結論を得ませんと、所得税がやったからといって簡単に乗っていけないという問題がございます。そういった点からいろいろと検討をいたしておりますが、何ぶんにも現在の段階では、昭和四十二年度の所得税専従者控除額と事業税の控除額は非常な開きがございます。私どもといたしましては、まず第一番目にその差を縮めていくことが、将来どう解決するにしても、必要なことではなかろうか、こういう観点から今回の専従者控除において大幅な引き上げを実施をすることとして御提案を申し上げているわけでございます。そういった点も一つのステップにいたしまして来年度以降の問題としてこの問題をできるだけ早く解決をいたしてまいりたいと考えております。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今年とりあえず控除額を引き上げた。しかし明年所得税完全給与制をとるということになれば、事業主控除専従者控除との関係を検討すべきではあるけれども、とにかく中小企業者に対しても減税の方向で努力をするんだ、こういうふうに了解してよろしいわけですね。
  24. 松島五郎

    松島政府委員 ただいまの段階で、明年度から専従者控除完全給与制地方税においてもするということを明言いたしかねる段階ではございますけれども、将来の方向としては、そういったことを念頭に置きながら努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、私は次官にお尋ねしたいと思うのですが、この給与所得者住民税課税最低限引き上げていくということ、それからまた、中小企業者の控除についてもやはり引き上げていかなければならない、所得税見合いにおきまして当然これはすべきだと思うのですね。  そこで問題になりますのは、先ほどから議論をいたしました減収補てんの問題、今回はたいへんな悪例だったのではないかという気持ちが私はするのですが、今後地方税減税をしていく場合に、必ずこのことは問題になると思うのですが、今後減税の方向をとるということに対する御見解、並びにこれの減収補てんに対する御見解をここで承っておきたいと思うのです。
  26. 細田吉藏

    ○細田政府委員 先ほどもお話が出ておりました課税最低限の問題につきましては、すでにしばしば本会議質疑でも、あるいは当委員会質疑等でも出ておることでございまして、私は、何らかの形で、ただいま税務局長もお答えいたしましたが、よりはっきり申しますと、めどをつけるべきだ、かように存じております。ただ、めどのつけ方は、所得税とは性格が違いますので、ずばり百万円というようなものになるかどうかというようなことは、これはまた考慮が要るのではないか。しかし、ただ成り行きでというだけではいけないのじゃないか、かように存じております。  それから、いまの専従者控除の問題につきましては、完全給与制というものはやはり一つの方向だと思います。ただ事業主控除との関係その他ございますから、先ほど税務局長がお答えをいたしましたような方向で、これはやはりわれわれにも当面課せられておる課題である、かように考えておりますので、慎重に検討いたしますが、方向といたしましては、お説のような方向ではなかろうか、かように思っております。  なお、減税いたします際の補てんの問題でございますが、たてまえとしては、これはもう補てんするというのがたてまえでなければならぬと私は思います。ただ、先ほど大蔵省の主計官からもお答えいたしましたが、やはり国の財政にいたしましても、地方財政にいたしましても、非常に流動いたします。そういう点から考えまして、これは絶対に減税幾らかやったから、直ちにそれは必ず補てんしなければならぬ、こういうのはやはりとるべきではない。原則はやはりそう考えるべきである、かように思っておりまして、年々の予算編成につきましては、中央、地方を通ずる財政状況を勘案しながらこれは考えていくべきである。しかし、原則は補てんを考えて、国のほうで考えてもらうべきだ、かように存じておる次第でございます。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも歯切れがあまりよくないように思うのです。少なくとも住民税についても一応の減税めどというものはつけるべきである。それから、中小企業者の面につきましても、完全給与制というふうにいくかどうかは別として、これもある程度の控除の引き上げというものは考えるべきであるということだろうと思いますが、少なくとも所得税において明確な金額を含めためどが出ている以上、地方税についても当然何らかのめどというものをつけていくべきではないだろうか、こう思います。この点につきましては、また与野党でお話もあるかと思いますから繰り返しませんけれども、少なくとも現在住民税の負担が非常に重たいということが世論になっております以上、当然そのめどというものを考えるべきであるということをこの際申し上げておきたいと存じます。  それから、次に県民税の問題ですが、いま所得税は十五段階の累進課税になっておりますね。それから市町村民税につきましては、これも十三段階の累進税率になっている。その中で県民税だけは二段階の比例税率になっている。これは所得税減税分を県民税の増徴に振りかえたという経過があったことは私も承知をいたしておりますが、いかにもおかしいと思うのですね。府県というものは、その性格からいって当然市町村と国との中間にあって、そうして自治体ではございますが、市町村ではやれないところの補完的な仕事をやっているということだと思います。だから本来、国が十五段階の累進税率市町村民税が十三段階の累進税率であるとするならば、県民税はその間をとって十四段階の累進税率にするのがあたりまえじゃないですか。なぜこれだけ全く性格の変わった二段階になっておるのか。私は理屈が通らぬと思うのです。昨年の本会議におきまして私が質問いたしましたら、当時の藤枝自治大臣が、県民税の累進の問題についても検討をしたいという御答弁があったように記憶をいたしておるのですが、これを手直しするおつもりはございますか、お尋ねをいたします。
  28. 松島五郎

    松島政府委員 住民税税率の刻み方をどうすべきかということにつきましては、いろいろ議論がございます。先ほども申し上げましたように、所得税住民税との性格の相違からして、むしろ住民税税率というのは累進性の低いものであるべきだという議論がございます。特に税制調査会あたりでは、むしろそういう意味から言えば、市町村民税税率を県民税のように非常に低い、フラットなものにすべきだという御意見もあるわけでございます。私ども所得税住民税との性格の相違ということを考えますと、住民税についてあまり大きな累進税率制度をとることが適当かどうかということは、確かに問題であろうというふうに考えております。しかしながら、それならなぜ市町村民税の累進税率をもう少し簡素にしないのかということでございますが、これにつきましてもいろいろ検討はいたしておるのでございますけれども、何ぶんにも現在の段階において税率をフラットにするということは、上の税率を下げるという、いわゆる減税による以外に方法がないわけでございますので、現段階におきましては、市町村収入の面からいっても非常に困難があるということで、実現を見ない段階にあるわけでございます。しかし、考え方としては、むしろ県民税の税率のような形に市町村民税税率をしていきたいというふうに私どもとしては考えております。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうもそれは賛成できませんね。いま所得税、県民税、市町村民税と三つあるうち、二つは累進税率なんですから、そちらへ県民税を持っていくのがあたりまえなんであって、何も比例税率のほうにほかのほうを持っていくというようなことは——これはもうそうでなくとも、二段階の比例税率にしたときには、高額所得者には減税、低額所得者には増税だという国民の批判を受けたでしょう。したがいまして、悪いほうに持っていくというようなことはすべきではない。少なくとも所得税が十五段階であり、市町村民税が十三段階であるならば、当然その間をとって十四段階にすべきである、私はこう思います。この点も一応私たちの考え方だけ申し上げておきたいと思います。  それから、次は自動車取得税関係をする問題でありますが、税法六百九十九条の十七を見ますと、特別な事情があるものについては県の条例で減免ができる、こういう規定がございます。これに身体障害者をお考えになっておりますか。
  30. 松島五郎

    松島政府委員 身体障害者に対します自動車取得税の減免の問題につきましては、いろいろ御意見がございまして、私ども検討いたしましたが、この税の性格から見まして、一般的に用途による非課税の規定を設けることは適当でないという判断で、税法上は特別の非課税の規定は設けておりませんが、具体的な取り扱いの問題といたしまして、御指摘のような問題は条例でもって措置をいたすというような指導をいたしたいと考えております。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点はやや明確なお答えをいただきましたので、ひとつ指導につきましては万全を期していただきたいと思います。  それから、この交付の基準につきまして、当委員会委員会審議の間に配分案についての基準を示すべきであるという要求があったわけでありますが、この配分案につきましての基準は本日お示しをいただけますか。
  32. 松島五郎

    松島政府委員 先ほどお配りいたしました資料の一ページの三でございますが、ただいま考えております基準といたしましては、幅員が二・五メートル未満の道路を除外する、この趣旨は、一応自動車取得税でございますので、自動車が通れます程度の道路以上を交付の対象にいたしたいということでございます。  それから、二番目といたしまして「市町村の面積又は道路面積に対する人口の割合等を基準とし、自動車交通の実態を反映するように補正係数を定めるものとする。」前回、市町村ごとの自動車の保有台数を基準にして配ってはどうかという依田委員からの御指摘がございましたが、市町村別に自動車の保有台数を正確に出しますことは非常な困難がございます。そこで、私どもといたしましては、最近調べておりますと、自動車の保有台数と人口とはほぼ比例関係にあるように見受けられますので、そういった実態を基礎にいたしまして、人口と道路との関係、あるいは市町村の面積との関係というものを基準にいたしまして配分をすれば、間接的には自動車の保有台数というようなものも反映をするのではないかというふうに考えておりまして、そういったことを基準にして配分をいたしたいと考えております。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次に、いただきました資料の「その二」に、中古車の積算の基礎がございますが、どうでしょうか、この免税点が十万円でありますが、二十万円にこれを引き上げた場合に、税収の見積もりにおいて一体何ぼくらい昭和四十三年度は動きますか。また、平年度におきましてはどのくらいの移動が出る見込みでありますか、その辺はおわかりですか。
  34. 松島五郎

    松島政府委員 ちょっと資料を調べますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、ほかのことを尋ねております間にひとつお調べをいただきたいと思います。  過般、釧路市におきまして工場誘致条例を廃止いたしましたことにからみまして裁判が行なわれたわけでありますが、私たちとすれば、当然、大企業を優遇するよりは、福祉行政なりあるいは公害対策を進めるべきである、したがって、現在、大企業を優遇するような工場誘致条例、固定資産税の減免であるとか不動産取得税の減免などというものは、これはすべきではない、むしろ工場立地に対して、いろいろ整備をし援助をしていくとするならば、それは自治体ではなくて国がすべきであるということをかねがね主張してまいったわけであります。今回釧路市の事件に対しまして下されました裁判所の判決というものを、私どもはもろ手を上げて歓迎をいたすわけであります。ところが、この判決がございました際に、通産省の立地指導課長さんでありますとか自治省の行政課長さんでありますとかあるいは岡田参事官でありますとか、いろいろな方が談話を発表いたしております。それを拝見いたしますと、通産省の立地指導課長さんは、工場誘致条例があるほうにやはり工場がいくのではないか。したがって今回の判決について法律的な問題はとやかく言うつもりはないけれども、全国的にこのような傾向が広がると、産業行政を進める上では問題がある、こういうことを言われているわけであります。ところが、一方、自治省の岡田参事官の談話というのが出ておりまして、自治省としてはかねて自治体が進出工場に奨励金や助成金を交付することは好ましくないと考えており、今回の判決はこのような制度をやめる刺激剤となる意味で歓迎できる、こういう趣旨の談話を出しておられます。まことにけっこうだと思うのであります。ところが、一方、自治省の林行政課長さんは、岡田さんがせっかくそういういい談話を出しておられますのに対しまして、条例を改廃してこれを打ち切ることは混乱を起こす。したがって経過措置については慎重にやるべきであるというような、言うならば通産省に肩入れするような談話を出しておられまして、自治省の中で見解が違っているようなことでは私は困ると思うのです。  そこで、お尋ねをしますが、自治省としては、岡田参事官の出しました談話のような趣旨のお考え方なのですか。それが一つと、それから、私は通産省のほうにお尋ねしたいのですが、こういうものはやはり国がやるべきであって、自治体にしわ寄せするというのは間違いだ、かように思います。この点に対する御見解は一体どうでしょうか、お尋ねをいたします。
  36. 松島五郎

    松島政府委員 自治省といたしましては、前々から、工場誘致につきましての税の軽減措置につきましては、特定の企業に税の優遇をするということは税負担の面から不均衡を来たすおそれもあり、あまり歓迎すべきことでないという態度をとってきたことは御承知のとおりであります。もし必要があれば、そういう税を減免するにかえて、やはり必要な施設をしていくというような積極的な面で、一般の住民も利益を得るような形で、協力をしてはどうかということを言ってまいったわけでございます。  いま御指摘にありました岡田参事官並びに林行政課長の談話の件でございますが、私も新聞を見て承知をした程度でございまして、どういう意図からの発言か詳しく承知いたしておりませんけれども、一般的には岡田君の言うとおりであろうと思います。ただ、こういうすでにあるものを廃止するというような場合には、それ相当の配慮をしながら、混乱を起こさないようにしていくべきであるということは、一般論として言えるわけでございまして、そういう意味でおそらく行政課長が言っているのだと思います。内容的にはそれほどの違いはないのではないかというふうに考えております。
  37. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 新聞を私も拝見しまして、通産省の課長の談話というのをここに見ましたが、若干新聞に出ていることは通産省の考え方と違うようなふうに出ているように見受けられます。この際その点を明らかにして御説明いたしたいと思います。  企業が立地する際におきましては、何と申しましてもまずそこの自然条件、あるいは立地条件と申しますか、たとえば港湾の条件あるいは輸送条件あるいは労働条件あるいは工業用水、そういうような立地条件をまず基本的に考えて立地するわけでございまして、企業誘致条例に基づく諸般の恩典措置というものは、その際いわば付加的に考えられる要件でございまして、これが絶対的な条件ではない。やはり基本的には立地条件が基礎になって立地を決定することになるわけでございます。しかしながら、そういうような立地条件のみ、経済的要素だけでやっておったのでは、地域開発ができないわけでございまして、通産省は、予算あるいは財政投融資その他を通じましていろいろな施策を講じておりまして、それによりまして企業の自然条件のみによらないで、地域開発の点も考えて指導しているわけでございます。そういうような状況でございまして、御指摘のように基本的には国の諸施策によって企業を諸地域に分散するというのが本来の方向であると考えております。  ただ、本件につきまして問題なのは、金額がどうということではなくて、これによりまして不安定な条件、ある場合には恩典がある、ある場合にはないというような不安定な条件でありますと、国の諸施策によりまして企業を誘致するようにいろいろ努力していることが、場合によって非常に困難となるという点が生ずるのではないか。その点を心配しておるわけでございまして、これによって基本的に、このタイトルにありますように「産業行政に支障」がある、そういうようなことではないと思います。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の見解とすれば、岡田参事官が述べているような趣旨である。また、通産省としても、これによって産業行政に著しい問題があるという趣旨ではないという御答弁がありましたから、一応考え方はわかりました。やはり地方自治体がこのような財政的な負担をすることによって、一般住民の福祉行政というものがいわば軽視されるということはよくないことでありますので、今後ともこの点につきましては、自治省としても十分な御指導をしていただきますように、これはお願いをいたしておきます。  そこで、また前の問題に戻りますが、自動車取得税について免税点十万円を二十万円あるいは十五万円というふうに引き上げた場合の税収の移動は一体どのくらいでありますか、おわかりですか。
  39. 松島五郎

    松島政府委員 一応二十万円に引き上げました場合の試算をしてございますが、二十三億程度でございます。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、率からいくと何%くらいですか。三百数十億だったと思いますから……。
  41. 松島五郎

    松島政府委員 これは平年度計算でいたしておりますので、五百億ばかりに対しましての二十億でありますから、四%程度になります。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 十五万円あるいは三十万円というものに対する試算はございますか。
  43. 松島五郎

    松島政府委員 ございません。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 二十万円については試算をしたということは、この程度まで引き上げてもよろしいという、一応の自治省考え方があったから、一応二十万円について計算をしたということですか。
  45. 松島五郎

    松島政府委員 二十万円に引き上げてもいいという意図は全然ございません。よく問題になりますことは、十万円が低いから二十万円くらいはどうだという御意見がちょいちょいといままでございましたものですから、かりにその線を計算してみただけでございまして、これを二十万円にするために計算したものではございません。
  46. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、これにつきましては二十万円について本年度は二十三億よりさらに下回るのじゃないかと思いますが、その金額、それから平年度にいたしました場合、二十三億ということでありますから五%弱ということだと思いますが、これはひとつ資料として皆さんに御提示をいただきたいと思うのです。  それから、二十万円以外の試算はないというのはたいへん残念なんでありますが、しかし、どうでしょうか、そんなにめんどうな計算ではないと思いますので、若干の時間があれば一応計算できるんじゃないですか。
  47. 松島五郎

    松島政府委員 二十万円にいたしました場合の初年度分の計算はすぐできますけれども、そのほかの場合をいろいろ想定をいたしまして計算いたしますことは、このお手元に差し上げました図をごらんいただきましてもおわかりいただけますように、二枚目の表でございますが、この免税点の欄が、上げますと右側から左側へ移ってまいります。移ってまいりますと、それによって平均単価という線もまた左側に移ってくる。それに応じまして課税台数も変わってまいります。この曲線に基づきまして平均台数を出しますのには、これは私ども数学の知識はあまりございませんが、対数の計算でもって出しますものですから非常な手数がかかりまして、それも自動車一種類ではございませんで、乗用車でございますとかトラックでございますとか小型車でありますとか、それぞれの種類別にこの計算をいたして積算をしていくわけでございますので、その金額がいろいろ変わってまいりまして、すぐにというわけにはなかなかいきませんので、少なくとも、全種類についてそういう計算をするとなると、最小限一日以上は必要かと存じます。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一日かかるなら一日かけても計算をして、ひとつ提示してください。  それから、二十万円に引き上げた場合の初年度分の金額についても、ひとつ計算をして委員会に御提示をいただきますように、これは委員長のお計らいをお願いしておきます。  ここで意見を申し上げておきたいと思うのですが、平年度で二十三億程度の減収ということであれば五%足らずですね。このくらいなら、私は当然免税点引き上げていただいても、そうそう税額全体に大きな移動があるわけじゃありませんから、せめて二十万円くらいまで免税点引き上げていただくように、これはお願いしたいと思うのです。せっかく自治省も二十万円に引き上げた場合の計算等もしておるわけでありますから、ある程度のお覚悟はしているんじゃないかと推察しますので、一応この点については私ども考え方をこの際申し上げておきたいと存じます。  それでは、最後に、大都市財政、それから国民健康保険税の問題について若干触れたいと思います。  最初に大都市財政でありますが、指定都市が、資料もいただきましたように、他の市町村と違って府県にかわる事務を扱っておる、しかもそれに対するところの財源というものが確保されていないということはやはり問題だと存じます。自治省として、この指定都市に対して与えられております事務に見合うところの財源補てんくらいは当然すべきである、こういうお考え方を持っておられるんじゃないかと思うのでありますが、過般の委員会で評論家的な意味での意見をいろいろ承ったのでございますが、そうではなしに、緊急当面するこの大都市財政の窮迫に対して、少なくとも指定都市に対してはどのような財源措置をしようとしておられるのか、この点ひとつ御意見をいただきたいと思うのです。
  49. 松島五郎

    松島政府委員 指定都市の財源問題につきましては、従来から指定都市がその区域内の国道、県道の管理をしておるというような点に着目をいたしまして、軽油引取税の配分等につきましてかなり傾斜的な補正率を定めまして、指定都市の財源の充実をはかるという方向でやってまいりました。また、これは増税につながるというおしかりはあるかも存じませんが、都市計画税の負担調整率につきましても、都市計画財源の充実の見地から、一般の固定資産税より高めて財源の充実をはかってまいり、また、今回提案をいたしております自動車取得税につきましても、何と申しましても自動車の取得件数は大都市を含む府県において多いわけでございますので、この税はその大きな部分が大都市に交付される、こういうような仕組みになると思われますので、そういった面を通じて指定都市の財源充実に努力をいたしてまいってきたわけであります。  なお、今後の問題といたしまして考えられる点は幾つかございますけれども、何と申しましても、具体的な税目をあげて論議をいたすということになりますと、それによって起こりますいろいろな影響考えてまいらなければなりませんので、これはもうしばらく検討させていただきたいと思います。
  50. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省のほうからいただきました資料によりますと、大都市の事務移譲にかかる財政需要、その他の土木費で四億五千二百万円、社会福祉費で十三億二千九百万円、保健衛生費で十一億二千万円、合計二十九億百万円、こういう数字でありますが、どうもこれだけの数字ではないような考えを私ども持つわけでありますが、それは別として、ここに出ております少なくとも二十九億の財政需要というものに見合う財源というものは、ただいまいろいろ御説明をいただきましたが、そういうものでこれだけの財政需要はほぼまかなっているという状態なんですか、これをまかなっていないという状態なんですか。
  51. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど申し上げましたことは、主として道路費、都市計画費の関係財源に属しますので、その財源をもって社会福祉費なり保健衛生費がまかなわれているというわけにはいかないと思いますけれども、この面につきましては、結局交付税を通じました財政需要全体の問題として処理をされているというふうに考えております。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも大都市が交付税をもらっているという状態は、これはだれが考えても正常な姿ではないと思うのですね。ですから、私は自治省財政局の資料によります二十九億、特に土木費を除きました十三億と十一億、二十四億程度のものが交付税でもって財政需要を見ておるという状態は、これはいかがかと思うわけです。この大都市財政の問題につきましては、わが党としてあらためて特例法を本国会に提案をいたしまして、御審議もいただきたいと思っておりますので、こまかい議論は避けますが、少なくともこの緊急差し迫った大都市財政、しかも事務移譲に基づきます財政需要について十分な財政措置すらなされていないということについては、きわめて遺憾であるということを申し上げておきたいと思います。  それから、これに関係をいたしまして、最近物価閣僚協議会というのが行なわれまして、都市交通対策報告というものをお出しになったということが新聞に出ております。これを拝見いたしますと、地下鉄への資金配分については道路目的財源である揮発油税などを地下鉄建設の資金として充てるべきだという趣旨のことがあり、この点について報告も触れておるようでありますが、自治省としては、揮発油税を地下鉄建設に対して、これは道路の構築と同じようなものなんだから、当然配分をすべきだ、こういう趣旨で今後とも対処されるというふうに理解してよろしいわけでございますか。
  53. 細郷道一

    細郷政府委員 例の物価対策閣僚協議会では、御承知のように、昨年の九月に、都市交通問題について広く検討するということになっておりまして、その後関係省の間で検討いたしましたが、なかなか問題が大きい、幅が広いということから、今回は問題点の指摘をして今後の検討にまとう、こういうことになったのでございますが、その間におきまして、地下鉄の問題も出てまいりました。その財源をどうするかというようなこともございましたけれども関係省の間で、地下鉄に対して、私どもが言っておりましたような負担金の制度を導入すべきかどうかということについて、必ずしも意見が一致を見ておりません。したがいまして、その財源をどうするかということも、そういう意味では政府部内でまだ統一をされておりません。自治省としましては、地下鉄については、かねてからの道路にかわるものという意味で負担金の制度を導入すべきであるという主張はなお続けてまいりたいと思っておりますが、その財源は揮発油税だというところまでまだ踏み切っておりません。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 道路に対して揮発油税の譲与税が現在ある。そういう中で、地下鉄の隧道を掘ります経費については、当然道路とみなして譲与税等で財源補てんをすべきだというふうに私ども考えるわけですが、自治省としては、その財源は当然充当すべきであるが、それを揮発油税の譲与という形にまで踏み切って考えていないというお話でありますが、政務次官、この点はどうでしょうか。少なくとも、現在当面する都市交通の問題等を考えますときに、相当思い切った財源の付与を考えるべきじゃないかと思うのですが、お考えをひとつお示しいただきたい。
  55. 細田吉藏

    ○細田政府委員 大都市の交通問題を解決するには、地下鉄網の整備は最大の問題だと思います。したがいまして、私は個人的にも地下鉄網の拡充ということをこれまでもずっとやってきたわけでございます。  そこで、問題になりますのは、何と申しましても、一キロ五十億、あるいはもっと高いところもあるわけでございますが、そういうばく大な金が要りますので、採算のベースへ乗せるということはよほど先のことになるわけでございます。したがいまして、一方では地下鉄網を拡充しなければならぬ。しかし、これを企業の負担にするということになりますと、これはやっていけない。運賃でもまかない切れる問題ではございません。そこで、何らかの形で、これを企業ベースでなく、補給というか財源を見つけていかなければ問題は解決しない。これはもうどなたもわかっており、天下の定説になっておると思います。  そこで問題は、ただいままでのところ、ぼつぼつそういう傾向になっておりますけれども、そういう点については、まだほんの入り口にいるというようなかっこうでございまして、特に公営の場合などは、起債をどんどんやっていくというようなかっこうになっているわけでございますが、これでは地下鉄は拡充できない、かように思います。ただ、揮発油税の関係ですが、これは何と申しましても道路のほうであるというところに少し問題が残されていると思います。ということは、揮発油関係の税金を納めるものの大宗は何と申しましても自動車でございますが、自動車は地下鉄を通らないわけでございますから、若干そこに問題がございますので、やはり揮発油税からというのは一つの御意見でございます。ということは、結局何かの形で地下鉄の建設費、トンネルを掘る費用を出さなければならぬのではないか、そこで道路の交通緩和とか、いろいろな点にも関係があるからということだと思います。したがいまして、一つの考え方ではございますけれども、いま細郷局長が言いましたように、当然これは揮発油税から持っていってしかるべきものだというところは、必ずしもはっきり結論は出ておらないと思います。したがいまして、揮発油税から持ってくるということも含めまして、この財源については根本的に考えていかなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 経済企画庁では当然揮発油税の譲与でもってまかなうべきだという主張をされた。ところが、建設省の反対でどうもそのことが一致を見なかったと報道されておるわけでありますが、自治省が経済企画庁が考えている考え方よりも後退しているというようなことでは私は残念だと思います。せっかく経済企画庁がそのような主張をいたしている状態でありますならば、自治省はこの大都市の交通問題、しかも地下鉄の財政状況については、政務次官もお触れになりましたが、そういうきわめて困難な状態でありますので、これはひとつ経済企画庁以上とは言いませんけれども、経済企画庁が考えているくらいの構想は当然持って対処すべきではないだろうかというふうに考えます。  最後に、私は国民健康保険税のことをお尋ねして終わりたいと思いますが、いろいろ資料をいただきましたけれども昭和四十三年度は一世帯当たりの負担額は一体どのくらいになる計算でしょうか。一世帯当たりの平均の負担額及び一人当たりの平均負担額がおわかりでしたら、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  57. 松島五郎

    松島政府委員 決算は四十一年度までしか出ておりませんが、四十一年度では納税義務者一人当たり八千六百九十一円、被保険者一人当たり二千三百六十円になっております。従来からの増加状況から申しますと、四十二年を中にはさんでの四十三年でございますから、大体納税義務者一人当たり一万円前後、被保険者一人当たり二千五百円くらいになるのじゃないかというふうに考えられます。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、伸び率は最近の傾向としては一年どのくらいですか。
  59. 松島五郎

    松島政府委員 大体一一%程度ではないかと思います。
  60. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 当委員会でも、この健康保険税が非常に高い——四十一年の決算で一世帯当たりが八千六百九十一円、一一%ずつ二年伸びて、昭和四十三年の見込みとしては一世帯約一万円と、非常に高額な負担になるわけですね。しかも、これを見ますと、年収二十万円から三十万円、それから三十万から四十万、四十万から五十万、こういった層が非常に大きい負担をしておるわけです。昭和四十一年の資料で見ますと、一世帯当たり八千六百九十一円という平均の負担をしております所得階層はどのくらいかということになりますと、大体三十万から四十万くらいの所得の方が平均の負担をしておる。これはもう非常に高額な負担ではないかと私は思うのです。当委員会でしばしば議論されましたように、これは住民税のように標準税率というものを設けて、そうしてそれで上がった税額と実際の支出、その差は交付税のような形で埋めていくということでなければ、もう一般住民の負担というものはどうにもならぬと思うのです。大体私の言いましたように、二十万から三十万、三十万から四十万、このくらいの年収の方が平均の負担をやっているという状況はそのとおりでしょう。
  61. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおりでございます。
  62. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、二十万から三十万くらいの年収しかない方が、昭和四十三年には一万円もの保険税を負担しなければならないということになれば、実に所得の二十分の一あるいは三十分の一という高額の税金を納める。こんな高率な税金は他にないと思うのですね。どうですか、次官。こういった過重な負担をすみやかに改善をすることは、もう緊急の要務じゃないでしょうか。お考え方があればひとつお聞かせいただきたいと思います。
  63. 細田吉藏

    ○細田政府委員 国保税が特に零細な所得階層にとりまして非常に重いものであり、また、だんだん重くなってまいってきておるということは、御指摘のとおりでございます。政府としては、医療保険の抜本的改正をいまいろいろ考えておるところでございますが、私ども住民の立場、国民の立場から考えまして、早晩この問題は解決しなければならないような立場にまいっておるのでなかろうか、かように存じます。ただ、保険税と称しましても、あくまでもいまは保険である、こういうたてまえをとっておるわけでございまして、ただいまのようなお説になりますると、保険というようなものをくずす根本的な問題に触れてまいるものでございますから、こういうことにつきましては、よほどの決心も要りまするし、また、いろいろな角度からこれは検討した上でないと、軽々にきめるというわけにはまいらぬと思います。ただ、いずれにいたしましても、非常に、零細な方々が過重な負担にたえ切れない、こういう点については、何らかの形で政府として対処していかなければならない、かように考える次第でございます。
  64. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 かつて佐藤総理大臣は、電気ガス税は悪税であるという名言をお吐きになったわけでありますが、私は、電気ガス税は悪税であるかもしれぬが、むしろこの国民健康保険税こそはまさに苛斂誅求、悪税中の悪税である、佐藤総理大臣も、気がつけばたぶんそういうふうに言われるんじゃないかと思います。  そこで、私は最後に意見を申し上げておきたいと思うのです。昭和四十三年度の地方財政計画は、国に四百五十億を貸したりいたしました。そうして地方財政は非常に好転をしたかのごとき印象を与えました。新聞の論調等もそういう面が非常に多いわけであります。しかし、現実は一体どうかといえば、過疎地域においては、国保税で、先ほど私が申し上げたように、年収二十万から三十万、あるいは三十万から四十万という低所得の階層の方が、一世帯一万円をこえるような高額な保険税を負担しなければならないという現実。また、大都市におきましては、交付税でもって息をつくというような、およそ大都市にふさわしからぬ財政状況も一面ではあるわけであります。しかも住民税はどうかといえば、所得税に比べまして非常に高額な、何と申しますか、課税最低限を比較してみれば、低所得まで無理に課税をしているというような現実もございます。そういう中で私は、決して昭和四十三年度の地方財政計画は国に四百五十億貸せるどころの騒ぎではない、地方財政が好転したかのごとき印象は全くない。特に秋吉さんに申し上げておきたいと思うのでありますが、そういう状況だということは大蔵当局も十分理解をいただきたいと思うのです。そうして、少なくともこの住民税課税最低限引き上げ、さらには、自動車取得税につきましても、十万円というような免税点ではなしに、これを少なくとももう少し引き上げていく。そしてまた、大都市財源についても考慮すべきであると思いますし、特に非常に重たい健康保険税の負担については、すみやかに軽減の方策をとっていただくことを特にお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  65. 吉川久衛

    吉川委員長 林百郎君。
  66. 林百郎

    ○林委員 最初に、地方財政計画の問題点を二、三お聞きして、それから法案の質疑に入りたいと思います。  御承知のとおり、国のほうでは総合予算主義をとりまして、公務員の給与についても五百億の予備費、それは全部いくか一部いくかは別として、そういう方法をとって補正予算は組まない、こういう方針である。人事院勧告が出た場合にどうするかということも、政府の答弁全体としては、補正予算を組ないで予備費の中でまかないたい、こういうことを言っているわけです。そうすると、そのことは、国の総合予算主義が地方財政計画のほうではどういうようになっているわけですか。もし人事院のベースアップの勧告があっても補正予算を国で組まないということになると、あらかじめ地方財政計画の中にそのことが考慮されておかなければならぬのですが、それはどうなっているのですか。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 地方財政計画の中では、本年度の今後年度内に追加需要として生ずるであろうと見込まれますものに対するものとして八百五十億を計上いたしております。
  68. 林百郎

    ○林委員 そうすると、八百五十億というと、万一公務員のベースアップ、たとえば人事院勧告など出てベースアップをした。補正予算を国のほうはかりに組まないとする。それが地方公務員のベースアップに充てるもの、それが充てられるその対象になるのだというように考えていいのですか。ちょうど国の財政の中における五百億の予備費と同じような性格のものだ、こう見ていいのですか。
  69. 細郷道一

    細郷政府委員 年度内今後追加需要として生じますものは、予想されます給与改定以外に、災害等の応急対策というものがございます。したがいまして、そういうものを含めまして八百五十億を計上しておるわけでございます。したがいまして、人事院勧告が出て、給与改定をどう政府として取り扱うか。地方の場合には、御承知のように国に準じて扱うわけでございますが、その点につきましては、実はまだわからないわけでございます。出ました時点において、適切な処置を考えなければならぬ、かように思っております。
  70. 林百郎

    ○林委員 国のほうで五百億組んでおるので、従来の経験値から言うと、五百億に相当するものは約七百五十億、一・五倍、これは常識としていわれているわけですね。そうすると、八百何億というと、災害の引き当てが百二、三十億しかないということになりますね。そうすると、もし災害などがある場合は、地方財政計画のほうからも補正予算を組まざるを得ない要因が出てくる。そういうことは考えられますか。
  71. 細郷道一

    細郷政府委員 実は従来も地方財政計画では、年度途中で補正と申しますか、財政計画の補正計画を実は組んでおりません。実行上実はいたしております。災害が起きましたような場合は、公共災害については、国は、従来の例で申しますと、予備費等をまず出すことによって国庫負担金を支出し、その裏負担としての部分については、地方債を地方負担の全額出すという処置をとっております。単独事業につきましても、発生いたしますと二年あるいは三年の期間に地方債によって処置する。そのほか災害が出ました場合に、たとえば税の減収が生ずる、あるいは応急対策の経費がかかるといったようなものにつきましては特別交付税をもって処置する、こういうようなやり方を従来も実はとってまいったわけであります。したがいまして、地方財政計画におきましては、従来のような場合に見られますように、一応補正的な財政計画を組む必要はいまの段階ではないんじゃないか、かように考えております。
  72. 林百郎

    ○林委員 私の聞いているのは、地方財政計画のほうを補正するということじゃなくて、中央が補正予算を組まなければならないような要因が地方財政の必要から出てくる場合があり得るか。たとえば、公務員のベースアップがどの程度になるか、あるいは災害がどの程度になるかわからない、そういうような地方財政計画の必要性から、中央が補正予算を組まなければならないような要因が在存しているかどうか、こういうことを聞いているわけです。
  73. 細郷道一

    細郷政府委員 私のほうから、国の補正予算を組むか組まないかを申し上げるのはちょっと筋違いと思いまするけれども、本年度の場合は、一応そういうような要因はないものというふうに考えております。
  74. 林百郎

    ○林委員 そう聞いておきます。もっとも、国でやらないと言うのをあなたのほうがやると言うわけにいかぬでしょうから。  その次は、財政の繰り延べの問題についてちょっとお聞きしたいのですけれども、これは御承知のとおり、昨年の九月五日の閣議で公共事業系統の経費を七%を目途として繰り延べろ、これはドルの防衛とかあるいは財政の緊縮というようなことから出てきているわけですけれども、財投のほうもそれをめどにして七%程度のものは繰り延べろ、こういう方針は中央としては出ているわけです。地方財政についても、このときの閣議を見ますと、全体の財政の占める比重が大きいことにかんがみて、国と同一の歩調のもとでその運営をはかる必要がある、こういうような方針が出ておりますが、これはどうなっておりますか。
  75. 細郷道一

    細郷政府委員 国が行ないましたと同じようなテンポで行なうといたしますと、国の公共事業の裏負担、それから地方の単独事業、公営企業等をくるめまして約九百億くらいにのぼる、こういうふうに数字的には見込まれたわけでございます。私どもとしては、それぞれの団体に対しまして、こういう国際環境にある際であるから、国のとっております態度を勘案して、自主的にこれを判断しなさいということにいたしております。
  76. 林百郎

    ○林委員 自主的にやりなさいということでやっていて、それで自治省としては繰り延べが大体どのように具体的に行なわれておるかということをどう掌握しておるか、説明していただきたい。
  77. 細郷道一

    細郷政府委員 自主的にやることを期待いたしましたので、実はその結果をトレースしておりません。ただ、国の場合と地方の場合と違いますことは、国の場合は、きめました予算の中からその一部を繰り延べるという措置をとって、ややその内容が具体的になるわけでございますが、地方団体の場合でございますと、御承知のように、年度途中におきまして補正予算を何度も組むわけでございますので、国の公共事業の繰り延べにかかる裏負担については繰り延べをすることは当然のことでございますけれども、単独事業その他につきましては、年間を通じて補正予算の組み方によってそれを実現するというような場合もございます。したがいまして、私どもとしては、当初から自発的な態度に期待するという考えのもとに、あとの調査をいたしておりません。
  78. 林百郎

    ○林委員 それはおかしい。中央政府が閣議できめて、それから、地方財政も規模が大きいから国と同一歩調をとることが必要だという閣議決定があるのに、自治省のほうは、それは自主的にまかしていてどうなっておるか知りません。それは私は、何も地方自治体の財政に中央が干渉しろとかなんとか言いませんけれども、何がどの程度に進行しているかということを掌握して、そして国会で説明できないようなことは、それはおかしいのではないですか。何もあなたのほうから、ここはおくれているからこうしろとか、あるいはここは進み過ぎているからこうしろということを言えというわけではないけれども、しかし、閣議決定して、国の方針としてそうやれと、そういうことがいい悪いは別として、出ているのに、自治省のほうは、知りません、国会で質問を受けても答弁できません、それでいいのですか。あるいは言えないことが何かあるのですか。
  79. 細郷道一

    細郷政府委員 御指摘になられるとおり、おかしいといえばおかしいわけでありましょうが、国のきめましたことは、地方団体に国に準じて自発的な態度をとるように要請をする、こういうことでございましたので、あくまでもその趣旨を実は尊重いたしたわけでございます。  それと、もう一つは、先ほども申し上げましたように、あとを調査をするといいましても、今後追加して補正を組もうかというのを押えた団体もかなりあるわけでございまして、そういったようなことから見まして、調査をいたしましてもなかなか的確なものが出てこない。計上する予定だったものをおくらしたというようなものも出てくるわけでございますから、繰り延べる以前に、その事業自体をおくらせるというようなこともあり得るわけでございまして、そういう意味合いから、今回は地方の自主的判断にすべてをまかせる、こういう態度に出たわけであります。
  80. 林百郎

    ○林委員 私のほうでちょっと説明しますが、大体こういう実情だというのです。財政支出の繰り延べが地方自治体にどのような影響を及ぼしているかというようなことですが、東京都では約百億くらいのものが繰り延べされている。千葉県で五十億、神奈川県で三十六億、東京都ではそのことのために住宅や下水道などの事業にかなり影響を及ぼしている。秋田県では国庫補助事業の八〇%が発注済みなのに、繰り延べということになったので非常に苦慮している。長野県では本年度公共事業費が八月現在で百四億九千七百万円であり、七月末の事業進行状況は、発注率三六%、施行率一六%、非常にテンポがおそい。これでまた繰り延べという状態がきているので、中小土木や建設業界のほうでは、これは小さい地方の建設業者だと思いますけれども、工事量の確保をめぐって非常に競争も激しくなっているし、倒産も出てきている。こういう非常な地域の住民の直接的な生活に及ぼす影響、あるいは中小の建設業者、あるいは各都道府県の財政のやりくりが非常に無理が起きてきているということが報告されているのですけれども自治省はそういうことを知らないのですか、私たちですらこういう材料があるのに。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 個別の県の事情は多少私どもも聞いておりますけれども、全国的にまとめるような調査はしなかったということは、先ほど申し上げたとおりでございます。  なお、個別の県と申しましても、公共事業を繰り延べられました部分につきましては、その裏負担は当然に繰り延べになるわけでございますから、九百億のうち二百五十億ほどが公共事業の裏負担として繰り延べになる、これは明らかなことでございます。私が特に強調いたしました点は、それ以外の単独事業や公営企業でやっておりますような事業の繰り延べについては自主的判断にまかしておる、こういうことでございます。
  82. 林百郎

    ○林委員 そうすると、四十二年度の予算で繰り延べて、それが四十三年度の地方財政計画にはどういうような影響をもたらすか。それから、四十三年度地方財政計画の中には、やはり繰り延べというような方針が貫かれるのかどうか、本年度財政計画との関係はどうなるのか、ちょっと説明してもらいたい。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度におきます繰り延べは、四十二年度計画の中の問題でございますので、四十三年度計画にそれを繰り延べ措置額として計上することはいたしておりません。  それから、四十三年度の財政計画につきましては、いまのところ繰り延べは考えておりません。
  84. 林百郎

    ○林委員 そうすると、四十二年度で繰り延べたものは四十三年度へいけばやってよろしい、四十二年度だけ繰り延べたんだ、しかし繰り延べをしなければならない財政事情というものは、ますます深刻になってきているわけですね。それでいいんですか。
  85. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度の繰り延べのうち、地方団体ですでに予算に計上したものについて繰り延べをいたしますときには繰り越しという形で出てまいると思います。その際は当然のことながら財源措置を伴っておりますので、そのまま執行が四十三年度に繰り越される、こういうことであろうと思います。
  86. 林百郎

    ○林委員 だから、それはわかります。それは常識論でわかるのだが、それでは、繰り延べた、要するに財政を緊縮した財政の方向へ努力していく、だから今年度予算も約七%は繰り延べて財政を緊縮していこう、そういう方針を立てた。ところが、それはドルの防衛だとか、あるいはいわゆる財政の硬直とか、総合予算主義とか、そういうことを必要とする条件というものはことしはなおぎびしいわけですから、昨年よりはずっと。そういう場合、四十二年度だけやったのだが、四十三年度はもう財政的な裏づけがあるのだから、好きなときやってよろしいですということで手放しているわけですか。
  87. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度の地方財政計画におきましても、単独事業につきましては、対前年伸び率を国の公共事業の伸び率と同じに一般的にはしております。ただ長期計画の要りますようなもの、たとえば道路でありますとか、あるいは下水でございますとか、港湾といったような住民の福祉に非常に深い関係のあるものにつきましては、これをいわば優先と申しますか、重点的に施行してもらおう、こういう意図のもとに、それらについては実は伸び率を高くいたしております。
  88. 林百郎

    ○林委員 それから、もう一つの問題で、地方計画の問題ですけれども、今年度は前年度に比べて増加は非常に低いように思いますけれども、私のほうの調査によりますと、昭和三十五年から毎年、前年度比二五%ずつ地方債の発行が伸びているわけですけれども、ことしの地方計画は前年度に比べて八・八%という数字が、私のほうの手持ちの数字には出ておりますが、そんなところですか。
  89. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度は六千六百九億でございます。四十三年度は六千七百七十三億でございますから、その間百六十四億の伸びでございます。ただ、昨年は公営企業の再建債といった特殊な事情のものがございましたので、そういったものを除きますと、昨年の六千百八十九億に対しまして、ことしは六千七百三十三億、五百四十四億の伸び、いま御指摘になりましたように八・八%の伸び、こういうことであります。
  90. 林百郎

    ○林委員 そこで、そのしわ寄せがどうなってきておるかということを調べているわけですけれども、この地方計画の中で対前年度で一番低いものは何ですか。たとえば災害復旧、公営住宅、一般単独事業、公営企業債、あるいは公共用地の買収、新産都市建設というような、かりにこのような項目で見て、対前年度比で地方計画で一番伸び率の低く押えているのはどこですか。
  91. 細郷道一

    細郷政府委員 一般会計債で申しますと、考え方は、補助事業につきましては、直轄事業も含めまして地方債の充当率を引き下げまして、その分を一般財源措置をする、こういうふうにいたしたわけでございます。額的に見てまいりますと、義務教育の施設整備事業が、昨年に比して、昨年の四百六億に対して三百三十二億で七十四億の減となっております。
  92. 林百郎

    ○林委員 災害復旧も減じておりませんか、地方計画としては。
  93. 細郷道一

    細郷政府委員 これは災害復旧事業の分量が低くなりましたために、数字の上で減が立っております。しかし、内容的には従来と考え方は変わっておりません。
  94. 林百郎

    ○林委員 ちょっとわからないのですけれども、しかしその災害の事業量が今年度は昨年度より小さくなる、昨年度は特に多かったという、そういう何かあなたのほうじゃ科学的な見通しがあるのですか。
  95. 細郷道一

    細郷政府委員 前年度分については、毎年当初見込みをいたしまして、年度途中に災害が、それを越えたものが起こりますれば、地方計画ではそれだけの裏負担の地方債を増額をいたすのが慣例になっております。過年度分については、すでに災害の規模がきまっておりますので、その分が来年度におきましては昨年度よりも小さく出ておる。そういうことから、その地方負担の裏打ちとなる地方債の額が小さくなっていく、こういうことでございます。
  96. 林百郎

    ○林委員 いずれにしても、災害復旧は減になっておる。それじゃ公共用地の買収計画ですね、これは空港とか万国博覧会等があるのですが、これは幾ら伸びになっていますか。
  97. 細郷道一

    細郷政府委員 一つは、この地方計画で言いますと、公共用地先行取得事業というところで、いまのようなものを消化するわけでございます。それにつきましては四十二年度の六十億に対しまして四十三年度は百三十億という伸びを示しております。
  98. 林百郎

    ○林委員 パーセントで言うと何%ですか。
  99. 細郷道一

    細郷政府委員 一一五%くらいになります。それから、あと空港でありますとか、万博でありますとかというものにつきましては、一般単独事業の中で処理をいたしております。それは昨年の二百六十五億に対して三十億の増、こういうことでございます。
  100. 林百郎

    ○林委員 新産都市建設の地方計画幾ら伸びになっていますか。
  101. 細郷道一

    細郷政府委員 新産都市の建設事業債は昨年の七十億に対しまして百五億、三十五億の伸び、こういうことになっております。
  102. 林百郎

    ○林委員 パーセントにすると五〇%ですね。
  103. 細郷道一

    細郷政府委員 さようでございます。
  104. 林百郎

    ○林委員 これはいずれまた詳しく聞きますけれども、そうすると、教育施設に対する地方債の伸び率、災害復旧に対するいろいろの説明がありましたけれども、むしろ非常に低く、あるいは減っておるというのに、公共用地の先行取得あるいは新産都市建設というのが非常に伸びているということは、この地方債全体の対前年度の伸び率を非常に低く押えている、そのしわ寄せがまた地域住民の教育だとか、住宅だとか、そういうところへ、あるいは公営企業等も非常に低く押えて、しかも起債の条件としたら、料金の引き上げ、合理化等が条件についていますけれども、そういろところへしわ寄せがくる、大きな事業、大きな資本家がそれにくっついている事業というようなものは地方計画伸び率が五〇%、一〇〇%というようなので、こうやっておいて、そして教育あるいは公営住宅あるいは災害復旧等の伸び率は非常に低く押えてきている。地方債の伸び率を低く押えたしわ寄せがそういうところにきている、こういうようにわれわれ見られるのですけれども、それはどうですか。
  105. 細郷道一

    細郷政府委員 せっかくのお話でございますけれども、実は私どもは全く反対の考え方を持っております。と申しますことは、先ほども申し上げましたように、財政計画におきましても、住民福祉に密接な関係のあるものについては、特に去年よりも——去年と申しますか、去年に対する伸び率を一般の事業よりも大きくして、重点的にそういうふうに使うように財政運営をするようにということを意図しております。地方計画におきましても、いま申し上げましたように、補助事業等について地方債の額を、伸びを減らしておりまするけれども、この分は交付税財政需要額に、織り込むことによって財源措置は完全にやっておるということから見ますと、別に住民福祉のほうへしわ寄せするようなことは全然考えていないわけであります。義務教育につきましても、減になります分は交付税において需要増を見ていく、こういうことによって市町村財政運営に支障を来たさないようにという考えでございまして、むしろ反対に新産都市等、あるいは先行取得等の起債をふやすことによって、地域住民の生活福祉がそれによって増大させられるような方向に起債を振り向けよう、こういう意図に立っておるわけでございます。
  106. 林百郎

    ○林委員 私は、地方計画の中であなたに聞いているわけですから、交付税まで広げていって、その分は交付税で見ますから、林さんの言うこととは反対ですなんて言われても、それはあなた土俵をかってに広げている話になっているわけです。現に自治省で新規要求した都市特別対策事業だとか交通安全対策事業の起債なんというのは削られているわけでしょう。それをあなた方よく実態を知っているはずじゃないですか。この点についてはこれ以上私は申しませんけれども、そして、一方では、万博だとか新国際空港だとか公共用地の取得だとか、新産都市建設だとか、こういう事業関係の起債は優先的に非常に率も高くしているということは、起債計画の中で明らかではないか。私はそう考えるわけです。この点はもうこれで、時間がありませんので、いずれまた詳しく聞きたいと思います。  そこで、本法案について、これももう十分聞かれておりますので、ごく大筋だけ聞いていきたいと思うのですけれども、非常に常識的なことを参考までに聞いておきたいのですが、所得税の四十一年度納税義務者は約千九百万人、こういう数字が出ておるわけですけれども住民税所得割りの納税義務者は、本法で底上げしたとして、所得税の四十一年度千九百万人に対してどのくらいになるのですか、納税義務者の数は。
  107. 松島五郎

    松島政府委員 昭和四十二年度の所得割りの納税義務者は二千四百六十三万人でございますが、今回減税によりまして従来のような増加をいたしませんので、大体二千四百万人前後であるというふうに考えております。
  108. 林百郎

    ○林委員 そうすると、所得税納税義務者住民税所得割りの納税義務者との差というものはやはり五百万人程度あるということですか。四十一年度に所得税納税義務者千九百万人という数字が私のほうにあるのですが、あなたの言う二千四百万人というと約五百万人……。
  109. 松島五郎

    松島政府委員 所得税納税義務者昭和四十一年度で千八百四十八万人でございまして、昭和四十二年ではいまちょっと数字を持っておりませんが、千九百万人程度だと思います。
  110. 林百郎

    ○林委員 そうしますと、結局所得税を納めなくていい人で住民税所得割りを納めなければならない人が約五百万人くらいいる、そこを聞いているのです。そう理解していいですか。
  111. 松島五郎

    松島政府委員 そういうことでございます。
  112. 林百郎

    ○林委員 大蔵省昭和四十二年度減税案の資料によりますと、標準世帯の年間基準生計費は約六十三万七千円、こういう数字が大蔵省のほうから出ておるわけなんですけれども、このたびの措置標準世帯の年間基準生計費を割っておる人たちにも地方税所得割りはくるのだ、こういうふうに理解していいですか。
  113. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございます。
  114. 林百郎

    ○林委員 生活保護を受けておる、教育扶助とか住宅扶助とか最低生活保障の実績見込みと比較して、さらに課税最低限度が私のほうの数字では約七万円という低い数字ですけれども、生活保護、教育扶助や住宅扶助やいろいろありますけれども、こういうのを全部もらった標準家族の実収実績見込みとこれと比較するとどうなるのですか。
  115. 松島五郎

    松島政府委員 生活保護のほうは、四十二年度の基準は、これは地域によって異なりますが、東京で夫婦子三人の場合をとりますと四十万二千六百二十五円になっております。今回の予算でさらにこれが若干引き上がることになると思いますので、四十三年度の基準はこれよりさらに若干上回ると思いますけれども、これに一応対応すると考えられます夫婦子三人の場合の住民税課税最低限は御承知のとおり五十三万二千円でございます。
  116. 林百郎

    ○林委員 そうすると、実際はことしはこの生活保護が上がりますから、生活保護を受けておる人にも、そういう生活保護を受ける基準の人よりも下回った人にも地方税所得割りがくるということはないと言っていいですか、そういうことはあり得るのですか。
  117. 松島五郎

    松島政府委員 いま申し上げましたように、生活保護の四十二年度の夫婦子三人の場合、東京をとりまして四十万二千円でありますから、これがかりに一割上がりましても四十四万円、二割上がりましても四十八万円でございまして、住民税のほうが五十三万円でございますから、生活保護を受けられる所得の方に課税されるということはありません。
  118. 林百郎

    ○林委員 生活保護を受ける基準の収入の人にもくるのかどうかということを聞いておるのです。それでは絶対ない、そう言っていいですか。
  119. 松島五郎

    松島政府委員 ないと思います。
  120. 林百郎

    ○林委員 それではそう聞いておきます。  そこで、本四十三年度の税収の実際上の増収分は幾らという数字になりますか。
  121. 松島五郎

    松島政府委員 実質上の増加という御趣旨がよくつかめませんが、昨年度の財政計画上、見積もりました税収見込み額に対しましては、四千六十二億円の増でございます。ただ、昨年度は、御承知のとおり、年度の途中で経済の上昇に伴いまして自然増収が相当ございましたので、実質上の収入は相当ふえておると思いますので、それとの差し引きでは三千億円程度の増収になるものと見込んでおります。
  122. 林百郎

    ○林委員 そうすると、地方税法改正措置によって減税される分はどのくらいですか、総金額で。
  123. 松島五郎

    松島政府委員 七百四十二億円の減税でございます。
  124. 林百郎

    ○林委員 そうすると、実際的な増税が約四千億、それでこれによって七百四十億減税になるというと、税負担の数字から言うと、昨年度より約三千三百億税負担が重くなる、こう見ていいですか。
  125. 松島五郎

    松島政府委員 税負担が重い軽いの問題は、収入と申しますか、所得との相対的な関係で、収入の面から申しますと、七百四十二億が減税になり、自然増収を見込みまして四千億の増収、こういうことになるわけでございます。
  126. 林百郎

    ○林委員 ですから、自然増が四千億で、この措置によって七百億近く減税されるといっても、税負担の総金額から言えば、自然増という形で三千三百億の税負担が昨年度よりは重くなる、総額ですよ。その質や色は私はあなたに聞いているわけじゃない。そう見ていいかどうか聞いているのです。
  127. 松島五郎

    松島政府委員 税収入の増は、七百四十二億の減税を含めまして、四千億の増収になる、こういう見込みでございます。
  128. 林百郎

    ○林委員 そうすると、昨年度と比べて負担の重くなるのは幾らですか。それを私は聞いているのです。
  129. 松島五郎

    松島政府委員 いま申しましたように、税収入として四千六十二億の増でございますから、絶対額としてはこれだけふえる、こういうことでございます。
  130. 林百郎

    ○林委員 その次に、三百五十条の問題ですけれども、これは私はどうしてもわからないのです。百分の一・七という基準をしいたのはどういうわけですか。
  131. 松島五郎

    松島政府委員 現在、標準税率が百分の一・四でございますので、大体二割増くらいのところで百分の一・七程度になりますので、過去におきましては、二割をこえて税率引き上げます場合には特別の手続があった事例もございますので、その辺を基準に置いたものでございます。
  132. 林百郎

    ○林委員 だから、二割というのは、どうして二割というのでやるのですか。もう少し何か科学的な根拠がなければ——こういう地方税法で規定されている地方自治体の課税の権能を自治大臣が制限するわけなんですから、それを大体ここらで押えたらいいだろうというのはどういうことなんですか。
  133. 松島五郎

    松島政府委員 大体と申し上げましたのは、一・四の二割増しでございますと、一・六八でございますので、それより上の一・七にいたしましたので大体と申し上げたわけでございますが、過去において上げましたような場合には、二割増をこえますような場合には、いろいろ調整規定があった前例もございますので、そこに基準を置いた、こういうことでございます。
  134. 林百郎

    ○林委員 それじゃ、どうしてその二割増で押えたらいいだろうという、その二割増はどうして出てくるのですか。
  135. 松島五郎

    松島政府委員 二割増というのがどこから出たかということでございますけれども、二割がいいか、二割五分がいいか、三割がいいかという絶対的な基準はございませんけれども、こういうものをきめます場合には、必ず事例等を参酌してきめるのが適当であろうということで、二割増ということを一応目標にしたわけでございます。   〔細谷委員「何のための制限税率だ」と呼ぶ〕
  136. 林百郎

    ○林委員 これはいま細谷委員の御発言にもあるように、制限税率があって、その中で地方自治体が条例によってしんしゃくできるものにワクをはめるのですからね。そういうことでしょう。そのワオをはめるのに大体二割、その二割の根拠もはっきりしないというのはどういうことですか。これは地方自治体に対する非常に大きな制限になるわけですよ。そういう重要な制限をやるのに、二割という根拠がどうもちっとも権威のある根拠ではないように思うのですが、もう少し説明してみてください。
  137. 松島五郎

    松島政府委員 税率を、特に一つの納税義務者が大きな固定資産税を納めます場合に、税率をきめまするにあたって慎重を期していただきたいという趣旨からの規定でございまして、何も二割が絶対であるということではございませんが、従来の例からいいまして、二割程度をこえるということになれば、やはりそこには慎重な手続が必要であろう、こういう判断でございます。
  138. 林百郎

    ○林委員 二割という考え方もあるし、一割という考え方もあるだろうし、標準税率はもうきまっているし、二・一も上は押えられているわけですよ。その中から二割というのは、何か地方財政計画からいってこうだとか、そういうようなものはないのですか。大体のめどで二割と押えれば何でいいのですか、何が合理的なんですか。
  139. 松島五郎

    松島政府委員 地方財政計画その他から特別にきめたものではございません。いま申し上げましたように、過去におきましても、二割をこえる増税をいたします場合には、それについてのいろいろな手続があった事例もございますので、それらを参考にいたしてきめたものでございます。
  140. 林百郎

    ○林委員 地方自治体が地方税法によって、一定のワクの中で、財政自主権、そういうものを操作しているわけでしょう。それをも一・七で押えて、そうして非常に特殊な場合以外は、もうそれ以上課税させない。まだ二・一というワクもあるわけですけれども、そういうことをするのに手続——二割上げる場合には、いままで法律できめた、あるいは議会の承認が必要だからやるということではおかしいのではないですか。地方財政計画全体からいってこうだ、本件に該当するような大固定資本というものはこうだ、これから計算してこうなって、これは地方財政計画にあるいは地方自治体の財政自主権に影響するようなことになりますから——そっちのほうからこなければ、いままで二割上げる場合にはこういう手続だった、今度も二割にしてそういう手続をとりますでは、話が逆じゃないですか。
  141. 松島五郎

    松島政府委員 財政計画からというような問題であるよりは、特殊な団体におきます特殊な税の課税のしかたについての運用の問題でございます。また、二割をこえたからといって、直ちにそれを制限するという趣旨のものではございません。一応私どもも御相談にあずかって適切な措置を講じていきたいという趣旨のものでございまして、一・七をこえれば全部押えてしまうという性質のものでもございません。運用の問題でございますので、大体二割をこえたというところを一つのめどにしたものでございます。
  142. 林百郎

    ○林委員 運用というならば、これは三百五十条があって、そうしてワクもきまっておって、地方自治体がその中で自分の財政需要に見合って自主的な運営をしていればいいので、運用の問題をどうして法律で規定して、ワクをはめて、そうして地方自治体の財政自主権を侵さなければならぬのですか。そんないいかげんなものなら、こんな法律をつくる必要もないじゃないですか。地方自治体の財政にまかせておけばいいでしょう。結局大きな資本を擁護することになる。そうして、そのことのために地方税法で規定されている地方財政の自主権を侵害することになるんじゃないですか。あなたの言うようなことだったら、何もこんな法律をわざわざつくる必要はないと思うのです。しかも、それを地方税の一部を減税するというようなことにからめてこういうことをする必要は何もないじゃないですか。
  143. 松島五郎

    松島政府委員 運用の問題だからやる必要はないという御指摘でございますが、私どもといたしましても、こういう規定を設けることが望ましいものとは考えておりませんけれども、従来の運用の実態からいたしまして、できるだけ税率を上げていきます場合に、慎重を期していただくことが適当であるという判断で、こういう規定を設けたいというものであります。
  144. 林百郎

    ○林委員 慎重を期するなら、これが好ましいか好ましくないかわからないけれども、行政指導でいいじゃありませんか。三百五十条がちゃんとあるでしょう。慎重を期するということは、法律をつくってワクをはめるということじゃないでしょう。  それじゃ、お聞きしますが、これに該当するような事例があって、どうしても法律で規制しなければならないような事例があったのですか、なかったのですか。あったとしたならば例を示してください。
  145. 松島五郎

    松島政府委員 どれがその事例に該当するかという問題については、なかなかむずかしい判断の問題でございますが、先ほどお手元にお配りをいたしましたような課税状況でございまして、そういう点からいたしまして、税率の決定についてはできるだけ慎重を期してもらうほうが適当ではないか、かような考え方でございます。
  146. 林百郎

    ○林委員 地方財政は、いま御承知のとおりいろいろ非常に困難な状況をかかえているし、その中で四苦八苦して中央の方針に寄り沿って何とかやっているという、非常に苦境な状態にあるわけですね。そういうときに、こういう弾力性を若干でも持っている機能を法律で規制するということは、ただでさえワクがはめられて、地方財政が苦しくなってきて、幾らかでも自主的な弾力性がほしいというときに、それに追い打ちをかけることになるんじゃありませんか。だから、私は、具体的にどこの市町村でどういうことがあって、だから慎重を期するためには法律でこうしなければならないんだという、そういう事例を説明してくださいと言うんです。そういう事例がどこにもないのに、法律でどうしてきめるのですか。あなた、こういう大きな固定資産を持っているものから何か言われて、取られちゃ困るからこれで押えてくれと言われて、そちらのほうのことを考えているのですか。それとも地方自治体のことを考えているのですか。具体的な事例を出してください。
  147. 松島五郎

    松島政府委員 大企業から言われてやっておるわけでもございません。私どもといたしましては、これでもって制限税率以下でみんな押えようということを考えているわけではございませんので、どういう税率をきめるにいたしましても、やはり全体を考えてやっていただくことが必要であるというふうに考えまして、自治大臣の指示ができるようにいたしたいということでございます。  具体的な事例ということでございますけれども、具体的な事例をどう判断するかという問題になりますと、いろいろまた意見もあることかと思いますが、一応先ほどお配りいたしました資料で、その市町村内の固定資産税が九割をこえているところもございまして、そこで超過税率を採用いたしますことによって、何千万という税負担のふえている納税者もあるわけでございます。そういうことになりますと、固定資産税運用の全体の面から申しまして、慎重を期していくことが必要ではないか、かように考えているものでございます。
  148. 林百郎

    ○林委員 固定資産税運用の全体の面というならば、そういう大きなところにかけちゃいけないということですか。大きな資本があって、そういう担税能力があるところから地方自治体が固定資産税をもらって、それから一般住民固定資産税を下げてやったらいいじゃないですか。何でそういう大きなところから、担税能力のあるところから取ることをわざわざ押えるのですか。  あなたは、別に百分の一・七で押えるつもりはないと言いますけれども、法律であるじゃないですか。自治大臣はなるべく百分の一・七で押えろ、それ以上こえる場合は特別な場合だということで、百分の一・七以上に上げちゃいけないということが、今度の改正の原則でしょう。固定資産税運用の全体から言うと、そういう大きな資本から、幾ら担税能力があっても、まとまったものを取ってはいけない、それは結局、そういう大きな固定資産を持っている大きな資本を擁護することになるのじゃないですか。もしそういうところがあったら、幸いだから、そういうところから——たとえば、発電の施設とかなんとかいうところは、あなたも御承知のとおり、そういう大きな固定資産があるために、川は荒れたり、土地はくずれたり、地域の住民はたいへんな被害を受けているというんですよ。そのために地方自治体はいろいろの支出をしなければいかぬわけですよ。そして、膨大な利益をあげているのだから、そういうところから固定資産税を取ってもいいじゃないですか。それも幾らでも取れというわけではない。地方税法でちゃんとワクもはまっているのだから、どう考えたって、これは、大きな固定資産を持っている独占資本というのですか、そういうものの擁護のためにやるというよりほか考えようがありませんけれども、あなたの言う、そういうところから固定資産税をあまり取ると、固定資産税運用の全般からいって慎重を欠くということはどういう意味ですか。
  149. 松島五郎

    松島政府委員 何度も申し上げますように、一つの納税義務者が、その市町村固定資産税の三分の二を、あるいは、場合によりましては九割をこえる固定資産税を納めているわけでございますから、いわば税率引き上げるという場合に、一番大きく影響を受けますのは、そういう固定資産の所有者であろうと思います。したがいまして、税負担の面から申しましても、そういう場合はやはり慎重な配慮のもとに行なうべきであろうというふうな考え方でございます。
  150. 林百郎

    ○林委員 そうすると、あなたのいま言う九割を、取っている例というのはどこで、その固定資産を持っているのはどういう会社ですか。
  151. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど資料でお配りしてございますが、九割をこえておりますところは、福島県の檜枝岐村、只見町、この町村固定資産税はいずれも電源開発株式会社の資産でございます。それから長野県の三岳村、王滝村、これは関西電力でございます。それから岐阜県の朝日村、宮川村、それから愛知県の富山村、これは中部電力であったと思います。それから和歌山県の北山村等でございます。
  152. 林百郎

    ○林委員 みんな電力会社じゃありませんか。それが何十億という年間の利益をあげている会社でしょう。私は長野県の出身だから、三岳だとかはよく知っておりますけれども、こんな山村の乏しい自治体としては、何の収入もない村に大きなダムがあるのだから、そういうところからもらって、その運用については、もし自治体にそういう大きな資本のひもがつくという場合は、行政的な指導をしていけばいい。そういう乏しい財源しか持っていない自治体が、年間何十億という利益をあげる電力会社から税金を取ることが何でいけないのですか。結局、あなた方のこの法律というのは、電力会社の固定資産税をできるだけまけてやる、あまり取らせないようにするということでこの改正をしたいというよりほかに考えようがないじゃありませんか。どうですか。
  153. 松島五郎

    松島政府委員 私どもがこの法律案を提案いたしております趣旨は、何度も御説明申し上げたとおりでございまして、ただいま電力会社の擁護というような気持ちは持っておりません。
  154. 林百郎

    ○林委員 電力会社の利益を別に考えているわけじゃないと言うが、いまあなたのあげた例はみんな電力会社じゃありませんか。これによって恩恵を受けるのは、いまあなたのあげた例でも、ほとんどみんな——中部電力、東北電力というような大電力会社ですよ。だから、口でどんな弁解をしょうが、事実はそうなんだと言うよりほか考えようはないと思います。  私は、この問題についてはまたいろいろ質問したいと思いますが、あとの時間が参りましたし、幾ら言っても何ですから、最後に、別にこれとは関係ないのですが、消防庁に、所信表明の質問になるわけですが、ごく簡単なことでお聞きします。  松山市の大可賀の門樋というところがあるのですけれども、ここに昭和工業の大きな石油タンクが四つばかりあるのですね。これは五万トンの原油タンクが四基あるわけです。昭和三十四年から三十六年の間に設置されている。このタンクの直径が約六十二、三メートルあるのに、住宅からこのタンクの距離が約二十五メートルないし二十八メートルしかない。これは法律的にいって、このタンクの設置が適法だといえますか、どうですか。丸善石油のタンクです。
  155. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 丸善石油のただいま御指摘のありました例につきましては、私ども事情を伺っております。それで、ただいま御指摘のありました距離の問題でございますが、これは消防関係法令の規定に適合した状態になっているということは申し上げかねると思っております。
  156. 林百郎

    ○林委員 消防法の十条の三と十二条で、タンクの直径に該当する距離だけ人家から離れていなければならないというのに、その直径の半分しかない。この辺は消防法の十条の三と十二条に違反している。  それからもう一つ防油堀ですが、これは危険物の規制に関する規則の二十二条にあるのですけれども、要するに大きなタンクの容量の五〇%、そして四つ並んでいますから、そのほかのタンクの容量の一〇%のものが一つの防油堀の容積として、そういう容積を持つ防油堀をつくらなければならないのが、そうなっておらない。この事実を知っていますか。
  157. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまお話の点は聞いておりません。  それから、なお先ほどの点でございますが、違法かどうかということにつきましては、なお断定するのにいろいろ問題があるように思っております。と申しますのは、松山市のほうで処分をいたしました当時の省令でございますが、その後改正をいたしておりますが、改正前の省令につきましては、解釈上疑義があったようでございますから、そういうような点を考えてみますと、はっきり違法といえるかどうかということにつきましては、なお問題があろうと思いますが、いずれにいたしましても、法令の趣旨からいたしまして、これは適法な措置ではない、かように考えております。
  158. 林百郎

    ○林委員 これはあなた方知っているはずですよ。防油堀の容量も基準に合っておらないわけですよ。ワクを一つずつやって、一つのタンクの一定量が入るような防油堀をワクでやっているだけで、全体の防油堀の容量というものは、大きなタンクの五〇%、ほかのそれぞれのタンクの一〇%の容積を持たなければならない。これは持ってないわけですよ。もし何なら、私もう一度あなたに質問しますから、調べてください。  そこで、あなたは適法とはいえないと言っていますけれども、適法といえない場合は、消防庁としてはどういう措置をとるのですか。どうなさるつもりですか。これはもし地震でもあって、新潟地震のようなことでもあったらたいへんですよ。五万トンの原油タンクが四つもあって、人家から二十五、六メートルしか離れていないというのでしょう。それで防油堀は一ぱい、いつでもあふれるような状態になっているということは、これはたいへんですよ。ここでときどきタンカーから原油タンクヘ油を移す最中に、タンクの油があふれたから火気は厳禁だといって、住民のかまどの火やたばこまで消しなさいという通告が二度もきているという地域の住民の話もあるわけです。この付近の魚は油くさくて食べられない、船だまりに魚を入れると、五分足らずして死んでしまう、子供たちは水疱や湿しんができている、こういう状態なんですよ。しかも消防庁は、これは適法でない——これは違法ですよ。違法だけれども、あなたがここではっきり言っちゃうと松山市も困るだろうと思って、だいぶ遠慮した話し方をしていますけれども、これは明らかに違法ですよ。そういう場合に消防庁としては何の手も打てないのですか。
  159. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生いま具体的にいろいろ例をおあげになりましたけれども、私ども詳しく聞いておりませんが、ただこの状態は、いずれにいたしましても保安上好ましい状態ではないと考えております。したがいまして、松山市のほうに対しまして、すみやかに是正するように、解決に努力するようにということは、従来も指導をいたしてきております。
  160. 林百郎

    ○林委員 指導をいたしたいと思うというのですか。
  161. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 指導をいたしております。
  162. 林百郎

    ○林委員 指導してその後改善されたのですか。いつごろからそういう指導をされて、そして、それが今日どういうふうになっているのですか。
  163. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは前からいろいろ話はあったようでございますが、私は、これはすみやかに解決しなければいかぬ事態だと思いましたので、現地の事情も、松山市あるいは県の地方課長を呼びましていろいろ聞いたわけでございますが、昨年の三月には消防庁の次長名をもちまして松山市長に、現状は保安上好ましくないので早期の解決に努力するようにということを通知も出したわけでございます。その後、ときどき状況の報告を求めているような次第でございます。
  164. 林百郎

    ○林委員 あなたがそういうふうにして、その結果がどうなったかと聞いているのですよ。依然として前どおりじゃないですかと聞いているのですよ。
  165. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 松山市の話では、この解決の方法といたしまして、関係の地域の住民の方々に、ほかにより適当なところがあるならそこに移転をしていただこう、そして、それについての十分な補償の措置は、会社のほうとよく御相談をすることにしょう、こういうようなことで、松山市あるいはまた市議会にも、そのための特別委員会ができて、いろいろ努力されておる、こういうことでございます。私どもといたしましては、これは現地の地方公共団体あるいは地方公共団体の議会がそういうことでせっかく努力をされておるものならば、その努力の結果を期待しよう、こういうような気持ちでおるわけでございます。
  166. 林百郎

    ○林委員 これまた、きょうはあれですから、その後の経過をひとつ説明願いたいのですが、ただ人家を移す話をしているというけれども、人家のあるところにタンクがきたのです。タンクがきてあぶないから、おまえのほうが移れという、そういう指導は、それこそ大きな資本の前には消防庁もどうにもならない、そういうのならそれでいいですよ。われわれもまた考えなければいかぬ、それほどのものなら。それで膨大な予算をとってやって、こんな危険な——タンカーからタンクヘいま原油を移しているけれども、漏れてしまったからあぶないから、たばこを吸わないでくれといって付近の住家へ言ってきたこともある。あとからできたタンクなんですよ。こんな横暴に対して消防庁が何もできないというなら、それはそれできょうのところは聞いておきます。この問題はまたあとでお尋ねしたいと思いますけれども考えなければいかぬ問題だと思いますが、私の質問はこれで終わります。
  167. 吉川久衛

  168. 三木喜夫

    三木(喜)委員 地方税法の一部を改正する法律案の提案の理由をいろいろ検討して読ましていただきました。なお、いままでの質問もいろいろつぶさに検討してみまして私思いますことは、この提案理由の中にもはっきりあげておられますように、「地方税につきましては、地方財政状況を考慮しつつ、極力負担の軽減合理化をはかってまいったのでありますが、」こういうことが書いてありますが、やはり負担の軽減ということが、地方の行財政の骨子でなければならぬと私は思うのです。そういうたてまえから、この考え方に私は賛意を表するわけです。しかし、ここにはきわめて抽象的に書いてありますので、どのように極力負担の軽減をはかられたか、また合理化をはかられたか、この二点について、どなたからでもけっこうですから御説明をいただきたい。
  169. 松島五郎

    松島政府委員 地方税につきましては、古い時代から申し上げるときりがないと思いますけれども、最近のことについて申し上げますと、昭和三十九年度、四十年度の二ヵ年度にわたりまして、従来から住民税課税方式には、御承知のとおり本文方式とただし書き方式との二つがございました。大部分の市町村はただし書き方式を採用しておりましたが、ただし書き方式は、御承知のとおり、その税率の刻み方におきましても、また税率の定め方におきましても、きわめて自由といえば自由な面がございまして、それがひいては地域間に負担の非常にアンバランスを生じていたということがございます。これをまず改善することが、当時住民税にとっては最大の問題であったわけでございまして、これを昭和三十九年度及び四十年度のニヵ年度にわたりまして改正をいたしまして、現在の形にいたしたわけでございます。その際に税率につきましても標準税率制度に改めまして、その税率の幅も五割増までにとどめるというように改正いたしたのが、最近におきます最も大きな改正でございます。  さらに昭和四十一年には課税最低限引き上げをいたしまして、各種控除をそれぞれ一万円ずつ引き上げまして、課税最低限にいたしまして夫婦子三人の給与所得者で約八万円の課税最低限引き上げを行ないました。  昭和四十二年度は、地方財政状況もいろいろ困難な面がございまして、特別の改正はいたしませんでしたが、住民税事業税を通じて、専従者控除につきまして、青色申告、白色申告ともに二万円ずつ引き上げるという改正を行なってまいりました。  昭和四十三年度の改正につきましては、御案内のとおり、住民税課税最低限を大幅に引き上げるという改正をいたそうとしているわけでございます。また、事業税の面につきましても、先ほどの山口先生の御質問にお答えいたしましたように、当初免税点という制度がございましたが、それを基礎控除に改めますとともに、その基礎控除の額を大幅に引き上げてまいりましたが、さらにその後事業主控除というふうに改めまして、これもほぼ毎年度引き上げをはかってきておりまして、現在二十七万円になっているわけでございます。  今年度はさらに事業主控除引き上げはいたしませんでしたが、専従者控除を大幅に先ほど申し上げましたように引き上げることにいたしまして、中小事業者の負担の軽減をはかろうという考え方を持っておるわけでございます。その他の税につきましても、それぞれそのときの状況に応じまして、地方財政事情の許す限り軽減につとめてきたつもりであります。
  170. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、いまおっしゃいましたようなことは、不敏ではありますけれども、私もその表に出ておりますいまみたような形は承知しておるつもりであります。  そこで、二つの要素がこの地方の税の問題、財源の問題につきまして相克しておると私は思うのです。一つは個人の負担をなるべく軽くしたい。これは冒頭申し上げました軽減ということになると思うのです。しかしながら、地方はまた逆に独立財源でも何でも財源がほしい、税金を多く取るとか、あるいは財源がほしいとか、こういうことを言っておるわけですね。しかし、いま私がお聞きしました要点に立ちますと、個人の負担が、客観的に物価の値上げもあるでしょうし、あるいはまた収入の増もあるでしょう。これと比較してみまして過重にならないようにすることが、軽減ということばになるのではないかと私は思うのです。したがって、いま言われましたことが、個人のそうした負担にどのように影響しておるかということをつぶさに検討していくことが、抽象的に言って軽減ということばになるのではないかと思うのです。その点をひとつお聞きしたいと思います。表面、税制の上で改正した点はわかります。しかし、市民あるいは住民にどのようにはね返ってきて軽減されたかという具体的な点をひとつお示しいただきたいと思います。
  171. 松島五郎

    松島政府委員 たいへんむずかしい御質問でございまして、御指摘のありましたように、地方税地方団体がその財政収入を得るために、住民に対して賦課する強制的負担でございますから、一方においては、財政収入の面からいえば、地方団体としてはいろいろな仕事もございますし、できるだけ多いほうがいいということでございます。一方、それが住民に課される負担であるという面から申しますと、納税者の側からいえば、できるだけ安からんことを望むわけでございまして、御指摘のとおり、この二つの一見相反する要請をどう調整していくかということが、言ってみれば地方税の今日までの歴史であったといってもいいかと思うのであります。  それで、先ほど申し上げましたような負担の軽減措置が、それでは具体的に一般住民生活にどういうふうに働いてきたかというお尋ねでございますが、これもなかなか一言で申し上げることはむずかしい点でございますが、たとえば、先ほど申し上げました住民税課税方式の統一というような問題について考えますと、これは地方の農村あるいは地方の都市等におきましては、税負担がかなり重いということがいわれておりまして、特に最近におきまして、経済の発展に伴いまして、住居の移転ということが比較的多くなってまいっております今日で、東京につとめておられた方が、いなかの支店に移られたとたんに住民税が非常に重くなるというような批判が非常に強かったわけでございますが、そういった問題につきましては、この課税方式の統一によって相当程度に解消されたのではないかというふうに考えております。  それからまた、今回提案をいたしております住民税改正につきましても、これも、どの程度軽くなるかということにつきましては、どの程度の所得の方がどの程度の負担軽減になるかという数字はもちろんございますけれども、そういう問題を除きまして、一般的に申しますならば、よく物価と減税ということで、物価の上がった程度は課税最低限引き上げるべきであるという御意見がございますが、そういう面から、一体物価の上昇率課税最低限との関係はどう考えるかという問題としてとらえますと、私どもの計算では、物価調整ということで課税最低限引き上げをすればどの程度減税をしなければならないかというと、百六十六億円程度と見込んでおります。  なお、こういう方式のもとに、御承知のとおり所得税住民税は累進税率を適用しておりますので、名目所得増加にまで累進税率がかかっていくことによって、所得増加以上に税負担の増加のほうが大またで大きくなっていくという点は調整をしなければならぬという考え方がございます。そういった面からの減税をするためにはどの程度の減税額が必要であるかという試算をいたしますと、これは約二百八億円程度の減税を必要とするということでございます。しかし、今回提案をいたしております住民税減税は、先ほども申し上げましたように、七百億円余にのぼるものでございますので、これらをいずれも上回っておりますので、少なくとも物価との関係だけを考えますならば、それによります負担の増加というものは十分避けて、実質的に減税という面にも相当程度配慮がされているものというふうに考えております。
  172. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私、非常にふしぎに思うことは、いままでの論議からずっと通しまして——あなたのことばじゃないですよ、国会でいろいろ論議されたことから類推いたしまして、非常にふしぎに思うことは、きょうもその話があったわけですが、国も実質減税ゼロである、そうした中で、税金のいわゆる財源が減った分については補てんすべきなりという意見があるわけですね。それに対して、いま答弁がありましたが、地方の税収の伸びが四千億円ある、したがって、財源補てんはすべきではない、しなくともよい、これは大蔵省の方がこれについて答弁なさったと思うのですね。大蔵省秋吉さん、そういう意見でしたね。それから、次官はこういうぐあいに答えておられる。たてまえとして補てんをするのがいいのではないか、しかしいますぐということは現実的ではない、こういうことなんです。それから、いま大臣が見えましたが、大臣は、この減税に伴うところの財源補てんというものは、地方税というものが景気、不景気を敏感に感ずるものであるから、したがって長期的な税制の上では重要な問題である、むずかしいが検討したい——私はこの大臣の答えが非常に気に入るのです。大蔵省から見えておる秋吉さんのお話では、現実にことしは四千億伸びておるからいいじゃないかという突っ放した言い方です。それから、次官は、たてまえとして補てんする、これもやや大臣のことばに近いと思うのですけれども、いますぐということは現実的にあらず、こういう答えだったと思う。この三つの答えを考えてみましたときに、四千億地方税伸びたということは、これはやはり住民の負担があるからこそ四千億の税収が伸びたのだということになるわけなんですね。四千億伸びたのに、これは物価も考え、七百四十二億円の減税で、十分に住民個々の負担は軽くなったのだ、いまこうお話しになるわけですけれども、それがどうも私は合点がいかない。四千億も税金がとれるのに、個々の負担が軽いはずはないと私は思うのです。そこにからくりがあると思います。なぜこういうことになるのか、それをひとつ説明していただきたいと思います。
  173. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど林先生にもお答え申し上げましたように、税負担の問題は、絶対額で申しますと、もちろん御指摘のようにふえるわけでございますけれども、その税を納められる方の所得水準そのものも上がってまいりますので、それとの相対的な関係において減税になっている、こういうことを申し上げているわけでございまして、税収入がふえます以上は、国民の皆さんが出されます額そのものは全体として多くなっていることは間違いございません。
  174. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、やはり減税は形だけであって、形の上で減税はしておるけれども、事実個々の負担はだんだん大きくなっておる。これは個人の収入がふえてくる、こういうところからそうなるのだ、こういうように解釈してよろしいですか。
  175. 松島五郎

    松島政府委員 国民の所得増加に対応いたしましては、税収は、相対的には、減税をすれば少なくなるわけでございますけれども、絶対額におきましてはふえてまいりますから、いずれにいたしましても、そういう相対的な関係の問題として申し上げているわけでございます。
  176. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、大蔵省のほうからお話が出たように、四千億税が伸びておるから財源補てんはしなくてもいいのだ、これはことし限りの話になるわけです。あるいは来年もそうなるかもしれぬ。次官の言われる、いますぐにということは、これは困るのだ。しかしながら、税の体系や、冒頭申し上げておりますように、各個人の負担を軽くしていくといいますか、極力負担の軽減をはかるというたてまえからいえば、それは負担の軽減にはなってないという解釈に私は立つわけなんです。景気の変動は、これは非常に重要な要素でありますから、大臣の言われるような立場でものごとを処理していかなければいけませんけれども、現実に、この冒頭に書いてあるところの、極力負担の軽減をはかる——これは極力軽減してないのですよ、四千億ふえておるのですから。これは地方財源としては、それは財源を見つける立場からいって、自治省としては地方に対してはいいと思うのです。しかし、このことばに対しては私は当てはまらぬじゃないかと思うのです。それでいいわけですか、その点もう一度聞いておきたい。
  177. 松島五郎

    松島政府委員 これは考え方の問題でございますけれども、先ほども申し上げますように、一〇の所得の方が一の税を納めるということであれば十分の一の負担でございますが、その方が一五になったときに一・一の税を納める、税額としては〇・一だけふえるわけでございますけれども、一五の所得に対する相対的関係からいえば、率は下がっているから負担の軽減である、こういうふうにいえるのではないか、そういう問題として御理解をいただきたいと考えております。
  178. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうですがな。まあ一ぺん静かに検討していただきたいと思うのですが、私はあなた方からいただいた「地方税に関する参考計数資料」というのを読ませていただきました。そうしますと、二〇ページに書いてあるのですが、四十二年度の地方税、これは当初見込みは幾らになっていますか。それから実績見込みは上がっておりますし、それから四十三年度は地方税はまた非常に上がっておるわけです。そうして租税総額の国民一人に対するところの負担額、四十二年度は六・〇、それから実績は六・一、さらに四十三年度の見込みは六・二になっておるわけです。一○の人が一五に上がって一・一納める、そういう形にこれはなっていますか。
  179. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、住民税のような、いわば所得課税に関連して申し上げたわけでございますが、ただ、税金ということになりますと、経済の発展に伴いまして、それに応じて自動的にふえてくる税金もござます。たとえば道路財源でございます軽油引取税のようなものは、消費量がふえるに従ってふえてくるものもございます。したがいまして、そういう意味では、全体としての地方税負担は昨年度の実績国民所得に対する六・一%が六・二%になっておりますけれども、ただ直接税的な負担といたしましては、先ほど申し上げたような形になっていくものというふうに考えております。
  180. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この論議はもう少し深めねばいかぬと思うのです。国民所得に対してこの比率を出しておるわけですね。国民所得に対して大体二〇%が税の限界だといわれておるわけですね。先進国と目されるところは、大体二〇%を限度にしておる。日本は軍備がないのですから、一九・六%というぎりぎりのところにきておるわけです。国民所得ということになりますと、ここに問題があるんじゃないですか。国民所得ということになりますと、非常な大金持ちさんも、それから勤労所得者も一緒になっておるわけですね。それに比例して六・二%、一九・六%、こういうかっこうになりますと、庶民はもっと大きな負担をしておると見るべきじゃないかと思うのです。だから、そういう立場からいいますと、市町村民税、こういうものに対しての比率は一体所得に合わしてどうなっておるかという具体的なところを教えてもらいたい、こういうことを私が冒頭に言ったのに対して、お答えをいただいておらぬわけなんです。そういう検討をやられたかどうかということを、この際ひとつ聞いておきたいと思うのです。これは税の軽減とか負担の公平を期するとか、あるいは合理化とかいうことには、私はやはり大きな要素になると思うのです。抽象的な話ではいかぬので、その点をひとつお教えをいただきたいと思うのです。
  181. 松島五郎

    松島政府委員 国民所得増加率を申し上げますと、昭和四十二年度当初見込みが三十二兆五千億でございますが、昭和四十三年度の見込みは三十七兆九千億、一七%程度の伸びになっております。それに対しまして、住民税の個人分の伸びをとってみますと、約八%程度の伸びでございまして、国民所得伸び一七%に対しまして住民税は八%程度の伸びでございますから、所得伸びに対しましては住民税は相対的に伸びが小さくなっておるということは、それだけ減税になっておるというふうに考えていただけるのではなかろうかと思います。
  182. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  183. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。  本会議散会後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十六分休憩      ————◇—————    午後四時四十四分開議
  184. 和爾俊二郎

    ○和爾委員長代理 休憩前に引き続き会議開きます。  委員長所用のため出席がおくますので、指名によりまして、理事の私が委員長の職務を行ないます。  地方税法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。三木喜夫君。
  185. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この前は、減税、それから財源補てん、こういう問題、また、それから考えられる問題は、個人の負担が一向に軽減されていないじゃないか、こういう質問をしておったわけです。それについて松島税務局長から御答弁をいただいたわけでありますが、もう一回、この前の質問に対しての御答弁をいただきたいと思います。
  186. 松島五郎

    松島政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、国民所得増加に対しまして、個人の住民税で申しますと、先ほど私一・〇八%と申し上げましたが、これは県民税でありまして、市町村民税のほうは約一一%になっておりますが、いずれにいたしましても、国民所得増加一七%に比べましては相対的に割合が低くなっております。その分は要するに減税の効果がそこにあらわれてきておるというふうに考えていただけるのではなかろうかと思います。  なお、四千億の増収と先ほど申し上げましたが、そのうちの四割以上が法人関係の増でございまして、法人の県民税におきまして約二百億、法人事業税におきまして千百十七億、市町村民税法人割りにおきまして三百億の増になっておりますので、そういった点を考えますと、四千億のうち相当部分が法人関係の税収入増加になっておるということがいえるのではないかというふうに考えております。
  187. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いずれにいたしましても、一つの大きな矛盾にぶつかることは、一方で税の軽減をやり、そうして依然として地方の税全体は伸びておる。ここに、やはりどこかで国民が税金によるところの圧迫を受けておるわけです。したがって、この軽減のしかたというものは、やはり合理化ということがありますが、理屈に合ったようなやり方をしていただくことがいいのじゃないか、こう思うわけであります。  それから、その個人の負担の問題について、これは後ほどまた地方財政全体にわたりまして御検討があると思うのですが、われわれの周囲には超過負担の問題を見のがすことはできないと思います。これは予算委員会ではかなり論議もされておるようでありますが、これが地方財政を圧迫し、したがってそのことが個人の生活も圧迫してくる結果になるのじゃないか、こう思うのです。それからもう一つは税外負担ですね。これはずいぶん前からもやかましく言われておるわけですが、そうしたものが個人の上におおいかぶさっていく、その上に物価高がやってくるということになりますと、依然として減税という名前だけであって、個人としては税の負担にあえぐという結果が出てくるのじゃないかと思います。  そこで、簡単に触れてまいりたいと思いますが、その超過負担の問題です。四十一年、四十二年、四十三年度と、どれだけ超過負担が推定であるのか。そうしてこれに対するところの解消の方策がとられておりますが、本年も自治大臣と大蔵大臣との間で解消の覚え書きをかわされたようでありますが、どういうようにやって解消していくかということについての計画をお聞かせいただきたいと思うのです。
  188. 細郷道一

    細郷政府委員 超過負担につきましては、四十一年度で三百三十一億、四十二年度で二百六十六億、四十三年度で三百二十億というように解消をはかっております。四十二年度におきます超過負担の額は、四十二年度として調べたものはございませんけれども、四十年度を基礎にいたしますと、なお千億ぐらいあるのではなかろうか、かように考えておりますが、特に四十二年度におきましては、超過負担額の占める割合の比較的大きい保健所職員費その他の六事業費につきまして実態調査をいたしまして、そのうちで地方の単独事業とみなすべきものと措置を要すべきものとに分けまして、措置を要すべきものにつきましては四十三年度からそれぞれ措置をいたすことといたしました。その六つにつきましては、四十三年度は約二百七十億の超過負担の解消措置をとっております。今後四十三年度、四十四年度にわたりまして、事業の種類によっては必要に応じて調査をいたしまして、全体としての超過負担の解消をはかりたい、かように考えております。
  189. 三木喜夫

    三木(喜)委員 四十三年度の予算編成にあたって、解消予算として大蔵大臣の説明では三百二十億円、こういう説明がなされておるわけなのです。そこで、この記録にあるとおり読んでみますと、水田大蔵大臣は、四十三年度予算編成にあたって、解消予算として三百二十億円事業費ベースで組んでおる。最初の一二%の百九十六億円は、補助金の配分方法を改善し、または地方財政計画に計上すれば措置できる。それから地方のつけ増し単独事業で処理することを要しない分は全体で二百六十七億円。あとの一二%、補助対象外の経費で地方財政財政計画に計上される分と合わせて、二百十五億と五十二億、合わせて二百六十七億、この二百六十七億というものは国の責任で見ない、こういうような説明をしておるのです。解消予算として三百二十億という説明がなされておるわけなのですが、これといまの説明とどういう関係があるのですか。
  190. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたように、昨年実態調査をいたしました六つの事業費につきましては、今回の解消措置が約二百七十億でございます。そのほか調査をいたしませんでしたものにつきましても、若干の改善をいたしておるのでございます。たとえば、産業教育施設の整備費、そういうものの単価を直すといったようなことをいたしておりますし、また公立学校の構造比率の改善をする。木造と非木造との比率を従来よりも非木造のほうにウエートを置いていくというような措置もいたしておりますので、全体として三百二十億四十三年度において解消する、こういうことでございます。
  191. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなたの言われた額と大蔵大臣の三百二十億と違っておるじゃないですかということを言っておるのです。そのことはどうですか。大蔵大臣は三百二十億という線を出しておるわけですね。
  192. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度の超過負担の解消額は、お配りしました資料にありますように三百二十億二千三百万でございます。大蔵大臣がどういう数字をおっしゃられたのか、おそらくその数字をおっしゃったのじゃなかろうかと思いますので、その限りにおいては合致しておると考えております。
  193. 三木喜夫

    三木(喜)委員 こういう超過負担について四十一年、四十二年——いまは、四十三年の方法について言われたのですが、累年超過負担がたまっていっておるわけですね、その分についていま質問したのですが、その点はどうですか。
  194. 細郷道一

    細郷政府委員 過去における超過負担の累積、それにつきましてどういう措置をするかというのは、確かにいろいろ議論のある点だろうと思います。ただ、私どもとしましては、将来に向かって超過負担を是正するということによってこの問題に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  195. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣も同じく予算委員会の質問に対しまして、「一千億円残っておるとおっしゃいましたが、私どももそういうふうに判断をいたしております。」「超過負担というものは完全に消してしまうという決意を自治省としては持っておるわけでございます。」こういうことですが、こういうような方法で超過負担が解消できるかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  196. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 こういう調査を始めましたもとは、言うまでもなく、前から超過負担分がありますので、地方団体が非常に迷惑をしておった。迷惑しておったと申しましても、それに見合う資本の蓄積がその場でできておるとは言い条、やはりその間負担区分で、国と地方との財政秩序と申しますか、国が当然持たなければならぬものをかわりに地方に持たせるということはまことに相すまぬことでございまするので、この調査にかかりまして、さっきの六事業だけより出したものがやっと結論を得た。   〔和爾委員長代理退席、委員長着席〕 その中には一部地方として負担すべきものもはっきりしてまいりましたし、また国の持つべき部分は、お手元に数字がありまするとおりに、国のほうでいまからでも埋めましょうということになりました。しかし、この問題を究明しましたことが大事でありまして、将来に向かってどういうことになるかと申しますと、私ども考え方では、これは三年越しでなしに一ぺんに解決しなければいけなかったのに、三年でやるということになったことは残念といえば残念だけれども、こういう方法で不合理が将来にわたって是正できるという道が開かれたわけでございまして、一たんこうしたら、また次には累積があるのじゃないかということがすぐ考えられますけれども、そうでなくして私どもは、こういう方法で検討しました内容が始終移動しますならば、そのつど正していくという考え方に立っております。では、前にたまっておった分はどうなるか、こういうことになりますと、これは私どもといたしましては、それを返してくれと言われる声も聞かぬではありませんけれども、しかしそれもただ何か、地方のそういった貴重な資金を国のほうへ吸収したというわけでもありませんし、先ほど申しましたとおりに、それに見合うものはやはりそこへ資本の投下が行なわれておるわけでございますので、そこはしばらくしんぼうしていただいて、将来に向かってこういうことをなくすということでひとつごかんべんを願ったらどうかという気持ちでございます。  あわせて、先ほど御質問がありました、例の住民税減税をしたけれども、結局来年度は、四千億円までの増収を見込んでおるのだったら減税したことにならぬじゃないかというお考えですね、私も考えぬでもないわけでございます。ですから、先ほど質問がとぎれました際に、税務局長には、法人分もあるじゃないか、内訳についてよく御説明したらどらだということを言っておいたわけなのです。税目を拾ってごらんになればわかりますとおりに、府県税以下市町村税、たくさん中身があるわけです。しかし法人税だからといって、これは最終は、やはりそこで税金を払っていけばそれだけ収入が減ってくるのは間違いない、考え方によっては。しかし、私どもが今度、ぜひ住民の皆さんに喜んでいただきたいと思ってこういう減税をいたしました根拠は、御案内のとおりに、去年、当委員会附帯決議をいただきました。そのときは、「住民税課税最低限については、大巾な引上げを行なうものとし、」ということで、先に金額まであげられたわけですね。つまり諸控除一万円ずつ、合わせて標準世帯で十万円の控除の引き上げをする。地方財政の現況から考えて、これをこのまままるのみにするとどういう影響が来るかということについてずいぶん検討も加え、頭を悩ましたわけでございます。同じ決議でも参議院のほうは、やはり同じ趣旨のことであっても、金額までは入っていなかったわけですね。しかしせっかくの御決議であるので、まずこれに沿わなければいかぬということで鋭意検討いたしました結果、今後この御決議をそのまま体して減税をいたしたいというのが筋道になっておりまするので、私どもといたしましては、やはりその間におっしゃるような御意見もあります。たとえば、物価調整ということで考えたら、ほんとうの減税になっていないじゃないかとか、先ほどおっしゃいました来年の増収があれば、結局同じことじゃないかといういろいろな御意見があります。それはお考えになる方々によってこの減税の中身を分析なされば、いろいろなお考え方はあるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、当委員会の御決議を体して、結局これだけでも課税最低限引き上げて、そして税額はいまの時点で減るということになれば、それだけ住民の方々に喜んでいただける。その中を分析すればいろいろな議論もあるかもしれませんけれども、そういう考え方で、一日も早くこの減税を御可決願いたいということをお願いしておる次第でございます。
  197. 細郷道一

    細郷政府委員 ただいまお答え申し上げました来年度の超過負担解消の三百二十億のうち、六事業にかかるものについて二百七〇億と私申し上げましたが、私の思い違いで、二百三十七億の誤りでございました。つつしんで訂正いたします。
  198. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこでこの予算委員会自治大臣の御答弁を私は重視したいと思うのですが、「超過負担というものは完全に消してしまうという決意を自治省としては持っておるわけでございます。」ということですが、結局国の責任においてやるのか、その辺が非常にポイントになると思うのです。いままでは、国の責任においてやることを地方が肩がわりしてやったために累積をした超過負担ができてきた。そのポイントを大臣ひとつ言うていただきたいと思います。
  199. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど国と地方との財政秩序の守備分野というものを明確にすることが本旨であると申し上げたわけでございまするけれども、将来に向かっては、先ほど申しましたとおりに、こういうことが再び起こらないようにということを前是として大蔵大臣ともかたい約束をした次第でございます。
  200. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、一般質問でもこの問題は出ておるわけなんで、同じ問題ですが、しかしそのときの自治大臣の御答弁は、それは重大な問題だから早急にそれに対処しなければならないのだ、こういうような答えになっておりますので、私この委員会で特に詳しく聞いておきたいと思うのです。  それは、当委員会において同僚の委員から質問もあったと思いますが、要するに過密、過疎対策の一つとして、過密地区に対しての児童生徒の急増に対処して設備をやらなければならない。それでその市町村が非常に財政の負担が多いので苦しんでおる。こういう事態です。これは三月二十五日の朝日新聞に出ておるわけでありますが、新座町の問題です。「東京との境寄りに人口が急激に集った。——学童増。地元には受入れる学校がない。やむを得ず両方の教育委員会が認めていた『区域外就学』が、都教育長の越境締出し通達で打切られた。突然の締出しが投げかけた波紋は大きい。人口急増地域の教育行政の混乱が、そこに、断面をみせている。」具体的には、埼玉県の新座町には学童五百人が里帰りをしている。この問題に対して、まず第一に用地費に悩む町村の姿、それから国の長期的な計画を望む声がある、こういうことなんです。これについてはもう大臣はよく認識されておりますから、この前の答弁の延長としてそれは早急に何とかしなければならぬということですが、こういう悩みを持っておるところは各地にあると思うのです。そういうところを、どういうやり方をやっていくことが合理的であるのかということですね。緊急対策として、その地域に対して超過負担をしいずにやる方法が考えられないかということです。この超過負担の問題としてこの問題を具体的に提起したわけですが、これについてひとつお答えいただきたいと思います。
  201. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 人口の移動が激しいために御案内のとおりに非常な過密地帯が新しく出てくる。また反面過疎地帯もできるわけでございまして、行政措置がおくれおくれになることはこれはやむを得ないと思うのです。しかしおくれたからといってこれは一日もゆるがせにできませんので、交付税の配分あるいは起債の措置その他学校用地取得などにつきましては、新しくまた予算を確保するとかいろいろ努力はしております。そういった間にありましても、やはり先ほどの超過負担などの問題が起こる可能性はたくさんありますので、こういった方面もいままで大蔵当局とはいろいろ問題点を煮詰めてまいりましたし、そういう考え方にのっとって、地方には御迷惑のかからないようにということで対処していかなければならぬと考えております。
  202. 三木喜夫

    三木(喜)委員 長期的な計画を望む声が非常に強いということなんですが、長期的にはどういうぐあいにお考えになりますか。私は、とにかく公営住宅の増というような場合に、学校とかあるいは公営施設をつくらなければならぬということには前提があると思うのです。私企業の場合、建て売り住宅をどんどんつくる、そのためにどんどんふえていくというような場合には、あるいは公共用地の取得とか不労所得といいますか、そういうようなものを得た場合の、地域に対する還元のしかた、こんなものをあわせて土地政策として、あるいはその地域の過密政策としてやはり考えていく必要があるんじゃないかと思うのです。これはやはり地方が悩んでおる問題ですから、国の長期計画としてどういうふうに対処していくか、私はこれが必要だと思うのです。いまの大体のお話であれば、超過負担にならぬように国としての措置をとっていきたい、こういうことになろうと思うのですね。それしか方法がない、こういうことになるのですが、結局地価の高騰というような問題もありますし、そういたしますと、特に東京都の周辺地域においては、地価問題とか土地政策というようなものをやかましく言うておりながら何もできないわけなんです。そのために悩むのは善良な市民です。もうけるやつはうんと土地でもうけるわけなんです。そういう点をどういうふうに考えていくかということもこれは必要じゃないかと思うのです。そういう点は自治大臣の権限やあるいは自治省のワク内においてお話をしておるわけではありませんが、幸い大臣がおいでになりましたから、そうした点は各省ともひとつ連絡の上で各方面から考える面がないかということをお聞きしておるわけなんです。
  203. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、もう現状では、先ほど申しましたとおりに政策のほうがあとから追っかけ追っかけ進んでおる状態だ、こういうことでは、いつまでたちましても、ただいま御指摘のような問題の解決はできないわけでございます。そこで、いま土地利用を中心としての計画等にお触れになりましたけれども、やはり根本はそこでして、無秩序な膨張というか、過密地帯が無秩序にできてくるということでは、長期計画などを立てようといたしましても、かえってそれが支障になることもありまするし、もっと広い視野に立って、広域的な立場から新しい開発計画を立てて、その一環として土地の利用区分その他のことを、それぞれ担当の省は違いますけれども、進めていかなければならぬ。やはり総合計画を一日も早く樹立するということが私は必要じゃないかと考えております。
  204. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、自治大臣として特にお答えをいただいておきたいことは、この新聞にもこう書いておるわけなんです。「この問題はこれまで国会でも取上げられてはいる。」これは社会党の長谷川さんが取り上げたと思うのです。「補助率の引上げ、起債ワクの拡大、利子補給の実施といった要望も市町村から繰返し出されていた。だが、いまだに、これという手は打たれていない。」こういうふうに書いてあるわけです。で、文部省は、こういう急増市町村の学校建設が苦しいというのは地方財政の問題だというように逃げておるわけですね。文部省ではこれに対する解決の方途は示さないわけです。これは自治省の問題として考えられておるわけなんですね。この前も長谷川さんがこれについてあなたに質問されたときに、大臣としても、これは重要な問題だから考えなければいかぬ、こういう前向きな御答弁はいただいておるけれども、具体的な答弁にはなっていないですね。それについて、新聞にそう書いておりますから、私も非常に気になるので、きょうはそういうことに対して大臣のはっきりした御答弁をいただきたい、こう思って質問しておるわけです。
  205. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 急激に膨張する地帯、やはりそこに社会資本の投下が足りないから、いろいろな学校の施設、公共施設の問題あるいは道路の混雑の問題なんかが生まれてくるわけでございます。しかし、これは先ほど申しましたように、総合的な計画が立ちませんと、いつでも行政があとを追っかけている姿になりますので、いましばらく時間をいただきまして、こういった問題を根底から解決するというか、計画に乗せていかなければならぬ、かように考えております。いまでも全然こういう地帯を放置しておるわけではありませんので、不十分でありますけれども、起債の重点的な配分の中にはまずまっ先に数えてもおりますし、ものによっては、利子補給の問題等についても御指摘があったわけでございますけれども地方団体が困らないように前向きでこういった問題も急いで解決していかなければならぬと考えておる次第でございます。
  206. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その答弁でもうしかたがないですけれども、あなたの御答弁を読んでみますと、こういう答弁をされております。「これは政府部内でも慎重に急いで検討しなければならぬ問題の一つである、かように考えております。」。「急いで検討しなければならぬ」というところに重点を置いて読みますと、急いで検討されたならば、きょうあたり答えが出ると思うのです。これは三月九日です。きょうでもう二十日ほどたっているわけですね。そこで、大臣としてもあるいは大蔵省との折衝の中で急いで検討いただいておるかと思って聞いたわけです。その点を検討する機会、それをどういうぐあいに持たれるつもりなんですか。予算委員会が済んでしまったらそれでいいわ、これではちょっと困ると思うのですね。こういうところは非常に苦しんでおられるようです。地元の声を聞いてみても、地方行政の責任者の声を聞いてみても、非常に困っておられる。元来、それは自分たちのやったことではないのですから、こういう自然増の災害といいますか、自分がまいたものでもありませんし、それを地方だけが苦しんでおれということは、私はどうかと思うのですね。そういう点でどういうぐあいにしてこれを検討され、解決されようとしておられるか、それだけお聞きして、次にいきます。
  207. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 急いでこういった問題を解決あるいは処理しなければならぬことは言うまでもないことですが、三月に答弁したときからもう何日かたっているが、やったか、やったかと言われますけれども、なかなかそう簡単にはまいりません。気持ちとしては、何も予算期が済んだからほっておくという考え方は毛頭ございません。いろいろな将来のことも考えまして、地方団体が非常に困っておりますいろいろな問題を根っこから解決いたしたいと思っておればこそ、各省に関係ある総合計画など一日も早くという気持ちで準備を進めておるわけでございます。
  208. 三木喜夫

    三木(喜)委員 次に移ります。  この資料の提案理由のところに、合理化をはかるということが書いてありますね。そこで、ほとんどみな言い尽くされていますので一つお聞きしておきたいのですが、自動車取得税の問題です。これも、予算委員会のときに若干の徴税費等を引いて、あとを七、三に分ける、こういうことなんですね。それを、阪上さんだったと思うのですが、そんなことをせずに、いっそのことそれを市町村に全部渡したらどうか、こういう説がなされております。これは大臣、お聞きになっただろうと思います。しかし、当時それについて大臣は何の答弁もないわけなんですね。私はこれについて松島税務局長にお聞きしておきたいのですが、あなたが「合理化をはかってまいったのであります」と言われる以上、理屈に合っておるかどうかということが問題だと思う。  そこで、都道府県には現に道路財源となる特定財源はあるのでしょう。その財源は一体どれだけあって、そして今度、三割なら三割都道府県に渡される——指定都市を含めてですが、三割を渡そうという計画ですが、その三割の根拠をひとつ聞かしていただきたいと思うわけです。
  209. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、都道府県の道路財源といたしましては、現在地方道路譲与税及び石油ガス譲与税という二つの譲与税がございます。そのほかに軽油引取税がございます。これらはいずれも道路に対する財源となっております。なお、そのうち指定市につきましては、御説のとおり道路譲与税、石油ガス譲与税及び軽油引取税についてそれぞれ指定市分を別個に交付いたしております。  市町村に道路目的財源を与えるということで新設をいたします自動車取得税をなぜ一〇〇%市町村に交付しないのかというお尋ねでございますが、現在の財源の分配から申しますと、市町村のほうは非常に少ないわけでございますから、できるだけ多いことが望ましいことは御指摘のとおりでございます。ただ、徴税技術の面から申しますと、自動車取得税を自動車の登録の際に徴収をいたすことにいたしておりますので、そういった面からいたしますならば、府県税にするほうがはるかに能率的に、合理的に徴収できるのではないか、かように考えまして、府県税として一応創設することにいたしております。  ただ、それを、それでは市町村との間でどう配分するかという問題でございますが、御説のとおり一〇〇%市町村に交付するということも絶対不可能なことではないと思いますけれども、ただ、今度の道路整備五カ年計画によりまして、府県は全く道路事業費の負担がふえないかと申しますと、府県もそれ相当にふえるわけでございます。したがいまして、現在目的財源として与えておるとはいえ、それでもなお十分でないという状態がございますので、せっかく府県に徴収させる以上、その一部を府県に財源として交付するのが適当ではないか、かように考えております。また、先日も申し上げましたように、税として徴収します以上は、徴収するものにやはりそれ相当の責任を持ってやっていただかなければなりませんので、全部市町村に交付するということになりますと、その辺に多少問題もあるのではないか、かような配慮をいたしておるわけでございます。
  210. 三木喜夫

    三木(喜)委員 話が二つになりましたから、両方ともぼうっとした御答弁しかいただけなかったわけですが、最初の分は阪上さんの質問で、それに対して大臣は何の答えもなさってないわけです。  これは大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、あなたにお聞きしたのは、合理化をはかったと、こうおっしゃるなら、道路の目的財源としては、市町村はこれだけあるんだ、県はこれだけあるんだ、だから、それが七、三に分けていい率になっておるから分けるという、こういう積算の基礎があるかということが一つ。それから、今度の道路整備五カ年計画というものは六兆何千億ですか、その中で市町村の占める位置はこれだけだ。府県はこれだけの率を受け持たなければならない。その率はどれだけかということをひとつ示してもらいたいということ。それから、この間もちょっと聞いておりましたが、市町村道の改良とか舗装とかというところの進捗しておる率は、それだけ入れても四十六年までに〇・三%だという話を、太田さんの質問のときに聞いたわけなんです。現在どれだけの進捗率があるか、舗装され、改良されておるかということも、合理的ということばを書いておられる以上、やはりこのことも考えに入れなければいかぬじゃないか。その三つの要素について分析してお聞かせいただきたい、こういう質問をしているわけなんです。その上で大臣の御答弁をいただきたい。
  211. 松島五郎

    松島政府委員 新しい道路整備五カ年計画で、府県と市町村とが、事業費でどういう割合になるかという第一点のお尋ねがございましたが、現在一応推計をいたしておりますところでは、府県分、これは指定市分も含まれておりますが、一兆四千六百億程度と見込んでおります。それに対しまして、市町村分が約七千億という見込みでございます。  それから第二点の、道路事業の改良が、この五カ年計画でどの程度進むかというお尋ねでございますが、昭和四十二年三月末現在におきます市町村道の実延長は八十四万六千キロメートルでございまして、そのうち改良済みが十万五千キロメートル、改良率にいたしまして一二・四%となっております。また舗装済みは四万四千キロメートルでございまして、舗装率が五・二%でございます。今回の道路五カ年計画でどの程度進捗するかという問題でございますが、そのうちの公共事業として行なわれます事業分につきましては、改良が千三百二十五キロメートル程度、また舗装は千四百三十七キロメートル程度の予定でございます。したがいまして、改良済みの延長の割合は一二・五%、舗装済みの割合は五・四%となる見込みでございますが、しかし、道路整備五ヵ年計画の事業費のうちの大半は市町村の単独事業でございますので、このうち公共事業で行なわれます分はごくその一部にすぎません。したがいまして、問題は、その単独事業の実施分によってどれだけ道路の整備率が高まるかということでございますか、これについては、前回お答えいたしましたように、目下建設省当局とこの数字について検討中でございます。
  212. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それと、もう一つ、府県に対する道路財源としては独立の財源が与えられておりますね。その分は幾らになるのですか、その御答弁をいただきたいと思います。
  213. 松島五郎

    松島政府委員 新しい道路計画に対応しまして、特定財源でありますガソリン税あるいは軽油引取税が、今後ある程度の伸びを示しながらふえていくという前提に立って試算をいたしておりますが、それによりますと、現在までの特定財源、すなわちガソリン税、石油ガス税の譲与税と軽油引取税とで約一兆円の見込みでございますので、特定財源率は六九%程度になるものと見込んでおります。なお、今回新設をいたします自動車取得税のうちの三割程度が府県分に入りますので、それを加えますと、府県の特定財源充当率は七五%程度と見込んでおります。これに対しまして市町村の特定財源充当率は、今回新設されます自動車取得税の七割相当額が充当されるわけでございますが、そこで市町村の事業費に対しまして約二四%と見ております。
  214. 三木喜夫

    三木(喜)委員 とにかくこれは、地方道全体として改良が二千十六キロ、舗装が三千七百八十七キロ、本年舗装が三百五十キロですね。四十三年度の地方道整備事業は三千九億円、それから地方負担分は千四十三億円、市町村道分はそのうちで八百九億円、市町村の負担分は二百七十四億円、これは昭和四十三年度の計算ですね。そうして市町村道の全体が八十三万キロメートルとして、そのうちで一二・四%が改良率、五・二%が舗装率、四十六年度になりますと、一二・五%が改良率、舗装率が五・四%、そういたしますと、改良率はわずかに〇・一%、それから舗装率は〇・二%増、これに間違いありませんか。
  215. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど申し上げましたのは、公共事業として行なわれます分による舗装率なり改良率なりの増加を申し上げたわけでございますが、そのほかに、先ほども申し上げましたように、単独事業として相当額行なわれますので、それによっては相当の改良なりあるいは舗装なりが進むものというふうに考えております。
  216. 三木喜夫

    三木(喜)委員 だから、いま言いましたその率は間違いはございませんか。四十六年は、改良率は一二・四%が一二・五%になる、舗装率は五・二%が五・四%になる、これは間違いないですかと聞いている。
  217. 松島五郎

    松島政府委員 公共事業として実施されます分によっての増加率は御指摘のとおりでございます。  なお、単独事業の分につきましてどの程度か、一応の推計でございますけれども、単独事業をさらにこれにあわせて実施することによりまして、改良済みの割合は約一六%、舗装割合は約八%になるものと一応の推計をいたしております。
  218. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この前の太田氏の質問に対しまして、国道の舗装率や改良率といいますか、これは非常に進捗しておるのではないか。府県についてはどういう進捗率を示しておりますか。それも考えに入れねばいかぬのじゃないですかな、この配分のものについては。
  219. 川田陽吉

    ○川田説明員 府県道について申し上げますと、第五次の道路整備五ヵ年計画が始まっております昭和四十二年三月現在で大体改良率が三八%、舗装率が二二%でございます。それが公共事業で実施する分だけ上のせますと改良率が四一%、舗装率が三八%程度に引き上げられます。なお、このほかに地方単独事業一兆一千億円のうち四千七百億円程度のものが府県の単独事業として実施されますので、そのパーセンテージを上のせしますとさらに二、三%率がよくなる、こういうことでございます。
  220. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣、以上お聞きのとおり、私はこの法律案の提案理由として、合理化する、こういうことが地方税の問題については大きなねらいだということを冒頭に書いておられる以上、この自動車取得税についても、いま申し上げましたような進捗率、それから道路財源のいままでのあり方、どれだけあるか、こういうことですね。これからどれだけお金が要るか、この三つを考えに入れて、市町村の道路財源としてこの自動車取得税考えていかなければならないのではないか。そういう観点に立ちますと、阪上さんが言われた全体を市町村に渡していいじゃないかという根拠が私は成り立つと思うのです。大臣はそれについて答弁なさっていないのです。いろいろな問いがありまして、これだけはなかったのです。ずっと一気に記録を読んでみますと、質問しておりますが、この問題に触れておられないのです。したがって、またあらためていまのような分析に立ってお聞きしているわけなんですが、どういうぐあいにお考えですか。
  221. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま税務局長が述べました数字は、私もここへ持っておるわけでございます。しかし、全体から私どもが感じますところは、道路整備五カ年計画、新しくつくりますもので六兆六千億円のうち地方持ち出し分が二兆一千億円あることは御案内のとおりでございまして、この裏づけをどうするかということが、私ども一番心配し苦労の種であったわけでございます。そういうことから新税などを創設せざるを得ぬということで、やっぱり自動車取得税などに踏み切ったわけでございまして、総体の計算から申しますと、公共事業の分については大体これで手当てができるじゃないかという段階、その上にただいま税務局長が申しました各市町村の単独事業分もあるわけでございます。  この道路整備のことを全体考えてみます場合に、国の幹線道路は大体国道で、これは道路目的財源も大部分ここへ流れておりますから、私は進捗率という点ではかなりいいと思っております。  道路に格づけするのはおかしいですけれども、私、交通その他いろんな面から勘案いたしまして道路へ順位をつけますならば、やはり国道に続いては府県道が来ておる。市町村道にしても、部分的にいえばやはり府県道あたりよりはもっと早く整備を必要とする個所もあることは当然でございまするけれども、全体から申しました場合には、順序をつけてはおかしいけれども、国道の整備がまっ先に取り上げられて、次が重要であると考えられている地方道のうちでも府県道になるのはやむを得ない。どうしても市町村道がおくれる立場になるが、ただ、いままで道路目的財源市町村には全然与えられていなかったわけでございまするから、お考えのとおりに、せっかく創設したこの自動車取得税は、全部上げて一〇〇%市町村の道路財源にしたらどうかというお考えも成り立ちます。しかしながら、事務当局をしていろいろ検討させました結果、いまの進行状態のもとで国道、また府県道、市町村道、あわせてどういう速度で道路整備を進めていくかということになりました場合には、やはりいまの段階では、一応ある額の道路事業財源は都道府県が持っておりますけれども、それにこの程度のものをさらに加えていったほうがいいという判断に立ったわけでございます。ただ、都道府県、市町村が同じ財源を奪い合うということはまことにまずいことですけれども、私どもといたしましては、全然府県にこの財源を渡さぬということも、道路整備の上から申しましてもはなはだまずい点もありますので、いろいろ勘案いたしまして七、三に分ける、こういう結論になったわけでございます。
  222. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私、五時半から三党の会議がありますので、ちょっとそのほうに出なければならぬので、話が非常に中途はんぱになったわけですが、いまの大臣のお考えは、事務当局が配分された立場に立てば、それはだめだということは言えないと思うのです。しかしながら、理屈には合っていないだろうと思うのです。取り合いするのが悪いと言っておるけれども、事実三と七の取り合いになっているじゃないか、取り合いするのが悪ければ全部渡してしまえばいい。片方はないのでしょう。それから、そうしたら自治大臣の所掌事務とか、自治省とは何するところかということから始めなければいかぬと思うのですが、やはり私はいまの思想は非常にあぶない思想だと思うのですよ。市町村道がよくなっての県道であり、県道がよくなっての国道だと私は思うのです、いまの自治省の立っておる立場なら。建設省が、それは国道だ、重要物資を運ぶために、大企業が栄えるために、こう言うのなら、省の立場上それはしかたがないとしても、自治省としては、やはり自治のたてまえからいえば、弱い財源のないところに財源を付与するというたてまえに立ってもらわなかったら、あるところにまた回しておいて、そうして自治大臣のお話では、取り合いするのはけしからぬ——おかしいではないか、実際取り合いになっておる。それならすぱっと回しておくほうが私はきれいと思うのです。しかも市町村道については、二・五メートル以下の道路は全部削ってしまって、それ以上の道路を計算に入れておるでしょう。これが一つと、さらに、いまの自治大臣のおっしゃられた思想の中には、——このたびは自治大臣に非常にがんばっていただきました、しかしながら、四千億も税の自然増収があり、そのほかの財源を入れると地方財源はかなりあるじゃないか。したがって、交付税をちょん切ろうかという考えになったり、あるいは鉄道の納付金をやめておくかという考えになったり、また二百五十億いまのうちに焦げつきを借りてきて払えというふうな考えになったり、先がたからちょっと出した超過負担の悩み、税外負担の悩みというものを地方はまだたくさん持っておるわけなんです。たまたま四千億の税の増収が見込まれたのですけれども、それもやはり地方住民の負担において伸びておるわけなんですから、建設省とかあるいは閣議で、あるいは大蔵省から、そういう自治の基盤になるものをちょん切ろうという考え方に対しましては、大いに戦って抵抗していただかなければならぬのに、恩恵的な考え方があると思うのです。たまたまそういう財源を見つけてやった。したがってその財源というものはありがたくいただいたらいいじゃないか。七割と三割、けちをつけるな。大臣のいまの御答弁を聞いておって、そういうことは言っておられませんけれども、裏を返せばけちをつけるな——私はこれは、自治をやはり至大にしていただくところの大臣としては、こんな考え方はいただけないと思うのです。だからやはり、事務当局がいろいろ苦労をなさったことはわかりますけれども、現実いままで独立財源もありませんし、それからまた伸長率もよくない、こういうところに対しては、そういう配慮は、そのうちにおる者としての考え方として持ってもらいたい。上から与えるのだというような考え方でなくてこれに対処していただきたい、こう思っておるのです。そこで、阪上さんが質問されておる問題をちょっと取り上げたわけなんですが、きわめて合理的じゃないと思うのです。お考えを聞かしてもらって、私はこれでおきたいと思います。
  223. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 なかなか私、ものの考えようはいろいろあると思いますが、地方財政が好転して、たいへん気をよくして、かってなことを言っておるのじゃないかというふうにとっておる向きもありますけれども、私どもはそうでなくて、やはり地方財政は国の財政政策とは別のものでございます。別だけれども、今日、国の内外をめぐる経済情勢が非常に悪くて国が苦慮しております際に、やはり地方財政面でも何がしか協力するということは当然のことでありまするので、そういった若干の措置、そして国と同一歩調をとるという措置をいたしましたことが、かえって誤解を呼んで、少しばかり内容が好転したからいい気になっておるのじゃないかというふうに誤解されて、私はたいへん心外だと思うわけであります。しかし、御指摘のとおりに、長い間国との間に懸案になっておりました問題も、だいぶん苦労いたしまして一応軌道に乗せまして、あととやかく大蔵省と言い合いしなくても、きちっと法律に乗せて片つけていくということもいたしました。この自動車取得税の問題ですけれども、何もこういう税を創設をしたものを恩恵的に、せっかくつくったものだから喜んでこれを受け取ったらいいじゃないかということは決して私は申しません。  それからまた、明年度の増収見込みですね、これも住民が結局負担すべきものだとおっしゃることは、それはもちろんそのとおりですけれども、しかしこれはやはり増収を見込みますのには、経済の伸びの速度、また所得の増大、いろいろなことを勘案いたしましてああいう数字をはじき出しておるわけでございます。その間にあって自動車取得税を七、三で分けたこと、これはいろいろまた御指摘になればどっちも理由はあると思いますけれども、私どもといたしましては、とにかく何も国、府県、市町村と位をつけたわけじゃ決してありません。それは市町村が一番地方行政の基盤でございますから、これは一番重要視しなければならぬことはもちろんでございます。ですけれども、しかし道路の現況を見ました場合に、やはり大局的に言いまして、市町村道よりは府県道をまず整備するのが先じゃないかという考え方に立たざるを得ないものですから、府県のほうへも何がしか財源を与えるという道を選ばざるを得なかったわけでございまするので、そこのところはひとつ御了承をお願いいたしたい。
  224. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これでおきますが、そうおっしゃるとだんだんおかしくなってくると思いますね。私も、自分の市町村ががたがた道をバスを走らしておる、これを早く直さぬかということを非常に熱望しておるものです。こういうことはおそらく各地にあると思うのです。ほんとうに日常の生活に一番関係のあるのは市町村の道路ですからね。たまたま財源がかなり好転した、こういうようなときに、市町村に対してうんと目を向けなければいかぬと思うのです。自治大臣指摘されておるように、地方自治体の特に市町村財源というものは非常に不安定な要素を持っておる、ぐっとまた減る傾向もあるのだからということでありますが、こういうときに、私は県のほうの道ができないでもいいとは言っておりませんよ。県は県として、目的財源として前にも考えられておりますししますので、自治大臣として市町村を大事にするという考え方の中に立ってもらわなかったら——せっかく自治大臣がいままでけんかして、まあけんかということばは悪いですけれども、非常に言い争って地方自治を守るという、財政的に守るという立場をとっていただいたわけだが、さらに恵まれぬところ、日常生活に非常に近いところ、住民の生活に卑近なところ、これに対して光を当てるという考え方を持っていただきたいと思うのです。私はこの点で、まだほかの点がちょっとあるわけなのです。超過負担の問題だけではありません。そのほか地方にはまたいろいろな隘路があるわけです。それは一つ一つこれから次の議題のときに分析されるだろうと思いますけれども、そう考えたときに、大臣だけは、全体を勘案して大局的に立ってと、こういうことを——大局的に立って見て地方が少ない、いま局長が数字で言われましたように、非常に恵まれておらぬでしょう、それはそのままでいいわというようなことでは困ると思うのです。それは七割やっておるからそのままでいいわではないですけれども、特に重点的に考えなければいかぬときが来たのじゃないか、こう思ったので御質問申し上げたのです。私も地方行政にはあまりなじみがありませんので、いろいろまだるっこいことを言ったと思いますし、またこの後にも質問をさしていただいて勉強さしてもらいたいと思いますが、要するにきょうは、時間もありませんので、この辺でおかしていただきます。また機会があったらいろいろ大臣なり次官なり局長さんのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  225. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  226. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。林百郎君。
  227. 林百郎

    ○林委員 松島局長に。さっきの私の質問で、給与所得者課税最低限と生活保護の最高と思われる基準との比較はお聞きしたわけですね。それで、一般申告者の最低課税限度と生活保護の基準との比較をひとつ聞いておきたいと思います。  夫婦と子供三人で生活扶助と教育扶助と住宅扶助を受けるのは約四十三、四万円となっているわけです。一般申告者の課税最低限度額はどのくらいですか、標準額で。
  228. 松島五郎

    松島政府委員 一般の事業所得者につきましては、従来から給与所得者の場合のように課税最低限ということではっきりした標準的なものを設定されておりませんので、場合によって違うと思います。と申しますのは、たとえば一般事業所得者につきましては、先ほども問題になりました専従者控除というような制度がございますので、その専従者が青色であるか白色であるかというような場合によっていろいろと違ってまいりますので、一般的には、事業所得者について標準世帯と申しますか、そういうものを設定して課税最低限ということは言っておりませんが、かりに事業所得者所得割りにつきまして、夫婦子三人で奥さんが青色専従者になっております場合の課税最低限というものを申しますと、ここから課税されるのは四十七万三千五百六十五円になっております。なお奥さんが白色専従者であります場合は四十一万二千二百二十三円であります。しかし一般的に専従者の数が夫婦子三人の場合に一人であるか二人であるかという問題もございます。平均いたしますと納税義務者一人当たりの専従者の数は一・九人になっておりますので、そういう平均的なところをとって考えますと、いま申し上げましたものよりはもう少し課税最低限は上になるというふうに考えられます。
  229. 林百郎

    ○林委員 ここに調査室の資料があるのですが、これでちょっと見ているわけですけれども、いま言った控除、かりにそういう控除がなくて、基礎控除配偶者控除と扶養控除、それから社会保険料の控除、これで一般申告者の課税最低限を見ますと約三十五万という数字が出るのです。そういう場合もあり得るのですか。
  230. 松島五郎

    松島政府委員 夫婦子三人の場合で全然専従者がないということになりますと、四十三年度で三十六万一千百五円になります。
  231. 林百郎

    ○林委員 そうですね。そうすると、この生活保護の最低限と約七万くらいの差がある。いまあなたが出したその例で私も聞いておるわけです。そういうことになると思いますか、そうですが。
  232. 松島五郎

    松島政府委員 その面だけからとらえますと、お説のとおりになると思います。
  233. 林百郎

    ○林委員 そうすると、一方では生活保護を受けて四十四万前後で課税されないという人がある。一方では五人家族で専従者控除がないということで三十五、六万ということになると、それは課税の公平さからいって、そういう場合はやはり是正されるべき事例ではないでしょうか。そう考えませんか。
  234. 松島五郎

    松島政府委員 事業所得者給与所得者との課税の問題をどう考えるかというたいへんむずかしい問題に関連をするわけでございますけれども給与所得者の場合に課税最低限と申します場合は、給与所得控除等も含めまして問題が考えられておるわけでございます。人によりましては、給与所得控除というのは事業所得者の場合の必要経費に相当するんだという考え方もあるわけでございまして、それが相当するかしないか、これは議論のあるところではございますけれども、要するに収入金額に対して課税最低限幾らになるかという議論として課税最低限議論されているわけであります。ところが、事業所得者の場合は、収入金額に対する課税最低限幾らかということではなくて、収入金額から必要経費を控除した残りの所得に対して課税最低限がどうかということでございますので、何と申しますか、比較の次元ということばは適当ではございませんが、比較のしかたがちょっと違うというふうに考えられるわけでございます。
  235. 林百郎

    ○林委員 あなたは比較の次元が違うとおっしゃるが、事業所得者から事業の必要経費を引くというのは当然であって、俸給生活者というのは事業をやっているわけではないので、必要経費というのはないわけですけれども、事業をやっている人はそのことによって生計の基礎をつくるのですから、それはもう何ら実質的な所得にならぬわけです。だからそういうものを引いて、それに対して税金をかけるのが当然だと思うのです。だから結局次元は、給与所得者がまるまる給与が手に入り、そこに税金がかかってくるのと、事業所得者が事業に必要なものを差っ引いて、これはどうしても引かざるを得ないものである、その残ったものに対して、それで生活していくのだから、そこに税金がかかってくるのと同じではないか。それなのに、一方は、生活保護を受ければ四十四万で、一方では事業所得者が五人家族で専従者がかければ三十五、六万、私はそういう不合理はどうしても是正していかなければならない問題だと思います。これはまたいずれ、そういう問題は本格的に質問をする機会があると思いますが、私はそう考えますけれども、こういうような人がどのくらいいるかわかりますか。わからなければ次回下いいです。
  236. 松島五郎

    松島政府委員 後ほど調べまして、お答えをさしていただきたいと思います。
  237. 林百郎

    ○林委員 私がこういうことを聞くのは、大臣もおいでになりますけれども地方財政が余裕が出てきた、だから四百五十億もこの際中央に貸すとかなんとかいう問題も出てきて、何か地方財政が出世払いの証文を入れたようなものも払ってもいいような条件が出てきた、こういうことが言われたり、そう見られたり、大蔵省あたりもそう見ている。赤澤大臣も、どの程度抵抗したか知らぬけれども、結局それを承服したというようなことがあるわけです。しかし地方財政は、さっきも同僚議員から超過負担の問題も出ておりますし、さらには税体系からいって、中央の税体系に比較して非常にアンバランスの点もあるし、さらには生活保護以下の人にまで所得割りがかかってくるというような問題があります。そして自治体個有の事業というものを手控えるような制限も来ております。だから、決して地方財政が豊かになっているとか、あるいは四百五十億を中央に貸してやるとか、出世払いができる条件になってきたということは絶対にないと思うのです。やはり自治大臣たる者はこの際断固抵抗して、こういう長い間の地方財政あるいは地方税法の中にあるいろいろの不合理を是正する方向に努力すべきではないか、こういうように私思いまして、この一つの例をもって質問したわけです。最後に大臣の所信を聞いて——同じ佐藤内閣の国務大臣だから、そうは言っても限界があると思うけれども、しかし考え方、姿勢があるかないかではかなり違いますし、あなたの見解をお聞きして、私の質問をこれで打ち切りたいと思います。
  238. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども御質問にございましたけれども、おととしから去年にかけて、数字が示しておるとおりに、多少、わずかばかり地方財政の内容が健全化したと言えぬことはないわけですけれども、しかしそれはそれだけであって、御案内のとおりに膨大な借金の上に成り立っておる地方財政です。ですから、私どもは、地方財政が好転した、これを機会に国に金を貸してやろうという大それた気持ちは全然持っていないことは、先ほどるる申し述べた次第でございますが、今回国のこういう抑制型の予算に協力をいたしましたことは、われわれといたしましては意味があると考えておるわけでございます。この点は、るる申し述べれば時間ばかりかかりますが、そういう立場も地方財政としては全然とらぬというわけにまいらぬわけでございます。しかし御指摘のとおりに、まだ地方の行政需要というものは無限といっていいくらいあるわけでございますし、また地方財政面でも調整を要する御指摘の面などもまた検討しなければならぬ問題であるとは考えますけれども、冒頭申しましたように、決して地方財政が好転していい気になっているわけではないということを申し上げまして、なかなかそれでは御期待に沿わぬかもしれませんが、とにかくすべて前向きで処理していきたいと考えております。
  239. 林百郎

    ○林委員 私はこれでけっこうです。
  240. 吉川久衛

    吉川委員長 門司亮君。
  241. 門司亮

    ○門司委員 私からもごく簡単に、ちょっとだけ大臣に聞いておきますが、この自動車取得税についてのものの考え方ですが、御承知のように自動車に関する税金というのは非常に多いのですね。間接的にあるのが揮発油税、しかも、ちゃんと自動車に使うんだと書いてあります。そしてこれは一番税率が高く、六一・一%という税率をこれにかけておる。これは自動車を持っている諸君が払わなければならぬ。それからその次に、これに見合うもので石油ガス税、いわゆるプロパンに対しては三一・五%の税率がかかっている。これは自動車を動かすためのものです。その次に国税でかけられているのが普通自動車税で、税率が大体三〇%くらいだと思うのですが、現行は一八・八%といわれているけれども、これがかかっている。その次に小型乗用車にかかっておる。それから自動自転車に三・三%という低い税率だけれどもかかっております。これは国税、物品税、間接税でかけられております。その次に地方税になってくると、御承知のように、都道府県税で自動車税がかけられている。それから市町村税で、軽自動車税がかけられておる。今度それにもう一ぺん自動車取得税というものをかけてくるとなると、ガソリン税その他を除いて、同じ自動車に三回の国、地方を通ずる税金がかかる。こういう実態で一体よろしいかということですね。税金はやはり一物一課の原則というものはできるだけ守るべきだと思うのです。従来の、一つのものに二度も三度も税金をかけておったというような付加税制度をやめたのは、税金の本質を明らかにしていって、税体系をきれいにしていこうということで、大体一物一課の原則を貫くというのがシャウプ勧告の趣旨だったと思うのです。しかし自動車に関しては、こういうふうに三段階に税金をかけてくる。これで一体よろしいとお考えですか。もしこういうことができてくると、とんでもないことがほかにも派生しないとも限らぬと私は思うのですが、これに対して大臣どうお考えになりますか。
  242. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私もいいことであるとは考えておりません。しかし、道路の整備が緊急を要するのに、財源にたいへん窮したわけでございますので、この自動車取得税は、御案内のとおりに、受益者負担的な意味でこの上にもう一つ税金をしょっていただこう、こういうことで創設したわけでございます。つまり自動車というものは、営業上また生活の上で必需品的な使用をなさっている向きもありますけれども、国民全体としては、自動車はまあまあどっちかというと、ぜいたくということばは当たらぬかもしれませんが、自動車を買うほどの人は担税力がある。しかも、それにつれて道路が整備されるということは、つまり自動車を使う人にとっても決して不利益ではない。車の消耗の度合い等も違ってくるわけでございますので、そういった意味で、この税の創設に踏み切ったわけでございます。これは、やはり前から自動車というものは奢侈的なと申しますか、奢侈的ということはぜいたくということになるわけですが、いまは必ずしもぜいたく品とも思いませんけれども、しかしこれには消費税がかかっているわけでございまして、これは、やはり製造業者とかあるいはこれを売ります際に、販売業者の段階でかかってくる。それから自動車税、これはまた種類がちょっと違いまして、やはり自動車というものは財産である家、土地なんかとは違いはありますけれども、とにかくちょっとした財産には違いないわけでございますので、やはり固定資産税見合いのと申しますか、財産がここにあるということで、こういう自動車税というものをお願いした。その上に燃料課税があるわけですから、私はたいへんだと思います。たいへんだと思いますけれども、やはり道路財源に窮するの余り、今度はこの自動車を買う人に一つの担税力を見つけてお願いすることにいたしましたので、この点はひとつよろしくお願いいたします。
  243. 門司亮

    ○門司委員 どうもそういう答弁だと、ちょっとむずかしいですね。自動車は、ある場合には奢侈になり、ある場合には財産となり、ある場合には何か目的税として使っていこう、目的税の定義というのは、やはり地方自治体の一つの行政の特別な恩恵を受ける人たちが目的税として納めることは、理屈としてわかります。都市計画税とかあるいは水利利用税とかいうものは、これは住民も納得すると思います。しかし道路というものについては、道路がなくていいということはない。道路はつけなければならぬ。そこで財源がないといわれておりますけれども財源は決して——予算をここで議論するわけではありませんが、防衛費その他を見てみると、これは平年度五百五十億ですかくらいのものは、そうたいして大きなものにならないのじゃないか。ことしたばこの消費税を上げるでしょう。そうすると、これは本年度の収益にはなりませんが、来年度大体四百四十億になる。お酒をこしと上げておりますが、それの三二%を取ってくると、百四十四億というものは出てくる。一方においては、そういう国民の消費の負担による財源があるはずです。これは、ないというけれども、たばこが上がって、お酒が上がると、そういう数字が出てくる。これは隠すわけにいかぬですよ。そうすると、この税に見合っている四百四十億くらいのものは、大体取らなくてもあるはずです。ここに私は、この税金の無理があるんじゃないかと思う。税金の体系の上から見て、はなはだ奇怪なものであって、燃料課税を入れると、三カ所で同じものに対して税金をかけてくる、こういう行き方です。これは大蔵省の主税局の方がおいでになれば、一体こういう税体系がよろしいのかということで聞かなければならぬと思いますが、まるで昔付加税があったときと同じような形のものですね。しかも税金の性格というのがおのおの違う。こういう形について、私はもう少しはっきりした答弁をお願いしたいと思うのであります。御承知のように、同じような目的税といわれておりましても、もう一つ目的税があるんですね。軽油取引税というもの、これも自動車にかかっている。だから、こういうふうに考えていきますと、道路目的のために使用するのが、たとえばガソリンの地方譲与税があるとか、あるいはこういう軽油に対する目的税として定めてられているものとか、それに今度は自動車に対して、同じようなものに対してまた目的税をかけてくる。そうしてこういう税のかけ方は——これ以上私は聞きませんけれども、一体大臣は、こういう一物一課の原則を守らなくてもよろしい、そうしてこれは、ある場合においては従価税の場合もあるし——ほとんど全部従価税ですがね。そうして定率の税額の金額をかけたものもあるし、今度のように定率ではあるけれども、しかしものによって多いのと少ないのが出てくるということ。いままでの県税の自動車税とか物品税とかいうものは、一つのものについて何千円というきまった税額をかけておりますから、どちらかというと、一つの地方税としての行き方としては私はよろしいかと思います。しかし地方税の中でこういう累進的の——まあこれは実際には累進課税にはなっておりませんが、ある意味においては累進課税になっておるかもしれません。同じ税率でやっても高くなるからということであれば、累進課税になっているかもしれません。しかし問題は、この税金はどこまでも目的税として取られるということと、もう一つここでお聞きをしておきたいと思いますことは、さっきのお話のように財産税的の性格をこの税金は持っているかどうかということです。税の性格は一体何なんです。さっきからお話しになっているように、ある一部分は奢侈税であって、ある一部分は財産税、ある一部分は——ここまでくると何だかこれはわからなくなってくるのですけれども、これは何なんです。
  244. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その意味では流通税でございます。私、財産税と申しましたのは、自動車税のほうを財産税的な性格を持っておると申したわけでございます。流通税でございます。
  245. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、同じ品物がこういう形で流通税として認められる。むろんこういう形でありますから流通税と言わざるを得ないだろうと私は思います。それ以外の方法はなかろうと思いますけれども、自動車は動くからといって、少しその税金のほうも動き過ぎやしないかということです。流れ過ぎやしないかということです。もしこういうものが平気で通ってきてごらんなさい。しまいにはえらいことになると思うのです。ことに道路に対する責任というものはどこにあるのです。だれがつけなければならないかということ。なるほど端的に、自動車がいま非常に数が多いから、こわしている率が多いから、これを補足するためにおまえたち税金を払えという、何というか、これは応能の原則というか——とは言いませんが、ややそれに近いような形で税金を取ろうとされておりますが、道路行政自体から考えてきて、こういう二重、三重の税金を、しかも性格がおのおの違った税金をかけていくということについては、政府はほんとうに考えてもらいませんと、ほかにもまだこれと同じようなものが出てきやしないかと思うのです。  最後に私が聞いておきたいと思いますことは、税金は一番取りいいところから取るんだという政府のものの考え方。いま自動車は非常にたくさんある。道は非常に悪い。そうして一番使っているのは何といっても自動車だ。だからこれに税金をかけることは世論もそうやかましくいわないだろう。最も取りいいところから取るのだという、理屈も何にもない、とにかく取りいいところから取るという政府のものの考え方。税金はすべてそうなんです。たばこにしたって、お酒にしたって、みんな小さい消費者から取るのです。取りいいところから取るということ、取りにくいところからは取らないということ。したがってこの問題に対してもそういうお考えがあるかどうか。取りいいところから取るというのじゃなくて、私はもう少しここではっきり聞きたいと思うのは、この税金の体系からいって、どうしてもこういう税金を創設しなければならなかったという政府の理由はどこにあるのですか。先ほどからお金が足りないと言われているけれども、お金が足りないとは言わせないのです。予算全体から見てこのくらいのお金がないわけでもありませんし、さっき言いましたように、たばことお酒の値上げだけでも大体この税金はカバーできるはずであって、さっきもお話がありましたように、大体それと見合うくらいの額を政府に貸してあげようというのですから、これはなかなか念の入ったことであって、そういう余裕のあるときにこういう新しい税金を設けなければならぬという理由は私は成り立たぬと思うのだけれども、どうしてもこれをやらなければならぬという理由はほかにございますか。
  246. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ほかに理由はございません。これは何としても地方道の整備は緊急でございますので、その財源がほしかったわけでございます。もう最初から道路整備のための目的財源があるわけで、これをもう少し増税してもらおうかという考え方もいたしましたけれども、燃料課税はすぐまた物価に響いてまいりますし、物価にできるだけ響かぬで、道路を使うという受益者負担的な意味で何か税源になるものはないだろうかということをいろいろさがした結果、これに思いが至ったわけでございます。これは言うまでもなく一回だけ払っていただく税金でもありますし、負担がどう納税なさる方に響いてくるかということをいろいろ考えてみたのですけれども、まあ三%というのは、たとえば五十万円の車を買ったとしますと、買ったときに一万五千円。自動車の耐用年数を三年に見る、五年に見るということはありますけれども、月割りにいたしました場合には三百円とか五百円までの金額になるわけでございますので、そう大きな御迷惑はないのじゃないかという気もいたしますし、いろいろなことを勘案して踏み切ったわけです。いま御指摘のとおりに、自動車というたった一つのものにいろんな違った種類の税金をかけて、まだ何か課税できるのではないかとさがし回るという態度は私はよくないと思います。これは私は門司先生と全く同感でございまするけれども、これに踏み切りましたのは、いかにも地方道、特に市町村道の整備のために何か財源はないかということが発端であったわけでございます。その他いろいろ国のほうで、たばこ、あるいは酒、こういった消費税的なもので、すぐこれをこうすればこれだけ出るのじゃないかというお考えがありましても、実際大蔵大臣がるる本会議や予算委員会で説明しておりまするとおりに、そこに割り込もうといたしましても、なかなかそこはむずかしいものですから、窮余の一策としてこれを創設したものであるというふうにお考えをお願いいたします。
  247. 門司亮

    ○門司委員 私はもうこれでやめますが、そうすると、こういうことに解釈しておけばよろしゅうございますか。窮余の一策でやったのだということになれば、窮余の一策でこれはやむを得なかったということになろうかと思いますけれども、われわれから考えると、あまり窮余の一策ではないというような気がするのです。ほかにかなりたくさんの策があったように考えられる。同時に、道路行政を今日まで怠ったのは一体だれの責任かということです。私は必ずしも自動車を持っている人の責任じゃないと考えるのです。地方の道路の悪いのはいま始まったことじゃない。もう何年も前から悪いのはわかっておったことだ。そして国は国道だけは一生懸命にやる、いわゆる動脈のまん中だけはやるが、ほんとうの人間が生きていこうとする生活道路——いわゆる産業生産に関する道路と住民の生活に密着した生活道路、この生活道路を怠ってきておった政府の怠慢が、ここになってこういう形であらわれてきたと申し上げても、これは大臣は抗弁の余地はないだろう、そのとおりだと言わざるを得ないと私は思うのです。いろいろほかに財源がないわけではない、私どものほうから考えれば決してないわけではないのであります。ことに地方団体からは、去年おととしくらいまでは——いつかも私は申し上げたと思いますけれども、ガソリン税をふやしてもらいたい、これを一千億くらいふやしてもらえば、地方の国道の動脈に沿った道路というもの、いわゆる取りつけ道路というものが完全に行なわれる。そうしなければ国民の経済道路としての道路の十分なる機能を発揮するわけにはいかない。道路は、何も大きな国道だけができたからといって、それで全体の機能を発揮するというわけにいかない。道路の機能の発揮というのは、都道府県道、市町村道までが完備されなければ、ほんとうの意味における道路の効率というものはあがらないのだということはだれでもわかっておる。それを政府は何年か怠っておいて、ここになって新しい財源を見つけていくということについて、私どもはこれはどうしても納得がいかない。  それから、最後にもう一つ聞いておきたいのは、これは私の考え方が違っていれば別ですが、税法を読んでみますと、国や何かの官庁の取得した自動車にはあまり税金をかけないように書いてあるのはどういうわけです。これはやはり道を通るのでしょう。
  248. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、国、地方公共団体の取得する自動車につきましては、原則として課税をしないということになっております。その理由は、これはもう先生御承知のとおりでございますが、課税団体であります国や地方公共団体には相互に課税をし合わないという一般原則に基づくものでございます。
  249. 門司亮

    ○門司委員 一般原則と言われても、たとえば国鉄の問題も問題になりましたけれども、あるいは国有財産の所在市町村に対する交付金というようなものもこさえているのです。あると思うのです。私はこれだけを国がのがれるというのはおかしいと思うのです。国の自動車といっても、道を歩いているのは間違いないのであって、別に道から浮き上がって通っておるわけではない。同じように国民に負担をかけるというならば——それはどうせ国のものも国民の税金で支払うのだから同じだといえば同じかもしれません。ふところ勘定は同じだといえばそうかもしれない。しかし、おのおのの自治体は独立しておりまして、国が全部めんどうを見てくれていればいいけれども、そうではない。やはりこういう問題は、ほかのいろいろな国有財産の所在市町村に交付するような形も今日までそのことのためにとってきたのであって、地方の実際の財政をどうまかなうかということのためにああいう処置を今日までとってきたのであって、自動車だけ国のものは免税だということについては、少しわがまま過ぎやしないかということを私はどうしても考える。だから、最後に、この措置によって一体どのくらい地方税が損をしているかということの計算、政府の税制の恩恵にあずかってどのくらいの税金が免除されているかということの数字がわかれば、この次の委員会まででよろしゅうございますから、ひとつ知らせていただきたいと思います。  これで終わります。
  250. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十一分散会